1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
代理じゃーい
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:07:58.44 ID:wQTADkWlO
ラノベ祭りだよー\(^o^)/
短い短いSS(ショートショート)ばっかり8つほど投下していくよー\(^o^)/
ものすごく短いのもあるけどあしからずー\(^o^)/
ちなみに全然連作とかではなくて8つとも全然別の話だよー\(^o^)/
じゃあ一つ目\(^o^)/
絵:No.42
タイトル:('A`)細い目の少年のようです
3 :
42 ('A`)細い目の少年のようです:2008/08/30(土) 00:14:12.69 ID:wQTADkWlO
その少年の細い目は、見る者を刺す針のようだった。
刺々しく硬い。
('A`)「で、依頼は?」
半ズボン、半袖シャツにベスト。履き馴れた感じのスニーカー。
およそ普通の少年だ。
強いて挙げるならやや細身の。
窓際に腰掛けた、ごく一般的な少年。
だが、視線が本当に痛みを覚えそうなほど鋭い。
(´・ω・`)「この女を殺してくれないかね」
('A`)「ん、わかった」
(´・ω・`)「随分簡単に承諾するな」
('A`)「……だから死神って呼ばれてるんだ」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:16:15.65 ID:N8FVK2KY0
よくわかんないけどあげてみるか
5 :
42 ('A`)細い目の少年のようです:2008/08/30(土) 00:22:32.78 ID:wQTADkWlO
渡された一枚の写真をかざして見ながら何の気なしに少年は答える。
差し込む光が彼の髪を茶色に透かした。
少年―――ドクオは死神の異名を取る殺し屋だった。
毒薬、銃殺、事故、頸椎捻挫、溺死、エトセトラエトセトラ。
殺しの方法は自由に選べる。
わずか15才の天才少年。
死神ドクオ。
依頼主のショボンは視線が自分から外れたことに内心安堵しながら溜め息をついた。
('A`)「希望の方法は?」
(´・ω・`)「なるべく不自然じゃない形で頼む」
('A`)「ふぅん……分かった」
6 :
42 ('A`)細い目の少年のようです:2008/08/30(土) 00:26:22.97 ID:wQTADkWlO
写真から目を上げずにドクオは答える。
(´・ω・`)「金は成功報酬でいいな?」
('A`)「別にいいよ……あ、コーヒーでも飲む?」
ドクオが突然思い立ったかのように言い出した。
返事も聞かずに近くの棚にあったポットに手を伸ばす。
(´・ω・`)「い、いや。遠慮しとくよ」
ショボンは不意の誘いに一瞬動揺を見せたが、一刻も早くドクオの前を去りたい一心から断った。
('A`)「そうかぁ……残念だな」
ドクオは伸ばしかけた手を引っ込めて溜め息をついた。
一瞬何かを思い悩む表情を作る。
(´・ω・`)「なにが残念なんd」
どさっ
ドクオが数メートルあった距離を一瞬で詰めた、その瞬間ショボンが崩れ落ちた。
7 :
42 ('A`)細い目の少年のようです:2008/08/30(土) 00:29:28.70 ID:wQTADkWlO
ドクオの手にはアイスピックのような細くて長い針。
ショボンの首にたった今打ち込まれて、たった今抜き取られた紅い針。
('A`)「ごめんね。あんたに恨みはないんだけど」
その呟きはショボンには届かない。
ドクオに一瞬にして延髄から貫かれて絶命したショボンには届かない。
('A`)「その写真の女の人、2日前にあんたを殺すように依頼して来たんだよ」
念の為針を今度はショボンの左胸に打ち込む。
('A`)「でも色々な手間が省けて助かったよ」
もう一度ドクオはごめんね、と呟いてショボン―――だったモノを片付けるために動き始めた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:35:01.22 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
あげてくれた人ありがとうございます。
じゃあ二つ目
絵:No.007
タイトル:川д川ガラスの森のようです
9 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:37:25.81 ID:wQTADkWlO
意識が覚醒すると視界は全て白かった。
否、全て黒かった。
目に映る……?
目に映る景色が黒い森にかかる白い霧だと判るまでにはほんの数秒で良かった。
―――私は何故ここにいるのだろう。
だがどうにも動く気にはならず、なれず、貞子はそのまま立ち尽くしていた。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:38:13.07 ID:BWJkySyUO
なんかよくわからんがあげるか
11 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:38:55.48 ID:wQTADkWlO
霧が薄明るくなって朝が来た。
霧に光が溢れて昼が来た。
霧に翳りが手を差し伸べて夕方が来て、
霧を闇が覆い尽くして夜が来た。
貞子は白いしっとりした空間に立ち尽くしていた。
空っぽの心で。
何も思わず、何も感じず。
空腹も疲れも無い。
悲しみも恐れも無い。
喜びも楽しみも無い。
幸せも怒りも無い。
空っぽの、心で。
立ち尽くしていた。
12 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:40:57.32 ID:wQTADkWlO
霧に黄金色の陽が差して朝が来た。
霧へ木漏れ日を連れて昼が来た。
霧が赤く染まって夕方が来て、
霧が蒼く変わって夜が来た。
白く冷たい空間を人は誰も通らなかった。
生き物の気配すらしなかった。
ただ木や草の呼吸音と、水を吸い上げる音だけがあった。
酷く掴み所のない霧の中を幾つもの朝が過ぎた。
酷くあやふやな霧の中を幾百もの昼が過ぎた。
酷く不安定な霧の中に幾千もの夕方が過ぎて、
酷く寂しい霧の中を幾億の夜が過ぎて行った。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:41:37.58 ID:qmQJd7ZH0
書き溜めてないのかな支援
14 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:42:44.59 ID:wQTADkWlO
貞子は白い霧と黒い森の中に立ち尽くしていた。
―――私は何故ここにいるのだろう
時折かすめるその疑問を深く考えることは無かった。
考えてはいけない気がしたから。
考えることに、意味を感じなかったから。
15 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:43:56.60 ID:wQTADkWlO
数え切れないほど迎えた朝と同じ朝が来た。
星の数ほど迎えた昼と同じ昼が来た。
気が遠くなるほど迎えた夕方と同じ夕方が来て、
終わらないかと思うほど迎えた夜と同じ夜が来た。
その夜更け。
かさり
白い世界を震わせる音が鳴った。
16 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:45:00.85 ID:wQTADkWlO
かさり
かさり
貞子はゆっくりと白い黒い森の奥に、音の方に注意を向ける。
17 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:46:17.53 ID:wQTADkWlO
かさり
かさり
かさり
白い霧が一瞬揺らめいた。
ざっ
(・∀ ・)「はじめまして」
―――はじめまして
笑顔の少年が白い霧から現れた。
18 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:47:29.77 ID:wQTADkWlO
(・∀ ・)「思ったよりここ来るの大変だったよ。あなたそんな細いのに良く来られたね」
―――………
(・∀ ・)「というか綺麗じゃない。なんでこんなことになったのさ」
―――………
(・∀ ・)「……せっかく来たのに無視しないでよ」
―――なに?誰?
突然親しげに話し掛ける少年に貞子は困惑する。
長く永く貞子と霧と木と草しか居なかった空間に現れた少年。
さも当たり前のように話し掛ける少年。
19 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:49:11.23 ID:wQTADkWlO
(・∀ ・)「誰、といえば名前を答えればいいの?
僕はまたんきだけど。あ、君は?名前は知らないんだよね」
――さだ、こ。貞子。
(・∀ ・)「貞子っていうの、いい名前じゃない。サ行の名前好きだよ」
―――そう
会話が途切れて沈黙が舞い降りた。
―――だから、何しに来たの?
沈黙を破ったのは貞子だった。
(・∀ ・)「え?あなたに会いに」
―――私、に?
その返答は酷く不思議で酷くおかしく聞こえた。
この森に独りで、誰か訪ねてくるなんて。
20 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:50:40.27 ID:wQTADkWlO
(・∀ ・)「だってあなた、寂しいんでしょ?」
―――え?
(・∀ ・)「寂しいんでしょ?だって泣いてるもの」
またんきがそう言うと、東の空が明るくなって朝が、
朝が、朝が来た。
光が差し込むにつれ霧が晴れ、鳥のさえずりが聞こえる。
(・∀ ・)「ねえ、僕はなんであなたがここにいるかは知らない」
またんきは貞子を真っ直ぐ見て言葉を紡いだ。
21 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:52:17.82 ID:wQTADkWlO
(・∀ ・)「知らないからあなたの根本的な悲しみは取り除けない。
でも、あなたはそれにしても寂しすぎる」
鳥の声が、ウサギが、リスが、ネズミが、虫達が、森の命が目を覚ます。
木々も草も花も朝日を求めてざわめきだす。
(・∀ ・)「森はこんなに生きてるのに、あなたは全てを拒絶して冷たくしてるんだもの」
川д川「わたっ私はっ」
(・∀ ・)「泣かないで」
22 :
007 川д川ガラスの森のようです:2008/08/30(土) 00:54:29.37 ID:wQTADkWlO
涙が流れた貞子の頬にまたんきは触れた。
正確には触れようとした。
またんきの手は、空中で止まり、何にも触れることは無い。
(・∀ ・)「僕はあなたに触れたり、あなたの悲しみを癒やしたりは
出来ないけど、あなたの寂しさぐらいは癒やしたい」
川;д川「………あ……あ……ああああ!!!」
決壊したように貞子は泣いた。
活動を始めた森の片隅で、彼女に朝を連れてきた少年の前で。
―――そうだ私は独り死んだのだった
でも多分、悲しいのではなく、朝がきた喜びにむせび泣いた。
またんきは触れることの無い手を貞子の肩に置いて、大丈夫だよ、と呟いた。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 00:57:41.44 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
支援してくださった皆様ありがとうございます。
素敵な絵を描いてくださった007の作者様ありがとうございました。
>>13 書きためてるけどなんかべっかんこ調子悪くて書き込みづらい
じゃあ3つ目
絵:No.56
タイトル:从 ゚∀从瞳の裏側のようです
24 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 00:59:41.33 ID:wQTADkWlO
『コンナむちゃバッカリシテタラからだモタなイぞ』
从 ゚∀从「うるせえ。その分私が早く食えて嬉しいんだろが」
『おんなノしゅんハ20さいダトいっタダロ。きさまハあと2ねん。
ソレマデいキテもらワナキャナラン』
从 ゚∀从「てめえの都合なんか知るか悪魔が」
『のぞンデ契約ヲかワシタくせニなまいきダナ』
深夜、血だらけの女子高生が体を引きずって歩いていく。
一歩ごとに奪われる体力。
25 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:01:21.18 ID:wQTADkWlO
だが彼女はまだ休むことを許されなかった。
('、`*川「おやおや、そんなに傷ついてたら殺すのためらっちゃうじゃない」
究極の地味顔の女が立ちふさがる。
女子高生――ハインは舌打ちすると周囲に注意を払った。
どうやら女は1人らしかった。
('、`*川「せっかく悪魔と契約したんだからもっと頭良く立ち回ればいいのに……」
从#゚∀从「うるせぇえ!!」
叫ぶと同時にハインが跳ぶ。
二階の窓に手が余裕で届くほどの跳躍を見せる。
26 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:02:53.44 ID:wQTADkWlO
('、`*川「あらあら本当に見境ないのね」
ハインは空中で一気に手を振り下ろした。
真っ直ぐ足元の道路が避けて女をまでそれが届いて
('、`*川「通用しないよん」
女は片手でそれを防いだ。
ただ爆風が刹那の視界を奪う。
从 ゚∀从「だりゃぁあっ」
('、`;川「なっ」
さっきまで空中にいた筈のハインがすぐ横に迫っていた。
避け切れない回し蹴りが女の腹に入り、数メートル吹っ飛ぶ。
27 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:04:33.08 ID:wQTADkWlO
息の詰まった女に大勢を立て直す暇を与えず、ハインは先程より鋭く手を振りはらった。
彼女の手先から放たれるは真空、鎌鼬。
('、`*川「……っ!」
空気の刃は今度は正確に女を捕らえた。
女が息絶えるのを確認するとハインは崩れるようにその場に膝を着いた。
息が荒い。
『かげんヲしレ』
从 ゚∀从「うるっ……せぇよ……」
( ∵)「その憑き魔の言うとおりだよ」
从 ゚∀从「だれだ!」
28 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:05:55.47 ID:wQTADkWlO
ハインの背後から少年が現れた。
少年は驚くハインを無視してそのまま息絶えた女の元に歩み寄る。
( ∵)「ペニーもなかなか優秀なエクソシストなのに。結構あっさりいったね」
从 ゚∀从「お前……気配なんかなかったのに……」
( ∵)「あのさ、ハインだっけ?悪魔の言うことなんで信じてるの?」
――エクソシストを100人殺せば貴様の望みを叶えてやる
ただし失敗すれば喰い殺す
契約により力も貸すが使いすぎれば体が負けるぞ
ハインの頭の中に契約を交わした時の声が蘇る。
信じる保証なんて、最初から無い。
29 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:07:35.44 ID:wQTADkWlO
从 ゚∀从「そこに縋ってでも叶えたい望みがあるからに決まってんだろ」
( ∵)「愚かだね」
从 ゚∀从「なんとでも言え」
ハインには分かっていた。
目の前の少年はきっと自分には倒せない。
明らかに力の差を感じる。
気配さえ読み取れなかった。
それどころか、力の使いすぎによって体がバラバラになりそうだった。
( ∵)「でも、もう終わりだね」
30 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:08:56.86 ID:wQTADkWlO
从 ゚∀从「うるせぇよ」
せめて、無様ではないように立ち上がって笑って見せた。
笑って見せたところで、カラダニげんかいガきテ
『オワリダナ』
ばしゅっ
从 ゚∀从「………っ」
嫌な音がして左目が飛んだ。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:10:34.03 ID:wQTADkWlO
( ∵)「ほら、限界だ」
さっきまでハインの一部だった球体が転がる。
ばしゅっ
右肩が裂けた。
从 ∀从「………!!」
32 :
56 从 ゚∀从瞳の裏側のようです:2008/08/30(土) 01:12:37.56 ID:wQTADkWlO
ばしゅっ
ばしゅっ
右肩を抑えた左手が裂けて、思わず着いた膝はそのまま柘榴のように割れた。
次に背中がはじけてのけぞり、天を仰いだ口から血液が吹き上がる。
バランスを失って倒れ込む途中に、下腹部がはぜて腸が飛んだ。
その様子を少年はじっと見ていた。
( ∵)「悪魔なんかと契約するから」
眉一つ動かさずにずっと見ていた。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:16:50.36 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
>>31の名前欄ミスった\(^o^)/
56を描いてくださった作者様ありがとうございました。
じゃあ四つ目
絵:No.73
タイトル:('A`)貧相な刑事と煙なようです
34 :
73 ('A`)貧相な刑事と煙なようです:2008/08/30(土) 01:19:50.77 ID:wQTADkWlO
貧相な男が煤けた路地の壁にもたれかかり、煙草に火を点ける。
貧乏神でも憑いてそうな顔だった。
くしゃくしゃのコートや磨り減った靴、一見すると流れ者にも見える。
事実、懐の警察手帳だけが彼を流れ者ではなく刑事だとする唯一の証だった。
('A`)「……で、お前は今回の件どう思う?」
煙を吐き出しながら空中に問いかける。
と、男の吐いた煙が人の顔を形づくった。
35 :
73 ('A`)貧相な刑事と煙なようです:2008/08/30(土) 01:21:29.01 ID:wQTADkWlO
( ゚д゚ )『そうさなぁ……あの娘さんあたりが嫌な感じだが』
煙の顔がしゃべった。
('A`)「そうか。だが彼女のアリバイは完璧だぞ?」
( ゚д゚ )『でも嫌な感じすんだよ。殺されたおっさんに
なんのよしみも無えのにギャン泣きだしさぁ』
('A`)「そりゃそうだがな」
男はハイペースで煙草を吸い、煙を吐き出し続ける。
吐き出された煙は全てそのしゃべる顔を構成する筋となり、しばらくは空中に留まっていた。
あっという間に二本目に手を伸ばす。
36 :
73 ('A`)貧相な刑事と煙なようです:2008/08/30(土) 01:22:55.70 ID:wQTADkWlO
('A`)「じゃあ今回はしばらくあの娘んとこ頼めるか」
( ゚д゚ )『おうよ……しっかしお前肺癌になりそうだな』
('A`)「煙の精のお前が言うな」
男は軽く笑うと手で煙の顔をかき消した。
火を点けたままの煙草を持って路地を出る。
少し歩いて署に入っていった。
37 :
73 ('A`)貧相な刑事と煙なようです:2008/08/30(土) 01:24:08.62 ID:wQTADkWlO
( ゚∀゚)「あードクさん!どこ行ってたんすかー?」
入るなり軽そうな若者といった外見の部下が寄ってきた。
('A`)「うるせえヤニだ。それより参考人の娘さんどこだ?」
( ゚∀゚)「多分今聴取が終わって……あ、出て来ましたよ」
部下が指した方に目を向けると、ちょうど女性が歩いて来る。
大人しそうな、美人だった。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:25:15.59 ID:sguNW7YwO
支援だよ
39 :
73 ('A`)貧相な刑事と煙なようです:2008/08/30(土) 01:25:56.64 ID:wQTADkWlO
貧相な男は煙草を吸うと煙を大きく吐き出した。
一瞬顔が見えて、筋となってその美人の肩のあたりにまとわりつく。
これで煙の精があとは調べてくれる。
肩の辺りにうっすら漂う奴が。
煙の精の「嫌な感じ」は外れたことがない。
後はそれを不自然ではない程度に調べて証拠を固めれば良かった。
('A`)「頼んだぞ……と」
貧相な男は首をすくめて煙草を消すと、女性の調書を読むために奥へ入っていった。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:29:21.10 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
支援してくださった方読んでくださった方ありがとうございます。
73を描いてくださった絵描き様ありがとうございました。
じゃあいつつめ
絵:No.87
タイトル:从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ )
41 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:31:16.32 ID:wQTADkWlO
从 ゚∀从「早く来いロマネスク!!!執事が主人に遅れてどうする!!!!」
突如洋館のドアが開いて、中のざわめきから飛び出した女が赤いドレスを翻して歩いていく。
ロンドンの夜を切り裂くように靴音高く。
ハイヒールで、大股で、靡く髪は煌めいて。
( ФωФ)「ハインお嬢様っお待ちください!」
後ろから執事とおぼしき青年が駆けて来た。
黒い髪に端正な顔付き。
人目を惹くには充分過ぎるほど美しい。
42 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:33:00.37 ID:wQTADkWlO
前を歩くハインに容易く追い付くと腕を引いて止める。
止められたハインはロマネスクを更に圧倒するような強い美を放っていた。
( ФωФ)「お嬢様。あれではあまりにブーン男爵に失礼に当たります」
从 ゚∀从「うるさい。私に対して汚らわしい言葉をかけるからだ」
( ФωФ)「とりあえず、コートを」
ロマネスクがハインにコートを着せ掛ける。
美形執事の顔には少しの諦めと少しの険しさと、少しの安堵が浮かんでいた。
( ФωФ)「何にせよ私を置いて行くのは止めてください。ロンドンは危険です」
柔らかく窘められるとハインは少しそっぽを向いた。
43 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:34:11.50 ID:wQTADkWlO
从 ゚∀从「お前なぞいなくとも……」
( ФωФ)「いいえ、危険です。何よりもお嬢様が心配で私の身が持ちません」
从 ゚∀从「なっ……!」
頬を染めたハインの横に馬車がついた。
ロマネスクが扉を開け、恭しく主である金髪の美しい女性の手を取る。
馬車は彼女の館に向けて帰って行った。
44 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:35:42.02 ID:wQTADkWlO
夜。
寝静まったハインの館に忍び込む者が
( ФωФ)「ここには来るなと言った筈ですが」
忍び込む者がロマネスクにあっと言う間に捕らえられた。
( ゚∀゚)「お前を迎えに来たんだよ」
捕らえられたジョルジュは悪びれずに笑う。
( ゚∀゚)「約束だろ?お前は夜の者なんだから」
45 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:37:46.42 ID:wQTADkWlO
( ФωФ)「私は何よりもまずハイン様の執事ですから」
( ゚∀゚)「お前さーそればっか。いい加減飽きろよ」
( ФωФ)「飽きる飽きないではありません」
( ゚∀゚)「ハイン様に恋したって所詮お前はバンパイア、意味ねーだろ」
小馬鹿にしたような笑いを湛えてジョルジュは続けた。
いつの間にか捕らえられた腕を抜け、ロマネスクと相対している。
( ゚∀゚)「だからこっちへ来いよ。俺らと一緒にロンドンを夜に染めよう」
ジョルジュの腕が浮き上がると、人形をバラしたような形に分離した。
輪切りの木、というか壊したマリオネットのような腕。
46 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:39:18.35 ID:wQTADkWlO
( ФωФ)「返答も聞かず戦闘体制とは穏やかでは無ですね。人形使いジョルジュ」
ロマネスクの目が金色に光る。
闇が集まり、闇より濃い影からキザったらしく薔薇を摘みだした、その時。
从 ゚∀从「おもしろそうだなぁ」
ハインが燭台を持って階段を降りてきた。
(;;ФωФ)「なっお嬢様!!!」
从 ゚∀从「お前さーこんな面白い特技隠してたのか?」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:39:18.51 ID:B4F3WxTi0
支援
48 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:41:07.76 ID:wQTADkWlO
(;;ФωФ)「いや隠してたとかそれ以前の問題です!!危険なので下がって下さい!!」
从 ゚∀从「あとそっちの男も面白い腕してんなぁ。でもちゃんと正面から訪問しろよ」
慌てるロマネスクを意に介さずハインは降りてきた。
ジョルジュに一瞥をくれて、滑らかに自分の執事に歩み寄る。
从 ゚∀从「その色の瞳の方が綺麗だ」
駆け寄って勢いそのまま、ハインはロマネスクの顎に手をかけて瞳を覗き込んだ。
(;;;ФωФ)「お嬢様!!!」
49 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:42:26.78 ID:wQTADkWlO
( ゚∀゚)「あー…出直すわ」
从 ゚∀从「ああ、そうしな。今度はちゃんと訪問してこい。私が自らもてなすぞ」
( ゚∀゚)「ほう。楽しみにしている」
興が削がれた形になったジョルジュは闇に溶け消えた。
それを平然と笑顔で見送るとハインはもう一度ロマネスクに向き直る。
从 ゚∀从「で、良くも今まで隠していてくれたな」
( ФωФ)「隠していたのですが、知られたとあってはもう私はお嬢様のそばには」
从 ゚∀从「黙れ執事風情が」
50 :
87 从 ゚∀从ロンドンは夜のようです(ФωФ ):2008/08/30(土) 01:45:43.57 ID:wQTADkWlO
悠然と笑みを浮かべて女主人が宣言する。
見るものを虜にする笑みを浮かべて。
从 ゚∀从「お前は私の執事だろう?ロマネスク」
( ФωФ)「……はい。仰せの通りです」
黒髪金眼の青年が片膝をついて忠誠を誓う。
差し出された白い華奢な手の甲に触れるだけのキス。
从 ゚∀从「私だけの執事だろう?」
( ФωФ)「もちろんでございます」
ハインは満足したように笑った。
从 ゚∀从「二度と私に秘め事をするな。あと、瞳はその方が綺麗だから
そのままいろ。……合わせてシャツも新調するか」
( ФωФ)「仰せのままに」
从 ゚∀从「じゃあ、とりあえず私が今見たものについて納得のいく説明を貰おうか」
ロンドンの夜はまだ長い。
ロマネスクは自分の主を巻き込むことを後悔しながらも、彼女が自分を選び続ける喜びを感じていた。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:48:51.70 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
読んでくださった皆様支援くださった方々本当にありがとうございました。
87を描いてくださった絵描きさんありがとうございます。
じゃあ六つ目\(^o^)/
絵:97
タイトル:。・:*゚水槽のようです゚*:・。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:50:43.04 ID:v3N/X86ZP
あのさ、何のために新板できたんだよ?
あっちの方が嬉しい評価してくれるし、住人もほとんどVIPPERだぜ?
53 :
97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。:2008/08/30(土) 01:50:47.79 ID:wQTADkWlO
長い髪。
紅い爪。
豊かなバスト。
白く長い脚。
白衣の女が煙草を吸いながら目の前の水槽を見つめていた。
( ФωФ)「フォックス、ここは禁煙だと言ったろう」
爪'ー`)y‐「別にいいじゃねえか。誤作動するような装置は無い」
女――フォックスは後ろのドアから入ってきたロマネスクにたしなめられても振り向きもせずに言い返す。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:51:55.39 ID:l6fjGDCc0
しょっぺえw
55 :
97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。:2008/08/30(土) 01:53:27.17 ID:wQTADkWlO
( ФωФ)「よくは無い。我が輩の娘達が生まれる場所に
煙草の匂いは遠慮したいのだが。喫煙室は設けただろ?」
爪'ー`)y‐「分かったよ」
苦々しげに吐き捨てるとフォックスは懐から携帯灰皿を出して煙草を消した。
異様な光景だった。
2人の立ってる廊下の窓の向こうの部屋。
巨大な水槽があり、薄黄緑の水で充たされている。
泡が次々と浮き上がり、安っぽい映画のようだ。
周りにある様々な機器類もその感を助長する。
何をしているのか動き続ける機械。
56 :
97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。:2008/08/30(土) 01:54:34.33 ID:wQTADkWlO
爪'ー`)y‐「お前さ………」
フォックスはロマネスクを振り返って言いかける。
( ФωФ)「なんだ?」
爪'ー`)y‐「いや、なんでもない」
フォックスは言葉を飲み込んで俯いた。
57 :
97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。:2008/08/30(土) 01:55:49.36 ID:wQTADkWlO
ひと月が過ぎ、ふた月が過ぎ、そして一年が過ぎた。
巨大な水槽は水を湛え、たくさんの機器類は動き続ける。
フォックスが飲み込んでしまった言葉も数え切れないほどになった。
一年前と違うのは、水槽の中。
( ФωФ)「本当に我が娘達は美しい」
青い髪と緑の髪の少女が浮かんでいた。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 01:55:49.07 ID:sguNW7YwO
まだ眠らないぞ…支援
59 :
97 。・:*゚水槽のようです゚*:・。:2008/08/30(土) 01:58:50.07 ID:wQTADkWlO
( ФωФ)「シューとクーは何よりも美しい。そう思わないかね、フォックス」
爪'ー`)y‐「……ああ」
フォックスは目を壁に向けて力無く答えた。
ロマネスクが禁忌を犯し、死んだ娘の細胞から再生した成長促進型クローン。
爪'ー`)y‐「美しい……と思うよ」
ロマネスクが狂ったなら私も狂ったのだろう。
この研究を諦めきれずに禁忌を犯したその時に。
フォックスはそう思って、水槽にたゆたう髪を見つめていた。
何よりも美しい、禁忌の上に成り立つ少女達を見つめていた。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:02:12.93 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
支援してくださった皆様読んでくださった方々ありがとうございます。
97を描いてくださった作者様本当にありがとうございました。
多分俺の書いた話は曲解もいいとこだと思います。
すみません。
じゃあ七つ目\(^o^)/
絵:101
タイトル:( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` )
61 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:05:36.21 ID:wQTADkWlO
神様は不公平だと思う。
神様、なんて馬鹿げた存在自体理不尽で仕方ない。
両翼の天使なんて存在も。
ただ神様は不公平だ。
( ´_ゝ`)「なんでこの上弟者は死ぬんだ」
爪'ー`)「お前の加護が足りなかったんじゃなくこれは寿命だ。諦めな」
目の前のボディコンナイスバディな長髪の両翼の女――フォックスが無情な言葉を吐く。
ああ、神なんて不公平だ。
62 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:06:46.60 ID:wQTADkWlO
ボディコンナイスバディな両翼の天使は更に続ける。
爪'ー`)y‐「今は天使の定員に開きがねえから即転生回しだな」
本当に神様は不公平だ。
俺は背中の羽を一度羽ばたかせた。
63 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:09:24.48 ID:wQTADkWlO
―――俺は、死産だった。
同時に産まれた双子の弟者は無事に生きることが出来た。
その時たまたま「天使」に欠員があった為に俺は産まれて死んで、
すぐその後に天使とやらになって背中に翼が出来た。
18年の見習い期間は弟者の守護天使として。
その後は、フォックスと組んで地上の安定の為に。
そして18年の見習い期間が終わる今日その日、弟者はトラックにはねられた。
俺が何よりも大切にしている弟者が。
神様は不公平だ。
なんで弟者を。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:10:56.58 ID:XDR1K76R0
支援
65 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:11:16.05 ID:wQTADkWlO
( ´_ゝ`)「なら何故黙っていた」
ノートパソコンを構える。
超能力的な力を使う時に依り代となるパソコンを。
爪'ー`)「ぶっそうなことすんなよ。つか言ったって仕方ないだろが」
フォックスが彼女の依り代である鉄扇を開いた。
もちろんフォックスに対して勝ち目なぞ無い。
爪'ー`)「兄者、一つ方法があるぞ」
66 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:13:08.43 ID:wQTADkWlO
意地悪く顔を歪めて笑いながら。
俺がすがりつくことが楽しくて仕方ないというように。
フォックスは一つの道を示してきた。
もちろん俺はすがりつく他無い。
( ´_ゝ`)「……なんだ」
爪'ー`)「お前と弟者で翼を分け合え。力も命も何もかも
半分に分け合うことになってやたら不便だがな」
もちろん俺はすがりつく他無い。
弟者という存在を一瞬でも長く保つ為に。
神様の不公平を覆すために。
67 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:15:44.30 ID:wQTADkWlO
爪'ー`)「キツいぞ。体重は一人分なのに飛ぶ力は半分。
ダメージは一人分なのに体力は半分。まぁ流石に
任務の量は調整されるがな」
( ´_ゝ`)「……望むところだ」
片翼を弟者に。
俺はパソコンを抱え直すと目を閉じた。
68 :
101 ( ´_ゝ 片翼の天使のようです <_` ):2008/08/30(土) 02:17:11.63 ID:wQTADkWlO
数ヶ月後。
(´<_` )「兄者、次の仕事まで間が無いぞ」
( ´_ゝ`)「あっ弟者あんなところにUFOが」
(´<_` )「そんな訳わからん注意の逸らし方に引っかかる輩はいないだろ。逃げようとするな」
神様は不公平だ。
だが今は許そう。弟者に免じて。
俺は片翼の弟者を見て、次の任務へ引きずられながらそう呟いた。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:18:00.56 ID:wQTADkWlO
終わりだよー\(^o^)/
支援くださった方々読んでくださった方々ありがとうございました。
101の作者様ありがとうございます。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:21:07.58 ID:yAfX3TJU0
お疲れ様。面白かった。
どうやったらそんな発想がでてくるのやら……
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:21:49.69 ID:XDR1K76R0
乙ー!好きだ
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/30(土) 02:22:56.48 ID:wQTADkWlO
ええと書いてた分はこれで投下終了です\(^_^)/
>>1に8つとか書いてあるけど数え間違い\(^o^)/
夕方に投下し終えたやつまで数えてた\(^o^)/
こんな遅くに支援くださった方々読んでくださった方々本当に感謝しています。
ありがとうございました。
それからインスピレーションをくれた41・42・56・73・87・97・101の各絵描きさん、ありがとうございました。
気に入らなかったらすみません。
本当はもう何編か書きたかった\(^o^)/
つか本当にSSしか書けなくてサーセン\(^o^)/
乙