1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
男「登っていってね、とか言われて、もう一日くらい経ったか」
塔「そうだね、丸一日くらいだよ」
男「ふー。なんか、ただ登り続けるのも疲れたな」
塔「どうだい?」
男「どう、も何も……こんなに高いとは思ってなかった」
塔「僕の所に来た人は皆そう言うよ」
男「だろうな」
男「第一、何で塔が喋るんだ? おかしいだろ」
塔「おかしくなんてないよ。君が知らないだけで、喋るモノはいくらでもあるさ」
男「そうか?」
塔「そうさ。まぁ、何と話せるかは人によるけどね」
男「そういうもんか」
塔「そういうものさ」
男「ふーん。まぁいいけど」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:02:06.90 ID:ln9deeR/0
男「にしても高いな……」
塔「うん、そう思うでしょ」
男「あぁ、高すぎる」
塔「塔、だしね」
男「……でも、まぁ」
塔「うん?」
男「景色は良いな。景色が見れなかったら、とっくに飽きてるところだ」
塔「飽きた時は降りればいじゃない」
男「まぁ、な」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:06:37.99 ID:ln9deeR/0
男「もう夜か」
塔「早いものだね」
男「オススメの休憩ポイントはあるか?」
塔「そうだねぇ……もうちょっと上に、いい場所があるよ」
男「じゃあ、そこまで登るかな……」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:11:27.10 ID:ln9deeR/0
男「……成る程、こりゃいい眺めだ」
塔「でしょ?」
男「この壁は、ガラスか? 透き通って見えるが」
塔「そう、ガラス。景色がよく見えるように、ってね」
男「夜空が綺麗だな。眩しいくらいに」
塔「またまたぁ、大袈裟なんだから」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:13:02.32 ID:ByWYy9ohO
ゆっくり降りていってね!
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:17:57.27 ID:ln9deeR/0
塔「……ん? 一体何を書いてるの?」
男「いやぁ、登ってばかりじゃ飽きるからな。今までの事でも記録しようかな、と」
塔「記録? 何それ?」
男「ま、平たく言えば日記みたいなモンかな? 自伝とも言う」
塔「今度見せてね」
男「今度な」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:23:09.74 ID:ln9deeR/0
男「ふぁぁ……朝、か」
塔「お目覚めかい、おはよう」
男「あぁ、おはよう……つーか暑いな、ここ! 日光が射し過ぎだ!」
塔「そりゃ、ね」
男「夜景は最高だが、目覚めは最低だな……」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:27:38.31 ID:ln9deeR/0
男「そういや、さ。俺以外にも、ここを登ってる奴っているのか?」
塔「……まぁ、ね」
男「何人くらい?」
塔「悪いけど、それは教えられないよ」
男「何でだ? 教えられない理由でもあるのか?」
塔「まぁ、詳しくは話せないけど、あるよ」
男「それって……いや、やっぱりいいや。教えてくれないんだろ?」
塔「悪いねぇ」
ゆっくり書いていってね!
かまわんゆっくり続けろ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:31:11.51 ID:ln9deeR/0
男「……ん、これは」
塔「あ、見ないで!」
男「見ないで……って、放っておくわけにもいかないだろ」
塔「うう……」
男「なんだ、恥ずかしいのかよ?」
塔「うん……だって、こんな姿、見せられないよ……」
男「ったく、仕方ねぇな」
塔「ありがと! すっごく爽快で気分が良いよ!」
男「まったく、ゴミを捨てて行く輩なんて居やがるんだな」
塔「困ったものだよ、全く」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:33:54.10 ID:ln9deeR/0
男「……にしても、高いな」
塔「皆そう言うよ」
男「にしても不思議だ」
塔「何が?」
男「もう結構登ったのに、空気が全然薄くならないぞ」
塔「普通の場所じゃないのさ、ここは」
男「自分でよく言うよ……」
塔「えへへー」
男「褒めてない。照れるなよ」
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:38:33.51 ID:TNUzhAiGO
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:38:49.76 ID:ln9deeR/0
男「そういえば、喋るモノはたくさんあるって言ってたけどよ」
塔「うん?」
男「お前以外に、喋るモノなんて見かけなかったぞ?」
塔「まぁ、何と喋れるかは人それぞれって言ったじゃない」
男「一つしかないのか?」
塔「複数のモノと会話できる人もいるだろうけど……そういう人は稀だろうねぇ」
男「ふぅん。喋るモノにはどんなのがあるんだ?」
塔「そりゃ色々さ。物体じゃないものだってある」
男「例えば?」
塔「うーん……音とか、言葉とか」
男「音? 言葉? なんだそれ」
塔「まぁ、それは会話できる人じゃないと、どんな感じかは分からないだろうねぇ」
男「そんなもんか」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:42:28.55 ID:ln9deeR/0
塔「あー、しんどいなあ」
男「そりゃ俺の台詞だ」
塔「いやさ、ただそびえ立ってるのも暇なものなんだよ?」
男「悪いが、永遠に理解できそうにないな……それを登る俺だって、単調で退屈だ」
塔「とか言いつつ登ってるくせに」
男「物好きなのさ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:42:58.32 ID:9bSWVAbuO
宝物とか出ないの?
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:46:30.00 ID:ln9deeR/0
男「それでさ、そいつったらよ、『現在なんてものは存在しない! 紛い物だ!』だってさ」
塔「あはははは」
男「前から少し変な奴だとは思ってたけどさ。それ以来、あまり関わらなくなったな」
塔「でもさ、ちょっと興味あるな」
男「何が?」
塔「その人の事。一度会って話してみたいな」
男「そうは言っても、お前は塔なんだから話なんて出来ないだろ」
塔「うーん、まあねー」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:50:29.97 ID:ln9deeR/0
男「そういえばさ」
塔「どうしたの?」
男「昔……本当に昔の事だけど、やけに独り言が多い女の子がいてさ」
塔「ふんふん」
男「それが理由で苛められてたんだけど、もしかして何かと話せる子だったのかな」
塔「かもねぇ」
男「……不思議だ」
塔「うん? 何が?」
男「無機物と話せる事が、さ」
塔「うーん……それを僕に言うのもおかしな話だと思うけど……」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:54:02.00 ID:ln9deeR/0
塔「ねぇねぇ、男君」
男「…………」
塔「ねぇねぇ」
男「…………」
塔「ねぇってばぁ! ちょっとー!」
男「ん? あぁ、悪い。どうした?」
塔「また日記?」
男「ああ。適当に思いつくことを書いてる」
塔「飽きないねぇ」
男「まぁな。だって、ここ……暇だし」
塔「暇だなんて、そんなこと……ごもっともだけど」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:57:21.94 ID:ln9deeR/0
塔「で、どう?」
男「どう、って……何が?」
塔「その日記の進み具合」
男「まぁまぁ進んでるさ」
塔「へぇ、意外」
男「何がだよ」
塔「いや、君って、なんか……物書きには見えないから」
男「悪かったな」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:57:53.26 ID:q/FxAYP/O
塔がタチコマで再生される
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 14:59:05.81 ID:2kjVTdgeO
男が大塚明夫さんなんだが
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:03:56.97 ID:ln9deeR/0
男「その瞬間、だ。瞬きする間に広がる炎と耳をつんざくような悲鳴!」
塔「それで? それで?」
男「あっという間に建物の中は大パニックさ。慌てて逃げまどう人の波でな」
塔「うわー、大変だったろうねぇ。火傷とかしなかったの?」
男「多少の火傷は負ったが、幸い軽傷だったさ」
塔「ふーん……いやぁ、恐ろしいね。僕も気を付けないと」
男「……お前が気を付けて、一体何になると言うんだ?」
塔「だって、火事になったら僕、助からないじゃん」
男「そうだな。それはいいけど、お前が気を付けて、どうするって言うんだ?」
塔「いや、ほら、煙草のポイ捨てとかで火事になるかも知れないじゃん」
男「で、お前が気を付けて、一体何が出来ると言うんだ?」
塔「……何もできない……」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:07:00.75 ID:ln9deeR/0
塔「……また日記?」
男「あぁ」
塔「今はどんな事を書いてるの?」
男「んー? お前の事だよ」
塔「え、僕?」
男「なんだ、ダメか?」
塔「ダメじゃないけど……なんか気恥ずかしいね」
男「安心しろ、ロクな事は書いてないから」
塔「えー!?」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:09:01.14 ID:KnWp+MfIO
「塔多段塔多段塔」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:12:20.34 ID:ln9deeR/0
男「ふー、もう夜か」
塔「早いものだねぇ」
男「本当にな。歳をとると時間の流れが早く感じるぜ」
塔「そうだねー、僕もそう思うよ」
男「お前……歳……? いや、まぁ、建ってから結構経ってるって事か」
塔「そうそう。ま、僕に時間の概念なんて関係ないけどね」
男「そりゃ何も変わらないしな」
塔「時間なんて、僕みたいな無機物にとっては老朽化するかどうかだけさ」
男「そりゃ、お前らはそうだろうよ……」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:13:53.97 ID:pA8YaMrLO
ブギーポップっぽい雰囲気がする
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:16:51.27 ID:ln9deeR/0
男「今晩は曇りか……」
塔「どうしたの?」
男「星が見えない」
塔「……星? 星が見たかったの?」
男「そりゃ、退屈しのぎになるし」
塔「退屈しのぎなら、君、日記があるじゃん」
男「……あぁ、そういやそうだな。何か書くか……」
塔「何書くの?」
男「お前の悪口」
塔「えっ!?」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:20:40.39 ID:ln9deeR/0
『曇りの夜は退屈だ。する事がない』
『景色を見ようにも、こんなに暗くては何も見えない』
『この塔が話し相手にもなるが、いつまでも話題が続くわけでもない』
『こんなことなら、何か退屈しのぎになるモノを持ってくればよかった』
『暇なので、明日に備えて寝る』
塔「むにゃ……」
男「そもそも、なんで、塔が寝てるんだよ……」
塔「もう……食べられない……」
男「しかも寝言なんか言ってるし。食べることなんかできないくせに……」
塔頂者スレ
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:26:35.87 ID:ln9deeR/0
男「ふぁぁ、よく寝た……」
塔「うん、おはよう……」
男「おぅ、今日はいい天気だな」
塔「……え? あ、うん、そうだね」
男「なんだ、元気ないな」
塔「いや、寝起きだからさ」
男「……寝ぼけてんのか? 塔のくせに」
塔「塔だって寝ぼけるに決まってるじゃん……」
男「その自信がどこから来るのか分からん」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:31:03.48 ID:ln9deeR/0
塔「で、君はどれくらい寝たの?」
男「11時間くらい……かな」
塔「いくら何でも寝すぎでしょ、君は本当に人間なの?」
男「人間でもないお前に言われなくねぇよ」
塔「ごもっとも」
男「というかそもそも、無機物が寝るっていうのがおかしい」
塔「あー! それは偏見ってやつだよ!」
男「へぇ、そうですか……わけ分からん」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:34:36.88 ID:ln9deeR/0
男「いざ始めるとなるとな、勇気が要るんだぞ?」
塔「ふんふん」
男「周囲を警戒し、教官を監視し……一瞬で解答を見、そして書く! スリルがあるぞ」
塔「物は言い様だね。カンニングじゃないか」
男「まぁな。結局やらなかったけど」
塔「あ、やらなかったの?」
男「別にやる必要ないし。やったこともない」
塔「ふーん……頭いいんだ?」
男「別に。ただそういうのが嫌いなだけだ」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:38:44.55 ID:ln9deeR/0
男「そういえば、さ」
塔「ん? 何?」
男「モノってのは、全部が意思を持ってるのか?」
塔「そうじゃないよ。完全な無機物もあるし」
男「ふーん」
塔「というか、全部が意思を持ってたら、色々と大変でしょ……」
男「そりゃ確かに、お前みたいなのがたくさんいたら困るな」
塔「いやそうじゃなくて……もう……」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:43:28.62 ID:ln9deeR/0
男「で、さ。意思を持ったモノっつーのは、だ」
塔「ふぇ? 何?」
男「どうやって生まれるわけ?」
塔「うーん……最も多いのは、多分、人が作ったモノじゃないかな」
男「と、いうと?」
塔「分かりやすく言えば……心を込めて作られたモノに、意思が宿ることがあるんだよ」
男「ふーん……」
塔「あとは、ずっと愛用されてきたモノとかにも、突然宿ったりするし」
男「そういうもんなのか、なんだかよく分からんな」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:45:32.12 ID:yk4nHDyOO
日記が喋り出すフラグ?
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:47:17.54 ID:ln9deeR/0
『会話ができる、と言ってもやはり人間とは異なるようだ』
『人間に関して知らない事も多いし、価値観や考え方も全く違う』
『無機物と話すのも、色々な発見があって、面白い』
『もし、もっとここを登れるなら、もっと話をしてみたい』
男「えーと……」
塔「日記? 今度は何書いてるの?」
男「お前に関する罵詈雑言さ。バカとかアホとか」
塔「えー! ひどーい!」
男「はははっ、冗談だよ」
塔「もー……」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:52:39.03 ID:ln9deeR/0
『しかし、いつまでもこうしては居られないだろう』
『いつかは、終わりが来るに違いない』
『一週間か、二週間か、あるいはもっと先か……』
『この膨大な量の食物も尽きるだろう』
『その時は、』
男「…………」
塔「どうしたの?」
男「いや……何でもない」
塔「変なの」
男「お前ほどじゃないけどな」
塔「えっ! ひどいなー!」
竹泡対談を思い出したな。
早くブギーポップ終わらないかなぁ。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 15:55:40.09 ID:ln9deeR/0
男「あー、食った食った」
塔「食事ってどんな感じなの? 異物を体内に取り込んで、分解して吸収するんでしょ?」
男「言い方が悪いな……。どんな感じって言われてもなぁ」
塔「説明しづらい?」
男「人どころか生き物じゃないお前に説明するのは難しいな」
塔「そっか……」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:00:40.31 ID:ln9deeR/0
男「なぁ、さっきの話だけどさ」
塔「うん?」
男「お前が、人間をこの中に入れるのはどうなんだ?」
塔「うーん……説明しづらいけど、特に違和感はないよ?」
男「俺が食べ物を食っても同じだぞ」
塔「ふーん、じゃあこんな感覚かな」
男「多分そうじゃないか?」
塔「でも、君達は"味"を感じるんだよね。それはどんな感じなのかな」
男「うーん……」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:06:52.81 ID:ln9deeR/0
塔「ねぇ、さっきの話だけど」
男「ん?」
塔「僕はさ。人が僕の中を歩くと、楽しくなって、嬉しくなってくるんだ」
塔「もちろんそれは人によるけどさ。登ってくれると嬉しい人も、そうでない人もいる」
男「ふむ」
塔「君達も美味しい食べ物を食べると気分がいいでしょ? それに似てるんじゃないかな」
男「なるほどな。……登ると嬉しい奴とそうでない奴の違いは?」
塔「歩幅や階段を上るリズム、かな」
男「……よく分からんな」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:10:35.57 ID:ln9deeR/0
塔「ねぇ」
塔「寝てるの?」
塔「……」
塔「……さっきは、言いそびれたけど」
塔「君の歩幅や歩くリズムは、とても心地良いよ」
塔「出来るなら、ずっとこうしていたいくらい」
塔「……何言ってるんだろ、僕。……もう寝るかな」
男「…………」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:13:57.89 ID:ln9deeR/0
男「ふぁ……ぁ……朝、か」
塔「起きた?」
男「ん……あぁ」
塔「相変わらず、朝には弱いんだね」
男「まぁ、な……昔からこうなんだよ」
塔「大声で目覚めさせてあげようか?」
男「頼むから止めてくれ……頭痛がするから」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:18:33.81 ID:ln9deeR/0
男「ふぁ……ぁ……朝、か」
塔「起きた?」
男「ん……あぁ」
塔「相変わらず、朝には弱いんだね」
男「まぁ、な……昔からこうなんだよ」
塔「大声で目覚めさせてあげようか?」
男「頼むから止めてくれ……頭痛がするから」
しえn
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:20:18.85 ID:ln9deeR/0
男「よし、準備完了。荷物は……全部あるな」
塔「全部あるも何も、誰が盗むのさ。こんな所に人なんていないのにさ」
男「一応さ」
塔「一応も何も、こんなところじゃ関係ないと思うけどね……」
男「ま、何にしろ、用心するに越した事はないさ」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:23:23.33 ID:ln9deeR/0
男(……ん? 人が……学生か?)
男「こんにちは」
女「──! こ、こんにちは」
塔「……」
男「君も、この塔の最上階を目指して、ここへ?」
女「え? うん、まぁ、そんなとこ、かな。お兄さんも?」
塔「……」
男「まぁ、ね」
女「そっか。……私、そろそろ行くね」
塔「……」
男「ん、またね」
女「お元気で」
塔「……」
男(あの子、さっき誰かと話してた気がしたけど……気のせいだったのか?)
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:24:53.30 ID:j2o0TdHT0 BE:1536257849-2BP(555)
しえn
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:27:30.95 ID:ln9deeR/0
男「お前、何で黙ってたんだ? せっかく人がいたのに」
塔「え? だって、僕と話してたら独り言になっちゃうじゃん」
男「あぁ、そうか」
塔「人じゃないものと話せる人は珍しいという事をお忘れなく」
男「そうだな……普通に会話してるから忘れがちになるし」
塔「まぁ、君は元から変人だけどね」
男「……お前ほどじゃないけどな」
塔「えー!?」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:28:23.54 ID:j2o0TdHT0 BE:1792300267-2BP(555)
リネン
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:31:53.64 ID:ln9deeR/0
『また、この塔に登っている人に会った。今度は女学生だった』
『こんな高さまで登っている人が意外に居て驚いた』
『とは言っても、まだまだ先は遠いのだろう』
『……にしても彼女は、何故この塔に登って、』
男「……うーん、やっぱりいいや。消すか」
塔「消しちゃうの?」
男「あぁ、書き直す。どうもだめだ」
塔「勿体ないなぁ」
男「そんな事ない、すぐ書けるさ。たとえば、お前に対する罵詈雑言」
塔「なんで!? 書かなくていいし!」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:34:17.42 ID:470Su1uY0
朴ボイスで再生される塔だ
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:36:13.91 ID:ln9deeR/0
男「ふー。もう暗くなってきたな」
塔「そうだね」
男「そろそろ休むかな。なんか疲れたし。無理して登って、転んだりしちゃたまらんしな」
塔「夜に動くのは危ないしね」
男「ま、急ぐ必要もないだろ。日記でも書くさ」
塔「僕とのお話は?」
男「後でな」
塔「えー」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:41:41.32 ID:ln9deeR/0
男「……眠れん」
塔「ぐぅ……うーん」
男「けっ。ぐっすり眠りやがってよー」
塔「……むにゃ……」
男「眠いけど眠れないのが一番困る」
塔「すー……」
男「寝息まで……叩いたら起こせるのかな、こいつ」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:43:29.49 ID:j2o0TdHT0 BE:170695722-2BP(555)
ss
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:44:10.41 ID:ln9deeR/0
男「はぁ、眠れん……まいったな」
男「星が、綺麗だな」
男「世の中も、これくらい綺麗だと良いのに」
男「……綺麗、の意味が違うか」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:46:03.48 ID:ln9deeR/0
男「……ふぅ」
男「ちょっと、眠くなってきたな」
男「うん……」
男「……」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:49:28.13 ID:ln9deeR/0
塔「あったーらしーいーあーさがっきたー」
男「……」
塔「きーぼーうのーあーさーだー」
男「……」
塔「よーろこーびに──」
男「……うるさい」
塔「ご、ごめん」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:50:12.28 ID:j2o0TdHT0 BE:1024172238-2BP(555)
ss
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:53:25.92 ID:ln9deeR/0
塔「さっきはごめんね」
男「ん? 何がだ?」
塔「いや、その……さっき僕が騒いだ時に、うるさいって……」
男「あぁ、その事か。寝起きだったからな。気にするなよ」
塔「ほんと? ほんとに怒ってない?」
男「怒ってないって。歌えばいいだろ」
塔「じゃあ歌うね! よーろこぉーびに! うでをひぃーろげ!」
男「やっぱりうるさい」
塔「えー!?」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:55:32.06 ID:ln9deeR/0
女「そっか、それは残念だったね」
女「そんなに歌いたいの?」
女「なら、ここで歌えばいいじゃない」
女「うん、どうぞどうぞ」
女「あははっ、君は元気だね」
女「私も、それくらい元気があればなぁ……」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:56:27.14 ID:dllTbDWc0
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春の陽気に誘われて動き出す、森近霖之助を愛して。
○話題についての項
大人でウフフでネチョい話題はもちろんのこと、グレイズなネタやごくごく普通のネタでも幻想郷は全てを受け入れる。
あんなこんな妄想シチュが見たい?作品にできなくとも、呟いた素晴らしい案は誰かがネタにしてくれるかも!
雑談に関しては禁止とまでは言いませんが、ここが霖之助スレだということを忘れずに。
あとシラフで常軌を逸した変態こーりんは容赦なく隙間にぶち込む。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/11514/1237207327/l100
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 16:56:50.60 ID:i9aOnYI80
おんな?
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:01:33.99 ID:ln9deeR/0
男「おや、君は、こないだの」
女「あっ……えっと、こんにちは」
男「こんにちは。今、誰かと話してたみたいだけど……」
女「あ、いや、それは」
男「ん?」
女「えーと……話すとちょっと長くなりますけど」
男「……あ、もしかして君も、モノと話せるの?」
女「え? なんで、それを?」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:05:30.95 ID:QyTJUuC70
塔のBGMはダイダロスが至高
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:06:02.32 ID:ln9deeR/0
女「へー。男さんも、この子と話せるんだね」
男「ん、まぁな」
塔「いやぁ、僕と話せる人が同時に2人いるなんてね。珍しいことだよ」
女「そうなの?」
塔「僕と話せる人は、他の物と話せる人に比べれば多いけど……同時には珍しいかな」
男「ふーん……しかしまぁ、まさか、無生物と歓談する日が来るとは思わなかったな」
女「私もだよ。まさか、意志をもつ物があるなんてね」
塔「世の中は広いのさ」
男「広いとかどうとかって問題じゃないぞ……」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:11:40.15 ID:ln9deeR/0
男「しかし、せっかく話せるモノが、こいつとは」
塔「こいつとは失敬な」
女「気にしなくていいと思うよ?」
塔「でもー」
男「だって、もしかしたら話す機会なんてこなかったかも知れんだろ」
女「確かに、こんなとこに来る機会なんてね」
塔「ちょっとちょっと、女ちゃんまで、こんなとことか言うの!?」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:16:01.93 ID:ln9deeR/0
男「……」
塔「何そわそわしてるの?」
男「あ、いや……」
女「?」
塔「あ、わかった。日記が書きたいんでしょ」
女「日記?」
男「……はあ、なんで言っちゃうかな」
塔「あ、ごめんごめん。黙っててほしかったんだね」
女「いいじゃない、日記」
男「うーん……隠し通すつもりだったのに」
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:21:22.30 ID:ln9deeR/0
『もう一人、この塔と話せる人物に出会った』
『15歳くらいの少女だ』
男「……んーと」
『見た目はとても可愛らしく、思わず見とれてしまう』
男「あっ、こら! 何書いてんだ!」
女「あははっ、もっと柔らかい表現はないの?」
男「いいだろ、別に! ふざけた書き方をしてたら、読む側が嫌がるだろ」
塔「読む人なんているの?」
男「……た、多分、誰かに読ませる機会があるかもしれないだろ、きっと、おそらくは」
女「実際のところ、どうなの?」
男「さぁ……」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:27:11.12 ID:ln9deeR/0
男「それでさ、そいつったら、あろうことか学校の窓から飛び降りたんだよ」
女「うわー、それで?」
塔「大丈夫だったの?」
男「まぁ2階だったし、それに、下は雪が積もってたからな」
女「それにしたって、危ない事には変わらないと思うけど」
男「問題はその後さ」
塔「と、言うと?」
男「教官室に呼び出されて、夜まで説教さ。ま、そうでもしないとダメな奴だったけど」
女「うわぁ……」
塔「かわいそうに」
男「ま、そんなんで懲りる奴じゃなかったんだけどな」
塔「あらら……」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:28:41.08 ID:470Su1uY0
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:32:42.93 ID:ln9deeR/0
女「それでさ、そいつったら、いきなり私に告白してきてさ」
塔「断ったの?」
女「そりゃもう。今更何よって話だったしね」
男「ふーん……」
女「ん、何?」
男「人気あるんだな」
女「べ、別に人気がある訳じゃないよ……」
塔「あ、照れてる、照れてる」
女「ち、違うよ……もう……」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:37:30.76 ID:ln9deeR/0
男「で、最後はやっぱり俺に回ってくるわけで」
女「いっつも貧乏くじを引かされるんだね」
男「いつもタイミングが悪いんだよなー。自分の運の無さに嫌気がするよ」
塔「人間やるのも大変そうだね」
男「お前は気楽そうでいいな。ただ在ればいいんだから」
塔「まぁそうだねー」
女「のんびりできていいわね」
塔「うんうん」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:42:46.65 ID:ln9deeR/0
女「そろそろ夜になるね」
塔「そうだねー」
男「じゃ、暗くなってきたし休むか」
女「うん」
塔「もうちょっと登ってもいいじゃーん、じゃないと僕が退屈しちゃうよ」
男「あぁ、お前は人が登ってないと退屈するのか」
塔「まぁねー」
女「代わりに私たちがお話してあげるわよ」
塔「……うん、もっと色々聞きたいな」
男「じゃあ、そうだな。まずは……」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:46:49.73 ID:470Su1uY0
猿食らうぞ
支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:47:26.88 ID:ln9deeR/0
男「ふぁ、あ……もうこんな時間か」
女「そろそろ、寝る?」
塔「……」
男「そうだな、塔も寝ちゃったし。ところで」
女「ん?」
塔「……」
男「その、なんだ……寝る場所なんだけど」
女「……? あぁ、男さんと一緒でもいいよ」
塔「……」
男「ん、分かった」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:49:29.13 ID:ln9deeR/0
女「……ん……」
女「なかなか寝付けないなぁ」
女「うーん」
女「男さんは気持ちよさそうに寝てるしなぁ……」
女「……うーん」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:54:16.06 ID:ln9deeR/0
女「……」
女「なんだろ、今日は全然眠れないな」
女「久々に、あんなにお話したからかな」
女「楽しかったなぁ」
女「いつ以来かな……こんな、喉が痛くなる程、お話したのは」
女「けほっ、けほっ」
女「夜空が、綺麗だなぁ……。もうちょっとだけ、眺めてから寝るかな」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:55:35.86 ID:hrK6zIVZ0
しえん
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 17:57:31.93 ID:ln9deeR/0
女「明るい……」
女「眩しいなぁ」
女「男さんもこの子も、こんなに明るいのによく眠れるわね」
女「この子は……明るさとか関係あるのかな」
女「うーん……まぁいっか」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:03:42.32 ID:ln9deeR/0
男「女ちゃん、女ちゃん」
女「……う、ん? あれ、私、いつの間に眠って……」
塔「おはよう、よく眠れた?」
女「うーん、まぁね」
男「じゃ、朝飯食ったら出発するか。さっさと登ろう」
女「はーい」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:07:09.31 ID:ln9deeR/0
女「ね、男さん」
男「ん?」
女「昨晩、随分とうなされてたみたいだったけど……」
男「あぁ、うん、ちょっとね。昔の夢を見たのさ」
女「どんな夢?」
男「つまらない夢さ。話すにも値しない、ね」
女「気になるなぁ。ちょっと話してよ」
男「話しても面白くない内容だよ。それより、さっさと登ろうか」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:08:41.57 ID:dLk+gJwT0
しえんえん
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:13:12.32 ID:ln9deeR/0
『昔の夢を見た。ひどく嫌な夢だった』
『気分が悪い。どうして今更、あの頃の夢なんて見たのだろう』
『最悪な気分だ』
『一気にやる気が失せた』
『もう一眠りして、気分を変えたいくらいだ』
男「……」
女「日記?」
男「いや、いい、さっさと出発しようか」
女「ちょっとくらいなら待つけど……」
男「いいって。さっさと行こうか」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:19:42.18 ID:ln9deeR/0
男「それにしても、本当に高いな」
女「そうだね、先が見えないよ」
男「あとどれくらいあるのかは……教えちゃくれないんだろ?」
塔「ふふふ、秘密だよ。それに、その方が、着いた時の喜びも大きいでしょ?」
男「まぁ、そうだな」
女「頑張ろうか。ね?」
男「うっし。頑張る……か」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:26:47.28 ID:ln9deeR/0
女「急に思ったんだけどさ」
男「どうした?」
女「私たちって、端から見たらどう映るんだろうね」
男「と、言うと?」
女「会って間もない若い男と少女が、こうやって一緒に行動して、一緒に寝て、さ」
男「な、何言ってんだ。くだらない事言ってないで、行くぞ」
塔「あっ、男君、赤くなってる」
女「あははっ、本当だ」
男「う、うるせぇな」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:30:14.24 ID:ln9deeR/0
女「けほっ、こほっ、こっほ」
男「どうした、風邪でもひいたか?」
女「大丈夫だよ。持病が、ちょっと……ね」
男「あまり大丈夫そうには見えないぞ? 顔色も悪いし」
女「いいから、行こう。私なら、問題ないから……」
男「なら、いいけどよ。無理はするなよ? 休みたくなったら言えよ」
女「うん、ありがと」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:30:19.57 ID:470Su1uY0
俺、男はもっといい年かと思ってた
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:37:38.44 ID:ln9deeR/0
女「……ふぅっ」
男「疲れたか? 少し休もうか」
女「もう、いいってば。いいから行こうよ、もっと、上に」
男「……女ちゃんは、どうしてそこまで登りたがるんだ? そんなに無理までして」
女「……あははっ、無理なんてしてないよ。ほら、早く。置いて行っちゃうよ」
男「分かったよ、行こうか。でも、本当に辛くなったら言えよ?」
女「もう、男さんは心配性だなぁ」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:41:07.83 ID:ln9deeR/0
塔「ふぁ、あ……」
男「なんだ、眠くなったのか? 塔のくせに」
塔「塔のくせに、は余計だよ。人だろうが物だろうが、眠くなるときは眠くなるさ」
男「まぁ、いいけどよ。女ちゃんはどうする? 暗くなってきたし、そろそろ寝るか?」
女「うーん……もうちょっとだけ、登ろうか」
塔「じゃあ、僕は先に寝るね」
男「あぁ、ゆっくり寝てろ」
塔「それじゃ、おやすみ」
女「おやすみ」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:42:42.92 ID:dLk+gJwT0
エルメスと被る
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:44:13.39 ID:FsBrL9dY0
>>94 ああ、それだ
なんかもやもやしてたのがすっきりしたわしえん
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:46:06.88 ID:ln9deeR/0
男「もう真っ暗だな」
女「そうだね」
男「……」
女「……」
男「……」
女「……ねぇねぇ、見てよ! 今日は満月だよ!」
男「ど、どうした、急に。そんなに満月が珍しいか?」
女「そうじゃないけど、ほら。なんだか、少しだけ近くに見えない?」
男「まぁ、そう言われれば見えなくもないな。こんな場所にいるんだし」
女「高いよね、ここ。てっぺんまで登ったら、どれくらい高いんだろうね」
男「あの月まで届くくらいかもな」
女「あははっ、何言ってるのさー。そんなに高かったら登りきれないじゃない」
男「冗談だよ、冗談」
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:52:26.02 ID:ln9deeR/0
女「今思ったんだけどさ。私たちって、お互いに知らない事がたくさんあるよね」
男「まぁ、そうだな。会って間もないんだし」
女「男さんは私について何か知りたいとは思わないの? なんでこんな所に居るのか、とかさ」
男「こんな所に居るのは、それなりの理由があるんだろ? 聞くのは野暮だろうさ」
女「ふーん……」
男「それに、この塔にだって気になる事はたくさんあるしな」
女「そうだね。こんな所なんて言っちゃったけど……ここは、とても良いところだと思うの」
男「あぁ、俺もそう思う」
女「……」
男「……」
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 18:56:35.49 ID:ln9deeR/0
男「ふぁ、あ……眠くなってきたな」
女「先に休んでもいいよ? 私は、もうちょっとこの景色を眺めてるから」
男「ん、そうか。それじゃ、先に休ませてもらうよ。女ちゃんも、早めにな」
女「うん。おやすみ」
男「おやすみ」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:00:01.88 ID:ln9deeR/0
女「ここは、本当に景色が素敵だなぁ。いつまで見てても飽きないや」
女「でも、いつまでもこうしては居られないんだよね」
女「男さんはどうか分からないけど、きっと君は気づいてるよね。私が急ぐ理由を」
女「それと、どうしてここに来たのかも」
女「……私がね。ここに来た理由は……」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:05:28.21 ID:ln9deeR/0
女「……ま、こんなところかな。男さんには、こんな話、聞かせられないよね」
女「こんな目的のために、ここに来ただなんて」
女「ねぇ。キミは、聞いててくれた?」
塔「……うん、聞いてたよ」
女「そっか、よかった」
塔「安心したよ」
女「何が?」
塔「君が、ここに登った理由を聞けて」
女「うん……」
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:10:07.47 ID:ln9deeR/0
塔「病気、だったんだね」
女「うん。もう、長くは持たないって」
塔「そっか」
女「もしかしたら、今、この瞬間に発作を起こすかも知れないし」
塔「……」
女「もしかしたら、ここのてっぺんまで登った後かも知れないし、その直前かも知れない」
塔「要するに、いつ発作を起こすかは分からない、と」
女「そういうこと。ま、いよいよって時が近づけば、分かるかもしれないけどさ」
塔「そういうものなのかねー」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:14:13.98 ID:ln9deeR/0
塔「それで、その事は、男君にはまだ話してないんでしょ?」
女「うん、だって……」
塔「だって?」
女「男さんは優しいから、きっと最後までどうにかしようとするはずだよ」
塔「ふむふむ」
女「それでも多分、足掻いてもどうにもならないことだし」
塔「ほうほう」
女「だから、男さんに迷惑をかけるのは、その時でいいんだよ」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:17:38.80 ID:9pXukxAjO
塔は僕っ娘
異論は認める
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:19:10.08 ID:ln9deeR/0
女「男さんは、きっと納得しないよね」
塔「まぁ、今までの素振りを見る限り、ね」
女「でも、それでもやっぱり、私に出来るのは、ここを登る事だけなんだよね」
塔「やっぱり、最後まで登り続けるの?」
女「うん。最後まで、何かを一生懸命にやっていたいよ」
塔「そっか。がんばってね」
女「あははっ、まるで他人事みたいだよ、それ」
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:24:22.06 ID:ln9deeR/0
女「ふぁ……ぁ……」
男「おや、やっと起きたのか。おはよう」
女「うん? 今、何時……?」
男「もう11時になるぞ。寝坊だな」
女「えっ、そんなに寝てたの、私?」
男「あぁ。可愛い寝顔だった」
女「なっ……もう、冗談が上手いんだからー」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:29:01.61 ID:ln9deeR/0
女「そう言えば、最近あまり日記書いてないね」
男「ん、そうか?」
女「だって、会った頃はしょっちゅう書いてたじゃない」
男「まぁそんな覚えもあるな」
女「なのに、昨日なんてちょっと書いて終わりだったし」
男「そうだな、全然書いてない」
女「飽きたの?」
男「いやー……そういうわけでもないけどな」
塔「飽き性なんだね」
男「違うって」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:33:26.67 ID:ln9deeR/0
『全然書いてないと言われたので、何か書こうと思う』
『とはいえどうしようか。何も書くことがない』
『適当にだらだらと書くのもいいとは思うが、どうしたものか』
『書くことと言ったら、俺がこの塔に』
男「……うーむ。やっぱり、いいや。消すか」
塔「消すの?」
男「あぁ。全然だめだ。何も書けん」
塔「飽き性」
男「だから違うって」
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:38:54.97 ID:ln9deeR/0
女「今日はまた一段と晴れてるねー」
塔「そうだね……暑いよ……」
男「塔のくせに暑いとかあるのか?」
塔「あるよ……一応ね」
女「やっぱり、高い分、暑くなるのかな」
男「……どうなんだ?」
塔「まぁ、あるかもねー……よくわかんないや」
女「適当だね……」
塔「いいじゃんかー」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:45:16.07 ID:ln9deeR/0
男「……高いな」
女「え?」
男「高いな。相当な高さまで来たんだな、俺達」
女「そうだね。どうしたの、急にさ?」
男「いや。何となく、不意に思っただけだよ」
女「ふーん……」
男「どれだけ高いんだろうな、街がもう、塵みたいに見えるぞ」
女「そうだね、随分と高くまで来たんだね」
男「……」
女「……」
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:51:27.55 ID:ln9deeR/0
男「ふー、もう夕方か」
女「早いね」
塔「人間はさ、歳をとるほど時間の経過が早く感じるって言うよね」
男「そういう話は聞いた事あるけどさ……何故それをお前が知ってる?」
塔「なんでだろ?」
女「昔来た人に聞いたとか?」
塔「いやー、聞いたこと……ないと思う」
男「じゃあ元からある記憶ってことか?」
塔「なんだろうね?」
男「意地が悪い……いや、単に本当に分からないだけか」
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:56:59.19 ID:bPAhty0t0
面白くなってきた
支援
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 19:58:40.95 ID:ln9deeR/0
女「そして夜だね」
男「なんていうか……俺も歳をとったなぁ」
女「そんなに早く感じる?」
男「あぁ。光陰矢のごとし、ってやつだな」
女「ふーん……私はあまり早く感じないなぁ。むしろ長く感じるよ」
男「ふむ。歳の差、かね」
女「そうかもねー」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:04:55.42 ID:ln9deeR/0
『 』
男「……」
女「……」
『 』
女「……書かないの?」
男「……なんでだろうな、やる気が全然出ない」
女「なんで?」
男「さぁ……でも、筆が進まない」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:08:28.00 ID:Umc7gGTvO
追いつき支援
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:09:32.52 ID:ln9deeR/0
女「世の中には、創作したものに自分の精神を吹き込むことが出来る人がいるとか」
男「なんだそれ?」
塔「吹き込むとどうなるの?」
女「まるで命を得たように、動き、話すようになるらしいよ」
男「……こいつか?」
塔「僕? 僕はそんな自覚はないけど……どうなんだろう?」
男「お前はあれだな、もっと自分の事を知っておけよ」
塔「お恥ずかしい……」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:11:40.90 ID:56AuK1li0
追いついた
がんばれ
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:14:13.96 ID:ln9deeR/0
男「ふぁぁ……そろそろ眠いな……」
女「今日は結構話し込んだね……」
塔「僕も疲れたよ……建物でも疲れるなんて……」
男「じゃ、寝るか……」
女「あ、ちょっと待って。私はもうちょっと起きてるよ」
男「ん? 何かあるのか?」
女「……ちょっとね」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:16:12.18 ID:j2o0TdHT0 BE:1194866674-2BP(555)
っし
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:19:54.76 ID:ln9deeR/0
男「……ぐー、うむ……」
女「……えっと、あ、あった。これかな」
男「すー……」
女「うん、これで合ってるね」
男「むにゃ……」
女「今の内に、さっさと書いちゃおうか」
女「えーと。書き出しは、何がいいかな……」
女「……まぁ、何でもいいかな」
『男さんへ。今夜、私はきっと、命を落とすと思います』
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:21:09.43 ID:ln9deeR/0
女「……ふぅっ」
女「書きたかった事は、こんなところ、かな」
女「あとちょっと書いて終わりにしようっと」
女「……」
女「……う、ん……?」
女「う……眩暈、が……?」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:23:05.30 ID:ln9deeR/0
女「ごほっ、ごほっ! う、く……」
女「くる、しい……おと、こ、さん……」
女「……う、ぐっ……!」
女「……はぁ、はぁ……げほっ、ごほっ!」
女「う……ごほっ!? こほっ! ごほっ!」
塔「…………」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:24:53.96 ID:j2o0TdHT0 BE:1280214465-2BP(555)
ss
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:25:20.48 ID:FsBrL9dY0
し、しえんだ!
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:25:42.23 ID:ln9deeR/0
男「んーっ……ふぅ、よく寝たなー」
塔「……」
男「天気もいいし、気分もいい。眠気もないし、快適な目覚めだな」
塔「……」
男「なんだ、女ちゃんはまだ寝てるのか」
塔「……」
男「まったく、また寝坊とはな」
塔「……」
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:28:25.73 ID:ln9deeR/0
男「……よし、大体は準備できたな」
塔「……」
男「さて、そろそろ女ちゃんを起こすか」
塔「……」
男「ほら、女ちゃん! 朝だぞ」
塔「……」
男「女ちゃん」
塔「……」
男「……女ちゃん?」
塔「……」
男「………………え?」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:29:25.62 ID:pA8YaMrLO
なん…だと……?
支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:29:48.38 ID:g5RWHx+oP
綺麗な顔してるだろ、死んでるんだぜ…これ…(´;ω;`)
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:30:51.15 ID:ln9deeR/0
男「嘘……だろ?」
塔「……」
男「女ちゃん?」
塔「……」
男「なぁ、おい……起きろよ」
塔「……」
男「女ちゃん!!」
塔「……」
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:31:53.51 ID:ln9deeR/0
男「……」
塔「……」
男「……なんで」
塔「……」
男「どうして」
塔「……」
男「こんな、こと」
塔「……」
男「……」
塔「……」
男「あまりに、急すぎる」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:34:22.18 ID:ln9deeR/0
男「……ちくしょう」
塔「……」
男「俺が、女ちゃんの異変に気づいてあげられれば」
塔「……」
男「……」
塔「……君のせいじゃないよ」
男「あ?」
塔「女ちゃんが死んだのは、君のせいじゃないよ」
男「……うるせぇ」
塔「君が、責任を感じる必要はないよ」
男「うるっせぇな」
塔「女ちゃんは──」
男「うるせぇな! お前に何が分かる!」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:38:09.58 ID:ln9deeR/0
男「俺が女ちゃんの異変に気づけば、こんな事にはならなかった! 違うか!?」
塔「違うね。例え気づいていたとしても、いずれこうなっていたよ」
男「なんだって?」
塔「この場所で、どうやって助けるっていうのさ?」
男「それは……」
塔「電話も通じない、降りるのにも相当の時間がかかる」
男「……」
塔「そんな場所まで来たのは、君達2人だよ」
男「……」
塔「──そして、こうなる事が、女ちゃんの望みだったんだよ」
男「……は?」
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 20:40:45.45 ID:j2o0TdHT0 BE:2389733478-2BP(555)
せn
わーう
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:00:07.48 ID:ln9deeR/0
塔「不思議に思わなかった?」
男「何がだ?」
塔「僕が、ここに存在する理由。そして、何人もの人が、こんな場所に登る理由」
男「……」
塔「君だって分かってるんでしょ? こんな場所まで来て、さ」
男「……」
塔「分かってて、ここに来たんでしょ?」
男「違う……」
塔「──この塔は、人が死ぬためにあるということを」
男「違うッ!!」
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:01:06.92 ID:j2o0TdHT0 BE:170695722-2BP(555)
せいえn
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:05:49.29 ID:ln9deeR/0
塔「この塔は、何もない。連絡も通じないし、登るのにも下りるのにも相当の時間がかかる」
男「……」
塔「ただ登り続けると、どうなるか? その答えは明白でしょ?」
男「……」
塔「突然帰りたくなっても、その帰りの道のりは遥かに長い」
男「……」
塔「結果、地上まで下りる前に食料も尽き、最後には倒れ、息絶える」
男「……」
塔「要するに、途中で死ぬ決意が鈍っても、死ぬという最初の目的は果たされる」
男「……」
塔「ここは、そういう場所なんだよ」
男「……」
世界の果てか
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:10:52.83 ID:ln9deeR/0
塔「君は、ここに来た当初は頻繁に日記を書いてたよね」
男「……」
塔「その度に時間を浪費して、時には、何時間もその内容を考えてた」
男「……」
塔「その本当の理由は、あまり上に登りたくなかったんじゃないの?」
男「……」
塔「日記を書いて時間をかけて、登るのを渋ってたんだ」
男「……」
塔「そうすれば、突然帰りたくなった時にだって帰れる、と。違う?」
男「……違う」
塔「じゃあ、もう地上に帰れないほど高く登った後は、どうして日記を書こうとしなかったの?」
男「……」
塔「理由は簡単だ。もう帰れないなら、日記なんて書いて、登るのを渋る必要なんてないからでしょ?」
男「……」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:16:40.00 ID:ln9deeR/0
塔「要するに君は、死ぬためにここに来ておきながら、未練たらしく登ろうとしなかったんだ」
男「……」
塔「けど、気づけばもう帰れない程、高くまで登ってしまった」
男「……」
塔「だから、無意識の内に、日記を書こうとしなくなったんだ」
男「……」
塔「……ま、そんな事を言っても、君が帰れるわけじゃないけどね」
男「つまり、俺は、いずれ──」
塔「──そう、ここで死ぬんだ」
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:22:32.64 ID:ln9deeR/0
男「……女ちゃんも、死ぬためにここへ?」
塔「うん。まぁ、その辺の話は、僕は多少聞いただけだよ」
男「俺は、何も……」
塔「まぁ、僕が話すより、君の日記を見た方が早いよ」
男「日記?」
塔「そう、日記。昨晩、ごそごそやってたみたいだから」
男「……書いてある。随分と長く……」
塔「僕も気になるんだ。読んでよ」
男「……あぁ」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:23:06.80 ID:j2o0TdHT0 BE:1024171283-2BP(555)
しえ
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:29:15.69 ID:ln9deeR/0
申し訳ないですが、急用ができたので一旦中断します
明日に再開します……
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:31:00.15 ID:pA8YaMrLO
今ここで…今ここでか!?
乙かれ。待ってるよ。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:31:11.75 ID:hrK6zIVZ0
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:31:31.07 ID:j2o0TdHT0 BE:384064733-2BP(555)
明日・・・後2時間半後だな。把握した
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:31:44.17 ID:AIVF1jkMO
おま、こんな気になる所で…!
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:36:01.65 ID:56AuK1li0
せめて何時頃再開か教えてくれ
続きが気になる
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:38:05.36 ID:ln9deeR/0
>>148 明日の朝10時頃になると思います
多少遅れる可能性はありますが……
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:41:58.43 ID:56AuK1li0
さゆッ!
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:44:59.28 ID:56AuK1li0
誤爆した
再開楽しみにしてる
朝か・・・みれないな・・・
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:48:33.76 ID:Q67vkaLk0
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/17(火) 21:51:09.89 ID:j2o0TdHT0 BE:1152192593-2BP(555)
ア・バオ・ア・クーってそういうものだったのか・・・
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
扇風機の人か?