ローゼンメイデン 〜人形達の挽歌〜

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
今日も今日とて書く
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:34:36.10 ID:268kfYQ70
神の死んだ町「アリスシティ」

法は御伽噺と化し、全ては力が決める

弱き者はその命すら奪われ、強き者はより強き者に蹂躙される

正にこの世の掃き溜め、それがこの「アリスシティ」

だが、人々は今日もこの町で生きていく……
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:35:17.73 ID:268kfYQ70
JUM「ちっ、今日の稼ぎはこれっぽっちかよ……パンとコーヒー一杯で消えちまうぜ……」

JUM「ん?なんだ、誰か倒れてる?」

男「……ううっ……」

JUM「っと、まだ生きてるのか。まぁいいさ。何か金目の物はっと」

ゴソゴソ

JUM「よし財布の中身は……凄いな、5万アリスドルはあるんじゃないのか?他には・・・」

JUM「・・・随分大きなトランクバッグだな。旅行者か何かだったのか?って!?」

男「はぁはぁ・・・頼む!こ、このバッグを・・・このバッグを持ってここから逃げてくれ!!」

男「そして何処か安全な場所でバッグを開けるんだ!ゴホッ!も、もう全てを君に託すしか・・・」

JUM「わ、わかったから手を離せよ!悪かった、悪かったよ!財布も返すから・・・」

?「おい、いたぞ!こっちだ!」

男「ゴホッゴホッ!こ、ここは私が時間を稼ぐ!早く!早くっ!!」

JUM「畜生!何だッてんだよ!!」


これが、俺、JUMにとってどんなに重大な事なのか
運命すら知らない僕にとって、まだ知る由も無かった
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:36:19.23 ID:268kfYQ70
ザー・・・ザー・・・
その場から逃げる様に立ち去った俺は、行き付けの寂れたレストラン「ロストVIP」へ立ち寄った
正直、今日の稼ぎじゃ寄れる所じゃ無いが、あの男から頂いた財布の中身を使えば話は別だ

店主「よぅ、JUM!今日の稼ぎはどうだい?」

JUM「ああ、今日は随分上手くいってね。あぁ、腹が減ったし外は寒いし。体が暖まって美味い奴を頼むよ」

店主「へぇ、そいつぁ豪気な話だ。だが最低でも100アリスドルはかかるぜ、財布は大丈夫なのか?」

JUM「いいんだよ、おっさんはそんな心配しなくても。何なら先払いでもいいんだぜ」

そうして僕は200アリスドルを叩きつける
店主は一瞬訝しげな顔を見せたが、すぐいつもの調子に戻った

店主「あいよ、お待ちどうさん」

JUM「ああ、美味ぇや!久しぶりだぜ、この味は」

出された料理に夢中だった俺は、店主がトランクバッグを凝視している事も気づかずに、ただただ今日の食事にありつけた事を感謝していた
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:37:19.73 ID:268kfYQ70
JUM「やっぱりここの料理は最高だ。それじゃ、またくるよ」

店主「おう、何時でも来いよ。外は雨が酷い、気をつけてな」

〜バタン〜

店主「しかし、JUMの奴。随分羽振りが良かったが、何かヤバい事に首つっこんじゃいないだろうな」

店主「まぁ俺に迷惑がこなきゃそれでいいさ。さて、この雨じゃ客も来ないし店じまいとするか」

〜バタン〜

店主「ん、お客さんかい?すまないがもう店じまい・・・あ、あんたらは・・・」

       ガスッ
ドカッ

店主「ほ、本当だ!俺は何も知らないんだ!!」

??A「隠し立てをするとためにならんぞ・・・」

??B「・・・おい、今情報が入った・・・」

??A「・・・質問を変える。大きなトランクバッグを担いだガキは来なかったか?」

店主(・・・!JUMのあのバッグか!?しかしこいつらに話したら)

??A「・・・その表情・・・知っているな・・・?」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:38:25.15 ID:268kfYQ70
〜ボロ家〜

JUM「今帰ったぞ〜」

のり「あ、ジュン君。おかえりなさい」

JUM「よせよ、その名前。この町じゃ自分を偽らなきゃ生きていけやしないんだ。舐められたら終わりなんだ」

のり「ご、ごめんなさい」

JUM「それよりも。今日は臨時収入があったんだ!見ろよ、これ。5万アリスドルはあるぜ!」

のり「どうしたの、こんな大金!!」

JUM「それが笑っちまうくらいボロい話があってさ。旅行者っぽい奴が行き倒れてたから頂いてきたのさ」

のり「……駄目よ、そんな事したら。お父さんとお母さんが聞いたら何て思うか……」

JUM「俺達を捨てて逃げ出した奴らなんか知った事かよ!・・・これだけあれば一月は余裕で持つさ」

JUM「姉ちゃんも薄汚い連中相手にウェイトレスをやる事だってないんだ・・・これを元手に何か出来るかもしれない!」

のり「・・・JUM。・・・?あら、そのバッグはどうしたの?」

JUM「ああ、これはその旅行者が持ってけってくれたんだけど」

JUM(そういえば安全な場所で開けろって言ってたな)

JUM「まぁ、どうせ大したもんじゃないさ。それより今日はもう疲れた。暫く働く必要も無いし、今日はゆっくり休むよ」
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:40:44.90 ID:268kfYQ70
〜寝室〜

僕は、ようやくゆっくりと簡素なベッドに腰を落ち着けた
そして大きなトランクバッグに目をやる

JUM「慌ててあそこから逃げたのはいいけど、どう考えても厄介事だよな」

JUM「中身を確認してヤバそうなブツなら何処かに捨てるか、『グループ』にでも渡せばいいかな」

一通り自分の考えを巡らせた僕はバッグを開けてみる事にする
鍵は掛かっておらず簡単にそれは開いた

JUM「人形、なのか?それにしても随分良く出来てるな」

中には、一瞬人間と見紛う様な綺麗な人形が入っていた
長く伸びた金髪、端整な容姿、時代がかった紅いドレス
思わず見とれてしまう

JUM「あの旅行者、こんなのを大事に抱えてたのか。ん、ゼンマイ?」

バッグには古ぼけたゼンマイが一緒に入っていた
どうやらこの人形はゼンマイ仕掛けらしい

JUM「ちょっとくらいなら、いいよな」

そうして僕はゼンマイを巻いてみる事にした
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:42:14.31 ID:268kfYQ70
JUM「ゼンマイを巻いたけど・・・動く様子は無いな・・・古いから壊れてるのか?」

人形は動かなかった。どこかにスイッチがあるのかと頬を引っ張ったりデコを押したがサッパリだ
もしやと思い股間を探そうとしたが、下着が履いてあり、恥ずかしくなって止めた
興味を失った僕は寝る事にしたが、その時だった

コトン

JUM「ん、姉ちゃんか?・・・!!」

紅い人形「全く。人が動けないのをいい事に随分あちこち触ってくれたわね。人間の雄は沿想像以上に下品だわ」

JUM「う、うわ・・・何で人形が動いて・・・喋ってるんだ!?」

紅い人形「そんな事はどうでも良いわ。それより私を巻いたのは貴方ね?」

JUM「そ、そうだよ。お前が入っていたバッグに一緒にあったから、それで動くと思って、痛っ!」

紅い人形「レディーに対する口の聞き方がなってないわね、それに私には『真紅』という名前があるのだわ」

JUM「わ、わかったよ。真紅、でいいのか?」

真紅「学習能力はあるようね。早速だけれど人間。私と契約なさい」

JUM「け、契約?一体何の事だよ!?」

真紅「文字通り契約よ。そうね、判りやすくいうなら、貴方は私にエネルギーを供給する、と言った所かしら」

JUM「そ、それで僕に何かメリットはあるのかよ?一方的に力だけ奪われるなんて、まるで呪いじゃないか!」
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:42:14.62 ID:yUmLuzEZ0
なにこの人?気持ち悪い
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:44:21.92 ID:268kfYQ70
真紅「この私と契約できるのよ。それだけで光栄ではなくて?」

JUM「訳の判らない人形に力を奪われるなんて、まるで呪いじゃないか!ご免だ!」

真紅「……!しっ!静かになさい!……」

真紅「ねぇ、人間。残念だけど貴方はここで死ぬわ」

JUM「は?いきなり何を言い出すかと思えば・・・」

ドカッ
その時、玄関を乱暴に、そう蹴り破る音が聞こえた
そして複数の人間が入り込んで来る音が続く

JUM「な、何なんだよ、これ!」

階下から喧騒、そして姉と誰かが言い争う声が聞こえる

のり(な、何なんですか、貴方達は!警察を呼びますよ!?)
??(一階にはいないようだ。二階を探せ)

タァンッ
そう、それはこの町では取り立てて珍しい音では無い
人が人から何かを奪う時に頻繁に、そして誰かを、邪魔者を殺す時はもっと頻繁になり響く
拳銃の音

JUM「あ・・・あ・・・あ・・・姉ちゃんっ!?」

真紅「決断しなさい、人間。貴方が助かるには私と契約するしかないわ」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:46:06.03 ID:268kfYQ70
横で真紅とか言う人形が何事かほざいているが、そんな事は耳に入らなかった
階下の拳銃音、そして途切れた姉の声
僕は自分の最悪な想像が頭で膨らむのを抑えるので精一杯だった
その時

パンッ!

真紅が僕の頬を思い切り叩いた
ようやく彼女の声が頭に入ってくる

真紅「もう一度だけ言うわ、人間。助かりたければ私と契約なさい」

JUM「そんな事いったって・・・契約ってどうすればいいんだよ・・・?」

真紅「左手の薬指を御覧なさい。その指輪に口づけをすれば契約が成立するのだわ」

慌てて左手を見ると、何時の間にか薔薇を象ったであろう指輪が薬指に嵌っていた
その時、僕の部屋のドアが乱暴に開かれる

??「この部屋にいるぞ!『ドール』は既に稼動している!」

真紅「急ぎなさい!今すぐ契約するのよ!」

そうして僕は
この得体の知れない人形と得体の知れない契約を結んだ
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:48:07.74 ID:268kfYQ70
契約を結んだ直後の事はあまり覚えていない
ただ銃を持った男達が次々と現れて、それを真紅が薙ぎ倒していった事だけだ
尋常じゃない速さで動く彼女は、銃弾をかわし、男達を叩きのめしていった
部屋の隅で震えていた僕は、動く音が全て消えた後に恐る恐る部屋の様子を確かめようとした


JUM「ぜ、全員倒れてる……僕は、助かった、のか?」

真紅「ええ、そうよ」

JUM「うわあっ!」

真紅「あまり大きな声を出さないで頂戴。驚いてしまうのだわ」

JUM「ご、ごめん。それよりこいつらは・・・生きてるのか?」

真紅「いいえ。全員殺したわ。気絶で済ませる事も出来たけれど、それでは私達の情報が漏れてしまうから」

JUM「お前、一体全体なんなんだよ。……あ!」


情けない話だが、僕は自分の事だけで精一杯で、大事な人の事をすっかり忘れていた
それに気づいた時、今思い出しても、情けなさと悔しさで涙が出そうになる


JUM「姉ちゃん!姉ちゃんっ!」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:50:52.44 ID:268kfYQ70
慌てて階段を駆け下りると、姉ちゃんは、桜田のりは玄関の前で倒れていた
急いで駆け寄り抱きかかえる


JUM「姉ちゃん!姉ちゃん!おい、起きろよ、姉ちゃ・・・!!」


そして気づいた
彼女の額に開いた穴を
姉ちゃんは既に事切れていた
せめてもの慰めは一瞬で逝けた事だろう
突然の事に、恐怖も痛みも感じなかったに違いない
僕は、姉ちゃんの、まだ開いたままの目蓋をそっと指で閉じた
抱きかかえた彼女はどんどん冷たくなっていく


JUM「……嘘だろ。何でこんな事になったんだよ……」


今日の臨時収入で一月は楽に暮らせるはずだった
いつも苦労を賭けっ放しの姉に、何かプレゼントでもしてやろうと思っていた
この世界で信じられる只一人の肉親だった


JUM「なんで……こんな事になったんだよっ!!!誰の!!誰のせいでっ!!!!」

真紅「恐らく私ね。それ以外は考えられないわ」
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:54:04.81 ID:/KcOtiptO
またローゼンスレか


















良いぞもっとやれ
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:55:29.02 ID:268kfYQ70
この人形は今、何て言った?
騒ぎの原因は、理由は自分だと言ったのか?
姉ちゃんは、のりはこいつのせいで死んだ、と?


JUM「は・・・?何言ってるんだ・・・?お前の・・・せいだって・・・?」

真紅「ええ、そうよ。連中は私を捕まえに来た、それは間違いないのだわ」

真紅「ただ、あの人数で来たという事は、ここにいるという確信は無かったはず。私がいると判っていればあの程度のはずがないもの」

真紅「連絡が途絶えた事に気づいて増援が来るまでに、ここから出来るだけ離れましょう」

JUM「・・・ちょっと待てよ。さっきから自分の都合ばかり話しやがって・・・。一体お前は何なんだよ、真紅!!!」

真紅「落ち着きなさい、人間。説明してもいいけれど今は駄目。貴方の…姉の死が無駄になるわよ」


……癪な話だが、確かにここにいれば、さっきの男達の仲間が現れる可能性が高い
そうなればきっと、今度こそ僕は死ぬだろう
真紅から話を聞くためにも、この理不尽な状況を把握する為にも、まずは生き残らなければならなかった


JUM「わかった……今はここから離れよう。でも、必ず納得の行く説明をしてもらうからな」

真紅「……いい顔になったわね、人間。それでこそ契約を結んだ甲斐があるというものだわ。そういえば名前を聞いてなかったわね」

JUM「僕はJU……」

ジュン「ジュン、桜田ジュンだ」
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:57:12.92 ID:268kfYQ70
真紅「そう、ジュンというのね。ジュン・・・良い名前だわ」

ジュン「で、これからどうすればいいんだ。もうこの家は駄目だ。必要な物だけ持って逃げないと」

真紅「そうね。まず私のバッグとゼンマイは絶対に必要ね。あとは紅茶、ティーセットと当面の食事を準備なさい」

真紅「それと。私はこの周辺を全く知らないわ、当然だけれど。ジュン、どこか安全な場所は無いの?」

ジュン「ウチに紅茶なんて上品な物は無い、コーヒーで我慢しろ。で、安全な場所、か」

ジュン「そうだな、あそこなら……」

真紅「心当たりがあるのね。何処なのかしら?」

ジュン「学校だよ。と言っても機能なんかしてないし、この町じゃ必要ない所さ。何年か前に廃校になって誰もいないはずだ」

真紅「ここから遠いのかしら?」

ジュン「一時間、て所だな。ここから近すぎず遠すぎず、隠れるには最適だと思う」

真紅「採用、ね。じゃあ早速準備なさい」


言われるままに準備を整えた僕は家を出た
玄関を出る前に、のりの遺体をそっと抱きしめ、彼女の眼鏡を形見として胸のポケットに入れる
真紅をバッグに入れた事を少しだけ感謝した
涙を見られるのは、男にとって恥ずかしい事なのだ
そうして玄関をくぐった僕は
姉の仇を取る事を胸に誓った
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 19:58:36.53 ID:268kfYQ70
家から学校までの道のりは、僕にこれからどうするかを考えるのに十分な時間をくれた
そして今日一日の事を思い出す

今日の仕事、スリはサッパリだった
いつも目をつけているサラリーマンは給料日のはずなのに金を殆ど持っていなかったのだ

不貞腐れた僕は帰りに旅行者風の男から財布の金とバッグを譲り受けた
そしてロストVIPで夕食を食べた

恐らく店主が僕のバッグを見ていてそれがバレたのだろう
きっと店主も無事ではいまい、悪い事をした

そして真紅に出会ったと同時に桜田家は襲撃を受け
……のりは奴らに殺されたのだ

僕を今突き動かしているのは姉の仇を討つ、それしかなかった
叫べるなら思い切り大きな声で怒りを叫んでいただろう

とにかく学校へ、まずはそこからだ
僕は歩む速度を早くした



巴「あ、桜田君」
運転手「どうなさいました、巴様?」
巴「ううん、何でもないの」
巴(この時間にこんな所を歩いている訳ないものね)
??「巴ー!早く帰ってうにゅうを食べるのよー!」
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:00:43.01 ID:268kfYQ70
丁度一時間たった頃、僕達は学校に辿りついた

正直、良い思い出の無い場所だ
担任の梅岡は子供達へ、勉強だけじゃなく犯罪のやり方を教えた
それは、この町で生き抜いて欲しいという彼なりの思いやりだったのかもしれない

現に、今日まで僕達姉弟が生き残れたのは、彼に習ったスリによる所が大きい
だが、僕はスリなんか嫌いだった
そして学校にも行かなくなっていったのだ

それから暫くして学校はギャングの襲撃を受け、事実上の閉鎖となった


ジュン「変わってないな、ここは」


今いるのは中等部の教室、僕がいたクラスだ
一応周囲を警戒し、誰もいない事を確かめてから中に入る

机等の備品はボロボロだが文句は言っていられないだろう
校長室にあったソファーを持ち込んでベッド代わりにする
これで寝泊り出来る程度にはなっただろう

簡単な整理が終わった所で、僕は真紅とバッグを思い出したように開いた


真紅「ここが学校という所なのね。随分小汚い所だわ」
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:02:03.89 ID:268kfYQ70
真紅は一通り教室を見渡した後、つまらなそうにソファーベッドに腰掛ける


真紅「あぁ、長いこと揺さぶられていたから疲れたのだわ。紅茶を淹れて頂戴」

ジュン「家を出る時に言ったはずだぞ。家には紅茶なんてない。代わりにコーヒーセットを持ってきたけどな」

真紅「そうだったわね。仕方ないからその『こーひー』という物で我慢するのだわ。早く淹れて」

ジュン「僕も一息ついたからな、一緒に淹れてやるよ。幸い電気が通ってるからポットも使えるみたいだ」


インスタントコーヒーをマグカップにいれてお湯を注ぐ
その時、普段は姉ちゃんがいつもコーヒーを作ってくれていた事を思い出した
気づかぬ内に目から溢れた涙はコーヒーへ零れ静かに混ざっていった


ジュン「おい、出来たぞ。熱いから火傷するなよな。火傷とかするのかしらないけど」

真紅「苦いわね。人間はこんな物を好んで飲むのかしら?」

ジュン「五月蝿いな、だったら飲まなくていいんだぞ」

真紅「でも、優しい味ね。そして、とても悲しい味がするわ」

ジュン「……さっさと飲めよな。聞きたい事は山ほどあるんだ」
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:03:04.93 ID:268kfYQ70
小さな口のせいか、ようやく真紅はコーヒーを飲み終わった
タイミングを計って、僕は話を切り出す


ジュン「もういいだろ。お前の知ってる事、話してもらうぞ」

真紅「いいわよ、まずは何から聞きたいのかしら?」

ジュン「お前の事からだ。自分で動いて話をして、挙句に人間を殺す人形なんて聞いた事が無い」

真紅「私は父ローゼンが生み出したローゼンメイデンの第5ドール、真紅」

ジュン「第5って、それじゃお前みたいなのが何体もいるのか!?」

真紅「そうよ。それぞれのドールは各々が違ったコンセプトの元に作られているの」

真紅「その中でも私は局地制圧に特化した戦闘型ドール。そうね、ケンプファーのような物と言えば判りやすいかしら?」

ジュン「さっぱり判らないぞ。で、ローゼンってのは何でお前達を作ったんだ!?お前達は何をしようとしてるんだ!」

真紅「お父様の望み、それは『アリスゲーム』。それを成す為に私達ローゼンメイデンは作られたのだわ」

ジュン「『アリスゲーム』・・・?」
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:04:48.44 ID:268kfYQ70
真紅「そう、アリスゲーム……」


父は、このアリスシティを憂いていたわ
神の見捨てた町、アリスシティ
力が全てを支配する町を救うには、それを上回る力しかないと父は考えた

そして、その力を体現する為にローゼンメイデンは作り出されたの
それぞれが異なった力を持つ私達の力でアリスシティに秩序を蘇らせる
それがアリスゲーム
でもコンセプトの違いは性格の違い、そして行動の違いも作ってしまったのだわ

動き出した私達は、各々がそれぞれの手段で町の秩序構築に動き出したの
ある者は力を持って裏社会の実力者を排除していった
ある者は自らの組織を作り力を蓄えて町のトップになろうとしたわ
でも、誰も協力しようとはしなかったの

父は私達を再調整し、互いに助け合うようにしようとしたのだわ
でも……


真紅「父は殺されたのだわ。それも私達ローゼンメイデンの一員に、私の目の前で」

真紅「それ以降、私はその姉妹に捕まっていたけれど、父の知り合いが隙を見て助け出してくれたのだわ」

ジュン「それがあの男で・・・僕がお前を受け取ったって訳か」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:05:57.99 ID:268kfYQ70
真紅「後は貴方の知ってる通りよ。私を捕まえようと追っ手が放たれ」

ジュン「そのとばっちりで、姉ちゃんは殺されたって訳か」

真紅「……ごめんなさい。それについては謝るわ。まさかこんなに荒っぽいやり方だとは思わなかったの」

ジュン「今更それをどうこういうつもりは無いよ。お前には命を助けられたしな」

ジュン「……教えろよ。そのお前の姉妹を。姉ちゃんを殺させた奴の名前を」



男「す、すいません、水銀燈様!真紅は既に覚醒し逃走、追っ手の内、一つの班が全滅しました」

水銀「それでぇ?真紅は何処に逃げたのかしらぁ?」

男「それが…既に現場から立ち去っており、手がかりはまだ何も」

水銀「……私、お馬鹿さんって嫌いなのよねぇ」

男「お、お許しを!必ず真紅を見つけ、ギャッ!」

水銀「さっさと奴の、真紅の居場所を突き止めなさい!こうなりたくなかったらね!!」

男B「は、はっ!かしこまりました!」



ジュン「水銀燈……それが、姉ちゃんの仇の名前か!」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:08:49.26 ID:268kfYQ70
ジュン「…俺は、姉ちゃんの仇を、水銀燈を、この手で殺す」

ジュン「これからの俺の人生はその為だけに使うんだ」

ジュン「真紅、水銀燈は何処にいるのかわかるんだろ?今からでも・・・」

真紅「……ジュン」

ジュン「何だ、グァッ!」

真紅「ジュン、今の攻撃は見えたかしら。パンチ?それともキック?」


はっきり言って、何も見えなかった
真紅は俺の真正面に座っていた
なのに気づいたら俺は吹っ飛ばされていた


真紅「これが私達、ローゼンメイデンの力よ。ただの人間が適う代物じゃないのだわ」

真紅「そしてさっきのはデコピンよ。パーセンテージで言えば2%くらいの力で、ね」
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:09:47.37 ID:268kfYQ70
ジュン「・・・くれよ」

真紅「何?聞こえないわ」

ジュン「教えてくれよ、戦い方って奴を。お前らが強いのはわかったさ」

ジュン「でも俺はこの手で水銀燈を殺したい。それが適わないなら、せめて奴が死ぬ所をこの目で見たい」

ジュン「だけど、その途中にはウチを襲ったような連中もいるはずだ。せめて自分の身位は自分で守る」


口じゃこんな事を言ったが、俺は自分の手で復讐を果たすつもりだった
だから、戦い方を知りたい、強くなりたいってのは本気だった


真紅「……いいわ。最低限の事は教えてあげる」


そう言って真紅は何かを放り投げた


ジュン「これは、拳銃か?」

真紅「貴方の家を襲った連中が持っていた物よ。ジュンに肉弾戦は期待していないけれど、これなら5歳の子供でも人を殺せるわ」

真紅「私も目覚めたばかりでブランクを埋める必要がある。リハビリの合間に貴方を鍛えてあげるわ」

真紅「ああ、ちなみに貴方の姉を撃った物とは別の銃よ。それ位は調べてあるから安心なさい」

ジュン「変な所に気を配りやがって。でも、ありがとよ」
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:10:50.13 ID:268kfYQ70
それから僕は真紅との戦闘訓練に明け暮れた
日中は校舎の中で筋力トレーニング等の基礎、銃器の使い方や戦術座学
日が落ちたらトラックを走りこみ持久力をつける
そして一日の締めくくりは射撃訓練だった


真紅「ジュンが使うこのシグP220はこの国の軍隊も使う優秀な拳銃よ。全体に精巧な作りで信頼性も高いのだわ」

真紅「でも気をつけなさい。普及している他の銃と違って装弾数は9発と少なめよ。しっかり狙って当てなさい」

真紅「駄目よ、引き金を絞るように引くの。狙いと銃口がずれるわ。撃つ時は多少のズレでも10M先ではそれが数Mになる」

真紅「相手が防弾ベスト、それもレベル3以上なら、まず致命傷は与えられないわ。ベスト相手にはベスト以外を狙いなさい」


正直、銃の訓練は好きだった
狙いをつけている時は、姉の事も復讐の事も考えずにすむからだ
そのせいなのか、それとも才能があったのか
僕は真紅から教わる技術を、スポンジが水を吸う様に吸収していった
幸いというのも変な話だが、銃弾もこの町ではどこででも手に入った


真紅「今日のノルマは達成ね。それでは夕食にしましょう」

ジュン「真紅の教え方がいいからさ。言われた事をやってるだけだよ」

真紅「お世辞はいいのだわ。私は現実主義者なの。実用的かそうでないか。大事なのは本質よ」

真紅「それよりも早くコーヒーを入れて頂戴。喉が渇いたのだわ」
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:12:08.20 ID:268kfYQ70
真紅はあの日以来、紅茶を頼まなくなった
代わりにコーヒーを良く飲むようになった、理由はわからない
僕は砂糖を3つは入れないと飲めないが、彼女は常にブラックで飲む
それは遠い思い出を、コーヒーの苦味で噛み締めていたのかもしれない
今でもふと思い出す時がある
真紅がコーヒーを飲んでいる時の、あの遠い眼差しを


真紅「戦技はともかく珈琲の入れ方だけは、この一月で上手くなったのだわ」

ジュン「それよりも、何時までこんな生活を続けるんだ。この一ヶ月、訓練ばかりで何もしてないじゃないか」

真紅「慌てなくとも水銀燈の居場所はわかっているのだわ。彼女がこの街を離れる事はない」

真紅「ならば私達は慌てずに準備をするのが得策というものよ」

ジュン「ちゃんと計画があるならいいさ。でも、この準備が終わったらどうするんだ?」

真紅「まずは他の姉妹に会うわ。彼女達はそれぞれ街の秩序を再構成する為に活動しているの」

真紅「勿論それは水銀燈も同じよ、特に彼女は巨大な勢力を気づいている。対抗するには私達にも力が必要」

真紅「同じように組織を持つ姉妹に会って協力を取り付けるか、或いは殺害して組織自体を乗っ取るのが近道ね」

ジュン「ちょ、ちょっと待てよ!曲がりなりにも姉妹だろ、殺しあうなんて物騒じゃないのか!?」
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:14:46.40 ID:268kfYQ70
真紅「ねぇ、ジュン。メイデンは街に秩序をもたらすのが最優先なの。馴れ合いでは平和は生まれないのだわ」

真紅「秩序を育む過程で協力する事はあっても、障害となれば即座に排除対象になるわ」

真紅「勿論、回避できるならそうしたいけれど、その為に必要なお父様は殺されてしまった」

真紅「それに人間だって損得で肉親同士殺しあうのだわ。私達だけが特殊じゃないのよ」

ジュン「何か…納得出来ないな」

真紅「別に納得する必要はないのだわ。必要な時に必要な事をする、それだけの事よ」

ジュン「もういい、この話はこれまでだ。それで、他の姉妹の居所は判るのか?」

真紅「そうね。まずは雛苺に会うのだわ」

ジュン「雛・・・苺・・・?」

真紅「そうよ。ローゼンメイデン第6ドール雛苺。私の妹なのだわ」



雛苺「へーくちゅ!」

巴「あら。雛苺、大丈夫?」

雛苺「うにゅー、大丈夫なのよー!」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:16:13.93 ID:268kfYQ70
ジュン「どんな奴なんだ、その、雛苺ってのは?」

真紅「そうね、彼女の基本コンセプトは『近接強襲型』。瞬間的な火力で言えば私を上回るはずよ」

ジュン「し、真紅より強いって事かよ。どんな奴か想像もつかないぜ」

真紅「あら、火力と強さは別よ。勿論強さの条件に含まれる事だけれど」

真紅「あの子にもしっかり弱点があるわ。勿論私にも。戦闘とは単純な数値の計算ではないのだわ」

ジュン「ああ、長くなりそうだからいいよ、それは。聞きたいのはどんな奴かって事だ」

真紅「基本的には素直な子よ。確か、あの子はとある組織の娘と契約していたはずね」

真紅「その組織に力を貸す事で着実に組織の力を増しているの。規模は小さいけれど水銀燈と同じやり方ね」

ジュン「その組織の協力を仰ぐわけ、か」

真紅「私達の話を素直に聞いてくれれば、ね」
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:17:57.35 ID:268kfYQ70
〜三葉会〜

巴「雛、そろそろ行きましょう」

雛苺「トゥモォエー、今日はどこにカチこめばいいの?」

巴「今日の標的はギャング『VIPマジェスティ』よ。再三会談を申し入れて使者も送ったのだけれど」


そういって巴は持っていた包みを開いた


巴「この通り、手だけになって帰ってきたの。もう交渉の余地は無いから、雛の好きなように『遊んで』あげて」

雛苺「やったー!今日は一杯『遊べる』のよー!」

巴「くれぐれも怪我はしないでね。それじゃ政さん。運転お願いします」

運転手「行き先はどちらになさいますか?」

巴「連中の根城は廃ビル『うまい棒』と聞いています。100M手前でおろしてください」

運転手「わかりました。……ご武運を」

雛苺「うふふ、大丈夫なの!ちょっと『遊んで』あげるだけなのよー」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:19:26.77 ID:268kfYQ70
〜廃ビル うまい棒〜

エントランス

男A「三葉会の連中、ビビってやがるだろうな」

男B「ああ、何しろボスがあの使者をぶった切った挙句にバラして送りつけたらしいからな」

男A「今に詫び入れてくるんじゃねぇか?ギャッハッハッハ」

男B「お、おい、お前・・・」

男A「あ?どうしたよ?」

男B「な、何だよ!その、額から生えてる・・・手は!?」

男A[あ、あ、あ!?な、何だよ、これはははははははははは」


額から手が消える…抜き去られると同時に男Aはだらしなく血溜まりに崩れ落ちる
男Bは腰が抜けたらしくしゃがみこんだままだ


雛苺「うゆ〜、もう壊れちゃったの。今度は貴方が『遊んで』くれるの〜?」

男B「ひ、ひぃぃ!ば、化け物!!」

巴「雛、その人、とっても遊んで欲しいんだって。…よかったね、雛」

男B「ギャアアアアアアアアアアア!!」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:21:15.99 ID:268kfYQ70
〜廃ビル うまい棒〜

巴と雛の侵入から10分
下の階層からは常に悲鳴と鳴き声、そして血の匂いが広がっていく
そして一度静かになったソレは数分後に一つ上の階からまた始まるのだ

〜最上階〜

手下A「ボ、ボス!やばいですよ!きっと三葉会の報復が・・・」

手下B「馬鹿言うな!下の階には全部で100人以上いるんだぞ!?余程の大人数じゃなきゃ殴りこみなんて!」

手下A「確かにそんな人数は何処からも報告されてねぇけど・・・じゃあ、この悲鳴は何なんだよ!」

ボス「ち、畜生!おい、お前!下の様子を見て来い!」

手下A「じょ、冗談じゃないっすよ!下で何が起きてるのか、考えたくもねぇし見たくもねぇよ!」

愛人「わ、私は関係ないんだからねっ!ただアンタといると金回りがいいからいただけだもん!」


そういって愛人は慌てて階段を降りようとして…すぐ戻ってきた
上顎から上だけが飛んで


ボス「な、な、な・・・」

巴「あら、雛苺。駄目よ、この人は関係無かったみたい」

雛苺「うにゅ〜、でも柔らかくて面白かったの」
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:24:18.30 ID:268kfYQ70
巴「あ、すいません。申遅れました。私、三葉会若頭の柏葉巴、と申します」

雛苺「雛は雛苺なのよ〜!」

ボス「あ、あ、あ・・・助けて・・・」

手下A「に、逃げろ!」

手下B「もう沢山だ!やってられっかよ!」

雛苺「あ、駄目なの〜!雛と『遊んで』くれなきゃ嫌なのよ〜」

そうして雛苺は『遊び始める』
今日はお手玉がお気に入りらしい
逃げ出そうとした哀れな『玩具』はその頭部を引き抜かれ中を舞う

巴「それでですね。以前からお話させていただいてる縄張りの件なんですけど」

ボス「あ、ああ!わかった!共同運営、いや、全部くれてやる!だから命だけは・・・!」

巴「いえ、ご心配には及びません。貴方達を全員ぶっ殺した後に私達で全部引き継ぐ事にしましたので」

雛「ねぇ、トモエ。もうこの人で遊んでいいの〜?」

巴「えぇ、勿論よ。でもすぐ壊しちゃ駄目なの。そうね、一時間は壊さないで遊んであげてね」

ボス「誰か、誰か助けギャッ!ガアアアア!ヒイイイ!殺して、殺してくれぇぇぇえええええ!!!」


この晩、有力ギャング「VIPマジェスティ」は構成員137名全員が死亡、事実上崩壊した
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:26:14.88 ID:268kfYQ70
〜三葉会〜

組長「そうか。連中はしっかりカタはめてやったか」

巴「……はい、父さん。これで藤堂さんも浮かばれると思います」

組長「お前は昔から藤堂に懐いとったからの。子供のいない奴にゃ実の娘のように思っとったはずじゃ」

巴「それで、縄張りの引継ぎだけど」

組長「おう、何時も通りにな。麻薬は全部処分して、苺大福の販売に切り替えじゃ。生産工場も地元に設置して雇用を出すんじゃ」

巴「修羅道だけれど……少しずつ変えていかなければこの街は変わらない」

組長「女のお前には辛い道やろうが……三葉会は最早、巴。お前と雛苺がおらんと立ち行かんのじゃ。……恨んでくれて構わん」

巴「いいの。自分で決めた事だから。それに、雛もいるわ」


雛苺「トモエー!お絵描きしましょうなのよー!」


巴「あ、ごめんなさい。雛が呼んでるから」

組長「おう、気にせず遊んだれぃな」


組長「せめてワシの体がまともに動けば……すまん、巴……」
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:27:27.65 ID:268kfYQ70
〜廃校舎〜

真紅「雛苺が所属している三葉会はこの数年で大きく成長しているのだわ」

真紅「他の組織を吸収、合併している上に、敵対組織はその武力の前に一瞬で崩壊しているの」

真紅「説明するまでも無いわね。恐らくこれは雛苺とそのマスターの仕業なのだわ」

真紅「でも三葉会が凄いのは、新たに獲得した支配地でも民衆の支持を取り付けている事なの」

真紅「彼らは支配した地域で麻薬の取引を禁止させ、代わりに食品工場を作っているのだわ」

真紅「住民からすれば治安は良くなるし雇用の拡大により経済効果もある。歓迎しない方が不思議ね」

ジュン「じゃあ悪い奴らじゃないんじゃないのか?話し合いにも応じてくれそうだけど」

ジュン「最悪の場合でも、僕達と水銀燈の戦いで邪魔さえしなければそれでいい気もするぜ?」

真紅「表面だけを見ていては駄目。表向きはどうあれ、三葉会は凶悪な武闘派ヤクザよ」

真紅「敵対組織が潰れる時は、必ず相手の構成員は『全員殺されて』いるのだわ」

ジュン「ぜ、全員……」

真紅「でも、勿論最初は話し合いよ。私としても無駄な戦闘での消耗は避けたいのだわ」
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:29:37.35 ID:268kfYQ70
ジュン「それで、いつ三葉会へ行くんだ?」

真紅「そうね。私のリハビリと貴方の訓練。それと水銀燈の動きを様子見るために後一月、って所かしらね」

ジュン「僕も、もうそれなりに戦えるつもりだぜ」

真紅「やれやれ。まるでわかってないわね。確かに貴方は成長したけど一般市民より上レベルよ」
   「マトモな戦闘員が相手ならそこで終了ね」
   「それに私も動きが完全じゃない。雛苺との戦闘に不安は残したくないのだわ」

ジュン「わ、わかったよ。僕もまだまだ覚えなきゃいけない事があるんだな」

真紅「そういう事よ。わかったなら早く寝なさい。明日も訓練はあるのだわ」


だが、簡単には寝付けなかった
三葉会組長の一人娘、柏葉巴
中学のクラスメートだった彼女
この騒動に関係してないといいのに、いやしているのか?
彼女、どんな娘だったかな
そんな昔の事を考えている内に僕は深い眠りに落ちた
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:31:15.51 ID:268kfYQ70
〜三葉会〜

子分「若頭!水銀党から伝聞がきてやす」

巴「これは…水銀燈からの直接文ね。ありがとう、下がっていいわ」

子分「へい!それじゃ失礼しやす!」

巴「アリスシティ最大の組織水銀党の党首、水銀燈から、ね。こんな小さな組織に何のようかしら?」
  「名前だけは聞くけれど、その姿を見た者は殆どいないとされてるわ。で内容は」
  「嘘……何で雛苺の事を知ってるの!?三葉会でも幹部しか雛の事は知らないのに!」
  「雛苺と一緒に読め、とあるわね……」

雛苺「トモエー、どうしたのー?」

巴「今、私と貴女宛に手紙が届いたのよ。何でも雛苺のお父さんの死についての真相ってあるんだけど……」

雛苺「……巴。私はまだ字がよく読めないから読んで教えて欲しいの。一字一句間違いなく。……お願い、なの」

巴「わかったわ、雛。ええと……」
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:32:43.35 ID:268kfYQ70
書き溜め分終わり
誰も見てないけど続きをマッハ見ながら書くか
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:39:38.19 ID:268kfYQ70
〜一月後 廃校舎〜

タァンッ

真紅「200M先の空き缶には必中になったようね。小銃ならともかく拳銃でこれなら十分なのだわ」
   「基礎身体能力には若干不安は残るけど、最低限には達しているようだし。そろそろかしらね」

ジュン「行くのか、三葉会へ」

真紅「ええ、頃合ね。これ以上はこちらが不利になるだけなのだわ。武器の点検を念入りにしておきなさい」

ジュン「戦いにならなければいいけどな」

真紅「それは雛苺に聞いて頂戴。交戦の可否はあの子で決まるのだわ」


慣れた手つきで拳銃を分解点検する
一応は戦いの用意をしていたが、心の何処かでそれは回避できると思っていた
復讐を胸に刻みながら、人を撃つ事なんて頭に無かった
僕は
まだ戦いを知らない甘えたガキでしかなかったんだ
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:50:20.45 ID:85xBeEbx0
>>37
見てるよ、昨日から。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 20:57:00.34 ID:268kfYQ70
〜三葉会前〜

ジュン(つ、ついたぞ。入り口の前におっかなそうなのが二人、こっちを睨んでる)

真紅(私は人目につくわけにはいかないのだわ。そいつらにこう言いなさい)
   (真紅が雛苺に取次ぎを求めている、と。連中は知らなくても上に確認させれば大丈夫よ)

ジュン「あ、あの。真紅が雛苺に取り次ぎを求めている、と上の方に伝えてもらえませんか?」

ヤクザ「あぁ?なんじゃい、ジャリ坊!ったらん、っと待っとれや!」

ジュン(大丈夫なんだろうか……)

ヤクザ「…ええ…はい…確かにそういって…ええ…わかりました」
     「大変失礼致しました。御客人とは露知らず、ご無礼をお許し下さい」
    「若頭がお会いになるそうですので、客間までお進みください」

ジュン「あ、いえ。それでは失礼します」

真紅(第一障害はクリアなのだわ)
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:05:36.40 ID:268kfYQ70
〜三葉会 客間〜

ジュン(いきなり若頭か。なんか緊張してきたぜ)

真紅(三葉会の若頭はやり手よ。雛苺だけでは三葉会はここまで大きくならなかったといわれているのだわ)
   (若頭が頭、雛苺が手足と、役割を完全に分けた事が急成長の要因ね)


その時、スラリと襖が開く
その先にいたのは、ある意味会いたかった人物であり、ある意味で、この場所で一番会いたくなかった人物だった


ジュン「か、柏葉。お前が三葉会の若頭だったのか」

巴「……もしやと思っていたけれど。本当に桜田君が真紅のマスターだったのね」

ジュン「まさか、お前が、柏葉が雛苺のマスターなのか!?」


真紅がバッとトランクバッグから飛び出る
その目は穏やかではなく、戦闘態勢に入っていた


真紅「ジュン!銃を抜きなさい!!」

ジュン「お、おいおい!今日は話し合いに来たんだろ?」

真紅「そのつもりだったけれど。相手は既に戦闘準備を整えているのだわ!!」
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:05:56.14 ID:268kfYQ70
メシから戻るまでスレが残ってますように
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:11:32.90 ID:bG5RP8CVO
良スレ発見
支援
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:12:42.97 ID:bGrBRv5F0
ほぅ…
シエン
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:38:38.78 ID:m4VUj5bZ0
なにこのスレ・・・





支援しなくちゃならないじゃないか!!
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:39:09.04 ID:268kfYQ70
今戻った
紫煙感謝
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 21:54:34.08 ID:/KcOtiptO
wktk
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:01:48.25 ID:268kfYQ70
状況が理解出来ぬまま素早く銃を抜く
抜銃動作と同時に一挙動でバックステップ
何か前触れがあった訳じゃない、ただヤバイという感覚だけあった

轟音!

一秒前まで自分が座っていた場所に、天井から降りた植物のツタらしき物が突き刺さっていた
客間のテーブルは枯木のように砕け散っている

雛苺「うにゅ〜、先に真紅のマスターで『遊ぼう』と思ったけど、かわされちゃったの」

そういって天井から小さな女の子、ローゼンメイデン第6ドール雛苺が降りてくる
豊かな金髪はロールを巻き、桃色で品のある可愛らしい服
そしてそのままの可愛らしい笑顔と先ほどの殺意ある一撃が上手く理解できず不気味だった

巴「……意外ね。桜田君なら今ので殺せると思ったのだけど」

ジュン「ちょっと待てよ、柏葉!僕達は話し合いに来ただけなんだ!止めてくれ!」

真紅「無駄よ、ジュン。この子達は、完全にこちらを殺すつもり。話し合いの余地は無いわ」


巴「そうやって私達を油断させようとしてるの?そう、あの時みたいに」

雛苺「お父様を……」

巴「ローゼンを殺したように?」
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:17:42.03 ID:268kfYQ70
ジュン「な、何を言ってるんだよ!知らないのか!?ローゼンは水銀燈に……!」

巴「その水銀燈から連絡があったのよ。この子達の父であるローゼンを殺したのは真紅」
 「今まで潜伏していた真紅をようやく見つけた水銀燈は追っ手を出したが、皆殺された」
  「近いうちに私達も殺そうと現れるだろうから注意するように、ってね」

ジュン「呆れた茶番だな。若頭であるお前がそんな事を真に受けたのか!?」

巴「私には何が真実かなんて判らない。でもどうであれ水銀党の党首たる水銀燈がわざわざ私達に連絡した」
  「わかるでしょ?桜田君、頭は良かったものね」

ジュン「真紅を見つけ次第、破壊しろ、言う事を聞かなければ三葉会を潰す……そういう事か」

巴「……そうよ、流石ね。力を増してきた三葉会と、理由は知らないけど水銀燈に嫌われている真紅」
「どちらが勝っても彼女の邪魔者は消えて、残った方も弱体化よ。本当に頭が来る程に合理的」

ジュン「だったら!手を取り合って協力すれば!」

巴「もう、駄目よ。遅いの。これは三葉会の意志。そして、雛苺の意志。私はそれを手伝うだけ」

ジュン「何だよ、それ!柏葉の意志なんか何処にも無いじゃないか!生きてるなら、取り返しはつくだろ!」
「お前は諦めてるだけじゃないか!言い訳してるだけじゃないかよっ!!」

巴「……桜田君。貴方のそういう所、学校にいた時から嫌いだったわ」
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:25:07.54 ID:bGrBRv5F0
支援
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:25:40.36 ID:x465IH82O
読んでないけど支援しない
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:36:23.80 ID:268kfYQ70
雛苺「真紅〜!お父様の仇…ここで果たすの!」

そう叫んだ雛苺の両手から、さっきジュンを襲ったツタが伸びる!
それは巨大な鞭となって鎌鼬のように暴れ狂う!!

雛苺「苺轍でっ…!ズタボロのロロ雑巾になって……!くたばりやがれなのっ!!」

高速で振り回される苺轍は、最早肉眼では捉えられない
紙一重でかわす真紅だが、その顔に、服に、かすった傷痕が無数に刻みつけられて行く

真紅「流石ね、雛苺ッ!私以上の機動力と、物理的破壊力!これは少し手こずりそうなのだわ」

軽口を叩く真紅だが、表情には次第に焦りが混じってくる
最初は各腕から一本ずつ伸びていた苺轍は次第に2本3本と数を増やし今は左右計10本!
既に客間は存在しなかった、柱も壁も天井も、全てが灰燼とかしているのだから!

真紅「クッ、この程度なの、雛苺!縄跳びならもっと上手くまわしなさい…キャッ!」

ついに苺轍の一撃が真紅を捕える!
嫌な音をさせて真紅は外へ弾き飛ばされた!


ジュン「真紅ー!!」

巴「終わったわね。私の雛苺は……最強よ」
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:53:05.41 ID:85xBeEbx0
支援
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:54:38.10 ID:268kfYQ70
ジュン「嘘……だろ。こんなあっけないなんて、真紅……」

巴「桜田君の事は別に指示されてないから。家に帰るといいわ。今日の事は忘れて」
「あのお姉さんと暮らすのね。悪い事は言わないわ」

ジュン「……姉さんは、死んだよ。殺されたんだ、水銀燈の手下に」
    「だから僕は奴に復讐するんだ、この手で殺すと決めた……」
    「そう、真紅と、復讐を果たすって決めたんだ。その真紅も今、死んだ」
    「……殺せよ、真紅みたいに。今まで潰した組織の連中みたいに!」

巴「……そう」

雛苺「やったのよ、トモエー!見ててくれたー?父さんの仇を討ったのよ!真紅を殺したの!」

巴「……やったわね。凄いわ、雛苺。後で苺大福を食べましょうね」

雛苺「今日は沢山、たーくさん食べるのよ!あ、真紅のマスターはどうするの?殺しておく?」


その時だった
僕の手に嵌められた契約の指輪がカッと熱くなった


雛苺「……?え?これ……何?」

巴「雛!雛苺ぉぉぉおおお!!」

雛苺の小さなお腹に
大きな穴が空いていた
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 22:55:09.58 ID:268kfYQ70
マッハオワタ
若干加速予定
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:04:37.26 ID:268kfYQ70
真紅「はぁ・・・はぁ・・・作戦、成功、ね」


真紅は右手を突き出すように立ち上がっていた
その手の甲には大きな穴が空いて煙が立ち昇っている


ジュン「真紅!無事だったのかよ!」

真紅「ええ、辛うじてね。この・・・『ローズテイル・レンピカ』しか勝機は無かったから。必中の機会を窺っていたのだわ」
   「予想以上にダメージがあったから、危なかったわ。追撃があったら勝敗はわからなかった」


それだけ言うとガックリと膝をつく
見た目以上に損耗は激しいようだ
ふと、視線を変えると
柏葉が懐から巨大な拳銃を抜いて真紅を狙おうとしていた
デザートイーグル50AE、ハンドカノンと呼ばれる桁外れの威力をもつ銃
僕は
ああ、普段から真紅につけてもらっていた訓練のお陰なんだろうな
手に持っていた拳銃は素早く柏葉に狙いを定めて
僕は絞るように引き金を引き
柏葉を撃った

ジュン「あ・・・あ・・・柏葉!柏葉ぁぁぁああ!!」

巴「…ゴホッ」

胸から、口から、赤黒い血が鼓動に合わせて溢れ出す
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:14:39.07 ID:268kfYQ70
ジュン「柏葉!しっかりしろよ!ああ、こんな!こんなつもりじゃ・・・撃つつもりじゃなかったんだ!!」

巴「・・・ゴホッ・・・いいの・・・これは殺し合いだから。そういう物なんだから・・ゴホッゴホッ!」

ジュン「今、救急車を!ああ、血を止めないと!!」

巴「ゴホッ…優しい…ね…桜田君は…」
  「そういう所…学校にいた頃から…好き…だった…よ」

ジュン「止まらない!血が、血が止まらないんだよ!!」

巴「…駄目…だよ…そんなに泣いてちゃ…かっこいいんだから…笑ってなきゃ…」
  「お姉さんの…仇…取るんでしょ…?上手くいくと…いい…ね…」

そういって柏葉はその白い手で僕の頬を触る
それはどんどん血の気が抜けて冷たくなっていく

巴「…ゴホッ…最後に…お願い…柏葉じゃなくて…巴って…呼んでくれない…?」

ジュン「…かし…巴…巴っ!」

聞き取れたのだろうか、僕の言葉を
叶えられたのだろうか、彼女の願いを
答えは聞けぬまま、柏葉巴の手は糸が切れたように崩れ落ちた
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:24:24.66 ID:268kfYQ70
真紅「……雛苺」

雛苺「……真紅はやっぱり強かったの。雛じゃ適わなかったのよ」

真紅「本当に、私がお父様の仇だと思っていたの?」

雛苺「……水銀燈はすっごく強いのよ。雛に勝てないようじゃ水銀燈には勝てないの」

真紅「そう。わかって、いたのね」

雛苺「他の姉妹達も私も水銀燈が怪しいと思っていても、何も出来ないの」
   「それに真紅はずっと行方不明だったから…真紅も疑ってたのよ」
   「でも…今日、真紅は正面から堂々とやってきたの。だからわかったのよ」

真紅「馬鹿な子ね、雛苺。他にやり方はあったでしょうに」

雛苺「えへへ…雛は馬鹿な子だから。それにトモエ達を見捨てる事も、出来なかったの」

真紅「…最後に言い残す事はある?」

雛苺「雛が死んだら…トモエの隣に置いてほし…」

真紅「…逝ってしまったのね、雛。私の…可愛い妹…」


僕が柏葉の死体に縋り付いて泣いている横で
真紅は妹の前、無言で立ち尽くしていた
僕は自分の事で精一杯で、その表情は覚えていない
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:26:30.97 ID:268kfYQ70
ローゼンメイデン 〜人形達の挽歌〜

  第一部 「 雛 苺 」  完
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:30:38.86 ID:85xBeEbx0
ここまででいったん終わりかい?
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:34:53.08 ID:268kfYQ70
見てくれた人はわかると思うが、俺に文章作成能力が無いせいで無駄に長いのよ
とりあえず雛苺戦が終わって区切りもいいから、ここで一旦区切る
次もそのうち投下する
読んでくれでありがとう
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/17(木) 23:37:01.50 ID:85xBeEbx0
>>61
面白かったよ 乙
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/07/18(金) 00:01:35.26 ID:6bW3wQ0W0
保守は必要なのだろうか?
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします