1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
●
,,ξ i<立て!立つんだジョー!
● 働きたくねえ!!
火
||| i<真面目にやれえええええ!!
無論代理だ
2 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:18:37.03 ID:ZVR5+Ggn0
真面目にやれジョーwwww
四天王一番の僕様、超ありがとうございます。
今回は第六夜後編の真ん中、後編その2の投下となります。
後編その3はまだなんだ、すまない。
おまけはモジュールエラーでふっとんだんだ。
ながらで別のを書くかも。すまない。
それじゃ始めようか。
みんなの熱い支援や絵を待ってるぜ!
次のレスで まとめ様紹介
その次のレスで 本編 に入ります。ご了承ください。
第一夜〜第六夜後編その1までのhtmlとdatファイル
ttp://www.vipper.org/vip833629.zip
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:19:18.42 ID:t+2vl30b0
ktkr支援っん!
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:19:44.88 ID:omi/sNNEO
ktkr
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:19:44.85 ID:YEHQX4+10
まってたんだぜ 支援
6 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:20:32.04 ID:ZVR5+Ggn0
7 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:22:34.85 ID:ZVR5+Ggn0
どうしてしんでいるのにわたしはここにいるんだ。
どうしていきているのにきみはここにいるんだ。
ここはいったいどこなんだ。
わたしはだれなんだ。
おしえてくれ。わたしにしんじつをおしえてくれ、――!
('A`)と夢の島のようです 第六夜 後編その2
8 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:24:34.22 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―双子灯台(西)・階段
降りる、降りる。どこまでも。
双子灯台の階段は、不思議な構造をしていた。
頑丈な鉄で出来た黒い扉を開けた、ごおん、という音は、
灰色をした灯台の体内を、僅かに揺らしながら駆け下りていく。
地下へ地下へと潜るため、中には窓が一切なく、
外の曇り空もあいまって真っ暗なのかと思えばそうではない。
今日オレ達が降り立った森の中のように、ぼんやりとした明かりが、
カツンカツンと音を立てる鉄製の白い螺旋階段を、それと分かるくらいには照らしていた。
('A`)「黄泉比良坂みたいだ」
呟いた声は灯台の中で何度も反響し、薄暗い螺旋の奥へと飲み込まれて行く。
※【黄泉比良坂】(よもつひらさか)
現世と黄泉との境にあるという坂。
『黄泉平坂』とも書く。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:25:08.73 ID:HzYd72QrO
しえん
10 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:26:28.15 ID:ZVR5+Ggn0
ふと頭に思い浮かんだ言葉だったが、この例えはあながち間違ってはいないと思う。
この島は死人だらけだ。
生きているけど、死んでいる。曖昧な存在として生かされている。
ここにはそんな人間だったものしかいない。
死人の国の更に深い所へと降りて行くこの階段の続くに先は、
はたして双子灯台の頂上があるのだろうか。
実は番人であるハインとの戦いは既に始まっていて、
降りた先には罠が待ち構えているのかもしれない。
いや、それはないだろう。
灯台の入り口は他になかったし、何よりもここは夢だ。
下っているけど実は登っている。なんて現象は驚きにすら値しない。
それは大丈夫だ。
ハインも、むやみやたらにオレ達を襲うなんて事はしないだろう。
今までの番人だって、姿を見せてから攻撃を始めているのだ。
それにあいつは、真実を見つけて来いと言った。
オレ達の見つけた真実を、ハインに話す猶予くらいは与えてくれるに違いない。
だから、大丈夫だ。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:27:16.15 ID:sMZthb9TO
ktkr支援
12 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:28:23.62 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―双子灯台(東)・階段
登る、登る。どこまでも。
外開きの重い鉄で出来た扉を開けると、ブーンの目の前にあったのは天へと続く螺旋階段だった。
登りの螺旋階段は灯台と同じ、灰色の鉄で出来た支柱にさえぎられ、少しの先も見えない。
手すりもなく、仕方無しに触れた灯台の壁はひんやりと冷たくて、
びしょ濡れになっていたブーンの体と心を冷やす。
不安だった。
終わりの見えない螺旋階段の先が見えない事が、
ドクオの考えている事が、怖かった。
( ^ω^)「怖いけど、進むしかないんだお」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:28:46.92 ID:GBhpf6oZ0
しえn
14 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:30:18.41 ID:ZVR5+Ggn0
ブーンは、これからどうすればいいのかを自分なりに考えてみた。
今度の番人、ハインの事。そして、この夢の島の事、そこに住む人の事を。
過程を、そしてやってくる結末を考えれば、確かに辛い選択には違いない。
それでも、いつかは誰かが終わらせなくてはならない。
素人には絶望的な距離のフルマラソンとて、諦めずに歩き続ければいつかは終わるのだ。
ドクオも、それは分かっているはずなのに。
それでもドクオは、まだ迷っている。
ゴールはもう見えるところにあるというのに、その足は進む事を渋り、
死にたくないドクオと、この島を消せないドクオが争っている。
今は、後者が勝っているのだろう。
( 'ω`)「だから、あんな事を言うんだお」
15 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:32:18.79 ID:ZVR5+Ggn0
ドクオは、何が何でもブーンを守ろうとするだろう。
( ^ω^)「ドクオ、覚悟を決めるんだお。
ブーン達は目覚めの使者である前に"友達"だお。
友達は、楽しい事も、辛い事も半分こにできるんだお。
だから、ドクオ。ブーンを頼って欲しいお。
辛い事は、ブーンが半分背負うから」
ブーンは心に決めた。
ブーンを守ろうとするドクオを、更に僕が守る、と。
だから、大丈夫だ。
顔を上げ、覚悟を決めたブーンの心の奥で、『頑張れ』と呟きが聞こえた。
16 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:34:34.27 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―山の麓
突如吹きつけた風と雨に虚を衝かれたモララーは、思わず両腕で顔を覆った。
(;・∀・)「何だ?」
腕の隙間から顔を覗かせると、
どうやら台風の真っ只中に現れてしまった事に気がつく。
(;・∀・)「昨日霧に苦労したばかりなのに、更に台風とはね」
雨が体に当たり、風が肌に吹きつける感触はあるものの、
実際に足元を見れば水溜りへと雨粒が落ちて行くだけで、
モララーの学生服が濡れる事はない。
昨日今日と、夢の島のからっとした陽気を堪能できそうにないという悲しい現実は、
若干モララーの心をくじきそうになった。
だが、そんな事をいちいち嘆いていても仕方ない。
濡れなかっただけありがたいと言うべきだろう。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:35:46.52 ID:6SePfxjU0
友情に泣きそう
支援
18 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:36:30.40 ID:ZVR5+Ggn0
( ・∀・)「ここは、北にある山の麓になるのかな」
風に背を向け、空を見上げると曇り空の下に巨大な山がそびえていた。
ここが夢の島ならば、山と呼べる場所はたった一箇所。
モララーが降り立ったのは、島の中央にある大きな山の麓、
ドクオとブーンが二手に別れたあの場所だった。
( ・∀・)「あの建物、ドクオの地図に無かったな」
山の左右には、同じ形をした灰色の灯台が一つずつ建てられている。
あれが今回の目的地であり、ハインが待っているはずの場所なのだろう。
激しい台風の中、黄色の光を強く放ち続けるその姿は、
モララーにとって心強くもあったが、その中で待ち構えている事を考えれば不安の方が強かった。
19 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:38:25.18 ID:ZVR5+Ggn0
ドクオはどちらの灯台を選択したのだろうか。
どちらか片方に二人で行ったのか、二人別々に行ったのか。
それはモララーに知る由もない。
出来ることなら、モララーはドクオの向かった灯台へ行きたかった。
今のドクオは何をしでかすか分かった物ではない。
もちろんドクオの事だ。
ただでは死なないだろうが、ブーンの命が掛かった場合は、
"もしかすると"があるかもしれないのだから。
絶対に、それだけは避けたかった。
(;・∀・)「おかしいな、ギコはもう行っちゃったのかも」
改めてモララーが周りを見渡しても、あたりには人っ子一人いない。
ドクオ達はともかく、先に寝ていたギコの姿が見えないのは少々不安だ。
ある程度説明をしたとはいえ、次にどこへ行くと明確な目標が付いていなかった事からも、
ギコが迷っている可能性も少なくない。
だが、迷っているギコを探してドクオ達の下へたどり着けなくなっては元も子もないのだ。
既にドクオ達を追って行ったという可能性にかけて、モララーは西の灯台へと駆け始めた。
20 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:40:28.15 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―双子灯台・頂上
从 ゚∀从「やっと来たか」
暗い水色をしたタイルが張り巡らされた円形の広場の中心に、彼女はいた。
シャーマンのような黒服の上に、同じく黒いマントを纏った赤毛の女は、
赤と、青緑に輝く二つの宝玉を両手に握り締めたにやにや顔の男を見て、
嬉しそうに顔を歪める。
高岡ハインリッヒ。
最後の宝玉を守る番人であり、目覚めの使者を除いて、
現実世界で唯一生きている人間でもあった。
( ^ω^)「来たお」
ブーンは短く答えた。
世間話はしない。そういう意味だ。
視線を軽く動かすと、巨大な一枚ガラスの向こうに広がる外の景色が目に入った。
空は薄暗く、更に勢いを増した雨と風が島全体を襲っている。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:42:02.79 ID:HzYd72QrO
しえん
22 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:42:22.79 ID:ZVR5+Ggn0
初めて空を飛び、初めてこの島の全景を見たときの美しい姿はどこにもない。
透き通るような青い海も、どこまでも広がる青空も、青々と茂る木々の色も、
全てが灰色に飲まれていた。
それは辛く、とても悲しい。
この夢の世界の急激な変化は、少なからずも自分達の手によって起こされた物だと、
ブーンには分かっているからだ。
ブーンは、オワタが最後に放った言葉を思い出した。
確か、オワタはこう言ったはずだ。
\;o;:;.『お前らが来たのが悪いんだ!
宝玉を集めるということがどういうことかも知らない馬鹿め!
宝玉は夢の島の力の象徴なんだぞ!
それをお前らが取るってことは夢の島のバランスが崩れるってことなんだぞ!
それをもう3つも!!
もうどうなっても知らないからな!!
後悔して死んじゃえ!
死んじゃええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!』
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:43:23.17 ID:oDBtkY2hO
☆☆☆シャワートイレ板に清き一票をお願いします☆☆☆
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:43:26.29 ID:sMZthb9TO
ラスト支援花束任せたぞ
25 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:44:17.23 ID:ZVR5+Ggn0
それに、ハインはこうも話していた。
夢の中でブーン達『目覚めの使者』に掛かる制限を、この宝玉は"解除する"、と。
それはつまり、この夢を見ている張本人から、"力を奪う"ということだ。
宝玉を手に入れていけば、夢の島の真実は明るみになって行く。
が、その代わり、夢の中のパワーバランスはブーン達目覚めの使者に傾いて行く。
そして、最終的には夢の世界を消してしまう。
この夢を見ている人間が、どうやって現実世界から他人を連れ込む事が出来たのか、
如何にして殺した他人を夢の世界におきとどめる事が出来たのかは、ブーンには想像すら出来ない。
だけど、今起きている現象が自分達のせいだということは、
深く考えなくても分かる事だった。
( ^ω^)「答えてくれお、ハイン。
この島の変化はブーン達のせいなのかお」
从 ゚∀从「あぁ、そうだ。ここの宝玉を手に入れたらもっと酷くなるだろうな」
( ^ω^)「そう、かお」
26 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:46:09.67 ID:ZVR5+Ggn0
広場の奥に、もう一つの階段が視界に入る。
ブーンが登ってきたのと同じ螺旋階段で、
見える限りでは更に上へと続いているようだ。
( ^ω^)「あの奥の階段はどこに繋がってるんだお」
从 ゚∀从「もう一つの灯台の入り口さ。
あれを登った所でこれ以上の頂上はないぜ」
外に目をやると、灯台の明かりがすぐ真下をぐるり、と動いているのが分かった。
ここが頂上だというハインの言葉に嘘はないようだ。
( ^ω^)「と言うことは、あそこからドクオが来るのかお」
从 ゚∀从「引き返してなきゃ、来るだろうな」
それを聞いて、ブーンは安堵した。
少なくとも、これでドクオと一緒に戦うことが出来るからだ。
モララーも辿り付く事が出来れば、四人一緒に戦える。
( ^ω^)「それじゃ、ドクオが来るまでにいくつか質問があるんだけど、いいかお?」
从 ゚∀从「ま、答えられる事ならな」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:47:25.73 ID:GBhpf6oZ0
支援んん
28 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:48:03.67 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―双子灯台・階段(西)
一足飛びに階段を駆け下り続けると、暗がりを保ち続けていた階段の奥に光が見えた。
その影に、誰かが身を潜めている。
警戒しつつ近づく暗闇の中に浮かび上がった背中は、ブーンでも、ギコでもない。
オレンジ色のシャツに、青のジーパン。
腰に花柄の白いポーチを付けた男が、光の奥を窺うように隠れていた。
( ・∀・)「ドクオ…」
僕の声は夢の世界に届かない。
頭の中では既に分かっていても、やはり声は出てしまうものだ。
さっきまで沸々と浮かびつつあったモララーの怒りは、
無事なドクオの姿を見ると、どこかへ吹き飛んでしまった。
まだ、生きている。まだ、間に合う。
ただ『良かった』。その感情だけが、怒りをどこかへ押しやって行く。
モララーは、ドクオの肩に手を掛けると一言だけ、
『来たよ』、と心の中で呟いた。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:48:20.68 ID:omi/sNNEO
支援
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:48:44.02 ID:6SePfxjU0
泣けるぞ支援
31 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:50:21.86 ID:ZVR5+Ggn0
ふいに聞こえたモララーの声に、オレの思考はぷつりと音を立てて止まった。
どうやら、モララーが追いついたらしい。
('A`)『来てくれるって、信じてた』
( ・∀・)『当たり前だろう。親友なんだから』
('A`)『あんな事を言ったから文句の一つでもぶつけてくるかと思ってたんだが、
意外と淡白な挨拶で良かったよ』
ケラケラとした笑いを含む感情の波が、心の中で響く。
( ・∀・)『それに関しては、現実世界に戻ってからだね』
('A`)『それは怖いな。お手柔らかに頼むぞ?だけど』
( ・∀・)『だけど?』
32 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:52:21.31 ID:ZVR5+Ggn0
不思議だ。
聞こえてくるのは声だけだったが、それでもモララーの顔が浮かんでくる。
きっと、眉を吊り上げて不満げな顔をしているに違いない。
束の間唇の端を吊り上げて苦々しく笑うと、
オレは表情を元に戻して心の中で呟く。
('A`)『オレの気持ちは変わらない。
ブーンだけは何としても助けたい。これがオレの本音だ。
ブーンをまず助けて、オレはそのついででいい。
オレにとっても、あいつはもう親友だ。絶対に死なせやしない。
もっとも、そう易々と命を取らせたりはしないぜ』
本音に隠れた所では、あのタイミングでモララーを挑発しておけば死んでも来るに違いない。
という理由があったのだが、あえて心に浮かべる事は無かった。
33 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:54:43.52 ID:ZVR5+Ggn0
さすがに今の考えは読み取れなかったのか、モララーはしばらく黙ると
『本当にそうだといいんだけどね』。と呆れた口調で言葉を放り投げた。
('A`)『ま、そう言う事にしといてくれ。
だけど、これだけは覚えておいてくれ。
危なくなったら逃げろ。オレ達に構うな。』
( ・∀・)『それは賛成できかねるけどね。ま、頭の隅っこには入れておいてやろうじゃないか。
それじゃ、あんまり喋ってると現実世界に引き戻されそうなんで、しばらく黙るよ』
モララーの声が止んで、再びオレは光の奥のほうへと意識を集中した。
あの奥には、おそらくブーンとハインがいる。
何かを話しているようだが、開けっ放しにしていた扉から吹き込む風の音や、
時折の雷鳴が階段の螺旋を駆け抜けるせいで、二人の会話は途切れ途切れにしか聞こえない。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:56:25.01 ID:6SePfxjU0
支援
35 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:56:52.69 ID:ZVR5+Ggn0
アレンテヴォレッツァに入ってからと言うものの、ブーンの様子がおかしかった。
どうしてブーンは、あの時、あの言葉を口にしたのだろうか。
影から少しだけ顔を出して窺うが、俯いたままのブーンの表情を読むことも出来ない。
ただ、ハインが真剣な顔をしている事からも、重要な話をしている事がわかった。
最初は二人の所へ行って問い詰めようとした。
だが、オレが部屋の入り口付近まで降りた時、
ふいに聞こえたブーンの言葉がオレの足を止めたのだ。
( ^ω^)『それじゃ、ドクオが来るまでにいくつか質問があるんだけど、いいかお?』
『ドクオが来るまでに』。つまりオレ抜きで話をしたいということだ。
ブーンが一体何を聞きだそうとしているのか。
オレには全く分からなかった。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 21:58:44.87 ID:omi/sNNEO
支援
37 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 21:58:56.32 ID:ZVR5+Ggn0
■夢―双子灯台・頂上
( ω )「それじゃ、最後の質問だお。
"赤"と"青"。どっちが好きかだけ教えてくれお」
今までの質問とは打って変わって、まるで占いでもするような問いかけに、
ハインは眉をひそめた。
_, ,_
从;゚∀从「は、何だその質問は?」
( ω )「いいから答えるお」
言葉のトーンが下がり、威圧的な空気があたりに立ち込める。
自分自身の発言にも拘らず、ブーンにはこの問いかけの意図が掴めていなかった。
本当は何でもない質問かもしれない。
ただ、"嘘はつくな"。"正直に答えろ"。
その二つだけが頭の中を駆け巡る。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:00:06.98 ID:GBhpf6oZ0
支援っ
39 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:01:09.27 ID:ZVR5+Ggn0
一寸にも満たない沈黙の後、ハインは海のほうを指差し、結論を出した。
从 ゚∀从「赤だ。この島の夕日みたいな燃えるような赤だ」
( ^ω^)「そうかお。なら良かったお」
赤という選択肢に満足したのか、ブーンの心の中でもやもやしていた物が晴れ、
心なしか緊張がほぐれた。
その時だ。胸をなでおろすブーンを尻目に、
ハインはもう一つの階段を睨みつけると苛々した様子で声色を低くし、口を開く。
从 ゚∀从「それで終わりか。だったら、出て来いよドクオ。
盗み聞きなんてみっともないぜ」
(;^ω^)「ドクオ、もう来てたのかお?」
階段の奥で、風が揺らめく。
誰かが薄暗がりの向こうからやってくる。
螺旋の向こう側、影を引きずりながら姿を現したのは、
山の麓で別れたもう一人の目覚めの使者だった。
40 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:02:54.71 ID:ZVR5+Ggn0
41 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:06:07.17 ID:ZVR5+Ggn0
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:07:42.22 ID:he4JQzvHO
大丈夫か
支援
うわ、来てた
ダッシュで追いかけるぜ
44 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:08:28.89 ID:ZVR5+Ggn0
('A`)「あぁ、ブーンがオレ抜きの話を始めてからずっとな。
周りの音がうるさくて、話半分にしか聞き取れなかったけど」
(;^ω^)「別にドクオ抜きで話そうとしたわけじゃ…、いや、駄目なのかお」
こそこそ隠れて聞いていた事を悪びれもせずに、のうのうとやってくるオレを見て、
ブーンは怒るどころか、声が段々と弱々しくなって、遂には掻き消えてしまう。
('A`)「別にいいよ。
半分しか聞かなかったけど、半分は聞いてるんだ」
もっとも、話しの内容を理解するには単語の量が圧倒的に足りなかったのだが、
ここで下手に出るのは癪に障った。
从 ゚∀从「ま、オレ様はどうだっていいんだけどな。
それじゃ、お前らが見つけた真実ってのを教えてもらおうか」
('A`)「終わったら戦うのか?」
从 ゚∀从「まずは話を聞いてからだ」
45 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:10:22.15 ID:ZVR5+Ggn0
どうやらハインは、オレ達を試すらしい。
だが、それもそうだろう。
これは、ハインとの約束だった。
『宝玉を集めろ!この島の全てを見ろ!そしてオレ様に会いに来い』
オレ達は苦労してここまでやってきた。
夢の世界、そして現実の世界でも。
今かき集められる情報は全て集めた。
だが、これで、ハインが満足するのか。
足りるだけの真実を、オレ達は手にする事が出来たのだろうか。
ギコの隠している事が、ハインが求めている真実だとしたら。
もしも、見逃した真実があったとしたら。
以前のオレだったら、これがオレ一人で掴んだ真実ならば、
不安で押しつぶされそうになった事だろう。
46 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:12:30.70 ID:ZVR5+Ggn0
だけど、今は違う。
オレに力を貸してくれるブーンが、オレに知恵を貸してくれるモララーがいる。
オレ達を助けてくれたアレンテヴォレッツァの人がいる。
オレはもう、一人じゃない。
この夢と戦っているのは、オレ一人じゃないんだ。
だから、不安なんてない。
('A`)「分かった。オレ達の知った島の真実を、ここで全部話すよ」
時に冒険譚を交えながら、この島でオレが見たこと全てを語った。
ブーンが時に茶化し、モララーも黙ってはいたが、
色をころころと変える感情の波がふわふわとオレの心を漂う。
この六日間は、本当に忙しかったと、オレは思う。
だらだらと生をむさぼるだけの日々だったオレに、刺激が怒濤の如く押し寄せてきた。
辛かった。苦しかった。でも、楽しかったし、嬉しかった。
それは、現実でも、夢の中でも。
その代わり、改めて生きている事を実感した六日間でもあった。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:13:02.29 ID:fO5LaaFJO
支援するしかない
48 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:14:29.12 ID:ZVR5+Ggn0
長いようで短い話を終えると、オレは深く息を吸い、深く吐く。
目を瞑ったままのハインを睨みつけると、最後の言葉を放った。
('A`)「まだ分からないこともあるけど、今掴んでいる真実はこれくらいだ。
ま、結局の所誰を目覚めさせるのかは確定しているわけじゃない。
だけど、おおよその見当はついてる」
十秒ほど、ハインは黙ったままだった。
稲光が部屋を照らし、思い出したように雨や風の音が部屋を取り巻く。
じっとりと湿った重い空気が、背中に流れる汗と一緒にシャツに染み込んだ時、
ハインは目を開けた。
从 ゚∀从「それで、結局お前らはどうしたいんだ」
('A`)「どうって、脱出するに」
脱出するに決まっている。
冷たいまなざしを向けるハインに対して啖呵を切ろうとしたオレを、ブーンが制した。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:14:49.20 ID:E/UreqWXO
支援
50 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:16:40.33 ID:ZVR5+Ggn0
( ^ω^)「決まってるお。ブーン達はこの島を、"消す"お」
(;'A`)「おい、ブーン」
あえて言わなかった言葉を聞き、ドキリ、とオレの心臓が跳ねた。
ブーンのあまりにも直線的で、挑発的な言い方に、部屋の空気が更に重いものになる。
が、ハインはやれやれと頭を振り、小さく「そうか」と呟くと、
見下すような微笑みをオレ達に向けた。
从 ゚∀从「ここまで辿りついたご褒美に、一つだけいい事を教えてやるよ。
別に"この島を消さなくとも、脱出は出来る"んだぜ?」
(;'A`)「何だと?」
(;^ω^)「それってどういうことだお?」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:18:32.75 ID:omi/sNNEO
支援
52 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:18:35.81 ID:ZVR5+Ggn0
ハインは頭を掻くと、オレの腰にあるポーチを指差す。
从 ゚∀从「わかんねぇかな。この島を出るだけなら五つの宝玉があればいいんだ。
別にどっかの誰かさんを目覚めさせる必要はない。
五つ集めた時点でクリア条件は満たしてるんだよ」
('A`)「どうして今になってそんな事を話すんだ?」
从 ゚∀从「別に。気分の問題さ。
お前らにとっちゃ、ここはあくまで夢の世界。
だが、ここに住んでいる奴にとっちゃ本当の世界のようなもんだ。
ドクオ、お前あいつらを殺したくないんだろ?でも、出来ることなら脱出したい。
だったらそれでいいじゃねぇか。オレ様は別に困らないぜ」
53 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:20:50.59 ID:ZVR5+Ggn0
ハインが態度を急に翻した事で、オレは警戒せずにはいられなかった。
モララーからの返事は、まだない。
ならばこれは、罠ではなくそのままの意味。そう解釈していいのか。
だとしたら何故だ。
ハインには戻る体があるのに、どうして嫌がる。
ここでは何でも出来るからか?それとも支配者になれるから?
ハインにとっても村の皆や番人は他人のはずなのに。
へらへらとした笑いを浮かべるハインに、疑いの色が益々濃くなっていく。
('A`)「オレは…」
―――まさかオレは、またとんでもない勘違いをしてるのか?
( ^ω^)「ドクオ…」
54 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:23:01.36 ID:ZVR5+Ggn0
ハインは背を向けると、まるで気にしてないかのように言葉を続ける。
从 ゚∀从「結局の所オレ様含めて、夢の島の住人や番人達は他人だ。
関係ないだろ。お前らは悠々と現実世界で生きてりゃいい。
ま、お前らが脱出した所で、新しい目覚めの使者を引き込むだけなんだがな」
('A`)「ハイン、お前の話さっきからおかしいぜ」
ハインの話には矛盾点が多すぎた。
目覚めの使者がいれば、ハインは目覚めさせられる危険性がある。
ならば新しく引き込む必要はどこにあるというのか。
遊びにしたって、ここまで自分にリスクの伴う事をするだろうか。
最悪の場合、真実を知ったオレ達が現実世界でハインを殺せば全てが終わる。
現実世界では、夢の世界のような絶対的な力はないのだ。
急に態度を変えたのは、負けそうになったからか。
それとも、まだ他に理由が?
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:23:24.97 ID:ik6G4QqjO
ゼルダの伝説かとオモタ
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:23:51.44 ID:he4JQzvHO
WKTK支援
57 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:24:55.38 ID:ZVR5+Ggn0
そこまで考えた時、オレの頭の中に一つの光を見出した。
真っ白ではなく、限りなく黒に近い、光っているのかすら分かりづらい灰色だ。
今までに知った真実に、今日新たに得た情報を繋げれば可能性はある。
この考えが正しければ話の筋は大方通る。
(;'A`)「もしかしてお前、まさか…」
(;;;;;)「話はそこまでだ、ハイン」
その時だ。オレがそのまさかを言わんとした瞬間、部屋一杯に突然声が反響した。
ブーンでも、ハインでも、モララーでも、はたまたギコでもない、第三者の声。
その第三者は灯台のガラスを震わせ、実に嬉しそうな声で「ねぇ」と言った。
(;;;;;)「ねぇ…、私は、誰だと思う?」
从;゚∀从「てめぇは…」
罠だと知ったときにはもう遅く。
目の前の世界は蜘蛛の巣の様にひび割れ、ガラスの砕け散る音と共に、
オレの意識は白い世界へ飲み込まれていった。
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:26:12.82 ID:3rdEymCH0
支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:26:20.97 ID:DmeWNrta0
支援
60 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:26:54.48 ID:ZVR5+Ggn0
■現実―クオリティ中学・屋上
反射的に両腕で顔を覆ったオレが異変に気がついたのは、
顔に当たる布の感触だけではない。
腕を下ろすと、十二月の冷たい風が頬を撫で、
沈み行く夕日の最後の残り香が、オレの体を照らしていたからだ。
足元には碁盤の目のように整然と並ぶコンクリートタイルの床が、
目の前には斜めに立てかけられたソーラーパネルが設置されている。
そしてオレの背後には、赤いクレヨンと血で描かれた生々しい警告文があった。
(;'A`)「何で。一体何が」
オレは右手にある手すりへと走り、そこから下を覗く。
オレが見たのは、ビップ中学のブレザーを着た生徒が、ちょうどクオリティ中学を出て行くところだった。
まさか、だとは思う。
だが、その正体に気がついたとき、心臓の鼓動が一段と強く跳ねた。
(;'A`)「昨日に、戻ってる?」
61 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:28:47.21 ID:ZVR5+Ggn0
オレの周りにはあの日の景色が広がっている。
床に置かれたスケッチブックも、砕けた赤のクレヨンも、
オレの左親指の傷でさえ、昨日のままだったのだ。そして、
(;・∀・)「どうしたのその傷。それに…」
戻ってきたモララーは、一言も違わずに同じ事を言ってのけた。
('A`)「勝手に動いた」
(;・∀・)「そう。けど、これは…。
"Time limit is night of the seventh day, Dokuo."
(タイムリミットは七日目の晩だ。ドクオ)
七日目って…」
62 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:30:39.59 ID:ZVR5+Ggn0
同じ事を言ったオレに対して、モララーも同じ事を返す。
もしかして、今さっきまで見ていたのはただの夢だったのか。
ヒッキーと戦ったのも、ブーンと再会したのも、ギコと出会ったのも、
まさかモララーに信じてもらえた事全てが夢だったというのか。
血の気がさーっと音を立てて引き、どっとした疲れを感じたオレは座り込んだ。
モララーが駆け寄って、オレの手にハンカチを巻く。
ここまでは昨日の展開と何ら変わらない。
が、次の瞬間、オレは崖から突き落とされるようなショックを受けた。
(;・∀・)「ところで、ドクオ。本当に夢の中で冒険してるの?」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:31:59.69 ID:3rdEymCH0
支援
64 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:32:31.87 ID:ZVR5+Ggn0
(;'A`)「え」
モララーが言いにくそうな表情で呟いたのは、あの時と全く逆の言葉だった。
続けようとした言葉はどこかに吹き飛び、
間抜けな声だけが喉の奥から絞り出される。
何かが違う。
だけどこれが現実である事は、ハンカチで縛られた指が痛む事からも容易に分かった。
あ、え、と意味を成さない一文字だけが宙を独り歩きし、
言葉が見つからないオレを無視して、モララーは更にオレを追い詰める。
追いついた支援
66 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:34:30.95 ID:ZVR5+Ggn0
(;・∀・)「だって、ありえないよ。
どう考えたって、夢は夢だろ」
(;'A`)「ただの夢じゃないんだ。信じてくれ。
それにだ。今会ってたのはブーンなんだろ?」
(;・∀・)「あれ、何で知ってるの。
ブーンの事、前に話した事あったっけ?」
モララーが驚きの表情を見せる。
それもそうだ。これは明日知る事なんだから。
だが、ブーンに会ったのは本当の事らしい。
だから、オレは僅かな希望へ必死に詰め寄った。
(;'A`)「ブーンがもう一人の目覚めの使者だったんだ。
それが分かるのが、今日だった。だけど、戻ってきたんだ」
67 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:36:57.83 ID:ZVR5+Ggn0
(;・∀・)「ドクオ落ち着いて。本当に大丈夫?」
モララーが肩に手を掛け、本当に心配そうな顔になる。
オレ自身にも分かっていた。明日から戻ってくるなんてどんなSFの世界なんだ、と。
オレは怯えていた。間近にあるモララーの顔が怖かった。
モララーに否定されれば、もう立ち直れない。
簡単に砕けそうなガラスの心へ、今にも鉄槌が振り下ろされそうなこの状況に、
オレはただただ恐怖した。
(;'A`)「待ってくれ、ブーンに電話をする。
それで証明できるから」
メモリにはまだ、ブーンの番号は入ってない。
当たり前だ。アドレスを交換するのは明日なのだから。
オレは力の入らない手で携帯を取り出し、
震える指で頼りない記憶の中にある番号を押した。
68 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:39:04.05 ID:ZVR5+Ggn0
無限に続くとも思えたコール音の後、「もしもし」という明日の声がオレの耳に入る。
おっとりしているようで、勇敢さや情熱がその内面に感じ取れるあの声。
その声を聞くだけで、オレは勇気付けられる。
ブーンが、電話に出てくれた。
(;'A`)】「ブーン、オレが分かるか?ドクオだ。
夢の島で一緒に冒険してるドクオだ!」
焦って口が上手く回らない。
舌がもつれて音にならない。
だが、一番重要な"オレの名前"と、"夢の島"と言うキーワードだけは
はっきりと音に出し、きちんと伝えたと思う。
夢の島という言葉を出せば分かってくれるはず。
ブーンはオレを裏切らない。見捨てないはずだ。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:39:53.19 ID:Pr/KlUs3O
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:40:30.11 ID:3rdEymCH0
支援
71 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:41:01.79 ID:ZVR5+Ggn0
なのに、ブーンの口から出たのは理解ではなく疑問だった。
(;^ω^)】『え、君誰だお』
嘘だ。
ブーンがオレを知らないなんて。
あぁ、そうだ。ブーンはまだ最後の伝言を受け取っていないんだった。
落ち着いてくれ、最初から話せばブーンも分かってくれる。
鼓動は早鐘のように打ち続け、心臓が不安に押しつぶされそうになりながらも、
泣き出しそうになる心を抑え、オレは震える声で懇願した。
(;'A`)】「ブーン、ちょっと待っておねが―――」
(;^ω^)『ごめん、切るお――プツッ、ツー、ツー、ツー』
無常な電子音が、やけに遠く感じられる。
モララーは冷めたまなざしで、携帯を持った方の腕を、だらんと垂らしたオレの姿を見ていた。
72 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:42:53.86 ID:ZVR5+Ggn0
モララーの目には、オレの姿がどう映っているのだろうか。
妄想に取り付かれた狂人か、それとも心の病に冒された哀れな人間か。
助けて、助けてくれ。誰か、誰か。
オレは今にも消えそうな希望を胸に、モララーに縋った。
(;'A`)「モララー、これが夢だって証明してくれ。
お願いだ。頼む」
これが無茶な願いだということは、オレにも分かっていた。
自分の生きている世界が本物か偽物かなんて議論は、哲学の世界でやる物だ。
でも、モララーならやってくれる。
モララーなら、オレに納得の行く答えを示してくれる。
オレの知っている人間なら、親友なら。
73 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:44:46.36 ID:ZVR5+Ggn0
そして、モララーは涼しい顔で答えた。
( ・∀・)「証明する必要すらないね。それは嘘だ」
モララーに否定された。天才に、否定された。
オレが今まで見ていたのは、本当にただの、夢。
ブーンはオレの事を知っちゃいないし、夢の島に行ってすらない。
そうなのか。あぁ、そうだよな。夢だよな。
当たり前だ。何を考えているんだオレは。
馬鹿馬鹿しくなったオレは、ふらふらと屋上の柵へ向かった。
思い切り叫びたい。こんな馬鹿な事を五日間も考え続けていた自分自身を笑い飛ばしたい。
オレは、学生服に白い粉がつくのも厭わずに、白い柵へ腰を落とした。
(;・∀・)「おい、ドクオ!その柵は」
('A`)「え」
74 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:46:41.39 ID:ZVR5+Ggn0
べきり、と言う不気味な音に、再び間抜けな声がオレの口から漏れる。
柵にもたれ掛かった途端、世界は九十度回転し、
オレの目には十二月の冬空が飛び込んで来た。
うっすらと空に浮かび上がった月を見て、あぁ、もう夜だな。
と馬鹿な考えが頭に浮かぶ。
今はそんな事をしている場合じゃないのに。
モララーが何かを叫んでいる。
走り寄り、オレの体を必死に掴もうとするが、その手は空を掻いた。
さらに九十度回転し、ボロボロに錆びて崩れた白いものが目に入ったとき、
オレは唐突に思い出した。
75 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:48:44.02 ID:ZVR5+Ggn0
そうだった。ヒッキーは自殺じゃなくて事故だったんだ。
保健室通信にもそう書いてあったじゃないか。
『クオリティ中学で先月の十一月、二年三組の引田君が学校の屋上から転落死する事故がありました。
至急調査した所、柵は雨による侵食のため著しく強度が落ちている事が分かりました。
これは、一月に修繕する予定です。
現在は崩れた所に仮の柵が立てられているものの、強度は保障できる物ではないため、
生徒の皆さんは用も無く屋上に行ったりしないようお願いします』
そうだった。
どうして、オレはその事を忘れていたのだろうか。
後悔よりも先に、抗えぬ重力が完全に無防備なオレの体を襲った。
落ちる。落ちる。地面に向けてまっさかさまに。
支援
77 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:50:38.79 ID:ZVR5+Ggn0
容赦ない風が顔を叩く。
落下速度が上がり、地面がオレを殺そうと向かってくる。
オレは、裏切りの森でケフカの木から飛び降りた時を思い出した。
あの時は、忍耐のオパールのおかげで助かった。
だが、この現実世界には、オレを守ってくれる宝玉はない。
死に直接繋がる絶望だけが、両腕を広げてオレを待ち構えている。
先に地面へ叩きつけられた柵が、嘘みたいな重たい音を立てて飛び散るのを見た。
目の前には、冷酷な未来が。
('A`)「嘘だ」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:52:10.52 ID:aNmM3xeF0
初めて遭遇した
支援
79 :
('A`)と夢の島のようです 第六夜 ◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:52:31.08 ID:ZVR5+Ggn0
―――あぁ、嘘だ。
第六夜 『アレンテヴォレッツァ』 後編その2 完
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:53:44.13 ID:IkjmxAInO
あれ?マップが切り替わる瞬間にセレクトじゃないの?
81 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:55:39.53 ID:ZVR5+Ggn0
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:58:13.77 ID:Pr/KlUs3O
乙
83 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 22:59:22.02 ID:ZVR5+Ggn0
>>80 古いバージョンだと出来るんだっけか。
未だにGBASPでやるよ。DXは持ってないけど。
さて、今日のおまけはながらでやるか。
ブーム君の短編はちゃんと書いてたんだが、エラーで飛んだんだ。
すまない。
ながらだからクオリティに期待しちゃいけないぜ。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 22:59:24.16 ID:omi/sNNEO
乙
酷いとこで切るな
86 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:00:43.01 ID:ZVR5+Ggn0
('A`)と狂夢の島のようです 番外編
〜 What a Crazy we are ! 〜
87 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:02:47.57 ID:ZVR5+Ggn0
1st Crazy:ブーンがDQNだったら
第一夜 ■夢―縞々岩
( ∵)「ここで死んだら君たちも死ぬよ」
( ^ω^)「マジっすかwwwwwwパネェおwwwww」
('A`)「だからって諦めて」
( ^ω^)「死ぬってwwwwwブーン達死ぬってどんだけwwwwwww」
('A`)「…」
( ^ω^)「見てみろおwwwwww変な丸いのが浮いてるおwwwwwすげぇwwww」
(;'A`)「ブ、ブーン。とりあえず木の枝を切ってきて」
( ^ω^)「はぁ?そんくらい自分でやれおwwwww」
(;'A`)「いや、結構大きな枝切らないと駄目だし、力の強そうなブーンじゃないと」
( ^ω^)「なんに使うんだおwwwwwナイフあるんだからそれで攻撃すればいいおwwwwwばっかでwwww」
(ii'A`)「ウツダシノウ」
_____
|ダーイ!|
!  ̄ ̄V ̄ ̄ !
i ⌒ w △ i
 ̄ ̄ ̄ ~~ ~~ ~~~~~~~ ̄ ̄ ̄
ザッパーン…
89 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:04:30.41 ID:ZVR5+Ggn0
2nd Crazy:流石兄弟が夢の島に行ってたら
第五夜 ■夢―裏切りの森
( ゚∋゚)「…」
(´<_`;)「母者くらいの強さはありそうだな、兄者」
(;´_ゝ`)「すいません、帰っちゃ駄目ですか」
(´<_`#)「駄目に決まってるだろ!」
(;´_ゝ`)「ですよね!」
--------------------------------------------
( ゚∋゚)「…」
(´<_` )「しかし、どうやって戦えば…」
(;´_ゝ`)「先生、トイレしに村に帰ってもいいですか」
(´<_`#)「その辺で立ちションして来い!」
(;´_ゝ`)「ですよね!」
90 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:06:21.02 ID:ZVR5+Ggn0
( ゚∋゚)「…」
(´<_` )「兄者、こいつを引き止めていてくれ。
オレが頂上の宝玉を取ってくる」
(;´_ゝ`)「こ、この薄情者!」
(´<_`#)「勇気の欠片もないくせに、勇敢のルビーを使うな!」
(#´_ゝ`)「うるさい。だが、ブラクラゲットにかける情熱はあるぞ!」
(´<_`#)「話が進まないんだよ!」
(;´_ゝ`)「ですよね!」
--------------------------------------------
91 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:07:54.68 ID:ZVR5+Ggn0
<オーケー、兄者。落ち着け。
雌鳥の写真なんか取り出しても何の効果もないぞ。
…>
<だったら、これでどうだ?
(#´_ゝ`)/ ……―――━━━━━◇
シュッ
…! ♪>
<兄者、一体何を投げたんだ?
<かっこいい雄鶏の画像だ。
♪>
<雌だったのか…。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 23:08:17.85 ID:ARHodSj80
なんてところで切るんだ
乙!
93 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:09:51.87 ID:ZVR5+Ggn0
3rd Crazy:ジョルジュが夢の島に行ってたら
第一夜 ■夢―海岸
川 ゚ -゚)「お客さんとは珍しい」
_
( ゚∀゚)o彡゜「ナイスおっぱい!」
----------------------------------------------------
第二夜 ■夢―アレンテヴォレッツァ・緑の家
ノパ听)「あれ、兄ちゃん誰だ?」
(*'ω' *)「クーちゃんの言ってたお客さんぽ?」
_
( ゚∀゚)o彡゜「発展途上!これまたよし!
オーパイ国に伝わるおっぱいマッサージを教えてあげよう」
----------------------------------------------------
第三夜 ■夢―森林地帯
从 ゚∀从「だから、あたしに会いに来いッ」
会いに来い→会いに来たらおっぱい!→おっぱいおっぱい!
_
( ゚∀゚)o彡゜「イエス、おっぱい!」
94 :
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 ◆CRaZyK2n0Q :2008/06/01(日) 23:12:42.87 ID:ZVR5+Ggn0
第三夜 ■夢―滝
ポワワーン(幻影が見えそうな効果音)
_
( ゚∀゚)o彡゜「おっぱいの幻影!」
-----------------------------------------------
( ><)「あれ、何で戻ってきたんです?」
ポワワーン(何か間違った幻影が見えそうな効果音)
从'ー'从「あれれー、何で戻ってきたのー」
_
( ゚∀゚)o彡゜「エクセレント!」
*;ヾ;"ヾ* ;"; "i ";
" ;ヾ *; ;*;ヾ; ;"/
*;ヾ;"ヾ* ;"; "i ";
|
\\ |
おっぱーい!>方 ! |
i/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ii<●><●>)「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
gdgdながらも
('A`)と狂夢の島のようです 番外編 〜 What a Crazy we are ! 〜 完
95 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 23:14:28.85 ID:ZVR5+Ggn0
>>84,92
正直に言うとそこが区切りよかったんだ。
後編3は思ったより短いかも。
>>88 剣より先にファイアロッドとったりしたなぁ。
96 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 23:18:15.58 ID:ZVR5+Ggn0
さて、ネタが他に思い浮かばないことですし、それでは、
/ ̄\
| ^o^ | <今日の投下は以上です ありがとうございました
\_/
_| |_
| |
/ ̄\
| | <ブーム君のおまけは次回と言う事で
\_/
_| |_
| |
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 23:25:13.81 ID:TCSTSjIuO
乙
乙
99 :
◆YUME269q/Y :2008/06/01(日) 23:34:47.70 ID:ZVR5+Ggn0
あぁ、そうだ。
第一夜〜第六夜の中(その〜となっている物はまとめて)には証明終了以外に、
毎回入れている言葉があるんだ。
もしも気になったら探してみて欲しい。
第六夜後編その3で、全ての真実を明かす予定です。
明かせたらいいなぁ。
脳内で目覚めさせる人間の正体を考えながらwktkしてくれたらありがたいことです。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 23:50:26.70 ID:HzYd72QrO
乙!
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/01(日) 23:56:14.92 ID:3ZCiFbinO
乙
夢ですね、わかります。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 00:00:57.19 ID:aUbJnopmO
ふぅ…
乙
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 00:47:01.82 ID:cwrxyMCfO
ほ
104 :
◆YUME269q/Y :2008/06/02(月) 00:48:20.74 ID:QEBlg3Z60
>>101 正解!いや、あってるけどwwwwwwww
それ以外にあるんだぜ。
名詞と言うよりは台詞に近い。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 01:30:03.63 ID:rNytGC6DO
よむほ
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 01:58:37.05 ID:aUbJnopmO
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 02:58:24.92 ID:17te7Lp00
乙
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 03:53:08.29 ID:ZfG8S4b2O
よむほ
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/06/02(月) 07:45:39.93 ID:3x2lDVtRO
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: