【NO.36】ノパ听)独立機動兵器V.I.P.Sのようです【ラノベ祭り】
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
投下しますよっと
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:45:08.19 ID:St+zmsH4O
文化レベルが地球より少し低い星、VIP。
この星唯一最大の大陸には三種のヒトが生息している。
すなわち
コサン人
ユトリ人
シンザン人
この大陸は円に近い形をしている。
その東の半円を支配する国がコサン人が治める国、クソコテ帝国。
西の半円を支配する国がユトリ人が治める国、キョーイク王国。
そして、大陸のちょうど真ん中に穴を空けたように存在する最小の国が、シンザン人を中心とした多国籍の国、ナレアイ共和国である。
今より10年前、それは起きた。
3月14日、公務のため移動していたキョーイク王国国王、エンシュリッツV世が暗殺される。
後の3・14事件である。
キョーイク王国の捜査班は犯人の青年を捕縛、コサン人の過激派と断定。
戦争が勃発した瞬間だった。
双方の戦力は拮抗しており、前線は膠着状態のまま、10年の歳月が流れた。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:47:08.52 ID:St+zmsH4O
―クソコテ帝国軍最前線基地―
( ´W`)「なあ」
(-@∀@)「なんだ」
( ´W`)「暇だの」
(-@∀@)「暇だな」
( ´W`)
(-@∀@)
( ´W`)「なあ」
(-@∀@)「なんだよ」
( ´W`)「最近流れてる噂知ってる?」
(-@∀@)「あぁ、大佐がカツラってやつだろ」
( ´W`)「え、そうなの」
(-@∀@)「そうらしい」
( ´W`)「へー」
(-@∀@)「うん」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:49:24.17 ID:St+zmsH4O
( ´W`)
(-@∀@)
( ´W`)「ってちげーよ、別の噂だよ」
(-@∀@)「そうか」
( ´W`)「最近さ、前線基地が壊滅しまくってるらしい」
(-@∀@)「え、マジ?」
( ´W`)「マジマジ」
(-@∀@)「でもマジなら俺らに公表されてんじゃね」
( ´W`)「それがよ、どうもキョーイク軍の仕業じゃないらしい」
(-@∀@)「うそくせー」
( ´W`)「正体不明機が確認されたとか何とか」
(-@∀@)「漫画かよ」
( ´W`)「本作品はノンフィクションです」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:51:48.91 ID:St+zmsH4O
(-@∀@)「でもよ、それがマジならやべーよな」
( ´W`)「あぁやばいな」
(-@∀@)「やばいやばい」
( ´W`)
(-@∀@)
( ´W`)「ところでよ」
(-@∀@)「何かね」
( ´W`)「正体不明機って、トラみたいな形してんのかね」
(-@∀@)「は? 知らねーよ。 何で?」
( ´W`)「いや、あそこに見えるのは何かなーって」
(-@∀@)「……トラだな」
( ´W`)「だよねぇ」
(-@∀@)「速いな」
( ´W`)「速いね」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:53:30.26 ID:St+zmsH4O
(-@∀@)「あ、管制塔やられた」
( ´W`)「あ、武器庫がやられた」
(-@∀@)「爆発したね」
( ´W`)「これ壊滅するんじゃね?」
(-@∀@)「するな」
( ´W`)「逃げるか」
(-@∀@)「うん」
( ´W`)「脱走は銃殺刑だけどな」
(-@∀@)「じゃあナレアイ共和国でも行くか」
( ´W`)「行きますか」
(-@∀@)「Good-byeクソコテ!」
( ´W`)「Helloナレアイ!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:54:00.95 ID:6MGV8/r5O
ゆるいなwwwww
支援
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:55:50.20 ID:St+zmsH4O
( ´W`)「あ、そうそう」
(-@∀@)「なんだよ」
( ´W`)「噂の正体不明機、通称があるんだよ」
(-@∀@)「へー」
( ´W`)「あれ見て思い出したわ」
(-@∀@)「なんつーの」
( ´W`)「たしか」
「閃光」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:57:38.45 ID:St+zmsH4O
―???―
('A`)「オーライ、オーライ、はいストップー!」
日の当たらない地下。
そこには兵があり、兵器があり、施設があった。
('A`)「お疲れ様っす」
その一角、一際目を引くのは獣のような四肢を持つ乗り物。
そのコックピットと思われる頭部から、人の頭が現れた。
ノパ听)「ぷはぁ、暑かったぁ!
……あれ? 君見かけない顔だね」
('A`)「新入りです、この度正式にあなたの専属オペレーター兼整備員になりました。
よろしくお願いします」
ノパ听)「ふむふむ、ハキハキ言う人は好きだよ。
これからよろしくね! えーっと」
('A`)「申し遅れました、ドクオです」
ノパ听)「あたしはヒート、改めてよろしく! ドクオ」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:00:41.69 ID:St+zmsH4O
この大陸の国の位置は、ドーナツを思い浮かべるとわかりやすい。
ドーナツの穴の部分にあたる地域がナレアイ共和国である。
この戦争、ナレアイ共和国は中立の立場を表明している。
が、あくまで中立は中立である。
双方の国の間という、戦略的に非常に重要な位置にあるこの国は、いつ侵略されてもおかしくはない。
しかし中立という立場上、過剰な戦力は持つことができない。
そこで政府は、秘密裏に独立部隊を設立した。
それこそがこの地下基地に駐屯する部隊、《VIPS-ZERO》である。
('A`)「いやしかし、これは素晴らしい兵器だ、恐ろしいとも言えます」
ノパ听)「……V.I.P.S」
('A`)「
Vanguard
Independent
Perils
Scheme
(危険な独立先兵計画)
頭文字だけとったら星の名前と同じになるなんて、洒落てますね」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:02:02.16 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「……」
ヒートは見上げる、自らの機体を。
('A`)「我が国の科学の結晶です。
ですが私は怖いのです、もしこれが他の国にも渡った時のことを考えると」
ノパ听)「ドクオ君」
('A`)「はい」
ノパ听)「私は、怖くは思わない」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:03:49.15 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「兵器は恐ろしいものじゃない、本当に恐ろしいのはそれを扱うヒトなんだよ」
('A`)「理屈はそうですが、楽しい玩具が目の前にあれば、遊びたくなるのがヒトってもんです」
ノパ听)「そうだね、だからあたしは、早くこの戦いを終わらせたい。
兵器を、恐ろしい物としてでなく、希望への道標として使いたい」
('A`)「……ヒートさんならできます、きっと」
('A`)「なんたって、うちのエースですからね」
ノパ听)「……ありがと
さて、あたしは休憩してくるから何かあったらコールして」
('A`)「初整備、頑張りますよ」
ノパ听)「ん、期待してる」
夜は更けていく。
翌日、クソコテ帝国軍に第6前線基地壊滅の報が入った。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:05:41.56 ID:St+zmsH4O
VIPPERSの主な任務は哨戒及び隠密行動である。
最近は過度に国境付近まで接近している前線基地の殲滅なども行っている。
ノパ听)「こちらP1、目標を視認した」
Pとはパンサー、つまり彼女ののり機体の通称である。
P1でパンサー1号機という意味だ。
ちなみにパンサーは全部で4体がVIPPERSに配備されている。
('A`)「了解、P1は作戦通り行動せよ。
なお、傍受の恐れがあるため、これ以降の通信は許可しない」
ノパ听)「りょー……かい!」
ヒートはアクセルを全力で踏み込み、一気に最高速度へと加速する。
ノハ;゚听)「く……つっ」
パンサーは四肢を持つ独立機動兵器である。
移動手段は四肢を動かしたり、内蔵の車輪を使ったり、ブースターを使ったりと多岐に渡る。
中でもブースターを使った瞬間最高速度は400km/hと、F1カー並みになる。
ノハ;゚听)「いっ……くぞおぉぉぉぉ!」
侵入者を知らせるサイレンの音が夜の基地に鳴り響いた。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:07:38.91 ID:St+zmsH4O
《VIPS-ZERO》の主な任務は哨戒及び隠密行動である。
最近は過度に国境付近まで接近している前線基地の殲滅なども行っている。
ノパ听)「こちらP1、目標を視認した」
Pとはパンサー、つまり彼女ののり機体の通称である。
P1でパンサー1号機という意味だ。
ちなみにパンサーは全部で4体がVIPPERSに配備されている。
('A`)「了解、P1は作戦通り行動せよ。
なお、傍受の恐れがあるため、これ以降の通信は許可しない」
ノパ听)「りょー……かい!」
ヒートはアクセルを全力で踏み込み、一気に最高速度へと加速する。
ノハ;゚听)「く……つっ」
パンサーは四肢を持つ独立機動兵器である。
移動手段は四肢を動かしたり、内蔵の車輪を使ったり、ブースターを使ったりと多岐に渡る。
中でもブースターを使った瞬間最高速度は400km/hと、F1カー並みになる。
ノハ;゚听)「いっ……くぞおぉぉぉぉ!」
侵入者を知らせるサイレンの音が夜の基地に鳴り響いた。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:08:23.21 ID:St+zmsH4O
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:09:18.60 ID:l2X8ZGqgO
しえ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:10:22.23 ID:St+zmsH4O
武装はいたってシンプル。
両肩に30mmバルカン砲。
コックピット左右に小型ミサイルランチャー8門。
そして白兵戦用のヒートクローである。
バルカン砲とミサイルランチャーは着脱式なので、使いきれば捨てていく。
ノパ听)「く……このっ……!」
何台目かのトーチカ(※1)を破壊する。
さすがのヒートも疲れが見え始める。
しかしただでさえ視界の悪い夜襲、機体色がブラックのパンサーには有利に働く。
「ええい、敵はどこだ!」
「見失いました!」
「レーダーを使わんか!」
「駄目です! ビーコン(※2)全滅!」
「信じられん……これでは圧倒的ではないか!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
ノパ听)「管制塔……撃破!」
※1鉄筋コンクリートで円形・方形・六角形などに作り、機関銃、火砲などを備えた堅固な防御陣地。
※2レーダーを管理する装置。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:13:00.67 ID:St+zmsH4O
('A`)「お疲れ様です」
ノパ听)「……」
('A`)「どうしました?」
ノパ听)「いや……」
ヒートはパンサー1から飛び降りると、壁にもたれ掛かるように座り込んだ。
('A`)「僕でよければ」
相談にのる、と。
隣に座り込む。
ノパ听)「……」
ノハ )「あたしは本当に正しいんだろうか」
('A`)「……」
ノハ )「見たんだ、管制塔を破壊する直前、中にいる人を」
ノハ )「目が、あった。
とても怯えていた」
ノハ ))「改めて実感したんだ……
あたしは人殺しだと」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:14:58.26 ID:St+zmsH4O
('A`)「ヒートさん……」
ノハ;;)「なぁ! 教えてくれよ! 私がやってることは正しいんだよな!
間違っていないよな!」
('A`)「……僕達には、正しさなんてないんです」
('A`)「それぞれが、己の正義を貫くために戦う、それが戦争です」
('A`)「あなたが、あなた自身が、自分の正義を信じられなくてどうしますか」
ノハ;;)「あたしの……正義」
('A`)「あなたが己の正義を信じられなくなること、それはこれまでの犠牲は全て無駄になるということ!」
('A`)「だから! あなたは! 己の正義を信じなければならない!」
('A`)「自分を信じろ! 素直ヒート!」
ノハ;;)「素直……」
それは過去に捨てた名前
家族の、名前
何故……
('A`)「今は話せません……しかし、いつか、必ず」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:16:38.98 ID:St+zmsH4O
ここでいったん休憩
以下世界観の補足説明
・大陸は一つだが、小さな諸島は点在する。
・核兵器は存在しない。
・兵器の水準は地球でいうと1930年代くらい。
・レーダーはある。
・コンピューターもそこそこ進んでいる。
・脳波の研究がかなり進んでいる(ナレアイ共和国限定)
・パンサーの全長は約5m。
その他、ここまででわかりにくかった所があれぱ出来るだけ答えますよん。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:25:41.86 ID:St+zmsH4O
ないようなので
閑話休題
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:28:44.00 ID:St+zmsH4O
―《VIPS-ZERO》格納庫―
ノパ听)「ん? ドクオ君、どしたの?」
いつもは機体の整備に忙しいドクオは、シミュレーターの基盤を開けていた。
('A`)「あ、ヒートさん、お疲れさまです」
ノパ听)「故障でもしたの?」
シミュレーターは四台ある。
元々パイロット同士のチームプレイや、模擬戦、練習用に作られたが、最近は埃をかぶっている。
('A`)「いえね、とうとうアレが完成間近なんで、アップデートするためにプログラムをインストールしてたんですよ」
ノパ听)「アレが……」
('A`)「そうだ、ヒートさん」
ノパ听)「ん?」
('A`)「せっかくなんで、テストプレイを兼ねて模擬戦してくれませんか?」
ノパ听)「いいけど、ドクオ君操縦できたっけ」
('A`)「整備士ですからね、ある程度は」
ノパ听)「ん、りょーかい」
('A`)「では、設定するんで2番機にどうぞ」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:31:28.57 ID:St+zmsH4O
ナレアイ共和国は、小国ながらその科学力はズバ抜けていた。
なかでも特に盛んな分野は脳波である。
近年、ある科学者が脳波を記号化することに成功、だがその成果は世に出ることはなかった。
軍事利用である、脳波による機械操作は、これまでにない精密な動きを可能にした。
ノパ听)「準備おっけー」
('A`)「では、いきます!」
シミュレーターの模擬戦とはいえ、ヒートは手を抜かない。
手を抜くということは相手への冒涜だと思っているし、何よりいいデータが得られないからだ。
ノパ听)「市街戦……夜戦で、霧もあるね」
夜戦はパンサーの得意とするところだが、市街戦は若干苦手である。
本来一撃離脱を目的とした黒の豹は、音を立てないよう、内蔵車輪で慎重に市街の道路を進んだ。
ノパ听)「レーダーは……妨害電波が酷いな……サーマルか……いや、ソナーでいこう」
センサーをソナーに切り替え、一旦停止する。
排熱の後、あたりに静寂が訪れる。
ノパ听)「さぁ……くるならこい」
ソナーに反応はない……
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:32:36.53 ID:C/o0Wk4hO
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:34:15.27 ID:l2X8ZGqgO
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:34:33.87 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「……」
息づかいが上がっていくのが自分でもわかる。
いやな感じだ。
理屈ではなく、肌がピリピリとする。
ざわ
ノパ听)「くる!」
直感だった。
ソナーに移ると同時、音源に対し2門のバルカンが火を噴いた。
ノパ听)「っ!」
破片。
そこには敵影はない。
('A`)「そこか!」
ノパ听)「……っ、上!」
反射的に顔を上げる。
シミュレーターによって構成された月、その光を背景に、ヒトガタの影が舞い降りた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:37:31.27 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「しまった!」
とは言わない。
言葉より速く、体が反応する。
('A`)「もう遅い……っ」
自由落下に合わせ、ヒトガタの機体は豹の背に降りかかる。
ちょうど乗馬をとるかのように腰でしっかりとのし掛かった。。
('A`)(マウントポジション…もらった!)
ノハ )「……ぃ」
ヒトガタは腰から50cmほどのナイフを取り出し、両手で逆手に振り下ろした。
ノパ听)「あまぁぁぁぁぁぁぁい!」
('A`)「もらっ……!?」
ナイフは振動しつつパンサーの背を削り、内部まで深くえぐり込んだ。
ドクオは知っている、そこに動力パイプがあることを。
ドクオは知っている
パンサーの頭部は脱出ポッドであることを。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:40:07.57 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「惜しかったね」
小型ミサイルランチャーは、脱出ポッドに付随している。
ドクオの目の前は真っ赤に染まり、シートに微弱なバイブレーターが振動した。
ノパ听)「ふー、危なかったぁ」
('A`)「まったく、どこがですか。
こっちはぬか喜びもいいとこでしたよ」
ノパ听)「ごめんごめん」
('A`)「しかし、やられましたね。
ソナーを使ってくると思い、ダミーの小石を投げましたが」
ノパ听)「うん、引っかかったよ、まさかそんな小細工をしてくるとは思わなかったし」
('A`)「整備士は技術がない分、頭でカバーしませんと。
とてもじゃありませんがエースには勝てませんから」
ノパ听)「にしても、いい機体だね」
('A`)「……サイクロプスですか」
ノパ听)「うん」
('A`)「パンサーは一撃離脱を目的としてますが、サイクロプスはいわば万能型です」
('A`)「よければ少し説明しましょう」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:43:30.92 ID:St+zmsH4O
('A`)「ご存知のとおり、パンサーは脳波を利用した兵器です」
('A`)「極端な話、頭で“動け”と思っただけで動きます。
実際、開発当初はそういう機体でした」
('A`)「しかし、脳波で機体をコントロールするのは非常に難しい。
そこで、脳波で武器のみを操作できるようにしました」
ノパ听)「そして完成したのが」
ドクオは無言で頷く。
('A`)「パンサーです」
('A`)「さて、本題に入ります。
最新の研究により、脳波をより効率的に伝達する方法が明らかになりました」
ノパ听)「まさか……」
('A`)「そう、人の型に近づけることです。
これにより、従来を遙かに上回る脳波伝達率を可能にしました」
('A`)「まさに、私たちが普段生活するように、簡単に操作ができるのです」
ノパ听)「とんでもないな」
('A`)「ええ、全く」
('A`)「恐ろしい……」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:46:14.91 ID:St+zmsH4O
―《VIPS-ZERO》作戦会議室―
( ^ω^)「……僕は反対ですお」
P2パイロット ブーン少尉
川 ゚ -゚)「私は賛成だ、理にかなっている」
P3パイロット クー少尉
( ^ω^)「しかし!」
「まぁまぁ」
( ・∀・)「ヒート少尉の意見を聞いてみようじゃないか、ブーン少尉」
P4パイロット モララー大尉
ノパ听)「……あたしは構いません」
P1パイロット ヒート少尉
( ^ω^)「……やっぱり、賛成できませんお、危険すぎます」
( ゚д゚ )「もう一度確認しよう、まず、近々クソコテとキョーイクの大規模な衝突が起きる、これはいいな」
《VIPS-ZERO》隊長 ミルナ少将
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:48:27.19 ID:Ga0NtLHq0
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:48:46.75 ID:St+zmsH4O
( ゚д゚ )「我々はこれを機に両国に電撃作戦を仕掛ける。
その先遣隊として出動する」
( ゚д゚ )「そして……防衛の厚いクソコテ側にP2、P3、P4を、キョーイク側にP1を派遣しようと思う」
( ^ω^)「やはり、危険だと思いますお、ここは2:2に」
川 ゚ -゚)「ブーン少尉、現実を見ろ、キョーイク側は1機でも何とかなる可能性はある。
しかし、クソコテ側が2機となると、99%作戦遂行は不可能だ」
( ^ω^)「しかし……しかし!」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:50:20.89 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「ブーン少尉」
( ^ω^)「……はい」
ノパ听)「あなたは優しすぎる」
( ^ω^)「……」
ノパ听)「軍隊では、それは時に、はっきり言って邪魔になります」
( ^ω^)「っ……」
ノパ听)「あたしは好きですけどね。
ブーン少尉のそういう所」
( ^ω^)「少尉……」
ノパ听)「あたしは大丈夫です。
死にません、負けません」
ノパ听)「約束します」
( ^ω^)「わかり……ましたお」
( ゚д゚ )「決定だな、詳細は各自専属オペレーターから聞いてくれ。
では解散!」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:52:21.31 ID:St+zmsH4O
―廊下―
川 ゚ -゚)「ヒート少尉」
ノパ听)「はい」
川 ゚ -゚)「その……」
川 ゚ -゚)「死ぬなよ」
ノパ听)「はい、死にません!」
川 ゚ -゚)「ん……じ、じゃあな」
ノパ听)「……」
( ・∀・)「悪い子じゃないんだよ」
ノパ听)「うわ! びっくりするじゃないですか、大尉」
( ・∀・)「不器用だからなぁ、彼女。
付いたあだ名が鉄の女」
ノパ听)「……今回の任務、あたしで務まるのでしょうか」
( ・∀・)「いつになく弱気だね、大丈夫、君は僕よりずっと強いさ」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:55:16.22 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「あたしは、まだまだです、技術も、戦略も、大尉の足元にも及びません」
( ・∀・)「そうかなぁ」
ノパ听)「……そうですよ」
( ・∀・)「ま、僕は準備をしてくるよ」
ノパ听)「はい、どうかお気をつけて」
( ・∀・)「お互いにね」
( ^ω^)「お、ヒート少尉」
ノパ听)「あ、ブーン少尉」
( ^ω^)「今話してたのは、モララー教官かお?」
ノパ听)「プッ」
(;^ω^)「あ」
ノパ听)「また間違えてますよ」
( ^ω^)「どうも、士官学校生時代のことが忘れられないようですお」
ノパ听)「あたしもたまに間違えます」
( ^ω^)「おっお」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:57:46.73 ID:St+zmsH4O
( ^ω^)「……」
ノパ听)「……大丈夫ですよ」
( ^ω^)「お」
ノパ听)「あたしは一人じゃありません、多くの仲間と一緒に戦っています。
それは、たとえ一人、戦場にいる時でもです」
( ^ω^)「はい」
ノパ听)「では、お互い、作戦に向けて」
( ^ω^)「準備に入りますかお」
ノパ听)「生きて」
( ^ω^)「帰るために」
拳と拳をあわせ、二人はおよそ死地に向かう前ではないような、安らかな顔で自らの場所に別れていった。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:59:42.30 ID:St+zmsH4O
―キョーイク王国、国境―
「止まれ! そこのトラック」
( ^Д^)「へい」
「検問だ、内容物は何だ」
( ^Д^)「いやー、内容物ですか」
「さっさと言わんか!」
( ^Д^)「まぁまぁ、飴でも如何ですか」
( ^Д^)「鉛のね」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:01:38.04 ID:St+zmsH4O
ノパ听)「銃声……」
合図だ、後続のトラックから次々に歩兵が溢れ出す。
そして、自らも
ノパ听)「P1、出るぞ!」
トラックの上部、予め破りやすくしていたハリボテを突き破り、漆黒の豹が空に舞った。
補助のロケット推進材を点火。
加速
加速
空を突き抜ける。
ノハ;゚听)「首都まで、約五分ってところか」
凄まじいまでのGが全身を打つ。
ノハ;゚听)「速く……もっと速く!」
西の空に、黒い閃光が走った。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:03:54.77 ID:St+zmsH4O
ノハ;゚听)「ドクオ君」
『はい』
ノパ听)「もう一度作戦を確認する」
『どうぞ』
ノパ听)「あたしは単独首都へ入り、対空砲をを全基破壊、いいね!」
『はい、情報によると、対空砲は全てで36基あるそうです』
ノパ听)「りょーかいっ!」
『そろそろ目的地のはずです、僕がカウントをするので、それに会わせて推進材を切り離してください』
『5……4……3……2……1……リリース!』
ノパ听)「くぅぅぅぅぅ!」
減速により、Gが弱まる。
同時に、首都を肉眼で捕捉する。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:06:02.73 ID:St+zmsH4O
ノハ#゚听)「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
一閃
爆発
一閃
爆発
ひと月あたり13
ヒートが担当していた地区で壊滅した前線基地の数である。
あまりの速さ、あまりの強さに、まるで閃光の走ったように破壊を繰り返す豹の姿は、そのうち“閃光”の名で呼ばれるようになる。
ノハ#゚听)「10!」
対空砲は思ったよりも散在しており、探し出すことのほうが骨が折れた。
ずぅん、という音と共に、何かが迫った。
ノパ听)「しまっ」
着地の瞬間を狙われた!
爆炎が、粉塵を巻き上げた。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:08:21.15 ID:St+zmsH4O
ノハ;゚听)「くっ」
やられた。
ノパ听)「まだ……まだぁぁぁぁぁ!」
まだ、バルカン砲がやられただけだ。
そう、言い聞かせた。
ヒートは突貫する。
自らのと同じ名を持つ武装、ヒートクローを使い。
高速で対空砲の横を通り過ぎる。
軽く撫でるだけで、高速で移動する物体は砲を溶かし斬る。
ノハ#゚听)「死ねるか、死ぬもんか、あたしは、あたしは死なんぞぉぉぉぉぉぉ!」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:11:24.55 ID:St+zmsH4O
ノハ;゚听)「はぁ……はぁ……くっ……」
36基
破壊した
『すごい……』
ノハ;゚听)「これで、終わりか」
『はい、お疲れさまで……え? なに! そんな!』
ノハ;゚听)「どうした!」
『信じられない……』
ノハ;゚听)「ドクオ君!」
『ミサイル発射基地です、巧妙に隠されていたようですが、たった今偵察機が確認しました。
スタジアムの屋根が開いたようです。
発射をすると仮定して、予想残り時刻はあと1分……いや、いつ発射されてもおかしくありません!』
ノハ;゚听)「くっそぉぉぉぉ!」
『ヒート少尉! 駄目です、あなたにはもう武装は残っていない!
ヒート少尉!』
ノハ;゚听)「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:13:03.37 ID:St+zmsH4O
見つけた
スタジアム
ブースターを全開にして跳躍
オーバーヒート?
かまわない
あたしに残された武装は、ヒートクロー
あ
バッテリー切れ
ヒートクローさえも使えなくなってしまった
……
仕方ないなあ
ごめん
ブーン少尉、クー少尉、モララー大尉
そして、ドクオ君
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:16:05.24 ID:St+zmsH4O
約束、守れないかも
(;'A`)「ヒート少尉いぃぃぃぃぃぃぃ!」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:18:32.40 ID:St+zmsH4O
ずずぅん、と、大地が震えた。
そして、遥か西の空、巨大な黒雲が立ちのぼった。
('A`)「あ……ぁ……」
「突撃ぃぃ!」
周りでは占領隊が慌ただしく動いている。
そうだ、彼女の死を無駄にしない為にも、頑張らないと。
('A;)「頑張らない……と」
(;A;)「がんば……」
(;A;)「ヒート少尉……」
(;A;)「ヒート少尉……」
(;A;)「ヒート少尉いぃぃぃぃぃぃぃ」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:21:29.05 ID:St+zmsH4O
『……ぁ…………ぃ』
(;A;)「?」
『なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
(;A;)「び」
(;A;)「びぃどじょうい゛い゛ぃぃ!!」
『なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
(;A;)「いぎでばず! びぃどじょういがいぎでばず!」
『生きているさ!』
『あたしは生きているぞおぉぉぉぉぉ!』
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:25:13.73 ID:St+zmsH4O
―占領地帯、仮陣地―
('A`)「ヒート少尉!」
ノパ听)「ふぅ〜、間一髪たぁ、このことかな」
('A`)「一体どうやって!」
ノパ听)「あぁ、あたしもな、死ぬかと思ったよ。
特攻なんてね」
ノパ听)「でも、死にたくない……そう思ったんだ、そしたら脱出ポッドが作動してた」
('A`)「そんな、脱出ポッドは手動です、脳波では操作できません」
ノパ听)「でも、あたしはここにいる」
('A`)「……」
ノパ听)「ねぇ」
('A`)「はい」
ノパ听)「……ただいま」
('A`)「……」
「おかえりなさい!」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:29:00.46 ID:St+zmsH4O
―epilogue―
('A`)「そうだ、クソコテ側チーム、無事首都の占領に成功したそうです」
ノパ听)「おぉ!」
('A`)「しかし……」
「き、緊急連絡!」
('A`)「どうしました、そんなに慌てて」
「ナレアイが……ナレアイ共和国が……」
「壊滅しました!」
〜fin〜
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:36:25.27 ID:yAfX3TJU0
なんでこんなに続きが気になる終わり方するの?ばかなの?続き書くの?
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:39:39.93 ID:St+zmsH4O
やっと\(^o^)/
>>49 続きは書こうとは思います。
世界は同じで、主人公を変えてですが。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 03:07:38.04 ID:St+zmsH4O
さて、寝ますか
面白い
保守