1 :
◆xjCZpXtL0U :
ふとした拍子に手に取った本は、短編集だった。
あまり本を読まない僕は何故かソレを学校から家へと持って帰り、スラスラと読みふける。
気づけば時間は深夜へと移り変わるが、一向に読み終える気配は無い。
やはり僕には読書は向いていないのだろうか。
けれどもこの本、何故か読み続けてしまうのだ。
ベッドの上、僕は寝転がりながら読書を続けた。
( ^ω^)短編集のようです
2 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:02:00.30 ID:ujUaOkaa0
一 ( ^ω^)エレベーターと夢のようです
その話を聞いたのは二日ほど前のことだった。
聞けば町外れのとあるマンションのエレベーターは二つあるのだが、
そのうちの一つは誰も使用しないらしい。
オカルトマニアな僕は心霊的なものがあるのでは、と踏み現場へと向かった。
('A`)「けれども雰囲気はそれとなく普通だ」
噂のマンションへとたどり着き、外見を見たときに呟いた言葉だ。
これでも霊感が強いことだけは自負している僕だが、このマンションは至って普通である。
不思議ながらに中へと入ると、エレベーターは目の前にあった。
('A`)「二つ。噂では右のエレベーターらしい」
エレベーターの前に立つも、やはり変わった様子は無い。
3 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:04:00.18 ID:ujUaOkaa0
('A`)「一体何なのか」
だが探究心は強い。何故誰も使用しないのか、それが酷く気になる。
右側のエレベーターの前へと立ち、一階へと戻すように下のボタンを押した。
('A`)「可笑しな話だ。誰も使用していないはずなのに一階に待機していない」
普通、利用されていない場合は一階で箱は留まるはずだ。
だというのに、このエレベーターは一階ではない、上階に滞在している。
ふと目を階数表示へと移すと、箱は五階に表示されていた。
('A`)「何だ、結局使われいているんじゃないか」
溜息をつき、騙されたと嘆く。
期待を裏切られたこともそうだが、何よりも騙されたのが痛い。
結局人はこのエレベーターに乗り降りをし、利用している。
4 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:05:59.99 ID:ujUaOkaa0
('A`)「っと、そろそろ着くか」
表示は二階とされており、すぐに着くだろう。
僕は扉のガラスを見ながら、もしかしたら誰かが乗っているかもしれないことを思い、もしも
いたのなら話を聞こうと思った。
表示が一階になった。扉のガラス越しに目をやれば、箱の下部分が見える。
そのまま目の前を通過し、いよいよ箱の中身が見える。
その時だった。
('A`)「!?」
チンッ、と音が鳴り、扉が開く。
扉が開き、目の前に現れたのは人。だがそれを僕は驚きの目で見ていた。
( ^ω^)「おっおっおっwwwコイツ馬鹿だおwwww」
5 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:08:00.10 ID:ujUaOkaa0
エレベーターの中、その男はテレビを見ていた。
いや、勘違いしないで欲しい。携帯テレビやワンセグ携帯などではない、ケーブルテレビを、だ。
それだけではない。下は畳が敷かれており、その上に布団がある。
男はその布団の上に陣取り、隅っこにあるテレビを見ながら笑っていた。
床には食べ物と思しき物や、衣類などが散らばっている。左の壁を見てみれば、そこにはスーツがかけられていた。
( ^ω^)「おっおっwww・・・お?」
僕は驚いたまま、ずっと下のボタンを押していた。
だから扉は開いたままだ。ようやく気づいた男は僕へと振り返り、間抜けな声を出した。
( ^ω^)「おいすーww何か用かお?」
話しかけられるが、僕は答えない。
もしもこのような状況が起きて、混乱しない人が居るのならばソレは本物のバカか何かだ。
僕は今酷く混乱している。だから僕はバカなどではないということだ。
いや、それは関係ないとして、この状況で男に話しかけられたのだ。
果たして返事をするべきなのか、否か。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:09:20.46 ID:7ooofVuAO
支援
7 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:10:00.20 ID:ujUaOkaa0
('A`)「あ・・・特に用って訳じゃ・・・」
結論からすると、僕は本来の目的すら否定する返事をした。
一体、誰がエレベーターの中で人が生活していると思うのだろう。
そんな予想外なことなど頭の中にこれっぽっちも無かったのだ。
( ^ω^)「まぁまぁwwそこは寒いおwwwこっち来いおwww」
思わぬ言葉に、僕はまたも混乱する。
招かれたのだ、このエレベーターの中に。
('A`)「あ、え・・・はい」
言われるがままに僕はエレベーターの中へと入り込んだ。
果たして土足で人の部屋に入っていいのだろうか。いや、これは部屋なのか。
困惑しながらも、僕は開閉ボタンの閉ボタンを押した。
普通、マンション等のエレベーターは狭い。
とても人が横になれるような広さは無いというのに、しかしこのエレベーターは広かった。
8 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:12:00.28 ID:ujUaOkaa0
('A`)「あのー・・・」
恐る恐るといった感じに、僕は男へと話しかける。
( ^ω^)「何かお?」
男は何時の間にかテレビを消し、僕の方へと向いている。
男は座っているのに、僕は立っている。
まるで見下しているようだ、と思った僕は失礼にならないようにその場に座った。
('A`)「噂を聞いたんです。このエレベーターは誰も乗らない、と。その真実を知ろうと思い僕は此処に来ました。
しかし来て見れば何と人が生活している。それは貴方だ」
単刀直入に僕は男に来た経緯を話す。
('A`)「これでは誰も乗らない、では無く誰も乗れない、だと思うんです。
何故このようなことを?」
9 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:14:02.61 ID:ujUaOkaa0
すると男はニコニコと笑いながら答えた。
( ^ω^)「僕はここ、『内藤マンション』のオーナーなんだお。実は小さい頃から
エレベーターの中で生活してみたくて、実現させてみたんだお」
答えはあまりにも馬鹿げたものだった。
( ^ω^)「確かに誰も乗らないし、言うなれば乗れない、だおね。
まさかそんな噂になってるとは思ってなかったおwww」
言い、男は笑った。
僕は笑えない。そんな下らない真実を知るためにわざわざ来たのではない。
('A`)「・・・そう言えば、何で先ほど五階に?普通誰も乗らないのだったら一階に
滞在しているはずでしょう」
( ^ω^)「時々あるんだお、イタズラ。誰かが上階からボタンを押して、着いてみれば
誰も居ないんだお。まったく、酷い話だお」
10 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:16:00.76 ID:ujUaOkaa0
それを聞き、僕は深夜眠っているこの男が上階に昇っていく姿を想像した。
何ともシュールな光景だ。
( ^ω^)「ま、何も出さないってのはあれだお。羊羹食べるかお?」
スッ、と男は端にある冷蔵庫と思わしきものから黒紫色の羊羹を出した。
('A`)「あ、いいです」
( ^ω^)「まぁまぁwww食べていけおwww」
断ったが、それを認めない男。
仕方なしに羊羹を食べていると、男は急に喋りかけてきた。
( ^ω^)「君には夢があるかお?」
('A`)「へ?」
11 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:18:00.75 ID:ujUaOkaa0
本当に唐突な話だ。急に赤の他人に、夢はあるか、と聞かれるのだ。
僕は答えようか迷ったが、男は僕が口を開いた途端に喋った。
( ^ω^)「僕はさっきも言ったように、エレベーターの中で生活するのが夢だったお。
けどそれを人に言うたびに馬鹿にされたお。けど僕は諦めなかったんだお。
君も、何か夢があったなら挫けちゃ駄目だお。夢は絶対に叶うもんだお」
('A`)「――」
何故だかその時だけ、僕は此処に来てよかった、と思えた。
僕には夢がある。それはいつかこの腐った国を破壊し、あらん限りの殺戮をするという夢だ。
僕はその夢を人に話すたびに否定され、罵倒された。
しかしこの男に言われ、何故だか僕は頑張ろう、と思えたのだ。
ふと、気づけば羊羹を完食してしまったのに気づき、僕は最後に男に「有難う御座いました」
とだけ言って帰路に着いた。
12 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:20:00.99 ID:ujUaOkaa0
('A`)「噂の真実は最悪な形で幕を下ろした。しかし僕は此処に着てよかった、と思えている。
頑張ってみよう、夢をかなえよう」
それから幾年と月日が流れ、目本は地獄の沙汰へと変貌を遂げた。
そんな国のある男はこう言ったという。
('A`)「有難う、夢は叶った」
一 ( ^ω^)エレベーターと夢のようです 終
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:20:01.02 ID:FCV9aN6hO
支援
14 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:25:00.22 ID:ujUaOkaa0
二 (´・ω・`)夜間列車のようです
夜行列車の中、僕は一人ラウンジで酒を呷っていた。
目的地まで後五時間はあるという。
(´・ω・`)「うん、このバーボンは美味しいね」
別に酒に詳しいわけでも何でもないが、そう呟いてみた。
( ゚∀゚)「なあ、あんた」
そんな僕へと話しかけてくる者が居た。
( ゚∀゚)「もしも今、この列車が強盗にあったらどうする?」
(´・ω・`)「へ?」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:26:30.83 ID:VPQW8+fC0
これは支援
16 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:27:00.23 ID:ujUaOkaa0
この男、名前はジョルジュと名乗り、僕の隣へと座るとバカルディを注文した。
先ほどの質問に僕はまだ答えてなど居なかったが、しかし男は話しかけてきた。
( ゚∀゚)「あんたもVIPまで行くのかい?」
まるで先ほどの質問など無かったかのように、男は言った。
(´・ω・`)「うん」
何とも話し続け辛い反応だと、自分でも思う。
この列車『VIPPER』はラウンジからVIPまでの直通列車だ。
( ゚∀゚)「そうかい。しかし凄いよな。今やこの列車も繁盛繁盛!
皆この列車でVIPとラウンジを行き来してるんだからよ」
17 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:30:01.14 ID:ujUaOkaa0
この列車が出来てからというもの、やはり誰もがコレを利用していた。
今までは他の列車を乗り継ぐか、車で移動するかしか方法は無かったのだが。
(´・ω・`)「人は皆、楽をしたがるから」
当然、この列車を利用するというわけだ。
値段は張るが、それでも切符を買う者は多い。
( ゚∀゚)「はっはっはっ!違いねえ」
そう豪快に笑うと、男はバカルディに口付ける。
( ゚∀゚)「ところで」
ほんの少しの静寂の後、男は僕に問いかけた。
( ゚∀゚)「この列車を利用する人ってのは、やっぱ金持ちが多いみたいだ」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:31:26.58 ID:FCV9aN6hO
支援支援
19 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:32:00.68 ID:ujUaOkaa0
(´・ω・`)「まぁ、だろうね」
前述したとおり、この列車の切符は高い。
特急なのもあるが、何よりも距離が凄まじい区間だ。
金がかかるのは仕方が無いという話だろう。
( ゚∀゚)「そうなると、金目のものってのは次第に多くなるんだよな」
(´・ω・`)「・・・・・」
つまり、この男は人を金としてみているようだ。
( ゚∀゚)「なあ、強盗とか、起きそうじゃないか?」
少し、僕は不安になった。
20 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:34:00.28 ID:ujUaOkaa0
(´・ω・`)「もしかして、君は列車強盗でもするのかい?」
その問いに、男は両手を上げて顔をブルブルと振った。
( ゚∀゚)「冗談!俺はそんな真似するほど度胸は無えさ!」
それを聞き、僕は安心する。
この男が強盗だとしたのなら、たまったもんではない。
(´・ω・`)「安心したよ」
そう言い、僕はバーボンを煽る。
微かに喉を刺激し、胸が熱くなる。この感覚は楽しみの一つだ。
( ゚∀゚)「でもよ、最近他の列車で強盗が起きたらしいぜ」
その言葉に、僕はまた不安が過ぎった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:35:02.63 ID:VPQW8+fC0
支援
22 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:36:02.95 ID:ujUaOkaa0
(´・ω・`)「本当かい?」
( ゚∀゚)「ああ。何でも、一人の男がやったらしくてよ。その列車のありとあらゆる金目の物がヤられたらしい」
(´・ω・`)「・・・もしかして・・・」
いやな予感が起きる。
僕は男の顔をジッと見ていると、男は「よせよ」と言い顔を振った。
( ゚∀゚)「俺だとでも思ってるのか?馬鹿言え、俺はやらねえさ」
しかし不安は拭えず、僕は聞いてみた。
(´・ω・`)「安心できないよ。その犯人の名前は?」
すると男は少し怒った様に言う。
( ゚∀゚)「おいおい、人を見かけで判断しちゃいけねえぜ。俺じゃあねえ。
犯人の名前か・・・うーん、悪い、知らねえな」
23 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:38:00.32 ID:ujUaOkaa0
ようやっと僕はこの男に安心した。
(´・ω・`)「そうか、よかった」
( ゚∀゚)「はは、面白いなあお前」
ゆっくりと胸をなでおろした僕を見て、男は笑った。
僕はテーブルにあるナッツを口に放り込み、噛み砕く。
このスッキリとしたような、旨みのある味はやはり酒に合うと僕は思う。
( ゚∀゚)「っと、マスター、バカルディをもう一杯」
見ると、男はグラスを開けていた。
先ほどから話していて、まだ五分ほどしか経っていない。
(´・ω・`)「大丈夫かい?」
( ゚∀゚)「なーに、俺あラムだけは強いのさ」
ほんのりと口元から漂うラム酒特有の匂いが鼻を突く。
24 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:40:10.23 ID:ujUaOkaa0
(´・ω・`)「粘りのある酒は、僕は好きじゃない」
( ゚∀゚)「お?言うじゃねーか」
二人して笑って、同時に酒を煽った。
( ゚∀゚)「っかー!!暑い!気分がいいぜえ!!」
(´・ω・`)「はは、強くないじゃないか」
男は顔を真っ赤にしてカウンターに肘を着き、僕を見る。
( ゚∀゚)「バーカ、まだまだよ!気分が良いついでに、俺のこと教えてやるぜ」
そのまま男はまたバカルディを頼んだ。
( ゚∀゚)「俺はこう見えても記者なんだ。腕利きで有名よ!」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:41:16.17 ID:VPQW8+fC0
支援
26 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:42:00.21 ID:ujUaOkaa0
その言葉に僕は反応する。
(´・ω・`)「へえ。凄いじゃないか」
( ゚∀゚)「そこいらに行っちゃあネタを探してうろつくんだ。今日、っていうか明日はVIPの話題でも書こうと思ってな。
ついでにこの列車のことも書こうかな」
男はナッツを掴もうとするが、しかし掴めていない。
空の手を口に持ってくるが、しかし男は不思議そうに自分の手を見ていた。
( ゚∀゚)「あれ?っかしいなあ。ナッツが消えやがった」
(´・ω・`)「掴めてないよ。ほら、ここにある」
そう言って僕は男にナッツの入った小皿を寄せた。
男は今度はしっかりとナッツを掴み、食べた。
27 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:44:00.20 ID:ujUaOkaa0
(´・ω・`)「ところで、今は何時だい?」
男は僕の問いに自分の腕時計を見る。
( ゚∀゚)「あー・・・二時半丁度だ」
(´・ω・`)「・・・そうか」
僕は立ち上がると、懐に手を入れる。
( ゚∀゚)「お?どうしt―」
(´・ω・`)「動くな、手を上げろ」
28 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:46:00.18 ID:ujUaOkaa0
僕の手には、懐から取り出した銃がしっかりと握られている。
カウンター側に居たバーテンダーは僕を見るなり恐怖に顔を歪ませ、手を頭の上に組んでいた。
( ;゚∀゚)「・・・何がどうなってやがる」
既に僕の乗る車両は皆が皆伏せ、或いは脅えている。
目の前に居る男は、しかし困惑の顔で僕を見るのだ。
(´・ω・`)「種明かしをしよう。僕の名前はショボン、列車強盗さ」
そう、僕は今日、この列車の金目の物を奪うために現れた強盗だ。
(´・ω・`)「君が言っていたこの前の列車強盗も僕。冷や冷やしたよ」
29 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:48:00.16 ID:ujUaOkaa0
最初、この男を列車強盗だと思い焦ったのは、取り分を山分けしなくてはならないからだ。
しかしその不安は消え去ったが、またしても不安が押し寄せた。
まさかこの男に正体がばれているのでは、と思っていたのだ。しかしそれも杞憂で終わった。
男はようやく現状を理解すると、深く溜息をついた。
溜息からはやはりラム酒特有の匂いがする。
( ;゚∀゚)「いやはや、まさか列車強盗だったとは思わなかったよ」
そうとだけ言い、男はカウンターの下に伏せた。
僕は頃合と見て、車両全体に聞こえるように叫んだ。
(´・ω・`)「強盗だ!金目のものを全て出せ!」
二 (´・ω・`)夜間列車のようです 終
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:52:55.85 ID:Jo5heCMZO
いまいちだわ
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:53:59.93 ID:CSS0igFo0
淡々とおもしろい
三 ξ゚听)ξは男を狩るようです
一、二、と響くその声は闇夜に木霊する。
女が居た。美しく、しかし返り血を浴びていた。
ξ゚听)ξ「・・・三」
名前はツンデレと言う。
そのツンデレの足元に、何かが転がっていた。
三つほどの人のようなものと、三つほどの棒状のもの。
それは死体と陰茎だった。
ξ゚听)ξ「さあ、今日はどんな調理をしようかしら」
ツンデレは笑いながら、その三つの陰茎を持ち帰った。
33 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 18:57:00.86 ID:a6eM8jfj0
( ^ω^)「やっほーだおwww久々に皆であったおwww」
('A`)「ブーンはテンション高いな・・・おう、ショボン、元気か?」
(´・ω・`)「うん、ドクオは相変わらずだね」
三人はとある居酒屋に居た。
見たところ、小規模な同窓会だろうか。
しかし、面子が少なすぎる。
と、ソコへ女性が駆け寄った。
( ^ω^)「おっww遅えーおツンwww小便かお?www」
ξ゚听)ξ「煩いわよ!馬鹿なこと言ってないでビール寄越しなさい!!」
ツンデレはジョッキを掴むと一気に飲み干した。
男三人は音頭を取り、より一層激しさが増すのであった。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 18:58:35.58 ID:nYESJKe40
しえん
35 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:00:00.23 ID:a6eM8jfj0
('A`)「そういやさ、知ってるか?」
ふと、ドクオと呼ばれた男が音頭の中声を出した。
( ^ω^)「何をだお?」
('A`)「何でも、最近ここら辺で男が殺されてるそうだぜ」
しかも、と続ける。
('A`)「チンコが必ず切り取られてるそうだ」
それを聞くや否や少し肥えた男、ブーンは顔を青ざめた。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 19:01:39.80 ID:DvJ2OZ2vO
こういう感じの好きやわ
37 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:02:00.20 ID:a6eM8jfj0
( ;^ω^)「な、マジかお?気狂いもいたもんだお・・・」
すっかりその話で興が削がれたのか、一同は静かになった。
( ^ω^)「・・・まさかショボンだったりしてwww」
(´・ω・`)「失礼な、僕はゲイだけどそんな趣味は無いよ」
途端、わははとその場は笑いに包まれる。
そんな中、一人ツンデレだけ下品ね、と呟くのだった。
ξ゚听)ξ「ちょっと、止めてよ、気持ちの悪い」
( ^ω^)「うはwwwツンが引いたおwwwショボンキモイっておwww」
(´・ω・`)「・・・何時の時代も僕達同性愛者は認められない、か・・・」
38 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:04:00.36 ID:a6eM8jfj0
グス、と泣いたフリをしてジョッキを一気飲みするショボン。
('A`)「おっ!いいぞショボン、ゲイの力を見せてやれー!」
(´・ω・`)「ああ・・・次は生中だ・・・アッー!」
またも音頭が始まり、場は騒がしくなる。
その内時は経ち、気づけば時刻も深夜へと移り変わった。
( *^ω^)「っういー、まだまだいけるおー」
(*'A`)「おい、ブーン、お前顔真っ赤だぞ」
(*´・ω・)「はっはっはっ、ドクオもだよ。あ、僕もか」
次第に酔いが回り始め、男衆はグデングデンだ。
しかしその中でツンデレ一人は素面であった。
39 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:06:00.20 ID:a6eM8jfj0
ξ゚听)ξ「ちょっと、皆大丈夫?」
( *^ω^)「余裕も余裕、よっちゃんだおwwww」
(*'A`)「ははは・・・うーん、そうだな、そろそろお開きにしようかね」
と、宴会の終わりを告げたのはドクオであった。
(*´・ω・)「うん、そうだね。これ以上は皆つぶれそうだし」
( *^ω^)「ブーンはまだまだ飲み足りないおー」
一人駄々をこねるブーンをドクオとショボンが引きずり、会計を終えて
外へと出る。
(*'A`)「うー、寒い寒い。春っつってもまだまだ寒いな」
40 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:08:00.17 ID:a6eM8jfj0
( *^ω^)「おっおっwwwドクオは貧弱だおwwwブーーン!」
全員が歩き出すと、ブーンは一人腕を広げて走り回る。
ショボンが、若いなぁ、と言い微笑んだ。
ξ゚听)ξ「・・・あっ!」
突然、ツンデレが焦った声を上げると、男達はツンデレを見た。
(*'A`)「どうした?」
ξ゚听)ξ「携帯、居酒屋に置いてきちゃったみたい。ごめん、先に行ってて」
そうとだけ言い、ツンは来た道を駆けていく。
三人はそれをボーッと眺めると、ドクオがブーンへと詰め寄った。
41 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:10:00.59 ID:a6eM8jfj0
(*'A`)「おい、ブーン。どうすんだよ、告白!」
( *^ω^)「え?あー・・・まぁ、その内に、だお」
(*´・ω・)「いい加減ちゃんと伝えなよ。高校のときから好きだったんだろ?」
どうやらブーンはツンデレに好意を寄せているらしい。
二人はブーンにツンデレが戻ってきたら告白しろ、と言うのであった。
( *^ω^)「わ、分かったお!ブーンも男だお!」
(*'A`)「いよっ!それでこそブーンだ!」
(*´・ω・)「頑張れー・・・あっ!来たよ」
42 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:12:00.07 ID:a6eM8jfj0
( *^ω^)「えっ!?」
ふと、足音が響く、人通りの少ない路地裏。
その足音は足早で、三人にどんどんと近づいてくる。
ξ゚听)ξ「ごめーん、遅くなったわ」
(*'A`)「いやいや、そんなに待ってないぜ。それよりさ、ブーンg」
ゴヒャッ、と音が響く。
ツンデレに近寄ったドクオから聞こえてくる音だ。
(*´・ω・)「・・・?どうしたの?ドクオ」
ふと、そのまま倒れたドクオに不思議そうにショボンが近寄っていった。
支援
44 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:14:00.92 ID:a6eM8jfj0
(*´・ω・)「・・・あれー?頭が砕けて・・・る・・・?」
見れば、ドクオの頭は半分まで切込みが入っていた。
( ´ ω )「ゲヒュッ!?」
呟き、ショボンがツンデレへと視線を向けた瞬間だった。
鈍い音と、ショボンの間抜けな断末魔が響いた。
( *^ω^)「・・・え?」
それを近くから眺めていたブーン。
何が起きているのかさっぱり理解していない。
ただ分かるのは、ドクオとショボンが倒れたこと。その二人から液体が漏れていること。
そしてツンデレの手に鉈のような物が握られていることだった。
45 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:16:00.30 ID:a6eM8jfj0
( *^ω^)「何してるんだお?ツン」
ズカズカと、ツンデレがブーンに近づいてくる。
( *^ω^)「僕、君に伝えたいことがあるんだお!」
しかしその呼びかけにもツンは無視し、直進を続ける。
( *^ω^)「実は、僕、君が好きなんd」
ガフォン、とブーンの頭に亀裂が入る。
( ω^)「好き・・・ツ・・・」
ξ゚听)ξ「私も好きよ、ブーン。だから」
そのチンチン、頂戴?
再度振るわれた大振りの鉈は、完全にブーンの頭を砕いた。
46 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:18:00.06 ID:a6eM8jfj0
一、二、と響くその声は闇夜に木霊する。
女が居た。美しく、しかし返り血を浴びていた。
ξ゚听)ξ「・・・三」
名前はツンデレと言う。
そのツンデレの足元に、何かが転がっていた。
三つほどの人のようなものと、三つほどの棒状のもの。
それは死体と陰茎だった。
ξ゚听)ξ「さあ、今日はどんな調理をしようかしら」
ツンデレは笑いながら、その三つの陰茎を持ち帰った。
何故彼女がこのような狂気に走るのか、それは誰も知らない。
三 ξ゚听)ξは男を狩るようです 終
47 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:18:28.98 ID:a6eM8jfj0
あとがき
以上で終わりです。
短編集という形でしたが、如何だったでしょうか?
僕はとにかくブラックな話を書きたい、と思い書き上げたものばかりです。
個人的に好きな星新一氏に影響されたものと思います。
気づくと僕は暗い話や、どこか気持ちの悪い話を書いています。
不快になった方、すみません。
しかし僕はこういう人間なのだと、思ってくれたら幸いです。
さて、ここらへんで各話の書いていくに至るまでの経緯と
書き終わっての感想を書こうと思います。
( ^ω^)エレベーターと夢のようです
実はこの話、幼い頃の僕の夢だったりします。
実際にエレベーター内に住んではいませんが、しかし住んだら
住んだで楽しそうだな、と思っていました。
書き上げて思ったのは満足できたことです。
(´・ω・`)夜間列車のようです
この話は某アニメに影響されたからです。
変わった話を書いてみたい、落ちを面白くしてみたい。
そう思い書き上げました。十分に満足できました。
ξ゚听)ξは男を狩るようです
実のところ僕はカニバリズムのようです。時たま人を食べてみたく
り、じゃあ陰茎って美味しいのかな、と思い書きました。
書いているうちに思ったのは、どう見てもツンは変態です。ありがとうございました。
と、いった感じで終わりです。
お付き合いいただいた方々、支援してくださった方々、有難う御座いました。
49 :
◆xjCZpXtL0U :2008/05/11(日) 19:20:27.42 ID:uR/WK/K60
質問などありましたらなんなりとどうぞ。
面白かったぞ乙
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/11(日) 19:26:25.86 ID:DvJ2OZ2vO
こういうのけっこう好きだぬ
ちょと短かったけど
52 :
◆xjCZpXtL0U :
>>51 こういうの好きでしたら是非星新一氏の本を読んでみてください。
きっと気に入りますよ。
短かったですか、短編は不慣れなもので、すみません。