1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:41:48.35 ID:GlxJXI870
今までの流れ
ブーンとツンは幼なじみ
↓
ツンが3年前に引っ越してしまう
↓
ツンが帰省してくる。ツンが好きなブーンはktkr
↓
みんなで海にいく
↓
ショボンがツンを好きだと言いだす
↓
ショボンがツンを祭りに誘う←いまここ
↓
ブーンgthm
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:43:08.71 ID:GlxJXI870
それでツンは何と答えたのだろう。
( ^ω^)「……それで、ツンは何て答えたお?」
ξ゚听)ξ「えっとね、そこでブーンが帰ってきたから後でかけなおすって返事した」
( ^ω^)「……そう」
ξ゚听)ξ「ね、なんて答えたらいいかな?」
知るか。
そんなもん、知るか。
僕に聞くな。
行きたいなら、行けばいいだろう。
言ってたじゃないか、ショボンはいい奴だって。
ならば行けばいいじゃないか。
行けよ。
ブーンは無意味に苛立つ。ツンが“行かない”とはっきり決めないのは、ひょっとしたらショボンに好意を抱いている故なのかもしれない、と思ったからだ。
いや、しかし普段ならここまで気持ちが苛立たなかっただろう。だが、今は違う。
今のブーンは今まで避けていた現実を見せ付けられ、選択を迫られ、そして恋敵であるショボンへの劣等感を抱いている。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:44:17.83 ID:GlxJXI870
早い話が、ブーンは慰めて欲しかった。ツンに優しい言葉をかけてもらい、甘やかして欲しかった。安心させて欲しかった。
なのに、ツンの口からでた言葉。それがブーンの卑しい気持ちに火をつけた。
( ^ω^)「……さぁ」
ξ゚听)ξ「うーん、どうしよう。誘ってくれてるのに無下に断るのも失礼だよね」
( ^ω^)「……そうおね」
もったいぶるな。
どうせ、結論はでてるんだろ。
ξ/////)ξ「あ、あのさ、ブーンは、その、あたしに行って欲しくないとか、ある?」
( ^ω^)「僕?」
ξ/////)ξ「そ、そう。あたしが誰かと一緒に行くのが嫌だとか……逆に一緒に行きたいとか……ある?」
ある。
もちろん、ある。
祭りがあると知っていれば、躊躇なくツンを誘っていただろう。
一緒に行きたい。
ツンとの思い出を増やしたい。
でも。
( ^ω^)「……別に」
ξ゚听)ξ「……ブーン?」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:45:52.58 ID:Xe/nVdWkO
待ってたぜ
読んでないけど
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:45:53.91 ID:GlxJXI870
口をついて出たのは本心とは対照的な言葉。発信源は、嫉妬。
( ^ω^)「……別にだお」
続けざまにもう一度。
ξ゚听)ξ「……本気で言ってるの?」
( ^ω^)「……別にって言ってるお。ツンが誰と何をしようと、僕には関係ないお」
ξ゚听)ξ「つまり“行け”って言ってるのね?」
( ^ω^)「だから“別に”だお。いちいち僕に伺いを立てなくてもいいお?
行きたければ行けばいいし、行きたくないなら行かなければいいお」
醜い。自分でもわかっている。
それでもブーンは自分の口から出てくる刃物を止められない。ツンと、自分を傷つける刃物を止められない。
ξ#゚听)ξ「……わかった」
ツンは決心したような、怒りが心頭に達したような瞳を向けて、
ξ#゚听)ξ「ショボン君と行くわ」
そう言い放った。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:46:57.05 ID:GlxJXI870
もう戻れない。
出した言葉をなかったことには出来ない。
ブーンにも意地がある。
今更“ショボンより自分といてくれ”などと言えるはずもない。
己で作り上げてしまった意固地という名の砦。それを自分で壊すことは出来なかった。
“安いプライドだ”そう自嘲する自分がいた。
( ^ω^)「……そうかお」
ξ#゚听)ξ「止めないのね」
( ^ω^)「……僕はもう寝るお。おやすみ」
その言葉をきっかけに、ブーンはツンに背を向け部屋を後にしようとする。
ξ#゚听)ξ「今日VIP山に連れて行ってくれたの、嬉しかったのに! ……わかり合えてると、思ってたのに」
バタン。
扉が閉まった。
ツンの言葉はもうブーンに届かない。
ブーンの手はツンを掴めない。
ξ#;凵G)ξ「ばか……」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:48:18.19 ID:GlxJXI870
知るか。
知るか知るか知るか。
ツンのこともショボンのことも知るか。
将来? 最良の選択?
知りたくもない。
そんなこと本当に出来るんなら、なんでこうなってしまったんだ?
なんで息が苦しいんだ?
自業自得。
自分が決めたのだ。
嫉妬と劣等感に負けて選んだ選択。しかし、他の誰でもない自分が選んだこと。
誰も責められない。
責めるべきは自分。
この胸の苦しさと虚無感と引き換えに、自分は何を手にしたかったんだ?
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:49:53.76 ID:GlxJXI870
ツン、泣いてたな。
なぜ泣かせてしまったんだろう。
少し前までは笑わせることに必死だったくせに。
悲しませたくはなかったのに。
泣かせてしまった。
泣かせてしまった。
( ;ω;)「うっ……うっ……うぅ………」
臓腑から湧き出る負の感情に身を任せた結果――。
ブーン自身も悔恨の情にかられていた。
他の誰のせいでもありはしないのに。
手首で目元を押さえる。
そうしないと涙がとめどなく流れる気がしたから。
でも、それもいいかもしれない。
ブーンは涙に溺れて消えてしまいたかった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:52:17.02 ID:GlxJXI870
朝だ。朝は毎日やってくる。
どんなに迎えたくなくても、どんなに抵抗しようとも、朝は確実にやってくる。
月日がその日付を変えても、しかし夕べの失態は消してはくれない。
頭が重い。目が腫れぼったい。
気持ちだって深く沈んでいる。
そんなブーンの気分とは逆に、空は抜けるかのような快晴を見せた。
沈んでいる気持ちとコントラストを描いていて、それがブーンの淀んだ気分に拍車をかけた。
それでも起きないわけにはいかない。
自分が泡のように消えていなくならない限り、生活を続けなければならない。
なんとか頭を振り起き上がる。
寝不足の頭はその機能を十分に発揮していない。
瞬かせたその目で辺りを見回す。
誰もいない。気配すらない。
両親が不在なのはいつもの事だ。
しかし、しぃとツン。特にツン。ツンはいないのだろうか?
不安が頭を掠めるが、確認しておきたいことだった。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:54:08.54 ID:GlxJXI870
恐る恐る自室に向かう。
予想していたことだが、ツンはいなかった。
ショボンとどこかに出かけてしまったのだろうか。
今更だが、昨晩のことが悔やまれる。
あんなことを言わなければ、ツンと一緒にいたのは自分だったのだろう。
そう思うとやりきれない。
時間が戻って欲しかった。
あのときの言葉をなかったことにしたかった。
ブーンは手持ち無沙汰だった。落ち込んでいるからこそ余計に空白の時間を疎ましく感じる。
じっとしていても汗をかくだけだし、それに、一人で部屋にいるのに今は耐えられそうになかった。
とにかく出かけよう。当て所なくても、そうするほうがいくらかましだ。
ブーンは遅鈍な所作で玄関に向かい、家を出る。
表はやはり灼熱が支配していて、前面に接しているあぜ道には逃げ水が映っていた。
さて、どこに行こう。
さし当たって考えられるのは、ドクオかジョルジュ。とにかく誰かと一緒にいないと自分を保てそうになかった。
ツンとショボンが楽しそうにしているところを想像すると気が気ではない。
流星号にまたがり、ペダルをこぐ。目の腫れが引いてきて、段々と視界が広がってくる。
昨日ツンを突き放したくせに自分は誰かに縋りたがるんだな、と思うと、なんだかおかしかった。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:55:38.10 ID:GlxJXI870
ブーンがやってきたのはドクオの家だった。ジョルジュの家よりも近い、というのがその理由だ。
ドクオが自宅にいるかどうかはわからないが、まぁ彼ならいるだろう。暇だろうし。
( ^ω^)「ドクオ! ドクオ!」
ブーンが大声でドクオを呼ぶ。ドクオの自宅周辺はブーンのそれよりも若干民家が多かったが、
基本的に過疎地なので、大声を出すということが近所迷惑の事項に当てはまらない。
( ^ω^)「ドクオ! いるんだお!? 出てきてお!」
もう一度ドクオを呼ぶ。
すると。
ガラガラガラ。
ドクオの部屋の窓が開き、見慣れた不細工面が顔を覗かせる。
('A`)「ブーンか? どうしたんだよ」
ほら、いた。
( ^ω^)「暇だから遊びに来たお! とりあえず部屋に入れて欲しいお!」
('A`)「あ? だって、おまえ……まぁいいや、じゃあ入れよ」
そう告げるとドクオは部屋に引っ込んでしまった。
入れと言われれば入る。田舎の基本として玄関に鍵はかけないので、実質的に家の出入りは自由のようなものだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:55:39.82 ID:eQev/mgUO
好きだ支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:57:04.20 ID:Xe/nVdWkO
これも何かの縁だ
支援するよ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:57:34.86 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「おじゃましますお」
一応形だけ訪問の挨拶をし、2階にあるドクオの部屋へと向かう。
ブーンの実家も大概のものだが、ドクオの家も中々のものだ。
都会のお洒落なモダンハウスとは全く縁のない、渋みのある家だった。外壁は波状のトタン。
屋根も波状のトタン。トタントタンとなんだかゲシュタルト崩壊を起こしそうな作りをしている。
しかし、ドクオの家にはブーンが羨む箇所が一点あった。それは、
( ^ω^)「おー、涼しいお」
クーラーがあることである。ドクオの部屋は生意気にもクーラーでキンキンに冷やされていた。室温設定18度である。
('A`)「まぁ、座れよ。今麦茶でも持ってくるからさ」
( ^ω^)「麦茶じゃなくて別のものにして欲しいお」
ドクオ家の麦茶は砂糖が入っていて、それにどうしても違和感を覚えてしまうブーンは別の飲み物を所望した。
わかった、と返事をして、ドクオは飲み物を取りに階下に降りていく。
_
( ゚∀゚)「よう」
まったく気付かなかった。ドクオの部屋の片隅にジョルジュが鎮座していたなんて。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 20:59:05.97 ID:GlxJXI870
(;^ω^)「おわっ! ジョルジュ、いたのかえ」
_
(;゚∀゚)「なんで驚くんだよ。最初からここで漫画読んでただろ」
( ^ω^)「すまんお。全く気付かなかった」
どっこいしょ、とブーンも腰を落ち着かせる。
( ^ω^)「ジョルジュも暇でここに来たお?」
_
( ゚∀゚)「まぁな。夏休みなんて暇なもんだぜ。
彼女もいない、バイトもしていない、ないない人間にとってはただ時間を持て余すだけだ」
勉強はしないのか、と聞きかけてブーンはやめた。
ジョルジュは既に防衛大学に入ることが決まっているからだ。
なんだ、結局意味もなくダラダラしてるのは自分だけじゃないか。
どうも昨日の父の話から、いや、ショボンに気持ちを打ち明けられたときから劣等感を刺激されっぱなしだ。
('A`)「おいすーお待たせ」
ドクオが戻ってきた。手に持っているのは……青汁。
先日の海でのカロリーメイトといい、この男にはセンスが皆無らしい。恐らくその概念さえ存在しないのだろう。
ジョルジュに目を配らすとペットボトルのコーラを飲んでいた。
こうなる事を見越して持参してきたのだろう。如才ない奴だ。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:00:08.71 ID:eQev/mgUO
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:00:40.76 ID:GlxJXI870
飲め飲めとドクオが催促するので、形だけ口をつけてコップを床に置いた。
('A`)「そんで、何でお前が暇なんだよ?」
(;^ω^)「何でって……僕が暇じゃおかしいのかお」
ドクオは“僕、好奇心旺盛でーす”という顔で尋ねてくる。
ジョルジュは既に漫画に視線を戻していたが、二人の会話が気になるのだろう。
聞き耳をたてているのがバレバレだった。
('A`)「だっておまえ、ツンはどうしたんだよ?」
ドクオはブーンが床に置いた青汁をごくごくと平気な顔で飲んでいる。息が青臭い。
(;^ω^)「ツンは、ショボンと……」
('A`)「なになに? ショボン? ショボンと何だよ?」
(;^ω^)「ショボンと、お祭りに……行ったお……」
そこでドクオの目が輝く。ジョルジュの耳がピクリと動く。
(*'A`)「え? ツンはショボンと祭りに行ったの? おまえとじゃなくて? じゃあおまえ、振られたの? フヒヒヒ、だっせー!」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:01:01.43 ID:Xe/nVdWkO
き、嫌いじゃないよ////
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:02:11.28 ID:GlxJXI870
デリカシーの欠片も持ち合わせてないドクオがゲラゲラと笑う。
というより胸がすく思いなのだろう。モテないから。
嘲笑されたブーンはドクオを殺しにかかる。誇りを傷つけた罪は死をもって購わなければならない。
どっすんばったん、ぐっすんおよよ。という乱戦の音がドクオの部屋内に響く。
少し経ってからジョルジュが二人を引き離した。
(メ;'A`)「お、遅ぇんだよジョルジュ……一通り見届けてから……止めやがって……」
(#^ω^)「離せー! 離すんだおジョルジュ! ドクオを殺して僕も死ぬー!」
そんな二人の頭をパカパカとジョルジュは叩いた。
_
( ゚∀゚)「落ち着けよおまえら」
(;'A`)「な、なんで俺まで……」
ドクオの抗議を無視し、ジョルジュはブーンに尋ねた。
_
( ゚∀゚)「マジでどうしたんだよ、ブーン。何でツンとショボンが一緒に祭りなんて行ってるんだ?」
説明すればショボンの気持ちを言いふらすみたいで憚られたが、こんな騒ぎを起こした以上、そうもいかなかった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:03:05.90 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「ショボンが……ツンの事を好きだって言って……それで、一緒にお祭りに行こうって……」
_
( ゚∀゚)「ふんふん、それで?」
( ^ω;)「ツンは……僕に『どうしたらいい?』って聞いてきたけど……僕は怒っちゃって『勝手にしろ』って……」
プッ! とそこでジョルジュが噴出した。
殺るか? と殺意の波動に目覚めかけたブーンだがなんとか自制した。
_
(;゚∀゚)「いや、失敬……。さ、続けて続けて」
( ;ω^)「それで……そしたらツンも怒っちゃって……『じゃあ行く』って言って。
……朝起きたらツンがいなくて……それで……終わり……」
_
( ゚∀゚)「なーんだ」
と、ジョルジュは頭の後ろで腕を組み、床に寝転がる。
_
( ゚∀゚)「ただのノロケじゃないっすかブーンさん! 勘弁して下さいよー!」
('A`)「ジョルジュさん、こいつやっちゃいましょうよ」
(;^ω^)「な、何でだお! ノロケなんかじゃねーお!」
笑われるとは思っていたが、予想外のこの反応にブーンは語気を荒げる。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:03:16.71 ID:eQev/mgUO
支援ナリィ
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:04:18.13 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「だってただの痴話喧嘩じゃないっすか。そんなん、あんたが謝ってチュッチュすればいいだけの話でしょー?」
('A`)「ジョルジュさん、こいつやっちゃいましょうよ」
ドクオは危ない目付きでいきり立っている。
(;^ω^)「チュッチュも何も……別に僕とツンは……そんなんじゃないお」
_
( ゚∀゚)「あぁ? っていうか、おまえのそのラブコメ野郎っぷりには腹が立つんだよ。
いい加減、好きなら好きではっきりさせろよ。じゃないと、マジでツンを取られちゃうぜ?」
('A`)「ジョルジュさん、こいつやっちゃ」
_
(#゚∀゚)「うるせー!!」
(;'A`)「!!!」
ブーンはジョルジュの言葉を一考した。
自分がはっきりしなかったのが原因。なのにショボンに嫉妬して、ツンに八つ当たりをした。
好きなら好きだと言えば良かったのだ、ジョルジュの言うとおり。
だって、好きなんだから。
それはまごうことなき事実なんだから。
なのに1人で拗ねて興奮して当たり散らして友人に縋って。
馬鹿みたいだ。
可哀相な僕を構ってくれって?
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:05:04.83 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「それで、おまえはどうすんだよ?」
( ^ω^)「……二人の様子が気にならないこともない」
まだはっきりとは言えなかった。
('A`)「よし、じゃあ行こう!」
ドクオがすっくと立ち上がる。
_
( ゚∀゚)「……どこに?」
('A`)「何言ってんだジョルジュ。ブーンは二人の様子が気になるって言ったんだぞ?
みっともなかろうが何だろうが、一緒に付いていってやるのが友達ってもんだろうが」
なぜか急にやる気を出したドクオ。その語調を窺う限り非常に頼もしい。
_
( ゚∀゚)「……祭りは夕方からだぞ? まだ昼じゃねぇか」
馬鹿じゃなければ。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:05:34.93 ID:Xe/nVdWkO
ドクオwww
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:06:52.03 ID:GlxJXI870
町の中心地から少しはずれた場所に、wktk公園という広い公園がある。
その公園の中にあるタシーロ神社では毎年、夏の終わり頃になるとタシーロ祭という祭事が執り行われていた。
なんでもその昔、人々が大飢饉に見回れ、次々と命を落としていくという災厄があったそうな。
飢饉は年々ひどくなり、人々の表情から笑顔が絶えて久しかった。
なのに年貢はその量を減らさず、 民草は飢えて貧しくなる一方。もはや一揆も辞さないという、まさに一触即発のとき。
以前から民衆の笑顔が見られなくなった事を非常に残念に思っていたタシーロという村人が、
人々に笑顔をもたらすため、男色、覗き、南蛮渡来の阿片の使用など、己の身の危険も省みずに積極的に人々を笑いの坩堝へと誘った。
結果、人々はその生活に笑顔を取り戻し、未曾有の大飢饉をなんとか乗り切ったという。
だがタシーロは、ご禁制の阿片の使用を始めとする罪により、捕縛、打ち首の刑を余儀なくされた。
人々は村を救った英雄タシーロの逝去を大変悲しみ、その勇気による功を永劫に忘れず労う為、
土地神として祭り、タシーロが没した場所で毎年晩夏に祭典を行うと固く誓ったという。
その由緒正しい祭事、タシーロ祭にブーンたちは来ていた。
理由はもちろん、ツンとショボンの偵察である。
流星号は足手まといになるという理由で、一度家に戻してきた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:08:26.21 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「やっぱりタシーロ祭は人がたくさんいるなぁ」
ジョルジュが人波をきょろきょろと見渡しながら言う。
このド田舎のどこにこんなに人がいたんだろう、と思うほど、wktk公園は人々で賑わっていた。
('A`)「こんなに人が多くちゃ見つけるのは無理かもなぁ」
ドクオは先ほど買ったイカ飯を頬張りながら呟いた。
_
( ゚∀゚)「おいドクオ。簡単に弱音なんて吐くな……よっ!」
ジョルジュは話しながらも輪投げで景品を手に入れていた。
( ^ω^)「っていうかおまえら……探す気ないお? 普通に祭りを楽しんでるお?」
わかっていた。この二人は別にブーンの味方ではない。
ブーンが一人では心細いだろう、と思ってついてきたわけではない。ただの野次馬根性だ。
要するに自分達に浮いた話が全くないので、ブーンのそれを見て楽しもう。
あわよくば、笑える場面に遭遇出来たらなお良い。と思っているだけなのだ。
_
( ゚∀゚)「おい、ブーン。冗談でもそんなこと言うな。俺らだって感情はある。酷いことを言われれば、心が傷つくんだぜ?」
('A`)「おっさん、これ絶対抜けてるよ! 少しも欠けてないじゃん!」
(;^ω^)「そんなこと言われても……っていうか型抜きしてるじゃん」
ドクオとジョルジュは声音だけは真剣に、しかし体は型抜きをして遊んでいるという、
なんともブーンの怒りを誘発させる行為をしている。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:10:28.51 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「いや、違うんだって。型抜き屋って凄い情報網を持ってるんだぜ? それはもう……凄いんだから」
('A`)「おかしいじゃん! 何であいつがOKで俺がダメなの!? おかしいじゃん!」
(#^ω^)「いい加減にするお!」
ブーンは二人の腕をぐいと引っ張ると、無理矢理型抜き屋から引き離した。
ドクオは型抜きに執心だったが、その型がすでに割れていることをブーンは知っていた。
(#^ω^)「二人ともちゃんと協力して欲しいお!」
人の流れが少ない屋台の裏側で、ブーンは二人にいきり立っていた。
(#^ω^)「型抜きなんかしてないで真面目にショボンたちを探すお!」
('A`)「だって、なぁ」
ドクオはジョルジュに目配せをした。
_
( ゚∀゚)「だって、おまえ、ちゃんと俺らに『ショボンたちを探すのを手伝ってくれ』って言ってないだろ。そんなんで協力できるか」
(;^ω^)「う……」
_
( ゚∀゚)「そりゃ俺らだって友達であるおまえの恋路は手伝ってやりたいよ?
だけどそれはショボンも同じだろ? そのショボンを放置しておまえに協力的な態度をとってるのも、
おまえが昔からツンを好きだったのを知ってるからじゃん。
だから心情的におまえの応援をしてあげようと思ってるのに、なにそれ? 何でそんな攻撃的な態度をとられなきゃいけないわけ?
筋としては、まず『僕はツンのことが好きです。だからショボンと一緒にいることが我慢できず、且つその動向を知りたいです。
ご面倒だとは思いますが、ご協力のほどお願いいたします』って頭下げるのが当然なんじゃないかなぁ」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:10:46.18 ID:Xe/nVdWkO
タシーロ支援
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:11:52.87 ID:GlxJXI870
ジョルジュは長いセリフを一息に、噛まずに述べた。
ブーンもそのジョルジュの言葉の正当性に言い返す言葉を失う。
(;^ω^)「じゃ、じゃあ改めてお願いするお。ショボンたちを探すのに協力してください」
('A`)「つってもなぁ、この人の多さじゃ見つかるとは思えないぜ? それじゃつまんないじゃん」
この二人はあくまで楽しみたいためだけについてきたのだ。
その楽しみを味わうことが難しいと判断すれば興が削がれ、他のことに心を拿捕されるのも当然といえば当然かもしれない。
(;^ω^)「じゃあ闇雲に探さないで、ショボンの行きそうなところを考えるお」
そしてブーンは考えた。ショボンの行きそうなところ、ショボンという人間。
ショボンは、真面目だ。ブーンが普段から真面目人間と揶揄しているだけあって頭が固い。
そんな人間が一目惚れした相手に告白する場所。
恐らく、このような人ごみの喧騒の中では思いを告げないだろう。
すると自ずと候補が狭まってくる。
トイレ……あり得ない。ブーンたちがいるような屋台の裏……惜しい気はするがまだ騒がしすぎるだろう。
すると……。
(;^ω^)「境内……かお?」
神社の境内。それがブーンのだした結論だった。
なるほど、確かに静かであり、そして告白するには中々ベタかもしれない。
そう思うと可能性としては決して低くない気がしてきた。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:13:06.68 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「おー、なるほど。あり得るかもな」
('A`)「えー? 境内? 何か薄気味悪くないか? 屋台もないし」
賛同するジョルジュと異見するドクオ。
――決まりだ。
( ^ω^)「よし、境内に行くお」
_
( ゚∀゚)「よっしゃ、行くか!」
('A`)「えー? 境内?」
向かうべき場所が決まった3人は、駆け足で境内へと向かった。
月はでていなく、辺りは宵闇だった。
祭りの灯りもここまでは届かず、静寂と暗闇の階段を、ブーンたちは静かに上って行った。
('A`)「なんか、こうしてコソコソ階段を上るとメタルギアみたいで楽しいな」
(#^ω^)「しーっ! うるさいお!」
小さく、しかし怒気を孕んだ声でブーンはドクオを嗜めた。
山中から聞こえてくるのはフクロウの鳴き声だろうか。静まり返った山のなかに、微かに響いていた。
3人は境内からは見えない位置に移動し、こっそりと様子を窺う。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:13:36.77 ID:FATnEm2U0
ウンボバボボボブンボ!
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:13:43.28 ID:9v/ygXwHO
ウンバボ!ボンブバア?
ベンババババババボア
ウンバボ?
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:13:51.50 ID:1vmhPlbf0
// |
/ ,ィ介i | う ぶ き
{. |l ,イ ///|| | ち っ え
,-.、Vl / | /// | | 」 に と ろ
lこ!l ! ト ト.l | !i | ヽト、< な ば
| l Vヽ トjヽ\!l ,>‐_ニヽ さ
| | \ ! く__・、jiLノ・_´フ .|| れ
| | __ ヽ} -‐ -─‐ レヘ. ん
_r‐j >イ fヽ l ノ __ ,イ-ハ
/ ′、 i {ノ-、 ヽ `t_/ /| /´ヽ
〈 ヽ l | } \ -' j | \
ヽ / |  ̄ L
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:13:54.07 ID:PXdZblWy0
ペイwwwwwwwwwwww
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:03.72 ID:xahXlv8BO
ウンバボウンバボ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:04.61 ID:CSBzI8Up0
ウンバボボボッバ!!!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:06.09 ID:ORHtqud40
しゅたたたたたたた
ぽわーお
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:07.18 ID:HI5GiiBK0
ウンバホウンバ ブホホッホーイ!?
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:12.90 ID:lrvZb6t+0
救援物資が届いたぞー!
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:14.57 ID:XYrxqnzxO
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:15.71 ID:suHHraiG0
オバブッババウボオウフフア!?wwwwwwwwww
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:16.90 ID:zCc2xEGM0
ウンバボボボブボ!?
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:22.29 ID:afcWUN+t0
ウンバッボボボボ!?
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:25.20 ID:2P6r+Ob4O
ウンハボウンバウンバ!!ウンバヒァイヤラサナ!
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:25.58 ID:GlxJXI870
('A`)「なぁ、いたか? いた? なぁ」
_
(#゚∀゚)「うるせーな! だから今それを探してるんだろうが!」
(;^ω^)「しーっ! ジョルジュも声がでかいお!」
3人……正確にはブーンとジョルジュは境内を見渡し、人影を探る。
先ほどまで眩い灯かりの元にいたために目が闇に慣れきっていない。それでも注意深く周囲を注視する。
いた。
暗闇の中に男女2人のような影が見える。
顔までははっきりと確認できないが、身長と体格を見るにまず間違いないだろう。
_
(*゚∀゚)「ビンゴ!」
('A`)「え? いたの? どこどこ? どこ?」
(;^ω^)「ドクオ……マジでもう黙ってるお」
2つの影はなにやらぼそぼそと喋っていたが、ドクオがうるさくてよく聞こえない。
ブーンとジョルジュはドクオを完璧に黙らせ、会話に耳を傾けた。
(´・ω・`)「今日は楽しかったよ。ありがとう」
ξ゚听)ξ「うん……」
ショボンと、ツンだ。声が聞こえる今となっては、そうはっきりと断言できる。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:26.20 ID:sxgqzkof0
ンナラアジコボジアングリ
ジャッハーブルジナリゴー
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:26.71 ID:VIdohgbcO
ウルヴォバマ
ウンバボエボア!!
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:31.89 ID:9v/ygXwHO
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:34.46 ID:8sjBhkvc0
/ ̄ ̄\
/ ─ \
( ●) (●)
. | (入__,,ノ i
| ( /u | オヴェヴェヴェヴェッヴェヴェヴェヴェッヴェッヴェンンンンンボンンfd
. | |! |u }
. ヽ ι! .| }
_ヽ;:i;l 。゚・ ノ_
ノ i:;l|;:;::; \
/´ ι! :i;l 。゚ |ヽ
| l。,j i:i;l 。゚ i!、o \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:34.69 ID:yyGGmS1/O
( ^ω^)ウンバボボボブボ!?バンボ、ウンボバボ!!
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:14:59.68 ID:suHHraiG0
ボベンブアボアブッwwwwアバベベボブアオウンフwwwwwwwwww
>>47 バボwwwwwwwwwwww
ウホッww
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:15:11.84 ID:K7ET9cg70
_
( ゚∀゚)「ウンバーボボー」
('A`)「ウホ? ウンバ? ウボボボボ? ウンボバ」
ウンバボボボブボ!?
――ウンババ。
( ^ω^)「ウンバオ」
_
( ゚∀゚)「ウボオオオオオオオ」
('A`)「ウンボ? ウンボボ?」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:15:13.57 ID:NYTMa63pO
ウババボバ!ウッホホホwww
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:15:35.51 ID:4Z0qcdVBO
ウンばウンコ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:15:36.27 ID:sxgqzkof0
バッハジージジャボーwwwwwwwwwww
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:15:55.48 ID:K7ET9cg70
ウンボオオオオオオオオオオオオオオ!
ピカワロスwwwwwwwwwwww
ウンボァー?
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:16:16.26 ID:suHHraiG0
>>56 アボボバッ!?ブヘッオマンボベッwwwwwwンーwwwwwwww
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:16:47.94 ID:GlxJXI870
>>32-
>>46 吹いたwwwww
(´・ω・`)「ツンさんは、楽しかった?」
ξ゚听)ξ「え? ……うん、楽しかったわ」
(´・ω・`)「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」
二人の会話を聞くうちに、ブーンは気持ちが落ち着かなくなってくる。
ツンとショボンが付き合ったら……そう考えると胸が不安で締め付けられる。
(´・ω・`)「ツンさんは今、里帰りでこっちにいるんだよね? ……いつ、帰っちゃうんだい?」
ξ゚听)ξ「えっと、わかんないけど。多分、明後日には……。
こっちではブーンの家にお世話になってるから、そこまで長くいれないし……」
(´・ω・`)「そっか……。せっかく知り合えたのに寂しくなるな……」
ξ゚听)ξ「……」
3人とも息を飲む。まるで出歯亀だが、そんなことに気を払っていられなかった
ウンバボボボブボ!?
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:17:15.05 ID:HI5GiiBK0
アイヤー ウンバホムンブホ
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:17:32.72 ID:RQvjjtYQ0
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:19:02.47 ID:GlxJXI870
>>1-1000 ウンバボボベラ!!!
(´・ω・`)「ブーンとは、付き合ってるの?」
ξ;゚听)ξ「え? えっと、な、なんで?」
(´・ω・`)「だって、ブーンの家に泊まってるんでしょ? だから、二人は付き合ってるのかな、って」
ξ;゚听)ξ「その、ブーンとはずっと前から、本当に赤ん坊の頃からの付き合いで、
幼馴染で、だから、えっと、付き合ってるとかじゃ……」
その言葉にブーンは少なからず動揺した。
付き合って、いない。
確かにそうだ。
それどころか、想いすら伝えていない。付き合う以前の問題だ。
幼馴染。
それが二人の関係。
それ以下ではあっても以上ではない。
(´・ω・`)「そうか……」
何か気配を察したのかツンは息を飲む。ブーンも心臓が鼓動を早め、息がうまく出来ない。
見届けられそうになかった。
この先を見たくなかった。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:20:23.91 ID:Xe/nVdWkO
シエンバボボボボブバボ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:20:54.69 ID:GlxJXI870
いっそ口から臓腑を飛び出させ、気を失ってしまいたかった。
逃げ出したかった。
しかし、それは出来ない。自分の意思とは関係なく足が震えてくる。
冷たい風がブーンの頬を撫でた。
(´・ω・`)「ツンさん、僕は君が好きだ」
ξ゚听)ξ「……」
言った。
ショボンは言った。想いを告げた。
(´・ω・`)「まだ僕らは出会ったばかりだけど……。好きなんだ。ツンさん、君が」
ξ゚听)ξ「……」
(´・ω・`)「初めて見たときから好意を抱いていた。そして一緒に海で遊んでいるうちに心を奪われた。
……そして今日、確信したんだよ。君が、好きだって」
_
( ゚∀゚)「……ブーン? どうしたんだ?」
様子のおかしいブーンを見て隣にいるジョルジュが心配そうに声をかけてくる。
きっと明るいところで見れば、ブーンは顔面蒼白になっているだろう。
この暗さでもブーンが普通ではないのは見て取れる。
大丈夫、ジョルジュ。大丈夫。大丈夫だ。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:21:55.33 ID:GlxJXI870
しかし声にならない。
膝に加えて喉まで震えてきた。
どうなってるんだ? 僕の体は。
こんなの、予想してたじゃないか。
ショボンがツンに告白するなんてわかりきっていただろう? なんでこんなに動揺しているんだ。
(´・ω・`)「ツンさんは帰っちゃうけど。……出来れば僕と付き合って欲しい」
ξ゚听)ξ「……でも、私、遠くに住んでるし……」
(´・ω・`)「わかってる。もし、ツンさんが僕の気持ちを受け止めてくれるなら。
僕はそっちの大学に行こうと思ってるんだ」
ξ゚听)ξ「そんな……」
やめろやめろやめろ。
もう言うなそれ以上言うな。
(´・ω・`)「高校を卒業するまではあんまり会えなくなっちゃうけど、でも、頑張るよ。
距離を障害にさせないつもりだ」
_
(;゚∀゚)「ブーン? 大丈夫か? 息が荒いぞ?」
ジョルジュの声は、しかしブーンの耳に入らない。
いや、聞こえてはいても脳が処理をしない。もう、二人の声しか聞き取れない。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:23:03.42 ID:GlxJXI870
(´・ω・`)「だから――。ツンさん、僕と付き合ってください」
そう言って頭を下げるショボン。告白したものの、緊張に震えているのがここからでもわかる。
そして、沈黙。
返事をするべきツンも、考えているのか、決めあぐねているのか――歓喜のあまり声が出ないのか。
黙ったまま、まんじりと虚空を見つめている。
どれくらい沈黙が支配したのだろう。
5者はそれぞれの思惑に声を発せない。
(;´・ω・`)「ご――ごめん!」
最初に耐え切れなくなったのは、ショボン。
(;´・ω・`)「こ、困るよね! いきなりそんなこと言われても、ごめん! 迷惑だったら忘れて!」
張り詰めた空気が弛緩しかけたその時――。
ξ/////)ξ「迷惑じゃ――ない、けど」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:24:31.22 ID:GlxJXI870
ブーンの足元から何かが湧き上がった。
それはまるで羽虫のように微細で、おぞましく、目で確認することは出来ない。
しかし、それは確かにあるのだ。
少なくともブーンは、ブーンには感じられた。
目に見えないそれは、ブーンの体をよじ登り、付着し、脳髄を痺れさせた。
抗うことの出来ない感情。
その感情に、呼ぶべき名は見当たらなかった。
(*´・ω・`)「じゃ、じゃあ、付き合ってくれるの!?」
ξ )ξ「嬉しい――」
_
(;゚∀゚)「ブーン?」
ブーンは走り出した。駆け足で階段を下る。
さっきまで使い物にならないと断じた脚部は、しかし普段より速さをみせた。
震えは、まだある。むしろ強まったかのように感じる。
だが、走り続ける足は止まってくれない。
無我夢中とはこのことだと知った。
階段を下りきり、人波を掻き分け、悪態をつかれ、それを意に介すことなくブーンは走った。
聞きたくなかった。それがブーンの本心だった。
あの場所に留まっているなんて想像しただけでも嘔吐しそうになる。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:25:51.16 ID:GlxJXI870
境内が凄まじく恐ろしい場所に思えた。
ふいに世界の終わりを知らされたような。
好奇心を満たし、しかしそれゆえ激しい悔恨にかられるような。そんな恐怖があった。
なるほど、神はいた。
神社とは、神が居る社とはよく言ったものだ。
神はいた。
それは全てを赦す慈愛ではなくて、人の気持ちを盗み見ようとする下衆に下される天罰だった。
自然、ブーンの双眸に塩気を帯びた水――涙が溜まり、溢れる。
その涙は悲しみを洗い去ってはくれなかった。
ブーンはVIP山にいた。
ツンと二人で過ごした思い出の場所。
再開したツンを慰めようとした場所。
本当はこんなところにいたいわけではなかった。
しかし、必死で走り続け、無意識でたどり着いたのがここ、VIP山だった。
家に帰りたくなかった。
家に帰ればツンに会ってしまう。
いや、もしかしたら今頃ショボンと仲良くやっているのかもしれないが。
とにかく家にいられる気分ではなかった。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:26:07.14 ID:Xe/nVdWkO
一応俺は真面目に読んでます
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:27:00.97 ID:GlxJXI870
途中、ジョルジュやドクオから携帯電話に何度か着信があったが、
とても電話に出られる気分ではなかったのでそのまま放置していた。
ブーンは空虚だった。
泣いて、泣き果てて、そしてからっぽ。
心が麻痺してしまっていて、今が悲しいのかなんなのかわからなかった。
おそらく悲しいのだろう。
涙だけは出てきそうになる。
ブーンは無理に涙を抑えようとはせず、自由を得た涙はポツリ、ポツリと地面に染みを作った。
何をするでもなく――。
何をするでもなく、何かを考えるでもなく、ブーンは暗い山間に佇んでいた。
このまま朝を迎えても構わなかった。
ふいに冷たい風が吹き付ける。
――あぁ。
ブーンは理解した。
――夏が、終わる。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:28:09.40 ID:GlxJXI870
強い日差し、蝉の声、緑の香り、風鈴の音。
それがなくなるだけのこと。
今までに17度繰り返してきた。
そして18度目が終わる。
ただ、それだけのこと。
なのに――。
ツンと再開した日、海で遊んだ日、花火をして、料理を作って、VIP山に登り、
そして――。
――その全てが終わってしまう。
夏が、終わる。
ブーンはまるで死人のように立ち尽くし、這這の体で逃げ出して来たあの境内を思う。
確かに悲しかった。
全てを失ったような気がして、そしてそうなのだろう。
無様に負けた。
何しろ自分は勝負さえしなかったのだ。
あまつさえ間諜となり、ショボンの純粋を覗き見た。
それは悲惨なほど愚かしく、惨めだった。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:29:55.95 ID:GlxJXI870
しかし冷静になってきた今だから思う。
だからこそ、胸を張る。
矮小でみっともなかったからこそ、胸を張って『おめでとう』と言う。
ブーンは決心した。
逃げ道とも呼べる薄い決心だ。本心とはまったく別の、感情とは出所が違う、
“こうしなければならない”“こうするべきだ”という倫理観から生まれた結論。
要するに逃げた。正々堂々とツンに気持ちを伝えることから逃げた。
家に戻ろう。
家に戻って、ツンに、笑顔で、おめでとうと、ショボンと仲良くやれと言おう。
そして、盗み見たことを謝ろう。
ツンに罵倒されるだろうけど、卑怯者と自分を罵り続けるよりはいいだろう。
そう思うとなんだか心が軽くなった。
それは本当に決心したからか、感情が麻痺したからなのかはわからなかったが。
ブーンが自宅に着いたときには、既に夜中とも呼べる時刻になっていた。
家の前から自室を見てみる。
部屋には灯かりが点されていた。つまり、ツンが部屋にいて、まだ起きていると言うことだ。
よし。
短く息をして、ブーンは自室に向かう。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:30:11.11 ID:IjwcnP9tO
支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:31:06.94 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「ただいまお」
ξ゚听)ξ「……おかえり」
ツンはなんだか不機嫌だった。ショボンからの告白を盗み見ていたのがばれていたのか、
と思ったが、祭りの前から自分と喧嘩中だった事を思い出す。
( ^ω^)「おっおっ。お祭りは楽しかったかお?」
ξ゚听)ξ「……まぁね」
あくまで無愛想を貫くツン。
( ^ω^)「久しぶりだったから楽しめたお? お土産はないのかお?」
ξ゚听)ξ「……ないわよ」
(;^ω^)「そうかお」
ξ゚听)ξ「言っておくけど、昨日のあんたの態度、忘れてないからね」
やはり昨日のことがお冠のようだ。
( ^ω^)「昨日は悪かったお。ちょっとイライラしてて、ツンに当たってしまったお」
ξ゚听)ξ「ふーん……」
( ^ω^)「でも今はもう平気だお。
昨日のことは本当に悪かったと思ってるんだお。許して欲しいお。ごめんだお」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:32:25.43 ID:GlxJXI870
謝り倒すブーンに、ツンは少し表情を緩めた。
ξ゚听)ξ「ま、まぁそこまで謝るんなら許すわよ。もう、あんな言い方しないでね?」
( ^ω^)「おっおっ。わかったお」
ブーンはあくまで笑顔のままだった。
ξ;゚听)ξ「それにしても、あんた何かいい事あったの? ニヤニヤして気持ち悪いわよ?」
( ^ω^)「おっおっ。いい事と言えばいい事だお」
一呼吸おいて、
( ^ω^)「ツン、おめでとう」
そう言った。
ξ;゚听)ξ「はぁ?」
ツンは胡乱な目をする。
ξ;゚听)ξ「何言ってんの? あんた。どうかしちゃったの?」
( ^ω^)「おっおっ。隠さなくてもいいんだお」
そこまで言って、言葉が詰まる。
言え、言うんだ。決めただろ?
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:33:28.99 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「……ショボンに告白されたんだお? そして、その告白を受けたんだお?」
ξ゚听)ξ「あんた――」
( ^ω^)「おめでとう」
ξ#゚听)ξ「……見てたのね」
( ^ω^)「おめでとう」
ξ#゚听)ξ「……最低」
(;^ω^)「お……見ちゃったのは、ごめんだお。
ジョルジュとドクオと境内に行ったら、二人が見えたから、つい……」
それは嘘だが、まさか探して回ったとも言えなかった。
ξ#゚听)ξ「信じられない」
(;^ω^)「本当にごめんだお。うっかりとは言えプライバシーを見ちゃったお。
……でも、良かったお。ショボンはいい奴だから、幸せにしてくれるお。
卒業するまで中々会えないのは寂しいけど――」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、ちょっと待ってよ!」
無理に饒舌を装ったブーンを遮ったツン。
ξ;゚听)ξ「見てたのはムカつくけど……許せないけど、ちょっと待って。
なんであたしとショボン君が付き合ってるみたいなことになってるのよ」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:34:24.92 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「隠さなくてもいいんだお。ツンは言ってたお。『嬉しい』って。お?」
ξ;゚听)ξ「それ、違うわよ! その後に――」
( ^ω^)「いいんだお」
ξ;゚听)ξ「よくない! ちょっと、聞いてよブーン!」
( ^ω^)「いいんだってばお」
ξ;゚听)ξ「良くないよ! ブーン、話を――」
(#^ω^)「いいんだお!!」
自分でもびっくりするほどの大声を出してしまった。なぜ今怒声を上げるのかわからない。
ちゃんと祝福するって決めたのに。
ツンと話しているうちに、ショボンの事を考えるうちに、
あの、暗く足元から這い上がってくるような感情が顔を覗かせた。
(#^ω^)「いいんだお。僕は、聞いてたんだお。
ショボンと、付き合ったんだお? ショボンの事がす、好きなんだお?」
ξ;゚听)ξ「だから誤解なんだってば!
いい? よく聞いてよ、ブーン! あんたが聞いたのは――」
(#;ω;)「だから、いいって言ってるんだお!」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:35:29.01 ID:GlxJXI870
涙まで流れてしまった。
情けない、と思う余裕すらブーンはなくしてしまった。
もう終わりにしたかった。
無理矢理にでも、ツンへの気持ちを払拭したかった。
ツンを責めることで、自分を保ちたかったのかもしれない。
(#;ω;)「ツンと、ショボンは付き合ってるんだ。僕の事は、僕は……」
ξ゚听)ξ「ブーン、落ち着いて? あのね?」
(#;ω;)「出てってくれお」
最悪。
ξ;゚听)ξ「ブーン……」
最悪。
(#;ω;)「僕の部屋から、出て行ってくれお。だっておかしいお? 二人は、付き合ってるんだから」
最悪。
ξ゚听)ξ「ブーン……」
最悪。
(#;ω;)「ショボンと付き合ってるのに、幼馴染とはいえ、
男の部屋にいるのはおかしいお? だからでてってくれお!」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:36:58.02 ID:Xe/nVdWkO
今まとめ流し読みしてるけど・・・長いな
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:36:59.82 ID:GlxJXI870
ツンの体を押して、無理矢理部屋から追い出そうとする。
ξ#゚听)ξ「出て行かない。だって、あんた誤解してるもん!」
(#;ω;)「出て行け!」
バタン。
扉を閉める。
ツンは戸を叩き、そして開けるようブーンに請うた。
しかし、ブーンは聞き入れない。一切の無視を決めこむ。
扉の向こうからはやがて嗚咽のようなものが聞こえ、やがて静まり、そして気配がなくなった。
ブーンは布団をかぶり悶々としていた。
最悪。
最悪だ、僕。
何やってんだ。
自分自身がわからない。
もういい加減にしてくれ。
こんな事して何になるんだ?
再会してからこっち、ツンに当り散らしてばかりじゃないか。なんなんだよ、もう。
自己嫌悪。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:38:21.80 ID:GlxJXI870
自分自身が作った矛盾に辟易とする。うんざりだ。
ツンに謝ったほうがいいかな。
白々しい、何を今更。
もう、死んでしまいたい。
ツン、ショボンのところに行っちゃったかな? 当たり前か。
僕が追い出したんだ。
本当なら心配する権利すらない。
愛想、尽かされただろうなぁ。
嫌われちゃっただろうなぁ。
まだ、好きなんだなぁ。ツンが好きなんだ。
もう、伝えるのも図々しいけど。
自分の中の感情をうまく扱えない。予定していた通りの行動を取れない。
ツンの顔を見れば、しかしブーンは苛立ち、嫉妬し、
自分をわかってくれ、という子供じみた思いが胸中を支配する。
鬱々とした気分で、ブーンは同じ考えを繰り返していた。
ブルルルル。
ふいにブーンの携帯電話が震える。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:40:07.31 ID:GlxJXI870
ツン?
淡い、そしてあり得ない期待を胸に画面を見る。
そこに表示された名前は、ドクオ。
ツンではない。
なんだ、と嘆息しブーンはドクオからの電話に出る。
( ^ω^)「……はい」
('A`)『おぉ、ブーン。……なんだよ、随分ハスキーボイスになってるな』
( ^ω^)「ブーンは今死人ですお。ほっといてくださいお」
('A`)『死人? 何言ってんだ? おまえ』
( ^ω^)「だから、ツンに振られて死人なんだお。ドクオも見てたお? ツンとショボンの、その……」
はぁ? とドクオの怪訝そうな声。
('A`)『おまえ、ツンから聞いてないのか?』
( ^ω^)「は?」
今度はブーンの番。
('A`)『だから、聞いてないのか? ツンはショボンの告白を断ったんだって』
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:42:13.29 ID:GlxJXI870
(;^ω^)「え……?」
ブーンは頭が混乱してきた。
ツンが、断った?
嘘だ。
だって、この目で見たんだ。この耳で聞いたんだ。
('A`)『おまえが走り出した後、きっぱり断ってたぞ。
その後ツンはすぐ帰ってったから、てっきりおまえに説明したものだと思ったけどな』
しようとしてた。
ツンは必死に自分に話を聞くように嘆願してた。
その言葉を遮ったのは、聞かなかったのは――僕だ。
ブーンの毛穴から汗が吹き出る。
自分の思い込みで、勘違いでツンの言葉を聞かなかった。
ツンは誤解だと言っていた。でも、聞かなかった。
(´;ω;`)『君ら最低だよ! 人の告白を見てたなんて! これじゃ僕はただの振られ男じゃないか!』
_
(#゚∀゚)『だぁーら、ごめんなさいって何回も言ってるでしょ!? もういい加減に許しなさいよ!』
後ろからショボンとジョルジュの言い合いが聞こえた。
(;^ω^)「ショボンもいるのかお!?」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:43:52.83 ID:GlxJXI870
('A`)『あ? あぁ、いるぜ。ツンが帰った後一人取り残されたショボンを俺とジョルジュで慰めようとしたんだよ。
“こっそり見てたのか”って怒られたけどよ。っていうか今も怒られ中』
(;^ω^)「ぼ、僕もそこに行くお! ドクオの家だおね!?」
そして通話を終え、転がるように部屋を出る。
適当な履物をつかっけて、流星号の元へと急ぐ。
月はやはり出ていなく、今は星灯かりと流星号のライトだけが頼りだった。
('A`)「おー、マジで来たのか。こんな夜中に」
夢中で自転車をこいだおかげで、普段よりもかなり短い時間でドクオの家に来ることが出来た。
頭から背中から汗が噴出し、シャツがべったりと濡れている。
肩で息をしているブーンはドクオの言葉に答えることが出来ず、無言で手を振った。
(;'A`)「なんだよ、はぁはぁ言っちゃって。気持ち悪いやつだな。まぁあがれよ」
ドクオに気持ち悪いと言われるなんて、なんだか納得がいかなかったが、
今はそれに構っている場合ではない。
ブーンはやはり返事をせず、ドクオの家にあがった。
('A`)「いやー、ショボンがずっと怒っちゃっててさ。おまえからも謝ってやってくれよ」
ドクオの部屋に向かう途中の階段で、ドクオがそんなことを言った。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:46:53.52 ID:7Ch4WXwQO
初遭遇ktkr
頑張ってね
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 21:55:22.48 ID:KqsN5erkO
ぶーんうぜぇ
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:00:27.16 ID:GlxJXI870
(#´;ω;`)「もう本当に信じられないよ! 最低だ!」
部屋ではショボンが泣きながら怒っていた。
怒り心頭というよりは気恥ずかしさからくる怒りなのだろう。
_
(#゚∀゚)「もういい加減にして下さいよ! 悪かったってば! しつこいぞ!?」
ジョルジュはとても悪いと思っているようには見えない態度で謝罪していた。
そして部屋の入り口に立っているブーンに気付くと、援軍を要求した。
_
(#゚∀゚)「ブーン! おまえからも謝ってやってくれよ!
何回謝っても許してくれねぇんだよコイツ! そんなん、あり得るか!?」
(#´;ω;`)「だから君らのそういう態度にもムカついてるんだってば!」
顔を真っ赤にさせて激昂するショボン。
こう言っては何だが、一触即発という雰囲気ではなくて救われた。
(#´;ω;`)「ブーン! ブーンも……ひどいよ!
僕の気持ちを知ってるくせに、なんでこんな……こんな……」
しかしブーンに向けられる非難の声は弱々しく。
(´;ω;`)「……ひどいじゃないか。なんで、こんな……。ブーン、
ブーンは僕がツンさんの事を好きかどうか聞いたときは好きじゃないって言ってたじゃないか。
なのに覗いてたって事は、気になるって事は、ツンさんが好きなんだろ?
……なんで、あのときにそう言ってくれないんだよ……」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:03:23.48 ID:GlxJXI870
きっとそれが真実の声なのだろう。
剥き出しのショボンの気持ちに、
先ほどまでふざけていたジョルジュも、ドクオも、どこか気まずそうに俯いている。
(´;ω;`)「確かに言いにくかったかもしれないけど……でも、言ってくれよ。
フェアじゃないよ。覗かれた事より……そっちの方が裏切られた気分だ……」
ショボンが言葉を継ぐ度、ブーンは申し訳なさと恥ずかしさで胸が痛くなる。
しかし、
( ^ω^)「ショボン、ツンがどこに行ったか知らないお?」
ショボンに謝るより先に聞きたいことがあった。
ショボンには悪いことをした。裏切りだ。後でいくらでも謝罪し、非難されよう。
しかし、自分の大馬鹿のせいでもう一人傷つけてしまった人がいる。大切な人なのに。
その人は馬鹿野郎の思い込みを正そうとしていた。
でも、馬鹿は、自分の弱さに甘えてそれを拒絶した。拒絶し、排除した。
馬鹿は弱く、その弱さゆえに人を傷つける。
まるで喜劇みたいだ。
でも現実は喜劇ではない。
時間が経てば幕が下りて来てくれるわけではない。
芝居の中の馬鹿は観客を笑わせるが、現実では違う。胸クソが悪くなるだけだ。
だったら、どうする?
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:05:05.05 ID:GlxJXI870
自分で犯した過ちは、自分で正さなければならない。
自分が傷つけた人には、心から詫びなければならない。
例え許されなくても。今度は自分が拒絶されても。
これは、エゴだ。
この世の中に全く利己が伴わない行為がどれくらいあるだろう。
利己のためにブーンは動く。
(´;ω;`)「ツンさん? いや、僕が、その……あれしてから、帰ったみたいだけど」
ツンはショボンのところにはいなかった。
つまり……。
ブーンは踵を返そうとする。
(´・ω・`)「待てよ」
ショボンの声は低く、静かだった。
(´・ω・`)「どうしたんだよ。何をそんなに慌ててるんだ?
ツンさんがどうかしたのかい?」
一刻も早くツンを探しに行きたいブーンだったが、
事情を話すまで行かせない、というショボンの眼光に負けた。
( ^ω^)「僕は……ショボンの言うとおりツンが好きだお。
でも、言えなかった。ショボンに、劣等感を抱いていて、それで……」
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:06:19.53 ID:GlxJXI870
ブーンは初めて自分の本音を訥々と語りだす。
( ^ω^)「それで、ショボンに嫉妬して、ツンに当たり散らしたお。……二人を傷つけた」
(´・ω・`)「……君も見てたんだろう? 僕が、ツンさんに、告白……するところを」
( ^ω^)「見てたお……けど、ツンがショボンの告白に『嬉しい』って返事して、
そしたら頭が真っ白になって、気が付いたら走りだしてて、家に着いたらツンがいて、
僕は悲しかったから……怒って話をしようとしてるツンを追い出したお
……僕は、ツンはショボンのところにいると思ったんだけど……」
(´・ω・`)「最低だな」
ショボンがポツリと呟く。
その言葉に言い返す言葉をブーンは持たない。
(´・ω・`)「それで、自分で追い払ったツンさんを探してるのかい? 随分、自分勝手じゃないか」
ショボンは怒っているというより呆れたような表情だった。
いや、もしかしたら憐れに思っているのかもしれない。
( ^ω^)「ごめん、としか言えないお。本当に、全部僕のせいだお」
(´・ω・`)「ブーン」
ショボンの声が優しくなる。まるでイタズラが見つかって怯えている子供を、母親が優しく叱り付けるような。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:08:49.58 ID:GlxJXI870
(´・ω・`)「君は勘違いしてるよ。君は途中までしか見ていないんだ。
ブーン、ツンさんはこう言ったんだ。『嬉しい――。けど、ごめんね。あたしは』――……」
ショボンはそこで言葉を詰まらせ、苦い顔で唇を噛み締めた。
(´・ω・`)「……まぁ、いい。そこから先は本人に聞けよ。とにかく、僕は振られたんだ」
沈痛な顔をして俯くショボン。
好きな人に振られた。
つい先ほど出来た生々しい傷を、ブーンに曝け出したのだ。
その痛みと、ショボンの勇気を思うと頭を垂れたくなる。
(´・ω・`)「行けよ。行くんだろ? ツンさんを捜しに」
ブーンはその問いかけに頷く。
(´・ω・`)「僕は行かないよ。振られた男が振った女を捜しに行くなんて、悪い冗談だ」
( ^ω^)「ショボン、本当にごめんだお」
(´・ω・`)「僕のことはいいよ。……いや、よくないな。だけど後回しでいい。今はツンさんを捜しに行けよ」
ブーンはショボンを一瞥するとドクオの部屋を後にした。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:10:04.29 ID:GlxJXI870
(´・ω・`)「僕も馬鹿みたいだな」
_
( ゚∀゚)「馬鹿はブーン一人で十分さ」
ジョルジュがショボンの肩に肘を乗せる。
(;´・ω・`)「馴れ馴れしいな。僕はまだ君らを許したわけじゃないんだからね!」
_
(;゚∀゚)「まだそんな事言うの!? いい加減、仲直りしてよ!」
(;'A`)「あ――……おまえら、もう夜中だからいい加減に……」
ショボンとジョルジュの言い合いは、ドクオの父が部屋に乗り込んで来るまで続けられた。
ツンはショボンの告白を受けていなかった。
現金な話だが、それがたまらなく嬉しかった。
親友が傷ついてるのに、それでも喜びを感じるなんてひどい話だ。
でも真実の気持ちだ。
ツンがまだ誰のものでもないことが、嬉しい。
そして、謝らなければいけない。
多少落ち着きを取り戻し、全てを俯瞰で見てみるとわかる。自分のとった行動のなんて残酷な事だろう。
自分がしたことに怖気が立つ。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:11:27.32 ID:GlxJXI870
ツンがいそうなところを考えた。
まずVIP山だ。
二人の思い出の場所にきっといると、ブーンはそう願いを託した。
夜中のVIP山は暗く、長年住んでいても正体を知ることの出来ない生き物の声が辺りに響き渡っていた。
さすがにブーンでさえ山中に入るのが躊躇われる。
それほど深夜の山というのは恐ろしい。
古代の人々がそこに得体の知れない恐怖を感じたことが、現代のブーンにも理解できた。
ましてや今夜は宵闇。山中は月がある晩よりなお暗い。
それでも行かなければならない。
ツンがいるかもしれない。理由はそれだけ、しかしそれが最上の理由だ。
ブーンは己の中の恐怖に蓋をして、山中に足を踏み入れる。
真の闇に近いその空間は、一歩踏み出すごとに何かに足を取られそうになる。
自然、足取りも覚束ない。
ツンが悲しみに明け暮れてここに来たのかと思うと、胸がズキズキと痛んだ。
VIP山の頂上広場。
少し拓けたそこは木々の茂みがなく、また遠くには薄らと町灯りが見え、いくばくかの安心感を得ることができた。
ツンは、いなかった。
ぐるりと辺りを見回す。
やはりツンの姿を確認することは出来ない。
ブーンは気落ちし、どっと疲れが出た。
同時に少し安心した。
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:12:44.51 ID:Xe/nVdWkO
ショボンカワイソス・・・
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:13:37.57 ID:XtBVfZ0/0
しえ
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:14:32.68 ID:GlxJXI870
ツンがこんな静寂の山中に一人で佇んでいるなんて、想像しただけでもぞっとする。
やはり、家に帰ったのか?
なにせ田舎である。
こんな深夜に赴ける場所など限られている。
交通手段は徒歩しかなく、周囲に腰を落ち着かせるところもない。
ましてやブーンがツンを追い出してから、すでに4時間は経過している。
寄る辺なくなったツンが、渋々ブーンの家に帰っている事も十分に考えられる。
ドクオの家に来ていない事は、先刻に確認済みだし、ショボンやジョルジュのところも同様だ。
やはり自宅か。
ブーンは身を翻し、VIP山を下山する。
可能性は多くなかった。これが都会だったら行き先の見当さえつかなかっただろう。
田舎の選択肢の少なさに救われた。
塞翁が馬だな、と思うとなんだかおかしくて、ブーンは口の端を少し持ち上げた。
自宅周辺に着いたときには、すでに東の空が白み始めていた。
随分遠回りをしてしまったな、とも思った。
夏の終わりの少し冷えた風が、明け方近くの稲を揺らす。
気の早いとぼけた蝉が一匹、二匹と鳴き始める。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:15:56.02 ID:GlxJXI870
ブーンは意を決して玄関の扉の把手に手をかける。
――違和感があった。
視界の端になにかがチラチラと映る。
視線をずらしてみると、正体がわかった。
玄関ポストに封筒が挟まっている。それを手にとり、封を開ける。
差出人はツン。受取人は自分。
内容は――。
――刹那、弾かれたかのように走りだすブーン。
流星号に飛び乗り、力強くペダルをこぐ。錆付いた車輪が音を立てて回りだした。
『ブーンへ。
本当はちゃんと会って話をしたかったんだけど、ブーンがいなかったから、こうして手紙を書きました。
さっきも言ったけど、ショボン君との事は本当に誤解なんだよ。
覗かれてた事は許せないし、追い出された事は頭に来るし、悲しかったけど、
誤解されたままなのが嫌だから言います。
ショボン君の告白は断りました。
ブーンが、好きだから』
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:18:04.37 ID:GlxJXI870
ブーンの肉体は悲鳴をあげていた。
VIP山を登下山し、ドクオの家を何度も往復し、疲労がたまっている。
しかし、ブーンは体を労る気はなかった。
気力を奮い、今はただペダルをこぐ。
『突然帰って来て、家に泊めてもらって、
それでこんな形でバイバイするのはとても心苦しいです。
迷惑だったよね、ごめん。
あたしね、ブーンに言ってなかった事があるんだ。
あたし、こっちの学校の友達とうまくいってないんだ。
初めはみんな普通に接してくれてたけど、
あたしがいじめられてる女の子をかばったら、あたしもそこから無視され始めて……』
流星号が跳ね上がる。バランスを取れずにブーンは空中に放り出される。
小石に乗り上げたようだ。
ブーンは無言で口元を拭い、再び流星号にまたがる。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:19:15.22 ID:UYGe5epTO
しえしえ
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:19:44.85 ID:Xe/nVdWkO
も り あ が っ て ま い り ま し た
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:21:18.92 ID:XtBVfZ0/0
しえ
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:30:46.04 ID:XtBVfZ0/0
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:34:29.64 ID:Xe/nVdWkO
おい、なんだよ・・・気になるから早くしてくれ
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:37:51.07 ID:XtBVfZ0/0
しえ
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:42:17.68 ID:XtBVfZ0/0
しえ
さるった?
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:51:41.02 ID:Xe/nVdWkO
ここまできてさるかよ
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 22:57:39.30 ID:UsG5+z1jO
前回夜中に一人で支援を続けた俺が来たからにはもう大丈夫だ。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:00:32.78 ID:GlxJXI870
さるでした。すみません……
『あたしはそれが嫌で、辛くて、だんだん学校に行く回数も減っていきました。
不登校気味になると、パパとママがよくあたしの事でケンカするようになって。
あたしが高校を卒業したら、離婚するそうです。
だんだん家にも居辛くなって、どこにもあたしの居場所はない気がしてきて……』
ブーンは再び転んだ。
原因を探ってみると、流星号のチェーンが外れている事に気付く。
(#^ω^)「クソ、なんだお!」
ブーンは慌ててチェーンを直そうとする。
しかし、焦りで気持ちだけ先行して、錆びたチェーンはうまくはまってくれない。
(#^ω^)「畜生!」
流星号を置いて走りだす。
空は明るくなり、遠くから聞こえてくる車の音がやけに耳についた。
『一人ぼっちが辛くて部屋で泣いていたら、頭の中にブーンの笑顔が浮かんできました。
気が付いたら列車に乗っていて、ブーンに会いに行ってました。
ブーン。昨日、急にVIP山に連れて行ってくれたのは、あたしを元気付けようとしてくれたんでしょ?
何も言わなくても、あたしが落ち込んでいる事をわかっててくれたんでしょ?
凄く、涙がでるくらい嬉しかった』
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:01:08.02 ID:+U0w6q83O
俺が…俺こそが…
真の支援リストだッ!
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:03:12.67 ID:GlxJXI870
息が上がる。こんな事なら痩せておけば良かった。走りこんでおけば良かった。
怠け続けた自分の体が憎い。
しかし、それでも足を前に進める。
『ブーンは、あたしは変わってない、って言ったよね?
本当にそうだと思う。
あたしは小さい頃のまま、今でも、ブーンに頼ってしまいます。
辛い事があると、ブーンを思い出してしまいます。
ブーンが、あたしのふるさとだから』
ツンは、帰ってしまう気だ。
自分に邪険にされ、ひどい扱いを受け、打ちのめされたまま帰ってしまうつもりだ。
知っていたのに。
ツンが深い悲しみに追われて、傍には頼るものがいなくて、傷付いて帰って来たのを知っていたのに。
ツンは僕を頼りに来た。
他にそうする人がいなかったから。
なのに、僕もツンを傷つけた。
世界から、ツンの居場所を消してしまった。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:03:37.60 ID:Xe/nVdWkO
>>115 違う・・・
>>2から支援していれ俺こそが・・・ッ
真の支援リスト・・・ッ!
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:05:04.56 ID:GlxJXI870
『心の在り処を、原点をふるさとと呼ぶのなら、あたしにとってのふるさとはブーンです。
あたしが帰ってくるところは、故郷でもなく、
今は誰も住んでいないその家でもなく、ブーン。
ブーンだったんだよ。
ブーンのそばが、あたしが唯一安らげるふるさとだったんだよ』
この手紙がいつ投函されたかわからないが、恐らくツンはすでに駅に付いているだろう。
そして帰ってしまう。
打ちのめされたまま、冷たい街へ。
『でも、ブーンにとっては迷惑だったかもね。
ごめんなさい。
だから、あたしは帰ります。
本当にこんなお別れになって残念だけど、今はブーンのそばにいれないから。
そばにいたかったけど、本当はずっとそばにいて欲しかったけど、それは出来ないみたいだから。
だから、帰ります。
次に会うときは、お互い笑顔で会える事を願ってます。
さよなら。
ツン』
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:06:47.85 ID:eQev/mgUO
支援
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:07:29.40 ID:GlxJXI870
ツンからの手紙はところどころ涙で滲んでいた。
震える指で書いたのだろう、普段の可愛らしいツンのそれではなく、曲がって、歪な文字だった。
膝が震える。神社の境内で味わったそれではなく、純粋な疲れから来るものだった。
それでも、歩みを止めない。
ツンが電車に乗る前に辿り着かなければならない。そのために歩き、走る。
自分は頑張った、などと気のいい事など言ってられない。
間に合わなければ意味がない。
頑張ったかどうかなど関係ない。
だって、ツンには届かないから。
ツンに会って、謝らなければいけない。
今度こそ間違えちゃいけない。
そのためだけに、ブーンは走り続ける。
すでに足は痙攣している。呼吸だって出来ない。思考が鈍くなり、意識は遠くなる。
なのに先ほどから、耳障りな車の音だけがやけにはっきりと聞こえる。
(;^ω^)「クソッ………うるせーお………!」
およそ無関係な車に悪態をつく。車への苛立ちが、少しだけブーンに走り続ける気力をもたらす。
その音がだんだん近づいてくる。
気配でわかる。すぐ後ろにいる、と。なにしてるんだ、抜かすんなら抜かせ。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:09:06.37 ID:GlxJXI870
しかし、一向に車はブーンを抜かさない。
いい加減、鬱陶しさを感じたブーンは振り返り――驚愕する。
僥倖。
これを僥倖と言わずに何と言う。
鬱陶しい車の正体は、ドクオが乗った軽トラだった。
(;^ω^)「ドクオ………」
('A`)「おいすーブーン。ツンは見つかったか?」
ドクオだけじゃない。荷台には、ジョルジュと、ショボンもいた。
ブーンは運転席のドクオに詰め寄る。
(;^ω^)「まだ……。ドクオ……お願いだお……駅に、行ってくれお………」
普段は空気を全く読まないドクオも、このときばかりは感じ入るものがあったのだろう。
全てを理解し、
('A`)「乗れ!」
そう言ってくれた。
ブーンは心中で深くドクオに感謝し、少しでも早く、車から降りられるように。荷台に乗り込む。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:10:31.97 ID:Xe/nVdWkO
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:11:56.93 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「なんだよ、おまえ随分ヘロヘロじゃねぇか」
ジョルジュが疲労困憊のブーンを見て話し掛けてくる。
(;^ω^)「家に帰ったら……ツンの手紙があって、
帰るって書いてあったから……駅に……向かって……」
多少落ち着いて来たが、まだうまく呼吸が出来ない。
_
(;゚∀゚)「げ! マジかよ。ツン、帰っちゃうのかよ。
それでツンを追い掛けて駅に向かって走ってたってか。青春だねぇ」
(;^ω^)「ジョルジュたちは……何で……?」
“何でこんなところに?”とブーンは尋ねた。
_
( ゚∀゚)「あぁコイツがさ、何だかもじもじしながら
“やっぱり僕もツンちゃんの事が心配だから捜しに行きたいです〜”とか言いだしたからよ」
(;´・ω・`)「そ、そんな言い方はしてないだろ!?」
顔を真っ赤にして否定するショボン。なんの事はない。やはりコイツはいい奴なのだ。
口では振られたから捜さないだの何だの言っていても、やはりツンが心配なのだ。
ブーンは思わず口元が緩む。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:17:08.47 ID:GlxJXI870
(´・ω・`)「あぁそうそう、ブーン、こんなときだけど」
ショボンはブーンの方に向きを変え、そして――。
バキッ。
殴った。
突然の事に体勢を崩し、よろけるブーン。
軽トラの荷台から落ちそうになるブーンをショボンが引き戻す。
(´・ω・`)「よくも人の告白を覗いてくれたね。だけど、これでチャラだ」
そう言って照れ臭そうに笑うショボン。
隣で見ていたジョルジュがヒュウ、と口笛を鳴らす。
(;^ω^)「お、お、ありがとうだお。ショボン」
頬が痛む。だけど、ショボンは許してくれた。
胸の痛みは軽くなった。
_
( ゚∀゚)「ブーン」
なぜかジョルジュもブーンの方を向いた。そして――。
パキッ。
今度はジョルジュがブーンを殴った。
突然の事に体勢を崩し、よろけるブーン。
軽トラの荷台から落ちそうになるブーンを慌ててショボンが引き戻す。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:18:55.15 ID:UsG5+z1jO
支援
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:19:40.30 ID:GlxJXI870
_
( ゚∀゚)「なんとなくだ」
(#^ω^)「てめー……!」
半眼で睨み、ブーンはジョルジュを殺しにかかる。
(#^ω^)「何でジョルジュに殴られなきゃいけないんだお!」
_
(#゚∀゚)「うるせーうるせー! てめーらばっか青春しやがってよ!
俺は自分だけ蚊帳の外ってのが大嫌いなんだ!」
(;´・ω・`)「あ、危ないからやめなよ!」
荷台で暴れるジョルジュとブーン。それを止めるショボン。
なんて理不尽な奴だ、とブーンは憤ったが、同時に感謝もしていた。
来てくれてありがとう、と。
物理的にその輪に加わる事の出来ないドクオは、本当に寂しそうな目をして黙々と運転をしていた。
夜は完全に明けた。町はまだ眠っていた。
ブーンはツンがいるであろう駅に辿り着いた。
ここにツンがいなければもうどうしようもない。
キッ、と短い音をたてて軽トラが止まる。
(´・ω・`)「行け! ブーン!」
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:22:33.80 ID:GlxJXI870
ショボンの檄とほぼ同時にブーンは荷台を飛び降りる。
着地したときに少しよろけたが、何とか転ばずに済んだ。
ブーンは後ろを振り返らずに走りだす。
手が重い。足が震える。けど、そんなのは関係ないんだ。
改札が見えた。
切符を買わなくても通れる、無人の改札だ。
このときほどクソ田舎に感謝した事はないだろう。
改札をすり抜け、階段を登る。
足がもつれる。さっきジョルジュと荷台で暴れたせいだ。何の伏線だこれは。
必死で階段を駆け上がる。
夏を終わらせたくない。
ツンと再開した夏を終わらせたくない。
ツンを悲しませたまま、この夏を終わらせちゃいけない。
ホームにたどり着いた。
そして唖然とする。
自分のうかつさにうんざりした。横浜へと向かうホームは、反対側だ。
ツンは? どこだ?
――いた。
向かいのホームでうずくまっている。
もう電車が来る。今から渡ったんじゃ間に合わない。
だから、ブーンは叫ぶ。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:26:07.60 ID:GlxJXI870
( ^ω^)「ツ――――!」
神のタイミング。
ブーンの叫び声は運悪く到着した電車の音にかき消されてしまった。
そして、電車はその車体を使ってツンを隠す。
ツンに、届いたか?
自分の声は、ツンに聞こえたか?
やがて発車しだす電車。
電車がなくなり、あらわになったホームには、ツンは、いなかった。
( ^ω^)「ツン……」
ダメだった。友人たちの力を借りてまで来たのに、ダメだった。
がっくりと膝をつく。
全てが無駄になってしまった。
ツンを悲しませたまま、行かせてしまった。
夏が終わるのを、止められなかった。
自分は無力だった。
親友の力を得てなお、自分は無力だった。
ブーンの眦に涙が滲む。
「ブーン!」
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:43:45.84 ID:XtBVfZ0/0
しえ
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:43:57.36 ID:l88SzJSZO
('Д`)
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:46:35.88 ID:f6c5HSUN0
おいおいここで猿かよ
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:53:05.06 ID:UsG5+z1jO
エターナルフォース支援 さるは死ぬ
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/10(水) 23:59:51.52 ID:wfZzzZq+0
しえ
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:00:58.42 ID:aVHA2bNGO
しえぇぇん!
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:01:16.43 ID:qPcK74H10
度々すみません。
ふいに聞こえる自分を呼ぶ声。
涙を払い、声のした方に振り向く。
ξ;凵G)ξ「ブーン!」
ツンが、階段を駆け上がってきた。
ホームにいなかったのは、ブーンのいるホームに来るためだった。
走り続けた事は、友人の力を借りてまでツンに会いに来たのは、無駄ではなかった。
( ;ω;)「ツン!」
ブーンもよろよろと立ち上がり、ツンのいる方へと向かう。
ξ;凵G)ξ「ブーン!」
階段の少し手前、ホームの端で、ツンはブーンに飛び付く。
( ;ω;)「ツン!」
ブーンもツンを抱きしめる。ぎゅ、と力いっぱい抱きしめる。
小さく細い体のツンは、しかしそれでも不満の声をあげなかった。
二人は強く抱き合い、お互いの肩に顔をうずめる。
ツンの左右の瞳からは大粒の涙がポロポロとこぼるている。しかし、それはブーンも同じだった。
ξ;凵G)ξ「ブーン……ばか……ばか……!」
ツンがブーンを叱責する。だがその声に怒りは感じられず、ブーンはそれを愛しいと思った。
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:01:43.63 ID:iCSL3iZzO
うきゃうきゃ
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:06:13.55 ID:qPcK74H10
( ;ω;)「ツン……ごめんお……本当に……ごめんお……」
ブーンはツンの肩に顔をうずめたまま、何度もそう繰り返した。
ξ;凵G)ξ「ばか……知らない……!」
そう言いながら、ブーンを抱きしめる手を緩めない。
( ;ω;)「ツンの言うとおり、僕は馬鹿だお……。ショボンに嫉妬して、勝手に早合点して、………ツンを傷つけたお……」
ξ;凵G)ξ「ばか……」
ツンはブーンの肩で涙を拭う。
( ;ω;)「僕は馬鹿なんだお。だから、八つ当たりだとわかっていても、それでも自分の感情を抑えられなかったお……」
ξ;凵G)ξ「ブーン……もういいよ……」
( ;ω;)「本当にごめん……あんな酷い事言って……ツンの話も聞かないで……」
ξ;ー;)ξ「もういいってば」
ツンは優しく微笑むと、ブーンの頭を抱えるように優しく抱きしめた。
ξ;ー;)ξ「本当は、傷ついたし、許せないって思ったけど……こうしてブーンの顔を見たら……そんなことも忘れちゃった」
( ;ω;)「ツン……」
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:06:56.14 ID:aVHA2bNGO
この支援界のスーパースターが来たからにはもう安心だ
続けたまえ
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:07:52.51 ID:qPcK74H10
ξ;ー;)ξ「手紙、読んでくれたんでしょ? 来てくれて……ありがとう……」
そこでブーンはツンから身を離し、涙を拭い、ふっ、と笑う。
( ^ω^)「おっおっ。一生懸命走ったお。ツンを帰したくなかったから。
でも僕一人じゃだめだった」
そう、今ツンを抱きしめられているのは、自分一人の力じゃない。
友人達の助けがあって、今こうしてブーンは笑えてる。
( ^ω^)「流星号が壊れて僕が走っていたら、ドクオが来てくれたお。
かっこよかった。まるでヒーローか何かに思えたお」
ブーンはなんだか嬉しそうに言葉を継ぐ。
( ^ω^)「ショボンも来てくれたお。ショボンは僕に怒ってたけど、やっぱりツンが心配だから
……ドクオと一緒にツンを捜しててくれたお。あいつは、いい奴なんだお」
( ^ω^)「ジョルジュは……」
少し思案した後、
( ^ω^)「ジョルジュは意味もなく僕を殴ったお」
そう告げた。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:09:27.83 ID:qPcK74H10
誰の力を借りなくてもツンに会うつもりだった。それは揺るがない自分の決心。
諦める気など毛頭なかったし、必ず間に合わせるつもりだった。
しかし、現実として、もしあのまま無闇に歩き続けていたら、
きっと今と同じ結果にはならなかった。それもまごう事なき真実。
みなの後押しがあって、ここまで辿り着けた。
なのに“会いました、はいさようなら”では骨を折ってくれたみんなに申し訳がたたない。
ツンに伝える事があるはずだ。
( ^ω^)「ツン、まだ時間あるかお?」
ξ゚听)ξ「……え?」
( ^ω^)「話したいことがあるんだお。今日まではまだ夏休みだお?
夏が終わる前に、伝えたいことがあるんだお」
ξ/////)ξ「……うん」
さすがにここまで言って何も感じ入らないのは鈍感に過ぎるというものだろう。
ツンは頬を紅潮させ、ゆっくりと頷いた。
( ^ω^)「ありがとう。じゃあ、場所を変えるお。ここは人がいるし……」
ブーンは辺りをキョロキョロと見回した。
ホームにはポツポツと人影が出てきている。
改めて考えれば何て恥ずかしい事をしていたんだろう。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:12:41.09 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「みんなを待たせてるお」
ブーンはツンの手を引く。VIP山でツンがブーンにそうしたように。
その動作は、あくまで自然だった。
_
( ゚∀゚)「おー。ブーン、戻って来たか」
軽トラの荷台で呑気に寝転がっていたジョルジュがむくりと起きだし、ブーン達に視線を配らせた。
_
( ゚∀゚)「へっへっへ。どうやら会えたみたいだな。えぇ? おい。
手なんか繋いじゃってよ。ヒューヒューじゃねぇか」
おっさんみたいに下世話なセリフを吐いて、ジョルジュは囃し立てる。
指摘されてそのままでいるのも恥ずかしいので、二人は慌てて手を離す。
(´・ω・`)「ブーン、ツンさん」
今度はショボン。
(´・ω・`)「間に合って良かったよ。恥を偲んで捜した甲斐があった」
ツンはごめん、と言い掛けて言葉を飲み込んだ。
それを言うのは違う気がしたのだ。
だから、
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう」
微笑みながら、感謝を告げた。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:14:47.33 ID:aVHA2bNGO
支援
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:15:03.71 ID:qPcK74H10
(´・ω・`)「いや、いいよ。改まって言われると何か恥ずかしいな。
……うん、良かったよ」
ショボンは照れ臭そうに頭を掻いた。
ドクオにも礼をしなければ、と運転席に向かうと、
ドクオはシートにもたれかかりながら白目を剥いて寝ていた。
ツンはそれを見て、ヒッ、と短い悲鳴をあげてしまう。
(;^ω^)「ドクオ、ドクオ。起きてお」
コンコンコン、と運転席の窓をノックする。
ドクオは少し身を捩り、剥いていた白目をギョロンと下から上に回転させた。
そのあまりの気持ち悪さにブーンは戦慄した。
ドクオは眠そうな半眼でブーンを確認し、口を開く。
('A`)「おぉ、ブーンか。どうだった? 間に合ったか?」
( ^ω^)「うん、おかげさまで何とか間に合ったお。
それで、悪いんだけど僕とツンを送っていって欲しいお」
('A`)「そうか、良かったな。いいぜ、荷台に乗れよ」
( ^ω^)「本当にありがとうだお。恩に着るお」
ドクオはニヤリ、と不適に笑う。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:17:57.56 ID:qPcK74H10
('A`)「おう、恩に着てくれよ。今度は俺の番な。頼むぜ、義兄さん」
予想できる未来は悲しいものだとブーンは思った。
それが悪い結果ならなおさらだ。
しぃとドクオ二人の明るい未来は……見えない。
軽トラの荷台には、ブーンとツンの二人が乗っていた。
ジョルジュが“ラブコメ禁止”と二人だけの空間になることを阻止しようとしたが、
“気を効かせろ”とショボンに嗜められてしまった。
今は二人乗りの車内に仲良く三人で座っている。
ブーンとツンは言葉を交わさなかった。
ツンは後方に流れていく景色を黙ってみていたし、
ブーンもそんなツンの横顔を眺めているだけだった。
だがむしろそれが心地よく、会話しない事でお互いの存在がより明確に感じられる気さえした。
ブーンとツンは会話をしない。
手は、しっかりと握りあっていた。
途中で放置したままの流星号を回収して、ブーンとツンは三人に別れを告げた。
“またな”と短く挨拶だけをして、三人の乗った軽トラは姿を小さくしていく。
後の事はブーンに託された。
チェーンを付け直した流星号にまたがる。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:19:00.52 ID:8pMRSraL0
義弟じゃないの?
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:19:49.56 ID:qPcK74H10
後ろに乗れ、とツンを促し、ツンもそれに従う。
背中からツンの体温を感じる。ツンはブーンの背中にぴったりと寄り添っていた。
流星号は風を切り進んでいく。
目的地はVIP山。
二人の思い出の場所だ。
町は眠りから覚めていた。
VIP山の山頂から見下ろす町並みからも、人の気配がありありと感じられた。
太陽はすでに頭上に上り、朝の清涼な空気が木々を揺らす。
二人以外は誰もいない。
二人だけの秘密の場所。
二人の締めくくりは、この場所以外に考えられないとブーンは思っていた。
二人はずっと無言だった。
ブーンもツンもお互いを見ていない。
ブーンが“変わらない”と評した景色をずっと眺めていた。
( ^ω^)「ツン」
ブーンがおもむろに開口する。
ツンはゆっくりとブーンの方を向き、真っ直ぐな視線を投げ掛ける。
( ^ω^)「ツン。僕は、君が好きだお」
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:20:54.09 ID:iCSL3iZzO
支援ナリィ
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:21:30.69 ID:qPcK74H10
やっと言えた気持ち。
10数年も暖めて、人を傷つけて、空回りして、それでも言えなかった気持ち。
今、やっと言えた。
言葉は、気持ちは、たった今自由になった。
( ^ω^)「ずっと前から、好きだったお。子供の頃から。今回みたいな事があって、
僕の事が嫌になっちゃったかも知れないけど、でも、どうしても伝えたかったお。ツン、僕は君が好――」
そこでブーンは言葉を継げなくなる。
ツンがブーンの唇に、自分のそれを重ねてきたからだ。
突然の事にブーンは頭が真っ白になる。
ツンがゆっくりと離れ、そこでやっと気付く。
ツンとキスをした、と。
(*^ω^)「お……」
ブーンは茫然自失、しかし視線はツンから外せなかった。
ξ*゚ー゚)ξ「ばーか」
ツンが顔を真っ赤にして言う。
その時ブーンは理解した。ツンは、世界一可愛いと。
ξ*゚ー゚)ξ「そんなの、ずっと前から知ってたよ」
ブーンの肩に頭を乗せ、体を預けるツン。
寄り添う二人を、温かい空気が包みこむ。
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:23:22.00 ID:aVHA2bNGO
なんだよぉこのムズがゆい展開は!!
支援
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:23:40.26 ID:qPcK74H10
ξ//ー//)ξ「あたしも……」
ツンは目を閉じ、薄く微笑んでいる。
ξ//ー//)ξ「あたしも、ブーンが好きだった。ずっと、前から。
泣いてばっかりのあたしを助けてくれた、ブーンを」
そこまで言うと、ツンは頭を押し付けてくる。
猫が甘えてるみたいだな、とブーンは思った。
手紙に書いてあったのでツンの気持ちは知っていた。
しかし、こうして面と向かって気持ちを伝え合うと、また格別の喜びが胸中に生まれた。
ξ////)ξ「ねぇ、本当に覚えてない?」
ツンは目をつむったまま、姿勢を変えずにブーンに尋ねた。
“覚えてない?”
恐らく、以前言っていた『ツンが変わったきっかけ』の事だろう。
ブーンは頭を捻る。が、覚えていないものは覚えていない。
そんなブーンの態度がお気に召さなかったのか、ツンはブーンの肩から頭を退かせ、半眼で睨んでくる。
(;^ω^)「お、覚えてないわけじゃないんだお! ただ、ツンはあの頃よく落ち込んでたお?
だからどれの事を言ってるのかがわからないんだお! おっお!」
せっかくなったいい雰囲気を壊したくないと、ブーンはしどろもどろで弁解した。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:28:30.62 ID:pZuRQTSp0
し
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:30:40.48 ID:ZmIqThmYO
え
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:32:15.14 ID:aVHA2bNGO
ん
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:38:01.85 ID:pZuRQTSp0
ぬ
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:40:17.04 ID:SNfSqnTL0
る
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:40:37.50 ID:aVHA2bNGO
ぽ
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:42:49.64 ID:qPcK74H10
(;^ω^)「お……。ちなみに、答えを教えてほしいお」
ξ゚听)ξ「だーめ」
ツンはふてったように頬を膨らませた。
(;^ω^)「おっお。じゃあヒント。ヒントだけでも教えてほしいお」
縋るブーンに、怒ったような諦めたような表情で、ツンが答える。
ξ゚听)ξ「もうっ! じゃあヒントだけね? ……ピーちゃん」
――あ。
わかった。思い出した。
あのときをきっかけに、ツンは変わっていったんだ。
それは、ブーンたちが小学校5年生のときの話。
当時の内藤家では、ピーちゃんと呼ばれる小鳥を飼っていた。
なんでも今は亡きブーンの祖父が、怪我していたところを発見し拾ってきたそうだ。
生き物を飼ってみたいと以前から思っていたブーンは大層喜んだ。
ピーちゃんは茶地に腹部が白という地味な小鳥だったが、小さく暖かく、
たまに羽根をふくらませる様子が愛らしくて、ブーンは殊更に可愛がった。
それは他の家族や、ツンも同様だった。
ブーンは甲斐甲斐しく世話をし、ピーちゃんの容態も順調に快方へと向かっていった。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:43:53.95 ID:gXJNUqYVO
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:44:38.70 ID:qPcK74H10
1週間ほど経ち、ピーちゃんの傷も癒えた頃に、ブーンの父が提案した。
ピーちゃんを山に帰そう、と。
ブーンは猛反対した。
自分にはいかにピーちゃんが必要かを切々と説き、また、ピーちゃんにも自分が必要だと説明した。
人に慣れてしまった鳥は野生では生きていけないとも言った。
しかし、父は譲らなかった。
この期を逃してしまえばピーちゃんは本当に人間の世話なしでは生きていけなくなる、とブーンを諭した。
最終的にはブーンが折れた。
“おまえも山に還るか?”と脅されては、従わざるを得なかった。
話し合いの翌日、ブーンが学校を終えたら真っ直ぐ家に帰り、そしてピーちゃんを山に帰すことになった。
ブーンは渋々了承し、学校が終わると言い付けどおり帰宅し、ピーちゃんの鳥籠を持つと山に向かった。
向かった先はVIP山。
逃す山は指定されていない。
ならば自分に所縁のある場所がいいとブーンは思った。
大きくなってまだ自分を覚えてくれていたら、会いに来てくれるかもしれない、と、淡い期待を抱いていたからだ。
(^ω^)「ピーちゃん……本当は僕と一緒にいたいだろうけど……ごめんお」
(゚∈゚ )「ピピッ」
頂上の広場に着き、いよいよピーちゃんと惜別のときを迎える寸前。
ブーンの目はあるものに止まった。
ツンだ。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:46:11.41 ID:pZuRQTSp0
また随分と攻撃力の高そうな小鳥ですね
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:46:57.63 ID:aVHA2bNGO
クックル・・・飼えるものなのか?
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:48:04.27 ID:qPcK74H10
ツンが広場の隅で膝を抱えて泣いていた。
またいじめられていたのか、とブーンは胸を痛めた。
(^ω^)「ツン」
ピーちゃんの鳥籠を持ったまま、ブーンはうずくまっているツンに話し掛ける。
ξ;−;)ξ「……ブーン?」
顔をあげたツンの両眼は赤く腫れていた。
(^ω^)「また泣いてたのかお?」
ξ;−;)ξ「だって……ドクオがあたしをからかってくるんだもん……」
鼻をすすり、ツンはか細く吐き捨てるように呟く。
やれやれ、とブーンは嘆息した。
こういうときもあるのだ。自分の目の届かないところで、ツンがいじめられている。
ずっとそばにいられればいいのだけど、そうもいかない。
自分が近くにいるときはいい。ツンをいじめる者に抗議し、ひっぱたき、ツンの気持ちを代弁してやれる。
でもそうじゃないときは?
ブーンはツンに強くなって欲しかった。
少なくとも、涙を流さずに済むぐらいに。
好きな人が己の預かり知らぬところで涙を流している。
これほど胸を締め付け無力感に襲われる事があるだろうか。
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:50:01.15 ID:qPcK74H10
ξ;−;)ξ「……ブーンは、何してるの?」
ブーンの手にある鳥籠を一瞥し尋ねる。
(^ω^)「僕かお? 僕はピーちゃんを山に帰しに来たんだお」
ξ;−;)ξ「ピーちゃん、逃がしちゃうの?」
(^ω^)「そうだお」
ブーンは鳥籠を開け、ピーちゃんを取り出した。
(^ω^)「父ちゃんが“飛べない鳥は不幸だ”って言ってたし、僕は納得してないけど
……ピーちゃんを逃がすことにしたお」
ξ;−;)ξ「そう……」
(^ω^)「ツンが丁度いてよかったお。ピーちゃんにお別れを言ってあげてほしいお」
ツンに立つように促し、そしてピーちゃんが止まっている手を掲げる。
ピーちゃんは、飛び立った。
大空に、悠然と飛び立っていった。
ξ゚−゚)ξ「ピーちゃん、バイバイ……」
ピーちゃんを見上げ、ツンが呟く。
ピーちゃんは、一度ゆっくり弧を描くように旋回し、やがて青空の彼方へ消えていった。
ブーンとツンは、ピーちゃんがいなくなった空を、しばらく眺めていた。
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:51:54.18 ID:ZmIqThmYO
支援だよ
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:53:38.08 ID:qPcK74H10
(^ω^)「ツン、クイズだお」
空を眺めたまま、ブーンが話し掛ける。
(^ω^)「鳥は何で飛べるか、知ってるかお?」
ξ゚−゚)ξ「……羽根があるから?」
予想通りの答え。
(^ω^)「それもあるおね。でも、ハズレ。正解は、地面があるからだお」
ξ゚−゚)ξ「地面?」
ブーンの父が言っていた。鳥は飛び立つときに、地面を蹴らないと飛べないと。
地面を蹴る反動を使って飛んでいくと。だから、鳥には地面が必要だと。
なるほど、と思った。
そして父の説明に、ブーンはもう一つ自分なりの解釈を加えた。
(^ω^)「鳥は地面を蹴らないと飛べないって言うのが理由の一つ」
ξ゚−゚)ξ「一つ?」
ブーンは頷く。
(^ω^)「二つ目は、鳥は飛び続ける事が出来ないからだお。どんなに高く飛び上がっても、
いずれは地面に降りて羽根を休ませなければならないお。だから地面が必要なんだお」
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:56:07.38 ID:qPcK74H10
ブーンはツンに視線を合わせる。
(^ω^)「逆に言えば、羽根を休める地面があれば、鳥は何度でも飛び立てるんだお」
はぁ、とツンはわかってるんだかわかってないんだか、よくわからない相槌を打った。
(^ω^)「ツンも飛んでみないかお?」
ツンがこちらに振り向く。
(^ω^)「僕がツンの地面になるから」
ツンの瞳を真っ向から見つめ、そう言い切った。
(^ω^)「ツンが疲れて、傷ついても、僕のそばで休めばいいお。僕が、ツンを何度でも飛び立たせてあげるお」
ツンとブーンはしばらくお互いの目を見つめ、やがて、ツンが口を開いた。
ξ゚−゚)ξ「……どういう意味?」
ブーンは狼狽した。
スッテーン、とずっこけてしまいたかったし、言い方が回りくど過ぎたかと自省した。
(;^ω^)「おっおっ。『僕はずっとツンの味方だから、自由に、好きなように生きてみるお』って事だお」
ξ゚−゚)ξ「味方?」
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:56:36.05 ID:aVHA2bNGO
支援
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:57:56.51 ID:qPcK74H10
(^ω^)「そうだお。僕はずっとツンの味方。世界中がツンを嫌っても、僕だけはツンの味方。
だから、ツンのしたいように生きてみるお。何回傷付いても、その度に僕が助けるお」
ξ゚−゚)ξ「味方……」
ツンはブーンの言葉を反芻していた。
目には、それまでにない決意が宿されていた。
ξ*゚ー゚)ξ「思い出した?」
ツンが、18歳のツンがブーンを覗き込む。
思い出した。全て思い出した。
しかし、改めて思い返すとかなり恥ずかしい。何てキザなセリフを言ったんだろうと思う。
しかも前半部分は理解してもらえてなかったし。余計な記憶を呼び起こしてくれた。
恥ずかしさのあまり布団の中で叫ぶ日も近いだろう。
( ^ω^)「思い出したお。あの次の日に、ドクオの事を叩いたんだおね」
言葉はあくまで冷静に。
ξ*゚听)ξ「だってブーンがやりたいようにやれって言ったから。あいつ、ずーっとあたしの事、からかってくるんだもん」
( ^ω^)「おっおっ。あれはドクオの愛情の裏返しだお」
ξ*゚听)ξ「今ならわかるんだけどね」
ツンははにかんだように笑う。
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 00:58:17.31 ID:aVHA2bNGO
眠くなってきたからガッツリ支援いくぜ
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:01:40.85 ID:lB2gwcfX0
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:01:57.95 ID:qPcK74H10
ξ*゚听)ξ「あたしはブーンのその一言で変わったの。
『例えこれ以上酷い事になっても、ブーンだけは味方でいてくれる。
だから、一度ぐらい反抗してみよう』って、そう思えたんだよ」
( ^ω^)「そうだったのかお」
まさかかっこつけで言ったそんな一言が、ツンの人格を大きく左右してたなんて。露にも思わなかった。
ξ゚听)ξ「今回もブーンに背中を押してもらおうと思って来たのにねぇ……」
意地悪そうな笑みを浮かべるツン。
(;^ω^)「わ、悪かったお。だって、ショボンがツンの事好きだって言うし、
ツンもまんざらじゃなさそうだったから……」
ξ゚听)ξ「あんたが人の話を聞かなかったんでしょ」
ピシッ、とデコピンを食らってしまった。
ξ゚ー゚)ξ「でも、うん……これで良かったのかもね。今のあたし達には、前までなかった絆が生まれて……」
( ^ω^)「おっおっ。結果オーライだお」
調子に乗らない、とまたデコピンをされた。
ξ*゚ー゚)ξ「これであたしも頑張れる。卒業するまであと半年間、
ブーンが応援してくれてると思うと頑張れるよ。休みになる度に、また会いにこれるしね」
( ^ω^)「おっおっ。その事なんだけど」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:02:25.49 ID:aVHA2bNGO
眠い・・・だが支援
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:02:41.24 ID:ZmIqThmYO
支援
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:03:59.37 ID:qPcK74H10
ブーンはツンと駅のホームで抱きしめ合ったときに決めていたことがあった。
( ^ω^)「僕も、そっちの大学を受けようと思うんだお」
ξ゚听)ξ「え?」
( ^ω^)「ショボンの真似するわけじゃないけど、ツンのそばにいたいんだお。ツンと同じ大学に通うお」
そう。ブーンはツンのそばにいようと思った。
ツンは優しい子だから、また、傷つけられる事もあるだろう。
そのときに、すぐ肩を抱いてあげられるように……。
ξ゚听)ξ「でも……」
何かを言い掛けたツンを手で制す。
( ^ω^)「もう、決めたんだお。実はツンがショボンと電話してたとき、父ちゃんに言われたんだお。
“最善の手を尽くせ”って。それまで僕は、何もせずにただダラダラと日々を過ごしてたんだお。
でも、今は違う。今は自信を持って最良の選択肢を選ぶ事が出来る。ツンは、大学に進学するお?」
ξ゚听)ξ「行く……けど……」
なぜか歯切れの悪いツン。しかし、気持ちが昂ぶっているブーンは気にも留めない。
( ^ω^)「だお? ツンと一緒にいられるし、進むべき進路も見えたお。こんないい考えはないお」
ξ゚听)ξ「うん……それは、嬉しいんだけど、でも……」
ツンは何だか言いにくそうだ。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:06:58.01 ID:ZmIqThmYO
そら支援
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:08:04.63 ID:qPcK74H10
ξ゚听)ξ「あ……こんな時間か……。もう、行かなきゃ……」
( ^ω^)「もう、そんな時間かお?」
ξ゚听)ξ「うん……」
東北と南関東は遠い。
あまり遅くに出発すると、翌日に支障をきたしてしまう事も考えられる。
ツンの返事を皮きりに空気が沈む。
それまでが幸せだった分、なおさらだ。
せっかく気持ちを確かめ合えた二人。なのに、またしばらく会えなくなってしまう。
“時間だ”と言った割りにツンは動こうとはせず、それはブーンも同様だった。
別れが惜しい。
今は片時も離れたくはない。
しかし、時間はいつだって無情だ。
その進行を止めてはくれない。
沈痛な沈黙が辺りにはびこる。
行こう。
その一言がどうしても言えない。
代わりに、ブーンはツンを抱きしめた。
ツンもブーンを抱きしめ返した。
時間の流れに引き裂かれぬように。これから会えなくなってしまう分を補うかのように。
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:08:05.91 ID:aVHA2bNGO
布団から支援
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:09:30.52 ID:aVHA2bNGO
>>175 ククク・・・どうやら俺とあんただけになっちまったようだな・・・
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:10:37.44 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「またすぐ電話するお」
ツンは俯いたまま返事をしない。
( ^ω^)「メールもするし手紙だって書くお」
やはりツンからの返事はない。
(;^ω^)「何か言えお」
そう言ってツンの肩を軽く叩く。
ξ゚听)ξ「だって、寂しいんだもん……」
まるで子供のような駄々をこねるツン。
結局、行こう、と口にしたのはブーンだった。
ツンはVIP山の頂上でずっと押し黙ったままだった。
ブーンだって寂しくないわけではなかった。
しかし、二人が次に笑顔で会うには、けじめを付けなければならない。
やるべき事をやって気持ち良く再会したい。
それなのに、初っぱなからグダグダしていては先が思いやられる。
そう考え、断腸の思いでツンを促したのだ。
一度声を掛けただけではツンは動かなかった。
もう一度、行こう、と言ってやっと重い腰を浮かせたのだ。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:11:03.51 ID:BHkA6C3dO
今日好きな元カノとすれ違うもDQN化しすぎて気づかれないでそのまま終了した俺もいるぜ…
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:13:10.09 ID:aVHA2bNGO
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:13:35.30 ID:MDFREZajO
支援
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:14:17.27 ID:qPcK74H10
流星号で駅へ向かっているときもツンは無言だった。寂しそうな、思い詰めたような顔をしていた。
無理もない、とブーンは思った。
自分は、これから家に帰り、明日を迎えてもジョルジュやドクオやショボンがいる。
しかし、ツンはそうではない。
家に帰っても、学校に行っても居場所がない。それらが嫌だったから自分に会いに来たのだ。
だからこそブーンは明るく別れたかった。
明るく朗らかに別れて、またブーンと会えば笑顔になれる、と思ってほしかった。別れを笑顔で彩りたかった。
そして電車を待つホーム。やっと口を開いたと思ったら、先ほどの発言。
ブーンは苦笑した。
昔の、VIP山で変わる前のツンに戻ったみたいだ、と笑った。
ξ゚听)ξ「なに笑ってるのよ」
どうやら笑っているのを見られたらしい。以外と目端が利く。
( ^ω^)「笑ってないお」
ξ#゚听)ξ「嘘! 笑ってた、絶対!」
( ^ω^)「笑ってないってばお」
ξ゚听)ξ「何で笑うのよ………ブーンは、寂しくないの?」
ふにゃ、とツンの顔が崩れそうになる。
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:15:40.41 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「おっおっお。寂しくないわけないお」
ξ#゚听)ξ「だから、何で笑うのよ!」
( ^ω^)「寂しいからだお」
ブーンはぎゅ、とツンの手を握る。
( ^ω^)「寂しいから笑うんだお。この思い出まで、寂しいものにしないように」
ツンはぷいっ、とそっぽを向いてしまった。
( ^ω^)「おっおっお。ツンも笑うお」
ξ゚听)ξ「笑わないもん……」
ツンは笑えないままで、やがて電車がやってきても手を繋いだまま電車に乗ろうとしない。
ブーンが電車に足を踏み入れるとツンが慌てて付いてくる。
ツンが乗車した事を確認すると、ブーンはホームに降りる。
ξ゚听)ξ「あ、卑怯!」
( ^ω^)「おっおっ。卑怯で結構」
しかし、ツンはホームに降りようとはしなかった。
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:16:34.65 ID:qPcK74H10
ξ゚听)ξ「ブーン……」
( ^ω^)「うん……」
今はただ、少しでも永くドアが開いてくれている事を願うだけ。
ξ゚听)ξ「電話、するね」
( ^ω^)「うん」
ξ;凵G)ξ「メールもするし、手紙も書くね」
( ^ω^)「おっおっ。僕と言ってる事が同じだお」
ξ;凵G)ξ「会いに行くから、会いに来てね」
( ^ω^)「すぐ会いに行くお」
ξ;凵G)ξ「ずっと好きだから、ずっと好きでいて――!」
そこで閉まる電車のドア。
この瞬間、二人の間にはおよそ650kmの隔たりが生まれた。
( ^ω^)「ずっと、ずっと大好きだお」
もう聞くものはいないのに、そう一人ごちるブーン。
ツンを乗せた列車は遠ざかり、すでにツンは見えない。
それでも、ブーンは大きく手を降り続けた。
自分の戦場に向かうツンを、少しでも勇気付けられるように
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:16:51.75 ID:aVHA2bNGO
支援
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:17:42.30 ID:gXJNUqYVO
アルティメット支援
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:18:27.27 ID:TapyHn4H0
しえん
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:19:05.20 ID:qPcK74H10
そして、時は流れて――。
(;A;)「うふぉ、ぐす、ぶひっ!」
(;^ω^)「ドクオ、泣きすぎだお。っていうか顔面が崩れて気持ち悪いお」
(;A;)「だってよ……おまえらとお別れなんて……ぶひひっ! 悲しくてよ……」
卒業式――。誰もが等しくその出会いに感謝する日。
自分たちと最後までわかりあえなかった先生。窮屈に感じた制服。古ぼけて汚くなった校舎。
みなで汗を流したグラウンド。シューズの音が響いた体育館。弁当を食べた渡り廊下。
そして友人達。
その全てに感謝し、その全てに愛情を向けられる日。
_
(;゚∀゚)「おまえは地元を離れないからいいじゃねぇか」
(;A;)「おまえらは……うひひっ! 出て行っちまうじゃねぇかよ
……ブーンもジョルジュも……みんないなくなって……」
(;´・ω・`)「僕がいるじゃないか……なんで無視するんだよ」
今こそ惜別のとき。
別れは出会いの始まりと言うが、かけがえのない別れだってあるのだ。
桜はまだ咲いておらず、それぞれの花道を飾るというわけにはいかなかったが、
みなからのエールはしっかりと届いている。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:19:30.91 ID:gXJNUqYVO
車輪
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:20:15.94 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「離れてもみんな友達だお」
(´・ω・`)「そうだよ。泣くことないじゃないか」
(;A;)「そうだけどよ……そうじゃないんだよ。
ここでおまえらと会うことが出来なくなるっていうのが……悲しいんだよ」
友達はいつまで経っても友達だ。
だが、二度とこの場所で会うことは出来ない。これからは、朝になれば自動的にみなが集まっているわけではない。
会うときは、それぞれの生活の、ほんのちょっぴりの時間を使っていくしかないのだ。
日々に忙殺されて、互いの事を思う時間はどんどん希薄になっていくだろう。
それは当然のことだし、仕方ないことだ。
_
( ゚∀゚)「まぁな……」
人目も憚らず泣きじゃくるドクオに感化されたのか、珍しくジョルジュも神妙な表情をしている。
_
( ゚∀゚)「実際、俺だって寂しいけどよ……」
故郷を離れて行くジョルジュはなおさらだろう。遠方へと巣立つ彼は、そう簡単にはこの地を踏めない。
( ^ω^)「ドクオ、みんなだって寂しいんだお。でも、湿っぽい別れは僕らには似合わないお。
笑って、罵り合ってばいばいするのが、僕らだお」
(;A;)「ぶひっ! そうだな……。最後だからこそ笑って別れなきゃな」
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:20:31.39 ID:aVHA2bNGO
うぉぉぉ支援!
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:21:10.25 ID:gXJNUqYVO
ドクオ可愛いなぁ
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:22:13.02 ID:qPcK74H10
(´・ω・`)「ブーンは、今日中にあっちに行くのかい?」
( ^ω^)「うん。今夜、発つお」
“そうか”と言ってショボンは空を仰いだ。雲ひとつない空――とはいかないが、なかなかの快晴だ。
人生の旅立ちの日は、空でさえケチがついてはいけない。
辺りを見渡せば、人々でごった返している。卒業生、在校生、教師――。みな一様に寂しさを湛えた笑みを浮かべている。
見ればブレザーだというのに第二ボタンがない生徒もいる。随分古風だな、と思うとなんだかおかしかった。
_
( ゚∀゚)「じゃあこれでおまえらとの腐れ縁も終わりだな」
( ^ω^)「小中高で一緒だったから、離れることに違和感があるお」
(´・ω・`)「そんなこと言われると僕だけ高校からの付き合いだから嫉妬するなぁ」
ショボンが水臭いことを口走る。
少し離れたところで学年の人気者、
いわゆるイケメングループに群がっていたクラスメイトの女生徒がこちらの方へ小走りで近づいて来た。
(*‘ω‘ *)「ねぇねぇ。ブーン君たちさ、今夜の打ち上げ、来るでしょ?」
どうやらクラス毎に、打ち上げというささやかなお別れパーティーを行うらしい。
( ^ω^)「僕は今日中に地元を離れるからいけないお」
(*‘ω‘ *) 「えー? そうなの? ブーン君たちは来ると思ったのに」
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:23:54.84 ID:qPcK74H10
女生徒は残念そうな顔をする。
_
( ゚∀゚)「ブーンは無理だけど俺ら3人は行けるぜ」
(*‘ω‘ *) 「うーん……まぁジョルジュとショボン君が来るならいいかぁ」
('A`)「お、俺も行くぞ」
しかし、女生徒は既にイケメングループの輪に戻っており、ドクオの声は誰の耳へも届かなかった。
( ^ω^)「じゃあ、僕はもう行くお」
(;´・ω・`)「え? もう行っちゃうの?」
唐突なブーンの別離の言葉にみな戸惑いを隠せない。
( ^ω^)「うん。あっちに行く準備とか色々あるから、今から帰って支度するお」
_
( ゚∀゚)「なんだよ、そんな事は昨日のうちにやっとけよ」
(;^ω^)「おっおっ。うっかりしてたお」
('A`)「じゃあ、ブーンとはここでお別れかぁ」
ドクオの言葉に全員下を向く。遠くから今日の打ち上げの話し合いについて盛り上がっている声が聞こえる。
( ^ω^)「おっおっ。だから湿っぽくなるなお。ちょっと遠く離れるだけだお」
ブーンは努めて明るく振舞う。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:24:40.93 ID:gXJNUqYVO
高三の冬に退学した俺に…卒業式を…見せるのかッ!
そっちがその気なら俺は支援だ!
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:25:09.28 ID:aVHA2bNGO
そういえば俺も打ち上げ誘われなかったなぁ・・・
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:25:25.14 ID:qPcK74H10
_
( ゚∀゚)「誰が湿っぽくなってるんだよこの野郎。大体おまえの彼女貧乳なんだよ!」
ジョルジュも寂しさを払拭するように憎まれ口を叩くが、その言葉はブーンとしては聞き捨てならない。
('A`)「そうだぞこの野郎! おまえの姉ちゃん可愛いんだよ! 愛してる!」
既に聞き飽きていたのでドクオの戯言は無視する。
(´・ω・`)「僕は寂しいなぁ……」
空気を読まないショボンがポツリと呟く。
その言葉をきっかけに、全員は抑えていた蓋が外れたかのように感情が溢れ出す。
( ;ω;)「だからそういうこと言うなってばお! 本当は僕も寂しいんだお!」
_
( ;∀;)「そうだぞ馬鹿! 余計なこと言うんじゃねぇよ!」
(;A;)「ぶひっ! ぶひひっ!」
(;´・ω・`)「わ、悪かったよ……」
おーいおいおい、と泣きに泣く。これぞ男泣きだ! と言わんばかりの勢いで落涙する。
何を言っても、どう綺麗に言い繕っても、別れは悲しいのだ。
これまでの日々が楽しかった分、これからの日々を不安に感じる分、別れは辛いのだ。
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:26:13.45 ID:aVHA2bNGO
>>196 ここにチャレンジャーがいるぞ!
差し支えなければ退学の理由を
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:26:54.61 ID:gXJNUqYVO
誰だよスレにワサビつけたの
鼻がツーンてしてきやがった
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:26:59.50 ID:qPcK74H10
ブーンたちは泣いた。周りの生徒がひくほど泣いた。
途中からは悲しくて、というより、勢いがつきすぎて泣くのを止められなかった、というのが正確だったが。
一通り泣き終えて、鼻を真っ赤にしたブーンが別れの口火を切った。
( ^ω^)「あー……泣かせんじゃねーおクソどもが」
_
( ゚∀゚)「こっちのセリフだボケ」
(´・ω・`)「向こうに行っても元気でね」
( ^ω^)「うっせーおガチホモ! おまえこそ達者でやれお!」
_
( ゚∀゚)「むこうでさっさとツンに愛想尽かされて来いよ、肥満児!」
( ^ω^)「黙れおっぱい星人! おまえはせいぜい自衛隊員として人民のお役にたてお!」
('A`)「……」
(;^ω^)「なんだお不細工。何か言えお! 調子狂うお!」
(;A;)「う、うっせー。おまえなんて向こうで痛い目に会いやがれ! そんで、打ちひしがれてさっさとこっちに戻って来い!」
ブーンは一歩踏み出すと、3人に向かって別れを告げる。
( ^ω^)「さよならだお、ジョルジュ、ショボン、ドクオ! 元気でやれお! 風邪とかひくんじゃねーお!」
じゃあな、と言ってブーンは歩き出す。
まるで、また明日この校舎で会えるかのように。
目には涙を溜めて。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:28:05.78 ID:TapyHn4H0
しえん
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:28:44.44 ID:aVHA2bNGO
ラストが近そうな支援
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:29:11.56 ID:qPcK74H10
ツンは入り口から外を眺めた。
今年は少しだけ桜の開花が早く、旅立ちを飾るにふさわしい日となった。
それにしても卒業式というのは退屈だった。
変に形式ばっているだけでなく、予行演習。予行演習とは一体なんなのだろう。
本番をスムーズにするためのリハーサル。馬鹿げている、と思った。
一体誰のための卒業式なのか。段取りどおりに執り行われていく式など、感慨が沸きようもない。
はぁ、とため息をつく。思えば充実した3年間、とは言えなかった。
学校生活など気の置けない友人がいなければ苦痛なだけだ。
本当はこの式にも出たくはなかった。
しかし去年の夏、ブーンに気持ちを伝えてからは毎日学校に来よう、と決めたのだ。
その学校生活も今日で終わりを迎える。
卒業生の答辞が終わり、あとは卒業証書の授与を経て、この式も終わり。
辺りからは女生徒のすすり泣く声と、携帯電話の着信音が響いている。
できることなら自分も、あの女生徒と同じように感極まって泣いてみたかった。
だが愛着のもてない学校との別離に、特段心は動かない。
それよりもツンの心は別のところに関心があった。
すなわち、この春からはブーンと一緒のキャンパスライフを送れる、ということだ。
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:30:01.42 ID:gXJNUqYVO
>>199 え?なんかみんなからシカトされたりしてムカついたから無双乱舞したら退学になった
さぁもういいだろ支援に戻ろう
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:32:10.12 ID:qPcK74H10
ツンと一緒の大学を受験したブーン。しかしブーンから合否についての連絡はない。
でも沙汰がないのは良い報せ、と言うし、何よりブーンが自分の事を好きと言ってくれた事を信じている。
自分と同じ大学に通えるように頑張る、と言った事を信じている。
だから何も心配はしていない。
卒業式はその全ての進行を終え、各々のクラスごとでホームルームを行う。
教師が旅立つ生徒達に檄を飛ばしている。
教師からのありがたい言葉を頂戴し、クラスメイトが卒業アルバムに寄せ書きを書いてくれとねだってきた。
正直、書くようなことなど思い浮かばなかったので、無難に“卒業しても元気でね”と当たり障りない事を書いておいた。
自分のアルバムにも何か書いてもらおうとも思ったが、何だか白々しい気がしてやめておいた。
校舎に最後の別れを告げ、学校敷地内の出入り口へと向かう。
周囲には友人や教師との別れを惜しむ声が聞こえてきて、それに混じれないことに少し後ろめたさと悲しさを感じる。
ツンは携帯電話を取り出し、発信する。発信先はもちろんブーンだ。
“卒業式が終わった”と告げるためだ。“早く会いたい”と言うためでもある。
どちらにしろブーンと何か話をしたかった。この空間に一人佇んでいるのは寂しすぎる。
携帯電話からコール音が聞こえ、ツンは驚愕した。
自分の電話からコール音が聞こえた瞬間、真後ろから大きい音で着信音が鳴り響いたからだ。
まさか、と思いながらもツンはゆっくり後ろを振り返った。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:32:59.22 ID:aVHA2bNGO
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:33:58.21 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「や」
まさかのブーンがそこにいた。
ξ゚听)ξ「ブーン?」
( ^ω^)「おっおっおっ。ツンが寂しい思いをしてるんじゃないかと思って来ちゃったお」
ふくよかな顔でニコニコと笑うブーンに、ツンは驚きと共に嬉しさも感じる。
ξ゚听)ξ「何で!? ブーン、卒業式は?」
( ^ω^)「僕らは昨日が式だったから」
そこで一呼吸おいて、
( ^ω^)「ツンにあいに来たお」
そう言った。
( ^ω^)「やっぱり浮かない顔をしているおね。せっかく桜も咲いているのに」
顔を持ち上げ桜を見るブーン。
青空に映える桜色が何だか荘厳で、それは下を見ていては気付けない美しさだった。
( ^ω^)「笑うお、ツン。今日は旅立ちの日だお」
そう言われツンは微笑む。うまく出来たかどうかはわからないが。
いや、きっとうまく笑えただろう。だって、そばにはブーンがいてくれたから。
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:34:07.35 ID:gXJNUqYVO
クライマックスだな支援
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:35:24.73 ID:aVHA2bNGO
支援
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:36:09.56 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「おっおっおっ。いい笑顔だお」
カラカラと笑うブーンの方がいい笑顔だ、とツンは思った。
ξ゚听)ξ「ブーンがこっちにいるってことは、大学、受かったの?」
まさか自分の卒業式を見に来るためだけにここまでは来るまい。ブーンがここにいるということは、
つまり春からはこちらで生活をするということだ。大学に受かったのだ。
そう確信できたからこそ、今まで聞けなかったことを尋ねられる。
(;^ω^)「落ちたお」
ブーンはあっさりと爆弾発言をした。予想外の返答にツンは動揺し、どう言葉を継いでいいかわからなくなる。
ξ;゚听)ξ「な、な、な、なにそれ!? じゃあどうするの!? こっちに住めないじゃない!」
やっと出てきた言葉はそれだった。
(;^ω^)「いやー、ツンの受けた大学は難しいお。一夜漬けみたいな勉強じゃ太刀打ちできなかったお」
面目なさそうに言い訳をするブーン。しかし何と言おうと結果は覆せない。
ξ;゚听)ξ「じゃ、じゃあどうするの!? また離れ離れになっちゃうの?」
最初は遠距離恋愛も辞さない構えのツンだったが、ブーンからこっちの大学に通うと言われ期待をしてしまった。
期待をしてしまったので、今更こちらで暮らせないと言われても気持ちを切り替えることは出来ない。
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:37:13.58 ID:gXJNUqYVO
落ちたんかい!
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:38:49.00 ID:qPcK74H10
( ^ω^)「大学はまた来年受けなおすお。今度こそ頑張って合格するお」
ξ゚听)ξ「そう……」
浪人して大学を受け直すことにツンは異論はない。目標があって、
それに向かって邁進するならば何も心配は要らない。少しぐらいの遠回りなど問題にすらならないだろう。
しかしツンの心配の論点はそこではない。
なぜそれについて何も言ってくれないのだろう。そう思うと少し憤りを感じてしまう。
( ^ω^)「こっちで働きながら勉強して、それで来年こそツンと同じキャンパスに行くお」
心配が一気にひっくり返された。
( ^ω^)「だからツン、一緒に住むお」
にこやかに笑うブーン。ブーンはツンを一年も待たせる気などなかった。
一緒の学年で大学生活を過ごすことは出来なくなってしまったが、
それイコール一緒にいることが出来ない、というわけではない。
一緒にいることは、そばにいることはいくらでも出来るのだ。
ξ/////)ξ「な、なによそれ。な、何で一緒に住むとかそんな、
こっちに住むことはわかるけど、一緒には……」
否定する言葉とは裏腹に、ツンは顔を真っ赤に染めていく。
( ^ω^)「それで、大学を卒業したら、ツン……」
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:38:57.82 ID:BHkA6C3dO
>>181 うんそういうこと
どの程度のDQNかっていったらワーストにでてきそうなくらい
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:39:21.45 ID:aVHA2bNGO
ここでさるになったらかなわないからな
支援
最後まで付き合うぜ
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:40:54.95 ID:qPcK74H10
さすがにこの瞬間はブーンも緊張する。手には汗がにじみ、背中がぞわぞわとして落ち着かない。
(//^ω^)「ぼ、僕と結婚して欲しいお!」
言った。言ってやった。人生始まって以来の緊張に耐えて言ってやった。
人生を賭けた言葉。そしてこれからの人生が賭かった言葉。
その言葉を口に出し、ブーンの顔は上気していた。なんとも言えない興奮が頭の中を駆け巡る。
言葉では言いがたい充足感が胸中を満たす。
そしてすぐにその興奮は冷める。充足感の代わりに不安が頭角を現し、顔は青ざめる。
ツンからの返答がない。
ブーンはてっきり、間髪いれず応答があると思った。肯定の言葉を聞けると思った。
しかし、目の前のツンは返事を聞かせてくれない。言わなければ良かった、早急過ぎたか、と悔恨の念にかられる。
(;^ω^)「お……」
沈黙が怖かった。沈黙が作り出す張り詰めた空気が怖かった。
それを破りたくて一言だけ発した。
“お”と。
なんだそれ。もっと何か言え。もう引き返すことは出来ない。
営業マンばりの押しでうんと言わせなければならない。
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:41:29.73 ID:aVHA2bNGO
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:42:44.84 ID:qPcK74H10
ξ゚听)ξ「……嘘じゃない?」
やっとツンの口から言葉が聞けた。
その問いにブーンはこくこくと頷く。決して嘘じゃない。気持ちに嘘はないし淀みも濁りもない。
その所作にツンは満足そうな顔をして、
ξ゚听)ξ「どうしようかなぁ?」
そう言った。
なんだか楽しんでるような素振りだった。
どうしようかなぁ? なにそれ。どうしようかなぁってどういう事?
はっきりとしないツンの返事にブーンはやきもきした。気が気ではなかった。
ツンは嬉しかった。
ブーンがそこまで自分の事を思っていてくれていたことが嬉しかった。
しかし、素直になれない。なんだか意地悪をしてみたくなる。約束を破って大学には落ちてしまったし。
本当はどうするも何もないのだ。ツンはブーンにこう言った。
“ブーンは自分のふるさとだ”と。
ふるさとを捨てることは出来ない。
捨てたように思えても、それはしっかりと自分の心に根をはり、完全に別れを告げることは出来ない。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:43:00.70 ID:SNfSqnTL0
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:43:54.55 ID:gXJNUqYVO
>>214 男ならクローズやワーストに憧れるもんさ
支援
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:45:16.48 ID:qPcK74H10
いや、もっと端的に言ってしまえば、ふるさととは心の土台なのだ。
自分というものを形作っているものなのだ。どうして離れることが出来ようか。
ツンの気持ちは決まっている。
(;^ω^)「は、はっきり言って欲しいお。というか“はい”か“イエス”で答えて欲しいお!」
ξ‐凵])ξ「うーん、どうでしょう〜?」
ツンの気持ちは決まっている。
でも、自分の返答に一喜一憂するブーンが見たくて、もう少しだけ意地悪を続けてみる。
ツンとブーンの未来は決まっている。
旅立ちの日。それを見守る桜の木の下で――。
( ^ω^)はふるさとのようです 〜Fin〜
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:45:37.45 ID:BHkA6C3dO
>>217 これでも進学校…つっても中学校なんだが行っててな
そっから高専行って中退して結局は低学歴乙なわけだ
普通高校落ちたのが人生の転機だったかもわからんね
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:46:47.36 ID:gXJNUqYVO
おぉぉ乙!
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:46:48.29 ID:SNfSqnTL0
乙!
感動した!
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:47:58.37 ID:aVHA2bNGO
乙!かなりおもしろかった!
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:47:59.33 ID:TapyHn4H0
おつですたー
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:48:00.69 ID:BHkA6C3dO
>>1乙
泣けたよ
やっぱり男ならヤクザやら不良に憧れるけどそれも間違ってるのかもしれんな…
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:48:22.02 ID:pZuRQTSp0
乙
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:48:36.08 ID:qPcK74H10
以上で『( ^ω^)はふるさとのようです』は終了です。
実はこれで4スレ目なのですが、あまりの需要のなさにスレが何度も途中で落ちて、その度にもうやめようと思いました。
しかし、途中でやめてしまうのはこの作品が不憫だと思い、最後まで書き続ける決心をしました。
さるさんを食らったときも、くじけそうになりましたが、
ここまで出来たのも、ひとえに読んでくださった皆様のおかげです。
思った以上に長くなってしまい、また文才が無いので読み辛く感じる部分も多々あったと思いますが、笑って許してやってください。
本当にここまでお付き合いいただいて有難うございました。
途中から予定していたものと違う方向に話しが進んでいってしまいましたが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これからもブーン系で皆様のお目にかかれることを願っております。
その際に、もう少しでもいい話を作れたら、と思います。
最後に長々と駄文を載せて恐縮ですが、以上を持ちまして謝辞とさせていただきます。
本当に有難うございました。
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:51:35.38 ID:qPcK74H10
実はみなさんより自分の方が感動しているかもしれませんw
こんなにたくさんの人に読んでいただけて感無量です。
読んでくださった方もバラエティーに富んでいて。
やっぱりvipが大好きだと思いました。
ちなみに一度違うスレへ誤爆して、そこから慌てて矛盾がなくなるように推敲しました。
みなさん、こんな遅くまでお付き合いいただき、本当に有難うございました。
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:53:41.24 ID:gXJNUqYVO
>>230 途中でどっかの部族の人達も支援にきてたしなwww
面白かったよ
改めて乙です
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:54:19.85 ID:aVHA2bNGO
>>1乙
なかなか読み応えがあって楽しかったよ
今日はもう寝るけど明日まとめをじっくり読んでみます
お疲れさまでした
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:55:48.57 ID:BHkA6C3dO
>>230 7xさんで何回も読み返していました
少々無気力なブーンが今の自分とダブってしまって
俺も頑張らなきゃ駄目かなあとか思ってみたりw
次作も期待しております
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:57:35.93 ID:qPcK74H10
>>227 自分もそういうのに憧れる部分はあるのでw次はバトルものを書こうかと思っています。
>>231 あの人たちは多分凸スレの人たちの冷やかしだと思いますがw
正直、助かりました。
>>232 お読みくださって有難うございます。
期間があいたのにしっかりまとめてくださってる7xさんには感謝しています。
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 01:58:44.75 ID:qPcK74H10
>>233 本当ですか。
うわ、本気で嬉しいです。
正直、読んでる人いないだろうなぁ、と思ってましたから。
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:01:55.12 ID:SNfSqnTL0
個人的には今まで読んだブーン系の中で2〜3番目に好きだ
これからも頑張ってください
乙〜
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:04:39.72 ID:qPcK74H10
>>236 ありがとうございます。
そんな高い評価をいただけるとは思ってませんでした。
いつまでもスレに粘着してすみませんw
感想をいただけるかと思うとなかなか離れられなくて。
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:07:13.22 ID:BHkA6C3dO
バトルは多いけどブーン系で喧嘩・ヤクザって無いよね
vipでDQNやら怖い人が嫌われてるから?それとも疎いからなのか?やっぱり描写し辛いからなのかなあ
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:08:58.78 ID:SNfSqnTL0
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:09:37.08 ID:qPcK74H10
>>239 多分ですけど、描写しづらいんじゃないかな、と思います。
特にヤクザについては、自分は未知の世界ですから。
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:11:28.95 ID:BHkA6C3dO
>>240 それまじでいってんのか?
まじでいってんなら俺総力あげて全力で支援するが
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:11:33.84 ID:qPcK74H10
>>240 期待してます。
毎日vip見てるので多分見つけられると思います。
vipの人がヤクザ物書くとどうなるのかちょっと読んでみたいですし。
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:12:40.00 ID:92E88Ed2O
乙です!!
高校時代に戻りたくなりました…
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:14:10.62 ID:SNfSqnTL0
>>242 ブーン系経験なし、小説書くなんてのはは中学生の時の黒歴史以来
そんな僕でいいなら・・・////
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:14:57.08 ID:qPcK74H10
>>244 ありがとうございます。
前に書いたのも中学生ものでしたし、自分は文才が無いので日常ものしか描写できないんです。
少しでも楽しんでいただけたなら、幸いです。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:16:20.61 ID:qPcK74H10
>>245 自分もブーン系から小説書き始めたので、大丈夫ですよ。
むしろお願いします。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:17:31.98 ID:9UzRxhEzO
乙でした! 俺にも小中高とずっと一緒で仲良かったやつが何人かいたけど、このスレ見てそいつらのこと思い出しました。 ツンとの話しもいいけど男の友情ってのも泣けるね!
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:18:21.46 ID:BHkA6C3dO
>>245 高校鉄拳伝タフばりの喧嘩を小説で表現しろよ!
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:19:47.02 ID:qPcK74H10
>>248 ありがとうございます。
実はツンとの絡みより、ジョルジュたちとの絡みが書いてて一番楽しかったです。
自分にもこんな友達がいたらなぁ、と思って書きました。
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:22:24.69 ID:SNfSqnTL0
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:24:27.09 ID:gXJNUqYVO
>>250 ツンとの恋愛王道ストーリーが主軸だとマンネリになりがちだけど、笑いとか友情とかが調度いいバランスで
最後まで飽きずに読めたーよ
笑いの挟み方に関してはお世話抜きで上手い
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:24:51.82 ID:qPcK74H10
>>251 本気で期待します。そして見つけたからには支援します。
自分も教養なんて無いので大丈夫ですよ。
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:28:11.12 ID:qPcK74H10
>>252 ありがとうございます。
正直、ギャグについては滑るものだとばかり思っていました。
素直に嬉しいです。
ちなみに自分は関東在住なので、東北の描写についてはまったくの想像です。
東北の方が見て『違うよ』と思っても、許してやってください。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:33:40.84 ID:qPcK74H10
そろそろ、というか多分こんなに粘着しているのも気持ち悪いと思うので、落ちます。
本当に皆様ありがとうございました。
読んでいただけるということが、何よりの励みです。
また、この板でお目にかかれることを願っています。
それでは。
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:34:45.37 ID:qPcK74H10
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`ーll! `''==ヲ' l:.:^''==彡'" ,!リノ
ll ` '' " l:.:.:` '' " ,i;;l´ みなに感謝でおじゃる
li, ,r .: :.ヽ、 ,:,り
t、 / ゙ー、 ,r '゙ヽ /,K′
ゝ、 ,:' :~: } // /ヽ、
/{lヽ ,ィ==ニニ==,ノ,ノ7 /:.:.:.:ヾニヽ
, ィ/:.:い ヽ `` ー一 ''"/,/,/:.:.:.:.:.:.:.:ソ }- 、、
/ /:.:.:.:ヽヽ `' ー‐ -- '"//:.:.:.:.:.:.:/ / ` 丶、
,, - { ヾ:.:.:.:.ヽ丶 //:.:.:.:.:, -'" ,/ ` 丶 、
,, - ''" 丶、 `` ーゝ、ヽ.,_,,ィ"ェくユ- ''" , ィ"
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:37:23.79 ID:SNfSqnTL0
最後に・・・乙!
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 02:40:56.40 ID:gXJNUqYVO
駄菓子屋のババアのモデルは珍遊記の本屋のババアだろ?って聞こうと思ったのにwww
また次の作品で聞くわwwwww
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 04:59:19.32 ID:6IzvqmdCO
読むっほ
読みおわた。甘酸っぱいなぁ…。
ウンバボ乙乙!
いまさらながら乙でした
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/11(木) 08:35:06.74 ID:1K8zrG1xO
よむほ
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
まだあったとはwww