睨みつけたり,抱擁・キスしたり・・・セクハラ500万円勝訴(青森地裁)

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
1 原告に対する被告乙田のセクハラ行為及び被告S交通の対応
(1)平成6年2月以降同8年3月頃まで
〔1〕平成6年2月当時,原告(平成5年11月1日から業務部業務係)と被告乙田は被告S交通の本社事務所の内勤として
同一フロアーで仕事をしていたが,被告乙田(当時総務課長)は,同月から同年4月までの3ヶ月間,原告の机の周辺を
通るときには必ず原告を睨み付けたり,たまたま原告が顔を上げて被告乙田の机の方向に目をやって互いに視線が合うと,
必ずのように睨み付けた。
 原告としては,被告乙田に対して面と向かって,「睨み付ける行為をやめて下さい」と話そうと考えたこともあったが,
相手は上司であり,しかも,先々代社長にして監査役の養子であり,人事権に影響力を有していることが明らかであったことから,
人事その他の面で何をされるかわからないという恐怖感が先立ち,話すことができなかった。
 そこで,原告は,被告S交通のS交通労働組合(以下「S交通労組」という)R書記長(当時,以下「R書記長」という。)を
通じて,睨み付けることをやめるようにと被告乙田に対して注意してもらった。
 その後,被告乙田が原告を睨み付けることはなくなったが,同被告から原告に対して悪いことをしたなどと謝ることはなかった。
〔2〕被告乙田(平成7年4月21日以降は総務部部長兼課長)は,平成7年9月頃から,朝の出勤後間もない時刻に,
会社のお茶汲み場等の誰もいない場所と時間を狙って,原告(平成7年4月21日以降は営業部営業係)に対するラブレターを
「手紙」と言って手渡すようになった。
 その内容は「花子さんのこと心から好きです」などというものであって,夫や子のいる身である原告にとっては嬉しいどころか
迷惑なことであり,非常に困惑したが,露骨に嫌な感情を表に出して「手紙」と称するラブレターの受け取りを拒絶すれば,
前のように睨み付けられたり,職場でその他の嫌がらせを受けるのではないかという漠然とした不安感が心をよぎったため,
嫌々ながら「手紙」を受領した。
 被告乙田は,そのような「手紙」を10数通も原告に手渡した。
〔3〕原告は,被告乙田から,事あるごとに呼び出されて,「好きだ。好きだ。」と連発されることがあり,原告が一瞬でも嫌な
表情を正直に出してしまうと,被告乙田は,部下のN(以下「N」という。)を呼び,原告に対して,次のような意地悪をさせることもあった。
 たとえば,平成8年4月からの運賃改正に備えるため,原告は営業係として超多忙であり,残業をしないと予定日までに
終わらないときでも,被告乙田はNに命じて原告には時間外の残業をさせないようにしたりした。