1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
アニメがベースね、あんまり詳しくないから少し矛盾があるかも
――最低限の明かりがついた廊下を静かに歩きながら、自分の策を改めて考える。
本当にそれは正しい事なのだろうか?
アリスゲームを有利に進める事ができるのだろうか?
悩んでいるうちに目的の病室に辿り着く。
引き返すのなら今のうちだ――
そう思ったのだが、蒼星石は扉を静かに開けた。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 17:57:11.42 ID:9RYqpF2n0
そして爆発した
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 17:57:31.34 ID:JI1fY8wj0
小綺麗な病室はカーテンで二分されている、カーテンをくぐるとそこには色白
の少女が静かに眠っていた、指には薔薇の指輪がはめられている。
やはりミーディアムだ。
「…レンピカ」
蒼星石は人工精霊に呼び掛ける。
レンピカと呼ばれた光は人の頭の一回り程の大きさに膨らむ。
蒼星石はそこへ手を伸ばすと、そこから鋏を取り出した。
鋏を振り上げ、少女を見据える。
「…ごめんなさい」
鋏は振り下ろされた。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 17:58:11.73 ID:JI1fY8wj0
―――ドタバタと雛苺が走り回り、その後を翠星石が追いかける。
「雛苺!待つですぅ!よくも私の如雨露に落書きしてくれたですぅ!」
まったくもって騒がしい、とジュンは思った。
テーブルの方に目をやると真紅は静かに紅茶を飲んでいる。
その隣に座っている蒼星石はどこか浮かない顔をしていた。
…気晴らしにテレビでも見るか、そう思ったジュンは
リモコンに手を伸ばして電源ボタンを押した。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 17:58:47.35 ID:fqqGXMLK0
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 17:58:53.55 ID:JI1fY8wj0
テレビの電源がつくと、ちょうどニュースキャスターが原稿を読み上げているところだった。
「――のを看護師が発見されました、被害者は心臓を刃物で刺し貫かれており、
ほぼ即死であったと思われます」
どうやら殺人事件があったらしい。
テレビに現場の建物が映る、そこは病院だった。
「病院で殺人事件なんて…世も末だな…」
被害者の名前がテロップで表示される。
柿崎めぐ、赤の他人であった。
どうせ明日になれば顔も名前も忘れているんだろうな。
ジュンがそんな事を考えている中、蒼星石はそっと席を外して二階へ向かった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:00:04.44 ID:JI1fY8wj0
「夢じゃなかった…自分がやったんだ…」
ジュンの部屋へやってきた蒼星石は昨日の事を思い出す。
刃が肉を貫く感覚も、人間の死ぬ前の小さなうめき声も、そして何より
鋏を突き立てた瞬間の得体の知れぬ快感も。
僕は異常だ――
アリスとは完璧な少女である、もし僕がこのアリスゲームの勝者となったとしても
人間に刃を突き立てて悦ぶようなアリスは完璧と言えるだろうか。
そもそも蒼星石がこのような行動に至った理由は数日前のある事が原因だった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:01:24.25 ID:JI1fY8wj0
その日、蒼星石は翠星石と一緒にジュンの家へ向かっていた。
鞄で移動中、たまたま少し遠回りして有栖川大学病院の近くを通ったのだが、
病院の窓に見覚えのある人影が見えた。
銀髪の髪に紺色のドレス。
水銀燈だった―――
この時、姉である翠星石は水銀燈に気がつかなかった。
「翠星石、少し急ごう・・・」
蒼星石は翠星石を急かした、このままだと水銀燈に見つかって
攻撃される恐れがあるからだ。
「どうしたですぅ、急に…」
翠星石は不審に思ったが、そのままスピードを上げた。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:03:00.62 ID:JI1fY8wj0
何故水銀燈が病院に?何のために?
少し考えてみるとある予測に辿り着いた、そう、ミーディアムの存在である。
あの水銀燈が契約なんかするはずがない、そう思ったが
それ以外考えられなかった。
何にせよ、契約を結んだとすればミーディアムの力を使える。
蒼星石はその事を危惧していた。
そしてあの夜、蒼星石はあのような行動に及んだのだった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:03:44.72 ID:4aLHgUo+O
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:04:54.46 ID:JI1fY8wj0
――突然、ガチャリと扉が開く。
蒼星石は飛び上がりそうになった。
「蒼星石…?」
扉を開けたのは翠星石であった。
「蒼星石、どうしたですか?今日は元気がないように見えるですぅ…」
双子はお互いの事に敏感だ、些細な事でも察知される。
「いや、なんでもないよ翠星石…」
「とてもそうには見えないですぅ…何か困ったことがあったら遠慮なく言うですぅ」
「ああ、そうするよ…」
心配そうな顔をして部屋を出て行く翠星石。
そんな顔をされたらますます言える訳がない、そう思った。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:05:58.29 ID:JI1fY8wj0
その日の夜、蒼星石は柴崎元治の時計屋に戻った。
「おや蒼星石、戻ったのかい、楽しかったかい?」
「はい、マスター。」
にこりと微笑んでちゃぶ台に座ると、元治が声をかける。
「蒼星石…最近何かあったのかい?」
蒼星石は思わず声を上げそうになった。
マスターにまで感付かれている。
そんなに顔に思っている事が出ているのだろうか?
「いや…何もないですよマスター、今日も楽しかった」
蒼星石は不安な気持ちを顔に出すまいと精一杯の笑顔を浮かべた。
「そうかい…ならいいんじゃが…」
元治もそれ以上は追及しなかった。
蒼星石め
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:08:04.10 ID:JI1fY8wj0
深夜、鞄の中で蒼星石は眠れずにいた。
体がムズムズする、体の中を小さな虫が這い回っているような感覚だ。
頭もクラクラする、熱でもあるのだろうか。
蒼星石は耐えられなくなって、鞄から飛び出した。
少し外を飛び回って夜風にでも当たろうと思い、蒼星石は柴崎夫妻を起こさないように外へ出た。
ボーッとしたまま外を飛び回っていると、いつの間にか有栖川大学病院へ来ていた。
「なんでまたここに来ちゃったんだ…」
蒼星石はすぐその場から去ろうとする、その時視界の端に銀髪が入った。
水銀燈だ、彼女は古ぼけた教会の中へ入っていく。
蒼星石は鞄を降り、水銀燈の後を追って教会の中へ入った。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:09:24.05 ID:JI1fY8wj0
教会の扉を開けると蝶番が軋んだ、その音で先に入った水銀燈が気づき、こちらに顔を向ける。
「あら…蒼星石、貴女…こんなところで何をしているのぉ?」
別に驚くような様子も見せずに、水銀燈はそっけなく言った。
蒼星石は水銀燈を見て感じた、明らかに覇気がなく、虚ろな表情をしている。
突然蒼星石は奇妙な感情を抱いた。
この弱った女の美しい顔を怒りと悲しみで滅茶苦茶にしてやりたい。
心も踏み躙って憎しみで乱してやりたい、そんな感情が。
「ああ…ちょっと言いたい事があって…君のミーディアムの事なんだけど…」
水銀燈は目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。
何故自分が契約していた事を知っているのか、そんな表情だった。
「あれ、僕が殺したんだ」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:10:10.69 ID:JI1fY8wj0
水銀燈は何も言えずに驚いている、蒼星石が何を言っているのか
頭が着いていかないのだろう。
「被害者は柿崎めぐだったっけ?」
「彼女は刃物で刺されて死んだんだよね?」
「僕が鋏で突き刺したんだ」
「おかしいくらい色白だったから、外にもまともに出られないくらい
重い病を患っていたのかな?」
「ジャンク同士、お似合いだね」
蒼星石は自分でも驚いていた、自分がこんな酷い言葉を投げかけるなんて。
だが、相手を傷つける事で沸き上がる喜びが確かに、蒼星石の心を満たしていた。
17 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:10:56.12 ID:JL7xfbp20 BE:1146550649-PLT(18871)
銀様は俺が守る
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:12:00.50 ID:JI1fY8wj0
水銀燈の顔が憎しみで歪んでいく。
「蒼星石ぃぃぃいぃいいいいいいい!!!!」
水銀燈の心は蒼星石によって怒りで塗り潰された。
蒼星石は水銀燈のその表情にゾクゾクと込み上げる物を感じた。
蒼星石はレンピカから鋏を取り出す。
「うわああああぁぁぁあぁぁああ!!!」
水銀燈は怒りに身を任せて羽を撒き散らすが、
怒りで冷静さを失った攻撃は蒼星石には当たらなかった。
蒼星石は水銀燈の懐に潜り込む、水銀燈は自ら飛ばした羽で蒼星石を見失っていた。
蒼星石は鋏を開き、水銀燈の首を狙う。
「ミーディアムのところへ行くといい、水銀燈」
鋏は閉じられた。
19 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:13:29.74 ID:JL7xfbp20 BE:573275063-PLT(18871)
蒼TUEEEEEEEEEEEEEEEEE
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:14:09.32 ID:JI1fY8wj0
翌朝、ジュンの家へ行こうと窓へ開く蒼星石を心配そうな顔で柴崎元治は見ていた。
昨日の思いつめていた顔が嘘のように晴れやかだったのだ。
「それじゃあ行ってきます、マスター」
そう言う蒼星石の顔は笑顔だったが、元治はその笑顔に何か恐ろしいものを感じた。
「ああ…言ってらっしゃい…」
元治は飛び去っていく蒼星石を不安げに見送った。
ジュンの家へ向かう道中、蒼星石は次のターゲットを誰にするかを考えていた。
ローザミスティカは二つある、僕のと、それと水銀燈のだ。
水銀燈の能力を併用すれば、相手がドールでもかなり有利だろう、そんな事も考えながら―――
21 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:15:06.46 ID:JL7xfbp20 BE:1146549694-PLT(18871)
銀様は俺の膝で寝てるよ
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:16:03.71 ID:JI1fY8wj0
コツコツという音にジュンは窓ガラスを開ける。
「やあジュン君」
「よお、蒼星石」
ドタバタと階段を駆け上がる音がして扉が開く、翠星石だ。
「蒼星石!あ…」
翠星石は蒼星石を見て、何か蒼星石が今までの蒼星石でなくなったような感じがした。
「やあ翠星石、どうしたんだい?」
双子なのに、他人に話しかけられているようだった。
「いや…なんでもないですぅ」
蒼星石強ぇ
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:17:22.75 ID:A3lxyCFmO
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:18:00.68 ID:JI1fY8wj0
それから昼食を取っている時も、スコーンを食べている時も、紅茶を飲んでいる時も
くんくんを見ている時も、翠星石は蒼星石が気になって落ち着かなかった。
「翠星石、あなたなんだか様子がおかしいのだわ」
真紅に声をかけられる。
「真紅…その…蒼…」
「?」
「いや、その…なんでもないですぅ」
普段、仲の良い双子の蒼星石がなんだが変だ、とは言えなかった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:18:01.08 ID:rqf/yTeLO
蒼い子は優しい子なのに…
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:19:57.51 ID:JI1fY8wj0
「もうこんな時間か…僕はそろそろマスターのところへ戻るよ」
蒼星石が立ち上がり、鞄を取りに二階へ向かおうとする。
「そうだ、翠星石もたまにはマスターのところへ行こうよ」
思いついたように蒼星石が言う。
「え…でも私が居てやらねぇとチビ人間が…」
「二人とも、会いたがってたよ」
そう言われると断りづらい。
「私もたまには顔を合わせた方がいいと思うのだわ」
「言ってこいよ、翠星石」
「そうよ翠星石ちゃん、お年寄りにあまり心配かけちゃダメよ」
真紅もジュンものりもそう勧める、もう断れなくなってしまった。
「わ、わかったですぅ、たまにはおじじとおばばに会ってやるですぅ」
こうして二人は鞄にのって外へ飛び出していった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:21:50.82 ID:JI1fY8wj0
外はすっかり暗くなっていた。
「…翠星石」
蒼星石が声をかける。
「どうしたですぅ?」
翠星石はいつも通りの調子で、不安を出さないように喋る。
「辛いよ…でも双子だから、君は僕の変化に一番敏感だから…」
翠星石は訝しがった、いきなり何を言い出すのだと思った。
「蒼星石?一体何を言――」
翠星石は言い終わる前に蒼星石の鋏によって黙らされた、みね打ちだ。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:23:29.42 ID:yL8wQTTrO
かまわん、続けたまえ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:23:57.93 ID:JI1fY8wj0
「がッ!」
翠星石は地面に叩きつけられる。
「おっと、いけない…あくまで水銀燈がやったように見せなきゃ…」
バサッと音を立てて蒼星石の背中から黒い翼が生える。
「な、何を…蒼星石…その翼…何が…おかしくなったんですか…?」
妹の突然の攻撃に翠星石は戸惑っていた。
「さよならだよ、姉さん」
黒い羽が一斉に翠星石に襲い掛かった。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:25:04.88 ID:JI1fY8wj0
翌日、桜田家は重い空気に包まれていた。
桜田家の庭でバラバラになった翠星石とメチャクチャに破壊された鞄が発見されたからだ。
翠星石の周りには黒い羽が散乱していた。
雛苺は泣き疲れて鞄の中で眠っている、リビングでは誰も口を聞かない。
そこへ蒼星石がやってきた。
”昨日一緒に帰ったのだが朝になったら翠星石が居なくなっていた”という感じで。
「みんな!翠星石は…!」
「蒼星石…」
ジュンは事の顛末を説明した。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:26:31.45 ID:JI1fY8wj0
翠星石はジュンの部屋の、ビニールシートの上に安置されていた。
右腕と左足は粉々に破壊されて跡形もない、頭部が残っているのが奇跡的と言える状態だった。
「姉さん!姉さん!」
蒼星石は残った左腕を握り締める。
「水銀燈め…許さない…」
蒼星石は喉から絞り出すように呟いた、当然演技なのだが――
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:27:49.75 ID:JI1fY8wj0
しばらくして蒼星石はリビングでジュンの入れた紅茶を飲んでいた。
「ありがとうジュン君…大分…落ち着いたよ…」
その姿を見て真紅は感じた。
蒼星石が本当に、心の底から落ち着いているようにしか見えなかったのだ。
先日の翠星石の様子のおかしさと何か関係しているのだろうか、
まさか蒼星石が翠星石を――
真紅はそんな事を考える自分に嫌気が差した。
「真紅」
そんな事を考えている最中に蒼星石に話しかけられ、ドキリとした。
「僕は水銀燈を探す、真紅も何か分かったら教えてくれないか?」
「わかったのだわ」
そう答えると蒼星石は微笑んでこう言った。
「翠星石を頼んだよ、真紅」
真紅は自分が恥ずかしくなった。
こんなに姉の事を想っているのだ、蒼星石が翠星石に襲い掛かるはずがない。
蒼星石は鞄に乗って飛び去っていった。
こういうのが好きな俺
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:29:42.33 ID:JI1fY8wj0
―――数日後、真紅は金糸雀の住むマンションに居た。
ミーディアムの草笛みつは仕事に行っている。
真紅はこれまでの事を話した。
翠星石の様子がおかしかった事、そしてバラバラにされた事、付近に黒い羽が散
乱していた事。
「ムムム…水銀燈、許すまじかしらー!」
金糸雀は怒りを露にする。
「だから金糸雀、何が少しでも手がかりがあったら教えて頂戴」
「わかったのかしら〜!」
正直なところ、真紅はこの件を金糸雀に打ち明けたくなかった。
もしかしたら、深く関わりすぎて金糸雀までもが
水銀燈の手にかかってしまうのではないか。
しかし、落ち込む蒼星石のためにも何としても水銀燈を探しだし、
奪われた翠星石のローザミスティカを取り戻したいという気持ちの方が大きかった。
「くれぐれも無茶はしないで頂戴、頼んだわ」
「カナは策士だから大丈夫なのかしら〜」
少し不安に思いながらも真紅はマンションを後にした。
水・銀・燈!水・銀・燈!水・銀・燈!水・銀・燈!
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40 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:30:29.45 ID:JL7xfbp20 BE:1783522087-PLT(18871)
何この夜神月
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:31:12.53 ID:JI1fY8wj0
「早速行動開始なのかしら〜」
金糸雀はベランダに飛び出し、日傘を開く。
金糸雀は過去に水銀燈を見かけた事があった。
病院の近くの古ぼけた教会へ入っていく姿、遠目から見ていたが
あれは間違いなく水銀燈の姿だった。
金糸雀は空へ飛び出し、器用に日傘で滑空を始めた。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:32:28.41 ID:JI1fY8wj0
―――教会の前に辿り着く。
金糸雀は内心、不安であった。
入った途端に水銀燈と鉢合わせになる恐れもある。
さらに相手は翠星石のローザミスティカを持っているだろう。
もし戦闘になったら自分に勝ち目はあるのか?
そう思ったが、水銀燈に対して怒りを燃やす事で不安を打ち消した。
「水銀燈!覚悟するのかしらー!」
金糸雀は勢い良く扉を開けた。
43 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:33:04.56 ID:JL7xfbp20 BE:1146549694-PLT(18871)
糞ガチャピンは黙ってろ
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:33:39.69 ID:JI1fY8wj0
教会の中には誰もいなかった。
中は薄暗く、埃が積もっていた。
金糸雀は恐る恐る奥へと足を進める。
何時、何処から水銀燈が飛び出してくるかもわからないのだ。
一番奥の十字架の前まで辿り着くと、金糸雀は辺りを見回した。
すると、最前列の長椅子の上に四角い鞄が置いてあるのが目に入った。
ドール達の持つ鞄であった、おそらく水銀燈の物だろう。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:34:40.21 ID:JI1fY8wj0
「ピチカート!」
金糸雀はピチカートを呼び出し、バイオリンを取り出す。
そしてさらに小声でこう命令した。
「あの鞄に体当たりをぶちかますのかしら〜」
眠っているのならわざわざ起こす必要もない、先手必勝だ。
別に水銀燈があの中にいなくても何ら問題は無い。
ピチカートが距離を取り、金糸雀はバイオリンを構える。
ピチカートが真っ直ぐ鞄に突進する。
轟音と共に鞄が宙に舞って蓋が開いた。
中から水銀燈が出てくる、金糸雀は攻撃しようとしたが、腕が止まる。
中から出てきた水銀燈は身体と頭が離れていた。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:36:12.93 ID:JI1fY8wj0
ドサリと身体が床に落ち、頭がコロコロと金糸燈の足元まで転がってくる。
「ひッ!」
水銀燈の頭部は乱れた銀髪の隙間から虚ろな目で金糸雀を見ていた。
「こ…これはいったい何の冗談なのかしら…」
金糸雀は後退りする。
その時、扉の軋む音が聞こえ、金糸雀はビクリとする。
扉の方を見ると蒼星石が立っていた。
「やあ金糸雀」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:38:34.12 ID:JI1fY8wj0
「蒼星石…!た、大変なのかしら!水銀燈が――」
「知ってるよ」
蒼星石はさらっと答えた。
「え…?知ってる…って…」
戸惑う金糸雀に蒼星石が歩み寄っていく。
「うっかりしてたなぁ…何か分かったら教えてくれなんて…真紅に言っちゃって…」
二人の距離が少しずつ縮まる。
「君に協力を仰ぐとはね…」
蒼星石はレンピカを呼び出す。
「あの時は楽しくて、後始末の事なんてすっかり忘れていたよ」
レンピカから鋏を取り出す。
「翠星石より水銀燈が先に壊れていたら、おかしいもんね」
バサリと、背中から黒い翼が生える。
「まあ水銀燈を僕が今、壊した事にもできるけど」
鋏を開く。
「そしたら翠星石にローザミスティカを返す事になる、その時に僕のした事がバレちゃうね」
一気に距離を詰めた。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:39:52.96 ID:JI1fY8wj0
「ピチカート!」
金糸雀が叫ぶと、ピチカートは眩い光を放った。
その隙に金糸雀は扉の方に走る。
「目くらましなんて随分セコい手だね…」
蒼星石は羽を無数に飛ばす。
黒い羽が金糸雀の服に突き刺さり、そのまま壁に縫い付ける。
「終わりだね…金糸雀」
再び歩み寄る蒼星石。
金糸雀はもがいたが、強力な力で打ち付けられた羽は抜けなかった。
圧倒的な力で金糸雀を追い詰める蒼星石。
蒼星石の心は今、弱者をいたぶる悦びで満ちていた―――
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:41:30.04 ID:JI1fY8wj0
―――金糸雀が教会に入って既に三時間が経過していた。
金糸雀の服はズタズタに裂け、身体には無数の切込みが入れられていた。
ピチカートは蒼星石に足で踏まれて身動きが取れない。
「蒼星石…何でこんな事をするのかしら…」
「何でだって?それは楽しいからさ…人間を斬ったらもっと気持ちいいんだけどなぁ…」
そう言うと金糸雀の太股を鋏の刃で撫で、傷を付ける。
「痛ッ…」
金糸雀は痛みに顔を歪める。
「いいよその顔…その声…とてもいいよ蒼星石…」
蒼星石は興奮して鋏の刃を金糸雀の太股に深々と沈めた。
「いッ…あ…」
金糸雀は押し殺した悲鳴を上げる。
蒼星石はふと窓を見る、空は赤く染まっていた。
「少し夢中になり過ぎたなぁ…あんまり続けていると君のミーディアムが帰ってきてしまう。」
蒼星石は鋏を引き抜いて、切っ先を金糸雀の首にあてがう。
「じゃあね、でも寂しくないよ…君のミーディアムもすぐに送ってあげるから」
「みっ…ちゃん…」
蒼星石は力を込めて鋏を喉に押し込んだ。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:43:09.04 ID:JI1fY8wj0
―――その夜、草笛みつは自宅の鍵を取り出して鍵穴に差し込む。
鍵を捻るが手ごたえがない、すでに鍵が開いていたのだ。
「カナ…?」
みつは金糸雀が鍵を開けっ放しにしたのだろうと思った。
扉を開けて玄関に上がり、リビングへ向かう、明かりも点いていない。
みつは手探りで電灯のスイッチを探し、明かりを点ける。
明かりが点き、目の前の光景に愕然とした。
テーブルの上には金糸雀のバラバラの肢体と引き裂かれた衣類が転がっていた。
指、足首、手首、二の腕、太股、胴体、しかし頭部だけが無い。
「い、いやあぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:44:01.87 ID:ooBn79bH0
うんこー
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:44:47.41 ID:JI1fY8wj0
「もしかして…」
突然、聞き覚えのある声が耳に入る。
「コレを探しているんですか?」
テーブルの下から蒼星石が這い出てくる、その手には金糸雀の頭部が抱えられていた。
「あなたもすぐにこうなりますよ」
蒼星石はニッコリ微笑んで鋏を取り出す。
「う…蒼星石…?あ…い…いやぁ…来ないで…」
みつはその場にへたり込む。
蒼星石は鋏を開き、みつの首を挟むように壁に突き立てる。
このまま鋏を閉じればみつの首と胴体は離れるだろう。
「ひっ…」
「このまま首を刎ねる事もできるけど…それじゃあつまらない」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:47:04.78 ID:JI1fY8wj0
蒼星石は背中に翼を生やし、片手を高く掲げる。
背中から羽が抜け、蒼星石の手の上で塊となり、一本の剣となった。
「まったく…便利な能力だよ…水銀燈」
蒼星石は剣を手に取り、みつの足に突き立てる。
「い、痛い!!」
蒼星石が剣を引き抜くと、みつの足からドクドクを血液が流れる。
蒼星石はゾクゾクと込み上げるものを感じていた。
「やっぱり人はいいや…最高だよ…」
蒼星石は恍惚の笑みを浮かべて腕を動かす。
ザクリ、ザクリとみつの足がズタズタになっていく。
「い、痛いィイイイ!ああああ!あああアアア!!!」
悲鳴は最高の音楽だ、もっと聞きたい。
そんな事を考えながら剣を握る腕を捻り続けた―――
wktk
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:48:32.91 ID:JI1fY8wj0
蒼星石はハッと我に返る、窓の向こうはすっかり暗くなっていた。
壁に掛けられていた時計を見る、十二時を過ぎていた。
「また夢中になっちゃったよ…マスターも心配してるだろうな…」
みつの身体はミンチになり、顔だけが綺麗なままであった。
その顔は苦痛と恐怖で歪んだままの表情だ。
「良かったよ…みっちゃん…」
蒼星石は鋏を閉じて、ズタボロの身体と首を切り離した。
「いい表情だ…」
蒼星石は予め用意していた黒く大き目のボストンバッグにみつの首とミンチを放り込むと、
乗ってきた鞄に入れた。
「困ったな…マスターやおばあちゃんも邪魔になってきたなぁ…」
柴崎家に寝泊りする身としては、あまり夜遅くまで外にいるのは好ましくない。
そろそろ頃合だろうか――
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:48:46.12 ID:xwB/7wZVO
さすがにマンションの一室でこれは馬鹿すぎるわ
萎えた
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:49:08.28 ID:b7HW3KNZO
支援
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:50:31.21 ID:JI1fY8wj0
――蒼星石が姿を見せなくなってから十日後、
ジュンと真紅はその日のニュースを見て呆然としていた。
「被害者は全身がバラバラに切り刻まれる等、損壊が激しく――」
テレビに被害者の顔写真と名前が現れる。
それは見覚えのあるものだった。
「巴…柴崎さん…それにみつさん…?」
ジュンは頭が真っ白になる、何故こんな事になったんだ、誰が。
ガチャンと陶器の割れる音がリビングに響く、真紅が紅茶の入ったカップを落としたのだ。
紅茶がフローリングに広がっていく。
「こ…これは一体何の冗談なの…?」
真紅はカタカタと震え、呟いた。
ニュースのテロップが表示されると同時に読み上げられた。
「現場には文字の刻まれたシルクハットが残されており、N、フィールドと意味不明の言葉が――」
二人は金槌で頭部を強打されたかのような衝撃を受けた。
「そんな…どうして…蒼星石…」
真紅はその場で泣き崩れた。
信じていた、翠星石がバラバラにされた時も、
本当に双子の姉の事を想っていた、そう見えた。
だがその態度が偽りであった―――
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:51:44.05 ID:JI1fY8wj0
「真紅…」
ジュンは真紅を抱き寄せる。
「ジュン…ジュン!」
真紅はジュンの胸に顔を埋めて泣いた。
ジュンは真紅の頭を撫でる。
「真紅…真紅…」
ジュンはただ、真紅の名を呼び優しく頭を撫で続けた。
――数時間後、真紅もようやく落ち着く。
「大丈夫か、真紅」
「ええ、もう大丈夫なのだわ」
そう言う真紅の顔をジュンは見つめる。
いつものような毅然とした顔つきではないが、
その瞳には何か決意のようなものが秘められていた。
61 :
フェイト ◆Fate///C26 :2008/04/30(水) 18:52:53.72 ID:JL7xfbp20 BE:955458656-PLT(18871)
萎えた
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:53:33.87 ID:JI1fY8wj0
突然、コツコツとわざとらしく音を立てるような革靴の音が聞こえる、それは廊下からだった。
ジュンと真紅は廊下に飛び出した。
廊下を出て奥を見ると、普段は物置部屋に置いてある鏡が廊下に横たえられており、
まさに今蒼星石が鏡の中に入っていくところだった。
そしてその腕に抱えられているのは―――
「雛苺!」
雛苺はぐったりとしている、おそらく気を失っているのだろう。
蒼星石は完全に鏡の中へ姿を消す。
「ジュン、行くわよ!」
真紅は鏡へ走り出し、ジュンもそれに続いた。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:55:07.24 ID:JI1fY8wj0
鏡を通り抜けるとそこは見たことのない場所だった。
血のように赤く染まった空、大地はひび割れた荒野のようで、
雑草の一本も生えていなかった。
ところどころ大きな亀裂がバックリと口を開けていた、落ちればタダでは済まなさそうだ。
「こっちだよ、二人とも」
上から声が聞こえる。
蒼星石は黒い翼を生やして空を飛んでいた、その腕には雛苺が抱えられている。
「さあ、雛苺にお別れするんだ、二人とも」
蒼星石は雛苺の喉元に鋏の刃を突きつける。
「雛苺!」
真紅は叫ぶ、このままでは雛苺は―――
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:56:35.15 ID:ASfCfakjO
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:56:57.58 ID:JI1fY8wj0
真紅は薔薇の花弁を蒼星石に向かって飛ばす。
「おおっと危ない」
蒼星石は雛苺を花弁に向かって投げつける。
真紅は雛苺に攻撃を当てまいと咄嗟に花弁を逸らす。
蒼星石は雛苺を目隠しに急降下し、そのまま真紅に突っ込んできた。
「真紅!前だ!」
ジュンの声で蒼星石に気づき、ステッキで蒼星石の鋏を受け止める。
しかし、すでにローザミスティカを四つ所持している蒼星石のパワーは凄まじく、
真紅は吹き飛ばされてしまった。
蒼星石は着地し、その場で鋏を掲げる。
その上には投げられた雛苺が落ちてきて―――
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 18:59:19.99 ID:JI1fY8wj0
「…許して頂戴、雛苺」
真紅は吹っ飛ばされながらも花弁を雛苺に向かって飛ばす。
花弁は命中し、雛苺は吹き飛ばされて鋏の串刺しになるのは免れた。
「味方に攻撃を当てて回避させるなんて、なかなかやるね、真紅」
感心したように言う蒼星石。
「でもね、真紅…どっちにしろ意味は無いと思うよ」
蒼星石は雛苺に向かって走り出す。
「させないのだわ!」
真紅は花弁を蒼星石に飛ばす。
蒼星石は背中の翼から羽を飛ばす、その羽は花弁を一つ残らず叩き落してしまった。
「間に合わなかったね、真紅」
蒼星石は鋏を雛苺に向かって振り下ろした。
ヒナああああああああああああ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:01:17.83 ID:JI1fY8wj0
雛苺の頭が宙に舞い、そのまま亀裂に飲み込まれていった。
「雛…苺…そんな…」
ジュンはがくりとその場に膝を着く。
雛苺の身体から出てくるローザミスティカを取り込む蒼星石。
「フフ…これで五つ…残りは君と、ずっと姿を見せないで引篭もっているドールだね」
「蒼星石…よほどお父様に会いたいのね…」
真紅は蒼星石を怒りの形相で睨み付ける。
「ああ…そうさ…そしてお父様をこの手で…切る」
真紅は蒼星石の言葉にショックを受ける。
「あなた…何を言っているの!?お父様まで…」
「そうさ…お父様を切り裂いてみたい…心底ゾクゾクするだろう…自分を作った人を切るなんて…」
自分の創造主を切り裂く自分の姿を想像しているのか、蒼星石は恍惚の笑みを浮かべる。
「真紅」
ジュンが真紅に呼びかける。
「力をどんどん使っても構わない、だから…」
「わかっているのだわ、ジュン…絶対に倒してみせる」
真紅は集中して力を溜める。
ジュンの指輪が赤く輝き、熱く感じる。
次第に力が抜けていくのがわかる。
「こっちはミーディアムを殺しちゃったからね…少し不利かもしれないな、でもね」
蒼星石はジュンの方へ首を向けて、ニヤリと笑う。
ゾッとするような笑みを見たジュンは、蒼星石が何を考えているのかを悟った。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:02:49.19 ID:iGYJm0Vz0
wktk
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:02:53.87 ID:JI1fY8wj0
「させないのだわ!」
ジュンの力を借りて強力になった花弁が蒼星石を襲う。
蒼星石は羽を飛ばすが、強化された花弁を弾く事はできなかった。
「みんな、僕を守ってくれないか?」
蒼星石は人工精霊達呼び出し、盾にして花弁を凌ぎ切った。
「行くんだ」
さらに人工精霊達をけしかける蒼星石。
「ホーリエ、少しでいいからあの子達を止めて頂戴」
真紅に命令されると、ホーリエは果敢に人工精霊達に突っ込んでいった。
真紅は辺りに大量の花弁をばら撒く、その度にジュンの指輪が熱くなっていく。
「ぐっ…」
ジュンはうめき声をあげるが、自分でどんどん使えと言ったのだ。
ジュンはその熱さと脱力感に必死に耐えた。
ばら撒かれた花弁が少しずつ、蒼星石の翼を抉っていく。
「小ざかしい真似を…!」
蒼星石は必死で花弁を払うが、量が多すぎる。
花弁は次第に蒼星石の身体に傷を付けていった。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:04:21.57 ID:JI1fY8wj0
蒼星石は残った翼の羽を全て集めて剣を作った。
翼を出しているだけでも花弁に抉り取られるので、剣にして攻撃の足しにしようと思ったのだ。
真紅はそれを狙っていた。
真紅は花弁をまとめ、一気に蒼星石に向かって飛ばす。
「ぐっ…」
蒼星石は鋏と剣でそれを受け止めるが、耐え切れなくなって
大きな亀裂に吹き飛ばされた。
蒼星石は剣を羽に戻し、翼にして飛ぼうとしたが、
剣は大量の花弁に絡め取られていた。
「終わりなのだわ、蒼星石」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:05:38.36 ID:JI1fY8wj0
「真紅ぅぅぅぅううううううううううううう!!!」
蒼星石は大量の花弁と共に断崖の闇へと消えた。
ジュンはその場に崩れ落ちる。
「真紅!」
真紅はジュンの元へと駆け寄る。
「大丈夫だよ真紅…少し疲れただけさ…」
ジュンは真紅を抱き寄せる。
「終わったわ…ジュン…全て…」
「ああ…」
二人は立ち上がり、入り口へ歩いていった―――
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:06:55.52 ID:JI1fY8wj0
―――あの戦いから二十日程が経った。
蒼星石は崖に落ち、ローザミスティカもそのまま行方知れず。
ジュンの部屋で、真紅はため息をついた。
あれからジュンも、この事件の事を話したのりも、そして自分も未だに立ち直れない。
常にもやもやとした物が心を覆っているような気持ちだった。
何故蒼星石があんな行動に至ったのかはわからない、
何が彼女を狂わせたのか、おそらく蒼星石自身にもわからないだろう。
その時、一階でゴトンと音がした。
何か胸騒ぎがして急いで一階に駆け下りる。
廊下を見回すと物置部屋の扉が半開きになっていた。
真紅は扉を開ける。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:08:27.26 ID:JI1fY8wj0
物置部屋に入ると、普段は布が掛けられてる大きな鏡の布が落ちていた。
「まさか――」
真紅は無用心に鏡に近づく。
真紅が鏡の目の前に立つと、鏡から腕が飛び出し、真紅の喉を掴む。
「うぐっ!?」
喉がメリメリと音を立てて軋む。
気がつくと鏡には腕の次によく見知った顔が浮かんでいた。
「――やあ真紅!僕だよ!帰ってきたよ!」
蒼星石がおかしくなってしまったようです 〜完〜
くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
誰か文才くれえええええええええええええええええええええええ
色んなローゼンSSシリーズに触発されたが全然うまくいかねえええええええええええええええええええ
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:10:21.01 ID:yL8wQTTrO
乙
実を言うともう少し見たかったわ
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:10:32.01 ID:ASfCfakjO
乙。いい暇潰しになったぜ
乙w
こういうジャンルは読んだこと無かったが
なかなか面白かったよ
不覚にもちびった・・・乙。
ちくしょおおおおおおおおおROMってんなよおおおおおおおお
正直心が折れそうだったわ
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:12:19.94 ID:b7HW3KNZO
やべぇよかった乙
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:12:35.81 ID:coGi2L3v0
これは面白かった
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:13:35.98 ID:yL8wQTTrO
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:13:40.35 ID:ASfCfakjO
>>81 書き溜めたやつを汗だらだらで送信してたんですね、わかります
ちょっと新ジャンル書いてくる
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:14:17.32 ID:iGYJm0Vz0
乙
蒼星石最高!!
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/30(水) 19:21:27.70 ID:zKujuZ5iO
乙!!
文才ないとか言ってるが逆に凝りすぎて読みづらい感がなくてよかったぜ。
ちくしょううれしいぜ・・・
本妻に真紅、不倫相手に水銀燈 みたいなすげぇ作品を書きたかった・・・
糞真紅め