1 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:
代理
2 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:06:25.87 ID:wDjnrZVS0
釣りか?
3 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:09:17.48 ID:4NhfM5tk0
すごいペースだな
4 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:09:32.61 ID:OZUgbC4+O
>>1乙!
↓初北産業↓
サイバーパンク
オムニバス
シリーズ
まとめサイト(ブーン芸さん)
http://boonsoldier.web.fc2.com/maiden.htm 超絶簡易登場人物紹介
从゚∀从…ロボ。強い。毒舌
('A`)…ゴミクズ。弱い。何でも屋。
( ^ω^)…ハッカー。人間不信。実は主人公。
(,,゚Д゚)…全身義体。忍者。最強。
ξ゚听)ξ…女スナイパー。謎。作者にもわからない。
从'ー'从…女会長。超絶金持ち。怖い。
マト#>д<)メ…最強。強い。ギコより。
(=゚ω゚)…なまやつはし。なまやつはし。なまやつはし。
第二期ハジマタ\(^o^)/
そんな訳で、第一期を振り返ると共に初めて読む人の為に、今までのお話を振り返る総集編だ!
5 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:11:35.00 ID:Xy1N4TLTO
wktk
6 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:15:04.43 ID:OZUgbC4+O
※初めに※
以下のindexはオムニバスとなっている本編を、各エピソードごとに分析、解説したものです。
・初めて読むけど、これ長くね?
・各話ごとの繋がりとかどうでもいい
そんな人達は、これから投下するindexをご活用頂ければ幸いです。
7 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:15:59.31 ID:OZUgbC4+O
=index=
【disc 1. マリオネット・シェイクスピア】
story…ドクオとハインは何でも屋。きな臭い仕事を請け負い日銭を稼ぐ日々を送っていた。
そんなある日、彼らの下に逃走した軍用アイアンメイデンを破壊依頼が舞い込む。
きな臭い依頼に辟易としながら調査を開始するドクオ達だったが……。
tips…世界観を掴みたい方は、先ずこれを読んで頂ければ間違い有りません。
↓成分表↓
バトル…★★★☆
罵詈雑言…★★★★★
ミステリ…★☆☆☆☆
サイバーパンク…★★★★★
萌え…★★★☆☆
田所さん…★★★☆☆
8 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:16:28.33 ID:4NhfM5tk0
支援
9 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:16:56.52 ID:BkJEPqhG0
今回は総集編か支援
10 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:17:10.91 ID:OZUgbC4+O
=index=
【disc 2. Holiday in the bomb】
story…休日のニーソク区。ドクオ達はハインのメンテナンスのついでに、メインストリートへとショッピングに繰り出す。
そこで彼らは、一人の迷子の少年と出会い……。
tips…ストーリーを追いかけるのに疲れた方にお勧め。ドクオとハインの日常の一コマを描いた一話。
何も考えないで読めるのは、何も考えないで書かれた話だから。
↓成分表↓
バトル…☆☆☆☆☆
罵詈雑言…★★★★★
ミステリ…☆☆☆☆☆
サイバーパンク…★★☆☆☆
ほのぼの…★★★★★
田所さん…★★☆☆☆
11 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:18:20.22 ID:OZUgbC4+O
=index=
【disc 3. シャングリラに降る雨】
story…依頼日照りに閑古鳥が鳴く、ドクオの何でも屋。暇を持て余したドクオは、ネットに潜りとある「都市伝説」を見つける。
その「都市伝説」に興味を持ったドクオは、ブーンと二人で調査を始めるが……。
tips…エックスファイルとかMMRが好きな人にお勧め。満足出来るかはまた別。サスペンステイストのお話。
↓成分表↓
バトル…★★☆☆☆
罵詈雑言…★★★★★
ミステリ…★★★★☆
サスペンス…★★★★☆
サイバーパンク…★★★★★
ハイン…★☆☆☆☆
ブーン…★★★★☆
田所さん…★☆☆☆☆
12 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:19:30.13 ID:OZUgbC4+O
=index=
【disc 4. ブラッディ・マリーをもう一度】
story…「私をここに置いて下さい」。
突如ドクオの事務所に転がり込んできた、謎の少女ヘリカルの第一声はこうだった。
反対するハインを押し切り、ドクオはヘリカルの居候を許すが……。
tips…ドクオの過去が垣間見えるお話。全編を通して幼女だらけなので、そういったのが好きな大きいお友達にお勧め。
↓成分表↓
バトル…★★★★☆
罵詈雑言…★★★☆☆
サスペンス…★★★★★
サイバーパンク…★★★☆☆
幼女…★★★★★
萌え…★★★★★
ほのぼの…★★★★★★★★★★★
へたれ…★★★★★
田所さん…★☆☆☆☆
13 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:20:36.64 ID:DxdQEPLcO
ペニサス……
しえん
14 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:20:40.42 ID:OZUgbC4+O
=index=
【disc 5. Rock!Rock!Rock!】
story…インディーズ・ヘヴィメタルバンド「パペットマスター」の女ヴォーカルの護衛を引き受けたドクオ達。
メジャーデビューがかったメタルフェスティバルを控えた彼女は、ストーカーの存在に悩まされていて……。
tips…ヘヴィメタルミステリー。基本的にシリアスではないので、パスタを茹でる片手間にどうぞ。
↓成分表↓
バトル…☆☆☆☆☆
罵詈雑言…★★☆☆☆
サスペンス…★★★☆☆
ミステリー…★★★★★
サイバーパンク…★☆☆☆☆
萌え…★★★★★
ほのぼの…★★★☆☆
パンチラ…★★★★★
ペイン…★★★★★
田所さん…★☆☆☆☆
15 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:22:20.76 ID:OZUgbC4+O
=index=
【blank disc B-1. Crudeness days】
story…8年前。ブーンは電子の海へ潜っては、ハッカー仲間達と馬鹿騒ぎに明け暮れる毎日を送っていた。
そんなある日、何時ものチャットルームで馬鹿話に興じる彼の耳に、行き着けのジャンク屋がヤクザと悶着を起こしているという噂が入る……。
tips…ブーン外伝第一章。彼がまだ高校生で、仲間達が居た8年前の話。電脳空間で過ごした、彼の青臭い青春を綴ったお話。
↓成分表↓
バトル…☆☆☆☆☆
罵詈雑言…★★☆☆☆
シリアス…★★★☆☆
青春…★★★★★
サイバーパンク…★★★☆☆
ぃょぅ…★★★★★
三国志…★★☆☆☆
田所さん…☆☆☆☆☆
16 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:23:22.54 ID:4NhfM5tk0
支援
17 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:24:47.63 ID:OZUgbC4+O
以上、今までのまとめでした。
ここからはdisc6、本編の投下となります。
総集編だけでは終わらんよッ!(ルルーシュとは違う!)
願わくば、しばしのお付き合いのほど、宜しくお願いします。
18 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:25:10.61 ID:1wf8d03t0
支援
19 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:25:51.11 ID:OZUgbC4+O
disc 6. 硝煙挽歌
“入り口があって出口がある。大抵のものはそんな風にできている。
郵便ポスト、電気掃除機、動物園、ソースさし。
もちろんそうでないものもある。
例えば鼠取り。”
……村上春樹/1973年のピンボール
20 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:27:07.95 ID:OZUgbC4+O
prologue
━━彼女は、窓の外を、ちらほらと雪が舞い落ちていくのを、黙って見ていた。
ミ,,゚Д゚彡「街じゃもう、電飾のついた樅の木を引っ張り出してたぜ。全く、気が早いこって」
林檎の皮を剥きながら、オレは彼女に語り掛ける。
剥げかけたリノリウムの床に、リネンの香り。あまり衛生的とは言えない病室の中、窓際に置かれた一つのベッドがもぞもぞと動いた。
(*゚ー゚)「みんな焦ってるのよ。早いうちからクリスマスムードを作っておいて、そのムードに乗じて儲けようってね」
皮肉気に唇を緩め、彼女は微笑む。
もう何年も自分の足で歩いていない彼女にとっては、浮き足立った街の様子は気に食わないのだろうか。
そんなことを考えてしまう自分に、少し腹が立つ。
(*゚ー゚)「クリスマス、か……」
ふう、と溜め息をつき彼女はベッドの上で上体を起こす。
栗色の髪が、ほっそりした顔の輪郭にそって揺れた。
“ニューロリジェクション”
電脳空間への没入時に何らかの外的要因で、脊髄神経が傷付けられる事で下半身が麻痺する病。
21 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:28:57.67 ID:OZUgbC4+O
発祥原因は不明。電脳空間の情報流(ストリーム)に脳が拒否反応を示した事が原因の一つだろうと医者は言っていたが、オレにはそんな専門的な話はちんぷんかんぷんで分からなかった。
ただ一つ分かる事。それは、彼女が……オレの数少ない肉親である彼女が……生まれつき血友病を抱えている為に、“ニューロリジェクション”の治療手術を受けられない、という……単純で、明白な、事実だけ。
ミ,,゚Д゚彡「しぃは、クリスマスプレゼントは何が欲しいんだ?」
うさぎの形に切った林檎を自分の口に放り込む。
それを恨めしげに見つめるしぃ。
(*゚ー゚)「…もう、フサにぃはそうやってすぐ私を子供扱いするぅ」
ミ,,゚Д゚彡「そういう意味じゃねえよ。レディになっても、プレゼントは貰うもんだろ?」
そっかぁと呟き、彼女は顎に指をあてて考え込む。
黒目がちな瞳が刹那の間宙をさまよい、やがてしぃはポツリと呟いた。
(*゚ー゚)「プレゼントはいいから、クリスマスは三人で過ごしたいな」
ミ,,゚Д゚彡「……」
昔みたいに、と付け加える彼女の顔に浮かぶ寂し気な色に、オレは俯く事しか出来ない。
22 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:29:34.80 ID:BkJEPqhG0
支援
23 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:30:50.00 ID:1wf8d03t0
ギコ編か
支援
24 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:31:47.41 ID:OZUgbC4+O
(*゚ー゚)「…ねぇ、ギコにぃはどうしてるかな?」
ギコ。その名前に、びくりと肩を震わせる。
ミ,,゚Д゚彡「……」
(*゚ー゚)「やっぱり、クリスマスは恋人さんと過ごすのかな…」
ミ,,゚Д゚彡「その……」
(*゚ー゚)「…?」
ミ,,゚Д゚彡「…こないだ、田島の奴が…駅前のWATANABEで見たって…」
やっとの事でそれだけ呟くと、額にじわりと脂汗が滲むのが分かった。嘘は、慣れない。
(*゚ー゚)「本当に!?」
ぱっと目を輝かせるしぃに、オレの罪悪感は膨れ上がる。
25 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:32:16.10 ID:OZUgbC4+O
(*゚ー゚)「本当に!?」
ぱっと目を輝かせるしぃに、オレの罪悪感は膨れ上がる。
ミ,;゚Д゚彡「あ、あぁ。……試食品コーナーで、合成沢庵を摘んでたって」
(*゚ー゚)「えー…ギコにぃ、そんなセコかったっけ?田島さんの見間違いじゃない?田島さん、そそっかしいから」
ミ,;゚Д゚彡「……はは、かもしれねぇや」
くすくすと笑うしぃ。頭をかき、苦笑いを浮かべるオレ。
(*゚ー゚)「……本当、どこ行っちゃったんだろ。あの日から8年も…手紙もよこさないで」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(*゚ー゚)「フサにぃはいいよね。たまに、会ってるんでしょ?」
26 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:34:56.25 ID:2SJd92dH0
indexの田所さんに吹いた支援
27 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:36:01.98 ID:OZUgbC4+O
ミ,,゚Д゚彡「…まぁ、な」
(*゚ー゚)「なのに、私も会いたいって言うと“仕事が忙しい”とか言ってさぁ…」
これ以上は、耐えられそうにない。
オレは、壁掛け時計に目をやると慌てた素振りで立ち上がる。
ミ,,゚Д゚彡「わりぃ、しぃ。もういかねぇと」
(*゚ー゚)「えぇー、また組の会議ぃ?」
ミ,,゚Д゚彡「あぁ、そんなとこだ。…で、プレゼントは何がいい?」
頬を膨らませるしぃをごまかすよう、せき立てるオレ。
(*゚ー゚)「んー…そうだなぁ…」
28 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:36:59.58 ID:OZUgbC4+O
しばし可愛いらしい顔を歪めて考えた後、しぃはオレの髪を指差し。
(*゚ー゚)「白」
ミ,,゚Д゚彡「?」
(*゚ー゚)「それと、黒の絵の具」
それだけを言うとにっこりと微笑んだ。
ミ,,゚Д゚彡「…絵の具…だけで、いいのか?」
念を押すオレに、彼女は微笑んだまま頷く。
ミ,,゚Д゚彡「そうか…。じゃあ、オレはこれで。しばらくは来れないと思うが、クリスマスだけは必ず来るからよ」
きびすを返し、二、三歩き病室の扉へ手をかけるオレ。
(*゚ー゚)「フサにぃ」
その背中に、しぃの声が降りかかる。
29 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:37:30.33 ID:BkJEPqhG0
支援
30 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:40:05.77 ID:OZUgbC4+O
(*゚ー゚)「フサにぃが、組の為に頑張ってるのは凄く…立派だと思う」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(*゚ー゚)「お父さんが殺されてから、私や組の…西村のみんなが露頭に迷わなかったのは、お兄ちゃんのお陰だって…みんな、そう思ってる」
ミ,,゚Д゚彡「……なぁ、しぃ…」
(*゚ー゚)「……だから、これ以上は…無理、しなくていいんだよ。ね?私が言いたい事、わか…」
ミ,,゚Д゚彡「……もう、行かねぇと」
(;゚ー゚)「おにぃ…!」
縋る声。振り払うよう、扉を閉める。
「……何処にも行かないで」
扉越しに聞こえるすすり泣きに耳を塞ぎ、コートの襟を立てて歩き出す。
31 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:40:43.57 ID:OZUgbC4+O
ミ,,゚Д゚彡「……田島か。オレだ」
病院の廊下を歩きながら携帯端末を耳に当て、ひっつめにした髪に指を入れる。
ミ,,゚Д゚彡「…ヤツらの動きは…」
病院の玄関敷居をまたぎつつ、乳白色の長髪を指で弄ぶ。
ミ,,゚Д゚彡「そうか。……ちょいと野暮用が出来た。何時もの場所で待ってろ。一時間ってとこだ」
電話を切る。
ミ,,゚Д゚彡「……オヤジ、もう直ぐだ」
“もう直ぐ、終わる”
呟きは、降りしきる雪の中に消えた。
32 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:43:05.52 ID:OZUgbC4+O
〜track-α〜
━━人間が「過去形」になる瞬間はこれまで幾度と無く見てきた。
(;'A`)「な、な……」
それでも、今この瞬間は、間違いなく今年の「ドクオズ・サプライズ・オブ・ザ・イヤー」で金賞を狙える程に、衝撃的だった。
<ヽ●∀●>「さぁ、話を戻そうか」
宵闇が迫るオレの事務所のソファに、お着きの舎弟達を五人もはべらせ、我が物顔でふんぞり返ったその男は大陸出の顔付き。
黒のスーツに茶色のトレンチコートの前をはだけて羽織った丸サングラスをかけた出で立ちは、大昔のホロムービーから出て来たよう。
彼は、両手に一丁ずつ握ったベレッタM76を後腰のホルスターにしまうと、世間話でも始めるようにこちらを振り返った。
(;'A`)「どういうこった……」
彼の背後で、長ドスを振りかぶったヤクザ風の男が崩れるように後ろへ倒れ込む。
額には、金玉のように二つ並んだ風穴。
<ヽ●∀●>「オオカミのお坊ちゃんは教育がなってないみたいニダ。そこが何処だろうとお構いなしと来る」
彼が懐から中国葉巻を取り出しくわえると、舎弟の一人がジッポで火を灯す。
33 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:43:32.99 ID:BkJEPqhG0
支援
34 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:45:48.98 ID:OZUgbC4+O
<ヽ●∀●>yー~「ふぅ……」
……唐突にこの部屋を訪れたサングラスの男は、先に名をニダーと名乗った。
ニダー。チャイニーズマフィア“陳龍”の香主…つまりは、ヘッド。
そんな彼の突然の来訪に驚くオレに、「本当のサプライズはこれからだ」と言わんばかりに、事務所の扉を蹴破って現れたのが先の長ドスの男。
浪花節で奇声を上げながらニダーに切りかかった彼は、ご覧の通り脳天をぶち抜かれ、鬼籍に入った。
从゚∀从「…今日も一日、平凡怠惰に終わると思っていたが。……なかなか、面白いことになってきたじゃないか」
オレの横で不適な笑みを浮かべるハインリッヒ。
銀髪赤眼にゴスロリワンピースの彼女、特A級護衛専任ガイノイド「アイアンメイデン」は、過激な事がお好きなようだ。
('A`)「ヘイヘイヘイ、ボス。オレは今“うたた寝”で忙しい。厄介事なら他を当たってくれ」
オレ達は何でも屋。
街角でのティッシュ配りから、魔王退治まで請け負う正義の味方。
<ヽ●∀●>yー~「お宅の通常業務にはそんなものが含まれているのか。こいつぁ忙しいところ失礼したな」
35 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:48:05.21 ID:OZUgbC4+O
('A`)「そういうこった。うたた寝、居眠り、昼寝、毎日が大忙しよ」
そんな懐の広いオレ達でも、マフィア絡みの仕事だけはなるべく受け付けたくない。
うまく片づいた所で、こういった手合いの輩と連むと後腐れがある。
この上なく面倒くさいのだ。
<ヽ●∀●>yー~「その忙しいところ悪いんだが、どうしてもお宅に頼みたいことがあってね。…バオ」
名を呼ばれた舎弟の一人が、手に提げたアタッシュケースを応接テーブルの上に広げる。
ざっと見たところで、700万の札束の山。
(;'A`)「……お、おぉ…」
一瞬、現ナマの魅力に身も心もとろけてしまいそうになったが、よだれを拭いて踏みとどまる。
('A`)「いくら積まれても変わらねぇよ。タイムイズノーマネー。オレの時間はプライスレスだ」
从゚∀从「おい、インポテンツ。ついに金銭感覚が狂ったか?よもや、我々の経済事情を理解出来ていないとでも?」
意外な奴が食い付いてきた。
('A`)「あのなぁ、ハイン。前にも言わなかったか?マフィア絡みの事件程面倒くせぇもんはねぇんだよ。あと、オレの“マグナム”はちゃんと動く」
36 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:50:23.02 ID:OZUgbC4+O
从゚∀从「貴様の腐敗した発泡スチロール性脳核にとっては、何もかもが面倒だろうな。だから私も以前に言ったであろう。その腐れた脳核を新しいのと変えろ、とな」
('A`)「おい、特A級罵倒専任ガイノイド、ちょっと聞けや。いいか、オレは確かにダメ人間だがてめぇの分量はわきまえてるつもりだ。
そのオレが、この手の事件は分不相応だっつってんだよ。君だって風通しのいい肉抜きボディになんかなりたかないだろう?」
从゚∀从「私は貴様が死ななければそれでいい」
(*'A`)「きゅんっ!」
…と来たが騙されないぞ!
(;'A`)「そういう問題じゃなくて……」
<ヽ●∀●>yー~「あぁー…取り込み中悪いんだが…」
('A`)「あん?」
ニダーの声に振り向けば、オレに向けられた銃口の群れ。
(;'A`)「え、えと……」
チャイニーズマフィア達の構えるベレッタは、全て寸分の狂い無くオレの脳天にポイントされている。
37 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:50:57.80 ID:5OimHqxdO
支援
38 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:52:17.24 ID:OZUgbC4+O
<ヽ●∀●>yー~「…1ヶ月ほど前だったかな。うちの会計士が、雇われ鉄砲玉とナシを付けにいくと言って、そのまま帰ってこなくなったニダ」
(;'A`)「えっと……」
<ヽ●∀●>yー~「話を聞いたウリは、直ぐにそいつが交渉場所に選んだ酒場に組の者を向かわせた」
(;'A`)「あ、あの……」
<ヽ●∀●>yー~「そいつは、そこで頭をザックリと割られててね。ザクロみてぇによ。全く、ひでぇ話だわな」
ニダーの言葉にピンとくると共に、何だか嫌な予感がした。
<ヽ●∀●>yー~「…で、そいつ…ヒッキーって言うんだがな…そいつと最後に会ってた雇われ鉄砲玉ってのが誰か気になってね。ちょいと調べてみたニダ」
やばいやばいやばいやばいやばい。
<ヽ●∀●>yー~「なぁ、ドクオ君。ウリ達は、とても情に厚い。組識の奴らは、みんな家族みたいなもの何だよ」
舎弟達が、ベレッタの引き金に指をかけた。
<ヽ●∀●>yー~「その家族が、どこの馬の骨ともわからねぇゴロツキに殺られたんだ。…もうウリはカンカンだ」
39 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:53:51.68 ID:OZUgbC4+O
やばいやばいやばいやばいやばい。宇宙やばい……おっと。
やばいったらやばい。何がやばいって、こいつら完全に勘違いしてやがるのがやばい。
確かに、あのときオレはその場に居た。
居たけど、奴を殺ったのはあのいけ好かないモノノフ気取りだ。オレじゃない。断じて違う。
それを彼らに伝えなきゃいけないけど。
<ヽ●∀●>yー~「さて、ドクオ君。ここでウリ達はお前さんをミートローフの挽肉みたいにしてやってもいい」
(;'A`)「絶対信じないよな……」
積んだ。あぁー積んだ。完全に積んだわ。オレの人生終了のお知らせ。
サヨウナラ、現世。コンニチハ、エデン。
嗚呼エホバ様、そっちにエロゲはありますか?
<ヽ●∀●>yー~「だが、ウリ達も鬼じゃない。むしろマザー・テレサみてぇに優しいと自負してる。……なぁ?」
舎弟達を振り仰ぐニダー。それに舎弟達は嫌な笑みを浮かべる。
(;'A`)「あの…その…」
<ヽ●∀●>yー~「こっちの依頼を受けてくれりゃあ昔の事は水に流そうじゃねぇか。
何時までもいがみ合ってんのは格好悪いもんなぁ。人類皆兄弟。仲良くしようや」
40 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:55:49.99 ID:OZUgbC4+O
紫煙を吐き出し、左手を差し出してくるニダー。
(;'A`)「あ……ぅ……」
この手は、つまり、地獄の血の池で溺れてるオレに差し出されたお釈迦様の、それだ。
そのお釈迦様がベレッタM76なんて物騒なもんぶら下げてるなんてのは、何かの悪い冗談だろう。
…握れば、麻薬とガンパウダーと血の臭いに溢れた極楽浄土。
…握らなければ、お釈迦様のベレッタM76で頭がパーン。
どちらを選んでも、待っているのが死ならば。
(;'A`)「オレ…オマエ…トモダチ…ナカヨクスル…」
オレは片言でもってその手を握り、少しでも長生き出来る方を選んだ。
41 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 21:56:05.93 ID:BkJEPqhG0
支援
42 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:57:37.07 ID:OZUgbC4+O
※ ※ ※ ※
━━脳髄を貫く頭痛に、オレは“棺桶(コフィン)”の壁に頭を打ち付けた。
(,;゚Д゚)「ぐっ…あぁ…がっ…ぅぅ…」
ぶれる視界の中で枕元に転がった小瓶の蓋を開けると、八角錠を十粒ばかり口に放る。
灼熱する脳髄と軋む脳核に、やがて開放的な安らぎが戻ってきた。
(,;゚Д゚)「はぁ…はぁ…はぁ…あっ…ふぅ……」
額を伝う冷や汗を拭い、薄汚れた寝台に横になる。
何時もの痛みは、何時も通り去った。
「……まだそんなクスリに頼ってんのか」
(,;゚Д゚)「っ!」
ふいに横合いから飛び込んできた声に、腰の単分子ナイフを抜き構える。
ミ,,゚Д゚彡「力の代償は高くついたろう。いい加減、そんな汚ねぇ仕事(ビズ)からは手を引いたらどうだ」
懐かしい顔が、そこにあった。
(,,゚Д゚)「兄貴…か……」
郷愁に頬を緩め身を起こす。
ニーソクのスラムの手前。最下層のカプセルホテル。
ここが“棺桶”と呼ばれるのは、オレみたいな“先の短い”奴らしか利用しないからだ。
43 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 21:59:21.29 ID:OZUgbC4+O
(,,゚Д゚)「兄貴こそ、オレの事を言えるような立場かよ」
真っ白に染め抜いた髪は腰までの長髪。
それを後ろで束ね、髪と同じ色のスーツに身を包んだ彼の名はフサギコ。
この人の前では砕けた口調になってしまう自分に、まだ自分が青いのだとわかった。
ミ,,゚Д゚彡「オヤジは、お前が以前みたいにそんな風になる事を望んでなんかいなかった。だから、あの時もオレが組を継いだんだ」
(,,゚Д゚)「……オヤジか」
義兄の言葉に、義父の最後を思い出す。
あの日、あの時、宵闇の下。全てが暗転したあの瞬間。
美しくも平穏な日々に錆び付いていた“牙”が、もう一度その鈍い輝きを取り戻す事になった瞬間。
(,,゚Д゚)「あの人には…感謝してる。殺しと盗みしか知らなかったオレに、あの人は日の光の暖かさを教えてくれた」
ストリートで生まれたオレに、親と呼べる存在は居なかった。
いや、居たのかも知れない。今となってはわからない。
物心ついた時には既にオレの右手にはナイフが握られていて、生きる為に血を流し流させる日々を送っていたオレには。
44 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:01:26.97 ID:OZUgbC4+O
そんなオレを拾ってくれたのが、西村の15代目組長であるオヤジだった。
ニーソクのスラムで、“万魔殿”と呼ばれる無法地帯で、あの人はオレに手をさしのべてこう言ったんだ。
“そろそろナイフじゃなくて、ペンの使い方も覚えてみないか?”
(,,゚Д゚)「……あの人には、色んなものを貰った。安心して寝られる寝床、幸せな日々、家族…学校にも通わせてくれて…」
それらは、全て、あの日を境に無くなってしまった。
いいや、無くなったんじゃない。
(,,゚Д゚)「……それでもな兄貴。…やっぱりオレは、こんな風にしか生きられないみたいだ」
オレが、手放したのだ。
(,,゚Д゚)「オヤジを殺った奴をオレは許せそうも無い。いや、頭では分かってるんだ。復讐なんて馬鹿げてる。
オヤジもそんな事は望んでなんかいないだろう。あの人は、ヤクザの癖に優しかったからな」
ミ,,゚Д゚彡「……」
(,,゚Д゚)「……いや、“優しすぎた”。だから、綾瀬の奴らにつけ込まれた。その優しさを踏みにじった奴らを、オレは見過ごす事が出来ない。ただ、それだけだ」
45 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:02:53.27 ID:SNsq1FgHO
支援
46 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:03:17.37 ID:OZUgbC4+O
ミ,,゚Д゚彡「だからって生身を捨てて、神経加速装置なんて代物で脳みそをいじくり回す馬鹿がいるかよ」
(,,゚Д゚)「……オレには、兄貴と違って人を集める魅力も、たばかり事をする頭もない。だから、もっと単純な“力”に頼るしか無いんだ」
ミ,,゚Д゚彡「……馬鹿野郎。誰の為にオレが組を継いだと思ってんだ」
(,,゚Д゚)「…兄貴なら、分かってくれると思ってたんだがな。“オオカミ”を興したのだって、オヤジの敵討ちの為だろう?」
ミ,,゚Д゚彡「……」
沈黙は肯定の印。
“族”の頭を張り、家に寄り付く事が少なかった兄貴とオレの会話は、記憶に残ってる中では数える程しか無い。
そんな中で、オレが読み取る事が出来た兄貴の唯一の癖が、それだった。
(,,゚Д゚)「あれだけヤクザにだけはなりたくないっつってた兄貴が、オヤジが死んだ途端に“族”の連中を引き連れて家に戻ってきた。その時から分かってた。オレ達は、血が繋がってなくても兄弟なんだなって」
47 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:05:18.37 ID:OZUgbC4+O
(,,゚Д゚)「だからオレは、兄貴のやろうとしてる事を止めるつもりは無い。お互い、不器用だよな。こんな事でしか、オヤジに恩を返せない。しかも、完全に独りよがりときた」
兄貴が、静かに拳を握るのがわかった。
(,,゚Д゚)「…だけど、これだけは約束してくれ。オレだろうが兄貴だろうが、どちらかがオヤジの敵を討ったら。……その時は、今まで通りの日常に戻って欲しい。それが、オレの唯一の希望だ」
唇を噛み締め、兄貴はオレを睨む。
ミ,#゚Д゚彡「……そりゃあオレの台詞だよ間抜け。何を抜かすかと思えば、いっちょ前によ…てめぇは、オレの弟だろうが。黙って兄貴の言うこと聞いて大人しくしとけ」
苛立たしげな恫喝。そんな彼の言葉が、何よりも優しいものだとオレは知っている。
久しぶりに触れた兄貴は、やはりオレの兄貴で。
(,,゚Д゚)「……」
やはりオレは意地っ張りな青臭い弟で。
ミ,,゚Д゚彡「……」
オレ達は互いに譲れないまま、黙り込むしか無かった。
48 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:05:37.07 ID:BkJEPqhG0
支援
49 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:07:32.48 ID:OZUgbC4+O
“棺桶”のチープな暖房じゃ防ぎきれない冷気が、外でしんしんと降りしきる雪の存在を暗黙のうちに告げる。
夜と、雪と、沈黙と。オレ達の間には余りにも色々な物が積み重なり過ぎていた。
ミ,,゚Д゚彡「……しぃが…」
その沈黙を破るよう、兄貴がポツリと呟いた名前。
(,;゚Д゚)「……!」
ミ,,゚Д゚彡「しぃがな…クリスマスは三人で過ごしたいと、そう言ってた」
その名前が、ゆっくりとオレの胸を締め付ける。
ミ,,゚Д゚彡「たった、三人の家族なんだ。……こんな時ぐらい、一緒に過ごしてやっちゃくれねぇか」
(,,゚Д゚)「……しぃ」
呟く。古傷が、疼いた。
ミ,,゚Д゚彡「……なんて、偉そうに言ってるオレは、クリスマスにゃあいつの側に居てやれねぇ。情けねぇわな……」
(,,゚Д゚)「……」
ミ,,゚Д゚彡「だからよ。…せめて、お前だけでもアイツの側に居てやってくれ。完全にオレの我が儘だけどよ…約束しちまっだ。クリスマスは、一緒に過ごすってよ」
押し殺したような声を絞り出し、兄貴はオレに背を向ける。
50 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:08:06.44 ID:1wf8d03t0
しえ
51 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:09:57.57 ID:OZUgbC4+O
ミ,,゚Д゚彡「……帰ってきてくれ、なんて言ってもお前は聞かねえだろ?だけどよ、せめてクリスマスだけは……」
そのまま、挨拶も無しに遠ざかっていく兄貴の背中が、泣いているように見えて。
(,,゚Д゚)「……」
それでも自分の中でせめぎ合う感情に、オレは答えを出せないでいた。
52 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:11:41.43 ID:OZUgbC4+O
※ ※ ※ ※
━━護衛依頼。
彼がオレ達に依頼してきたのは、存外に大人しいものだった。
<ヽ●∀●>yー~「近々、うちのファミリーはオオカミと戦争を始めるニダ」
オオカミ。確か、前に聞いた話では最近ニーソクのストリートに姿を見せるようになった、新興のストリートギャングだったハズだ。
<ヽ●∀●>yー~「だが、如何せんこっちには兵隊が足りなくてね。認めたくないが、ウリ達はこのままじゃベトコンみてぇな奴らにすらかなわないってのが、今の現状さ」
そういや、ヒッキーとかいうあの男もそんな事を言ってたっけ。
だから、戦力としてうちの鬼畜戦乙女の力を貸して欲しいと。
<ヽ●∀●>yー~「お宅も経緯は知ってるだろう。“黒狼”だよ。ウリ達は、奴という一つの存在に翻弄され続けてきた。奴ぁまるで呂府だ」
確かに、あの強さは一種化け物じみている。
<ヽ●∀●>yー~「だが、それも長くは続かない。呂府は劉備と曹操の連合軍の前に捕らえられる。そうだろう?」
ニダーは、中国葉巻を我が事務所のガラス灰皿に押し付けた。
53 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:12:53.56 ID:Q3bVrA3J0
54 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:14:35.38 ID:SNsq1FgHO
支援
55 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:14:57.36 ID:OZUgbC4+O
<ヽ●∀●>「三日前に、うちのファミリーが所属している三合会(トライアド)のシナー大香主が大陸から横浜に視察にやって来た」
三合会。通称、トライアド。
中国の犯罪組織を束ねる、マフィア達の元締め連合だ。
やはり、陳龍もトライアドに属していたか。
<ヽ●∀●>「ウリは、シナー大香主に増援の要請をしに横浜まで行く。その道中の護衛を、お宅に頼みたいのさ」
('A`)「横浜、までね」
<ヽ●∀●>「その700万は手付け金として受け取ってくれ。それで好きな“おもちゃ”でも買うといい」
('A`)「“おもちゃ”…ね」
それだけオオカミの猛攻が予想されるっつう事か?
確かに、オレの事務所に殴り込んでまでニダーのタマを取ろうとする連中だ。血気は盛んだろう。
<ヽ●∀●>「…ところでお前さん、車は運転出来るか?」
('A`)「おいおい、馬鹿にしないでくれるか?オレは何でも屋だ。ドライブがしてぇつぅ客のニーズにも答えられるよう、ちゃあんとほら」
ジャケットの内ポケットを弄り、マルボロとジッポの間から、よれよれになったゴールド免許を取り出し見せつける。
56 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:17:24.34 ID:1wf8d03t0
支援
57 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:18:53.49 ID:OZUgbC4+O
オートパイロットが全ての車両に普及した最近じゃ、オレのゴールド免許もツチノコ並みに希少価値が有ろう。
ダメ人間であるオレの唯一の自慢だ。
<ヽ●∀●>「そいつは助かる。今回はなるたけ目立たないよう、少人数で行動したいからな。こいつらを運転手として連れて行く訳にもいかんニダ」
ニダーが指差すと、舎弟達は実に無念そうに顔を歪めた。
マフィアのわりになんだか可愛い奴らだな。
<ヽ●∀●>「……さて、話もまとまったようだしウリ達はこれで一旦引き取らせてもらうニダ。出発は明朝の五時。ニューソクの中華街で待っていろ」
('A`)「五時?早すぎる。目覚まし時計が必要だ」
<ヽ●∀●>「そういうもん買うための手付け金だろう、坊や」
話を切り上げ立ち上がるニダー。
<ヽ●∀●>「それじゃあ、邪魔したな。再見(ヅァイチェン)」
トレンチコートを翻して立ち去る彼の後ろを、舎弟達がぞろぞろとついて行く。
('A`)「ふぅ……」
悪趣味な中華式のパレードを見送った後、オレは溜め息一つ立ち上がるとほったらかしにされた仏様の下にしゃがみこみ。
58 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:22:08.66 ID:OZUgbC4+O
('A`)「てめぇで出したゴミは持ち帰れよな……」
从゚∀从「では貴様は直ちに焼却炉へ飛び込むのだな」
('A`)「久々にずんと来る罵倒ですね……っと」
鬼畜罵倒機械の罵詈雑言を右から左に受け流しつつ、“元”人間の体に手をかける。
('A`)「あー畜生、重いなてめぇ。あの世にいったら太るって知って……」
そこで、オレは“ソレ”に気付いた。
('A`)「なんてこった…」
从゚∀从「…どうした、人型生ゴミ」
覗き込んできた冷血乙女に、オレは無言で仏様の襟を見せる。
从゚∀从「……ふむ。これはこれは。全て、筒抜けか」
59 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:23:09.96 ID:OZUgbC4+O
小さな丸ボタンに見えるそれは、盗聴器。
('A`)「…こいつぁ、面倒な事になったな」
はてさて、明日の朝五時にオレは目を覚ます事が出来るだろうか。
('A`)「ハイン、“目覚まし”は頼んだぞ。ちゃんと、五時に起こしてくれ」
“ちゃんと、生きたまま”な。
心の中で、そうつけ加えた。
next track coming soon...
60 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:25:05.87 ID:1wf8d03t0
<(゚Д゚)>
(乙(
/ω\
61 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:25:32.22 ID:4NhfM5tk0
wktk
62 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:31:47.44 ID:OZUgbC4+O
テスト範囲ここまで。
次回投下は一週間以内に行うと思うよ!思うよ!年末進行で忙しくならなきゃな!
まぁ大丈夫でしょう。多分。
さて、何か質問があれば受け付けるぜ!
芸さんの掲示板でも言ったけど、次回のdisc 7のリクエストも受け付けてるぜ!
みんな、気軽に言ってくれよな!
63 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:33:46.36 ID:YLrbo9ED0
乙
乙
65 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:49:27.53 ID:5rDrYj4hO
乙
66 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 22:54:55.48 ID:b8eu4DN2O
乙
67 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 22:57:15.05 ID:OZUgbC4+O
よし。質問は無いね?
それでは皆さん、お疲れ様でした。
今後とも宜しくお願いします。乙!
>>67 なんでこんなに更新早いの?
ニートなの?
69 :
◆cnH487U/EY :2008/12/07(日) 23:02:05.65 ID:OZUgbC4+O
71 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:20:52.73 ID:oCpKXhwd0
oh...なんという…
乙
72 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:26:40.83 ID:6Bsee/qHO
乙。
更新早くて嬉しいな
73 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:37:27.53 ID:oCpKXhwd0
他のは月刊誌以上のスパンがあるからなお更な
74 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:46:28.49 ID:VdDgRHdA0
indexのまとめ方にずっと悩んでいるわけで
75 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:49:51.64 ID:zuP4zTua0
初リアルタイムktkr
>>74 作品紹介って感じで一番上に置けばいいと思う、
リンクの下に赤字で注意書きを書いたりとか
77 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/07(日) 23:58:14.52 ID:oCpKXhwd0
レイアウトで悩むって可愛いですね
78 :
◆cnH487U/EY :2008/12/08(月) 00:11:07.12 ID:uylRVUEjO
うわぁぁあごめんなさいごめんなさい!芸さんに負担かけてごめんなさい!ニートだって嘘ついてごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい!
79 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/08(月) 00:11:33.65 ID:uwqYooIiO
乙。投下速度、クオリティ両方で安心して読める作品って良いな。
80 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:2008/12/08(月) 00:23:13.45 ID:Q5KFm0Vi0
そんなに負担だとかは思ってないですからお気になさらず
81 :
愛のVIP戦士@ローカルルール7日・9日投票:
2期早EEEEEEEEE!!
乙。