おい、ぬるく絵の練習しながら雑談しながらたまにはゆっくり寝ようか
何故絵を描き始めたか君は覚えているだろうか。
――僕は覚えている。
あれはそう、いつもいくスレで絵師(いい絵師)が降臨した時だった。
僕達が盛り上がってた話に拍車をかけるように、妄想を具現化する魔術師のように、絵にして僕達に見せてくれた。
今にして思えば、それはどこか素人くさい感じがする絵だったように思う。
けれど、僕達が歓喜するほどその絵には魅力があった。 そう、そこには僕達の夢があったのだ。
そうして僕も絵を描き始めた。彼のように僕も人を喜ばせる何かを表現したいと、魔術師になりたいと。
しかし、現実は厳しかった。一言も僕の絵にレスがつくことはなかったのだ。
当然と言えば当然である。
僕の絵は……下手だったのだ。 醜く、そして汚く、落書き以下のゴミ。
その事実に気付いた時、僕は泣いた。自分の力のなさに泣いた。そんなことにも気付けない己の情けなさと、そして屈辱に。
涙と悲しみが彼果てた時、僕の中にあったのは復習だった。
逆恨みかもしれない、けれど僕はあのスレの住人を見返してやろうと誓った。
友に無実の罪を着せられ、復習の時をまったあの人のごとく僕は、復習のために絵を学びだした。
hitokaku デッサン ドローリング 模写 ルーミス……。
雨水をすいこむマンホールのように僕は知識を吸収した。そうして、必然的に僕の技術は向上した。
特に売れ筋漫画家の絵は細部まで研究しつく、描き癖をマスターし、瓜二つにかけるほどになった。
ついにその時はきた。 僕は一枚の絵を仕上げた。
誰もが望む、そして今風の流行にそった完璧な絵だった。
スレに投入すると、すぐに賞賛のレスがついた。僕はさらに絵を描き投下し続けた。
神とよばれ、もっとと求められ、再うpお願いしますと頭を下げられた。
だが僕の心には何もなかった。感動も満足もなかった。
ただむなしかった。描き出した頃のあの純粋な楽しさ。あれは何だったのか。
今書きなぐる絵は美しく、完璧かもしれない、けれどそこには心がない、愛がない、魂がない、そして僕という自身がないのだ。
僕はスレを閉じると、静かにベットへと寝転がり、声を殺して泣いた。
もう絵を描く事はないだろう。僕は失ったのだ、本当に描きたかったあの情熱を。僕自身の世界を。
何か書こうと妄想しつつ書いてたら、変な話ができあがってた・・・