1 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 17:34:10.33 ID:lsIJB4IPO
ktkr
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:02:48.30 ID:f6NHgrApO
どっの道の達人も〜
4 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:05:54.63 ID:4akQqu7cO
天気は快晴。
どの様な日に退院したいか、と問われるなら、間違いなく今日は退院日和と言えるだろう。
( ^ω^)「お世話になりましたおー」
ξ゚听)ξ「家の馬鹿がお世話になりました」
( ゚∀゚)「グッバイ、マイフェイバリットバスト…」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:06:41.87 ID:MNHIDYX/0
支援するぜ
6 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:07:52.45 ID:4akQqu7cO
ブーン、ジョルジュの退院の日。
美人女医との別れを惜しみながら、三人は定番の挨拶をしていた。
(*゚ー゚)「うん、それじゃあ、お大事にしてくださいね…ツンさんも旦那さんを労ってあげてね」
ξ////)ξ「ちょっ先生!!まだ籍はいれて…いやそういう問題じゃ…」
( ・∀・)「あー早く退院したいなー」
モララーの退院は、まだ先送りとなり、一人病院に残る事となった。
これからは浚に暇になるであろう入院生活を考えると、素直にブーン達を見送れないのだろう、うだうだとぼやいている。
7 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:09:22.10 ID:4akQqu7cO
( ^ω^)「ま、そう言うなお、たまには見舞いに行ってやるお」
( ・∀・)「この野郎…」
モララーの恨めしげな視線を背に受けながら、ブーン達三人は病院を後にした。
ξ゚听)ξ「…ところで、ジョルジュ長岡さん?どうしてあなたは、私達に着いて来るのかしら?」
VIP市から武雲流道場のある炉日井町までは、電車とバスの二つのアクセスがある。
ブーンとツンはその内の電車に乗って帰宅しているが、何故かその場にジョルジュがいた。
8 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:13:17.92 ID:4akQqu7cO
( ゚∀゚)「ヌフフ、おいブーン、オレはちゃんと約束覚えてるぞ!」
( ^ω^)「…あー…」
約束とは、流石兄弟と闘うときに交わした、「タッグを組めば相手をしてやる」というものだった。
だがブーンにとっては咄嗟の口から出まかせ、何より病み上がりで相手はしたくなかった。
それに…
ξ#゚听)ξ「ちょっと、それは辞退なさいって言ってるでしょ!?」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:14:43.34 ID:MNHIDYX/0
支援
10 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:15:10.68 ID:4akQqu7cO
因みに、ツンには入院初日の時点で大会の事は無理矢理吐かされている(他言無用を条件に、誰にも聞かれないように)。
ξ#゚听)ξ「全く男ってのは…漫画とかアニメじゃないんだから、そんなアホみたいな事はやめなさい!もしホントに危険な事になっちゃったらどうするの!?」
( ゚∀゚)「小説ではあるけどな」
(;^ω^)「そう固いこと言わんでほしいお…他流試合だと思えば」
ξ゚听)ξ「…もう一回入院させれば他流試合どころじゃなくなるよね」
「えー、次はー炉日囲ー炉日囲ー」
(;^ω^)「つ、ついたおツン!とりあえず降りるお!」
ξ゚听)ξ「チッ…」
( ゚∀゚)「ブーンも大変だな…」
11 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:18:49.83 ID:4akQqu7cO
炉日井町はどちらかと言えば発展していない町だが、それでも駅前となればそれなりの賑橋を見せている。
会社員が帰宅時に寄って行く喫茶店や居酒屋もあるし、高校生が学校をサボッて行くゲームセンターもある。
その中に、見かけた顔を一つ。
( <●><●>)「……」
( ^ω^)(お…?わかってます君かお?)
声をかけようかとも思ったが、ツンとジョルジュが急かすのでタイミングを失ってしまった。
ブーンが入院中という事もあり、武雲流の稽古は少しの間休みとなっている。
小学生ならば、今時分駅前に遊びに来るのは別に珍しい事ではない。
しかし、ブーンは何時になく神妙な面持ちで駅に向かうわかってますが、やけに印象に残った。
12 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:20:32.37 ID:4akQqu7cO
( ゚∀゚)「おーい、ブーン早くしろー!」
ξ゚听)ξ「あんたは自分の家に帰れ!」
しばらく立ち止まって考えたが、結局は頭の隅に追いやられ、さっさと帰宅する事にした。
( ^ω^)「今行くお」
作論山にあるカビの生えた古い石段を登ると、そこに古き佇まいを構える武雲流道場がある。
十数年前から見慣れた景色だが、この日は少々変わっていた。
(;><)「……」
(*;‘ω‘*)「……」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:21:00.74 ID:MNHIDYX/0
支援
14 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:22:50.04 ID:4akQqu7cO
砕けた、木造の引き戸。
そこから、恐る恐る中を覗き込むわかんないですとちんぽっぽ。
ξ#゚听)ξ「…あんた達がやったの?」
(*;‘ω‘*)「…ぽっ!?」
(;><)「ツン先生!?…にブーン先生!?あ、退院おめでとうなんです!あ、いやそうじゃなくて、これは僕らじゃないんです!」
突然後ろから声を掛けられ、挙動不振になる二人。
震えながら、わかんないですが道場の中を指差した。
(;><)「僕ら、ブーン先生が退院するって聞いて、道場でお出迎えしようと思ったんです!わかってます君は用事があるって来れなかったんですけど…」
わかんないですが指差す先には…
15 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:24:52.31 ID:4akQqu7cO
(;><)「そうしたら、扉が壊されてて、中にあの人がいたんです!」
( ゚∋゚)「……」
無機質な、巨人。
無表情で、微動だにせず、道場の中央付近で腰を下ろしていた。
(;^ω^)「…」
ξ;゚听)ξ「…」
(;゚∀゚)「…どちらさん?」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:25:34.75 ID:MNHIDYX/0
支援
17 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:27:16.94 ID:4akQqu7cO
入院して帰って来たら、ズタズタのTシャツとジャージを着た大きな人が座り込んでました。
どういう状況だろう、誰にも解らない。
ξ;゚听)ξ「ぶ、ブーン、何とかしなさい!」
(;^ω^)「お!?…何とかって言われても、どうすりゃいいんだお…」
(;゚∀゚)「取りあえず話し掛けてみたらいいんじゃね?」
成る程、人のコミュニケーションのポピュラーな手段だな、と思い、ブーンは話し掛けてみる事にした。
まずは、近付く。
そして、
( ^ω^)「こ、こんにちはだお!…ハロー!ボンジョルノ!ニーハオ!」
知ってる挨拶を並べ立てた。
それというのも、「彼」の顔立ちは、東洋系にも見えるし、西洋系にも見える。アジアンと言われればそう見えるし、ヨーロピアンと言われればそう思える。
一見しただけでは、何人かすら分からない、微妙なものだったからだ。
18 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:31:23.96 ID:4akQqu7cO
反応は、無い。
が、それ以前に声、いや「音」そのものに対して反応が無い。
( ゚∀゚)「…もしかして、耳が聞こえないとか?」
( ^ω^)「成る程…」
ξ゚听)ξ「…それなら」
ツンが、「彼」の目の前に割り込んだ。
奇妙な視線をしている。
何かを見ている訳では無いが、呆けているのでもない様だ。
そして、瞬きが無い。
ツンは何か不気味さを感じたが、気を取り直す。
メモ帳と鉛筆を取り出し、筆談を試みた。
ξ;゚听)ξ「えーと…あなたは誰ですか…と…私は…津出といいます…」
書き終わった紙と鉛筆を差し出した。
19 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:33:07.63 ID:4akQqu7cO
( ゚∋゚)「……!」
すると、反応があった。
だが、予想した様なものでは無い。
鉛筆と紙を握り締め、珍しげに眺めたり、触ったりしている。
自分の皮膚を鉛筆でなぞって、また珍しげな反応を見せたりもした。
そして、折った。
ξ#゚听)ξ「あ゙、折りやがった」
(;^ω^)「そんなに怒りをあらわにしなくても…」
ブーン達三人は、その様子を眺めている。
わかんないですとちんぽっぽは、未だ怖くて入って来れない様だ。
こんなの居たら怖いわなwww
21 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:34:47.42 ID:4akQqu7cO
ジョルジュが閃いた様に声を発する。
( ゚∀゚)「…もしかしてコイツ、紙とか鉛筆を見た事ないんじゃねーか?」
ξ゚听)ξ「そんな、まさか…」
( ^ω^)「うーん、でもこの反応は、確かにそれっぽいお」
ブーン達は知る由しも無いが、「九九六号」は、今まで文字という物を表示する道具として、コンピュータの液晶画面位しか認識したことが無いのである。
「被験体」としての記憶しか持ち合わせていない「彼」は、人の日常を感じさせるものと触れ合った事が無い。
道場に立ち寄りじっとしていたのもその為で、鉄やガラス等の素材以外(木)によって造られた空間が珍しくて堪らないのだ。
22 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:37:33.72 ID:4akQqu7cO
( ^ω^)「うーん、変わったお人だお」
( ゚∀゚)「もしかして、ホームレスとか、家出とかか?泊まるとこ無いんならここに泊まっていったらいんじゃね?」
ξ#゚听)ξ「何であんたが決めるの!」
そして、「九九六号」の気を引いたものがもう一つ。
いや、三つ。
( ^ω^)「おっおっ、いいじゃないかお、ツン!悪い人じゃなさそうだし、食卓は皆で囲うのがイチバンだお!ジョルジュもわかんないです君もちんぽっぽちゃんも、今晩は泊まってくといいお!」
( ゚∀゚)「お、太っ腹だね、それじゃお言葉に甘えます!(実は最初からそのつもりだったけど)」
( ><)「じゃ、じゃあお世話になるんです!」
(*‘ω‘*)「ちんぽっぽ!」
わかんないですもちんぽっぽも、ブーンが言うなら、と警戒心をあっさり解いた。
「九九六号」の気を引いたものが、二つ増える。
23 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:40:31.01 ID:4akQqu7cO
記憶に浮かぶのは、この身を弄んだ者。
「私のカワイイペット、今日もお薬飲みましょうね」
記憶に浮かぶのは、恐れ、蔑み、殺意を向ける者。
「実験体が逃げたぞ!」
「射殺許可は降りないのか!?」
「クソッ、大人しくしてろ、化け物め!」
狂気を孕んだ、冷静な四つの視線。
( ΦωΦ)「この身が役立つのなら、大いに結構な事である」
ミ,,゚Д゚彡「……」
どれとも、違う。
興味を引くのも、無理は無い。
自分に対して、初めて「敵意」以外の感情が向けられたのだから。
24 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:42:04.22 ID:4akQqu7cO
( ゚∋゚)「……う」
( ^ω^)「お!?今喋ったかお?」
ξ゚听)ξ「話した?よく聞き取れなかったけど…」
残り少ない自我が、改造された自らの脳と肉体に、反逆を始めた。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:43:09.91 ID:FzcHUu5iO
メリークリスマスだから支援してやんよ
26 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:44:16.17 ID:4akQqu7cO
地上五十階建ての高層ビルであるK,Cビルには、K,Cは勿論の事、社員以外でも利用できるテナント等が設けられており、さながら一つの巨大ショッピングモールの様相を構えている。
地上三十階にある、高級イタリアンレストランもその一つだ。
無論、ただの社員食堂ではなく、所謂「三ツ星評価」を受けていたり、グルメ紹介番組等には常連と言える程に紹介されている。
27 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:49:20.65 ID:4akQqu7cO
今日も、レストランは静かに賑わっている。
客は夜景に見とれながら、フルコースに舌鼓を打ち、食事を楽しむ。
入口から見て、奥側は一段床が高くなっている。
窓の無い方には、ピアノが置かれ、しばしば招かれた一流の音楽家によりジャズやクラシックが演奏される。
もう一つ、窓側の最奥にある、最上級の客を持て成す為の席。
K,C社長の書本 高和も、当然この席を利用する。
その家族も、また同様。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 18:50:31.11 ID:3Dx/rRi+0
支援だぁああああ
29 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:51:33.86 ID:4akQqu7cO
(´・ω・`)「…最近、学校の方はどうだい?」
カチャカチャとフォークとナイフを鳴らし、羊肉のステーキを食しながら、食事相手に話し掛ける。
(´・ω・`)「母さんは、最近どうしてる?父さんが会おうとしても、会ってはくれないかな」
ショボンの目の前に座る食事相手。
小学生ながら、食事のマナーは心得ている様だ。
( <●><●>)「…学校は何時もと変わりませんよ、お父さん。母さんは、相変わらずおっとりしてドジが多いですが、元気です」
オーダーメイドだろうか、小さなサイズのスーツを着こなし、見事に場の雰囲気に合わせている。
その姿は、普段わかんないです達といるときには想像もつかない。
そうだご飯だ、ご飯を食えば仲良くなれる
31 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:54:29.44 ID:4akQqu7cO
わかってますが、ナイフとフォークを置き、ナプキンで口を拭く。
ステーキは、まだ皿に半分程残っている。
( <●><●>)「…そんな話をする為に御呼び立てした訳ではないことは、お父さんもわかっているでしょう?」
(´・ω・`)「…やれやれ、珍しく糧升(ろうしょう)から呼び出してくれたと思ったら、親子水入らずな世間話とかじゃないの?」
ショボンもまた、食事の手を止める。
(´・ω・`)「で、何?話って」
しばしの、沈黙。
やがて、語り出す。
しえん
33 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:56:45.10 ID:4akQqu7cO
( ゚∋゚)「…ぶん…はし…おれた…」
(;^ω^)「あー、また折っちゃったのかお、「クックル」!もう割り箸も残り少ないお…」
一方、武雲流道場の食卓。
ショボン達の食事とは、まさに天と地の差がある質素な食事。
普段と違うのは、人数が四人多い事。
( ><)「「クックル」さん、段々お箸の使い方が上手になってきたんです」
( ゚∀゚)「おい、オレ茄子嫌いなんだよ…食べてくれ、ちんぽっぽ!」
(*#‘ω‘*)「ぽー!」
ξ#゚听)ξ「もー全く!ただでさえ家計が苦しいのにバクバクと…あ、「クックル」!こぼさない!」
34 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 18:59:18.14 ID:4akQqu7cO
「クックル」。
「彼」がここに来た時点では、ボロボロな服装の他には、何も持ってはいなかった。
ただ、Tシャツに、ヒビの入ったプラスチック製のプレートが、今にもちぎれそうにぶら下がっていた。
そこには、「九九六」の文字が彫られていた。
何の番号か皆で考えたが結局わからずに、ジョルジュの案によって、
( ゚∀゚)「九九六…きゅうきゅうろく…く…く…ろく…くくろ?あーいや…そうだ、くくる…くくるだ!」
( ゚∋゚)「…くっくる」
( ゚∀゚)「いや、違う違う違う、いいか?く・く・る!サン、ハイ!」
( ゚∋゚)「…くっくる」
(;゚∀゚)「…」
( ^ω^)「おっおっ、本人が言うんだから「クックル」でいいお」
――こうして、彼の呼び名はクックルとなった。
35 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:01:23.38 ID:4akQqu7cO
クックルの学習能力は高く、ブーン達の言葉や動作を真似ることで、夕食時には一通りの日常生活が送れるようになっていた。
ただし、(ブーン達が知らない事であるが)肉体が戦闘に特化された影響か、滑舌の悪さと不器用さが 目下の問題となっている。
( ><)「クックルさん、食べ終わったら「ごちそうさま」って言うんです!」
(*‘ω‘*)「ちんぽっぽ!」
( ゚∋゚)「…ちっぽっぽ」
(;><)「あぁ、ちんぽっぽちゃんの言葉は真似しなくていいんです!」
36 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:03:08.39 ID:4akQqu7cO
翌日。
わかんないですとちんぽっぽは、迎えに来たわかってますと共に学校へ向かった。
「せっかくなので、クックルにも武雲流を教えてみよう」というブーンの発案により、四人は道場に集まっていた。
( ^ω^)「皆さん、おはようございますお」
( ゚∋゚)「おはよざます、ぶん」
( ゚∀゚)「奥様みたいだぞ、クックル」
ξ#゚听)ξ「やる事無いなら掃除でもしてろジョルジュ長岡」
胴着に着替え、ブーンとツンは前に、クックルは、ブーンとツンに向かい合わせになる様に立っている。
( ^ω^)「クックルに合う胴着は無いから、ジャージで我慢してほしいお」
37 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:06:24.30 ID:4akQqu7cO
準備体操、柔軟体操をクックルに教える。
その巨躯に見合わず、その柔軟性は驚く程高かった。
これは期待できそうだ、とブーンが胸を高鳴らせていたその時、
「ごめん下さいな」
とんとん、と木戸を叩く音。
武雲流道場にわざわざノックをして訪問する人間は非常に珍しい。
郵便物は滅多に届かず、入門希望者も殆ど来ない。
ブーンは、わかんないですの親が挨拶にでも来たのかな、と返事をしながら木戸を開くと、
(-@∀@)「こんばんは、いやーボロくってカビ臭いお宅で、よくこんな所にお住まいでいらっしゃる」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:07:04.16 ID:MNHIDYX/0
支援じゃ
39 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:08:48.14 ID:4akQqu7cO
眼鏡に白衣。
いかにも「学者」といった出で立ちの小柄な男。
ξ#゚听)ξ「…何の御用でしょうか」
ツンには今の厭味が聞こえていた様で、額に青筋を浮かべながらやってきた。
(;^ω^)「落ち着くお、ツン」
(-@∀@)「あ、申し遅れました、ワタクシこういう者です」
そう言って、白手袋をはめた手で名刺を取り出し、渡してきた。
名刺には、
「製薬会社サンモーニング 開発部部長 朝田 彦一」
とある。
(-@∀@)「いやいや、こちらでウチのペットがお世話になっていると聞きましてね」
40 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:11:02.33 ID:4akQqu7cO
ペット。
はて、家に動物などいただろうか、と心当たりを探すつもりで、背後に視線を向ける。
( ゚∋゚)「……」
クックルが、立ち上がっていた。
今まで感情を表さなかったクックルに、僅かに何かを感じ取れる。
( ^ω^)「…クックル?どうかしたのかお?」
(-@∀@)「クックル?何ですかそれは…ああ「九九六号」、勝手に逃げ出しちゃ駄目じゃないか、さあ帰ろう!」
九九六。それは、クックルが身につけていたプレートに彫られた文字。
( ^ω^)「…ペットてのは、クックルの事かお?」
(-@∀@)「そんな食事は吐き出して!全く、早くこんな所からは帰ろう、さあ「九九六号」!」
朝田は、もはやブーンの事など無視して「九九六号」に呼び掛けている。
どうやら、「ボロくてカビ臭いお宅」には足を踏み入れる事すらしたくないようだ。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:11:07.50 ID:MNHIDYX/0
支援
ほうほうなるほどこういう展開かー
43 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:16:55.90 ID:4akQqu7cO
突如、背後から飛行物体。
それは、一直線に朝田に向かい――
(;-@∀@)「ヒッ!?」
――額に、激突した。
(;-@∀@)「ギャワッ!」
ガシャン、と音を立てて割れたそれは、皿。
投げ飛ばしたのは、
(;><)「ジョルジュさん、お皿を投げないで下さい!」
(♯゚∀゚)「………」
眉間と額にシワをよせ、怒り心頭といった状態のジョルジュ。
(♯゚∀゚)「おいクックル、後ろに下がってな」
( ゚∋゚)「……?」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:19:27.08 ID:MNHIDYX/0
支援
45 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:20:43.90 ID:4akQqu7cO
(-@∀@)「いたたた…これだから野蛮人は…一体何なんですか、ワタクシは「ワタクシの物」を返して欲しいだけなのですよ?喧嘩がしたいなんて一言も……」
(♯゚∀゚)「黙れ」
ピリピリとした感覚。
ジョルジュとの付き合いは短いが、恐らく彼は、所謂「逆鱗に触れられた」状態なのだろう、と理解できた。
(♯゚∀゚)「クックルはよ、今日会ったばっかだけどダチだ…あんたとクックルが何者でどういう関係か知らねーが、人をペットとか物呼ばわりする奴は許さねぇ…」
(-@∀@)「…渡す気は無い、と?」
(♯゚∀゚)「いーや、テメェを無事に帰す気がねえんだよ…」
46 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:27:08.48 ID:4akQqu7cO
ξ゚听)ξ「ジョルジュ、落ち着いて」
ジョルジュを諌めるツン。
その目は、武道家のそれに鋭く変化していた。
ξ゚听)ξ「わかんないです君、ちんぽっぽちゃん、私の後ろにいて」
(♯゚∀゚)「ツン止めんな、あの野郎ぶん殴る」
ブーンもまた、ツンの視線に気付くと、玄関から離れて下がる。
( ^ω^)「ジョルジュ、そうじゃないお」
ξ゚听)ξ「…他に誰かいる」
( ゚∀゚)「…何?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:29:32.67 ID:MNHIDYX/0
支援
48 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:30:18.76 ID:4akQqu7cO
ツンの一言で、冷静さを取り戻すジョルジュ。
クックルを背中で抑えるように立ち位置を変える。
当のクックルは、相変わらず無表情の無挙動、視線を朝田に向けたまま、まるで動かない。
(-@∀@)「おや、背後からこっそり襲ってもらおうと思ったのですが」
( ΦωΦ)「ばれてしまっては仕方ないであるな」
木戸の陰からその身を表したのは、両目に傷の着いた、口髭の男。
( ^ω^)「…確か、杉浦ロマネスクとかいったかお」
( ゚∀゚)「モララーが言ってた、痛み止め打ってる卑怯野郎か!」
49 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:34:33.25 ID:4akQqu7cO
杉浦ロマネスク。
モララーと闘い、完膚無きまでに叩きのめした男。
薬物を使用しているが、言わずもがな、その実力は薬物に頼ったものでは全くない。
( ΦωΦ)「我輩の事は…モララーから聞いたのである(#-@∀@)「痛み止めだとおおおおお!?」」
(;^ω^)
ξ;゚听)ξ
(;゚∀゚)
(;ΦωΦ)
( ゚∋゚)「……」
唐突な、朝田の甲高い、ヒステリックな咆哮。
その場にいた者全員、ロマネスクすら驚き、唯一クックルが未だに動かない。
(#-@∀@)「わわわワタクシの作品ををー市販の既製品ととをー一緒くたににに」
( ΦωΦ)「ハァ…」
音はしない。
しないが、ロマネスクの腕が一瞬しなり、朝田に当たった事は理解できた。
(-@∀@)「……」
激昂していた朝田が、力無く倒れ伏す。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:40:02.40 ID:MNHIDYX/0
支援
51 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:40:08.80 ID:4akQqu7cO
( ΦωΦ)「…すまぬ、朝田が失礼をした。学者としての能力は高いのであるが、他の所がどうもな…この通り眠らせておいたので、ご勘弁願いたい」
( ^ω^)「お?そりゃご丁寧に、どうも」
妙に丁寧なやり取りだが、二人には微塵の隙も見当たらない。
臨戦態勢を、取っている。
( ^ω^)「…ツン、下がっていてほしいお…あっちは引く気はなさそうだお」
ξ゚听)ξ「…無茶しないでね」
ツンは一瞬、警察を呼ぶ事も考えた。
だが、武術家としてのプライドが、「道場破りに遭いましたが、無抵抗に警察を呼びました」では済まさなかった。
何より、ブーンが武術対決で負ける筈が無い、と信じ切っていた。
52 :
十二話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:44:04.34 ID:4akQqu7cO
( ^ω^)「ジョルジュ、ツンとクックルを頼むお」
( ゚∀゚)「…お?おう、任しとけ」
ブーンとロマネスクが、向かい合う。
ブーンは足を前後に置き、腰を深く落とした構えを取る。
対するロマネスクは、何の構えも見せず、自然体。
モララーの言葉を思い出す。
( ^ω^)(システマってやつかお)
一瞬、静寂が訪れる。
不意に、ロマネスクが口を開いた。
( ΦωΦ)「背後からこっそり奪い返す、なんて事はしないであるから、安心してよいのである」
( ^ω^)「そりゃ助かるお」
それが合図であるかの様に、
ブーンが動いた。
十二話 終
53 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:45:32.51 ID:4akQqu7cO
続いて、十三話!
チャンネルは、そのまま!
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:45:42.03 ID:MNHIDYX/0
乙!!
今まとめで過去のも読んでるが中々面白い
期待してるから頑張ってくれ
なにっ!! 一挙二話放送か!!
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:47:31.54 ID:MNHIDYX/0
ちょwwそのまま続くのか支援だこら!!
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:48:08.03 ID:gIHJ6Lqq0
支援
58 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:49:27.75 ID:4akQqu7cO
身体が、床と平行になる程に傾く。
右足を支点として、上半身と左足で「T」の文字を、一瞬形作る。
左足はそのまま、ロマネスクの頭部に向かった。
( ΦωΦ)「おっと」
身体を僅かに傾け、回し蹴りを回避。
最小限の動作で回避したロマネスクは、大振りの回し蹴りを放った隙だらけのブーンを見る。
しかし、攻撃はしない。
59 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:50:51.22 ID:4akQqu7cO
( ^ω^)「武雲流…」
その判断は―――
( ^ω^)「…旋風」
―――正しかった。
遠心力を利用した、裏拳がロマネスクに襲い掛かる。
傾いた身体に合わせ、若干斜め下の軌道を取った裏拳は、さすがにかわせない。
と、ブーンは思った。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:52:54.62 ID:MNHIDYX/0
支援
61 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:53:02.19 ID:4akQqu7cO
( ΦωΦ)「成る程」
倒れ込む様な勢いで、傾いた身体を、浚に傾かせる。
裏拳は、虚空を通り過ぎる。
だが、「旋風」は此処からが真骨頂。
( ^ω^)「見事な動きだけど…」
そのまま、遠心力を利用した左の手刀。
遠心力を利用し、再び回し蹴り。
確実に、ロマネスクを追い込む。
(;ΦωΦ)「ぬおっ!」
浚に回転、足を入れ替える。
( ^ω^)「武雲流、騎人馬震(きじんましん)」
支援
63 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:55:51.50 ID:4akQqu7cO
右足が、馬が獅子を追い払うかの様に、後ろ向きに高く伸ばされる。
そのまま、反転、上げられた足をロマネスクの肩に引っ掛ける。
( ^ω^)「正直、事前に情報に合わせて対策を練るってのは好きじゃないお」
床に残された足は、跳躍。
(;ΦωΦ)(外れない…!)
ブーンが引っ掛けた足が外れずにいるロマネスクに、
左拳と左膝が、同時に到達する。
(;ΦωΦ)「ゲホッ!」
喉と鳩尾を同時に叩かれ、肺から酸素が逃げ出した。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 19:56:20.28 ID:MNHIDYX/0
支援
65 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 19:58:28.45 ID:4akQqu7cO
話しながら、右足を外して着地する。
( ^ω^)「まあ、痛み止めなんて使ってる訳だから、お互い様って事でいいかお?」
ξ゚听)ξ「…システマの強みは、脱力にある。けど、こちらから押さえ付けてあげたら、それは意味を成さなくなる」
( ゚∀゚)「はあー…成る程ねー」
( ゚∋゚)「……」
観戦者の内の二人は、ブーンに軍配が挙がった、と確信した。
だが、ロマネスクは立ち上がる。
( ΦωΦ)「…コォォ…やるな、武雲流」
呼吸を整え、ブーンを見据える。
( ^ω^)「光栄だお」
( ΦωΦ)(攻撃力は向こうが上か…ならば、先手必勝)
ロマネスクが、床板を踏み鳴らす。
○へ
/└ 支援のかまえ
/ゝ
67 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:01:47.48 ID:4akQqu7cO
モララーと闘ったときに見せたような、ゆっくりとした予備動作は無かった。
右手による、貫手。
(;^ω^)(速っ…!)
後ろに跳び、思い切り距離を取った。
ロマネスクの爪が、鼻先を掠める。
掠めた爪が、目の前で横を向いた。
腕を戻さず、手首のみを返す。
スナップだけを効かせ、 ブーンの顔面に叩きつけた。
( ω )「ッッ!!」
「目打ち」と呼ばれる、目潰しの一種。
威力は無いが、眉間から鼻先の間への打撃は、反射的に瞼を閉じさせる。
視界が塞がれたブーンに、次の一手を防ぐ術は無い。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:02:45.74 ID:MNHIDYX/0
支援
( ΦωΦ)「目を怪我しました……ブーンです、ブーンです」
70 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:04:57.73 ID:4akQqu7cO
( ΦωΦ)「ッハァッ!」
爪先に力を込め、ブーンのを目掛け叩き込む…
つもりでいたが、
ロマネスクの足が突き刺したのは、ブーンの頭上にある空気。
(;ΦωΦ)「なっ…!」
ロマネスクは、自分の目を疑った。
腹を狙った中段蹴りが、何故ブーンの頭上にあるのか、その答えを見たときに。
71 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:06:36.23 ID:4akQqu7cO
座っている。
まるで、お茶でも飲んで寛いでいるかの如く、ブーンは座っていた。
その姿を見て、ジョルジュが驚く。
(;゚∀゚)「ちょっ、何やってんだよブーン!?」
その姿を見て、ツンが呟く。
ξ゚听)ξ「…武雲流、来座(くるざ)」
( ゚∀゚)「え?」
対象的に、冷静なツンと慌てるジョルジュの姿は、そのままブーンとロマネスクにも当て嵌まる。
どっかりと腰を据えているブーンに、戸惑うロマネスク。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:07:05.93 ID:nxcLIb4q0
支援
73 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:09:33.57 ID:4akQqu7cO
格闘技界には、「猪木アリ状態」という言葉がある。
元ボクシング世界ヘビィ級チャンプ、モハメド・アリ対プロレスラー、アントニオ猪木の真剣勝負。
後に、「世紀の凡戦」と呼ばれる一戦。
打撃を決めようとするアリと、寝技を得意とする猪木。
猪木の取った作戦は、リング上に寝る事だった。
対するアリは、挑発する事で猪木が立ち上がる様に仕向ける事しか出来なかったと言う。
寝技を得意とする者が伏せる事で、相手を誘い込む。
立ち技を得意とする者は、迂闊には飛び込めない。
アリ対猪木の闘いが、この膠着状態を「猪木アリ状態」と呼ぶ様になった由縁である。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:10:28.54 ID:TFCqigzlO
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:10:36.44 ID:MNHIDYX/0
伝説の泥試合かw
76 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:12:00.25 ID:4akQqu7cO
ブーンの体勢は、少し上体が起きている以外は、それに酷似していた。
ロマネスクは、迂闊には仕掛けられない。
だが、いつまでも手を拱いてる程に、甘くもない。
ブーンに向かって、低い位置にある顔面を目掛けてのローキック。
――が、これも当たらない。
片手で触れるようにロマネスクの足を受け、そのまま力に逆らわず受け流す。
(;ΦωΦ)「ッチィッ!小癪な…」
( ^ω^)「文句言う暇があったら、受け身でも取ったらいいお」
座った状態から、腰と背筋のバネを使い、ロマネスクの懐に飛び込む。
そのままもう片方の手で、ロマネスクの軸足を掬った。
( ゚∀゚) 「なんだってー!!」
( ><)「あれが来座(くるざ)、噂には聞いてたんです」
( *‘ω‘ *)「ぽっぽー」
78 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:15:28.62 ID:4akQqu7cO
足を高く持ち上げる事で、自然とロマネスクの背中は床に接する。
( ^ω^)「…下段、「張境」」
仰向けの胴体に、全筋力、全体重、さらに重力の力をプラスした一撃。
いくら痛みが無かろうと、身体の方が耐え切れない。
(;ΦωΦ)「ゴハァッ!」
ロマネスクの身体が、一瞬反り上がる程の衝撃を受ける。
口からは、血ヘド。
胸部から背中までを伝った「張境」の衝撃は、道場の床板に皹を入れていた。
79 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:17:04.62 ID:4akQqu7cO
ξ#゚听)ξ「ちょっとブーン、道場壊さないでよ!」
(;^ω^)「おっ、ごめんお」
勝負がついた事を悟ったブーンは、ロマネスクから離れ、ツン達の元へ向かう。
(;゚∀゚)「ブーン強えぇ…」
( ΦωΦ)(…完敗であるな)
圧倒的。
それが、ロマネスクのブーンに対しての印象。
事前にロマネスクについての情報があり、対策もあったとは言え、ブーンの実力はロマネスクの予想の範疇を越えていた。
80 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:19:03.80 ID:4akQqu7cO
のっそりと、身体を起こす。
( ΦωΦ)「ダメージを受けすぎた…我輩は退くとしようか」
起きたロマネスクにブーン達の視線が集まるが、闘える状態にない事は察することが出来る。
( ^ω^)「そうかお、出来ればあの朝田ってのも連れてってほしいお」
未だに道場の端でのびてる朝田を指差す。
もしかして死んではいないだろうか、と心配になるくらいののびっぷりに、またもロマネスクは溜息をついた。
81 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:21:03.54 ID:4akQqu7cO
「ちょっと待って下さいよぅ、ロマネスクさーん」
木戸の陰から、声が聞こえた。
(=゚ω゚)ノ「オレ何もしてなくて退屈ですよぅ、オレも闘いたいですよぅ」
( ΦωΦ)「…それはお前が遅刻するから悪いのである」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:21:22.08 ID:TFCqigzlO
支援す
( ><)「すごいですー」
( *‘ω‘ *)「ぽっぽー」
( ゚∋゚) 「くっくー」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:23:14.11 ID:nxcLIb4q0
ロマネスクを圧倒したブーンに勝った
流石だよな、俺ら。
/ヽ /ヽ
/ ヽ / ヽ
/ ヽ___/ ヽ
./ \
/ / \ | /ヽ /ヽ
| \ | / ヽ / ヽ
| / |____ / ヽ___/ ヽ
| __ /____ / \
ヽ -< // \ |
/ ヽ | / |
/ |. | \ |
| | | __ /
| |__ ゝ- <
/| |_ / ヽ
/ | |/⌒ノ | ヽ
| | |ヽ ノ | )
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:23:44.97 ID:MNHIDYX/0
ブーン強いなぁ
86 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:28:03.04 ID:4akQqu7cO
ひょっこりと姿を現したのは、一見幼く見える顔立ちを、高身長が否定する男。
妙にアンバランスだな、とブーンだけでなく、初対面ならば皆思うだろう。
じゃらじゃらとシルバーアクセサリーを鳴らし、ファーの着いたジャケットを脱ぎ捨てて、その場でシャドーボクシングを始める。
(=゚ω゚)ノ「最近、運動し足りないんですよぅ、一暴れしたいよぅ」
ξ#゚听)ξ「何なのよ、今日は!次から次へと…」
飯買ってくる支援
88 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:29:50.86 ID:4akQqu7cO
思案。
ロマネスクに与えられた命令は、「九九六号」を連れ帰る事。
「親」の言う事は聞かず、銃を使う訳にもいかない。
( ΦωΦ)「なあ、内藤殿、我輩は…そのクックルを連れ帰りたいだけなのである」
( ^ω^)「お?」
( ΦωΦ)「そちらの望む物ならば、ある程度は用意出来るだろう」
(=゚ω゚)ノそ「えー!?それは無いよぅ、ロマネスクさん!格闘家なら闘って勝ち取ればいいよぅ」
( ΦωΦ)「伊世は黙っててくれないであるか…」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:31:55.66 ID:MNHIDYX/0
支援
90 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:39:31.57 ID:4akQqu7cO
伊世と呼ばれた童顔の男は、ブーたれながらシャドーボクシングを続けている。
しかし、実力行使が通用しないと見るや否や、物で釣るとは節操の無い事だ。
逆に考えれば、クックルにそれだけの価値があるということ。
( ^ω^)(クックル…君は何者なんだお…)
クックルを見る。
あれ?
91 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:43:52.60 ID:4akQqu7cO
( ^ω^)「…ジョルジュ、クックルはどうしたお?」
( ゚∀゚)「ん?どうしたって、お前…オレがこうして、身をていして守って…」
振り向く。いない。
クックルが居たはずの空間に、五人分の目が集中する。いない。
直ぐ傍にある裏口の戸が、開いていた。
( ゚∀゚)「…あれれ〜?」
ξ#゚听)ξ「「あれれ〜?」じゃねえ!」
92 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:45:58.51 ID:4akQqu7cO
( ΦωΦ)「(チャンスであるな)…我輩は対象を探す…伊世、お前は奴らの足止めを頼む」
待ってましたと言わんばかりに、伊世の瞳が爛々と輝く。
(=゚ω゚)ノ「合点承知だよぅ!」
ロマネスクの行動は速かった。
自分達がクックルがいない事に驚いている時には既に、道場から外へ出ていた。
(;^ω^)「まずいお…!」
後を追おうとする。
しかし、立ちはだかる。
(=゚ω゚)ノ「三対一はキツイけど、勝利条件はこっちが有利だよぅ」
そうだ、この伊世という男がどれほどの実力者なのかは分からない。
だが、クックルを捕らえられた時点であちらの目的は達成される。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 20:49:02.39 ID:MNHIDYX/0
支援
94 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 20:55:06.72 ID:4akQqu7cO
( ゚∀゚)「ここは流れ的にオレの出番だろ!」
ジョルジュが、一歩踏み出る。
ブーンに話し掛けてはいるが、意識は伊世に向けられている。
(=゚ω゚)ノ「…お前、弱そうだから嫌だよぅ」
( ゚∀゚)「そう言うなって、嫌になる暇も無い位瞬殺してやっからwww」
キシリ、と空気が歪んだ。
怒りや不快感が作る、独特の空気。
ジョルジュはトントンと跳びはねて、臨戦態勢を取っている。
(=゚ω゚)ノ「…お前、弱そうな上にムカつくよぅ…粉々にしてやるよぅ」
伊世の意識も、ジョルジュに集中した。
支援
今度こそ漢をみせるよなジョルジュ
97 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:01:56.30 ID:4akQqu7cO
ブーンはツンと共に、クックルが出て行ったと思われる裏口へ向かう。
( ^ω^)「ジョルジュ、任せたお!ツン、行くお」
外は、雲行きが怪しい。雨が降りそうだ。
辺りの地形を頭に思い描く。
周囲は森に囲まれ、少し進んだ場所に広場がある。
道場の正面側には石段があり、反対側に進むと隣町に通じる道が通ってる。
クックルの行きそうな場所を考えるが、解るはずも無い事には直ぐに気付いた。
(;^ω^)「とにかく手当たり次第捜すお!」
ξ;゚听)ξ「うん、手分けして捜そう!」
一旦、別れる。
しかし、この時二人は失念していた。
クックルを捜索する、第三者が、どの様な人物なのかを。
98 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:05:42.53 ID:4akQqu7cO
床板が軋む音がする。
激しく左右にステップを刻み、ジグザグに近づいて来た。
(=゚ω゚)ノ「死ねよぅ」
切り裂く様な肘打ち。
「溜め」をたっぷりと効かせた一撃は、ジョルジュの頬から血を一筋流させた。
( ゚∀゚)(長いな…)
高身長に見合った、長い手足。
肘打ちであっても、充分なリーチを保ったまま放っている。
(=゚ω゚)ノ「ヒョォッ!」
長さを利用した、後頭部を狙う回し蹴り。受ければ間違いなく意識が飛ぶだろう。
( ゚∀゚)「―っ危ねっ!」
身を低く屈めて、かわした。
ただでさえ高い身長が、ここから見るとまるで巨人だ。
蹴りを打った足を反転させている。
伊世の頭の位置より、浚に高く足が上げられた。
( ゚∀゚)「――踵か!」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:05:47.42 ID:MNHIDYX/0
これのジョルジュは実に良いキャラだと思う
100 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:07:50.08 ID:4akQqu7cO
足が巨大に見える程の、脅威を感じた。
まるで、斧かギロチン。
しゃがんだ状態で、バク転をする事で距離を取った。
(=゚ω゚)ノ「全くうろちょろと…ゴキブリみたいな奴だよぅ」
踵の着地先は、木片が散乱している。
目まぐるしい連続攻撃だったが、伊世は息一つ切らしてはいない。
( ゚∀゚)「キック…いやムエタイ…プラス空手とかってとこか」
(=゚ω゚)ノ「お前はボクシング馬鹿だって、ロマネスクさんがいってたよぅ」
( ゚∀゚)「それは正解」
話すのが速かったか、突っかけるのが速かったか、バク転で離された距離は、既にジョルジュが一気に詰めている。
何故かジョルジュは、伊世に背中を見せた。
(=゚ω゚)ノ「…!?」
101 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:10:55.45 ID:4akQqu7cO
だが、一瞬で反転する。
( ゚∀゚)「喰らえや、オレ流右ストレート――」
思い切り捻った身体のバネを使い…
「右腕を」、「消した」。
( ゚∀゚)「――マスドライバーッ!!」
(;=゚ω゚)ノ「ッッ!!」
両腕を交差させ、ガードする。
解り易いくらいに真っ直ぐな攻撃だが、腕の軌道を見失うスピードにより、回避行動を許さない。
伊世は、腕が「これ以上受けるな」と言っている様に感じた。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:11:44.02 ID:MNHIDYX/0
支援
103 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:13:54.77 ID:4akQqu7cO
(=゚ω゚)ノ(…馬鹿力に、聞いた話じゃ馬鹿スタミナ…長期戦はこっちが不利かよぅ)
ジョルジュは、考えている間にも左のジャブを激しく打ち込んでくる。
バックステップで距離をとってはいるが、何れ追い詰められるのは明白だ。
だが、かわしている内に、伊世の両腕が回復した。
(=゚ω゚)ノ「…調子に乗るなよぅ」
( ゚∀゚)「!!」
西部劇に出て来る投げ縄の様に、するりと両腕がジョルジュの首にかかった。
そのまま、胸元まで引き寄せる。ジョルジュの視点は、自然に下を向く。
見えたのは、膝。
高速で迫る、伊世の膝。
(;゚∀゚)「ブガッッ……!」
104 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:16:02.43 ID:4akQqu7cO
ムエタイにはよく見られる光景である、首を抱えての膝蹴り。
伊世のリーチの長さが、その効果をより強力にしている。
一撃で終わる筈も無い。
そのまま、二撃、三撃と続く。
(=゚ω゚)ノ「さっきまでの勢いはどうしたよぅ」
( ∀ )「……」
ジョルジュは、無言。
無理も無い、顔面に強烈な打撃を幾つも貰ったのだから。
しかし、ジョルジュの手は伊世の腕をしっかりと掴んでいた。
ジョルジュ頑張れ!!
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:19:01.15 ID:MNHIDYX/0
ジョルジュ支援!!
107 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:19:08.89 ID:4akQqu7cO
(=゚ω゚)ノ「……いい加減離…ッ!?」
両の手首から、電流の様な痛みを感じる。
ジョルジュが、万力の如く、単純に伊世の腕を締め付けているのだ。
(;=゚ω゚)ノ「ぐあっ!」
思わず、手を離す伊世。
まさか、こんな力任せに脱出を計るとは思わなかったであろう。
( ゚∀゚)「…ッへ」
不敵に、笑う。
ジョルジュの顔は、鼻血が吹き出て、額が赤くなっている。
( ゚∀゚)「ブーンから聞いたんだぜ!強力な攻撃も、頑丈な場所で受け止めてやりゃーたいしたこと無いんだってよー」
(;=゚ω゚)ノ(…だからって、額で受けたって無事で済むわけないよぅ…なんつー石頭)
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:20:28.14 ID:Gr8ZCoI1O
つwwwwwwwまwwwwwんwwwねwww
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:21:34.66 ID:nxcLIb4q0
おwwwwwwwもwwwwwろwwwいwww
110 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:21:38.53 ID:4akQqu7cO
またもや、ジョルジュが一気に詰め掛ける。
その身体は、一瞬背後を向いた。
(=゚ω゚)ノ(――来るっ!)
伊世の目の前の光景は、先程の閃光の様な右ストレートを予感させた。
(=゚ω゚)ノ(軌道さえ分かれば、問題は――)
しかし、またもや伊世の予想は裏切られる。
( ゚∀゚)「オレ流ジャブ―――ツイスター!!」
捻られた身体から、バックハンド気味に発射される、ジャブ。
一般的に、「フリッカージャブ」と呼ばれる、腕のスナップのみを利用したジャブである。
打ち方故に威力は無く、距離を取るためや、純粋な牽制に使用される技術だ。
111 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 21:23:19.59 ID:4akQqu7cO
ジョルジュは、牽制や距離を取るために打っているのか。
長いリーチを脅威に感じているのか。
答えは、否。
(;=゚ω゚)ノ(何だよぅ、このフリッカーは…重過ぎるよぅ!)
重いと言っても、ストレートやアッパーとは比べるべくも無い。
だが、伊世の頭にあるフリッカーの知識と、ジョルジュの鍛練と工夫が、激しいギャップを生み出していた。
(=゚ω゚)ノ「このぉっ…!」
重いと言っても、ジャブはジャブ。
伊世は、半ば無視して一撃をジョルジュに叩き込むつもりで、正拳を打つ。
しかしそれも、フリッカーによって弾かれた。
反撃、出来ない。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:24:46.82 ID:MNHIDYX/0
支援
きっと見よう見まねで試行錯誤しながら自己流でがむしゃらに修行したんだ
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:33:59.53 ID:gIHJ6Lqq0
支援
ジャブ支援
もいっちょジャブ
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 21:59:39.00 ID:gIHJ6Lqq0
支援
118 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:01:18.80 ID:4akQqu7cO
「ツイスター」の名に恥じる事無く、連続、かつ高速で放たれる。
ジャブ故にかわせず、ジョルジュ故に重い。
更に、伊世を苦戦に追い込むもう一味。
( ゚∀゚)「アーンド――マスドライバーッッ!!」
(;=゚ω゚)ノ「クソッ――!?」
背後を相手に見せる、独特のフォーム。
両方の予備動作が一致している事で、どちらが使用されるのか、伊世には全く分からなかったのだ。
単調な様でいて、全く同じモーションから放たれる二択は、相対する者にとっては恐るべき「兵器」と言えるだろう。
(;=゚ω゚)ノ「痛ぁっ!」
咄嗟の判断で、またもガードに成功する。
ただし、腕を犠牲にして。
(;=゚ω゚)ノ(クソックソックソッ!!こんな筈じゃないよぅ、こんな筈じゃあ……ッ!!)
119 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:02:42.46 ID:4akQqu7cO
( ゚∀゚)「…ッ!うおっと」
いきなり伸ばされた、伊世の足。
前蹴りとも呼べない力任せのキックは、単純な軌道なだけによけ易い。
格闘家として訓練を重ねたジョルジュは反射的に回避し、伊世はその隙に距離を取る。
だが、ジョルジュが回避
を行ったのは――
(= ω )ノ「……ククッ」
蹴りが単純なだけでは無く――
(=゚ω゚)ノ「……忘れてたよぅ、「コレ」があったんだよぅ、ククッ」
――伊世の存在に、何か不穏なものを感じたからであろう。
120 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:04:23.47 ID:4akQqu7cO
(;゚∀゚)(な、何だぁ?いきなり笑い始めやがって)
伊世が、おもむろに脱ぎ捨てた上着に近付き、ポケットに手を伸ばす。
取り出した手の中には、注射器と小瓶が握られていた。
( ゚∀゚)「…おいおい、今更ドーピングかよ?」
(=゚ω゚)ノ「フッヒヒ…出来るなら使いたくなかったけど…お前が悪いんだよぅ…ヒヒ」
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:05:51.36 ID:Gr8ZCoI1O
こんなの投下して楽しいですか?^^;
122 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:06:33.48 ID:4akQqu7cO
喧嘩では、負けた事など無かった。
それなりに女にもモテたし、金が無くなればそこら辺の奴を脅せばいくらでも手に入った。
腕力に物を言わせて、子供の頃から何一つ不自由は無かった。
今回、ロマネスクの「上司」に雇われたのも、ほんの小遣い稼ぎのつもりだった。
兎の庭で暴れていた子虎が、庭の外で初めて出会った獅子に、全てのプライドを砕かれた。
(=。ω。)ノ「ヒヒ…ハハハ…使ってやるよぅ」
( ゚∀゚)(…キレやがったか、メンドクセェ奴)
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:08:19.90 ID:MNHIDYX/0
支援
ジョルジュはアレだな
KOFのラルフ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:09:40.46 ID:Gr8ZCoI1O
つまらないよ
126 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:11:53.97 ID:4akQqu7cO
注射器で瓶から何かの液体を吸い出し、腕に注入する。
伊世の肉体に、変化が起き始めた。
筋肉が隆起し、血管が浮き出て、瞳孔が拡大している。
肌の色は紅く染まり、上昇した血圧に肉体が耐えられないのか、鼻からは血が垂れている。
(#=゚ω゚)ノ「フゥー…ッフゥーッ…」
息が、荒い。
端から見れば、とても闘える体調ではないだろう。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:14:34.21 ID:Gr8ZCoI1O
注射器で瓶から何かの液体を吸い出し、腕に注入する。
伊世の肉体に、変化が起き始めた。
筋肉が隆起し、血管が浮き出て、瞳孔が拡大している。
肌の色は紅く染まり、上昇した血圧に肉体が耐えられないのか、鼻からは血が垂れている。
(#=゚ω゚)ノ「フゥー…ッフゥーッ…」
息が、荒い。
端から見れば、とても闘える体調ではないだろう。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:18:39.05 ID:2SMxpmGPO
支援
129 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:19:00.63 ID:4akQqu7cO
何も無い空間で、突然床板が割れた。
ジョルジュには、そう見えた。
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(;゚∀゚)「――んな!?っぐぁっ…」
肩に、衝撃。
天井近く飛び上がった伊世が、ジョルジュの肩を踏み付けていた。
そのまま、逆足でサッカーボールキック。
ジョルジュの頭を弾き飛ばした。
(♯゚∀゚)「ガッッ…この野…!?」
着地、そして突進。
伊世の移動に、白いぼんやりとした影が引きずられている。
足を着けた床は、全て踏み抜かれていた。
(#=゚ω゚)ノ「―――ハハッ」
技術も何も無い、渾身の、原始的な体当たり。
( ∀ )「―ッ――ッッ」
声を出す間もない衝撃に、ジョルジュは幼い頃に遭った自動車事故を思い出していた。
壁まで吹っ飛ばされる。背面を強く打ち付け、そのまま床に倒れ込んだ。
さすがラドンwクリスマスも活発だwww
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:20:02.94 ID:MNHIDYX/0
半端なくヤバイ薬だな
132 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:21:48.81 ID:4akQqu7cO
(=゚ω゚)ノ「ヒヒッ…やっぱお前弱いよぅ…ヒヒッ」
ジョルジュを見下し、狂った様に笑う。
その目は血走り、血涙が流れ、鼻血は量を増している。
(♯゚∀゚)「…バカヤロウが」
いつの間にか、ジョルジュは立ち上がっていた。
瞳にはダメージを感じさせない光が宿っている。
(♯゚∀゚)「来いよ…引導渡してやる」
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:22:31.51 ID:Gr8ZCoI1O
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
134 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:24:08.01 ID:4akQqu7cO
伊世の肉体は既に、素人が見ても副作用によって限界が来ているのが分かる。
魂が抜け出ている様に、深く息を吐いた。
(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」
笑っているのか、怒っているのか、奇妙な表情をしている。
狂気、いや、狂喜か。
(#=゚ω゚)ノ「…死…ねぇ!!」
伊世の周囲の空間が、引き寄せられる様に歪んだ。
肉体が、膨れ上がる。
全身から、肉と骨が軋む音が聞こえた瞬間。
伊世が、ジョルジュに突っかけた。
( ゚∀゚)(来い…そのまま…ッ!)
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
エビ、メロン、ミルナ、ミルナ。
ミルナ。
(※゚;ωj゚)「あぇぎゃぁ!」
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:27:07.29 ID:Gr8ZCoI1O
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」(#=゚ω゚)ノ「…ハアァァァ―――…」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
137 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:27:27.38 ID:4akQqu7cO
先程と同じ、全力の体当たり。
ジョルジュは、全神経を集中させ、伊世を見据えた。
アドレナリンとエンドルフィンが時を減速させる。
ダッシュによって踏み抜かれた床板の、細かい破片まで数えられる。
極限の集中力。
( ゚∀゚)「…オレ流フィニッシュブロー……」
二つの技と同じ様に、上半身を大きく捻る。
イメージは野球のピッチャー。
さしずめ、トルネード投法か。
屈んだ伊世の長身の、顎の先端に狙いを着ける。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:28:43.34 ID:wvfHsUubO
支援
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:28:45.82 ID:Gr8ZCoI1O
( ゚∀゚)「…オレ流フィニッシュブロー……」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
140 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:28:53.03 ID:4akQqu7cO
一瞬。
一瞬。
さらなる一瞬。
まさに、刹那。
ジョルジュの身体が、肩口から拳の先端にかけて、白く消えた。
(♯゚∀゚)「サンダーボルトッッ!!」
真上から、空気すら吹き飛ばす一撃。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:29:12.24 ID:MNHIDYX/0
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:30:34.20 ID:Gr8ZCoI1O
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(♯゚∀゚)「サンダーボルトッッ!!」 (=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(♯゚∀゚)「サンダーボルトッッ!!」 (=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」(♯゚∀゚)「サンダーボルトッッ!!」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
(=゚ω゚)ノ「ッッシャッッシャッ!!」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:31:18.87 ID:2SMxpmGPO
支援支援
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:33:20.42 ID:wvfHsUubO
支援
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:34:11.54 ID:Gr8ZCoI1O
(=゚ω゚)ノ「ッッシャアッ!!」
ところで伊世のモデルは勝又なんですか?
146 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:38:27.61 ID:4akQqu7cO
ロシアン・フック。又は、オーバーハンド・ライト。
上体を傾け、真っ直ぐに上から下に打ち下ろす技。
強靭な背筋力が生む衝撃は、必殺の一撃に充分なり得る。
ジョルジュは、筋力を鍛練により手に入れた。
さらに自身で工夫を加える事で、越えられない人種の筋力の壁を越え、既存のロシアン・フックを上回るオリジナルの技として昇華させたのである。
雷が落とされた。
体当たりのスピードも合わさり、顎への衝撃は梃子の原理により脳へ伝わる。
今、灰色の豆腐はカクテルの様にシェイクされている状態だろう。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:38:44.49 ID:zQKhXUcgP
来座っていうのは、柔術の正座の構えと似ているのかな
武士は正座した状態で敵に襲われても対処できるよう、そのような技法が発達したとか
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:39:22.42 ID:Gr8ZCoI1O
(♯゚∀゚)「サンダーボルトッッ!!」
149 :
十三話 ◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:39:53.51 ID:4akQqu7cO
(= ω )ノ「……」
目は半開きで虚ろ、口からはよだれが垂れている。
( ゚∀゚)「……イテテ…さっさとクックル捜しに行くか……」
「道場が目茶苦茶だ、またツンに怒られるかな」などと考えながら、フラフラとその場を後にした。
十三話 終
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:40:21.72 ID:Gr8ZCoI1O
伊世のモデルは勝又なんですか?
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:47:37.17 ID:vPKOV6mP0
展開が「史上最強の弟子ケンイチ」って漫画に似てる
あれも色んな武術が出てくる
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:47:46.32 ID:wvfHsUubO
乙〜
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:50:21.49 ID:4akQqu7cO
本日分終了。
長々とお付き合い&支援感謝致します。
>>145 >>150 特にモデルは考えてないです
ギャル男っぽい強い奴ぐらいとしか
>>147 イメージ的にはそんな感じです
絵的には、猪木アリ状態+合気か柔術な感じで
乙
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:50:55.51 ID:2SMxpmGPO
乙乙
ラドンは無視した方が伊世
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:51:47.64 ID:Gr8ZCoI1O
ごめんなさい。すみませんでした。乙です。
おつかれー
なんでこんな燃える展開の時に二話一気に投下しちゃうんだよwwww
ジョルジュが勝って大満足♪ ブーン?なにそれ
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:55:40.30 ID:zQKhXUcgP
160 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 22:58:14.58 ID:4akQqu7cO
トリ入れ忘れた
次回までちょっと間が開きます
実家が携帯の電波が届かない場所なんで
早ければ1月の三が日過ぎた頃遅くても1月の真ん中位には
後質問とかあったら答えます
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/24(水) 22:59:57.55 ID:Gr8ZCoI1O
とにかくジョルジュがかっこ良すぎです。頑張ってください。
餓狼伝は読みましたか?
読んでるなら嬉しい、仲間だ
間違っても漫画の餓狼伝は参考にしないでください
163 :
◆TLTiVWbvF. :2008/12/24(水) 23:10:22.04 ID:4akQqu7cO
未読ですが、間違ってもスープレックスに丸々一話をかけたりはしません
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙