K ★CHANNEL

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
キャンプからの帰り道。皆の雰囲気は最悪だった。
今回の部活は俺が無理やり企画したものだったとはいえ、これを機に皆の仲が
以前みたいに修復されるものだと思っていただけにやるせない気持ちで一杯だった。
魅音。詩音。レナ。沙都子と梨花ちゃん。
誰一人として言葉を交わすこともない。
かつて放課後にバカ騒ぎしていた頃からはとても想像が出来ないこの状況で、
俺はただ一人で益体も無い事を吹いて空回りだけだった。

……何やってんだよ俺は。あれだけ息巻いといてこのザマかよ。

凍りついた空気を背中に感じながら、俺は皆の先頭に立って獣道を進んでいた。
「圭一くん、本当にこの道で合ってるのかな、かな?」
レナの呆れた様子の口調が辛かった。
「大丈夫だって、心配するな。こっちのほうが近道なんだよ」
「圭一さんの言うことは当てになりませんわ」
「そうなのです。圭一は嘘つきなのです」
そう言って梨花ちゃんは俺の背中めがけて小石を投げつけた。
「圭ちゃんが信用出来ないんなら自分達だけで勝手に帰れば?その方がおじさんも楽だし」
「おねえは部長なのに無責任ですね。そんなだから聡史君は……」
「詩音!」
不穏な空気を感じ取った俺は咄嗟に叫んでいた。俯いて小刻みに震える魅音に謝るでもなく、
詩音は涼しい顔でそっぽを向いた。
「気にすんなよ魅音。お前のせいじゃない」
「うん……」
もう何度言ったか分からない台詞だ。いいかげんこんな言葉しか掛けられない自分が嫌になる。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:06:28.69 ID:LkgBbUUy0
夕日はとっくに沈み、辺りは真っ暗闇になっていた。
いくら田舎とはいえそろそろ灯りの一つも見えていいころなんじゃないかと思った矢先、
遠くの方に見覚えのある道路が見えた。
「ふぅ。ようやく森を抜け出せたな。早くひとっ風呂浴びて布団に包まりたいぜ、なあレナ」
「……ん、そうだね」
レナの反応が薄いのは疲れてるという理由だけじゃない。分かってはいても胸を締め付けるこの感覚は
なかなか慣れないものだ。
「詩音、今日は本家の方に泊まっていく?」
「いいえ結構です。葛西に町まで送ってもらいますから」
「でもでも、もう遅いしせっかくなんだから」
「結構です。ていうかおねえと同じ場所には一秒だっていたくないっていい加減分かってもらえます?」
「ご、ごめん……」
足が重い。体がだるい。このまま地べたに座り込んでしまいたいかった。
もうこれ以上こんな痛々しい会話を聞き続けたく無い。

ちくしょう。

どうしてこんなことになっちまったんだ。

まるで世界の終わりでもきたみたいじゃないか。

こうして俺達は雛見沢へと帰ってきた。そして世界は終わっていた。



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3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:07:05.15 ID:LkgBbUUy0
               *

連続少女襲撃事件を起こしてしまった俺は強制的に精神鑑定を受けさせられた。
その結果、社会不適合の烙印を押された俺が逃げるように引っ越してきたのがこの雛見沢だった。
誰も過去の俺を知らない新たな土地でやり直そうという両親の計らいだったが、
まだ不安定だった俺は両親の苦労を慮ることすらせずにただひたすら無気力な日々を送っていた。
そんな俺をいつも引っ張ってくれていたのはあいつらだった。
嫌がる俺を無理やり部活に参加させて、罰ゲームと称して村中をコスプレ姿で連れまわしたあいつら。
最初は不愉快で仕方なかったが、そんな彼女達の強行によって俺の恥が村中に知れ渡り、
気がつけば俺は驚くほどすんなりと雛見沢に受け入れられていた。
その事に気づいた時、ずっと俺の中で澱んでいた何かが嘘みたいに吹き飛んでいた。

いつも家まで迎えに来てくれたレナ。
俺を笑わせる為に一生懸命になってくれた魅音。
逃げ腰だった俺にアメとムチの強烈な発破をかけてくれた沙都子と梨花ちゃん。
魅音のブレーキ役として皆に頼られていた詩音。
そして、たぶん一番苦労していた筈なのに笑顔を絶やさなかった聡史。

今の俺があるのは全部こいつらのおかげだ。感謝してもしきれない。

それなのに。

あの日――聡史が失踪した日から、俺達の歯車は少しずつ歪んでいった。

               *
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:07:47.60 ID:LkgBbUUy0
眩しい朝日の下、俺は校門に背を預けて佇むレナに声を掛けた。
「冴えない顔だな、レナ」
「圭一くん……おはよ」
「おう。そっちの様子はどうだった?」
レナは静かに首を振った。
「駄目。誰もいなかった」
「そうか……ったく、一体どうなってんだよ」
「みんなで旅行にでもいったのかな、かな?」
「だとしたらすげームカツクぜ。一言誘ってくれりゃあキャンプ場からひとっとびで駆けつけたのによ」
「あははは、そうだね。凄く楽しそうだもんね」
そういって笑うレナには、皆の関係が歪んでしまう前の面影があった。
こんな状況なのに、いや、こんな状況だからこそ、俺達の歪みが身を潜めているのだろう。
「圭ちゃん!レナ!」
薄緑色の髪を振り乱してこちらに走ってくる2人組の姿。魅音と詩音だ。
「ハァハァ……圭ちゃん、こっちは全滅だった」
「ぜ、全滅!?」
「ち、ち、違う違う、そうじゃなくてえとえと」
「しっかりしてよおねえ!圭ちゃん、こっちには誰もいませんでした」
「そっちもか……。俺達の方も駄目だった。誰もいない。あとは沙都子達だけだな…おっと」
噂をすれば影、ちょうど沙都子と梨花ちゃんの2人がこちらへ歩いてくるのが見えた。
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:08:11.43 ID:LkgBbUUy0
2人の到着を待ちきれなかった俺は大きく手を振って叫んだ。
「おーい!そっちはどうだー!」
2人の様子を見れば答えは聞くまでも無かった。顔を上げる気力も無いのか、項垂れて
手を引かれるままに歩く沙都子の代わりに梨花ちゃんはゆっくりと首を振った。
「こっちには誰もいなかったのです。」
「ということは、やっぱり……」
「雛見沢村民全員が一夜にして消え失せた……ってことですか」
「それどころか、動物もいないのです」
「動物まで!?本当かよ」
「ええ。いつも餌をあげてる野良猫が一匹もいませんでしたわ」
ようやく頭を上げた沙都子の顔は、光の加減かずいぶんとやつれて見えた。
「そういえば」
とレナが目を大きく開けた。
「お隣で飼ってたコロちゃんがいなかったんだけど、首輪とか鎖はそのままだったよ。まるで
突然消えてしまったみたいに」
「突然消えたって、それじゃまるで…」
それまで黙っていた魅音が搾り出すように言った。
「鬼…隠し」
その言葉が放たれた瞬間、今まで聞こえなかったひぐらしの声が狂ったように鳴り響いた。
「オ、オヤシロ様の祟りだってのかよ……そんな……」
うろたえる俺達を鎮めるように、静かに梨花ちゃんは言った。
「その可能性は低いのです。だって……」
そして彼女は聞き取れないほどの小さい声で言った。
「あの子もいないのだから」

もう――ひぐらしの声は聞こえなかった。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:08:57.36 ID:LkgBbUUy0
終わり
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:33:02.95 ID:P0JA663x0
終わらないでください><
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 04:34:17.79 ID:lyqfaDfm0
続けろや
9賢ぼを:2008/04/13(日) 04:52:59.13 ID:wXnsuMqA0
頼む、続けてくれ
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:12:46.08 ID:Juun6dxTO
続けて下さいお願いします
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:26:18.17 ID:N3UDlgPG0
誰もいなくなった雛見沢で俺達6人の生活が始まった。電気・水道はストップ、しかも
なぜか雛見沢を出ることが出来ないという状況で最重要となったのは食料の確保だった。
「とりあえず家中の食料をかたっぱしから集めてきたけど、思ったよりも少ないな」
「僕達の方が少ないのです」
梨花ちゃんが持ってきたのは大きめの買い物袋に申し訳程度に入った缶詰だった。
「キャンプがあるからお買い物はしてなかったのです。」
「しょうがありませんわ。もともと私達だけでは絶対量が少ないんですもの」
「私のは圭一くんのとあまり変わらないみたいだね」
「まあ買い物のタイミングとかもあるし、一般家庭だとこんなもんだろ。魅音と詩音はどうだった?」
「ウチはまあまあかな。人数が多い分だけ量はあるし、井戸も川もあるから水には困らないだろうけど…」
「問題は時間ですね。この状態がどれだけ続くのかが分からない上に生鮮食品はどんどん腐っていきますから、
たとえ雛見沢中の食品を集めてもずっとこのままって訳にはいきませんよ」
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:27:52.89 ID:lyqfaDfm0
wktk
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:28:20.98 ID:N3UDlgPG0
もう見てる人はいないかもしれないけど

ID変わったし書き溜めももう無いんで、今回は終了です。すんません
もし完結させることができたらまた改めてやるかもしれません
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:33:44.42 ID:lyqfaDfm0
( ゚Д゚)エー
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/13(日) 05:34:11.76 ID:HUbXXw1l0
みみみ先輩
リカリカとサトちん
レナのハラキリブレード
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
入江「男でもいい」
デス富竹「・・・・・」