( ^ω^)ブーンは煌めく力を行使するようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
代理
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:26:34.87 ID:RlGCAhR8O
>>1
ありがとうございます
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:27:59.21 ID:RlGCAhR8O

( ^ω^)ブーンは煌めく力を行使するようです
【プロローグ:一番を目指した少年】

(;^ω^)「待って! 待ってお―!」

('A`)「早く来いよ、ブーン!」

ξ゚听)ξ「あたしが一番先にあそこの丘に登るんだからね!」

 幼い頃を思い出す――。
 戻らないと分かっていながらも思い馳せている自分――。
 記憶から思い出へと昇華させるその作業――。

('A`)「いっちばんのり!」

ξ;゚听)ξ「ハァハァ、あんたには敵わないわ……」

 自分の前を走る友達――。
 いくら足を動かそうと、手を伸ばそうと、届かない――。
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:29:30.48 ID:RlGCAhR8O

( ;ω;)「うっ、えっぐ……また負けた……お」

 溢れ出る涙――。
 悔しさで自然と溢れてくる、止まらない――。
 先を走っている友達が疎ましい、一人になりたい――。

 でも――
 あの時から彼らは僕に――。

('A`)「ったく泣くなよな、ほら」

ξ゚听)ξ「座ってないで立ちなさい、男の子でしょ」

 ――優しかったんだ。
end
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:30:27.30 ID:RlGCAhR8O
プロローグ終わり
以下本編
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:31:29.11 ID:RlGCAhR8O

 少し突き出した右拳を軽く握る。
 体全体の力を抜き、リラックスする。
 緊張がないとは言えないが、適度の興奮状態が保てている。
 良いコンディションだ。

('A`)「いつもと違って落ち着いてんだな、ブーン」

 白線を挟んだ先に立っているのはドクオ。
 自分と同じ、着慣れた灰色の胴着に身を包み、目を合わせてくる。

 幼なじみで道場でも同期生のドクオだが、いつの間にか、自分との実力差は開いてしまっている。
 とりあえず、空元気ではあるが、言っておこう。

( ^ω^)「……今日こそは勝ってやるお」

 ――最後に勝ったのはいつ頃だっただろうか……。
 思い出す過程にある月日はドクオの背中を、他の同期生の背中を追う日々だった。
 努力では負けなかった、しかし試合では勝てなかった。
 毎回、今日こそはと意気込んではきたが、僅かに届かなかった。

 それどころか、
 リラックスし、良いコンディションだと思える今の状態が、諦めからくる気の緩みだと気付いてからは、勝機すら見えなくなっていた。
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:34:03.79 ID:RlGCAhR8O

 諦めの感情が芽生え、実感に変わってからも、努力を怠る日はなかった。

 毎日道場で最後の一人になっても、身の丈程の砂袋を殴り続けた。
 毎晩家族が寝静まる時間でも、筋トレを続けた。
 毎朝村で起きている者はいないような時間に起き出して、走り込みを繰り返した。
 自分の体はいつも傷だらけ、周りの人の体はいつも綺麗。
 勝つためと自分に言い聞かせ、悔しさをぶつけるように行った努力。

 それでも、勝てなかった。

 明日こそは、と僅かな希望と多大な悔しさを抱えたまま眠る毎日、それにすら慣れがきていた。

 試合が怖い、勝てないから。
 稽古が辛い、上達しないから。 自分が恐い、言い訳と後悔ばかりだから。

 それでも、負けてしまうと諦めていても――試合の時、成果を示す時は訪れてしまう。

(´・ω・`)「試合開始!」
,
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:36:40.39 ID:MrmvvUtzO
支援
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:37:29.37 ID:RlGCAhR8O

( ^ω^)「――ッ!」

 試合開始と共に対戦相手のドクオを目指し走る。
 ドクオとの距離は、十歩程度。
 先手を取るために駆け出したが、まだ距離はある。

('A`)「……」

 ドクオは、まるで焦りがないという表情をしている、開始位置から動こうとすらしない。
 カウンター狙いだろうか?
 一瞬迷いが生まれる、だが突っ込む。
 中心線の白線を跨ぎ、上体を引き上げる。
 ドクオがリーチ内に入った瞬間、左足を大きく踏み込み、腰を回転させ、右腕を突き出した。

(#^ω^)「おっ!」

 気合いの声と共に繰り出す渾身の先制右ストレート。

('A`)「……」

 だがドクオの正中線を狙った右腕は、彼の左拳が僕の右手首を払いのける事で、大きく逸らされる。

('A`#)「ふっ!」

 ドクオの右腕が下から迫ってくるのが見える。
 対して、自分の上体は開いてしまっている、危険を知らせる脳、しかし動かない体。

 いつもの諦めの感情が、身体を巡った。
―――――――――――――――
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:39:09.47 ID:RlGCAhR8O
―――――――――――――――

 目が覚めると、見慣れた木製の天井が僕の視界に入ってくる。
 体を起こそうとすると、下腹部に鋭い痛みが走る。

(;^ω^)「くっ……!」

 予期せぬ痛みに、思わず短い悲鳴を上げてしまう。
 そのまま痛みから逃げるように身を倒す、柔らかいベッドが体を包む。
 頭を動かし周囲を見渡すと、隣の椅子に腰掛けている人物がいることに気がつく。

ξ゚听)ξ「全く、情けないわね」

 金色で、耳元からクルクルに巻かれた髪がチャームポイントの彼女が呆れたような表情をしている。
 辛辣な台詞を吐かれるが、しかし毎度の事なので慣れている。

ξ゚听)ξ「この私が看病してあげたのに、もうお昼よ?」

 その言葉を耳にいれ、横になったままの状態で彼女――ツン――とは反対の方向を見る。
 南向きの窓から見えるのは、澄み渡る大空、疎らに浮かぶ雲、そして高く登った太陽だ。
 どうやら今朝のドクオとの試合で気絶してしまっていたらしい。
 ということはここは道場の医務室だろうか。
 試合の内容を鮮明に思い出し、眉を顰る。
 やはりドクオに手も足も出なかった、いつも通りの敗北感が全身を巡るのが感じられる。
,
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:40:05.40 ID:5Dar6CUbO
支援
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:48:01.53 ID:RlGCAhR8O

 しかしツンの方へ向き直る頃には生来のニヤついた顔に戻す。

ξ゚听)ξ「あんたも起きたことだし、私は道場に戻るわ。
      あんたはどうする? 立てるかしら?」

(;^ω^)「も、もちろんだお」

 上体を起こし、両足をツンの方へ移し、立ち上がる。
 身体が痛みに慣れてきたのか、鋭い痛みが鈍痛へと変わる。それでも、短い悲鳴をあげてしまう。

ξ;゚听)ξ「ちょ、無理しないでよね」

(;^ω^)「もう大丈夫……。ありがとうだお、ツン」

 沈んだ心と痛みを隠すように、勉めて明るく言う。
 感謝の言葉の半分は、看病し、心配してくれた事に対して、
 もう半分は、こんな情けない自分にも優しく接してくれる事に対して。

ξ゚听)ξ「いいわよ、たいした事もしてないし」

 そのままツンは窓とは反対の扉に踵を巡らして行く。
 僕は見逃さなかった、振り返る瞬間、彼女の表情が悲しげだった事を。
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13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:49:32.34 ID:RlGCAhR8O

 ツンの表情の意味を一瞬考えるが、おおよそ見当がつかないので思考を停止する。
 彼女と同様に医務室から退室し、通路を通り、喧騒に包まれる道場に入る。
 見慣れた道場の風景で、今日も数十人が稽古をしている。
 その中でも更に見慣れたドクオと師範がいる一学年の稽古場へと向かう。
 僕とツンに気がついたらしい師範――ショボン――は優しい笑顔を見せてこちらを向く。

(´・ω・`)「ん、戻ってきたね、大丈夫かい?」

( ^ω^)「おっ、もう大丈夫ですお」

('A`)「ブーン、すまねぇな」

( ^ω^)「おっおっ、ドクオのヘナチョコパンチなんか痛くも痒くもないお」

('A`)「そうかいww」

 実際腹部の痛みはもう気にならない程に緩和している、稽古に問題はなさそうだ。

(´・ω・`)「それじゃあブーン君も戻ってきたし、君達三人が出場する大会の説明を始めるよ」

 ――大会。
 その単語を聞くだけで心拍数が上がり、体中の筋肉に力が入らなくなる。
 大会に出れば連戦連敗、一回戦を勝ち抜く事は疎か、人数の関係で出場出来ない事もしばしばあった。
 良い記憶が全くない、大会にははっきりいって出たくはなかった。
,
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:51:32.48 ID:5Dar6CUbO
支援
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:53:15.66 ID:RlGCAhR8O

 しかし当然ながら僕の気持ちはお構いなしに話は進む。
 僕たち三人は師範を始点に扇状に並ぶ、これがこの道場での集合体形だ。

(´・ω・`)「大会は一週間後だ」

 師範はそれ見て、説明を始める。

('A`)「随分と急っすね」

 ドクオの指摘はもっともだ、だが既に僕は大会への興味自体が薄れかけている。

(´・ω・`)「大人の事情ってやつだよ。
      なんにせよ時間はそんなにないけどね」

 そこで一息つく。
 師範は軽く伸ばした右腕の掌を上に向ける。
 僕はその行動に疑問符を浮かべる、そして恐らくツンとドクオも同様に疑問を抱いているだろうが、話は進む。

(´・ω・`)「今回の大会は君達にとっては特別な大会でね。
      この"煌力"を使った初めての大会になる」

 師範が言葉を言い終えた時、上を向けた掌が金に近い黄色に光る。
 光は強さを増し、やがて掌から球体が現れた。
,
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:54:54.01 ID:RlGCAhR8O

(;^ω^)「な、なんですかお! それ!?」

(;'A`)「す、すげえ……」

ξ;゚听)ξ「え? え?」

 それを見た瞬間、僕の薄れかけた興味は膨れ上がり、好奇心へと変わった。

 そしてツンとドクオも、驚きと感嘆の言葉を師範のヘンテコ能力へと送る。
 それもその筈、突然人間の体から球体が現れ、更にそれが掌の上数センチの所を浮遊していれば、誰だって驚くだろう。

(´・ω・`)「これは"煌玉"と言って、人のもつ潜在能力云々が現れた球体だよ」

ξ;゚听)ξ「潜在能力云々って、説明端折りすぎ――」

(´・ω・`)「そして、この球を身体に"戻す"と……」

ξ゚听)ξ「……」

 師範がそう言うと、球体は光を失っていき、やがて消える。

('A`;)「消えた?」

(´・ω・`)「いや、違うね」

 ドクオの疑問に否定で返すと、師範はゆっくりと右腕を振り上げる。
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17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 00:56:02.90 ID:RlGCAhR8O

 その直後、師範の右腕から小さな、断続した音が響き始め、やがてそれは大きくなっていく。
 その音が耳障りな大きさまで達した瞬間、右腕が光る。
 色は紫、放つ光は閃光と言っても差し支えない、
 放つ音は轟音とはいかないまでも強烈に鼓膜を振動させる。

 紫電。
 端的に言えば正にそれだが、まるで意思を持ったように動く姿は蛇を連想させる。

(´・ω・`)「"煌玉"を体に巡らせる事で特殊な力を行使出来る。
      それが――"煌力"だ」


( ^ω^)ブーンは煌めく力を行使するようです

【第一話:一番を諦めた少年】
 
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18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:00:58.20 ID:RlGCAhR8O
(;^ω^)「か、カッコイイお!」

ξ;゚听)ξ「凄いわね……このコウリョクって……」

 今年一番の、いや十七年間で一番の驚きだ。十七歳から始めた武道だが、十七歳になった今までその存在すら知らなかった。
 機密事項である、という事に疑いの余地はない。それほどの危険性を擁しているのだろう。

('A`)「でも、後一週間しかないのに会得出来るもんなんすかね」

( ^ω^)「……」

 不安が過ぎる。
 昔から型の覚えが悪く、覚えたとしても、キレがない。そんな僕に簡単に会得出来るものとは思えない。

(´・ω・`)「いや、それがね、この錠剤を一錠飲むだけでいいんだ。
      後はちょっとしたコツさえ掴めば球体が出せるようになるんだよ」

(;^ω^)「え?」

 いつの間にか光を失った右腕で、師範がビンを持っている、中に入っているのは薄黄色の錠剤。特に変わった所はない普通の錠剤。
 だからこそ疑う、そんな簡単な方法であれほどの力が使えるようになるもののか。

(´・ω・`)「まあとりあえず飲もうか、皆
      僕がいいと言ったら一斉にね」

しかし、僕は既にあの力に、それを習得し、僕達に教えてくれる師範に魅了されていた。

(´・ω・`)「よし、飲んでごらん」

 不安を胸に秘めながらも、僕は錠剤を嚥下した――。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:02:11.28 ID:RlGCAhR8O

 期待と不安を抱きながら飲んだ錠剤。しかし何も起こらない、落胆と安心が入り交じる――

 ――しかし一瞬の間を置いて、胸を流れる鋭い痛み。その痛みは体中を這うように巡る。

(;^ω^)「――っ!」

 そして軽い頭痛を最後に、痛みが消える――。

(´・ω・`)「全員無事に馴染んだようだね」

ξ;゚听)ξ「ぶ、無事にって……」

 ツンとドクオの様子からして、二人も同じような症状があったようだ。
 あんな痛みが伴うというのに説明がないとは如何なものだろう、というのが恐らく総意だろう。

(;'A`)「も、もし馴染まなかったら?」

 ドクオは頬に汗を伝わらせながら言う。

(´・ω・`)「さあ? どうなるんだろうね、一体」

 対する師範の言葉には『責任』という一文字は欠片も見られない。
,
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:04:21.63 ID:RlGCAhR8O
 暫く僕達は師範に抗議したが、結局聞き入れられず、師範曰『次の段階』へと進む。

(´・ω・`)「じゃあ今から言うことをやってみて。
      まずはリラックス、そして利き腕の掌を軽く開いて、そこに意識を集中する」

 痛みが消えてからは、別段変わった事がないのだが、実行する。
 肩の力を抜き、右腕に、さらに掌へと意識を集中する。それを数秒程続けたが、何も起こらない。
師範を見るが、僕たちの事を見渡しているだけで、何も言わない。
 余りにも少ない説明、掌に意識を集中させるだけ。

(;^ω^)「やり方はこれだけですかお?」

 堪らず、放つ質問。

(´・ω・`)「ほぅ……」

 しかし僕の目から大きく逸れている、師範の視線、感嘆の声。
 隣からは驚きの声。視界の端で捉える、光。

(;'A`)「で、出た……」

 同期生であり、常に背中を見てきたドクオ。彼の掌の上、師範のそれと酷似した球体が浮いている。

('A`)「あ、消えた」

 しかし球体は、光が小さくなっていき、消える。

(´・ω・`)「ふむ、まだ光は弱々しいが、上出来だよ」

 ドクオは今も、僕の先を走っている――。
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:05:22.39 ID:RlGCAhR8O
(´・ω・`)「よし、今日はここまでだ」

 それから僕達は、集中力が続かなくなるまで挑戦したが、日が暮れた頃、師範の一声により、稽古が終わる。
 僕、ツン、ドクオの三人の同期生、球体を出現させるのに成功したのはドクオだけだ。
 結局、僕、ツンは勿論、ドクオもそれっきり出現させる事は出来なかった。

―――――――――――――――

 太陽が音もなく沈み、月が音もなく昇る、夜。

( ^ω^)「……」

 夕食を終えた僕は、道場の傍の宿舎、その中でも最も星空がよく見える屋上にいる。
 この屋上には滅多に人が来ず、静かなので、独りになりたい時はいつもここだ。最近はよく来るようになった。

( -ω-)「……」

 目を閉じ、リラックスし、右手に意識を集め、掌に集中する。
 先程までノイローゼになりそうな程繰り返したこの動作――と言っても精神統一のようなものだが――を行う。
 しかしいつまで経っても変化は起こらない。やはり僕には難しい、そう思うと涙が頬を伝う。

( ;ω;)「なんでいつもこうなんだお……っ!」

 悔しさに駆け巡られた心が焼き切れそうになる、沸き上がる感情は際限がない。
 不意に、背後の扉が開く。
,
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:06:20.35 ID:RlGCAhR8O

(´・ω・`)「やあ、やっぱりここにいたか」

 こんな時間に誰かが屋上に来るとは珍しい。
 突然の事で戸惑うが、頬を伝う涙を拭い振り向く、優しい笑顔を浮かべた師範が歩いてくる。
 やがて師範は僕の横に並ぶ。

(´・ω・`)「そんなに根詰めるなよ、自分のペースでいいんだよ」

(; ω )「な、なんのことですかお?」

(´・ω・`)「ブーン君が一番よくわかってるんじゃないかな。
      無理をすることで逆効果になる時もあるってさ」

 師範はお見通しだと言わんばかりに僕に話してくる。
 今はこの優しい言葉で逆に僕の心を逆撫でされてる気分だ。

(  ω )「師範、僕はどうしたらいいんですかお?
       どうしたら強くなれるんですかお?」

 俯き、視線を掌に移す、毎日の個人特訓でボロボロになった、掌に。
,
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:07:34.88 ID:MrmvvUtzO
支援
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:08:02.24 ID:RlGCAhR8O

(´・ω・`)「僕の尊敬してる人の言葉にね、こういうのがある。
      『自分を信じない奴に努力する価値はない』ってね。
      もう一度信じてみようよ、自分の可能性って奴を」

( ^ω^)「自分の、可能性……信じる……」

(´・ω・`)「僕はね、君達三人が孤児になってからずっと世話してきた。
      それに君達が七歳、いや六歳の時から武道を教えてきた、あの時の君は信じていたね、自分を」

( ^ω^)「……」

 親代わり、先生、師範、色々な面で僕を支えてきてくれたこの人が、やっぱり大好きだと、改めて思う。

(´・ω・`)「さあブーン君、もう一度煌玉を出せるか試してみようよ」

( ^ω^)「でも――」

 出来る筈が無い、僕なんかに――

(´・ω・`)「ブーン君、ネガティブにならないで、言ったじゃん信じてみようって」

( ^ω^)「お……」

 そうだ、僕は信じる、自分を、自分の――可能性を。


 気がつけば、掌の上を球体が浮いている。
 師範の球体や、ドクオの球体よりも小さな光しか放っていないけど――僕には、とても煌めいて見える球体が――。
,
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:09:01.89 ID:RlGCAhR8O

――四日後

 四日間、球体を出す為だけの稽古が続いた。
 五日目となった今では僕も安定して出現させられるようになっている。

(´・ω・`)「そろそろ次のステップに移るよ。
      時間もないしね」

 師範の言う時間とは、大会までの期間のことだ。
 大会前日は移動に使う、という事で、実質二日しかない。

ξ゚听)ξ「次は煌玉を体に"戻す"んですよね?」

 これまでの稽古で僕達は球体――煌玉――を出現させる事こそ出来るようになった。
 しかし、『戻す事が出来なければ消滅してしまうだけで効果はない』らしく、一切特別な力は発揮出来ていない。

(´・ω・`)「いや、違う」

 だが、師範は否定の言葉を放つ。

(´・ω・`)「煌玉の維持時間は、煌力の発動持続時間でもあるからね、
      次は煌玉の維持時間延長を行うよ」
,
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:09:33.94 ID:2fqMRpR60
Yahooきっずの投票で演歌を一位にしようぜwwwwwwwwww
http://kids.yahoo.co.jp/

http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219314706

皆様のご協力お願いします。
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:10:29.38 ID:RlGCAhR8O

 維持時間の延長――。
 試合中において、自らの全力を維持できる"時間"というものはとても重要である、
煌力という未知であり、強力な力を使った闘いでは、煌力の発動可能時間こそが全力を出していられる時間となる。
 煌玉を維持している間は体力を消費し続けるが、それ故に維持し続ける事で、維持時間の延長が可能だという。

 僕は体力には自信がある、だから時間延長は比較的容易なものに思える。
 実際、維持時間の延長の為煌玉を維持し続けた結果、日が暮れる頃には三十分は軽く維持出来るようになった――のだが。

ξ゚听)ξ「もうバテバテよー」

 ツン
 最長レコード:五十五分四十三秒

('A`)「くはー、これやっぱ疲れるな」

 ドクオ
 最長レコード:一時間六分十四秒

 毎日の努力の成果が感じられる、だがやはり二人には全く敵わない(笑)

(;^ω^)「こいつらどんだけだお……」

(´・ω・`)「ブーン君、信じるんだろ? もう一度限界目指そうよ」

(;^ω^)「は、はいですお」

 この日の稽古は次の日の太陽が昇るまで続けられた。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:12:03.91 ID:RlGCAhR8O
―――――――――――――――
 ――次の日。

(´・ω・`)「さあ皆、やってきましたよ大会前最後の稽古。
      でもここまでは僕の予定通りだから安心して。
      時間的余裕は全くないけどね」

( ^ω^)(なら早くやれお!)

ξ゚听)ξ(さっさとやりなさいよ!)

('A`)「さっさとやりやがれ!」

(;^ω^)ξ;゚听)ξ「……」

(´・ω・`)「皆お待ちかねの煌玉を『戻す』段階だね、この段階を終えれば煌力を発動出来るようになる」

 待ち侘びた『戻す』段階。
 煌力の存在を知り、五日間で基礎を学んだ、
しかしそれによって特殊な能力の発動は疎か、肉体的な変化も、錠剤による痛みのみだ。
 しかしこれで僕も煌力を行使出来る、胸が躍る。

(´・ω・`)「この段階は至って簡単、なんせ君達は基礎がある程度出来上がってるからね。
      説明始めるけど、解らない事があったら質問するんだよ。簡単だけど大切な事だから」

 道場に響く師範と僕達三人の声。
 今日は他の学年は稽古を休み、僕達が貸し切りだそうだ、何か嫌な予感がするが、振り払う。
,
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:13:19.69 ID:RlGCAhR8O

(´・ω・`)「"戻す"とは簡単に言うんだけどね、その実は"戻す"じゃなくて"適応する"に近いかな。
      これも煌玉の時と同じで意識的なイメージだけでいい段階だよ」

 一息。

(´・ω・`)「で、そのイメージは、煌玉を自分の体の形に広げ、それを自分の体に重ねる。
      これだけだ、多分煌玉を出現させるのでコツを大体掴んでる筈だから、すぐ出来ると思う」

 目を閉じる。本来は必要の無い動作ではあるが、僕は集中しやすいので、行う。
 煌玉が出現した感覚を確かめると、それを体のイメージに沿って広げる、そして重ねる。
 体中が軽くなった感覚と、若干の体温上昇を感じる。

( ^ω^)「お……?」

ξ゚听)ξ「あら? あら?」

('A`)「んんー?」

(;´・ω・`)「さ、三人同時に成功したね……。驚いた」

 どうやら成功したらしい、体が軽くなり、どんどん体温が上がっていくのがわかる。

(;^ω^)「暑いですおね、これ」

(´・ω・`)「うん、でも大丈夫、すぐ慣れると思うよ。
      それより今からその力を試すために試合をしようか」
,
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:14:05.24 ID:RlGCAhR8O

( ^ω^)「試合……」

 その言葉で、軽くなったように感じた筈の体が僅かに重くなる。

(´・ω・`)「まずは、ブーン君とツンちゃんでやろうか」

ξ゚听)ξ「はい!」

( ^ω^)「……」

 試合をしても相手にもならずに負けてしまう、と戦う前から考えてしまう程負けを重ねてきた。
 今回もきっとそうだ、と諦めかける、しかし師範の言葉を思い出す――

『自分を信じれない奴に努力する価値はない』

『信じてみようよ、自分の可能性を』

 ――不思議と体が軽くなる。


 今回はいける、満足のいく試合が出来る――漠然と、そう感じる――。


【第一話:一番を諦めた少年】

end
,
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:15:33.19 ID:MrmvvUtzO
支援
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:15:47.32 ID:ITG1nh8EO
にゃー
33 ◆080mxUe5zE :2008/08/22(金) 01:16:09.10 ID:RlGCAhR8O

( ^ω^) おっおー! ブーンだお!

( ^ω^) 楽しめたかお?

( ^ω^) 楽しめたおね?

( ^ω^) ああん?

( ^ω^) とにかく次回予告だおー!

( ^ω^) 次の投下の予定は、多分来週くらいかおね。なんとなくそんな気がするお。

( ^ω^) 来週は煌力を使った戦いが始まる気がするお、なんとなくそんな気がするだけだお。

( ^ω^) 次回!

( ^ω^)ブーンは煌めく力を行使するようです

【第二話:時空破壊×空間跳躍×音速超過】

( ^ω^) 次回もめちゃくゃパクりまくるぜ!

ξ゚听)ξ ぱ、パクりじゃなくてオマージュなんだからね!
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:17:42.16 ID:L6Im8Y2K0
何のオマージュ?
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:18:25.55 ID:MrmvvUtzO
乙ー!!
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:19:40.43 ID:gn7zJVfE0
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:19:47.63 ID:RlGCAhR8O
なんか色々ちりばめてるので探して楽しめたらと思ったけど今回にはほとんどなかったですね
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:23:21.59 ID:5Dar6CUbO
乙ー
39おまけ:2008/08/22(金) 01:27:33.82 ID:RlGCAhR8O
( ^ω^) なあマック行かね?

( ^ω^) ああ? マック? んー、マックもいいけどケンタな気分だしな

( ^ω^) マジ? じゃあケンタ行く?

( ^ω^) んーあー、やっぱ俺いいや、帰る

( ^ω^) あ? なめてんの? 表出ろおまえ

( ^ω^) ひぃっ! やめて! あっ……そこ……

壁|・ω・`) ……

( ^ω^) ……
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:29:00.09 ID:MrmvvUtzO
壁|゚Д゚) ……
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/22(金) 01:38:22.64 ID:bDe++9Wd0
元玉か?
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
念能力だろ