1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
だだだ代理
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 10:59:45.47 ID:o0jTp2oUO
代理感謝です。
平日の真っ昼間からのんびり始めるよー\(^o^)/
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:01:17.15 ID:o0jTp2oUO
「そこ」の特徴を言え、と言われたら、まず真っ先に思い出すのはあの燻ったような灰色だ。
「そこ」にいる間、自分は殆どの時間を、
自らが閉じ込められている部屋の、灰色をした壁を見て過ごしていた。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:04:31.62 ID:o0jTp2oUO
そこに来たのはいつだったろうか。
そこに来る以前。
物心付いたときから「家」も「親」も無く、
路上でカラスのごとく残飯を漁り、物乞いをしていた、
あの時間はいつ終わり、こんな意味のない、
「生活」とすら呼べない「時間の経過」が始まったのか、思い出すことは出来ない。
どうやって終わったのか、ならば記憶している。
自分と同じく路上で暮らしていた者の一人がどこからか聞いた、「施しを受けられるらしい」という情報に、
空腹に耐えかねていた自分と数人の仲間はいとも容易く釣られたのが運のつきだった。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:07:18.44 ID:o0jTp2oUO
屈強な男共に路地裏で袋叩きにされ、意識を失っているうちにここに運び込まれ、
監禁され始めてから、以来、彼らとは会っていない。
少なくとも、情報を手に入れた者が、その情報が嘘偽りであったと知ってはいなかったことは確かで、
実際にそんな話は町中に流されていたらしい。
そうして、自分と同じような経緯でやって来たのであろう人々が、灰色の部屋には何人かいた。
どうやらそういう状況の灰色の部屋が幾つも並んでいる様で、
数十人の人がその区切られた異様な空間に閉じ込められているようだった。
自分達が何故監禁されているのか、知らされることもなかったし、知る手段も無かった。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:10:49.61 ID:o0jTp2oUO
窓も無く、薄暗い通路に鉄格子を挟んで面している以外に特筆することが無い部屋に閉じ込められ続けられていると、
自然と感情というものが自分の中から少しずつ漏れだして、失われていくことが認識出来た。
ある日(最早その頃には時折鉄格子に設けられた、小さな窓から粗末な食料が差し入れられることによってしか時刻というものを認識出来なくなっていた)、
ある男が奇声を発して部屋の中で暴れだした。
精神が耐えられなくなり発狂したのであろうその男は、
同じ部屋にいた女の髪を引っ掴んで引き摺り回した挙げ句、
騒ぎを聞き付けた数人の門番によって取り押さえられ、部屋から連れ出されていった。
何かしら、この空間の静けさを破る行為、或いは空間の異常性に対して行動を起こすものは皆連れていかれたし、
何もせずとも、定期的に部屋から人が連れ去られていった。
そして、その灰色の部屋から外に連れ出される者達は、二度と帰ってこなかった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:14:23.75 ID:o0jTp2oUO
もしかしたら解放されたのかもしれないが、そんな希望的観測は時間が経つにつれ誰の心からも消え去って、逆に皆、連れ出されることに恐怖を感じていた。
やがて、部屋の中から一人、また一人と消えて行き、
自分のいる部屋の中には自分しか居なくなったある日。
人の代わりにやってきたのは、番人が持ち運び入れた、檻に閉じ込められた多数、多種多様の動物だった。
「コイツどうする?」
部屋の中に動物の入った檻を入れに来た二人の番人の片割れが、自分を見下しながら、仲間に尋ねた。
「ああ、ソイツもうすぐ「使う」らしいから、移動させなくてもいいだろ」
「そうだな」
「まぁ、仲良くやれよ、ハハッ」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:16:18.24 ID:o0jTp2oUO
部屋の隅で膝を抱え、顔を半ば沈み込める様にして番人を見た自分に、
番人は明らかな軽蔑を込めた口調でそう言って、部屋から去っていった。
しばらく、番人達の会話の内容について思考を巡らせて、しかし理解することは不可能だと判断し、
意識を霧散させようとした、その時だった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:21:51.81 ID:o0jTp2oUO
−−−−おい
(-_-)「……」
ふと聞こえた声に顔を上げたが、見渡すかぎり人の姿は見受けられない。
自分宛ての声ではないのだろうと考えて再び顔を伏せようとすると、
−−−−コラ、何処見てんだよ、こっちだ、こっち
またしても声が聞こえた。
先よりも声量が大きく、その声がする方向が認識できる。
だが、その方向にあるのは動物達が入れられた無数の檻だけだった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:24:40.73 ID:o0jTp2oUO
−−−−そうだよ、こっちだ。 檻ン中だ
そんな疑問に答えるようにして声は続く。
−−−−もっと右だ……そう、ちょい下……違う違う……ストップ!
声に従い、檻の山に視線を滑らせ、そしてある一点に止める。
−−−−ハッ、真正面から見りゃますます浮かねぇ顔してんなァ
そこ……檻の山の中程に積まれた小さな檻の中に居たのは、紛れもなく一匹の蜥蜴だった。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:30:51.16 ID:o0jTp2oUO
しばらく蜥蜴を眺めていると、その蜥蜴が再び口を開けた。
−−−−何を惚けたような顔をしてんだよ
訝しげに尋ねられる。
(-_-)「……喋ってる」
返した言葉はその一単語だけだった。
−−−−確かに俺は人語を喋っているが、それがどうかしたか?
蜥蜴は楽しそうに聞き返す。
「……何で」
−−−−「何で」? さぁてねぇ、気が付いたら流暢に喋っていたっけな
飄々と蜥蜴は答える。
−−−−蜥蜴が喋ってるなんて、見たことも聞いたこともないって言いたいんだろ、どうせ
それには小さくゆっくりとした頷きで返した。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:33:06.25 ID:o0jTp2oUO
−−−−そりゃそうだろうよ、気持ちは分かる……俺も人と話すのは久しぶりだしな
蜥蜴は蜥蜴らしからぬ身振りで、自分の尻尾をつい、と振った。
−−−−けどな、俺が蜥蜴で、人の言葉を解するってのは事実だ。
夢じゃないからな……頬っぺたつねっても意味はないぜ
蜥蜴はそう言って自分の頬をその細長い指で指した。
−−−−まぁ、そんじょそこらの低能と一緒にすんなよ、って事さ。
(-_-)「……」
なんと返せば良いのか見当が付かず、蜥蜴とのにらめっこが続いた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:34:26.81 ID:jOIt+gPQO
支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:37:18.98 ID:o0jTp2oUO
−−−−なぁ、お前さん、訳も分からずここに押し込まれたクチだろ
答えない。
−−−−黙ってたって見りゃ分かるさ。
巷じゃあ何かと噂になってんだぜ、浮浪者の集団失踪ってな
答えない。
−−−−まぁ、首謀が街を牛耳る教会だけあって、大した騒ぎにはなってないがね……。
しかし、興味津々に乗り込んでみりゃあ、どうやら際どい事に手を出してるみたいだぜ、教会は
(-_-)「……何が?」
−−−−お、やっと食い付いたな。
いいぜ、話してやろうか?
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:37:51.32 ID:HdKu8S2FO
やもり
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:41:56.66 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……」
沈黙を肯定と判断したのか、蜥蜴は勝手に話し始めた。
−−−−オレも全部を知ってるわけじゃないけどな……ここに忍び込んで色々と拝見した状況を纏めると、
. ここは単なる牢獄じゃない。むしろ牢獄なんざオマケだよ。
. その本質は地下に広がる巨大な実験場だな
(-_-)「実験………?」
単語を摘んで聞き返され、蜥蜴はそうとも、と答えた。
−−−−ここは秘密の実験場さ。
. もっとも、肝心な「実験」の中身については、知る前にとっ捕まってこうなっちまったもんだから知る由もないが
蜥蜴はあっけらかんとして言う。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:45:34.76 ID:o0jTp2oUO
−−−−まぁ、お互いの状況を鑑みてみれば、どう考えてもオレ達の行く先は決まってるってモンだ。
お前も薄々は気付いているんだろう?
(-_-)「……」
実験場の檻に閉じ込められている自分がどういう立場にあるのか。
その問いは普遍的な結論を出すのに難解な思考を必要とはしない。
そしてその結論は自身の生命を脅かす以外の何物でもない。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:47:37.30 ID:o0jTp2oUO
しかし、だからどうしろと言うのだ。
結論を知り、自分の行く末を知ったところで、今現在の自分にそれを防ぐ手立てなどあるのか。
荒み切ったこの時間の中で衰弱し、疲弊した精神と身体で、一体何が出来るのだろう。
−−−−諦念が滲み出てるぜ
そんな思考を巡らす自分の顔を見て、蜥蜴は笑った。
.
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:51:12.45 ID:o0jTp2oUO
−−−−そりゃそうか。こんな場所にブチ込まれ、逃げ道もなく、挙げ句は実験材料。
発狂しないだけマシってもんかね
(-_-)「……」
−−−−お前が言うなってか? 正論だが、状況は同じでも、オレとお前は同等じゃあない。
少なくとも、お前さんよりは楽観視出来る要素が……
そこで蜥蜴は言葉を中断し、代わりに石畳を歩く足音が聞こえ始めた。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:54:45.76 ID:o0jTp2oUO
やってきたのは数人の番人だった。
番人は蜥蜴の入っていた物を含む全ての檻を各人が分担して持ち上げると、
そのままどこかへ持ち去るようだった。
その間、蜥蜴は一言も喋らない。
ただ、こちらを一瞥して、首を傾げてみせるだけだった。
檻が運ばれていき、再び孤独になった後は、
再び顔を膝を抱える腕の中に沈め、思考することを止めた。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 11:58:10.16 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
それからどれだけの時間が経っただろうか。
「オイ、起きろ」
檻の鉄格子を叩く音と共に声がして、顔を上げると、
番人が檻の鍵を開けて入ってきた。
「立て」
簡潔な命令は、自発的に従う前に、無理やり力ずくで実行され、
両脇を二人の人間に抱えられる。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:00:09.70 ID:o0jTp2oUO
今までこうやって連れられていく人間を何人見ただろうか。
そんな事を考えたが、次の瞬間には引き摺られる様にして歩かされ、やはり考えることは止めた。
檻から出て、廊下を数分の間歩かされ、何度か左右に曲がった所で、ようやくその足は止まった。
「連れてきました」
「ご苦労」
通路の途中に設けられた入り口の前で、自分を引き摺ってきた白衣の男が入り口の奥にいる誰かと話を交わした。
「少し待ってくれ、今「空ける」」
しばらくすると、入り口から白い袋を肩に担いだ白衣の男が出てきて、すれ違うようにして通路を歩いていった。
その白い袋の端が、赤く滲んでいたのは、恐らく錯覚ではない。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:01:05.50 ID:o0jTp2oUO
「ああ、そうだ、目隠しを忘れるなよ。
またこの前みたいに騒がれちゃ堪らん」
再び入り口が声が聞こえて、ヌッ、と出た手が番人に布切れを手渡した。
受け取った番人が、布切れを広げながら近付いてきて、視界が塞がれた。
「よし、OKだ」
その声を合図に、再び身体が引っ張られる。
恐らくは入り口の中に連れ込まれたのだろう。
目隠しを通じて感じる光量が僅かに増した。
「そこでいい」
次の瞬間、叩きつける、と言う表現があながち誇張でもないくらいの勢いでいきなり押し倒され、背中が何かに押しつけられた。
かと思えば、両手首を万歳をするような格好に持ち上げられる。
辛うじて力を込めて反発してみたが、舌打ちと共に鳩尾に強烈な衝撃を食らい、ぐうの音も出なくなった。
「手間掛けさせるな、クズめ」
結局、背伸びをしたような格好で四肢を拘束された。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:07:10.33 ID:o0jTp2oUO
殴られた鳩尾が疼いて吐き気がする。
依然目隠しは外されず、辺りの様子は聴覚を通してしか分からなかった。
−−−−さて、じゃあコイツに取り掛かるか
−−−−小柄か……、あまりデカいのには向いていないな
−−−−さっきの蜥蜴なんかどうだ?
少しおどけるような口調で誰が言って、笑い声が聞こえた。
−−−−そうだな、それくらいが適当やもしれん
−−−−決まりだな
何やら物音がする。
−−−−神のご加護があらんことを
その一言が聞こえた直後に、何かを顔に押し当てられ、一気に意識が吹き飛んだ。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:10:10.49 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−よう
−−−−……
−−−−僅か数時間のスピード再会だな。
いや、実際には互いに姿も見えやしない、謂わば「意識の会話」ってところか?
−−−−……僕は、どうなったんだ
−−−−知らねーな、オレがどうなったかは知ってるが
−−−−……
−−−−さて、時間がないんでね、簡潔に行くぜ
しばらく、お前の体に居候させて貰うことにした
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:12:09.17 ID:o0jTp2oUO
−−−−……は?
−−−−どうして、とか話してる時間はねぇ。
不可抗力の事態だからな。
ま、オレとしちゃあ別に構わないし、短い付き合いになるか、長い付き合いになるのかはお前さん次第だな
−−−−……意味が分からないよ
−−−−すぐに分かるさ……嫌でも、な。
じゃ、また会おう
ゴォン、という音が聞こえたような気がして、
そしてそれを合図にヒッキーは意識を取り戻した。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:14:39.46 ID:o0jTp2oUO
ゆっくりと目を開けて得た視界は完全にぼやけていて、映るものの輪郭さえ、まともに捉えることが出来ない。
霞み掛かる意識の中、視覚以外の感覚で、何か液体の中に浮いているのだと認識する。
ゴボリ、と目の前を大きな泡が通り過ぎていった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:15:13.66 ID:o0jTp2oUO
−−−−信じられんな……
水中を通じたためか、エコーがかかった誰かの声が聞こえてきた。
−−−−素材としては下の中といったところのはずだったが……相性が良かったのか
−−−−蜥蜴と、か?それは笑える話だ
−−−−しかし成れの果てが「フラスコの中の小人」であるなら、意味はない
−−−−全く、いつの間にか若きウェルテルの悩みを読む奴が多くて困る
笑い声が聞こえる。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:16:29.53 ID:o0jTp2oUO
−−−−もういいだろう。排出しろ
その一言で、ザーッ……と何かが流れ出ていく音と共に、下から沢山の泡がゴポゴポと下から上へ出ていった。
やがて水面が下がってきて、自分の顔が液体の中から浮き出る。
視界がぼやけていたのは水中にいたからだったようで、
今はハッキリと辺りの状況が見て取れる。
何人もの白衣の男が、ヒッキーを内包する容器の外側から彼を見ていた。
段々、浮力の支えを失うに従って、代わりに、何か吊されているような感じを覚えた。
それで自分は水中でいくつもの管に繋がれていたのだということを知る。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:17:35.68 ID:o0jTp2oUO
液体が完全に排出され、操り人形のように、四肢を吊された状態になった。
濡れた全裸の身体が気化熱で肌寒い。
−−−−解放しろ
うなじから何かが引き抜かれる感覚。背筋を嫌な感じが駆け抜けた。
ヒッキーの身体に刺さる様にして、それを吊していたモノが、次々に抜かれ、
ヒッキーは湿った音と共に、網目状の金属板の底に落下した。
(;-_-)「……!」
身体をうちつけられた痛みに顔をしかめる。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:19:14.73 ID:o0jTp2oUO
−−−−おはよう、「ブラドベリィ君」
また笑い声がした。
不様な姿のヒッキーを嘲笑う、そんな声。
ヒッキーが閉じ込められているガラス張りの容器の外から、数人の白衣の男達がヒッキーを眺めていた。
( _ )「……ア゙……」
声を出そうとしたが、発したのは潰れたような、擦れたような、言葉にならない声だった。
そして、困惑する暇もなく襲い掛かってきたのは、脳髄を揺さ振るような強烈な吐き気。
(; _ )「ヴゥ……!」
あまりの苦痛に、倒れこんだまま、思わず身を丸める。
荒くなる呼吸を刻む中で、ちら、と開けた視界に見えたモノは。
間違いなく自身の肩から生えた、指先の異常に長い、赤黒ずんだ腕だった。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:21:06.51 ID:o0jTp2oUO
( _ )「……!」
目を見開いて凝視する。
何だこれは。
何だ、これは。
ナンダ、コレハ。
夢、でも、見て、いる、のか。
−−−−突発性の変質……拒否反応か?
−−−−身体そのものが脆弱だからな。あり得る
白衣の男達が、自分を見下ろしながら冷淡な会話を続けている。
吐き気が限界に達し、ヒッキーは胃液をブチ撒けた。
(; _ )「ヴェ…………」
胃が痙攣して、吐くものが無くなっても嗚咽は止まらず、涙が視界を滲ませた。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:22:36.79 ID:o0jTp2oUO
−−−−まずいな……やはり失敗か?
−−−−あまり質のいい素材とは言えないね
−−−−しばらくは様子見か
−−−−まぁ、元から失敗作のようなものさ
廃棄当然のレベルの検体を無理矢理使ったんだからな
……何がだ。
ヒッキーは、自身に沸き上がる、吐き気以外の何かを感じた。
沸々と、膨れ上がるかのような何か。
そしてその時、白衣の男達とは別に、声が聞こえた。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:25:56.61 ID:o0jTp2oUO
−−−−怒るか、人間。
ま、そりゃ当然だわな
直接、心に問い掛けるような、声。
−−−−「それ」は全くもって正当で、誰にも止められない純粋な感情だ。
何も不思議なことじゃあないのさ
声は続く。
−−−−不快だよなァ。
意味も分からず笑われりゃあよ。
だったら……
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:28:32.20 ID:o0jTp2oUO
声は囁く。
−−−−忘れるんだ。「それ」以外の全てを
−−−−楽しむんだ。「それ」に身を任すことを
−−−−爆発させろ。「それ」を
−−−−手伝ってやるから、よ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:32:11.46 ID:o0jTp2oUO
( _ )「……」
誰が、何だって?
意味も分からず、こんな空間に押し込め、絶望させ、挙げ句には「使えない」。
ふざけるな、と言いたかった。
しかしそれすら出来なかった。
そんな僕は失敗作?
何が?何処が?何故に?
……いいだろう。
何とでも呼べばいい。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:35:16.02 ID:N15jRRXR0
保守
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:35:19.82 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーが、ゆらり、と手を突き、膝を突き、地面から身体を起こす。
−−−−おお……
−−−−む、立ち直ったか……。 予想に反して丈夫だな
未だ白衣の男達は、ガラス越しに呑気に会話を交わしている。
そんな男達を、ヒッキーが鋭く睨み付けた。
ヒッキーは知らない。
その睨み付ける瞳は、爬虫類が持つ黄金のそれと全く同様であることに。
四肢に力が籠もる。
−−−−音量を上げて、吠えるのさ
声が、楽しそうにそう言った。
次の瞬間、ヒッキーは咆哮した。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:37:33.71 ID:o0jTp2oUO
−−−−ヴァアァアァァアアァアァッッ
ビリビリと響く轟音が、ヒッキーと白衣の男達を隔てる分厚いガラスにヒビを入れる。
−−−−何だ!?
−−−−パニックでも起こしたか……?
鼓膜を震わす突然の奇行に、白衣の男達は動揺した。
−−−−ヴヴヴ……
低く唸りながら、ヒッキーは「それ」を爆発させるべく、静かに力を溜める。
どうすればいいかは、本能が理解していた。
下衆な連中がヒッキーに植え付けた、レプタイルの本能。
破壊を求める、暴力性。
−−−−そういや、言ってなかったな。
改めて自己紹介しよう、オレの名は……
声の主が、名乗った名前は。
−−−−オレの名はハイン。
「火蜥蝪」のハインだ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:38:50.27 ID:o0jTp2oUO
はい、第一幕終了。
スレ落ちない程度に小休止挟んで第二幕行きます。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:43:16.51 ID:PwEMdGbKO
好きかもわからんね
支援
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:44:24.25 ID:TG4C/J0C0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:46:14.43 ID:uPlNHtUvO
支援支援支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:50:44.35 ID:o0jTp2oUO
テンション上がってきたよー
飯食ったし第二幕行きますよー
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:51:57.71 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
気が付けば、どことも知れぬ道を宛てもなく歩いていた。
( _ )「……」
あの一瞬から先、ヒッキーの記憶はスッポリと欠けていた。
激情に身を任せ、自身が何をしたのか、全く思い出すことが出来ない。
身体には、所々に黒い焦げ付きと、鮮明な赤い染みの付いた白衣を纏っている。
日は暮れ始め、景色は茜に染まっていた。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:53:46.93 ID:o0jTp2oUO
( _ )「……」
身体中が鉛を貼りつけたように異様に重苦しくて、四肢の内、痛まない部位が無い。
身体が悲鳴をあげるどころか絶叫している感じだ。
それからしばらくも経たないうちに、ヒッキーは疲労と痛みに耐えかねて、
大通りから枝のように横へのびる路地に入ったところで、
何やらよく分からないゴミや瓦礫が突っ込まれた箱の脇にヘタり込んだ。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:56:38.19 ID:o0jTp2oUO
−−−−バテたか。
まぁ、その体躯にしちゃあ踏張ったほうだわな
一体どういう仕組みで聞こえているのか全く分からない、蜥蝪……もといハインの声が、頭の中で響く。
( _ )「……何処から話し掛けてくるんだ……」
息切れの合間に疑問を口にする。
−−−−だから、お前の中だっつーの
声が聞こえる理由なんて面倒臭い理屈考えんな、そういうモノだって割り切るんだな。
( _ )「……」
ハインの押し付けに近い解答を聞いたところで、ヒッキーの疲労が意識の保持にまで支障をきたしはじめた。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:57:19.38 ID:uPlNHtUvO
(-_-)支援从 ゚∀从
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:57:19.51 ID:o0jTp2oUO
−−−−無理すんな、正直ガタガタだよ、お前。
よくここまで来たもんだ、死んでたって不思議じゃない
もたれかかる身体をよく見れば傷だらけで、
これでは身体が絶叫するのも無理はないといった体裁だった。
瞼が抗えない力で押さえつけられるかのようにして下がってくる。
寒気がしてきた。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 12:59:23.33 ID:o0jTp2oUO
( _ )「……死ぬのかな」
このまま目を閉じれば、二度と目覚めない、そんな予感。
けれど。もし、逆に。
生き延びることが出来たとしても。
ヒッキーは目を閉じ、瞼の裏の暗闇で、これからの自分について考えた。
経緯はともあれ、脱出は果たしたものの、
だからといって目的も生活の宛てもありはしない。
結局、捕まる前の、あの路上でその日の食料にすら貧窮しながら暮らす生活に戻っていくのだろう。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:01:11.15 ID:o0jTp2oUO
−−−−何だよ、せっかく得たものは使わないのか
ハインが思考に水を差す。
……「アレ」は果たして「得たもの」なのだろうか。
ほとんど思い出せない、断片的な記憶で回想する。
醜く変化した自分。
身に纏う暴力。
それをあくまで能動的に用いるなら、それは一体どんな目的においてなのだろう。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:01:46.29 ID:o0jTp2oUO
ろくな事じゃない、とヒッキーは思う。
少なくとも、今の自分にとって、「これ」は忌々しい、出来れば触れたくもないトラウマの塊だ。
そんなモノまで使って生き延びたいとは思えなかった。
いっそ、このまま死ぬのも手か、と自虐的な発想さえ浮かんでくる。
何の目的もなく、ただ生きる為に生きる。
それに何の意味があるのだろう。
それは結局、あの灰色の部屋で過ごした時間の延長をなぞるだけになりそうな気がする。
( _ )「……僕には、何もしたいことなんて無い……」
ぼそり、と呟いて、そして意識は遠退いていった。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:04:01.04 ID:o0jTp2oUO
「……あの」
死の渕に沈んでいくヒッキーを危機一髪のところで引き摺り戻すかの様に、
透き通るような女性の声が聞こえた。
(;゚ー゚)「……だ、大丈夫?……ですか?」
ゆっくりと、目を開ける。
後から付け加えるように丁寧語にした、その質問の主が見えた。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:05:28.85 ID:o0jTp2oUO
歳はヒッキーと同じか、恐らくは少し上、くらいだろうか。
いかにも一般階級の女の子、といった質素な服装に、右手には籠を抱える様にして持っている。
何かの買い物の帰りのような風体だ。
(*゚ー゚)「怪我……してるの?」
しゃがみ込みながら、悲壮感の漂う瞳でヒッキーを見つめ、その女の子は呟いた。
(*゚ー゚)「痛くないの?」
(;-_-)「……」
ヒッキーは何と答えればよいのか、困惑しながら、女の子を見つめた。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:07:23.33 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「あ…そうだ」
表情が一変して、女の子は籠の中をまさぐった。
(*゚ー゚)「あの、これ」
そう言って取り出されたのは一つのリンゴだった。
(*゚ー゚)「どうぞ」
そう言って、少女は何処かぎこちないながらも、笑顔でヒッキーにリンゴを差し出した。
(-_-)「……」
変わらず無言のまま、ヒッキーはそのリンゴを受け取ろうとしたが、
指先には全く力が入らず、リンゴは二人の手から逃れ、ヒッキーの足元に落ちた。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:08:17.83 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「あ……」
少女が思わず声を漏らす。
リンゴは落ちた衝撃で所々が傷ついていた。
ヒッキーはもう一度手に取ろうと挑戦したが、やはり指からこぼれ落ちる様にして、リンゴは掴めない。
情けなさと申し訳なさが喉元をせり上がる。
(;-_-)「ごめん……なさい」
擦れた声で、ようやく話した単語が謝罪の言葉とは、なんともはや。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:11:10.03 ID:o0jTp2oUO
しかし少女はそんなヒッキーに、首を横に振って答えた。
(*゚ー゚)「気にしないで。
物凄く辛そうだもの……
お医者さんに診てもらったほうが……」
少女が他者を引き合いに出した瞬間、ヒッキーは反射的に声を出した。
(;-_-)「駄目、だ……」
(;゚ー゚)「駄目……って、でもそんな身体じゃ……」
(;-_-)「行かない……、行けない」
声を出すのも一苦労で、少女の親切を素っ気なく切り捨てるような口調になる。
少女は少し悩むような仕草を見せ、意を決するように頷くと、
(*゚ー゚)「……分かったわ、じゃあ私の家に行きましょう」
とヒッキーに提案した。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:14:25.80 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「大丈夫、今日は家には誰もいないから。
誰も呼ばないし」
(;-_-)「……」
ヒッキーは判断をしかね、少しの間、沈黙が漂った。
(*゚ー゚)「……ダメよ、あなた、このままじゃきっと死んじゃうもの」
それは恐らく好意に甘えろという意味だったのだろう、
少女はヒッキーにさらに近寄って、自分と殆ど背丈の同じヒッキーを、肩を貸すようにして支えながら立ち上がらせる。
(*゚ー゚)「歩ける?
家はすぐ近くなの、少し頑張って」
ヒッキーは、身体のあちこちが軋んで痛みを訴えるのを感じる。
けれど、それよりも、この見ず知らずの少女の自分に対する優しさが、
自分の心に染み渡るような暖かさを与えてくれるのを感じた。
( _ )「……」
ヒッキーは少女の力を借りて、そのまま彼女の家に向かった。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:17:34.09 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(-_-)「うん……?」
目を覚ますと、そこは家屋のなかの一室の、ベッドの上だった。
どうやら、あの後また意識を失ってしまったらしい。
−−−−よー、幸運な浮浪者。
お目覚めはいかが?
ハインの声が聞こえてくる。
−−−−情けなくも女子に肩を貸してもらってベッドに辿り着くなり爆睡とはいやはや、
疲れ切っていたことを考慮しても中々の豪胆というか、図々しいというか……
(-_-)「……うるさい」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:19:45.02 ID:o0jTp2oUO
しかし爆睡とは。
ハインの話を聞くかぎり、少女には多大な迷惑をかけてしまったような気がする。
−−−−しかも手当てまでして貰っちゃってよー
地獄から天国へ、ってなもんだよな、オイ
変わらず喋るハインの言葉で、確かに身体の手当てまで施され、
さらには、綺麗な……少なくとも今まで身に纏っていたローブよりは大分マシな衣類に着替えていることにも気付く。
−−−−まぁ至れり尽くせり、あのヒトの良さには感服したぜ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:22:27.02 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……」
本当に。
何故あの少女は自分にここまでしてくれるのか。
ヒッキーには不思議なことだった。
「……あ」
その声に、伏せていた顔を上げると、部屋の入り口に少女が立っていた。
(*゚ー゚)「起きたのね」
その両腕に洗濯物が詰まったバスケットを抱えたまま、少女はヒッキーが横たわるベッドに近づいてくる。
ヒッキーは慌てて上半身を起こし、痛みも倦怠感も消え去っていることを実感した。
(*゚ー゚)「これ、貴方が着ていたローブ。
すごい汚れていたけど、必要かもと思ったから……」
バスケットから取り出されたのは……本当にこれがあのローブかと言わしめん程に綺麗なローブだった。
(*゚ー゚)「もし必要なら、破れとか縫ってあげるけれど……」
−−−−うはは、オレが人間の雄なら求婚するな
ハインが楽しそうに言う。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:23:15.19 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「……?どうかした?」
少女には聞こえていないらしい。
ヒッキーは首を横に振った。
(-_-)「もう、十分……です」
(*゚ー゚)「そう、遠慮しないでね?
……お腹、空いてない?」
もう一度首を横に振ろうとした瞬間、腹の虫が勢い良く鳴った。
−−−−wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ハインの笑い声が頭の中に響く。
(*゚ー゚)「身体は嘘をつかないね」
少女も笑いながら、部屋を出て行き、しかしすぐに戻って来た。
(*゚ー゚)「あの時のリンゴ、今なら食べられるでしょ?」
均等な大きさに切り分けられたリンゴが載った皿を手渡される。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:25:45.40 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……」
口の中がやたら湿る。
とりあえず、布が掛けられている下半身をテーブル代わりにして皿を置き、
その後にあった躊躇は少しの間だけだった。
ヒッキーは串の刺さったそれに手を伸ばし、口元に運ぶ。
一口齧ると、独特の食感と甘さが口の中に広がった。
(*゚ー゚)「食べおわったら、呼んでね、お皿、取りに来るから」
少女がそう言い残して去る。
しばらくは部屋の中に咀嚼の音だけが聞え、
そして、
ヒッキーに被せられた掛布に、小さな染みが出来た。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:27:29.93 ID:o0jTp2oUO
( _ )「……ッ」
咀嚼の音に代わって聞こえる、小さな嗚咽。
堰が切れると、後はもう止まらなかった。
涙は次々に頬を伝って掛布に染みを作り、
ヒッキーは口元を押さえて何とかこの嗚咽が少女に聞こえないようにした。
ハインも黙っていた。
しばらくの間、嗚咽は止まなかった。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:28:12.19 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
数分後、ヒッキーは何とか体裁を整えて、泣いていた場面は少女に見せずに済んだ、と内心も落ち着いた。
(-_-)「……」
ふと皿に目をやる。
まだ一切れしか食べていない。
もう一つ食べようかと、考えていた、その時だった。
「……しかし脱走とは……前代未聞じゃないか?」
(;-_-)「!」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:31:26.52 ID:o0jTp2oUO
それは、ヒッキーの背後から少し横にズレた位置にある、壁にはめ込まれた窓の外から聞こえた男の声だった。
「ああ……建物の半分と、その場にいた全員を吹き飛ばしたらしいな」
その話の話題が何か、等ということは、直感で理解できた。
ヒッキーは身を捻って窓から顔を覗かせる。
声の主は二人組で、道を歩きながら会話していた。
「それで、教主様は何と?」
「決まっている、「断罪」さ」
「断罪」という単語に首をかしげる暇もなく、会話は進む。
「野放しにする訳が無いか」
「匿う者があれば、そいつらにも容赦はあるまいよ」
(-_-)「……」
−−−−さて、一難去ってまた一難、か
ヒッキーは窓を覗くのを止め、目を閉じた。
すべきことは一つだ。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:32:20.12 ID:o0jTp2oUO
はい、第二幕終了。
連投規制が怖いので10分休憩します
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:32:51.98 ID:3shpu9U4O
支援
69 :
くそ間違えた、第二幕最後追加:2008/12/25(木) 13:34:46.39 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「どう、リンゴ美味しかっ……」
少女が家事やらなんやらの用事を済ませ、再びヒッキーの様子を見に部屋に来たとき、
(*゚ー゚)「え……?」
ベッドの上にはまだリンゴが残っている皿と、彼に着せていたはずの衣類だけがあって、
彼の姿と、元々彼が持っていたローブと服はそこには見当たらなかった。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:42:36.39 ID:o0jTp2oUO
以下第三幕だよー
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:44:04.12 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒッキーが少女の前から姿を消した数時間前。
「大失態だな」
大層な造りの椅子に腰掛け、老人は言った。
「申し訳ありません……何しろ想定外の事態が起こりまして……」
老人に対峙する男が俯きながら謝罪する。
「研究所の半分を吹き飛ばして逃走……か」
ふぅむ、と呟いて、老人は椅子の手摺りに肘を突き、顎を手に乗せて思考する。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:46:22.65 ID:o0jTp2oUO
「……それで、事後処理の方はどうなっている?」
「は、研究所付近は閉鎖、脱走した被検体に関しましては、捜索を進め早急な捕獲を……」
「……発見次第、「つー」を仕向けろ」
「つー、ですか……!?」
男の口調にわずかな驚愕が滲む。
「下手にことを荒立てられては堪ったものではない。
ヤツもたまには鬱憤を晴らさせてやらねば……ただの人間の相手はもう飽きた、とうるさい。
ただし伝えておけ、生け捕りにしなければお前の命もないとな」
「……把握いたしました」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:49:24.17 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(#^Д^)「オイ!」
街の中心から離れた路地裏にある非合法の酒場で、
優しさとか遠慮とかの一切ない、怒号に近い声で呼ばれ、ヒッキーはその声のする方を向いた。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:50:15.59 ID:husO7jbDO
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:50:53.47 ID:o0jTp2oUO
( ^Д^)「コレ捨てとけ」
間髪を入れず投げつけられたのは幾つもをクシャクシャに丸めた状態で縛り上げた麻袋だった。
( ^Д^)「下手なやり方すんじゃねーぞ」
剣呑な視線でヒッキーを睨み付けながらそう命じた男は、この酒場の支配人だ。
(-_-)「……」
ヒッキーは床に置かれた桶の中でグラスを洗う手を止め、
足元に落ちた麻袋を拾い上げると、
そのまま裏口から、とっくに日が暮れて真っ暗な外に出た。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:56:21.06 ID:o0jTp2oUO
裏口から通じているのは大きな通りからずっと離れた路地裏で、人気は0に等しい。
ヒッキーは路地裏をさらに少し奥に進んで、完璧に人目につかない空間……路地裏の行き止まりに移動する。
そこで立ち止まると、ヒッキーは捨てるように命じられ、手に持っていた麻袋をじっと見た。
(-_-)「……」
瞬間。
麻袋に火が付き、一気に手を巻き込んで燃え上がった。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 13:56:59.46 ID:o0jTp2oUO
火があたり一面を明るく照らすが、入り組んだ路地裏のせいで遠くに光が漏れることはない。
ヒッキーは動じる様子もなく、手の上で燃える麻袋を見つめている。
やがて麻袋は完全に燃え尽き、真っ白な繊維の固まりになった。
ヒッキーはそれを握り潰す。
乾いた音を立ててそれはボロボロと崩れ去り、後には火傷一つ見当たらないヒッキーの手だけが残った。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:00:34.14 ID:o0jTp2oUO
(#^Д^)「チンタラしてんなボケが!
さっさと洗い場に戻れカス!」
店に戻るなり罵倒され、ヒッキーは再び仕事に戻った。
井戸から汲んできた水を張った桶の中に、使われたグラスや皿を突っ込んで濯ぎ、
布でまだ付いている汚れを拭く。
それを繰り返し、ある程度水が濁ってきたら、井戸へ水を汲みに行く。
戻ってくる頃には、洗い場に使われたグラスや皿がまた置かれている塩梅だった。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:01:04.13 ID:o0jTp2oUO
この酒場は、店をひっそりと構えている割には利用客が多い。
大半は安酒を飲みたがる底辺の労働者が占めているが、
店の収入源は裏腹に彼らとは別の少数の客によって大半が占められている。
その少数派……酒場に不似合いな高級感漂う連中、要するにこの街で何らかの権威を誇る輩……が所望するのは安酒でも、味気ないピーナッツでもない。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:01:19.43 ID:bHNIu93R0
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:01:33.58 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーがいる洗い場のすぐそば、カウンターの影になる位置に、
先ほどヒッキーが捨てるように命じられたのと全く同じ、しかし中身が詰まった麻袋が置かれている。
その中身は、支配人曰く「灰」らしいが、ヒッキーは真実を知っていた。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:04:23.29 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーとは別の、この店で働く男……接客を任されているのでヒッキーよりは身なりがいい……が、麻袋を開け、さらに小さな麻袋に中身を移した。
サラサラと流れる様にして移されていく、その粉の正体は、
人々に一瞬の快楽と永遠の中毒人生を与える悪魔の誘惑……麻薬だ。
男は小さな麻袋の容量ギリギリまで粉を詰めると、口を縛って、どこかの席へ運んでいった。
おそらくは店の一番奥にある、お偉方ご用達の席へ。
しばらくして、その一番奥にある席から高らかな笑い声が聞こえたが、
ヒッキーにはどうでもいいことだった。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:05:32.91 ID:o0jTp2oUO
店が日の出を合図とするように看板を下ろし、ヒッキーは全ての皿を洗い終わる。
支配人が乱暴な手つきで、小さなパンと申し訳程度の盛り合わせが乗った皿を、しゃがみ込んでいるヒッキーの脇の床に置いた。
( ^Д^)「外で食えよ。食い終わったら店ン中を片しとけ。
鍵締めんのも忘れんなよ」
一方的に言付けて去っていく支配人を一瞥すると、
ヒッキーは与えられた一日の労働の報酬を手に一度外へ出た。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:08:57.20 ID:o0jTp2oUO
路地に座り込み、皿の上の食料を手掴みで食べる。
−−−−良い様に使われるたぁこの事だな、オイ
ハインが不機嫌そうに呟く声。
(-_-)「……」
ヒッキーは聞き流して固いパンを齧る。
−−−−楽しいかよ、それで
(-_-)「……楽しいわけないだろ」
もう一口パンを噛み締めて、ヒッキーは答えた。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:11:52.35 ID:o0jTp2oUO
この酒場で働くようになったのは、彼女の下を去って数日後だ。
生きる為の最低限の食事と、自分の身分がばれないような場所を同時に求めれば、
こんな場所で働かざるをえなかった。
−−−−あのなー。
お前はそれで良いのかも知れねぇが、俺は暇で退屈でつまらな過ぎて大変なんだよ。
(-_-)「……そっちが勝手について回ってくるだけじゃないか」
−−−−お?言ったな?
お前さん、監禁地獄からの脱走の手助けをしてやったのは誰だと思ってんだ?
人生を切り開いてくれた恩人に対して少しくらいは頑張って生きてやろうって気にはならないのかね?ん?
(-_-)「……恩人って……」
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:13:51.93 ID:o0jTp2oUO
−−−−ヒトじゃないだろ、ってか?
馬鹿にすんなよ、お前があんなアホみたいに粗末な食事を1日にたった一度摂取するだけで生き延びられているのは、爬虫類の特性が活きているからなんだぜ?
(-_-)「……別にそんな馬鹿にするようなこと言ってないだろ……」
−−−−とにもかくにも、折角身体は「恵まれてる」っつーか「恵まれた」んだし、折角の人生だろ?
何かしらやりたいこととかねーの?
(-_-)「……無いね」
パンを燕下して、ヒッキーは言った。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:16:57.20 ID:o0jTp2oUO
ハインの言っていることがおかしいとは思わない。
自分自身、こんな生活に身をやつしてまで生きる意味があるとは思えない。
生きていても、死んでいても同じ。
(-_-)「けれど……簡単に死ぬわけにはいかないんだ」
自身の思考に反論するように呟く。
今、命を自ら断つということは、
自分が彼女から受けた全てを、踏み躙って無駄にすることだから。
−−−−……ヒャハハッ、ずいぶんと健気なんだな
(-_-)「……好きにからかえばいいよ
僕にも言い返せる言葉はないから」
そう言って立ち上がる。
−−−−まぁいい、そんな人生観察もアリか
ハインの言葉を聞きながら、ヒッキーは罵声と命令しか掛けられることのない店内へと再び入っていった。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:19:18.05 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒッキーがハイン曰く「まさに奴隷」な生活を送るようになってから十数日が経ったある日に、それは起こった。
(-_-)「……」
酒場が店を開けていない真っ昼間。
店に引きこもる訳にはいかないヒッキーは、大抵この時間帯を本通りに通じる細い路地にじっと座り込んで過ごしていて、
その日もヒッキーはそうやって時間を潰していた。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:22:20.75 ID:o0jTp2oUO
何時間もじっと動かずにいることは、物乞いをしていたときの必須スキルだったし、
別に苦痛だとは感じない。
一応は追われている身であるし、物乞いとは違ってただ時間を潰せば良いのだから、ヒッキーとしては誰も来ないような場所にいたかったが、
ハインがやたらに「日光を浴びてー」やら、「こんな陰気臭い場所に何時間もいたら気が狂う」やらと身体の無い身分でうるさいので、
仕方なく人目に付きやすいというデメリットを妥協してこの場所を選んだ。
1人黙々と投下して楽しいか?
携帯厨よぉ
91 :
か・い・か・ん:2008/12/25(木) 14:23:51.21 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……」
ローブを頭まで被って顔が見えないようにしながら、ただぼうっと行き交う人を眺める。
視界に変化があるということは、退屈を紛らわすのには役立っていた。
ある時は歩いていく行商らしき男を、ある時は手を繋いで通り過ぎて行く母子を眺め、対象を変えては観察を続ける。
(-_-)「……?」
観察を始めてから一時間ほど経ったとき、ヒッキーは行き交う人の流れが、一方に偏り始めたことに気付いた。
視線を動かすと、大通りの向かい側、かなり奥手の方に何やら人込みが出来始めているのが見て取れた。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:25:45.51 ID:TG4C/J0C0
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:26:02.12 ID:XcGNFf/w0
今北。なかなか面白いな支援
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:27:01.77 ID:O/txkJNJ0
支援
時間帯が悪いだけで内容は悪くない
なかなか根性あるじゃねーかヨ
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:27:52.44 ID:o0jTp2oUO
−−−−何かあるみたいだな……
ハインが関心ありげに呟く。
接ぐ二の句はすぐにわかった。
−−−−行ってみようぜ?
(-_-)「……」
−−−−なぁ、もうずっと石みたいに微動だにしてないだろ?
身体に悪いぜ?適度な運動も必要だって
(-_-)「……下手に出ていって見つかったらどうするのさ」
−−−−あの人込みだ、バレやしないって。
ハインはヒッキーの反論に退く様子もなく、ヒッキーを諭そうと話す。
−−−−それにアレだ、いざとなりゃあ、奥の手があるじゃんか
(-_-)「……ハァ」
ヒッキーは溜め息混じりに立ち上がり、フードを被り直して、
ハインが望む場所を目指してゆっくりと歩きだした。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:28:49.65 ID:O/txkJNJ0
支援
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:30:24.76 ID:o0jTp2oUO
問題の人込みは、誰かが演説を行うために設置された舞台の周りを囲むようにして出来上がっていた。
舞台には誰も立っていないことから、未だ始まってはいないらしい。
−−−−お偉方のご高説か。
酒場に来てた野郎が法について高らかに謳ったりしてくれりゃあ最高のギャグなんだがな
人込みの舞台から離れた位置に潜り込んで、主役の登場を待つと、
現れたのは白を基調にした神父服を着た老人だった。
何処かで見覚えのある、そんな顔立ち。
ツマンネ
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:34:08.08 ID:o0jTp2oUO
−−−−コイツは予想外だった
ハインが何処か驚きの感情を編み込んだような口調で言った。
−−−−まさかの教主様かよ。
大層な大聖堂に引きこもりっきりだったはずだが、はてさて……
ハインの言葉で、ヒッキーも目の前の老人が何者であったのかを思い出す。
スカルチノフ教主。
この街を、信仰と言う名の糸を使い裏で操る、教会の最高権力者。
この街でその顔を知らぬ物はいない。
尤も、ヒッキーにとっては大して興味のない人物だったために、そんな情報は記憶の奥底に突っ込まれていたが。
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:40:05.73 ID:QQVgjrSmO
――作者猿ったためしばらくお待ちください――
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:40:06.71 ID:IEMvwHPVO
作者が猿食ったぞプギャー
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:40:34.59 ID:IEMvwHPVO
作者が猿食ったぞプギャー
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:41:18.82 ID:6vPtyJq2O
支援
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:41:57.39 ID:IEMvwHPVO
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:42:46.49 ID:6vPtyJq2O
さるプギャー支援
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:45:00.34 ID:IEMvwHPVO
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:45:09.35 ID:X4gSwBCG0
ときどき日本語変だけど内容に期待支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:45:57.87 ID:XcGNFf/w0
支援
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:48:52.81 ID:IEMvwHPVO
支援
111 :
もちつけだった:2008/12/25(木) 14:55:31.66 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「本日は皆に大事な話があって来た」
しわだらけの顔のスカルチノフが話し始めた。
/ ,' 3「つい先日の事じゃ。
既に知っている者もいると思うが、教会地区内のとある建築物が、突如爆発した」
ドクン、と自分の心臓の鼓動が聞こえたような気がした。
集まっていた人込みが騒つく。
/ ,' 3「その建築物の中にいた数十人もの人々の命も同時に失われた。
彼らの魂に救いがあらん事を祈りたい」
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 14:58:37.93 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「そして私は、その事故に関して、
恐らくは殆ど知るもののいないであろう事実を皆に伝えなければならん」
ヒッキーの動揺など露知らず、スカルチノフは話を進める。
/ ,' 3「教会地区内の建物を破壊し、幾人もの命を奪った犯人についてだ」
民衆が再び騒つく中で、ヒッキーの心拍は跳ね上がっていた。
落ち着け。
別に今ここにいることがバレているわけじゃない。
ヒッキーは自分に言い聞かせ、表面上の冷静さをなんとか保った。
−−−−ハハハ、マジに面白くなってきたなぁオイ
ハインの自分勝手な感想をぼんやりと聞き取る。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:01:50.50 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「……単刀直入に言おう。
我々は、悪魔の仕業だと考えている」
(;-_-)「……は?」
スカルチノフが告げた内容に、ヒッキーは一瞬言葉を失った。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:02:23.79 ID:o0jTp2oUO
−−−−ギャグktkrwwwwwwwww
お前wwww悪魔だったらしいぞwwwwwwwww
言い訳するにしてももっとマシな嘘を吐けよジジィwwwwwwwww
実体を持っていれば笑い転げているであろうハインの笑い声を聞きながら、
ヒッキーは同時に教主の言葉も聞き続けた。
民衆の騒めきが静まるのを待って、再び教主が語り始める。
/ ,' 3「皆が驚くのも当然であろう。
今まで、悪魔というモノは概念としては存在しても、
実在した、という確かな記録は残っていない。
しかし、私は状況から判断するに、と言った。
辛うじて生き延びた人の話から、
この惨事は全て、たった一人の……或いは一匹の、忌まわしい何かが引き起こしたという証言を、我々は得ておる」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:03:42.82 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「その何かは火を纏い、何もかも一切合財を吹き飛ばし、逃げていったと、生存者は言った。
これを悪魔の所存以外の何だというのか、私には思いつかない。
……また最近では、街の特に貧しい民が次々に、忽然と姿を消すという奇妙な事態も起こっておる。
理由が何であれ、邪悪な存在が我々の生活を脅かそうとしていることは、最早明確だろう」
−−−−あー……魂胆が明け透け過ぎて白けちまったな……
ハインは先の爆笑から一変、冷めた口調で呟いた。
/ ,' 3「我々人間には、神の加護が常にある。
しかし時として、その加護を打ち破ってくるものが現れることが、稀にある。
今がその時期と言っても過言では無い。
そんな状況下において、我々は最早無傷ではいられない。
しかし、犠牲は最小限に止めなくてはならない」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:06:09.80 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「そこで……非常に心苦しいことではあるのだが……。
教会において、民衆の中から「人柱」を一人選ぶことを決定した」
「人柱」と言う言葉が出た瞬間、民衆はまたしても騒めく。
中には叫ぶ者もいた。
……「人柱」。
かつて、今以上に人々が脆弱で、天災や飢饉に効果的な対策を講じることが叶わなかった頃、
人々には、代償を払い、神に救いを求め、平穏を願う宗教的な習慣があった。
その代償とは他でもない「人間」であり、その人間の事を指して「人柱」と呼んだ。
やがて人々が様々な知恵と技術を手に入れ、天災や飢饉に対して自衛手段を講じることが可能になるにつれ、
そのような「人柱」を必要とする状況に陥ることは次第に少なくなっていった。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:08:39.78 ID:o0jTp2oUO
最後に人柱が立てられたのは十数年も昔のことであり、
もはや過去の風習となりかけていたそれを、今さらスカルチノフは復活させようとしている。
何が目的なのか。
事件の元凶は他ならぬヒッキーである。
また浮浪者の誘拐も教会が裏で手を引いているとハインが言っていたし、事実ヒッキーも連れてこられた浮浪者達を見ている。
ヒッキーを含む浮浪者を実験に使っていた教会の最高権力者が、
そのことを知らぬはずが無い。
にもかかわらず、居もしない「悪魔」をその理由に置いている事から、
本気で人柱を必要としている訳が無いのは明らかだ。
浮浪者では飽き足らず、一般民すらも実験材料にするつもりか。
だがそれなら、大規模な報せが必要な上に、少人数しか手に入らない「人柱」を口実にするのには疑問がある。
しかし、そんな「理由」についての考察は、ヒッキーの思考の中から吹き飛んでしまうことになった。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:10:09.43 ID:XcGNFf/w0
支援
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:12:13.54 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「静粛に!」
大きくなる一方の喧騒を、教主の一言が掻き消した。
/ ,' 3「落ち着くのだ、皆の衆。
静かに聞いてほしい」
民衆は水を打ったように静かになった。
/ ,' 3「 ……実を言えば、「人柱」は既に決まっておる。
教会が、神の御下へ捧げられる「人柱」として十分な資格を持つ者を選定したからじゃ。
そして、今、この場に私が連れてきている」
しん、と静まり返った中。
後ろを向き、
手を差し伸べた教主の奥から、
階段を昇り、
舞台の上に、
姿を表したのは。
(;-_-)「……嘘だ……」
(*゚ー゚)「……」
他ならぬ、ヒッキーに救いの手を差し伸べてくれた、あの少女だった。
−−−−奴隷生活は終わりだな
珍しく慎重なハインの声が、揺さ振られ混乱するヒッキーの頭の中に聞こえた。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:15:36.14 ID:o0jTp2oUO
それから、ヒッキーの視線は彼女に釘付けになった。
彼女は……しぃは、教主より一歩退いた位置に、俯き加減で立っている。
/ ,' 3「私は敢えて、彼女にここに来てもらった。
勿論それには理由がある−−−−」
教主が何か言っているが、ヒッキーはもう全く聞いていなかった。
今、この瞬間に、あの舞台の上に駆け上がり、「嘘だ!」と叫びたくて仕方がなかった。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:17:10.29 ID:o0jTp2oUO
事件の犯人が悪魔?
人柱が必要?
その人柱が、あろうことか彼女?
……嘘だろう、そんなことは!
全ての疑問符を、否定して叩き壊したかった。
拳を強く握り締める。
競り上がる激情に身を任せ、一歩を踏み出す直前。
−−−−まぁ待てよ
ハインの冷静な一言が、波打つヒッキーの感情を打ち消すように聞こえた。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:21:30.97 ID:o0jTp2oUO
−−−−気持ちは分かるけどな、実際その行動は間抜けだとしか言い様が無いぜ。
今出ていって事を起こせば、結果がどうなろうが奴らはお前を悪魔扱いして、
体の良い嘘をより強固に塗り固めるだろーよ。違うか?
彼女も、何も知らないままにお前に連れていかれてくれるか?
何より、その後、彼女はどうなる?つーかお前もどうすんだよ?
(;-_-)「……」
ハインには不似合いな理論は、しかし正論だ。
ハインの言う通り、今自分が舞台に上がって真実を叫んでも、暴力的に彼女を連れ去ろうとしても、
ヒッキーは、彼女を含めて、民衆の理解と信用を得られるはずもない。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:22:32.88 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「私は、彼女のその勇気と、偉大なほどの慈しみの心を−−−−」
ヒッキーが葛藤する間に、教主が、真実を知るものからすれば暴論以外の何物でもない己の言い分を、正当化、あるいは美化させていく。
(* ー )「……」
その傍らに立つ彼女は何も言わない。
言わせて貰える様子もない。
表情は優れず、何処か不安の色が垣間見える。
教主は教会が彼女を人柱に選んだと言った。
どんな風に彼女を言いくるめ、この場に引き出したか知らないが、
この状況が彼女が心から納得しているものでは無いのはその様子から明白だ。
なのに、それを端で見ながら、今この瞬間、何も出来ない自分が悔しかった。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:25:59.46 ID:O/txkJNJ0
支援
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:35:30.91 ID:9o7TfgYL0
ん、来て見たら猿か?支援
猿解除支援
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 15:47:37.24 ID:TG4C/J0C0
支援
支援
支援
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:05:37.59 ID:uPlNHtUvO
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:06:03.66 ID:I6iHEFEj0
猿らしいので支援
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:06:51.15 ID:IEMvwHPVO
支援
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:12:50.64 ID:LDqO+N5YO
支援
支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:26:47.44 ID:o0jTp2oUO
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:27:42.22 ID:o0jTp2oUO
はい来ましたー
皆様マジ感謝……
ゆっくり投下します
そろそろ支援
って来てたかwもういっちょ支援
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:30:29.07 ID:o0jTp2oUO
−−−−落ち着けよ。
その感情は蓄めに蓄めて、然るべき時に思い切りブチ撒けろ。
今はクールに行こうぜ、いつものお前みたいにな
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:32:54.87 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……珍しいね」
ヒッキーが皮肉を込めて言う。
(-_-)「快楽主義者じゃなかったの?
僕が暴れ回るように唆すばかりだと思っていたけど」
−−−−ハン、快楽主義者であることに偽りはねぇよ。
ただ、ちょいと待ちゃあ豪勢な食事が待ってんのに、小さな飴玉に釣られてそれを不意にしたりするほど、間の抜けたバカじゃないのさ。
あくまで、オレはオレの快楽の為に行動する。
お前の手助けをしたり助言をしたりしてんのは、お前の目的にそういうオレの目的と一致する部分があるからだ。
そこを忘れんなよ、このスカポンタン
(-_-)「……スカポンタンは余計だ」
−−−−我忘れて馬鹿げた行動に走ろうとする奴がスカポンタンバカアホドジマヌケ以外のなんだっつーんだよ
ハインの反論が、飄々とした口調に戻る。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:34:36.30 ID:o0jTp2oUO
−−−−愛しの彼女が人柱になるまでにはまだ時間が掛かるはずだ。
少なくとも宗教的に行うんだからな。
いくら乱暴に期日を早めても多少の手順は踏むはずさ
(-_-)「……うん」
ヒッキーは自身に言い聞かせるように頷く。
しかし、時間が有り余っているということもない。
こちらも一刻でも早く行動を起こすべきだろう。
(-_-)「……」
ヒッキーはローブを翻し、雑踏に紛れていった。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:36:22.05 ID:o0jTp2oUO
第三幕は以上です。
ありがとうございました。
このままゆっくり第四幕行きます
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:39:45.08 ID:o0jTp2oUO
まず第一に必要なのは情報だった。
最初の目的は彼女に真実を伝え、彼女を助けだすこと。
それには、誰にも悟られずに彼女と会う必要があり、
さらにそのために、彼女が人柱として捧げられるまでの、
一連の流れに費やされる時間とその間の彼女の処遇について知る必要があった。
人柱の処遇について、教会が一般民に伝えていることはあまりに少なく、
単に人に尋ねるだけでは、人柱が何処にいるのかすら知るのは難しい。
ヒッキーにとって最大の情報源は共に路上生活を送っていた浮浪者達だったが、
彼らは皆、攫われたのか或いは危険を察知し逃げたのか、街でその姿を見ることは全く出来なかった。
となれは他の情報源を探すしかない。
そして幸か不幸か、ヒッキーには既にそれがあった。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:42:37.91 ID:o0jTp2oUO
深夜だというのに、この路地裏の怪しげな酒場は静まり返るということがない。
ひっきりなしに聞こえる大声、笑い声、泣き声、叫び声、罵声、怒声。
ヒッキーはそれらに聞き耳を立てながら、以前と変わりなく、雑務と皿洗いをこなしていた。
−−−−今までこき使われた分、報われりゃあいいがな
オレは暇でしょうがないぜ、とハインが漏らす。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:45:27.33 ID:o0jTp2oUO
この酒場は、うまく立ち回りさえすれば情報を得るには悪くない場所だと、ヒッキーは考えていた。
酒場そのものが非合法なことを行っているから、集まる客の素性や姿振る舞いなどは多少みずぼらしくても気にもされない。
ましてや雑用の人間の素性など、気に留める輩などいもしないだろう。
カウンターで喋っている者達の会話を盗み聞きしていれば、必要な情報をいくつか拾い集めることは出来るかもしれない。
……しかし。
−−−−三日経って収穫無し、ね
楽観視が過ぎたか、カウンターでダベる客の会話内容は下らない話ばかりで、
たまに人柱が話題に上がり、神経を尖らせてその会話に聞き入ってみても、
「若いのに気の毒だ」だの「可愛い女子だったな」だの個人的な感想を述べるに終始し、
これと言った収穫は得られずにいた。
時間が無い。
別の方法を模索すべきだろうか、という考えが頭の中をぐるぐると巡り、
悩みながら皿を洗っていた時だった。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 16:48:40.78 ID:o0jTp2oUO
椅子が倒れたりグラスが割れたり、といった感じの音が、騒がしい店内の雑音より一層に響いて、
続いて「テメェ!」と言う声が聞こえ、さらに何やらドタバタと音がした。
皿洗いの手を止めてカウンター越しに店内を見やると、
酒場で働くウェイターが何とも冴えなさそうな男性を一人取り押さえて床に押しつけている場面が見えた。
ミ#゚Д゚彡「ナメた真似しやがって……!」
ウェイターはウェイターらしからぬ怒りの形相を露にし、冴えない男の片腕を背中に回して関節を極め、男を罵倒した。
ミ#゚Д゚彡「クスリ掠め取ろうとはいい度胸だなこの糞野郎……!
二度とそんなこと出来ないように指片っ端からへし折ってやろうかァ!?」
(;-@∀@)「ゆ、許して……クスリが、あれが無いと……」
ミ#゚Д゚彡「シャブ中だろうが何だろうが、金のねぇ奴にやるもんなんざ何一つねぇんだよボケカス!」
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:05:23.05 ID:uPlNHtUvO
おっと支援
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:06:45.55 ID:I6iHEFEj0
がんばれ支援
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:09:46.40 ID:LDqO+N5YO
支援するよー
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:13:45.78 ID:LDqO+N5YO
支援支援支援
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:20:52.18 ID:o0jTp2oUO
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:21:11.83 ID:LDqO+N5YO
何か時間帯によってさるの基準って変わるの?
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:22:45.48 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……あの人……」
ヒッキーが、哀れな男を眺めながら呟く。
−−−−前にも店に来てたオヤジだな……。
同じように無一文でやって来て、追い出されてた覚えがある
ハインの言葉を聞きながら、ヒッキーは自分の記憶を辿っていた。
(-_-)「……」
少しの思考の後、手に持っていた皿を桶の中に戻すと、代わりにある物を握って、ヒッキーはそのまま裏口に向かった。
( ^Д^)「おい、どこ行くんだ」
気付いた店主が問い掛ける。
(-_-)「……用を足しに」
ヒッキーは店主の方を向かずにぶっきらぼうに答え、「ちんたらすんじゃねぇぞ」と言う彼の言い付けを背中越しに聞きながら店を出た。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:26:40.84 ID:LDqO+N5YO
面白いから支援するよ
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:26:53.23 ID:o0jTp2oUO
(;-@∀(#)「うぅ……」
案の定、先程の男は店のゴミ置場でくたびれていた。
店から姿を消してから数分間の合間でひどく手痛い仕打ちをうけた様子で、
顔の半分は腫れ上がり、唇は切れ、腹を押さえる手から察するに何発かボディにも食らったようだ。
呻く男に近づくと、男は何とも形容し難い表情でこちらを向いた。
(;-@∀(#)「……何だ……まだ……何かするつもりか……?」
うんざりだ、と言わんばかりの口調でヒッキーに問う。
(-_-)「……元教会の人間だね」
男の質問を無視してヒッキーは唐突にそう尋ねた。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:29:00.50 ID:LDqO+N5YO
シエンタ
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:29:24.11 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーが酒場でこの男を初めて見て、今回と同じように放り出された後、
カウンターに腰掛けた二人組が男の素性について話しているのを、ヒッキーは耳にしていた。
『ありゃ、元教会の高官じゃないか……?
笑えるくらい様変わりしちまったな』
『ああ、そう言えば見たことある顔だな……クスリに手を出して人生を棒に振ったのかね……バカな奴だ』
『クスリに全部を費やして……あんな生き方はしたくないな』
『全くだ、飲もう』
その記憶に間違いはなく、男は頷いて答えた。
(;-@∀(#)「あ、ああ……そうだが……。
金目のモノなら、なにももっていないぞ……?」
怪訝そうな顔の男に、ヒッキーは握り締めていた右手の中に持っていた物を男に見せた。
真っ白な顆粒が、幾粒かその手から零れ落ちる。
と同時に、男の目が爛々と輝きを取り戻した。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:31:04.85 ID:I6iHEFEj0
支援支援
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:32:30.32 ID:o0jTp2oUO
(-@∀(#)「それ……!」
(-_-)「その前に幾つか答えてほしい」
男が伸ばした手を寸前で躱すように右手を引っ込めて、ヒッキーは取引を持ちかけた。
(-_-)「人柱の処遇について、詳しく知ってたら、洗い浚い話して。
内容次第でコレを渡すかどうか決める」
男は迷いもせず、ヒッキーが知りたかったほとんどの情報を、ベラベラとその口から語りだした。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:33:04.11 ID:LDqO+N5YO
支援する
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:37:37.93 ID:LDqO+N5YO
支援〜
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:39:40.78 ID:o0jTp2oUO
(-@∀(#)「−−−−人柱に選ばれた人間は、最初に水場で身体を洗った後、人柱になるまでずっと教会の本堂で過ごすんだ。
ホラ、本堂の左側、側面から飛び出た様にある塔があるだろう……?
人柱はあそこで過ごしている。
曰く、俗世から離れて身体を清める為だ」
(-@∀(#)「−−−−食事や身の回りの事は全て世話係が付いて、人柱本人はそこから出ることはまず無い。
出たが最後、それは大抵人柱として捧げられて死ぬときだけだ。
本堂から塔に通じる通路には常に見張りが居て、
例え親であろうと婚姻相手であろうと、むやみに人柱と接触することも出来ない」
(-@∀(#)「−−−−お清めの期間は一週間位のはずだ。
それが終わった後、教会の地下で人柱として捧げられる」
一通り喋り切ったのか、男は一息つくと、ヒッキーを見上げながら言った。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:41:11.87 ID:lKuo4LKZO
何でダッシュじゃなくてハイフンなの?
支援
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:42:35.86 ID:o0jTp2oUO
(;-@∀(#)「知っているのはコレくらいだ……」
(-_-)「もう一つ。教会が秘密裏に行っている実験の目的と、人柱との関係性について」
(;-@∀(#)「実験……?
お前、どこからその話を……」
ヒッキーは無言で、手の上の顆粒を地面に捨てようとする。
(;-@∀(#)「待て!分かった答える!」
男は慌てて再び喋りだした。
(;-@∀(#)「アレは……神を生み出すための実験だ……」
(;-_-)「神……?」
(;-@∀(#)「そうだ。実験の存在を知っているなら、内容も知っているだろう?
あれらの狂気に満ちた実験は、少なくとも私がいた頃には、全てその目的に基づいて行われていた」
(;-@∀(#)「私は実験に直接関わる立場ではなかったから詳しくは知らないが、
人に、人以外の生物を「混合」させて、人よりも優れた亜人を生み出し、その集大成を持ってして、「神」……。
その為に、沢山の実験体が必要となった。
その実験体を浮浪者から調達する……そんな案が実行に移される直前に、私は教会を去ったから、それからのことは知らない」
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:44:16.06 ID:JOX/NoYOO
支援
(-_-)「……人柱との関係は?」
(;-@∀(#)「人柱は……実験体を調達する案の一つとして上がっていたが、
いかんせん効率が悪すぎるために却下された……と言うような話を聞いたような……。
それ以上はよく分からない」
(;-@∀(#)「もういいだろう……?
頼むよ、それをくれ……!」
懇願する男が差し出す手の受け皿に、ヒッキーは持っていた砂糖をサラサラと移した。
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:48:45.11 ID:o0jTp2oUO
麻薬は、顆粒そのままでは効果が出ない。
水に溶かして蒸発させることで初めて麻薬としてその威力を発揮する。
つまり、男が今大事に手の中に包み込んでいる砂糖が砂糖だとバレるには、しばらくの時間を要するだろう。
奇声とも歓喜の声とも取れるような叫びを上げ、男は走り去っていった。
−−−−いいペテン師になるぜ、お前
ハインが楽しそうに言う。
もう、酒場で働く必要も、ここに留まる必要も無い。
ヒッキーは身を翻すと、そのまま立ち去った。
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:49:45.76 ID:o0jTp2oUO
短いけど第四幕終了。
迷惑をおかけしてます。
以下第五幕。
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:52:41.47 ID:LDqO+N5YO
砂糖って、ヒデェww
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:54:08.50 ID:o0jTp2oUO
この街を簡潔に説明するなら、大聖堂を中心とした円形の街、と言えるだろう。
街を牛耳る教会のシンボルであり拠点である大聖堂と、
それを囲うようにしてある、教会に務める者達の居住区を含めて教会地区と呼ぶ。
さらにその周りに、大聖堂からの距離の近さに比例して、
上流階級の居住区、中流階級の居住区、そして最も離れた位置に下流階級の居住区が存在している。
酒場は下流階級の居住区に位置していて、ヒッキーは教会地区に到着するまでに短くはない時間を要した。
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 17:54:21.45 ID:LDqO+N5YO
コレ……最後まで投下しちゃうんかな?
175 :
多分最後まで:2008/12/25(木) 17:57:11.27 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「……」
事件を起こしてから、中流階級居住区以上に街の中心へ近づいたことはなかった。
出来ることならば、二度と来ることが無ければいいと思っていた。
けれど、今はもう、そういう訳には行かない。
ヒッキーは意を決し、教会地区を大聖堂へ向け踏み出した。
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:01:12.13 ID:o0jTp2oUO
進路はなるべく距離の短さよりも目立たないようなルートを選んだ。
夕暮れも過ぎかけ、辺りは薄暗く、その分、身を紛らせることが出来る。
時折すれ違う人々の視線を伺いつつ、ヒッキーはフードを深く被りながら、
はやる心を落ち着けて着実に大聖堂へ向かい、道も半ばまで進んだ頃。
道を曲がったヒッキーは、視線の先の人影に反射的に足を止め、交替して身を隠した。
何故そんなことをしたのかと言えば、その人影が二人組で、しかも道に面している建物へ続く入り口を塞ぐように立ちはだかっていたからだ。
そういう道はあまり通りたくはない。
変に見咎められて呼び止めでもされたらことだ。
しかし、あの二人は何の建物の見張りをしているのだろう。
余計な好奇心でヒッキーは目を凝らす。
(;-_-)「……!」
一瞬の後、その二人が門番をしている建物の正体を知る。
途端、脳みそをガン、と揺らされるような衝撃を感じた。
177 :
:2008/12/25(木) 18:03:31.29 ID:cxn5ivDu0
何時ごろまでだい?
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:05:35.02 ID:o0jTp2oUO
計算上投下に15時間かかるよ!
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:06:35.87 ID:o0jTp2oUO
その建物はもはや建物の体裁を保ってはいなかった。
半分近い部分が抉られたように崩壊している、白い建築物の慣れの果ての正体。
ヒッキーの無意識が心の奥底に閉じ込めていた記憶が、
まるで嘔吐物のようにせり上がってヒッキーの意識を飲み込んだ。
目の前にぼんやりとした印象を持って立ちはだかる灰色の壁。
檻の中の自分達を見せ物のように眺めながら目の前の廊下を歩いていく白衣の男。
絶叫しながら手足を千切れんばかりに振り回し、しかし力づくで白衣の男達に取り押さえられて連れ去られていく人。
液体の中に浮かぶイメージ。
滲む視界。聞こえる嘲りの声。
燃え上がる激情。
そうして、ヒッキーは忘れていたあの時の全てを思い出した。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:09:06.65 ID:LDqO+N5YO
今日中には終わらないか、支援
181 :
:2008/12/25(木) 18:09:33.72 ID:cxn5ivDu0
15時間・・・がんばれw
182 :
急ぎます:2008/12/25(木) 18:10:27.83 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
けたたましい咆哮で一帯をビリビリと震動させた後。
異形の化け物となったヒッキーは、隔たりとなっているガラスをブチ破り、怯む白衣の男達に向け飛び掛かった。
鋭く生え揃った牙を剥き出しにして、覆いかぶさるように男達の内の一人を押さえ付けると、
その首筋に噛み付き、男の絶叫を限りなく近い位置で聞きながら喉元を食い千切った。
絶叫が止んで代わりに噴き出した血を顔に浴びながら、他の男達に視線を向ける。
化け物、という声が聞こえた気がしたが、そんなことはどうでもよかった。
身体の中をごうごうと駆け巡る激情を見せ付けるようにして、ヒッキーはもう一度咆哮すると、新たな標的に向かって跳躍した。
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:11:58.34 ID:I6iHEFEj0
無理に今日中に投下しなくても、のんびりやればいいと思うよ支援
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:15:11.95 ID:LDqO+N5YO
うん、のんびりやれば良いと思う。
支援
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:15:44.68 ID:o0jTp2oUO
そうやって逃げ惑う白衣が血に染まっていく中で、
難を逃れた者達が一目散に逃げていくのを視界の端に捉えた。
逃してなるものか。
理性を圧倒する、猛然とした破壊衝動が身体を突き動かした。
何もかも、自分がこうなった原因に触れたものは全て壊して無くして消し去りたかった。
ヒッキーは最早爬虫類のソレと化した四肢を地面に突っ張るようにして広げ、息を低く漏らす。
ヒト在らざるモノとなったヒッキーはなおも雄叫びを上げる。
そこから先は、もう何があっても二度と思い出したくなくて、ヒッキーは回想を止めた。
その後に繰り広げられたのは、破壊と殺戮だけだった。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:17:53.31 ID:3shpu9U4O
応援
支援
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:17:53.46 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
( _ )「……」
教主の言葉が蘇る。
『数十人もの命が……』
あの事件において命を落とした者達を殺したのは紛れもなく自分だ。
我を忘れ、暴力を奮って命を奪った人間の中には、自分のように囚われていた人々もいたはずではなかったか。
少なくとも、まともな人間が出来ることでも、やろうとすることでもない。
そんな惨事を巻き起こしてなお、生きる意味はあるのだろうか……
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:22:53.44 ID:o0jTp2oUO
−−−−忘れちまえ
回想に没頭していたヒッキーは、ハインの声で我に返った。
−−−−時間の無駄さ、ヒッキー。
今更、過ぎた事に何を後悔している暇があるんだ?
(-_-)「……うん」
ヒッキーはフードを深く被り直し、門番のいる道を避けてまた歩き始めた。
奥底に焦げ付いていた記憶は、忘れてしまえと言われて忘れられるようなものではない。
まして、忘れられれば、その出来事での自分の所業が全て帳消しになるワケでもない。
けれど、その事実と、彼女を危険から助けだすという行為には関係がない。
自分が、自分のした事に対してどんな結論を下すにしろ、それは彼女を救った後にするべきだ。
今考えるべきは彼女のことだけにしよう。
ヒッキーは自分に言い聞かせて、歩を進めた。
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:23:47.78 ID:uPlNHtUvO
さるには気をつけるのじゃ支援
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:24:50.37 ID:o0jTp2oUO
この街の象徴と言える大聖堂は、真ん中に中庭があるものの、大雑把に言えば真正面もしくは真上から見ても「山」の字のような外見をしている。
一番全長が高く奥行も広い中央部には広大な礼拝堂があり、毎日多数の人間が出入りしている。
それだけに、大聖堂に近づくからには今まで以上の注意が必要だった。
ついに到着した大聖堂を建物の陰から見据え、ヒッキーは辺りを見回した。
日も暮れはじめ、辺りが暗くなっているのにも加え、
身なりからしてあまり心証の良くないヒッキーが、
大聖堂の前で怪しい行動をしていれば、誰かの目に止まってしまう可能性はある。
ヒッキーは大きく回り込む様にして、正面から見て左側、塔のある東側へと近付いた。
大聖堂の両脇は主に聖職者の居住場所であるため、真正面に比べれば人気は一気になくなる。
ヒッキーが彼女のいる塔の真下に到着し、レンガ造りの大聖堂に手を当てたとき、日は既に落ち、夜になっていた。
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:26:00.89 ID:LDqO+N5YO
支援支援
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:27:15.64 ID:o0jTp2oUO
−−−−無事、到着か
(-_-)「……」
ヒッキーは外壁に手を当てたまま上を見やる。
窓が一つ、十数メートル上方に見て取れた。
聖路堂に直接侵入を試みるには、その窓が最も適しているようだった。
(-_-)「……」
ヒッキーは手を外壁から離し、小さく息を吐いた。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:28:18.83 ID:LDqO+N5YO
さる避け支援
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:30:05.23 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーが壁から離した手が、大きくその形状を変化させた。
指が長く、細く、より放射状に広がるように伸び、手のひらが小さく縮む。
そして、変化は手だけでなく全身に及んでいた。
何も履いていない足が手と同様に形を変え、
肌の色はどんな人種も持ち得ないような黒ずんだ赤に染まり、
その目の瞳は縦に極端なほどに長細い楕円形になり、
そしてローブに隠された下半身のシルエットが、円錐形の何かを逆さまにして後ろ腰にくっつけたかのように膨らんだ。
口は真横に大きく切れ込みを入れるように広がって、
口内に生え揃う歯はどれもが刃物のように鋭く光る。
骨格そのものが変形して、ヒッキーは体制を直立から四足接地へ変えた。
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:33:59.49 ID:LDqO+N5YO
支援
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:35:07.58 ID:I6iHEFEj0
支援
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:43:10.75 ID:LDqO+N5YO
やっぱ夜の方がさる厳しいんじゃね?支援
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:43:56.18 ID:I6iHEFEj0
総合より転載
653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/25(木) 18:36:14.71 ID:o0jTp2oUO
>>524です何度もすいません。
急用にて一時間程席を外します。
伝えようとしたら猿\(^o^)/
524 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/12/25(木) 10:52:30.99 ID:o0jTp2oUO
平日の真っ昼間からスレ立て依頼。
(-_-)ヒッキーと火蜥蝪のようです
本文自由。
どなたかよろしくお願いします
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 18:45:06.48 ID:IEMvwHPVO
保守
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:01:48.23 ID:LDqO+N5YO
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:09:32.58 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「……」
塔の中。
丸々が一つの大部屋となっている離れ小島のようなこの場所で、しぃはここ数日の間、生活を送っていた。
別に生活自体に不足があるわけではない。
むしろ与えられる食事や衣類は上等なもので、生活の世話は過保護とも言える範囲に及んでいる。
自身の身分を考えれば当然の事なのかもしれないが、
しかしながら一般にはもうすぐ成人として認められる年齢の女子としては着替えの手伝いまでされるのは流石に恥じ入るものがある。
部屋を出ること以外は何も強要されないのに何故か疲れが溜まる生活の終わりが何時なのか、
しぃには知らされていない。
そう言えば、知っている事のほうが少ないのか、とベッドに腰掛けて溜め息を吐いたとき、
唯一はめ込まれている窓がキィ、と開く音がした。
(*゚ー゚)「!」
振り向くと、そこには見覚えのある少年が立っていた。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:11:54.24 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーは、ハッとしてこちらを向いた彼女の顔を見て、とりあえずはまだ無事であったことに安堵した。
(;゚ー゚)「あなた……どうやって……」
彼女が静かに呟く。
(-_-)「壁を、上ってきた」
何故か緊張して、ヒッキーは言葉の途中で唾を飲みながら答える。
(;-_-)「あなたを、助けに来た」
(*゚ー゚)「助けに……?」
ベッドから立ち上がった彼女がまたヒッキーに問う。
ヒッキーは頷いて言う。
(;-_-)「あなたが人柱になるというのは嘘なんだ」
(*゚ー゚)「嘘……?」
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:12:37.60 ID:o0jTp2oUO
(;-_-)「あの、何もしないから、僕と話をして欲しい」
喉が渇く。
言葉遣いの違和感や、言葉が不自然に途切れ途切れになるのを自覚しながら、
しかしヒッキーは精一杯に彼女に伝えようと必死だった。
(*゚ー゚)「……分かったわ」
彼女は、そんなヒッキーに静かに答えた。
(-_-)「……あなたは最近の事故や災害を抑える為に人柱に選ばれた、はずだ」
(*゚ー゚)「ええ、教主様からはそう聞いているけれど……」
僅か数日前に、スカルチノフが一般市民の自分の家を直に訪れた時のことは、鮮明にしぃの記憶に残っている。
(-_-)「その理由の最たる事が、先日の事件で、教会は犯人を悪魔と言っている……」
でも、と付け加え、ヒッキーはハッキリ言った。
(-_-)「教会は嘘を言った。
……あの事件は、僕が起こしたんです」
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:15:31.67 ID:T58XSgBOO
紫煙
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:16:11.09 ID:5R701FjSO
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:20:22.38 ID:o0jTp2oUO
手に汗が滲む。
彼女の反応がどう返ってくるか、ヒッキーには分からなかった。
(;゚ー゚)「……」
彼女は表情に驚愕の色を浮かべながら、言葉を失っているようだった。
ヒッキーは、意を決して話を続けた。
(-_-)「僕は元々、街の浮浪者で……それで、教会に騙されてあの事件の起きた建物に監禁されていた。
教会の目的は、僕の様に捕まえた浮浪者を実験台にして、「化け物」を作ることだった……。
……僕も、実験台にされた」
そう言って、ヒッキーは身体を覆うローブから右腕を出すと、その手を変容させた。
息を呑む声が聞こえ、彼女の表情が蒼白になる。
ヒトのものとは思えないような形容になった右腕を引っ込めると、ヒッキーは続けて話した。
(-_-)「僕は建物を破壊して、沢山の人を殺して、その後あなたに助けられた。
そうして生き延びて、今ここにいる」
(-_-)「事件は悪魔のせいじゃない。
だから人柱が必要な理由なんてない。
あなたが命を落とす必要は無いんです」
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:21:16.12 ID:o0jTp2oUO
彼女は依然として言葉を失っている。
(-_-)「今、詳しく話している暇はないし、
僕が、事件について、自分のした事について言い訳をするつもりもない。
けれど……」
どんな台詞であっても、今は躊躇せずに言う。
(-_-)「僕はあなたを騙そうとも、何かに利用しようとも思ってなんかいない。
あなたを助けたいんだ。
あなたが無駄に命を落とすのを黙ってみてはいられないだけなんだ。
……信用性を示す証拠なんてないけれど……、こんな僕が人を助けたいなんて都合が良すぎるなんて思うかもしれないけれど……、
本当のことを話していると、僕は命を懸けて誓う」
こんなに話したのは生まれて初めてだと思うほど、ヒッキーは一心不乱に語った。
言ったことは間違いなく本心だし、偽りを言ったつもりもなかった。
そして喋り通した反動のように、それきり黙り込んだ。
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:28:17.33 ID:I6iHEFEj0
支援支援
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:34:23.82 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「……それで、貴方は私をここから連れ出しに来てくれたのね」
入れ替わるように彼女が話しだして、ヒッキーはすぐに頷いた。
(*゚ー゚)「……あなたの話が本当で、私は本当は人柱として選ばれた訳ではないかもしれないとしても、」
(* ー )「私はあなたとは一緒にはいけないわ」
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:37:30.66 ID:o0jTp2oUO
(;-_-)「!? ……どうして……?」
彼女のその言葉に、ヒッキーは反射的に彼女の腕を掴んでいた。
それは、彼女がやっぱり自分を信用してくれていないのではないかという悩みとか、切羽詰まった状況が好転しない事への焦りに、
ヒッキー自身が耐え切れなくなったからで、
一瞬理性を失った彼は、伸ばした右腕が未だに変容したままだと言う事を忘れていた。
(;゚ー゚)「痛……ッ!」
彼女が痛みに顔を歪めて初めてヒッキーは自分の失態に気付き、慌てて掴んだ手を離して後退りした。
(;-_-)「ご、ごめんなさい……」
ヒッキーが掴んだ彼女の手首は、彼の変容した硬い皮膚が擦れて擦り傷を作っていた。
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:41:05.16 ID:o0jTp2oUO
しかし。
(-_-)「!」
−−−−コイツは驚いた
今まで黙っていたハインすら感嘆するような出来事が、目の前で起きた。
(* ー )「……」
彼女の手首に確かに出来たはずの傷が、淡い光を伴って、まるで鉛筆で書いた文字を消しゴムで消すかのように消え去っていく。
それは「奇跡」とも呼べる瞬間だった。
(*゚ー゚)「……大丈夫だよ」
驚くヒッキーに向かって小さく、悲しそうに笑いながら、彼女は言った。
(*゚ー゚)「……昔からこうなんだ。
誰にも……親にも内緒の、秘密」
すっかり傷の癒えた手首をもう片方の手でさする。
(*゚ー゚)「だから、人柱に選ばれたのかな。
本当に誰にも、言ってなかったんだけどね」
その哀しげな表情が、ヒッキーには耐え難い物だった。
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:46:46.35 ID:o0jTp2oUO
(;-_-)「……教会は、あなたの、その体質を狙っているんだ」
断定する、強い口調。
(;-_-)「お願いだから、ここから逃げよう」
そうやってヒッキーが頼んでも、
彼女は首を横に振った。
(*゚ー゚)「無理だよ……」
(;-_-)「何故?」
(*゚ー゚)「私が逃げたら、私は安全かもしれない。
けれど……私にはお父さんやお母さんがいる」
(*゚ー゚)「もし、私が逃げたら、世間では人柱になることを恐れて逃げ出した娘だと扱われる。
そんなったら、お父さんもお母さんも、そんな娘を育てたダメな人間だって皆から迫害される。
どんな目に遭わされるか分からないわ」
それは、ヒッキーが予想だにしていなかった返答だった。
そして、ヒッキーに自身と彼女の決定的な違いを、自分だけでは埋める事の出来ない溝の存在を思い知らせるものだった。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 19:49:08.61 ID:o0jTp2oUO
(;-_-)「……」
家族も共に逃げよう?
この街以外を知らないヒッキーが、彼女だけならまだしも、
さらに連れる人数を増やしてどうする?
家族を捨てよう?
家族が彼女にとってどれ程に重要か、そんな事も分からないヒッキーが、
そんな無責任な行動を軽々しく彼女に押しつけられる道理がどこにある?
どちらも、ヒッキーの口から言葉に出来るものではなかった。
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:01:03.15 ID:IEMvwHPVO
支援
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:12:18.34 ID:husO7jbDO
ヒッキー主人公って珍しいよな支援
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:19:55.33 ID:I6iHEFEj0
支援だぁっ!!!
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:20:04.79 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「あなたの言う事、信じてるわ。
わざわざ危険を冒してまで、ここに来てくれたこと、感謝してる。
……けれど、やっぱり私は、ここから逃げることは出来ない」
止めのような彼女の言葉に、ヒッキーは完全に為す術を失った。
彼女は今の自分の言葉や行動では、ここから動いてはくれないのだと悟る。
それでも、諦めきれないヒッキーが、何かを言おうとした、その時だった。
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:23:13.96 ID:o0jTp2oUO
「何者だ!」
塔と大聖堂を繋ぐ通路への扉が開いたかと思うと、屈強な男が二人現れた。
(;-_-)「ッ!」
ヒッキーは身構える。
状況からすればすぐさま逃げたほうが得策だが、彼女を残して去ることへの執着が、その場にヒッキーを立ち止まらせる。
−−−−一先ず退散だ。
彼女との関係性を奴らに知らせたらアウトだぜ
ハインの助言に、ヒッキーは唇を噛み締めながら従った。
(;-_-)「……」
最後に彼女を一瞥して、助走の後、窓から外に飛び出した。
空中で、ヒッキーは変容を遂げ、着地に備える。
常人なら骨折は免れないような高さから難なく着地。
(-_-)「!」
しかし、ヒッキーは未だ逃げ切れていないことを悟った。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:25:23.52 ID:OcvyI3Z80
頑張るねぇ
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:27:38.62 ID:o0jTp2oUO
「逃げられると思うなよ、悪魔め!」
先に押し入ってきた男と同様、屈強な者達がヒッキーの両脇を挟み込んでいた。
どうやら侵入がバレてから男達が押し入ってくるまでに包囲を固めていたらしい。
−−−−洒落臭ぇ、軽くあつらってスタコラサッサだ
ハインに言われるまでもない。
一々まともに相手している余裕などないのだ。
ヒッキーは素早く行動に移った。
着地してしゃがみ込んでいた体勢から身体をグン、と伸ばして、
取り囲む男達の一人に肉薄する。
男はその手に握る棒をヒッキーに向け横に振り抜いたが、それは空振りに終わる。
棒が頭に直撃する寸前で身を屈めたヒッキーは、その勢いを利用して身体を回転させた。
同時に、ローブから飛び出した細長い尻尾が男の足元を払う。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:33:06.22 ID:o0jTp2oUO
「……!」
見事なまでに脚を掬われスッ転ぶ男にはもう目もくれず、
その隙を狙った別の男が振り下ろした棒を掴む。
「ウオオッ!?」
瞬間、棒は勢い良く燃え上がり、男は危うく手を炙る直前に棒を手放した。
一人が転び、もう一人が慌てふためくその間をすり抜け、
さらにその後ろに控えていた男には燃え上がる薪と化した棒を投げつけて隙を突く。
僅か数秒間で包囲を突破して、ヒッキーはあっという間に走り去り、闇夜に紛れた。
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:38:04.13 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「……」
窓から顔を出し、走り去っていくヒッキーを見つめていたしぃの肩に、不意に手が置かれる。
しぃが驚きながら振り向いた先に見たのは、
優しそうな笑みを浮かべるスカルチノフだった。
/ ,' 3「大丈夫かね」
にこやかにそう尋ねられ、しぃは頷きで返す。
/ ,' 3「そうか、それは何よりじゃ。
人柱となる者に、万が一の事があっては一大事だからの」
変わらず笑顔で話すスカルチノフの顔が、一瞬だけ剣呑になったのを、しぃは見逃さなかった。
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:44:05.26 ID:o0jTp2oUO
/ ,' 3「しかし、まさか大聖堂にまで表れるとは……悪魔め」
悪魔。
その単語で、先のヒッキーとの会話を思い出す。
悪魔なんていない。
教会は嘘をついている。
/ ,' 3「どうかしたかね」
黙り込んだしぃに、スカルチノフがより身を寄せるようにして問い掛ける。
(;゚ー゚)「あ、いえ、その……」
/ ,' 3「まぁ、仕方あるまいな、あのような穢れたものに襲われかけたのだから。
明日から、見張りをより厳重なものにしよう」
(*゚ー゚)「……あの」
/ ,' 3「何だね?」
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:48:31.62 ID:LDqO+N5YO
支援
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:50:01.36 ID:o0jTp2oUO
(*゚ー゚)「あの人は、本当に……悪魔なんでしょうか……」
その疑問を聞いたスカルチノフの顔が、またしても鋭さを帯びる。
/ ,' 3「……間違いない。
あれは人ですらない、この世を混沌と悲しみの渦に巻き込もうとする邪悪の化身だ。
もしかしたら何かを吹き込まれたのかもしれないが、何一つ信じてはいかん。
……分かるね?」
その念押しには、有無を言わさぬ圧力が籠もっていて、しぃは頷く他なかった。
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:51:58.54 ID:o0jTp2oUO
第五幕終了です。
猿に引っ掛かる頻度が半端無い
恐れすぎて行数オーバーのエラーにビビる
やたら遅かったら猿だと思ってください。
以下第6幕。
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:54:14.24 ID:LDqO+N5YO
把握、支援。
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 20:57:54.85 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−振り出しに戻る、かね
追跡を振り切り、下流階級の居住区まで逃げてきたヒッキーは、
そう言ったハインの声を聞いて悔しさを滲ませた。
(-_-)「何で……」
彼女を助けだせなかった苛立ちを込めて握り締める拳が震える。
しかし、その拳を振るう先を見つけることは出来なかった。
仕方がなかった、で済ませる話ではない。
けれど自分と彼女の立場には圧倒的な落差があって、
ヒッキーがいくら手を伸ばそうとも、彼女のいる場所には決して届かない。
彼女の立場に、自分を置いて考えることは出来ない。
彼女を説得して救い出すのは実質的に不可能だと思い知らされたのだ。
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:01:16.94 ID:LDqO+N5YO
ふぅ、耐久レースになりそうだな支援
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:03:23.49 ID:3shpu9U4O
支援
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:03:28.25 ID:o0jTp2oUO
さらに言えば、現状は振り出しに戻るばかりか悪化したとも言える。
一度あのようなことがあれば、教会は間違いなく人柱のガードをより堅固なものにするだろう。
一度目と同じように彼女と接触出来る可能性は無きに等しい。
手詰まり。
チェックメイト。
−−−−まぁそう気を落すなよ、ヒッキー。
いざとなりゃあ、研究所を吹き飛ばしたように、ちょちょいっとやっちまう手もあるぜ?
明らかにからかっているようはハインの発言に耳を貸す余裕もなく、ヒッキーは途方に暮れた。
だから、それから少しの間歩いている時に、女性の小さな悲鳴のような声を聞いても、
それに続いて脅しを掛ける男の声が無ければ、特に気にも止めずに通り過ぎていたかもしれない。
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:04:54.57 ID:LDqO+N5YO
支援する
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:07:24.08 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
声の音源を探すのに結構な時間を要して、
声がする路地裏の奥の袋小路にようやく辿り着いたヒッキーが見たものは、女性と、その女性にナイフを突き付ける男だった。
男も、女性も、それぞれに自分自身の状況に意識が集中していて、距離を置いたところにいるヒッキーの存在には気付いていない。
首下で鋭く光るナイフに怯え、声も出せない女性は、明らかに自分の意志でそうしているとは思えない。
ソレをねめ付けるような視線で舐め回す男が、おもむろに自らの股間に手を伸ばすのを見て、ヒッキーは猛烈な嫌悪感を覚えた。
それは女性と彼女が重なったからであり、男と教主が重なったからでもあった。
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:10:55.27 ID:OcvyI3Z80
猿にもめげず・・・
ちゃんと読んでるぜ
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:13:05.41 ID:o0jTp2oUO
(-_-)「おい」
今まで発したことのない、ヒッキーの乱暴な呼び掛けに、男が驚いたように振り向いた。
「……何だお前」
男も威嚇するような目つきと声色でヒッキーに応対する。
ヒッキーはこちらを見ている女性を一瞥して言った。
(-_-)「その人を放せ」
その一言に男は一時だけ怪訝そうな顔をして、そしてすぐに嘲笑うかのような表情を上塗りする。
「ああ? ガキが何言ってやがんだよ。
死にたくなきゃチビりながら失せろ」
ナイフの切っ先をこちらに向けてちらつかせながら、男は言う。
ヒッキーなど恐れるに値しないと思っているのが一目瞭然だ。
女性は、ナイフの恐怖からは解き放たれても、場の雰囲気に押されたのか、その場から動こうとはしなかった。
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:13:52.53 ID:LDqO+N5YO
面白いから読むんだぜ支援
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:18:44.42 ID:o0jTp2oUO
−−−−憂さ晴らしにゃ、ちょうどいい相手だな
と、ハインが言う。
ヒッキーはこちらに向けられたナイフに自ら近付いていった。
「ああ?」
怒りの形相で睨み付ける男には怯みもしない。
男も流石に焦りを感じたのか、ナイフを突き付ける手をより前に突き出してヒッキーを威嚇するが、それでもヒッキーは近付いていく。
( _ )「……」
心の中のわだかまりがブスブスと音を立てているのが感じられ、それが堪らなく嫌だった。
発散したいのに出来ない焦げ付きが、ヒッキーを自暴自棄に似た行動に走らせていた。
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:21:05.80 ID:o0jTp2oUO
「舐めてんじゃねぇぞ……!」
男も限界に達したのか、歯ぎしりしながら呻くように呟くと、
一歩踏み込むと同時にヒッキーの左胸目がけてナイフを突きだした。
その切っ先がヒッキーの胸に吸い込まれる寸前、男の手首をヒッキーが掴み、ナイフはギリギリのところで止まる。
「なぁ……ッ!?」
細い腕からは想像できない握力で手首を握り締められ、男は困惑した。
その手を振りほどこうとするが、
左右に揺さ振ろうが、もう片方の手で引き剥がしにかかろうが、
ヒッキーの手は一向に離れない。
「な、何なんだよ、お前……!」
無表情なままのヒッキーを見て、男が驚きと恐れの入り交じった声を発する。
( _ )「……知りたい?」
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:23:04.84 ID:OcvyI3Z80
殺すのだろうか
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:25:28.04 ID:LDqO+N5YO
ヒッキー…
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:25:39.96 ID:o0jTp2oUO
ヒッキーは冷たい声色で聞き返すと、一度目を閉じる。
その目が再び見開かれた瞬間、男の顔は面白いように豹変し、喉元から悲鳴を上げた。
金色に染まる眼に、それを縦に裂くような細長い瞳。
変容した人外のソレは、男を驚愕させるには十分な威力を発揮した。
気が付けば、手首を握る手も、異様な外見に変化しつつあった。
「は、離せ!離せぇえ!!」
男は完全にパニック状態に陥った。
言葉にならない叫びを挙げながら、気を違えたように掴まれた腕を振りほどこうと暴れ回る。
ナイフが手からこぼれ落ちて地面に当たり、金属音がした。
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:29:04.31 ID:o0jTp2oUO
その姿を見て、ヒッキーは自身の内部の熱を持った感情が急速に冷えていくのを感じた。
こんなことをして気を紛らわせている自分に猛烈に嫌気がさす。
手首を掴む力を緩め、男を解放すると、男は奇声とともに一目散に夜の路地へと消えていった。
−−−−何だ、逃がすのか、つまんねーな
(-_-)「……」
ヒッキーは視線を男の消えていった路地から、蚊帳の外に置かれていた女性へと向ける。
(-_-)「……大丈夫?」
女性に近付いて、手を差し伸べたが、女性は未だ蒼白な顔をして、ヒッ、と息を呑む。
それでヒッキーは変容させた自分の姿の一部を元に戻すのを忘れているのに気が付いた。
何とも間抜けだ、と思いながら、
とりあえずは人に戻って女性に落ち着いてもらおうと思った、矢先。
男が逃げていったのとは正反対側の路地から、何かが急速に近付いてくるのを視界の端で見、反応してそちらを向いた瞬間、
強烈な打撃を受けてヒッキーは吹っ飛んだ。
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:31:15.09 ID:LDqO+N5YO
支援えん
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:33:21.45 ID:o0jTp2oUO
(;-_-)「!?」
余りに唐突な出来事に、一応はまだ変容しているままの状態でも対応しきれず、
豪快に背中から地面に叩きつけられる。
さらには起き上がる暇もないまま、首筋に金属の冷たさを感じ、
「動くな」という声が聞こえた。
見上げれば、そこには男に脅されていた女性とは別の、正に容姿端麗と言うべき美女が立っていて、
その手に持つ剣の刃がヒッキーの首に軽く当てられていた。
まるでさっきの場面の立場を逆転させて再現したかのような状況だ。
川#゚ -゚)「良い度胸だな、貴様」
ヒッキーを突き飛ばした美女のその一言には明らかな敵意が滲んでいて、その視線は突き刺すように鋭い。
川#゚ -゚)「タダで済むと思うなよ……!」
首筋に当たる剣の圧力が増す。
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:35:58.72 ID:LDqO+N5YO
シエンタ
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:36:21.80 ID:o0jTp2oUO
どうやら美女は自分の取った行動に怒りを感じているようだとヒッキーは考え、
ならばこちらも黙ってやられる筋合いはないと、自由な四肢で反撃を試みようとしたとき、
そこで「止めて!」という叫びが割って入った。
ヒッキーとそれを押さえ付ける美女が同時に、その叫びを発した女性に目を向ける。
「その人、悪い人じゃありません……!」
美女がもう一度ヒッキーを一瞥する。
ヒッキーは反撃をするかわりに両手を挙げた。
−−−−止めるのがおっせーよ、馬鹿女。
そんなんだから犯されかけんだよ
ヒッキーの心情を濃縮して、悪意満載の罵詈雑言に変換した言葉でハインが毒づいた。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:38:44.90 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
川 ゚ -゚)「まずは非礼を詫びる。すまなかった」
下流階級の居住区のとある家屋の中で、ヒッキーは先程自分を突き飛ばした美女に頭を下げられた。
(;-_-)「いや……」
ヒッキーはどう答えるべきか悩みながら、小さな声で答える。
一悶着があった、あの後。
ヒッキーと共に件の不幸な女性を安全な場所まで送り届けた美女は、ヒッキーをこの場所に連れてくると、いきなり謝罪した。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:39:34.09 ID:LDqO+N5YO
支援している
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:41:03.16 ID:HdKu8S2FO
やもりや守
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:45:23.11 ID:OcvyI3Z80
うむ、殺さなかったか
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:46:22.54 ID:LDqO+N5YO
支援が足りなかったか……
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 21:50:03.65 ID:LDqO+N5YO
さて、クーがどう関わってくるのやら
支援
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:00:38.03 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「私の名はクールだ。クー、と読んでもらって構わない」
美女はまた唐突に、自己紹介をし、その手に持っていた、鞘に納まっている剣を家屋にあるテーブルの上に置いた。
(;-_-)「……」
自らも名乗るべきか、クーへの疑心と相談していると、クーが再び口を開いた。
川 ゚ -゚)「君は教会の言っている「悪魔」、ということで合っているかな」
(-_-)「!」
その一言に空気が緊迫し、ヒッキーの身体は一瞬強張った。
川 ゚ー゚)「そんなに警戒しないでくれると助かる。
私は君を敵だとも、まして「悪魔」だとは思っていないよ」
クーは微笑を浮かべながら言った。
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:01:27.04 ID:OcvyI3Z80
はい支援
まじかるバ・ナ・ナ!
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:02:04.91 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「君と教会の関係については、私達はある程度の事を把握している。
君がついさっき「人柱」に接触したことも」
……知っていたのか。……けれど、一体どうして?
驚きながらも、ヒッキーは沈黙を続け、クーは言葉を続けた。
川 ゚ -゚)「実を言えば、私はあの時君を探していたのさ。
憚らずも私の失態で君にとっては不愉快な出会い方になってしまったが、
私達は君の敵ではなく、むしろ味方だと思ってほしい」
そこでようやくヒッキーが口を開いた。
(-_-)「……どうして、僕を?」
川 ゚ -゚)「その話は、少し別の場所で話をしたい。
ここからそう遠くはないんだ」
−−−−さて、どうする?
ハインが楽しそうにヒッキーに尋ねた。
ばななたべたい
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:06:15.34 ID:o0jTp2oUO
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クーに連れられて到着したのは、ヒッキーが労働していたのとは別の、場末のバーだった。
(´・ω・`)「いらっしゃい……遅かったね、クー」
客が一人もいないバーの店内で、グラスを磨きながら二人を出迎えたのは、
優男、と呼ぶのが妥当な顔立ちの若い男だった。
川 ゚ -゚)「すまないショボン。話は伝えてあるはずだが……」
(´・ω・`)「うん、話は聞いている。皆集まっているよ」
クーにショボンと呼ばれたバーの男が、塞がっている手の代わりに顎でカウンターの脇にある扉を示した。
(´・ω・`)「僕もコレが終わったらすぐに行く」
川 ゚ -゚)「ああ、待っている」
短い会話を交わして、クーはショボンが示した扉を開けた。
川 ゚ -゚)「こちらだ」
扉はバーの後ろに立つ建物に通じていて、
明らかに元々あったとは考えられない粗末な造りの扉は、ヒッキーが通った後にぎぃ、と軋みながら閉められた。
sienta
追い付いた!
wktkが止まらねぇぇぇぇぇ!
がちゃ
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:10:54.17 ID:OcvyI3Z80
ブーンはどっちかね
建物の中には数人の男がテーブルを囲うように座っていた。
クーと、その後ろに立つヒッキーが一斉にその視線を浴びる。
( ゚∀゚)「マジに連れて来たんかよ……スゲェすよ、クーさん」
その中でも一番快活そうな男が、二人を喜びと驚きの中間の表情で見ながら感嘆の声を上げた。
川 ゚ -゚)「やると言ったらやるさ。
失礼かつ不本意な出会い方だったがね」
どういうことだそりゃ、と怪訝な顔をする、快活そうな男を含めた男性陣。
川 ゚ -゚)「悪いがしばらくジョルジュ以外は上に上がっていてくれないか。
下に降りていても構わないが」
クーがそう言うと、快活そうな男を除く全員が大して文句も言わず、それぞれ了解の意を示して席を立っていき、
その場にはクーと、どうやらジョルジュという名だと思われる快活そうな男とヒッキーだけが残った。
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:16:56.82 ID:OcvyI3Z80
ジョルジュ眉毛ねえええええええええええええええええええ
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:20:33.64 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「さて、話の続きなんだが、とりあえず腰掛けようか」
クーが促したが、ヒッキーは首を横に振った。
(-_-)「ここでいい」
クーが苦笑して、そうか、と言った。
川 ゚ー゚)「今は未だ信用に足らないと思われても仕方ないな。
いいだろう。君が望むような立ち位置で話をしよう」
クーがヒッキーから離れ、ある程度の距離を取ってそう提案する。
(-_-)「じゃあ、このままで」
川 ゚ -゚)「分かった。では、話を始めようか」
wktk
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:24:57.68 ID:o0jTp2oUO
_
( ゚∀゚)「あのー、何で俺だけ残ったんすか、クーさん?」
出鼻をくじくように、ジョルジュが手を挙げて質問する。
川 ゚ -゚)「……お前が彼について一番詳しいからだ」
_
( ゚∀゚)「ああ、そういう事。
あ、俺の名前ジョルジュ。君のことストーカーみたいに調べろってクーさんに命じられた男。よろしく」
ジョルジュのヒッキーに対しての軽薄な挨拶にクーは顔をしかめたが、ジョルジュ本人には悪気はないようだった。
川 ゚ -゚)「基本的には黙っていろよ、お前の軽口は余計だ」
_
(;゚∀゚)「ひでぇけど分かりました」
川 ゚ -゚)「……余計な話だったな。
今度こそ本題に入ろうか」
クーは一度溜め息をついてから、再三に話を切り出した。
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:26:58.53 ID:OcvyI3Z80
_
( ゚∀゚)「ズレてるwwwww」
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:29:19.78 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「ここは、私がリーダーを務める、教会に反抗する者達のアジトだ。
このうるさい馬鹿もその一員」
ジョルジュはクーの辛辣な紹介に舌を出して抗議するが、一睨みされて引っ込めた。
川 ゚ -゚)「私達は長年の間、教会の裏の姿について調べてきた。
政治汚職、麻薬の流通、そして、「神」を生み出す実験……。
恐らくは、君も知っているとおりだろう。
そういった教会の悪事を世に曝け出し、今の腐り切った教会を打ち倒すことが我々の目的だ」
川 ゚ -゚)「特に、最近、「神」を生み出す実験と言う馬鹿げた行動が目立つようになってきた。
浮浪者の誘拐は、正に暴挙とも言えるものだろう。
私は少しながらも実験の内容を知り戦慄したよ。
こんなことが教会の、人間のすることか、とね」
270 :
眉毛ムリ\(^o^)/:2008/12/25(木) 22:32:47.18 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「そんな時に、例の事件が起こった。
君が脱走したあの事件だ。
一般民には情報操作で誤魔化したようだが、
私達はあの事件の真相を掴み、君の存在を知った」
(-_-)「……」
川 ゚ -゚)「私は君に接触出来ないかと考えた。
実験の被害者であり、生存者でもある君の証言があれば、それは我々にとって大きなメリットになる。
教会の嘘を暴く切り札となり得るかもしれない」
川 ゚ -゚)「しかし、これは当然の事だが、君は姿を隠し、私達は多少の情報を得ることはあっても、君を見つけることが出来なかった。
だが、ついさっき、君は現れた。
それも教会の本拠地に乗り込むという大胆な行動を伴って」
川 ゚ -゚)「君の行動の理由を知り、私は君と協力し合える関係を築けるのではないかと思ったんだ。
君は「人柱」に何らかの目的があって、大聖堂への侵入を試み、失敗した。
未だ目的は果たされていないのなら、互いの目的の為の行動は一致し、
そして協力してその目的を共に果たせはしないか、とね」
そこでクーは一度言葉を区切って息を吐いた。
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:34:36.32 ID:OcvyI3Z80
_
( ゚∀゚)「おkwwwwww引き続き頑張れ!」
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:34:38.14 ID:IEMvwHPVO
支援
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:35:22.62 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「……もう一つ、大変な失礼を承知で言うが、
君は実験によって……人よりも優れる部分を幾つか得たと聞いた。
その力の協力があるなら、我々の目的の達成は容易になる、と私は思った」
川 ゚ -゚)「そして、私は単身で君を探すことにした。
結果、君は今こうして私の話を聞いている……というワケさ」
(-_-)「……なるほど」
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:36:54.12 ID:o0jTp2oUO
( ゚∀゚)「何か俺役に立たない奴、みたいに話されてるけど、君に会える後一歩まで迫ってたんだぜ?
あの非合法のイカレた酒場に、しばらく君がいたって、しかも数時間前に消えたと聞いて、
オレァもうこれは見つけださねばと思った矢先に君が……」
クーの話と入れ替わるようにジョルジュが怒涛のごとく喋りだしたが、
数秒後にクーの拳骨がジョルジュの脇腹に叩き込まれ、
ジョルジュはうげっ、と呻いて椅子から転げ落ちた。
川#゚ -゚)「居ないほうが遥かに良かったな。私が間抜けだった」
苦しむジョルジュに目もくれず、クーは言い捨てた。
−−−−イイな、「情報が欲しい」、「力が欲しい」、「邪魔だ」……
相手に無礼であると承知で、言いたいこと、欲することを単刀直入に切り込んでくる奴は嫌いじゃねーぜ
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:36:57.88 ID:IEMvwHPVO
支援
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:39:14.99 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「……で、話の筋は分かってもらえたと思うんだが……」
(-_-)「……大体は」
川 ゚ -゚)「そうか。
……率直に行こう。君の気持ちを聞きたい。
私達に協力してくれるか、否か」
ヒッキーは少しの間悩んで、そして切り出した。
(-_-)「……正直、僕はまだ信用してない。
何か証拠が欲しい。本当に教会に敵対しているということを示す、何かを」
川 ゚ -゚)「……証拠か」
クーもまたしばし悩むような仕草を見せる。
川 ゚ -゚)「……君は「ロマネスク」を知っているか」
そしてクーはそう尋ねた。
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:39:18.53 ID:OcvyI3Z80
支援
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:41:47.51 ID:hFVNuHioO
電池切れそう。
これだから携帯は
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:41:56.07 ID:IEMvwHPVO
支援
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:43:45.74 ID:3shpu9U4O
支援!
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:44:05.65 ID:mhEqD1uR0
優子
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:45:13.79 ID:o0jTp2oUO
それが人名であるならば、ヒッキーには聞き覚えがあった。
ラウナス・ロマネスク。
十年ほど前に、教会裁判によって死罪、磔刑に処せられた、この街でも有数の貴族であった男だ。
川 ゚ -゚)「聞き覚えはあると見た。
……彼は、十二年前……正確には十二年と二ヵ月と十三日前だが、
教会に「悪魔を崇拝する者」として処刑された」
川 ゚ -゚)「彼は無実を主張し、実際そうだった。
しかし、教会は、教会の腐敗部分の是正を訴える彼を疎ましく思い、
ありもしない罪を着せて、神の名の下に彼を殺した。
彼の妻も、息子も処刑された」
川 ゚ -゚)「だが……。
当時、病弱であったために、家族と離れて暮らしていた娘は、ギリギリのところで魔の手を逃れた。
その後、その娘は父親のツテを頼り、何とか生き延びた」
クーが首に手をかけ、服装の裏に忍ばせるように身につけていた首飾りを引き出した。
外して、ヒッキーに手渡す。
そこには、両目に縦に刻まれた傷跡が特徴的な男性と、温和そうな女性、精悍そうな少年、そして、可愛らしい笑顔の少女が、寄り添い合った写真がはめ込まれていた。
ヒッキーは視線を変え、その少女が育ったら正にこうなるだろうという外見をした、目の前の美女を見た。
川 ゚ -゚)「それから、少女は家族の無実を証明するためだけに生きてきた。
教会の歪みを正すためだけに」
クーはヒッキーの目を真っすぐに見て言った。
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:46:26.06 ID:IEMvwHPVO
支援
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:47:21.82 ID:o0jTp2oUO
川 ゚ -゚)「……証拠と言えるのは、これくらいしかない」
−−−−不幸加減は負けず劣らずだな
ハインが冷やかしたが、ヒッキーは気にせず、クーに首飾りを返しながら言った。
(-_-)「……よく分かりました」
その言葉が、ヒッキーの協力の意志を示していることは、クーに伝わったようだった。
川 ゚ -゚)「協力をしてくれる、ということで良いか?」
(-_-)「……一応は。
ただ……」
川 ゚ -゚)「ただ?」
濁した言葉尻を捕らえてクーが問う。
(-_-)「……僕には時間が余り無い」
川 ゚ -゚)「「人柱」か……君はなぜ、彼女を?」
(-_-)「……命の恩人だから」
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:48:05.19 ID:OcvyI3Z80
クー・・・そんな悲しいことが・・・
だから喋るのが好きになったのか?
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:50:16.64 ID:o0jTp2oUO
クーはそれ以上は聞かなかった。
川 ゚ -゚)「……成る程、その為に命を懸けるか……。
凄い人間だな、君は」
(-_-)「僕はもう人間じゃない」
クーの賛辞を、ヒッキーは口調を強めて否定した。
(-_-)「……とにかく、時間が無いんだ」
気まずくなった話を戻してヒッキーが呟く。
川 ゚ -゚)「……君のタイムリミットが、人柱である彼女の命が失われるまでならば、問題はない」
クーがヒッキーの憂鬱を打ち消すように断定した。
端ではようやくジョルジュが起き上がる。
そんなジョルジュを一瞥して、クーは言った。
川 ゚ -゚)「我々は、明後日の早朝、大聖堂を襲撃する」
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:51:04.31 ID:IEMvwHPVO
支援
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:52:52.25 ID:o0jTp2oUO
さて、第六幕終了。
ジョルジュの眉毛ですが、半角スペースが無効化されるのでアウアウみたいです
猿も緩い上、沢山の支援があるのでこのまま第七幕。
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:54:24.72 ID:TG4C/J0C0
頑張れ支援
全角スペースつかえばいいよ
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:54:32.90 ID:OcvyI3Z80
まだいくかw
とりあえず乙
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:55:26.18 ID:IEMvwHPVO
がんばれー
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:56:23.59 ID:3shpu9U4O
支援ー
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:57:02.28 ID:o0jTp2oUO
>>291 必要なの半角スペース三個分なんすよ。全角だと……
>>292 完結は一度中断して明日の夜になりそうです。
23:00から再開
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 22:58:31.28 ID:IEMvwHPVO
_
( ゚∀゚)
これでいいんじゃね?
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:00:45.43 ID:OcvyI3Z80
参考までに
全角スペース+半角スペース
_
( ゚∀゚)
全角のみ
_
( ゚∀゚)
半角のみ
_
( ゚∀゚)
半角×3
_
( ゚∀゚)
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:00:53.36 ID:TfsWrqmM0
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:03:03.98 ID:o0jTp2oUO
行の初めの半角スペースは無視される
途中の半角スペースは二個以上連続で続いても一個になる
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:04:55.93 ID:o0jTp2oUO
閉店したバーの一角にある長椅子に、両足を抱え込むようにして乗っていたヒッキーは、
裏の家屋に通じるドアが開くのを耳で感じ取って、扉の方を見た。
(´・ω・`)「やぁ」
入ってきたのは最初にヒッキーを出迎えた優男だった。
(´・ω・`)「寒くないのかい、そんな場所で」
そう問い掛けながら、答えを待たずに優男はカウンターに入って、その背後の棚に並ぶビンの中から一つを選ぶ。
(´・ω・`)「店を閉めた後に一杯やるのが僕の楽しみでね。
君はどう見ても未成年だから勧められないけれど」
カウンターにグラスを置いて、ボトルから蒸留酒を注ぎ入れ、優男はカウンターの反対側に回って席に座った。
(´・ω・`)「僕の名前は、さっき言ったはずだけど、覚えてるかな?」
(-_-)「……ショボン」
(´・ω・`)「うん、ご名答」
優男……もといショボンがそんな問いをしたのには訳がある。
ヒッキーが自分から寝床にバーのソファーを希望して、そこに座り込む前、
ヒッキーがクーと会話を交わした後の事だが、
クーがレジスタンスの仲間を一々全員紹介したものだから、
その全員の名前を覚えているには相当な記憶力が必要なはずなのだ。
実際ヒッキーも全員は把握仕切れたわけがなく、ショボンの名を覚えていたのは初めの印象が特徴的だったからだ。
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:07:10.94 ID:IEMvwHPVO
支援
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:09:06.72 ID:TfsWrqmM0
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:11:20.48 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「覚えて貰えていてなによりだね。
僕だけコッチで悪いけど、水でも飲むかい?」
ショボンの好意を首を振って断る。
(´・ω・`)「そう、なら、僕だけでやらせてもらおうか」
そう言ってショボンはグラスの中身を煽った。
注いだばかりの酒はあっという間に呑み込まれる。
(´・ω・`)「ふぅ……やっぱり格別だね」
彼が酒に強いのか弱いのか分からないが、好きであることは確かなようだった。
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:12:12.36 ID:OcvyI3Z80
支援
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:14:18.93 ID:IEMvwHPVO
支援
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:20:12.89 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「僕がここに店を構えたのは、十年ほど前でね」
グラスを置いて、一息ついたショボンが唐突に言った。
(´・ω・`)「以来、何とかこうやって店を続けてきているんだけど、
長い間こういう生活をしていると、色んなことを見たり聞いたりすることが多くなる。
それこそ、どこそこの家で赤ん坊が生まれたとかいう小さい話や、
あるいは誰々が何々をして教会裁判に掛けられて首を吊された、でも実際は無実だった……なんて話も聞いたことがある」
(´・ω・`)「けれど……それを人づてにしか聞かないからなのか、やはり何処か実際の出来事として認識できなくてね。
街の出来事は、全て対岸の火事を見るような、そんな感覚でしかなかったんだ。
自分には関係の無い、単なる情報として捉えていたんだと思う」
(-_-)「……」
(´・ω・`)「好きでやってるこの仕事だけど、やっぱり店を構えて何かをすると籠もりきりになりがちになる。
世界が自分とこの店とやってくる客しかない、そんな感覚に陥ったんだろうね。
……そんな時だったよ、クーがこの店を訪れたのは」
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:20:24.22 ID:OcvyI3Z80
またか
風呂いこ
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:25:40.02 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「僕がここに店を構えたのは、十年ほど前でね」
グラスを置いて、一息ついたショボンが唐突に言った。
(´・ω・`)「以来、何とかこうやって店を続けてきているんだけど、
長い間こういう生活をしていると、色んなことを見たり聞いたりすることが多くなる。
それこそ、どこそこの家で赤ん坊が生まれたとかいう小さい話や、
あるいは誰々が何々をして教会裁判に掛けられて首を吊された、でも実際は無実だった……なんて話も聞いたことがある」
(´・ω・`)「けれど……それを人づてにしか聞かないからなのか、やはり何処か実際の出来事として認識できなくてね。
街の出来事は、全て対岸の火事を見るような、そんな感覚でしかなかったんだ。
自分には関係の無い、単なる情報として捉えていたんだと思う」
(-_-)「……」
(´・ω・`)「好きでやってるこの仕事だけど、やっぱり店を構えて何かをすると籠もりきりになりがちになる。
世界が自分とこの店とやってくる客しかない、そんな感覚に陥ることもあった……。
そんな時だったよ、クーがこの店を訪れたのは」
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:29:14.00 ID:9eD/inKw0
支援!!
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:29:36.62 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「先に言ったような、無気力な人間だったから、僕は客の容姿や言動を余り気にしなかった。
流石に暴れだしたりなんかしたら退場願うけれど、
街の腐敗具合や教会の裏について客が話しても何とも思わない、ある意味都合の良い店だったと思うし、
実際僕はそういうお客を容認していたしね。
クーはそんなこの店の情報を聞き付けてやってきた」
(´・ω・`)「彼女は今よりもかなり鋭い性格をしていたよ。
それこそ邪魔をするような奴らは皆蹴散らしてやる、というような気概があったし、
それを実行しうる肉体的な力も持っていた。
店に来るなりの第一声はこうだ。
「教会に不満を持つ奴らがいる店と聞いた」
僕は思わずきょとんとしたのを今でも覚えている」
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:31:54.66 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「それから、彼女はこの店を中心に段々と自分と同じ意志を持つ仲間を集め始めた。
彼女にはある種のカリスマ性があるし、仲間が増えるのは面白いほどに早かった。
いつの間にか、この店は教会打倒を目論む輩の溜り場になっていた」
(-_-)「……」
(´・ω・`)「それからのことは省こう。色々と地味な話だし。
ただ、その間に僕はクーに五回ほど殴り飛ばされ、二回股間を蹴り上げられて、
代わりに僕はクーを一回だけ引っ張たいた。
今でこそクーはクールビューティーだけど、それは僕の頬と鳩尾と股間の痛みが代償だと言っていい。
全く、あの頃の彼女と来たらカリスマ性はあっても実に……まぁ、止めておこう。
あまり面白いとも言えないし、多分君も聞きたくない話でしょ?
いい年扱いた大人が、「馬鹿げてるし無謀だ」とか「軟弱者は黙ってろ」なんて批判しあって喧嘩する話なんてのは」
ハインが小さく笑った。
つまんねーよクソが
消えろ
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:37:05.76 ID:3shpu9U4O
支援
続き気になる
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:46:28.36 ID:IEMvwHPVO
支援
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:48:04.48 ID:HdKu8S2FO
やもりやもり
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/25(木) 23:52:46.58 ID:o0jTp2oUO
(´・ω・`)「僕が話を繋げたい先は、いつの間にか僕も変わってしまったということさ。
今はもうこの街の出来事は対岸の火事だとも思わないし、思えなくなった。
真面目に、この街が良くなるには何が必要か、なんて考えている。
……まぁ、僕は武闘派じゃないから、出来ることなんて些細なことだけどね」
長い話の後に、ショボンはグラスを揺らして中で煌めく氷をぶつけ、カラン、と音を奏でた。
(´・ω・`)「僕とクーの関係を長ったらしく話したけれど、言いたいのはたった一言だ」
(´・ω・`)「人は、変わるし、変われる。
勿論、君も」
(-_-)「……」
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:03:08.07 ID:RoiL6Hj7O
(´・ω・`)「実に欝陶しい話をしてすまなかったね。
僕はもう寝る。君はそこで寝る、と聞いているけど、本当にそこで良いのかい?」
ヒッキーが頷くと、ショボンはそれ以上は言わなかった。
(´・ω・`)「なら、僕は隣で寝るよ。
実を言うと、隣の家屋は僕の家なんだ。
今や数十人の寝床だ、泣けてくるよ……じゃあ、お休み」
そう告げて、ショボンは店から出ていった。
(-_-)「……」
人は、変わるし、変われる。
ショボンの言葉がリフレインする。
何故、彼があんなことを唐突に言いだしたのか、ヒッキーには理解が出来なかったが、言いたいことは何となく掴めていた。
−−−−「無愛想な顔してないでちょっとフレンドリーになったら、ヒッキー君?」ってとこか?
ハインが言う。
(-_-)「……さぁね」
ヒッキーは適当に返事をして、長椅子に横になった。
そういうことじゃない、というのが、ハインの意見に対するヒッキーの本当の意見だったが、
それをハインに言う気はしなかった。
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:03:27.35 ID:sSSTBDy+0
支援
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:05:54.40 ID:4liYLCSZO
お、帰ってきてる
支援
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:08:07.71 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ヒッキーが目を覚ましたのは、まだ夜も明けていない深夜だった。
(-_-)「……」
何か気配を感じたような気がして、上半身を起こす。
−−−−嗅ぎ付けたっぽいなー
楽観的なハインの声。
暗闇に目が慣れるのを待たず、ヒッキーは僅かな光を頼りにバーから隣のショボンの家に向かった。
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:08:55.76 ID:xqe7d/ZCO
支援
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:10:34.06 ID:RoiL6Hj7O
川 ゚ -゚)「どうした?」
バーから通じる部屋にはクーとジョルジュがいた。
彼らは今夜の見張り番だとは聞いていたので、余計な会話を挟まずにヒッキーは告げた。
(-_-)「皆を起こしたほうがいい。多分、囲まれてる」
川 ゚ -゚)「何……?」
クーが顔をしかめる。
(-_-)「早く」
それだけ告げて、ヒッキーはまたバーの方へ戻った。
( ゚∀゚)「……どうすんすか、クーさん」
ジョルジュがクーに問う。
川 ゚ -゚)「……従おう。
皆を起こ……」
クーがそう言おうとした瞬間、バーの方からけたたましい音が響いた。
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:13:04.88 ID:RoiL6Hj7O
ヒッキーはバーに戻ると、すぐに体勢を整える。
その直後、店の入り口の扉が勢い良く開かれると同時に入り込んで来た男に、カウンターのようにして飛び掛かった。
まるでびっくり箱を開けたような格好になった男は驚きの表情を浮かべたが、
地面に倒れると同時に頭を打ちつけて意識を失った。
ヒッキーが、バーが面する比較的広い路地を見回すと、何人かの男達が目に入った。
−−−−団体様一組ご案内ってか
ハインの悪ふざけに反応する暇はない。
目の前の男達は、先の逃走劇で相手にした輩とは雰囲気からして違っている。
持っている得物も棒などではなく鋼の剣だ。
今のように意表を衝けば話は別だが、真正面から対峙しては、どう考えても分が悪い。
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:15:35.17 ID:BRiwl08r0
お帰りー支援
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:16:11.08 ID:4liYLCSZO
支援
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:17:26.07 ID:RoiL6Hj7O
一度下がろうか、と考えた瞬間、右側から男が一人、距離を詰めながら剣を突き出してきた。
(;-_-)「!」
ほんの少しの隙を突かれ、ヒッキーは身をねじって剣を躱したものの、バランスを崩す。
隙の大きくなったヒッキーに、別の男が振りかぶった刃が振り下ろされた。
避けられない。
直感してヒッキーは思わず手を突き出した。
せめて体を守ろうとした行為の代償としてくるであろう痛みに覚悟したが、
その代わりに感覚したのは金属と金属のぶつかり合う音だった。
目の前で横から飛び出した剣が、ヒッキーに振り下ろされた剣を受けとめている。
次の瞬間には、長い黒髪が棚引いて、ヒッキーの前に立ちはだかった。
川 ゚ -゚)「警告ありがとう、感謝する」
クーはそういって鍔競り合いをしている相手の剣を手品のような剣捌きで弾き飛ばすと、甲を着けた肘で相手の胸を撃って吹き飛ばした。
容赦ない打撃で男は苦悶の声をあげながら仰け反る。
ヒッキーもその時には体勢を立て直して男達に再び飛び掛かっていた。
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:17:56.67 ID:sSSTBDy+0
銃はないんだ
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:19:44.78 ID:RoiL6Hj7O
_
( ゚∀゚)「クーさん!」
続いてバーから飛び出してきたのはジョルジュだ。
_
( ゚∀゚)「あっちもカバー出来ました!
大丈夫ッス!」
川 ゚ -゚)「そうか……フッ!」
答えながらクーは剣を一閃、男を一人切り捨てる。
川 ゚ -゚)「貴様等、教会の刺客か……」
男達は答えないが、クーの気迫に気圧されたのか、ジリ、と後退した。
場の空気が張り詰め、しん、と静まり返る。
それは幸運だった。
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:23:10.41 ID:RoiL6Hj7O
川 ゚ -゚)「!」
ギリリ、と何かが引き伸ばされて軋む音を聞いたクーは、咄嗟に上体を仰け反らせた。
ヒュッ、と空を切る何が彼女の面前を横切って、建物に突き刺さる。
正体は矢だった。
壁に突き刺さる矢の柄の角度を見て、放たれた方角を悟る。
川;゚ -゚)「屋上……!」
バーの向かいの建物の屋上に、一人の男が弓矢を持ち、第二射の用意をしているのが見えた。
川;゚ -゚)(まずい……!)
目の前の男達にも気は許せない。
クーの顔に焦りが滲む。
だが、その時、弓矢を構える男のいる建物の壁を奔る影があった。
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:27:58.46 ID:RoiL6Hj7O
(-_-)「……」
既に、ヒッキーは行動に移っていた。
窓の縁をうまく使って飛び上がるように壁を登り切ると、
矢を引き絞っていた男に飛びかかって殴り付け、気絶させる。
−−−−油断すんな、まだいるぞ
その言葉を証明するかのように、屋上の奥から声がした。
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:28:26.41 ID:4liYLCSZO
異世界臭いからな、支援
335 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:29:21.09 ID:sSSTBDy+0
支援
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:31:25.88 ID:RoiL6Hj7O
「いらっしゃ〜い」
(-_-)「!」
挨拶と共に向かってきたものを、ヒッキーは横に転がるようにして躱した。
黒い塊がゴウッ、と空を裂いてヒッキーの真横を突き抜ける。
立て続けに響いた鈍い音に、自分がいた場所を返り見ると、
黒い塊は建物を構築するレンガを打ち砕いていた。
(;-_-)「……!」
思わず息を呑むと、ソレは時間を巻き戻すように地面から引き抜かれて暗闇の奥に消える。
(*゚∀゚)「キミが「脱走者」クンだね?」
入れ替わるように暗闇から現れたのは、笑顔の女だった。
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:33:37.03 ID:RoiL6Hj7O
第七幕終了。
今日はここまでにします。
明日、纏めて投下出来る夕方辺りからまた投下予定。
一気にやるつもりが、規制食らいすぎてアボンです。すいません。
あと、第九幕で終わる予定が、ちょっと終わらない予感……すいません。
携帯のため過去ログが面倒なので、出来る限りの保守をしておきます。
皆様、クリスマスの貴重な時間ををこんなスレに費やしてもらってありがとうございました。
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:35:04.84 ID:xqe7d/ZCO
乙!
楽しみにしときます
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:35:10.24 ID:BRiwl08r0
乙
続き期待してる
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:36:50.79 ID:sSSTBDy+0
乙
こんな時間までよく投下したな
マジで乙
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:40:20.78 ID:4liYLCSZO
乙、期待している
342 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 00:51:27.87 ID:J0RYOhBWO
乙です
楽しみだ
343 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 01:22:44.53 ID:ORshwYw0O
乙
作者まだいるかな?
「火蜥蜴」はそのまま「ひとかげ」か、「サラマンダー」のどっちで読めばいい?
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 01:34:39.53 ID:RoiL6Hj7O
>>343 実を言えばサラマンダーです。
まさかそこを突かれるとは
二ツとも似たようなもんと違うのか
後3属性くらい出るなこれは
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 01:39:17.99 ID:ORshwYw0O
>>344 thx
気になってな
なにか伏線だったりした?
そしたらスマソ
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 01:46:28.20 ID:RoiL6Hj7O
>>345 そうですね、ヤンデレとかクーデレとか出ますね
>>346 いいえ、何か恥ずかしいだけです。
348 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 02:00:49.18 ID:HBSsSzTsO
乙!楽しませてもらった
続きにwktk
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 02:21:22.14 ID:ORshwYw0O
ねるほ
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 02:38:04.40 ID:RoiL6Hj7O
そろそろ限界なんで寝ます。
明日残ってますように
351 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 03:17:56.71 ID:J0RYOhBWO
この流れだとたぶん
デッドエンドか行方不明エンドかアナザーエンドだな
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 04:09:08.03 ID:HBSsSzTsO
ねる
353 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 04:47:46.56 ID:J0RYOhBWO
おれもいいかげんねよう
354 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 05:51:44.31 ID:tdH9x06YO
ほ
355 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 07:09:13.69 ID:g/mrURtUO
保守
ほ
357 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 08:29:40.11 ID:xqe7d/ZCO
よかった。残ってた。
保守
358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 09:02:39.34 ID:xqe7d/ZCO
保守ー
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:24:48.67 ID:RoiL6Hj7O
おはようございます。
保守してくれた方々ありがとうございました。
360 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:26:43.49 ID:BRiwl08r0
保守
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:33:17.56 ID:xqe7d/ZCO
保守!
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:42:02.05 ID:RoiL6Hj7O
投下時間は16:00か17:00あたりになりそう('A`)
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:46:09.46 ID:xqe7d/ZCO
ならそれまで保守
続き読みたい
364 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 10:55:37.43 ID:SATDp8LKO
保守
365 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 11:39:43.44 ID:fY4QCXNnO
保守
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 12:16:56.70 ID:xqe7d/ZCO
保守
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 12:51:47.97 ID:BRiwl08r0
保守
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 13:06:09.91 ID:4liYLCSZO
良かった残っている
保守
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 13:16:53.01 ID:xqe7d/ZCO
出かける前に
保守
370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 13:51:49.17 ID:BRiwl08r0
保守
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 14:20:38.21 ID:RoiL6Hj7O
自分で保守
372 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 14:29:06.93 ID:xqe7d/ZCO
帰ってきて保守
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 14:58:21.78 ID:tdH9x06YO
ほ
374 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 15:20:42.20 ID:4liYLCSZO
保守する
375 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 15:33:25.22 ID:xqe7d/ZCO
保守
376 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 16:08:57.41 ID:BRiwl08r0
ほしゅ
377 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 16:35:26.79 ID:RoiL6Hj7O
17:00開始です
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 16:47:24.51 ID:4liYLCSZO
把握
wktk
380 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:00:38.24 ID:4liYLCSZO
そろそろだな
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:03:36.25 ID:RoiL6Hj7O
大変お待たせ。
第八幕、始めます
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:05:52.24 ID:xqe7d/ZCO
きた
支援
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:07:10.86 ID:RoiL6Hj7O
無邪気であると同時に悪意に満ちたているような、そんな笑顔の女は、
右手でヒッキーを襲った物体……刺付きの球体を形取った黒光りする鉄塊……を軽くお手玉するように扱いながら、
軽い足取りでヒッキーに近づいてきた。
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:08:50.65 ID:4liYLCSZO
キタキタ支援
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:08:53.28 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「どーもー。つーチャンでーす」
距離をある程度まで詰めたところで、つーと名乗った女性は立ち止まった。
(*゚∀゚)「きょーしゅ様から命じられて、君を捕まえるために来ました。
よろしくー」
宣戦布告に近い発言をしておきながら、よろしくね、とはいかに矛盾した言い草だろう。
ヒッキーは目の前の風変わりな女性を、警戒心丸出しに睨み付けていた。
(*゚∀゚)「そんな怖い顔しないでよー。
ちょっと戦うだけなんだからさー。
仲良くいこうよ、ね?」
−−−−見上げたイカレポンチだな
本人には届かない侮辱を、ハインが口にする。
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:10:26.39 ID:4liYLCSZO
やっとつー出た支援
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:12:29.39 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「いや、実を言うと嬉しくて仕方ないんだよね。
最近はつまんない仕事ばっかりでさー。
毎日毎日、狭い部屋の中で人間をミンチにするのは飽きちゃった」
尋ねてもいないのに意味の分からないことを話すつーの舌は止まらない。
(*゚∀゚)「キミは中々手強いって聞いたからさ。
ワクワクしながら会えるのを待ってたんだよ。
……ま、やってみれば分かるよね」
つーはそう言って、ジャラ、と鉄球に繋がる鎖を鳴らす。
(*゚∀゚)「ほいさァ!」
(-_-)「!」
次の瞬間には、鉄球をヒッキーに向けて投げていた。
388 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:13:53.09 ID:xqe7d/ZCO
wktk
389 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:14:06.97 ID:4liYLCSZO
支援する
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:16:32.58 ID:RoiL6Hj7O
猛スピードで迫る鉄球を間一髪のところで躱すと、ヒッキーも素早く反撃に出た。
後方で鉄球が何かに激突する鈍い音を聞きながら、
投げ飛ばされた鉄球がつーの手元へ戻る前に接近する。
変質させた鋭く光る爪を揃え、つーの胸元目がけて突いた。
返ってきたのは一瞬の硬い感触。
(;-_-)「!?」
(*゚∀゚)「やー、危ない危ない」
つーが胸元から素早く取り出したナイフがヒッキーの爪を斜めに受け流していた。
突っ込んだ勢いは止まらず、ヒッキーは身を躱したつーに脇腹を晒すような体勢になる。
ヒッキーの攻撃を受け流したナイフが翻って、ヒッキーの脇腹を切り裂く寸前、
ヒッキーは強く地面を蹴り付けて真横に跳んだ。
391 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:17:45.52 ID:4liYLCSZO
wktkしてきた
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:20:34.37 ID:RoiL6Hj7O
バランスを崩して背中から着地、起き上がったヒッキーは、
僅かに切り裂かれたローブの切り口から滲む赤いものを一瞥した。
−−−−おー、危ない危ない
(*゚∀゚)「いい反応だね!
そうこなくっちゃ」
一方のつーは余裕綽々といった様子で、ヒッキーの脇腹を掠め、血液の付いたナイフを眺めた。
(*゚∀゚)「やっぱり血を見ると気分が高鳴るさね……」
クックッ、と籠もるような笑い声を出すつーの雰囲気が、陰湿な空気を帯びる。
(*゚∀゚)「さぁ、かかってきなよ、トカゲ男君!」
両手を広げて挑発する言われる迄もなく、ヒッキーは再度突撃した。
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:22:35.25 ID:4liYLCSZO
支援支援支援
394 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:23:13.81 ID:RoiL6Hj7O
重心を低くしてつんのめるような格好で駆ける。
再び接近したところで、ヒッキーの身体が伸長する。
(*゚∀゚)「おおっと、ワンパターンだね!」
ヒッキーの動きを察知したつーは、ヒッキーの腕のリーチよりも後ろへと後退した。
が。
(*゚∀゚)「!?」
ヒッキーはつーの予想とは異なり、その目前で踏み出した足で、自身を真上に蹴り上げた。
(-_-)「ッ!」
体が宙に舞い、空中で一回転する。
同時に、つーの顎を何かが真下から打撃した。
(;ー∀゚)「ぐッ!」
一瞬揺らぐ視界の中で、つーは何が起こったのかを知った。
395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:25:44.41 ID:4liYLCSZO
シエンタ
396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:26:58.37 ID:RoiL6Hj7O
ヒッキーが、空中で回転して打ち出す蹴り、サマーソルトを繰り出したことまでは見えていた。
予想とは違うとはいえ、つーはヒッキーの足の届く範囲からは飛びのいていたのだ。
それでもなお、つーの顎を打ち抜いたモノ。
それは、ヒッキーの腰から伸びた細長い三角錐の物体だった。
(*゚∀゚)「尻尾!?」
一撃を食らった後、大きく距離を取りながら、つーは驚かざるを得なかった。
ヒッキーも着地し、二人は距離を離して再び対峙した。
−−−−頑丈な奴だな
ヒッキーもハインと同様、つーの受けたダメージがさほど大きくないことを理解した。
常人ならば、大の大人でも一発で脳震盪を起こして沈む程の一撃だったが、
つーは特にふらつく様子もなく、ただ黙って立っている。
−−−−案外、同類な予感がするな
ハインが意味ありげな発言をした直後。
(*゚∀゚)「んー、油断した」
しばらく互いに睨み合い、張り詰めていた空気に、変わらず気の抜けたつーの言葉が割って入った。
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:31:49.11 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「尻尾まで生えてんのね……流石、一応は「せーこーたい」なだけはあるよ」
「せーこーたい」。
それが何を意味するのか、一瞬考えて、ヒッキーは答えを思いついた。
「成功体」。
(*゚∀゚)「私もちょっと本気だそうかなぁ、と」
つーは鎖をグイ、と引いて鉄球をその手に舞い戻らせると、そのまま地面に落とし、ナイフも懐にしまい込む。
代わりに腰の後ろに手を回して新たに取り出したそれは、
棒の先端に幾何学的な立体をした鉄塊を取り付けたような、一般にはメイスと呼ばれる鈍器だった。
(* ∀ )「さて、じゃあ仕切りなおし」
そう言うが早いか、つーはヒッキーに向かって駆け出した。
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:32:45.70 ID:4liYLCSZO
支援
399 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:38:27.16 ID:RoiL6Hj7O
ヒッキーも素早く迎撃の体勢で迎えうつ。
右下から左上に振り上げられたメイスが、ヒッキーの顔面を粉砕するギリギリのところで、その打撃を身を反らして躱す。
(*゚∀゚)「もういっちょ!」
さらに踏み込んで、折り返すように振り回されるメイスを今度は横っ飛びに躱し、
反撃の手刀を繰り出したが、つーもまたそれを躱す。
直後、脇腹に衝撃を受けてヒッキーは吹っ飛ばされた。
(;-_-)「!?」
つーが繰り出した蹴りが、ヒッキーを捉えていた。
400 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:42:56.99 ID:4liYLCSZO
支援えん
401 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:45:46.45 ID:xqe7d/ZCO
支援
402 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:46:57.37 ID:RoiL6Hj7O
背中から地面に叩きつけられ、慌てて起き上がるヒッキーに暇を与えまいと、真正面からメイスの追撃が振られる。
ヒッキーが地面を後転した直後、メイスが石畳を叩き壊す。
つーがメイスを持ち上げる隙をついて、体勢を持ちなおしたヒッキーがアッパーのような切り裂きを繰り出す。
爪がつーの頬を掠め、顔に赤い筋が走った。
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:48:31.07 ID:zXWs2X/0O
支援
404 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:48:58.12 ID:4liYLCSZO
支援支援
405 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:51:43.57 ID:RoiL6Hj7O
何か猿さんに引っ掛かる→すぐ投下出来る
という不気味現象に見舞われているのでペース落とします、すいません
406 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:53:13.35 ID:BRiwl08r0
時間もあるし、ゆっくりやればいいよ
407 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:57:31.90 ID:4liYLCSZO
おkおk気長に支援するよ
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 17:59:43.12 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「ぞくぞくするねェ」
頬を伝う血液を拭い、つーが言う。
(*゚∀゚)「何となく察してると思うけどさ、私も成功体の一人なんだ。
私が二番目の成功体で、キミは七番目。
二番目だからつー、なんちて。
あ、ちなみに、一番目は自殺して、四番目と六番目はきょーしゅ様の「エサ」になって、五番目はアタシが殺したんだ。
だから今いるせーこーたいはキミとアタシだけ」
今現在、自分とヒッキーが何をしているのか、全く意に介さず、つーは続ける。
(*゚∀゚)「一番目とアタシはまだ不完全なせーこーたいだったから、変身とか無理なんよね。
とまぁ、そんなことはどうでもいいのかな」
再びつーが接近してきて、乱暴な大振りの一撃を振るう。
ヒッキーは後ろに飛んで躱す。
409 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:05:47.68 ID:J0RYOhBWO
なん……だと……
410 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:06:33.50 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「でもさ、不思議に思わない?
キミは元々ただの物乞い、なのにこうやって、アタシと楽しくダンスしてる。
その身体はトカゲに変身できるし確かに強くなってるけど、
さっきのサマーソルトみたいな身体の使い方を、キミはどうやって学んだのかな?
どうしてキミは、あの研究所を粉々に吹っ飛ばしたのかな?」
(-_-)「……」
攻める気配を消し、代わりに冗舌になったつーを面前に、ヒッキーは黙り込んだ。
(*゚∀゚)「まるで始めから知っていたみたいじゃない?
「使い方」、「壊し方」、「殺し方」……全部、当たり前のように知っていたみたい。
ねぇ、トカゲ男クン……そんな人間は、果たして全うに人間かな?」
411 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:07:03.49 ID:4liYLCSZO
エサねぇ……
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:10:56.49 ID:J0RYOhBWO
まぁ あとで出てくるか
413 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:12:00.17 ID:RoiL6Hj7O
返答が無いことなど一向に気にしない口振りで、それでもつーはヒッキーに問う。
(*゚∀゚)「感情に任せ、衝動に突き動かされる。
何かを破壊できる力もあるし、どうやって破壊するかも知っている。
それは正に「異常」な「怪物」だよね」
(*゚∀゚)「キミは、どうやら誰かを助けたいみたいだけど、そんな「健全」で「人道的」なことを、
キミやアタシみたいな「怪物」が出来るのかな?
……それとも、だからこそ人道的な行いをして、自分を慰めたいとか?」
そこまでが限界だった。
ヒッキーはつーの顔面目がけて拳を振るった。
それに対し、つーは避ける素振りも見せなかった。
414 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:14:06.19 ID:9RoUCr4uO
ヒッキーは俺の好きなキャラだから主人公で嬉しい
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:14:39.48 ID:4liYLCSZO
よしよし人が増えてきた支援
416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:17:42.73 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「!?」
ヒッキーの拳はつーの顔を右から殴り付け、鈍い音がする。
けれどつーは微動だにしない。
(* ∀ )「分かってるんだよね、本当は。
キミはマトモじゃないし、
そんな今の自分に違和感も持っていない。
ちなみに「一番目」は自分のそういうとこに絶望して死んじゃった。へなちょこだね」
ヒッキーは拳をつーに叩きつけた体勢のまま、動くことが出来なかった。
(* ∀ )「そうなったのは、今ここでこんなことになっているのは、キミのせいじゃない、と思う?
全部はきょーしゅ様や、キミをそんな風にした奴らのせい?
好きでトカゲ男になったんじゃないやいバーカ、とか言っちゃう?
どーでもいいじゃんそんなこと。誰のせいとか。
というか関係ないよね、キミはもう既にそういう次元は越えているもんね」
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:22:18.67 ID:RoiL6Hj7O
(* ∀ )「残念だね、もう手遅れ。
キミに与えられたものはすぐにどうしようもないほどにキミを蝕んでしまうんだよ。
何をしたって、ただの人間には戻れずに、背負っていくしかない。
誰に責任を求めても、誰を恨んでも、誰かを助けても、キミは「怪物」。「化物」。「モンスター」。
この定義は変わらない。キミは逃げられない。
世の中はキミをそういう型にはめて扱う。
キミが助けたいあの娘は、どうかな?」
スッ、と、つーが一歩下がる。
一瞬目が合って、ヒッキーはつーの瞳に戦慄した。
淀んでいるような、あるいはどこまでも底の見えない、不気味な瞳。
(* ∀ )「だからさぁ……もうやめない?
無意味だよ、そんなこと。
人生はもっと楽しくしようよ。
アタシみたいにさぁ……」
「狂っちゃおうよ」
418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:24:21.00 ID:4liYLCSZO
支援
419 :
:2008/12/26(金) 18:27:15.27 ID:j8vl4e6a0
420 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:28:19.01 ID:RoiL6Hj7O
そう呟いた後、つーはヒッキーの視界から消えた。
(;-_-)「ッ!?」
間髪を入れずに腹部に鈍痛。
つーの肘が、鳩尾にメリ込んでいた。
何とも言えぬ苦痛が腹部をはい回り、ヒッキーは呻きながら倒れこんだ。
ヒュッ、と頭上に射した影を見て、咄嗟に身を捩る。
降ってきたつーの足は強固な床を叩き割って、飛び散る瓦礫がヒッキーの顔を掠めた。
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:30:25.85 ID:4liYLCSZO
支援する者
422 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:34:42.41 ID:RoiL6Hj7O
痛みに苛まれながら起き上がるヒッキーに、つーは容赦無かった。
(#゚∀゚)「「尊厳」とかさぁ! 「建前」とかさぁ! 「躊躇」とかさぁ!
くっだらなさすぎて笑えちゃうじゃんか!」
右フックがヒッキーの顎を揺らす。
(#゚∀゚)「どうでもいいよ、そんなもの!
そんなものを抱えて何が楽しいの!?」
切り返すような左のボディブロー。
(#゚∀゚)「さっさと諦めてさぁ! アタシに「本当」のキミを見せてよ、ねぇえ!?!」
軸足で体を回転させて勢いを乗せた回し蹴り。
立て続けに攻撃を食らって、ヒッキーは反撃の余地もなく再び倒された。
423 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:39:51.99 ID:4liYLCSZO
支援〜
424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:40:35.40 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀ )「つまんないんだよ」
倒れたまま咳き込むヒッキーを見下ろして、つーは呟く。
(* ∀ )「満たされないんだよ」
(* ∀ )「もっと狂いたいのに。暴れたいのに。壊したいのに」
(# ∀ )「どれもコレも何もかも、弱すぎて脆すぎてゼンッゼン物足りない!!!」
狂気以外の何物でもない咆哮。
(# ∀ )「立てよ!飛び掛かってきなよ!壊せよ!殺せよぉぉお!!!」
そして。
ヒッキーはユラリ、と立ち上がった。
425 :
:2008/12/26(金) 18:41:22.75 ID:j8vl4e6a0
426 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:46:38.31 ID:RoiL6Hj7O
( _ )「……」
−−−−どうする、トカゲ男
ハインはこんな状況でも呑気な調子で問い掛けてくる。
コイツは安いB級映画でも見てる気分なんじゃないかとヒッキーは思う。
( _ )「……」
つーに対して、返す言葉は無い。
つーは反論なんて求めていない。
それこそ彼女にとってみればくだらないものだろう。
彼女とヒッキーは、お互いの立場において相容れないのだ。
ただ、今、自分の為すべきは。
ヒッキーの身体が、より一層に変容を遂げていく。
「ヒト」から、「ヒトデナシ」へ。
( _ )「グゥ……」
言葉を喋ると言う事が出来ない喉から低い唸り声を漏らした時、彼は考えることを止めた。
427 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:48:28.07 ID:RoiL6Hj7O
地に這う四肢。
赤黒い身体。
縦長に切れた瞳を擁する眼。
沸き上がる衝動。
(*゚∀゚)「ふ、フフ……」
つーが笑う。
(*゚∀゚)「ヒャヒャハヒャハハハヒャ!!
そうだよそうだよそうだよ!!」
絶叫に近い声を上げるつーに向かい彼は跳躍した。
428 :
:2008/12/26(金) 18:49:55.35 ID:j8vl4e6a0
429 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:50:19.77 ID:RoiL6Hj7O
つーは先ほどとは比にならない速度で突っ込んでくるヒッキーを受け流し、
そして背後からメイスを投てきし、自身も駆けた。
振り向いたその面前に迫るメイスを横っ飛びに躱すと、
続けて接近してくるつーに対して身体を回転させて尻尾を振るう。
空気をブン、と鳴らしながら鞭のように振るわれた尻尾を飛び越ぇ、
ヒッキーの頭を踏み付けようとする。
しかし、ヒッキーが地面を殴り付け、
強引に飛び散らせた破片がつーへの目眩ましとなった。
一瞬の隙をついてヒッキーがつーに襲い掛かる。
左腕を食い千切らんばかりの圧力で噛まれながら押し倒されたつーの顔はしかし笑っていて、
直後、ヒッキーの脇腹に激痛が突き抜けた。
いつの間にかつーの手に戻っていたメイスが、ヒッキーの肋骨を砕いていたのだった。
430 :
:2008/12/26(金) 18:53:04.27 ID:j8vl4e6a0
431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:53:15.12 ID:RoiL6Hj7O
(; _ )「ガッ!」
ミシリ、と言う軋みを確かに聞きながら、ヒッキーは飛び退く。
着地してすぐ、喉を何かがせり上がってきて赤い液体を吐いた。
起き上がったつーが、口元に筋を引く血を、噛まれて血が滴るた右手で拭い、ニタリ、と笑みを浮かべた。
(* ∀ )「最高だね……イッちゃいそう」
その表情は、眼は、気配は、
完全にイカレた狂人だった。
432 :
:2008/12/26(金) 18:53:33.27 ID:j8vl4e6a0
433 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:54:55.11 ID:xqe7d/ZCO
支援!
434 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:56:34.06 ID:RoiL6Hj7O
(#゚∀゚)「ああそうさね最高だよトカゲ男クン!!
今までにない緊張感だ昂揚感だ幸福感だァアハハハハハハハハハハハ!!」
眼を見開いて歓喜しながらつーが突っ込んでくる。
(#゚∀゚)「決着をつけようカァ!!」
前傾姿勢から繰り出すメイスの振り上げ。
ヒッキーは最小限の動きでそれをいなす。
しかしそれはブラフ。
メイスを避けるために身を捻ったヒッキーの腹部右下に、本命の蹴りが食い込んだ。
硬質な皮膚を貫いて内臓に突き刺さる痛み。
たがヒッキーとてそれは承知のことだった。
強靭な四肢で蹴りの勢いに吹き飛ばされないように踏張りを効かせと踏み止まる。
バネのごとくその勢いを反発させ、ヒッキーはつーの脇腹を掴んだ。
もう片方の手で迫るメイスを振るう手首も掴む。
−−−−躊躇うな。
ハインが、囁いた。
435 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:57:42.06 ID:4liYLCSZO
支援しえん
436 :
:2008/12/26(金) 18:57:48.20 ID:j8vl4e6a0
437 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:59:04.96 ID:xqe7d/ZCO
支援ー
438 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 18:59:47.13 ID:RoiL6Hj7O
(*゚∀゚)「!?」
一瞬の膠着状態に最初に生じた変化は、つーの表情だった。
(;゚∀゚)「く、ア」
絞り出すような声。
ヒッキーが掴んで離さない脇腹と手首から、白煙が上がった。
(; ∀ )「ア"ア"ア"ァ!!」
ダミ声でつーが絶叫する。
肉の灼ける音がした。
高温に達したヒッキーの両手はつーの身体を容赦なく炙り、その苦痛に比例するようにつーの叫びが轟いた。
つーの身体から力が抜ける。
倒れこむつーにのしかかるようにしてヒッキーが折り重なる。
そこで、決着はついた。
439 :
:2008/12/26(金) 19:01:03.66 ID:j8vl4e6a0
支援
441 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:03:26.48 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「……」
次第にヒッキーの体温が下がり、変容していた身体もヒトへと戻る。
意識的にそうしたのではなく、そこまでが限界だった。
(* ∀ )「……」
つーは生きているようだった。
見るも無残な程に焼け爛れた脇腹は微かに動いている。
(* ∀ )「……そうか、キミにはそんな力が有ったんだね。
ふふ、何だぁ、アタシよりもぶっ飛んでるじゃないか」
擦れた声で、つーが呟いた。
右手首は最早炭化の一歩手前、左腕は血に塗れている。
(* ∀ )「……アタシの負けさね……あーあ、アタシもあっけない……フフ」
442 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:05:51.23 ID:BRiwl08r0
しえん
443 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:08:18.87 ID:xqe7d/ZCO
支援
444 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:08:51.92 ID:4liYLCSZO
支援
445 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:08:56.65 ID:RoiL6Hj7O
(-_-)「……アナタの言うことが間違いじゃなくても」
つーと目を合わせながら、ヒッキーは言った。
(-_-)「僕は諦めるなんて出来ない。彼女を助けるまでは、死ぬことになったって諦められない」
(* ∀ )「キミはアタシとは違うんだ……って?」
(-_-)「……」
つーは将来のヒッキーであり、
その狂気はやがてヒッキーにも生じる。
だからこそ、ヒッキーは彼女に打ち勝たねばならなかった。
結果、彼女を殺すことになっても、そこで負けてしまえば、それはヒッキーにとって、この先ヒッキーが狂気に屈するのと同義だった。
(* ∀ )「……純真だねぇ、痛いよ、正直。
自信過剰で、夢見がちで、楽天的だよ」
(-_-)「……」
(* ∀ )「……ま、負けたアタシが言えた義理じゃないさね……」
(-_-)「……」
(* ∀ )「行きなよ。キミの望むとこまで……。
アタシは地獄で見てるよ、君の生き方を……」
それっきり、つーは目を閉じて、一言も喋らなくなった。
446 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:14:31.04 ID:RoiL6Hj7O
ヒッキーの身体もユラリ、と傾くと、何の抵抗もなしに地に臥した。
( _ )「……」
脇腹の痛みが酷い。
変容を維持できなくなったのもそのせいだった。
呼吸だけを繰り返して、ヒッキーはしばらく横たわっていた。
……そう言えば、クー達の方はどうなっただろうか。
−−−−下の方も静かになったな
ハインの言葉に答えるのすら億劫だったが、クー達の無事は気になった。
が、身体は思うようには動かない。
流石にダメージが大きすぎる。
回復は人よりは遥かに早いとは言え、それなりの時間を要するのだろう。
447 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:17:40.73 ID:RoiL6Hj7O
それでも、何とかして身を動かそうと四苦八苦していると、
屋内から屋上に通じる縦穴を塞いでいる仕切り板が開いて、中から手が出てきた。
川 ゚ -゚)「ッ、と……」
現れたのはクーだった。
川;゚ -゚)「ヒッキー……!?」
横たわる三つの人影からヒッキーを見つけ、駆け寄ってくる。
川;゚ -゚)「大丈夫か……?」
一応は呼吸をして意識を保っているヒッキーに胸を撫で下ろし、その脇に膝をついてヒッキーに問う。
(-_-)「……何とか」
時々擦れる呼吸の合間にそう答える。
448 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:20:33.83 ID:RoiL6Hj7O
川 ゚ -゚)「どこをやられた?」
(;-_-)「胸と……脇腹」
川 ゚ -゚)「見せてもらうぞ」
許可を得る前に、クーはヒッキーの纏うローブをめくり上げ、そこに出来ている痣を見て顔をしかめた。
川;゚ -゚)「酷いな。
肋骨もやられているし、内臓にも損傷があるかもしれん」
(;-_-)「……」
川 ゚ -゚)「とにかく、場所を移そう。
話はソレからだ」
449 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:24:55.87 ID:xqe7d/ZCO
支援ー
450 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:25:46.18 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「逃した、だと?」
「申し訳ございません……賊共の隠れ家を完全に包囲して襲撃したのですが、
奴らいつの間にか消えていまして……」
「おかしな話だな。貴様等の眼は腐っていたのか?」
「いえ、何人かは姿を確認したのてすが、どれもかなりの手練で、そやつらに手間取った間に皆……
家屋を隅々まで探したのですが、手掛かりは何も……」
「で、その手練とやらはどうした」
「逃げられました……つーも恐らくは、「悪魔」にやられたものと……」
「……結果、貴様等は賊の誰一人も殺すこと叶わず、「悪魔」も取り逃がし、しかも成功体の一人を失っておめおめと帰ってきたわけか」
「……申し訳……」
「もうよい」
ドシュッ、と音がして、男は首から上を失った。
鮮血が噴水のように吹き出すのを面前で眺めながら、老けた顔を歪めて、荒巻スカルチノフは呟く。
/ ,' 3「計画は最早佳境……止められなど出来ん。最後までは穏便に済ませられぬ、というだけだ」
クックッ、と肩を震わせ、スカルチノフは嗤った。
451 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:29:06.22 ID:RoiL6Hj7O
以上、第八幕終了。
第九幕に行く前に30分程休憩します。
452 :
:2008/12/26(金) 19:36:33.32 ID:j8vl4e6a0
おっつー
453 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:38:06.11 ID:Mm+jLhQ9O
追い付いた
支援
454 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:41:28.56 ID:xqe7d/ZCO
ここまで分、乙
この先に期待
455 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:44:47.14 ID:HBlGIYKXO
面白いです支援
456 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 19:52:05.01 ID:4liYLCSZO
よーし、期待
457 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:07:50.12 ID:RoiL6Hj7O
うし、第九幕始めます。
458 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:10:45.08 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クーに背負われ、連れられた先は、町の地下を走る地下水道だった。
川 ゚ -゚)「襲撃、などという事は予測できたことだからな。
対策もきちんと練っておいた」
地上からハシゴを伝って降りながら、クーが言う。
川 ゚ -゚)「あの建物は地下水道の真上に建っていてね、秘密裏に地下水道に繋げておいたんだ」
_
( ゚∀゚)「クーさん!」
地下水道の脇に沿う細い通路にクーが足を着けると、ジョルジュが駆け寄ってきた。
459 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:11:10.69 ID:4liYLCSZO
支援
460 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:11:23.87 ID:BRiwl08r0
再開したか
支援
461 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:13:03.44 ID:RoiL6Hj7O
_
( ゚∀゚)「無事で何よりっす」
川 ゚ -゚)「当然だ。皆は?」
_
( ゚∀゚)「所定の場所で待機してますよ。
建物からの出入口も完全に塞いでおきました。
奴ら今頃大慌てっすね」
川 ゚ -゚)「そうか、ご苦労」
_
( ゚∀゚)「いえいえ……」
_
(;゚∀゚)「って、ちょ、どうしたんすかソレ!?」
ソレ、と言うのが自分を指しているんだろうなとは気付きながら、
一々気にすることもないと目を閉じたまま黙っていると、
ゴン、と鈍い音に続いて「ぐあ」とジョルジュが呻いた。
川 ゚ -゚)「「ヒッキー」だ。次にそんな発言してみろ、下水道に住むネズミの餌にしてやる」
_
(;゚∀゚)「……スンマセン」
川 ゚ -゚)「……重症だ、先に行ってショボンを呼んでくれ」
462 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:18:35.25 ID:RoiL6Hj7O
(;´・ω・`)「これは手酷くやられたね……」
皆の集まっている下水道の十字路に運ばれたヒッキーを見て、ショボンは唸った。
(´・ω・`)「ちょっと痛むよ」
そう言ってヒッキーの身体に手を這わせる。
(´・ω・`)「肋骨は2、3……4本はおかしいな……。内臓は……大丈夫みたいだ」
腹部のあちこちを触診し、ヒッキーの反応を見てショボンが判断を下す。
一介のバーテンダーにしては慣れた手つきだった。
463 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:21:11.73 ID:NBGIVSLXO
支援
464 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:21:24.57 ID:4liYLCSZO
支援
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:26:41.59 ID:RoiL6Hj7O
(´・ω・`)「……よし、これで何とか」
ヒッキーに応急措置を施すと、ショボンは立ち上がった。
(´・ω・`)「物資が足りないから完璧じゃないけど、安静を保てば大丈夫のはずだよ」
(-_-)「……」
胸板は包帯でぐるぐる巻きにされていた。
(´・ω・`)「しかし、一体何をどうやったらこんなケガを負うんだい……?」
ただでさえ落ち込み気味な表情のショボンがさらに眉を下げて尋ねた。
(-_-)「……僕と同じ、実験を受けた人と戦った。
つー、と名乗ってた」
「つーだと?」
「マジかよ……」
その名前を口にした途端、下水道はにわかに騒がしくなった。
466 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:28:12.87 ID:RoiL6Hj7O
静かにしろ、と場を制したクーの説明で、ヒッキーはつーの正体を知る。
川 ゚ -゚)「……つーというのは教会お抱えの暗殺者だ。
あくまで秘密裏の、だがな」
(-_-)「……暗殺者……」
川 ゚ -゚)「そうだ。教会にとって邪魔な者を消すための、体のいい駒さ。
……あの場に倒れていたうちの一人がそうだったのか?」
ヒッキーは頷く。
川 ゚ -゚)「……そうか」
クーも、それ以上は言わなかった。
467 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:30:15.36 ID:xqe7d/ZCO
支援
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:32:55.89 ID:RoiL6Hj7O
_
( ゚∀゚)「で、これからどうするんです?」
川 ゚ -゚)「……襲撃が来たということは、最早猶予はない、ということだ。
止むを得ない、出来る限り計画を詰める」
_
( ゚∀゚)「タイミングが合い次第、突撃っすか」
川 ゚ -゚)「そうなるな」
(-_-)「……」
(´・ω・`)「コラ、動いちゃダメだ」
身を起こそうとしたヒッキーを、ショボンが素早く嗜めた。
(´・ω・`)「応急措置はしたけど、大分昔に気の迷いで噛った程度の知識の中でやっただけなんだ。
ヘタに動いたらどうなるか分からないよ」
(-_-)「……関係ない」
ショボンの制止を押し切って、ヒッキーは身を起こす。
(-_-)「どうなっても、やらなくちゃいけないんだ」
顔色から見ても優れているとは言えない様子で、ヒッキーは言った。
469 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:36:54.81 ID:4liYLCSZO
支援
470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:37:12.30 ID:RoiL6Hj7O
(´・ω・`)「……頑固だね、君は。
昔のクーを見ているようだ」
ショボンが諦めるようにため息をついた。
川 ゚ -゚)「どういうことだ、それは」
憤慨した面持ちのクーがショボンに言及する。
(´・ω・`)「そのまんまだよ。
昔のクーに、彼がそっくりだと言ったんだ」
受け流すようにショボンは答えた。
_
( ゚∀゚)「はい、そこまでっすよ、二人とも」
ジョルジュが剣呑になる二人の間に割って入った。
_
( ゚∀゚)「何回そのやり取り繰り返すんすか?
ってか今そういう場面じゃないっすよ」
川 ゚ -゚)「……言われずとも分かってる」
クーは踵を返してショボンに背を向け、ショボンが肩を撫で下ろした。
川 ゚ -゚)「皆を集めてくれ、作戦を煮詰めよう」
了解っす、とジョルジュが答え、音の反響しやすい地下水道に考慮したのか、呼び掛けはせずに皆に寄っていった。
471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:38:39.62 ID:4liYLCSZO
ヒッキーが…
こんなアクティブなヒッキー初めて見たな支援
473 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:41:57.35 ID:RoiL6Hj7O
(´・ω・`)「……君の意志は分かった。
でもせめて、その時までは安静にしないと、僕には責任を持てないよ」
再び向き直ったショボンが、諭すようにヒッキーに言う。
(-_-)「……分かった」
仕方なし、ヒッキーは再び横になった。
−−−−いよいよ、ってところだが、どーよ、満身創痍のヒッキーさん
(-_-)「……だから、関係ないって言ったろ……」
他人には聞こえないハインの声に、クー達には気付かれないように小さな声で答える。
−−−−痩せ我慢しちゃってからに。
ま、あのたれ目の言い分が正論だな。それまでは大人しくぶっ倒れてろ。
楽しい楽しいパーティーはこれからさ……
474 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:44:27.53 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
川 ゚ -゚)「作戦の概要は以前から皆に伝えてあるとおりだ。
我々はこのまま地下水道を通って教会大聖堂地下まで移動し、そのまま上へと出て大聖堂に侵入する。
ただし、計画が前送りになったため、現在教会内に潜伏中の同士との連絡を取り、連携が出来しだい作戦を実行する」
集まった仲間を前に、今からの行動について話すクーを、ヒッキーはその背後に横たわって聞いていた。
たまに向けられる幾人かの視線がわずらわしいので、目を閉じて狸寝入りを決め込みながら。
475 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 20:58:26.60 ID:Mm+jLhQ9O
しえーん
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:03:02.91 ID:4liYLCSZO
さるか支援
477 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:04:03.89 ID:tdH9x06YO
支援
478 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:10:47.95 ID:RoiL6Hj7O
川 ゚ -゚)「順調に行けば、後十数分で準備は整うだろう」
しかし、よくここまで計画を水面下に隠し続けることが出来たものだと、ヒッキーは感心していた。
昨夜、その尻尾を掴まれたとはいえ、被害は殆どないし、
何より教会内にまで仲間を持っているとは驚きだった。
川 ゚ -゚)「各自、士気を高めておいてくれ。
だが、ここは地下水道だ、響かぬよう声は出すなよ……と言うのも可笑しな話だな」
その一言に場が静かに沸く。
川 ゚ -゚)「……必ず果たそう。我らの悲願を」
最後はきっちりと締めて、話は終わった。
479 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:12:51.28 ID:HBlGIYKXO
支援ぬ
480 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:14:27.06 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(´・ω・`)「お、帰ってきたね」
少しばかりの時間が流れ、沈黙の漂う場に、ショボンの声が聞こえた。
彼の言葉の通り、教会内の仲間と連絡を取りに行った仲間が足を忍ばせて戻ってきた。
川 ゚ -゚)「ご苦労だった……で?」
早速クーが歩み寄り、結果を問う。
「大丈夫です。日時変更に問題なし」
川 ゚ -゚)「……よし。10分後に行動を開始するぞ」
(´・ω・`)「……だ、そうだよ。
気分は良くなったかい」
いつの間にか近くに寄って来ていたショボンに聞かれ、ヒッキーは問題なし、と答えた。
481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:17:03.75 ID:RoiL6Hj7O
そういえば、この優男はこれからどうするのか。
皆とは違い、明らかに何処かに武力制圧を掛けに行くには不釣り合いな格好をしている。
夜な夜な襲撃を掛けられたのだから、寝巻姿ではないことだけでも良とすべきなのだろうが、
と考えていた矢先、そんなヒッキーの思考を読んだかのように、ショボンが苦笑しながら自らの立ち位置を語った。
(´・ω・`)「ちなみに、僕は戦闘の方はからきしでね。
今からも、後方支援なんて体の良い役割で、皆の最後尾にびくびくついていくだけになりそうだ」
(´・ω・`)「だから、こういう場面じゃ、正直な話、キミやクーのように勇猛果敢な人には感服するばかりだね。
まぁ、勇猛果敢でも、その行動の是非は別だけれど」
(-_-)「……」
482 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:18:29.09 ID:RoiL6Hj7O
川 ゚ -゚)「二人とも、時間だ。行くぞ」
(´・ω・`)「やれやれ、何とか生きて還らなきゃならないな」
川 ゚ -゚)「ショボン」
(´・ω・`)「なんだい」
川 ゚ -゚)「いざとなったら逃げ帰れよ」
(´・ω・`)「ああ、キミが死んだらね」
川 ゚ -゚)「真面目な話だぞ」
(´・ω・`)「いや、こっちも真面目な話だよ」
−−−−なんかまどろっこしい二人組だな。誰か片方のケツ蹴っ飛ばしてキスさせてやれよ。あっという間にベッドインだ
(-_-)「馬鹿じゃないの……」
下世話なハインのコメントに溜め息をつきながら、ヒッキーは身体を起こし、下水道の先の暗闇を見やった。
483 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:22:07.61 ID:4liYLCSZO
さる気をつけろ支援
484 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:24:25.30 ID:RoiL6Hj7O
一度は拒否された。
二度目に救える保障もない。
けれど今、ヒッキーに出来ることはただ一つ。
彼女の下へ、何としても、たどり着く。
ただ、それだけだ。
485 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:27:10.89 ID:2WLLTcrCO
支援
486 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:29:35.14 ID:xqe7d/ZCO
支援
487 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:30:35.00 ID:CmzagcNB0
支援
488 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:32:23.76 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
コツコツと無数の足音が不気味に響く中、一つの松明が下水道を歩くクー達を照らしだしている。
川 ゚ -゚)「……ここだ」
クーが足を止めたのは、本筋をそれて、上にあがる坂となっている脇の下水道への分岐点だった。
川 ゚ -゚)「この先が大聖堂の水路に繋がっている」
クーがヒッキーを見ながらそう説明したのは、他の全員は既に知っていることだからだろう。
端的な説明をした後、再び歩を進めると、上方に僅かに差し込む光が感じられた。
川 ゚ -゚)「先行して私とジョルジュが行く。合図が合ったら後に続け。」
そう言って、二人だけが前に進んで行く。
ヒッキーを先頭に置く残りの集団は、そこで待機した。
489 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:32:42.30 ID:xpq2DHFi0
支援
490 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:35:08.07 ID:RoiL6Hj7O
二人がしばらく進んでいき、光の射す場所に辿り着くと、ジョルジュが何やら手を上にかざして、そこを塞ぐ石板を三度ノックした。
すると、石板はゆっくりと光の射す隙間を広げるようにズレてゆき、
人一人が通れる隙間を確保したところで、上から手が伸びてきた。
最初にクー、次にジョルジュが手を借りて上に上がっていく。
それから数分経って、再び伸びてきた手が大きく振られた。
合図だ。
集団がクー達の上っていった抜け穴に駆け寄って、次々に大聖堂への侵入を果たしていった。
491 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:35:57.45 ID:4liYLCSZO
支援
492 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:38:14.67 ID:RoiL6Hj7O
地下水路が通じていたのは、どうやら大聖堂の水源、と呼べる場所のようだった。
緊張感に包まれたその場所にいる数十人の仲間たちは、
先行して安全を確認するクーの手の動きを合図にしながら、大聖堂の中へ慎重に歩を進め始めた。
川 ゚ -゚)(ここで二手に分かれよう)
早くも現れた分岐路を手前に、クーの手の合図がそう告げて、
クーとショボン他少人数が右手に折れる通路、ヒッキー含む残りがそのまま正面に進んでいく通路に分かれることが決まる。
正面に進む方は陽動を引き受け、右手に折れる方が大聖堂の内部へ突き進み、
教会の堕落を暴くような証拠なり何なりを見つけだす、という形である。
幸運を、と言ったニュアンスで、クーとは別の道を行くジョルジュが親指を立てる。
クーが頷き、それぞれが二手に分かれた。
493 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:39:13.48 ID:4liYLCSZO
支援シエンタ
494 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:42:50.47 ID:RoiL6Hj7O
クー達は、教会内に潜伏していた仲間があらかじめ用意してあった部屋に、一時的に陽動役が気を引くまで身を隠す手筈になっている。
後はヒッキー達が事を起こせば良いだけだ。
(-_-)「……」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
川 ゚ -゚)『キミは、ある程度……大聖堂が混乱する程度、陽動に協力してくれたら、自由にしてくれて構わない』
作戦を説明したのち、ヒッキーに声をかけたクーは、ヒッキーに陽動を引き受けるグループに入ってほしい旨を告げるとともに、そういった。
川 ゚ -゚)『聞いた話では、教会は人柱そのものに目的があるのだろう?
教会にこちらの事がバレている以上、人柱に対して何が起きるか分からないからな……。
人柱に対する行動の「時期を早める」こともあり得るだろう。
だから、陽動を済ませた後は、我々の事は気にしてくれなくていい』
ヒッキーにすればそれは願ってもいない話だったが、しかしそれでクー達の目的は果たせるのか。
川 ゚ -゚)『敵でもない誰かに何かを強要して目的を果たすのなら、それは教会と同じだろう、と私は思う。
キミには今夜だけで大きく助けてもらった。十分なほどに、だ。
キミにはキミの目的があるだろう。後は思う存分、我が道を進んでくれ』
495 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:46:28.01 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(-_-)「……」
甘いかもしれない、と思う。
しかしそれが彼女なのだろう、とも思う。
ならば、迷う必要は、ない。
先頭を走るヒッキーの視線の先、修道着に身を包んだ男が曲がり角から現れる。
「え?」
突然の遭遇に困惑する男に対し、心構えの出来ていたヒッキーの行動は素早かった。
接近して首根っこを引っ掴むと、力任せに床に叩きつける。
男は状況を把握する間もなく、強烈な衝撃に気を失う。
496 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:47:31.69 ID:4liYLCSZO
支援支援
497 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:50:58.94 ID:2WLLTcrCO
支援支援
498 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:51:23.95 ID:RoiL6Hj7O
_
(;゚∀゚)「スッゲ……」
後に続いたジョルジュ他が感嘆したが、さらに一息つく間はなかった。
「だ、誰かッ!!」
奥にいた修道女が叫び、助けを呼ぶ。
気付かれることが目的だ。支障はない。
このまま敵が来るまでに裏庭まで突っ込めば状況は大分楽になる。
脇道にいる修道女は無視して、ヒッキーはそのまま礼拝堂に向かった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
川 ゚ -゚)「……始まったか」
同時刻。
にわかに大聖堂内が騒つき始めたのを察知して、クーは剣を抜いた。
川 ゚ -゚)「……行くぞ」
クーがドアに向け身構え、そして、
499 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:53:29.61 ID:RoiL6Hj7O
バン!
裏庭に通じるドアを蹴とばし、ヒッキーは裏庭に飛び出した。
何事か、と言った表情の修道女やその他の人間がの視線を浴びながら、
ヒッキーはその身体を変質させた。
−−−−へい、ショータイムだぜ、平和ボケも目が覚める一発だ
雄叫びが裏庭に響き渡る。
邪魔者を恐怖させ、追い出すにはそれだけで十分だった。
逃げ惑う修道者と入れ替わるように、裏庭を囲む建物のうち、ヒッキー達が出てきた建物の向かいの建物から各々武器を持った男達が駆け出してくる。
_
(#゚∀゚)「ぶっ飛ばせッ!!」
ジョルジュが吠え、呼応するように仲間たちが突撃した。
500 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 21:58:16.78 ID:RoiL6Hj7O
−−−−ここまでが頃合いだな。
(-_-)「……」
自分の脇を駆け抜けて男達と激突するジョルジュ達を一瞥して、ヒッキーは踵を返した。
ジョルジュ達には申し訳ないが、ここからは自分の目的を果たさなければならない。
彼女の身に何かが及ぶ前に。
ヒッキーは彼女がいるであろう塔を目指して駆け出した。
501 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:00:43.91 ID:xqe7d/ZCO
支援
502 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:02:18.04 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
来た道を戻ったので、ヒッキーは行く手を塞ぐ何者かに出会うことは無かった。
途中出会う、障害物にもならない人間を押し退けながら、ただひたすらに塔を目指し駆け抜ける。
そして−−−−
ドアを最早、ぶち抜く、と言った表現が正しいような開け方をして塔に辿り着いたヒッキーは、
同時に息を呑んだ。
503 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:02:51.12 ID:BRiwl08r0
支援
504 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:07:36.80 ID:RoiL6Hj7O
いない。
ベッドにも椅子にも部屋の隅にも壁にも天井にも何処にも、彼女はいない。
ただ、何の代わりか、一人のシスターが、塔の中の部屋を掃除しているような格好で、こちらを見て唖然としているだけだった。
(;-_-)「……」
間に、合わなかっ、た?
背筋を走る悪寒と同調するように、ヒッキーの身体が人間に戻る。
よぎる不安と焦り。
ヒッキーは呆気に取られているシスターに半ば反射的に掴み掛かった。
(;-_-)「どこだ!」
声を荒げてシスターを壁に押しつける。
「な、何を」
(;-_-)「彼女は、彼女を何処にやった!?」
505 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:08:11.63 ID:RoiL6Hj7O
「……彼女って、人柱?
なら教主様がたった今……」
(#-_-)「何処だって聞いているんだ!!」
掴む襟を締め上げてヒッキーは叫ぶ。
「れ、礼拝堂の地下よ!」
鬼気迫るヒッキーの様子に、シスターは悲鳴のような金切り声で答えた。
「人柱を捧げる場所よ!
時期を早めるって……でもあそこは原則立ち入り禁……」
そこまで言ったところで、シスターの言葉は呻き声で途切れた。
506 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:10:03.71 ID:RoiL6Hj7O
(; _ )「……」
シスターの鳩尾に叩きこんだ拳を引き、崩折れる身体を手放し、ヒッキーは再び駆け出した。
今度は窓に向かって。
礼拝堂の場所はさっきジョルジュ達と別れた裏庭のさらに先の方にあるはずだ。
なら、外から回り込んだほうが得策。
−−−−ああ、デジャヴ
ヒッキーは窓を開け放つと、そこから身を乗り出し、建物の上を目指し壁を登った。
それなりの高さがある屋根にまで到達すると、泥棒さながらに駆け抜ける。
一望できる裏庭を見ると、そこにまだジョルジュ達の姿が有った。
しかし気に掛けている時間もない。
ヒッキーは視線を前に向ける。
屋根の段差を踏み切り飛び越えて跳躍。
礼拝堂が真下にあることを示す証と言える天窓を、着地の勢いに任せて踏み抜いた。
507 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:10:21.53 ID:4liYLCSZO
ヒッキーが熱い
508 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:11:04.58 ID:HBlGIYKXO
支援支援んんんんッ
509 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:13:05.58 ID:Mm+jLhQ9O
支援
510 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:13:31.24 ID:RoiL6Hj7O
ガラスの割れる音と天窓の鉄枠がひしゃげる音を同時に響かせ、
ヒッキーは天窓をブチ破って礼拝堂に着地した。
どうやら、ここは非戦闘者達の避難場所になっていたようで、
またしてもヒッキーに視線が集まる。
結局、裏庭と同じ光景がヒッキーの一吠えで繰り広げられた。
−−−−はいはいデジャヴデジャヴ
ハインがさもつまらなさそうに言う。
−−−−でさー、礼拝堂の地下って聞いたけど、何処から地下へ行くのか知ってんのか?
(;-_-)「……あ」
511 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:14:29.42 ID:sSSTBDy+0
頭は悪いんだなw
512 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:17:12.62 ID:RoiL6Hj7O
−−−−オイオイ……。
白けるぜ、マジで……コメディじゃねーんだからさぁ。
ちょっと熱くなったじゃんと思ったらこれだ
しまった、あのシスターに聞いておくべきだった、と思ったところでどうにもならない。
−−−−肝心なとこで抜けてんなー、やっぱりヒッキーはヒッキーか。
あの娘のことになるとてんでダメなんでやんすね
(;-_-)「……茶化さないでくれよ」
−−−−まぁ、セオリーで行けばだな。
礼拝堂の地下なんつー意味ありげな秘密の場所の入り口なんて定番過ぎて予想出来まくりんぐだろ。
明日使える無駄知識を持ち合わせてないヒッキー君には分からないだろうが、例えば礼拝堂に架かる無数の垂れ幕の裏側とかな
(;-_-)「……」
−−−−お、ビンゴ。お礼に10万寄越せ
無視。
今はイラついている場合じゃない。
ヒッキーは礼拝堂の真正面、壇の後ろ側に架かる垂れ幕の裏にあった、地下へ続く階段を駆け下りた。
513 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:18:44.87 ID:RoiL6Hj7O
第九幕終了。
思うことが色々出てきてアレなんですがあとがきに垂れ流すということで以下第十幕。
514 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:19:01.75 ID:4liYLCSZO
わかりやすい
515 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:19:33.71 ID:4liYLCSZO
516 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:19:58.67 ID:JDi79nP/O
やっと追い付いたwww
wktk支援
517 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:22:51.01 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
結局は、自分勝手なんじゃないの?トカゲ男クン
狂う自分にせめて何か、誇れる何かを身勝手に生み出したいだけなんでしょ?
それで愛しい人柱のあの娘は振り回されるんだよ
それは幸せ?幸福?万事解決?問題無し?
それはキミだけじゃないのかな?
ねぇ。
キミは何でそこまでやるの?
518 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:23:47.09 ID:xqe7d/ZCO
支援!
519 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:24:17.37 ID:4liYLCSZO
支援
520 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:26:27.36 ID:JDi79nP/O
支援
合成とやらでハガレンを思い出した
521 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:26:30.47 ID:RoiL6Hj7O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(-_-)「……」
……見つけた。
階段を下りた先。
広がるのは、松明も無く、壁自体に刻まれた模様が発光して照らしだされる空間。
そこに、彼女がいた。
呼吸に肩を上下させながら、ヒッキーは振り向いた彼女と目線をあわせる。
/ ,' 3「誰だ?」
その後ろにいる、荒巻スカルチノフも視界に捉えながら。
522 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:27:46.18 ID:4liYLCSZO
キメラだったかな、支援
523 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:29:26.40 ID:RoiL6Hj7O
(;゚ー゚)「なん、で」
先程のシスターと同じような表情を浮かべ、彼女……しぃは言う。
しぃは真っ白なワンピースに身を包み、その姿は妖しい光に照らされて不可思議な雰囲気を醸し出していた。
(-_-)「助けに、来たんだ」
ヒッキーは、あの時、塔でしぃと話したときと同じように答えた。
今度こそ。貴方を。
524 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:31:06.29 ID:BRiwl08r0
俺はハインのセリフがブラクラのレヴィで再生される
525 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:31:35.86 ID:RoiL6Hj7O
/ ,' 3「誰かと思えば……全く、何処までも役にたたんな、奴らは」
二人の間に、スカルチノフの言葉が割って入る。
しぃの肩を掴むと、ぐい、と引き寄せた。
/ ,' 3「何の用かね、悪魔よ」
−−−−まだ言うか、このジジイ
(-_-)「その人を放してもらう」
/ ,' 3「放す? 何故?
この娘は人柱として、貴様等を駆逐する代償としてここで命を捧げるのだよ」
(#-_-)「……ふざけるな」
/ ,' 3「ふざけてなどおらん。貴様こそ悪魔の分際で何を言うか」
(#ー_-)「悪魔はお前の方だろう……! 僕達をあんな……!」
/ ,' 3「……ふん、戯言を聞く暇はないのだよ」
スカルチノフがヒッキーの言葉を切り捨て、嘲笑うように目を閉じて息を吐き、
そして……目を開いた瞬間。
ヒッキーの拳がスカルチノフの顔面を殴り飛ばした。
526 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:31:40.20 ID:sSSTBDy+0
教主は何をするつもりだったんだ?
527 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:33:58.02 ID:RoiL6Hj7O
−−−−おー、清々しいクリーンヒット
吹き飛ぶスカルチノフ。
ヒッキーはそのままスカルチノフとしぃの間に立ちはだかった。
(#-_-)「お前の好きにはさせない。
彼女をお前の実験の犠牲にはさせない。
神を創るなんて……そんな馬鹿げた実験、ここで終わらせてやる……!」
/ 3「フ……フハハハ」
吹っ飛んで倒れこんだ体勢のままスカルチノフは笑って、ゆっくりと身を起こした。
すかさずヒッキーが詰め寄り、もう一度殴りかかる。
が。
(-_-)「……!?」
パシッ、とスカルチノフの手がヒッキーの拳を受けとめた。
528 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:35:03.86 ID:xpq2DHFi0
支援
529 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:36:04.70 ID:RoiL6Hj7O
/ 。゚ 3「俗物めが……。あまり調子に乗るなよ」
今までとは打って変わって深い声が、スカルチノフの喉から唸るように聞こえた。
同時に走る直感。
ヒッキーは素早く距離を取り、しぃの前に盾となるように位置を取った。
/ 。゚ 3「貴様に一つ、間違いを訂正してやろう。
ワシは、神を創るために実験など行ったのではない……」
おぞましい声はヒッキー達のいる空間に不気味に響く。
/ 。゚ 3「神になるため、だ」
それは明らかにこの線の細い老人から発せられるようなものではなく、
しかし明らかにこの線の細い老人から発せられているものであった。
/ 。゚ 3「最早隠す必要もあるまい……。
すぐに終わらせてやるわ……」
そして。
スカルチノフは、変容した。
ヒッキーよりも圧倒的に。
530 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:36:07.84 ID:4liYLCSZO
それはココからだろ
531 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:37:49.82 ID:sSSTBDy+0
圧倒的荒巻っ・・・!!
532 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:38:59.67 ID:4liYLCSZO
ktkt
533 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:39:37.03 ID:xqe7d/ZCO
支援
534 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:41:27.33 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「……!」
メキメキと音を、立ててスカルチノフの身体が膨張し、新たな形容に変わってゆく。
大蛇をさらに倍に拡大したような右腕。
剛毛に包まれて、膨れ上がっている左腕。
胴体と脚は最早言い例える形容詞や副詞が見つからない、邪悪で鋭利で重厚で肥沃で危険な異形。
頭は頭ではなく、目玉を乱雑無数に埋め込み、巨大な口がついている球体と言ったほうが正しい。
それが、変容したスカルチノフ。
数多の人の命を犠牲にし、身の毛のよだつ実験を繰り返し、そしてそれらから得たものを貪欲に愚直に取り込み続けた結果。
一体どうやってそこに到ったのか皆目検討もつかない、
人間の成れの果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果ての果て。
(゚。W。゚)「分かるだろう……貴様など私の……神となる存在の前では塵芥に等しいのだ」
535 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:42:48.17 ID:sSSTBDy+0
支援
536 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:44:12.80 ID:4liYLCSZO
支援
537 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:44:49.51 ID:RoiL6Hj7O
−−−−誰か鏡持ってきて言ってやれ。
「新世界の神はイケメンに限る」ってよ
(;-_-)「黙れ」
余裕綽々のハインを放っておいて、ヒッキーはしぃを後ろに下げた。
(;-_-)「n……」
単純な体躯の巨大さによる圧迫感に気圧されながら、しぃに「逃げろ」と告げようとした瞬間、
スカルチノフの右腕、極太の蛇がヒッキーに向かって伸長し、口を大きく広げて突っ込んできた。
(;-_-)「く……!」
しぃに退場を促す間もなく、ヒッキーはしぃを後ろに庇いながら蛇を躱す。
が、蛇はヒッキーの動きを追尾するようにその身を折り曲げ、腕に食らい付いた。
強烈な力で引きずられたヒッキーは次の瞬間、投げ飛ばされて宙を舞う。
538 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:46:45.60 ID:xqe7d/ZCO
wktk
539 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:47:29.62 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「ーッ!」
かなりの勢いで壁に衝突する寸前、体勢を整え、そのまま壁に着地する。
90゚重力に逆らいながら、落ちるギリギリまで力を溜め、姿を変容させ、ヒッキーは壁を蹴った。
(# _ )「ウオオッ!」
再び奮われる蛇の攻撃を身を捩って躱す。
追撃も振り切って、ヒッキーはスカルチノフに肉薄すると、
限界まで鋭く硬く変質させた爪を脇腹に突き立てた。
直後には肉の焼ける音。
540 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:49:43.78 ID:JDi79nP/O
( ゚W゚)
541 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:50:57.60 ID:xpq2DHFi0
支援
542 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:51:56.12 ID:4liYLCSZO
ラスボスだなぁ支援
543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:52:44.98 ID:RoiL6Hj7O
灼熱に焼かれたスカルチノフが呻き、吠えながらヒッキーを叩き潰そうと鉄塊のような左腕の一撃を振り下ろす。
素早く身を退いたヒッキーの面前でスカルチノフの一撃が床を粉砕した。
つーのそれとは比べものにならない衝撃で床の破片が飛び散る。
拳大ほどの石が腹部を直撃して、ヒッキーはたまらず呻いた。
それでも何とか踏みとどまる。
追い討ちをかけるように蛇が食らい付いてきて、
ヒッキーを捉える直前、ヒッキーは何とか顎を掴んで押し止めた。
544 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:55:25.56 ID:RoiL6Hj7O
目の前の蛇の咥内に吸い込まれるような感覚を覚えながら、
ヒッキーはスカルチノフを見据えた。
(;-_-)「……これが……こんなものが神か……!!」
(゚。W。゚)「そうだ。
……そもそも神の姿など、人が勝手に想像するものに過ぎない。
自身の希望を投影した、都合のいい理想像。
実際、誰も抗えない、圧倒的な力を持つ者がいれば、それが神なのだよ」
(;-_-)「そんなもの神じゃない……!
ただの暴君じゃないか!」
(゚。W。゚)「民衆はそうは考えないだろうな。
奴らは自身が被護下に置かれるならば喜んで長いものに巻かれる輩だ。
民衆は既に洗脳されている……楽なものだよ……。
私は神となった偉大な存在として、これまでと変わらず、永遠に支配を続けるだろう。
ただ、貴様等のように逆らうものは排除する。神に仇なすものは、悪魔以外の何者でもないからな……ッ!」
スカルチノフはヒッキーに食い止められた右腕を乱暴に振り回し、ヒッキーを振りほどくと、
そのまま鞭のようにしなった蛇の胴体でヒッキーを打ち据えた。
545 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:56:07.72 ID:WyiRPQFoO
支援
546 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:56:32.92 ID:JDi79nP/O
荒巻は歳は取らないのかな?
547 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:58:06.62 ID:RoiL6Hj7O
(; _ )「グッ……」
とっさに構えた腕から伝わる衝撃に肋骨が軋むのを感じながら、
ヒッキーはいとも簡単に吹き飛んだ。
地面を転がって、ヒッキーは何とか起き上がる。
面前には、既にスカルチノフの姿があった。
(゚。W。゚)「ぬぅん!」
左腕が振るわれ、ヒッキーを上から叩き潰す。
(゚。W。゚)「ヌ……?」
548 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 22:58:20.10 ID:xqe7d/ZCO
支援しえーん
549 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:01:38.83 ID:W0lwPMYCO
作者も話も熱いな………。
是非まとめに乗って欲しいな。
550 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:01:49.61 ID:RoiL6Hj7O
( _ )「……」
スカルチノフの左腕を、ヒッキーはヒトから掛け離れた姿で、真正面から受けとめていた。
(゚。W。゚)「……フン、それが貴様の正体か」
スカルチノフがヒッキーの姿を詰る。
(# _ )「ア"ァアア"ッ!!」
巨大な爬虫類の様相を剥き出しにしたヒッキーは、スカルチノフの左腕を力任せに押し返した。
たたらを踏んで揺らぐスカルチノフの身体に、ヒッキーが体当たりをかます。
完全にバランスを失ったスカルチノフが、真後ろに倒れる。
好機と見たヒッキーが飛び掛かった。
(゚。W。゚)「図に乗るなよ」
( _ )「!」
スカルチノフが唸るようにそう言い捨てた瞬間、その右腕がヒッキーの身体に絡み付いた。
551 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:02:05.61 ID:HBSsSzTsO
支援
552 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:05:38.12 ID:4liYLCSZO
支援
553 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:06:43.87 ID:RoiL6Hj7O
右足から右腕を巻き込み、胸まで螺旋状に巻き付いた蛇の頭部が唯一束縛を逃れた左腕に噛み付いた。
(゚。W。゚)「茶番劇は仕舞だ。
もう飽きた」
蛇がその屈強な胴体でヒッキーを締め上げる。
(; _ )「グウゥッ……!」
脇腹にナイフで乱れ突かれたかのような激痛が走り、ミシリミシリと身体が音を立てた。
何とか抵抗を試みようとするが、激痛に苛まれて力が抜けていく。
(# _ )「ヴゥアァア!」
それでも渾身の力を込めて、蛇の束縛を緩める。
(゚。゚。゚)「フン、くだらん」
スカルチノフは右腕を振り上げて、捕まえているヒッキーを壁に向けて投げつけた。
遠心力のついた勢いでヒッキーは容赦無く壁に叩きつけられる。
身体中がバラバラになったのかと思う程の衝撃がヒッキーを襲い、
そのままヒッキーは紐の切れた操り人形のように石畳に落下した。
554 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:09:53.99 ID:RoiL6Hj7O
( _ )「……」
むくり、とヒッキーは起き上がる。
最早目は虚ろで、意識があるのかどうか疑わしい。
けれどその足は身体をギリギリの瀬戸際で支えている。
スカルチノフの右腕がヒッキーを再び壁に突き飛ばし、
ヒッキーは再び倒れこむ。
それでも、ヒッキーは起き上がった。
( _ )「……」
しかし、その身体はすぐに前のめりに倒れ、動かなくなった。
(゚。W。゚)「ゴキブリの様にしぶとい奴だ……。
一応は生かしておいてやる。
何の突然変異か知らんが……、火を扱えるというのは興味があるからな。
ただし……今は、こちらが優先だがな」
(;゚ー゚)「!」
スカルチノフは、動かなくなったヒッキーから、立ち尽くすしぃに視線を変えた。
555 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:13:18.87 ID:RoiL6Hj7O
(゚。W。゚)「怖がることは無い……」
十分に異形のスカルチノフの身体が、またしてもその姿を変えた。
胴体のど真ん中に、真一文字に切り込みが入ったかと思うと、
そこからあまりにも巨大すぎて上下の噛み合わせが合わないほどの牙が乱雑に生え、
そして真一文字の切れ込みがガバリ、と開き、何ともグロテスクな楕円形の口が現れた。
(゚。W。゚)「むしろ喜ぶべきだ……。
神となる私の身体の一部として、私の命の燈となる他の生け贄と共に、永遠の時を刻めるのだから……」
(;゚ー゚)「……嫌……」
最早スカルチノフの言葉など聞こえない位にしぃは恐怖に捉われていた。
足は竦んでびくともしない。
(゚。W。゚)「こレでまた……私はカミに一歩近付ク……」
スカルチノフは一歩一歩、彼女に向かって歩を進めた。
556 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:18:36.94 ID:RoiL6Hj7O
( _ )「……」
視界に二人が映る。
彼女が……しぃが、スカルチノフの恐怖に晒されている。
行かなければ。
気持ちだけが肉体から引きちぎれんばかりに彼女とスカルチノフの間へと向かう。
しかしそれを実行に移す身体が、思うようには動かなかった。
( _ )「……畜生……」
やがて視界が霞んでいく。
意識が沈んでいく。
結局……、
−−−−おしまいか、ヒッキー
嘲笑うようにハインが問い掛けた。
557 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:19:40.36 ID:RoiL6Hj7O
−−−−ざまねぇな、オイ。
ラスボス戦にしちゃ呆気なさすぎて白けるぜ。
もうちょっと踏張れよ。
−−−−まだ死んでないだろ?
後悔なんざ、死んでからしろ
558 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:21:41.11 ID:HZ6rxVXfO
スレ伸びてると思ってたきたが
作者がいっぱい投下してるだけか、なんだ
559 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:22:02.48 ID:RoiL6Hj7O
( _ )「……」
……そうだ。
まだ……まだ、やれる。
まだ、死んでない。
ヒッキーは自分で自分の脇腹を握り締めた。
身を走る激痛が、意識を無理矢理に引きずり上げる。
−−−−そうさヒッキー。命を大事になんかすんな。
作戦は最後まで「ガンガンいこうぜ」に決まってんのさ。
命を極限まで削りきって、極限まで尖らせるんだ。
痛みも、辛さも、全部何もかも、命を燃やすタメの薪だ。
目の前の障害を、圧倒的な怒りと偏見で、その命を持ってねじ伏せて貫いて破壊しろ。
力が欲しけりゃ、くれてやるぜぇ!?
560 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:25:03.27 ID:xqe7d/ZCO
支援!
561 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:26:31.85 ID:RoiL6Hj7O
(゚。W。゚)「我ガ念願……やット……」
ジリジリとしぃに迫るスカルチノフは、瞬間、背後から突き刺さる悪寒を感じた。
(゚。W。゚)「!」
思わず振り返ったスカルチノフの面前を何かが駆け抜ける。
チリ、と空気の焦げるような、音。
(゚。W。゚)「!?」
スカルチノフは、しぃと自分の間に割って入ったソレを見て、自身の目を疑った。
562 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:27:49.70 ID:fY4QCXNnO
支援
563 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:29:24.94 ID:RoiL6Hj7O
炎。
轟々と燃え盛る、蜥蝪の形を得たそれが、スカルチノフの野望を目前にして妨害すべく立ちはだかっていた。
(゚。W。゚)「何ダと……!?」
よくよく見れば、炎の中には芯のように、一回り小さな形が見て取れる。
(゚。W。゚)「……何故だ」
それをヒッキーと認識したスカルチノフは思わず問い掛けた。
(゚。W。゚)「そこまでシて何を望ム!?
、命ヨリも何よリモ、この少女ガ大事か!?
貴様には何の見返りもなイぞ!」
それは何の根拠もない、ただヒッキーの士気を削ぐために吐いた戯言だったが、
ヒッキーには何の効果もなかった。
564 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:29:39.63 ID:CmzagcNB0
おお、熱い、熱いぞサラマンダー!
565 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:31:13.06 ID:4liYLCSZO
こんな熱い話になるとは思いもしなかったぜ
566 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:31:22.07 ID:RoiL6Hj7O
……お前に何が分かる。
……僕が、彼女にどれほど救われたのか、お前に分かるはずがあるものか。
答えなど明白。
死ぬまで、彼女を救いたいと思える……そして、救う為に何物も厭わない自分でありたいだけだ。
全てを懸けても悔いなど残りはしない。
(゚。゚。゚)「……ウジ虫めがァアッ!!」
スカルチノフが己を鼓舞するように叫びながら左腕を振りかぶる。
ヒッキーが纏う炎をかき消そうと水平に薙払われかけた左腕を、ヒッキーは避けるのではなく、逆にスカルチノフへ飛び掛かることによって制した。
567 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:31:37.55 ID:xqe7d/ZCO
燃えろ!
支援
568 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:34:01.79 ID:RoiL6Hj7O
蜥蝪をかたどる炎の四肢が、スカルチノフの巨体を押さえ付けて押し倒す。
肉の焼ける匂いを嗅ぎながら、に右の腕に食らい付くと、太い蛇の胴体をブチブチと筋繊維を乱暴に引きちぎった。
スカルチノフが絶叫する。
(゚。W。゚)「グアッアアッ!!
こ、ノ……っ!」
必死の思いで振りほどいて、残った左腕で弾き飛ばす。
炎は優雅に舞うと、再びしぃとスカルチノフの間に着地した。
( _ )「……」
身体が熱かった。
自身も身に纏う炎に焼かれているようだ。
けれど、言い知れぬ昂揚感がある。
面前のスカルチノフを粉々にしたいという破壊衝動。
命を削って、燃え上がらせる戦意。
ヒッキーは身に纏う炎をより一層燃え盛らせた。
起き上がるスカルチノフを見据える。
569 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:34:43.58 ID:L7caBeQmO
灼熱支援
570 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:34:47.09 ID:BRiwl08r0
支援
571 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:35:38.51 ID:HBlGIYKXO
燃え支援
572 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:35:59.95 ID:RoiL6Hj7O
(゚。゚。゚)「害虫メがっ!!殺ス!!殺しテ殺シて殺シテ殺すァあアあぁガァあァあア!!」
正気を失ったかのような叫びをあげて、スカルチノフが突撃してくる。
ヒッキーはスカルチノフに対し、炎を操って放射する。
スカルチノフの面前で放たれた炎が燃え上がり赤い壁を立ち上らせ、
スカルチノフの姿は赤い灼熱に包まれた。
(゚。W。゚)「ヌゥガァアアア!!」
しかしそれもつかの間、自身が焼けることも構わない捨て身で、スカルチノフが炎の障壁を突破してきた。
振り上げられた左手が、巨大な鎚となって振り下ろされる。
ヒッキーは跳躍、スカルチノフの背後を取るように宙を舞った。
573 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:39:23.15 ID:RoiL6Hj7O
(゚。W。゚)「カかッタなァ!!」
スカルチノフの口が愉悦に歪む。
左手に掴んだ巨大な石畳を力任せに床から引き剥がすと、振り返りざまに投げ付けた。
炎が着地すると同時、石畳が炎を直撃して、轟音が響き、土埃が舞い上がった。
(゚。W。゚)「クハはハハハァアハハハ!!」
勝ち誇るようにスカルチノフは笑う。
笑い声に合わせて波打つ、その下腹部を、一本の腕が深々と刺し貫いた。
574 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:40:37.27 ID:4liYLCSZO
灼熱支援
575 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:41:27.45 ID:2WLLTcrCO
ヒッキーを殺したら許さんからな
576 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:43:13.37 ID:RoiL6Hj7O
(゚。W。゚)「な」
スカルチノフの言葉は喉からせり上がる血液に邪魔をされて不意に途切れ、
直後にスカルチノフは吐血した。
(゚。W。゚)「ガハッ!ガアアッ!!」
(-_-)「……」
スカルチノフの頭上を飛び越えた炎は囮。実体であるヒッキーは、ただ真上に跳躍して、スカルチノフを騙したのだ。
(゚。W。゚)「……ば、馬鹿ナァ……ッ!
わ、ワシが、カミニナルコノワシガ、ワシガ……?!?!」
−−−−幕引きだ
スカルチノフの身体が、ヒッキーの発した炎に包まれて燃え上がった。
そのまま素早く手を引いて、ヒッキーは離れる。
響き渡る断末魔。
スカルチノフは言葉として意味のなさない何かを喚きながら、
残った左腕で、身を焼く業火を振り払おうとしたり、あるいは周りを破壊しようとしたり、
でたらめに藻掻いたりしながら、自分の生命を急速に終わらせていく。
( W )「カ、ミ……」
最後に呟くと、スカルチノフは辿り着いた壁に持たれ斯かるようにして倒れこんだ。
577 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:44:44.61 ID:xqe7d/ZCO
おぉ…
578 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:45:09.37 ID:4liYLCSZO
ヒッキーに支援
579 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:46:11.17 ID:HBlGIYKXO
これはいいヒッキー
580 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:46:43.12 ID:W0lwPMYCO
支援
熱いぜ…
581 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:46:52.84 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「……」
……終わった。
緊張の糸が途切れた瞬間、ヒッキーは石畳に膝をつき、手をついて息を吐いた。
もう痛みはどこがどうして痛むのか分からないほどあちこちから伝わってきて、
正に全身が痛むというのはこういうことなのだろう。
そんなヒッキーに、そっ、と寄り添う人がいた。
背中に触れる感触。
顔を上げれば、すぐ至近距離にしぃの顔があった。
泣きそうな顔で、唇を噛み締めて、申し訳なさそうな、そんな表情。
(* ー )「ゴメンね……」
絞り出すような声で、しぃはヒッキーに謝った。
582 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:47:57.01 ID:W0lwPMYCO
支援
583 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:48:14.07 ID:RoiL6Hj7O
(* ー )「私の、私のせいで、こんな……」
止めてくれ、とヒッキーは思った。
僕は貴方をそんな顔にしたくて、そんな事を言わせたくて、ここまで生き長らえてきたんじゃない。
貴方に、笑って欲しかった。
何かに悩まされて、苦しんでいる貴方を助けたかった。
そして、それで、その時にこそ、僕は……。
−−−−ヒッキー!!
(-_-)「!」
BGM 君が好きだと叫びたい
586 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:50:29.41 ID:4liYLCSZO
支援したい
587 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:50:51.75 ID:RoiL6Hj7O
ハインが雰囲気を打ち壊してまで自分の名前を呼んだ理由を、ヒッキーはすぐに知った。
寄り添うしぃの身体を突き飛ばす。
直後、ヒッキーの身体に無数の触手のようなものが巻き付いた。
(%W##)「グゥハハハァア!ツカマエタゾォオ!!」
それらの触手は、まだしぶとくその命を保っていた、スカルチノフの左腕の指先だった。
−−−−ジジィの癖してしぶとい野郎だな
触手はヒッキーを引きずり寄せていく。
その触手に、しぃが振りほどこうと掴み掛かった。
(;゚ー゚)「……ッ」
しかし、彼女の力ではどうしようもないことは触手に捕まっているヒッキーがよく分かっている。
それでも諦めない彼女にヒッキーが止めてくれと言う寸前、空間そのものが激しい揺れに襲われた。
588 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:51:52.89 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「!?」
−−−−チッ……、考えてみりゃ、柱も無い、ただっ広い地下の空間で衝撃をガンガン起こせばこうなるわな。今更だがよ。
……どうする。
川;゚ -゚)「ヒッキー!!」
(-_-)「!」
焦るヒッキーの背後から聞こえたのは、クーの声だった。
川;゚ -゚)「……驚いている暇は無さそうだな……!」
瞬間的に状況を把握するクーに感心する暇などない。
(-_-)「この人を連れて、ここから逃げてくれ……!!」
ヒッキーは咄嗟にクーにそう頼んだ。
589 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:53:07.93 ID:xqe7d/ZCO
ヒッキー!
590 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:53:49.57 ID:RoiL6Hj7O
(;-_-)「!?」
−−−−チッ……、考えてみりゃ、柱も無い地下の空間であんな馬鹿げた衝撃をガンガン起こせばこうなるわな。今更だがよ。
……どうする。
川 ゚ -゚)「ヒッキー!!」
(;-_-)「!」
焦るヒッキーの背後から聞こえたのは、クーの声だった。
川;゚ -゚)「……驚いている暇は無さそうだな……!」
瞬間的に状況を把握するクーに感心する暇などない。
(-_-)「この人を連れて、ここから逃げてくれ……!!」
ヒッキーは咄嗟にクーにそう頼んだ。
591 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:54:54.66 ID:JDi79nP/O
ヒッキーがすごくかっこいい…
592 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:55:01.30 ID:W0lwPMYCO
まさか……
593 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:55:38.17 ID:4liYLCSZO
チクショウ、ヒッキー死ぬな!
594 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:55:52.78 ID:Awe/3U9c0
大事なことなので二回言いました
595 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:56:23.77 ID:RoiL6Hj7O
(;゚ー゚)「ダメよ!」
却下したのはしぃだった。
(;゚ー゚)「貴方、そんな身体で……!」
(#-_-)「いいから行くんだッ!!」
ヒッキーは、今までにない強い口調でしぃに命令する。
けれどすぐに激しく咳き込んで血反吐を吐く。
(;-_-)「時間が、無いんだ……早く……頼むから……」
ヒッキーの身体がスカルチノフに引き寄せられ、しぃと距離がまた離れる。
川 ゚ -゚)「……行こう」
クーが立ち尽くすしぃを引き寄せ、肩を抱え込むようにして無理矢理に歩かせた。
川 ゚ -゚)「ヒッキー、死ぬなよ……」
そう言うと、クーはもう振り返らずにしぃの手を引く。
しぃは名残惜しそうに連れられていった。
596 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:57:41.10 ID:xqe7d/ZCO
生きのびてくれヒッキー…!
597 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:59:11.73 ID:4liYLCSZO
クッソォ、正直しぃはどうでもいいいのに……
598 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/26(金) 23:59:33.64 ID:RoiL6Hj7O
限界まで広げた咥内に見えるのは小さな火の玉。
それはすぐに大きさを増して、ヒッキーの面前で人の頭程に膨れ上がる。
−−−−派手にブチかませよ、地獄のそこまで突き落とさにゃあ、また帰ってくるぞ、このジジィは
(%W##)「カミ、ニ……カミ……」
その戯言も、もううんざりだ。
この世から消え去れ。
ヒッキーはスカルチノフに向け、極限まで溜めた火球を射ちだした。
599 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:01:17.99 ID:/PWu57iL0
うおおお!燃やし尽くせ!サラマンダー!!
600 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:01:36.03 ID:Hhfl2jb/O
火球はゴウッ、と真っ直ぐにスカルチノフに向かって行き、着弾と共にスカルチノフを再び業火に包み込む。
(%W##)「フヒハ、ミエタ、ミエル、ワタシは……フハハ」
もはや絶叫すらせず、ブツブツと呟き、薄ら笑いすらしながら、スカルチノフはその生涯を神になることなく終えた。
601 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:03:52.90 ID:PxBxI6rb0
ヒッキー…(´;ω;`)
602 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:04:10.44 ID:naiRsltCO
うぉおおおお
603 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:04:33.21 ID:Hhfl2jb/O
( _ )「……」
ヒッキーはその場に仰向けに倒れこむ。
ひび割れ、振動する天井が見える。
痛みはもう何処かにいってしまったようだった。
恐怖も、絶望も、悲しみも、何もない。
けれど、それらとは別に、大声で叫びたいほどの感情が、ヒッキーを満たしていた。
( ー )「悪くないな……」
崩落する瓦礫が雨のように降り注いで、ヒッキーは舞い上がる土煙の中に消えた。
604 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:05:10.38 ID:bEohqSa3O
あぁ……!
605 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:07:56.17 ID:gLKfCv4cO
ヒッキー……(´;ω;`)
606 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:08:46.55 ID:lUjKkZXpO
ヒッキィィィィ!!!
607 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:08:57.33 ID:Hhfl2jb/O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ガラリ、と音がして、瞼の裏に光が射す。
視界が赤くぼんやりとする。
ゆっくり、眼を、開く。
真っ先に映ったのは、しぃの顔だった。
608 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:09:08.27 ID:bEohqSa3O
ヒッキー………
609 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:10:19.49 ID:lUjKkZXpO
支援…!!
610 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:10:25.23 ID:Hhfl2jb/O
( _ )「……」
自分がまだ生きていることよりも何よりも、そのしぃの表情が気に掛かった。
彼女は、泣いていた。
とうとう泣かせてしまった。
全く僕はダメな奴だ。
(*;ー;)「ヒッキー君……!」
……ああ、名前、覚えてくれたのか。
( _ )「……」
何か言おうとしたが、声にならなかった。
口の中がひどく乾いている。
唾を飲むのにも一苦労だった。
611 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:10:32.11 ID:naiRsltCO
さるかぁあああああああああああああ
支援んんんんんんんん
612 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:11:44.44 ID:qjC2LhUdO
烈火の炎っていう漫画に、けっこう近い気がする・・・
613 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:11:49.96 ID:lUjKkZXpO
猿にはさせん!!
支援
614 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:12:19.64 ID:Hhfl2jb/O
川;゚ -゚)「待っていろ、すぐに助けだしてやる……!」
クーの声が聞こえて、横たわる自分の下半身の方を見る。
自分の身体は未だ半分以上が瓦礫に埋まっているのを知って、
ヒッキーは何となく察する。
間に合わない。
下半身はひどく寒い。恐らくは瓦礫の下で無残な様を成しているのだろう。
クー達に掘り起こされるよりも前に、自分の身体が保たなくなる、そんな直感があった。
615 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:13:34.42 ID:lUjKkZXpO
支援
616 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:14:06.06 ID:naiRsltCO
勘違いだった
支援
617 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:14:17.03 ID:bEohqSa3O
ヒッキー……っ
618 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:15:39.02 ID:Hhfl2jb/O
……ちょうどいい。
本当の幕引きを引くときがきたのだ。
今がその頃合いなのだ。
遠からず、自分は自分の望む自分でいられなくなる。
狂う。本能が暴走する。
今はまだ、理性のブレーキがその暴力の矛先を制しているけれど、
やがて彼女を破壊したくなるかもしれない。
結末がその内のどれであれ、それは結局、自分が今までやってきたことを無駄に帰すことになりかねない。
そんな結末は望みたくもない。
彼女にだって、僕のような存在はこれから生きていく中で障害にしかなり得ない。
意識など、もういつでも手放せる。
ただ、最後に、最後に。
これだけは伝えたい。
( _ )「…う…」
上手く動かない口で、ヒッキーは精一杯声を絞り出す。
(*つー;)「あ……何……?」
感じ取ったしぃが、涙を拭って口元に耳を寄せた。
619 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:15:43.83 ID:naiRsltCO
ヒッキー……!
620 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:17:20.27 ID:bEohqSa3O
……あぁ、ヒッキー
621 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:17:31.02 ID:lUjKkZXpO
支援……
622 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:17:59.50 ID:qjC2LhUdO
情熱支援
623 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:18:29.30 ID:058AXrCsO
殺すなよ!絶対殺すなよ!
(´;ω;`)
624 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:19:05.00 ID:Hhfl2jb/O
( _ )「あ……」
貴方に、会えて、良かった。
貴方が、「僕」を生かしてくれた。
貴方のおかげで、僕は他ならぬ「僕」だった。
( _ )「り、がとう」
ありがとう。
貴方に、ありがとう。
やっと、やっと言えた。
ずっと思っていたんだ。
貴方を助けだすことが出来たら、貴方を救うことが出来たら、
その時にこそ、その時にだけ、その時にやっと、僕は、貴方に感謝出来る。
そう決めて、生きてきた。
だからもう、生きられなくたって、いい。
( _ )「ありがとう」
しぃの涙が、ヒッキーの顔に落ちる。
涙の伝うその顔は、何処までも安らかで、その口は、幸せそうに微笑んで、
その目は、閉じられたまま……
625 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:19:16.36 ID:naiRsltCO
ヒッキー死ぬなぁああああああああああああ
626 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:19:49.73 ID:hk1wN4j1O
マジかよ…
627 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:20:18.75 ID:lUjKkZXpO
……あぁ。
628 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:20:48.85 ID:Hhfl2jb/O
第十幕終了。
最後、第十一幕いきます
出来るならお付き合いください
629 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:21:07.62 ID:qjC2LhUdO
ヒッキー・・・逝ったか・・・
630 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:21:45.60 ID:naiRsltCO
付き合うさ、支援
631 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:22:00.51 ID:lUjKkZXpO
付き合うよ…
632 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:22:01.93 ID:bEohqSa3O
………ヒッキー
633 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:22:51.44 ID:qjC2LhUdO
つきあうぜ
634 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:23:56.61 ID:PxBxI6rb0
おk
支援する
635 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:25:00.09 ID:hk1wN4j1O
支援
636 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:25:32.13 ID:bEohqSa3O
支援…(つω;`)
637 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:25:58.99 ID:Hhfl2jb/O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
……閉じられたまま開かないはずだった。
「待てコラ」
(-_-)「!」
なのに、ヒッキーは額にデコピンを食らった。
いつの間にかヒッキーは真っ白な空間に佇んでいて、
向かい合うように、真っ赤な燃えるような長髪の、鋭い顔つきをした中性的な人間が立っていた。
从 ゚∀从「初めて人型で登場ハイン様だ、驚いたか」
そう言って、ハインと名乗ったそいつはニヤリと笑った。
(;-_-)「……ハァ?」
638 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:26:21.07 ID:qjC2LhUdO
まさか猿か・・・?
639 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:27:12.19 ID:lUjKkZXpO
ハインgj!!
640 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:27:22.35 ID:bEohqSa3O
! ハイン!!
641 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:27:45.93 ID:qjC2LhUdO
642 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:28:05.55 ID:Hhfl2jb/O
从 ゚∀从「切なくて、でも救いのある、なんて終わりは悪くはないがな……。
ちょっと待てよ、このクソガキ」
(;-_-)「……」
从#゚∀从「まず一つ目!オレのことを微塵も気にせずにめでたしめでたしで終わらせんじゃねーよ、このタコ!
恩を仇で返すを地で行くとはいい度胸だなぁオイ?」
いきなりハインは表情を一変させてまくし立て、ヒッキーに近寄るとヘッドロックを仕掛けた。
从#゚∀从「なぁ、せめて感謝の一言とか、あるいは謝罪の一言とか無いのか?無いの?無し?皆無?ゼロ?
久しぶりにイラッとしちまったよオイ、どうしてくれる」
(;-_-)「……すみません、ありがとう」
从#゚∀从「馬鹿言え、土下座した後に俺様の足を舐めてようやく許されるレベルだぞコラ」
(;-_-)「……馬鹿言ってるのはどっちだよ……」
643 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:29:05.65 ID:lUjKkZXpO
支援…w
644 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:30:01.08 ID:bEohqSa3O
支援っ
645 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:30:07.02 ID:qjC2LhUdO
ハイン容赦ねーなww
646 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:30:10.51 ID:Hhfl2jb/O
从 ゚∀从「ケッ、初めに会った時よりも随分と生意気になりやがって。
あの時の何事にも流されていっちまうようなひ弱なヒッキー君はどこ行ったんだ」
(;-_-)「……知らない」
从 ゚∀从「あーうぜー。
最後は何かカッコ付けてたけどよー、お前全然格好よくねぇぞ。
根っこの部分じゃ変わってないな」
(-_-)「……何が言いたいんだよ」
从 ゚∀从「何を諦めてるんだ、お前」
647 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:30:39.59 ID:Hhfl2jb/O
从 ゚∀从「なぁ、何で死ぬの?教えてヒッキー君」
( _ )「……」
从 ゚∀从「あれだ、ラスボス倒して自分に負けてりゃ世話ないぞって話だ。
魔王から世界を守った勇者が自分のレベルに恐怖して自殺とかしたらお前………………結構面白いか、しまった」
( _ )「……」
从 ゚∀从「とにかく、お前は生きろ。
死ぬまで生きろ」
648 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:30:54.03 ID:lUjKkZXpO
支援
649 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:32:18.50 ID:bEohqSa3O
支援
650 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:32:52.85 ID:058AXrCsO
ハインきたあああああああああ支援
651 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:33:08.62 ID:naiRsltCO
死ぬまで生きろヒッキー
652 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:34:45.10 ID:Hhfl2jb/O
( _ )「……何でだよ」
从 ゚∀从「たりめーだ馬鹿。
生きてりゃいつか狂う?ハン、笑わせるな。超絶博識なオレが教えてやるよ。
人間は生まれながらに身体に異常を作り出すキラー因子を持って生まれてくんだ。
でも人類が全てその異常で死んじゃいねー。
決まってないんだよ、異常を生み出す身体だからその異常で死ぬなんてよ。
事故死とか殺害とかAIDSとか、他にも吐き捨てるほど死因なんてものはあるんだ。
分かるか? 狂うから死ぬって変だろ違うだろ可笑しいだろ、狂ったら死ねよ馬鹿」
(# _ )「……そんなの、そんなの詭弁だ」
从 ゚∀从「それを決めるのはお前だろ。
狂うのもお前!彼女を殺すかもしれないのもお前!
選択肢は全部丸ごとお前が選ぶんだよ!
現に今までお前はそうやってきたろうが」
ヒッキーの頭を引き寄せて耳元でハインが怒鳴り付ける。
653 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:36:22.26 ID:Hhfl2jb/O
从 ゚∀从「何処までネガティブなんだよ、お前。
あの棍棒小娘の言うこと頭から信じきってビビッてるのがまる分かりだぜ?
「愛しの彼女と死ぬまでイチャイチャ」ルートはきちんと用意されてんだ。
後はそこに怯えず一歩踏み出せるかだろ。
少しは自分に自信持て。「狂わずに彼女と生きるんだ」って覚悟決めろよ。
それだけの事は出来るようになったはずだろ」
(-_-)「……」
从 ゚∀从「……ま、ぶっちゃけると、お前が死んでも俺は死なねーし、無関係な話なんだが、
お前みたいな、端から見てて面白くて惨めで滑稽なやつ、死なせるのは俺の快楽主義に反するんでな。
オラ、とっとと生き返れ」
そうしてハインはヒッキーの身体を突き放す。
次の瞬間、ヒッキーは目覚めた。
654 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:36:47.31 ID:gLKfCv4cO
風呂入ってる間に終わってなくてよかった保守
655 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:37:29.79 ID:qjC2LhUdO
ナイスハイン
656 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:37:47.65 ID:bEohqSa3O
生きろ!
657 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:38:18.75 ID:naiRsltCO
良かった
658 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:38:26.12 ID:Hhfl2jb/O
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(-_-)「……」
……酷い茶番劇だ。戯言だ。笑い者だ。
……結局、僕は生きているのか。
目覚めたヒッキーが横たわっていたのは今度は瓦礫の中ではなく、綺麗なベッドの上だった。
659 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:40:02.48 ID:lUjKkZXpO
くそ…規制がきつくて支援出来ない……。
支援
660 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:40:25.87 ID:PxBxI6rb0
これはいいハイン
661 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:41:05.47 ID:naiRsltCO
既に規制の向こう側だぜ、支援
662 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:41:39.56 ID:058AXrCsO
ヒッキー生きろ支援
663 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:42:02.00 ID:Hhfl2jb/O
(-_-)「……?」
身体を起こそうとしたとき、動かした左手が何かに掴まれているのを知った。
それは、ベッドの脇に座り込み、ベッドに俯いて寝ているしぃの手だった。
頭が一瞬熱を帯びて、ヒッキーは焦った。
川 ゚ -゚)「おはよう、ヒッキー」
(;-_-)「!」
声を聞いて慌てて視線を上げると、クーがドアを開けてたたずんでいた。
(*-_-)「……」
川 ゚ -゚)「目覚めて何よりだ。
……どうした、顔が赤いぞ」
(;-_-)「……いや何でも」
川 ゚ー゚)「そうか」
クーはニヤリと笑う。
バレてるな、とヒッキーは思ってなんだか情けなくなった。
664 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:42:17.15 ID:lUjKkZXpO
よっしゃ! 支援
665 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:43:17.40 ID:Hhfl2jb/O
川 ゚ -゚)「……五日だ」
(-_-)「……は?」
川 ゚ -゚)「君が眠っていた時間だよ。
一時は外傷、内傷、出血が激しくて生死の境を彷徨うどころか天国と地獄の境を彷徨っていたが……
何とかなったようだな」
(-_-)「……」
川 ゚ -゚)「峠を越えたとき、医者が目覚めるかどうかは君次第といっていたからな、私は起きると信じていたが……。
その娘は頑なに君の傍にいるといって聞かなかったよ。
まだ謝らなきゃいけない、だそうだ」
(-_-)「……」
改めて、しぃの寝顔を見る。
(* ー )「ん……」
すやすやと眠るその横顔に、思わずヒッキーの顔も綻んだ。
666 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:45:28.44 ID:bEohqSa3O
再生
ヒッキー良かった…!
667 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:45:37.94 ID:Hhfl2jb/O
……狂わずに生きる。
今まで、出来るとは思えなかった。
でも今は、出来るかもしれないと思う。
いつか、出来ると確信出来る日が来るのだろうか。
川 ゚ -゚)「……医者とショボンを呼んでくる」
クーがそう言って部屋を後にする。
−−−−空気を読める女は悪くないな
(-_-)「……いたのか」
−−−−ハァ?当たり前だろ。
何?あれでお別れとでも思ったか?
残念、オレはお前が死ぬまで一心同体、離れられないのさ
(-_-)「……最悪だ」
−−−−ヒャヒャヒャ、これも運命だ、恨むなよ?
精々、俺の凶暴性に負けないように頑張るんだな。
668 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:45:57.75 ID:lUjKkZXpO
生きてて良かった。
支援
669 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:46:12.10 ID:qjC2LhUdO
ヒッキー
670 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:46:36.39 ID:Qv2qJouEO
エターナルフォース支援
さるは死ぬ
671 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:46:41.00 ID:Hhfl2jb/O
(-_-)「……」
生きる。
それはとてつもない時間をヒッキーの目の前に繰り広げ、その時間の膨大さに目が眩む。不安もよぎる。
けれど。
(-_-)「……やってみようかな」
どこまで行けるのか、試してみよう。
彼女と、一緒に。
672 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:47:00.22 ID:naiRsltCO
さて、どうでも良い話だが町大混乱だろうな
673 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:47:24.51 ID:lUjKkZXpO
支援
674 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:48:09.31 ID:Hhfl2jb/O
−−−−−−−−−−−−−−−−エピローグ−−−−−−−−−−−−−−−−
675 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:49:10.44 ID:lUjKkZXpO
ラストスパート頑張って作者さん!!
支援
676 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:49:34.55 ID:bEohqSa3O
支援!
677 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:50:13.69 ID:Hhfl2jb/O
○月○日
沢山の事があって、私の住む世界は、少なくとも私が見て感じ取れる範囲で、大きく変わりました。
クーさん達が教会の色々な秘密や、悪事の数々を暴いて、街はとてつもない混乱に陥ったけれど、
クーさんがこの街を治める代表(クーさん曰く、あくまで代表で、皆の意見を反映するための役目だそうです)になって、
きちんとした体制が確立してから、ようやく落ち着いて、活気が戻りつつあります。
。
……そうそう、話は変わるけれど、クーさんはショボンさんと結婚するそうです。
あの二人はきっといい夫婦になるでしょう。間違い無し。
678 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:50:29.00 ID:gLKfCv4cO
支援。
最後まで頑張ってくれよ
679 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:50:29.81 ID:naiRsltCO
支援
680 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:51:30.21 ID:Hhfl2jb/O
そして、今日のニュース。
教会の悪事で失われた沢山の命を弔う集会が、行われました。
教会のしていたことは、身の毛のよだつような酷いことで、
私もあの恐ろしい目にあった身として、
亡くなった沢山の犠牲の魂の安息を願わずにはいられません。
681 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:51:48.27 ID:lUjKkZXpO
支援
682 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:52:05.65 ID:Hhfl2jb/O
もう一つ。
沢山の変化のうち、一つは私にもあって、今日から街の病院の看護士として働くことになりました。
父も母も、祝福してくれて嬉しかった。
これから、クーさんや「彼」にも伝えに行くつもりです。
683 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:52:12.85 ID:bEohqSa3O
最後まで付き合うぜ!
最初から追っ掛けた意地だ!
684 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:52:37.01 ID:naiRsltCO
サクサク投下させる支援
685 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:53:05.08 ID:Hhfl2jb/O
あ、そうそう。
「彼」は、クーさんとショボンさんの養子(形だけではありますが)になりました。
それで、クーさんの
本人は何だか遠慮していたというか、恥ずかしがっていましたが、
クーさんに「私の家族になるのはイヤか」と詰め寄……尋ねられて、渋々頷いていました。
あの時の焦った顔は面白かった。
ショボンさんは、「いい息子が出来るけど、何だか老けた気がしてショック」と苦笑してクーさんにド突かれて、
「でも子作りはする!」と叫んでクーさんにぶん殴られていました。
686 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:54:02.10 ID:Hhfl2jb/O
さて、では行かなければならないので、この辺でおしまい。
……「彼」も、笑って祝ってくれますように。
笑った顔は、とても素敵だから。
−−−−(-_-)ヒッキーと火蜥蝪のようです Fin
687 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:54:17.84 ID:naiRsltCO
他にも最初から居た奴いるんだな、支援
688 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:55:44.44 ID:naiRsltCO
乙、長い時間お疲れ様
面白かった
689 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:57:15.44 ID:bEohqSa3O
乙ー!
読みごたえあったなぁ…
改めて、おつかれさまでした
690 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:57:20.99 ID:PxBxI6rb0
乙!
久しぶりに熱心に読めたよ。面白かった
691 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:57:35.36 ID:Qv2qJouEO
乙と言わざるをえない
692 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:57:35.99 ID:lUjKkZXpO
乙&お疲れ様です!
面白かったし、話のテンポも良かったから、サクサク読めて良かった。
693 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:58:02.28 ID:Hhfl2jb/O
このさくひんはこれでおしまいです。
よんでくれたり、しえんしてくれたひとありがとう!
ああ、やっとおわったなぁ。
おもえばながかったなぁ。
くりすますまるいちにちつぶした?何言ってんだよ昨日は何の変哲もないただの12/25だろうが勝手に名前付けて変にロマンチックな雰囲気醸し出してギャアギャア騒ぎたてんじゃねぇぞリア充共!
ああああ呪い殺す呪い殺す呪い殺すサンタ呪い殺す呪い殺す呪い殺す呪い殺す
……はっ、いけないいけない、ついついとりみだしちゃった☆
さて、きをとりなおして、あとがきをかかなくちゃ。
ちゃらーん! あとがきじどうせいさくきー!
694 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:59:30.88 ID:lUjKkZXpO
作者さんが限界突破してて吹いたww
695 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 00:59:43.77 ID:kLrjaS4B0
乙
出来立てのサイトなんだが一応まとめてみた
いる?
696 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:00:09.51 ID:OR7/ffhWO
おt…なんだwwww1どうしたwwwwwwwwww
697 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:00:09.83 ID:Hhfl2jb/O
あとがき制作中−−−−お待ちください。
くだらないので読まなくても全く問題ありません。
暇な人だけお待ちください。
698 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:00:55.86 ID:bEohqSa3O
待つ
699 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:01:49.38 ID:naiRsltCO
ここまで付き合わされといて今更暇とかwwwwww
700 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:02:10.56 ID:cf+xgAOcO
乙
701 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:02:19.92 ID:Hhfl2jb/O
702 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:03:25.17 ID:lUjKkZXpO
もちつけw
703 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:03:57.87 ID:bEohqSa3O
695
お願いしますm(_ _)m
704 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:04:33.55 ID:gLKfCv4cO
暇な人とは自分達のことですねお願いします
乙
乙
面白かったぜ!
706 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:05:45.02 ID:kLrjaS4B0
707 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:06:23.80 ID:hk1wN4j1O
乙でした
708 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:06:26.35 ID:PxBxI6rb0
話の途中じゃ言いにくかったからここで言うけど
「胸をなでおろす」が「肩をなでおろす」になってたぞ…
709 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:06:29.03 ID:Qp9aywAp0
乙
710 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:07:31.48 ID:Hhfl2jb/O
まず初めに。
見苦しい文章、失礼しました。
レスとしてスレに書き込まれてから、上記文章が凄まじいウザさを感じさせかねないモノであると深く反省した次第であります。
この作品は以下の点にちょっとだけ気を付けたり挑戦したりして書いています的なことを書くつもりでしたが、
反省点が多すぎてそれどころじゃないので省きます。
以下反省点。
・ボキャブラリーの少なさと表現力の無さ……読んでもらうと分かりますが同じ表現ばっかり。自分で読んでてくどいと感じる。ヒッキーの場面とか何回「……」←これで切り抜けたんだろう
・1日投下で締める文章量と物語をきっちり締める為の文章量の食い違い……ようするにストーリー纏め損ねてダラダラ書きすぎ。そのせいで何度も同じ表現が出てくる。
・しぃに魅力がない。なけてくるぐらいない。
・シリアスなシーンに無駄に笑いを入れて白けるハメになる文章が多々ある。
まだありますがくどいし面倒なので省きます。
もし読者の皆さんから何か指摘ありましたら是非。
続きます
711 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:07:40.88 ID:naiRsltCO
>>706 ホントに出来たばっかwww
あんたも乙
>>706 有難うございます!
ちょくちょく訪問します
713 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:08:25.12 ID:kLrjaS4B0
おwwまwwwえwwwらwww
カウンター見たら一気に上がってるしww
できれば宣伝もしてほしいな
いろんなサイトさんにリンクお願いしてるが
>>708 第何章のどこ?
714 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:09:18.14 ID:lUjKkZXpO
>>706 携帯から見たら、文字がほとんど「?」だらけになってて読めないよ……(泣)
PC欲しいな……。
715 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:10:39.35 ID:PxBxI6rb0
>>713 たぶん第9章の、ショボンがヒッキーに説教した後にクーに絡まれるところ
716 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:12:10.62 ID:naiRsltCO
717 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:13:06.67 ID:kLrjaS4B0
>>711 昨日から張っついてたんだぜ
>>714 サブメニューでエンコードの設定変えてみてくれ
それでもだめだったらすまん
718 :
◆YMhYoejF1w :2008/12/27(土) 01:13:38.92 ID:Hhfl2jb/O
ほらもう緊張と焦りであとがきには付けるつもりだったトリップ付け忘れるとか馬鹿じゃん馬鹿じゃん。
>>706 神はあなたか
さて、トリップの話ですが、
実は逃亡作者です。
おめおめと帰ってきたので、初心に返ったつもりですがまるで初心者のような投下となってしまいました。
投下時間が○○時間というおバカ甚だしい事態になったことについて。
読者の皆様には非常に長時間お付き合い頂きありがとうございました。
事情による不可避なものでしたので何とぞご理解ください。
でもごめんなさい。
もう一つ、作品内や上記文章にて、キリスト教やその他宗教を卑下したように取れる発言、書き方を致しましたこと、深くお詫び申し上げます。
マジですんません。
サンタさん呪ってごめんなさいプレゼントには愛する人が欲しいです。
続きます
719 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:14:34.55 ID:lUjKkZXpO
>>716 ありがとう! お陰で、綺麗に見えるようになったよ!!
720 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:14:52.88 ID:kLrjaS4B0
721 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:16:57.54 ID:Hhfl2jb/O
皆から取り残されてますが構いません、あとがき書き続けます。
まとめの方のサイトアドレスは年賀状に書き添えることにしておきます。
改めまして、この作品を読み、支援やレス等を行って頂いた皆々様におかれましては多大な感謝をさせて頂きます。
ありがとうございました。
722 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:18:06.03 ID:kLrjaS4B0
>>721 大丈夫だ
これらもサイトに乗っけるつもりだし
723 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:18:09.52 ID:OR7/ffhWO
724 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:19:05.87 ID:bEohqSa3O
作者さん、本当に乙でした。
はりついて楽しませていただきました
725 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/27(土) 01:20:21.62 ID:Hhfl2jb/O
うーん、じつにかんたんだなぁ。
あとがきじどうせいさくきは、べんりだねぇ。
はなくそほじってるあいだにかってにかいてくれるんだよ!
あれ?トリップがちがうぞ?わすれちゃったかな?このレスのはあってるかな?まぁいいや☆
あ、しつもんとかあったら、うけつけます。まだちょっとおきてます。
ねるひとはおやすみなさい。
では。
726 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:22:30.65 ID:bEohqSa3O
おやすみなさいです。
他に書いたり、書く予定あったりします?
727 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:23:51.34 ID:kLrjaS4B0
>>725 アドレスには苦労したぜ
作者にきかなかったらひとかげでまとめてたからな
辞書で調べたんだからな!
「サラマンダー」なんてわかるか!
728 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:24:17.07 ID:hk1wN4j1O
次回作の予定は?
729 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:24:28.65 ID:lUjKkZXpO
>>721 自分の書いている作品の事で悩んでいたんですけど。
作者さんのヒッキーを見て、やる気を貰いました!!
スレを見るのがかなり遅くて、少ししか支援出来なかったですけど。
心から乙!!
730 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:25:20.17 ID:naiRsltCO
>>725 反省点の感じは確かに気になったけど、自分で分かってるなら改善されてくと思うよ。
個人的には、ハインの背景が匂わせるだけでもいいから欲しかった。
そのせいか、ヒッキーが火を使えるのがピンと来なかった。
とにかく面白かったよ、お疲れ様でした。
さて、一体何から逃亡したのか聞きたい所だけど……
731 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:26:56.54 ID:naiRsltCO
>>719 モバジラとファイルシークは携帯の基本な!
見えないとかウダウダ文句垂れる前に、通してみること!お兄さんとの約束だぞ!!
732 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/27(土) 01:27:05.80 ID:Hhfl2jb/O
トリップは
>>725で正しいです。このレスはあとがきではないので、掲載しないでください。お願いします。
作品投下が終わった直後はテンション上がりすぎてちょっとヒクぐらい気持ち悪いですね自分。
ヒいた人には不快な思いをさせてすいませんでした。
後トリップ後だしですいません。ビビりです。
以下、質疑応答します。お待ちください。
733 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:32:00.40 ID:lUjKkZXpO
734 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:33:29.81 ID:kLrjaS4B0
735 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/27(土) 01:34:14.66 ID:Hhfl2jb/O
今までの作品はあまりありません。
めぼしいのは
( ゚∀゚)は不老不死のようです
新人合作
(´・ω・`)は勇者を導くようです
くらいです。
逃走作品はまとめすらありませんので割合。許して。
>>727 ごめんね、厨二病でごめんね
>>729 あれ、目から汗が……
>>730 うう、痛いところをズバッときますね、ありがとうございます。 省いた点を要点だけ纏めて書きたいけど……
736 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:34:52.10 ID:IC8KWh0eO
ヤンデレとかクーデレとかあああぁあああああ
737 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:36:43.45 ID:Hhfl2jb/O
738 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:38:09.19 ID:bEohqSa3O
739 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:42:31.75 ID:IC8KWh0eO
てっきりシィがラスボスになるんだとばかり思っていた
740 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:44:01.71 ID:Hhfl2jb/O
>>738 ありがたいことです。
言い忘れ……次回作はアイディアがあるだけの状態です
気長にお待ちください
741 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:45:43.23 ID:naiRsltCO
>>735 不老不死か、アレも面白かった。
ハインの背景は無いので完全なら仕方ないけど、要点だけ教えて欲しいなぁ……。
742 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:47:46.90 ID:bEohqSa3O
743 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:55:31.59 ID:Hhfl2jb/O
>>741 ぶっ飛んでますよ?
まず第一に、本作の世界は、北斗の拳のようなあべしな時代を経て、ちょっと復興した世界です。
時代は中世レベル。
一般民衆もそれにそった生活レベルです。
ただし、一部の階級は、世界があべしする前のハイテク技術のほんの一部(これが実験に使われています)とか保持しています。
その一部の階級のトップが荒巻スカルチノフで、教会はその技術の隠れ蓑です。
また一方、世界があべしする前に技術によって生み出された、結構スゲー奴がハインです。
スカルチノフは技術で神になろうとし、すでに生み出されたハインは過去を知りながら、快楽主義をモットーに生きていました。
そして本編へ……
あまり考えを纏めていなかったので、大雑把ですがこんな感じです。
744 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 01:57:47.87 ID:Hhfl2jb/O
捕捉。
一般階級は、技術が残っているとか以前に、年月が立ちすぎてそんな高度な文明があったことすら忘れてます。
スカルチノフの先祖は意地悪く技術を秘密裏に子孫にだけ伝えてました
745 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 02:03:26.42 ID:naiRsltCO
>>743 >>744 なるほど、確かにぶっとんでるなww
俺は異世界の話かと思ってた。ハインは伝説的なアレかと。
わざわざ教えてくれてありがとう。
とにかく面白かった。クリスマスを忘れられた。
恋人達にサタンからのプレゼントが降り注ぎますように。
とにかく、お疲れ様でした。
746 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 02:15:33.98 ID:Hhfl2jb/O
>>745 拙い物をみせてしまった……。
後十数分で寝ます。
おこがましいですが、纏めてくださるところがあれば、
纏めるよー、と一言くださればどなたでも両手を上げて大歓迎です。
では、おやすみなさい。
747 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 02:19:39.89 ID:IC8KWh0eO
そういえば成功体の3番目はアラマキでよかったのの?
748 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 02:22:48.46 ID:Hhfl2jb/O
749 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 03:01:40.18 ID:qjC2LhUdO
烈火の炎という漫画に少し似ていると思ったんですが、烈火の炎は知ってますか?
750 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 03:20:41.91 ID:ym3ymAVFO
まとめ多すぎだろjk
オムさんまとめてくれないかな
751 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 03:22:37.35 ID:ym3ymAVFO
まとめ見にくいし
まとめ人はゆとりっぽいしそんなまとめ作って誰が得するんだよ
752 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 04:04:17.58 ID:nnh08ukC0
おお、伸びてんじゃん
乙
753 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 04:05:33.29 ID:1Wz21LTEO
面白かったぞ−−!乙!
754 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 05:25:48.31 ID:EAFGnwDIO
乙
755 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 06:31:58.41 ID:oyBbwT5oO
もう少しストーリーとかを練り直せば十話ほどの長編になっても読めると思う。今日学校でさえなければ絵支援したかった…帰るまで残ってるといいんだが
とりあえず乙
よむほ
757 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 08:41:32.86 ID:m0PXbiR6O
これはまとめ無い方が嬉しいなぁ。面白かった乙
758 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/27(土) 08:44:17.22 ID:Hhfl2jb/O
今起きました。どうでもいいですね、すいません。
>>749 コンビニに売ってるアレの最終巻だけ読んだ記憶があります。
まぁそっくりですね。言い訳も何もありません。
>>751 主に僕が。
自分の作品が残るというのは有り難いものです。
>>755 元々、1日で何か投下しようと書いた物なので。
反省や情けない点は多々ありますが、結構満足はしています。
ところで帰宅はいつg
759 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 10:22:47.00 ID:jLW+z2ZFO
ほ
760 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 11:18:29.53 ID:cwodkXrMO
ほしゅ
761 :
:2008/12/27(土) 11:24:11.42 ID:fhaggobw0
ほも
やっと全部読めた!乙!!!!!
763 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 13:44:05.28 ID:qD2ZjB/Y0
まとめ一つ位来てもいいような作品だけどな・・・・・・保守
764 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 14:09:22.66 ID:L9/dM+oiO
頑張ったな
>>1 乙
てか何でどこもまとめてないんだろ
765 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 14:10:47.42 ID:rv3Xhbe4O
ヒント 年末
ヒント2:いいだしっぺの法則
767 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 14:45:41.30 ID:qD2ZjB/Y0
ヒント3:751みたいのが沸いちゃうと・・・ねぇ
769 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 14:47:29.83 ID:bEohqSa3O
まだ残ってたか
とりあえず
と・・・とりあえずなんだよぉ・・・
771 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 15:44:32.80 ID:k+qK5zZdO
772 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 16:43:41.81 ID:oyBbwT5oO
おーまだ残ってる
773 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 16:49:01.35 ID:bEohqSa3O
>>770 保守と言うのもなぁとそこで止めてしまった
また書き込み
774 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 17:46:48.52 ID:IC8KWh0eO
最後
ヒッキーがシィと闘うと思ってた
775 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 18:12:05.11 ID:k+qK5zZdO
う
776 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 18:24:01.55 ID:oyBbwT5oO
擬人化かAAのままか。どちらがいいか聞いておくべき?もう少しで家に着くんだ
家についても返事無かったら好きに描かせてもらうよ
777 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 18:31:37.46 ID:naiRsltCO
好きにするべき
778 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/27(土) 18:37:20.88 ID:Hhfl2jb/O
>>776 気ままに描いてください。
それが一番です。ええ。
779 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 18:39:40.51 ID:oyBbwT5oO
しかしこれだけの物が2ch使用料以外タダで見られるなんてな。
まあ、金とられてもちっとも惜しくないが。
781 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 19:26:51.60 ID:ufzV47mv0
よむほ
782 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 19:56:11.46 ID:qD2ZjB/Y0
保守
783 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 20:09:23.39 ID:ufzV47mv0
よむほ
784 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 20:17:42.85 ID:zP+NQT/2O
読み終えた
長時間乙!良かったよ
785 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 20:34:06.61 ID:ufzV47mv0
よむほ
786 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 20:51:53.01 ID:k+qK5zZdO
ほ
787 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 21:17:48.88 ID:qD2ZjB/Y0
ここで落ちたら切ないわな保守
788 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 21:19:19.84 ID:ufzV47mv0
ほ
789 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 21:24:04.23 ID:bEohqSa3O
保守ー
790 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 21:49:41.41 ID:bEohqSa3O
もういっちょ保守
791 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:14:08.27 ID:bEohqSa3O
出来るだけ上げてみる
792 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:40:53.71 ID:Hhfl2jb/O
保守してくれる方、本当にありがとうございます……
今日一杯、恥忍んで自己保守します、すいません
793 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 22:43:06.43 ID:bEohqSa3O
寝ない限り保守ー
794 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:09:54.60 ID:bEohqSa3O
も一つ保守
……しつこいですかね
795 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:13:38.16 ID:Hhfl2jb/O
>>794 保守はありがたいです。けれど、いつ止めるか、そんなことに気を遣わないでください。
嫌気がさしたり、躊躇ったりしてまで保守をさせるのは自分としても心苦しいです。
796 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:15:46.21 ID:oyBbwT5oO
797 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:18:02.75 ID:bEohqSa3O
>>795 やりたくてやってるんで。気をつかわせてすみません。
798 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:23:43.10 ID:bEohqSa3O
799 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:24:05.44 ID:Hhfl2jb/O
>>796 ( ゚д゚ )
ちょ、ちょっと待った、クオリティ高いってレベルじゃ(ry
テンションがアレすぎて言葉が出ねぇ
wとか!とかそういう次元であらわせる喜びをぶっ飛んでます
>>797 有難う。本当にもう、何か色々感極まって涙出そう
800 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:26:47.38 ID:Hhfl2jb/O
あああゆっくり自分のペースで頑張ってくださいマジで。
コレ言い忘れるくらいテンションパネェ
801 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/27(土) 23:49:08.82 ID:bEohqSa3O
支援ー
802 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 00:15:32.61 ID:ZI3N+8bQO
再びー
寝てしまったらすみません
803 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 00:28:16.04 ID:s46MM2ehO
>>802 無理せずに。
>>796さんも総合投下で全然問題無いので。絶対に見させて頂きます。
スレは落として構いません。
何度でも言います、皆さん有難う。
804 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 00:32:28.20 ID:q9hfJy+H0
だがよむほだ
まとめないみたいだし
805 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 00:33:46.36 ID:ZI3N+8bQO
>>803 眠気のため寝落ちの方向で…
出来るだけいます
作者さんも、乙です
ありがとうございました
806 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 01:00:43.37 ID:ZI3N+8bQO
最後にもっかい
では乙でしたm(_ _)m
807 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 01:22:03.36 ID:zVgFOpVBO
808 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 01:23:08.06 ID:zVgFOpVBO
809 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 01:54:52.86 ID:q9hfJy+H0
>>808 なんと。
ならばさいごにほしゅしておこう。
810 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 03:08:38.08 ID:+r4uUbKDO
从 ゚∀从 もっと燃えろー
同スレ内のログも読めずに携帯に貼ってもらってるのは情けない
812 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 04:35:56.03 ID:zJNootl9O
ほう…
813 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 05:08:12.89 ID:cjxEsdMd0
書き溜め全話投下の偉業を達成したことを、私は深く尊敬します。
814 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 06:38:33.43 ID:ZI3N+8bQO
まだあった!
寝起きで書き込み
815 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 06:48:59.05 ID:ZI3N+8bQO
816 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 07:28:07.19 ID:T3fFmJIr0
ほ
817 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 08:08:36.79 ID:ZI3N+8bQO
保守
818 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 09:21:19.04 ID:s46MM2ehO
何だかんだ言ってスゲー幸運なスレですね、有難うございます。
>>815 わざわざすいません。感謝です。
819 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 09:44:16.31 ID:ZI3N+8bQO
保
820 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 10:44:02.32 ID:NpZwV6eK0
ho
821 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 11:24:46.84 ID:ZI3N+8bQO
保守
822 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 12:01:56.84 ID:NpZwV6eK0
☆ゅ
823 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 12:33:59.79 ID:ZI3N+8bQO
保
824 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 12:58:04.00 ID:J7yEfeBSO
825 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 13:01:25.89 ID:ZI3N+8bQO
826 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 13:02:37.07 ID:NpZwV6eK0
827 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 13:18:49.39 ID:NeDR4QF7O
828 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 13:24:22.62 ID:Jdr4nqAuO
>>824 パネェwwwwwwwww
乙wwwwwwwwww
829 :
◆L66fmP/Ue6 :2008/12/28(日) 13:28:52.99 ID:s46MM2ehO
>>824 SUGEEEEEEEEEEE!!
いやマジで作者冥利に尽きますやっべ待ち受けにしよやっべあー嬉しい
本当に感謝感激雨あられ!!
830 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 13:51:05.51 ID:J7yEfeBSO
本当はヒッキー描こうと思い何枚かラフ描いてみたけど気に入らなかったのでおっぱいに逃げた。おっぱい描くの楽しいです
また小説期待してるからな!作者本当に乙。
何だこのやんごとねぇスレは。
これは作者に嫉妬せざるを得ないな。
ここまで読者に恵まれてりゃあ俺なら明日辺り死ねるレベル
833 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 14:12:46.32 ID:s46MM2ehO
>>830 いや、お手数をおかけしましてすいません。
文句のつけどころがございません。
_
( ゚∀゚)<おっぱいサイコー!おっぱいおっぱい!
>>832 いやいや本当ですよ。
ここまでくればスレがいつ落ちようと何の悔いもありません。
でも死ねといわれたら僕は笑います。
834 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 14:21:00.96 ID:ZI3N+8bQO
自分も描けたら、と思ったものの画力と時間が……
断念して。
最後まで見届けられるかな…
835 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 15:38:36.91 ID:+r4uUbKDO
この話のヒロインはつーだったのか
836 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 16:29:18.60 ID:VdzoOflGO
よむ
837 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 17:15:52.42 ID:ZI3N+8bQO
おー、まだある
838 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 18:00:02.48 ID:OR4b6xcXO
愛されてんなこのスレ
839 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/28(日) 18:36:00.76 ID:ZI3N+8bQO
愛してますよ
840 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙ー面白かったよ