【凍み渡る】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【夜気】
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 17:46:22.82 ID:BuP3R7B+0
<<スレのルール>>
●『「コテ」を付けての投稿/書込は禁止です』
名前覧は空白もしくは投稿SSの題名で書込してください。これは「コテハン」を否定しているのでは無く、「コテ」による投稿/書込が荒れる原因になりやすい為です。
●『性的に過激な描写は禁止です』
そのようなSSは別のスレ(エロパロ等)に投稿して下さい、現在性的描写のボーダーラインは少年誌レベルまでです。*少年誌レベルでもNGワードを付けるようにして下さい。
●『未来アンカーやリレー小説は禁止です』
スレストの原因になったり投稿し辛い空気になり、スレの衰退を加速するのでやめましょう。
●『ローゼンメイデンの作品に登場しないキャラを使用するのはなるべく控えて下さい』
他のキャラやオリジナルのキャラを使う場合は下記の項目を参照してNGワードを付ける等の配慮を御願いします。
なお同年代の男性キャラを登場させる場合には【ベジータ】【笹塚】を使うのがスレの慣例となっています。*この二人を使う場合はNGワードは不要です、二人の性格等は@wikiや過去ログ参照の事。
●『以下の項目に該当するSSを投稿するときは冒頭に注意文を付けて下さい』(例「○○ネタだから注意」「○○系につき苦手ない人スルーよろ」)
また「メール欄」に、あぼーん用の特定のNGワードを付記するなどの各自配慮をお願いします、特に<<NGワードは全てのレスに入れる必要がある>>ので注意して下さい。
○現在のNGネタは以下のとおり ( )内はNGワードです
百合(yuriyuri) 死を扱う(sinineta) 男色(uhouho) グロテスクな表現(guroino) 性的描写を含む (biero)*少年誌レベル ネタバレ(netabare)*基本的にコミックになるまで 他作品のキャラを登場させる(hokakyara) オリジナルキャラを登場させる(orikyara)
<<スレのマナー>>
・スレ・作品と関係ない雑談は控え、気に入らない作品や書込並びに荒らし等は無視して下さい。相手をすれば自分も同罪です。
・長編でレスを大きくまたぐときや前スレからの続きはタイトルやあらすじ、アンカー等付けると読者に優しい職人になれる。
・まとめWikiはなるべく自分で編集しましょう。(簡単な説明の項目の通りである程度できます)
・携帯しか無い、wikiの操作方法がわからない等、どうしてもまとめられない方は
>>1から行ける休憩所の「wiki掲載依頼スレ」で依頼して下さい。
・投稿時の「投下いいかな?」等の確認は不要です、また投稿終了後の「自分の投稿を卑下するような書込」も不要です。もっと自信持って投稿しよう!
・投稿/書込の前にはログの再取得を心がけて投稿/書込が被らないように注意しましょう。
・数レスに跨る投稿の場合は、メモ帳やテキストエディタ等で書き貯めてから投下するのが基本です。
●上記の他、
>>1にリンクしてあるWikiの「簡単な注意事項」を読んだ上、分からない質問などは
>>1のリンクから行ける休憩所で聞いて下さい。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 17:46:39.67 ID:JH5AMO8B0
۞ ڝ ڞ ڟ ڢڝڝ ڪ ڭ ګګګګګ ګ ڶ ڿ ۞
ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ ۺ
܀ คค ชฏฑนอฬ฿๘๔‱ڞڬڲۖญฐฑปสส๘₰₮ℏ ₪
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 17:53:19.96 ID:eGhJNAZqO
いちおつだかな
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 18:30:09.85 ID:BuP3R7B+0
(´・ω・`)
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 18:51:57.34 ID:nXnXDoo+O
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 19:01:57.07 ID:RjaA95nLO
いちおつ
いちおつほしゅ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 19:33:20.59 ID:7TFD0vKC0
さげてた
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 20:03:04.36 ID:eGhJNAZqO
保守ですぅ
保守かしら
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 20:35:09.94 ID:i06DheB7O
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 20:59:43.84 ID:eGhJNAZqO
ほ
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 21:30:18.49 ID:eGhJNAZqO
す
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 21:49:23.59 ID:eGhJNAZqO
銀「う〜、こんな寒くて疲れた日はお風呂よねぇ。早く沸かないかしらぁ…」
ピロピロ〜♪
銀「あ♪ようやくねぇ。早速…と言いたいとこだけど…な〜んか気配がするのよねぇ…。ま、念のために設定温度を45、555、65、75…」
みぎゃ〜…
銀「…めぐねあの声…まったく何度言っても聞きゃしないんだから。一応湯船に電流が流れる機能も作ってもらったんだけど余計だったかしら?確かこのボタン…」
うぎゃ〜…
銀「ジュン…一緒に入りたいって言ってくれればいいのにぃ…なんであんなに変態趣味なのかしらねぇ。ま、これで邪魔者は無し。お風呂に入りましょう♪」
ポチャーン
銀「あああ…あふん…これは…イイわぁ…とろけそう…極楽…♪」
カポーン
銀「そう言えば薔薇水晶は来てないのかしらねぇ…まあこの前あれだけ言ったから懲りたのかも…万が一と思って脱衣場にベジータが自腹で買った女モノの下着を借りて設置しておいたけれど無駄な心配だっ…」
あっちょんぶりけぇ!
ドサッ。
銀「はぁん…勝利のお風呂って最高ぉ…♪」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 22:16:04.71 ID:i06DheB7O
ほしゅ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 22:24:45.44 ID:BuP3R7B+0
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 22:30:29.91 ID:RjaA95nLO
風呂高性能すぎだろwww
作ったの誰だwww
ところで笹塚って誰?ベジータみたいな他キャラ?
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 22:57:24.27 ID:eGhJNAZqO
>>19 そう。苺ましまろに出てくる脇役。ちなみに作者のペンネームはばらしぃ。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 23:21:05.28 ID:7TFD0vKC0
ho
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 23:22:57.64 ID:nXnXDoo+O
金糸雀にお休みのマサチューセッツ30分してから寝る
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 23:25:41.04 ID:nXnXDoo+O
総合と間違えた!
スマン
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 23:47:53.86 ID:i06DheB7O
保守
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/30(日) 23:54:04.94 ID:BuP3R7B+0
「今夜は寒いね」
愛妹、薔薇水晶が震えた声で私に話し掛けた。既に暦は十二月、空には透き通った空に星が爛々と輝いていて、その空の下、私達二人は家路を急いでいた。
「本当に。もう冬なんですね」
私はそう答えると、崩れかけたマフラーを巻きなおした。時計は八時を指しており、寒さは相当だ。
「今夜は雪が降るってニュースでやっていたよ」
薔薇水晶が空を見上げる。
「あまり当てのならない天気予報ですわ」
「……本当」
薔薇水晶はそう微笑んだか、その表情はこの空とは反して曇り気味だ。私達は路地を静かに歩く。
「雪は降ってもいい寒さなんだけど」
と、彼女は凍えた手の平に息を吹きかけた。スーパーの袋を持つその手は赤く悴んでおり、この寒い日には痛々しささえ感じる。
「あら、そういえば今日はいつもの手袋はしてこなかったのですか」
「それがね、ウチでうにゅーが私の手袋を気に入ってみたいで、手袋に頭を突っ込んで寝てるの」
うにゅーとは雛苺の好物ではなく、我が家の子猫だ。しかし子猫が手袋に頭を突っ込んで寝ているとはそれはまた滑稽な光景だと思う。
「まったく困ったものですわ」
と、私は片方の手袋を脱ぎ、薔薇水晶の凍えた手を握った。私の体温が彼女の手をゆっくりと温める。
「……温かい」
彼女はそう呟く。私は黙ったままその手をコートのポケットに入れる。まるでどこか浮ついた恋人同士みたいだ。
「さぁ、早く帰って温かいものを食べましょう」
「そうだね。今日は鍋がいいね」
私達は歩く。片方の手はスーパーの袋を。そして片方には温かな手をしっかりと握って。
「暖かいね」
彼女が言う。
「本当に。暖かい」
私達は家へと歩く。手には温かさを。そしてこんな夜に暖かさを感じながら。
『染み渡る夜気に』
>>22 ふーんそんなにスレの雰囲気悪くしたいんだー
>>23 分かってて嫌がらせしてるのが見え見えですね^^
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 00:20:57.26 ID:mzzJQE4gO
>>25 こんなイイ雰囲気なのにうにゅーが雪華綺晶に食べられないか心配した俺はダメな奴
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 00:26:56.23 ID:w+P3hCjXO
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 01:09:51.15 ID:mzzJQE4gO
ほす
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 01:37:13.79 ID:o/cLeano0
>>15 あっちょんぶりけぇ!
に吹いたwww
>>25 いいなぁ。優しい世界。
こんな時間だけど(こんな時間だから?)、投下しますので、数レスいただきます。
DUNE
第十話
「失われた眺め」
まだ生きている。致命傷ではなかった。
きっと、全力で走っていたのならすでに物言わぬ死体と化していただろう。
計算されつくしていたことが徒となった。爆弾は道の真ん中に設置されていたのだ。
それゆえ、偶然端の方を走っていた私に予定通りの傷を与えることはできなかった。
罠自体は実に単純。
道の端から端までワイヤーを張り、そのワイヤーが引っ張られることにより、信管が抜け起爆するというものだ。
だが、予定通りの結果ではなかったとはいえ、傷を負うことになったのはつらい。
片目も失った今、死んでないというだけで、十全と言う訳ではないのだ。
今、私は最も近くの倉庫へと逃げ込んでいる。
思えば、あのまま残り、迎撃するという手もあったのだ。
冷静に考えてみるとその方が良かった気がする。
しかし、過ぎたことを考えても仕方がない。
今はどうやってこの状況を逆転させるか、を考えるしかない。
右手に握ったナイフで、身体に刺さった小片をほじくり出す。
痛みがないわけではない。だが、そうしていないと気持ちが悪いのだ。
確かすぎる熱を伴った、鈍い痛みが駆け巡る。
この痛みに耐えるため、砕けるかと思うほどに奥歯を噛みしめる。
危うく声も漏れてしまいそうになるが、すんでのところでこらえていた。
吐息も荒い。
苦しいが、なんとか左腕の目につく小片は全て取り出せた。
脇に置いておいた息を潜め、拳銃を握りしめる。
気がつけば激しい雨が降っていた。
激しい雨が。
大きな箱に背を持たれ座り込み、肩の力を抜いたまま、サイレンサーを額に軽く付けている。
きっとこれは、祈りの姿のようにも見えるだろうな、と思っていた。
特に音がしたわけでもない。
しかし、ここに何者かが侵入した気配。
何者か、いや、一人しかいない。
箱に背をつけたまま、入口の方を見る。
いた。
だが、顔は見れない。
暗いからとかではなく、ナイトビジョンを付けていたからだ。
あぁ、そうか、それがあったか。
静かに転がって身を乗り出し、標準を合わせる。
引き金に指をかけた瞬間。
体のすぐそばで、コンクリートが爆ぜた。
見つかってしまったようだ。
頭はこのままここで引き金を引け、と叫ぶが、体は奥へと走り出していた。
重い。
体が重い。
これまでのどの状況、どの訓練の時よりも体が重い。
最も奥の物陰へとたどり着き、一息つく。
足は震えていた。確定された死への恐怖で。
足だけじゃない。体全身が震えている。
出来る事なら、拳銃など放り出して、そのまま、外へ逃げ出して行きたい。
だが、それはすなわち死につながることを知っていた。
だが、逃げたい。今ならあの時の、銀行強盗の時の仲間の心情がよく分かる。
逃げる場所なんて、どこにもない。どこにも。
失禁してしまいそうな恐怖の中、頭をふり、左目で何かを探す。
それは奇跡だった。本当に奇跡を感じた。
銃弾の注ぐ中、私はそこに駆け出して行った。
隣のコンテナのそのさらに奥。
長い年月をかけて腐食した鉄の薄い壁のわずかな隙間。
体が通るような大きさではない。
だが、もしかすると、蹴やぶれるのかもしれない。
そのわずかな可能性に賭け、痛む足を振り上げた。
ガンガンと、大きな音が響く。
敵はもはや、追う足を速めない。
5,6発目でガコリと音がした。
開いたその隙間へ体を忍び込ませる。
腰で一瞬詰まったが、それでも何とか通り抜けた。
その直後、壁を叩く銃弾の音。
何発かは壁を破り私に当たるが、どれもかすり傷であった。
真っ直ぐ目の前の倉庫へと飛び込む。
もはや、受けて立つという気概なんてどこにもなかった。
先ほどのように体を隠す。
途端に体が震え始めた。
必至に沈めようとするが、止まらない。
涙も溢れる。ヒクヒクと嗚咽も交る。
どうして私なのだ。どうして他の誰でもなく私なのだ。
生まれたときから選択肢なんて他にないといっても差支えなかったのに。
最悪から二番目の選択しかできなかったじゃないか。
この世は不公平すぎる。不在の神を恨んだ。
どうしてこんな目に合わせるのだ。どうしてこんな目に合うのだ。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
歯の根がかみ合わず、ガチガチと音を立てる。
駄目だ、恐れるな、怖がるな。
そう思おうとするが、芯に染み付いたこの恐怖はどうしようもなく深いものだった。
まるで、これまでの殺しへの恐怖があふれ出てきたかのように。
目眩が、耳鳴りが、全ての音を、全てのつながりを消し去る。
こんな時に、いや、それでもいいか。
この無音の世界で死ぬのも悪くはない。
そう、思ってしまった。
顔を上げ、目の前の人物を見る。
そこには白崎がいた。
いや、白崎だけではない。
今まで殺したすべての人間が。私に関わったことで死んでしまった人間たちがいた。
迎えに来たのだな。そう思ったがどうも様子が違う。
一様にここの入口を睨みつけ、何かを待っている。
私の前には一人の男が立っていた。
それは、初めて私が殺した男。
仕事ではなく、この仕事のきっかけとなったあの警官だった。
彼は優しく微笑み、私に手を差し伸べる。
ぼうっとなっている頭のまま、その手を掴む。
彼は私をゆっくりと立ち上がらせた。
不思議なことに先ほどまでの恐怖は消え、未だかつて感じたことのない平穏が私を包んでいた。
今やるべきこと。今すべきこと。
殺した人たちのために私のできること。
私の中で二度目の死を味あわせないために出来ること。
すうと息を吸い、ゆっくりと吐く。
そして、その場にしゃがみこみ、ただ、待った。
敵が来るのを。
“私”が来るのを。
そう、敵は初めから外にいたのではない。内にいたのだ。
さっき、敵はナイトビジョンを付けていたため顔が分からないと思った。
しかし、よくよく考えてみると、あの下には“私”がいたのではないか。
死すべき“私”が。
白崎の残した情報。その中の顔写真はそう、“私”だったのだ。
見なくても、右目が見えなくても、世界が見えなくても敵が来るところは分かる。
あれは“私”自身なのだから。
そして、ついに感じた。
敵がここに足を踏み入れたことを。
ゆっくりと銃口をあげる。
その先にはただの地面しかない。硬いコンクリートの地面しか。
まだだ。まだ引くな。
そう先ほど臆病風に吹かれたこの体に言い聞かせる。
私の背中には懐かしい気配。
“彼”だ。そしてその後ろには“彼ら”と“彼女”。
どれも優しい感じであり、恨みなど感じなかった。
私はこんなにも罪悪感を抱いていたのに。
許してくれるのか。皆は。
この瞬間、悟った。
“彼ら”は私そのものなのだと。
この瞬間、受け入れた。“彼ら”を。これまで拒んでいた“彼ら”を。
いままで拒んでいた私が馬鹿らしく思えた。
笑いそうにさえなる。
“彼”、強盗のリーダーだった“彼”は私の体を優しく包み、ともに銃を握ってくれた。
違う、ここじゃない、もう少し横だ、と言うように照準をずらす。
温もりに包まれたまま、私は引き金に指をかけた。
この瞬間、私の世界の全てはこの銃に圧縮され、私は銃になった。
ここには、この銃以外何もない。
私と言う存在が希薄になり、銃がすべてに置き換わる。
引き金は拍子抜けするほど軽い。
引かれた引き金。
撃鉄が作動し、弾丸をたたき起す。
その衝撃で火薬が反応し、弾頭が飛び出る。
遊底がスライドし、薬きょうが排出される。
弾頭は空間を切り裂き、その先にある地面を擦った。
それでも弾頭は速度を衰えず、跳ね返り、その先の固い壁を削る。
再び跳躍し、一直線に敵の頭にぶつかる。
弾丸は敵の耳の中へ入って行き、皮膚を破き、鼓膜を裂き、三半規管を貫き、そして脳を撃かき乱した。
弾丸は反対側の頭がい骨にぶつかるまで止まらなかった。
世界が拡張し、音が返ってくる。
終わった。すべてが終わった。
これで終わりだ。これで終わりなのだ。
勝ち負けの問題ではない。
終わりなのだ。やっと。
全てから解放される。
よたよたと、外へ出てゆく。
死んでいることなど確認しない。
もうとっくに分かっていることなのだから。
体はいまだに重い。
だが、足取りは驚くほど軽かった。
外はいまだに暗く、空は闇に覆われている。
何かを叫ぶべきところなのかもしれないが、生憎そんな言葉など持ちあわせていない。
その代りに、大きく、はぁ、と息をついた。
見上げた空には雲ひとつなく、満月が煌々と輝いている。
DUNE 第十話「追憶の情景」
「……雛苺? 」
了
人々が空を忘れてから、どれくらいだろう。
何年も、何十年も、何百年も、いや何千年も昔のことなのかもしれない。
僕らは、空を捨てた。
大きな戦争があり、地上は汚染され、地下へ逃げ込むしかなかったのだ。
何世代も人が変わるにつれて、もはや、空とは人にとって、神話の世界へ変わってしまった。
薄暗く、狭い地下室。それが、僕らにとっての全て。
見上げても、そこには手の届くかもしれない天井ばかり。
だけど、当り前の閉塞感。
その中で、人々は更なる閉塞感を生み出した。
階層社会。1stから7thまでの階級。
とはいえ、大抵の人にとっては努力により変えられるというものであるらしい。
すくなくとも、その建前の上では。
しかし、どうしようもなく、変えることのできない階級というのが存在する。
1stと7th。この2つだ。
生まれたときから、定められた階級。
何故、この2つが固定されているのかなんて、知る由もない。
ただ、僕らはここから逃げ出すことを決めた。
SEAVEN
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――
扉を開けるとそこは、見たこともない景色が広がっていた。
見たこともないほどに、美しい景色が。
けど、どこか懐かしいとさえ思える、そんな景色。
あたり一面に緑が広がり、その色が風に揺れ、規則正しく流れを象る。
何処までも続く、広い世界。気がつけば、扉は消えていた。
僕の近くには、ただただ大きな樹。
樹なんて、生まれて初めて見た。
地下には、決して育まれることのない、その命。
見上げれば、そこには赤。
沈みかけの光輝く球。あれが太陽なのか。
視線を下ろすと、そこはその赤さに染められていた。
ただ、違和感のあるものが。
黒く、名前もなにも書かれていない、墓。
いや、それが墓なのかどうかさえ分からない。
何となく、そう思っただけだ。
そして、触れているはずなのに、感触のない草。
それに気がついた瞬間、世界は色を変えた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
照明の落ちたこの部屋で、白の彼女は妖しく笑んでいた。
その唇は、形をかえ、優しげなものに変わる。
そして、言葉を紡いだ。
「貴方にかけていた呪いを、今、解きましょう」
COMING SOON
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 01:43:30.31 ID:o/cLeano0
投下完了です。お疲れ様でした。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:49:12.63 ID:Pgjc0/FX0
>>47 誰もが幸せになる道は……もう残されてないのですかね……
生き延びたけど、救われない。切ない
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:50:52.45 ID:Pgjc0/FX0
何だか、このタイミングで投下、申し訳ないっす。
深夜枠、投下、行かせてもらいます。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:51:16.78 ID:Pgjc0/FX0
風邪をひちゃった為、金糸雀は学校を休んでベッドで休んでいます。
それも、頭まで布団をかぶって。
保護者のみっちゃんも、薬を買いにお出かけ中。
そんなこんなで、暖かい布団に包まれてウトウトしていた金糸雀でしたが……
突然、大きなベルがジリジリと鳴る音が部屋中に響き渡りました。
「………ぅ…ん………むにゃ…むにゃ…… 」
布団の中からモゾモゾと手だけを出すと、枕元に置いてある目覚まし時計の頭を叩きます。
これで静かになるはず。
金糸雀はそう思いましたが……一向にベルの音は止みません。
布団から手だけを出して、金糸雀は何度も何度も目覚まし時計をぺしぺし叩きます。
にも関わらず、ジリジリと騒がしい音は止まりません。
それもそのはず。
だって、火災警報の非常ベルの音だもの。
「もう!いい加減にしてほしいかしらっ! 」
まさかそんな非常事態とはつゆ知らず、金糸雀は改めて頭まで布団をかぶりなおし……
ジリジリ鳴る音を無視する事に。
ちょっとずつではありますが、部屋の中にも黒い煙が入ってきた事には気が付いていませんでした。
◇ ◇ ◇ け も み み ☆ も ー ど ! ◇ ◇ ◇
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:51:47.72 ID:Pgjc0/FX0
そんな、今にも鳥(カナリア)の丸焼きが出来ちゃいそうなマンションからちょっと離れた公園で。
真紅は翠星石と蒼星石の三人で、ベンチに腰掛けながらのんびりと風景を眺めていました。
いいえ、傍目には散りゆく紅葉を眺めているように見えますが……
三人の気分は、そんな平穏な景色を楽しむどころではありません。
「一体、これは何なのかしらね…… 」
真紅は頭の上からぴょこりと顔を出した犬耳を、そっと撫でます。
「……僕ら……ずっと、このままなのかな…… 」
蒼星石は、翠星石のふわふわの尻尾を撫でながら呟きます。
「……こんなんじゃあ、海にも温泉にも行けんですぅ…… 」
翠星石も、蒼星石の頭に生えた猫耳を指先でつっつきながら言います。
肌寒い風が、三人の間を吹き抜けました。
「……ジュンがパソコンで調べて、何か見つけているかもしれないわ 」
重くなりがちな空気を吹き飛ばす為、真紅はそう言いながら立ち上がります。
何か手がかりを発見したらすぐにメールで知らせる約束。そして、何もメールが来てないと言う事は、つまり……
無駄足になりそうだとは思ってはいましたが、翠星石と蒼星石もベンチから立ち上がります。
とりあえず、ほんの少しの希望に賭けてみる事にして、三人は公園を後にしました。
―※―※―※―※―
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:52:08.47 ID:Pgjc0/FX0
その頃、金糸雀は……
ぽかぽかと暖かな布団に包まれて、卵畑を楽しく走る夢を見ていました。
『卵のなる木を発見したかしら!これは三食、卵焼きにするしかないかしら! 』
幸せそうにヨダレをじゅるりとさせながら、卵のなる木によじ登ります。
『大漁かしら〜!ホーッホッホ!! 』
高笑いしながら、ポケットに卵を詰め込みます。
それから、ポケットに詰め込んだ卵が割れないように気をつけながら木から降り……
のつもりが、ちょっとだけバランスを崩して、卵が一つ、落っこちてしまいました。
『あっ!? 』と叫び、慌てて手を伸ばしますが……
残念な事に間に合わず、卵は地面に衝突してしまいます。
『ぅぅ……もったいないかしら…… 』
木から降りた金糸雀は、目の端に涙を浮かべながら潰れた卵に近づきますが……どうも様子が変です。
卵は、すっかりカラが割れてしまっていますが……中身が出たりはしていません。
『?……どうしてかしら? 』
呟きながら、落ちた卵を拾ってみると……
なるほど。ゆで卵になっていました。これなら、落ちても多少は平気です。
『う〜ん……でもこれじゃあ、お砂糖いっぱいの卵焼きは作れないかしら 』
さてどうしたものかと金糸雀が頭を傾げて考え始めた時です。
春の陽気のように、ぽかぽかと快適だった世界が……まるで真夏の炎天下のように暑くなっていきます。
これでは、ポケットの中の卵も、全部、温泉卵になっちゃいそうです。
「は…早く冷蔵庫に…………はっ!? 」
金糸雀は自分の叫び声で、夢から覚めました。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:53:06.71 ID:Pgjc0/FX0
そして、目が覚めたついでに……先ほどの夢のせいで、お腹がすいてしまったのでしょう。
キッチンに行って、何か食べるものでも。そう思い、布団から抜け出し……
そこでやっと、金糸雀は部屋の中に黒い煙が広がり始めている事に気が付きました。
「ひィ!?ひ…非常事態かしら!? 」
幸い、彼女の部屋にはまだ火の手は伸びてきていませんが、どう見ても火事です。
金糸雀は慌ててベッドから飛び起きると、そのまま逃げ出すべく玄関へ。
そのまま扉を開き、マンションの廊下に差し掛かり……そこで足が止まりました。
決して多いとは言えないお給料で、それでもみっちゃんが買ってくれたお洋服。
それを……このまま置いて逃げるの?
金糸雀の脳裏に、嬉しそうにまさちゅーせっつをするみっちゃんの姿が……
楽しそうに写真を撮るみっちゃんの笑顔が、浮かびます。
「……せめて一着だけでも……持って行くべきかしら…! 」
本当なら、すぐにでも逃げないといけないのでしょうが……
金糸雀はそう呟くと、再び部屋の中へと駆け込んで行きました。
―※―※―※―※―
「そこで言ってやったですよ!それは残像ですぅ、と! 」
翠星石の武勇伝に耳を傾けながら、真紅と蒼星石はテクテクと歩きます。
そして、公園を抜けてすぐのマンションの前に、沢山の人だかりが出来ているのを発見しました。
マンションからはもくもくと黒煙が上がり、野次馬が遠巻きに消防車の到着を待っています。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:53:37.80 ID:Pgjc0/FX0
「……私たちに何かが出来るのならば別だけれど……人の不幸をジロジロと見るものではないわ。
行きましょう 」
真紅はそう言うと、マンションの前を通り過ぎようとします。
ですが……彼女の頭でピコピコ動く犬耳は、その声を聞き逃しませんでした。
「カナァァ!?どこなの私のカナァァァァ!!? 」
錯乱する、薬屋さんの袋を持った女性と、「大丈夫、きっともう逃げてるだろうから…」となだめる人の会話。
やがて女性は、周囲の制止を振り切って……あろうことか、黒煙上がるマンションの中へと突撃したのです!
「あなた!何を考えてるの!待ちなさい!! 」
真紅はその光景に、弾かれたように叫びます。
ですが……その声は、周囲の野次馬の声にかき消され、女性には届きません。
真紅は慌てて、女性の後を追いかけてマンションへと入ろうとしますが……
その腕を蒼星石にガシッと捕まれ、立ち止まらざるを得なくなりました。
「真紅……君が彼女を助けに行こうとする気持ちはよく分かる……でも……
それで君まで危険な目に会ってしまったら……それに……仮に、無事に助け出したとしても……
そうなったら、君は周囲の注目を集めてしまう……それが、今の僕らにとってどれだけ危険な事か…… 」
猫耳がバレないよう、帽子を目深に被りなおしながら、蒼星石が小さな声で警告を発します。
確かに……真紅にも、蒼星石の言う事が正しいのは分かります。
シロウトが無茶をするより、確実な救助を待った方がいいのかもしれません。
それに、頭の上の犬耳が世間に露見するような事態は避けるべきだという事。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:54:09.43 ID:Pgjc0/FX0
ですが……
頭ではそう分かっていても、真紅の心は「あの女性を助けに行くべきだ」と叫んでいました。
「あの人は……居るのかどうかも分からない人間の身を心配して、自分の安全も考えずに飛び出したわ。
……それは無謀な事なのかもしれない。愚かな行為と言えるのかもしれない。
でも……私はそんな彼女を見捨ててはおけないわ…… 」
強い決意の篭った眼差しを、真紅は蒼星石に向けます。
蒼星石も、真紅の目を真っ直ぐに見つめますが……やがて、静かに視線を逸らしました。
「ごめんなさい、蒼星石……それとも、お礼を言うべきかしらね…… 」
真紅はそう言うと、そっと蒼星石の手を振りほどき……
炎の広がりだしたマンションへと、人ごみを縫って走り出しました。
―※―※―※―※―
真紅は、非常ベルの鳴り響く階段を駆け上がります。
一人で先に突入した眼鏡の女性を探しながらなので、各階を慎重に調べながら。
お陰で、なかなか思うように進めません。
姿勢を低くし、帽子をハンカチ代わりに口元に当てながら、真紅はマンションの中を進みます。
そして……いくつかの階段を越えた先に……倒れている人影を発見しました。
混乱したまま駆け込んで、煙を吸ってしまったのでしょう。
先ほどの眼鏡をかけた女性が、そこにはバッタリと倒れていました。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:54:34.29 ID:Pgjc0/FX0
「大丈夫!?しっかりなさい! 」
真紅は倒れている女性の体をゆすります。
小さなうめき声が返ってきたので、生きてはいるようですが……あまり良い状態とは思えません。
真紅はその女性を担ぎ上げ、何とか一緒に脱出しようと試みます。
ですが……
小柄な真紅一人では、それすらも満足に出来ません。
そうこうしている内にも、煙は濃度を増し、マンションの廊下は蒸し風呂のように熱くなっていきます。
「……くっ……早く…何とか逃げないと…… 」
真紅は女性を肩を貸し引きずりながら、小さな声で呟きます。
そして……予想以上に悪い事態に、真紅も焦っていたのでしょう。
誤って煙を吸い込んでしまい……その熱さと焼ける匂いに、激しくむせてしまいました。
視界がぐらぐら揺れ、気分も悪くなります。
真紅が地面に膝を付きかけた瞬間……!
「真紅!しっかりして! 」
声が聞こえると同時に、蒼星石が真紅の体を支えてくれました。
「蒼星石……どうしてあなたまで…… 」
汗を浮べながら、真紅は驚いた表情で蒼星石を見上げます。
そして、その問いかけに答えた声は……蒼星石とはまた別の方向から聞こえてきました。
「ぶっ倒れられて入院でもされた日には、見舞いやらで思わぬ出費になっちまうですぅ!
そんな面倒になる前に、しゃーなしで助けてやるですよ! 」
そう言いながら、翠星石が真紅とは逆側から女性の体を支えます。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:55:04.86 ID:Pgjc0/FX0
「翠星石がどうしても、って聞かなくってね…… 」
蒼星石が照れたようなはにかんだ顔で、そう呟きます。
真紅はこんな状況だというのに、少しだけ心が温かくなった気がしました。
「……姉妹そろって素直じゃないわね 」
ちいさく呟きながら……この時彼女は、少しだけ微笑んでいたのかもしれません。
仲間も増え、助けるべき人も見つけました。
「後は、ここから無事に逃げ出すだけね…… 」
真紅の提案に、翠星石と蒼星石も頷きます。
そして、三人で協力しながら女性を支え、進もうとした時です。
女性は意識を少し取り戻したのか、震える手で一枚の扉を指し示しました。
きっと、その部屋が彼女が向かっていた場所なのでしょう。
ひょっとすると……誰かが残っているかもしれないと心配して。
「……翠星石、蒼星石……あなた達は先に行って頂戴。
私は……念のため、あの部屋を確認してくるわ 」
―※―※―※―※―
一着だけでも持って逃げよう。
そう考えて部屋に引き返した金糸雀でしたが……どうにも、どれを持っていくべきか決められません。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:55:46.09 ID:Pgjc0/FX0
一番高かったお洋服?それとも、一番お気に入りのを?最近買ってもらったのにするべきかしら?
どれもこれもが、みっちゃんとの思い出の詰まった大切なお洋服。
とてもじゃありませんが、どれかを見捨てるなんて事は出来ません。
金糸雀はクローゼットをひっくり返しながら慌てるばかり。
熱い煙は、時間の経過と共に彼女の周囲を取り囲み始めます。
「誰か居るの!?居るなら返事をして! 」
突然、扉の開く音と共に、そう呼びかける声が聞こえてきました。
「こっちかしら!手伝って欲しいかしら! 」
金糸雀は両手に抱えきれない程の服を抱きしめながら、そう叫びます。
すると……
忘れもしません。雛苺が河原に落ちそうになった所を助けてくれた少女が……
頭の上でピコピコ動く犬耳まで、まるであの日のまま……救いの女神のように登場したのです。
金糸雀は周囲に散らばった服にもぞもぞともつれながら、助けを求めます。
「みっちゃんの買ってくれたお洋服を…… 」
そう言い、少女に近づいた時です。
金糸雀は、いきなり頬を打たれました。
頬を押さえ呆然とする金糸雀に……真紅は犬耳をピンとさせ、言いました。
「そのみっちゃんという女性は、あなたを心配して一人でこのマンションに駆け込んだのよ。
それに……この部屋を見ただけでも……あなたがどれだけ愛されているのか分かるわ。 」
真紅は煙の広がる部屋に視線を巡らせ……再び、金糸雀を見つめます。
その青い瞳の輝きは、厳しさの中にも優しさと思いやりを秘めた……例えて言うなら、群れのリーダーのような。
そんな、どこか暖かな印象を与える目でした。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:56:17.33 ID:Pgjc0/FX0
「物は、例え失われてしまっても……思い出は残るわ。
でも……あなたが失われてしまえば……それはとても深い悲しみになるの…… 」
真紅はそう言うと、先ほど金糸雀の頬を打ったのと同じ手で……今度は優しく、彼女の頭を撫でます。
金糸雀は……いかに慌てていたとはいえ、自分がしてしまった事を心から悲しく思いました。
大好きなみっちゃんを危険な目に会わせてしまった事。
そして……もし、自分の身に何かあれば……
ひょっとするとそれは、大好きなみっちゃんの笑顔を奪う事になったかもしれない。
金糸雀は涙を流しながら真紅にしがみ付き……小さな声で、何度もごめんなさいと繰り返します。
真紅は軽く息を吐いてから、金糸雀の頭をもう一度撫で……
「さあ、今頃はあなたの大好きなみっちゃんも外で待っている頃だわ。
早く会いに行ってあげましょう 」
そう言い、危なくないように金糸雀を抱きしめながら部屋の外へと向かいます。
廊下にはすっかり煙が広がっていて、ハンカチで口元を押さえていようとも咳が止まりません。
目もシパシパするし、怖くって泣いちゃいそうです。
熱い煙が押し寄せよせてきますし、火の粉も舞っています……
真紅は時々、頭の上で犬耳をピコピコさせて……比較的、火の気の少なそうな場所を選びながら進みます。
やがて見えてきた、マンションの出口から射す光を目の端に映しながら……
金糸雀は改めて、二度も窮地に駆けつけてくれた少女を見つめながら、こう思いました。
――― いつかカナも、こんな風に立派な犬耳を生やして……皆の役に立ってみせるかしらっ!!
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:57:15.25 ID:Pgjc0/FX0
◇ ◇ ◇ 次回予告 ◇ ◇ ◇
そんなこんなで、無事に脱出はしたものの……
彼女達が最も恐れていた事態が、ついに来てしまう。
なんと、真紅はこのドタバタで周囲に頭の上の秘密を知られてしまったのだ!
次回! けもみみ☆もーど!
『 ポケットに入っちゃいそうな戦争 』 に……レディィィ ゴォォォォォォォォオオオオ!!!
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 02:57:31.95 ID:Pgjc0/FX0
保守
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 04:01:03.57 ID:Pgjc0/FX0
保守
>>50 はいまたクズが出てきたせいでスレの雰囲気が悪くなりましたー
>>53 糞キムが出てくる話ってほんとつまりませんねー
>>57 しかも増えなくていい無駄レスだけが増えるし
乙
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 06:13:21.93 ID:w+P3hCjXO
>>47 いつの日か、彼女にも光が射す時が来ることを願っているよ。
>>60 けもみみ乙女たちの活躍に拍手!
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 07:03:56.87 ID:Rxrll0D50
ho
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 07:16:27.04 ID:1v3eYdlXO
>>47 格好よくて鳥肌たった。続きに激しく期待
>>60 逃げずに洋服を持ち出そうとする金糸雀の気持ちが……もう(ノд<。)゜。
ほ
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 09:17:15.70 ID:1v3eYdlXO
し
巴「私って地味かな……」
ジ「そんなことないと思うけど」
巴「……いいよ、気を使わなくて」
ジ「や、気とか全然使ってないし」
巴「優しいね……でも、その優しさが、人を傷つけることだってあるんだよ」
ジ「いやだから……」
巴「やっぱり、私にしかないものを見つけないとダメ、だよね」
ジ「聞けよ」
巴「和……」
ジ「は?」
巴「やっぱり、『和』だと思うの。私にしかないものって……」
ジ「ああ……まぁ、それはそうかもしれないけど」
巴「となれば、やはり和を強調すべきかしら」
ジ「どうするんだよ」
巴「うーん……」スタスタ
ジ「?」
巴「ガサゴソ……あ、あったあった」
ジ「何してる?」
巴「んしょ……と」
ジ「……」
巴「トントン、……できた」
ジ「それは?」
巴「納豆と、ひややっこ」
ジ「それが柏葉の思う『和』なのか」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 10:31:04.02 ID:1v3eYdlXO
ほしゆ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 12:02:36.44 ID:1v3eYdlXO
ほほ
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 12:54:38.56 ID:1v3eYdlXO
しし
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 13:15:50.68 ID:LlOTS855O
ゆゆ
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 14:08:43.19 ID:r9V+Q0wK0
ほ
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 14:51:37.87 ID:Bt194JymO
し
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 16:01:58.66 ID:mzzJQE4gO
保守ですぅ
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 16:02:11.77 ID:1v3eYdlXO
ゅ
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 16:52:17.98 ID:w+P3hCjXO
ほしゅ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 17:43:56.26 ID:w+P3hCjXO
保守
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 18:04:29.70 ID:1v3eYdlXO
雛「がったん、ごっとん♪」
薔「……がったん、ごっとん」
雛「電車さん、がったんごっとんなのー」
薔「……ね」
――まもなく○○、○○――
雛「あれ? 薔薇水晶、薔薇水晶! あれ、トモエとジュンなのー」
薔「……ホントだ……まったく仲良さそうにしちゃってブツブツ」
巴「あら、雛苺に薔薇水晶じゃない」
ジ「げっ、なんでおまえらが……」
雛「お買い物の帰りなのー! トモエとジュンは? 」
巴「あっ、そのえっと……」
ジ「買い物だよ、買い物!! 」
薔「……怪しい」
――まもなく発車します。閉まるドアにご注意ください――
雛「がったん、ごっとん♪がったん、ごっとん!」
巴「がったん、ごっとん……」
薔「……がったん、ごっとん……何時の間にジュンに近づいてブツブツ」
ジ「……全く、お前ら子供じゃないんだから……けどこの音ってなんか眠気を誘う音なんだよなぁ。がったん、ごっとんと」
雛「がったん、ごっとん、がったん、ごっとん! なのー♪」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 18:22:54.49 ID:ilBtXktfO
>>88 なんだかわからないけど
可愛いからがったんごっとん
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 19:04:29.86 ID:mzzJQE4gO
ジュンのハートもがったんごっとん
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 19:45:12.30 ID:ilBtXktfO
翠星石もがったんごっとんに混ぜやがれですヴ
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 19:45:31.45 ID:ffSSGlvf0
みんなで一緒にがったんごっとん
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 19:46:02.15 ID:mzzJQE4gO
保守する時もがったんごっとん
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 20:28:39.71 ID:mzzJQE4gO
保守する時もがったんキキーがっしゃーん
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 20:41:39.81 ID:ilBtXktfO
大惨事かしら〜
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 20:50:16.71 ID:mzzJQE4gO
蒼「12月になったね」
翠「…ですね」
蒼「12月になったらジュン君に告白するって言ってたけど…本当にするの?」
翠「…はい」
蒼「やっぱり、イヴとかに?」
翠「ん…できれば…その前がいいです」
蒼「そっか。頑張れそう?」
翠「最悪心臓が口から出るのを覚悟して行きます」
蒼「…大丈夫。ジュン君ならまた入れてくれるさ」
翠「…はい。じゃあ、ちょっと買い物行ってきますね」
蒼「ああ。車に引かれないようにね」
翠「了解です。今朝ちょっとぶつかりましたからもう大丈夫です」
蒼「あ、ああ…そう…大丈夫だった?」
翠「心配いらないですよ。では」
蒼「うん。気をつけて」
蒼「やれやれ…これは僕も注意しないといけないな。今朝ぶつかったって一体どこでフラフラしてたんだろうなぁ」
蒼「12月か…イヴに一人は嫌だって軽く告白しちゃう人もいるけど、翠星石は本気だよ。ずっと胸に秘めて耐えてきたんだ。それをわかってねジュン君」
蒼「でも…上手くいかないなぁ。翠星石…キミが好きで、ジュン君から告白された僕はどうすればいいんだろうね?まったく恋の天使はイタズラ好きだ」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 21:17:48.44 ID:mzzJQE4gO
保守だよ
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 21:52:26.00 ID:D/UYvwta0
がったんごっとん
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 21:57:44.98 ID:ffSSGlvf0
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 22:20:44.30 ID:w+P3hCjXO
ほしゅ
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 22:32:02.86 ID:p6pcyZbm0
ほ
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 22:53:07.25 ID:o/cLeano0
>>60 乙女たちの活躍に賛辞を送りつつ、カナの最後の目標に吹いたwww
>>76 和ってなんなんだろ……。
少なくともその取り合わせは、別々で食べたい……。
>>88 かわいいのだが、薔薇水晶、しばし落ち着け。
>>97 なんかどちらにせよ辛い三角関係だなぁ。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/01(月) 23:31:38.79 ID:mzzJQE4gO
保
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 00:01:40.69 ID:XYtgzd2OO
保守ですぅ
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 00:38:37.81 ID:XYtgzd2OO
ほ
久々に来た女子高生時代からのSS書きですが
産業
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 00:46:55.99 ID:25MJX9Bs0
ぬ
る
ぽ
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 00:51:36.86 ID:HtrR+OC90
>>111 ありがとう、ならば蒼の子で久しぶりにSS投下するか……
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 00:52:39.80 ID:XYtgzd2OO
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 01:15:42.25 ID:HtrR+OC90
保守
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 01:39:04.36 ID:6b+c2hcE0
ねほ
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 02:04:42.36 ID:XYtgzd2OO
ねるほー
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 02:58:07.34 ID:o5LZkJQvO
保守
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 04:26:56.60 ID:o5LZkJQvO
保 守
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 06:10:44.26 ID:tXTR+SVpO
ほ し ゅ
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 07:16:37.78 ID:Z4I3NyzNO
ほしゅ
巴「納豆は『和』じゃないの?」
ジ「和っていうか、納豆は納豆じゃないか……?」
巴「そうかな……」
ジ「うーん、そんな、無理に変なキャラ付けしなくっても……」
巴「でも、真紅に納豆って似合わないと思わない?」
ジ「ああ、まぁ」
巴「雛苺に納豆食べさせたこともあったけど、恐ろしいほどミスマッチだったわ」
ジ「それはそうだろうなぁ」
巴「つまり、薔薇乙女に納豆は似合わないの」
ジ「んー……でも、蒼星石とかなら……」
巴「偏見よ。蒼星石だって、納豆まみれになったらただの納豆くさい人よ」
ジ「まぁ納豆まみれになったら誰だってそうだろうが」
巴「つまり、納豆が似合うのは私だけ……!」
ジ「……もう反論しないけどさ、たとえそうだったとして、それで嬉しいのか?」
巴「あまり」
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 08:24:12.83 ID:EwBpG1N1O
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 09:09:36.59 ID:EwBpG1N1O
予感と戸惑いの中で瞳は君を捜し保守
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 10:10:47.37 ID:giH3zG/90
hoshu
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 10:15:16.04 ID:uVn5rNvDO
>>121 全ての食材が似合う薔薇乙女
つ【雪華綺晶】
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 11:03:57.75 ID:1AmgEooQ0
ho
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 11:22:47.39 ID:ssV4CzZgO
>>125 グルメレースみたいな食べ物のCMに出る雪華綺晶が頭を過った
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 12:02:54.10 ID:vnBy2KDT0
ho
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 12:06:02.05 ID:iT4gi6sYO
雪「ほらほら、お姉様。納豆の糸で作った蜘蛛の巣ですわー」
紅「私に近付くんじゃないのだわ!」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 13:00:54.38 ID:EwBpG1N1O
保っぺりあの柩
ほ しゅ
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 14:15:01.66 ID:XYtgzd2OO
ほ
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 15:03:34.62 ID:giH3zG/90
し
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 15:45:27.89 ID:giH3zG/90
ゅ
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 16:28:40.36 ID:HtrR+OC90
保守
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 16:58:08.98 ID:EwBpG1N1O
保守
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 17:27:05.74 ID:eFbt6TYk0
ほ
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 17:54:55.73 ID:6b+c2hcE0
ほ
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 18:11:29.27 ID:SKRjNOsy0
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〉 ハ:::::|l:::|゙l ゙ ゞ: :': :ノ.゙ ゙' ヘ`゙l、 ヘ ゙i,}ニ'ソ/ ノ|:/ |./: :::::::. : : : : :
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ヽ,`ヽ : : : : : : : : : : : : : `ヽ、く;;;:::::\ヘ-`'''ヾi´:: : : ;/ : ,r''´ ̄`゙`ニ=l:ヘ: ::::::::::::::
ノ ヘ: : : : : : : : : : : : : : : -‐゙ヽ: : ;;;l:\ : : l:: : :/::::: :/:::::: : :/::::::::ヘ::ヘ:::::::::::::
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140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 18:56:46.75 ID:o5LZkJQvO
ほしゅ
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 19:38:22.65 ID:EwBpG1N1O
ほほ
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 19:58:20.77 ID:xeiLy6vwO
ほ
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 20:31:28.26 ID:o5LZkJQvO
保守
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 21:04:57.00 ID:c3b97yp70
保守
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 21:26:39.70 ID:6b+c2hcE0
ほ
ほ
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 22:20:45.33 ID:uVn5rNvDO
ほしゅなの
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/12/02(火) 22:53:19.67 ID:6b+c2hcE0
ご
149 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/02(火) 23:20:26.62 ID:iCTuenWi0
ho
150 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/02(火) 23:40:12.57 ID:giH3zG/90
帰ったきた保守
151 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 00:07:40.65 ID:0Z2iyOzI0
ほぉい!!
152 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 00:07:59.93 ID:xJsy/XUtO
ほしゅ
153 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 00:32:58.35 ID:1LtDXkW90
hp
154 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 00:50:11.37 ID:aALnZJXG0
審議保守
155 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 01:20:03.00 ID:1LtDXkW90
ほ
156 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 01:57:30.62 ID:+VkRzWL0O
し
157 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:00:13.59 ID:1LtDXkW90
ほ
158 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:22:12.28 ID:0Z2iyOzI0
あの頃の僕らは……いつだって、見えない『何か』と戦っていた。
深夜です。投下します。
159 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:22:45.20 ID:0Z2iyOzI0
良い事をした後は気分が良い。
それが、人命救助なんて凄い事なら、なおさら。
黒煙上がるマンションからの脱出劇から一夜明けた朝。
真紅はご機嫌な表情でキッチンに立っていました。
『キシャー!シャー!』と奇声を上げるクッキーの生地(?)を、真紅は鼻歌交じりにオーブンに入れました。
それから、焼きあがるまでの時間、のんびりと紅茶を片手に新聞に目を通します。
紅茶中毒で、さらに活字中毒でもある彼女にとって、このひと時は何物にも代えがたい憩いの時間。
いつもならピコピコ動いている犬耳も、頭の上でぺたんとリラックスしています。
そんな風に、ゆったりとした時間を楽しんでいた真紅でしたが……
とある新聞の記事が、何の前触れも無く視界に飛び込んできました。
『お手柄!犬耳っ娘 火災現場から少女救う』
それは、真紅の勇気を過剰に称える文章と……黒煙上がるビルから、少女の手を引き脱出する真紅の写真。
当然、頭の上の犬耳もバッチリ写っちゃっています。
「そんな……! 」
真紅が小さな声で叫んだ瞬間です。
いきなり、オーブンが爆発しました!
◇ ◇ ◇ け も み み ☆ も ー ど ! ◇ ◇ ◇
160 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:23:14.73 ID:0Z2iyOzI0
突然起こった驚愕の事態に……真紅は目を真ん丸くしたまま、その場を動けませんでした。
頭の上では犬耳が、ピンと直立したまま微動だにしません。
やがて……ほんの数秒が過ぎてから、真紅は何が起こったのか理解しました。
そうです。
オーブンが爆発したのです。
慌てて机の下に潜り込み、ドキドキしっぱなしのぺったんこな胸を押さえます。
「これは……新聞を見て秘密を知った誰かが……
早速、私を捕らえに来たと判断して間違いないでしょうね…… 」
彼女の大好きな『くんくん探偵』顔負けの推理をしてみせますが……見当外れもいい所です。
本当は、錬金術で生成された人造生命体にしか見えないクッキー(?)が原因です。
まさか、自分の料理が奇跡を起こしたとは夢にも思わず……
真紅は頭の上でいまだにピンとなっている犬耳に意識を集中させます。
ですが……何か怪しい音どころか、誰かが近くに居る気配すら感じません。
「……さっきの爆発で仕留め損ねたせいで……相手も様子を覗っているのかもしれないわね…… 」
油断は禁物と言わんばかりの鋭い眼差しで、真紅は机の下から周囲の観察を続けます。
こっちは一人。
それに対し、相手は……そもそも、何人居て、どんな手段で来るのかも見当がつきません。
まあ、本当は全部、真紅の想像の産物なので0人ですが。
ともあれ。
真紅はいたってマジな表情のまま、手元に転がっていたオーブンの破片を指先でつまむと……
それをポイッと、部屋の出口のほうに投げました。
161 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:23:40.98 ID:0Z2iyOzI0
コツン、という音。
暫くの沈黙。
「……余程注意深いか……それとも……こっちの手の内を読んでいるか……
どちらにせよ、厄介な相手のようね…… 」
囮に引っかからなかった事により、真紅の推理はまた一歩前進します。
「……それ程の相手なら……ここに留まるのは……あまり良い作戦とは言えないわね…… 」
真紅は犬耳に神経を集中させながら、部屋の出口までの距離を測ります。
そして……
小さな物音一つ立てないように気をつけながら……少しずつ、扉に向かって進んでいきました。
そして、指先がドアノブに触れるまであと数センチの時です。
真紅は針が落ちる音も聞き逃すまいと、犬耳に集中していたのですが……それが失敗でした。
『い〜しや〜き芋〜お芋だよ〜』
石焼き芋屋さんの屋台の声が、突然聞こえてきたのです!
あんまり急だったもので、真紅は「ひゃぁ!? 」と叫んでしまいます。
(いけない!部屋から抜けようとしているのが相手に知られてしまった!? )
「はっ!! 」
真紅は勢い良く扉を開くと、アクション俳優さながらの動きで廊下に転がりながら飛び出ます。
……実際は、犬耳少女が廊下をコロコロと移動していただけですが。
それから真紅は……廊下の中心で止まると、バッと起き上がって走り出します。
どうせ居場所がバレてしまっているのなら……少しでも早く移動した方が良いからです。
そして真紅は、廊下を少し走り、見えてきた扉の中に飛び込みます。
ちょっと狭いけど、趣味も悪くない、フローラルな香りの漂う……つまり、トイレでした。
162 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:24:15.21 ID:0Z2iyOzI0
小さな、ちょうど真紅が通れるか通れないかといった位の小さな窓。
それを眺めながら……彼女は決断を迫られます。
ここから外に出て、隣の……ジュンの家に逃げ込むべきか……
「……いいえ……確かに、全ての発端は彼かもしれない……でも…… 」
ジュンを、この争いに巻き込みたくはない。
真紅は硬く目を瞑り、不安から生まれた弱い心を締め出そうとします。
そして再び真紅が目を開けた時には……その瞳は空のように澄みきって……何の迷いもありませんでした。
彼女は静かに息を吸い込むと、音が鳴るのを気にしてないかのように目の前の扉を開けます。
それから、いつもと同じように、ごく普通の動きで自分の部屋へと向かいました。
机の上に置かれた携帯電話。
真紅はそれを手に取り……つい、話がしたい衝動に襲われます。
ですが……固い決意の元、メールを打つだけに留めました。
『 To 翠星石
私のミスで、犬耳の事が世間に知られてしまったわ。本当にごめんなさい。
今も、追っ手が近くまで迫っていて……もう逃げ切る事は出来ないでしょうね。
例え逃げ出す事が出来ても……それは周囲の皆に沢山の迷惑をかけてしまう事になるかもしれない。
そんな事になる前に……私は、私自らの手で決着を付けに行くのだわ。
あなた達の事は、何があっても決して喋らないから安心して頂戴。
ひょっとしたら、これが最後のメールになるかもしれないから……だから……
ありがとう。
From 真紅 』
163 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:24:32.84 ID:0Z2iyOzI0
最後に送信のボタンを押し……真紅は携帯電話の電源を切ります。
それから、再び部屋の外へ……玄関へと向かい始めました。
そう簡単に捕まってやるつもりは、無い。
己が身と誇りだけを武器に、真紅は闘うために廊下を歩きます。
今までは……外に出るときは隠していた犬耳も、今は隠さず……逆に、誇り高くピンと空をさしたまま。
そして……
まだ見ぬ相手……正体不明の敵と闘う為、真紅は玄関の扉を開きます……
まあ、敵なんて始めから居ないんですが。
164 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:24:56.89 ID:0Z2iyOzI0
―※―※―※―※―
自宅のリビングで翠星石の焼いたクッキーを食べながら、蒼星石はのんびりとしていました。
すると……ドタバタと騒がしい足音を鳴らしながら、翠星石がリビングへと飛び込んできました。
「真紅が大変な事になってるですぅ!すぐに助けに行くですよ! 」
そう叫ぶと、翠星石は自分がはいているスカートの両端をつまむと、バサバサと揺らします。
すると、スカート中から身の丈程はありそうなガトリング砲(対空用、毎分600発)が出てきました。
「……そのスカート……どういう仕掛けなんだい? 」
蒼星石は顔を引き攣らせながら、翠星石に尋ねます。
そう言えば、あんなにふわふわで大きな翠星石の尻尾も、スカートに隠した途端、目立たなくなります。
本当に、女の子のスカートの中は神秘の世界ですね。
ともあれ。
そんな大きなガトリング砲を引きずりながら出撃しようとする翠星石の背中に向け、蒼星石は再び尋ねます。
「一体、何が始まるっていうんだい? 」
翠星石は振り返ると……その目をギラリと輝かせながら、力強く答えました。
「第三次世界大戦ですぅ! 」
そんなもの、始まりません。
165 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:25:21.77 ID:0Z2iyOzI0
◇ ◇ ◇ 次回予告 ◇ ◇ ◇
と、バレはしたものの……何だか、思ったよりも普通な毎日。
かと思いきや。
真紅たちの前に、ついに彼女が立ちふさがった!
次回! けもみみ☆もーど!
『 その手に栄光を掴んで 』 に……レディー ゴーーーー!!
166 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 03:25:37.78 ID:0Z2iyOzI0
保守
167 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 04:12:21.63 ID:0Z2iyOzI0
保守
168 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 06:13:56.84 ID:5cAQLSH3O
>>165 ここまで手に汗握らないアクションモノも珍しいwwwナーレションとキャラのテンションのギャップがまたwww
169 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 07:10:43.23 ID:9rfVsl5CO
>>165 廊下をゴロゴロしたり
トイレに逃げ込んだり
ラジバンダリ
犬耳真紅カワユス
170 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 07:25:37.42 ID:xJsy/XUtO
171 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 07:38:13.44 ID:+VkRzWL0O
172 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 08:10:46.62 ID:1SlJ1YZm0
173 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 09:37:16.97 ID:+VkRzWL0O
ほしゅ!
174 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 10:17:05.90 ID:+VkRzWL0O
ほしゅ!!
175 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 11:06:08.20 ID:+VkRzWL0O
ほしゅ!!!
176 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 12:39:19.81 ID:+VkRzWL0O
ほsゲホゲホッ……
177 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 12:51:14.26 ID:eF7lY0GhO
保守
178 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 14:09:26.96 ID:5cAQLSH3O
★
179 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 15:15:24.09 ID:5cAQLSH3O
☆
ほ
181 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 16:28:54.03 ID:5cAQLSH3O
保守なのだわ
182 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 17:13:11.77 ID:xJsy/XUtO
保守
183 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 17:19:48.60 ID:SLr6Ls7JO
>>165 ビビる真紅もだけど…奇声を上げる生地とかなんだよ!と…
巴「やっぱり、私に合うのは和服……」
ジ「たしかにそうだけれど、それだけで他のやつらに差をつけられるかな」
巴「……どういう意味?」
ジ「ん、だって、アイツら見た目だけはそれぞれ綺麗だし、
柏葉が和で攻めたところで、別ジャンル扱いだと思うんだよ」
巴「……そんなこと言われても」
ジ「時代は和洋折衷じゃないかな」
巴「…時代というか、日本が常に新しいものを取り入れてきたことは確かね」
ジ「うん。だから、真紅たちに対抗したいなら、西洋のいいところは真似していくべきだと思う」
巴「そうかな……」
ジ「そう思うね、僕は」
巴「でも、どうしたらいいのか……」
ジ「安心してくれ、和洋折衷を体現した着物を作ってきたんだ」
巴「……」
ジ「柏葉に似合う、和と洋のコラボレーションの着物……ずっと考えてた」
巴「その結果が、このミニスカ着物」
ジ「着物本来の魅力を損ねていることは重々承知しているけれど、
それ以上に生足の魅力が、和服の色気に相乗されるはず!」
巴「……なるほど」
ジ「さらに!真紅たちの分も作ってきた」
巴「……」
薔薇乙女s「キャッキャ」
巴「似合ってるし」
ジ「和洋折衷だからな」
185 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 17:59:16.18 ID:WOMHadFL0
186 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 18:40:43.43 ID:xJsy/XUtO
>>184 巴には「巫女コス」という強力な武器があるじゃないか!
187 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 19:08:58.11 ID:5cAQLSH3O
ガンガレ巴w
188 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 19:29:23.76 ID:9rfVsl5CO
巴は泣き黒子が至高
189 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 19:50:26.63 ID:4Rc5oM6D0
ho
190 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 20:21:16.38 ID:xJsy/XUtO
保守
191 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 20:50:56.21 ID:5cAQLSH3O
保守ですわ
192 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:19:36.36 ID:+VkRzWL0O
「……うん、うん。あっ、カナこれからアルバイトがあるかしら、だから……うん、また掛け直すかしら」
と、私は携帯電話ポケットにしまった。慣れないアルバイトに捻れた人間関係、最近どうも八方塞がりが気がしてならない。
夕暮れの駅前通りを自慢の黄色い自転車で走り去る。思い切りペダルを踏んで、踏んで、踏んで。
自転車は素直に踏めば踏むほど進んでくれる。そこにはストレスも疲れも関係ない。
耳に付けたイヤホンからは疲れたミュージックが絶えず流れる。
どこにも居場所が無いって思う人、カナのコノユビトマレ。
無理やりもう捜さなくてもいい。
希望を見つけるの嫌になっちゃった人、カナとかくれんぼするかしら。必ず君を見つけだすから。
姉妹の一人はもう今や情熱を使い果たしたけれども、彼女は幸せと言っていた。
友人の一人は今日も愛すべき人の為だけに歌を歌うのだ。
私はそれが正しいとも、間違っているともわからない。
知らない人ばかりで町が出来てるとしたら、ここはとてつもなく大きな孤独の塊。
私も、そして姉妹達もその孤独の中で生活しているのだ。
誰かといても寂しいって言う人、カナのコノユビトマレ。
無理やりもう笑わなくてもいいかしら。
いつかの悲しみが消えない人、カナとにらめっこするかしら。いつかの笑い方を思い出すまで。
自分の事あまりスキじゃない人、カナのコノユビトマレ。
無理やりもう変わらなくてもいいかしら。
誰かの為に何か出来る人、明日またカナと競争するかしら。
君のほうがずっと輝いているから。
カナも頑張るから……。
みんなも頑張るかしら……!!
193 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:20:05.14 ID:+VkRzWL0O
スガシカオ「コノユビトマレ」からでしたー。
194 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:50:06.68 ID:xJsy/XUtO
ほしゅ
195 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:50:47.69 ID:RIyT/I+o0
真紅がジュンに好かれたいようです
紅「私のリサーチによると、インターネットをよく使っている人は、ツン・・・ツン・・・
ツン何とか・・・えっと、辞書辞書・・・」
パラパラ
紅「そう、ツンドラな性格の子が好きな人が多いとわかったのだわ!早速実践ね」
ツンドラ-気候
寒帯気候の一。最暖月の平均気温がセ氏零〜10度未満で、
亜寒帯気候と違って夏の気温が上がらず、冬は極度に寒い。
紅「要するに冷たく接すれば良いわけね。気温が上がらないと言うことは最高に冷たく・・・」
ジ「おーい真紅ー」
紅「気安く話しかけないで頂戴。貴方と私じゃ人間の位が違うの。
貴方みたいな顔を見ただけで吐き気がするような下衆野郎と一緒の家で暮らしてるなんて考えただけでも恐ろしいわ・・・
貴方は部屋から出てこないで頂戴。貴方の部屋が貴方の居場所でしょう?
なんでホーリエはホームステイ先をこんな奴の家にしたのかしら・・・」
紅(ここまで言えば十分でしょうね。これでジュンは・・・キャフフッ)チラ
ジ「あ・・・あ・・・」
ジ「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」ダッ
紅「あ、あれ・・・?何処を・・・間違ったのかしらね・・・?」
196 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 21:55:47.32 ID:NGvSCtvUO
197 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 22:26:12.70 ID:aALnZJXG0
199 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 23:01:45.73 ID:xJsy/XUtO
保守
200 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 23:20:31.68 ID:aALnZJXG0
201 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/03(水) 23:52:42.83 ID:5cAQLSH3O
保守ですぅ
202 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 00:18:06.61 ID:464N/DGFO
保守だよ
203 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 00:41:18.83 ID:9ELM4oYC0
ほぉい!
204 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 00:43:49.94 ID:464N/DGFO
め「来ちゃった」
ジ「そんな彼女が寂しくて彼氏の家に不意に訪れた感溢れる感じて何の用だ」
め「つれないわジュン君。せっかく夜に女の子が訪ねて来たのに」
ジ「僕は女性は3つに分割できると思っている。幼女と、お前と、それ以外だ」
め「リアクションに困るセリフね。ロリィなバディが好きなの?」
ジ「あれは慈愛と保護の対象でありけして性的な視線を向けることなく人としてまた生き物の常として本来あるべき幼子への感情は世界の倫理でありまた」
め「このロリコンどもめ!」
ジ「あ…////」
め「そんなうっとりしないでよ」
ジ「気にするな。ある種の生理現象だ」
め「生理現象も俗になったわね」
ジ「で?何しに来たんだ」
め「理由がなくちゃ来ちゃいけないの?」
ジ「でないと僕が対応に困るんだ」
め「うーん…じゃあ遊びに来たで」
ジ「もう遅い。帰った方がいい」
め「なら、ジュン君で遊びに来たの」
ジ「部屋に昨日買った美味しいアップルパイがあるんだがどうかな?」
め「わーい」
205 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:07:57.59 ID:H+700Qqb0
206 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 01:43:19.53 ID:xaoMokuJO
ホシュ
207 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 02:09:14.67 ID:464N/DGFO
ねるほ
208 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 03:35:42.89 ID:xaoMokuJO
ほしゅ
ほ し ゅ
210 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 06:41:20.19 ID:bXrlJjdCO
もう朝か…
211 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 06:53:41.04 ID:L9pXKZMg0
ho
ほ
213 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 08:48:52.18 ID:H+700Qqb0
ほ
214 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 09:38:13.86 ID:swCXqJ5nO
し
215 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 10:49:46.86 ID:swCXqJ5nO
ゅ
216 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 11:43:05.28 ID:swCXqJ5nO
しゅ
217 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 12:05:49.39 ID:464N/DGFO
蒼「うーん、お昼どうしようかな…」
翠『ジュンー!オメーまた浮気したですねー!?』
ジ『ま、待ってくれ!アイツには旨いパスタが食べられるって誘われただけで…!』
蒼「あー、パスタとかいいなぁ」
翠『じゃあ前の弁当はなんですかぁ!翠星石だって…翠星石だってまだ作ってやってないというですのに!』
ジ『あ、あれは僕がエビチリが好きって言ったら作ってきてくれるって…』
蒼「エビチリ…そう言えば最近食べてないなぁ。夕食にしようかな?」
翠『じゃあ昨日の夜はどこで食ってきたか言ってみろですぅ!』
ジ『普通の居酒屋だよ!ちょっとお酒飲んだけどそれだけだって!』
蒼「あ、ほっけとか良いかも。ご飯もまだあったし…そうしようかな」
翠『ほほう…じゃあ服についてた口紅はそういう事だと言いたいんですね?』
ジ『は!?何でだって服になんか…あ』
翠『死ねぇええええ!!』
ジ『いぎゃあー!?』
バキ!ドカ!ぐちゃ!ズカン!
蒼「あれ?急にユッケが食べたくなったなぁ…何でだろ?」
218 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 13:09:10.61 ID:bXrlJjdCO
もう慣れっこだね蒼星石
浮気相手誰だ?
浮気相手気になるな。
確実に真紅じゃないことはわかる
220 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 14:02:17.41 ID:xaoMokuJO
保守
221 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 14:55:28.19 ID:464N/DGFO
保守よぉ
222 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 15:22:09.23 ID:swCXqJ5nO
☆彡
223 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 15:56:31.52 ID:H+700Qqb0
224 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 16:31:21.51 ID:swCXqJ5nO
ほしす
225 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 17:15:43.56 ID:xaoMokuJO
ほしゅ
226 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 17:54:14.38 ID:464N/DGFO
保守ですわ
227 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 18:26:37.73 ID:464N/DGFO
保守だよ
228 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 19:03:54.97 ID:464N/DGFO
ほ
229 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 19:11:53.24 ID:X0I5xaQg0
230 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 19:41:47.50 ID:464N/DGFO
保守
231 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:17:37.37 ID:464N/DGFO
ほ
232 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:45:37.03 ID:464N/DGFO
【怪盗乙女、ローゼンメイデン】
緊急mission『捕らわれた白崎巡査、桜田ジュン両名を奪還せよ!』
第七話 《勝負と選択》
〜前回の簡単なあらすじ〜
・雪華綺晶と薔薇水晶が魔眼の力を借り由奈を撃破
・水銀燈と真紅もめぐに苦戦するもみつと金糸雀の指示により真紅が壁に穴をあけて…?
・小さな地下室に現れた人。ベジータと合わせ2人の人間がテーブルを挟んで向かい合い…
ジ「さて、いよいよこの話も佳境だな」
真「ようやくね。だけどジュン、あなた全然出て無いじゃないの」
ジ「う、うるさい!こ…これから活躍すんだ!遅れて登場するのがヒーローなんだッ!!」
真「空気の読めない愚か者じゃなければいいけれど」
ジ「………」
真「まあいいわ。何にせよもうすぐで…ってあら?何をいじけているの。ほら始まるわよ。衝撃吸収のビニールをぷっちんしてないでしっかりなさい」
では、どうぞ。
233 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:45:37.81 ID:H+700Qqb0
ほ
234 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:46:22.35 ID:464N/DGFO
>>232 「あっぐ…災難続きなのだわ…どうなるかぐらい言ってくれれば…」
「言ったらばれるでしょう?まあ…お疲れ様ねぇ、真紅」
水銀燈が、自分の腕の中に収まっている真紅に笑いかける。しかし、その真紅はぷいと顔を背けた。
真紅がホーリエを使って穴を空けた壁からの突風により吹き飛ばされた真紅をキャッチしたために今の状況があるのだが、この突風こそ、この部屋に関する謎の答えだった。
「にしても…こんな大きな部屋を丸ごと減圧するなんて、大したトラップねぇ…」
そう、この部屋は減圧…つまり、“空気を抜かれて”いたのだ。
ピチカートが反応出来なかったのも無理はない。何かを入れられたのではなく抜かれたのだから、探知も何もあったものではない。だが、それを見抜く確証となったのが…
「…音速。つまり、あの部屋での音の伝わる速さかしら」
金糸雀が船の中でピチカートに計算させたのがこれだ。あらかじめ登録してあった真紅の体のサイズから縮尺を出し、真紅の動きから出る音が水銀燈のマイクに伝わる速さを計算させたのだ。その結果は。
「秒速約318メートル、か。あの部屋の温度は15℃くらいだから本来なら音速は秒速約341メートル。明らかに遅くなってるわね」
「かしら。かなり無茶な計算をさせたから誤差があるにしても、これだけ違えばはっきりするわ」
音が進むメカニズムは、音源での振動が周りの空気に伝わり、さらにその周りへと振動の波となることで進んでいく。故に真空状態では音は伝わらない。
また、振動を伝える相手は何も空気だけとは限らない。むしろ、相手の密度が高い方が振動は伝えやすい。よって、音速は空中よりも水中の方が速く、水中よりも固中体の方が速い。
では、あの部屋の音速が通常より遅いことは何を意味するのか。それは音を伝える媒体の密度が低い、つまり空気が薄い事に繋がるのだ。
「モノを投げればそれは空気を押しのけて進むわ。当然、その空気が薄いなら普段より速く飛んでいく」
「そして空気を徐々に抜いていけば気づくのは難しいかしら。それは高山病に似た症状を引き起こすけど、“あらかじめ”その気圧に体を慣らしておけば影響は少なくなるわ」
235 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:47:26.41 ID:464N/DGFO
>>234 初めからあの部屋を減圧することは出来ない。そうしたら真紅と水銀燈が入る時に空気も入ってきてしまうし、2人にも当然バレる。
だからまず2人を部屋に入れて部屋を密封。そこから少しずつ時間をかけて抜いていかねばならなかった。そしてこの理由から、既に減圧された部屋で体を慣らし待機していためぐはすぐにあの部屋へ入ることが出来なかったのだ。
「めぐって子が飲んでた薬も…登山用のヤツでしょうね。それならあらかじめ飲んでいなきゃならないし、効果が切れる時間を伸ばすために戦闘の直前に飲むのにも納得がいくわ。まああれだけ大量に飲む必要はないから、大半はラムネみたいなダミーなんでしょうけど」
そして真紅と水銀燈は地上から高度4000メートルに押し上げられたような状態となり、地上にいる時と同じ動きをしようとしても肺に入る酸素量が減るために動きが鈍くなってしまうというわけだ。
「ただ空気を抜くのは大変だし、掃除機みたいに大きな音も出る。それをごまかしたのが、発電機に見せかけた…と言うか聞かせかけた機械の駆動音。大量のライトも発電機の存在をイメージさせるため…か。良く考えてあるわね。でも…」
「もうそれは見破ったかしら。そして機械を壊して空気を逆流させてもとの気圧に戻せば…」
みつと金糸雀は画面の映像に目を移す。そして、冷たい声で言い切った。
「あの娘はおしまいよ」
「あ…あう…がはっ…うあ…」
真紅と水銀燈もまた、みつと金糸雀と同じく彼女、柿崎めぐを見ていた。今までの彼女からは想像も出来ないほどの苦痛の表情を見せ、苦しみもがいている。
真紅と水銀燈はもとの気圧に戻れば直ぐに体調は持ち直せる。多少違和感はあるかもしれないが、人の体はそれに対応するだけの力がある。
しかし、薬によって強制的に高々度に対応した体になっているめぐは、もとの気圧に戻っても体がそれに対応できない。少量の酸素でも動けるようにしたその体では普段の空気は濃すぎるのだ。
また濃すぎる酸素は当然体に悪影響を及ぼし、各所に鬱血などの正直が表れもはや立つことさえできなくなっていた。
「ああぁ…水、銀燈…」
「めぐ…」
そのめぐ姿を、水銀燈は様々な感情が交錯した瞳で眺めていた。
めぐが壁に穴を開けようとする真紅に向かって行った時、水銀燈の声に反応せずに真紅を攻撃すれば、この戦いはめぐに軍配が上がったはずなのに。
236 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:48:53.53 ID:464N/DGFO
>>235 しかし、めぐは足を止め、水銀燈へ振り返った。
それも、今までで一番の喜びの笑みをたたえて。
めぐは勝敗など初めから関心が無かったのだ。ただ水銀燈を求め、やって来ただけ。彼女がここにいるのはそれが理由であり、また彼女にはそれが全てだった。
だから例え攻撃を止めれば負けるとわかっていても、水銀燈がめぐを求めれば、めぐは絶対にそれに答える。めぐが水銀燈の意志を利用したように、水銀燈もまためぐの愛情を利用したのだった。
「…ちょっと水銀燈。感傷に浸っているところ悪いけれど、出来れば早く私の右肩を入れてくれる?痛くて仕方ないのだわ」
「ん、ああ、そう言えばそうだったわねぇ。ごめんなさぁ、い!」
ゴリッ。
「あぅッ…!」
しかしそう、ダメージの観点で見れば、真紅は意識ははっきりしているもののめぐ以上に重傷だった。右肩は入れたとはいえ熱を持ち筋を痛めているし、二の腕は折れているらしく酷い腫れだ。右のあばら骨もヒビがあるようだし、骨盤にもダメージがある。
また先程の一撃で左手がまだ軽い痙攣を起こしていた。本来、水銀燈が一発めぐの急所に当てさえすれば真紅がこんなケガをすることはなかった。だが、それでも。
「さて…肩も入った事だし、行きましょうか真紅。ジュンはもう目の前よ」
「ジュン…」
真紅は右手を抱えながら息絶え絶えにそこだけ反復した。その姿にやれやれと溜め息をつく水銀燈。
「ほら、肩貸してあげるからもう少し頑張りなさい。あと確認が取れてないのはベジータだけだそうよ。それは、私が受け持つわ」
ジュンの位置は細かな移動はあるものの、めぐが出てきたドアのすぐそこだと言う。ベジータもその場に居るかもしれないが、体調の戻った水銀燈なら充分やり合える。ようやく、そしていよいよ。
「待って、水銀燈」
「え?」
だが、水銀燈の歩みを止めたのは一番早くジュンに会いたいであろう真紅だった。そして真紅は倒れているめぐに視線を移し、尋ねた。
「あの娘、あのままでいいの?」
「…どういう意味?」
「殺せ、とは言わないのだわ。ただ、今は薬の作用でああしているけど薬がきれたらわからない。それに今後の事もあるし、肩を外すなり、腕を落とすのを躊躇うなら親指だけでもかなり違うハズよ」
237 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:50:23.35 ID:464N/DGFO
>>236 「…乱暴ねぇ」
「私は貴女と違ってあの娘には恐怖しか覚えてないのよ。トラウマものよ?あんな風に投げられて…貴女はもっと酷い目に合ったのでしょう?どうしてそこまで許せるのか、正直理解できないのだわ」
「そう、ね…」
確かにこんな風に思えるのは自分だけなんだろう。そして戦略的にも甘い。フォワードリーダーとして許されることではないのかもしれない。
だが、めぐはあの時足を止めて振り返った。笑顔で振り返ったのだ。だから、私も―
「…めぐの事は、最後の最後まで私が面倒を見るつもりよ。あの子が私を諦めるならそれでいいし、やってくるなら、私はそれを向かえ撃つ。それだけよ」
「…なら私はとばっちりを受けたというわけね」
「それについては謝るわ。お詫びに薔薇水晶が隠し撮りしたジュンの痴態映像見せてあげるから許してねぇ?」
「!?…ゴ、ゴホッ!ゲホッ!…!…ッ!!」
「あー、はいはい、そうね。悪かったわぁ。じゃあ、行くとしましょうか」
涼しい顔で相手の体を支える水銀燈と、未だに顔を赤くして噎せる真紅。2人は入って来た時より乱雑とした部屋に背を向けて、前より強い騒音に包まれながら部屋を後にした。その際、水銀燈はめぐを一瞥したが、特にかける言葉は思いつかなかった。
「薔薇水晶!」
翠星石と雛苺が同時に叫ぶ。自分たちにもわずかに被害は及んだし、由奈の確認も取れていないものの(取る必要が無い威力だったとも言えるが)、エンジュリルを突き出した体制で床に突っ伏したまま動かない薔薇水晶のもとへと駆け寄っていった。
「ひっ!」
翠星石が薔薇水晶の顔に触れた瞬間声が裏返ってしまった。それ位に、薔薇水晶の体温が低かったのだ。
「こんな体であんなもの撃ちやがるなんて…なんて馬鹿ですかオメーは!馬鹿ですよ薔薇水晶!そんな馬鹿には説教してやりますから…だから…だから死ぬなですぅ!」
揺すっても叫んでもピクリともしない薔薇水晶の姿に翠星石は半泣きになっていたが、雛苺は一目散に薔薇水晶の胸元をはだけると自分の耳を押し当てる。
「…大丈夫よ」
「ほえッ!?」
238 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:51:26.03 ID:464N/DGFO
>>237 「きっとこれが訓練の成果なのね。体温が異常に下がった時に末端の血流を止めて主要器官にだけ流せるようにしてあるのよ。だからちゃんと心臓はうごいてるわ。そして体温が上がればまた全身に血が巡るから目を覚ますはずよ」
雛苺の説明を半泣き状態で聞いていた翠星石は、その説明を頭の中でゆっくりと咀嚼した後、横たわる仲間に『この馬鹿ッ!』と吐き捨てた。
「ああ…ところで、あの女はどうなったですかね?」
「“アレ”が直撃したもの。無事じゃないのは確かなのよ。なら私達はそれでいいわ」
「…ですね」
雪華綺晶が薔薇水晶の右目の視界を共有した状態で猛禽の魔眼を発現させたため、それは雪華綺晶の危惧した(そして望んだ)通り、薔薇水晶の右目まで取り憑いて2つ目の魔眼を作り上げた。
本来は由奈のように魔眼も左右で1つであるから、その理由も上げられるかもしれない。なんにせよ、猛禽の魔眼は左右1つずつ、2人の姉妹が持つこととなったのだ。
猛禽の魔眼を手にした薔薇水晶にとってもはや至近距離での由奈の狙撃など取るに足りず、むしろタメの時間が長すぎたことによるクリスタルライト・ブレイカーの威力補正に神経を使ったほどである。こうして、絶対零度の業火は由奈を寸分違わずに撃ち抜いたのだった。
翠星石は自分の上着と薔薇水晶の上着を脱がしてから背負う。当人も相当冷たい筈だが、薔薇水晶の体温を一刻も早く上げるためならば何のことはない。
それに、もう。
「翠星石、今金糸雀から聞いたわ。ジュンは…あの扉を進んだ先にいるのよ」
「やれやれですね。ようやく“あっちの”馬鹿にも会えるわけですか」
「水銀燈と真紅も向かってるそうよ。だからこれから挟み撃ちにするわ」
「へっ、りょーかいですよ。どうせ後はあのM字ハゲだけでしょうから、みんなで恨みを込めて袋だたきにしてやるですぅ!」
雛苺を前にして薔薇水晶を背負った翠星石は廊下を進み、扉を抜けた。その廊下は南極に爆弾を打ち込んだような有り様になっていたが、雛苺と翠星石には廊下を抜ける最後まで由奈の姿を捉えることは出来なかった。
この2つの突入班が用心棒を突破した時より30分前、とある小さな地下室。
「この拳銃、返した方がいいですか?」僕は言った。その部屋に入るなり、その部屋の住人に向かって。「もう弾は残ってませんけど」
239 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:53:40.17 ID:464N/DGFO
>>238 ベジータが少し笑ったような気がした。それを入室の許可ととった僕は後ろのドアを閉めて部屋に入り、部屋の中央にある丸テーブルの横に置かれた背もたれの無い椅子に座る。
「くっくっく…」
今度はベジータは本当に不敵に笑う。そして僕に向かって言った。
「撃つ場所を間違えたんじゃないのか?」
たったひとつの冴えたやりかた。
そう書いてはあったが、あの部屋から出るには僕が思い付いただけで2つの方法があった。1つは簡単。ベジータの意味するところであろう、僕が閉じ込めるだけの価値を失えばいい。つまりは、僕が死んでしまえばいい。
そして2つ目が、たったひとつの弾丸で、たったひとつの錠前を吹き飛ばすことだった。だから僕は、よく狙いを定めてから、その引き金を引いた。鉄格子は、すんなり開いてくれた。
「そうは思いません。少なくとも、僕は」
そう、“僕は”だ。僕が今やっていることは、文字にすれば『最後の弾丸で拘束から逃れたが、すぐ敵に見つかった』という余りに無謀かつ逃走として破綻した行為だ。
そしてこうなる事を僕自身予測していたのだからなお悪い。助ける側からしてみれば怒鳴りたくなるような愚行に違いない。
でも、それでも僕はやってきた。アイツらを信じて待つという選択肢を捨てて、今すぐ楽になるという選択肢を捨てて、ここへ来た。
僕が真っ直ぐにベジータの顔を見据えると、ベジータは感心したような(顔は笑っていたから、ほぼからかいなんだろうけど)声を上げる。
「ほう…昨日まで死んだ魚のような目をしていたくせに、今は生きのいい魚位にはなってるじゃないか。どんな心境の変化だ?せっかくだ、ちょいと教えて欲しいもんだな」
「それは…」
僕は今まで、自分が『ローゼンメイデンに残るか』または『日本へ帰るか』を迷っていた…と、思っていた。
もちろん、事実ではある。けれど、意味するところが決定的に間違っていた事に、ようやく気付くことができた。僕は、『ローゼンメイデンに残るか』それとも『逃げるか』を迷っていたんだ。
日本へ帰る、という選択肢は白崎さんが言ったように決して間違ったモノではないし、むしろ推奨されるモノだった。そして堂々と選べるものだったはずなんだ。僕が自分の罪を償うこと、そして自分の力量から判断してローゼンメイデンを脱退することを選んだのなら。
240 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:54:47.37 ID:464N/DGFO
>>239 でも、今までの僕はそうじゃなかった。僕はただ“怖がって”日本へ帰ろうかと考えていた。だからあんな罪悪感に打ちひしがれ、自虐にまみれた牢獄生活を送り、悪夢にうなされたんだ。
じゃあ何を怖がったのか。
自分が酷い目に会うこと?
自分の力がアイツから遠くはなれ落ちこぼれること?
自分が足を引っ張ってアイツらに被害が及ぶこと?
そうだ。みんな怖い。考えたくもない。だけど、“だからなんなんだ?”
酷い目に会うのが怖い?当たり前だそんなことは。
落ちこぼれるのが怖い?悪いが僕はもともと落ちこぼれだ。そんな僕を拾って使い出したのはアイツらの方だ。
仲間に被害が及ぶのが怖い?だから、みんなみんな当たり前なんだよ。みんなが当たり前に怖がってることなんだよ。だから、“そこからどうするか”が一番大事なんじゃないか。
チームっていうのはそういうもんなんだ。5人集まればその力はバラバラで、トップがいれば当然ビリがいる。だからビリは失敗が怖いからってチームを抜けるのが正しいのか?だったら4人になって3人になって、結局最後は1人だけになってしまう。
それと、ビリが自分の失敗から上に迷惑をかけるのを怖れるように、“上もビリが失敗して自分に迷惑がかかるのを怖れている”んだ。それでも、それでもビリを使うのなら、それは上の力で判断した高度な戦略の1つとなるんじゃないのか?
じゃあ僕はどうだ。水銀燈はロゼーン島で言った。僕にしかできないことに期待してると。
最初のクリスマスでの豪華客船。アイツらが追い詰められた時、僕は人質のフリをして敵の目を惹き付け、結果最高の形でmissionを達成することができた。
東ティモールでの攻防戦。僕は先にローザミスティカにたどり着いていた警視庁の人の目を盗み、ローザミスティカを確保。そしてそれをアイツらに渡した。
考えてみれば、僕はまさしく水銀燈が期待した通りの働きをしていたんだ。僕でなければ人質のフリなど出来ないし、僕でなければローザミスティカを見つけることも、またそれを確保する事も出来なかったハズだ。
僕が散々嘆いた非力がどうだ?こんなにも活躍してるのは何故だ?いや、当然だ。だって、“あの水銀燈が僕を起用した”のだから。あの水銀燈が、見込みのない采配をするワケがないんだ。
241 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 20:55:58.52 ID:464N/DGFO
>>240 僕が周りに比べて非力?当たり前な事で嘆くなバカ。僕はドベで、ビリで、足手まとい。だけど、ローズ1でもローズ2でもローズ3でもローズ4でもローズ5でもローズ6でもローズ7でもローズ8でも出来ない事を成し得る、ローズJなんだ!
そして、ここまで考えた上で、ようやく最初の選択が意味を成す。僕にローゼンメイデンで戦力となる力は確かにある。でも、身体的、精神的、経験で劣る僕は、大きなミスをやらかす可能性が高い。
それを怖るのではなく、冷静な戦術思考として捉えた時、加えて僕がアイツらの事が大好きな事を踏まえた時、僕はどちらを選択すべきなんだろうか。
ほら、同じ質問、同じ選択肢なのに、全然苦しくない。叫びたくも、泣きたくも、死にたくもならない。何故なら僕は、“どちらを選んでも自分の為になる意味”を見いだしたし、“どちらを選んでもアイツらの為になる理由”を見つけたから。
実はまだ僕は決めかねている。ここまで考えたからと言って、選択が容易になるわけじゃない。むしろ正しく悩むことになる分相当の決断力がいる。
ただ、その前に僕が気付いたことがあった。だから、僕はここに来た。アイツらを信用し待つのではなく、ここに。
「…ベジータさん、僕は、とても弱い人間でした。学校でいじめられて引きこった経験もあります。だけど、僕は変わった。アイツらに会って、アイツらと過ごして変わる事ができたんです。
桜田ジュンは弱く、バカで、うじうじしてるダメ人間だったかもしれない。でも、僕は違う。今、あなたの前にいる僕は」
ほとんど睨んでるような目つきで、僕はベジータに言い放った。
「ローズJだ」
「はん、要はやけっぱちか」
腹をくくった、とも言えるかもしれんがな。
目の前の小僧の言葉や視線は、少し俺を楽しませ、少し俺を苛立たせ、少し俺に思考をさせ、少し俺に覚悟を求めた。だが、それらは所詮小さなことだ。俺を揺るがす事はない。
ところが俺は、目の前の小僧に少し興味が湧くと同時に、コイツがかなり気に入らなかった。俺が、この俺様がこんな取るに足りん小僧に嫉妬に近い憎しみを抱く。それが、俺をさらに苛立たせる。
だがまあ、なるほど。勝手にくたばるなり命乞いを始めるなりしなかったのは、少しは骨があると認めてもいいのかもしれん。少なくとも今はな。
C
243 :
支援サンクス!:2008/12/04(木) 21:10:10.65 ID:464N/DGFO
>>241 おっと、大事な事を忘れてたぜ。これを聞かにゃどうにも始まらんからな。
「いいだろうローズJ。それじゃあ、お前は何しに此処へ来たんだ?」
さて、どうくる?何を言う?聞かせてもらおうじゃないかローズJ?
「あなたを倒しに」
………ほぉ。
「くっくっく…!倒す?倒すだと?イタリアンマフィア頭目、このベジータ様にお前のようなガキが?なかなか笑える冗談だ。漫才の才でもあるんじゃないのか?どうやら間違えたのは来る場所だったようだな」
僕の精一杯の気丈も、この人の前じゃ笑いのネタにしかならないか…まぁ、そうなんだろうな実際。それが、ベジータと僕の実力の差で、馬と人の速さの違い。
だけど、僕にはどうしてもしなくちゃならない事があった。つたない僕をローズJにまで押し上げてくれたアイツらに、今の僕の全てと言ってもいいアイツらに、僕はありがとうの一言も言ってなかった。
柏葉さんにも…謝るのは筋違いなんだろうな。勘違いしたのは向こうなんだから。でも、お礼が言いたい。お礼をしたい。
だから、
「確かに…普通に戦っては万に一つも僕に勝ち目が無い。だから、僕はあなたの弱点を突きます」
「ははっ!弱点ときたか!つくづく面白いヤツだよお前は。で?この歴戦の戦闘民族である俺に弱点があると?いいだろう。やってみろよローズJ。また俺を笑わせてくれるんだろう?」
僕は、生きて此処を出られるかわからない。アイツらに会えるかもわからない。そして、アイツらがやられてしまうかもしれない。
それらは、本当に怖い想像で、考えれば考えるほど足がすくみ、何も出来なくなる。だけどそれは当然で、こんな悩みに答えなど初めから無いのだから。
だから僕は考えた。少しでもアイツらの為になりたい。恩返しがしたい。でも、僕が死んでは意味がない。なら僕は、このローズJには何が出来る?ローズJだからこそ出来ることは何がある?
そして僕は思いついた。僕は、この目の前の人と戦うことが出来る、目の前の馬と競争することができる方法を。僕、ローズJだから出来る、僕だけの戦い。
「ベジータさん、僕と…勝負しましょう」
「…何?」
「勝負です。何で勝負するかはそちらが決めて構いません。ルールも回数も、全てお任せします。ただし、」
僕は入って来た扉ではない方を指差して、
「僕が勝ったら、アイツらのもとへ行かせてください」
244 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:11:24.01 ID:464N/DGFO
>>243 「…お前負けたら?」
「煮るなり焼くなり、どうぞお好きに」
僕はこう言った後、口を閉じて、祈った。これが僕だけが出来る戦い方。今だから、相手がベジータだから出来るやり方だった。
普通、捕らわれの身でこんな戯れ言をぬかしたらまず相手にされない。だけど、ベジータはマフィアに似合わない流儀で行動する事を僕は知っている。だから、僕が挑んでくるのなら、ベジータは“絶対に受けなければならない”。
そして、ベジータの嫌う保身的な我がままを言わず完全に一任することで、逆にベジータは“僕が勝つ可能性がある勝負しか出来なくなる”。
加えて言うなら、僕に自殺を暗に意味して進めたことから、ベジータは“絶対にあからさまに僕を殺すことが出来ない”こともはっきりわかった。
そうだ。これは命を懸けた誇り高い決闘なんかじゃない。マフィア流から反したベジータの気高い精神を利用した、汚いやり方だった。そしてこの汚いやり方こそ、僕にしか出来ないたったひとつの冴えたやり方なんだ。
人は馬のようには走れない。なら、“馬を人の走る速さまで引きずり下ろせばいい”。足枷目隠しなんだっていい。僕なんかが綺麗にカッコ良く勝とうなんて考えるな。ずるく、汚く、浅ましく。だけど、それでも勝ちたい戦いがあるんだ。
「ふん…いいだろう。乗ってやる」
ごめんなさい。僕は心の中で、一度だけそう呟いた。
ベジータは僕に少し待つように言うと一旦部屋を出てから1分ほどで戻ってきた。
確かに、もしかしたらこの1分程で僕は逃げ出すことが出来たかもしれない。けれどそれは僕の土俵じゃない。疼く足を押さえて冷静に努めた。
「三回勝負だ。ただ、別に二回勝てと言っているんじゃない。三回勝負した後、勝敗がどうあれお前はそこから出て行くことができる」
「え?」
ベジータが言っている意味がわからず、僕はマヌケな声を出してしまった。
「ただし、お前が負けた場合は…」
僕には何も見る事が出来なかった。気付いた時には、僕の左肩に刃の剥いたベアリングが巻きついていて、そこから鉄線がベジータの右手へと伸びていた。
「一回負ける毎に、手足を一本いただく。無論止血はしてやるが、まあキチンとした姿でアイツらに会いたければ、三回全てに勝つんだな」
245 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:13:03.67 ID:464N/DGFO
>>244 心臓が激しく脈うち、汗が頬を伝う。だが、これでいい。少しでも勝つ可能性があるのなら、戦う意味がある。
「…じゃあ、やりましょう。最初はなんで勝負しますか?」
一回負けたら無条件に日本行きだな…その時僕はぼんやりとそんな事を考えていた。
「まず一回目は気楽にポーカーといこう。ここに新品のトランプがある。中を確かめるか?」
「いいえ」
ベジータな事だ。あらかじめ細工をするなんてつまらない事はしないだろう。
「基本的には普通のポーカーだが、違うところはベットをしないということだな」
ベット無しのポーカー…?
「カード交換は一度だけ。そして三回勝った方の勝ちだ。つまり」
ベジータは僕の方を意味有りげに見て、
「脅しもごまかしも効かない。単純な力勝負だ。ま…ブタはどうあがいてもブタと言う事だな。くっくっく…」
「…わかりました」
僕が答えるとベジータはカードをシャッフルして五枚僕の方に投げて寄越した。その手つきはまさに手慣れていて、僕を必要以上に萎縮させる。
「おっと、言い忘れたが、もしイカサマがバレた場合…」僕の右肩のベリングが僅かに食い込み「即、ソイツの負けだ。良く注意するこどだな」
「………」
その獰猛な笑みに、僕は言葉を返すことが出来なかった。
(落ち着け…まず僕の手札は…スペードとハートの8のワンペアか…より高い手札が勝つなら…)
「俺は三枚変える。お前は?」
「僕も…三枚」
お互いにカードを捨て、山札から同じ数だけ引く。けれど僕の手札は相変わらずのワンペアだった。
「よし勝負だ。お前の手札は?」
「…8のワンペアです」
ベジータがゆっくり手札を裏返す。
「フルハウス。俺の勝ちだな」
その手札の圧倒的な差に、僕は何か必然めいたものを感じずにはいられなかった。そしてどこか、肩のベリングがキツくなったような気がした。
二回目。再びベジータがカードを僕に寄越し、自分も山札から引く。
246 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:13:30.40 ID:8gvRNX0S0
今日知り合いの娘(姉妹)が仕事場に来てて大人しくするかとようつべでローゼン見せた時の反応
真紅
姉『(*´∀`)♪かわいい』
妹『(*´∀`)♪キャッキャッ』
雛苺
姉『(*´∀`)♪これかわいいの♪』
妹『(*´∀`)♪ピンク!』
水銀灯
姉『( ・∀・)/これアタシ!』
妹『( ・∀・)/アタシも!』
翠星石
姉『( ・∀・)/これもアタシがいい』
妹『(・ω・)ピンクがいい』
蒼星石
姉『(・д・ = ・д・)(水銀灯を探してる)』
妹『(・д・ = ・д・)(雛苺を探しながら)ピンクがいい』
薔薇水晶
姉『( ・∀・)/これもいい!』
妹『(*´∀`)♪ピンク!』
雪華結晶
姉『(・ω・)さっきのや』
妹『(・ω・)うん』
金糸雀
姉『( ´・ω・`)…』
妹『( ´・ω・`)ちがうのみたい』
247 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:14:24.30 ID:464N/DGFO
>>245 (今度はエースのワンペアか…さっきより良いけど…)
「ふむ…俺は二枚変えるとするかな」
「僕は…三枚で」
一回目と同じようにカード交換を終える。
(よし!クイーンのワンペアを引いてツーペアになった!高い数字のツーペアなら…!)
僕は藁にもすがる思いでカードに祈る。いくら運に左右されるとはいえ、ここで負ければもう後が無い。そこから三連勝するのは、限りなく難しいはずだ。だから、ここで…!
「僕はエースとクイーンのツーペアです」
僕は机の上にカードを強めに叩く。多少強気にならないと不安にうち負けそうだった。
ベジータは直ぐにカードを見せなかった。だから僕は心の中で勝利を予感し、ホッと気を抜いた瞬間、
「ストレートだローズJ。いや、桜田ジュン」
ざっくりと。跡形もなく切り刻まれた。
「くっくっく…!どうした日本人?顔色が悪いぞ?土壇場はお嫌いか?ま、こうも力が離れちゃ無理もないさ。だが運などそうは続かない。精々神様にお祈りしながらカードを引くんだな」
三回目。ベジータが僕にカードを投げる。ベジータがカードを引く。
今回の手札は役なしのブタだった。だけど、僕にはもうどうでも良かった。
「俺は一枚だけでいい。お前は?良く考えて選べよ?お前の左手がかかってるんだからなぁ?」
僕は何も言わず、五枚全てを放り投げた。
「これはこれは…つくづくついてないなぁお前は。最後五枚の引きにかけたとして、これじゃたたが知れる。ここは地下だ。神風なんぞ吹きはしないぜ?」
僕は黙って、ゆっくり慎重に手を前に手を伸ばしていった。そして…
「僕の勝ちです」
僕が伸ばした手はベジータの一番左の手札を掴んでいる。少し指を滑らせると、それは2枚になった。
言い逃れようのない、イカサマ。
248 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:15:52.71 ID:464N/DGFO
>>247 「なるほど。俺の負けだな」
だがベジータはただ、涼しい顔でそう呟いただけだった。
「はぁ…はぁ…!」
ベリングをかけられた時よりも激しい動悸と吹き出る汗。ベジータはイカサマをした。真剣なポーカーの勝負なのに…いや、違う違うそうじゃない!
始めからだ。始めからこれはポーカーなんかじゃなかったんだ…これは、“ベジータのイカサマを見抜けるか否か”の勝負だったんだ!
だから始めに言われた。イカサマには注意しろと。気付くべきだった。卑怯を嫌うベジータがイカサマしたら一回の負けで済むなど有り得ない。普段なら即頭を撃ち抜かれるほどのタブーなはず。
さらには仕草や僕にかける言葉の中にもヒントを散りばめて…ベジータ、なんて奴なんだ…!
僕が気付いたのはベジータがカードを引く時のかすかな音が五枚より多い気がしたから。左のカードがダブってるように見えた気がしたから。本当にそれだけ。なんの確証もない。手札がブタじゃなきゃ言えたかもわからなかった。
ベジータは…僕を試してる。きっとベジータならもっと上手くイカサマ出来たはずなのに。素人の僕にも僅かに違和感を感じるように制御して…
(くそっ…!)
なんて遠い。なんて高い。これが実力の差なのか。これほどまでに…!
(いや…落ち着け…落ち着くんだローズJ!悔しむのも嘆くのも全部後だ!これは僕が望んだ戦いだ。喜べ!そして身を引き締めろ!次が来るんだ!)
僕は一呼吸置いて椅子に座り直した。視線を上げるとベジータと目が合った。それは、意地の悪い教師みたいだと感じた。
「…よし、次は少し体を動かすか。そうだな…ジャンケンなんてどうだ?」
「ジャンケン…」
「そう、もちろん知ってるな?グーチョキパーのあれだ。ふむ…まあ、10回連続で出し合うか。ただ、普通にジャンケンしたんじゃつまらないだろう?」
「…と言うと?」
ベジータがまた意味有りげな笑みを浮かべて説明する。
「いいか、お前は俺が出した手に必ず負けろ。後出しでいい。ただし直ぐだ。勝ったりあいこになったり、出すのが遅れた場合は…解ってるな?」
「…はい」
ベジータが左手を前に出す。僕は右手を前に突き出した。
「ではいくぞ。待ったなしの10回勝負だ…レディ…」
ベジータの腕が縦に降られ、手がパーの形を作る。僕は直ぐにグーを出す。
249 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:17:23.27 ID:464N/DGFO
>>248 次はチョキ。僕はパー。
またチョキ。僕もパー。
グー。チョキ。
パー。グー。
グー。チョキ…
順調だった。だから、僕は警戒を一層強めた。そう、あのベジータが、こんなに簡単に勝たせてくれるはずがない…
そして、それは余りも一瞬…いや、僕には目の前だったはずなのに瞬間移動かと疑うほどの刹那だった。
9回目のベジータの手は、振り上げたと思った次には僕に向かって突き出されていた。チョキだ。それは見える。でも僕の右手はまだ振り上げてる途中なのに…!
(…ッ!!)
自分なりの全力を出したつもりだった。そもそも遅れたと言ってもそのさじ加減はベジータ次第だ。僕は必死にパーを出す。頼む、間に合っててくれと。
僕の左肩が熱くなった。
僕の背筋が凍る。
恐ろしい怒気を放ち、鉄線を掴んだベジータの左手が降られ僕、の、肩、が。
「…はあー!…はぁ!はぁ!はぁ…僕の…勝ち、です…」
僕は負けた。いや、ジャンケンに、だ。そう、突然突き出されたベジータの“右手”のグーに、左手のチョキを出して。
「ほう…なかなか見事な反応だな。確かに俺の負けだ。だが…ふん、ちょいとミスったか…」
何をミスったか。聞くまでもない。あの一瞬の動きで全て悟られた。
ロゼーン島での強化合宿の時、雪華綺晶と行ったケミカル激マズ団子…ではなく、その前の例として、僕はこの負けるジャンケンをやっていたのだ。そして、左右の手を変えて出すのも経験していた。だから、全力の後の隙をつかれでも僕は負ける手を出す事が出来た。
その経緯を、ベジータは一瞬で感じ取り、見抜いたのだ。そしてゾッとする。もし、雪華綺晶にこれを見せてもらっていなかったら…僕は絶対負けれなかった。そしてベジータの悔しがる口調から、本気で腕を飛ばす気だったんだ…
動揺を抑える事も出来ず、必死に肺に酸素を送り込む僕を眺めていたベジータは不意に立ち上がると、僕の左肩からベアリングを外した。
250 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:19:19.09 ID:464N/DGFO
>>249 「ラストだ。ローズJ」
ベジータは僕から少し離れる…いや、あの動きは違う。ベジータは…間合いを図った。
「ルールは簡単だ。エモノ無しのどつき合い。動けなくなった方の負けだ。当然お前が負けたら腕を頂く。そして扉の鍵は、ここにある」
ベジータが腰のポケットからそれを取り出して見せて、またしまった。
「さあ立てローズJ。遊びは終わりだ。潰してやる」
僕は言われた通りに立ち上がった。今のベジータは何を言われても従いたくなる程の恐ろしさがあった。
やるしかない。むしろここまできた事を両手を上げて喜んだっていい。ベジータなら銃があれば一発で僕を仕留め、刃物があれば切り刻み、鈍器があれば砕くことが出来るのに。
遊びは終わり?違うよベジータ。こんなの、どこまで行っても遊びじゃないか。僕の命は保証され、ベジータは本気を出せない殴り合い。八百長まがいの茶番も良いとこだ。
だけど、僕はそんな茶番すら必死に足掻かなければ勝つことが出来ないんだ。無様に、ズルく、浅ましく。
それでも…僕はこの人に勝ちたい。
アイツらがベジータと闘う事になれば、目の前の男は本当に恐ろしい相手になってしまう。だから、僕が勝ちたいんだ。
「…いきます!」
ベジータ、ローゼンメイデンのみんな、柏葉巴さん…。それぞれにそれぞれの感情を胸に秘めて、僕は小さな地下室の床を蹴った。
251 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:20:30.95 ID:464N/DGFO
>>250 投下終了。お疲れ様でした!
さて、長かった緊急missionも次回で最終話となる…ハズ!です!たぶん!
なんか20レスを越える予感がビンビンしますが、その時は何とかツリーの時みたく前後半でw
では次回、ローゼンメイデン及び警視庁特別捜査斑及びイタリアンマフィア一同の結末をお楽しみに!ただあまり期待しないほうが楽しめるってばっちゃが言ってた!
ではまたノシ
>>251 本当にすっごいはらはらした!
五体満足でみんなと再会できますように・・・
253 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:28:13.67 ID:vxG/EuoqO
>>251 いつも思うけど
それぞれのキャラが良い味だしてる。
ジュンもベジータも格好いいし、健気なめぐもいい。
緊急ミッションのラストを正座しつつ待つ。
254 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 21:47:56.97 ID:464N/DGFO
保守なのだわ
255 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 22:13:52.63 ID:xaoMokuJO
ホシュ
ほ
このキスは二人にとって何度目のキスなのだろうか。
彼と付き合い始めて一年が経つ。
その間数限りなく交わされてきた口づけを――数えなくなって久しい。
慣れてしまったのだろうか。
もはや儀礼的なものにしか思えない二人の口づけは私の心を一ミリも動かしはしない。
…彼はどうなのだろう?
疑問が浮かんだ。
彼は今何を思い私の唇と触れ合っているのだろうか?
時間にして数秒のキスが終わり、視界いっぱいだった彼の顔が離れていく。
こちらを見つめる彼の表情に喜色は読み取れない。
あぁ、私たちはもう終わりなのかもしれない。
『 LOST EMOTION 』
「それじゃあ翠星石。気をつけて帰って」
そう言って肩に置かれた彼の手を何故かとても冷たいものに感じる。
いっそ聞いてしまおうか――貴方は今何を思っていますか?――と。
「ジュン・・・・あの・・・その・・・・・」
思えどなかなか紡ぐことができない私の言の葉を遮ったのは彼の表情の変化だった。
笑っているようにも泣いているようにも見えたその表情が苦笑いだと気付いたのはずっと先の話。
258 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 22:39:15.00 ID:ELwjtnAu0
>>257 「ごめんね家まで送れなくて。翠星石・・・愛してるよ。」
「えぇ…私も・・・ですよ」
嘘でしかなかった。
彼の言葉も嘘にしか聞こえなかった。
私はもう彼を愛していた心を見失っている。
だけどそれを告げる覚悟は私にはまだ無く、逃げるように家路についた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ただいまです。」
帰宅した私はマフラーを解きながら足早に居間へと向かう。
白くなる吐息も家の中まではさすがに追いかけてはこない。
居間にはソファーに座り雑誌をめくる妹の姿があった。
「お帰り。早かったね。」
眺めていた雑誌を閉じて立ち上がりキッチンの方へと歩き出しながら蒼星石は私にそう言った。
時計を見ると8時を少し回ったといったところ。
高校生カップルの休日デートとしては平均値くらいの帰宅時間ではないだろうか。
「そですかねぇ・・・ふぅ・・・」
コートを脱いで妹と入れ替わるようにソファーに腰掛けた私に蒼星石が暖かいココアを差し出してくれた。
>>258 「随分とお疲れみたいだね。楽しかったかい?」
・・・楽しかったと思う。
観たかった映画を観れたし、行きたかったカフェで食事も取れたのだし…
何より最後に連れられて見たクリスマスイルミネーションはとても素敵だったのだから。
彼のデートプランは完璧だった。何の不満も浮かぶことはない。
なのに…なのに・・・
「・・・・・・よほど疲れているいみたいだね。
お風呂は沸いているから ゆっくり浸かって今夜は早めに眠るといいよ。」
長くうつむいたまま返事もできない私に蒼星石は何かを感じ取ったのか優しい言葉をくれる。
あぁ、いっそ吐き出してしまおうか。
この心にかかったもやの正体も蒼星石とだったらはっきりさせられるかもしれない。
「蒼星石。実はわたし・・・」
Prrrrrrrrrrrr
逡巡の末に吐き出そうとした私の言葉は鳴り響いた電話の音に遮られる。
蒼星石が立ち上がろうとする私を制して電話機に向かい受話器を取った。
>>259 「もしもし・・・・はいそうです・・・・」
誰からだろうかと私はぼんやりと蒼星石の後ろ姿を眺め続ける。
「・・・落ち着いて・・・・えぇ・・・・はい・・・」
やはり疲れているのだろう・・・自然と瞳は閉じかかり、いつのまにかソファーに深く身を沈めている。
もう何もかもどうでもよくなるような、心地よいまどろみが私に訪れる。
電話を終えて慌てて振り返った蒼星石の表情に――
ただ事ではないと感じるまでの十数秒間――
もしかするとそれは私にとって最後となる――
――幸せな時間だったのかもしれない。
――つづく――
261 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 22:48:11.06 ID:3JYn2Qt8O
>>260 いろいろと判断しずらいなあ
とりあえず期待
262 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 23:27:30.77 ID:H+700Qqb0
描き込めない?
保守
264 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 23:38:43.42 ID:dOv+iOAt0
保守
265 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/04(木) 23:53:12.70 ID:xaoMokuJO
>>260 なんか凄くせつなくなったけど、雰囲気とか言葉の選び方とかが好きだなぁ。
続きも期待してます!
266 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 00:16:46.63 ID:+5eCsYPXO
ほしゅ
>>238 はいまた何の存在価値もないクズの名前出したせいでスレの雰囲気が悪くなりましたー
>>246 さすが糞キムは嫌われてますねwwwwwwwwwww
272 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 00:40:04.19 ID:+5eCsYPXO
保守
273 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:00:03.88 ID:gcgaZLCD0
よくある話――自動車教習にて
教習生:水銀燈
指導員:桜田ジュン
〜発進〜
銀「よ、よろしくお願いします……」
ジ「よろしく。じゃ、早速だけどエンジンかけてみて。クラッチとブレーキ踏みながら」
銀「は、はい……」ドキドキ
カチッ……ブルブル……ガコン!!
銀「きゃあっ!?」
ジ「うん。ギア入ったままクラッチ離すと、今みたいにエンストするんだよね」
銀「き、気をつけます(早く言ってよねぇ……)」
ジ「じゃあもう一回やってみて、上手くいったら少し場内回ってみようか」
ぐーるぐる
ジ「よし、そろそろ車止めてみよう。ニュートラルにして、クラッチ、ブレーキの順で離すんだ」
銀「はぁい」
グググッ……ガコン!!
銀「ひっ! エンスト!?」
ジ「だから、ギア入ったままだっての……」
ジ「まぁ、初日はこんなもんだよ。お疲れさん」
銀「あ、ありがとうございましたぁ(こんな調子で免許取れるのかしらぁ……)」
274 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:00:32.23 ID:gcgaZLCD0
〜加速・減速〜
ジ「怖がらないで、もっとアクセル踏んでいいよ」
銀「あ、はい」グーン
ブロロォォ〜〜
ジ「もうすぐカーブだよ! スピード落として!」
銀「えっ!?」
グググッ! ガコン!!
銀「ひゃあぁっ! またエンストぉ!?」
ジ「ブレーキ強く踏みすぎだよ……もっとゆとりをもってカーブに入らないと」
銀「は、はい……(アンタがアクセル踏めって言ったんじゃないヽ(`Д´)ノ)」
〜クランク〜
銀「こ、こんな狭くてカクカクしたトコ走るなんて……無理よぉ」
ジ「大丈夫大丈夫。ゆっくり行ってみよう」
銀「わかったわぁ……(ゆっくり、ね。ゆっくり……)」
ブゥゥン……ガタッ、ガタガタ……プシュウゥゥ
銀「あ、あれ? 止まっちゃったぁ……」
ジ「アクセルの踏み込みが足りなかったから、エンストしちゃったんだ。もう一度エンジンかけて」
銀「はぁい」
カチッ ブゥゥン
銀(もっと踏み込まないと、またエンスト……)
ブォォォン!!! ガタ――ン!!
銀「ひぃぃぃっ!! だ、脱輪!?」
ジ「クラッチを急に離したからだな。ここはアクセルを一定にしたまま、クラッチを踏んだり離したりして……」
銀(そんないっぺんに出来るわけないでしょおヽ(`Д´)ノ)
275 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:00:56.35 ID:gcgaZLCD0
〜坂道発進〜
ジ「ハンドブレーキ引いて、アクセル踏んで……回転数が一定になったらゆっくりクラッチ戻して」
銀(難しいわねぇ……)
ブゥゥゥン……
ジ「よし、ハンドブレーキ解除していいよ」
銀「はぁい」ガチッ
ズルズルズルズル〜
銀「えぇっ!? なんで後ろにいっちゃうのぉ!?」
ジ「ブレーキ! ブレーキ!」
ギギギッ!
ジ「ふー……ハンドブレーキ下ろしたときに、足が動いちゃったな。アクセル踏み続けないと下がっちゃうぞ」
銀(こんなの、どうしたって足動くわよぉ……)
〜40km/h〜
ジ「ここから40km/h区間だ。アクセル踏み込んで」
グ――ン
ジ「まだまだ。全然足りないぞ?」
銀「えっ、もっとぉ?」
ググゥゥ――ン!!
ジ「そろそろ40km/hだな」
ゴォォォォ〜
銀(こ、怖い〜! 40km/hってこんな速いのぉ?!)ガクガクブルブル
ジ「よし、そろそろ減速していいよ。そんで車止めよっか」
ブゥゥン……ピタッ
ジ「今日はここまでにしよう。お疲れさん」
銀「ありがとうございましたぁ(もぅクタクタぁ……)」
276 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:01:18.07 ID:gcgaZLCD0
――日は流れて。
〜仮免試験前日〜
め「明日、仮免だって?」
銀「そうなのよぉ。メチャメチャ緊張するわぁ」
め「まだ仮免なのに、そんなに緊張するものなの?」
銀「当たり前よぉ! だって落ちたらカッコ悪いじゃなぁい」
め「それにしても、水銀燈が車の運転か……ウフフ」
銀「何が可笑しいのよ。悪かったわねぇ、似合わなくて」
め「ううん、そうじゃなくて。話聞いてると『怖い怖い』って言ってばかりだから」
銀「初めは怖いに決まってるじゃなぁい」
め「そうね。でも、水銀燈がハンドル握ったらガンガン飛ばしそうな気がして」
銀「馬鹿じゃなぁい? 私は初めから安全運転を貫くつもりだったわよぉ」
銀(言えない……40km/hでガクブルしてたなんて、絶対言えない……)
〜仮免当日〜
ジ「じゃ、始めるか」
銀「はぁい。よろしくお願いしまぁす」ドキドキ
ジ「僕がブレーキ踏んじゃったら、そこで検定中止だから気をつけてな。まぁ大丈夫だろうけど」
銀(言わでものこと言わないでよねぇ……プレッシャーかかるじゃなぁい)
ぐーるぐる
ジ「とりあえず順調だな。次は信号右折ね」
銀(信号は青、対向車もいない……これならいけそう……あっ黄色に?! ま、まずいわぁ!)
277 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:02:25.56 ID:gcgaZLCD0
グググッ!
銀(ちょっと停止線出ちゃったぁ……こ、こういうときは……バックしないと)クルッ
ジ「……」
銀(う、後ろに他の車ついちゃった! バック出来ないじゃなぁい!)
ジ「OK。こういう場合は、後ろ向いて確認すればセーフだ」
銀「よ、よかったぁ……」
銀「技能試験はなんとか終了かぁ……次は学科ね。ちゃんと勉強しといたから余裕よぉ」
ジ「では、始めてください」
カキカキ
銀(や、やっぱ試験って緊張するものねぇ。大学受験思い出しちゃった)
ジ「はい、やめ」
銀「ふぅ」
ジ「学科試験はこれで終了。ここに居る皆さんは合格です。お疲れ様でした」
銀(やったわぁ。でも、これから路上に出るのよねぇ……先は長いわぁ)
仮免編おわり。
本面編とその後は、気が向いたらまた
278 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 01:37:27.43 ID:BnvKImsAO
279 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 02:27:15.17 ID:BnvKImsAO
ほ
280 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 03:41:54.11 ID:BnvKImsAO
し
281 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 04:25:28.81 ID:c7wBNwRCO
ほ
282 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 06:29:21.84 ID:u7AUuUBI0
283 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 06:40:00.21 ID:+5eCsYPXO
翠「JUM、ちょっと手のひらを見せてみろですぅ」
J「何だよ、いきなり?」
翠「翠星石が特別にお前の手相を見てやるって言ってるですよ。さぁ、早く出しやがれですぅ!」
J「手相?!そんなの、一体どこで覚えたんだよ?」
翠「えーと…銀座の母です。あの有名な銀座の母の直伝ですから間違いはないですよ。
損はさせないですから、早く手を出せですぅ!」
J「限りなく怪しいけど…まぁ、いいか。ほら、どうぞ」
翠「では、ちょっとお手を拝借するですよ。どれどれ…――。見えたですぅ!
貴方は時々、ある特定の女性を“性悪”だの“悪魔”だのと薄汚い言葉で罵る傾向がありますね。
今すぐそれをやめないと、今後とんでもない事になるですよ」
J「それって、お前の…」
翠「黙って聞くですッ!――むむっ…。た、大変ですよ、JUM!女難の相が出てるです!!
これを回避するには……ふむふむ、身近にいる美しくて聡明な女性と付き合うしかないって出てるですね」
J「はぁ?!」
翠「その女性と付き合わないと、今後必ず不幸になるって出てるです…」
J「そんな事、ある訳ないだろ!」
翠「見える…見えるですぅ。JUMが付き合うべき、美しくて聡明な女性の名は…――す…すい…翠星石?!」
J「えっ?!」
翠「こ、これはきっと運命の悪戯ってヤツですね…。どうするですか、JUM?
翠星石はお前を不幸にするなんて忍びねぇですから、特別に付き合ってやらんこともないですけど…」
J「べ、別に付き合ってやってもいいけど…。だからって、深い意味とかは全然ないぞ。
僕はただ不幸になりたくないだけなんだからな!」
翠「…翠星石だってそうですよ。占いのせいで仕方なく付き合ってやるだけなんですから、誤解するなですぅ!」
J「まぁ…なんだ……とりあえず、よろしくな、翠星石///」
翠「は、はいですぅ///」
285 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 07:23:00.70 ID:Tp6BEbxvO
>>284 翠星石策士?
俺の手相には翠星石に高速頬擦りしないと死んでしまうとでてるのだが。
286 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 08:43:03.71 ID:4OxJJhxpO
ほ
くだらね
巴「そういえば、桜田くんの家って消火器あるの?」
ジ「え……どうなんだろ、あるんじゃないかな、多分」
巴「どこ?」
ジ「さぁ……なんでそんなこと聞くんだよ」
巴「火事って、怖いなと思って」
ジ「たしかにそうだけど、なにも柏葉が心配する必要は……」
巴「初期消火につとめれば、被害が広がらなくて済むし」
ジ「いや、そうだけどさ」
巴「ものって、だいたいが燃えちゃうから」
ジ「まぁね」
巴「被害は最小限にしないと」ゴソゴソ
ジ「心配ありがたいけど、柏葉には関係な……あれ?そんなとこにタンスあったっけ?」
巴「うん」
ジ「そうだっけか……何が入って……」
巴「あ……み、見ちゃだめ!」
ジ「へ?なんで?」
巴「だって……私の着替えとか入ってるし……下着も……」
ジ「あ!ご、ごめん……」ガタッ「ほぇ?足元に……なんだこの箱……」
巴「そこには私の生活用品そのほか諸々が……」
ジ「わ、悪い!……って生活用品?」
の「巴ちゃーん、見て見てこのチラシ、巴ちゃんが欲しがってた本棚、こんなのどーお?」
巴「あ、それいいですね……」
ジ「いやちょっと待てよお前ら……」
290 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 11:29:36.73 ID:CP2zOpWW0
>>289 「生活用品」が「生理用品」に見えた自分は巴に切り捨てられるべき
291 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 11:31:04.89 ID:mYsvdRJuO
ほ
292 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 12:07:31.34 ID:mYsvdRJuO
☆
293 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 12:49:42.79 ID:4OxJJhxpO
☆
294 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 13:19:48.17 ID:Tp6BEbxvO
295 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 14:12:12.92 ID:BnvKImsAO
保守
296 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 14:49:10.75 ID:mYsvdRJuO
ほし
297 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 15:42:31.85 ID:BnvKImsAO
保守ですぅ
298 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 16:23:22.24 ID:h9/T2NygO
ほ
299 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 16:57:08.80 ID:mYsvdRJuO
ほす
300 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 17:34:54.15 ID:BnvKImsAO
300はいただいたかしらー!!
302 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 17:52:58.30 ID:xHcvXolf0
303 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 18:34:12.04 ID:PGCUHsNY0
ほしゅだわ
304 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 18:38:14.32 ID:mfbQ58aaO
槐「ばらしーばらしー元気かい?」
ばらしー「(゚∀。)」
槐「今日のご飯はシュウマイ丼だよ」
ばらしー「(゚∀。)」
槐「よし! 一緒にお風呂だ!!」
ばらしー「(゚∀。)」
薔「私の人形作って話しかけるの止めてください、お父様。」
JUM「だから家出されるんですよ……」
ばらしー「(゚∀。)プギャー」
槐「……」
>>301 さすが糞キムは嫌われてますねwwwwwwwwwww
307 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 19:04:04.92 ID:BnvKImsAO
308 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 19:44:12.48 ID:BnvKImsAO
巴「どうしよう…気がついたらこんなものを作っちゃった…」
JUM「(゚∀。)」
巴「凄い…我ながらに完璧…でもどうしよう…人形なのにドキドキしてきた…」
JUM「(゚∀。)」
巴「ひっくり返してみたりして」
JUM「(。A゚)」
巴「…はいてるだ…やっぱり…私ちゃんとブリーフ作ったもんね…」
JUM「(゚∀。)」
巴「…もう…いいよね。私…頑張ったよね…もう…ゴールしていいよね…」
JUM「(゚∀。)」
巴「桜田君と…初めてのチュー…!」ハアハアハアハア
JUM「(゚∀。)だからお前はダメなのだ」
巴「!!!???」
309 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:02:15.19 ID:mfbQ58aaO
ひっくり返すなwww
310 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:03:34.23 ID:PGCUHsNY0
こんばんわ。
毎日寒くて私のライフはもう既に限界に達しました。
それはともかくピチカートの恋愛物最終話、投下いたします。
311 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:05:42.50 ID:PGCUHsNY0
私はあまり恋愛小説やそういったドラマには興味は無いが、王道というものを行くのであれば最後はハッピーエンドで締め括られるはずだ。
さてはて、ピチカートとベリーベルの恋愛物語(一方通行)はどういった結末を迎えるのだろうか。
私達は先とは打って変わって羨望の眼差しで私を迎えた金糸雀と、何事も無かったようにデザートを食していた薔薇水晶を回収し、先にお店を出たピチカート達を追うことにした。
結局な話、既にあちら側にはばれているのだし、ここまでストーカーをしてきた私達としては結末を知りたいのだ。ソードマスターうんたらみたいな最後は出来るだけ避けたい。
ああ、そうだ。全く関係ない話なのだが、ピチカート達はあのレストランの代金はサービスとして無料だったみたいだ。店長らしき人物と、あの災難ウエイトレスがお辞儀をしていたし、ピチカートが財布を開けることをしなかったからそうなのだろう。
私はもちろん食べた分全額支払った。
合計○万円で済んだのだから安いものだ。今の経済状況を考えれば痛くもかゆくも無い。
誤解を招かないように言っておくが、チンピラを脅したピチカートが無料になって、彼女をか弱い華奢な身体で止めた私が無料にならないのは何故だ、納得いかない、なんては全く思っていない。ああ、全く思っていない。
本当だ。信じてほしい。
……コホン。話が脱線してしまったが、場所は変わってここは……
「結局、始めの公園に戻ってきたかしら」
「……あんまりピチカートさん元気ないね」
と、私達三人は垣根の下、匍匐前進の体勢で身を屈め、二人を見守っていた。
あの件からピチカートは萎れた向日葵の様にうなだれ、ベリーベルもそれにつられるかのように彼女には似合わない難しい顔をしている。
「……本当に。彼女は他人の事には器用に対応するくせに、自分の事になるとあんなに不器用になる。人生損する生き方ですわ」
もちろん、そこが彼女の良いところなのだが。
「だけどせっかくのデートがあれじゃ台無しかしら」
「まぁ、成る様に成るでしょう」
そればかりは私達がどうこうするべき問題じゃない。
あくまで彼女ら、いや、ピチカート自身の問題だ。ベリーベルは他人を想う優しい子だから必ずピチカートの気持ちを理解してくれる。
後はピチカートが自分自身にどんな判決を下すか。
私達はそっと聞き耳を立て始めた。
312 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:06:14.63 ID:PGCUHsNY0
『……あ、あのベリーベル。私は貴方に謝らなくては』
『……何を? 』
噴水を眺めていたベリーベルは、ピチカートのいる方向へ振り向いた。
『あのッ! その……先程のレストランの件で、その、私のせいでせっかくの美味しい料理が……雰囲気だって』
『……』
ただ、ベリーベルは目線を下に落とした彼女の顔を見ている。
『わ、私、自分の事は理解しているつもりでした。だけど本当は全然分からないんです。貴方といるとなんというか頭が回らなくなる、オーバーヒートしたみたいに制御が効かなくなるのです』
『……本当、ピチカートさんは不器用な人だから』
ピチカートが顔を上げる。その表情は痛々しい。いつもは鋭い瞳には今にも零れ落ちそうなほど涙が溜まっている。
『いつも他人ばかり考えて……自己犠牲タイプなんだね。さっきだって私の為にあんな危ない事してくれたんでしょ』
『……分かりません。だけど、あの時の私には貴方しかありませんでした』
……なんか甘いなピチカート。彼女自身ではなく、その台詞が。
『こっちはどうなるか心臓が痛くなっちゃうほどドキドキしたのに』
『……はい』
『怪我したらどうしようって不安だったのよ』
『……はい』
『こんな事を言ったって、次も貴方は他人の為に何かをでしょ? ピチカートさんはやっぱり優しすぎるよ』
ベリーベルはそっぽを向く。ピチカートの表情が今までより悲しみで歪んだような気がした。
『ピチカートさんは自分の優しさに気が付いていないから。それはその他人にとっては重荷になる場合だってあるんだよ』
『……ベリーベル、私は』
『だけどね、だけど。私はね、それでもいいと思うんだ。それがピチカートさんの優しさだもん。それは我慢する事じゃないし』
ベリーベルが空を見上げる。この子は見た目以上にオトナだ。多分、金糸雀や雛苺より精神的には3、4才上かもしれない。
『ピチカートさんみたいな人が友達でいてくれて、私は本当に幸せだよ。さっきはありがとう、ピチカートさん』
ベリーベルが最高の笑顔を浮かべながら振り向いた。例えるなら彼女はまるで太陽。暗い気持ちなどすべて消し去る程の満面の笑みだ。
『ベリーベル……!!』
313 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:07:08.76 ID:PGCUHsNY0
ピチカートの顔が悲しみから笑顔へと塗り潰されたような、そんな錯覚に私は陥った。
それほどベリーベル、君は幸せを誰かにわけ与えることができる子だ。
『さぁ、ピチカートさん、次はどこへ行きましょうか? またまだ一日は長いですよ! 』
と、ベリーベルがピチカートの手を繋ぎ、再び煌びやかな街へと繰り出して行く……はずだったのだが。
『……ル、ベリーベルベリーベルベリーベルベルベルベルベルベルベル!!! 』
いつのまにかブツブツと魔法を唱えるように笑顔を保ったまま呟いていたピチカートが、へっ? と不思議そうな顔をするベリーベルに近付き……。
『ベル、私も貴方と一緒にいれて本当に幸せですッ!! あっ〜好き好き好きスキスキスキスキスキッ! 』
『ひゃう! 』
思い切りベリーベルを抱き締めた。
ハグ、素晴らしき抱擁。
ピチカートの身体にベリーベルが包み込まれたような感じになっており、ベリーベルの手だけがどうにか自由に動ける感じだ。
『ああ、ベル……私は貴方に出逢えて幸せです』
『むぎゅう〜苦じい〜』
「ピチカートの胸にしっかりと頭がはまってるかしら」
「ピチカートさん、グラマーだからなあ……苦しそう」
さすが推定Eカップ。あれに押し付けられてはたまったものではない。私は一度ゆっくりと観賞したいものだが。
今度みんなで温泉でも行くのもいいかもしれない。お正月にかけてどこか山奥の旅館を借りて。
そんな事はまあ追々考えることとして、と私は匍匐の体勢から立ち上がると、胸元付近に付いた草を払いのけた。もう私達が彼女らに干渉することもないだろう。後は買い物なり、二人きりになれる場所なりいけばいい。
「……帰りましょうか」
「……そうだね。ピチカートさんの邪魔しちゃ悪いから」
と、私は薔薇水晶に手を差し伸べ、彼女を起こし上げた。
「金糸雀はどうするの? 」
「カナも帰るわ。あとはピチカートを信頼するのかしら」
そう、と私は頷くと、見つからないように静かにその場を後にする。
最後に、ちらりとピチカート達の方を見返したが、その時の彼女はとても幸せそうだった。
だけど、
少し、羨ましく自分がいて、なんだか妙な気分を覚えた。
314 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:07:43.16 ID:PGCUHsNY0
「ピチカートさん、楽しそうだったね」
金糸雀を別れた帰り道、薔薇水晶が楽しそうに尋ねてきた。本当、と私は答える。
「あれだけピチカートを変える程、本当に恋というものは恐ろしいですわ」
「ふふっ、お姉ちゃんらしい」
薔薇水晶が笑う。実際、それが本音なのだが。
「ばらしーちゃんもああいった状態に陥ってしまうと考えると今から悲しくて涙が出できちゃいますわ」
「おねーちゃんも恋をすれば変わるよ、絶対」
「……恋する乙女は全てに勝る、と」
私は薔薇水晶の冷えた手を握る。
嗚呼、いつかはこの手を離さなくてはいけない。誰かに彼女を取られてしまう日が来るのだ。それは悲しくもあり、嬉しくもあり、私には複雑すぎて分からない。
これが俗に言う親心というものなのかもしれないな、と私は密かに思う。
彼女の親でもない私に親心。
本当の彼女の肉親がそれを聞けばなんというだろうか。
……結果は分かりきった事。私を憎むだろう。妬み、恨み、呪い殺されてしまいそうな程。
いつか彼女には真実を伝えなければいけない。
それは現実。いつまでも目を背けてはいけない。立ち向かわなければ。一生背負うことなどできやしないのだから。
でも、
その日が来るまで。
私はもう一度、確かめるように彼女の手を握った。
私はこの手を離しはしないだろう。
しつこく次回へ続く。
315 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 20:11:01.64 ID:PGCUHsNY0
〜次回予告!!〜
雪「寒いから温泉でも行きたいですだって、温泉とかであんなことやこんな事とか」
_)-―¬ニニ¬ 、r、}rヘ
/ ,′ ´ ̄、`Y l
/ / 、 l くハ |
,′ , l ! , | 、 | l l|
. l | | | /| ∧__ハ| | | |
| | l | Ul7/斗‐r、 | | | |
|∧ |Nヘ、!/ヘ::.::.::.} 〉 ,′l|
´ ハjミYシ′ `ー' / / l| \
/ lト《ヽ、 ー一 ,イ / l| ヽ
. / l l | }≧≦‐ | ∧ ヽ} `、
l / / {^ーメ‐┤ | |\ `ヽ、 l
|/ / rく_∠__」 「ヽヽ \_ l ! |
/ /{_)'′ / ∧ ト、| | / ノ |/ /
. / / //乙ヘ__/_/ 〉 V| |イ7′ l||
/ ,ハ// ハ _| `ヽ_爪 ∨| | | , l| |
ヽヽ〈く | {∧x 「交7 | } | Vl |ノ| ∧{
`ヽ\`ヽ`ーヘ」爻ハ__j// `ヽヽレ'´ `ヽ
ー'∠/  ̄ ̄|__/´ 〈〈 ` ̄ ̄
多分嘘です。
>>313 うわーまたクズが出てきたせいで無駄レスが増えた
>>314 うわーまたクズの名前出したせいで無駄レスが増えた
318 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 20:48:39.63 ID:BnvKImsAO
ほ
319 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:03:46.14 ID:+5eCsYPXO
ほしゅ
320 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:09:23.62 ID:xHcvXolf0
う〜む・・・
ピチカート編前回のを読んでいないような気がする・・・
wiki行くか
321 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:11:13.21 ID:BnvKImsAO
>>315 ういういしいのうwクールでカッコイイ人がキョドるとかわええw
322 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:22:56.21 ID:xHcvXolf0
あれ
無い?
323 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 21:25:49.89 ID:PGCUHsNY0
>>322 WIKIに載せますので少々お待ちください
324 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:32:09.25 ID:xHcvXolf0
325 :
雪華綺晶的な思考:2008/12/05(金) 21:52:46.82 ID:PGCUHsNY0
>>324 終わりました。
ご迷惑おかけしました。
326 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 21:53:39.98 ID:xHcvXolf0
327 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:06:16.45 ID:mYsvdRJuO
保
328 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:27:22.92 ID:mYsvdRJuO
★
329 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:51:12.35 ID:KfVZ2Mov0
☆
330 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:2008/12/05(金) 22:51:20.80 ID:mfbQ58aaO
保守
331 :
愛のVIP戦士@ローカルルール議論中:
ほしゅ