文才がないのに気づく事が、小説を書く第一歩です

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府)
ここは筆力のある人・ない人がお題をもらって自由に小説を書き、それぞれの筆力を向上させるスレです
※※※お題をもらわないでの小説投下はスレの主旨と違いますのでご遠慮下さい※※※

各まとめ入口:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/
まとめwikiコラム:http://www.bnsk.sakura.ne.jp/wiki/index.php?%A5%B3%A5%E9%A5%E0
初心者の方は上記のまとめwikiコラムの他、掲示板を一度ご覧下さい。
小説を書く際の禁則やテクニック等が具体例付で説明されています

(三行テンプレート)
1:お題をもらう(安価より「↓」を推奨)
2:もらったお題に沿った作品を書いて、完成させる。
3:「投下します」と宣言し、作品投下。メール欄は無記入、名前欄には「もらったお題」を表記する。タイトルは無くても可。

・1レスは30行、4096バイトまで、一行は全角128文字まで(読みやすさの為に50〜60文字推奨)
・書きながらの投下は禁止
・お題をもらっていない作品はたとえ投下されてもまとめサイトには掲載されません

詳細は>>2-3辺りをご覧下さい
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/13(土) 18:56:50.21 ID:3U6AywpU0
まずはお題をもらいましょう。基本的に過疎スレなので↓でもらうと良いです
→人のお題を使って書くのもありです。作品がたくさん投下されればスレも盛り上がります

▽投下の際の注意点
・投下宣言は「投下してもいいですか?」ではなく「投下します」。投下宣言が被らない限り、許可はいりません
・投下する人は最後に「終」「完」「了」など、投下完了の合図をお願いします
・名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』 (例:『BNSK(お題:文才) 1/5』)を書いて下さい
・まとめる際にコピペがしづらいので、メール欄は空にして投下してください。
・作品を投下する際は、テキストエディタで仕上げてから、完成品をまとめて投下して下さい

▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい

▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・落ちた場合は立てられる人が新スレを立てて下さい。人がいる時間を目安に

▽その他
・通常作品でもトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/13(土) 18:57:22.20 ID:3U6AywpU0
▲週末品評会
毎週木曜日の夜〜土曜日の午前中に、お題が出されます
作品は土曜日の0:00から日曜日の23:30までの間に投稿してください
その後それぞれに評価をして頂き、月曜日の0:00から火曜日の24:00まで投票を受け付けます

▽作品投稿
・ジャンルは自由、時間を過ぎての投稿も選考外ではありますがまとめサイトに掲載します
・スムーズな流れを保つため、メモ帳等の機能を使って全部書き終わってから投下するようにお願いします
・優勝時の本人確認のため、週末品評会参加者は出来れば酉を付けて下さい(酉は名前欄に#と自由な文字列)
→毎回同じコテや酉で出続けると周囲にわかりやすいです
・作品のタイトルは現在レス数/総レス数、酉を除いて、全角二十文字以内にしてください。

▽締め切り間際の作品投稿について
週末品評会では、投下締切時間の間際に集中的に投下が起こります。
それを無管理で放っておくと大変な事になるので、23時から「予約」という形を取り、運営の指示に従って順番に投下してもらいます。
予約締切は23:30で、以降は時間外の扱いになります

▽投票
・本スレへの書き込みでお願いします(複数選択可)
・ぜひ書き手の方も他の人への感想や投票を行って下さい
・簡単でよいので、感想、批評等書いて下さい。書き手の次への糧になります!
・投票は投票用テンプレを使うか、【投票】と書いて書き込んで下さい

▽優勝者特権
・投票で一番支持を得た作品の作者の方には、次回品評会のお題決定権が与えられます
・投票数が同数の場合は、気になった作品の投票数の差で決定します
・お題の発表時間は優勝者に一任されますが、遅くても土曜日の午前中には提示して下さい
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/13(土) 18:57:53.78 ID:3U6AywpU0
582 :◆pxtUOeh2oI :2008/09/10(水) 00:39:27.78 ID:8vhRVFSw0
ただひたすらに蝶をを追いかけて、山の頂上まで行ってしまうような少年を、
こう呼ぶべきだろう……

【 第128回週末品評会 】

       お題:『天才』

                  by 読売新聞のコラムで紹介されてた外国の偉い人
レス制限:絶対に五レス以内
禁則事項:「天才」という漢字の単語を使用禁止とする。天とか才とか分かれてればOK
投稿期間: 2008/09/13(土) 00:00〜2008/09/14(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外になります。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※
投票期間: 2008/09/15(月) 00:00〜2008/09/16(火) 24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/13(土) 19:11:10.26 ID:3U6AywpU0
俺乙
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/13(土) 19:16:23.19 ID:amSVfiBa0
乙乙
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/13(土) 19:21:35.92 ID:IpyQNaqVO
なんかおつ
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(奈良県):2008/09/13(土) 19:24:51.73 ID:pPBe5lJs0
よく分からんが乙
「てんさい」とか「テンサイ」なら大丈夫みたいだな
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/13(土) 19:58:55.73 ID:C9hjLtzs0
今回は、どうしても浮かばなかったしスルーだわ、がんばれ
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/13(土) 20:16:05.37 ID:NdCoxwFl0
てんさいもうむりうぼあー
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 20:23:48.41 ID:tAsFe+oo0
お題
鼻炎、三面鏡、コールタール
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 20:31:44.31 ID:DliUZKxQ0
お題……ください
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 20:36:38.16 ID:tAsFe+oo0
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 20:39:01.72 ID:DliUZKxQ0
>>14
把握。コール……タール……?ググるか……。
投下今日中無理かもしれないけど、そのときはごめんなさい。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(中国・四国):2008/09/13(土) 21:01:56.75 ID:VGJRofPtO
文才溢れる私に誰かお題を下さい
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(宮城県):2008/09/13(土) 21:02:56.94 ID:nNRn11Po0
>>16
表面張力
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/13(土) 21:11:24.35 ID:mriDNBsgO
>>16
結婚
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 21:13:07.93 ID:tAsFe+oo0
>>16
フロッピーディスク
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(新潟県):2008/09/13(土) 21:30:45.82 ID:ufUJsn4N0
お代下さい
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(長屋):2008/09/13(土) 21:32:46.10 ID:DsvpRCOY0
ババロワ
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 21:37:42.13 ID:tAsFe+oo0
3980円
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/13(土) 21:38:26.23 ID:RMSJW18wO
>>20
電池

俺、帰ったら品評会作品書くんだ…
>>20
曇り
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/13(土) 21:50:13.83 ID:RX5tOnEP0
お題お願いします
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 21:50:43.04 ID:DliUZKxQ0
アイス
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 21:59:48.19 ID:tAsFe+oo0
>>25
CCDカメラ
前スレでお題募集したら見る前に落ちちゃったので↓
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 22:01:41.41 ID:tAsFe+oo0
>>28
コンタクトレンズ、シャンプーハット、ストレートティ
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/13(土) 22:36:42.43 ID:sLNPf3Hz0
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/13(土) 22:40:06.15 ID:/YEnbFXx0

   こ   .鳥   効   こ.   食    鳥   鳥        ___   i
   の   類   率    の   べ   類   類      | ___ / | ヽ す
   砂   は   よ   器.   た   に   の.       ノ.| ! ┘/
   肝   砂.   く   官    エ   は   胃     ´ |__! _/  な
   に   や   す   で    サ    歯    に
   た   小   り.   す    .は   が   あ      ┌┐‐┬‐ ぎ
    め   石   つ   り         無   る.        ├┤__.|__
   て   を.   ぶ    つ        .い   器       ├┤ .!   も
   お  .食    .す   ぶ        の   官       ' .┘ .!
   く    べ   た.    さ          で
        て    め   れ
                る            ー。<
                            ,'´ ,,.ヽ
                        ....,,,,___i''´ ・ >
                        ! 、ー‐-    !
                        ゙、ヽ     ノ
                         ゛'' 'ェ-ェ"´
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/13(土) 22:52:41.09 ID:cnhqnvnfO
今週の品評会は過疎りそう
おもしろい話あるかな
お題の言葉使っちゃいけないし
すごく頑張るしかないのか
がんばれみんな





2行目から斜め読み
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(長屋):2008/09/13(土) 22:54:31.92 ID:DsvpRCOY0
神話
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/13(土) 22:57:01.39 ID:cnhqnvnfO
>>33
把握
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(長屋):2008/09/13(土) 23:09:27.75 ID:DsvpRCOY0
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:11:30.50 ID:DliUZKxQ0
投下しちゃうぞ!
37鼻炎、三面鏡、コールタール 1/9(福岡県):2008/09/13(土) 23:13:51.49 ID:DliUZKxQ0
 私が目を覚ますと、空があった。
何かのみ間違えだろうと思い、目を擦ると、手に砂がついている事に気付いた。
そう言えば、なんだか波の音が聞こえる気がしてならない。

「…………え?」

はっきりと目が覚め、一気に体を起こしてみる。
服の背中から、砂が音を立てずに落ちていった。

眼前には、白い浜、青い海。
向いた方向の空には太陽は無く、代わりに申し訳程度の雲が浮かんでいる。

「これは、一体どうした事だろう」
訳が分からない私は、暫くぼうっとしたままその場で佇んでしまっていた。
しかし、本当に困った。

「まぁ、考えても仕方がない、とりあえず今の状況をまとめてみよう」
うん、そうしよう、そうしよう。
思い立ったがなんとやら、とりあえず私は昨日から今日に書けての出来事をまとめてみる事にした。

まず、昨日。
たしか、仕事が終わり、そのまま家に直行した後、シャワーを浴びた。
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:16:15.33 ID:DliUZKxQ0
「それから?」
それから……そう、たしか読みかけの本を一冊読んでしまい、そのまま電気を消して、寝た。
「それで?」
それで……朝、いや、昼かもしれないが、目を覚ました。
「次に?」
次に……今に至る、と。

ん? 待てよ?
今、私に囁きかけているのは、誰の声だ?
ふと疑問に思った私は、後ろを振り返る。

「やあ」
気軽に返事をするその声の主は、まだ十代であろう少年であった。
右手を上げ、こちらに微笑みかけている。

「やあ、こんにちは。おはようございますかも」
「一般的にはおはようの時間だね」
「なぜ、そんな事が分かるんだい?」
「その左手の時計は何のためにあるんだい?」

少年に指摘されて、初めて私はその左手に付いている時計の存在に気付いた。

「こりゃ失礼。全く、年は取りたくないものだね」
「まだ二十四と若いのに、何を言ってるのか」
「ははは、それでも君くらいの年が羨ましいよ。そう言えば、何故私の年が分かったんだい?」
「僕が、君の鏡だから」

私は少年が言っている言葉の意味が分からず、少年に聞き返す。
39鼻炎、三面鏡、コールタール 3/10 ←訂正(福岡県):2008/09/13(土) 23:18:51.27 ID:DliUZKxQ0
「どういう意味だい?」
「そのままの意味さ。僕は、君の心の一部」

やはり、意味が分からない。
この少年にこの事について聞くのは無駄だと悟った私は、別のことを聞いてみる。

「私は、どうしてここにいるのだろう?」
「君がここにいると言う事は、誰にも証明できない。勿論、僕も」
「……質問が悪かったね。哲学的な意味ではなく、一般的な意味で頼むよ」
「その場合も一緒だけど、あえて言うならば、君が望んだから」

やはり、意味が分からない。
私が望んだから? ならば、何故私自身がここにいるか分からないのか。
……まぁ、いいだろう。

「じゃあ、私はこれからどうしたらいい?」
「それは君自身が考えればいい。ここは君の島なのだから」
「なら、こうした方がいい、と言う事はないかな」
「ふむ……そうだね、どうせ時間は有り余っているし、まずはあっちを目指してみればいい」

そう言って、少年は海とは逆の方向を指差す。
その先には、新緑で彩られた森があった。

「森に、何の蓄えも無しに行けというのかい?」
「安心してほしい。あの先には、小さな洞窟がある。そこで、君はもう一つの君に会うだろう」

もう一つの私? 一体、何なのだろうか。
それに、洞窟とは。何故、彼はそのことを知っているのだろう。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:20:24.66 ID:DliUZKxQ0
その洞窟の入り口は、少年の言ったとおり、浜からとても近い所にあった。
入り口は鉄らしきもので支えられ、中は暗く、地面は木で申し訳程度に舗装され、しかし周りには木々が立ち並んでいる。

森の木々の葉の隙間から通り抜ける光が、その暗闇を僅かに照らしている。
その光の中には、遠目から見ても分かるくらいに、埃が舞っていた。
正直、鼻炎の私には辛い。

だが、ここで愚図愚図していても仕方がない。
私は覚悟を決め、その暗闇へ入り込んだ。

その中は、外から見たほど暗くは無く、しかし明るいとも言えず、例えるなら、半月の夜のような感じであった。
天井の舗装は入り口とはうって変わり、木になっていた。
地面には、線路のように木の板が並ぶ。

私は、特に深くも考えず、その木の板にそって歩いていく。
ずっと、ずっと。
いつの間にか、頭が下を向くくらいに、ずっと。

ふと顔を上げると、目の前には私と同じくらいの年の、金髪で短髪で、ピアスをつけている男がいた。
身長も、わたしと同じくらいだ。

「やあ、俺」

男は、私に向かって話しかける。
ポケットに手を突っ込んだままで、とても失礼な奴だと思いつつ、私は返事をする。
41鼻炎、三面鏡、コールタール 5/10(福岡県):2008/09/13(土) 23:23:42.25 ID:DliUZKxQ0
「やあ、こんにちは。君は、なんでここにいるだい?」
「お前がいるから」

さっきの少年のような答え方をする男だ。話し方は違うが。
先程の少年に尋ねたように、質問を変えてみる。

「私は、ここからどうすすめばいいと思う?」
「お前が思うとおりに行けばいい」
「こうした方がいい、という事は?」
「お前は自分が思うことさえ分からないのか?」

ふむ。少々乱雑なやつだ。
見かけからも、そう思う。
君は、もう少し話し方を丁寧にした方がいい。
私がそう言おうと思った刹那、男が口を開く。

「まあ、俺はお前だからな。お前の心としては、このまま先を目指せばいい。」
「その先には、何があるんだい?」
「大きな茎。その茎の先に、大きな葉っぱがある。そこに、君がいる。善意の、君が」

やはり意味が分からない。
だが、浜であった少年の事もあり、男を信じてみようと思った。
42鼻炎、三面鏡、コールタール 6/10(福岡県):2008/09/13(土) 23:26:55.15 ID:DliUZKxQ0
「僕は、これからどうしようか迷っているんだ」
「君は此処でゆっくりするのもいい。浜に戻るのもいい。島で暮らすのもいい。先に進むのもいい」
「ここではお腹は減らないし、ほしいものは手に入る。選ぶのは、君しだい」
「リスクはないのかい?」
「ある。君が欲望を膨らませ、実現するほど、俺が大きくなり、君が会うであろう少年が小さくなる」
「例えば、君が疎ましく思っている課長を自由に殺せるし、誰とでもセックスだって何だってできる」

なるほど。少年が男を悪意の僕と言った意味が何となく理解できた。
そこで、ふと浮かんできた疑問を尋ねてみる。

「少年と君は、どこまで大きさが変わるんだい?」
「少年は0にならないし、それに近付く。0.1mmになったとしても、その次は0.01mmになるだけ」
「君は?」
「最大、俺と少年の身長を合わせた数未満まで」
「少年が小さくなると、どうなるの?」
「それは、お前自身が分かっているはずだ。今までのも、そうだけど」

……この男と少年は、自分自身が私だと言いたいのだろうか。
いや、待て。この島は、一体何なのだ?

「なぁ、ここは一体どこなんだい?」
「ここは、お前の心。中立の君、卑怯な君から教えてもらわなかったのかい?」

……やはり、意味が分からない。
話しても仕方がないと思った私は男に別れを告げ、先に進む事にした。

「いいや、知らないな。私は先に行くよ。それじゃあ、さようなら」
「本当に行くのか? お前の頑張りが足りないがためにひどい仕打ちをうけるかもしれないのに?」
「それでも、行くよ」
「そうか、それなら何も言わない。さようなら」
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/13(土) 23:29:28.32 ID:C9hjLtzs0
今回品評会参加作品少なそうだなぁ
44鼻炎、三面鏡、コールタール 7/10(福岡県):2008/09/13(土) 23:29:38.67 ID:DliUZKxQ0
私は男に別れを告げ、その横を通り進んでいく。
今気付いたが、埃がぜんぜん舞っていない。
やはり、この島は意味が分からない。

ほんの数百メートルほど歩いたところで、天井から光が差し込んでいた。
その穴には、緑色の太い蔦が見える。
近付いてみてみると、とても上りやすいようになっていた。
私は戸惑い無くその蔦に足を、手をかけ、上っていく。

……何メートル上ったのだろうか、高所恐怖症の私は下を見ずにただ上っていく。
そして、遂に葉っぱが見えた。正直手は限界だ。
ペースを落とさず、しかし早めずに上っていく。
後一歩だ。
私は最後の力を込め、その蔦を持とうとした。
しかし、その手が蔦をつかむ事は無かった。

蔦が、消えた。
僅か上方に、笑顔で手を振っている私がいた。

落下していく私。
必然的に地面を向くが、百メートルは上っていたようだ。
地上は遥か遠く感じられ、空気抵抗が痛い。
薄く開いた目からは、島の青と白と緑のグラデーションが見える。
頭の中に、私の声が響いてくる。

「こんにちは、僕。そしてさようなら」

何故。
何故私はこうなるのか。
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/13(土) 23:30:27.95 ID:amSVfiBa0
さるさる
46鼻炎、三面鏡、コールタール 8/10(福岡県):2008/09/13(土) 23:31:47.79 ID:DliUZKxQ0
「覚えてないの? 君は自分で死にたいと思っていたのに?」

自分で死にたい……?
急いで頭の中からその記憶を取り出す。

「思い出した? 上司からの過酷な扱いに嫌になった君は、自殺しようと思って睡眠薬をたくさん飲んだ」

そうだ。
私は睡眠薬を飲んだ。軽く致死量を超えていたように思う。

「うん。死にたいと思ったんだ。そして、君の善意である僕は、君の願いをかなえるために、落としたんだ」

なるほど。
そう思った時、すでに地上はあと二十メートルほどまで迫っていた。

生きたい。
私は、生きたい。
生きたい生きたい生きたい。
生きたいんだ。私は!

「あの過酷な日々に戻っても?」

そうだ。
私は、生きたい!

「……それは、残念」

私の声が頭の中で何度も反響する。
そして、私の視界は土色で満たされた。
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/13(土) 23:32:44.14 ID:C9hjLtzs0
さるーーーー
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:34:30.64 ID:DliUZKxQ0
3と4の間です。張り忘れました……orz

「もう一つの私とは、何なんだい? それに、何で洞窟があると分かるんだい?」
「言っただろう。後者から説明すると、君がこの島を作ったのだから、もう一つの君である僕が知っていてもおかしくはないだろう?」
「それから前者だけど、そうだね……もっと詳しく説明すると、今の状況は、君は三面鏡の前に座っている、そんな状況と言う感じかな」

うん、意味がわからない。
この少年に聞いても、埒が明かないと悟った私は、とりあえずその洞窟を目指す事にした。

「ありがとう。私は、その洞窟を目指す事にするよ」
「気をつけて、悪意の君は、すごく暴力的だから。それは身体的ではなく、精神的な暴力」
「なんだか良く分からないけど、行ってみるよ。ありがとう、君は優しいね」
「何だって、君だもの」
「やはり、良く分からない」

ははは、と笑い会う私と少年。
一頻り笑い終えたところで、私は少年に別れを告げる。

「さようなら、優しい少年」
「さようなら、優しい僕」

私は海と浜と、その少年に手を振り、森へ入っていく。
不意に少年が気になり、後ろを振り返ってみたが、少年の姿は既に無かった。
全く、不思議な存在だ。そう思いながら、私は道無き道を進んでいく。
49鼻炎、三面鏡、コールタール 10/10(福岡県):2008/09/13(土) 23:35:12.06 ID:DliUZKxQ0
ビクっと体が震える。驚き目を見開く。

「……なんだ、夢か」

よかった。本当に良かった。
……やばい。今の時間は何時だろう。
そう思って時計を見るが、まだ時間は余裕であった。

変な夢を見た。
嫌な夢だった。
睡眠薬を飲んだからだろうか。

しかし、いい夢だった。
男の声が、今でも頭に残る。

怒られるのは、過酷に扱われるのは、私の努力が足りないからではないのか?
最初は頑張っていたが、だんだんだらしなくなっていってはなかったか?
思い始めると、そう感じる。

ありがとう、悪意。君のおかげで目が覚めたよ。

コールタールによって防腐された、年代を感じさせる箪笥を開ける。
それから、いつも着ていくスーツに腕を通す。
今日から、心機一転、がんばろうと思う。

朝ごはんを食べ、玄関のドアを開けると、空には申し訳程度に雲が浮かんでいた。

50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:39:38.76 ID:DliUZKxQ0
終わりです。週末品評会会ってる中スレ汚し失礼しました。
できれば批評等貰えたらな、と思います。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/13(土) 23:40:30.44 ID:C9hjLtzs0
今回の品評会参加作品は10と予想
きっとみんな作りこんでるだけさ
カオスになればいっぱいくるさ……
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/13(土) 23:57:15.67 ID:amSVfiBa0
>>50
読んだ。感想ほぼ箇条書きですが
とりあえず改行
5→6の間が不自然だったので、もしかして中に別のが入る?
一番気になったのが、お題が全部小道具的な消化方法だった事
本文にとりあえずいれて、はい成立。だとお題もらう意味無いんじゃないかな
かろうじて三面鏡くらいなら分かる。残り2つも最低これくらいの存在感をもたせて欲しかった
内容は、ありがちだった。自殺未遂の人間の精神世界、っていうのを普通に料理した感じ
それだけにオチも特に衝撃がなく、なんとも言いがたい
登場人物たちのやりとりが難解で、それを無理やりつきつけられる。距離感がつかめない
主人公が読者に近い立ち位置にいる事でそれを軽減していたが、残念ながら共感できる部分が無かった
ていうか夢落ちはないな!?

じゃ通常作投下します
54特殊(お題:椅子)1/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/13(土) 23:58:17.32 ID:amSVfiBa0
 中学生、小林マサツグには特殊能力があった。それは、人を椅子にする能力。
 朝、マサツグが家を出ると、隣の家に住む同級生の友達を早速椅子にする。方法は単純で、マサツグが心の
中で「椅子になってください!」と念じるだけで、その人物は椅子になる。友達の両手が前にピンと伸びて硬
直し、そこにマサツグが座る。椅子になった当人は、椅子になっているという自覚は無く、ただ一緒に学校に
通っている物だと思い込んでいる。だが、マサツグが座って楽してる分、友達の負担は大きい。
「マサツグ、今日は月曜だから朝礼があるぞ」
 友達がマサツグにそう言うと、マサツグは友達に座りながら答える。
「ああ、でもすぐ終わるさ」
 学校に近づくほど人通りも増えるが、誰1人として、マサツグが人の上に座っているという奇妙な認識を持
ってはいなかった。見た目は座ってはいるが、中の良い2人の高校生が一緒に登校している、くらいにしか思
われていなかったからだ。これも、マサツグの特殊能力のなせる現象だった。
 学校に着き、マサツグが友達という椅子から下りると、今度は普通の椅子に座った。マサツグは、1人の時
以外大抵人を椅子にして行きたい所に行く。面倒くさがりな性格だったし、他人を椅子として利用する事に何
の躊躇もしていなかった。
「ふう、登校するのって疲れるな」
 という友達の言葉に、
「学校に来るのが嫌なんじゃないか?」
 すかさず誤魔化すマサツグ。朝礼の時間がやってきて、校庭に出るのも他人に座りながらだ。
 朝礼が始まるや否や、マサツグは校長に念を飛ばした。椅子になってください、といういつもの奴だ。
 校長の手が友達と同じように真っ直ぐと伸びると、マサツグが前に出て行った。誰もその光景に違和感を抱
く事は無く、止める者もいない。マサツグは校長の椅子にどっかりと腰を落とし、上から全校生徒を見渡した。
気分が良い、とマサツグは思わなかった。
「えー、それでは朝礼を終わります」
 マサツグがそう言うと、早速朝礼は解散になった。始まってからものの5分も経っていない。マサツグが言
った言葉に嘘は無かった。マサツグの人を椅子にする特殊能力には続きがあり、それは人の「役割」をそのま
ま代われる事だった。朝礼の場合、「校長の役割」をマサツグがそのまま受け継いで、その権限によって朝礼
を終わりにさせたのだ。他人がこの異常現象をどういう風に解釈しているかというと、まず「校長」がおり、
それとは別に「校長と同じ役割を持ったマサツグ」がいるという事になる。校長自身の意識が無くなる訳では
ないが、校長はあくまでも椅子なので、マサツグには決して逆らえない。
55特殊(お題:椅子)2/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/13(土) 23:59:13.00 ID:amSVfiBa0
 マサツグは常時この調子で、授業も全て自習にしている。この学校に、マサツグに座られていない先生はほ
ぼいなかった。それでは勉強が出来ず、受験の時に困るかといえばそうでもなく、マサツグ自身は試験官に座
れるから安全だった。そもそも、マサツグがそうしようと思えば、明日にでも総理大臣の椅子に座れるのだ。
マサツグは間違いなく、一般人とは遠くかけ離れた人生を生きる人間の1人だった。
 しかし、そんな自由自在な人生を謳歌するマサツグにも、3つの悩みがあった。1つ目は、マサツグの特殊
能力が効かない人間が存在する事。大体、30人クラスに3、4人ほど、割合にして1割程度、マサツグが何
度念じても効かない人間がいる。それは男女、やってる部活動、性格などではいまいち判断がつかず、なぜ効
かないのかの原因もマサツグには分からなかった。
 2つ目の悩みは、恋の悩みだった。その、特殊能力の効かない人間の中に、マサツグが密かに恋心を寄せる
人物がいた。名前を千葉啓子と言い、まず見た目が抜群に良かった。人懐っこそうな笑顔と、清く正しい昔な
がらの女性と言った風情にマサツグはやられてしまっていた。
 最初は啓子の友人に座り、「友人」という役割を利用して話をしていた。しかし、そのままでは永遠に、
「友人」の役割を借りている人間であり、恋人には発展できない。いつか勇気を出して、自分の足で立って告
白しなければならない。それがマサツグの悩みだった。
 3つ目の悩み。それは前の2つよりも漠然とした物だ。これだけ何でも出来る人生に恵まれながらも、マサ
ツグ自身はそれをあまり満足には感じていなかったのだ。神通力を持ちながらにして、それが既にマサツグに
とっての平凡となっていた。大した刺激もなく、これからどうあがいても順風満帆な人生になれると考えると、
マサツグはなんだかやりきれない気持ちになった。
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/13(土) 23:59:41.35 ID:DliUZKxQ0
>>53
なるほど。お題は……どうやって消化しようかと悩んだのですが、関連性が思い浮かばなかった。
もっと考えるべきでしたね。
共感性か。他色々未熟でしたね。出直してきます。
さるー
57特殊(お題:椅子)3/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/14(日) 00:00:28.90 ID:OorUwy8b0
 十年後、マサツグが無事に千葉啓子との挙式を終えた日の事だ。その日、中学生だった頃のマサツグの
悩みは、一気に全て解決する事となった。マサツグが千葉啓子に何度も何度もアタックし、ようやく迎えた新
婚初夜。それまでマサツグと千葉啓子は関係を持つ事なく、純潔を守ってきた。マサツグの特殊能力をうまく
使えば、事は出来ただろうが、マサツグはそれをしなかった。マサツグは自分自身を、心の底から好きになっ
てもらいたかったからだ。
 ベッドでは千葉啓子が待っている。マサツグは流行る気持ちを抑えながら寝室に入った。
「さあ、そこに四つんばいになりなさい」
 その台詞を言った千葉啓子は、普段はおしとやかで清楚なイメージの千葉啓子とは全くの別人だった。そし
てマサツグがもっと驚いたのは、言われるがまま、四つんばいになった自分の事だ。鞭で叩かれ、ロウソクで
炙られ、激しい仕置きを受ければ受ける程、マサツグの人生を言葉で表せない何かが満たしていった。
 真性のドMは、時折人をSに目覚めさせるという。マサツグの場合、それがSではなく椅子だった。そして
元からSの人間に、マサツグの特殊能力は通じなかったのだ。中学生の自分を囲っていた、言い様の無い虚無
感は、満たされないドMの性だったのかもしれない。千葉啓子の椅子にされながら、マサツグはそう思うのだ
った。

58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 00:03:04.24 ID:OorUwy8b0
>>56
お題3つもらったら、無理に全部入れるよりも分けて使った方が良いんじゃないか
お題消化に関して文句を言ったのと軽く矛盾するが
お題にこだわるよりもまず面白いと思えるのを書くのがベストだと思う
文章は改行以外読みやすかったので、今度はお題を1つにしぼって書いてみたらどうだろうか
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/14(日) 00:06:03.13 ID:yRjhDUOw0
>>58
お題を一つにつき一話、と言った感じでしょうか。
その発想はありませんでした。なるほど。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/14(日) 00:07:57.62 ID:UgDQlvCu0
ID:DliUZKxQ0
ありがとう

だけどすっげー読みにくいねw
まぁ舞台が夢だから、丁度いいのかも知れない。
でも、設定だけにもうちょっち風景描写多いほうが分かりやすい希ガス。
あんまり想像つかんかったかな。
申し訳程度に入ってるお題ワロタw
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 00:10:01.79 ID:k/TaZsY70
>>57
乙一の『神の声』を思い出した。
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/14(日) 00:11:08.64 ID:yRjhDUOw0
>>60
なるほど、風景描写ですか。最初にぱぱっとやっちゃったので、いいかなぁと思ったんですが、足りなかったかな。
でも正直、これ以上うまく書ける気がしない……。あ、でも設定なだけに多い方がいいですね。あかんぞ俺。
お題は、うん、今度主題にできるように工夫したいと思います、はい。
>>57
読もうかなと思ったんだが、諦めた

>友達の両手が前にピンと伸びて硬直し、そこにマサツグが座る。椅子になった当人は、椅子になっているという自覚は無く、
>ただ一緒に学校に通っている物だと思い込んでいる。だが、マサツグが座って楽してる分、
>友達の負担は大きい。

ここで絵が浮かばなかった。これは友達が前を向いてるとしたら、
主人公は横を見てるということだろうか。
それと
>学校に近づくほど人通りも増えるが
ここを見るまで、椅子人間が歩いてるということもわからなかった。
というか、ここを見て、もう一回最初から見て、少しさきを見て、やっと歩いてるのだなとわかった。
椅子というとその場で固まって動かない印象があるから、動くのなら動くとわかりやすく書いてあるほうがいいと思った。
「友達がマサツグを腕に乗せたまま、学校に向かって歩く。」みたいに書くとかで
まあ、俺の読解力の問題もあるけど。
大して読んでないのに、変な感想でごめん
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/14(日) 00:19:30.15 ID:UgDQlvCu0
ID:OorUwy8b0

おもしれ。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 00:20:08.47 ID:eVz03uRI0
投下します
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/14(日) 00:21:08.55 ID:yRjhDUOw0
結婚初夜にSMプレイは同化と思いましたがおもしろいなぁ
67美味しいパピコを食べる方法(お題:アイス)1/3(埼玉県):2008/09/14(日) 00:21:33.42 ID:eVz03uRI0

夏休みといえば、クーラーのついた部屋で毛布にくるまりつつがっつりアイス!
……ってのが俺の夏休みの定番で。
補習は引っかかったことないし、部活なんていままではいったことはなかったから学校にいく必要もなかったし、とりたてて仲のいない友達がいたわけでもないから遊びに誘われることもなかったし、あっても断ったし。
別に俺がハブられてるとかそういうわけじゃないぞ。
立ち回りは我ながらうまいと思ってる。先生達の評価もよくて、成績もいい。孤立してるわけでもなく、かといって一つのグループに固執してるわけでもない。
よくありがちな優等生タイプって奴ですよ。
そうやってりゃ変なトラブルにも巻き込まれないですむって思ってた。ここが重要。思ってた。
まさかこれがネックになるなんて思いもしなかったさ!
68美味しいパピコを食べる方法(お題:アイス)2/3(埼玉県):2008/09/14(日) 00:24:40.63 ID:eVz03uRI0

クーラーと仲良しだった中学を卒業し、高校二年になって。
俺は今、太陽を背に坂を駆け上がっていた。早く、早くしないと手元のコレが溶ける!
俺は今パシられている。
高校一年の冬まで平穏無事だった俺の生活。
だが、上手く立ち回ってた結果、気がついたら選挙にだされ、気がついたら会計として生徒会にいれられていた。上手く立ち回ったからこその展開だ。
まぁ生徒会の面子は悪いやつじゃないんだ、俺みたいな空気感で「うまく立ち回ってます」って奴が多くて、俺のことも放っておいてくれるいいやつらだしな。
ただ、副会長の吉沢だけは違った。
いつだって明るく元気で、ちょっとアホで、生徒会メンバーの約一名をパシらせたりおちょくって遊んでいる。俺だけど。
そんな吉沢が俺はちょっと、いや激しく苦手だった。


夏休み、電話で呼び出され会議なら仕方ないと向かった生徒会室。待っていたのは吉沢一人だった。吉沢はにっこりと笑うと「まだみんなきてないよ」と言って、それから「パピコ買ってきてよ」と言ったのだ。
だから坂を下りて、ファミマでパピコ買って、坂を駆け上がり。
今まさに「サライ」を背に受け生徒会室にゴールッ!まぁ、迎えてくれるのは感動に咽び泣くみなさんじゃなくて、唯の吉沢さんなんですけどね。
でも、クーラーは嬉しい。汗を書いた背中がすぅっと冷えて、よいここちよいここち。
癒されながら「はい」と吉沢さんにレジ袋を渡した。
69美味しいパピコを食べる方法(お題:アイス)3/3(埼玉県):2008/09/14(日) 00:26:23.55 ID:eVz03uRI0

アイスを受け取った吉沢さんは、机に座ったまま足をぶらぶらとさせていた。

「お、さんきゅー。えっといくらだっけ?」
「覚えてない。」
「んじゃ、200円わたしとく。余った分はお駄賃ねー」

100円未満に満たないお駄賃だなんて、俺の労力は随分と安いもんだ。
まったくもって、ほんとにコイツは、苦手。苦手すぎる。

「んじゃ、はい。」

パキン、とパピコを二つに割る音。片方が俺の目の前に差し出された。

「あげる。食べよ。」
「……」
「運動した後のアイスは格別だからね!おいしいよ!」

誰が運動させたと思ってるんだ。

俺は吉沢にパシられていて。
でも、何か弱みを握られているわけじゃなくて。
素直にパシられる理由なんて、何一つないのに。なのに。
――なのに、パシられているのは。

「ね、おいしいでしょ?」

吉沢がにっこりと優しく、ちょっとアホっぽく笑うから、喉から胃へと滑り落ちるパピコはいつもよりずっと美味しく感じた。
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 00:26:55.54 ID:eVz03uRI0
一か所失敗した……。
拙いものですが、何か感想批判頂けると嬉しいです。
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 00:27:24.52 ID:OorUwy8b0
投下直後ですまない、バイト行く前に出来るだけ感想返し

>>61
乙一。読んだ事が無い
確かジャンプのノベライズ書いてる人だよね? 前にジャンプの広告で見た
分かった。今度BOOKOFFで見かけたら読むよ

>>63
>友達がマサツグを腕に乗せたまま、学校に向かって歩く。
これはまずい、これだと友達の主観になる
MなのにS的な状況に陥っている主人公、というのがオチにかかっているので
「友達がマサツグを乗せる」という表現は選択肢になかった
確か前に、「機嫌が傾くと街のビルが傾く」っていう話を書いた時に
「絵が浮かばなかった」という同じ意見を言われてた気がする
絵が思い浮かばない。これは確かに問題だな
無茶な話は結構書く頻度高いので、ウルトラC的なテクニックが欲しい所だが
地道な描写で頑張るしかない所なのかもしれない
参考になった。途中までとはいえ感想ありがとう

>>64,65
困ったらダジャレ。これ最強
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 00:29:51.98 ID:ECtR9vZ4O
お題をくれ
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 00:30:12.18 ID:eVz03uRI0
>>72
レーザー光線
>>71
町が傾く作品に、まったく同じことを言った覚えがある
それ、たぶん俺だw
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 00:33:09.60 ID:OorUwy8b0
>>74
おお、すごい偶然だな
それじゃ良い機会なんで、いつもいつも感想をありがとうと改めてお礼を言っとく
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 00:34:04.91 ID:OorUwy8b0
すまん、お題くれ
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 00:36:25.52 ID:QxR19siBO
>>76
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 00:36:49.56 ID:OorUwy8b0
>>77
承知
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 00:38:31.18 ID:k/TaZsY70
>>71
ごめん。『神の言葉』だった。
文庫本の「ZOO 2」に載ってるから
暇があったら見てみるといいかも
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 01:00:13.36 ID:uzF3JBwF0
Z一
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 01:03:49.23 ID:pctFXj550
>>71
乙一の文字が出ちゃ首を突っ込まずにいられない

暗め、残酷系が好きならば
黒乙一側
『GOTH』、『ZOO』のZOO、『暗黒童話』
感動、切ない系がいいなら
白乙一側
『暗いところで待ち合わせ』
『失はれる物語』を全体的に

白黒両面を併せ持ってるのが『ZOO』
残酷だったりギャグちっくだったり色々入ってる

とりあえず『ZOO』、『失はれる物語』を読んでみることをおすすめする

コミカライズもされているものが多い
GOTHは面白かったなあ。先が読める感がしないでもないが
>>82
映画化はやっぱ頓挫なんかねえ
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(広島県):2008/09/14(日) 01:16:35.30 ID:VatJZmhj0
乙一のひねくれた性格のおかげでたいがいの小説の伏線に気がつくようになった
>>83
漫画は笑ったけどな
86『離さない』 0/4  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:22:21.11 ID:SxepwjvF0
品評会投下しますね
87『離さない』 1/4  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:22:54.69 ID:SxepwjvF0
 今目の前でパフェを頼む女性。俺の彼女だ。
 彼女は可愛くて、俺にはもったいない。
 最近そう考える時間が増えてきた気がする。
 彼女はお嬢様だ。本物の箱入り娘。
 この歳になるまで自分ひとりで外に出ることもなかったようだし、食事をするときは必ず
横に使用人が立っていたらしい。小中学校も公立などには入学せず、もちろん私立。しかも
その教育過程すらも親が金を積み、卒業させた。つまり学校には行ったことがない。
 別に彼女の頭が悪いわけじゃない。
 むしろ彼女の才能は、俺なんかが足元に及ばないほどすばらしいものだ。
 その振る舞いは当たり前。
 琴を持たせれば三日で弾きこなし。
 花を活けさせれば見る者全てを魅了するものを創る。
 それに彼女は驚くほど美しかった。
 どう表現すればいいのか俺には分からないが、彼女の美しさは群を抜いていた。お人形。
絹のような肌。美人。才女。などなど。
 そんな言葉では彼女を表現することは出来ない。
 まさに神様がちょっとした好奇心で作り上げたとしか言いようがないほどの存在。
 それが、俺の彼女。
 さっきも言ったけれど、彼女は間違いなく神様の好奇心――というかイタズラ心満載で作
り出された。
 そう、彼女には問題――彼女の家族に言わせれば大きな欠点がある。
 それは、おしとやかでないことだ。
88『離さない』 2/4  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:23:18.68 ID:SxepwjvF0
 いや、誤解のないように言っておくけど、先ほど言った通り彼女の振る舞いや作法は完璧
だ。それは彼女の親も認めている。でも、それはやれば出来るという意味であり、普段から
そうだというわけではない。
 おしとやかでないと言えば聞こえはいいが、簡単に言えばわがままということだ。
 本物の箱入り娘ゆえに、遠慮という言葉をしらない。それに何かにすぐ抱きつく癖がある。
 現に今、彼女は二つ目のパフェを自分と同い歳ぐらいの店員に頼んだ。
 何か物を買うのに金が必要だということをまだ理解していない。何度も説明しているけど、
理解してくれない。だから俺が金を払っている間にどこかへふらふらと行ってしまうことが
よくある。最初の頃は困っていたけど、いつも後をつけている使用人が数人いることがわか
ってからは、俺も大して気にしてはいない。ほら、今だって誰かに抱きつきそうになった彼
女を使用人が必死で止めにかかってる。
 言い忘れたけど、彼女は俺と出会うまで自分の父親以外の男性をしらなかった。深読みは
しないで欲しい。そのままの意味だ。やたら広い家の家事を全てこなすのも、後部座席の窓
全てにスモークをかけた車を運転するのも全て女性。つまり、彼女の家には彼女の父親以外
の男性は存在しないという意味だ。
 俺は彼女とのはじめての出会いを忘れることが出来ない。
 さっきも言ったけど、彼女の抱きつき癖はひどい。可愛いものを見ると抱いてしばらくの
間は離さない。仕舞いには「これ家に持って帰る!」などと言いだす。これが物だったらい
いものだが、人だとすごく困る。これを離させるのは至難の技だ。まずその人に説明し、場
合によっては破格の金を払いその場に留まってもらう。そしてその間に使用人がその人以上
に彼女が気に入りそうなものを探し、それを彼女の前に差し出す。そして彼女がそれに抱き
ついている間に、抱きつかれていた人に逃げてもらう。まぁ、こんなところだ。説明だけ聞
くと簡単なように思えるかもしれないが、実際彼女の気に入るものを見つけるのには数時間
かかることもある。
89『離さない』 3/4  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:24:11.08 ID:SxepwjvF0
 でも、彼女がこの方法でも離そうとしなかったものが一つだけある。
 話が少し逸れるが、俺は一度だけ不法侵入をしたことがある。
 バイト帰りのことだった。
 俺がバイトで得た給料を封筒から財布へと移している時、ありえないくらい強い風が吹い
た。その風は俺が持っていた札を一枚だけ奪い去ると、塀の向こうへと投げ入れた。
 俺は少しの間迷ったが、その塀をよじ登ることにした。一人の福沢諭吉が俺の生活を大き
く左右することをよくわかっていたし、入ってもし見つかっても、明確な理由があるので許
してもらえる。そんな気がしていた。
 運動神経はそこまで悪くない、建物の中へ入り込むのは容易なことだった。
 塀の内側は雑誌やテレビでしか見たことないような庭で、広く、そして細かいところまで
手が行き届いていることが人目で分かるほど、綺麗なものだった。
 俺の諭吉は縁側のすぐそばに落ちていた。俺はすぐさま諭吉を拾い上げ、今来た塀を登ろ
うと足に力を入れた。
 その時、俺の体を何物かが捉えた。俺は瞬間的にやばいと感じて、そのままそいつをしょ
ったまま塀の上に跳んだ。
 俺に抱きついたものは思った以上に軽く、ほのかに桜の実の香りがした。そして、そいつ
は俺に抱きついたままこう言った。
「わたし、これ欲しい!!」
 塀の外に出た俺は彼女を引き離して逃げようと思ったのだが、彼女はその細い体の何処か
ら出てくるか分からないほどの力で俺を離そうとしない。
 俺が何とかして彼女を体から引き離しそうになったときには、俺の周りを十数人の使用人
が囲んでいた。使用人は仕方なく俺を彼女と家まで持って帰ると、先ほど説明したいつもの
手段で引き離そうとした。
 が、ここからが問題だった。彼女は俺を離そうとしなかった。彼女の使用人がどれだけか
わいらしい彼女好みのものを持って来ても、彼女は首を縦に振らない。無理に彼女を俺から
引き離そうとすると、父親に言ってやると脅しにかかり、使用人達は困った顔で俺達を見守
るしかなかった。
90『離さない』 4/4  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:24:35.63 ID:SxepwjvF0
 しばらくすると彼女の両親が帰ってきた。
 この様子を見た父親は使用人から詳しい話を聞くと、難しい顔をして彼女の説得にかかっ
た。
 そして彼女と父親の話し合いが始まった。母親はそばで微笑んで見ているだけだった。
 長い話し合いの結果、折れたのは父親のほうだった。
 彼女の父親は俺の方を見ると「申し訳ないが、娘を頼む」と言って部屋を出て行ってしま
った。残された彼女の母親は何の問題もないかのように俺を受け入れた。こういう日がいつ
かは来るだろうと覚悟をしていたらしい。
 これは後から彼女の父親から聞いた話だが、彼女の可愛いもの好きは母親譲りで、しかも
好きなものの傾向も同じらしい。だから俺が彼女に気に入られるということは、自然と母親
にも好かれるということになると。

 俺は使用人を困らせている彼女の元へ行くと、彼女の手を握った。
 俺は今でも迷うことがある。俺が彼女の将来の婿でいいのだろうかと。
 彼女ならもっと素敵な人が見つかるのではないのだろうか、と。
 そんな時、俺は決まって今みたいに彼女の手を握る。
 俺の手を握り返すときの彼女のうれしそうな顔を見ると、間違いじゃないと信じることが
出来るから。
 結局俺も、彼女のことが好きだから。


【えんど】
91『離さない』  ◆h1izAZqUXM (静岡県):2008/09/14(日) 01:25:18.96 ID:SxepwjvF0
以上です。
お題もくれると嬉しいです
以下いつものBNSK↓
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 01:26:55.49 ID:wIFrzJMm0

じゃお題はママレードで
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/14(日) 01:27:06.89 ID:dVpEC53q0
佳作
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/14(日) 01:27:55.65 ID:SxepwjvF0
>>92-93
把握〜
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 01:31:43.33 ID:wIFrzJMm0
ところで自分の書いた文章って見返すのが恥ずかしいっていうか
恥ずかしくて見返したくないくらいなんだが、みんなそうなの?
もちろん書いてるときは本気で書いてるんだが。
俺は逆だ
自分で書いた奴は、もろに自分向きにできてるから、面白くたまに読み返してる
恥ずかしいのはありえないミスをしちゃったのが残ってるときぐらいかな
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 01:36:24.13 ID:eVz03uRI0
自分は恥ずかしいな。
さっき投下したのがもう恥ずかしい。
てかむしろ書いたときから恥ずかしい
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 01:38:56.11 ID:MB8yTten0
お題ください
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 01:40:38.52 ID:wIFrzJMm0
恥じらい
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 01:42:33.21 ID:MB8yTten0
把握
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(九州):2008/09/14(日) 01:43:17.82 ID:91MBM80EO
お題くれ
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 01:44:27.54 ID:wIFrzJMm0
ママの味
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(九州):2008/09/14(日) 01:49:22.95 ID:91MBM80EO
了解
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/14(日) 02:28:06.34 ID:UgDQlvCu0
お題
茶髪
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 02:41:37.34 ID:MB8yTten0
通常作品投下します
107お題:恥じらい 1/1(dion軍):2008/09/14(日) 02:42:19.06 ID:MB8yTten0
 午後のまどろみが学校を包み込み、カーテン越しに入る太陽の光は生徒を優しく包み込んでいた。
4時間目のプールの授業を終え、お昼休みが終わったあとの数学の授業
もちろん9割の生徒が机に体を沈めている。
 歩は窓際で後ろから2番目の席、寝ているわけでもないが授業を聞いている分けでもない
机と一体化してしまった友人達をボーッと眺めていた。
 夏休みが明けて3週間、小麦色の肌をした友人達からは微かに海の香りがしている。
歩の通う学校は特に決まった制服は無く、皆思い思いの格好をしていた。
大き目の白いTシャツにクリーム色の半ズボンの男子
青と白のボーダーのポロシャツにお尻が見えてしまいそうなくらい下げたジーンズを履いている男子
大柄のチェックのワンピースに髪を1本に結んでいる女子、見ていて飽きることは無い。
その中でも特に目立つ格好をした子がいる。背中が大きく開き肩の部分でヒモを結ぶ露出の多いトップス
体のラインがくっきりとでる真っ白なホットパンツ。彼女の体で布で隠されている部分はおよそ4割程度だろう。
 彼女には大学生の彼氏がいるらしいのだが噂ではその他に体の関係のある男が数人いることになっている。
歩は彼女の体をじっくりと観察してみた。ホットパンツから伸びる2本の脚はとても細く太ももから膝
膝から足首まで今の季節を忘れてしまいそうになるくらい白い。その太ももとホットパンツとの境界線が現実と空想の境界線のようだ
脚自体はとても美しいのだが、その境界線のせいで極限まで官能的になっている。そこから少し視線を上にあげてみると、今度は背中が見える。
背中が開いているデザインなので、アクリル製の透明なブラ紐が露になっている。ブラ紐はかなり細い、Bカップくらいだろうと歩は予想した。
両肩から伸びる2本の腕も同様に細く、消え入りそうなほど白い。左の手首には細い金属製のブレスレットが何本もつけてある。
さらに視線を上にあげるとショート・カットの綺麗な黒髪が彼女の呼吸に合わせて上下に動いている。
 彼女がこの夏一体何人の男性と交わったのか、この美しい体を持った少女が愛欲に耽っていることを考えると、歩は彼女に対して嫌悪感を抱いた。
そもそも、歩はこんなに露出が多く体のラインが出てしまう服なんか絶対に着ない。まるで自分の体を商品にしているみたいだ。
愛情よりも性欲を優先してしまうことなんて考えられない、なんて下品で低俗なのだろう。
街や海でナンパしてきた男にほいほいついていってしまうのだろうか?彼女はベッドの上でその美しい脚を広げ、腕にあるブレスレットをつけたまま
男に体を委ねるのだろうか?
 歩が彼女についてあれこれ考えているそのとき、授業終了を告げるチャイムが鳴った。歩はハッと我に返り、頬を赤らめた。
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 02:44:34.42 ID:MB8yTten0
終わり。
んー、作者自身はかなりの駄作だと思いますが
もし読んでくださったら感想お願いします。
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 03:10:29.77 ID:wuiItd51O
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 03:31:47.72 ID:QxR19siBO
>>109
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 03:50:31.36 ID:wuiItd51O
>>110
把握
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 04:53:14.84 ID:QxR19siBO
保守
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 05:48:50.94 ID:psS+Gji30
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 08:41:25.26 ID:p/r0ZE3EP
休日の朝は3時間もつんだな
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/14(日) 09:12:34.35 ID:UgDQlvCu0
3題
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 09:38:24.34 ID:kxdotfJCO
題欲しい
118一勝全敗 0/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:53:46.90 ID:psS+Gji30
品評会投下します
119一勝全敗 1/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:55:08.27 ID:psS+Gji30
 校庭は夕日で赤く染まっていた。
「莉子ちゃん、あのね。」
下校時刻を知らせる音楽も、緊張している僕の耳には届かない。
「僕、莉子ちゃんのことが――」
すべり台の上に乗っている彼女と、それを見上げる僕。
「そう。なら――」
この位置関係が僕と彼女との差に思えて。
「――――――」
この差が埋まる日がくるのかな、と子供心に僕は思った。
 「……夢、か。」
ジリリリリ、と目覚まし時計が朝を告げる。まったく、朝から嫌な夢を見た。洗面所で顔を洗いながらも今朝の夢を思い出してしまう。
あれは俺のスタートライン。ただし、ゴールに待っているのが劣等感とくれば、自然と苦渋に満ちたものになる。
最近は久しく見ていなかったあの夢を、今になって見る羽目になった理由は……。
「まあ、あいつが訪ねてきたからだよな。」
あいつ。松永莉子。俺の小学校以来の腐れ縁。三年前に突然姿を見せなくなったと思ったら、昨日ひょっこりうちに来て、
第一声が「私の研究を手伝いなさい」ときたもんだ。さすが我らが松永莉子、社交辞令などなんのそのである。
俺があいつの頼みを断れるはずもなく、了承の旨を伝えると、お茶も飲まずに帰って行った。慌ただしいことこの上ない。
何はともあれ、今日が手伝い初日。幸い、時間だけは余っている。
まあ、卒業を控えた大学五年生なんぞ、暇の権化みたいなものだしな。
 指定された場所に行くと、すでに莉子が何やら機材と向き合っていた。俺が入ってきたことに気付いていないのか、
こちらに見向きもしない。だが、真剣な表情で作業をしている莉子の横顔はやはり綺麗だった。
120一勝全敗 2/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:56:17.78 ID:psS+Gji30
 何だかんだ言って、俺は莉子に惚れている。ああ、惚れていますとも。それも、十数年に及ぶ片思い。
というか、告白だって一回してるんだ。俺の脳裏に、今朝の夢が再び蘇る。
校庭での俺のラブコールに対するあの女の返事はこうだった。
「そう。なら、大人になるまでに何かしら私に勝負で勝ったら付き合ってあげる。」
この言葉は俺にとって正に呪いとなった。いや、言われた当初はそうでもなかったが、日を追うごとに重く圧し掛かってきた。
なんせ勝てないのである。大人になるまで、つまり三年前の二十歳の誕生日を迎えるまで、
俺は何百何千という勝負をあいつに持ちかけたが、結果は全敗。ただの一度も勝てなかった。ただの一度もだ。
これを誰かが聞けば、男のくせに情けないとのたまうかもしれない。だが、全国の学力テストで常に満点を取り、
学生記録ペースで百メートルを走りぬけつつ、ピアノや絵画のコンクールで優勝するような人類を俺は他に知らない。
ジャンケンですら一回も勝てないのだ。高校生の時、さすがにおかしいと思い、莉子に聞いてみると、
手を出すときの表情やら筋肉の動きやらで何を出すのか大体分かる、なんていう人間離れした答えが返ってきやがった。畜生。
 すると、俺の歯ぎしりの音が聞こえたのか、ようやく莉子がこちらに顔を向けた。
「いつまでそんなところに突っ立ってるの? 早くこっちに来て手伝いなさい。」
やれやれ、どうやら始めから気づいていたらしい。それなら入ってきたときに挨拶ぐらいしろっつうの。畜生。
 さて、俺の仕事は簡単なデータ整理や資材の注文など細々した雑用だった。
まあ、それは良いさ。俺にあいつとの共同研究ができるとは思えないからな。だが、疑問が一つ。
「なあ。たしかお前、大学院に進んだんだよな。」
いくら直接会っていなかったといっても、進路くらいは分かる。なんといっても莉子は有名人だ。
マスコミにも何度か取り上げられたことがある。
「そうよ。それが?」
「いや、なら俺みたいな素人じゃなくて、もっと専門知識を持った院のやつを手伝いに選べば良かったんじゃないか?」
「……この研究はあまり公にはしたくないの。だからなるべく信頼できそうな人を選んだっていうわけ。」
数瞬の後、莉子はそう答えた。信頼されているのは素直に嬉しい。だがちょっと待て。
「おいおい。公にしたくないって、何するつもりだよ。」
その質問に対し、彼女はこちらをじっと見て、そしてこう言い放った。
「タイムマシンを、造るの。」
121一勝全敗 3/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:57:33.33 ID:psS+Gji30
 タイムマシン、とは。また突拍子もない単語が出てきたもんだ。
「信じられないって顔ね。」
「まあな。」
「冗談じゃないわ。あのね、『この私』が三年もかけて理論構築と下準備をしたのよ。
タイムマシンくらい、できないわけがないでしょう。」
『この私』が――つまり、『松永莉子』が。この言葉は俺にとってこの上ない説得力を持っているみたいだ。
先ほどまであった疑いが霧消していく。我ながら単純だとは思うが、きっと莉子なら本当に造ってしまうんだろう。
「分かった、信じよう。それで、タイムマシンでなにするんだ? 未来にでも行くのか?」
「いえ。未来に行くのは不確定要素が多すぎるから。私のタイムマシンで行けるのは過去だけよ。」
過去旅行ねえ。なにをするつもりだろう? まあいいか。とにかく、俺は莉子の手伝いをするだけだ。
 それからの三カ月は、おおむね平穏なものだった。
「ねえ、三番のデータ整理終わった?」
「いや、まだ二番の整理も終わってねえよ。」
「……無能。」
「ぐ。」
「そういえば、あなた結局私に一度も勝たなかったわね。」
「ぐぐ。」
「もう少しできる人かと思ってたけど。」
「ぐぐぐ。」
なんていう、和気あいあいとした会話が日常的にあるくらい平穏だった。平穏だったんだよ。畜生。
122一勝全敗 4/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:58:39.36 ID:psS+Gji30
 そして、間もなくタイムマシン完成というある日の夜。俺と莉子は酒を飲みながら話をしていた。
珍しいことに向こうからのお誘いだ。話題は尽きなかった。楽しくて、酔いも回って。だから、俺はつい口を滑らせた。
「しかし、莉子はすげえよ。ほんと何でもできるもんな。タイムマシンまで造っちまうし。正にお前は天――」
「やめて。」
ピシャリと莉子は言い放つ。急速に酔いが醒めていく感覚。
「やめて。その言葉は嫌いなの。私の人格を無視されているようで。私の努力を否定されているようで。」
何を今更。こんな言葉、お前がマスコミに取り上げられた時には必ず頭にくっついてたじゃないか。
あらゆる人からこの二字熟語で形容されてたじゃないか。家族からだって、ずっとそう呼ばれてきただろう。本当に、何を今更。
だけど――ああ、だけど。きっと、俺だけなんだろう。こいつが駄目なやつだって知ってるのは。
ジャンケンですら誰かに負けたくないと本気になるほど負けず嫌いで。
用がなければ人の家でお茶を飲むことすらできないほど不器用で。
そして何よりタイムマシンなんぞ本気で造ろうとするほどガキっぽい。
そんな莉子を知ってるのは。
「――ああ、悪かった。変なこと言ったな。お前はただのバカだった。何でもできるだけの、ただのバカだ。」
「…………うん。ありがとう。あなたなら、そう言ってくれると思ってた。」
この時の莉子の表情が、今までで一番綺麗だったって思うのは、きっとうぬぼれなんだろうと。そう、思った。
123一勝全敗 5/5  ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 09:59:31.53 ID:psS+Gji30
 翌日。研究室に行くと莉子はいなかった。タイムマシンもなかった。やれやれ、もう完成してたのか。挨拶もなしに行きやがって。
最初から最後まで慌ただしいことこの上ない。まあ、あいつらしいと言えばあいつらしい。
しかし、最後まで分からなかったことが一つある。莉子のやつ、過去なんぞ行って何をするつもりだろう。
あいつは過去にこだわるような奴じゃない。歴史なんてただの退屈な暗記科目にすぎないとかいうような奴だし。
それと不安も一つある。もしも、莉子が過去で何かに干渉したら歴史とか記憶とか変わってしまうんじゃないだろうか。
……と、ここまで考えて、俺は。
「まあ、大丈夫か。」
うん、平気だろう。あいつは何でもできる奴だからな。変なところでトチったりしないだろうし。
なんせ俺は二十歳までの何百何千という勝負において、あいつに勝ったことが一回しかないほどなんだから。
しかもその唯一の白星だって、見知らぬお姉さんに助けてもらって得たものだったし。
それに、たとえ過去を変えるにしたって。
「あいつは何でもできるだけのただのバカだからな。」
変えるにしたって、しょうもないことに決まってるさ。

(了)
124 ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 10:00:20.85 ID:psS+Gji30
いじょー
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 10:01:56.45 ID:wIFrzJMm0
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/14(日) 10:09:13.00 ID:ZMYRIpxZ0
品評会作品3作品が出てるのかな
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 10:12:43.96 ID:wIFrzJMm0
今のとこ4つかな
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(宮城県):2008/09/14(日) 10:14:49.16 ID:JM4YqsSS0
>>87-90がまとめてられてないから4つ?
>>119
さりげないオチで「あぁ〜っ」てさせたいんだろうけど、
見しらぬお姉さんに何をたすけてもらったのかよくわからないので
「?」って読後感がのこるだけだった。話の尺を考えても、もう少しくわしく書いてほしかった。
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 10:24:04.44 ID:wIFrzJMm0
ごめん、今>>87-90をまとめてみたんだが
1スレ目をNO.2て書いちゃった……NO.3だったorz
◇h1izAZqUXM氏、申し訳ない。
131 ◆2/tl4kvsZM (埼玉県):2008/09/14(日) 10:31:16.50 ID:psS+Gji30
>>129
感想ありがとう。
個人的には、お姉さんは何を助けても構わないって思ってたんだ。
ただ助けたっていう事実があれば。
うん。でも、もっと詳しくね、、、。精進します。
あと、一応品評会用だから、投下打ち切りまでの感想は叩かれちゃうかも。
念のため、気をつけた方がいいかも。
あ、もちろん、俺はうれしいんだよ?
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/14(日) 10:35:12.59 ID:wIFrzJMm0
>>119-123まとめ済み。
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 10:53:38.38 ID:uKdPdityO
規制スレにも品評会きてるけど、誰か移した?
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 11:09:00.39 ID:u1giLh4U0
50 名前:エンジン 0/5  ◆ML.K5wMH76 [] 投稿日:08/09/14(日) 05:43:10 ID:HxniF/CO
品評会作品投下します

お題:天才
タイトル:エンジン
レス数:5レス
135エンジン 1/5  ◇ML.K5wMH76 (京都府):2008/09/14(日) 11:09:31.03 ID:u1giLh4U0
 ぼくの友達に、エンジンって呼ばれてる奴がいる。
 どうしてエンジンって呼ばれているのか。それには色々な説がある。
 例えば、歴史の教科書に載っていた『猿人』みたいな顔をしているから。例えば、体育
で試合をするとき必ず『円陣』を組もうとするから。例えば、そいつの名前は遠藤仁って
言うんだけれど、そこから取って『遠仁』とか。
 でもぼくは、エンジンって車の『エンジン』みたいなところがあるから、そうやって呼
んでいた。
 エンジンはときどき凄い。
 でも普段はぼくらと何も変わらない。野球やったり、ピンポンダッシュしてみたり、公
園のハトを追いかけてみたりする。たまに宿題もやるけれど、エンジンはみんなの中で一
番最初に諦める。前は算数ドリルのわり算の筆算でつまづいてた。もしかすると、ちょっ
とバカかもしれない。でもぼくは彼の次につまづいたから、やっぱり普段はぼくらと何も
変わらない。
 けれどエンジンはときどき凄い。
 車のエンジンって鍵をくいっと回すと、何回か身震いして「ぶろろ、ぶろろ」ってうな
る。それから「ぶろろろーん!」ってほえて、動き出す。止めるまで、ずっと動いてる。
 エンジンもそういう時が、たまにあった。あいつの場合、動くのは頭だったけれど。
 あいつの鍵は色んなものだ。車の鍵みたいな、特別なものじゃない。


 例えば、この間の遠足で臨海公園に行ったときのこと。
 あの時、あいつの鍵になったのは『海』と『空』だった。くいっと回ったのかは分から
ない。けれどこの二つを見たエンジンは、身震いする代わりに腕を組んで「うーん、うー
ん」とうなった。
 その時の顔は怒った猿みたいな顔になっていたんだけれど、怒っているわけじゃない。
だからぼくは声をかけた。
「エンジン、どうしたの?」
 でもエンジンはすぐに返事をしない。海と空をにらむように見つめている。
 それからいきなりぼくの方を向いて、ほえる代わりに言った。
「なあ、どうして海と空って別々なんだろう?」
136エンジン 2/5  ◇ML.K5wMH76 (京都府):2008/09/14(日) 11:10:01.57 ID:u1giLh4U0
 ぼくは最初、意味が分からなかった。
 どうして別々か。そんなの、初めから別々だからに決まってる。
 だからぼくは、それをそのまま伝えた。でもエンジンは納得いかない様子で、また海と
空を見る。
 エンジンの頭が、車のエンジンみたいに動き出す。
「だってさ、海がここにあるのは重力のせいだろう? それで、地球にへばりついてる」
「そうだね」
「だったら、重力が無くなったら?」
「宇宙だと、水がかたまりになって浮いてたよ。テレビでやってた」
「それって結局、別々じゃないか。どうして海と空は混ざらないんだろう?」
「すごく距離があるからじゃない? 海と空って、北海道から沖縄より離れてるじゃん」
 でもぼくが何を言っても、エンジンは納得いかない顔をする。
 その後、他の奴にも同じ事を聞いていた。でもやっぱり納得いかない顔をしていた。そ
れで遠足から家に帰るまで、エンジンはずっと「どうしてだろう?」を繰り返してた。
 これが、遠足のときの話。
 ぼくはこういう時の彼を「凄いなあ」って思う。
 普通なら考えもしなかった事を考えるのもそうだけど、それをずっと考え続けるのが
「凄い」って思うんだ。車のエンジンみたいに、止めるまで、ずっとずっと考える。ぼく
なら多分、途中で飽きてやめちゃうだろうな。
 やっぱりエンジンは、ときどき凄い。


 他にもある。これはクラスで飼っていた金魚が死んだときの話。
 この時、エンジンの鍵になったのは『水槽の中でぷかぷか浮いてる金魚』だった。
 花壇のすみっこに金魚の墓を掘っていたぼくら男子の隣で、エンジンはやっぱり腕を組
みながら立っている。それが何だかえばっているみたいに見えて、ぼくは胸の奥がちょっ
とだけムカムカしていた。
 本当は金魚が死んでいるって分かったときからムカムカは始まっていたんだけれど、で
もぼくはエンジンの態度のせいだって思っていた。
137エンジン 3/5  ◇ML.K5wMH76 (京都府):2008/09/14(日) 11:10:32.07 ID:u1giLh4U0
 穴を掘り終え、まっくろで湿った土の上に赤い金魚を寝かせてやる。キンタローってい
う名前がついていた金魚はもうピクリとも動かない。スーパーの魚コーナーに並んでる魚
みたいに、体がつやつやしているわけでもない。キンタローは、ただ土の上に寝ているだ
けだった。
 それを見ていると、ムカムカがズキズキに変わっていくような気がした。ぼくらの後ろ
にいた女子たちも、ぐすぐすと泣いている。きっとズキズキしすぎて、痛くて泣いている
んだと思った。ぼくもそうなりそうだったから。
 けれどエンジンは違っていた。
 ずっと腕を組んだまま、キンタローを見つめている。そして土をかける時に口を開いた。
「どうして体はすぐに無くならないんだろう?」
 ぼくら男子はシャベルを握ったまま動けなくなった。ぐすぐすだった女子たちも、それ
を止めてぽかんとしている。
 でもエンジンは続けた。
「生き物って死んだらすぐに心が無くなるじゃん。でも体は残ってる」
 誰も動かない。「うん」とも「そうだね」とも言わない。みんなエンジンを見ている。
もちろん、ぼくも。
「でも木とか建物は、壊すとすぐに体が無くなるだろ。だったら生き物だって、心と一緒
に体がすぐ無くなってもいいんじゃないかな?」
 エンジンは不思議そうな顔をしながらキンタローを見て、それからぼくら一人一人の顔
を見た。
 胸のズキズキが、またムカムカに戻っていく。シャベルを握った手に力がこもった。
 この手をどうしてやろう。振り上げてやろうかな。それとも突き出してやろうかな。
 そんなことを考えていたら、ぱあん、と大きな音が鳴った。さっきまでぼくらを見てい
たエンジンが、そっぽを向いている。けれどその目には力が無い。
 ぐすぐすだった女子の一人が、振りぬいた手をわなわなと震わせている。やがて顔を真
っ赤にして、彼女はまたぐすぐすと泣き出してしまった。エンジンに向かって何か言って
いたけれど、その声は何度も何度も引っかかって言葉にならなかった。
 残りの女子がその子を囲んで、ゆっくりと校舎に向かって歩いていく。
 ぼくら男子はあぜんとしながら、それを見ていた。手にこめた力は、いつの間にかシャ
ベルを伝って花壇の土に流れたらしい。
138エンジン 4/5  ◇ML.K5wMH76 (京都府):2008/09/14(日) 11:11:02.49 ID:u1giLh4U0
 むき出しだったキンタローには、その後すぐに土をかけてやった。
 ぼくらがシャベルを片付けに行ってる間、エンジンは泣きそうな顔をしながら、叩かれ
た頬を撫でていた。そして花壇のすみっこに埋まったキンタローを見つめていた。彼がそ
の時何を考えていたのか、ぼくには分からない。
 けれど、胸のムカムカはいつの間にか消えていた。
「エンジン、教室戻ろうよ」
 声をかけると彼はチラリとぼくを見て、それから少し後ろをついてくる。
「さっきのさー、あれはやっぱりマズイと思うよ」
 ぼくが言っても、返事は無い。しんとしたまま階段を上る
「みんなキンタローが死んで悲しいのに、すぐ無くなれとかさ。叩かれてもしょうがない
って。あとで謝っておきなよ」
 爪の間に入り込んだ土が気になって、ぼくは水のみ場に向かった。教室にそのまま行け
ばいいのに、なぜか手が汚れていないエンジンもついてくる。蛇口をひねると水が勢いよ
く落ちてきて、ダララと大きな音を響かせる。
「どうして水って色が無いんだろう?」
 隣に立っているエンジンはまた腕を組んで、じっと水を眺めていた。でも調子が悪いの
か、それ以上は続かない。ぼくがせっけんをあわ立てていると、彼はゆっくり息を吐き出
して言った。
「すぐに無くなってくれれば、悲しいって思わなくて済むのに……」
 それがさっきの話の続きだと気付くまで時間がかかった。ぼくは手のあわを全部流して、
水をピッ、ピッと切るまで彼が何を言っているのかサッパリ分からなかった。
 ようやく気付いて何か言おうと思ったけれど、その頃にはもう教室に到着していて、エ
ンジンはぐすぐすだった女子に謝りにいってしまった。
 それからこのことについて何も言わなくなったから、ぼくはもう何も言えなくなってし
まった。
 これが、クラスで飼っていた金魚が死んだときの話。
139エンジン 5/5  ◇ML.K5wMH76 (京都府):2008/09/14(日) 11:11:33.42 ID:u1giLh4U0
     
     
 そんなぼくとエンジンは、進学先が違うということもあって、中学を出ると疎遠になっ
てしまった。風の噂で相変わらず突拍子も無いことを言っている、というのを聞いたけれ
ど、それも高校までだった。
 今では彼に関する情報は、何一つ入ってこない。生きているのか、死んでいるのかさえ、
分からないままだ。
 そんな時、ぼくは思い出してしまう。
「体も心もすぐに無くなってしまえば、悲しいと思わない」というエンジンの言葉を。
 彼が鍵を無くさなければいい。ぼくはそれだけを願った。

       【完】
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 11:12:04.02 ID:u1giLh4U0
天才しゅーりょー。
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県):2008/09/14(日) 11:12:04.55 ID:gaeMK2SJ0
お題↓
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 11:14:20.34 ID:u1giLh4U0
>>141
ママ
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(宮城県):2008/09/14(日) 11:56:38.57 ID:JM4YqsSS0
ほっしゅ
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 12:24:58.96 ID:uKdPdityO
ほす
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 12:48:40.61 ID:QxR19siBO
ぬ保守ごい
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(大阪府):2008/09/14(日) 12:53:18.73 ID:Xsmvw6hG0
>>107
自分でも駄作だと思ってるものを人前に出すなよー
俺たちアマチュアなんだからさー。
そういうの付け加えられるとコメントに困る。

主人公についての情報がほとんどないので、最後のほうまで男性だと思って
ひがむなよ童貞、という気持ちで読んだ。
女性だと分かってからもそうですか、という気持ち。驚きとか喜びはあまりない。
っていうか長い。
どうでもいい描写が多すぎる。
改行位置もかなり妙だ。改行次第でかなり読みやすく感じるのではないかと思ったり。
ネット上で賞に応募する時ってさ、やっぱりwordがいいのかな
俺はwordじゃないワードソフト使ってるけど。それともメモ帳?
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 13:29:09.66 ID:u1giLh4U0
そういうのって、仕様が書いてるもんじゃない?
何を使ってくださいって。
書いてないんだよ。そんなメジャーな賞じゃないからかな。賞の名前は聞かないで
この前OpenOffice導入した人か
メモ帳がいいんじゃないの? pdfにできれば一番なんだろうけど
>>150
よくわかったな。あの時は世話になった。まだ教えてクンは卒業できないけど
んじゃあメモ帳で一応原稿用紙っぽくして送るわ。サンキュウ
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 14:04:44.91 ID:u1giLh4U0
週末品評会128thまとめ『天才』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1221264735/

No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
まとめました。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 14:12:00.91 ID:p/r0ZE3EP
転載とかまとめとか乙
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 14:24:05.60 ID:Fd+ud0J8O
モデム壊れた関係でちょうどいいや、光に乗り換えよう!と思って工事中、ネット喫茶から品評会投下しようと思ったらまとめ掲示板にすら書き込めない不具合!
もういいや、お前ら頑張れ
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 14:24:28.36 ID:uzF3JBwF0
おつんつん
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 14:29:21.68 ID:p/r0ZE3EP
>>154
携帯があるじゃないか
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 14:34:16.72 ID:Fd+ud0J8O
5レスばっちり書いてしまったから携帯だと5レスに抑えるの無理でした
あー、はやく工事日こいよう寂しいんだよう
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 14:34:50.01 ID:wuiItd51O
お題くんなまし
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 14:37:43.62 ID:z6iaqfvH0
>>158
越えられない壁
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 14:47:52.71 ID:p/r0ZE3EP
>>157
あれだよ、どうしようもないなら、分割して規制スレに貼って、
転載人に何とかしてもらうとかしてもいいんじゃないかな?
1レス目を1-1と1-2に分ける、とかしてさ
最終的に30行×5レス以内ならおkなわけでしょ?
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 14:48:00.89 ID:wuiItd51O
>>159はあく
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 15:02:05.58 ID:z6iaqfvH0
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 15:20:26.11 ID:z6iaqfvH0
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 15:39:31.57 ID:z6iaqfvH0
ウラービーパシャ
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 15:51:23.12 ID:z6iaqfvH0
らあらら
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(dion軍):2008/09/14(日) 16:13:57.51 ID:z6iaqfvH0
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 16:48:56.07 ID:uKdPdityO


品評会やっぱり少ないな
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 16:55:42.97 ID:uzF3JBwF0
まだまだこれから
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 17:17:59.72 ID:uzF3JBwF0
ぬ保守しゅごい
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 17:40:58.67 ID:uKdPdityO
ほっしゅ
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(大阪府):2008/09/14(日) 18:02:24.16 ID:Xsmvw6hG0
品評会、終わるかどうか微妙だわ
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 18:09:41.79 ID:uKdPdityO
>>172
まだ時間はある
がんばれ
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/14(日) 18:16:28.09 ID:RRTK5Fp60
俺は諦めたぜ
俺、これから風呂入って、メシ食ってから書き始めるぜ
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 18:45:39.13 ID:uKdPdityO
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 19:00:54.91 ID:uKdPdityO
間に合うかな?保守
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 19:25:55.92 ID:uKdPdityO
考えてみれば今日は日曜か…
179 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:33:24.07 ID:tFFI7H7CO
今回もいつも通り微妙だけど、せっかく書いたしなんかもったいないので品評会投下しますサーセン

題名 そっかー 全Dレス
180そっかー 1/5 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:34:29.52 ID:tFFI7H7CO
 人影のない深夜の駅の駅員室から、ランプの灯りが漏れている。中には駅員の制服に身を包んだ二人の若者が、椅子に座り暇そうに過ごしている姿が見える。
 夜は長く、特にするべき仕事もないその気楽な保安業務は若者には向いていない。朝の交代までの時間は永遠に思われた。
「おいケイン、駄目だ眠い。こんなに暇だといつでも寝れそうだ。何か話してくれよ」
 ケインと呼ばれた青年は机の上の新聞から目を離すと、椅子を体ごと横にずらし、何処か嬉しそうに相手に向きを変えた。
「そうか、じゃあどんな話がいい?」
「その前に言っておく。いつもの作り話は無しだ坊や。お前のお話は支離滅裂だから嫌いなんだ」
 ケインは水を挿されたようで、頭を垂れた。それから諦めた様に椅子に背を持たれて不手腐れる。
「わかったよ。じゃあ本当にあった話だけにしよう。で、どんな話がいいんだよ」
「おお。ならなるべく華々しい、アメリカンドリームな話がいい」
 少し頭を巡らせる様に上を向いてからケインが頷く。
「よし、モーツァルトにしよう」
 まあいいんじゃないの、といった感じにもう一人の青年が椅子の向きを変え、片肘を机に付きながら聴く体勢になった。
ケインはまるで自分でスイッチを入れるかの様にこめかみを押して、ゆっくり喋り始めた。
「神の子、アマデウス・ウォルフガング・モーツァルト。
彼の生涯は短くたったの三十一年、でもその短い間に残した数々の名曲は、どれも奇跡と呼ぶにふさわしい物だった」
「はぁ……奇跡ねぇ……」
「紛れもなく奇跡だ。ここでモーツァルトの事を語る前にまず当時の音楽家達の環境について説明する必要がある」
 ケインが一区切り置いて話を切り呼吸を整える。もう一人の青年は眉に皺を寄せた。ようやく話に集中しはじめたのだろうか。
「当時の音楽は王候貴族達のパーティーや結婚式戴冠式に演奏される、単なる沿え物としての位置付けでしかなかったんだ」
「今でもそうだろ」
「いや、もっと低い。彼等にとっては綺麗に鳴く可愛らしい愛玩動物みたいな物だったと思う。音楽家は自分の身を飾る為の装飾品と同意義だったのさ。
もちろん肝心の音楽の中身の良し悪しなんて、ほとんどどうでもかったんだ」
「ほう」
「真剣に聞く客が居なければどんな芸術も育つはずがない。中にはいたけど大半は盛り上げるための装置として扱っていた。
音楽家達だってそのパーティーや結婚式の為に似たような曲調の曲を書き、自ら貴族達の飾り物をこなしていた」
「つまんなそうだな」
「まあそれが普通だったしな。さてそんな時代、ザルツブルグに我らがモーツァルトが生まれる。
幼い頃からまさに神童、三歳でピアノを始め五歳には作曲、十七歳になる頃には全ての技法や作曲技術を習得し、書いた曲も悠に百を越えていた」
「うーん……何だかどれだけ凄いのかよく分からん程だな」
「とにかく凄いのさ。そして次にモーツァルトの父、レオポルトだ。彼も優れた演奏家で、ザルツブルグの宮廷楽長つまりその地で頂点を極めた人物だった。
181そっかー 2/5 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:35:28.94 ID:tFFI7H7CO
その上、十八世紀の三大教則本『ヴァイオリン基本教程試論』を書いた一流の教育家でもあったんだ。当然の様にその全てを余す事無く我が子に叩き込んだ。
 またレオポルトは田舎町ザルツブルグの地位に満足せず、ウィーンや各地の大都市を訪れ、自分の才能豊かな息子を売り込んだ。
それと同時にその土地の一流音楽家達の英才教育を直接息子に受けさせる。相当頭が良かったんだろうな
 かくしてモーツァルトはその才能を開花させる為に、これ以上は考え付かない程の最高の環境の中で育った」
 その時カインは、頭の中で丸まってしまった記憶の糸をほぐす様に指をゆっくり回しながら圧迫する。
「ここでオペラについて触れておかなければならない。
この時代には交響管弦楽団、いわゆるオーケストラはまだ存在していなかったんだ。
ヴァイオリンやピアノと言った器楽はあくまで伴奏の役割であり、音楽の第一目的は教会の聖歌にあった。
 そこにオペラが登場する。この演劇のセリフにメロディを乗せる出来たばかりの芸術は、やがて器楽や声楽を飲み込み総合芸術へと昇華していく。
すぐに各地に広まり権力のある王候貴族達は自前の劇場を持つようになった。
そして当然の様に劇に使われる音楽は、彼等お抱えの宮廷音楽家達が努める事になる」
「オペラか……見た事ないけど華やかなんだろうな」
「ああ、まるで貴族のイメージその物だ。その輝かしい才能を認められたモーツァルトは弱冠十七歳にしてオペラの全作曲を任されたんだ。
今で言えば巨大な橋を架ける大事業を、国家から全て任された新卒みたいなものって言えば言いだろうか」
「考えられない事態に対処出来ないな、大変だ大変だって言って終わりそうだ」
「でも神童はまるで予め決まっていたかの様に大成功を収めた。栄光を掴んだのさ。その年に勲章ももらっている。
まさかこの時は、自分達がどこの宮廷にも就職出来ずに、故郷のザルツブルグに舞い戻るとは思っていなかっただろうな」
「さてオペラで成功したにも関わらず、何故かどこの宮廷にも就職できずに仕方なく帰ってきた親子に、追い撃ちを掛ける様な悲しい知らせが届いた。
モーツァルトの才能の最大の理解者であり、宮廷楽長と言う仕事をそっちのけにして旅を続けた父レオポルトに対しても、首どころか金の工面まで都合してくれ
ていた、故郷ザルツブルグを統括していた大司教が亡くなったんだ。変わりに音楽を無駄使いと考える大司教がやってきた」
「要はパトロンが消えたのか」
「ああ、でもそれだけじゃない。新しい大司教はオペラどころか演奏会なども徹底的に排除した。活躍の場を完全に失ったモーツァルトは一介の宮廷音楽家とし
て生活し、たまに来る貴族からの依頼をこなす。自分の家の座談会にて披露するための、小品を作るだけの報われない日々だった」
「なんだか楽で良さそうなんだが」
「そりゃあ凡人にはな。ただ才気ばしったモーツァルトにとってはまるで牢獄さ。でもここで等々彼の音楽にある異変、というより奇跡が起こる。
旅で起きた様々な経験や感動が、打って変わった様な惨めな現状と絡み合い、やがてモーツァルトの音楽に欠かせない深みや、心情を映す為の起爆剤になった。
182そっかー 3/5 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:36:19.73 ID:tFFI7H7CO
それはまさにモーツァルトにしか作れない唯一無比の音楽。いよいよその才能が暴発しはじめたのがこの頃だ」
「へー」
「とはいえザルツブルグの宮廷での扱いは変わらず、またこれから良くなる見込みも一切なかった。普通なら働けるだけでも御の字だろ、しかしモーツァルトは
音楽に多大な信念を持っていたんだ。でもこの時代は貴族を中心に動いていたんだ、たかが音楽家なんか知った事じゃない、ってね」
「しつこい様だがあまり変わらないと思うんだが気のせいか」
「だからそれは凡百の音楽家! こっちは世紀に一人の楽聖だぞバカ。とにかくモーツァルトは、暫くしてから他の宮廷に就職口を探す何度目かの旅に出た。
息子を一人で旅に出すのが心配になった父親は、離れる事の出来ない自分の変わりに妻を、目付け役として同行させたんだ」
「お守りつきか。まったく赤ん坊じゃあるまいし」
「……。結果は一切収穫なし。何故ならモーツァルトは世渡りの才覚がゼロだったからだ。
叩き上げの父親とは違い、身の回りの事もおぼつかない始末で旅の資金はすぐに底を尽きた。
しかも行程を伸ばした先の地で、同行していた母親が倒れそのまま息を引き取る。絵に描いた様な転落人生、そこにはかつての神童の栄光は見る影もなかった」
「へえ、そっかー」
「あのなぁ……。故郷に帰ってからもモーツァルトの欝々とした日々はさらに続く。そろそろ限界が来ていた。
ある貴族からのオペラの依頼で故郷を離れたモーツァルトは、大司教に決められた期限を守らずそのまま帰らないという暴挙を起こす。
流石に怒った大司教が偶々そこに訪れたついでに自分の手元に連れて行くと、喧嘩をした挙句に直接解雇を言い渡されてしまった」
「やるな。それが男ってもんだ」
「話はそんなに簡単じゃない、一種の自殺行為に近いんだ。この後モーツァルトはパリでピアノのレッスンや貴族のサロンコンサートで生計を建てながら、宮廷
に遣えない初の音楽家としての道を歩き出す。まあ響きは良いが単に職に付けないだけだ。その才能とかつての名声がなければ生活すら出来なかったはずさ」
「なんだ、結局上手くいくのか」
「まあな、でも細々としたもんだ。そしてこの時期、モーツァルトはその生涯を一日も欠かすことなく愛しつづけた最愛の妻、コンスタンツェと結婚する。
厳格な父親から離れ、自分の才能を信じ新しい世界に身を投じる。
この頃からその音楽の質が飛躍的に上昇していく。モーツァルトが他の歴史に残る巨匠達に肩並べるのはここから十年の作品があったからこそなんだ」
 ケインは話を止めずにすぐに続ける。そろそろ架橋に入って来たたのか、益々熱が籠る。
「貴族を呼び集め、モーツァルト個人で開いたコンサートが次々と成功を納めていく。
彼はその当時ようやく完成した本格的なグランドピアノをきっかけに、今まで単調だった鍵盤楽器の新たな無限の可能性を匂ぎとった。
 その最新の楽器を誰よりも早く縦横無尽に使いこなし、全ての聴衆を魅了した。貴族はこぞって演奏会の招待状に、今で言うチケットにサインした。
 今までがまるで嘘の様に追い風が吹き出した。さらにここでオペラの依頼も舞い込んでくる。
オペラ『フィガロの結婚』ここから近代オペラが始まったとも言われている記念碑的作品だ。ただし、モーツァルトはある致命的なミスを犯した」
 急に勢いに乗っていたケインの声が、不吉な響きを含んだ冷たい声に変わる。
「音楽は間違いなく完璧だった、脚本の出来もその時代に溢れていた単調な物ではなく、現代の脚本と照らし合わせても遜色のない逸品だった。
183そっかー 4/5 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:37:21.48 ID:tFFI7H7CO
問題はその内容にある。観客である筈の貴族を馬鹿にしていると採られてもおかしくない諷刺劇だった。好評だったのは貴族に不満を持つ一般市民達だった。
 モーツァルトは貴族に対しての反骨精神として提示したのか。いや、自身の手紙や人物像から判断すると明らかに違うと思う。
彼は余りにも世間知らずで、ただ音楽の事しか頭になかった、これがおおよその真実だろう。
そうでなければこの後も似たようなオペラを同じ劇作家と作る様な、あり得ない愚行をしたとは思えない」
 ホー、というまるで相槌を打つかのような梟の鳴き声が、外の駅の森から聞こえてくる。青年は黙って続きを待つ。
「巧妙に隠されていたとはいえ、その自分達への嘲笑を感じとった貴族は、急激に彼から離れていく。
またそこに来て厳格ではあったがここまで自分を育ててくれた父親が、ザルツブルにて亡くなった知らせを受ける。
この失意の中モーツァルトは、三十歳を向かえる。言わば人生の節目の年、彼の音楽にまた新たな変化が起こり始めた。
 その変化はすぐに現れた。彼は室内楽、つまりパーティソングとして注文を受けた作品に交響曲なみの技術を必要とする物を書いたり、短調と呼ばれる悲しい
音階をメインにした当時の華やかなコンサートではあり得ないプログラムを組んだ。当然人々は唖然とした。
 今聴けば単純にモーツァルトが音楽的に進化を遂げたという事がよく分かる優れた作品ばかりが揃っている。でもそれは当時の人々にはまるで関係無い事だ。
先程のオペラの件も手伝い、またもやモーツァルトはまっ逆さまに人生を転落する。
 コンサートにはまるで人が集まらず、依頼により書きあげた恐ろしい程の芸術性の高い名曲たちは、よく分からないと不評で注文も来なくなる。
妻のコンスタンツェは妊娠と流産を繰り返しているが、家計が火の車なので自分が稼がないと治療の為の湯治にも行かせてやれない。
その為の資金繰りに矢継ぎ早に曲を作るが、始まった才能の進化は暴走を続け、着実にその実りを音楽史にのみ捧げていく。
 この時期のモーツァルトの傑作と名高い交響曲三部作が、人前で演奏されたかどうかの記録は残っていない。
だが極めて短期間に作られたそれらは、まさに神に愛された証明を示すかの様に今もその輝きを失わず燦然と君臨している。
 晩年の彼は自分の為にレクイエムを書いたと言われているが、これはよくある伝説だと考えた方が良いだろう。
過労の為に体を極限にまで酷使したモーツァルトは名作『魔笛』を書き上げ、レクイエムの最後を完成させる前にこの世を去った」
184そっかー 5/5 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:38:16.56 ID:tFFI7H7CO
 ケインがトムを見る。駅員室の壁にある掛け時計から何本かのコードが電信装置に延び、間に何かが取り付けられてている。トムは何の悪びれもなく答える。
「ああそれか。駅長が俺が寝てるかどうか調べる為に、電信装置で三十分ごとに電信を打てって言い出したからさ、ちょっと作ったんだよ」
 ケインにはトムが何を言っているか理解出来なかった。電信装置を打てって言われたから時計からコード延ばして作った? 一体どういう事だろう。
「えーっと、何を?」
「タイマー式自動電信装置。目覚まし時計の応用で結構簡単に作れるんだ。じゃあ寝るから交代時間になったら起こしてくれ」
 トムはそう言うと、当時では考えられない彼の技術に呆気にとられた同僚を残して、机に突っ伏して寝息を立て始めた。
 彼の名はトーマス・エジソン。後に発明王として蓄音機や白熱電球など、数々の発明品を世に生み出したその人である。
また自分の発明品の特許に対して執拗にこだわり、他の似たような発明に対して訴訟を繰り返す訴訟王とも呼ばれた。


終了
185 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/14(日) 19:40:06.76 ID:tFFI7H7CO
投下終了です

今回はフルボッコ確定だな
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 19:50:09.52 ID:QxR19siBO
そうかそうか
187惰眠 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 19:54:20.13 ID:H51zXh+K0 BE:1940282887-2BP(0)
過去に二回ほど名無しで投下しただけですが、
週末品評会の作品として短いですが投下します。
タイトル・辞書
全部で2レス。
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 19:54:28.07 ID:rq8WeVDA0
品評会間に合わなかった俺にお題をください
タイムアウト
190辞書1/2 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 19:58:07.63 ID:H51zXh+K0 BE:138592122-2BP(0)
とある街外れの歓楽街からも外れた所にある古びた居酒屋での一つのお話。
その居酒屋には店長と一人の男がカウンターに座っているだけで他には一切の客が居ない。
居酒屋としては書き入れ時のこの時間帯に客が一人しか居ないというのは致命的で、このまま経営を続けても間違い無く店は潰れるだろう。
唯一の客の一人も別にこの店の酒が美味しいからとか、創作料理の酒の肴が美味しいからとか、そういうプラスの理由でこの店に居る訳では無い。
ただ店長と高校からの知り合いだから幾分かサービスで安くしてくれるのと、一人の友人と待ち合わせをしているからという理由だけでここでアルコールを嗜んでいる。
客の男は手にしていたロックで割った焼酎が無くなり氷とガラスがぶつかる音しかしなくなったのを確認すると、カウンターに乱雑に置いていた携帯電話の時計の時刻を見て一言呟く。
「あいつ遅いな……」
そんな客の男を見て店長は苦笑いを浮べながら、
「そうだね、お医者さんは大変だ」
「あいつは昔から時間にルーズだったから仕事で遅れているとは限らねぇよ」
店長は客の男の愚痴を聞くとくすりと笑い、会話のキャッチボールを続ける。
「昔か……そういえばあいつの昔話で面白い話が一つあるよ、聞くかい?」
「聞かないって言ってもお前は一人で話を続けるだろ? 昔からお前はそんな奴だ」
「そうだね……じゃあ勝手に喋らせてもらうよ」
店長はそう言い、目を細めると昔話を始めた。

 高校三年の夏だね、僕らが遊び呆けていた時期に、あいつは睡眠時間も惜しんで受験勉強に励んでいた。
そんなモノクロの勉強漬けの世界にあいつが居たある日の話さ。
英語の勉強をしていて一つの簡単な英単語をど忘れしたんだ。
あいつはそういうのは直ぐに調べないと気が済まない性格だろ?
だからあいつは分厚い参考書の中に混じっている和英辞書を使って直ぐにその単語を調べた。
天際、甜菜、天裁、転載、天災――同音の単語は確かに載っているのにその単語だけは載っていなかったそうだ。
あいつの事だからさぞかしイライラしただろうね、あいつ自身もそう言っていた。
どう頭を働かせても思い出せなかったから、その日は違う教科の勉強をする事にしたらしい、確か数学だったかな?
それで気が付いたら机の上で寝ていたらしい。
目が覚めたのと同時に昨日ど忘れした英単語を思い出したそうだ――geniusさ。
あいつは顔を洗う事もせずに分厚い参考書の中から英和辞典を出してgeniusを調べたそうだ。
英和辞典は確かにgeniusが載っていたそうだ、だが意味がおかしかったらしい。
次にあいつは和英辞典でそのおかしい意味で調べたそうだ、そうしたら載っていたらしいよgeniusってね。
191辞書2/2 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 19:59:48.31 ID:H51zXh+K0 BE:1039437656-2BP(0)
 「で、そのおかしい意味ってのはなんだ?」
店長は少し間を置いてそのおかしな意味を言った。
「――努力さ」
それを聞くと客の男はゲラゲラと笑い、
「ぎゃははは!! geniusの意味が努力か!! 確かに底辺の高校で東大理Vに受かったあいつと俺らの一番の違いはそうかもなぁ!!」
「それを知ったところで僕らにはもう遅い話だけどね」
「同感だなぁ!! 底辺フリーターが今更それを知ったところでどうにもならねぇ!!」
自虐ネタで笑っている客の男の背中に不意に男の声がかけられた。
「馬鹿だな、今から努力すればいくらでもどうにもなるよ」

 それから数年後のお話。
とある街外れの歓楽街からも外れた所にある居酒屋はTVや雑誌に載るほど有名になった。
ある記者は「店長が自らで仕入れて来るお酒が美味しい」と言い、
別のある記者は「副店長が自ら作る創作料理が最高の酒の肴になる」と。
その有名な居酒屋の名前はgenius。
その居酒屋の看板のgeniusには漢字でルビが振ってあるそうだ――努力と。

END
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 20:00:28.64 ID:fMrHcQVC0
>>188
催促
193惰眠 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 20:01:37.53 ID:H51zXh+K0 BE:866198055-2BP(0)
以上です、宜しかったら読んでください。
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/14(日) 20:10:01.90 ID:rq8WeVDA0
酷いタイミングでお題貰っちゃってすまん
ぶった切らなくて良かったぜ・・・

>>189 >>192
把握した
195イルカと麻薬(0/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:10:24.44 ID:HlK+Waz+0
品評会投下するよ!
タイトル:イルカと麻薬
予定レス数:5
196イルカと麻薬(1/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:11:07.22 ID:HlK+Waz+0
 惑星エリュウトスの“楽園化計画”は立案から既に百二十年が経過している。テラフォーミングおよび各種開発事業がこのまま順調
に進捗すれば、あと三十年を待たずしてエリュウトスは超高級リゾート惑星として、最初の客を迎える準備が整うだろう。
 赤道近くにあるノルゴ・ロー島は惑星エリュウトスにおけるビーチリゾートとして、この惑星でも有数の名所となる予定の場所だ。
美しい白砂の砂浜、穏やかに圧倒するコバルトブルーの海。その美しい海には珊瑚礁が広がり、熱帯魚をはじめとした沢山の魚、
イルカやクジラといった穏和で友好的な海洋動物達が住まう。これから三十年の間に、別荘やホテル、レストランといった各種の施設
も建造されていくことになる。完璧な楽園。私達はそれを目指してこの島の開発を進めている。
 私、山崎宗太郎はこのノルゴ・ロー島にてイルカの管理を担当している。二百頭以上に及ぶイルカ達をこの惑星の海に根付かせ、
いつか来るお客のために人間とのコミュニケートの仕方を覚えさせるのが私の仕事だ。この仕事を前任者から引き継いでから五年、私
の仕事は順調に進んでいる。
***
 私の一日は朝の散歩から始まる。海岸を歩き、その日の天気と海の状態を把握する。天気は快晴、海は凪。今日も普段と変わらず、
全て良好。良い一日になりそうだ。
『先生、先生。おはよう、おはよう』
 海から声がした。私が振り向くと、一頭の若いイルカが海から顔を出してこちらを見上げている。
「おはよう、エルー。」
 私はそのイルカ、エルーに挨拶を返した。エルーは黒く円らな瞳で、じっと私のほうを見ている。私の返事を聞いて、エルーは再び
小さく口を開けた。
『先生、今日はお時間ある? ラボにいって平気? 僕、電子ジャーナルで調べたいことがあるんだ』
 エルーの口内には発声ユニットが取り付けられていて、そのためエルーは人間の言葉を喋ることが出来る。もっとも、この時世に
おいて喋る動物は珍しくはない。例えばこのエリュウトスの“都市部”の設計、開発を担当している私の妹は喋る黒猫を飼っている。
だが、エルーの特筆すべき点は他の喋る動物とは違い、脳力ブースト等の処置を一切行っていない点だ。喋る動物達は普通、頭脳に
コンピュータを埋め込んでいる。コンピュータの力を借り、脳を最大限に活性化させることによって言葉を操ることが出来るように
なるのだ。しかし、エルーは自前の頭脳で考え、言葉を操るに至っている。それだけではなく、エルーは文字を理解し、大学生レベル
の論文程度なら苦もなく読むことが出来る。論理的な思考術を持ち、高レベルの算術計算も得意だ。コンピュータを操ることだって
出来る。イルカが高度な知能を持つことは人類が地球に留まっていた頃から知られていたことだが、平均的な人類よりも高い知能を
持つイルカの存在は極めてまれだ。
 二千万頭に一頭。それがエルーと名付けられたこのイルカが持つ知能のレベルである。
197イルカと麻薬(2/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:11:43.92 ID:HlK+Waz+0
『先生、だめ? 大陸棚におけるメタンガスと微生物の生息状況の調査結果、発表されている筈なんだ。結果を確認したいよ。
僕の推論どおりの筈なんだけれど』
 もう一度、エルーは私に質問を繰り返した。私は頷く。
「オーケー、エルー。私は今日は研究所内にずっといる予定だ。私は、というかこの島の職員全員がね。理由はわからないが、
今日は十時から日没まで待機命令が出ているんだ。だから、エルー、今日は君は電子ジャーナルの海で好きなだけ耽溺するといい」
『本当? やった。よかった。ありがとう、先生』
 私の言葉に、エルーは一回大きく鳴いた。私は頷く。
「どういたしまして。じゃあ、エルー。また後で。私もそろそろ朝食の時間だ」
『うん。先生。また後で!』
 エルーはそう言って、海に潜った。数秒して、水上へと大きくジャンプする。エルーのしなやかな流線型が空に浮かび、やがて
再び海に沈む。はじける水しぶきに顔を覆いつつ、私は小さく笑った。
***
 朝食はライ麦パンのサンドイッチとコーヒー。私は自室でそれを作り、食べた。この星では茶の栽培はまだ始まっていない。
そのため、紅茶や緑茶はまだ貴重品でそうそう飲めるものではない。
***
 食事後、シャワーを浴び直し、私は研究所へと向かった。この島には、開発要員として約二百人のスタッフが詰めている。そのうち
半数以上が高度な技術教育を受けた、優秀な研究職にあたる。実際、この島はリゾート化の目玉の一つであるため、優秀な人材が多く
あてがわれている。
 私の研究ラボには、海と繋がっているプール室があり、イルカの餌付けや研究に用いられている。ここは人懐こいイルカ達の遊び場
であり、特にエルーはこの部屋の主と言っていいほどの入り浸り様だ。
 実際、私がラボに着いたころには、既にエルーはプールの中で待機していた。
『先生、来たよ。来たよ』
 エルーは私の姿を認めて、嬉しそうにそう報告する。
「ようこそ。随分と早いお着きだね。もう少しゆっくりとくるのかと思った。」
『早く結果を確認したくて! 先生こそいつもよりちょっと早いよね。ちゃんと朝ご飯、食べたの?』
 私は笑った。
「もちろん、朝食は一日の糧だからね。エルーこそどうだい。ちゃんと食べているのかい?」
『うん。先生とさっき会う前にね、魚を捕って食べた。美味しかった!』
 エルーはそう言い、大きく尾びれで水面を叩いた。ばしゃん、と軽快な音。
198イルカと麻薬(3/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:12:20.06 ID:HlK+Waz+0
 私はエルーのために、海中でも操作できる端末をプールへと落とし込んだ。
『待ってました!先生、ありがとう!』
 エルーはそう言ってからもう一度跳ねる。とびあがる水しぶき。私は苦笑しつつ、エルーの口に操作用のデバイススティックを
くわえさせた。エルーはデバイススティックを口にくわえて端末を操作する。慣れたものだ。すぐに研究用のジャーナルウィンドウ
を呼び出し、論文の内容の確認を始める。期待に興奮しているのか、エルーの尾びれは時々無意味にゆらゆらと動いている。
「さて、と」
 エルーが電子ジャーナルの内容に没頭しはじめたのを見届けてから、私も意識を切り替えた。自分の居室に戻ろう。今日は、
提出の期限が迫っているレポートがいくつか存在している。
***
 午後の一番で、緊急の呼び出しがかかった。第一級緊急呼集。あまり穏やかではない。
「エルー、呼び出しがあった。ちょっと行ってくる」
 私はエルーの端末にそうメッセージを送った。前方、プール室の方向でばしゃん、と大きな水音がする。了解の意だろう。
『いってらっしゃい! 先生!』
 私の端末に返ってきたメッセージを見てから、私は端末を落とし研究室を出た。呼び出しのあった会議室へと向かう。
***
 会議室で現在のこの惑星が置かれている状況とこれからのリアクションの説明を受けた。会議室から出るころには、会議に参加した
スタッフの誰もが困憊し、うちひしがれていた。私だってうちひしがれた一人だ。
***
『先生、ニュース、読んだよ』
 戻ってきた私を出迎えたのは、やはりエルーだった。
『先生、あのニュース、本当のことなの?』
 私はプールのへりに腰を落とした。あぐらをかく。こんな気分でも、潮の匂いは心地良い。
 エルーは私のもとに泳ぎ寄ってきた。不安そうに、私に声をかける。
『先生』
 私のことを何度も呼ぶエルーに私は頷いた。私の心は動揺している。なんとか、自分を落ち着けなければならない。
「私もさっき、はじめて伝えられた。ニュースジャーナルでは、もう発表されているのか」
 私はエルーの頭を撫でた。エルーの黒い皮に覆われた頭を触るのは心地良かった。
***
 本日、惑星エリュウトスの“楽園化計画”は百二十年目にして破棄されることが緊急かつ正式に決定した。
その報は、私を含めたこの星にいる全ての人類を、徹底的に打ちのめした。
199イルカと麻薬(4/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:12:56.96 ID:HlK+Waz+0
 突如発生した原因は、あるいは今までそれを予測できなかった理由は、総じて不明だ。だが、超光速通信は二十光年離れた隣星系に
超重力の井戸、つまりブラックホールが出来たことは明確なる事実である。この惑星エリュウトスもいずれその重力波に間違いなく
捕まり、飲み込まれることになる。
 ワープ航路は重力波の影響を大きく受ける。ワープ回廊の幹線は隣星系付近に存在しているため、ワープ航法が使える期間は
驚くほど短い。安全に回廊を使って脱出するための期間は、あと半月にも満たない。
 あまりにも急な話だ。だが、対処しなければならない。幸いなことに、二千人以上のスタッフを全員搭乗させることが出来るだけの
宇宙船は確保してあるという話だ。早急に引き上げる準備をして、宇宙ターミナルへと向かうように。それが会議室で伝えられた伝達
内容だった。
***
『イルカは、僕はどうなるの?』
 エルーの言葉に、私は現実に引き戻された。エルーが、黒い円らな瞳で私を見ている。
 宇宙船に、イルカを運ぶだけの設備はない。必然的に、我々はクジラもイルカも全てを置き去りにすることになる。
『……そっか』
 私の沈黙を察したエルーはそう言ってプールに潜った。数分間、ゆらゆらとプールの周りを泳ぎ続ける。私はそれを見守った。
数分後、エルーは再び浮かび上がる。
『先生、あのね。僕は死ぬのはそんなに怖くない。そもそも、あと二十年も僕の寿命が続くかもわからないし。でもね、すごく
怖いことがある』
 エルーはそう言った。私は、黙ってエルーの言う言葉に耳を傾けていた。
『あのね、先生。先生達がここからいなくなれば、僕はもう誰とも話すことも、コンピュータを使うことも出来なくなっちゃう。
僕から、知識や文明が取り上げられちゃう。僕は、それがとても怖い。僕は先生と知り合って、色々なことを教えて貰った。
コンピュータを触らせてもらえた。すごく世界が開けた気がしたよ。だから、それをまた失うのはすごく辛いんだ。もう、僕は海の中
で他のイルカ達と魚を捕って、遊んで暮らす。そんな生活には戻れないんだ』
「……ごめん、ごめんなエルー」
 私はエルーの頭を撫でた。涙がこぼれる。エルーの気持ちはわかる。痛いほどわかる。しかし、エルーの痛切な願いに対して私は、
この星の置かれた状況はとてもシビアだ。
『先生、泣かないで。先生が悪くないのは解っているからさ。……先生、僕はね、一人で残されたくない。先生達と、一緒に
行きたい。もっと色々なことを知りたいんだ。それで、考えたんだけど』
 エルーはそう言い、私の反応を見ながら一度言葉を切った。
200イルカと麻薬(5/5) ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:14:19.64 ID:HlK+Waz+0
『先生、前、僕に向かって言ってくれたよね。僕は極めて珍しい、高度な知能を持ったイルカだって。これは、僕が保護される理由に
ならないのかな? たしかに、普通のイルカのためにたくさんのお金と危険を冒してイルカが運べる宇宙船を用意するなんてことは
難しいだろうけど、僕みたいな特殊なイルカだったら、研究とか、そのほかにも色々なことに役に立つかもしれないよね。だから、
なんとかお願いとか出来ないのかな?』
 私はエルーの目を見ることが出来なかった。だが、エルーの真摯な問いに答えなければならない義務が私にあることも確かなこと
だった。
 だから私は、目を伏せたままで答えた。エルーの希望に溢れた言葉に言葉を返した。
「エルー。確かに君は素晴らしい知性を持っている。二千万頭に一頭いるかいないかというレベルの知性だ。本当に素晴らしい。
だけど……」
 私は一度言葉を切り、それからエルー、私を慕うイルカに、その事実を告げた。
「だけどエルー。人類は全宇宙で四十億頭以上のイルカを保護、管理しているんだ」
 しばらくの沈黙。それから、エルーがゆっくりと声を発した。理解したような、諦めたような声音だった。
『……そっか。じゃあ、僕みたいなイルカは全宇宙に二百頭もいるんだね。それじゃあ、確かにわざわざ僕のために宇宙船を
チャーターすることは出来ないよね。僕が二百分の一でしか無いのだったら。そっか』
 エルーはそう言ってプールに潜った。私は座ったまま、うつむいたままだ。
『先生、泣かないでね。先生が悪いんじゃないんだよ。それは僕だってわかっているからね。先生、ありがとう。今まで、本当に
嬉しかったよ。先生のおかげで、僕は色んなことを知ることが出来た。この世界のことも、海のこともたくさんたくさん知ることが
出来た。……だけど、もうそれもお終いだね』
 やがて浮かび上がってきたエルーはそう言って僕の前で口を大きく広げた。
『僕が普通のイルカだったら、これからの日々も楽しく生きていくことも出来たのにね。知るということは、残酷だよ。知ったら、
もう過去には戻れない。…でも、僕、頑張るよ。普通のイルカとしてこれから生きていけるように、頑張ろうと思う』
 エルーはそれから、私に発声ユニットを取り外すように頼んだ。これから、普通のイルカとして、過ごしていくために、
未練が無いように。
 私はエルーの頼みを聞いた。口の中から、発声ユニットのスピーカーを取り外す。たった十数秒のことだった。
「終わったよ、エルー」
 私が告げると、エルーは大きく鳴いた。優しそうな、悲しそうな、色々な感情がこもった鳴き声だった。
 それからエルーは水面に潜った。水路をくぐり、海へと戻っていく。
 私は座ったままで、泳いでいくイルカのその姿を見送った。その姿が見えなくなってもずっと、私はその場に座り続けていた。

<了>
201 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/14(日) 20:15:38.37 ID:HlK+Waz+0
以上でした!
ネット喫茶からしょんぼりして帰ってきたら、家人が
ダイアルアップ接続の準備をしてくれてたよ!
そんな裏技あるんだったら最初に言ってよ!
というわけで>>160の人とか有り難う。なんとか参加できました!
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 20:20:09.95 ID:wuiItd51O
よーし!

あきらめた!
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 20:21:05.93 ID:R9ExDbi10
週末品評会128thまとめ『天才』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1221264735/

No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
以上三作品まとめ済み。確認およろしゅう。
204惰眠 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 20:30:36.61 ID:H51zXh+K0 BE:970141474-2BP(0)
うああああ!!
>>190の最初にスペース入れてたのにコピペで消えてるー。
修正が利くならまとめの人修正して欲しいです。
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 20:30:38.76 ID:p/r0ZE3EP
まとめおつう

>>201
ズコー(AA略
めでたしめでたし
久しぶりに削らなければいけないくらいの量の文書いたぜ。
そんなにいい出来でないのが悔やまれる
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 20:39:26.66 ID:R9ExDbi10
>>204
最初って一行目が空白行って事?
なくてもそれほど被害はなさそうな気はするけど、それは本人にしかわからないことだよね。
けれども、俺は残念ながら編集の権利をもってないので、編集権利持ってる人を待つしかないです。
ごめんなさい。


あと、これはすべての人に言えることだけど、空白行を入れる時、
いくつかスペースを入れると、コピペの時に消えてしまうということはないはずです。
↓のように。
     
これがあると、まとめの方に転載するときとかも、多分大丈夫でしょう。
大切な作品です。できるだけ、自分たちでも気をつけていきましょう。
208惰眠 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 20:50:13.42 ID:H51zXh+K0 BE:935494439-2BP(0)
>>207
今度から気をつけます。
209人間設計事務所0/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/14(日) 20:53:17.64 ID:OorUwy8b0
品評会投下
210人間設計事務所1/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/14(日) 20:53:48.53 ID:OorUwy8b0
 ようこそいらっしゃいました! ここは人間設計事務所。文字通り人間の設計を請け負う事務所でございま
す。私人間設計アドバイザーの楠田という者です。クスノキにたんぼの田で楠田です。では、よろしくお願い
します。
 さて、人間設計事務所のご利用は初めてですか? はい、はい、そうですか。かしこまりました。それでは
まず親切丁寧に、人間の設計に関して説明してまいりましょう。どうぞ、そこの席にお座りください。紅茶と
コーヒーはどっちがいいですか? はい、かしこまりました。おーい、筧君、緑茶2杯頼む。
 えーではまず、人間の設計をどうやって行うのかについてお話しましょうか。原理としては、大豆の遺伝子
組み換えと同じですよ。遺伝子に改良を加えて、生まれる赤ん坊に特質を加えるという方法です。ただ人間が
大豆と決定的に違うのはですね、あくまでも両親の遺伝をベースにするという点です。例えばですね、高学歴
の両親が持つ遺伝子同士を組み合わせれば、そのままでもそれなりに頭の良いお子さんが出来るんですよ。運
動神経とか、その他諸々才能についてもほぼ同じ事がいえます。しかし、私どもの開発したシステムの凄い点
はですね、両親の遺伝子を引き継ぎながらも、そこに能力を付加出来るという点なのですよ。
 例えば極端な例ですと、両親とも知能指数が低くても、頭を良くする遺伝コードを受精前に追記する事によ
って、生まれつき頭の良い子供を誕生させる事が出来るんです。
 え? 欠点は無いのかって? 流石はお客さん、分かってらっしゃる。あ、おい、筧君、お茶を飲ませてく
れ。ずずず……、はい、失礼しました。えっと、欠点の話ですね。専門的な話は省いて、分かりやすく説明し
ますと、遺伝子の長さというのはどの人間も同じなわけです。決まった長さの中にある情報で、それぞれの個
体は設計されているわけです。そして残念なことにですね、例え我が事務所の誇る技術をもってしても、元々
ある遺伝子情報のサイズを実現できないんですよ。つまり、同程度の知能を持つ個体を作るとしても、「天然」
と「人工」ではどうしても「天然」の方が勝ってしまうんですね。もちろんこれは総合能力での話です。
 具体的に申し上げますと、遺伝子組み換えでないAさんという人間と、遺伝子組み換えを施したBさんとい
う人間がいたとしましょう。Aさんの両親はどちらともIQ200程度の頭脳の持ち主で、Aさんも勿論その
形質を遺伝しています。一方、Bさんの両親はどちらとも平均レベルですが、我が社の技術によって、Aさん
と同レベルのIQ200という形質を加えたとしましょう。すると、BさんはAさんよりも身体能力が低くな
ったり、あるいは反射神経、絵や音楽に対する先天的なセンスが、かなり低くなってしまうんですよ。この問
題に関しては、我が社も努力して改善に努めていますが、今の遺伝子改造技術の限界と言うものがありますし
ね。科学は万能ですが、リスクもある訳です。
 しかしお客さん、考えてみてもください? 元々生まれるはずもなかった能力を持った人間をですね、意図
的に、しかも確実に誕生させる事が出来る訳です。能力のバランスなどについては、私ども設計事務所の手腕
をどうぞ信じてください。お客さんの希望する中で最も適切な物……いや、人間を作ってみせますよ。
211人間設計事務所2/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/14(日) 20:54:19.37 ID:OorUwy8b0
 あ、筧君、モニターをこっち持ってきてくれるか? そう、それそれ。何? 1人じゃ持てない? がんば
りなさい。
 さ、こちらのグラフをご覧下さい。ここ数年における新生児の平均IQ推移のグラフです。分かりますか?
 どんどん上がっているんですよ。昨年の平均がIQ200程度という事で、もはやIQ150程度の人間で
は、有名大学どころか高校も難しい時代なんですよ。わははは、あ、いや失礼。筧君、次のグラフを。
 こちらは我が社の設計した人間に対する満足度調査のアンケート結果ですね。どうですか? 99%以上の
お客さんが、満足だと答えていただいてるんです。素晴らしい結果だと思いませんか。
 この強力な支持率の理由として挙げられるのが、我が事務所の設計の細かさでしょう。才能面だけではなく、
性格面まである程度操作する事が出来るんです。いくら頭が良くても、根暗な人間では社会で成功する事は難
しいですからね。加えて、子供時代の聞き分けの良さなんかも改良できます。これによって、育児の負担が減
ったとお母様方からは好評なんですよ。そして次にこのですね……おや? 失礼、お客さんが来たようです。
筧君、出てくれ。
 もちろんですね、知能型だけではなく、身体能力に特化した人間も出来るんですよ。例えば昨年のオリンピ
ックで100メートル金メダルを取った選手なんかは、足だけに特化した遺伝子操作人間ですしね。その代わ
り、知能はトカゲくらいしか無いんですよ。わはは、しつけも大変だったそうで、一般の方にはちょっとお勧
めできませんね。それでも100メートル7秒を切る人間は、遺伝子操作でしか生まれ得ませんがね。
 それでですね……ん? 筧君どうした? ……返品? ああ、分かった分かった。後で処分しておいてくれ。
ダンボールに入れて積んでおけばいいから。はは、いや何、たまにあるんですよ。製造物責任法って奴です。
いえいえ、お気になさらず。
 ……え? 返品とはどういう事かって? いやその、先ほど99%の満足度と紹介しましたが、まあ残りの
1%の方の中にはですね、こんなつもりではなかったと仰るお客様もいらっしゃいまして。まあ返金は受け付
けていないんですが、何せ商品が人間ですからね、処分するにも色々と面倒なんですよ。だから返品という形
でうちの事務所に送りつけてくる方もいらしてですね。……ダンボールの中ですか? 見ます?
 まあまあそれは良いじゃないですか。今はお客さんにぴったりの設計を決めましょう。それに関しては、当
事務所おすすめの設計プランを用意させていただいてるんですよ。その名も頭脳特化型新人間。という設計で
して、なんとこの個体は、IQ300を越える知能を有する事が出来るんですよ。来る高学歴時代に備えてこ
の型にするお客さんも増えてましてね。数年前まではまだわずかだったんですが、ここ最近急増してますよ、
このタイプは。
 このタイプの画期的な所をご説明いたしますと、頭脳以外の能力を極限まで削っている点です。まず足が無
い。そして腕も無い。いわゆるだるま人間ですね。
212人間設計事務所3/3 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/14(日) 20:54:50.36 ID:OorUwy8b0
 人間の部位の中でも、腕や足はかなり複雑な動きを求められる上に、エネルギーの消費も激しいですから、
遺伝子を組みかえる事によって、最初から無くしてしまうんですよ。え? 不便じゃないかって? もちろん
それはそうですが、これからの時代、良い学校に入って良い会社に勤めるためには、この型が最適ですよ。そ
れに、自分に手足がなくても、手足の代わりとなる部下がいれば良い訳ですから。おーい、筧君、お茶おかわ
り。
 あ、行ってしまうんですか? しかし将来のお子さんの為にはこれしか無いですよ。生まれてから四肢を切
断するよりも、よっぽど良いと思いませんか? ……はぁ、分かりました。後悔すると思いますよ。まあ、気
が変わったらまた事務所の方に是非着てくださいね。
 おい、筧君。お客さんを途中まで送って行ってくれたまえ。


 え? はぁ、そうですね。ええ、仕事は大変です。楠田さんは自分の力では全く動けませんから、雑用など
は全部私任せなんです。……でも、楠田さんもかわいそうな人なんです。
 見れば分かるでしょう?

213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 21:10:43.02 ID:p/r0ZE3EP
ほうう
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 21:14:30.75 ID:403ySUoa0
>>208
こうではなくて……
『 とある街外れの歓楽街からも外れた所にある古びた居酒屋での一つのお話。』
こうですか?
『』
『とある街外れの歓楽街からも外れた所にある古びた居酒屋での一つのお話。』

修正しますのでお教え頂ければと思います。

それと惰眠というのは恐らくハンドルネームと思いますが、このスレでは「お題かタイトル」と勘違いされる確率が非常に高いです。
投下する時だけ直してもやはり後々誤解を生みやすいと思いますので、このスレッドにおいてはトリップだけ、というのをお勧めしますよ。
トリップだけでも十分判別できますので。
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 21:20:08.39 ID:R9ExDbi10
ああ、スペースかw
恥ずかしい orz

恥ずかしいから品評会書くよ!
216 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/14(日) 21:23:12.24 ID:H51zXh+K0 BE:623662463-2BP(0)
>>215
とある街外れの歓楽街からも外れた所にある古びた居酒屋での一つのお話。

 とある街外れの歓楽街からも外れた所にある古びた居酒屋での一つのお話。

こういう事です、よろしければお願いします。
後トリップの件は了解しました。
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/14(日) 21:29:10.07 ID:o4v8jiJg0
お題ください
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 21:33:48.67 ID:fMrHcQVC0
>>217
拾う
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 21:34:57.33 ID:403ySUoa0
ここまでの品評会作品の転載、完了致しました。
現在9作品のようです。

>>215
転載作業お疲れ様です。
本当に助かっております。
願わくば、あなたにもっとたくさんの「お疲れ様」が届きますように。

>>216
完了致しました。
時間が空いていれば修正しますので、何かありましたらお気軽にどうぞ。
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 21:46:16.39 ID:fMrHcQVC0
>>215,219
転載、まとめ乙です
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 21:46:35.23 ID:R9ExDbi10
>>219
ありがとうございます。そしてやはりあなたにも「お疲れ様」と言わせていただきます。


やっぱり品評会無理だよ!
222プレス機の脇で 0/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 21:56:54.46 ID:rD9UVrdi0
もうただの自己満の品評会投下
223プレス機の脇で 1/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 21:57:25.38 ID:rD9UVrdi0
 ユウトのやつまた余所見してる。ユウトはは頬杖を付いて窓の外を眺めていた。僕らの教室から
見えるのはただの住宅街だけだ。校庭でさえない。住宅街の真ん中に電信柱がどしん、と立ち、
四方に電線を伸ばしていた。電線がたくさんありすぎて、頭でっかちな電柱になっている。足場が
多いのでカラスの格好の溜まり場である。授業中はうるさいし、ベランダは糞だらけだ。
 ユウトは僕の一番の友達だった。何のことはない、気が合っただけだ。ただ、ユウトは勉強が出来た
ここは県内で四、五番目に勉強のできる進学校だ。僕も割りと余裕で入れただが、ユウトは別格だ。
受験で一位の成績を取り、その座は今でもあまり変わっていない。さすがにずっと一位を独占できる
わけも無いので、たまには二位や三位の座に甘んじる。それでも相当な成績である。県内で一番の
学校でも余裕で入れたことだろう。加えて、憎い事に、彼は運動も平均以上に出来る。勉強平均、
運動中の下、顔中の上、というバランスの取れたスペックの僕にすれば、羨ましい限りであった。
 だが、ユウトにも欠点はあった。問題児なのだ。問題児と言ってもチンピラの類ではなく、社会に
反抗的なタイプだ。押し固められることを極端に拒む。授業中、教師が彼に何か強制しようとすると、漏れなく歯向かい口喧嘩になる。ユウトは頭の回転が速いので、言葉を巧みに操り、相手の揚げ足を
取り、さも自分が正しいように説き伏せる。まるでその全世界の正義を盾にしたかのような態度に
教師は圧倒され、言い負かされることも少なくない。教師は大抵の場合は黙ってしまうか、逆上し、
青筋を立て訳の分からない言葉を撒き散らす。そうすると、ユウトはため息を一つ吐き、
「分かりました先生。今回は僕が悪かったです。謝ります。ですが、先生にも落ち度はあると
思います。それは先生もお分かりでしょう? ですから今回は痛み分けということで……」
と、自分が優位を保ったまま、自体をまとめてしまう。そうすると、彼はクラスメイトから賞賛と
羨望の眼差しを受け、優雅な態度で席に戻る。教師も、自分に落ち度があるのを分かっているし、
ユウトも自分の非を認めているのだから、言うことも無い。むしろ、勉強も出来るし、物分りもいい。
加えて自分の意見もしっかりと主張できるいい子じゃないか、と納得してしまう場合も少なくない。
普通の生徒なら、そんなことありえないが、ユウトなら何故か納得してしまう。彼には雰囲気があった
 その話をユウトにすると、
「教師を納得させるコツ? それは教師に『自分は生徒より優位な状況にある』と思い込ませること
だな。一度は俺が優位に立っても、最後に元に戻してやる。教師と生徒という立場を再認識させる。
人間は自分の理解できない状況が大嫌いだからな」
と、自信たっぷりに説明してくれた。そして
「タケシだってそういうのまあまあ得意じゃねえか」
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 21:58:10.69 ID:Fd+ud0J8O
天才、まとめ、いつもありがとうございます。
そして、あと一時間以上あるから品評会書くの頑張ってください。
あきらめちゃダメだよ!!
225プレス機の脇で 2/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 21:59:08.50 ID:rD9UVrdi0
と、言葉を続けた。そうなのである。かく言う僕も、割と問題児だった。しかし、ユウトほど鮮やかに
事は運べない。大抵は教師逆上させて終わってしまう。だが僕も人に押し固められるのは嫌だった。
 授業の合間の休憩時間、ユウトが僕の席に来て話しかけてきた。
「次の時間サボってぶらぶらしねえ?」
「どこ行くの?」
「適当」
ふむ、と僕は考えた。次の時間は嫌いな先生の現国の授業である。断る理由は見つからなかった。
「オケ」
「うっし」
と、僕たちはプレス機の外へささやかな冒険に出た。
 結局、僕たちの行き先は公園だった。
「全く、ポスカなんて制度を誰が作ったんだ。ポスカでタバコ人口を減らしてから、タバコ税を増やす
なんて意味が分からない」
と、政治について分かったような口を利くユウト。僕は同じ梅の木の下で滑り台に背を預けながら、
高校生に心配されるなんて世も末だな、と思った。するとユウトが、
「高校生に心配されるなんて日本も終わりだな」
と言った。僕は思わず苦笑いしてしまった。
 こういう風に二人きりでいる時は、大抵ユウトが一人で喋りまくる。それに僕が適当に相槌を打つ。
いつの間にかできた、二人の暗黙の了解だった。ユウトは自分のことをより誰かに知ってもらいたい
自己顕示欲の強い人間だったし、僕はあまり物言わぬ静かなタイプだから、この関係は理にかなって
いると思う。
 ふー、とユウトが途中で買ってきたココアシガレットを片手に、タバコを吸う振りをする。
「ところで、タケシ」
「うん?」
「お前、将来についていくらか考えてる?」
「唐突だな」
ふむ、と僕は考えた。考えるときに片手で顎を触るのは僕の癖である。梅の木の葉はもう散り始めて
いた。花びらは散るからこそに美しい、と言われるが、葉っぱは散るだけだ。若葉は美しい、と
褒められることもあるが、散る時には意識もされない。すずめが二、三羽梅の枝にとまった。枝が揺れ、
少し干からびた葉が青空の下に舞う。十分に美しい。僕はどちらかと言えば、葉だな。ユウトは花びら。
226プレス機の脇で 3/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 21:59:39.23 ID:rD9UVrdi0
「俺はな……」
痺れを切らしたユウトが口を開く。
「俺は国立大に進んでから、どこかコンピュータ会社に勤めようと思ってる。大きいやつ」
「ユウトなら余裕で入れるだろうよ」
「サンキュ。将来の目標も決まったわけだし、俺の反抗癖はさ……、あれ、やべ。もうこんな時間」
僕はユウトに言われて携帯のディスプレイで時間を確認する。あと十分で授業が始まる。
「タケシ! 走るぞ!」
「お前、俺が運動そこまで得意じゃないの知ってるだろ。特に陸上」
見ると、ユウトは僕の言葉を聴かずに、もう走り出していた。
 二分オーバーだった。もう授業は始まっている。コンピュータ室で行う、情報の授業だった。教室に
入ったとき、クラスメイトの視線が僕たちに集まった。
「ユウト! タケシ! 今までどこに行ってた? 現国の時間もいなかったそうじゃないか」
僕らは教師の目を睨みながら黙る。こういう体育系の教師には、反抗的な態度を取るのは得策ではない
と分かっていても、もう反射みたいなものだ。
「黙っていないで何とか言え!」
テンプレ通りの説教。これだけでこの教師がどれほど頭が悪いのか伺える。僕は口の端を吊り上げ、
皮肉っぽく笑った。教師の癇に障る笑い方だ。
「いや、サボり以外に何があるのかな、と思いまして」
小さな声で言う。教師の頭に血が上るのが分かった。教師は両手を組み、仁王立ちで威嚇をしていた。
「何だその口の利き方は? 反省しているのか」
「あれ、僕反省してるなんていつ言ったっけかな……」
ああもう。ダメとは分かっているけど口をつくのは相手の神経を逆なでする言葉のみ。
 横目でユウトを見ると、彼も真顔で仁王立ちをしていた。教師と違うのは、手を後ろに組んでいる
ことと、顔に余裕が残っている、ということだった。
「タケシ! そういうことを言っているんじゃない!」
「申し訳ありません。僕は先生と違って馬鹿なので、言葉にしていただかないと分からないのです。
そういうことじゃない、というのはどういうことなのでしょうか?」
僕の言葉に、うぐ……、と教師は黙ってしまった。快感。
「お前はどう思っている? ユウト」
苦し紛れにユウトに振った。僕は心の中で勝ちを喜んでいた。
227プレス機の脇で 4/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 22:00:10.55 ID:rD9UVrdi0
「え……、あ、いや……」
ユウトが真顔のままどもる。らしくない。だが本当に言う言葉が見つからなくてどもっているようには
見えない。何か考えがあるのだろうか。
「先生、僕の先ほどの問いに答えていただきたいです」
僕は教師に追い討ちをかけた。
「今は俺がユウトに質問しているんだ」
「では先ほどは僕が質問したのですが、無視してユウトに質問する方が正しい、と?」
「屁理屈だ」
「先生、屁理屈』というのは大人が都合が悪くなった時に使う、苦し紛れの非常口みたいなものです
よね」
「それも屁理屈だ! 黙っていろ! それでユウト、お前はどう思う」
ユウトは心ここにあらず、と言った様子だ。教師に声をかけられ、やっと自分がここにいるのを
確認した、という感じ。何か考え事をしていたのだろうか。
「『どう思う』とは、何についてでしょうか?」
「遅れてきたことについてだ」
「はあ。まあ、申し訳なかったかと」
ユウトの気の抜けた返事に、教室中ががっかりした。みんな密かにユウトの反抗を楽しみにしていた
のだ。
「反省しているようだな。よし。次からは遅れることの無いように」
僕ぶすっとして席に着いた。ユウトも黙って席に座る。その後の授業は特に滞りなく進んだ。
 授業後、僕はユウトに尋ねた。
「どうした、元気なかったみたいだけど」
「ん? ああ。ああいう体育系教師には、大抵、何言っても無駄だろ?」
「まあ、そうだけど……。それだけか?」
「嘘吐いてどうするよ」
結局、僕はそれ以上追及しなかった。
 翌日も情報の授業があった。当然、いい気分で受けれるわけではない。ふてぶてしい態度で席に
ついた。どかっ、と席に座ると、何人かのクラスメイトがおずおずとこっちを見た。
 教師が入ってくると、僕の態度はさらに露骨になった。椅子にふんぞり返り、ちっ、と舌打ちまで
した。もちろん、その態度は教師の目に付いた。
228プレス機の脇で 5/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 22:00:45.19 ID:rD9UVrdi0
「タケシ。いい加減にしろよ」
僕は軽く笑って無視した。しかし、教師の次の言葉に驚愕した。
「全く。ユウトは今朝も丁寧に謝りにきたって言うのに……」
「は?」
理解できなかった。その時の僕の顔はさぞ間の抜けていたことだろう。その後、僕は教師に口答えする
ことができなかった。それほど、教師の発言は意味の分からないものだった。ユウトを見ると、
真っ直ぐ教師のほうを見つめている。僕の視線に気づいている様子は無い。気づいていたのかも
しれないが、僕とは顔を合わせようとしなかった。その後、昨日と同じく、授業は滞りなく進んだ。
 授業の後もなんとなく、その事をユウトに聞く気にはなれなかった。次第に僕とユウトは疎遠に
なっていった。どちらが何か言ったわけではない。特に理由は無かった。これまたなんとなく、
ユウトが僕に「近づくな」と言っているように感じた。もしかしたら、ユウトも同じように感じて
いたのかもしれない。

 そして何事も無く一年半が過ぎ、僕らは高校を卒業した。何事も無く、と言っても、教師は僕に
冷たかった。僕は反抗癖を強制することができなかったから、当たり前かもしれない。ユウトと
離れてしまってから、何もかもどうでもよかった。しかし、僕は前にもまして、強制されることが
気に障るようになってしまった。押し固められることがたまらなく嫌だった。小さなことで、
すぐ教師に反抗した。
 対照的に、ユウトはエリート街道まっしぐらだった。僕と違って、教師に小言を言われることは
ほとんどなかった。たまに言われたとしても従順に従い、優等生を演じた。ユウトは型にはめた
ような、どこにでもいる優等生になってしまっていた。
 彼は大人になったのかもしれない。しかし、僕はもう彼に才を感じることは無かった。
 僕は大学生になった今でも、量産されているような人間にはなりたくない、と思っていた。僕の
大学は俗に言うFラン大ではあったが幸い、その大学では押し固められることは無かった。僕は
思う存分、自分の意見を言えた。新しくできた友達からも「お前は輝いている」と、たまに言われる。
彼らもまた、輝いていた。聞くと、彼らの中にも、高校で反発していたやつはいた。
 たまに、ユウトは今ごろ何しているのだろう、と思う。学校の理想とする、均整の取れた、模範生に
でもなっているのだろうか。少なくとも、僕のような学校から嫌われるタイプではないだろうと思う。
 僕は今の自分に満足していた。上手く押し固められなくて、プレス機からはじかれた存在。
 上手く型にはまるものと、どうしてもはまらないもの。どちらが才能ある存在なのだろうか。
229プレス機の脇で 6/5 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/14(日) 22:01:15.85 ID:rD9UVrdi0
以上。まとめの人乙です
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 22:12:57.21 ID:SeF490zkO
規制者スレに品評会投下しました、転載よろしくお願いします
231 ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:20:38.45 ID:vO3ppkcPO
品評会投下します。全部で5レスです。
232 ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:22:57.47 ID:vO3ppkcPO
 いまだに日差しが強い、真夏日をぶり返したかのような九月の半ば。晩夏と呼ぶには幾分か遅く、すでに
秋に差し掛かっている時節である。空を赤らめ大地を照らす入り日は、空と大地の境界線上で揺らめいてい
る。
 下校時間をとうに過ぎている教室に、しかし影は二つあった。
 机に右肘をつき、頬杖を突いている少年。その机の右三分の一のスペースに腰をかけている少女。
男の方はワイシャツに紺のズボンで、女のほうは白いブラウスに黒のプリーツスカートという制服姿である
。教室の最後列の左隅に重なる二人は、西日に照らされて仄かに赤く、その投影は黒く細長い。
 「百パーセントの才能を持った人がうらやましい」
アシンメトリーの、目にかかる程度に伸びている前髪と、長く伸びた後ろ髪の少女は、悲しげな表情で少
年に言う。
「そうだね」
 白いうなじを隠すことのない短い襟足とそれに反して伸びている長い前髪の少年が、頬杖をつきながら窓
の外を遠い目で見る。
 少年と少女は押し黙り、その視線ははるか彼方の地平線へと注がれている。無論、窓の外に広がる景色は
いたって無機質な都会のそれである。
 数時間前のことが、二人の脳裏を掠めていた。
 総合学習という名目のその授業は、その日その日によって内容が変わるという、生徒からしてみれば迷惑
で退屈な授業である。今日の内容は、くじで決めた二人一組で歴史的人物に対して考察するというものだっ
た。
 偶然にも少年と少女は一緒になった。そして、調べる人物というのはかの有名な学者、アインシュタイン
――本名、アルバート・アインシュタイン。ドイツの物理学者であった彼についての、考察であった。
 今更調べるまでもない、有名すぎる偉人を、しかし二人は真剣に考察した。
 決して二人の及ばない高みに登った、指折りの知性を持つ彼を、どこかで羨ましがっていた。新理論の発
表から、多方面へ樹形図のように広がるその才能に、少女は憧れていた。
 中学二年生である少年少女などは、世界は自分を中心に回っていると信じて疑わないような子供である。
どこかで、自分は周りとは違う特別な存在であるはずだ、と過信する愚かな年代だ。
 目の前に提示される特別≠ノ目を向け、しかし落胆することもできる少年少女。
 及ばない存在、より高みへ登って行った偉人にとって、自分の存在などはちっぽけ以外の何物でもなかっ
たのだ、と少女はひどく落胆した。
233 ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:23:50.87 ID:vO3ppkcPO
 「私は拓哉と違う」
 拓哉と呼ばれた少年は、しかし答えずただ視線を外へ向けているだけ。
 「生まれた時に決まるんだよね、その人の人生っていうのは。私は生まれも育ちも平凡で、やっぱり拓哉
みたいな人になることなんてできないんだよね」
 内に向く悲愴の情が、口をついて出る。拓哉はそれを、心外というような表情で、けれども視線を外さず
に、
 「僕はどこにでもいる中学生だよ。僕こそ、直みたいにはなれない」
 感情を込めない声で言う。直と呼ばれた少女は、しかし食い下がる。
 「謙遜だよ。現に周りの評価は、拓哉をそうかたどってる」
 拓哉はそれを嫌だなと感じた。違いなんてさほどもないのに、その小さな差を小突いてくる直を。
 「常識のある逸材。そんな拓哉がうらやましいな」
 来年、拓哉と直は受験生になる。きっと帰りのホームルームに書かされた、進路に関するプリントのこと
で平静を失っているのだろうと拓哉は勘ぐる。
 「でも、僕は人付き合いが苦手だ。直くらいしか話し相手がいないし、他人のことはよく分からない。僕
は人気者の、みんなの上に立てる直がうらやましいよ」
 「よく言うでしょ、出来る人は孤独なの」
 拓哉は青息吐息を吐く。直は何にもわかってないと内心で愚痴を言う。
 「だから私は拓哉と仲がいいの。孤独にさせなければ、きっと人は上には行けないと思うから。
 常識なんてわからない、分からなくても、拓哉のことが分かっていればそれでいいの」
 直は拓哉を羨望の眼差しで毎日見てきた。出会った頃の彼はひどく陰鬱な人格だった。他人との間に大き
な溝を作って、他者の侵入を頑なに拒んでいる印象を与えた。
 それを遠巻きにしていた直の心境は複雑だった。孤高の人になりつつある、高みに行ってしまえる存在を
、やはりうらやましかった。その半面で恨めしかったのも事実である。
 自分こそ特別だと信じてやまない年代の、よくあることで、また直は人より上にいたかったのだ。
 なんでもできるから、孤高だから、人に頼らなくても生きて行るなんて、そんなのまるで――。
 直はそこで思考を止めた。そこから先を心の中ででも口にすることは、自分が矮小な存在だと、劣ってい
ると認めることに他ならなかったから。だから直は、
 「その本読んだよ。結構おもしろいからおすすめだよ」
 拓哉に話しかけたのだ。中学生では理解できなさそうな哲学書を読む彼に、まるで知らないその本につい
て。
2341%の関係 3/5  ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:25:38.69 ID:vO3ppkcPO
 窓の向こうに注いでいた視線を、拓哉は流れ作業で直に向ける。
 不揃いに切られた前髪。自分を見る双眸は、揺れる水面のようだと拓哉は感じた。
 拓哉は、彼女が決して背伸びをしているとも知ったかぶっているとも思ったことはなかった。それどころ
か、その横柄ともつかない態度をとる直を快く思っていた。
 幼少期から、確かに拓哉は早い子≠ナあった。周りは九官鳥のようにおだて文句を口にした。教師も祖
父母も両親も。しかし、自分に向けられる期待に拓哉は辟易していた。幼いながらに察していた。空気を入
れすぎると、風船は破裂するということを。
 やがて、他人に興味がなくなった。どれも同じにもの見えたからだ。
 「だから僕は、直と仲がいいんだ」口から出たことのないその言葉を、やはり今も飲み込む。
 そして、直の言ったことに、拓哉は心のつっかかりを覚えた。
 「どうして今こんなこと言ってるんだろう、って自分でも思う。これってきっと、懺悔なのかもしれない
。私は拓哉と友達になんてなりたくなかったし認めたくもなかった」
 喋っている直自身、何を言いたいのか、この会話がどこへ向かっているのか分からなかった。しかし、偉
人を調べることで改めて思わせられる近くの存在への、膨れきった負の感情は、堰を壊して流れ出てくる。
 「私には自分の進むレールの先が見えてる。平凡でそれ以上でも以下でもない、決して高くない位置に敷
かれたレールが」
 拓哉は、本当に残念に思う。そこに気づけないことの不幸。今ここにある幸せを噛みしめられない些細な
不幸を。先にしか目を向けることのできない、この現状を。
 人より優秀なことが、幸せだとは拓哉は思ったことはない。そして拓哉自身が高みへ行く存在だとも、当
然思ってなどいなかった。それこそ、アインシュタインのように、一つのことと長く付き合ってきただけで
ある。そう、たったそれだけ。
 「直は気づいてないんだよ。普通ってことが、平凡てことが、何にも勝る至高の幸せだってことに」
 そう、平凡であることこそが、限りなく得がたいもので、より高みのものだと拓哉は考えてきた。
 まだ年端もいかないころから、将来は博士だなとか、きっとお医者さんよとか、そういう皮算用を裏切る
ことすら、気づいていた。
 いずれ、成長が止まって、ただのできそこないになることを。
 だから直と仲がいいんだよ。直を、拓哉の中にある唯一を見てくれた存在だから。
 他人と自分を比較する勇気をもっていたから。
 ただ、直はそれに気づかない。
2351%の関係 4/5  ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:26:43.44 ID:vO3ppkcPO
 二人の間にあるものは、静寂という名をした濁流だった。
 互いが互いを羨む気持ちが、一方的な憎しみへ、一方的な羨望へ、一方的な好意へ、一方的な暗がりへと
流れていく。入り組んだ、憎しみと愛情のすべてを綯い交ぜにした負の奔流が、繋がりというものを壊しつ
つあるのを、双方は感じていた。
 知り合って一年と少し。その短くも長くもない歳月の中で温められたものが、崩壊していくのを。
 直は、もう認めていた。いや、最初からわかっていた。そうなるとわかって、背伸びをして近づいた。自
分に向けられる甘い言葉に酔いしれそうになる。そっちへ傾いてしまえたら、どれほどの重圧から解放され
るのだろう。しかし、それを許してしまったら、自分という存在はどうなるのだ。
 実のところ、直は怖かった。自分が特別でないことを突きつけられることがでなく、一余年の歳月を無下
にしてしまうかもしれないということが。しかし拓哉はそうはしないだろう。拓哉は、孤高ではなかった。
直と対等かそれ以下の対応をしてきた、やさしい人間だった。怜悧でありながら冷徹ではなく、温厚で大き
かった。直は、自分が嫌いだった。
 今、夕陽の傾きとともに、闇にまぎれて消えられたのなら。そんな後ろめたい考えを、しかし拓哉が唾棄
するように、
 「直」
 と囁くように声をかけてくれる。
 「百パーセントの才能は、私には何一つなかった。拓哉に、みんなに誇れるものが何一つない」
 拓哉の耳に届く前に、風にさらわれてしまうような声で、直は声を絞り出す。
 「だからといって努力もしない。拓哉よりは全然悪いけど、なにもしなくてもクラス内では成績は良かっ
た。だから、いつしか出来る振り≠して周りを見下して、気づいたら最低の人間だった」
 まるで積年の間、だれにも話せなかった罪の告白をするように、直は口を開く。
 「それがいかに虚しい行為かなんて、知ったことじゃなかった。だって私の隣には、私なんかじゃ及ばな
い人がいるんだもの。報われない努力なんて、するだけ意味ないじゃない……」
 その諦観を含む声は尻すぼみになっていった。拓哉は、それでも囁く。静寂を持たせないために。
 「それはとっても人間らしいことじゃない? だいたい、僕は直が陰で努力してるのを知ってる。直の悪
いところは努力することが恥ずかしいと思ってるところだよ。もっと長いスパンで物事を見れるのに、とて
も損してる。自分を責めてばかりいないで、そうなったときは僕が直を責めるから」
 それが、アインシュタインの残した言葉だとは、直は気づかなかった。
 陰に隠れて見えなくなった才能があることにも。
 拓哉は、いつしか暗くなり始めた地平線を、穏やかな瞳でただただ見つめていた。
2361%の関係 5/5  ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:27:43.31 ID:vO3ppkcPO
 ゆっくりと、帰り支度をする少年少女の背中が見える。
 白いうなじをさらしている肩幅も狭く、小柄で華奢な少年。拓哉。
 拓哉よりも少し高い身長の、長い黒髪を持つ線の細い少女。直。
 二人は教室を出て、ひたすらに廊下を歩く。教室の残光で、影が二つ伸びる。
 拓哉が肩で笑っている。
 「そういえば、さっきの直は間違いなく高みに登ってたよ」
 拓哉は、顔を少しだけ少女のほうへ向けて、声をかける。自然と見上げる形になる。
 直と呼ばれた少女は、しかしそれに静寂でこたえる。
 拓哉は、口調を真似て、くつくつと笑い声を洩らしながら、先ほどの彼女の言葉を諳んじる。
 『常識なんてわからない、分からなくても、拓哉のことが分かっていればそれでいいの』
 「アインシュタインは、常識を十八歳までに集めた偏見のコレクションだと言ってのけた。所詮、常識な
んてそんなものなんだよ。僕と直を比べても、それにはまったく意味がないんだよ」
 直はそれを聞き、彼の方へ顔を向けようとして、しかし途中で前を向きなおした。
 「それでも、私はきっと、これからも比較し続けちゃうと思う」
 直の足取りが、少し軽くなった。
 「それと、もう一つ。僕のことがわかってればそれでいいってことを、直が言ったこと」
 直と呼ばれる少女の肩が、ぴくんと震えた。
 「アインシュタインの妻は相対性原理のことはわからないけど、アインシュタインのことはよくわかっ
ています≠チていう言葉を残してるんだ。それに――」
 「今の妻が科学を理解できないのは嬉しいことです。前の妻は理解できたんです≠チて彼は言ったんで
しょう」
直が彼の台詞を遮って言い、寄り添うともつかない距離を保つ二人は、肩で笑っていた。
 すでに日は落ち、暗いだけの廊下が目の前に伸びている。影は闇にまぎれて形を失っていた。
 「今度のテストのために、一緒に勉強でもしようか」
少年が数歩前を、後ろ向きに歩いている少女に向けて提案をする。
互いの間で温められたものは、崩壊した。それでもその中から生まれてくるものもきっとある。一パーセン
ト程の出来事だって、繰り返せばいずれは百になる。そうなることで、見えてくるもの、辿りつける場所も
、いつか自分たちで見つけることが出来るだろう。
 少女は答えない。ふと、彼女がアインシュタインの姿に一瞬だけ重なった気がして、慌てて眼を凝らして
みた。拓哉は舌を出しておどけて見せる少女を、少しだけ見た。
237 ◆evLIDD.pqk (コネチカット州):2008/09/14(日) 22:29:39.27 ID:vO3ppkcPO
すいません、最初の2レスは、タイトルが入っていませんでしたね。
申し訳ございません。
タイトルは「1%の関係」です。
投下終了でした。
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 22:40:23.11 ID:403ySUoa0
これは……見逃されているのでしょうか。それとも誰もしないだけなのでしょうか。
ともかく、やります。

57 名前:クレイジーナンバーズ 0/5 ◆fSBTW8KS4E :08/09/14 22:06:46 ID:oQVzSdnB
品評会投下します。
タイトル・クレイジーナンバーズ
レス数・5レス
239クレイジーナンバーズ 1/5 ◇fSBTW8KS4E(山梨県):2008/09/14(日) 22:41:34.08 ID:403ySUoa0
 1
 スタジオの中央では新番組「勝ち取れファイバー」のセットが着々と組まれている。プロデューサーである矢
島は隅にもうけられた喫煙スペースで、ディレクターの進藤と雑談しながらその様子を眺めていた。
「しかし、クイズ番組とはまた思い切りましたね」
 進藤が黒ぶち眼鏡を直しながら感慨深く発言したので、矢島はここにくるまで何度も口にした理想を話しだす。
「確かにこのクイズブームのさなか、新番組でクイズ、ましてや地方局の私たちにとって毎週賞金を取られる可
能性があることに関しては、大きなリスクだと思う。でも、前から考えていた企画なんだ。今までの四択問題と
いうシンプルな形式から、選択肢を一つ増やした五択にする、僕はこの工夫一つにとてつもない魅力を感じるよ。
実力よりも、運だ。人間毎日生きるか死ぬかの二択問題。その日常に潜むスリルを、20パーセントにしてシビ
アさを求める。最高のクイズ番組になるよ」
 セットの脇では回答者役である青年がカメラ位置などの説明を受けていた。矢島はそれをみながら言葉をつなぐ。
「でもこの番組がワンクールで終わるか、それとも続くか、これも今日の収録にかかっているだろうね。人生択一の日々だ」

 2
 その日上山はいつも通り、返却されるDVD達に赤外線を当てては延滞がなされていないのを確認するとわきに
のけ、繰り返していた。客たちにマニュアルをつぶやくのも忘れない。
 休憩時間に入るとスタッフルームでは最近入ってきたばかりの高校生二人がテレビを見ながら雑談していた。
上山は特に気にせず、離れた席に座り、ペットボトルのお茶を飲みながら会話に耳を傾けた。
「勝ち取れファイバーってクイズ番組知ってる?」
 片割れがテレビの中の日焼けたMCを眺めながら聞いた。問われた方は心当たりもなく首を振っている。
「クイズ番組なんだけどさ、選択肢が五択なの」
「特別面白そうには思わないけど」
「それがな、この番組の面白いところは、レギュラー番組を想定して作ったのに、たった一回で放送が打ち切ら
れた伝説の番組なんだ」
 上山は関心のない不利を装い、お茶を喉へと流し込んでいた。彼の目にうつる緑茶は、黒く濁っていく、渦を
巻いていく、自分自身を吸い込み中へ誘うようなそのお茶を、上山は流し込む。なるべくそれに集中しようとする。
「一回で打ち切りとかどんだけだよ」
「なんでも、第一回から回答者に全問正解されて五千万円持っていかれた上に、その番組のプロデューサーが第
一回放送日に自宅で首を吊って死んじゃうし、当時のディレクターは番組資金を全額横領して逃亡。いろいろと
曰く付きの番組なのさ」
240クレイジーナンバーズ 2/5 ◇fSBTW8KS4E(山梨県):2008/09/14(日) 22:42:18.69 ID:403ySUoa0
 上山の意識が、体が、ペットボトルの中へと完全に収まる頃、高校生の二人組が上山の背後に立ちレンチとス
パナを握っていたことを彼は気づかないでいる。
「クイズです。僕たちは何者でしょう」
 二人の工具が振り下ろされた。

 3
 朝から海鳥のうるさい浜辺で、進藤は準備体操をしている。海が開くのはまだ先だが、進藤がいる場所は管理
されていない場所で、一通り体を動かし終えた進藤は海へと走った。
 進藤は海底を蹴った。いつか、彼の上司がもらした「択一の人生」を実感しようと。できるだけ深く、高く、
力強く、海底を蹴る。
 上司の矢島が死んだ日、彼の脳裏に選択肢が浮かんだ。まずは変化を拒み、今まで通り過ごす、地方局でも自
分の番組を何本も造る道。次に彼の頭によぎったのは、宙に浮いた番組資金のことだった。学生時代から自転車
で日本中を走り回ることが好きだった進藤には、放浪の旅というものはとても魅力的に思えたのだ。
 結果、彼は後者を選択した。
 進藤の体は完全に海中へと入った。進藤は一通り日本を回ったところ、自分の住処として海の近くを選んだ。
海岸線にそってできた洞窟の中に最低限の生活用品をおき、存分に、まだ早すぎる余生を楽しんでいた。
 海流が進藤の体をなでる。向かいからの流れを足で踏ん張り受け流し、すぐさま横から来た圧に力を抜き流さ
れる。息が苦しくなって海上へと体を浮上させた。
 進藤は沖の方を見る。二人の人影が自分の洞窟へと入っていったのが見えたからだ。

 4
 狭い部屋があった。畳四畳ほどの真四角の部屋だ。ただ部屋というにはドアがなく、屋根もなかった。吹き抜
けの風が、部屋の中央で窮屈に倒れている二人の男を撫でた。
 一人の男、上山がその風に目を覚ます。上山は目の前で眠っている男と部屋の壁を見渡し、自分が何者かに拉
致されたことを悟った。頭の後ろのこぶはまだ触ると痛み、その痛みのおかげで頭の回転が速く回った。
 もう一人の男、その顔に上山は覚えがあった。かつて自分が出たクイズ番組のディレクターだ、放送が終わっ
た後、ニュースで横領の事件を見ていて頭に残っていたのだ。
「えっと、ディレクターさん?」
 上山はおそるおそる肩に手をおき、進藤の体を揺すった。それに気がついた進藤はうっすら目を開け、自分の
眼前近くに人がいるのに驚いた。
241クレイジーナンバーズ 3/5 ◇fSBTW8KS4E(山梨県):2008/09/14(日) 22:43:10.80 ID:403ySUoa0
 起き上がった進藤は部屋の隅に下がり、上山を観察している。先ほど自分が教われた二人組と何か関係がある
のかを探り、それと同時にこの部屋の不可解さを認知した。
「お前は、あの二人組と何か関係があるのか?」
 上山は進藤の発言を冷静に受け取り、自分を襲った二人組が何か組織的なものだと考えた。
「ディレクターさん、ですよね。自分は上山です。おそらく私たちは何者かに意図的に拉致されたんだと思いま
す。何者が誰かという説明は私には答えられませんが、いったん落ち着いてください。私は敵じゃないです」
 進藤は上山という名前を記憶の検索に書ける。まもなく、自分が最後に関わった番組のゲストだったのに気づいた。
「じゃ、じゃあここはなんだね?」
 進藤は落ち着くつもりで床に腰を着けた。上山も進藤と対角上の隅に腰を下ろす。
「お目覚めはどうかな、進藤君、上山君」
 進藤の問いに上山が答えようとしたところ、どこからか声がした。上山は声の出所を探す。すると高い壁の上
の方にスピーカーがつけられているのが見えた、破壊されるのを防ぐためだろうか、手の届かないほど高い場所
にある。一方進藤はまたも愕然としていた。スピーカーから流れてきた声には聞き覚えがあった。死んだはずの
プロヂューサー、矢島の声だった。
「矢島、さんか?」
 進藤はスピーカーに向かって小さく開いた口から声を出した。
「その通りだ、進藤君。久しぶりだね」
「あんた死んだんじゃ」
「進藤君、その質問はクイズの進行上必要のないものだ。無視させてもらおう」
 上山は増えていく情報に追いつこうと、頭の中をフル回転で整理していた。
「二人にはこれからクイズをしてもらう。懐かしの選択問題だ。上山君、隅に黒い箱が見えるかい?」
 問われた上山は四隅に目を配る。進藤も確認しながら、開いているふた隅に箱が一つずつあるのがわかった。
また自分たちが腰掛けていた隅にも箱がある。よしみに一つずつ、合計四つの箱だ。
「その箱のふたは簡単にとれるから開けてみてくれ、くれぐれも慎重にな」
 上山も進藤も自分の近くにあった箱を開ける。
「なんだよ、これ」
 中には「55:55」と表示された電光板と、赤、青、緑といったカラフルなケーブルが何本も入っていた。上
山の脳裏によくある映画のシーンが浮かんび、知らずに「爆弾?」と口から漏らした。その言葉に進藤の顔が一気に青ざめる。
「察しがいいね。それではクイズです。箱にはそれぞれ百二十五本のケーブルがあります。そのうち一本だけが
正解、解除のケーブルです。さあ、どれでしょう」
242クレイジーナンバーズ 4/5 ◇fSBTW8KS4E(山梨県):2008/09/14(日) 22:43:53.45 ID:403ySUoa0
 電光板の時計がカウントダウンを始めた。

 5
「どうすればいいんだい、上山君」
 進藤は半ばヒステリックになりながら、無数のケーブルとにらめっこする上山を急かした。
「待ってください、五者択一問題なら得意ですけど、百二十五者択一問題なんて聞いたことないですよ」
 時間は既に五分が過ぎていた。
「番組のときはろくに考えもせずにスパーンと回答していたじゃないか。君はよっぽど頭がいいんだろう」
 上山は進藤の態度にも冷静になり、頭を回転させていた。
「あれはちょっと違うんですよ」
「違うって?」
 進藤は神経を休めるためにも、いったんケーブル群から目を離し、進藤と向き直る。
「僕ね、昔から五者択一のものって外したことがないんですよ」
 上山は今まで自分の中にとどめていた不思議な力について話しだした。
「あみだくじってあるでしょ。自分の小学校でそれが流行っていたんですけど、掃除当番決めるときとかにあみ
だを使うんです。当時掃除のグループは五人ずつの編成で、あみだくじも五本で作ったんです。そのあみだを目
の前にすると、自分で自然にどれがあたりかどうかよくわかるんです。家に帰ってから袋に色違いのボールを五
個入れて、赤い玉はどれかなって手を入れたら自然とわかるんです。クイズ番組のときも同じでした。ただ直感
で答えが分かるので」
 進藤は上山の話を絵空事のようにとらえ、あまり信用はしなかった。そこで進藤は自分の近くにあった箱の中
から赤、青、緑、黄、黒色のケーブルを慎重に引っ張り、上山に見せる。それから体で隠し、緑のケーブルだけ
握り、後を元に戻した。
「今私はさっき見せた五本のうちの一本だけを握っている、どれだかわかるか?」
 上山はすぐに口を開く。
「緑」
 それでも信じない進藤は、同じことを三回繰り返し、結果それが真実であることを知った。
「まあ信じてもらったところで、何の解決にもならないんですけどね」
 自嘲しながら上山はまたケーブルの群れと向き合った。進藤も肩を落とし、自分の手元の箱に向かい合った。
 進藤はケーブルを見ながらあることに気づいた。
「上山君、これってもしかして、さっき私が取り出した赤、青、緑、黄、黒の五色しか種類はないような気がするんだが」
243クレイジーナンバーズ 5/5 ◇fSBTW8KS4E(山梨県):2008/09/14(日) 22:44:26.74 ID:403ySUoa0
 上山は自分のも眺める。
「そのようですね」
「この一つの箱の中に解除ケーブルは一本だけなんだろう?」
「それがどうかしましたか?」
 上山は聞いてばかりの進藤にイライラし始めた。
「じゃあどの色に解除ケーブルは含まれているかって問題なら、五択じゃないかな」
 上山は虚をつかれ、ケーブルを見る。直感でまた、赤に解除ケーブルが入っていると感じた。
「それですよ、進藤さん、ケーブルを色でまとめると一束何本になるか数えてください!」
 二人はケーブルを色分けする作業に入った。
「上山君、どれも二十五本だ! 五色それぞれ二十五本、あわせて百二十五ほん」
 上山も自分の箱が同じなのを確認して頭の中で計算を始める。二十五本は五本の束が五つ、そして五本は一本
の束が五つ。このクイズ、五択問題を三回解けば正解にたどり着ける。
 上山は自分の手元の箱から、たった今考えだした方法で、一本を選ぶ。赤いケーブルを右手で握り、勢いよく
引きちぎった。それと同時に電光板のカウントが止まった。
「進藤さん、このクイズ解けそうですよ」

 6
「というわけで、テレビ史上最大の年月、資金、驚きを費やしたスペシャル番組、『生き抜けファイバー』はこ
れにておしまい。来週は今回を超える冒険ドラマ、『極限推理、シックスセンサー』をお送りいたします。お楽しみに!」

 了
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 22:47:21.82 ID:SeF490zkO
転載ありがとうございます
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 22:53:24.38 ID:wuiItd51O
なんか俺が小説書くと
場面を写真にして一枚一枚見てるようになるんだが
動画みたいに繋がってる小説にするにはどうすればいいだろう
246Normally no marry 0/4 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/14(日) 22:56:47.61 ID:U0WABUT50
品評会投下します
4レス

もし11:00を回ってたら
予約で
247Normally no marry 1/4 ◇pxtUOeh2oI(東京都):2008/09/14(日) 22:57:36.33 ID:U0WABUT50
「waitとweightとか……」
 サライネンは呟き、少しほくそ笑んだ。気づくと目の前に、二人の男女が座っていた。
「どうかしましたか? ウェイがどうとかと」整ったスーツに身を包む女が言う。
 ここはB.R.P研究所の応接室。薄汚れた白衣を着たサライネンは、彼の生みだしたロボットについての
インタビューを受けるところだった。きれいに掃除された室内には、サライネンと彼の造ったロボットの写真が飾られている。
黒い肌を持つ初老のサライネンと白銀のボディを持つロボットの写真が。
「いや、なんでもない。はじめましょう」
 サライネンは取り繕う様子も見せず二人を見た。インタビュアーの二人は不思議な生き物を見るような目でサライネンを見ている。
 waitとweightと。これを彼らに説明したところでわかるはずもないとサライネンは思う。
自律思考のロボットは、会話相手の人間に合わせず、
処理速度にのみ従って、音声を出してしまう。それがサライネンの今、抱えている問題だった。
 ならばwaitの設定を追加してはどうかと言う同僚もいる。つまりは、答えを得る計算と、それを出力する間に、
コンマ何秒かの空白を置くと言う事だ。だがそれが良い案だとは、とても思えなかった。
 百メートルを九秒台で走る人間がいる。周りの人間はその速さで走ることはできない。
だから、その秀でた人間に重りをつけるべきだ。同僚の案はそう言っているように、サライネンには感じられた。
 人と機械は元から性能が違う。ロボットを人間にする必要は無い。ただヒトと共に暮らすことができればいい。
 人間にだって元からの才能の違いがある。それを一定にしようと言うのはただの戯言でしかない。
 だからこそ、waitの設定ではなく、ロボットが対面するヒトを見て、言葉を発するタイミングを選べるようにすべきだ。
そう思ったところで、待機時間と重り、つまりwaitとweightの音を思って笑い、そして協調性の無い自分が、
我が子のようであるロボットに、自身に足りない協調性を与えようとしていることに笑ってしまったのだ。
 サライネンは誰ならこの笑いを共感できるだろうと考える。だがすぐに頭に浮かぶ者はいなかった。
 誰も彼も、意味の無い物に意味を見出さない。ただ何かに従って、仕事をこなして行くだけに思えた。
「では、質問させていただきます」
 軽い咳払いをして、女が言った。固そうで、つまらなさそうな人間。まだロボットの方が柔軟に考えることができそうだと
サライネンは思う。そして、彼女の質問はサライネンの予想通り、期待を超えた物ではなかった。
「あなたがたの作成しているロボットはロボット三原則を満たしていないと言われていますが、実際の問題としてそれは正しいのでしょうか」
 意味を理解していない用意された質問。幾度も聞かれ、幾度も答えてきたくだらない質問だった。
「私どもの造っているロボットは確かに三原則を満たしていません。そもそも満たそうという考えもありませんでした」
「それは問題ではないのでしょうか? たとえばヒトを傷つけたりしないのですか?」
 くだらない。何が問題で何が有用かもわかっていない。それなのに、過去の偉大な先人が残した物だから従う。
248Normally no marry 2/4 ◇pxtUOeh2oI(東京都):2008/09/14(日) 22:58:10.07 ID:U0WABUT50
少しは自分で考えるということをしないのか。何のためのインタビューなのだろうか。
 わからないのならば聞けばいい。だがそれは自分で考えたことのある者にだけ許された権利だ。
 考えることすらしないのならば、ただ与えられたレポートだけを読めばいい。それだって意味を求めない者ならば、
十分過ぎる程だ。何故、実際に口から言葉を求めるのか。まったく時間の無駄だ。サライネンは発現してきた怒りを隠しつつ言う。
「するでしょう。ですがそれは人間が人間を傷つけるのと同程度の確率だと思います」
 あなたはヒトを傷つけたことは無いのですか? サライネンはそう続けたかった。けれど、それを言うことはできない。
彼の立場とスポンサーの立場。パトロンを得るには、無駄な攻撃性は隠さなければならない。サライネンは、自身の才を
そこまで認めていなかった。研究を進めるため、理想のため、過去の先駆者たちは自分の思う道を進むために、
周りを省みず進んで行った。でも自分は、そうはできない。それ程の才を持つと考える程の自惚れをサライネンは持っていなかった。
「もし三原則を厳密に適用した場合、その世界には役に立たないロボットが溢れることになるでしょう。そう例えば、
看護や医師ロボット。注射を打つということは、人体に穴を開けるということ、メスを使えば血だって多量にでます。
たとえそれがヒトを救う行為だとしても、その過程にヒトを傷つけることは多々あります」
 そして、もし用意されたロボットが軍事目的ならば、ヒトを傷つけることのできないロボットなど何の意味も持たない。
 望まれていないのならば、必要はない。需要があるのだから、造らねばならない。その需要が私の進む道を同じ方を向いている
のなら、私はただその道を進むだけだ。サライネンは天井を仰ぎそう思う。
「なにより、つまらないでしょう。ケンカもできない者を私は友達だと認めたくありません。私が造りたいロボットは、
奴隷ではなくパートナーなのですから」
 夢か。いつになったら叶うのだろうとサライネンは思う。ハードもソフトウェアも格段の進歩を遂げてきた。
ロボットの体は、いまや何だってできる。ヒトができる動作でできないことを探す方が難しいぐらいだった。
 だが、内面はそうは行かない。融通が利かないという欠点は相も変わらず残っているし、それを無理に変えようとすれば、
できる物は、ただ箱。多大な計算の後にグーを出すだけの役立たずになってしまう。
「以上でインタビューを終わらせていただきます。どうもありがとうございました」
 女と男が立ち上がって、一礼した。当たり障りの無い代わり映えのしない質問は、適当に答えている内に終わったようだった。
 まったく無駄な時間だった。サライネンは誰にもわからないように、小さくため息をつく。自分の知らない世界を知って、
インスピレーションを得たい。それはいつだって考えている。だがどうだろう。人間が違うのに、質問は同じ。
いつだって、はっとされるような言葉を聞いたことは無い。
 時間は有限しかないのだ。人間の寿命が百二十年。しっかりと頭を働かせていられるのは百までがいいところだろう。
その半分はとうに過ぎてしまった。だから、ただ研究に打ち込んでいたい。何故、それが許されないのか。同レベルの知恵を持てとは言わない。
そもそも自分がそこまでの人間だとは思えない。歴史上に居並ぶ偉人たちとは比べ物にならないぐらいの凡人だろう。
だから、邪魔をしないで欲しかった。ただそっとしておいて欲しい。そう思っていた。
249Normally no marry 3/4 ◇pxtUOeh2oI(東京都):2008/09/14(日) 22:58:42.71 ID:U0WABUT50
 インタビューが終わると、男がサライネンの元に近づいて来た。さえない感じの男。さっきの場でもあまり質問をしていなかった
ように思える。男は手をサライネンの前に伸ばし、言った。
「あの握手してもらえますか。ずっと博士のファンで、会うことを楽しみにしてました」
 そう言われサライネンは、差し出された男の手を握った。悪い気はしないが、それでも必要性は感じない。
「内の娘は博士の造ったロボットと毎日遊んでいます。まるで本当の友達のようですよ。父親の私なんて必要がないくらいで」
 そう言って、男は帰っていった。サライネンの心に楔を残して。

 サライネンは自宅へと帰ってきた。自宅と言っても、研究所のすぐ隣の離れなのだが、
ちょっとした気分を変えることには役立っていた。
 玄関を開ける。ウェルシュコーギーがサライネンの元へ走りよってきた。ロボットではない、本物の犬。
「よーし、アルファ」
 サライネンが、アルファと呼んだ犬を抱き上げると、アルファはサライネンの顔を舐め続けた。
「イプシはいるか? とお前に聞いても仕方が無いな」
 サライネンは彼のパートナーがいるかを確認する。イプシはいなかった。きっと買い物にでも行っているのだろうと、
サライネンは思う。そう玄関で考えていると、後ろでドアが開いた。
「おかえりなさい、サライネン」
 頭らしい部分の下に開いた穴からイプシが音を発した。イプシの体はヒトの型をしている。ただヒトではない。
肌は金属であることを隠そうともせず輝き、曲げようと思えば、間接はどちらにだって稼動する。
 目はレンズをはめ込んだようであり、黒めだとか眼球といった物は存在しんかった。
「そちらこそ、おかえり。買い物か?」
「ええ、夕飯の材料がちょっと足らなくてね」
 イプシはそれだけ言うと台所へと行ってしまった。手に荷物を持っていないところを見ると、きっとお腹の中にでも、
しまっているのだろう。
 サライネンはリビングのソファに座った。簡素な室内において、明かりとアルファだけが生活感を感じさせる。
 サライネンは男の言葉を思い出す。本当の友達、必要の無い父親。それは適当な言葉だったのかもしれない。
いや、そうだろう。きっとただの挨拶のようなものだった。けれど……
「ごはんができました」
 イプシが台所から声を出した。アルファがその声を聞いて走る。サライネンもゆっくりと歩き向かった。
 席についたサライネン。足元では、アルファがごはんをむしゃむしゃとほお張る。
「どうかしたの? 食べたら」
250Normally no marry 4/4 ◇pxtUOeh2oI(東京都):2008/09/14(日) 22:59:16.49 ID:U0WABUT50
「ああ、いただくよ」
 イプシの進めにサライネンはスプーンを手に取りスープを掬った。
「なあ、イプシ。ロボットを真にヒトのパートナーにするには、どうすればいいと思う?」
「私たちが人間を嫌う感情を得たとき、どこかでそういう関係が生まれているでしょう」
 寸分の空白も挟まない素早い返答。それはイプシがロボットであるということを如実に表す。
性能の上がった処理回路によって得た演算能力はヒトの到底及びつかないものだった。
「では、私は今悩んでいることについて聞いてくれ」
「ええ」
 イプシの返事を確認し、サライネンは言った。スプーンは皿に浮かび、食事は進まない。アルファは食事を終えどこかへ消えていた。
「ロボットと人間の会話において、ロボットはヒトの思考速度に構わず、声を出力する。それをヒトとの会話として
最適化するにはどうすればいい。ロボットの長所を消さずに、目の前の相手見て判断するようにしたい」
「したいのなら望めばいい。それを考える力がぐらいはもう持っているのに。まあそうね、それをプログラムとして組み込むのなら、
ヒトの思考分の時間を保つようにと命令を組み込めばいいのでしょう」
 目の前のイプシは答えを持っていた。いや、今の一瞬で答えを導くことができた。サライネンはさらに質問を続ける。
「じゃあ、あれは? ロボット三原則、それを用いないことを、ヒトに認めさせるにはどうしたらいい」
「ヒトに同様の三原則を用いれば、それが如何に無駄であるかを証明できます。プリントアウトが必要ならば言ってください。
それよりも「あれ」という言葉をいきなり使うことがどうかと思いますが。この言葉は、前に元の言葉が使用されてから、
使うべきでしょう。一般論的に見て。そう例えば今、私が使った『この言葉』という用法のように」
 返答に相手を気遣う様子は無い。そう命じられれば、イプシはそうできただろう。だがサライネンはその命をくださない。
何故なら、彼のプライドがそれを許さなかったから。そう彼の小さく人間的で、普通のプライドが。
「今、口から説明してくれ」
「わかりました。それが命令ならば従います。ですがひとつ質問をさせてください」
 イプシが言う。サライネンは黙って頷いた。
「何故、あなたはそんな意味の無い質問をするでしょうか? 私が出力するレポートを後で読めば良いでは。
もとより口から説明しても理解は難しいのではと思われます。きっと時間の無駄。そうあなたの有限な時間を消費するだけでしょう
それでも構いませんか?」
 サライネンは目の前をただ見ていた。そこに座っている物は彼の理想だった。ロボットでは無く、人間としての理想像。
協調性を考えるより、意味を求める。才ある者の特徴。サライネンが欲し、しかし辿り着けないその姿。
それは彼の生みだした物が持っていた。消さねばならない欠点として。        <了>
251Normally no marry 5/4 ◇pxtUOeh2oI(東京都):2008/09/14(日) 22:59:53.01 ID:U0WABUT50
以上です

見切り発車だったが、
なんとかまとまった……
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 23:02:55.33 ID:403ySUoa0
                 ⊂⊃   23時を回りました。
         ⊂⊃  ○        これ以降品評会作品を投下する方は予約の上、指示に従って投下して下さい。
          _      ⊂⊃   予約条件は書き上がっていること。
   Λ,,Λ  ⊂⊂.・)           予約締切は23:30となっております。
  (´・ω・) ./  |
 .c(,_uuノ ⊂__u            では、どうぞ。


救済スレッドに投下した ◆RuKKX.jwYg氏の作品まで転載が完了しています。
>>251までで14作品となります。
◆RuKKX.jwYg氏の作品を転載しますが、このペースで行くと確実に規制に引っかかりますので手が空いている方は支援をお願い致します。

【順番】
−−−
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 23:04:07.32 ID:SeF490zkO
しえんさる
254誕生 1/5 ◇RuKKX.jwYg(山梨県):2008/09/14(日) 23:04:20.64 ID:403ySUoa0
「きえぁあー!」
小宮は叫びをあげると、竹刀を振り下ろしてきた。
俺は竹刀の切っ先で軽くその軌道をはらうと、右足を一歩踏み込んだ。
「こてぇえあぁー!!」
軽快な音があたりに響く。周囲に三本の白旗があがる。
「籠手(こて)ありっ!」
勝負は二本先取だ。まずは一本。しかし。
必死の形相の小宮と相反して、俺の心は冷めていた。


「中学剣道の双龍、笹田と小宮」
中学時代、俺と小宮はそう呼ばれた。
大会の決勝を飾るのはいつも俺と小宮の名だったからだ。
しかし、小宮が俺から一本の旗を得ることは決してなかった。
俺は負け無しだった。
俺が優勝を果たした中学生最後の大会の後。小宮が話しかけてきた。
「俺、龍赤館に推薦通ったんだ。」
全国大会常連の強豪校だ。
「笹田、覚悟しとけよ。高校になったら必ず勝ってやるからな。
 おまえも当然続けるんだろ? 高校入っても。」
そのとき俺は曖昧な返事しか返せなかったのを覚えている。
俺は正直分からなくなっていた。最早勝つことに意味を求めることができなくなっていた。
いつからだろう。
自分の方にあがる旗を当たり前のようにながめるようになったのは。
試合後の相手の涙に、罪悪感しか感じないようになったのは。
結局俺が入ったのは強豪とは名の遠い普通の高校だった。
それでも「双龍の笹田」の名は、俺が剣道部に入らないことを許さなかったが、
俺はついに部活に顔をださない幽霊部員になりはてていた。
255誕生 2/5 ◇RuKKX.jwYg(山梨県):2008/09/14(日) 23:05:00.67 ID:403ySUoa0
それは入学後数ヶ月たったある日の放課後のことだった。
教室で談笑する俺のもとに剣道部の主将がやってきた。
「おい笹田、ちょっとこい」
また説教でもしに来たんだろう。いいかげんにけりをつけるべきだな、俺はそう思っていた。
「主将、申し訳ないですけどね、もう俺は剣道をやる気は……」
しかし主将の次の言葉は俺の予想の斜め上をいっていた。
「龍赤館の小宮、お前の知り合いだろ。
 いきなり体育館に看板破りだとか言って入ってきて、笹田を出せ、と言っとるんだが。」
そう言うと主将は無理矢理俺の腕を引っぱった。
気がついたときには、俺は防具一式装備して小宮と向き合っていた。
小宮が言った。
「俺はお前に勝つために剣道を続けてきたんだ。」


「胴ーー!!」
つば迫り合いから離れ際に放った小宮の胴がおれの脇腹を擦った。
「うお」
速度が上がったか?小宮の目つきが鋭い。
そうだ。そうやっていつも小宮は闘志を燃やして俺に挑んでくるんだ。
小宮はじりじりと間合いをつめてタイミングを窺っている。
俺に勝ちたいのか? 小宮。
小宮が親指一つ分の間合いを詰める。小宮が一回り大きくなる。
小宮、俺に勝ったら、勝ってしまったら、お前はどうするつもりなんだ。
瞬間、浮かんだ疑問が瞬き一回分の時間を奪う。

おまえはそんなことのために、剣道を続けているのか?

気がつくと、重い痛みが右前腕に生まれていた。
さ〜る晴れた昼下がり、小ざるを乗せ行く
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 23:05:35.89 ID:SeF490zkO
おつさる
258誕生 3/5 ◇RuKKX.jwYg(山梨県):2008/09/14(日) 23:05:52.62 ID:403ySUoa0
 …鈍痛。
何が起こった。視界が回る。
視野に赤いものがはためいた。
一本。二本。…三本。
「籠手ありっ!」
周囲が沸いた。
はじめての光景。あがっている旗がみんな向こうに傾いている。
小宮の方に。
まさか、小宮に。とられたのか。一本。
「小宮!」
俺は思わず叫ぶ。
しかし小宮は無反応だ。聞こえていないのか?
「三本目!」
小宮と向かい合う。奴の目が…目が。
その時俺の心に、新たな感情が生まれようとしていた。
259 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:06:24.35 ID:p/r0ZE3EP
さるついでに予約
260誕生 4/5 ◇RuKKX.jwYg(山梨県):2008/09/14(日) 23:06:33.40 ID:403ySUoa0
「はじめっ!」
同時に10センチ先の空気が揺れる。即座に反応する左手につられて俺は右に重心を外す。
左耳に風切り音。
空気を裂いた奴の竹刀は滑空を終えると中空を泳ぎだす。
小宮の竹刀の先がどう猛な獣にみえる。それは確かな殺意を持って俺の手首を捕らえている。
一瞬の間合い。
「きええぇぇーいい!」
均衡を破った俺の左手に奴の竹刀がゼロ秒で答える。
俺は即座に右手をはなす。奴の竹刀は空を斬る。
俺は体をねじりながら片手で奴の左脇腹に切り込む。
切っ先が胴を擦る。速い。奴はすでに右足を蹴っていた。
俺の刃が奴の頭頂に喰いつく。奴も切り込んでくる。
つば迫り合い。
せめぎ合う刀の向こうにのぞいた奴の目が。
…いや、俺の目が。
笑っている。
肘を引く。奴の腕。腕を切り落としてやる。
腕が消える。俺の危機回避本能は即座に上体をひねりあげる。
奴の刀が肩を擦る。俺は床を蹴る。
…右手、脇腹、のど、頭
俺は視線を泳がす。刀の切っ先が波に乗る。
波。揺らめく。あまりにもゆっくりと。
時間の流れが遅い。ここは水の中のようだ。
思考が断片的に沸き上がる。
「ここには俺と奴しかいない」
最早五感はふたり以外のすべてを世界から締め出していた。
「ここには求めるべき結果もない」
最早俺の意識は現在以外のすべてを世界から締め出していた。
新しいものが生まれた。
261誕生 5/5 ◇RuKKX.jwYg(山梨県):2008/09/14(日) 23:07:12.12 ID:403ySUoa0

「面ありっ!勝負ありっ!」
旗が三本あがっていた。白旗。勝ったのは俺だった。
気がつくと、周囲は歓声であふれていた。
小宮は
小宮は泣いていた。
「笹田、お、おまえは本物だ……最後の一本は鳥肌が」
横で主将が何か言っている。しかしそんなことはもうどうでもいい。
嗚呼。
俺は自分の中に生まれたものに驚喜していた。ただただ驚喜していた。
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 23:07:13.38 ID:R9ExDbi10
おさるのこうげき
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 23:07:56.05 ID:403ySUoa0
ご協力ありがとうございました。

それでは◆wWwx.1Fjt6氏、どうぞ。

【順番】
−−−
264子心 1/5 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:08:24.83 ID:p/r0ZE3EP
玲子の日記 抜粋

退院。
助産婦さんは、とても賢そうな子だと言っていた。
毎日胎教を欠かさなかった効果もあるかな。
知恵は深くという意味で、知恵深、ちえみと名付けることに決めた。
明日は出生届を出してこよう。

ハンカチテストをしてみる。一発で合格。さすが。
もっと前に試してみればよかった。
この子の才能を引き出してやるのが私の役目。身が引き締まる。

姑がスプーンを知恵深と共用した。
化石組はこれだから困る。虫歯菌は大丈夫だっただろうか。
いくら頭が良くても身だしなみがなっていなかったら台無し。

初寝返り。
一度出来てしまえば後は簡単なようで、何度仰向けにしてもすぐに寝返る。
やはりコツを覚えるのが早い。
読み聞かせは二人腹這い体勢でやった。

発熱。
脳がやられたらどうしよう。
熱さましを処方される。今日の読み聞かせは断念する。

突発性発疹と判明。
軽いほうだと説明を受けてひと安心。
とりあえずみんな通ってきた道なんだから、これで脳がどうこうってことはないよね。
熱も下がる。
265子心 2/5 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:08:58.17 ID:p/r0ZE3EP
お座りが安定してきた。
ベビーカーをバギーに変えた方が視界が広くていいかもしれない。
刺激をたくさん与えないといけないし。
ただ、顔を合わせなくなると語りかけの効果が薄れないか、という点は心配。

猫に向かって指さしをして「ワワ」と言う。はっきりした指さしは初めて。
あれは猫だと教えたが、不思議なのは、どこから「ワワ」を覚えてきたのか、と言う点。
犬は犬と教えているのに。

昨日の疑問が解決。
朝の番組の歌で犬をワンワンと呼んでいた。この番組を見せるのもちょっと考えなくては。
幼児語など無駄な知識でしかない。回り道をして才能を潰すようなことはしたくない。

最近離乳食の食事量が減ってきている。
ミルクばかり飲む。いつまでもミルクメインで栄養は足りているのだろうか。
今日は少し強引にだけれど食べさせた。
反抗して口から出すので、それはいけないことだと教える。

どうしても生き物を全て「ワワ」と呼んでしまう。
一つ一つ訂正してもなかなか直そうとしない。こんなことじゃ困る。
間違えたら手を叩く、とやってみれば学習するかもしれない。

いつまでもストローを使えないので沙矢ママに相談してみる。
紙パックを使う方法を教わる。さっそく試すとすぐにマスター。
教え方が悪かったね、今まで怒ってごめんね。
ちゃんと教えれば知恵深に出来ないわけないのに。

初めて手放しで一歩踏み出す。
同月齢の子の中で知恵深が一番乗り。
やはり早い。賢い子はこうでなくては。
266子心 3/5 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:09:17.75 ID:p/r0ZE3EP

里香ママに砂場道具を渡されて、「アーガト」と言う。
お礼言った、なんて里香ママは驚いていたけれど、千恵深には当然のこと。
発音が不明瞭なのが不満。帰宅後練習をする。

知恵深を主人公にした絵本が届く。
誕生日ぎりぎりまで届かないから心配した。中身は上出来。
自分だけの本だってわかったら喜ぶだろう。

姑の口出しがうるさい。
もっとゆっくり語りかけろだの、叱り方がきついだの。
言葉のシャワーを浴びせるのが私流。
知恵深を産んだのは私なんだから黙ってて欲しい。責任がない人の指示は受けられない。
私には知恵深を立派に育てる責任がある。

二人目妊娠。計画通り二学年違い。
これで、同じ年に受験というのは避けられる。
その時がきたらきちんと一人ずつバックアップしてやろう。
つわりが来るのだけは憂鬱。ちゃんと知恵深の面倒を見られるだろうか。

反抗することが増えてきた。
まだ反抗期には早いんじゃなかったかな。
沙矢ママは、まだまだこんなもんじゃすまないよ、なんて言っていた。
けれど、今でも既に許容範囲を越えている。
目上に逆らってはいけないことを教えていこう。

今日の里香はよく喋った。
知恵深が負けているとかあり得ない。今日から読み聞かせを一冊増やす。
そろそろ算数も教えていかなくては。
267子心 4/5 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:09:40.98 ID:p/r0ZE3EP
泣いて我を通そうとするので、意地の張り合い。
きちんと話すまで聞かないことにする。でないと喚けば済むと思ってしまう。
自分で言葉を紡ぎ出させる訓練を兼ねる。
「オカシ」と言うだけではダメ。
「オカシチョウダイ」ぐらいは言って欲しい。言えるはず。

十まで暗唱することと、数えるという概念とが結びつかないらしい。
それぐらいわかって欲しい。予定では足し算くらいできるようになっているはずなのに。
数の説明をしていて公園には行きそびれた。

祥にブランコの横取りをされる。
後から祥ママが来て、十数えたら変わるからちょっと待っててなどと言う。
先に乗っていたのは知恵深なのに。
知恵深も自分が乗っていたことを主張すればいいのに。ただ泣き喚くだけじゃ伝わらない。
私が言っても角が立つから祥ママには黙っておいた。知恵深には後で注意した。苛々する。

「シャベル」とだけ言う。
どうして、シャベルとって、とか言わないんだろう。
叱っていたら祥ママが口を挟んできた。
祥なんか知恵深ちゃんくらいの時は全然喋れなかったから大丈夫だよ、だそうだ。
何言ってるんだろう。祥レベルじゃ困るから注意してるのに。
でも反感を買ってこの前みたいなことをわざとされても嫌だし、一応愛想を振りまいておく。

入院する時に日記も持って行けばよかった。五日ぶり。
産まれた勝利を見て、母さんにしがみついていた。
私にはしがみつくことなんてないのに。

案の定、入院中に随分甘やかされたようだ。
駄々をこねないように頑張って躾てきたのに元の木阿弥になっている。
語彙は増えていた。
268子心 5/5 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:09:54.91 ID:p/r0ZE3EP
喋るようになったよ、なんて母さんが自慢気だったのを思い出す。苛つく。

勝利がいるから抱っこは出来ないと言ったら憤慨していた。
いつまでも赤ん坊みたいに泣き喚いて。いい加減しっかりしてくれてもいいのに。
こんなにママ頑張ってるのに。

ちゃんと日記つけるって決めたのに。
最近はどうも眠くて書く時間が取れない。
喉が痛い。
(以降白紙)


児童相談所 相談員の報告

 保護された知恵深ちゃんの身長・体重は、それぞれ、八十三センチ・十キロ。標準的な二歳六カ月
児より小柄で痩せ型ではありますが、母親の玲子さんも小柄なため、遺伝か環境かの区別は今のとこ
ろつけられません。
 右眉のあたりと顎の左側に切り傷の放置された痕跡があります。それから一見わかりませんが、服
を脱がせると打撲傷が多数見受けられます。髪がパサついているので触れようとしたところ、首をす
くめて逃げる格好をしました。恐らくは私に叩かれると勘違いしたためで、日常的に暴力があったも
のと思われます。
 玲子さんは、躾は厳しかったかもしれないが全て子供達を思ってのことだと言っています。今回通
報のあった騒ぎは、玲子さんに隠れて知恵深ちゃんが弟の勝利君をつねっていたことが発端だそうで
す。
 勝利君を身ごもって以降、随分疲れていたようだとの近所の人の証言があります。ご主人は不在が
ちで、現在は長期出張中です。
 私は、玲子さんと知恵深ちゃんにはしばらく離れて暮らしてもらった方がよいのではと思います。
 知恵深ちゃんですか、母親を探して泣いていますが、今だけではないでしょうか。

おわり
269 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:11:05.99 ID:p/r0ZE3EP
以上です
ってうはあ 空白行が抜けたwww
270 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:13:34.53 ID:GPZ9JFob0
予約!
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 23:15:04.40 ID:403ySUoa0
転載する時に修正するという最大のチャンスがですね

◆D8MoDpzBRE氏、どうぞ。

【順番】
23:30まで受付中です。お早めに
272バイバイ1/5 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:16:02.79 ID:GPZ9JFob0
 何でもそつなくこなす人と言うタイプが、クラスに必ず一人いる。あるいは、探せばもっと見つかるかも知れない。例えば、
小学生時代の僕がそうだった。音楽の時間に使うリコーダーも、図工の時間に描く友達の似顔絵も、習字も、クラスで必ず
上から十番以内には収まっていた。ただ、どれも取り立てて優れているとまでは行かなかった。器用貧乏という言葉で、僕
の八〇パーセントくらいは説明出来てしまうと思う。そういうタイプだ。
 しかし、中学に上がってから出会った南沢くるみは違った。
 彼女の風体から言うならば、ジブリアニメの脇役にでも出てきそうな雰囲気だった。幸の薄そうな隠れ美人とでも言うか、
そんな感じだ。髪の毛も、長いとも短いとも言えないセミロング。これを無造作に肩口くらいの高さで束ねていた。身長はそ
の時点で既に一六〇センチを超えていたと思う。中学生にしてはかなり大きい部類だ。
 僕が無難にそつなくこなす派だとすると、彼女は全てを完璧にこなす超人だった。陸上競技、球技なんかでも、彼女は部
活動で一線級に活動している同級生と互角に渡り合った。ピアノもショパンなんかを華麗に弾きこなしたし、バイオリンもフ
ルートも扱えるという。それでいてテストでは常に学年のトップクラスで争っていたのだ。
 こういう子はイヤでも注目される運命にある。南沢さんもまた例外ではなかった。彼女を部活動に引き込むだけでその部
活の将来は約束されたようなものだから、まずは上級生からのアプローチ攻勢が凄絶を極めた。江川卓のドラフト会議の
時なんかが、こんな感じだったのかも知れない。引く手あまたという成句をそのまま視覚化したような風景は、今でも忘れら
れない。
「南沢さんがいれば全国大会上位も夢じゃない」なんていう勧誘文句が全く嘘くさく響かなかった。逆に「私なんかがいても、
足手まといにしかなりませんよ」と言う断り文句の方が何倍も嘘くさく、ほとんど皮肉といっても良かった。
 結局、南沢さんはどの部活にも所属しなかった。彼女ほどの原石を放っておくのは途方もなく惜しいことだと誰もが思った
のだが、南沢さんはあくまで帰宅部の道を選び抜いた。きっと当時の我が校は、全国最強の帰宅部を抱えていたことになる
だろう。
 そんな南沢さんインパクトも、二学期、三学期と時間を経るに従って、徐々に沈静化のムードに包まれていった。
「南沢さんって何でも出来てすごいね」
 これが、僕が南沢さんに向かって初めて投げかけた言葉だったと思う。体育の授業中に、たまたま面と向かって会話をす
るような雰囲気になったのだ。
 きっと、何千回と同じようなことを言われ続けて生きてきたに違いない。容易に想像が付くことだ。しかし彼女は、イヤな顔
一つ浮かべずに答えた。
「全然そんなことないよ。私にはみんなの方がうらやましいくらい」
 皮肉で言ったわけではないと思う。彼女は全然皮肉なんて言えるような人じゃなかった。僕の目をしっかり見据えて、いか
なる失礼もないようにと細心の注意を払っている、というくらいの印象を受けた。その言葉に対して二の句を継ぐことが出来
ないまま、僕たちのファーストコンタクトはあえなく終了となった。
273バイバイ2/5 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:16:27.97 ID:GPZ9JFob0
 恐らく、彼女と常人とは神経の密度から何まで違うのだ。少なくとも僕はそう思った。そして、同様の認識が周囲に浸透す
るに従って、徐々に南沢さんは微妙に距離を置かれるようになっていったのだと思う。進んで彼女を仲間はずれにしたりい
じめの対象にしたわけではなかった。ただ、彼女は微妙に近寄りがたかったのだ。
 気がつくと、昼休みの時間だけおとなしい子が集まるグループに顔を出して一緒に食事をする以外に、彼女が特定の他者
と交流する姿を目にする機会はなくなっていた。そして、放課後になると模範的帰宅部員である南沢さんは、当番などの仕
事が割り当てられていない限り真っ先に帰路についた。変な言い方をすると、記録には残るけれど記憶には残らないタイプ
だったのだ。
 僕たちの中学校生活一年目は、そんな風にして過ぎていった。南沢さんは先生方にしてみれば理想的な生徒だったのか
も知れないが、僕たちにとっては雲の上の存在過ぎて、顧みられることがなかった。

 ところが二年目になって、ほんの少し南沢さんの周辺で変化が起きた。きっかけは転校生だ。
「冬木加奈と言います」と彼女は自己紹介した。
 冬木加奈は、南沢さんとはあらゆる意味で正反対としか言いようがない女の子だった。髪型は、微妙にクセのかかった
ショートカット。顔立ちはネコ科の小動物を思わせるような雰囲気だった。そして、何をするにつけてもほとんど完璧とは遠
かったのだ。
「ちょっと教科書見せてよ」
 これが、彼女の僕に対する第一声だった。忘れられるはずもない。僕の隣の席に来た直後の出来事だったのだから。
「普通、一日目には忘れないだろ」
 僕の抗議も空しく、彼女は礼も言わないまま、図々しくも僕の席に机を寄せながら教科書を盗み見ていた。そんな子の成
績が優れているわけがない。
 加奈は、誰に対しても分け隔てなく接した。転校生であったから早くクラスに馴染んでしまいたいという思いもあっただろう。
悪気もなかったし、少々図々しくて抜けている点を除けば、彼女には人付き合い上障害となるような欠点もなかった。結果、
加奈は驚くほど早くクラスに順応していった。
 とりわけ、加奈は南沢さんに対してよく話かけた。何か共通の趣味や話題があるわけでもないと思うのだが、二人の間に
は端から見ても特別な友情が芽生えているように見えた。
 どういう風の吹き回しなのかは分からない。鍵が鍵穴を埋めるようになのか、完璧超人の南沢さんと非完璧人間の加奈
との間には、何か通じるものがあったのかも知れない。心なしか、加奈と話しているときの南沢さんの雰囲気からは、普段
他の人と接しているときとは違うオーラが放たれているようにも見えた。
「南沢さんってどんな人?」
 ある日、加奈にそう聞いてみたことがある。
274バイバイ3/5 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:16:51.05 ID:GPZ9JFob0
「別に、普通だよ」
 加奈はそっけなく言った。
「いや、でも南沢さんってすごいじゃん。勉強するにしても、音楽とかそっちの方向でもさ」
「確かに、くるみちゃんの家は厳しかったりするらしいけど、でもくるみちゃんは普通だよ」
 結局、それ以上加奈が南沢さんについて何か言うことはなかった。そもそも加奈の言う普通というのがどう普通なのかも
よく分からなかった。

 そして、二年目の一学期が終わる頃、南沢さんが七月限りで転校するという知らせが飛び込んできた。二学期からはもう
来ないという。ほとんど加奈と入れ替わるかのようなタイミングだった。二人の在籍日数で重複している期間は四ヶ月にも満
たない。
 あまりに急な知らせにクラス全体がざわついたけれども、隣の席にいる加奈は俯いたままそのニュースに聞き入っていた。
恐らく、前もって知らされていたのだろう。僕からは、その時の加奈の表情は読み取れなかった。その時は加奈のことを、
少し不憫に思った程度だ。結局僕の中で南沢さんは、ただの完璧超人の優等生である以上の存在にはならなかった。
 そう思っていた。

 夏休みのある日、僕は加奈から急な連絡を受けた。自宅の電話になんの前触れもなくかけてきて、電話口で応対した母
親に対して丁重な口調で、僕と替われと言ったようだ。
「もしもし」
 受話器を取った僕に対して、加奈は完全な涙声だった。
「どうすればいいのか教えて」加奈が言った。「明日にはくるみちゃん、引っ越しちゃうんだって」
「落ち着け、まずはお前がどうしたいのか話してみろ」
 僕の言葉に、加奈は支離滅裂な口調で語り始めた。電話越しに涙声、しかも時々しゃくり上げたりするものだから、片言
の外国人と会話するよりも難易度の高い行為になった。
 それでも、なんとか全体的に言いたいことは見えてきた。夏休みになっても南沢さんのスケジュールにほとんど空きがなく
て、あまり話せなかったこと。会うチャンスはあと一回、明日引っ越しを見送る時だけだと言うこと。そして、大切なことを全
然言い足りないんだと言うこと。約三〇分の会話を要約をするならば、このようになる。
「電話じゃ伝えられないのか?」
「駄目だよ、面と向かって話さなきゃ」
 僕は頭を抱えた。そもそもなぜ、加奈は俺を相談相手に選んだのだろうか。その時点で謎だった。しかし、電話口で泣か
れたままと言うわけにも行かない。電話越しの涙声というのは、やけに耳に残るのだ。
275バイバイ4/5 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:17:12.39 ID:GPZ9JFob0
「じゃあ今夜、南沢さんの家に忍び込むってのはどうだ?」
 取り敢えず言ってみた。果たしてこれが現実的な方法なのかは分からない。ただ、半ば投げやりに提案した僕の言葉に、
加奈はしばし沈黙した。考え込んでいるのだろう。そしてしばらく間を置いて、加奈は唸るように言った。
「うん、そうするよ……で、もし良かったら手伝ってくれない?」

 湿気の多い夜だった。大方の家出は夕食を終えるくらいの時間、午後九時を回ったくらいだ。加奈の言い分によると、南
沢さんは実に数多くの塾や習い事を掛け持ちしていて、家に帰ってくるのが平日でも午後八時を過ぎるのだという。そして、
引っ越しをする直前まで、そんな日程に振り回されていたのだ。
「南沢さんの圧倒的な能力の裏には、そんな苦労があったのか」
 僕は素直に感心した。これでは帰宅部にならざるを得ないわけだ。
「くるみちゃんの部屋は二階にあるの。本当に一回だけ、三〇分ほど遊びに行ったことがあるから分かる」
「どうやって昇るんだ?」
「はしごを持ってきた。これを下で支えてて欲しいんだけど」
 加奈はそう言って、塀に立てかけられたはしごを指さした。危険な挑戦だ。少し頭を冷やしたらどうだと言いたかったが、
生憎そうも行かないようだ。加奈の方は既にやる気で、塀をよじ登ろうとしていた。
「仕方ない、くれぐれも気をつけてくれよ」
 僕たちは南沢さんの自室のすぐ下まで、気配を殺して忍び寄った。幸いにも裏庭に当たるスペースで、家の中から僕たち
の姿を発見するのは難しいだろう。
「本当にやるのか?」
「当たり前でしょ、そうじゃなきゃここまで来た意味がない」
 加奈の決意は固いようだった。仕方なしに、僕ははしごを二階に届くくらいの長さまで伸ばした。かなりの高さだ。これを、
そっと音を立てないように南沢さんの部屋のベランダに立てかけた。
「じゃあ、行くね」加奈がそう言って、はしごに手と足をかけた。
「おい、帰るときはどうするんだ?」
「こっそりと、安全なところから出るよ。だからあんたはもう帰ってもいいよ。はしごだけその辺に置いておいて」
 そうとだけ言い残して、加奈はするするとはしごを登っていった。そのままベランダに降り立つと、何回かコンコン、と部屋
の窓ガラスを叩いた。しばらくすると、ガチャリと鍵を外す音が聞こえ、次いで扉が開く音がした。僕の方からは何も見えな
いが、一応首尾としては上手くいっているようだった。最終的に扉が閉まると、あとは完全な静寂ばかりが訪れて、僕は無
性にいたたまれなくなった。よく考えたら、このシチュエーションは危険だ。同級生の、しかも女の子の家の裏庭にいるわけだ。
 僕は加奈にいわれた通りに、はしごを抱えて、そそくさと塀を乗り越えた。一連の行動は、ほとんど泥棒のそれといって良
276バイバイ5/5 ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:18:06.80 ID:GPZ9JFob0
かった。
 はしごを電柱の裏側に立てかけると、ようやく僕は一息を付くことが出来た。一応、ことは成功した。あとは当人たち次第だ。
 ほとんどが謎めいた存在に終わってしまった南沢さんと、なぜか彼女に対して異様なまでに固執していた加奈。僕には分
からなかった。なぜ彼女たちがそこまで惹かれ合ったのか。若しくは、加奈が一方的に南沢さんにつきまとっていただけなの
かも知れない。それは分からない。
 何となく、僕は加奈が出てくるのを待つことにした。どれだけ時間がかかるかは分からないが、そのまま帰ってしまうのももっ
たいない気がしたのだ。見届ける権利くらいあるはずだ。
 月が雲に隠れて、また現れて……。それを三回くらい繰り返しただろうか。僕の感覚だと既に真夜中になっていた。実際の
時間は分からない。
 玄関のドアが開く音がした。柵越しに見えるかも知れない。僕はその場で精一杯背伸びをして、柵の上から玄関の方を眺
めた。玄関にはすすり泣く加奈の姿、そして同じように目頭を押さえる南沢さん、加えて南沢さんの両親と思われる男女が
立っていた。険悪な雰囲気は感じられない。むしろ、南沢さんの両親が加奈に向かって頭を下げるようなシーンさえ見受け
られた。
 最後は加奈と南沢さんが抱き合って、二人は別れた。加奈は、扉が閉じてしまった後も名残惜しそうに、何度も何度も南
沢さんの家を見上げていた。そして、ひとしきり溜めていたものを吐き出すようにため息をつくと、しっかりとした足取りで歩
き始めた。
 玄関先に出てきた加奈を、僕は出迎えようとして手を挙げた。
「よう、どうだった?」
 すると、加奈は心底驚いたような表情に顔を歪め、そのままUターンをして走り去ってしまった。速かった。兎に逃げられた
経験はないが、脱兎のごとくというのはこういう様子をいうのだな、と妙に納得させられるものがあった。まあ、仕方あるまい。
 南沢さんにもう会うこともないのだな、と思うと少し寂しかった。彼女とは、ほとんどまともに会話をした記憶さえあまりない。
そして最後、加奈とどのような話をしたのだろうか。あまり想像できない。いつか、加奈に訊いてみようと思う。
 帰路につきながら、僕は南沢さんの顔を思い描いてみようと試みた。しかしどう頑張っても、ジブリアニメの脇役にいそうな
彼女の顔が、はっきりと焦点を結ぶことはなかった。

<fin>
277バイバイ ◆D8MoDpzBRE (静岡県):2008/09/14(日) 23:18:19.60 ID:GPZ9JFob0
終わりです
278 ◆wWwx.1Fjt6 (アラバマ州):2008/09/14(日) 23:21:23.84 ID:p/r0ZE3EP
>>271
自分に厳しくってことでこのままで結構です
騒いじゃってすみません
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 23:32:14.78 ID:uzF3JBwF0
ん、締め切りか。
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 23:33:51.71 ID:403ySUoa0
救済スレッドより◆SfieWwzaTwの作品と ◆CH1dcDbVHAの作品を転載します。
可能な方は支援をお願い致します。

【順番】
−−−
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/14(日) 23:36:22.35 ID:MMvwRO/r0
初めてこのスレ見つけました

お題を下さい
よろしくお願いします!
282ディープ・ブルーによろしく 1/5 ◇SfieWwzaTw(山梨県):2008/09/14(日) 23:38:14.61 ID:403ySUoa0
 ネオ・トキオの武道館ドームは、二万人を越える観衆で溢れかえっていた。これから始まる世紀の一戦を前に、
昂揚感と期待感が綯い交ぜになった、ある種の畏怖さえ感じさせる空気が場を支配していた。熱、音、光が彼ら
を煽る。
 場内の照明が一旦落ち、続いて中央のステージが照らし出される。そしてスポットライトの中央に浮かんだ人
物が口を開いた。
「皆様、大変長らくお待たせしました。これより、世界将棋連盟主催特別三番勝負の始まりです」
 客席を埋めつくした観客達から歓声と拍手が湧き起こり、カメラのフラッシュが幾重にも交錯する。
 司会者は場内が落ち着くのを待ってから、言葉を継いだ。
「それでは対戦者の紹介です。東! 人類代表! 世界将棋連盟所属永世七冠、現世界王者、藤村雄善(ふじむ
らゆうぜん)二十五世名人!」
 ステージ上の透明な立方体の半分にだけ照明が向けられ、初めてその内部が露になった。ひとつの部屋ほどの
大きさがある。そしてその中にいた和服の似合う恰幅のいい人物はキッと顔を上げると、場内をぐるりと見回し
た。
 五百年に一人の偉人。年少の頃より頭角を現し、多くのタイトル獲得最年少記録を塗り替えてきた。タイトル
防衛回数も群を抜き、多くの同業者が、彼と同時代に生まれた運命を呪う。天与の棋才と勝負強さを持ち、そし
て今現在、齢五十八にして世界王者の地位にある男だった。
「対する挑戦者は、西! コンピュータ代表! グランフォード大学所属、グラン・ブルー!」
 立方体のもう半分が照らされ、その内部にいたマシンが鮮やかな黒いメタリックボディを明らかにした。流行
の自律ヒト型ではないが、頭脳の集中する頭部と駒を動かすための一本の腕を持ち、その後ろに控える超巨大な
計算用スーパーコンピュータの塊を無視すれば、それなりに親しみの持てるフォルムである。
 グランフォード大学の研究チームにより開発され、昨年コンピュータ将棋界で最強の座を獲得、世界最大のユ
ニオンである世界将棋連盟の協力もあって、今回の挑戦へと至ったのだった。
 会場の興奮はピークに達していた。埋めつくしているのは勿論、世界中の愛棋家達である。
 将棋に似たボードゲーム――チェスで、人類がコンピュータに敗北を喫して二百年余り。それから現在に至る
まで、将棋ではまだ人類の防衛が続いていた。しかし今回の挑戦者グラン・ブルーは、圧倒的な強さで他のプロ
グラムを打ち負かしてきた、言わばコンピュータ側の希望の星である。
 勝負を挑まれた人類代表藤村は、緩急自在、攻にも守にも長け、「藤村理論」という新たな定跡を生み出した鬼
才である。理論と経験に裏打ちされた確実な手から、常人には容易に理解できない奇跡的な手まで操り、将棋の
寿命を五百年縮めたとまで言われる。そしてその双肩に人類の意地とプライドがかかっていた。
 会場の照明が元に戻り、立方体の部屋の壁にはどこかの和室に擬えた景色が映し出された。外から中の様子は
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 23:38:39.95 ID:qIUxk2xQO
>>281
不可抗力
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 23:38:43.43 ID:fMrHcQVC0
C
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 23:38:49.77 ID:R9ExDbi10
>>281
286ディープ・ブルーによろしく 2/5 ◇SfieWwzaTw(山梨県):2008/09/14(日) 23:39:17.40 ID:403ySUoa0
見えるが、中からは外部の光も音も入ってこない。
 中にいるのは連盟の立会人ら三人と藤村、そして無機質なグラン・ブルーだけであった。そして立会人より持
ち時間と秒読み時間の説明があり、本日の一局目はグラン・ブルーの先手、明日二局目は藤村の先手、最終三局
目は振り駒によって決めることの確認が行われた。
「それではよろしくお願いします」
 人間四人は軽く礼をしたが、ブルーはまったく動かなかった。
 緊張の一瞬。藤村はただ、ブルーの様子をじっと見つめていた。人間の頭部のようにも見える部分には、しか
し、諸々の感覚器官は存在せず、人ならざる者の持つ潜在的な不気味さを感じずにはいられなかった。
 しんと静まり返った空間に、かすかな振動音が響く。そしてブルーの細い腕が駆動を始めた。対局の開始であ
った。
 アームは静かに前方へ伸び、盤上の駒を一つ摘み上げる。将棋の初心者が、慣れない手付きで駒に触っている
ようだった。そしてブルーは腕を直線的に少しだけ動かし、その駒を再び盤上へ置いた。何の音もしなかった。
ただ駒は、縦横の罫線のちょうど中央に置かれていた。
「先手5六歩」
 読み上げ係が声を発した。女性のよく通る声であった。そして記録係が、手元に何事かを書き込んでいく。
 初手5六歩。珍しい始まり方だ、と藤村は思った。
 将棋の初手は、全部で三十通りある。しかし実際の対局で指されるのはその内の数種類、特に7六歩と2六歩
が圧倒的に多い。それは、その歩兵の後ろに控える角行または飛車を有利に動かしていくための序盤の定跡であ
る。飛、角は大駒と呼ばれ、本将棋の八種の駒の中で能力が高く、これらをどのように展開させていくかが非常
に重要なのだ。そのためこの何十年かの間は細密な研究がなされ、初手に関しては先の二種類が半ば常識となっ
ていた。
 藤村は盤面から目を離して空中に視線をやり、静かに目を閉じた。それから大きく息を吸い込むと、長い時間
をかけてそれを吐き出した。
 面白い。
 藤村はカッと目を見開くと、ブルーを睨みニヤリと笑った。
「後手3四歩」
 続く藤村の手は、セオリー通りであった。相手を牽制しながら守りを固め、得意としている陣形を組む。自分
のペースに持ち込むのだ。
 藤村はこの一戦が長期戦になりそうだと、何となく感じていた。長い棋士生活ゆえの、勘ではあったが。
287ディープ・ブルーによろしく 3/5 ◇SfieWwzaTw(山梨県):2008/09/14(日) 23:39:49.68 ID:403ySUoa0
 その後の展開は、ほぼ互角であった。一進一退の攻防が続き、八十一マスの盤上、あらゆる場所で競り合いが
行われた。藤村もブルーも一度たりと悪手を打たず、傍から見れば意味のないような手が思わぬ場面で効果を発
揮、解説者が絶句するなど、まさに時代の名勝負であった。
 初手が指されてから十一時間、百手以上が経過していた。両者ともに持ち時間を使い果たし、秒読みでの局面
になっていた。
 そしてわずかながら、先手ブルーが相手を制しはじめた。ここへ来ても藤村は顔色一つ変えず冷静に対応して
いたが、終盤、遂に相手に押し切られてしまう形となった。
「参りました」
 勝者、先手グラン・ブルー。百十五手。藤村は相手に一礼すると、思いつめたようにその場を立ち去った。
 第一局目が終わった。

 旅館の一室で、藤村は今日の対局を思い返していた。初手5六歩にわずかながら動じたものの、最後まで自分
の棋風を貫いたと自信を持って言える。だがこれで一敗、明日の二局目はもう負けるわけにはいかない。全人類
代表としても、一棋士としても。

 武道館ドーム、二日目。
 中央ステージ上の立方体の中で、藤村とグラン・ブルーは昨日と同じように対峙していた。わずか三十数セン
チメートルの将棋盤を挟み、現代最強の棋士と、最強のプログラムとが、再び相まみえたのである。
 立会人から一局目のときと同じように説明がなされ、いよいよ二戦目が始まろうとしていた。
「それではよろしくお願いします」
 皆が軽く頭を下げる中、ブルーはやはりまったく動かなかった。
 藤村は昨晩からずっと、初手5六歩について思考を巡らせていた。自分の戦略上、そのような初手を打つこと
はない。しかし昨日のその後の手を見ると、ブルーの陣形も素晴らしいものであった。
 既に対局が始まっているにも拘らず目を瞑ってしまった名人を、立会人らが訝しげな表情で見つめる。会場を
埋め尽くす観客も、固唾を呑んで動向を窺った。
 これまで指したことがない初手。藤村はゆっくりと深呼吸すると目を開けて小さく頷き、盤上の駒に手を伸ば
した。
「先手5六歩」
 場内はざわつき、解説者も驚きの声を上げた。勿論その声は対局の行われている空間には届かないのだが、藤
村は外の世界のざわめきを何となく感じていた。
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/14(日) 23:40:23.54 ID:qIUxk2xQO
お題ちょうだい
289ディープ・ブルーによろしく 4/5 ◇SfieWwzaTw(山梨県):2008/09/14(日) 23:40:36.33 ID:403ySUoa0
 静かな部屋の中で、藤村は一つだけ駒の動いた盤上を凝視していた。相手の出方、今後の趨勢、大局的な見方
はまだわからなかった。さあ、どう来る。
 誰もが次の一手に注目していた。しかし対戦者は腕は手前に引っ込めたままで、まったく動く気配がなかった。
そして次の瞬間、ブルーはアームを上方へと向け、根元から回転させた。駒を掴むためだけに存在する二本の指
がくるくると回る。投了のサインだった。
 その光景に誰もが驚愕する。先ほどの藤村の初手以上に、会場は騒然となった。
 藤村も我が目を疑っていた。眉間に深い皺を寄せ、回転を続ける腕と、その向こうの黒いボディとを交互に見
比べた。二手目で投了など前代未聞、冗談にもならない。
 困惑した立会人たちは小声で話し合った。そして別の場所にいた将棋界の重鎮らを内部へ通し、しばしの間協
議が行われることとなったのである。そう説明を受けた藤村は、ただ黙ってそれに従うしかなかった。
 少ししてようやく話が纏まったのか、会議は解散した。そして立会人が藤村の下へ歩み寄ってきた。
「後手、グラン・ブルーの二手目は無効とし、グランフォード大研究チームを中に入れて、臨時のメンテナンス
を受けさせたいと思います。ただしメンテにかかる時間は、グラン・ブルーの持ち時間から消費する、というこ
とでどうでしょう。勿論名人の側が応じないのであれば、規則に則り、先手藤村名人の勝ちということになりま
すが」
「それで結構。恐らく何らかのトラブルなんでしょう。機械というのは厄介なものだ」
 笑いながら藤村は返事を返す。
 すぐにグラン・ブルーの開発チームが中へ通された。責任者のグランフォード大学工学部教授は、藤村とすれ
違い様に深く頭を下げた。
「申し訳ありません、大事な対局中に。すぐに点検しますので」
「いやいや、そう恐縮なさらんで下さい。私だって、マシンのミスで勝ったって、嬉しくないですよ」
 そして、異常の原因を突き止める作業が始まる。藤村は内部からは出ずに、ただじっとその様子を眺めていた。
 内部の複雑なプログラム、将棋に特化した膨大な計算をこなす並列スーパーコンピュータ、あるいはアーム部
分の単純な誤動作。チェック項目は数限りなくあり、短い時間の中で全てを確認するのはやはり不可能だった。
教授と三人の開発チームメンバーは立会人と藤村を呼び、簡単な経過を説明した。立会人がそれを了承し、正式
に記録されることとなった。
 勝者、先手藤村雄善。一手。
 第二局目の終わりだった。
「藤村名人、すいません、このようなことになってしまって」
 教授は、本当に申し訳なさそうな表情を浮かべた。藤村より幾分か若いが、人工知能の分野では知らぬ者はい
290ディープ・ブルーによろしく 5/5 ◇SfieWwzaTw(山梨県):2008/09/14(日) 23:41:25.92 ID:403ySUoa0
ないというほどの奇才である。
「まあ、しょうがないですな。しかし明日の三局目はできそうですか?」
「ここでは充分な検査もできませんし、一度大学に戻らないと。それに、すぐにバグが見つかるかどうかも、正
直何とも言えないという感じでして」
「それは困りましたな」藤村は小さく溜息を吐いた。「では、延期ですかな」
「ちょっと待ってください」
 少し離れたところで会話を聞いていた立会人が口を挿んだ。
「この三番勝負は全世界に生中継されている上に、スポンサー契約の問題もあります。勝手に延期ということに
はできませんよ」
「ええ、今回は我々どもの不手際、負けは負けです」
 教授は残念そうにそう言うと、グラン・ブルーをちらりと見た。チームのエンジニアとプログラマたちが、ま
だ検査を続けている。
「私は、万全の状態の彼と戦いたいのです。もし明日、三局目を強行するというのなら、今度は私が二手目で投
了する」
 藤村は頑として折れず、結局、第三局目は無期限延期となった。
「君が正常に戻ったら、思う存分最後の対局を楽しもう」
 既に電源が落とされ、わずかな音さえしなくなったブルーに近付き、藤村はそっとアームの先に触れた。思っ
た以上に華奢で、しかし棋士特有の洗練された指の雰囲気を感じる。将棋を指すことを楽しめるのは人間の特権
だと思いつつも、熱戦を演じたライバルを讃えるのだった。

 しかしその後、第三局目が開催されることは遂になかった。グランフォード大学グラン・ブルー開発チームに
よりある論文が発表されたのは、藤村とブルーが握手を交わした半年後だった。
『――以上のように本将棋では、初手5六歩に対して、先手後手ともに最善を尽くせば第百十五手目で“詰み”、
先手必勝となることが、グラン・ブルーの解析により発見された。なおこの手順は、先日の藤村雄善名人対グラ
ン・ブルー特別三番勝負第一局目の棋譜と完全に一致する』
 その後もグラン・ブルーは幾つもの解析結果を残していく。しかし局面ごとの定跡が絶対的なものになるに連
れ、次第に将棋は廃れていったという。
 果たして真の勝者は、人間だったのか、それともコンピュータだったのか。

  おわり
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/14(日) 23:41:55.99 ID:R9ExDbi10
>>288
勇気
292人類最後のウチュウ旅行 1/5 ◇CH1dcDbVHA(山梨県):2008/09/14(日) 23:42:32.62 ID:403ySUoa0
 全てを塗りつぶしてしまう暗闇は、現実を誤魔化してくれる。
 しかし、誤魔化しも、目が慣れるにしたがって通用しなくなってくる。荒涼たる大地がだだっ広く、果てが無いかのよう
にどこまでも続いている。くろぐろとした空に瞬くのは、飛行機の類が発している光なのだろう。
 ここ――私が生れ落ちた町は廃墟の様相を呈していた。物心ついた時分には、既にそうだった。朽ちてうらびれた建物が
軒を連ね、人通りはほとんどと断じてしまって良いぐらいに、無かった。時折吹き抜ける風が、さもつまらなさそうに砂埃
を巻き上げるだけだった。
 風も寝静まる夜半に私が起きているというのも、それは私が夜に眠ることができないからに他ならない。正確に言うなれ
ば「眠りたくない」のだ。
 なぜなら、この世界は美しくないから。
「寝ないと、体に悪いよ。そよかはただでさえも栄養足りてないのに」
 ブロック状の栄養食らしき塊を口にくわえながら、千波は決まったようにうそぶく。そんな彼女の嘘を鬱陶しく思うと共
に、感情の起伏の少ない千波なりの気遣いを嬉しく思った。
 千波は体を横たえて、赤銅色に錆び付いたベンチの大部分を占領していた。お陰で、私の膝の上に彼女の頭が乗るような
形になっていた。幸い、千波の頭は軽いので、虚弱な私でもさほど足に圧迫感は感じなかった。むしろ気になるのは、墨を
溶かし込んだかのような長い髪が、腿に少しくすぐったいことだった。
「ほら、せめて食べないと倒れちゃうって。お前の手は――いや足もだけど、本当にほっそいな」
 私をしげしげと見上げると、千波は片手に栄養食を持って、私の口元に突き出してきた。
「いらないよ。千波が食べれば良いのよ」ぶっきらぼうに私は言う。
「お前なぁ、これだから体の発育も悪いんだって」
 言うと、笑いをこぼしながら、体を左右によじらせた。
 そのあざけるような仕草が気に食わなくて、私は勢いに任せて鉄槌を振り下ろした。
「痛ッ、何だよ本当のこと言っただけじゃんかよ」
「そんなことはどうでもいいんだけど、千波って、いつからここに居るの?」
 別段深い思惑があった訳ではなかった。頭にもたげた疑問を、つい口にしただけだった。
 不意を突かれたのか、千波は暫しの間考え込んでいた。目をつむっていたって暗いことは変わらないのに、眉根を寄せて
悩ましげな表情を浮かべていた。
「んと、正直なところ分からないんだよね。何も覚えてないし」
「ふうん。じゃあ、どうしてこの辺りってこんなに滅茶苦茶になっちゃったの? 何にも無いし……」
「多分、多分だよ。"カクセンソウ"っていうのが始まっちゃって、こうなったみたい。滅茶苦茶になってるのはこの辺りだ
けじゃないと思う」
293人類最後のウチュウ旅行 2/5 ◇CH1dcDbVHA(山梨県):2008/09/14(日) 23:43:15.14 ID:403ySUoa0
「カクセンソウ?」
「そう、カクセンソウ。国と国が、"カク"を使って互いに人を殺しあうんだって」くるくると細長い指に髪を巻きつけなが
ら、吐き捨てるようにつぶやいた。
 聞いたことも無い単語がちらほらと聞こえ、半分も理解できなかった。きっと、私よりずっと聡明な千波は理解している
のだろう。
「目に見えることだけが、全て正しいとは限らないんだよね」
 嫌に唐突だった。
「この現実も? 私の膝の上に厚かましく乗ってる千波も?」
「そうだね。もしかすると、そよかは夢を見ているのかもしれない」
「やめてよ、変な冗談」
 会話が途切れると、私たちはいつもの如く、何をするでもなく暗闇を眺めていた。
 今でこそ見えないが、朝になれば厚い雲が空に棚引いているのだ。遠い昔、空は青かったらしいが、私がかろうじて見た
ことがあるのは、くすんだ灰色に染まったそれだけだった。
 しかし、千波はそれですら嘘だと言い放った。
「今日はもう戻ろう。寒くなってきたみたいだし」
 千早は体を起こすと、廃れきった町へと体を翻した。遅れて、私も後ろに続いた。
 暗闇の中なのに、宙に舞った彼女の髪だけは、一本一本までがひどく鮮明に見えているような気がした。


 ◇


 千早は硬い地面に手を当て、砂塵を払いながら、何かの場所を探っているようだった。
「すぐ砂が吹いちゃうから、場所が分からなくなっちゃうんだよね」
 と、悪態を吐きながら扉を持ち上げると、地下シェルターめいた空間への入り口が開いた。いつのころからか、私はここ
に居候の身となっている。
「あー、長い間外に出すぎたかな。砂埃が酷いや」
 千早はとてとてと風呂に駆け込んだ。ほどなくして、くぐもったシャワーの音が小さく響き始めた。
 風呂に入るまではすることも無いので、私は本棚の本を漁るのが日課になっていた。大半は小難しい専門書が並んでいる
ものの、片隅には大衆小説がその僅かな隙間を埋めている。今読み進めているのは、江戸川乱歩という珍奇な名前の作家だ
294人類最後のウチュウ旅行 3/5 ◇CH1dcDbVHA(山梨県):2008/09/14(日) 23:43:54.37 ID:403ySUoa0
った。
 この私の直面している現実からは考えられないような、複雑怪奇に満ちた事件模様が好きだった。いっそのこと、殺され
ても良いからこんな世界に飛び込んでみるのも悪くないかもしれない。
「そーよか。一緒に入ろうよー」
 物語の事件も佳境に差し掛かろうとしたとき、千波の声が水をさした。
「嫌だって毎日言ってるじゃない」本に栞を挟み、乱暴に閉じた。
「一緒に入ったところで見せるほどのものでもないのに」
 そこまで言うならば、いいじゃないの殴りこんで冷水シャワーの一つでも浴びせてやろうかと思ったが、千波を増長させ
るだけなので止しておいた。
 気を鎮めて、再び本を開くと、一枚の変色した写真が飛び出した。写っているのは、まだいたいけな千波と、大人の女性
だった。
 ――誰?
 分からなかった。少なくとも、私には見当がつかなかった。たおやかな黒髪が美しい女性は、私に向かって暖かく微笑み
かけていた。
「良い湯だったよ。――あ、乱歩の『鏡地獄』だ。それ面白いよね、私も大好き」
 頬をほんのりと上気させながら、風呂から上がった千波が立っていた。
「うん、少し怖いけど。あと、えっと……これ、誰?」
「――」
 千波はバスタオル一枚という格好で、さきほどまで赤らんでいたはずの顔は冷め切っていた。
「知らないな。……私、着替えてくるよ」
 と、しどろもどろになりながらも、千波は引き返していった。


 ◇


 この地下室には、今も尚、正確に時を刻んでいる時計がある。
 時計が時を刻み続けていられるのも、千波が人並み外れて――比べる対象は私しか居ないのだが――賢いことと、類まれ
な器用さを持ち合わせているからに違いない。並みの機械なら、丁寧な手付きでもって、見る間に修理してしまうぐらいで
ある。
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 23:44:32.79 ID:fMrHcQVC0
C
296人類最後のウチュウ旅行 4/5 ◇CH1dcDbVHA(山梨県):2008/09/14(日) 23:44:38.50 ID:403ySUoa0
 分針がまもなく3時半に差し掛かろうとしているところだった。
「見せたいものがあるんだけど」
 あくびをかみ殺しながら、千波が私を手招きしていた。
 いつもならば「少し出かけてくるから、そよかは勝手に外出しちゃダメだよ」と、うるさいぐらいに何度も念を押してく
るはずだったのに、今日ばかりは様子が違って見えた。
 天井の扉まで伸びたハシゴを、千波の後を追って登った。こんなことは初めてだった。
 外に出れば、相も変わらず、風が吹きすさんでいた。目に砂が入り込まないよう、私は顔を手で覆った。
「こっち」
 宵闇に目が慣れない私を導くように、千波は私の手を取って握った。そこで初めて、私はこんなにも心細かったことを悟
った。柄にもなく、少しどきどきしているような気がした。
「ほら、入ってよ。ふふ、あまりの凄さに驚くなよ」
 千波が指差した先には、扉が口を開けていた。それは、滲んだ橙の光があふれ出している様にも似ていた。
 ハシゴを、足を踏み外さないように慎重に降りると、大きな地下空間が姿を現した。そして、空間の真ん中には、勇壮な
戦闘機が鎮座していた。
 戦闘機については、千波の本棚で、少しだけ読んだことがある覚えがある。加速、ときには旋回しながら優雅に空を飛び
周り、戦うのだそうだ。"カクセンソウ"なる悲劇にも、この戦闘機は使われたのかもしれない。そんな私の推測を裏付ける
かのように、機体の両翼部には修復の後が見て取れた。
「これで、空を飛ぶんだ」千波のまっすぐな眼差しは、真剣そのものだった。「多分、多分だけれど――もう、この"チキュ
ウ"には私たち以外に人は居ないんだと思う。だから空まで飛ぶんだ」
「人が居ないって……なら、あの空に浮かんでいる発光体は何? 雲が掛かっているんだから、まさか星のはずはないじゃ
ない」
「ややっこしい説明は割愛するけど、そよかは夢を見ていたんだよ。空に光る飛行船だって、灰色の雲だって全部嘘。そん
なこと、"ウチュウ"に暮らしている、"チキュウ"から逃げた人間からすれば容易いこと。彼らが見せてるまやかしにすぎな
いんだよ」
 千波は一旦言葉を区切って、再び続ける。
「だから、私たちが空に広がるまやかしを破って、追っかけてやるんだよ。母さんがこれを残しておいてくれて、本当に助
かった」
 あの写真は、今は亡き母だったのだ。母を喪っていても、嫌になるほど溌剌としている千波との毎日が、私の心を満たし
た。
「この戦闘機じゃ、"ウチュウ"までは行けないけれど、うそぶく空を越えれば何とかなるはずだよ」
サル
>>291
ども
>>283
>>285
了解っす
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/14(日) 23:54:09.01 ID:QxR19siBO
転載乙
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 23:56:04.90 ID:fMrHcQVC0
さるったのかな?
続き転載します
301人類最後のウチュウ旅行 5/5 ◇CH1dcDbVHA (静岡県):2008/09/14(日) 23:56:24.38 ID:GPZ9JFob0
「――うん」
 それしか、言えなかった。孤軍奮闘する千波の傍で、のうのうと生き長らえてきた自分が馬鹿馬鹿しかった。
「――めんね」
「ん、何だって?」
「ごめんね」
「今更辛気臭いなぁ。元々こういうのが好きだから、私は全然かまわないんだって」
 言うと、千波は私の肩を、壊れ物でも扱うかのように抱いてくれた。どきどきはしたけれど、不思議と涙だけは出なかっ
た。
「で、もう後は飛ぶだけなんだけどさ――そよかも来てくれるよね?」
「行くよ、絶対行く」
「良かった。体のサイズも測れたことだし、もう大丈夫」
 そうして、得意げに千波は唇の端で笑って見せた。
 彼女の一言で、先ほどまでの感傷は全て吹き飛んでしまった。そのクリアになった私の心は、冷静に一つの決心を固めて
いた。
 今日はもう眠ろう。朝はもう、怖くない。そして、朝になったら、薄い日の光を全身で浴びよう。毎日栄養食ばかり食べ
ている千波のためにも、手料理を振舞ってやろうとも思った。
 私は、人類最後のチキュウ旅行の計画者――千波のために、腕を振るおう固く誓い、深い眠りの底へと落ちていった。

おしまい
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/14(日) 23:56:43.59 ID:GPZ9JFob0
転載されてなかったので転載しておきましたよ
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山梨県):2008/09/14(日) 23:57:16.00 ID:403ySUoa0
何たる孤独……! 助かりました、ありがとうございます。何とか今日中に終わりました。

現在、週末品評会128thの投票受付中です。今回の品評会お題は『天才』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会128th- にてご覧頂けます。
投票期間は2008/09/16(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
               ―感想―
      <<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
               ―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書き途中の方は是非。
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/14(日) 23:57:17.02 ID:fMrHcQVC0
危ない被るところだった

転載乙です
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/14(日) 23:59:17.69 ID:p/r0ZE3EP
乙です!
>>303
おつかれさまでーす
転載の天才だー

さてぜんかん書くか……
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 00:08:26.24 ID:QTckK06X0
猫さんをはじめとしたすべての人にお疲れ様を。
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 00:13:06.95 ID:4kZ1BVBW0
んで、何作品投下されたの、10以下なら全巻書いてもいいが
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 00:24:31.34 ID:QTckK06X0
18かな。

さて、まとめの方は転載しちゃってもいいのだろうか。
それとも編集作業待ち?
310誤爆する者 ◆qcbM3EUVEE (千葉県):2008/09/15(月) 00:26:27.76 ID:q8HBJTsT0
>>504
能登だと・・・!原作でも一番好きだったのに、能登になってるとは!
素晴らしい
311th128品評会『天才』作品一覧(熊本県):2008/09/15(月) 00:26:38.19 ID:P9lFSx2E0
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
No.14 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
No.15 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
No.16 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
No.17 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
まとめオツ。
13まで全館書いた。品評会まとめスレに作品が来たら再開する。
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 00:29:11.22 ID:P9lFSx2E0
うわ、一作品抜かしてしまった
すみません
314th128品評会『天才』作品一覧(熊本県):2008/09/15(月) 00:31:02.59 ID:P9lFSx2E0
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI氏
No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 00:33:45.14 ID:QTckK06X0
まとめへ転載してる方。

クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏 はNo.11にすでにあります。
二重で転載されています。お気をつけください。
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/15(月) 00:36:22.56 ID:gHv5OQ1H0
みなさま乙です
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 00:38:40.06 ID:4kZ1BVBW0
なんだかんだで多いな、
参加してないが、自分が参加した回で
非参加の人が全巻していたので、そのお返しに全巻してみる、酷評でも許してね
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/15(月) 00:39:19.76 ID:rEJlCSLh0
>>315
しまった ミスしました
言い訳をするようで申し訳ないというか情けないというかアレですが、
出来ればまとめは本スレへの掲載順でやってくれるとありがたいなあとか。
ええ、僕が悪いんですけどね。
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 00:43:09.96 ID:P9lFSx2E0
運営さん、まとめの方、お疲れ様です
参加者の方も乙でした

全感かけるかな。おやすみ
>>314
びびった、まじ涙目だった、一覧乙

あとはんぶんだー
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/15(月) 00:53:07.49 ID:sRFprRZj0
これ完璧に 完ってなんないと投下するのまずいすか?

途中まで書いたんすけど書き出しが遅くてもう眠たくて・・・
評価してもらえないッすかね?
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 01:00:48.12 ID:QTckK06X0
今日出さないといけない理由でもあるの?
そうせなら完成させた方がきちんとした感想もらえると思うけど。
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/15(月) 01:01:37.09 ID:blOIfOCo0
流石に途中じゃ評価しようがないんじゃ……
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 01:01:52.50 ID:P9lFSx2E0
>>321
それならば一日置いて、きちんと完成したものを明日以降投下することを
おススメする。べつに今日投下しなければならない道理もないし
325ツール・ド・名無しさん(東京都):2008/09/15(月) 01:02:12.37 ID:gnmdL/930
>>321
途中で終わりかよという文句付きで良ければ、
俺は今暇だから読むかもしれない(ぱっと見でわかるぐらいひどくなければだけど)
ただまともな感想が欲しければ、書き上げるべき。
別に眠いのなら、寝て、また明日書けばいい。
最後まで書かないとまったく成長しないって指南本に書いてあった。
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 01:05:38.90 ID:QTckK06X0
>>318
基本的にはそうなんだけど、規制者スレのことを鑑みて、
投下された時間順にNo.をつけていっているのですよ。
いやまあ、俺がやってるわけじゃないけどね。
なので、今回みたいなことも起こるのです。

なんにせよ、お疲れサマー。
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(福岡県):2008/09/15(月) 01:05:41.02 ID:sRFprRZj0
さんくす
なんかテーマもらって書き出したら楽しくて
初めていい作品ができそうな予感がしてるので
このスレがみつからなかったら投下する場もないし・・と
あせってました。明日の昼間でも最後までキッチリと書き上げます
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 01:35:24.37 ID:4kZ1BVBW0
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 02:00:30.35 ID:AqptQdRoO
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西):2008/09/15(月) 02:24:36.66 ID:eq8ir4tRO
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 03:07:03.93 ID:4kZ1BVBW0
地域の表示、同じ関西でも関西と、関西地方の2つがあるのか、なんでだw
332名無しさん必死だな (東京都):2008/09/15(月) 03:12:13.00 ID:gnmdL/930
プロバイダの違いじゃないか

嫌に冷静なマジレスだけど
333全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:25:34.21 ID:gnmdL/930
全然感完全看貫

やっと全感終わったー

もしヒトがいたら、さるを頼む
334全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:26:06.75 ID:gnmdL/930
No.01 『彼女の道』 1/5 ◇BCjH.6d5ig
どの場面でも年齢が変わっているように思えない。最後の方もまるで小学生みたいに見えた。
タバコを〜の部分が幼稚に感じる。タバコ吸ったぐらいで大人だということを
表すのは中学生みたいだと思った。こんなアイテムに頼らず、思考とか台詞から年齢がわかるように
したほうが良いと思う。全体的に何が言いたいのかわからなかった。
あとwiki見て、段落とか改行とかを覚えると良いと思う。
それは作品のレベルとか思想とかによらず必要なことだと思うから。

No.02 『パズル』 1/4 ◇hruvc8ph8Q
段落がないから、2レス目が読みにくく感じた。
雰囲気は良いと思うが、特に言うべき点も見当たらないという感じ。
もう少し、何か欲しい気がする。それが何かはわからないけど。
いいところ:静かな雰囲気

No.02 『離さない』 1/4  ◇h1izAZqUXM
微妙だった。言葉がまともに通じないのに、才女と言われても、
そうですねとは思えない。「琴が三日で」、「花を生ければすべてを魅了」
こんなことを書くのは簡単だけど、その人物がそういうヒトに見えなければ、
汚いおばちゃんがダイヤの指輪を見せびらかして、「私、キレイ?」と言ってるようにしか見えない。
家の人間がおかしすぎるように感じる。そうする理由もわからなかった。
これ虐待じゃね?

No.4 一勝全敗 1/5  ◇2/tl4kvsZM
段落を…… wikiを見て勉強を……「〜〜〜〜〜。」の「。」はいらないと思う。
昔のだと付いてることあるけど、現代だとあまりない。
「――」とか「……」とかが多すぎるように感じた。あと「ジリリリ」とかもやめた方が良い。
オチは良かったが、4レス目で萎えたので微妙。内輪ねたみたいなものを小説に持ち込むのは嫌いだ。
いいところ:タイムマシンを使ったオチ
335全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:26:39.98 ID:gnmdL/930
No.05 エンジン 1/5 ◇ML.K5wMH76
算数の割り算とかから考えて、小学生の4,5年生あたりだと思うが、
>「だってさ、海がここにあるのは重力のせいだろう? それで、地球にへばりついてる」
>「そうだね」
この会話は無理じゃないか? ふりかえっても重力なんてものをまともに知ってたか怪しいように思う。
>でも木とか建物は、壊すとすぐに体が無くなるだろ
残ってない? 枝とか枯れ木とか、建物だって消失するわけじゃないだろう
ちょっと意味がわからなかった。あまり書きたくないが、金魚をパーツにばらしたら、消失してるということになるのだろうか?
最後の〆は年齢が子供のままのようで、嫌だ。高校ぐらいになったら、言葉遣いなんかを変えたほうがいいように思う。
全体を通してやろうとしてることは嫌いじゃない。ただ、質問内容があまり良いように思えなかった。
前に1、2話だけ見たエジソンの母というドラマを思い出した。タイトルも似てるしw
いいところ:子供の問い掛けという発想

No.06 そっかー 1/5 ◇8wDKWlnnnI
横に長いのはあまり好きじゃない。「坊や」などセリフが寒いように思う。
あとセリフばっかもキツイ。変な段落入ってるし。ここまでで流し読みしようか迷った。
モーツァルトとかオペラとかの説明が始まった。流し読みすることに決定した。以下は適当にうわべだけ読んだ感想
を書こうと思ったけどタイトル見て流し読みもやめた。そっかー

No.07 辞書 1/2 ◇MIN/fihsk2
wikiを見て、セリフ後に段落を…… あと横に長いっす。
内容微妙。内輪話嫌。
336全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:27:13.60 ID:gnmdL/930
No.08 イルカと麻薬 1/5 ◇zH52hPBzFs
>白砂の砂浜:白い砂浜じゃ駄目だろうか。
『』もいらないかな。普通の「」これで良いように思う。わかれば余計な装飾はいらないと個人的に思う。
言葉が通じないとかならあってもいいけど。ブッラクホールが20光年先で、イルカ君が二十年生きられるわからないとか
言ってるけど、ブッラクホールは光速でものを飲み込むだろうか。もしそれなら、ブラックホールを観測した光が到達するときに、
同時にブッラクホールも着いちゃうような気がするんだけど。
話はいいね。もろ好みだった。あと気になったのはタイトル。エンドルフィンと掛けてるのだと思うけど、
特に麻薬という言葉が必要だったかわからない。何か意味があるのだろうか。
書き込めてよかったよ。これが読めなかったらもったいなかった。
いいところ:いるかいるかいるか。知ることが悲しいという発想

No.09 人間設計事務所 1/3 ◇LBPyCcG946
設定は好みなんだが、IQで萎えた。現代ですら、あまり使用されないのに、未来でこんな重要なとこでIQといわれると微妙。
最後にオチがあるわけだけど、それまでに前の男が天才に見えなかったから、ただだるまであることに驚いただけに
なってしまった。IQだとかではなく、言葉使いなんかで匂わせておくと楽しめたと思う。
あと、遺伝子云々の設定が適当すぎる。知能と手足は関係ないだろうし、
後から切断とかで変えられるなら、別に子供のころからやらなくても、子供自身に欲しい能力選ばせればいい。
絵はまったく浮かばなかったと昨晩感想をつけたら、それを逆に使うとは、なかなかやるなw
いいところ:デザイナーズベイビーのグロい発想、話に合った文体
337全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:27:46.85 ID:gnmdL/930
No.10 プレス機の脇で 1/5 ◇BqgMEgxWzg
段落を…… wikiを……見て
教師に対する痛み分けみたいなセリフと
>それは教師に『自分は生徒より優位な状況にある』と思い込ませること
が合ってるとは思えない。あんなセリフを言われたら、見下してんじゃねーぞ、ガキがと俺なら思う。
>僕たちはプレス機の外へささやかな冒険に出た。:いきなり言われて、は? と思ってしまった。
せめて前に例える描写とかを入れとくべきじゃないか?
テンプレという言葉を普通のヒトが知ってるだろうか。俺は2ch見るまで知らなかった。
テンプレートと言葉も知る機会があったか怪しいように自分は思える。
まあ、この年代でコンピュータに興味あったら、2ch知っててもおかしくは無いが、小説として違和感。
話はテンプレ通りみたいな。自分の才能だけで偽らずに進めるヒトが天才だろうと個人的には思う。
どちらも天才だとは思えなかった。思わせるつもりもないかもしれないけど。
あと、最後の回想でまったく成長したという様子が感じられない。プレスがどうとかではなく、
生きてる限りは変化はするだろう。その変がないと、ただの子供の戯言にしか見えなくなってくる。
いいところ:むかつくなあという子供の描写。

No.11 クレイジーナンバーズ 1/5 ◇fSBTW8KS4E
1レス目の1番:普通に三択とか○×とかもあるし、いままでの四択と言われても微妙。そんなに四択って普通だっけ?
1レス目2番:一行目と二行目の境あたりが読みにくく、一瞬とまどった。「、」の位置の問題かな
全体的に場面がわかりにくく、途中でまじめに読む気力がなくなった。作者の考えてる絵が、
こっちまで伝わってないように感じた。その為、オチも「ふん?」と思うだけで楽しめなかった。
最後の配線部分もよくわからない。
338全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:28:23.40 ID:gnmdL/930
No.12 1%の関係 1/5 ◇evLIDD.pqk
>机に右肘をつき、頬杖を突いている少年。その机の右三分の一のスペースに腰をかけている少女。
これはあれか。目の前に尻が見えるという理想世界を描いていると思っていいのか。
>アシンメトリーの、目にかかる程度に伸びている前髪と:これは「目にかかる程度に伸びているアシンメトリーの前髪と」の方がよくない?
個人的にアシンメトリーという言葉自体いらない気もするけど。
視点がブレているように感じた。たとえ三人称でもどちらかにある程度は決めるべきだと思う。あとwikiとか見て段落の使い方を超読みにくい。
全感なんかをやってみるのもいい。ちょうど祝日だし。きっと勉強になる。うんそれがいい。
話は微妙。あんまり好みのタイプでないということもあるし、独自性みたいなものも、安定した凄みも特に感じれら無かった。
せめて作者独自の発想みたいなのがあると個人的には好き。アインシュタインの妻の言葉とかよりもね

No.13 誕生 1/5 ◇RuKKX.jwYg
>「きえぁあー!」:一発目からこれは萎えるわあ。まああの声を表現するのが難しいというのはわかるけどw
>「ここには俺と奴しかいない」:「これってことは基本的にセリフなわけだ。違うというのはわかるけど、まぎらわしい。
あまり記号に頼らず、強調が必要なところは、文章で強調したほうが良いと思う。むずかしく俺もできてないが、やろうとしなきゃ身に付かないし。
あんまり改行ばっかするのも止めたほうがいいと思う。中身ないですと書いてあるように思えるから。
三本目と言ったところを見ると、1対1になってると思うんだが、一本とったとこ書いてないよね?
ちょっと混乱したから説明でいいから何かあったほうがいいと思う。話はそこまで良いと思うところはなかった。どこかで見た感じ。
いいところ:タイトル

No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI
自分の。まじめに天才を書こうと思ったけど、書けなかった。

No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6
うぜー、ぶんなぐりてー、死ねばいいのにと思った。作中の母親に対してね。
こういう親が多いんだよなあ、まあ結構強調して書いてあるんだろうことはわかるけど。
作品の形として、名前が出てくるとそれが誰なのかわかりづらかったように思える。
あと適当な日付とかが各ブロックの始めにあるといいかもしれない。
いいところ:いてもおかしくないような、母親の描写。
339全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:28:57.00 ID:gnmdL/930
No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE
何が言いたい話だったのか。イマイチ伝わってくるものがなかった。
なんというか、南沢のキャラ設定も、主人公の口調も、ストーリーの流れも
どれもベタでテンプレチックに思える。あまり楽しくはなかった。
ピアノだとかフルートだとかどこからできるとわかったのだろうか。
南沢本人はあまり目立つのが好きそうでないタイプのようだし、授業ではやらないだろう。
なんかそういう設定が、何でもできるキャラですよ、と書いてあるだけで浮いて見えた。

No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw
7六歩と2六歩ってどこだっけ。飛車の前と角の斜め前とかかな。そこを動かすことはそんな基本なんだっけ?
振り飛車とかもそうなんだろうか、くわしくは知らんけど。まあそれが定石となってるならいいか。
こんな世紀の一戦が、一日勝負で連戦ってのはおかしく感じる。どうかんがえても人間の方が不利だろう。
疲労しないというところまで、コンピュータの実力に含めるというのならしょうがないが、せめて現実の頂上戦ぐらいの方式がよかった。
オチは機械が投了した段階からわかっていたので、あれだけだとちょっとという感じ。というか、自律ヒト型といわれたときに、
それだけできたなら全解析もできないのかなあとか思っちゃった。もう少し隠すようにして、最後にわかるほうがいいかも。
投了してすぐ、解析結果がわかるとか。それと、全解析できたのなら、研究中にわかるんじゃないかなあとも思った。
そういうことを言わせないために、ヒト型じゃなくしたのかもしれないけど。
人間の強いヒトのほうにあまり天才性を感じなかったのも残念。それと、完全一致というのもやりすぎかも。
でも楽しめた。
いいところ:将棋を選んだところ。いつか起こりえそうな感覚。
340全感 ◆pxtUOeh2oI (東京都):2008/09/15(月) 03:30:00.06 ID:gnmdL/930
No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA
まっ………たく意味がわかりませんでした。
千波? 千早? 登場人物はみんな女の子?
世界はどうなってんの? 何をするの? え? え? え?
>〜うそぶく。そんな彼女の嘘を〜
嘘なの? 寝なくてもいいの? それとも、栄養足りてるってこと?
ほんとよくわからなかった。あらすじがほしい。

総評:お題は? と聞きたくなるようなのがいくつかあった。やっぱりお題の言葉を使えないと
こんなものだろうか。あと、段落とかの使いかたがおかしいようなヒトが多いように思えた。
新規さんが増えているということで喜ぶべきことか。全部思うのは言ったけど、
wikiを見るといいと思う。俺はwiki見るだけでも結構楽しめた。
天才を天才という言葉や、〜理論を作ったとかや、〜ができるとかや、IQ〜でみたいのではなく、
読んでるふしぶしで、こいつ天才! みたいに感じられるのが読みたかったけどあまりなくて残念。
やっぱり森博嗣はそれなりの天才なんだろう。あとは昔みたいにおもしろくなれば最高なのだが。
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 03:31:48.23 ID:gnmdL/930
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.08 イルカと麻薬 1/5 ◇zH52hPBzFs氏
               ―感想―
     好み。楽しめた。発想も考えも好き。タイトルだけがちょっと好みじゃない。でも面白い。
気になった作品:No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
               ―感想―
        書こうとしてることが良かった。ただ疑問点が多く感じられたということと、
        天才が弱いかなあと思ってしまったのでここ。でも楽しめた。
**********************************************

以上です。さるというか見てるヒトがいるかも怪しいな
もし何かあったら、感想返しでもしてください。明け方ぐらいまでは起きてるんで、
ちょっと遅くなるかもしれないけど、感想返し返しする。
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西):2008/09/15(月) 03:35:29.80 ID:eq8ir4tRO
全館おつ
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/15(月) 04:20:41.52 ID:rEJlCSLh0
ho
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 04:35:44.49 ID:AqptQdRoO
天才ですから
345ツール・ド・名無しさん (東京都):2008/09/15(月) 04:54:09.91 ID:gnmdL/930
休日暇つぶしようのお題をください
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 04:56:47.20 ID:AqptQdRoO
>>345
お出かけ
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 04:57:53.13 ID:gnmdL/930
はあく
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 05:41:10.51 ID:AqptQdRoO
保守
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 05:53:21.06 ID:4kZ1BVBW0
全巻書けた投下するよ
350全感想(関西地方):2008/09/15(月) 05:54:29.98 ID:4kZ1BVBW0
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
読みやすかった。文章がテンポよくて、ほとんどストレスなく読めたのは好ポイント。
結末もさっぱりとした余韻で、結末の一文といい、狙ってきたなぁ、と思わずニヤリ。
ただ、2つ残念なことがある。
>>質問の答えも、分からない。
>>「私にはあるよ。こういう人になりたい、って。だから、その為に行くの」
>>言葉が通じない、と思った。
>>でも、逆だった。
>>通じなかったのは、僕の方だ。
>>彼女の言葉を一つも受け取らなかったのは、僕だ。

1つが、主人公が自分が苛立つ理由をすぐに理解してしまう点。
上記のように、「言葉が通じない」と描写した後、一転して、すぐに
主人公は「醜い嫉妬だった。」と結論を出してしまった。
ここは主人公が苛立つ原因を分からせるのに、時間を置くと良かったと思う。
あまりにも唐突に主人公が分かり過ぎて、直前の彼女とのケンカが安っぽくみえる。
この部分にドラマを置くことで、より最後の余韻も増したはずだ。もったいない。
2つ目が、テーマの「天才」が微妙な点。
おそらく、彼女が主人公から見て、天才、と言いたいのかもしれないが、
主人公は上記のとおり、すぐに自分のいら立ちの原因を分かってしまう。
全部ではないにしろ、読んでいてどうしても、彼女が主人公より天才、とは
思えなかった。あえて言うなら”大人”だったという印象だ。
もっと主人公にとって彼女が”どんな風に特別だったか=天才”を描写してほしかった。
これも惜しい。
上記2点を改善できれば投票の可能性もあった、次に期待。
351全感想2(関西地方):2008/09/15(月) 05:55:03.67 ID:4kZ1BVBW0
No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏

雰囲気はいいね。ただそれ以上の感想が出てこない。
まず気になるのが、冒頭「1/4」の部分。
3段落分かれているが、2段落目で突然、「夜には置物を作る。〜」と場面が変わったかと
思うと、3段落目で再び「男は〜」と場面が戻る。
おそらく、回想や補足をしたかったのだろうが、場面が変わり過ぎて混乱してしまった。
たぶん、作者は2段落目の処理をどうしたらいいか、悩んでたんではないだろうか。
とりあえず、二段落目の入れ方は上手くいっていないので、プロの小説の
似た部分を探して真似してみると良いと思う。

そして、この小説にいま一つ、感動が宿らないのは、私とパズルとの関連性が不透明だからだ。
小説に感動しないということは、そこにドラマがないか、あるいは描写されていないからだ。
人は分からないことには感動できない。
この作品は私が本来なら時計を作れたはずだったが、代わりにパズルでそれを叶える点
にドラマがある。しかし、私が時計を作れそうな才能の持ち主である描写は詳しいものの、
"祖父の死後、私の心情が時計からどのようにパズルへ"向いたのかの描写がすっぽり
抜け落ちている。
だから、ラスト、私がパズルを完成させておじいさんの時計と並べても何の感慨も抱けない。
この作品は決して悪い作品じゃないし、感動させるだけの設定はあるが、
力の入れどころを間違えてしまっている。改めて構成を見直してみるべきではないだろうか。
352全感想3(関西地方):2008/09/15(月) 05:55:26.39 ID:4kZ1BVBW0
No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
読んで一言「なんじゃそりゃ」と声に出してしまった。
てっきり「俺といいながら実は主人公は女の子で〜」的なオチなどに持っていくのかと
思ったから、拍子抜けしてしまった。
まぁ、オチはともかくとして、若干設定に無理があるように思う。
才女で頭が悪くないにも関わらず、"物を買うのに金が必要だと理解していない"
"父親以外の男性を知らなかった"という描写。これはいくらなんでもあんまりではないか。
物を買うのにお金が必要な理屈は、普通の知能を有していれば理解できることだし、
男性を知らないにしても、小中学校に行けば男性職員もいるし、出席0では卒業できないだろう。
ましてや、彼女は天才なはずである。
恐らく破天荒な女の子に振り回される男の子みたいなものをイメージしたのだろうが、
さすがに設定に無理があり過ぎて、感情移入できなかった。
それに、主人公が、いくら美人とはいえども、こんな性格の彼女をあっけなく受け入れるの
もどうだろうか。もう少し葛藤させて、主人公から見た彼女を描写してあげれば、
読者に彼女の魅力が伝わったかもしれない。むしろいっそ「主人公が彼女の扱い方で天才」
としても良かったかもしれない。
設定のやり過ぎと、テーマに足を引っ張られた印象がある。
決して悪い作品ではないので、次に期待したい。

No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
タイトルがうまいね。唐突にオチが出てきて、莉子(と思われるお姉さん)に助けられる伏線
がないなぁ、なんて思ったら、タイトルにあったという。
それに、序盤では
>>結果は全敗。ただの一度も勝てなかった。ただの一度もだ。
と主人公が言っているのに、莉子がタイムマシンで過去に行くや否や、
>>あいつに勝ったことが一回しかないほどなんだから。
と主人公の考え方が変わっているのもニクい演出だ。
最後のオチで、主人公が彼女の意図に気付かないのも、彼女の天才らしさが際立って良い。
全体的にはありがちな話だが、作者のアイディアが詰まっていて、良く考えているな、
と感心した。がんばった!拍手。
353全感想4(関西地方):2008/09/15(月) 05:55:49.64 ID:4kZ1BVBW0
No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
ふーむ、と考えさせられる作品。
エンジンが天才なのか、そうではないのか、分からないが、彼の生き方には不思議な力がある。
ただ、私的にひっかかったのが、オチ。
>>彼が鍵を無くさなければいい。ぼくはそれだけを願った。
要はエンジンの頭の回転を起動させる鍵があればいい、ということだろうが、
"なぜ、ぼくがそう願うのか"がよく理解できない。単純に俺が読めてないだけかもしれないが、
ぼくの心情で終えて余韻を感じさせる意図があったなら、若干描写不足だったかも。
自分以外の人がどう評価しているか気になる作品だ。

No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
申し訳ないが、モーツァルトの下りは流し読みしてしまった。
例えるなら、ウィキペディアを読まされている感じだった。
なぜ、こんなにダラダラと長く説明口調にしてしまったのか。
作者に問いたいが、作者は自分自身でこれをすんなり読めるのか?
読者に立った、視点が欠けているように思う。
そして、オチだが、これはモーツァルトとどういう関連性があるのだろうか。
再度見返してみたが、俺にはちょっと分からなかった。
この作品に関しては作者からどういう意図があったのか聞いてみたい。
「モーツァルトの説明小説」という以上の印象が残らなかったのが本音だ。
「モーツァルトの説明がしたかっただけ」というなら「そっかー」としか答えられないがw

No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
「ええー!」とオチが唐突過ぎて吹いたw
たぶん、作者は読者を感動させたかったのかもしれないけど、
この話だけで、店長が改心するとは思えないなぁ。
できれば、オチとの間に、店長が"その話を受けて頑張り始めた心情"を描写してくれないと。
その東大に行った男自身に辞書の話をさせても良かったんじゃない?
354全感想5(関西地方):2008/09/15(月) 05:56:30.79 ID:4kZ1BVBW0
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
いや、いい話で感心させられた。
ただ、冒頭からの怒涛のファンタジー設定に、読むのをやめようかと思ってしまった。
もう、これはファンタジー系の小説を書けば10人に8人は冒頭から固有名詞のオンパレード
になるのだが、残念ながらこの作品もそうだ。
>>私の一日は朝の散歩から始まる。
なぜ、上記の場所から冒頭にしないのか。その後少しづつ、設定を出していけばよい。
読者はファンタジー好きじゃない人もいるし、設定に凝らない人もいる。
どうか、もう少し配慮をしてほしい。そうするだけど、この作品は化ける。
物語的にもなかなか良い。天才といっても2千万頭に1頭の割合だと
全宇宙に2百頭もいる、旨の説明があって、なるほどな、と納得できた。
説得力がある。"天才"だからこその苦しみみたいなものが表現できていてテーマ的にも良かった。
くれぐれも固有名詞のオンパレードだけには気をつけてほしい。
その点が改善されていれば投票していたかもしれない。

No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
これはウマイ!
自分としたことが、このオチは予想できなかった。
このスレに来て、オチが上手く決まった作品は自分の中で初めて。
星新一とか好きでしょう、作者さん?セリフだけの文章も味があっていいね。
ただねぇ、ある一点の才能をのばすのにダルマになるというのは極端な理屈かもなぁ。
ファンタジーだとは分かっていても苦しい。そこが受け入れられるかられないかのネックになるのかなぁ。
俺はツボに入ったので良かったよ。

No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
ありがちだけど、完成度が高い作品。
欠点らしい欠点は見当たらないけど、
あえて言えば、途中でオチが読めてしまったことが難点か。
もう少しだけ作者の味付けがあって欲しかったかな。
355全感想6(関西地方):2008/09/15(月) 05:57:00.72 ID:4kZ1BVBW0
No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
要は大掛かりなドッキリクイズ番組ってことだよね。
うーん、このオチは意外性というより、現実的にありえそうだし、自分としては
新鮮さがなかったかなぁ。上山も結局不思議な力で問題を解いていたし、
そもそもクイズとしてどうなのかなと。
俺のツボに合わなかっただけで他の人は評価するかもしれない。

No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
申し訳ない、
作中の二人の会話が難解なのとその退屈さで途中で読むのを諦めてしまいました。
言いたいことは分かるんやけど、それをただ二人の会話内でおさめるんじゃなくて、
もう少し何か行動とかドラマで示してほしかった。
極端な話No6の話と似て、"作者の考えを登場人物にしゃべらせている"という印象。
小説はエンターテインメントだから、読者が楽しんでナンボだと思うんで、
読者が読んでて飽きない配慮が必要だと思う。
テーマ自体は良い。

No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
小宮カワイソス……。
笹田の中に生まれるまでの過程が丁寧に描かれて好感がもてた。
本当の天才の誕生という感じであろうか、興味深い。
356全感想7(関西地方):2008/09/15(月) 05:57:23.18 ID:4kZ1BVBW0
No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI氏
蛙の子は蛙。
サライネンがロボットに質問するのと、インタビュアーがサライネンに質問するのが
重なっておかしかった。
サライネンは今後どうするのか。人のふり見て我がふり直せとばかりに、
考え方を変えるのだろうか。なかなかコメントが難しい作品。
それ以上には感想が出てこない。

No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
実際にありそうな、児童虐待の話。
お母さんが天才に期待しだすとこんな感じになるのかもしれない。
ちょっとしたホラー的な印象。


No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
文章もこなれてて、テンポよく終わったはいいけど、
結局、どういうことなのか、もうひとつ伝わらなかった。
天才と非天才が仲良くなるという、以上のことは特には……。
南沢さんの存在異義というか、作者の意図の伝え方が足らないのかなぁ。
俺が読めてないだけかもしれない。
357全感想8(関西地方):2008/09/15(月) 05:57:42.44 ID:4kZ1BVBW0
No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
ディープ・ブルーって実際にあった機械の名前ですね、たしか
あれはチェスだったか。
天才とロボットの対決はなかなか面白い設定。
ただ、オチで1つ気になったのが、ロボットだとそういう解析はできそうだけど、人間同士の
対局ならすべての定跡をおぼることは不可能だし、
それに、相手は人間、お互いが最善の手を打つ
という仮定は成り立たないと思うんだけど。
だから、ロボットを将棋に用いたり、ロボットの解析結果を使用したとしても、
将棋がすたれること自体はないと思うのだが……。
正直、そこのところが引っ掛かって、オチはどうなのかなと。
何か考え違いしていたなら申し訳ない。

No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
う〜ん……、人類は滅亡しているけど、チキュウから逃げ出してウチュウ
に暮らしている人間はいるわけ?
母が子供たちを置いて行った理由は?
うそぶく空って何?
どうなんだろう。ファンタジー設定を書くのはいいけど、説明を省きすぎて
要領を得ないのが正直な感想。
何というか、作者自身がこの作品を読み返して意味が通じてる思う?
再度、読者目線に立つ必要があるのかもしれない。
358全感想9(関西地方):2008/09/15(月) 05:58:07.25 ID:4kZ1BVBW0
総評
今回は全体的に"いま一つ"の作品が多かった。
特に、自分の読み方がへたくそな部分もあるだろうか、"意味がよく分からない"作品が目についた。
No5エンジン、No16バイバイ、No18人類最後のウチュウ旅行あたりが、作者の意図が読み取ることができず、残念。
何というか、読者がそれを読んで"面白いか・意味が伝わるか"というのをもう少し配慮してもいいんじゃないだろうか。
天才というテーマも難しかったのも要因にあるかもしれない。
359投票(関西地方):2008/09/15(月) 06:05:58.46 ID:4kZ1BVBW0
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
               ―感想―
      今作品の中で、オチが自分の中でスッと入ってきた作品。
      理屈的に苦しい面もあるけど、気に入ったので投票。
               
気になった作品:No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
           他の作品に比べると、頭1つ分だけ突き出していたので。
           ただ、冒頭の設定語りだけは頂けない、もったいないよ!
**********************************************

以上、好き勝手御免なさい。でも書いた事はすべて正直な気持ちだし、
全巻するのに4時間ぐらいかけているので許して。寝るぞー。
全館乙
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 07:01:21.58 ID:AqptQdRoO
保守
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 07:18:58.28 ID:N+EsK7Z7O
品評会に参加できなかった俺にお題くれ
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 07:22:22.93 ID:o50bCclC0
>>362
鮭の切り身とねこじゃらし
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 07:23:31.74 ID:N+EsK7Z7O
>>363
えー…
とりあえずがんばる
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 08:10:29.47 ID:4kZ1BVBW0
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 08:42:46.51 ID:4kZ1BVBW0
保守しろよー><
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 08:52:47.22 ID:gjGP5+Ms0
おはよっす

全館乙です。もう二つか、早いな
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 09:01:58.44 ID:o50bCclC0
保守
みんな頑張れ
お二方、感想ありがとう。
今回は早めの投下なので、しっかりと読んでもらえたかも……と思ったりw
感想返しは、今後読んでくれるひとの読み方を固定化させてしまうかもと思うので
お礼だけでゆるしてください。
370 ◆hruvc8ph8Q (三重県):2008/09/15(月) 09:23:49.75 ID:gHv5OQ1H0
しまった、さげちゃった。ちなみに◆hruvc8ph8Qでした。
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 09:35:12.11 ID:dOAld+Z90
転載します。
372全館&投票 1/5 ◇RuKKX.jwYg(京都府):2008/09/15(月) 09:35:42.61 ID:dOAld+Z90
No.01 『彼女の道』◇BCjH.6d5igさん
導入の部分、いいですね。おやっ?と思わせて、くいっと話に引き込んでいく。うまいです。
さて、彼女、つまり天才について、
「なんだか浮世離れしていてよく理解できない、でもそこに確かな信念や意志、パワーを感じる、そんな人」
というような空気は感じられました。しかしながら、
どうも彼女を説明する言葉として「天才」という言葉はしっくりこなかった気がします。価値観の問題でしょうか。

No.02 『パズル』 ◇hruvc8ph8Qさん
主人公の祖父(もしくは時計細工)に対する感情というか、態度みたいなものの小さな変化が、
最後の「売り物にするのはやめようと思った。」にあらわれていると思うんですが、
それに共感を覚えるだけの前振りが不足していた(もしくは分かりにくかった)ように思えました。
いやなんだか僕の読解力不足ですね。いまいちつかめませんで。精進します。

No.03 『離さない』◇h1izAZqUXMさん
なんだかかわいらしい彼女ですね。おもしろいキャラ設定です。
でも「困った抱きつき癖」というのをもうちょっと具体例を交えて
しっかりと(おもしろおかしく?)描いた方がよかったのでは?
彼女のキャラもそうです。地の文だけじゃなくて、もうちょっとやりとりをちゃんと描いたらもっと話に
入っていけたと思いました。

No.04  一勝全敗 ◇2/tl4kvsZMさん
「正にお前は天――」「やめて。」はメタ小説的な表現とも取れますね。思わず吹き出してしまいました。
オチは彼女のツンデレ具合を小気味よく感じさせてくれますね。ツンデレというより負けず嫌い?
それにしても終始彼女の脳内イメージが涼宮ハルヒでした。
373全館&投票 2/5 ◇RuKKX.jwYg(京都府):2008/09/15(月) 09:36:15.68 ID:dOAld+Z90
No.05 エンジン ◇ML.K5wMH76さん
「エンジン」っていう表現がいいですね。
「車のエンジンって鍵をくいっと回すと〜」のイメージがぐっと頭に入ってきて、わかりやすかったです。
天才というものは常人とはかけ離れた着眼点を持つものだ。ということですね。
ということは、最初の例、海と空とはどうして混じり合わないんだろう?はちょっとありきたりだったかなとも思えました。
結構普通の小学生が言ってそうな気がするんで。

No.06 そっかー ◇8wDKWlnnnIさん
普通に伝記としてすごくおもしろかったです。勉強になりました。
でも、「神童」という言葉を使ったのは少々反則のような気がw

No.07 辞書 ◇MIN/fihsk2さん
英語辞書といえばgenius。なるほど、英語できましたかw
これはおもしろい発想です。
「天才」と書いて「どりょく」と読む。いいですね。こういうの大好きです。

No.08 イルカと麻薬 ◇zH52hPBzFsさん
SF大好きですSF。
そして面白かったです。いいですね、切ないラスト。
それにしても天才な動物、というネタが意外に少なかったですね。僕も一回天才なハトというネタを
妄想して破棄したんですが。

No.09 人間設計事務所 ◇LBPyCcG946さん
なかなかダークな雰囲気がむんむんしておもしろかったです。
僕は人間の遺伝子操作は将来的に必要だと考えています。宇宙に出て行ったりするためには。
ですから、倫理的問題についてもっとたくさん議論が必要ですよね。そんなことを思いました。
あと、どうでもいいことですけど足だけ特化しても走るのは速くならないと思います……
374全館&投票 3/5 ◇RuKKX.jwYg(京都府):2008/09/15(月) 09:36:46.19 ID:dOAld+Z90
No.10 プレス機の脇で ◇BqgMEgxWzgさん
こういう話をみるとどうしても教師側の立場でみてしまうようになった自分がなんか嫌です。
しかしながら、教師とのやりとりは秀逸で、感情移入して読むことができました。おもしろいです。
ただ、最後一行はちょっと蛇足だと思いました。ちょっと説明的臭がして。

No.11 クレイジーナンバーズ ◇fSBTW8KS4Eさん
いいですね、星新一みたいで、読んでいておもしろかったです。途中でオチは読めましたが……
しかし、最後のケーブル選択のパズルはなんだか大舞台の割に簡単すぎる気がしました。

No.12 1%の関係 ◇evLIDD.pqkさん
アインシュタインの有名な言葉が、たくさん出てきていますね。
ただ、ふたりはアインシュタインについて勉強したみたいですが、彼の生涯をみてみると
「百パーセントの才能を持った人」というイメージには結びつかないような気がします。
相対論を一人で作ったとはいえ、いろんなところからパクってきたり教えてもらったりしてますからね。
まあ、天才なのは確かですが。

No.13 誕生 ◇RuKKX.jwYg
自作。
剣道は小学生のころやっていたのですが、あまりよく覚えていないので、結構適当です。
経験者の人がもしいれば、変なとこは適当にスルーしてくださいね。

No.14 Normally no marry ◇pxtUOeh2oIさん
皮肉が効いていていいオチですね。考えさせられます。
SFではよく人間とかけ離れた時間感覚で生きる宇宙生命がでてきますが、
彼らは人間とは生きてる世界が違うんですね。人間と一緒に生きるなら、思考スピードも合わせないといけないですよね。
あと、ロボット三原則って、厳密に守るのは不可能なんですね。
危険かどうか、っていう人間の判断それ自体が曖昧なものだから、ロボットの判断も曖昧にしか作りようがないという。
375全館&投票 4/5 ◇RuKKX.jwYg(京都府):2008/09/15(月) 09:37:16.76 ID:dOAld+Z90
No.15 子心 ◇wWwx.1Fjt6さん
親心がよく描けていたと思います。子供を産んだ気分になってきました。男ですけど。
しかし、読んでいて少し苛々してきますね。狙ってのことだとは十分承知していますが。

No.16 バイバイ ◇D8MoDpzBREさん
ジブリアニメの脇役という表現はおもしろいですね。なんか好きです。
キャラクター描写がうまいですね。話に引き込まれます。
しかし、最後のシーンはなんだか消化不良でした。最後一行はよかったです。

No.17 ディープ・ブルーによろしく ◇SfieWwzaTwさん
僕は将棋についてはあまり詳しくないのですが、確かな知識に裏付けされた描写で、
とても興味深く臨場感をもって読むことができました。すごいです。
将棋は二人零和有限確定完全情報ゲームなんですよね。(Wikipediaより)
おもしろかったです。

No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◇CH1dcDbVHA さん
世界観がつたわってきて引き込まれました。戦闘機で人類最後のチキュウ旅行、というのも心そそられます。
ただ、僕にはちょっと全体的に表現が冗長的すぎる気がしました。
376全館&投票 5/5 ◇RuKKX.jwYg(京都府):2008/09/15(月) 09:37:50.77 ID:dOAld+Z90
******************【投票用紙】******************
★【投票】★ 
No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTwさん

理由:将棋の描写がすばらしかったです。
               
★気になった作品★
No.06 そっかー ◇8wDKWlnnnIさん
理由:知識欲が満たされたので。
No.07 辞書 ◇MIN/fihsk2さん
理由:僕は努力という言葉が好きなので。
No.08 イルカと麻薬 ◇zH52hPBzFsさん
理由:投票こっちにしようかと迷いました。好きです。
No.09 人間設計事務所 ◇LBPyCcG946さん
理由:こういうの好きです。
No.11 クレイジーナンバーズ ◇fSBTW8KS4Eさん
理由:ふつうにおもしろかったです。
No.16 バイバイ ◇D8MoDpzBREさん
理由:僕はこんなのが書けるようになりたい。
**********************************************
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 09:40:41.17 ID:gjGP5+Ms0
転載乙です
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 09:45:05.89 ID:4kZ1BVBW0
>>370 全巻楽しみにしてますよ〜
379全館 0/3 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/15(月) 10:27:06.10 ID:xL2It5vT0
ゼロゼロフィニッシュフラグ立ってる俺が善感するよー
それにしても人を惹き付ける話とはどうやって書けばいいのか……
380全館 1/3 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/15(月) 10:27:36.82 ID:xL2It5vT0
No.01 『彼女の道』◇BCjH.6d5ig
彼女の知りたいことは何で、彼女がなぜ「僕」の事を選んだのかよく分からなかった。
自分のしたいことを素直に出来る人って天才だよね、って言う感じかな。
わざとだろうけど改行が多すぎる。三、四レス目が顕著。萎えた。

No.02 『パズル』◇hruvc8ph8Q
オチらしい落ちが無いので、拍子抜けって感じ。じじいうぜえ。平坦な話でつまんなかった。
もうちょっと起伏をつけるといいかもしれない。あと、お題が薄い。

No.03 『離さない』◇h1izAZqUXM
ナンバー2になってるよー。
これも起伏なし。天才がただの通過点になっている。読んだ感想は、これどこのノロケ話?、だった。
中身が無い。中身が無くても雰囲気を楽しむ作品だったら良しとするけど、そういうわけでもないし。
つまりノロケ話なわけだよ。

No.4 一勝全敗 ◇2/tl4kvsZM
なんだなんだ。前回の恋愛禁止縛りの反動か。縛りの使い方には唸らされた。ノロケ話でも
こういう方がいいよね。でもオチが簡単に読めるのはどうかと。

No.05 エンジン ◇ML.K5wMH76
文体の所為もあってか、奇妙な雰囲気の作品ですね。子供が書いた伝記、みたいな。
まあ意識してたんだろうけど。人を惹きつける何かはあったけど、面白い、と思わせる何かは
無かった。それでも人を惹きつけるのは立派な才能だから、思う存分伸ばしてほしい。

No.06 そっかー ◇8wDKWlnnnI
おお。オチがある。途中までなんだよ、モーツァルト伝記かよ。と思ってたけど最後にいいオチが
あってよかった。でもオチも伝記くさい。もっと自分で書いてほしかった。っていうかケインの
作り話のほうが聞きたかった。でもそれじゃオチのインパクトが弱いか。あと、たまに一行が長い
381全館 2/3 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/15(月) 10:28:07.45 ID:xL2It5vT0
No.07 辞書 ◇MIN/fihsk2
ぎゃはははがきもい。どこのチンピラボスだよ。四天王の一番弱いやつで、他の三人に、
「あいつは四天王の中では一番弱い。俺たちとは比べ物にならない」って言われるやつ。
本人も気づいてるだろうけど、東大の一言でそこまで努力する気にはなれないと思う。
まああの行間に何があったかは想像しろ、ってことなのかもしれないけれど。

No.08 イルカと麻薬 ◇zH52hPBzFs
好きなタイトル。天才故の苦労、ってとこか。象の花子のバッタモンか。その手の話は嫌いだな、
と思ったらイルカが自己中だった。麻薬がなんだか読み取れなかった。二度読む気にもなれないし。
文明は脳を麻痺させるよね、みたいな麻薬? それとも博士は麻薬で狂っていて全部妄想だぜ、
っていう麻薬?

No.09 人間設計事務所 ◇LBPyCcG946
たまにBNSKに出没するよね、こういう全部語り口調の話。SFってことを考慮しても
非現実的な話だとは思った。楠田がかわいそうだと言ったのは頭の話?それとも見た目?全部?
よくわからん。一握りの天才の功績によって天才まで作れるようになってしまった場合、それは
人間なのか、という問いかな。俺は攻殻機動隊の見すぎかな。

No.11 クレイジーナンバーズ ◇fSBTW8KS4E
わかんね。死ぬ振りをしたのもわかんないし、オチもわかんね。やっぱり二度目を読む気はしない。
もう何もかもわかんね。ねむ。

No.12 1%の関係 ◇evLIDD.pqk
なんかピンクのカーテンの中にいるみたいなイメージ。生暖かいの。

No.13 誕生 ◇RuKKX.jwYg
何か全てに萎えた。
382全館 3/3 ◆BqgMEgxWzg (不明なsoftbank):2008/09/15(月) 10:28:52.45 ID:xL2It5vT0
No.15 Normally no marry ◇pxtUOeh2oI
寝起きの一発にはきつい。世界観がしっかりしているのはいいんだけど、作者もしくは博士の
独りよがりで寝起きの読者を置いてけぼりにしている。

No.16 子心 ◇wWwx.1Fjt6
天才を求める親の話かな。もしくは親も天才で病んでる、とか。よくまあ母親の一人称でここまで
読者の感情を操れるな、と。感嘆。

No.17 バイバイ◇D8MoDpzBRE
「何でもそつなくこなす人と言うタイプが」→「なんでもそつなくこなすタイプの人」じゃね。好みかも
しれないけど、最初から読みづらかった。幸の薄そうな隠れ美人。おお、言いえて妙だ。俺のタイプだ。
たとえがいちいち上手い。嫉妬。
最後のシーンでなぜそこまでしてカナが主人公から逃げるのかが分からんかった。例によって二度読みする
気にはなれない。でもバランスの取れたいい文章だと思った。最初は主人公必要なくね、と思ったけど、
三人称、南沢称、カナ称、と全て想像してみたけど、どれもしっくりとこなかった。やっぱり主人公は
いるのね。

No.18 ディープ・ブルーによろしく ◇SfieWwzaTw
ううむ。つまらなくはない。だがただの人間とコンピュータの頭脳戦、というありふれた話がなんかな……
別に貶すところもないわけだけど……

No.19 人類最後のウチュウ旅行 ◇CH1dcDbVHA
あれ、人類って宇宙に旅立ってるんじゃないの?っていうか、たかが女二人のためだけに科学を総動員して
雲だのなんだの作る必要は?途中まではすごくよかったけど、最後の方で疑問を残しすぎ。
こう、読者に考えさせる疑問ならいいんだけど、ただ単に訳が分からない、というか。
まあダン・シモンズを理解できない俺だからだろうけどさ。あと、表現が回りくどいというか、
難しい言葉を使いすぎというか。たまにこの使い方おかしくね、があるというか。
383投票(不明なsoftbank):2008/09/15(月) 10:29:37.50 ID:xL2It5vT0

******************【投票用紙】******************
【投票】: 無し              
気になった作品:エンジン ◇ML.K5wMH76氏

        この一票よ、糧となれ。

**********************************************
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 10:34:14.20 ID:gjGP5+Ms0
ぜんかんおつ!
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 10:56:33.71 ID:4kZ1BVBW0
全巻乙だが>>381のNo12、No13はあんまりにもそっけなくないかww
もう少し書いてあげないと、作者はわからんくないか?

いや、感想に突っ込むのはご法度だと思うが、さすがにフイタw
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 11:12:40.59 ID:gjGP5+Ms0
感想つけにくい作品ってあるよね
387投票(不明なsoftbank):2008/09/15(月) 11:13:07.38 ID:xL2It5vT0
12:独特の雰囲気なのだけれど、説明だけしている感じ。悪くは無いのだけれど、話にもう一つふくらみがほしい
13:もうね、一発目から生理的に受け付けない。いや、俺が人のこと言える立場じゃないのはわかっているけどさ、
  どうしてもレバーは受けつけないというか。いや、マルイチに売ってるレバニラだけは食べれるけどさ。つまりレバーだよ。
おったま保守。この保守はみんなが全館かいてるからだと思いたい。
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 12:10:38.39 ID:gjGP5+Ms0
あげ
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 12:20:00.80 ID:TMa6FLbi0
ここまで全感転載完了。
391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 12:27:57.45 ID:EfI9IVen0
僕はふとモニターの映像を見た。
単なる1と0の情報から作られた色の集合は文字という実体を持って二次元の世界から三次元の世界へ飛び出してきている。
次元を超えるということはこうも簡単なことだったか。ならば三次元から二次元へと行くこともそんなに難しいことではないのかもしれない。
僕という存在を文字という概念で表わし、1と0の情報に置き換えて外部記憶装置に保存すればいいだけのことなのだ。
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 12:29:15.57 ID:EfI9IVen0
書いてて気持ち悪くなった
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 12:36:54.13 ID:AqptQdRoO
読んでる側はもっと気持ちわるいよ
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 12:38:19.58 ID:4kZ1BVBW0
二日酔いの俺はもっともっと気持ち悪いよ
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/15(月) 12:46:09.20 ID:gHv5OQ1H0
俺の顔はもっともっともっと
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 12:46:59.89 ID:gjGP5+Ms0
>>390
乙です
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 12:47:21.60 ID:YnPALK/T0
さっきまでキモチイイコトしてた俺が通りますよ^^
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 12:47:52.03 ID:EfI9IVen0
つまり二次元の存在に意味を持たせることによって三次元に変換できるというなら
三次元の存在から意味を取り除けば二次元の存在へと変換できるということだ
あれ?もしかしてひとは死んだら意味を失うんだから二次元の世界に行くんじゃね?死後の世界とは二次元のことじゃないか?
うはwwwwwこれは大wwwwww発wwwww見wwwwwwwwwもし飛ぶ先の二次元を指定できる技術を開発できれば
僕はルイズちゃんにあえるんだ!!!!!!!!!うわぁああああああああああああすげぇ!なんか将来に希望がもててきた!!!!!!
wktkがおさまらない!!体の奥から熱いパトスがほとばしるううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ><僕頑張るよケティ!頑張って二次元に行くよ!
頑張ってハルケギニアに行くよ!待っててねルイズちゃん僕はすぐそっちに行くからね!
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(石川県):2008/09/15(月) 12:49:20.69 ID:EfI9IVen0
ふぅ…
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 12:55:04.33 ID:4kZ1BVBW0
>>398
やべぇ、、これは文才あるんじゃね?
401 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:07:43.33 ID:YNe2ORzN0
アナログモデムから全館投下しますよ。
さるは多分不要っす。
402 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:09:14.59 ID:YNe2ORzN0
No.01 『彼女の道』 1/5 ◇BCjH.6d5ig氏
 主人公のすごいいい人っぷりが際だっている気がします。彼女が勝手に留学を決めてしまったことが発端の原因を
「本当にくだらないことが原因」と言い切れる器の大きさは見習いたいです。リアルで。
 そんな主人公と較べて、本来この物語の核となるべき、“彼女”の存在がかなり茫洋としていた感があります。
 彼女が「やりたいこと」を具体的に書いていないのは意図してのことだと思いますが、この作品なら
具体的な内容を設定しておいたほうがいい気がしました。彼女のキャラクターがだいぶ弱いと思うので。
 でも、暴力はいけないですよね。
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No.02 『パズル』 1/4 ◇hruvc8ph8Q氏
 表層的な文章読みの自分には、だいぶ厳しい話でした。主人公が祖父のことをどう思っているのか、
時系列がどうなのかを判断するのが難しかったです。
 「何かを作って喜んだ祖父」というのは、「主人公に才能があると見て喜んだ祖父」よりも過去の話ということ
なのでしょうか。あと、4レスめの「その日の朝」というのは祖父がなくなってから三日後なのでしょうか。
 ただ、淡々とした文体は自分の好みでした。
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No.03 『離さない』 1/4  ◇h1izAZqUXM氏
 これは天才というよりは変人のお話だなぁと思いました。彼女の天才っぷりは本筋とは全く関係ないですし。
随分と突拍子のない話に思えましたが、楽しく読めたのは確かです。これ、彼氏すごい大変そうだよね。
 オチはもう少しひねりをくわえた方がいい気がしました。この設定なら何か色々な落とし方があるような気がします。
 No.01の作品とは逆に、こっちは主人公の無個性ぶり、無感情ぶりが目につきました。出来れば、最後の一文での
告白ではなく、それまでの説明の文章の中に「主人公が彼女に寄せる好意」を潜ませておけば良かったんじゃないかな、
と思います。あくまで個人的な意見ですが。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
No.04 一勝全敗 1/5  ◇2/tl4kvsZM氏
 自分はこの作品、好きです。SFだよ。SFはいいよね。
 随分と予定調和で、予想どおりのお話だなと思いましたが、気にならなかったです。タイトルのつけかたも素敵です。
気になるのは主人公の語り口でしょうか。体言止めの量がちょっと多すぎるかな、と感じました。
一人称の書き方としては、「主人公が第三者(読者)に語る」というパターンと「主人公が日記のように
(読み手を意識せずに)語る」というパターンがあると思っていますが、これはその両方が混じっていて
違和感を感じました。色々と言いましたが、面白かったです。よかったです。
403 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:09:49.54 ID:YNe2ORzN0
No.05 エンジン 1/5 ◇ML.K5wMH76氏
 とりあえず最初に思った感想が「え、これで終わり?」といったものでした。
むしろここから展開していくものだとばかり。エンジン君の発想はとても面白かったです。
ので、それゆえに随分と投げっぱなしだなぁと感じました。
「彼の鍵」という言葉には、色々な解釈が持てると思いますが、それゆえにどう判断していいものか、
すごく悩むところがありました。
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No.06 そっかー 1/5 ◇8wDKWlnnnI氏
 読み終わったあとに、このタイトルである必要性をちょっと考えてしまいました。
そっかー。基本知っている話ではあったのですが、楽しく読めました。
この根幹である「語り手」のエジソンがえらく無個性だった点は少し残念に感じました。
語り手に関しても歴史上の天才であり、かつ語り手が誰であるかをオチに直結しているのなら、
アマデウスについての語り口もエジソンらしい(作者様の考えるエジソン像でいいと思うので)
語り口であれば尚のこと良かったのではないか、と思います。
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No.07 辞書 1/2 ◇MIN/fihsk2氏
 geniusが“努力”という内容だけで作り上げられた作品だと思うのですが、そのくだりは悪くないな、と感じました。
 調べようとしている言葉を同音異義語で表現する、というのは面白い発想だなと思いました。
ただ、やっぱ“甜菜”が載っていて“天才”が載っていない和英辞典というのはさすがに無いかなと
思いました。
 自分みたいに汚れた人間には書けないオチでしたが、この作品ではこのオチでいいのではないか、と感じました。
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No.08 イルカと麻薬 1/5 ◇zH52hPBzFs
 自作です。SFです。久々にSFを書いた気がします。以前人間の天才の話は書いたので、今度は人間以外の天才の話を
書こうと思いました。タイトルの“麻薬”は“手に入れてから切らすと禁断症状を起こすもの”の象徴としての“麻薬”でした。
わかりにくかったかもしれません。すみません。
 導入部の説明は確かに不要なのかな、とも思ったのですが、話の展開的に「SFである」ことを明示する必要があるかなと
考えてのことです。もう少し削った方がよかったのかも知れませんね。あと、重力波の速度は光速と同速であるらしいので、
そのまま20光年=20年という設定にしました。蛇足なので省いたのですが、もし説明不足だったとしたらすみません。
『』は確かに言われてみれば「」でいいような気がしてきました。なんで『』にしたんだろう、自分。
404 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:10:24.21 ID:YNe2ORzN0
No.09 人間設計事務所 1/3 ◇LBPyCcG946氏
 とりあえず『遺伝子組み換えでないAさん』という表現がツボでした。面白かったです。
伏線の内容、量ともに丁度よかったと思います。「親切丁寧に」というのをお客様に直接言うのは違和感を感じました。
ブラックな内容はとても良かったです。筧君がとてもいい味をだしていました。
 こんな未来、やってこなければいいですよね。
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No.10 プレス機の脇で 1/5 ◇BqgMEgxWzg氏
 ユウトが考えていることが結局わからないままで終わりました。いや、わかるんですけどあまり“天才”というイメージの
人物じゃないな、と。上手くプレスされるのも才能なのかもしれませんけど、どうもユウトが我を殺しているイメージがあったので。
全部読み終わってからプレス機の意味もわかったのですが、最初に出てきたときには随分唐突に感じました。
あと、投下中に途中で割り込んでごめんなさい。
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No.11 クレイジーナンバーズ 1/5 ◇fSBTW8KS4E氏
 いやあ、なんとも最早コメントに困る作品だなぁ、と感じました。
 タイトルおよび、作品内の1,2という章立てを見て、「3の内容だけすごい馬鹿だったらどうしよう」と
すごくドキドキしました。馬鹿は自分だけでした。よかったです。
 内容に関して言えば、かなり唐突な話だな、と思いました。最後の部分のオチで、“どこまでが作品なのか”というのが
自分にはよく理解できませんでした。計画がどこまで必然だったのか、必然ということに出来るのかがわかりませんでした。
すみません。
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No.12 1%の関係 1/5 ◇evLIDD.pqk氏
 空気で読ませる作品なんだろうな、というのが初読の感想でした。内容としては、少年少女が難しいことを言っているな、
うーん。という感じ。アインシュタインが契機でありながら、どんどんと自分たちの話へと引き込むのは妙にリアルに
感じました。良かったです。
 拓也は自分を天才だと認めていないのなら、自分と直をアインシュタインとその妻になぞらえるのはちょっと違うのかな、
と感じました。でも、それはそれとして良かったです。いい作品だったと思います。
405 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:10:59.88 ID:YNe2ORzN0
No.13 誕生 1/5 ◇RuKKX.jwYg氏
 辞書の作品とベクトルが真逆にある作品。天才の覚醒って、すごく書くの難しそうだなと思います。
この作品は上手く書けていた気がします。普通、文法や体言止めを多用する作品はあまり好きではないのですが、
違和感が無かったです。多分刹那の瞬間というのはこういう表現方法の方が見合うのでしょうね。
今度自分が書く作品の参考にしてみたいと思います。
 話の筋は奇をてらったものではないと思いましたが、普通に楽しめました。ありがとうございました。
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No.14 Normally no marry 1/4 ◇pxtUOeh2oI氏
 SFですね。SFはいいですよね。
 話の流れが秀逸で、最後のオチに妙な(といっては失礼ですが)説得力がありました。
天才の特徴、それは天才を求められない場合には欠点でしかない。とても面白い発想だなと思いました。
結論までにしっかりと実例も出ている。短いのに上手くまとめたな思います。
 間接(関節)といった進め(勧め)などの誤字があったのが気になりました。せっかく面白い話なのに
推敲が足りないというのは非常に勿体ないと思います。
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No.15 子心 1/5 ◇wWwx.1Fjt6氏
 かなり鬼気せまる作品だなと感じました。面白かったです。日記に、育児書に対する母親の見解が
欲しかったかな、と思いました。ここまでおかしい位に教育熱心な母親が、各種の育児書の存在を
知らない筈もないので、それについてどう考えているのか、というのが気になりました。個人的に。
 面白かったです。相談員の最後の台詞は突き放しっぷりが個人的には好きなのですが、少し浮いている感じがしました。
ただ、全体的にすごく良かったです。
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No.16 バイバイ1/5 ◇D8MoDpzBRE氏
 少し消化不良の感じがしました。南沢さんが、天才である必然性もあまりないな、と。
 ただ、こういう話は好きです。少年は無力であるべきです。だから、この話は好きです。
文章は丁寧で好感が持てました。消化不良といいましたが、この話はこれ以上の終わり方は無いような気もします。
406 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:11:35.13 ID:YNe2ORzN0
No.17 ディープ・ブルーによろしく 1/5 ◇SfieWwzaTw氏
 面白かったです。二手目投了で、オチは解ってしまいましたが、途中の展開、藤村名人の心理描写や周りの対応なども
とても丁寧に書かれていて良かったです。
 天才、その上を行く機械。二十一世紀におけるテーマなのかもしれないですよね。これ。
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No.18 人類最後のウチュウ旅行 1/5 ◇CH1dcDbVHA氏
 SFです。SFはいいよね。タイトル、話の展開、戦闘機。これはひょっとしてティプトリージュニアの
『ビームしておくれ、故郷へ』的な話になるのか、とドキドキしました。
「この戦闘機じゃ、"ウチュウ"までは行けないけれど、うそぶく空を越えれば何とかなるはずだよ」
「人類最後のチキュウ旅行の計画者」このあたりの言葉で混乱しました。
ウチュウへ行けないのを知っていてウチュウに住む人を追いかける?そして最後がウチュウ旅行ではなくチキュウ旅行である
意味は?何か深い意味があるのかもしれませんが、表層的文章読みの自分には読み取れませんでした。
 無知なまま、戦闘機で宇宙へ行こうとしている少女と、「無理だと知っていてそれに付き合う少女」の話でよかったんじゃ
ないかな、と個人的に思います。
ところでこれ、テーマの“天才”というのはどこで使われているのでしょうか。
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総評です。
 全体的にテーマが非常に弱い気がしました。別に天才じゃなくても成り立ってしまう話が多いような。
毎回言ってる気がするのですが、面白い作品が多くて良かったです。いや、低いのかもしれない自分の閾値。
 天才は、SF的に料理しやすいテーマだから、きっとSFが多いだろうなととても期待していました。
 予想どおりSFが多くて嬉しかったです。みんなSF書こうぜ。

407 ◆zH52hPBzFs (千葉県):2008/09/15(月) 13:12:14.90 ID:YNe2ORzN0
投票です。

******************【投票用紙】******************
【投票】: No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
               ―感想―
      色々と高レベルな作品だな、と思いました。
      テーマの消化の仕方も好きです。
               
気になった作品:
No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
No.15 子心 1/5 ◆wWwx.1Fjt6氏
**********************************************
No.09、No.12、No.14あたりも関心票をさしあげたいのですが、
さすがに票数が多くなりすぎなのでやめておきます。すみません。
あとNo.18は“天才”を全く感じることが出来なかったので投票外としましたが、
もし天才を消化していたら投票をNo.17とどっちにするか、悩んだかもしれません。

以上、また来週、宜しくお願いします。

408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 13:19:10.67 ID:gjGP5+Ms0
全感おつ
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 13:45:12.63 ID:gjGP5+Ms0
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 14:28:02.99 ID:gjGP5+Ms0
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 14:30:29.35 ID:O3bfR7sHO
三題噺がやりたい
お題を3つくれ
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 14:41:46.15 ID:gjGP5+Ms0
>>411


挑戦
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 14:51:38.25 ID:O3bfR7sHO
了解
414全感1/3 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/15(月) 14:58:07.75 ID:dgzjiG/G0 BE:935493293-2BP(0)
No.01『彼女の道』◇BCjH.6d5ig
・彼氏が小さく見える彼女、いいですね、こんな彼女欲しいです。
主人公はほんの少しだけ理解出来たようですが、
自分にはイマイチ理解出来なかった、残念。

No.02『パズル』 ◇hruvc8ph8Q
・こうやって埋もれていく天才が、
この世界にはどれだけ居るのかなと考えらされた作品でした。
祖父はなんで殴ったんだろう?孫の才能の嫉妬?自分のプライベートを見られたから?
最後まで疑問符だらけで終わってしまいました。

No.03『離さない』 ◇h1izAZqUXM
・天才と馬鹿は紙一重、そんな言葉を思い出しました。
彼女が主人公を選んだ理由が良くわからなかった。
結局、羨ましい主人公めで終わってしまった。

No.4一勝全敗◇2/tl4kvsZM
・文章が個性的だけど自分は嫌いじゃないです。
陰での努力を否定されるから天才と呼ばれるのは嫌いですかなるほど。
オチも馬鹿な自分でも理解出来るわかり易さで良かったです。

No.05エンジン◇ML.K5wMH76
・当たり前の事を当たり前と思わない、思考の停止をしない、
それが天才の一つの要素なのかもと考える事が出来た作品でした。
エンジンの最後の言葉が良いですね、奇人も一人の人間だって事がわかりました。

No.06そっかー ◇8wDKWlnnnI
・名前と数曲の代表曲しか知らないモーツァルトのいい勉強になりました。
ただ説明文が長々と続いてる感が自分にはどうしても拭えませんでした。
天才が天才の話を聞いていたのオチはいいオチでした、好きです。
415全感2/3 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/15(月) 14:58:41.24 ID:dgzjiG/G0 BE:1455212276-2BP(0)
No.07辞書◇MIN/fihsk2
・ここで自分の作品です。
前に6人の方々の作品を読んでいるせいか、
内容以前に基礎がなっていないのを嫌になるほど理解できました。
下の部分が隙間だらけでグラグラのジェンガですね。

No.08イルカと麻薬◇zH52hPBzFs
・SFは世界観の設定が難しくて短編だと大変だと思ってたんですが、
面白かったです、でも専門用語が多くて少しわからない部分もありました。
天才な動物ですか、この発想は面白いですね。

No.09人間設計事務所◇LBPyCcG946
・細かい小ネタが面白かったです、紅茶とコーヒーの選択肢で緑茶とか。
リスクが無ければ能力を得られないっていうのも皮肉が効いてて好きです。
そして最後のオチ、これでまた笑わしてもらいました。

No.10プレス機の脇で◇BqgMEgxWzg
・自分で反抗期も終わらせる事が出来る友人ですか。
こうなるとユウトは何もかも演じていたんじゃないか?と思えてしまいますね。
最後の問いに答えるのは難しいですね、うん。

No.11クレイジーナンバーズ◇fSBTW8KS4E
・発想は面白いけど色々と理解出来ない部分が多かったです。
矢島が死んだフリをしていた理由とかが。
うん?話の内容全部が番組だったのかな、やっぱり自分には理解出来なかった。

No.12 1%の関係◇evLIDD.pqk
・アインシュタインの名言が色々と出てきて勉強になりました。
でも内容はあんまり理解出来ませんでした、うーむ。
最後のオチの文章は雰囲気は好きでしたが。
416全感3/3 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/15(月) 14:59:12.90 ID:dgzjiG/G0 BE:519719235-2BP(0)
No.13誕生◇RuKKX.jwYg
・一方的な勝利しかしていなかった人間が、
初めて本当の勝負をして楽しめたって事なのかな。
全知とかになっても人生面白く無さそうですもんね。

No.14Normally no marry◇pxtUOeh2oI
・ロボット三原則なんて人間が都合の良いように考えた物だと思い出しました。
あれなんなんでしょうね、出来てもいない物の三原則、無駄ですね。
天才は長所であり短所ですか、そういう見方もありますよね。

No.15子心◇wWwx.1Fjt6
・日記調の変わった文体、新鮮でした。
子供に自分のやりたかった事を代わりにさせる、
いかにも駄目な母親の典型ですね、この人は。

No.16バイバイ◇D8MoDpzBRE
・類は友を呼ぶと言いますが、この場合はどうだったんでしょうか。
結局彼女達の会話内容がわからなくて残念です。
記憶よりも記録に残る人間、新庄の逆ですね。

No.17ディープ・ブルーによろしく◇SfieWwzaTw
・二手目の時点でロボットは敗北を理解したという事ですか。
こうやって解析されちゃうと知的遊戯は面白く無くなりますね。
最後の問いの答えは、作ったのは人間だし、人間では?という陳腐な回答をしてみます。

No.18人類最後のウチュウ旅行◇CH1dcDbVHA
・核戦争後の人類が滅んだ地球での話ですか、漫画とかだと良くありますよね。
内容は疑問に思うところが多数あって困りました。
最後まで疑問符を浮べて話が終わってしまいました、残念。
417投票 ◆MIN/fihsk2 (アラバマ州):2008/09/15(月) 15:05:13.96 ID:dgzjiG/G0 BE:1108733748-2BP(0)
******************【投票用紙】******************
【投票】: No.09人間設計事務所◇LBPyCcG946
               ―感想―
      ダークな小ネタが面白くてくすりと笑いながら読めました。
気になった作品:
No.4一勝全敗◇2/tl4kvsZM
No.5エンジン◇ML.K5wMH76
**********************************************
全館みんな乙。俺は順調にゼロゼロだわ
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山陽):2008/09/15(月) 15:10:26.32 ID:OSVO/+NxO
乙題
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 15:21:23.48 ID:gjGP5+Ms0
全館乙

>>419
おいてけぼり
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(山陽):2008/09/15(月) 15:38:33.64 ID:OSVO/+NxO
>>420
把握
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 16:11:56.29 ID:Z9vggVuyO
感想の無い優勝よりも、指摘、感想がたくさんついたタブルオーの方がいいってジャンレノがゆってた
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/15(月) 16:19:31.58 ID:Q4O2rR6M0
おだいくれ
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 16:24:37.90 ID:Z9vggVuyO
日時計
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/15(月) 16:33:54.87 ID:Q4O2rR6M0
>>424
把握
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 16:44:32.57 ID:QsFbbu+NO
全館の人達乙です
ひとつひとつに感想返し出来ないけど、目は通しています
発想勝負だと筆がぜんぜんのらないね
指摘された3の倍数でアホになるの書けばよかった……
そんな中、関心入れてくれた人ありがとう
読んでくれた人にもいっぱいの感謝を

そしておだいください
427 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:46:24.40 ID:6lQaDdW/0
>>426
奇跡

それじゃ、全感想投下するよー\(^o^)/
今回はなんと、3の倍数だけバカになる全感想だ!
先に謝っとくけど、3の倍数の人たちごめんねーーーーーーー!
428 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:46:58.76 ID:6lQaDdW/0
No.01 『彼女の道』 1/5 ◇BCjH.6d5ig
 これは褒め言葉ではなく、まじり気の無い文章、まじり気の無い話だった。
 純粋であるって事は、良く評価されがちであるけど、文章の場合どうもそうではない場合が多い。癖のある
文章、癖のある話の方が、作者の考え方に近く触れられて評価が高い。つまり、ミネラルウォーターよりもド
クターペッパーの方が良い訳です。ただまあ、癖のある味ばかりだと食傷する事もあるので、ミネラルウォー
ターが必要な事もありますよね。

No.02 『パズル』 1/4 ◇hruvc8ph8Q
 話の想起点であるパズルの凄さが、いまいち伝わってこなかった。当たり前の事だが小説の場合、文章だけ
で表現しなきゃいけないので、それが絵でもかなり難しい。ましてや3次元のパズルとなると、難易度は格段
に上がる。
 しかしそれでもこの話を小説で書く場合、パズルの描写は一番気を使って書かなきゃいけない部分だろう。
映像等で見れば、評価は随分変わると思う。もちろん、作者の頭の中にきちんとそのパズルがある事が最低条
件だけど。

No.03 『離さない』 1/4  ◇h1izAZqUXM
 うひょぉぉぉぉぉwwwwwこいつは萌えるぜええええwwwwwwうはwwwwwキモオタおつかれさま
っす!!!
 けどかわいいと好きって違くなくなくなくなくなくね?????wwww給料云々はちょっと無理ガールw
wwwwwオンナ、だけに、そんな、ばかなwwwwwwwうはwww俺ウマスwwww
 お父さん諦めるの早すぎwwwwトゥインクルスター吹いたwwwwwwww過保護設定wwwwwwどこ
ww英語で言うとWearwwww
429 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:47:31.66 ID:6lQaDdW/0
No.4 一勝全敗 1/5  ◇2/tl4kvsZM
 タイムマシンを作る=天才。単純ながらにして結構説得力がある。未知なる道を切り開ける人は確かに天才
といえるだろう。しかしそれだけに、タイムマシンにもうちょっと根拠が欲しかった。例えば、とんでも科学
でもいいから彼女にタイムマシンの理論を語らせるとか。まあ、「それはねーよ」っていう突っ込みが入るん
だが、それでもやっぱり、天才だからタイムマシンも出来る←→タイムマシンを作るから天才だ。人という字
は人が支えあって出来てる。みたいだ。
 あとは、タイトルにもなっている肝心の一勝の描写が欲しかった。序盤若干冗長な気がしたので、そこを削
って入れて欲しかった。パラドックスに関してはあえて何も言いません。

No.05 エンジン 1/5 ◇ML.K5wMH76
 んー、これは批評するのが難しい。まず違和感を感じた点を挙げる、もちろんこれは個人的な意見です。エ
ンジンの発言に関してだが、例えば最初の疑問「どうして海と空は別々なのだろう?」これはまだいい、その
後、「どうして混ざらないんだろう?」とこう続くと、これはただの妄想になる。次に、「どうして体はすぐ
に無くならないんだろう?」これは最初から妄想だ。その上、すぐになくなれば悲しいと思わずに済む、とい
う具合に続くと、妄想から都合の良い妄想にランクダウンする。一瞬綺麗な事を言ってるようにみえるが、な
んというか薄い。
 要するに、天才のあり方に関して、かなり自分とは考え方が違うのが問題だと思う。何かに関して熱くなっ
て、止まらなくなる。というのは、確かに天才を作る一面を持っているだろう。また疑問を持って、それが解
決するまでとことん考える。これも天才である条件かもしれない。しかし、先に挙げたような質問はそれとは
ちょっと違う。違和感だらけだ。加えて、「考える」だけでは天才として要素が足らない。周りから奇抜に見
えるような行動をして、そしてそれに意味があって初めて天才といえるんじゃないかな。妄想、人に気を使わ
ない発言、だけでは天才とはいえないと思う。まあ想像力が人より豊富、という点でぎりぎり天才と認める事
もできるかもしれないが、空と海が混ざる、なんて普通の子供的な発想だとも思う。
430 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:48:02.73 ID:6lQaDdW/0
No.06 そっかー 1/5 ◇8wDKWlnnnI
 NHKでやれwwwwwwwwww僕の出したベートーベン、味はまったりモーツァルトで、みんな一緒に
バッハバッハwwwwwww
 天才に天才の話するとかこいつバカスwwwwwwwでもwwwwww前振り長いwwwwwwwwwww
3行で頼むwwwwwwww
 これだから時代って奴は天才を理解しないから困るんだぜwwwwwwwこの俺みたいな天才をなwwww
wwwwうはwwwwwカッコヨスwwwww

No.07 辞書 1/2 ◇MIN/fihsk2
 小話としては良く出来てる。ただ気になるのは文体。語り、である以上あまり芸術的な物を求めている訳じ
ゃないが、もうちょっと小説であって欲しかった。加えて、制限を逆手に取った手法は良い。けれど、もしも
制限を知らない人間から見たら、辞書に言葉が無いところでつまづいてしまうだろう。サブポジション的な別

解答があっても良かったんじゃないかな、と思う。
 99%の努力と1%の閃きって話を思い出しました。あれ意味ずっと勘違いしてた。一般的には、凡人も努
力すれば閃きがなくても成功するって解釈が多く、エジソン本人は、1%の閃きが大事なんだ、って事を言い
たかったらしい。自分の場合はずっと、凡人はいくら努力しても1%の差で天才に負けるって意味だと思って
いた。

No.08 イルカと麻薬 1/5 ◇zH52hPBzFs
 ん〜なかなか悲しい話だった。構成とか、キャラクターとか、大まかな所では特に文句は無い。ただ細かい
所をチクチクと言うと、ちょっと序盤横文字が多すぎたかなと。カタカナの固有名詞をもうちょっと抑えて欲
しかった。あと、常識のハードルが若干高いような気がした。「テラフォーミング」とかね。分からない人も
いるんじゃないだろうか。さりげなく、説明が欲しかった。あと「超光速通信」。今の物理学上では、それが
机上の空論でも光の速度を超えるのは不可能だよね。それがSFっちゃSFなんですけど。例えばテレポーテ
ーション型量子計算機、量子コンピュータの存在を示唆してくれていたら、SF好きとしては納得できた。ま
あそしたらそしたでそれの説明も入れなくならなきゃなってまた面倒になるんですけどね。
 あくまでもこの作品の軸は、知性(インテリジェントデザインも含め)、動物と人間の交流、そして感情の
入ったドラマ。だったと感じたので、その点に関しては良い作品であったと思う。
431 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:48:33.83 ID:6lQaDdW/0
No.09 人間設計事務所 1/3 ◇LBPyCcG946
 オッオーレオッオッレノーwwwwwwwwwwwwwww

No.10 プレス機の脇で 1/5 ◇BqgMEgxWzg
 話に関してはこれまた特にひっかかる所もなかったので、所々の印象だけ。まず「プレス機」という例え。
学校をそう例えた事自体は別に間違いでも何でもないが、もうちょっと話に絡んできてほしかった。タイトル
にまでなってる訳だしね。プレス機自体2回だけポツポツとだし、押し固められるっていう例えだけだった。
もう1つか2つ、これはうまいって思える何かが欲しかった。勝手な事言ってますが。
 あとはまあ、ユウトが優等生に目覚める理由というか、きっかけみたいなものの描写が必要だったかもしれ
ません。天才という言葉のイメージからもちょっと遠かった。

No.11 クレイジーナンバーズ 1/5 ◇fSBTW8KS4E
 まずは良い点から。1に演出。映画のようなシーンを想像させた。2に構成。場面転換がテンポ良く、あき
させない。3にとことん1つの数字こだわった点。うまくオチに繋がるポイント。
 しかし気になった点も同じ数だけある。1に上山の特殊な才能。こういう要素を後だしするのは若干卑怯な
気がする。しかもそれが話の核心にかかってくるとなると尚更ね。2にこれまた構成。テンポは良いんだけど、
読む側が見失う可能性が結構高い。読解力と脳内補完を必要としている。3に死んだはずの人間が生き返る点。
これはある意味禁じ手じゃないかな。しかも疑問を無視しちゃってる。
 3にとことんこだわる人間の感想でした。

No.12 1%の関係 1/5 ◇evLIDD.pqk
 意味わかんないですぅwwwwwwwwいやwwwwwwまじでwwwwwwwww
 俺バカだからwwwww俺バッカーノ・ダッカーラwwwwwwwごめりんこwwwwwwww
 タイトルだけにwwwwwwパーセンテージで表すとwwwwwwww描写のくどさが60パーセントでw
wwwwwwwキャラクターのおぼろげさが30パーセントでwwwwwwww話の無さが20パーセントw
wwwwwww
432 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:49:04.75 ID:6lQaDdW/0
No.13 誕生 1/5 ◇RuKKX.jwYg
 これはどうしたものか。作品として、1つの流れを持った物ではあるんだけど、温度差が激しい。そこが良
い点でもあり、悪い点でもある。タイトルとまとめ方の通り、剣道を通じて心に何かが誕生する様はよく描け
ていると思う。特に剣道が始まった所から先と後の差。剣道の試合の描写は、テンポ良くうまい事できてると
思う。言葉選びもなんというかかっこよくて、臨場感がある。しかしながら、話としてはかなり単調。事件性
というか、おっと興味を引くポイントが無い。
 戦いの描写のみを評価すれば、高評価ではあるんだけど、話としてみたら低評価。かといって、間を取って
普通とすると、ちょっと違和感を感じる。感想書き泣かせだ。

No.14 Normally no marry 1/4 ◇pxtUOeh2oI
 >そして協調性の無い自分が〜 この件にセンスを感じた。取り扱っているテーマ自体が有意義で、面白い。
あ、今回の品評会で初めて面白いと書いた。ただこの面白さ、エンターテイメント的な物ではなくて、例えば
初めて読んだ化学の教科書みたいな、知る事の面白さだ。興味深い意見、とも言う。
 特に良かった点をあげると、「才能」という人間の内側にある結構おぼろげな物に関して、ロボットという
人間以外の物と、その肝心な人間とのやりとりで象った点。犬が出てくるのにも何となく含みがある気もする
が、まあメインはロボットとこの博士の会話だろう。さらにそれを強調しているのが、序盤のインタビュー。
これが後々効いてくるって訳だ。うまく出来てる。
 さて、このまま褒めて終わっても良かったんだが、ちょっと気になった点を。話の起点となる反応速度に関
してです。人間の脳内の伝達速度って案外遅くて、そこから更に記憶を呼び出したり色んな考えに飛んだりし
てるから答えるまでに時間がかかる訳ですが、コンピュータの場合どうだろう。例えば光コンピュータ、遺伝
子コンピュータ等未知の技術であれば、可能性はほぼ無限大だけど、今あるコンピュータで人間の脳を再現す
ると、体育館2個分の重量がいるって話を聞きました。SFでは説得力ってのが結構重要だと思うので、ちょ
っとそこが気になった。テーマがなかなか重いだけに、緻密な設定を感じさせる描写も欲しかったと思う。

No.15 子心 1/5 ◇wWwx.1Fjt6
 ママこええwwwママこええwwwwwwww教育ママこえええwwwwwwwww
 けど狂気が足りねえwwwwwwwwwミルキーはママの味wwwwwwwwwなぜならwwwwwwwマ
マの血が入っているからwwwwwwwww狂ってやがるwwwwwww早すぎたんだwwwwwww
 てかトリwwwwwwwWwwwwww
433 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:49:47.77 ID:6lQaDdW/0
No.16 バイバイ1/5 ◇D8MoDpzBRE
 なかなか例えが独特で、個人的には分かりやすかった。まだ伸びる可能性を感じたので、是非力を入れてや
って欲しいポイント。あとふと思ったのは、こういうヒロインが2人、いわばメインキャラクター3人の話っ
て、BNSKでは意外に少ないなという事。まあ分量に制限があるので、あまりやりたがらないのか、しかし
人のあまりやらない事を出来るのは良いね。
 話自体も、結構重要な事が続け様に起きて行って、見てる者を飽きさせなかった。かといって、話について
いけない訳じゃない。それを支えているのが、軽くて丈夫な地の文だったと思う。
 あと関係ないけど、>ジブリアニメの〜っていうのがあったので、電話のシーンは「海がきこえる」を思い
出した。見た事無かったら、是非見て欲しい。自分はジブリアニメの中で一番好きです。

No.17 ディープ・ブルーによろしく 1/5 ◇SfieWwzaTw
 まずハチワンダイバーを思い出した。将棋をテーマにしてる所もそうなんだが、それプラス演出がいちいち
大げさな点が似ている。武道館ドームとか、計算処理用の機械にアームついてたりね。それでも、お題に対し
て人間vs機械というのを持ち込んだのはやっぱり良い線だと思った。No.14しかり。
 どこまで予想して、この言葉を言うのかがいまいち分からないが、とりあえず今回は、「オチが読めた」っ
て言える範囲だと思う。というよりむしろ、別のオチを期待してたっていった方が正しいかもしれない。まあ
ショートショートとして、致命的なくらいに分かりやすいオチだったって訳でも無いので、そこは展開と演出
の良さでチャラにする。
 それで気になったのが、博士を指して「奇才」と言った点。縛りがある訳だが、もし縛りが無かったら「天
才」でよかったんじゃないかなって事だ。まあようは、作品としてより完璧にするには「奇才」はちょっと言
葉選びとして適当じゃなかったんじゃないかなぁ、と感じた。博士に奇才っぽさが見えなかったしね。
 あ、前に羽生さんがこんな事を言ってた。「人間が将棋でコンピュータに負けるようになったら、桂馬を横
に動けるようにしたら良い」やっぱあの人天才だ。
434 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:50:25.21 ID:6lQaDdW/0
No.18 人類最後のウチュウ旅行 1/5 ◇CH1dcDbVHA
 セツナスwwwwwふいんきアルアルア〜ルネwwwwwwテーレッテレーwwwwwwwww
 核戦争後のちたまwwwwテラ北斗wwwwwwwwwけどwwwwwww汚物は消毒野郎が出てこないw
wwwwwwwww残念wwwwwww
 チハヤwwwwwww72wwwwwwwwチナミwwwwwwwww魚wwwwwwwwいやそれチアイ
wwwwwwうはwwwwwww
 疲れた


******************【投票用紙】******************
【投票】: No.14 Normally no marry 1/4 ◇pxtUOeh2oI
               ―感想―
      3の倍数じゃなくて良かった

気になった作品:
      No.16 バイバイ1/5 ◇D8MoDpzBRE
**********************************************
435 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 16:51:20.25 ID:6lQaDdW/0
以上
寝ます\(^o^)/
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 16:52:12.21 ID:QsFbbu+NO
>>434
把握、そして全感おつww
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 16:57:18.79 ID:gjGP5+Ms0
ハイテンションw

乙です
438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(埼玉県):2008/09/15(月) 16:58:30.48 ID:Q4O2rR6M0
>>435
全巻乙
オモロー
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 17:44:29.86 ID:gjGP5+Ms0
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県):2008/09/15(月) 18:12:40.51 ID:/pfkjcNo0
初めて来ました。
お題ください↓
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 18:13:29.60 ID:gjGP5+Ms0
>>440
明日のこと
442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(愛知県):2008/09/15(月) 18:18:14.83 ID:/pfkjcNo0
>>441
どうも。今から書いてみます。
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 18:41:01.37 ID:gnmdL/930
いろんなひとぜんかんおつ!!

3の倍数のヒトの感想で、アホなとこは別に面白くもなんともなかったのだが、
次の冷静なとこ見て笑ってしまったw
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 18:46:44.27 ID:Z9vggVuyO
ごめんねごめんね
超光速通信ってロボットやワープと一緒でSFの共有財産として、すげーメジャーな存在だと思ってた。
なわけないよね。ごめんなさい。
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 19:10:54.02 ID:ojxgZrvi0
通常作転載します。
446「私へ。」 お題:哀しみ 1/2(京都府):2008/09/15(月) 19:11:24.50 ID:ojxgZrvi0
気がつくと、渋谷の交差点上空15メートルを、僕の体は音速の6倍の速度で通過していた。

ニュース。
「緊急ニュースです。今日午前11時過ぎ、東京都某所で何らかの爆発現象が発生した模様です。
 現場は非常に混乱しております。詳しい状況が入り次第、追って報告いたします。」
それは核爆発だった。その日の正午ごろ、中東系のテログループが犯行声明とともに小型原爆の使用を明らかにした。

広島型原爆の6.7パーセントの爆発エネルギーを持った小型原爆は都心に直径1キロメートルの廃墟を作り出した。
放射能に汚染された灰と死の世界を、白い防護服に身を包んだ自衛隊や報道関係者が駆け回っている。
そのなかに、明らかに不相応なひとりの少女がたたずんでいた。真っ赤なカッパを着て。
「気がつくと、渋谷の交差点上空15メートルを……」
少女はぶつぶつとつぶやいている。一人の自衛隊員が彼女に気がついた。
「おい! みろ! 女の子だ! 生存者がいるぞ!」
自衛隊員は彼女に駆け寄る。不可解な光景に疑問を覚えつつも、彼は足を速めずにはいられなかった。
彼女は小さく震えていたのだ。
「おい、君、大丈夫か! はやくこっちに」
「そう言って自衛隊員が差し出した手を彼女は力なく握りしめた。」
そう、握りしめた。そのとき彼はそれを確かに感じていた。
しかし、
彼が気がついたときには、彼女はすでにそこにいなかった。

僕は街中を光速の13.75パーセントの速度で歩き回っていた。
これは霊魂と呼ぶべきものなのか、あるいは絶える直前の脳活動がみせる幻なのか、僕には分からなかった。
東京駅前を通り過ぎたとき、僕は軽くドップラーシフトして変色した景色の片隅に、赤い影がよぎるのをみた。
「佐智子!」
僕は即座にマイナス10億メートル毎秒毎秒の加速度をかけて戻ろうとしたが、
彼女はすでに視野の外に消えていた。
447「私へ。」 お題:哀しみ 2/2(京都府):2008/09/15(月) 19:11:55.20 ID:ojxgZrvi0
「佐智子は小説家になりたいんだってね。」
佐智子は顔を少し赤らめると、短くこくっとうなずいた。
隣の家に住む8こ下の佐智子とは、実の兄妹のような関係だった。
今日も佐智子の家にお邪魔して僕は彼女の相手をしていた。僕は彼女が大好きだった。
「へーすごいなあ、読みたいなあ佐智子の作ったお話。」
佐智子は恥ずかしいのか僕にみせることを異様に拒んだ。しかし、僕が読みたすぎて涙を流しそうになると、
しぶしぶ作品をとりに部屋までかけていった。
その時、テレビのニュースが物騒な内容を伝えるのを耳にした。
「緊急ニュースです。今日午前11時過ぎ、東京都某所で何らかの爆発現象が発生した模様です。」
僕がニュースに関心を示し始めたとき、彼女が数枚のルーズリーフをもって部屋から戻ってきた。
僕は物騒な内容を伝えるニュースを佐智子に聞かせたく無かったので、テレビをオフにした。
僕は作品を受け取る。
これは。
「へ−、この主人公って、もしかして僕?」
彼女はうなずく。なるほど、恥ずかしがってたのはこれか。
「でもこの出だしは酷いなあ、いきなり僕死んでるじゃないか。」
僕はそう言いながらも小説の中に入っていった。

僕の歩く速度はすでに光速の90パーセントを超えていた。
あれから赤い影を何度もみた。何度も見たが、最早彼女と出会うことは不可能であった。
意識ははっきりとしている。僕はこれからどうなるのだろう。
その時、心の中に深い哀しみが沸き上がってくるのを感じた。僕は涙した。こぼれた涙が、虹の糸になって後方に流れた。
もう、僕は佐智子とは会うことができないかもしれない。でも、
きっといつまでも側にいるから。涙を流してくれるから。
だから、忘れないで。いつまでも。
健兄ちゃんを失った、あの日のわたしより。
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 19:12:27.94 ID:ojxgZrvi0
天才完了。
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 19:17:07.07 ID:gjGP5+Ms0
てんさいおつ
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 19:18:13.39 ID:ojxgZrvi0
ここまで全感まとめ完了。
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 19:31:37.59 ID:gjGP5+Ms0
乙です
>>1-451
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 20:04:25.39 ID:gjGP5+Ms0
あげほ
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 20:11:54.44 ID:4kZ1BVBW0
全巻乙だが、
>>428の3の倍数だけ感想が適当って、正直意味分からん
3の倍数の人だけ可哀そうじゃね?
ネタなのは分かるが、感想でやることなのかな、面白くもないし
俺が作者ならショックだが…、文句言ってすまん
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(アラバマ州):2008/09/15(月) 20:20:14.31 ID:/9t6Kly2P
全然ショックじゃないよ
むしろ3の倍数であることを天に感謝した
それは大げさだけどNe
心配ありがと

つか全館とかまとめとかの皆さん乙
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 20:25:26.34 ID:gnmdL/930
>>454
いいひとだな
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 20:27:57.89 ID:4kZ1BVBW0
>>455 ああいう感想でも納得できるものなのか、文句言ってすまん
    作者に好評なら俺もやってみようかな、どもです
社交辞令というものがあってだな
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/15(月) 20:31:41.30 ID:54uPckqH0
ここまでの全巻乙
やっぱり設定に無理があるよな〜オチも弱いし。
>>434
5の倍数で犬になって欲しかったかなw
3の倍数の俺は笑わせてもらったがなwwww
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 20:41:01.99 ID:AqptQdRoO
>>446-447
読んだ。他人に理解させる気がないなら文章なんか書かない方がいいよ。
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:09:11.18 ID:4kZ1BVBW0
過疎…
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 21:11:14.62 ID:QsFbbu+NO
規制者スレに通常作投下しました
転載よろしくお願いします
463地層(お題・奇跡)0/3 ◇fSBTW8KS4E(京都府):2008/09/15(月) 21:11:18.16 ID:/uW5tJZv0
全感書く前に通常作投下島
転載よろしくお願いします

お題・奇跡
タイトル・地層
レス数・3レス
464地層(お題・奇跡) 1/3 ◇fSBTW8KS4E(京都府):2008/09/15(月) 21:11:49.42 ID:/uW5tJZv0
 これは、奇跡についての話である。だから物語の最後になれば少年は笑顔になるし、すべての事象も解決へと
向かう。降り続く雨は虹への伏線となり、彼らを取り巻くいっさいの嵐も快晴のための前フリにすぎない。これ
は、奇跡についての話である。

 白のレインコートを着た二人の男が、地を這う爬虫類よろしく泥濘を進んでいた。二人の視界には絶えず小粒
大粒の雨が、木の葉を伝い、枝から滴り、また空からも直接流れ落ちている。
 二人に問ってこの道行く行脚の行為は、非常に無価値なものに成り果てようとしている。何か人が歩く先には
目的があるものだが、この二人に正確なそれは存在しなかった。幻影を追った末、力つきることもいとわない覚
悟なのだ。二人の脳裏にはただ一つ、歩くという行為が刻まれており、食欲、睡眠欲、性欲などもすべて打ち捨
て、頭の回路はそれに支配されていた。
 森に広がる無数の隙間、木々の間を縫って道を作り、また先ほど歩いた場所も気づかないうちに上書きを重ね
二人は歩いていた。
 容赦なく降り続ける雨は既存の足跡に泥をため、古いものからかき消していく。雷が一つ光り、二人の上空を
何羽もの鳥が飛び去った。それはまるで乱れ髪の不機嫌な魔女の到来を示すように、動物は逃げ、稲妻は走る。
 二人の網膜には稲妻の光を認識したところで、脳に伝えるまでの機能は備わっていないのか、鼓膜も含めただ
の歩く木偶となり、白にも音にも無感動な足を出し続けた。
 言葉を発することも必要とせず、ただただ開いた口からは、肺からの空気の行き来を行っていた。
 やがて、片方の男が木の幹につまずく。偶然のように、はたまた意図的のように、彼の右足は土と幹に挟まれ、
落下傘の速度でゆっくりと前に転倒した。彼のとっさに伸ばした左手は、気にせず先行く男のレインコートをつかんだ。
 最後の欲求、生存欲によってつかまれたレインコートは歩いていた男からゆっくりと脱がされていく。はがれ
るレインコートと同じくして、着ていた男の体は泥のように崩れさる。倒れた男はレインコートの中に誰もいな
いのを確認して、安堵と落胆の声を漏らした。
 その開かれた口に、雨水は溜まってゆく。長い間、雨は彼を打ちつづけた。

 これは、奇跡についての話である。

 少年は自宅の窓から、森に入っていく重機の群れにそっと中指をたてた。ふもとに止まっていた物には石を投
げ、機体を引っ掻き、つばを吐いた。
 少年にとってこの森は全てだった。少年は自分が捨て子であったことを村の悪質な噂によって知り、自分はこ
の森で生まれたのだと信じた。穏やかな風を運ぶ母であり、生い茂る巨木は父であった。森に棲む動物は兄であ
465地層(お題・奇跡) 2/3 ◇fSBTW8KS4E(京都府):2008/09/15(月) 21:12:20.16 ID:/uW5tJZv0
り、きらめく清廉とした露は妹であった。
 そしてその家族が住居の確保として切り開かれることを、少年は望んでいなかった。しかし、彼を取り巻く環
境、義理の両親、村の人間には多少の思い入れはあれど、ただの森であり、少年の叫びも年少期特有の物と判断した。
 少年の力となり得そうな物は何一つなかった。たった一つの後押しさえ、少年は持たず、そっと一人で決心を固めたのだ。
 まず少年がしたことといえば、家を捨てたことだった。なぜ少年がこの行動をとれたのかは知る由もないが、
彼の中に確固とした考えがあったのは事実だ。少年の顔に迷いという弱さはなく、先を思う不安とかたくなな守
る決意が彼の両足を動かしていた。
 少年は警備員の目と重機の隙間をかいくぐりながら、穏やかな風の吹くいつもの場所を目指した。山の中腹よ
りも下の方に作られたその場所は、少年の作り上げた強さの現れである。腐り地に横たわる巨木を毎日ゆっくり
と削り、土管さながらの木管が少年を向かい入れた。
 中に毛布を敷き、少年は何をすべきか考えた。まずは話によく聞く、座り込みという方法が思いつかれた。し
かしこの作戦を決行するには、少年の戦力は小さすぎる。迫りくる津波にフライパンで立ち向かうのと同じである。
 次は手紙を書こうと思いついた。少年はリュックサックの中から自由帳と筆箱を取り出し、白いページの始め
に「おねがいします」と書き始めた。二行目には「森をなくさないでください」と書き三行目に何を書こうか思
案し、いい言葉が出てこないのでもう一度「おねがいします」と書いた。少年はそのページをきれいに切り離し、
小さく折り畳むと、また新しいページに同じ文面を書き始めた。
 余っていた白紙のページ全てに同じ内容を書くとどれも小さく折り畳み、一つにまとめ、後で持っていこうと考えた。
 少年がそれに夢中な間、彼の近くに重機の音が近づいていた。それは高く育った木を切り落とすために、モー
ターで回転する刃の音だった。
 少年は途端自分のしている行為が危険であることを悟った。しかしその考えは彼の足を動かす力ではなく、彼
の耳を塞ぐ力へと働いた。少年は、彼自身と対比するように作られた巨木の穴で、耳を塞いだ。
 切り倒されていく大木は、誰の意思にも関係なく、重力に逆らうのみだった。だから、少年の眠る場所へと落ちていくのも、また。

 これは、奇跡についての話である。

 少女の家は、三分の一程切り開かれた森の斜面に並ぶ住宅群の中にあった。少女の生まれるだいぶ前、彼女の
両親も、その両親も生まれていない、まだ年号が平成と呼ばれていた頃起きた事件に、この土地は関係があった
のだということを、少女は近くの図書館で調べ上げた。少女は学校で新聞部の部長を務めている。その関係でこ
の土地について記事を書いたのだ。
 本来この森はもっと大掛かりに切り開かれる予定だった。しかし工事の途中、死体が発見されると、いったん
466地層(お題・奇跡) 3/3 ◇fSBTW8KS4E(京都府):2008/09/15(月) 21:12:53.76 ID:/uW5tJZv0
中止になった。死体は二つ。一つは少女よりも幼い男児が圧死した状態で発見されたのだった。これは男児の侵
入にも問題はあったが、工事業者の業務上過失として、関係者が五人ほど辞職を余儀なくされた。もう一つの死
体は成年男性のものであり、死後だいぶ時間を立っていたのかほとんど腐りきった状態で、皮膚には雨に打たれ
たのか穴だらけだったという。特別な死因は見当がつかなかったが、死体が握りしめていたレインコートに警察
は目を付けた。死体もレインコートを着ていたので、レインコートがもう一着ある以上、この場にもう一人いた
可能性が高くなり、その人物を警察は重要参考人として調査した。しかし少女の調べた中でその事件の進展は見
られなかった。
 そんな事情が重なり、森の工事は途中で放棄され、切り開かれた土地の部分だけ別の業者が担当してできたの
が、少女の住むこの住宅街であった。
 少女はいつものように、その住宅街に潜む無数のドアの一つを勢いよく開け、ふもと近くの学校まで駆け足を始めた。
 少女のローファーは途中にある自販機の前で止まる。今日は朝から喉が渇いていた少女は、のどを潤そうと、
普段はあまりしない通学中の寄り道に踏み切った。学生鞄から財布を取り出し、自販機のセンサーにかざす。そ
れから目当てのスポーツドリンクを押すと、がたんと音が取り出し口で鳴った。
 値段を表示していた赤い三桁の数字はルーレットのごとく、回転を始める。横には「数字がそろえばもう一本!」とのポップがあった。
 少女の胸は校則を破っているのと、わずかな期待によって静かに、それでも強く鼓動していた。
 回る数字が一つずつ動きをやめる。左端の数字は「7」となり、右端の数字も「7」で止まった。
 あたったらこの一本は意中の先輩へあげてみよう、少女は既に取り出した一本のペットボトルを強く握り、決
意した。最後に残った中央の数字がゆっくりと回転を止めていく。

 これは、奇跡についての話である。

 了
467◇fSBTW8KS4E(京都府):2008/09/15(月) 21:13:24.33 ID:/uW5tJZv0
以上です。それでは薬にならない全館の制作に取りかかります。
酷評絶賛買い取り中です。
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 21:14:50.91 ID:QsFbbu+NO
>>467
ありがとうございます
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 21:24:50.74 ID:gjGP5+Ms0
今から全感書いてくる
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東日本):2008/09/15(月) 21:27:50.50 ID:g1wBP76U0
お題plz
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 21:28:22.89 ID:gnmdL/930
いあい切り
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東日本):2008/09/15(月) 21:29:39.73 ID:g1wBP76U0
>>471
だが断る

お題plz
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 21:30:25.52 ID:gnmdL/930
いあいぎり
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:30:35.58 ID:4kZ1BVBW0
はやぶさ切り
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東日本):2008/09/15(月) 21:31:27.44 ID:g1wBP76U0
>>473-474
だが断る

お題plz
476以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:31:49.82 ID:4kZ1BVBW0
まじんぎり
477 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:31:54.10 ID:6lQaDdW/0
それじゃwwwwwwww全感二つ目いくおwwwwwwwwwww
お前らwwwwwwwww全感くらい好きに書かせろwwwwwwwwwww
俺が面白ければwwwwwwwwwそれでいいんだよwwwwwwwバーカwwwwwwww
あwwwwwwwwwバカは俺だったwwwwwwwwwwwww
478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 21:31:58.16 ID:gnmdL/930
居合い切り
479全感(2) ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:32:28.08 ID:6lQaDdW/0
No.01 『彼女の道』 1/5 ◇BCjH.6d5ig
 青春wwwwwwwグラフィティwwwwwww
 俺もこんな女の子といちゃいちゃしたいおwwwwwwwwwww
 お帰りんこwwwwwwwただいまんk

No.02 『パズル』 1/4 ◇hruvc8ph8Q
 千年パズルwwwwwwwwwwもう一人のボクwwwwwwwwww
 でもwwwwwパズル作ってる人がwwwwwwwwww風景とくらべてwwwwwwwwパズルを「そん
なもの」呼ばわりするのはあんまりだwwwwwww涙ちょちょぎれるwwwwwwww

No.03 『離さない』 1/4  ◇h1izAZqUXM
 凡人の主人公、という視点から見て、天才的な彼女をよく演出できていたと思う。こんな事言うと失礼かも
しれないが、これはちょっと天才というか、異常者入ってるように思った。まあそれがまた天才的な面である
わけだけど。後はやっぱり、馬鹿も指摘したと思うが、かわいい物を離さないっていう性質が、後のデレ要素
の時にいまいちしっくりと来なかったのが残念だった。あとはもうちょっと、彼女の言葉というか、キャラク
ターに触れてみたかった。主人公を通して、間接的に表現する弊害が現れている。

No.4 一勝全敗 1/5  ◇2/tl4kvsZM
 一勝wwwwww全敗wwwwwwwwテラ矛盾wwwwwwww
 タイムマシンで戻ってwwwwwwww1勝を与えたっていうんならwwwwwwww1回も勝てなかった
と矛盾してるおwwwwwwwww
 ああwwwwwwwだから一勝全敗wwwwwwwwwwガッテンガッテンwwwwwwwwww

No.05 エンジン 1/5 ◇ML.K5wMH76
 ぶろろろーん!wwwwwwwwwおちんちんぶろろろーん!wwwwwwwww
 海と空は混ざってるおwwwwwwwww海は蒸発してるからwwwwwwwwwwwwwwうはwwww
wwww俺天才wwwwwwww学研のおばさんwwwwwwwwwまだかなwwwwwwwwww
480全感(2) ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:32:59.62 ID:6lQaDdW/0
No.06 そっかー 1/5 ◇8wDKWlnnnI
 アイディアは良かった。見せ方も良い。しかしながら、問題なのは実在の天才しか利用してない点。まあこ
れは極論だし、ほぼ有り得ないけど、「モーツァルトって誰?」って人ももしかしたらいるかもしれない。馬
鹿って案外近くにいるもんですよ。まあそれは半分冗談で、やっぱり小説である以上、オリジナルの創作が至
上だと思うんですよ。自分の場合はね。実在の人物を一切使うなという訳じゃないが、それだけ、っていうの
もちょっと。そういうジャンルの小説ももちろんあるのは分かってるんですけどね。好みの問題かもしれない。

No.07 辞書 1/2 ◇MIN/fihsk2
 うはwwwwwwwwこの最初の客にwwwwwwwwシンパシーを感じるおwwwwwwww
 けどwwwwwww最後に成功してたwwwwwwwww裏切られたwwwwwwwwww俺オワタwwww
wwゲニウスゲニウスwwwwwwwwwwww

No.08 イルカと麻薬 1/5 ◇zH52hPBzFs
 イルカさんかわいそうですwwwwwwwwwww専門用語多すぎるwwwwwwwww猿に見せるつもり
で書いてくれおwwwwwwwwwww
 ミーのディクショナリーにあるワードでは対応キャントだったwwwwwwwwwwww

No.09 人間設計事務所 1/3 ◇LBPyCcG946
 自作

No.10 プレス機の脇で 1/5 ◇BqgMEgxWzg
 ユウトだけにwwwwwwww優等生wwwwwwwwwwやかましいわwwwwwwwww
 俺は体育教師が嫌いだwwwwwwwwwwあいつらwwwwwwwwwwくっさいwwwwwwwwww
www

No.11 クレイジーナンバーズ 1/5 ◇fSBTW8KS4E
 オー! クレイジーナンバーズイェー!(イェー!)
 5×5が25は多すぎるおwwwwwwww実際20くらいだと思ってくれてかまわないおwwwwwww
wwww
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東日本):2008/09/15(月) 21:33:31.48 ID:g1wBP76U0
>>476,478
だが断る

お題plz
482全感(2) ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:33:32.36 ID:6lQaDdW/0
No.12 1%の関係 1/5 ◇evLIDD.pqk
 回りくどい描写が多い。これは馬鹿では読めない。かといって、自分みたいな普通の人が読んで、おおこれ
は良いみたいな描写がちょっと見当たらなかった。100%の才能、というのもあやふやすぎて良く分からな
かった。
 意味を1つ1つ汲み取って、整理して、ゆっくり解釈を広げられれば、その中で面白さみたいな物を見つけ
る事が出来るのかもしれないが、ちょっと作品数的にも尺的にも厳しかった。

No.13 誕生 1/5 ◇RuKKX.jwYg
 叫び声が甘いwwwwwwwwwwww実際はwwwwwwwwこてたあtらあああたったらrがtがああ
あ!!!くらいだwwwwwwwwww
 笹田と小宮ってwwwwwww高校の時の同級生にいるwwwwwwwww全然関係ないwwwwwwww
wwww

No.14 Normally no marry 1/4 ◇pxtUOeh2oI
 サライネンwwwwwwwwトイネンタスwwwwwwwwww名前がツボだったwwwwwwwwwwア
イルランド人だwwwwwwwwwww根拠wwwwwww無いけどwwwwwwwwwwww
 weightって何だwwwwwwwwwwファミレスで注文取りに来る人?wwwwwwwwwwwwwww

No.15 子心 1/5 ◇wWwx.1Fjt6
 親の心子知らず、ならぬ子の心親知らずな世の中ですね。やり方がうまいと思う。日記自体の分量もちょう
どよく、日記だけで話がよく伝わってきた。テーマ自体も、なかなか深い所をついていると思った。特に関心
したのは、子供の描写。自分は子育て経験がちょっとあるんですが、それを思い返させる描写もちらほらとあ
った。良作。欠点を言うと、オチにちょっと意外性が無かったかな。まあ、こういうオチになるな、っていう
感じだった。かといって物凄く突飛なものを持ってこられてもどうかと思う話ではあると思うので、これはこ
れで良いと思う。
483全感(2) ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:34:02.90 ID:6lQaDdW/0
No.16 バイバイ1/5 ◇D8MoDpzBRE
 冬木は俺の嫁wwwwwwwwwwwwwwwwwもうちょっとハーレム展開が欲しかったwwwwwww
wwツンデレからデレとったらwwwwwwwwただのDQNwwwwwwwwww
 ジブリ大好きwwwwwwwwwwポーニョポーニョポニョwwwwwwwwさくらんぼーーwwwwww
www

No.17 ディープ・ブルーによろしく 1/5 ◇SfieWwzaTw
 ディープ・ブルーには俺からよろしく言っとくwwwwwwwwwwwネオ・トキオwwwwwカッコヨス
wwwwwww
 この終わり方はwwww好き好き好き好き好きっ好きwwwwwwww問いしてっる♪wwwwwwwww


No.18 人類最後のウチュウ旅行 1/5 ◇CH1dcDbVHA
 見所ある描写が時折あった。タイトルと書き出しがいいね。ただ若干、中盤以降の展開についていけなかっ
た所がある。核戦争後の地球っていうのを舞台にした作品っていうのは、結構あると思うが、なんで多いのか
って考えてみると、人間は自分が死んだ後の世界のことを結構気にするもんだからかもしれない。死後の世界
とかどの宗教でも語る問題だしね。しかし、天才っていうのは、やっぱり凡人の中にあって光る物だと思う。
凡人との比較というのかな。そこがちょっと足らなかったような気がする。
484全感(2) ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/15(月) 21:34:52.73 ID:6lQaDdW/0
以上wwwwwwww
3の倍数以外がバカになる全感でしたwwwwwwww
全感が1人1つとは限らないんだぜwwwwwwwwwwww
>>481
拒絶
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:36:20.70 ID:4kZ1BVBW0
>>481
メタルぎり
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 21:36:23.48 ID:gjGP5+Ms0
>>484
なんかもうお疲れ様w

>>481
フラッシュ
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/15(月) 21:36:50.24 ID:gnmdL/930
アホだwww
アホがいるwww

おーつwwwww
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/15(月) 21:37:15.24 ID:QsFbbu+NO
>>484
なにしてんだwwwあんたw
全館おつ、良い人だな
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:37:36.81 ID:4kZ1BVBW0
>>484
全巻2つもしたのか、マジ乙!
最初の全館で突っ込んですまなかった、こういう仕掛けだったのかw
手間がかかることしやがってww
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東日本):2008/09/15(月) 21:37:37.11 ID:g1wBP76U0
>>485,487
確かに受け取った

>>486
自分のチンコでも切っていろ
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 21:40:31.02 ID:4kZ1BVBW0
>>491
急所づき
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 21:41:49.42 ID:AqptQdRoO
なんかもうやだ。死ね。みんな死ね。そして天国に逝っちまえ。
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 21:49:42.58 ID:AqptQdRoO
…………ほんとに逝っちゃったの?(;_;)
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 21:53:11.50 ID:AqptQdRoO
…………保守
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 22:09:37.16 ID:/uW5tJZv0
悲しいねえ
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/15(月) 22:28:00.19 ID:/uW5tJZv0
おちちゃうよー
498地球最期の約束(お題:明日のこと)0/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:32:45.82 ID:/pfkjcNo0
書いているうちにお題からだいぶ逸れてしまったような気がしますが投下します。
499地球最期の約束(お題:明日のこと)1/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:33:19.09 ID:/pfkjcNo0
 ゴールデンタイムだと言うのにテレビの画面は砂嵐だった。順々にリモコンのボタンを押すがどこの局も同じ灰色の風景を写すばかりである。
ちぇっ、と舌打ちして電源を切る。閉めたカーテンの外がさっきから騒がしいが何が起きているか確認するのも面倒くさい。
外のことなんてとうの昔に関心がなくなっていた。何もする気が起きずにソファに身体を沈め、ぼんやりと天井を眺める。
今宇宙のどこら辺に隕石はあるのだろう。地球に残された残り時間は後どれだけなんだろう。しばらく考えてみたが、無駄でどうしようもなくなって目を閉じた。
 地球滅亡。どうやらあと数日でこの地球は跡形もなく消えるらしい。世間は大混乱に陥った……みたいだ。
確かに妙な宗教勧誘がやたら増えたし、自棄になった誰かが近所で人を殺したらしい。一週間程前から父と母も行方不明になってしまった。
ガランとした警察署にただ一人居た警察官は見つかったところでどうせ皆死ぬ運命じゃないかと笑うのみで取り合おうともしなかった。虚しい笑い方だった。
自暴自棄になった人間が犯罪を犯すのは分かるが警察まで自暴自棄になってどうするんだと憤った帰り道、一緒に来た妹はぽつりと「でも、警察の人の言う通りなのかもね」とつぶやいた。
その次の日だ。妹が首を括って死んだのは。地球の最期が押し迫る今、僕は、この地球上でたった独りきりになった。
500地球最期の約束(お題:明日のこと)2/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:33:50.25 ID:/pfkjcNo0
 僕自身世界滅亡の波にこうも呑みこまれているというのに未だ実感が湧いて来ない。
今に鍵の開く音がして父が母が、妹が帰ってくるような気がして仕方ないのだ。
遠くで誰かの悲鳴が聞こえる。誰かの怒涛が聞こえる。逃げる足音と、追う息づかい。ガシャンと何かが割れる音。
それ以外は、何も聞こえない。人類よりも一足先に蝉は絶滅してしまったようだ。
それが別に珍しいことでもなくなったのに微かな寒気を感じた。でも終末の物騒な世界ももうそろそろ終わるんだ。それが救いのような気がした。
堪らなくお腹が減ったような気がした。のろのろと立ち上がり冷蔵庫を開くがいつの間にか中は空っぽになっていた。そういえば最後に買い物に行ったのはいつだろう。
妹が死んで、カーテンを閉ざして、外に出なくなって、どれだけ経っただろう。日にちの感覚もだいぶ薄れてしまった。
母と、妹と一緒によく行ったあのスーパーは今も営業しているのだろうか。ぱたん、と扉を閉じた瞬間どうせ皆死ぬ運命だと笑った警察官の顔が脳裏をよぎった。
どうせ死ぬのに、と今度は僕が僕に問いかける声。餓死したって生きたって未来はないという思いに空腹感も覚めてしまった。
ぬるい死に肩まで浸かっているような気分。いっそ隕石にぶち当たってバラバラに壊れてしまいたかった。
501地球最期の約束(お題:明日のこと)3/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:35:46.35 ID:/pfkjcNo0
 さっきまでの騒ぎは鳴りを潜め、世界は本物の沈黙に包まれていた。ふらふらと窓際へ歩み寄る。
恐る恐るカーテンを開ける。薄い埃が舞った。久々に再会した地球の夜空には赤茶けた光が薄く差していた。
今にも沈み込みそうな重たい月が浮かび、雲が渦巻く不気味な空はこの星が己の終わりを感じ取ったかのようだ。
明日は来ないのかも知れない。これが最期の夜なのかも知れない。
何とも言えない恐怖が心臓を潰し、身体の真ん中から広がっていく。
それでも頭のどこかでは明日を無事に迎えられたとして、そこに意味はあるのだろうかと考えている僕が居た。
僕は死にたいのだろうか、死ぬのが怖いのだろうか。死んだらどうなるのだろうか。妹はどうなったのだろうか。
父は、母は何処へ行ったのだろう。あのニュースを知る前の平和な日々に戻りたくて堪らなかった。
502地球最期の約束(お題:明日のこと)4/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:37:13.98 ID:/pfkjcNo0

 ソファに逆戻りして何も見ないようにクッションに顔を埋めて目を堅く閉じる。
瞼の裏の暗闇でもう戻らない思い出を遡り続け、遡り過ぎた西暦1999年。ノストラダムスが予言した時、僕は八歳で妹は六歳だった。
皆死んじゃうんだと本気で怖がる妹の頭を大丈夫だよ、となでる僕。もしも明日無事に八月を迎えられたら遊びに行こうね。
そうだなあ、駄菓子屋でパキッて二つに分けられるアイス買って、ゆっくり舐めながらプールにでも泳ぎに行こうか。
そんな約束をしたっけな。結局あの時は無事に八月を迎えられたけど、約束通り行ったかまではよく覚えていなかった。
それでも今の僕よりも八歳の僕の方が立派だったと思う。
妹が絶望に泣いた時も、天井からぶら下がってもう二度と動かない妹を前にした時も、十七歳の僕はただ茫然と立ち尽くすことしかできなかったのだから。
503地球最期の約束(お題:明日のこと)5/5 ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:37:59.21 ID:/pfkjcNo0
 低く、這うような遠吠えがどこからか届いた。それに呼応するように他の遠吠えが幾重も幾重も続いて行く。
こんな日には何でも気味悪く感じるものだが「犬、いつか飼いたいね」と笑う妹の顔が思い浮かんだ。
その「いつか」はもう永遠に来ないのか。嗚呼、死んで欲しくなかったのにな。どうせ皆死ぬ運命でも、それでもやっぱり生きてて欲しかった。
 今日は何月の何日だっただろうか。明日、無事に八月を迎えたとしても妹も居ないし、世界も絶対終わりを告げる。
それでも、もし明日が来てくれたら外に出てみよう。まだあるかどうか分からないけれど駄菓子屋に寄って、アイスを買って、ゆっくり舐めながら歩こう。
 明日が来ても地球は壊れるけれど、それでも明日が楽しみだった。八歳の僕に戻れたような気がした。
「約束だよ、お兄ちゃん」死んだ筈の妹の声がハッキリと聞こえた。その嫌に明瞭な声に思わずソファから起き上がる。夜空が真っ赤に燃える光が網膜を焼き切った。
轟音と共に大地がめくり上がって僕は灰になり、強い、強い風に飛ばされた。世界の最期、朦朧とする意識の中で思った。
 もしも“明日”妹に会えたら。
そうだなあ、駄菓子屋でパキッて二つに分けられるアイス買って、ゆっくり舐めながらプールにでも泳ぎに行こうか。――どうか、どうかこの約束が地球ごと消えてしまいませんように。
504地球最期の約束(お題:明日のこと) ◆SuAULv5itA (愛知県):2008/09/15(月) 22:39:39.70 ID:/pfkjcNo0
以上です。

辛口評価待っています。よろしくお願いします。
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/15(月) 22:45:58.29 ID:gHv5OQ1H0
全感楽しみに読んでます!
書いてくれた人、ありがとう。
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 22:47:31.66 ID:gjGP5+Ms0
>>504
なにこれ。面白い。

安易に自棄に走るのでもなく、ご都合主義が展開されるわけでもない。
ある意味こうなるのが必然なんだろうけど、主人公の開き直りというか、
そういう心情に無理がなく、読みやすかった。おもしろい。

ただ、どうせだったら両親はスパッと死んだことにした方がいいのかもしれない。
何かトリックがあるのかと途中気になった。
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(青森県):2008/09/15(月) 22:55:21.91 ID:BsvZ3HWO0
なんかお題一つください
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 22:57:36.72 ID:4kZ1BVBW0
果物
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(青森県):2008/09/15(月) 23:00:40.64 ID:BsvZ3HWO0
>>508もらった
510 ◆VXDElOORQI :2008/09/15(月) 23:10:15.79 ID:EHShRakC0
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
全部読んだ。
普通。

No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
1レス目の終わりまで読んだ。
俺に合わない。

No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
七行目まで読んだ。
義務教育なら私立でも普通に授業料払えば卒業できるのでは?
それとも私立には落第とかがあるのかな。

No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
1レス目の終わりまで読んだ。
こう場面が変わったら空行が欲しいね。段落だけじゃちょっと混乱する。

No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
全部読んだ。
きっちり〆てくれればよかったのに。4レス目までは面白かった。

No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
一行も読まずに読むのやめた。
横に長い。

No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
一行も読まずに読むのやめた。
横に長い。2レス作品なんだから改行くらいしてください。
511 ◆VXDElOORQI :2008/09/15(月) 23:10:47.34 ID:EHShRakC0
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
全部読んだ。
SFは大好物ですよ。そこそこ面白かった。

No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
六行目で読むのやめた。
こういう形式のってあんまり好きじゃないのよね。

No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
1レス目で読むのやめた。
>ユウトはは

No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
16行目まで読んだ。
この行の日本語おかしくない?

No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
全部読んだ。
雰囲気だけは好き。

No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
八行目で読むのやめた。
叫び声に振り仮名でノックアウト。

No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI氏
1レス目の終わりまで読んだ。
つまらない。
512 ◆VXDElOORQI :2008/09/15(月) 23:11:26.26 ID:EHShRakC0
No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
全部読んだ。
ふーん。

No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
全部読んだ。
面白いかどうかは別にして、好き。

No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
1行目で読むのやめた。
なんかこう地名の前にネオが付くと、もうGガンしか思いつかなくてダメだわ。

No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
1レス目の終わりまで読んだ。
話の展開が強引すぎやしませんか。


5、8がそこそこ。16が好き。
513 ◆VXDElOORQI :2008/09/15(月) 23:12:03.21 ID:EHShRakC0
******************【投票用紙】******************
【投票】
気になった作品:No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE
**********************************************
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西・北陸):2008/09/15(月) 23:13:07.34 ID:tGdzMCb1O
お題をくれたらハッピー
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/15(月) 23:16:25.17 ID:EHShRakC0
斬首
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/15(月) 23:22:53.75 ID:rEJlCSLh0
全館乙 相変わらずだけどww
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(北海道):2008/09/15(月) 23:24:25.44 ID:8u7wds0IO
夢十夜
別に十じゃなくてもいいけど
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(神奈川県):2008/09/15(月) 23:31:01.61 ID:hZoqDZMu0
お題plz
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 23:33:31.82 ID:gjGP5+Ms0
>>518
季節の移ろい
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東):2008/09/15(月) 23:34:15.77 ID:Ne+omW4NO
>>518
野球

ボクにもお題くらひゃい
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/15(月) 23:34:36.93 ID:4kZ1BVBW0
赤ちゃん
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東):2008/09/15(月) 23:40:06.23 ID:Ne+omW4NO
>>521
は、あ、く
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 23:49:33.63 ID:N+EsK7Z7O
サブジェクト
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/15(月) 23:52:13.94 ID:gjGP5+Ms0
>>523
守破離
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 23:57:03.18 ID:N+EsK7Z7O
>>524
難易度高すぎだろjk

品評会に出そうなくらいのお題だろ
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/15(月) 23:58:19.91 ID:N+EsK7Z7O
間違えた

お題だろじゃなくてお題くれ
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/16(火) 00:03:08.69 ID:mnBtxbW50
転落
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 00:22:31.35 ID:2npWIWi60
>>526
目的
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/16(火) 00:22:41.04 ID:59250hVEO
保守
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西):2008/09/16(火) 00:51:45.84 ID:N7J7kocAO
531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/16(火) 00:58:31.93 ID:E6CK9Szw0
532 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/16(火) 01:13:45.55 ID:CrH6LtgPO
全巻やっと終わった
投下します
533 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/16(火) 01:15:04.64 ID:CrH6LtgPO
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
  爽やかだなー。お題が天才だったから身構えてたので驚いた。何でも知ってる女の子、ああ魅力的だ。
 ただヒロインが天才なのかと言われると、ちょっと違う様な気がした。人生の天才とかなのか? うーん。

No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
  何を表現したいのかが整理されていない為に、それがいい部分(ラスト前の混沌とした情景)と、
 悪い部分(中盤の祖父とのエピソードが、主人公の現状や心情に上手く繋がらず、話が膨らんでいかない所)に極端に分かれて出ているなと思った。
 ラスト前の情景は最高だった。

No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
  なんかよく分からんが勢いがあった。話の進み方もテンポ良く、面白い。約物ないのにスラスラ読めた。天才に関してはあまり見受けられない。
 それより肝心のヒロインの外見がないじゃないか! 髪型はツインテールだろうか。いやここは清楚なストレート……

No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
  天才と馬鹿は紙一重、恋愛物の作品書かせると上手いな。ヒロインが過去に戻って主人公に負けてくるのが普通のラストだと思うんだけど、書いてないのな。
まあ後は分かるよね、って事だと思うんだけど、なんか欲しかった……って今みたらタイトルかよ!

No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
  テーマに有無を言わせない濃密な深みがある。よく考えて作ってあるんだろうな。いつかこんなのが書いてみたいと思いました。
 自分的にはエンジンは天才じゃなく求道者に近いのかなと思った。それも空気読めないで自滅していくタイプ。面白かったです。

No.06 自作
  自分の中では始めてテーマという物に真剣に取り組んだ、記念碑的作品です。結果はどうあれ頑張りました。本当に、本当に満足しています。
そして今回参考にした作品はこちら。中野雄著作『モーツァルト 天才の秘密』もし興味を持たれた方はぜひ書店にてお買い求め下さい。

No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
  努力という天才、熱いな。漢字が出てこないエピソードは読んでてあるあると思った。辞書の違訳を使うアイデアが非常に良かった。
 でもジーニアスに努力って、ちょっと格好良すぎだろと。とりあえず阿部さんに通報しておいた
534 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/16(火) 01:16:26.31 ID:CrH6LtgPO
No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
  世界感を創りだすのは大成功してると思った。ただ、なんか最後の部分がやたら説明的になってしまっていて、それが自分には合わなかった。
 でもそれが読み手としての罪悪感から来てるのだとしたら、まんまと引き込まれてるんだろうな。面白かった

No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
  ブラックジョークの色が強いショートショートの見本みたいな作品だ。
 IQ300ってどんな世界なんだろう、天才にしか分からない世界か。期間限定の条件付きならなってみたいと思った。

No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
  青春群像。まあ天才とは外れていると思う。
それは置いといて、最後の方を少しいじったらもっと良くなるんじゃないかと思った。なんか無理矢理終わらしてる様な気がした

No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
  なんぞこれ、すんげ。良く考えたなぁ。今すぐにでもシナリオライターとして通用するレベルとか、どんだけだし。
 お題的に見ると主人公は天才ではなく、むしろ超脳力になるんだろうけど、この話には関係ないだろう。とにかく面白かった。
535 ◆8wDKWlnnnI (コネチカット州):2008/09/16(火) 01:18:26.77 ID:CrH6LtgPO
No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
  天才と呼ばれる拓也を前にした直の苦悩と葛藤が優れた文体で書かれている。レベル高いな。
 ただ拓也自身の天才振りが余り見えてこないので、読み手には直の愚痴みたいに写ってしまっている様な気がした。

No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
  描写も上手いな。スポーツ物は特に文才が無いとそれこそ陳腐になると思うんだけど、そこはクリアしてると思う。
 贅沢いうなら二人の中学時代の印象的なエピソードなんかあるともっと良かったんじゃないだろか。面白かった。

No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI
  ガチ天才博士物キター―――! 相変わらずの圧倒的な筆力。というか今回の天才、自分の為のお題じゃないかこの野郎!
 あ、そっかそれでいいんだ失礼しました。そしてこの人間味の溢れる天才博士がなんか実にいい。なんでだ、博士かわいいよ博士。

No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
  子供を天才に育てようとする強迫観念に近い母親の考え方が、一体何処から来てるのかが分かるともっと良かったと思う。
 しかし氏は逮捕オチが好きなのかな。いつも上手く使っているので気になった

No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
  えー、この話は何処に焦点を持っていけばいいんだろう。でもリアルって言えばリアルだな。
現実なんかこんな感じのあやふやな出来事ばっかりだよなと思った。
せっかくの天才キャラの使い方が、ただのマスコットとしてしか機能してないのがちょっと残念。

No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
  なるほど、最初はプロレスかよと思うような始まり方だったけど綺麗にまとまっている。
 大きな力は、自らの足場も破壊してしまうと言う事かな。面白かった

No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
  おお、これは力作だ。展開もドラマチックかつ繊細。たった五レスでよくここまで出来たなと素直に感動しました。
 天才の比重が弱いかもしれない。でも面白かった
536【投票】(コネチカット州):2008/09/16(火) 01:19:34.48 ID:CrH6LtgPO
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: No.05 エンジン ◆ML.K5wMH76氏
      No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI氏
気になった作品:No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
        No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
        No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
********************************************************
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(東京都):2008/09/16(火) 01:24:24.12 ID:D9N4vw2I0
全館乙!
538以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西):2008/09/16(火) 01:53:39.85 ID:N7J7kocAO
全館おつ
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/16(火) 02:41:34.09 ID:jydG4aal0
ho
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(宮城県):2008/09/16(火) 03:25:46.70 ID:zvp7v9FD0
ほしゅー
美香とは違って良い評価だ
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 04:24:28.81 ID:NYsmfb9yO
ぬ保守ごい
543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 04:44:55.64 ID:NYsmfb9yO
ぬ保守ごい守ごい
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 05:29:03.96 ID:NYsmfb9yO
ぬ保守ごい守ごい守ごい
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 05:53:17.96 ID:NYsmfb9yO
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 06:36:45.54 ID:NYsmfb9yO
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 07:19:17.29 ID:NYsmfb9yO
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 07:53:21.90 ID:NYsmfb9yO
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 08:34:39.54 ID:Is6q4Xge0
ho
550全感1/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:03:07.26 ID:UR6F4SST0
No.01 彼女の道 ◆BCjH.6d5ig氏
> 彼女がとうに導き出した答えを、今も僕は見つけ出せずにいる。
ここ読んで、似たような経験あるあるwって思った。
一緒に帰って、そのまま部屋にっていうのがなんだか不自然だった。
たぶん「当然、というかなんというか」っていう文で、そう思ったのかな。
あと2レス目最初に挙げられてる女像が、なんていうか型通り。
この話の彼女みたいな女が少ないと思ったら大間違い。だから彼女が珍しくない。
そこがつまらなかった。でも“彼女には分かっていた”っていうテーマは凄く好き。
大人=煙草を吸うっていうのは幼稚とかなんとかって感想もあったけれど、
ここって嗜好が変わる(煙草を吸うのがが当たり前になる)ぐらい時間が経ったってこと
じゃないのかな? 単に私がそう読んだだけなんだけど。

No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
最初に言っておくと、2レス目ではなまるカフェ思い出した。
男=薬丸さん、主人公=ゲスト、置物=お写真みたいな。つまり流して読みました。
立体パズルは子供の頃に組み立てたことあるけど、コツがつかめないと難しい。
組み立てですらそれなのに、それを作るってなると、色んな要素が必要になるんだろうな。
祖父の喜びはもう言葉にすら出来ないんだと思った。
主人公は成長して、祖父の気持ちを頭で理解できるようにはなったのかもしれない。
けれど心で理解できるようになるのは、きっと彼女が親になったときなんだろうな。
あ、でももう子供いたらどうしようwww旦那先に寝てるし、いないよね?www

No.03 離さない ◆h1izAZqUXM氏
金を知らない、男を知らない。これをもっと違う事にしてみたら、この作品は化けるかも。
何だかみんな言ってるみたいだけれど、その位そこが気になるってことだ。
あーでもこの子可愛いなー。中身が凄く可愛い。
実際接するとなると大変だろうけど。
あと、彼女は物凄く柔軟な感じがする。色んな事を風呂敷で包み込むように、スポンジで
水を吸うように、すぽんと受け入れそう。そこがいいな。
「○○と天才、紙一重」いいね、字のごとくだ。
551全感1/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:03:39.69 ID:UR6F4SST0
No.04 一勝全敗 ◆2/tl4kvsZM氏
3レス目の「……無能。」以下の会話で、主人公の態度に萎えた。
莉子は「できる人かと思ってたけど」以上の嫌味を言っても許されるよ、うん。
そして莉子は愛すべきバカwwwNo.4の彼女同様、これも紙一重な子www
だからこそ5レス目の歴史変化は、分かった瞬間ニヤニヤするね。
あー、ちきしょー、こいつらラブラブかよ、ちきしょーwって感じで。
だから莉子が旅立ったのが切なくなったな。すごく切ない。
これもしかして莉子戻ってこねーんじゃねーかな? って読んだから。
あれ、それとも戻ってくるの?wwwwwwww

No.05 自作
エンジン=天才の可能性があるってことしか書いてないから、ボッコくらうかなって。
本当は別な話を考えてて、そっちの方が天才してたんだけど、
書く直前になってこっちの話が思い浮かんだから、こっち書いた。
どっかの天才が「1%のひらめきと99%の汗」って言ってたし。
つまらないんだとすれば、技量が足りないだけ。それが失敗だとしても、
やっぱりその天才が「失敗は成功の母」って言ってるから、それはそれでいいかな、と。

No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
やべー、伝記としては面白かった。
昔ヘレン・ケラーの伝記読んだときは、飽きて投げたんだよな。これは最後まで読んだ。
調べてまとめるの、大変だったと思う。お疲れさま。
ケインは後に語れるネタが増えてよかったなww
彼の支離滅裂な話を聞いてみたい気もするけどwww
552全感3/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:04:12.73 ID:UR6F4SST0
No.07 辞書 ◆MIN/fihsk2氏
店長と客が友達同士なはずなのに、カウンターから生えた見えない壁がある。
そこに違和感と、若干の萎える気持ちが芽生えた。
そして昔話を始めた時点で最高潮に!
努力になっちゃうっていうのは、良いと思ったんだけれどね。
あと特別な言葉を使っているわけじゃないのに、なんだか文字が詰まって見える。
横に長い……も、そうだけれど、一文がそもそも長いんじゃないかな?
個人的には1レス目の
>客の男は手にしていたロックで割った焼酎が無くなり氷とガラスがぶつかる音しかしな
くなったのを確認すると、〜
この辺りとかちょっと違和感っていうか、くどい。
特に焼酎とかにこだわりないのなら、削ってもいいんじゃないのかな。
「やがてグラスからは、氷がぶつかる音しか聞こえなくなる。それを確認すると、男は携
帯電話の時刻を見て呟いた。」
こんな感じで。でもこだわりあるなら知らねー。自分で考えてくれ。

No.08 イルカと麻薬 ◆zH52hPBzFs氏
話は良く出来てると思う。設定も最初以外はするっと入れてるし、上手いな。
エルー、最初は可愛いと思ってた。和んでた。
終盤はイルカの皮被った人間にしか見えなかった。イライラした。
なぜだろう? 終わりが近付くにつれて、エルーが語りすぎるから?
それにしては……とは、自分でも思っているんだけれども。
エルーは確かに凄いイルカだ。処置しなくても脳が活性化されている。
それは否定のしようもない。確かにエルーには能がある。
それなら処置されている他のイルカは、能が無いんだろうか。
能ある鷹が爪を隠して、賢いイルカが知能を隠していたらどうしよう
553全感4/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:04:50.61 ID:UR6F4SST0
No.09 人間設計事務所 ◆LBPyCcG946氏
無いとは言いきれないこの世界を書いた、それを称えず何を称えればいいだろう。
オチはともかく、この世界観は素晴らしい。
ただ見た目も中身もギュウギュウしてるっちゃ、してる……かな?
んー、でも好みの問題もあるだろうし、それが致命的かっていえば、
そうでもない気がする。この辺はもう、あとは作者さん次第っていう感じか。

No.10 プレス機の脇で ◆BqgMEgxWzg氏
天才っていうか、秀才の話じゃねーかなー、とか。そうそう、デスノの月思い出したよ。
でもプレス機っていいね。凄く適切な言葉な気がしてた。
この話だと学校・常識=プレス機らしいけれど、きっと世界はプレス機だ。
感想書くにあたってちょこちょこ読み返すんだけど、ラストがたまらなく好き。
>ユウトは今ごろ何をしているのだろう。
この一文と同じぐらい、私は「タケシは今ごろ何をしているのだろう」って思う。

No.11 クレイジーナンバーズ ◆fSBTW8KS4E氏
4の後半から話が分かり始めた。その前までが記憶に無い。それが残念。
直感とはいつでも分かりにくい能力だ。しかもそれは、例えばこの話のように
「隠した何かを選ばせる」といったことを何度か行って、その確率でしか証明されない。
でもそれだって、偶然で片付けられたらそれまでになってしまう。
そういったことを考えると、直感は正しく天から与えられた才能なのかもなあ。
直感は誰もが多かれ少なかれ持ってるものだけど、使おうと思って使えるものじゃないし。

No.12 1%の関係 ◆evLIDD.pqk氏
直の言う「百パーセントの才能」って何だろうって考えちゃって、
それ以降の話がちょっと頭に入ってこなかった。(これは完全に私が悪い)
テーマみたいなのは決して悪くないんだけれど、印象がおぼろ。
二人とも、どこにでもいるような中学生。見てる方向が違っていた中学生。
百パーセントの才能があったら、天才になれるんだろうか? 天才って言うんだろうか?
それは何だか違う気がする。
554全感5/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:05:26.87 ID:UR6F4SST0
No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏
どういった天才を考えるかっていう点で、断トツだった。
これが無かったら全作読み終えた後に泣き喚いて不貞寝するところだった。マジで。
笹田の心理的変化がね、もう素晴らしい。
これは絶対に将来語り継がれるかもしれない。伝説の人だ。
たぶん小宮も語り継がれる。永遠のライバルだ。うん、この二人の関係は素晴らしい。
でも剣道のこと何にも分からないから、その辺りは流してた。
あとで気になったらルールとか勝手に調べればいいかな、って。
でも「双龍の笹田」はさすがに萎えた。剣道ってそういうの必須? まさかねww

No.14 Normally no marry ◆pxtUOeh2oI氏
言いたいことは下から2行目だよね? そこ読んだ瞬間に、それ以前の内容飛んだ。
面白いかつまらないかで言うと、私はつまらない。
それは私に合わないからっていう単純な理由からであって、決して作品がつまらないって
いうわけじゃないので、その辺は誤解しないでほしい。
読んだ感想としては、サライネンは猫飼えなさそうだなって思った。
あと、なんで彼はインタビューとか受けちゃったんだろう? ちょっと疑問。

No.15 子心 ◆wWwx.1Fjt6氏
おう、典型的な天才を潰す話。いいね。
日記続きだからどうなることかと思ったんだけど、あんまり気にならなかった。
小説かどうかを考えたら、ギリギリ有り。短編集の一作で載ってたら気にならないレベル。
天才の可能性を潰すのは誰か。もっともっと沢山いて、これは氷山の一角なんですよね。

No.16 バイバイ ◆D8MoDpzBRE氏
転校生出てくるの遅くね? って思ったけど、2レス目で出てたのか……。
キャラクター、世界観、そうした設定は嫌いじゃない。
でも何がしたいのか分からない。加奈と南沢さんの話が聞きたかったな。
読み直せば少しは予想できるかな? でも読むのちょっとしんどい。
そういう状態だったから、加奈が主人公から逃げた意味がサッパリ分からなかった。
555全感6/6  ◇ML.K5wMH76(京都府):2008/09/16(火) 09:06:11.57 ID:UR6F4SST0
No.17 ディープ・ブルーによろしく ◆SfieWwzaTw氏
人間って忘れる生き物でよかったよね。
解析するのは凄いことだけど、それが必ずしもいいことだとは思えないから
この話は面白かった。
文章も個人的には特に言うこと無い。将棋知らなくても楽しめた。
ところでこの時代になるまでに、将棋って一大ブームでも起こったの?
この世界の結構な人が注目してるっぽかったから、気になって。

No.18 人類最後のウチュウ旅行 ◆CH1dcDbVHA氏
かろうじて話は分かったものの、意味が分からなかった。
この二人がどうして地球に残っているのか。そよかは何者なのか。
やっぱり、さっぱり、分からない……。でも戦闘機で越えてやるっていう展開は好き。
その部分でちょっと胸が熱くなった。だからこそ、分からなくて残念。
あと「分針がまもなく3時半」とか、文章もちょっと引っかかる。
分針にしなくても、針でいいんじゃなかろうか、とかね。


総評というか、感想

典型的な天才とSFは、誰かが確実に書くだろうと思いました。
そしたらまあ、出てくる出てくる。SFの多さには、正直ちょっとうんざりしてました。
個人的にはもっと色んな天才があるだろうと思ってたから、残念っちゃ残念です。
あと頭いい、何でも出来る=天才みたいなのも多いような気がしました。イメージだけど。
天才って、そういうものなんでしょうかね? テーマが出てからずっと天才って何だろう
って考えてるけど、私にはまだ答えが出ていません。それこそ海と空のことも。
天才の可能性は、きっと生まれたときからみんなが持っているものだと思います。
なら、なぜ天才になれないのか。可能性は潰されたのか、潰れたのか。
(でも考えてみたら私は天才になりたいわけじゃなかったwww)
世の中にはこれに限らず、考えるべきことがまだまだ沢山ありますね。
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:07:08.83 ID:UR6F4SST0
120 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:14:22 ID:y2Y3C0Sp

・そら・みみ・ねこ(お題:ミミネコ) ◆LBPyCcG946
 面白い。現代で日本で現実的であろう舞台なのに、不思議な世界観がよく出て
いて見事に引き込まれる。空耳のネタの部分は正直そこまで面白くなかったけど、
まぁそこはそれ、全体として男と女の機微というか、おかしさがよく表現されている。
ラストも綺麗に決まっていると思う。
 あえてわかりにくかった点を挙げれば、過去を回想している部分と現在とがあや
ふやな感じで、初回に読むときには引っかかった。何度か繰り返して読めば、充分
よくわるんだけども。


・(お題:レイプ) ◆LBPyCcG946
 レイプイクナイ… と思いつつもニヤニヤしながら読んでたら(決して!性的な意味
ではなく)、原作厨な俺は最後で妙に納得してしまった。好きな作品が無茶苦茶
なクオリティーでアニメ化されると、ホントにこの作品のような気分になる。
 とまぁそれはおいといて。オチもうまいし、エロシーンもありきたりな感じとは言え
(勿論わざとだろうけど)、濃厚に描写できてていい。巧かった。
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:07:50.94 ID:UR6F4SST0
121 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:14:49 ID:y2Y3C0Sp

・「朝の来訪」 ◆EqtePewCZE
 冒険に未練がありながらも一線を退いて隠居している主人公、彼女が深く思いを
募らせていた女剣士は再びどこへ冒険に出るというのか、語られることのなかった
仲間ごとのエピソードや解き明かされる世界の謎、そして主人公は思いを伝える
ため、女剣士の元へ向かうのだった…とこれから大冒険が始まるその序章というの
なら、面白いと思う。しかし色々詰め込みすぎで、一つの作品として見るには無駄な
部分が多いと思った。良くも悪くもちょうどジャンプの、連載を前提とした読みきり作品
のような感じ。
 主人公は女でいいんだよね? あえて隠す情報ではないと思うので、早い段階で
それがわかるような表現か、それを匂わせるような箇所を設けた方がいいと思う。
また、彼女らがかつて組んでいたパーティーが2レス目までだと2人組みの編成と
も受け取れるので、自分とアサキ以外にもメンバーがいたことを、断言まではしなく
とも、それとなく早めに伝えておいた方がいいかと。
 それとも絡むが、過去の回想シーンと現在のシーンとの境界が曖昧なので、文体
や感情の描写について気をつけたほうがいいと思う。それを除けば文章は綺麗で読み
やすく、こういった世界観が好きなのもあって、良かった。設定の妙というのもあるが、
雰囲気はよく伝わってきた。
558以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:08:24.50 ID:UR6F4SST0
122 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:15:12 ID:y2Y3C0Sp

・夕飯時(お題:夕餉)
カップラーメンより袋ラーメンの方が美味いぜ!

 いいね、凄くいい。文章は荒削りだが、若くて勢いのある青年の味が出ているとも
考えられるか。誰しも忘れえぬ食事というものを持っていると俺は思う。それを、息子
と父親というオーソドックスながら普遍的なキャラにより、うまく物語に昇華した。
 3レス目「方言丸出しの怒鳴り声」だと、地方出身の人間が都会で方言を控えて
生活し、興奮した拍子に方言が出てしまった、という感じ。各地方の家庭の中では
方言で会話しているのが当然なのだから、ここ以外の台詞でも、方言(九州系かな)
を織り混ぜればいいと思う。その方が深みも出るというもの。やりすぎて意味が通じ
ないほどだと困るけどw
 5レス目、「この季節に素麺というのもそうだが」とあるが、ここまでの間に時期に
関する描写はほぼないため、突然季節に合わないと言われてもインパクトに欠ける。
具体的な「秋になって」という1文が4レス目にあるだけなので、例えば他に「日が
暮れるのが早くなってきた」だの「吐いた息が白い」だの(月並みな表現なので、
もっと模索してほしい)を適度に加えれば、このシーンでの、親父の無骨さや不器
用さみたいなものがより伝わるんじゃないだろうか。
 過去の話はずっと単調でやや退屈なので、もう少し整理し見せたい部分をより
よく見せられるようにした方がいいかと思う。
 頑固親父の昔ながらの考え方というのが個人的によくわからないので、そもそも
親父がなぜそこまで東京行きに反対していたのかが引っかかった。あと現在の生活
でちょっと困窮気味なのにも、なにかリアリティーのある理由付けが欲しいところ。
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:09:09.15 ID:UR6F4SST0
123 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:15:52 ID:y2Y3C0Sp

・千円分(お題:ラッキー)
 ニヤッとした。お巡りさんテラいい人ww
 一人で勝手に悩み、一人で勝手に解決法を考える過程がちょっとアホらしくて好き。
オチの一言も、ちゃんちゃん、で締めくくれそうな軽いノリが面白かった。
 改行が無駄に多いのと、もう少し読者に読ませることを意識した文章作りにすれば
よりいいと思う。


・アスファルト・ダイバー(お題:アスファルト) ◆LBPyCcG946
 ご丁寧にも重力加速度を書いているので、それに従って計算したところ、地上15階
から5階までを30mと見積もっても、空気抵抗無視の自由落下で所要時間はおよそ
2.5秒。実際には抵抗によりこれより遅くなるはずなので(勿論飛び降りた人間の主観
ではなく、物理学的客観的事実)、冒頭の「飛び降りればたったの1秒足らず」は明らか
におかしい。
 冗長で回りくどい表現が目立ち、結局何が言いたいのかさっぱりわからなかった。
何だか読むのに疲れてしまう作品だった。


・お母さんへ(お題:事故、目隠し)
 う〜ん、終始ぼんやりとしていてよくわからなかった。オチは何となくわかる
んだけど、全体の話がそれに結びつかないというか。目隠しされてるからしょうが
ない部分もあるが、ずっと主人公の独白のみで進行しているし。
 文章も、読みにくくはないが、少なくとも作品にはあってないと思う。
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:11:10.69 ID:mQa8mm8b0
124 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:16:17 ID:y2Y3C0Sp

・お題「夕日」(ID:MOGfCqxv0)
 やはり「昇ろうと」が引っかかる。これが勘違いであることを明確にするために、
それが夕陽であると気付く表現との間に、もう少し文章を補えばなんとかなるかも
しれない。が、起きてから間違いに気付くまでの時間的経過が不明瞭で、「まだ
わずかに暗い」の側も表現は変える必要があるかと。
 しかしそれにしても、一連の行動が完了している印象を受けるから、11行目は
「このあと」ではなく「そのあと」がいい、というのを途中まで書いてて、別の人が
まったく同じことを指摘していたのに驚いた。使おうとしていた語句まで一緒とは…。
いやはや作品を読んで感想を書くというのは、まったく面白いものだ。


・(お題:甘い) ◆IPIieSiFsA
和興死ね! こうですかわかりません><
つか名前の読み方がわかんねww

 投下時に「ヤオイ小説」なんてあるから身構えて呼んでたのに、ただのバカッポー
というか何というか。もともとの意味のヤオイといいたかったのねw
 コミカルで軽いタッチの文章は読みやすくてよかったが、中身はほとんどない感じ。
(彼女らにとっては)何気ない日常を描いたのかもしれないが、無駄に長い割りに
オチも弱いと感じた。
 自分は「自らの太もも」の部分に違和感はなく、自然に読めた。ただ3レス目辺り
かな、人物同士の位置関係がはっきりわかりにくいと思う箇所はあった。
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:11:41.10 ID:mQa8mm8b0
125 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:16:35 ID:y2Y3C0Sp

>>50 ・鼻炎、三面鏡、コールタール
 まず改行(空行)が異常なほど多い。大きな場面転換、時間的・空間的・心理的
距離を表すなど色々な効果があるが、やりすぎると本当に大事な箇所が薄れ、
意味を成さなくなる。そればかりか、ただ読みづらいだけの文章という印象を与え
かねない。特に一続きの台詞と地の文の間に空行を挿んでは、読み手のリズム
を破壊してしまう。
 それとも関連するが、6レス目にあるように、同一人物の台詞を区切って連続させる
という効果は何なんだろう。誰の台詞かわからなくなって混乱するだけだし、特に
意味がないのなら、改めた方がいいと思う。
 内容に関して。何度も何度も「意味が分からない」と繰り返しているが、読者だって
意味はわからない。そしてその意味を求めて読んでいくのに、最後まで来ても結局
よくわからないままだった。特に、自分で死を望んだはずなのに、やっぱり生きたい
と思うに至った過程があっさりしすぎていると思う。「三面鏡」の使い方は面白いと
思ったが、今一つという感じ。最初の少年が自らを「鏡」だと言っているのに、更に
洞窟に「もう一つの君」がいると説明する辺りは、もうちょっと要点を正確に伝えて
ほしかった。 3つのお題を全て効果的に盛り込む必要もないが(勿論それができ
ればいうことはないが)、メインとなっている「三面鏡」をもっとわかりやすく扱う必要
があったかと。
 冒頭、自分の置かれている状況がまったくわかっていないのに驚きがなく、少年に
対する態度、質問も合理的ではないと感じた。まぁ、この男はそういう人物だ、って
言われたら、それまでなんだけども。
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:12:59.10 ID:mQa8mm8b0
126 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:16:59 ID:y2Y3C0Sp

>>53 特殊(お題:椅子) ◆LBPyCcG946
 面白い。「椅子」に持たせている2つの意味が効果的で、なるほどと思った。ただ
既に指摘されてる点だけど、他人を椅子にした状態が想像できない。勿論、何も
かもを視覚的に起こさせる必要もないと思う。不可思議でぼんやりとした世界を
描くのなら、具体的な言葉ばかりで紡いでもしょうがないし。しかし今作の世界は
現実世界に限りなく近いところにあるのだから、読み手に状況を伝えるための
情報は必要だと思う。曖昧な表現ができるのは、小説の醍醐味ではあるけどね。
 ラストで、能力の効かない、椅子にできないタイプの謎が明かされるが、中学の
教科担任の中の一人くらい、そういった嗜好の人間だっているだろう。そうすると
全教科自習や受験を安全にパスというのも、絶対ではないことになり、設定が
崩れると思う。
 2レス目終盤、「足掻く」は、ここでは悪い状態から良い状態を目指して努力する
といった意味なので、「どうあがいても順風満帆な人生になれる」という言い方では
因果関係がおかしい。


>>70 美味しいパピコを食べる方法(お題:アイス)
 オチは決して嫌いではないが、これなら、パシリにされるまではうまく立ち回ってた、
という描写は最低限だけにして、暑い中電話で呼び出されたことや、坂の上の学校
とコンビニをダッシュで往復して汗だらだら、という今起こった側の文章を増やさないと
オチに繋がる「労力」が充分表現できないと思う。
 3レス目、台詞と地の文の間に空行を挿んだ理由がわからない。見づらくなるだけ
なので、意味がないのなら止めた方がいい。またこのシーンで、もう少し吉沢に関する
記述がほしかった。パシられてる理由を濁してる辺りは、いいと思うけど。
 しかしこれ、タイトルで「パピコ」って言っちゃったら、軽くネタバレじゃね?w
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 09:13:18.57 ID:NYsmfb9yO
さる?
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:13:42.03 ID:mQa8mm8b0
127 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:17:19 ID:y2Y3C0Sp

>>108 ・お題:恥じらい
 これは、ただの教室の風景描写だよね? それに主人公の一方的な妄想が
加わっているだけかと。オチがもっと違った形でインパクトがあれば、面白かった
かもしれないが、そうするならば、無駄な部分が多くなりそう。
 ところどころ、句点も読点も置かずに文章が続いてしまっている。また、その際に
体言止めが多用されていることから、箇条書きの説明文を読んでいるような感じ
になる。で、なおさらストーリー性が感じられなくなる、と。
 主人公の名前を歩にしたのは理由があるのだろうか。当初は男子生徒の視点
だと思ってしまっていた。しかしだからといって、それが実は女子だったとわかっても
何らかのトリックになっているわけでもないので、無駄にミスリードを誘うようなことは
しないほうがいいと思う。あゆみ、と読み方を明記するとかね。もう一つ決定的に
足りないのは、舞台がどこなのか、について。これが中学校なのか高校なのかに
よって、読み手が受ける印象は随分と変わると思う。
 一つの事象を説明する力はあると思うので、それを物語の中で活かしてほしい。


>>446 ・「私へ。」 お題:哀しみ
 これは…、難しいな。よくできた深い話のような、それをまったく伝えきれて
ないような。ある程度想像の余地を残して読者にお任せ、というのもいいけど、
足りないことばかりで、何が何だかわからない。
 だから、ちょうど映画の予告のようにも感じた。2時間のストーリーをたった
1分ほどに凝縮し、キモは見せずに興味を惹く部分だけをぶつ切りにして寄せ
集めたような。
 表現として気になったのは1レス目の「マイナス10億メートル毎秒毎秒の
加速度」という箇所。言いたいことはわかるが、速度の座標系のプラス側が
不明瞭なので「マイナス」はなくていいかと。「光速の13.75%」ってことは短い
時間で常に方向点転換してるんだろうしね。
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 09:13:53.46 ID:oJVwAxKV0
C
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:14:12.56 ID:mQa8mm8b0
128 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:18:01 ID:y2Y3C0Sp

>>467 地層(お題・奇跡) ◆fSBTW8KS4E
 雨に打たれただけで皮膚に穴? とか、雨の降る森の中で何十年も放置され
れば、腐るどころかすぐに白骨化するんじゃね? とか気になるところは多々
あるが、細かいところには目を瞑れば、全体を通しての構成はでき、じっくりと
書かれていて面白かった。3つの時代で文体を変えた辺り、巧いなと思う。ただ
1レス目は難解な言い回しが目立ち、うまく伝わってこない箇所もあった。
 2レス目中程「向かい入れた」→「迎え入れた」かと。他にも幾つか誤字が見受け
られた。何度か読み返せば気付くだろうけど。
 各エピソードで、それぞれが離れた時代だということを強調するアイテムがあれ
ばいいと思う。少女が自販機で使った財布がそうかもしれないが、似たようなもの
は平成の時代に既にあるのだし、そういったアクセントが欲しかった。
 2レス目後半、大木は切り倒され落下していったんだから、「重力に逆らう」では
なく「重力に従う」じゃね? 読み違ったかな。
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:15:06.00 ID:mQa8mm8b0
129 名前:文才無しさん[] 投稿日:08/09/16(火) 07:18:25 ID:y2Y3C0Sp
>>504 ・地球最期の約束(お題:明日のこと) ◆SuAULv5itA
 テレビ局と警察が業務を放棄したのに、電力会社は仕事を続けているのかw まぁ
説明を1つ2つ加えれば、何とでもなることだけど。
 ありきたりではあるが、好きな世界。終始、決して熱くならず、冷淡でどこか達観
すらしている主人公は、実際にこういう状況になれば、ああ、人はこうなってしまう
のか、といった現実味を感じさせる。
 文章はやや荒い。1レス目前半「風景を映す」、2レス目後半「空腹感も冷めて」、
3レス目冒頭「(漢字で書くなら)形を潜め」、4レス目「ノストラダムスが予言した時」
はせめて「予言した年」じゃないと、予言が行われた時自体は何百年か前の話だし。
といったようにミスが散見されるし、他にも、助詞の使い方でおかしいと感じる部分
があった。
 思い出と対比させながらの切なく、虚しく、物悲しいラストは綺麗にできているが、
その直前のシーンで「僕は灰になり〜」と直接的な表現はしない方がよかったと、
個人的には思った。
 お題からは逸れてないと思うよ。むしろうまく物語にしたと思う。ただこれに関して、
当初隕石衝突まで数日とあって、最終的に主人公がそれは明日なのだと確信する
過程は、もう少しわかりやすくした方がいいと思った。
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 09:15:34.52 ID:oJVwAxKV0
C
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 09:16:30.86 ID:mQa8mm8b0
転載終了。

これだけの大量感想ほんとに乙です。
全感の人たちも乙。
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 09:18:33.46 ID:oJVwAxKV0
通常作にこんな丁寧に感想つけるなんて…乙です。
転載の方もお疲れ様
571以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(九州・沖縄):2008/09/16(火) 09:19:58.29 ID:03upv/a6O
風邪引いて強制送還中。

家帰ったら書くからそれまでにお題↓
「傘がない」
573 ◆LBPyCcG946 (神奈川県):2008/09/16(火) 09:37:50.61 ID:PK1vh5n+0
通常作全感想の方お疲れ様!
4つも感想いただいといてこれ言うのもアレなんですが、前スレ562の辺りにもう1作あるんですよね
お題が秋晴れで、「空とレンズ」というタイトルの
感想を催促するわけじゃないんですが、きっちり全部やってる所を見ると、もしかして見落とし? とか思って一応報告
感想が無いのも感想っていう原則はわかってるつもりなので、見落としで無いならスルーでお願いします
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 10:09:28.81 ID:NYsmfb9yO
保守
575以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 10:32:11.40 ID:mQa8mm8b0
>>573
じゃあ代わりに感想書くよ!
と思って見てみたら既に読んでた。
でも感想書いてなかった。感想書いた気でいたみたい。すまん。

不思議な感覚だったのを覚えている。
さらっと読んだだけじゃよくわからなくて、何回か読んでやっとわかった記憶がある。
主人公の想像力というか、イメージ力というか、真上からってのはイメージできるものなのだろうか。
まあ、できてるんだけど。
気になったというか難癖? 宇宙からは空はきっと見えないよね、っていうの。
あと、真面目に考えてへんやん!
でも、面白いとは違うんだけど、なんかこう、ワクワク。いや、ワクワクはしないな。
なんていうか、いい気持ちになれる話でした。
576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 11:22:02.34 ID:oJVwAxKV0
577以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 11:34:20.97 ID:oJVwAxKV0
何で俺こんなに集中力持たないんだ…!
今日中に絶対全感投下する。絶対する。
578以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 11:56:28.32 ID:NYsmfb9yO
ぜったいにー
だれーもー
あやつーれーない♪
579保と守(catv?):2008/09/16(火) 12:13:18.66 ID:ObwZk9WE0
「おじいちゃんたちは立派な保守職人だったんだよね」
ベッドから威勢の良い声が飛んだ。
「おうよ、わしらの手にかかりゃどんなスレも、萎えることのない一物だったわい」
もう一組のベッドから、穏やかでしっかり通る声が響く。
「保兄さん、そんな下品な言葉を自分の孫に言うもんじゃありませんよ」
「小うるせぇなぁ、守。立派に起たせつづける、保守職人の心意気を教えてんだぜ」
二人の老人を見る子供の目には憧れが輝いている。
「僕も、心意気のある保守職人になるよ」
最近覚えたばかりの言葉を口にして、子供は病室を去っていった。

 恐らく最後の場所になるであろうベッドの中で、守はごろりと寝返りをうった。
兄の方へと体を向ける。
「嬉しいことを言ってくれますね、保兄さん。立派に後を継いでくれそうですよ」
「おうよ。だけどなぁ、最近のガイジンみてぇなへんちくりんな名前のつけ方はいけねぇや」
病室の壁に貼られている、二人の顔を描いた画用紙には「age夫」よりと記されている。
「しょうがないですよ。保守職人でも時代の変化は保守できないんですよ」
580以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 13:01:46.66 ID:Is6q4Xge0
ほしゅしろよ、バカぁっ
581以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 13:01:54.48 ID:oJVwAxKV0
>>579
めんじろかった
582以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/16(火) 13:06:46.44 ID:bM16mGx5O
転載乙だけど、投票分のレス転載されてなくね?
583以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 13:15:42.19 ID:mQa8mm8b0
>>582
投票先だったから見落としてた。
教えてくれてサンキュ。
584以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 13:16:16.25 ID:mQa8mm8b0
112 名前: ◆ML.K5wMH76 [] 投稿日:08/09/16(火) 06:53:01 ID:1Mcpy0Jk
書けたから投下する
全感で6レスもらいます
でも先に投票

******************【投票用紙】******************
【投票】今回は無い

気になった作品
 No.02 パズル ◆hruvc8ph8Q氏
 No.06 そっかー ◆8wDKWlnnnI氏
 No.13 誕生 ◆RuKKX.jwYg氏

目の付け所がいいなって思った。でも投票にするには何かが足りない。
あ、No.6は中身が(伝記として見て)真摯だったから、関心入れました。
**********************************************
あまりの酷評に自分へ失望。むかつくのでもう一回天才で書いてやる
586以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 13:27:17.24 ID:Is6q4Xge0
>>585 
正しい反応。俺も投票が全然されなくて悔しくて仕方なかったもんだ。
1年くらい練習してたら、投票が0ということがなくなった。ちょいと前には優勝することができたし。

酷評されても開き直ったり、俺は満足、なんて感じよりいいと思うぜ
587以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(静岡県):2008/09/16(火) 13:28:55.97 ID:3KSzlH+G0
いつから評価スレになったんだこのスレ
初期しかいなかったからしらんがくだらねえ
588以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 13:31:01.87 ID:Is6q4Xge0
>>587 いつぶりだよww
589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(奈良県):2008/09/16(火) 13:32:31.69 ID:3r8qefz30
かんらててててててて
からなのんらないのにみにこちのなしちみとにのちのいかちててててててててててて
590以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 13:34:39.54 ID:Is6q4Xge0
>>589 小説でおk
591以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(三重県):2008/09/16(火) 13:57:49.32 ID:E6CK9Szw0
あ、ここにきて初めて票もらったw
関心票だが
592以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 14:41:53.99 ID:Is6q4Xge0
ほしゅちろよー
593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/16(火) 15:39:40.88 ID:59250hVEO
594以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 16:28:13.06 ID:oJVwAxKV0
595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 17:11:22.45 ID:EcDAPaaN0
596以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 17:41:26.09 ID:oJVwAxKV0
597以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/16(火) 17:50:27.83 ID:bM16mGx5O
自分の書きたいものを残しつつ、中身を向上させる
やろうやろうと思っているけど、さじ加減が難しい
あとどうすれば読み手に伝わるのかも難しい
足りないと伝わらない、多すぎると飽きる
やっぱりさじ加減が以下略
598以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関西地方):2008/09/16(火) 17:55:50.11 ID:Is6q4Xge0
>>597 プロの小説を真似るといいとマジレス
多いのと足りないのどっちが正義? 少なく書きたいけどつい自分の主張を優先してしまう
600以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 18:26:04.11 ID:oJVwAxKV0
たくさん書きたいけど少なくなっちゃう
601以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(コネチカット州):2008/09/16(火) 18:27:41.46 ID:Rj07MlzlO
書けばいいんじゃない
602以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(関東・甲信越):2008/09/16(火) 18:36:55.73 ID:NYsmfb9yO
もうすぐ三日落ち
誰か次スレよろ
603以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 18:42:51.88 ID:oJVwAxKV0
立ててくるー
604以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(熊本県):2008/09/16(火) 18:47:41.48 ID:oJVwAxKV0
605以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府):2008/09/16(火) 19:09:42.55 ID:+4fHjBdW0
乙と言わざるを得ない。
606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします(京都府)
書きたいことは、ぼかして書くといいよね。
あるいは、分けて書くか。
一度に一気に書こうとするから辛くなるんじゃないかと思うのよね。