47 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:04:08.49 ID:I9wZZQiB0
しかし、動かない体。魔力の無い魔術師。腹を貫かれ、瀕死の人間。
絶望的――。
絶望的であった。
(-_-)「……今、今気づいたよ。君の……その棺桶。それに入ってるんだろう?
双子と戦った奴が……。おかしいと思ってたよ。だって一人いなかったんだからね」
一歩、また一歩ブーンに近づく。
ブーンはそれから逃げようとして、ベッドの近くまで這いずり移動する。
(;^ω^)「はっ……!!はっ……!!」
(-_-)「ネクロマンシー……そう。そんな重たいもの担いで、這いずり回って疲れてるでしょ……?」
何かが千切れるような音。そしてブーンの悲鳴。
右足首に深く、鋭い波動が突き刺さっていた。あの音は、おそらく腱が切れた音。
48 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:06:55.59 ID:I9wZZQiB0
(; ω )「……ぁああっぐぅ!!!!!」
(-_-)「逃がさない」
そして、もう一度。
次は左足首へ。突き刺さる、突き刺さる。
その度に響く声。嗚咽。
ペニサスは見ていられなかった。涙で前が滲む。
( 、 *川 「……もう、もう……止めて……」
(#-_-)「……だぁま!!!ってろよ!!!!!この!!!糞!!!女!!!!の!!!くせに!!!」
壁から黒い手を模した影が現れ、ペニサスの口を押さえつける。
(;-_-)「ふーっ……フーッ!!!だ、黙って……見てればいいんだよ」
精神的な幼さが、こうさせるのか。
ヒッキーに罪悪感は見られず、己の怒り、欲望、その全てを一気に満たそうとしているようにも見えた。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:07:23.76 ID:QRGs9qfMO
支援
50 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:10:20.31 ID:I9wZZQiB0
そしてブーン。
悲鳴しか言えず、体全体にぬめりを帯びた汗をかき、それでも何とかして逃げようとしているのか。
手だけで体を引っ張り、這いずっていく。
その先にはベッドしかない。
そしてその後ろには、絶望しかない。
しかし、ブーンは前を見ていた。
ヒッキーの手から、また波動が伸び、ブーンの首下を掴みあげる。
ギリギリと絞まっていく首筋。喉を鳴らし、ぜえぜえと呼吸しながら、ブーンはヒッキーを見た。
(; ω )「……ぁ。うぅ……、み゛……」
(-_-)「もう、終わりだよ魔術師ブーン……、君は……ここで、死ぬんだ。もし天国があれば……、
ママに、愛してると伝えておいて……。身勝手だね……身勝手だね、僕は。でも、反省しない」
貼り付けられているペニサスの方向を見て、ヒッキーは見せ付けるようにブーンの体を向ける。
しかしペニサスは眼をそらそうとせず、強がるそぶりを見せた。
どこか、自分が仲間はずれにあっているような感覚に陥る。
もともと、馴れ合う様な間柄でも無い。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:12:09.27 ID:dcWo6t2nO
支援
52 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:12:38.39 ID:I9wZZQiB0
しかしママという存在がいないという事に気づいた今、どうしようも無い虚無感が、ヒッキーを締め付けた。
だからそれを紛らわす。
(; ω )「……かは!!ぐ……っつ、く……」
締め付けられた心を忘れるように、ブーンの首を締め付ける。
そして心を閉めつける。
一抹の不安を忘れられるように始末をつける。
この男を始末する。
(;-_-)「……終わりぃぃ!!!!」
53 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:14:30.83 ID:I9wZZQiB0
……しかし終わらない。
(;^ω^)「げほっ!!!!……ぐえぇ、げほっげほっ!!!」
もどかしかった。
なぜ、決着がつかない。
己の影で造った波動が千切れているのを見て、そう思ったのだ。
(;-_-)「……何だ。何が、何が起きたんだ?」
ブーンは地面に転がり、必死に呼吸をする。
周りには誰もいない。戦える者が。
すると、ヒッキーの肌に一陣の風が吹いた。
それは皮膚だけでは無く、一瞬で右腕を持っていく。
(;-_-)「う……!?うあわぁあぁああ!!!!」
勢いよく噴出す血。あるものが無くなった感覚。
ヒッキーは混乱する。
睨むように入り口を見る。
そこにいたのは、オトジャであった。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:16:03.03 ID:kKcr2VwbO
支援
55 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:16:49.34 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「……。ヒッキー、お前は、可哀想な者なのだ」
あり得もしない展開に、皆驚きを隠せない。
なぜ三剣頭が、いや、形式的とはいえ、自分の部下が今己の腕を切り落としたのか……、理解しようが無い。
震える声で、オトジャに真意を尋ねるヒッキー。
しかし答えがオトジャの口から出る事は無く、もう一度撃たんとせんばかりに斧を構える。
('、`*;川 「な、何が起こってるのよ……」
(;^ω^)「……い、ま、内に……」
ずり、ずりとミルナに這いずり寄るブーン。
頬を軽く叩き、痛みによって気絶しているミルナを起こすと、ベッドの隣に置いてある一冊の本を指差した。
56 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:18:19.89 ID:I9wZZQiB0
ブーンは喉がつぶれてしまっていて、うまく話せない。
しかし指をさした場所、そしてその熱気のようなものは、ミルナに意味をわからせるのに十分であった。
(;゚д゚ )「……あ、あれ……あれがそうなんだね!?」
痛む腹を押さえながら、よろよろと立ち上がり、本を手に取ろうと近づく。
ヒッキーはそんな事よりも、今目の前のオトジャの裏切り、右腕の激烈な痛みに耐える事に必死になる。
(#-_-)「お、お前ぇぇ!!!もう一度、それ、それ、それを撃ってみろ……!!!
さっき兄貴を殺せたのに、生かしておいてやった恩も何もかも……忘れて、撃ってみろ……!!!」
(´<_` )「もういい……。お前は、ここから出る事も出来ない。出生から、今までの話は聞いた。
生きていルには辛すぎる。その心を、せめて三剣頭の私が……、解放する」
再度射出される風。
暴風は床を砕きながら進み、ヒッキーの体めがけて一直線に進む。
しかしヒッキーは影を駆使し高く跳ね上がり、かわす。
57 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:20:18.68 ID:I9wZZQiB0
それでも近くをかすめただけで足は細かな切り傷だらけになり、砕け、バラバラになった床に鮮血が飛び散った。
中空から見えた、自分の腕を見るとヒッキーは涙を流し、そして更に怒る。
(#-_-)「お前にぃぃ!!!お前に、お前なんかに、お前如きに、僕の何がわかるんだよ!!
僕だって……今、今思い出したんだ!!訳のわからない魔術師に埋め込まれた仮初の記憶……。
そんなもの!!そんなもの、いらないんだよ!!!糞!!糞食らえ!!!こんなもの!!」
影を引き連れて、オトジャに突進する。
それを受け止めるようにオトジャは待ち構えた。
ヒッキーの影を、オトジャは全て受け止め、力の押し合い状態に縺れ込む。
(#-_-)「死ねっ!!死ねっ!!!死ね死ね!!!」
いきり立つヒッキーとは対照的に、全くの余裕の表情を浮かべたオトジャが、一言。
顔を近づけ、ヒッキーの耳元でこっそりと言った。
58 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:22:57.02 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「……与えられた力。それを履き違えたお前の始末だ。
力を頂いたお前。この街を裏側で統治する使命。全て、全てなっていない」
(#-_-)「力だって!?そんなもの、僕は生まれるべくして持っていた物!!
お前達みたいな人間とは違う!!凡人とは違う!!!僕は……天才なんだ!!!ママ!!!」
(´<_` )「勘違い、していルようだな。お前に力を与えたノは、我々だ」
(#-_-)「意味が……よくわからないね!!!このまま一気に押しつぶしてやる……!!影になってしまえ!!!」
ズズズ……。
音を立てて、影が床へと減り込んでいく。
建物は震えて崩れそうな程、そして部屋は地獄のような光景へとなる。
('、`*;川 「……あいつ、こんなに強かったの!?床が崩れる……!!」
(;^ω^)「……み……な!!!ぁ……はや……く!!!」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:22:53.85 ID:vSzbVSibO
し
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:23:52.79 ID:vSzbVSibO
しえ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:24:17.48 ID:vSzbVSibO
しえん
62 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:25:20.43 ID:I9wZZQiB0
まるで地震。
足元も覚束ない状況で、痛む腹。そして追い討ちのようにやってくる賊にやられた時の肩の刺し傷。
血が滲み、本当なら泣いてしまっているだろう自分を、どうにかして言い聞かせ、誤魔化し、はぐらかして進む。
ブーンが指差していたのは、対となる体を与える書。
今持っている書が心そのものであるなら、体そのものと合わせることにより何が生じるのであろうか?
不安。そして、好機が見えるかもしれない、といった期待が少しずつ入り混じった表情。
ミルナは少し霞む視界のまま、右手に心を、左手に体を持った――。
(;゚д゚ )「何だこれ……。頭に言葉が……流れ込んで……来ます」
魔力に似た力が、ミルナの頭の中へと吸い込まれていく。
何が起こっているのかはわからない。しかし、確実に変化が起きていること。それだけは紛れも無い事実。
ミルナの体の中に、何かが生まれていく――。
63 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:26:57.26 ID:I9wZZQiB0
そして、その光景をヒッキーはチラリと見てしまった。
力をぶつけあっている最中であったが、思わず声をあげる。
(;-_-)「……お前!!それ、か……母さんの形見に……触るなぁ!!!!」
(´<_` )「……」
勢いでオトジャを弾き飛ばし、そのまま反動で一気にミルナへと飛んでいくヒッキー。
(;゚д゚ )「え、あ……うわ。ちょ、ちょっと……こ、来ないで!!危ないから!!!」
(;-_-)「……!!!」
体が勝手に動いたのだ。
いや、頭がそう命令したから動いた、といえば正しいのだろうか。
それが必然である行動なのには間違いは無かった。
しかし、頭で命じた事から、体が動くまでの時間が、極端に短くなっていた。
64 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:28:55.76 ID:I9wZZQiB0
ヒッキーの波動をその右手で掴み、ヒッキーの体をその左手で止めていた。
自制は利いた。それでも、なんとか、という程である。
(;-_-)「……お前、その書……!!心をどこで……それは……!!
パパ……。パパはまだ生きていた。これを託して……僕のものだったのに!!!」
(;゚д゚ )「パ……パ?」
(;-_-)「そうさ……僕のパパ、そしてママが編み出した書……。そして僕が成人した時、
僕にくれるはずだった書!!なのになぜ……。なぜお前が……、僕のパパ。ゼア……」
ヒッキーの動きが止まる。
急に、力を無くした体はその場に倒れた。
仕留めたのは、ミルナでは無く、先程吹き飛ばされていたオトジャが、手斧を投げたから。
深々と、心臓を後ろから真っ二つに。斧の刃はヒッキーの体を貫通していた。
何も言わず、何も言えず。即死。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:28:59.65 ID:QRGs9qfMO
支援
66 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:31:27.14 ID:I9wZZQiB0
同時に、ペニサスの緊縛も解け、地面に尻餅をつく。
お尻を摩りながらも、ペニサスは言った。
('、`*川 「……ミルナ君。まだ、まだ安心しちゃ駄目」
(;゚д゚ )「わ、わかっています。でも、あの人……」
ミルナの視線の先には、斧を構えた男が一人……のはずであった。
一人である。一人には間違いない。
しかし何か、複数人いるような気がするのだ。
(´<_` )「……この体でいけルか?あれくらいなら……。
いや、手は抜かずニ。それはそうだと言えるが……」
重いはずの甲冑を無視するかのように、オトジャは駆け足で距離をつめてくるのだ。
ミルナはどうしていいかもわからず、ただ、自分の体の中に溶け込んでいく二つの書を見ているしかなかった。
自分の体が侵食されているのだが、どこか恐怖感は無く、何か新しいものが、視点が得られるような気がした。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:33:06.35 ID:iG8n4IKU0
支援
68 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:33:25.06 ID:I9wZZQiB0
(;゚д゚ )「こ、来ないで下さい!!!」
(´<_` )「もう体内にトりこまれはじめられている。失うのは支障がうまれるぞ。
なら今の内にヤるしかあるまい?そうだ。そうだな」
('、`*川 「体、どうなっているの?何か変わった事、感覚……。何かあるはずよ」
( ゚д゚ )「わかりません……。でも、体が……すごく、熱い……」
二人が話しているその途中。
オトジャがまるで昆虫のように跳ね、ミルナとの距離を詰めてきた。
ミルナは丸腰。オトジャはリーチのある戦斧を扱っている。
このままでいけば、オトジャが有利な事は誰もがわかる事であった。
(´<_` )「断罪。断罪断罪断罪」
(;゚д゚ )「僕は……咎人なんかじゃありませんっ!!!!」
思い切り、薙がれた刃を手のひらで受け止めるミルナ。
まるで皮膚が岩石、いや、それ以上の鉱石にでもなったかのように硬質化していた。
69 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:35:48.78 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「受け止めた。まだ弱い。断罪断罪」
腕ずくでミルナの手から斧をひっぺがすと、次は頭部目掛けて振り下ろされた。
しかしそれも左腕で防ぎきる。ミルナの足元には皹が入り、床が砕け散る。
('、`*川 「……自己強化の魔術?でも、あんなに強力な……。
って、そんな事考えてる暇は無いわ!ミルナ君!!今すぐそこから下がって、伏せて!!」
(;゚д゚ )「へ?は、はい!!!」
急いで下がるミルナ。
それと同時にペニサスは手を床におき、詠唱を行った。
('、`*川 「……限定空間の重力を壊すわ!!!」
砕け、転がっているだけの床の破片が一斉に浮き、くるりと回りオトジャの元を向く。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:38:38.23 ID:QRGs9qfMO
支援
71 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:39:07.51 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「小石など効かぬ。小細工など。断罪断罪」
斧を器用に回し、全て受け止め弾く。
土煙が舞うが、それさえも斧の旋風によってかき消した。
('、`*川 「でも、時間を食ったわね、あなた」
( ゚д゚ )「すごいですね……。頭が勝手に構えを覚えてる」
オトジャの死角、腰を捻り、足を思い切り地面につき立て、拳を針のようにしたミルナがいた。
その針は正面オトジャの腹部の方を向き、もう止める事は出来ない。
(´<_` )「避けられない。断罪、だんz」
( ゚д゚ )「どおおおりゃああああ!!!!!」
思い切り、思い切り叩き込んだ。
これが、心と体の力なのだろうか?
きりもみ状に吹き飛び、部屋の扉を巻き込みながら壁へと激突するオトジャを見ながら、ミルナは震えた。
こんな力が、自分の中に出来た事に、恐怖を覚えた。
72 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:42:44.23 ID:I9wZZQiB0
( ゚д゚ )「……。これが魔術なんですか……?」
('、`*川 「わからない……。でもあなたの体に、魔力は見られないわ」
(;゚д゚ )「……!!ぶ、ブーン!!そういえばさっきから倒れたままで……」
('、`*川 「とにかく、ここから出ましょう。あの魔術師も死んだみたいだし、これ以上ここにいるのは危険だわ」
ミルナはブーンを背負い、棺桶を抱える。
すると、無茶な事を一言だけ、口に出した。
( ゚д゚ )「ペニサスさん。僕の腕に掴まってください。
下には兵士がいるでしょうし、ここから飛び降ります」
('、`*;川 「……。嫌」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:43:23.77 ID:QRGs9qfMO
しえんー
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:43:36.00 ID:vSzbVSibO
し
75 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:46:51.25 ID:I9wZZQiB0
( ゚д゚ )「え?すいません聞こえませんでした。さ、早く行きましょう!」
('、`*;川 「いいいい嫌だって言ってるでしょう!?高いトコ嫌いなのよ馬鹿!!」
(;゚д゚ )「そ、そんな事言ってる暇無いじゃ無いですか!!も、もう行きますよ!!」
('、`*;川 「ちょっと!!勘弁してよ!!え、うわ。うわわわわ!!ちょっともう本当に高いじゃないの!!」
ジタバタしているペニサスと棺桶を担ぎ、グッタリしているブーンを背負いながら、
ミルナは壊れた壁から覗く外の世界を見渡す。風が吹き込み、雨が降った後の湿気を吹き飛ばしてくれている。
月は輝き、自分の道を照らしてくれているように感じたのだ。
街の外壁にまで届きそうな気がしたので、少し控えめに距離を考える。
( ゚д゚ )「……捕まってて下さい!!!」
('、`*;川 「い……嫌ぁぁあぁぁぁ!!!!!」
飛び立つ。
外へと。
涙を流しながら叫び、ミルナの腕に爪を立ててしがみついているペニサス。
空気を体に羽織るように外壁近くの建物の屋根に着地した。
( ゚д゚ )「……飛べましたね。本当にこれは魔術じゃ無いんでしょうか……」
( 、 *川 「……」
(;゚д゚ )「き、気絶してる……。無茶しすぎたのかな……。
でも、壁を越えるまであと2回くらい飛ばなきゃならないから、静かでいいかも」
76 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:49:11.93 ID:I9wZZQiB0
――――
―――
――
壁に崩れるようにして減り込んでいたオトジャ。
あの一撃で腹部の鎧は吹き飛び、骨も何本か折れたようである。
( <_ )「……や、ラれてしまった。やられたみたイだな!!
やられてしまった。断罪断罪できない断罪できない」
顔を上にあげ、なにやら挙動不審な動きをする。
すると……、オトジャの口から、強引に小さな四体の人形が出てきたのだ。
77 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:50:24.66 ID:I9wZZQiB0
| ^o^ |「これは、だめだぞ!」
皆、同じ顔して、同じ服を着せられた人形。
各々が独立していたから、オトジャの言動がおかしかったのであろうか、その場所で会議のようなものを始めたのだ。
| ^o^ |「なぜ、だめだったか、かんがえよう!」
| ^o^ |「そんなの、ぶーむ、おまえがだめだったんだ!」
| ^o^ |「まて、おれいがいのおまえらさんにんがだめだったんだよ!!」
| ^o^ |「なんだと!おれいがいのおまえらさんにんとはだれのことだ!?」
| ^o^ |「ぶーむ、さんにんのことだよ!」
| ^o^ |「まて、おまえもぶーむじゃないか!おまえじゃないのか?だめだったのは!」
| ^o^ |「ちょっとまて、だれがだれのことをおこっているのかぜんぜんわからない!」
| ^o^ |「どういうことだ?みんなぶーむだぞ!?」
| ^o^ |「じゃあだれがいったいだめだったんだ?」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:51:33.17 ID:D8TZVEZV0
支援
79 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:52:38.62 ID:I9wZZQiB0
傍から聞いていると、精神が崩壊してしまいそうな会話。
なにやらそれも喧嘩に発展してしまったようで、収拾がつかなくなってきていた。
| ^o^ |「なんだと、じゃあだれがいちばんつよいかけんかできめるしかないだろ!」
| ^o^ |「そうだな、これまではちぇすとかだったしな。だとうだ!だとうだ!」
すると、その人形達を宥めるかのように女が一人闇から現れた。
すっと人形たちに近づき、一人ずつの頭を撫でていく。
lw´‐ _‐ノv「……皆よくやったよ。褒めてあげる」
| ^o^ |「ますたーのあねき!ますたーのあねきじゃないですか!」
lw´‐ _‐ノv「逃がしちゃったのは残念。でも、あの役立たずを消せたからいいの」
| ^o^ |「あれでよかったの?ますたーのあねき!!」
その女は深々と黒の帽子を被り、何か鞄のようなものを両手で重そうに持っていた。
髪は黒。長く、先で縮れるようになっている。瞳は紫。
lw´‐ _‐ノv「さあ、帰りましょう。この事、色々言わなきゃ駄目」
鞄を開くと、人形たちはその中に吸い込まれるようにして入っていく。
気づくと、魔術師自体もその場から消えていた……。
80 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:54:43.79 ID:I9wZZQiB0
……。
…………。
人気が一気に無くなった部屋。
その隅で、悔し涙を流す男。
(;-_-)「……くそう!!くそうくそう……!!!」
物語は、まだまだ終わらない。
( ^ω^)はネクロマンサーのようです 第10話『典型的天才転生転機教室』 完
81 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:55:47.10 ID:I9wZZQiB0
【10話版テンプレ1】
( ^ω^)ブーン。ミルナの書に興味を示し、そこから騒動に巻き込まれる。
しかし終始騒動を起こしているのはブーンである。現在、魔力切れによりダウン中。
('A`) ドクオ。兄弟と戦うも、決着はつかず。制約が実質的に緩和されたので幅が広がった。
現在、ブーンの魔力切れに伴い戦闘には出ることが出来ず。毒気はまだまだたっぷりとの事。
('、`*川 ペニサス。ブーンを追って樹海から出てくるも、即戦力としてブーンに取り込まれた悲しい巨乳。
一番悲惨な事になっている、所謂この話の被害者。そして巨乳。現在マジ切れしてヒッキーと交戦中。巨乳。
川 ゚ -゚) クー。プラス騎士団三剣頭の一人。ブーンと戦うも、変則的な応酬により翻弄され、毒花粉を浴びてしまう。
その為現在療養中。ヒッキーが魔術を嫌いになるきっかけだと語った。ちなみに、裸を見られる事に嫌な気分は感じないそうだ。
( ゚д゚ ) ミルナ。元々は大陸をぶらりぶらりと詩いながら歩く吟遊詩人。ちなみに、この世界での詩吟は和だけの物ではない。
何かの縁で心を与える書を手に入れてしまい、何かの縁で命を狙われ、何かの縁でブーンに助けてもらい、
何かの縁で驚異的な身体能力を手に入れてしまう。詳細は不明。すこし男性の裸に興味があるのかもしれない。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:56:26.27 ID:P7lFzUAh0
乙
83 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:57:12.48 ID:I9wZZQiB0
【10話版テンプレ2】
(-_-) ヒッキー。ブーンを敵と見做し、現在交戦中の魔術師。見えない『ママ』に愛情を抱いているようだ。
現在、魔術として確認されているものは少ないが、相手の手数を奪うものが得意と見ていい。
オトジャの斧で背中を貫かれるも、まだ生きていた。腕を一本失う。転生できる条件は現在不明。
( ´_ゝ`) アニジャ。プラス騎士団三剣頭の一人。高い誇り、そして清い忠誠をクーに誓い戦うも、
ドクオに結果的にそのプライドを破壊されてしまう。現在、神判堂にてクーを見張っている。
(´<_` ) オトジャ。プラス騎士団三剣頭の一人。アニジャとは違い、少し切れ者。
落ち着いているときはそうなのだが、一度怒るとガラッと変わってしまう。
詳細は不明であるが、斧を回転させて風を巻き起こす模様。三剣頭が皆こういった技を使うが、不明。
壊れた壁の修繕をしにいったはずだが、ブーム君に体をのっとられてしまっていた。現在意識不明。
| ^o^ | ぶーむ。なにやらちいさなにんぎょうのようなよにんぐみらしい!みわけがつかないのでわけがわからなくなることがおおい。
ますたーのあねき、というひとによってあつかわれているようだ。しょうさいはふめい。
lw´‐ _‐ノv 通称マスターの姉貴。詳細は不明。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:57:36.57 ID:kKcr2VwbO
乙
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:59:43.63 ID:P7lFzUAh0
86 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:59:49.87 ID:I9wZZQiB0
とととという訳で10話も終了です。
なにやら正義最終話と被ってて鼻水噴出しましたが、こうタブをカチカチやりながら、投下しながら読んでいました。
自分の作品も、燃える要素を入れてみたいなぁと思ったりしました。
向こうでも言いましたが正義さん乙です。
10話を超えましたが、まだ物語が進んでない気がします。
とりあえずもうすぐでこのプラス編はおしまい。そこから流れるように物語は進むはずです。
あと、いつも言おうとして忘れているのですが、感想欄見させてもらっています。
ありがとうね、ありがとう。
質問等あればどうぞ。なにやら保持数が少なくなっているので不安ですが、落ちるまではちょくちょく見てます。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:02:07.99 ID:octEz+qV0
乙乙乙!
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:05:27.17 ID:AOj0AVfz0
>>86 そういえばイメージ画像投下するって前言ってなかったっけ?
89 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/18(日) 00:06:29.03 ID:ZNVLWg+w0
>>88 読者さんに想像してもらうのが一番だという結論に至りました!
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:08:53.80 ID:IW0GRw1k0
参考にした設定や書籍とかはあるの?
91 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/18(日) 00:11:19.93 ID:ZNVLWg+w0
>>90 特にありません。
ただ、駆動兵器を書いて、合作に飛び込んだあたりに思いついた設定、世界観です。
まあ頭の中で描いてるうちに色々変わっちゃうんですけど、ノルマだって最初はアニジャが幼女を犯して殺しまくるのをノルマにした話でした。
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,'==iゝ、イ人レ/_ル==', i
i イi rr=-, r=;ァ ヽイ i | では次回まで、ゆっくり・・・
レリイ"  ̄ / | " .| .|、i .||
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L.', 'ー=三=-' L」 ノ| .|l
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AA吹いたwwwwwwwwwwwwww
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:20:53.11 ID:01k428tDO
待ってた、保守援
保守か支援か微妙なタイミング…ゴクリ
乙
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
乙