文才ないけど小説書いてもイーンダヨー

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641以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:29:29.45 ID:2A5buk4+0
>>632
根気
642以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:30:22.04 ID:HR+3p2SH0
>>572
気になったところ
・場面の切り替わりがどうなってるのかわかり辛い
・情報の出し方が突然

場面の切り替わりは時系列が把握し辛いという点です
1レス目と2レス目で時間差はあるの?

二つ目は、いきなり彼女がでてきて
ザックバランと「僕」に言ったのは「彼女」
布石になっているようで全くつながりがない

彼女に謝るという主軸を最後まで隠していたけど
それで引っ張れるほど大きな出来事かな?
別の構成で見せた方が良かったんじゃないかなと思う
643以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:31:28.45 ID:FyuahwS2O
>>641
ありがとう
ちょっと落ち込んだ気持ちが楽になったよ
644以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:32:06.98 ID:jDnoODbb0
お題をください
645以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:36:42.03 ID:HR+3p2SH0
>>629
理由を描いて欲しい、投げっ放しジャーマンな文章
含みを持たせてなんとなく書いているという印象を受けた
646以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:37:07.53 ID:HR+3p2SH0
>>644
閉店二十分前
647以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:38:26.62 ID:jDnoODbb0
>>646
把握
648以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:44:21.04 ID:HR+3p2SH0
お題を下さい

過疎って悲しくないですか?
649以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/24(月) 23:47:37.45 ID:eSt+f5hE0
>>648
神童

>>642
レスありがとうございます
1レス目と2レス目の間に時間差みたいなものはありません
1レス目の内容をスズキ君に話したということです。確かにその辺が分かりづらかったかorz

彼女の登場が唐突なのは確かですね…
1レス目では彼女と喧嘩してイライラして、
そんなつまらないことを考えている主人公を描いたつもりでした。
この話では自分ではちょっと別の構成が思いつきませんorz

新たにお題をください↓
650以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:01:42.91 ID:CJWnugpm0
投下します。
・・・が、ちょっと支離滅裂だなぁ、これ。
>>649
広場で
651以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:03:08.24 ID:AwJTiU3eO
>>634
>>633じゃないけど書いたから投下するよー
あと初なんで色々とお手柔らかに?
お題「納豆」↓
652お題ラッシュ 6/1:2008/03/25(火) 00:04:17.22 ID:fVmN/KNF0
 彼が病院の待合室で、呼び出しを待っていると、隣に初老の男が座り込んだ。無遠慮に、
安い無骨な作りのソファを軋ませ、その男は足を組んだ。さらにはその男、ポマードの匂い
がきつく、彼は思わず鼻をつまみ、眉根を寄せた。
(はて! どうしてこうも、人だかりの中で無神経になれるものかね、いい年をして)
 休日ということで、病院内は人でごった返している。このような衆人環視の中で、他人に私的な
一場面を見せるなどと言うことは、彼にとって、到底考えられないことだった。
 さらにはその男、何やら服をまさぐっているが、どうも右手にライターを持っている。ということは、
恥知らずにも、院内でタバコを吸うつもりでいるらしい。彼はもう、我慢ならなかった。
「ねぇ、あなた、かのようなラッシュ時に、自分本位だというのはひどく悲しいと思いませんか」
 彼の皮肉げな語調にも関わらず、声をかけられた男は、まるで朝の挨拶でもかけられたかの
653お題ラッシュ 6/2:2008/03/25(火) 00:05:06.00 ID:fVmN/KNF0
>>651ごめん、かぶったみたいで

ように、ただ微笑んでみせた。彼はひどく腹がたった。なのでまた、口を開きかけたが、ふいに
男が、はっと真顔になり、どうやら何か思索を始めたらしいと、見て取った。
 はてさて、鈍感なりに皮肉を受け取り、さぞかし愁眉か――そう思われたが、男が次に顔を
挙げたときには、まるで違う、何か一種独特の馴れ馴れしさすら浮かべ、彼に喋りかけた。
「ラッシュ、ラッシュと言われて何を思い浮かべる。俺は犬だ。名犬ラッシュをご存じかい」
「率直に言うと僕は知らない。けど、名前は知っているよ」
 呆気に取られ、つい、素直に彼は答えた。
「それはご存じなのか、ご存じではないのか」
 男が憤然と詰め寄った。これではまるで立場が逆だが、様々な疑問は、吃驚と好奇心とに
取って代わられたらしい。渋面どころか、むしろへつらうように彼は、言葉を探す。
654お題ラッシュ 6/3:2008/03/25(火) 00:05:53.60 ID:fVmN/KNF0
「いやつまり、知ってはいるが、それは名前で・・・・・・うむ、知りません、名犬ラッシュは」
「実はね、これは名犬ラッシーと言ってね、ラッシュってのは間違いなのさ」
「しかしそれでも、僕はラッシーの方も」
「そんなことはいいんだよ! ラッシーでもラッシュでもナッツでもさ」
 憮然と返し、男は右手のライターをしまう。ここにきて彼は、やっと自分の態度がおかしい
ことに気がついたらしく、今度はもはや敵意を剥き出しにして男へ食って掛か・・・・・・ろうと
したものだが、やはりかなしかし、男が口火を切った。
「名犬ナッツはね」
「ラッシーですよ」
 出鼻を挫かれたものの、彼はこれだけ言ってのけた。
655お題ラッシュ 6/4:2008/03/25(火) 00:06:42.41 ID:fVmN/KNF0
「失礼、ラッシーはね、飼い主と引き離されたが、家を抜け出し、少年のもとへ駆けだしていく
のさ、なんて感動的なんだろう。だがね、ラッシーは売られた犬なんだぜ、君。困窮していた
とは言え、ラッシーは売られた犬なのさ」
「それが何か」
「この中にも、何かを売ってきた人間がいるかもしれない」
「それが何か?」
 彼は、当初の感情をもう忘れていた。この男、なるほど高慢ちきではあるが、なかなかの雄弁
さで、心地よい声をしている。なので、話を聞いているだけでも、何か安らぐところがあったのだ。
「わからないかなぁ、つまり、こんなラッシュの中にもさ、お涙頂戴の人情劇が転がってるかも
しれないんだぜ、もっと目を凝らせよ。俺なんか見てるなよ」
656以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:07:17.06 ID:qfreF1Mi0
目欄は空にするといいよ
657お題ラッシュ 6/5:2008/03/25(火) 00:07:30.77 ID:fVmN/KNF0
「いや、それは、その、どういう意味で?」
 当惑し、若干身を引きながら、彼は口走った。なにやら”どうも嫌な予感がする”と感じたのだ。
「いやねぇ、君、作家志望だろう! ・・・・・・ほら、図星顔だ! 目でわかるんだよ俺は、いや、
同士よ、だってね君、あんな風に人間を観察してちゃぁ、まるわかりだぜ、なぁ」
 傍目にも明らかに、彼はうろたえた。
「その・・・・・・僕は・・・・・・別に、あなたが、ライターを持っていたから」
「そこさ! 普通、そんな風にね、隣にいる奴のライターが注視できるかい! それにね、会話で
もわかったもんさ! 君は、あれほどの対応をされていながら、俺の話を食い入るように聴いた。
これがまさに、作家志望って人種なんだな! 好奇心で生きるんだ。わかるんだよ、なぜって俺も
ね君――」
658お題ラッシュ 6/6:2008/03/25(火) 00:08:17.49 ID:fVmN/KNF0
>>656あまりにも長いので、目障りかなと、申し訳ない

「うるさいぞ! 僕は、決して作家志望なんかじゃない!」
 彼が突如として、憤怒の叫びをあげた。男は当然、度肝を抜いて、あやうくソファから落ちそうに
なったし、待合室の人間はびくりと痙攣して、全員彼を瞠目した。
「よくもそんな・・・・・・衆目の中で、あーだこーだと言えるもんですね、えぇ、作家志望ってやつは!
なぜ見ていたかって、そりゃあんたが傍若無人だからだよ! 白痴め!」
 最後に、つばを吐く動作をすると、彼は韋駄天そこから逃げ出した。残された男は、わけがわから
ぬと茫然自失であったが、ふいに、「やぁ、天啓だ、ネタが降りてきた!」と叫び(これでまた、待合室
の人間が二度目の痙攣を起こした)脱兎の如く逃げ出した。

(ちくしょうめ、だから、作家志望ってやつは、あぁ、作家志望ってやつは! とんでもない人種だ!
最低だ、屑だ、肥溜めだ! くそう、結局、腱鞘炎は診てもらえなかったなぁ、嗚呼!)
 彼は家まで走りに走り、息切れの中、今日の一幕は”使えるかも”しれないと、考えていた。

これで終わりです。
659お題:油 0/2:2008/03/25(火) 00:10:54.33 ID:i13zfvvt0
では投下します
660お題:油 1/2:2008/03/25(火) 00:11:38.00 ID:i13zfvvt0
 香織は急いでいた。きっとそれはセットしていた目覚ましが鳴らずに、寝坊をしてしまったからだ。
 髪もろくたらセットせずに、ぐちゃぐちゃなままで、スーツも整えないで、よれよれなままで会社に向かった。玄関に出るときに足に何かがぶつかったが、それは多分妹の綾子が私への北海道土産として持ってきた熊の置物だったと思うので、気にとめなかった。
 今日は疲れたな、と誰も聞いていない独り言を呟きながら香織は家に帰った。家に帰ったときに異変に気がついた。鍵が掛かってないのだ。しかし香織は急いでいて忘れたんだ、と思い、家に入った。そこで見たものに香織は驚愕した。そこにはなんと男の死体があった。
 警察の調べによると、足元に油が広がっていたところから、「空き巣に入り、油で滑って頭を打って死んだ」ということだった。そんな馬鹿な、と香織は思ったが、朝ぶつかったのが油だったのならば、なんとなくだけれど、納得できた。
661お題:油 2/2:2008/03/25(火) 00:12:53.16 ID:i13zfvvt0
 私は学校が終わると、家には寄らずに真っ直ぐお姉ちゃんの家に行った。聴きたかったCDを借りるためだ。姉からは合鍵をもらっていたので、姉がいなくても家に入ることは容易かった。    
 姉の部屋でCDを物色してると玄関で物音がした。しまった、鍵をかけ忘れた。ドアの横の壁から頭だけを出して玄関を見ると、30才ほどの男が立っていた。空き巣だ!と直感で感じた。 
 私はひどい焦燥感に襲われた。どうしたらいいかわからなくなった。どうしようどうしようお姉ちゃんに怒られる。
そんなことを考えているうちに、足音はだんだんと近づいてきた。男が玄関と部屋をつなぐドア付近にきたところで、私はとっさに近くにあった熊の置物で男の頭を強く叩いた。男はそのまま倒れてしまった。
 私はひとまず安心したが、だんだんと、とんでもないことをしてしまったんじゃないか、という焦りを感じた。どうしようどうしようお姉ちゃんに怒られる。そう考えているうち、ひらめいた。
662お題:油 2/2:2008/03/25(火) 00:13:37.47 ID:i13zfvvt0
終わります。
663以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:14:18.87 ID:AwJTiU3eO
納豆の粘ついた匂いは生臭い。何処までも付いてくるような気がする。
まるで、身体の芯に染み付いてしまったような。
今日は納豆の雨が降った。
全く神様も気まぐれだ。何を考えて納豆を落としたのだろう。
白い糸が幾千の空を引き裂いて落ちてくる様は、その滑稽な事実に反してとても魅力的だった。

「大変ですね」
避難したとある軒下で、女性が話しかけてきた。
「そうですね」
苦笑い。
神様の御意志など知る由もない。ましてや、人の心なんか。
後ろ手にドアを閉めた。漸くの帰宅に、溜め息を一つ。
これから大変だ。
なにしろ、身体中に絡み付いた糸を処理しなくちゃならない。
身体に染み込んだ生臭い匂いに辟易しながら、まず服を脱ぐ事にする。
ふと、肩に引っ付いていた納豆に気付いた。指を伸ばし、摘む。
ぬるっとした感触は気持悪く、予想通り不味かった。
やはり、外になんか出るもんじゃない。

そうした経緯を経て、今僕は小説を書いている。
向かい合ったパソコンに、新しく文字が浮かんだ。

>大変だね

soudane。

おしまい
664以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:18:01.72 ID:SWnOyXcu0
疾風怒濤の通常作品投下!!

>>649
神童把握
ただ、貧乏で天才ピアニストが
将来的に聴覚失ってしまうようなストーリーしか思いつかない

劇場で号泣したのは恥ずかしい思い出
665以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:21:57.71 ID:fVmN/KNF0
>>623のラッシュというのはつまり・・・この投稿ラッシュを暗示していたのさ!!!
666以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:26:12.29 ID:h6g9kYOz0
>>658
三点リーダ使ってくれ

>>660
地の分に方言使わないでくれ

>>663
行頭一字下げしてくれ

眠いので内容については他の人からどうぞー
おやすみー
667以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:27:51.85 ID:zWoOlg5F0
>>652
分数が気になるぜ
668以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:32:36.73 ID:cFEWv8eu0
お題ください
669以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:34:26.41 ID:AwJTiU3eO
>>666
携帯からだから字数減るの嫌だし

絶対ルールならもう投下しないわ
わがままでスマンヌ
670以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:34:55.36 ID:Mgod/TRm0
>>669
na,keitaidaro?
671以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:40:18.48 ID:zWoOlg5F0
時数減るのがいやってイミフ
絶対ルールなんてものは存在しないけどさ
672以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:40:55.70 ID:zWoOlg5F0
>>671
時数じゃなくて字数だった
673以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:41:02.64 ID:fVmN/KNF0
>>666
俺のATOK・・・
三点リーダだと思ってたら、ただの半角黒点でした。
どう見ても(ry
>>667
分数・・・ってなんぞや。すまん、浅学なもんで。
674以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:42:16.84 ID:qtqH93m70
>>673
レス数のことだと思うよ。6/1になってる。


まあ、一字下げてないと見にくいのは見にくいよね。
675笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:43:46.89 ID:1BvDGto60
テーマ。降格。
投下します。
676以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:44:08.72 ID:fVmN/KNF0
>>674
把握しました。実は4回目の投稿で気づいて、どうしようかと冷や汗かいたよorz
677以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/25(火) 00:44:20.46 ID:zWoOlg5F0
>>660
話が急展開すぎる。
一人称と三人称がころころ変わってる。
678”降格” 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:46:04.38 ID:1BvDGto60
 ―――一体、俺が何をしたというのだ?

 解りきった事だ。
 何もしなかった、それじゃあ、この結果も仕方のないコトだ。

 少なからず、俺にも希望があるとするならば―――

―――その希望。たとえ何をしてでも手に入れてみせる―――
679”降格”2/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:48:02.97 ID:1BvDGto60
「あ〜君、うん? ああ! そこの君!!」
 偉そうに椅子に座った、まるで蛙をような容貌をもつ彼、磯野國男(いそのくにお)社長が誰かを呼んでいる。
 彼の性格、性質からして、部下の名前を覚えず、アレだとかコレだとかで指示をするのは皆が知っている事実だ。
 しかし、皆も理解はしているが、彼の性格を許容している訳ではない。
 当然だ。人を顎で使う人間の下で喜んで働けるほど、人の心は強くない。
 今だって、先刻から社長が呼んでいた新人が、呼ばれていた事に気がつかず、彼に大目玉を食らっている。
「……ありゃりゃ」
 係長というポストに入って一月経ったが、未だに大きな仕事がなく、漫然と日々を過ごしている俺にとって、その光景はある種面白かった。
 
 なんと言っても、暇なのだ。退屈なのだ。
 社会人十二年目。そろそろ何か大きな仕事に出会っても良い頃だと思うが。
 ……と、言っても我が社は正直大きな会社ではないのだ、いつ世間の波に攫われて消えてなくなるやも知れない。
 そんな会社にウン億円の契約がかかった取引なんてある筈もなく、俺こと五日市祐介(いつかいちゆうすけ)は
 無難に書類の処理などの危なげない仕事を毎日して、家に帰って独り酒の日々を送っていた。
680”降格”3/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:48:40.92 ID:1BvDGto60
 ―――その日も、無難な仕事を片付けていた。

 特に他にする事もなかったから、呆と窓の外の、希望のない世界を眺めていた。

 ―――すると、何かに呼ばれた声がした。
「おい! そこの! そこの!!」
 ……どうやら、俺が呼ばれていたらしい。
 急いで社長の席まで駆け寄ると―――

「おそいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」

 ―――と、ウシガエルのような、うめき声のような低い声で怒鳴られた。
「……申し訳ありません」
「まあ、いい。もう関係がないコトだからな」
 ?
 意味深なことを言う。
 
 関係ない?

「え〜。それで、ご用件は―――」
 本当なら、こんなコト聞かなきゃ良かったのかもしれない。
 だって―――
「―――うん。君、明日から来なくて良いから、というより、自主退社という形でお願い」

 本当に、なにかが、崩れた、そんな、気がした
681”降格”4/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:49:13.66 ID:1BvDGto60
 その日から、俺は俺で無くなった。
 今年で三十四歳の俺に新しい職場を見つけるのは難しい。
 このご時世、三流大学出で三十を過ぎた男を雇ってくれるところなんてそうそうあるものではない。

 そうしているうちに、生活はどんどんと右肩下がりになっていった。

 俺が、何をしたというのだ。
 ミスだってしていない。
 ミスをする仕事も与えられなかった。
 
「―――ああ。そうなのか―――」

 もとより、俺には期待の目を向けられていなかったのだ。
 可笑しい。
 全く可笑しい。
 思い起こせばそうだ。
 係長といっても名前だけ、年功序列を解りやすくしただけで、やらされるのは下っ端の仕事だけ。
 これでは、リストラされるのも時間の問題だったという訳か。

 こうして、徐々に地獄は出来上がっていった。

682”降格”5/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:49:59.22 ID:1BvDGto60
俺の鼓膜に残るのは、人の優しい声なんかじゃなくて、銀玉がぶつかり合い、落ちて行くだけの、下らない博打の音だった。

 無数の釘に踊らされ、堕ちて行く。
「ふふ、まるで俺みたいだ……」
 たまに放出される銀玉。しかし、それが利益になる筈もなく、只、只、その銀玉は減って行った。
 
 ―――噂によると、俺がつとめていた会社は、株式上場するらしい。
 無理もない。俺がリストラさせられてから既に二年。あの会社が生き残ったという事はそういう事なのだろう。

「―――――――――」
 ドンドンとやかましいドアを叩く音。
 おそらく、否。確認するまでもなく、借金の取り立てなのだろう。
 今は音一つ立てないまでに居留守が上手くなってしまった。今まで
何一つとして取り柄がなかった俺の、たった一つの特技と言えよう。
 
 ふと、あの蛙の風貌をした社長の顔が思い浮かんだ。

 ―――そして、一つの念が浮かんだ。


―――憎い、と。

683”降格”6/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:50:30.93 ID:1BvDGto60
 社長の家ならば、場所は知っていた。
 しかし、俺が知っていた建物はなかった。

 なぜならば、そこには余りにも大きすぎる、屋敷がそこにあったからである。
 そこに住んでいる人間は解りきったコトだ、社長は嘗て住み慣れたアットホームな我が家を取り壊し、この屋敷を建てたのだ。

 ―――これでは社長に近づく事すらできないと思うのは早計だ。

 しかし、俺は知っている。社長は昔から奥さんと娘を旅行に行かせ、その期間、不倫を楽しむ、という悪癖を知っていた。

 その時、証拠を残したくないという理由から、社長はたった一人で彼女の元へ向かう。
 
 ―――本当に、今の俺は頭が冴えている。
 こんなこと、今まで一度もなかったのに―――

684”降格”7/7 笑み社 ◆myeDGGRPNQ :2008/03/25(火) 00:51:04.58 ID:1BvDGto60
「―――」
 声を殺して待つ。
 
 ―――社長(やつ)が出てきた時、俺はとにかく走った。
 そして、持っていた包丁を社長(やつ)に突き刺した。

 鮮血が舞う。
 その場は阿鼻叫喚に包まれた。
 関わりたくない、と決め込んだ近所はとにかく閑静なモノだ。
 しかし、ヤツにはそんなものはなく、只助かりたいという、実に人間らしい這いずり回り方をしている。
 ―――それに蹴りを加える。
 ―――もう虫の息のその躯に馬乗りになり、包丁を何度も何度も突き立てる。

「■■■■■―――!!!」

 もう、自分がなにを言っているのかさえ解らない。
 ただ、もう、終わりという事を悟った。

 その夜は、本当に月が綺麗だった。
 その夜は、本当に血が綺麗だった。

                        〜了〜
685606お題『ゆっくり』:2008/03/25(火) 00:52:15.02 ID:ALO5+SEp0
>>606のテーマを投下します
686606お題『ゆっくり』1/4:2008/03/25(火) 00:52:49.09 ID:ALO5+SEp0
「ここで何しとるか?」
空き巣のゴンタは、不意に頭上で声をかけられたので目を覚ました。
「そうか、俺は眠ったのか」
正午過ぎ、ゴンタは空き巣に入った。
滝川家は名高く知られた資産家であったが、いまやその面影はない。
母屋には人の出入りがないのだろうか、扉は植物のつるが絡まって開かなかった。
裏に回ると、ガラス戸から畳の部屋が見えた。
置いてあるものといえば仏壇とタンスだけで、とても資産家とは思えない。
戸に触れると、がらりと開いた。
畳の香ばしい匂いが肌に触れた。
現金や通帳が入っているのは、大抵仏壇かタンスだった。
だからゴンタはこの部屋を調べたらすぐに家を出ようと思っていた。
「なんで、ここで眠ってる?誰の許可を得た?」
ゴンタはまだ身を起こさない。首だけ声の方向に動かすと、老人が立っていた。
さっき仏壇で見た白黒写真の男の妻だろう。彼女はいまは未亡人となり、
彼女が一人で暮らすこの豪邸も生気を失ったというわけだ。
「俺は、空き巣だ」
居直り強盗にもなり切れていないだらしない格好で、ゴンタは言った。
「そんなら、金でも盗んでさっさと出て行け」
未亡人はゴンタを睨みつけた。
威勢こそ無いが、それが本心から出た言葉であるのは、寝起きで頭の働かないゴンタにも解することができた。
未亡人にとってこの邸宅は死んだ夫との思い出が詰まった神聖な場所なのだろう。
近年都市開発が進んだことで、この地域の土地の値段はうなぎのぼりだのに、
売りに出さないのは、そのためだろうか。
見れば未亡人の身なりは、とても金をもつ人間のそれとは思えない。
「俺はその人を、知ってる」
「あ…に?」
未亡人は驚きの声を漏らした。口は半開きである。
687606お題『ゆっくり』2/4:2008/03/25(火) 00:53:09.61 ID:ALO5+SEp0
「だから俺は空き巣に入った家で眠ってしまったのだ」
「なにを…知ってるだ?」
ゴンタには師匠がいた。無論、空き巣のではない。
大学校に通っていた頃、近所に四百メートルトラックがある陸上競技場があった。
通学路ではフェンス越しに走る男の姿を見かけた。
それは益田という四十の男で、ゴンタは十八だった。
陸上部に所属していたゴンタは、その陸上競技場で練習をすることがあった。
益田は陸上部でも噂の人物だったので、自然、声をかける展開になった。
益田は四十でありながら百メートルを十一秒フラットで走り抜ける強靭な足を持っていた。
ゴンタはそれから、益田を師匠と呼び、毎朝一緒にトラックを走った。
ゴンタが大学二年生のときに一度だけ、益田の家に招かれたことがある。
六畳のこじんまりした部屋で一人暮らしをしていた彼は、
一升瓶を持ってゴンタと向かい合った。
「俺はもう、走れない」
益田は神妙な顔付きで、酒を注いだ。
「そりゃあ。もう競う年齢じゃあないでしょうから」
「まあ、そうだな」
益田は、日本酒が並々と注がれたコップをゆっくりと差し出した。
益田はそのコップからしばらく手を離さず、じっと見つめていた。
「俺ぁ、結婚するんだ」
不意にそう言い放った益田の顔には、もの悲しい満足感があった。
当時のゴンタは、純粋に陸上から身を引くという現実からくる感情だと思った。
688606お題『ゆっくり』3/4:2008/03/25(火) 00:53:24.04 ID:ALO5+SEp0
「結婚相手はどうやら、あんただったみたいだな」
ようやく起き上がり、あぐらを掻いて未亡人の方に向き直ったゴンタは、笑顔で言った。
「わしは、益田はんをよう知らん。益田はんが死ぬまで、益田はんと呼んだんや」
益田は、ある資産家の女に婿入りしたのだ。
ゴンタが部屋で聞いた話では政略結婚ということだったが、益田はまんざらでもない顔だった。
「益田はんは病気の話を?」
「いや、俺には話してくれなかった。突然、競技場に来なくなった。
 友人から益田さんのことを聞いたのは、それから一年後だった」
「わしと益田はんは長い時間を共有しとらん。結婚してすぐ、入院しなさった
 益田はんのことは、昔から知っとった。運動場で走っとるときから知っとった」
益田の話題に対する興味とは裏腹に、未亡人の顔は哀愁に満ちていた。
「そういえば」
ゴンタはふと思い出した。
「益田さんが競技場に、俺宛の手紙を渡してたんだ。
 俺は友達からそれを受け取ったが、手紙には競技場に行ってくれと書いてあった。
 そのときはもうキャンパスが違ってたし、就職活動で忙しかったから結局…」
「益田はんの…?」
未亡人の声の調子があがり、目が少し輝いた。
「俺は空き巣なんだけどな…。いいよ、俺が見てきてやる。」
689606お題『ゆっくり』4/4:2008/03/25(火) 00:53:48.72 ID:ALO5+SEp0
競技場は、ゴンタの自宅から電車で二十分で行ける距離にあった。
まだ残っているという保証はなかったが、久しぶりにあの通学路を歩きたかった。
「ああ、やっぱり…」
競技場があった場所にはショッピングモールができていた。
当時の姿は跡形もなく、時間の経過の速さを思い知らされた。
そのまま大学へ続く道を歩いていると、ショッピングモールと住宅街との境目の、
大きな道があった。ゴンタはその道に吸い込まれるように入って行った。
益田。
入ってすぐ、表札にその文字はあった。
インターホンを押すと、中年の女性が出てきた。
「どちらさまで?」
「あの…突然すみません。…益田朝治さんのご実家でしょうか?」
女性は驚いた様子もなく、ただ意外な訪問者という顔でゴンタを眺めた。
「はあ…。朝治はわたしの兄…ですが…。」
「知っています。私は佐崎ゴンタという者です。朝治さんから、何か、聞いていないでしょうか?」
彼女が事情を知らないことは百も承知だが、思いがけず辿り着いた益田の情報に、ゴンタはかじりついた。
「…直接ではないですが…。競技場がなくなるとき、オーナーさんにいただいたものがあります。」
「それは…」
「靴と手紙です。…ただ、いまは、…残ってないんです…」
深いため息が出た。あの手紙を読んだとき、友達にでも頼んでおくべきだった。
益田の遺書を、もっと重要なものとして捉えておくべきだった。
無情なほどに速い時間の流れ。気付けばゴンタは当時の益田と同じ四十になっていた。
「でも、手紙はあなた宛じゃなくて、婚約者宛でしたよ。すぐに渡すべきだったんですがねえ…。思い出させてしまっても…。」
「え?」
「あ、いえ。なんでもないんです。ごめんなさいね、お探しのものは家には置いてないんです。」
礼を言って、ゴンタはあの未亡人に手紙を書いた。
益田はしっかり、あなたのことを思っていた、と。
そしてゴンタは、ゆっくりと歩き始めた。

690以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。