( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
11 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:23:26.79 ID:9Ehs4lfxO
ビコーズの持つパワーセルが、いよいよ饅頭に見え始めてきたブーンの耳に男の怒鳴り声が聞こえてきた。
〈 ゚−゚〉「だから言った通りさ。見ての通りポッキリいってる。だから試合には出れねぇ」
[#゜∀゚]「出れねぇ、じゃねーよ! エントリー料はもう払っちまったんだぞ。どうすんだよ」
〈 ゚−゚〉「悪いなマシカ。無理なもんは無理だ。本登録まではまだ半日あるんだし、他の奴を捜してくれ」
[#゜∀゚]「いるわけねぇだろう! お前が出るって言うから俺は……おい、何見てんだよ」
道端のど真ん中で言い争いをする二人の男が、死んだ魚のような目でその様子を凝視するブーンに気付いた。
どちらも筋肉をたっぷりと付けた荒くれ者のようだ。
一方は腕にギプスを付けており、油で汚れたツナギを着た残る男は、今まさにブーンに向かってズカズカと迫って来る最中である。
12 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:26:47.04 ID:9Ehs4lfxO
[ ゜∀゚]「オイ。お前」
(ヽ^ω^)「僕ですかお?」
[ ゜∀゚]「そうだよ豚。ニヤニヤした目つきで人を見やがって。そんなに俺達のトークショーが面白いか?」
(ヽ^ω^)「別に」
[#゜∀゚]「んだと? 気に入らねーなあ」
どうやら、ツナギは虫の居所が悪いらしい。
気弱そうなニヤけ顔の中年男性を見つけた彼は、ストレスを発散する為にブーンのローブを掴んで無理矢理立たせた。
ギプスの男はやれやれと呆れ顔を見せるだけで、ツナギを止めようとする気配が無い。
[#゜∀゚]「おい、豚。見ねぇ顔だが何処から来た」
(ヽ^ω^)「遠い星からだお」
[#゜∀゚]「流れ者か。じゃあ、この街に来たからには先輩が洗礼をくれてやらなきゃなあ!」
13 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:28:25.12 ID:9Ehs4lfxO
空腹のあまり、よろよろと立つブーンに向かってツナギの男が拳を振るった。
( ´ω`)「はぁ……お腹空いたお……」
[;゜∀゚]「え!? うわっ!」
〈;゚−゚〉そ「『!?」
骨太の塊が柔らかい肌にめり込もうとしたその瞬間。
ツナギの男の世界が反転した。
パンチを受け流し、その勢いを利用して空中へと投げ飛ばされたのだ。
そう気付いた時には、男は既に地面に転がっていた。
次いで、ニ発の衝撃の余波が彼の身体中を駆け巡る。
[;゜∀゚]「オ゙ェ!ゲホッ!ゲホッ!」
〈;゚−゚〉「なんてこった……九十キロの身体をいとも簡単に……」
14 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:29:48.06 ID:9Ehs4lfxO
格闘技に多少の心得があるギプスの男は驚いた。
なんて無駄のない動きだろう。
必要最低限の力だけで相手を地面に叩き付けたことがよく分かる。
しかもアッパーと膝蹴りのオマケ付き。
口から昼食を吐いている相棒には悪いが、惚れ惚れとする見事な技だった。
見た目はアレだが、間違いなく強い。
[;゜∀゚]「ぐ……ち、ちくしょう」
〈 ゚−゚〉=3「マシカ、諦めろ。そのオッサンかなり出来るぜ。そこらのチンピラじゃあ……ん、待てよ?」
( ´ω`)「君、悪いことしたお。でも正当防衛だから許して欲しいお。じゃあ僕はこれで」
〈 ゚Д゚〉「あ! ちょっとアンタ。待ってくれ!」
何かを考え込んでいたギプスの男が、立ち去ろうとするブーンに慌てて声をかけた。
15 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:31:43.61 ID:9Ehs4lfxO
( ´ω`)「なんすか」
〈 ゚ー゚〉「なああんた。金が欲しくないか? あぶく銭なんかじゃない大金さ。しかも今日手に入るんだぜ?」
( ´ω`)「お金? 僕はシャトルの代金さえ手に入ればそれで良いんだお」
〈 ゚−゚〉「なら調度いい。あんたが今ぶっ飛ばしたのは個人シャトルの運転手でな……おい、マシカ! いつまでゲロってんだよ!」
[;゜∀゚]「う、うるせー」
ようやく胃の内容物を外界へ出しきった男が息を荒くする。
既にブーンへ反抗する気は失せているようだ。
〈*゚ー゚〉「見つけたぜ。俺の代わりがな」
そんな友人の状態など気にもかけないギプスの男は、目を輝かせながらブーンを指刺した。
〈 ゚−゚〉「この人にトーナメントに出てもらおう。そうだ。それがいい」
[;゜∀゚]「はぁ?」
( ´ω`)「お?」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 21:33:53.45 ID:pgM02TJ20
しえんしえん
17 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:35:40.10 ID:9Ehs4lfxO
※※ ※※ ※※
( ^ω^)「はふっ。もぐもぐっ。まぐっ!」
[;゜∀゚]「よ、よく喰うな。そんなに腹が減っていたのか」
大衆食堂の一角。
石を切り出した机に並べられた食事を掻き込むブーンを見て、ツナギの男は呆れた声を出した。
( ^ω^)「ゲフッ。御馳走様でしたお」
〈 ゚−゚〉「食い終わった直後で悪いんだが。俺達の話は考えてくれたか? えっと……」
( ^ω^)「ニシカワだお」
〈 ゚−゚〉「ニシカワさんよ。どうだ、出てくれる気になったかい?」
ギプスをする男は、自らをチョウと名乗った。
その横でふて腐れた顔をする男はマシカと言うらしい。
ちなみに、ブーンの本名は当然ながらニシカワなどでは無い。偽名という奴だ。
18 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:36:20.35 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「その、格闘トーナメントとやらの説明をもう一度してくれるかお」
〈 ゚−゚〉「簡単に説明すると賞金付きの喧嘩大会だ。この街の地下にあるコロシアムで定期的に開催される恒例行事さ」
( ^ω^)「さっきの話しを聞いてる限りじゃ、あんたが出るみたいな感じだったけど。腕をヤッたのかお?」
[#゜∀゚]「大型スピーダーのバランサーに挟まれたのさ。筋肉の鎧をくっつけてる癖に醜態を晒しやがって」
〈;゚〜゚〉「……そう言わないでくれ。でだ、マシカと俺は前回のシーズンから組んで今大会で一稼ぎしようと踏んでたのよ。
ところが、大会の前日になってこの様さ」
( ^ω^)「その代役で僕に出て欲しい、と」
[ ゜∀゚]「別に嫌なら出なくていいんだぜ」
19 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:38:11.06 ID:9Ehs4lfxO
マシカが噛み付いた。
自分よりも体格が小さいブーンに一撃を見舞われたことが、今だに気に食わないらしい。
意地を張るマシカに制止の声をかけつつ、チョウは説明を続ける。
〈 ゚−゚〉「この大会に参加するにはエントリー料を払うスポンサーと実際に戦うファイターが必要だ。
だが、スポンサーである今のマシカには投資する相手がいない……」
( ^ω^)「つまり、誰も出なければ苦心して捻出した金がパァってわけかお」
[ ゜∀゚]「返金はされないからな。チョウ以外の格闘家なんて俺にはツテがないしな」
( ^ω^)「仮に大会に出たとして、僕が得することはあるのかお?」
〈 ゚−゚〉「あんた。訳ありでこの星に飛ばされたんだろ? 行きたい星があるって言ってたよな」
( ^ω^)「ここから二パーセクほど離れた惑星に向かいたいお」
20 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:41:12.44 ID:9Ehs4lfxO
それを聞いたチョウはニヤリと笑って頷く。
〈 ゚ー゚〉「だったらあんたが大会に出る価値は十分にあるぜ。
マシカは個人シャトルを運営するフリーの運び屋だ。全部終わったら、コイツの船に乗せてもらえばいい」
[ ゜∀゚]「ハイパードライブがイカれて今は絶賛休業中だけどな。本当はこの大会で稼いだ賞金で修理する筈だったのによ」
成る程。話が見えてきた。
つまり、ブーンが格闘大会に出て、マシカがハイパードライブを修理できるだけの賞金を稼げばいいのだ。
マシカは高額なエントリー料の払い損をしないばかりか、上手くいけば多額の金を手にすることができる。
ブーンとしても惑星への足が手に入るので好都合だった。
( ^ω^)「分かったお。あんた達の話に嘘は無いようだし、僕がチョウの代わりに大会に出るお」
〈 ゚ー゚〉「そいつは有り難い。やったじゃないかマシカ!」
21 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:43:09.85 ID:9Ehs4lfxO
[ ゜∀゚]「ヌカ喜びなんてできねーよ。大会には無茶苦茶強い猛者ばかりが出るんだぜ」
〈 ゚−゚〉「何言ってんだ。お前は当事者だから分からなかったかもしれんがな。
ニシカワのあの技はガチで本物だ。あんた、何か得意な得物はあるか?」
( ^ω^)「……棒術を少し」
〈 ゚ー゚〉「そいつは良い。ニシカワさんよ。この大会は武器の使用が認められているんだ。
飛び道具以外の古典的な武器なら使っていいことになっているのさ」
興奮するチョウと訝し気な目をするマシカを見るうちに、ブーンの頭にとある言葉が過ぎった。
22 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:45:13.34 ID:9Ehs4lfxO
”汝、利己たる目的でその暴を行使すること勿れ”
『ジェダイ・コード』と呼ばれる物がある。
それはフォースの僕たるジェダイの法典であり、同時に、彼等の行動指針や理念を決定する重要な掟でもあった。
正当な理由も無しに力を使うことを固く禁ずる。
つまり、ブーンが格闘技大会に出場することなど以ての他なのだ。
規律に厳しいブーンの師がこの状況に出くわせば、彼は間違いなく別の手段を模索するだろう。
だが、弟子のブーンはその手段を見つけることができなかった。
( ^ω^)「…………」
正義の任務を行使する為に恐喝や強盗紛いの行動をしては本末転倒だ。
マシカとチョウは自分達の意思でブーンを誘っているし、懸賞金付きの大会は共和国の法律でも合法の部類に入る。
内容がどうであれ、一応は犯罪行為には入らない。
これがフォースの導きならば、それに従うも良し。
ブーンはそう考えることで、規律を破る背徳感から逃れようとしていた。
23 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:47:05.50 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「(師匠。任務の為とはいえ、ギャンブルに荷担することをお許し下さいお)」
さて、問題は大会の方だ。
二人のフォースを探る限り、およそ腹黒い物も見当たらない。
マシカはともかく、チョウの方はかなり乗り気のようだ。
とはいえ、ブーンは自分がジェダイであることを彼等に明かすつもりは無いし、だからこそ偽名を名乗っている。
無法者が跋扈する土地で悪人の敵である身分を晒すなど、自殺行為にも等しいからだ。
先の理由もあって、試合でライトセイバーを持ち出すわけにはいかなかったが、大会で武器が使えるならば好都合である。
その方が決着は早くつく。
( ^ω^)「試合は今日中に終わるのかお」
[ ゜∀゚]「二日間だ。今日は準決勝出場者までが決める。メインディッシュは明日だな」
24 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:48:09.47 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「あんたのシャトルを直す為の費用は、何回戦まで勝ち進めば手に入りそうなんだお?」
[ ゜∀゚]「勝ち進めば進むほど、賞金は高くなる。二回戦まで進めば必要なパーツは買えるぜ」
( ^ω^)「では、僕は三回戦まで進むとするお。三回目に買って得た賞金は、あんたのシャトルの乗り賃に当てるお」
[#゜∀゚]「おいおい。仮に三回戦に勝ったとして、お前はその次の試合は出ないって言うのか?」
マシカが怒るのも無理はなかった。
四回戦を勝ち抜けば準決勝の出場枠を獲得できる。
手に入る賞金も二倍三倍どころの話ではない。
だが、ブーンにしてみればこの星から一刻も早く立ち去りたいのが本音である。
下手に勝ち残って目立つのも良くない。
場を穏便に済ませたいブーンは、いきり立つマシカの前で右手をひらつかせた。
25 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:52:20.70 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「ああ、あんたが怒るのは尤もだお。でも僕は急ぎの用事があるんだお」
[#゜∀゚]「…………」
( ^ω^)「三回戦に勝てば、一・二回戦で得た金と同じ額が手に入る。
それをあんたは一人占めできるんだから、必要以上に欲張ることは無いお?」
[ ゜∀゚]「ああ……そうだな」
〈 ゚−゚〉「?」
すんなりと相手の言い分を認めてしまった相棒に、チョウは内心で首を傾げた。
これは、なんと言えばよいのだろう。
感情を無理矢理抑制されたような。思考を捩じ曲げられたような。
そんな違和感を感じるほど、マシカは急に大人しくなってしまった。
〈 ゚−゚〉「(まさか、さっき投げられ時に頭を打ったのか?)」
( ^ω^)ニヤリ
不可解な現象がブーンの仕業であることなど露にも知らず。
三人の男は来るべき戦いに備えて、入念な打ち合わせを始めるのであった。
26 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:53:42.74 ID:9Ehs4lfxO
※※ ※※ ※※
■夕刻:地下闘技場-控室
[ ゜∀゚]「もうじき出番だぜ」
( ^ω^)「おっ。了解だお」
古の原住民遺跡を改築したコロシアムは、ブーンが想像していた以上に立派な造りとなっていた。
万とは言わないまでも、数千単位の人数を収容できるようだ。
出場選手のために宛がわれたこの控室からも、地鳴りのような歓声が聞こえてくる。
[ ゜∀゚]「準備はいいな?」
( ^ω^)「勿論」
[ ゜∀゚]「随分と余裕じゃないか。これなら安心だ」
( ^ω^)「顔はそう言ってないようだお」
[ ゜∀゚]「…………」
( ^ω^)「マシカは僕をあまり信用してないお?」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 21:55:50.42 ID:pgM02TJ20
フォースは万能なり
28 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:55:55.48 ID:9Ehs4lfxO
[ ゜∀゚]「当たり前だろ。昨日の今日会ったばかりの奴に、なけなしの大金賭けるんだ」
でも、とマシカは付け加え。
[ ゜∀゚]「あのチョウがあんたを高く買っている。
あいつは自分が怪我したからって、他人に責任転嫁をするような奴じゃねぇ。俺はチョウの眼力を信じる」
( ^ω^)「では、その友人への信頼が報われるよう頑張るお」
[ ゜∀゚]「頼むぜ」
スタッフらしき人物が移動するよう伝えてきた。
今頃、チョウは観客席でそわそわしていることだろう。
深茶のローブを纏うブーンは、マシカと共に万雷に包まれる舞台へ赴く。
弥が上にも心が高鳴る。
( ^ω^)「最初はボクシングリング的なものを予想していたけど、趣向は大分違うようだおね」
[ ゜∀゚]「こんな糞広いフィールドに何も置かないなんてつまらないからだろ」
29 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:58:29.08 ID:9Ehs4lfxO
半径五十メートル程の円形空間には砂地が敷き詰められ、大小様々な岩が置かれている。
地上の荒れ地を再現しているのだろう。
得に凝ったギミックがあるわけでもなさそうだが、地形に起伏があるので野戦に近い戦いが再現できそうだ。
( ^ω^)「テレビのスターってのは、皆こういう気分なのかお」
[ ゜∀゚]「歓声に酔ってる場合じゃないぜ。対戦相手がきなすった」
ブーン達の入場口とは逆方向の入口から巨漢がやって来た。
でかい。
身長はブーンの倍近くあるだろう。
上半身も下半身も急所以外の箇所には防具を取り付けておらず、日に焼けた皮膚が露出している。
そして、片手には人の大きさ程もある鉄製棍棒。
圧倒的な貫禄を見せる髭面を見た瞬間。マシカが頭を抱えて悲痛な叫びを上げた。
30 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 21:59:33.53 ID:9Ehs4lfxO
[;゜∀゚]「う、嘘だろ!? よりによって初戦でコイツかよ……!!」
( ^ω^)「おお。やっぱ強いのかお?」
[;゜∀゚]「強いなんてもんじゃない。前大会の準優勝者だよ。前回、チョウは奴に半殺しにされたんだ……」
大会はトーナメント形式が採用されているが、出場選手はその組み合わせを知らされることは無い。
理由は単純。
対戦相手に恐れをなした選手が逃亡することを防止する為だそうだ。
( ^ω^)「おっ。では、チョウの仇討ちの為にも頑張るお」
[;゜∀゚]「正気か? あんたルールを忘れたのかよ!?」
31 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:01:08.07 ID:9Ehs4lfxO
勿論心得ている。
一つ、飛び道具の使用は禁止。
一つ、勝利条件は相手が動けなくなるか降参した場合のみ。
一つ、可能な限り殺生は禁ずる。
よくもまあ、これをルールと言ったものだ。
結局は無粋な殺し合い。
一応、相手が降参した後に攻撃を加えた場合は罰金が課せられるようだが、そんな物をアテにする輩などいないだろう。
ここに押し詰めている観客にしたって、試合の勝敗云々よりも戦士達の殺し合いを目当てにしているに違いない。
その証拠に。
見ろ。
早くも殺せコールが会場を駆け巡っている。
( ^ω^)「んじゃ。行ってくるお」
[;゜∀゚]「ニシカワ……」
( ^ω^)「大丈夫だお。君の友達の目は狂ってないことをちゃんと信じるお」
[;゜∀゚]「…………」
支援
33 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:04:21.13 ID:9Ehs4lfxO
宙に浮くボール型の審判ドロイドが、マシカに下がるよう促した。
相手側のセコンドも巨漢を残して場を後にする。
敵の威圧に臆することなく、ブーンはのんびりとした笑みを浮かべながら進んでいく。
やがて、両者が闘技場の中央で相俟みえた。
二人の接近に合わせて、実況の解説がコロシアムに響く。
( +)「さあ、Bブロックのカードも残すところ一枚となりました。予選第六回戦は大会優勝の大本命、アバスト=グリードの登場だ!!」
( +)「まさか初戦でいきなり彼とぶつかるとはね! 不運な生贄第一号は初出場のニシカワ=ホライズン!」
(#+)「前大会でアバストと戦った奴は優勝者以外、全員病院か墓場に送られた!
果たしてニシカワが行き着く先はベットの上? それとも土の下? それはアバストの機嫌次第だぜ!!」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:04:25.21 ID:pgM02TJ20
しえすた
35 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:06:40.34 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「?」
実況の煽りと紹介が終わった時、あれほど五月蝿く騒いでいた観衆席が急に静かになった。
見れば、巨漢が周囲に静止するよう片手を上げている。
{メ`∀´}「おいおい。初戦の相手がこんなチビ助か。これじゃあ盛り上がりに欠けるよなあ」
指向性マイクで拡大された巨漢の声がコロシアムに響く。
どうやら、試合前のマイクパフォーマンスがこの大会の習わしをのようだ。
ブーンを小馬鹿にする巨漢の台詞に、観衆が支持の笑いを上げる。
{メ`∀´}「見ろよ、こいつのひょろい身体。俺様のショーにこいつは役不足なんじゃないか!? どう思う!?」
役不足の意味が違う。
ぼそりと呟くブーンの声を掻き消して、スタジアム中から割れんばかりのヤジと声援が飛び交った。
皆、ブーンに対して一様に親指を下げている。
依頼主は変に好戦的だから困るwwwww
誤爆した
38 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:09:26.96 ID:9Ehs4lfxO
{メ`∀´}「白豚。貴様はそんな細い棒で俺様と戦うつもりか?」
巨漢は、嘲笑った目つきでブーンの持つ百五十センチ程の棒を棍棒で指した。
木に薄く伸ばした鉄板を巻き付けたものだ。
ブーンが数ある武器からこのタクトを選んだ時、マシカはもっと殺傷力のある得物を奨めたが、彼はそれを最後まで拒否している。
この武器は木よりも軽く、鉄棒より軽い。
師匠の指導でいくつかの古典武器をかじっていたブーン。
刃物が嫌いだった彼は、こと棒術を好んで打ち込んでいた。
だが、こんな代物では敵の棍棒などとてもじゃないが受け止めきれない。
下手に当たればそこで即死。運が良くとも骨折や脾臓の破裂は確実だ。
39 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:13:41.15 ID:9Ehs4lfxO
{メ`∀´}「何をとち狂ってこの大会に出たか知らねーが。加減はしねぇぜ?」
( ^ω^)「望むところだお」
今や、会場内は完全にブーンのアウェイだ。
何処ぞの強肩が投げた飲みかけのアルコール缶が、ブーンにぶつかった。
棒立ちしたまま頭から緑色の汁を垂らす中年男に人々の嘲笑が包む。
{メ`∀´}「ギャハハハハ。情けねぇ。豚にはお似合いの面構えだぜ」
( ^ω^)「一つ、聞いていいかお」
{メ`∀´}「なんだ。へへ……怖くてママにオムツ代えてもらいたくなったか?」
( ^ω^)「あんた。独楽は好きかお」
{メ`∀´}「こまぁ? 何を言うかと思えば……」
脈絡のない、素っ頓狂な質問。
巨漢は下卑た笑いを見せつつ、無言で中指を立ててブーンの顔に唾を吐きかけた。
挑発的なパフォーマンス。
憤慨したマシカが近くの壁を破壊しようと躍起になり、慌てたスタッフ達と衝突する音が聞こえた。
40 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:15:20.31 ID:9Ehs4lfxO
( ^ω^)「嫌いかお? 独楽」
{メ`∀´}「ハッ、嫌いだね! 餓鬼の玩具じゃねーか。
そうだな…… お前が死んだら墓場に添えてやるよぉ!!」
試合開始の鐘が鳴った。
凶暴な声を上げながら、凶漢が棍棒を打ち落とす。
( ^ω^)「!!」
紙一重。
耳を掠める質量の音を聞きながら、ブーンが跳んだ。
[;゜∀゚]「あっ」
(#^ω^)「疾ッ!!」
{メ;`∀´}「ゲフッ!?」
41 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:17:15.76 ID:9Ehs4lfxO
槍のようにして突き出されたブーンの棒が巨漢の喉仏を潰す。
神速の急所攻撃に目を見開く巨漢。
続け様に膝に激痛が走る。
{メ;`∀´}「は、はやッ……!」
連撃だ。
棒の中央に手を据えたブーンは、入念に強化された両端部位で巨大な人間を打ちまくった。
{メ#`∀´}「がっ! グッ!?」
( `ω´)「まだまだまだぁ!!」
打つ。打つ。打つ。打つ。打つ。打つ、打つ。
風を切る音と共に反撃をする余地を与えぬ攻撃が砂塵を舞う。
ブーンの振るう棒は、観客席から見れば鞭のようにのたくって見える筈だ。
防具の合間に突き刺さる激痛に耐え兼ね、ついに巨漢が片膝をついた。
( ゚ω゚)「疾ッ!」
{#);`∀´}「ガッ!?」
支援
43 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:19:45.18 ID:9Ehs4lfxO
そこへ、後頭部を狙った渾身の一撃。
まだだ。まだ足りない。
もっと攻撃を加えねば。
敵の脳震盪を狙うブーンは、身体全体を唸らせながらひたすら巨漢を打ち据える。
彼の操る鉄棒も、無茶苦茶な動作に悲鳴を上げながら敵を襲う。
(#`ω´)「ォオオオオオオオ!!!」
{メ#`∀´}「……!!!」
(#`ω´)「ォオオオオオオオ!!!」
{メ#`∀メ´}「……!!」
(#`ω´)「ォオオオオオオオ!!!」
{メ#メ`∀メ´}「…」
(#`ω´)「ォオオオオオオオ!!!」
{メ#メ ∀#メ }「」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:20:57.05 ID:pgM02TJ20
ブーn いやニシカワ疾ぇぇぇ
45 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:23:03.09 ID:9Ehs4lfxO
[;゜∀゚]「ニシカワ待った! もういい! ストップストップ!!」
(#^ω^)”「オオオオオ……お?」
マシカの叫びが耳に入り、鬼のような猛攻を続けていたブーンが、ふと手を止めた。
[;゜∀゚]「ば、馬鹿野郎。限度ってもんがあるだろ……相手を殺したら減額だぜ?」
(;^ω^)「お?」
{#)メ∀(#}「…………」
そこには、地面に膝をついたまま失神する男が一人。
顔は原型を留めない程に腫れ上がり、血だらけだ。
頭部に喰らった初撃で既に意識を奪われていた優勝候補は、口から泡を噴きながら砂地に身体を埋めた。
支援
47 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:26:22.31 ID:9Ehs4lfxO
〈;゚∀゚〉「すげぇ。すげーよ。やっぱり俺の目は狂ってなかった……」
唖然とする観客達。
巨漢側のセコンドも口を開けたまま凍りついている。
会場は、完全に静まり返っていた。
(;^ω^)「(やべー。調子に乗って手加減するの忘れてたお……)」
(;+)「し、勝者……ニシカワ=ホライズン」
無音のスタジアムの中。
実況が怖ず怖ずと試合の終了の旨を告げた。
to be continued...
乙
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:28:08.98 ID:pgM02TJ20
乙っしたー
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:29:07.85 ID:/7FBGjSz0
乙
51 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:30:01.54 ID:9Ehs4lfxO
今回の投下は以上です。
え〜、戦闘描写が明らかに手抜きになってますね。
まだまだ研究不足。次回は頑張って書こうと思います。
質問等、ありましたらどうぞ。
続きが気になりますね。
ブーンの強さはジェダイの中ではかなり上のほうですか?
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:32:35.54 ID:pgM02TJ20
あまり関係ないかもしれませんが、ツンはいつくらいにでますか?
54 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:32:36.64 ID:9Ehs4lfxO
いけない。大切な言葉を忘れていました。
支援して下さった方々、有り難うございました!
55 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:39:01.05 ID:9Ehs4lfxO
>>52 中の上です。
ブーンにはダブルライトセイバーの為だけに編み出された彼独自のフォームがあるので、
初見で戦ったジェダイは相当な場数を踏んでいない限り、彼の動きに翻弄されるでしょう。
>>53 次のエピソード辺りで登場させようかな、と思っています。
三部作構成にする予定なので、彼女の役回りだと結構活躍するかも。
回答ありがとうございます。
続きを楽しみにしています!
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 22:42:39.79 ID:pgM02TJ20
>>55 ありがとうございます
ツンのツンデレに期待!
58 :
◆909zxcTVWc :2009/03/14(土) 22:57:04.20 ID:9Ehs4lfxO
では、今日はこの辺りで退散します。また次回お会いしましょう。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/14(土) 23:09:51.87 ID:pgM02TJ20
改めて乙
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
今追いついた!!!!
乙!!