1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:37:54.62 ID:4mKdUOwn0
待ってた支援
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:40:21.23 ID:/6vr19Kl0
第八話 同じ月を見てた(前)
流れ星だと勘違いした煌きは、大きく弧を描きながら、僕等の方へと接近してきた。
フサに言われるがまま、僕は砂の中にうんと身をうずめる。
顔だけをちょこんと出して、フサに尋ねた。
( ∵)「あいつ、何?」
ミ,,゚Д゚彡「”ヒカリオオワシ”だ。あの光で虫を誘き寄せて、捕まえるんだよ」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:44:19.37 ID:/6vr19Kl0
ミ,,゚Д゚彡「だがしかし困ったもんでね。 中々凶暴で、人間にもためらいなく攻撃を仕掛けてくる。
砂漠の奴等は、総じて好戦的さ」
( ∵)「うん。それすっごくわk(ry」
フサに頭を踏み付けられ、僕の身は完全に砂漠にめり込んだ。
ミ,,゚Д゚彡「また来るぞっ!」
危機感という感がいま一つ育たない僕は、少しだけ頭を突き出した。
視界にヒカリオオワシが飛び込んできた。
夜の闇を切り裂くような光。 逆にわくわくしてしまうのは悪いくせ?
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:46:58.07 ID:/6vr19Kl0
「クエェェエエエエエーーーッ!!!!!」
ミ,,゚Д゚彡「…」
( ∵)「ちょっと、こわい、かも」
光がフサの体躯を目掛けて直線を引く。物凄いスピード。
僕はたまらず目を塞ぐ。
――――その次の瞬間、「ゴキリ」という太い音が鳴った。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:48:52.97 ID:rIJScHaWO
ktkr支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:50:07.92 ID:ruafgSWI0
支援
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:50:21.78 ID:/6vr19Kl0
( )「…」
( ∵)「…!」
再び瞳を開いたとき、フサの姿格好は出会った時と異なるものに変貌していた。
どこから伸びてきたのか、全身の体の毛が逆立ち、瞳の中に湛えられてあった黒い目は、細く長く…
まるで夜の猫のような鋭さを発している。
ミ,,ФДФ彡「フ――ッ」
盛り上がった強肩から伸びる腕は、ヒカリオオワシの首根っこを強く掴んでいた。
大鷲の発する光が、段々と弱まる。獣の血が、砂漠に滴る。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:52:47.66 ID:4mKdUOwn0
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:54:08.73 ID:/6vr19Kl0
( ∵)「フ… フサなの?」
ミ,,ΦДΦ彡「一丁あがりだ」
ヒカリオオワシが完全に息絶えたことを確認すると、フサは砂塵に鷲を放った。
そして手に付いた血糊を腰布で拭き始め、彼の姿は、次第にまた戻っていった。 髪、爪、牙、尻尾………
ミ,,゚Д゚彡「ヒカリオオワシは中々美味しいんだぜ。 兄貴に褒められるかもな、ふふ」
( ∵)「今のフサは、僕の知っているフサは少し違った。
フサは、誰になったの?」
ミ,,゚Д゚彡「あん? 俺は俺だ」
( ∵)「じゃあ、今の姿は何なの?」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:58:07.71 ID:wKaFB8I+O
しえ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:58:09.66 ID:/6vr19Kl0
ミ,,゚Д゚彡「身の危険を感じたり… 本腰入れにゃあ ってときには
体が獣に、元の姿に少しだけ戻るのさ」
ミ,,゚Д゚彡「あの姿になるたびいつも思う…。 俺は一体何者なんだろうって」
ミ,,゚Д゚彡「獣でもねえ、ヒトでもねえ、どっちつかずの生き物だ」
( ∵)「ネコミミ族?」
ミ,,゚Д゚彡「そんなのは先祖が作った都合のいい言葉じゃねえか? ははっ」
フサはほんの少しだけ寂しそうだった。だから僕は、フサを元気付けようとしたんだ。
どうすれば元気になるだろう? …ああ、褒めたりすればいいんだ。
( ∵)「なんだかかっこいい。 僕もフサみたいに元の姿になれるかな?」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 21:59:06.44 ID:4mKdUOwn0
しえん
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:00:20.66 ID:rIJScHaWO
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:00:27.17 ID:vkGQBkjD0
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:01:10.51 ID:/6vr19Kl0
ミ,,゚Д゚彡「何言ってんだ。 お前はまんま、サボテンじゃねえか」
その言葉を受けて、僕の頭にはこんな返事が思い浮かんだんだ。
( ∵)「今の僕は、本当の僕じゃなかったら どうする?」
ミ,,゚Д゚彡「…」
ミ,,゚Д゚彡「?? 何言ってやがる。訳のわからないことばっか言うなよ。俺、馬鹿なんだから」
( ∵)「うん。 僕も、なんだかよくわからないんだ」
( ∵)「……世界には、よくわからないことがいっぱいだね」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:01:44.10 ID:ruafgSWI0
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:03:50.64 ID:/6vr19Kl0
フサは僕を指差して言った。
ミ,,゚Д゚彡「俺はお前の存在がよくわからない」
僕はフサの顔見上げて返した。
( ∵)「それを言うならフサだって」
ミ,,^Д^彡「それを言っちゃおしめぇだ」
フサがこれまでで一番朗らかな表情を見せた。
月明かりに照らされて顔の半分だけよく見えた。
僕はフサの中にある温かいものを感じ取ったんだ。
ミ,,゚Д゚彡「もう帰るぞ。 あまり夜風に吹かれていると風を引いちまう」
( ∵)「サボテンは風邪をひかないんだ。 たぶん」
( ∵)「だからもうちょっとここにいるよ」
ミ,,゚Д゚彡「流れ星を探すのか?」
( ∵)「うん!」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:05:11.21 ID:qCG03FGa0
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:06:34.44 ID:/6vr19Kl0
ヒカリオオワシを肩に担ぎ、フサはアジトへと帰っていく。
ビコーズは彼のどこか寂しげな背中を見送っていた。
僕は、僕じゃなかったらどうする?
その言葉がビコーズの頭の中でぐるん、ぐるんと駆け巡っていた。
猫と人という二つの存在の真ん中に立つギコ達、そして、それ故に悲しみを背負うフサ。
自分を猫だと思っていたら、人でもあった。 自分を人だと思っていたら、猫でもあった。
どちらに、身を寄せればいいのかは、よく分からない。 分かっているとしても、認めたくない。
そんな不安定な場所に座る彼らと出会い、
ビコーズの柔らかい価値観は少しずつ形を変えていくのだった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:09:36.63 ID:/6vr19Kl0
( ∵)「僕はほんとにサボテン?」
( ∵)「そのうちにんげんになるかもしれない」
( ∵)「僕って、なんだろう?」
( ∵)「ああそうか」
( ∵)「考えるサボテンだ」
( ∵)「いやまてよ」
( ∵)「んー…」
どうやら僕は、「自分を疑うこと」を覚えたようだ。
この気持ちは、とっても不思議だ。
世界が、縮んで広がって、かと思えば、また一気に縮むような――――
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:10:34.39 ID:F5Av+H+D0
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:11:23.78 ID:/6vr19Kl0
(#∵)
頭がごちゃごちゃとする。 そしてそれを整理できない。
おもちゃ箱をひっくり返したみたいだ。
ツンと早くまた会いたいって気持ちも逸るし、ああ―――
僕もだいぶ、色んな感情を扱えるようになってきたんだね。
ふと空を見上げてみた。 星の海の真ん中で月の船が泳いでいた。
月は、月。 これは多分、変わりっこない不変の真実なんだ。
じゃあ僕は? ツンは? フサは? ギコは? シィは?
変わりゆくもの? 変わらないもの―――――?
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:12:37.47 ID:vkGQBkjD0
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:12:52.72 ID:F5Av+H+D0
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:13:46.94 ID:/6vr19Kl0
( ∵)「なんだか、落ち着かないなあ」
( ∵)「…」
そこで僕はゆっくり息を吸い込んで、また吐き出して、
まるで目覚めたときのように頭を真っ白にしてみた。
するとどうだろう。
月、星が一際綺麗に見えてきて、あーやっぱり生きててよかったかもね そんな気分になるんだ。
( ∵)「綺麗だなあ」
( ∵)「ツンも同じ月を、見ているのかな?」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:16:03.93 ID:/6vr19Kl0
※ ※ ※
宴が終わった静かな広場に、乾いた足音が響いた。
一人酒をしていたギコは後ろを振り向く。 フサが立っていた。
ミ,,゚Д゚彡「よお」
(,,゚Д゚)「よお じゃねえよ。なんだ、それ」
ミ,,゚Д゚彡「ヒカリオオワシだ。 外で黄昏てたら飛んでたんだ」
ギコは親指と人差し指で額を押えて、「やれやれ」というモーションを作った。
その仕草を見てフサは微かに笑った。
ミ,,゚Д゚彡「…」
ミ,,゚Д゚彡「さっきは悪かった」
(,,゚Д゚)「別にいいさ」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:17:52.47 ID:rIJScHaWO
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:17:53.55 ID:/6vr19Kl0
ミ,,゚Д゚彡「人それぞれの考えがあるんだ。
だからそいつに、いちいちケチつけちゃぁいけねえよな」
(,,゚Д゚)「分かってるじゃないか」
フサは鷲を降ろし、長い八重歯をニッとさせた。
わざとらしい、汚い笑顔を見せた。
ミ,,゚Д゚彡「でもよぉ、なんだか、カッカとするんだ。 すんごく嫌になって…
なあ、兄貴よ。こんな俺は、まだまだケダモノの血が残ってるなあ」
(,,゚Д゚)「知るかっ…」
ミ,,゚Д゚彡「じゃあな、兄貴。俺は、寝るよ」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:19:59.00 ID:/6vr19Kl0
ギコは僅かに残った酒を飲み干し、静かにグラスを置いた。
そして、歩いていたフサの後姿に一言投げかける。
(,,゚Д゚)「おい、フサ」
ミ 彡「あ?」
(,,゚Д゚)「明日はレイラの城下町へ食料を調達に行く」
ミ 彡「…レイラの町、VIPに占領されてるらしいぜ」
(,,゚Д゚)「町は機能しているだろうさ」
フサは再び歩き出した。
それを尻目に、ギコはグラスに酒を注ぐ。 赤い葡萄の色が照明で輝く。
待ってた
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:22:38.11 ID:/6vr19Kl0
(,,゚Д゚)「蒼い星瞬きし時、獣、大地に立つ… か」
(,,゚Д゚)「…」
ギコは徐にちぢれた猫髭を引っ張った。 片耳が、ぴこぴこと動いた。
(続く)
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:23:13.81 ID:/6vr19Kl0
第九話 同じ月を見ていた 後
その頃、ロック山脈の麓。 ツンもまた、夜風に身を任せていた。
風に揺れる砂塵を眺めながら、今までのこと… そしてこれからのことをボンヤリと想っていた。
白魚のように綺麗な手には、ロケットが握られている。
ξ゚听)ξ「…」
ξ゚听)ξ「お母様… お父様… お姉さま…」
思いに耽るその時、ツンの目の前にあった灌木が突然燃え始めた。
ξ;゚听)ξ「え、なに!?」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:26:04.75 ID:/6vr19Kl0
ツンは咄嗟に後ろを振り返った。
暗闇でも分かるくらいの、真っ赤な法衣を着た女性の姿がそこにはあった。
瞳の奥に湛える光は紅蓮、しかしフードからはみ出た麗らかな長髪は、鮮やかなブルーである。
ξ゚听)ξ「あなた…」
川 ゚ -゚)「クー・スナオです」
川 ゚ -゚)「こんな真っ暗闇では、ご家族の顔もよくご覧になれないでしょう」
ξ;゚听)ξ「この炎は貴方が?」
川 ゚ -゚)「ええ」
そう言って、クーはツンの隣に腰を下ろした。
木が燃えるパチパチという音だけが鳴っていた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:28:21.24 ID:rIJScHaWO
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:28:27.45 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「時に姫様、つまらぬことをお聞きしますが
”魔法”というものを信じますか?」
ξ゚听)ξ「まさかこの炎は魔法で呼び寄せたものなの?」
川 ゚ -゚)「…」
クーはにこりと口元を歪めた。
ξ;゚听)ξ「…驚いたわ。 驚きの針が振れすぎて、素直なリアクションを取れないくらいに!
あなた、”魔法使い”なのね!」
川 ゚ -゚)「世間ではそう呼ぶのかもしれませんね」
川 ゚ -゚)「…」
傭兵だっけ
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:30:25.54 ID:TSSBOR+80
連続投下か……!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:31:25.59 ID:/6vr19Kl0
クーは両手を組み、何か呪文のような言葉を呟きながら、人差し指の指先同士をつけた。
するとそこから、ちょろちょろと水が流れ出る。 ツンは口をぽかんと開けた。
ξ;゚听)ξ「今度は水!?」
川 ゚ -゚)「強く力を込めますと…」
まるで銃を構えたような形状の両掌から、水鉄砲が噴き出た。 クーはそれを灌木に向ける。
鉄砲の水圧は非常に強く、灌木を燃やしていた炎を一瞬にして消火する。
ξ;゚听)ξ「す、すごいわ…」
ξ;゚听)ξ(喋るサボテンに魔法使い。 レイラを出てから不思議な出来事の連続だわ…)
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:32:27.31 ID:4mKdUOwn0
二話連続だと
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:36:16.97 ID:/6vr19Kl0
―――再び夜闇が二人を包んだ。
暗闇の中からクーはツンに話しかけた。
川 ゚ -゚)「これが魔法というものです。 いかがですか?」
有機物が燃えた臭いがツンの鼻をくすぐっていた。
彼女はくしゅっ、くしゅっ と啜って問いに答える。
ξ゚听)ξ「素晴らしいわ… まるで、私、絵本の中の人と一緒にいるようよ。今」
川 ゚ -゚)「有難きお言葉。 ”紅蓮の民”が持つ力。 それは、水、風、土、炎……
自然の力を、人間が自在に操れる能力のことを言うのです
それを俗世間は時に”魔法”と呼ぶ… それだけのことです」
クーはそう言いながら、アジトから持ってきたカンテラを、自分とツンの間に置いた。
優しい灯りが二人を照らす。
エクシードは? エクシードはいらないの?
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:37:59.01 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「エクシーーード!!」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:38:15.50 ID:/6vr19Kl0
↓再開↓
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:38:26.22 ID:9mMJZlLp0
お芝居見てる感じだ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:38:58.49 ID:/6vr19Kl0
ξ゚听)ξ「自然の力を、自在に操れる…」
川 ゚ -゚)「だから、人間の蒸気機関技術や、風車だって
あれも一種の魔法だと私は思いますわ」
ξ゚听)ξ「確かにそうね」
ξ゚听)ξ「…」
ξ*゚听)ξ「それでもっ! あなたは凄いわ!」
その褒め言葉を受け取るクーの横顔は切なさを含んでいた。
クーはぽつりと呟く。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:41:15.58 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「凄い凄いと煽てられた末、魔法の力は暴走し、私の故郷は無くなりました…」
ξ゚听)ξ「…ご、ごめんなさい」
川 ゚ -゚)「いえ。ありがちといえばありがちな衰退のエピソードの一つだと、今となっては思います」
ξ゚听)ξ「そんな…」
川 ゚ -゚)「それほど魔法というのは恐ろしい本質を持っているのです」
クーの顔に悲しげな色が混じっていく。
しかし、それを一旦断ち切り、彼女は話を進める。
クーは心の底に強い何かを秘めている。そんなことをツンはふと感じ取った。
川 ゚ -゚)「…ん。 そうでした。 本題は私の魔法のことではありません」
川 ゚ -゚)「作戦の最終説明のために参ったのです」
ξ゚听)ξ「わざわざありがとう」
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:42:59.24 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「それでは… さっと説明致します」
川 ゚ -゚)「グループは三つです。 レジスタンス兵班・姫様とドクオ班・そして、私とマスターです」
ξ゚听)ξ「マスター?」
川 ゚ -゚)「失敬。 ショボン・サマ・サのことです」
ツンはクーとドクオが雇われの身であることを思い出した。
川 ゚ -゚)「作戦は至って安易です。 理由は、現在レイラに駐屯しているのはVIPの下級兵団ばかり。
情報屋の情報によると、明日はVIPとモラ皇国の会食があるそうです。
だから、上層部がレイラに訪れているという心配もありません」
川 ゚ -゚)「そして、作戦の内容ですが」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:44:53.63 ID:/6vr19Kl0
ξ゚听)ξ「レジスタンス兵が城門前で騒ぎを起こす。
その隙に私は地下牢へ王を救出に、貴方達は城を上り、主を倒す。 これでいいのよね?」
川 ゚ -゚)「はい。まさにその通りでございます。単純であるが故に、よく頭を使わねばいけない局面も多々あるかと
また、細かい手順がその班に応じて多かれ少なかれあると思われます」
ξ゚听)ξ「まかせといて! お父様を助けるためならなんだってやってみせるわ」
川 ゚ -゚)「頼もしい限りです」
ξ゚听)ξ「そこで、私気になったのだけれど、貴方達の相手…
兵士団のボスはどんな奴なの?」
川 ゚ -゚)「それは分かりません。 ただ、巷で噂の”魔法兵”ではないかと情報屋は申しておりました」
ξ゚听)ξ(魔法兵… ショボンさんがおっしゃっていた、”レイ”で動く生命体だわ…)
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:47:55.24 ID:/6vr19Kl0
ξ゚听)ξ「ま、どんな奴でもショボンさんの剣術と貴方の魔法があれば勝てるわ!」
川 ゚ -゚)「その言葉を励みに、明日はスマートな運びで力を交えてきます」
ξ゚听)ξ「…」
川 ゚ -゚)「…」
会話が一旦途切れた。 言葉を無くしたツンとクーは、自然と夜空を見上げていた。
大なり小なりの星が瞬く中、半分になって傾き気味な月は一際輝いているように見えた。
ξ゚听)ξ「…今夜は月が綺麗ね。形は歪だけど」
川 ゚ -゚)「はい。ドクオと水車塔で星空を見上げた夜を思い出します」
「あ、そういえば」といった表情でツンはクーを見た。
ξ゚听)ξ「気になっていたのだけれど、ドクオさんとはどういった関係なのかしら?
ただの仕事仲間ではないわよね。 容姿を見る限り… 同郷よね?」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:50:21.59 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「ええ。 ドクオとは竹馬の友です。但し彼は魔法が使えません」
ξ゚听)ξ「?」
川 ゚ -゚)「話せば長くなります。その件についてはまた後日で宜しいでしょうか…?」
ξ゚听)ξ「ええ、いいわよ!」
川 ゚ -゚)「一つだけ言えるとすれば、あいつは無愛想で無口ですが、素晴らしい剣の才を持っています」
川 ゚ -゚)「明日の作戦。ボディーガードとして姫様とペアにしましたが、きっと役に立ってくれるでしょう」
ξ゚听)ξ「本当に頼もしいわ。あなた達。 ショボンさんは見る目があるわね」
川 ゚ -゚)「私には、今のところ酒豪の気取った紳士にしか見えませんね…
明日、お手並み拝見といきたいところです」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:51:39.87 ID:TSSBOR+80
いよいよかー
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:51:41.45 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「…それでは、今夜はこれで失礼致します。あまり夜風に吹かれると風邪を引きますのでご注意を」
ξ゚听)ξ「うん。ありがとう」
川 ゚ -゚)「カンテラ、ここに置いておきます」
ξ゚听)ξ「ええ」
クーは場を去り、ツンは再度月を眺めてみる。
綺麗に半分に割れた月。
「ねえねえ、なんで月は丸かったりそうでないときがあるの?」と尋ねるビコーズの姿が、ありありと映し出されるようだった。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:52:58.58 ID:/6vr19Kl0
一行抜かしました。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:53:12.73 ID:rIJScHaWO
支援
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:53:13.78 ID:/6vr19Kl0
川 ゚ -゚)「…それでは、今夜はこれで失礼致します。あまり夜風に吹かれると風邪を引きますのでご注意を」
ξ゚听)ξ「うん。ありがとう」
川 ゚ -゚)「カンテラ、ここに置いておきます」
ξ゚听)ξ「ええ」
クーは場を去り、ツンは再度月を眺めてみる。
綺麗に半分に割れた月。
「ねえねえ、なんで月は丸かったりそうでないときがあるの?」と尋ねるビコーズの姿が、ありありと映し出されるようだった。
(続く)
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:55:28.04 ID:/6vr19Kl0
と、いうわけで今回の投下はここまでです。
次回の投下は二、三話くらいに亘ってレイラ奪還の話になると思います。
必要な場面を取捨選択をしてなるべく綺麗にまとめていきたいと思います。
質問などある方はどうぞ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:58:34.09 ID:vkGQBkjD0
お疲れ!
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 22:58:41.32 ID:/6vr19Kl0
修正
>>8 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( )「…」
( ∵)「…!」
再び瞳を開いたとき、フサの姿格好は出会った時と異なるものに変貌していた。
どこから伸びてきたのか、全身の体の毛が逆立ち、瞳の中に湛えられてあった黒い目は、丸く広がり…
まるで夜の猫のような鋭さを発している。
ミ,,ФДФ彡「フ――ッ」
盛り上がった強肩から伸びる腕は、ヒカリオオワシの首根っこを強く掴んでいた。
大鷲の発する光が、段々と弱まる。獣の血が、砂漠に滴る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
長く細い目 というのは、昼間の猫の目でしたねorz
ふたつめ。 第九話 同じ月を見ていた(後) → 第九話 同じ月を見てた(後)
おつかれー
舞台背景が知りたいな
砂漠に多数の国があるようだけど
砂ばかりでなく、岩場、ステップなどを含めた
中東のような砂漠地帯のイメージでいいのかな?
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 23:00:39.35 ID:/6vr19Kl0
>>60 はい。 砂漠ばっかってわけでもありません、ね。
そのイメージでぴったんこかんかんだと思います!
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 23:02:07.40 ID:rIJScHaWO
乙ー!
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/06/28(土) 23:04:00.30 ID:mW/cZTrvO
作者は過去なんか書いてた?
ビコ遊園地の人じゃないよね?
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: