1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
それはいつもと変わらない朝‥‥の筈だった。
日が昇る前に――いや、アラスカの北部であるここは、太陽が地平線に
沈まない日も一年のうちにはあるが――犬達の餌をやり、薪を割り、簡単な
朝食を作る。発電用の油が無くなれば片道約一時間かけて、スノーモビルで
一番近くの街へ買出しに行く。食料は大体は狩りでまかない、毛皮は町で
売って買い出しの資金にする。
そんな単調で無数の日々の始まりの一つに過ぎないはずだった。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:17:44.48 ID:iDVZo7/+0
ほう
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:18:08.27 ID:l3TFTNGB0
しかしその朝は違った。
ベッドから起き出し着替え終わると同時に、昔、遠く離れた世界に捨ててきた
はずの感覚に不意に襲われる。
なんだ、これは。
俺はこの感じを知っている。
何か腹の底から語りかけてくるような、背筋がぴりぴり来るようなそんな
感じだ。
俺の犬達が吠え立て、その感覚が他者の殺気であることを思い出す。
地平線からようやく顔を出した太陽の光が窓から差し込む狭間に、ちらりと
影がよぎるのを見た瞬間には遅かった。
やれやれ。どうやら戦場を知らない犬達よりも俺は更に錆付いてたらしいな、
と考える時間だけはあった。
大佐「よくやったスネーク状況を報告してくれ」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:19:01.27 ID:l3TFTNGB0
次の瞬間には、空き缶みたいな物が窓を破って部屋に飛び込み、濁った
黄色のガスを勢い良く噴出する。いかに俺が錆付いているとはいえ長年の
訓練の賜物で大して影響は無い。一般人なら行動不能になる催涙ガスでも、
俺には視界を奪う以外どうってことはない。ガスの噴出と同時に雪国での
迷彩柄である白尽くめの防寒具と防弾ベストをまとった特殊部隊が雪崩れ込む。
手際から察するに錬度はかなりのものらしい。窓が蹴破られ、あらかじめ
屋根に登っていたらしい連中もロープで一斉に室内に飛び込んでくる。一斉に
俺に短機関銃を向ける。
多目的スコープの影にある奴らの目は見えない。
これはどう足掻いても勝ち目は無さそうだ。そう悟った俺は無意識のうちに
手に逆手に握って構えていたバターナイフを床に落とし、腹ばいになる。
真っ先に発砲しなかったのを見ると俺を生きて捕らえたいらしい。ならば
奴らを差し向けた人物の用向きを聞いてからでも暴れるのは遅くない。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:20:06.16 ID:l3TFTNGB0
俺が手錠をかけられ連行されたのは、近くの米軍基地だった。そこに待機中の
米政府用仕様のボーイング747に乗り込まされる。
長い口ひげの男の向かいの席に座らされ、そのまま離陸する。
「彼の手錠を解いてあげたまえ」
彼が命令すると、傍にいる黒服が俺の手錠を解く。
「ようこそ、スネーク。私は‥‥そうだな、リボルバーオセロットとでも
呼んでもらおうか」
「‥‥ずいぶんと手荒な歓迎だな」
「招待状のカードを送ったところで君が来てくれるか自信がなかったのでな」
奴はにやりとしながら言う。
「俺に何の用だ」
「どうしても君の手を借りたい事がある」
「ふん‥‥どうせろくな事じゃないだろう」
俺が吐き捨てるように言うと、奴は平然と言う。
「事は国家‥‥いや、世界の安否に関わってくることなのだよ」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:20:16.87 ID:d34rfOKB0
期待しているぞスネーク
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:20:58.06 ID:iDVZo7/+0
期待上げ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:21:02.41 ID:l3TFTNGB0
すると、俺が安っぽい映画のような台詞だなと言い返せる前に機が
がくんと揺れた。
外でちらつくものがあり、よく見ると、F-15戦闘機が隣接している。
怪しげな雲行きだ。俺はここを脱出する方法に頭をめぐらしていた。
オセロットはどうやら機長とインターホンで会話をしているらしいが、
周囲をうかがっている俺を一瞥すると俺に言った。
「君は席に座っていたまえ」
それからは、衛星暗号通信機を出して、どこかと連絡を取ろうと
しているようだった。話の断片からこの極秘のフライトに関しての
連絡が近くのカナダ空軍基地に行き届いてなく、スクランブルをかけられたらしい。
俺は何気ない口調で近くの黒服に聞いてみる。
「‥‥おい、タバコを吸ってもいいかい?」
無視される。
オセロットが会話の合間に投げやりに言う。
「構わん。どうせここは高度3万フィートだ。妙な気を起こされたところで
逃げられんよ。」
仕方ない、という様子で黒服が懐に手を入れた瞬間、俺は動いた。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:21:57.57 ID:l3TFTNGB0
瞬間的に肉薄すると正面から奴のフリーの方の手をねじ上げて
懐に入れた腕に押し付けると、腹に膝で蹴りを入れる。ひるんだところで
空いた手で顔面にストレートをぶち込む。奴は床にボロ人形のように
崩れ落ちる。
オセロットは通信機に向かって俺に背を向けていたために反応が一瞬遅れた。
振り向こうとするのと同時に奴の首筋に手刀を叩き込むと、先ほどの
黒めがねと同様に床に崩れ落ちた。
運良く他に乗務員は見当たらないが、他にも黒服は搭乗してる事だろう。
このまま素直に目的地に行っても、ハイジャックを試みても良い結果には
成り得ないと予想が付く。ならばここで一人お暇するべきだ。
普段は政府の重要関係者を運ぶためのこの手の機には必ずパラシュートが
ある筈だ。そう思って探すと、割とわかりやすい場所にしまってある。
それを背負うとキャビンの後部まで移動してドアを開く。この位置なら
飛び出してもエンジンに巻き込まれたりすることは無いだろう。
何ヶ国語かで書かれた注意書きを無視してロックを解除してドアを少し
押すと、後は凄まじい気圧差で引き剥がされる。俺もそのまま物凄い
空気の流れと共に外に吸い出されるように飛び出す。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:22:16.12 ID:3ZshqxGl0
雷電「おじさん、肉団子二つ」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:22:48.39 ID:l3TFTNGB0
高度3万フィート、つまり地上10km近くから飛び出すのは言うまでもなく
極めて危険な行為だ。
HALO降下(高高度降下低高度開傘)は本来は事前に純粋な酸素を呼吸して
体を慣らし、更に防寒具と酸素供給機を持たずには行うべきでないのだが、
今は仕方が無い。とにかく凍傷に身体を侵され、開傘する前に酸欠障害で
意識を失う前に暖かく酸素のある地上近くに一刻も早く到達しないといけない。
手足を体に寄せて空気抵抗を可能な限り減らし、切り裂くように冷たい
空気の中を猛スピードで落ちていく。
1分程耐えれば地上7km、一応は呼吸のできる筈の高度だ。
それまでに意識が持つか、体が冷凍肉にならないかが心配だ。
後30秒。
だんだん意識が遠のいていくのがわかる。
後10秒。
やはり駄目か‥‥
0秒。
朦朧とする中で開傘コードを引っ張れたような気がしたが、そこで俺の
意識は途切れた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:23:37.91 ID:l3TFTNGB0
目を覚ますと、素っ気無い内装の部屋の中で寝かされていた。
巡航高度の旅客機から飛び出した事を思い出し、自分の体を点検する。
手足の感覚はある。神経は切れていないらしい。
痛みも殆どなく怪我はしていないようだ。
ベッドから起き上がるとぼさぼさ頭のひょろっとした一人の男が入ってきた。
起き上がっている俺を見て、びくりと立ち止まる。拾ってしまった男が
敵か味方か決めかねている様子で、メガネの奥の目で視線を合わせるのが
怖いようにちらちらと俺を見ている。
「ここはどこだ?」
「‥‥え?あ‥‥」
「ここはどこだと聞いている」
普通こういう状況では質問をするのは彼の方だろうな、とかふと思う。
「ア、アメリカとカナダの国境の近くの僕の家です‥‥ あ、アメリカ
国内です、一応」
「そうか‥‥」
高度3万フィートで旅客機の扉を開けてしまったが、あのメガネ男や
黒服は多分あの程度ではくたばらないだろう。だとすれば、必ず追ってくる
だろう。あのアラスカの小屋ももう捨てるしか無い。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:24:48.23 ID:l3TFTNGB0
×「メガネ男」
○「ヒゲ男」
orz
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:25:03.74 ID:iqVvpFK60
いいよーいいよー
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:25:38.60 ID:l3TFTNGB0
「あ、そうだ、お、おなか減ってませんか?」
急に黙り込んだ俺を見て、不安げに男が尋ねてくる。
「ん?ああ、頼む」
台所へと案内される。無言の圧力に耐えかねたのか、聞いても居ないのに
喋りだす。
「僕の名前はハル・エメリッヒ。でもオタコンって呼んでくれていいよ」
「そうか」
「君の名前は?」
「スネークと呼ばれていたことがある」
「そう‥‥」
彼が目玉焼きを作っている傍らで、この部屋のの中に視線を巡らす。
こじんまりとしてて質素だがなかなか居心地が良い。
しかし壁にかけてある図面が目に留まる。書かれている題を読む、
「メタル‥‥ギア‥‥?」
今朝の殺気とは別の、冷たいものが背筋を走り抜ける。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:26:29.32 ID:l3TFTNGB0
「スネーク? ああ、それは父さんが残した図面なんだ。メタルギアって
いう防衛用兵器システムなんだ」
「防衛用?二足歩行の核搭載戦車じゃないのか?」
俺は思わず聞き返すが、オタコンは逆に驚いて聞き返す。
「なんだって?君はメタルギアの事を知っているのか!?」
「ああ、過去に何かと縁があってな‥‥」
多分苦虫を噛み潰したような顔をしているであろう俺に彼は気づかない。
「これは新しいのの図面。ザンジバーランドでの事はいろいろ聞くけど
あれは過去の出来事。これは父さんが書いた設計図。将来は国土を
弾道ミサイルから守れる武器が必要になるって言って‥‥でも誰も
信じなかった。父さんはほら吹き扱いされて死んじゃった。」
「‥‥」
「けど僕の父さんはうそつきじゃない!今は僕が本物を設計しているんだ。
きっと僕がメタルギアを完成させて見せる」
こいつ、本気でそんな都合の良いでまかせを信じているらしいな。
どうやらメタルギアが防衛用の兵器だと勘違いしているらしい。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:27:15.70 ID:3ZshqxGl0
オタコン、メタルギアktkr
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:27:19.00 ID:l3TFTNGB0
外でかすかにエンジン音がした。既に以前の調子の戻っている俺の勘は
危険を知らせていた。
「オタコン、裏口から出るぞ」
「え?」
こいつにはまだ聞きたい事がいろいろとある。奴の腕を掴んで強引に
引っ張って小屋を出ると、付近にダンボール箱が山積にされている。
それを逆さにしてかぶりオタコンにも有無を言わさず同じようにさせる。
箱の穴から様子を伺うと、男性数人及び女性一人が乗用車で乗り付けている。
FBIとでかでかと黄色い文字で背中に書かれたジャケットを着ている。
道沿いに植え込みがあるので、それに沿って箱をかぶったまま家から
離れる途中、連中が家の戸を叩き、返事が無いと拳銃を構えて蹴破り、
次々と突入するのが見えた。やはり逃げて正解だったようだ。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:28:09.17 ID:l3TFTNGB0
道路に出ると箱を捨てる。丁度年代物のおんぼろトラックが通りかかり、
ヒッチハイクで乗せてもらう。
「どこまで行くんだい?」
ハンドルを握っている人のよさそうな爺さんが尋ねる。
「街の警察まで‥‥」
「いや、近くに陸軍基地があった筈だ。そこまでやってくれ」
オタコンを遮って言う。その基地、ティディス基地には古くからの
知り合いが居る。政府が動いて俺を捕らえようとはしているが、捕まる前に
そいつに相談すればなんとかなるだろう。
ミラーで背後を伺うと、捜査官達が家から飛び出してきた。どうやら
家屋内にあったパラシュートと二人分のまだ暖かい朝食が見つかったらしい。
「なんだ、お前らやばいことでもしたんか?」
爺さんが尋ねる。
「え、えーと、あいつらはギャング‥‥いや、マフィアなんだ!マフィアに
追われてるんだよ!」
オタコンが適当な事を言うが、老人はそれを信じ込んだようだ。きょうび
でかでかとFBIと名札を下げたマフィアもなかなかいないだろうに。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:28:58.92 ID:l3TFTNGB0
適当に会話をしていると谷間と川をまたぐ橋の上に差し掛かる。
「そいつは難儀じゃな‥‥おお、ちょうど良かった。軍隊のお出ましだ。
おーい、こいつらを保護してやってくれ。マフィアどもに追われとるんだ!」
対向車線で一列に行進している米陸軍のHMMWVやストライカー装甲車両に
老人が運転席から乗り出して声をかける。悪い予感は得てして当たるものだ。
奴等はすぐに左右に展開し、道を塞ぐ。中から兵士がぞろぞろと出てきて、
こちらに一斉に銃口を向ける。橋の上なので逃げる場所も無い。
「フリーズ!止まらんと撃つぞ!」
良く見ると、兵士に混じってオセロットもいる。あの旅客機での件の
すぐ後にちゃっかりとこんなところで乗り付けてメガホンを握っているとは
律儀な野郎だ。
「すまんな、じいさん。オタコン、行くぞ」
二人で手を挙げて車から降りる。なるべく兵士達を刺激しないような
リラックスした動作で動きながら次の手を考えていると、背後から複数の
自動車が迫る気配を感じる。こっちも散開して停車する。大方さっきの
FBIの連中だろう。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:29:49.20 ID:l3TFTNGB0
兵士達の一瞬の戸惑いを逃さない。
オタコンの腕を掴むと、一気に道脇をめがけて走る。
一呼吸遅れて兵士達が発砲する。
周りで無数の5.56ミリ弾が大気を切り裂くのを体で感じる。
たまたま火線上にいたFBIの車に当たったらしく、金属の弾ける音や人の
悲鳴が聞こえる。固まったままのオタコンを半ば引きずるようにして、
そのまま橋を飛び降りる。じいさんのトラックがどうなったかまでは
わからない。
後は数十メートル下から迫りつつある水面の下にある水深が足りている事を
祈るだけだ。
一瞬が永遠に引き伸ばされ、重力による加速がまるで無いかのように感じる。
着水。
水面が体を叩きつける感触はあるが、岩が肉や骨を粉砕する感触はない。
まだ運にはまるっきりは見放されていないようだ。
そのままオタコンの腕を掴み、水面には顔を出さないようにしてなるべく
下流へと濁った水の中を泳ぎ続ける。オタコンはもがいているが、腕は
放さない。元気良くもがいているという事はこいつもほぼ無事だったという
ことだろう。それに不用意に顔を出せばそこに兵の弾が集中することは
間違いない。
俺はそのままずっと泳ぎ続けた。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:30:43.01 ID:l3TFTNGB0
訓練を受けてない人間の限界かと思える時間だけ水中を下流に泳いだ。
そのままオタコンの顔を水上に出してやると激しく咳き込む。
「げほっ、ごほっ‥‥」
「大丈夫か?」
「大丈夫なわけ‥‥ごほっ、ごほっ‥‥ないだろう!」
「その様子じゃ大丈夫そうだな」
彼の腕を肩にまわすと、岸へと泳ぎより、上陸する。
「立てるか?」
「‥‥」
オタコンはその場にへたり込む。
「‥‥ちょっと、ちょっと待って。ここ、わかるから、ちょっと待って」
肩で息をしながら言う。
彼の説明によれば、ここは彼の普段勤めている先進技術の研究所の敷地内
なのだそうだ。彼の案内で針葉樹の森の中を進むと、木に埋もれるように
して立っているコンクリートの箱みたいな施設が見えてくる。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:31:33.70 ID:l3TFTNGB0
裏口みたいな扉の横にあるキーパッドにオタコンが暗証番号を入力すると
ガチンと開錠の音が聞こえる。
「どうぞ」
言われるままに入ってエレベーターに乗って地下に降りると、蛍光灯の白い
光に満たされた廊下に出る。俺はオタコンの後について歩いていくと、
ばったりと白衣の研究員に出くわす。長い黒髪の女性で、きつい顔つきだが
なかなかの美人だ。
「侵入者二人発見、てところかしら?」
俺は身を硬くするが、逆にオタコンは満面の笑みになる。
「ナオミ! 大丈夫、この人は味方だよ。」
「エメリッヒに良く似た侵入者だこと。おまけの人もいるみたいだけど、
また裏口から入ったのね。ずぶ濡れだし川で水泳でもしてたの?」
「僕達、FBIに追われてるんだ」
へぇ、と言った顔で目をちょっと見開く。
「軍隊にも追われてるんだ」
「そりゃまた大変ね」
半分あきれながらも面白い話に食いついた、と言った様子だ。
「とりあえず、立ち話で済みそうにないわね。もっと落ち着ける場所で
話しましょう」
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:32:24.83 ID:l3TFTNGB0
メインフレームとおぼしき、人の背丈ほどもある箱が幾つも立ち並ぶ部屋
に案内される。
俺達はその部屋の中央にあるテーブルに腰掛け、ナオミは部屋の隅にある
コーヒーメーカーから三杯淹れてくる。
「どうぞ。ブラックでよかったかしら?」
「ああ、すまない」
俺は何やら研究所のロゴの入ったマグカップ受け取り、何も言われずとも
ナオミが砂糖とミルクを入れたコーヒーをオタコンも受け取る。
「ありがとう。ところで今日は君は非番だと思ったけど、三日前からずっと?」
「ふふ、まさか‥‥ ただ、ついさっきサーバーの回線にノイズが混じるって
連絡が入ってね。こういう未知のトラブルの時こそ仕事のやりがいを感じる
のだけど」
「サーバーが? ノイズってどんな?」
「なかなか気づかないのね。ちょっと静かにしてみて?」
俺達がじっと息を潜めていると、ぶーん‥‥というかすかな音が十秒程の
間隔で定期的に聞こえる。
「‥‥これは普通の駆動音じゃないの?」
オタコンが訪ねる。
「いえ違うわ。スピーカーから出ているし電子的な音よ。どうも何かと共鳴
しているようなんだけれど、こんな現象はマニュアルにも書かれてないし聞
いたことも無いから困ってたのよ」
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:32:25.76 ID:UJI6LGiJ0
改行がなくて微妙に読みにくい
でも支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:32:44.03 ID:rOdSCBro0
wktk
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:33:08.70 ID:iDVZo7/+0
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:33:16.83 ID:l3TFTNGB0
その時、虫の知らせとでも言うのだろうか。俺は普段から身に着けている
FOXHOUND除隊時に記念に渡されたドッグタグと呼ばれる認識票を持ち出した。
ドッグタグとは要するに兵の名札みたいなものだ。飾り額みたいな仰々しい
品の受け取りを拒んだら、通常のよりも多少がっしりとした認識票を渡された。
表にはFOXHOUND部隊のエンブレムが刻まれているが、それ以外は何の変哲も
無い米軍兵の認識票で、鎖を通してある小さな金属板――の筈だった。
しかし今はエンブレムが青白い光を放っている。
「これは‥‥今までこんな事はなかった‥‥」
「あなた‥‥それはもしかしてMPTデバイス? この施設では実験的に
マイクロ波で満たしてあってそれを携帯機器の電源としているのだけれど‥‥
なぜあなたがそんな物を持っているの?」
「わからん。俺はこれを昔記念にと渡されただけだ」
「昔なんて‥‥これは今でも開発途中の先端技術のはず‥‥ いえ、ここの
技術は政府のブラックプロジェクトからの流用だっていうのは噂で聞いた
ことはあるけれど‥‥だとすれば根幹技術は同じだしそのタグがここに
アクセスを試みようと、いえ、共鳴しているのなら説明もつくわ‥‥」
ラピュタまだー チン
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:34:21.31 ID:l3TFTNGB0
「おい」
「そういえばここのコンピューター機器も出所は不明だったわね。でも
それはその後私達が大幅に作り変えているからプロトコルは同じでも全権掌握
を拒否し続ければエラーカスケードで共鳴に近い現象を起こすことも‥‥」
「おい、ちょっと待て」
だから俺は科学者は嫌いだ。
「このタグがどうしたって言うんだ?何が起こっている?わかるように説明しろ」
ナオミを問い詰める。
「とにかく、それはあってはならないもの。あなたが軍に追われているのも
なんとなくわかるような気がするわ。」
「俺にはわからん。これのせいで奴らがちょっかいを出してきているのか?」
「そうじゃないかしら。だからあなたはここにいてはいけない。ここに
それを持っているのは私達にとっても危険すぎる。手助けはするからここを
離れて頂戴」
「もともと長居するつもりはない」
「助かるわ」
ナオミはにっこりと笑う。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:35:15.59 ID:l3TFTNGB0
「ここからでて南へ3マイルほど行くと公道に出るから、それを東へ辿って
いけば街へ出るわ。」
「すまないな」
俺は施設の出口の一つへと案内された。
「それからこれをあげる。護身用にと買ってみたけれど私には扱えるもの
じゃなかったわ」
9ミリのUSPを一丁渡される。よりによって、なんでこんな特殊部隊用の
高級品を民間人の女性が、と聞いたところで「とにかくいいものを買って
みた」とかわかるようでわからない返答だった。
「グッドラック」
「世話になったな」
俺は二人に礼を告げると歩き出した。
言われたとおりに道路に出る。
しかし歩き出して3分とたたないうちに、またしても襲われる。
支援させてもらう
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:36:06.34 ID:l3TFTNGB0
立ち並ぶ木々の合間に舗装された道路を歩いていると、バタバタと空気を
叩くような振動が背後から聞こえてくる。この駆動音は素早く強襲用に兵を
送り届ける種類のヘリ、ペイブロウだろう。
銃を抜いて頭上を見るのと、黒塗りのヘリが頭上の木々の合間に見える
空を覆うのと同時だった。
あっという間にヘリの両側から垂らしたロープを伝って兵が降下し、俺を
取り囲む。皆小銃を俺に向けている。今度は飛び降りれる橋も無いので
降参することにする。
銃を落とし、手を挙げると、いきなり複数の鋭い痛みが背中に走った。
意識を失って地面に崩れ落ちる直前、麻酔銃に撃たれたと理解するだけの
間はあった。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:36:35.40 ID:/qi1khFF0
wktk支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:36:40.24 ID:3ZshqxGl0
ラピュタのストーリーに見事沿っている
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:36:56.22 ID:l3TFTNGB0
目を覚ますと、事務所‥‥いや、将校の個室とおぼしき部屋の中に居た。
どうやら陸軍――多分、例のティディス基地の中だろう。
「よく眠れたかな?」
オセロットが机の向かい側の椅子に腰掛けている。机の名札を見ると例の
知り合いの机らしい。既に手が回っているということか。
「おっと、今回は拘束は解かないままにしておくよ。さて、自己紹介の
やり直しと行こうか。私は以前にも言ったが、リボルバーオセロットと
名乗っている。そしてNSA(国家安全保障局)のために働いている。」
「政府が俺に何の用だ」
「来たまえ。ぜひ見てもらいたいものがあるんだ」
俺の質問には答えず、数人の兵士が俺の腕を掴み、オセロットに率いられて
俺を基地内の格納庫まで連行する。
「入りたまえ」
「‥‥!!」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:37:15.95 ID:6Yp0KkZhO
早くて素敵 支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:37:46.55 ID:l3TFTNGB0
俺が巨大な建物の横にあるドアをくぐると、格納庫の床は周囲の地面
よりも低く、むしろ格納庫が地面の巨大な穴に蓋をしているような形だった。
そしてそこは巨大な水槽になっているようで、その中心に巨大な生物‥‥
いやメタルギアとおぼしき物体が水に浸かっている。様々な通路や足場が
それの周りを取り囲むように付け足されて、まるで小人達に捕らえられた
ガリバーのようにも見える。さしずめ、このガリバーは入浴中に取り押さえ
られたというところか。
しかし俺が過去に渡り合ったものとは違い、曲線の多い奇妙に生物的な
デザインだった。頭は角ばってするどい顎を突き出したような形だったが、
胴や四肢はなめらかな流線型だった。しかし、片腕が途中から無くなっている。
「メタルギア‥‥」
「これは君が過去に戦ったメタルギアではない」オセロットは語り始めた。
「それらを倒すために海兵隊主導によって作られたメタルギアRAYだ。
それらは自動化されていて、更に海軍が開発した移動要塞を守るための
艦載機になっている。こいつがある日とある海岸に座礁しなければ誰も
そんな事を信じはしなかっただろう。このメタルギアは現行の規格に沿って
作られたものではない。全く新しい設計概念の元に作られていて、こうして
現物を目の前にしても構造解析さえままならないんだ」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:38:39.82 ID:l3TFTNGB0
「‥‥こんなのを俺に見せてどうなる」
「君はこれがただの新兵器だと考えているのかね。こんな化け物みたいなのを
いくつも護衛用に携えた移動要塞としてのメタルギアがあるんだ。我々は
それをコードネームでラピュタと呼んでいて、現在そいつは誰も指揮する
事がなく放置状態らしい。そんなものが海をさまよっているとしたら、
平和にとってどれだけ危険な事か、君にもわかるだろう。私に協力して欲しい。
君のこのドッグタグにラピュタの位置を示させる、パスワードか何かを
君は知っているはずだ」
「さあ、知らんな」
「私は手荒な事はしたくないが‥‥世界の運命は君が握っているのだよ」
「知らんものは知らん」
「‥‥そうか、それは残念だ。ではこのタグは私が預かろう。ラピュタの
調査はわれわれNSAが秘密裏に行うので君はどうかこの事を忘れて欲しい」
「勝手にしろ」
俺はこれ以上メタルギアに関わりたくなかった。
オセロットが札束を出したが、そんな奴の態度にむかついていた俺は
受け取らずにその場を後にした。手錠が解かれ、ご丁寧に俺がもらったUSP
まで返してくれ、そのまま基地の外まで案内される。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:39:30.51 ID:l3TFTNGB0
俺はとりあえずオタコンの小屋に戻ってみた。彼ならアラスカへの運賃を
貸してくれるかもしれない。FBIはさっきは軍に蜂の巣にされかけたところ
だし、そうすぐには戻ってこないだろう。小屋の戸を叩いてみるが、
どうやらオタコンはまだ帰宅していないようだ。待たせてもらおう。
そう思って一歩中に入る。
次の瞬間、小屋の中で息を潜めて待機していた大勢の兵士――いや、
今度は警察の特殊部隊に囲まれ、有無を言わせずに取り押さえられる。
全く昨日今日とこんなことばかりだ。
「ちょっと借りてるよ」
どうやらリーダーらしい、女性の捜査官が話しかける。初老ぐらいか、
もう少し上の年齢だろうか?
「‥‥またか。お前らもメタルギアに用なのか?」
そう言っている間にも徹底的に身体検査をされる。
「デバイスは持っていないようです」
一人が報告する。
「やれやれ、タグをやつらに渡してしまったのね」
「厄介払いと言った所だ」
「それでおめおめとあんな野郎どもに渡して帰ってきたわけ?あんたそれでも男かい?」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:39:55.73 ID:NUrqiivm0
私怨
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:40:24.09 ID:l3TFTNGB0
「俺から見れば貴様らは極めて似ているがな」
「当たり前よ。あれを探そうと必死なのは同じだ。それよりも、お前
あいつらは言葉どおりに平和のためにメタルギアを探していると思う?」
小馬鹿にしたような目つきでおれを見る。
「俺だってそんなのを鵜呑みにするほどナイーブじゃないがな。移動要塞ぐらい
放っておけばいいだろう」
「はん、やっぱり何も知らないんだね。あれはただの移動要塞じゃないんだよ。
数百発の核ミサイルを積んで、しかも高度なAIによって常に世界中の情報が
操作されているので探しても見つからない、そんな化け物みたいなもの
なんだよ」
「‥‥なんだと?」
俺が今更ながらに事の重大さに驚いていると、彼女の懐で携帯電話が鳴った。
「エヴァ特務捜査官です。‥‥わかったわ、報告ありがとう」
しまうと独り言のように言った。
「暗号を変えたって無駄よ。奴ら、機動部隊を呼び寄せたわね?急がないと
手出しができなくなる!出動する!」
立ち上がって今すぐに出て行くようだ。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:41:14.60 ID:l3TFTNGB0
「連中と対決するのか?」
「ああいった方法で力を手に入れようとする奴に立ち向かうのが私達の仕事よ」
俺の口から出た言葉に迷いは無かった。
「ならば頼む。俺も連れて行ってくれ」
「甘ったれんじゃないよ!なんで5分前には無関心だった奴が突然気が
変わったというのを信用しなきゃならないんだ?」
「‥‥核兵器だけはだめだ。俺はこれまでに戦場で多くの命を奪ってきたが、
それは自分の信じる理想のため、信じる国のための任務のためと信じて
やってきた。だがオセロットがやろうとしているのはそんな事じゃなくて
恐怖による支配だ。俺がやってしまった事には俺がけりをつけたい」
「ふん、多少は骨があるようだね。40秒で支度しな!」
こうして、俺は極秘裏に開発され、管理する者が無くなったまま彷徨って
いる大量の核兵器を手中に収めようとしているオセロットを止めるために、
FBIに協力することになった。
大佐「スネーク、私は君を高く評価したい」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:42:04.74 ID:l3TFTNGB0
FBI所有のヘリコプターが夕日に染まった空から舞い降り、小屋の前の
平たい地面に降下する。軍用ではないが、民間用にしては高出力で積載量の
多い型だ。ローターが空気を叩く音とタービンエンジンの轟音とは対照的に
そっと接地する。砂埃や枯れ草のかけらがもうもうとそこらじゅうを舞う。
待機中のエージェント達と共に乗り込み、俺も一丁のM-4を渡される。
中には狙撃銃を持っている者もいる。
ひときわエンジン音が高くなると、ぐんと機体が茜色に染まった空を
めがけて上昇する。
やがて、基地が見えてくる。
しかし火の手が上がっている。
予想通り、煙の柱は格納庫から上っている。
目を凝らすと、何か巨大な物が中で蠢いている。やはりメタルギアだ。
「どうしたんだ、まるで戦争だよ!」
「ばあさん、このまま突っ込め!」
俺はヘリの爆音に対抗して怒鳴る。
「主任と呼びな!あんた正気かい!?」
「お前はオセロットを止めたいんだろう!?俺があれの相手をしている間に
お前達はお前達の仕事をしろ!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:42:55.12 ID:l3TFTNGB0
手持ちのM-4一丁じゃどうにもならないだろうが、陸軍基地だ。武器の
現地調達はこれ以上無いくらいに楽だろう。俺はヘリの扉を開けて4mぐらいの
距離を飛び降りる。
混乱で基地の人間は誰も俺のことなど気に留めない。
格納庫へと走る。
50mぐらいに近づくと、ひときわ大きな爆音と金属のちぎれる悲鳴がする。
既に内部に崩壊しかけて炎に包まれている格納庫の内部から、それは
姿を現した。
死んでいるはずだったメタルギアRAYが今は本物の生物の如く有機的な
動きで周囲の地面に這い上がってきていた。燃え盛る格納庫の外に完全に
出ると、天にむけて身を乗り出し、まるで獣の咆哮のような異音を立てる。
「オセロットォォォ!!」
俺は銃を向けると、叫ぶ。
メタルギアはその顔の中心に輝く単一の紅い「目」で俺を見下ろす。
飛び掛ろうとするように角ばった「顔」を開き、グロテスクな内部の
機構を見せながら身構える。
しかし、次の瞬間には奴ぐいと何かに惹かれるように左を見る。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:43:35.59 ID:9b3+zqSkO
そろそろ存在忘れさられそうなパラメディックとのラブシーン期待してます
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:43:45.24 ID:l3TFTNGB0
そして俺の視線が追えるよりも早く、奴の顔が爆発した。火の玉がぱっと
花のように咲いた瞬間、腹にずしんと衝撃波を感じる。メタルギアの外皮が
めくれて破片がばらばらと振りまかれる。熱気がごおっと津波のように
押し寄せる。奴はよろめくがまだ死んでいない。
基地の兵がロケット弾を撃ち込んだのか?いや、違う。空中の爆発した
点から、かすかな煙の軌跡が緩やかな弧を描いている。目でその弧の行方を
追うと、基地よりはるか遠く、海岸の向こう側から来ている。
ヘリに乗るときに配られたヘッドホンから通信ががなりたてる。
「沖に軍艦を確認!タイコンデロガ級巡洋艦‥‥USSゴリアテ!!更に
ミサイル発射を複数確認、第二波来ます!危険です、退避してください主任!!」
「このままだと巻き込まれちまう!出直しだ!」
エヴァの声が聞こえるのと同時に、メタルギアはひときわ大きな軋むような
咆哮を上げると、頭部の前面をがぱぁっと開き、内部の機構を晒す。そして、
ミサイルが飛んできた方向を向くと、口から何かを発射した。蜘蛛の糸
のようにも見える白い束は一瞬何かSFじみた光線兵器の類かと思ったが、
はるか上空でそのビームの流れが四散してメタルギアの口からもぽたぽたと
液体が滴っているのを見ると、どうやら超高圧の水流らしい。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:44:42.35 ID:l3TFTNGB0
メタルギアはそれで薙ぎ払うように飛んでくるミサイルを迎撃し、第二波の
幾つかは空中で爆散するが、やがては迎撃しきれなかったミサイルの一つが
容赦なく自らをメタルギアに叩きつける。耳を劈くような轟音がして、
俺に再び熱気がぶわっと押し寄せる。
血ともオイルとも見える赤い液体を滴らせながら、機械の筈なのにまるで
生き物の如く断末魔の悲鳴を上げ、へしゃげた頭部とぎざぎざの穴の空いた
体がコンクリの地面の上で転倒する。
俺は身を隠すのも忘れて見ていたが、通信で我に返る。
「最後のチャンスだ、スネーク、ヘリでかすめるから飛び乗れ!」
「了解!」
右を向くと、乗ってきたヘリが低空を飛んでくる。
俺は手に持ったM-4を背中に回すと、同じ方向に走り、相対速度をなるべく減らす。
追いつかれるのと同時に、力任せに飛び上がり、両手でヘリの底のスキッド
を掴む。ヘリの中の数人の手が俺を掴み、中に入れるように助けてくれる。
こうして、俺を乗せたFBIのヘリは今もなお燃え続ける米軍基地を後にして飛び去った。
MGS3今更買う俺が見てもすげぇくらいしか分からないな。
さっきに続けて支援。
だけど寝るわ。頑張ってくれたまへ
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:46:25.33 ID:l3TFTNGB0
俺は、エヴァがヘリの中で一息つく間もなく部下に指示を出しながら
手配を進めた高速艇に今乗っている。どうやらオセロットは既に基地を
逃げていたらしく、奴がそのまま乗ったと思われる巡洋艦ゴリアテを追跡中だった。
その中で、俺はパラセイルの装着帯を身に着けて、その他の装備の点検をしている。
「あんた本当にやる気かい?」
「ああ、こんなのは現役時代じゃ日常茶飯事だったからな」
エヴァが聞いてくるが、適当に受け流す。
作戦は、FBIの高速艇が海軍の戦艦に近づく間にパラセイルで俺が飛び立ち、
そのまま切り離してパラグライダーとしてメタルギアに乗り込み、エヴァ一行が
時間を稼ぐ間に、既に乗り込んでいるであろうオセロットがラピュタの指揮権を
掌握するのを阻止する、というものだ。
「こんな無茶な作戦聞いた事がないよ」
「‥‥はっ、これを無茶と呼ぶなら、俺の過去には狂気の産物としか呼べない
作戦がよりどりみどりだ」
「‥‥そうかい」
それっきりエヴァは何も言って来なく、ちょっと間を置いて無言で別の
船室へと移って行った。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:47:22.77 ID:l3TFTNGB0
入れ替わりのように、別の捜査員が船室を訪ねて来る。
「今度はなんだ」
「いや‥‥クレイジーな作戦を考え付く奴がどんな顔をしてるか見たくてな」
「‥‥」
俺が黙っていると、奴はなおも喋り続ける。
「お前、昔は英雄と呼ばれてたんだってな?」
「俺は英雄なんかじゃない」
やつは大袈裟に肩をすくめる。
「いいや、充分英雄だよ。今の俺達にとってはヒーローどころかメシアだよ」
「‥‥」
「これ食うか?」
今度はインスタント食品のパッケージを渡してくる。電子レンジで暖める
ミートミンスパイみたいだ。
「ああ。すまないな」
「いや、いいんだ。これはどうも俺の腹に合わないんだ。食べた途端に
ごろごろごろ、とね。俺は大人しくプディングでも食べてるさ」
「‥‥」
「俺はジョニー。作戦が終わったら酒でもおごるよ」
「‥‥ああ」
変わった奴だ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:48:14.67 ID:l3TFTNGB0
仮眠を取っていると、しばらくするとジョニーに起こされる。
「作戦の時間だぜ」
「見つかったのか?」
「ああ」
デッキに出てすっかり日が沈んで暗くなった空の下で目を凝らすと、
水平線近くの星空が一部だけ横に細長くて真っ黒い染みによって遮られて
いる箇所が見える。水平線が一箇所盛り上がってるかのようだ。
俺は体に固定してあるベルトの最終チェックを行う。
ぐっとパラグライダーを掴む手に力を入れると、無線でOKサインを送る。
すると船の速度がぐっと上がり、同時に俺がグライダーを風に向けて角度を
つけると、音も無く暗い夜空へと飛び立った。
この黒く塗られたパラグライダーでラピュタに近づき、船のFBIの連中が
先に到着しているはずの巡洋艦の注意をひきつけている間に潜入して、
何とかラピュタ奪還・破壊工作を行う、という行き当たりばったりの作戦だ。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:49:05.38 ID:l3TFTNGB0
俺は吸い込まれるように静かに星空に上っていく。
そのままの状態でしばらく飛び続けている間にも、眼前の黒いシルエットは
留まることなく大きくなり、終いには視界全体を満たすほどの大きさになる。
全くもって化け物のような大きさだ。島丸ごと一つ分くらいだろうか。
この平たい貝のような形をした移動要塞ほどの大きさのものが、静かに
世の中を支配しながら海に潜んでいると考えただけで頭がくらくらしてくる。
やがて充分な高度に達すると、俺は牽引ロープを切り離し、ラピュタを
めがけて滑空を始める。
するとある程度近づいたところで、急に激しい乱気流に襲われる。風が
生暖かいことから察するに、この巨大な物体が自分自身の熱で上昇気流を
作っているのだろうか。下手をするとそのままコントロールを失い海面に
叩きつけられるかもしれない。
「む‥‥くそ‥‥!」
がくがくと揺れるグライダーの体勢を必死で立て直しながら、なんとか
今は自分の下にあるラピュタの表面に着陸するように努める。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:49:30.05 ID:BUwthAhAO
頼むから明日まで保守かまとめサイトにうpして欲しい
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:49:35.43 ID:NUrqiivm0
はえーな、私怨
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:49:55.97 ID:l3TFTNGB0
のっぺりした要塞の表面までの距離は暗い月明かりの下では目測では
分かりづらい。ぐんぐん迫ってくる地面は予想以上に近く、ぎりぎりで
グライダーからぱっと手を離し、自分の身からハーネスを切り離す。
どしん、と両手をついて着陸に成功する。
深呼吸してゆっくり立ち上がる。
幸い、どこも怪我はしていないようだ。
「こちらスネーク。侵入ポイントに到着した」
『‥‥』
無線で呼びかけてもかすかな雑音しか返ってこない。
やはりジャミングがかかっているのだろうか。
できるなら気づかれずに降り立てた、と思いたいが、巡洋艦のレーダー
で俺も捉えることは可能だし、今はもう発見されているものとした行動した
方がいいだろう。今はとにかく可及的速やかに奴ら――具体的にはオセロット
の手にこの艦が渡るのを防ぐだけだ。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:50:46.82 ID:l3TFTNGB0
どうやらこの巨大な平たい艦の端近くに着陸したらしく、斜面を慎重に
降りて端から下を覗いて見ると、そこは何やら艦載機の発射カタパルトみたいな
横穴になっている。
ここから内部に入ることはできるはずだ。
携帯しているロープでその壁に開いた大穴に身を降ろす。銃を抜いて
奥へ進むと、やがて巨大な物体が中で佇んでいるのにでくわす。
あのティディス基地で見た奇妙な形をしたメタルギアRAYだ。
しかもいくつも列になって、いつでもカタパルトから発射できるような態勢で並んでいる。
カタパルトに沿って更に奥に進むと、更に多くのRAY達が整列している巨大な
格納庫のような空間に出る。
今は皆彫刻の様に動かないが、これらが一斉に動き出したら‥‥そう思うと
ぞっとする。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:51:07.53 ID:9b3+zqSkO
シリコンビッグママめぇぇぇぇええ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:51:37.66 ID:l3TFTNGB0
艦の中はやはり外観と同じで、膨大の一言に尽きる。
従来の軍艦らしからぬ未来的なデザインの内部だったが、やはり人間用に
作られているらしく、小型ライトで壁を照らすと艦の各部への方向を示す
標識が見える。そして俺はそれを頼りに司令室へと向かう。
とりあえず艦のコントロールを掌握するならそこだろう。オセロットも
そこへ行っているに違いない。
そう思って突き進んでいると、突然照明が付く。
まずい。すでにオセロットがこの艦の指揮権を掌握したということだろう。
足を速めると、突然聞きなれた声が館内に響き渡る。更に要所要所に
設置されたモニターにもスイッチが入り、オセロットの顔を映し出す。
「ようこそ兵士諸君、私の船へ」
連れて来た巡洋艦の米軍兵士達に話しかけているのだろうか。
「今から戦士達の楽園、アウターヘブンの建国を祝って、諸君にラピュタの
力を見せてやろう」
何をする気だ。
「見せてやろう、ラピュタのいかづちを!」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:52:47.35 ID:l3TFTNGB0
モニターの絵は喋るオセロットの顔から、別のカメラの映像に変わる。
映像の中では何やらハッチが一つ開くと、中が火がともしたように明るくなる。
別のアングルに切り替わると、このラピュタの上部から一つのミサイルが発射
されている所だとわかる。
くそ!やはりか‥‥!
俺はそれが何を意味するか既にわかっているので、行く先行く先に設置
されているモニターから流れる映像を横目に司令室を目指して走り続ける。
モニターの中ではしばらく飛行中のミサイルを望遠カメラで写していたが、
やがてミサイルは海面にまっしぐらに突っ込み、暗い海が昼間のように
明るく照らす核爆発を映し出す。初めは映像が真っ白になるくらい明るかった
光景が、やがては凄まじい勢いで上るきのこ雲へと変わった。
ワンテンポ遅れて、この船にも微細な揺れが伝わってくる。
「ご覧の通り、私は絶対的な力を手に入れた!これを以ち、戦士が戦士として
生きられる楽園、アウターヘブン建国の祝砲とする!さぁ、私に賛同するか否か、
私についてくるか否か、君達が選べ!」
モニターには先ほどの巡洋艦が映し出されている。
しばらくの逡巡と取れる間の後、ぐぐっとミサイル発射台がカメラに、
つまりラピュタに向けられる。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:53:41.09 ID:l3TFTNGB0
「そうか。どのみち君達のアホ面には心底うんざりさせられていたところだ‥‥」
俺は今は階段を上り細長い廊下を走っていたが。この廊下には片側に窓が
あった。窓の外は先ほどの――いや、幾つもあるので定かではないが――
メタルギアRAYがひしめいていた格納庫だった。先ほどまでは巨大な神像の
ように音も無く佇んでいたメタルギア達が、以前のティディス基地で見た時と
同様に赤い「目」を輝かせ次々と息を吹き返すように動き出していた。
見ていると、次々とカタパルトから発進していく。廊下にあるモニターには
先ほどの巡洋艦が映し出され、更にそれがメタルギア達に襲われている。
「すばらしい、最高のショウだ!」
オセロットの声が艦内PAシステムから響く。
「ふっはっは、人がゴミのようだ!はっはっはっはっは!」
高圧水流で鉄板を紙切れのように切り裂き、奇妙な細い足で人や機材を
踏みつけて蹴り飛ばす。巡洋艦も近接戦闘用のCIWSをひっきりなしに動かし、
高速バルカン砲で果敢にメタルギアを一つ、また一つと撃破していくが、
やがてそれも踏み潰され、完全に圧倒的な数に押されてメタルギアの群に
飲み込まれてしまっていた。さながらまだ生きてもがく動物に群がり肉を
食い荒らす猛禽類の群のようだった。
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:54:34.38 ID:l3TFTNGB0
しばらく標識に従って走ると司令室と書かれた部屋にたどり着くが、
隔壁が下りている。他のところは全て開いたのにここだけ、というのは中に
オセロットがいるという証拠だろう。
これは今手にしている拳銃弾では貫く事は到底無理だろう。
背中に背負っているリュックから、C4爆薬を取り出し、隔壁に取り付ける。
一個を中心に取り付け、物陰に隠れて点火。
轟音と、ズンっと腹に響く振動が伝わってくるが、様子を見ると隔壁表面は
黒ずみひしゃげて小さなぎざぎざの穴は開いてはいるものの、人間一人が
通れるほどではない。
仕方が無いので一気に三個を取り付けて一気に点火すると、今度は更に
凄まじい振動が伝わり、今度は十分に歩いて通れるほどの大穴が開く。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:54:34.60 ID:Y1dbJEJkO
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:55:24.61 ID:l3TFTNGB0
中は操舵室を兼ねる、中央司令室らしかった。大型のモニターがびっしりと
壁に敷き詰められ、その前に端末も多数あるが、人っ子一人いない。
俺はUSPを握りながら慎重に中を伺う。
すると、中央の一段高い座に見覚えのあるものを発見する。俺のドッグタグ
が今は刻まれたフォックスハウンドのエンブレムから青白い光を放ちながら、
席の前の台座の上で数センチ浮いて静止している。
この巨大な要塞の始動キーにでもなっているのだろうか。
これさえ無ければ、もしかすると止まるのだろうか。ならば直接俺が手で
引き抜くまで――
「おっと、そこまでだ」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:55:33.87 ID:3ZshqxGl0
wktkが止まらない
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:56:11.25 ID:iDVZo7/+0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:56:15.34 ID:l3TFTNGB0
オセロットがいつの間にか、俺の背後に気配を消して忍び寄り、手にした
銃をぴたりと俺に向けている。ぬかった。
「来るだろうとは思っていたよ。だがここで終わりだ」
奴は俺が既に手に持っているドッグタグを一瞥する。
俺はオセロットの注意が一瞬タグに向かうを気配で感じ取って、賭けに出る。
タグを片手に掴んだままばっと間合いを取り、空いたもう片方の手でUSPを
オセロットに向ける。オセロットは怯まずに、俺の手から拳銃を撃って
弾き飛ばす。しかしそこまでは予想していた俺は、オセロットへ向けると
同時にUSPは手放して放り投げていた。オセロットの放った弾は空中で弧を
描きはじめた拳銃をあさっての方向へ飛ばしただけになる。俺はそのまま
もう片方の手で、タグの鎖を掴んだまま、背後に手を伸ばして背負っていた
対戦車ミサイル、RPG-7をオセロットに向けて片手で構える。
一触即発の膠着状態になる。
お互いの研ぎ澄まされた戦場の感覚によって、本当に撃とうとする前の
気配を感じ取れるだけあって、隙を突いて先に引き金を引こうにもできない。
オセロットは俺になおもコルトガバメントの銃口をぴたりと俺の額に
向けながら、口の端をにやりとねじまげる。普通は至近距離で、しかも
締め切った空間でロケット弾を撃つことなど自殺行為だ。そんな事はできっこ
ないと見透かしたつもりのようだった。
「貴様、さっさとタグを渡せ。‥‥それともその大砲で私と勝負するかね?」
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:57:07.42 ID:l3TFTNGB0
「望むところだ」
俺は即答する。
先ほどUSP放り投げてから空いていた手を背後に回し、ピンを抜いて地面に落とし、
踏んで点火を抑えていたフラッシュバンから足を離す、そのままオセロットの
方向へ蹴り飛ばす。
「な‥‥!?」
予想外の展開に奴は一瞬だけ固まる。
次の瞬間、オセロットの眼前よりすさまじい光と音が空間を満たし、その場
にいた人間の全ての感覚を奪う。
だが来るとわかっていた俺は目を瞑り、口を開いて耳の中で気圧差が
生じないようにしていた分回復がオセロットより早かった。
「うおぁぁぁぁぁ!目が、目があああああ!!!」
RPGを構え、目を押さえながらうずくまった奴から飛びのいて間合いを
伸ばし、奴の足元に照準を合わせる。
RPGの殺傷半径は4メートル、オセロットとの距離は8メートル、弾頭が
爆発しても運がよければ俺は何とか無事に済みそうな距離だ。
発射。
きんと耳を劈くような音がし、がくんと衝撃が肩に走る。加速モーターの
炎と青白い煙がぱっと空間を満たす。
瞬間的に対機甲弾頭が炸裂し、オセロットは消し飛ぶ。
おもしろいな
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:57:57.84 ID:l3TFTNGB0
しばらくはもうもうとした煙が立ち込めるが、やがて消えるとそこの床には
えぐれた穴と黒い染みしかなかった。
「‥‥」
あっけないものだ。
実際には、オセロットの存在自体消し飛んだ訳ではなく、吹き飛ばされた、
と言った方がいいだろう。オセロットの「残骸」はそのまま部屋の片隅にまで
飛ばされているが、そんな事をいちいち気に病む程の純情さは俺は今更
持ち合わせていない。
改めて、中央の座席の前の制御パネルを操作する。
タッチスクリーンになっているらしく、ホログラムで浮かび上がるメニュー
の中を探っていき、目当ての項目を見つける。
Scuttle (Non-nuclear)
「非核自沈」
これが良さそうだ。核自爆なんていう項目もあったが冗談ではない。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:58:50.86 ID:l3TFTNGB0
Authorization Code?>_
認証パスワードを求められる。そんなものは持ち合わせていないが、
ひょっとして、と思って手に持ったタグをかざす。
[MASTER OVERRIDE!]
Command Code: B A L S E
やはりこれがマスターキーらしい。これさえ持っていればこの巨大な要塞も
意のままに操れる、ということか。多少の欲がある人間ならここでためらった
かもしれないが、俺はもったいないことに、そういった十人並みの感性も
野心も持ち合わせていない。
壁に敷き詰められた画面一杯が赤く染まり、表示された数字が「10:00」
から秒読みを始める。実に分かりやすい王道に沿ったデザインで助かる。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:59:45.38 ID:l3TFTNGB0
鳴り響く警報と赤い警告灯の光が満たす廊下を駆け抜ける。
完全に海水で満たして沈めるためか、内部隔壁は全て開いている。
呼び出した艦内マップでは脱出艇が司令室のすぐ近くにあるそうで、
それを見つけて乗り込む。
脱出艇と言うが、早い話水上バイクだ。大海で水上バイク一つだとなんとも
心もとない話だが、今の場合はこんな巨大要塞が海に沈む傍でのんびりと
ゴムボートで海面を漂っていたら、渦に巻き込まれて一巻の終わりだろうから
かえってありがたい。
居住空間も海水で満たされ、無制御に沈降を始めたラピュタはとてつもない
音で軋み始めて、真っ二つに折れんばかりだ。
俺は外の海へと続く斜面まで水上バイクを押していくと、最後に大きく
一押しして同時にまたがる。ほのかに明るい外をめがけてずずずっと滑り台
のように滑って行く。
どんどん加速していき、俺は弾丸のように沈み行く要塞の横穴から飛び出し
海面に叩きつけられる。勢い良く水しぶきを立て、着水するとアクセルを
全開にする。
振り返ると、俺が飛び出したハッチは既に半分海中に浸かっていて、
逆に中の空洞にごうごうと勢い良く海水が流れ込んでいる。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:59:49.96 ID:3ZshqxGl0
RPG直撃とかwwwオセロット哀れwwww
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:00:37.77 ID:l3TFTNGB0
十分に距離を取ってから速度を緩めてもう一度振り返る。ばりばり、と
とてつもない音を立て、金属の断末魔を響き渡らせながら彷徨える移動要塞は
崩壊していく。浮力のバランスが崩れた今となっては箇所によって海水に
満たされた自重に耐え切れずに部分的に裂けては沈んでいく。
辺りにうようよしていたメタルギア達も制御する頭脳を失った今は、硬直
したまま沈んでいく。既に巡洋艦ゴリアテの姿は見えないことから、完全に
メタルギア達に沈められた後なのだろう。
沈み行く要塞の作る渦が、辺りに散乱する巡洋艦のものと思しき浮き輪や
ボートなども飲み込んでいくのが見える。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:01:07.61 ID:3ZshqxGl0
あれ?そう言えばオタコンは・・・・
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:01:17.11 ID:iDVZo7/+0
うまいなぁ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:01:44.85 ID:l3TFTNGB0
気が付けば空が白みつつある。
朝日が海面に差す頃には、要塞の跡形もなくなっているだろう。
陸地はどの方角だったか考えていると、通信機に雑音交じりの無線が入る。
どうやらラピュタが沈んだことで通信障害も解消されたらしい。
『‥‥ーク、スネーク! 応答せよ、スネーク!』
「こちらスネーク‥‥待たせたな」
『スネーク、良く生きてたねぇ!』
エヴァの、ほっとしたような表情が目に浮かぶ程の安堵の声が無線から聞こえてくる。
「エヴァか。お前達は無事だったか?」
『無事なもんかい!まったくあんたがぐずぐずしてるからこっちは大変な目に――』
『スネーク!生きてたんだね!』
途中からジョニーが割ってはいる。
「ジョニー、約束だぞ、おごってもらうからな」
『オーライ、ただしこっちも給料がきついんで、お手柔らかに頼むぜ。
ところで世界を救った感想は?』
『あんた、いつまでくだらない話をしてるんだい! スネーク、今見えてるから
拾いに行くよ。そこでじっとしてな』
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:03:02.78 ID:l3TFTNGB0
ふと見回すと、遠くにFBIの連中が乗った高速艇が朝日を受けてきらりと光る。
世界を救った、か。
そんな陳腐な映画のような台詞を言われてもぴんと来ないし実感はわかない。
だがあのドタバタの後なら、ビールを片手にくつろぐのも悪くは無いな。
そう、俺は戦場からは逃れられない運命が遺伝子に徹底的に書き込まれているようだが、
たまの休息も悪くはなさそうだ。
地平線から昇る日の光を受け、きらめく波に揺られながら俺はぼんやりとそう考えていた。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:03:59.56 ID:3ZshqxGl0
雷電「おじさん、今日はミートスパゲティ大盛り。」
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:04:27.67 ID:l3TFTNGB0
The End
って最後に入れるのを忘れたw
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:04:57.26 ID:n7B3eTel0
乙!
楽しませてもらいました。
乙
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:05:36.95 ID:ufW4X3uDO
乙
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:05:41.23 ID:uL5wATFX0
おつ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:05:57.11 ID:iDVZo7/+0
お疲れー
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:06:25.06 ID:n7B3eTel0
乙!
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:06:43.71 ID:3ZshqxGl0
乙
寝る前にいいスレ開いたよ。
ただ次はもう少し読みやすくしてくれるといいかな。改行いれたりとか。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:07:01.23 ID:l3TFTNGB0
そういうわけで、いろいろと破綻してたり伏線は落としまくりですが、
ラピュタの話をメタルギアでやる、大真面目なネタ小説でしたw
1年以上前に思い立って書き始めたのですが、いつの間にか忘れてて
MGS4の発売日が決定して思い出したので一気に書き上げて一気にうpしました。
本当はオセロットvsRPG-7だけを書きたかったのですが、
結局最初から最後まで‥‥w
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:08:25.63 ID:3ZshqxGl0
雷電「お疲れ様でした。」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:08:44.34 ID:l3TFTNGB0
>>91 すみませんorz
次回があれば、参考にさせていただきますw
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:09:09.49 ID:NUrqiivm0
うお、乙!!
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:10:40.53 ID:KkTfk4QA0
乙だぜ
全部読んでみようと思ったがEVA出てきたから最初だけにした
いいものをありがとう、もしかしたら個人的に内輪で声の劇をやるかもしれない
その許可をいただけないか
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:11:41.78 ID:rOdSCBro0
乙
寝るって言ってたけどおきててしまったw
乙!
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:15:08.41 ID:l3TFTNGB0
皆さんもお疲れ様です。
ご拝読、ありがとうございました。
>>97 MGS3は自分も最後までプレイしてないのですが、とりあえずドーラ的な役が
必要だったのでMGS4のビッグママを適当に引っ張ってきましたwwwww
劇とかにはどうぞ使ってやってください。
何か不満とかあったら手直ししてもらっても全然構いません。
ていうか、
>>59がすごい良いwwwwwwwww
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:15:24.92 ID:VUZIWRcpO
またアフィブログ行きですね^^
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:16:18.06 ID:jDNIt1Ox0
∧_∧
(´・ω・`) n
 ̄ \ ( E)
フ アフィ /ヽ ヽ_//
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:19:17.82 ID:3ZshqxGl0
あっという間のスレだった・・・
俺は
>>59の続きをききたくてたまらないんだがww
何だこの神スレはwwww
MGSはスマブラの知識しかないが面白かったぜ
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:22:27.17 ID:VUZIWRcpO
何をコソコソと^^
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:25:57.36 ID:l3TFTNGB0
>>107 大塚さん、こんなところで何やってるんですか!
>>107 うめえええええ
しびれるう、あこがれるうwww
>>107 どっかで公開するの?ていうか公開してください
教えてたもれっ!!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:31:09.16 ID:l3TFTNGB0
とにかく読んでる人を待たせていらいらさせないように、と
全部メモ帳に書き出して、一レス分毎に区切って
規制食らわないように、50秒間隔で投稿してたのですが‥‥
もしかして速過ぎたり?
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:33:34.37 ID:VUZIWRcpO
ガトーてびっぱだったのね^^
なーんかショック^^
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:35:14.82 ID:Ait3iWf10
>>111 おつかれー
深夜で過疎ってたしこれくらいでいいんじゃないか
>>113 了解。
それじゃ次回も(もしあったら)これくらいのペースで行きます。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:56:28.60 ID:3ZshqxGl0
ただこのあまった尺がもったいない気がする。
保守に当てちゃっていいかな?
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:58:45.99 ID:iqVvpFK60
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:59:51.33 ID:l3TFTNGB0
別に構わないけど、保守しても今残弾はゼロなんですけど‥‥w
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:15:48.28 ID:3ZshqxGl0
>>117 明日になって誰かがこれを読んでいい気分になって欲しいとか?
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:20:07.67 ID:l3TFTNGB0
>>118 なるほど。
では自分は寝るのでお願いしますです。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:23:42.01 ID:3ZshqxGl0
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:29:41.83 ID:hN3GAP0v0
じゃ、保守
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:42:50.46 ID:a+eqLgA+O
ほす
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:43:35.67 ID:BzzaWXC+O
いや 凄かった
寝る前にいい物読んだわ
スネーク降臨も凄かった
二人ともgj
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:47:30.58 ID:0eUPJTqeO
ほ
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:01:44.76 ID:skkvMhvDO
し
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:14:05.87 ID:skkvMhvDO
ゅ
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:17:33.36 ID:oQF6hiVqO
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:35:57.71 ID:skkvMhvDO
ほ
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:41:09.33 ID:iqVvpFK60
も
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:50:30.01 ID:skkvMhvDO
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 05:05:12.32 ID:KspFs/9Z0
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 05:17:56.34 ID:9cVn4gebO
>>
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 05:18:22.19 ID:9cVn4gebO
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 05:48:32.18 ID:cI7Wn7DDO
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: