「え、どの本?」
ネットをしていたジュンは椅子を回して雛苺の方を向いた。
(ひょっとすると隠していたエロ本(三次)が見つかったか?)
「あら、何を見つけたの雛苺?」
「これなのー」
翠星石とくんくん談義で盛り上がっていた真紅は興味をそそられたようで雛苺に話しかけた。
「いや、僕は知らないけど…?」
ジュンが本を手に持ってみると、それは買った覚えも通販した覚えも無いものだった。
「一体何の本なんですぅ?」
「絵本なのー」
しかしそれは絵本というにはあまりにも帳装が凝った物だった。
茶色い幾分かの年月が過ぎ去ったハードカバー、の絵本。
「お姉ちゃんのかもしれないから下に行って聞いてくる」
そう言ってジュンはドアを開け1階に降りていった。
「これなんて読むのなのー」
「…掠れてて読めないですぅ」
「……ロ…マン?」
本の表紙の部分には僅かばかりに金文字が残っていた。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:49:25.69 ID:DnIhZjZJ0
ああ、エロ本な。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:49:28.57 ID:U2WsL8XX0
長くて読む気失せる
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:49:37.44 ID:AAKc0l/sO BE:1751885388-PLT(24281)
銀様とラブラブお好み焼き作りたいスレ
エロマンガか…
わっふるわっふる
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:52:04.39 ID:S1gcNJUuO
雛よりむしろ巴だろ
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:56:02.78 ID:PrrVnb1L0
サンホラ思い出した
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:58:15.51 ID:LKNsGkf10
これで終わり?
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:59:24.43 ID:ggc6oz3t0
これは期待できるスレ・・・と俺の勘が言ってる
「ねぇお姉ちゃん。最近絵本って買った?」
「? いいえ買わないけど、どうして?」
「なんかよくわかんないけど僕の部屋にあったんだ」
ジュンは事の経緯を説明しだした。
●
「それにしてもなんなのですぅ、この本は?」
翠星石達は本をパラパラとめくっていた。
中に描かれていたのは風車や天使の彫刻、片手の無い男、うさんくさい男などページごとの脈絡は全く無い物だった。
「確かに絵はあまり良いものばかりじゃないわね。でも、詩の方は好きだわさ」
本の各ページの絵の所には詩のようなものが書かれていた。
「んぅ、でも不気味な本ですぅ。大体チビ人間がそもそもこんな本を買うのかですぅ」
「それは私には判らないわ…」
「雛絵本よむの〜♪」
「それにチビ人間にはこんなインテリぶった本は似合わないですぅ…」
●
「ヘックション!、というわけなんだ」
「うーん、ひょっとしたら誰かの忘れ物かもしれないわねぇ。私にもちょっと見せてくれる?」
だわさ
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:02:25.54 ID:ggc6oz3t0
>好きだわさ
真紅はそんなこといわない・・・
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:03:25.57 ID:iDVZo7/+0
だわさw
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:04:57.76 ID:CJSHJWRc0
だわさが誰の台詞かわからず何度も読み直してしまった
16 :
以下、職無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:06:54.69 ID:J7En8ClzO
真紅「ジュン、紅茶を淹れるだわさ」
二人が2階に上がる階段をのぼりだした直後、部屋から翠星石の悲鳴が響いた。
●
「何だ、どうしたんだ!?」
部屋に入ると、動揺している真紅と取り乱している翠星石“だけ”がいた。
「…雛苺は?」
ジュンは普段どおりの口調で真紅達に問いかけた。
「ほ、本の中に、吸い込まれちゃったんですぅ!」
「そんな馬鹿な」
ジュンは笑いながら答えた。
「本当に本当なんですぅ!」
「ジュン、翠星石が言ってる事は、残念だけど本当の事なの…」
●
「つまりカクカクシカジカで雛苺が本を読んでいたら急に本に吸い込まれたと?」
「ええ…」
「ですぅ…」
ジュンの口調は比較的おどけた言い方ではあるが、その目付きは真面目な物であった。
「推測だけど、本に書かれている詩を詠んだら本に吸い込まれるみたいなの。
私と翠星石も本の中に入り込んで、雛苺を連れて帰ってくるわ」
「僕も行くよ、真紅」
だわさじゃなかったか。
そして
>>8、お前はオレを怒らせた
おらワクテカしてきたぞ!
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:18:34.67 ID:PrrVnb1L0
おおおおれがなにしたっていうんだよ!
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:21:43.10 ID:Xtdwofk9O
JUMはお姉ちゃんなんて言わない
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:24:17.82 ID:pcoxz+4LO BE:758610555-2BP(0)
ザーボンさん、ドドリアさん
おワクテカしてきましたよ…!
「あなたは駄目よ、ジュン」
「どうして!?」
ジュンは真紅の否定に驚いた。
いつもはほぼ無理矢理nのフィールドに連れて行くというのに。
「この本の中は、おそらくnのフィールドじゃないわ。多分、誰かが作り出した別の“次元”」
「翠星石達だって無事でいられる保障は無いのに、こんなところにテビ人間が行ったら手に負えないですぅ!」
ジュンは翠星石の言いぶりにカチンときたが、確かに言われてみればただの人間であるジュンは足手まといにしかならないように思えた。
「わかったよ。二人で行ってこいよ!」
「ジュン…」
「そのかわり、雛苺を連れて無事に帰ってこいよな…」
「ええ、解ってるわ」
「任せるですぅ!」
●
「じゃあ私から行くですぅ。“幾許かの平和と呼ばれる光、其の影には常に悲惨な争いがあった…”」
その一節を言い終えると、翠星石はまばたきの間に既に消えていた。
「き、消えた!?」
「よく見てたら判るけど、吸い込まれてるのよ…
じゃあ、次は私ね」
床に落ちた本を拾い、適当に真紅はページをめくった。
「じゃあ、行ってくるわね。“彼の名は『賢者』、正確にはその呼び名も通称…、本名は全く以って不詳…”」
ジュンが最後に一言 言おうとしたとき、既に本は落ちた後だった…
「“葬列に参列する者は 皆一様に口数も少なく”…」
翠星石は自分が持っていたはずの本が無いのに気付き、それと同時に自分が今しがたいたジュンの部屋ではなく、本の中にいる事を悟った。
「それにしてもここは、どこなんですぅ?」
翠星石が見渡すと、そこにコンクリートの建築物は無く、焦げた匂いのする、いつか本で見た“中世ヨーロッパの田舎”といった場所であった。
「なんにせよ雛苺を探すですぅ」
翠星石は歩き始めた。
目の先には焼けた集落、どこからか泣き声が聞こえてくる…
「雛苺ぉ、いるですぅ?」
翠星石はそう言いながら焼けた家の角を曲がった。
「どうなされたのですぅ?」
翠星石は小さな十字架の前で泣いている女性に話しかけた。
「…報告してるのよ、この子に…
戦争は終わったわ、って…」
「…お悔やみ申し上げます、ですぅ」
翠星石はどう答えれば判らなかったので、女性のために喪に服す言葉を言った。
「ありがとう・・・
この子も喜ぶわ…」
「ですぅ…
ところで、このくらいの背丈のピンクの服を着た女の子を見なかったですぅ?」
そう言って翠星石は自分の肩辺りを指した。
「いいえ、私は見なかったわ…」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:53:34.42 ID:EO+dCfg50
wktk
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:57:55.61 ID:8Pe+CP9mO
キャラクターに対して詰めが甘い
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 01:58:06.40 ID:PLGgiXiZO
サンホラとローゼンとはこれまた
「わかったですぅ…」
残念そうな声を上げ翠星石は再び歩き出した。
「まってあなた」
「ですぅ?」
「つまらない質問だけど、もしあなたの大切な人が死んだら、あなたは後悔せずに生きていける?」
「…そんな事、深く考えた事は無いですぅ」
翠星石は女性に向き直って考え始めた。
●
大切な人、後悔、蒼星石、双子…
もし、蒼星石が消えてしまったら…
ってなんでここでジュンを思い浮かべるですぅ!
あんなチビ人間なんか、いなくなってもどうでもいいですぅ!
……でも、死ぬっていう事は、悲しい事ですぅ…
もし蒼星石や真紅、みんなが死んでしまったら…
私は、私じゃなくなるですぅ…
きっとみんながいてくれるから、今の私は“翠星石”なんですぅ
じゃあそうなってしまった時に私にできる事は…
●
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:08:58.99 ID:GuKwJwxC0
ローランメイデン
わっふるわっふる
「…私は、みんなの事をずっと忘れないですぅ」
俯いていた頭を持ち上げ翠星石は女性に言った。
「そう…
あなたは強いわねぇ…」
「そうでもないですぅ」
翠星石は照れ笑いを浮かべた。
「どちらかの花をあなたにあげるわ、選んでちょうだい」
女性が手に持っているのは十字架にそなえようとしていた2色の花だった。
「そんな、いただけないですぅ…」
「いいのよ、あなたにあげた方が、この子も喜ぶから」
柔らかい笑みを浮かべた彼女の手にあるのは、紫色の花、そして水色の花。
(うーん、気分的には水色なんですぅ…
でも紫色の花をあの人に残すのはなんだか気が進まないんですぅ…)
「こっちをもらうですぅ」
女性の手には水色の花が残った。
「ありがとう…
あなたの“朝と夜”は、きっと歓びに満ちているわ…」
翠星石が女性の顔を見ようと目線を花から持ち上げたとき、そこはすでに今いた集落では無かった…
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 02:27:45.15 ID:EO+dCfg50
丸くなったジュンはお姉ちゃんて呼んでる
「どのぐらいで帰ってくるんだろう…」
誰もいない部屋でジュンは呟いた。
お姉ちゃんはいつものペースに戻り(現実逃避?)下に行って家事をしている。
僕はと言うと、何も出来ずにただ待っていた…
真紅達が無事に雛苺を連れて帰ってくるのを祈って…
「入るよ、ジュン君」
コンコン、とノックの音と一緒に聞きなれた中性的な声が耳に入る。
「蒼星石ッ!?」
「やぁ、ジュン君」
「一体なんで急にまた?」
ジュンはもっともらしい疑問を投げかける。
「ボクと翠星石は双子だからね。互いに何かあったら何となくだけどわかるんだ。
でも今日は変なんだよ。フワフワってなってて、まるで翠星石が何処にもいないみたい…」
「実は…」
●
カクカクシカジカ中
●
「…ボクも行ってくるよジュン君」
「ゴメン、蒼星石…、僕は何も出来なくて」
「自分一人で何でも出来る、って思うのはおこがましいと思うよ。“其れは 歓びに揺らぐ《焔》 哀しみに煌めく《宝石》…”」
蒼星石は励ますような、からかうような笑みを見せて、本はその手から落ちた…
ほっしゅ
「ここは、どこなんだろう?」
蒼星石は気が付いたら、薄暗い石室、石造りの空間にいた。
蒼星石は歩いた。
時折腕や脚をぶつけながら薄暗い空間を。
歩き続けて蒼星石は気付いた。
少しばかり甘酸っぱい匂い、ここはどこかのワインセラーだ。
ちょっとだけ飲んでみたいなぁ、と蒼星石が思った時、背後から声を掛けられた。
「何をしてるのアナタは?」」
「すみません、ボクの名前は蒼星石と申します。迷子になった妹を探してるんですが…」
女性が持っていたランプの灯が蒼星石に当てられる。
「アタシの名前はロレーヌ・ド・サン・ローラン。それは一体どんな子なの?」
ローランは尋問するような口ぶりで蒼星石に問いかけた。
遅筆でスマソ
ちなみに今いるのはどのぐらい?
挙手してくれたら嬉しいだわさ
ノシ
見てるぜこのやろう
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:11:09.43 ID:A+biGS6PO
ノシ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:20:00.09 ID:LDnKQsSAO
だわさ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:20:57.94 ID:Xtdwofk9O
のし
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:21:22.04 ID:/nRLr7l4O
だわんさわんさ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:23:36.12 ID:d+m2KkXHO
サンホラメイデンか
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:25:47.27 ID:6ymZ+AKO0
サンホラってよく聞いてたけど歌詞気にしてないからいみふだな
「ボクの首元より小さめでピンク色の服を着ています。名前は雛苺と言います」
「知らないねぇ、アタシはもうかれこれ何年もここに隠遁してるから、他の人に聞いた方が早いわよ多分。」
「そんなにココにいるんですか?」
蒼星石は驚いて思わずローランにたずねた。
「ココとは言ってもこのセラーじゃ無いわよ」
苦笑いの声が響くが、この薄暗がりでは蒼星石はローランの顔は見えなかった。
「色々あってね、今のワタシはただのしがない葡萄酒職人よ」
「色々、と言いますと?」
「フフッ、つまらない話よ。後世の“Roman”には残らないようなね…」
蒼星石は何か聞くべきでは無かった事を聞いた気がした…
「…この葡萄酒は、今が飲み頃ですか?」
「えぇ、丁度今日出荷する分よ」
「ちょっと飲んでみたいんですが、よろしいでしょうか?」
「えぇ、いいわよ。あなたにだけ、出来立てのローランの葡萄酒を飲ましてあげる」
ローランは自分の息子に言うように蒼星石に返事を返した。
45 :
赤くま ◆AKAKUMAIpg :2008/03/25(火) 03:27:05.84 ID:CUvTGP7K0 BE:537587429-2BP(133)
未成年の飲酒は・・・と思ったけどよく考えたら大丈夫だった
無駄に消費しないようにROMってたが見てるよ
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:27:47.23 ID:EO+dCfg50
見てる見てる
すみません、そろそろ眠気が襲ってまいりました。
ヒマだし保守してやんよ、って優しい人がいたら保守お願いします…
さあどんどん続きを描きたまえ
ていうか本当にサンホラだったのかよw
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:31:18.68 ID:EO+dCfg50
なん・・・だと・・・
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:35:00.66 ID:gbTmh4ogO
ふぅ……
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:35:31.47 ID:eOMaxNWB0
うっ・・・
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:36:44.76 ID:GuKwJwxC0
崩れ落ちた男の名は Rozen
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:38:02.57 ID:6ymZ+AKO0
毎回思うし毎回言ってるけど
なんで書き貯めねぇんだよ
なんで焦らすんだよ
おやすー
寝るとみせかけて必死に原稿を考えているのですね、わかります
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 03:48:46.01 ID:EO+dCfg50
最近書き溜めない奴多いから困る
サンホラなんて中身空っぽじゃないか
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 04:14:07.99 ID:BlQwnVEnO
ほ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 05:18:25.82 ID:PrrVnb1L0
ほしゅ
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 07:08:24.05 ID:tr/BViENO
ほ
今起床事態はしました。
ですが大変申し訳ございません。
>>1は朝食後医者に行かなければなりません…
再開は昼からを予定しています。
それまでまた保守をしていただければ幸いです。
崩れた言い方をさせてもらうならお前ら良い人だよお前らw
>>54 昨夜はついムラムラしてやってしまいました。
すみません…
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 08:46:25.62 ID:wyPsir9V0
ho
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 08:59:27.53 ID:jbSXBSA00
ほ
●
「アナタを見てると不思議だわ、まるで、昔のワタシに戻ったみたい…」
高く昇った陽に照らされているテラス、そこに葡萄酒の入ったボトルとグラスを持ってきたローラン、あるいはローラントの顔には幾筋かの皺が刻まれていた。
「“私はもう誰も生涯愛さないでしょう、恐らく愛する資格も無い…”」
ローランはテラスに座っている蒼星石の前にグラスを置いた。
「“それでも誰かの渇きを潤せるなら、この身など進んで捧げましょう…”」
ローランは手際よくボトルの中の葡萄酒をグラスに注ぎ始めた。
「なんだか、物悲しい歌ですね…」
「そうでも無いわよ。コレはワタシのためのワタシだけの歌ですもの。ワタシがこの歌を手放した時、それがワタシが大地に還る時よ」
グラスにはその許容量の半分辺りまで葡萄酒が注がれた。
「飲んで、このローラント御自慢の葡萄酒を」
促されて蒼星石はグラスに口を付けた。
入り込む葡萄酒はその口には甘く感じられ、その舌には上質の葡萄の渋みが感じられた…
「つまらない質問だけど、ちょっと聞かせて」
「何でしょうか?」
蒼星石はグラスを傾ける手を戻しローラントの顔に視線を移した。
「愛するモノから切り離され、信じられるモノも無く、永遠に“家”のために人生を奪われたら、アナタならどうする」
「……貴女はどうするん、いえ、どうなされたのですか?」
「ワタシの答えは、この葡萄酒よ…」
ローラントの顔には、“まんざらでもない”という表情が見て取れた。
66 :
1:2008/03/25(火) 09:03:01.90 ID:tKkIOxoX0
医者に行って来ます。
昼頃まで優しい方がおられたら…
私でよければあなたの、好奇心を満たしたいッ!
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 09:24:44.98 ID:jbSXBSA00
ほ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 10:07:05.34 ID:rmaQbeX90
保守しろということですね、わかります
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 10:28:27.13 ID:xikNr+Jf0
サンホラとローゼンですか
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 11:28:37.66 ID:rmaQbeX90
保守しろということですね、わかります
機体ほしゅ
h
73 :
1:2008/03/25(火) 13:07:37.96 ID:tKkIOxoX0
『残念だったねぇ!!』と言わざるをえない結果を報告しなければなりません…
バイトが5時から入っちゃいました/(^o^)\
クソ、眠気と医者さえ無かったらスマートに終わっていたというのに…
なんて時代だッ!
とりあえずまだしばらく続きます…
74 :
1:2008/03/25(火) 13:09:12.32 ID:tKkIOxoX0
●
愛する者、翠星石と離れ離れになってしまったら…
ボクは絶対に翠星石を見つけ、守る
信じられる者、マスターや真紅、ジュン君達がいなかったら…
ボクはそれでも戦うだろう
アリスになるために
お父様のために…
“家”のため…、もしもお父様がボクの事を元の物言わぬ人形に戻してしまったら…
●
「フフッ、ボウヤにはまだちょっと難しい質問だったかしら」
「…ボクは坊やじゃないです。れっきとした薔薇乙女です」
「アラッ、これは失礼したわ」
ローラントの言葉に蒼星石は一旦考えるのを止めた。
「ところで、早めに飲まないとヌルくなるわよ」
「…それもそうですね」
蒼星石はローラントに微笑みかけ、葡萄酒を味わいながら再び考え始めた。
陽は未だ高く、テラスを暖かく包んでいた…
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 13:24:03.25 ID:M453yE2s0
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 13:26:32.62 ID:x0TJHTBPO
今このスレみっけた
絵本ってだけでサンホラ思い浮かんだから開いてよかった
まだロマン聞いてないけどな/(^o^)\
77 :
1:2008/03/25(火) 13:28:11.96 ID:tKkIOxoX0
「遅い…」
ジュンが蒼星石を見送ってから、かれこれ2時間は経過していた。
「大丈夫なのか、本当に真紅達は…」
ジュンの不安はもはやピークに達していた。
「やっぱり、僕も行こう…!」
「どこに行くのかしら?」
不意に声を掛けられたジュンはハッと声の聞こえた方を向いた。
「君は、金糸雀?」
「薔薇乙女一の策士、金糸雀かしら!」
金糸雀はそう言うと窓からひょいと部屋の中に飛び込んだ。
「で、どこに行くのかしら?」
(果たして、こいつに今起きてる事を話すべきなのか…)
ジュンは金糸雀をアホの子と思っているために話すべきかどうか、“悩んでしまった”。
「あら、この本は何なのかしら。」
金糸雀はチョロチョロと動きジュンの後ろにあった本を手に取った。
「あ、それはっ!?」
「えーとなになに、かしら?」
金糸雀は本のページを適当に開き、ジュンはそれを金糸雀の手から取ろうとしたが…
「“のちの世に【神の手を持つもの】―― としょうされるちょうこく家…”」
ジュンが怒鳴るのと同時に、本は床にバサリと音を立てて既に落ちていた…
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 13:32:30.69 ID:x0TJHTBPO
流石カナはツメが甘いかしらー!
79 :
1:2008/03/25(火) 13:47:56.93 ID:tKkIOxoX0
「どうしよう…」
雛苺、翠星石、真紅、蒼星石に続いて今度はアホの子(金糸雀)まで本に吸い込まれてしまった…
「僕は、もう、一体どうしたら…」
「いつものマヌケ顔がいつも以上にみっともないわねぇ、お馬鹿さぁん」
おそらく今一番聞きたく無いであろう声を、ジュンは部屋の入り口から聞いた。
「……どこから入ってきたんだ」
「鏡よ、いつものね。ウフフ」
水銀燈はやはりいつも通りの精神にクる笑みを浮かべていた。
「それにしても、真紅達はどこに行ったのかしらぁ。久々にアリスゲームをしようと思ったのに」
残念そうな声を出すが、その顔はやはり普段と同じで笑っていない。
「ここで待ってたらそのうち帰ってくるかしら?」
「…わからないよ、そんなの」
「あら、それはどういう意味?」
表情を崩さずに水銀燈は首をかしげた。
「言ってもどうせ無駄だよ、真紅達でさえこうなのに…」
「言いなさいよ、どうせあなた一人じゃ何も出来ないんだから」
●
ジュン、自分のヘタレっぷりを憎みながら駄目元でカクカクシカジカ中
●
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 13:57:40.71 ID:x0TJHTBPO
wktk
銀様はサンホラ界では最高に生き延びそうだな
81 :
1:2008/03/25(火) 14:08:29.67 ID:tKkIOxoX0
「というわけなんだけど、真紅達を助けてなんかくれないよね…」
「なんでそう思うの?
私の事何も知らないくせに知った風な口を利かないで頂戴」
「え、じゃあ、真紅達を助けに行ってくれるの!?」
「イヤだけどね」
「チクショーーー!!!」
「でも、このままローザミスティカを回収出来ないのは面白くないわねぇ」
泣きながら床に突っ伏しているジュンを尻目に本を拾い上げる水銀燈。
「なるほどねぇ。以前ラプラスの魔が言ってたのと同じだわ」
「…どういう意味だよ」
目をこすりながら起き上がるジュン。
「ラプラスの魔は言っていたわぁ。世界には本当にたくさんの人がいるって。
例えば世界を凝縮して自分の分身を放ち、永遠に等しい時間をそこでずっと理想の世界が出来るまで待ってる暇人がいるってね」
「つまりこの本は、やっぱりnのフィールドなんかじゃなくて、この本丸々が世界だっていうのか?」
「そうよ。nのフィールドが私たち薔薇乙女の世界なら、この本は“彼”が作り出した“次元”そのものよ」
「“彼”って?」
「そこまでは私もよく知らないわ。“ローラント”とか、“イヴェール”だとか呼ばれてるってラプラスの魔は言ってたけど…」
そう言って滑らかな動きでページをめくっていく水銀燈。
「じゃあ私も行くわ。“現実、幻想、物語の世界…”」
「ちょ、ちょっと待ってくれ水銀燈!」
82 :
1:2008/03/25(火) 14:31:30.70 ID:tKkIOxoX0
「なによ」
いつもの顔より不機嫌な顔をして水銀燈は詠唱を止めた。
「その、みんな、無事に戻ってこれるかな…」
「判らないわよそんな事
もしかしたら薔薇乙女全員あっちの世界に留まるかもしれないし、案外すんなり戻ってくるかもねぇ」
「僕は、どうすればいいのかな…」
「あなたがしたいようにすればいいじゃない。
それともあなたは、誰かに何か言われないと何もできないのぉ?」
「僕は、そんなんじゃ…」
だがそう言うジュンの口調はいつに無く弱々しいものだった。
「じゃあ私が言う事は何も無いわ。“現実、幻想、物語の世界… 嘘を付いているのは、誰か?”」
本は再び床に落ちた…
『自分一人で何でも出来る、って思うのはおこがましいと思うよ』
僕は多分、一人じゃ何も出来ないんだと思う…
でも皆は、一人で行った…
雛苺を探しに…手分けして…
『現実、幻想、物語の世界… 嘘を付いているのは、誰か?』
僕は、嘘つきなんかじゃ、無いッ!
「“眠れぬ宵は、路地裏の淫らな牝猫に八つ当たりして…”」
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 14:37:15.53 ID:6ymZ+AKO0
全員で同じページ読めばいいのに
そんなことも思いつかない真紅可愛いよ
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 14:51:46.55 ID:cw2o+Mkf0
ほ
85 :
1:2008/03/25(火) 15:01:34.59 ID:tKkIOxoX0
●
「…答えは出たかしら、蒼星石?」
「えぇ、出ましたよ、答えは…」
陽は既に落ちつつあり、時刻は黄昏時となっていた…
「“レコンキスタ”、って知ってますか?」
「えぇ、ウンザリするほど…」
「貴女の答えがこの葡萄酒なら…ボクはレコンキスタを、全てのモノを取り返します」
「アナタは、強いのね…
ワタシとは大違い…」
「いいえ、大して違いはありません」
穏やかな口調で蒼星石は言った。
「貴女には大切なモノが多すぎた、そしてボクには守るモノが手の平いっぱいだけなんですよ、多分…」
「本当に不思議な子ね、アナタは…
ワタシには出せなかった、出す事が出来なかった答えを…」
「ボクはそろそろ行きます。大切な妹を探していますので」
「待ちなさい、コレを持っていって」
テラスのイスを立ち、振り返った先にいたローラントは葡萄酒のボトルを持っていた。
「そんな、悪いです…」
「いいのよ、この葡萄酒はワタシの“Roman”なの。だからこそあなたに持っていってほしいの」
「…ありがとうございます、ローラントさん」
蒼星石はローラントからボトルを受け取り、改めて彼女の顔を見ようとしたとき、そこはすでに今いたテラスでは無かった…
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 15:39:32.81 ID:WZSlV5xIO
支援
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 15:40:22.74 ID:EO+dCfg50
支援wktk
88 :
1:2008/03/25(火) 15:45:25.19 ID:tKkIOxoX0
「ここはドコなのかしらー?」
金糸雀がいつのまにかいたのはアルプスのような風車小屋がある草原の丘だった。
「みんなどこかに行ったのかしら」
金糸雀は歩き始めた。
止まらずに歩き続けた。
やがて風車小屋の前までくると、その日陰の方から何かを叩く音が聞こえてきました。
なにやら断続的に聞こえてくるその音に、金糸雀は興味をもち音のする方に歩き出しました。
やがて辿り着いた音のもとには、一人の男がいました。
白髪交じりの金髪、初老の男…
彼の名前は“オーゲスト・ローラント”、後の世に【神の手を持つ物】と称される彫刻家。
しかし彼に歩み寄る金糸雀はそんな事は知る由もありません。
いやむしろ、今の彼はまだしがない彫刻家でした。
「おじさんは、何してるのかしら?」
金糸雀がそう言うと、椅子に座っているローラントはゆっくりと振り返った。
「なんだ、子供が一体どうしてこんなところに?」
疲れきった声でローラントは金糸雀に言った。
「カナはいつのまにかここにいたのかしらー?」
「…ここはお嬢ちゃんが来るような場所じゃないぞ」
頭を片手で抱えながらローラントは言った。
「でもカナは帰り方を知らないのかしら?」
「頼むからまともな言葉遣いをしてくれお嬢ちゃん…」
89 :
1:2008/03/25(火) 15:54:20.91 ID:tKkIOxoX0
そろそろリミットです(主にバイト前準備的な意味で)
とりあえずバイトが終わるのは10時頃。
そして色々引き継ぎ等があって順調に済めば11時前後から再開できます。
予定では11時からの一気書きで終わります。
ここまで書けたんで、すみませんが保守の方をどうか…
>>83 真紅達は雛苺がどのページを読んだのか分からなかったんです。
見えない所で真紅と翠星石の掛け合いがあったんですはい。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 15:55:34.91 ID:EO+dCfg50
ひとまず乙
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 16:24:18.32 ID:6ymZ+AKO0
見えないところってその描写必要じゃね結構
よく考えて推敲してそれから投下しろよ
オナニーもいいけど見て期待してる人たちを裏切るなよ
92 :
1:2008/03/25(火) 16:36:49.33 ID:tKkIOxoX0
>>91 申し訳ないです。
>>11のところの真紅達の会話の流れでわかるかなぁ、と思ったので。
これ以上の推敲も頑張ります。
じゃあバイト行ってきます('A`)
あと一応念のために。