1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:41:42.49 ID:Jzf70dW1O
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:44:12.98 ID:Jzf70dW1O
――跳躍。
降下を開始した身体を捻り、合わせて腕を内に捻って手刀を構える。
狙うは、頭と首の間だ。
ご、という鈍い衝突音が響いた。
爪#゚∀゚)「防いだかッ!」
(;<◎><●>)「本当にッ……気絶させられては困りますから……」
禍々しく蠢く毒々しい腕から手刀を離し、地面に降り立つ。
爪*゚∀゚)「ッハァーッハッハッハッハッ! 『邪気眼』を使わざるを得なかったようだな!」
( <○><●>)「ええ、情けないことに。 それにしても、本当に飲み込みが早い」
爪*ーーー)「フッフッフッ……まあな……」
(;<●><●>)「なるほど……あんな力の入った手刀では、後遺症を残してしまいます」
爪#゚Д゚)「構わんッ!」
「構え」
爪;゚Д゚)「クッ……」
背後から響く声と気配。
それは、相変わらず気怠げな声だったが、確実に怒気が含まれていた。
支援
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:48:10.44 ID:Jzf70dW1O
これからまた御説教が始まるのか、と慣れからの理解。
思わず溜め息が漏れ、顳の辺りに汗が滲んだ。
「お昼の時間のタイムです」
爪;ーДー)「アホめ」
「全然態とだから、マジで本当に本に誠に」
ば、と白いレジャーシートが広大な緑の絨毯の上に広がった。
何故だがは解らんが、今日は怒られないようだ。
鼻歌交じりでバスケットから握り飯を取り出だすくらいだ。
余程機嫌がいいのだろう
「さ、コンさんも御一つ」
爪#゚Д゚)「オイッ! バカッテマスより先に俺様に寄越せ!」
(;<●><●>)「ありがとうございます、御子様。 ですが、その呼び方はお止めください」
コイツを呼ぶレズ女の声と、その後ろを行く足音が耳に届く。
中々賑やかな昼食になりそうだ。
柔らかな風が、草原を馳せ行く。
その暖かな風に誘われた黄の蝶が二匹、輪舞曲を踊り続ける。
今日が、これが、コイツが唯一望む報いなのだろうか。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:49:37.92 ID:Jzf70dW1O
第十一話 『四方からの集結』
('、`*川塔の魔術師と爪゚ー゚)悪魔のようです
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:50:38.77 ID:Jzf70dW1O
王立魔術学園執務室。
休日にも拘わらず、そこは教師と生徒で賑わっていた。
レポートをボックスへ提出にきた男子生徒。
何か問題でも起こしたのか、縮こまる男子生徒と激語を放つ男性教師。
若い人気の教師を囲む女子生徒達。
ぱっと眼に付く者を挙げると、このようになる。
そんな執務室内には、制服の上に革のポンチョ羽織ったペニサス・イトーカーの姿もあった。
僅かな違和感は、彼女のトレードマークが一つ足りていないせいなのだろう。
被り忘れてきてしまったのか、黒色のとんがり帽子が頭に乗っていないのだ。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「休学とはねぇ……ワケを訊かせて貰おうか」
('、`*川「はい、聞いて驚きやがってくださいね?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「フッ……どうかねぇ?」
ペニサスの目の前にいるのは魔女クラス担当の教師、マモン・サスガその人だ。
デスクチェアに腰掛けるマモンの手には、一枚のプリント。
そのプリントの上方には『休学申請書』と書かれていた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:52:14.30 ID:Jzf70dW1O
('、`*川「なんと豊胸手術を受けます」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「まぁ、もう見込みが無いからねぇ……」
( 、 *;川「ハハッ……まだまだ見込みはあるはず、なんで……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「自分で言っといて落ち込むんじゃないよ……女の魅力は胸じゃあないから安心しな」
('、`*川「女の私でも解ります。 筋乳は魅力感じられません」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ハッ、昔は凄かったんだよ」
(-、-*川「…………」
マモンの若かりし頃を想像しているのか、ペニサスは眼を瞑って首を傾げる。
( 、 *;川「うっ……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「おいコラ」
果たして吐き気を催したようだ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:53:02.58 ID:bmOq3E0bO
久しぶりだな支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:53:14.64 ID:Jzf70dW1O
ふぅ、と溜め息を吐くペニサスをマモンは尻目に、ワークデスクの上へ手を伸ばす。
その手で掴んだものは、桃色のコーヒーカップ。
湯気の立っていなかったそれは、まるで沸き上がったかのように湯気を立て始めた。
一口。
傾けられたコーヒーカップの底には、赤で幾何学模様が刻まれていた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「コントはこれくらいにしとこうか」
('、`*川「はい」
胸に両手を添えて、吐き気を抑えていたのは冗談だったようだ。
笑顔を見せてから、舞うようにマモンのワークデスクに腰を寄り掛ける。
その行動は、ペニサスには似つかわしくない年頃少女のようだった。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「フフッ……それで?」
('、`*川「――塔に上ります」
と、振り向かずに気を一歩前に押し出し、強かな笑みを浮かべる。
反対されるのことは、重々承知。
申請しには来たが、許可されなくても別に構わない。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:54:39.51 ID:Jzf70dW1O
どこにあるのか、見付かるのかもどうか解らない『地心の結晶』を目当てに私達は塔を上る。
本当にあるとしても、大概そう言うものは気が遠くなる程上ったその先にあるのが定番だ。
それは何十日――いや、下手すれば何百日と掛かるはず。
確かに休学申請を出して許可が下れば、今まで出ていた授業が無駄にならずに済むだろう。
対に許可が下りずとも、システム的に幾らでも取り返しが付く。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ほぉ……何も告げずに行かなかったことは、褒めてやろうじゃないか」
( 、 *川「ん……まぁ……」
眼を伏せ、コンプレックスの淡い朱に染まる頬を掻く。
マモン先生には、入学以来良くして貰ってきた。
最初は煩わしくて適わなかったが、私の心は確実に救われていってしまったのだ。
因みに、お気に入りの黒色のウィッチハットは、実はマモン先生にプレゼントされたものだったりする。
マモン先生はどう思っているか解らないが、身寄りのない私にとっては母親のような存在。
それは私には必要のない、欲してはならない存在だと解っている。
しかしそれは存在して、私は欲してしまう。
まだ私は、成り切れてないのだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:55:12.97 ID:Ee0lie+cO
支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:56:14.58 ID:Jzf70dW1O
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あの悪魔が関係してるのかい?」
('、`*川「はい……私はあの悪魔を召喚する際、媒体に『地心の結晶』を使いました」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「……残念だけどねぇ、アレは取れないよ」
('、`*;川「え……とっ、塔に上った……どこまでっ!? 取れない?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ハハッ! 一つ目のは――上れるところまで、かねぇ?」
リベルシャの塔は、途中から上へと続く道が存在していないと言われている。
そのためそこが塔の頂とされ、しかもそこまで上った者は、
('、`*;川「先生が『二人』の内の一人……?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「いや……まぁ、事実上では私が二人目に当たるんだけどねぇ」
何やら深い事情がありそうで、他人の、子供の私がこれ以上踏み込んでいくことは憚られた。
それにしてもマモン先生が言った『取れない』とは、どういうことなのだろうか。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:57:45.31 ID:Jzf70dW1O
@@@
@#_、_@
( ノ`)「後ろの質問は、知っていれば薄ら答えが見えるはずさ」
('、`*;川(知っていれば……?)
唸りながら、とりあえず展開してみた思考はリベルシャの塔についてだ。
全長は不明、計測不可。
塔の最下に当たる部分の直径は、約1.8キロメートル。
しかしその下に注釈があり、『誰が測ったのか、本当に測ったのかはワカリマセン☆』とあった。
授業中、教科書に対して『本当にこれが教科書なのか』とツッコミを入れてしまったは、約一年前の話になる。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「まぁ、知らないようなら実際に見てみりゃあ解る話さ」
('、`*;川「え……それって……」
マモン先生の言葉に、思考を打ち切らずを得なかった。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「ペニサス・イトーカーの休学申請を許可する」
ニヤリ、と笑った。
私が知るカッコイイ大人の、マモン先生の笑みだ。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 21:59:20.23 ID:Jzf70dW1O
@@@
@#_、_@
( ノ`)「あたしゃね、アンタが一人で上るんだったら止めてたさ……力付くでね」
('、`*;川「あはは……え?」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「アンタより早く……朝一番に旦那のとこへ来たんだよ。
ダイオード・シャンツリーとヒート・スイエルが」
('、`*;川「……人が悪いです、先生……」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「アッハッハッハッ!」
眼を弧にして、開いた口から豪快な笑い声を聞かせる。
少し考えておけば解ったことだろうが、気も思考も緩め過ぎていたのだろう。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「まぁ、これならやりようによっちゃあ……どうかねぇ……?」
('、`*川「…………」
ふと、独り言ちるように零れたマモン先生の言葉。
それは『取れない』と言うことに関係してるのだろうと思い、即座に頭の中のノートに覚え書く。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:02:10.82 ID:Jzf70dW1O
寄り掛かっていたワークデスクから腰を離し、回れ右。
次いでワークデスクの上に視線を落とすと、休学申請書には『許可』という判が押されていた。
よ、と言う掛け声を合図にマモン先生の腰掛けるデスクチェアが回転する。
マモン先生の身体と眼が向けられた先は、浅い曲線を描く横長い窓。
視線は、その窓を通してリベルシャの塔を貫いている。
く、と吊り上げられた口端と塔を見詰める瞳からは、懐古とそれに混じった何かが感じ取れた。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「さて……経験者が少しアドバイスをしてやろうかね」
('、`*川「あ、お願いします!」
( ・∀・)「はい、お願いします」
('、`*;川「……は?」
( ・∀・)「やっ、昨日振り」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「なるほどねぇ……こりゃあモララーは両手に『華』どころの話にならないよ」
いつの間にか私の隣に立っていたのは、笑顔を貼り付けているモララー・グラウス。
再びマモン先生の口から豪快な笑い声が飛び出て、それは執務室内に響いていった。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:05:52.24 ID:Jzf70dW1O
西洋中世の雰囲気を纏った幻想的な建築物。
中には、端々に機械的な部分が見て取れるものもある
北を除いたそんな美しい街並みに溶け込み切れていない、やや現代的な建築が幾つか生えているのが西だ。
ペニサスが召喚した悪魔が入院する病院も、その一つと言える。
その西を割ってに通るのが――
ノハ*゚听)「こんなにも早くッ……塔に上る日がこようとは……ッ!」
休日とあって大変な賑わいを見せる雑踏の中、道のど真ん中を飛び跳ねながら行くヒート姿と、
/;゚、。 /(何度目だ……その台詞……)
その少し後ろにはダイオードの姿があった。
――西大通りこと『コンプリンド通り』だ。
ノハ*゚听)「まずは私から済ませてッ、次ダイオードなッ!」
/ ゚、。 /「ああ、それが済んだら食料なd」
ノハ*><)ノ「待ってろ新装備ぃッ!!」
/;゚、。 /「…………」
聞かずに、南側に軒を連ねる店の方に向かって走り出すヒート。
がくっと項垂れながらもヒートに追い付くため、しかし力無くダイオードは駆け出した。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:09:10.50 ID:Jzf70dW1O
両手に『ガントレット』のような武具を装着したヒートが、手を開いては閉じ、と繰り返す。
その籠手は勿論、深紅色。
ノハ*゚听)「よーし……よしッよしッよしッ!!」
/ ゚、。 /「ちゃんと前を見て歩かないと、危ないぞ?」
先程とは逆で、ダイオードが先を行き、少し後ろにヒートが付く形だ。
ノハ*><)「応ッ!」
返事を返すと同時に、拳と拳を打ち付けた。
が、という金属を音が鳴る。
それを追うようにして、ぎ、という音が乗った。
/ ゚、。 /「グローブとは打って変わって、だな?」
ノハ*゚听)「ゴッツいだろッ!? カッケーだろッ!?」
二人が行くのは、コンプリンド通りから逸れた足元に薄暗さを落とす脇道だ。
ノハ--)「『魔動機械』との戦闘を予想しての武具だ……レガースとお揃いなんだぞッ!」
/ ゚、。 /「噂に聞く『アレ』か……確かにグローブでは心許ないな」
ノハ*゚听)ノ「ああッ……これで『ルブレット』の威力もダンチだッ!」
身体を揺らして、回って、跳ねて、とヒートは忙しなく動く。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:10:45.96 ID:pMyzCdgsO
地の文の人称が安定しないな支援
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:13:27.33 ID:Jzf70dW1O
/ ゚、。 /「……ヒート」
ノパ听)「ん? なんだッ?」
不意に掛けられた声に、ちょこちょこと軽快に飛び跳ね、ダイオードの隣にヒートが並んだ。
/ ゚、。 /「当然前衛は私とヒート……そして、モララーの召喚する悪魔だろうな」
ノハ--)「うーむッ……モララーは召喚師でペニサスは魔女だし、私達が頑張らないとなッ!」
/ ゚、。 /「ああ。 知っているだろうが、モララーは生粋の召喚師だ」
話ながらダイオードが頭中に浮かばせたのは、全体的に毛が濃い召喚師。
ノハ*゚听)「アイツの戦闘単位認定試験を見たことがあるがッ、一歩も動かず勝利していた!」
/ ゚、。 /「それは自らも前線に出るタイプではないということだ……悪魔を剣と盾し、自身は」
ノハ*゚听)ノ「ならならッ、モララーは司令塔的存在だなッ!」
/ ゚、。 /「ああ、そうだな」
またも話を遮ったヒート。
ダイオードとヒートでは、噛み合わない組み合わせなのかもしれない。
しかしダイオードは気にすることはなく、笑顔を作った。
暗黙の理解。
無言のままヒートが前方へ拳を突き出すと、同じようにダイオードも拳を突き出す。
悪魔の出番は暫く無さそうだな
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:15:30.28 ID:Jzf70dW1O
そして、お互いの拳をぶつけ合った。
こ、と軽い音が立て、拳と拳が離れていく。
/; 、 /「……痛い」
ノハ;゚听)「あッ、悪い……!」
水に晒す前の熱された鉄のように赤い、深紅色のガントレットに包まれたヒートの拳。
甲の部分に銀で幾何学模様、その中心には黒で小さな紋章が描かれている。
ノハ*゚听)「流石は我が『ヴォルレット』……軽く当てただけでこの威力ッ!」
/;゚、。 /「クローゼットの角に小指をぶつけたくらいの痛みだ……」
ノハ*゚听)「そうか! gjッ!!」
最早常人には理解不能な会話、織り成す不思議空間。
さ、とダイオードが開口することでそれは破られ、再び二人は薄暗い路地を進んでいく。
ノハ*゚听)「やっぱやっぱッ、ダイオードのその棒的なのの調整か?」
/ ゚、。 /「そうなるが、出来れば……」
そこまで言ったところで、ヒートの隣から外れ、煙突が突き出た平屋の前で立ち止まった。
釣られてヒートも立ち止まり、入口と思われる鉄扉を眼に入れたところで視線を上げる。
見上げた先には『大噛―オオカミ―』と書かれた木製看板が掛けられていた。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:16:00.92 ID:pMyzCdgsO
しえ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:17:14.33 ID:Jzf70dW1O
き、と金属を叩く音が狭い空間に響き渡り、赤と青が儚げに散っていく。
錆びた鉄扉が開く耳障りな音と共に、その間から溢れ出すように光が入った。
川'皿`)「お……?」
被った溶接マスク上げ、入口へ視線を向けたのは出っ歯の男だ。
/ ゚、。 /「こんにちは」
ノハ*゚听)「御邪魔しまーす……」
川'皿`)「ダイオードやないか! いらしゃいいらしゃい!」
身体を仰け反らせるという大袈裟なリアクション取ってから、手をだらんと上げて振った。
訛りが影響しているのか、気さくな印象を受ける。
川'皿`)「今日は何の用や? 『xk−0型』の調子悪いんか?」
右手に握ったハンマーを乱暴に降ろし、肩に掛けた手拭いでゴシゴシと顔を拭いた。
/ ゚、。 /「調整はして貰いたいのだが……」
川'皿`)「なんやねん? そない勿体振らんと」
/ ゚、。 /「塔に上るんだ。 リーチ……少し長さが欲しい……」
双眸真っ直ぐ、出っ歯の男を見詰める。
それに応えてか、出っ歯の男が視線を上下させた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:18:26.28 ID:Jzf70dW1O
川'皿`)「そかそか。 そりゃあな、背ぇも乳もデカk」
/ ゚、。 /「乳は関係ない」
ノハ;゚听)「女子が乳言うな……」
川'皿`)「そない言うてもなぁ……いきなり扱えるんか……?」
/*゚、。 /「いいのかっ!?」
周りに花が咲いたような笑顔。
前のめりになりながら、短く言うダイオードを制するように出っ歯の男が手を前に突き出した。
川;'皿`)「待て待て。 質問に答えぇな」
/ ゚、。 /「……良い機会だと思う。 逆転の発想だ」
川'皿`)「えらいポジティブやなぁ……」
けどな、と続け、
川'皿`)b「嫌いやぁない」
大きな前歯を剥き出しにして、笑みを浮かべた。
一拍遅れて、鼻息一風。
小さくガッツポーズを取ることで、ダイオードは喜びを現した。
支援支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:20:21.01 ID:Jzf70dW1O
/*゚、。 /「ファックス! では、早速!」
川'皿`)「ちょーっと待っとけ」
ファックスと呼ばれた出っ歯の男は、親指と人差し指で作った『C』の字を見せ、背を向けた。
歩き出し、向かう先には木製の枠。
乱雑に靴を脱ぎ捨てて一段上り、その枠を潜って消えて行った。
ノハ*゚听)「セクハラ的発言を除いたら、私の好きなタイプの奴だッ!」
/;゚、。 /「セクハラは御愛嬌、らしい……」
ノハ*゚听)「ボロい店だが、次から私の装備もここで見て貰おうッと」
川'皿`)「誰の店がボロい店やてぇ……」
乱雑に脱ぎ捨てた靴を足の先で器用に引き寄せるファックスの右手には、
長さ160センチ程の『棒』が握られていた。
上端部から30センチ下のところに突起が一つ。
ノハ*゚听)「私よりデケェッ!」
/;゚、。 /「お前が小さいんだ……」
川'皿`)「『エクスカリボー』――そやな、ダイオード専用型、『xk−D型』や!」
掲げ、滑らかな動作で『棒』が横へ振られた。
その動きは洗練された一切の無駄が無いものだった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:21:42.79 ID:bmOq3E0bO
支援支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:22:31.64 ID:Jzf70dW1O
/ ゚、。 /「ポールウェポンタイプも扱えるのか……」
川'皿`)「それだけ武具なんかの水準も高い。 ええ鍛冶屋の基本や」
ノハ*゚听)o「なるほどなるほどぉッ!」
川'皿`)b「メモっとけメモっとけぇ……」
顔の高さまで『xk−D型』が持ち上げられる。
最中、柄の下端寄りにあった手がスライドし、中途で握り直された。
川-皿-)「――『ウェポンコード:α』」
言葉と共に、突起から鋭角的な三日月状の曲線を描く斧頭が生えるように出現。
/*゚、。 /「おぉ……!」
川'皿`)b「刃は最大62.2センチ。 ほな、重量設定やっとこか」
ファックスがダイオードへxk−D型が手渡し、またファックスが親指を立てた。
/ ゚、。 /「記憶した……流石はファックスだな、手に張り付くようだ」
川'皿`)「後な、この形から解るように懐に入り込まれたら終わりや。
それと大きく突き出た部分因って刺突が可能となっとる」
/ ゚、。 /「攻撃の幅が広がる分、難しくなるか……」
ノハ*゚听)「私にも持たせてくれッ! 貸してくれッ!」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:25:09.83 ID:Jzf70dW1O
掲げた半月斧をじっと見詰めるダイオードと、その横でぴょんぴょんと跳ねるヒート。
そんな二人の様子に微笑んだファックスは、室内の中心に置かれた雑多なテーブルへと向かった。
机上には縁の汚れたマグカップや、全裸の女性が表紙を飾る雑誌などで埋められていた。
それはファックスの性格と、独身男の寂しさが表現されているかのようだ。
鍛治工房――入口の横に設置された台の上にレジスターがある。
そのことから、鍛治工房兼武具屋と思われる店内は、テーブル同様酷く雑多だ。
石畳の床に、大きさは違えど空の木箱が幾つもに転がっている。
また、造り掛けの武具が立て入れられた木箱が彼方此方に置かれていた。
川'皿`)「刃の重量は、2キロ〜5キロってとこや……。
刃の重量を活かして叩っ斬るようなのがメジャーやな」
と、しゃがみ込んで、雑多なテーブルの下に置かれた機材を弄りながら言う。
/ ゚、。 /「うん……なら極端だが、2キロと5キロで設定。 2キロは刃を一、二回り小さくして使う」
ノハ*゚听)「なぁなぁッ! それの『えくすかりぼー』ってどういう意味なんだッ?」
川;'皿`)b「それはワイのワイルd……」
/ ゚、。 /「世の中知らない方がいいこともある……だろう、ファックス? 」
明らかに重量がある刃が消えたかと思うと、ファックスの首元寸前のところまで移動していた。
首を傾げた後、追求を開始したヒートを無視して、二人はそれぞれ手を動かし始めた。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:27:54.10 ID:Jzf70dW1O
( 、 *;川「う〜ん……やっぱりドリンクタイプしておくべきだったかしら……?」
テーブルに突っ伏したペニサスから、籠もり気味の声が響いた。
ここは休日の雑踏で溢れ返るスイエル通りから、少し離れた南西寄りに位置する一軒のオープンカフェ。
丁度ランチタイムが過ぎたところで、客の姿は疎らになり始めていた。
( -∀-)「『プロポリタン』は嵩むよ」
ペニサスの言葉に対座しているモララーは、疲労を乗せた嘆息混じりにそう返す。
('、`*川「いざって時にキャンディタイプだと困るじゃない?」
( -∀-)「その時は前衛組に任せて、効いたと思ったら吐き捨てる」
('、`*川「……塔内部で吐き捨てていいの?」
( -∀・)「……ダメかな? 飲むか、噛み砕いて」
二人は顔を背け合って、くつくつと笑う。
ペニサス顔を背けた先には空席のウッドチェアがあり、そこには収まり切らない程の荷物が置かれていた。
( ・∀・)「ところでっ……やっぱり僕は四人じゃ不安なんだけど……」
('、`*;川「私だって。 まともに白魔術使える奴がいないわけだし」
( ・∀・)「ヒートは嫌がるだろうけど、やっぱ欲しいよね……クー・スイエル」
両者瞼を下ろして思考を始め、五本の指を立てる時間を置いてから同時に溜め息。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:29:01.47 ID:pMyzCdgsO
しえな
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:30:01.64 ID:Jzf70dW1O
('、`*川「私は置いて行っちゃう方が心配なんだけど……あの子とかあの子とかあの子のことが」
( -∀-)「仲を違えているなんて聞かないし、寧ろ仲睦まじい姉妹だと、ね」
('、`*川「……思春期かしら?」
( ・∀・)「そう結論付けておこう」
とモララーは言い、ケーキの上に乗った苺を摘んで口に運ぶ。
生まれが良さそうな、行儀の良いモララーにしては意外な動作だ。
( ・∀・)「あ、魔導科に知り合いいる? 優秀な、使える御友達……。
『鋼鉄』に声を掛けてみたかっかんだけど、捕まらないしさ」
('、`*川「自虐じゃないけど、私友達少ないの」
( ・∀・)「ははは、奇遇だね」
('、`*川「そういえばそうよね……アンタは好奇心と探究心で動いているんだったわ」
( ・∀・)「心外だなぁ」
右手に握ったフォークで三角形のケーキを崩しながら、モララーは心にもなさそうな言葉を口に出す。
それに倣うよにペニサスも、フォークでショートケーキを崩して口に運ぶ。
咀嚼に因って上下する頬に手が添えられ、幸せそうな笑みを浮かんだ。
( ・∀・)「女の……子……?」
('、`*川「…………」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:32:34.11 ID:Jzf70dW1O
('、`*川「……アンタ、機械物を操作出来るの?」
(;-∀・)「さぁ……? どうだろう?」
スコールにでも遭ったのかように、突如ずぶ濡れになったモララーは髪を掻き上げながら返答。
何事か、と周りの客は一斉に視線をモララーに向ける。
( ・∀・)「まぁ、第一目標は『地心の結晶』だからね。 これは皆同じ」
('、`*川「裏がありそうなのはアンタだけよ」
( -∀・)「……一人、こそこそとは言えないけど動いている人がいるけどね」
('、`*川「……誰よ?」
ティーカップに向かおうとしていたペニサスの手が止まった。
( ・∀・)「ヒ・ミ・ツ」
立てた人差し指発声に合わせて振られる。
モララー独特の気持ち悪さが前回だ。
('、`*#川「もっ一回、水掛けてあげましょうか?」
(;・∀・)「丁重にお断り申し上げます」
謝罪と共に髪の先から水が滴る頭を下がる。
それをペニサスは、勝ち誇ったような顔でモララー見下ろしていた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:34:49.53 ID:bmOq3E0bO
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:37:14.15 ID:pMyzCdgsO
前回支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:45:19.42 ID:pMyzCdgsO
さるったかな支援?
支援!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:53:20.45 ID:bmOq3E0bO
さる回避支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:54:20.69 ID:pMyzCdgsO
00分でリセットかかるだろうからがんばれ支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:55:08.43 ID:flwv+mlxO
さるしえ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:58:35.59 ID:MjDgYsl8O
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 22:59:26.28 ID:moeCx/cbO
しえ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:01:26.99 ID:bmOq3E0bO
支援
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:06:07.54 ID:pMyzCdgsO
規制とかバーボン?
支援
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:09:58.56 ID:mVaELiFg0
大丈夫か、支援
夜来るって事は疲れてて寝落ちかもね
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:17:55.25 ID:flwv+mlxO
そうみたいだな……
支援
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:26:46.73 ID:pMyzCdgsO
ダメかな?
ほ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:27:49.97 ID:Jzf70dW1O
何も言わずに席を外してしまって申し訳ありませんでした
ちょっと妹が彫刻刀で指をざっくりいきまして
もう暫くお待ちいただければ幸いです
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:28:56.15 ID:QGa2Yb4cO
妹・・・だと・・!?
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:29:38.74 ID:flwv+mlxO
おお戻ってきたか支援
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:29:41.08 ID:pMyzCdgsO
リストカッター?
戻ってくるなら保守するぜ?
ちゃんと世話してやんな
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:37:20.62 ID:flwv+mlxO
保守
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:44:39.50 ID:pMyzCdgsO
キックボクサー守
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:44:43.03 ID:QGa2Yb4cO
ほ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/15(日) 23:48:10.64 ID:mVaELiFg0
保守
指ゆーちゅ〜してきた?
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:01:16.69 ID:0cHqfdbI0
保守
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:07:16.54 ID:zZSB5weGO
はやめほ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:13:55.05 ID:IYbOFNYSO
ご迷惑をお掛けしました
再開します
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:18:10.21 ID:IYbOFNYSO
( ・∀・)「まあね、うん、今は塔だよ、塔」
と、椅子の背に凭れたモララーが、塔へ視線を移した。
視線が徐々に上がっていき、八本の柱の中にある金色の鐘で停止。
話を逸らされた、とペニサスは不満を眉間で示す。
しかし寄った皺は直ぐに消え、
('、`*川「上ってる間のあの子の世話とかはマモン先生に任せてきたけど……」
( ・∀・)「ああ……『とか』の方はマモン先生には役不足なくらいだけど……」
('、`*;川「先生、忙しいのよね……」
( ・∀・)「まぁ、マモン先生なら代理を立ててくれるだろうし、あの病院の防犯面はかなりのものだよ」
('、`*川「……心配だわ」
( ・∀・)「昨晩、散々やった議論だ。 誰も外せないし、外れようとしない」
('、`*川「我が強いのも考えものね」
さて、とモララーがティーカップを手に立ち上がり、縁に口を付けた。
鼻の先を覆い隠すほど傾け、紅茶が飲み干される。
意匠の凝ったティーカップは陶磁器製のもので、置くと同時に小さく金属音奏でた。
('、`*川「自分の分だけ、出して行ってよね?」
モララーは苦笑し、財布から取り出そうとしていた紙幣を戻して、
態とらしく一枚一枚小銭をテーブルに置いていく作業を始めた。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:19:32.71 ID:hIGVGgEZO
おつかれ
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:20:05.71 ID:IYbOFNYSO
夜が訪れ、街に光が灯り、そして深まる。
それに連れて、リベルシャの塔の周りに展開する広場から、人の姿が無くなっていく。
午前十二時ジャスト。
一日が終わりを迎え、新たな一日を迎える時間。
北から一人、少女が塔の広場に到着。
('、`*川「一っ番……?」
幾つものポケットあるショルダーバックを肩に掛けた軽装のペニサス。
いつもの革のポンチョだけを残し、白を基調とした中に、紺に近い青がある服装だ。
短いスカートの下には、青のスパッツ着用している。
('、`*川「ダイオードは時間通りに来てるとして……」
と、開口したペニサスは、反時計回りに歩き始めた。
暫く歩き続けて足を止め、身体を向けた先はスイエル通り。
長く続く東の道には、著しく人の姿が無い。
このことから、東の治安の良さが窺える。
('、`*;川「やっぱり来てない、か……」
ペニサスが誰とも無く呟くと同時に、南方から声が掛かる。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:21:35.78 ID:hIGVGgEZO
支援
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:24:09.42 ID:IYbOFNYSO
/ ゚、。 /「やぁ、ペニサス。 今日も良い天気だ」
('、`*川「そうね」
空に浮かぶ蒼色の光を放つ月を仰ぎながら、ペニサスの隣にダイオードが並んだ。
彼女もペニサス同様、普段と服装がまるで違った。
纏うは、身体に張り付いているような黒色のスーツ。
その黒色スーツは、鎧を彷彿とさせるデザインだ。
腰と背には、xk−0型とxk−D型がそれぞれホルダーに収まっていた。
('、`*川「……食料とかは?」
/ ゚、。 /「ああ、良い物を借りたんだ……と、言うか任せられた」
言いつつ、ダイオードは腰部に手を廻した。
('、`*;川「……何これ?」
/ ゚、。 /「『エスパスの箱』と言うものらしい」
ダイオードの掌に乗る頑丈そうな小さな箱に、ペニサスの視線が注がれた。
箱の六面には、幾何学模様が刻まれている。
('、`*川「……あっ、マモン先生の陣!?」
ペニサスが幾何学模様を撫でようとしたその時――
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:25:01.98 ID:hIGVGgEZO
しえ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:26:10.30 ID:IYbOFNYSO
『ちっ――こくぅうううううううううううううううううううッ!!』
『ノォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
――雄叫びに叫び声添えられて出来た『騒音』がスイエル通りから轟いた。
それから数分後、塔の東側には、
(; ∀ )「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」
ノハ*゚听)「すまんッ! 寝坊して遅れたッ!」
('、`*川「そう、お疲れ様」
/;゚、。 /「だ、大丈夫……じゃないよな?」
ペニサスとダイオードに加えて、元気一杯のヒートと天を仰いで酸素を求めるモララーの姿があった。
ヒートの手には、モララーの手が握られてある。
男女が仲良く手を繋ぐのとは違い、それを見て浮かぶのは犬の散歩だ。
ノハ*゚听)o「よしッ、全員揃ったし行くか!」
(; ∀・)「いや、ハァハァハァハァハァッ、ちょっと、ハァハァハァハァ、休ませてハァハァハァハァ」
ノハ#゚听)「なんだッ! 情けない奴だなッ!」
こんなことじゃ塔を上り切るなんて無理だ、とヒートから説教を受けるモララーに、
ペニサスとダイオードから憐れみの視線が送られた。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:27:35.77 ID:IYbOFNYSO
( ・∀・)「さて、僕の過呼吸も治まったこだし……」
('、`*川「ノォーだって……プッ……」
/ ゚、。 /「うん、可愛い一面を垣間見たな」
( ・∀・)「そこの二人、うるさい、黙る」
ノハ*゚听)「行くのか行くのかッ!?」
( ・∀・)「ああ、待たせてすまなかった。 全員、忘れ物はないね? 遺書は書いて来た?」
ノハ*゚听)「そんなもの書くかバカヤロー」
/ ゚、。 /「右に同じだ」
('、`*川「書く相手がいない」
( ・∀・)「ん〜……一人、ブラーック」
/ ゚、。 /「悪魔くんがいるだろう」
('、`*川「なるへそ」
ノハ*゚听)「皆の屍を踏み潰してでも、必ず『地心の結晶』は持ち帰るッ!」
('、`*川「踏み潰すな」
/ ゚、。 /「勢いでここまで来たが、そんな甘いものじゃない……だが、全員で生きて戻ろう……!!」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:28:11.47 ID:hIGVGgEZO
支
援
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:29:19.96 ID:IYbOFNYSO
ダイオードの言葉に、三人は笑みを以て首肯で返す。
塔を背にして三人の前に立っていたモララーが、塔へ身体の正面を向けた。
( ・∀・)「じゃあ、行きますか」
ノハ*゚听)ノ「おうッ!!」
('、`*川「どこから戦闘になるかしら……」
/*゚、。 /「……なぁ、トイレはどうするんだ?」
( ・∀・)「そんなものは、そこらで済ませばいいよ」
ノハ#゚听)「女子の敵めッ!!」
('、`*;川「っていうか塔内部で……?」
/#゚、。 /「そうだ! 罰当たり!」
( ・∀・)「はははは! そこは大丈夫だ、ってマモン先生が言ってたよね?」
('、`*川「ええ」
ノハ#゚听)o「先に言えッ!」
( ・∀(#)「ごめん」
('、`*;川「早速負傷してどうすんのよ……」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:31:51.71 ID:IYbOFNYSO
頬を腫らしたモララーが重厚な扉の前まで来ると、空気が漏れ出るような開閉音を立てて扉が上へ引いていった。
そこをモララー、ヒート、並んだペニサスとダイオードが順に通って入塔。
('、`*川(広いわね……)
四方に重厚な扉置いた広大な空間に、幾つか上へ続く道が伸びている。
その道は人が四、五人並んで通れる程の広さで、至る所で入り組んでいた。
塔外部からでも機械的な部分は見て取れたのだが、内部の殆どは機械で構成されているようだ。
上下左右に伸びる大小様々なパイプ。
そこを縫うように通る赤青白の、または黒色のコード。
( ・∀・)「とりあえずは、上へ上へ行くことだけを考えればいい」
/ ゚、。 /「ペニサスはまだしも、モララーの体力が心配だな」
ノハ*゚听)「早く戦いてぇーッ!」
('、`*川「この階……っていうかこの場所を抜けたら出るらしいわね」
か、とブーツが機械の床を蹴る音が一斉に動き出す。
先頭をヒートが、その少し後ろダイオードが、その後方にペニサスとモララーが行く。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:35:54.80 ID:IYbOFNYSO
/ ゚、。 /「ん……?」
不意に、空気が漏れ出るような開閉音。
それを一番に察知したダイオードが視線を動かす。
西だ。
少し遅れて残りの三人がその異変から、西に位置する重厚な扉へ眼を向ける。
「やべっ! もういねぇ……」
人間が一人、
「ちゃんと時間通りに行けばよかったんだ、バーカ!」
と、獣が一匹。
_
彡 ゚A゚)「フッ……誘われてない俺が、か?」
(゚n゚#@「何カッコ付けてんだよ」
それは、全体的に毛の濃い召還師ことジョージと、その悪魔ゲレだった。
「「「「誰……?」」」」
と、上方から一人と一匹を見ていた全員が、首を傾げたのだった。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:36:31.83 ID:d+ysCYQJO
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:41:46.47 ID:IYbOFNYSO
第十一話は以上です
誤字・脱字・衍字などありまくりました
その点に関しては申し訳ございません
それから途中退席の件、本当にご迷惑をお掛けしました
誠に申し訳ありませんでした
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:48:30.49 ID:hIGVGgEZO
乙ー
そういう時もあるさ
次もがんばって
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:52:04.48 ID:d+ysCYQJO
大変だったな乙ー
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 00:57:31.98 ID:IYbOFNYSO
>>19 ペニサスのところは敢えの、です
一応会話を挟みましたが……
ありがとうございました
試行錯誤して精進します
>>21 最終話まで眠っている予定です
>>53 いえ、木の板を削ったそうです
>>58 病院に連れて行って縫っていただきました
ダーイショーック!!
81 :
>>34訂正版:2009/03/16(月) 01:19:55.27 ID:IYbOFNYSO
('、`*川「……アンタ、機械物を操作出来るの?」
(;-∀・)「さぁ……? どうだろう?」
スコールにでも遭ったのかように、突如ずぶ濡れになったモララーは髪を掻き上げながら返答。
何事か、と周りの客は一斉に視線をモララーに向ける。
( ・∀・)「まぁ、第一目標は『地心の結晶』だからね。 これは皆同じ」
('、`*川「裏がありそうなのはアンタだけよ」
( -∀・)「……一人、こそこそとは言えないけど動いている人がいるけどね」
('、`*川「……誰よ?」
ティーカップに向かおうとしていたペニサスの手が止まった。
( ・∀・)「ヒ・ミ・ツ」
立てた人差し指発声に合わせて振られる。
モララー独特の気持ち悪さが全開だ。
('、`*#川「もっ一回、水ブッ掛けてあげましょうか?」
(;・∀・)「丁重にお断り申し上げます」
謝罪と共に、髪の先から水が滴る頭が下がる。
それをペニサスは、勝ち誇ったような顔で見下ろしていた。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/16(月) 01:24:28.96 ID:E6/bHWKqO
僕は死にま支援!!
83 :
>>73訂正版:
頬を腫らしたモララーが重厚な扉の前まで来ると、空気が漏れ出るような開閉音を立てて扉が上へ引いていった。
そこをモララー、ヒート、並んだペニサスとダイオードが順に通って入塔。
('、`*川(広いわね……)
四方に重厚な扉を置いた広大な空間に、幾つか上へ続く道が伸びている。
その道は人が四、五人並んで通れる程の広さで、至る所で入り組んでいた。
塔外部からでも機械的な部分は見て取れたのだが、内部の殆どは機械で構成されているようだ。
上下左右に伸びる大小様々なパイプ。
そこを縫うように通る赤青白の、または黒色のコード。
( ・∀・)「とりあえずは、上へ上へ行くことだけを考えればいい」
/ ゚、。 /「ペニサスはまだしも、モララーの体力が心配だな」
ノハ*゚听)「早く戦いてぇーッ!」
('、`*川「この階……っていうかこの場所を抜けたら出るらしいわね」
か、とブーツが機械の床を蹴る音が一斉に動き出す。
先頭をヒートが、その少し後ろをダイオードが、その後方をペニサスとモララーが行く。