607 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:24:27.26 ID:Q1LrMsge0
608 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:25:03.68 ID:Q1LrMsge0
「ほう。たった一人の男に会うためだけにこのようなところまで来たと?
何故そうまでしてあの男に固執するのだ?」
「何故ですって?」
何を言っているだ、というふうにパルはふんと鼻をならす。
「つまらないことを訊かないで。
好きな人に会いたいと思うのに理由なんてあるわけないでしょ?」
思わず息をのんだ。
あいつはこの言葉が俺にも聞こえていると分かって言っているのだろうか?
今すぐあいつのところへ駆けつけて抱きしめたい。
でもダメだ。今呼び出されているのはドレアムだけ。
感覚としてはすぐ近くに居るのに、どうやればパル達の前に出て行けるのかが分からない。
609 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:25:31.07 ID:Q1LrMsge0
何を思ったか、ドレアムはここで一度俺が居る側の空間へ戻ってきた。
恨めしそうに俺を見つつ、ぽつりと何かを呟く。
「リア充は氏ねよ」
「え? なんて?」
「……いや、なんでもない」
本当か? 何か、ザラキーマなんかよりも遙かに強い怨念のこもった言葉が聞こえたような気がしたのだけど。
610 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:25:52.85 ID:Q1LrMsge0
どうやら用件はそれだけだったらしく、ドレアムはまたパル達の前に出る。
「よかろう。それほどまでに再会を望むのならば叶えてやらぬこともない。
ただし、我を倒すことが出来ればな!」
まるっきりお決まりのセリフを吐いて、ドレアムはパル達に躍り掛かっていく。
「……って、おい! よせよ! なんでそんなことする必要があるんだ?!」
俺が叫んでも、その声は誰にも届かない。
古の魔神と俺の仲間達との戦いが始まってしまった。
611 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:29:57.80 ID:vm2RGzihO
支援
また来るおやすみ
612 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:30:01.55 ID:Q1LrMsge0
613 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:31:04.15 ID:Q1LrMsge0
http://up2.viploader.net/pic3/src/vl2_126404.jpg かし子から山彦の帽子を受け継いだアンクルの魔法攻撃は始まってすぐの頃こそ威力を発揮したが、
ザオリクをはじめとして消費のでかい魔法を連発したせいですぐにMPが尽きてしまう。
短期決戦を挑んでビッグバンを連発したアモスさんもまた然りだ。
でも馬車の中に居るのはマリリンだけ。あいつのHPではドレアムの攻撃に耐えることが出来ない。
ここへ来ていよいよかし子が抜けた穴の大きさが如実に表れてきてしまった。
戦闘に出ているメンバーでMPが残っているのはパルだけ。
回復手段はハッスルダンスと賢者の石が残されているが、
ドレアムの圧倒的な攻撃力の前にそれだけでは不足もいいところだ。
614 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:31:30.17 ID:Q1LrMsge0
「みんな――」
俺はこんなところで何をしているんだ?
みんなが俺のために戦ってくれているのに、その戦いであんなにも苦しんでいるのに、
黙ってここで見ているだけか?
俺はそんなにも情けない男だったのか?
「……違う。そうじゃない」
俺が情けない男かどうかなんてこの際どうでもいいんだ。
重要なのは俺の気持ち。
みんなが俺のために戦ってくれている今、それに俺が応えなくてどうするんだ!
「開けええぇぇぇっ!」
叫びつつ、ドレアムから譲り受けた力をフルパワーで解放する。
この力を使うのはこれが最後だ。最後にしなければいけない。
615 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:32:04.57 ID:Q1LrMsge0
閉じた空間の扉を強引にこじ開けて、俺はついにみんなの前に降り立つ。
アモスさんが、マジンガが、そして新メンバーの二人が動きを止めてこちらを見ている。
俺の名前を叫ぶ声が聞こえた。
でも今は再会を喜んでいる場合ではない。
「ほう。まさか召還されたわけでもないのに自ら出てくるとはな。
なかなか荒っぽい手を使う男だ」
ドレアムは俺を見て感心したように言う。
「だがどうするつもりだ?
貴様はこの者達と違って修行などしておらぬ。
今さら出てきたところで足手まといになるだけだぞ?」
そう。俺の強さはロニーやデスタムーアと戦ったあの時のままだ。
普通ならばこの魔神になど敵うべくもない。
でも俺だって無為に時間を過ごしてきたわけじゃないんだ。
あれを使うことが出来ればきっと――
616 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:32:55.96 ID:Q1LrMsge0
と、俺が身構えるよりも遙かに速く。
「悪いが貴様相手にも容赦はせんぞ。
我は我より強き者にしか従わぬ」
ドレアムがギガデインを唱える。
あ、と思った時にはもう遅い。
いつかのデジャヴ。でも今は織田信長軍なんてここには居なくて。
圧倒的な破壊の力が遮るものなく俺に襲いかかってくる――
と思ったその瞬間。俺とドレアムの間に割ってはいるものがあった。
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader995074.jpg マジンガだ。マジンガが仁王立ちで俺の前に立ちふさがっている。
すでに瀕死の状態であるにも関わらず、だ。
四人分のギガデインが容赦なくマジンガを打ち付ける。
HPなんてとっくに尽きているはずなのに、
ギガデインのあとに続いて放たれた目にも留まらぬ早業を全ての攻撃を受け止めきるまでマジンガは倒れなかった。
「愛シ合ウ二人ハイツモ一緒。ソレガ一番ナノデース」
活動を停止する直前、マジンガがぽつりとそうもらすのが聞こえた。
ドレアムの容赦のない攻撃の前に堅牢を誇った装甲は原型を留めないほどにぼろぼろになっている。
あれではもう、どんな回復魔法でも――
617 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:33:56.15 ID:Q1LrMsge0
「ふざけないで!」
不吉な予感を吹き飛ばすかのように、パルが勢いよく叫んだ。
「みんなで無事に帰るのよ! 無事に帰って、みんなでかし子のところへ報告に行くの!
それ以外の結末なんて認めないんだから!」
残りの全魔力を振り絞ってパルは回復魔法を唱え始める。
あっちは任せておくしかない。
俺は俺で、出来ることをやるだけだ。
「行くぞドレアム。これが俺のとっておきだ!」
俺は戦いの狼煙を上げた。
ごおおおおお。
下腹に響く重低音にも似た音が遠くの空から近付いてくる。
俺が組み上げたプラモデル。
もう一つの頼もしき我が仲間たち。
618 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:34:52.28 ID:Q1LrMsge0
http://up2.viploader.net/pic/src/viploader995075.jpg 『メビウス1、フォックス2』
戦闘機から放たれたミサイルが凄まじい熱量と共に飛来してドレアムに直撃。
激しい爆発が起こって、さしものドレアムも苦悶の声をあげる。
『全機、メビウス1に続け!』
先頭の機体に続いて後続の各機も続けざまにミサイルを放つ。
全てが命中するわけではないが、ドレアムにはすさまじいダメージがいっているはずだ。
「ぐぬううぅぅっ! なめるなよ、この造形物どもめが!」
立て続けにミサイルの直撃を受けながらも、ドレアムは倒れずに反撃をしかける。
その口から放たれた輝く息が一体の戦闘機に命中し、撃墜した。
『ああ! ジャン・ルイがやられた!』
『落ち着け! ジーン、指揮を引き継げ!』
戦闘機達にもなんかいろいろあるようだ。
ジーンとやらが指揮を引き継いだおかげかどうかは知らないが、
その後も編隊を整えて攻撃を続けた戦闘機たちの活躍により、ドレアムはついに倒れた。
619 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:35:18.78 ID:Q1LrMsge0
「おのれ、リア充ごときに負けるとは……」
悔しげに言って、ドレアムは大きく息を吐く。
「もうなんでもいいや。どこへでも行くがよい。
所詮、我は一人でエロゲをやっているのがお似合いなのだ……」
そう言い残して去っていくその背中がどこか寂しげなのは気のせいではあるまい。
すまんドレアム。やっぱり俺は現世に戻りたいんだ。
心の中でだけそう謝って、俺はパルの方に向き直る。
パルの全力を注いだ治療の甲斐あって、マジンガはなんとか持ち直したようだ。
620 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:36:15.33 ID:Q1LrMsge0
魔力を使い果たしてぐったりとしているパルの肩を「お疲れさま」と言ってぽんと軽く叩いてやると、
一体どこにそんな元気が残っていたのか、
狭間の世界で別れたときと同じようにパルが勢いよく俺の胸に飛び込んできた。
「この馬鹿! なんで勝手に行っちゃうのよ!
嘘つき! あんたなんか、あんたみたいな自分勝手な男なんて……っ!」
俺の胸元にぎゅっとしがみついてパルはめちゃくちゃに叫ぶ。
その頭にそっと手を回して抱き寄せながら「ごめん」と俺は何度も繰り返した。
621 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:36:36.60 ID:Q1LrMsge0
「あの声、聞こえてたから」
「え?」とパルは顔を上げる。
至近距離から目が合って思わず顔が熱くなってしまったけど、ここはごまかしていいところじゃないのでぐっと我慢だ。
「その……好きな人に会いに来た、って……」
「あ……」と小さく声をもらして、パルは俯いてしまう。
その顔は耳まで真っ赤だ。きっと俺も同じような有様だろう。
結局のところ、俺たちは似たもの同士なのだ。
そう思うとなんだかおかしくて、少しは心が落ち着いた。
「パル。俺もお前が好きだ」
パルが小さく俺の名前を呼んで、顔を上げる。
またお互いの視線が至近距離で交錯して、パルの済んだ青い瞳にすい込まれそうになって……
622 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:36:58.27 ID:Q1LrMsge0
「こほん!」
わざとらしいアモスさんの咳払いが俺たちを現実に引き戻した。
慌てて離れつつ、ごまかすようにアモスさんの顔色を窺う。
「再会を喜ぶのも結構ですが。道具屋くん、君を救うためにかし子さんが――」
「ああ、知ってるよ」
そう。俺が現世に戻れるのはこうしてここに来てくれた五人の仲間達と、北の山にいるかし子のおかげなのだ。
「会いに行こう。みんなでさ」
その言葉に、パルもアモスさんも深々と頷いてくれた。
623 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:38:28.92 ID:Q1LrMsge0
624 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:38:58.02 ID:wARuABoXO
追いついた、支援
終わりです。
最後までお付き合い下さった方、ありがとうございました。
一応落ちないようにはしておきますので、お時間のあるときにお読み下さい。
626 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:40:48.35 ID:cPXWlLuu0
乙!!
こんなのどうでもいいことなんだが
ロニー戦は5人PTで戦ったみたいだけどうちゅうのほうそくは乱れなかった?
627 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:41:41.23 ID:IaBpf+Qt0
おつ!
628 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:42:13.73 ID:Q1LrMsge0
>>626 言われてみればw
まあ交代しつつ戦ったということで脳内保管をお願いしますw
乱れたんじゃない?
戦闘終了後に直っただけで
630 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:43:04.21 ID:/JhKF1JsO
乙!
おもしろかったよ!
>>628 了解ですw
とにかく9時間を超える投下お疲れ様です!
楽しませていただきました。
632 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:44:23.18 ID:wARuABoXO
乙!! 面白かった
かし子が可愛すぎる
633 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:47:03.74 ID:jDu5GZT3O
乙!!!!!!!!!!
面白かったよ
ロリババァが可愛かった
面白かったと言って下さった方、ありがとうございます。
それだけでここまで頑張った甲斐があったと思えます。
乙!
面白かったぜ!
636 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 04:55:58.63 ID:vm2RGzihO
寝られなくて見に来たら終わってた
>>1乙
途中叩かれてたけど
ドラクエ6好きな俺としてはすごく楽しめた
イザを使った辺り、小説は読破した?
637 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 05:03:48.25 ID:Q1LrMsge0
>>636 一応読破しましたが、正直小説は5のほうが面白かった気がしますね。
同じ久美沙織さんなのに何故だろう……
638 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 05:23:31.71 ID:5Dd9GeswO
おつ!
面白かったです
639 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 05:35:24.34 ID:wV+VwGPf0
俺だって本当は叩きたくなんかねーんだよー・・・・・
でもなあ、こんなとんでもない量を、こんなに詰めて書いててVIPでウケる訳ないじゃないか
だったらこれ以上叩かれる前に別の板に行って欲しかったんだよ・・・・・・
まぁ、人の少ない時間だったから荒れなかったしね。
ところで、ゼニスの城でかし子の頭撫でる時、道具屋のセリフが無いのは抜け?
まあ、前後から脳内できるけど
641 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 06:04:29.99 ID:Q1LrMsge0
>>640 ほんとだ……
抜けですね。申し訳ない。
恐らくご想像されているセリフで合っていると思います。
>>639 もし荒れたら他へ行くつもりでしたが、レスもつかない代わりに荒れもしませんでしたからね。
結果的にはこれでよかったのではないかと。
600レスとか
途中支援しようかとも思ったけど規制もされてないようだから見守ってた
ID:Q1LrMsge0△
643 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 06:19:57.72 ID:HysZc8fD0
644 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 07:22:31.29 ID:ajY/PEDkO
1乙
646 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 08:07:31.00 ID:wV+VwGPf0
や、やっと読み終わった・・・・・二時間もかかってしまった
すごい面白かったよ、アモッさんがいい味出してた
これはタイミングが良ければ1000行ってパー行って称賛レスがたくさんついてるレベル
まあ読む方としては一気に投下してくれたほうが助かるんだけどね
647 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 09:15:13.76 ID:32XQMGrE0
今から読むぜ
648 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 10:30:08.44 ID:Q1LrMsge0
まさかまだ残ってるとは……
みなさんありがとうございます。
正直投下中にほとんどレスがなかったときは不安だったのですが、今はここに投下してよかったと心から思えます。
>>646 おお、かし子以外のキャラについてコメントがw
実は睡眠時間を削ってでも一気に投下したのは理由がありまして、
出来るだけvipろだの画像が流れてしまう前に読んで頂きたかったからです。
一部「ちょっと画像が多すぎるかな?」と自分でも思う箇所もありますが……
649 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 10:45:30.48 ID:32XQMGrE0
650 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 11:20:26.08 ID:32XQMGrE0
(´;ω;`)かし子かわいいお
651 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 11:58:24.17 ID:Q1LrMsge0
よく見たら ID:wV+VwGPf0はなんというツンデレw
いや、もちろんありがたいことなんですが。
てゆーかかし子が人気すぎてパルかわいそす……
652 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 12:18:32.99 ID:32XQMGrE0
パルもかわいいけどロリババアには敵わなかった
一応今夜中は落ちないようにしておきます。
一時間に一回くらい書き込めばいけるのかな?
654 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 12:54:26.27 ID:32XQMGrE0
今はそのくらいでおk
夜の人多い時間帯は20〜30分くらいかな?
655 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/28(火) 12:59:25.96 ID:QM+6cH9BO
授業中に読みたいけど、携帯からだといちいち画像見てらんねー
帰るまで我慢するか……
こんだけ長いのにオナニーとか言われずに評価されてるってことは、
期待しておk?
656 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: