長門「あなたは私だけを見ればいい、私にはあなたしか見えない……」
古泉「張り付けにして置いて何が愛を語るんです!?やめてください長門さん!」
長門「…ダメ、他を見ないで私だけを………見て」
古泉「だれか!だれかいませんか!?朝比奈さん!涼宮さん!!キョン君!!!っっむぐっ……」
長門「あまり喋らないで…あなたの声も私だけのもの………」
古泉「っん!ぼ…僕には好きなかたがいるんです!やめてください!」
長門「……誰?」クスッ
古泉「す…涼宮さんです!ぼ…僕は涼宮さんを愛しています!だから……だからこんなことやめてください!」
長門「これを見て、おなじことを言える?」
古泉「!!!」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 16:34:38.06 ID:DPVgIRgq0
3get
ハルヒ『みくるちゃん、キョンを押さえておいて』
みくる『わかりましたぁ…ごめんなさいキョン君………』
キョン『ん”〜!ん”ぁ』
古泉「そ…そんな、そんな………」
長門「これが現実、これから起こる事も現実……」
長門「私はあなたが他の人間の雌に手を出さないようにこれの情報連結を解除する」
古泉「や…やめてください!そうしたら……」
長門「私はそんな古泉一樹も受け入れられる……」
古泉「長門さん!こんな愛情表現間違っています!」
長門「それは人間の理屈、私は対有機生命体……」
長門「なぜ?なぜなの?なぜ私を拒絶する?なぜ?なぜ?なぜ?何故?」
古泉「長門さん、長門さんの愛とはどのような理由なんですか?そして…何故、僕を好きになったのですか?」
長門「愛の意味はわからない。なんど計算してもエラーになる。あなたはいつも私のそばにいてくれた……あなたは私の補助をしてくれた……今度は私の番………」
古泉「長門さん、今あなたのしている事は愛ではありません。それは、わかってくれますね?」
長門「じゃあ愛とはいったいなんなの?私は私は私は私は私は……」
古泉「長門さん、落ち着いてください。」
長門「私はあなたのもの?あなたは私のもの…私はあなたのもの?あなたは私のもの…私はあなたのもの?あなたは私のもの…私はあなたのもの?あなたは私のもの…」
古泉「長門さん、あなたにも感情があることはわかりました。しかし、間違った方向でその感情をとらえてしまったんですね……」
長門「私は間違っていない。間違っているのはあなた。あなたは私のもの」
古泉「…………」
長門「あなたが私を受け入れないのなら、この星を破壊する」
古泉「…なっ!………なにを勝手な!!ふざけないでください!私はあなたの……」
長門「この世界を破壊する」ツー
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 16:57:09.36 ID:Pn37biPMO
古泉(な…涙?あの長門さんが涙……僕は…僕はどうすればいいんですか……)
長門「……………」ポタッ
古泉「……わかりました。僕一人でこの世界が守られるんですね?ちがいますか?」
長門「あなたは優しい…私はあなただけを見る。だからあなたも、私だけを見て……」
なんというヤンデレ長門
古泉(ふふ、僕はつくづく運がないですね……涼宮さんは彼が……僕は、見守る事しかできませんでしたね。この世界があるのも事実、彼がいたからです)
長門「さ………ぁ、古泉一…………樹、今からそこに行く、私を見つめてまっていて、すぐにつく、あなたのもとに……」
古泉(…………今なら長門さんの気持ちが……!長門の気持ち!?ま…まさか)
長門「ついた、もう30センチであなたと重なる…」
古泉「ちょっと待ってください。長門さん、もしかしてキョン君が好きだったのではありませんか…?」
長門「私はあなただけ……」ポタッポタタッ
古泉(やっぱりそうでしたか、なるほど、似た者同士ですか……困ったものですね、涼宮さんも彼も)
長門「わ”た………し…………は…………………………」ガクガクガク
古泉「………辛かったんですね?長門さん、手足を自由にしてください。今のあなたは…………愛をしらない」
長門「…………」カチャカチャ
古泉「ありがとうございます。長門さん」ギュッ
長門「……!?」
古泉「長門さん、あったかいですか?」
長門「………」コクッ
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 17:13:47.85 ID:Pn37biPMO
古泉「僕の暖かさではあなたの心を暖める事は出来ないかもしれませんが、しばらくこのままでいいですか?」ギュッ
長門「………いい」ギュッ
古泉「後でちゃんと話してくださいね?」
長門「了解……した……」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 17:47:36.89 ID:vr5QfXCRO
これはこれで
ヤンデレおいしい
もっと
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 18:48:47.27 ID:Pn37biPMO
続けてもいいかんじですか?
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 18:54:19.96 ID:pWWpUVr7O
続けろ
いや続けてくださいお願いします
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 18:58:18.69 ID:bjIe0gocO
良いな
長門→キョン 古泉→ハルヒ前提って所が良い
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 18:59:31.92 ID:78wYKy1F0
構わん続けろ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:04:22.91 ID:QVQpBT4N0
/゙ヽ、
7 ムニニッ☆ ど
/ ,ハリルリ)‖ ι
_/__ィイリ tj ti l‖ に
 ̄ ゝリN乙 ノツ で
ノ ̄と[|]シニ>トシツ も
⌒ゝーj┬ゞ、,`ハノ な
`ーtェし,、_゙;ノ ζ
ト-l あ
〈__j れ
足の爪が砕けたんで病院にいってきます
もし誰か続きかけたらお願いします
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:16:34.18 ID:78wYKy1F0
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:18:17.24 ID:Pn37biPMO
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:23:58.62 ID:VMs0js5O0
今北産業
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:30:29.29 ID:TY6GF6wfO
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 19:36:03.36 ID:HFiJL6Fc0
ちょっとタンスの角ころしてくる
28 :
:2008/09/06(土) 19:38:47.87 ID:psO0dZK2O
タンスTUEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
>>1とはちょっと趣旨が違うけどヤンデレ長門→古泉みたいな話は
考えたことあるな
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 20:34:53.31 ID:Pn37biPMO
爪がいたい……
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 20:42:22.48 ID:Pn37biPMO
古泉「やはり彼が?」
長門「……そう、彼に私を見てほしかった…でも彼は涼宮ハルヒしか見ていない…………」
古泉「…なぜ僕が?」
長門「あなたがいたから、1番近くに…」
古泉「ダメですよ長門さん、僕たちだって人を選ぶ権利があるんです。長門は彼が好きなのでしょう?諦めないでくださいよ。僕は応援しています。」
長門「……わかった、一つあなたに謝ることがある。」
古泉「なんです?」
長門「あの映像は嘘、あなたを私のものにするための嘘」
古泉「そうだったんですか…嘘は誰でもつきます。それに…いや、これはやめておきましょう。」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 20:45:43.43 ID:nifvcRklO
この手のスレ見るたびに思うんだが…
なんか長門の相手はキョンじゃなきゃ嫌だな
と思う俺ガイル
長門「あなたは諦めたの?」
古泉「僕は……それが彼女の幸せならば、僕は幸せですよ」
長門「なら私にそんなことを言う資格などない、あなたも嘘をついている。私達にも人を選ぶ権利がある。そういったのはあなた」
古泉「……そうですね、僕も僕なりにがんばりましょう。彼女に振り向かれない運命があるならば、僕は逆転してましょう!僕は古泉一樹として」
長門「……それでいい。私は長門有希として」
>>32 この手のレス見るたびに思うんだが…
単発スレの二次創作SSくらい好きに書かせてやれよと思う
長キョンスレで「キョンの相手はハルヒじゃないと」とか言われるの嫌じゃね?
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 20:55:01.37 ID:03swcQPS0
むしろキョンの相手はハルヒじゃなきゃ嫌な俺はここのが良い
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 20:58:04.58 ID:nifvcRklO
>>35 厨房かお前
馴れ合いたいだけなら雑談でもしてろ
その程度で不快になる奴ならブログとかで勝手にやらしとけよ
あーマジレス気持ちわりぃ。俺気持ちわりぃ
素直にどうでもいいと思う
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 21:17:16.25 ID:Pn37biPMO
どういう展開にしていいかわからなくなった……
終わりでいい?
スレタイで大体把握できるんだから嫌なら見なきゃいいのに
わざわざ来て「長門の相手はキョン以外ヤダ」と書き込む理由が謎だと言ってるんだが
まあいいや
あ、終わりか
乙
未来ある終わりだな
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 21:22:39.15 ID:M+QgU1DgO
gdgdだな、全員死ねwww
長キョン厨のウザさを目の当たりにした瞬間だった
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 21:58:08.21 ID:QjoP/KY50
とりあえずちゃんと終わらせてくれ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 21:59:32.26 ID:Pn37biPMO
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 22:03:55.27 ID:tXk3vTvH0
追いついた
終わりまで書いて欲しいな
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 22:04:19.17 ID:QjoP/KY50
とりあえず風呂!
で足を洗ってきます
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 22:17:05.60 ID:VMs0js5O0
ほんと爪大丈夫かwwww
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 22:18:20.76 ID:tXk3vTvH0
一連の見てたら違う話思い付いた
書き溜めておこう
爪大事に保守
どのファンだってイタイ奴の一人や二人居る。
それが今回はたまたま長キョンスキーだったって話だ。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 22:45:09.76 ID:Wqy6V7HUO
長門「……彼に愛されるならどんな方法がいいのか教えてほしい」
古泉「長門さん、それは自分で考えた方がいいと思いますよ?」
長門「それは……できない。」
古泉「……なるほど、わかりました協力します。ですが、うまくいくと決めつけないようお願いします。」
長門「感謝する」
古泉「そうですね。今の季節的にマフラーなどいかがでしょうか?」
長門「……明日、作ってみる」
古泉「あせらずに、ゆっくりといきましょう。彼も男性ですからね、必ず喜ぶと思います」
長門「…………」コクッ
翌日
ハルヒ「よーし!みんな集まったわね!とりあえず雪だるまを作りましょう!」
キョン「おい無茶いうな、まだ雪は降ってないぞ」
古泉「長門さん、いまですよ」ボソボソ
長門「…………」コクッ
キョン「だいたいな、雪がふったか(グイッ ん?どうした長門?」
長門「………これ、作った、あげる」
ハルヒ「あ、有希、気が利くわね!そうね、私もなにか作った方がいいかしら?」
古泉「大変よいかと、お手伝いします」ニコニコ
長門「…古泉一樹」
古泉「…?なんでしょう?」
長門「マフラー……」
古泉「………僕にですか?ありがとうございます。」ニコッ
キョン「長門、これあったかいな、ありがとよ」
長門「…………」コクッ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 23:16:43.96 ID:bjIe0gocO
支援
古泉(…長門さん、嬉しそうですね。……もしかしたら僕は…ふふ、僕は単純なのでしょうね。キョン君、僕はあなたに嫉妬してしまいそうですよ)
キョン「古泉、薄気味悪い笑いかたをするな、朝比奈さんのお茶の質が落ちる。」
古泉「ふふ、世界は平和ってことですよ。うらやましいかぎりです」ニコニコ
キョン「お前のいうことは、さっぱり理解できんな」
長門(彼を家に誘ってみよう、前とは違う、一般的に)
長門「………」グイッ
キョン「長門?なん」
ハルヒ「あっ!教務室に用事があるんだった!キョン!!あんたも来なさい!団長命令よ!団長の機嫌を損ねたら一生雑用決定よ!?」
キョン「はぁ…やれやれ、困った団長だな……長門、スマン、また後で頼む」
長門「………あ」
古泉「長門さん、どうです?彼が来るまで僕とオセロでも」
長門「……今日は、帰る」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/06(土) 23:32:40.82 ID:4LsHo6oY0
しえん
長門「……また明日」ガチャ…バタン
みくる「ふぇ?古泉君、長門さんどうしたんですかぁ?なんだか具合が悪そうでしたよ?」
古泉「ええ、マフラー作りを徹夜したといってたのでかなり疲労が激しいのではないでしょうか?」
みくる「なんか……心配です」
古泉「そうですね、僕があとで様子を見に行って来ますよ。このマフラーのお礼もしたいので」
みくる「私もご一緒と、いいたいんですけど今日は用事があって……古泉君、お願いしますね」
古泉「はい、まかせてください」ニコニコ
長門(彼らは私達の気持ちをしらない、そうだから私達はよけい辛い、今日はメールで彼を呼ぼう。それがいい)
…
……
………
…………
ハルヒ「キョン、今日は家に着いたら外出禁止よ!」
キョン「ハルヒ、お前は俺を束縛できる権利があるのか?」
ハルヒ「あるわよ!団長として団員の危機は回避させてあげなくちゃ!」
キョン「お前は予知でもできるのか、すごいな、えらいな、はいはい……。で、具体的にどんな危機なんだ?」
ハルヒ(あんたが消えちゃうかもしんないのよ!なんていえないわね…)
ハルヒ「サイフ落として、携帯落として、鳥にフンを落とされるわ」
キョン「そいつは、どうも」
支援
支援
ほ
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 00:42:22.70 ID:6QDpL30q0
保守
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 01:02:57.37 ID:DH+dJeyI0
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 01:20:40.70 ID:zLGWyROUO
ふ
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 02:00:10.84 ID:nTrSCm16O
ごめん寝てた…
古泉「ふぅ、今日も一日疲れました。さてそうですね、長門さんの様子でも見てきますか」
古泉(とりあえずメールを……)ピッ
古泉「では、いきましょうか」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 02:01:51.04 ID:nTrSCm16O
ちなみに
>>1です
睡魔がやばいので後は朝このスレが残ってたら完成させます!
把握
保守したいが眠い
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 02:33:40.97 ID:2eGoCqQbO
あげ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 02:46:30.05 ID:fxqqKeTUO
箸
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 03:05:25.57 ID:GCr6TBQU0
保守
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 03:34:19.82 ID:jqEiyAXUO
保守
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 04:15:28.22 ID:u6+9LU38O
age
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 04:40:09.38 ID:jqEiyAXUO
保守
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 05:15:21.88 ID:3tRzz4M4O
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 05:52:05.37 ID:fxqqKeTUO
か
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 06:06:55.21 ID:nTrSCm16O
保守ありがとう!
頑張ります
キョン「ん?長門からメールが……まぁ団長様の命令はたったいま廃止となった。さて、そうだな、なんか手土産でも持ってくか」
ガチャ
キョン「よう長門、お邪魔するぞ」
古泉「おっと、電話ですか、一体誰からでしょう?…彼?はいもしもし…」
長門『私から逃げないで……私は、私は……あなたが必要………だから…………』
キョン『……おい!長門!!目をさませ!!………っぐぁ!』
ツーツー
古泉「……人は同じ過ちをくりあえすですか。なるほどごもっともです。しかし、彼女も人であることが……急ぎましょう」
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
古泉「−−−−」プルルル
古泉「!?……涼宮さんから?…はいもしもし」
ハルヒ『古泉君!キョンがいないの!!いなくなっちゃったの!でちゃダメってあれほどいったのに……古泉君、キョンを知らない?私、すっごい嫌な感じがするの……』
古泉「涼宮さん、安心してください。僕はさっき彼に会いましたが携帯を忘れていたようです。きっと安全ですよ。彼にあったら伝えておきます」
ハルヒ『……わかったわ、ごめんね古泉君、また明日』
古泉「ええ、また明日、文芸部室で」
古泉「……長門さんの家は……ここですね!失礼します!」ガチャ
キョン「こ……古泉!?ダメだ来るな!」
長門「私を見て永遠に……」ヒュッ
グサッ
キョン「……ぐっ………ん?…………冗談じゃない…こ…古泉!」
古泉「報われないのなら報われるものに、差し上げましょう。そのためなら、僕の命など安いものです」ニコニコ
キョン「−−−古泉!言ってる意味がわからん!てか喋るな!……長門、お前どうして……」
古泉「涼宮ハルヒは今、あなたを望んでいる。……僕は超能力者です。これくらいなんと……か、なります」
古泉イケメンすぎる
キョン「なにいってん……」ビシッ
古泉「早く彼女のもとへ……」
キョン「……わかった。死ぬなよ古泉!」ダッ
古泉「……やっと二人になれましたね長門さん………」
長門「なぜ?なぜ彼は私を見てくれないの?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?」
ギュッ
古泉「……一人にさせて申し訳ありません長門さん、……あなたを守る役目、僕じゃ不服でしょうか………?」ゲホゲホッ
長門「……古泉一樹?……………私が、私があなたを………?私が?ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」
古泉「長門さん、落ち着いて下さい。ま…だ、僕は平気です。僕はあなたが好きです。これに嘘はありません。」
長門「………古泉一樹、私は私は……」
古泉「………僕はまだ幸せかもしれませんね。僕はこの世界の人間ですから、朝比奈さんや長門さんみたく、いつかは帰らないといけない存在ではないのですから……」
長門「………なぜ!?なぜ、情報結合できない?古泉一樹!死なないで!おね……がい………」ポタポタッ
古泉「そろそ………ろ、眠くなってしまいま……した。長門さん、あ……なたがもっと見れなくて残念で………す。」ギュッ………パタ
長門「……嘘………私が、私が古泉一樹を?愛ってなに?……これが愛なら間違ってる………私は、愛なんて知らなきゃよかった………前が見えない」ポタポタッ
長門「今、私もあなたのもとに行く、待ってて古泉一樹−−−−−−−−−−」
キョン「ハルヒ!!」
ハルヒ「キョン!どうしたの?私、心配してたんだからね!?」
キョン「悪かったな、でも今そんな事言ってる場合じゃない!お前にしか出来ないんだ、よく聞けハルヒ」
ハルヒ「なによ…?」
キョン「古泉と長門が今ここに来ることを願ってくれ」
ハルヒ「なにいってるの?古泉君ならさっき電話したわ」
キョン「頼む!頼むから本気で願ってくれ!古泉と長門が来たら、お前の願いなんでも聞いてやる」
ハルヒ「キョン……?なんで泣いてるの?」
キョン「早くしてくれ!!」
支援
ハルヒ「わかったわ……キョンそのかわり後で絶対に約束を守ってよ!!」
「長門さん、もう無茶はよしてくださいよ?僕が近くにいるんだからもっと頼ってください」
「わかった……でも、私はあなたに出来ることがあるならどんな事でもする」
「なら、今すべき事をやってしまいましょう」
「……………」コクッ
「涼宮さん、キョン君、いままでありがとうございました。……これからは、違う僕たちを見ていてください。僕たちは違うあなた達を見ます。今後ともよろしくお願いします」
また、文芸部室で………
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:09:35.69 ID:nTrSCm16O
とりあえず終わりです!
みんなありがとう!
爪は粉々だけど満足しました!
>>50 期待してます
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:10:37.70 ID:nTrSCm16O
急展開すぎてゴメン
頭がまわらなかったorz
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:11:11.47 ID:a2oFuLS90
刀、 , ヘ
/´ ̄`ヽ /: : : \_____/: : : : ヽ、
,. -‐┴─‐- <^ヽ、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : }
/: : : : : : : : : : : : : :`.ヽl____: : : : : : : : : : : : : : : : : : /
,. -──「`: : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : :\ `ヽ ̄ ̄ ̄ フ: : : : :/
/: :.,.-ァ: : : |: : : : : : : : : :\: : : : :: : : :ヽ \ /: : : :/
 ̄ ̄/: : : : ヽ: : : . . . . . . . . . . .、 \=--: : : :.i / /: : : : :/
/: : ∧: \: : : : : : : : : : ヽ: :\: : : 〃}/ /: : : : :/ 、
. /: : / . : : :! ヽ: : l\_\/: : : : :\: ヽ彡: : | /: : : : :/ |\
/: : ィ: : : : :.i: : | \!___/ ヽ:: : : : : : :\|:.:.:.:/:! ,': : : : / |: : \
/ / !: : : : :.ト‐|- ヽ \: : : : : l::::__:' :/ i: : : : :{ |: : : :.ヽ
l/ |: : :!: : .l: :| \: : : l´r. Y {: : : : :丶_______.ノ: : : : : :}
l: : :l: : :ト、| 、___,ィ ヽ: :| ゝ ノ '.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
|: : :ト、: |: :ヽ ___,彡 ´ ̄´ ヽl-‐' \: : : : : : : : : : : : : : : : : : イ
!: :从ヽ!ヽ.ハ=≠' , ///// ///u /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
V ヽ| }/// r‐'⌒ヽ イ〉、
ヽ、______ー‐‐' ィ´ /:/:7rt‐---、 こ、これは
>>1乙じゃなくて
ィ幵ノ ./:/:./:.! !: : : : :!`ヽ ポニーテールなんだから
r‐'T¨「 |: | !:.∨:/:./: :| |: : : : .l: : : :\ 変な勘違いしないでよね!
/: : .|: :| !:.!ィ¨¨ヾ、:.:/ !: : : : l: : : : : :.\
乙!
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:22:10.29 ID:JlmXCN3BO
乙
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:23:47.37 ID:iuxyhqaOO
乙!
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:24:36.09 ID:Yg8v3Q3P0
追いついたら終わってた
乙
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 07:39:24.13 ID:kCtPDfbL0
古泉の相手はキョンがいい
え?
いがいと人がいてびっくり
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 09:20:32.45 ID:1hcYvRvM0
これは乙
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 09:23:27.22 ID:orkNo8X10
/ ⌒ヽ
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| \_ ヽ /
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√ __/| | ト. | //
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_/ イ へ| | 弋 リ 弋リ |\<_ノ (_
____  ̄ ̄ ̄ ̄ ノヘ( | ⊂⊃ ⊃ .| >'
/ / `\ \┤ ト、 .ト| ̄ ̄/ , / ト| (
/ /⌒ヽ ヽ、 ,.イ ヽ| \| (_ <\/ ノ
 ̄ \ tー 「TT < _ \ ,> <// ( こ
| `ーL!⊥,,__>┬┬≧イ<二二/ _ 、、
\ _r' \\<ノ|ト> / (
/⌒ ̄ ̄>ー|>'⌒ヾ>、 <イト//!| / ニ|ニ
ヽ──┬┴─| へミエイ</.レ / `ー'
\_ | / ノ__/ / ナ,_
 ̄\/|ヽ 〈__/ <メ、
`┴┬‐┬'´ (
ト‐┤ ノ
| | 十,
| | <メ´)
ノ | フ|'し
\__〉
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 10:25:12.12 ID:zLGWyROUO
乙です
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 11:20:20.58 ID:2lqMk4mX0
乙です
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 12:12:38.04 ID:gfHq7qv70
乙
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 12:54:23.82 ID:GR4+tUGo0
乙です
爪お大事に
>>94 いや、方向性がかなりアレなんだけどもw
残り借りてもいいのかな
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:09:26.22 ID:nTrSCm16O
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:16:46.03 ID:Y6Tr6ob80
WWW
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:19:56.61 ID:GR4+tUGo0
>>1みたいな素敵な感じの話ではないので
お気をつけて
ではスレお借りします
ほとんど書き溜められてないから今から書かないといけないが
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:20:54.98 ID:GR4+tUGo0
――そう、思えば、長かった。
「彼」に出遭う前から、わたしは「彼」を知り、
彼と出遭ってからは、三年間彼を待ち続けていた。
「彼」はわたしに多くのことを教えてくれた。
わたしは「彼」の要請に叶え得る限り応え続けた。
「彼」に褒められることが嬉しく、それはわたしの存在理由のひとつとなる。
「彼」は、わたしを「必ず守る」と思念体に啖呵を切った。
あの瞬間の記憶は、わたしの内部に刻み込まれ、息衝いている。
雪の如く、募り山を成したわたしの想いを告げよう。
わたしは今日、「彼」に告白する。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:21:44.46 ID:GR4+tUGo0
捲る。
思考する。
捲る。
思考する。
同じように繰り返してきた七日間。
初めての経験で、糸を織るように言語化の難しい想いの羅列を纏め上げ、整理を完了するまで、想像以上の時間を要した。
けれど、すべて今日で終わり。
163頁にて一旦、読書を終了。
まだ誰も来ていない文芸部室。
蓄積し続けたわたしの感情を明かすために、わたしは一人彼を待つ。
通常通りならば、間もなく、彼の到着予定時刻。
わたしは彼を屋上へ誘い、その場で、わたしの想いを告げる。
どうなるかは分からない。
断られるかもしれない。
それでもきっと、何かを変えられる。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:22:15.06 ID:GR4+tUGo0
――カツ、カツ、と旧館の廊下を渡る何者かの足音が聴こえ始める。
彼が来た。
わたしは書物を膝の上に閉じ、薄く深呼吸する。
緊張している。普段ならば調整の効く鼓動の速さでそれが分かる。
カツリ。
足が止まった。部室前での歩行停止。間違いない。
ドアノブに手がかかる。回転。金具の音。軋み。丁寧な――
丁寧な?
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:22:51.43 ID:GR4+tUGo0
「……まだ、長門さんお一人ですか」
泰然とした微笑と、調子の変わらない悠々とした声。
わたしは、微量の落胆を隠せなかった。もっとも、表情には出力されない。それがわたしの標準的な構造だからだ。
予測が外れた。この時間帯に現れるのは高確率で「彼」であったはずが――演算素子の改善を申請しなければ。
「……今日は、本を読まれていないんですね。どうかされたのですか」
「……」
回答の必要を感じない。無言を貫く。
息を吐き、肩を竦め、古泉一樹は座席に腰を下ろす。
見慣れた光景。何十回とわたしと古泉一樹の間に交わされた日常。
――その急転を、わたしは「予測」できなかった。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:23:42.51 ID:GR4+tUGo0
「長門さん。幾ら待っても、今日、『彼』は来ませんよ」
声色が豹変した。
わたしは音声情報を疑った。それが他の誰でもない、「古泉一樹」の発言であることに。
「……なに」
視線を移すと、彼は普段と何も変わらない姿勢を保持している。
「おや、応じてくださるんですか。『彼』の話題となると食い付きが違いますね」
笑顔は元の笑顔と一致する、一ミリの差異もない表情。
だからこそ、その違和感が際立つ。
わたしは古泉一樹を見返す。
古泉一樹は膝を立て、手に顎を乗せて、眼を細めている。
わたしを嘲るように。
「『彼』の愛らしい妹さんが、お風邪を召したそうで。『彼』は一旦家に帰ったそうです。
涼宮さんも押しかけるつもりでいらしたようですが、『彼』のお母上も居られるそうですから、余り大勢で訪ねてもご迷惑になりますしね。
もうじき涼宮さんも来られるでしょうが、今日の団活動は中止になりますよ。十中八九ね」
「……そう」
「残念でしたね、長門さん。……彼に想いを打ち明けられなくて」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:25:04.58 ID:Bu7/a77c0
古長とは珍しいな。いや長古か?
とりあえず支援。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:28:30.17 ID:GR4+tUGo0
駭然とした。
何故――どうして、何故、………何故。
わたしは何も言えない。言葉通り、返す言葉が見つからない。
古泉一樹の呆れたような解説が続く。
「どうして気付いたのかと、驚いてらっしゃるんですか?
あなたの様子を観察していれば分かりますよ。此処最近のあなたは随分と上の空でしたし。
察しくらいつけられます」
「………」
「僕としては、今日彼が団活動を休業してくれたのは好都合でしたけれどね。
あなたと話す丁度いい機会が巡ってきましたから」
「……なんの、こと」
薄々、分かっている。だから古泉一樹と鉢合わせすることは避けたかった。
特に今日は。
「前々からお願いしようとは思っていたんですがね。此の際ですから単刀直入に申し上げましょう。
『彼』への告白は控えて頂きたい。少なくとも、涼宮さんの力が消失するまでは」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:33:45.57 ID:GR4+tUGo0
――想定していなかった訳ではない。
古泉一樹は「機関」に所属する超能力者。また、涼宮ハルヒを信奉する者のひとり。
利害の一致以外においてわたしの助勢者には成り得ず、
また涼宮ハルヒの精神を脅かす何者に対しても容赦しない。
「あなたが『彼』に告白する……間違いなく涼宮さんは精神に不安を抱えます。
閉鎖空間を頻発させるかどうかは分かりません。彼女の成長を考慮すれば、あなたを信用して理性が打ち勝つ可能性もなくはない。
ですが、彼女の平穏を取り戻しつつある精神の波を、無闇に煽る結果になることは確かです」
聴取する冷え切った声は、――無言のわたしに、追い打つように言った。
「それに、ねえ……長門さん。あなたが告白して『彼』がオーケーを出すなんて、夢を見ているわけではありませんよね?」
古泉の相手は俺がいい
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:37:29.08 ID:GR4+tUGo0
ぎり、と音がした。
気付かなかった。無意識の産物。
「『彼』は鈍感ですが、あれだけの好意を差し向けられてそれに気付かない。
そのこと自体、その対象に興味がない証拠だとは思われませんか?
――告白して、彼に断られた場合のことは考えていますか?笑って『オトモダチ』でいましょう、ですか?
『彼』は出来る限りそのように振舞うでしょうが、どうしてもしこりは残るもの。ひいては、団全体へと波及するでしょう。
ぎくしゃくした関係性、気まずい空気、お喋りの止んだ淀んだ部室。
特に涼宮さんはあなたの感情を知れば、葛藤し悩むでしょうね。朝比奈さんもいらぬ気苦労を抱えることになりそうだ。
……すべて、あなたが『彼』に告白することによって、歪んでしまうかもしれないSOS団の未来です。
それを分かっていますか、長門さん?」
「………」
ぎり。
「わたしが、『彼』に、告白しようとするまいと」
ぎりり。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:40:51.06 ID:GR4+tUGo0
「あなたには指図される謂れはない」
「ええ、まったくその通りですね。……ですが」
わたしを嘲弄する、その意図を持った発言だと分かりながら、抑え切れない。
――不快極まりない挑発を続けられて、それを赦し続けられるほどわたしは温厚ではない。
これまで共に事件処理に当たってきた古泉一樹とは、まるで別人だった。
わたしが認識していなかっただけなのか。
これが真実の、古泉一樹か。
「ただ当たって砕けて終わるだけと分かっている人を、そのまま見過ごすのも寝覚めが悪―ぐっ…!」
ガシャン、と割れる音。
彼の額に的中し、涼やかな音を鳴らして粉々に砕けた硝子は、
中に残っていた僅かな水と共に、古泉一樹の全身に降り注いだ。
なんだこれ面白いぞ
支援
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:50:15.69 ID:GR4+tUGo0
……我を忘れて、コップを投擲した。
そのことを遅れて知覚する。
古泉一樹は蹲り、血の流れる額を押さえている。破片が床に散らばり、電灯を反射して淡く煌いていた。
……やり過ぎたことはわかっていた。幾ら、腹立たしい言葉を投げ付けられたのだとしても。
選択肢は幾つもない。謝罪。無視。治療。
だがそのどれを実行するより前に、――ドアが開いた。
「ごめーん、待たせたわね、みん……」
涼宮ハルヒが凍りつく。
後から「遅れましたぁ」と、頭を覗かせた朝比奈みくるも、同じように。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 13:59:19.37 ID:GR4+tUGo0
「古泉くん……!?どうしたの!」
「ふぇ、血、血が出てます…!」
焦りながら「みくるちゃん!応急セットよ!」と指示を飛ばす涼宮ハルヒ。
立ち尽くすわたしに、古泉一樹が二人からは死角となる位置から、
……はっきりと蔑みを込めて、笑った。
「すみません、涼宮さん。転んだ拍子にコップを打ち付けてしまいまして……」
「何やってるのよ、古泉くんらしくないわね!あー、ダメ、結構傷が深いわ。みくるちゃん、包帯ある?」
「は、はい…!お薬つけますから、じっとしててくださいね。でも、血、なかなか止まらないみたい……」
「どうせ今日は団活動を中止にしようと思ってたし、古泉くんを保健室に連れて行きましょう。
有希、古泉くんから聞いてると思うけど、キョンは今日休みだから」
「………」
「立てる?古泉くん」
「はい。……ありがとうございます」
「あたしは古泉くんを連れて行くから、みくるちゃんは古泉くんとあたしの鞄持ってきて。
有希は床の掃除を、簡単にでいいからお願い。誰かが怪我するといけないし」
「……了解、した」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:00:32.71 ID:nTrSCm16O
勉強になるね
これは是非支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:05:22.30 ID:GR4+tUGo0
注意というか…
一応スレタイに沿うように進めるつもりでいるので
長キョン期待はしないでください
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:06:43.49 ID:Bu7/a77c0
BADエンドフラグびんびんだ……。
問題ないから続けてくれ
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:08:11.09 ID:GR4+tUGo0
「お手を煩わせて申し訳ありません、長門さん」
ちらりと微笑んだ、それは繕われた彼の笑みだった。
今の彼の内心がわたしには理解できる。あれだけ言われれば、否でも理解する。
強烈な当て擦り。厭味。
古泉一樹は、わたしを嫌悪している。
「涼宮さんも、朝比奈さんも」
「いいのよ!団員の介護も団長の仕事のうちだわ」
「傷の方が心配です、はやく保健室に」
「そうね。――有希、後は頼んだわよ!」
パタン、と扉が閉まる。わたし一人を置いて。
古泉一樹の変貌ぶりを、その原因を探知しきれない自分が居た。
わたしは呆然と人の居なくなった部室に佇む。
古泉一樹の指摘は悪意を透過させてはいたが、的外れでは決してなかった。
わたし自身、実際に危惧してもいた事柄ばかりだった。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:16:15.31 ID:GR4+tUGo0
わたしが「彼」に告白すれば、「彼」との今の関係性は崩れてしまうかもしれない。
それを、眼前から突きつけられた。
逸らしたかった、敢えて思考しないことで得ようとした踏ん切りを、奪われてしまった。
『彼は鈍感ですが、あれだけの好意を差し向けられてそれに気付かない。
そのこと自体、その対象に興味がない証拠だとは思われませんか?』
「……わたしは、それでも」
それでも。
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:22:38.73 ID:GR4+tUGo0
///
……発端は、その日からだった。
古泉一樹はその日以来、わたしに何かと挑発的な、見下すような眼を向けるようになった。
また、わたしが彼と二人きりになる状況を、さり気なく邪魔するようになっていった。
部室で「彼」が来るのを待っていても、必ず古泉一樹が先んじる。
「彼」に放課後に話があると呼び出そうとしても、古泉一樹が得意の口舌で話題を逸らし、「彼」の意識を別のものに向けさせてしまう。
後は不思議探索で籤を操作することを考えていれば、「彼」の妹の風邪が長引いているからという理由で
結局SOS団でお見舞いに行くことになり、不思議探索は中止となった。
その提案も、古泉一樹がした。
団員が揃う中で想いを告げるのは、リスクが大き過ぎる。
打つ手は減らされていき、わたしは逃れる道を塞がれていく。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:25:51.98 ID:GCr6TBQU0
支援
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:26:05.62 ID:zitpDs7jO
C
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:27:48.49 ID:2vNYR1x10
どうしたらいいのだろう。
電話や手紙という遣り方も考えた。
けれど、想いを伝えるのならば、やはり面と向かって自分の口から明かしたい。
それが誠実な遣り方だと算出しているのに、古泉一樹に阻まれ、焦燥ばかりが募る。
不愉快さは徐々に増し、形を変えていった。
何故、わたしは「彼」に打ち明けることすら許されない?
何故、わたしは「彼」と共にいたいという願いすら許されない?
誰のせい、誰のせい、誰の……
誰の。
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:28:24.57 ID:2vNYR1x10
あれ、ID変わってる?……なぜに?
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:28:47.15 ID:Bu7/a77c0
ああああああああ………。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:29:24.83 ID:Bu7/a77c0
イイヨイイヨー
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:37:03.92 ID:2vNYR1x10
授業を終えて部室に赴く。
……また、来ているのだろう。
扉を開けた先に、定位置に腰を下ろし、一人で詰め将棋をしている男。
以前は一番最後に部室に訪れることも、珍しくはなかったというのに。
「――ああ、また早くにいらしたんですか?
あなたも諦めが悪いですね。どう足掻いても『彼』とは二人きりになれないこと、分かっているでしょうに」
黒い、と形容できるその悪辣な笑みを、他に誰が知っているだろう。
つい先日までは、わたしすら、古泉一樹の本性に隠れているものなど知らなかった。
意識すらしていなかった。
「長門さん。今日の昼休みも空振りだったんでしょう?残念でしたね」
「………!どうして」
「ご存知でしょう、機関員は至る所に配置されているんですよ。
『彼』に理由をつけてあなたと遭遇しないように計らうくらい、訳はありません。
機関も基本的に僕の考えを支持してくれていますから」
「………」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:37:19.07 ID:VPRIRKHXO
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:43:29.70 ID:2vNYR1x10
「長門さん。諦めが肝心ですよ。
まあ、あなたが告白したところで、涼宮さんや朝比奈さんに夢中の『彼』が、あなたを異性として意識することなんて万に一つもないでしょうが。
無駄な足掻きは、美しくありませんね」
くっくっと小さく、おかしくて堪らないと言う様に笑い声を立てる古泉一樹。
ふつり――と。
堪え続け、溜め込み続けたものが、自制を失ったのはその瞬間。
苛立ち。
憎しみ。
何故、わたしは許されない。
何故、わたしは……
誰のせい?
――ああ、そんなこと、決まっていた。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 14:55:15.46 ID:2vNYR1x10
時としてほんの数秒。
わたしにとって有機生命体を相手取ることなど、蟻の脚を捥ぐように容易いこと。
故に、通常時はセーブをかける。
力を出し過ぎて殺してしまわないように。
それを少しだけ、解放した。
………瞬きを終える頃には、古泉一樹は壁に凭れ掛かり、荒い息を吐いていた。
倒れたパイプ椅子に、重なるように尻餅をつき、腹を押さえて喘ぐ。
腹部に蹴り三発、頭部に拳一発。
この程度で動けなくなるほど、人間は脆弱。
「…がっ…ごほっ、げほっ…!」
古泉一樹の顔面が、苦痛に歪み、わたしを瞠目して見据える。
……とても、愉しい。
支援
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:06:31.11 ID:zitpDs7jO
C
支援支援
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:09:41.45 ID:2vNYR1x10
「……こんなことをして、……どうするおつもりです?
僕が『彼』に告げるとは、思われないんですか……ぐっ……!?」
「――どうでもいい」
減らず口を塞ぐために、首を掴み上げる。
ぶら下がる姿が無様。青痣も、歪んだ恐怖に半分引き攣った表情も、新鮮でいい眺め。
「今は、考えるのは後回し……」
古泉一樹のせいで、わたしは「彼」と共にいられない。
ならば、その苛立ちの発散に古泉一樹を利用することに、なんの瑕疵もない。
あなたが悪い。
だからわたしは、あなたを使う。
それだけのこと。
最後に回し蹴りを食らわせれば、めしりと食い込む音がして、古泉一樹は床に転がった。
痛みのあまり、気を失った模様。……本当に脆い。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:11:32.52 ID:2lqMk4mX0
うおおおおぉぉぉぉぉ支援
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:13:17.88 ID:TlyNRN6oO
今北産業
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:18:14.18 ID:2vNYR1x10
彼等が来ては言い逃れが面倒なので、わたしは室内の状態を元に戻し、
古泉一樹を椅子に座らせ、散らばった将棋の駒を並べ直し、見える位置にある目立つ外傷は消しておいた。
こうしておけば、詰め将棋の途中で転寝をしたように見えるはず。
……それに、傷を治療してやれば、何度でもサンドバック代わりに再利用できる。
わたしとて、古泉一樹の存在を痛めつけ続けたいわけではない。
これを機に、古泉一樹が態度を改めるならば、
そしてわたしへの邪魔をしなくなるのならば、脅し以上の実行はしないでおくくらいの譲歩はできる。
わたしは久しぶりに清清しい気分で席に着き、読書を始めた。
やがて、団員達の到着。
「今日は蒸し暑いな……まったく」
――「彼」だ。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:26:43.75 ID:2vNYR1x10
「よう、長門。それに、古泉か……最近こいつ来るの早いな。にしても、寝てるのか?」
「……そう」
「珍しいな。優等生は転寝なんかしないんじゃなかったのかね。
最近は、閉鎖空間が出てるって話も聞かないが……」
鞄を置き、物珍しいものを観察する目つきで、古泉一樹を見遣る「彼」。
ふと、――わたしは気付く。
今こそが絶好の機会だと。
古泉一樹は気を失っている。わたしの告白を阻もうとする者はいない。
涼宮ハルヒは確か掃除当番。朝比奈みくるは進路指導で順番待ち。まだ、此処を訪れるには時間を要するはず。
言うなら今しかない。
他に誰も居ない、今しか。
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:29:19.82 ID:fxqqKeTUO
いいよいいよ〜
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:36:34.87 ID:2vNYR1x10
心拍数の増加。汗腺の刺激。耳鳴り。
痛いほどに煩い、という書物の中の比喩を理解する。激しく高鳴る心臓を模したものが、わたしの胸中に痛みを呼ぶ。
背表紙を閉じた。呼吸機能の低下。身体機能の異常?違う――不安。不安だから。本当は怖い。だけど、逃げていては。
逃げているのでは何も変わらない。
「彼」は依然、古泉一樹の方を向いている。
わたしは、彼を呼び、振り向かせ、言うのだ。
何度もシュミレートしてきた、決まりきった語句を、わたしの口から彼に伝える。
わたしはあなたのことが、
『あなたが告白して「彼」がオーケーを出すなんて、夢を見ているわけではありませんよね?』
声が、出ない。
唇は動こうとするのに、発せられない。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:45:38.72 ID:7lfhKLDN0
あああああああああ
今追いついちまったああああ
とりあえずwktk
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:46:44.52 ID:zitpDs7jO
支援Cgnbr
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:50:03.94 ID:2vNYR1x10
なぜ。
なぜ。
―――なぜ……!
わたしは動揺し、リトライする。それでも声は漏れ出さない。わたしの声が、出力できない。
たった三言告げれば済むだけのことを、声に出来ない。
極度の緊張状態によって声帯が故障したわけではない。
この土壇場で、わたしは、思い返してしまった。
古泉一樹の言葉を思い出してしまった。
身が竦んでしまった。
断られるビジョンが浮かび、わたしを遠ざける「彼」の姿を想起し、わたしが一人置き去りにされる想像をしてしまった。
「彼」がいなければ、わたしには他に何もない。
任務をこなす以外に、何も残らなくなる。
だから、拒絶だけは。
告白を断られるのはいい。
拒絶されることだけは、どうしても……!
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:56:54.24 ID:2vNYR1x10
煩悶に費やしてしまった無為な時間に、わたしはついに機会を逸した。
「……そんなに僕の寝顔は面白いですか?」
器用に左目を開けて、古泉一樹が微笑む。「彼」はぎょっとしたように後ずさり、
「なんだお前、狸寝入りかよ!」
「心外ですね。起きたのはついさっきですよ」
からかうように笑う。明るく爽やかと評される、SOS団員はおろか校内のどの生徒にも共通的に認識される、古泉一樹の微笑。
……敗北感が、あった。
わたしは結局、大きなチャンスを自らの手で逃してしまった。
「久しぶりによく眠りました。涼宮さんが来られる前に起きられて安心しましたよ。
僕に求められるイメージの看板はまだ外す訳にはいきませんし」
「油断大敵だな。もう少し寝てりゃ、顔に落書きしてやったんだが」
「そうなったら、いつかお返しさせて頂きましょう。……一局いかがです?」
「いいぜ」
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 15:59:59.66 ID:2vNYR1x10
……あれほど心を決めていたはずなのに。
土壇場で萎縮してしまった、不甲斐ない己に失望していたわたしは、
わたしに静かな視線を向ける、
――古泉一樹の瞳に宿った暗い色に、まだ、気付いてはいなかった。
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:01:19.40 ID:2vNYR1x10
続きをどう展開させるか整理するので
少し休憩とります
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:03:47.01 ID:7lfhKLDN0
乙〜
がんばってね!
これは期待せざるをえない
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:10:16.38 ID:Bu7/a77c0
じゃあ、なんか書くか。
安価165 シチュ
安価170 長門古泉以外のキャラ一人。
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:11:07.11 ID:2lqMk4mX0
支援
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:11:15.34 ID:CH2yiOf5O
支援
ゆっくり待ってる
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:11:34.55 ID:zitpDs7jO
ksk
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:12:46.78 ID:gx7ZLgn10
支援
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:13:26.59 ID:7lfhKLDN0
>>165 お前には失望した
シチュは不思議探索がいいな
もし人安価なら下で
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:14:38.52 ID:2lqMk4mX0
ksk
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:15:50.33 ID:2lqMk4mX0
kskst
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:15:56.15 ID:FFwM22E30
喜緑さん
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:23:18.34 ID:HljENu8C0
ちゅるやさん
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:27:43.66 ID:Bu7/a77c0
把握。
ID:2vNYR1x10の好きに書いてくれていいから。
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:30:13.66 ID:RKGHCEnDO
守護
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:37:39.97 ID:Bu7/a77c0
ホント思いつきなんで、あまり突っ込まないでくれ
長門「古泉一樹、古泉一樹」
古泉「はい、なんでしょう、長門さんから声を掛けられるとは珍しいですね」
長門「………」
古泉「………」
長門「………」ジッ
古泉「………あの」
長門「……私は帰宅する」
古泉「え、あ、はい」
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:40:32.48 ID:2vNYR1x10
///
あの暴行を経た結果として。
――何も、変わることはなかった。
あれだけ痛い目に遭わせたというのに、古泉一樹は己の振る舞いを変えようという気はないらしい。
彼は他人の前では紳士的にありながら、わたしの前では常ににわたしを侮辱し、理不尽なまでに嘲った。
「彼」とわたしが共に在る事を、身勝手に妨げるのも相変わらずだ。
わたしはそれに、暴力で応じるようになった。
仲間だから、危機には手を組む間柄だからという遠慮自体、わたしの思い込みだと悟ったからだ。
古泉一樹はわたしを心底嫌っているようであるし、わたしも古泉一樹を心底嫌っている。
ならば、咎められる理由はない。
それにわたしは警告した。
それを無視して態度を改善させなかったのは向こうなのだから、わたしには何一つ責められるべき点などない。
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:41:12.05 ID:2vNYR1x10
>>175 あ、ごめん
一旦引きますんで続きどうぞ
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:42:36.48 ID:2vNYR1x10
>>176 訂正
わたしの前では常にに→私の前では常に
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:42:55.97 ID:Bu7/a77c0
>>173 ああ、ID:2vNYR1x10が戻ってくるまでの時間つぶしって意味ね。
長門「………」
長門「…感情制御に問題がある」
長門「無意味に古泉一樹との接触を望むのは好ましくない」
長門「………そのはず」
長門「………」
長門「………声をかけなければ、問題ないと判断」
古泉「……長門さんが僕の後ろにずっと立ってる」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:48:54.65 ID:Bu7/a77c0
長門「……作戦は、涼宮ハルヒ及び彼によって阻害された」
長門「心的重圧が増大している。……このままでは危険」
長門「緊急時による、解放剤を投与する」
長門「……」つ写真
/⌒´ ̄ ̄`ヽ
r―-- 、 /:.:.:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
| `Y:.:.l.:.:/.:.:.ハ:.l:.|:l.;.';.:.|.ト.ゝ--一 ー- 、
| \ ` |:.:.j:/:.:.;イー|:ト:|:トl:.l.:.|:|:|. /
. ! ヽー!://:.;イ:.:死リ ハ|'rテ||.ト|、__/ /
. ',. `、'/イ:ヘ|:.| 〉 ハト| / /
'、 ヽ V レリl:.!、 ー=‐/ヽリ_/ / /
`、 `Y| ` ` ー r'__/´′ ′ /
`、 ヽ ′/ / /
ヽ \ ` ー ′ ' /
. \ , {
i  ̄` ′ !
', , i
ヽ } ハ.
\ ′` \
\ 、 ′ `ー- 、
ヽ、 ! ヽ
\ ヽ ',.
>、 / |
長門「……ふぅ」
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:53:07.55 ID:Bu7/a77c0
長門「……問題が生じた」
長門「心的ストレスが解放剤の範疇を超えつつある」
長門「早急に、新たな解決策が必要」
長門「………」
長門「………」
長門「パーソナルネーム・古泉一樹の拉致を検討する」
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:54:21.25 ID:Bu7/a77c0
とりあえず、ここでID:2vNYR1x10に譲るぜ。
こっちは、ちょっと書き溜めておくので。
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 16:59:37.26 ID:2vNYR1x10
同時進行でいいんじゃないかな
と言ってみる
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:03:03.67 ID:2vNYR1x10
最初は部室内で、他の団員達が来る前に行った。
単純に、殴打したり、蹴り飛ばしたりすることを重ねる。
加減し切れずに軽く脚を折ってしまったときは、脂汗を流しながら悶えている姿が見物だった。
それでも悲鳴はプライドが許さないのか、中々上げようとしない。
元々機関に所属している人間というだけあり、痛みへの耐性をつけるための特訓は色々としていた様子。
肩を出来るだけ「ゆっくり」脱臼させると、床をのたうって漸く痛みに声を上げた。
鼻を折る、歯を引き抜く、爪を剥ぎ取る……
日替わりでメニュー変更をしながら、発散を行う。
死なれては困るし、他の団員に感付かれても厄介なので、重傷の場合は即座に治療。
暴行は、古泉一樹への憎しみから発散の行為となり、日課となった。
古泉一樹に齎された不快感の解消に、古泉一樹を用いて好きなように痛めつける。
古泉一樹がわたしを不快にさせなければ、終わる連鎖だと本人も分かっているだろうに、
やめようとしない彼の心境は、……わたしには、理解できなかった。
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:03:04.95 ID:Bu7/a77c0
>>183 読みにくいし、多少ギャグがあるし、こっちは完全思いつきなので。
かまわず投下して下さいな。
ROMの人はgdgdやってスイマセン。
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:06:39.51 ID:CH2yiOf5O
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:07:19.35 ID:2vNYR1x10
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:28:28.76 ID:nTrSCm16O
みんながんばれ
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:44:29.82 ID:2vNYR1x10
「――あなたは何故、抵抗しない」
気絶した、古泉一樹に問い掛ける。
答えはない。
回数を重ねる毎に、暴力は愉悦の源ともなった。
古泉一樹を殴打しているとき、わたしは「彼」への想いに苦しむ自分を忘れられた。
言い訳はどちらだろう。
「彼」への想いを阻む古泉一樹の言動か。
ただの、暴力行使の大義名分か。
分からないまま、月日だけが過ぎて行った。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:44:33.54 ID:2lqMk4mX0
古泉ドM過ぎワロタwwwwwwwwww
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 17:52:17.32 ID:2vNYR1x10
>>190 ごめんwww
シリアスなつもりで書いてるけど下手したらギャグでごめんwwww
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:00:14.82 ID:gx7ZLgn10
支援
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:06:20.06 ID:2vNYR1x10
///
――迎えた、もう何度目かの不思議探索の日。
その頃になると、わたしは「彼」に告白する、その意欲そのものを欠き始めていた。
想いが薄れた訳ではない。
「彼」へと恋焦がれる感情は依然としてあり、「彼」が楽しげに朝比奈みくるとやり取りをしているのを見れば嫉妬し、
涼宮ハルヒに引き摺られていくのを見れば己の立ち位置を悔しいと感じた。
全身全霊でぶつかろうとして出来なかった、あの一度きりの失敗が、尾を引き続けていた。
有り体に言うならば、わたしは「勇気」を失いかけていたのだ。
もしやこれすら古泉一樹の算段かと疑心を抱いてしまうほどに。
わたしには古泉一樹が何を思考しているのか分からず、
わたしには古泉一樹がわたしの暴行に甘んじている理由が分からず、
わたしには古泉一樹がわたしを蔑む理由が分からない。
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:06:51.82 ID:RKGHCEnDO
追い付いた支援
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:08:37.97 ID:2lqMk4mX0
いや寧ろ長門にぼこぼこにされる古泉が羨ましい
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:12:15.60 ID:16LNCyIZO
マッガーレがゲイなのは長門との問題によるトラウマが原因なのか長門を怒らせたことで情報操作されたのか
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:17:25.04 ID:2vNYR1x10
わたしという個体が真に古泉一樹を、憎んでいるからしている暴力行為なのかどうかさえ、
確証が持てなくなる。
古泉一樹の内面は、何時までも見えないまま。
――そのことに、わたしは、別のエラーを生じさせつつあった。
あれだけ数を経れば、古泉一樹にどんな悪口雑言を囁かれようとも、大して意には介さなくなる。
わたしの不快感は、もはや、古泉一樹がわたしへと毒突くことによるものではなくなっていた。
わたしは、――古泉一樹が、知りたかった。
同じく、追いついた支援、楽しみ
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:28:09.22 ID:GOr/Yreb0
昨日から張り付いてたけど、
面 白 く な っ て き た
見てると自分もまた書きたくなってしまう……
長門「…支援」
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:36:10.45 ID:2vNYR1x10
「じゃ、午前の部はあたしと、みくるちゃんとキョンね!」
籤の結果で分かれ、彼等とは違う道を行く。
古泉一樹は愛想の良い微笑を終始浮かべていたが、彼等が去ればやはり笑みの質を変えた。
わたしを見下ろし、酷薄に笑む。
「……もう籤の入れ替えは行わないんですね。そろそろ、分相応を自覚して諦めでもしたんですか?」
「………」
「責めているわけではありません。ええ、大変結構なことだと思いますよ。
懸命な判断です。
あなたが余計な真似をしなければ、僕もあれこれと気を遣って働かずに済みますから」
「………」
わたしは、返答をやり過ごした。
古泉一樹が右足を引き摺るように歩いているのは、わたしが前日に彼の脚を拳で潰し続けたその後遺症による。
あらかた回復させておいたが、完治に至るまでは治療しなかった。
やり過ぎたとは思わない。
ただ、……
わたしが思考に耽っていたのを、古泉一樹は無視されたと感じたらしい。
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:43:06.12 ID:2vNYR1x10
古泉一樹は、そのとき、不意に向けていた視線をわたしから逸らした。
不自然な動作だった。
そのせいで、わたしはその瞬間の彼の表情を見取ることはできなかった。
――もしかしたら、その瞬間にその彼の表情を見つめていたら。
すぐにでも、わたしは、すべてを理解できていたのかもしれない。
「それで、何処へ行きます。――いつもの、図書館でも?」
「……」
「図書館で、構いませんね」
……力ない声だと、感じたのは気のせいだったのだろうか。
わたしが古泉一樹のことを考えている間に、
古泉一樹が流した一言を、わたしは聞き逃してしまっていた。
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:45:16.70 ID:3tRzz4M4O
か、一樹…
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:45:44.66 ID:2vNYR1x10
「――おしまいの時間に、なりましたね」
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:46:35.99 ID:gx7ZLgn10
支援
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:47:28.44 ID:2vNYR1x10
大根おろせって言われたので
休憩入ります、すみません
そのまま下手をすると夕食直行なので再開できるの遅くなるかもです
他の方もどうぞ書いてて下さい
大根、大根が憎い
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:49:28.49 ID:nTrSCm16O
大根に爪砕かれないように
心から願っております
かしこ
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:50:11.76 ID:3tRzz4M4O
保守要因何人いる?
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:52:05.44 ID:nTrSCm16O
ノ
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:56:16.87 ID:gx7ZLgn10
ノ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 18:56:35.21 ID:Z3SJA7JmO
一応
ノ
間隔がわからん
どんな時間でもとりあえず1回/10分でおk
慣れてくれば間隔なんかすぐわかるようになるさ
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 19:11:34.84 ID:GOr/Yreb0
保守感覚のコピペなかったっけ
ほ
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 19:31:29.55 ID:dBywjYwm0
ん
これだっけ
※あくまで目安であり、これなら安心というわけではありません※
00:00-02:00 10-15分程度
02:00-08:00 30分推奨
08:00-15:00 15-20分程度
15:00-18:00 10-15分程度/20分以内絶対
18:00-24:00 7分以内推奨/10分以内絶対
あまりあてにならないんだが
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 19:45:28.29 ID:dBywjYwm0
こここ
いんし
ずぱょ
みんう
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 19:52:32.87 ID:RKGHCEnDO
みくるが空気でかなしひ
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 19:53:52.91 ID:3tRzz4M4O
8分
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:01:52.60 ID:dBywjYwm0
ほ
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:09:38.29 ID:Z3SJA7JmO
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:19:00.58 ID:Z3SJA7JmO
二連続ってどうなんだろう
保
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:25:29.85 ID:nTrSCm16O
なかなか来ないね、
大食いなのか!
古泉「秋刀魚には大根おろしが必須です」
メニューはさんまかな?いいなあ
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:48:51.49 ID:J9KXATXS0
>>226 焼肉でした…
たびたび保守してもらってすみません
今から書きます
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:49:35.48 ID:J9KXATXS0
またIDが変わっとる
●<カッワーレ
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 20:59:18.69 ID:J9KXATXS0
午前の部。
古泉一樹と図書館で過ごす。お互い会話はない。
わたしは蔵書検索をしたが、欲していた本が一覧にないのを確認し、借りるのは諦めた。
各々、好きに行動し、わたしは読書に耽り、時間になれば機械的に並び立って集合場所へ。
古泉一樹との交流は一つとしてなかった。出際に言葉を交わして以来、古泉一樹は黙り込み、わたしに話題を振ることもない。
わたしが彼に初めて暴力を振るったあの日より以前に、還ったようだった。
会話という会話もなく、ただ其処にいるだけの存在。
ただ笑っているだけ。
内心を晒すことのない、其の場に応じた装いに長ける、得体の知れない人間。
……「彼」は、古泉一樹とは違う。
わたしは「彼」といられれば心が安らぐ。気持ちが落ち着き、癒される。もっと傍にいたいと願う。
古泉一樹と共にいるとき、わたしは不安定な感情に左右される。不快な想いを揺さぶられる。
わたしは、……
繰り返して思う。まるで理由付けをしているようだと。
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:13:31.19 ID:bWAZH4mu0
ほ
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:14:59.06 ID:J9KXATXS0
「二人とも、何か不思議なものは見つかった?」
涼宮ハルヒが指を突きつけ、合流したわたしと古泉一樹に真っ先に訊ねる。
勢い込んでいるというよりは、儀礼的な意味合いが強いもの。
涼宮ハルヒのこの発言は、通例のやり取りの一つに過ぎない。
「残念ながら……目ぼしいものは見つかりませんでしたね」
常なら、そこで「長門さん」とわたしに振りを寄越す古泉一樹は、
両手を広げて肩を竦めるポーズを取った後、何を言うこともなく沈黙に徹した。
わたしは、彼の些少な変わり身が掴めない。
「やっぱりこの暑さだもの。不思議の方も夏バテ気味なのかしらね」
「季節は関係ないだろ。こんな往来で簡単に見つかるようなら、世は不思議で溢れ返ってるだろうよ」
「だからって、探索を無視して遊びまわっていい理由にはならないわよ!その辺はきっちりしなきゃね。
行く先行く先でみくるちゃん相手にヤラシイこと考えてそうなエロキョンには特に――」
「お前はその妄想から成る言い掛かりをやめろ」
「け、喧嘩はだめですよ〜」
「まあ朝比奈さん、喧嘩するほど仲が良いと言うじゃないですか。夫婦喧嘩は犬も食わない、とも」
「コラ古泉」
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:30:16.80 ID:J9KXATXS0
笑い合う彼等を、一歩離れた地点で見守るわたしは、彼等の円には混ざれなかった。
わたしは人外であり、インターフェース。
わたしには、結局のところ「彼」しかいない。
わたしが心を赦せる相手も、わたしを過剰に美化せず卑屈に貶めず受け止めてくれる相手も、「彼」しかいないのだ。
だから……
やはりわたしは、「彼」が、愛しいのだと思う。
その想いに改めて向き合えば、止められない。
紙屑のように握り潰して塵箱に捨て去ることも、抱え込んだまま眠りにつくことも、きっと出来はしない。
古泉一樹のことは考えないようにしようと、わたしは自身に言い聞かせる。
……また、エラーが収拾がつかなくなるまでになってしまっては、困るから。
わたしは「彼」のことを考えていれば、幸福でいられるのだから。
「無駄話はこれくらいにして、次は午後の部いきましょ。さあ、ペア分けよ!」
涼宮ハルヒが高らかに宣言する。
――わたしは、誓って、入れ替えの操作を行ったりはしなかった。
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:35:18.92 ID:RKGHCEnDO
@@@@
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:40:23.99 ID:J9KXATXS0
だからそれは偶然の結末。
「幸運の女神が長門有希に微笑んだ」。
ペアになったのは、わたしと、「彼」だった。
爪楊枝の先を見据えていたわたしは、古泉一樹の視線を感じたが、……
わたしの単なる思い違いであったかもしれない。
涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹と別れて歩き出す並木道。
……夢のようだった。
此処最近は、彼と二人きりになる機会は、悉く潰されてしまっていたから。
「どうする、何時もどおり図書館にしておくか?
いや、よく考えてみりゃ長門は午前古泉と一緒だったよな。午前も図書館だったか」
「そう」
「なら、別の方がいいよな。……どうする?」
「……ここで、いい」
「え?」
もしかしたらこれが、最期の機会かもしれない。
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:45:50.76 ID:zitpDs7jO
C
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:50:56.35 ID:J9KXATXS0
一度目はわたしの意気地のなさで、未遂どころか声を出すこともままならなかった。
今度こそ、誰の邪魔も入らない。
人気のない並木道、まだ青い葉を揺らした樹木が、等間隔に立ち並ぶ。
聞こえてくる川のせせらぎ。
穏やかな風の声。
これ以上ないというくらい、麗らかな日和。
わたしを後押しするように、一羽の小ぶりな蝶が、わたしと彼の間をすり抜けていった。
「あなたに、言いたいことがある」
「……ああ、何だ?」
「わたしは」
――わたしは。
これで、今度こそ、最初で最後。
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:51:28.01 ID:Y5dyR+4wO
支援
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 21:59:48.69 ID:J9KXATXS0
「わたしは……!」
息を吸う。
告げる言葉は決まっている。何ヶ月も、前から脳裏にだけ存在した。何度も何度も、声が嗄れるまで尽くしても足りない想いを、告げるための台詞。
わたしは「彼」の眼を真っ向から見上げ、
『それで、何処へ行きます。――いつもの、図書館でも?』
「……長門?どうした?」
――わたしは。
優しい「彼」の声が、眼の前にある。わたしに添えられた大きな掌がある。
ここに望み続けたものが、すべて揃っているのに。
『長門さん、どうです、星がよく観えますよ』
どうしてこんなときに、思い出すのか。
支援
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:14:02.20 ID:J9KXATXS0
『カシオペヤ座をご覧になったことは?……いえ、僕も実物はまだなんですが……
星座を見るときは、ギリシャ神話の本を携行しておくと、より深く楽しめるかと思います。
僕が天体に興味を持つようになったのも、神話の本が原因なんです。
そう、そこから、UFOやUMAに憧れを持ったり』
夏の天体観測の日。
古泉一樹はわたしに語り続け――わたしは彼に、一言も、言葉を返しはしなかった。
それでも古泉一樹は楽しそうに笑っていた。
愉快げに、笑っていた。
だから。
「……長門。何か、悩んでるのか」
わたしを見兼ねたように、「彼」がわたしに接近し、顔を近付けてくる。
誠実に、わたしを案じているその双眸。
「………わたしは、古泉一樹が分からない」
「古泉?」
「どうして………いつも、笑っているのか」
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:23:34.79 ID:0Miek6lK0
支援
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:31:24.85 ID:J9KXATXS0
古泉一樹が蔑みを露にしたのは、
わたしがエラーに耐えかねて世界を改変した日のように、蓄積し続けたものが爆発したからであったのか。
もしそうならば、笑うことを止めればいいものを。
思えば彼は、わたしに毒のある言葉を選び取ってくる日にも、笑みの質は変われど、笑みを絶やすことはなかった。
わたしの言葉が想定外だったのだろう、虚を突かれたらしい「彼」が、じっとわたしに視線を注いでくる。
「古泉と、何かあったのか?」
「………」
「ま、言いたくないなら言わなくてもいいが……」
頬を掻きながら、「彼」が――
わたしに、小さく、皮肉げに微笑む。
「あいつの考えなんて俺にもよく分からん。ハルヒの望むスタイルを貫く為、っていうのは耳にタコが出来るくらい聞かされたが。
ただ、そうだな……。あいつなりに、守りたいものがあってのことなんだろうよ」
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:32:43.04 ID:0Miek6lK0
支援
ほしゅとか関係なく支援支援支援
コレは良いね。保守
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:44:39.79 ID:J9KXATXS0
「――守りたいもの」
機関が「神」と信仰する涼宮ハルヒや、その鍵となるだろう「彼」、そして世界。
「ああ。それに、SOS団の皆だ。――長門、お前も含めてのな」
「……わたしも?」
……何かが、零れ落ちた。
「あいつ言ってたぜ。長門を救うためになら、一度機関を裏切っても構わないって。
……長門、思った以上にさ、結構皆見てるもんなんだよ。利害なんか越えたところで繋がってるものを信じてる。
俺も、古泉も、朝比奈さんも――ハルヒは言うまでもないけどさ」
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:49:45.75 ID:J9KXATXS0
引っ掛かり続けていたこと。
古泉一樹が急変する以前。事務的な事柄以外での会話は殆どなかったけれど、古泉一樹は、どんな人間だったか。
総てが総て舞台上での演技に過ぎず、何もかも演じた役者でしかなかったと、本当にわたしは信じられるのか。
古泉一樹の、星について眼を輝かせて微笑んでいた、あの笑みは――
本当にただの、偽りの仮面だったのか?
観ていなかったのは、わたし。
何も知らなかった。
何一つ、大事なものを観てはいなかった。
語り掛けていたのは誰。
何度も何度も、幾ら無視をしても、わたしに笑い掛けていたのは誰。
「彼」しかいないというのは、嘘だ。
わたしが見ないようにしてきただけのこと。
彼は、何時も、笑っていて。
わたしは。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:54:01.66 ID:J9KXATXS0
「……喧嘩したとき、仲直りする方法を知ってるか、長門」
「彼」のクイズに、わたしはぽつりと答えた。
「……謝罪する」
「そうだ。それから?」
「……これからも良好な関係を継続したいと、願い出る」
「よく出来ました」
髪をくしゃりと撫でられた。
その感触だけで、わたしは幸せだった。
古泉一樹は、どうだったのだろう。
……わたしは、訊ねてみたかった。
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 22:57:04.00 ID:J9KXATXS0
gdgd/(^o^)\
長門視点って難しい
もう少しで終わる予定ですがお風呂に入ってきます……
すみません……
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:01:13.86 ID:0Miek6lK0
乙です。
あと少しですか。
誰か、明日まで保守お願いします……明日早いので……
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:02:32.25 ID:TF7yJ/2sO
追い付いた
保守
古泉「良作です…!やけに大根おろしが歯に染みましたよ」
古泉「歯に染みるといえば、このSS作中で僕は、長門さんに歯を引き抜かれてましたね…」
古泉「…」
頑張れ〜
歯でトランプしたやつか
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:20:23.90 ID:GOr/Yreb0
明日学校でも俺は粘る!
面白すぎワロタ
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:23:41.63 ID:nyy7arvAO
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:25:26.03 ID:GOr/Yreb0
おやすみ
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:25:42.73 ID:zitpDs7jO
C
4円
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:39:40.10 ID:TF7yJ/2sO
保守
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:45:43.72 ID:J9KXATXS0
///
不思議探索終了。
解散の号令の後、わたしは古泉一樹を引き止めた。
「……話がある」
眼を細める彼は、困惑しているらしく僅かに反応が遅い。
「『彼』と同じペアになれた自慢話なら、他でお願いします」
「あなたの言い分は聞かない」
断るなら縛り上げてでも連れて行く。実行は不可能ではない。
連日の暴行を思い返したらしい、彼はわたしの意思は動かないと察したように、嘆息した。
「此処では出来ないお話ですか」
「……そう」
「分かりました。ご一緒させて頂きます。……どちらへ?」
「わたしの家」
「それは、とんだところへ……」
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:45:43.19 ID:RKGHCEnDO
砲
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:48:43.32 ID:nyy7arvAO
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:53:01.55 ID:nTrSCm16O
絵がうまい
うらやましい
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:53:56.43 ID:J+QqHeTuO
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:55:17.02 ID:J9KXATXS0
溜息交じりの古泉一樹の愚痴は聞かず、抵抗も受け入れない。
腕を引いて歩き出す。
――ああ、これは、いつかの涼宮ハルヒのようだ。
「彼」の腕を引いて、猛進する「進化の可能性」たる少女。
一時にも憧れたことのある、その位置に立ってわたしが掴んでいるのは古泉一樹の腕。
わたしがそれを告げたなら、皮肉なものですねと、古泉一樹は笑うだろう。
けれど、何故か。
わたしが思い描いた古泉一樹の図像が浮かべる笑みは。
毒気のない、星を見上げていたあの日の彼の、温厚な笑顔だった。
到着したマンションの、708号室。
わたしは古泉一樹を玄関から突き飛ばして押し込め、扉に鍵を掛ける。
まだ治っていない脚を縺れさせた彼は、フローリングに転倒するが、
わたしはそのまま彼の髪を掴み上げて引き摺り、リビングまで連れて行った。
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:55:17.80 ID:J+QqHeTuO
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:56:17.02 ID:J+QqHeTuO
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/07(日) 23:57:05.31 ID:J+QqHeTuO
容量落ちしたらスレ立てるよ
容量落ちしたらスレ立てるよ
まだ100ちょっとだから大丈夫でしょ
把握
じゃあ大丈夫かな
orzタワーって規制されるんじゃなかったっけ
JaneのIDあぼ〜んで一発KO
orzタワーとかAAをNGでいいでしょ
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:07:19.81 ID:u86PQGVe0
リビングで放り出すと、人形のようにぐったりと肢体を投げ出し、
古泉一樹がわたしを胡乱な眼で見上げる。
「乱暴、ですね…。お話というのは建前ですか?」
「違う」
「『彼』との会話で不都合でもありましたか?怒りを此方にぶつけるなら、もっと――」
手馴れてしまって、古泉一樹に対して乱暴な扱いになってしまうことに疑問すら差し挟まなくなっていた。
今のは拙かったかもしれない。
「違う。……本当に、そのためではない」
「では、何です?」
「………」
訊ねたかったことがあり、話したかったことがある。
けれど正直に、古泉一樹は打ち明けるだろうか。
素直な遣り方では、口を噤んでしまうかもしれない。
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:08:28.75 ID:a3dn2cLMO
いや容量落ち阻止のためにってことじゃないか?
容量落ちは500KBだから400越えるくらいまでは気にしなくていいさ
なんか自分が書いてたやつみてたら誤字がありすぎて…
ID u86PQGVe0は文つくるのうまいなぁ
というかひょっとして即興師か?
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:23:21.77 ID:u86PQGVe0
なら、……素直ではない遣り方で。
わたしは、仰向けになっている古泉一樹に迫り、
――上から、跨った。
「な、」
驚愕に固まっている彼に構わず手を伸ばし、彼の首筋へ包み込むように掌を宛がう。
血管を圧迫するように少しずつ指先に力を篭めていくと、脈打つ振動が、そこから皮膚を隔てて伝わってくる。
ゆるゆると、締め上げて。
呼吸が苦しくなり、表層が黒ずみ、やがては息絶えるまで。
古泉一樹の眼が、不意に、潤んだ。
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:24:46.41 ID:u86PQGVe0
>>281 いや、精進しなきゃと思うところが多過ぎて…
上手い人は本当に上手いからなあと思う
>>282 そんなご大層な人ではないですよ
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:24:49.76 ID:a3dn2cLMO
うわああああああああ
違ったか・・・
しかし急展開
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:35:29.47 ID:u86PQGVe0
「ぐっ、げほっ、がはっ、はぁ……!」
――ぎりぎりのラインを見計らい、締め上げていた手を離した。
自由になった気道に、一気に流入した空気に咽ぶ彼を、わたしは見下ろす。
「何故」
わたしは、もっと早くに訊ねてみるべきだったのだ。
自問し、意識のない彼に投げ掛けるのではなく。
「……何故、抵抗しないの」
今までとは一線を画している。今のは――下手をすれば、確実に命を喪う場面。
これまで死に至るような危害をわたしが加えては来なかったからといっても、
今回もそうであるとは限らない。
――彼の瞳から、一筋涙が溢れて落ちる。
生理的なものではなかった。
彼は、微笑み、泣いていた。
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:35:51.62 ID:gVvyeJ2sO
ほ
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:39:47.20 ID:dluuevxXO
C
PCが強制終了した…。
ちょっと待ってて下さいごめんなさい
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:51:52.95 ID:PwCOlPozO
私怨
しえん
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:53:29.85 ID:Ro0CdgHN0
o9
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:54:07.45 ID:a+nEk/SwO
長門「ここからはプライベート」
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:56:32.10 ID:q/urcI0a0
支援
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:57:16.44 ID:u86PQGVe0
「……死んでも、それはそれで……構わないかなと、思ったんですよ」
「……」
「あなたに殺されるならと。卑怯なことを、考えました」
そこにいたのは、毒を吐いていた彼ではなかった。
――古泉一樹。
長門にとっては毒にも薬にもならなかった、無害で、笑顔を愛する一人の男。
「……『死んでも良かった』から、『抵抗しなかった』?」
「死んでも、良かったというのも少し違います。あなたは……僕を殺すようなことはないだろうと思っていましたから。
ただ、結果的に例えそうなったとしても、それはそれだということです」
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 00:59:06.67 ID:u86PQGVe0
>>297 訂正
長門にとっては→長門有希という個体にとっては
PC<ふっかーーつ
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:06:05.55 ID:u86PQGVe0
微笑む彼からは、わたしにこれでもかと向けられていた負の念は掻き消えている。
演技はどちらだったか、その答は、こんなにも単純なものだった。
仲間総てに演技をし、長門有希のみに本性を晒したのではない。
前提条件が間違っている。
――演技をしていたのは、わたしに対してのみ。
「……僕の望みは、最初から一つだったんですよ」
綻ぶように微笑む古泉一樹が、わたしの首に両手を回す。
「僕を、見てほしい」
すばらしい
なんというデレツンデレ……GJ
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:12:49.23 ID:u86PQGVe0
僕を「認識」して欲しい。
僕の話を聞いて欲しい。
僕に、「感情」を向けて欲しい。
それが例えば憎悪でも、蔑視でも、ストレス発散のためのサンドバッグでも。
「礫のようなものでよかった。……あなたの視界に僕が居ないことは知っていました。
僕は、空気のようなものだった。素通りして、眼に留まらず、好意的対象でも嫌悪する対象でもない……。
あなたが「彼」を想っていることは知っていて、「機関」は僕に妨害を命じました。
最初はね、果たすつもりはなかったんです。そこまで、機関に干渉される謂れはないと思った。
だけれど、あなたに無視されたときに、思いつきました。
――これは、チャンスかもしれない、と」
あなたに何かしらの感情を、僕に対して生成して貰えるためのチャンス。
古泉一樹は、薄く笑う。
支援 素晴らしい
支援
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:24:43.34 ID:u86PQGVe0
「あなたが僕に憎しみを抱いていてくれている間は、あなたは、僕だけを見ていてくれましたから。
だから……嬉しかった。
殴られている間も、蹴られている間も。
嬉しくて……嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。はは、我ながら気持ちの悪い男ですね」
「……古泉一樹」
「僕の身勝手な感情に付き合わせてしまって、申し訳ありませんでした。
わざと、煽るような言葉を投げ付けて来たのは僕ですから、長門さんが気に病まれることはありません。
先程の探索のときに、……僕が幾ら悪役を演じてみたところで、長門さんには遠からず無視されてしまうだろうことを悟って……
此の侭続けても、どうにもならないだろうと思いました。ですから」
これで終わりにしましょうと、彼は締めくくる。
「僕は空気に戻ります。
もう長門さんが不快感に煩わされることもありませんよ。
……正直、心にもない言葉ばかり叫んできたもので、……疲れてしまいました」
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:27:20.61 ID:Gp0hahQvO
私怨
支援
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:38:39.86 ID:u86PQGVe0
瞼を閉じ、断罪に身を委ねようとする彼。
わたしは、初めて知った事項の多さに戸惑う。
あれだけの肉体的苦痛を味わいながら、それでも、わたしが眼を向けていたその事実だけで、
彼にとってそれが幸福な時間であったということ。
でも、
「それは違う」
わたしの否定に、彼は、閉じかけた蓋を再び開かす。
「………終わりには、できない。
――わたしの感情は、消えてはいないから」
支援
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:44:53.69 ID:a3dn2cLMO
寝ないと明日また遅刻だ
私怨
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:46:22.27 ID:u86PQGVe0
知ってしまったから。
彼がわたしを見ていたこと。
彼がわたしを望んでいたこと。
常日頃の微笑から絶やさずに、わたしを見守り続けていてくれたこと。
わたしを、組織を一度裏切ることになっても救うと、誓ってくれていたこと。
まだ、完全に失われてはいないから。
古泉一樹に抱いた憎しみのような、苛立ちのような形で、募っていったエラー。
既に、古泉一樹に何か不愉快な発言をされたから積もった、というようなレベルのものではなくなっている行き場のない靄。
「わたしはまだ、あなたに対する興味を失ってはいない。
わたしは、あなたを憎んでいる。
わたしは、あなたを……もう少し、知りたいと思っている。
あなたを知ることで、わたしの憎しみは深くなるかもしれない。
……もしかしたら、その逆かもしれない」
けれど、もう、古泉一樹は空気には戻れない。
わたしがそれを告げると、古泉一樹は、泣きながらも堪え切れぬように笑った。
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 01:55:50.29 ID:u86PQGVe0
「それじゃあ、長門さん。
……そのまま、憎悪と愛情を錯覚するくらい、僕を嫌いになってください」
古泉一樹が腕を引く。わたしは、引かれるまま彼に被せられる。
「……ならあなたは、わたしだけを見て」
わたしだけを見続けて。
「彼」がわたし以外の誰かを愛する日も。いつかわたしが壊れて消える日にも。
それがいつか、どうにもならない二人の約束になる。
電灯もつけていない広い室内で、――影が、重なった。
支援
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:16:20.30 ID:dluuevxXO
支援支援
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:17:47.58 ID:u86PQGVe0
///
「………長門さん、本当に使うんですか」
「男に二言はないはず」
「いえ、言い出したのは長門さんであって僕ではないんですが……」
買い物袋を抱えながら、微笑を湛えつつ青褪めた古泉一樹に、わたしは突きつける。
「大丈夫。使うのは金槌とロープだけ。蝋燭はまた今度にする」
「いえあの、マニアック過ぎませんか」
「拷問マニュアルは一通りこなした。マンネリは避けるべき」
「拷問にマンネリという概念があることに驚きです。あの、痛いんですよ。本当に、泣きそうなくらい……。
指磨り潰し器までで勘弁して下さいませんか。お願いします」
「……」
「そんなポーズでお願いされても、……まあ、ちょっとだけなら」
「認可を得た。やはり蝋燭も使用する」
「……」
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:25:08.48 ID:u86PQGVe0
肩を落とし、疲れたように微笑む彼の笑みは、わたしにざわつきを喚起する。
……靄のようなエラーは、晴れないまま。
わたしはあれからも結局拳を振り翳すことを止めず、彼はそれを受容している。
……それで、変わるものがあるだろうか。
何を紡ぐわけでもない関係性。
明滅するアラーム。SOS団の日常。来るべき訣別の未来。
わたしはまだ「彼」を想う。
一方で、わたしに不快なエラーを呼び起こさせながら、眼を離すことのできない存在を想う。
古泉一樹は、わたしを見ている。
わたしは、古泉一樹を見ている。
「……長門さん、もう少しお手柔らかにお願いします」
「……善処する」
――わたしは古泉一樹を憎んでいる。
その靄が転化する日が近いことを、わたしは今、感じている。
終わり
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:26:53.28 ID:u86PQGVe0
gdgd/(^o^)\
すみません、嘘つきました
もう少しで終わるとか言っといて何時間かかってるんだほんとすみません
お付き合いありがとうございました
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:31:07.64 ID:PuT0oQYGO
乙
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:40:44.41 ID:dluuevxXO
乙です
雨降って地固まるでFA?
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 02:47:18.08 ID:u86PQGVe0
>>320 概ねそんな感じです
影が重なった辺りで終わる予定だったのを無理やり付け足したので
後日談は余計でした
支援本当にありがとうございました…
おやすみなさい
追いついたと思ったらすでに終わっていた…な、何を言ってるのか(ry
古長が一番好きだ俺。乙だった
うーーーーーーーーーーーーむ
こういう形のSSも面白いかも…GJ
乙!
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 03:32:04.22 ID:anQBhmEIO
うん、すごくよかった!空気だったみくるがアレだから今度はみくる書いてみようかな
乙乙!
なんともなぁ
でも凄くよかった
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 04:45:05.42 ID:VBb1XdWKO
age
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 05:13:19.24 ID:iHei6lbzO
すごい文才だな
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 06:02:04.28 ID:qUEyE+kP0
ほ
おお乙でした!
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 07:51:20.32 ID:D52J6nTH0
朝まで残っていて嬉しい
乙でした
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 07:54:54.64 ID:GID9s+7L0
乙
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 08:43:02.23 ID:NuSFGt/XO
一応ほす
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 08:59:16.14 ID:R7sPNF5/O
ほっす
乙
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 10:32:05.42 ID:a3dn2cLMO
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 10:43:03.59 ID:yI4IXOULO
今更だが全部読んだ
古泉いいよ古泉。乙
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 11:41:46.97 ID:Yf7690FIO
今全部読んだ
乙
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/09/08(月) 12:14:46.86 ID:VCiv7ffHO
ほっほっほっ
さっさっさ