( ^ω^)ブーンはフォースを駆るジェダイのようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:05:30.94 ID:9apSDfXQO
>>1感謝であります。
※本編を読まれる前に※
・この物語はG.ルーカス監督のSF映画『スターウォーズ』シリーズを元ネタとしています
・基本的なコンセプトは同じですが、物語の進行上(或いは作者の無知故に)
オリジナルとは多少違う設定を構える可能性があります
あと、携帯仕様でひょっとしたAAがおかしくなってるかもしれません。
その時は御一報下さい
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:05:57.10 ID:C6Bxu+vS0
期待支援
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:07:02.43 ID:9apSDfXQO
遠い昔、遥か銀河の彼方で―――――
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:09:55.67 ID:9apSDfXQO
Episode1:ジェダイ新生
およそ三百年前。
反乱軍蜂起という形で幕を開けたスターウォーズは数百の星々を巻き込みながらも、
長きに渡って恐怖政治を振り撒いてきた銀河帝国を終焉へ追い込むことに成功した。
夜が過ぎ。朝が来た。
民主主義の復活である。
自由と平和を取り戻した人々は再び銀河の安定と正義の秩序を取り戻すべく復興の道を歩み始める。
しかし、一度断ち切られた各惑星間の足並みは思うように定まらず共和国再編は難航を極めた。
政治的思惑と文化間の摩擦により、各地で小さな小競り合いが頻発し始めたことに危惧した当時のリーダー達は、
帝国崩壊最大の功労者にして宇宙最後のジェダイ『ルーク=スカイウォーカー』に助けを求めた。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:10:41.73 ID:eTUdiyrXP
うおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
支援支援支援支援支援支援支援!!!!!!!!!!
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:12:26.42 ID:9apSDfXQO
祖国で静かに銀河の行く末を見守っていたルークは、ジェダイの復活こそがその最善の道であると彼等に説く。
ジェダイとは、万物の魂に等しく流れるマクロでありながらミクロな存在とされる
『フォース』なるエネルギーと交流する者達の総称である。
帝国創立以前。かつての銀河共和国の長年の繁栄と安定は、このジェダイ達が陰から支えていたからこそのものであった。
有志達は、今は亡き帝国皇帝の策略によって絶滅に追いやられたジェダイオーダーを再生すべく、
ルーク=スカイウォーカー指揮のもと銀河の方々をかけ巡り、ジェダイの資質を持つ者達を育成してていくこととなる。
新統一歴289年。
戦争の傷痕も癒え。銀河にささやかな平和が訪れ始めていたこの時代。
これから綴られる物語は新生共和国生誕三百周年という節目に生きたジェダイ達のエピソードである。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:14:23.73 ID:9apSDfXQO
〜SHOT-1〜
( 〓ω〓)「…………」
四番星系・第ニ惑星『4C-02』
識別する為だけに取り付けられ、およそ惑星らしい名前を与えられていない星。
大地の六十パーセント以上が砂漠となっているそのど真ん中の地を一台のスピーダーバイクが走っている。
(;〓ω〓)「…………」
反重量制御されたこの二人乗りの浮遊型移動機械は、徹底的に微細化された地面の粒子達に影響されることもなく、
灼熱の太陽が見守る中で順調に目的地へと進んでいた。
(;〓ω〓)「糞熱いお。こんな事ならワイドフード型を買うべきだったお」
地元住民から買い取った中古のスピーダーには、風や砂埃から運転手を守ってくれるウィンドブレイカーが付いていない。
( 〓ω〓)「日の入りまでまだ十時間もあるお。ビコーズの奴、ちゃんと夜中に移動できるように頼んでおいたのに……」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:16:34.94 ID:9apSDfXQO
先程から文句を垂れ続けているこの運転手。声色からして男のようだ。
深茶を基調としたローブにすっぽりと身を包んでいる為にその全容を知ることはできないが、
風になびき、はだけた服の隙間からは鍛えられた腕の筋肉が覗いている。
(;〓ω〓)「イテッ!? イテテテテテ! ちょwwwwww小石がwwwwww」
時折吹きすさぶ風で宙に舞った小石が男へ容赦なく襲い掛かった。
小回りが効くからと男はあえてオープンタイプのスピーダーを選んだのだが、こうも熱波と微小粒子に攻め立てられては敵わない。
支給品の被りが深いローブと露店商にオマケで貰った安物ゴーグルで凌ぐにはやはり限界がある。
( 〓ω〓)「おっおっお。もうそろそろ出てくるころだお」
だが、これから起こるであろう事態に比べればこの程度の砂埃など何のその。
ヒビ入りメーターの横に備え付けたナビゲーションが取って付けたようなガラガラ声で運転手の男に警告を発した。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:18:45.48 ID:9apSDfXQO
『まもなく立入禁止区域に入ります。ここから先はA級危険生物の住み処です。
内臓をぶちまけて死にたくなければ、今すぐ進路を変えましょう!』
( 〓ω〓)「なんつーナビだお。口の効き方に気をつけろお」
かつて、この惑星に住み着いていた住人達が打ち上げた衛星から、
今もなお発信され続ける位置情報を男は読み取るとアクセルを全開にする。
勿論、警告に従って進路を変えるつもりなど最初からない。
危険区域のど真ん中を突っ切るこのルートこそが目的地への最短距離だからだ。
( 〓ω〓)「なにより命の危険なんて日常茶飯事だお」
ごう、と言う地響きが聞こえた。
宙に浮いているスピーダーはその速度を維持し続けているが、男は辺りの空気が一変したことを瞬時に感じ取る。
さあ、ここからが正念場だ。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:20:31.52 ID:9apSDfXQO
『ギャァァァァアアァァァアァァァア!!!』
男が進む先。前方の砂が突如として隆起した。
引力に逆らい、澄み切った青空へどこまでも伸びていく砂の塔。
猛スピードで疾駆していた男は、相対的に圧し潰さんと迫ってくる粒子の大木を間一髪避ける。
そして、その奇怪な現象には見向きもせずにアクセルをさらに強く踏み込んだ。
『ギギギギギギ!!』
( 〓ω〓)「おっおっお。珍しい餌を見て興奮してるのかお? 喰ったら腹壊すお?」
砂塔の正体が現れた。
これぞ、世にも珍しい砂漠地帯にのみ生息する巨虫『サンドワーム』である。
白い芋虫をひたすら巨大化させたようなその風貌。
乾いた色で埋め尽くされたこの殺風景な土地にしてはあまり似つかわしくない体色だ。
普段は砂中を移動するこの大瀑布の怪虫は、スピーダーが発する振動音を敏感に聞き取って男を待ち伏せしていたのだろう。
別名、砂漠の地獄耳とはよく言ったものだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:20:36.69 ID:C6Bxu+vS0
支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:21:47.91 ID:eTUdiyrXP
おもしれえwww久々の名作の気がする支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:24:13.44 ID:9apSDfXQO
訂正> 猛スピードで疾駆していた男は、相対的に圧し潰さんと迫ってくる粒子の大木を間一髪で避ける。
『ンギャアアアアア!!』
( 〓ω〓)「通行料くれってか。ちゃんと法規に則った金額にしているかお?」
『ギャルルルルル!!』
( 〓ω〓)「おっと!」
サンドワームが厄介視されている理由は、その旺盛な食欲を満たす超脚の存在があるからに他ならない。
端から見れば普通の芋虫のような移動法だが、何せ全長五十メートルの巨駆である。
一回毎の動作で進む距離が尋常ではなかった。
通常、サンドワームは時速五十キロで大地を疾走すると言われている。
当然ながら徒歩で逃げ切れるような相手ではない。
だからこそ、男は可能な限り空気抵抗が少なくてパワーが出るオープンスピーダーを旅路の脚に選んだのだ。
中途半端なメンテナスのせいでどれだけアクセルを吹かしても時速百キロ程度しか出せないが、これだけあれば支障はないだろう。
(;〓ω〓)「と、思ってたのにぃい!」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:26:19.39 ID:9apSDfXQO
『ウギャアアアアアアア!!』
ところが、走れども走れども男とサンドワームの距離はまるで変わらない。
いや、むしろ縮まっているぐらいだ。
( 〓ω〓)「んなバカな。計器が狂ってるお?」
速度を表示するアナログメーターを男は確認してみるが、故障らしき箇所を見つける事ができない。
ちなみに、男がサンドワームと遭遇するのはこれで四度目だった。
二つは別の星々で野性として。
一つはサーカスの見世物としてだ。
前者に関しては、やはり今のように地面からにょきりと生えた状態から襲われたが、
何れも今回とさして性能の変わらぬ乗り物で、その獰猛な回転鋸歯から逃れている。
つまり、こんな経験は初めてだった。
今までと何が違うのだろう。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:27:05.49 ID:C6Bxu+vS0
支援
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:28:44.09 ID:9apSDfXQO
( 〓ω〓)「ん〜。砂虫は機嫌が良い時には時速六十キロ近くで走ると言われているお。
ムツゴロウ一族が言っていたし、何より僕が経験済みだお」
サンドワームは体温の調節ができない変温生物だと言われている。
およそ二十五時間周期で昼夜が逆転するこの惑星4C-02は、一度夜の帳が下りると氷点下近くまで気温が下がってしまう。
日が高くなると、サンドワームは冷えた身体を暖めるために地上へ出て散歩をする。
そうしなければ血流が鈍って死んでしまうからだ。
現時刻、まだ太陽が昇り初めて五時間ほどしか立っていない。
つまるところ朝ということになる。
サンドワームは寒さが苦手だ。
サンドワームは苦手な物があると機嫌が悪くなる。
サンドワームは機嫌が悪くなると何だか無性に全力で走りたくなる。
その速度。およそ時速百二十キロ。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:30:33.50 ID:9apSDfXQO
(;〓ω〓)「それだああああ!」
『ウギャアアアアアアア!!』
( 〓ω〓)「くっ!」
一気に男との距離を詰めたサンドワーム。
直径十メートルの口膣が男を一飲みしようと迫りに迫る。
巨虫は、目の前をチョロチョロと走るこの生物を運動がてらの朝食にしようと考えていた。
さしたる栄養にはならないが、消化器官が十分に動いていない今の体調には調度良い分量だったからだ。
『間もなく危険区域を通過します。この時間帯のサンドワームは凶暴です。
通常の三倍の速度で移動するのでご注意下さい!』
(#〓ω〓)「シャア乙! そして言うのが遅いっ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:32:43.91 ID:9apSDfXQO
高速で進む二つの影は、気付けばこの大瀑布の一つの終着点に差し掛かっていた。
惑星4C-02の六割が砂漠なら、残りの四割弱はグランドキャニオン(大峡谷)だ。
かつての地殻変動で隆起し、数千年の歳月を経て侵食と変形を繰り返したその多層谷は、
岩壁で作り上げられた天然迷路となっている。
男が目指すその一角を上空から見れば、あちこちに亀裂が走ったいびつな皿のように見えるだろう。
( 〓ω〓)「あそこの何処かにに彼女達がいる筈だお」
入り組んだ立体迷路たるグランドキャニオンに逃げ込んでしまえば、巨大なサンドワームはそれ以上追ってくることはできない。
宇宙生物の一般体型『ヒトガタ』の容姿を持つ男にとっては、幅二十メートル・高さ数百メートルの亀裂を通行するには十分過ぎるサイズだが、
サンドワームに取ってはただの窮屈な割れ目でしかないからだ。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:34:18.33 ID:RukfXczV0
wktk
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:34:22.33 ID:DIkbni2PO
支援す
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:34:40.06 ID:9apSDfXQO
( 〓ω〓)「でも、峡谷に逃げ切る前に追い付かれてしまうお」
当初は百メートルほどの差があった一人と一匹の距離も、今や肉薄にも勝るほどのものとなっている。
軽量性を重視したスピーダーに武装は施されていない。
唯一およそ武器と言える代物が男の懐の中には納まっているが、当の本人はそれを使う気になれなかった。
( 〓ω〓)「仕方ない。このままミンチにされるわけにもいかないし、いっちょやるかお」
男はおもむろにハンドルを急旋回させると、先程まで進んでいたコースと直角になる形に進路を取った。
小回りに強いスピーダーは、今まで保っていた速度を殆ど殺すことなく主人の命令を実行する。
前触れもなしに獲物が進行ベクトルを変えた為、図体が大きいサンドワームは轟音を上げて急制動をかけた。
前胴を地面に押し付け、勢いが死んでいない後胴がそのまま滑るようにして時計周りに回転する。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:37:29.49 ID:9apSDfXQO
(;〓ω〓)「うわっ! ペッ! 凄い砂埃だお」
三トン強の質量が生み出すドリフトは、地面に敷かれる何千億という粒子を空中にぶちまけた。
それが風に乗って周囲一体を包みこみ、目の悪いサンドワームの視界を砂色に染めていく。
『グルルルルルル』
( 〓ω〓)「来いお。お前に朝食をくれてやるお」
何を思ったのか、男はせっかくサンドワームとの距離を開けたにも関わらず、
怪虫から数百メートル手前の位置でスピーダーを停止させていた。
それも、煙の中を突き進んでくるワームと向き合う形を取っている。
このまま突っ立っていれば、どうなるかは一目瞭然だ。
『ギャオオオオオオ!!』
(#〓ω〓)「ふん!」
パクリ、という擬音が聞こえた。
ひしゃげたスピーダーを宙高く衝き上げたサンドワームは、やがて自由落下してくるそれを口の中に納めてしまう。
岩すらくり抜く強靭な歯と顎が薄っぺらい金属物をかみ砕く音が辺りに響く。
男の姿は何処にもない。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:38:58.18 ID:9apSDfXQO
砂|〓ω〓)b「ポチッとな」
『ガハッ!? ウギャアアアアアアア!!??』
衝突の寸前。
スピーダーから身を投げ、焼けるような砂風呂に身を突っ込んだ男が手元のスイッチをぐいと押した。
すると、サンドワームの身体の中からくぐもった爆発音が響き、
中々血の味が感じられないことに訝しがっていた怪虫の口から真っ暗な煙が吹き出し始める。
スピーダーに仕掛けられていた小型爆弾が起動したのだ。
( 〓ω〓)「おっおっおっ。だから言ったお? 食べたらお腹を壊すって」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:42:04.47 ID:9apSDfXQO
くねくねと曲がる煙突のような出で立ちで苦しそうに暴れるサンドワーム。
あらゆる攻撃から身を守ってくれる厚い脂肪表皮も、内部を直接攻撃されてしまっては形無しだ。
口内と食道を熱消毒されたサンドワームは、冷たい水を求めて轟音をあげながら地中へと姿を消した。
( 〓ω〓)「うげ……ここから徒歩かお」
たっぷり五分。
ワームがいなくなった事を確認した男はようやく地面から身体を離すと、纏わり付く砂を手で振るい落とす。
あのデカブツが作った視界不良の砂嵐のおかげで、衝突するまでに余裕を持って身を隠すことができた。
保険的な意味合いで用意した小型爆弾。
あの程度のもので瀑布の珍虫が死ぬとは思えないが、当分の間は大人しくしてくれるだろう。
これから訪れる岩壁迷路は彼の虫の住み処のど真ん中にある。
任務を終えて帰路に就くときぐらいはのんびりしたい。
sien
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:44:03.47 ID:9apSDfXQO
( 〓ω〓)「目測一キロってところかお」
蜃気楼でユラユラとうごめくグランドキャニオンを目指し、男は二本の足で柔らかい砂地を蹴り出す。
途中、喉が渇いた男は水筒を取り出そうと懐を漁るが、
最低限の備品意外は全てスピーダーのコンテナに格納していたことを思い出し、がっくりと溜め息を吐いた。
※※※※※※※
(;〓ω〓)「つ、ついたお」
地盤というものが感じられない瀑布の大地は、思っていた以上に男の体力と時間を奪っていた。
ようやく辿り着いた目的地。
高くなった体温を下げようと手を扇いでみるが、顔に吹き付けられるのはひたすらの温風。
風を受けて涼しく感じる事ができるのは汗のお陰だ。
これだけの気温だと汗腺からでた体液も一瞬で蒸発してしまい、肌はひたすら乾燥してしまうのである。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:45:57.52 ID:HThOd5Ls0
私怨
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:46:44.06 ID:9apSDfXQO
(;〓ω〓)「ちょ、ちょっとだけ休憩……」
ふらつく足を鞭打って、男は容赦なく熱波を仕掛ける太陽から逃れようと、
雄大な巨壁によって生まれた日影へ逃げ込んでいく。
途端。今まで感じていた暑さが嘘のように無くなった。
(;^ω^)「う〜。日影様々だお」
先の騒動でついに壊れてしまったゴーグルを投げ捨てた男は、ここで初めて深々と被っていたフードを頭から外した。
見た目、三十代半ばだろうか。
ローブに映える薄茶の短髪。
平均的な身長に、少しふっくらとした顔立ちを持つ成人男性だ。
人懐っこそうな目でぼんやりと天を仰ぐ男。
冷たい風が大峡谷の奥から吹いてくる。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:49:09.35 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「こんな人気もない砂漠で人捜しだなんて。
ジェダイカウンシルも無茶を言うお……探索するこっちの身にもなって欲しいお」
男の名前はナイトウ=ホライゾン。
新生ジェダイによって育てられた万物の根源『フォース』の奉仕者。
親しい者達からは、ブーンというあだ名で呼ばれているジェダイナイト・ナイトウ=ホライゾンは、
音信が途絶えて五日がたつ同朋達を捜す為に、この辺境の惑星へと派遣されていた。
――――
――――――
――――――――
・今からおよそ十五時間前
■首都惑星『VIP』
( ^ω^)「探索任務ですかお」
資源衛星でのレアメタル採掘監視任務から帰還したブーンは、
到着早々、ジェダイカウンシルが設置されている寺院へと召喚されていた。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:51:47.63 ID:9apSDfXQO
ジェダイカウンシル。
評議会とも呼ばれるこの組織は、幾千余名のジェダイ達を一つの意思へと束ね、
彼等にあらゆる任務を授けるジェダイの最高意思決定機関である。
なまじ、単調な任務故に報告書だけで事を済ませようとしていたブーンは、
休みすら与えてくれないカウンシルのこの突然の召喚に、先行きが怪しい何かを見て取っていた。
(,,゚Д゚)「そうだ。四年前のバレンチ紛争を覚えているか?」
( ^ω^)「はい。僕も二度ほど難民救済の為に、当地へ派遣されたことがありますお」
評議会室はゆったりとした円形広間を採用していた。
七つの椅子が等間隔で円を為すようにして並べられ、広間に入って来た者を囲むような狙いで配置されている。
若干名の空席が目立つその円の中央に、今ブーンは立っていた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:52:42.90 ID:RukfXczV0
C
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:55:30.46 ID:9apSDfXQO
(,,゚Д゚)「そうだったな。察しはついてると思うが今回の一件はその内紛絡みのものだ」
先程からブーンに話し掛けている鋭い眼光を持つ男は、
ブーンと同じく深茶と白を絶妙に組み合わせたローブを着込んでいる。
椅子に座る他のメンバーも似たり寄ったりの恰好だ。
実はブーンを除くこの場にいる全員が、
ジェダイの長にしてフォースの真理を極限にまで極めた覇者の証、『マスター』の称号を持つ者達であった。
つまり、ブーンの上司ということになる。
/ ,' 3「内紛自体は共和国の仲介によって既に決着はついておる。
だが、決着後にレジスタンス達が保有していたと思われる兵器と、
当時のブラックマーケットで流通していたバトルドロイドの数に、かなりの誤差が見受けられるのじゃ」
( ^ω^)「つまり、レジスタンス達は何処かにドロイドを隠していると?」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 22:57:43.88 ID:9apSDfXQO
小さな緑色の生物がブーンの問い掛けに頷いた。
その容姿はブーンや鋭眼の男のようなヒトガタではない。
皺だらけの喉から発せられる掠れた声からは、
数十年の賜物という言葉では形容できない程の深さと威厳に満ち々ちている。
(,,゚Д゚)「今から八日前。PMC(民間軍事企業)が、
13番星系での演習中に奇妙なゴーストシップを発見した」
( ^ω^)「幽霊船? 漂流ですかお?」
(,,゚Д゚)「いや。船内はもぬけの殻だったらしい」
鋭眼の男はPMCが回収した宇宙船の設計図と、当時のレジスタンス達の詳細な記録をホロスクリーンに映し出した。
青白い光で立体構成された船は何かの貨物船のようにも見える。
(,,゚Д゚)「そう。こいつは中型の輸送船だ」
( ^ω^)「奇妙、と言われましたお。
旧式のようですが、その船は何がおかしいのですかお?」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:00:34.11 ID:9apSDfXQO
(,,゚Д゚)「空だったんだ。船内の貨物室がな」
( ^ω^)「お……何らかのトラブルで救助された乗組員が後で回収したのでは?」
/ ,' 3「残念ながら当該宙域でここ数十年の間に貨物船が遭難し、救助されたという記録はないんじゃ」
それどころか、発見された船はエンジンも生命維持装置もしっかりと機能しており、直ぐにでも稼動できる状態だったらしい。
船はデブリ群の狭間に隠すようにして放置されていた。
内部で争われた形跡もなく、海賊に襲われた可能性も低いだろう、というのが調査に当たったPMCの見解である。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:02:07.83 ID:9apSDfXQO
/ ,' 3「そこで一つの仮説が生まれた。
発見された船は、5・6年前までは中古で安く手に入る輸送船として、
レジスタンスやテロリスト達に広く重宝されている代物じゃった」
(,,゚Д゚)「まさか武装集団が鉄鋼や特産品を運ぶわけでもあるまい。
抹消されていた航行データを部分的に復元したところ、
その船が最後に動いたのは、バレンチ紛争が事実上終結する十日前だった事が判明している」
( ^ω^)「お、ではまさか……」
/ ,' 3「消えたバトルドロイドが載せられていた可能性は高いのう。
重税に苦しんで立ち上がったバレンチの民らが、国王の約束をそう簡単に信じるわけがあるまいて」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:04:16.79 ID:Gf8A+lR7O
支援と共にあれ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:04:46.11 ID:9apSDfXQO
当時、ひたすら帝政を続ける惑星バレンチの国王と銀河共和国の加盟を訴える民衆との間で、いくつかの星を加えた大規模な紛争が起きていた。
戦火拡大を危惧した銀河共和国は、複数人のジェダイとPMCの一角であるオオカミ社の軍事力を背景に、
この争いを半ば強制的に沈静化させている。
共和国の介入は関連する全大型組織の武装解除を意味していた。
あくどい王政復古を何度も経験してきたレジスタンス達は万一の時を考え、
慌てて戦力の一部を何処かに隠したのだろう。
そして足が付かないよう、ひっそりと輸送船を隠した。
(,,゚Д゚)「輸送船の規模から考えて、ドロイドは百体ないし二百体ほどが積載されていたと考えられる」
(,,-Д-)「野放しになった”軍隊”を共和国としては見過ごすわけにはいかん。
ドロイドはプログラムを入力すれば何時でも誰とでも戦えるからな」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:06:48.55 ID:9apSDfXQO
もし悪意ある者が見つけたら、ということが言いたいのだろう。
「では、その幻のドロイド軍を見つけることが任務ですね」
とブーンが問うと、二人のジェダイマスターは同時に首を横に振った。
/ ,' 3「実はの、それらしき物は既に発見されておる。
マスター・クールとその弟子が船が隠されていた場所の近くにある惑星で、
未確認の地下施設を確認したという報告が入っていての」
(,,゚Д゚)「ちなみに、我々が確認した彼女達の通信はそれが最後だった……
これが今からおよそ三日前のことになる」
(;^ω^)「三日!? まさか、音信不通ですかお?」
(,,゚Д゚)「磁気嵐のせいかとも思ったがどうにも違うようだ。
何かしらのイレギュラーに出くわしたらしい」
/ ,' 3「マスター・ホライゾン。
君の任務は行方不明になったマスター・クールとパダワン・スズキを発見し、
必要とあらば彼女等の仕事の補助をすることじゃ。
事態は火急を要する。頼めるかの?」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:07:09.33 ID:RukfXczV0
C
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:08:54.94 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「イエス、マスター・スカルチノフ。準備が完了次第、直ぐに発ちますお」
(,,゚Д゚)「まさかとは思うが用心して事に当たれ。
マスター・ホライゾン。君にフォースの導きがあらんことを」
――――――――
――――――
――――
( ^ω^)「よし、行くかお」
行方不明者。 それも、ジェダイの捜索を言い渡されたブーン。
早速行動に出た彼は、その日のうちにいくつかの星系を経由し、この荒涼たる大地に降り立っていた。
ジェダイナイト・クール=レヴァンティエと言えば、師匠譲りの強力無比な殺陣を持つことで有名だ。
そして彼女の弟子であるパダワン・スズキ=タムラもまた、しっかりとその資質を受け継いでいると聞く。
余程の事でなければ、二人の任務に支障をきたすことなど無い筈である。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:11:47.84 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「……シス、かお?」
高次元の武術を体得しているジェダイにも天敵はいる。
それは、フォースの闇に魅入られた者達。
俗に『シス』と総称される彼等は、往々にしてジェダイを憎んでいる者が多い。
機会があればその首を跳ねようとするのが常であり、常に両者は対立し続けていた。
嫌なイメージがブーンの脳内を駆け巡るが、彼はまさかとかぶりを振る。
この星は荒れてはいるものの、脈々と流れるフォースはとても穏やかだ。
ダークフォースを纏う者がいれば、星はここまで静かではいられない。
( ^ω^)「うむむむむ」
フォースと言えば、クールやスズキの気配もまるで感じられなかった。
最後の通信で残されたクール達の位置情報は、この大峡谷こそがそれであると示していたが、
こうも肩透かしを喰らうと、何だか間違えた場所に来てしまったのではないかと錯覚してしまう。
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:12:40.33 ID:RukfXczV0
ほ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:14:14.42 ID:bVqCHPPUO
ほっしゅん
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:14:15.75 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「気配を殺しているお?」
それならば説明がつく。
だが、何故?
(;^ω^)「そんなもん知るか。
しかし……これだけの広さを隈なく捜し回るとなると、一日以上は掛かってしまうお」
不測の事態に備えて、ブーンは自分の宇宙船を安全だと思われる場所にしっかり隠していた。
三日経過しても帰って来ないようであれば、この空域に来るようアストロメクドロイドに命じてあるが、
今ここで呼び寄せて、何処かに潜んでいるであろうクール達に、こちらの位置を知らせた方が良いのかもしれない。
(;^ω^)「うほっ。圏外……」
唯一、船との通信が可能コンパクトデバイスの電波強度は零だった。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:15:11.18 ID:oHyV8yZ30
しえん
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:16:51.73 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)…
( ^ω^)
( ^ω^)”「!」
唐突に猛烈なフォースのうねりをブーンは感じた。
一瞬間の出来事だったが、氷のようなこの透けた感覚にブーンは覚えがある。
( ^ω^)「やっぱりクーは近くにいるお」
恐らく、ブーンが峡谷に入った時から意図的に放出していたフォースの違和感を先方が感じ取ったのだろう。
嬉々としたブーンは、放たれた歪みの根源へ進んでいくことにした。
途中、登ることなど到底できない絶壁がブーンの行手を阻んだが、
あらかじめ衛星軌道上で撮影した画像を参考に最短経路の迂回をする。
時には死者すら出す天然迷路も、宇宙から全容を見てしまえば怖くない。
ほ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:20:16.87 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「さて、この辺りだったと思うけど」
太陽がいっそう高くなり、昼としての時間帯が半分ほど過ぎた頃。
ブーンはもう痕跡すら残っていない違和感の場所へと辿り着いていた。
そこは今まで通ってきた何かが飛び出してきそうな雰囲気を放つ一本道ではなく、だだっ広い広場となっている。
道中の植物から搾り出した水を少しだけ口に含み、辺りの気配を探ってみるブーン。
( ^ω^)「…………」
が、それらしき手応えはない。
辺りは大きな岩がひたすら転がっており、
遠くからは崖の隙間を通る事で生まれる風の独特な鳴き声だけが響いている。
ポリポリ
(σ;^ω^)「むむ。あの長髪無口変態巨乳は何処に行ったお?」
(^ω^ ) ゚ -゚)「長髪無口変態巨乳美女で悪かったな」
(^ω^ ) ゚ -゚)
(^ω^) ゚ -゚)
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:23:47.20 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「別に美女とは言ってないお」
こつんと後頭部に指を当てられたブーンは、
無愛想な口調で「五月蝿い」と呟く女性へ笑いながら向き直る。
ブーンの目に映る人物は、まさに彼が捜し求めていた行方不明のジェダイ、クール=レヴァンティエその人であった。
( ^ω^)「おっおっお。久しぶりだおクー。
記憶が正しければ、君に後ろを取られるのはこれで三度目だお」
川 ゚ -゚)「この悠久でありながらかくも厳しい大地が私のフォースと心身を強くしたのさ。
どうやら私にはマゾッ気があったらしい」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:24:13.86 ID:RukfXczV0
ほ
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:26:59.82 ID:9apSDfXQO
無表情で似合わない洒落を言うクール。
彼女もブーンと同じく『ナイト』の称号を持つフォースの玄人であった。
ジェダイお馴染みのローブを羽織るクールはブーンよりも背が高く、スレンダーな印象を受ける。
本来ならば推定Dカップの豊かな胸が、黒い眼と黒い長髪を称える美しい顔立ちの下で自己主張している筈だ。
しかし、日光で皮膚が火傷しないよう幾重にも巻かれた布のせいで、今のブーンはそれを御尊拝することが叶わない。
( ^ω^)「それにしても酷い格好だお。何処の仙人様だお?」
川 ゚ -゚)「ここ数日まともな生活をしていないからな。
砂漠のど真ん中とだけあって食料事情が芳しくないのだ。
最近食べた物はといえば、昨日の昼に見つけた道草の種くらいだし……」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:28:40.15 ID:GglCSYN8O
やっぱりクーは変態じゃないと支援
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:28:59.52 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「ちょ、大丈夫かお。なんかフラフラしてるけど」
川 ゚ -゚)「正直、立っているだけで限界だ。あと五秒で私は倒れて気絶するだろう。
その前に言っておく。ブーン、あのV字に割れた道を進むんだ。
私の弟子が……スズキがそこにいるはずd……」
(;^ω^)「おっとお!」
言い終わらぬ内にクールは本当に倒れてしまった。
地面に突っ伏す前に慌ててそれを抱き抱えたブーンは、クーを慎重に背中に担いだ後、
言われた通りの場所へ進んで行こうと再び歩を進める。
容態が気になって、少し気になって耳を澄ましてみれば、
淡泊な性格に似合わない可愛いらしい寝息が聞こえてきた。
(;^ω^)「まったく。体力がないなら気配なんか殺して近づくなお。
何の為にその脂肪を溜め込んでるんだお」
柔らかく背中を圧迫してくる女性の神秘にブーンは思わず毒を垂れるが、それに対する返答はなかった。
何故、クールはここまで衰弱しているのか。
何故、クール達は気配を殺していたのか。
それを聞く前に彼女にちゃんとした栄養を摂取させる必要がある。
恐らく弟子のスズキも似たような状態だろう。
やれやれと溜め息をつきながらブーンは、
焦げるような日照りを避けつつ、乾いた大地を踏み締めるのであった。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:30:47.04 ID:RukfXczV0
ほ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:32:18.61 ID:9apSDfXQO
※※※※※※※
川 ゚ -゚)「いや〜食った食った。普段はひたすら糞不味いレーション(携帯食料)でも、
空腹が極限にまで達すると高級料理になるのだな」
爪*゚〜゚)「でも、ドライタイプは口の中の水分を根こそぎ奪っていくであります。
同じレーションでもウェットタイプの方が断然美味しいであります」
(#^ω^)「手前ら。言ってることとやってることが正反対だお。
二日分の食料を五分で食い尽くしやがって」
肌寒さを感じる程の小さな洞窟。
情けない再開の後、ブーンは師の帰りを待っていたパダワン・タムラ=スズキと合流。クールの介抱を行った。
が、軽い脱水症状から回復して目覚めたクールの第一声が
「飯」とは一人の女性として如何なものか。
( ^ω^)「僕の分が無くなる前に食いだめしておくお。ひとつくれお」
川 ゚ -゚)「えっ。もう無いけど……」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:33:37.66 ID:WTfzL+cy0
追いついた
支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:34:16.99 ID:9apSDfXQO
固い砂地に拡げた数十個のパッケージは全て破り捨てられていた。
無論、これらは全てブーンが自前で用意したものだ。
(#^ω^)「…………」
爪;゚〜゚)「も、申し訳ありませんマスター・ホライゾン。
気付いたら際限なく手を出してしまっていて……粗相をお許し下さい!」
悪びれる様子のないクールに代わって、弟子のスズキが慌ててブーンに頭を下げた。
タムラ=スズキ。
齢十六才のこの少女は、ふてぶてしい発言をさらりとするクールとは似ても似つかない謙虚な人物である。
ブーンより明るい茶髪のショートカットと、常に自信がなさ気な表情を醸し出す目元が特徴的なヒトガタのジェダイだ。
( ^ω^)「スズキ、謝る必要はないお。ジェダイは常にフォースを通じて未来を見つめているお。
故に、賢いジェダイはマスター・クールの前に全ての食料品を出すことはないのだお」
そう言いながらブーンが取り出しのは、何やら雅やかな包装がされた真空パック。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:36:30.34 ID:RukfXczV0
ほ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:36:32.88 ID:9apSDfXQO
爪*゚〜゚)「あっ! それは、老舗の高級菓子製造会社の人気商品
『ささやき女将饅頭〜頭が真っ白になっていた〜』でありますね!?」
川#゚ -゚)「なにぃ! ブーン。貴様は私達にあんな不味い物を出しておいて、
自分は甘味物を食べるというのか。半分よこせ!」
爪*゚〜゚)「後生でありますマスター・ホライゾン。願わくばその
『ささやき饅頭〜頭が真っ白になっていた〜』を少しだけ譲って欲しいのであります!」
(#^ω^)「ええい。下がれ、下がれおスイーツ共。
味はともかくレーションは生きていく上で必要不可欠な成分を全て含んだ完全栄養食品だお。
栄養失調者は大人しくクッキーでも食ってろお」
前言撤回。やはりこの二人は似た者同士だ。
軍隊張りの厳しい修業を常に行うジェダイは基本的に痩せている者が多い。
それでも、今ブーンが秘蔵していた高級菓子に目を輝かせる女性達の身体には、貯まるべき場所へしっかりと脂肪が集まっている。
遺伝的な要因もあるのだろうが、これは必要以上のカロリーを摂取している何よりの証拠だ。
クールとスズキが、第一次生産惑星から珍味や甘味を定期的に輸入していることをブーンはよく知っていた。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:39:51.60 ID:oHyV8yZ30
フォームが気になる
支援
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:40:17.75 ID:9apSDfXQO
( )^ω^)「ほげよひ、ぼーひへ、ふはりは ほんは、
ひょうひょうひ はっはんはほ?」
川#゚ -゚)「口に入れたまま喋るなマスター・ホライゾン」
( ^ω^)ゴックン
( ^ω^)「失礼。それより、どうして二人はこんな状況に?
僕がどうしてここに来たのか理由は分かるお?」
川 ゚ -゚)「うむ。まあ、それなりの理由があるのだが……スズキ」
爪*゚〜゚)ゝ「イエス、マスター。私から説明させて頂くであります!」
ビシリと大袈裟に敬礼をしたスズキは、ささやき饅頭の食べカスを口の端にくっつけているブーンを見ながら説明を始める。
爪*゚〜゚)「私達がどうしてこの惑星に来たのかは、マスター・ホライゾンも既にご存知のことかと思います」
( ^ω^)「かつての紛争でレジスタンス達が隠したバトルドロイドを発見することだと聞いているお」
爪*゚〜゚)「はい。評議会から提供された情報通り、我々はおよそ二百体近いドロイドを保管している地下施設を発見したのであります」
問題は発見した後だ。
クールとスズキは、レジスタンス達がドロイドを隠したと思われるこの惑星へやって来ると、
直ぐさまそれらしき施設を発見することができた。
見つけさえすればこちらのもの。
後は評議会にその旨を報告し、民間軍事企業であるPMCに
ドロイド軍の回収・解体の依頼を出せば一件落着。
任務自体は実にシンプルなものであった。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:42:05.02 ID:/iLFU/Z70
やっと追いついた、
支援!
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:42:24.01 ID:vONdJqK/O
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:42:36.23 ID:9apSDfXQO
爪*゚〜゚)「私もマスターも侮っていたのであります。レジスタンス達の巧妙さに」
( ^ω^)「レジスタンスの?」
川 ゜-゚)「地下施設を発見した私達は評議会に簡単な連絡を済ませた後、施設の制圧と偵察に当たった。
まだそうと決まったわけでもなかったし、何より数年も前に放置された場所だ。
どうせ中は無人になっていると高を括っていた」
( ^ω^)「誰かいたのかお?」
爪*゚〜゚)「実はバトルドロイド達が動いていたのでありますよ。
レジスタンスは自分達の兵器が第三者に奪われないよう、
隠したドロイドの一部を起動させて、見張りを立てていたのであります」
そこまで聞いてブーンは首を傾げた。
見張りと言っても二百体全てが動いていたわけではあるまい。
活動資金の工面に苦しむ事が多い中小規模のレジスタンス達は、
およそ三百年以上前に開発された汎用バトルドロイドの傑作機を多く用いていた。
それらドロイドは集団になればこそ厄介ではあるが、知能がたいして高いわけでもなく、
数十体に攻められたところで二人のジェダイを苦戦に追い込めるとは考え難かったからだ。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:44:21.42 ID:RukfXczV0
ほ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:45:21.94 ID:9apSDfXQO
川 ゜-゚)「我々の侵入を感知して襲って来たドロイドは、シールドを搭載した厄介なタイプだった。
型は違うが……あの戦い方はヘルドロイドと似ている」
( ^ω^)「おっ。そんな奴がいるのかお。数は?」
爪*゚〜゚)「十機ほどであります」
(;^ω^)「……前言撤回。そりゃ攻め落とせと言うのが無理だお」
ヘルドロイドは、数あるバトルドロイドの中でも抜きん出た凶悪さと厄介さを持ち合わせている兵器だ。
普段はタイヤのような形態で高速移動し、敵を発見すると四脚歩行型に変形。
ビームを弾く偏向シールドを展開した後、目標に一方的な攻撃を加えるスタイルを用いてくる。
ブーン達の持つ武器で倒すには少々手が余る相手であった。
( ^ω^)「シールド搭載型は今も昔も高級品だお。そんな奴を見回りに使うとは……」
川 ゜-゚)「私の見解では、あのヘルドロイドもどきが保管されている兵器の中で最も強いと見ている。
百九十体のバトルドロイドと十機のシールドドロイド。
どちらを優先して保護するかは、比べるべくもないからな」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:47:55.61 ID:9apSDfXQO
爪*゚〜゚)「相手にしているとキリが無いのであります。
通信機も移動に使っていたホバーも食料も、全部お釈迦にされてしまったのでありますよ」
聞けば、ドロイド達は地下施設の近辺に展開するだけに留まり、
クールとスズキが撤退した場合は必要以上に追って来なかったそうだ。
その後、二人で何度か施設へアプローチを掛けてはみたものの、
一度警戒体勢に入っしまったドロイド軍の守りは想像以上に固く、
思うような成果を上げることができかったらしい。
( ^ω^)「それにしたってふたりの衰弱振りは異常だお。
お嬢様方、最近鏡で自分の顔を見たかお?」
ブーンの嫌味に女性ジェダイは眉を潜めて抗議の声を上げた。
だが、確かにブーンの言う通りである。
クールとスズキのローブはそこら中が砂と汗に塗れてボロボロ。
腕や足、顔なども所々に痣や擦り傷が見受けられた。
心身ともに相当な域まで衰弱している事は明白だ。
数回の戦闘でこのような不様になるというのは少々合点がいかない。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:49:25.71 ID:/iLFU/Z70
ドロイディカみたいなのかな?
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:49:48.66 ID:RukfXczV0
ほ
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:50:42.31 ID:9apSDfXQO
川 ゜-゚)「コイツのせいだ」
( ^ω^)「……何これ」
爪*゚〜゚)「この星の土着生物であります。
我々は昼も夜もコイツの襲撃に苦しめられたのであります」
洞窟の隅に置いてあった細長い塊をクールがブーンに投げて寄越した。
五十センチ程の四足生物。
鱗のような表皮からして爬虫類だろうか。
猛烈な日照りでミイラ化した口から覗く鋭利な牙が嫌に目立つ。
( ^ω^)「ヤモリ?」
川 ゜-゚)「似たようなものだな。顔の部分をよく見てみろ。目や鼻がついていないだろう?
こいつは生物が発する微弱なフォースを感知して獲物を襲うタイプだ」
クールの言う通り、ブーンが持つ干物には陸上生物ならある筈の器官が見受けられない。
顔だけを見ればまるで深海の生物のようだった。
フォースを関知できる生物は、何もジェダイだけに限ったことではない。
フォースは動物・植物果ては無機質である石や金属にも通じる、万物を巡る不可視の流水である。
各惑星に住まう修行僧や占い師、厳しい鍛練を経て明鏡止水の境地に立った戦士など、
数や質こそジェダイには劣るが、フォースに対して鋭敏な感覚を持つ者は数多いる。
だが、それらは何れも高い知能を有した高等生物だけにしか持ち得ぬというのが一般的な見解だった。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:52:49.86 ID:/iLFU/Z70
ほ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:53:10.08 ID:9apSDfXQO
川 ゜-゚)「あまり進化していない原生生物の中には、稀にこういう奴がいる。
蝙蝠が超音波で餌を捜すように、フォースの発生をソナー代わりにする奴がな」
( ^ω^)「まあ、これだけ広い砂漠なら光や臭いに頼るよりも、
生物が発する独特のフォースを捜したほうが、狩りには効率的かもしれないお。
得にジェダイは強いフォースが流れているから、連中に取っては暗闇に立つ灯台そのもの……
でも、それがふたりとどう関係するんだお?」
爪*゚〜゚)「コイツ、毒を持ってるでありますよ」
唐突なスズキの発言にブーンの顔が少し青ざめた。
( ^ω^)「うげ。そんなモン持たせんなお。以前、僕がブラジェツレアで蛇に噛まれた話を聞いたことあるお?
危うく生殖機能がお釈迦になるところだったんだお」
川 ゜-゚)「どうせ使わないんだから在っても無くても同じだろう」
( ^ω^)「…………」
爪*゚〜゚)「ま、まあ毒と言ってもたかが知れた程度のもので、命に危険はないでありますよ。
もし噛まれても―――!!」
爪*//〜/)「噛まれても……その……」
( ^ω^)「?」
川 ゜-゚)「猛烈な腹痛に襲われるんだ。腹が緩くなって下痢が酷くなる。
お陰で私もスズキも醜態を晒したよ。まったく」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:54:51.44 ID:nPq/OmWi0
クールは川 ゚ -゚)にしてくれるとありがたい
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:55:38.82 ID:9apSDfXQO
爪*//〜/)「そ、そんな……ハッキリと言わなくても……」
成る程。これで理解できた。
その毒に腹下しの作用があるのなら、体内に取り込まれて吸収を待っていた食物も全て外へと流れてしまったのだろう。
ついでに脱水症状のオマケ付き。
昼夜を問わずに襲ってくるこのヤモリモドキを相手にし続けていれば、体力が枯渇するのが必然というものだ。
当初、ブーンがフォースを感じることができなかったのも、
ふたりがヤモリモドキに襲われないよう、意図して封殺したからなのだろう。
川 ゜-゚)「む、私は事実を言っただけだぞ。別に言われてそこまで困ることではなかろう」
爪*//〜/)「それは……そうですが……」
( ^ω^)「…………」
頭から湯気を出す弟子を訝し気な目で見るクール。
不可抗力だったとは言え、自分の痴態を異性に暴露されてしまった事が、スズキは堪らなく恥ずかしかったのだ。
しかし、なんと言えばいいのだろう。
花も恥じらう少女が顔を赤くして身体をモジモジと動かすその仕種には、
( ^ω^)「ほほえましく。また、興奮する物がある」
川 ゜-゚)「なあナイトウ。やっぱりお前、下半身が腐り落ちてた方が良かったんじゃないか?」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:57:37.21 ID:/iLFU/Z70
ジェダイなのに煩悩の塊w
支援
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:57:40.81 ID:RukfXczV0
ほ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/26(木) 23:58:26.15 ID:8WHgrf84i
wktk紫煙
80 :
>>75これで直ってますでしょうか?:2009/02/26(木) 23:59:22.64 ID:9apSDfXQO
( ^ω^)「……人の心を読むなお」
川 ゚ -゚)「煩悩の炎が垣間見える。ジェダイに欲は禁物だぞ」
( ^ω^)「何を言うか。僕は激しく、そして苦しい修業の末に性欲を完全に克服した永久賢者だお。
このナイトウ=ホライゾンに煩悩の死角などない」
川 ゚ -゚)「おい、私は一度も”性”欲とは言ってないぞ。
全然克服できてないじゃないか。何が永久賢者だバーロー」
爪*゚〜゚)「お二方は先程から何をおっしゃっているのでありますか?」
胸を張るジェダイに辛辣な言葉をピシャリと叩きき付けたクールは、
咳ばらいをした後、そろそろこの穴蔵から移動すべきだと主張した。
民間軍事企業であるPMCを銀河共和国の名義で派遣するには、評議会と元老院、双方の承認が必要となる。
新生共和国は旧共和国の軍事力乱用の末に招いた悲劇に学び、
例えジェダイからの要請であっても、無条件に戦力を派遣することを往々にして禁じていた。
つまり、クール達のこの任務(今はブーンの任務でもあるが)を達成するには、
この星にテロや戦争の道具となる脅威が存在することを、ある程度客観的に証明する必要があるのだ。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:02:16.15 ID:gmK4qegGO
爪*゚〜゚)「それにしたって最近の元老院の融通のきかなさは異常であります。
我々が音信不通になった時点で、行方不明者捜索の名義で連中を寄越すのが通例ってもんでありますよ」
川 ゚ -゚)「総選挙も近いからな。
予算もそうだが、悪戯に戦力を派遣して世論を刺激したくないのだろう。
共和国お抱えの法人団体とはいえ、PMCが戦争屋であることに変わりはない」
クールとスズキがあれやこれやと文句をぶち上げている間に、
ブーンはドロイドが保管されている地下施設の位置を衛星軌道画像で確認していた。
今いる地点からは、およそ数キロ離れている。
ただ、当面は弱体化したジェダイ達の回復を待つ必要がある。
そこで、夕方になって涼しくなってきたら現地に赴こうとブーンは考えた。
元老院にPMCを派遣させる明確な動機を与えるには、
コンパクトデバイスで撮影したドロイド達の動画データ送り付けるのが一番手っ取り早い方法だ。
問題は、そのデータをカウンシルと元老院が設置されている惑星VIPに届ける為の、惑星間通信装置が積まれた船をどう呼び寄せるかだが……
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:03:00.92 ID:k4z+bVSp0
これは絶対まとめられる
ということで寝る
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:05:29.04 ID:gmK4qegGO
川 ゚ -゚)^ω^)*゚〜゚)「「「!!!」」
ブーンが、クールが、そしてスズキが一斉に何かを感じ取った。
衰弱していたとは思えない勢いで喋っていた女性陣は押し黙り、
熱心に衛星画像を弄っていたブーンはふと手を止める。
恐らく、皆が同じ事を考えている筈だ。
野営用電気ランプの青白い光が照らす洞窟内で、ブーンとクールが示し合わせたように頷く。
川 ゚ -゚)「どうする。加勢しようか?」
( ^ω^)「いや。二人の体調は万全じゃないし、尾けられていたとしたら僕の責任だお。
クーとスズキはここで待機していて欲しいお」
爪*゚〜゚)「だ、大丈夫でありますか? もしアレがいたら……」
( ^ω^)「おっおっお。このナイトウ=ホライゾン、連中如きに遅れを取るつもりは微塵もないお」
『キサマラハ ホウイサレタ。オトナシク トウコウシロ』
拡声器で強化された声が洞窟に響いた。
およそ生物とは思えない一本調子の無感情な声色だ。
「御呼び立てかお」とブーンは立ち上がり、そのまま眩しい光が指す方向へとのんびり歩いて行く。
乾いた空の下に出てみれば、そこには何体ものバトルドロイが待ち受けていた。
( ^ω^)「ひぃ、ふぅ、みぃ……ざっと十体かお」
『オマエ。ワガ、キチヲ コウゲキシテキタ ヤツデハ ナイ。ナニモノダ?』
シールド搭載型が見当たらない事にほっと安堵の息をつくブーンに、ドロイドの一体が詰問をしてきた。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:07:52.85 ID:gmK4qegGO
砂色の金属ボディにひょろ長いシルエット。
間接部分は稼動用パイプが剥き出しになっており、
戦闘に必要最低限の機能のみが組み込まれたその身体は、何かの生物の骨のようにも見える。
ホネッコ、等とも言われているこの自立思考型戦闘ドロイドは、
デビューしてから三百年以上が経過する現在でも多少の外観や内装を変更しつつ、
第一線で活躍し続ける旧通称連合が生み出した大量生産兵器の傑作だ。
広義として、バトルドロイドと言えばこの機体を指す事が殆どであることからも、その需要の高さは伺える。
( ^ω^)「僕はジェダイナイト・ナイトウ=ホライゾンだお。
社会保証番号は245638-D。今年で三十五になるナイスガイだお」
『……ワガ グンノ”TP-0045”ガ、キチヲ シュウゲキシタ ニンゲンヲ ツイビシテイル。
キサマガ、ヤツラノ ナカマデアルコトハ ハンメイシテイル』
( ^ω^)「(ちっ。峡谷に入った時点で僕をマークしてたお? 迂闊だった……)」
TP-0045なる機械がどんなものかはブーンには分からないが、恐らく探査・追跡用の小型浮遊ドロイドに似たものだろう。
クール達は、ドロイドが山狩りならぬ谷狩りをしていることをブーンに話さなかった。
つまり、このバトルドロイド達は早くても夜明け前から、クールとスズキを捜し始めたのだと推測できる。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:09:46.40 ID:PMZSBGjH0
wktk
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:10:45.20 ID:gmK4qegGO
( ^ω^)「用件は?」
『コウソクシ、ショケイスル』
( ^ω^)「断るお」
細長い頭部に付いたカメラ越しに、気さくな笑顔を称える人間を注視していたバトルドロイドが倒れた。
正確には、ブーンの無動作からの飛び蹴りが胸部に直撃して拭き飛んだのだ。
『キサマ テイコウスルカ!』
『タイホスル!』
部隊の司令官が地面を転がる。
その様を見せつけられた取り巻きの機械達が、常用装備のビームブラスターを一斉にブーンに向けた。
川 ゚ -゚)「お、やってるやってる。
ブーンの奴、あの笑顔に反してえげつない事を平気でやるからなあ。
奴の暗黒微笑を見ると夢見が悪くなるんだよ」
爪*゚〜゚)「シールドドロイドはいないようであります。
しかし、奴らはいつの間にこちらの居場所を特定したのでありますか?」
洞窟の出入口。
その岩影からひょこりと顔を覗かせるクールとスズキは、
今や完全に包囲されたブーンの宣戦布告を見物していた。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:13:19.76 ID:gmK4qegGO
弟子の後学の為、クールはスズキにブーンの立ち回りをよく見ておくよう言い含めてある。
クールの持つ戦闘型とブーンの持つ戦闘型は性質が多分に異なるが、
フォースの扱いに関して言えば、ブーンの方がクールよりも一枚上手であった。
あの男の特殊な殺陣を見れば、スランプに陥り始めているスズキの良い刺激になるかもしれない、とクールは期待したのだ。
ローブを脱ぎ捨てたブーン。
暗色の外衣とは裏腹な、淡いクリーム色で構成されたジェダイの戦闘装束が披露される。
そして、その手にはいつの間にか片腕ほどの長さの一本の金属棒が握られていた。
川 ゚ -゚)「スズキ。よく見ておけよ」
ブラスターの照準を絞り込むドロイド達。
幾重もの銃口を向けられてもなお、ブーンの表情は崩れない。
相変わらずの柔らかい微笑みを浮かべ、何かを静かに待っている。
ブーンから彼等に攻撃を仕掛ける事はない。
開戦の合図は、痺れを切らしてトリガーを引いたドロイドの発砲音によって始まるのだ。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:13:35.63 ID:Binys6xW0
支援
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:15:37.36 ID:JphafdSBO
紫煙
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:16:31.62 ID:PMZSBGjH0
超期待
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:17:40.43 ID:gmK4qegGO
川 ゚ -゚)「あれこそ、世にも珍しい――――」
赤い光線が煌めいた。
空気を切り裂くビームが迫った瞬間。
ブーンの構えた金属棒から、白緑色の光線刀が目にも止まらぬ速さで出現する。
それも、一本ではなく二本。
川 ゚ -゚)「――――両刃の秘剣。ダブルライトセイバーだ」
(#^ω^)「疾!(チッ)」
ブン、と言う独特の風切り音を響かせながら、金属棒――――ジェダイが持つ唯一の武器
『ライトセイバー』が飛来したビームと接触し、それを弾き返した。
真逆のベクトルを与えられた殺人光線はドロイド群の包囲網を疾駆。
光線を放った主の胸を貫いた。
『!?』
なんだ、今のは。
見た事もない武器を翳す敵を前に、ドロイド達はたじろいだ。
音速を遥かに超えるビームを弾き返す人間など彼等のライブラリには存在しない。
動揺する軍勢を前にライトセーバー本体の両端から眩しいニ本の光刃を展開するブーンは、
にやりと笑ってドロイド達に問い掛ける。
( ^ω^)「お前ら、独楽は好きかお?」
ジェダイが、動く。
to be continue...
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:18:57.51 ID:/mJRkVfoi
うおおおおおおあお!
禿乙
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:18:59.67 ID:dGsWfg17O
名前がダサいwww
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:19:55.05 ID:PMZSBGjH0
ダースモールの愛刀かw
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:20:56.16 ID:Binys6xW0
あの自分に刺さりそうで怖い奴か!
乙!続き楽しみにしてる!
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:22:02.57 ID:gmK4qegGO
今回は以上です。
想像以上に長く掛かってしまい、申し訳ありませんでした。
指摘して頂いたクーのAAは携帯に取っては扱い辛い存在です。
川 ゚ -゚)
川 ゚ -゚)
どちらも同じに見えるんです。困ったなあ……
まだ始まったばかりですが、質問があれば受け付けます。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:22:34.55 ID:0X9ORQMG0
ライトセーバー二刀流って凄いことなん?
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:24:10.45 ID:JphafdSBO
乙〜
今更だが
クール=レヴァンティエ
は
クール=レヴァンティエ
の方が良いと思う
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:25:36.21 ID:dGsWfg17O
乙
次はいつ頃?
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:29:04.32 ID:sup23b9G0
>>97 基本的にフォース身につける時、誰でも使うのですごくはない。
ただ、かっこいい。
>>97 二刀流じゃなくて、ゲルググのビームナギナタみたいなもん
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:32:24.93 ID:Binys6xW0
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:32:51.22 ID:dGsWfg17O
>>97 両刃というだけでも危ないのに、両側から刃がでてるなんて相当扱い辛いと思う
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:36:49.40 ID:gmK4qegGO
>>97 詳しい解説は次話で語るつもりですが、現状のジェダイの中ではブーンしか使っていません。
>>98 おっしゃる通りです……次回からそうします
>>99 速ければ明後日辺りには
ちなみに、ブーンの使っている剣は
>>102の赤い奴だと思って頂いて結構です。
また、シールド搭載ドロイドも指摘されたようにドロイディカスを想像して頂ければ
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:40:09.17 ID:ocKpUci8O
赤かったらシスになっちゃうんじゃない?赤って人工の色だし
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:42:59.60 ID:gmK4qegGO
>>105 言葉足らずでした。
ブーンのライトセイバーは白緑色。もとい翡翠色です。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:47:02.02 ID:Binys6xW0
>>107 とりあえず全部読んでこい、話はそれからだ。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:49:54.26 ID:JphafdSBO
>>104 俺だよ俺w俺俺w
ID変わっちまったけど代理だよw
ヴが出しづらいなら俺のレスからコピペして使ってくだしあ
>>105 スレをちゃんとよく読もう。そしたら分かるよシスじゃないことが
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:49:57.06 ID:gmK4qegGO
では、今日はこの辺りで引き揚げさせて貰います。
遅くまで付き合って頂きありがとうございました。
また次回にお会いしましょう。
>>108 俺のどこがおかしいか是非聴かせてもらいたい
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 00:56:44.03 ID:Binys6xW0
>>111 うーん、
>>1を責めるようで嫌なんだが、
>>104で赤い奴って言ってる所とか(本人は形の事を指定したんだが)、
少し勘違いしてもおかしくは無いんじゃないか?って事。
少なくともいきなり人に向かって文盲とか言い出すのはおかしいんじゃね?
あ、
>>1乙です〜
>>112 で、それがどうして全部読んでこないと話にならないんだ?
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:00:00.52 ID:Binys6xW0
>>113 勘違いする要素があったんじゃない?って事を言いたかったのよ。
俺が言いたかったのは最後の二行ね。
>>114 そこを指摘するんならお前も“何を“全部読んでこい、
と言ってるのかちゃんと示して欲しいね
>>112 実際文読んでなかったのは
>>105の方だろ
本文に翡翠色って書いてあるんだし
まぁ文盲は言い過ぎだとおもうが
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/27(金) 01:02:27.28 ID:Binys6xW0
>>115 ああ悪い、忘れてたw
まあでも、代理で建てた方もお疲れさまです。
おかしくないよ