1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:01:22.39 ID:NaQvyOfR0
こんな寒い日に立てるなよ
3 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:02:28.72 ID:SfuuRjLo0
【第7話:デートは楽しい】
* * *
『何を考えてるのか分からない』
たった一人が発した言葉が、全てのきっかけだった。
それに便乗して、次々と他の子供達も今までの不満を漏らす。
溜まりに溜まったダムが決壊したかのようだった。
子供は純粋だ。
だからこそ、残酷だ。
他意など無く、毒を吐いていく。
悪意など無く、人の心を傷つけていく。
言葉というものに強い力が篭っている事など知らないのだ。
少女のガラスのように脆い心にひびが入っていく。
それでも、気にはしていないと振舞う事しか出来なかった。
強く冷静で、無感情な子だと思われていた。
涙を流すなど、周りの子供達は想像していなかった。
少女は、その期待に応えたのだ。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:03:02.58 ID:fjyPpj8GO
来たか
支援!
5 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:03:45.65 ID:SfuuRjLo0
『向日葵は綺麗だ。
触れる事の出来る距離にある、太陽だ』
少女は、そんな多彩で、感情と呼べるものを確かに持っていた。
ただ、それを言葉にするのが苦手で、表情に出す事も不慣れにしていた。
幼い者達にとっては、そんな些細な違いは分からない。
何も考えていない、という風にしか受け取る事は出来ない。
そして、その想いを包み隠さず伝えてしまうのだ。
『笑う事が出来ない』
『遊んでいても楽しくない』
『一緒にいたくないなら、いなければいいのに』
弁明の余地すらなかった。
大勢の中に囲まれた一人は、限りなく孤独で、無力であった。
結果、少女は逃げ出した。
誰もいない、それでいて心を安らげる安息の地へと駆け出した。
それがこの場所であり、向日葵はそんな彼女を迎えてくれるのだった。
6 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:04:22.64 ID:SfuuRjLo0
脳裏に浮かぶのは、先ほどの罵詈雑言の嵐。
次々と繰り出されていく、自分自身に対する不満。
思い出すと、目頭が熱くなるのを感じた。
でも、泣けなかった。
泣いてしまったら、それらに負けてしまった様な気分になるから。
『自分は一人でも大丈夫だ』
その想いだけが、少女の自我を保っている。
その想いが故に、少女は孤独に付き纏われる。
矛盾の果てに、彼女は人外の友達を見つけた。
向日葵は言葉を交わさなくても、いつも笑顔だった。
そして、少女も微笑を返すのだった。
『どうして、この笑顔が人には向けられないんだろう』
そんな疑問を浮かべた時。
すぐ傍に、人の気配を感じた。
* * *
7 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:05:02.27 ID:SfuuRjLo0
ごめんささい、ちょっとだけ席を話します。
15分・・・くらい待っててください。
落ちない・・・よね多分。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:05:05.84 ID:Rgk/0kOI0
支援
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:08:13.44 ID:mo+qog500
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:09:32.64 ID:gZ+7TiJfO
おっ、きた。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:11:51.39 ID:yjQec1RJO
初遭遇!
花束さんから季節外れの名作を読みに
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:13:16.34 ID:Aogyw54PO
ワクテカ
13 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:16:45.05 ID:SfuuRjLo0
立ててすぐに消えるとか俺は馬鹿だね・・・orz
今日は2話ですんぬ・・・じゃあ再開
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:17:32.02 ID:3p4VHuug0
wktk支援
15 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:18:13.03 ID:SfuuRjLo0
『デートしてください、お願いします』
クーは地面に頭を擦り付け、土下座をしながら言った。
内藤は断る事など出来なかった。
というよりかは、周りの雰囲気に飲まれていた。
彼女がそれを行ったのが、授業中だったからだ。
(;^ω^)「無茶するお・・・・・」
川 ゚ -゚)「すまない、思い立ったらすぐ行動とな」
過去の辱めの事を、内藤は叱る。
だが、どこか楽しげに見えるのは間違いではないだろう。
『デート』というものに、彼は浮かれていたのだ。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:19:12.67 ID:yjQec1RJO
しえん
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:20:00.74 ID:Rgk/0kOI0
筆早いな、支援
18 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:20:32.84 ID:SfuuRjLo0
行き先など思い浮かばなかった。
悩んでいる内に、約束の日は来てしまったのだから。
正直に内藤が話すと、クーは笑った。
『私も、同じ想いだったよ』
――嬉しかった。
一日の内で最も暑いと言われる午後2時。
二人は、町の中を行く当ても無く歩いていた。
( ^ω^)「どこ行くかお?」
川 ゚ -゚)「どこでも良いよ、君と一緒なら」
(;^ω^)「恥ずかし気も無く、言わないでくれお」
川 ゚ -゚)「だって、デートだろ?」
クーはそう言って、二人の距離を縮める。
手が触れそうだったので、内藤は思わず引っ込めてしまった。
19 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:22:26.14 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「・・・・・・・・」
彼女はじっと内藤の手を見つめていた。
どうやら、今の動作を避けられたと感じたらしい。
(;^ω^)「暑くて、汗で凄いことになってるから・・・・・・」
そんな視線に気付いた内藤は、慌てて弁明した。
半分は照れ隠しの嘘で、半分は本当だった。
暑さよりも、妙な緊張のせいで彼の手はぐっしょりと濡れていた。
川 ゚ -゚)「私は気にしないぞ?」
(;^ω^)「僕は気にするんだお」
川 ゚ -゚)「・・・・・残念だ」
内藤は、ホッと胸を撫で下ろした。
20 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:24:22.40 ID:SfuuRjLo0
この息苦しさは何なんだ、と内藤は心中で嘆いていた。
今までに感じた事の無いタイプの恥ずかしさに、デートへの後悔が渦巻いていた。
それが、自意識過剰になっている自分が元凶だとも知らずに。
川 ゚ -゚)「行き先は決めない、そうする事にしよう」
うろたえるばかりの彼を見かねたのか、クーは言った。
既に、彼女が内藤の一歩前を歩く形になっていた。
( ^ω^)「それじゃあ、どうなるんだお?」
川 ゚ -゚)「何でも良いさ。全て適当にしよう。
入りたいと思う店があったら入れば良い。
買いたいものがあったら、買うようにしようじゃないか」
( ^ω^)「なんというフリーダム!」
川 ゚ -゚)「だがそれがいい」
内藤は、そんな彼女に頼もしさを抱いていた。
男として、情けないばかりである。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:25:24.34 ID:gZ+7TiJfO
支援
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:25:54.14 ID:yjQec1RJO
しえ
23 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:26:15.43 ID:SfuuRjLo0
内藤は、彼女に任せれば良いと考えていた。
自分は話の内容やら、もっと細かい部分に神経を注ごうと思ったのだ。
だが、甘かった
川 ゚ -゚)「よし、ここに入ろう」
( ^ω^)「・・・・・・お?」
彼女の感性が人とは違う、という事を見逃していた。
まともなデートスポットを選ぶ可能性は限りなく低かったのだ。
川 ゚ -゚)「いやぁ、楽しみだ。待っとれよサナダ虫」
(; ゚ω゚)「こ、ここは・・・・・・!!」
クーが軽いステップを踏みながら、歩む場所。
『寄生虫館』と書かれた看板が禍々しく掲げられていた。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:27:06.57 ID:yjQec1RJO
し
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:27:19.98 ID:Lq28nV160
キテター支援
26 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:29:08.02 ID:SfuuRjLo0
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
どれくらいの時が過ぎたのかは定かではない。
内藤には1分が何倍にも感じていたので、時間の感覚は失われていた。
川 ゚ -゚)「いやぁ、凄かったな!
全長8.8メートルのサナダ虫を見た時は心が躍ったよ!」
( ω )「スパゲッティ・・・うどん・・・焼きそば・・・二度と食べれない」
クーの瞳はこれ以上無いまでに爛々としていた。
それに対し、内藤の瞳は濁っていて、死んでいた。
どうやら、心に深いトラウマを負ったようである。
川 ゚ -゚)「見ろ!寄生虫入りのキーホルダーだぞ!」
(; ゚ω゚)「いやあああああ!!見せんといてぇえええええ!!」
内藤の悲痛な叫びが木霊する。
胃が縮むように、きゅと唸るのを彼は確かに感じていた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:30:21.21 ID:Lq28nV160
クーww
28 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:31:43.81 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「あれだけの種類の寄生虫が見れるなんて、凄いよなぁ」
( ´ω`)「あはは、本当だお」
川 ゚ -゚)「標本を集めるのにも苦労しただろうになぁ」
( ´ω`)「尊敬するお、色んな意味で」
面白いのは『寄生獣』だけで充分だ。
内藤の気の抜けた返事の裏には、そんな意味が隠されていた。
川 ゚ -゚)「それに・・・カップルも多かったな」
( ´ω`)「・・・まぁ、一応」
クーは、ほんの少しだけ躊躇いながらそう言った。
驚いた事に、男女一組のペアも多く存在していた。
そして、それを見かけるたびに内藤は思うのである。
『まともな人間はいないんだろうなぁ』と。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:32:46.45 ID:Lq28nV160
支援
30 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:33:39.27 ID:SfuuRjLo0
足取りも、どこと無く重い。
浮かれた気分など、いつのまにか跡形も無く消え去っていた。
( ´ω`)「・・・・・はぁ」
川 ゚ -゚)「すまない、私といるのはつまらないか」
内藤が意味も無しについた溜め息に、クーはそう反応した。
いや、何も考えずに出たものだったからこそ、性質が悪い。
(;^ω^)「へ?そ、そんな事ないお!」
川 ゚ -゚)「別に気を使う事は無いさ。
はっきり言ってくれた方が、時には楽になることもある」
(;^ω^)「いや、僕は本当に・・・・・・」
川 ゚ -゚)「君は優しいから、口に出せないだけさ。
私は自分でも少し変わっているとは分かっている。
だから、何も迷わずに言ってくれて構わないよ」
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:34:00.67 ID:fjyPpj8GO
支援
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:34:30.32 ID:FFR5NUvkO
しえ
33 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:35:26.16 ID:SfuuRjLo0
彼女らしからぬ、後ろ向きで自虐的な発言だった。
そして、本気で傷ついているんだな、と内藤は理解出来た。
(;^ω^)「僕は、そんな変な女の子といるのも楽しいお?」
川 ゚ -゚)「そう言ってくれるのは嬉しいよ」
(;^ω^)「信じる気はないお?」
川 ゚ -゚)「正直に言うと、な」
思った以上に頑固な性格であった。
直向に、純粋であるからだろう。
一度思い込むと、なかなかそれを拭う事が出来ないのだ。
( `ω´)(・・・あーもう!)
内藤は、どうにでもなれと意を決した。
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:35:58.83 ID:Lq28nV160
支援
35 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:37:02.00 ID:SfuuRjLo0
( `ω´)「ええい、僕は楽しいんだからデート続行だお!」
クーの手を乱暴に掴み、握った。
指と指とが交わりあい、固く結ばれる。
相変わらず、汗で濡れていたが、そんなことは無視した。
ちっぽけなプライドの崩壊より、クーの悲しげな顔を見るほうが何倍も辛かったのだ。
振り返りもせずに、スタスタと歩いていく。
内藤は自分の顔が、尋常でない熱を帯びている事を分かっていた。
それでも、その手を離すことはなかった。
川 ゚ -゚)(・・・・・・・・・)
クーは何も口には出さなかった。
自分を引いていく力に逆らわず、足を動かす。
そして、握られた手の感触に、確かな幸福を感じていた。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:39:38.33 ID:fjyPpj8GO
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:40:12.10 ID:Lq28nV160
支援
38 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:40:27.21 ID:SfuuRjLo0
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
人気の無い小物屋に二人はいた。
折角のデートのお祝いにと、何か形を残そうとしたのだ。
( ^ω^)「これなんてどうだお?」
川 ゚ -゚)「ちょっと派手すぎるかな・・・・・」
しかしながら、商品の選択は困難なものになっていた。
クーはなかなか、これといったものが見つからない。
内藤の選ぶものは、センス的に不味い要素があった。
( ^ω^)「ドクロ・・・カッコイイじゃないかお」
川 ゚ -゚)「私が女、という情報だけは頭の隅にでも良いから配置しておいてくれ」
もっともな意見だった。
39 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:41:58.02 ID:SfuuRjLo0
クーは真剣な眼差しで、辺りを見渡していた。
内藤の事など、眼中にはないように。
( ^ω^)(・・・・・僕はお邪魔ですかお、そうですかお)
プレゼントするの僕なのに、とは思ったが口に出さない。
彼女を喜ばせるのが何よりの目的だったためだ。
( ^ω^)(僕は僕で探すおー)
良い品物を見つけられる可能性は零に等しい。
それでも、彼は自分なりのセンスを信じる事にした。
骸骨やら、十字架やらの首飾りを手にとっては、はしゃいでいた。
40 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:43:15.02 ID:SfuuRjLo0
( ^ω^)(そういえば、寄生虫キーホルダーはいいのかお?)
矛盾を感じながら、内藤は物色を続ける。
すると、一つの小物が彼の目に止まった。
( ^ω^)(これは・・・・・・)
美しさよりも、なによりも――
川 ゚ -゚)「内藤、あまり良いものが見つからないので外に出よう」
少し離れた場所から、クーが内藤を呼びかける。
見つからなかったせいか、いささか、残念そうな重い声であった。
内藤は店主に聞かれてはいないかと、少しばかり焦った。
( ^ω^)「すぐに行くから、ちょっと待っててくれお」
川 ゚ -゚)「把握した」
クーが外に出たのを確認すると、それを手に取った。
少し古びていたけれども、輝きが損なわれてはいなかった。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:43:58.84 ID:Lq28nV160
支援
42 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:44:38.06 ID:SfuuRjLo0
外は、夕焼けが西の空を茜色に染め替えていた。
蝉の鳴き声も、少しばかり元気をなくしている様に感じる。
一日の終わりが近づいているのを、不本意にも感じてしまう。
カラスが飛び、黒の曲線が描かれる。
その光景に、妙な感傷に浸ることとなった。
( ^ω^)「もうすぐ、デートもお終いだお」
呟いた言葉は、誰に言ったものではない。
自分自身に投げかけたつもりであった。
けれども、理解出来ない自体が彼に起きる。
今はまだクーとのデートの最中で、それを楽しんでいる。
そのはずなのに。
43 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:46:13.12 ID:SfuuRjLo0
彼の頭の中には、一人の女性の姿が描かれる。
小さな体が、本を捲っている。
口にアイスを放り込み、そして笑顔を見せる。
ふと浮かんだそれらに、訳も分からず、内藤は胸が痛む想いをした。
【第7話:おしまい】
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:46:28.09 ID:kTg/Rrb/O
内藤に萌えた
45 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:46:37.08 ID:SfuuRjLo0
はぁー!尻の花!!尻の花!!
という訳で休憩後にもう一話投下しまっす。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:47:23.31 ID:Lq28nV160
一旦乙
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:49:47.59 ID:gZ+7TiJfO
ギコ乙
48 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:56:20.84 ID:SfuuRjLo0
ブーン良いよね。
AAの中で一番好きよ・・・・・じゃあこってりいきますか
49 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 20:57:46.60 ID:SfuuRjLo0
【第8話:ヒマワリ】
( ^ω^)(ああ、ここは紛れも無く『公園』だお)
内藤は、そんな滑稽な考えを浮かべていた。
夕暮れ時のその場所に、普段はあるはずの、遊びまわる小さな影は無い。
腹を空かせ、家族の待つ家へその足を運んでいる事だろう。
何処からとも無く漂ってくる甘美な料理の匂いが、それを確信へと至らせる。
それでも、この場所は確かに公園であった。
使い慣らされた遊具は、子供達の笑顔を浴びて、その姿を錆びらせているのだから。
( ^ω^)(美府公園とは大違いだお)
此処とは違い、時だけが残酷に過ぎているあの場所を思い浮かべ、彼は思う。
同じ『公園』と名は付いていれど、その現状は明らかに違うものだった。
腰掛けるベンチも、僅かにペンキの色が新鮮味を帯びていた。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:58:27.33 ID:Lq28nV160
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:58:35.99 ID:yjQec1RJO
お風呂あがた。
しぃ……(´・ω・`)
52 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:00:06.93 ID:SfuuRjLo0
( ^ω^)(それに・・・・・・)
チラリと内藤が横を見ると、クーが押し黙って俯いていた。
ほんの少しだけ、緊張しているようにさえ見えた。
――それに、いつも隣にいるはずの、しぃが此処にはいない。
隣にいるのは、今日一日を共に過ごしたクーという女性だった。
内藤が覚える違和感はそれが第一の理由なのであろう。
あの少女といる時には、穏やかでゆったりとした雰囲気だけがある。
( ´ω`)(うああああ、空気が重過ぎて死にそうだお!!)
反して、今の状況は彼には耐えがたいものだった。
内藤には、恋仲である者だけが感じられる沈黙の喜びというのが分からなかった。
艶かしいムードというのを理解出来る程、精神が成熟してはいなかった。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:00:55.31 ID:yjQec1RJO
し
54 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:02:13.84 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「なぁ、内藤」
(;^ω^)「はい?」
だから、クーが口を開いた時、内藤は心底ほっとした。
思わず、返事の声が裏返ってしまう程だった。
川 ゚ -゚)「「今日は楽しかったか?」
( ^ω^)「もちろん、凄く楽しかったお」
川 ゚ -゚)「そうか・・・・・・楽しかったか」
クーは、どこか悲しげな顔を見せた。
内藤は、その様子を見て酷く混乱する。
今の問いに対して、肯定したのは間違いではないと確信していたからだ。
( ^ω^)「クーは楽しくなかったのかお?」
当然、質問を返すことになる。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:02:47.15 ID:Lq28nV160
支援
56 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:04:49.61 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「・・・・・・凄く、複雑な気分だったよ」
小さく、口から零れるように呟いた。
彼女は自分自身の不甲斐なさに嘆いていた。
川 ゚ -゚)「生きていた中で、最も喜びを感じた一日だったのかもしれない。
好意を持った人間と、時間を共に出来たのだから当然かもな」
( ^ω^)「・・・・・・だったら?」
川 ゚ -゚)「でもな、同時に苦しかったんだ。
心が、甚振られるように、焦がれていたんだ」
視線は俯いたままだったので、下に送られていた。
地面を見つめ、口だけが敏捷に動かされていた。
垂れ落ちた前髪によって、表情は分からなかった。
しかし、いつもの無表情の顔が、今は歪んでいる事を内藤は悟っていた。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:05:48.82 ID:yjQec1RJO
しぃ
58 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:07:18.95 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「君の一挙一動に私は振り回されるんだ。
勝手に喜んで、勝手に哀しんで、『心の中で』だ」
( ^ω^)「・・・・・・・・・・」
川 ゚ -゚)「素直に気持ちをぶつけるのが、また億劫になっている。
今までは出来た事が、少しずつ困難になっていく。
きっとそれは、私のお前への気持ちが大きくなっていく証拠なんだ」
クーの紡ぐ言葉が、内藤の体を貫いていく。
今は、それを遮ろうとは思わなかったし、出来なかった。
川 ゚ -゚)「愛というのは恐ろしいものなんだな。
自分が自分でないかのように、心の制御が出来ない」
川 ゚ -゚)「口から出る言葉に嘘が混じっていくんだ。
もちろん、どうにか本心を伝える事が出来る時もあったが。
・・・・・・普段は当然のように出来る事が、今日は辛かったよ」
蝉が、じぃじぃと鳴いていた。
しかし、内藤の耳には彼女の声しか届かなかった。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:08:43.69 ID:gZ+7TiJfO
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:08:46.02 ID:Lq28nV160
支援
61 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:09:00.75 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「だから、私は君と友以上の関係になりたい。
一緒に笑いあって、悩みは二人で分かち合いたい。
言葉に出さなくても、通じ合えるような関係になりたい」
川 ゚ -゚)「愛していると、惜しげもなく言いたい。
愛していると、たった一言、君の口から聞きたい」
クーは顔を上げ、真っ直ぐに内藤を見つめた。
ほんの僅かな空間が二人を隔てているだけで、心臓の鼓動が聞こえてくるかのようで。
そして、彼女の瞳には、純粋に内藤の姿しか映っていなかった。
川 ゚ -゚)「内藤、君のことが好きだ。
だから、この言葉に対する答えを聞かせて欲しい」
唇は、震えていた。
微かな吐息は、少しずつ荒げていった。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:09:41.24 ID:yjQec1RJO
しぃえん
63 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:12:37.88 ID:SfuuRjLo0
そこは、二人だけの世界だった。
蝉とカラスと、太陽と空と、大地と草花と。
それらを除けば、彼等を邪魔するものなど何もなかった。
互いの視線が交錯し、交わりあう。
互いの吐く息が、距離を越えて重なり合う。
互いの生命の鼓動が、自分のものの様に感じられる。
時という概念が分からなくなるほど、その様相に夢中になっていた
空気は、張り詰めた糸のように緊迫していた。
ほんの些細な衝撃でも、それは解かれていってしまうだろう。
( ^ω^)「僕は、その想いに応えられないお」
そして、その言葉は、条件には充分すぎるほどだった。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:13:30.91 ID:yjQec1RJO
(*;−;)
65 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:14:49.20 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「・・・・・そうか」
ぽつりと呟いた言葉が、内藤の心を締め上げる。
それでも、自分の決断に彼は後悔などは無かった。
川 ゚ -゚)「良かったら、理由を聞かせて欲しい。
その答えに至ったまでの、君の想いを」
( ^ω^)「・・・・・・笑顔が、見えたんだお」
川 ゚ -゚)「笑顔?」
内藤の視線が、遠くを見るものに変わった。
クーはそれを見て、駄目だったんだなと、改めて認識させられた。
( ^ω^)「好きとか、そういうハッキリしたものじゃないんだお。
その子に対して、特別な感情を持っていた訳じゃないんだお。
いや、今だってそう思っている訳じゃないんだお」
ただ、と彼は続け。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:15:54.13 ID:yjQec1RJO
しえん
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:16:32.68 ID:gZ+7TiJfO
支援
68 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:16:59.29 ID:SfuuRjLo0
( ^ω^)「それでもその子の笑顔が見えたんだお。
悔しいけど凄く綺麗で、ずっと見ていたいと思ってしまったんだお」
川 ゚ -゚)「私と付き合うと、その笑顔は見れなくなるのか?」
( ^ω^)「ううん、きっと彼女は笑顔を見せてくれるんだお。
何があっても、ずっとその表情を僕に向けてくれんだお。
・・・・・・でも、僕はそれを純粋に喜べなくなってしまうと思うんだお」
それが、彼の出した答えだった。
確かな現実よりも、曖昧な未来を選んだ。
天秤にかけた重りは、本来なら釣り合うようなものでなかった。
しかし内藤は、そんな天秤をまるで無視するかのように、選択した。
川 ゚ -゚)「・・・たった一つの笑顔に、私は負けたか」
クーは自嘲気味に、そう言った。
声を発する度に、擦れる度合いも増えていった。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:18:16.65 ID:yjQec1RJO
しえん
70 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:20:00.05 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「・・・・・・うまく、いくと思ったんだがなぁ」
クーは空を見上げた。
茜色の夕焼けを見るためでも、物思いに耽るためでもなかった。
瞳の奥に感じた熱いものが、頬に伝うのを避けるためだった。
だから、早くその場から立ち去りたかった。
逃げるようだと思われても、自分のそんな姿を内藤に見られたくなかった。
川 ゚ -゚)「帰ろうか、もう太陽も沈みかけている」
( ^ω^)「・・・・・お」
川 ゚ -゚)「なぁに、お前は何も気にする事は無いさ。
全ては私の暴走だったと思ってくれて良い」
言葉を発し終えると、呼吸が辛くなった。
涙は流さなかったが、体全体が泣いていたのだ。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:20:27.55 ID:yjQec1RJO
しえん
72 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:21:28.65 ID:SfuuRjLo0
だが、内藤の言葉がそんな彼女を引き止める。
( ^ω^)「・・・・・・あの時と、同じだお」
川 ゚ -゚)「・・・え?」
クーは素早く反応した。
まさか、という想いが強く心に現れていた。
( ^ω^)「もっとも、今、僕が言うのは変かもしれないお」
川 ゚ -゚)「・・・・・・・・・」
( ^ω^)「涙は流さなくて、でも泣いていたんだお」
川 ゚ -゚)「君は、ひょっとして・・・?」
( ^ω^)「あの時も、今と同じように泣いてたお。
理由は全然違ったけど、確かに仕草は同じだったお」
目を閉じれば思い出せる、あの日の記憶
それが今もまた、鮮明に蘇ってくるのをクーは感じた。
73 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:23:06.92 ID:SfuuRjLo0
( ^ω^)「さっき、小物屋で良い物を見つけたんだお。
このデートの記念にと、プレゼントしようと思ったんだお。
・・・・・・こんな状況じゃ、受け取れないかお?」
クーは即座に首を横に振った。
( ^ω^)「良かった!じゃあ、これをクーにプレゼントだお」
内藤はポケットから小さな小包を取り出す。
そして、嬉しそうにその封を剥がし、中からそれを取り出した。
懐かしい友を垣間見た。
遠い日に置いてきた、その姿。
今となっては必要の無かったはずだった。
けれども、自分の中の根底として今も尚、影を残している。
塞き止めていたはずの涙が零れ落ちる。
――それは、向日葵のブローチだった。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:23:11.94 ID:Rgk/0kOI0
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:23:17.47 ID:yjQec1RJO
しえん
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:23:39.36 ID:Lq28nV160
支援・・・
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:24:40.70 ID:yjQec1RJO
う
しぃを選んだか・・・個人的にはクーとくっついてほしかったな
79 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:25:32.97 ID:SfuuRjLo0
* * *
その気配に少女は慌てて立ち上がる。
かくれんぼで見つかった時のように、心臓の鼓動が高まっている
ランニングシャツに短パン姿の少年が、驚嘆の表情を浮かべていた。
『こんな所に人がいるなんて思わなかったお!』
少年はそんな言葉を吐きながら、表情を崩していく。
だんだんと姿を変えたそれは、人懐こそうな笑顔になっていく。
少女も警戒の色を解くばかりだった。
『・・・・・ここは、私のお気に入りの場所なの』
『あれ、泣いてるのかお?』
少女は、その言葉の意味を理解出来なかった。
確かに、先ほどまでは干渉に浸っていた。
それでも、涙を流すまでには至らなかった。
それにも関わらず、少年は少女が泣いていると言ったのだから。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:26:58.16 ID:Lq28nV160
そういうことか
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:27:22.59 ID:yjQec1RJO
。。
82 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:27:27.13 ID:SfuuRjLo0
『・・・・・少しだけ、私の話を聞いてくれないか?』
少女は嬉しかった。
言葉や外見に囚われず、心を覗いてくれた少年の言動が。
故に、自らの想いを伝えるという結論に至った。
今までは向日葵に語っていた言葉を、彼に伝えていく。
自分の弱さを、人に曝け出していく。
それは初めてのことで、凄く心地よいものだった。
自分の発言に頷きや相槌が返って来るのは、どこか、こそばゆいものにすら感じた。
初対面だったからこそ、行えることだったに違いない。
少年の火照った頬に、汗が伝わっていく。
そんな汗を、彼はぐいと手で拭い、垂れるのを防いでいる。
茹だるような暑さに、若干の苦を覚えていた。
それでも、少女の話に耳を傾けることだけは止めなかった。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:28:56.14 ID:yjQec1RJO
しえん
84 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:29:41.35 ID:SfuuRjLo0
『うーん、それは大変だったお』
話を聞き終えると、少年はうんうんと唸っていた。
深く考えを巡らせているようで、軽薄であるようにも見える。
『自分の気持ちを素直に伝えれば良いんじゃないかお?』
そして、あっけらかんとそう言い放った。
相変わらずの打ち解け顔だった。
『本心を伝えるという事は、相手に不快感を与えることにはならないか?』
『何も言わない方が、よっぽど困るお』
そう、少女は年齢よりもずっと精神が成熟していた。
だからこそ、『気遣い』という言葉に悩まされていたのだ。
相手の気持ちを考えて、自分の気持ちを隠していく。
そのうちに、伝えるべき言葉が見つからなくなってしまった。
優しさ故の、苦悩だった。
85 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:32:39.07 ID:SfuuRjLo0
しかし、少年はそんな考えをあっさりと否定した。
くだらないと吐き捨てるほど、容易に考えを終えてしまった。
『僕は馬鹿だから、言ってくれないと人の気持ちはわからないお。
嫌なところでも言ってくれれば、直す事ができるかもしれないお。
だから、自分の気持ちは、はっきりと言葉にした方が良いんだお!』
その言葉は、とても温かかった。
少年が少女よりも幼いからこそだった。
賢いとは思えない発言だったからこそ、意味を成していた。
じんと、胸に響いていくかのようだった。
『それに、今聞いた君の言葉が、なによりもそれを証明しているお!』
まさしく、その通りだった。
純真無垢な瞳が、凄く綺麗だった。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:33:23.68 ID:Lq28nV160
純粋だ支援
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:33:24.53 ID:nIsxvsc4O
支援
88 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:34:35.46 ID:SfuuRjLo0
『私も、そうすれば君のようになれるかな?』
『僕なんかよりも、ずっとカッコイイ人になれると思うお!』
そんな少年に、彼女は心奪われていた。
他人に元気を与えられる彼に、えらく感心していた。
『じゃあ、僕に気持ちを伝えるお!
今思っていることを、正直に言って欲しいお!』
『そうだな・・・・・うーんと』
今日から変わってみようと思った。
少年の言葉を心に誓って生きようと思った。
『君は凄く良い人だ・・・・・けど』
『けど?』
太陽が燦々と光を降り注いでいた。
向日葵が、頭上で花びらを踊らせていた。
少女の口が再び開かれた。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:35:18.59 ID:Rgk/0kOI0
支援
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:35:40.82 ID:yjQec1RJO
しえん
91 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:36:11.43 ID:SfuuRjLo0
『ちょっと、栄養を摂りすぎだと思うぞ』
『はは、ひっどいお』
何よりも、少年の笑顔が眩しかった。
太陽よりも、向日葵よりも、輝いていた。
* * *
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:37:07.27 ID:gZ+7TiJfO
支援
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:37:19.09 ID:fjyPpj8GO
支援
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:39:02.99 ID:Lq28nV160
支援
95 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:39:10.34 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「覚えて、いたのか」
一度、涙を拭ってから彼女は言った。
記憶の旅から戻ってきて、すぐの出来事だった。
( ^ω^)「というよりかは、思い出したという程度だったお」
川 ゚ -゚)「それでもいいさ」
その程度でも、何ら変わりない想いをクーは抱く。
内藤の心の中に、少しでも面影があるのが嬉しかったのだ。
自分の事など、微塵も覚えていないものだと思っていたのだから。
( ^ω^)「じゃあ、これを受け取って欲しいお」
クーは黙ってブローチを受け取った。
しげしげとそれを見つめ、恍惚の想いに浸る。
一生の宝物にしようと思った。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:39:37.50 ID:yjQec1RJO
しえん
97 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:41:17.30 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)(・・・・・・・・)
ブローチと内藤を交互に見比べる。
あの時と同じ、温かい気持ちが胸に溢れ出していた。
川 ゚ -゚)「なぁ、内藤」
( ^ω^)「なんだお?」
川 ゚ -゚)「君と、その女の子の関係が発展しないように願うよ」
(;^ω^)「ちょ、酷いお!」
川 ゚ -゚)「うまくいったとしても、私はお前といつまでも仲良くしたいな」
( ^ω^)「・・・・・・お?」
矢継ぎ早に、クーは言葉を紡いでいく。
本当の気持ちを、隠すことなく、率直に。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:42:36.84 ID:yjQec1RJO
素直クール
99 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:43:58.05 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「私は嫉妬するんだろうからな、二人を見て」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
川 ゚ -゚)「でも、嬉しいんだよ。
内藤が凄く楽しそうな表情を浮かべていて」
( ^ω^)「・・・・・・・・」
内藤は返事をしなかった。
今は唯、黙って話を聞いているのが得策だと思った。
川 ゚ -゚)「惚れたほうの負けっていうじゃないか」
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
川 ゚ -゚)「私は、何があってもお前が好きなんだよ。
きっと、これだけはずっと変わらないんだろうな」
ブローチの向日葵が、微笑んでいる。
友が、変わらぬ思いを与えてくれている。
懐かしくて、それでいて、新鮮な気持ちだった。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:44:51.72 ID:Lq28nV160
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:45:05.89 ID:yjQec1RJO
しえん
102 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:47:38.15 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ -゚)「これが、今の私の素直な気持ちだよ。
君が言った通りに、はっきりと言葉にしてみせた」
( ^ω^「・・・・・ありがとう、だお」
内藤の言葉を聞き届け、クーは歩みだす。
太陽にその顔を向けて、俯くこともなく歩みだす。
凛としていて、顔から仕草から何もかもが美しかった。
そんな彼女が、自分の想いを素直に吐き出していく。
今の自分を形成した男に、成長した姿を見せ付ける。
風がびゅうと吹き抜け、彼女の黒髪を揺らす。
クーは頬を撫でるそれに、向日葵の葉が体をくすぐる感触を思い出していた。
あの日よりものびた髪も、成長の証なのだろう。
そして、内藤は見惚れている。
夕日に向かう姿は、今までで一番綺麗と思えた。
103 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:49:43.44 ID:SfuuRjLo0
川 ゚ ー゚)「なぁ内藤。私は君のようになれたのかな?」
振り向くと同時に、彼女は言った。
内藤の返事は、当然のように決まっていた。
何故なら、その時に見せた笑顔が、あの日少女が感じたように
太陽よりも
向日葵よりも
ずっと、ずっと―――
【第8話:おしまい】
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:50:39.04 ID:fjyPpj8GO
支援
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:50:57.05 ID:gZ+7TiJfO
乙。
106 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:51:28.71 ID:SfuuRjLo0
最後の最後でしくじった。
>>102の内藤の顔が・・・・・あああああああああ!!やり直してぇえええええ!!
という訳で今日はお終いでスヌア
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:51:56.08 ID:yjQec1RJO
しぃのほう向いてほしかったからよかった。
……でも切ないがな。
おつです!
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:52:43.44 ID:fjyPpj8GO
乙!!
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:54:25.11 ID:Lq28nV160
乙。
110 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 21:55:49.32 ID:SfuuRjLo0
7話が既に更新されてる・・・花束さんいるのかなぁ。
もし、これを見てたら
>>1とかの投下前のあれはぬいて欲しいです・・・・・。
わがまま言ってすいませんが、俺の戯言を残すのはどうかと思ってて・・・・・・
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:57:14.52 ID:fjyPpj8GO
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:01:07.02 ID:Rgk/0kOI0
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:02:22.51 ID:nIsxvsc4O
乙
114 :
◆9d9cVF02x2 :2008/02/24(日) 22:04:20.13 ID:SfuuRjLo0
>>112 ああ、ありがとうございます。すいません。
まとめて貰っておいて色々と・・・・ああああううん。
それと、5話の冒頭が抜けてると・・・いうのは・・・ええと、あううん。
後、次回更新は再来週になりそうです。お疲れ様ーでしたぁ。
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:06:48.84 ID:yjQec1RJO
作者かわゆくてわらたww
待ってる。しぃかわいいよしぃ
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:13:45.48 ID:LazzX7YYO
乙
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:23:03.29 ID:1bch/DU1O
これは乙
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:33:40.28 ID:sLuL0vn60
追いついた乙
クー…
ほ
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ブリブリ左右衛門とス・ノーマンを語るスレ