1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
その日、春日は朝早くに目を覚ました。
今日の仕事は珍しく午後からだったので、久しぶりにたっぷりと睡眠時間を取れるはずだったのに、結局普段と変わりない睡眠時間だった。
枕元に置いた携帯が、やかましく騒いでいる。
そのメロディは毎朝聞かされる目覚まし用のものではなく、誰かからの着信を知らせるものだった。
春日「こんな朝っぱらから誰でございましょうか…」
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:36:07.61 ID:990Wm7cnO
寝ようと思ったのにwww
支援
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:36:20.37 ID:X+mWLD2SO
ながーい
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:39:39.14 ID:/RN1SRGUO
画面には“若林正泰”の文字。
少し首を傾げながら、春日は通話ボタンを押した。
ピッ
春日「ウィ。もしもし」
若林「やっと繋がった!テメェさっさと出ろやぁ!」
春日「…随分なモーニングコールでござぁますな」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:40:26.17 ID:/RN1SRGUO
ごめん、正恭だった
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:42:10.11 ID:H0/H4dI9O
オードリーのSS多すぎだろ
なんでこんなに多いんだよ
オードリーのSSスレのお初ってなんだよ
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:43:08.05 ID:/RN1SRGUO
電話の向こうの若林は、気にせず春日に罵声を浴びせつづける。
若林「俺がお前に何回電話したと思ってんだ!後で履歴見て反省しろ!」
春日「あのね、春日だって疲れてんだから。寝かせてちょうだいよ」
若林「お前のことはどうでもいいんだよ!」
春日「酷し」
若林「とにかく春日、助けてくれ」
春日「……?」
先程とは打って変わって、心なしか不安の混じる声で、若林は春日に助けを求めた。
あの若林が自分にストレートに「助けて」と言うなんて、よっぽどの事態なんだろうな、と春日は薄々察した。
しかし、それは言わずにただ「どうした」と聞いておいた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:48:14.52 ID:/RN1SRGUO
若林「さっき、散歩しようと思って起きたんだよ」
春日「ウィ」
若林「そしたらさ、部屋に俺がいた」
…
春日「……は?え、何」
何を言ってるんだこの男は。
春日は未だ寝ぼけた頭でそう思った。
きっと若林も寝ぼけているに違いない。そうも思った。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:49:19.40 ID:990Wm7cnO
支援っ
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:51:30.55 ID:QkS8XeRk0
三人のSGGKとか恐ろしいな
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:53:59.33 ID:EnUJP4CAO
ドラクエ5でビアンカ三人にする裏技思い出した
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:55:18.43 ID:/RN1SRGUO
春日「ちょっ…と、わかんないんだけど」
若林「だからぁ!起きたら枕元に俺が2人立ってたんだよ!」
春日「いや、ごめんわからん」
春日は全く着地点の見えない若林のSOSに頭を抱えた。
同時にドッキリの可能性を考える。
この間のラジオでも「週一ペースで引っ掛かる」とバカにされたばかりだ。
しかし、これが仮にドッキリならば、この企画を考えた奴はよくドッキリにひっかかる春日よりもバカだと言える。
「起きたら枕元に自分がいる」なんて誰が信じるだろう。
春日「…ドッキリ?」
春日はまさかの企画ぶち壊しを覚悟で、問い掛けた。
2度のロンハーの悲劇が脳裏に浮かんだ。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 00:58:21.55 ID:990Wm7cnO
相方が増えるとかどんなドッキリだw
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:02:44.22 ID:/RN1SRGUO
しかし、返ってきたのはため息だった。
若林「こんな訳のわかんないドッキリ仕掛けるテレビ局があるか!?このバカスガ!」
春日「も、申し訳なし…」
何が悲しくてプライベートの朝から相方に怒鳴られにゃならんのか、と春日は思ったが、これも言わないでおいた。
若林「とにかく今から俺んち来れるか?っていうか来い」
相方の命令により、春日は引っ越したての若林の部屋に行くことになった。
中学2年からの付き合い。
どことなく様子のおかしい若林を心配しながら、春日は家の鍵を握りしめた。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:14:29.33 ID:Fk1JWALlO
しえん
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:16:25.96 ID:/RN1SRGUO
部屋の前に着いた。
チャイムを押す。
ピンポーン
重いドアが開き、中から私服の若林が現れる。
若林「…来たか」
春日「で、どしたの」
若林「とりあえず上がって。あと一応言っとくわ。あまり驚くな」
疲れた表情の若林の後に、解せない表情の春日が続く。
部屋の中には、若林がいた。
―――合計3人も。
春日3人だったら…
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:24:36.36 ID:/RN1SRGUO
春日はあんぐりと口を開けた。
春日「若林が…3人いる」
若林「な、言っただろ。朝起きたらコイツらがいたんだよ」
春日の目の前には若林の顔をした人間が3人いた。
1人は白衣を纏って、聴診器を首にかけた若林。
1人はタオルと作業着を纏って、筆と色紙を持った若林。
そして、春日の隣で困り果てたように頭をかく地味な私服の若林。
春日「しかも、どっちも我々のコントのキャラじゃないですか」
若林「どう見ても…『味覚』のDr.若林と『わかを』のあいだわかをだよな」
春日「ウィ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:34:57.77 ID:IMK4KU5KO
わかばやしえん
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:37:08.87 ID:/RN1SRGUO
突如現れたDr.若林とわかをは、それぞれ自由な行動を取っていた。
とりあえず春日と若林は、しばらく黙って傍観することにした。
Dr.若林は部屋の家具や道具を観察しては、どこからともなく取り出したカルテに何やら書き込んでいる。
時たま春日と若林のこともチラ見してはやはりカルテに書き込むので、2人は同時に怪訝な顔をした。
わかをはと言うと、冷蔵庫やお菓子置場などをチェックし、めぼしいものを見つけるといそいそと自前の風呂敷に包んでいた。
プリンに至っては、スプーンを探し出してその場で食べ始めた。
若林「プリン食ってんじゃねーよ」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:41:30.93 ID:/AgIz7UC0
わかをかわいいよしえん
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:41:41.45 ID:/RN1SRGUO
春日が小声で若林に話しかける。
春日「彼ら、勝手な行動を取ってるけど、果たして我々には気づいているのかしら」
若林「それだよ。何か怖くて話しかけられなかった」
春日「怖いってあなたwww」
若林「だって目ぇ覚めてぇ、自分の顔が2つもあったら死ぬほどびっくりするよ?」
わかを「…さっきから無視されて悲しいんだなぁ」
春日・若林「!!!」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:51:03.54 ID:/RN1SRGUO
おもいっきり拗ねた顔で2人を睨むわかを。
Drの方は…未だカルテに記録中だ。
残念ながらこの部屋の天井に「ぽぉい」は引っ掛かってないよ、と若林はDrに教えてあげたかった。
わかを「私、ここが何処だか解らず、只今取り乱しております」
若林「いやっ、さっき余裕でプリン食ってたじゃん」
わかを「慌てた時にこそ落ち着き払える人間になりたい、と!私は常々そう願っております」
春日「…日常でこのキャラはうっとおしいな」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 01:58:12.26 ID:/RN1SRGUO
若林「おいドクター」
Dr「はいはい」
右手を熱心に動かし続けながら、返事を返すDr.若林。
落ち着きすぎるその態度に、2人は若干ムカついた。
若林「アンタもここがどこかわかんねぇ状態なの?」
Dr「そうですけどー。渋味ならわかるんですけどね。あ、前に診療にいらしたもみあげのない患者さんが、渋味がわからなかったもので」
春日「もみあげはいいんだよ!」
この瞬間、Drがカルテに「ツッコミの切れ味が悪い」と書き込んだことに、春日は気づかなかった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:08:09.98 ID:/AgIz7UC0
しえん
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:10:59.71 ID:/RN1SRGUO
しばらく観察していてわかったのは、彼らは周りのものには普通に触れることが出来るということ。
尚且つ彼らは「若林正恭」ではないということだった。
故に記憶も性格も「若林正恭」とは似て否なるもの。
コントキャラがそのまま実在の人物になってしまったかのようだった。
春日「どうしましょうねー…」
若林「今日、これから収録あんぞ。コイツらどうしよっかー…」
わかを「わかを、お供します」
Dr「あ、じゃあ私も」
ヒョイっと手を挙げて、わかをとDrは2人についていくと志願した。
Drの白衣の袖はぶかぶかで、掌の半分が隠れていた。
春日が三人だったらアメリカン親父とボディービルダーだな
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:18:48.48 ID:/RN1SRGUO
若林「お供ってお前…!」
春日「桃太郎かっ!」バシッ
若林「そこじゃねーよ!」ベシッ
若林は「ポンコツが…」と呟き、小さく咳ばらいをしてから言葉を続けた。
若林「俺達はこれからスタジオ収録があるんだよ。人が大勢いる場所に、俺と同じ顔が2つもあったら騒ぎになる!」
春日「春日も同意見でございますね。大人しくこの狭い部屋で待っててくれ」
若林「テメーの部屋の方が狭いだろ!」
スパーン!
春日「おぅっ」
春日のケツを躊躇なく蹴り上げる若林に、わかをとDrの顔が青くなる。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:24:07.97 ID:/RN1SRGUO
Dr「んー……わかりましたぁ」
春日と若林の説得を受け入れたからか、今のドSとドMのやり取りを恐れたからかは不明だが、Drはこの場に留まることを了承した。
少しは物分かりの良さそうな奴だと2人は思った。
わかをはその後もしばらく駄々をこねていたが、今日の夕食をジャワカレーにすることで、交渉は成立した。
わかを『駆け引きがあってもいいじゃない 人間だもの わかを』
Dr「意味合いがかなりブラックな風味になってますね」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:26:04.06 ID:/RN1SRGUO
〜お台場フジテレビ・楽屋〜
午後になり、2人は若林の家からそのまま現場入りした。
楽屋のドアを開き、いつもより大袈裟に荷物を置く若林。
平静を装っているが、内心戸惑っているに違いない。
存在する原因も目的もわからず、“自分”が2人も増えるというのはどういう気分なのだろう、と春日は考えてみたが、到底答えは出なかった。
若林「………チッ」
楽屋の中に、誰に宛てたものでもない小さな舌打ちが響いた。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:26:31.15 ID:zrColBMn0
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:31:10.32 ID:R4PON1BuO
わかをと春日を同じ部屋に閉じ込めたらすっげぇひもじくしてそう支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:34:19.65 ID:/RN1SRGUO
今日はレッドカーペットの収録。
ネタの打ち合わせも既に済み、舞台袖にスタンバイする。
春日は横目で若林の顔色を伺った。
しかし、運悪く目が合ってしまい、若林に「何見てんだよ」と毒づかれてしまった。
春日「…別に」
若林「沢尻エリカか」
春日「………」
若林「アドリブきかねぇな」
こんな他愛ないやり取りすら、お互いの覇気のなさが目立つ。
若林は訳のわからない状況に陥っている自身の運命を呪っていた。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:43:30.91 ID:vBxnbbSCO
追いついた試演
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:46:42.03 ID:/RN1SRGUO
若林「はいどうもーオードリーと言いますけどもー」
春日「皆さん、夢でお会いして以来ですね」
若林「…だいぶ寝汗かかれたと思うんですけど」
春日「ヘェッ!」
動く赤い絨毯に、四方八方からのスポットライト。
この降り注ぐ光が“売れた証”と言うものか。
もはや考えなくとも自然と口から流れる台詞が、今の自分たちの武器。
熟れた掛け合いと笑う観客。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 02:52:43.37 ID:/RN1SRGUO
ふと、春日は若林を見た。
ツッコミとしてのクールというか、表情のない顔でネタを進めている。
春日(昔の漫才中の若林は、もっと生き生きしていたような気がする)
若林「それでね、僕そこに行ったんですよ。そしたらね…」
春日(今日はたまたま奇っ怪な出来事に巻き込まれたから、こんな複雑な表情してるのかしら)
最近のこいつは漫才を楽しめているのか。
芸能界に入ってから、作り笑いは昔に比べて格段に上手になった気がする。
でも、今までライブやキサラでの漫才中に見せていた、あのワクワクした笑顔は減った気もする。
春日(あなた、いつからそんな顔して漫才するようになったんですか…)
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:03:06.40 ID:/RN1SRGUO
ハッと気がついた時には、舞台は静まっていた。
春日の台詞のはずが、ぼんやりしていて間が空いてしまったのだ。
観客も掛け合いが止まってしまい、ぽかんとした表情で2人を見ている。
若林「…っ、台詞忘れてんじゃねーよ!」
いつもより強めに春日の額を叩く。
若林のおかげで、今の間をいかにもネタの一部のようにフォローすることが出来た。
客を一気に爆笑の渦に巻き込む。
それでも春日は冷静に「後で若林に怒られるだろうな」としか考えていなかった。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:04:51.80 ID:/RN1SRGUO
若林「お前何だよあれは!」
春日「…悪い」
楽屋に戻るや否や、春日は怒鳴られた。
春日自身も、自分の不手際だとわかっていたので、本心からの謝罪と感謝の気持ちを告げた。
若林「悪い、じゃねぇよ!お前“春日”なら普段から『済まなし』とか言っとけバカ!アッコさんにもキャラのこと言われたろ?」
春日「若林、論点ズレてる」
収録も終わり、説教も一段落つき、後は帰るだけとなった。
時間的に少し遅いが、晩飯もカレーを作るくらいは出来そうだ。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:11:34.85 ID:oO9EpOKXO
眠いけど支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:12:02.42 ID:/RN1SRGUO
夜。
今後の相談も兼ねて、春日も若林の部屋に行くことになった。
ついでに晩飯もご馳走になれるということで、一食分浮いた春日は内心喜んでいた。
ガチャ
若林「ただいまー。2人共いるかー?」
春日「春日も来ましたよー」
部屋には暇そうにテレビを眺めるわかをとDrがいた。
わかを『暇を持て余す、神々と自分 わかを』
春日「あーもう、詩はいいから」
Dr「ちなみにこの人、昼間に外に出ましたよ」
若林「えっ、ちょ、外出たの!?」
わかを「わかを、お散歩大好き!」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:15:05.03 ID:vBxnbbSCO
わかをかわゆしwww
支援
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:17:36.37 ID:/RN1SRGUO
若林「散歩って…どこ行ったの」
わかを「知り合いの店長さんがいるスーパーなんだな。色紙と墨汁が切れたから、お世話になったんだな」
若林「色紙と墨汁って…お金は?」
若林は自分が作ったキャラ設定を思い出す。
ものすごく嫌な予感がした。
わかを『金なんて持たずとも真っ直ぐ生きていきたい 人間だもの わかを』
春日「やっぱりこいつコソ泥だー!」
Dr「ちっとも真っ直ぐじゃないですねぇ」
Drのしみじみとした相槌が痛い。
何これ面白し
しーーえん
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:23:58.39 ID:F/X0G6u9O
つ支援
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:26:18.60 ID:/RN1SRGUO
わかを「でもやっぱり店長さんに捕まったから、平気なんだな」
若林「何が平気なんだよ!万引きした時点でアウトだぞお前!」
わかを「散々怒られたけど、店長さんが私物の色紙と墨汁をくれたんだなぁ〜」
きっとその店長は、毎回万引きに来る社会不適応者のために、自分の使わなくなった色紙と墨汁を用意していたのだろう。
……今日突然現れたわかをが、どこのスーパーにどうやって毎回訪れるのかは全く不明だが。
春日と若林は問題をあまり深く掘り下げないことにした。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:27:05.20 ID:trbGadUxO
朝6時までなら起きてるぞ支援
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:36:29.97 ID:/RN1SRGUO
春日「じゃあ商品は返して来たのね?」
わかを「私、色紙と墨汁さえ貰えれば満足なので」
春日「フハハハハ!優しくてカッコイイ店長さんでよかったなぁ!」
若林「お前がそれ言うと、何かわかんないけどムカつくわー」
春日「ヘェッ!」
相変わらず暇そうに4人を傍観していたDrは、ボールペンで頭をかきながら呟いた。
Dr「そろそろ予定していた刺激のある味のものが食べたいですねー」
4人「………あ」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:42:48.22 ID:/RN1SRGUO
広いとは言えない部屋に、スパイスの匂いが充満する。
いつもより多めに米を炊き、いつもより多めにルーを作る。
実際カレーを作るのなんて久しぶりでちゃんと出来るか心配だったが、若林特製ほとんどルーだけカレーはしっかりジャワカレーの美味しい味がした。
春日「うまし!」
若林「マズイなんて抜かしたら水ぶっかけますよ春日さん」
春日「や…うまいって言ってるじゃないですかコップ握らないで若さん」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:47:07.70 ID:m1YYusJJ0
支援
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:49:46.44 ID:/RN1SRGUO
謎の来客者2人もカレーを口に運ぶ。
春日相手よりはやや優しめに、若林は「どうだ?」と感想を聞く。
わかを「わかを、幸せの極み!」
わかをの頬が緩むのを見て、若林は安心したように笑顔になった。
若林「そーか。自分に褒められてるみたいで気持ち悪ぃけどなw」
春日「ここまでコントの設定通りだと、逆に感心しますな」
若林「お前はおかわりしすぎなんだよ。金払うのか、おぉ?」
春日「断固拒否!」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:56:29.71 ID:QIZIZKYFO
支援
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:57:43.93 ID:7pyjFLwUO
カレー食べたくなってきたw
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 03:58:29.11 ID:/RN1SRGUO
わかをには好感触だったカレーだが、Drにはこの庶民的具なしカレーはお口に合わなかったらしく。
Dr「あのー…肉とか入ってないんですねー」
若林「あ゛?」イラッ
春日「お、落ち着け若林!」
我が道を行くタイプのわかをも厄介なのだが、空気を読めないタイプのDrも厄介だった。
Dr「いや、美味しくなくはないんですけど、辛さも足りませんしねー」
若林「テメーは医者だけにブルジョア設定か?」
Dr「まぁいいです。カルテには“甘口”と書いときますんで」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:01:18.49 ID:/RN1SRGUO
満腹になった4人は、改めてわかをとDrについて話し合うことにした。
2人によれば、今朝目が覚めたら見知らぬ若林の部屋にいたということらしい。
目が覚める前までは、各自が自分の生活を送っていたらしいが、それもあまりはっきりと覚えていないと2人は言う。
そして、帰る方法も―――それ以前に帰る場所すらもよくわからないと来た。
若林「困ったな…ずっとここに置いておく訳にはいかないし…」
頭を抱える若林に春日が耳打ちする。
春日「若林、ちょっと…」
若林「何だよ」
2人を部屋に残して、一旦玄関の外に出る。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:04:06.53 ID:Wo0mGmBFO
支援
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:09:15.90 ID:/RN1SRGUO
春日「ティーが考えるにはだな」
若林「お前、油断すると収録中でも一人称が“ティー”になるから普段から直しとけ」
春日「申し訳ない、殺さないでくだs」
若林「今はネタを進める気はねぇ」
春日「……春日が考えるにはだな、あいつらに正直に言ってみるのも1つの手だと」
若林「正直に…って?」
話の読めない若林に春日が説明する。
春日「お前達は本当は、俺達が作り出したコントのキャラクターなんだよ、って」
若林「…!」
春日「何かわかんねぇけど、多分幽霊みたいなもんなんだろ?カレー食ってたけど」
若林「カレー食ってたけどな」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:12:25.26 ID:QIZIZKYFO
ティー言っちゃったw
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:13:10.61 ID:/RN1SRGUO
春日「そうすれば消えるんじゃないのか?自分が架空の人間だってことを自覚させれば」
春日とは長い付き合いだが、若林は極めて稀に春日を尊敬する時がある。
普段何も考えていない、もしくは考えていてもさっぱり理解出来ない春日だからこそ、時たま的を得た意見を述べる。
突き抜ける程に、明快。
ここまで尊敬したのはK-1以来かもしれない、と若林は思った。
若林「……言ってみるかぁ」
春日「言ってみましょーよ!」
空を見上げれば、雲の切れ間から薄く月光が差し込んでいた。
2人は、覚悟を決めた。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:15:31.96 ID:FDWSrdx3O
追い付いたー支援!
見てるからな
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:19:03.51 ID:FDWSrdx3O
オードリーへの愛が伝わる良SSw
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:20:57.01 ID:/RN1SRGUO
部屋に入り、姿勢を正して座り直す。
春日「唐突かもしれないが」
本当に唐突な話題の入り方だったが、わかをとDrは素直に春日の方に体を向けた。
春日「お前達はな、多分この世の人間じゃないぞ」
若林「つーか、俺達が作ったコントのキャラなんだよ」
この話が上手く伝わる自信はなかった。
しかし、2人は話を続ける。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:20:59.80 ID:FDWSrdx3O
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:26:51.11 ID:/RN1SRGUO
若林「だからお前らは俺と同じ顔してるし、目が覚める前までの記憶もイマイチはっきりしていない」
春日「そりゃあそうでござぁますな。コントのキャラに過去なんて存在してませんから」
若林「な?納得しただろ?納得したら早いとこケリをつけてくれよ…」
分厚いオブラートで包んではいるが、「早く消えてくれ」「平穏を返してくれ」と懇願する若林。
春日としても、相方が始終ストレスに悩まされる状況は望むものではない。
若林「…っ……頼むから………」
2人は推測のみで導き出した一縷の望みに、必死の思いで縋り付く。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:27:14.05 ID:oipqIL0QO
若様支援
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:29:01.85 ID:FDWSrdx3O
わかをはうちに欲しいw
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:31:10.20 ID:vBxnbbSCO
それではDrを貰っていきますね
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:35:28.28 ID:/RN1SRGUO
わかを「………」
Dr「………」
一部始終を聞いてキョトンとする2人。
どちらともなく顔を見合わせる。
そして。
Dr「へぇーそうなんですかぁ」
わかを「わかを、新たなる自己認識!」
春日若林「!!??」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:36:10.51 ID:/RN1SRGUO
予想外のノーリアクションに春日と若林はフリーズした。
しかも一向に消える気配もない。
Dr「若林さぁん、顔の半分が口になってますよ」
春日「いやいやいや!ちょっ、それだけ!?」
若林「えぇ?何か変化はないの!?幽霊みたいに消えるとかさぁ!」
ばっさりと可能性を切り捨てられた春日と若林を尻目に、わかをは呑気に詩をしたためる。
わかを『目まぐるしく変わる世の中 どこも変わらない自分 わかを』
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:36:42.13 ID:FDWSrdx3O
わかをwww
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:37:29.68 ID:QTR+jRNe0
しぇん
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:40:38.31 ID:Wo0mGmBFO
わかをw
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:41:05.22 ID:/RN1SRGUO
わかを「これ、あげるんだな」
わかをは黒い瞳で春日を見つめながら色紙を差し出す。
春日「いらないよそんなもん…」
わかを「あのスーパーの店長さんはわかをにお節介を焼くんだな。春日さんはその店長さんにそっくりなんだな。だから、お近づきの印にプレゼントなんだな」
あぁ、あのコントの店長役は自分だったか。
何気ないわかをの言葉から、春日は数年前のライブ『シャンプーおじさん』の記憶を辿る。
ふと、甘く懐かしい匂いがした気がした。
アドリブ満載の掛け合い
いろんな意味でテレビじゃ採用されなさそうなネタ
ケイダッシュの仲間の協力
お客の笑顔
―――そして
(一生漫才やろうな!)
相方若林の、笑顔。
そして、対比するような昼間の横顔。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:42:25.15 ID:4MrtmfKfO
春日「ここで若島津がひとこと」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:45:37.39 ID:FDWSrdx3O
春日…若林…
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:47:35.42 ID:/RN1SRGUO
春日はわかった気がした。
わからないけれど、わかった気がした。
春日「………若林」
自分を呼ぶ聞き慣れた声。
視線を向ければ、普段から全く思考が読めない男が、何かを決意した時の表情で若林を見ていた。
春日「明日の夜、仕事終わったら、ライブのDVD観よう」
その眼は揺らぐ気配もない。
若林「はぁ?ライブって誰の…」
春日「我々の…シャンプーおじさんですよ。この2人…わかをとDrも出ているあのライブを…」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:48:45.32 ID:QIZIZKYFO
支援しているぞ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:49:27.28 ID:/RN1SRGUO
若林「お前、まずはこの“俺”達をどうにかしなきゃって時に呑気なこと言ってんじゃ…!」
春日「だから、こいつらにも観せるんだよ」
若林「………」
春日「テレビのギャラがなくとも、舞台に立ち続けたあの日々を」
若林「………」
春日「我々オードリーが全力でぶち当たってたあの時代を」
若林「………」
春日「彼ら『わかを』や『Dr.若林』が生きていたあの瞬間を」
若林「………」
若林は静かに春日の話を聞いていた。
わかをとDrも、息を飲んで佇んでいた。
春日が気づいた「何か」が、徐々に全員に伝わっていった。
春日「若林……いまあなたは春日と漫才をしていて楽しめていますか?」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:56:35.37 ID:/RN1SRGUO
次の日。
仕事を終え、春日はこの日も若林と共に、若林の家に直行した。
鞄の中には、事務所から借りてきたDVDが1本。
ケイダッシュスタッフの手書きであろうラベルには、雑に「オードリー ライブ」とだけ書いてあった。
若林「間違いなければ、これがシャンプーおじさんのライブDVDなんだよな」
春日「えぇ、そうでござぁますね」
春日も若林も、このライブのDVDを観るのは久しぶりだった。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 04:57:20.25 ID:/RN1SRGUO
春日「じゃ、再生しますよ」
コントの設定自体は覚えていても、下積み8年間分の仕事を上回るような大量の仕事に追われ、目まぐるしく過ぎる毎日の中では、果たして自分たちがどんな昂揚感でライブをやっていたのか―――思い出すことは出来なかった。
若林「………」
忙しくなったから、なんて糞みたいな言い訳はしたくなかった。
しかしそれ故に、最近の若林は昔に味わっていたような掛け合い中のワクワクした気持ちを忘れていたことが悔しくてならなかった。
悔しくて悔しくて悔しくて。
若林は誰にも見えないようにこっそりと、でも震える程の強さで拳を握った。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:03:53.11 ID:/RN1SRGUO
テレビの中のオードリーは当然ながら若かった。
そしてそれ以上に、輝いていた。
「何でもあり」と言ってしまえば聞こえは悪いが、舞台の上の2人は誰も逆らうことの出来ない、場の支配者だった。
それ程までに、2人は自信に溢れていた。
若林「俺達…笑ってんな」
春日「笑ってますなぁ」
若林「楽しそうだな」
春日「楽しそうですなぁ」
わかをも黙って画面に見入っている。
いつもカルテを手放さないDrも、ただ真剣にオードリーのネタを鑑賞している。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:05:24.38 ID:Jr0L+8ZtO
寝られねー
支援
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:05:31.95 ID:/RN1SRGUO
『わかを』が始まった。
わかをは画面の中の自分を見つめる。
『一生青春』
『いくつだよ!』
わかを「私…この時のこと…覚えております…」
春日「春日も覚えておりますよ…」
若林「春日の…店長のツッコミが相変わらずポンコツでさ…」
『わかを、冷静な自己分析能力あり!』
『あぁそうとしか言えないよ!』
わかを「店長は絶対見逃してくれなかった…」
若林「最後はレジ係に誘って励ましたけどな」
春日「でもこの春日も…一生懸命ですなぁ」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:05:59.27 ID:QTR+jRNe0
アメリカン親父とボディービルダーと春日に囲まれたらチビる
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:06:17.52 ID:/RN1SRGUO
続いて『味覚』。
Drは一見冷静に自分の姿を見つめる。
しかし心の奥底では何かを感じているのだろう。
『心配しなくても、ダイジョブダヨッ☆』
『………?』
Dr「私もこの時のこと、覚えてますよぉ」
春日「ティーのツッコミはそんなにポンコツでしょうか…」
若林「お前ツッコんですらいねぇじゃん」
『あ、落ちてきたぽぉい!ほら落ちてきた!ぽぉいぽぉい!』
『………??』
Dr「私、楽しげですね」
春日「このときの春日はイライラしていたがな」
若林「でも確かに…俺も生き生きしてるわ…」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:13:53.97 ID:/RN1SRGUO
最後の『ダメツッコミ漫才』。
オードリーの漫才スタイルとして、2008年に世間に広く認知されたものだ。
しかし、当時の合同ライブやキサラでの客には、この漫才を受け入れてくれない人も多かった。
そのために2人は頑張った。努力した。
とどのつまり、笑わせればこちらの勝ちなのだから。
笑わせれば、みんなが幸せになるのだから。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:14:58.45 ID:/RN1SRGUO
春日「…アドリブ酷いなw」
若林「あぁwww」
春日「言葉のチョイスなんか、テレビで放送できねーもんばっかだしな!」
若林「声も張りすぎだしwww」
春日「あなたのツッコミも気合い入ってるし」
若林「勢いだけは100パーだし」
春日「若林は俺のアドリブで吹き出すし」
若林「お前は俺に告ってくるし」
春日「それで結局」
若林「ちゃーんとツッコんで!だろwww」
いつしかDVDは停止していた。
しかし2人は、自然と思い出話に花を咲かせていた。
出会った中学2年、初めて芸人の道に誘った高校3年、長く苦しかった下積み時代……。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:20:32.97 ID:/RN1SRGUO
殴り、殴られたこともあった。
幾度となる解散の危機もあった。
他の芸人に「コンビを組まないか」と誘われたこともあった。
外野に「もう辞めちまえ」と言われたこともあった。
両親との確執もあった。
コンビ名を変更したこともあった。
ボケとツッコミを入れ換えたこともあった。
それでも、2人は歩き続けた。
見えない道を歩き続けた。
漫才が好きだったから。
なにより、春日は若林にとって唯一無二であり、若林は春日にとって唯一無二だったから―――。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:22:17.07 ID:/RN1SRGUO
………
………
春日「…ぁし、わかばやーし!」
眩しい。煩い。
本能が顔を歪めさせる。
若林は自分が床に寝転がっていることに気がついた。
同時に今まで眠っていたことも。
若林「嘘…俺達寝てた…?」
春日「いろんな思い出話をしてるうちに、どうやらお互い寝てしまったようですな」
若林「今何時?仕事は…」
春日「まだ7時だ。朝日が差し込んでいるぞ」
どうやら寝過ごして遅刻、という展開ではなさそうだ。
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:24:22.63 ID:/RN1SRGUO
ここで若林は異変に気づいた。
若林「春日…わかをとDrは…?」
寝起きの頭でよくそこまで気が回るものだ、と春日は感心した。
若林より一足先に起きていた春日は、告げた。
春日「………いなく、なってた」
若林「…はぁ?」
部屋を見渡す若林。
そこにいるのは、自分と春日のみ。
青い作業着のニート野郎も、白衣のバカ医者も、見つけることは出来なかった。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:25:20.14 ID:/RN1SRGUO
若林「なんつーか…突然だな」
若林はひとりごちた。
「悲しい」とまではっきりとした感情は湧いてこないが、何かポッカリとした喪失感が若林を襲う。
元々存在しない、幽霊みたいな奴らだったのにな。
薄く、自嘲気味に笑う。
春日「まぁ、ね。これで日常に戻ったというわけでしょう」
いつものように飄々と、しかし若林を慰めるように呟く。
そんな変わらない春日に、若林はプッと吹き出す。
若林「春日は相変わらずだな」
春日「春日はいついかなる時も春日ですから」
若林「ホント、ブレないな…」
春日「ブレませんよ、だから安心しなさい」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:31:43.53 ID:/RN1SRGUO
春日と若林は、2人が失いかけていた何かに気づかせてくれた、わかをとDrに思いを馳せた。
(一生、漫才)
そして今日も彼らは忙しく駆け回り、スポットライトを浴びる。
いつまでも奇跡待ちが出来る男と、万年五月病の男。
「はい、オードリーです!今日も健やかに漫才やっていきたいと思います!」
「トゥース!」
終わり
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:34:46.81 ID:QIZIZKYFO
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:41:43.22 ID:/RN1SRGUO
今まで読んで支援して下さった皆様、本当にありがトゥース!
夜中だったのに応援の声があって嬉しかったです。
最後のまとめ方とか、もっちゃりしちゃってごめんなさい。
実は春日のアメリカン親父&コンビニボディービルダーも登場させようと思ったけど、ゴールが見えなくて止めましたw
では
>>1はこれから1限の授業なので、風呂に入ってきます。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:44:30.35 ID:ZzgSwneP0
おもしろい
愛に満ちあふれたSSだ
乙
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:49:57.79 ID:cB9FgkB60
乙
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:51:16.54 ID:H0/H4dI9O
おつかれ
オードリースレには何故穏やかな奴しかいない
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:52:07.59 ID:m1YYusJJ0
乙!
何か良かった
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:53:07.43 ID:rDHnKZj0O
おつかれトゥース!
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 05:56:38.85 ID:Uwaqeg19O
おトゥース
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 06:12:15.76 ID:e4l/g6XSO
遅刻しそうなのに読み耽ってしまったwww
遅漏だがお疲れさまー
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 06:15:27.77 ID:/RN1SRGUO
何か労いレス多くてびっくりだw
もっと叩かれるもんかと…(腐臭いとか
もしかしたらオードリーssでテクモ社の「零」パロを書くかもわからんね。
予定は未定。
もしそんなスレを見つけたら、その時はよろしゅう。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 06:17:28.79 ID:trbGadUxO
俺の中でオードリーSSのかなり上位に入るくらい気に入った
乙
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 07:19:27.87 ID:990Wm7cnO
何か泣きそうになっ…てなんかないんだからねっ!!
>>1乙
零パロ…だと…wktkすぎるじゃないか!待ってる!
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 07:25:35.75 ID:ZT5QC+G7O
こんなにもオードリーに対して愛のあるSSを読んだのは初めてだ
今更ながら乙ノシ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 07:33:19.12 ID:5KOP9sd1O
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 07:42:50.18 ID:FDWSrdx3O
>>1乙!すごいあったかい話で良かった!
学校あるのに終りまで書ききってくれてありがとう
おトゥース!カレー!
少し今のオードリーも好きになれるSSだな
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 08:10:37.02 ID:ZMFRGInFO
乙すぎるぜ!
オードリーSSでは一番好きかもしれん
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 08:16:02.75 ID:AuiX3Q4C0
腐女子とか同人やってるのとか流れ込んでる・・・?
初期の頃のオードリーSSは荒削りだったけど面白かったなあ
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 08:29:24.91 ID:Wo0mGmBFO
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/22(金) 08:35:34.16 ID:k692sP8iO
>>1ジャワカレー
オードリーのコンビ愛とそれに対する
>>1の愛が溢れてるよなぁ、面白かったぜ
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: