1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
特別に可愛いのは他の誰でもない、普通だと思う
にこにこ微笑んでくれたらもう俺死んでもいい
なぜに普通の人気が普通以下なのか理解できん
しらないかみさま ぼくらはいのらない
2 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 21:52:27.42 ID:I9wZZQiB0
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 21:53:31.91 ID:0faL16BdO
きてたー
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 21:54:17.53 ID:tw+OJ90y0
ktkr!乙です
5 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 21:54:42.71 ID:I9wZZQiB0
喉元を掴んだあの時、確かだがペニサスは違和感を感じていた。
実体はあった。体温もあった。
呼吸をする、喉仏の動きもあった。
だが、存在が無いような気がしたのだ。
しかし目の前でぶっ倒れているヒッキーの下半身。
焼けて鼻をつくような、賎しい肉の臭い。
('、`*川 「分身……。いえ、違うわ」
(-_-)「ふっ。ふふっ。二人目の僕だよ……ふふ」
('、`*川 「――気色の悪い声。あなたの全て、癇に障る……わッ!!!」
右腕を天井にかざし、魔力を放つ。
するとヒッキーの頭上から大きく、太い氷柱が勢いをつけて落ちてきたのだ。
ヒッキーはそれを鼻で笑うかのようにひょいと右側に避ける。
先ほどまで暑かった部屋が、一気に肌寒くなったのを、ミルナはよく覚えていた。
6 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 21:57:45.34 ID:I9wZZQiB0
(;゚д゚ )「……ペニサスさん!!大丈夫なんですか!?」
('、`*;川 「た、多分……。とにかく、今はブーンをここから引っ張り出して!!」
(-_-)「おっと、そうはいかないよ……。ママに見せたいのは……、
その男……なんていったっけ?そう、ブーンだ……ブーンを殺すところなんだから」
また指を鳴らす。
この男、何をしているのか掴ませない。
魔術の反応さえも、魔術書も大して見えない、使わないのだから。
(;^ω^)「おっ……はぁ、はぁ…っぐぅ!!!!」
( ゚д゚ )「……なんだ、この黒いの……?」
ブーンの体を見た、ミルナは戸惑う。
その場で倒れているブーンの体を、黒い何か、床から生えている黒い何かが抱きしめるようにしているからだ。
それも力は強く、ギリギリと音を鳴らしながら未だに締め付けている。
7 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 21:59:20.00 ID:I9wZZQiB0
なんか罰当たるような事やったのかな……。
ものすごい勢いで書き込み失敗って言われる。
8 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:01:30.21 ID:I9wZZQiB0
すぐにその黒い何かを掴み、振りほどこうとするが、強烈な力が働いていてはずす事が出来ない。
ブーンも何かを伝えようと口をパクパクしているが、締め付けられているその力でろくに喋れもしていなかった。
(;゚д゚ )「だ、駄目だ。少しだけ、少しだけなら動く。
でもこんなの人間の腕力じゃあ外しきれないよ……!!」
('、`*川 「……時間はそう、無いみたいね」
(-_-)「さあ、おいでよ……。君……、そんなに魔術を使いこなせて…無いみたいだね」
腕輪を見て、ヒッキーは言う。
('、`*川 「うるさいわよ」
(-_-)「才能が……魔術師の全てだって事、教えてあげるよ……!!」
初めて、ヒッキーがホルスターの魔術書を取り出し、構える。
何が出てくるのか、全ての可能性が広すぎて、ペニサスは防御策も取れない。
9 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:03:27.48 ID:I9wZZQiB0
魔術師同士の戦闘の場合、やはり初撃が重要となる。
何をしてくるのかわからないのであるから、何を出しても大体当てることが出来る、そういう答えに繋がるのだ。
しかしペニサスは外してしまった。
自分が"赤"である事をばらしてしまった。
自分が魔術師見習いである事を、腕輪によってばらしてしまった。
('、`*;川 「……くる!?」
(-_-)「ブーンの前に……まずは君からだ!!!」
魔術書が怪しく光り、紫色をした波動がヒッキーを包みだしたのだ。
その波動は徐々に手に集まり、指に集まり……。
指先五本、全てに波動が凝縮されていく。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:05:05.19 ID:0faL16BdO
がんばれ
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:05:19.51 ID:Olx5oUolO
いつも楽しみにみてますよー
12 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:05:36.89 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「ママ!!!見ていて!!!」
手をとんがらせ、一気に押し出す。
すると光線のように波動が飛び出し、ペニサスを襲った。
('、`*;川 「……一々ママママうるさいいの!!!!よぉ!!!!!!」
波動を迎え撃つかのように雷鳴を放つ。
腕輪は激しく光り、ペニサスもその勢いの反動で後ろへ大きく吹き飛んだ。
雷鳴は波動を裂き、二股に分かれたまま部屋の壁へと激突する。
そしてそのままヒッキーに直撃したのだ。
13 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:06:48.83 ID:I9wZZQiB0
(;-_-)「あ……が、ふ……。な、なんで……?」
尻餅をついたペニサスを見ながら、全身焼けてしまったヒッキーは言った。
肌と衣服がベッタリ焼け付き、痛みで涙を流しながら倒れる。
そして息絶えたが、その死骸に皹が入り、魔法陣が現れた。
('、`*川 「……だんだん、わかってきた。あなたの魔術」
そう、後ろを少しだけ振り返り、ペニサスは言う。
すると魔法陣からずるずると、ヒッキーが産声をあげずに誕生する。
先程とは違い、羽化をするかのようにだ。
14 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:07:32.01 ID:I9wZZQiB0
全裸で。
15 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:08:39.35 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「三人目、ハッピーバースディ……僕」
(;゚д゚ )「……なんなんですか、アレは」
そう、ヒッキーは全裸だった。
てらてらと体は光っているが、貧相で、何もかも貧相で見てはいられなかった。
('、`*;川 「ってやっぱり勘弁して!!!」
(;゚д゚ )「へ、変態だ……!!!変態だぁぁ!!!」
目を手で隠し、頬を赤らめるペニサス。
ミルナはなぜかそれを変態だ、と言いながらもマジマジと見ていた。興味でもあったのだろうか。
(;-_-)「ちょ、ちょっと待ってよ!!君が……君が急に雷を撃つからこうなったんじゃないか!!」
('、`*;川「早く服を着てよ!!変態!!」
( ゚д゚ )「そ、そうだそうだ……!!」
(*゚д゚ )「……そうだそうだ!!」
16 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:10:59.64 ID:I9wZZQiB0
やっぱりマジマジと見るミルナ。
ヒッキーは視線を感じていたが、忘れようと必死になっていた。
(;-_-)「じ、じゃあ服を着るから少し待っていなよ!!
全く……ママ。他の奴らは皆自分勝手だ!!」
ぼやきながらベッドの隣にあるクローゼットを開き、
マントの代わりの茶色い色をしたローブを着、足にホルスターを取り付け、魔術書を入れる。
そしてフードを被り、またぼやきながらペニサス達の前へとやってきた。
('、`*;川 「変態は一味違うのね」
(;-_-)「……。もう……変態扱いなんてさせないよ……」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:12:29.04 ID:sIaPOyIpO
支援
18 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:13:58.88 ID:I9wZZQiB0
('、`*川 「……次はこっちから!!」
高速の雷の矢が、不規則軌道で数本射出される。
矢はヒッキーの周囲をカクカクと曲がりながら飛び回り、いつ襲い掛かるか、それを探るように飛び交っていた。
ヒッキーはその場で様子を伺う。
(-_-)「1,2……、5……7。7本も同時に矢を出して……操っている?
さっきからの……魔術と比べて高等……、でも、大したこと無いね!!」
手を広げ、魔力を集中させる。
今もヒッキーの頭上、背後、側面を飛び交う矢を捕らえるように手をゆっくりと動かし……、補足を完了させる。
ペニサスの頭の中に描かれた不規則軌道を捉える。決して逃がさぬよう、捕らえ漏らさぬよう。
('、`*;川 「いっけえぇぇ!!!!」
(-_-)「……予想通り、予想通り、予想通り、誤差範囲、誤差範囲、予想通り!!!」
全てを先程の波動で打ち消していく。
一言、一言がその通りといわんばかり。ヒッキーは天才なのだから。
19 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:17:14.56 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「少し、少しずつ楽しくなってきたよ!!
ママ……こいつは、こいつはここに倒れているブーンとやらより……、
ブーンとやらより、ずっと強いのかもしれない!!強いのかも……いや、強い!!
間違いないよ!!!でも駄目。もう、次で決着はつくんだからね!!」
ペニサスは異変に少し遅れて気づく。
影が、自分の体を伝ってきているのだ。気づいたころにはもう足は動かず、先程と同じような状況になっていた。
(-_-)「もう一度、僕の……僕の攻撃を受けてみて!!!」
('、`*川 「……」
しかし落ち着いている、ペニサス。
ヒッキーは、その表情をペニサスの苦し紛れの虚勢だと判断した。今この状況、一発入れられれば勝ちなのだから。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:18:41.96 ID:1SSomtbYO
ほ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:20:06.16 ID:dcWo6t2nO
しえん
22 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:20:54.20 ID:I9wZZQiB0
そういう状況なのだ。
妥協はしない。
手は抜かない。
同情などしない。
優しさなどいらない。
乗っている。
今乗っているこの状況を逃す事はヒッキーには出来なかった。
(-_-)「体……顔!!綺麗なままじゃ済まないよ!!覚悟して!!!」
思い切り両手を後ろにし、魔力を溜める。
ヒッキーの才能全てがつめられた、懇親の一撃。
それが今、放たれた。
三日月のような形を描き、一直線に動けないペニサスへと飛んでいく。
ミルナもその光景を見ていた。
だが、自分にはどうしようもない。
ただ、目の前で苦しんでいるブーンのこの呪縛をなんとかして解かなければいけない。
(;゚д゚ )「……ペニサスさん!!!!お願い、避けて下さい!!!!」
祈るだけ。願うだけ。
23 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:22:40.82 ID:I9wZZQiB0
瘴気が部屋を包み込む。
当たれば、即死だろう。
だが、ペニサスは笑っていた。
それも、クスクスと……。
('、`*川 「……駄目、我慢してたけど……ふふっ。ごめんなさいね」
(;-_-)「……っ!!」
波動が飛んできているというのに、余裕綽々といったところであろうか。
ペニサスはヒッキーの頭上を指差す。
('、`*川 「あなた……、根から卑屈なんでしょうね」
(;-_-)「……死ぬからって、そんな強が……!?」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:24:12.21 ID:KRsPNA870
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:24:34.56 ID:dcWo6t2nO
がんばれー支援
26 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:27:57.29 ID:I9wZZQiB0
('、`*川 「たまには、上を向いて生きなさいよ」
ペニサスは、罠を仕掛けていた。
一気に焦りが、ヒッキーに生まれていた。
何がそこまで焦らせるのか、上を向いたヒッキーの頭上には魔法陣が矢の軌道で描かれていたからである。
魔術を学んだ者なら一度でも見た事があるだろう"雷鳴"の魔法陣。
(;-_-)「ち、ちょっと待ってよ……。そんなの……!!そんなの、気づかなかったぞ!!!!
上に……。上にそんなのがあるなんて気づかなかった!!いや……無かった!!」
( ゚д゚ )「……すごい」
('、`*川 「三人目、短い生涯だったわね……」
(;-_-)「……まだ、まだ最後のh」
手を振り下ろした瞬間。
雷鳴が、天井から降り注いだ。
細かい雷が、まるで雨のようにヒッキーへと突き刺さっていく。
轟音、閃光。ミルナにはこの光景が、世界の始まりのように見えた。
先程の爆発で起こした穴よりも、はるかに大きく、焼け跡が周囲にまで飛び散っている。
波動は消え、ペニサスの瞳は輝く。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:29:17.78 ID:QRGs9qfMO
支援
28 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:32:01.84 ID:I9wZZQiB0
雲消霧散。
無影無踪。
二つの穴だけを残し、しかし残骸は残さない。
( ゚д゚ )「……や、やったんですか?」
('、`*川 「まだ……みたい。ほら、ミルナ君。ブーンの体を締め付けてるそれ」
ブーンはもう、気を失っていた。
しかしどうにもする事が出来ない。早くヒッキーを倒し、これを解かなければ本当にブーンは息絶えてしまうやもしれない。
(;゚д゚ )「じゃあまだどこかに……?」
('、`*川 「……どうかしら」
29 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:35:50.88 ID:I9wZZQiB0
――――
駄目だよ、ママ。
僕……、あれだけ倒す機会があったのに、倒せなかった。
弱音なんて吐きたくないけど、負けたくないけど、さっき言われたんだ……。
さっき言われたんだ、上を向いて生きろって……。
それが、僕の胸を突き刺すんだ……何度も、何度も何度も。
どうすればいいの?
ママ……。
……?
ママ?
あ、あれ……。
ママがいない!?
ママ!!!
ま……。
(;-_-)『……なんだよ、これ。何なんだ……これ』
30 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:37:30.75 ID:I9wZZQiB0
――――
―――
――
『君はぁ、名前。なんて言うんだい?』
『……僕ですか?なんで……、なんで僕の名前なんか』
『いやぁ、君。いい魔力がある。実にいい魔力だ。それにお兄さんは、惹かれちゃってねぇ』
『……。僕、僕の名前はヒッキーです』
『ヒッキー、いい名前だ。魔術師らしい……、屈託の無い、いい名前だぁ』
なんだろう……これ。
記憶……?こんな場面、知らない。でも、今喋っているのは、僕だ……。
小さい頃の……僕。
苛められて……期待されていた頃の僕。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:40:00.63 ID:tw+OJ90y0
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:40:51.68 ID:dcWo6t2nO
支援なんだぜ
33 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:42:26.98 ID:I9wZZQiB0
喋っているのは誰?
顔は見えない……。
厭味ったらしい、声。
『君は、ママ。好きかい?』
『も、もちろん!!僕はママが好きだよ!!
パパがいなくなっちゃってから、僕を、ママは一生懸命、こうやって育ててくれてるんだ!』
そうだ。
ママ……ママがいなくなったんだ。
でも、ここがどこかもわからない。
どうしよう。意識が溶けていく……みた……いだ。
小さな……ぼ、くに……。
(-_-)『えっとね!!ママは偉い魔術師さんの元で修行をしてね!それでパパも偉い魔術師さんでね!!』
( ∀ )『いやぁ、もう、いいよヒッキー君』
(-_-)『え……?なにが?』
( ∀ )『いやぁ、何でも無いよ。早くお家に帰りなさい。もう、日が暮れる』
34 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:43:53.30 ID:I9wZZQiB0
――――
―――
――
……。
…………。
見たく、無かった。
忘れようとしていた事を忘れていた。
思い出してしまった。
見たく、無かった……。
(-_-)『……何?どうしたの?ねえ!!どうしたのおじさん!!おばさん!!』
燃え盛る、ママがいた家。
見たく無かった。
『……ヒッキー。君の母さんが……』
人間によって、家が襲われた。
お金が欲しいなら、言ってくれと、叫んだ。
ママは、辱めを受け、殺された。
そう……ママはあの頃からいなかったんだ。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:46:07.62 ID:D8TZVEZV0
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:46:09.97 ID:dcWo6t2nO
支援
37 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:49:17.72 ID:I9wZZQiB0
(; _ )『……嘘だ。嘘だよ!!!そんなの!!!ママは!!!ママは家で……。
今夜は……、シチューを作ってくれるって言ってた……。作ってぐれ゛る゛っで!!!』
僕はそれから、一人になっていたんだ。
でもなぜ今?今、僕はこんな辛い記憶を思い出しているの?
なぜ、思い出さなければいけないの?
人間が憎い。憎い憎い憎い!!!!!
憎い!!!!
( ・∀・)『……お母さんを、失ったそうだね。可哀想に……。君にママを、あげようか?』
――――
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:49:29.94 ID:sIaPOyIpO
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:50:37.54 ID:dcWo6t2nO
支援
40 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:51:45.34 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「……お前、人間だろ」
ミルナのすぐ後ろから、ヒッキーは現れる。
誰も知る事の無い過去。秘密。それを全て知った男が、男の後ろに現れた。
(;゚д゚ )「……え?」
背中に押し当てられたヒッキーの右腕から飛び出た爪が伸びたような形状をした波動が、ミルナの体を貫いた。
訳のわからぬまま、口から血を噴出し、膝をガクつかせる。
突き刺したまま、ヒッキーはミルナの体を持ち上げ、放り投げる。
とっさにペニサスが火炎を放ったがヒッキーは影のようにふわりと消えてしまった。
床に血を撒き散らしながら、ミルナはゴロゴロと転がり、床にぶつかる。
41 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:52:44.94 ID:I9wZZQiB0
('、`*;川 「……ミルナ君!?」
(-_-)「お前、魔術師だろ」
そしてまた突然、ヒッキーは現れる。
死角に的確に、そして、気づけば傷跡が出来ている程の速度で。
ペニサスの右肩に突き刺さっていた波動。
焼けるような、噛み付かれたような不快感、痛みが同時に襲ってきた。
声をあげ、痛がるペニサスに追い討ちをかけるようにヒッキーは思い切り、腹を蹴り上げた。
( 、 *川 「……ぐぅっ!!!」
(-_-)「ママは……こんなものじゃなかったんだ……。陵辱されて……、それでも生きようとして……、
抵抗して……、そして、人間共に殺された。守ってくれなかった街の魔術師も……同罪なんだ!!!」
髪を掴み、ペニサスの唇を奪わんかの如く顔を寄せる。
なめるような視線。吐き気を覚えたペニサスは、キッとヒッキーの顔を睨んだ。
42 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 22:54:43.95 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「君は……力でねじ伏せられて……、体を好きなように弄ばれて、殺される。
その辛さ……。わかるの?わかるなら……教えて欲しい。わからないなら……」
('、`*川 「……離してよ。気持ち悪い」
(-_-)「……知らないんだね。じゃあ、僕がしてあげるよ……、たっぷり、しっかりとね……。
それで君は言うんだ……。許して下さい、殺さないで……、って。でも僕は許さない。
ちゃんと、教えてもらわないといけないから……、犯されて、殺されるその心境、感覚……」
('、`*#川 「離してって言ってるでしょ!!!」
(-_-)「……駄目」
影がペニサスの体を縛り上げる。
そして壁に組み込まれるようにして貼り付けられると、ヒッキーはケラケラと笑った。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:57:02.70 ID:1YhWeX0a0
はじめて出会ったw支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 22:57:08.67 ID:dcWo6t2nO
支援支援
45 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:01:29.24 ID:I9wZZQiB0
(-_-)「……これが終われば……、次はここの街全員だ。
女、子供、男。皆、皆僕のママを助け無かった償いをさせてやる……」
('、`*川 「……狂ってるわ。アナタ」
(-_-)「どうとでも……言えばいいさ。まず、君を殺す前に、この二人を殺さなきゃいけないみたいだね……。
そっちの人間、ここの魔術師。もう、息絶え絶え……でも、殺すなら……、確実に。屈辱的に」
完全に線が切れてしまっているヒッキー。
意識の無いブーンの緊縛を解き、風圧を起こしブーンをめくりあげる。
ゴロゴロと床を転がり、ブーンは苦しそうな声をあげながら意識を取り戻した。
(; ω )「……お、ぐ。ふ……い、痛ぇお」
(-_-)「君は……この女より戦えもしない屑さ。その痛みももうすぐ消えるよ」
('、`*;川「……つ。取れない!!!ブーン!!!」
( д )「……」
危機。
この二文字が、一番シンプル。かつ、適切であった。
どうすればいい?どうすれば誰も死なずにこいつを殺せる?ペニサスは考える。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:02:50.99 ID:dcWo6t2nO
支援
47 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:04:08.49 ID:I9wZZQiB0
しかし、動かない体。魔力の無い魔術師。腹を貫かれ、瀕死の人間。
絶望的――。
絶望的であった。
(-_-)「……今、今気づいたよ。君の……その棺桶。それに入ってるんだろう?
双子と戦った奴が……。おかしいと思ってたよ。だって一人いなかったんだからね」
一歩、また一歩ブーンに近づく。
ブーンはそれから逃げようとして、ベッドの近くまで這いずり移動する。
(;^ω^)「はっ……!!はっ……!!」
(-_-)「ネクロマンシー……そう。そんな重たいもの担いで、這いずり回って疲れてるでしょ……?」
何かが千切れるような音。そしてブーンの悲鳴。
右足首に深く、鋭い波動が突き刺さっていた。あの音は、おそらく腱が切れた音。
48 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:06:55.59 ID:I9wZZQiB0
(; ω )「……ぁああっぐぅ!!!!!」
(-_-)「逃がさない」
そして、もう一度。
次は左足首へ。突き刺さる、突き刺さる。
その度に響く声。嗚咽。
ペニサスは見ていられなかった。涙で前が滲む。
( 、 *川 「……もう、もう……止めて……」
(#-_-)「……だぁま!!!ってろよ!!!!!この!!!糞!!!女!!!!の!!!くせに!!!」
壁から黒い手を模した影が現れ、ペニサスの口を押さえつける。
(;-_-)「ふーっ……フーッ!!!だ、黙って……見てればいいんだよ」
精神的な幼さが、こうさせるのか。
ヒッキーに罪悪感は見られず、己の怒り、欲望、その全てを一気に満たそうとしているようにも見えた。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:07:23.76 ID:QRGs9qfMO
支援
50 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:10:20.31 ID:I9wZZQiB0
そしてブーン。
悲鳴しか言えず、体全体にぬめりを帯びた汗をかき、それでも何とかして逃げようとしているのか。
手だけで体を引っ張り、這いずっていく。
その先にはベッドしかない。
そしてその後ろには、絶望しかない。
しかし、ブーンは前を見ていた。
ヒッキーの手から、また波動が伸び、ブーンの首下を掴みあげる。
ギリギリと絞まっていく首筋。喉を鳴らし、ぜえぜえと呼吸しながら、ブーンはヒッキーを見た。
(; ω )「……ぁ。うぅ……、み゛……」
(-_-)「もう、終わりだよ魔術師ブーン……、君は……ここで、死ぬんだ。もし天国があれば……、
ママに、愛してると伝えておいて……。身勝手だね……身勝手だね、僕は。でも、反省しない」
貼り付けられているペニサスの方向を見て、ヒッキーは見せ付けるようにブーンの体を向ける。
しかしペニサスは眼をそらそうとせず、強がるそぶりを見せた。
どこか、自分が仲間はずれにあっているような感覚に陥る。
もともと、馴れ合う様な間柄でも無い。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:12:09.27 ID:dcWo6t2nO
支援
52 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:12:38.39 ID:I9wZZQiB0
しかしママという存在がいないという事に気づいた今、どうしようも無い虚無感が、ヒッキーを締め付けた。
だからそれを紛らわす。
(; ω )「……かは!!ぐ……っつ、く……」
締め付けられた心を忘れるように、ブーンの首を締め付ける。
そして心を閉めつける。
一抹の不安を忘れられるように始末をつける。
この男を始末する。
(;-_-)「……終わりぃぃ!!!!」
53 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:14:30.83 ID:I9wZZQiB0
……しかし終わらない。
(;^ω^)「げほっ!!!!……ぐえぇ、げほっげほっ!!!」
もどかしかった。
なぜ、決着がつかない。
己の影で造った波動が千切れているのを見て、そう思ったのだ。
(;-_-)「……何だ。何が、何が起きたんだ?」
ブーンは地面に転がり、必死に呼吸をする。
周りには誰もいない。戦える者が。
すると、ヒッキーの肌に一陣の風が吹いた。
それは皮膚だけでは無く、一瞬で右腕を持っていく。
(;-_-)「う……!?うあわぁあぁああ!!!!」
勢いよく噴出す血。あるものが無くなった感覚。
ヒッキーは混乱する。
睨むように入り口を見る。
そこにいたのは、オトジャであった。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:16:03.03 ID:kKcr2VwbO
支援
55 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:16:49.34 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「……。ヒッキー、お前は、可哀想な者なのだ」
あり得もしない展開に、皆驚きを隠せない。
なぜ三剣頭が、いや、形式的とはいえ、自分の部下が今己の腕を切り落としたのか……、理解しようが無い。
震える声で、オトジャに真意を尋ねるヒッキー。
しかし答えがオトジャの口から出る事は無く、もう一度撃たんとせんばかりに斧を構える。
('、`*;川 「な、何が起こってるのよ……」
(;^ω^)「……い、ま、内に……」
ずり、ずりとミルナに這いずり寄るブーン。
頬を軽く叩き、痛みによって気絶しているミルナを起こすと、ベッドの隣に置いてある一冊の本を指差した。
56 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:18:19.89 ID:I9wZZQiB0
ブーンは喉がつぶれてしまっていて、うまく話せない。
しかし指をさした場所、そしてその熱気のようなものは、ミルナに意味をわからせるのに十分であった。
(;゚д゚ )「……あ、あれ……あれがそうなんだね!?」
痛む腹を押さえながら、よろよろと立ち上がり、本を手に取ろうと近づく。
ヒッキーはそんな事よりも、今目の前のオトジャの裏切り、右腕の激烈な痛みに耐える事に必死になる。
(#-_-)「お、お前ぇぇ!!!もう一度、それ、それ、それを撃ってみろ……!!!
さっき兄貴を殺せたのに、生かしておいてやった恩も何もかも……忘れて、撃ってみろ……!!!」
(´<_` )「もういい……。お前は、ここから出る事も出来ない。出生から、今までの話は聞いた。
生きていルには辛すぎる。その心を、せめて三剣頭の私が……、解放する」
再度射出される風。
暴風は床を砕きながら進み、ヒッキーの体めがけて一直線に進む。
しかしヒッキーは影を駆使し高く跳ね上がり、かわす。
57 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:20:18.68 ID:I9wZZQiB0
それでも近くをかすめただけで足は細かな切り傷だらけになり、砕け、バラバラになった床に鮮血が飛び散った。
中空から見えた、自分の腕を見るとヒッキーは涙を流し、そして更に怒る。
(#-_-)「お前にぃぃ!!!お前に、お前なんかに、お前如きに、僕の何がわかるんだよ!!
僕だって……今、今思い出したんだ!!訳のわからない魔術師に埋め込まれた仮初の記憶……。
そんなもの!!そんなもの、いらないんだよ!!!糞!!糞食らえ!!!こんなもの!!」
影を引き連れて、オトジャに突進する。
それを受け止めるようにオトジャは待ち構えた。
ヒッキーの影を、オトジャは全て受け止め、力の押し合い状態に縺れ込む。
(#-_-)「死ねっ!!死ねっ!!!死ね死ね!!!」
いきり立つヒッキーとは対照的に、全くの余裕の表情を浮かべたオトジャが、一言。
顔を近づけ、ヒッキーの耳元でこっそりと言った。
58 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:22:57.02 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「……与えられた力。それを履き違えたお前の始末だ。
力を頂いたお前。この街を裏側で統治する使命。全て、全てなっていない」
(#-_-)「力だって!?そんなもの、僕は生まれるべくして持っていた物!!
お前達みたいな人間とは違う!!凡人とは違う!!!僕は……天才なんだ!!!ママ!!!」
(´<_` )「勘違い、していルようだな。お前に力を与えたノは、我々だ」
(#-_-)「意味が……よくわからないね!!!このまま一気に押しつぶしてやる……!!影になってしまえ!!!」
ズズズ……。
音を立てて、影が床へと減り込んでいく。
建物は震えて崩れそうな程、そして部屋は地獄のような光景へとなる。
('、`*;川 「……あいつ、こんなに強かったの!?床が崩れる……!!」
(;^ω^)「……み……な!!!ぁ……はや……く!!!」
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:22:53.85 ID:vSzbVSibO
し
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:23:52.79 ID:vSzbVSibO
しえ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:24:17.48 ID:vSzbVSibO
しえん
62 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:25:20.43 ID:I9wZZQiB0
まるで地震。
足元も覚束ない状況で、痛む腹。そして追い討ちのようにやってくる賊にやられた時の肩の刺し傷。
血が滲み、本当なら泣いてしまっているだろう自分を、どうにかして言い聞かせ、誤魔化し、はぐらかして進む。
ブーンが指差していたのは、対となる体を与える書。
今持っている書が心そのものであるなら、体そのものと合わせることにより何が生じるのであろうか?
不安。そして、好機が見えるかもしれない、といった期待が少しずつ入り混じった表情。
ミルナは少し霞む視界のまま、右手に心を、左手に体を持った――。
(;゚д゚ )「何だこれ……。頭に言葉が……流れ込んで……来ます」
魔力に似た力が、ミルナの頭の中へと吸い込まれていく。
何が起こっているのかはわからない。しかし、確実に変化が起きていること。それだけは紛れも無い事実。
ミルナの体の中に、何かが生まれていく――。
63 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:26:57.26 ID:I9wZZQiB0
そして、その光景をヒッキーはチラリと見てしまった。
力をぶつけあっている最中であったが、思わず声をあげる。
(;-_-)「……お前!!それ、か……母さんの形見に……触るなぁ!!!!」
(´<_` )「……」
勢いでオトジャを弾き飛ばし、そのまま反動で一気にミルナへと飛んでいくヒッキー。
(;゚д゚ )「え、あ……うわ。ちょ、ちょっと……こ、来ないで!!危ないから!!!」
(;-_-)「……!!!」
体が勝手に動いたのだ。
いや、頭がそう命令したから動いた、といえば正しいのだろうか。
それが必然である行動なのには間違いは無かった。
しかし、頭で命じた事から、体が動くまでの時間が、極端に短くなっていた。
64 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:28:55.76 ID:I9wZZQiB0
ヒッキーの波動をその右手で掴み、ヒッキーの体をその左手で止めていた。
自制は利いた。それでも、なんとか、という程である。
(;-_-)「……お前、その書……!!心をどこで……それは……!!
パパ……。パパはまだ生きていた。これを託して……僕のものだったのに!!!」
(;゚д゚ )「パ……パ?」
(;-_-)「そうさ……僕のパパ、そしてママが編み出した書……。そして僕が成人した時、
僕にくれるはずだった書!!なのになぜ……。なぜお前が……、僕のパパ。ゼア……」
ヒッキーの動きが止まる。
急に、力を無くした体はその場に倒れた。
仕留めたのは、ミルナでは無く、先程吹き飛ばされていたオトジャが、手斧を投げたから。
深々と、心臓を後ろから真っ二つに。斧の刃はヒッキーの体を貫通していた。
何も言わず、何も言えず。即死。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:28:59.65 ID:QRGs9qfMO
支援
66 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:31:27.14 ID:I9wZZQiB0
同時に、ペニサスの緊縛も解け、地面に尻餅をつく。
お尻を摩りながらも、ペニサスは言った。
('、`*川 「……ミルナ君。まだ、まだ安心しちゃ駄目」
(;゚д゚ )「わ、わかっています。でも、あの人……」
ミルナの視線の先には、斧を構えた男が一人……のはずであった。
一人である。一人には間違いない。
しかし何か、複数人いるような気がするのだ。
(´<_` )「……この体でいけルか?あれくらいなら……。
いや、手は抜かずニ。それはそうだと言えるが……」
重いはずの甲冑を無視するかのように、オトジャは駆け足で距離をつめてくるのだ。
ミルナはどうしていいかもわからず、ただ、自分の体の中に溶け込んでいく二つの書を見ているしかなかった。
自分の体が侵食されているのだが、どこか恐怖感は無く、何か新しいものが、視点が得られるような気がした。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:33:06.35 ID:iG8n4IKU0
支援
68 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:33:25.06 ID:I9wZZQiB0
(;゚д゚ )「こ、来ないで下さい!!!」
(´<_` )「もう体内にトりこまれはじめられている。失うのは支障がうまれるぞ。
なら今の内にヤるしかあるまい?そうだ。そうだな」
('、`*川 「体、どうなっているの?何か変わった事、感覚……。何かあるはずよ」
( ゚д゚ )「わかりません……。でも、体が……すごく、熱い……」
二人が話しているその途中。
オトジャがまるで昆虫のように跳ね、ミルナとの距離を詰めてきた。
ミルナは丸腰。オトジャはリーチのある戦斧を扱っている。
このままでいけば、オトジャが有利な事は誰もがわかる事であった。
(´<_` )「断罪。断罪断罪断罪」
(;゚д゚ )「僕は……咎人なんかじゃありませんっ!!!!」
思い切り、薙がれた刃を手のひらで受け止めるミルナ。
まるで皮膚が岩石、いや、それ以上の鉱石にでもなったかのように硬質化していた。
69 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:35:48.78 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「受け止めた。まだ弱い。断罪断罪」
腕ずくでミルナの手から斧をひっぺがすと、次は頭部目掛けて振り下ろされた。
しかしそれも左腕で防ぎきる。ミルナの足元には皹が入り、床が砕け散る。
('、`*川 「……自己強化の魔術?でも、あんなに強力な……。
って、そんな事考えてる暇は無いわ!ミルナ君!!今すぐそこから下がって、伏せて!!」
(;゚д゚ )「へ?は、はい!!!」
急いで下がるミルナ。
それと同時にペニサスは手を床におき、詠唱を行った。
('、`*川 「……限定空間の重力を壊すわ!!!」
砕け、転がっているだけの床の破片が一斉に浮き、くるりと回りオトジャの元を向く。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:38:38.23 ID:QRGs9qfMO
支援
71 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:39:07.51 ID:I9wZZQiB0
(´<_` )「小石など効かぬ。小細工など。断罪断罪」
斧を器用に回し、全て受け止め弾く。
土煙が舞うが、それさえも斧の旋風によってかき消した。
('、`*川 「でも、時間を食ったわね、あなた」
( ゚д゚ )「すごいですね……。頭が勝手に構えを覚えてる」
オトジャの死角、腰を捻り、足を思い切り地面につき立て、拳を針のようにしたミルナがいた。
その針は正面オトジャの腹部の方を向き、もう止める事は出来ない。
(´<_` )「避けられない。断罪、だんz」
( ゚д゚ )「どおおおりゃああああ!!!!!」
思い切り、思い切り叩き込んだ。
これが、心と体の力なのだろうか?
きりもみ状に吹き飛び、部屋の扉を巻き込みながら壁へと激突するオトジャを見ながら、ミルナは震えた。
こんな力が、自分の中に出来た事に、恐怖を覚えた。
72 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:42:44.23 ID:I9wZZQiB0
( ゚д゚ )「……。これが魔術なんですか……?」
('、`*川 「わからない……。でもあなたの体に、魔力は見られないわ」
(;゚д゚ )「……!!ぶ、ブーン!!そういえばさっきから倒れたままで……」
('、`*川 「とにかく、ここから出ましょう。あの魔術師も死んだみたいだし、これ以上ここにいるのは危険だわ」
ミルナはブーンを背負い、棺桶を抱える。
すると、無茶な事を一言だけ、口に出した。
( ゚д゚ )「ペニサスさん。僕の腕に掴まってください。
下には兵士がいるでしょうし、ここから飛び降ります」
('、`*;川 「……。嫌」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:43:23.77 ID:QRGs9qfMO
しえんー
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:43:36.00 ID:vSzbVSibO
し
75 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:46:51.25 ID:I9wZZQiB0
( ゚д゚ )「え?すいません聞こえませんでした。さ、早く行きましょう!」
('、`*;川 「いいいい嫌だって言ってるでしょう!?高いトコ嫌いなのよ馬鹿!!」
(;゚д゚ )「そ、そんな事言ってる暇無いじゃ無いですか!!も、もう行きますよ!!」
('、`*;川 「ちょっと!!勘弁してよ!!え、うわ。うわわわわ!!ちょっともう本当に高いじゃないの!!」
ジタバタしているペニサスと棺桶を担ぎ、グッタリしているブーンを背負いながら、
ミルナは壊れた壁から覗く外の世界を見渡す。風が吹き込み、雨が降った後の湿気を吹き飛ばしてくれている。
月は輝き、自分の道を照らしてくれているように感じたのだ。
街の外壁にまで届きそうな気がしたので、少し控えめに距離を考える。
( ゚д゚ )「……捕まってて下さい!!!」
('、`*;川 「い……嫌ぁぁあぁぁぁ!!!!!」
飛び立つ。
外へと。
涙を流しながら叫び、ミルナの腕に爪を立ててしがみついているペニサス。
空気を体に羽織るように外壁近くの建物の屋根に着地した。
( ゚д゚ )「……飛べましたね。本当にこれは魔術じゃ無いんでしょうか……」
( 、 *川 「……」
(;゚д゚ )「き、気絶してる……。無茶しすぎたのかな……。
でも、壁を越えるまであと2回くらい飛ばなきゃならないから、静かでいいかも」
76 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:49:11.93 ID:I9wZZQiB0
――――
―――
――
壁に崩れるようにして減り込んでいたオトジャ。
あの一撃で腹部の鎧は吹き飛び、骨も何本か折れたようである。
( <_ )「……や、ラれてしまった。やられたみたイだな!!
やられてしまった。断罪断罪できない断罪できない」
顔を上にあげ、なにやら挙動不審な動きをする。
すると……、オトジャの口から、強引に小さな四体の人形が出てきたのだ。
77 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:50:24.66 ID:I9wZZQiB0
| ^o^ |「これは、だめだぞ!」
皆、同じ顔して、同じ服を着せられた人形。
各々が独立していたから、オトジャの言動がおかしかったのであろうか、その場所で会議のようなものを始めたのだ。
| ^o^ |「なぜ、だめだったか、かんがえよう!」
| ^o^ |「そんなの、ぶーむ、おまえがだめだったんだ!」
| ^o^ |「まて、おれいがいのおまえらさんにんがだめだったんだよ!!」
| ^o^ |「なんだと!おれいがいのおまえらさんにんとはだれのことだ!?」
| ^o^ |「ぶーむ、さんにんのことだよ!」
| ^o^ |「まて、おまえもぶーむじゃないか!おまえじゃないのか?だめだったのは!」
| ^o^ |「ちょっとまて、だれがだれのことをおこっているのかぜんぜんわからない!」
| ^o^ |「どういうことだ?みんなぶーむだぞ!?」
| ^o^ |「じゃあだれがいったいだめだったんだ?」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:51:33.17 ID:D8TZVEZV0
支援
79 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:52:38.62 ID:I9wZZQiB0
傍から聞いていると、精神が崩壊してしまいそうな会話。
なにやらそれも喧嘩に発展してしまったようで、収拾がつかなくなってきていた。
| ^o^ |「なんだと、じゃあだれがいちばんつよいかけんかできめるしかないだろ!」
| ^o^ |「そうだな、これまではちぇすとかだったしな。だとうだ!だとうだ!」
すると、その人形達を宥めるかのように女が一人闇から現れた。
すっと人形たちに近づき、一人ずつの頭を撫でていく。
lw´‐ _‐ノv「……皆よくやったよ。褒めてあげる」
| ^o^ |「ますたーのあねき!ますたーのあねきじゃないですか!」
lw´‐ _‐ノv「逃がしちゃったのは残念。でも、あの役立たずを消せたからいいの」
| ^o^ |「あれでよかったの?ますたーのあねき!!」
その女は深々と黒の帽子を被り、何か鞄のようなものを両手で重そうに持っていた。
髪は黒。長く、先で縮れるようになっている。瞳は紫。
lw´‐ _‐ノv「さあ、帰りましょう。この事、色々言わなきゃ駄目」
鞄を開くと、人形たちはその中に吸い込まれるようにして入っていく。
気づくと、魔術師自体もその場から消えていた……。
80 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:54:43.79 ID:I9wZZQiB0
……。
…………。
人気が一気に無くなった部屋。
その隅で、悔し涙を流す男。
(;-_-)「……くそう!!くそうくそう……!!!」
物語は、まだまだ終わらない。
( ^ω^)はネクロマンサーのようです 第10話『典型的天才転生転機教室』 完
81 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:55:47.10 ID:I9wZZQiB0
【10話版テンプレ1】
( ^ω^)ブーン。ミルナの書に興味を示し、そこから騒動に巻き込まれる。
しかし終始騒動を起こしているのはブーンである。現在、魔力切れによりダウン中。
('A`) ドクオ。兄弟と戦うも、決着はつかず。制約が実質的に緩和されたので幅が広がった。
現在、ブーンの魔力切れに伴い戦闘には出ることが出来ず。毒気はまだまだたっぷりとの事。
('、`*川 ペニサス。ブーンを追って樹海から出てくるも、即戦力としてブーンに取り込まれた悲しい巨乳。
一番悲惨な事になっている、所謂この話の被害者。そして巨乳。現在マジ切れしてヒッキーと交戦中。巨乳。
川 ゚ -゚) クー。プラス騎士団三剣頭の一人。ブーンと戦うも、変則的な応酬により翻弄され、毒花粉を浴びてしまう。
その為現在療養中。ヒッキーが魔術を嫌いになるきっかけだと語った。ちなみに、裸を見られる事に嫌な気分は感じないそうだ。
( ゚д゚ ) ミルナ。元々は大陸をぶらりぶらりと詩いながら歩く吟遊詩人。ちなみに、この世界での詩吟は和だけの物ではない。
何かの縁で心を与える書を手に入れてしまい、何かの縁で命を狙われ、何かの縁でブーンに助けてもらい、
何かの縁で驚異的な身体能力を手に入れてしまう。詳細は不明。すこし男性の裸に興味があるのかもしれない。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:56:26.27 ID:P7lFzUAh0
乙
83 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:57:12.48 ID:I9wZZQiB0
【10話版テンプレ2】
(-_-) ヒッキー。ブーンを敵と見做し、現在交戦中の魔術師。見えない『ママ』に愛情を抱いているようだ。
現在、魔術として確認されているものは少ないが、相手の手数を奪うものが得意と見ていい。
オトジャの斧で背中を貫かれるも、まだ生きていた。腕を一本失う。転生できる条件は現在不明。
( ´_ゝ`) アニジャ。プラス騎士団三剣頭の一人。高い誇り、そして清い忠誠をクーに誓い戦うも、
ドクオに結果的にそのプライドを破壊されてしまう。現在、神判堂にてクーを見張っている。
(´<_` ) オトジャ。プラス騎士団三剣頭の一人。アニジャとは違い、少し切れ者。
落ち着いているときはそうなのだが、一度怒るとガラッと変わってしまう。
詳細は不明であるが、斧を回転させて風を巻き起こす模様。三剣頭が皆こういった技を使うが、不明。
壊れた壁の修繕をしにいったはずだが、ブーム君に体をのっとられてしまっていた。現在意識不明。
| ^o^ | ぶーむ。なにやらちいさなにんぎょうのようなよにんぐみらしい!みわけがつかないのでわけがわからなくなることがおおい。
ますたーのあねき、というひとによってあつかわれているようだ。しょうさいはふめい。
lw´‐ _‐ノv 通称マスターの姉貴。詳細は不明。
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:57:36.57 ID:kKcr2VwbO
乙
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/17(土) 23:59:43.63 ID:P7lFzUAh0
86 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/17(土) 23:59:49.87 ID:I9wZZQiB0
とととという訳で10話も終了です。
なにやら正義最終話と被ってて鼻水噴出しましたが、こうタブをカチカチやりながら、投下しながら読んでいました。
自分の作品も、燃える要素を入れてみたいなぁと思ったりしました。
向こうでも言いましたが正義さん乙です。
10話を超えましたが、まだ物語が進んでない気がします。
とりあえずもうすぐでこのプラス編はおしまい。そこから流れるように物語は進むはずです。
あと、いつも言おうとして忘れているのですが、感想欄見させてもらっています。
ありがとうね、ありがとう。
質問等あればどうぞ。なにやら保持数が少なくなっているので不安ですが、落ちるまではちょくちょく見てます。
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:02:07.99 ID:octEz+qV0
乙乙乙!
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:05:27.17 ID:AOj0AVfz0
>>86 そういえばイメージ画像投下するって前言ってなかったっけ?
89 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/18(日) 00:06:29.03 ID:ZNVLWg+w0
>>88 読者さんに想像してもらうのが一番だという結論に至りました!
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:08:53.80 ID:IW0GRw1k0
参考にした設定や書籍とかはあるの?
91 :
◆Cy/9gwA.RE :2008/05/18(日) 00:11:19.93 ID:ZNVLWg+w0
>>90 特にありません。
ただ、駆動兵器を書いて、合作に飛び込んだあたりに思いついた設定、世界観です。
まあ頭の中で描いてるうちに色々変わっちゃうんですけど、ノルマだって最初はアニジャが幼女を犯して殺しまくるのをノルマにした話でした。
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,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
'r ´ ヽ、ン、
,'==iゝ、イ人レ/_ル==', i
i イi rr=-, r=;ァ ヽイ i | では次回まで、ゆっくり・・・
レリイ"  ̄ / | " .| .|、i .||
!Y! 'ー=‐' 「 !ノ i |
L.', 'ー=三=-' L」 ノ| .|l
| ||ヽ、 ,イ| ||イ| /!
レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
,.┴─、\ \/ヽ
/ \ ヽ / )/-/ヽ
/ | ノ┐/ ,.-/ ヽ
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| ヽ .| ( / l .|
'|, ノ ,,-,,.、-'" ̄`>ィ.| ).l´ /| |
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/ | // / ‐'" ノ | | ' -─ 、,-つつ-''"
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ヽ '" `ヽ、 、 ノ / / |
ヽ=─'''" \ ''‐- // /
ヽ、 /"´ _ _ ,,-、 _.、-=`ヽ/,.-= ヽ
\ | `ヽ 、 | ` ヽ 、 /`ヽ 、 / |// ||//´ |/
ヽ \|| `ヽ\| | `ヽ 、ヽ| `ヽ、\//
AA吹いたwwwwwwwwwwwwww
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/18(日) 00:20:53.11 ID:01k428tDO
待ってた、保守援
保守か支援か微妙なタイミング…ゴクリ
乙
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
乙