1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
FFのサボテンダー見てたらなんか思いついた。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:36:07.16 ID:BMIbrQJM0
プロローグ
僕が、僕という意識を持ち始めたのは、今から少しだけ前のこと。
気がついたら節穴のような瞳が出来ていて、そこから見える夜空は何よりも澄み切っていた。
幾千の星は瞬き、風はなだらかに吹き、それに乗った砂塵がぱらぱらと身に打ちつけ、僕は生まれて初めて感動というものを味わう。
神様は、いると思った。 あの青いヒカリが、僕を叩き起こしたあの日から。
一日ほど前には、足や腕も生えてきた… ような気もする。
その気になれば、蜃気楼の向こうで見るラクダみたいに、砂漠を歩ける… 恐らく。
┌| ∵|┘
僕は、サボテン。
名前は、まだない。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:37:43.65 ID:3N97FxfC0
支援。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:40:30.71 ID:BRae/6Xi0
支援
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:41:21.57 ID:BMIbrQJM0
第一話 蜃気楼の向こうには
( ∵)「…」
僕の目の前に広がる景色は、基本的には退屈だ。
セピアの砂の波。 うねりうねって、見渡すばかりに広がっている。
その向こうで、時々ターバンやラクダがぽつぽつと歩いていたりする。
( ∵)「暇だなぁ」
目が覚めて三日目の昼間。 僕は「声」というものも手に入れた。
これは中々面白い。 アタマの中で思っていることを、音にして表せる。
僕のはす向かいに佇むサボテンに僕はこう呟く。
( ∵)「…」
( ∵)「うらやましいだろう」
( ∵)「僕は君達なんかとは違うんだぞ」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:42:52.45 ID:BMIbrQJM0
「…」
( ∵)「…」
自慢をしたって、周りのサボテン達は何も応えちゃくれない。
当たり前のことだけど、僕はなんだか切なさを感じる。
切なさ… 感情というものの一つで、これもまた、素晴らしいものだ。
( ∵)「…」
( ∵)「退屈だなあ」
それが僕の口癖になっていた。
「声」を手に入れたのはつい最近のことなのに、もう癖が付くのは可笑しいと思う。
僕は腕を震わせて、朽ちたトゲトゲを足元に落とした。
風が吹く。 あっという間に僕の体の一部だったモノは、砂塵に覆われてしまった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:45:41.66 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「…」
このままでいいのだろうか? そんな一節がアタマを過ぎる。
…このままでいいと思う。
( ∵)「だって僕はただのサボテンなのだから」
いや、違う。僕は一味違うサボテンだ。
声も出るし頭もいいし、その気になれば、砂漠を歩き回れるかもしれない。
そんなサボテンとして生を受けたからには、何か大きいことをやらかしてみたい。
( ∵)「だけど僕は僕が生きている世界のことをさっぱり知らない…」
また風が吹いた。 砂塵の波が形を変えた。
なんとなく思うことは、いつまでもここにいちゃ何も変わらないということだ。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:47:12.94 ID:BMIbrQJM0
悩む僕をよそに、時間という概念は淡々と過ぎる。
僕の固いヒフがじりじりと熱くなる。 きっと太陽が真上に昇っている時刻なんだ。
( ∵)「…」
( ∵)「…」
( ∵)「…」
( ∵)「…おや?」
蜃気楼のめらめら。 その向こうに人影を見つけた。
いつものターバンではない。 白いマントを身に纏い、その足取りは覚束ない。
( ∵)「なんだろう、あれ」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:49:55.80 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「…大丈夫かな」
白い姿の歩みは、みるみるうちに遅くなっていく。
一歩一歩がとても重たそうだ。 「動く」ということはそんなに辛いことなのか?
ラクダやターバンを見る限りでは、そんなことはなさそうだが、
きっと個人差ってもんがあるんだろう。
一歩… また一歩… 足は砂を踏みしめて…
そして、一陣の風が僕の目の前で吹いたとき、その姿は地に倒れた。
( ∵)「倒れちゃった」
( ∵)「昼寝でもするのかな?」
起こしちゃマズイから、そっとしておこう。 僕は思った。
しかし、ラクダとターバン以外のこの砂漠への来訪者の出現に…
僕は胸の高鳴りを感じていた。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:51:41.46 ID:6zYx3B0+O
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:52:23.82 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「…」
( ∵)「よし」
( ∵)「行ってみよう」
好奇心は僕の身体を突き動かした。
僕は身体の下のほうに、目一杯力を入れる。
感覚 というものが分からない。 抜きさるように? 引き抜くように?
それらの言葉は、アタマの中にコトバとしてあるってだけで、 感覚が分からない。
そして、込めた力が一点を越えたとき――――
すぽん と、
小気味いい音がした。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:55:46.52 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「あ」
( ∵)「動ける!」
僕は砂場の上をぴょんぴょんと跳ねてみた。 砂とは、こんなに柔らかいものだったのか。
また一つ発見が増えた。 僕は二度、三度と跳ねた。
足元の砂が、地に落ちるたびに四方へと散った。
( ∵)「こいつは調子いいね」
( ∵)「じゃあ、行ってみよう」
「動く」 ということを覚えた僕は、さっそく白い姿を目指してヒョコヒョコ進むのであった。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:57:32.11 ID:Ckk8DNIpO
wktk
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 21:58:48.50 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「ふう」
( ∵)「動く って結構疲れるね」
僕と白い姿の距離は中々縮まらない。 時間も結構経っている。
しかし、あの人はピクリともその場を動かず、まるで布のぼろ切れみたいだ。
( ∵)「ふう…」
( ∵)「やっぱり昼寝してるのかな」
( ∵)「でも、砂漠で寝る人なんて珍しいよね」
( ∵)「いそげいそげ」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:01:38.47 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「着いたっ!」
幾多もの砂粒を蹴散らしながら、僕はようやく白装束の元へと辿りついた。
僕はフードの中の顔を覗く。
ξ;--)ξ「…」
( ∵)「…」
( ∵)「きれいだな」
それが率直な感想だった。「人」には男と女の二種類があるらしい。
この人は多分、女だ。
白くて柔らかそうな肌は、砂漠の褐色と相まって輝く。
長いまつ毛や、紅く厚い唇はすっかり渇ききり、耳に付けたピアスが、太陽の光に反射して煌く。
ξ )ξ「み… みず…」
( ∵)「?」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:04:13.75 ID:BMIbrQJM0
( ∵)「…」
ξ )ξ「…」
( ∵)「…」
ξ )ξ「…」
( ∵)「…」
ξ )ξ「誰か… そこに… いるの?」
( ∵)「!」
( ∵)「やっと返事してくれたね!」
( ∵)「うん、いるよ」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:06:33.19 ID:BMIbrQJM0
ξ )ξ「みずを… 水をください」
( ∵)「だからあっちにあるってばあ」
( ∵)「オアシスが見えないの?」
ξ )ξ「あのねぇ」
( ∵)「え?」
ξ )ξ「オアシスまで辿り着く体力がもうないから… 言ってんのよ…」
ξ )ξ「…」
また唇は動くのを止めた。 彼女の表情が、心なしか絶望の色を示していた。
僕は不思議な気分の中、一物の不安を抱える。 彼女はどうやら昼寝をしている訳ではないらしい。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:08:55.99 ID:1DdnNbsA0
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:09:20.13 ID:BMIbrQJM0
ξ )ξ「…」
ξ )ξ「あんた、もしかして、バカ?」
( ∵)「わかんない」
ξ )ξ「…」
ξ )ξ「水のあるところまで連れてって おねがい」
( ∵)「うん、わかった」
トゲで彼女の身体を刺さないように、布の端っこを引きずって、僕は進んだ。
セピアの砂の波。 うねりうねって、見渡すばかりに広がっている。
その向こうで、時々ターバンやラクダがぽつぽつと歩いていたりする。
たまに綺麗な女の人が倒れていたりする。 蜃気楼の向こうにオアシスがあったりする。
(つづく)
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:10:01.12 ID:BMIbrQJM0
ξ )ξ「…」
ξ )ξ「あんた、もしかして、バカ?」
( ∵)「わかんない」
ξ )ξ「…」
ξ )ξ「水のあるところまで連れてって おねがい」
( ∵)「うん、わかった」
トゲで彼女の身体を刺さないように、布の端っこを引きずって、僕は進んだ。
セピアの砂の波。 うねりうねって、見渡すばかりに広がっている。
その向こうで、時々ターバンやラクダがぽつぽつと歩いていたりする。
たまに綺麗な女の人が倒れていたりする。 蜃気楼の向こうにオアシスがあったりする。
(つづく)
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:10:55.89 ID:BMIbrQJM0
連投してしまった ごめんなそ
なんか今日VIP重くていらいらするー
5分くらいたったら二話投下するっす
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:12:50.53 ID:8qZC0VEQO
期待
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:16:57.04 ID:BMIbrQJM0
第二話 流れ星って信じる?
オアシスのある所はすぐに分かる。 緑の葉っぱは、褐色の砂漠でよく目立つ。
僕は泉の岸まで彼女を運び、疲れたので隣の砂地に身体をうずめた
┌| ∵|┘「…」
ξ )ξ「…」
彼女は弱弱しく上体を起こし、掌で水をすくってそれを少しずつ飲んでいく。
器用だなあ、ニンゲンってそういうトコがうらやましい と僕は思った。
ξ )ξ「ふう…」
一息をつき、彼女はしばらくその場にうずくまっていた。 背中は僕に向けたまま。
僕は「会話」というものがしてみたくて、たどたどしく声を出した。
( ∵)「落ち着いた?」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:19:10.18 ID:3N97FxfC0
寝れねぇー。支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:20:11.87 ID:BMIbrQJM0
ξ゚听)ξ「ええ、ありがと…」
ξ;゚听)ξ「はぁ?」
こちらを振り返った彼女は、驚きを含んだ表情で僕を見た。
( ∵)「こんにちは」
ξ;゚听)ξ「さささ、サボテン!?」
ああ、やはりこの世界において喋るサボテンというのは珍しいんだな。
…と思ったのも束の間、女の人が、腰元から短刀を抜いた。
剣先は、僕を向いている。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:23:22.12 ID:BMIbrQJM0
ξ;゚听)ξ「中に誰かはいってるの…?」
( ∵)「ううん」
( ∵)「ぼくはぼくだよ」
ξ;゚听)ξ「サボテン… なの…?」
( ∵)「どっからどうみてもサボテンだよ!」
そう言って僕は勢いよくジャンプした。
そして、彼女の周りをぴょんぴょんと飛び跳ねる。 なんだか知らないけど、いい気分なんだ。
ξ;゚听)ξ「うわ!! うわわわわ!」
( ∵)ミ( ∵)ミ( ∵)ミ( ∵) ぴょんぴょんぴょーん♪
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:25:25.32 ID:BMIbrQJM0
彼女の周りを三周したあと。最後に空高く飛翔し、ズボッと音を立て、砂に身体をうずめた。
それを見て、彼女は短刀を腰元にしまう。
ξ;゚听)ξ「何よコイツ…」
( ∵)「ぼくはぼくだよ」
( ∵)「ぼくはサボテンだよ」
ξ゚听)ξ「…まあ、ここまで運んできてくれたんなら、いいサボテンかもね」
ξ゚听)ξ「でもっ!! こうして安心したスキに、食べようとしてるのかもしれないわ! 怪物め!」
( ∵)「かいぶつじゃないよ」
( ∵)「僕はサボテン」
ξ゚听)ξ「はいはい…」
僕に背中を向け直す彼女の姿に、さっきから訊きたかった事柄を投げかける。
( ∵)「君の名前は?」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:28:43.05 ID:BMIbrQJM0
ξ゚听)ξ「私は…」
ξ゚听)ξ「こんな得体の知れないヤツなんかに、名前を教えていいものかしら?」
( ∵)「いいよ」
ξ;゚听)ξ「はあっ」
女の人は黄金色の髪の毛をかき上げ、蒼い瞳で僕を見つめて呟いた。
ξ゚听)ξ「私はツン、ツン・デ・レイラ よ」
ξ゚听)ξ「こう見えてもお姫様なんだから ふふん」
( ∵)「お姫様? そうだと思った」
( ∵)「キレイだもんね」
ξ゚听)ξ「サボテンの癖にクチが上手いのね」
( ∵)「僕の口はうまくないと思うよ」
( ∵)「サボテンの味しかしないと思う」
ξ;゚听)ξ「はいはい」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:31:54.56 ID:BMIbrQJM0
泉の岸、ツンは掌を水に遊ばせながら、僕に尋ねる。
太陽の光は段々と弱まり、空は橙の色に染まり、一日の終わりを想った。
ξ゚听)ξ「あなたは?」
( ∵)「さぼてん」
ξ゚听)ξ「ただのサボテンなの?」
( ∵)「ただのサボテンではないと思う」
ξ゚听)ξ「まあ… 動いたり喋ったりするんだもんね」
ξ゚听)ξ「ってか… ちゃんとした名前はないの? って訊いてるのよ」
( ∵)「…」
( ∵)「ないかも」
ξ゚听)ξ「ふぅん。それじゃあ、私を助けてくれたお礼に、あなたに名前をプレゼントしましょうか?」
( ∵)「え?」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:32:31.82 ID:6o68e7FYO
しえん
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:34:11.24 ID:BMIbrQJM0
名前? 僕の名前? 僕は… サボテン。
だけど、それじゃ自分が、「ただのサボテンじゃない」ってことに確証が持てなかったんだ。
例え歩いたり、喋ったりできても。
だけど、僕に「ちゃんとした名前」があれば、自信が持てると思う。
「ちゃんとした名前」は、僕の、僕という存在を、より強めてくれるんだ。
( ∵)「いいの?」
ξ゚听)ξ「いいわよ。別に。ペットに名前つけるようなものだもの」
( ∵)「ペットって何?」
ξ゚听)ξ「あんたみたいに可愛い犬やネコのことよ」
( ∵)「砂漠じゃラクダしか見たことないからわからないや」
ξ゚听)ξ「ふふ… そうでしょうね」
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:36:27.73 ID:BMIbrQJM0
ツンはしばらく微笑みながら考えていた。
そして、砂粒で掌に付いた水滴を乾かして、言った。
ξ゚听)ξ「ビコーズ なんてどう?」
( ∵)「…」
( ∵)「それっていい名前かな?」
ξ゚听)ξ「あなたが気に入ったらなら、いい名前じゃない?」
( ∵)「うん」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:38:19.13 ID:BMIbrQJM0
ビコーズ
ビコーズ
ビコーズ
三回繰り返してみた。 だけど、別にもやもやとした気持ちは浮かばなかった。
よし、これはいい名前だ。
( ∵)「僕は… ビコーズだね」
ξ゚听)ξ「よろしくね、ビコーズ」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:41:11.53 ID:BMIbrQJM0
僕の名前を呼ぶと同時に、ツンは白魚のような綺麗な手を差し出した。
爪先が、泉の水で艶やかだった。
ξ゚听)ξ「…」
ξ゚听)ξ「どうしたの? あくしゅよ、握手」
( ∵)「とげ…」
ξ゚听)ξ「あら…」
ξ゚听)ξ「でも、大丈夫」
ツンは、棘と棘の隙間を、優しく撫でてくれた。 それが僕とツンとの「握手」だと理解する。
身体の中で、温かいけど形のないものがやんわりと広がった。
僕は神というものはやはりいると思った。そして空を仰いで感謝をする。
彼女と巡り合わせてくれた運命とやらに。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:42:08.86 ID:BMIbrQJM0
空はすっかり黒に染まっていた。
泉に映る月の明かりを頼りにしながら、僕はツンの横顔を見る。
ツンは「夜まで残しておいたの」 という乾物をちびちびとかじりながら、僕と他愛もない会話を交わしていた。
――――流れ星って、信じる?
( ∵)「…流れ星 ってなに?」
( ∵)「ぼくは、ただの星しか知らない」
ξ゚听)ξ「あなた、このだだっぴろい砂漠に住んでるなら、よく見かけるでしょう」
ξ゚听)ξ「読んで字のごとく、流れるように空を翔る星のことよ」
( ∵)「ああ。 わかるかもしれない」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:48:20.83 ID:CSS0igFo0
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:49:31.46 ID:7ooofVuAO
支援
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:49:40.29 ID:+ed9+1zC0
ξ゚听)ξ「流れ星を見つけたらね、遠くへ行っちゃう前に、飛んでっちゃう前に、3回願いことを言うの」
( ∵)「大変だね」
ξ゚听)ξ「うん、難しいんだよ。 でもね、そしたらその願いが叶うの!」
( ∵)「…」
( ∵)「それって凄いや」
( ∵)「じゃあ僕は信じることにする」
ξ;゚听)ξ「じゃあ僕は… って ふう」
ξ゚听)ξ「話変わるけど」
ξ゚听)ξ「流れ星の仲間かどうかは知らないけどさっ」
彼女の顔が、急にしんみりとした、寂しげな表情に切り替わった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:50:29.67 ID:7ooofVuAO
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:52:44.32 ID:+ed9+1zC0
ξ゚听)ξ「”レイ”っていう不思議な星があるの」
ξ゚听)ξ「その星… いや光みたいなものらしいけど、世界中を飛び回っているんだって 生き物みたいに」
ξ゚听)ξ「捕まえて、触れられることが出来れば、何でも願いが叶うらしいわ…
流れ星みたいに、おとぎ話じゃなくて」
ξ; )ξ「実際、VIP国は”レイ”を手に入れて…」
ξ゚听)ξ「…」
ξ゚听)ξ「ねえ、ビコーズ、聞いてる?」
「…」
ξ゚听)ξ「…ただのサボテンに戻っちゃったか。 寝るの早いんだね」
ξ゚听)ξ「兎にも角にも、貴方のおかげで命びろいしたわ。ありがと」
ξ゚听)ξ「…さて、私も眠ろうかしら」
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:54:22.11 ID:+ed9+1zC0
(明日… 町に着くことができるかな)
(待ってて… お姉ちゃん…)
(…)
┌| |┘「…」
┌| ∵|┘「ん」
夜、ふと目が覚めた。 気がつくと、闇が僕を包んでいる。
空には相変らず、広大なプラネタリウムが広がっていて、僕は生まれた時の頃を思い出す。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:55:09.11 ID:4vYLo8FO0
しえん
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:55:27.31 ID:+ed9+1zC0
ぼうっとしていると、プラネタリウムを横断する、とある光の筋を僕は見つけた。
( ∵)「…」
( ∵)「あ、」
( ∵)「ツンともっと仲良くなれますように
ツンともっと仲良くなれますように
ツンともっと…」
( ∵)「…消えちゃった」
(続く)
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:56:12.60 ID:+ed9+1zC0
本日の投下はこれにて終了です
何か
>>1にききたいことがあったらなんでもどうぞ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:56:45.97 ID:4vYLo8FO0
投下スケジュール教えてくれ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 22:57:57.39 ID:XVLT/NR80
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:00:00.74 ID:+ed9+1zC0
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:01:31.70 ID:CSS0igFo0
乙!情景が目に見えた。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:02:41.39 ID:4vYLo8FO0
>>47 ちょwww具体的に次はいつとか知りたかったんだがwwww
わかった楽しみにしてる
>>1乙
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:03:12.09 ID:6o68e7FYO
おもしろかった乙
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:09:31.05 ID:+ed9+1zC0
>>49 おー わりーなー
それでも暇な時かなー ハイ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:12:19.28 ID:7ooofVuAO
乙!!!
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 23:13:31.05 ID:uKY6t58S0
乙
続きが気になるぜ
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
>>1乙
面白かったから続きに期待してる