【ラノベ祭り】川 ゚ -゚)鶏の鳥瞰のようです【40】
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 16:48:30.87 ID:mWQ0xlOL0
('A`)「何時が初対面だっけ」
ぱしゃり、とまたシャッターの降りる音がした。
川 ゚ -゚)「ああ、基礎演習で何度か同じ机になったりしたな」
('A`)「……覚えてね」
川 ゚ -゚)「そんなことだろうな。私は覚えているが」
('A`)「う……、ごめん」
川 ゚ -゚)「まぁいいよ。そんな感じだ」
雑談をしながら、ぼんやりと空を見上げる。またぱしゃりとシャッター音がした。
曇り空独特の眩しさに目を細める。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 16:49:47.48 ID:t6m8y7Z+0
しえん
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 16:54:13.04 ID:mWQ0xlOL0
('A`)「大体、俺なんて撮って何が楽しいの」
川 ゚ -゚)「楽しくは無いな」
(;'A`)「楽しく無いのかよ」
川 ゚ -゚)「笑わないしな、お前」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……」
('A`)「……」
川 ゚ -゚)「……」
('A`)「ごめん、無理だった」
川;゚ -゚)「あ、努力してたのか、今の」
('A`)「してみたけど、なんか駄目だった……」
川 ゚ -゚)「いいよ、笑うな。そのままのお前でいい」
('A`)「お、漢らし……っ!」
今ちょっときゅんときた!
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 16:55:53.02 ID:t6m8y7Z+0
しえん
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 16:58:55.47 ID:mWQ0xlOL0
川 ゚ -゚)「と、言うわけでがんがん行くぞ!」
('A`)「い、行くのか……」
ぱしゃり、とシャッターが切られる。気恥ずかしいかと思いきや、沙緒に写真を
撮られるのには慣れたのか、案外恥ずかしくない。
ただ、楽しそうな沙緒が不思議に見える。
('A`)「初めて会った時さ、いきなりモデルになってくれとか言われたから、びびった」
川 ゚ -゚)「だから初めてじゃないと何度言えば分かるんだ」
('A`)「あ、いや……、ごめん」
川 ゚ -゚)「まぁいいよ、総集編だしな」
不機嫌そうにシャッターを切った。電子音くさい音がする。
空は見事な曇天だった。
あの日のように、曇天に心臓が押し潰されそうになる。ぎりぎりときつきつと肺が悲鳴を上げた。
急に胃が捩れ返り、冷や汗が米神を伝う。沙緒は不機嫌そうな顔のまま、デジカメを降ろした。
その視線は空を見上げている。
川 ゚ -゚)「話がまとまらない」
沙緒は俺を見て、またぱしゃりとシャッターを切った。
それをぼんやりと見つめながら、ああまただと胃の辺りを押さえる。
どろどろと濁った黒い生暖かい何かが分泌されて腹の中を浸食する。だらだらと意味も無く涙が流れていた。
素直の発言が分からない意味も込めて、首を傾げる。
頬を伝うのは欠伸を五連発した時のような、感情のない涙。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:02:35.72 ID:t6m8y7Z+0
しえん
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:02:47.18 ID:mWQ0xlOL0
沙緒がまたぱしゃりとシャッターを切る。慌てて涙を拭い取った。胃酸が喉を焼く。
川 ゚ -゚)「じゃあ、皆を呼ぶか」
沙緒は無表情に少しだけ楽しそうを載せて、言った。
('A`)「ああ、うん、もう良いのか?」
川 ゚ -゚)「……そうだな、一度、そこの柵に上ってくれ。天使っぽく」
('A`)「天使だったのか」
川 ゚ -゚)「設定はな。……陰気で死にたがりで黒い翼の、天使。
そのオブジェは天使の死体なんだ。友人の死体を後生大事に持ち歩いて、死にたい死にたいと漏らすんだ」
(;'A`)「な、なんちゅう嫌な天使だ」
川 ゚ -゚)「そして私が自殺しようとした所に現れて、『一緒に死んでいい?』とか言い出して、なんやかんやのうちに変な同居生活が始まる、所まで脳内受信した」
('A`)「受信したのか……」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:03:37.94 ID:XJVJyLKg0
支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:06:43.39 ID:mWQ0xlOL0
よいしょと柵に腰掛ける。足の先が床に着かない。少しだけ怖くて、少しだけ愉快だった。
川 ゚ -゚)「それで、なんかお前がそのイメージにぴったりだったから声をかけた、と言う訳だ」
('A`)「へえ……俺のイメージって一体……」
ひゅう、と風が誰かの吐息のように耳元をなぶった。
翼がはさりと鳴る。振り返るようにして後ろを見ると、地上五階の風景が心臓を犯す。
泣きそうになって、失敗して顔が歪むのが分かった。
顔を戻すと、沙緒は満足げにカメラを此方に向けていた。その背中に少しずれた内藤の落書きが重なる。
灰色の壁に一面広がるのは、左右対称の大きな両手。真っ白に塗られて、その五指を緩やかに開いている。手首の辺りから極端に細く曲線を描き、中間地点は斑に消失している。
さながら、翼。
カメラがあったら撮るのにな。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:07:09.10 ID:KW73TpHM0
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:09:35.43 ID:S4fadj7YO
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:10:46.40 ID:mWQ0xlOL0
川 ゚ -゚)「作品名は、……そうだな、『鶏の鳥瞰』といったところか」
('A`)「鶏は飛ばないから鳥瞰は無いだろ」
川 ゚ -゚)「だからだよ。ひとは飛ばないだろ?」
('A`)「……わかんね」
川 ゚ -゚)「そうかい。ならいいよ」
どろどろと心臓から黒いなにかがあふれ出す。沙緒は「これが終わったら焼き肉だな」と楽しそうに笑う。
風が俺の背中に生えた翼を煽る。よく考えたら結構恥ずかしい格好なのかもしれない。下から見られてたらちょっと泣ける。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:14:44.22 ID:S4fadj7YO
支援
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:14:50.11 ID:mWQ0xlOL0
('A`)「焼き肉か……」
川 ゚ -゚)「焼き肉が嫌なら、何にする?」
('A`)「そうだなー」
そのまま体重を後ろにかける。ぎぎぃと柵が悲鳴を上げた。
重力が翼を引く。視界が大きくひっくり返って、眩しい曇天を写した。
沙緒の目が大きく見開かれる。耳を割く様な高い声に名前を呼ばれる。細くて、けれど強い手がこちらに伸ばされた。それに向かって貧弱な手を伸ばしながら、思う。
もしも助かったら、焼き肉パーティをする前に沙緒に謝ろう。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:15:06.75 ID:t6m8y7Z+0
しえん
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:15:11.92 ID:XJVJyLKg0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:16:54.55 ID:XDR1K76R0
ええええええええ
支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:18:35.96 ID:mWQ0xlOL0
~~~
「どうしよう、ドクオが死んでしまった」
「どうしようとか言われても」
ドクオはつまらなそうに『友人』を抱き抱えて私の淹れたコーヒーを啜った。
私はパソコンに向かいっぱなしで固まっていた背骨を伸ばした。下から順にぱきぱきばきと気泡を吐き出す。
「なかなか良いネタだと思ったんだがな」
「先輩、怒るんじゃないか」
「むしろ怒るのはツンだろうな。書いておいてなんだが、正直存在意義が無い」
机の上におかれた私のマグカップをドクオにとってもらう。絶対に読ませないけれど、という前置きを作れば、登場させた友人達の反応を想像するのは中々に楽しかった。
先輩は「自分を美化するな……といいたいが現実に忠実だから文句が言えん……なにこれそういうプレイ?」とか言いそうだ。
渡辺さんは……まず、了読するのに三週間は掛かるな。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:20:52.13 ID:XDR1K76R0
なん・・・だと・・・
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:21:05.45 ID:t6m8y7Z+0
しえ、ん?
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:21:45.19 ID:mWQ0xlOL0
内藤は……、なんというんだろう?
「どうせなら」
ミルクも砂糖も入っていない、泥水のようなブラックコーヒーを飲んでいると、ドクオがぽそりと呟いた。
「この状況を小説にしたほうがおもしろいだろ」
ばさ、とこの世の材質にはあり得ないような翼を振ってみせる。自殺志願者の天使は、私が作中で私に脳内受信させた状況をおもしろいと形容するらしい。
全くナンセンスだ、と呟くと死にたい、と不機嫌そうにそいつはコーヒーを煽った。
私のとは違い、ミルクも砂糖もふんだんに投入されている。嫌がらせくらいに。
「そんな厨二丸だしな設定に食いつく奴が今時いるのか? え?」
「いや、いるんじゃないかな……」
びしり、とパソコンの画面を指差し、序に更新してる。文句やら続きを促す文やらがぱらぱらと表示された。
「ほう、君は彼らを愚弄するか。そんな頭の悪い設定に、惹かれるひとが居るとでも?」
「あ……、いや……、ごめんなさい」
「分かればよろしい」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:22:12.85 ID:XJVJyLKg0
なんだよかった のか?
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:25:00.60 ID:t6m8y7Z+0
劇中…作?
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:25:47.91 ID:mWQ0xlOL0
だれてしまったので『これで終わり』と入力して、書き込む。
まばらに読んでくれて居た人々がねぎらいの言葉や文句を言ってくれるのを数分眺めて、パソコンの電源を切った。
「君の性格はおもしろいから何とかその珍妙なステータスをどうにかしようと思って奮闘したんだがな、書きながら」
「ながら投稿だったのか……」
「祭りだしな」
「すっごい無謀だな」
コーヒーをずるずると啜る。
窓からさんさんと秋の陽が振り込んでいる。今日は休日だから、学校に行く必要も無い。
ツンと渡辺さんから遊びに行かないかとの誘いもあったが、面倒なので断った。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:27:59.96 ID:XJVJyLKg0
支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:28:18.58 ID:mWQ0xlOL0
いい天気だな、と呟くと、死にたくなるくらい良い天気だ、と帰ってきた。マンション五階の陳腐な鳥瞰を眺める。
作中の語り部のように、どろどろした黒いなにかが分泌されるのを感じながら、私は傍らのやる気の無い天使を小突いた。
そいつは黙って小突かれた。
「大体最後の方なんてもうやる気がそがれて削がれて会話文ばっかりだったしな」
「訳の分からん設定にするからだ。大体俺がもしも大学生だったら、モデルなんて引き受けない」
「そりゃそうだろうがね。その辺は改変しないと、話が成立しないだろう」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:31:00.78 ID:mWQ0xlOL0
ドクオはごとりと『友人』を床に降ろし、その表面を撫でた。丸で野球少年が使い込んだバットを労うような手つきで触り、肩を落とす。それから『友人』の頂点に着いた硬い硬質な翼の付け根を忌々しげに掴んだ。
彼の背中には片方の翼がゆらゆらと揺れている。できそこないなんだと格好つけて彼は言った。
「下らないものを書いてしまった。ああ、黒歴史だ」
「なら死ねば良い」
何の感慨もなく呟く彼の背中に「そうだな」と返した。
地上五階分の鳥瞰は、いつも通り陳腐で、詰まらなかった。
さて、明日は何をしようか、と考えながら窓を開ける。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:31:47.59 ID:mWQ0xlOL0
これで終わり
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:32:53.55 ID:t6m8y7Z+0
乙です。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:33:40.68 ID:XDR1K76R0
乙でした!
全部天使の書いた小説・・・?だったの?
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:34:39.81 ID:XJVJyLKg0
乙!
面白かった
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:34:47.56 ID:mWQ0xlOL0
支援有難う御座いました。
「徹夜のテンションでカオス書いてやるぜ」とか思ってたらなんか違いました。
忘れてたんだ……自分が徹夜をするとテンションガ下がる人種だと言うことを……
再度、こんなわけ分からんのに付き合ってくださいまして有難う御座いました
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:35:07.45 ID:S4fadj7YO
乙ー
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:36:53.37 ID:mWQ0xlOL0
>>82 えぇと、AAがついているのはクー作、ということになっています。
因みにクーは天使じゃなくて普通の芸大生です。芸大に行ったことないんでその辺の描写の適当さは目を瞑って下さい。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:38:05.56 ID:Ocump6sj0
乙!
楽しませてもらった
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:39:45.87 ID:St+zmsH4O
乙
鳥瞰図じゃね
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:39:51.40 ID:mWQ0xlOL0
因みに……後一作在るとか言ったら付き合ってくれる寛大な方、いますか?
全然上記とは関係ないんですが……
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:43:32.26 ID:XDR1K76R0
ばっちこい
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:45:04.69 ID:mWQ0xlOL0
>>89 そうなんですか?
>>91 ありがとうございます。
じゃあもう一気にだばっと行きます。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:45:19.63 ID:Ocump6sj0
読みたい
けど途中で「今日はここまでで寝ます」みたいになるならいや
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:51:53.53 ID:ca1hgkxFO
おっつー
次も期待
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:52:25.36 ID:mWQ0xlOL0
>>93 姉が後ろでのろいの波動を放っているのでそうなりそうです。
止めておきます
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:56:15.21 ID:Ocump6sj0
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:56:36.90 ID:mWQ0xlOL0
もう一本の方は30レス以内なので明日総合に投下します。
何か終ったら頭痛が痛くなってきました。基頭痛がしてきました
それではおやすみなさいです
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:57:01.85 ID:Ocump6sj0
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 17:57:37.18 ID:mWQ0xlOL0
>>97 ポケモンの攻略サイトが見たいそうです
そして多分そのままニコニコに飛びます、奴は
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 18:00:18.71 ID:Ocump6sj0
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 18:00:19.93 ID:ca1hgkxFO
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 18:07:38.63 ID:p8zxieTj0
>>100 共用です。ベットに入ってみたら何か目が明きました
pspからです。
>>101 あ、姉に萌えられた・・・
しかし寝ます
本当におやすみなさい
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
明日のスレのタイトルも
【ラノベ祭】でいいんだよな?