1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ζ´゜ω゜`)ζ川'∀`)ようこそこのスレへ!!!!!!11
オナニー・・・・された・・・・・?
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:16:37.81 ID:cZ6gO8Nm0
尊敬語
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:17:15.02 ID:dRhDuwYeO
またお前か
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:18:03.06 ID:+5MduKQLO
代理ありがとうございます
・話の3割くらいがエロだから、R‐6.6ぐらい?
・一気に投下する
・俺は童貞
・多分おっき出来ないエロ
以下投下
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:20:37.23 ID:+5MduKQLO
プロローグ 『ゲームスタート』
内藤ホライゾンは、満ち足りた日常に、どことなく不満足していた。
そこそこ進学校と言われるVIP高校に入学し、友達もそこそこにでき、甘酸っぱい片思いもして、
部活も、少ない部員の中だがエースと呼ばれ、成績もそこそこに卒業を確定し、そこそこの大学に受かった。
しかし、内藤ホライゾンはどことなく不満足していた。何が不満足かと訊かれると、内藤は答えることが出来ない。
ただ、間違いなく彼の頭の中には満たされなかった欲望があるのだ。
その望みというのが一体何かを考え、達成する。
それが急務であり、そう出来ないことは内藤ホライゾン唯一のVIP高校に対する心残りとなる。
しかしながら、内藤は若干、それが出来なくても良いと考えている腹もあった。
心残りのない卒業など、それはそれで虚しいものである。
どうせならば、ぼろぼろと涙をこぼし、咽びながら学校を去りたいと考えていた。
だから、彼女を見たときはそこからの進退をずいぶん迷っていた。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:23:02.88 ID:+5MduKQLO
内藤は、緊張の糸が解けた友人と遊び尽くし、少し落ち着いたところで引退した部活の様子を見に行った帰りだった。
もはや人など来まいと、彼女は油断していたのだろうか。
それならば、内藤もおとなしく引き返して、なかった事にしたかったのだが、
財布、携帯、PSP諸々、全て彼女の座っている机の中に入っているのだ。だから、内藤は迷っていた。
(;^ω^)「……」
独り言も呟けなかった。何か言葉を発そうものなら、彼女が自分に気付くかも知れないと、内藤は恐れていた。
とっくに日は傾いて、ほとんど山に没していた。内藤としても譲れない一番であり、しかし譲りたくて仕方ない一番であった。
次、時計の長い針が9を示すと、学校は人を追い出し、アルソックに切り替える。そうなれば、二人は不審侵入者だ。
これ以上彼女に付き合ってはいられないが、どう彼女を退かせばいいか分からない。
(;^ω^)「はー、どうしたもんかお」
内藤はため息をつき、口の端からつい言葉を漏らした。少しは気がほぐれたか、と一瞬安心して、次には全身がこわばった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:26:10.23 ID:cHkN43V3O
うーん、びみょ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:26:42.86 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「あ……」
从'ー';从「……」
伏せていた目を上げた途端、こちらのほうを見ている彼女に気がついた。
襟を噛まれたブレザーもワイシャツも、ただの一つとしてボタンを留めていなかったし、そもそもブラも付けずにいた。
それから、パンティは片足だけに通されてくるぶしの辺りでくるまっていて、
スカートは股の付け根に折り畳まれたかのように小さく収まっていた。
彼女は単に、肌を露出する事で、快楽を得るタイプの変態ではないようだ。
それ故、ここで自慰行為、即ちオナニーをする必要があったのだろう。
しかし、例えばこういう風にリスクを伴ってしまう場合が多い。家でおとなしくしていれば良いのだから、大方もっと非常な理由があるはずだ。
ただ、そんな冷静な思考は、この場では何の意味も持たない。内藤は眉をしかめた。
从'ー';从「……見た?」
(;^ω^)「見てないって言っても、信じないでしょうから、正直に良いますお。……見ました」
彼女は小さく呻いて、世界の終わりを見ているような顔をした。なおかつ、それが内藤のせいであると非難するようでもあった。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:29:38.44 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「……私のことは知ってる? ……よね」
着衣の乱れを直すと、彼女は床を踏んだ。制服を規則どおりに着たその姿なら、内藤ははっきり知っていると言えるはずだ。
( ^ω^)「生徒会長……元。渡辺あやかさんですお? そもそも、一応クラスメートだし……」
渡辺は文武両道の、教師方からも愛される真面目な生徒だと知っていたが、
内藤には、少なくとも今の渡辺はそんな風には見えなかった。
从'ー'从「……それで、どうしたいの?」
腰に手を置いて、渡辺は不満そうに訊いた。内藤は、少し蛍光灯を見上げて、頭を掻いて、
( ^ω^)「え?」
聞き返した。
从'ー'从「……こういう時、何て言えばいいか、どう動けば良いかくらい知ってるでしょ?」
(;^ω^)「う……」
そういう訳でもないだろう、とは思ったけれど、さも当然のように言われると言い返せないのが、内藤の性質であった。
とは言っても、それでさあやってみろと言われても、どうすれば良いのかも分からないのである。
内藤は困惑した。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:32:30.95 ID:+5MduKQLO
まず、内藤は彼女を傷付けない方法を考えた。彼とて、渡辺のおおかたの気持ちは理解できる。
渡辺を傷つけたり、不安にする訳にはいかないし、そんな事はしたくもない。
内藤は、彼女には自分の賤しいところを見せたくはないと思っていた。
( ^ω^)「……えーっと」
しばらく迷って、なんとか言葉を選ぶと、内藤は語る。
( ^ω^)「……あの、僕は別に何をしようって気もないですお。だから、心配いらないですお」
从'ー'从「え? ……う、うん。なら……ありがとう……ごめんね、なんか」
内藤がそう言葉をかけると、渡辺は辺りをもう一度見回してから、挨拶もそこそこに、教室を去っていった。
ひとまずは、正しい判断を出来たのかと、内藤は胸をなで下ろした。
( ^ω^)「それにしても……いや、ともかくもう帰るかお」
なにか呟こうとして、やめた。内藤は荷物をとると、早々と帰路についた。
( ゚ω゚)「どうなってるんだお! 日本はっ! カルト教団、在日暴力団、街基地、DQNの名前が入手できないとなると」
( ゚ω゚)「とても犯罪者全員ぬっ殺して世界平和になんかできないお!」
川 ゚ -゚)「とりあえず他の国から取り掛かったらどうだ? 目的は世界平和なんだろ?」
( ^ω^)「中卒の僕には日本語以外わからないんだお……」
川 ゚ -゚)(じゃあ結局世界平和無理じゃん)
( ゚ω゚)「とにかく! 何とかして実名報道させないと、世界平和は永遠に実現できないお!!」
川 ゚ -゚)「それより英語の勉強しろよ」
( ゚ω゚)「まずこの歪んだ現代社会を正す事が必要だお!」
川 ゚ -゚)「その前に自分の頭の心配しろ」
( ^ω^)「実名報道をする社会をまず実現しなくてはならないお・・・!」
三日後
( ^ω^)「という訳でブーンはダンス教室に通う事になったんだお!」
川 ゚ -゚)「どういう訳なんだ」
( ^ω^)「いや先生が美人だったからとかじゃなくて、ダンスを習う事により日本を正しい社会に改善して行こうという狙いがあったりなかったり」
川 ゚ -゚)「死ねよ」
ξ゚听)ξ「アン・ドゥ・トロゥ・アンドゥトロゥ! 作者がダンスとかした事ないから適当よ!」
( ^ω^)(ハァハァ…ツン先生最高だお! あのこぶりな乳がたまらんお!)
ξ゚听)ξ「ブーン君! 何をしてるの! 真面目に練習しなさい!」
( ^ω^)「は、はい! すいませんだお!」
( ^ω^)「アン・ドゥ・トロゥ・アン・ドゥ・トロゥだお!」
ξ゚听)ξ(なっ! 何よこの動き! 体系はピザだけど100年に一人の才能だわ! あたしは一発で掘れてしまった。あたしはスイーツ(笑))
ξ゚听)ξ「ブーン君! あたしと結婚して!!!!」
( ^ω^)「嬉しいけど、僕は大きな使命を抱えているんだお。それを果たすまで結婚なんかしている暇はないんだお・・・」
( ^ω^)「ごめんだお・・・・! 許して欲しいおツン先生!」
ξ゚听)ξ「待って! 行かないでブーンくーーーーん!!!」
( ^ω^)「激しい恋を乗り越えて成長した僕に、もう怖いものはないお! さっそく活動開始だお」
( ^ω^)「まず・・・・在日の実名報道を実現させるお」
川 ゚ -゚)「ほう、どうするんだ?」
( ^ω^)「まずは・・・権力を手に入れるんだお! 上流社会にデビューしてコネ作りだお!」
川 ゚ -゚)「ニートのおまえにそんな事ができるのか?」
( ^ω^)「できるできないじゃない・・・・やらなくてはいけないんだお!」
( ^ω^)きりっ
川 ゚ -゚)(うっわ不細工な顔だな)
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:35:38.18 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)がオナニーされたようです。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:36:34.42 ID:zKG01USi0
しえんしとく
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:37:48.24 ID:zL2Vw/FL0
????
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:38:31.57 ID:+5MduKQLO
1 『マリオカート』
久しぶりに長い距離を走って、足が疲れていた。家に帰って、自室に入るとまず、制服を脱いでベッドに投げた。
内藤はワイシャツ一枚を羽織り、あとはトランクスで腰掛け、今日に思いを巡らせた。
グラウンドで後輩と足の速さを競ったりもしたのだが、その記憶はほとんど失せていた。
( ^ω^)「……渡辺さん、かお」
内藤は、彼女のことはよく知っている。元生徒会長で、誰よりも優等生という言葉が似合う真面目な人。
しかし、彼女の人間らしい可愛さが、内藤にとってはたまらなく愛しかった。
かつては、そう思っていた。
( ^ω^)「昔なら、どうしたかな……」
今となっては、渡辺のことは諦め、恋をしたことも忘れかけていたし、今日のことでも全く気は変わらなかった。
しかし、もちろん渡辺のことは大事だという気はしていたから、これを使って彼女を利用しようとは考えられなかった。
そうすると、内藤は自分の気持ちが分からなくなる。
本当に、渡辺が大事なだけで、何でもないフリをしたのか、と。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:40:45.64 ID:zKG01USi0
ししええんん
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:41:21.29 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……誰かに相談するわけにはいかないし、素直に忘れておくべきかお」
部屋着に着替えて、夕食をとりに一階へ降りると、内藤はそれっきり考えることを止めた。
J( 'ー`)し「明日も、学校に行くのかい?」
( ^ω^)「うん、もうすぐ卒業だから、出来るだけみんなと学校で過ごそうと思ってるんだお」
J( 'ー`)し「あら、そう。……大事な友達だもんね、分かったわ」
夜も、内藤は思うこともなく、ただ近付いてくる卒業の日に、思いを寄せた。
内藤はまだ、己の高校生活に、心残りを感じていた。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:41:41.33 ID:Q0ddX08u0
『次のニュースです。
連続レイプ魔の犯人として、ニダラニダ夫容疑者が逮捕されました。
ニダラ容疑者は「ウリの優秀な子種をチョッパーリに植えつけてやっただけニダ!」
と主張しており――』
( ^ω^)「レイプ魔……これは間違いなく悪人」
( ^ω^)「テレビに顔も名前も映ってるし、さっそくデスノートでぬっ殺すお!」
( ^ω^)カキカキ<ニダラニダ夫 今すぐチンコ破裂して死亡>
( ^ω^)「くっくっくっ……犯罪者め死ぬがよいお!」
川 ゚ -゚)「まあ、おまえの顔もある意味犯罪的だがな」
( ^ω^)「ひでぇ」
三日後
( ^ω^)「……全然死んだっていうニュースが来ないお。どうなってるんだお?」
川 ゚ -゚)「通名なんじゃないか?」
通名……在日が使う事を許された偽名。こっちだけしか報道されない事も多い。
詳しくはクグれ
( ゚ω゚)「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:42:21.94 ID:qP+wqEsA0
ID:Q0ddX08u0
つまんねぇ
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:44:24.46 ID:+5MduKQLO
窓の桟でスズメが踊っているのに気が付いて、内藤は目を覚ました。
外を見ると、もう朝焼けの色は残っていなくて、内藤のマンションとは少し離れた道路では、すでに多くの車通りがあった。
( うω^)「朝……かお」
学校へ行くのが、ちょっと憂鬱でもあったが、内藤は体を起こすと、リビングルームへ降りていく。
母親はもう起きていて、彼のために朝食を作っていた。
( ^ω^)「カーチャンおはようだお」
J( 'ー`)し「あら、早いわね。疲れてないの?」
( ^ω^)「平気平気、いつだって絶好調だお!」
J( 'ー`)し「そう? ……ね。ご飯食べたら、行ってらっしゃい」
内藤は、胸をトントン叩いて、親指を立ててみせた。その姿こそ、まさに好調でないように見せているのだが、母は内藤を止めなかった。
( ^ω^)「……さて、と」
食事を終え、内藤は携帯でVIPを覗きつつ、ゆとりを持って制服を着ていく。
こういう朝も、この時期だからこそ過ごせるものだ。特に面白いスレッドもなく、携帯を閉じると、内藤は財布をポケットに、家を出た。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:45:15.46 ID:zKG01USi0
ししええんん
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:47:58.68 ID:+5MduKQLO
車庫から自転車を引きずり出すと、跨って走り出した。
学校への道は、3キロ無い。
電車を乗り継ぎ、通学にも憧れもしたが、内藤は今の自転車通学が、結局いちばん気に入っていた。
('A`)「よっす、ブーン」
塀に囲まれた見通しの悪い道を進んでいくと、内藤の友人が後から追いついてきた。
( ^ω^)「あ、ドク。学校行くのかお?」
('A`)「見ればわかるだろ、あほ。俺だって卒業するのは嫌だもの」
内藤はドクと自転車を並べて走り、他愛ない会話をしながら、昨日の出来事を話すべきか、迷っていた。
('A`)「……どした?」
( ^ω^)「いや……僕も、想うことがあるんだお」
('A`)「ま、そうかもな……お前も色々あったしな、関東大会とか渡辺のこととか」
ドクは雲を見て、思いに耽っていた。彼も、内藤と同じに陸上をやって、青春を過ごしたものだ。
やはり、彼にも思うところがあるのだろう、ドクはため息をついた。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:50:04.94 ID:zKG01USi0
ししええんん
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:50:27.60 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……別に、渡辺さんの事は……もう忘れたお」
頭を掻いて、ドクから目をそらした。内藤は携帯を開いて適当にいじり、しまった。
('A`)「うそだー。ごまかすのがあーやしぃ」
(;^ω^)「なにを……」
内藤が言い返そうとすると、曲がるべき角が横に現れて、反対側からドクに衝突された。
('A`)「ほらほら、チェリーボーイ。この坂を登ればもうすぐ学校ですよ」
( ^ω^)「すいませんねぇどーも」
学校前の心臓ヌッコロシの坂を登りきると、各々の自転車を駐輪場に停める。
ドクとは学級が校舎の棟を分けて違うから、下駄箱から先は別れ、内藤は一人で歩いた。
まだ、人もまばらであり、誰にも会うことなく内藤は教室にたどり着き、そこで初めて一人の生徒に会った。
从'ー'从「あっ……おはよー、内藤くん」
( ^ω^)「……おはようですお、渡辺さん」
内藤と目が合った瞬間、渡辺はすぐさま目をそらしたことから、彼は昨日の出来事が単なる夢では無いことを再確認した。
それで無ければ、彼女はこんな反応を示したりしない、と言うのが、内藤の中で確立していた。
ただ、それでも愛嬌のある彼女の挨拶に、内藤はまたときめいた。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:50:51.70 ID:Q0ddX08u0
『次のニュースです。
「ホームレス狩り」で五人のホームレスが殺されていた事件ですが』
( ^ω^)「お? 犯人捕まったのかお?」
川 ゚ -゚)「そうみたいだな」
( ^ω^)「……この事件は前から注目してたお」
( ^ω^)「罪の無いホームレスのおっちゃんが、残酷な方法で殺されてたんだお」
川 ゚ -゚)「ホームレス予備軍のおまえには死活問題だな」
( ^ω^)「いや、ちょっと酷くないかお? とにかく犯人ぬっ殺すお!」
『犯人の少年A、Bはゲーム感覚で犯行を行っていたようで』
( ゚ω゚)「少年法ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
川 ゚ -゚)「おまえ結局誰も殺せてないな」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:52:13.17 ID:zKG01USi0
ししええんん
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:53:25.08 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「内藤くん」
真っ黒いトレンチを、安っぽい針金ハンガーにかけていると、後ろから渡辺が話しかけてきた。
( ^ω^)「はい、はい……何ですかお」
内藤は、それを終えてから振り向いた。
彼女にしては無遠慮に、誰だかの机に座っていた。ぶらぶらと揺れる両脚のすきまから覗くパンティも、今日はしっかりあるべき所にあった。
从'ー'从「今日は、ヒマ……かな?」
( ^ω^)「受験の終わった高3が、暇じゃないって思うなら、暇じゃないって言ってみますお」
从'ー'从「じゃあ、残念。あたし、ヒマだと思ってるから」
( ^ω^)「そうですかお。なら、渡辺さんが思う通りですお」
内藤は、ずいぶん冗長なやり取りだな、と内心鼻で笑いつつ、初めにそんな言い方をしたのは自分だと気付いて、悲しくなった。
从'ー'从「それなら、今日、私の家に来てくれる?」
(;^ω^)「……え?」
突然の誘いに、内藤は何故だか胸を躍らせていた。
从'ー'从「色々、話したいこともあるんだ。……良いかな?」
( ^ω^)「も、もちろん! 良い暇つぶしになりますお」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:54:58.36 ID:zKG01USi0
ししええんn
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:56:20.96 ID:+5MduKQLO
( ゚∀゚)「で、あん時の俺が見事なレシーブをしたお陰で、優勝出来たんだよなぁ?」
('A`)「いや、俺のアタックの賜物だろ? 俺が打たなきゃ、結局お前のレシーブなんて無意味なんだし」
(´・ω・`)「つまり、チームプレイの結果だよ……ていうか、1年の時の事をずいぶんよく覚えてるね」
( ^ω^)「あはは……」
その日、喋り合った事を、内藤はまるで記憶していない。
むしろ、そんな会合などあったのかすら、後々振り返ったとき、彼はほとんど覚えていない。
内藤の記憶に刻まれていたのは、その後の事。
話の合間に、内藤は立ち上がると、さっさとトレンチを羽織った。
( ^ω^)「それじゃあ僕、今日は用あるから、抜けさせてもらうお」
从'ー'从「私もそろそろ帰らないと、怒られちゃうから……」
( ゚∀゚)「じゃーな、渡辺、ブーンに気いつけろよ」
('A`)「え、帰るのか。ブーン、渡辺、車に気を付けてな」
(´・ω・`)「ジョルジュ、今なんて言った?」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:57:56.55 ID:Q0ddX08u0
『次のニュースです。
隣家全員を刺し殺した男が逮捕されました』
( ^ω^)「なんという恐ろしい犯罪……! これは神の裁きを下す必要があるお」
川 ゚ -゚)「私もおまえが隣に住んでたら殺しそうだが」
『A氏(仮名)は以前から隣家と宗教などの理由でトラブルを起こしており』
( ^ω^)「あれ? 在日でもキチガイでも未成年でもなさそうなのに仮名だお?」
( ゚ω゚)「宗教……ま、まさか……創価学会っっっ!?」
創価学会 日本最大級の宗教団体。報道関連に食い込んでいるので学会員は恩恵があるぞ!
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 16:59:21.61 ID:+5MduKQLO
ドクたちとは5時前に別れ、駐輪場へと渡辺を連れ下った。内藤と渡辺の間に会話はほとんど無い。
( ^ω^)「……渡辺さんの家は、どこなんですかお?」
从'ー'从「坂を下りたらすぐ。コンビニの少し向こうだよ」
( ^ω^)「それじゃあ、自転車を押して行きますかお」
从'ー'从「うん、それが良いよ。……あと、敬語はやめてくれると嬉しいかな」
内藤の話し方は、渡辺に対して隔てがあった。彼も、この場の敬語は逆に失礼ともなりそうと感じていたが、
かつて彼が渡辺に抱いた憧憬のせいか、内藤はどうしても彼女と軽い口調で話すことが出来なかった。
从'ー'从「……ごめんなさい、あんな事してる私と、対等に話すなんて嫌だもんね……」
渡辺は、すっかり消沈して俯いてしまった。自転車のチェーンがカタカタと回る音だけが、しばらく聞こえた。
( ^ω^)「……分かったお、渡辺。すまんかったお」
从'ー'从「……ぜ、全然へーきだから。気にしないでね?」
从'ー'从「……ありがと」
内藤は、その声が聞こえないフリをしつつも、まるで自分がガッツポーズをとっているかのような錯覚をうけた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:02:01.99 ID:eqaC//JQO
新世界の神よ、誤爆だ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:02:20.13 ID:+5MduKQLO
坂下へ引っ張られ、加速しようとする自転車は、まるで僕のようだと、内藤は心の中で笑っていた。
自分という理性が、それを力ずくで抑えていると思って、なおさら笑った。
( ^ω^)「……ところで一体、話って?」
从'ー'从「それは、部屋に行ってからにしようよ。こんな所じゃ話せないし」
たしかに、と内藤は若干自転車に負け始めつつ、言った。
渡辺の家の目印である、コンビニが見えてくると、勾配も緩やかになっていた。
( ^ω^)「……何で、教室であんな事をしていたのか、全部聞かせてくれるんですかお?」
信号待ちをしているときに、内藤がそう訊くと、渡辺は黙って頷いた。
青信号になり、かっこうの声が聞こえるや否や、内藤は歩く。彼の一歩あとを、渡辺が歩く。
ローファーの堅い靴底が鳴る音ばかりが、耳にコツコツと響いてくる。
車が横を通る音も、頭までは届いてこない。内藤は、静けさの中で、興奮を感じていた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:05:05.90 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「ここだよ」
表札に刻まれた、渡邊の字。
赤レンガ模様の門の前、内藤は落ち着いた配色の、家というよりは邸宅というような三階建てを見つめていた。
(;^ω^)「あーっと……ここ?」
从'ー'从「そだよ。さ、入って入って。家には誰もいないから、遠慮しなくていいよ」
(;^ω^)「……うん」
内藤は、どんどんと心臓が胸を叩くのを感じていた。自転車を家の前に停めて、鍵をかけるとより激しく。
渡辺が門扉を開け、玄関のドアを開けた。カラカラと乾いたベルの音が、内藤の家には無かったから、彼は更に緊張した。
从'ー'从「ほら、上がって」
(;^ω^)「あ、ごめんだお。今……」
自分に足りなかったものが何なのか、分かりかけてきた。内藤は、女子の家に入るのは初めてだった。
玄関の靴脱ぎ場でさえ、渡辺の家は異様な雰囲気であった。
大きなアンティーク品らしき振り子時計が時を刻んでいたりして、内藤は漂う高級感に戸惑った。
从'ー'从「お母さんの趣味なんだ、そいいうの。インテリアっていうのかな」
( ^ω^)「オサレな趣味してらっしゃるお」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:06:11.05 ID:OPMkain7O
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:08:02.27 ID:+5MduKQLO
靴を脱ぎ、並べておいて、内藤は渡辺に連れられて階段を上がっていく。
真っ白で、くすみのない壁紙を右手でなぞって、模様の凹凸を指先で楽しみながら。
从'ー'从「ここ……好きにくつろいでて良いからね。ちょっと飲み物取ってくるから」
渡辺に押し込まれるように、彼女が示した部屋に入ると、内藤は息を呑んだ。
( ^ω^)「……これが、女の子の部屋……かお」
内藤の額に、玉のような汗が浮かぶ。熱い鼓動に耐えかね、深呼吸すると、
女の子という生き物がもつ独特の匂いが、体中に広がった。
カーペットの起毛が柔らかく足を包み込んでくる。
(;^ω^)「……」
適当な地べたに座り込み、言われたとおりにくつろいでいるかのように、手を着いて背中を伸ばす。
そんな期を見たかのように、お盆に1.5リットルのペットボトルと、コップ2つを乗せて渡辺が戻ってきた。
从'ー'从「よいしょっと……じゃあ、何する?」
( ^ω^)「え?」
从'ー'从「え?」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:10:53.22 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「あ、ちょっと! 赤甲羅ああぁぁっ!!」
从'ー'从「はい、その隙に一着っと〜」
(;^ω^)「ええぃ、次行くお!」
内藤はこの一時間ずっと、自分がここにいる理由をしっかりと把握していたが、
だからこそ何が原因で渡辺とマリオカートに勤しんでいるのか、全く分からなかった。
(;^ω^)「うわっ! 落ちた!」
チョコレートのような色の山肌が急に開けると、眼下には景色に合わない清流があった。
甲羅を放ち、「でっていう」と一声叫んで、ヨッシーは川に吸い込まれていく。
从'ー'从「はい、ビッケ確定〜」
( ^ω^)「まだ決まった訳じゃ……」
内藤は引き上げられた車体のタイヤが触れた瞬間、一気にアクセルを踏み込んだが、ヨッシーは走り抜けていく他の車を目で追うばかりだった。
( ^ω^)「……コントローラー、抜けてるじゃんかお」
内藤がヨッシーの怪行動の原因に気が付いた途端、画面に無数の、多彩な線が現れ、テレビからはBGMのみが流れていた。
从'ー'从「もうやめよっか」
( ^ω^)「そうじゃのう」
渡辺の提案に、竹原のものまねを織り交ぜつつ、内藤は答えた。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:13:43.01 ID:+5MduKQLO
2 『ブラウザゲー』
从'ー'从「もう、気分は緩んだよね?」
( ^ω^)「……まあ、だいぶ」
内藤は、マリオカートの理由がやっと分かった。
从'ー'从「それで、まず……私が……。内藤くんが、昨日見たことなんだけど」
( ^ω^)「うん……」
内藤は、渡辺がどんどん分からなくなっていく。彼女にとっての羞恥とは、一体何なのだろうか。
ただ、今そんな事を訊いても、単なる無粋な行動でしかない。内藤は自重した。
しかしながら、内藤は思った。またもや、彼が理解できない自分の気持ちが思わせたものだ。
( ^ω^)「……あのさ、渡辺……どうしても言いたい訳じゃないなら、言わなくても良いんですお?」
余計な口出しであるとは分かっていたが、渡辺に言ってあげなくてはいけない気がした。
从'ー'从「……」
( ^ω^)「……ごめんだお、こんな事言っても仕方ないとは思ったけど……」
从'ー'从「ううん、ありがと。……でも、せっかく呼んだんだし、話さなきゃ」
( ^ω^)「……そうかお」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:16:39.96 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……あ?」
渡辺を止めるのは無理なのかと、内藤が諦めかけた時だった。
ちっとも開いちゃいないだろうと思うくらい綺麗な本が詰め込まれた中、ただ一冊、大きくはみ出した本がぐらりと揺れた。
从'ー'从「え?」
バランスを失った本は、神妙な表情を一転させた渡辺のもとへ、痛そうな角を向けて落ちていく。
(;^ω^)「危ないお!」
从'ー';从「わぁっ!?」
そして、鈍い音とともに、内藤の背中にじわじわと広がる鋭い痛み。及び、全身にその柔らかさが伝わる、少女の体があった。
(;^ω^)「あいてて……大丈夫かお?」
そう訊いてから、内藤は渡辺を抱き寄せるような形でいるのに気が付いて、慌てて後ずさった。
从'ー';从「あ……ご、ごめん! 背中、痛くない?」
二人して、夕焼け太陽みたいな顔をして、特に内藤は物も言えなくなっていた。
多分、彼は渡辺と密着していたんだと思う。しきりに、「おっぱいおっぱい」と小さな声で呻いていた。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:19:36.73 ID:+5MduKQLO
从'ー';从「……気にしなくてもいいよ? あたしも気にしないから」
しばらくして、渡辺は内藤の肩をポンと叩いた。それで内藤は、ようやく落ち着きを取り戻した。
(;^ω^)「……分かったお。しかし、さっきの本は……なんだおこれ、大森ヶ丘第三中学校卒業記念……卒アルかお」
从'ー'从「……うん。森三中って、内藤くん覚えてる?」
少し、内藤は記憶を手繰り寄せてみた。すると、いとも簡単にその名前、その関連が思い出せた。
( ^ω^)「よく覚えてるお。中三の時、県大会でデッドヒートを繰り広げた相手だったお。渡辺さん、森三中の人だったのかお」
从'ー'从「うん。ついでに言うと、私も内藤くんの事、よく覚えてる。部活動のページ、見てみて」
内藤は少し戸惑いながら、一枚一枚卒業アルバムをめくり、彼女が言ったページを見つけた。
( ^ω^)「あ……」
そこには、今より少しあどけない自分が両手を広げて走る、妨害ギリギリの姿と、
その頃は髪が短かったドクが、ほとんど自分と並んで走る姿が写っていた。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:22:37.05 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「かくいう私も陸上部でね。……昔のことだけど」
若かりし頃の姿を省みて、内藤は思い出に耽っていたが、渡辺の声に、顔を上げた。
从'ー'从「大会には出れなかったけど、私は応援に来てたんだ。それで、内藤くんを見つけたの」
( ^ω^)「……それを、覚えてたのかお?」
内藤は、彼女の言葉に、当然の違和感をおぼえた。普通、他人のレースで見ただけの人間を覚えておくとは思えない。
彼の場合はドクがいるから、そうおかしくは無いが、彼女の場合は、まず不審なのである。
内藤かドクが、渡辺にとって大事な人間でなければ、前述のようなことは、起こり得ないのだ。
それで今、彼女は内藤が心中で発していた問いに、答えようとしている。
从'ー'从「……うん。だって私、内藤くんのことずっと見てたから」
从'ー'*从「森三中の人たちは、あなたのこと恨めしくも思ってたから、誰にも言えなかったけど、私……内藤くんのことが……」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:25:00.85 ID:F7NdQtYM0
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:25:55.36 ID:+5MduKQLO
そう言えばそんな物も置いてあったなと、内藤は玄関の振り子時計を壊しておかなかったことを少しばかり後悔した。
ボーン、ボーンと大きな音が聞こえると、渡辺は急に背筋をピンと伸ばして、バツの悪そうな顔をした。
从'ー'从「いけない、もう7時……お父さんが帰って来ちゃうよ」
そのフレーズに、内藤も背筋を伸ばして立ち上がった。
(;^ω^)「ひょっとして、ドタコン親父かお?」
※ドタコン=ドーター・コンプレックスの略
从'ー';从「親バカって言ってよ、解りにくい。ともかく、そろそろ逃げた方がいいかも」
(;^ω^)「じゃあ、急いで失礼しますお」
从'ー'从「あ、ちょっと!」
すっかり竦みあがって、逃げ腰の内藤に、渡辺が声をかけた。
从'ー'从「今日はありがと。……それと、内藤くんのこと、ブーンって呼んでいいかな?」
内藤はガクガク頷いて、階段を駆け下っていく。
( ^ω^)「もちろんだお。渡辺だって友達だお! お邪魔しましたぁ〜!!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:29:33.07 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「……ブーン、か」
渡辺は、嵐のように去っていった内藤を窓から見送ると、アルバムを閉じた。
彼をこの名で呼べば、もう少し彼の近くにいられる事になるのだろうか。
从'ー'*从「えへへ、かわいい響き。ブーン、ブーン……」
しばらく枕を抱いて、顔をほんのり赤らめながら、内藤の新しい呼び名を連呼していた渡辺だが、
彼女はふと、マリオカートに白熱した際に脱いで、そのまま忘れたらしい、黒いトレンチコートを見つけた。
从'ー'*从「……良いよね、ちょっと着たってバレないバレない」
枕を置いて、もぞもぞとベッドから抜け出して、トレンチを羽織って、それだけでは気が済まず、ボタンを留めた。
その位置にいれば、例え恍惚としていても、自然と目に入るものもある。
从'ー'*从「ブーンが使った、コップ……」
渡辺はほとんど逡巡せず、その飲み口にそっと己の唇を当てた。
从'ー'从「……あの時、キスしちゃえばよかったかな」
窓のほうを見て、渡辺は黄昏た。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:32:19.20 ID:+5MduKQLO
一方、内藤は、上着を忘れた事に気付きつつも、渡辺の家には戻れない事にも気付いて、
寒さに耐えながら全力で自転車を漕いでいた。車庫のアトレーを削りそうになりながら、自転車を納庫すると、一目散に家の中へ駆け込んだ。
(;^ω^)「ふー、おかえりー」
J( 'ー`)し「あら、ただいま。遅かったわね?」
(;^ω^)「友達の家に行ってたんだお。帰り道寒くて参ったお」
内藤は手のひらをすりあわせながら、電気ストーブの前に座った。
( ^ω^)「晩ご飯はいつ頃になるお?」
J( 'ー`)し「あと10分くらいかしらねぇ。そのうちに着替えてらっしゃい」
( ^ω^)「はーいお」
内藤は軽く階段を上がって、自分の部屋の戸を開く。
渡辺の部屋と違って汚いな、と思いながらも恋情に浸るのは後にして、さっさと着替えを済ませた。
(*^ω^)「からあげktkr!」
J( 'ー`)し「こらこら、つまみ食いはやめなさい」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:35:13.47 ID:+5MduKQLO
50個はあったろうか、山積みのからあげを軽く平らげ、内藤は満足げに腹を叩いた。
( ^ ω ^ )「ふう……」
J( 'ー`)し「普通、食べ過ぎたくらいで顔まで大きくならないものよ?」
( ^ ω ^ )「人間なんて、とっくに超越したお」
J( 'ー`)し「そうだったわね、カーチャンすっかり忘れてたよ」
それから内藤は、しばらく母親と他愛ない話をしながら、バラエティ番組を見て時間を過ごした。
そして、めぼしい番組が無くなると、2階に上がり、デスクトップパソコンでVIPを覗く。
( ^ω^)「……」
彼には、行きつけのパートスレがあった。その日のスレの名前は、「プロフでJCが飲酒告白ブラウザゲーwwwwww」。
ブラウザゲーで検索をかければ出てくるから、それがブラウザゲースレだというぐらい、内藤には分かる。
しかしながら、それがブラウザゲースレに見せかけた突撃拠点であることまでは、見抜くことは出来なかった。
( ^ω^)「さて、ウィキに更新は……ってあれ?」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:36:17.68 ID:XF7v+Nwg0
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:38:17.57 ID:4jf1lOA2O
イイヨイイヨー
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:40:22.37 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……これって。まさか、そんなはずは」
最初に見えた、彼女としか思えない写真は記憶から飛ばし、様々な項目を読んでいく。
ハンドルネーム、渡辺あやか。その由来は本名から。所属、森三中(森岡第三中学)3年陸上部。
( ^ω^)「……」
これを、信じるべきか信じないべきか。彼女の事を考えれば、当然信じられなかったが、
内藤は決意が鈍り、どんどん下の項目へと進んでいく。
( ^ω^)「あ……」
そして、その項目を見たとき、内藤の脳裏に先ほどの言葉が浮かんだ。
从'ー'*从『森三中の人たちは、あなたのこと恨めしくも思ってたから、誰にも言えなかったけど、』
( ^ω^)(……好きなタイプというか、好きな人?(照)
( ^ω^)(大島中の陸部のコかな〜? 名前も「ブーン」としか聞いたことないけどね〜……)
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:41:53.66 ID:ZrJ8+bwZ0
支援
54 :
☆:2008/03/27(木) 17:42:45.95 ID:pqFr9r3w0
☆
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:43:23.00 ID:+5MduKQLO
誰かが、渡辺を貶めようと書いたものでは無いことの証明が、今日手に入れたピースだけで完成させられる。
( ^ω^)「……僕なのかお? 渡辺……」
彼女の飲酒告白ブラウザゲーなど、どうでもよかった。内藤はもう、燃え上がるような恋心を、どう伝えるかばかり考えていた。
痴態を目撃してから、過去の恋をフラッシュバックさせる。自分はただの変態かも、と内藤は笑ってみた。
しかし、彼は確かに今こそ、渡辺に一番近い位置で、一番渡辺を愛している。
( ^ω^)「……」
すると、逆に気になったのは、今でも彼女が自分を好きなままなのかという、内藤らしい臆病さが気にさせる点であった。
( ^ω^)「……何も、僕から言わなくても、ちょっと仕掛けてやれば……」
しかも、内藤はもっと臆病だった。こうして過去の恋を全て不意にしたのを忘れているのか、
今日の一日で渡辺という人間を分かりきった気になっているのか、ともかく内藤は、行動を起こさなかった。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:47:06.89 ID:+5MduKQLO
3 『トレンチコート』
翌朝の目覚ましは、鳴らなかった。と言うよりも、鳴らさなかったのだが、
内藤の母親はそれを知ってか知らずか、寝ている内藤を揺さぶった。
J( 'ー`)し「ちょっと、ホライゾン。いつまで寝てるの? お友達が待ってるわよ!」
(;^ω^)「えっ!? そんな約束は……」
J( 'ー`)し「何言ってるんだい、約束も取り付けないで、あんな可愛い女の子が、お前を迎えに来る訳ないじゃないか」
内藤は飛び起きて、母親を一階に下ろすと、窓から軒先を見やった。
从'ー'从「あ、ブーン! コート返しに来たよー!」
( ^ω^)「やはりな」
そこでは、トレンチコートが畳まれて渡辺の腕にかかって二つ折りになっていて、
彼女は空いている方の手をぶんぶん振りながら、ぴょんぴょん飛び跳ねていた。
(;^ω^)「す、すぐ行くおー!」
ひとまず暴れる渡辺をたしなめ、素早く外に出られる服装になると、玄関の戸を開けた。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:47:09.04 ID:reSWvkpA0
いい、すごくいいよ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:50:16.77 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「やほっ、ブーン! 昨日寒かったでしょ?」
門扉を開けるや否や、渡辺からトレンチコートを押し付けられた。
ぼふ、と漏れでた空気に、内藤はまた例の匂いを感じ取った。
( ^ω^)「いやぁ、お陰様でずいぶん体を冷やしたお」
从'ー'从「ごめんなさいね、お父さん酒乱だから」
( ^ω^)「僕の中で渡辺の父さんのイメージがただのヤクザに成り下がってるんだが」
玄関先で下らない話をしていると、突如背後から現れた母親に布団叩きで殴られた。
J( 'ー`)し「女の子は麦茶じゃないんだよ、いつまで冷やしてるんじゃないの。早く上がってもらいな」
( ^ω^)「僕は布団じゃないんだけど……」
从'ー'从「いいんですか? じゃあ、お邪魔します〜」
勝手に話が進んでいくのを、男の内藤の力では止められなかった。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:52:39.62 ID:4qfrJjaC0
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:53:21.51 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……ふぅ」
从'ー'从「……ごめんね、急に来ちゃって」
( ^ω^)「いや、もてなしが出来なくて済まないお」
渡辺を、母親の攻撃を躱しながら部屋に押し込むと、急に謝られた。
( ^ω^)「でも、何でまたいきなり家まで……」
从'ー'从「んー、まずコート返さなきゃいけないって思ったし……」
渡辺は、内藤が勧めたパソコン前の椅子でも、勉強机の椅子でもなく、ベッドを選んで座った。
从'ー'从「ブーンに会いたかったから、かな?」
(;^ω^)「……へー」
やはり、渡辺といると、内藤は気分が高揚して、逆に緊張して仕方なかった。
自分の男臭い部屋にも、彼女の匂いが広がっていく。あんたは芳香剤かと、内藤は心中、笑った。
从'ー'从「ねぇ、嬉しい?」
( ^ω^)「そりゃ、渡辺が会いたくて会いに来てくれるなら、それ以上嬉しいことはないお」
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:56:25.01 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……それに、話したいこともあったんだお」
从'ー'*从「えっ、なになに〜?」
渡辺は既にオーバーリアクションとも思える反応を示していた。
話があると言われると、何らかの期待を持つのは、女の子の性だろうか。
タイトミニから伸びる太ももがすりすりと動いた。
( ^ω^)「訊きたいことがあるんだお。……あのプロフについて、さ」
それまで、わずかに紅潮していた渡辺の頬が元の色に戻ったから、内藤は彼女が蒼白の表情をしたかと思った。
从'ー'从「見つかっちゃったか、困ったな……。それ系のことはもう話さないって、昨日決めたのに」
( ^ω^)「……つまり、それって、僕のことはもう」
いまいちはぐらかすような態度の渡辺に、はっきりした返答を求めるため、内藤は発破をかけた。
从'ー'从「それは、違うかな」
( ^ω^)「え?」
渡辺は、布団をぼふぼふ叩いて、内藤を隣にくっつくように座らせた。
内藤はその時、携帯が音もなくメールを受け取ったのを知らずにいた。
ほとんど耳元に囁くように、彼女は口を開いた。
从'ー'从「正直に言うと……私はまだ、今でも、ブーンの事が大好きだよ」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 17:59:06.32 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……なら、どうして? どうしてもう、僕を……?」
内藤は、渡辺が自分を訪れたことより、喜びを感じていたが、同時に困惑もした。
从'ー'从「……分かるでしょ。ねぇブーン、私たちが付き合ったら、まず何をしたい?」
( ^ω^)「え、……うーん、まずは、デートして、一緒に食事でもするかお?」
从'ー'从「じゃあ、まず今日抜いて1日経過ね。明後日は何する?」
渡辺の言いたいことが、だいたい理解出来たから、内藤は次の答えは考えを挟まずに言った。
( ^ω^)「とりあえず、映画でも」
从'ー'从「でも、明後日は卒業式よ。二人きりで会う時間はないかな。映画は3日目に入れて、3日経過ね」
彼女は、スケジュールを暗記しているのか、何かと理由を付けて内藤に会わなかったし、その理由も真っ当だった。
そして、その結果。
从'ー'从「その日は、大学の入学式なのよ。デートは無理ね」
( ^ω^)「……大学に入れば、毎日忙しいはずだから、何もかんも無理、ってことかお」
从'ー'从「分かってくれた?」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:02:08.37 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……で、そんなの辛いだけだから、最初から付き合わない方が良い。そういう事かお?」
从'ー'从「……うん、昨日、ずっと考えてた」
内藤のこころ内に、形容しがたい負の感情が、いろいろと湧き上がって来た。
( ^ω^)「そんなもの、やってみなきゃ解んないお! 計算や予測じゃ分からない事だって、この世には一杯あるんだお!」
从'ー'从「……でも、やってみなきゃ解らない、ってことはどうなるか解らないんだよ? ……私は、怖いよ、そんなの」
(;^ω^)「確かに、大学が違えば生活も変わっちゃうお……けど、僕らが一緒に歩み寄ってけば! ……例えば、一緒に暮らしたりとか」
从'ー'从「お父さんが来ちゃうかな……」
(;^ω^)「……もし、大学にどんな美人がいたって、僕は絶対に渡辺だけを愛してるんだお! それが心配なのかお?」
从'ー'从「違うの。私だって、おんなじ事を誓うし、心配でもないわ。……けど、ブーンが私を信じきれるかが心配なの」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:04:33.86 ID:0FgzxBfYO
これは期待できる<丶`∀´>
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:05:04.42 ID:+5MduKQLO
渡辺は、内藤が一瞬では解せない事を言った。
つまり彼女は、内藤が自分が浮気をしたりしないか、不安になることを恐れているらしい。
(;^ω^)「……渡辺はそんな事しないお! それだけの事なら、絶対と、悪魔にだって誓ってやるお!」
从'ー'从「そうやって信じきっていると、余計に不安にもなるものなのよ。私が、信頼にかまけているんじゃないかって」
从'ー'从「お願い、分かってブーン。あなたに要らない負担なんてかけたくないの!」
( ^ω^)「僕は不安ぐらいで、1gたりとも負担を背負ったりしないお!」
これで分かってくれるかと、内藤は汗を拭い、叫んだが、そもそもの真理は渡辺の方にあったのだ。
从;ー;从「けど……それでも、ブーンが誓ったことが守られる確証なんてないんだよ?」
(;^ω^)「……」
その上、涙まで流されては、もはやグゥの音も出なかった。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:08:43.15 ID:+5MduKQLO
从;ー;从「あの時、どさくさに紛れてキスしちゃおうとも思った、ブーンのトレンチコートを返したくないとも思った! ……でも、そんなの……」
ボロボロ涙を零して泣く渡辺に、どうにか言葉をかけてやろうと、内藤は悩んだ。
( ^ω^)「……渡辺」
从;ー;从「……うん?」
( ^ω^)「……渡辺が信じられなくても良いお。……それでも、とりあえず今だけは、僕だけの渡辺として、愛されていてくれお」
内藤なりの、精いっぱい勇気と愛情を込めた、それは彼にとって初めての告白だった。
从;ー;从「……うん、ありがと」
そして、初めて得た、了承でもあった。
( ^ω^)「……」
黙って、渡辺の肩を抱き寄せた。以前のような、反射や事故でなく、自分の意志で彼女を抱きしめた。
その細い体に、興奮や熱情を覚えることもなくて、内藤の顔は静かに、まるで終わりを迎えるかのようだった。
溢れ続ける彼女の涙の温度を感じながら、手に入れた恋の切なさと脆さに、内藤さえも泣き出しそうであった。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:11:27.79 ID:0FgzxBfYO
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:12:15.85 ID:+5MduKQLO
ガチャリとドアノブが捻られて、戸が開けられる音がしたが、内藤はそっちを見なかった。
渡辺が唯一、彼を見やった。しかしながら、彼の目は内藤に向いていて、内藤の目は渡辺に向いていた。
視線を辿れば、二等辺三角形が出来上がる。
从'ー'从「……毒島……くん?」
(;^ω^)「ドク!?」
渡辺の声を聞いて、内藤はようやく彼女を手放し、ドアの方を見た。
コーラと、ドクの好きなコンソメ味のポテトチップスが入ったコンビニの袋が、ドクの足元に落ちていた。
('A`)「内藤、メール見なかったのか?」
内藤は慌てて携帯を拾い、ようやく新着メールの存在に気付いた。
顔を上げると、ドクの非難するような視線が刺さった。内藤がバツの悪そうな顔をしたのを見て、ドクも少し視線をそらした。
(;^ω^)「ドク、さっきはちょっと修羅場で……」
('A`)「いや、良いんだがな、何か戸惑うってか……とりあえず、みんなに知らせていいか?」
内藤は急いで首を横に振った。
('A`)「……そっか、分かった。俺らの秘密ですね」
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:15:26.18 ID:+5MduKQLO
('A`)「とりあえず、とりあえず俺がこの場にいるのは相応しくないな。失礼するよ」
(;^ω^)「色々、助かるお」
ドクは袋を拾い上げ、大切そうに抱えながら、お前だけが友達だと囁きながら、ドアを閉め去っていった。
从'ー'从「ブーン、毒島に振られたの?」
( ^ω^)「……多分、ドクも本気じゃないとは思うけど」
从'ー'从「そんな真剣な話してないってばwww」
( ^ω^)「だろおなwww」
内藤は、涙の痕も見せず、快活に笑う渡辺を見て、彼女を妻に出来たらな、と心底思った。
何故それが許されないか、内藤はまた考えてしまうほど、悔しく思った。
( ^ω^)「……」
ただ隣に侍らせて、時間を過ごすのは、残されていない時間の中で、あまりに無意味だ。
『ホライゾン、もう7時よ。お友達を帰らせたほうが良いんじゃない?』
階下から声がする。内藤は、渡辺のハネた髪の毛をいじる手を止めて、渡辺にどうしたいか訊いた。
从'ー'从「あんまり、迷惑かけちゃうと悪いし……」
彼女は答えて、ベッドから立ち上がった。
70 :
修正:2008/03/27(木) 18:18:28.14 ID:+5MduKQLO
('A`)「とりあえず、俺がこの場にいるのは相応しくないな。失礼するよ」
(;^ω^)「色々、助かるお」
ドクは袋を拾い上げ、大切そうに抱えながら、お前だけが友達だと囁きながら、ドアを閉め去っていった。
从'ー'从「ブーン、毒島に振られたの?」
( ^ω^)「……多分、ドクも本気じゃないとは思うけど」
从'ー'从「そんな真剣な話してないってばwww」
( ^ω^)「だろおなwww」
内藤は、涙の痕も見せず、快活に笑う渡辺を見て、彼女を妻に出来たらな、と心底思った。
何故それが許されないか、内藤はまた考えてしまうほど、悔しく思った。
( ^ω^)「……」
ただ隣に侍らせて、時間を過ごすのは、残されていない時間の中で、あまりに無意味だ。
『ホライゾン、もう7時よ。お友達を帰らせたほうが良いんじゃない?』
階下から声がする。内藤は、渡辺のハネた髪の毛をいじる手を止めて、渡辺にどうしたいか訊いた。
从'ー'从「あんまり、迷惑かけちゃうと悪いし……」
彼女は答えて、ベッドから立ち上がった。
71 :
修正:2008/03/27(木) 18:19:29.82 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「それじゃあ、明日学校で会おうかお」
从'ー'从「うん、またね。ブーンの気持ち、嬉しかったよ!」
何故そんな事を言うのかと、内藤はまた虚しくなった。彼女の背中を見送りながら、
渡辺のいない生活を考えてみて、やめた。渡辺の言いたかったことが、全部はっきり分かる。
( ^ω^)「……これが、負担かお」
内藤は、呻くように呟いて、部屋中に充満した渡辺の匂いを窓の外に追い出した。
携帯を見ると、またドクからメールがあった。
('A`)『今日は本当にすまん。あのあとまずい事になってないか? なってないことを祈ってるぜ、兄弟』
( ^ω^)「……誰が兄弟だお」
内藤は、くすりと笑って、何ともなかった、と送った。程なくして、夕食となり、彼はまた顔だけ太っていた。
VIPを訪れる気はせず、内藤は本を少しだけ読み進めてから、眠った。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:22:56.28 ID:+5MduKQLO
4 『ヒートコンビニ』
母親は、擦り足で移動しながら、攻撃に最適の場所を探していた。
内藤は眠りこけておりながら、顔まで布団を被って、全く隙がなかった。
彼女とて、ずぶの素人ではない。一点さえ隙があれば、そこを確実に突ける。
苦虫を噛み潰したような顔をして、彼女が部屋を後にしようとした、その時。
(;‐ω‐)「……うぅーん、行っちゃだめだお渡辺えぇ〜……むにゃ」
内藤はうなされて、大きく寝返りをうった。それに合わせて、布団がずれ、内藤の後頭部が露わになる。
母は、この期を逃さなかった。腰に据えた布団叩きを抜刀し、天空から振り落とした。
J( 'ー`)し「去ねえぇぇっ!!」
(;^ω^)「! うわあああぁぁぁっ!!」
と、彼女が叫んだ所で内藤は目を覚ました。しばらく辺りを見回し、ほっとため息をついた。
(;^ω^)「……カオスな夢だったお」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:25:40.83 ID:+5MduKQLO
J( 'ー`)し「あら、おはよう。今日は学校に行くのよね?」
朝食をとるため、一階に降りて見た母親は、いつも通りの微笑を絶やしていなかった。
( ^ω^)「……うん、だからお昼ご飯はいいお。……」
J( 'ー`)し「ええ。……にしても、ホライゾン、本当に体は平気なの? 今日は特に元気がないみたい」
( ^ω^)「……体は平気だお。ちょっと変な夢見ちゃって、気にしてるだけだお」
J( 'ー`)し「もう、ばかね。たかだか夢なのに」
(;^ω^)「うるさいお」
母親は笑ったが、内藤が気にしていたのは、自分が夢の中で見ていた夢だ。
布団を顔まで被っている自分を見つつも、彼にはしっかり、その自分が見ている夢が視えていた。
( ^ω^)「……夢、だったんだお」
内藤はまだ、夢現のままであった。視ていたのか、覚えていただけなのか、はっきり理解してはいない。
部屋に戻って、落ちている布団叩きを見て、急に不安にこそなったが、そう割り切った。
彼の言葉が、どちらの夢に対したものかは、誰も分からない。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:28:14.44 ID:4jf1lOA2O
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:28:26.51 ID:+5MduKQLO
内藤が通学路を走っていると、後ろからドクに追突された。
(^ω^#)「……ドク」
('A`)「故意ではない」
( ^ω^)「嘘っぱちだお、車道に飛び出て死ね」
ひとしきりいがみ合ってから、二人、並んで走り始めた。
( ^ω^)「……ねぇ、ドク」
('A`)「あ、そう言えば」
二人は同時に切り出すと、互いに譲り合い、結局ドクが話すことになった。
('A`)「お前結局、あの後どうなったわけ?」
( ^ω^)「……あぁ、渡辺の事かお。それなら、……」
('A`)「……なんだよ?」
内藤は、この複雑な状況を、ドクに話そうかどうか迷った。
しかし、やはりドクは三年来の親友である。隠そうも、気が引けた。
( ^ω^)「……少し、時間のかかる話だから、どこかで座って話そうかお」
('A`)「じゃあ、マック……は朝マック中か。学校にも適当な場所はあんだろ、折を見て頼むわ」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:28:44.65 ID:XF7v+Nwg0
支援
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:32:07.05 ID:+5MduKQLO
('A`)「で、お前の話ってのは……っと、と!」
ドクがほとんど惰性で曲がろうとした交差点は、学校前のそれであり、彼らは一旦おしゃべりを中止した。
学校は、急勾配の坂を上りきり、ようやく見えてくるのだ。暢気に話しながら登校する人がいるなら、彼らに紹介してあげてほしい。
( ^ω^)「3年間、上り続けて……いつか慣れる日が来るって信じてたけども」
('A`)「結局、最後の日まで、気合いを入れなきゃ上りきれんのだろうな、心臓ヌッコロシの坂は」
二人はわざわざ信号を渡り、助走距離をとって、信号が青になった途端、
陸上でならした逞しい脚力で自転車を漕ぎ出した。
グイグイ、内藤の自転車が坂を上がっていく。ドクの自転車は少し遅れてついてくる。
やがて、ドクが追いついて来たかに見えたが、それは内藤がだんだん遅れだしたからだ。
そうして息も絶え絶え、内藤とドクはほとんど同時、校門を潜った。
(;^ω^)「ハァ、ハァ……ハァ」
(;'A`)「ヒィ、ハァ……ふぅ」
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:35:21.07 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……良いこと思い付いた、メールでまとめて送るお」
('A`)「なるほど、そりゃあ良い、日本語で送ってくれよな」
いつも通り。この「いつも」という日常も、明日が最後なのだが。
いつも通り、二人は昇降口を入り、上履きに履きかえると、そこで道を別れる。
('A`)「……こうしてゆっくり歩いて、辺りを見てるとさ、何でもない事が、びっくりするぐらい幸せだよな」
( ^ω^)「虎舞竜かお……まぁ、確かにそうだお……」
( ^ω^)「でも、でもさ……僕、その幸せをちゃんと享受できたつもりだお」
内藤は、そう自信満々に言ってみせた。
('A`)「そうか、そうだな……」
ドクも、彼の言葉に納得したように頷き、何か思い起こすかのように目を閉じた。
('A`)「……内藤、お前に言っておかなきゃならん事がある。すぐ済む、聞いてくれ」
会釈し、教室に向かおうとした内藤を、ドクは引き止めた。大会、それもレース直前でしか見なかった表情をしていた。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:36:56.83 ID:pUS+w/NVO
しえん
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:38:23.67 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……言ってくれお。ドク」
表情は発走寸前のものとなり、口を開けば、スタートを切った後であった。
彼の真っすぐな瞳は、もはやその言葉に嘘、偽りや冗談が決して存在しないことを証明していた。
('A`)「……あのさ、俺……おれさ。実のこと言うと……」
('A`)「わ……渡辺のこと、ずっと好きだったんだわ、厨房ん時から、さ」
ドクの言葉が頭で認識できた瞬間、内藤は妙な感覚を得た。
谷川俊太郎の「春に」を初めて読んだときの気分に似ていた。彼の詠った気持ちにも似ていたかも知れない。
( ^ω^)「何で黙ってたんだお……」
ドクを見ないで、内藤は唸った。自分がどうしているのかも分からなかった。
('A`)「知ってると思ってたよ。時折冷やかされてたりしたからな。でも、お前が渡辺を好きだと知った時、勘違いだと悟った」
内藤は、なにかこみ上げる物を感じて、慌ててむせ込むことで誤魔化した。
枯渇しきった焦げ茶色の落葉が、ガサガサ音を立て舞い込んできた。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:40:22.02 ID:+5MduKQLO
ちょっと用事出来ちゃいました
少ししたら戻ってくるから、保守してくれるとありがたい
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:44:31.89 ID:4jf1lOA2O
ボシュゥゥゥ
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:50:55.41 ID:XF7v+Nwg0
ほ
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 18:53:22.96 ID:clwNtzo1O
ほしゅ
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:05:10.09 ID:AXgvUCLG0
保守
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:11:54.12 ID:XF7v+Nwg0
ほっしゅ
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:13:44.54 ID:qAhWvjIEO
ほ
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:21:23.78 ID:hrr18WOE0
ほ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:25:43.94 ID:jjhT0mo00
こんないいとこでとめやがって……保守!
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:27:51.96 ID:EgbGXRB/0
スレを開いたはいいが
地の文が多すぎて読む気が起きない
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:32:43.62 ID:+5MduKQLO
ちまちま再開しますねー
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:34:03.66 ID:0FgzxBfYO
なにこのボーイズビーみたいな甘苦い青春
支援
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:34:06.21 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……僕から、ドクをライバルだとか言うことは、確かに無かったお。でも、なんで今さら……」
こんな事ならば、聞くんじゃなかった、と内藤は後悔していたが、別にドクと向き合う気は失せてなかった。
ドクは壁に体重を預けながら、自らへ嘲笑を浮かべた。
('A`)「馬鹿やろう、お前が好きになった奴は、俺が厨房の頃から好きな奴なんだって言ったら、お前絶対譲ろうとするだろ」
( ^ω^)「かも知れんお。……僕は全部、この出来事をドクのせいにしようとしたのかお」
ひどい自己嫌悪を感じて、こんな人間が自分なのかと思うと、内藤は吐き気さえ覚えた。
結局、自分が可愛くて、最初に恨むのは他人であった。
( ^ω^)「僕みたいなのを、害悪って言うんだお……」
内藤は深い悲しみの底を見たような気がして、ぼやいた。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:37:29.64 ID:+5MduKQLO
ドクはその言葉に、しばらく深淵を見つめているような顔だったのだが、やがてを見つけたような顔をした。
('A`)「……害悪で、いけないのか?」
( ^ω^)「そりゃあ、当たり前だお」
内藤は即答したが、その答えは、少なくともドクの中では間違いらしい、彼は首を振った。
('A`)「俺さ、今思い付いたんだけど、害悪っていうのは、単なる人のわがままだと思うわけだ」
('A`)「人間なんて、60億がしょっちゅう入れ替わってんだ。色んな奴がいるもんだろ?」
('A`)「でさ、内藤みたいなのを害悪って呼ぶのもいれば、むしろ人の鑑と見る人だっているかもしれないじゃん」
内藤は、ドクの話をよく聞いていた。
( ^ω^)「……でも、そんな人は少ないお。どっかであったお? 最大多数の最大幸福って……だから、僕は異端で害悪だお」
ドクは渋い顔をした。その目に、内藤は蔑まれているような錯覚を感じた。
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:39:13.36 ID:XF7v+Nwg0
おかえり支援
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:40:38.76 ID:+5MduKQLO
('A`)「そう言ってもな、需要あれば、そこに供給は必要さ」
( ^ω^)「薄汚れた日陰人間の需要になんて、応えてやりたくないお」
('A`)「内藤、……いや、そう思うのならしょうがないわな。これも人間ごとの違いってやつだ」
ドクはそのまま手を振り、去ろうとした。その襟足を掴んで引き止める。
('A`)「何すんじゃい!」
(;^ω^)「痛かったかお?」
('A`)「痛いよ痛いよ、そりゃあもう。常識ですよ?」
ドクは半ばキレ気味に振り向いて、それから、用件を訊いた。
( ^ω^)「なんか、うまいこと話をそらされた気がするんだけど……」
('A`)「……気のせいだ、ばいばい」
それっきり、ドクは自慢かどうかは知らないが、ともかく速い足で逃げ出してしまい、
後から来た内藤にはとても追いつけそうになかった。
( ^ω^)「……ドク、ありがとう」
しかし、内藤はドクの言わんとしている事が理解できたのか、礼を呟いた。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:42:57.20 ID:0FgzxBfYO
支援
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:43:19.63 ID:+5MduKQLO
やはり、内藤が教室へくると既に先客があった。
( ^ω^)「……あ」
从'ー'从「あっ、おはようブーン!」
( ^ω^)「おはようだお、渡辺。今日もずいぶん早いお?」
从'ー'从「うん。早く来れば、ブーンといっぱい話せるはずだしね」
過去、言われていれば雲にだって飛び乗れるような言葉だったろう。
( ^ω^)「……あはは、どーも」
从'ー'从「あれれ〜? 何だかぬるいね、もう明日で卒業だからかな?」
内藤は図星の更に中心を射られて、一瞬身を震わせた。とぼけたような少女にさえ、女の勘とやらは存在するのか、と。
それとも、彼女に備わった聡明さが、100パーセント確実なものを導き出しているのか。
どちらにせよ、内藤は現実を再確認させられて、胸が苦しくなった。
从'ー'从「……ブーン、大丈夫?」
( ;ω;)「だい、だひじょうぶだお……」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:46:06.97 ID:+5MduKQLO
( ;ω;)「あぁもう、情けないお! 何で、涙なんか……」
渡辺は、内藤の首根っこに腕を絡めて、優しく頬ずりをした。
内藤は、涙がもっと溢れてくるような気がした。
从'ー'从「……ねぇ、ブーン」
( うω;)「なんだお?」
从'ー'从「私ね、噂は聞いたことあるんだよ。……ブーンのこと」
渡辺は手を離すと、内藤の席に座った。
大方、過去の。今となっては過去と現在に内藤が抱いた恋情の話だろう。
そりゃあそうだろうな、と内藤は勝手に頷いていた。
その頃は、誰彼かまわずその事を叫ばれたり叫んだりで、迷惑をかけたものだった。
从'ー'从「だけどね、私、確証も無かったから……臆病になっちゃってさ。自分のこと、言えなかったんだ」
( うω^)「……そんなの、渡辺は悪くないお」
从'ー'从「ううん、私にだって、一因はある。私があの時勇気を出してたら、大学でだって一緒にいられたのに……」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:49:13.74 ID:0FgzxBfYO
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:49:29.25 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……確かにそう言うと虚しいもんだけども、結局、転んだ後に杖をついてるだけだお」
これはもう、覆水になってしまったんだ。内藤はそう諦めていた。そう諦めていた中で、渡辺の言葉が聞こえる。
从'ー'*从「そうだね……だから今。私、その頃から、もしブーンと付き合えたら、したいことがあったんだ」
渡辺は、ちょっとそっぽを向いて、ほっぺを朱くして、言った。
( ^ω^)「何だお? 何だってしてやるお」
从'ー'*从「……あの頃、ブーンも言ってたよね。人から聞いたよ?」
( ^ω^)「え?」
内藤は、必死に渡辺を愛しだした頃の記憶を手繰り寄せた。
それもまた、明日卒業の身には懐かしかった。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:52:55.42 ID:+5MduKQLO
内藤は、1年前のセピアカラーにくすんだトラックをゆっくりと走っていた。
隣にはドクが、並んで走っている。適当に喋りながら、ゆっくりと。
('A`)「で、好きになっちゃったんだ」
(;^ω^)「……話したくはなかったお、こればっかりは。はぁ……」
('A`)「まぁまぁ、そう言うな。友達じゃねぇか。……それで?」
ドクは、コーナーで可笑しなくらい体を傾けて、あやうく転げそうになっていた。
( ^ω^)「あ?」
('A`)「渡辺さんと付き合って、何したいんだよ」
内藤はしばらく当たり障りのない答えを考えていたが、やがて諦めた。
ドクを信頼してこそ、何よりの答えを口にした。
( ^ω^)「……そりゃあ、まあ、最終的には(自主規制)?」
('A`)「へぇ」
ドクは、路傍の石を指すような声を上げてから、脚のリズムに合わせて息を吸い込んだ。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:55:09.99 ID:+5MduKQLO
('A`)「みーんなー!! 内藤ホライゾンは渡辺あやかと(自主規制)がしたいそうでーす!!」
( ゚ω゚)「キャアアアアアアアアアアッッ!!!!」
内藤は慌てて叫んだが、グラウンド中のほとんどにその声は届いていた。
彼はその日、3年間で一番長い距離を、全速力で走りきった。
トラックを何周も、絶叫しながら疾走する内藤は、自然と周囲の視線を集め、彼を見るほとんどに、ドクは事情を説明してやった。
('A`)「……っつーわけで、あいつは渡辺あやかと(自主規制)したいんだと」
( ゚∀゚)「わぁ、ド変態だー! おめでとー!!」
(´・ω・`)「ブーンとはちょっと関わりたくなくなったよ、僕」
その日以降しばらく、内藤の名前は「(自主規制)したい男」になった。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:55:38.48 ID:XF7v+Nwg0
支援
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 19:58:19.38 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……あぁー、頭が痛いお、何だこの記憶」
从'ー'*从「……思い出した? ……セ、(自主規制)したい男くん」
内藤はドアを閉め、窓が締まっているのを確認すると、渡辺を見据えた。
( ^ω^)「……ひょっとして、渡辺がしたいことって、」
从////从「……うん。もう、一日しか無いから……ブーン、今日、都合いいかな?」
渡辺は、顔を真っ赤にし頷いた。
内藤からして、彼女を抱くことに、如何なる問題も立ちはだかる事は出来なかった。
しかし、彼は葛藤を生み出した。
( ^ω^)「……僕は、それで渡辺を引きずってしまいそうな気がするんだけれども」
( ^ω^)「そしたら何だか、立ち直れないような気がして……怖いお」
从'−'从「じゃあ……しないの?」
渡辺が、いつでも纏っていた笑顔が消えた。少なくとも内藤には、初めて見せる顔だった。
( ^ω^)「……渡辺は怖くないのかお?」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:01:04.17 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「そりゃあ、ちょっとは怖いかな。痛いだろうし……でも、私はこれっきりで、ブーンから卒業する準備が出来てるから」
内藤は、彼女の強さを見た。同時に、自分が情けなくも感じた。
( ^ω^)「……僕は、どうしようもない男だお……」
从'ー'从「そんなこと、」
( ^ω^)「こんな僕が、渡辺と吊り合うためには、ビクビク怯えてなんていられないお!」
( ^ω^)「うん! わかったお、渡辺。何があったって、僕は今日を君のために使うお」
内藤は右手を固く握って、掲げた。どことなく無理やり輝かせたような瞳。
化粧をして自信を得ているようなものだが、彼はその表情を崩さなかった。
从'ー'从「それじゃあ、一通りみんなと遊び終わったら……5時くらいには、もう帰ろ?」
( ^ω^)「ん、了解だお。適当に言い訳を考えておくお」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:01:14.62 ID:0FgzxBfYO
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:04:04.68 ID:+5MduKQLO
そこで、ジョルジュやら、自分のクラスに飽田らしいドクやらが一気になだれ込んできた。
( ゚∀゚)「わ、朝っぱらからイチャイチャしてやがる! 死ね!」
('A`)「あらやだ! あぁいやだ!」
(´・ω・`)「幸せになってね」
(;^ω^)「あんたら勝手すぎるだろwwwwwwwww」
内藤と渡辺は、ぱっと顔を変え、特別ではない笑みを浮かべた。
そして、長い間、他愛もない思い出話に花を咲かせ、内藤がふと時計を見ると、既に短針が4を指していた。
( ^ω^)「あれ、もうこんな時間だお。ちょっとお腹空いたから、コンビニで何か買ってかないかお?」
( ゚∀゚)「あ、じゃあとんがりコーンよろしく」
('A`)「コーラ。」
(´・ω・`)「おい内藤、ポテチ買って来いよ。コンソメだぞ。間違えたらぶち殺すぞ」
( ^ω^)「やった! 僕もやっといじめられたよ!」
こうして内藤は、単身コンビニへと行くことになったが、彼にはこの方が都合がよかった。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:07:02.74 ID:0FgzxBfYO
ハーフタイム支援
110 :
修正:2008/03/27(木) 20:07:11.04 ID:+5MduKQLO
そこで、ジョルジュやら、自分のクラスに飽きたらしいドクやらが一気になだれ込んできた。
( ゚∀゚)「わ、朝っぱらからイチャイチャしてやがる! 死ね!」
('A`)「あらやだ! あぁいやだ!」
(´・ω・`)「幸せになってね」
(;^ω^)「あんたら勝手すぎるだろwwwwwwwww」
内藤と渡辺は、ぱっと顔を変え、特別ではない笑みを浮かべた。
そして、長い間、他愛もない思い出話に花を咲かせ、内藤がふと時計を見ると、既に短針が4を指していた。
( ^ω^)「あれ、もうこんな時間だお。ちょっとお腹空いたから、コンビニで何か買ってかないかお?」
( ゚∀゚)「あ、じゃあとんがりコーンよろしく」
('A`)「コーラ。」
(´・ω・`)「おい内藤、ポテチ買って来いよ。コンソメだぞ。間違えたらぶち殺すぞ」
( ^ω^)「やった! 僕もやっといじめられたよ!」
こうして内藤は、単身コンビニへと行くことになったが、彼にはこの方が都合がよかった。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:08:04.46 ID:+5MduKQLO
自転車は使わず、駆け下りるだけでも、心臓ヌッコロシの坂はなかなかに面白い。
もちろん、自転車で下ればより面白い。のだが、内藤ホライゾンには今、楽しい楽しくないは全く問題ではなかった。
これから銀行強盗に向かうものが、路傍に落ちた福沢諭吉を無視するように、
これから(自主規制)する童貞が、坂道を猛スピードで駆け下りることの快感など、どうでもいいのだ。
( ^ω^)「……まさか、コンビニでゴムを買う日が来るとはね。それも、高校生のうちに」
独り言をつぶやきながら、てくてく坂を歩いていく。
浮かぶ考えはいくつもあった。
長い童貞生活だったな、コンビニの店員が知り合いだったらどうしよう、どんな前戯をして、どんなフィニッシュを迎えようか。
様々な期待、不安が自然と歩みを早まらせ、内藤は信号にも引っかからずにコンビニに到着した。
陳列棚をいじっていた店員の声は、ずいぶん元気があった。
ただの新人か、古参ながら熱心なバイトか、それとも内藤と同じ状況で、血がたぎっているだけか。
内藤は、それを見分けられるほど、老け込んだ生き方はしていなかった。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:10:39.64 ID:0FgzxBfYO
支援
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:11:04.96 ID:+5MduKQLO
頼まれたものと、自分の欲しいものをカゴに入れると、周囲の視線を気にしながら、衛生用品の棚の前に立った。
グラビア誌の表紙の扇情的な視線に背中を刺されながら、内藤はしゃがみこむと、
誰にも見えないようにコンドームの箱をカゴの奥深くに埋めた。
(;^ω^)「……ふぅ」
まずは、第一段階完遂。
内藤は立ち上がり、品定めをするフリをしながら遠回りでレジに向かう。
未だに、大きな声の店員は、商品のレイヤーに凝っていた。
勝手に作ったらしいポップをどこにやろうとか、なくなりかけの商品全てを前出ししたり、ずいぶん忙しそうにしていた。
そんな彼女に声をかけるのは、なんとなく躊躇われた。
別に、内藤は、熱心に働く人間に対して強く出れないとか、命令するのもおこがましいとか考えるような、
ニートにコンプレックスを抱いてるような人間とは違う。
ただ、コンドームを買いたいだけのくせにこんなにお菓子を買い込んでカムフラージュのつもりか、
それだけのくせにわざわざ店員呼び寄せて、あんたそんなに(自主規制)したいんかと思われるのが嫌だった。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:14:25.78 ID:+5MduKQLO
しかし、あまりここでじっとしていたって、誰かがそっと内藤の懐にゴムを忍ばせてくれるはずもない。
むしろ、内藤を知る誰かがやって来て、もっとやりにくくなるだけだ。
( ^ω^)「すいませーん、レジお願い出来ますかお?」
店員はその声に気付いて、敬語を付けるのも忘れて、すまないと大声で謝り、レジに立った。
とんがりコーン126円、缶コーラ100円、カルビーのコンソメパンチ146円、キャベツ太郎98円。
それと、コンドーム478円。
内藤の頭の中ではスムーズに読み上げられたそれだが、店員は手を止めた。
そして、顔を上げた店員のまっすぐな瞳に、明らかに不審な挙動を見せる内藤が映っていた。
彼女はしばらく迷った挙げ句、特にレジを待つ客も居ないことを良いことに、口を開いた。
ノハ*゚听)「……ブーンか?」
内藤は慌てて、彼女の名札を見た。素直、と書かれたそれだけで、記憶を手繰る間もなく思い出せた。
こんなバカ正直な名前、内藤の生涯に一人しかいない。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:17:31.17 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……ヒート? ヒートかお!」
ノハ*゚听)「覚えてたかあああぁぁぁ!!」
コンドームを手にしたまま、店員素直ヒートは歓声を上げた。その絶叫たるや、いつクビになるか心配になる。
( ^ω^)「久しぶりだおヒー」
ノハ*゚听)「懐かしいっ! 懐かしいぞ、ブーン!! 大学は受かったか? それとも就職か?」
( ^ω^)「いや、僕だっ」
ノハ*゚听)「ブーンのことだから、大学は行くんだろうなぁ! その顔なら受かってるんだろう!」
( ^ω^)「うん、まぁなんとか、たかがν大だけどね」
やっと喋らせてもらえた、と思った矢先、内藤は青ざめた。
ノハ*゚听)「おぉ、たかがν大だと! やはりブーン、すごいな! ……ところで、これはどういうことだぁっ!」
ヒートはコンドームを内藤の眼前に突きつけて、店外にも聞こえるくらいに叫んだ。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:18:56.50 ID:aQeTmY8S0
しえん
支援
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:20:10.10 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「ヒート、これは聞かな」
ノハ*゚听)「わかる、わかるぞ! ブーンもそんな年頃かぁ! いやぁ、羨ましいな!!」
(;^ω^)「そ、そうなんだお! そういう訳で忙しいから、もう勘弁してくれお!」
内藤はカウンターに夏目を叩きつけ、商品を抱えて逃げ出した。
お釣りなど、どうでもよかった。たかが3桁の金のために、これ以上の恥は晒せない。
ノハ*゚听)「……また来いよー! 待ってるからなー!」
店のドアが開いてから、閉まるまでに聞こえたその声に、内藤は振り返り、頷いた。
心臓ヌッコロシの坂を、息も絶え絶えに越え、内藤は教室に戻ってくると、コンドーム以外のものをぶちまけた。
( ゚∀゚)「ワーオ、エコロジー」
('A`)「俺のコーラに何してんだ! バカバカ! まんこ!」
(´・ω・`)「ずいぶん遅かったじゃん。どうしたの」
(;^ω^)「ご、ごめ……ちょっと、中学の友達と話し込んじゃって」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:23:37.34 ID:+5MduKQLO
床に転がったものを拾い上げ、机の上に集めていると、内藤は気がついた。
( ^ω^)「……あれ? 渡辺は?」
いつものように、多くの人間が集った教室どこを見ても、渡辺の姿は見当たらない。
( ゚∀゚)「あぁ、渡辺? 帰ったよ。何でも、大事なパーティーがあって、その準備すんだってよ」
さすが、と内藤は渡辺に心の中で拍手を送った。これなら、帰る理由ができる。
( ^ω^)「あぁ、あれかお。……実は、僕も招待されてるんだけどね」
( ゚∀゚)「え、マジかよ? じゃあ、こんな所でゆっくりしてていいのか?」
内藤はちらりと時計を見ると、5時過ぎと気付いて飛び上がった。
(;^ω^)「もう行かなきゃ! すまんお!」
内藤は素早くトレンチを羽織り、ポケットを叩いて忘れ物を確認すると、ドアに向かって一直線に、
( ゚∀゚)「おいおいブーン、ちょっと待てよ」
行く道を、ジョルジュに阻まれた。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:25:00.44 ID:Z4ZFfuowO
支援
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:26:36.34 ID:+5MduKQLO
( ゚∀゚)「なんか怪しいぜ、ブーン。今朝のといい、今といい。何でそんなに渡辺に優遇されてんだ?」
体中の毛穴すべてから、ぐっちょりと汗がにじみ出てきた。内藤は狼狽する。
(;^ω^)「別に、ちょっと親しいだけじゃないかお! 何が怪しいんだお!」
( ゚∀゚)「怪しいな。お前の冷や汗が、何よりの証拠だよ。……ブーン、まさかお前、渡辺と……」
(;^ω^)「う……」
こんな厚着じゃなけりゃ、と言いかけて、内藤は諦めた。もはやジョルジュを出し抜くのは無理だ。
しかし、わざわざ、こんな複雑な事情を説明していたら、渡辺を待たせてしまう。
('A`)「……ブーン。この場は俺に任せてくれ! お前はさっさと行け!」
( ゚∀゚)「ん?」
ジョルジュの視線が一瞬それた途端、内藤はドアを開け、駆け出した。
ドクに、大海溝2コぶんくらいの、感謝の情を抱きながら。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:29:25.28 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)(ドク、今度ひろゆき亭のラーメン奢ってやるお)
内藤は、ブレーキもかけずに心臓ヌッコロシの坂を下った。
風切りの音が耳に痛いが、内藤はなおも自転車をこいだ。
( ^ω^)「……」
信号は赤だった。車の往来も少なくない。じゃああっと回り続ける車輪の声。
傾斜が緩くなって、横断歩道の白が見えても、内藤は自転車をこぎ続けた。
急ブレーキをかけつつも止まれない自動車の寸前を走り抜け、内藤はなお走る。
何故こうまで急いでいるのか、自分でも分からなかった。
ひょっとしたら、本当にただ単に(自主規制)がしたいだけかも知れない。それでも良かった。
内藤が、渡辺邸の門を叩くと、待ちかまえていたようにドアが開いた。
( ^ω^)「渡辺、遅くなっちゃってすまんお」
从'ー'从「ううん、いいの。来るって信じてたから。さ、入って!」
これからする事が、どんな事か、彼女は理解して、僕を迎え入れているのだろうか。
内藤はふと、そんな事を考えてしまった。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:32:15.39 ID:+5MduKQLO
5 『グラジュエーション』
数日ぶりに訪れた、渡辺の家は、やっぱり甘い匂いで、しかし、例えるようなお菓子の名前も浮かばなかった。
( ^ω^)「……ところで、家は大丈夫なのかお? お父さんとか厳しいんじゃ」
从'ー'从「それと同時に忙しいからね。今日は帰ってこないの」
そう言って、渡辺はちょっといやらしい笑みをしてみせた。内藤は心臓を爆発させた。
黄色の振り子を揺らして時を刻む大きな時計に、
さりげないアウトサイドキックを食らわせ、内藤は渡辺のあとについて階段をあがる。
渡辺の尻を追いかけながら、もう12段、階段を上がる。今らしい、小ぶりのヒップだった。
内藤は、歩きにくくなるのを感じた。
廊下を進み、突き当たりにある部屋の前で渡辺は止まった。
土気色した鍵穴のついた扉。鍵がなければ、こちら側からは開けられないようになっている。
从'ー'从「簡単な扉に見える? 鍵で開けなきゃ、絶対開かないのよね」
でもきっと、親父さんが砂漠鷲を持ち出せば、一発で消し飛ぶんだろうな。
内藤は、ほぉー、と感心げに呟きながら、そう思った。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:35:28.52 ID:+5MduKQLO
渡辺は三本の、長さが違う鍵をポケットから取り出して、まず一番短いのを差し込んだ。
从'ー'从「本当はね、この扉を開ける所は人に見られちゃいけないんだけどね……」
それを半分回して、次は中くらいのを差し、また半分回し、最後に一番長いのを差し込むと、ガチャ、と鍵が開く音がした。
从'ー'从「……ブーンなら、絶対信用できるしね」
( ^ω^)「良かったのかお? 僕がもし未来で落ちぶれたら……」
从'ー'从「未来の話はナシ! ……なんだか、悲しくなるから」
( ^ω^)「……うん、わかったお」
いくら、彼女のほうに心の準備が出来たとて、それで心が耐えきれる訳もない。
多分、その事が現実を帯びて、目に見えるまで近づいた時だけで、
準備したといって頑ななバリヤーを張った心は剥き出しにされてしまうんだ。
そう考えると、心の準備なんて存在しなくて、単に落ち着き払うことで耐性をつくった気になっているだけなんだと、内藤は思ってしまった。
心が後戻りしようとしていた内藤の手が、ドアノブを下げた。軋むような音を立てながら、廊下と部屋が繋がる。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:36:29.24 ID:EKwlTf67O
しえん
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:38:36.49 ID:+5MduKQLO
内藤は、その部屋を例うべき何を知らなかった。
と言うのも、部屋がまるで特筆すべき徴のない、単なるベッドルームだったからだ。
花柄で彩られたラインの入った壁紙や、二つ置かれたベッド、どこにでもありそうなタンス、空っぽのクロゼット。
从'ー'从「ゲストルームなんだ、ここ。だから、ブーンも落ち着けると思ったんだけど」
(;^ω^)「いや……なんか実感高まっちゃって、全然落ち着かんお」
ひとまずコートをクロゼットにかけ、テレビ前のソファに腰掛けた。
( ^ω^)「……渡辺、……僕で本当に良いのかお?」
从'ー'从「何言ってるの? ブーンじゃなきゃこんなことしないよ」
直前になって、内藤は急に不安になったが、渡辺はそれを笑ってくれた。だよね、と内藤は恥ずかしそうに笑った。
从'ー'从「そこのドアが、シャワー室だからね。入ってきたいでしょ?」
まぁ、と内藤はいって、辺りを見回してから、彼女がゆび指したドアに立ち上がった。
( ^ω^)「そうだお、……これは、ここに置いとくお」
先刻、コンビニで買ったコンドームを座っていた場所に置いて、内藤は学ランとカーディガンを脱いだ。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:41:06.71 ID:+5MduKQLO
渡辺の家のシャワールームで、内藤は全裸だった。
彼は、憧れの女性の家に忍び込んだ変態ではない。
無論、そうであってもおかしくはないが、一応、同意を得て、内藤は全裸でいる。いなければならない。
( ^ω^)「ふー……」
冬が明けたばかりの、ぬるま湯のシャワーを顔から浴びて、内藤は息をついた。
いったんシャワーを止めて、今日暴れたぶん、かいた汗を落とし、泡立てたアカスリで擦る。
敏感な部分は、手で優しく泡を付けて、握って、労ってやった。
( ^ω^)「長いこと、お待たせしましたお」
その手で髪を洗い、顔を洗い、ブラシで歯を磨いた。短い後ろ髪を絞って、水を切った。
( ^ω^)「……よし」
体の隅々まで洗いきって、内藤は水滴を振るいながら気合いを込めて、バスルームを出た。
支援
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:44:07.38 ID:+5MduKQLO
ワイシャツやらを脱ぎ捨てた場所に、真っ白なバスローブが代わりに置いてあった。
しかし、着方は内藤が知る由もない。適当に羽織って締めると、脱衣所を出て渡辺のところに向かった。
从'ー'从「あ、湯上がりブーンだ」
彼女はブレザーをはだけて、リボンを外して、ベッドの上、可愛らしく座っていた。
年齢や外観にそぐわない、渡辺のDはあろうかという胸が、大きく存在を主張していた。
( ^ω^)「……渡辺もシャワー浴びるかお?」
从'ー'从「うん。だからちょっと待っててね」
内藤は、彼女を引き止めて、そのままの匂いのまま、押し倒したいとも思ったが、
乱暴するのも嫌だったし、何より渡辺に痛い思いをさせる気がして、辛かった。
シャワーのお湯が、渡辺の体を伝って床のタイルを打つ音が聞こえる。
内藤は、股間にどんどん血が集まってくるのを止めようがなかった。
よく、期待に胸を膨らますというが、彼の場合は期待と不安に股間を膨らませていた。
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:47:08.59 ID:73GyQzyM0
支援
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:47:42.95 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「卒業前日に、童貞卒業。……かお」
自分で言って、くすりと笑ってみた。二日続けて卒業するのかと、それでも虚しさは感じなかった。
虚しさを感じるとする卒業なら、あるにはある。
馬鹿馬鹿しい言い方をするが、渡辺からの卒業だ。
( ^ω^)「……」
内藤は、手を組んで枕にして、ベッドに寝転んで、思案に耽った。
( ^ω^)「……忙しいから、付き合えないって言われたって、へぇそうかおって諦められるかお」
( ^ω^)「渡辺め……今は離したって、いつか絶対結婚してやるんだからなっ!」
从'ー'从「今はそう思うだけかもね……」
ちょうど、渡辺がシャワーを終えて、タオル二枚で出てきた。
胸には少し毛羽だったバンドのようなタオルを背中で結んで、股は至って普通なタオルを巻いて隠していた。
( ^ω^)「渡辺……」
从'ー'从「……でも、それでもいいかも。また逢えたら、絶対一緒になろうね」
内藤はベッドの縁に座り直して、渡辺を隣に座らせると、生肩を抱いた。
( ^ω^)「……うん、必ず」
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:48:55.65 ID:4jf1lOA2O
支援
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:50:21.76 ID:+5MduKQLO
内藤は言ってみてから、ちょっと照れて、肩から手を離した。
その手を、渡辺が握って、また肩に回させた。
从'ー'从「その言葉、絶対? 誓ってくれる?」
( ^ω^)「誓うお。僕は何があったって、渡辺と再会できたら……君と結婚するお」
出来たら、ここで指輪をあげたいもんだけど、と内藤は頭をかいて、謝った。
( ^ω^)「でも、それは本当に、神さまに誓うから、信用して欲しいお」
从'ー'从「本当に?」
内藤がちょっと困ったようにして、本当に本当、と言うと、
渡辺は頬をチークで塗りすぎたみたいに朱くして、でも内藤をその瞳に映した。
从'ー'*从「……では、誓いのキスを」
ぎゅっと彼女は内藤に唇を近付けて、しかし敢えてそれをくっつけはしない。
(;^ω^)「……う、うん」
そもそもが、彼女いない歴=年齢の内藤ホライゾンは、自らキスなどしたことがない。
ドラマや映画で、そんなシーンを見ることはあれ、それだけでキスの仕方ははっきり分からない。
(;^ω^)「初めてやるけど……気持ち悪かったら言ってくれお」
从'ー'*从「やだ、ブーンに気持ち悪いなんて、そんなの絶対言わないもん」
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:52:01.31 ID:r0cBLOm2O
支援
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:53:33.53 ID:+5MduKQLO
内藤は、無いくらいの距離を、もう少し詰めてみた。よく見えなくたって、そこに唇があると知っている。
後はそれをくっつけて、優しく吸ってあげればいい。
( ^ω^)「じゃあ……」
从'ー'*从「うん……」
彼女の肩を抱く左腕の肘に右手を当て、そっと唇を突き出してみた。
口先だけがちょんと当たって、それだけでも柔らかさが感じてとれた。
果たして性欲か知識欲か好奇心か、内藤はもっとその感触を確かめたくなった。
試しに、もう少しだけ内藤は口を伸ばしてみた。
从'ー'*从「ん……」
柔らかいというべきなのかもよく分からない、不思議な感触が唇を包み込むように広がる。
矛盾した言い方だけれど、内藤はそう感じたし、柔らかいと言うのが彼の中では一番近い言葉だった。
内藤は口を閉じたまま空気を吸うつもりで、その柔らかいものを吸ってみた。
泡がはじけるような水音がして、内藤は唇を離してしまった。
(*^ω^)「あ……」
なんだかエロティックなその瞬間に、内藤は顔が火照るのを感じた。
同時に、股間がさらに血を集めて、温度を上げるのも感じた。
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:56:05.93 ID:+5MduKQLO
从'ー'*从「……キスしちゃったね。もう後戻り出来ないよ?」
彼女の石けんの匂いが鼻腔中を駆け巡る。内藤は花粉症を持ってないことに感謝した。
( ^ω^)「別にキスしなくたって、後戻りする気なんてなかったお」
少し乱暴ともとれるが、渡辺を抱き上げて、ベッドの真ん中まで運んだ。
( ^ω^)「渡辺は(自主規制)するために生まれたんじゃないんだし、ましてや(自主規制)アンドロイドでもないんだお」
从'ー'*从「そうかな……私、ブーンとえっちが出来れば、それで幸せかも」
( ^ω^)「……じゃあ、僕にとって君がただのセフレでもいいのかお?」
从'ー'从「それはちょっと……辛いかも」
( ^ω^)「なら、そういうことだお。おk?」
渡辺は頷いて、内藤をひっつかんで抱き寄せて、無理やりにキスをした。
从'ー'*从「でも今は、とにかくブーンとえっちがしたいの。ブーンとの思いで作りなんだからね?」
(*^ω^)「……じゃあ、僕もハッスルしたるかお」
内藤は渡辺の背中に手を差し込んで、結び目を解こうとした。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:58:19.50 ID:73GyQzyM0
支援
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:58:32.19 ID:1lySwMEM0
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 20:59:30.10 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……」
从'ー'*从「……ブーン?」
布団と、渡辺の間に挟まれて、内藤の手は彼女の背中のすべすべとした感触を強く伝えてきた。
所々にできものがある自分とは違い、何の欠点もくすみもない、完璧な柔肌。
内藤はいつまで経っても結び目を解くことが出来なかった。
从'ー'*从「あっ、ごめんね、やりにくいよね」
業を煮やしたか、渡辺が首を使って胸の背を浮かすと、
内藤は急に恥ずかしくなって、大人しくタオルを外す作業に移った。
ただの一枚の布となったタオルを広げて、渡辺の胸を隠した。
从'ー'从「……外さないの?」
怪訝そうな表情で、渡辺は問う。
(*^ω^)「だって、探し求めた宝箱の前では、手揉みしてしまうだろお?」
从'ー'从「うーん、わかるような、わからないような……?」
内藤はニヤニヤを抑えられずに、渡辺の髪に指を通した。
( ^ω^)「……じゃあ、取るお」
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:02:09.29 ID:+5MduKQLO
タオルの両端をつまんで、ゆっくりと下ろす。重力に負けず、上を目指し続けるおっぱいの谷間が見える。
内藤の頭の中で、ゼル伝の宝箱のBGMが奏でられる。
渡辺が羞恥に耐えきれなくなったか、目を閉じてうっすら涙を浮かべた。
その顔が、なんとも性的欲望をそそって、もう少しいじめてやりたかったが、内藤は自重した。
(*^ω^)「わお……」
例えば、春の富士五湖。秋の嵐山。どんな絶景ならばこれに勝るかと考え、すぐに無駄だと知った。
形容できる詞が見あたらない。このお椀のように膨らんだ、真っ白い山を、天辺についた桃色の豆を、どう誉めればいい。
(*^ω^)「さ、触ってもいいかお……?」
从////从「良いよ……好きにして……」
同意を得て、右手をそっと乳房に触れさせ、もにゅんもにゅんと揉んでみる。
柔らかいというか抵抗感がないというか、ゼリー状のすべすべな膜を張った水のようだった。
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:05:05.92 ID:1lySwMEM0
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:05:14.57 ID:+5MduKQLO
内藤は、渡辺のピンク色の乳首を優しく撫でさする。
こうやって指先でなぞるように乳首を刺激すれば、女性は感じると、どこかで見た。
从////从「んぅー……ブーン、くすぐったいよー……」
(*^ω^)「にょほほほほほ! これはくすぐっているんだお! そうなんだお!」
内藤は、見聞きしただけのテクニックでは絶対に通用しないことを、今回の(自主規制)で学んだ。
(*^ω^)「さぁて、来週のアワビさんはどうなってるのかお!?」
渡辺が身を捩るから、タオルは引っ張ればすぐに取れた。
从'ー';从「ひゃっ! そ、そこは……」
内藤は、タオルの中に潜り込んでから、彼女の秘部なら、もっとしっかり、落ち着いてから見たかったと後悔した。
饐えたような酸っぱい匂いが癖になる。食欲が無くても食べやすい、爽やかな匂いがする。
VIPじゃマンコは臭いと聞いていたが、やはり当たる人に因るのだろう。内藤はなんとなく勝ち誇った気になった。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:08:14.76 ID:+5MduKQLO
从////从「あぅ、ひゃぁ〜……」
内藤は、自然と舌を伸ばしていた。渡辺も陰毛が生えてない訳ではない。
当然硬い毛が舌に絡まるが、秘肉を押し割って彼女の中に侵入する感覚が、そんな不快感はかき消した。
渡辺は、犬にするみたいに内藤の髪を撫でて、くすぐったそうな声を何度も上げていた。
自分の唾液か、それとも彼女の愛液か、舌を伝って粘っこいものが滴り落ちる。
下側からなで上げるようにぞりぞりと舐めてやると、渡辺は時折甘い声を出す。
从////从「んぅ、はぁっ……」
( ^ω^)(渡辺……もしかして感じてるのかお……?)
声にして尋ねるには抵抗があったが、内藤には、渡辺が感じているかに思えた。
何故なら、渡辺はもうあえぎ声にも聞こえる声を上げていて、愛液をトロトロ流して、息を乱しているからだ。
それだけの事が、まるで本当にこの世に存在するものなのかと見紛うほど、エロかった。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:10:45.10 ID:YhQQB1NTO
しえんぁっ!…ふぅ
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:11:06.56 ID:+5MduKQLO
(*^ω^)「渡辺……スッゴいエロいお!」
内藤は愛液を漏らさないように、陰唇にキスをして舌をねじ込んで、甘いソースを纏った柔肉を味わった。
無数の襞が蠢き、内藤の舌を擦り、包み込む。彼の舌もぐにぐにと動き、襞を刺激する。
意図しているのか、彼の鼻先もクリトリスを刺激していた。
从////从「ふあぁっ! 舐められるのが、全然しゅごいよっ!」
( ^ω^)(……よし)
内藤はいつか見た、舌でクリトリスを裸にしながら、中指を膣に挿入し、
天井に向かって軽く曲げたまま、ピストン運動をする、というのを試みた。
面白いほど、するすると指が挿入される。隙間なんてないのに、抵抗感などない。
なのに、中指はぎゅうぎゅう締め付けられて、前後運動を行うには、僅かながら力が要った。
从////从「あぁ、はぁっ……んっ! ……くぅ〜!」
渡辺は無茶苦茶によがりながら、身をよじって、湧き上がる快感から逃れようとしていた。
内藤はその股を抱えて、なおも渡辺の秘所を愛撫し続けた。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:13:05.45 ID:6ENGWgHbO
ガンバレ
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:14:23.45 ID:+5MduKQLO
クリトリスを剥くことはかなわなかったが、皮越しに与える刺激でも、
処女相手になら、痛覚にならない程度でちょうど良いかも知れない。
( ^ω^)(……とは言え、このまんまじゃいかんよね)
いつまでも同じ事を続けても、渡辺には飽きが来るだろうし、こっちも疲れる。
内藤は、何か打開策を探していた。
(;^ω^)「……わ、渡辺」
从'ー'*从「ふにゃ?」
それで、彼女の思うようにさせてやろうと考えついた。
小陰唇とのキスをやめ、その口で渡辺に問う。
( ^ω^)「次は、どうされたいんだお?」
从'ー'*从「うーん……」
渡辺は上体を起こして、少し逡巡した。
从'ー'*从「私がどうされたいってより、ブーンにえっちな事をしたいんだけど?」
(*^ω^)「えっ?」
渡辺は内藤に抱きついて、勢いを使って押し倒すと、尻を内藤の胸に乗っけて、バスローブをひん剥いた。
ギンギンに怒張したペニスが、渡辺に向かって真っ直ぐに立ち上がった。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:15:05.92 ID:0FgzxBfYO
ふぅ・・・
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:17:13.11 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「ちょっ、ちょっ! いきなりかお!」
内藤のペニスをギュッと握って、渡辺はわりかし大きめなそれに舌を近付けた。
吐息が当たるのを感じ、内藤は渡辺の秘部しか見えずとも、彼女の意志が分かった。
从'ー'*从「なーに? 私のだっていきなりいじったじゃん」
(*^ω^)「そうだけd……お」
内藤が反論しようとした途端に、彼は信じがたいほどの快感を得た。
もう、それを快感と呼ぶべきかも分からない。濡れてざらざらした、柔らかな舌が裏筋をさする。
(*´ω`)「ぬぇっふぇっ、ふぇっwww」
内藤は腹筋を蠕動させながら、その快感に耐えようとしていた。
自らのモノが、渡辺の暖かな口腔の中で、舌と内頬にしごかれている。
そんな状況を想像するだけでさえ、内藤は射精しそうだというのに、実感が伴えば、爆発でもしそうなものだ。
(;^ω^)「く……あぁッ!」
内藤は、下半身の筋力すべてが、その射精に費やされたような気がした。
不思議と、精液が腹にかかる感じはなくて、精子は今、渡辺の口の中、もしくは手のひらにいるのだと悟った。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:19:39.86 ID:heZ3VjOpO
しえ
支援
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:20:06.19 ID:+5MduKQLO
从'ー'*从「これって、こんなに出るんだ……」
内藤から降りて、照れ笑いを浮かべた渡辺は、鼻の頭にくっついていた精液をつまんではがした。
(;^ω^)「はぁっ、はぁ……普段は、こんなに出ないお」
从'ー'*从「そう? じゃあ、私のおかげかな?」
( ^ω^)「多分ね……」
内藤は少し余韻に浸ってから、また渡辺の腿の間に顔を押し込んだ。
彼女は何かを言おうとして口を開いて、あえぎ声を漏らした。
从////从「んぅ〜、もぅ、ブーンってば……」
一旦は収まったかに思われた勃起が、またも復活してきた。それと同時、抗いがたい衝動が溢れてくる。
(*^ω^)「渡辺、そろそろ挿れていいかお?」
从'ー'*从「ちょうど、そろそろ挿れて欲しいって思ってたトコだよ。……あ、それならこっちにあるから」
内藤がコンドームを取りにベッドを立とうとすると、渡辺が枕元から一包みのそれを取り出した。
( ^ω^)「……気が利くお」
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:20:07.71 ID:YhQQB1NTO
こういう甘酸っぱい青春小説で抜くと
虚しさ倍増だぜ!
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:21:36.51 ID:0FgzxBfYO
支援
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:23:10.86 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「そういえば、僕らの始まりの時だって、こんな風にびっしょびしょにしてたお」
急に懐かしくなって、コンドームは一旦置いて、そう呟いた。
从'ー'*从「んー……私、あの時は絶対ブーンに嫌われたと思ったよ。でも……何で、いやらしい私に引かなかったの?」
( ^ω^)「……実際、引いてはいたお。学校でオナニーなんて、変態行為の究極だお?」
( ^ω^)「……でも何故か、渡辺を嫌う気にはならなかったお。むしろ、愛情が再燃したのはそれからだし……」
从'ー'*从「要は、ブーンも変態だったんだよね。……ん」
チュッ、とほっぺに軽いキスをされて、内藤も同じようにキスを仕返してやった。
( ^ω^)「……何となく違うような気もするけど。……でも、どうでもいいかお」
从'ー'*从「……うん」
渡辺は、己がどれだけ湿っているか確認するためか、そっとサーモンピンクの秘肉をなぞっていた。
もう待ちきれない、とでも言いたげに涎を垂らすそれを見て、内藤も待ちきれなくなった。
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:26:20.59 ID:0FgzxBfYO
支援
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:26:23.22 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「さて、……あれ?」
先ほどコンドームを置いた辺りを調べても、そこには皺寄ったシーツだけがあった。
皺を伸ばして探してみても、ピンピンに伸びた真っ白なシーツが視線の先を包んでいるだけだった。
从'ー'*从「どうしたの?」
( ^ω^)「ちょっと、ゴムが……しょうがないな……」
面倒そうに立ち上がってソファーに戻り、コンドームを取ると、ベッドに舞い戻る。
未だ、鎮まる気配を微塵も見せない亀頭に、封を切ったゴムを被せて、コロコロと落として装着した。
両手をついて渡辺の屋根になって、ゆらゆらとペニスをぶら下げながら、
彼女にあてがおうとする様は、まさしく不器用な下等獣そのものだった。
(;^ω^)「猫ちゃんでさえ、交尾くらいスムーズに出来るのにね」
从'ー'*从「ほら、こうして……」
渡辺が手を添えて、内藤はどうにか亀頭だけ挿入する事ができた。
ぴちぴちと内藤の先端を包み込むように肉壁が開いた。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:29:00.10 ID:0FgzxBfYO
支援
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:29:11.77 ID:+5MduKQLO
从'ー';从「う……」
(;^ω^)「渡辺、平気かお?」
从'ー'从「大丈夫、大丈夫。一気にやっちゃってよ」
そうは言っても、と思ったが、そんな気遣いも結局無意味なのだ。
一気に行くかゆっくり行くかは、受け身である彼女が決めることだ、内藤ではない。
しかし内藤は、処女膜を破ることが即ち渡辺を傷付けることのような気がしていた。
( ^ω^)「……じゃあ、行くお」
内藤は意を決して、腰を押し出した。しかし、あったのはおかしなつっかかかり感。
そのままぬるりと滑って、奥に進んでも行かない。力を込めても同じ事だった。
(;^ω^)「ん……むむ……」
从'ー';从「んー……はぁうっ!」
お互い、息をこらえて力を込めていたけれど、やがて耐えきれなくなったようで、渡辺が大きく息をついた。
その瞬間に、ずるりと内藤の腰が沈み込んで、渡辺の下腹部がぷっくりと膨らんだ。
从 ー ;从「い! ……うぅ」
内藤のペニスを、ゴム越しの温もりと強烈な吸着が襲う。
それでもなんとか持ちこたえて、情けない射精だけは耐え忍んだ。
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:32:21.60 ID:+5MduKQLO
(;^ω^)「……渡辺、大丈夫かお?」
从'ー';从「うーん、ごめん。まだちょっと動かないでいてね……?」
渡辺は少しうわずった声で言って、内藤の腰を両脚でがっちりと留めた。
内藤とて、破瓜の痛みは如何な痛みにも劣らないと聞いたことはある。
今ここで、自分の欲望に任せてピストンしてみたら、どうなるだろう。
内藤は、そんな風にして訪れる結末なんて考えたくもなかった。
だけれど、内藤はどうにも落ち着けず、動いていいか、と何度となく訊いた。その度に渡辺は、
从'ー';从「もう少し……」
と首を振った。
( ^ω^)「……ねぇ、渡辺」
从'ー'从「うん? なぁに、ブーン」
少し、暇を持て余しすぎて、内藤はラクな体勢になると、渡辺に話しかけた。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:34:46.38 ID:0FgzxBfYO
支援
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:35:04.97 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「もしも……こんな事が起こるのは、ものっそい確率低い事なんだけども、」
( ^ω^)「……ゴムに不具合があるなり何なりで、この(自主規制)で渡辺が身ごもったら、どうするんだお? やっぱり、」
从'ー'从「絶対に堕ろしたりはしないよ。もしそうなったって、ブーンには絶対迷惑かからないようにするしね」
渡辺は首を傾けて、売り物になりそうな笑顔を浮かべて、言った。
从'ー'从「……でも私ね。どうせなら、ブーンが言ったように、子供が出来ればいいな、ってどこかで思ってた」
内藤は一瞬、最悪の事態を想定した。
それは、今でこそ最悪と言えるが、少し後の未来だったら、なんとも嬉しくめでたい事である。
今はまだ、彼女に責任を押し付ける形になってしまう。
(;^ω^)「つって、本当に出来たらどうするんだお」
从'ー'从「どうしょうもないよ。そんなの分かってるから、心の隅でしか思わなかったもん」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:38:25.42 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「そっか、良かったお」
内藤はほっと胸をなで下ろして、渡辺の次の言葉に驚愕した。
从'ー'从「実を言うと、さっき枕元にあったコンドームね、私が穴を開けておいたの」
(;^ω^)「……それ、リアルに言ってるのかお?」
从'ー'从「本当に本当。嘘偽りなんて微塵もありませ〜ん。……っと」
(;^ω^)「しれっと言う事じゃないお! さっきのを失くさなかったら……」
从'ー'从「だから、折を見て隠しといたよ。流石に、私だって困っちゃうもん」
( ^ω^)「そっか……そうだおね」
内藤は、当初よりもペニスがしぼんでいるのが分かって、慌てて集中したが、
人間でも理解できない、下半身の心中はまだ、思い悩んでいるようだった。
(;^ω^)「ごめん、なんか小さくなっちゃったお」
从'ー';从「え〜? そんなぁ〜……」
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:41:14.03 ID:+5MduKQLO
残念そうな顔をされて、内藤は余計に焦った。どうすれば復活するか悩んで、悩んで、悩んでいると、
彼は、お堅く言えば「男性器を女性器に挿入している」状態であり、そんな状態は殊内藤にとっては
異常な事でさえあり、初めて彼の航海誌に記される出来事である。
まるで異常な、初体験。内藤の心を全身揺さぶるには、十分な囁きだった。
(*^ω^)「……渡辺、気分はどうだお?」
从'ー'从「いくぶんか、楽になったかも。……ちょっと、ゆっくり動いてみて?」
はやる気持ちを抑えつつ、内藤は恐る恐る腰を引いた。
蚊の止まりそうなストロークで、ピストン運動を行う。
結合部からは、少量の紅い血と、陰毛を光らせるほどの愛液が滴っていた。
( ^ω^)「渡辺、痛くないかお?」
从'ー'*从「す、少し……でもっ、なんか……」
(*^ω^)「でも?」
从////从「あぁん、もう、やだぁ……いじわるがいる!」
支援
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:44:23.52 ID:+5MduKQLO
(*^ω^)「なんか、何なんだお?」
内藤の動きが、平らに見えるくらいの坂道を下る力学台車のように加速していく。
初めは痛みを伴ったものの、渡辺はそれが「なんか」に埋もれていくように感じた。
从////从「あぁぅ……なんか、きもちいいのぉっ!!」
渡辺はもう、快感しか感じてなくて、自分が初体験という事もほとんど忘れていた。
腕を目一杯に伸ばして内藤を抱き寄せて、大人のキスをする。
二人の動きに合わせて、ベッドも軋むし、重ねた唇だってずれる。
だから、唾液なんかいくらでも漏れたし、それが渡辺の両頬に線を作ってさえいたけれども、
どちらかと言えば二人は、(自主規制)をしながらのディープキスのやりにくさに辟易していた。
激しい運動に息が荒ぐのを感じながら、内藤は自分の短距離向きの体を酷使した。
高校に入り、長距離の才能を見出されたドクとは違い、内藤には瞬発的な爆発力しかなかった。
いつだったかは忘れたが、それを呪ったこともあった。しかし今は、自分が短距離ランナーであることが、誇れる気がした。
( ^ω^)「渡辺、もっと激しくしていいかお?」
从////从「大丈夫……もっと、もっと激しくして!」
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:47:18.72 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)「……了解っ!」
あの日、ドクと競り合った時のように、内藤は必死でスパートをかけた。
最初で最後、内藤はこみ上げる快感による射精欲を抑えつけながら、腰を走らせた。
从////从「あ、あぁっ! ひゃんっ!」
中指を使っているかのようなスピードで、渡辺を犯す。直に、内藤に限界が見えてくる。
(;^ω^)「わ……たなべっ、僕、もうっ!」
从////从「んぅ、ちょっと待って……あ、ひゃぁっ! ブーンっ!!」
内藤が、ゴムの中に精を放つと、渡辺はひときわ大きな声を上げ、膣を激しく痙攣させ、内藤を締め付けた。
巣に棲む精子を全て吐き出させるような、強烈な締め付けだった。
何となく、彼女の言葉が胸をよぎった。
しかし、内藤は、このゴムは安全なはず、と信じるほかなかった。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:49:52.70 ID:wcqcpySKO
支援
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:50:55.27 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「……もう帰っちゃうの?」
( ^ω^)「だって、別に今生の別れでもないじゃないかお」
内藤は、敢えて別れも言わずに、早々と渡辺の家を去り、家に帰った。
J( 'ー`)し「連絡もなしに遅かったじゃない。ご褒美に、晩ご飯は抜きよ★」
(;^ω^)「あちゃー、すっかり忘れてたお……」
考えないようにすれば、案外何とかなるな、と内藤は思って、それから悲しくなって部屋に逃げ込んだ。
枕が濡れるのも構わず、うつ伏せになって、それから動かずに朝を迎えた。
(ヽ^ω^)「……卒業式、行かなきゃだお」
カーテンも閉めていなかったから、部屋がだんだん明るくなるのは目に見えた。
うわごとのように呟くと、内藤はゆるゆると起き上がって、転げ落ちるように階段を降りた。
J( 'ー`)し「ちょっと、制服のまんま寝てたのかい? せっかくの卒業式なのに、シワシワじゃない」
(ヽ^ω^)「……まぁ、寝てないけどね」
J( 'ー`)し「……やっとの卒業式だから、止めはしないよ。ともかく、アイロンかけるから、制服脱いで。適当にご飯食べてな」
(ヽ^ω^)「ん……」
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:54:12.70 ID:+5MduKQLO
内藤が朝食をとっていると、そこで初めて携帯の存在に気付いた。
あまり気は進まないが、メールが来ていたようなので、仕方なく開いた。
一つは、母からの連絡を求めるメール、そしてもう一つは、ドクからの冷やかしのようなメールだった。
('A`)『祝・卒業!』
ひとまず、冷やかし返すメールを送り、携帯を閉じた。
( ^ω^)『よう童貞。今日風俗行って卒業式やるんだろ?』
母がアイロンをかけ終えて、制服をハンガーに掛けてくれた。
片手のパンを噛りながら、その様を見て、何だか疲れ果てた気分になった。
( ^ω^)『カーチャン、今までありがとうだお。これからあとちょっと、よろしくだお』
普段、携帯をサイレントにしているカーチャンなら、と思って、内藤はこっそり返信しておいた。
それから急に照れくさくなって、さっさと制服に着替えて、さっさと出ていってしまった。
そして、案の定、後背からドクに追突された。
('A`)「おい、何のつもりだ。何だよあのメール!」
(ヽ^ω^)「そんなことはこっちが言いたいお」
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:56:19.63 ID:+5MduKQLO
('A`)「……お前、泣いてたのか?」
しばらく内藤の顔を見つめて、怪訝そうに眉をしかめて、ドクはそう訊いた。
(ヽ^ω^)「バッ……泣いてたに決まってんじゃん! バカじゃねーの!」
('A`)「ほー、卒業出来なかったんだ」
(ヽ^ω^)「それも違うけど……」
内藤がドクの処理に拱いていると、またドクから衝突を受けた。
('A`)「ほらほら、ファイナルヌッコロシだぞ。視界がぼやけてちゃ引きずりおろされるぜ」
(ヽ^ω^)「別に今は泣いてないっての!」
ギアを1にして、がむしゃらに漕いで、坂を往った。確かに、この坂を上るのも最後だった。
内藤は全力を出して、心臓ヌッコロシの坂への餞として、そして思い出の清算をした。
(;^ω^)「ッハァ……、この坂にもサヨナラ、かお」
(;'A`)「あぁ。……いいトレーニングだったぜ、全く」
自転車を停め、下駄箱を過ぎ、昨日ごたごたを起こした分岐路で別れ。色々なものが、最後だった。
それらの全てを気にしている訳にもいかず、内藤は目を伏せながら階段を上がった。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:57:58.23 ID:r0cBLOm2O
支援
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:59:02.00 ID:YhQQB1NTO
支援
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 21:59:13.05 ID:+5MduKQLO
卒業式当日ということもあってか、多くのクラスメイトが既に待ちかまえていた。
何かしらの打ち合わせがあったようで、来る人来る人ブサイクとブスにもみくちゃにされていた。
内藤は気配を殺し、黒板側から教室に忍び込んで、適当に群れた。
( ゚∀゚)「あ、ブーンが来てるぞ!」
しかし、すぐに見つかり、同情したくなる顔をした者たちに潰された。
(; ω )「うわあああぁぁっ!!」
( ゚∀゚)「お前ら! ブーンは特にキツくやれよ! こいつは反逆者だ!」
ニキビ面が眼前に接近してくるのを見ながら、内藤はその瞳から珠のような涙を零した。
次の人が来るまで、洗礼は続き、終わった頃には、内藤の意識は朦朧としていた。
(; ω )「お゛えぇっ……ぷ。」
(´・ω・`)「今、どんな気持ち?」
(; ω )「……人がいたら、殺したいかな……」
唇を何度も拭っていると、担任の教師がやって来て、最後の言葉を授けた。
暫し、クラスはお祭り騒ぎを中止して、教師の祝辞に耳を傾けた。
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:02:36.75 ID:+5MduKQLO
( ´∀`)「んー、皆さん。ついに今日、卒業の日がやってきたモナ」
( ^ω^)「……」
( ´∀`)「1年間、君らを見てきたモナ。だからこそ、いっぱい言いたいこともあるモナ」
( ´∀`)「けど、今日は残念ながら時間がないモナ。だから、一番言いたいことだけ、話すモナ」
先生は、黒板に描かれた寄せ書きをちらりと見てから、また話し出した。
( ´∀`)「このクラス、全員揃って卒業できるモナ。……隣のクラスには、学校に残るためだか、ダブったのもいたモナ」
( ´∀`)「でも、そんな風にずるずる引きずったって、良くないモナ。節目ですっぱり切った方が良いんだモナ」
( ^ω^)「……先生」
内藤は、ゆらりと立ち上がって、カサカサの唇を開いた。
( ´∀`)「ん? 何だモナ、内藤」
( ^ω^)「すっぱり切る、と言っても、すっぱり切りにくい場合は、どうすりゃ良いんですかお?」
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:05:18.62 ID:+5MduKQLO
( ´∀`)「なるほど、確かにそういう場合もあるモナ」
先生は、ちょっと困ったように頭を掻いて、それから優しい笑顔を見せた。
( ´∀`)「まぁでも……切っても切れない関係なら、切らない方が良いモナ。魚を水から揚げたって、何の意味もないモナ?」
( ^ω^)「……今は切っとかなきゃならない関係なんですお。でも、切りたくないんですお」
从'ー'从「……」
渡辺が、軽く椅子を引く音がした。
( ´∀`)「内藤、それ本気で言ってんモナ?」
(;^ω^)「え?」
先生がとった、ちょっと衝撃を受ける言葉に、内藤はたじろいだ。
( ´∀`)「そんなの、今だけ関係を切れば良いんだモナ。で、ほとぼりが冷めたらのうのうとくっ付けば良いモナ」
(;^ω^)「え……でも、そんなの……」
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:08:33.88 ID:+5MduKQLO
( ´∀`)「くっついても、うまく行かない気がする、ですかモナ?」
( ^ω^)「はい……」
( ´∀`)「内藤、うまくいかない未来を仮定しても意味ないモナ。若いうちは、ポジティブに考えるものモナ」
先生は反論を許さなかった。
時間が無かったのか、内藤に無理矢理にでも納得させなければならなかったのかは、分からない。
ともかく、それから程なくして、卒業式が始まった。
( ´∀`)「内藤……ホライゾン!」
( ^ω^)「……はい」
内藤は、いろいろ思いを巡らせながら、証書を受け取った。
( ´∀`)「卒業生、答辞。卒業生代表……渡辺あやか」
从'ー'从「はいっ」
渡辺の名前が呼ばれたような気がして、内藤は目を開いた。
( ゚∀゚)「暢気に寝てんじゃねー、アホ」
脇腹をジョルジュにつつかれて、ようやく状況が知れた。壇上に上がる渡辺を見据えて、内藤はぼやけた意識をはっきりさせた。
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:11:03.61 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「梅の花びらも開ききり、ぽかぽかとした春が、その目にも分かるようになりました……」
澄んだ声、ありがちな言葉。
渡辺の目は、天井近くに引き上げられたバスケットのゴールを見つめていて、内藤なんて見てなかった。
見ているわけがなかった。
( ^ω^)「……」
彼女だって、そんな節度も持てないような生き方はしてきていない。
それに彼女とはもう、他人になったはずだ。内藤はそう、必死な言い訳をしてみた。
( ^ω^)(……出来れば、僕を見てて欲しかったけど、片思い時代にもそんな事なかったしね)
肩を回して、首を捻り、硬直した関節を鳴らすと、内藤は明後日を見た。
陽光が差し込む、紅白幕のない二階窓。40代の校舎が、時計を付けて立っていた。
从'ー'从「……卒業生代表、渡辺あやか」
渡辺が席に戻り、「河口」を歌い、内藤達は拍手で見送られた。
きっと、自主的なものではない。軽快なリズムで腿を叩いて笑っている者もいた。
卒業なんてものは、結局個々人にしか影響しない。内藤は頭を垂らした。
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:14:22.33 ID:+5MduKQLO
( ゚∀゚)「おらおら、写真撮るぞー! しっかり笑えよ、一生のオカズになるんだからなー!」
(´・ω・`)「ジョルジュ、冗談として許される範囲を超えてるよ?」
カメラマン・ジョルジュは校舎前に人を集めて、何枚も写真を撮っていた。
( ^ω^)「まぁ、良いじゃないかお」
あんなジョルジュも最後だし、と内藤は笑ってやると、
ショボンは、あれが大学生になったくらいで収まると思うかい、と、やっぱり笑った。
( ゚∀゚)「おー、いいね! その笑顔よ!」
( ^ω^)「とりあえず、許してやってくれお」
(´・ω・`)「……勿論だよ。僕も鬼じゃない」
そうしてひとしきり騒ぎ終わって、内藤は寂しさを感じないうちに帰ろうとした。
駐輪場で自転車に乗り、足で地面を蹴っていると、渡辺とすれ違った。
从'ー'从「あ。……内藤くん、もう帰るの?」
( ^ω^)「……この騒ぎに乗じて、寂しさを感じないうちに、と思って」
从'ー'从「ふ〜ん?」
渡辺は、ちゃんと切りたくないものも切れてるじゃない、と褒めてくれた。内藤を、内藤くんと呼びながら。
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:15:42.83 ID:fLhS6GWnO
このタイトルのオナニーされたようですって俺たちのことをさしてる気がしてならない
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:17:20.57 ID:+5MduKQLO
从'ー'从「……ねぇ、内藤くん」
( ^ω^)「お?」
また地面を蹴り、帰ろうとした内藤を、渡辺が荷台を掴んで止めた。
从'ー'从「自転車の後ろに乗せてってよ。お願い」
( ^ω^)「……僕のお願いを聞いてくれるなら、良いですお」
从'ー'从「……なぁに? 何でも言ってよ」
少し照れくささを感じながら、内藤は一旦自転車を降り、渡辺と向き合った。
( ^ω^)「その……えっと、渡辺あやかさん。」
从'ー'从「……はい」
( ^ω^)「僕は……2年生になって、あなたと同じクラスになって、あなたに恋をしましたお」
( ^ω^)「一旦は諦めたけど、今ならまた言えますお。渡辺さん、好きですお……」
( ^ω^)「……だから、もしまた会えたら、付き合ってくれますかお?」
渡辺は、内藤の手を取って、にっこり笑うと、自転車の荷台に腰掛けた。
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:18:14.33 ID:0FgzxBfYO
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:19:22.92 ID:r0cBLOm2O
あれ・・・なんか・・下半身から白い汗が・・・
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:20:07.05 ID:+5MduKQLO
校門を出、自転車はスピードを上げていく。
心臓ヌッコロシの坂、と呼ばれた急勾配に乗じて、更にスピードを上げていく。
自転車は止まる気配を見せない。渡辺の肩までの髪を、スカートを靡かせながら、どこまでも走っていって、
やがてドクからは見えなくなった。
('A`)「あんにゃろ、俺に一言も言わずに帰りやがって。泣いちゃうぞ?」
('A`)「……ブーンの家で待ってるか。流石に今日は、まずい事にはならないだろ」
そう安心しきっていたドクが、目に涙をいっぱい溜めた内藤と会うのは、それから数時間後のことだ。
その夜、ドクの計らいで、内藤の家は小さなパーティー会場になった。
しかしながら、内藤の悲しみは結局、癒えなかったのであった。
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:23:21.17 ID:fLhS6GWnO
見せつけやがって…
ちくしょう…ちくしょーー!(AA略
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:23:22.75 ID:+5MduKQLO
エピローグ 『グッドエンド』
聞き慣れたチャイムの音も、今や懐かしいものとなってしまった。
ウェディング・ベルというのは、チャペルから出るときに鳴るものだったから、これは少し気が早いか。
内藤はそんな事を考えながら、今からの結婚式に、胸躍らせていた。
( ^ω^)「んー、ウェディングドレスなのにパンチラ……これは良い」
(;'A`)「お前、さっきから何言ってんだ? 幸せすぎて壊れたか?」
学ラン姿で彷徨くドクを尻目に、内藤は頬を摘んで大袈裟な笑顔を作った。
('A`)「……しかし、お前も粋な事するよな。控え室は教室、チャペルは体育館、披露宴会場はグラウンドだもんな」
('A`)「そして何より、ウェディング・ドレスはブレザーにチェックのスカート……最高だろ」
( ^ω^)「ドク、言ってることが僕と変わんないお」
(´・ω・`)「どいつもこいつも……最低だね」
( ゚∀゚)「いや、制服に興奮しない奴の方が最低だ」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:26:03.20 ID:+5MduKQLO
内藤は、23歳になって、外資系企業に就職した。それから1年し、同じ部署に異動してきた渡辺。
そこで初めて二人は、卒業式以来の言葉を交わした。
奇跡か、定めか、再び巡り会った二人は早かった。
邂逅の夜に、二度目の(自主規制)をし、その明後日には、三度目を。
内藤に出張があれば必ず助手として付いていき、旅先で(自主規制)をしたし、残業あらば、必ず共に残った。
次第に、辺りから結婚を唆されるようになり、内藤は少しは出世してから、という意向を曲げ、渡辺にプロポーズした。
( ^ω^)「……でも、良かったお」
('A`)「後で聞いて驚いたよ。まさかそんなに複雑だったとはな」
( ^ω^)「……でも、本当に良かった……また、出会えて」
('A`)「ブーン……また泣いてんのか?」
( ^ω^)「そりゃあ泣くお、こんな奇跡、そうそう無いんだお」
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:29:33.79 ID:+5MduKQLO
ドクが、からかおうとしたのか、口を開いたところで、柔らかなウェディング・ベルが鳴り響いた。
( ^ω^)「……時間かお」
('A`)「じゃ、俺らはチャペルに行ってるからよ。あっちでな、ブーン」
(´・ω・`)「全力で米投げつけてあげるからねー!」
( ゚∀゚)「パンチラ撮影に命と名誉を賭けるからな!」
( ^ω^)「ジョルジュ、もう帰って良いよ」
教室からドク達を追い出し、少しして、制服姿の花嫁がドアをノックした。
かつて、彼女が痴態を晒した教室で、彼女はウェディングドレスと称して、襟に歯形が残ったブレザーを着ていた。
何もかもが、あの頃と変わっていない気がする。
未だに今が未来だと信じられない。
( ^ω^)「じゃあ、行こうかお。あやか」
从'ー'从「うん。頑張ろうね、ブーン!」
でも、未来だろうが今だろうが、内藤の幸せには関係なかった。
この世に、内藤が一人増えた日に、新しい内藤も、旧くからの内藤も、満面の笑みを浮かべていた。
今日だけは土足で、廊下を歩いていく二人は、こっそりと、優しいキスをしていた。
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:30:37.26 ID:+5MduKQLO
( ^ω^)がオナニーされたようです
fin
ふぅ・・・・・・・・
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:32:23.41 ID:+5MduKQLO
あとがき
これで、( ^ω^)がオナニーされたようです
は終わりです。たくさんの支援、ありがとうございました。
何から書くか……とりあえず、この作品への思い入れは、結構ある。
初めて書いた、100レス超の短編ってことで、かなり気合い入れて、プロットも何日もかけて作った。
個人的には、この出来には、そこそこ満足してる。もちろん、客観視するとまだまだだけど。
何となく、時間をかけて、思いを込めて書けば、それなりのものは出来る気がする。
あと、エロ。
今回のエロは、なんかエロとしてはもう何、なんなのこれって感じです。
三人称だからかは分からないけど、どうしても視覚的情報に偏っちゃっていかん、いやーよ。
でも何か、普通の小説のエロってこんなんだよね? それでも何故か抜けるんだけども
それから、ラストの締めも、ヒートと渡辺二種類考えてたけど、やっぱりヒロインは渡辺だから、渡辺にしといた。
ヒートが絡むのも、語り不足でむちゃくちゃになっちゃうかもと思ったし。
で、とりあえず、最後に。
やっぱブーン系いいわ、最高!
読んでくれた人、長い間お付き合いありがとうございましたっ! イエイ!
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:32:59.85 ID:+5MduKQLO
ちなみに、
>>190 そんなつもりは一切ないwww
むしろ、抜けないエロを目指してたよ。それだったらショボ子でも起用すりゃ良いだけだけどもね
ただお前ら、マンコが出てくればオナニーしそうで困る
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:35:18.75 ID:r0cBLOm2O
やっぱりヒートフラグはあったのか
俺はそっちが良かったかなー
なんにせよ乙でした
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:35:40.04 ID:nfxo7hyM0
同じくROMだったけど乙
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:37:44.37 ID:wcqcpySKO
面白かった!
乙!
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:39:05.20 ID:PiUfgI4rO
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:39:25.19 ID:nByxzi080
乙
ふぅ
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:41:53.15 ID:0FgzxBfYO
ふぅ・・・
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:42:28.54 ID:fLhS6GWnO
〉〉1そうか
乙、しかしとんだ糞小説を最後まで読んじまった
ひどすぎて涙がでてきたぜ…
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:45:20.83 ID:1lySwMEM0
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:46:28.58 ID:UhGr/sgXO
ヒート!!ヒート!!
>>1乙
ヒート!!ヒート!!
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:48:12.93 ID:gkDNCzHnO
あ
216 :
◆xmNFXyaAwA :2008/03/27(木) 22:48:39.67 ID:7CzPJ4u90
花束です、まとめてもよろしいでしょうか?
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 22:51:03.14 ID:+5MduKQLO
>>216 もちろんですとも
気に入ってるから好きにまとめちゃって下さい
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 23:09:06.11 ID:usKsQ/6GO
(´・_ゝ・`)下手ではないがわかりにくい文章ですな
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 23:15:04.54 ID:0biK/EpNO
乙
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 23:32:48.92 ID:vkKBnahH0
otu
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/27(木) 23:55:18.69 ID:IvhcTBRhO
よむほ
なんというか、20年位前の少女〜少年漫画な雰囲気(何故か変換できた)
昔な感じの絵柄で再生されますた。