1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
某市派遣村
. . . . ...............:.:.:.:.:.:.:.::............. . . . . ............. . . . . ...... . . . . . . . ........:.:.:....
. . . . ...... . . . . . . .... . . . . . . . . . ........... . . . . .
n . . . ....... . . . . ...... . . . . . ....................:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.............
|] p . _ . . . . . . ..........:.:.:.:.:.:::::::.:.:.:.:........ . .
}| {} ,! | . . . . .....:.:.:.:::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:...... .
-‐‐‐‐‐:‐‐‐.:‐‐‐‐‐‐‐‐'ー'‐‐‐‐‐‐┴┴‐‐- 、,,_ . ....:.:.:.::::::.:.:.:.:. __,,.. --- ''"
_ [] .: .: ロ [| __ ロ `゙゙'''''ヾ、,, . ._,,. - ‐‐ ''"´
::| .: .:: [] 卩 |::| ___ `゙'ヾ、___''_´_ _
.: :::. 口 冂 [] |::.|____ ,.---、、 |;:;:::|
.: :::. ____ Π |::::;;| .ji || |;;::.:.;;;|:| |::;:::| ,.-、
.: :::.,.‐‐‐‐、. !:::::;! ____ _,----、 _ , |::..::;:::|.| j::.::.| |:;:::|
___. |::;:;:;:;:|..| |.:.:.:| |::;;;:| _. | |:::;:;::;;|.| || || |.:.;::.:.:|:| ┌‐‐┐ |::.::|
r‐v'i |:::::;:;:;|.:| 「 ̄ ,. -‐‐‐‐‐‐-,._ ! i'i'i.| |:;:::;:;:;|:| || || |.:.:.:::::|.| [ ̄ ̄ ̄] ┌─┐
|:::::|.l iヽiヽ r; |::::;:::;;|:.| l,. -‐‐‐‐‐‐-v´i !| |.l| |::;:::::;;|.| ┌-----┐ r‐‐‐
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:45:11.90 ID:Swlg5QlV0
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_)
',||i }i | ;,〃,, _) はーい、じゃあ、食糧の配給始めまーす。
.}.|||| | ! l-'~、ミ `)
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
そんな声がした途端、周囲の人間が億劫そうに立ち上がった。
今まで地震が来たって知った事じゃないと言うように寝そべっていた男達が、
餌の時間だといわれただけで、一瞬で反応を見せる。
それを冷たく見つつも、自分の体も反応してしまう事を知っていた。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:46:29.55 ID:Swlg5QlV0
(_______/\
\______.\
/∧_∧::::: /|
/::::<丶`∀´>/ |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .|
| 取扱注意 | ./
|_____|/
でかい寸胴になみなみと入っているのは、派遣村特製のブタ汁だ。
実際、何の肉かなんて関係ない。
食えればいい。
そう思う事に疑問すらなくなっていた。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:47:11.96 ID:KiCiqb9O0
期待
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:47:36.14 ID:Swlg5QlV0
ヾ、'i,';||i !} 'i, ゙〃
゙、';|i,! 'i i"i, 、__人_从_人__/し、_人_入
`、||i |i i l|, 、_)
',||i }i | ;,〃,, _) ごちゃごちゃ言っていると、餌はあげませんよ!
.}.|||| | ! l-'~、ミ `)
,<.}||| il/,‐'liヾ;;ミ '´⌒V^'^Y⌒V^V⌒W^Y⌒
.{/゙'、}|||// .i| };;;ミ
Y,;- ー、 .i|,];;彡
iil|||||liill||||||||li!=H;;;ミミ
{ く;ァソ '';;,;'' ゙};;彡ミ
゙i [`'''~ヾ. ''~ ||^!,彡ミ _,,__
゙i }~~ } ';;:;li, ゙iミミミ=三=-;;;;;;;;;''
,,,,-‐‐''''''} ̄~フハ,“二゙´ ,;/;;'_,;,7''~~,-''::;;;;;;;;;;;;;'',,=''
;;;;;;;;''''/_ / | | `ー-‐'´_,,,-',,r'~`ヽ';;:;;;;;;;, '';;;-'''
''''' ,r'~ `V ヽニニニ二、-'{ 十 )__;;;;/
いつもの様に小競り合いが生じている。
量が少ない多い。
順番を守っていない、いや、守っている。
いい年した大人が、小学生並の言い争い。
顔を真っ赤にして一杯のブタ汁を競っている。
それを配給係が窘めている光景。
今では日常のひとコマでしかなかった。
他にやる事あるだろうjk
そう思いつつ、何も出来ない事を認めざるを得ない。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:51:33.66 ID:Swlg5QlV0
/::::::::::::::::::::::::::::::; :;:::"'
/:::::;;:::::::::::::::::::::::::;;;ノ ヽ;:::\
/::::::::ノ""'''''‐‐-‐'''" ヽ:;::|
|::::::::::| .|ミ|
|::::::::::| .|ミ|
|::::::::| ,,,,,,, ノ ヽ,,,,, |ミ|
|彡|. '''""" """'' .|/ 本当に大変ですね・・・
/⌒| -=・=‐, =・=- |
| ( "''''" | "''''" | これは政府の怠慢ですよ。本当。
ヽ,, ヽ .|
| ^-^ | 政権交代が必要ですよ。全く。
._/| -====- |
::;/:::::::|\. "'''''''" /
/:::::::::::|. \ .,_____,,,./::\
それを映しているのは、テレビ局か、新聞社だろう。
先ほどまで車の傍で談笑していたのを知っている。
だが、彼らは派遣村に入った途端、悲惨な現場に足を踏み入れた警官のように厳粛な表情になった。
あえて作った無表情が、派遣村の住人を刺激しない方法だと知っているのだ。
そのひぐらしになく頃に
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:55:29.80 ID:Swlg5QlV0
/.:::::::::::::::::::::::::::ヽ
|.:::::::γ⌒^Y⌒ヽ::.|
|::::::::ゝ _ノ 三 ― |
|::::::( ( ●) (●)|
(@ ::::⌒(__人__)⌒) 本当、大変ですよ・・・
| ` ⌒´ |
\ /
,,.....イ.ヽヽ、___ ーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ
| \/゙(__)\,| i
言われた方も慣れたもので、同じ様に大変ですよ・・・と応えている。
そいつには見覚えがあった。
いつもは偽善者はムカつくと言い放っている酒びたりの男だった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:56:54.26 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| U ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
報道人は、聞きたい事を聞き出して、政府の怠慢をひとしきりスタジオに報告すると去っていった。
それは、まるで一時も同じ空気を吸いたくないとでも言うように。
やらない夫はそれを確認するとようやく、テントから這い出した。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:58:24.98 ID:Swlg5QlV0
_____
/.:::::::::::::::::::::::::::ヽ
|.:::::::γ⌒^Y⌒ヽ::.|
|::::::::ゝ..―. ─ |
|::::::( ( ●) (●)|
(@ :::: (__人__) )
| ` ⌒´ | よう、アンチャン
\ ∩ ノ ⊃/
/ / _ノ
(. \ / ./_ノ │ そんな顔すんなって。
\ “ /___| |
. \/ ___ / ”あれ”も世渡りの一つさ。
男は酒の臭いをさせながら、やらない夫に近寄った。
先ほどの報道陣への受け答えを言っているのだろう。
いつもとは真逆の発言を恥じ入る事も無いようだ。
とは言え、今のやらない夫にそれを突っ込む資格など無い。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:58:47.71 ID:pes7CjUvO
今日の派遣村の家畜共のエサは何だったのかな
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 18:59:57.93 ID:Swlg5QlV0
─- 、
ヽ _
´ < / ̄ ̄ ̄`¬_ ´
, ヾ / , ヽ ,r'⌒"⌒ヽ
/、Wヽ! i /_V l. 八 ヽ
,、 ノ\゙| | rf「¨=;「l | fニヽ ゝ==_}
r// l==i| l `{{|ij ニK (ト--仆--イj
{ | | .| ーl. ,、-nn/|. /lr',ニヒ′ /l t-`='ーァハ
ヽ! !.| u | l _, -‐UJJJ| : :ト、--‐''''"´ | `,コニニニ7 ハ `ニ´ / |ニ''_‐- _
. U| L.」二_'''¬┐: : : : : : :.|: : :| \. _」_;j l ト、`ー‐イ. | '''‐ 、ハ
ヽ⊂=ゝ__./ `ヽ ゙ .l: : : : : : : | : : l 冫 ,..イ: |: lヽ | |/.ハ ハl | | |
\.r' P }: : : :} }| : : : : : : |: : : l / .| ハ l: : | :|: | ! |/./ハハヽ| |. |. |
. /`'''‐、 ヾ ヽ. `ー' .'| : : : : : : l: : : :| ||o`|: : |: |: | |. |//ト::イト、| |.____ | |
/_ \ l/:\ _.」: : : : : : :|: : : :| |. | : :L:|/| > |/| |l::l|.| ||<☆☆☆|レ'' |
: : : :  ̄`'''‐ゝ、.:_ヽ./ \ : : : : > : | |o | くァ||:/| |. || | ||::||| l|. l___l|/ |
: : : : : : : : : : : : : : `'''‐- 、.__ヽ: : : :|: : : | | | : |」|:,/| | || | ||:::|.| |. | │/.|
連中は視聴率の為、オレは若干の御礼の為。
第一、派遣村に来るような一般人はいねぇよ。
大体あいつらか、あそこに居る連中さ。
そう言ってアゴで示した方向には、星のついた服を着た男が何かを話していた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:00:59.54 ID:Swlg5QlV0
_____
/.:::::::::::::::::::::::::::ヽ
|.:::::::γ⌒^Y⌒ヽ::.|
|::::::::ゝ..―. ─ |
|::::::( ( ●) (●)|
(@ :::: (__人__) ) ま、宗教とかの勧誘だろうな。
| ` ⌒´ |
\ ∩ ノ ⊃/ 馬鹿だよな?役立たずを無償で救う訳ねーっての
/ / _ノ
(. \ / ./_ノ │
\ “ /___| | こんな場所におっこって来てまで、まだ学んでいねぇんだぜ?
. \/ ___ /
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:01:44.17 ID:4CPNz9qIO
何で国はソフホーズやプランテーションを作らないんだ?
働きたいなら働かせてやれよな
職業選択の自由なんて吐かして場合か
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:05:10.73 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) |
| u ` ⌒´ ノ ・・・・・・。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
がははと笑いながら男は公園の便所へ向っていった。
やらない夫が先ほどの集団に目を向けると、何人かが何かを書いているのが判った。
勧誘だと言っていたから、それに応じたのだろう。
それが何の勧誘かは判らなかったが、別に判りたくもなかった。
あの酒臭い男があれだけ馬鹿にしている所を見ると、ろくでもない事なのだろう。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:10:08.83 ID:Swlg5QlV0
やらない夫は自分の粗末なテントに潜り込むと、愛用の寝袋に包まった。
風の音がうるさい。
いびきがうるさい。
ぶつぶつと何かを呟く隣のテントの男がうるさい。
ときおり聞こえる選挙カーの騒音は、派遣切りを非難している。
ラジオは政府を非難し、政権交代すればバラ色の未来が待っているかのような論調だった。
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ そんな事あるわけねぇよ・・・jk
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
やらない夫は1人呟くと目を瞑った。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:15:32.37 ID:KiCiqb9O0
なぜ間隔が
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:15:37.27 ID:Swlg5QlV0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
∩
|| / ̄ ̄\
|| / _ノ \
/〔| ( ●)(●)
〔ノ^ゝ (__人__)
ノ ノ^,- ` ⌒´ 勝ち組って俺の為の言葉だろjk
/´ ´ ' , ^ヽ }
/ ノ'"\. ⌒
人 ノ \/,_ __ノ
/:::::\_/l:::::::\ー-.,ノ、゙,
,/::::::::::ノ::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
やらない夫はいわゆる勝ち組である。
早くに両親をなくし、奨学金を貰いつつ学業に専念した。
そして大学は旧帝国大学。
その中でもトップクラスの成績を維持していた。
それは並大抵の苦労ではなかった。
が、苦労は報われるという言葉を信じ、それを実践してきた。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:20:24.34 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ ま、勝ち組の基本だなjk
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
会社は一流の上場企業。
就職氷河期といわれた時期にも拘らず、会社側から青田買いを受けた。
やらない夫には就職出来ないなどと言う話が、別世界の事に聞こえたものだった。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:25:28.17 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) 努力しなかったらダメだろjk
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
頑張ったからこそ報われる。
その報われたのが自分自身だった。
よって、氷河期で凍えているのは、努力しなかった人間だ・・・と。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:30:57.78 ID:Swlg5QlV0
/ ヽ \ \
,' / / l \ ヽ
! / / / ,' | l ハ ヘ、ヽ、_,
. | ! l l / / ,イ ! i ! l ヽ ',` ̄
. l | l l ,/ 〃 ,/ /│ l j l│ ! l
ノ | ! │ | /_// // / ,' ∧ / | / j l│
ノ l ァ| |尢/‐=乞t/ / /∠ニ「厂! / ,/ / リ
イ 八{´l !|<f{矛:下 ' イ孑代フ イ } /
. Vハ | r';;z j r';;zリ /}, '//
ヽ ', |  ̄ ,  ̄ チ' /
`ヘ lヽ """ "" 厶 ./
', {.代ト、 ´ , イ | / ・・・よろしく・・・
\_'i| > 、 _ , イ/ V l./
/ ヽj {`ヽ ′
. _ / 「´ ヽ} \
結婚は役員の娘。
出世街道の先頭を切って走っている事を周囲に印象付けた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:35:12.41 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) うぜーな・・・
. | (__人__) ニートはよぉ・・・
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
テレビでは、ニートやワーキングプアという言葉が踊っていた。
が、所詮やらない夫にとっては、他人事だった。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:40:40.29 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | } 騒いでいる暇あったら働けよ
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
深刻そうな話には聞こえなかった。
贅沢しなければいくらでも仕事はあるだろjk
負け犬は文句ばかり言っている。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:45:51.40 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 税金払わない奴なんて、いらねーだろjk
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
ニートやら派遣問題やらがテレビを賑わす。
だが、そんなものは自業自得、自己責任と言う言葉で切って捨てられる程度の話題でしかなかった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:49:53.23 ID:Swlg5QlV0
_、‐-、, -‐z._
> ` " " ′.<
/ " " " " ゙ ゙ ゙ ゙ \
7 " " ",.",ィ バ ,゙ ゙ ヾ まあ、喚いているだけなら害は無いんじゃないか?
! " " /-Kl/ Vlバ.N _ ) (_
| "n l =。== _ ,≦ハ! (⊂ニニ⊃)
|."しl|  ̄ ,._ ∨ `二⊃ノ
| " ゙ハ ー--7′ ((  ̄
r'ニニヽ._\. ¨/ ;;
r':ニニ:_`ー三`:く._ [l、
/: : : : : : :`,ニ、: :_:_;> /,ィつ
. /: : : : : : : : / : : : ヽ\ ,∠∠Z'_つ
| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ. / .r─-'-っ
. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l / ):::厂 ´
|:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
. |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/
そんな言葉に躊躇いなく頷いた。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:54:04.82 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/u _ノ :::::\ て
| ( ○)(○) て
| U (__人__)
| ` ⌒´ノ え!!!
| U u }
ヽ u } 秋霜烈日の・・・鬼の地検だって・・・
ヽ、U__ __ノ
しかし、転落の兆しは徐々に近寄っていた。
ある時、部下の1人が不祥事を起こし、東京地検特捜部の介入を招いた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:54:34.46 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/u _ノ :::::\
| ( ○)(○)
| U (__人__)
| ` ⌒´ノ
| U u }
ヽ u }
ヽ、U__ __ノ
動くな!と言う検察官の言葉に凍りつく。
あらゆる物がダンボールの中に消えていく。
持っていかれたのは会社のモノだけではない。
自分の手帳も、パソコンも、携帯も・・・
無機質なロボットの様に社内をうろつき、そして綺麗に持って行った。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 19:59:23.41 ID:Swlg5QlV0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; } (もう、あの頃の俺じゃない・・・)
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
だが、それ以上にショックだったのは、検事の横柄な態度だった。
少なくとも、一目置かれているのが当たり前のやらない夫にとっては、そう映った。
高校の時の嫌な思い出が一瞬、記憶の蓋を開けようとした。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:00:31.71 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | } ・・・・・・・・・
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
やらない夫はガランとした室内を見渡し、部下に整理を命じる。
その声に、いつもの張りが無いのを感じた部下だったが、それがガサ入れの為だと思った。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:01:10.23 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) |
. | (__人__) | い、いや、その・・・
| u ` ⌒´ ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
検察はやらない夫に目を付けた。
その部下は、やらない夫の関与を示唆したからだ。
長期に渡る事情聴取。
指定される日時に出向き、記憶の果てにしかないような事を根掘り葉掘り聞かれる。
普通の会社ならなんと言う事も無い交際費もチェックの対象だった。
多いのか少ないのか判るわけは無い。
一流企業においては、二流三流とは違った形での交際がある。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:04:13.06 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | い、いや、その・・・
| u ` ⌒´ ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
ただ、検察の聴取は並大抵のものではない。
強靭な精神を持つ、厚顔無恥な政治家すら落す。
やらない夫はもう、精神的に限界だった。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:08:51.79 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\.
/ \.........:::::::::::...
|::::::: : | .... .........::::::::::...r‐ ' ノ.
. |::::::::::::: | .... .........::::::::_ ) (_
|::::::::::::: |.. ..... ......:::(⊂ニニ⊃)
. |::::::::::::::: } ..... ......: ::::`二⊃ノ.
. ヽ____ } ..... ......: :::: ((  ̄
r'ニニヽ._\. ノ.. ..... ......: :::::: ;;.
r':ニニ:_`ー三`:く._ [l、. ・・・会社の体面か・・・
/: : : : : : :`,ニ、: :_:_;> /,ィつ
. /: : : : : : : : / : : : ヽ\ ,∠∠Z'_つ
| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ. / .r─-'-っ
. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l / ):::厂 ´
|:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
. |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/
たった一人だと気が付いたのは、その年の辞令だった。
***県、××工場へ出向を命じる。
無実であるとは言え、誰も責任を取らないわけには行かない。
事実上の出世レースからの転落を意味していた。
受け入れがたい現実を受け入れざるを得なかった。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:12:27.80 ID:Swlg5QlV0
/:::/::::/::::::::::::l::::::::|:::::::l:::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::i::::::
/::;イ::::i::::::::::::::| ::::::l|;::::::li;::::::::|、;::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::l:::::
.l::/ l:::::|::::::::::::/!::::::| li::::::lヽ::::::l. ヽ;:::::::::::::::::l::::::::::::::::::::l::::::
|::l | ::::|::::::::-i-L;;_l .|!i:::::l ヽ::::l ヽ、__;;;;::::| :::::::::::::::::l::::
|:! .|::::::l::__;;;|_ l:::l`ヽヽ;:::l ヾ;レ‐'''゙゙´\ :::::| ::::::::::::::::l:::::
l! .|:::/ ___ノ,ィ'ト|''=ミ、 ヾ! ,r-=fニミ;;弍;;| :::::::::::::::l~゙'i
l/ ,/ト、::l゙__゙ヾ::ii::|ヽ ,/ .|:::illi:::゙ii/ |:::::::::::::::j¨゙ l
/⌒ヾ、|/`fト l ゙K);j .l'⌒''h. K);;;;ッリ l:::::::::::::/ .ノ
/‐-、 `iノ /'ヽ|、 ノ ヾ、 ,/ |:::::::::::/=7゙
./ 、. ヽ |゙V,_ l:::i、 ̄ 丶 ゙''ー-‐'' ,l::::::::::/|:;/ ・・・問題ない。
i '゙ヽ_j-' .|::::|.\ ‐- ,,イ::::::::/ ,l/
ヽ ヽ jl:::::l. ヽ、 , ''゙ /:::::::/゙`ヽ、
ヽ、. /ヽ::::| ,,`=ー '''i´ /:;/レ'〉;:;:;:;:,.,\
/ /. ヽ:| ,,r''゙,.;:;:;r''゙~ノ /イ /;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
唯一の救いは、妻が理解をしてくれた事だった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:13:15.36 ID:8viq5png0
どのくらい続きそうなんだ?
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:14:02.56 ID:Swlg5QlV0
エリートの転落は最高にメシが旨い
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:17:54.16 ID:Swlg5QlV0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
∩
|| / ̄ ̄\
|| / _ノ \
/〔| ( ●)(●)
〔ノ^ゝ (__人__) あ、はい、大丈夫です。
ノ ノ^,- ` ⌒´
/´ ´ ' , ^ヽ }
/ ノ'"\. ⌒
人 ノ \/,_ __ノ
震える携帯電話に起こされた。
涙の後を拭う。
それは三日ぶりの派遣の仕事だった。
ようやく食いつなぐ事ができる。
テントを這い出すと指定された場所へ向った。
これでカプセルホテルに入り、熱いシャワーを浴びる事が出来るだろう。
しえん
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:23:18.22 ID:Swlg5QlV0
NVVVVVVV\
\ \
< `ヽ、
</ /"" \ .ノヽ. \ でぇーそうやってほしいんすけどー
//, '〆 ) \ ヽ
〃 {_{ ノ ─ │i|
レ!小§ (●) (●) | イ━ ああ、おっさんきいてるー?
レ § (__人__) |ノ ┃┃
/ ゜。 `ー'´ 。゜ ∩ノ ⊃
(受\ ∞ ∞ /_ノ
.\ “ _∞∞_ノ∞/
\。____ /
横柄な態度のムカつく小僧が座ったまま説明をしている。
面倒臭そうに足をぶらぶらさせているのが目に付いた。
おっさんと呼ばれたのは、隣に座っている初老の男性だった。
びくりと体を震わせ、視線が泳いだ。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:27:43.58 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | } ・・・・・・・・・
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
怒鳴られたのが自分ではない事にほっとしている。
それが惨めだった。
昔なら絶対に許さない態度だ。
でも、今は越えられない壁がある。
社員と派遣と言う壁が。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:33:16.08 ID:Swlg5QlV0
NVVVVVVV\
\ \
< `ヽ、
</ /"" \ .ノヽ. \ ああん?おっさんきいてねーの?
//, '〆 ) \ ヽ
〃 {_{ ノ ─ │i|
レ!小§ (●) (●) | イ━ オレも暇じゃねーんすよ?
レ § (__人__) |ノ ┃┃
/ ゜。 `ー'´ 。゜ ∩ノ ⊃ わりーけどさ、そこのあんた
(受\ ∞ ∞ /_ノ そう、あんた後で説明しといてくれないっすか?
.\ “ _∞∞_ノ∞/
\。____ /
やらない夫にそう言って、その小僧は席を立った。
一斉に派遣村の住人も立った。
ありがとうございました。
そう言って頭を下げるやらない夫達。
それを見て鼻をならして出て行く小僧。
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:37:11.56 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄ ̄\
//^ヽ、_ノ^゙ヽヽ
.. i./ ‐-‐-‐ i l
|| 〜^ 〃 -ヘ |.|
(6| ⊂. .⊃ |6) ご主人様と奴隷だな。
. | ノ~(_)~(._ |、
_,. -‐'|ヽ ⊂ニ=ニ⊃ ,ノ i`‐-
| i` ‐-----‐´ l |
| | | | | |
. |/\!`‐--‐´|/\!
小さく呟いた誰かの言葉がやらない夫に突き刺さった。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:41:48.61 ID:Swlg5QlV0
/  ̄ ̄ ̄ \
/ ::::\
| :::::::|
\.....::::::::: ::::, /
r " .r /
.|::| ::::| :::i
.|::|: .::::| :::|
.`.|: .::::| :::|_
..,': .::( :::}
i `.-‐"
翌日、その場所に行く途中、初老の男性が呆然としたまま立っていた。
派遣切りと言う奴らしい。
唐突に切られた様だ。
途方にくれたまま立ち尽くすその人に、やらない夫は目を向けられなかった。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:47:30.91 ID:Swlg5QlV0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; } ・・・・。
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
可哀想に・・・等という同情の言葉は思い浮かばなかった。
そんなものは、一段高い場所から見ている奴の言葉だ。
明日は自分かも知れない・・・言い知れない恐怖だけがあった。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:50:21.43 ID:Swlg5QlV0
.(● ) ’、 ′ ’. .
’、ヽ′・ ’、.・”; ” ’、
’、′ ’、 (;;ノ;; (′‘ ・. ’、′”; ( ●)
.’;^`⌒)∴⌒`.・ ”; ’、′・ 〃
、’、 ’・ 、´⌒,;y'⌒((´;;;;;ノ、"'人 ヽ ぐぇあ
、(⌒ ;;;:;´'从 ;' ;:;;) ;⌒ ;; :) )、 ヽ
( ´;`ヾ,;⌒:: :: :.从⌒;) :`.・__人__)
\:::::. ::: ´⌒(,ゞ、⌒) ;)r┬-|
\.;:;_) ...::ノ ソ ...::ノ :;; ; -'
\ 、′ 、 ’、 ′
派遣流民Cが怪我をした。
舌打ちした監督は、やらない夫に医務室へ連れて行く様に言った。
面倒くせぇな・・・
そんな聞こえよがしの独り言が、やらない夫達の背中にかけられた。
Cは捻挫していたが、医者にかかる事はないだろう。
医務室で無言のまま安っぽい湿布を貼られて終わりだ。
健康保険なんて加入していないのだから。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:54:43.18 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | 保険か・・・
| u ` ⌒´ ノ 当たり前だと思っていた時期がありました。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く \
| \ \
| |ヽ、二⌒)、
当然、年金にも加入していない。
厚生年金?なにそれ?
そんな世界だ。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 20:55:28.58 ID:Swlg5QlV0
,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
/": : : : : : : : \
/-─-,,,_: : : : : : : : :\
/ '''-,,,: : : : : : : :i
/、 /: : : : : : : : i ________
r-、 ,,,,,,,,,,、 /: : : : : : : : : :i /
L_, , 、 \: : : : : : : : :i /
/●) (●> |: :__,=-、: / < 払わないと負けかなって思っている。
l イ '- |:/ tbノノ \
l ,`-=-'\ `l ι';/ \
ヽトェ-ェェ-:) -r'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヾ=-' / /
____ヽ::::... / ::::|
/ ̄ ::::::::::::::l `──'''' :::|
年金は将来全員受け取れます!
そんな政府の広報が空しく思い出される。
俺たち、明日生きているかわからねぇんだぜ?
ぎりぎりの生活をしている派遣村の住人は、健康にはうるさかった。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:00:25.09 ID:Swlg5QlV0
. .. . Л_
.. //;;;;`-、_
.. .//ー-、;;;;;;;;;ヽ、
.. //_ ;;;;;;;;ヽ、
.. // ゙゙ー-、 ` ;;;;;;ヽ
___ ..// `-、 ` ;;;;ヽ
/⌒三 ⌒\..// \ `;;;;|
/( ・)三(・) // .ヽ ゙、;|
../:::::⌒(__人__)i⌒)、ヽ | i;|
.| |r┬-|./フヽ.`i| . .| l/
\ `ー"// .ノ ノ . l/
( i .//
.\ .\,. //
`ヽ、 ⌒)
秋葉原で派遣流民が殺人事件を起こしたらしい。
契約を切られるのは、一般人には判らない恐怖だ。
世間から見放されている事に加え、会社からも見放される。
以前なら、ろくでもないDQNが自業自得で自爆した程度にしか思わなかった。
今は他人事ではない。
自暴自棄になってしまったその派遣流民の気持ちに同調している自分に寒気がした。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:05:21.11 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ノ( ゝ 、_,ノヽ
| ⌒(( ○)::(○)
. | (__人__). (****!!!!)
| ` |::::::::|´ノ.
| `⌒´ }.
| }
| ノ
/ ̄ ̄\
/u _ノ :::::\
| ( ○)(○)
| U (__人__)
| ` ⌒´ノ すす、すみませんすみません・・・
| U u }
ヽ u }
ヽ、U__ __ノ
上はやらない夫の本心であり、下が実際の行動である。
大学出たての小僧が、やらない夫を蹴飛ばした。
仕事が遅いというのが理由だが、こいつはいつでも派遣流民を小ばかにしている。
今日はたまたま、その場所にやらない夫が居ただけの事だ。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:05:55.47 ID:stk/z3vC0
しえn
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:11:58.64 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | } ・・・・・・・・・
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
自分が狙われているのではない・・・と言い聞かせ安心している。
その奴隷根性に吐き気がした。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:15:59.83 ID:Swlg5QlV0
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;Yヽ、
/;;;;;;┌--‐""""ヾ,ヽ
/:::::;;;ソ ヾ;〉
〈;;;;;;;;;l ___ __i|
/⌒ヽリ─| -・=-H -・=-|! / 海外の安価な労働力に対抗する必要がある。
| ( `ー─' |ー─'| < その為には日本の労働コストを下げるしかない。
ヽ,, ヽ . ,、__) ノ! \ 内需?外需でしょ、時代は。
| ノ ヽ |
∧ ー‐=‐- ./
/\ヽ /
/ \ ヽ\ ヽ____,ノヽ
テレビを見て小僧共が大きく頷いている。
こいつら意味を判っているのか?
俺たちはこれ以上下げても仕方ないが、今度切られるのは正社員だろjk
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:20:21.36 ID:Swlg5QlV0
∬∬∬∬∬∬∬∬
//:: \
/::. _ノ ヽ_ ヽ
|::〉 ─┰┬┘└┰─| 派遣流民の値段を下げれば良いやんかwww
(⌒ヽ  ̄  ̄ |)
( __ ( ∩∩ ) |
| ヽ__人_ノ |
ヽ \__(_ |
\ l
' - , ____ノ
だが、小僧どもは他人事のように笑っていた。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:21:09.79 ID:ukXvjA2Z0
支援しておくか
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:23:43.87 ID:Swlg5QlV0
過疎スレにようこそとしか言いようが無い
もうすこし投下スピードあげてくれ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:26:39.74 ID:Swlg5QlV0
この過疎スレでサルッたら落ちますよ?
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:28:07.97 ID:Swlg5QlV0
_
/)/ノ,>
| lン.)っ
|/ .〈/
l )
|iii||||||
|iii||||||
|ii|||||||| 同じ場所に落ちて来い・・・
┌|ii|||||||||
、〜"イイ__ /iiii|||||||||||
ゝ:::::::::::レヘ .|__「iii|||||||||||||
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;イ::::::::</(ン ,_,<||||||||||||l'';;;;;;;,,,,, :
;;:;:::;;;;;:::,,,;;;ム;/);;;モヽ u (ニ'ヘ||||||||l;;;::;;;;;;;..''':;;;,
::::;;;;;;:;;;;;..,,,,;;;;/フ;;;;;/);;;;:'''''::::;;;;;;;:::::'';;:;;;;;;,,::::;;;;;,,,,
;;;;;:::;;;;;;;::::::'''',,尸;;;;;';;''::::::;;;;;;;;'';;;::::;;;;;;;;::;;;:;;;;::::::''';;;;;;;
::;;;;;;;;:::;;;;;;;;;'';;;つ;;::::;;;''';;;;;;,,,'':::::::;;'';;;;;;::::;;::;;;''::::;;;;;;;
やらない夫の隣で犬の様に飯をかき込んでいた男がボソっと呟いた。
頷きそうになった。
オレはまだそこまで堕ちては居ない。
しえん
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:32:28.58 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | え・・・契約・・・更新なし・・・ですか・・・
| u ` ⌒´ ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
それは唐突だった。
いつかは来ると覚悟していたが、自分にそれが降りかかるとは考えなかった。
考えたくなかった。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:36:43.68 ID:ukXvjA2Z0
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:38:36.29 ID:Swlg5QlV0
/  ̄ ̄ ̄ \
/ ::::\
| :::::::|
\.....::::::::: ::::, /
r " .r /
.|::| ::::| :::i
.|::|: .::::| :::|
.`.|: .::::| :::|_
..,': .::( :::}
i `.-‐"
派遣切り・・・
あの寂しそうな後姿が自分と重なった。
寒空の広がる12月の事である。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:45:17.27 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | (また・・・この場所か)
| u ` ⌒´ ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
再び戻った派遣村は、すっかり顔ぶれが変わっていた。
変わらないのは、陰鬱な空気が立ち込める絶望感だった。
誰もが明日を見失っていた。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:48:46.13 ID:Swlg5QlV0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__) ・・・・・・。
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
いつ来るか判らない派遣の仕事を待って、携帯電話をじっと見つめている奴。
食い物が少ないと、ボランィアに絡んでいる奴。
デモする為に集まっている奴。
・・・経団連の集会に文句を言いに行くらしい。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 21:51:24.13 ID:stk/z3vC0
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:00:09.63 ID:Swlg5QlV0
紙1枚受け取れないのか
何百人も職や住まいを失っているんですよ r――-- 、、
,. -―‐- 、 f,´‐-- 、`丶 ,ィ'ー―‐、::::::::ヽ
/,. ―- 、:::`ヽ. /、 _,,,_ ノ::::::::ヽ l:l__・ _,,,_ t:::::::::::l
,'/、_ _,...、゙t:::::::} f。ミfr。、 ヾ::::::::l tr。〉'f・=゙' l::r‐vi
゙l'・ヲ f・ラ {::::::l {ーム":'´ tf'う}! l,イ_,,ぅ、´ `tうリ
l^, 'ーヘ⌒ Уソ lf,-‐-、 ミンリ Y,.--y} 「lj 酒飲んでる場合か
、 '二`:_,. ィ^′ ヽ二. ノY ヾニ, /ヽ
゙トー '´ 人_ ヽ ,: /ヽ `ヽ-'_/ / ̄`~`丶、
,. -―〈 \_,ィ三、Yl`丶、__,.,へ,__,/ /``丶、 /|,ィ介、 / , '⌒ヽ、
r'ニユ、_ ヽイ_},ニ)ツノ,ィ'"´ |,イミメ,ィi'l^t‐、 / {-r'゙ヽ' :, \
こんな村が日本には何ヵ所かあるらしい。
だが、本当の派遣流民だけではない。
ただの浮浪者まで混じっている。
そいつらが大声で喚きたてるたびに同じ種類の人間だと思われる。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:04:13.12 ID:ktrABRMt0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:05:21.45 ID:stk/z3vC0
あげ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:06:03.80 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: |
. |::::::::::: |
|:::::::::::::: | (明日がみえねぇ)
. |:::::::::::::: }
. ヽ:::::::::::::: }
ヽ:::::::::: ノ
/:::::::::::: く
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)
自力で抜け出すのは困難だった。
まるで、あり地獄だ。
やらない夫は再び薄いテントの中で、愛用の寝袋に潜り込んだ。
せめて、夢の世界だけでも、つらい現実を忘れたい。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:12:22.54 ID:Swlg5QlV0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
| (__人__)
| ` ⌒´ノ ま、こっから這い上がるのが真のエリートだろjk
| }
ヽ }
ヽ、.,__ __ノ
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
飛ばされた先は、車の部品製造工場だった。
某一流自動車会社へ納品する部品を作る。
やらない夫はここで次長の地位にあった。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:18:09.43 ID:Swlg5QlV0
、、、,. ,._
ィ`'′ ヽ
〃/ノノ八レレ、. |
ル三''′`三ヽ. |
[ ≧|ニ|≦_]~|^)ト、
. | ,-L__」 -、u |ト:| |''‐- ...__
_.. -┬|l王l王l王l`/ .| | |
. ∧ |├‐┬─‐''′/ ||
/ l |.l-―|、___/-―┤
傍から見れば、重要な場所だ。
だが、その自動車会社は徹底的なコスト削減を掲げ、工場へ乗り込んでくる事がしばしばあった。
前任の工場長はそれで体調を崩したという。
やらない夫の目の前に居るしょぼくれた老人が、自分の上司だとは信じられなかった。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:24:24.11 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) 犯罪予告掲示板か・・・
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
ネットを使い自分で色々調べる事を始めた。
今までは部下にやらせていたが、そうも言っていられない。
コスト削減による人手不足は、今居る人間の負担を増やしていく。
安い求人広告を探していて検索に引っかかったのが・・・
2ちゃんねる・・・と言う掲示板だった。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:32:37.83 ID:Swlg5QlV0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) ほう・・・自己責任
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
ろくでもない掲示板だという認識しかなかったが、そんな発言をする者もいる事を知った。
少しだけ見直し、派遣社員やらニートやらの情報を得るようになっていった。
もっとも、この時の知識が役立つ時がくるなどとは想像もしなかったが・・・。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:37:25.52 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ─ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) おう、判子押しとけばいいんだな。
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
忙しさにかまけて、やらない夫は注意力が散漫になっていたのかもしれない。
エリートとして、自分を過信していたのかもしれない。
なにより、他人を無邪気に信じすぎたのかもしれない。
密かに進んでいる悪巧みに気がつくこともなく、そしてその日は来た。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:42:13.78 ID:Swlg5QlV0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ ・・・・・・え?
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
業務上横領と言う罪を突きつけられた時、訳が判らなかった。
上司に無実を訴えても無駄だった。
義父には頼れなかった。
前回の騒ぎで、既に迷惑をかけていた。
これ以上は義父の地位すら危険だった。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:47:36.87 ID:Swlg5QlV0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; } ・・・・・・信じていた俺が馬鹿なの・・・か?
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
依頼退職
それがやらない夫に下った会社の判決だ。
しかし、退職金は無かった。
自主的に返納と言う形になった。
それが、懲戒解雇を避ける条件だった。
嵌められた事を訴えるには遅すぎた。
自分の甘さが招いた事態。
自業自得、自己責任。
いつか見て頷いた言葉が自分に突き刺さった。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 22:49:29.32 ID:Swlg5QlV0
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
/!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ
`ヘ:ゝ .' 小/ ・・・・・・
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
/| l:| | ===| |:l゙ヽ
妻とは離婚した。
これ以上つき合わせるわけにはいかなかった。
持ちうる限りのものを妻に慰謝料として渡した。
それしか出来なかった。
無口な妻は、小さく「判った・・・」 と一言だけ言った。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:00:09.01 ID:Swlg5QlV0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::
/ ̄ ̄\
/u _ノ :::::\
| ( ○)(○)
| U (__人__)
| ` ⌒´ノ
| U u }
ヽ u }
ヽ、U__ __ノ
目が覚めると自分が泣いているのに気が付いた。
それを拭って携帯の時計を見た。
午後三時。
テントの外で物音がしたので這い出してみると、一人の男が立っていた。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:01:48.55 ID:p2RXv54t0
おい読んでるからな!
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:05:00.36 ID:Swlg5QlV0
. /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : : : : :.、: : : : : : : : ヽ
. /: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
/: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
|: : |: : : : : |: / \: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ト、:|
|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/ |:./⌒ヽV: |.: : : | V
< : 」_: : / 〈 {} |/ レ {} }|:./ヽ: : |
<:: |. 小{ _,,.. - 、-.,_ レ{: :.|ヽ:|
厶ヘ ハ 、 {ハ/ V いい儲け話があるんすよwww
\_! _ ' !
ヽ / `t /
___,r| \ { / /
/:/::::| \ ヽ `_⌒ ィ ´
/::::::/::::::| \ ´ ∧>、
/:::::::::::/::::::::| \ / !\::`ー- 、
::::::::::::::/:::::::::∧ /二\ |::::::ヽ::::::::::::\
::::::::::::/::::::::::::::∧ヽ /: : : : :}ヽ!::::::::::〉:::::::::::::::!
そいつは人材斡旋の仕事をしていると言う。
村の受付を通したりすると金が余分にかかるので、直接勧誘しているとの事だ。
丁度、人を探していたのだが、この時間あまり人が見当たらなかったという。
やらない夫のほかにも数名が勧誘を受け、久しぶりの仕事に笑顔を見せていた。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:11:00.39 ID:Swlg5QlV0
いや−、良かったわww
,r=ヽ、 r';;;:;:;;:::;;;;;;;;;;;;ヽ、
j。 。゙L゙i rニ二`ヽ. Y",,..、ーt;;;;;;;;;;;)
r-=、 l≦ ノ6)_ l_,.、ヾ;r、゙t lヲ '・= )rテ-┴- 、 一週間ぶりに風呂は入れるわ
`゙ゝヽ、`ー! ノ::::::`ヽ、 L、゚゙ tノ`ゾ`ー ゙iー' ,r"彡彡三ミミ`ヽ
にー `ヾヽ'":::::::::::: ィ"^゙iフ _,,ノ , ゙tフ ゙ゞ''"´ ゙ifrミソヘ,
,.、 `~iヽ、. `~`''"´ ゙t (,, ̄, frノ ゝ-‐,i ,,.,...、 ヾミく::::::l
ゝヽ、__l::::ヽ`iー- '''"´゙i, ヽ ヽ,/ / lヲ ェ。、 〉:,r-、::リ
W..,,」:::::::::,->ヽi''"´::::ノ-ゝ ヽ、_ノー‐テ-/ i / ,, 、 '"fっ)ノ::l
 ̄r==ミ__ィ'{-‐ニ二...,-ゝ、'″ /,/`ヽl : :`i- 、ヽ ,.:゙''" )'^`''ー- :、
lミ、 / f´ r''/'´ミ)ゝ^),ノ>''" ,:イ`i /i、ヺi .:" ,,. /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙
! ヾ .il l l;;;ト、つノ,ノ / /:ト-"ノ゙i ,,.:ィ'" /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
. l ハ. l l;;;;i _,,.:イ / / ,レ''";;;;`゙゙" ヽ_,,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
人 ヾニ゙i ヽ.l yt,;ヽ ゙v'′ ,:ィ" /;;;;;;;;;;;;;;r-'"´`i,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
r'"::::ゝ、_ノ ゙i_,/ l ヽ ゙':く´ _,,.〃_;;;;;;;;;;;;f´' ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
派遣流民達は、口々に自分達の運の良さを言っている。
今ではこの程度ですら、幸運だ。
やらない夫は、口を挟む事もできないまま、その輪を離れた。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:16:28.67 ID:Swlg5QlV0
/: : /:: : : / : : : !:: : : : !: : !: : : ヽ:: : : : : ',
/: : /: : : 斗--、 :|: : : : :|: : | ,ィT: ',: : :ヽ : !
|: : |: : : : : |: / \: : /|:.ィ: :ヽ: : :.|.: : : ト、:|
|: : |: : : : /!/ ⌒ヽ| :/ |:./⌒ヽV: |.: : : | V
< : _: : : / 〈 {} |/ レ {} }|:./ヽ: : |
<:: |. 小{ _,,.. - 、-.,_ レ{: :.|ヽ:| なぁに・・・
厶ヘ ハ 、 {ハ /⌒ヽ_ノ) ) ) いざとなったら全部連中におっかぶせれば良い。
\_! _ ' !! ,' ;'⌒'ー''´
ヽ \ーェェェェァt / | i| .| 所詮、派遣流民。
___,r| \ 、\_ `ヽ / ノ ,'.! .i 消えていなくなっても誰に気にしねぇww
/:/::::| \ ::::: \_`\ \'、 ./ // l|
/::::::/::::::| \ ´ ∧\.、_>'´ ノ'´ U
/:::::::::::/::::::::| \ /"''- `ー一''´
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:22:04.53 ID:Swlg5QlV0
NVVVVVVV\
\ \
< `ヽ、
</ /"" \ .ノヽ. \ ふひひっひ
//, '〆 ) \ ヽ さすが兄貴っすwww
〃 {_{ ノ ─ │i|
レ!小§ (●) (●) | イ━ この仕事が終ったら、埋めちまうんでしょ?
レ § (__人__) |ノ ┃┃
/ ゜。 `ー'´ 。゜ ∩ノ ⊃悪っすねwww
(受\ ∞ ∞ /_ノ
.\ “ _∞∞_ノ∞/ ちょー格好良いッスwwwww
\。____ /
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:28:04.63 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | ・・・・・・
| u ` ⌒´ ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
それをたまたま聞いてしまったやらない夫。
犯罪の片棒を担がされた上、その罪を押し付けられて行方不明と言うのがあいつらのシナリオらしい。
ここまで来ると、怒りと言うよりも諦めに近い感情がわきあがった。
もう、他人は信用できない。
信用しても仕方が無い。
そんな言葉がぐるぐる巡る。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:33:59.50 ID:stk/z3vC0
これ最後どうなんのよ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:35:04.48 ID:Swlg5QlV0
∩
|| / ̄ ̄\
|| / _ノ \
/〔| ( ●)(●)
〔ノ^ゝ (__人__) 実は・・・
ノ ノ^,- ` ⌒´
/´ ´ ' , ^ヽ }
/ ノ'"\. ⌒
人 ノ \/,_ __ノ
犯罪行為に手を染めるわけには行かない。
なにより、派遣流民とは言え、同じ釜の飯を食った仲間だ。
そいつらを犯罪者にする事は出来なかった。
警察にその動きを報告した。
これで、救われる・・・
その時は本気でそう思っていた。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:39:30.15 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: |
. |::::::::::: | ・・・・・・。
|:::::::::::::: |
. |:::::::::::::: }
. ヽ:::::::::::::: }
ヽ:::::::::: ノ
/:::::::::::: く
やらない夫の言葉を信じたのは、標的にされた工場の人間と警察。
最近、同様の手口が各地であり、警戒していた為だ。
手柄にする気は無かったから、この事は流民には言わなかった。
だが、派遣流民は儲け話をやらない夫に潰されたと思った。
呼び出され、言い訳する間もなくフルボッコにされた。
感謝しろとまでが言わないが、それでもこの仕打ちはきつかった。
頑張っても頑張っても、報われない。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:44:46.65 ID:p2RXv54t0
おい支援!
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:46:08.32 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: |
. |::::::::::: | ・・・・・・。
|:::::::::::::: |
. |:::::::::::::: }
. ヽ:::::::::::::: }
ヽ:::::::::: ノ
/:::::::::::: く
やらない夫が仲間を売る様な奴だと噂が広がる。
派遣会社にもクレームが寄せられる。
あいつらか・・・
やらない夫は心の奥に初めて他人を殺したいと思う気持ちが芽生えたのを感じた。
何度も落ちる面接。
こなくなった派遣の仕事
殴りつけるよりも遥かに効果的にやらない夫は追い詰められていった。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:50:36.52 ID:Swlg5QlV0
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: |
. |::::::::::: |
|:::::::::::::: |
. |:::::::::::::: }
. ヽ:::::::::::::: }
ヽ:::::::::: ノ
/:::::::::::: く
派遣村に片隅にぽつんと1人座っているやらない夫。
誰も話しかける者は居ない。
元々係わり合いになる事を避ける村の住人だったが、それでもある程度の秩序は生まれる。
秩序が生まれれば、それに反する者は排除される。
やらない夫はそれだった。
他の村へ行っても働き口があるとは限らない。
やらない夫は孤独だった。
一人である孤独よりも、大勢の中の孤独が辛かった。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:57:55.80 ID:stk/z3vC0
あげ
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/07(水) 23:59:30.47 ID:RO1qdCE50
支援
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:01:19.92 ID:NhAqSJiW0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ ・・・・・・。
. |;;;; }
. ヽ;;; } ここまで・・・か?
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
金は無い。
ハロワも行った。
求人にはなんでも応募した。
それでも、悪評は付いて回った。
犯人の片割れ。
それは全くの言い掛かりだが、それを無実と証明する事など出来ない。
もう後も無い。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:01:19.84 ID:zgCRpDUV0
構わん続けろ
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:02:44.50 ID:Col2+/VX0
ほう・・・
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:08:05.37 ID:Hw2Y5Kaq0
、N´ `ヽ、/
ゝ l 7二ニ7==‐-_、
イ l / // ̄\ /、`'‐、
"W._ヽ=-‐|/-──'-~、.._/ `'‐、 \
 ̄, ̄7 ⌒ヽ / \.ヽ
/ ./ }. k \!
/ / |____| /‐┬f=i
. / 7'''─r/ \. , ' .|_| ‖
. / / // //ヽ. // ‐''´ ,E! リ
/ f_/ .// / ヽ/.∠. -‐┬f=i
/ _,:=/ /'´ ,' / |_| ‖
` / {三 ' _,ノ l _, -‐''´ ,E! リ
./  ̄ ̄ `ー-‐ ''"´ ゝー'
追い討ちをかける様に派遣村が解体される事が決定した。
列車に飛び込んだ男が居た。
屋上から飛び降りた奴が居た。
役所でナイフを持って暴れた奴が居た。
自暴自棄だった。
大迷惑この上ない行為だった。
だが、そいつらの気持ちが推測出来てしまう自分が居た。
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:09:56.83 ID:1gi4/87y0
支援
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:14:25.41 ID:zqzpVzYz0
もう終盤っぽいな
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:14:26.33 ID:NhAqSJiW0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) |
. | (__人__) | ・・・せめて、世間に迷惑かけないで・・・
| u ` ⌒´ ノ
. | } 逝くしかないだろ・・・jk
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
自分の名前を世間に刻もうとした奴。
社会にいわれの無い復讐をした奴。
どいつも追い詰められ切れてしまった。
どいつも孤独だった。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:22:07.23 ID:NhAqSJiW0
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○)
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ ・・・・・・。
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
フラフラと彷徨うやらない夫。
暖かそうな一家団欒の光景が、巨大なスクリーンに映っている。
今まで下を向いて生きて来たやらない夫は、初めてそのスクリーンを見た気がした。
当たり前と思っていた光景だ。
つい最近まで自分の手元にあった日常の光景だ。
今は、別の世界の出来事。
御伽噺の世界に変わってしまった。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:22:59.84 ID:Col2+/VX0
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:23:40.57 ID:zqzpVzYz0
しえん
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:26:54.58 ID:NhAqSJiW0
/ \
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ ・・・酒飲んで凍死って言うのは一番綺麗らしいな。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
なけなしの金を自販機に入れる。
コップ酒が二つ買えた。
酒なんて飲まない やらない夫が、初めて買ったのが、この二つ。
パカッと呆気ない音とともに酒の匂いが立ち込める。
表面に、街燈に照らされた自分の顔が映る。
疲れきった顔をしていた。
自然と涙がこぼれた。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:31:59.67 ID:NhAqSJiW0
__
/ \
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ ・・・・・・。
. | }
. ヽ } 死ぬってこういう事なんか?
ヽ ノ
/ く.
| \
| |ヽ、二⌒)、
全然酔えない。
いや、酔っているのかも知れない。
世界が明るくなった気がしたから。
寒さもあまり感じなかった。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:37:10.06 ID:NhAqSJiW0
/.:.:. \
/:,:.:.: / ヽ \
/.:.l:.:.:/:/ :/ ', :l ヾ`ー
/!:.:.|:.: l/ 〃 / j } :| ハ
/イ:.:.i|:.:.jL∠/_/ | /l.ム_/| l l }
N:.ハ:.:.:lィfアト/ レ ィ=ト | /| ∧j
ヽム:.} c;_j c;リ ル iレヽ
`ヘ:ゝ .' 小/ ・・・。
ヾ:{>、 _ ィ<}/|/
_, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
/| l:| | ===| |:l゙ヽ
ぼうっと空を見上げていると、何かが降って来た。
雪か・・・
そう呟くやらない夫。
妻の顔が空に浮かんだ。
初めてデートした日も・・・雪だったっけ・・・?
物凄く遠い事のように思えた。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:39:14.48 ID:HBr7e/Gb0
支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:40:15.30 ID:1gi4/87y0
!
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:42:02.17 ID:QJKXlhX20
\ /_ / ヽ / } レ,' / ̄ ̄ ̄ ̄\
|`l`ヽ /ヽ/ <´`ヽ u ∨ u i レ' /
└l> ̄ !i´-) |\ `、 ヽ), />/ / 地 ほ こ
!´ヽ、 ヽ ( _ U !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./ 獄 ん れ
_|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '') ""'''`` ‐'"='-'" / ! ! / だ. と か
| |;:;:;:{ U u ̄|| u u ,..、_ -> /`i ! ! \ :. う ら
| |;:;:;:;i\ iヽ、 i {++-`7, /| i ! ! <_ の が
__i ヽ;:;:;ヽ `、 i ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_ ! ! /
ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i /,ゝ_/| i  ̄ヽヽ ! ! ,, -'\
ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ ノ ヽ| / ,、-''´ \/ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ Y´/;:;:;\
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:44:25.32 ID:NhAqSJiW0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | (__人__) 明日は無いんだな・・・
| ` ⌒´ノ
. | . }
. ヽ }
_ヽ ノ`
ベンチに背を預け、空を見上げる。
最期に見るものぐらい、自分の意思を通したい。
その時、長年連れ添った携帯電話が震える。
投げ捨ててやろうと思ったが、どうしても出来なかった。
苦楽を共にした電話だ。
面倒臭いと思いつつ、ボタンを押す。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:48:45.51 ID:Col2+/VX0
しえん
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:50:30.60 ID:NhAqSJiW0
∩
|| / ̄ ̄\
|| / _ノ \
/〔| ( ○)(○)
〔ノ^ゝ (__人__)
ノ ノ^,- ` ⌒´ え・・・!?
/´ ´ ' , ^ヽ }
/ ノ'"\. ⌒
人 ノ \/,_ __ノ
妻からだった。
変えた番号をようやく調べ上げたらしい。
慌てた口調で話す妻の声。
随分聞いていなかった気がする。
二度と声を聞く事も無いと思っていた。
話の内容は・・・あの事件の横領犯が捕まったという事だった。
義父が、権力争いに勝ったのだろう・・・
それは、一文無しのやらない夫にとって、地獄に垂れてきた蜘蛛の糸だった。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:53:09.42 ID:NhAqSJiW0
エピローグ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) ・・・・・・。
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
義父のライバルであった専務派が、事件の責任をやらない夫に被せた。
権力闘争に巻き込まれたやらない夫。
懲戒解雇を避けるための依頼退職。
労基に駆け込まれない為の工作。
そいつらの思惑に踊らされたお人よしの世間知らず。
やらない夫は、その為にどん底を這いまわった。
あと一日遅かったらどうなっていたのか。
自分がぎりぎりの状態であった事を思い出す。
冷たい怒りが心の中に生まれていた。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:55:41.97 ID:NhAqSJiW0
/ ̄ ̄\
/ _ノ .\ _,,
| ( ●) (●) |. l;l
. | (__人__) | _,_,|,|_,
| ` ⌒´ |, ト-=y 丶
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i,
ヽ ノ _ ヽ、 ;i,
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i,
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i,
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
全て失った。
辛酸を舐めた。
死すら覚悟した。
何度も涙した夜。
希望も無い明日に震えた夜。
そんな夜をいくつも越えて、やらない夫を変えてしまっていた。
人が良い・・・そんな表現はもう当てはまらない。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 00:57:14.87 ID:Col2+/VX0
なんだと
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:00:14.80 ID:NhAqSJiW0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) ・・・・・・。
| ` ⌒´ノ
. | . } , ´
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
他人の情けに縋り、他人の善意を当然のように貪り、不平不満を言い募る・・・
頭を下げ、視線を逸らし、一時の安寧を願うだけの人間ではなかった。
自分で立って、自分で戦う事が出来る。
守られなければ何もできなかったあの頃の自分ではなかった。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:01:03.96 ID:Col2+/VX0
このやらない夫・・・『凄み』がある
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:03:18.75 ID:NhAqSJiW0
/ ̄ ̄\.
/ \.........:::::::::::...
|::::::: : | .... .........::::::::::...r‐ ' ノ.
. |::::::::::::: | .... .........::::::::_ ) (_
|::::::::::::: |.. ..... ......:::(⊂ニニ⊃)
. |::::::::::::::: } ..... ......: ::::`二⊃ノ.
. ヽ____ } ..... ......: :::: ((  ̄
r'ニニヽ._\. ノ.. ..... ......: :::::: ;;. ・・・・・・。
r':ニニ:_`ー三`:く._ [l、.
/: : : : : : :`,ニ、: :_:_;> /,ィつ
. /: : : : : : : : / : : : ヽ\ ,∠∠Z'_つ
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派遣流民が泣いている。
窮状を訴え、他人を非難している。
面接に行く金がない、判子を買う金が無い、援助をもっと、金をもっと、住む場所を・・・
それをテレビ画面の前で見ているやらない夫。
冷たい視線が流民を見据えている。
そこに居るのは、もう以前のやらない夫ではなかった・・・
終わり
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:06:36.74 ID:Col2+/VX0
やはりやらない夫は這い上がってこれる真の勝ち組だったわけだな
面白かったぜ、乙
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:09:52.90 ID:+OflOvBs0
ここまで格好良いやらない夫は初めて見た
乙
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:11:37.96 ID:NhAqSJiW0
長らくのお付き合いありがとうございます。
やらない夫にものすんごい渋さがでてた、乙
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:12:00.87 ID:iyzoANUsO
面白かった乙
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:40:15.71 ID:OkGFqOly0
x
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 01:51:10.42 ID:+bIpuqYI0
面白かった
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/08(木) 02:21:51.58 ID:UfTBIAYR0
乙
良作だった事に引いた。
乙
322: 2009/01/06 22:17:28 acIPhuWrO [sage]
( ´Д`)y──┛~<どんな不況時代でも、ハローワークに行けば、求人は数だけなら沢山ある。数だけは。
だが、「沢山ある=いっぱい採用口がある」「沢山ある=安定した仕事がいっぱいある」とはいかない。
好景気の時ですら、離職・失業した35歳以上のオッサンを採用してくくれる所は非常に少ない。
また、就職氷河期に就職口を得られず、フリーターになった何万という若者。
奴らバイトや派遣で食いつないできたが、バイトや派遣は職歴にはならない。
ゆえに、彼らの職歴には不備が生じている。
若くて学歴があっても、職歴不備の奴が就ける仕事といえば、自分の定年まで営業が続くか疑わしい小売店や飲食店、超薄給の超零細企業か介護くらいしかない。
いずれも家族養うのは難しく、一生ワーキングプワ生活を強いられる。
就職口が沢山あるのに、わざわざ派遣みたいな3Kや期間工みたいな超3Kで働く奴が数百万人もいるのは、まさに“採用してもらえない年輩層”と“安定した正規雇用口を見つけられない若者”が溢れてるからだ。
しかしそれでも、フリーターから抜け出す為に、無理に就職する若者も多いからこそ、低所得の正職が急増する現象もおきとる訳だ。