1 :
代理:
ブーン達の夏祭り参加作品であることをほのめかしつつ適当に
2 :
◆06NY4sFIG. :2008/08/28(木) 18:08:54.52 ID:O2PBaOPsO
ちょっと待ってくれ
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:11:15.65 ID:O2PBaOPsO
いつ訪れるやも知れない、未来のこと。
八月、真夏の真っ只中、雪が降った。
いやに暑い夏であった。連日、過去最高の気温を記録していた。その中、雪が降った。
勿論これは異常である。更に、それから毎日、雪の予報がされる。
各国は、これを地球危機として発表。テレビ東京も緊急特番を組んだ。
科学者たちは原因究明を急ぎ、政治家たちは今後に向け法改正に動き始める。
しかし、雪はいつまでも積もるばかりだった。
終末は雪となるもようです
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:14:12.88 ID:O2PBaOPsO
1日目 諦めの人
(;,,゚Д゚)「……あぁ」
ギコはちらちらと降っている雪の中、呆然と立ち尽くしていた。
値上がりを見越して大量に作付けしたトウモロコシが、全てやられてしまった。
( ,,゚Д゚)「このさき……どうしたらええんじゃ……」
猛暑のおかげで、トウモロコシの出来はすこぶる良かった。
それが、まさか一晩で全て枯れてしまうとは、ギコは想像していなかった。
加えて、この異常な雪。なんとなく、真白でないように見える。
昨晩は異様な冷え込みだった。まさかと思って出てみれば、死んだトウモロコシ畑。
( ,,゚Д゚)「……うちさ帰るかね」
夏だというのに身震いをして、ギコは引き返した。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:17:04.00 ID:O2PBaOPsO
(*゚ー゚)「ギコ! どうじゃった?」
( ,,゚Д゚)「壊滅じゃ、壊滅……もうわしらはやってけんかも分からんね」
ギコが家に帰るなり、彼の妻は尋ねた。
二人で育ててきた、息子のようなトウモロコシ畑だ。彼女、しぃも不安で仕方なかっただろうし、
ギコの言葉を聞いて、しぃはがっくり膝をついてしまった。
(*゚ー゚)「……オラたちのトウモロコシ畑も、もう終いなんじゃな」
( ,,゚Д゚)「しぃ……」
ギコは、うずくまって震えるしぃの、皺がたたまれた小さな手を取った。
(*゚−゚)「これから、どうすっかね……」
今にも泣き出しそうな顔を上げて、しぃは言う。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:17:20.95 ID:zm9p6joHO
wktk
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:20:03.56 ID:O2PBaOPsO
( ,,゚Д゚)「……どうしようも、ないじゃろな」
ギコは長靴を脱いで、僅かに付いていた雪を払った。
( ,,゚Д゚)「……やっぱり、この雪はおかしいぞ。白くないし、そもそもいま夏じゃし」
(*゚ー゚)「天気予報じゃと、少なくともこの一週間は降るってな。それまではなんも出来んよ」
( ,,゚Д゚)「……はぁ、一週間。長く生きとりゃこんな事もあるもんかねぇ」
(*゚ー゚)「あるわけないっしょ、馬鹿じゃないの。……いよいよ人間サマの時代もおしまいかね」
雪が、土間で融け、やがてじわじわと気体を発していたのは、誰も見なかった。
ギコは、朝食のサンドイッチを食みながら、テレビの前の椅子に座る。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:23:09.10 ID:O2PBaOPsO
(*゚ー゚)「……しっかし、あんなに暑かったんに、なしていきなし雪なんぞ……」
今回の、真夏の雪。そのメカニズムは全く解明されていなかった。
ただ、気温が著しく下降したこと、いま、世界中に厚い雪雲がかかり、
これがしばらく止む見込みはないと言うことだけ分かっている。
( ,,゚Д゚)「理由なんて、わしらにゃ関係ないわ」
ギコはぶっきらぼうに言った。
( ,,゚Д゚)「そんより、東京に行った息子は大丈夫かね?」
(*゚ー゚)「あぁもう、なんじゃ、言うと思った」
しぃは苦笑した。ギコの子煩悩は、夏に雪が降ったって変わりないらしい。
ギコは「なんだよ」と睨んでから、やはり笑った。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:26:35.71 ID:O2PBaOPsO
(*゚ー゚)「ジョルジュはさっき電話してきちょったよ。お友達の研究所に来とるんじゃって。
今、みんなで雪を止めようとがんばっとる頃じゃろ」
しぃは薬缶に湯を沸かしながら、その日で手を暖めていた。
酷暑の中の唐突な極寒は、ただでさえ辛いだろうに、老体の二人への影響は計り知れないだろう。
( ,,゚Д゚)「じゃあ、いま電話したら迷惑かのう。まあえぇ、しぃ。倉庫の作物をみんな売ってまおか」
じゅうっ、としぃの手が一瞬薬缶の表面で焼けた。
(;゚ー゚)「あっちゃちゃちゃちゃ!」
やや緩慢な動きでしぃは退き、手首を振り回すと、「真夏にこんなもん要らん」と、薬缶を火からおろした。
(;゚ー゚)「ギコ、そらどういう意味じゃ?」
( ,,゚Д゚)「どういう意味て。じゃからな、倉庫に収穫した作物があるじゃろ。それを売る!」
(;゚ー゚)「そんな事は分かっとる! 何で売る!」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:29:05.94 ID:O2PBaOPsO
しぃは、ギコがいよいよボケたかと疑った。
そしてすぐ、自分の考えが、安寧秩序の社会にふやけている事を知った。
( ,,゚Д゚)「じゃから。そんで作った金と、今ある金をみぃんな、ジョルジュに送る。それを資金にしてもらうんじゃ」
(*゚−゚)「……ギコ?」
正気の沙汰ではなかった。全て売り払うとして、自分たちはどうなる?
冷蔵庫の残りだけで、今後を賄えるはずもない。ギコの言動に、しぃは戸惑った。
(*゚ー゚)「……またそんな事言って」
( ,,゚Д゚)「わしゃあ本気じゃ。ジョルジュならこの雪を止めると思うとるんじゃ」
(*゚ー゚)「わしじゃってそう信じたか。けど……」
( ,,゚Д゚)「じゃったら任せようや。こん星の未来を、ジョルジュに」
ギコがこれほどまでに焦っている理由が、しぃには分からなかった。
自分の人生を諦めてまで、この雪を止めなければならないのだろうか?
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:29:46.63 ID:bXLFcuoPO
wktk
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:32:06.05 ID:O2PBaOPsO
(*゚ー゚)「……ギコ」
( ,,゚Д゚)「ん?」
(*゚ー゚)「あんた……死期、悟ったん?」
そうとしか思えなかった。「死のう」なんて言う人間は、厨二病か死期を知った老人だ。
ギコが今更厨二病にかかるとも思えない。だから、きっとギコは。
( ,,゚Д゚)「まぁ、そんな所だ。最後の願いと思って、聞いちゃくれねえか」
(*゚−゚)「ギコ……」
生涯最期の願いだと言って、しぃは断れるはずもなかった。
これを受け入れることで、自分に苦しみがやって来るとは分かっていた。
(*゚ー゚)「わぁったよ。勝手にすりゃいい」
( ,,゚Д゚)「ん、ありがとさん。……それじゃあ、業者を呼んでっと」
*
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:35:04.07 ID:O2PBaOPsO
( ´∀`)「こんなもんでどうですかモナ?」
( ,,゚Д゚)「どれどれ……!」
。 。
/ / ポーン!
(,, Д )
* * * *
* * * * * *
* * * *
パーン!
(,, Д )
(*゚ー゚)「やっぱし夏の花火はええの」
モナーは、付き合いの長い信用できる仲介業者だ。しかし、ここまでの額を提示するとは、ギコも意外だった。
意外すぎて、眼球が飛び出て爆発した。
(;,,-Д-)「いや、こりゃ無理してるでしょ、モナーさん」
(;゚ー゚)「1kgあたりが……3600円!? ちょっと、わしら冗談に付き合ってるような暇は……」
( ´∀`)「本気だモナ」
あまりに相場と桁違いすぎた。焦りまくる二人に、モナーは電卓を懐にしまいながら、土間に座り込んだ。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:36:26.78 ID:zm9p6joHO
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:38:02.65 ID:O2PBaOPsO
( ´∀`)「藻前ら、そもそも何で倉のもんを売ろうと思ったんだモナ?」
しぃは答えに詰まった。まさか、夫が人生を見限って死のうとしたから、とは言えなかった。
(*゚ー゚)「……ちょっと、お金が入り用でさ」
嘘ではない。実際今ごろジョルジュは資金難に喘いでいるだろう。
……もし、あそこの電卓にあった金額が手に入るなら。
( ´∀`)「モナは、滅びを悟ったんだモナ。だからいっそ死のうかと」
それまで、眼の欠片を集めて合わせていたギコが、いよいよあるべきものを眼窩に収めて言う。
( ,,゚Д゚)「じゃああんたも、わしとおんなじじゃな」
ギコは、不審な目をするモナーに、自分の考えを説明した。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:41:17.24 ID:O2PBaOPsO
( ´∀`)「なーるほどー」
そしたらモナはこうするモナ、と顎を撫でる。
( ´∀`)「モナは君らにお金を渡す。それからモナは、生きたい人々に君らのトウモロコシを寄付するモナ」
( ,,゚Д゚)「殊勝な死に方じゃな」
ギコはどこか小馬鹿にしたように笑って、それでもモナーを讃えていた。二人で声を上げて笑い、ギコは気付く
( ,,゚Д゚)「しぃ?」
しぃは胸を押さえてうずくまっていた。その苦しみを、ゼェゼェと荒い息で体現しながら。
(;゚ー゚)「ギコ……わし、なんか苦しく……」
(;,,゚Д゚)「……分かった。もう話さなくていい。お前は奥で寝てて構わん」
しぃの体調不良の原因は何となく知れていた。まさか、屋内まで来ていようとは。
済まなそうに奥へ歩いていくしぃの背中に、ギコは言った。
(;,,゚Д゚)「……まだ、死ぬんでねぇぞ」
(*゚ー゚)「……ん」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:44:08.97 ID:O2PBaOPsO
(;´∀`)「何事だモナ?」
しぃが消えてった方を心配そうに眺めて、モナーは尋ねた。
( ,,゚Д゚)「恐らく、この雪の所為じゃ」
( ´∀`)「雪……モナ?」
( ,,゚Д゚)「あぁ」
徐々に積もるようになってきた雪は、止む気配がない。一週間続くと言われたのだから当然か。
相変わらず、僅かなネズミ色を混ぜて、窓の外で踊っている。
( ,,゚Д゚)「わしも若干気分が悪い……じゃが、息子にさっきのン百万を送るまでは死なんよ」
( ´∀`)「そうだモナ。収穫をモナのトラックに積むのは、明日でも良いモナ」
( ,,゚Д゚)「近くの銀行に行こう。トラックを出せ」
今は、自分の残りの命を精いっぱい輝かすだけ。ギコはもう、いつかの若輩の目に戻っていた。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:47:13.81 ID:O2PBaOPsO
世界のために、命も捨てる。
いつだったか、そんな死に方に憧れもしたか。
( ,,゚Д゚)(……いや、)
今も、憧れているんだ。でなければ、この鼓動の高鳴りに説明がつかない。
( ´∀`)「ギコ」
トラックで雪の降る道を飛ばすモナーが、ぼんやりと見えにくい前方を見据えながら言う。
( ´∀`)「藻前がそこまでしてお金を寄越したい、息子さんって何をしてるんだモナ?」
( ,,゚Д゚)「うぅん……よく知らんが、東京で科学者ゆうもんをやっとるな」
( ´∀`)「……なるほど。いやはや、その子にほんとに雪を止められたら困りもんだモナ」
( ,,゚Д゚)「その時は……どうしようかの?」
考えても仕方がなかった。もともと後戻りのきかない方法だ。
こんな後先ないものを実行してしまうのも、老いたる徴だろうか。ギコは窓の外を見て、フッと笑った。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:50:13.16 ID:O2PBaOPsO
(;´∀`)「ギコ……なんか、やたら救急車が通らないかモナ?」
たしかに、とギコは頷く。むしろ、先ほどからサイレンが止んだためしがない気がする。
ギコはじっと外を観てみる。ふと、通り過ぎた人影の様子がおかしかった。
( ,,゚Д゚)「やっぱり、雪の所為じゃな」
(;´∀`)「この雪……なんなんだモナ?」
( ,,゚Д゚)「分からん。だが、危険なことには違わん。あまり外に出んほうがいいじゃろ」
(;´∀`)「……気をつけるモナ」
かくして、銀行に到着し(車から銀行内までは息を止めた)、
モナーとギコの貯金を、みなジョルジュのところへ集めた。
(,,-Д-)「任せたぞ、ジョルジュ……」
(;´∀`)「こんな所で柏手を打つなモナ。受付のねーちゃんに睨まれてるモナ」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:53:06.48 ID:O2PBaOPsO
それから、モナーに送られて家に帰ったギコは、すぐさま奥の間で寝ているしぃの元へ向かった。
(;,,゚Д゚)「しぃ、調子はどうじゃ?」
(*゚ー゚)「ん……少しは良くなったよ」
しぃは気だるげに手を挙げて、簡素な生命反応を示した。ギコは大きく息を吐いて、
横たわったしぃの頭を、胸に押しつけるように抱きしめた。
(;,,゚Д゚)「心配だったぞゴルァ……」
(;゚ー゚)「や、やめなさいもう、いきなり……加齢臭!」
( ,,゚Д゚)「……ごめん」
平謝りをしながら、しぃを手放した。小さな咳をして、また訊く。
(*゚ー゚)「それで? やることはちゃんとやったの?」
( ,,゚Д゚)「もちろんさ。……あ、そだ、ジョルジュに連絡もしないといかんな」
ギコは畳を立って、黒電話を回しに行った。
その背中を見送りながら、しぃは心の中で呟いた。
(*゚ー゚)(……ありがとな)
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:55:00.08 ID:odx881+gO
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:56:03.27 ID:O2PBaOPsO
( ,,゚Д゚)「はぁ……さて、わしのやりたい事はみんな終わったかな」
(*゚ー゚)「……なぁ、やっぱり他の道はなかったんかい?」
ギコは頭を掻いた。
( ,,゚Д゚)「もうちびっと生き延びる道はもちろんあったじゃろうな。
……じゃが、地べた這いずって、何もできないままこの雪にやられるよか、えかったと思う」
(*゚−゚)「……分からんね。ほんとかどうか。……まぁ、」
疑るような目を向けながら、しぃは笑みを堪えられないようだった。
(*゚ー゚)「信じる信じないの話とちゃうけど……わしゃあ、ギコがやろうとしたことは、みんな正しいって信じるて」
( ,,゚Д゚)「……あぁ」
(*゚ー゚)「……なぁ、ギコ」
しぃの手が、僅かに目的の方向とは別に行きかけてから、ギコの服の裾を掴んだ。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 18:59:07.95 ID:O2PBaOPsO
ギコはそれを見逃さなかった。
(;,,゚Д゚)「しぃ、お前、もう……」
(*゚ー゚)「……目が、ちょっと悪いかねえ。まぁええさ、ギコ」
ギコは、自分の腰元にあった、震えるしぃの手をぎゅっと握った。
(*゚ー゚)「……どうやって、死のうけぇ?」
(,, Д )「……っ」
いまさら、ギコは悔いた。しぃが同意しているかしていないかなど関係ない。
彼女を決断に追い込んだのは自分だ。正義を掲げ逃避する、愚かな自分だ。
( ,,゚Д゚)「そうじゃな……」
今から償うことは叶わない。せめて、しぃの気持ちからは逃げないで、応えようと思った。
( ,,゚Д゚)「外行こうや。雪が綺麗じゃて」
(*゚ー゚)「……ええね」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:02:09.46 ID:O2PBaOPsO
綺麗に言ってみるなら、雪が彩る葬式とも言える。しかしこれは、ただ野垂れ死にだ。
(*゚ー゚)「……ほんとに、雪が降っとうね」
この日はじめて、立ち止まって雪を見れたしぃは、降りてくる雪をいくつも手に乗せていた。
灰色の空の向こうから降ってきているような、わずかな黒を帯びた雪。
( ,,゚Д゚)「……いまさら、何言ってんじゃい」
(*゚ー゚)「じゃって、こんだけ長く生きとって、雪を見るんは初めてじゃ。てんしょんも上がるわ」
( ,,゚Д゚)「ふーん、はいからな言葉を……まぁ、この辺は雪の降る気候じゃあらんしな」
毎年、酷暑に見舞われるこの地域では、冬でも雪は降らなかった。
ギコもしぃも、この地で生まれ育った。テレビの天気予報で見る雪だるまのマークをみては、今年こそと心を躍らせたものだった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:04:53.16 ID:DLRORUAEO
洒落
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:05:11.62 ID:O2PBaOPsO
(*゚ー゚)「ギコ……わしな、夢があったんよ」
( ,,゚Д゚)「そりゃあ何じゃ?」
しぃは朽ちたトウモロコシの茎を撫でながら、やっぱり空を見ていた。
(*゚ー゚)「ギコと一緒に、雪を見るんじゃ。……だから、今、叶ったねぇ」
( ,,゚Д゚)「……こんな年になって、こんな季節に……こんな雪でも、雪は雪じゃからな。
……わしも、最期にしぃと雪が見れたこと、幸せに思うのぅ」
不意に、強い眠気が襲う。ギコは「はふぁ」と欠伸をして、急に真剣な目になって言った。
( ,,゚Д゚)「しぃよ。こんなジジィになって薄気味悪いことを言うが、聴いてくれ」
(*゚ー゚)「……なんね? ……早よ、言って……」
既にしぃは辛そうだ。ギコは唾を飲み込んだ。
(;,,゚Д゚)「……あ、あいしてる。しぃと居れて、幸せじゃった」
(*゚ー゚)「……わしもじゃ、ギコ……」
それが、二人の間に交わされた最後の会話となった。
翌日、モナーが商品を引き取りに来た際、二人は肩を寄せ合って、
若き恋人たちが眠りに就いているように死んでいたという。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:08:19.08 ID:O2PBaOPsO
2日目 奇跡の人
ところは変わり、東京郊外。
_
( ○◎○)「コー……シュホー……コー……シュホー……?」
_
( ○◎○)「コー……シュホー……コー……シュホー……おし、平気っぽいな」
ガスマスクを付けたジョルジュは、雪を幾片か頭に乗っけながら、頷いた。
そして、体に付着した雪を丹念に払ってから、高岡研究所と看板が掲げられた建物に入っていく。
_
( ゚∀゚)「ハイン! おい、ハイン! ガスマスクで何とかなったぜ!!」
从 ゚∀从「……なるほどな、やっぱり雪から発生するガスが問題か」
中にいたのは、また白衣の女。彼女、ハインは何やら呟いた。
ジョルジュはため息をついて、ハインに寄る。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:11:17.58 ID:O2PBaOPsO
_
( ゚∀゚)「……で、ハイン? どうすれば雪は止むんだよ」
从 ゚∀从「うるせぇな、ジョシュジョルジュ。俺様の部下なら自分で考える事をしろ」
_
(;゚∀゚)「考えるったって、オレ生物専門だから……雲がかかってるから雪が降ってるってことしか分からねえ。
つーか、それ以上のことを考えたくねえ」
雪が降り始めて、今日で二日目だ。どこの研究者も血眼になって雪を止ませる方法を探っている。
ハインもその一人だ。もっとも、彼女の場合は、決起の旗に正義の二文字はない。
あるとしたら、「金くれ」とか「ハイン様参上」とか、痛々しいフレーズだろう。
从 ゚∀从「使えねえなぁ……」
_
( ゚∀゚)「あんたが呼んだんじゃないか……」
とはいえ、ハインは美貌のほかに、実力も相応に備えている。だからジョルジュも、本当は心の中で燻る正義感を隠して、
ハインの要請を請けた。彼女なら、きっと世界だって救ってくれると、だいぶ無茶苦茶な期待をふっかけて。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:11:56.69 ID:DLRORUAEO
洒落
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:14:05.10 ID:O2PBaOPsO
_
( ゚∀゚)「オレだって、科学者の端くれだ。出来ることはしたいが……」
从 ゚∀从「じゃあ、出来ることからやれ」
_
( ゚∀゚)「んもうっ。冷酷なハイン様!」
ハインには、ジョルジュが若干調子に乗ったと見えて、彼はフラスコに入っていた赤い液体をひっかけられた。
_
(;゚∀゚)「なにこr……熱い熱い熱い! 何これ!!」
从 ゚∀从「強酸の一種だ。……お前、丈夫だな」
それもお前のせいだ、とジョルジュはのたうちながら呻いた。
大学から馴染みの二人は、よくお互いの実験材料にされた。引っかけたり引っかけられたりは茶飯事だ。
もっとも、それらの液体が、本当に有害だったのかというと、これはハインだけの秘事になるのだが。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:18:10.92 ID:O2PBaOPsO
_
(;゚∀゚)「強酸を人にかけるなんざ、正気の沙汰じゃねえぞ……」
从 ゚∀从「こんな状況で、正気を保ってるお前は偉いな」
_
( ゚∀゚)「……ほめられた」
確かにそうだ。研究所の窓から見ていると、時折、叫喚しながら駆けていく人を見かける。
きっと、発狂したのだろうが。まともに会話ができるくらいに落ち着いているのは、なかなか珍しいと思う。
从 ゚∀从「……しかし、この雪をどうするかだな、本当に」
_
( ゚∀゚)「……セスナ機で散らすとか、どう? よく聞くけど」
从 ゚∀从「昨日、どっかの国がやったよ。雲が厚すぎて意味なかった」
_
( ゚∀゚)「そうか……」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:21:07.59 ID:O2PBaOPsO
かくしてジョルジュたちは、生き残るために寝る間を惜しんで悩んだが、目立った成果は得られなかった。
持っている情報は、誰かが得、伝えたもののみ。自分自身で見つけたものは、なにもない。
从 ゚∀从「よしジョルジュ、この袋に例の雪を入れてこい」
_
( ゚∀゚)「えー、また外に出るのかよ。オレ嫌だぜ?」
从 ゚∀从「……」
_
(;○◎○)「……ではまた、会えたら」
ジョルジュはすごい勢いでガスマスクを被り、研究所を出ていった。
その背中を見送ってから、ハインはすぐにため息をついた。
从 ゚∀从「……くそっ、どうすりゃ……」
頭を抱えても、今の状況を打破する確実な方法はまだ浮かばなかった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:24:07.69 ID:O2PBaOPsO
_
( ゚∀゚)「持ってきたぞ」
袋の口をきつく閉じて、ジョルジュは雪をハインに寄越した。
_
( ゚∀゚)「……つーか、ここでやって平気なのか? ガスを吸ったら死ぬんだぞ?」
从 ゚∀从「だったら、ガスマスクを付けてりゃいいさ。……恐れてちゃ、何もできないぜ? 科学者の端くれ」
_
(;゚∀゚)「く……」
ジョルジュは苦々しげに、歯を食いしばってから、ガスマスクを取り出した。
_
( ○◎○)「分かったよ……オレにも手伝わせてくれ」
从 ゚∀从「よし。そしたら……」
ハインの次の言葉で、ジョルジュはいよいよその眉をひそめた。
从 ゚∀从「金をくれ。いっぱい」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:27:08.94 ID:O2PBaOPsO
_,
( ゚∀゚)「オーケー、ハイン。まずは外に出てもらおうか」
从 ゚∀从「お断りします」
ジョルジュはとりあえずガスマスクを投げ、ハインに詰め寄った。
_,
( ゚∀゚)「なぁ、ハイン。確かに生きるには金が必要だ。だが、今生きるために必要なものはなんだ?」
从 ゚∀从「金だよ。……ジョルジュ、お前は何も分かっちゃいない」
_
(#゚∀゚)「何でだよ! お前はこんな時までカネだカネだって、そんなに金が重要かよ!」
从 ゚∀从「うん。だってそうだろ? こんな時に金が無くて、何ができるんだ?」
_
( ゚∀゚)「いろいろあるだろ。例えば――」
次の言葉は出て来なかった。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:30:05.75 ID:O2PBaOPsO
从 ゚∀从「例えば、何だよ」
_
(;゚∀゚)「……ここにあるもので十分じゃないのか? 新しいの買うひちようなんて……」
从 ゚∀从「うわ、噛んだ」
_
(;゚∀゚)「うるせぇ、はぐらかすなよ。何で金が必要なんだよ、ここの実験器具はそんなに少ないのか?」
ジョルジュは口の中で舌をベロベロ動かしながら、必死に食い下がった。
彼自身、これ以上言っても無駄だとは分かっていた。しかし、譲るつもりもない。
そもそも、何に使うかも分からない金を渡したくはない。
从 ゚∀从「……べつに、実験材料が不足してる訳じゃねえし、俺の金銭欲が呻いてる訳でもねぇ。
ただ、金があったらどうにかなるんじゃないかって……ぼんやりそう思っただけだ」
未だぼんやりだ。とハインは言ったが、事実は異なった。
彼女には、膨大な額のお金と、これまでに伝聞したものが確かならば成功する、雪を止める手段があった。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:33:05.32 ID:O2PBaOPsO
_
( ゚∀゚)「……そうか。……けど、オレは大した金は持ち合わせてない」
从 ゚∀从「知ってるよ」
はじめは、誰かにこれを教えて実験を代行してもらおうとも考えた。
だが、ウン百万の費用、成功する確証もないのに出して貰えるはずはない。
从 ゚∀从「……ちょっと期待したかっただけだ。ごめんよ」
_
( ゚∀゚)「いや……」
精神的な意味で、息をするのも苦しい空気が漂った。雪が発する気体のせいで、袋がパンパンに膨らんでいる。
_
( ゚∀゚)「そいつは破れちまわないのか?」
从 ゚∀从「あぁ……集気瓶に移さねえとな……」
ふらふらとハインが作業を始めた時。二階から電話の鳴動が聞こえてきた。
_
( ゚∀゚)「オレが出てくるよ」
从 ゚∀从「あぁ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:36:44.22 ID:O2PBaOPsO
なんで電話が二階にあるのだろうと、ジョルジュは首を傾げながら階段を上がる。
あとで、なんでも知ってるハイン博士に訊いてみよう。
_
( ゚∀゚)「もしもし?」
受話器を取って、ベルを黙らせる。聞こえてきたのは、知らない声だった。
『もしもし。長岡ジョルジュさんですか?』
_
( ゚∀゚)「そうですが……どなたですか?」
『私は、貴方のご両親の友人です。名前はモナー』
_
( ゚∀゚)「はぁ」
『……実は、伝えるべき事がありまして。気を確かに持ってください』
ジョルジュの米噛みを、冷や汗が流れた。
そんな声の調子で、そんなことを言われたら、あらぬことを疑うじゃないか。
『貴方のご両親は、……揃って、息を引き取りました』
_
(;゚∀゚)「……はぁ」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:39:23.63 ID:O2PBaOPsO
何も言えなかった。あまりに唐突すぎて、リアクションが取れない。こんなざまでは、出川哲朗失格だ。
_
(;゚∀゚)「……なんだって?」
ジョルジュは通話口に問いかける。
『お二人が亡くなられたのには、理由がございます』
『まず、この寒さと雪で、ギコのトウモロコシ畑が、みんな駄目になってしまったこと』
_
( ゚∀゚)「それは聞きました。昨日、お袋に電話したんで」
『……では、彼らの決意を知っているのですか?』
_
(;゚∀゚)「決意? ……いいや。また昨日の昼ごろ、親父から電話がかかってきたけど……何も聞いてません」
『……そうですか。では、私からお話し致します』
モナーは、長く間を置いてから、ぽつぽつと語りだした。
両親が死んだ理由、ジョルジュに託された使命と財産。それから、二人の最期の姿を。
_
( ゚∀゚)「……」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:40:42.16 ID:8XwoYPCU0
終末の過ごし方?
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:42:06.67 ID:O2PBaOPsO
『……これが、私の見聞きした全てです。……ジョルジュさん?』
モナーの声が、ジョルジュを気遣うように高くなった。
_
( ゚∀゚)「平気です。……それで、あの、オレは……」
『ご両親の意向に沿うも沿わないも自由です。……でも、私としては、努めて欲しいのですが』
思考するまでもなかった。自分の親が命を賭して作ったチャンスを、無視できるはずがない。
_
( ゚∀゚)「……でも、オレはそんな大金は必要ないです」
しかし、体のいいジョルジュの羞恥心は、自身にそう言わせた。
『……それでも、貴方は受け取ってください。たとえ不要でも、このお金はご両親の全てなのですから』
_
( ゚∀゚)「……全て、ですか」
ジョルジュは、誰が見ている訳でもないのに頷いて、受話器をそっと置いた。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:45:15.26 ID:O2PBaOPsO
足早に階段を下り、ジョルジュは足元のガスマスクを拾い上げた。
放蕩状態で雪の成分を解析するハインに、小さく声をかける。
_
( ゚∀゚)「ハイン」
从 ゚∀从「あ?」
_
( ○◎○)「ちょっと、行ってくる」
くぐもった声で言い、外へ出ていったジョルジュを、ハインはぽかんと見送っていた。
从 ゚∀从「……ガスマスクが絶対安全って、決まった訳じゃないんだが……ま、あいつなら平気か」
根拠はないが、ハインはひとり頷いて納得していた。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:47:04.67 ID:O2PBaOPsO
運良く、銀行は操業していた。もっとも、雪が有毒ガスを発していると発表されて以来、
家に帰れなくなった銀行員が、やつれた顔で受付をしていたが。
(ヽ´ω`)「……何しに来たお」
語尾に特徴のある男が応対する。明らかな警戒を感じて、ジョルジュは慌ててガスマスクを取った。
_
(;゚∀゚)「あー、お金を引き出しに来たんです、だからその銃を下ろしてください……」
(ヽ´ω`)「……すまなかったお。でも、ガスマスクで銀行に来ちゃいけませんお」
_
( ゚∀゚)「ですけど、これは……。ともかく、オレの口座を見せてください」
通帳と印鑑を渡し、暗証番号を確認してから、銀行員は頷いた。
(ヽ´ω`)「ほんとは、色々紙を書かなきゃいけないんだけど……そんな必要もなさそうだおね」
_
( ゚∀゚)「?」
(ヽ^ω^)「さて、」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:49:27.77 ID:O2PBaOPsO
(ヽ^ω^)「こちらは預かり屋です。どのようなご用件で
しょうか?」
_
( ゚∀゚)「……」
ジョルジュは用事を済ませた。
_
( ゚∀゚)「ただいまー」
从 ゚∀从「おぉ、お帰り。早かったn……」
帰ってきたジョルジュの手には、大きめのジュラルミンケースがあって、それだけでハインは言葉を失った。
从 ゚д从「……」
_
( ゚∀゚)「ハッハッ、どうしたハイン。そんなおっぱいみたいな顔をして」
何故なら、そのジュラルミンケースからは、雄獅子のたてがみのように、諭吉があふれ出ていたから。
ついでに、ジョルジュの顔には付け黒子があって、何かと訊くと、
_
( ゚∀゚)「あぁ、諭吉コスだよ」
真顔でそう答えられた。
ハインは遠慮なく、例の赤い液体をぶっかけてやった。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:50:39.16 ID:3UpMo/yT0
支援
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:51:11.87 ID:O2PBaOPsO
从 ゚∀从「……お前が出掛けている間に、理論を完成させたよ」
ジョルジュの付け黒子を剥がしながら、ハインは言った。
_
( ゚∀゚)「なにそれ?」
从 ゚∀从「雪を消す理論だよ。……その金があれば実行に移せる」
_
(;゚∀゚)「本当か!?」
びくっと体を震わせたジョルジュは、ジュラルミンケースを手から滑らせ、床に落とした。
その衝撃で、諭吉が天井へ噴き出す。諭吉たちを追いかける奇妙な踊りも、ジョルジュはしなかった。
飽和してしまった金銭欲ゆえか、それとも冷静に状況が見えているのか。
_
( ゚∀゚)「絶対に、絶対に成功させてくれるよな?」
親の命に代えた、ただ貨幣と呼ぶにはあまりに重い、札束の山。あっさりドブに捨てる訳にはいかない。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:54:05.69 ID:O2PBaOPsO
从 ゚∀从「……絶対とは……言えない」
ハインはあちこちの器具を見回してから、俯いて呟いた。
_
(;゚∀゚)「……なぬ?」
从 ゚∀从「どんな究極理論ったって、確かめてみなければそれが正しいかは判らない。
お前は人が死んだら極楽か地獄に行くと言われて、それが絶対に正しいと言えるのか?」
_
( ゚∀゚)「あぁ、仏に誓う」
ジョルジュがやたら真剣な瞳をしていたので、ハインはむしろ自分が悪いことをした気がした。
从 ゚∀从「……例が悪かったな。まぁ、アレだ。ともかく、未確認の事象で、絶対ってのは無いんだよ」
_
( ゚∀゚)「まぁ……そうだな。ちょっと驚いただけだよ」
从 ゚∀从「それじゃあ、俺に託してくれるのか?」
_
( ゚∀゚)「あぁ。……その代わり。絶対とは言わない、出来る限り、成功させろ」
ジョルジュは諭吉を拾い集めて、ぐしゃぐしゃのままハインに寄越した。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:55:59.42 ID:O2PBaOPsO
从 ゚∀从「じゃあ、俺は材料を買ってくる。なるべくすぐに戻ってくるから、実験マウスと戯れてな」
_
(*゚∀゚)「マジ! いいの!? マウスたーん!!」
ジョルジュがケージに飛び付いたせいで、檻内のマウスはひっくり返って仮死状態になった。
それを見てひとつ咳払いをしてから、ハインは未だに雪が降る、灰空の下に出ていった。
从 ○◎从「……じゃあ、また」
こんな人間だが、ジョルジュは一応、真っ当に生きている。
学生のころは人体実験だとか称されて、体中をまさぐられた記憶がある。まんざらでもなかった。
あの時に、護身用のプレパラートを持ち合わせていなかったら、どこまでいったのだろうか?
从;○◎从(なに思い出してんだ、俺……)
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:59:07.82 ID:O2PBaOPsO
从 ○◎从「ジョルジュ……」
何となく、その名を呟いてみた。
初めて会ったときは、馴れ馴れしくて、人の乳は揉むし、なんて鬱陶しいやつだと思った。
だけれど、いつの間にか、ジョルジュといることが苦痛でなくなっていた。
むしろ、ジョルジュとしか居られなくなっていた。
从 ○◎从「俺の人生はジョルジュで出来ていますな」
ぼんやりする意識の中、これからもジョルジュと生きたいと思った。
从;○◎从「?」
不意に、喉の痛みを感じて立ち止まる。おかしい、ガスマスクはしていると、顔を叩いて確かめる。
そしてよぎったのは、これまで予期しなかった不安。
頭の中で、ジョルジュがいやらしく笑ったような気がする。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 19:59:23.45 ID:gyPhFwN3O
支援!
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:01:08.18 ID:O2PBaOPsO
从;○◎从(そう笑うなよ、ジョルジュ……いや、いっそ……笑ってくれ)
呼吸に息苦しさが現れる。ジョルジュの笑顔が、いつまでもぐるぐる回って、止まらない。
さっき自分で、絶対というものはないといったはずなのに、すっかり忘れていた。
いっその事、ガスマスクを外してしまおう。こんな間抜け面で、死んでいたくない。
从 ゚∀从「……やっぱり、お前は特別なんだな。ジョルジュ……悪い……」
从 ∀从「お前と……次のかがくを……きずきたかっ……」
暗闇をぐるぐる回るジョルジュに手を伸ばす。その手に、僅かな温かみが感じられた。
从 ∀从「……た」
瞳を閉じた白衣の少女に、口付けがなされた。
恋人同士がするものにしては、あまりに乱暴で、だというのにその様からは愛が溢れていた。
直、ハインの体に活力が漲る。うっすらと目を開くと、その人が見えた。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:01:52.69 ID:tiiwus3P0
ああああああああああああああ早く
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:03:19.43 ID:O2PBaOPsO
_
( ゚∀゚)「ふざけるなよ、ハイン」
从 ∀从「……ジョルジュ? どうしてここに、」
_
( ゚∀゚)「五月蝿え、勝手に死にかけやがって。胸騒ぎがして来てみりゃあこのザマかよ」
从 ∀从「っ……」
ジョルジュの言葉は、ハインの弱った胸に鋭く突き刺さった。
安全な屋内に来ると、ジョルジュは大きくため息をついて、ハインを座らせた。
_
( ゚∀゚)「……ったく、本当にアウシュビッツでも生き抜ける気がするぜ」
从 ∀从「……すまん、ジョルジュ。俺のせいで」
ジョルジュはまた、「下らないことを喋って体力を使うな」とでも言いたげな行動をした。
_
( ゚∀゚)「お前の必要なものを教えろ、ハイン。俺がどうにでもしてやる」
从 ゚∀从「……」
ハインの頭に、ぱっと恥ずかしいセリフが浮かんだ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:04:52.87 ID:JIGaphMB0
支援
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:06:04.28 ID:O2PBaOPsO
从 ゚∀从「お、俺は……」
言ってしまうのか? こんな恥ずかしいセリフを口にしてしまうのか?
いきなり現れた奇妙な自制心を、ハインはイライラしながら振り払った。
从 ゚∀从「俺は……あー、ジョルジュが必要だ。……そばにいてくれ」
言ってしまった後。ハインは羞恥で体が爆発するかと思った。
_
( ゚∀゚)「……いいのか?」
从;゚∀从「に、二回も言わせるやがるか! 変態!!」
このくらいで変態呼ばわりとは、生きにくい世の中になったねぇ、とジョルジュは頭を掻く。
白々しい態度に苛ついたか、それとも何かしらの欲求が我慢の限界に達したか。
ともかくハインは、ジョルジュをタックルの要領で押し倒して、縋った。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:08:11.26 ID:O2PBaOPsO
从#゚∀从「分かったんだよ。俺は、お前がいなきゃ成り立たねえ。一緒にいやがれ!」
威勢良く言い放ったはいいが、ジョルジュはというとどこか困惑した様子であった。
从 ゚∀从「……嫌なのか? やっぱり俺なんかと一緒にいたくはないのか……?」
_
(;゚∀゚)「いや、そんなんじゃない。なんていうか、その……雪はどうするんだ?」
从 ゚∀从「……ん」
いまいち空気が読めていないジョルジュを睨んで、ハインはしばらく考えた後、こう言った。
从 ゚∀从「明日。明日どうにかするよ。……だから、もうちょっと、こうさせていてくれ」
ハインは、ジョルジュを抱いた腕をより一層きつくして、胸に顔を押し付けた。
_
( ゚∀゚)「仕方ねえな……」
ぽんと置かれた手に、ハインは妙な安心感を覚えて、瞬く間に眠りに就いてしまうのだった。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:10:07.82 ID:O2PBaOPsO
3日目
相変わらずの空模様が、広い窓から覗く。ラジオはガリガリとノイズを交じらせながら、呻いていた。
『高岡……は、この雪は……が付着した上、……硫化水素……の有毒ガスが……するとし……』
川 ゚ -゚)「下らないな」
わざわざシャーペンを置き、問題を解くのをやめてから、クーは言った。
(´・ω・`)「……へぇ、何で?」
彼女の「同意を求めている感」を感じ取り、ショボンはひとまず話をつなぐ。
長く愚痴を聞かされそうな気がする。読んでいた本に、栞を挟んでから、真横にいるクーを向いた。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:10:13.79 ID:tiiwus3P0
あああシあああエあああンああお
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:10:52.36 ID:JIGaphMB0
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:11:36.71 ID:gyPhFwN3O
支援支援
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:12:41.82 ID:tiiwus3P0
思念
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:12:51.92 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「今更になって、雪の成分を解析だなんて、悠長すぎる。私なら、得体の知れないものは、まず初めに調べる」
(´・ω・`)「ふぅん」
雪が降ったのと、クーがこの図書室に来てから、今日で三日目になる。
分かったのは、彼女がこんな状況でも、決して勉強を止めないことと、彼女の手の甲に薄いホクロがあること、
そして、クーは確かに賢いが、臨機がきかないこと。
(´・ω・`)「まぁ、そうできない理由があったんだと思うよ」
川 ゚ -゚)「例えばどんな?」
(´・ω・`)「さぁ。僕にはそこまでは知り得ないな」
はぁ、ため息のように吐いて、クーは次に吸った空気の冷たさに鳥肌を立てた。
三日続けて太陽がほとんど出ていない。それこそ、辺境の矮惑星のような寒さだ。
こんな場所で、しかも制服の夏服で、寒くないとうそぶける人がいるなら、彼らに紹介してほしい。
まだ若すぎる彼らにとって、単純に勇気となるだろうから。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:15:48.97 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「……流石に、寒いか」
川 ゚ -゚)「いや、何のことはない」
一応、ショボンが本と本棚をうまく組んで、可能な限り熱を逃がさない空間を作ってある。
しかし、それ以外にも問題があった。
川 ゚ -゚)「……腹が減ったな」
二人が持ち合わせていた弁当も、既に空っぽ、ショボンは昨日、生まれて初めて、本を食べた。
(´・ω・`)「うん……でも、世界中がこんな状態だから、支援は望めないね」
川 ゚ -゚)「……本を……食べるしかないのか」
せめてここが自分の家だったら、と何度思ったか。時折母の顔がよぎったりもした。
そしてその度に奇跡を信じ、生きのびてきた。
(´・ω・`)「今度こそ、気合いじゃどうにもならなそうだね」
ショボンがそう、弱音を吐いたときだった。内線が通じる電話が鳴った。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:16:59.46 ID:JIGaphMB0
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:18:31.00 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「出てみなよ」
ちらっとクーを伺ったショボンに、彼女は少し不機嫌そうにいった。しぶしぶ、ショボンは受話器を取る。
(´・ω・`)「もしもし」
『俺だ』
(´・ω・`)「なんだ、校長先生か。どうしt」
『誰がオッサンヴォイスだ! 俺だよ、ドクオだ!!』
(´・ω・`)(うぜぇ……)
ショボンは露骨にいやな顔をしながら、言わなければ相手には分からないと気付いて、ふっと笑った。
『おっと、そんなことより。体育館に来てくれ!』
(´・ω・`)「どうしたんだ。良いことか?」
『良いことも良いこと! 飯が食えるぞ、ショボン!!』
(´・ω・`)「なんだ、そんなことか」
(´゚ω゚`)「何だって!?」
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:21:07.61 ID:JIGaphMB0
支援
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:21:13.90 ID:O2PBaOPsO
うっかり、ドクオのウザさのせいで、朗報を右から左するところだった。
(´・ω・`)「こんなご時世で、どこの誰が飯をくれたってんだ?」
『分からん。近所の農家らしいが、詳しくは……』
(´・ω・`)「ふむ……ともかく、知らせてくれてありがとう。すぐ行くよ」
ショボンが電話を置くと、クーはだるそうに立ち上がった。これは唯、体力が残っていない故だが。
川 ゚ -゚)「飯なんだろう?」
(´・ω・`)「そのようだ。行くだろう?」
川 ゚ -゚)「いや」
クーは少し思案して、拒否した。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:24:05.30 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「……そうかい」
ショボンは、敢えて無理やり連れ出すことはしなかった。
これまで、僅かに成立した会話から、確かだという確率こそ低いが、割り出した事項がある。
(´・ω・`)「それじゃあ、君の分も貰って来てあげるよ」
川 ゚ -゚)「助かる」
相変わらず無愛想だな、と心の中で呟いてから、ショボンは図書室を出た。
(´・ω・`)「……」
少し期待してから、外を見る。やはり、相変わらず雪が雨のように降り注いでいた。
そして地に在る塵どもは、風に踊り、空を舞う。
(´・ω・`)「やっぱり、とち狂った奴が最期に世間の役に立ちたがっただけか」
もしかしたら、何かしらの好転があったのかと胸を躍らせていたが、期待はずれだった。
荒天は変わらず、全く破滅の足音はずっと楽しげにスキップして近付いてきていた。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:24:48.24 ID:JIGaphMB0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:27:13.87 ID:O2PBaOPsO
体育館に入って、ショボンはむっと顔をしかめた。
(´・ω・`)(生き残りは、こんなに多かったのか?)
初日の朝から雪が降っていた。有毒ガスが薄いうちに学校に来て、生きているのは、ほんの数十人と思っていた。
それが、大凡二百人といったところか?
(´・ω・`)「ドクオー、どこだい?」
ドクオを探すついでに、顔ぶれを見てまわる。
(´・ω・`)(ふむ……斉藤、荒巻、杉浦……サッカー部? いや……)
目に付く人間の共通点を探し回る。もちろん、生き残っている理由となるような。
(´・ω・`)(なるほど。こいつら……ほとんどが朝練がある集団だ)
疑問が解消したところで、真剣にドクオを探す。
めんどくさい事に、ドクオは低身長な俺男だ。こう雑踏の中では、待ち合わせをしても会えない事がある。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:28:41.26 ID:JIGaphMB0
支援
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:30:08.56 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「どこだ、ドクオ……そもそも生きてるのか、アイツ」
ドクオが死ぬばかりはお断りだ。例えお断りしますがお断りしなくても、ショボンは断る。
ドクオは、これまで唯一、彼を理解しえた人間だった。ドクオの死は、ショボンの心の死である。
その時だった。体育館のステージから、マイクを使ったシャウトが、全員の耳をつんざいた。
ノハ#'A`)「お前らぁ! トウモロコシが……茹で上がったぞおおぉおお!!」
(´゚ω゚`)(前言撤回! 野郎め、死ねっ!!)
ショボンは不意の200デシベルに、意識を持って行かされそうになりながら、どうにか立ち続けた。
そして、また変なコスプレをした――カツラを被り、スカートの下に制服のズボンを履いている――ドクオを睨んだ。
(´・ω・`)「全く、こんな時に元気なもんだよ」
ともあれ、ショボンもそろそろ限界が近づいていた。壇下から喚いて、消費できる体力はもう無かった。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:32:02.19 ID:34QoVf0J0
支援
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:32:37.71 ID:O2PBaOPsO
大人しく列に並び、トウモロコシを待つ。
ショボンは最後尾集団だが、独占をしようとする者は、普段から教育の行き届いた私立ならでは、一人も居ないようだ。
(´・ω・`)(一人一本か……クーのぶんは貰えるかな……)
もし、余りが出たら遠慮なく戴こうと決めて、ショボンはせめて陽気に、口笛を吹いた。
かなりやつれた背中の男に、うるさいと囁かれてからは、すぐに止めたが。
さて、茹で上がったトウモロコシを受け取るだけの、単調な作業。
ずらりと並んだ列の消化も、時間がかかると言うほどでは無かった。
('A`)「お、ショボン。来たか」
(´・ω・`)「うん。流石に、飲まず食わずではね……僕と、あと一人いるんだ。二本くれないかな?」
ドクオは、一、二、三……とトウモロコシの数を数えてか
ら、ショボンの後ろにいる人数を確認する。
('A`)「……すまん、いっぱいいっぱいみたいだ」
それから、申し訳なさそうに言った。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:33:20.28 ID:JIGaphMB0
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:35:20.08 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「……そうかい。じゃあ、一本でいいや」
少し冷めた大鍋からトウモロコシ一本を、勝手に取った。
('A`)「……大丈夫なのか?」
(´・ω・`)「大丈夫さ。昨日、ひどく不味いが腹には溜まるものを見つけた。いざとなったらそれを食べるさ」
素直に本を食べると言わなかったのは、ショボンの小さな自尊心を守るためか。
それとも、ドクオが余計な心配をしないようにとの配慮か。
どちらにしても、ショボンはまるで逃げるように、体育館を後にしたのだった。
('A`)「……ショボン……」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:36:25.35 ID:Ybx6x+Aq0
支援!
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:38:08.34 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「ほら、持ってきてあげたよ」
図書室に戻ってくると、ショボンは湯気を放つ食料を、クーに手渡した。
川 ゚ -゚)「……トウモロコシか。好かんな」
(´・ω・`)「塩が要るかい? 生憎、無いよ」
川 ゚ -゚)「……お前が食え。私はトウモロコシより勉強が好きだ」
トウモロコシをショボンに押し付けてまた、ペンを取るクー。その姿に、ショボンは確信を得た。
(´・ω・`)「……君は誰なんだい?」
川 ゚ -゚)「言ったろう。私はクー、3年A組のクーだ」
(´・ω・`)「それじゃあ、僕は?」
我ながら回りくどい訊き方をするな、と苦笑しながら、ショボンは続ける。
川 ゚ -゚)「……2年C組のショボンだろう?」
(´・ω・`)「うん。確かにそう言った。……でも、本当は違うんだ」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:38:52.62 ID:Ybx6x+Aq0
いやー読み中だけどギコとしぃの方言がいいわ
支援
おもしろい、支援
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:41:04.53 ID:O2PBaOPsO
クーの表情に、一瞬だけ焦燥が現れた。
(´・ω・`)「僕は、3年A組のショボン。だけど、3年A組のクーという名前は、聞いたことが無いんだ」
川 ゚ -゚)「……それがどうした。ただ単に、お前の頭が弱いだけじゃないのか」
(´・ω・`)「悪いけど、僕は暗記力だけは良くてね。言われれば、大抵の本は最初から全て暗唱できるよ」
川 ゚ -゚)「む……」
クーは明らかにたじろいだ。その反応を楽しみながら、ショボンは追い討ちをかける。
(´・ω・`)「……君は、死んでいるよね? 3年A組のクーは、亡霊なんだろう?」
川 ゚ -゚)「……」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:42:04.49 ID:JIGaphMB0
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:43:16.70 ID:RC5g9qvTO
支援
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:44:03.52 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「……気付いていたな? 私が、3年A組と言った時から」
(´・ω・`)「確信がなかっただけさ。それで、食べ物を渡したらどんな反応をするかと思って」
川 ゚ -゚)「莫迦者め。べらべら話してないで、とっととそいつを食ったらどうだ」
(´・ω・`)「……お言葉に甘えるよ。すまないね」
少しでも無駄にしまいと、丁寧に粒を取って、何度も咀嚼して食べた。味気ない紙の、幾億倍も旨い。
涙を流しそうになるのを堪えながらも、ショボンはぽたぽたとトウモロコシに塩味を添加していた。
(´;ω;`)「……ごめんね、食べられない人の前で……」
川 ゚ -゚)「構わん。食事なんてものには、とうに興味は失った」
(´;ω;`)「……それでもとりあえず、……ごめん、クー」
川 ゚ -゚)「しつこい奴だな。……これだから生者は嫌いだ」
(´;ω;`)「……」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:45:23.82 ID:gyPhFwN3O
支援ー!
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:46:10.47 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「……過去最高に、綺麗なトウモロコシの食べ方が出来たよ。芸術点10点だ」
川 ゚ -゚)「……前歯に欠片が挟まっている。五輪競技にあるとしたら、お前は出場も出来ん」
(´・ω・`)「手厳しいね。どうでもいいけど……」
ショボンは、机にトウモロコシの芯を置いて、ほっと安堵の息をついた。
川 ゚ -゚)「空腹は満たされたか?」
(´・ω・`)「満たされた、と言うには程遠いかな。まぁ平気さ。少しは栄養になった」
本を喰らっても、そこに人体に必要な養分は無い。山羊じゃあるまいし、腹を壊すだけだ。
時たまには、こうした機会が必要だが、これ以降、食糧支援はあるだろうか?
川 ゚ -゚)「……雪が長引けば、お前も死ぬだろうな」
(´・ω・`)「うん。多分、本を食べても同じことだね」
それでも、多少空腹は紛れる。ショボンは、雪が晴れるようにと、祈るほか無かった。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:46:25.27 ID:Ybx6x+Aq0
いやー読み中だけどジョルジュが変
_
( ゚∀゚)
_
( ゚∀゚)
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:47:38.10 ID:JoKqPz0a0
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:47:46.98 ID:BSxvr/C1O
別にいいだろw
気にするな
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:49:13.86 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「そう言えば、クー。人は死んだらみんな、君のように彷徨うのかい?」
せっかく目の前に死者がいるんだ。ショボンは僅かな元気が起きた途端に、好奇心が沸き上がってきた。
川 ゚ -゚)「……未練を残している者は。そうでない者は天国へ行き、我々はあまりこうして現世に居続けると、地獄へ堕ちる」
(´・ω・`)「その猶予は、どれくらい?」
川 ゚ -゚)「十年と一日だ。たまに、いたこが過去の偉人を憑依させているが、あれは全て嘘ということになるな」
(´・ω・`)「ほう……一日のような十年が、十年と一日目に変わるのか」
川 ゚ -゚)「聞くところによると、そういう意味らしい。死んでからも説法を聞くとは思わなかった」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:49:14.51 ID:K7ahjT+o0
地の文にも方言があるのが、ちぃと気になるな
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:51:17.14 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「君は、ずっと一人だったのかい?」
川 ゚ -゚)「いや、幽霊同士の交流は、とても盛んなものでな。こっちではそこそこ友達が出来たよ。
貞子や長岡、渡辺。新参には内藤とか……みんな良いやつだ」
ショボンはふと、クーの使っているノートを見やった。
渡辺:おいすー
内藤:あ、ぽこたんインしたお!
貞子:前々から思ってたけど、その「お」って何なの……?
素直:むしろ「ぽこたん」に突っ込むべきかと
渡辺:わたしもそう思ったけど、
(´・ω・`)「……アナログだね」
今も、クーがただ覗いているだけのノートには、ガリガリと文字が現れていっている。
川 ゚ -゚)「昔からある方法だから、こうせざるを得ない。電子機器にも干渉してみたが、すぐ電源が落ちてしまう」
(´・ω・`)「いやに分かりやすいポルターガイスト現象だね」
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:52:12.63 ID:JIGaphMB0
支援
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:53:01.04 ID:gyPhFwN3O
紙でやりとりって、なんかロマンチックでいいなw
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:53:07.84 ID:JoKqPz0a0
ブーン死んじまったのか・・・
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:54:17.13 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「……君は、勉強をするフリをして、ずっとここでお話をしていた訳か」
川 ゚ -゚)「こうしていれば、大抵の人間には見えないし、見えても関わろうとしないからな。……お前は、特別なんだな」
(´・ω・`)「やめてよね、僕が死んでるみたいな言い方。そんなホラーはお断りだよ」
川 ゚ -゚)「お前は物を食えるだろう。それはまだ、生きているということだ」
(´・ω・`)「……そうか、そうだね」
ショボンは急に安心したように、にやけた。ただの杞憂を不安がったのが恥ずかしかったのだろうか。
川 ゚ -゚)「……ん? なんだ、長岡……」
クーにつられて、ショボンはノートを覗きこむ。そこにはまた、汚い字が書かれ始めていた。
やけに焦ったような走り書き。解読に少し時間を要した。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:56:22.37 ID:O2PBaOPsO
長岡:オレの知り合いが、雲を無くす実験を成功させた。もうすぐ雪が消えて、晴れると思う。
貞子:あら、本当?
渡辺:天才ktkr
川 ゚ -゚)「これは……」
(´・ω・`)「まさか嘘ってこともなさそうだね……ただ、本当に成功なのか、疑わしいところかな」
長岡:ただ、ガスはすぐには無くならんようだ。お前らに助けたい人間がいるなら、それだけは伝えておいたほうがいい。
内藤:渡辺さん、ktkrってなんだお?
川 ゚ -゚)「黙れ内藤、ggrks」
(´・ω・`)「手厳しいね。まぁ、どうでもいいけど」
内藤:うえーん、意味が解んないおー!
長岡:……内藤は、助けたい奴は居なさそうだな
内藤:あ、そう言えば、ツンがまだ生きてるかも知れんお。いてくる!
長岡:……素直は?
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:58:40.30 ID:Ybx6x+Aq0
いやー読み中だけどクーが亡霊とかまだこの話の方向性理解できてない
支援
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 20:59:04.68 ID:O2PBaOPsO
素直:私は誰が死のうが構わない
(´・ω・`)「酷いこと言うじゃない……」
川 ゚ -゚)「なんだ、ショボンだけは生きてて欲しいと、そう言われたかったか?」
(´・ω・`)「……そうだね。クーが黙ってノートを見せてくれるだけで満足だけど」
川 ゚ -゚)「……ふん」
クーはため息をついて。ショボンの目を見据えた。
川 ゚ -゚)「お前は、私を唯一理解した者だよ。……ショボン。例えこの後空が晴れても、外には出るな。
何故なら、外にはまだ雪が齎したガスが残っているからだ。しばらくは屋内に居、時期を待て。そして……生きてくれ」
ショボンは深く頷いた。
(´・ω・`)「……分かった、ありがとう。きっと生き延びてみせるよ」
川 ゚ -゚)「……私は外で、一足先に晴れ間を見に行く。当たり前だが、付いてくるなよ?」
足早に去った背中に、ショボンは一言、「照れるなよ」と言った。その後すぐ、何かしらの念力が体に働いた気がした。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:01:30.53 ID:JIGaphMB0
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:01:32.05 ID:O2PBaOPsO
ショボンが窓から見える空をじっと見つめていると、図書室の扉を叩く者がいた。
(´・ω・`)「誰だい?」
('A`)「訊く前に自分で確かめろ。俺だ、俺」
(´・ω・`)「! 校長先生。どうされたんです?」
('A`)「あぁ、それがのう……バカ野郎、ふざけてる場合じゃねえ。間もなく雪が消えるぞ」
ショボンは、ドクオの言葉に耳を疑った。そして、確かめる。
(´・ω・`)「ねぇドクオ。どこでその情報を?」
('A`)「なんだって良いだろ、そんなの……それと、注意事項だ。晴れても、ガスが無くなるまでは外には出たら駄目だ。
死ぬ。だから、絶対外には出るな。校長先生との約束じゃぞ?」
最初、ショボンはドクオの言葉に反発しかけた。しかし、結局はドクオの言うとおりだと思い直す。
(´・ω・`)「……そうだね、なんだって良いか」
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:04:05.51 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「ともかく、情報をありがとう」
('A`)「なに、お前の命の為ならだ。気にするな」
(´・ω・`)「ほんと。僕としたことが、どうでもいい事を気にしたよ。さっき、このノートを見たばかりだったからさ」
机に無造作に置かれた、一冊のノート。素直クールという名前負けの記名とともに、そこには、
(´・ω・`)「VIP学院高等部、3‐A専用チャットノート……って書いてあるんだ。なんだろね、これ」
(;'A`)「……お前! それをどこで?」
(´・ω・`)「……ドクオ、念のために確認をとらせて。……君は、死んでいるよね?」
ドクオが完全に硬直する。ぱくぱく開閉する口が気持ち悪いが、黙っておいてやろうとショボンは情けをかけた。
(´・ω・`)「……肯定ととらせて貰うよ」
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:04:17.00 ID:Ybx6x+Aq0
いやー追いついた
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:06:12.10 ID:O2PBaOPsO
('A`)「……ショボン。なんていうか……どう話していいか」
(´・ω・`)「ん? 別に話すこともないだろう。僕はきっかり全部理解しているよ」
ショボンはおどけてノートを捲る。独自の速読術でスピーディーに文字を追い、読み終えてから言う。
(´・ω・`)「君は、会話には参加してないね。ひょっとして、最近死んだばかりかい?」
('A`)「いや、ずいぶん昔のことだ……知ってるだろ、俺が話し苦手だってこと」
(´・ω・`)「僕とは話せるのにね。変わらないよ、彼女も。字面でいいんだから、軽く話せばいいのに」
('A`)「ははっ……それができたら、死んでないしここに居座ってなんかいないよ」
ドクオは苦々しく笑うと、ショボンの隣に座った。
(´・ω・`)「……あれ? お前、さっきトウモロコシ配ってなかった? ギャーギャー騒ぎながら」
('A`)「え? だって俺、適当に生きてる奴には見えないはずだぜ?」
ショボンはドクオの目を見た。どうやら本気で言っているらしい。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:09:07.17 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「ドクオ……君が見えなくても、トウモロコシは見えるんだ。
適当な人たちには、トウモロコシが浮いてるように見えただろうね」
ドクオの顔が、さっと青ざめる。
('A`)「ひょっとして、俺、バレた?」
(´・ω・`)「まぁ、空腹を忘れて、トウモロコシが浮いてるのは何故かを考えた人には」
(゚A゚)「イイイイイイイィィ!! 人間コワイッ!!」
青くなったドクオは、ばさりと制服を被ると、消え去った。
(´.ω.`)「……まったく、どうしようもないやつ。ドクオなんて見えなきゃ良かった」
ひどい言葉を吐き捨て、ショボンはため息をついた。
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:09:42.21 ID:RbXu7zh9O
支援!
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:11:08.38 ID:O2PBaOPsO
ショボンはそろそろと窓際に寄る。
(´・ω・`)「暑くなってきたな……さすが夏」
外にはぞろぞろ、蟻のように人が蠢いていた。
彼らの様子を見てから、外に出てみよう。いつ空気が浄化されるか、全く予測はつかない。
ともすれば、不用意に外に出るのは危険だ。
(´・ω・`)「倒れる人がいなくなったら、外に出てみるかな……」
人を実験体にするなんて、決して気分のいいものではない。だが、それと、自分が犬死にするのとは別だ。
(´・ω・`)「人間は、自分のために倫理を殺す……か。確かに、倫理は死んでいるな」
せめて多くの人に、外は危険だと気づいて欲しいと、願うしかない自分に呆れる。
テレパシーなんて超能力は持ち合わせていない。ただ情けなく祈るだけ。
ハインとやらのように、世界を救うような知識も発想も持たない、いたく弱々しい人間だ。
(´・ω・`)「……ひとりになったりしたら、嫌だな」
ぽつりと呟いた。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:13:02.58 ID:JIGaphMB0
支援
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:13:19.45 ID:Ybx6x+Aq0
支援
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:13:59.00 ID:JoKqPz0a0
支援
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:14:05.09 ID:O2PBaOPsO
ふと、手元のノートがガリガリ鳴った。慌てて開いてみると、長岡が文字を綴っていた。
長岡:ガスの濃度が致死量を下回った。もうしばらくしたら、外に出ても問題ないだろう。
長岡:ただ、水場にはまだ多量の有害物質がとけているらしい。水場には近づかないように、言っておくといい。
(´・ω・`)「水場……そういえば、トウモロコシを茹でる時に水は当然使うはずなんだけど……」
ひょっとして、僕も死んでいるのか? と考えてから、ショボンは笑い飛ばした。
自分はトウモロコシの美味さを知っている。塩味がかった甘さを知覚できる。
(´・ω・`)「ま、死んでるとしたら、それはそれでいいけど。でも、
知らないうちに十年と一日経って、地獄に堕とされたらたまんないか」
くすりと笑うと、またノートがガリガリ鳴る。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:14:52.27 ID:JIGaphMB0
支援
支援
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:16:12.18 ID:O2PBaOPsO
長岡:ガスは完全に希薄になった。外にでても平気だろうと、ハインは言っている。
長岡:だんだん暑くなってきたが、引き続き水場には近づかないように要請してくれ。
渡辺:水遊びしたいよー
貞子:井戸に入るのもダメ?
長岡:あんたらは好きにしたらいいだろ……bk(亡霊的に考えて)
それを見てショボンは、ふむ、と頷いて、ノートを置いた。
(´・ω・`)「……クーの様子でも見に行くかな。外の……どこにいるんだろう?」
窓から見てみるが、それらしい人影は見当たらない。とすれば、屋上あたりだろうか。
(´・ω・`)「とりあえずあたってみるか。どうせ時間はたっぷりある」
ショボンを体を伸ばすと、だらだら歩き始めた。
図書室も、階層で言えば高い位置にあるが、やはり空に一番近いのは屋上だ。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:18:43.23 ID:JoKqPz0a0
支援
いつの間にジョルジュは死人に?
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:19:06.64 ID:O2PBaOPsO
重々しい扉を開けると、灰塵が渦を巻いて飛び回っていた。
(´・ω・`)「……」
これ自体にさほど問題はなさそうだが、反射的に息苦しくなる。
ずっと換気していないよどんだ空気を吸っていた。どうせなら、最初には澄み切った空気を吸いたかったが、
それも今となっては叶わない。ショボンはもう少し歩き出しながら、フェンスに寄ってクーを探そうとすると。
川 ゚ -゚)「ショボン。もう平気なのか」
いつも間にか、ショボンの背後に立っていた。
(´・ω・`)「うん、長岡さんが言っていた。水場には近づかないようにとも」
川 ゚ -゚)「なるほど。……今、各地の亡霊と交信で諮っていたのだが、どうやら、生きているものは相当少ないぞ」
(´・ω・`)「どれくらいだい?」
ショボンがそう訊くと、クーはぱっと片手を広げて見せた。
(´・ω・`)「……五人?」
クーは、こくりと頷いた。絶望するには、十分な答えだった。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:20:53.29 ID:Ybx6x+Aq0
五人・・・支援
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:21:26.01 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「詰めが甘い奴らだよ。寒い中じっと耐えてきただろうに、こんな事で全て無駄にして……」
(´・ω・`)「……あぁ。でも、生きてる人はいるんだよね? その人たちは、どこにいるんだい?」
ショボンが言うと、クーは信じられないという表情で振り返った。
川 ゚ -゚)「まだ、この世界で生きようとするのか?」
ショボンはふと考え込む。
この世界は今、どうなっている。どうすれば生き延びることができて、どうすればその命を安定させられるか。
自分たちに残されたたった十本の手で、何が出来るんだろう。
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「確かに建物は損壊してはいないな。しかし、農業は壊滅か……ビニールハウスとて換気はするものだしな……
家畜も獣も消えたな。」
クーは街を見眺めて、ぶつぶつ思考を巡らせている。
(´・ω・`)「……何も残ってないな、この世界には。ハイン博士はどうして放送を流すなりして、
注意を呼び掛けなかったんだ。彼は生者じゃないのか?」
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:24:14.15 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「ショボン、ハイン博士は女性だ。――故に、やはり詰めが甘かった」
(´・ω・`)「……どういうことだい?」
川 ゚ -゚)「まず始めにだが、ハイン博士には恋人がいる。名は長岡、彼女の助手だな」
長岡。たしか、ノートにそんな名前の書き込みがあった。亡霊の長岡のことだろう。
(´・ω・`)「……僕と似た境遇だね」
川 ゚ -゚)「黙れ。それで、ハイン博士は、装置を雪雲に向かって打ち上げた後……長岡を強く求めた」
(´・ω・`)「……夢中になって、報せるのを忘れたか。本当に詰めが甘い。砂糖黍だね」
徐々に日照りが強くなる。
もしかしたらハイン博士の場合、何かしらの太陽光線も増幅してしまっているのではないか。
川 ゚ -゚)「それで、どうするんだ?」
(´・ω・`)「……」
そんな仮説は、なんの意味もないか。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:24:53.45 ID:Ybx6x+Aq0
支援
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:25:32.29 ID:JIGaphMB0
支援
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:25:49.85 ID:3UpMo/yT0
支援
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:26:06.24 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「クー。海へ行こう」
少し遠回しに。
死のう、とショボンは言った。
クーは特に表情を悲哀や喜楽に歪めるでもなく、ひとこと、「おk」と言った。
(´・ω・`)「ドクオも連れていきたい。いいかな?」
クーは首を捻って、その名を反芻していたが、やはり覚えがないらしく、また首を捻る。
川 ゚ -゚)「それは、生者か? 死者か?」
(´・ω・`)「死者だ。この学校に住んでいる、ね」
川 ゚ -゚)「……聞いたことないな。対人恐怖症の類いか?」
(´・ω・`)「そんなところ。で、いい?」
川 ゚ -゚)「私は一向に構わない。……さて、隠れてないで出てきてもらおうか」
(´・ω・`)「?」
クーがあさっての方を睨みつけた。ちょうどそこから突如紫色の煙が上がり、共にドクオが落ちてきた。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:29:05.12 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「うわ、いきなり出てくんなよ気持ち悪い」
(;'A`)「ぱ、はじめまして」
川 ゚ -゚)「どうも。クーだ」
尻餅をついて呻くドクオに、クーは手を差し伸べた。
(;'A`)「……え?」
ドクオは戸惑いながら、その手とクーの顔を交互に見る。
(;'A`)「さ……触っても、いいの?」
川 ゚ -゚)「……過去に何があったかは知らんが、私は君を蔑んだりしない。……この体勢、つらいから早くしろ」
(;'A`)「は、はい……」
ドクオはおずおずと手を握ると、立ち上がらせてもらった。
そして、ショボンに駆け寄ると、
(゚A゚)「ショボン、すげぇ! あの子、めちゃくちゃ手が柔らかい!!」
川 ゚ -゚)「……」
(´・ω・`)「僕を巻き込むなよ……」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:29:46.62 ID:G75OHcKC0
支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:30:15.07 ID:JIGaphMB0
ドックンかわいい
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:30:24.97 ID:Ybx6x+Aq0
ドクオww
支援!
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:31:05.52 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「それで、話は聞いていたな?」
ドクオを思う存分ボコボコにしてから、クーは訊いた。
(###A`)「……はい」
川 ゚ -゚)「それじゃあ、早速行こう。海がきれいにならないうちにな」
(´・ω・`)「……あぁ」
廊下を歩いていると、ドクオがなんとも気味の悪い声で囁いてきた。
('A`)「クーさんの手、マジやべぇって。お前も触れよ、この世の物とは思えない」
(´・ω・`)「だって、この世の物じゃないし」
('A`)「そ、そんなのはどうでもいいんだよ。……って、お前は生者なんだっけ。お前じゃ無理だ」
(´・ω・`)「……どういうこと?」
ドクオはふわりと浮いて、指を立てると、地獄の笑みを浮かべた。
('A`)「いやー、亡霊たちはな、自分の意識を集中してないと、相手に触れることも触れられることも出来ないんだ。
無機物に対しては意識は要らないんだが……」
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:34:20.57 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「ふぅん……」
('A`)「それから、この事の問題は、別のところにある」
一層近づいて、ドクオは意地汚くにやつき、黄色い歯を見せた。臭い。
('A`)「生者と死者では、セックスができない」
(´・ω・`)「……それが?」
('A`)「そりゃセックスが不可能な訳じゃないんだが、強く意識を保たなきゃいけない。
基本的に淫蕩に浸るものだから、それを抑えなきゃいけない。当然、気持ちよくなんかないんだ」
(´・ω・`)「はいはい、残念だよ」
('A`)「そうだろう、そうだろう……だが、亡霊同士なら……だから、すぐこっちに戻って来いよ」
(´・ω・`)「……なんだ、それが言いたかったのか」
ショボンは苦笑して、ドクオの肩を叩こうとした。
('A`)「これがほんとの肩透かし!」
(´・ω・`)「絶対に戻って来ないから」
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:35:04.71 ID:Ybx6x+Aq0
支援w
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:36:23.54 ID:O2PBaOPsO
理事長のベンツを、鍵を拝借して動かした。死体をまさぐるのも、特に心に感じるものはなかった。
むしろ、いつも偉そうにしているそいつが、馬鹿馬鹿しいことで死んでいることがおかしかった。
川 ゚ -゚)「車の運転が出来るのか?」
(´・ω・`)「出来ないよ。感覚でやってみるだけだ」
('A`)「ま、対向車もないんだし、余裕だろ」
海に着いた頃には、漆黒のボディは無数のひっかき傷があり、バンパーはぶつけ過ぎてどこかに落ちていた。
(´・ω・`)「本当に死ぬかと思った」
('A`)「一種才能だよ……理事長死んでて良かったな」
(´・ω・`)「このことで未練が生まれて、蘇ってくるかも」
川 ゚ -゚)「やめろ、本当に来そうだ」
車を降りて、砂浜に降り立つ。ショボンは、海を久しぶりに見る。
最後に見たのは、ずいぶん幼い頃だったか。母に手を引かれて、人でごった返す中見えた海は、人の色に見えた。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:39:03.66 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「綺麗だな……」
だけれど今度の海は、誰もいなくて、砂浜に流木が埋もれるかのようにある人の死体が目立つ。
青ざめた海には、燦々と光を放つ太陽の下ながら、誰もいない。
そう思うことは、不謹慎ではあったのだが、やはり、その海は美しかった。
川 ゚ -゚)「この海を見てると……何もかも忘れて、遊びたくなるな」
(´・ω・`)「覚えておくようなこともないだろう。この暑さ……泳ごうよ、クー」
('A`)「俺は泳げないから焼くわ。クーさん、オイル塗ってください」
川 ゚ -゚)「調子に乗るな、カス。行こう、ショボン」
ドクオはいじけて、自ら砂に埋まっていった。このまま出さないで良いだろう。
(´・ω・`)「うん……怖いからそばにいてくれよ、クー」
ショボンは汗が染みはじめたワイシャツを脱ぎ捨て、波打ち際へ歩いていく。
その傍らには、少しだけ眉をひそめたクー。片時も離れぬよう、しっかりショボンの手を握っていた。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:39:54.07 ID:YiI7h8eL0
しえん
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:40:24.76 ID:Ybx6x+Aq0
支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:41:09.67 ID:O2PBaOPsO
波打ち際にくると、ショボンはまた立ち止まる。
川 ゚ -゚)「どうした?」
(´・ω・`)「……クー」
ショボンはぐっとクーを抱き寄せて、素早く唇の高さを揃えると、すぐそこの唇と合わせた。
川 ゚ -゚)「むっ? ……」
(´・ω・`)「……だめかい」
ショボンの顔は、半透明になったクーの顔に、半分ほど埋まっていた。
クーは、ほとんど反射的に回避してしまったのだが、ショボンはやはりしょぼくれていた。
川 ゚ -゚)「いや、すまん……」
(´・ω・`)「いや。これで未練が残ったはずだ。安心して死ねるよ」
クーは一瞬呆けてから、眉をひそめて、ショボンを押しのけた。
川 ゚ -゚)「そういうのは……何も言わずに行けばいいんだ。そのほうがロマンチックだからな」
(´・ω・`)「すまないね。そういうのは苦手なんだ」
ショボンはそう苦笑した。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:41:18.16 ID:1t6tXSZdO
なるほど、幽霊はセックスして昇天するのか
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:42:45.10 ID:3UpMo/yT0
なんだか寂しくなってくるよ支援
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:43:20.06 ID:OZyzAY220
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ルールもテンプレも無い / \
自由な昔のVIPが生きてる / / ハ ヽ
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遊びに おいでよ ,' ,' ,' / /|. ,' ', ハ |. ',
ましまろ スレッド | | |_/|___/イ/ ',| ', | |
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|,/ .::ヽ| r/}:n`''-─- ─-/ |
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/ :::::::/ヽ! ! ! ヽ_ ∩j:: |
/ .:/⌒`ト、 \ヽ二フ _//|::: |
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{ { { ::::ヽ /‐-‐/ '||∨', ', / ヘ
', :::||::ト、//⌒/ ,' ||_| ', ',ミ,ノ
苺ましまろ }:/ |:i ヽイ / ,'ミ「j ', ', }
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219918335/
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:44:02.67 ID:O2PBaOPsO
(´・ω・`)「それじゃ、しばらく」
一度だけ振り返ると、ショボンはざらざらと、指の間に挟まる小石を忌みながら、ズボンをずぶずぶに濡らしていく。
(´・ω・`)「……大丈夫だろうか……」
その背中はすぐに海水に浸り、突如ショボンは崩れ落ちた。
川 ゚ -゚)「……何故だろうな」
('A`)「はい?」
川 ゚ -゚)「ショボンが……二度と戻って来ない気がした」
('A`)「……すぐにその海から、ザバッと出てきますよ……ショボンは、約束を破りません」
川 ゚ -゚)「……そうだな。当然、信用している」
('A`)「だから、じっと待ってて下さい。心配しなくてもすぐ来ます」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:44:09.37 ID:JIGaphMB0
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:46:06.38 ID:O2PBaOPsO
長く、空虚な時間が流れた。
('A`)「……俺のときは、こんなに時間はかからなかったが」
川 ゚ -゚)「恐らく、自分が感じるより長い時間が経つのだろう。よくあることだ」
('A`)「そうだな……それに、ショボンが帰ってこない理由がないものな。あいつは確かに、
厭世主義のきらいはあったけど、ショボンはクーのこと、本当に好きだったはずだ」
川 ゚ -゚)「……未練が無いわけがない。が……はじめは、未練が湧いてなかったのではないか?」
('A`)「……何だって?」
川 ゚ -゚)「あいつが私にキスしようとして、言ったんだ。これで未練が残ったはずだ、と」
('A`)「……」
二人の心に明確な不安がよぎる。確証もないのに、異様な説得力があった。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:46:48.37 ID:JIGaphMB0
支援
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:46:56.84 ID:Ybx6x+Aq0
支援
支援
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:48:40.20 ID:O2PBaOPsO
川 ゚ -゚)「もしかしたら、あいつはあいつなりに未練を残そうとして……だが、人生が厭になっていて……」
('A`)「やめてくれ。そんな憶測を並べても仕方ない。俺らはただ待つだけでいいんだ」
クーはやっと、ショボンの沈んだ辺りから目線を外して、砂の上に座った。
川 ゚ -゚)「……戻って来るだろうか」
('A`)「戻って来ない訳がないだろ?」
ドクオは、そんな言葉が自分でも下らなく思えた。
励ますつもりなのに、どうして己に言い聞かせるように言ってしまうのだろう。
('A`)「……なぁ」
ドクオが言いかけたのを、クーは首を横に振って制した。
いつの間にか、夕日に目が行っていた。
おわり
乙!
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:49:24.66 ID:Ybx6x+Aq0
乙だろbk
楽しかったよ
149 :
◆ZTwLFpk8Ao :2008/08/28(木) 21:49:50.17 ID:O2PBaOPsO
あとがき
夏らしさ? テーマ?
そんなもんありません。
ただ、地球最後の日(ver.じわじわ)の恋愛模様が書きたかっただけの悪ふざけと言うべきもんです。
まだまだ至らないところもあるようですし、伏線のような無駄要素、穿ってみなければ解らないくらいの伏線が多いです。
支援など、本当にありがとうございました。
引き続きブーン達の夏祭りをお楽しみください。
(俺が最後とかじゃないよな……?)
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:50:23.07 ID:JIGaphMB0
乙。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:50:50.22 ID:1t6tXSZdO
乙!
1日目とかくるから5日ぐらいはいくと思ってたんだがなw
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:50:59.98 ID:3UpMo/yT0
乙!!
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:51:28.23 ID:G75OHcKC0
乙
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:52:05.07 ID:Ybx6x+Aq0
そんなことより
>>137は正解なのか?
ブーンがツンと会ってくるでそれっきりなんだけど
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:54:37.26 ID:O2PBaOPsO
>>154 セックス関係なしに、現世にはびこる理由(未練)が無くなれば、昇天です
これも抜けてたなぁ……
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:56:50.03 ID:1t6tXSZdO
>>154 ただ昇天と昇天をかけただけなのに誰も反応してくれなかった……
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 21:57:58.29 ID:Ybx6x+Aq0
そうなのか
でもセクロスで成仏のが面白いぞ
死者が一気に増えたってとこもハインが実験成功させて開放感でセクロスで成仏って思っちゃったし
ジョルジュはガスマスク云々の前に幽霊だから毒が効かなかったんだな
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:00:38.16 ID:34QoVf0J0
野暮かも試練が
>>1的にはショボンはどうなったという設定?
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:00:41.07 ID:Ybx6x+Aq0
>>156 あー一人で感心してたわ
ギコとしぃがでないのも死んでから速攻で成仏したからって脳内変換してたし
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:00:46.81 ID:1t6tXSZdO
んー、強姦された方は成仏はできんな
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:02:23.73 ID:O2PBaOPsO
163 :
159:2008/08/28(木) 22:05:04.66 ID:34QoVf0J0
dクス
切ねぇ・・・
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/28(木) 22:09:36.09 ID:gyPhFwN3O
乙ー
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙
今からよむほ