1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
プロローグ
放課後の教室。夕日が照らすその場所で、わたしは先生と対面していた。
窓からは、長い長い冬を超えて、ようやくその枝に花をつけ始めた桜の木が見える。
もう、すぐそこまで春がきてるんだ。そして、後何日かすれば、私も晴れてこのVIP中学校を卒業する。
その先に、一体何が待ち受けているんだろう。
思えば、この三年間にも及ぶ中学生活は、ものすごく充実していた。
知り合いなんて一人もいなかった一年生の春。断トツで学年最低点を取った、初めての中間テスト……いや、これは忌まわしき思い出だ。
(気を取り直して)友達皆で行った海。深夜まで枕を投げ合った修学旅行。
それ以外にも、数え切れないくらいの楽しい思い出があった。ただ一つ文句をつけるなら、一度も彼氏が出来なかった事くらいだ。
高校に入ったら、今度はどんな楽しい事が待ち受けているんだろう。今度こそ白馬の王子様は現れてくれるだろうか。
私だけの、白馬の王子様。まだ見ぬ麗しき姿を妄想しつつ、わたしはただただ未来に想いを馳せる。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 12:52:20.55 ID:6I2CFw4U0
乙!面白かったよ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 12:53:34.91 ID:rkF2YOty0
ξ゚听)ξ「――――え?」
わたしは思わず聞き返した。
ホワッチ? 今、先生は何て言ったの?
/ ,' 3「だから、ツン。お前の成績では高校には進学できん」
ξ;゚听)ξ「は、はぁ――――っ!?」
わたしは思わず机を叩き、椅子を後ろに吹き飛ばして立ち上がった。
それって一体どういう事? わたしが、高校に進学できないですって?
ξ;゚听)ξ「じゃ、じゃあ白馬の王子様は!? わたしのバラ色高校生活――甘い甘ーい恋愛もアルヨ編――はどうなるんですかっ!」
/ ,' 3「知らん」
一閃。
わたしの魂が篭もった主張は、まるで手に止まった蚊を叩き落とすみたいに軽々と切り捨てられた。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 12:55:46.54 ID:rkF2YOty0
ξ;゚听)ξ「知らんってそんな投げやりな……。それが進路に悩む生徒に投げかけるお言葉ですか!?
教育の明日はどっちだ!?」
/ ,' 3「教育の明日より、お前は自分の明日を考えろ」
先生は足を組みながら、とっても冷静に言い放ちやがりましたよ。
ξ゚听)ξ「ああ、もう日本はダメだ。教育崩壊ですよ。
高校に進学したいという乙女の小さな夢すら叶わないなんて、この国の大統領は何をやってるんでしょうか」
/ ,' 3「ツン、日本に大統領はいねぇぞ」
突っ込まれて気付いた。日本の政治を動かしてるのは大統領ではなく、総理大臣だ。いや、天皇だったかな?
ξ゚听)ξ「って、そんな細かい事はどうでもいいんです! それよりも、わたしが行ける高校は本当にどこもないんですかっ!?」
ずい、と先生に思いっきり顔を寄せて問う。
先生は困ったような表情を浮かべ、白髪混じりの後頭部を掻いた。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 12:58:07.13 ID:rkF2YOty0
/ ,' 3「……と言われてもなぁ。保健体育以外、オール一の成績じゃどこも引き取ってくれんぞ。
ただでさえ絶対評価になって受験のハードルが高くなっとる時代だし」
その言葉に、思わず顔が引きつってしまう。
しかし、ここで諦めたら、わたしの輝かしい高校生活への道は閉ざされてしまう。
ξ゚听)ξ「保健体育には自信がありますっ! バレー、テニス、バドミントン、器械体操、サッカー、野球、ラグビー、チャンバラなどなど、
どんなスポーツでもこなせる自信と実績がありますよ!」
胸を張り、必死に自分の長所をアピールする。
わたしは確かにバカだ。それは自分でも認める。しかし、保健体育だけなら学年トップクラスと言い張れるほどの自信はある。
その証拠に、わたしはあらゆる部活からお誘いを受けたし助っ人として呼ばれた事も数え切れないくらいあった。
/ ,' 3「あのなぁ。だったら、なぜ部活に入らなかったんだ? スポーツ推薦ならそこそこの高校にも進学できただろうに」
ξ゚听)ξ「先生、わたしはスポーツをするために高校に行くわけじゃありません」
/ ,' 3「ほう? じゃあ、何しに行くんだ?」
わたしは胸を張り、大きく息を吸い込んで言った。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 12:58:29.76 ID:/oMWfQRp0
期待支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:00:26.45 ID:rkF2YOty0
ξ゚听)ξ「白馬の王子様と、どきどきしちゃうような恋愛をするためです!」
少女漫画や恋愛ドラマみたいな、素敵な恋愛がしたい。そう、それがわたしの小さい頃からの夢だ。
乙女なら誰でも一度は憧れる、学生時代にしか出来ない淡い恋物語の主人公になりたい。
夢見がちって言われるかもしれないけど、わたしだって乙女だもん。夢見がちでもいいじゃない。
……あれ? 先生、そんなに肩を震わせちゃってどうしたんだろう。
もしかして、わたしの覚悟に感動して、高校に推薦してくれるとか、そんな展開?
/ ,' 3「ツン……人生舐めとんのかおんどりゃぁ――――っ!」
巨人の星よろしく、先生は机をちゃぶ台返しの要領でひっくり返した。
ξ;゚听)ξ「どわひゃあっ! せ、先生。冷静に! 暴力はいけませんって!」
/ ,' 3「やかましい! 貴様のような奴が高校進学など百年早いわ――――!」
どがしゃあん、と音を立てて机が倒れる。
な、何? わたし、そんな怒らせるような事言った?
/ ,' 3「ツン……お前はやれば出来る奴だと思っていた。だが、はっきり言おう。やれば出来る子は出来ない子だ。
一教師として、お前のような奴を普通の高校に行かせるわけにはいかん。だから、どうしても高校へ行きたいならここへ行け。
ここなら、お前を特別推薦してやる」
息を切らしながら、先生はパンフレットを取り出し、わたしに手渡した。
そこに書かれていたのは、バイオテクノロジー高等学校という文字と、自然豊かな風景が印刷されていた。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:03:00.55 ID:rkF2YOty0
バイオテクノロジーって何だろう? よくわからないけど、何となくかっこよさそうだ。
それに、高校に行けるのなら、わたしはどこだっていい。そこに王子様が待っていると言うのなら宇宙の果てでも飛んでいってやる。
ξ゚听)ξ「やった! さっすが先生、話わかるぅ! んじゃ、推薦の方、よろしくお願いしまーす!」
わたしは高校生活への切符を手に入れ、ひゃっほいとその場でぴょんぴょん飛び跳ねた。
以上、わたしが進学先を決めるまでの経緯でした。
その間、僅か十分足らず。我ながらびっくりするほどの即決であった。
この時、わたしはまだ中学三年生で、周りはもう受験なんて終えて遊びまわっていた三月頃の出来事だ。
三月と言えば、世間ではちょっとした大ニュースが騒ぎを呼んでいたのだが、当然わたしは知る由も無かった。
わたしは新聞なんて読まないし、テレビもアニメかドラマかバラエティ番組くらいしか見てなかったのだから。
だけど、私はこの後、その騒ぎとやらを身をもって味わうことになる。
そして、それは私の人生計画(主に恋愛編)を大きく揺るがす事になった。
それではご覧頂こう。わたしの波乱万丈にて、現実離れした人生の転換期――VIP島にあるバイオテクノロジー高校での学園生活、はじまり、はじまり。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:05:18.91 ID:rkF2YOty0
第一話『デュアルチルドレンってなんじゃらほい』
美しい海の上、どこまでも広大な空を、色んな形をした雲がゆったりと流れている。
降り注ぐ日差しは穏やかで、しかしカモメの鳴き声や潮の香りが夏を思わせる。
波に揺らされ、上下に動く光景は。
き、気持ち悪いっ……! うぐぐ、は、吐くっ!
ξ;゚听)ξ「うぎぎぎ……うぷっ!」
慌てて口を押さえ、こみ上げてくるものを力任せに押さえ込んだ。
四月四日。無事中学を卒業したわたしは、穏やかなお天道様の見つめる中、船の上で必死に吐き気と戦っていた。
ξ;゚听)ξ「うげぇぇぇぇぇっ……うぷ……むぐっ! むぐぐぐっ!」
( ,,゚Д゚)「お嬢ちゃん、大丈夫け?」
舵に手をかけながら、船長さんが心配そうに顔を向ける。
ξ゚听)ξ「ふ、ふぁい……こんなの、全然、む、むぐぐぐぐぼえぇぇぇぇっ!」
わたしは返事をしようと口を開けたところで堪えきれなくなり、船から身を乗り出して海へと吐しゃ物を吐き散らかした。
酸っぱさと息苦しさと気持ち悪さで死にそうになりながら、わたしはもう少しの辛抱だ、と自分を励ます。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:08:10.43 ID:rkF2YOty0
ちなみに、今現在、わたしのいる場所は太平洋(いや、大西洋? インド洋だっけ?)で、
小さな漁船に乗り、日本のずーっと下のほう(たぶん南)にあるVIP島へ向かっていた。
最初は、高校に進学できると言う喜びと目の前に広がった大海原でテンション最高潮だったものの、
三時間ほど波に揺らされたせいか、わたしは酷い船酔いに苦しんでいた。
朝、家を出る前に食べたトーストと目玉焼き、そしてプリンアラモードはとっくの当に戻してしまったし、
お昼に船着場で食べた焼きそばとアイスクリームはお腹の中でミックスされ、世にも奇妙な色となって今しがた海へと落ちていったところだ。
( ,,゚Д゚)「あと二時間くらいで着くけえ。もう少し頑張ってくんろ」
船長さんが舵を取りながら、申し訳無さそうに訛り交じりの言葉で言った。
ξ゚听)ξ「に、二時間……」
朝っぱらから新幹線やらバスやらで移動した上に、まだあと三時間も船に乗っていなければならないのか。
まあ、わたしの酷すぎる成績でも受け入れてくれた高校へ行くのだから、贅沢は言えない。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:08:50.37 ID:/oMWfQRp0
sien
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:10:32.13 ID:rkF2YOty0
ξ゚听)ξ「しっかし、バイオテクノロジー高校って凄い名前だなぁ」
わたしは旅行鞄からパンフレットを取り出し、ぼんやりと眺める。
新時代の生物技術! 試験校ついに設立へ! というキャッチフレーズがでかでかと書かれていた。
なんでも、今年から出来た新設校らしく、担任である荒巻先生の知り合いが設立に携わっているらしい。
そのコネを利用し、なんとかわたしも潜りこむ事が出来たのだ。わたしの夢を紡いでくれた先生のコネには大いに感謝である。
それにしても、こんな日本の南端にある高校って、一体どんなところなんだろう?
ううむ、こんな辺境の地に白馬の王子様はちゃんといるのだろうか。
でも田舎を舞台にしたドラマとかでは少なからず五人くらいはイケメンがいるし、まあきっと大丈夫だろう。
ξ゚听)ξ「そうだ。いつ王子様に会っても大丈夫なように、ちゃんとしておこうっと」
むくりと起き上がり、わたしは着替えやら何やら一式入っている鞄を開ける。
手鏡とくしを取り出し、念入りに髪を整えようとするのだが、ああもう、波で揺れてやりにくい……うっ!?
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:12:03.03 ID:rkF2YOty0
ξ;゚听)ξ「むぐぐっ! うおえええぇぇぇぇぇぇぇっ!」
治まったと思っていた吐き気が、再びぶり返し、わたしは海に色々汚いものを吐いた。
ごめんよ、海の生き物たち。こんなわたしを恨まないでね。
( ,,゚Д゚)「気にすんなぁ。そんなもん、魚の餌になるだけだし、むしろ魚たちから感謝されるべ」
ξ;゚听)ξ「せ、船長さん。それ余計気持ち悪……う、ぐぐぐっ!」
思わず想像してしまい、さらにリバース。もう胃液しか出ません。
頑張れ、私。もう少しの辛抱で、バラ色の高校生活が始まるんだ。
わたしは、そのままぐでっと寝転がり、グロッキーなまま船に揺られていった。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:12:45.05 ID:/oMWfQRp0
グロッキーとか懐かしいな
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:13:28.38 ID:rkF2YOty0
※
('、`*川「あらあら、大丈夫? お水いる?」
ξ;゚听)ξ「あ、すいません……大丈夫……です」
それから三時間の船旅に耐え、わたしはふらふらになりながらもVIP島とやらに上陸した。
わざわざ船着場で待っていてくれた下宿先のおばさんに助けられ、わたしは何とか歩ける程度まで回復した。
('、`*川「ツンデレちゃん、よね? 東京からは遠かったでしょうに」
ξ゚听)ξ「ええ、そりゃあもう。でも、何とかこの通り無事に辿りつけました」
あはは、と笑いを浮かべると、おばさんも微笑み返してくれた。
その和やかな空気に、心がほっと軽くなる。下宿先の人がどんな人かちょっと不安だったけど、いい人そうでよかった。
('、`*川「それじゃ、行きましょうか。そうそう、おばさんの名前はね、ぺニサスっていうの。これからよろしくね、ツンデレちゃん」
ξ゚听)ξ「は、はいっ! よろしくお願いしますっ!」
わたしは慌てて頭を下げる。これから下宿させてもらうんだから、礼儀正しくしないと失礼だ。
('、`*川「ふふ、そんなにかしこまらなくてもいいのよ。私の事は、ぺニサスおばさんって呼んでね」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:15:08.46 ID:rkF2YOty0
そんなとってもいい感じのファーストコンタクトに、わたしは胸を躍らせた。
そこから下宿までの道のりは、何と言うか凄い山道だった。
東京とは違い、ビックリするほど木々が生い茂っていて、小鳥のさえずりが気持ちを和ませる。
重たい鞄をもって坂を上るのはきつかったけど、道の半分が木陰だったので汗はそんなにかかなかった。
ξ゚听)ξ(バイオテクノロジー高校って、どんな所なんだろう? どんな出会いが待っているのだろう?)
友達百人出来るかな、いや、百人もいたら大変だ。でもでも、友達は多い方が楽しくていいし、うーん。
なんて事を考えながら、ぺニサスおばさんの後ろについて歩く。
ξ゚听)ξ「あの、ぺニサスおばさん。このVIP島ってどんな所なんですか?」
わくわく気分を抑えられず、ついつい声が大きくなってしまう。
('、`*川「ここはいい所よ。自然もいっぱいだし、空気もおいしいし、皆とっても優しいわ」
にっこりと笑うぺニサスおばさん。
たった今会ったばかりなのに、その笑顔はまるで東京から来た孫に向けられたように優しかった。
つられて、私も頬が緩んでしまう。ここにきて良かった。なんだか、すっごく素敵な気分が胸に溢れている。
わたしは口笛を口ずさみ、スキップをしながら自然に囲まれたその道を歩いていく。
今のわたしは、人生最高の気分。見えるもの全てがきらきらと輝いて見えた。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:16:51.29 ID:rkF2YOty0
※
ξ;゚听)ξ「……」
('A`)「……」
――――最高の気分、だったのに。
それは一気に冷めていた。それはもう、びゅーって感じで。
原因は、今目の前にある信じがたい光景だ。どのくらい信じがたいかと言うと、ネス湖のネッシーが日本の琵琶湖に浮かんできたくらい。
いや、判りにくい前置きはやめよう。とりあえず、目の前にある現実を受け止めよう。
下宿先の部屋、その扉を開けたら全裸の男が立っていた。
身長は百八十センチくらい。ほっそりと引き締まった体に、鋭い目つき。そして、色々と丸出し。
そしてそして、何より摩訶不思議なのは、頭についた犬の耳のようなものと、ふさふさとした毛並みの尻尾だ。
全裸でコスプレ? 変態?
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:18:36.44 ID:rkF2YOty0
('A`)「あんた誰?」
誰、誰、誰……。あれ、わたし、名前を聞かれているのか?
ξ゚听)ξ「えと、今日からここに下宿するツンです」
('A`)「は? 下宿? おい、それってどういう」
コスプレ男は全て丸出しのまま近づいてくる。うん、とりあえず
ξ;゚听)ξ「キャ――――!」
(;'A`)「うぐほぉっ!」
男の股間目掛けて、思い切り前蹴りを放った。
痛みに顔を歪め、男はそのまま股間を押さえ込むようにして倒れる。
やばい、変態だ。逃げなくちゃ。いや、それよりも警察だ。まだ下にはぺニサスおばさんがいる。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:20:45.85 ID:rkF2YOty0
ξ;゚听)ξ「ぺニサスおばさぁぁぁぁん!」
転がるように階段を降り、一階へと降りる。
わたしの悲鳴が聞こえたのか、ぺニサスおばさんが驚いた顔をして和室から出てくる。
('、`*川「ツンデレちゃん、どうしたの?」
ξ;゚听)ξ「部屋に、へ、変態が! コスプレした露出狂がっ!」
早く説明したいのに、気持ちばかり焦って口が回らない。
二階を指差しながら喚くわたしを見て、ぺニサスおばさんは何故か納得したようにぽん、と手を叩いた。
('、`*川「あらら、もしかしてドクオ君の事かしら?」
ξ;゚听)ξ「へ?」
おばさんは、ひょいひょいと軽やかに二階へと上がっていく。
ξ゚听)ξ「わっ。あ、危ないですよ。まだ変質者が二階に……」
おずおずと追いかけ、二階に上がるとぺニサスおばさんはコスプレ男のいた部屋に入っていく。
わたしもそれに続き、部屋に入ると、そこにはズボンだけ履いたさっきの男がいた。
頭にはさっきと変わらず犬耳をつけている。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:22:58.08 ID:rkF2YOty0
(#'A`)「ったく、なんなんだよ。この騒がしい雌は」
('、`*川「ごめんね。ドクオ君のこと、ツンデレちゃんにすっかり説明し忘れちゃった」
なんと。あのコスプレ男とぺニサスおばさんが親しげに話してるではないか。
どういう事なんだろう。まさか、この人はおばさんの愛人?
この家は和やかに見えて、その裏ではドロドロとした昼ドラ的人間関係がうごめいているのか?
ξ゚听)ξ「あの、このコスプレした人……おばさんの知り合いなんですか?」
妄想してもキリが無いので、直接聞いた。
('、`*川「ええ。彼はドクオ君。犬と人間のハーフで、今年からバイオテクノロジー高校に通う一年生よ。
ドクオ君、この子は今日からうちに下宿する事になった、ツンデレちゃんよ。仲良くしてあげてね」
ξ;゚听)ξ「……」
唖然。呆然。戦意喪失。いや、最後のは意味が違う。
とにかく、説明を受けたわたしはそんな言葉がしっくりくるような状態で、カカシみたいに口を開けて突っ立っていた。
ぺニサスおばさんは、わたしの部屋はこのドクオとかいう男の隣の部屋であること。
一つ屋根の下だけど大丈夫(何が大丈夫なんだろう)と言って、夕食の支度をしに台所へといってしまった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:24:41.72 ID:rkF2YOty0
残されたわたしは、さっき説明された事を少ない脳みそをかき集め、必死で考える。
まず、何より気になる点。犬と人間のハーフってなんじゃそりゃ。
犬と人間が交わったのか? いやいや、そりゃいくらなんでもありえませんよ奥さん。
ξ;゚听)ξ「意味わからん……頭痛い……」
その場でへなへなと座り込み、頭を抱える。
なんなんだ、これ。この状況。さっきまでの希望に満ちた気分は一体いずこへ?
('A`)「おい、ヤギ」
不意に、混乱しているところへ声が降ってきた。ヤギ? ヤギってあの紙をもしゃもしゃ食うやつ?
('A`)「お前だよ、お前」
ξ゚听)ξ「……え?」
顔を上げると、毛並みのいい黒い耳をぴょこぴょこと揺らしながら、ドクオがこちらを見ていた。
あの耳の動き、本物? ま、まさかね。作り物でしょ?
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:28:23.70 ID:rkF2YOty0
('A`)「お前、ヤギとのハーフか?」
ξ゚听)ξ「はぁ!?」
('A`)「いや、お前の名前ヤギっぽいし、何か体つきも草食動物っぽい。とくにそこらへんが」
そう言って、ドクオはわたしの胸に視線を向ける。
つられて、わたしも自分の胸を見る。うん、平べったい。……って、今、わたしバカにされたのか?
初対面のレディに対しての随分な物言いに、ふつふつと怒りが湧いてきた。
ξ#゚听)ξ「あ、あんたね。わたしはヤギじゃなくてツンよ! しかも、何よそのヤギとのハーフって。意味わかんないから」
立ち上がり、きっ、と睨みつけながら言った。
しかし、ドクオはわたしの視線を鼻で笑い、大げさに肩をすくめる。
('A`)「お前、知らないのかよ。デュアルチルドレンの話」
ξ゚听)ξ「デュアル……? 何それ。漫画のタイトル?」
ドクオはタンスから上着を出し、それを着ると声をあげて笑った。
('A`)「お前、人間のくせに頭悪いんだな。最近、ニュースでもよく取り上げられてるだろ?」
バカにしたような目つきで、こちらを見てくるドクオ。
うぐっ。いくらわたしがバカでも、そんな耳を頭につけたような奴に言われたくない。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:30:52.67 ID:rkF2YOty0
ξ#゚听)ξ「何よ、さっきからいけしゃあしゃあと! そんなねえ、ニュースなんか見なくても人間生きていけるの!
いい年して変なコスプレしてるあんたの方がよっぽど変よ!」
さっきからふりふりふりふりと鬱陶しい尻尾をむんずと掴んでやる。
すると、手に伝わってきた感触は、まさに犬の尻尾。さわり心地の良い毛並みは、まるで本物のようだった。
(;'A`)「ぎゃ、ぎゃおんっ! こ、こら! 尻尾に触るなこのエロ女!」
ξ゚听)ξ「え、エロ!?」
ドクオが大声を上げながら飛び退くもんだから、思わず手を引っ込めてしまった。
手に残るもふもふとした感触。ずいぶんとリアルな……いや、リアルにもほどがある。
ξ;゚听)ξ「そ、それ、もしかして、ほんとに、ほんっとーに犬の尻尾なの? 作り物とかじゃなくて?」
(#'A`)「当たり前だろっ! ったく、いきなり何しやがんだ……」
ドクオは警戒するように尻尾を振り、わたしから距離を取る。
うわ、何か本当に犬みたいだ。でも、犬人間なんて、実際にいるの?
そんなファンタジックな生き物、漫画でしか見た事無いし。もしかして、これってドッキリ?
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:33:54.29 ID:rkF2YOty0
('A`)「……パンフ見ろ」
ξ゚听)ξ「え?」
ドクオが投げやりに言う。そして
(#'A`)「パンフに色々書いてあるからそれ見ろ。あと、さっさと出て行け、この変態ヤギ女!」
ぽいっと廊下に放り出され、勢い良くドアを閉められた。
あまりに衝撃的な出来事が流れたため、しばし呆然と廊下に座り込む。
ξ゚听)ξ「……パンフって、学校のやつだよね」
混乱する頭を必死に落ち着かせながら、わたしは自分の割り当てられた部屋へと入りベットに倒れこんだ。
一体、何だったんだろう、今のは。
私は幻覚でも見ていたのだろうかのか。ああ、でもあの感触は確かに手に残ってるし、隣の部屋にはあの犬男がいるだろうし。
ξ゚听)ξ「……とにかく、パンフレットをちゃんと見てみよう」
わたしは、鞄から学校案内のパンフレットを取り出し、難しい用語ばかりで読んでいなかった部分に目を通した。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:34:45.08 ID:zq3DAj7GO
すいーっ(笑)
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:34:45.70 ID:rkF2YOty0
※
その研究が発表されたのは、三年前の出来事だったらしい。
動物に人間のDNAを混ぜ合わせ作られた、人間の知能と動物の特性を兼ね備えた新生物をデュアルチルドレンと呼ぶそうだ。
日本の研究所ですでに何体かの動物が実験に成功し、デュアルチルドレンは現在、この世に三十体ほど存在するらしい。
そして、知能発達とその過程を調べる為に、日本の辺境にデュアルチルドレン専用の学校が建てられた。
その一つであるバイオテクノロジー高等学校は、もちろん人間も大歓迎。人との触れ合いを通じてデュアルチルドレンの動向と素行を……。
ξ゚听)ξ「要するに、動物学校って事ですかい……」
昨日読んだパンフレットの内容を思い出す。
小難しい単語が沢山あって訳が分からなかったが、要するに得体の知れない奴らが集まっているという事だけは分かった。
そして、今。わたしはその学校へと向かって歩を進めている。下ろしたての制服を着て、憧れていた高校生活への序章といった場面なのだが。
ξ゚听)ξ「はぁ〜〜〜〜」
魂が抜けていくんじゃないかってくらい、長いため息をはく。
今日は最良の日になるハズだったのに。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:34:50.58 ID:qX1ry6R00
sien
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:36:10.25 ID:rkF2YOty0
ξ#゚听)ξ「くっそー、騙された! あの先生、東京に帰ったら詐欺罪で訴えてやるっ!」
あの時、気付くべきだったのだ。パンフレットをもっとしっかり見て、事前に調べておけばこんな事にはならなかったのに。
確かに、わたしは行けるなら高校はどこでもいいや、と思っていた。しかし、判断を早まった。重要な選択肢を間違えてしまった。
後悔も歩けば棒にあたる、だ。あれ? 何か違うな。覆水盆に帰ろう、だっけ?
そんな事はどうでもいい。何よりも最悪なのは、白馬の王子様との淡い恋物語という夢が音を立てて崩れてしまった、ということだ。
どう考えても王子様がいる雰囲気じゃないでしょ、これ。
むしろ野獣だらけだったらどうしよう。そんな動物園みたいな所で青春を過ごすなんてありえない。
いやいや、待て、待つんだツン。
わたしみたいに、騙されて入ってきた男の子(白馬に乗ってハハハ〜とか笑ってそうな)がいるかもしれない。
ξ;゚听)ξ「もう、望みはそれしかない……」
わたしは一輪の希望に思いを託し、学校へと林道を歩く。
やがて、道の先に木造建築の建物が見えてきた。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:37:14.35 ID:BTLquGZT0
おもしろい。支援。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:37:33.38 ID:rkF2YOty0
ξ゚听)ξ「何あれ。小屋? それにしては大きすぎるけど」
まさか。
恐る恐る、近づいてみる。
入り口らしきところを通ると、そこには案の定、下駄箱があった。
ξ゚听)ξ「これが校舎ですか……」
もう一度、外に出て校舎全体を見渡す。廃校になった小学校を適当に取り繕ったような外観に、ますます気が滅入る。
しぶしぶそのボロ校舎に入り、上履きに履き替える。
そういえば、クラス表はどこに貼ってあるんだろうか。
とりあえず、それらしいものを探そうと校内に入った瞬間、ああ、そんなもの必要ないんだと考え直した。
ξ゚听)ξ「この高校、一クラスしかねぇよ……」
('A`)「あ、ヤギ女」
教室に入るなり、耳に入った第一声がそれ。
窓際の席に座っていたそいつは、昨日、わたしから色々と大変な物を盗んでくれやがった犬男のドクオだった。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:38:56.35 ID:rkF2YOty0
ξ#゚听)ξ「誰がヤギ女よ! つか、何であんたがここに?」
('A`)「いや、何でって俺もここの生徒だし。昨日、話聞いてなかったのか?」
や。あんな状況で聞かされた話なんて覚えてる訳ないでしょ、普通。
それよりも、だ。この狭い教室にわたしは色々と突っ込みたい。まず第一に、
ξ;゚听)ξ「何で席が四つしかないわけっ!?」
四つ。いわゆるサード。違う、フォースだ。とにかくそれだ。
ξ;゚听)ξ「普通、一クラス四十人くらい生徒がいるんじゃないの? 四つって。あんた、通常の一分の十ですか?」
('A`)「十分の一だアホヤギ」
ぐわっ! い、犬もどきに突っ込まれてしまった。
しかし、ここで怯んでいては人間としてのプライドが許されないので、間違いを認めるわけにはいかない。
ξ;゚听)ξ「し、知ってるわよそれくらい。犬っころの知力で、間違いに気付くか試しただけよ。
ま、すぐに気付いた辺り、それなりに知力はあるみたいだけど」
ふふん、と腰に手をあて、胸を張った。我ながら素晴らしい言い訳だ。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:40:36.48 ID:rkF2YOty0
('A`)「じゃあ問題。二千×百×十八×九×ゼロは?」
ξ゚听)ξ「うぐっ!」
こんの犬っころ! そんな難しい問題で切り返してくるとは、何て卑怯なっ!
ええと、落ち着け。まず二千があるでしょ。そして、そこから百が……えーっと、ゼロが三つだから、
ξ゚听)ξ「さ、三億」
('A`)「……」
サマージャンボ宝くじの一等賞金です。いや、だから何って言われたら困るんだけど。
重い沈黙がわたしとドクオの間に流れる。ドクオの顔は、引きつっていた。
もしかして、正解? あらら、適当に答えたのにどんぴしゃ当たっちゃったのだろうか。
まあ、デュアルなんとかだか知らないけど、所詮は犬っころ。人間様の知能には勝てないってことよね。
わたしは勝ち誇った顔で、適当な席に着いた。さて、残り二人はどんな珍妙なのやら。
そのうちの一人が王子様である事を祈り、わたしは両手を胸の前で合わせた。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:43:27.05 ID:rkF2YOty0
( ФωФ)「ほう。ここが我輩の学び舎か」
噂をすれば、扉の開く音と共に三人目がやってきた。
お願い、王子様であって。そう思いつつ目を開け、三人目のクラスメイトを見た。
ξ゚听)ξ「な、なななな何ぃ――――!?」
思わず声を張り上げてしまう。その三人目の外見に、わたしは思わず指差し、言葉にならない何かを発した。
目を擦り、もう一度、その三人目を見る。
( ФωФ)「ふむ? 娘、我輩の顔に何かついているのか? それとも、あまりの美貌に驚き声も出ぬか。にゃははははっ!」
いよいよもって、わたしの頭はおかしくなってしまったのかと疑いたくなる。
しかし、残念な事に、それは目の錯覚ではないようだ。
目の前で笑っているそいつは、一目見ただけでわかった。猫人間だ。いや、猫のきぐるみを着た変な人だ。
目は細長く、頬にはド○えもんみたいなヒゲが三本ほど生えていて、背中には何故か赤いマントを羽織っている。
遊園地のマスコットキャラクターみたいな猫の被り物をしたそいつは、ごほん、と咳払いをした。
( ФωФ)「自己紹介が遅れた。我輩の名は、誇り高き日本猫の血を引くデュアルチルドレン、杉浦ロマネスクである。
皆の衆、短い付き合いになるか、はたまた老衰するまでの長い付き合いになるかわからんが、よろしく頼むぞ」
杉浦ロマネスクって。犬人間の次は、猫人間ときましたよこりゃ。なるほど。それじゃあ仕方ないな。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:44:32.22 ID:rkF2YOty0
ξ#゚听)ξ「って、そんな訳あるかーっ! だ、大体、どう見てもそれ被り物でしょっ!?
背中にチャックとかあって、中に汗だくのおじさんとかが入ってるんでしょ!?」
思わず、少年少女の夢を崩すような突っ込みをしてしまう。
しかし、いくらわたしがバカだからって、こんな子供騙しを信じるほど幼くは無い。
( ФωФ)「被り物? それは否であるぞ。我輩の外見が限りなく猫に近いのは、恐らく比率的に猫の血が多かった影響だろう」
ヒゲをさすりながら、ロマネスクさんとやらはそうのたまった。
ξ;゚听)ξ「そ、そうなんですか。凄いですね」
( ФωФ)「そうじゃろう? 何せ我輩は名の知れた猫の血族であるからな。にゃははははっ!」
何が凄いのか言った自分ですらわからない。しかし、ロマネスクは声をあげて笑い、まんざらでもない様子だった。
ああ、眩暈がする。わたしは一体、どこの異世界に迷い込んでしまったのだろうか。
('A`)「ふん、名の知れた猫か。随分とまあお偉いさんがいらっしゃったモンで」
頬杖をつきながら、つまらなさそうにドクオが言う。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:45:13.94 ID:+3iRK8X90
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:45:43.26 ID:rkF2YOty0
( ФωФ)「ほう、そこの殿方は人間の血を多く受けているらしいな。外見が人間そっくりじゃ」
('A`)「まあな。だが、嗅覚は衰えちゃいねえぜ。人間の血が混じっても、あんたら猫よりかは優れているはずだ」
( ФωФ)「ほほう?」
挑発するようなドクオの微笑みに、ロマネスクの耳がぴくん、と動いた。
( ФωФ)「じゃが、聴覚は猫の方が優れておるぞ。人間の血が混じっても、犬のそれとは比べ物にならぬ」
('A`)「へぇ。耳がいいのかい。でも、それって何か役に立つのかい? 俺の鼻は物探しやに人探し、色々な場面で役に立つぜ」
( ФωФ)「それは凄いの。しかし、そんな雑用係はこっちから願い下げじゃ。我輩達、誇り高き猫は自由を奪われる事が何よりの苦痛じゃからな。
おぬし達犬っころが面倒事を引き受けてくれているからこそ、我輩達は自由に動けると言うものじゃ。感謝するぞ、犬」
ドクオは目つきを鋭くし、耳をぴんと立て、尻尾を緩やかに振る。
対し、ロマネスクも後ろでぱたぱたしていた尻尾を持ち上げ、山のような形を作る。
あれって、確か猫が威嚇する時のポーズだ。
ピリピリとした空気が、二人の間に流れる。
え、ちょっと待って。何これ、喧嘩!?
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:46:40.35 ID:rkF2YOty0
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと二人とも、そんな殺気立たないでよ。
ほら、一応クラスメイトなんだからさ、その、仲良くした方がいいんじゃない?」
睨み合う二人の間に割り込み、怒れる犬と猫をなだめる。
しかし、唸り声をあげる二人の殺気は中々収まらない。
('A`)「黙ってろヤギ女。これはプライドの問題なんだよ」
( ФωФ)「我輩とて種の王である。犬如きに怖気づいたのでは面子が立たん。娘、離れておれ、怪我をするぞ」
爪を立てるロマネスク。対して、ドクオは拳を握りファイティングポーズを取る。
ξ゚听)ξ「ああもう、こういう時は……」
わたしは咄嗟に、動物を飼っていた友達の話を思い出す。
確か、猫は首の下を撫でるといいんだっけ? ええい、女は度胸。やってみるしかない。
ξ゚听)ξ「ていっ!」
( ФωФ)「にゃ、にゃあ……!?」
くすぐるように、ロマネスクの喉らへん撫でる。
すると、どうやら当たりだったようで、本物の猫なで声をあげながら、ロマネスクは力なく座り込んだ。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:47:19.83 ID:rkF2YOty0
('A`)「ははは、こりゃ傑作だ。何だかんだ言って、結局は猫だな。おーおー、可愛いねぇ」
ξ゚听)ξ「あんたもよっ!」
(;'A`)「きゃおんっ!?」
ドクオの頭をぐりぐりと撫でる。
すると、目をとろんと柔らかくし、やがて嬉しそうに尻尾を振り始めた。
右手でロマネスクの喉辺りを撫で、左手でドクオの頭を撫でる。
ξ゚听)ξ「ふ……所詮は動物よ」
いくら人間ぶっても、動物の頃のなごりは残っているようだ。
わたしは二人(二匹?)を手なずけつつ、一体何やってんだろうと改めて思うのであった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:48:19.51 ID:rkF2YOty0
※
時刻が八時三十五分を周ったところで、最後の一名がやってきた。
教室の扉を開けて、静かに全体を見回しため息をついたそいつは、白馬の王子様……では、なかった。
ξ゚听)ξ「そうだよね。わかってましたよ。ええ、わかってましたとも」
わたしはうんうんと一人頷く。現実はそううまくいかんもんだなぁ。
はは、もうどうにでもしてくれい。像でも猿でもなんでもこいってんだ。
で、その最後の一人は、女の子だった。
見た目普通……が、その肩まで出そろえられた真っ直ぐな髪の毛は赤い。そりゃもう、見事なまでに真っ赤だ。
しかし、一見それ以外のところで奇妙なところは無い。もしかして、人間?
ξ゚听)ξ「ね、ねえねえ! あなた、もしかして純粋な人間!? わたしと一緒で、騙されて入学しちゃったタイプっ!?」
川 ゚ -゚)「……ん?」
赤髪の美少女は、いきなり声を掛けられて驚いたのか目をまん丸にする。
実にだるそうな顔をしていて、普段だったら怖くて目も合わせられないようなタイプの人だが、今はなりふりかまっていられない。
もし純粋な人間だったら、わたしと同じ境遇だ。
そうだよね、いきなりこんな動物王国に放り込まれたら、誰だって驚くよね!?
その気持ちを全力で共感したい。したいのだけれど。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:49:21.55 ID:rkF2YOty0
川 ゚ -゚)「……」
しかし、彼女はすぐにその目に敵意を浮かばせ、わたしを睨みつけた。
川 ゚ -゚)「お前は人間なのか?」
ξ゚听)ξ「え? う、うん。そうだけど」
その迫力に、思わずどきりとしてしまう。
やばい、どうしてかわからないけど、この人怒ってる。わたし、何か気に障るような事を言ってしまったんだろうか?
川 ゚ -゚)「私を人間なんかと一緒にするな。反吐が出る」
ξ゚听)ξ「え? あ、あの。それってどういう……」
赤髪の人は、わたしから目を逸らし教室へと入っていく。
わたしは思わず、彼女の腕を掴んで引き止めてしまった。
彼女がこちらに振り返る。その目を見て、わたしは思わず息を呑んでしまった。
あ、これやばい。わたしの事、完全に敵として認識してる目だ。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:50:08.64 ID:rkF2YOty0
川 ゚ -゚)「触るな」
ξ;゚听)ξ「痛っ!」
直後、彼女の左手がわたしの手首を掴み、捻り上げる。
女子なのに、信じられないくらいの握力で手首を握り、捻り潰す勢いでさらに締め上げてくる。
('A`)「おい、てめえ何してやがんだ!」
ドクオが、赤髪の人の腕にとってかかり、わたしから引き離す。
痛みから解放され、思わず力が抜けてその場に座り込んでしまう。わたしは手首をぶんぶんと上下に振ってみる。
……凄い握力だった。まだ震えるくらい痛い。けど、よかった、握り潰されてはいないみたいだ。
( ФωФ)「大丈夫か? 娘」
すぐにロマネスクも駆け寄ってきて、わたしの手首に視線をやった。
( ФωФ)「むう……手首が赤くなっておる。ぬし、女子相手に少しやりすぎではないか?」
穏やかに、しかし怒りの篭もった声でロマネスクは赤髪の人を咎めるように言った。
川 ゚ -゚)「ふん。番犬つきか。いいご身分だな」
赤髪の人は、心底気に食わないといった様子でわたしを見つめる。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:51:25.35 ID:rkF2YOty0
('A`)「おい、てめえ。そっちから突っかかっておいて何だその口の聞き方ぁ」
川 ゚ -゚)「黙れ。その耳を握り潰されたいのか? 犬」
ほとんどゼロ距離で睨み合う二人。いつ殴り合いが始まってもおかしくないような、危険な空気が辺りに漂う。
それは、かつて何度も味わった事のある最低の空気だ。どんな幸せもめちゃくちゃに壊してしまう。
その悲しさと怖さは、身に染みて分かっていた。
ξ゚听)ξ「やめて!」
無意識のうちに、自分でも驚くくらいの声量で叫んでいた。
睨みあっていた二人の動きが止まり、わたしに視線を向ける。
ξ゚听)ξ「ごめん、ちょっと馴れ馴れしかったよね……。あはは、私ってよく空気読めないって言われるからさ。うん、ほんとごめんね」
わたしは痛みを堪え、笑みを浮かべながら謝る。
('A`)「おい、ヤギ」
ドクオが心配そうな視線で、わたしの握られた方の手首を見る。
わたしは全然大丈夫といった風に手首を動かした。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:52:34.69 ID:rkF2YOty0
ξ゚听)ξ「大丈夫。そんなに強く握られてないから。ありがとね、ドクオ。
はい、喧嘩終わり! ほらほら、さっさと席に着く! もうすぐホームルーム始まっちゃうよ!」
('A`)「……それなら、いいけどよ」
ドクオはもう一度、赤髪の人をき、と睨むと、大人しく席に着く。
総勢四名。これで、わたし達のクラスメイト全員が揃った。最悪の展開は回避出来たものの、それでも酷い空気のまま沈黙が流れる。
夢にまで見た高校生活、最低の雰囲気でスタート。
なんだか急に泣きたくなった。けれど、泣いたら負けだと思ったので堪える。
そして、壁にかけられた時計の針が四十分を周り、校内にチャイムが鳴り響く。
そこで、ようやく先生が教室に入ってきた。
从 ゚∀从「ういーっす。ん? 何だ、初日なのに通夜みたいな空気だな」
緊張感の欠片もない挨拶と共に教室へ入ってきたのは、スーツを着た、まだ二十代前半と思われる若い女の先生だった。
頭の上に猫とも犬とも違う、ぶち模様の耳が生えている。お尻からは同じ模様の尻尾が生えている。流石にもう驚きはしなかった。
それは置いておいて、何と言うか、けしからんくらいグラマーだ。
ボン、キュ、ボンと見事に三つ揃ったスタイルをしている。
……で、結局、この学校で人間はわたしだけかい。
しえんん
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:53:40.38 ID:rkF2YOty0
从 ゚∀从「えー、まあ何だ。皆さん、入学おめでとうございます……なんていう、いかにもハゲ親父が好きそうな堅苦しい挨拶は省く。
とりあえず自己紹介しよっか。名前と顔一致しないと不便だし。えーっと、じゃあ左奥から時計回りによろしく」
うわっ、この先生やる気ねぇ! いやはや、堅苦しい挨拶の省略はありがたいけど、いきなり自己紹介っすか。
('A`)「俺から?」
从 ゚∀从「そうそう。そこの唇尖がらせてるアンタからだよ」
先生から見て左奥に座っているドクオが立ち上がる。
そして、おずおずと立ち上がり自己紹介を始める。
('A`)「俺はドクオ。犬と人間のハーフで、特技は人探し。んーっと、好きな食い物は肉。……以上、終わり」
うわぁ、なんとも簡潔な自己紹介だわ。
( ФωФ)「血の気が多いはずじゃ。野菜も食わずに肉ばっか食ってる姿が容易く想像できるわい」
ぼそぼそと呟くロマネスク。もしかして、わたしに話しかけてるのかな?
しかし、たぶんドクオに聞こえているので(こっち睨んでるし)わたしは知らん振りをしておいた。
从 ゚∀从「ドクオね、おっけおっけ。シンプルでわかりやすい子は好きよ。はい、次は赤い髪のアンタ」
名簿と顔を見合わせながら、先生は次の人――――赤い髪の彼女を指差した。
しえんんん
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:55:51.71 ID:rkF2YOty0
川 ゚ -゚)「……」
が、彼女は立ち上がらない。にゃろう、自己紹介から早速シカト決め込むつもりかい。
从 ゚∀从「ほら、何子供みたいに黙ってんの。黙ってたって進まないんだから、諦めてちゃちゃっと自己紹介しな」
先生はさらさら注意する気は無いみたいだし。おいおい、それでいいのか。
川 ゚ -゚)「蟹と……人間のハーフ。クー」
('A`)「蟹ぃ?」
ドクオが驚いた様子で声をあげる。
わたしも思わず声をあげそうになったが、ただでさえ嫌われているっぽいので口に手を当てて言葉を抑えた。
それであんなに握力が強かったのか。蟹と言えば、あのでっかいハサミが思い浮かぶし。
蟹人間とかありえない! みたいな思考がなくなっているあたり、私もいよいよおかしくなってきてるみたいだ。
从 ゚∀从「おおう、蟹とは珍しいな。それで髪の毛が赤いわけか。ほほー」
先生は物珍しそうにクーの髪を見つめる。
それが気に食わないのか、クーは舌打ちをして席に座り、頬杖をついてぷいっと窓の外へ顔を向けてしまった。
しえんんんん
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:57:15.28 ID:rkF2YOty0
从 ゚∀从「はい、オッケー。次はそこの猫ちゃん」
( ФωФ)「うむ、我輩か」
赤いマントを翻し、今までの二人とは比べ物にならないほどやる気満々のご様子だ。
こほん、と軽く咳払いをし、ロマネスクは自己紹介を始める。
( ФωФ)「我輩は誇り高き貴族の生まれ。かつて多くの猫達を仕え広大な土地を支配したロマネスク様であるぞ。
好きな言葉は勧善懲悪。好きな食べ物はたこ焼きじゃな。しかし、熱すぎるのは好まん。ほどほどに冷えたたこ焼きこそ至高の食べ物よ。
逆に苦手な食べ物はまたたびじゃ。あれはいかん。我輩の理性をあっという間に飛ばしてしまう。それと……」
ロマネスクは、難しい言葉を使いおまけに時代劇みたいな口調で喋る。
一気に色んな言葉が耳から入ってきたので、わたしの脳が処理に追いつかず悲鳴をあげていた。
从 ゚∀从「あーあー、そこらへんでいいよ。今までので十分伝わったから」
( ФωФ)「む? そうか。我輩、喋れる事はまだ山ほどあったのだが、まあ今日はこのくらいにしておこう」
ロマネスクはまだ喋り足りない様子だったが、先生からストップがかかりしぶしぶ席に座る。
ナイスです、先生。というか、ロマネスク、わたしより日本語が達者かもしれない。……立場ないなぁ、わたし。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:57:58.56 ID:rkF2YOty0
从 ゚∀从「じゃあ最後。さっきからぼけーっとしてる、ツインテールのあんた」
ξ゚听)ξ「は、はい!」
改めて先生の目を見ると、その瞳の奥に、言葉では言い表す事の出来ない迫力のようなものが秘められていた。
さっきの蟹と人間のハーフ……クーが黙って従ったのも頷ける。
ξ゚听)ξ「私はツンデレって言います。えーっと、すいません、人間です」
色んなハーフの混じる中で一人、人間というのはなんだか仲間外れみたいでちょっと言いにくかった。
そんなわたしの内情を読み取ったのか、先生は首をかしげた。
从 ゚∀从「何故、謝るんだ? 別に人間なら人間でいいだろう」
ξ;゚听)ξ「は、はい。すいません」
ありゃ、また意味もなく謝ってしまった。どうも緊張すると謝ってしまうのはわたしの、いや日本人の悪い癖だ。
先生は鼻で笑い、顎で「続けろ」と無言のサインを飛ばした。
ξ゚听)ξ「えーっと、好きな物は甘い物全般で、嫌いな物は勉強全般です。皆さん、よろしくお願いします」
拍手も何も無い中、音を立てないよう静かに席に座る。
何かやりにくいなぁ。ま、この人数とこの空気を考えたらしょうがないか。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:58:37.04 ID:rkF2YOty0
从 ゚∀从「うーし、おっけい。じゃあアタシの自己紹介だな。アタシはチーターと人間のハーフ、ハインリッヒ。
自慢なのは、この鋭い牙と時速百キロで走れるこの足だな、やっぱし」
ハイン先生がそう締めくくる。が、その自己紹介を聞いて全員の顔色が変わった。
チーターって、あの肉食の、サバンナとかで走り回ってるあれ? つーか、よく見たらハイン先生の足は人間のそれじゃない。
思いっきり、獣の足だ。
从 ゚∀从「そうそう、必要ないだろうけど、一応警告しておくわ。
あんた達、何か悪さしたら時速百キロの蹴りをもれなくプレゼントしてあげるから、各々行動には十分気をつけること。おっけー?」
冗談めいた口調でそう言うハイン先生だが、その目は本気だ。肉食獣が獲物を定める時の目だ。
わたしはがくがくと震えながら何度も頷く。他の三人も、多少怯んだようだった。
从 ゚∀从「よろしい。んじゃ、この後の予定は……えーっと、島の人達に挨拶回りだね。はい、全員起立」
ぴしゃりと指示され、わたし達はすぐさま立ち上がる。約一名、甲殻類の彼女を除いて。
すぐさま、ハイン先生の視線が一人座ったまま、反抗的な面をしているクーへと向けられる。
从 ゚∀从「……」
川 ゚ -゚)「……」
从 ゚∀从「…………」
川 ゚ -゚)「………チッ」
しぶしぶ、といった様子でクーも立ち上がる。
しえんんんんん
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:59:38.87 ID:rkF2YOty0
从 ゚∀从「じゃあ、行くよ。島民の人達は、好意であたし達を受け入れてくれたんだ。
そこんとこよーっく頭において、感謝の心を忘れないようにするんだよ。特にクー。
そんな渋い顔してないで、ちゃんとにぱーって笑顔作るんだよ」
川 ゚ -゚)「ふん……」
こうして、世にも恐ろしい一行は、挨拶回りの旅へと出発した。
犬人間、猫のきぐるみ、態度の悪い赤髪の蟹人間、チーター人間……そして、唯一の人間であるわたし。
こんな軍団が雁首揃えて家を訪ねてきたら、普通の人は驚いてぶっ倒れてしまうかもしれない。
子供は泣き叫ぶだろうし、ご老人はショックで心臓が止まってしまうかもしれない。
考えれば考えるほど、胃は痛くなる一方だ。
( ФωФ)「何事も第一印象が大切じゃからな。しゃんとしていかんと」
('A`)「なーにがしゃんとして、だ。猫背に姿勢もクソもねーよ」
( ФωФ)「馬鹿にするでない。我輩は二足歩行における最も正しい姿勢をこれでもかと言うほど学んできたのだぞ? 猫背など当に改善したわ」
('A`)「そりゃ、お偉い事で」
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 13:59:55.58 ID:zq3DAj7GO
せめてハーフにするなら哺乳類だろ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:00:00.08 ID:rkF2YOty0
( ФωФ)「おぬし、その口の悪さ、少し直した方がよいぞ?
人によっては不快に感じるお方もいるじゃろうからの。ヤギ殿もそう思わぬか?」
ξ゚听)ξ「え、う、うん。そだね……」
話を振られたが、わたしは考える気力も無く適当に返事を返す。
ていうか、何でわたしが色々心配してるのに、こいつらは平然と、むしろ楽しそうに歩いているのだろうか。
ああ、もう。どうなっても知らん。もし騒ぎになったら一目散に逃げよう。
('A`)「おい、ヤギ。何か顔色わりーけど、大丈夫か?」
ドクオがわたしの顔を覗きこんでくる。
はぁ……。隣を歩いているのは、あの時夢見た王子様じゃなくて犬とは。
世の中って、本当にうまくいかんもんだなぁ。
第一話 おわり
しえんんんんんん
あれ、お疲れ!!!
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:01:24.03 ID:/oMWfQRp0
ブーン系初めて臭かったけど頑張れ
乙
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:02:53.11 ID:rkF2YOty0
以上で第一話終わりです。
地の文多すぎワロタ。もう少し削れたかも……申し訳ない。
たぶん全十話はいかないと思う。
こんな平日の昼間から投下なんてけしからん。
読んでくれた人ありがとうございました。
まったり静かに連載していこうと思います。
次回はいつごろでしか><
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:04:08.43 ID:rkF2YOty0
>>59 近いうちに第二話投下したいと思ってます。
時間帯は夜頃できたらなあ、みたいな感じです。
ゆっくり頑張ってね!!
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:07:04.50 ID:qX1ry6R00
乙でした!
さあ仕事すんぞ
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:14:33.97 ID:izeZuhg6O
乙!
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:18:00.07 ID:UwAfd5w50
乙。
これはまとめるべき
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:18:12.16 ID:/KAX4JeKO
乙ー、こーいうノリ大好き
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:19:13.25 ID:qFEkYdpqO
乙
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:22:16.55 ID:BTLquGZT0
おもしろいよ。乙。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:28:34.71 ID:/7zEKr/A0
おつ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:32:59.75 ID:UwAfd5w50
ほ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:35:59.83 ID:lltOiMH3O
乙
期待
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:41:51.65 ID:UwAfd5w50
ほす
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 14:48:18.58 ID:UwAfd5w50
ほ
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:04:28.79 ID:UwAfd5w50
保守
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:04:47.12 ID:RoHPiUGX0
蟹w
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:12:03.93 ID:UwAfd5w50
ほ
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:17:14.04 ID:UwAfd5w50
ほ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:24:42.07 ID:UwAfd5w50
ら
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:32:52.48 ID:UwAfd5w50
い
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:35:40.71 ID:UwAfd5w50
ぞ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:36:20.03 ID:uv3ktpa4O
ん
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:36:55.62 ID:UwAfd5w50
なんでそう言う事するかなぁ・・・
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:41:11.84 ID:uv3ktpa4O
ごめんぬ
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:41:39.82 ID:UwAfd5w50
いいよ。俺もついカッとなって当たっちまった。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:49:30.01 ID:uihrkOxl0
今読んだ乙
面白い
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 15:51:28.84 ID:ScNyh5hm0
面白かった!続き期待
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 16:04:27.58 ID:YwyiUwsk0
面白いな キターイ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 16:20:52.29 ID:UwAfd5w50
h
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 16:25:46.51 ID:BTLquGZT0
うほ
AA長編でやれ、VIPでやるな
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 16:53:11.66 ID:h1WE+NyDO
お前が見なけりゃ済む話
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/21(木) 17:34:41.70 ID:6ATtiGgyO
乙
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
続き期待