1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
立ったら書きます
まったり進行
一応、元ネタ有りで
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:42:26.47 ID:rvAZxcbQ0
− 第一章 春と私と白い夢 −
〜 第一話 〜
春は3月、桜の頃。私は1人都会の街へ引っ越しました。
大学へ通うために、親元を離れての1人暮らしです。
もともと、1人っ子で鍵っ子だった私は、初めての1人暮らしへの不安などはありませんでした。
もっとも、それは生育環境のせいだけというわけではなく、生来の性格も影響しているのかもしれませんが。
(゚、゚トソン 「ここ……でしたよね?」
都会と言っても比較論の話です。
私が住んでいた田園風景の広がる町よりは、という意味での都会、地方の1都市。
さほど大きくもない駅に降り立ち、1時間に1本よりは多い本数のバスに乗って、
私はこれから暮らしていくマンションの前にたどり着きました。
(゚、゚トソン 「……」
ここには1度、マンション探しの時に訪れていますが、こうやって改めて1人で見ると、なんとも──
(゚、゚トソン 「古めかしい建物ですよね……」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:43:20.73 ID:rvAZxcbQ0
名称こそ、“マンション・ホワイトVIP”と謳われているものの、
果たしてここを、マンションと呼んでいいものやら。
(゚、゚トソン 「おっと、いけない。確か1階の喫茶店が管理人さんのお店でしたね」
さすがにこういった発言を聞かれるのはよろしくないでしょう。
気を悪くした管理人さんに難癖を付けられたり、最悪、マンションを追い出されたりしてはたまったものではありません。
ここは1つ、趣き深いと建物とでも言い直しておくべきでしょうか。
階段を昇り3階へ。昇ってすぐの1号室がこれから私が暮らす部屋です。
思ったよりも見晴らしは悪くなく、薫る様な春の風も、わずかながら感じられます。
(゚、゚;トソン 「……しかし、3階というのは意外ときついものですね」
予め荷物は送ってありましたので、身の回りのものだけをボストンバッグに詰め込んだ身軽な身でしたが、
それでも、慣れぬ長旅に私の身体は少なからず悲鳴を上げていました。
それでなくても、自他共に認める運動音痴です。体力には全くもって自信がありません。
これから毎日3階分の階段を昇り降りしなければならないと思うと少し憂鬱になります。
大人しく1階の部屋を探すべきだったかもしれません。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:45:01.89 ID:rvAZxcbQ0
(゚、゚トソン 「とは言え、防犯の点からも、なるべく1階は避けたいですからねぇ……」
一応、うら若き乙女の1人暮らしということになるのですからね。
このマンションに、エレベーターなる洒落た物でもあれば何のことはない話だったのですが。
(゚、゚トソン 「さて、いつまでもこんなとこで惚けてたらただの不審者ですよね」
私は、バッグの前面のポケットに入れておいた封筒から鍵を取り出し、部屋の扉を開けました。
カチャリと乾いた音が響き、この部屋が私のものであることが改めて証明されたようです。
私はゆっくりとドアを開き、部屋の中を覗きました。
ワンルームの部屋には、いくつかのダンボール箱が積まれているぐらいで、たいしたものはありません。
大きなものはテーブルぐらいでしょうか。
1人暮らしだとしても、荷物はかなり少なめだったのではないでしょうか。
それなりに使い慣れて気に入ったものや、買い直すのも大変そうなものなどは送ってはいましたが、
ある程度はこちらで買い揃えればいいと、割り切って考えてもいました。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:46:37.01 ID:4qUdyESiO
セルフ猿防止機能
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:46:56.32 ID:rvAZxcbQ0
(゚、゚トソン 「……取り敢えずは最低限、寝られる程度には片付けないといけませんね」
窓には一応レースのカーテンがかかっていましたが、それなりには日当たりは良いようで、
電気を付けずとも部屋の中は明るいです。
レースのカーテンはそのまま使わせてもらうとして、その上から普通のカーテンも付ける必要はあるでしょう。
まずは積まれたダンボール箱の中からそれを探すことにしました。
ダンボールタワー、と言うほどのものでもありませんが、そう背の高い方ではない私には十分高いと感じます。
そもそも、私の体力ではこれを降ろすことが、まず大変な気がしました。
若干憂鬱になりながら、ダンボールタワーを見渡します。
できれば、この状態でどこに入ってるかの見当を付けておきたいところです。
(゚、゚トソン 「左端のタワーには……なさそう……、その隣は……」
ダンボール箱……違う、ダンボール箱……はずれ、白い物体、ダンボール箱……あ、これ──
(゚、゚トソン 「……え?」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:48:18.61 ID:rvAZxcbQ0
そこでようやく、違和感に気付きました。
ダンボールタワーとダンボールタワーの間に見慣れぬ白い何かがおかれて……動いて……?
/⌒ヽ !!
( )
( )
`u―u'
クルッ
/⌒ヽ
( ^ω^)
( つ⊂)
`u―u'
(゚、゚トソン
そこには白くて丸い、小さな生き物がいました。
〜 第一話 おしまい 〜
− つづく −
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:49:10.95 ID:rvAZxcbQ0
〜 第二話 〜
私は、白い色が大好きです。
このマンションに決めたのも、白を基調とした建物と、その名前に惹かれた点があることは否めません。
もっとも、建物の色に関しては、若干くすんだ白であったことは残念でした。
そんなことに気付かないほどには、それなりに私も浮かれていたのでしょうね。
大学へ合格し、1人暮らしが決まり、初めての部屋探し。
私の人生において、これほど激動の時間が流れたのはかつてありませんでしたから。
ただ、部屋探しなどを時間的に厳しいスケジュールで行わなければならなかったのは、
前期試験に落ちてしまったという自己責任に端を発するのですが。
1つ言い訳をさせてもらえるなら、前期試験は挑戦の意味合いを含めた難関校を受験しました。
結果は見事惨敗だったわけですが、早いうちに挫折を知っておくことも人生においては
意味のある経験だったのではないでしょうか。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:51:26.31 ID:Tybjxsx30
期待できる。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:51:34.55 ID:rvAZxcbQ0
ともあれ、そんな経緯を経て、私は今この場にいるわけですが……
/⌒ヽ
( ^ω^)
( つ⊂)
`u―u'
これはなんなんでしょう?
何やらダンボール箱辺りでカチャカチャと何かをいじっているような音を立てています。
動いているところを見ると、何らかの生き物のようですが、ひょっとしたら電動のぬいぐるみか何かかも知れません。
私の記憶の引き出しの中には、これに類似した生き物は見当たりません。
強いて言うなら、人間が一番近いのではないでしょうか。
短いながらも四肢があり、目や鼻らしきものも見受けられます。
人間の子供が迷い込んだ、そう結論付けてしまいたいところですが、あまりにも非現実な光景がそれを許しません。
まず、人間の子供にしては頭身がおかしい。大きさはそのぐらいなのですが、手足が短すぎます。
顔は、よく見ると意外と愛嬌があるように見えなくもないですが、それにしても白い。全身真っ白です。
そこは私好みでもあるので許容しても良いのですが、やはり人間としてはおかしい部分でしょう。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:52:54.21 ID:BC1YXkrc0
支援せざるをえない
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:53:03.49 ID:rvAZxcbQ0
では、これが人間でないとしたらなんぞや?
記憶のライブラリーを非現実モードに切り替え、再検索してみます。
(゚、゚トソン 「座敷……わらし……?」
それが、私の頭がはじき出した最もこの条件に近い答えのようでした。
( ^ω^) 「お?」
思わずつぶやいてしまった私に、白い物体が反応しました。
どうやら聴覚はあるようです。ひょっとしたら、気配に反応したのかもしれませんが。
冷静に考えると、この状況は極めて芳しくない気がしてきました。
この白い物体が、危険でないという保障はどこにもないのですから。
( ^ω^)ノ 「おいすー」
(゚、゚;トソン 「お、おいーっす?」
なんてことでしょう、この白い物体は人語を解すようです。
思わずオウム返しに返事をしてしまいましたが、少しいかりや調になってしまったのが悔やまれます。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:54:21.44 ID:rvAZxcbQ0
( ^ω^) 「お! ひょっとして君は僕がわかるのかお?」
(゚、゚;トソン 「わかりません」
即答です。ええ、即答ですとも。
これが何なのか、わかるはずがありません。
( ´ω`) 「お……、そうかお……そうだおね……、わからんおね……」
私が狼狽しながらしつつもそう答えると、白い物体はひどく落胆した様子で、
最初見た時のように背を向けてしまいました。
そしてまた、カチャカチャとダンボール箱をいじって……ダンボール箱?
この部屋は今日から私の部屋です。
そしてこの部屋には今現在私のものしかありません。
では、この白い物体がいじっているものは何なのかと言えば、必然的に私のものになるわけで──
(゚、゚トソン 「それはダメです! ──って、崩れる!!!」
気付いた時には、既に遅く、積み上げられていたダンボールタワーの一角がぐらりと揺れ、
一番上のダンボール箱が落下していく様がスローモーションのように見えました。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:55:13.81 ID:BC1YXkrc0
支援支援支援!
でも眠い!
何時頃投下終わる予定!?
咄嗟に私は手を伸ばし、奇跡的にダンボール箱をつかむ事に成功しました──が、
無情にも非力さには定評のある私の両腕は重力加速度に引きずられるまま落下していき──
ゴチン!!!
Σ( >ω<) 「お!?」
何ということでしょう、白い物体をつぶしてしまいました……。
この光景を客観的に分析すると、私がダンボール箱を振り上げて白い物体を殴ったように見えるのではないでしょうか?
何という完全犯罪。もっとも、私にダンボール箱を振り上げるだけの腕力は存在しないのですが。
( ;ω;) 「いたいお……」
私がしばし呆けていると、ダンボール箱の下からか細い声が聞こえてきました。
どうやらこの白い物体は意外に丈夫なようです。
慌てて、ダンボール箱をどけると、涙目になった白い物体が頭を抑えてうずくまっています。
一見した限りではこちらの方は大丈夫そうなので、もう1つの危惧を確認します。
ダンボール箱を開け、中身を確認。私の記憶が確かならばこの箱は……
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:57:00.90 ID:rvAZxcbQ0
(゚、゚トソン 「よかった……、割れてませんね」
やはり、私のお気に入りのティーカップが入った箱でした。
私はコーヒー派なので、ティーカップというよりコーヒーカップではあるのですが。
スミレの花が小さく描かれた白いティーカップ。
それなりに長く使っているので、だいぶコーヒーの色が染みついていて、綺麗な白ではありませんが、
これはこれで味わい深いものがあると思っています。
( ;ω;) 「……」
ふと気付けば、白い物体が涙目のままこちらの様子を伺っています。
(゚、゚トソン 「気をつけてくださいね。割れてないからよかったものを……」
そこではたと気付きました。私は何を普通に恨み言を言っているのでしょう。
これまでの逡巡を無にするかのような反射的な所業。
非現実を現実の急事が打ち負かした模様です。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/26(日) 23:59:02.64 ID:rvAZxcbQ0
( ´ω`) 「ご、ごめんなさいお……」
(゚、゚トソン 「え……?」
驚いたことに、白い物体は謝罪の言葉を述べてきました。
どうやら聴覚云々どころではなく、一応はちゃんとした理性を持ち合わせているようです。
(゚、゚トソン 「わかっていただければいいのですよ。それよりも……」
( つω−) 「お?」
ごしごしと涙を拭う白い物体に、私は続けざまに質問を浴びせます。
(゚、゚トソン 「あなたは何なのですか?」
直球です。考えてもわからないなら直接聞けばいい、私の頭はそう判断しました。
若干状況に麻痺していたと言えなくはありませんが、虎穴にいらずんばの精神です。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:01:12.02 ID:j1vMPmvL0
( ^ω^) 「僕はブーンだお」
(゚、゚トソン 「ぶー……ん……?」
ぶーん、ブーン、BUUN、武運?
わかりません。ぶーんとはいったいなんなんでしょう?
私は、そのまま疑問を口にしていました。
( ^ω^) 「ブーンはブーンだお。ブーンってするのが好きだお」
そう言うや否や、白い物体は部屋の中を両手を広げて駆け回り始めました。
/⌒ヽ
( ^ω^) ブーン
⊂、 .⊃
人 /
し(_)
どうやら、あの走りがする方のブーンというらしいのはわかりましたが、
いくら物がないといっても、狭い部屋に積まれたダンボール箱という状況、この先どうなるかは目に見えています。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:02:49.65 ID:LBHiIpdz0
支援
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:03:06.74 ID:j1vMPmvL0
そのことに気付き、止めようとしたものの、時既に遅く、白い物体はダンボールタワーの1つに激突、
倒れてきたダンボール箱に再び押しつぶされました。
不幸中の幸いか、そのタワーには割れ物は含まれておらず、都合よくカーテンの箱もその中から見つかりました。
私がカーテンの設置から戻ってくると、白い物体は再び涙目で謝ってきました。
やはり悪い子ではなさそうです。頭の方はどうなのかはわかりませんが。
(゚、゚トソン 「ひとまず、落ち着いて状況を整理しましょう。あなたの言うブーンというのは──」
( つω;) 「ブーンはブーンだお……」
ええ、落ち着きましょう。
元来、私は子供というものが苦手です。
子供に限ったことではありませんが、理解力の乏しい方や、話の通じない方はどうも合わないのです。
こういったときはどう考えるべきでしょうか。
なるべく目線をの高さを合わせるというような話は聞いたことありますが、そこから先がわかりません。
お互いの理解を深めるためには、こちらの情報も開示すべきでしょうか。
そこまで考えた時点で、ふと思い当たることがありました。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:04:20.82 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「ええと、ブーン……さん? それがあなたの名前なのですか?」
( ^ω^) 「ちがうお、ブーンサンじゃなくてブーンだお」
やはりそうでした。こんな単純なことに気付かないとは、私もかなり動揺しているようですね。
状況的にはそれも無理のない話なのですが。
(゚、゚トソン 「じゃあ、ブーン、あなたは人間なの?」
聞き様によらずともかなり失礼な質問ですが、今は仕方がないでしょう。
まずはその点をはっきりさせる必要があります。
( ^ω^) 「おー……」
ブーンはその問いには答えず、何かを期待するかのような目でこちらを見ています。
私はすぐに、自分の失態に気付きました。
(゚、゚トソン 「あ、私は都村トソン、はじめまして」
そうです、人に名前を聞いておきながら自分は名乗っておりませんでした。
これはさすがに失礼でしたね。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:06:06.99 ID:j1vMPmvL0
(〃^ω^) 「おっおっお、はじめましてだお、ツムラトソン」
(゚、゚トソン 「……出来れば、都村かトソンかどちらかにして欲しいんですが?」
( ^ω^) 「お? ツムラトソンじゃないのかお?」
(゚、゚トソン 「それはフルネームですね。都村が苗字で、トソンが名前です」
私がそういうと、ブーンは苗字? 名前? と、頭にハテナマークを浮かべ、明らかに理解できていない様子でした。
(゚、゚トソン 「……トソンと呼んでください」
( ^ω^) 「把握したお! よろしくだお、トソン」
何となく、扱い方がわかってきたかもしれません。
基本的に無知な子供を相手にするようなやり方で問題はないようですが、
その子供を相手にするのが苦手な自分には少々厳しい相手ですね。
なぁなぁ、題名はわざとか?
支援
うおおおおおおおおさる防止!!
( ^ω^) 「トソンは僕のこと、わからないんじゃなかったのかお?」
(゚、゚トソン 「ええ、わかりませんよ」
( ´ω`) 「おー……? わからないのに僕と話してるお? わけわからんお……」
わけがわからないというのはこちらの台詞ですが、どうもその辺りの認識に誤謬があるようです。
おそらくそれは──
(゚、゚トソン 「私にはブーンの姿は見えています。でも、ブーンが何者で、何でここにいるのかがわかりません」
だから、わからないと言ったのです、そう続けると、ブーンはしばらく考えた後、おーおーとか言いながら
しきりにうなずいていました。
そのようなやり取りを繰り返し、だいたい1時間ほど経過したでしょうか。
私はようやく、少しずつですがブーンのことがわかって来ました。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:08:26.58 ID:j1vMPmvL0
おそらく、ブーンは普通の人には見えない。
何故かたまに見える人がいる。
気付いたらここにいた。それがだいたい昨日辺りらしい。
特にやることがないのでダンボールをいじっていた。
何か目的があった気がしなくもない。
(゚、゚;トソン 「時間がかかった割には意外と少ないですね……」
( ´ω`) 「ごめんお……」
(゚、゚トソン 「いえ、覚えていないものはしょうがないでしょう。ブーンが悪いわけではないですよ」
まあ、でも、最後の1点に関しては思い出して欲しいところですね。
私がそう伝えると、ブーンはまた、おーおーとうなり(?)ながら考え始めました。
しかし困りました。
もちろん、ブーンの処理に関してもそうですが、この部屋を片付けたりと、新生活の準備もしなければなりません。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:09:12.06 ID:j1vMPmvL0
(-、-トソン 「こういった時に相談相手の1人でもいると助かるのですが……」
生憎、本日付で親元を離れたばかりの身です。これといった知り合いもこちらにはいません。
親に電話で相談する手もありますが、初日から心配をかけていては、今後についても不安にさせてしまいかねません。
それに何より、この事態を信じてもらえるかどうかも疑問です。
だいぶ馴染んで来たとは言え、私が置かれている状況は非現実そのものなのですから。
(゚、゚トソン 「もういっそ、見なかったことにして片付けに取り掛かろうかしら?」
そう思ってちらりとブーンの方を見ると、先ほどと同じ体勢でおーおーうなっております。
(-、-トソン 「捨てておくわけにもいかないのでしょうね……」
なんだか捨て猫でも拾ってきたような気分です。既に多少は情が移ってるのかもしれませんね。
(-、-トソン 「しかし、このマンションは確かペットは禁止だったはず──」
そこでようやく思い当たりました。そうです、管理人さんです。
知り合い、というほどでもないのですが、この建物の責任者でもあり、この部屋も管理している人です。
ブーンは私が持ち込んだわけではないですし、言うなれば、このマンションの問題と言っても差し支えはありません。
そりゃすまんかった
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:10:40.99 ID:4htGCPp20
これはいいものだ
支援!!
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:12:07.38 ID:sgLQl6jZ0
支援!
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:12:16.32 ID:j1vMPmvL0
そうと決まれば早速相談しに行くことにしましょう。
どの道、後ほど挨拶には伺うつもりでしたので、丁度良いと言えば丁度良い話です。
……ですが、この件には1つだけ懸念すべき点があります。
(-、-トソン 「果たしてどういう反応を示されるのやら……」
先ほどのブーンの話を信じるならば、ブーンが見える人は稀、
つまり、管理人さんにも見えない可能性が大きいということです。
(-、-;トソン 「下手すれば変人扱いですよね……」
少々気が重くなりました。どうするべきなのか悩みます。
思いあぐねて、相変わらずおーおーうなっているブーンの方を見ると……
( −ω−)zzz
(゚、゚;トソン 「……寝て……る?」
規則正しいうなり声は規則正しいまま寝息に変化していたようです。
(-、-トソン 「なんとも平和なものですね……」
〜 第二話 おしまい 〜
− つづく −
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:13:24.63 ID:j1vMPmvL0
〜 第三話 〜
ガチャッ
(゚、゚トソン 「失礼します」
お店に入るのに、失礼します、というのも少し変な気はしましたが、
他にこれといってよい問言も思いつかないので無難なところを選択しておきました。
('、`*川 「いらっしゃい……ませ?」
お店の人もその違和感に戸惑ったのか、挨拶が途中から疑問系に変化しています。
しかし、こちらが用件が告げるよりも早く、事情を察されたようでした。
('、`*川 「ああ、あなたは確か……」
(゚、゚トソン 「はい、お仕事中に申し訳ありません、本日より301号室に入居させていただいた都村トソンです」
よろしくお願いします、と地元の名産品であるお菓子を差し出すと、少々苦笑されました。
若いのにしっかりし過ぎた挨拶だそうです。
支援!
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:14:47.83 ID:j1vMPmvL0
('、`*川 「私はペニサス伊藤、よろしくねトソンちゃん」
あんまり堅苦しいのは苦手だから、気軽にペニサスって呼んでね」
見たところ、管理人さん──ペニサスさんは30代前半といったところでしょうか。
ジーパン姿というラフな格好からも推測されるように、かなりさっぱりとした性格のように見受けられます。
(゚、゚トソン 「荷物の搬入の立会い、ありがとうございました」
('、`*川 「ああ、いいのよ、そういうのも管理人の役目でしょ? 気にしないで」
しかし、いまどきの若い娘さんにしては少ない荷物ね、と続けられました。
比較対象がいないので、はっきりしたことは言えませんが、私自身もそうだろうなとは思ってはいました。
そう言った風の感想をペニサスさんに告げると、ペニサスさんはまたも苦笑しながら言います。
('、`*川 「4階にもね、トソンちゃんと同じように大学に通う子が入居してきたんだけどね、
荷物の量に関してはトソンちゃんの倍ね、倍」
なるほど、前例との比較しての見解なら確かなものでしょうね。
自己分析が正しかったことは素直に喜べますよね。
支援!
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:15:48.04 ID:j1vMPmvL0
('、`*川 「その4階の子も、トソンちゃんと同じ大学だから、仲良くなっとくといいかもね
大学は知り合いが多い方が楽よ、かなりね」
(゚、゚トソン 「そういうものですか。わかりました、善処します」
言い方が硬い、そう言ってペニサスさんに笑われました。
ペニサスさんの性格も相まって、会話は終始和やかな雰囲気に包まれました。
さて、本来なら、これで引き上げるべき頃合なのでしょうが……
('、`*川 「そうだ、コーヒー飲む? ご馳走するわよ?」
(゚、゚トソン 「い、いえ、さすがにお仕事中に長々とお邪魔している上にそれは──」
('、`*川 「だから硬いって。いいからいいから、飲んでいってよ。味に自信はあるわよ?」
それとも、コーヒーは苦手? と聞かれましたが、それは即座に否定してしまいました。
むしろ大好きですし、正直に言えば、お店に入った時からコーヒーの匂いには惹かれていました。
ここで断るのも気が引けますし、例の件を話すきっかけのためにも私は御馳走になることにしました。
決して、コーヒーだけが目的だったわけではないと述べておきます。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:17:02.56 ID:j1vMPmvL0
('、`*川 「はい、どうぞ」
(゚、゚トソン 「いただきます」
目の前に差し出された品の良い白いコーヒーカップにからは、コーヒー独特の芳醇な香りが広がってきます。
砂糖をほんの少し加え、スプーンで描き混ぜ、ゆっくりとカップを口に運びます。
(-、-トソン 「……美味しい」
思わず漏れた言葉に、ペニサスさんはにっこり微笑んでいました。
私がコーヒー好きといっても、それは所詮高校生レベルでのお話。
口に出来るものは必然的にインスタントが多くなります。
インスタントはインスタントで好きですが、やはりちゃんと入れたコーヒーに叶うべくはありません。
比べるのも失礼なお話しなのかもしれませんが、やはり全然違いますね。
しばらく余韻に浸っていると、ペニサスさんが、おかわりは? と聞いてきます。
もちろん、丁重にお断りすべき場面なのですが、まだ例の件の話もしてないことですし、
会話を続けるためにもいただくことにしました。
くどいようですが、決して、コーヒーだけが目的だったわけではないと改めて述べておきます。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:18:10.15 ID:ZtFpFRTyO
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:18:46.47 ID:j1vMPmvL0
('、`*川 「それだけ美味しそうに飲んでくれるといれがいがあるわ」
(゚、゚トソン 「お世辞抜きで本当に美味しいです」
('、`*川 「ありがとう。……それで、部屋の方は何か問題はない? さすがにまだ入ったばっかだから、
不具合とかには気付かないだろうけど、何かあったら遠慮なく言ってね?」
渡りに船とはこのことでしょうか。極めて自然な流れで話を切り出しやすくしていただけました。
私は思い切って、ブーンの件を尋ねてみることにしました。
(゚、゚トソン 「それなんですが……、その、部屋にですね、何と言いますか、その白い……
生き物的なものがですね……」
('、`;川 「うぇ? ひょっとして猫かなんか紛れ込んでた? 窓開いてたりした?」
(゚、゚トソン 「い、いえ、猫ではないですし、窓も閉まってましたが……」
('、`;川 「アライグマ? 最近はこの辺にも出るとか聞いてたけど……、壁に穴とか──」
(゚、゚;トソン 「それも大丈夫でした。そういうのじゃなくですね、その──」
(゚、゚;トソン 「座敷童的なものがですね……」
('、` 川
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:20:22.20 ID:j1vMPmvL0
何やらペニサスさん、硬直されてますね。
仕方ないといえば仕方ない話ではあります。話してる本人も馬鹿らしいと感じるほどですから。
('、`;川 「……え? 何? 座敷? え?」
意外に復帰は早かったペニサスさんですが、明らかに混乱が見られます。
流石に簡単には理解してもらえる話だとはこちらも思ってはおりませんので、改めて順を追って要点を伝えます。
(゚、゚トソン 「座敷童は、私の印象なだけで、本人はブーンと名乗ってました」
(゚、゚トソン 「ものすごく都合のいい話、いや、悪い話なのかな? 見える人が稀らしいんですよ
本人(?)の言を借りればですけど」
なんでしょう、私事なのですが、明らかに電波な人の様相を呈して来ました。
何と言いますか、これは確実にアウトなのでは?
そう思って、ペニサスさんの顔色を伺うと、意外にも真剣な面持ちで続きを促されました。
(゚、゚トソン 「それでですね、本人(?)はほとんど何も覚えてないらしくてですね、
正直な話、どうするべきか判断付きかねましてですね……」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:21:17.79 ID:sgLQl6jZ0
支援!!
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:21:44.26 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「飼う──じゃなくて面倒を見るにしろ、追い出すにしろ、いや、追い出す場合はいいとして
管理人であるペニサスさんのご意見を伺いたい所存でありまして……」
そこで不意に、説明の間沈黙を保っていたペニサスさんが静かな口調で聞いてきました。
('、`*川 「……トソンちゃんは、どうしたい?」
(゚、゚トソン 「え? 私……ですか……?」
私の意見、私の考え、私の思い。
(-、-トソン 「難しい話ですよね……。仕送りで暮らす学生の1人暮らしの身でペット、ではないんですけど
そういった類のも育てる(?)事は困難だと思いますし……」
('、`*川 「……」
(-、-トソン 「犬とか猫とかならまだしも、得体の知れない生き物ですからね……」
(-、-トソン 「正直言って、関り合わない方が得策なんだとは思います……。でも……」
('、`*川 「でも……?」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:23:02.24 ID:j1vMPmvL0
(゚ー゚トソン 「悪い子ではないみたいなんですよね……」
私は、ダンボール箱につぶされ、涙目で謝るブーンの姿を思い出すと自然に笑顔になっていました。
そうですね、きっとそれが私の正直な気持ちなのでしょう。
結局はただ、許可を取りに来ただけだったのかもしれません。
('、`*川 「いいの? 女の子の1人暮らしの部屋にそんな得体の知れないもの入れちゃって?」
(゚、゚トソン 「害はなさそうで──とも言えませんが、主に物的に」
今現在も、私がいない間に段ボール箱が崩されていないとも限りません。
(゚、゚トソン 「ですが、なにやら困っている様子でしたので……」
自分の存在がよくわからないというのはどんな気持ちなのでしょうか?
(゚、゚トソン 「どうするかは本人に決めさせてあげたいんです」
ブーンはどうしたいのでしょうか?
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:24:02.62 ID:Gs8JeMI40
しええええええええええええええん
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:24:06.91 ID:j1vMPmvL0
('、`*川 「なるほどね」
ペニサスさんは、ほんの少しの間私を見つめた後、そう口にしました。
心なしか、先ほどまでの真剣さは薄れ、軽く微笑んでる様でもありました。
<カランカラーン
('、`*川 「いらっしゃいませー」
そろそろお客さんが増えてくる時間帯なのでしょうか。
先ほどから数回、ドアのベルが鳴る乾いた音を耳にしました。
そろそろ引き上げ時かもしれませんね。
(゚、゚トソン 「それでは、ペニサスさん、私はこの辺で失礼させていただきます。
コーヒー、ご馳走様でした。本当に美味しかったです」
そういって頭を下げる私にペニサスさんは、硬い硬い、と笑っていました。
(゚、゚トソン 「あの、例の件は──」
('、`*川 「トソンちゃんの好きにしていいわ。管理人権限で許可します」
支援!!
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:24:52.23 ID:j1vMPmvL0
最後に一応の言質、言い方は悪いですが、そういった確認も含めて、
再度ペニサスさんに聞こうとしたところ、指で作ったOKサインを即座に返されました。
なんとなく、ちょっといたずらっ子のような笑みが、ペニサスさんにはよく似合ってるなと感じました。
('、`*川 「……あれはね、多分“夢見”よ」
(゚、゚トソン 「え──? ゆめ……み?」
入り口のドアに手をかけた私に、ペニサスさんが声をかけました。
一瞬、何を言われたのかわからず、その言葉を自分でも口にしていました。
('、`*川 「あの子達はね、夢を見る存在。……そして夢を見せる存在よ」
ペニサスさんはそう言い終えると、ドアの方を指差しました。
ドアの向こう側には、入り辛そうな顔をした中年のおじさんが1人。
営業妨害になっている自分に気付いた私は、慌ててドアを開け、外に出ました。
店の中からペニサスさんの、また今度ね、という声が聞こえた気がしました……。
〜 第三話 おしまい 〜
− つづく −
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:25:33.90 ID:sgLQl6jZ0
まだまだああああああああ支援!
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:26:51.24 ID:NQg8re/K0
いいぞ いい感じだぞ
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:26:53.58 ID:j1vMPmvL0
〜 第四話 〜
(゚、゚トソン 「……」
再び階段を昇り、3階に戻ってきました。
事態は思ったより簡単に進んでしまった様に思えます。
ペニサスさんは確実に何かをご存知のようです。
引き返して、もう少し粘って話を聞きだすべきだったのかも知れませんが、
何となく、それははばかられる様な空気でした。
(-、-トソン 「夢見……ですか……」
夢を見る存在、そして、夢を見せる存在。
(゚、゚トソン 「意味がわかりませんよね……」
この言葉だけでは何とも言えません。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:27:44.05 ID:sgLQl6jZ0
も、もうダメだ 眠い
最後に
>>1 まとめていいですか?
朝までスレが残ってますように
(-、-トソン 「ブーンが言っていた、何かしら目的があった気がする、ということに関係があるのでしょうか……」
夢、イコール目的と置き換えて考えることも出来ます。
であれば、ブーンは何かしら夢を見ていて、それが何かしらの意味を持つ、ということでしょうか。
しかし、何かしら、という仮定ばかりで、具体が全く伴わない以上、今考えても意味がないように思えてきます。
そしてまた、不審者に見えかねない位置で立ち竦んでいる自分に気付くわけですが。
(゚、゚トソン 「部屋に戻りましょうかね……」
鍵を開け、部屋に入ると、出た時と変わらぬ位置で眠っているらしいブーンが見えました。
( −ω−)zzz
(゚、゚トソン 「これが夢を見る存在……、なのですかね」
眠っているブーンは、何か夢を見ているのでしょうか。
先ほどは、夢を目的と関連付けていましたが、語意的にはこちらの夢も有り得るわけですよね。
こちらの夢ならば、夢を見る存在、というのは割と簡単に納得できる言葉ではあります。
人間なら眠ってしまえば、その多くが夢を見ることが出来ると思われますから。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:31:10.64 ID:j1vMPmvL0
では、夢を見せる存在というのはどうでしょう?
ブーンが何かしらの力を持ち、眠っている私に夢を見せてくれるというなら、
それはそれで納得のいく話ではあります。
そのメカニズムや目的はさておきですが。
(゚、゚トソン 「……枕としてはありかもしれませんね」
丸まった状態で眠っているブーンを見ていると、ふとそんな考えが浮かんできました。
少し大きめですが、パッと見、色といい形といい、枕に見えなくもありません。
一旦、その考えに捕らわれてしまうと、どうにも試したい衝動に駆られてしまいます。
(゚、゚トソン 「まずは材質を……」
私は、音を立てないようにそっとブーンに近づき、しゃがみ込みます。
つんつんと、その腕をつついてみます。
(゚、゚トソン 「こ、これは……」
何とも心地よい手触りです。すべすべぷにぷに。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:32:22.50 ID:j1vMPmvL0
腕でこの柔らかさは反則です。
この分だとお腹とかはそれ以上に期待できそうです。
(゚、゚*トソン 「これは私が追い求めてきた理想の枕なのかもしれませんね……」
そおっとお腹を撫でてみます。
予想以上にしっとりもちもち、弾力性に富み、かなりの高評価です。
(゚、゚*トソン 「ほっぺもぷにぷに……」
( つω−) 「……んお?」
つい、夢中になりすぎて、触りすぎてしまったようです。
ちょっと失敗しました。
(゚、゚トソン 「ごめんなさい、起こしてしまいましたね」
(〃´ω`) 「……トソン?」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:36:01.38 ID:j1vMPmvL0
現状を把握し切れていないのか、寝ぼけた眼でしばらくぼーっとこちらを見た後、私の名前を口にしました。
その言葉が引き金になったのか、ブーンのぼんやりしてた顔が、ぱあっと明るくなります。
( ^ω^)ノ 「トソン、おいすー」
そしてまた、あの謎の挨拶(?)をしてきます。
(゚、゚トソン 「誰かがうちに帰ってきたときは、おいすーではなくて、おかえり、って言うものですよ」
( ^ω^) 「お?」
私がそう言うと、ブーンはちょっと考えた後、満面の笑顔で言います。
( ^ω^) 「おかえりー、トソン」
(゚ー゚トソン 「ただいま、ブーン」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:38:30.24 ID:j1vMPmvL0
ついでに、ただいまの意味も教えてあげると、おかえり、ただいま、と繰り返してはしゃぎ始めました。
なんでしょうね、この感覚は。
引越した矢先の珍客来訪です。1人暮らしの感慨に耽る間もありませんでした。
とは言え、もともと、1人でいるのには慣れた身です。きっとホームシックやらには無縁だったでしょう。
むしろ、こういった賑やかな空間の方が苦手かもしれません。
でも……こういうのも、悪くないかも知れませんね。ほんの少しですが、そう思えました。
(゚、゚トソン 「ブーン、あなたは夢見という言葉に聞き覚えはありませんか?」
私は、ペニサスさんから聞いた話をブーンに伝えることにします。
ただ、そのまま伝えても、多分この子には理解できないことが多いでしょうから、
色々と噛み砕く必要があるでしょうね。
( ^ω^) 「ゆめみ? わからんお!」
(゚、゚;トソン 「即答ですか……」
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:40:43.81 ID:j1vMPmvL0
それ程期待していたわけではありませんが、何かしら、記憶の覚醒の取っ掛かりぐらいにはなれば、
と、考えてはいたので、少々拍子抜けいたしました。
これがダメとなると、その中身を聞いても多分ダメなのでしょうね。
次に何を話すべきか決まらず思い悩んでいると、ブーンがバタバタと手を振り、
何かを言いだそうとしているのが目に入りました。
ヾ( ^ω^)ノシ 「そうだお! そうだお! 僕、思い出したことがあるんだお!」
(゚、゚トソン 「本当ですか?」
それは本当に幸いなことです。自分で思い出せるなら、それに越したことはありません。
( ^ω^) 「うんお、僕はなりたいものがあったんだお!」
(゚、゚トソン 「なりたいものですか。 それは何ですか?」
私がそう聞くと、ブーンはうんお、うんお、と何度も首を縦に振りながら興奮した様子で言いました。
( ^ω^) 「僕は人間になりたいんだお!」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:43:15.11 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「……」
( ^ω^) 「?」
ええ、わかってはいたつもりではありました。
その見た目から始まり、状況による分析、ペニサスさんのお話等、この子が人間ではないことを。
私としては、それをこの子がわかっていないのではと思っていたのですが、
どうやらその事は理解していたようです。
それならば、私はどういう風にブーンに接するべきなのでしょうか?
(゚、゚トソン 「人間になる、それがあなたの夢なのですね」
(;´ω`) 「おー……、それは違うんだお」
(゚、゚;トソン 「へ? 違うのですか?」
これでペニサスさんの仰られていた、夢を見る存在という言葉の意味がわかる事になるのかと
勝手に推察していただけに、ブーンの言葉は意外なものでした。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:45:06.48 ID:j1vMPmvL0
(;´ω`) 「えーと、確か、人間になるのはその夢をかなえるためだったんだお」
おぼろげな記憶を探るように考え込みながら、ブーンは言葉を続けました。
(゚、゚トソン 「人間になりたくてなるわけじゃない、と?」
(;´ω`) 「なりたくないわけじゃないお」
ブーンの説明は、多少曖昧なものでしたが、要約するとこういうことらしいです。
ブーンには夢があり、それをかなえるためには人間になればいいんじゃないかと、
その昔、ブーンのことがわかった人に言われたらしいです。
( ´ω`) 「でも、その夢がなんだったか思い出せないんだお……」
(゚、゚トソン 「目的を忘れて手段が残った……。何とも本末転倒なお話ですね」
そういうと、ブーンはしょんぼりとうつむいてしまいました。
本末転倒など、難しい言葉がわかったのか疑問だったので、その辺りを聞いてみると、
なんだかわかんないけど、ダメ出しされたのはわかったとの事です。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:46:52.04 ID:GIv0LNTsO
これは支援
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:47:09.03 ID:j1vMPmvL0
その点は気をつけないといけませんね。ブーンは感受性が強いようです。
私とは正反対ですね。難しい言葉も控える……のは私の性格上、
多分無理なので、なるべくその時に意味も一緒に教えてあげましょう。
まあ、それはそれとしても……。
(゚、゚トソン 「だいぶ遅くなりました。少しは片付けないと今夜寝るところもないですよ?」
ブーンのことも大事ですが、当面の生活環境の確保も急事です。
(゚、゚トソン 「そういえば、昨日からこの部屋にいるんですよね? どこで寝てたんですか?」
( ^ω^) 「ここだお。お日さまぬくぬくだお」
ブーンがいる辺りは、結構日が差すらしく、それなりに温度が保たれてた模様です。
そういう温度感知出来るところは、まるで猫みたいですね。
それにしても、まだ夜は寒いでしょう。その程度で寒さをしのげるとは思えませんが……。
(゚、゚トソン 「何となく、ブーンは暖かそうなイメージですしね」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:47:59.88 ID:j1vMPmvL0
私は立ち上がり、まずはダンボールを部屋の隅に寄せ始めました。
よく考えたら、搬入の時に置いてもらう位置も指示しておいた方がよかったのかもしれませんね。
ブーンはきょとんとしてこちらを眺めています。
もともと、手伝ってもらうつもりはありませんでしたが、ブーンの方から声をかけてきました。
(;´ω`) 「あの……」
(゚、゚トソン 「なんですか?」
私は、作業の手を止めずに答えます。素っ気無いどころか、少々強い口調に取れたのかもしれません。
ブーンはビクりと身体を震わせました。
私は、すぐに自分の失態に気付き、作業の手を止め、ブーンの方に向き直りました。
(;´ω`) 「その……」
(゚、゚トソン 「……」
(;´ω`) 「……トソンは、僕を追い出したりしないのかお?」
(゚、゚;トソン 「え?」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:49:04.26 ID:GIv0LNTsO
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:49:26.03 ID:j1vMPmvL0
ブーンのことがわかる人は稀にいたとの事でした。
ブーンに人間になる事を進めた人、この人が、ブーンの記憶に残っている最初の人らしいですが
その人以外にも、何人かはわかった人がいたらしいです。
でも、その最初の人以外はみんなブーンの事を気味悪がって追い出したそうです。
追い出した人の気持ちもわかりますので、その人たちを非難する気にはなりませんし、
ブーンもそれを恨んでるということではないようです。
ただ、追い出されたブーンの気持ちを考えると、心苦しいものがあります。
そうしてさまよってる内にここにたどり着いたらしいのですが、
そういったことは先ほどまで忘れてた模様です。
(;´ω`) 「……」
(゚、゚トソン 「……」
ブーンは震えています。もう、季節は春とはいえ、まだまだ外は寒いです。
このまま外に出たら、きっとブーンの震えは止まることはないのでしょうね。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:50:08.12 ID:GIv0LNTsO
しえん
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:50:11.60 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「ブーンは人間になりたいですか?」
(;´ω`) 「なりたいお」
(゚、゚トソン 「ブーンは夢をかなえたいですか?」
(;´ω`) 「それはわからないお。でも、僕の夢がなんだったかしりたいお」
(゚、゚トソン 「そうでしたね。そちらは思い出してからまた考えればいいでしょう」
( ´ω`) 「?」
(゚、゚トソン 「ブーンはどうしたいですか? ……ここに……いたいですか?」
( ´ω`) 「……いてもいいのかお?」
(゚、゚トソン 「私は、いたいかどうかを聞いているのです」
( ´ω`) 「いたいお……でも……」
(゚、゚トソン 「でも?」
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:50:46.34 ID:GIv0LNTsO
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:51:53.90 ID:j1vMPmvL0
( ´ω`) 「僕はここにいたいんじゃなくて、トソンといっしょにいたいんだお」
(゚、゚トソン 「……っ」
( ´ω`) 「トソンはすごくいい人だお。やさしいお」
(゚、゚トソン 「出会って間もない人間を、そう簡単に信じるのはあまりお勧めしませんよ」
それに、私は優しくもなければいい人でもないと思います。
極悪人というわけでもないですが、利己的の愛想無しなのは自覚するところです。
( ´ω`) 「……でも、僕はわかるお。トソンはいい人なんだお」
私は、ブーンは意外と頑固なんだな、と少々方向違いの感想を抱いたりしていました。
私は何をしているのでしょうね?
随分と前に答えは決まっているのに、これではブーンをいじめているようにしか見えません。
本人の意思確認は必要だと思っただけなのですけどね。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:52:33.75 ID:GIv0LNTsO
しえん
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:52:49.69 ID:j1vMPmvL0
(-、-トソン 「……まあ、これから世話になる家主に媚を売っておくのはある種必要なことでしょうね」
( ´ω`) 「お? やぬし? こび?」
(゚、゚トソン 「何でもありませんよ。冗談です。通じなかったようですが」
( ´ω`) 「?」
(゚、゚トソン 「とにかく、ブーンがいたいならいてください。困っているのでしょう?」
(゚、゚トソン 「人間は困っている時は助け合うものなんですよ。ブーンは人間になりたいのでしょう?」
(゚、゚トソン 「だったら、人間の流儀に倣ってください。あなたが出て行く理由が出来るまで」
(゚ー゚トソン 「その日まで、いっしょに、夢を探しましょう」
( ´ω`) 「……」
(〃^ω^) 「うんお!」
〜 第四話 おしまい 〜
− つづく −
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:53:56.82 ID:j1vMPmvL0
〜 (゚、゚トソンの日記 〜
こうして、私は奇妙な白い物体、ブーンと名乗る白い夢見といっしょに暮らすことになりました。
あの後は、とりあえず寝られる場所の確保と布団を引っ張り出し、
ついでにテーブル(というかコタツ)を設置し、簡単な食事を取りました。
新生活初日にカップ麺はどうかと思いましたが、外に買いに行く気力も土地勘もなく、
ブーンをおいて行くのも躊躇われたのでの選択です。
ブーンにカップ麺が食べられるか危惧しましたが、どうやら人間が食べるものは普通に摂取できるようです。
おいしいお、おいしいお、と頬張るブーンを見ると、これからの食費の不安を忘れかけましたが、
そのうちバイトでも探さなければならないかもしれませんね。
まあ、社会勉強という名目も有り、バイト自体はしたかったのでそれは別にかまわないのですが。
学校が始まって、生活に慣れたら探してみましょうかね。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:55:00.05 ID:j1vMPmvL0
しばらくの時間が経ち、改めて今日の事を考えると、私はやはり、普通の状態ではなかったのだなと思います。
ブーンの事を後悔しているわけではないのですが、私にしてはいつになく、アクティブな思考だったように思えます。
ひとえに、新生活の賜物だったのでしょうね。環境の変化、自身への影響、心の高揚、不安、その他様々な事柄。
そうでなければ、普段の私ならばっさりと切っている気がします。
ともあれ、これからブーンと暮らしていくわけですが、不安がないといえば嘘になります。
悪い子ではないとは言え、それは現在のまでの判断ですし、未知の存在である事に変わりはないのですから。
それでも、いっしょにいると決めたのは私であり、ブーンです。
だから、後悔はしませんし、かといってそれほど気負いもしないでしょう。
なんとなくで、なんとかなる。そんないい加減も、たまにはよいかもしれませんね。
初対面の人にそう思われるくらい、私は硬いらしいので……。
とりあえず、私が当面やるべきことは……
(゚、゚*トソン 「既に眠ってしまったブーン枕の使い心地を試すことでしょうか……」(*´ω`)zzz
− 第一章 春と私と白い夢 おしまい −
− 夢は次章へつづきます −
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:57:41.48 ID:GIv0LNTsO
乙
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 00:58:53.39 ID:j1vMPmvL0
以上、第一章というか第一話というかでした。
夜分遅くに支援どうもでした。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:00:54.27 ID:ZtFpFRTyO
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:12:58.70 ID:j1vMPmvL0
休憩おしまい
今日を逃すと次の機会が遠いので続きを……
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:13:57.00 ID:j1vMPmvL0
− 第二章 桜と私とコーヒーカップ −
〜 第一話 〜
こんにちは、都村トソンです。
あれから数日は、ほとんど片付けや新生活の準備に忙殺されていました。
明後日には大学の入学式です。それまでに大体の所の片付けが終わったのは幸いなことでした。
(゚、゚トソン 「こんなものでしょうね……。あと必要なのは──」
パタパタ
〃∩ /⌒ヽ ゴロゴロ
⊂⌒( ^ω^)
`ヽ_っ c
(゚、゚トソン 「ブーン、ごろごろしてないでそこをどいてください」
掃除の邪魔ですから。そういってブーンをどけようとします。
ブーンはごろごろと転がりながら部屋の隅に退避。器用なものです。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:15:27.16 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「……」
数日でブーンはここの生活に慣れたようです。
……と言うか、慣れ過ぎです。
基本的に、何も知らないのと、私が人に言う前自分でやってしまう性質なので、
ブーンには何もやらせてません。
今考えると、それがあまりよくなかったのかもしれませんね。
私も大概非力ですが、ブーンも似たようなものでした。
体格の問題もあるわけですから、それは仕方のないことなのでしょうが、荷物を運んだりは
ちょっと危なっかし過ぎました。
かといって、細かいものの整理は、知識のないブーンにはどうしていいかさっぱりでしょうから、
必然的に、私の片付け中は部屋の隅で邪魔にならないように、ということが暗黙の内に了解事項になりました。
部屋の隅に転がったブーンを見ると、スナック菓子の屑が身体についてたりします。
ブーンを転がせば部屋の汚れ具合がわかって便利かもしれません。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:17:17.13 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「まあ、もともと1人暮らしの予定だったわけですからね……」
これは自分の役割ですよね。多少、無理矢理に納得させることにしました。
( ^ω^) 「トソーン、おなかすいたお〜」
時刻はだいたい昼頃でしょうか、確かにお腹がすいてくる時間ではありますが……。
(゚、゚トソン 「ちょっと買い物に行きたいので、戻ってからでもいいですか?」
ヾ( >ω<)ノシ 「えー、おなかすいたお、おなかすいたおー」
(-、-トソン 「はあ……。冷蔵庫に朝のサンドイッチが少し入ってますので、
帰ってくるまでそれで持たせてください」
( ^ω^) 「サンイッチだおー!!! わかったおー!!!」
そう言うや否や、ブーンは冷蔵庫に走って行き、サンドイッチを取り出します。
何と言いいますか、本能のままですね。
別に私に養育の義務があるわけでもないのですから、こちらに迷惑が及ばない範囲なら、
本人の好きにさせておいてもいいと考えていましたが、この子が将来人間になれたときの事を
考えると、少しは色々と勉強させるべきなのでしょうか。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:19:33.28 ID:j1vMPmvL0
掃除をひとまず切り上げて、外出の準備をします。
今日はまだ少し肌寒いようです。コートを羽織っていきましょうか。
不備に気付いた日用品の買い出しがメインなので、さほど長い買い物にはならないと思われますが。
ブーンはというと、テーブルの前にちょこんと座ってテレビを見ています。
サンドイッチは既にありません。
テレビは私も見るのでどんなものかは理解し、割と気に入っているようです。
1人で鑑賞させると、変な知識がついたりして厄介な側面もありますが、現在、
記憶を探す以外する事のないブーンにとってはいい暇潰しなのでしょう。
(゚、゚トソン 「それじゃあ、いってきますね」
( ^ω^)ノシ「いってらっしゃいだお〜」
(゚、゚トソン 「……」
( ^ω^) 「お?」
やはり、先ほどのことが少し引っかかっています。
話すべきことは話して、自分で考える時間を持たせた方がいいのかもしれませんね。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:20:57.37 ID:U1v4NQc+O
元ネタは白いぬこか
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:21:52.35 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「ブーン、あなたは人間になりたいのですよね?」
( ^ω^) 「そうだお、なりたいお」
(゚、゚トソン 「どうしたら、人間になれると思いますか?」
(;^ω^) 「おー? わからんおー?」
(゚、゚トソン 「そうですね、私もわかりません」
(゚、゚トソン 「ですが、やれるべきことはあるはずです」
人間ならば誰でもが学ぶこと、生きるために必要なこと、礼儀や作法、人との付き合い方、
1つ1つ上げればキリがありませんが、少しずつでも、身に着けておくべきではないでしょうか。
(;´ω`) 「おー……。確かにそうだおねー」
(;´ω`) 「でも、何をすればいいかわからんおー……」
そうなんですよね。勢いで思い付きを口にしはしましたが、結局最初は1つ1つ私が付いて
教えてあげないとダメなのでしょう。
少し早まったかもしれません。ブーンに余計なプレッシャーを与えてしまったようです。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:22:29.58 ID:v7ty4WbeO
支援
他のキャラもでてくる?
(゚、゚;トソン 「それはおいおい考えて行きましょう」
(゚、゚トソン 「ひとまずは、普通に人間として暮らしていける程度の知識や生活力を身に付けることからですね」
(;´ω`) 「せいかつりょく?」
(゚、゚トソン 「掃除とか洗濯とか料理とか、私がいつもやっているようなことですよ。
部屋を綺麗にしたり、服を洗ったり、ご飯を作ったりです」
(;´ω`) 「そうじ? せんたく……?」
続きは帰ってからです。そう結び、私は部屋を出ました。
(-、-;トソン 「気を付けないと、どうも口調がきつくなってしまっていけませんね……」
私は、自分の失敗を1人ごちながら階段を降りました。
〜 第一話 おしまい 〜
− つづく −
〜 第二話 〜
(゚、゚トソン 「ふぅ……」
一通りのものは買い終えました。
引越しの直後は、意外なものを忘れてたりするものだと初めて知りました。
細かなものや、常に必要と言うほどでもないものが大半ですが、いざ必要になった時に不備に気付くのは
好ましいことではありません。
(゚、゚トソン 「思ったより時間がかかりましたね……」
ブーンがお腹をすかせて待っていることでしょう。早く帰りましょうか。
そう思い、帰路に付きました。
ζ(゚ー゚;ζ 「あれー? ここ、さっきも通ったよね? あれー?」
歩き始めた矢先、何とも素っ頓狂な声が聞こえてきます。
声の方を伺うと、声の主の若い娘さん──私も若いんですが、何やらキョロキョロしています。
端から見てると不審者ですね、ええ。手に紙らしきものを持っているところを見ると、
何となく察しは付きますが、関わり合う理由はありません。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:26:06.51 ID:j1vMPmvL0
うちにはお腹をすかせた子供が……などと思いながらスルーを決め込んだ所で目が合ってしまいました。
ζ(゚ー゚;ζ 「あ、あのー……すみません」
、(-、-トソン 「ハァ……なんでしょう」
ζ(゚ー゚;ζ 「ろ、露骨にため息吐かれた!?」
意外とよく見てますね。テンパってて気付かないかと思いましたが。
(゚、゚トソン 「どちらへ行きたいのですか? 残念ながら私は越してきて数日なのでたいした土地勘はありません」
ζ(゚o゚;ζ 「うぇ? ええ? 何で私が道を聞きたがってるとわかったんですか?」
若い娘さんは目に見えて狼狽しながら聞いてきます。
地図もってキョロキョロしてて、おまけに大音量であんな独り言を言ってるのを見れば猿でもわかります
……的な事を、オブラートに包んで言うと、若い娘さんは納得されたようでした。
(゚、゚トソン 「ちなみに、その地図上下逆さまですね。ちょっとお借りしますよ」
地図には目的地らしき地点に印が付けられていました。
現在地はおそらくこの辺りでしょうから、目的地は……あれ?
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:28:04.33 ID:GIv0LNTsO
再開してただと…支援支援
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:28:49.41 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「ここって……私が住んでいるマンションの近くですね」
ζ(゚ー゚*ζ 「そうなんですか? では、ホワイトVIP?というマンションは知りませんか?」
(-、-トソン 「……ひょっとして4階の方ですか?」
ζ(゚o゚;ζ 「はへ? 何で私の部屋が4階だとわかったんですか? もしや何か4階臭みたいなものが……」
(゚、゚;トソン 「よ、4階臭って……」
私が、管理人さん──ペニサスさんとの会話の事を説明すると、若い娘さんは納得がいったようでした。
ζ(゚ー゚*ζ 「そういう事でしたか……。ちょっとエスパーかと思っちゃいました」
そういって朗らかに笑う若い娘さん。いい加減、若い娘さんだとくどいので、名前を聞くことにします。
(゚、゚トソン 「3階に住んでいます、都村トソンです。よろしくお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、出嶺デレです。こちらこそよろしくです」
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:30:07.00 ID:GIv0LNTsO
支援
私達は連れ立って歩き始めました。
彼女、デレさんはずっと南の方の県から来たらしいです。
ペニサスさんが仰られてた通り、私と同じ大学で、偶然にも同じ学部とのことです。
ζ(゚ー゚*ζ 「それにしても助かったなー」
(゚、゚トソン 「デレさんは方向音痴なのですか?」
ζ(゚ー゚;ζ 「う、うん、そうなんだけど……、助かったていうのはそれだけじゃなくて、
引越しして知り合い全くいなかったから……」
ζ(^ー^*ζ 「トソンちゃんとお友達になれて嬉しいなーって」
(゚、゚トソン 「私は友達なのですか?」
ζ(゚o゚;ζ 「えぇぇ? 違うの? ……私と友達は嫌?」
嫌という訳ではなく、そんな簡単に私の様なよく知らない者を友達にしていいのか危惧していた
だけなのですが、その事を伝えるとデレさんは、
ζ(^ー^*ζ 「誰だって最初は知らない同士だよ」
そういってにこやかに微笑みました
92 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:37:22.76 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚トソン 「それでは、友達という事で、改めてよろしくお願いします、デレさん」
ζ(゚ー゚;ζ 「硬いなぁ……。それと、デレでいいよ」
硬い……、わかってはいましたが、やはりそういう印象を受け取られるのは避けがたい事のようですね。
もって生まれた性格なのですから、こればっかりはそう簡単にどうこう出来る物ではないと思いはしますが。
私達はマンションの話やこの辺りの話など、たわいもない話をしながら家路に向かいました。
ζ(゚ー゚*ζ 「あ、ここだここだ! 見覚えあるよ」
(゚、゚;トソン 「もう少し早く気付くべきだと思うのですが……」
デレがそういったのは、マンションがほぼ正面に見えた頃です。
この分だとまた確実に迷子になりそうですね。
ζ(゚ー゚:ζ 「その時は電話するね」
(゚、゚;トソン 「私が行けない時はどうするんですか」
道すがら、携帯のアドレス等は交換しました。
大学も、デレが入学式から遅刻しそうなので、一緒に行く約束をし、3階の階段のところでお別れしました。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:37:26.84 ID:GIv0LNTsO
しえん
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:38:28.65 ID:GIv0LNTsO
支援
95 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:39:27.60 ID:nPoOuXy0O
部屋に誘われましたが、まだ片付けが終わってないと言う話をして、今回は固辞させてもらいました。
もちろん、ブーンの件があるからですが、今後はどうしましょうかね。
いずれはデレを部屋に招待することもあるでしょうし……。
(゚、゚トソン 「話して……、デレなら信じそうですが、それでも……」
話していいものかは悩みどころです。
ひとまず、部屋に戻りましょう。ブーンが空腹で倒れてるかもしれません。
(゚、゚トソン 「……あれ?」
鍵の手ごたえが違う? これは……、鍵が開いていた?
私が閉め忘れたのでしょうか? それともブーンが外に? それとも──
私は最悪の可能性に思い当たり、慌ててドアを開けました。
〜 第二話 おしまい 〜
− つづく −
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:41:23.81 ID:GIv0LNTsO
しえん
97 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:41:57.67 ID:nPoOuXy0O
〜 第三話 〜
部屋に飛び込んだ私は、一見して部屋の様子の異質さに気付きました。
一言で言えば、荒らされた状態、服が散らかり、ゴミ箱が倒され、床に割れた食器も見えます。
(゚、゚;トソン 「ブーン!!!」
ブーンの姿が見当たりません。
私の頭の中に最悪の想像がちらつきます。
しかし、ブーンは見えないはず……でも、もし偶然見える人が──
(゚、゚;トソン 「ブーン! どこですか!? 返事をしてください!!!」
「……お」
(゚、゚;トソン 「ブーン! いるのですか!」
ブーンの姿が部屋の隅に見えました。よかった、無事みたいです。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:43:54.98 ID:GIv0LNTsO
支援
99 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:44:20.09 ID:nPoOuXy0O
(;´ω`) 「お……、おかえりなさいだお、トソン」
、(-、-;トソン 「ただいま、ブーン。ケガはないですか? 一体何が──」
(;´ω`) 「ご、ごめんなさいだお……」
私の安堵のため息とブーンの安否を心配する言葉は、ブーンの謝罪の言葉によって遮られました。
(゚、゚;トソン 「え……?」
どうしてブーンが謝るのでしょう? 部屋が荒らされ、ブーンは怖い思いをして……
(;´ω`) 「……」
謝罪の言葉と沈痛な面持ち、荒らされた部屋──私は、そこで1つの可能性に気付きました。
(゚、゚トソン 「……これは、ブーンがやったのですか?」
最初にした最悪の想像よりも最悪の想像かもしれません。
この想像が間違ってて欲しいと切に願いました。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:44:38.77 ID:evP4b5ia0
ブーンは猫くらいの大きさって感じかな?それとも普通の人くらい?
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:45:30.74 ID:GIv0LNTsO
しえん
(;´ω`) 「……そうだお、……ごめんなさいお」
(゚、゚トソン 「……」
言葉がありませんでした。私は、ブーンを信じてこの部屋においていたのに──
軽く、眩暈がしたような感覚に襲われ、私は視線を下に向けました。
そこで、ブーンの足元にある白い破片に気付きました。
これは──このスミレの柄は────
( 、 トソン 「……私の、コーヒーカップ」
私がつぶやくように言うと、ブーンはビクりと身体を震わせ、泣きながら謝ってきました。
私は、何の感慨も持たずにそこに立ち竦んでいました。
私自身を、別の私が観察してるようにどこか非現実的な光景が見えているような気がします。
(-、-トソン 「……部屋を片付けますから、外に出ててください」
( ;ω;) 「お? ぼ、僕も──」
(゚、゚トソン 「いいから、出ててください。……邪魔です」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:49:41.34 ID:GIv0LNTsO
おおう……
104 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:50:05.18 ID:nPoOuXy0O
ブーンは、何度も謝っていましたが、私の取り付く島もない様子に諦めたのか、大人しく部屋の外に出て行きました。
( 、 トソン 「……」
自分の部屋です。自分で片付けるしかないのです。
ブーンを1人で置いていたのも自分です。全部自分で決めたのです。
それでも……、この心にぽっかりと穴が空いたような感覚に押しつぶされそうです。
(-、-トソン 「……片付けましょう」
どの位放心していたのでしょうか? 私はなんとか自分を奮い立たせることに成功し、部屋を片付け始めます。
騙し騙しですが、それでも身体は動いてくれます。
(゚、゚トソン 「水がこぼれてますね……、雑巾は……あれ? あんなところに?」
見つけた雑巾は何やら水浸しです。こんなもので遊ばなくてもよさそうなのに、何をやってるのでしょう。
(゚、゚トソン 「掃除機を……と……?」
掃除機が定位置にありません。部屋を見回すと、掃除機も引っ張り出されています。
コードが絡まり、ひどい状態ですが、乗って遊んだりでもしたのでしょうか。
105 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:52:32.55 ID:nPoOuXy0O
その後も、こぼれた洗剤をふき取り、めちゃくちゃに折りたたまれた洋服を広げたりと、作業を続けます。
見た目よりは大した被害はなさそうなのはせめてもの救いです。
コーヒーカップ以外は。
(゚、゚トソン 「覆水は盆には返らぬものですが……ん?」
割れた破片を拾い集めていると、食器棚の異変に気付きました。生乾きの食器が、不規則に押し込められています。
(-、-トソン 「これもですかね……。何でこんな事を──」
この食器は、今朝使った食器です。無精にも、洗わずに流しに放り込んだままだった覚えがあります。
ですが、この食器は、一応洗われた様な跡があり、かすかに落とされてない洗剤の手触りがします。
(゚、゚トソン 「──!」
私は、そこで1つの可能性に思い当たりました。雑巾、掃除機、洗剤、服、食器──全てが繋がります。
そういうことだったのですね──
(゚、゚トソン 「掃除……ですか」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:52:58.77 ID:GIv0LNTsO
支援
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:54:16.29 ID:v7ty4WbeO
感動してきた支援
108 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:54:47.99 ID:nPoOuXy0O
この部屋の惨状は、おそらくブーンが掃除をしようとした結果ではないでしょうか。
ブーンが1人でやれば、いくら真面目にやったとしても、こういう結果は目に見えていたので、
手伝わせたりはしてなかったのですが、そのこと自体は多分正解でしたね。
でも何故急に、こんな事をしようと思ったのか──
(-、-トソン 「私……のせいですよね……」
私が出掛けに行った言葉、ブーンはそれを1人で考えた結果、こういう行動に行き当たったのでしょう。
一生懸命考えているブーンの姿は容易く思い浮かびます。
(-、-トソン 「……」
私は涙が出そうになりました。他でもない、自分の行いに。
ブーンを疑った、自分の浅ましさに。
(゚、゚;トソン 「──ブーン!」
部屋に入れてあげなければ。今日は少し寒いくらいの気温です。
ドアを開け、外に向かって声をかけますが、何の反応もありません。
(゚、゚;トソン 「ブーン……?」
109 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:56:17.66 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚;トソン 「いない……?」
ブーンの姿は見当たりません。一体どこに?
(゚、゚;トソン 「まさか──」
私は、先ほど自分がブーンに向けて言った言葉を反芻しました。
出て──
(゚、゚;トソン 「ブーン!!!」
私は慌てて外へ飛び出しました。
〜 第三話 おしまい 〜
− つづく −
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 01:56:52.45 ID:GIv0LNTsO
しえん
111 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:58:18.44 ID:j1vMPmvL0
〜 第四話 〜
(゚、゚;トソン 「ハァハァ……」
外に飛び出したのはいいのですが、ブーンがどこに行ったのか、全く当てがありません。
誰かにブーンを見かけなかったか聞こうにも、見えない、見えても普通ではない生き物として認識されます。
おまけに土地勘もないときたら、本当に手詰まりです。
(-、-;トソン 「ああ、もう……、考えなきゃ……! どうすれば? どこへ?」
一縷の望みをかけて、目撃情報を聞くしかないのでしょうか。
こんな( ^ω^)生き物を見なかったか、などと聞いて回ったら、私は確実に不審者ですが、
この際、背に腹は帰られないことです。
行き先は全く当てがありません。
あれからブーンは部屋から1度も出ていませんでした。
本人が特に出たがってたわけでもなかったのと、まだ出さない方がいいかもという私の判断でそうしていました。
112 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 01:59:58.13 ID:j1vMPmvL0
それがダメなら、ブーンが思い出した記憶の中に場所に関するものはなかったか思い返してみます。
しかし、それも皆無です。何か部屋らしいものにいたことと、そこからは空が見えたこと、
2人で暮らしていたことぐらいしか覚えていませんでした。
(-、-;トソン 「……どうしたら」
ようやく少し冷静になり、状況を分析した途端、私は体の力が一気に抜けたような感覚に襲われました。
実際、気付いたら道端の塀に寄り掛かっていました。
(-、-;トソン 「体力なさ過ぎですね……」
こんな時なのに、自分の不甲斐なさに笑えてきました。
乾いた笑い声が自分の耳に届きます。何をしているのかと、もう1人の自分が問いかけてくるようです。
色々な思いが渦巻き、その中には諦めや否定の思いも浮かび上がってきます。
それらを見る度、自分の矮小さに打ちのめされ、このまま諦めて忘れてしまおうかと全てを投げ出したくなります。
「…………?」
もともと、巻き込まれただけのようなものですから。傷口が小さい内に忘れてしまった方がいいのかもしれません。
「……ぶか?」
113 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:02:17.84 ID:j1vMPmvL0
ふとそこで、何かに気付きました。
先ほどから自分の声以外の何かが聞こえて……これは、私に向けて……?」
(゚、゚;トソン 「え?」
('A`) 「大丈夫か?」
/⊂)
.|人|
(゚、゚;トソン 「あ、え?」
そこには何かがいました。
一見、貧相な人間のようですが、スケールが少々小さく感じられます。
こういった感じの小汚いオッサンはいなくもないですから、そんなとこなのでしょうか?
('A`) 「ああ、やっぱ“わかる”人間らしいな。なんとなくそんな気はしたんだが……」
('A`) 「何があったかは知らんが大丈夫か? 救急車でも呼ぶか?」
(゚、゚;トソン 「い、いえ、お構いなく……」
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:02:29.15 ID:v7ty4WbeO
支援
115 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:04:14.20 ID:j1vMPmvL0
意外にも、小汚いオッサンは親切な人のようです。
そもそも、こちらの身を案じて声をかけてくださったのでしょうから──
(゚、゚;トソン 「い、今なんと? “わかる”って──」
('A`) 「ああ、知ってるんだろ? 俺らみたいな存在のこと? お前さんからは同族の匂いがプンプンする」
(゚、゚;トソン 「同族……? では、あなたも夢見なのですか?」
(;'A`) 「お、おい! どこでその名前を!?」
それまで、淡々としていた小汚いおじさんが、急に詰め寄ってきました。
夢見、その言葉を聞いた途端に。
(>、<;トソン 「キャッ!キモイ」
(;'A`) 「あ、スマン──って、え、キモ?」
私は思わず可愛らしい悲鳴(笑うところでしょうか)と本音を口にしていました。
小汚いおじさんは、自分の礼を失した態度に気付いたのでしょうか、すぐに距離を空けました。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:04:18.37 ID:GIv0LNTsO
オッサンてwwwww
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:04:40.03 ID:DW6yh54/O
ドクオktkr
支援する
118 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:05:49.71 ID:j1vMPmvL0
('A`) 「悪かったな……。だが、何でその名を知っている?」
(゚、゚トソン 「いえ、キモいのはしょうがないですから」
(;'A`) 「あー……、そっちじゃなくてだな……」
(゚、゚トソン 「マンションの管理人さんから聞きました」
キモい、キモいかー……と、なにやら打ちひしがれる小汚いおじさんを余所に、私は考えていました。
この方も夢見のようです。よくよく考えれば、ブーン1人なら夢見という名前も不自然だったんです。
ブーン1人が夢見なら、ブーンはブーンでいいわけですから。
ただそれは、ブーンが忘れていただけの可能性も否めませんが。
夢見が種族の名前なら、他にブーンと同じような生き物がいてもおかしくないはずだったんですよね。
しかし、この眼前の夢見(自称)は何と言うか……
(゚、゚ボソ 「小汚い……」
(;'A`) 「キモいだけに飽き足らず!」
119 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:07:23.93 ID:j1vMPmvL0
(;'A`) 「ま、まあ、いいや、お前さんが大丈夫ってんなら俺は行くぜ?」
(゚、゚トソン 「待ってください、小汚い夢見さん、あなたに聞きたいことが──」
('A`) 「あー、俺ドクオ、ドクオね。流石にそれだけ連呼されるとキツいから……」
(゚、゚トソン 「この辺であなたと同じ夢見を見ませんでしたか? 白い、丸い」
この、小汚いドクオさんならあるいはブーンの位置がわかるかもしれません。
わからなくても、見かけたらおそらくわかるのでしょう。どこかで見たかも知れません。
('A`) 「そいつを探してんのか? ……で、探してどうすんだ?」
(゚、゚トソン 「え?」
('A`) 「そいつ、泣きながら走ってったぜ? 理由はお前か?」
( 、 トソン 「ええ……」
そうですか……まだ泣いていたのですか。……ごめんなさい、ブーン。
私は、あなたをひどく傷付けてしまったのですね。
でも……
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:07:23.86 ID:DW6yh54/O
ドクオ可愛いなぁ…
支援
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:07:48.84 ID:U1v4NQc+O
ドクオ
122 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:08:37.83 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「そうですか、ではお見かけされたのですね? どちらへ行ったかお教え願いませんか?」
('A`) 「質問に答えてもらってねーぜ? 探してどうする?」
(゚、゚トソン 「誤解がありました。信じてあげられませんでした」
('A`) 「……」
(゚、゚トソン 「だから、謝りたいんです」
('A`) 「謝って、それで……?」
(-、-トソン 「……さあ?」
('A`) 「あ?」
謝って、それで私の気は済むかもしれませんが、ブーンはどうなのでしょう。
こんな私とは一緒にいられないと思うかも知れません。
それでも、ブーンに会って謝りたい。
部屋を滅茶苦茶にされた私は被害者の側面もあるのですが、それ以上に、
ブーンの心を傷付けた私は加害者です。
123 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:10:04.50 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「私は謝りたいんです。その後どうするかは、ブーンに決めてもらいます」
('A`) 「……」
(゚、゚トソン 「まあ、でも、あの子はちょっと優柔不断気味なとこがありますから──」
とは言え、私がブーンを探す理由は、謝りたいからだけじゃないんですよね。
まだ出会って間もないし、お互いわからないことだらけで、今日みたいに誤解して、ぶつかって
傷付け合うことだってあるでしょう。
(゚ー゚トソン 「グズグズ言うなら無理矢理連れ帰ってしまうかもしれません」
それでも、いっしょにいたいから。
私は、ブーンに会いに行くんです。
('A`) 「……はは」
(゚、゚トソン 「何かおかしいですか?」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:10:22.87 ID:GIv0LNTsO
しえん
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:10:28.72 ID:YQGC803UO
しえん
ブーンかわいい( ^ω^)
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:11:11.38 ID:U1v4NQc+O
昔ブーンでいま人間になってる人はびっくりするとさこつだけブーンに戻る
127 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:11:18.69 ID:j1vMPmvL0
('A`) 「いいや、おかしくないさ。ただ……」
(゚、゚トソン 「ただ?」
('A`) 「クールなお嬢さんに見えたが、意外に熱いレディだね」
(゚、゚トソン 「お嬢さんでもレディでもありませんよ。申し遅れましたが、都村トソンと申します」
('A`) 「はは、よろしく、トソンちゃん」
(゚、゚トソン 「はい、よろしくお願いします、小ぎ──ドクオさん」
(;'A`) 「小ぎ──? え?」
(゚、゚トソン 「そんなことより、ブーンはどこですか、コギオさん?」
(;'A`) 「ドクオね、ドクオ。それ、人に物を尋ねる態度なのか若干疑問だけど、あっちの方」
そういってドクオさんは北の方、坂の上の方を指しました。
('A`) 「この先の方に小ぢんまりした公園がある。俺の勘だと多分その辺りだろうな」
128 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:13:04.58 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「そうですか、ありがとうございます」
そういって、私は立ち上がり、そちらへ走り出そうとしました。
('A`) 「意外と道入り組んでるけど、向こうの桜並木を辿れば多分着けるよ」
(゚、゚トソン 「重ね重ねありがとうございます」
('A`) 「いいってことよ。──そいつを頼むな。あんたなら──」
(゚、゚トソン 「え?」
ドクオさんが何を言ったのかよく聞き取れなかったので、そう尋ねてみますと、
なんでもない、気にすんな、早く探してやれ、と流されました。
確かに早く探すべきなので、そこは甘んじて受け入れておきます。
変わりに、別れの挨拶とお礼代わりに、先ほどの件をきちんと補足しておきます。
(゚、゚トソン 「先ほどの夢見の件ですが、マンション・ホワイトVIPの管理人、
ペニサス伊藤さんからお聞きしました。お知り合いですか?」
ドクオさんは、無表情でただ、いや、知らない……ありがとうと言い、くるりと背を向け去っていきました。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:13:45.76 ID:v7ty4WbeO
ドックンタイム!支援!
130 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:14:06.54 ID:j1vMPmvL0
(゚、゚トソン 「急ぎましょう」
去り行くドクオさんの背中に軽く一礼をし、私は上り坂を走り出しました。
ドクオさんが言っていた桜並木はすぐにわかりました。
話の間に、少しは息も整えられていましたが、またすぐ息が上がります。
日頃の運動不足が大きく祟ってますね……。
私は、桜並木の下をひたすら公園を目指して走りました。
〜 第四話 おしまい 〜
− つづく −
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:14:12.18 ID:YQGC803UO
しえん( ^ω^)
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:14:12.43 ID:GIv0LNTsO
支援
133 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:15:04.89 ID:j1vMPmvL0
〜 第五話 〜
( 、 ;トソン 「こ……こ……です……か」
大学のあるVIP町は、小高い岡の上にあります。
必然的に、大学近辺のこの辺りは坂の多い地形になっています。
私が住んでいるホワイトVIPも同様ですね。
暮らし始めてみると、気候も穏やかで、それほど騒がしくもなく住むには良い場所だと感じましたが
難点がないわけでもありません。
その1つがこの……
( 、 ;トソン 「坂、多過ぎでしょ……」
公園の入り口にの石柱に倒れこむように掴まり立ちしている私。
もう1歩も動きたくないほど疲弊しています。
( 、 ;トソン 「……ブーンはどこでしょう」
しかし、疲弊はしていますが、私にはやることがあります。
(゚、゚トソン 「探さないと……」
その為に走ったのですから。
134 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:17:08.15 ID:j1vMPmvL0
公園は、ドクオさんの言葉通り、小ぢんまりした規模で、さほど広くありません。
それほど苦労なく、ブーンは探せそうですが……。
(゚、゚トソン 「本人が本気で隠れようと思ったら、あの小ささなら見つけられないかも……」
それ以前に、ここにいない可能性もあるのです。ドクオさんはこちらの方に、といっただけで、
それから時間も少々経っていますし、ブーンが移動していないとも限らないのですから。
(-、-トソン 「いけない、いけない……」
弱音を吐いてても仕方ありません。私に出来ることは、探すことだけなのですから。
(゚、゚トソン 「ブーン! ブーン! いませんか?」
(゚、゚トソン 「ブーン! 話したいことがあります。 出て来てもらえませんか?」
(゚、゚トソン 「ブーン!」
反応はありません。平日の午後の公園、大して人はいませんが、そのわずかな人達からは
奇異の目を向けられているのも感じます。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:19:19.84 ID:v7ty4WbeO
支援
掘られてませんように…
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:21:04.99 ID:GIv0LNTsO
支援
中には、親切な子供達から、おねーちゃん人探し? ペット? などと聞かれたので、
正直にブーンの容貌を話したところ、ちょっと怪訝な顔をされましたが、一応、見たままを答えてくれました。
何も見ていないと。
(゚、゚トソン 「ここにはいないのですかね……」
30分ほど園内をうろついたでしょうか、私は隅の方にあるベンチに座って小休止していました。
やはりいないのでしょうか? もう、別の場所に行ってしまったのかも。
それとも、私の前には姿を現したくないのでしょうか?
(゚、゚トソン 「ネガティブになってても仕方がないのはわかってますが……」
こんな事をしてるなら、もっと探すべきなのはわかってはいます。
でも、正直な所、心が折れそうで足が動きません。
私を拒絶して、姿を見せないのであれば、私は──
(゚、゚トソン 「どうすれば……」
私は、目を閉じ、伸びをするような感じでベンチに背中を大きく預けました。
世界を反転させれば、私が犯した罪も罪ではなくなるかもしれません。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:23:54.13 ID:GIv0LNTsO
しえん
139 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:25:12.47 ID:nPoOuXy0O
そんな馬鹿げた妄想で何も変わりはしないとわかってはいました。
ブーンはどこにいるのでしょう。もうここにはいないのでしょうか?
私はもういないブーンを探しているのでしょうか?
ブーンに出会ったこと自体、春の日の夢だったのでしょうか。
そんな取り留めない思いが浮かんでは消え、また浮かび、私は、不意に泣きたくなりました。
(-、-トソン 「……何やってんですか、私は」
でも、私は泣きません。私にはやることがあるから。ブーンを探さなければならないから。
ブーンに謝りたいから。
(-、-トソン 「……そんな場合じゃないですよね」
(゚、゚トソン 「よし、がんばってさが──」
/⌒ヽ
⊂(´ω`⊂⌒`つ
反転した世界に、泣き疲れて眠りこける白い夢がいました。
140 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:27:05.19 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚;トソン 「ブーン!?」
私は、ガバりとベンチから飛び上がるように立ち上がり、ブーンの方に走り寄りました。
ブーンは眠っているようです。頬に涙の後が見て取れます。
(-、-トソン 「ごめんね、ブーン……」
私は、ブーンを抱え、ベンチに戻りました。
ベンチに座り、ブーンを膝の上に乗せ、そのまま寝かせておきます。
ハンカチで涙を拭いてやり、優しく頭を撫でます。
相変わらずのすべすべぷにぷにの肌に、私もちょっと落ち着きました。
・・・・
・・・
(-、-トソン 「……ん」
どの位の時間が経ったのでしょう。気付けば空は茜色に染まっています。
一瞬、自分がどこで何をしてるのかを認識できませんでしたが、すぐに思い出しました。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:29:10.39 ID:GIv0LNTsO
支援
142 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:30:45.03 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚;トソン 「ブーン?」
( ´ω`) 「……お」
いつの間にか私は眠ってしまっていたようです。何とも無用心な話ではありますが。
膝の上にブーンがいないことに気付き、慌てましたが、ブーンは私の隣にちょこんと座っていました。
(゚、゚トソン 「良かった。いたのですね」
( ´ω`) 「どうして……」
(゚、゚トソン 「?」
( ´ω`) 「どうして、トソンがここにいるんだお?」
(゚、゚トソン 「ブーンが部屋の前にいなかったからじゃないですか」
( ´ω`) 「それは……、トソンが出てけって──」
(゚、゚トソン 「出て行け、じゃなくて、外に出て、です。掃除の邪魔でしょう? 何もしないでごろごろされてちゃ」
143 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:32:52.10 ID:nPoOuXy0O
( ´ω`) 「そうなのかお、ごめんお……」
(゚、゚トソン 「掃除ぐらいできるようにならなきゃいけませんね。だから、次からはいっしょに掃除しましょう」
( ´ω`) 「お? でも、僕、何もできないお……。じゃまにしかならないお」
(゚、゚トソン 「そりゃそうですよ。ブーンは掃除を知らないんですから」
( ´ω`) 「おー……」
(゚、゚トソン 「だから、いっしょに掃除しましょう。私が教えてあげます。誰だって、最初は何もできないものですよ」
(゚、゚トソン 「私だって、最初は何もできなかったんです。掃除も、洗濯も、料理もね」
( ´ω`) 「トソンもかお? でも、トソンはなんでもできるお」
(゚、゚トソン 「何でもはできません。私は特に、運動系は苦手で、体力はありませんしね」
( ´ω`) 「お、じゃ、じゃあ、僕が重いもの持ったりとか──」
(゚、゚トソン 「そうしていただけるとありがたいですが、ブーンもそんなに強くありませんよね」
( ´ω`) 「おー……、そうだおね」
144 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:35:11.95 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚トソン 「ブーンのその気持ちだけで十分ですよ。できることからやっていきましょう」
( ´ω`) 「でも、僕はトソンに迷惑──」
(-、-トソン 「ブーン……、ごめんなさい」
( ´ω`) 「お?」
(-、-トソン 「ブーンは人間になるために掃除をしようとしていたのですよね?」
( ´ω`) 「……うんお。掃除をすれば、人間に近づけて、それに……」
(゚、゚トソン 「それに?」
( ´ω`) 「掃除すれば、きっとトソンのお仕事が減って楽になると思ったお」
(-、-トソン 「……そうですか。気付かず怒ってしまって、本当にごめんなさい」
( ´ω`) 「トソンは悪くないお。僕が上手くできなくて、部屋を滅茶苦茶にしちゃって、それに……」
( ;ω;) 「トソンの大事なコーヒーカップも割っちゃったお」
(-、-トソン 「……ブーン? 確かに、あのコーヒーカップが割れてしまったのは残念です」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:35:12.16 ID:YQGC803UO
しえん( ^ω^)!
146 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:37:08.34 ID:nPoOuXy0O
(-、-トソン 「でも、形あるものはいつか壊れるのものなのです。それがたまたま今日だっただけ」
(゚、゚トソン 「私は、あのコーヒーカップをずっと大事に使いました。あのコーヒーカップが
胸を張って、自分が立派に役目を果たしたと言えるぐらいにはね」
(゚ー゚トソン 「だから、あのコーヒーカップには、ありがとうってお別れをして、
また新しいカップを買いに行きましょう。2人分のカップをね」
( ;ω;) 「トソーン、ごめんおー、ごめんおー」
(゚、゚トソン 「だから、謝らないでください。ブーンは悪くないんですよ?」
( ;ω;) 「コーヒーカップさん、ごめんお、ありがとうだお」
・・・・
・・・
ブーンが泣き止むまでしばらく、私達はベンチに座っていました。
もう、日はすっかり落ちてしまいました。
(゚、゚トソン 「ブーン、あの花は知っていますか?」
私は、そう言って一面に見られる桜を指差しました。
147 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:39:33.76 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚トソン 「あれは桜っていうんですよ。綺麗でしょう?」
( ;ω;) 「うんお、きれいだお」
(゚、゚トソン 「あの花もね、それほど長くは咲いていられないのですよ」
(゚、゚トソン 「散ればこそ、いとど桜はめでたけれ、そんな歌もあります」
(゚、゚トソン 「だからというわけではないですが、今度からは、何か壊したり失敗したら、
すぐに言ってくださいね。それは仕方のないことですから」
( ;ω;) 「うんお……」
(゚、゚トソン 「そう言えば、桜は“夢見草”という呼び方もあるのですよ」
(゚、゚トソン 「ブーンといっしょですね」
( ;ω;) 「僕といっしょかお?」
(゚、゚トソン 「でも、ブーンはすぐ消えちゃダメですよ?」
ブーンは私の話をあまりよくわかっていないようでした。
夢見という言葉も覚えていないぐらいなのですから、仕方がないのかもしれませんね。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:41:13.76 ID:GIv0LNTsO
イイハナシダナー
149 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:42:21.14 ID:nPoOuXy0O
(゚、゚トソン 「さあ、帰りましょう」
( つω;) 「トソン、僕は……いっしょに帰っていいのかお?」
(゚、゚トソン 「いいも何も、あの部屋があなたの家です。そうでしょ?」
( つω;) 「お……」
(゚、゚トソン 「それに──」
(゚ー゚トソン 「お腹、すいてるんじゃないですか?」
そう言って、私は微笑みながらブーンに手を差し出します。
(〃^ω^) 「うんお!」
ブーンは満面の笑顔で私の手を握り返してくれました。
〜 第五話 おしまい 〜
− つづく −
支援
∩ ∩
(´・ω・)
151 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:42:46.52 ID:j1vMPmvL0
〜 (゚、゚トソンの日記 〜
今日もいろいろなことがありました。
同じ大学に通う予定のデレとの出会い。
デレがペニサスさんの話にあった4階の住人だという偶然には驚かされました。
デレとは友達になりました。
正直に申せば、こうも簡単に友達になるという感覚がよくわかりませんが、デレは悪い子ではなさそう
なので、これはこれでいいのかもしれません。
まあ、今日はその後の出来事でデレのこととか全て吹き飛んでしまいはしましたが。
本当に、ブーンには申し訳ないことをしました。
私がつまらない事を言ったばかりに、ブーンにあんな行動を取らせる羽目になってしまいました。
ブーンには私が色々教えなければ等と言っておりますが、私自身がもっと成長しなければなりませんよね。
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:42:47.14 ID:GIv0LNTsO
支援支援
153 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:43:21.83 ID:j1vMPmvL0
そして小ぎ──じゃなくてドクオさん。
あの方も夢見らしいですが、ブーンよりは色々とご存知のようです。
あんな折でなければ、いろいろ聞きたいところではありました。
ブーンが見つかって本当に良かったです。
走り回ってた時は死ぬかと思いましたが。
明日にでも、コーヒーカップを買いに行きましょう。
今度はいっそのこと、ステンレスのマグカップとかにしておきましょうかね?
ブーンがちゃんとお片付けできるようになるまでは。
そしてもう1つ……
(-、-;トソン 「鍵の掛け忘れには注意ですね……」
− 第二章 桜と私とコーヒーカップ おしまい −
− 夢は次章へつづきます −
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:44:10.06 ID:v7ty4WbeO
支援
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:44:20.80 ID:GIv0LNTsO
乙乙
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 02:46:06.81 ID:YQGC803UO
しえん( ^ω^)
157 :
◆iW2kGg44LU :2008/10/27(月) 02:46:25.16 ID:j1vMPmvL0
以上でした。
深夜に長々とすみません。支援にはマジで感謝です。
それでもサルる俺様マジックorz
続きは追々。
現在のデスマーチが引けたら……
どうもでした。
乙!!
次も期待してるぜ!!
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 03:03:56.55 ID:aXdP/QeaO
デスマーチって何?
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 03:16:10.02 ID:q8YQal0e0
乙
他に何書いてる人?
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 03:29:05.36 ID:nPoOuXy0O
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 03:48:50.43 ID:q8YQal0e0
おお、どっちも知ってる!
期待してます
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 03:51:52.70 ID:g4OHbEmm0
乙
デスマ族に平穏があらんことを
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 05:50:14.38 ID:ByXuRwqkO
よむ
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 07:01:20.81 ID:CsTtjewd0
ほ
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 07:54:01.08 ID:ZtFpFRTyO
保守
ほ
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 10:53:56.55 ID:ZBw8AvED0
ほっ
よむほ
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/10/27(月) 14:37:52.69 ID:ZtFpFRTyO
ほ
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
よむほ