立ったら投下
2 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:41:02.02 ID:rOR5sagNP
しゃしゃしゃしゃしゃしゃ……。
暗い部屋……。
しゃしゃしゃしゃしゃしゃ……。
( ・∀・)「もう手紙は出したんですか?」
しゃしゃしゃしゃしゃしゃ……。
川 ゚ -゚)「手紙?」
( ・∀・)「ああ……招待状、ですか」
川 ゚ -゚)「……」
モニタールーム。
男が一人、女が一人。
川 ゚ -゚)「そう、“招待”だから」
女は忙しなく動かしていた手を止める、
すると、部屋に響いていた不気味な音も止まる。
( ・∀・)「そりゃ失礼しました」
若干おどけた色を感じさせる謝罪に、
女は男を一瞥する事で答えた。
3 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:42:34.18 ID:rOR5sagNP
( ・∀・)「……ところで」
川 ゚ -゚)「なんだ」
( ・∀・)「今回は何人“お招き”するんですか」
川 ゚ -゚)「……12人」
( ・∀・)「へぇ……じゃあ、6人分の準備をしておきますね」
川 ゚ -゚)「素直に12人分にしておけ、といいたいところだが」
女の溜息に、対する男は苦く笑う。
( ・∀・)「まぁ、6人でもかなりプラスに考えた方ですよね」
川 ゚ -゚)「……」
( ・∀・)「あんまりやると傷めますよ」
川 ゚ -゚)「問題ないやつを使ってる」
しゃしゃしゃしゃしゃしゃ……。
再び部屋を包むのは、乾いた音。
( ・∀・)「ほんと好きですね」
そう、それは――トランプを切る音。
4 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:44:36.09 ID:rOR5sagNP
( ^ω^)一攫千金のようです
第零話
5 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:46:22.72 ID:rOR5sagNP
こんな噂がある。
『選ばれた人間だけが挑める一攫千金の舞台があるらしい』
『運良く選ばれた人間の元に、一通の手紙が来る』
『その手紙を捨ててはいけない』
『一攫千金のチャンスを捨てるに等しい行為だ』
『金が欲しいのなら、手紙に従えばいい』
『成功すれば億をくだらない額の金を得ることが出来る』
『しかも、一晩のうちに』
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/09(月) 23:48:00.54 ID:5rMxbP/uO
支援
7 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:49:26.42 ID:rOR5sagNP
* * *
( ・∀・)「お集まりいただき、ありがとうございます」
洋館の一室、そこが物語のはじまりである。
二十畳ほどの広さに、スーツ姿の男が一人。
ごく普通の服装でいる男女が六人。
( ・∀・)「お名前を確認したいので、呼ばれたら返事をお願いします」
赤い絨毯に、出窓が一つ、天井にはシャンデリア。
家具の類は一切無い、そんな部屋だった。
( ・∀・)「内藤さん」
( ^ω^)「はーい」
内藤、と呼ばれた男は、少しおどけた様子で返事をする。
( ・∀・)「ドクオさん」
('A`)「はぁ」
ドクオ、と呼ばれた男は、気の抜けた声色だ。
8 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:51:06.53 ID:rOR5sagNP
( ・∀・)「ショボンさん」
(´・ω・`)「はい」
ショボン、と呼ばれた男は、静かに答える。
( ・∀・)「ビコーズさん」
( ∵)「……」
ビコーズ、と呼ばれた男は、無言のまま、ゆっくりと手を上げた。
( ・∀・)「ツンさん」
ξ ゚听)ξ「ハイ」
ツン、と呼ばれた女は、真っ直ぐな声だった。
( ・∀・)「ミセリさん」
ミセ*゚ー゚)リ「はぁい」
ミセリ、と呼ばれた女は、ひらりと手を振りながら言った。
( ・∀・)「以上、6人ですね。今回の参加者は」
ご来館ありがとうございます、とスーツの男は頭を下げる。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/09(月) 23:53:25.27 ID:5rMxbP/uO
支援支援
10 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:53:31.52 ID:rOR5sagNP
( ・∀・)「これからはじまることは、みなさんご存知かもしれませんが」
('A`)「……」
( ・∀・)「簡単なゲームです」
スーツ姿の男は、聴衆の顔を見回してから続ける。
( ・∀・)「今夜一晩で5種類のゲームにチャレンジしていただきます」
そう、これからはじまるのはゲームだ。
テレビゲームだとか、スポーツだとかとはまた違った、
駆け引きと運、直感、論理、そういった要素を求められるゲーム。
昨今、よく聞く噂の一つに、一攫千金についての物がある。
ここにいる参加者はおおよそ全員がそれを耳にしたことがあった。
噂話の内容は、手紙が届くところから始まり、
その手紙に従えば一晩で億万長者になることも出来る、というもの。
ミセ*゚ー゚)リ「(ふつうに考えて、そんなもんは噂に過ぎない。
私だってさっきまでそう考えてたし)」
噂話というのは、あくまで噂話。
内容の真贋は、自分で見てはじめて理解できる。
ミセ*゚ー゚)リ「(手紙が届いたときは、イタズラだろうと思ったけど……
来てよかった。自分の判断グッジョブすぎるわ)」
この噂に限っては、一から十まで、紛れも無い真実であった。
11 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/09(月) 23:56:19.18 ID:rOR5sagNP
参加者6人――内藤、ドクオ、ショボン、ビコーズ、ツン、ミセリ。
彼らの元に、三日前、奇妙な手紙が届く。
上質な封筒に、宛名のみが印字されており、
中を開くと、一枚の紙切れが入っていた。
彼ら6人は、その手紙を読んだゆえ、ここに集う。
正確に言うと、彼らを含めて12人の者に手紙は届けられたのだが……
結果として、チャンスを手にしたのは6人。
残りの6人は、機会を無下に捨てた。
そう……奇妙な手紙なのだ。
噂話を知っているものからしたら、思い当たってしまうような。
とはいえ、イタズラという判断が最も正常。
大抵は、噂話を利用したものであると、そう考える。
あるいは、噂話自体を知らなかった場合。
封筒はゴミ箱直行であろう。
12人に手紙が届いたといっても、
それは全員が信じるような内容でもない。
信じたとしても、気味が悪いという感覚が先行してしまえば、機会は潰える。
そういう意味で、これから競い合うこの6人の男女達は、
選ばれた人間の中でも、更に選ばれた者なのだろう。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/09(月) 23:59:14.66 ID:cu/z+cocO
さる殺し
13 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:00:19.36 ID:TuchsbjdP
この場に集う参加者、
ミセリを含めて、手紙を半信半疑でいた者が殆どだった。
それは当然の感覚である。
噂話と現実を繋げて考えられるかといわれれば、なかなか難しいものなのだ。
手紙の内容はこうだ。
『おめでとうございます。
あなたは選ばれた人間です。
一攫千金のチャンス!
一晩で億万長者も夢じゃない!
○月×日 PM8:00にお待ちしております。
会場は下記の図をご覧ください』
へんな宗教……あるいは詐欺、イタズラ。
そういう判断が正しい。大多数が抱く感想。
ここで、先の噂話が頭を掠めたとしても、
こんな怪しい手紙に賭けてみようなんて思うほうがおかしい。
そう、ここに集っている6人は、みな、頭の中が常人とは違ったのかもしれない。
ネジが外れている、ぶっとんでいる、という意味で。
ミセ*゚ー゚)リ「(今晩ちょっと頑張れば、一生楽しく暮らせる……)」
最初手紙に目を通したとき、ミセリが持った感想は「面白い」だ。
イタズラであっても、なんであっても、
非日常な要素が彼女に訪れれば、全てまとめて「面白い」だった。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:00:28.84 ID:H1D6FzTEO
支援
15 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:02:05.46 ID:TuchsbjdP
ミセリに限って言えば、半信半疑、プラス興味本位、好奇心。
その結果、彼女はここにいる。
億万長者への道の、スタート地点に立っているのだ。
ミセ*゚ー゚)リ「(もちろん勝利一択。
稼げる限りを尽くして稼ぎ、大金を得る)」
( ・∀・)「ゲーム内容は、男女平等に戦える内容になってます。
体力や、体格など関係なく渡り合えるものです」
ほっ、とツンは胸を撫で下ろした。
ξ ゚听)ξ「(取っ組み合いのバトルになったら勝ち目が薄すぎるわ)」
ツン、彼女もまた、半信半疑でここまで来た人物だ。
ミセリと違う点があるとすれば、目的。
ツンは好奇心や興味といった要素を持たない変わりに
酷く真剣にこの勝負に挑む気概だった。
彼女には金が必要なのだ。
借金――それも自身が作ったものではなく、俗に言う肩代わり。
その返済に追われ、心身ともに疲れていたところに手紙が届く。
半信半疑、それはそうなのだが、彼女の「信」には色があった。
単純に、「この手紙、もしかしたらホンモノかも?」という考えではなく、
「どうかそうあってくれ、私を救ってくれ」という願いだ。
ξ ゚听)ξ「(ダメもとだけど……勝てれば借金から解放される)」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:02:34.70 ID:J+pPtn1nO
つC
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:02:52.60 ID:WCgl373MO
シエンタ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:03:55.10 ID:+wc8g1BQ0
ライアーゲームか?
支援
19 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:04:23.70 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「賞金を得られるのは優勝者のみ。
全ゲーム終了地点での成績に応じて、精算し、お渡しします」
( ∵)「……」
( ・∀・)「ですから、優勝することはもちろん、大金を得たいのなら成績重視ですね」
( ∵)「……」
( ・∀・)「おわかりかとは思いますが、参加者全員で競い合う事になります。
優勝は一人だけですから」
(´・ω・`)「(泥沼だな)」
ショボンは下がり眉を一層下げながら思う。
とはいえ、彼とて金が欲しい。
手紙が届いたときは、
イタズラだろうと一蹴したい気持ち、
信じたいという気持ちが胸にひしめいた。
彼にしてみれば、手紙の真偽は焦点ではなかった。
自分が信じられるかどうか。信じたい。
それが原動力となり、ショボンをここまで導いたのだった。
(´・ω・`)「(まさか本当にこんなチャンスがあるなんて)」
小耳に挟んだ程度で流していた噂は
どうやら本当のことだったらしい。
一晩で億万長者なんて、夢のような話だった。
20 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:07:55.89 ID:TuchsbjdP
夢であればまだ良い。
ここから急転直下、拉致されて拷問なんて展開も有り得ない話じゃないのだが。
(´・ω・`)「(しかし、信じるしかないな。
これくらい突飛な世界じゃないと、風穴は開かないし)」
使い古された言葉でいうとしたら、「退屈な日常に風穴を」といった心境。
もちろん拷問やら人身売買という方向へ話が転がってしまえば
――つまり騙されたのだということになれば、救えない。
億万長者への道が一転、行き先が苦痛、最悪は死。
(´・ω・`)「(でも、こういう夢みたいな話を、心のどっかで待っていた)」
金は欲しい、当たり前に。だが。
ショボンは自分が置かれる状況に酔いたかったのだ。
普通に生活している中では、得られないであろう経験に。
( ・∀・)「……で、先刻言ったとおり優勝者には、相応の賞金があります」
('A`)「(よっしゃよっしゃ)」
( ・∀・)「参考までに、前回の優勝者は1億と300万円を手にしました」
('∀`)「(フヒヒ、俺もせめて数千万……)」
このドクオという男については、特殊である。
彼は、手紙を受け取って最初に抱いた感情が、違った。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:08:57.73 ID:H1D6FzTEO
ふむ、支援
22 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:10:00.23 ID:TuchsbjdP
『やっと、来た』
待ちわびた招待状。
この手紙を待って待って……1年半待った。
そしてようやく彼の元にも訪れたチャンス。
ようやく、というのは間違いかもしれない。
実のところ、確率で言えば、手紙がきただけでラッキーすぎる話。
この手紙というのは、対象者の中からランダムで選出された数人の元に届く。
対象者というのも、数千万人いるのだから、本当に運任せである。
それを、彼は「待っていた」のだ。
この話を知っていた。
手紙が届くと、どうなるのか、おおよそ知っていた。
噂話でなんとなく、という域を出て、事実だと知って待っていたところに手紙到来。
何年待っても来なかったかもしれない。
一生選ばれない者の元には届かない手紙。
そして選ばれない者の方が圧倒的多数なのだから、ドクオは相当に幸運だ。
('A`)「(夜も寝ないでネトゲして昼寝して待った甲斐があった)」
ドクオが何故、手紙を待っていたのか。
話は……そう、1年半ほど遡る。
* * *
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:12:05.98 ID:S6Ujqf7EO
これは逃亡、打ち切りがなければかなりの良作になる予感
24 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:12:14.84 ID:TuchsbjdP
('∀`)「最近先輩、羽振りいいっすよね」
ある夜。飲み屋で男二人が、杯を交わしていた。
ドクオと、ジョルジュ。
ジョルジュはドクオから見て大学の上級生、先輩であった。
_
( ゚∀゚)「あ?」
折れてしまいそうにひょろひょろと痩せ、
伸ばし放題の髪の毛は風呂好きのおかげで不潔でこそなかったが、
それでも爽やかさとは対極に立つドクオ。
中背ながらもしっかりとした体つき、
形容するなら“いまどきの若者”がぴったりとはまるジョルジュ。
容姿だけで言えば正反対だ。
しかし、ゲーム好きという趣味が合い、
サークルを通して二人は友人となった。
('A`)「あ、いえ、なんか、よく奢ってくれるな、って、おもいまし……て」
ジョルジュはドクオを気に入ってか、
よく飲みに連れまわしてくれたものだが、
この日は発売されたばかりの新作ゲームソフトまで買ってもらってしまった。
_
( ゚∀゚)「ああ、ちょっとな」
一昨日も、中古とはいえPCソフトを奢ってもらったし
今こうしている飲み代も、ジョルジュ持ちである。
25 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:14:24.66 ID:TuchsbjdP
('A`)「……なんすか?勝ったんですか?」
スロかなんかで、と小さく付け加えながら、
ドクオはぎこちなく笑った。
_
( ゚∀゚)「んー、まぁそんなとこだな。いい勘してんじゃん」
勘も何もないだろう、とドクオは思う。
今までケチだった……というと語弊があるだろうが
貧乏サイドだった人間が
急にポンポン奢ってくれるようになれば、
このご時世だ、パチスロ競馬の類で勝ったのかな、と思う。
('A`)「(でも……
俺に買ってくれたもん奢ってくれたもんだけで2万円分以上あるだろ)」
最近ジョルジュが風俗通いしていることも知っているドクオは、
これは、勝ったにしても大勝、10万くらい当てたんだろうな、と考える。
('A`)「えっと……10マンとか、勝っちゃったかんじすかね」
これ以上たかろうなどど思ったわけではない。
単に、会話を盛り上げようというドクオなりの配慮で聞いたこの一言が、
思い返せば全てのきっかけだったと言えよう。
_
( ゚∀゚)「あー……ぅ倍」
('A`)「倍?20すか?」
26 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:17:08.34 ID:TuchsbjdP
_
( ゚∀゚)「ちゃう、十倍」
(;'A`)「エエーッ」
10万円の十倍。
即ち100万円。
(;'A`)「え、そ、どんな……えぇ?!」
目を白黒させるドクオを見て、ジョルジュはハハハ、と他人事のように笑った。
(;'A`)「(100万円勝つギャンブルってなんだ?
月収100とかじゃないぞ、一発100万って……)」
_
( ゚∀゚)「ふつうに手に入れたわけじゃないんだけど」
ジョルジュは他の客を気にしてか、声を低めて続ける。
_
( ゚∀゚)「100勝っても、超情けないってレベルなんだよ」
('A`)「情けない……?」
_
( ゚∀゚)「いける人は、何千万円……億に手をかけるような額を得られる世界」
(;'A`)「お……おくって」
_
( ゚∀゚)「だから、俺は100“ぽっち”しか得られなかったって話」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:22:20.41 ID:71xpZrCEO
支援
28 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:23:39.11 ID:TuchsbjdP
('A`)「(ゲームっつうとなんだ?テレビゲームじゃないだろうし、
一晩ってことは賭け麻雀か?違法カジノとか?)」
_
( ゚∀゚)「この……多分ゲームの内容は口外禁止なんだけどさ、
お前が思ってるのとは、ちょっと違う、
え?これでお金もらえるの?みたいな……」
('A`)「はぁ」
_
( ゚∀゚)「あ……でも、カジノでやるようなこともしたし……」
ジョルジュは眉間に指を当てながらブツブツと一人ごちた。
('A`)「ますます意味わかんねっすよ」
_
( ゚∀゚)「とにかくだ……そこじゃ、一晩にウン千万円を手に入れるチャンスがある。
そこで俺は100万ぽっち……それしか得られなかったが……」
('A`)「なんつーか……次元が違う話っすね」
_
( ゚∀゚)「まぁ、もしも。もしも、だ」
顔を顰めるドクオに、ジョルジュは少し声のトーンを明るくして言う。
_
( ゚∀゚)「お前のところに手紙がきたら……それに従え。
そうすれば、一攫千金の舞台にあがれるんだ」
('A`)「で、その手紙って誰からなんすか」
_
( ゚∀゚)「……それは多分言っちゃいけないんだろうな」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:26:59.59 ID:WCgl373MO
支援
30 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:27:26.22 ID:TuchsbjdP
('A`)「禁則事項が多すぎッすよ」
_
( ゚∀゚)「まぁ、そういう約束で貰った金だしな……」
('A`)「はぁ」
_
( ゚∀゚)「その手紙は、届けばソレってわかるから。
一攫千金のチャンスを運んでくる、それだけ覚えとけ」
('A`)「ええ……肝に銘じときます」
_
( ゚∀゚)「そんで、もし……機会が来たら。人を信じるなよ、
その一晩は、自分だけを信じて、自分の考えで生きるんだ。
ルールを正面から受け止めるだけじゃ、勝てない。
直感を殺してしまっても、勝てない」
('A`)「はぁ……マンガみたいすねw」
_
( ゚∀゚)「マンガみたいな夜だったからな……」
茶化したものの、ジョルジュの話し振りから満更でもなくなったドクオは、
アパートに帰ってから真っ先に郵便受けをチェックした。
あるわけが、ない。
そりゃあそうなのだが……。
* * *
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:27:37.23 ID:H1D6FzTEO
しえん
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:29:28.88 ID:S6Ujqf7EO
好きです
33 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:30:51.79 ID:TuchsbjdP
以来、郵便受けのチェックは
ドクオの寂しい日常の中で唯一の習慣となる。
ドクオも、はじめのうちは
「来ていない」ことが当たり前だと思っていた。
それが正常な状態なのだとしたら、
手紙が届いたときは異常だった。
毎日「一攫千金」の手紙を待つうち、
いつか来るかもしれないという期待から、
一体いつ来るのだろうという焦りにも似た気持ちへ変化していたのだ。
例えるならば、宝くじ。
「当たるといいな」と毎日買っていた宝くじ。
知らず知らずのうちに「いつ当たるんだろう」という心境になってしまった。
手紙が届く事を確信めかして考えていたという事実に、
ドクオ本人は気付いていないのかもしれない。
とはいえ、しかし。
実際に届いた。一攫千金の手紙が。
('∀`)「(ジョルジュ先輩の言ってた通りだ。
ゲームで勝負するって……)」
( ・∀・)「各ゲームのルール説明は、
それぞれゲームがはじまる前に行います」
34 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:33:18.63 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「言うなれば、全5回戦、でしょうか。
つまりゲームの説明も5種類分、5回あるわけです」
( ^ω^)「(だめだお、そろそろわけわかんなくなってきたお)」
内藤は、ドクオとはまた違った意味で特殊だと言えるかもしれない。
彼は、手紙の噂を知っていた、
けれど、それはあくまで噂の域を出ないと考えていた。
一般的思考。ここまでは、だ。
手紙が届いてからが問題である。
もちろん、半信半疑だった。
「ホンモノなのかお?」などと小首を傾げていたものだ。
だからといって、内藤は、行動に迷いを滲ませない。
手紙自体について、一攫千金のチャンスについては半信半疑でも、
その半疑はここに来る事への迷いに一切の影響を及ぼさなかった。
日時が書いてある、場所も書いてある、
じゃあ行かなきゃならないお!
と言った調子で、内藤はやって来たのだ。
( ^ω^)「(お金もらえるのはラッキーだお、がんばるお)」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:38:02.88 ID:H1D6FzTEO
軽いなwwwwww
支援
36 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:38:16.22 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「ですから、今夜の趣旨さえ理解していただければ
私からの説明は終わり。
ゲームルールについては追って知らせていくことになりますね」
ミセ*゚ー゚)リ「(ゲーム……
おそらく、テーブルゲームやカジノゲームの類のはず)」
男女差で勝敗が決まるようなゲームではないと明言されている。
そこからゲームの内容をおおよそ推測する事はできるが、
もちろん予想外の展開も覚悟せねばなるまい。
( ・∀・)「勝ち……優勝についてはお話しましたから、
最後に、負けについてです」
ξ ゚听)ξ「負けたとき、なんかあるわけ……?」
ツンが、不安を隠せない様子で声をあげる。
それを受けてスーツの男は、深く頷いた。
( ・∀・)「まぁ、ゲーム、それもお金がかかってますから
負けたら損をするに決まってますよね」
参加者一同、息をのむ。
もちろん、元手0円で大金を得ようというのだから
それなりのリスクはあって然るべきなのかも知れないが……。
ξ;゚听)ξ「……」
37 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:39:47.08 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「とはいえ、大丈夫……!
我々のボスは良心的でしてね。
リタイア以外の負けはペナルティなしです」
ξ ゚听)ξ「……どういうこと?」
( ・∀・)「ゲームのステージとステージの間で、
リタイアをするかどうか、選べるんですよ」
(´・ω・`)「僕達参加者が、それぞれ自分の進退を選べるんですか」
( ・∀・)「ええ、棄権みたいなもんです。
5種類のゲームがありますから、
戦う回数は5ステージと考えてください」
('A`)「(多いな……)」
( ・∀・)「リタイアの場合は、お金を払ってもらいます。
詳しい事はそのときお話しますが……」
スーツ姿の男は、人好きのする笑顔を作って言った。
( ・∀・)「それ以外、最後のステージまで進んだけど優勝できなかったときなどは
一切のペナルティなし。負けても損はなし。
しいていえばゲームをしていたことによる数時間のタイムロスってとこです」
ミセ*゚ー゚)リ「(なにそれ……ひょっとしたら億もありえるっていうのに
未曾有のローリスクハイリターンじゃない)」
これには、安心したらしく、ツンも静かに胸をなでおろす。
38 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:44:50.01 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「説明はひとまず以上。
これから部屋を移動してもらいます」
( ∵)「……」
( ・∀・)「移動先がゲームルームみたいなもんなので」
ξ ゚听)ξ「そこに入ったら、退室は出来ないの?」
( ・∀・)「えぇ、体調不良だろうがなんだろうが、
ゲームを降りることになるのならリタイア扱いですね。
退室を禁じているわけではないのです。
ただ、これ以後は退室とリタイアはイコールだと思ってください」
喋りながら、スーツの男は扉に手をかけた。
木製の素朴な扉である。
参加者全員、ここから入室したのだが、
その際はこの男の案内があった。
( ・∀・)「もしも、今晩はお帰りになるというのでしたら、
今、このタイミングで申し出るのが正解かと思います」
ミセ*゚ー゚)リ「(まだリタイア扱いにはならないのか)」
( ・∀・)「この扉が開いた地点で、リタイアという概念が生まれます」
し
40 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:46:39.22 ID:TuchsbjdP
( ・∀・)「最後の確認ですが、みなさん、
ペナルティ無しのリタイアが出来るのは今だけです」
スーツ男が、今までより少し大きめの声を張り上げる。
('A`)「(うるせ)」
( ・∀・)「それでは、6人全員が参加決定という事でよろしいですね」
念を押され、参加者達は次々と頷いた。
彼らの目には、迷いの色さえ見られない。
( ・∀・)「じゃ……ここから先は、クックルの案内に従ってください。
別の部屋に移動してもらいます」
スーツ男が部屋の扉を開くと、
その向こうに、またもスーツに身を包んだ男がスタンバイしていた。
今まで説明をしていた男に比べてがっしりした体格で、
歳もいくらか上に見える。
( ・∀・)「では、クックル、頼んだ」
どうやら、ここからバトンタッチということらしい。
クックルと呼ばれた男は参加者に向けて不敵に笑った。
( ゚∋゚)「よろしく」
第零話 おわり
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:47:24.74 ID:H1D6FzTEO
支援
42 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 00:50:38.26 ID:TuchsbjdP
第零話おわりです
第一話も投下するつもりではいるんだけど
投下って結構時間かかるんだな
投下中汗かきまくったから風呂はいってきます
スレが落ちてたら後日立て直して投下します
ここまで支援ありがとうございました
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:53:01.00 ID:H1D6FzTEO
乙、期待してるぜ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 00:57:45.15 ID:+wc8g1BQ0
乙
これが初投稿?
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:04:05.21 ID:71xpZrCEO
ほ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:04:32.66 ID:0VlA0Qkc0
ほす
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:04:46.94 ID:ypYWNv0+O
保守なんだな
48 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:05:58.10 ID:TuchsbjdP
>>44 ハハ……
初投下って気分です
今から第一話も投下します
終わる頃に朝が来ちゃいそうだけど
49 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:08:27.64 ID:TuchsbjdP
案内された部屋は僕が思っていたよりもだいぶ小さく狭いものだった。
(´・ω・`)「……ここで?」
( ゚∋゚)「イエス」
(´・ω・`)「へぇ」
狭い、といっても中学校の教室くらいのサイズ。
何も無い殺風景な部屋だが
床の絨毯は清潔そうだし、窓から見える景色も綺麗だ。
ξ ゚听)ξ「いい眺めですね」
(´・ω・`)「……そうですね」
( ゚∋゚)「ここがキミたちの戦場だ」
これから僕たちは幸せの奪い合いをするようなもの。
……互いを蹴落としながら優勝を目指していくのだ。
コホン、とわざとらしい咳払いが聞こえたので顔をあげると、
クックルが僕たち参加者に向けて一礼、
そして無機質な顔のままで声を張り上げた。
( ゚∋゚)「華々しい一回戦を飾るゲームは」
( ゚∋゚)「ジジ抜きです」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:09:11.08 ID:NR6Xl32mO
がんば
51 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:09:44.54 ID:TuchsbjdP
( ^ω^)一攫千金のようです
第一話
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:11:27.39 ID:+wc8g1BQ0
支援
カイジ風なのかライアーゲーム風なのか気になる
53 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:11:46.47 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「特殊ルールのジジ抜き、これで戦ってもらう」
(´・ω・`)「ジジ抜き?」
( ゚∋゚)「ご存じない?」
ジジ抜き……聞いたことはある。ババ抜きの亜種だ。
とはいえ。
知っていると答えて流されるより、
詳しい説明が得られるような選択をするべきだろう。
そりゃあ知ってるけど……という空気が参加者間で流れるのを感じて、
僕は手を上げながら発言する。
(´・ω・`)「ババ抜きなら知ってるんだけど」
隣でツン、という名前の女性が囁いた。
ξ ゚听)ξ「似たようなもんよ」
( ゚∋゚)「ババ抜きを理解しているのなら簡単な説明でよいだろう」
クックルさんはニワトリのように頭をカクカクさせて――
どうやらそれは頷いている動作なのだと一瞬の後に理解したが
そうして、ルールの説明を始めた。
( ゚∋゚)「用意するトランプカードの枚数はジョーカー2枚を含めた54枚。
そこから、任意の1枚を抜き出した53枚をゲームに使用する」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:14:05.40 ID:ypYWNv0+O
支援ン
55 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:15:31.13 ID:TuchsbjdP
(´・ω・`)「ということは……」
( ゚∋゚)「そう、この抜き出された1枚がジジカード。
ジジカードを引いたあとに山札に残る同数字カードの枚数は3枚、
あるいはジョーカーなら1枚。
……奇数だから最終的には余ってしまう、わかるだろう」
(´・ω・`)「最初に選び出した1枚のカードをババ扱いしていくんですね」
僕が、ああそういうことですか、といった表情をすると
クックルさんは また頭をカクカクさせた。
( ゚∋゚)「それが違い、それだけが違いだ。
あとはババ抜きと同じ流れ、53枚のカードを順番に配っていく。
6人でプレイするわけだから、1人に8枚か9枚……」
(´・ω・`)「……」
( ゚∋゚)「手札が配られ終えてからは通常のババ抜きのように
配られた地点で揃っていたペアカードを場に捨てる。
そのあとは順番に手札の引き合い……もちろんここがゲームのメイン。
引き合いの流れの中でペアカードを作り、手札を使い切ったものから勝ち抜け。
最後まで残った者……つまりジジを引いた者は最下位となる」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:16:19.06 ID:+wc8g1BQ0
支援
57 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:18:17.75 ID:TuchsbjdP
ξ ゚听)ξ「ふつうのジジ抜きね」
ツンさんが少し気の抜けた声で呟いた。
後ろのほうでミセリさんが、「ですね」と答える。
( ゚∋゚)「このような流れ……
ジジカード選出から最下位決定までの流れを1ゲームとする。
今回は3ゲーム、つまりジジ抜きを3回してもらう」
(´・ω・`)「3回勝負って訳か」
てっきり、一種類のゲームにつき一回の勝負と考えていたが、
そうではなかったようだ。
同じ考えだったのか、ツンさんが一歩前に出て発言する。
ξ ゚听)ξ「1回で終わるわけじゃないの?
でも、それでどうやって勝敗を決めるのよ。勝ち数負け数のトータル?」
( ゚∋゚)「点数制だ……!」
('A`)「は?」
( ^ω^)「お?」
今度は今まで静かだった男性陣から、不意をつかれたような声があがる。
もちろん僕も例外ではなく驚いた。
点数制……考えてなかった。
58 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:22:22.56 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「ここからは特殊ルール……複雑になるからよく聞いておくことだな」
クックルさんは僕たち参加者の顔を見渡し、
全員の注目を確認してから口を開いた。
( ゚∋゚)「これから始めるジジ抜きは3回勝負、点数制。
基本的には加点方式だ。
3ゲーム終了地点での持ち点は、次のゲームに持ち越しとなる。
尚、点数計算は主催側がオートで行う。
計算ミスなどは気にせず存分に戦え」
一息に“点数制”の概要を述べ、再びクックルさんは僕たちの顔を見る。
( ^ω^)「?」
(´・ω・`)「1ゲームごとに勝敗を決めるけれど、
最終的には総合点勝負ってこと?」
( ゚∋゚)「そう……というか、この先のゲームはだいたい全てそう……!
ポイントだ、大事なのは総合点。
このジジ抜きでボロ負けしても他のゲームで巻き返せる。
逆に言えば、なにか一つのゲームで大勝をあげたところで
優勝が約束されるわけではない」
( ^ω^)「お?お?」
これから続く勝負、それ1回1回は、勝つことに意味がない、と。
つまりは全てが終わった瞬間の総合点勝負という事なのか。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:24:08.44 ID:2KAn//IoO
期待支援
60 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:25:06.70 ID:TuchsbjdP
僕たちが見つめなければならないのは勝利ではなく、点数。
それが指針。得点なき勝利は意味が無い。
( ゚∋゚)「とはいえ、シンプルなゲーム、ジジ抜き。
優勝を目指すなら、勝ちつつ得点……こなしてほしいところだ。
総合点1位通過かつ勝ち星持ちは大きなアドバンテージになる。
1位のまま最後まで逃げ切り……充分ありえる話」
ξ ゚听)ξ「わかったわ。それはわかった。
ここから先のゲームも点数を稼いでいって、
全てが終わったときの総合点がトップならいいわけね」
( ゚∋゚)「そういうことだ……他のみなさんもよろしいか?」
('A`)「……あぁ」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「わかりました。だから……点数。
どうやって点を数えていくか、教えてくれないと困ります」
質問者が出ないことをみてから、僕はクックルさんに聞く。
点数については僕たちの命にも等しい事項だ。
( ゚∋゚)「もちろん、今から説明する。
加点の方法は各ゲームによって異なるため、
それぞれのステージごとに説明を受ける。
ここではジジ抜きの点数についての説明のみ……ということになる」
61 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:28:35.36 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「まず、手札が配られる。
そこからペアカードを場に捨てていくわけだが……
ワンペア捨てるごとに500点。
ツーペア捨てれば1000点。
スリーペアなら1500点、それが持ち点に加算される」
ババ抜きでも行われる、配られた手札の整理。
そのときに捨てるペアカードに点数……
ここで点数を得られるかというのは運によるところが大きいだろう。
ほぼ、運だ。
つまり手札にペアカードを配ってもらえるか、ということ。
('A`)「そいつは天運任せだな」
無論手札を配るのはクックルさん側の人間だろうし、イカサマは出来ない。
そこで点数が得られれば
ラッキー、今回は運がよかったな、
その程度のスタンスでいなければなるまい。
( ゚∋゚)「無論、1ゲーム目の頭はみな0点からのスタート。
手札が配られた地点でペアが揃っていれば……
そしてそれを場に捨てれば、
捨てたペア数×500点がもらえるということ……
いわばゲーム本番前にもらえるボーナスポイントだ」
(´・ω・`)「捨てれば、ということは……?」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:29:39.54 ID:2KAn//IoO
支援
63 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:30:19.50 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「そう、捨てれば、だ」
意味あり気な間をおいて、クックルさんは言葉を紡ぐ。
( ゚∋゚)「ペアが揃っていても捨てなければボーナスはもらえない。
例えば……揃っていた事に気付かなかったとか……」
( ∵)「……」
( ゚∋゚)「まぁ、そんなことがあれば、ペアが揃っていても持ち点には影響しない。
このステージ、ジジ抜きでは、
基本的に場にカードを捨てたときにのみ点数が加算される。
手札に持っていても仕方が無いという事だ」
ξ ゚听)ξ「たかが8枚程度の手札で揃ってた事に気付かないなんて」
バカにしたような声色で、ツンさんが言った。
ξ ゚听)ξ「人生賭けたゲームで有り得ないでしょ?」
( ゚∋゚)「……まぁ、人によってはあるかもしれない。
絶対にありえないなんてことはないだろう」
ξ ゚听)ξ「……?」
クックルさんの含んだような物言いに、僕は思考を廻らす。
参加者みな、同じ気持ちだったのだろう、
部屋に数秒の沈黙が訪れた。
64 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:32:52.76 ID:TuchsbjdP
ミセ*゚ー゚)リ「……」
( ゚∋゚)「次……」
('A`)「あぁ」
( ゚∋゚)「手札整理が終わった次に、カードの引き合いがはじまる。
引く順番は時計回り……
席については最初のゲームが始まる前にくじで決め、
その後は3ゲーム通して固定とする。
そして、引き合い、ここからが本当のゲーム」
席は最後まで固定、心理戦要素を深めるためだろうか。
1ゲームずつ隣人が変わるよりかは遥かにやりやすいが……。
( ゚∋゚)「右隣の人からカードを引き、左隣に引かせる。
引いて、引かれる……その流れの中で、当然、ペアカードが生まれる。
もちろん、そうしたペアも、場に捨てることで点数になる。加点される」
つまり、場にペアカードを捨てること自体が得点行為なのだろう。
( ゚∋゚)「点数はKペアが一番が大きく、1ペアが一番小さい」
そして、手札整理段階と、引き合い開始後では、点数の数え方が変わる。
( ゚∋゚)「例えば、1ゲーム目。右隣からハートのKを引く。
自分の手札にはスペードのKがあるからペア成立。こんな状況だとしよう。
この二枚のKを場に捨てれば1300点を得ることが出来る」
ξ ゚听)ξ「せ……せんさんびゃく?」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:32:57.26 ID:NR6Xl32mO
ジジ抜きしたくなってきた
あれ…友達いないや
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:34:12.70 ID:+wc8g1BQ0
な…なるほど!
67 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:34:48.08 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「この点数でおわかりいただけるとは思うが、
つまり、このとき、Qのペアを捨てれば1200点、
5のペアなら500点、1のペアなら100点を得られる」
(´・ω・`)「ジョーカーは?」
( ゚∋゚)「ジョーカーは例外として、ゲーム数×1000点の計算。
つまり1ゲーム目は1000点。なんとびっくり、3ゲーム目は3000点」
( ^ω^)「……むむむ?」
( ゚∋゚)「ここまではよろしいか?
先程いったとおり、点数計算は全てこちらが行う。もちろん不正なし」
計算ミスによるいざこざを含めた手間がないのは良い。
不正がないと明言している以上、
本当にフェアか、あるいはちょっとやそっとじゃバレないような……。
( ゚∋゚)「点数については概ね、以上だ。
更に追加要素として、場に捨てたペアが同色だった場合
……つまり赤同士、黒同士でそろえて出した場合は、
カードの基本点に加えてプラス200点のボーナス。
これは、最初の手札整理のときから適用される」
ξ ゚听)ξ「ジョーカーは?」
( ゚∋゚)「ジョーカーはボーナスなし。素点だけだ」
(´・ω・`)「1ペアに付きプラス200点ですか?」
68 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:37:29.72 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「そのとおり」
(´・ω・`)「……ってことは
1ゲーム目の最高点はKの同色ペア1500点、となるわけだね」
しかし、2ゲーム目以降は違う。
2ゲーム目は2000点、3ゲーム目は3000点、そう。ジョーカーだ。
ただ、ジジカード選出の際にジョーカーがジジになるという可能性もある。
そうなったら最後、ジョーカーは得点源にはならない邪魔カード。ゴミカード。
他のカードの場合はジジに選ばれたとしても
必ず1ペアは出来上がる。
4枚ひく1枚で3枚。ここから2枚一組のペアが生まれる。
ジョーカーは違う。山札に元々2枚しか入っていないのだ。
1枚抜けてしまったら、もうどうにもならない。
そういう危うさもあるということ。
('A`)「……ちょっとややこしいな」
( ゚∋゚)「このあたりはゲームをやりながら
自分の点数を確認していくとわかりやすいだろう」
クックルさんの言うとおり、1ゲーム目はルール理解を第一に置く事になりそうだ。
( ゚∋゚)「1人を除き、全員あがった状態……ゲームセットになれば1ゲーム終了」
ξ ゚听)ξ「一番に抜けたらボーナスとか、ないの?」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:39:37.21 ID:ypYWNv0+O
面白いぜ支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:41:04.33 ID:S6Ujqf7EO
こういうの好き
71 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:43:43.23 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「残念ながら逆……ゲーム終了のあとは減点方式」
(´・ω・`)「え?」
( ゚∋゚)「最下位の総合点から−1500点、
5位の点数からは−1000点、4位からは−500点。
3位以上は加減なし」
1ゲーム終わるごとに、
そのゲームの成績下位者はペナルティを払わなければならないらしい。
極端な話、3ゲーム連続で最下位となった場合、合計で4500点を支払う羽目になる。
ξ ゚听)ξ「……なにそれ、一抜けを目指す必要はないってことじゃない」
そう、どれだけ早くあがれるかという点は無視。
3位以上であがれさえすれば、ペナルティは避けられるのだから。
考えるのは、上位を狙う、というより下位を逃れる事である。
( ゚∋゚)「まぁ、そのあたりの判断はプレイヤー次第だ」
クックルさんはまたも頭をカクカクさせると、
懐から割り箸の束を取り出した。
( ゚∋゚)「それではさっそく席決めのくじ引きを……」
ルール説明は以上、と小さく付け加えると、僕たちに割り箸を見せた。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:46:12.66 ID:71xpZrCEO
支援
73 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:48:56.31 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「これがくじ。わかりやすい、
席決めといえばやはりこれ……割り箸くじ」
気のせいだろうか、若干嬉しそうな声色だ。
(´・ω・`)「待ってください。ジジカード選出について……」
クックルさんは、一瞬動作を停止させてから、
あぁ、思い出した、と呟き、頭を下げる。
( ゚∋゚)「申し訳ない。最後にひとつ忘れていた。
君の聞きたいことも同じだろうが……」
(´・ω・`)「ジジカード選出のあとについてです」
ゲーム開始前に、トランプの山から1枚のカードを引く。
ジジカード選出だ。
それは不正の無いように、プレイヤー全員の前で行われるはずである。
その後、カードを選んだあとの話。
( ゚∋゚)「1ゲーム目のジジカードは私が選ぶ」
('A`)「……」
( ゚∋゚)「そして
無論、なんのカードがジジなのかは公表しない。
シークレットで進んでいく。それがジジ抜きの醍醐味……」
(´・ω・`)「やはり……そうですよね」
74 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:50:53.45 ID:TuchsbjdP
そりゃあそうだろう、と参加者一同が納得したであろう瞬間に、
クックルさんはそれまでより少し大きな声で言った。
( ゚∋゚)「ただし2ゲーム目からは別だ」
ジジカードは公表しない……それゆえのジジ抜き。
いわばジジ抜きのアイデンティティ。
しかし、それが適用されるのは1ゲーム目だけ、とクックルさんは述べる。
('A`)「は?」
ξ ゚听)ξ「どういうことよ」
( ゚∋゚)「2ゲーム目のジジは1ゲーム目の最下位が選ぶ。
3ゲーム目のジジは2ゲーム目の最下位が選ぶ」
つまり、1ゲーム目のカード選出者はクックルさん。
2ゲーム目は1ゲーム目であがれなかった人、
3ゲーム目は2ゲーム目であがれなかった人が選出者となる。
( ゚∋゚)「そして……2ゲーム目と3ゲーム目、
選出者だけ、選んだ後にジジカードを見ることできる。
選出者のみ、そのゲームのジジカードが何かを知る事が出来る……
いわば前ゲーム最下位者へのハンデ……ってとこだ」
(´・ω・`)「!!」
ジジカードを知る事が出来る。
それめちゃくちゃ大事なルールなんじゃないか?
75 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:55:41.76 ID:TuchsbjdP
ξ ゚听)ξ「前ゲームの最下位者が選ぶって……
この点数システムじゃあ、
前ゲームの最下位と総合得点の最下位が
別人って事もありえると思うけれど?」
ツンさんの言うとおりだ。
1ゲーム目の最下位者が得点数においても最下位かというと別の話。
ジジ抜きの勝敗はジジカードを持ってしまうかどうかで決まるが、
得点数の順位はどれだけ点数の高いカードを捨てられるかで決まる。
まったく別の話なのだ。
( ゚∋゚)「その通り。けれどカードを選べるのは前ゲーム最下位の者だけ……!」
得点数を伸ばせなかった=ジジ抜きの敗者ではない。
高得点をゲットしてのジジ抜き最下位も有りえる。
最下位のペナルティ、「持ち点から−1500点」という代償はあれど
戦略的に最下位を狙うというのも考えられない話ではなくなった。
このゲームの中で、
ただ一人ジジカードの正体を知りながらプレイできるというのは
一体どれだけの意味があるのだろうか……。
果たして1500点の価値はあるのか。
今の僕には、見当が付けられなかった。
( ゚∋゚)「ルール説明は以上だな」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 01:58:23.54 ID:+wc8g1BQ0
面白い! 支援
77 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 01:59:24.30 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「ま、1ゲーム目は勉強のつもりで、やってみるのが早かろう。
やって覚えるのが一番確実だ」
言うが早いが、クックルさんは手をパンパン、と二度鳴らす。
呼応して開くドア、僕たちが入ってきたドア。
少し驚いて後ずさる参加者たちを尻目に、
スーツ姿の男4人が運んできたのは自動麻雀卓のような……テーブル。
ξ ゚听)ξ「なによこれ」
( ゚∋゚)「このテーブルの上でゲームをしてもらう」
普通のテーブルではない。
まず、六角形だった。
これはおそらくプレイヤー人数が6人だから、だ。
一人が一辺に座るような形で使用するのだ。
座ったとき、丁度おなかにあたるあたりに、電光表示枠がついている。
ここに点数を表示していくのだろう。
更に変わっているところといえば、くぼみだ。
これも表示枠同様、六つ。
座って手を軽く伸ばした距離にある。
一人一つのくぼみ、というわけだ。
テーブルをまじまじと見つめている間に、
スーツ男たちは椅子を運び、僕の予想通り、一辺に一脚ずつ配置する。
瞬く間に、僕たちのコックピットが完成してしまったのである。
78 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:04:04.98 ID:TuchsbjdP
―1ゲーム目開始―
奇妙なテーブルだった。
六角形。
時計回りに、
ミセリ
内藤
ツン
ドクオ
ビコーズ
ショボン
と参加者が着席している。
参加者が少し身を引いて目線を下げれば、
点数表示枠が見える。
ここに、これから始まるジジ抜きによって得た点数が表示されていく。
( ゚∋゚)「表示されるのは自分の点数だけ。
他人の得点は、1ゲームが終わるまでわかりません」
軽く手を伸ばした位置に、3センチほどの深さのくぼみ。
広さは文庫本がぴったりはまる程度だろうか。
( ゚∋゚)「そちらのくぼみが、各自の捨て場になる」
79 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:06:22.33 ID:TuchsbjdP
成立したペアカードを捨てるスペース、というわけだ。
これは、一人に一つ与えられている。
( ゚∋゚)「これから使用するトランプがこちら」
そういってクックルが見せたのは、
一見普通のトランプカードの山である。
( ゚∋゚)「実は、これ一枚一枚にちょっとした仕込がある」
例えるならICカード。
トランプがSuicaで捨て場が改札機のような役割を果たす。
( ゚∋゚)「カードを捨て場に置けば、
捨て場はそのカードを読み取り、柄や数字を判断し、
自動で点数を数えてくれる」
捨て場に置くとき、カードの裏表は無い。
また、既に捨てられているトランプカードの上から
新しいペアを重ねて捨てても、
正しく計算される、とクックルは付け足した。
( ゚∋゚)「ノーミス。これなら計算間違えも無い」
ξ ゚听)ξ「よく出来てるわね」
( ゚∋゚)「ただ、そういう仕組みゆえ、
自分の捨て場に触れられるのは自分だけ。
他人の捨て場に触れることは許されない、反則行為になる」
80 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:13:21.39 ID:TuchsbjdP
( ゚∋゚)「不正を働かれては困るからな」
言いながら、クックルはトランプのシャッフルをはじめた。
ミセ*゚ー゚)リ「(こんなハイテクなテーブルがあるくせにシャッフルは手切り?)」
('A`)「おい、イカサマとか不正とか……」
( ゚∋゚)「安心しろ、我々はフェアだ」
強い調子で言い切られてしまったら反論もできない。
そもそも、立場が違うのだ。
参加者達は、現在破格のローリスクなのだから、
ここで刃向かって反感を買い、損する可能性を生むなんてバカはしたくない。
( ゚∋゚)「では、手札を配る。
座席は3ゲーム通して固定だからな」
( ^ω^)「(両隣が女の子なんてくじ運よすぎるお)」
数分前、彼ら6人は割り箸くじで座席順序を決めたのだった。
結果が現在の様相である。
( ゚∋゚)「誰からカードを引き始めるかだが……」
手札を6組作りながら、クックルは言う。
( ゚∋゚)「それはルーレットで決める」
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:15:03.80 ID:S6Ujqf7EO
こんな濃い内容で5回戦か……
作者頑張って!応援してます
だが限界……もう寝ます……
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:18:14.36 ID:OLcq5Gf8O
支援
83 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:18:31.54 ID:TuchsbjdP
(´・ω・`)「それは1ゲームごとに決めなおすんですよね?」
テーブルを部屋に運び入れた男たちのうち一人が、
どこからか小さなルーレットを取り出した。
( ゚∋゚)「もちろんだ」
ルーレットの項目部分が、各々の名前になっているだけという
非常にわかりやすいかたちのものを、
クックルは参加者全員が見えるように、掲げた。
( ゚∋゚)「これを回すのも、俺がやらせてもらう」
ミセ*゚ー゚)リ「(なんだかなぁ)」
( ゚∋゚)「クックドゥルドゥ!」
高らかな掛け声と共にルーレットを走らせるクックル。
掛け声に意味があるのだろうか、と参加者が面食らっているうちに
1ゲーム目、最初にカードを引く人物が決まった。
( ゚∋゚)「内藤……。
つまり、内藤が、ミセリの手札を引くところからスタートだ」
( ^ω^)「(ついてるお!)」
84 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:22:17.65 ID:TuchsbjdP
出来上がった6組の手札をそれぞれの手元に配り歩きながら、
クックルは、大き目の声で言う。
( ゚∋゚)「手札整理の時間は5分間。
制限時間5分だ。それを過ぎれば、まだ整理が終わってなかろうとダメ。
強制的に引き合いをはじめさせてもらう」
ξ ゚听)ξ「(5分……5分もいらないでしょ)」
( ゚∋゚)「5分経ったら、これがなる」
懐からキッチンタイマーを取り出し、参加者に見せるクックル。
一同は割り箸くじ、キッチンタイマー、とさながら台所の引き出し状態な
クックルの懐を案じた。
ミセ*゚ー゚)リ「(こいつのスーツの中、どうなってんの)」
( ゚∋゚)「それでは5分にセットして……
合図があったら、手札をあけてよい」
( ゚∋゚)「クックドゥルドゥ!」
ミセ*゚ー゚)リ「(……)」
( ゚∋゚)「今のが合図だ。あけていいぞ」
ゲーム開始である。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:23:29.72 ID:OLcq5Gf8O
支援しました
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:26:35.97 ID:OLcq5Gf8O
支援
87 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:29:03.74 ID:TuchsbjdP
―1ゲーム目―
ミセ*゚ー゚)リ
(´・ω・`) ( ^ω^)◎内藤始まり
( ∵) ξ ゚听)ξ
('A`)
1ゲーム目、内藤がミセリの手札を引くところから時計回り。
ミセ*゚ー゚)リ←引く←( ^ω^)
( ^ω^)←引く←ξ ゚听)ξ
ξ ゚听)ξ←引く←('A`)
('A`) ←引く← ( ∵)
( ∵) ←引く← (´・ω・`)
(´・ω・`)←引く←ミセ*゚ー゚)リ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:29:39.05 ID:OLcq5Gf8O
私怨
89 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:31:22.47 ID:TuchsbjdP
―手札整理(ミセリ)―
1人に8枚か9枚。
こんな手札の枚数の中で、初っ端から何ペアも揃っているわけがない。
3ペアあれば超ラッキー。
最悪、1ペアもない可能性だってありえる。
確率だとかそのあたりはサッパリだけど、
6人で戦うとなれば、そういうことだってある。
私はゴミ手でも已む無し、という気持ちで手札を開けた。
ミセ*゚ー゚)リ「(……)」
ハート、クラブ、ダイヤ、スペード。
おおよそバランスよく柄が散っている。
とはいえ、このゲームで大事なのは『色』だ。
ハート、ダイヤの赤。
クラブ、スペードの黒。
手札を区分するとき、
同色ペアへのボーナスポイントがある以上は
色で考えることを避けられない。
赤 2 7 8 J J
黒 5 8 9 Q
ミセ*゚ー゚)リ「(赤の同色ペアJが一組。異色ペアの8が一組)」
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:32:37.28 ID:OLcq5Gf8O
試演
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:33:35.03 ID:aRtIvc+KO
支援
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:35:18.48 ID:0p83Rg/8O
支援
93 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:35:42.44 ID:TuchsbjdP
このジジ抜きは、普通のジジ抜きとは違う。
点数制……きっと別の戦い方が求められてくる。
通常のジジ抜きならば、私の手札から
何を引かれて持っていかれても、おおよそ問題は無い。
ババ抜きであれば、ジョーカーを持ってってくれれば嬉しいけれど、
ジジ抜きでは、何を引かれるかは殆ど意識しない。
右隣から自分の手札に合うカードを引いてくることが一番大切なのだ。
ミセ*゚ー゚)リ「(それも、普通のジジ抜きなら……だけど)」
これは特殊なジジ抜きだ。
カードを引く引かれるというやり取りのみに着目しても
2ゲーム目以降において、
6人中5人はジジ抜き、1人はババ抜きをやるような形になる。
ミセ*゚ー゚)リ「(前ゲームの最下位者だけ、
ジジカードが何か知りながら引き合える)」
これはかなり大きい。
ジジカードが何か、それを知っている者
プレイヤー6人中、ただ一人だけが
「引きたくないカード」「引いてってほしいカード」をピンポイントで意識する事になる。
ジジカードを知り、意識してプレイするという事はババ抜きと変わらない。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:37:20.29 ID:2KAn//IoO
支援
95 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:38:31.99 ID:TuchsbjdP
次に、点数の大小だ。
ペアを捨てたときの得点。
Kの1300点と1の100点。あまりに違う。
ミセ*゚ー゚)リ「(いうなればカード格差)」
つまり、KやQといった高得点カードは手放したくない。
わけは簡単、揃ったときに大きな得点が入ってくるから。
他の人に渡って、そこでペアが成ったら困る。
そういう意味もあって、手放したくなくなるだろう。
ミセ*゚ー゚)リ「(逆に考えれば……)」
1や2といったカードは揃ったときの得点が小さいため、
引かれていっても、気にならない。
たとえそれで、左隣のプレイヤーにペアが成り、点数を与える事になろうとも……
100点、200点の話であれば、十分に巻き返せる。
絵柄カードは手放さない。
自分の得点のため、そして相手に得点を与えないために。
これは点数制のジジ抜き、カード間で優劣が存在する以上は
基本ともいえる考え方になるはずだ。
ミセ*゚ー゚)リ「(とはいえ、このあたりは直感的にわかってしまう領域)」
考え方、というような高尚なものでもない。
96 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:42:20.63 ID:TuchsbjdP
ミセ*゚ー゚)リ「(この5分間を生かして、考えなきゃならないのはもっと別の……)」
そう、例えば、この5分間自体だ。
ふつうのババ抜きジジ抜きを遊ぶとき、
手札整理に時間制限なんてつけない。
全員がペアを出し終えたな、という雰囲気。
あるいは「もういい?揃ってるのは捨てた?」という確認を経て
自然に、引き合いへ流れていくもの。
この5分間という区切りは、
まるで手札整理の時間と引き合いの時間を分断するための枠組み。
ミセ*゚ー゚)リ「(っていうか、正にそれなんだろうな)」
手札整理タイムと引き合いタイムは別物として考えなきゃあならない。
むしろ、5分という制限時間はそういう考え方への橋渡しだとさえ思える。
ミセ*゚ー゚)リ「(点数のシステムにしたってそうじゃん)」
手札整理時に捨てた場合は1ペアにつき一律500点で計算される。
引き合いの中で出来たペアを捨てたときは
最高がKの1300点、最低が1の100点。
点数の数え方が違うということは
即ちそこに何か意味が存在するということ。
ミセ*゚ー゚)リ「(じゃなきゃ不自然なシステム……)」
97 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:47:21.66 ID:TuchsbjdP
だって、こういう大金がかかった勝負をするって言うのに、
ややこしいルール設定になっているのだ。
この点数制という部分は妥協するにしても……
もっと単純に
例えば点数を終始一律500点にすることだって出来る。
ゲームの途中で得点の精算方法を変えるなんて、
ルールの複雑化でしかない。
ミセ*゚ー゚)リ「(いくらオート計算って言っても、
ルールをわかりにくくして何になる?)」
何か、見返りがあるんじゃないか。
点数を複雑化させることで生まれるのは……。
ミセ*゚ー゚)リ「(……)」
考えを巡らせながらも、他プレイヤー達の観察も怠ってはならない。
何だかんだで、こういうシンプルなゲームじゃ
「理」とか「運」と並んで役に立つのだ。
敵を知ること、「知」とでも呼ぶか。
相手がどんな性質を持つ人間なのか知ることが。
十年来の友人同士でババ抜きをするのと
初対面のメンバーでババ抜きをするのじゃ、
まるでスタート地点が違う。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 02:47:23.38 ID:S6Ujqf7EO
こういうのが無料で読めるからインターネッツって素敵
99 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:51:27.90 ID:TuchsbjdP
今回の相手は全員初対面のメンバーだ。
それならば出来る限りの時間は観察にまわす。
ここで見たことがジジ抜きに生かされなかったとしても
先のゲームではわからない。生きるかもしれない。
ミセ*゚ー゚)リ「(っつっても、私天才じゃないから両立は無理)」
観察と考察の両立が出来るほど、自分は器用じゃないのだ。
事実、考察をしているときは観察が疎かになり
こうして面々の所作を眺めることに集中すれば、難しい事は考えられない。
ミセ*゚ー゚)リ「(……あの内藤とか言われてた男)」
私は右隣に座る男を見る。こいつはいかにもバカそうだ。
わざとらしいくらいの視線を送っても
毛ほども気にしないところなど、正にマヌケっぽい。
もちろん見た目のみで内面を判断しきるのは危ういのだが……。
内藤の捨て場に目をやると、溜息が出そうになった。
ミセ*゚ー゚)リ「(K四枚をこのタイミングで捨ててるところを見ると
よほどの策士か、ただの運頼みバカ)」
問題になってくるのは逆隣の男だろう。
先刻までのルール説明の際に、頻繁に質問をしていたことからもわかる。
私はあのとき、極力目立たないように、ほとんど発言せずにいたけど、
こいつはあの喋り方といい、質問の仕方といい……
ミセ*゚ー゚)リ「(多分、頭はいいほう……少なくともそういう自覚を持っている)」
100 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 02:55:40.04 ID:TuchsbjdP
(´・ω・`)「……」
左隣に視線を移すと、
丁度、男が捨て場にカードを置いたところだった。
ミセ*゚ー゚)リ「(伏せて置いてはいるけど……
今横から見たとき、あれは明らかに1ペアじゃない)」
左隣の男は捨て場からそろりと手を戻し、
手札を手のひらに隠れるような形に持ち替えた。
ミセ*゚ー゚)リ「(どうせゲームがはじまったら見せあわざるを得ないものを……)」
捨て場を伏せるというのは、戦略的にも有効である。
伏せて捨ててしまえば、他プレイヤーはそれを触る事ができない。
今、何点分のペアを捨てたのかわからない。
各々の手札にどの数字、柄のトランプが残っているのかがわからない。
ペアを伏せて捨てるのは
判断材料を減らす、という意味を持つ。
ミセ*゚ー゚)リ「(その点、内藤とかいうのは表で出してるけど)」
これが、実は意味が無いとも愚かだとも言い切れない。
なぜならそれがK4枚だから。
ミセ*゚ー゚)リ「(つまり、もうKは誰の手にもないということ)」
自動的に、これ以降はQが最高点をもつカードになる。
繰り上がるのだ。
101 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:01:45.38 ID:TuchsbjdP
しかし、内藤の行為は大きな損を伴っていた。
自ら、得られる点数を減らしたということ……。
ミセ*゚ー゚)リ「(ん……もしかして)」
頭の中で、線と線が繋がっていく。
私は、今把握できている事を順に思い返した。
手札整理に制限時間があるのは何故か?
点数の数え方を二つに分けたのは何故か?
手札整理の段階でKのような高得点カードを捨てるのは損である。
なぜなら、一律得点に数えなおされてしまい、
高得点カードの旨みがなくなってしまうためだ。
これらを単純に言えば、「ルールの複雑化に対する疑問」。
そして、当然として考えていたが「カードを捨てるタイミングにより生じる損」。
ミセ*゚ー゚)リ「(あ――……)」
無意識のうちに、分けて考えていた。
疑問の答えを、新しく見つけなければならないと思い込んでいたが、
ひょっとして、その答えっていうのは
既に、当たり前の感覚として処理していたものだったんじゃないか?
ミセ*゚ー゚)リ「(ルールを複雑にしたのは、
捨てるタイミングによる損得を生むため……!)」
なんてことだろう。
答えを知ってるのに、疑問と結び付けられなかった。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:06:16.14 ID:0VlA0Qkc0
最後の支援
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:06:36.60 ID:ypYWNv0+O
複雑だな・・・・面白い
104 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:06:50.75 ID:TuchsbjdP
低得点ペアを手札整理の段階で捨てられれば
一律得点補正で1のペアだろうと500点。
高得点ペアを手札整理の段階で捨ててしまえば
同じように補正されるためKだろうと500点。
こんなの、ルール説明されたときから当たり前に気付いてたじゃん。
ミセ*゚ー゚)リ「(でも…… それゆえ……)」
それゆえに特別視できなかった。
そう、これはルール複雑化により生まれたものなのだ。
ミセ*゚ー゚)リ「(さいあく……)」
繋がってみればなんてことない線なのに、
繋げるのに数分も取ってしまった。
昔からそうだった。
公式は覚えられた、理解もできた。
さぁ、問題を解こう、となってみると、解けない。
変に難しい考え方をして、解けない。
すでに知っている公式を当てはめればいいだけなのに、
それに気付くまでが遅い。
ミセ*゚ー゚)リ「(私の致命的な欠点……)」
軽く沈んだ気持ちで、
自分の手札を見下ろす。
ぐだぐだやってる暇はない。
最初は一律500点
ゲーム開始で点数が変わるでおk?
106 :
>>105おkです ◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:09:11.83 ID:TuchsbjdP
赤 2 7 8 J J
黒 5 8 9 Q
ミセ*゚ー゚)リ「(さて……これをどうするか決めなきゃ)」
私の手札に成っているペアは2ペアとも、
今出すと損なカード。
手札整理時の得点制度は
制限時間(5分間)が過ぎれば変わる。
例えば、
あと数分待てば、8のペアの価値は500点から800点へ。
ミセ*゚ー゚)リ「(だから、普通の戦略としては、ここではどちらも捨てない)」
今捨てるよりも、一律補正が外れてから捨てるべきなのだ。
ペアが揃っていたらすぐに捨てなきゃならない、なんてルールは存在しないのだから。
ミセ*゚ー゚)リ「(でも……プレイヤー6人中、私だけ例外の立場……)」
そう、1ゲーム目の引き合いがはじまる地点。
それが私だ。
内藤が私のカードを引く、それが最初になる。
もし、ここで成立しているペアを温存し、
引き合いスタートを待つとしよう。
そして引き合いの一手目。
内藤がJを持っていってしまったらどうなる?
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:11:45.98 ID:cx3uLzMfO
面白いわ支援
逃亡はしないでほしいぜ…
最初に5以下のペアも捨てずにデコイとして持ってても効果ありそうだな支援
109 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:13:37.14 ID:TuchsbjdP
折角配られた地点で揃っていた高得点ペアを手放す事になる。
8を持ってかれることだってあるだろう。
内藤から手が伸びる一手目に
私は9枚中、引かれたくないカードを4枚持って挑まなければならない。
他のプレイヤーとは違うのだ。
彼らは手札整理の地点で8とJのペアがあれば、まず温存を考えるだろうが
私だけ、温存しても得点で損をする可能性がある。
手札整理の段階で8もJも捨てるとすると、
1つのペアにつき500点、同色ボーナス(+200点)も計算して、
合計で1200点を得られる。
手札整理時の得点補正が外れ、
引き合いが始まってから8とJを捨てると
同色のボーナスもいれて2100点。
ミセ*゚ー゚)リ「(もちろん2100点が欲しい……けど)」
例えば――
手札を温存し、引き合いを迎えたとしよう。
赤 2 7 8 J J←
黒 5 8 9 Q
私の手札から内藤がダイヤのJを引いていく。
赤 2 7 8 J
黒 5 8 9 Q
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:14:30.21 ID:gMRui8uoO
ライアーゲーム カイジ 零
111 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:16:06.61 ID:TuchsbjdP
こうなると、手札の中で確定できる得点は800点のみ。
もし8を持っていかれた場合は同色のJペア分で1300点。
ミセ*゚ー゚)リ「(Jを持っていかれたら大損こくわ)」
もちろん、内藤から引かれる前……
手札整理と引き合い開始の間にうまいこと捨てられれば
2100点まるまるゲットできるのだが、
現実的に考えて難しい。
「それでは内藤君、ミセリさんの手札を引いてください」
ってタイミングでちょっと待って、これ捨てるから、
そんなのが通用するだろうか……。
通用したとしても、一律500点として計上されるかもしれない。
ミセ*゚ー゚)リ「(通用しないとも言い切れないんだけど……)」
だって、このゲーム、そう考えると私だけ不利な立場なのだ。
そういった不平等をなくすための温情くらいあるかもしれない。
ミセ*゚ー゚)リ「(……)」
でも、やっぱり無しだわ。通用したとしても、よくない。
ズルとかって話じゃなくて、私がそうしたってことは、
2ゲーム目3ゲーム目まで響いてくるから。
2ゲーム目3ゲーム目に私と同じ立場にくるのが誰かわからない。
ここで私が動いてしまえば、そいつに情報を与える事になる。
当たり前のようにそいつだって、私がしたような手順で手札を捨てるはずだ。
私っていう前例がいるのだから、そうするに決まってる。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:18:33.31 ID:ypYWNv0+O
支援なんだ
しえん
114 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:20:38.19 ID:TuchsbjdP
ミセ*゚ー゚)リ「(じゃあ、どうする?)」
考えが長引けば長引くほど、マイナスだ。
私が考えている間に、他プレイヤーは捨てカードを選び、
大体の考察を終えて、敵の観察タイムに移るかもしれない。
そのとき、こうやって私が考えてる姿を見られるのは嫌だ。
集中している姿って言うのは無防備なのだ。
ミセ*゚ー゚)リ「(二択ね……)」
今、8もJも捨て場に出してしまえば安全に1200点。
8もJも捨てずに引き合いを待てば、最高で2100点。
ただし、そうすると8とJでの得点どちらかを得られないという可能性が出てくる。
ミセ*゚ー゚)リ「(……ダメ、こんな考え方はダメ)」
勝ちたいんでしょ?
負けても仕方ないで済ませられる勝負、でも勝てたら嬉しいんでしょ?
だったら、型にはめて考えてばかりじゃダメ。
1か9か、って考え方もダメ。
ミセ*゚ー゚)リ「(……よし)」
私は8のペアを捨て場に出した。
それも、裏返さず、表にして。
Jのペアは手札にとっておく。
これは最善の判断とはいえないかもしれない。が、賭ける。
115 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:25:06.33 ID:TuchsbjdP
捨て場に、8のカードを並べる。
私が捨てたのは8のペアだけ、というのが誰からでも見えるように。
ミセ*゚ー゚)リ「(……わざとらしくは……ないよね?)」
これは二つの狙いがある。まず、500点の確保。
Jを捨てれば同色なので700点入るが、そちらは捨てない。
Jは、手札に残す。
手札に残ったJ、内藤には持ってかせない。
そこはどうにか粘る。うまくやってみせる。
たった1回凌ぎさえすれば、1300点手に入るのだ。
つまり合計で1700点になる。
2100点には及ばないが、これで十分。
もう一つの狙いは、心理的なものだ。
損する捨て方をして見せれば、
「私は“捨てるタイミング”という概念に気付いていません」
というアピールになる。
周りに頭が切れると思われるよりバカだと思われたほうが、
ジジ抜きはもちろんのこと、この先ずっと都合がいい。
深読みするタイプの人間からしたら、
不気味に、あるいはなにか意味深に見えるかもしれない。
それも良い。勝手に思考のどつぼに嵌ってくれればいい。
1ゲーム目の立ち上がりは、これで勝負する。
しえん
117 :
>>115修正版 ◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:28:16.41 ID:TuchsbjdP
捨て場に、8のカードを並べる。
私が捨てたのは8のペアだけ、というのが誰からでも見えるように。
ミセ*゚ー゚)リ「(……わざとらしくは……ないよね?)」
これは二つの狙いがある。まず、500点の確保。
Jを捨てれば同色なので700点入るが、そちらは捨てない。
Jは、手札に残す。
手札に残ったJ、内藤には持ってかせない。
そこはどうにか粘る。うまくやってみせる。
たった1回凌ぎさえすれば、1300点手に入るのだ。
つまり合計で1800点になる。
2100点には及ばないが、これで十分。
もう一つの狙いは、心理的なものだ。
損する捨て方をして見せれば、
「私は“捨てるタイミング”という概念に気付いていません」
というアピールになる。
周りに頭が切れると思われるよりバカだと思われたほうが、
ジジ抜きはもちろんのこと、この先ずっと都合がいい。
深読みするタイプの人間からしたら、
不気味に、あるいはなにか意味深に見えるかもしれない。
それも良い。勝手に思考のどつぼに嵌ってくれればいい。
1ゲーム目の立ち上がりは、これで勝負する。
118 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:31:21.22 ID:TuchsbjdP
―手札整理(ブーン)―
( ^ω^)「……」
正直、全然ルールがわからない。
ジジ抜きのルールは知っている。
しかし、これから始まるジジ抜きは特殊ルールが存在するようで、
それで、その説明を先程までしてもらっていたのだが……
五割も理解できなかった。
幸い、ジジ抜き自体のルールがどうこうという話ではなく、
点数がどうとか、そういう部分が特殊なようで
まぁ、勝ちさえすれば問題ないはずだ。
ジジ抜きで勝つってことは
早くあがるってこと。
( ^ω^)「(大丈夫だお、ジジ抜きなら学生時代よくやったし……)」
中高生のころ、昼休みにトランプでよく遊んだ。
ババ抜き、ジジ抜き、ダウト、大貧民、このあたりは毎日のように。
その経験から言って、ジジ抜きなんて「運」だ。
勝てるときはホイホイ勝てるし
ダメなときは何度やってもダメ。
強い弱いというランクなんてない。
子供が大人を負かしたり、女が男を負かしたり、そういうのが普通なゲーム。
( ^ω^)「(よかったお、頭を使わないゲームで)」
このブーンじゃ一回戦落ちしそうだな
ミセリは考えすぎて自滅しそうだな…
( ^ω^)「(加えて、今日は血液型選手権で一位だったし……)」
『〜型のあなた!今日は1日いいことばかり起こりそう。ラッキーアイテムはトランプ!』
( ^ω^)「(トランプ……ラッキーアイテムだお)」
( ゚∋゚)「どうした?手札をあけなくていいのか」
男の声に顔をあげると、すでにタイマー始動済み。
自分以外のプレイヤーが手札の確認をはじめているのに気付き、
ぼくも慌てて配られた手札をあける。
赤 3 5 9 K K
黒 6 7 K K
( ^ω^)「(おっおお〜♪2つペアが出来てるお)」
この人数でジジ抜きをするとき、
配られた地点でペアがないということもある。
しかし2つ。っていうか4枚同じカード。
これってめっちゃついてるじゃん。
( ^ω^)「(ラッキークッキージジ抜きー♪)」
もちろん、ぼくは迷わずK四枚を捨て場に出す。
これで手札は一気に半分だ。
( ^ω^)「(一番にあがってやるおー)」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:43:14.80 ID:ypYWNv0+O
ホント考え無しだなww
123 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:46:06.06 ID:TuchsbjdP
―手札整理(ツン)―
ξ ゚听)ξ「(……最悪だわ)」
配られた手札をあけての第一印象。
ホント最悪、だってノーペア。
赤 2 7 8 9
黒 1 5 6 J Q
ξ ゚听)ξ「(……でも)」
高得点――700点以上を狙えるカードが5枚。
どれか一つくらいは、引き合いが始まって何周もしないうちに揃うはずよね。
もしもQやJを引いてこれれば1000点以上入るわけだし……。
特にスペードかクラブのQ。これがくれば1400点入る。
揃ったのが1だったとしても同色なら、プラス200点で300点入る。
そりゃあ、こういうゲームじゃ手札を減らせれば嬉しいに決まってるけど
でも、配られた地点でペアがないっていうのは、
点数の上ではそんなにマイナスじゃない。
もしも配られた状態で3ペア以上揃ってるプレイヤーがいたら
初っ端から持ち点1500以上……。
だけど、大丈夫よ、これくらいなら、すぐに取り戻せる。
そうよ、すぐに……。
ξ;゚听)ξ「(あ……あぁっ!そっか!)」
このゲームの場合
得点で順位=金でよかった?
ξ ゚听)ξ「(手札にいくつかペアが有ったとしても、
場合によっては、この手札整理のときにカードを捨てるのは損になる!)」
例えばこんな手札――
赤 5 5 6 6 7
黒 5 5 6 6
極端な話、配られた状態でこれだったとして。
すでに4ペアできている。
手札整理の段階でペアを全て捨ててしまえば残り1枚。
引き合いの前からあがりに手をかけられる。
だからといって、全て捨ててしまうのは考え物。
このゲーム、1番手に あがれたとしてもボーナスはない。
下位3位にペナルティ的な減点があるだけなのだ。
むしろ違う。私なら、捨てない。1ペアも捨てない。
手札整理の段階で、成っている4ペア全てを捨てたとすると、
500点×ペア数……それに同色ペアボーナスがつく。
同色のペア×4=(500+200)×4=2800点
ξ ゚听)ξ「(2800点を得ることが出来る)」
じゃあ、捨てなかったら。
引き合いが始まってから捨てるとしたら……。
なる
このペースだと完結まで何話かね支援
127 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 03:54:08.50 ID:TuchsbjdP
右隣から1枚引いて
赤 5 5 6 6 7
黒 5 5 6 6 8←
そして。このタイミングで、捨てる。
右隣からカードを引いた後、左隣から引かれるその前に
4ペア全てを捨てる。
すると、点数はこうなる。
(カード基本点+同色ボーナス)×ペア数=得点
同色5のペア×2=(500+200)×2=1400点
同色6のペア×2=(600+200)×2=1600点
1400+1600=3000点
ξ ゚听)ξ「(こっちだと3000点を得ることが出来る)」
手札整理の地点ではペア数×500点一律の計算になるけれど
引き合いがはじまってからは、数字に応じた点数が入る。
ということは、500点よりも多い点数を持つペア……
6以上の数字と絵柄は手札整理の際に捨てると点数で損をすることになる。
ξ ゚听)ξ「(……なるほどね)」
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 03:56:53.26 ID:cQCV39E3O
支援
しえん
ξ ゚听)ξ「(でも、逆にも考えられる)」
こんな手札だったとして――
赤 1 2 3 4 5
黒 1 2 3 6 7
手札整理の地点で捨てれば
ペア×3=500×3=1500点
1500点を得ることが出来るのだが、
ξ ゚听)ξ「(手札整理タイムでの捨てをスルー……となると)」
引き合いが始まってからの捨ての場合、点数はこうなる。
1のペア×1=100点
2のペア×1=200点
3のペア×1=300点
100+200+300=600点
ξ ゚听)ξ「(半分近くまで点数が落ちるわ)」
同色ペアでも500点に届かないようなカードは手札整理で切りたいわね。
要は、捨てるかどうかは手札と相談ってこと。
これに気付けば、点数を無駄にせず済む。
――少し考えれば気付く事なのに、ルール説明のときには思いもよらなかったわ。
しえん
132 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:08:33.55 ID:TuchsbjdP
ξ ゚听)ξ「(大丈夫……よね?)」
数分前まで思考を遡らせる。
手札整理の地点でペアが揃っていた場合は必ず捨てなきゃならない、
なんてルールがあれば、この考えはボツになる。
* * *
( ゚∋゚)「ペアが揃っていても捨てなければボーナスはもらえない。
例えば……揃っていた事に気付かなかったとか……」
* * *
ξ ゚听)ξ「(たしか……場に捨てたときにはじめて点数に成るって言ってたわ)」
わざわざ捨てなかったときのことを話す意味。
やはり、気付く者だけが得をするシステム。
手札――つまり運との兼ね合いもあるが、
手札整理タイムで「捨てるべきではないペア」の存在を理解せずプレイするのは痛い。
ξ;゚听)ξ「(気付けてよかったわ……つっても……)」
赤 2 7 8 9
黒 1 5 6 J Q
私の今の手札はブタ。
とにかく引いてこなきゃ点数にならない。
最悪、最下位さえあり得る……っていうか現状近い。
引き合いがはじまったら運、それと……。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 04:10:00.68 ID:ypYWNv0+O
駄目だもう限界だ
まとめられてる事を期待して寝る
完結させてくれよ1さん
最後の支援
135 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:11:55.33 ID:TuchsbjdP
( ^ω^)「……〜♪」
右隣に座るこの男、ご機嫌に鼻歌のこいつと心理戦になるわ。
ジジ抜き、もちろん運の要素も大きいのだけれど
結構な腹の探り合いゲームだということは
一度プレイしたことがある者ならなんとなくわかるもの。
駆け引き。人間性だって現れてくる。
観察し……考察し……そして引く。
ジジカードについては終盤考えればよい。
ξ ゚听)ξ「(まぁ、ジジカードについて考える前にあがれれば一番いいんだけど)」
( ^ω^)「……〜♪」
右隣の手札は、私の点数へ繋がる大事なポイントだ。
ξ ゚听)ξ「(あら?こいつは既に手札整理は終えてるのね……)」
チラリ、と男の捨て場に目をやる。
他プレイヤーの捨て場に触れるのは反則だが、見るだけならば問題も無い。
警戒心の強い人物であれば、捨て場から手札を読まれる可能性を危惧して
捨てカードを裏返しておいたりするものだが……。
ξ ゚听)ξ「え゛?!」
声が出た。
136 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:15:34.08 ID:TuchsbjdP
ξ;゚听)ξ「(え?え?え?)」
捨て場の真ん中。
両隣はおろか、ここにいる全員のプレイヤーから見えてしまうようなカードの捨て方。
ξ;゚听)ξ「(……)」
捨てカードは4枚、2ペア。
ご丁寧に一枚ずつずらし、4枚すべてが曝け出されている。
そして絵柄。
……王様。K。13。一番強い……んでしたよね?
ξ ゚听)ξ「(Kが4枚……どういうことよ)」
引き合いがはじまってから捨てれば、
同色K×2ペアで(1300+200)×2=3000点
1ゲーム目において最強のペアなのよ?
なのに、手札整理タイムで捨てちゃったら
(500+200)×2=1400点
ξ ゚听)ξ「(半分以下よ……)」
1000点の半分が500点とか、そういうレベルじゃない。
1600点も無駄にしている。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 04:21:48.45 ID:cx3uLzMfO
これ完結出来たら本当にすごいと思う
最後の支援かな。眠い…
138 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:22:39.85 ID:TuchsbjdP
ξ ゚听)ξ「(配られた地点でKを4枚も所有するなんていうラッキーがありながら……)」
( ^ω^)「……〜♪」
気付いていない、のだろうか。
ペアカードは『捨て時』があることに。
あるいは、気付いていて、周りを騙す引っ掛け?
ξ ゚听)ξ「(それはない……と思うわ)」
だって、意味が無い。
気付きの引っ掛けに意味が無いと言っているわけではなく、
今回のケースにおいては、この右隣の男に得が存在しないのだ。
Kが4枚。これを得点源にしない理由は何?
例えば、カードの引きが私からだとすれば。カードを引く一番手が私だとすれば。
Kのペアを場に捨てる前に私が右隣の男の手札から一枚引く事になる。
右隣の男から見ると、捨てる前に、Kを一枚持っていかれる可能性が出てくる。
ξ ゚听)ξ「(でも、今回は私始まりではない)」
どう考えたって、4枚一気に捨てるのは得策じゃないはず……。
となると何かしら。
こうして私にアレコレ考えさせようっていう作戦……?
すでに術中……?
支援
内藤は何も考えてないだけなのになww
しえん
141 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:26:29.78 ID:TuchsbjdP
ξ ゚听)ξ「(もしかしたら……)」
私の考えが間違っているのかもしれない。
そう、『捨て時』論自体がミス……どこかが思い違い……!
この考え方は通用しない、という可能性はある。
ξ ゚听)ξ「(……)」
そろり、と視線を動かし、今度は左隣の男の捨て場を見る。
カードが捨てられている、が。
伏せられている上、ぴったりと重ねてあり、
何を、というのは愚か何ペア捨てているのかさえ判断できない。
('A`)「……」
ξ ゚听)ξ「(捨ててる……)」
左隣は相当に用心深いようだ。
しかし、今問題なのは……捨てていること。
ξ;゚听)ξ「(あれが、1とか2なら……大丈夫だけど……)」
瞼裏に浮かぶのはJやQ。
ξ ゚听)ξ「(そんなはずない……!)」
ない……そう思いたいだけ……。
言い切れない。
言い切ることなど出来ない……。
142 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:31:10.93 ID:TuchsbjdP
ξ;゚听)ξ「(ダメだわ……冷静にならなきゃ、ダメ)」
そう、今はまだマシ。
カードの引き合いがはじまれば、冷静と二人三脚で進む以外に勝ちはない。
ξ ゚听)ξ「(大丈夫……1ゲーム目は……)」
このゲーム、私の手札はノーペア。
『捨て時』は関係ない。
とにかく、大事なのは、両隣の人物を、性格や癖を、把握していく事。
戦略はゲームの中で立てていけばいいはず。大丈夫。
ξ ゚听)ξ「ふぅ……」
正直、私は怖いのだ。
ここは一攫千金の世界、スッてしまえば返済地獄に逆戻り。
……とはいえ、掴める。掴む気で来た。ここへ。
そして初めのゲームがこれ。
ここで上手く考えを組み立ててやっていければ、自信と成功へ繋がると思う。
けれど、ミスを犯したとなれば……精神的なダメージだけで済むのだろうか。
ξ ゚听)ξ「(そろそろね……)」
腕時計を確認しながら心を落ち着ける。
手札整理の時間が終わる直前、
他のプレイヤーの捨て場に視線を走らせた私はそれを少し後悔した。
ξ;゚听)ξ「(右隣のさらに隣……ミセリさんの捨て場にあるのは“8”のペア……!)」
しえん、ゲーム始まる前に150近く行くとは・・・
これ普通に面白いんだがw
携帯で寝る前に読んでたけど、ログ欲しいからPCつけたw
145 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:39:42.66 ID:TuchsbjdP
―手札整理(ドクオ)―
('A`)「……ふーん」
赤 3 4 4 6 10
黒 1 10 J ☆
(☆=ジョーカー)
配られた手札をあける。
まずまず……。
パッと見たとき、目を引くのはジョーカーだ。
当然の話。
そういう柄。見た目からして異彩。
('A`)「(でも、今の地点では……)」
ジョーカーは、1ゲーム目の段階では1000点分の価値しかない。
('A`)「(それに、どんな状況であれ、常に地獄待ちみたいなカードだ)」
2000点、3000点分となればもちろん揃って欲しいが、
1ゲーム目では、絵柄カードに及びさえしないわけだし
気にかける必要もないだろう。
('A`)「(4と10のペアがある)」
俺は少し悩んでから、4のペアを捨て場に置いた。
>>144 だな、ただタイトルで損してる気がするわ
しかし全員の考察を書くつもりか?
147 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:42:48.49 ID:TuchsbjdP
('A`)「(4は捨てだな)」
Jのペアは、手札に残す。
こっちは引き合いが始まってから捨てればよい。
そのほうが得点が伸びる。
('A`)「(手札整理の時間と引き合いの時間)」
通常のジジ抜きなら一連の流れであるこの二つを、
制限時間という枠組みを作ることで分断。
そのため、というか、それゆえ。
手札整理の際に、どのペアを残し、捨てるかという思考を強いられる。
('A`)「(このあたりは……なんか上手い事使えそうなんだよな)」
上手く使えば、他プレイヤーへの妨害、揺さぶりになりそうなんだが。
('A`)「(どう使えばいいかってのは残念ながら思いつかん)」
赤 3 6 10
黒 1 10 J ☆
今の俺の手札はこうなる。
('A`)「(直後に10のペアを捨てる気でいるから……)」
赤 3 6
黒 1 J ☆
こう。それプラス、右隣から引いてきた1枚、という形。
148 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 04:46:17.60 ID:TuchsbjdP
('A`)「(そんで、すぐに左隣へ1枚消えていく)」
Jが揃えば嬉しいが……。
('A`)「(こういう考えはやめたほうがいいな)」
揃っていないカードについては、
正に、獲らぬ狸の皮算用に過ぎない。
それに囚われて、可能性を潰しかねない。
('A`)「(右隣から何を引いてこられるかというのは
ほとんど運みたいなもんだし……)」
……なんだこれ。
じゃあ、初っ端、
配られた段階で高得点カードがペアで揃っているかどうかって
めちゃくちゃ重要じゃん。
運に委ねずとも、得点を約束されてるようなもんじゃん。
('A`)「(っていうか、配られる地点で運勝負……)」
まだ1ゲーム目だからわからないが、
ディーラー役の、あのクックルとかいうのがイカサマしてくるかもしれない。
誰かの手札にだけ良いカードが偏るように、とか。
でもそういう可能性を抜けば、運だ。
運の占める割合があまりに大きい。
面白すぎwwwwワロタwww
>>1ガンガレwwwww
しえん
しえん
152 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:07:40.39 ID:TuchsbjdP
('A`)「(やっぱ何にしたって運じゃねぇか)」
実力で挽回、なんて出来るレベルじゃない。
('A`)「(そもそも……ジジ抜きの実力ってなんだよ……)」
この先のゲームについては知らないが
とにかく、このジジ抜きに関しては、
もう、ツイてるツイてないで勝敗が決まる次元だろ……。
('A`)「(先輩もこのジジ抜きやったのかな……)」
* * *
_
( ゚∀゚)「そんで、もし……機会が来たら。人を信じるなよ、
その一晩は、自分だけを信じて、自分の考えで生きるんだ。
ルールを正面から受け止めるだけじゃ、勝てない。
直感を殺してしまっても、勝てない」
* * *
('A`)「(直感……か)」
経験者はかく語りき。
('A`)「(まぁ、運に次いで、そういう要素が大事になってくるんだろう)」
だからといって……
しえん、何時に投下終わるんだろう
('A`)「(強運。これには絶対に勝てない。最強の能力)」
俺には、あるか?
勝てる運が。
('A`)「(……ちがう、結果だ)」
運があれば勝てる?そうじゃない。
勝った者には運があった、こういう話だろう。
('A`)「(俺にどれだけの運があったって……)」
どんな物差しで量るというのだ。
今、それを量って何になるというのだ。
結果として、勝利を手にしたものが、一番の強運者。
('A`)「(それだけのことなんだ……)」
じゃあどうする。
運に全てを委ねて、成り行き任せにゲームを進めていくか?
('A`)「(……ダメだ。わかんなくなってきた)」
一度指針を見失ったら、そこは迷いの森だ。
森の中、コンパスを失った状況。
何、最後まで支援してやんよ
156 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:20:30.60 ID:TuchsbjdP
('A`)「(動いちゃいけないな……)」
どこへ進めばいいかわからないのに、
闇雲に思考を巡らせるのはやめだ。
そういうのは頭の良い奴がすること。
俺は違う。そんなことしたら、勘違いにはまって大失敗。
そしてもう戻れなくなってから気付くのだろう。
自分の選択は誤りだったと。
('A`)「(だから……)」
俺は、ここで一旦立ち止まる。
思考停止?そうじゃない。
これ以上広げないだけ。
理解できている事のみに集中し、
危ない考えは起こさず、もちろん極端な賭け、
あるいは何かに頼るなんて以ての外。
('A`)「(今は見極めの時期なんだ。
下手な考え休むに似たり……)」
どうせ、思案したところで大した収穫は無い。
運が大切だという事も揺るがない。
('A`)「(引き合いがはじまって、ようやく見えてくるものだってある)」
俺は、深呼吸をしてから、“時”を静かに待つことにした。
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 05:20:50.09 ID:Thj/pLlz0
こんなにも長時間、書きながら投下するなんてすごいな
支援
次からは書いてから投下したほうがいいな、時間的な意味で
159 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:26:11.69 ID:TuchsbjdP
―手札整理(ビコーズ)―
( ∵)「……」
赤 5 6 10 Q
黒 3 3 7 10 ☆
( ∵)「……」
( ∵)「……」
―手札整理(ショボン)―
(´・ω・`)「(かなり……これは)」
僕は配られた手札の内容を見て
思わず見間違いじゃないかと目をこすりそうになった。
(´・ω・`)「(やばい……1ゲーム目からこれって)」
赤 1 1 Q
黒 2 2 4 4 8
良すぎる。あまりによい手札だ。
おそらくはプレイヤー6人中一番いい手なんじゃないか?
初めからペアが3つも揃っている。
しかも、だ。いずれも同色ボーナスがつく。
更にいうと、全てのペアが4以下。
(´・ω・`)「(普通に引き当てて捨てるよりも多く点数が入る)」
手札整理の間だけ、
どんな数字の組み合わせであっても1ペアに付き500点という縛りがある。
これで嬉しいのは、小さい数字だ。
(´・ω・`)「(同色ボーナスつけて、1ペア700点。それが3つ)」
ビコーズこえぇwww
162 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:31:11.23 ID:TuchsbjdP
合計で2100点。下手したら1点も入らない状況で、2100点ゲット。
(´・ω・`)「(このアドバンテージは大きい……)」
僕は震える手で、三つのペアを重ね合わせて捨て場に置く。
他のプレイヤーに捨てた枚数や、トランプの柄が知れるのは良くない。
折角人の捨て場は触れない、
そしてゲーム終了まで他人の得点はわからないというルールがあるのだ。
重ねる……そして伏せる……!
(´・ω・`)「(よし、大丈夫。何ペア捨てたかまではパッと見、わからない)」
もちろん残った手札も、手で隠す。
何枚残っているかだって、まだ知られたくはない。
今は戦争前の作戦会議……あるいは戦闘準備。
そういうときだ。
争う前から自分の戦力を匂わせるようなことは――
(´・ω・`)「(……アリか)」
今の状況、
逆にアリかもしれない。
僕の手札は残り2枚。
ハートのQとスペードの8。
対して……他のプレイヤーはどうだ。
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 05:31:42.98 ID:Thj/pLlz0
支援
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 05:32:50.82 ID:6OICWcc8O
しえ
165 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:33:35.11 ID:TuchsbjdP
手札を隠している者、晒している者、
捨て場にカードがある者、ない者……。
まだ手札整理の時間内であることから
決定付ける事は出来ないが。
こうして見ても、やはり、残り2枚というのは僕だけだと思う。
もしも自分が5枚6枚のカードを持っている中で、
2枚しか手札がないプレイヤーがいたら?
もしかして、プレッシャーをかけられるのではないだろうか。
特に、右隣。
僕は右隣のビコーズさんからカードを引く事になるわけだが、
僕が残り2枚だと知ったら……あがらせたくないはずだ。
出来るだけ、僕のあがりを邪魔したいはずだ。
(´・ω・`)「(とはいえ、ジジ抜きというゲーム……)」
相手の手札を読む、というのは容易ではない。
相手の手を読みたいとき、
例えば麻雀なんかでも、捨て牌読みは基本だ。
ジジ抜きでだって普通ならそうだと思う。
僕の手札Qと8ならどうだろう。
166 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:35:15.07 ID:TuchsbjdP
4枚しか同じ数字はないのだから、
そのうち2枚がペアとして捨てられているのを見たら、考える。
例えば、8のペアは出ていない、
そしてQのペアが既に捨て場にあるというのを確認出来たら、
僕はQを揃えるのは難しいな、と感じるだろう。
それはつまり、右隣の人がQを持っている可能性が低まったと思うからだ。
同時に、左隣に引かせるとき、8よりQを引かせたいと感じるだろう。
(´・ω・`)「(Qを揃えるのは、8を揃えるより難しいと思うからだ……)」
捨て場が見えさえすれば、
そこからの推測を交えて立ち振る舞いを考えていける。
引かせるカードを選べるわけではないが、
さりげない誘導を含ますくらいならば誰だって出来る。
(´・ω・`)「(だから、こうして捨てたペアを隠せるというのは表裏一体)」
捨てられたカードから思考を展開する事は出来なくなる。
そのかわり、他のプレイヤーだって同じ。
僕の捨て場は見れない。
(´・ω・`)「(他に手札を読む要素といえば……)」
表情、仕草――だろうか。
167 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:37:25.91 ID:TuchsbjdP
(´・ω・`)「(といっても確実にコレとわかる可能性は零……)」
ごくごく普通のババ抜きならばまったく違う。
ババ抜きでは、要はどれがジョーカーか。ただそれを探り合えばよいのだ。
ジョーカーを引かないようにしていけば、あがれる。
どこにジョーカーがあるのか、というのさえ気をつけていれば、
とりあえずあがれるわけだ、ババ抜きというゲームは。
まず、ジジ抜きはそうはいかない。
みんな、どれもが普通のカードだと思って回していく。
たぶん、そのうち何となく「あ。これがジジカードっぽい」と思ったりもするのだろうが、
それは終盤に差し掛かってからだろう。
(´・ω・`)「(その上、捨てカードが見れない……)」
なんだこれ、運の要素が大きすぎるんじゃないか。
今回たまたま手札は素敵なラインナップだったけど
毎回ラッキーが訪れるとは限らない。
必勝法とまではいかずとも、
読みの取っ掛かりみたいなものがあれば、
このあとの2ゲーム目3ゲーム目も無難にこなしていけそうなのだが。
(´・ω・`)「(……)」
僕の手札――Qと8。
(´・ω・`)「(運良く一手目でQを引けば2100点+1200点で一番あがりか)」
しえん
169 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:42:36.53 ID:TuchsbjdP
8であがっても点は伸びるし、どちらでも良いといえばどちらでもよい。
言ってしまえば、このQと8両方が僕の手札から左隣へ流れ、
もっと低得点のカードであがることになったとしても、
既に2100点持っているのだから悲観するほどじゃない。
3位以上になって点数払いを避けさえすれば、上々だ。
(´・ω・`)「(というのは僕の考え……他のプレイヤーはどうだ?)」
そこで僕は初めて他のプレイヤーの心境を真面目に考察した。
引き合いの前に2000点以上も持ってるからこそ、僕のような考え方になる。
それ以下ならどうだ?
手札整理の段階で1点も得られなかったら……
あるいは自分を遥か上回る得点を持っている人物がいたら。
(´・ω・`)「(そいつを追い抜かしたくならないか?そいつより高得点を狙わないか?)」
となると、もちろん高得点ペアを作らなきゃならない。
絵柄カードとか……せめて9とか10とか?
(´・ω・`)「(あぁ……そうか)」
そうだ、基本的にはそういう考え方。
あがりたいなら低得点のカードを手札に残す。
得点狙いのプレイヤーは高得点カードを手放さない。
抱えて、抱えて、何人もが抱えて、だからなかなか揃わないだろうが。
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 05:46:06.50 ID:vlfeVsgZ0
ビコーズさんぱねぇ
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 05:47:40.30 ID:cx3uLzMfO
支援
支援
173 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 05:51:20.77 ID:TuchsbjdP
得点狙いのプレイヤーが多ければそれだけ、なんていうか、泥沼。
みんな同じような柄を合わせたいと思って引き合う。
でも、高得点カードは抱えられやすく、まわりにくい。
そのかわり、点数の低いカードは巡りやすい。
(´・ω・`)「(もちろん、もちろん僕だって高得点を狙うべき……)」
だが得点を追うあまり、あがりが遅れて最下位だってありえない話じゃない。
(´・ω・`)「(早い段階でのあがりを目標とし、得点については妥協、か)」
1ゲーム目の方針は決まった。
高得点カードを抱え込むのは得策ではない。
(´・ω・`)「(……!)」
さらに僕の方針を決定付けたのは捨て場。
内藤君……とかいったような青年の捨て場、そこにKが4枚。
(´・ω・`)「(ラッキーなのは僕だけじゃないってこと……)」
Kが4枚捨てられているということは、
もう全プレイヤーの手札にKは存在しない。
鍵になるのはKの次点、Qのカード……!
僕は自分の手札を改めて見つめる。
ハートのQ、スペードの8――
ブーン、ビコーズ以外は皆似たようなレベルか
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 06:00:13.49 ID:6OICWcc8O
おもしろひ
176 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 06:00:18.99 ID:TuchsbjdP
* * *
電子音が鳴る。
手札整理のために与えられた5分、
それが終了した合図だった。
テーブル上の6つの捨て場のうち、
幾つかには既にペアと成ったトランプ達が眠っている。
部屋は緊張感……いや、それとも違う不思議な空気で包まれていた。
( ゚∋゚)「よし、手札整理はここまでだ」
クックルの声を合図に、ジジ抜きの本命……
カードの引き合い、互いの読み合いが始まる。
プレイヤー六人は
各々の思考と直感を頼りにあがりを目指すのだ。
第一話 おわり
177 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 06:02:15.14 ID:TuchsbjdP
【第一回戦 ジジ抜き(1ゲーム目)】
ミセ*゚ー゚)リ 500点
赤 2 7 J J
黒 5 9 Q
捨て場:赤8×1 黒8×1
( ^ω^) 1400点
赤 3 5 9
黒 6 7
捨て場:赤K×2 黒K×2
ξ ゚听)ξ 0点
赤 2 7 8 9
黒 1 5 6 J Q
捨て場:
178 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 06:05:01.99 ID:TuchsbjdP
('A`) 700点
赤 3 6 10
黒 1 10 J ☆
捨て場:赤4×2
( ∵) 0点
赤 5 6 10 Q
黒 3 3 7 10 ☆
捨て場:
(´・ω・`) 2100点
赤 Q
黒 8
捨て場:赤1×2 黒2×2 黒4×2
【ジジカード:9】
赤はハートかダイヤ
黒はスペードかクラブのトランプ
☆=ジョーカー
乙
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 06:07:06.82 ID:wj4iwYIV0
乙〜
2話も楽しみにしてるよ
まじ乙
182 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 06:07:49.30 ID:TuchsbjdP
投下分おわりです
遅くまでごめん
さる5、6回くらい食らうわなんやらでかなり時間がかかっちゃって
支援してくれた人たちホントありがとうございます
次回以降投下のときは
投下時間もっと早くからにして、
話の長さも分割するとかで まぁどうにかしたいと思う
次は、ジジ抜きの後編みたいなかんじ
次回投下分で、ジジ抜きの話は終わりです
たぶん
投下時間が悪すぎたな
九時ぐらいなら支援ももったあったかもね
次回はいつぐらいになりそう?
184 :
◆lLzvpIegsE :2009/02/10(火) 06:15:35.84 ID:TuchsbjdP
>>183 早ければ今週中
たぶん来週
遅くなったら再来週
ほんと支援ありがとうございました
投下中に気付いたんだけど
ありえないミスしてた
>>99と
>>100の文章の中で左右を間違ってた
ほんとは内藤が左隣でショボンが右隣w
左右まちがえるとかあばばばばばばばばばばば
乙
今後の展開に期待してます
マジで乙
まとめ来るといいね
おつ
おもしろい
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 06:36:33.85 ID:cx3uLzMfO
乙乙
こういう話を書ける人って本当にすごいと思うわ。
ほ
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/10(火) 09:27:01.14 ID:vlfeVsgZ0
ところで聞きたいんだけど
手札を一枚も捨てずに貯めこみ続けたらどうなるの?
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
>>190 みんな高い点数が揃ったら捨てるだろうから手札に低いのが集まって死ぬ