1 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:
あんたんたるだいり
2 :
◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:19:24.27 ID:tQHaRWIcO
代理人に感謝しつつ投下を始めよう
3 :
◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:20:28.41 ID:tQHaRWIcO
('A`)「母さん、飯作ってくれない?」
ξ゚听)ξ「嫌よ、自分で作って」
母は疲れているのだろうか?
ウスバカゲロウのようです
4 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:21:46.72 ID:BSziyQKL0
wktk
5 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:23:35.63 ID:tQHaRWIcO
初めて僕が作った料理は、そこまで美味しいものでは無かった。
いや、初めての料理でまともな形になったのだから、良い方かも知れない。
作ったものは、カレーにサラダ。
評価するならば、中の下と言った所か。
自分で作ると、尚更母の料理が恋しくなった。
ξ゚听)ξ「…」
見た目だけは取り繕うことに成功した料理達。
いや、匂いも取り繕えたかな。
ともかく、母は一瞥すると、すぐに座ったのだった。
('A`)「あ、福神漬け要る?」
ξ゚听)ξ「うん」
僕は、彼女の横を通り、冷蔵庫へと自分の枝のような脚を向けた。
('A`)(あっ)
通った時に僕はある変化に気が付いた。
6 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:25:13.15 ID:BSziyQKL0
おっせぇ
7 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:25:47.00 ID:payr9mUV0
薄馬鹿下郎
8 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:25:50.65 ID:wKSXT8F2O
チョコレート食べたいんだけど
('A`)(良い匂いだな)
母のシャンプーだろうか。
それとも香水か。
彼女のそれはさっぱりとした石鹸の香りでは無く、どこか甘いものに変わっていた。
多分、ベリー系の香りだと思う。
僕の友達も付けていた。
街でこの匂いを嗅いだこともある。
多分流行りのものなのだろう。
どちらにせよ、それを誉めるのはわざとらしいので、止すことにした。
('A`)(福神漬けは…)
冷蔵室の、一番上の段にそれを見つけ、僕は早速取り出した。
ふと、ラベルを見てみると、賞味期限が近くに迫っているようだった。
('A`)(これは、)
使い切るしか無いだろう。
僕は普段、福神漬けをカレーにかけないのだが、今回はそうも言ってられない。
まあ、今日のカレーは辛口だから良いだろう。
('A`)(ドレッシングは)
これもまた、冷蔵室の一番上の段にあった。
ゴマドレッシングにするか、和風ドレッシングにするか。
母は、どちらが好きだったか。
色々と考えてみるが、減っている方を使う事に決めた。
('A`)(和風か〜)
母が嫌いだったという記憶は無い。
問題は無さそうだ。
('A`)「よっこらしょ」
ξ゚听)ξ「何だか、親父臭いわ
やめてちょうだい」
('A`)「母さん、いつもは注意しないのにどうしたの?」
何故だか、今日の母は、随分とカリカリしている。
それどころか、いつもは手伝うと言っても断る料理でさえ、全て僕に任したのだ。
11 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:31:01.10 ID:tQHaRWIcO
ξ゚听)ξ「気のせいよ」
そう言い、母はふっと溜め息を吐いた
様子から察するには、きっと、気のせいでは無いと思う。
けれども、それを指摘するには幾らか、僕には勇気が足りないようだ。
ならば、それでも良いと、開き直る事にした。
('A`)「はい、福神漬け」
会話を断ち切って、僕は手に持っていた福神漬けを母に渡した。
母は、まだあまり納得が行って無いのか、僅かに頬を膨らませているようだ。
女心は分からない。
僕は追求すれば良いのか、それとも、しない方が良いのか、必ず迷ってしまうのだ。
ξ゚听)ξ「ありがと」
ムスッとした態度のまま、母は受け取るのだった。
思った通りに、一回分の福神漬けが余ったようだった。
12 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:33:10.44 ID:tQHaRWIcO
('A`)「母さん、福神漬けを取ってくれない?」
カレーに福神漬けを乗せて、今にもかじりつこうとしていた母が、目を円くして、僕を見た。
当然と言えば、当然かもしれない。
普段使っていないのだから。
ξ゚听)ξ「あんた、つける派だったっけ?」
母は、首を傾げて僕に聞く。
僕は、「いや、普段はつけて無いよ」と否定をして、母が取った福神漬けを貰った。
('A`)「賞味期限が近いから」
ボソッと、僕は言った。
きっと、母で無ければ、聞き返されただろう。
母は、僕の根暗な部分を知っているので、聞き返すことは無い。
思えば、母は僕のことを一番理解しているのかもしれない。
ξ゚听)ξ「ホントね」
13 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:34:51.10 ID:tQHaRWIcO
母は、ラベルを覗き込みながら、答える。
その時に、母の白い項が見えた。
僕は、カレーのスパイスの匂いと、母のベリー系の香りのせいか、どこか刺激的な気分になっていた。
迂闊な事をしたくなった。
('A`)「母さん」
ξ゚听)ξ「何?」
('A`)「香水、いい匂いだね」
母は、少しの間固まっていた。
しかし、暫くして表情が少し緩んだかと思うと、直ぐに耳まで赤くし、こう言ったのだった。
ξ*゚听)ξ「別に、嬉しくなんてないんだから…」
母のこの言葉を聞き、表情を見て、僕は背徳感と思しき感覚を感じていた。
どうにも、自分がもやもやに包まれているのだ。
そう考え始めると、僕の頭は急激に逆上せ始めた。
僕は母と同じように、耳に熱を感じていた。
14 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:37:23.70 ID:tQHaRWIcO
('A`)「ねえ、母さん」
僕はどうにもまとまらない頭で言葉を繰り出した。
甘美な時間を損ないたく無かったから。
('A`)「母さんの33歳の誕生日にも、僕、料理作るよ」
どこか的外れなような、でも正しいような、そんな言葉を僕は吐き出した。
まるで、恋人に対する思いやりのような甘ったるい語気で僕は語るのだ。
そうして、僕の脳は意図的に麻痺を起こそうとしている。
道徳と分離した脳がとても底意地が悪く、気味の悪いものに思えてきた。
ξ*゚听)ξ「うん、お願い…」
悲しい事に、僕の母も、思考を犯されてしまっているみたいだ。
いけない事なのだ。
忘れなくてはいけない事なのだ。
けれども、何故だろうか。
とても良い心地で忘れたくないのだ。
きっと彼女も同じ心持ちなのだろう。
15 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:38:12.32 ID:tQHaRWIcO
薄い明かりが見えてくる。
それは灯籠か、それとも蝋燭か。
そう言った具合の光だ。
どちらにせよ、斜陽を連想させるそれは、見ていて気味の良いものでは無かった。
今すぐにも、この気味の悪い明かりをどけてしまいたかったが、生憎、体は動かないみたいだ。
('A`)「…」
声も出ないみたいだ。
僕は何だか絶望的な気持ちになり、叫んだ。
しかし、やはり声は出ない。
次第に、冷たい風も吹いてきた。
いよいよもって、僕は大変な危機感を感じ始めた。
身も心も凍てつき始める。
絶望的な気持ちは、僕にまな板の鯉のその後を連想させた。
そうするとまた、身悶えするような更に深い絶望感が襲い始めるのだ。
抽象的じゃ無いものが見え始めた。
負の連鎖と思しき階段は深い螺旋を描いていた。
抗う術は無いようだ。
16 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:38:39.71 ID:EM2KcxR70
支援する
17 :
◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:41:27.46 ID:tQHaRWIcO
だがしかし、今、暖かい風が吹き始めるのを確かに感じた。
次の瞬間、とても眩い光が僕に触れた。
そして、この状況が夢である事に気が付いた。
('A`)「良く寝た」
18 :
◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:44:09.96 ID:tQHaRWIcO
ξ゚听)ξ「ああ、そうそう」
('A`)「なに?」
ξ゚听)ξ「お友達来てるわよ」
友達。
まあ、大体想像は付く。
('A`)「制服着るまで待ってるように言っといて」
ξ゚听)ξ「はあい」
いつも思うのだ。
朝からなんという図々しい輩だと。
「ドクオならもうすぐ準備出来るから待っててね」
「はーい」
粘着質め。
ストーカーめ。
心では悪態を付くが、本人にそれを言う度胸は無いのだ。
だからいつまでも付きまとって来るのだろうが。
wktk!wktk!
20 :
◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:46:55.03 ID:tQHaRWIcO
(*゚ー゚)「ドックンまだ〜?」
彼女は幼なじみ。
名前はしい。
僕に取ってはストーカーの代名詞とも言える。
事は遡ること13年。
僕と彼女が初めて会ったのは幼稚園なんだけど、これはまあ、問題ない。
問題が出始めたのは小学校に入ってからだ。
何故か常に彼女は僕の好きな物を全て知っていた。
それは料理であったり、色であったり、花であったり、歌であったり。
ともかく、本当に何でも知っていた。
最初は深い理解を示してくれる彼女に感謝もしたが、次第に気味が悪くなっていった。
そして、遂には彼女のあらゆるストーカー行為に激しい嫌悪感を感じた。
けれども、僕は一度も彼女を突き放したりしなかった。
それは、僕が彼女の本当に脆い部分を触れているからだ。
きっと見放せば彼女は死んでしまうだろう。
それと彼女は本当に、芯から悲しそうに泣くのだ。
自分の全てを否定するように。
僕はそこに若干の背徳感とか官能だとかを感じていた。
それは僕がサディストであると言う証な気がして嫌だったけれど、いつも慰めずに見ていたからきっと、否定する権利は僕には無い。
結局のところ彼女が苦手と言うか嫌いなのだ。
21 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:50:03.97 ID:tQHaRWIcO
しかし、既に時計は7時50分を指していて、彼女と一緒に行かなければ遅刻と言う結果が待っている。
進まない着替えを無理やりに進める。
もとより選択肢など無いのだ。
ストーカーとの折り合いを付けながら僕は学生生活を送るしかない。
案外一生付き纏ってくるかも知れない。
しかし、それでも僕はきっと振り向かないのだ。
何だかもう、怒りを通り越し、少しだけ彼女が可哀想に思えてきた。
('A`)「よし」
準備が済むと、僕は急いで階段を駆け下りる。
ウキウキするようなものは無いけれど、急いで階段を下りるのが僕にとっての最良の選択だ。
いつもとは違う香りが玄関に漂っていた。
柑橘系の香り、それも刺激の強めなグレープフルーツとレモンを混ぜたような酸っぱい感じだ。
この匂いだけを嗅ぐと、なぜだか爽やかな好青年を連想させた。
が、皮肉なことに恐らく付けているのは件のストーカーだ。
爽やかどころか、青年ですらない。
22 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 20:54:23.96 ID:tQHaRWIcO
(*゚ー゚)「あ!ドックン!」
今の彼女に尻尾と耳が付いていたならきっと、ピョコピョコと忙しなく動いていただろう。
まさに喜怒哀楽の喜が表面に出ている姿だ。
もしかしたら、本当はこれだから切れない縁なのかも知れない。
('A`)「じゃあ、行こ」
あくまでも僕は無愛想に彼女に告げる。
しかしまあ、良く考えると待っていてくれたのだから、礼はするべきだろうか。
そう思ったが、まあ別段問題無いだろう。
僕らは学校に向かった。
23 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:56:33.01 ID:tQHaRWIcO
道の途中で、僕は複数の砂の窪みを見つけた。
窪みは恐らく雀が掘った穴で、犬やら猫やらと見られるものの足跡などが残されていた。
どうも、個人宅の敷地に見えるので、この様に犬や猫の足跡が残されているのはなかなかに問題だと思うけど。
そこに、新たに足跡を刻もうとする生き物がいた。
最も、先に述べた二匹の生き物よりかなり小さく、更にもう一言付け足すならば、その生き物は哺乳類ですら無い。
それらは、列を作り、どこか規則的に動いていた。
そう、蟻だ。
夏には付き物の蟻達は、何かの虫の死骸を運んでいるようだった。
('A`)「…」
ゆっくりと観察して見れば、妙に筋が沢山通っていて、麦茶の色をした羽根であった。
恐らくは、命の尽きたアブラゼミの死骸を解体し、小分けして運んでいるのだろう。
ふと、気が付いた事があった。
蟻の列に外れ、窪みへ体を預けている個体があったのだ。
不思議に思い、更に観察すると、どうやら砂が登る度崩れてしまい、登りきれない様だった。
24 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:01:00.52 ID:vzIe0xdfO
wawawawktk
しえん!
26 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:01:32.80 ID:tQHaRWIcO
しかし、更に不思議なことはその蟻達が突如として消えたことだった。
(*゚ー゚)「あれ?」
隣に居るしぃもどうやら気付いたようである。
('A`)「ん?」
窪みの先から僅かに虫のものと思しき顎が覗いていたのだ。
その顎はどうやら体液を吸い尽くした蟻を吐き出す為に出されたようだった。
('A`)「蟻地獄…」
拷問の道具のような顎で引きずり込まれた蟻は必死にもがいたのだろう。
触角と前足が取れていた。
もともと精気の無い虫の顔は更に精気を損ねている気がした。
(*゚ー゚)「蟻地獄ってさ」
('A`)「…」
僕はしいに何かを尋ねられた時はまずだんまりで決め込む。
本当に必要な、もしくは当人が大切に思っていること以外はそれで諦めるからだ。
(*゚ー゚)「…蟻地獄ってさ」
どうやら彼女にとっては重要な話らしい。
彼女は、僕の遮りを避わし少し間を置いてから話を始めた。
27 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:05:06.76 ID:tQHaRWIcO
(*゚ー゚)「言うなればさ、捕食者の立場じゃない」
('A`)「何を言うかと思えば…」
彼女の口から出てきた言葉はちっとも僕には大切に思えなかった。
わざわざ僕の遮りを避わしてまで言う必要性があっただろうか。
遮った理由を考えたが、そもそも価値観が違うのだから、無駄かも知れない。
(*゚ー゚)「そんなこと言わないで聞いてよ」
('A`)「分かったよ…」
とりあえずの同意。
この先は聞き流してしまえば良いのだ。
(*゚ー゚)「強くて、蟻の天敵の蟻地獄、でも成虫はウスバカゲロウ」
('A`)「で?」
(*゚ー゚)「分かんないかな〜?ドックン」
('A`)「ちっとも分かんない」
(*゚〜゚)「もう、ロマンチックじゃない、ロマンチック」
('A`)「はあ?どこが?」
(*゚ー゚)「さっき言った所が」
28 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:06:38.18 ID:tQHaRWIcO
('A`)「だからどこが?」
(*゚ー゚)「交尾の為にわざわざウスバカゲロウになるんだよ?」
('A`)「うん、それで?」
(*゚ー゚)「捕食者の立場から消え入るような命の立場に入れ替えるの」
彼女の言いたいことは大体理解出来た。
大方これから言い出す言葉も分かった。
(*゚ー゚)「愛だよね」
('A`)「また、そうやって根拠の乏しいことを言う」
(*゚ー゚)「そう?」
('A`)「でもさ、今日は何だかお前の意見に賛成したい気分だ。」
(*゚ー゚)「え?」
('A`)「きっと、愛だよ」
(*゚ー゚)「ドックン…」
昨日と言い、今日と言い、僕は何だか逆上せていて迂闊だった。
いや、迂闊である事を止めなかった。
足下の床が消え去る事への恐れが無かった。
29 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:11:33.65 ID:tQHaRWIcO
(*゚ー゚)(誰なんだろう?)
何故だか彼の言動には、はっきりと女性の影が感じられた。
以前の彼ならば、愛だなんて口にするのも恥ずかしそうだったのに、その様子が感じられ無かった。
(*゚ー゚)(遂に失恋しちゃったな)
けれども新しい恋を探す気にはなれなかった。
望みなど最初から少しも無かったのだから、この位は大した事ではないのだ。
無いはずなのだ。
(*;ー;)(うわ〜ん)
だからと言って簡単に諦めが付くものでも無かった。
生まれてから最も長く付き合った家族以外の人、それも初恋の人だ。
もともと縋るように付いてきたのだからこれから先もそうして縋って行くしか無かった。
('A`)「どうしたの?」
(*つー^)「何でもない、目に砂が入っただけ」
('A`)「なら良いけど…」
(*;ー;)(やっぱりうわ〜ん)
しえん
31 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:13:34.76 ID:JJgGWv+UO
薄馬鹿下郎
ひどいものだ
32 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:15:29.53 ID:tQHaRWIcO
('、 `*;川「え〜、しぃはドクオがタイプなの?」
(*゚ー゚)「そうだよ」
('、 `*;川「何つーか以外?
って言うか釣り合って無いって感じ?」
(*゚ー゚)「失礼だな〜、僕だってドックンと釣り合うよ!」
('、 `*川「逆よ逆」
(*゚ー゚)「え?」
('、 `*川「あんな微妙な奴としぃじゃ釣り合わないってこと」
(*゚ー゚)「伊藤ちゃんはそう思うの?」
('、 `*川「そう思うのよ」
(*゚ー゚)「でもドックン格好いいんだよ?
前に痴漢から助けて貰ったことがあるし」
('、 `*川「アイツが?
何つーか以外ね」
(*゚ー゚)「他にもね」
('、 `*川「のろけるな、聞きたくない」
33 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:18:30.06 ID:tQHaRWIcO
(*゚ー゚)「のろけられたら良いんだけどね…」
('、 `*川「え?違うの?」
(*゚ー゚)「何かね、最近好きな女の人が出来たっぽいの」
('、 `*川「ふ〜ん、二股?」
(;*゚ー゚)「ち、違うよ、ドックンとは付き合って無いもん」
('、 `*川「告白する訳でも無いんでしょ?
んじゃあ何が目的であたしに相談したのさ?」
(*゚ー゚)「ん〜、失恋報告?」
('、 `*川「何じゃそら」
(*゚ー゚)「何となく知っている人が欲しかったの」
('、 `*川「難儀ね〜」
(*゚ー゚)「かなぁ?」
('、 `*川「まあ、今日は美味しいケーキ奢ってあげるよ」
(*゚ー゚)「スイーツって言わないの?」
('、 `*川「何か馬鹿っぽくてあたしは嫌いなのよね」
(*゚ー゚)「僕も確かに好きじゃないな〜」
34 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:21:56.15 ID:tQHaRWIcO
('、 `*川「なら良いでしょ?」
(*゚ー゚)「うん」
('、 `*川「じゃあ、先生来たし前向く」
(*゚ー゚)「はーい」
やっぱりそうなのだ。
僕の恋は難儀なものなのだ。
改めて言ってみると確かに難儀な気がする。
幼稚園から始まった恋は終わること無く、高校まで続き、そして今終わったのだ。
僕の嫌いなスイーツと言う表記が好みな女の子達が好みそうな話だ。
(*゚ー゚)「僕は、」
紛れもない失恋だった。
愛を伝えることはしていないけれど、ドックンは僕が好いていることぐらい知っていた。
そんな僕にドックンが弱みを見せることなんてあり得ないのだ。
意地っ張りの天の邪鬼に素直な意見を言うことは出来ない筈なんだ。
けれど、ドックンは僕の意見に素直に同意した。
だから紛れもない失恋なんだ。
強がってみても、もう遅い。
35 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:31:39.78 ID:tQHaRWIcO
( ´∀`)「皆さんおはようもな
それと…」
(*゚ー゚)「?」
( ´∀`)「しぃ、今すぐ職員室に来なさい」
('、 `*川「何だ優等生、逆レイプ?」
(*゚ー゚)「いや…」
伊藤ちゃんはふざけているけど、僕を呼んだ先生の顔は、ちっとも笑っていない。
僕の不祥事であれば、先生は笑って茶化すと思う。
けれども、先生はそれをしない。
温厚な先生が生徒を不安にさせるような呼び方をするだろうか。
分かっていることはただ一つ。
少し鋭い僕の勘が告げていることだ。
不幸を。
36 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:32:03.18 ID:MuOMPHIq0
支援
面白いぜ
37 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:36:23.47 ID:tQHaRWIcO
( ゚∀゚)「しぃ、何したんだ?」
('A`)「知らないよ」
( ゚∀゚)「お前が知らねーなら多分大丈夫だな」
('A`)「なんでだよ」
( ゚∀゚)「しぃちゃんは何かあったらお前に必ず知らせるだろうしな」
('A`)「僕に?
ジョルジュ、お前勘違いしてるよ」
( ゚∀゚)「何を?」
('A`)「いつだって一番大切なことは心に秘めておくタイプだよ、しぃは」
( ゚∀゚)「ふ〜ん」
('A`)「だから、大丈夫かは分からない」
( ゚∀゚)「そうか…」
僕はジョルジュに少し、いや大分底意地の悪いことをした。
僕に比べて責任感や正義感が強いジョルジュのお節介に火を点けようとしたのだ。
モナー先生は温厚でいつも明るい、言うなれば割と理想的な先生だ。
生徒の話も良く聞いてくれるし、催し物だって積極的に取り組んでくれる。
しかし、そのモナー先生が少しも明るくない調子でしぃを呼んだのだ。
多少は僕だって気になる。
だから彼をからかい、焚き付けて、しぃから事情を聞こうと思ったのだ。
38 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:38:40.02 ID:o+98Pcg0O
ラオウのクソバカヤロウかと思った
39 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:38:53.04 ID:tQHaRWIcO
気付けば既に時刻は昼時だ。
学校の授業が面白い訳では無いが、時間はいつも、さっさと過ぎて行ってしまう。
もしかしたら、いつも僕がただただノートを取っているんだだけだからかも知れない。
その上、ほとんど発言をしないし、発言する時は教科書に書いているようなデフォルトな意見しか言わないのだから、面白い刺激などは無いのだ。
結局、時間が早く過ぎるのは僕がつまらない人間だからかも知れない。
勉強を苦痛に感じて授業が長く感じられるのもそれはそれで嫌だけど。
( ゚∀゚)「よし、飯食おうぜ」
('A`)「了解」
少しだけ考えてみた。
つまらない人間の僕と話していて、みんなは楽しいのだろうか。
ジョルジュは良い奴だから、義務感で僕と接しているのかも知れない。
けれど、それを口に出して相手を不快にさせる程に僕はつまらない訳でもない。
しぃはどうなのだろうか。
彼女は義務感でも何でも無く、僕に付いてきている。
果たして、つまらない僕にどこか好きになる要素があったのだろうか。
彼女も降りるに降りられなくなっただけなのかも知れない。
そうであれば、彼女は僕よりつまらない生活を送っているのかも知れない。
考えるのは止そう。
40 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:44:38.27 ID:tQHaRWIcO
口に出てしまいそうだ。
('A`)「ジョルジュは今日食堂か?」
( ゚∀゚)「そうだけど?」
('A`)「そうか、じゃあ行こう」
( ゚∀゚)「おう」
自宅から慌てて出たせいか、今日は弁当を忘れたのだ。
恐らくジョルジュは弁当を持ってきていると思う。
それでも食堂に行くのはしぃについての話があるのだろう。
表情を見る限り、特に大変なことでは無さそうだが実際の所はわからない。
ジョルジュのことだし、隠しているだけかも知れない。
( ゚∀゚)「何頼む?」
('A`)「カレーうどん大に卵」
( ゚∀゚)「おっけ」
ジョルジュは本当に良い奴で、学校行事などの面倒なことは大体率先して引き受ける。
かといって、良く学級委員の様に仕事を押し付ける様な事はしない。
そのせいか、クラスでも学級委員より人望があり、行事でも結局ジョルジュが中心となることが多い。
それなのに何故か、いつも一緒に居るのは僕だ。
周りの人間ともっと付き合っていても不思議ではない。
良く考えると変なことだ
41 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 21:59:08.67 ID:tQHaRWIcO
( ゚∀゚)「へい、お待ち」
持って来られたカレーうどんはなかなか美味しそうだった。
各種スパイスの香りが湯気に乗って鼻腔を刺激し、温泉卵は視覚を刺激した。
料金には良い意味で釣り合っていないようだ。
('A`)「やっぱり旨そうだな」
僕は学食を食べることはあまり無いため、周りに比べて学食のメニューに疎い。
そのせいか、カレーうどん一つを取ってもこんなリアクションが出てしまうのだ。
( ゚∀゚)「さぁ、食おうぜ」
ジョルジュは牛丼特盛りを頼んだようだ。
細身な体に牛丼特盛りはあまり釣り合ってない様に見える。
しかし、彼の大食いは校内ではとても有名なようだ。
( ゚∀゚)「さっき、しぃが呼ばれた件なんだけど」
('A`)「なんか分かったか?」
( ゚∀゚)「っと、その前に七味取ってくれ」
42 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:05:34.72 ID:vzIe0xdfO
面白い
43 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:07:12.01 ID:CTdEaDxlO
乗っ取りのやつ続き書かないの?支援
44 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:09:30.41 ID:tQHaRWIcO
('A`)「分かった」
( ゚∀゚)「悪いな、これが無いと始まらないんだ
俺の食事が」
('A`)「あんまり多いと早死にするよ」
( ゚∀゚)「はっはっは、今から心配してたらこれから先美味いもん食えないだろ?」
('A`)「そんなに香辛料を入れた料理が美味いようにはちっとも思えないけど?」
( ゚∀゚)「何だ、お前甘党か?」
('A`)「薄味が好きなだけだよ
今日はたまたま」
( ゚∀゚)「若いくせにタンパクだな」
('A`)「上品なだけだよ」
( ゚∀゚)「張り合い無いなぁ」
('A`)「暖簾に腕押しするようなもんだよ、僕をからかっても」
45 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:12:58.89 ID:tQHaRWIcO
( ゚∀゚)「ふ〜ん」
('A`)「話を戻すけどしぃはどうだったの?」
( ゚∀゚)「実はな…」
('A`)「うん」
( ゚∀゚)「良く分かんなかった」
('A`)「ふ〜ん」
( ゚∀゚)「反応薄い…」
('A`)「さっきの件を二度も言わないからね」
( ゚∀゚)「あっそ」
('A`)「まあ、明日には説明入るかな」
( ゚∀゚)「さあな
でも一つ分かってることがある」
('A`)「何?」
( ゚∀゚)「多分しぃは何もやってない」
('A`)「何でそう思うの?」
支援
47 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:25:40.49 ID:MuOMPHIq0
支援
48 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:34:46.63 ID:tQHaRWIcO
( ゚∀゚)「モナー先生の顔を見たら分かるよ」
('A`)「僕には分かんないけどね」
( ゚∀゚)「人を怒るつもりならモナー先生はまばたきが増えんだよ
でも先生はまばたきが増えて無かった」
('A`)「じゃあ、なんでだろ?」
( ゚∀゚)「身内が倒れたんじゃあないかな?
おばあちゃんとか」
('A`)「縁起でもない…」
( ゚∀゚)「まあ、今のは全部仮説っていうか推測っていうか…
だから気にしないでくれ」
('A`)「良いよ、別に
それは事実に基づいた推測だ
僕の言っていることがおかしいんだ」
( ゚∀゚)「それはそうだけど…」
('A`)「良いからご飯食べよう」
49 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:35:22.70 ID:tQHaRWIcO
( ゚∀゚)「…」
('A`)「ジョルジュ?」
( ゚∀゚)「いや、何でもない」
そうして気分は暗いまま。
僕は、うどんを啜る。
彼は、七見を振り掛ける。
前編
〜陰鬱に〜
完
50 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:40:35.06 ID:bu+WVxmNO
乙。
51 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:42:52.89 ID:tQHaRWIcO
支援ありがとう
童貞はながらでやろうと思ってたんだけどどうも携帯ではキツくなったらしい
52 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:51:07.77 ID:I6Iw5LxA0
乙
次回はいつ頃なんだ?
53 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:51:27.54 ID:tQHaRWIcO
投下が長くてどうもダレさせちゃったみたいだな。
申し訳ない
54 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:52:41.43 ID:MuOMPHIq0
乙
前後編かい?
期待してる
55 :
変態 ◆NAMAASHIms :2008/12/05(金) 22:55:33.58 ID:tQHaRWIcO
実はこれは書き溜めが消えて吐きそうになりながら書き直したやつだからまだ後編には取り掛かってない
だから多分、暫く掛かるかな
56 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:57:28.35 ID:tQHaRWIcO
57 :
変態 ◆NAMAASHIms :
乙ありがとう
スピードワゴンはクールに去るぜ