1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:10:31.99 ID:LaKMmGpIO
>>1乙!まとめまで貼ってくれて…お前ってやつぁ……
初北産業↓
萌え萌え
サイバーパンク
アイロニー
登場人物紹介
从゚∀从…帝国軍特務部隊“黒のクロイツェル”隊長。冷酷無比な女戦士。
('A`)…オズワルド帝国宮廷魔術師。“緋色のドクオ”。時空と因果を操る刻の魔術師。ハインの育ての親。
( ^ω^)…野盗集団“ステッペンウルフ”の下っ端。嵐の夜にハインと出逢った事により、否応なく事件の渦中に巻き込まれていく事になる。
マト#>д<)メ…破壊と殺戮の流浪人。“剣帝”エクセリオンを片手に、大陸に覇を唱えんとする。
(=゚ω゚)…魔の十三階段。脱ぐと凄い。
では、ブーン外伝いきまーす
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:10:35.73 ID:uXCqf7CtO
落ちちゃうよー
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:11:18.54 ID:pYDv3O0z0
おk 支援す
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:12:14.42 ID:8Tp9uW1wO
あまりの速さに燃え尽きないか心配
6 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:12:33.81 ID:LaKMmGpIO
〜track-β〜
━━ゴミ山。ゴミ山だ。あぁ、文字通りそこはゴミ山だった。
( ^ω^)「えーと…まだ使えそうなのは……」
ニューソク区第三埠頭。所謂工場区画。
機械油と、化学繊維の腐った臭いと、その他諸々の何かが混合した形容し難き悪臭の蔓延したそこは、全ての機械が行き着く墓場。スクラップ処理工場だ。
( ^ω^)「これなんか……」
光化学スモッグが太陽を覆い隠した鈍色の空の下。
高校の授業をサボって、ゴミ漁りをする少年が一人。
( ;^ω^)「あ、もげた……」
塗炭壁の小さな処理工場には、僕以外の人影はいない。
そりゃそうだ。従業員が居ようものなら、僕が今している所行は立派な盗人。
その為に、わざわざ昼飯時の休憩時間を狙ってここにやってきたのだ。
( ^ω^)「うーん…どれも動きそうなのは無いおね……」
処理前のスクラップの山の前を、目当てのものを探して右往左往する。
隣りのニーソク区では日常的にドンパチが起きているとは言え、やはりそう簡単にその残骸がこちらに流れて来る事は少ないのか。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:12:56.34 ID:Hg9VOCg9O
今北支援
8 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:14:04.62 ID:LaKMmGpIO
( ;^ω^)「のっけから、雲行きが怪しいお……」
ため息一つ、パーカーのポケットからメモ用紙を取り出し見詰める。
( ;^ω^)「つうか、ここに書いてる物で何をする気なんだお?」
先日のチャットルーム。
シュール先輩が僕に告げた作戦の全貌は、全くと言っていい程に掴めていない。
あの時先輩が僕に告げたのは、ただ一つ。
物資の調達、ただそれだけ。
今僕が見詰めているメモ用紙は、そのお使いリストと言ったところか。
( ;^ω^)「うーん、謎だお……」
「おい、ガキ!そこで何してやがる!」
9 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:15:05.30 ID:LaKMmGpIO
背中に浴びせられた声に振り返る。
つなぎにスパナ、従業員のお帰りだ。
( ;^ω^)「げっ!もう飯食い終わったのかお!」
N| "゚'` {"゚`lリ「おいちょっと待て!お前さん……よく見ると、可愛い顔してるじゃないの」
( ;^ω^)「うげっ!イイ男!」
N| "゚'` {"゚`lリ「や ら な い k」
ダメだ。最後まで言わせたらいけない。僕の菊門が警鐘を鳴らした。
⊂二( ;^ω^)⊃「エクソダァァァァァアス!」
N|;"゚'` {"゚`lリ「おぉいちょっと待てぇ!」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:16:54.94 ID:pYDv3O0z0
支援す
11 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:16:59.22 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━久々に青春の汗を流したせいで、息が荒い。
( ;^ω^)「はぁ…はぁ…はぁ……」
ここまで来ればもう安心だろう。
そう思っても、口にしてはいけない。
何故なら、その台詞はある種の召喚魔法の如く、物理法則や次元の壁を超えて捕食者を呼び出してしまうキーワードだから。
( ;^ω^)「ふぅ…。もう二度と…いや、しばらくはあそこには寄り付かない方がいいお」
だとしたら、アレの入手は見送るしかない。
唯一使い道が想像しやすかったから、最初に手に入れておきたかったのだが。
( ^ω^)「仕方ないかお。……じゃあ、次は……」
再びメモ用紙とにらめっこ。
えー何々…卵一パック、こんにゃく一切れ、唐辛子十袋……。
( ;^ω^)「ちゃんこ鍋でも作るのかお……」
五寸釘五十本、発光ダイオード一つ、ビスクドール一体、電脳パペット一体、反重力推進式ラジコンヘリ一機、板きれ三枚。
( ;^ω^)「意図が分かりませんお……」
ジッポーライター、ジッポーオイル、カセットコンロ、土鍋、ありったけのエプロン。
( ;^ω^)「やっぱりちゃんこ鍋食いたいだけなんじゃ……」
12 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:17:58.03 ID:LaKMmGpIO
さっぱりワケがわからない。
こんなんで一体何をしたいのか。
( ;^ω^)「まさか僕、シュール先輩にパシられてるだけじゃ……」
胡散臭い。胡散臭さ過ぎるぞこれは。
( ;^ω^)「いやいやいや!待て待て待て!ダメだお。そんな事考えたらダメだお。シュール先輩を信じなきゃいかんお」
そうだ。せっかくシュール先輩が“策”を用意してくれたんだ。
それがどんなものであれ、荒巻の爺さんを助ける為には今はそれに縋るしか無いのだ。
今は、シュール先輩を信じよう。
( ^ω^)「……さて、それじゃあ取り敢えずはホームセンターかお」
決意と信頼を胸に、ニューソクの商店街へと足を踏み出す。
( ^ω^)「……やっぱ、パシられてる気がするお」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:18:20.16 ID:Hg9VOCg9O
支援
14 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:19:26.07 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━ベッドが恋しい。そんな思考は、久方振りに味わう代物だった。
ノパ听)「でよぉ、そいつが言うんだよ。“マセガキはお家に帰ってティーンズコミックでオナニーしてなっ”てさ」
(;’e’)「オ、オナニー……ごくり」
lw´‐ _‐ノv「ほう、それで?」
(#゚;;-゚)「食い付き…いいですね…」
ノパ听)「だからさ、私は言ってやったんだ。“おめぇがよがらせてくれるんじゃねぇのかよ”ってな」
(*’e’)「うぉぉぉおヒートォォォオ!オレがよがらせてやるよぉぉぉお!」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:20:37.09 ID:QdCFcY3XO
しえーん
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:20:57.20 ID:1B74P75FO
支援
17 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:21:22.90 ID:LaKMmGpIO
lw#´‐ _‐ノv「あー違う違う!ダメ!キャラが違うよ君!それはヒートが言ってこそのセリf」
ノハ////)「ばばば馬鹿野郎!だだだだ誰がそんな事、いいい言うか!」
( ^ω^)「……」
嗚呼、眠い。
ノハ*゚听)「ぶ、ブーンも何とか言ってやれよ!な?な?」
( ^ω^)「……はえ?」
lw*´‐ _‐ノv「何という萌えボイス……今日のお持ち帰りはブーン、君に決めた!」
(#゚;;-゚)「テンション…高いですね…」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:21:48.21 ID:pYDv3O0z0
支援す
19 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:22:40.63 ID:LaKMmGpIO
ノハ;゚听)「はえ?じゃねぇよ。お前、さっきの話聞いてた?」
( ^ω^)「ごめ…ちょっと、寝不足で……」
(=゚ω゚)「……」
あれから毎日、僕はシュール先輩のお使いをこなすため、昼夜を問わずに西へ東へと奔走していた。
僕の財布に有る金では揃えられないものも有るから、日雇いのバイトなんかもこなしたりしなきゃいけなくて学校へ行くのはおろか、休む暇すら無い。
ノパ听)「おい、お前大丈夫か?なんかアバターが不鮮明だぞ?」
本気で心配した顔でヒートが僕を見詰めてくる。
( ;^ω^)「いやいや、大丈夫だお。うん。大丈夫」
が、ここは虚勢を張ってでも隠さなければいけない。
荒巻屋の一件に関して皆の協力が望めない以上、これは僕一人の戦いになるのだから。
ノパ听)「本当か?本当に大丈夫なんか?なぁ?なぁ?」
( ;^ω^)「大丈夫だから!大丈夫だから!」
尚も食い下がろうとするヒートの気遣いに、申し訳なさを感じながらも後じさる。
( ;^ω^)「そ、それじゃあ僕は用が有るから、これで」
20 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:23:47.43 ID:LaKMmGpIO
(=゚ω゚)「……」
(’e’)「なんだよぅ、もう落ちるのかよぅ。……もしかして、女か?」
( ;^ω^)「は?いや…」
ノハ#゚听)「女なのかぁぁぁぁぁぁぁあ!」
否定する前に、一番面倒くさい奴が反応してしまった。
lw´‐ _‐ノv「ジェラートktkr」
(#゚;;-゚)「あの…突っ込まなきゃ…いけませんか…?」
(’e’)「……そこが君のポジションだ」
(#゚;;-゚)「……はぁ」
ノハ#゚听)「女なのかと聞いているぅぅうう!」
( ;^ω^)「だ、だからちが……」
ノハ#゚听)「正直に吐かんと身のためにならんぞぉぉぉぉお!」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:24:26.77 ID:QdCFcY3XO
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:24:30.29 ID:1nnqXeHiO
支援
23 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:25:19.86 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「……」
ノパ听)「ぉぉぉお……お?」
( ^ω^)「……」
ノパ听)「違うって?」
( ^ω^)「おっおっ」
ノパ听)「違うのか?」
( ;^ω^)「だからさっきも…」
ノパ听)「……」
( ^ω^)「……」
ノハ*^竸)「なぁんだよ違うのかよぉ!ばぁかおめぇそれを早く言えよなぁ!」
( ;^ω^)「はぁ……」
ノハ^竸)「ったくよぉ、柄にも無く取り乱しちまったぜぇ!ガハハハ!」
ガハハハって……。
24 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:26:50.14 ID:LaKMmGpIO
( ;^ω^)「それじゃ、僕はこれで……」
ノパ听)「おぉ、風邪には気をつけろよな!」
チャットルームのドアに手をかけ、ログアウトをかける。
(=゚ω゚)「……」
意識がリアルへ戻る寸前。
こちらを見つめるぃょぅの眼差しが、妙に気にかかった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:27:14.33 ID:O7Z9rJAc0
(^o^)支援
エクソダスワロタw支援
27 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:28:14.30 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━重低音が腹に響く。油の臭いが鼻に染み付く。
( ^ω^)「……どどどど」
どどどどど。
( ^ω^)「どどどどど……」
行き交う車のヘッドライト、アスファルトの焦げる臭い。
ロードローラーの傍らに立ち旗を振る僕は、日雇い土方のアルバイトの真っ最中。
( ^ω^)「……暇、だお」
交通整理のあんちゃん達が、いかに忍耐強い人達なのかが理解出来た。
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
時給にして1200円。なんとボロい仕事かと最初は思ったが、これはこれで実に張り合いの無い仕事だなあと思う。
28 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:29:10.95 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「確かに楽っちゃ楽なんだおけど……」
ルーチンワークというのが、僕には性に合わないのだなぁと自覚した。
( ^ω^)「……」
しかし、これも全ては荒巻屋の為。
僕がやらねば誰がやる、と我が身に鞭打ち旗を振る。
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
オーライとか言うのも飽きてきたので、ちょっと僕なりのメタルなアレンジを加えてみたが。
( ^ω^)「……虚しいお」
精神的な疲れが、肉体の疲れに拍車を掛けるだけだった。
29 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:31:12.19 ID:LaKMmGpIO
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
(=゚ω゚)「……オーライオーライだろ、常識的に考えて」
( ^ω^)「あ、すんません監督」
(=゚ω゚)「いや、別にいいよ。そんな気にしてないし」
( ^ω^)「いやぁ、申し訳ないですお」
(=゚ω゚)「いやいや、こっちこそごめんね。じゃ、頑張って」
( ^ω^)「はいですお!」
30 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:32:41.88 ID:LaKMmGpIO
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「アーライ、アーライ」
(=゚ω゚)「……」
( ^ω^)「アーライ、アーライ……」
え?
(=゚ω゚)ノ「いよぅ」
( ;^ω^)「えぇぇえ!?」
何故、どうして、ホワッツ?
( ;^ω^)「ももも、もしかして、あなたはぃょぅさんではありませぬかお?」
(=゚ω゚)「んだ」
( ;^ω^)「ママママジで!?」
(=゚ω゚)「マジだ」
ちょっと待って欲しい。何で、こいつがここに居る?
(=゚ω゚)「予備校の帰りに偶然通りかかったんだが……」
あ、そうなんですか。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:33:42.61 ID:bda1gXlSO
支援
32 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:34:28.26 ID:LaKMmGpIO
( ;^ω^)「いやいやいや、ちょっと待て、ちょっと待てお」
(=゚ω゚)「やっぱ、ブーンだったのな。…アバターそのまんまかよ」
( ;^ω^)「おめぇも人のこと言えるのかお……」
改めて、ぃょぅの格好を眺める。
ボアの着いたブルゾンにダメージデニム、茶髪のウルフヘアはチャットルームでいつも見ている奴の格好そのまんまの、似非伊達男風。
( ^ω^)「如何にも“僕大学生です”って格好だおね」
(=゚ω゚)「バーロー、まだ大学生じゃねぇよ。大学生予備軍だ」
そういえば、さっき予備校帰りとか言ってたっけ。
(=゚ω゚)「しっかし、おめぇは……」
( ^ω^)「お?」
ぃょぅの両目が、僕の体を爪先から頭のてっぺんまでねめ回す。
(=゚ω゚)「小遣い欲しいニートが、たまに外に出てみましたって感じだな」
( ;^ω^)「てめぇ、いけしゃあしゃあと……これでも華の高校生だお」
土方用のつなぎを着た僕の体系は、お世辞にも青春を謳歌しているようには見えない事ぐらい知っている。
知っているからこそ、その言葉は余計にショックだ。
33 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:35:56.38 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「…で、何か用かお?」
(=゚ω゚)「用も何も、リアルで会うのは今日が初めてだろうが。偶然だよ、偶然」
( ^ω^)「ですよねー」
「おーい、バイトのガキー。そろそろ上がりだ。支度してさっさと帰んな」
( ^ω^)「お、丁度良かったお。ぃょぅは、これから暇かお?」
(=゚ω゚)「ん?あぁ、まぁな」
( ^ω^)「それじゃあ…」
と言いかけて、背後に誰かが立つ気配に僕は振り返る。
N| "゚'` {"゚`lリ「ご苦労だったな、バイト君。ほれ、今日の給料……」
( ^ω^)「え?」
34 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:37:59.52 ID:LaKMmGpIO
N| "゚'` {"゚`lリ「おや。お前さん、こないだの……」
( ;^ω^)「あの、えと、その……」
ヤバいヤバいヤバいヤバい。菊門が再び警鐘を鳴らす。
N| "゚'` {"゚`lリ「そこの彼はお友達か?ふむ。君も、可愛い顔してるじゃないの」
(;=゚ω゚)「お、オレ!?」
N| "゚'` {"゚`lリ「ちょうどオレも上がりの時間だ。どうだ、これから三人で……」
( ;^ω^)「お、お疲れっしたー!」
イイ男の手から給料袋を引ったくり、ぃょぅの腕を掴んで駆け出す。
35 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:38:55.51 ID:LaKMmGpIO
(;=゚ω゚)「あばばばばば!」
N| "゚'` {"゚`lリ「おぉい待てお前ら!」
走っている間中、肛門の辺りが落ち着かなかった。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:41:10.72 ID:Hg9VOCg9O
支援
37 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:42:12.97 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━常夜灯の黄ばんだ明かりが、僕の座るブランコをぼんやりと照らす。
夜の公園には、無論僕達以外に人の影は無い。
(=゚ω゚)「ほれ、お前の分」
公園内の自販機から戻ってきたぃょぅが、僕に向かってコーヒーの缶を放ってよこす。
( ^ω^)「サンキュー」
上手くキャッチし、プルタブを起こす。暖かい湯気が、長期間の旗振りによって冷えた顔に心地良い温もりをもたらした。
(=゚ω゚)「……しっかし、お前が夜のバイトをしてるとはね」
自分の分のコーヒーを開けながら、ぃょぅが隣のブランコに腰を下ろす。
錆び付いた鎖が、うら寂しい音をたてて軋んだ。
( ;^ω^)「夜のバイトて……」
(=゚ω゚)「苦学生なんか?」
( ^ω^)「別に、そういうわけじゃ無いけど……」
学費に困った事は無い。少なくとも、中流階級の親を持つそこらのパンピー学生達よりは、自分は恵まれていると思う。
(=゚ω゚)「じゃあ小遣い稼ぎか。あーあーいいねぇ、学生さん達は。モラトリアム万歳ってか?」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:43:19.14 ID:O7Z9rJAc0
学園都市、アイアンメイデン、僕モナ…今日はいい日だ
39 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:44:26.82 ID:LaKMmGpIO
何も知らないぃょぅが、あっけらかんとした顔で言うのに、少し腹が立った。
( ^ω^)「……そんな、温いもんじゃないお」
(=゚ω゚)「……わりぃ」
だからと言って、こいつにあたるのも馬鹿のする事か。
( ^ω^)「……」
(=゚ω゚)「……」
沈黙が痛い。リアルでは一度も会った事が無いとは言え、こいつとの間にこんな気まずい空気が流れるのは、初めてだ。
何も話さなくても、ただ、隣でぼーっとしているだけでも、何だか落ち着くような。
気付けば、僕達はそんな、生温くも心地良い関係になっていた。
40 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:45:44.08 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「ぃょぅ……」
(=゚ω゚)「ん?」
だからちょっとだけ、こいつには僕の事を知って貰いたいと。そう、思ったのだろうか。
( ^ω^)「僕にはもう、母ちゃんも父ちゃんも、そう呼べる人が居ないんだお」
気付けば、そんな言葉を口にしていた。
(=゚ω゚)「……っとぅ。いきなしヘヴィなブロウだなこの野郎」
( ^ω^)「ひひひ。利いたかお?」
(=゚ω゚)「鳩尾のド真ん中だよ、畜生」
ははは。こいつは、これだから。
41 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:47:01.90 ID:LaKMmGpIO
(=゚ω゚)「……で?」
何事も無かったかのように続きを促すぃょぅ。
こいつのこういう所は、凄く助かる。
( ^ω^)「……僕が小学校の二年生だった頃、二人して結婚記念日の旅行に行くとか言って、交通事故であの世行きだったお」
(=゚ω゚)「血の結婚記念日ってか。最後はちゃんとファック出来てたんかね?」
( ^ω^)「知らねえお。つうか身内のセクロスとか、想像したくねぇお」
(=゚ω゚)「わかるわwwwオレもオヤジとオカンのファックとか想像しただけで……うぇ、吐き気がしてきた……」
口元を抑えてげぇげぇやると、ぃょぅはコーヒーを一気に呷る。
おちゃらけたモーションは、重たい話を軽くする為にワザとやっているのではなく、こいつがもともとそういった奴だからだ。
だからと言って、こいつは人の話を真面目に聞く気が無いような奴では無い。
そんなところが、僕がこいつを好きな理由の一つなのかもしれない。
( ^ω^)「…で、僕は中学校までおじさんのとこにお世話になる事になったんだお」
42 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:48:56.99 ID:LaKMmGpIO
(=゚ω゚)「…そして、そのおじさん達が昼ドラに出て来るような奴らだったと」
( ^ω^)「正解。そりゃあもう、朝から晩まで愚痴ばっかだったお。
“他に行くとこも無いから、仕方なくうちが引き取ってやった”だの“食費がかさむったらありゃしない”だの、とにかく言いたい放題だったお」
(=゚ω゚)「うはwwまさにテンプレートだなwww脚本家誰だよwwww」
( ^ω^)「そんな調子で毎日いびられてりゃ、流石の僕もキレるお。高校の進学が決まってからは直ぐに家を出て、この街で一人暮らしを始めたんだお」
(=゚ω゚)「……で、バイトで学費を稼いでいると」
( ^ω^)「いや、僕は特待生だからそういうのは無いお。その代わり、成績が落ちたら即コレ」
首の前で手を引くジェスチャーをしてみせる。
(=゚ω゚)「んだよ、優等生ちゃんかよてめぇ。うわぁ、一気に同情が吹き飛んだわ」
( ^ω^)「てめぇのアルミ並みに軽い同情なんざいらねぇお」
(=゚ω゚)「馬鹿野郎、オレほど情に厚い漢はいねぇよ。こちとら現代に生きる江戸っ子の末裔だぜ」
43 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:51:25.86 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「それは初耳だお。それともお前が言う江戸っ子ってのは、新種のチンパンジーか何かかお?」
(=゚ω゚)「おうおう、上等だてめぇ。今度からネットに潜る時はファイアウォールを五倍増しで張っとけよ」
( ^ω^)「オーライ、その忠告は有り難く受け取っとくお」
シニカルな笑みを口の端に貼り付け、僕達は二人缶コーヒーを啜る。
どこかの酔っ払いが鼻声で唄うすーだら節が、遠くで響いていた。
(=゚ω゚)「……へぇ。しっかし、お前も面白い人生送ってるじゃねぇか。オレの百倍はドラマティックだぜ」
( ^ω^)「これで許嫁でもいれば、最高に面白いんだおけどね」
(=゚ω゚)「その昔、“φなるあぷろ〜ち”という名のエロゲがあってだな……」
( ^ω^)「キャラ絵的に無理。つうか、電脳対応もしてないアンティークなんかプレイのしようが無いお」
(=゚ω゚)「なんなら、こないだ荒巻屋で買ったPS3と一緒に貸すぞ?びっくりだろ?まだ動くPS3だぜ」
( ^ω^)「だが断る」
(=゚ω゚)「連れねえなぁ。温故知新って言葉知ってるか?」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:52:14.43 ID:uXCqf7CtO
支援
45 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:52:41.44 ID:LaKMmGpIO
結局のところ、どんな深刻な話をしていたところで、こんな感じの馬鹿話になってしまう。
けれども、そんな空気が僕は好きだった。
( ^ω^)「……はう」
(=゚ω゚)「いい萌えボイスだ。お前なら声優業界でも天下を狙えるぜ」
こんな感じで溜め息をついても、一秒後には笑い話になっている。そんな空気が、堪らなく好きだ。
この生温さを守る為だったら、僕は何でもしよう。この命すら、投げ出そう。
( ^ω^)「ショタっ子の需要は最近多いかお?」
(=゚ω゚)「大有りだ。お前がちょいと目を潤ませて、“お姉ちゃん……”って言ってみろ。巷の馬鹿な腐女子共が札束を振りながら、お前に一夜の添い寝を求めて殺到してくるぜ」
( ^ω^)「始めはやっぱり枕営業かお」
だが、そんな言葉は口が裂けても言えない。
つまりは、“そういう事”だ。
(=゚ω゚)「デビューするなら一声かけろよ。オレがマネージャーやってやっからよ。二人で天下を狙おうぜ」
( ^ω^)「負ける気がしねぇお」
46 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:53:44.33 ID:LaKMmGpIO
あぁ、本当に負ける気がしない。
こいつと一緒なら、アルカトラズにぶち込まれても、余裕で脱獄出来るような気がする。
(=゚ω゚)「……さて、と。将来の就職に関する不安も拭えたところで、今日はもう帰る事にするよ」
ブランコから腰を上げると、缶コーヒーを一気に飲み下してぃょぅは言った。
( ^ω^)「こっから近いのかお?」
(=゚ω゚)「あぁ、ニューソクの十番街さ」
( ^ω^)「今度ゲリラ凸するから待ってるお」
(=゚ω゚)「へっ、てめぇにオレの城が見つけられるかね?」
空になった空き缶を草村に放り投げ、歩き出すぃょぅ。
その背中が闇の中に消えていく寸前、奴は振り返ると。
(=゚ω゚)「……あんま、一人で背負い込むなよ」
マジなのか、冗談なのかわからない口調でそう言い残し、今度こそ常夜灯の明かりの外へと消えていった。
( ^ω^)「……一人で背負い込むな、かお」
やっぱり、あいつにはバレていたか。
( ^ω^)「それでも僕は……」
他人様には迷惑を掛けるな。
母の遺言を胸に、僕は家路に就いた。
47 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:57:05.92 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━重い。重すぎる。
( ;^ω^)「手の…感覚が……」
両手に握ったホームセンターの袋は、どちらもはちきれんばかりに膨れている。
昨日のバイト代で、シュール先輩に言いつけられたもののうち、ホームセンターで揃えられるものを一気に全部買ってしまったのだが。
行ったり来たりが面倒だからと、何も考えずに買い物籠に全てを放り込んだ結果を今述べよう。
( ;^ω^)「アラート…アラート…腕部…重量過多……」
その上。
( ;^ω^)「ホライズンバンク、金融不振…」
更に。
48 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 21:58:09.91 ID:LaKMmGpIO
( ;^ω^)「一般人による、冷たい視線のバッシング……」
トドメの。
( ;^ω^)「腰部、破損……」
何という四重苦。
散々だ。あぁ、全く散々だよ。
シュール先輩、これでもし僕の今日一日の苦難がパシリだったとしたら。
( ;^ω^)「あなたは…刻の涙を見る……」
恨み言を垂れながら、窓の外へと目を向ける。
帰宅の為に乗り込んだ、地下リニア。
ニーソクの商業区画から住宅街へと向かう夕暮れ時の車内は、会社帰りのサラリーマンが多数を締めている。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:59:12.04 ID:uXCqf7CtO
支援だよ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:59:23.05 ID:PnIg/0TE0
きてるううううううううううううううううううううううう
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 21:59:28.23 ID:1B74P75FO
しえーん
52 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:00:47.63 ID:LaKMmGpIO
本来なら、窓の外には陰鬱なコンクリートの壁が広がっているのだが、彼ら資本主義社会を支えるプロレタリアート達の疲れを癒すため、この時間帯には窓にホログラムの森林を写すというサービスが成されていた。
( ^ω^)「出来れば僕も癒やして下さいお……」
そうやって映し出されたホロをぼんやりと眺めていると、周囲の話し声が自然と耳に入ってきた。
「……うわぁ、マジパネェよそれ」
「だろ?パネェよな?な?」
「パネェよぉ…マジパネェっすよぉ……」
お前ら日本語喋れよ。
( ^ω^)「いやいや、言葉というものは時代によって形を変えるものだと、かの金田一教授も言ってたお……」
寛大な心で、若者文化を見守ろうではありませんか。……いや、僕もその“若者”なわけだが。
「ヤバいんじゃない?ねぇそれ超ヤバいんじゃない?」
「ヤベェよぉ。超ヤベェっすよぉ」
「爆発とかヤバいんじゃない?超ヤバいんじゃない?」
「ニーソクっしょ?ねぇそれニーソクっしょ?」
ニーソクで爆発か……まぁ、よくある事だな。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:02:16.56 ID:QdCFcY3XO
しえーん
54 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:02:18.41 ID:LaKMmGpIO
「そうそうそう、ニーソク。ニーソクっすよぉ。これで五件目。マジパネェっすよぉ」
「西村のとこっしょ?西村のシマっしょ?」
( ^ω^)「西…村……」
「そうそうそう、前西村のシマだったとこ。今さ、なんつったっけ……」
「チンコン?」
「そうそうそう、それそれそれ。なんかさぁ、でばってきてんじゃんチンコン」
「ショバダイ上げねぇ店、見せしめに焼き討ちしてるんしょ?聞いたわぁ。それ聞いたわぁ。営業のなつみちゃんから聞いたわそれぇ」
55 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:03:23.48 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「見せ…しめ……焼き…討ち……」
チンコン…いや、陳龍。これで五件。
「なぁなぁなぁ、次どこだと思うよ?なぁなぁなぁ」
次はどこだ。
次は。
( ;^ω^)「次は……」
彼等の言葉が、頭の中をぐるぐると回る。
間違いない。陳龍が、陳龍がもう動き始めているんだ。
( ;^ω^)「じっちゃん……」
次に集金に来たときにショバダイを払わなかったら。
次。次って何時だ。次ってあと何日だ。
「次は〜ニーソク〜ニーソク〜」
( ;^ω^)「じっちゃん!」
僕は居ても立っても居られず、開いたドアから駆け出した。
56 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:05:01.18 ID:LaKMmGpIO
※ ※ ※ ※
━━走った。無我夢中で走った。人混みを掻き分けた。溝を飛び越えた。途中で躓いた。転んだ。鼻血が出た。起き上がった。走り出した。
⊂二( ;^ω^)⊃「はっ…はっ…はっ…はっ……」
ブーン。いつもの掛け声が出ない。
⊂二( ;^ω^)⊃「じっちゃん…じっちゃん…じっちゃん…じっちゃん…じっちゃん……!」
裏路地に入る。配管に頭をぶつける。水たまりを飛び越える。スニーカーが汚れた。パーカーが汚れた。高架下をくぐり抜けた。店の看板が見えた。
( ;^ω^)「じっちゃん!」
扉を蹴り開け、店内を見渡す。
極度に照明が落とされた室内。所狭しと並べられた棚、そこからはみ出した電子機器達。
/ ,'3「なんじゃなんじゃ、騒々しい」
CASTERをくわえた、偏屈じじい。
何時もと変わらない荒巻屋が、そこにあった。
( ;^ω^)「あ……え…と…」
一気に気が抜け、その場にへたり込む。何だか、無駄に疲れた。
/ ,'3「なんじゃ、血相変えて。借金取りにでも追われとるんか?」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:05:12.32 ID:uXCqf7CtO
しえーん
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:05:15.11 ID:QdCFcY3XO
支援
59 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:06:40.04 ID:LaKMmGpIO
ふぇふぇふぇ、と紫煙を吐き出しながら笑うクソジジイ。
( ;^ω^)「……っ」
何だか、無性に腹が立った。
( #^ω^)「……別に、何でもないお。ただ、もうちょっとで営業時間が終わるから急いでただけだお」
鼻息荒く立ち上がり、カウンターに寄りかかる。
/ ,'3「あぁ、もうじき店仕舞いさね」
( ^ω^)「え…?」
/ ,'3「何じゃ、耳の早いお前さんならもう知っとると思うとったが……」
( ;^ω^)「え…あ、うん……知ってる…お……」
/ ,'3「……そうか」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:07:12.60 ID:XnGpwwlrO
支援
61 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:07:52.92 ID:LaKMmGpIO
ふぅ。溜め息のように紫煙を吐き出すクソジジイ。心なしか、その顔には疲れが浮かんでいるように見えた。
( ^ω^)「あの…じっちゃん……」
/ ,'3「ちょうどいい機会さね」
( ;^ω^)「あ…」
/ ,'3「最近な、ドライバーを握ると……人差し指が震えるんじゃよ」
( ^ω^)「……」
/ ,'3「自分では、そんなつもりは無いんじゃがの…ガタが来てるってぇ事なのかねぇ……」
ふぇふぇふぇ。力無い笑いは、諦めの自嘲か。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:09:26.60 ID:/HguTaG40
アーライ支援
63 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:10:12.20 ID:LaKMmGpIO
/ ,'3「わしゃあな、西村の15代目が頭になった時から、ここで店ぇやっとった」
/ ,'3「あいつとは、工業高等学校からの馴染みでの。何をやるにしても、あいつと連んどった」
( ^ω^)「同級生、だったのかお」
/ ,'3「ちょうどほれ、お前さんとあのぃょぅとか言うガキと似たような感じじゃよ。毎日、馬鹿みたいな事をしでかしては先公共と悶着を起こしとったわい」
ぃょぅとリアルで会ったのは昨日が初めてだったが、概ねじっちゃんの言ってるような関係なので突っ込みはしない。
/ ,'3「そうやって、高校を卒業してからも馬鹿みたいに連めるとは思っとったんじゃがな…あいつは、極道の家に生まれ育ったもんじゃったからのう。跡取りとして、西村の看板を背負わにゃいかんかった」
/ ,'3「それでも、あいつは暇を見つけてはわしを飲み屋に誘ったり、一緒に居る時間を作ろうとしてくれたよ。わしがここに店を出すっちゅうた時も、色々手伝ってくれてな」
( ^ω^)「……」
/ ,'3「……それを“恩”だとかっちゅう堅苦しい言葉で表すのは、似合わんがの。本当に、わしには勿体無い相方じゃったよ」
64 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:12:22.60 ID:LaKMmGpIO
/ ,'3「そうやって、何時までも一緒に連んでられると思っとったんじゃがの」
フィルターぎりぎりまで吸ったCASTERをアルミの灰皿に押し付け、荒巻老は目頭を抑えた。
/ ,'3「……当然、といやぁ当然かの。あいつも、この街で極道をやっていくと決めた時から、こうなる可能性を考えて無かったわけじゃなかろうよ」
ただな、とつけくわえ。
/ ,'3「結局、あいつは最後までわしを頼ろうとはしなかった。そりゃあ、わしみたいなケチなジャンク屋が、西村の頭に貸してやれる力なんてぇのはたかが知れとる。知れとるがの……」
翁は最後の紫煙を吐き出すと、それが消えていく虚空を見上げながら呟いた。
/ ,'3「……何も言わずに、勝手に逝きおって」
胸に、何かちくちくとしたものがつっかえたような気がして、僕は俯く。
何も言わずに、か。
( ^ω^)「……じっちゃん」
/ ,'3「んあ?」
( ^ω^)「……ちょっと、用事を思い出したお」
/ ,'3「……何も買わずに行くんかい。ったく、どいつもこいつも……」
65 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:13:43.77 ID:LaKMmGpIO
( ^ω^)「急を要するんだお。遅れる訳にはいかないんだお。だから……」
/ ,'3「……」
僕の様子を不思議そうに見詰める荒巻老。やがて。
/ ,'3「…お前さんは、まだ若い」
僕の胸中を悟ったように、彼は呟いた。
/ ,'3「後悔だけは、するんじゃないぞ」
( ^ω^)「……」
その言葉に見送られるよう、僕は荒巻屋を後にする。
“爺の話は最後まで聞くもの”
その言葉の意味が、ようやく理解出来た気がした。
next track coming soon...
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:15:15.21 ID:uXCqf7CtO
乙!
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:15:18.85 ID:O7Z9rJAc0
乙
荒巻とぃょぅいい味出してんな
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:15:26.28 ID:1nnqXeHiO
し
69 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:20:46.67 ID:LaKMmGpIO
ちゃっす!投下終了っす!
ぶるーすぷりんぐもんは書いてて恥ずかしいぜ畜生!
次回、ブーン外伝その1堂々の完結!君は、刻の涙を見る……。多分一週間以内に投下出来るんだぜ。
最近投下速度落ちてきてて自分でも怖いよー。誰かカンフル剤をくれ!
質問やらなんやらがあればご自由にドゾー
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:22:18.76 ID:/HguTaG40
乙!
なんで「アーライッ!」じゃなくて「アーライ」なの?wwww
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:22:55.53 ID:1B74P75FO
乙!
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:22:56.95 ID:O7Z9rJAc0
荒巻口調変わってね?気のせいか
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:29:30.71 ID:3J/ocZw80
乙!!
個人的にブーン外伝好きだわw
次回にも期待してる
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:30:03.67 ID:PnIg/0TE0
これを追いかけるようになってから他の作家のSS追うのアホらしくなってきた
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:31:51.16 ID:juoZM1/00
乙だ。
>>1にメタルゴッドの加護があらんことを。
76 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:39:17.35 ID:LaKMmGpIO
>>70 疲れてるから、シャウトする気力が残ってなかったんでしょう。
あのままぃょぅが来なかったら「ペ〜イン、ペ〜イン」ってのたまうところでした。
>>72 気のせい。超気のせい。考えちゃいけないぜ。絶対考えちゃいけないぜ?オレとお前さんとの約束だ。
>>75 有難う。ブーン外伝が終わったら、メタルゴッドの為にとっとったメタラーによるメタラーの為のエピソードを用意してるから、楽しみにしててくれ。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:42:22.02 ID:YYdQkC0IO
乙!
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:42:35.28 ID:C1vbtHAB0
lml アーライッ! 乙だぜ!!
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:45:07.19 ID:juoZM1/00
80 :
◆cnH487U/EY :2008/11/16(日) 22:48:59.65 ID:LaKMmGpIO
さて、そろそろええかな
読んでくれた人、支援をくれた人、有難う!乙!
またね!
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:52:43.92 ID:PnIg/0TE0
乙
次回にも期待禿
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:55:01.74 ID:/HguTaG40
>>81 マーダラー
メタラーのためのエピソードwktkwww
濃いやつ期待してるぜwwww
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 22:58:02.15 ID:PnIg/0TE0
私に期待されても^^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
うわ、初めて遭遇したのにもう終わった後かwww
今一番期待してるブーン系だから頑張ってくださいな
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 23:02:44.67 ID:/HguTaG40
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/16(日) 23:04:35.06 ID:D1s0tAMoO
ひぎぃ!もう更新しやがった!
カオステンプレが復活して嬉しいよ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よむほ