( ´ω`)枯れて('A`)苦悩し虹を探して生き抜くようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:15:19.19 ID:kM9+DbKX0
-9- Syobon
ソファの上の男は呟いた。決めた、と。
( ^ω^)「クーを追いかけるお」
先輩と呼び慕っていた存在との決別の証に、その名で呼び捨てた。
誰も聞いていないその空間で、彼は決意をしたのだ。
あの人よりも先に、虹を捕まえると。
その瞬間、目の前に扉が現れた。
(;^ω^)「誰か……来るのかお」
僕に、自らの意思で扉を生み出すことは出来ない。
つまりは他の誰かによってそれは用意され、いままさにこちらへと向かっているということだ。
息を呑み、何らかのアクションを待つ。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:17:26.32 ID:kM9+DbKX0
体の節々が痛み、ソファは僕が立ち上がることを許さない。
(;^ω^)「……こんなんで兄者が来たら終わりだお」
静寂が訪れる。
扉を食い入るように見つめ待つが、誰も扉から出てこない。
不審に思い、立ち上がって扉のドアノブに手を伸ばす。
(;^ω^)「どうなってるんだお?」
開くがそこには誰もいなかった。
扉の奥には、似てはいるもののこれまでとは違った空間が広がっていた。
( ^ω^)「……第三、第四の部屋は無いんじゃなかったのかお」
シャキンの言葉を思い出し、不意に口から愚痴が漏れる。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:19:47.93 ID:giioJ2L10
支援
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:20:16.68 ID:pDb3Z03yO
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:20:32.51 ID:kM9+DbKX0
( ^ω^)「さっきまでの部屋とは何が違うんだお……?」
パーティでも開けるような大部屋から個室に代わっただけだったが、
しかしそこには生活感のようなものを感じる。
(;^ω^)「でもリッチだお」
中身が半分ほど残ったティーカップに、ふっくらとした掛け布団。
キッチン台にはトーストでも食べたのであろう、パンのカスがついた皿が置いてある。
住人は至って規則的な、かつ清潔に日々を過ごしていたのだろうと思った。
( ^ω^)「僕にここで暮らせとでも言うのかお?」
否定的な言葉を口にしてみても、今では先程までの緊張感が嘘のように心は穏やかで、
極めて自然な流れで椅子に座ろうと椅子を引き、背もたれに体を預けた。
まるで自宅で寛いでいるかのような安心感に、少し焦る。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:21:08.23 ID:wohqyDSz0
支援
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:22:49.55 ID:kM9+DbKX0
(;^ω^)「何なんだお。これはこれで逆に困るお」
決意をしたばかりの心が揺らいでしまう。
こんなところに住めたら、どれだけ有意義な一生を過ごせるのだろう、と。
(;^ω^)「……お?」
悪くないかもしれない。
素直にそう思った自分を否定する自分がどこにも居ないことに僕は気付く。
そして否定する必要も無いだろうと結論づいた。
( ^ω^)「お腹が空いたお」
設置された冷蔵庫を開けると、ちょうど今食べたかった品が置かれていた。
( ^ω^)「うはwwwピザwwwwwww」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:24:20.26 ID:vjrqLRMy0
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:25:12.17 ID:kM9+DbKX0
そしてどうやら温かい。
今、どこからそれを取り出したのか、そんな違和感にさえ僕は気付かない。
その一瞬、僕はその異質な一室に魅せられていた。
( ^ω^)「決めたお。ここで暮らすお」
( ^ω^)「僕に足りないものは情熱でも思想でも速さでもなく、潤いだお」
グッと拳を作っては、一人で力説する。
( ^ω^)「こんなところで可愛いおにゃのこと一緒に……。そうだお。ツンと一緒に」
( ^ω^)「あれ」
ゆっくりと目を見開き、自らの鼓動に耳を傾けた。
( ^ω^)「ツ……ン?」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:27:47.52 ID:vjrqLRMy0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:28:18.86 ID:kM9+DbKX0
(;゚ω゚)「……ッ!」
勢いよく立ち上がり、自分の口に押込められた、収まりきらない大皿を壁に投げつけた。
続いて自らの足を痛めない程度に椅子を蹴飛ばし、
何かから逃げるようにして壁に背中をピタリと引っ付け動きを止める。
(;゚ω゚)「ツンは!? ツンはどうしたお!?」
頭を振り回し、顔に手を当て頬を力強く撫でる。
(;゚ω゚)「僕は今、何をしていたんだお……?」
辺りを見渡すが、出口はどこにも無い。
そんなこと僕にだって分かっていたはずだったが、それでも探さずにはいられなかった。
走り回るには決して広くないその一室を僕は走り回る。
(;゚ω゚)「ダメだお、目を覚ませお。この部屋はダメだお。居ちゃいけないお」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:29:12.01 ID:vjrqLRMy0
支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:30:19.33 ID:kM9+DbKX0
目を覚ましたときに、ようやく理解した。
今更、まさかとも思わない。やはりと言うべきか。この部屋は。
(; ω )「使用人の部屋、かお……」
気を抜けば心を奪われる。
その部屋の、その虹の魅力に取り付かれてしまう。
それが使用人の部屋。
(;^ω^)「あれ、でもここにいれば虹が手に入ったことになるんじゃないかお?」
おもむろに、そんなことを思いつく。
言葉の通りこの部屋にいれば僕の目的は達成されたことになるのではないか。
( ^ω^)「取り付かれるのと手に入れる、その程度の違いだお」
しかし、もとより求めていた虹に取り付かれるのなら問題ないだろう。
むしろ欲しいものに、虹に近づいてはいけないというのも可笑しな話だ。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:31:43.57 ID:vjrqLRMy0
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:32:15.40 ID:ENWdVEDI0
ktkr支援
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:32:36.97 ID:giioJ2L10
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:32:50.96 ID:kM9+DbKX0
少しでも気を許せば、そんな心地良いうたい文句が頭に流れ込む。
それは魅力的ですぐにでも手を伸ばしたくなるような。
(; ω )「だからッ……そうじゃない……それじゃダメだお」
ただひたすらに想うは、愛しの女性。
今の僕を保たせているのは唯一つ、ツンデレという存在だけだった。
(; ω )「……聞いてるか、内藤」
夢と現実の狭間を幾度と無く行き来し、また心をすり減らしていく。
そんな中で僕は、少しずつツンデレではなくクーのことを思い出していた。
彼女の言葉はどれも、心に残って離れない。
しかし、知ってしまった。
それらがどれもこれも、クーの言葉ではないことを。
(; ω )「聞いてるか、内藤。虹とはつまり、空想だ」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:35:22.97 ID:kM9+DbKX0
「これで侵入者の方は問題ないとして、次は来賓か。これはまた厄介な」
モニター越しに手を翳しそしてまた違うモニターに目をやると
元々垂れ気味の眉毛が、余計に強調される。
「実に困った。こうなると一番危険なのは僕だな」
綺麗な姿勢を『保つのではなく、保たせる』ような固い椅子。
それから立ち上がると、屈伸などの柔軟運動を始め、その部屋を後にする。
無意識のうちに作っていた笑顔。それを他の誰かに見られていないか、
なんてことを他に誰も居ないその部屋で確認してはまた急いで歩き始めた。
「虹とはつまり、空想だ」
彼はそう呟くともう一度、笑みを浮かべる。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:36:18.57 ID:vjrqLRMy0
支援
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:37:02.95 ID:wohqyDSz0
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:37:06.92 ID:kM9+DbKX0
(´・ω・`)「己の渇きを潤すために、己の過去を断ち切るために」
(´・ω・`)「両手に抱えた夢と虹」
(´・ω・`)「虹の城は、確かに存在する」
「……つまり。結局、最後に頼れるのは自分しかいないってことだね」
「実に一年ぶりだ」
そう言って彼は、手を突き出して靡かせる。
ゆっくりと現れた扉の向こうに姿を消してしまった。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:39:47.42 ID:kM9+DbKX0
-10- George
次々に扉を出現させ、同時に複数の扉を開く。
しかし何度開けてもまた同じ部屋へと繋がっているだけだった。
川 ゚ -゚)「よくもまぁ、特権などと言ったものだな……」
右手を翳すだけ、意識すれば何もせずとも現れるその扉。
最初の内は特権と呼ばれたその力を不気味にさえ思っていたが、
慣れてしまえばただの移動手段に過ぎないことが分かる。
川 ゚ -゚)「それも、飛び切り使えない手段だ」
川 ゚ -゚)「…………」
開けては閉め。扉を消す。
扉を作ってはまた開け。そして閉めて扉を消す。
延々と続くその繰り返しに、苛立ちを覚えて始めていた。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:40:18.41 ID:giioJ2L10
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:40:29.85 ID:vjrqLRMy0
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:42:01.60 ID:kM9+DbKX0
もう何キロ歩いただろう、と愚痴が漏れる。
最初のうちは数えていたはずの跨いだ扉の数も、とうに忘れてしまっている。
川 ゚ -゚)「また最初から数え直すか……」
立ち止まって息を吐いた。
こんなところで何をやっているのだろう、と自棄になる。
川 ゚ -゚)「ふぅ」
それでも、それこそ無駄なことだと分かっているから、また数え直すのだ。
川 ゚ -゚)「一つ……?」
扉を開いた先に、既にもう一つ、扉が存在していた。
そしてその扉を使って、何処かへと向かおうとしている人物がいる。いや、いた。
クーが扉を開くのと、向こうが扉を閉めるのはほぼ同時。
しかし、微かに見えた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:44:42.23 ID:kM9+DbKX0
川;゚ -゚)「ショボン!」
駆け寄るが、辿り着く前に扉は消えてしまう。だが歩みは止めない。
川;゚ -゚)「ショボンだろう!? おい、貴様ッ!」
何度も頭の中で描いた彼の姿を、見間違えるはずが無い。
そんな根拠の無い確信を頼りに叫んだ。
川;゚ -゚)「この私を置いていくつもりか!」
私の叫び声は大広間に響くだけで、誰にも伝わることは無かった。
そして訪れる静寂と、虚無感。
ショボンは私に気付いていただろうか。そして、気付いた上で。
いや、そんなことがあるはずがない。
川 ゚ -゚)「……クソッ」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:45:43.11 ID:vjrqLRMy0
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:46:58.24 ID:kM9+DbKX0
また歩き出そうとしていたというのに、気が乗らない。
せっかくの気概もふいにされてしまった。
川 ゚ -゚)「休憩していこうか」
幸い、横になっても充分の広さのあるソファが複数と、
身体を休めるにはもってこいの設備がこの部屋全てに整っている。
だから、何だという話だが。
川 ゚ -゚)「……内藤、私は何をしているんだろうな」
ここで、その名前を出して、この私が、弱音を吐くとは思わなかった。
我ながら自分は強い部類に入るものだと思っていたからだ。
だから、何だという話だが。
川 ゚ -゚)「私は少し、疲れた」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:47:29.11 ID:vjrqLRMy0
支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:48:39.74 ID:kM9+DbKX0
ショボンとの出会いは、大学で入ったサークルだった。
入学してすぐの頃。『虹色研究会』という得体の知れない団体が目に付いた。
ほんの僅かな好奇心で覗いた先に、彼がいたのだ。
(´・ω・`)「あ、どうも」
川 ゚ -゚)「どうも」
室内には彼一人しかいない。
座りますか、と椅子を用意しようとする彼を見て慌てて
ただ覗きに来ただけで、入るかどうかは分からないと伝えた。筈なのに。
川;゚ -゚)「…………」
筈なのに。
何故か、座らされている私がいた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:50:41.03 ID:kM9+DbKX0
(´・ω・`)「僕はショボン」
(´・ω・`)「君は?」
いやに馴れ馴れしく話しかけてくる男に、私は嫌悪感すら覚えていたのだが
その顔には悪気や悪意が微塵も感じられなかった。
一つ溜息を漏らし、答える。
川 ゚ -゚)「素直クール。一年だ」
(´・ω・`)「よろしく」
終いには手を差し出してくる始末。
川;゚ -゚)「…………」
会ったばかりだから、の行動なのか。
会ったばかりなのに、の行動なのか。
あっけらかんとした彼に、あっけらかんとする私。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:51:34.88 ID:vjrqLRMy0
支援
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:52:46.02 ID:kM9+DbKX0
とりあえず、手は握り返しておいた。
薄い掌に繋がった、女の私よりも細いんじゃないかという細い指。
(´・ω・`)「僕はここに入ろうと思ってるんだけど、先輩たちが来なくてね」
川 ゚ -゚)「部員じゃなかったのか」
だとすれば、その居慣れた感じが妙だ。
(´・ω・`)「数日前からここに出入りしてるからね。その間、ずっと先輩には会えなかったんだよ」
川 ゚ -゚)「そんなにこのサークルに入りたかったのか」
(´・ω・`)「まぁね」
それは熱意のようで、しかし執着にさえ感じられる。
そもそも、ここが何を目的とした集まりなのかさえ私は知らない。
知る必要もない。
川 ゚ -゚)「それでは、私はこれで」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:53:29.16 ID:vjrqLRMy0
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:55:14.94 ID:kM9+DbKX0
(´・ω・`)「あ、うん。またね」
川 ゚ -゚)「あぁ」
そう言って逃げるように部屋を出る。
またね、という辺りに少々以上の違和感を覚えつつその場を後にした。
何やらおかしな宗教的なものに捕まってしまったような気がしてならなかった。
从'ー'从「あれれー、クーだ。暇ならどこか遊びに行こうよー」
ふいに後から呼び止められる。
その間延びした口調で正体はすぐに分かった。
川 ゚ -゚)「……渡辺か。構わないよ」
誘われるがままに、学校を後にする。
何も変わりない、いつもと同じように昼食を摂って年相応の話題で盛り上がる。
どこか物足りなさを感じていた。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:56:29.13 ID:kM9+DbKX0
帰宅するが部屋には誰もいない。
もとより父方はいないため、母が働きに出ているのだ。
特に感謝はしていない。
川 ゚ -゚)「…………」
面白い番組の一つでもやっていないか、とチャンネルを切り替えるが
好みのものは何一つやっていない。代わりにクイズ形式のバラエティ番組ばかりが飽和していた。
風呂場に向かい、洗浄済みの浴槽に湯をためる。
川 ゚ -゚)「それぐらい、私がやるというのに」
おそらく朝の内に湯を抜いて、私のために備えていてくれたのだろう。
無い時間を切り詰めてまでするようなことじゃない。
川 ゚ -゚)「……そういうところが嫌いだよ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:56:29.87 ID:giioJ2L10
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:57:30.96 ID:vjrqLRMy0
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:58:31.90 ID:wohqyDSz0
しえん
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 21:58:51.00 ID:kM9+DbKX0
十数分後。
決められた水位で、決められた温度で浴槽に張られた湯船。
私は早々に身体を洗い流してその身を湯の中に沈めた。
川 ゚ -゚)「電話……か?」
風呂場の奥から薄らと聞こえる携帯の着信音。
それは個別に設定された流行の曲で、渡辺に当てた曲だった。
川 ゚ -゚)「渡辺か」
「あれれー? 何だか声が響いてるよー?」
川 ゚ -゚)「風呂場だからな」
「だから声がブツ切りなんだね。電波が悪いのかー」
川 ゚ -゚)「何か用ならこちらから掛けなおすが、どうする?」
「あ、別に大した用は無いんだー。今日学校でさー……」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:01:36.21 ID:vjrqLRMy0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:01:38.87 ID:kM9+DbKX0
翌日。
私はまた、あの扉の前に立っていた。『虹色研究会』。
川 ゚ -゚)「……名前の意味を聞くぐらい、いいだろう」
誰かに許しを請うようなことでも、容認を求める必要もなかった。
その言葉は自分に向けたものだった。
つまりそんなものではなく、自分が先日会ったばかりの相手に興味を持ってしまったという事実が気に食わなかったのだ。
川 ゚ -゚)「ふぅ」
ドアの向こうには、やはり彼がいた。
(´・ω・`)「やぁ。ようこそバーボンハウスへ」
川 ゚ -゚)「……何だそれは」
(´・ω・`)「すまない。職業病でね」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:02:49.22 ID:kM9+DbKX0
やはり、訳の分からない奴だと思った。
室内を見渡すが、ショボン以外に誰もいない。
確か彼は先輩を待っていたはずだ。そう訪ねた。
(´・ω・`)「それがね。ここは幽霊サークルだそうだ」
形だけを残した、幽霊部員が半数を占める幽霊サークル。
そんな意味のない、場所をとるだけのサークルが何故残っているのか疑問に思った。
それがショボンにも伝わったらしい。
(´・ω・`)「本当なら今年の更新で消えるはずだったのが、チェック漏れで生き残ったそうだよ」
川 ゚ -゚)「それはまた適当だな」
(´・ω・`)「だから来年を迎えればこのサークルは消えてしまうらしいよ」
川 ゚ -゚)「それはまた残念だな」
(´・ω・`)「興味なさそうだね」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:04:01.75 ID:vjrqLRMy0
支援
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:04:18.60 ID:kM9+DbKX0
あからさまな態度に、ショボンが苦笑いをする。
垂れた眉が余計に垂れる。
(´・ω・`)「どうしてここに来たの?」
川 ゚ -゚)「暇だったからさ」
それは嘘や見栄ではなく、真実だった。そして私は「あと」と付け足す。
川 ゚ -゚)「サークル名も気になったから」
(´・ω・`)「なるほど」
その言葉を聞くと納得したようで、顔をほころばせては楽しげに笑った。
おそらくだが、彼はその話題をしたかったのだろう。
昨日から。
(´・ω・`)「先に言っておけど、信じてもらえるとは思ってないんだ……」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:05:24.95 ID:vjrqLRMy0
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:06:43.36 ID:kM9+DbKX0
渡辺がわざわざ電話してまで伝えたかったのは、
自分が軽音系のサークルに入ったということだった。
彼女はギターが弾けたから、『なるほど。楽しそうだな』と返しておいた。
(´・ω・`)「まず最初に、虹について」
川 ゚ -゚)「虹?」
(´・ω・`)「光の屈折で見えるアレとは違うよ」
『クーはサークルには入らないの?』と渡辺はこうも言った。
少し考えて、答えた。
『私はほら、そういうの興味ないから』
(´・ω・`)「抽象的だけど、これが一番具体的に説明できてると思う」
(´・ω・`)「虹とはつまり、空想なんだ」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:07:32.71 ID:wohqyDSz0
支援
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:08:35.25 ID:vjrqLRMy0
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:08:39.64 ID:kM9+DbKX0
心音さえはっきりと聞こえる閑静な空間に、木製の軋んだ音が響く。
それは自分以外の誰かの登場を予期するものだった。
ゆっくりと開いていく扉を前に、私はある男を期待した。
川;゚ -゚)「ショボンか!?」
現れたのは、男だった。
_
( ゚∀゚) 「おいおい、そりゃ誰だよ」
しかし期待していた男とはまるで違う。
城内ではまだ一度も会ったことのない、見知らぬ顔だった。
豊かなその表情とがっしりとした体つき。彼とはまるで正反対。
少しずつ、ゆっくりと、こちらへ向かってくる。
川;゚ -゚)「誰だ……貴様は……」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:10:06.12 ID:kM9+DbKX0
_
( ゚∀゚) 「俺の名前はジョルジュ長岡」
_
( ゚∀゚) 「好きなものは、みかんとこたつ」
_
( ゚∀゚) 「何が何だかよく分からないんだが」
「虹を見た」
長岡が右腕を振り上げる。
そして、何かしらの意図の上で頭上に翳した右腕は私に向かって突き出される。
握りこぶしが解かれて、手のひらが顔を出した。
お手をどうぞ、と言わんばかりに彼が笑う。
それと同時に私は振り返り、逃げるように駆け出した。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:11:06.54 ID:kM9+DbKX0
10話が終わって、投下も終わりです。
たくさんの支援ありがとです。
投下しながらもガリガリ書いてます。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:13:23.25 ID:vjrqLRMy0
乙。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:14:05.28 ID:ENWdVEDI0
おっつっつー
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:14:09.93 ID:giioJ2L10
乙
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:14:36.75 ID:wohqyDSz0
乙!
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:27:39.64 ID:84CXf7Y70
おー!久しぶりにこれみたよ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 22:45:44.72 ID:zlSibPIfO
乙!
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/03/01(土) 23:07:39.59 ID:C5Q7bdTrO
己
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
乙ですた