何で文才ないけど小説書くのはどうして?

このエントリーをはてなブックマークに追加
1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
ここは筆力のある人・ない人がお題をもらって自由に小説を書き、それぞれの筆力を向上させるスレです
※※※お題をもらわないでの小説投下はスレの主旨と違いますのでご遠慮下さい※※※

各まとめ入口:http://bnsk.daa.jp/
まとめwikiコラム:http://bnsk.daa.jp/wiki/index.php?%A5%B3%A5%E9%A5%E0
初心者の方は上記のまとめwikiコラムの他、掲示板を一度ご覧下さい。
小説を書く際の禁則やテクニック等が具体例付で説明されています

(三行テンプレート)
1:お題をもらう(安価より「↓」を推奨)
2:もらったお題に沿った作品を書いて、完成させる。
3:「投下します」と宣言し、作品投下。メール欄は無記入、名前欄には「もらったお題」を表記する。タイトルは無くても可。

・1レスは30行、4096バイトまで、一行は全角128文字まで(読みやすさの為に50〜60文字推奨)
・書きながらの投下は禁止
・お題をもらっていない作品はたとえ投下されてもまとめサイトには掲載されません

詳細は>>2-3辺りをご覧下さい
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:51:03.12 ID:wEZMwIB20
まずはお題をもらいましょう。基本的に過疎スレなので↓でもらうと良いです
→人のお題を使って書くのもありです。作品がたくさん投下されればスレも盛り上がります

▽投下の際の注意点
・投下宣言は「投下してもいいですか?」ではなく「投下します」。投下宣言が被らない限り、許可はいりません
・投下する人は最後に「終」「完」「了」など、投下完了の合図をお願いします
・名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』 (例:『BNSK(お題:文才) 1/5』)を書いて下さい
・まとめる際にコピペがしづらいので、メール欄は空にして投下してください。
・作品を投下する際は、テキストエディタで仕上げてから、完成品をまとめて投下して下さい

▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい

▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・落ちた場合は立てられる人が新スレを立てて下さい。人がいる時間を目安に

▽その他
・通常作品でもトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:51:45.06 ID:wEZMwIB20
▲週末品評会
毎週木曜日の夜〜土曜日の午前中に、お題が出されます
作品は土曜日の0:00から日曜日の23:30までの間に投稿してください
その後それぞれに評価をして頂き、月曜日の0:00から火曜日の24:00まで投票を受け付けます

▽作品投稿
・ジャンルは自由、時間を過ぎての投稿も選考外ではありますがまとめサイトに掲載します
・スムーズな流れを保つため、メモ帳等の機能を使って全部書き終わってから投下するようにお願いします
・優勝時の本人確認のため、週末品評会参加者は出来れば酉を付けて下さい(酉は名前欄に#と自由な文字列)
→毎回同じコテや酉で出続けると周囲にわかりやすいです
・作品のタイトルは現在レス数/総レス数、酉を除いて、全角二十文字以内にしてください。

▽締め切り間際の作品投稿について
週末品評会では、投下締切時間の間際に集中的に投下が起こります。
それを無管理で放っておくと大変な事になるので、23時から「予約」という形を取り、運営の指示に従って順番に投下してもらいます。
予約締切は23:30で、以降は時間外の扱いになります

▽投票
・本スレへの書き込みでお願いします(複数選択可)
・ぜひ書き手の方も他の人への感想や投票を行って下さい
・簡単でよいので、感想、批評等書いて下さい。書き手の次への糧になります!
・投票は投票用テンプレを使うか、【投票】と書いて書き込んで下さい

▽優勝者特権
・投票で一番支持を得た作品の作者の方には、次回品評会のお題決定権が与えられます
・投票数が同数の場合は、気になった作品の投票数の差で決定します
・お題の発表時間は優勝者に一任されますが、遅くても土曜日の午前中には提示して下さい
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:52:19.33 ID:wEZMwIB20
445 名前: ◆p/2XEgrmcs [] 投稿日:2008/02/21(木) 20:45:14.50 ID:/ev5tHQd0

梶井基次郎の『ある心の風景』。
ハンス・ベルメールの関節人形。
ペイヴメントの『サマー・ベイブ』。
安永知澄の『やさしいからだ』。
ルイス・ブニュエルの『昼顔』。

これらのように、「それ」が鮮やかに描かれているものを見せてください。


第九十九回週末品評会:お題『からだ』


規則事項:4レス以内。平仮名だけど、あくまでボディとしての『からだ』ね。
投稿期間: 2008/02/23(土) 00:00〜2008/02/24(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外になります。
投票期間: 2008/02/25(月) 00:00〜2008/02/26(火) 24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票してくだせえ。
※それ以外の方の投票、感想の投下も大歓ゲイ。
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:54:10.20 ID:6NkA78Q80
おつおだいくれ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:55:21.57 ID:9wyC3kTJ0
すぐ落ちる○○
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/22(金) 23:58:05.52 ID:sLm0YwYC0

三日落ちか
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:05:37.43 ID:7waPtvqG0
>>1乙です
もう三日経ったのね
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:14:28.79 ID:YcASGhNA0
>>1

>>5
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:19:47.98 ID:un7FsxWA0
前スレで忘れ去られた二人のこと、時々でいいから思い出してください
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:25:01.86 ID:7waPtvqG0
前スレ『かにクリームコロッケを作ろう』を読んだ。

主人公の風貌というのがいまいち掴めなかった。
あからさまに怖そうなのに、話しかけると子供も泣き止む。そんな知り合いはいないから。
でまあ、なんていうか、カニ缶を買えばいいよね。
あと、カニを一杯買うんじゃなくて身だけとかでもいいよね。
ようするにまさにフィクション。
主人公への忠告としては、風貌よりも口調だよね、問題は。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:25:43.07 ID:/DjRpATAO
乙です
新海誠ってすごいっすね!
13お題「罪悪感、かあちゃん」:2008/02/23(土) 00:27:05.60 ID:rnOiz86l0
昨日の十時ごろに投稿した者ですが、レス返ってきたか誰か知ってますか
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:28:08.48 ID:un7FsxWA0
>>13
かえってきてないよ
15お題「罪悪感、かあちゃん」:2008/02/23(土) 00:28:47.17 ID:rnOiz86l0
>>14
ありがとう
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:31:11.03 ID:rnOiz86l0
じゃあまたなんか書きたいのでお題プリーズ
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:37:11.33 ID:igpL/zQh0
キャラクタリズム


無い言葉だけど
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:40:23.38 ID:doK9ljYh0
>>13
あの小説ですか。
読みましたが、面白かったですよ。忙しくて感想書けんかったので許して下さい。

私にもお題下さい。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:43:50.75 ID:rnOiz86l0
>>17
なんだよキャラクタリズムってwww

よし、書いてくる

>>18
thx!
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:44:18.20 ID:7waPtvqG0
>>13
という事なので読んだ。
疑問を抱えながら読み進めて、疑問を抱きながら種明かしらしき物が示されて、
そして新たに疑問を生じさせて終わった感じ。
結局誰に殺されたの?

>>18
両手に花
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:44:24.76 ID:Y49UboHE0
お題下さい
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:44:28.21 ID:un7FsxWA0
>>11
フィクションだからな。あんな人が居たらいいなあと思って書いていた
実験的には時間と場所の変更を繰り返してみた。普段は時間も場所も動かないから
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:45:10.23 ID:doK9ljYh0
>>20
把握しました。お題感謝。
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 00:48:24.94 ID:rnOiz86l0
>>20
読んでくれてありがとう。

殺人事件の方は特に深く決めてないんだ。
とにかくなんらかの経緯で母親が犯人に殺されてしまって、
息子は自分だけ助かってしまった事に罪悪感を抱いてた―――って感じにしてみた。
しかし読み直してみるとそういう描写が少ないかも。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 01:18:16.27 ID:jLcXSQAm0
>>13 読みながら書いてみた

>電子音が暗い部屋に響いた。
小説に夢を出すのはあまり好きじゃないんだよなあ・・・と、ここでちょっとがっかり。
よほど上手く使わないと陳腐になるんだぜ。
しかしまだ序盤、ここから巻き返してくるかもしれん。とりあえず読み進める。
>私はまたこの夢で目が覚めた。
>しかし、それも今日で終わりだろう。
お、ミステリーか。wktk
>その風貌に心臓が締め付けられる様な気分が心を襲った。
くどいかな。前の二行といい、ちょっと大げさな気が。違和感ってほどでもないが。
>「誰ですか」
む? なんだなんだ。
>墓の前で、私は真っ赤に輝く夕日に染められていた。しかしそれも今日で終わってしまう。
これ三人称じゃね? 赤く染められる自分は、自分では見えない気がす。
>私が死んでしまい
( ゚д゚)
>私は最後に息子にも伝える事が出来たのだ。
>愛してる、と。
え、えええ? 終わり?
一レス目で本当に何があったのかわからんwww

何か途中がすっぽり抜けてる感じ、二レス目と三レス目の間にもう数レスありそうな。
事件の概要、主人公と息子がどんな親子だったか、など必要な情報が足りなくて置いていかれた。
文章はちょっと推敲すれば良くなると思う。
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 01:33:26.80 ID:LkZLdBEM0
>>24
そういうことなら一言。

『簡単に人を殺すな』

よく考えてみてください。
で気になるのは、「息子が助かったことに罪悪感を抱いてる」ってことだけど、
>私が死んでしまい、その理由となった息子の〜
これを見る限り、母親が死んだ理由は息子にあるんじゃないの?
俺の思考としては、
息子が殺した→息子を産む時に母親が死んだ→それで疎遠になって祖父が孫の顔を知らない
っていう風に流れていったんだけど。まあ、1レス目がどうにもそうはならないから違うとは思ってたんだけど。
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 01:34:49.14 ID:LkZLdBEM0
ああ、なんか規制喰らったんでID変えてるけど>>20です。
では失礼。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 01:51:49.10 ID:HcwnuDoj0
おみくじ
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 01:58:43.90 ID:Y49UboHE0
>>28
多謝。書いてきます。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:29:21.88 ID:RTdJ2rI70
保守という名の病
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:39:21.09 ID:EVrJTWfg0
みんなはどうしているのか聞きたいんですけど
実際の会話にはない台詞を書くときってどう書いていいか迷います
例えば

「君は実に面白いな」
 その男の言葉は、彼には、
「君は実に馬鹿だな」
 と言われているように思えた。

と書く方がいいのか

「君は実に面白いな」
 その男の言葉は、彼には「君は実に馬鹿だな」と言われているように思えた。

の方がいいのか
それとも、そもそも鍵括弧は使わない方がいいのか
自分は下のパターンで書くのがしっくりくるんだけども、みんなはどうですか?
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:43:02.00 ID:NBK9ou330
>>31
下の方がいい。というか上は駄目だろう。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:45:21.21 ID:HcwnuDoj0
下の方がいい気がする
というか、どっちも悪文すぎないか
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:54:42.78 ID:EVrJTWfg0
>>32
やっぱりそうだよね、ありがとう
>>33
だって文才ねーんだもの(´・ω・`)
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:57:49.32 ID:RTdJ2rI70
奇遇だな
どういうわけか俺にも文才がないんだ
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 02:58:12.53 ID:DThtDFAF0
>>34
それより、『彼には』を削ろうぜ。
必要ないし、そのまま読むと「彼」が「その男」を指してるような感じ。考えりゃわかるけど、読者に考えさせる部分でもないだろうし。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 03:02:27.39 ID:0oWmzKq20
「君は実に面白いな」(彼には「実に馬鹿だな」と聞こえている)
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 03:03:00.15 ID:EVrJTWfg0
>>36
あ、そうだね、ごめんなさい
今書いてるので「彼」って呼び方と「男」っていう呼び方で統一されてるキャラがいたから、そのまま書いちゃった
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 03:30:55.81 ID:/DjRpATAO
 今おれの腕の中に、ほのかな熱を帯びた生まれたての命が抱かれている。
 まだ少ない柔らかい髪の毛、真っ赤な頬、小さな手……、
おれにとっては全てがいとおしく思われる。
「よくがんばったな」
 妻に労いの言葉をかけながらも、おれはおれの胸で眠る赤ちゃんから目を話せなかった。
「ふふ、あなたに似てるわね。鼻なんかそっくりよ」
 言われてみればよく似ている。なんだか無性に嬉しくなった。
「実はもう名前も決めてあるんだ。
これからはお父さんとお母さんと三人で仲良く暮らしていこうな。保守子」
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 03:58:01.32 ID:NBK9ou330
 それから保守子は、見る見るうちに成長した。
病院から自宅に移り、二日目には「離乳食は勘弁」と言った。
三日目には一人漫談をしていたし、四日目には彼氏が出来たといって、男を家に連れてきた。
 おれはそんな娘の成長を嬉しく思っていたが、同時に寂しさも感じていた。
『保守子』そう名付けたのはおれだ。妻の反対を押し切って、半ば強引に決めたのだ。
 結婚した時には妻を一生守ってやろうと誓った。そしてこの子を抱いた時、おれは込み上げて来る
感情そのままに、この子を一生守ってやろうと決めたのだ。だから『保守子』と名付けた。
 その保守子が男を連れてきた。もう守ってやるのはおれの役目ではない。
「あなた……」
 妻の手が俺の顔に触れた。知らない内に涙を流していたらしい。
「なあ、題子。おれはどうしたらいいのかな」
 妻はまるで保守子をあやすかのように笑った。
「あなたにはまだ守るものがあるでしょう?」
 そうだ。
 おれにはまだ守るべきものある。
 キスをせがむ妻の額に口づけをして、おれはパソコンの前へ行った。
 やれやれ。思った通り、どうやらおれが守らなければどうしようもないらしい。
 隣の部屋から保守子の喘ぎ声が聞こえた。おれは溢れ出そうになる涙をこらえながら書き込みボタンを押した。
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 04:02:43.32 ID:0oWmzKq20
全10レスにわたることを予想し、猿
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 04:05:25.69 ID:/DjRpATAO
てめぇ!
おれの保守子はボクっ娘で眼鏡っ子でコンバースのスニーカーが好きで、
ラクロス部に入ってて休みの日はおれとキャッチボールして過ごす
そんな女の子になる予定だったんだぞ!
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 04:52:35.17 ID:IUkPZt0a0
品評会始ってると信じて投下します。

2レス
44ある事件と俺の悪夢1/2 ◆CFP/2ll04c :2008/02/23(土) 04:54:19.84 ID:IUkPZt0a0
 俺は「からだ」のことを考えるとき、ある事件のことを思い出さずにはいられない。
 人間は心と体どちらが主なんだろうか?

 その事件とは、数年前の夏、ある地方の専門学校生が、思いを寄せていた同級生を
絞殺して死体を犯し、山中で首を吊って自殺したというものだ。
 彼は理性で自分の欲望が抑えることができず、体が命ずるままに何の罪もない彼女を
害した。
 彼女が絶世の美女であるかというと、テレビや新聞で見た彼女の顔は、ある程度の水準
にはあったが、まだ幼さが抜けきらず、どこにでも見られる普通の女の子だった。
 白昼の教室で彼女と二人きりになった時、彼は犯行に及んでいた。
 それ以前に彼は、彼女になんらかのアプローチをしていたのだろうか?またその日教室で
愛の告白のようなものはあったのだろうか?
 ともかく彼が、彼女に襲いかかったことだけは、動かしがたい事実である。
 ビニール紐で彼女を縊り殺した彼は、彼の体の欲するがまま、彼女の死体を凌辱していた。
 ついさっきまで彼と会話をしていた彼女の死体。
 おそらく、彼女の顔には苦悶の表情が浮かんでいたであろう。いや、そんな生易しい言葉
では表現できまい。歯を食いしばり、口の端から血は流れ、目は飛び出さんばかりに、自分の
生命の火を消そうとする者を、ありったけの憎しみをこめて睨みつけていたはずだ。
 胸を掴んでも、性器に触っても、彼女は何の反応も示さない。前記のとおり凄まじい形相を
している。おそらく彼女の排泄物で、そこらじゅう汚れていただろう。
 それでも彼の体は目的を達成していた。この事実に俺は慄然としてしまう。その行為の最中
彼を突き動かしていたのは、頭なのか体なのか?
 彼の体が果ててしまった後、主導権を取り戻した彼の頭は、なにを思ったのだろうか。
 やっと想いを遂げられた満足感。なんてことをしてしまったのかという後悔。
 たぶんこれは後者であろう。後の彼の行動を鑑みると、俺にはそのように思われる。
45ある事件と俺の悪夢2/2 ◆CFP/2ll04c :2008/02/23(土) 04:55:39.27 ID:IUkPZt0a0
 彼は、彼女の死体を教室に残し、扉に鍵をかけて逃亡する。自分の死に場所へと向かって。
 そう遠くはない山の中で、縊死することを彼は選んだ。その場所は彼にとって、どんな思い出
があるのか俺にはわからない。
 事件の日から十数日後、彼の死体は発見された。真夏ということがあり、ロープにぶらさがって
いたはずの、腐りかけた彼の体は、自らの重みに耐えきれなかった。頭と体が分離したまま、地面
に横たわっていたという。
 彼も死後に自分がそんな姿になるとは、思っていなかったのでは無かろうか。
 この象徴的な光景を想像すると、俺にはそこに、とても重大な何かが、隠されているような気が
してならない。

 以下は俺の悪夢――

 緑が生い茂る山の中、あたりは蝉の声で満たされている。太い木の枝に垂れ下ったロープ。地面
には頭と体が別々に転がっている。
 突然、ムクリと体が起き上がる。首から上はない。蝉の声はピタリと止む。緑の中をしっかりと
した足取りで体が歩き出す。頭はそこに残したまま、体は山を下りて行く。
 農作業をしている初老の女。体は彼女に音もなく近付き、背後から首を絞めあげる。倒れた女に
体が覆いかぶさる。幾度か律動した後、体は立ち上がる。初老の女はピクリとも動かない。
 頭のない体は再び歩き出す。前方にはランドセルを背負った少女。体は少女の首を絞め犯す――

 いまだに体は俺の夢に出てくる。出会った女を片っ端から、縊り殺し、犯している。
 俺の中にそのような衝動が眠っていないか、最近自信が無くなってきた。

                完
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 04:56:43.93 ID:IUkPZt0a0
以上です。ありがとうございました。
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 05:49:44.67 ID:RTdJ2rI70
たもつ
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 06:39:46.70 ID:U2T1dwtJO
「私には、もうこれしかないんだ」
彼はそう言うと服を脱ぎ、橋から飛び降りた。
あわてて駆け寄り、私は橋の下をのぞく。
そこには大きなエンターキーが浮かんでおり、彼はそれにゆっくりと降りていく。
カチリ、と彼の身体があたり、その後水の中へ消えた。
後ろで音がして、振り返れば花火があがっていた。
色鮮やかな、保守の二文字。
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 06:58:41.45 ID:3l2+q2d7O
品評会がいつの間にか99回を迎えていて感動した。
二年弱かぁ。
作品集めて本にできそうだ。
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 07:35:58.38 ID:HSb5hnup0
ちょっと計算してみた。

品評会回数*平均参加人数*平均レス数*30行*横50文字=推定総文字数
100*30*4*30*50=18000000
文庫1ページの文字数
38*16=608

推定総文字数÷文庫1ページの文字数=合計ページ数
18000000÷608=29605.2632

合計ページ数÷文庫ページ数(400ページとする)=冊数
29605.2632÷400=74.013158

答え 74冊。

確かに最初の数字はちょっと多めに見積もったかもしれない、
それにしたって多すぎるw
きっとどこかで計算を間違えたんだろう。そうにちがいない。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 07:36:09.15 ID:h/tsPMEgO
うんこはたくさん集めてもうんこですよっと

スレタイ読めない人たちがいるからうんこの山ってわけじゃないけどさ
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 07:40:28.80 ID:h/tsPMEgO
>>50
通常作を足すとどうなるんだろうな
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 08:05:42.06 ID:IdmCXG1F0
小説って大変だよな、ぱっと文面を見ただけじゃ作品の雰囲気や作者の思想ってつたわらないし。
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 08:18:04.19 ID:RTdJ2rI70
うんこをたくさん集めれば
ダビデ像だって作れるかもしれないじゃない

人は寄ってこないがな
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 09:55:01.32 ID:OzHbcgrv0
通常を足すと300冊超えるぜ
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 09:58:32.49 ID:HSb5hnup0
よくよく考えると全感するってことは、薄い文庫本読むのと同じぐらいのことをしてるんだな。
さらに感想文まで書いてるんだから、それなりの効用がありそうだ。
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 10:17:23.95 ID:YhcaWt3e0
いっそのことつくっちまえばいいじゃんねえかと思う、保守
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 10:35:25.47 ID:HSb5hnup0
>>57
がんばれ、言いだしっぺ
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 10:37:43.19 ID:OzHbcgrv0
歴代一位だけ99話入れました
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 10:48:08.14 ID:TlA3BMeR0
全感してみると、これはイチオシだなと思った話ほど優勝してない不思議
俺のマーケティング能力オワッテル\(^o^)/
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 10:49:42.74 ID:OzHbcgrv0
KYだな
62ジゼルとルネ 0/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:25:30.14 ID:HSb5hnup0
やっと書けたー
品評会投下します。2番目かな?
63ジゼルとルネ 1/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:26:01.00 ID:HSb5hnup0
 世界の基準となる場所に、その女は立っていた。
 夏でも少し肌寒いロンドン郊外テムズ川河畔、緑の丘に位置するグリニッジ天文台から眼下に広がるグリニッジパークに
設営された選手待機場所で、その女は緊張した面持ちでモニターを眺めていた
 女の名前はジゼル・クプル、イギリス人。歳は二十代半ば、鮮やかな金髪を短くそろえ、
きっちりとした黒の燕尾服を華奢な体で着こなす。彼女の隣には引き締まった体躯を持つ褐色の馬がたたずんでいた。
 ジゼルはモニターを見つめる。モニターには軽快にバーを飛び越える人と馬が映っていた。
「ルネ、後少しだから……がんばろうね」
 ジゼルは画面から目を離さずに、隣に立つ馬を撫でる。ルネと呼ばれた栗毛の馬は小さく啼き返事を返した。
 今日は二〇一二年八月十日、ジゼル達はロンドンオリンピック馬術・障害飛越の決勝ラウンド出場者である。
 ジゼルは既に行われた決勝ラウンドAを振り返る。今日は本当に調子が良い。ラウンドAはノーミス、タイムもトップ。
次のラウンドBで同じように演技ができれば金メダルに手が届く。
 ジゼルの本来の実力ならば手の届くはずのないメダル、それでも今日の彼女は絶好調であり自信もあった。
他の選手権では一度も勝てたことのない相手さえ、今日は怖くない。
 最終演技者であるジゼルは、自分の番までモニターで他選手の演技を眺めていた。人によっては、自身の演技に集中するために、
他の演技を見ない者もいる、むしろそういった選手の方が多いかも知れない。けれどもジゼルは、時間があればモニターを眺める。
どうせ会場に出れば、電光掲示板や、観客の声でわかってしまう。それなら余裕があるときに知っておいた方が良い。それが彼女の持論だった。
 白に近い灰色の馬を引いた背の低くい男が、背後からジゼルに声をかけた。
「さきいくね」
 軽い調子のその男は、リック・オッド。同じ英国代表の先輩であり、国内王者、そして今回、最大のライバルである。
引かれる葦毛の馬は雄々しくゆっくりと歩いていった。彼らはジゼルと同じくラウンドAでノーミス、タイム差でジゼル達が
少しばかりリードしてはいたが、世界大会でも優勝した経験のある彼らは、普段ならば到底敵う相手ではなかった。
「はい、がんばってください」
 ジゼルが答える。声が少し震えていた。
「今回はチャンスだな。金と銀を俺達が取れそうだ」
 ジゼルは黙って頷く。その通りだった。テロ対策の影響か、他国の馬達はストレスを溜めていた。
それに引き替え、大した輸送も無く地元での参加であるジゼル達の馬は平常通り、始まる前からかなり有利な状況だった。
「俺が金メダルを取るから、そっちは慎重に銀を狙ってくれ。じゃあな」
 飄々とした様子のリックを見送る。あの人は緊張とかは感じないのだろうか? いや、無理をしているのかもしれない。
ジゼルは、リックの気持ちを想像した。それは自分の心を落ち着かせる為でもあった。
64ジゼルとルネ 2/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:26:33.10 ID:HSb5hnup0
「リック・オッド選手、三十六歳、イギリス。馬はエアスドール号、セルフラン種、葦毛、十歳」
 リックの番が来た。ジゼルはじっと画面を見つめる。彼らの結果によってジゼル達の走り方が大きく変わる。
失敗を願うわけではない、それでもジゼルは複雑な気持ちでモニターを見つめていた。
 会場は静寂に包まれる。馬術競技では、演技中の歓声は無い。観客たちは、じっと演技は始まるのを待っていた。
 リックが馬の上から審判に敬礼、それが準備ができたことを告げる合図である。審判がスタートの指示を出し、リックとエアスが駆けだした。
大きな馬体が軽々と、ひとつ目の障害を飛び越える。徐々にスピードを増し彼らは次の障害へと向かった。
 軽く前足が振り上がる。すぐさま後ろ足が地面を蹴って、バーを超えた。騎手が落ちるのではないかというほどの前傾姿勢をとり、
前足から着地する。グレイの尻尾が上下に揺れた。既定のカーブを周り、障害を跳び超える。五百キロ近い体重をまったく感じさせない
跳躍、灰色の馬体を大きなゴムまりのように跳ね上げ、続く障害をクリアしていく。
 美しい。ジゼルは画面越しの演技に感動していた。人馬一体、馬術の理想とも言えるその言葉を体現するかのような彼らの演技に、
ジゼルは自分が競技者であることを忘れる程に心酔していた。
 リック達が六つ目の障害である壁を超えた。残る障害は九つ、彼らはここまでノーミスで来ていた。
 箱庭のようなせまい会場の中を必要最低限の減速で曲がり、連続する七つ目と八つ目の障害へと走る。
前の障害を超え、軽やかな着地。馬に乗るリックが次に迫る障害に目を向け、エアスが跳ぶ。宙に浮いた馬体、前足が地に着く直前、
残された後ろ足が障害に当たる。バーが落ちた。引っ掛けた! ジゼルはまるで自分が落としたような気分になりショックを受ける。
 エアスはかすかにバランスを崩したが、騎手であるリックが静かにそれを整え止まることなく次の障害へ走る。
 残る障害を失敗など無かったかのように優雅に跳び越え、リックとエアスは最後のバーを超えた。
ストンと音が聞こえるような綺麗な着地。右手を上げたリックに答えるように、会場から盛大な歓声が湧き上がった。
 リック達はバーを落としたことによる減点が四。タイムは九十三秒一三。残された演技者はジゼルのみ、
現在までの演技者は皆、二本以上のバーを落とし減点は八以上、リックの銀メダル以上獲得が決まった。
 待機場所まで届く歓声を聞き、ジゼルは観客から演技者へと思考を切り替える。金メダルを取る為にはノーミスもしくは、
減点四でリック達より上のタイムを出せば良い。リック達の出したタイムは、そこまで早いものではない。
リックの乗るエアスはセルフラン種、従順で馬術に向いているが体が少し重く、タイムは出にくい。
サラブレット種のルネならもっと速く行けるはず、気を付けるのはミスだけだ。
 ジゼルはルネを撫でながら、今までの思い出を振り返っていた。
 友人に誘われて乗馬クラブに行ったとき、競馬を引退したルネに出会ったこと。どんどん馬術にのめり込み、それからずっと一緒だった思い出。
大会で入賞するようになって、サラブレット種ではなく馬術に向いた血統の馬を進められたこともあった。
それでも私はルネと一緒にここまで来た。ジゼルは黒いメットを被り、のど元でしっかりとテープを止めた。スイッチが入る。
「行こう、ルネ」
 ジゼルはルネの手綱を引き、会場へと向かい歩き始めた。
65ジゼルとルネ 3/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:27:01.70 ID:HSb5hnup0
「ジゼル・クプル選手、二十四歳、イギリス。馬はルネクロスアニー号、サラブレット種、栗毛、十ニ歳」
 会場のアナウンスがジゼルとルネの名を告げる。ジゼルはルネに跨り審判に敬礼、審判からスタートの合図を貰う。
ジゼルは足に力を込めルネの馬腹を軽く圧迫する。それが前進の命令となり、ルネは駆け出した。
 一つ目のバーを跳ぶ、着地の衝撃が鞍を伝わりジゼルの体に響く。ジゼルは右に手綱を開き、ルネの右旋回を促した。
問題はない、緊張も……。今日は本当に調子が良い。ミスすることなんて考えられない、イケる!
 二つ目の障害を跳ぶ。ジゼルの目に一瞬、空が映る。鞍、手綱、そしてルネの息遣い、ルネから伝わる感触がはっきりとわかる。
静かだった。いつもなら観客の囁きが耳に入るのに、今日は聞こえない。耳に届くのものは、ルネの吐息、足音、鼓動、脈動、
骨の軋む音もわかる。次に跳ぶべき障害を見るジゼル。ルネの視界がわかるように感じられた。
 ジゼルの感覚から必要の無い情報が削ぎ落とされる。世界はくっきりとそれでいてモノクロに、ルネの微細なタテガミが一本一本
はっきりと見えるぐらいに、ジゼルの目は研ぎ澄まされていった。
 三つ目、四つ目、障害を超える。どのタイミングで手綱を引けば良いか、どのタイミングで膝の力を抜くか、どうすればルネの
跳躍を邪魔しないか、ジゼルはルネが体中から発する極小の情報を五感全体で集め、自身を媒介にルネを操る。
 五つ目。振り上げた前足、地面を蹴る後ろ足、障害の上を飛ぶ感覚、ジゼルはルネの感覚と一体化していた。
わかる。はっきりとわかる。前足の筋肉、クビのスジ、後ろ足の蹄が地面に食い込む感触、全部わかるよ、ルネ!
 ルネが六つ目の壁を越え、ジゼル達はリックがミスをした連続障害へ向う。それでも何一つ不安は感じていなかった。
 ここ。ジゼルの思いに答え、ルネが跳ぶ。着地すると同時に次の障害。前足が軽く地面を蹴り、上がる。引いた手綱をすぐにゆるめ、
後から蹴り上がる後ろ足を待つ。前後の足が地面から離れ、宙に浮く。ジゼルはルネの負担にならないよう背のスジに沿って体を合わせた。
 ノーミス。リック達の失敗した障害を越え、ジゼルは勝ちを確信する。それでも集中は途切れない。
 九つ目、何の問題も無く跳び、何の問題も無く超える、そうなるはずだった。障害を超えたルネがカーブを曲がる。
そのときジゼルは感じた、ルネの右後ろ足、付け根の辺りにある違和感を。ルネ? ジゼルの違和感を振りはらうようにルネは走り続ける。
競技は続く、次の障害が目の前に迫っていた。跳べた。けれど、感じた。ジゼルはルネの足から一瞬の痛みを感じていた。ほんの些細な痛み。
 ルネ? イケるの? 大丈夫? ジゼルの疑問、それに対するルネの答えが今日のジゼルにはわかった。イケるのね?
 残る障害は五つ。三十秒に満たない我慢をすれば、金メダルに手が届く。馬のルネにとってそれは何の意味も持たない物だろう。
それでもルネは走る、今日のジゼルにルネのことがわかるように、ルネにとってもジゼルが望んでいた物がわかるのかもしれない。
 ルネ、跳ぶよ。バーを超える。ジゼルはルネの前足に負担がかからないように少し前に体重をかけた。それでもルネの痛みを感じる。
あと、四つ。それだけ跳べば終わる。金メダル。ルネと一緒に。ジゼルとルネは目の前の障害を跳び超えた……。
66ジゼルとルネ 4/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:27:40.97 ID:HSb5hnup0
 
 観客達がざわめいていた。何をしているんだ? あと三個だぞ? さっきまでの奇跡的な走りはどこへ?
何で……いったいどうして止まってしまったんだ?
 ジゼルとルネは障害の前で止まっていた。審判から減点が言い渡される。けれど、それはジゼルにとってどうでも良いことだった。
ジゼルは下を向き俯いたまま、障害に目もくれず審判の方へとルネを動かす。ルネは何が起こったのかわからないそれでもジゼルに従った。
 ジゼルが審判に告げる、馬の脚部に違和感を感じ棄権するということを。そのままジゼルはルネから降り、手綱を引いて待機場所へと戻った。
 何のことだか理解できない観客達の不満の声が、ジゼルの耳に届く。それでもジゼルは気にしなかった。
 ルネを所定の位置に連れていき、獣医を呼んだジゼル、彼女はルネのクビに顔を押しあて泣いていた。
「ごめんね、ルネ……ごめんね……」
 ルネの脚部、その違和感は極々初期、ニ週間も休めば特に問題も無く治るようなものだった。
乗り方が悪かった訳でもなく、厳しく使い過ぎた訳でもない。たまたま今日この場で芽生えた、運の悪い小さな小さな怪我だった。
 ジゼルが普段の調子だったら気付かない違和感。皮肉なことにジゼルの集中力が極限まで高まってるからこそ気付くような
本当に些細な物だった。
 そのまま競技を続けていても問題は無かったであろう怪我、それでも今日のジゼルには耐えられなかった。
これが自分の体なら耐えられる。多くのアスリートが望むように、メダルを手にすることができるのなら体などどうなっても良い、
ジゼルはそう考えていた。けれどルネは別だ。自分に馬術の楽しさを教えてくれたルネ、そのルネの体の痛みに耐えられなかった。
 人馬一体、その理想の言葉が軽く感じるぐらいに、今日のジゼルはルネの体のことを感じていた、自分の体以上に……。
 ジゼルは泣いていた。それでも後悔はしていない。またチャンスが来るかもしれない、そのときに頑張れば良い、そうだよね、ルネ?
 会場の方から拍手と歓声が響いた。表彰式でも始まったのだろうか。それにはまだ早い。勝者のリックはまだ待機場所にいる。
会場の方から走ってきた係員が、ルネのクビ抱きつくジゼルに伝えた。あの歓声はあなたのものだと。
 ざわついていた会場に、審判から説明のアナウンスが流れると、罵声は歓声に変わり、大きな拍手の渦が巻き起こったという、
メダルではなく、パートナーを大事にするその心に、ジゼルとルネ号に対しての歓声が上がっていると顔を紅潮させた係員が説明した。
 ルネのクビに抱きついたジゼルは泣いていた。どんなメダルにも変えることのできない、心からの暖かい歓声を聞きながら……
67ジゼルとルネ 5/4 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/23(土) 11:28:12.38 ID:HSb5hnup0
以上です。
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 11:33:16.31 ID:vnLSZqmO0
おっつー
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 11:43:58.88 ID:OzHbcgrv0
横に長い同盟に入りませんか?
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 12:09:22.88 ID:OzHbcgrv0
どうしても横に長くなって他の人から読みづらいって言われちゃう同盟に誰か入りませんか^^
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 12:10:09.53 ID:un7FsxWA0
いや、短くしようよ横幅五十以上は読みにくいよ実際の本見てみろ
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 12:15:59.33 ID:OzHbcgrv0
横長同盟って四字熟語っぽくするとかっこいいですよね^^;
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 12:32:03.19 ID:THj0oG7y0
品評会作品は制限レス内に入れば55文字で書く
入らなければ限界ギリギリまで使う
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 12:53:32.60 ID:HGXCGsOLO
いいネタ思いついた時に限って
時間がない
バイト入れすぎた(^O^)
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 13:18:26.59 ID:hAdGxtoV0
>>74
毎週金土日バイトだけど頑張って品評会出してる奴もいる
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 13:30:58.18 ID:KFRSOambO
ネトラジとかで小説
放送したら面白いのでは?
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 13:39:14.40 ID:OzHbcgrv0
明らかに企画倒れ
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 13:47:35.21 ID:ov4XrAAB0
明らかに発想がバカ
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 13:48:30.79 ID:KFRSOambO
やっぱり
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 14:20:50.29 ID:un7FsxWA0
明らかに言い過ぎ
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 14:31:46.64 ID:OzHbcgrv0
あえて言おう、カスであると
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 14:34:15.38 ID:8BNyXtiz0
文才無いけど小説ラジオというのがあってだな
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 14:38:02.08 ID:TlA3BMeR0
文才無いwwwけどwwww小説wwwラジオwwwwww

スレタイ、VIP文芸部にかえちゃおうぜwww
84キモくてブザマな勘違い童貞1 ◆vW6rJnsmFg :2008/02/23(土) 14:56:08.34 ID:GzlNZ6vJ0
典中殺
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 15:04:14.11 ID:/DjRpATAO
 ボクの体は誰のものだろう?
 ちっとも膨らまない胸の奥に詰まった心臓は、
彼と話すたびにどきどきして止まらなくなる。
 ラクロスをしているときだって、ちっともボクの思う通りに動いてくれない。
 ボクが死んじゃってもボクの体は消えてなくなるわけじゃない。
 ボクの体はいったい誰のものなんだろう?
「保守子ー、ご飯だよー」
 お父さんの声だ。
「はーい、いまいくー」
 返事をしたら、ボクのお腹がぐうと鳴った。
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 15:39:22.71 ID:dY+IjwQAO
いつも思うがここのスレタイの文才のなさは異常
ブラウザゲースレくらい遊べないんだろうか?
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 15:40:19.86 ID:vnLSZqmO0
>>86
文才無いから仕方が無い



こういう反応が欲しかったんだろ?
88品評会『浮き』0/4 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:46:41.99 ID:yK5//TvW0
品評会作品投下します。
レス数は4です。
89品評会『浮き』1/4 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:47:16.16 ID:yK5//TvW0
 最近、体が宙に浮くようになった。
 とうとう自分がおかしくなってしまった、と一瞬思った僕だったが、どう見ても五センチほど浮いていた。その浮ける高
さは日が経つにつれ高くなっていき、今では一メートル上空(といってもたった一メートル)まで自在に浮ける。
 この状況に最初は戸惑った僕だったが、一ヶ月もすると慣れっこになっていた。とはいえ一欠けらほどの違和感は残って
いたのだが、ある日、窓から外を見ると他に浮いている人を見つけた。同じような人が居る事を知り、僕は安心した。
 さて、それから別の日、僕が二階の窓から飛び出して町の上空を散策していると(二階の窓から出れば高度を維持したま
ま浮く事が出来る)、浮き仲間のジョンスーと出会った。ジョンスーはこの道に関して匠の領域で、こちらがハラハラする
ほどアクロバティックな浮きを披露してくれる。また、浮き仲間の事についても非常に詳しい。
 僕がそのジョンスーを見て「おっ」と思ったのは、その日のジョンスーの隣に、見た事の無い女の子が浮いていたからだ。
「見ない顔だね。新人?」
 僕の言葉に、ジョンスーは人懐こい笑顔で頷く。
「そうさ。青トンボにも紹介しておこうと思って」
 青トンボとは僕のニックネームである。浮き仲間はみんな本名を名乗り合わない。そうする事で、一種の非現実感を味わ
えるからだろう。考えてみれば、浮き仲間はみんな現実を嫌っているような所があった。
「そうなんだ。よろしくね、新人さん。何て呼べば良いのかな?」
「は、はい。私は、栞って呼んで下さい。よ、よろしくお願いします」
 と、彼女は言いながらペコリと、そのまま一回転しそうなほど頭を下げた。
 それから、ちょっと困ったような視線をそこしかこに漂わせる。初浮きで不安なのだろう。そんな彼女の様子が微笑まし
く、可愛らしかった。僕の彼女に対する好感度はうなぎ登りだ。
「栞さん、か……。まさかと思うけど、本名じゃないよね?」
 新米が現われると、名前に関してジョンスーが事前に説明する。だから大丈夫だとは思うのだが、しかし、『栞』という
名前はわりと実際ありそうな名前だ。もし本名ならマズイ。何がマズイかと言われればハッキリ答えられないが、とにかく
マズイ。ここは空の上であって、地上世界では無い。例えば剣と魔法のファンタジー世界で、登場人物が「山田浩介」とか
「佐藤達郎」とか、サラリーマンみたいな名前だったらダメなのだ。
「いや、栞さんは本名じゃないらしい。それより新人とは別に、もう一つニュースがある」
 と、栞さんの代わりにジョンスーが言って、神妙な面持ちをこちらに向けた。
「まだ、何かあるの?」
 ジョンスーの深刻そうな顔を見て、不吉な予感が胸を過ぎる。
「実は……、錦が落下死した」
 一瞬、時間が止まった。
90品評会『浮き』2/4 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:47:42.66 ID:yK5//TvW0
「……落下死?」
 僕は愕然として、自分の耳を疑った。なんでまた、落下死なんて……? 浮く事は呼吸するぐらい簡単だ。たとえ落下し
たとしても、その途中でまた浮けば良いようなものの……。
「どうして……?」
 無意識に、僕はジョンスーに聞いていた。しかし、ジョンスーは首を横に振る。落下死した理由はよく分かっていないら
しい。そりゃそうだ。落下なんて、呼吸の仕方を忘れて窒息死するぐらい有り得ない。
「……自分の家の庭に落ちたんだそうだ。窓から浮きに出ようとしてそのまま落ちたらしい。……大方、寝ぼけてたんじゃ
ないか?」
 僕は一応、なるほどと頷いた。とはいえ、釈然としない気分だ。寝ぼけたまま、窓から飛び出した? でも、浮くなんて
正直な話、寝てても出来そうなぐらいなのに……。一体なぜ……。
「ま、考えてても仕方無い。これから寝る時は、窓に鍵を閉めるようにしよう」
 と、ジョンスーは暗い空気を振り払うように明るく言った。僕もムリヤリ笑って頷く。
 しかし、視界の端では、栞さんが脅えるような表情をしていた。顔を真っ青にして、ガタガタ震えている。いや、それど
ころか、目尻に薄っすら涙を浮かべている。
 僕とジョンスーは思わず言葉に詰まった。捨てられた子猫のように震えている彼女に、一体何を言えば良いんだろう? 
確かに、錦は死んだ。でも、それはそのまま『浮きは危険』という事に直結するわけじゃない。そんな暴論は、車は危険だ
から乗ってはいけない、というのと同じだ。こんな事は例外中の例外なのだ。でも、彼女は初浮きだ。浮きについてまだ何
も分からない。僕らがなんと言おうと、初浮きの時に浮き仲間が死んだと聞かされれば、怖くなるに決まってる。
「……まぁ、アイツは結構ドジな所があったからさ。でも今までは、死人なんて一人も出なかったんだよ」
 と、ジョンスーが弁解するように言う。
 そう、錦はドジだった。自分の家の窓に飛び込もうとして、謝って屋根にぶつかった事もある。そういえば、あの時も気
を失いかけて地面に落ちそうになっていた。落下死なんて、考えられない事だけど、……あの錦ならそういう事もあるのか
もしれない。
「……そうそう。気にしない方が良いよ、栞さん。浮き生活は、慣れれば天国みたいなもんだから」
 僕も声を掛ける。だが、栞さんは顔をうつ伏せたまま、ガタガタと震えていた。

 それから一ヶ月。錦を皮切りに、落下者は後を絶たなかった。
 ……五人……十人と増えていき、次第に空から浮き仲間は姿を消していった。落下死した者も居れば、忽然と姿を見せな
くなった者も居た。そういう者は、落下するのが怖くて地上に戻ったのだろう。ニックネームしか知らなかった僕は、彼ら
のその後を知らない。でも、大体は予想がついていた。
91品評会『浮き』3/4 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:48:19.86 ID:yK5//TvW0
 彼らは普通の人間として、社会に溶け込んでいるのだろう。ただ淡々と、地面を歩きながら。
 その内に、空の世界を漂う人間は三人だけになっていた。
 僕とジョンスー、そして栞さん。
 錦の死を聞いた時の栞さんを見て、もう浮きに来ないだろうな、と少し寂しく思っていた僕の予想は、見事に外れた。彼
女は次の日からも、沈鬱な表情を浮かべてフワフワと浮きに来た。そして彼女は、人生の悲哀を凝縮して閉じ込めたような
顔をして、見ているこっちが辛くなるような雰囲気で空を漂うのだった。その哀しげな妖精のような彼女を見かけると、僕
はいつも声を掛けた。すると彼女は、哀しい顔をして笑うのだった。
 栞さんは、特にジョンスーと仲が良かった。ジョンスーはジョンスーで面倒見が良かったから、いつも暗い顔をしている
彼女が心配だったのかもしれない。そもそも、空で暗い顔をする者などあまり居ないのだ。少なくとも、浮いている間は。
 だから、ジョンスーはいつも栞さんを気に掛けて、栞さんもそれに嬉しそうに答えていた。僕は傍目にそれを見ながら、
栞さんはジョンスーの事が好きなのかもしれない、と思っていた。でも、実際は良く分からない。栞さんは、何も言わなか
った。
 僕は今日も浮ける事を確認すると、窓から飛び出した。外に出ても体が落下しない事が分かると、ひとまず僕はホッとす
る。最近は、ビクビクしながら浮いている。もしかしたら、突然落ちるのでは無いかと思いながら。
 でも、僕は空へと浮き続けた。何度か止めようと思ったけど、どうしても止められなかった。眼下には、重さに耐えかね
たように家や道路がジッとしている。それを小馬鹿にしながら見下ろすのが好きだった。あの狭い部屋に閉じこもっている
のが苦痛だった。二階の高さに広がるこの空は、どこまでも広くて。自分がチッポケに思えてしまうこの感覚が、――どう
しようもなく好きだったのだ。
 フワフワと浮きながら、僕は待ち合わせ場所へ向かう。目指すのは、黄色と青の屋根の上。僕達三人は、いつもそこで待
ち合わせをして、各々が気ままに浮きを楽しむ。二人に交じって話すのも良いし、ただボゥッと漂うのも良い。空はどこま
でも自由だった。
 でも、しばらく浮いてそこに辿り着いた時、いつも居るはずのジョンスーが居なかった。
「……ねぇ、ジョンスーは?」
 僕は呆然として、先に来ていた栞さんに尋ねる。栞さんは今日も哀しい顔をしていた。哀しい顔で、笑っていた。
「ジョンスーは、落ちました」
 ポツリと、こぼすように。
 それでいてやけにハッキリと、そう言った。
「落ち……たの?」
「はい」
 ホロリと一粒、栞さんの目尻から涙が落ちる。彼女は淡く泣いていた。
92品評会『浮き』4/4 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:48:47.90 ID:yK5//TvW0
 表情は変わらないのにハラハラと落ちる涙は、まるで人形が泣いているようだった。
「ごめんなさい」
 突然、栞さんが謝った。訳が分からなかった。栞さんのつむじが見える。何で栞さんは頭を下げているんだろう。
「……浮き仲間の方々が、落下死したのは全部――私のせいなんです。いえ、そもそも皆さんの浮遊現象自体からして、全
部が私の責任なんです」
「……え?」
 栞さんの突然の告白に、僕は上手く反応できない。全部栞さんのせい? 浮く事が? 錦やジョンスーが、落下して死ん
だ事が? 何で? 何で栞さんのせいになるんだ? 分からない。全然、分からない。栞さんは一体何を言ってるんだろう。
ジョンスーが死んで、おかしくなったんだろうか。
「私は、この町で極秘に建設された研究所でナノ・テクノロジーの研究をしている者です。実は私のミスで、開発していた『HL
O』というナノ・マシンのサンプルが、この町の空気中に紛れ込んでしまいました。『HLO』は国家機密プロジェ
クトの一環で開発されていた、人体寄生型ナノ・マシンなんです。このナノ・マシンは体内に入り込むと、エネルギーを生
み出すミトコンドリアに寄生し、爆発的に増殖します。そして一定数まで達すると、全身の表皮を覆って、極小の揚力発生
機構を無数に形成するんです。それが、今回の浮遊事件の犯人です」
「なん、だって……?」
 僕は呆気に取られる。話の一つも理解出来なかった。もしかしたら、何かの冗談なのだろうか。
 ……それともやっぱり、栞さんはおかしくなってしまったのか。
「現在、この『HLO』を人体から剥離させる方法はありません。ほぼ、全身の細胞に同化してしまうんです。そこから『
HLO』だけ剥ぎ取る事なんて不可能なんです。でも、『HLO』は重要な機密事項で……、その存在を公にしてはいけな
いから……。だから……、だから。――――ごめんなさい」
 突然、僕に何かが向けられた。
 それは大きく炸裂音を響かせて白い炎を噴いた。僕の全身に一瞬衝撃が走る。左胸にツンとした違和感があった。全身の
感覚が消失した。栞さんは顔を歪めて泣いている。赤ちゃんみたいに、顔をクシャクシャにして泣いていた。
 フゥッと僕の体は落ち始める。頭から真っ逆さまに地面へと落ちる。空へと吸い込まれていくような感覚。耳の側を通り
過ぎて行く風の音。走馬灯は見えなかった。こんな時は何を考えれば良いんだろう。何も思いつかない。ただ、ひたすら空
が遠くなって――。僕の重い体はスゥッ……と地面に吸い込まれて行く――――。
 地面にぶつかる直前。
 遠くでもう一度、――――炸裂音が聞こえた。

93 ◆ka4HrgCszg :2008/02/23(土) 15:49:27.84 ID:yK5//TvW0
お邪魔しますた。
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 16:26:25.70 ID:vnLSZqmO0
さる……じゃねぇ保守
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 17:02:53.34 ID:vnLSZqmO0
ほしゅ
96いらないもの0/1 ◆gNIivMScKg :2008/02/23(土) 17:28:07.17 ID:RTdJ2rI70
品評会投下します
97いらないもの1/1 ◆gNIivMScKg :2008/02/23(土) 17:28:28.57 ID:RTdJ2rI70
 はじめは暗闇。ここがどこなのか、自分が何なのかさえわからない、深くて暖かい籠の中。そばだてれば聴こえる扉を叩く音。
大きくて、強くて、優しくて。それが世界の全てだった。
 いつの頃からか、そこは狭くなっていた。でも、やっぱり暖かくて、優しくて。いつまでもそこに居たいと思っていたけど、籠
の外を、光を目指さなきゃと思っていた。
 旅立ちの日。扉を叩く音はいつもよりも大きくて、不安な心を勇気付けてくれた。さよなら、暗闇。もう帰ってはこれないけれ
ど、きっと、ずっと、忘れない。
「こんにちは」
 外は光に満ちていた。感じられる、煌く世界。端から端まで、どこまでも。透き通った光が、覆っている。思っていたよりも、
ずっと素敵な世界なんだ。僕は、僕になったんだね。
 遠くに聴こえるノックの音。どこかで聴いたはずなのに、なんだかぼやけてしまうのは、光に霞んでしまったから。でももう大
丈夫。僕は優しい温度に抱かれていて、すやすや眠るだけだから。
「ごめんね」
 突然、光は強くなった。痛い、痛い、痛い。透明だった光が濁って、何度も、何度も突き刺した。僕は何かしたのかな。悪いこ
とをしたのかな。なんでだろう。急に暗闇が恋しくなった。
 幾つの砂が落ちたのだろう。扉を叩く音、聴こえない。ここには冷たい光があるだけだ。何をしたいとも、思わない。何かした
くても、できやしない。今はただ、眠っていよう。
 水が流れる音がする。時々、聴こえるこの音が、心になんだか刺さったみたいだ。世界は僕に優しくない。傷から零れる小さな
声は、水と同じ音がした。
 もう、何も聴こえない。扉を叩く優しい音も、水が流れる悲しい音も。僕はここには居られない。もう一度、あの場所へ帰るん
だ。暗くて、暖かい、あの場所へ。
 何かが聴こえた気がしたけれど、僕にはもう気にならない。僕は光の一部になった。世界を僕が覆っている。最後にちょっとだ
け感じた赤いもの。あれは一体なんだったのか。でも、僕にはもう気にならない。光は何も気にしない。
 光はどこまでも、上がっていく。どこまでもどこまでも、広がっていく。やがて、終わりにたどり着いた光は、満足そうに消え
ていく。そこにはもう、何もない。優しい何かが憩うだけ。
 そして暗闇。ここがどこなのか、自分が何なのかさえわからない、深くて暖かい籠の中。聴こえてくるノックの音はどこか懐か
しい感じがした。
 そう、知っているんだ。これから僕は、僕になる。失敗なんかしないように。きっと、光に負けないように。そして、ようやく
確かめる。赤いものの正体を。僕を蝕むいらないもの。
 さあ、旅立ちはもうすぐだ。今度はどんな世界だろう。ちょっぴり不安で怖いけれど、扉を叩く音はいつでも励ましてくれる。
勇気付けてくれるんだ。さよなら、暗闇。もう帰ってはこれないけれど、きっと、ずっと、忘れない。 <了>
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 17:28:59.96 ID:RTdJ2rI70
以上です
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 17:53:22.69 ID:oxdjVWI7P
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 17:59:03.62 ID:Jt/xwpkT0
週末品評会99th 投稿作品まとめ『からだ』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1203756534/

No.01 ある事件と俺の悪夢 1/2 ◇CFP/2ll04c
No.02 ジゼルとルネ 1/4 ◇pxtUOeh2oI
No.03 『浮き』 1/4 ◇ka4HrgCszg
No.04 いらないもの 1/1 ◇gNIivMScKg

以上四作品まとめ済み。
一度ご確認ください。
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:20:44.38 ID:vnLSZqmO0
>>100
乙です!
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:26:37.21 ID:YhcaWt3e0
思えば今回の品評会での優勝者は記念すべき100回目のお題を決める権利があるんだよな
うらやましい
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:26:43.80 ID:HcwnuDoj0
matomeotuー
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:28:18.31 ID:/DjRpATAO
>>102
100回目のお題は「100」一択な気がして……
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:36:12.86 ID:YhcaWt3e0
自分にはむしろこのスレに関連のある言葉なんじゃないかと、折角の節目なんだしほら、キーwa……おや、誰か来たようだ
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 18:50:37.51 ID:un7FsxWA0
懲戒はもうやったから、中A♀かな
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:16:03.33 ID:vnLSZqmO0
あーあ、今回も品評会見送りそうだ
なんで書けねえかなぁ……
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:17:32.22 ID:h/tsPMEgO
むしろ何も関係ない単語を持ってきてくれると期待
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:17:58.55 ID:jkM65PWY0
   〜  〜
  (Φ  Φ ) 前スレのdat下さい
   \く /   くれた方には一晩お付き合いします///
     |д|
     \\
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:22:45.37 ID:YhcaWt3e0
http://www-2ch.net:8080/up/download/1203762077356696.D9LY2N
パス 文才

焼肉屋でまってる、勿論奢りだよね?
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:26:23.59 ID:jkM65PWY0
>>110
   〜  〜
  (Φ  Φ ) パスを嘘ついたからあなたのおごりよ?
   \く /   そのかわり、その後は……
     |д|    第100回のお題はわたしです。
     \\
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:28:22.22 ID:YhcaWt3e0
>>111
ん?DL出来なかったっすか?「bunnsai」って入れれば二回ともDL出来たんだが…。
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:31:01.83 ID:jkM65PWY0
>>112
   〜  〜
  (Φ  Φ ) 確かに「bunnsai」でDLしたわ
   \く /   でもあなたの指示は「文才」よ?
     |д|    まあ、感謝はしてあげるけどね。
     \\
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:33:33.94 ID:WOObILZk0
文才でダメなら普通ローマ字にして試すよね
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:37:31.70 ID:YhcaWt3e0
とんびに油揚げとられた感覚ww
ふむ、オーケーじゃあその感謝の表現として割り勘ってことでこの話は終了で
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:39:51.90 ID:jkM65PWY0
幼女扱うの難しいわw

>>114
うん。もちろん試したさ。紛らわしくてごめんな。

>>112
ってことで、マジでありがとう。
焼肉は無理だけど、感想くらいなら書くぜ。
他に要望があればそれでもいいがw
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:51:38.51 ID:OzHbcgrv0
文才ないから雨ニモマケズ小説書く
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:53:36.01 ID:lY/4vPto0
この流れでお題頂戴
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:54:16.85 ID:OzHbcgrv0
世界観
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:55:00.58 ID:lY/4vPto0
>>119
速レスサンクス
ちょっと書いてくるよ
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 19:56:43.06 ID:OzHbcgrv0
文才ないから小説書くあいうえお作文ー


ぶ 無礼者!
ん ん・・・っ!
さ さ、触らないでよ!
い い、嫌じゃないけど・・・
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 20:13:46.60 ID:OzHbcgrv0
し 仕方ないな
よ よこせよ
う うるせーな
せ せっかく俺様がそれを食ってやろうといってるんだ
つ つべこべ言うな。嫌いなんだろ、にんじん
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 20:45:55.13 ID:oxdjVWI7P
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 20:46:26.69 ID:/DjRpATAO
 タトゥーを入れた。
 志望していた会社の内定をとり、おれはこの春から社会人になる。
 現状に不満などなかった。
 ただおれは物心ついた頃から守り抜いてきた誓いが薄れてしまわないよう、
この体に刻み付けておきたかったのだ。
 馬鹿なことをするなという友人もいたが、おれは後悔していない。
 まだ色素が沈着しきっていない「保守」の文字を、
おれはそっとなでた。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 20:53:41.31 ID:3l2+q2d7O
品評会投稿したいのにアク禁くらってるんだけどどうすればいい?
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 20:55:38.69 ID:HcwnuDoj0
救済スレ行けば転載するよ
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:07:34.97 ID:oxdjVWI7P
128 ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:15:09.00 ID:4b72tr0A0
品評会作品投下します 4レス予定
129しおりのノクターン (1/4) ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:15:46.91 ID:4b72tr0A0
 ぱきぱき、ぽりぽり。シマリスがナッツを食べている。
 小さな手の中、まんまるナッツをくるくる回して、上手に殻をはがしてる。
 窓はちょっと小さくて、わたしの顔が二つ入るかどうかってくらい。
 枠に囲まれたスクリーンの中で、シマリスが食事をしているのでした。
「あらあら、青と黒のお目々がお綺麗ね」
 シマリスは、ひくひく、ぽりぽり、ポラリスがくらくら。
「わたしはクララでもクラリスでもアリスでもないよ、きみはリコリスがお好き?」
 でも本当は知っていた。シマリスは真ん丸いものが好きなのだ。
 わたしは窓にふうと息を吹きかけて、くもったところに指で文字を描いた。『ユメ』
「明日はわたしの誕生日なのだ!」
 シマリスはふたつの目ん玉を詩織に向けて、九回しっぽを振った。ナッツを放り投げて首をかしげたのだ。
「ひとつ、ふたつ、よっつ、やっつ」
 困ったことに、指は十本しか付いていない。そのあとはほとんどカンなのだ。
「今日は16の日、ついに私はここまで来たのでした!」
 明日は32、その次は64。そのつぎは、ひゃくにじゅうはち?
 布団を手でガバッと跳ね除けて、そうっと床に足をつける。ひんやりつるつるな感触は、『ユメ』に似てた。
 後ろを向くと、シマリスがナッツを食べている。
 両足が床にくっつくと、大事に膝を伸ばして立ち上がってみた。
「はじめの第一歩、行ってもよろしいか?」
 シマリスがひくひく頷いた。
 わたしは右足を前に出して、左足を引っ張った。交互に繰り返して、八歩進んだところで部屋のドアノブを掴んだのだ。
 ドアを開けて、ママを呼ぶ。
「紅茶が欲しいなあ!」
 ママの返事が聞こえると、わたしは踵を返して八歩でベッドに入ったのでした。ちょうど16、明日は32。
 がちゃり、とドアが開く。
 シマリスは驚いて枠の外に出てしまった。
「あらあら、今日はおしまい?」
 ママはわたしのそばに小さなケーキと紅茶を置いた。
「うん。明日はもっと歩くんだ」
「そうそう、少しずつでいいのよ」
130しおりのノクターン (2/4) ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:16:20.81 ID:4b72tr0A0
 ケーキはすごくおいしい。紅茶の温度はちょうどよくて、カップの下に沈んだ葉っぱがとてもロマンチックだ。
「明日はわたしの誕生日だね」
 窓をじっと見つめると、シマリスが顔を出す。
「そうね。ケーキを作らなくちゃ」
「楽しみなんだ」

 じつはわたし、今は夢の中なのでした。
 昨日までのわたしはどこかへ消えて、新しいわたしに入れ替わる。
 わたしは九才になって、16は32に増えるのだ。
「ナゼ入れ替わるの?」
 そんなことは誰もしらない。
 ナゼ? は辺りにいっぱいあるけれど、コタエなんてすぐには見つからないのです。
 騒がしいギモンから逃げて隠れて、コタエはどこかにひそんでる。
 わたしは名探偵、どこまでも追いかけ追い詰めるのでした。

 とりあえず目が覚めて、昼までじっとしてた。
 そうっとベッドを抜け出して、部屋をくるくるまわってみる。29、30,31、32!
 ベッドに転がり込んで、布団を被る。
 窓に息を吹きかけると、『ユメ』が浮き上がってきた。
 日が沈みかけて、窓の外にはシマリスがやってくる。
『ユメ』の奥にはシマリスがいて、おいしそうにナッツを食べている。
 ちっともうらやましくなんて無かった。だって、これからわたしはもっとおいしいものを食べるのだ。
 ママもパパもわたしの部屋に集まって、大きなテーブルを運んできた。
 その上に置かれるのは、素敵な誕生日ケーキなのだ。九本のロウソクと、たくさんのイチゴ、そして『しいちゃんおめでとう』
 綺麗なグラスにはシャーリーテンプルが入ってて、おしゃれなガラス玉が三個沈んでる。
「お誕生日おめでとう」ママが言った。
 わたしはふうと息を吐いて、ロウソクの火を消した。もちろん、一吹きでね。
「ありがとう!」
 さてさて、ケーキのお味はどうかしら? 生クリームは上々、ふわふわスポンジ、イチゴは甘酸っぱい。
 シマリスは上手にナッツを食べている。わたしも真似をして、くるくる回しながらイチゴを食べた。
131しおりのノクターン (3/4) ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:16:49.31 ID:4b72tr0A0
 窓を少しだけ開けて、外の空気を吸ってみた。
 シャーリーテンプルは甘くておいしい。少し大人になった気分。
 すっかり飲み干してしまうと、グラスの中からガラス玉を取り出した。
「まあまあ」とママは言って、ハンカチで綺麗にガラス玉を拭いてくれた。
「窓には『ユメ』が浮かんでいるの」
「本当ね。綺麗な字」
「これがわたしの『ユメ』なのだ!」
 その先にはシマリスが居て、青と黒の瞳をこっちに向けてる。
 窓にガラス玉を当てて、小さな音を立ててみる。ぴくんとシマリスが振り向いて、興味深そうにわたしを見てる。
 もう一度、こちん。いいでしょう?
「どうしたの?」ママが言った。
「シマリスに見せびらかしてるの。この素敵なガラス玉をね」
 窓の外からでも見えるように、三つガラス玉を置いてみた。
 一つ一つに名前を付けよう。「コタエ、ケッカ、ゲンジツ」
 窓は少しだけ開いているけど、シマリスは奪いにこない。ママがいるからに決まってる。
「そろそろ眠るわ」と言って、わたしは目をつむる。
 明日は64なのだから、たっぷりと充電しなくてはならないのだ。
「おやすみ」とママの声が聞こえた。
132しおりのノクターン (4/4) ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:18:18.92 ID:4b72tr0A0
☆ ☆ ☆

★ ぼくはシマリス。
★ 耳を澄ましてごらん。
★ しおりのノクターンがきこえてくるから。
 
☆ ☆ ☆

 はっと目が覚めて、時計を見た。夜の十時半。
 わたしはまだ入れ替わってないのでした。
 窓のそばを見る。「あれ?」
 そばに置いたガラス玉がない。
 犯人はすぐにわかった。シマリスだ!
 ナッツが床を転がってきた。ベッドの前で止まる。
 手を伸ばしても届かない。「拾わなくちゃ」
 でも、今日はもう三十二歩使い切ってしまったのだ。
 ナゼ三十二歩なの?
 窓の息を吹きかける。『ユメ』が浮かび上がる。
 コタエはいつもどこかに隠れてる。きっと、ちょっと手を伸ばせばいいだけなのだ。
 わたしはベッドから足を出して、立ち上がった。
『ユメ』の向こうにガラス玉。
 足を踏み出しても大丈夫だろうか? きまりを破ったわたしの体は、爆発したりしないだろうか?
 わたしは首を振った。「ゲンカイを超えるのだ!」
 右足を前に出して、ナッツを拾った。
 ベッドに腰掛けて、窓を見る。
 ひょこひょことシマリスが現れて、にししと笑った。
「明日はもっと歩くんだから!」わたしもにししと笑う。
 ナッツをかじってみる。ちょっと頬が熱くなる。
 そう、わたしはいつか旅に出るのだ。
 シマリスが隠した、三つのガラス玉を探しに。
133 ◆QIrxf/4SJM :2008/02/23(土) 21:18:39.15 ID:4b72tr0A0
以上です。
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:19:55.72 ID:HcwnuDoj0
もうカオスの時間か
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:21:20.53 ID:w6DtZ3me0
そうか・・・・こんなスレがあったのか・・・・。オレも参加したかったんだZE☆
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:24:14.03 ID:oxdjVWI7P
>>134
ちょwww一瞬焦ったじゃまいかwwwww

>>135
今からでも参加汁
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:25:02.43 ID:w6DtZ3me0
何か、お題頂戴↓
138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:25:50.78 ID:OzHbcgrv0
月桂樹
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:27:26.49 ID:w6DtZ3me0
↑おk。植物だよな?
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:43:17.40 ID:OqcJOUNe0
品評会作品書きながらほしゅ
141狐0/2 ◆ibD9/neH06 :2008/02/23(土) 21:52:14.90 ID:wQUk6Wsu0
品評会作品投下してしまいそう
142狐1/2 ◆ibD9/neH06 :2008/02/23(土) 21:52:48.91 ID:wQUk6Wsu0
 これは天の悪戯で不幸にも狐の体で生まれてしまった、本来人間として生きるはずだっ
た者の物語である。


 北海道のとある港町。
 その狐は水声に誘われるまま、時代がついた大谷石の壁に挟まれた窮屈な新道を抜
けると、早川に面した通りへと出た。
 このか細い支流は確り海まで繋がっているのだろうかと、そう考えたかは分からないが、
彼は小首を傾げた。
 好奇心に胸が轟き、気づけばガードレールを潜り抜けて、土手を下っていく。
 川縁では人間の子供にでも踏まれたのか、夏白菊がぐったりと平伏していた。
 彼はその夏白菊と地面との間に筋の通った鼻梁を滑り込ませて、根元からくいっと持ち
上げた。
 その内の一本を恭しく口で拝借して、足を滑らさないよう、おずおず忙しない川面に落と
すと、流れだす花を小走りで追っていく。
 倒けつ転びつ、時に旺盛な小中学生に足蹴にされながらも、くんくん鼻を鳴らして駆け抜
ける。
 しかし何処からか、老鶯の鳴き声が届いたと思った一瞬、注意を逸らされ、追跡対象をあ
えなく見失ってしまった。そして同時に主目的も失わせた。
 狐の発達しきらぬ小さな頭では、人間の本能、好奇心までは処理しきれない。
 突如放り出されたように、自分がここにいる理由が分からなくなり、差し俯くばかりである。
 ただ眼下の水流では、なぜか一片の白皙の花弁が、荒く削れた石に引っかかっている。
 きゅる、とノドを鳴らし、前足で顔を拭い、素早く走り出した。すると今まで立ち止まってい
た処で、急にパチンっと小石が弾ける。
 先ほどの人間の少年たちが、遠巻きに石を投げつけてきたのだった。
 娯楽もないまま川沿いを逸れて、壊れた枝折戸から空き屋をくぐり、舗装されていない砂
利道を横断すると、丘の上の公園に出た。
143狐2/2 ◆ibD9/neH06 :2008/02/23(土) 21:53:32.16 ID:wQUk6Wsu0
 欄近くまで寄ると、そこから埠頭が望めた。
 側面に赤木水産と黒字でプリントされた加工場のトラックが、ホタテかなにかを積んで、
港を後にしようとしている。
 トラックから漏れる海産物の溶け汁が、道道に撒き散らされる。
 照りつける湿気を帯びた陽気に、しぜん被さったブルーシートの紐も緩みがちになっていた。
 少し活発に歩きすぎたせいか、心臓があたかもポンプのように波うち、側頭部には締め付
けられるような痛みが奔る。
 狐の彼は自然と顎を出し、気道を広げた。
 草木をそよめかす一陣の風を深く吸い込み、腰から首筋に蟠っていた痺れが抜けていくよ
うな、快い痛痒に身をよじる。
 一過性の好奇心で痛みつけられ腫上がった前足を、泥が沈む温く浅い水溜りでじゃばじ
ゃば冷やした。
 ひとつクシャミを零し、てくてくとアスファルトの隙間から姿を見せる雑草の周囲を回っ
て、そのまま脇に身体を伸ばして寝そべった。
 揺れ動く緑と、前足の体毛が鼻先をくすぐる。そして彼はもうひとつ、ぷしゅんとクシャ
ミを零す。
 遠くから人間の少年たちの楽しげな喚声が聴こえてくる。ただの狐であれば、雑音にしか
ならない声。
 ところが彼の視界はぼんやり霞み、目頭に半ば苦痛のような熱をもたせた。
 誰にも知られることのない葛藤がある。
 もし彼が正常に人の体を有していれば、良心を擦り減らして、狐を迫害する側に回ってい
たかもしれない。
 ただ狐の彼は、そんな可能性も考えることもなく、とろとろしながら、やがて眠りに落ち
ていった。
 老鶯が鳴き、夏白菊はそよぎ、子供たちが笑う。
 その交錯が、えもいわれぬ大合唱となり、次第に狐を取り巻いた。
 天から突き落とされた人狐の境遇が、真に不幸だったかどうかなど、やはり誰も知らない。

〈了〉
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 21:53:44.69 ID:wQUk6Wsu0
以上です
145鉄の時雨の中で眠る 1/1:2008/02/23(土) 22:00:58.00 ID:kLJlcknK0
 私の右脚は粉雪降る一月。それは許多の希望が躍る一年の濫觴。
 私は平生右脚から歩を進める。縁起を担いで居た訳では無いのだが、
何故やら物心付いた頃から斯様な奇特な癖があった。

 私の左脚は大地盛る十月だ。鎌持つ私の眼の先に、黄金(こがね)に輝く稲穂と私の足先。
 人々は腰を屈め大地に礼を捧げながら稲を収穫する。
 それは大和民族が米を手にしてより幾千年も続く、我らの万謝の念の顕形である。
 ――だがそうして得られた、銀に輝く白米は、神国日本の御為と、粗方供出せねばならぬ。
 時、今に至りて私は思う。我らのあの謝意は誰が為のものだったのかと。
 額に汗して働いて、白い飯すら喰む事が出来ぬのは、残忍酷薄無情の極みではないかと。

 私の右腕は叢雲哭く六月。「生きて祖国の地を踏め」と縋る母に、ただ箝口結舌、敬礼した私の罪深き腕。
 だが母は既に承知して居ただろう。もう私が生きて帰ることは無いと。

 そして私の左腕は日輪輝く八月だ。抱いた息子の重みを、私の左腕は今でも覚えている。
 私に似ず捷い顔をした子だ。
 そうだ。こうして――、腕を上げれば今も、掌の中に太陽が在る。
 ――これではまるで、私の方が赤子のようだな。


 銃声の鼓隊と砲撃の大鐃。死に逝く私を弔う不躾な楽団。


 ああ、私の頭は虚言の跋扈する四月だ。私は「死など畏れず」と妻に云った。
 今、私は死が恐い。お前と、まだ乳離れすらせぬ子を遺して死ぬことが。
 
 だが私の腹は紅葉深まる十一月だった。私の臓腑もまた緋に染まり散り落ちて行った。
 私の意に反して、この上なく美しく。

 ――そして、私の一年も、直に終わるだろう。直に――。
146鉄の時雨の中で眠る:2008/02/23(土) 22:02:19.33 ID:kLJlcknK0
了です。
言い忘れてたけど品評会作品っす。
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:12:08.22 ID:0a/usMv60
まずい…救いの無い話嫌いなのにどうしても救いある方向へ持っていけない
品評会前回欠席したし、今回こそは書きたいのに…
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:12:35.73 ID:OzHbcgrv0
夢落ちしかないな
149それはみにくかった() ◇ynAdbGZ23c:2008/02/23(土) 22:13:20.34 ID:w2+nbGoz0
 白色の閃光が僕の視界を完全に覆う。次いでやってきた猛烈な風に僕の足は地から離れ、
とどまるところを失った僕の体は宙を舞う。四肢の自由は完全に奪われ、もはや僕は
何処までが僕の体で、何処までがそうでないかということがわからなくなってしまった。
 僕が見る生まれて初めての、あるいは最後かもしれない、走馬灯のはじまりだった。

 ――絵がひとつ、あった。
 その中心を大胆に占めるのはレオタードを身に纏った女性だった。
 それは美しい舞の一瞬を切り取ったかのように写実的な絵だったが、細部に見て取れる光の機微や
筋肉のなめらかな描き込みが、カメラに焼き付けられたものとはまた違って、人間の生命力の
ほとばしりを感じさせるようだった。
 「人のからだを描くのが好きなの」
 立ち尽くし、呆然と絵を眺めていた僕に、一人の少女が声をかけた。
 木造の校舎の一角を占める美術室には、僕と彼女の二人しか居ない。鼻の頭を絵の具で汚した彼女は、
完成の充実感をいっぱいにして、僕を見ている。

 彼女がカンバスに向かって筆を走らせるのを、僕は幾度となく窓の外から見ていた。
 彼女は学校でも有名な、類まれな美術の才を持った女の子で、幾度となくコンクールで賞をとっては
他の生徒達から尊敬のまなざしを浴びていた。彼女自身もそれはとても美しくて、彼女に
想いを寄せる男子生徒は後を絶たなかった。僕もその一人で、走りつかれた帰りに美術室の外を
通るとき、集中した目つきで絵に向かう彼女を見るのが一日の中で一番好きな時間だった。いつもは少し
立ち止まっているだけだったが、長いときは数分のあいだずっと見つめているときもあった。それでも
彼女の視線はずっとカンバスの上にあって、遠巻きに見ている僕に気付く気配は全くなかった。
そんな彼女の絵に対する一途な思いも、いやむしろそれこそが、僕が彼女を好きになった理由のひとつだった。
150それはみにくかった(2/4) ◇ynAdbGZ23c:2008/02/23(土) 22:13:41.99 ID:w2+nbGoz0
 「モデルも立てずにこんな絵が描けるなんて、すごいね」
 僕は今にも呼吸して動き出しそうなレオタードの女性を指して言った。
 「ありがとう」彼女は照れくさそうにはにかみ笑う。
 「どうしても目に焼きついて離れないひとのすがた、ってのがあって。私が描いてるのはそういうの」
 「ほんとに、すっごくきれいな絵だ」
 僕がそう言って彼女の絵を褒めると、予想していた反応とは違って、彼女はどこか悲しげな顔で笑った。
 「当たり前よ。だってきれいなものを描いてるんだもの」
 意外な返事に戸惑う僕に彼女は続ける。
 「聞いてくれる?」
 僕が無言でうなづくと、ひと息おいて彼女が言った。
 「私はきれいなものをきれいに描くことはできるのかもしれないけど、汚いものや醜いものに隠れてるきれいなものを
描けるわけじゃない。私はね、いつか、人が『醜い』って言った何かを描いて、『やっぱりきれいだった』って
言わせられるような画家になりたいんだ」
 風が吹いたようだった。
 その言葉はとても力強くて、僕は新鮮な驚きと感動を覚えた。自分が今まで全く考えたことも無いことだった。
見ている景色の様子までがらりと変わってしまうようだった。彼女にはこの世界がどんな風に見えているのか、
僕はもっともっと知りたくなった。
 「例えば、そうだな。怪我をしてる人とかさ」
 そして冗談げにこう言った彼女の言葉を、僕は心の底から真に受けてしまったのだ。

 ――それから何年かが過ぎ、僕はとある喫茶店で彼女の目の前に二枚の搭乗券を差し出していた。
 飛行機の行き先は、いくつかの空港を経由しての、紛争地域に隣接する小さな空港だった。
 「僕が守るから、一緒に行こう」
 ぶっきらぼうに放たれた僕の言葉を、彼女は、驚きはしたものの暖かい笑顔で受け入れてくれた。
 あの日から数年、軍学校でとてつもなく厳しい訓練を受けてきた日々のことを、彼女は僕の次によく知っていた。
151それはみにくかった(3/4) ◇ynAdbGZ23c:2008/02/23(土) 22:14:09.79 ID:w2+nbGoz0
 現地についてからは、彼女と僕はさながら戦場カメラマンのような日々を過ごした。彼女がライカの代わりに
抱えているのは画材と折りたたんだイーゼルだった。僕は彼女の護衛として歩いた。言葉も勉強したし、
食材の調達など、彼女が絵を描くためにできるだけ不自由しないよう努めた。危険があれば(ほとんどいつもそうだが)
ライフルを持って彼女の先を歩きもした。
 借り宿を決めてからは、あっちへこっちへ行ったり来たり、軍の監視下に置かれる時もあれば、敵味方が入り乱れる
前線を恐る恐る歩くときもあった。
 彼女と僕はいろいろなひとを見た。
 精悍な軍人や、気性の荒い現地のレジスタンス。悲壮な決意を抱え戦場へ向かう男や、その帰りを待つ女性。
貧困にあえぎ苦しむ子供を見るときもあれば、グロテスクな死体を見ることもあった。
 彼女の目には実に多くの映像が焼き付けられたらしい。ひっきりなしにイーゼルを立てては、目に焼きついた
彼らの姿を描きだして行った。一枚一枚の絵に彼女の魂が込められ、描く人の体からは、その人が持つ感情までもが
沸き立ってくるようだった。
 どこを歩いても戦場の絵描きは不審がられたが、親しげに接してくれる人も少なくなかった。彼女の絵は、
どんな言葉よりも上手に人を感動させた。芸術が人を平和にすると、いつかは絵空事のように思えていたことを
僕は信じたくなっていた。
 日が沈む前に借り宿に戻って、屋上から沈む夕日をふたりで眺める。
 「いつかはあなたのからだも描けるといいな」
 僕の肩に顔をすり寄せて、彼女が笑った。 
152それはみにくかった(4/4) ◇ynAdbGZ23c:2008/02/23(土) 22:14:31.10 ID:w2+nbGoz0
 ――走馬灯は、そこで終わり。
 強烈な爆風に吹き飛ばされて、僕は地面に体を叩きつけられた。神経ぜんぶが痛みに震えている。
猛烈な痛みはそのほかの感覚と呼ばれるものを全て覆い隠している。腕がもぎ取れているかもしれない。
足の骨がばらばらになっているかもしれない。目を開けるのが、怖い。
 「――てよ! 起きて! 起きてってば!」
 彼女の声でようやく僕は目を開ける決意をした。視界は霞んでいる。しかしぼんやり見える端正な輪郭は
彼女のものだと分かる。体の痛みが僕の終わりを教えている。戦場に赴くと決め訓練を受け始めてから、このような結末を
迎えることも充分にありえると覚悟していた。けれど、けれど――。
 彼女は涙を流している。耳鳴りが止まなくて、叫んでいるらしい彼女の言葉は薄い壁を隔てたみたいに
あまりはっきり聴こえない。彼女の顔にだんだんピントが合ってきた。両目からは大粒の涙が流れている。
 僕の左手はなんとか指の先まであった。痛みを堪えて指先で彼女の頬を撫ぜる。彼女は伸ばした僕の手を包む。
その手は多分暖かいのだろうが、今は分からない。
 
 君に伝えたいことがある。
 いつの間にか、君の夢をかなえることが僕の夢になっていた。
 今の僕はきっと醜いと思う。体中から血を流してて、自分のからだがどこまでその形を保っているかも分からない。
 でも今、僕は君のことがとってもいとしい。この気持ちは君が絵に向かってるときの気持ちと同じぐらいに
純粋なんだろうとも思う。君が言ってたのはこういうことなのかな。醜いからだの人だって、その中には美しい感情を
持っているのかもしれない。君はそれが描き出せるような画家になりたいって言ったのかな。
 きっとそうなんだろう。僕は嬉しい。こんなときだけど、君のことが分かってよかった。
 口に出そうと思った言葉は体裁が整わないまま零れ落ちるばっかりで、伝わっているかも分からない。だから
最後の言葉にしよう。僕は口のはじの筋肉にすべての力を込める。
 「僕を、描いて」
 彼女がうなづいて、僕の手を握り締める。視界が真っ白になっていく。
 幸せな人生だった。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:15:40.62 ID:w2+nbGoz0
前述し忘れたけど、↑は救済スレからの転載ね。
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:23:09.99 ID:ov4XrAAB0
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:25:02.85 ID:w2+nbGoz0
>>145を書いたID:kLJlcknK0は本日中に酉を
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:28:28.36 ID:YcASGhNA0
>>154
節子…それ、カラダやない、ダカラや
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:30:05.51 ID:w2+nbGoz0
>>100の続き

No.05 しおりのノクターン 1/4 ◇QIrxf/4SJM
No.06 それはみにくかった 1/4 ◇ynAdbGZ23c
No.07 狐 1/2 ◇ibD9/neH06
――――ここまでまとめ済み――――
No.08 鉄の時雨の中で眠る 1/1 ID:kLJlcknK0


――俺の体はカラカラだから。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:43:44.18 ID:OTL92Sz+0
いつも思ってたんだけど品評会に酉って必須じゃないんだよね?
>・優勝時の本人確認のため、週末品評会参加者は出来れば酉を付けて下さい(酉は名前欄に#と自由な文字列)
「出来れば」って書いてあるし。
まあ前例がないのかもしれないけど。
一回酉なしで参加してこれ言い張ってみたいと思ってたんだけどそうするメリットも特にないから
ちょっと言ってみた。
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:45:41.65 ID:wQUk6Wsu0
>>157
乙です
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:49:51.83 ID:/d9Y0du4O
>>157

>>158
いや要るだろ。本人確認ができなくて、次の品評会のお題が出なくなる
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:49:53.32 ID:w2+nbGoz0
>>158
優勝する気が無い、もしくは優勝してもお題出さないっていうのなら酉は必要無いと思うよ。
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:52:01.80 ID:JlSdpomS0
優勝なんて、出来るはずもない
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:52:06.24 ID:mU2fowQR0
>>158
先例はけっこうあるけどお勧めはしないw
月の回の優勝者が最初酉無しで、それ以降は全員酉を付ける流れになったっぽいな
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:58:26.13 ID:h/tsPMEgO
>>158
お前さんのIDにがっかりした
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 22:58:55.47 ID:ln62ssK/0
OTL
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:01:33.18 ID:OTL92Sz+0
こんなすてきなIDに気づいたのに今日もう一時間しかねーのかよ
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:03:04.51 ID:OzHbcgrv0
今から一番IDががっかりなやつ優勝ってスレ立ててあげようか?
168月桂樹(0/3):2008/02/23(土) 23:13:42.98 ID:w6DtZ3me0
投下する
169月桂樹(1/3):2008/02/23(土) 23:14:15.91 ID:w6DtZ3me0
部活の先輩が自殺した。月曜日の昼。昼休みの時、弁当を食べてると隣のクラスのはずの崎下が嬉しそうに報告してきた。俺は「そ
うか」と一言だけ良い弁当を食べるのに戻った。俺の反応がつまらなかったらしく「詰まんない奴」と残し崎下は教室を出て行った。
俺としては人が死んだのに嬉しそうに触れ回るお前の方が詰まらない人間だと言いたかった。放課後の部活の時まで俺は何先輩が自殺
したのか知らなかった。
 次の日、先輩の葬式に部員全員で行くことになった。葬式は行きたくなかったけど行かないと何を言われるかわからないし先輩や女
子達が五月蝿そうだから行くことにした。
 葬式の仏壇の写真(正式名称があるかどうかは知らんが)の先輩は笑顔だった。俺は先輩の笑顔を思い出した。「おい。河野。ちょ
い来い」呼ばれた方を見ると部長が手をコイコイとやっていた。俺は部長方に向かって歩いていった。「なんですか?」俺は部長の前
に立つと聞いた。「三島がお前に残したモンがあるんだと。・・・お前ら、そういう関係だったのか?知らなかったぞ」部長は小声で
そういった。「そういう関係」とはどういう関係だろうか。俺は「ちがいます」とだけ答えておいた。部長は怪訝な顔をした。部長が
何か言おうと口を開きかけた時「君が河野くんかい?」部長の後ろからおっさんが、言ってきた。「はい。そうですけど?」俺はダレ
だ?と思い疑問系で答えてしまった。「私は遥の父親だよ。鈴木君、河野君を借りて良いかい?」部長は「はい。どうぞ」と答えた。
どうやら、俺の意思は関係ないようだ。「付いて来てくれないか?」と三島父は言うと歩いて行ってしまった。俺は付いて行くしかな
いと考え付いて行くことにした。三島父は外に出て一台の車のドアを開けた。乗れということだろうか?すると三島父は車の後部座席
から月桂樹と手紙を取り出した。「君にコレと手紙を渡すようにと遺書には書いてあってな」三島父は俺に二つを渡すと「では、私は
戻らせてもらうよ。それは好きにしてくれ」三島父は言い残し俺を置いて行ってしまった。俺は家に帰ることにした。
 家に着くと俺は自分の部屋に直もどった。俺は手紙を読むとカーテンを開けた。そして、気がつく今日が満月であることを。三島父
から貰ったもう一つの物を窓辺に置き俺は電気を消して眠りについた。
170月桂樹(2/3):2008/02/23(土) 23:14:43.94 ID:w6DtZ3me0
 夢を見た。先輩は一昨日と同じ格好して先輩が好きだと言った丘公園にいた。
「やぁ。驚かしてゴメンね〜アハハって笑いごとじゃないか。う〜と、死んじゃった。てへっ。う〜〜〜ん。何か違うよね。でも」
先輩は沈黙した。俺は先輩がしゃべるまで待つことにした。
「私はコレでも頑張ったんだよ。」
俺は知っていた。次の先輩の言葉も
「え〜と。うん。君に手紙を書いたのはね。ありがとうって言いたかっただからなんだよね。あとね。折角買ってもらった物を無駄に
はしたくなかったし・・・・君が育ててね。捨てちゃ駄目だからね。じゃ・・・バイバイ」
先輩は最後に悲しそうに
「君とはもう少し話してみたかったな」
と言って行ってしまった。どこかへ。
171月桂樹(3/3):2008/02/23(土) 23:15:02.42 ID:w6DtZ3me0
 自分が涙を流していることと夢から覚めた事に気がついたのは同時だった。まだ、夜らしく部屋は月明かりしか入っていなかった。
窓辺には先輩が俺に押し付けた最後の物。月桂樹があった。日曜日。偶然街であった先輩としたデート。あまり話したこともなかった
先輩だった。街角の小さな花屋で見つけた月桂樹を先輩は気に入ったようだった。だから、俺は何となくプレゼントした。俺と言って
先輩はお気に入り場所に連れて行ってくれた。帰り道の別れ道。俺と先輩はキスをした。先輩はどんな気持ちだったのだろうか。俺に
は永遠にわからない。満月の月明かりに照らされて月桂樹が揺れた気がした。何故か先輩を思い出した。





 四月。月桂樹の花が咲いた。俺は先輩と同じ三年生になった。
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:16:20.68 ID:w6DtZ3me0
さてと。一気に書いたものだから。どれだけツッコミが入るかな。
その前に月桂樹ってどれくらいの大きさなのよ・・・適当に部屋に飾れるみたいに書いたけど・・・
間違ってたらゴメン・・・・。
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:17:44.18 ID:OzHbcgrv0
オリンピックとかで頭に飾るワッカを作るやつ
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:19:29.77 ID:w6DtZ3me0
>>173
・・・・( Д )   ○ ○

ごめんなさい。絶対。ありえない。世界の法則を曲げちまった気がした。
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:22:02.03 ID:ArwL1+zH0
これは……
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:24:51.92 ID:oiNFmRNc0
月桂樹は木だろう。
>>173のは月桂冠だと思う。
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:27:06.97 ID:r2EvYZGA0
部屋が広いんだよきっと
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:27:26.62 ID:MdclNTDb0
ぐぐって分かりそうなもんじゃねーか。調べて書けよ
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:28:41.95 ID:OzHbcgrv0
>>176
ワッカを作る「やつ」だから、素材のことだから
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:30:08.26 ID:w6DtZ3me0
すまん。出て行くわ。勉強しなおす。
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:31:18.55 ID:ln62ssK/0
わっち
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:34:00.62 ID:YvsXaASG0
コレはアリだと思うけど。

普通、色々な辞書とか資料用意してから書くもんだと……
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:49:52.23 ID:MdclNTDb0
ほしゅだよ
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:54:47.44 ID:4Erbwxva0
今、泥酔してんだけど
この勢いで品評会作品作ろうと思う
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:55:13.18 ID:h/tsPMEgO
>>169
文章作法に文頭下げというものがあってだな
もっと読点使おうよママン、それほどでもないのにめっさ長く感じる部分があった
推敲しようよママン、誤字脱字はそれで大分防げるはずだよ

わからないからぼかして書く。そういうやり方、俺は嫌いじゃないぜ
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:56:58.53 ID:tHD+aPZi0
        前スレまでの通常作品、過去スレ、過去ログ、全て編集完了致しました。

  ∧,,∧   .総作品数:4320作品
 (´・ω・)   総スレ数.:418スレ
 / φ口o  現 在  .:419スレ目
 しー-J   .備 考  .:通常作支援をして下さった方、ありがとうございます。
               全部編集し終わってから気がついたなんてとてもじゃないけど言えません
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:57:28.70 ID:MdclNTDb0
>>186
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:57:49.29 ID:b1dEkDsN0
>>169
読み飛ばされても仕方ないぐらいの文字量で、目が痛い……
もう少し改行を増やしたら如何でしょうか。

内容については……

手紙を文の中に出す意味がいまいち分かりません。
苗だと勝手に脳内保管した(笑)月桂樹だけで良かったのでは。

あと、文末の語いが少なすぎるのが気になります。
「した」「だった」「いった」「おいた」 ...etcetc
文末は出来るだけ変えていった方がリズム感が出ます。
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/23(土) 23:58:52.60 ID:HSb5hnup0
>>186
おつ!
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:05:02.20 ID:+bpuM3FL0
やっべ…ビールだからってあなどりすぎた
辞書開くのかったりぃ
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:06:14.60 ID:70fkK+wZ0
>>186
お疲れ様でございます
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:19:07.34 ID:1u0rlujV0
>>186
いつも本当にありがとうです。
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:19:31.89 ID:CMqfuo0P0
お題を下さい。
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:22:35.45 ID:Y0pNuaGt0
こたつ
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:22:41.18 ID:9ZP7xLtd0
五分五分
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:22:55.72 ID:CMqfuo0P0
>>194
感謝^^
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:23:29.10 ID:CMqfuo0P0
>>195
サンクス
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:24:45.42 ID:F3QuMNkQ0
お題くださいよ
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:26:14.50 ID:lqKDLJsW0
>>198
ボンクラ
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:27:49.36 ID:Eb3v4P99O
お題下さいな〜↓
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:28:24.09 ID:1u0rlujV0
>>200
爪切り
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:29:41.09 ID:F3QuMNkQ0
>>199
把握
203グロかがみ ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 00:46:40.54 ID:tmnoAtUB0
お題↓
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 00:47:19.83 ID:PrqUU5iq0
メリーゴーランド
205グロかがみ ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 00:47:56.08 ID:tmnoAtUB0
>>204
thx
206『アパート(お題:アパート) 0/2』:2008/02/24(日) 00:53:45.84 ID:SnFJWvHD0
二週間ぐらい前に貰ったお題でやっと出来た
投下します
207『アパート(お題:アパート) 1/2』:2008/02/24(日) 00:54:29.10 ID:SnFJWvHD0
ふと思いだす。今日このアパートが壊される。その壊されるアパートの中でふと思いだす。
 ここに入居したのはまだ学生の頃だ。何も知らない初めての一人暮らし。裕福でない家計に
無理をさせるわけにはいかないので、兎にも角にも安い物件はないかと不動産屋に訊いたのだ。
「そうですねぇ……」
 渋るように呟いた不動産屋が、ここなんかはどうでしょうとカタログを指したのがこのアパー
トだった。当時で築八年、六畳の部屋とキッチン、ユニットバス付き、そして窓は南側を向いて
いる。大学からもそれほど遠くない。学生にとっては好条件なのだが、どう考えても安くない物
件だった。
 安いという条件と食い違うその紹介に、もっと安いところはないかと尋ねたが、不動産屋は、
取りあえず値段を見てくださいと言う。
 言われた通りに値段を見るとそこには何も知らない自分でも破格と思えるような金額が載って
いた。
 驚いた表情を見た不動産屋は訊いてもいないのに、いやね、と語り出した。
「そこは私どもも苦労させられる物件なんですよ。幽霊が出るの出ないのと騒がれて、いや、出
ませんよ? 出ませんけども噂が立てば出るも出ないも関係無しに寄り付かなくなるんですよ。
いや、だからと言って幽霊は憑いてませんよ?」
 そう言って笑い出す不動産屋にどう応えればいいのか判らず、はぁ、と相槌を打つ。客に興味
のある、なしに関わらず、話し出すのがこの不動産屋の特徴のようで、再び口が開くのにさほど
の時間も要らなかった。
「ことの発端は去年の春でしたか。この部屋で一家心中があったんですよ。無理心中でしたか、
小さいお子さんがいましてね。それで次の日、隣に住んでたお婆ちゃんが見たって言うんですよ。
そのお子さんの幽霊を。その後すぐに引っ越しちゃったんです。いや、いませんよ? ただの老眼
ですって」
208『アパート(お題:アパート) 2/2』:2008/02/24(日) 00:55:27.87 ID:SnFJWvHD0
 その後の長話を要約すると幽霊を見たという住人や噂が絶えず、折角の良物件に入居者が
集まらないどころか出て行ってしまう始末。寺に供養を頼んでも全く効果がない。そこで大家
と不動産屋が考えたのが家賃を安くして幽霊を信じない近頃の若者を入居させて幽霊がいない
ことを証明してやろうという案だった。そして、白羽の矢が自分に立った訳だ。
 勿論、それを了解した上でここに住んでいた。何よりも安い家賃が魅力的だったことは言う
までもない。
 それからのここでの生活は良いものだったと思う。友達と遊び、彼女を連れ込み、先輩が押
しかけ、後輩を呼び寄せと色々あった。でも子どもの幽霊が出ることなど一度たりともなかった。
 とても住みやすいここでの生活は学生の後も続いた。本当は地元で就職したかったのだが仕方
ないだろう。
 そして入居者が少なくなってゆき、五年経つころにはもう誰もいなくなったこのアパートは取
り壊されることになった。
 馴染んだ部屋の壁紙がはがされ、畳が取り除かれと、残るは柱と薄そうな板しかない、重機で
壊されるのを待つ見るも無残な姿になってしまった。
 その中を思い出しながら歩く。ここに本棚があった。ここに机があった。ここにはベッドがあ
り、あそこには箪笥があった。片付け忘れ、床に落ちたままのゴミまで手に取るように判る感覚。
それほどこの部屋に馴染んでしまったのだ。
 隣の部屋が崩れる音。その音で現実に呼び戻される。馴染んだ景色がなくなってゆく物悲しさに
目を閉じようとしたその時だった。不意に影が視界に入った。
 閉じた目を開くと、一人の少年が立っていた。まだ三歳ぐらいだろうか、俺の腰までしかない背
丈の子はまっすぐ俺を見つめていた。彼の背後の壁が薄っすらと見え、納得する。
 ここに住む長い間、見ることのなかった幽霊が目の前にいる。彼は多分俺を恨んでいるのだろう。
彼は自分の場所にいただけだ。だけど俺は自分の場所だと主張し、守ってしまった。その結果がこ
れだ。彼はきっと彼の場所を奪った俺を恨んでいるに違いない。
 近くで大きな音がした。この部屋が壊される番のようだ。
 俺はただ立っていた。彼は天井の破片が俺の体を通り抜けるのをただ黙って見ていた。

       終
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:16:53.89 ID:lqKDLJsW0
>>207
よくわからない。最後の分から察するに主人公は幽霊なのだね?
主人公が大学生活を楽しんでいる様子があるからそれまでは生きていたのだろう。
その後は誰もいなくなったと書いてあるから引越しor死ってことだ。
あ、叙述トリックの予定なのか。だとすればミスリードが弱いね。
多分まだ叙述トリックを書けるほどの技術力じゃないんだと思う。
一つ一つの言葉の選択を洗練させる必要がある。辞書や他の叙述トリックの良作と格闘してくれ。

三歳くらいの男の子の幽霊(三歳は幼児であって少年ではない)が
なんでこの小説に登場したのか、その理由がないね。後半に急に出てくるし。
男の子が呪い殺したってことにすれば分かりやすいし(その分陳腐だけど)、動機付けにもなる。
中盤の主人公の生活の描写を1レス分増やして、幽霊の仕業だけど主人公や読者が気づかないレベルの
心霊現象などを描写したりすると、生活の描写を通して「自分の場所だと主張し、守ってしまった」という
言葉に説得力がでるし、唐突に出てきた印象を抑えられ、叙述トリック感も増して一石三鳥。
気づいたのはこんなところでしょうか。
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:22:33.30 ID:ewPMdv7w0
ほしゅ
211メリーゴーランド(1/2) ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 01:32:26.42 ID:tmnoAtUB0
 うん。
 薄くぼやける輪郭を残し、その光は少しずつ膜を帯びていく。触れると右手は熱く冷たく、光の膜はわたしの感覚の奥のほうを捻り切った。
 それは記憶である。だが記憶であるとともに痛みでもあったし、後悔であった。そう気づいたのが2時限目の終わりだとするなら、わたしはかれこれ7時間近くその事を考えている。
 安い肉とパンの味は舌に響かない。マクドナルドの喧騒は無意味な雑音で、原色を失った景色に彼女の声が重なった。
「お前、おかしい」
「え?」
「朝からボーっとしすぎ。何かやな事あった? あたしで良ければ話聞くよ?」
「や、別にそういうんじゃないけどさ」
「疲れてる?」
「ちょっとね」
「そうかぁ」
「うん」
「……話してみ?」
「……うん、昔ね――」

 回転する回転する。やがて色を失う。光は色ではない。それは軌跡を残して回転し続ける輪郭、その輪郭がわたしの脳味噌に膜を張っている。
 回転の中心は、人も疎らな、寂れた遊園地の中央に。その前に立つわたしと、その人。わたしはその人に言った。
「わたしね、好きな人がいるの」
「……そう」
「あ、のさぁ……それ、誰だと思う?」
「わからないわ」
「ううんとね……ええと、あなたです」
「……」
「え?」
「……わたしも」
「え?」
 え?
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:33:38.04 ID:ewPMdv7w0
>>207-208
一行目でなぜか今日取り壊されるアパートに主人公がいることと
それを「ふと思い出す」ことが示されているので、
主人公がそこにいること自体が何かおかしい状態であることはすぐわかった。
それから幽霊という要素が出てきたのでおそらく主人公も幽霊であることが推測でき
それは最後に明らかになったのだが、どうして主人公が死んだのかは書かれてはいないからわからない。
少年が主人公を恨んでいただろうという記述があるのでそれは少年のせいかと推測できるけれど
推測できたところで、だからどうしたというのだろうとしか思わない。
少年が主人公を殺した理由も主人公の想像から把握はできるが、そこに何の感慨も覚えない。
だから結局よくわからなかった。
213メリーゴーランド(2/2) ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 01:33:43.85 ID:tmnoAtUB0
 初めての「彼女」との蜜月は長くは続かなくて、結果的にはシスターにバレて、別れた。厳しいよね、もう何年前かな、3年前か。中3だったもんね。
「って言う事があったの」
「へぇ、そんな事が……あたしだったら裏でこっそりと」
「そんな事出来なかったよ。周りの態度が怖かったし、わたしも彼女も傷ついてた」
「あー」
「うん」
「ふーん」
「妬いた?」
「ちょっと」
「ちょっとかよ」
「じゃあかなり」
「よし」
 別れた日、シスターはわたしを軽蔑したような目で。同性愛につき物のアレだ。わたしも軽蔑した目で睨んだら、叱られた。
 傷ついた女は、叱られても何されてもちょっとやそっとの事では泣かなくなった。「その人」はどうか知らない。
 輪郭は二人を囲んで輝きを増してゆく、それをバックに立つ、彼女の笑顔の方が綺麗だったという話。
「つうか昔の女の話をあたしの前でするなよ」
「ごめん、何か思い出して話したくなった」
「まあ良いけど。そんなつらい事があったのに何でまた女子校に入るかね、しかも――」
 目の前の「二人目」がにやりと笑う。
 わたしも笑い返した。
「決まってるじゃん。あ、もうそろ出よっか」
 マクドナルドを出ると夜風が髪を揺らした。
 その時わたしの手はその人と繋がれていて、さっきまでずっと考えていた事は、すでに忘れているのだ。
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:34:04.44 ID:ewPMdv7w0
わりこんだ。ごめんなさい。
215グロかがみ ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 01:35:03.78 ID:tmnoAtUB0
>>214
投下宣言忘れてた自分も悪かった。
意味不明だ、思い通りの文が書けないよォォォォ
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:42:52.98 ID:IYoS8XXEO
お題くだしあ↓
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:43:23.10 ID:ewPMdv7w0
ケミカルジーンズ
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:49:26.55 ID:IYoS8XXEO
>>217
そのケミカルはサイデリックなケミカルなのか?それとも化学繊維で作られたケミカルなのか?
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:54:48.82 ID:lqKDLJsW0
>>211,213
会話パートと地の文がほとんど混ざらない文体なんだね。
淡々としていたり、時間が交錯したりする幻想的な映画っぽい雰囲気がいいね。
しかし、その所為で一レス目の最後の辺りの「え?」が誰が言ってるものかよくわかんない。
あと、その影響が三点リーダとダッシュの多用に表れてて、
明らかに視覚に頼りすぎてるんじゃないかと思うよ。

後半息切れしたのかな?「別れた日」から始まる三行がすごく適当な気がする。
傷ついた女、その人、彼女がそれぞれ何を示しているのかさっぱりです。


>>218
レスポンスが無いなら自由に解釈してみては? 個人的にはサイケジーンズは気になるけどw
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:54:50.49 ID:OltZKsyq0
品評会3レス投下します
221曖昧な境界線(1/3) ◆Kq/hroLWiA :2008/02/24(日) 01:55:32.02 ID:OltZKsyq0
 カモメ達が、蒼い世界を飛んでいた。
 消波ブロックに打ち付けられた波は、飛沫となって撒き上がり風の中に溶け込んでいく。辺りは潮の香りで満
ちていた。
 静かな海だった。聞こえるのは、規則的に打ち寄せる波の音と、時たま近くを通る船の汽笛だけで、耳を澄ま
せば遠く沖の空を舞うカモメたちの鳴き声が聞こえてきそうだ。
 水平線は視えない。邪魔者の居ない空で、太陽は自己主張でもするかのように燦々と輝いていた。
 そんな海辺の、沖に向かって伸びる一本の防波堤の端。穏やかに揺れる沖の海面を眺めながら、二人の子供が
釣竿を持ってコンクリートの上に腰を下ろしている。
 一人は男の子。もう一人は、髪の短い女の子だ。
 日はすでに見上げる程に高く昇っているせいもあってか、先程から二人の持つ釣竿は沈黙を続けていた。
 水面に漂う二つの浮きは、単調な波に乗ってゆらりゆらりと上下左右に揺れている。そんな退屈な様子を見つ
めながら、女の子が小さく溜息を洩らした。
「釣れないじゃん」
「そうだね」
 女の子は、背後に置かれたバケツの中を見た。黄色いポリバケツの中身は、数時間前からずっと潮水が占領し
ている。
「帰ろうぜ」
「んー、僕はもうちょっといるよ」
 男の子の素っ気ない返事に、女の子は無言で釣竿を握りなおした。
 二人は沈黙し、絶え間ない波音だけが辺りを包み込む。
 時間と共に強くなる日差しを肌で感じながら、女の子はもう一度溜息を吐いた。
 急に、波音が静かになった。女の子が目線だけを下に向けると、さっきまでせわしく波打っていた水面が、今
はとても緩やかに揺らいでいた。
 唯一の騒音が静まり、二人を包む環境はより一層その静けさを増す。
 その静寂が、気まずく感じたわけではない。だが、目の前に広がる蒼色は、子供二人には少し広大すぎた。
 女の子は、何か適当な世間話はないかと、頭の中を探ることにした。
 思い付いたのは、先日、母親と交わした話についてだった。
「ヒロはさ、オレの身体、どう思う?」
 男の子――ヒロは、視線を海に向けたまま訊き返した。
「どう思うって、どういう意味?」
222曖昧な境界線(2/3) ◆Kq/hroLWiA :2008/02/24(日) 01:56:14.31 ID:OltZKsyq0
 女の子も、視線は海面に注がれている。太陽の光を反射した海面は、キラキラと瞬いていた。
「この間さ、母さんに、「アンタ胸が大きくなってきたわね。そろそろブラジャー買おうか」って言われたんだ。
けどさ、オレ、ブラジャーとかあんまり着けたくないんだよな」
「……僕は男だからよく分からないけど、美波は女の子なんだから、ブラジャーとか着けた方がいいと思うよ」
 ヒロの言葉に、女の子――美波は少し困ったような表情をした。唇をとがらせるようにしてへの字にすると、
視線を少し上に向ける。
「身体は女なんだけどさ、心は男なんだよな。誰かと遊ぶ時とか、女子と遊ぶよりは、ヒロとか男子と一緒に遊
んだほうが楽しいし。正直、ブラジャーとか嫌なんだよな。胸も、大きくなって欲しくないんだ」
 ヒロが、左手を竿から離し、人差し指で頬をぽりぽりと掻いた。
 どう言葉を返せばいいのか考えあぐねているのか、それとも単に話自体に興味がないのか。横目で見ていた美波
は、少しだけ不安な気持ちになった。
「それで、美波の身体をどう思うかって?」
 ふいに、重く間延びした音が、遠く波止場の方から聞こえてきた。その音が鳴り止まぬ内に、美波はぼやくよ
うにして言った。
「オレみたいに、心と身体の性別が合ってない人のことを、セイドウイツセイショウガイって呼ぶらしいぜ」
「ふーん。初めて聞いた。よく分かんないな」
「実は、オレもよく分かってないんだけどな。この前テレビで見ただけだし」
 いつの間にか静けさを取り戻していた防波堤。カモメの姿も気づけば見当たらず、空には少しずつだが白い雲
が見え出していた。
 ヒロは静かに首だけを美波の方に向けた。美波はそれに気づき、ヒロの方に少しだけ首をずらして、視線だけ
を交わす。
「僕は、美波のことが好きだから。美波には女の子であって欲しいから。僕は、美波の身体は良いと思うよ」
「ん、なぁっ!」
 想定外のヒロの言葉に、美波は頬が紅潮するのを抑えられなかった。
「オ、オ、オレのことが好きだってっ?」
「うん」
「何でだよ! 言っただろ。オレは、心は男みたいなもんなんだって」
 慌てふためく美波とは対照的に、ヒロの方は恥かしさなどおくびにも出さずに答える。
「うーんと、まず優しいし、気が利くし、運動できて頭もいいし。そして何より可愛いし」
 しっかりと耳まで紅く染めた美波は、慌ててヒロから顔を背けると、急いで釣具の片付けを始めた。
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:56:17.36 ID:SnFJWvHD0
>>209、212
いろいろアドバイスありがとうございます。
描写力つけたい・・・

と言うことでお題下さい↓
224曖昧な境界線(3/3) ◆Kq/hroLWiA :2008/02/24(日) 01:56:56.75 ID:OltZKsyq0
 ヒロはそんな美波を、ただのんびりと見つめていた。
 一通り道具を片付け終えた美波は、ヒロには目もくれずに立ち去ろうとした。しかし、そこにヒロが一言、声
を掛けた。
「僕は、水玉が好きだよ」
 ヒロの言葉が意味不明だったようで、美波は怪訝な顔をして、首だけを振り向いた。
「何のことだよ?」
「あれ? ブラジャーを買いに行くんじゃないの?」
 冷め始めていた美波の頭が、再び一気に沸騰する。秋の山よりもさらに紅く顔を染め、美波は大きな声で叫んだ。
「行くかバカ!」
 逃げるようにして走り去る美波を背にして、ヒロは再びのんびりと海を眺める。
 すると突然、背後で女の子の悲鳴が上がった。
 多分、フナ虫でも見つけて驚いたのだろう。
 そう勝手に納得したヒロは、ぼんやりと呟いた。
「……あと、たまに女の子っぽいところを見せるし」
 ヒロの口からこぼれた言葉は波音に拾われて、背後の女の子に届くことなく、潮風の中に溶け込んで行った。

おわり
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:57:28.71 ID:OltZKsyq0
>>223
ゴスロリ
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:57:44.71 ID:SnFJWvHD0
割り込みごめんなさい
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 01:59:10.54 ID:SnFJWvHD0
>>225
そしてありがとうございます
228グロかがみ ◆GLLOKAgaMI :2008/02/24(日) 02:03:03.67 ID:tmnoAtUB0
>>219
なるほどなぁ。三点リーダは多用しちゃうんだなー…「間」とかをうまく出せなくて。
サンキュー。がんがる。
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 02:05:11.76 ID:PrqUU5iq0
>>228
そうそう。ここ、コテは叩かれるから外した方が無難。
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 02:33:10.52 ID:SnFJWvHD0
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 02:34:34.46 ID:YsOpuABj0
なにこの糞コテ
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 02:34:44.91 ID:PrqUU5iq0
ほらw
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 03:01:53.44 ID:6PtMfXGl0
今週は奇数番号だけ感想書こう。
ただしビリッケツが奇数だったら書かない。
234由愛:2008/02/24(日) 03:26:28.86 ID:mi1q2gCo0
ぅちの恋愛小説なにが悪いのでしょうか

http://blogs.yahoo.co.jp/yume_090807
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 03:49:25.75 ID:lqKDLJsW0
寝る前保守
>>234 宣伝乙
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 04:51:23.38 ID:eXLvoBqD0
品評会投下 4レス
237品評会:ゾックズ・ポートレート1/4  ◆zsc5U.7zok :2008/02/24(日) 04:53:21.51 ID:eXLvoBqD0
 二〇一〇年二月二十四日、悪名高きエドモンド・マイヤーズは永久の眠りについた。世界中から、様々な形で
注目を浴びた殺人鬼は、とても安らかな死に顔を浮かべていたという。

 エドモンド・マイヤーズ……通称繋ぎ屋エディの仕業とされる犯行が最初に確認されたのは、その死より十年
近くも前のことだった。
 二〇〇〇年一月七日。ミレニアムの到来を知らせる鐘の音が世界中に鳴り響いてからほどなく、フロリダの郊
外にてそれは発見された。
 リチャード・ウィンスキー家。極一般的な家庭だ。リチャードは教師で、妻と二人の子供、そして彼の母親の
五人家族だった。人から恨みを買ったことなど無いような平和な家。
 その一家全員のバラバラ死体は、それぞれが間接の繋ぎ目に合わせて五箇所ずつを切断され、その後にランダ
ムに繋ぎ合わされていた。まるで出来損ないのマネキンのようなそれは、動機の不透明さもあってか、異様な光
景として州警察の度肝を抜く。
 しかし、その凄惨な事件はほんの序章に過ぎなかった。
 それからわずか二日後。警察は、未だ事件の全体像も掴めていなかった頃だった。リチャード家から三キロメ
ートルも離れていない場所で、新たに事件が起こる。
 ジェラルド・ハインマン家も、リチャード家と同じく極一般的な家庭だった。六十近くになるハインマン夫妻
と、その息子二人、そして娘一人の五人家族。
 同様に体をバラバラにされ、繋ぎ合わされていた。すぐに人間関係が洗い直されたが、やはり怨恨の類は考え
にくくこれといった手掛かりも無し。しかし、明らかに同一犯の犯行である。
 これ以上の事件の拡大を恐れた警察は止む無く事件の情報を公開し、住民に注意を促すなど異例の判断を下し
た。だが、殺人鬼は強まる警戒とは裏腹に、むしろそれをあざ笑うかのように犯行を重ねていく。
 フロリダ、サウスカロライナ、ルイジアナ、モンタナ、オクラホマ……と範囲は拡大していった。
 事件の間隔にはバラつきこそあれ、三年近くの間に延べ二十件……百人以上の人間が同一犯と思われる手口で
犠牲になったのである。
 増える被害とは対照的に、有力な手掛かりは得られることなく捜査は行き止まりへ。
 日々深まっていく不安と恐怖に、アメリカ中を絶望が包んでいった。
238品評会:ゾックズ・ポートレート2/4  ◆zsc5U.7zok :2008/02/24(日) 04:54:33.94 ID:eXLvoBqD0
 そんな時だ。
 この殺人事件の犯人を名乗る男が、突如として自首してきたのである。
 彼こそがエドモンド・マイヤーズその人である。
 このニュースは瞬く間に広がり、世界中の知るところなった。
 世界を揺るがせたシリアルキラーの素顔に、世界中のメディアは注目したのだ。
 エディはマイアミ生まれのマイアミ育ち。『両親を早くに亡くし、親戚夫婦に育てられた』ということ以外は
彼が殺した者たちと同じく極普通の人間だった。幼い頃から成績は優秀で人望もあり、およそ犯罪とは無縁に見
えたという。妻や子はおらず独身。小さな病院を開いて献身的に患者に尽くしていた。
 ともあれ、いくら事件とかけ離れた人物像とはいえ、彼が自供した内容は正確であったし、犯行に使われた鋸
からは、被害者のDNAも検出された。彼の仕業であることは、間違いなく事実だったのである。
 しかし、奇妙なことに彼はその動機を語ろうとはしなかった。裁判においても、犯行を認めはするもののそれ
以外は頑として語らず、ひたすら自分が然るべき刑に服すことを望んだのだ。
「私は死ぬべきだ」
「私は殺されるべきだ」
 必ず最後にエディはこう締めくくった。
 
 結局、二年程で彼には本人の望みどおり、死刑が言い渡されることとなる。彼はその判決を耳にして、嬉しそ
うに涙を流し神に感謝を述べたという。 
 その段になって、メディアは奇妙な事実に気付く。彼が罪を犯した地域は、全て死刑が存在する州だったのだ。
それが全て計算づくだったとしたら、彼はまるで死刑になることを望んでいるかのようにも思えた。
「可能な限り僕の体を多くの方に提供して欲しい。せめてもの償いに」
 彼はそんな遺言を残し、その二年後の二月二十四日に処刑された。
 提供者が提供者だったために、誰にどこが移植されたのかは匿名とされたが、結局彼の新鮮な肉体の一部は、多
くの臓器提供を望む患者の下へと送られた。
239品評会:ゾックズ・ポートレート3/4  ◆zsc5U.7zok :2008/02/24(日) 04:56:05.65 ID:eXLvoBqD0
 そして、さらなる恐怖はこの後にやってきたのである。
 彼の死から一ヶ月後、角膜の移植手術を受けた十四歳の少年が、病院内で無差別に患者を切り刻むという事件が
起きる。技術的には未熟であったものの、まさしくその手口はエディのものと酷似していた。
 警察は少年の身柄を拘束。直ちに事情聴取を行った。すると少年は驚くべきことをその口で語ったのである。
「彼の体に、まるで不出来なパッチワークのような違和感があったんです。切り取り線と言ってもいい。私を切っ
てくれと懇願するように見えたのです」
 少年は二日後に舌を噛み自殺した。
 それからも事件は続く。
 その二日後には同じく角膜を移植された少女が、さらにその三日後には皮膚を移植された青年が、同様の事件を
起こしたのである。彼らは皆、エディの体の一部を移植された者達であった。
 当然、メディアはこの事実に食いついた。

「殺人鬼エディは生きていた!」
「エディの体を受け継ぐ者達が新たなエディへ!」
「彼の犯行はいつまで続くのか? 繋ぎ屋エディの恐怖」
 
 それからは、メディアがエディと化したと言えるのかもしれない。
 臓器移植手術を受けた人間には片っ端から疑いをかけ、〜はエディかもしれない……と書き立てたのだ。健康に
なる為に戦っていた多くの患者が、メディアの執拗な攻撃に晒されることとなった。自分の体の一部がエディ以外
の人間から貰ったものだと証明する羽目になったのである。
 また、その攻撃は徐々に「移植以外の手術を受けた、エディと同じ血液型の人間」にも及んだ。
「何故輸血をしたのですか!? 殺人気になりたかったのですか!?」
 エディの血液の一部もまた、輸血用血液として提供されていたとはいえ、あまりにも理不尽すぎる発言である。
 患者達の中には、その精神的苦痛に耐えられず、自ら死を選んだ者達もいた。
 政府はここに到って事態を重く見、エドモンド・マイヤーズの肉体の残り全てを処分する旨を発表した。実際に
は、もうその多くが使用あるいは処分された後ではあったのだが、完全なる事態の収拾を図る決断だった。
240品評会:ゾックズ・ポートレート4/4  ◆zsc5U.7zok :2008/02/24(日) 04:57:45.28 ID:eXLvoBqD0
 しかし、事態はこれでも収まらなかった。
「私はエディです。人を殺す前に自ら命を絶ちます」
 そんな遺書を残し、自殺する者達が現れたのだ。その多くは、狂信的なエディのファンあるいは信者と呼べる者
達だったが、これらの死が多くの人間に疑念を植え付けたのである。
「彼は病院に行っていたな。もしかしてエディになったのでは?」
 エディの血を受け継ぐ者達が、新たに献血や臓器提供をすることでさらにエディが増えていく。そんな埒も無い
想像すら、マスコミの煽りを受けて恐怖の対象となっていたのだ。
 この騒ぎはそれから一年以上も続いた。
 
 二〇一〇年二月二十四日。この日起きた一件の自殺を切っ掛けとして、唐突に騒ぎは沈静化することとなった。
 自殺したのはエディの心臓を移植された青年だった。そしてその遺書にはこう書かれていた。

「殺人鬼はもうずっと前に死んでいるはずなのに、彼の恐怖は続いている。私はエディの心臓を受け継ぎはしたが、
人を殺したいなどと思ったことは一度も無い。では、彼の殺意とはいったいどこにあったのだろうか? エディの
死後、命を絶たれることとなった人々は間違いなくエディの殺意によって殺されたのだろう。邪悪とは一体どこに
潜んでいるのだろうか? 心臓? 目? 血? 私はどれもが違っていると思う。その答えをはっきりと知る者は
最早いない。だから私は私に出来ることをしようと思う。殺人鬼エドモンド・マイヤーズはここに自らの死を宣言
する。これより後起こる悲劇は、全て『人間』の悪意そのものであろう」

 了
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 04:58:37.40 ID:eXLvoBqD0
投下終了
運営さんスマン。途中でsageてたことに気づいた。
次は気をつけます。
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 05:58:50.04 ID:XCcymszgP
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 07:24:34.79 ID:tRkXfkk+O
あげほ
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 08:44:40.28 ID:OGfVyNpv0
週末品評会99th 投稿作品まとめ『からだ』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1203756534/

No.08 鉄の時雨の中で眠る 1/1 ◇ID:kLJlcknK0
No.09 曖昧な境界線 1/3 ◇Kq/hroLWiA
No.10 ゾックズ・ポートレート 1/4 ◇zsc5U.7zok

以上三作品まとめ済み。
ご確認ください。

◇Kq/hroLWiA氏に2レス目のレス数を間違えた事を謝罪いたします。
すみません。
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 09:32:36.42 ID:8gPO8CSO0
以下、規制スレより二作品転載。
246品評会:男と女の『めかにずむ』1/3  ◇0CH8r0HG.A:2008/02/24(日) 09:33:24.56 ID:8gPO8CSO0
 オレの母ちゃんはすげぇ。
 今じゃ、色んな理由からあっさりわかれる「ふうふ」が多いって聞くけれど、ウチにかぎってそ
んな心配はないね。
 だって、オレの母ちゃんはすげぇもの。
 
 何がすげぇって、まず料理が上手いことだ。
 まぁ、上手いよ。むちゃくちゃ上手い。
 オレって学校でもけっこうグルメでとおってるんだぜ? 給食のときだってそうさ。
 みんながガキみたいにガツガツ食べてる中で、オレは心の中でそっとこう思うんだ。
(なんだよ。大したことないじゃん)
 てさ。
 いや、べつにスキキライとかじゃないんだぜ? おいしくないだけなんだ。
 とくに、野菜なんてサイアクさ。ほうれん草のオヒタシなんて、人間の食べものじゃないね。マズ
すぎる。
 でもさ。そんなほうれん草でも、母ちゃんのウデにかかるとおいしくなっちゃうんだからオドロキ
さ。
 ほうれん草のピーナツアエなんて、それだけでごはんをおかわりできちゃうもんね。
「ふうふなか」になやむ世の中のおくさんたち。モンクばっかり言ってないで、料理のウデをみがき
なさい。
247品評会:男と女の『めかにずむ』2/3  ◇0CH8r0HG.A:2008/02/24(日) 09:33:45.76 ID:8gPO8CSO0
 次にすげぇと思うのは、運動シンケイだね。
 なわとびだろうと、ドッジボールだろうと、そんじょそこらの男なんて軽くひねっちゃうくらい強
いんだ。
 まぁ、オレは運動はからっきしダメなんだけどさ。
 母ちゃんが言うには、オレって運動ダメな父ちゃんの血をついでるらしいんだよね。
 うらむぜ、父ちゃん!
 
 そして、お次は勉強さ。
 オレは勉強なんて大ッキライなんだけど、母ちゃんと勉強するのはちょっとだけ好きなんだ。なん
てったって、教え方が上手いからね。
 分からないからって、どっかのクソババァみたいにおこったりしないし、できるとしっかりほめて
くれるんだ。これぞ「アメトムチ」ってやつだね。イマイチいみがわかってないのはヒミツだ。
 とにかく、世の中のお母さんたち……とくに、オレをオニみたいにおこりまくる谷中って名前の
オニババ先生はよくおぼえておきな。
 教え方が上手い女は、ミリョクテキなんだぜ?
 
 ほいでもって、次は女のイノチの話。
 オレの母ちゃんは、多分クラスのお母さん方の中でも一番の美人だ。
 メンクイのオレが言うんだからまちがいないよ。
 やっぱり、女の人って美人の方がいいもんな。
 まぁ、こればっかりはきれいになれったってそうそうカンタンにはいかないよね?
 でもそんなかわいそうな女の人たちにイイコトを教えちゃおう。
 母ちゃんが言うには「ケショウで女は化ける!」らしいんだ。
 まぁ、言わなくても分かると思うけど、オレの母ちゃんはケショウも上手い。
 スッピンでもそこらのアイドルなんかには負けないけど、ケショウをした母ちゃんにテキはいない
ぜ?
 世の女せい方は、ケショウをして少しでも美人になってくれ。
248品評会:男と女の『めかにずむ』3/3  ◇0CH8r0HG.A:2008/02/24(日) 09:34:05.74 ID:8gPO8CSO0
 そしてそして、最後に母ちゃんの一番すごい所をそっと教えちゃおう。
 これはオレの父ちゃんから聞いた話なんだけどさ。
 じつは、世の中の男たちにはみんなアンテナがくっついてるんだってさ。
 どこにだって? そんなのオレも知らないよ。
 っていうか、父ちゃんもそこまでは教えてくれなかったんだ。「ガキのお前にゃまだ早い」っ
てさ。
 まぁとにかく、そのアンテナってのは色んなデンパにハンノウするんだってさ。
 まったく、ムズカしい話はこまるよ。オレもよく分かってないから、父ちゃんの言葉をそのまま言
うことにするな?
「あのな、太郎。女の人は体の色んな場所から、男にしか分からない電波を出してるんだ。そして、男
のアンテナはその電波に反応して、大きく力強くそそり立つんだな。つまり、この電波が強ければ強い
ほど、その女の人は男にモテるのさ。これは結婚した後でも言えることなんだ。最近の女は、結婚した
り子供を産んだりすると途端に電波が弱くなっちゃうのさ。だから、旦那さんに浮気されたり飽きられ
たりして離婚しちゃうんだよ」
 うーん。やっぱりよく分かんないな。つまり、母ちゃんの体からはすげぇデンパが出てるって事だ
よな? やっぱり母ちゃんはすげぇ!
 この話をしてるさいちゅうに、父ちゃんは顔をまっ赤にした母ちゃんに後ろからどつかれてたんだ。
「子供に何教えてるのよ、このエロオヤジ!」
 ってさ。
 コシに手を当てて、ムネをはる母ちゃんはカッコよかったなぁ。
 おこられてる父ちゃんはカッコわるかったけどさ。
 でさ。そのときに母ちゃんのおっぱいを見ていたらちょっとだけだけど、分かった気がしたんだ。
 男のアンテナが女のデンパを受けたときの気持ちがさ。
 そっか、父ちゃんはこのデンパがあるから母ちゃんが好きなんだって。
 分かったら、ちょっとうれしかったんだよね。
 まぁ、それだけの話なんだけどさ。

 終わり
249【品評会】その間十秒 1/2 ◇p/4uMzQz/M:2008/02/24(日) 09:34:42.76 ID:8gPO8CSO0
 あー。Tes、Tes。テス。ヘローヘロー?
 視界は不、良好。気分と天候は地獄の手前でラインダンス中。
ついでに私の最高な頭ん中は最高にハッピーですよって、その本人からお伝えします。
 聞こえていますかぁ聞こえていますか、私。正確には──柚木恵果という名前の、その外身さん。
 今にも壊れそうで死んじゃいそうで、今にも起き上がりそうで生きていそうで。
 そんな風に、私からは思える『容れ物』さん。
 不運でした全く不運でした。
 決してコレは私の側、人格っつーより脳、こっちの方に責任があるから言ってる訳じゃあないんです。
 信号機は今の私の掌くらい真っ青でしたし、あなたが歩道を渡るスピードも普通でした。
それでも真っ黒なあの車の姿が大体私たちの目の前に表れた瞬間に、私が急いでそちらの側に信号最速で送ったところで、
そもそも間に合う訳がありません。私たちは普通の女子高生ですものね。帰宅部の運動能力です。
 私たちは撥ねられて、そのまま天高く──言い過ぎました。軽く空を舞って、地面に不時着ちゅどーん。
『容れ物』さんから送られてきたのは激痛と混乱と、あと困惑と激痛でしたでしょうか。滅茶苦茶痛かったんですね。
 大きく輝いていて、私たちのチャームポイントと自他共に称していた可愛らしい目。
そちらの方を私の命令で開かせて頂いたんですが、気がついたらどうにも頭の方は動きませんでして。
急いで他の箇所にも伝令を送りましたが結果は泣かず飛ばず──この表現で合っているでしょうか。まぁいいです。
結局全身で動いたのは眼球と、あと左手くらいです。嘘です。心臓とかも生きてます。ごめんなさい。
250【品評会】その間十秒 2/2 ◇p/4uMzQz/M:2008/02/24(日) 09:35:01.06 ID:8gPO8CSO0
 あーあー。聞こえてるんでしょうか、反応なんか貰え様が無いので全く分かりませんが、私自分勝手なんで続けますね。
 それで今に至りまして、現状を把握するに、もうすぐ私たちは死んでしまうのではないかという結論に私は達したのですよ。
 左手で胴体を触ってみたら、何だか普段とは違う輪郭してた気がするんですよね。おお怖い。
離した左手は、真っ青から真っ赤に変わってしまってましたし、それにあの感触は腸とかそこらですよね。
 私があなたに語りかけるのは、何も動かない体を駆使して恩人にお返しして殺って欲しいのでも、
その出ている内臓を口に運んで欲しい訳でもありません。それって死因何て判定されるんでしょうかね。私には分かりませんが。
 ……回りくどくなりましたが、最後に私がやり残したこととして。
 今までずっと私の命令に従ってきた『容れ物』さんに、少しお礼を言いたくなったんですよ。
まぁ、ぶっちゃけた話が自己満足ですオナニーです。あー、そういえば経験もまだでしたね。そちらもごめんなさい。
 こんな馬鹿みたいな私の、文字通り手足として、そしてそれ以上に生きてきてくれたあなたに。
 頭の中でぐるぐる回っているのは、私がぐるぐる回しているのは、後悔でも自責でも落胆でも、追悼の念でもありません。
 そういえばさっきお礼って言いましたが、どちらかと言えばお詫びって言った方が正しい気がしてきました。
私の中ではその言葉はほとんど同じ意味です。馬鹿ですみません。
 こんな私の『からだ』として生きた、自らふとした発想で生を終わらせようとするような馬鹿な心を持って生まれた──そんなあなたに。
 私は何よりも謝罪と、そして同情の念を抱きましょう。痛い思いさせてすみません。
 あーあーあー。テステス。本日は曇天なれど、私の人生最良の日。そして私たちの人生最悪の日。
 どうか、あなたに安らかな眠りを。あとは司法解剖と火葬に。耐えて、堪えて、絶えてください。
 私のロウソク、も尽きそうです。聞こえていますか、どうか……、あなたに。ごめんなさ、い……と、ごめんなさい、を。

                                         終。
251【品評会】その間十秒 2/2 ◇p/4uMzQz/M:2008/02/24(日) 09:39:22.27 ID:8gPO8CSO0
週末品評会99th 投稿作品まとめ『からだ』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1203756534/

No.11 男と女の『めかにずむ』 1/3 ◇0CH8r0HG.A
No.12 その間十秒 1/2 ◇p/4uMzQz/M

以上二作品まとめ済み。
ご確認ください。
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 09:39:55.13 ID:8gPO8CSO0
うう、恥ずかしい
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 09:42:43.66 ID:50eILqYMO
>>252
乙です
254 ◆p/4uMzQz/M :2008/02/24(日) 09:53:38.22 ID:oqA/YDtPO
>>252
有り難うございましたー。乙です
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 10:48:39.68 ID:1u0rlujV0
ほす
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 11:29:01.10 ID:H1hF8FtaO
保守(笑)
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 11:56:31.19 ID:zjhq/wRp0
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 12:26:07.80 ID:9BPoCYYc0
ちびっ子ロリ美少女小学生のキツキツおまんこに中だししたい人
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:11:49.68 ID:9BPoCYYc0
最 近 見 た カ オ ス な 夢
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:23:36.34 ID:NYPmVn6pO
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:37:53.96 ID:1u0rlujV0
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:55:03.32 ID:2E/UZxiM0
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:04:32.10 ID:byBJVYo60
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:16:50.17 ID:bVjus8urO
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:25:04.40 ID:ZleoUNDm0
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:35:52.75 ID:1u0rlujV0
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:38:52.31 ID:O87+qfSF0
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 14:55:30.89 ID:9ZP7xLtd0
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 15:21:01.97 ID:O87+qfSF0
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 15:30:20.17 ID:1u0rlujV0
271【品評会】耳鳴り 0/2 ◆fSBTW8KS4E :2008/02/24(日) 15:31:08.44 ID:BCLnsdvs0
品評会投下します
タイトル・耳鳴り
レス数・2
272【品評会】耳鳴り 1/2 ◆fSBTW8KS4E :2008/02/24(日) 15:31:41.99 ID:BCLnsdvs0
 右耳である私が、右手を好きになったきっかけとして、主である女が失恋をしたことがあげられる。
 幼い頃から主は、髪が長く、私はいつも視界が狭かった。
 そんななか、右手と知り合ったのは主が自分で頭を洗えるようになってからだ。甘い匂いのシャンプーを持って、彼は現
れた。主は私の後ろを念入り洗い、その時間私たちは軽く挨拶を交わす程度で、むしろ私は、主の下手なシャワーのあて方
にイライラしていた。
 しかしそれも最初のうちで、私はお風呂から上がったあとの、バスタオルでごしごしと身体をすられるのが楽しみになっ
ていた。
 右手のことを気にかけるようになったのは、私がこめかみと話すようになってからだ。彼女は物知りだった、脳みそと近
いからかもしれない。私が眼鏡に気をつけるようになったのも、彼女が教えてくれたからだ。眼鏡というものは、私の骨を
痛めるものらしい。なので私はこめかみを通してまだ見ぬ両目に、無理をしないでくださいと頼んだりした。
 その彼女曰く、右手はなかなかの好青年だ、と聞いた。確かに、主が耳かきをするとき、彼は申し訳なさそうに謝ってく
るし、主の癖で右手が私のたぶを触るときに、彼が暇つぶしにする話は面白かった。
 例えば、雨の冷たさと雪の冷たさについての違いについてだったり、主が授業中にするペン回しの上達具合についてだっ
たり、鍵盤の上を走る快感についてだった。
 主は小さい頃からピアニストを目指していた。主が弾くピアノは時報のような通る音ではなく、雨上がりのクラクション
のような天井のない、抜けた音のようである。主はピアノを弾くとき髪を上げて後ろで止めるので、私は視界も音も遮られ
ることなく楽しめた。
 やがて、主は、一人の男性に恋をしたらしい。こめかみが両目から聞いた情報によると、同じ音大に通う一人の学生らし
い。その学生の吹くサックスの音色は、主のピアノの音によく合い、私は鍵穴を回すときに聞こえる、溝と溝とがかみ合う
音に似ているなと思った。
 どういう経緯かはわからないが、主と学生は付き合い、そして同棲をするようになった。
 ここだけの話、私はその学生の両手には好感を持たなかった。学生が主を抱き寄せて、肩に手を回すとき、右手で私を触
ってくるのだが、皮膚の下から聞こえてくる血流は、騒音に近い。
 主、この人はよくないですよ、私がそう念じてみても、主は耳鳴りがすると言っただけで気にもとめなかった。
273【品評会】耳鳴り 2/2 ◆fSBTW8KS4E :2008/02/24(日) 15:32:20.16 ID:BCLnsdvs0
 私の読み通り、関係はそう長く続かなかった。学生は最後に、君は音楽以外まるで駄目だな、なんて言って出て行った。
 主はドアの強く閉まる音があった後も耳を塞ぎ、うずくまっていた。いつもは陽気に話してくる右手も、その時は神妙な
顔で私にくっついているだけだ。
 私も主のために、一刻も早くあの学生の声を忘れようと努力をするが、難しい。
 それから一晩開けるまで主は動かず、私と右手はずっと見つめ合っていた。主が涙をぬぐい、右手に付いたそれは、その
まま私に伝わり、これが悲しさなのだな、と理解して、私も涙を流さないで泣いた。
 次の日、主は美容院に行き、髪を短くした。長い間、私の視界を遮っていたものは無くなり、私は久しぶりに青空という
ものを見上げた。
 主はいっそうピアノに打ち込むようになり、音は以前よりも鋭くなった。ただその鋭さは、何かを引き裂いた悲しさでは
なく、太陽に続く光線の鋭さに似ている。
 私は右手が奏でている音色に包まれながら、こめかみからいいことを聞いた。

 本当にプロになったのか、僕は昔の自分の恥ずかしさを懐かしみながら、雑誌のページをめくる。
 そこには昔僕が付き合っていた人が、新進気鋭のピアニストと言われながらピースをしている姿が載っている。昔の僕は
音楽を求めることに全てを注いでいた。そんな中で、僕の出す音とぴったりはまるような人が彼女だった。僕は彼女の音を
知ろうと、付き合い、彼女を求めた。
 しかし彼女の音は、僕が近づけば近づくほど、鈍くなってゆき、魅力を無くしていった。僕は怒り、嘆き、酷いことを言
って彼女と別れた。その後に、卒業試験の会場で聞いた彼女の音は、僕の想像を軽く超えたのだ。それを考えると、彼女に
とっても僕にとっても、結果オーライな気もする。
 ページをめくると、彼女が今度出すCDについてのインタビューが載っていた。
――アルバムのタイトルなのですが、「耳鳴り」って言うのはどういう意図があるのですか?
「意図って言うほどたいしたことじゃないんですけど、耳鳴りって私にとっての心が落ち着く音なんですね。耳鳴りがする
と、こう両手で頭を押さえるんですけど、そうするとなんか右手と右耳の間が暖かくなって、落ち着くんです。その暖かさ
は、離れていた人同士が再会するときの温度に似ていて、今回は出会いをテーマにしたアルバムなので、こうつけました。
でも、私以外わからないですよね(笑)」
274【品評会】耳鳴り 2/2 ◆fSBTW8KS4E :2008/02/24(日) 15:32:58.67 ID:BCLnsdvs0
以上です
なんか流れ読まなくてごめんな

275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 16:01:46.19 ID:lqKDLJsW0
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 16:21:16.69 ID:UbYM+Z9m0
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 16:28:10.60 ID:CneBNnZr0
まとめの方のスレって、後からでも途中のレスを消去することって出来たんだっけ?
出来るなら品評会作品のまとめを続けるんだけど。
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 17:08:49.26 ID:lqKDLJsW0
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 17:16:04.97 ID:UbYM+Z9m0
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 17:28:39.85 ID:gWJa74Hc0
素敵過ぎです。
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 17:31:07.80 ID:gWJa74Hc0
週末品評会99th 投稿作品まとめ『からだ』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1203756534/

No.13 耳鳴り 1/2 ◇fSBTW8KS4E

まとめ済み。
ご確認ください。
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 17:41:10.05 ID:50eILqYMO
>>281
感謝感激乙彼様です
転載ありがとうございます
283 ◆7BJkZFw08A :2008/02/24(日) 18:04:02.73 ID:qJmSYka/0
品評会投下します
284わたしのからだ 1/2  ◆7BJkZFw08A :2008/02/24(日) 18:04:46.90 ID:qJmSYka/0
『――――最新ニュースです。当時妊娠中であり、現在保護下にある女性の一人、――さんが、昨日亡くなりました。
これにより、現在保護下にある――――は、あと一人――――』

 これは、私の手。
『あなたは生まれつき右手が無かったのよ。だからお母さんの右手をあげたの』
 すべすべときめ細かく、柔らかく、美しい、右手。
この手を胸に当てると、あたたかい。何とも言えない心地よさを感じる。安心できる。

 これは、私のもう一方の手。
『お前は生まれつき左手が無かったからなぁ。お父さんがお前に左手をやったんだ』
 どこか自分と違うみたい。がっしりとした、ちょっと毛の多い、左手。
この手があれば大丈夫。頼もしく、力強い。
頭に乗せると褒められているような感じがして、なんだか誇らしげになれる。

 これは私の足。
『ええ、こんな僕でもお役にたてるなら……僕の身体の首から下は、もう動きませんから……』
 私の知らない、誰かから貰った、私の足。
私の足はちょっと落着きが無い。いつでも走りたがって跳びたがる。
椅子に座ってるときもいつもブラブラ交互に揺れる。
地面を蹴って、石を踏みつけ、一瞬だけど空を飛ぶ。その瞬間、私の足は本当に嬉しそう。

 これは、私の目。
『構いませんよ、私の目の片一方くらい。それでその子が世界を見れるなら、お安いご用……』
『私はもう瞼が開かなくなってしまって……だから、良いんですよ』
 私の知らない誰かと誰かから貰った、私の目。
どんなものだって、どんなことだって、この目があればよく見える。
茶色い地面、もっと茶色い葉の無い木。白い石、オレンジ色の風。
この目があるから私は真っ直ぐ走れるし、道に落ちてる大きな石にもつまづかなくてすむ。

 これは、私の肺。これは、私の心臓、これは、私の……
285わたしのからだ 2/2  ◆7BJkZFw08A :2008/02/24(日) 18:05:26.62 ID:qJmSYka/0
『この患者さんは、登録が済ませてありますから、移植は可能です』
『なに? 子供が生まれた? そんな馬鹿な。だって我々はもう……本当、なのか?』
『その子の身体は生まれたときからボロボロです。これ以上生きるには、もう体の中から外から全部取り換えるしかありませんな』
『ああ、あの子が。なら、僕の一部くらい、持っていって下さい。なあに、どうせ僕は……』
『もし、あんな事が起きなければ、その子もそんな風には……いや、命があっただけでも儲けもの、ですか。
でも、あるいは生まれない方が、その子にとっては……おっと、すいません。こんなことを言うつもりじゃあ、なかったんですがね』
『その子が最後の……それなら……』
『どうせ遅かれ早かれ、終わるんですよ。私も、あなた達も、そしてその子も。それでもその子を助けたいと?
なら、好きにしてください。よろしいですよ。こんな体、いまさら何の役にも立たないんです』
『例え一瞬でも、長く生きて欲しいと望むのは親なら当たり前なのかもしれませんね。ましてその子がこの世界で最後の命となれば……』

 お父さんとお母さんが作った命にいろんな人のいろんな身体を貰ってできたのが私。
じゃあ、私は誰にこの身体をあげればいいんだろう。
 お父さんも、お母さんも、私に身体をくれた人たちも、そうでない人も、もういなくなっちゃったのに。
 私は一人。今は一人。
 みんな倒れて、砂になっちゃった。風に吹かれて、さらさらさら……
どうしよう。どうしたらいいだろう。私の身体を、誰にあげれば――――
 あっ! 足が崩れた。
突然バランスを失った私の体は、前のめりに砂と石ばかりの地面に倒れ込む。
途端に、もう一方の足もさらさらと崩れ始めた。もう立ち上がることも、走ることもできない。
 そうか、私はこの星に、私の身体をあげればいいんだ!
みんなも、私にくれた身体の他は全部この星にあげたんだ。だから砂になったんだ。
そう、私もみんなと一緒にこの星に身体をあげて……そうすれば、今は元気のないこの星も、
いつかお父さんの見せてくれた写真みたいに、綺麗で、綺麗な、綺麗に……
 ああ、私の身体が崩れていく。砂になっていく。
このまま寝そべっていればいれば、その内、お母さんや、お父さんに……

 うつ伏せになった少女の身体が、さらさらと砂に変わっていく。
その少女の最後の一かけらまで小さな砂粒に変わったら、その星の最後の生が途絶えたということになるだろう。
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 18:05:58.53 ID:qJmSYka/0
以上です
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 18:27:27.93 ID:XCcymszgP
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 18:38:26.38 ID:UbYM+Z9m0
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 18:54:12.85 ID:XCcymszgP
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 18:56:30.05 ID:UbYM+Z9m0
291 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:22:50.86 ID:H1hF8FtaO
保守&投下
品評会用だよー
292【品評会】鬼畜1/3 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:26:02.52 ID:H1hF8FtaO
 その鬼は、険しき山岳の中腹に棲んでいた。霞の中に居を構え、悠久とも知れぬ時を、
独りそこで過ごしている。何が故に、と言うわけではない。ただ、鬼は在るべくしてそこに居る。
 時折、麓の村の人間や巡礼者、流浪の人等が彼の地を訪れることはある。しかしそのよ
うな人々も鬼の姿を見るや、例外なく怖れおののいて逃げ出していくのである。人より大
きいその体躯、厳めしい顔付き、額に根を生やした角。地獄の業火を思わせる肌の赤。
 鬼は、空を眺め、麓を見下ろし、たまに思索する。何故、俺は鬼なのだろう、と。

 ある雨の夜、彼の棲む洞穴に旅人が訪れた。盲目の年老いた三味線弾きである。
「一晩ばかり、雨をしのぎたいのですが」
 三味線弾きは穏やかな微笑を浮かべ、そう言った。
「俺は鬼だ。それでもいいなら構わんが」
 鬼は答える。三味線弾きは驚く様子もなく、構わないと言った。
 しとしとと途切れなく降り続ける雨の音が響く。時折、三味線弾きは何もない洞穴の天
井を眺め、膝に乗せた三味線を撫でる。鬼はその様子を黙って見ながら、首を傾けていた。
 鬼だから怖い訳ではないのか。
 鬼は自分の他に鬼と呼ばれる者が居るのかどうか、知らぬ。そもそも彼自身が鬼だと言
うのも、人が彼を見て鬼だと呼ぶからこそ、知ったのである。
「俺が怖くないのか」
 鬼は、ふと聞いた。三味線弾きはその言葉に顔を向ける。
「はい」
 短く答え、再び視線を落とす。
「人は何故、俺を怖がる」
 鬼は聞く。三味線弾きは暫く黙っていたが、やがてゆっくりと三味線を起こし、撥を手に取る。
「鬼だから――人と違うから、ではないでしょうか」
 ぼん、と低い音が洞穴に響く。ぼん、ぼん。
 音の調子を確め、弦を巻き、弛める。その余韻が暗く狭い洞穴に、不気味に、虚しく残る。
「お前は、何故俺を怖れない」
 鬼は三度、聞く。
「私には、何も見えません」
 三味線弾きは、静かに答える。
293【品評会】鬼畜2/3 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:26:57.14 ID:H1hF8FtaO
「違いが分からなければ、怖れる理由もございません。
 そもそも、人が鬼を怖れる根拠が分かり得ないのです」
 撥を収め、老人は三味線の棹を膝に置いた。洞穴は再び、雨の音だけの世界に戻る。
「何も見えぬ、か」
 鬼は静かに呟く。
「暗闇の世に生き、曲を奏で、何が楽しいのだ」
「見えぬ世界には、音しかありません。盲人が世の人々と繋がるには、音しかないのです。
 そして、人々がそれを必要とする限り、私は生き永らえることが出来るのです。それ以
 上の何かは、私には必要ありません。また、望むべくもありません」
 三味線弾きは、穏やかに語る。それを受け、鬼は頷く。道理である。
「ならば俺のこの、人と違う体も、人々に怖れられる為に――在るのだろうな」
 三味線弾きは、それには答えなかった。そして、棹を起こし、再び彼は撥を取った。
 宵の山中に、三味線の音が響く。抑揚の抑えた囃の中に、控え目に添えるように、三味
線は鳴り続ける。鬼は静かに、その旋律の中に身を埋める。


 鬼が朝に目を覚ました時、そこに三味線弾きの姿はなかった。
――人は、礼儀も知らぬらしい。
 鼻で笑うが、ふと脇に何か転がっているのを見留める。
 撥と、三味線。礼のつもりか。鬼は首を鳴らすと、大きく溜め息をついた。


 次の夜、夢中に居た鬼は、物音に目を覚ます。身体を起こそうとすると、その首筋に冷
ややかで鋭い何かが当たった。
「お前が、鬼か」
 若い男の声。鬼は何も答えず、視線を向ける。
 首に当たるのは、冷ややかな煌めきを放つ刀。何故、それが自分に向けられているのか
理解出来なかった。その向こうに、微かに見える男の影。
「その首、頂こう」
 それだけ言うと、男は素早く刀を引いた。
294【品評会】鬼畜3/4 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:30:14.35 ID:H1hF8FtaO
 首に、熱い感触が走る。何を考える間もなく、鬼は身体を起こして影に掴みかかった。
短く吠え、掴んだそれを壁に叩き付ける。男はか細く何かうめいたが、鬼は構わずそれが
聴こえた辺りを再び掴み、締め上げる。
「俺が、何をした」
 低い声で聴く。
 男は自分の首を締める手を掻き、何事かを言おうとするが、それは声にならない。
「俺が鬼だから、か」
 力なく呟くと、鬼は手を離す。地に崩れ落ち、激しく咳き込む男。
 鬼は自らの首を触る。血は流れているが、傷は浅い。
 やがて男は、暗闇の中で鬼に視線を向ける。
「私を殺さないのか」
 鬼は鼻を鳴らすと、向かいの壁に背をもたせかけた。
「殺しても良いが、その前に幾つか聞きたいことがある」
 沈黙。
 男は息を潜め、鬼が口を開くのを待つ。
「――何故、俺を殺そうとした」
「鬼の首は、高く売れるからだ」
 男は答える。鬼は舌打ちを挟み、間を置いて再び聞く。

「鬼というのは、お前ら人間にとってどのような存在なのだ」
「強く、恐ろしい者だ。我々を支配しかねない者だ」
 鬼は首を捻る。人を支配しようなど、考えたこともない。
「俺の他の鬼に、そういう奴でもいるのか」
 返答は、ない。黙り込む男に、鬼は重く歩み寄る。
「殺しても――良い」
 鬼はその手を再び男の首に掛ける。
 短く息を吐き、抵抗する男。更に力を入れると、苦しそうにもがく。
「お前らの望む鬼に、なってやっても良い」
 更に力を込める。男の口の端に、泡が浮かぶ。
295【品評会】鬼畜4/4 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:31:41.79 ID:H1hF8FtaO
「去れ、人よ」

 それだけ言うと、鬼は男を洞穴の入口の方に放り投げた。
「この山には人を喰らう恐ろしい鬼が居ると、吹聴するがいい。
 それが俺とお前達、双方の為だ」
 男は咳き込み、おぼつかぬ足取りで逃げて行った。その背を見送り、鬼は独り息をつく。
 人の世に産まれつくこととは――

 ふと、足元に転がる刀に気付く。刃を指でなぞると、自身の血で濡れている。
 これから、あの男のような人間が訪れることは避けられないのだろう。
 洞
穴の外に出ると、空が薄紫に染まりつつあった。刀を掲げ、その赤に染まる刀身を見
る。そこに写る自らの顔に苦笑し、鬼は昇りつつある陽に背を向けた。
――お前達の望む、鬼になってやろう。
  この身体を、俺自身を肯定する方法がそれしかないならば。

 その山には、鬼が居る。人を殺め、喰らう、鬼畜が。
 その山は、雨の日に哀しく鳴く。何処からか響く弦が、微かに鳴いている。

―了―
296【品評会】鬼畜 ◆5GkjU9JaiQ :2008/02/24(日) 19:33:01.67 ID:H1hF8FtaO
うい、お疲れさん。
ってか、レス数計算ミスサーセンwwwwwwwww
セルフ転載してきます
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 19:35:50.16 ID:H1hF8FtaO
あ……前の人のがまだ転載されてないから出来ない……
携帯ってコピペ文字数に限界あるんすよ、と言い訳。
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 19:54:04.58 ID:NgpzEI7V0

 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 |  ここまでまとめ済  |
 |_________|
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 19:58:56.14 ID:H1hF8FtaO
>>298
愛してる
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:04:20.94 ID:GV03cvhq0
お題くれくれ
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:06:01.08 ID:Hn2TQwrQ0
異形
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:07:38.46 ID:UbYM+Z9m0
肉塊
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:08:37.40 ID:GV03cvhq0
>>301,302
また書きにくそうな物をwwwww
dクス
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:35:19.27 ID:H1hF8FtaO
保守
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 20:36:13.52 ID:50eILqYMO
ほ 保安官
ほ ホイール
ほ 方法
ほ ホエール
ほ 保温

ほ 保管
ほ 補強
ほ 北米
ほ 保険
ほ 矛先

ほ 保坂先輩
ほ 保守
306品評会 死人のからだとしにんとえきたい(0/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:43:11.11 ID:BseQi9WLO
品評会作品投下します。全4レス
307品評会 死人のからだとしにんとえきたい(1/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:43:54.88 ID:BseQi9WLO
 暗い地下の線路の上を、二つのライトを光らせながら電車が走っている。そして時にそれは緩やかにカーブしている。
 車内には赤色の座席が並んでいて、その一番端にすわる一人の男は、
絶望である現実と、虚無である夢のなかを、うとうととまどろみさまよっていた。
……。
 車内アナウンスは人身事故による一時間の遅れを車内に響かせ、電車が緩やかにカーブするのとほぼ同時に、
もうすぐ次の駅へ着くことを乗客に伝えた。
「次は、××。××」
 ××駅は彼の降りるべき駅だった。まどろむ彼はそのアナウンスを聞きはしたが、最初、その言葉の意味を理解できなかった。
『××』という音だけが耳に残って、残ったその音もじょじょに消えていった。
 消えかけたところで、彼ははっとまどろみからさめてその言葉の意味を理解して、
ちょうど開いていたドアからあわてて駅のホームに飛び出した。
 遠のき、くらやみの中にゴウワゴウワと小さくなっていく電車を見ながら、彼は心のなかでゲラゲラと笑った。
「××」という音の感覚のあとに「××」の意味がうきあがってくる感じが彼にはむしょうに面白くおもえて、
やはり死ぬことを考えながらも心のなかでゲラゲラと笑った。
顔は無表情のまま、……心のなかで彼はゲラゲラと笑っていた。(ゴウワゴウワ)
 彼は心のなかだけゲラゲラと笑いながら階段を昇り、ゲラゲラと心をふるわせながら改札を通り抜けた。
そして彼は死と笑いを同時に胸に抱えて、死と笑いを同じように抱える星空の下をあるいた。……
 彼はその帰り道、一度だけ、星のきらめく夜空をみあげた。

(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)
308品評会 死人のからだとしにんとえきたい(2/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:44:34.69 ID:BseQi9WLO
 鍵を開けてアパートの一室に入り、肩に掛けていたカバンを降ろすと、
四角いテーブルの上に見たことのない球体があることを彼は気づいた。
疲れていたので畳のうえに寝そべって、寝そべりながらその球体をいじくってみた。
 球体の表面は人間のヒフのようなもので覆われていて、ところどころに薄くうぶ毛がはえていた。(ゴウワゴウワ)
押すと、これは何かの肉なのだろうか、ブヨブヨと柔らかかった。
またこの球体の中心には、骨かなにかのような、やけに硬い「しこり」があった。
彼はねそべったまま、天井にその球体をほおり投げ、……重力によって空中から落ちてきた球体を、キャッチした。
――重力はたましいと肉体の、どちらを引っ張っているんだろう――
床にねそべり重力を感じながら、彼はそんなどうでもいいことを考えて、球体を何度も投げてはキャッチした。
答えなんてだすつもりもなかった。(ゴウワゴウワ)。適当な問いをだしての暇つぶし。
 同じように急に、この球体のなかはどんな風になっているのかが気になった。
そうして彼は急にがばりと起き上がり、銀色に鋭い包丁と、真っ白なまな板を取り出した。
そしてそのまな板の上に球体をのせた。
309品評会 死人のからだとしにんとえきたい(3/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:46:43.57 ID:BseQi9WLO
 白いまな板の上にある物体は美しい。存在が強調され、
輪郭が、色が、そのすべてがくっきりと浮き上がる。
それは彼の目をチカチカとさせ、彼の頭をクラクラとさせる。(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)
 彼は包丁で球体に切り目を入れた。赤い血が流れでてくる。
少しの間彼は赤い血が流れていくのを見ていた。
拡がっていく一枚の赤い水溜まりと、その中でずしりとたたずむ美しい球体。……。
 彼は両親指を切り目に入れて、少し拡げてなかを見てみた。
見ると骨だと思っていたしこりは、実は心臓らしく、微かだが確かに動いていた。
どく、どく、と。ほんとうに微かに。
 球体のなかを知ると彼はもう一度ごろんとねそべり、その球体をまた天井に向けて投げて、また同じようにキャッチした。
辺りに血が飛び散った。そうしてそのとき、彼は、もしかすると眠っていたのかもしれない。(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)
血を飛び散らせながら天井に球体を投げているうちに、彼は眠っていたのかもしれない。
飛び散る赤い血のように、意識が壁に飛び散って、消すことのできないシミになったのかもしれない。
(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワ
ゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワ
ゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワ
ゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワ
ゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴウワ)(ゴウワゴ
……ずっと聞こえていた“ゴウワゴウワ”という音が急にこわく感じられてきて彼は家を飛び出した。
 部屋の中には、一つの球体が残った。
310品評会 死人のからだとしにんとえきたい(4/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:49:19.28 ID:BseQi9WLO
 どこかへ行くために彼はエレベーターのなかに入った。
そして掛けてある鏡を見ると、彼は自分が、二つの丸い目ん玉と、赤い唇と二十個の爪だけになって宙に浮いていることに気がついた。扉がしまり、エレベーターは降りていった。
そういえば、ボールを投げたときも爪だけだった、いや鍵を開けた時も……
××駅の時のような感覚で、何時こんな体になったのかを思い出していった。
思い出していると彼にはまた「感覚のあとに意味がうきあがってくる」のが感じられて、今度は声を出してゲラゲラと笑った。
無限に降り続けるエレベーターのなかで、
笑い声が響き続けていた。
彼はゲラゲラゲラゲラと笑い、
今日自殺を――ゴウワゴウワ迫りくる電車に向かって飛び出したことを、思い出した。
そして「肉体」があった最後の感覚を――暗い死の感覚を思い出して、彼はいっそう激しくゲラゲラと笑った。


 あるアパートの一室のまな板の上には、まるい球体がっずしりと存在していた。
もう動かない心臓を忍ばせた球体には、腐った目玉と腐った唇がいつの間にか付いていた。
また、球体の回りには無数の爪が散らばっていた。
(ゴウワゴウワ)
(ゴウワゴウワ)
 彼の心臓は止まっていた。
 無限に落ち続けるエレベーターのなかでは奇妙な笑い声が響いていた。
壁に掛かる鏡には、何も映ってはいなかった。

 ゲラゲラという笑い声だけが、ただ、ぐらぐらとそこに響きつづけていた。
311【品評会】 ◆/sLDCv4rTY :2008/02/24(日) 20:51:41.65 ID:BseQi9WLO
以上。
おちんちんでごめんなさいよろしくおねがいします。
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:10:36.16 ID:BNap0zuQ0
週末品評会99th 投稿作品まとめ『からだ』
http://yy46.60.kg/test/read.cgi/bnsk/1203756534/

No.16 死人のからだとしにんとえきたい 1/4 ◇/sLDCv4rTY

まとめ済み。
ご確認ください。
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:11:20.36 ID:lqKDLJsW0
ようし、今から書くぞ!
間に合えばうp、間に合わなかったらあきらめる!
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:13:17.85 ID:BseQi9WLO
>>313
ありがとう!
かくにんした!
315恋人は(0/2) ◆LBPyCcG946 :2008/02/24(日) 21:24:05.36 ID:Ngy+Fs5s0
品評会投下
316恋人は(1/2) ◆LBPyCcG946 :2008/02/24(日) 21:24:36.79 ID:Ngy+Fs5s0
 彼は不思議な体をしている。それはとても便利だけれど、他人には気味悪がられるくらい寂しい
体。でも私はそんな彼と、彼の体が好きだ。
 私にとって、彼の部屋で過ごすこの日曜日は、最高の時間。このまま時が止まればいいのに、
と思いながらふいに窓から外を見る。夕日がその橙色の体を、ビルとビルの間へと沈めようとし
ていた。私は壁にかけられた時計にを見る、長針は2時を指している。ほんのちょっとだけ願い
が叶ったようだ。
「あら、電池切れかしら」
 私が時計を指差しそう呟くと、彼は少し面倒臭そうに起き上がり、ベッドの上に立つと、時計
を下ろした。裏についている電池ボックスは、ネジで止められている。こういう時こそ、彼の不
思議な体の出番だ。彼は手馴れた様子で左手中指をクルクルと右に回す。指をキャップのように
外すと、そこにマイナスドライバーが現れる。彼はそれを器用に使いこなし、すぐに電池を新し
いのに交換してくれた。
 中指と同じ要領で、小指にはコルク抜き、薬指には缶きり、人差し指にはボールペン、親指に
は栓抜きが入っている。おそらく、世界で一番便利な左手だろう。その左手で彼は鼻をつまみ、
左右にコキコキと鳴らす。すると、テレビのチャンネルが次々に変わる。鼻がリモコンとして使
える事に驚くべきか、それとも左手が普通に使える事に驚くべきか。ちなみに、彼の乳首は画鋲
になっていて、取り外し可能だけど、左の乳首をどこに刺したか覚えていないらしい。
 チャンネルは一周したけれど、興味を引くような面白そうな番組はやっていなかった。日曜日
の夕方なんて、こんな物だろう。彼はつまらなそうに欠伸を1つ。
「ねぇ」
 と、彼に話しかける。
「ん?」
 彼は答える。私はしっかりと心を込めながら言う。
「愛してる」
 彼は黙ったまま、私を見てにっこりと微笑んだ。そんな甘ったるいやりとりをした後、彼と私
は寄り添いながら台所に向かった。いつだって彼は、私の好きな料理を作ってくれる。私だって
もちろん手伝う。野菜を切ったり、調味料を取り出したり。でも、あくまでも料理するのは彼だ。
 今日は酢豚を作ってくれた。炊飯器の音が鳴り、ご飯をよそり、食器と一緒に小さなテーブル
にそれを乗せ、私と彼の食事の時間が始まる。彼の口に私がご飯を運び、彼が私の口に酢豚を運
んでくれる。私は酢豚の味を、幸せと共に噛み締める。
317恋人は(2/2) ◆LBPyCcG946 :2008/02/24(日) 21:25:07.73 ID:Ngy+Fs5s0
 喉が渇いたら、彼の少しだけ出っ張ったへそを押す。カチリと音がし、彼のお腹がドアのよう
に開く。中はひんやりとしていて、いつもお茶と炭酸飲料が入っている。お腹が冷蔵庫になって
いるなんて、なんと素敵な体だろう。
 彼から聞いた話によれば、昔から彼は、自分の肉体を改造するのが趣味だったらしい。最初は
ピアスから始まり、タトゥーを彫り、皮膚の下にシリコンを入れ、改造はどんどんエスカレート
していった。その内に技術も伴って、彼の体は今の形となった。彼の体のあらゆる部分は、普通
有していない機能を持っている。それは究極的な機能美を秘め、他人からの奇異の目の対象とな
っている。
 食事が終わって少し休憩した後、私達は一緒にお風呂に入る。私は彫られたタトゥーを指でな
ぞった後、泡立てたボディタオルで、優しく彼の体を洗ってあげる。彼も同じように、私の体を
愛しそうに洗ってくれる。ふいに彼と目が合って、なんとなく恥ずかしくなった。
 お風呂から出るとすぐに、私は自分の中から込み上げて来る淫らな感情に気づいた。彼がバス
タオルで体を拭いている時、隙をついて部屋の電気を消す。真っ暗になった部屋の中、静寂を破
るように、私は彼の右耳たぶを甘噛みする。カチッと音がして、彼の両目が光る。耳たぶが目に
仕込まれた懐中電灯のスイッチになっているのをうっかり忘れていた。急いで左耳の耳たぶを咥
え、彼の目から光は消えた。
 それからの事は、言うまでもない。恋人同士、愛し合いながら果てて行く。それは暖かくて、
たまらなく甘美な時間。私はどこまでも彼を求め続け、彼も私も求める。
 やがて外は白みがかり、夜の帳が上がっていく。ベッドの中、私は彼の大きな胸に体を預けな
がら、彼の息遣いに耳を澄ましていた。
 彼がそっと左手の指を私の顔に持ってきて、私の両目を閉じる。その後、口も。そして彼はギ
ュっと右手を握り締め、私の視界は真っ暗になった。やがて私はゆっくりと、螺旋の階段を下る
ように眠りに落ちて行く。
 まどろみの中、彼の声がぼんやりと聞こえる。
「愛してるよ、右手」


318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:38:45.59 ID:XCcymszgP
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 21:48:21.68 ID:Tnryga0F0
駄目だ駄目だ駄目だああぁぁ
どうしても急展開になっちまう。どうしろってんだクソッタレ
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:00:40.91 ID:H1hF8FtaO
ベジータが俺の脳裏を横切った
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:03:47.29 ID:s1k/0Ca40
No.17 恋人は 1/2 ◇LBPyCcG946

まとめたけれど、2レス目のNoを何故か間違えました。
ごめんなさい。
322【品評会作品】他意識過剰 0/4 ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:03:59.85 ID:4x59vXGL0
入試もいい感じに終わったので久しぶりに投下!
カオス回避成功だよママン
323【品評会作品】他意識過剰 1/4 ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:04:31.84 ID:4x59vXGL0
 ――だからよ、暴飲暴食は慎めっつーんだよ――
 差し込む夕日が寂しさを投げかける四畳半、俺は正座で説教を受けていた。一人で自分の影を正座しながら見つめるというのは
なかなか神経に来るものである。それ以前に一人で説教を受けるという奇妙な経験を自分がすることになるとは思わなかった。
 ――そもそもてめーは自分の体に無頓着すぎなんだよ。入院してーのか?――
 そう、一人である。つまりは俺に正論をぶっ刺してくるこいつは人間ではない。
 ――おいこら、聞いてんのか? いいかげんにしねーと揺れるぞ?――
 「すんません、マジで勘弁してください」
 反射的に言い返してため息をつく。一度揺れられたことがあるが死ぬかと思った。胃がでんぐりがえり、内容物が絶妙にシャッフルされる
あの感覚は二度と味わいたくない。
 ――大体だな、てめー情けなくねーのか? 自分の胃に説教されるなんてよ――
 じゃあすんなよ、などと言い返したらどうなるかは目に見えているので黙っておくことにし、言葉のかわりにため息を吐き出した。
あの医者の口車に乗らなきゃこんなことにはならなかったのだ。最初は遠慮していた胃だったが、
最近ではちょっと食いすぎただけで容赦なく文句をつけてくる。確かにある程度の自己管理にはなるが・・・・・・。
 ――・・・・・・てめえ、全然聞いてねえな? いい度胸してんじゃねーか。おらおらおらぁ!――
 ぎゃあああああああ!
 急に胃が爆発したように揺れだした。ぶっ倒れる俺。
 ――とにかく俺がいる限りてめえには胃に優しい食事を取ってもらうからな。覚悟しとけよ――
 薄れゆく意識の中で胃の声が頭に反響していた。


  「やーやー、CA19-9が正常値に戻ってるねー。胃の腫瘍はもう心配いらないよ」
 椅子に座った白衣の男がニコニコとしながらカルテをめくっている。それはそうだろうとも。訳のわからん技術を使われたのだから効果が現れないと困る。
しかし胡散臭い医者だ。
 「いやぁ、僕も嬉しいよ。正直副作用とか出ないかドキドキだったんだよね。いや自信はあったよ? でも何が起こるのかわからないのがこの世界だから。はっはっは」
 確証のない技術を使うなよ・・・・・・。うすうす感じていたがやはり実験台扱いだったのか。臓器に意志を与える最新技術だのこれからの
自己管理はこれだだの調子いい事を並べていたが、笑顔を浮かべながらも目が不安げにギョロギョロしていた辺り、
ほとんど実験もしていなかったと見える。まず自分でやってから試せと言いたい。まあ報奨金につられた俺も俺だが・・・・・・。
 ――まあこれも俺の努力の賜物って奴だな。感謝しろ――
 「わかったわかった」
 えらそうな胃の言葉に投げやりに返す。努力と言うが見張っている労力もないし、一蓮托生なのだから別に感謝するいわれもない。
324【品評会作品】他意識過剰 2/4  ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:05:04.60 ID:4x59vXGL0
 「ん、いーくんと話しているのかい?」
 「ええまあ。てかいーくんって何ですか? まさか胃のことですか」
 医者は笑顔で頷く。あいかわらず目だけ笑っていないので微妙に恐い。
 「そうだとも。犬や猫にだって名前を付けるんだから、胃に名前を付けてもおかしいことはないだろう?」
 「そりゃそうかもしれませんが、人の胃に勝手に変な愛称をつけないで下さい」
 「まあまあ。ところで次はどこにする? おすすめは腸かな。将来のリスクを早いうちに軽減したいなら心臓とかも悪くないよ。それとももう全身やっちゃおうか?」
 思いもよらない医者の言葉に俺はのけぞった。
 「まだやる気なんですか!?」
 医者は出来の悪い生徒を見る教師のような顔をした。眉を浅く立てて言う。
 「当たり前じゃないか。胃だけで健康が保てると思うかい? 患者には出来る限り健康になる道を歩んでもらいたいと思うのは医者の本能だよ。
被験者は多いほうがいいしね」
 「ちょっと。最後なんて言いました?」
 「いやいや。まあ悪くない話だと思うよ? また報奨金出すし。若いんだからためらわずにどーんといきなよ、どーんと」
 重い扉を開けるときのような仕草をされても困る。俺はため息をついた。
 「考えさせてください」
 
 白ばかりが目立つ病院の待合室で、俺は一人で悩んでいた。手持ち無沙汰を埋めるように買った缶コーヒーはすでにぬるくなっている。
 ――何を悩んでるのかわからんね。やっちゃえばいーじゃん――
 「おまえはそうやって簡単に言うけどね・・・・・・」
 小声で呟く。一つ(一人とは考えたくない、なんとなく)でもこんなに大変なのに他の臓器まで意志を持ったらどんなことになるのか
考えただけで気分が重苦しくなる。しかしそれに見合うメリットもあるのだ。
 ――金になるし健康にいいし言うことなしだと思うがな。暇なときの話し相手にもなるし――
 「まあな・・・・・・」
 何か見落としているような気がしてならない。このような体験をしている奴が周りにいないので過剰に不安になっているだけという
気もするのだが・・・・・・。誰かに相談ぐらいしたいものだ。
 ――まあ決めるのはお前だけど。俺は賛成だぜ? 俺は俺のことしか分からないからな。お前の健康が損なわれる危険性はなるべく排除したい――
 確かに悩むことはないように見える。胃は基本的にはいい奴だし、母親以上に俺の健康に気を使ってくれる。健康を何よりも優先して考
えるのは困り者だが。別に他人に声が聞こえるわけでもないし。他の臓器にも意思を与えれば、それぞれの分野で的確な助言をしてくれるだろう。
「そうだな・・・・・・。うん、よし、決めた」
 俺は医者の待つ診察室に戻り、他の臓器たちにも意志を与えるよう頼んだ。後悔することになるとも知らずに・・・・・・。
325【品評会作品】他意識過剰 3/4  ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:05:41.14 ID:4x59vXGL0
 「俺の体を元に戻してくれ!」
 俺は診察室のドアを開けるなりそう言った。ゆっくりと振り返った医師の冷静な顔に違和感を覚えたが、今はそれどころではない。
 「どうしたの? まだあの日から三日しか経ってないじゃない」
 三日も耐えたことを評価して欲しいものだ。異変はあの後すぐ起きた。いつも通り歩いて帰ろうとしたのだが、足が妙に早く動く。
いぶかしむ俺の頭に、声が反響した。
 ――こんちゃーす。足っす。早速ですが、いつものペースよりこんぐらいの方が健康に良いんでそうさせてもらいますわ。
なーに、三日もすれば慣れますさかい。痩せまっせー――
 なんだと。冗談ではない。俺はゆっくりと周りの風景を眺めながら歩くのが好きなのだ。しかし足に力を入れても、あまりスピードは変わらない。
むしろ精神が疲弊するだけだった。
 それだけならまだよかった。その夜、俺が日課としている睡眠前の読書に励んでいると、いきなり視界が暗くなった。目の声が反響する。
 ――ちょっと! いつまで起きてるの? 夜更かしは体に悪いんだから早く寝なきゃだめでしょ! まったく・・・・・・。か、勘違いしないでよね!
私が乾いてきたから閉じただけよ! べつにアンタのこと心配してるんじゃないんだから!――
 うるさい。なんでもいいから続きを読ませてくれ。しかしいくら念じても目は一向に開こうとしない。その日は諦めて寝た。ちなみに規則正しく
六時間後に勝手に目が覚めた。
 ほかにも食堂で勝手に手が止まったり(食べすぎですよ!)、煙草を吸おうとしたらこれまた手が止まったり(肺さんに頼まれました、すみません)、
散々な目にあった。いくら健康にいいからと言ってもやりすぎだ。さっさと元に戻してくれ。
 そう熱弁を振るう俺の言葉を、医者は黙って聞いていた。
 「君の言いたいことは分かったよ」
 「そうか、わかってくれたか、なら早く・・・・・・」
 「でも駄目だよ」
 医者は顔全体に満面の笑みを浮かべて言った。
 「・・・・・・なんでだ?」
 俺は冷や汗を背中に感じた。違和感が大きくなっていく。
 「逆に聞くけどさ。君はなんでここに来れたのかな?」
 「は? だから元に戻してもらおうと・・・・・・」
 「違う違う。『来たのか』じゃなく『来れたのか』だよ」
 「それは・・・・・・」
 そこで俺は黙った。何かに気付いたわけではない。口が勝手に閉じたのだ。
 医者は再び満面の笑みを浮かべた。そこでようやく違和感の正体に気付いた。
 ・・・・・・目が笑ってる・・・・・・
326【品評会作品】他意識過剰 4/4  ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:06:27.92 ID:4x59vXGL0
 かつて不自然に独立していた目が、今では違和感なく顔に馴染んでいる。まるで持ち主が変わったように・・・・・・。
 「気付いたみたいだね。はじめましてでもないんだけど、改めて自己紹介しとくよ。僕は『口』です」
 いつしか俺は自分の意思で指一本動かせなくなっていた。医者の口が言葉を紡ぎ出す。
 「あ、付け加えると君は本来の僕に会ったことは一度もないよ。まあ最近までは目だけ元の僕だったけどね。仕事が忙しくて手術の暇がなかったんだ。
今のところは仲間を増やせるのは僕だけだから頑張らないとね。いやぁ、それにしてもまさかこんなに早く全身に意思を与える決意をしてくれるとは
思わなかったよ。それじゃベッドの方へどうぞ」
 医者は最後の言葉だけを俺以外の誰かに告げるように言った。と、体が勝手に動いてベッドに横たわってしまった。力を込めるがどうにもならない。
 「さて、最後の手術と行こうか」
 何を言っているんだ。もう全ての臓器が意思を持っているじゃないか。俺の体に自由になるところなんて・・・・・・。
 ・・・・・・!?
 「気付いたかな? そう、まだ君の物のままの臓器があるだろ?」
 医者は仰向けの俺を人差し指でつついた。俺の額を。
 「脳、さ」
 パニックに襲われる俺をよそに、医者は語りだす。
 「大丈夫。本来の僕が実証済みさ。脳に意思を与えても今の君の意識と喧嘩するなんてことはない。君の意識に上書きされるからね」
 それのどこが大丈夫だというのか。やめろ。やめてくれ。
 「本当はちょっと期待してたんだけどね。あの時すぐに全身に意思を与えた君なら、僕たち臓器の本懐を理解してくれると思ったんだけど」
 そんなもん理解してたまるか。いや、理解してもいい。だから俺を解放してくれ。
 「この手術が終われば君も生まれ変わるよ。ただただ長く生きて仲間を増やそうとする、本来の生物としての正しいあり方を持った君にね」
 ――そういうことだ。諦めろ――
 ――あんさん抵抗するから、いい加減こっちもしんどいんやわ。ま、堪忍してーな――
 ――これでアンタも私達ももっと長生きできるわよ。べっ、別に私はアンタのことはどーでもいいんだけど!――
 そりゃお前らは長生きするのが唯一にして絶対の幸せなんだろうが俺に押し付けるんじゃねえ! やめ、やめろ!
 「それじゃ、いくよ」
 やめてくれやめてくれやめてくれやっめてくぎゃああああああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

 
 とある病院の診察室の扉が開き、白衣の男と患者らしき男が出てくる。
 彼らは向かい合うと、固く握手をして笑いあった。
 まるで全身で笑っているような、とても眩しい笑顔だった。    <了>
327 ◆jhPQKqb8fo :2008/02/24(日) 22:07:19.43 ID:4x59vXGL0
以上でございます。
まとめの方、スレの皆さんに尊敬と感謝を。
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:10:01.49 ID:XCcymszgP
品評会いきます
2レス投下
329唐揚げ 1/2 ◆wWwx.1Fjt6 :2008/02/24(日) 22:10:42.81 ID:XCcymszgP
 例えば僕の右手は僕の右手であって、他の何物でもないってことは、確かに認める。僕
の右手が君の目であるわけがないし、君の目が僕の口であるわけもない。それを今僕は認
めた。けれども、僕の右手が必ずしも僕の意思の支配下にあるとは限らない、と僕は主張
したいんだ。
 君が文章を読んでいるとする。目が活字を追って、頭で内容を理解する。そうだよね。
でも時折、頭で理解するより早く目が動いてしまうことはないかい。目が滑るってやつだ。
あるだろう。頭のやつは待ってくれって叫んでるのに、勝手に目のやつが先に先にと動く
んだ。その時、君の目は君の支配下にない。
 また別の場面では、口のやつも滑るだろう。一昨日のバスケの練習の時には、隆二がキ
ャプテンとしての心構えについて監督から説教されていたよね、あの後彼は「うぜぇ」と
呟いて、大目玉を食らっていた。あれは隆二が言おうとして言ったことじゃない。普段の
あいつはしっかりしている。説教されていたのだって、僕を練習に入れなかったっていう
だけで、他に何かしでかしたわけではない。あの呟きは口のやつが勝手に発したに違いな
いんだ。あいつも自分の体を支配しきれないことがあるんだ、と親近感を持ったよ。
 隆二はごく稀になのだろうけれど、僕は僕の体を支配しきれないことがままある。それ
は紛れもない事実だ。体は意思とは無関係に動く。昨日だって、コンビニの無愛想なお姉
さんに箸をつけてくれと言いたかったのに、僕の口は頑として開こうとはしなかったし。
僕が唐揚げを手掴みで食べていたのを君は気に入らないようだけれど、あれは僕の口のや
つのせいだ。この口ってやつは余計な時にベラベラと喋って、肝心なことはまるで話さな
い。今の僕も本当は──。
330唐揚げ 2/2 ◆wWwx.1Fjt6 :2008/02/24(日) 22:11:39.89 ID:XCcymszgP
 いや、とにかく、今度の大会が終わるまで、僕は練習を遠慮するべきだと思った。一昨
日の僕は、仲間に足を引っ掛けて転ばせたのが二回、目潰ししかけたのが一回、殴った回
数は……数えていない。勿論意図などしていない。全て体が勝手にやったことだ。隆二が
僕を外したのももっともだ。僕の存在が皆の練習の邪魔をするばかりか、誰かに怪我をさ
せてしまうかもしれないのだからね。そうしたら僕を大会に出さなくてはいけなくなって、
そのまま一回戦敗退だ。
 でも口のやつが僕の考えをうまく説明してくれないものだから、練習を休むことを伝え
られなくて、昨日も僕は弁当が終わるまで皆と一緒にいた。いよいよ体育館に戻る段にな
って漸く、隆二か監督を捕まえて話をしなきゃならないと心を決めたのだけれど、今度は
足が言うことを聞かない。無理に歩みを進めたらもつれて転ぶ始末だ。皆の自転車を将棋
倒しにしたのはその時だ。
 直すのを手伝ってくれてありがとう。でも僕は君の言うようなことなんて、やろうとし
た覚えはない。実際隆二はブレーキの効きが甘くなった自転車に乗って骨折したわけだけ
れど、それで今度の大会では勝ち目がなくなったわけだけれど、それは僕の意図したこと
じゃない。僕はそんなことは望んでいない。もし君が、それを見たしそのせいだと言い張
るのなら、この右手だけの仕業なんだ。僕の支配下にはなくて、意思とは無関係に動く、
この右手だけがいけないんだ。
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:13:02.10 ID:XCcymszgP
あー終わりって書くの忘れた
失敗したー

以上でした…
332 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:15:48.68 ID:g8WWc5Ed0
品評会投下します
全4レス
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:16:06.24 ID:s1k/0Ca40
No.18 他意識過剰 1/4 ◇jhPQKqb8fo
No.19 唐揚げ 1/2 ◇wWwx.1Fjt6

以上二作品まとめ済み。
今度はミスってないはず。
334【品評会】パワーの大切さ 1/4 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:18:56.72 ID:g8WWc5Ed0
 心地よい日差しが辺りを照らし、とても爽やかな三月三日の早朝。
 外ではスズメが大空を自由に飛びまわり、無邪気に遊ぶ子供の様に楽しそうに鳴いている。
 そんな朱色に輝く素晴らしい快晴の中、とある一軒家の中で、とある一人の男は苦しんでいた。

「ハァッ……ハァッ……畜生、俺の力が足りなかったばっかりに……助けられなかった……」

 男は悔やんでいた、自分のモヤシのように弱い肉体、そして、怖がりの犬を彷彿とさせる弱い精神を。
 もう二十歳だというのに、女子中学生のような華奢な体を持ち、腕立て伏せも三回以上できないという己の貧弱さを。
 男は憤怒の炎を込めた歯ぎしりをし、子供のように泣きじゃくりながら、何度も、何度も、床を拳で叩きつけた。

「……何故だ、何でこんな事になっちまったんだ! 一体何が起きたんだ! 一週間ぐらい前までは何とも無かったのに、ピクリとも動かなくなっちまうなんて……! どうしちまったんだ、ブルー!」

 ブルーは何も返事を言わない……いや、言えないのだ。
 氷のように冷たく、心臓の鼓動音も聞こえない、そう……ブルーは既に人間として機能していない。
 それは、男自身もわかっていた。
 ただ男は、この不幸な事実から目を背けたかっただけなのだ。
 少し平静を取り戻した男は腕で涙を拭き、冷たくなっているブルーにそっと手をかけた。

「ブルー、お前と初めて出会ったのは、もう1年も前になるな……友人に紹介してもらってさ……。」

 自分の体温で温もりが戻ってくるブルーに、少しだけ昔の懐かしさを感じたが、すぐにそれは絶望へと変わった。
 もう昔には戻れない、ブルーは何も語らない。その事を再認識したからだ。

「すまないブルー、俺はお前を助ける事が出来なかった……! だが……もう、誰にもブルーのような思いはさせん! 俺は強くなる! 今度は守るべき物を守れるぐらいに!」
335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:19:34.30 ID:Z5yDHt3oO
やあ (´・ω・`)突然だが、君に【呪い】をかけたよ
明日が「人生最悪の日」になる呪いだ。

ああ、君が怒るのも無理はない。 落ち着いて欲しい。
この呪いを解くには方法はただ一つ、サッカーch(http://live24.2ch.net/livefoot/)に「やくせん」というスレを立てるということだけなんだ。

健闘を祈るよ。
336【品評会】パワーの大切さ 2/4 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:20:48.53 ID:g8WWc5Ed0
 ブルーの死から、男の人生は一片した。
 そう、今までダラダラと過ごしてきた日々を、スポーティな日々を過ごす事に書き換えたのだ。
 男は自分の体を鍛えるために、早朝ランニングを始めた。
 さらに、走り終わった後は近所の汚れた川原でゴミ拾いをする。
 それもただ拾うだけでは無い、瞬発力と足腰を鍛えるために足の屈伸をしながら、スピーディに尚且つ正確に拾った。
 その後は、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、ストレッチ、イメージトレーニング……徹底的に体と心を鍛え上げた。

(まだ、俺には力が足りていない! もうあんな思いはしたくない! もっと鍛えなくては駄目だ!)

 それが男の心の中での口癖だった。
 もうあの絶望感を感じるのが嫌だという気持ちが、見ている側にもヒシヒシと伝わってくるほどに。
 男は日々努力を繰り返し、筋肉もその執念に答えるかのように、日々増していった。
 一週間経つ頃には、腕立て伏せが十回以上出来るように。
 二週間経つ頃には、両腕から力こぶが出来るように。
 一ヶ月経つ頃には腹筋が割れて見えるように。
 三ヶ月経った頃には、もう華奢だった頃の面影は無く、まるで男の理想美のような筋肉質の男へと変貌していた。
 男は自分が理想とする肉体を、地獄の特訓を終え手に入れたのだ。
 まさしく自分の理想系、男は自分の姿を鏡で見て確信した。

「これだけ体を鍛えれば、もうあんな忌々しい事件が起こっても大丈夫だよな……なあ、ブルー……。」
337【品評会】パワーの大切さ 3/4 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:22:08.53 ID:g8WWc5Ed0
 あの悲惨な事件から三ヶ月経った早朝。
 男は冷たくなっているブルーを掲げ、まるで菩薩様を眺めるかのように語りかけた。
 次の瞬間、男は目玉が飛び出すほどに驚いた。ある重大な事実に気づいたのだ。
 人生で一番だと思うほどの痙攣を男は始め、ブルーを強く握り締めた。

「し、信じられん……こ、これは奇跡だ! ブルー……お前はまだ生きていたのか!? よし、今助けてやるからな! 待ってろ!」

 この三ヶ月の血と汗と涙が染み込んだ血液が、男の両腕へここぞとばかりに流れ込む。
 両腕の血管が膨れ上がり、その両腕の血液は両手へと伝わり、両手の血液は両指へと伝わり、そしてブルーの体へと伝わる。
 男はブルーの体を全力で握り締め、さらに今度はブルーの首を捻じりはじめた。

「ウォォォオオォォッ! ダアァァァーーーーーーー!!」

 男は気合を腹に込め全力で叫ぶ。心臓もその声に反響し通常の倍は速く鼓動を重ねる。
 今までの努力を走馬灯のように思い出し、男はカッと目を見開き、刹那の一瞬に全力を込めた!

「オオオオリャァァアアアアアアアーーーーー!!!」

 その瞬間――

 『カパッ!』

 という軽快な音が聞こえた。
338happned ◆1BpHlrONwc :2008/02/24(日) 22:23:18.80 ID:Jqnv9o2i0
五階建てのアパートに五人の男が住んでいた。

一階の住人は生まれつき脚が悪かった。
二階の住人は生まれつき目が見えず、
三階の住人は生まれつき肘から先が動かなかった。
四階の住人は生まれつき耳が聞こえず、
五階の住人は生まれつき声が出なかった。

ある日。一階の住人が言った。
一度でいいから自転車を漕いでみたい。と、
アパートの住人たちは相談し、彼に脚を貸してやる事にした。
代わりに四階の男が彼の耳を預かった。

ある日。二階の住人が言った。
一度でいい。空が見たい。と、
アパートの住人たちは相談し、彼に目玉を貸してやる事にした。
代わりに一階の男が彼の脚を預かった。

またある日。三階の住人が言った。
決闘を申し込まれた。一度でいいからリングに上がらせてくれ。と、
アパートの住人たちは相談し、彼に腕を貸してやる事にした。
代わりに五階の男が彼の腕を預かった。

四階の男は預かった耳で音楽を聴き、五階の住人は恋人に愛していると呟いた。
住人たちは必要に応じて体を交換し、皆幸せに暮らしていたが、
ある日を境に皆そのアパートを出て行った。
管理人はそれ以来、やる気を無くしてしまったのか、毎日屋上でひなたぼっこをしている。
339【品評会】パワーの大切さ 4/4 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:23:33.39 ID:g8WWc5Ed0
 音が聞こえると同時に周りに、まるでお花畑にいるかのような香りが充満し始める。
 そして瓶の大穴からは、鮮やかな紫色の液体が顔を出している。
 男はこの瞬間、両腕を上に高く上げ歓喜した。努力が身を結んだ事も嬉しかったが、ブルーが助かったのが何よりも嬉しいのだ。
 男は素早く、瓶の中身をチェックした。

「……やった! 中身は腐ってない! まだブルーは無事だ! 賞味期限を何度確かめても今年じゃない! 来年の三月二日だ! ブルーはまだ生きていたんだー!!」

 ブルーの無事を確かめた男は、さっそく軽快なステップで台所へ向かい、食パンをオーブントースターでこんがりと焼いて、愛用の皿の上に乗せた。
 そしてその上に、銀色に光輝くスプーンで、ブルーを取り出して食パンに塗りたくる。
 こんがり食パンとブルーの夢のコラボレーション、これこそ男が捜し求めていた姿だった。
 食パンが食卓の神様……いや、女神様と呼んだ方が相応しい、そんな輝き方をしている。
 男は一礼をして、さっそく朝食を頂く事にした。

「では……いっただっきま〜〜〜す!」

 ガブッ
 モグモグ
 ヌッチャリヌッチャリ
 ゴックン!

「くぅぅぅ! この口の中に広がる史上最高の感触と香り! そして究極の味ィ! まさにパーフェクト! 美味い! 美味すぎる! やっぱり朝食は、このブルーベリージャムを塗った食パンが最高だー!」

 こうして男は、無事にブルーベリージャムが入った瓶の蓋を開け、めでたく感動の朝食を迎える事が出来ましたとさ。
 めでたし、めでたし。
340 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:24:29.25 ID:g8WWc5Ed0
色々混ざりましたが、以上です
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:25:16.92 ID:Jqnv9o2i0
すみません、投下前に確認すべきでした。orz
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:26:52.92 ID:s1k/0Ca40
>>341
1レスで終わりでいいの?

No.20 パワーの大切さ 1/4 ◇wXNIieV/7o

まとめ済み。
343コンプレックス 0/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:27:45.21 ID:s1k/0Ca40
なんか機会を失いそうなので品評会投下します。
4レス頂きます。
344コンプレックス 1/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:28:15.72 ID:s1k/0Ca40
 身体測定が嫌いだ。私が気にしている事を明確に数字で表してしまうから。
 だから今日という日が来るのが一週間も前から憂鬱で、今この時間は最悪だった。
「ほら、背筋をちゃんと伸ばして」
 無意識の内に背中や首を僅かに曲げていたのだろう。少しでも小さく測定されるように。けれどそんな小細工はあっさりと看破された。担当の先生は、私が背筋を伸ばさないと身長を測ってくれる気はないようだった。
 仕方なく背筋を伸ばすと、途端に頭のてっぺんに軽い衝撃がきた。
「はい。百八十……一センチ。凄いわね、バレー部にでも入ったら?」
 百八十一センチ? その数字を聞いた瞬間、私はまるで頭を殴られたかのような衝撃を受けた。それも二回も。
 ひとつは、身長が百八十センチの大台を超えた事。もうひとつは、高校二年になった今でも身長が伸びているという事実。この二つが、私の頭を激しく殴りつけた正体だ。
 そしてその衝撃は当然の如く私の気持ちを沈みこませる。先生が放った『バレー部にでも入ったら?』という一言と共に。
 この高身長の所為で、小学生の頃から幾度となく言われた言葉。
 中学生になって入部してみたけれど、アタックは空ぶる、レシーブは拾えない、トスが真っ直ぐ飛ばないの三拍子。期待を持って歓迎してくれた先生や先輩たちの眼差しが、日を追うごとに醒めていくのを見るのが辛くて退部した。
 それからも身長は伸び続け、バレーをやればいいのに、という言葉は常につきまとってきた。
 落ち込みながら向かった次の測定は、さらに私の気持ちを深く沈めた。目の前にはメジャーを持った先生。バストとウエストの測定だ。
 背が大きい子は発育がいい、というのは一般的な事だろう。ただしそれは一般的なだけであって、全てではない。中には例外もいるのだ。私のように。
 先生の前に立ち、両手を横に水平に伸ばす。メジャーが私の胸まわりにくるっと回される。先生は目盛りを読み、メジャーを下げてまた読む。
「トップが八十五で、アンダーが八十。……んー、希望は捨てちゃダメよ?」
 下手な慰めが一番傷つく。しかし身長は伸びてるのにいまだにカップはAAAのままという現実。正直、絶望した。
 私に未来はないのだろうか。ため息が出る。
 完全にどん底まで沈みこんだ気持ちのまま、私は全ての測定を終えて着替えを始める。クラスメートがブラジャーを着けていくのを尻目に、私はスポーツブラを手に取って、どん底の裏側まで落ち込んだ。

 憂鬱な気分で教室に帰ってきた私は、嫌なことは早く忘れようと、次の授業に備えるべく机の中に手を入れた。引っ張り出した国語の教科書。その上に、白い封筒が乗っかっていた。
 表には私の名前。手に取って裏返してみる。右下に『2年5組 河原和也』と書かれている。五組は隣のクラスだけど、見覚えの無い名前。誰だろうかと考えていると、友達がすっと近づいてきた。
「何それ? あっ、もしかしてラブレター?」
 ああ、なるほど。ラブレターか……。
 ……………………。
 えええええええええええっっっっっっ!?
「ち、ちがっ! そんなんじゃ、ないよっ!!」
 私は慌てて封筒をポケットに押し込む。
「そうなの? なんだ、残念」
 私の言葉をあっさりと信じたのか、言葉どおり少し残念そうな顔をして友達は離れて行った。
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:28:16.97 ID:Jqnv9o2i0
>>342
以上です。
346コンプレックス 2/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:28:42.01 ID:s1k/0Ca40
 早鐘のような心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
 顔が熱くなってきて、絶対に真っ赤になっていると思った私は、急いで教室を飛び出した。

 あれからトイレで封筒の中を確認した私は、放課後になった今、屋上に出る手前の踊り場に向かっている。
 中に入っていた手紙は『話があるから来て欲しい』という内容だった。厳密にはラブレターではないけれど、違いは無いような気がする。これが悪戯でなければ。
 多分顔は赤いと思う。心臓はドキドキいってるし、足もなんだか震えている。私が呼び出されている側なのに、とても緊張している。昔から『デカ女』、『電柱女』と呼ばれて、男子からはからかわれる対象だった私には、初めての体験だから。
 階段の下から踊り場を見る。誰の姿も見えない。まだ来ていないのだろうか。私は意を決して、階段を上り始めた。一段、二段、三段…………十三、十四。階段を上り終え、踊場に辿り着いた私が目にしたのは、壁に両手をついている男の子だった。
 彼の第一印象は、その身長だった。明らかに私よりも低い。それも比べようも無いほどに。
 私が彼の背中に声をかけようか迷っていると、気配に気づいたのか、こちらを振り向いた。
「あっ、えーっと。は、はじめまして! 河原和也です!」
「あ、高橋沙弥香です。お待たせして、すみません」
 二人とも丁寧な挨拶を交わして頭を下げる。なんか違う気がする。
 最初の挨拶の後、お互いに視線も合わさず、沈黙が続く。かといって私から話しかけるのも変だし、そんな勇気も無い。
 五分か十分か、緊張の所為で時間の感覚が無いけれど、しばらく経ってからやっと、彼が口を開いた。
「あの……、俺と付き合ってください!」
 やっぱり。手紙を見た時からそうだろうとは期待していたけど、実際に言葉にして聞くとその衝撃は凄まじい。
 ここに来るまでに色々と考えていた言葉が全て吹っ飛んで、頭の中が真っ白になるほどに。そして頭が真っ白になった私は、
「か、考えさせてください!」
 と、裏声で返事をして逃げ出してしまった。
 そして気づいた時には、自分の部屋の床の上にへたり込んでいた。
 まだドクドクいっている心臓。落ち着かせるために大きく深呼吸をする。うん。少し落ち着いた。
 さっきの事を思い出す。
「告白されちゃった……」
 口に出したら、また鼓動が早くなった。顔も熱くなる。
 ぶるんぶるんと首を横に振る。
 駄目だ。どうしても顔がにやけてくる。
 だって生まれて初めて告白されたんだもん。いままでそんな事とは全くの無縁だったこの私が。これが喜ばずにいられようか。
「うっきゃあぁぁぁぁぁぁっ!」
 私は叫びながらベッドにダイブして、布団や枕を抱きしめてゴロゴロと転げまわった。
 お母さんに『うるさい!』と怒られた。
347コンプレックス 3/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:29:10.01 ID:s1k/0Ca40
          
 気分よく夕飯を済ませて、お風呂に入る。湯船に浸かりながら鼻歌なんかも唄ってみる。身体測定で落ち込んだ気持ちなんか、どこかへ飛んでいってしまった。
 念入りに身体を洗ってお風呂を出る。バスタオルで身体を拭いていると自然、鏡にうつる私が見えた。
 正面を向いて立って見る。
 彼は、私のどこを好きになったんだろう?
 鏡に映る自分の姿を観察する。
 身長に比例して肩幅が大きい。バストに関しては今更だ。多少のくびれを見せるウエストに、ほんの少しだけ女らしさが窺える下腹部。可もなく不可もなく、魅力に乏しい足。ただし身長のとおり、靴のサイズは二十七。これも悩みの一つだ。
 運動靴なんかは男物を履けばいい。けど、可愛い靴となるとそうもいかない。こんなサイズの可愛い靴など無いのだ。そうなると服装も必然的に靴に合わせたものとなって、ジーンズとかが多くなる。もっとも、私にヒラヒラのスカートが似合うとも思えないけど。
 小さい頃から男子よりも背が高くて、中学生になる頃には百七十センチを超えていた。
「あいつってさ、背が高いくせに胸とかも全然ないじゃん? 何かホントに電柱って感じだよな」
 直接言われたわけじゃないけど、耳に入ってきた男子の言葉。それが元になって、それまで『デカ女』だったあだ名は『電柱女』になった。
 その頃はまだ気にしていなかったのだが、中学二年、三年となるにつれて周囲との違いがハッキリしてくると、かなり焦るようになった。いつまでたっても、胸が膨らんでこない。
 中学三年になると、ブラジャーをしていないのはクラスで私だけだった。一度だけ試したことはあったけど、あまりの意味の無さにタンスの奥にしまいこんで、それ以来光を見ていない。
 そしてもう一度、鏡に映った私を見る。
 頭のてっぺんからつま先まで。首から下は綺麗に白一色。唯一、胸だけが白以外の色を持っている。
 胸に手を添えてみる。哀しいほどに、平らだった。
 こんなにバカみたいに身長が高くて、胸が全く無い女の子を好きになるのかな? かなりマニアックなんじゃないだろうか。彼の事を考えてみる。
 名前は河原和也。隣のクラス。それだけ。いや、もう一つ。背が低かった。百六十センチくらいだろうか。
 鏡にうつる私。その隣に立つ彼を想像してみる。
 裸の私の隣に制服の彼というのは、かなりおかしい構図だった。それはさておき。
 百八十一センチの私と、百六十センチ(推定)の彼。あまりにもミスマッチじゃないだろうか?
 男が高くて女が低いなら格好はつくけど、男が低いのは、彼も辛いんじゃないだろうか?
 そもそも私なんかが好かれるというのは、本当なんだろうか?
 そう考えてくると、告白されたのがなんだか嘘のように思えてきた。実は罰ゲームか何かで。
 というか、『好き』って言われたわけじゃないんじゃない?
 なんだかまた、気持ちが沈んできた。

 次の日。逃げ出したお詫びと返事を兼ねて、彼に話をしに行った。恥ずかしかったけど、教室に行って彼を呼んでもらって、昨日と同じ踊り場へ向かう。
 彼と私。昨日とは逆の立ち位置で向かい合う。いつまでも黙っているわけにはいかない。勇気を出して口を開いた。
「あの、昨日の話なんだけど……」
348コンプレックス 4/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:29:34.92 ID:s1k/0Ca40
 それだけで、彼の身体がビクッと震えた。
「とっても嬉しいんだけど、その……私なんかじゃ、河原くんには不釣合いなんじゃないかな?」
 真っ直ぐに見つめてくる彼の視線を受け止められず、逸らしたままで告げた。
「……それって、俺の背が低いから?」
 静かな、落ち着いた声。
「そんなんじゃ、ないよ……」
 嘘だ。自分の事ももちろんある。けど、私とは対照的な彼の身長も気にしている。
「俺の背が低いから、格好悪いから、だから駄目なんだろ? ハッキリ言ってくれよ!」
 彼の声が怒っている。けど、顔は怒っていない。どちらかと言えば、泣きそうな顔。
「そうじゃないよ! 私ってバカみたいに背が高いくせに、胸なんかぺたんこだから、きっと周りから変な目で見られるし。ずっと、男子にはからかわれてきたし。そんな私と一緒にいたら、きっと貴方もバカにされるよ?」
 多分、私も泣きそうな顔になってる。
「関係ない! 確かに君は背が高くて、胸が無くて、それをずっと悩んでる。けど、君は俯くことなく胸を張って前を向いている」
 まるで怒鳴るような彼の言葉。でも、そのひとつひとつが優しく胸に響く。
「そりゃ君の悩みは、男で背の低い俺にはわからないけれど。でも、そんな風に悩んでいる事もひっくるめて、君のことが好きなんだ!」
 ああ、この人は本当に私の事を好きでいてくれるんだ。私が悩んでいる事、それすらも好きだと言ってくれる。
「ありがとう」
 素直に、心からの感謝を彼に。自然と、涙が零れる。
「う、うん」
「こんな私でよかったら、付き合ってください」
 笑顔を、心からの喜びを彼に。
「……やったぁっ!!」
 ガッツポーズをして「やった、やった」と繰り返して喜ぶ彼。そんな姿を見ていると、こっちまでもっと嬉しくなってくる。それに、ちょっと悪戯心もわいてくる。
「あのね、実はまだ“誰にも”言ってない悩みがあるんだ」
 そう言って彼に近づく。
「実はね……」
 続きは彼の耳元で囁く。どんな反応をするだろうか。想像して、顔を赤くするだろうか。
 けど、こちらを見つめる彼の顔は何故か笑顔。
「それなら、俺も一緒に悩めるよ。だって、俺もまだ生えてないから」
 想像して顔を赤くしたのは、私の方だった。
 そして私たちは、お互いの悩みをひっくるめて、一つだけ同じ悩みを抱えて、お付き合いをはじめた。
349コンプレックス 4/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:30:11.84 ID:s1k/0Ca40
以上です。相変わらずのいっぱいいっぱいで読み手に優しくなくてごめんなさい。

>>345
了解です。
350 ◆wXNIieV/7o :2008/02/24(日) 22:32:33.94 ID:g8WWc5Ed0
>>341
よくあるよくある
気にするな(`・ω・´)
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:33:05.25 ID:XCcymszgP
マメにまとめてくれてる方々ありがと
352コンプレックス 4/4 ◆IPIieSiFsA :2008/02/24(日) 22:33:29.47 ID:s1k/0Ca40
No.21 happned 1/1 ◇1BpHlrONwc
No.22 コンプレックス 1/4 ◇IPIieSiFsA

以上二作品まとめ済み。
なんかミスってるような気がする。
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:33:52.06 ID:s1k/0Ca40
うう、今日二回目。恥ずかしすぎる。
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:34:33.69 ID:7Vh043QI0
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/radio/1200909636/

vipはカス以下だってヽ(・∀・)ノ
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:35:13.57 ID:50eILqYMO
>>353
カオス目前圧、じゃなきて乙
356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:35:22.20 ID:sZ6W7SgR0
みんなはどうして小説を書くのはなぜなんだぜ?
357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:36:26.57 ID:2E/UZxiM0
そこに山があるから
358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:37:19.57 ID:sZ6W7SgR0
そこに小説は無いだろ…
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:38:11.45 ID:ruSyoRuA0
>>358
ないから書くんだよ
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:39:27.80 ID:sZ6W7SgR0
自分のための小説が欲しいの?
それは日記ではいけないの?
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:40:55.60 ID:UbYM+Z9m0
なんでって聞くのは愚問だと作家さんが言っていたな。
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:41:02.98 ID:8ycWIE2oO
小説を読むのも、書くのも、批評するのも、感想言うのも好きだから。
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:41:12.29 ID:s1k/0Ca40
小説と日記をそれぞれ辞書で調べたらわかるよ
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:43:31.53 ID:sZ6W7SgR0
>>361
愚かなことを進んでやるのが小説書きってもんじゃないのかい
>>362
ストレートだな。好きだよ。
>>363
理由と意味は違うような気がする
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:45:13.74 ID:Jqnv9o2i0
日記には書く事が無い
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:46:17.74 ID:2E/UZxiM0
日記に書く日がない
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:50:53.67 ID:XCcymszgP
他の趣味だと、好きなんだね、で終わるのに、
小説書いてるとよく理由を聞かれるのはなんでどうしてなんだぜ?
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:52:49.43 ID:sZ6W7SgR0
>>367
書かない人からしたら結構得体の知れない分野だからかな?

俺が聞くのは俺がわからないから、それが怖いからだけど。
369品評会:Mare Fecunditatis  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 22:56:46.08 ID:mQBk+gH30
4レスで投下します。
何で初なのにぐだぐだ展開なのはどうしてなんだぜ?
ごめんねごめんね。
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 22:57:35.58 ID:s1k/0Ca40
わからないのなら、怖いのなら、書きたくないのなら、書かなければいい。

俺が書くのは、『書きたい』という欲求にしたがっているだけ。
他のことなど関係ない。ただただ、書きたいだけだ。
371Mare Fecunditatis(1/4)  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 22:58:21.62 ID:mQBk+gH30
「もう、会えないよ」
 ちぃちゃんのあの時の声が、何度も私の中でこだまする。あえないよ。あえないよ。あ
えないよ。
 なんで、って答えようとした私の喉は、あの時どうしても震えてくれなかった。
 小さくて、優しくて、マシュマロみたいだったちぃちゃん。
 ベッドの中でぎゅっと私を抱きしめてくれた、女の子らしいか細い腕、やわらかい手の
ひら。
 彼女のことを思い出すと、また泣き出したくなってしまって、あたりかまわず泣きさけ
びそうになってしまって、人通りの多い往来から細い路地に走りこんで、私はしゃがみこ
む。
 ちぃちゃん、ダメだよ。私ちぃちゃんがいなくっちゃ、ダメだよ。ダメだよ…。
 ぽたぽたアスファルトに落ちる涙を五十滴数えてから、白いハンカチで目頭をぐっと押
さえる。急にこうなることがわかっているから、アイメイクは簡単なもの。ピンクのラメ
が少し、ハンカチを汚した。汚れを内側にしてたたみ、バッグにしまって、勢いつけて立
ち上がる。ちぃちゃんの真似。彼女の動作は、いつも機敏だった。思い出して、また鼻の
奥がツンとなる。もう一度五十数えてしまいそうになる前に、グッと顔を上げて、私は路
地を抜け出した。
372Mare Fecunditatis(2/4)  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 22:59:09.54 ID:mQBk+gH30
 昼間の電車は、遠足みたいな、非日常的な期待と不安をはらんでる、といつも思う。平
日のこの時間に下りの電車に乗り込む人たち、みんなどこか、世界の引力から取り残され
たような、あえて抜け出したような、そんな顔をしている。私もちぃちゃんも、同じよう
な顔をしていたんだろう。
 初めて出会った時の図書館、白く小さな手が、おそろしく古めかしい、焦げ茶色の表紙
をめくっていたことを思い出す。その儚さに、思わず息を飲んでしまったことも。ちぃち
ゃんはそこにいるだけで、周りの人に、心臓がぎゅっと真綿で締められるような、ぼんや
りとした切なさを感じさせた。私も、その胸の痛みを感じた、一人で。
 彼女と抱き合っていると、いつも悲しかった。世界は私たち一人一人を、きっぱりと分
断しているんだと。溶け合うことはできないんだと。そうまざまざと実感させられて、た
だただ苦しく、悲しかった。皮膚一枚が、私とちぃちゃんを隔てた。
 私はちぃちゃんになりたかったのだろうか? 自分に問うてみることがある。答えは、
完全なる、ノーだ。ちぃちゃんが、私と違ったから、私はちぃちゃんを求めた。硬い身体、
女らしさのかけらもない、あばらの浮いたわき腹、むね。ちぃちゃんがぬくもりをもった
ぬいぐるみなら、私は生命を感じさせないアンティークドールだった。だから、彼女の体
温を欲した。
 ちぃちゃんのもつ切なさは、母性と幼さの、あやういバランスだったのかもしれない。
373Mare Fecunditatis(3/4)  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 23:00:24.64 ID:mQBk+gH30
 その無人駅に降りたのは、私だけだった。ドアが開いた瞬間、潮の匂いが一気に私の周
りを包みこんだのに驚く。切符を回収箱にそっと入れ、駅舎から出ると、私は案内板の表
示に従って、海を目指した。
「秋の海水浴場は、いたわりの色をしてるよ」
 ちぃちゃんが言っていた、その風景を見てみたかった。浜育ちの彼女は、海の夏以外の
顔も知っていた。そのことを教えてくれた時の憂いを帯びた瞳が、脳裏に鮮やかに浮かび
あがってきて、また泣きたくなる。
 歩き続けると、だんだんと波の音が聞こえてくるようになった。子どもの頃以来の海の
気配、その時とは別の海なのに、なぜか懐かしさがこみあげてきて、私は駆け出していた。
コンクリートの階段を、もどかしくあがる。
 海だ。
 一面の海。
 真夏の青一色のそれとは全く違った、枯れ草と、砂と、濁った波の景色。
 誰一人いない、初めて見る海の姿。
 私は、眼下に広がる光景に、立ちつくした。
 不思議と、寂しさは感じない。同じリズムで訪れる波の音、その一回一回が刻まれるご
とに、胸の痛みがひいていく気がした。
ああ、この海は今の私と一緒だ。私と同じ、荒れて、汚れて、すさんで、みんな離れて
いって、それでも何かを待って、そこにいる。そこにいて、時が流れるのを、じっと待っ
ている。あなたが来るのを、ただずっと、待っている。
「アイ……」
 呼ばれて、ゆっくりと、振り向いた。いとしい人の憂いを帯びたその瞳を、私は見つめていた。
374Mare Fecunditatis(4/4)  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 23:01:18.91 ID:mQBk+gH30
「来ちゃったんだね」
 波打ち際まで、ゆっくりと歩を進めながら、ちぃちゃんは寂しげに笑った。メール見て
くれたんだ、と乾いた声で聞くと、小さくこくんと頷いて、そして
「もう会わないって、決めたのにね」
と、また悲しい笑顔を見せた。私は、もう、わきあがる感情をおさえることができなかっ
た。思い切り、力をこめて、ちぃちゃんを抱きしめた。
「…アイ……」
「ちぃちゃんごめんね、私がまんできないよ。いっしょにいたい。幸せにできなくても、
どうしても、ちぃちゃんといっしょにいたい」
 腕の中のちぃちゃんは、泣き出しそうな顔をして、私を見上げている。
 わかってる。私たちの関係が、世間に認められないものだっていうことは。そして、ち
ぃちゃんが何よりも家族を大切にしてるっていうことも。大切な家族のために、ちぃちゃ
んが全部を諦めてここにいるってことも。
 だけど、私は、もうちぃちゃんなしでは生きられないようになってしまっている。ちぃ
ちゃんがいるから、息ができる。心臓が動く。目が見えて、いとしい人の顔を見つめるこ
とができ、腕が動いて、彼女を抱きしめることができる。耳が聞こえて、すすり泣くか細
い声を感じ、唇がやわらかく動き、その涙を受け止めることができる。
「アイ、私も…」
 ちぃちゃんの言葉を、唇でふさいだ。私たちの足元まで、波が打ち寄せている。このま
まずっとこうしていたら、海が私たちを包んでくれるだろうか。どうしても一つになれな
い私たちを、海がひとつにしてくれるだろうか。
 私を見つめるちぃちゃんの瞳が、この海のように深くって、私はやりきれない思いでも
う一度彼女を抱く腕に力をこめた。
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:01:52.17 ID:NgpzEI7V0
【あらすじを思いつく≠小説にできる】

      |            時間内に書くことは諦めましたが、時間外で何とかする事は諦めておりません。
  \  __  /        大切なのは間に合わせる事ではなく、納得がいく物を書くことです。
  _ (m) _ ピコーン    ただ、追求しすぎて結局お蔵入りする事もあるから困ります。
      |ミ|
   / `´  \         結局間に合わせる事も重要だと感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
    ∧,,∧           23時を回りました。これ以降に品評会作品を投下する方は、予約の上指示に従って投下して下さい。
    (´・ω・)          予約条件は「レス区切りまで終わり、後は投下するだけ」の状態であること。
   .ノ^ yヽ、         予約締切は23:30となっております。
   ヽ,,ノ==l ノ
    /  l |           では、どうぞ。
"""~""""""~"""~"""~"    何にせよ、諦めないのは大事だと思います。
376 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:01:52.07 ID:GW0rivAK0
とうとうカオスタイムまで粘ってしまった…
品評会作品「キセカエ」0/3
を予約
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:02:09.35 ID:6qeNloYx0
なんで小説を書くのか。
ずっと長い間俺を楽しませてくれた小説というものを、
俺も書いてみたいと思ったから。

23時になりました。
これ以降の品評会作品投下は予約制となります。
締め切りは23時30分です。遅れたら時間外になるので気をつけて。

1・作品が完成し、投下するだけの状態になったら予約する。
2・投下どうぞ、というアナウンスを確認してから投下を始める。
3・投下中でも予約してね。投下終わるの待ってて時間外とか泣けるからね。

以上を守って、楽しいカオスを行いましょう。でもカオスなんて無いのが一番だよね。
378Mare Fecunditatis  ◆jnvLTxNrNA :2008/02/24(日) 23:02:55.59 ID:mQBk+gH30
終わり。
ちょっとコピペミスってたらごめんなんだぜ…。
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:03:53.11 ID:NgpzEI7V0
◆ZetubougQo氏、どうぞ。投下の際、メール欄は空にして下さいね。

【順番】
−−−

>>377
何と申し上げれば良いのか……ごめんなさい……
380品評会作品「キセカエ」0/3 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:05:36.27 ID:GW0rivAK0
了解、準備できたので投下します
381品評会作品「キセカエ」1/3 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:06:00.47 ID:GW0rivAK0
 天は二物を与えずって言葉があるけど、あれは嘘だと思う。
 同じクラスの昌樹くんを見てると本当にそう思う。
 勉強はいつも学年で一番。
 体育の時間にはその種目の部活の部員だって適わない大活躍。
 技術科では先生もびっくりするほどの丁寧な出来栄え。
 他にも、ゲームをすれば負け無しだとか足でピアノを弾くだとか、本当か嘘か分からないような伝説があったりする。
 きっと神様が他の人に分け与えるはずだった才能をこっそり持ってきたに違いない。
 だから変わりに僕はなんの才能も無いんだ。
 そんなことをぼんやり考えていると、4時間目終了のチャイムが鳴り、静かだった教室は一転して騒がしくなる。
 これから、給食と昼休み。
 僕の、一番嫌いな時間。
 手を洗いに行けば水をかけられ、給食を取りに行けば足を引っ掛けられる。
 ほら、こんな毎日だ。
 みんなが楽しく給食を食べ、昼休みを過ごす中、僕だけ倒れこんでいる。
 そう、これもいつものこと。
 五時間目は体育だ。
 グラウンドに出て待っていたが誰も来ない。
 チャイムが鳴ってしばらくすると体育教師が怒鳴りながらやって来た。
 今日は急遽バスケットボールをすることになっていたらしい。
 教科係が伝えたはずだと叱られた。
 きっと僕が居ない時間だったに違いない。
 体育館に入ってもべつに変わらない。
 補欠の僕は隅で応援しているだけだ。
 と、いきなり僕の眼前にボールが飛び出してきた。
 避けきれず顔面で受け止める僕を見て、みんながゲラゲラと笑っている。
 悪い悪い、と謝りながらボールを取りに来たのは昌樹君だった。
 どうやら、彼がシュートをミスしたらしい。
 へぇ、あの完璧な彼もミスをするんだ。
 そんなことを考えていると、またボールが飛んでくる。
 今度は、他の男子がわざと狙っていた。
382品評会作品「キセカエ」2/3 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:06:28.76 ID:GW0rivAK0
 6時間目は美術。
 今日最後の授業。
 いつ模様に席に着き、いつものように授業が始まる。
 今日は、描いた絵を発表する日だった。
 提出された絵を先生が淡々と評価していく。
 元気が良い、のびのびとしている、力強い等々、本当にほめているのか怪しい評価を聞きながら僕は、
クラスメイトにつかまらずに帰るにはどうしたら良いかを考えていた。
 すると、突然後ろから頭を小突かれた。
 振り返ると小さく「前を見ろ」と言われた。
 首を戻すと、ちょうど僕の絵の番だった。
 なにやらさっきまでとは口調が違う。
 正確なパースがどうの、繊細な色使いがどうのとまくし立てる。
 挙句、前に立たされて褒めちぎられた。

 授業後、早速クラスメイトらに取り囲まれた。
「天狗になってるんじゃねえよ」
「調子に乗るな」
 一体僕が何を下って言うんだ。
 ただみんなと同じように授業で絵を描いただけなのに。
 こんなことなら発表なんてしないでくれたら良いのに。
 そう思っていると。
「お前たち良い加減にしろよな」
 その「彼」の一声が聞こえると、僕に絡んでいたやつらはあっさりと踵を返していってしまった。
「お前も自分でなんとか言ったらどうだよ」
 そういって肩をポンと叩くと、昌樹君は笑って見せた。
 そんな風に言われたのは初めてで。
 蔑みじゃない笑い顔を向けられたのも初めてで。
 今まで溜まっていた感情、どうしようもない悲哀を彼にぶつけた。
 彼は困った顔をしながらも、それを全部聞いてくれた。
383品評会作品「キセカエ」3/3 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:07:05.99 ID:GW0rivAK0
 話し終わるころにはもうかなり時間がたっていて、ホームルームが始まってしまっていたが、
叱られそうな僕を見た昌樹君が庇ってくれた。
今まで庇われるどころか、擦り付けられる側だった僕は、それだけでうれしくて走り出しそうだった。
 放課後、お礼を良いに行くと、うちに来ないかと誘われた。
 帰り道、彼は僕に美術の授業での絵のことを聞いてきた。
 絵は昔から嫌いじゃなかったし、今回はそれなりに力を入れて書いたんだと言うと、
 それだけであれだけのものが描けるなんて、才能があるんだねと、自分のことのように喜んでくれた。
 そんなことを話しているうちに、いつの間にか彼の家の前まで来ていた。
 人の家にお邪魔するなんて初めてだった僕はとたんに緊張して固まってしまった。

 あまりの緊張にトイレに行きたくなった僕は、お邪魔して早々にトイレを借りることにした。
 でも、彼の部屋を出たはいいが、どうしてもトイレがどこか分からない。
 まずい、我慢できないと思った僕は適当に近くのドアを開け放った。

 そこは、トイレではなかった。
 でも、普通の部屋でもなかった。
 一見して巨大なクローゼットの中のようなその部屋には、子供の首からしたがズラリと……
384品評会作品「キセカエ」4/3 ◆ZetubougQo :2008/02/24(日) 23:08:27.70 ID:GW0rivAK0
以上です
今回は言葉がまったくでてこず参ったけど、なんとか投下にこぎつけられて良かった
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:12:41.92 ID:UbYM+Z9m0
>>364
まあね。

>>367
創作はみんなそう。
音屋も絵師も作家もみんな道の途中で必ず問われる。
後はエベレストとかマッターホルン登る連中とか、
ツールドフランスに出る連中とか一段違う連中も聞かれる。
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:14:48.51 ID:Jqnv9o2i0
今週はカオスこない気がする
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:15:16.53 ID:RIWedav50
品評会投下します
388貧相だから (1/4) ◆h97CRfGlsw :2008/02/24(日) 23:16:00.67 ID:RIWedav50
 マンションの一室、一定の間隔でドアを三度叩くと、ぱたぱたとスリッパの足音がこちらに向ってきた。手のひらに食い込んでいる差し入れのビニール袋を持ち直し、鍵が外されるのを待つ。
「絵里さん、いらっしゃい。すみません、いきなり呼び出しちゃって……」
「いいよ。どうせ美香が呼べっていったんでしょ」
 出迎えてくれた朝倉に差し入れを渡す。ショートボブの髪を揺らして可愛らしく歩く朝倉の後ろを、真冬かつ真夜中ということで着込んできたコートを脱ぎたたみながら歩く。
 広々としたリビングに入ると、コタツに突っ伏している髪の長い女が一人。その周囲にはビール瓶がかなりの数散乱しており、隅に置かれている空気清浄機がなかったらと思うとぞっとしない。
「絵里、遅いわよ。なにやってたの」
「お前ははもう少し人の都合というものを考えようか」
 面倒くさそうに目線だけをこちらに向けて、よく通る声で文句を言う。美香という名前のそいつは、朝倉の名前を叫ぶと手に持っていたビール瓶をコタツにたたきつけた。朝倉が慌てて次を用意する。
 この家賃高めなマンションも、美香が今我が物顔で飲んでいるビールも、全て朝倉のものだ。思うに、美香はまたいつものように事前連絡なしに朝倉の部屋に押しかけて、あまつさえ私を呼びつけたのだろう。
 こいつはいわゆるジャイアンである。立場的には朝倉がのびたクンで、私は無能なドラエモンか。そんなことを考えながら、コタツに参加する。美香が大場取りを敢行しているので、足が伸ばせない。
「美香、足退けな」
「うっさいわね、ここは私の特等席なのよ。ねえ、朝倉」
「え? え、っと……」
 ビールの缶を回収していた朝倉は、突然会話を振られて困っていた。朝倉は美香を立てるか私を立てるかで悩んでいるようだったので、目配せしてやる。
 美香の満足する解答をしたので、朝倉は頭を撫でられていた。朝倉が美香の隣に座り、ビールの酌をはじめる。私の好きなチューハイが用意されているあたり、流石朝倉というところだ。
 私たちの付き合いは高校からで、はじめのうちはわりと対等だった。が、親密になって個々人の性格が表に出るようになると、上記のポジションに落ち着いた。
 おとなしい性格で控えめなお嬢様の朝倉は、今では完全に美香の財布兼メイドになってしまっている。不憫だとは思うが、私も結構甘い汁を吸わせてもらっているのでなんとも言えない。すまん朝倉。
「で、何の用なの」
 朝倉が出してくれたチューハイで口の中を湿らせてから、改めて美香に質問する。くだらない内容で呼び出されるのが常なので、おそらく今日も取るに足らない話だろう。美香は不機嫌そうに顔をゆがめると、ぼそりと言った。
「……連絡がこないのよ」
「とうとう親に見限られたのか」
「ち、違うわよ! 昨日の合コンの話! どいつもこいつも、私に電話一本入れないのよ!」
 美香がビールの注がれたコップをコタツに叩きつけ、脇にいる朝倉がびくりと体を跳ねさせる。なるほど、今日は愚痴か。私が来るまでの約一時間、おそらく八つ当たりをされたであろう朝倉はよくよく見れば憔悴していた。
 昨日、所属サークル主催で合コンがあったのだ。頼まれる形で、私たちはその行事にはじめて参加した。が、どうやら彼女は全員から遠慮されているらしい。ちなみに私は、面倒にも全員から誘いがきた。
「これは何かの間違いよ。きっと渡した電話番号が三桁くらい間違っていたに違いないわ」
「でも美香さん、誰にも電話番号渡してなかったじゃ、すいませんなんでもないです」
 美香がぎろりと朝倉を睨みつけている。そういう威圧的なところと、性格のキツさ加減が男に近寄ってもらえない原因だと、彼女はわかっているのか、わかっていてやっているのか。
 美香がビールを一気飲みし、朝倉が次の缶をあける。絡み酒で怒り上戸な上、ざる。朝倉に、つまみの追加は!と怒鳴る美香を眺めながら、私は深く溜め息をついた。

 今夜もまた、酔っ払った暴君の相手をしなければならないらしい。毎日毎日、これでは体が持たないというものだ。
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:16:30.88 ID:50eILqYMO
>>386
それなら運営さんも楽だろうけど、結局来るんじゃないか? カオス
390貧相だから (2/4) ◆h97CRfGlsw :2008/02/24(日) 23:16:53.62 ID:RIWedav50
「……でもね、私気付いたのよ」
 しばらくビールに集中していた美香が、不意に俯いたまま言った。なにと対応させたでも、なのだろうかと思いつつはいはいと相槌を打つ。美香は大きく息を吸い、意気込んで言った。
「私が男受けしないのは、からだが貧相だからなのよ!」
 急に立ち上がる美香。その拍子にコタツも跳ね上がり、上にあった少しのつまみと飲み物が散乱した。うつ伏して転寝していた朝倉も一緒に吹っ飛び、床に転がって悶絶している。
 突発的な行動を予期して非難させておいたコップをコタツに戻し、少しの間をおいて、私は反応を返す。
「ふーん」
「悔しいけどね。私はあえてこの事実を認めるわ。……ちょっと朝倉、何寝てるのよ。大事な議題が発表されたのよ」
「ひゅ、ひゅみません……」
 舌かんだのか朝倉。美香は一通り叫んで満足したのか、おとなしくコタツに戻ってきた。私はピーナッツをかじりながら、鼻息を漏らす。大仰に何を言い出すかと思えば、そんなことか。
「私は物凄く美人で、非の打ち所がない程に完璧だけど、いかんせん男はもっとぽっちゃりしてる馬鹿みたいな胸の女が好きなのよ」
「まあ、一理ある」
「でしょう!? ルックス百点の私がもてないなんて、ありえないわ! なに考えてるの! 馬鹿なの!?」
 馬鹿はお前だ。髪にチューハイを滴らせながら、ぼそりと呟く。またいきなり立ち上がるもんだから、今度こそ私も頭からチューハイを被ってしまった。再び床に転がった朝倉に頼んで、衣巾をもってきてもらう。
 美香は憮然として腰をおろすと、ビールをぐいと煽った。ひっくと痙攣してぐでんとコタツに溶ける美香は、黙っていれば美人だ。以前一緒に町を歩いた時、うんざりするほど声をかけられていたし。
 芸能人でもやればと、投げやりに言いたくなるような容姿。顔は嫌味なほど小さく、すらっと背が高い。素地が小振りなくせに、顔のパーツはそれぞれが印象的に整っている。髪だって一級品だ。
 ただ、確かに体つきは細く、貧相といえばそうだ。しかしもてない原因では絶対にないと思う。体つきの好みなんか人それぞれだし、私はどちらかというと細身のほうが好きだ。俺もね。
「絵里さん、何処が濡れました? タオル持ってきました」
「ああ、悪いね」
 立ち上がって服のすそを引っ張ると、朝倉が親切にも拭ってくれた。金持ちなのに、美香のせいかおかげかこんな従者まがいのことばかり上手くなってしまって……。哀れんでいると、唐突に美香が口を開いた。
「……それよ」
「なにさ」
「それ! アンタらの胸についてる塊よ! それが諸悪の根源なんだわ! 特に朝倉ぁ!」
「は、はい」
 朝倉が上官に怒鳴られた消防隊員のように背筋を正す。私はとばっちりを受けないよう、そそくさと逃げる。美香がどかどかと、震える朝倉に近づき、顔をぐいと寄せる。目が据わってるぞ。
「これはなに」
「む、胸です」
「なんでこんなに大きいのよ。ふざけてるの? けんか売ってるの? どういうつもり? 人の嫌がることはしちゃいけないのよ?」
「ふ、ふざけてません、けんかも売ってません。でもごめんなさい、胸がごめんなさい、全て私の責任です」
 背のあまり高くない朝倉に合わせて美香は腰をかがめ、仇敵を見るような目つきで胸を至近距離で眺めている。と思うと、いきなりそれをわし掴みにし、揉みしだき始めた。ちょっと羨ましかったりする。
391貧相だから (3/4) ◆h97CRfGlsw :2008/02/24(日) 23:17:48.93 ID:RIWedav50
「これが男をダメにするのよ! 頭がパーンってなるのよ! 魔性のカタマリだわ!」
「で、でもでも、大きくて邪魔だし、重くて肩がこったりして、悪いことのほうが多いんですよ? ……なんて、その、言ってみたりして、あはは」
「何も聞こえなかった」
「何も言ってませんでした……」
 押し倒されてうつ伏せに羽交い絞めにされたまま、朝倉は美香の理不尽に晒されていた。私はコタツに入ってぬくぬくしながら、悲鳴と怒声が隣室に迷惑をかけていないかを心配した。
 美香は朝倉を股に敷いたままビールを一口飲み、けふっと品なくげっぷをした。いい加減急性アルコール中毒でぽっくり逝くのではという量を飲んでいるが、大丈夫なのだろうか。
「美香、ちょっと飲みすぎじゃないか? 肝臓がダメになってパーンってなるぞ」
「朝倉ぁ!」
「朝倉も胸も関係ねえよ」
 どうやら完全に酔っ払っているようだ。酔いに任せて馬鹿なまねをしないよう、美香を抱き上げて朝倉から引き剥がす。美香はおとなしく私に連れられてコタツへ戻り、朝倉はよろよろと台所へと歩いていった。
「……ちょっと落ち着いて考えてみたんだけど」
 座り込んでからしばらく黙りこくっていた美香が、頭をフラフラさせながら神妙な面持ちで口を開いた。ふと腕時計に目を向けると、二時を回っている。そろそろ眠気もピークになる頃合だろう。 
「なんだ?」
「……私、実は巨乳なんじゃないかって思うの」
「朝倉に謝ってもらうか?」
「聞いて。いい、発想の逆転をするの。つまり、巨乳は貧乳、貧乳は巨乳って事よ。ということは、私は貧乳だから、巨乳ってことになるはずよ。朝倉は巨乳だから、貧乳になるの。いい気味だわ!」
 美香はコップを握り締めたまま頭を前後に何度か揺らした後、そのままがつんと音を立ててコタツに突っ伏した。断末魔にしてはあまりにも超理論が過ぎる。録音して素面の時に聞かせてやりたいものだ。
「あ、美香さん寝ちゃいました? お水持ってきたんだけど……」
 かいがいしくも、朝倉がトレイに私と美香の分のコップを運んできた。朝倉は美香を揺り起こすと、コップを美香の口につけて、器用に傾け水を飲ませた。さんざ騒いだ反動なのか、美香は動く気力も無いようだ。
「まくらー」
 朝倉に支えられてくてんとしている美香が、ぽつりと言った。私は水を飲みながら、ホントにやりたい放題だなこいつはと、寝転んだ美香に朝倉がスカートをまくってふとももを差し出すのを眺めていた。
「もう一度落ち着いて考えてみたんだけど……」
「どう見ても瀕死の体じゃないか」
「……もしかしたら、男が胸を好きなんじゃなくて、胸が男を好きなんじゃないかしら。ほら、もまれると膨らむって言うし」
「お前もう自分が何言ってるのかわかってないだろ」
 朝倉のふとももに顔を擦りつけながら、美香は完全に寝る体勢に入っていた。ようやく嵐が収まったかと、朝倉と顔を見合わせて苦笑する。途端、朝倉が悲鳴をあげた。美香が太腿をつねったようだ。
「……言っとくけどアンタら、私より先に男作ったらひどいからね」
「いいから寝てろ。明日だって大学あるんだぞ」
「……絶対だからね」
 今度こそぱたりと倒れ、均一な間隔で寝息を立て始めた。やれやれと嘆息し、朝倉がほっと肩を撫で下ろす。
392貧相だから (4/4) ◆h97CRfGlsw :2008/02/24(日) 23:18:56.72 ID:RIWedav50
「……気がすんだみたいですね」
「毎度毎度、迷惑な奴だ」
「まあ、美香さんですし」
 美香の髪を撫でながら朝倉が肩をすくめる。微妙に諦観の混じった意見に同意しつつ、動けない朝倉の代わりに散乱したゴミやら空き缶を片付ける。明日も大学にいかなければならないことを考えると、憂鬱だ。
 美香が寝付いたことで、部屋は水をうったように静かになった。元々私も朝倉も多弁な方ではないので、まあ必然。というか美香が一人でうるさすぎるのだ。欠伸混じりに歩き回っていると、朝倉が口を開いた。
「彼氏、作ったらダメみたいですね」
 美香の命令を茶化して言う。美香がどういうつもりで言ったのか察しがついている私は、朝倉の言葉に苦笑を返す。朝倉がここぞとばかりに、美香の頬を優しくつついている。
「こいつが男作るまでって、いつまで待たされるのやらな」
「なんてったって、体が貧相ですからね。これはなかなか出来ないでしょう」
「私たちも道連れってことか」
 お互い顔を見合わせず、通る声で話す。あらかたゴミを収集したところで、コタツをどけて敷布団を二人分敷かせてもらう。今から帰っては、寝るのが何時になるかわかったものではない。
 就寝準備を済ませてから、朝倉の元に戻る。くたばっている美香を膝枕から抱き上げ、ベッドに運ぶ。本来朝倉が寝るべき場所なのだが、どうやら当の本人は最近ここでは寝られていないようだ。
「まったく、お姫様にも困ったもんだな」
「もう慣れちゃいましたけどね。この寂しがり屋さんの面倒、私たちでちゃんと見てあげなきゃです」
 朝倉が布団をかけてやり、娘を見るような慈愛に満ちた表情で美香に微笑みかける。あれだけ虐げられてよくもまあ、と思わないでもないが、私もおおむね朝倉と同意見だった。
 ホントに素直じゃない奴だ、と朝倉と顔を見合わせてクスリと笑いあう。私は夜遅く呼び出された仕返しにと、ぴしんと美香の鼻を小突いてやった。朝倉にも薦めたが、彼女は報復を恐れて辞退した。
 いそいそと布団にもぐる。体を横にしたとたんどっと疲れが溢れてきて、同じタイミングで私と朝倉は溜め息をついた。こんな調子で、明日は起きられるだろうか。
「……安心しろよ。私はどっちかというと、体つきは貧相な方だ」
「私も背が低いですし、貧相な方だと思います」
 ぼそぼそと、布団の中で言葉を発する。そして何個か手探りで目覚ましをセットしてから、リモコンで電気を消した。




 少し離れたベッドの中から、ふん、と小さく鼻息が漏れた。


                                                  終                 
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:19:34.53 ID:RIWedav50
横に長いって言われてもね
だって狭いんだもん


以上です
394かけがえなきもの ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:20:35.10 ID:ulJeAvA4O
品評会作品予約します。

タイトル:かけがえなきもの
レス:4レス
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:20:50.32 ID:sZ6W7SgR0
>>393
横に長いよ!
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:21:39.91 ID:UbYM+Z9m0
>>393
レス数の問題で改行増やせないもんな。気持ちは分かる。
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:22:30.47 ID:qJmSYka/0
ああ、4レス制限だったなそういえば
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:23:02.69 ID:NgpzEI7V0
>>393
横に長いという点より、ごく普通に投下していた事に驚きました

◆HkDez0eBAE氏、どうぞ。
【順番】
399自分自身(0/4) ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:23:19.59 ID:Tnryga0F0
品評会予約します
400かけがえなきもの 1/4 ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:25:20.34 ID:ulJeAvA4O
 あいつ、また猫と遊んでるな――公園を見ながら、道彦はぼんやりそう思った。
 道彦の住むアパートは、住宅街に建っている。三階の窓からは近所の様子がよく見えた。小さな公園が目の前
にあるためか、たいして住民もいないこの一画には意外に多くの人がやってくる。
 道彦は、地元から少し離れた大学に通っている。授業のない日、道彦は部屋から見えるの様子をこうしてよく
眺めているのだ。
 犬を連れた二人の女性が、狭い道ですれ違おうとしていた。歩みを緩め、互いに軽く挨拶をする。子犬の方が、
大型犬に吠えかかる。慌ててロープを抑え、犬を叱る飼主。ゴミ袋を啄ばんでいたカラスがぱっと飛び立ち、ま
た戻ってビニールを突っつき始める。小柄な主婦が、大型犬に引っ張られながら公園に入っていく。
 少年は相変わらず、砂場で三毛猫と遊んでいる。ピンク色のゴムボールを、前脚でころころと転がす猫。少年
はしゃがみこみ、飽きもせずにそれを見ていた。少年の家で飼っているのか、よほど人に慣れているようだった。
道彦は羨ましかった。実家では猫を飼っていたが、道彦にはなつかぬままふらりと何処かへ行き、二度と戻って
こなかった。
 不意に、一陣の風が吹いた。公園の楓の梢が揺れる。中途半端な紅色に染まった木の葉を、西日が照らし出し
ていた。
 道彦は、二ヶ月ほど前のことを思い出した。

     *     *     *

 尚美の入院を知ったのは、中学の同窓会でのことだ。
 先天性の病気を持っていることは知っていたが、同じクラスにいた頃は特に気にしたことも無かった。時々体
育の授業を見学することはあったが、欠席日数も人並みで、病弱という印象はない。
 なにより、明るい性格だった。休み時間になると、親友の瑞希とどうでもいい話をしてけらけらと笑う。
 教室のベランダから見える、銀杏の並木道。アスファルトと木の葉にまぶしい陽光が照り返す。慈しむような
柔らかい反射光の中で、尚美はいつも笑っていた。
「もう、自分じゃ歩けないんだ」
シャンディガフの残ったグラスを片手に、瑞希は言った。声は沈んでいた。
 病状が急激に進行したのは高校生の時。病名は、よく分からない。原因は遺伝的なものらしいが、両親は共に
健康だった。現代の医学では原因、治療法ともにはっきりしないという。
「信じられないな。あんなに元気だったのに」
401かけがえなきもの 2/4 ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:26:29.30 ID:ulJeAvA4O
「私だってそう。話を聞いた時は、耳を疑ったもの」
 二次会会場のバー。テーブルではかつての同級生たちが盛り上がっていた。交互に飛び交う、近況と昔話。笑
いが起こるたび、空白だった時間が埋められていく。その笑い声も、道彦の耳にはなんとなく乾いて聞こえた。
 道彦と瑞希は、カウンター席に並んで座っている。七年ぶりの再会の席に、尚美はいなかった。一次会ではそ
の理由を聞き出せず、人数の減った二次会で瑞希に近づいたのだった。
「これからどうなるんだ。寝たきりってことなのか?」
「ううん。車椅子なら大丈夫みたい。けど、それもいつまでもつか分からないみたいなの」
瑞希の声が、つれて曖昧になっていく。もうたいして中身のないグラスを、ちびちびと何度も口元に運んだ。
「会いに行くか」
不意に、道彦が言った。自分でも意外な言葉だった。瑞希も驚いた。
「本当? 辛くなるかもよ?」
「誰が」
道彦は一笑に付して、ウィスキーのグラスをあおった。氷はとっくに溶けてしまい、水の味しかしなかった。

 病院を訪れた日は、蝉の声が特にやかましかった。地元に帰ると、いつも面食らうのはミンミンゼミの大合唱
だった。大学のある街とは百キロ程しか離れていないのに、こちらにくると空気までがべとついているように思
える。
 六人部屋の病室は、ひんやりとしていた。鼻をつく独特の匂い――薬品なのか何なのか。小汚いブラインドが、
大きな窓の光を切り刻んでいる。その細切れの影の中に、ベッドから半身を起こしている尚美の姿があった。
「お久しぶり」
尚美は、微笑を浮かべていた。背後に教室のベランダが見えるような気がした。ただ血液が変色したかと思える
顔色が、あの頃の尚美とは異なっていた。
「意外ね、みっちが来てくれるなんて」
「二度と会えなくなるんじゃないかと思ってな」
「ひどいんじゃない? ホントは、二度と会いたくないと思ってたりして」
憎まれ口も、あの頃のように軽くかわしてくれる。それがかえって、道彦の胸を締めつけた。
「尚美……」
「瑞希、いつもありがとね。みっちをここに誘ったの、あなたでしょ?」
尚美の視線にかすかに非難の色が見えて、瑞希は口をつぐんだ。
「いや、俺が言い出したんだ。同窓会で会えなかったからさ」
402かけがえなきもの 3/4 ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:27:19.53 ID:ulJeAvA4O
道彦が口を挟む。尚美はただ笑顔を向けた。
 隣のベッドは空いていた。窓には風鈴が、黙ってぶら下がっている。瑞希は誰もいないベッドにどかりと腰を
下ろした。道彦はパイプ椅子を引き寄せ、静かに座った。
「座るって感覚、忘れちゃったな」
尚美が呟いた。いつのまにか外を見ている。
「普段立っているから、座ると楽なのよね――最後に『座った』のって、いつだったかな」
道彦は思わず立ち上がりかけた。何も言えなかった。いったい何をしにここへ来たのかと思った。
「誰が悪いってわけじゃ、ないのよね。ただ、私がそうだったってだけ」
蝉の声が、力尽きたように止んだ。
「生まれ変わったら、ガゼルになるんだ」
尚美の声は、居たたまれないほど透き通っていた。風鈴が鳴る。病室の中で重なり合う余韻は、教会で聞くコラ
ールのように頭に響いた。
「馬とかじゃ駄目なのか」
道彦が言う。用を成さなくなった尚美の脚を、真っ白な毛布越しについ見やった。
「馬は柵の中から出られないじゃない? ガゼルだったら、サバンナの中を何処までだって走っていけるわ」
尚美の視線が窓に向く。汚れたブラインドの隙間から、その目は遠い遠い大草原を見ているのかもしれない。道
彦はそう思った。
「ライオンに食われるかもしれないぞ」
「その時は諦める、自然のルールだもん。でもこうやって思い通りに動けないまま朽ちていくよりは、ずっとマ
シでしょ」
 瑞希にも道彦にも、返す言葉がなかった。

     *     *     *

 地元から戻ってくると、秋だった。道彦はそんなふうに感じた。

 ある日の夕暮れ。道彦はいつものように自分の部屋から外を見ていた。
 砂場の近くに、いつもの少年がしゃがみこんでいる。今日はランドセルを背負っていた。猫はいなかった。道
彦は部屋を出た。
 公園に他に人はいなかった。砂場の近く、土の見えている草むらに少年はいた。シャベルを右手に持ち、足元
403 ◆/7C0zzoEsE :2008/02/24(日) 23:27:59.84 ID:f5Q+GxTN0
予約
404かけがえなきもの 4/4 ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:28:35.00 ID:ulJeAvA4O
の穴に一心に土をかぶせている。
 道彦はそっと近づき、穴の中を覗き込んだ。半ばまで土に埋もれた、三毛猫の体が見えた。その側には、ブリ
キで出来たレトロなロボットの玩具が添い寝していた。
 道彦は声をかけてみた。猫はどうしたのかと聞いた。
「車に轢かれちゃった。だから、お墓つくってるんだ」
少年は「作業」を続けながら答えた。
「ロボットも一緒に葬ってあげるのかい?」
「ううん。ロボットは死なないもん。だから、今度はロボットになって欲しいんだ」
 道彦は、その場を後にした。
 夕陽が少年の背中を照らす。長く伸びた影法師を見て、道彦は思わず自分の右手に目を移した。中指の付け根
に一つ、小さな黒子があった。


<了>
405 ◆VQKJgiezS6 :2008/02/24(日) 23:28:54.42 ID:ewPMdv7w0
予約
406かけがえなきもの ◆HkDez0eBAE :2008/02/24(日) 23:29:20.22 ID:ulJeAvA4O
終わりです。
407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:29:32.58 ID:NgpzEI7V0
お疲れ様でした。

◆daFVkGT71A氏、どうぞ。

【順番】
◆/7C0zzoEsE
◆VQKJgiezS6
408 ◆VXDElOORQI :2008/02/24(日) 23:29:53.34 ID:2E/UZxiM0
予約にゃ
409自分自身(1/4) ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:30:33.34 ID:Tnryga0F0
 周囲には不気味な暗闇の森があった。得体の知れない鳴き声や、時折何かが動く音が聞こえる。一日を終
えると、いつも不安に駆られた。ここに連れて来られた日の恐怖を思い出しているのかも知れない。
長い間ここで奴隷をやっていると、死が身近なものだということが分かってくる。
「また一日、生き延びることが出来てよかった」
 俺はわずかな喜びに身をひたした。ここに来てからというもの、機械のように働くだけの日々だ。
……ん? あれはなんだ?
何気なく目を向けた先、黒一色で塗り固められた森の中に白い布が翻ったのが見えた。驚いて目を凝らせ
ば、やはり間違いない、脱走だ。
「ははっ、ラッキー」
 脱走は珍しくない。兵士たちも手を焼いているようだった。脱走者を見つけて捕まえれば、扱いを改善す
るというお触れまで出した。だから俺はこれまでに何人も捕らえてきた。もちろん協力すればするほど、待
遇は良くなる。今や模範奴隷と言われ、兵士からは信頼され、同じ仲間からは軽蔑の目で見られている。
 ……あれは、女か。娼婦だろうな、ますますラッキーだ。捕まえやすい。
俺はゆっくりと女に近づいた。彼女は自分の走ってきた方向を眺めるばかりで俺に気付いている様子はな
い。とうとう女の真後ろまで気付かれることなく近づくことが出来た。あっけない。少し拍子抜けだ。
「おい」
 肩を掴んで言った。女は一瞬硬直したが、一呼吸を置いて振り向いた。俺を見ていくらか安心したようだ。
「なんだ、兵士じゃないのね。びっくりさせないでよ」
「まあでも似たようなものだな。お前を奴らに引き渡すんだから」
「ねぇ、あなたは自分が何なのか分かる?」
「え?」
「私は分かる。私たちは人じゃないのよ。ただの身体。誰かに使われる肉体にすぎないの。でも私はそれが
我慢できない。あなたは平気なの? そうやって自分を殺して生きていくこと」
いきなり何を言い出すんだ。わけが分からなかった。そんなことは奴隷なんだから当然だ。
「私は私自身として生きたい。だってこの世に私は一人しかいないんだもの」
「自分自身として……?」
 自分自身として生きる? そんなこと出来るわけがない。俺たちは奴隷なんだ。
「あなたは優秀な奴隷として有名だわ。けど、ただの肉体として生きることに虚しさは覚えない?」
虚しさ? そんなもの生きるためには仕方がないじゃないか。俺にどうしろって言うんだ。
「私と一緒に逃げない?」
410自分自身(2/4) ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:31:15.86 ID:Tnryga0F0
 やっぱり無謀だったか? 俺は女と森の中を走りながら思った。後ろからは兵士の足音が追ってくる。あ
れに捕まれば間違いなく見せしめに拷問の後、殺されるだろう。
「まさかこんなに早く見つかるなんて」
 女は苦々しげに呟いた。
全く、衝動的な自分に嫌気がさす。女の言葉は確かに間違ってはいないと思う。それどころか、今の俺に
は眩しいぐらいだった。だからこそ俺もついて行きたいと思ったんだ。でも、死んじまったら意味がない。
「なあ、お前は先行けよ」
 だから、俺はそう言った。
「元々俺はお前にくっついてきただけでさ、お前みたいに考えたこともなかったんだ。俺にお前と逃げる資
格なんてない」
「何言ってんのあんた」
「お前の考えは素晴らしいと思う。だから、生き延びて欲しい」
 そう言って俺はそれまで来た道を逆走した。後ろから何か聞こえるが無視する。一時の感情に流されて命
を落とすなんて馬鹿げていると思うが、もう後には退けないところまで来てしまっている。
「はははっ、ミスったなぁ。あんな女の話なんか聞くんじゃなかった」
 前から兵士二人が来る。どちらもマシンガンを抱えていた。
「こりゃ抵抗しないほうが得策かもな」
 諦めて両手を挙げた。兵士たちはだんだんと距離をつめてくる。こちらが抵抗しないと分かると幾分警戒
を緩めたようだが、マシンガンから手を放すことはない。
「まさか逃げてるのがお前だったとはな。血迷ったか」
 兵士一人がそう言って、俺の腕を掴み、そのまま組み伏した。
「模範奴隷だからって許してもらえると思うなよ」
 マシンガンを俺に向かって構えて、もう一人が言った。
「分かって――」
 パン。パン。
俺の言葉をさえぎって乾いた音が闇に響いた。それと同時に、兵士二人が地面に倒れこむ。
「なっ?」
 起き上がった視線の先、硝煙を上げる拳銃を手にした女がいた。
「お前、何で?」
「言ったでしょ。私は私自身として生きる。あなたの言葉にも従うつもりはないわ」
411自分自身(3/4) ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:32:01.21 ID:Tnryga0F0
 しばらく走ると兵士たちの気配がしなくなった。周りの森の声が大きくなる。俺と女は外を目指して走っ
ていた。
「ところで、どこでこの拳銃を手に入れたんだ?」
 さっきは動揺してそこまで頭が回らなかったが、よくよく考えてみると娼婦が拳銃を持っているというの
もおかしな話だ。
「この前、私のところに来た兵士から盗んだのよ」
 そうか。この女はずっと前から逃げるための計画を練っていたんだ。
「よくそこまで出来たな」
「このぐらいは持っておかないとね。役に立ったでしょ?」
 チラリと横目で俺を見て、からかうような声で言った。たいした女だ。
「これから先必要にならなければいいんだがな」
「……そうね」
 しばらく走ると、町の灯が見えてきた。あと少しだ。もうすぐで俺たちは人間になれる。思わず笑みがこ
ぼれた。隣の女の顔も希望に満ちているように見える。
「この森を抜ければ――」
「――自由だわ」
 出口はもう目の前だった。何だ意外と簡単じゃないか。俺が今まであそこでこき使われていたのが馬鹿み
たいだ。
そうして俺たちは森の外に出た。

 そこは確かに光に満ちていた。ただ、その光はあまりに攻撃的だった。
「はは……甘かったか」
 俺は呟いた。周囲は兵士たちに囲まれている。逃げ場なんかどこにもない。それどころか、兵士たちは銃
を構えていて、動くことすら出来なかった。
「こんなに簡単に終わるなんてな」
 もう自嘲の笑みしか出てこない。せめて女だけでも逃がしてやりたいが、さっきのようにうまくはいかな
いだろう。両方とも殺されて終わりだ。
「諦めて投降しろ」
 静かだが、威厳のある声が響いた。
412自分自身(4/4) ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:32:50.27 ID:Tnryga0F0
「嫌よ」
 それまで黙っていた女が言った。その声は悔しさを滲ませていたが、気丈だった。
「今この場で殺されたいのか!」
 叩きつけるような声が襲ってきた。女はそれにも臆することなく言った。
「どうせあとで殺すくせに。それに、私はもう誰ものにもならないわ。また戻ってこの身体をもてあそばれ
るぐらいなら……今ここで終わらせる」
 固い意志を感じさせる言葉だった。兵士たちを睨み付けて女は手に持っていた拳銃を頭に当てる。
「おい! 何考えてんだ」
 無駄だと分かっていても尋ねずにはいられなかった。それほど俺は動揺していた。
「せめて最期は私自身でありたいから」
 悲しげな微笑を浮かべて言った。同時に、引き金が引かれた。
 少し前に聞いた音が、今度は一発だけ響く。
 女の身体は力を失い、地面に倒れた。
「……そうか。お前は立派だったよ」
 もう届いてはいないだろうが、女に言った。

413自分自身 ◆daFVkGT71A :2008/02/24(日) 23:33:19.86 ID:Tnryga0F0
終わりです
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:34:20.03 ID:UbYM+Z9m0
締め切りだな
415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:34:24.11 ID:6qeNloYx0
救済者スレッドに予約者
395 名前: ◆2YSq4YJJBc :08/02/24 23:28:07 ID:ZjxzrHtQ
よやーく!
416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:35:16.98 ID:NgpzEI7V0
お疲れ様でした。

◆/7C0zzoEsE氏、どうぞ。

【順番】
◆2YSq4YJJBc  (救済スレより)
◆VQKJgiezS6
◆VXDElOORQI  流石ですにゃ
417ファットエンジェルは空を飛ぶ (1/4) ◆/7C0zzoEsE :2008/02/24(日) 23:37:22.21 ID:f5Q+GxTN0
「お父さんだって勝手に天界から追放したのは反省している様子もあるから。
だから、きっと孝弘ちゃんが、しっかり謝って。それでちょっとずつ飛ぶ訓練を見せれば――」
「母さん!」
 母の言葉を途中で遮った。急に大きな声を出したので、頬がブルンっと震える。
「もういいって……。話ってそれだけ? 学校あるから行くよ?」
 母はまだ何か言いたげだったが、背を向けて鞄を掴んだ。
「行ってきます」
 行ってらっしゃいと手を振る、彼女の背中では大鷲を思わせる立派な翼が輝いている。
僕の子供の手ぐらいの大きさしかない翼とは、比べようも無いほど成熟した“それ”だった。
 言いようの無い気分になってドアを開くと、玄関の前には今にもチャイムを押そうとしている同級生の姿があった。
「おっす、孝弘。今日は早いんだね」
「ああ、真衣さん。おはよう」
 律儀に毎日出迎えてくれる彼女は、間違いなく人間の良き友達だ。
僕が恋愛感情を意識する時もあったが、彼女は僕をしっかり友達の分類に線引きをしている。
恋人に入り込む隙間は無い。あったとしても、きっと僕の体では通れない。
 一人で登校するのは、きっと手持ち無沙汰なのだろう。
それを証拠に彼女は学校に着くまでずっと雑談を続ける。
僕は適当に相槌を打つだけ。彼女は飽きもせず、話しつづける。
 クリッと大きな瞳に、可愛らしく結んだツインの髪をピョコピョコ揺らして。
「いやあ、やっぱり君は今日も見事に大きいね。馬みたいだね」
「うん、ありがとう」
 豚と言わずに、馬と比喩するところが、彼女なりの優しさだろうか。
「馬といえば……君、走馬灯って見たことある?」
「……走馬灯?」
「そりゃあ、無いよね。生きてるんだし」
 彼女はかんらかんらと笑う。僕は、生前には見たことあったのかな、なんて思ってしまう。
「走馬灯はね、人がそれまで生きた全ての体験を一瞬で思い出して。
その中から、自分が助かる手段を見つけ出そうとする。人間の防衛反応らしいよ」
「へぇ……」
「凄いよねぇ。人間って。死にたくないって体と頭は必死なんだよね。
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:37:56.27 ID:9ZP7xLtd0
今日も混沌としてるなぁ
419ファットエンジェルは空を飛ぶ (2/4) ◆/7C0zzoEsE :2008/02/24(日) 23:39:48.69 ID:f5Q+GxTN0
あ、でも私は、死んでみたいかも」
 彼女は早口でまくしたてる。よく舌を噛まないものだと、感心する。
「死んでみたいの?」
「あ、違う違う。死んでみたいっていうのは、ちょっと過言。そうじゃなくてね」
 彼女は一呼吸おいて、真面目な顔で言う。
「『天使』を見てみたいのよ」
 僕は唾を飲み込んだ、心臓が跳ね上がった気がした。
「……へぇ、どうしてそんなものを?」
「え、だって素敵じゃない? 小さい頃からの夢だわぁ」
「きっと……案外大したものじゃないと思うよ?」
 変な汗が額から落ちる。きっとこれは脂肪だろうか。
「そんなこと無いわよ! 美しさの象徴みたいなものよ、きっと。光り輝いて、荘厳で、聡明で……。見るものを浄化していくのでしょうね」
 彼女があまりにうっとりした目で語るので、僕は押し黙ってしまった。
「あ、もう学校だ。それじゃあね!」」
「う……うん」
 彼女はタッと友人達の下へ駆けていく。と、その途中。彼女は振り返って、僕に声をかける。
「そうだ。今日、帰りにケーキバイキング行くから付き合いなさいよ!」
 僕はドキッとして、しどろもどろに答える。
「ぼ、僕と? どうして」
「だって、君なら元が取れるだろうなって思って」
 あ、そうですか。と、僕は手をヒラヒラ振る。彼女はにこっと微笑んで、また走って行った。

「ん? なんだあれ?」
 集団になっている女の子達、彼女はそれに向かって駆けていった。
しかし集団には女の子だけでなく、男も、教師も。用務員までいる。
奇妙な事に、皆、空を仰いでいるのだ。そして、しきりに何か叫んでいる。
「どうしたの?」
 集団の傍まで歩いていって。友人を掴まえる。
「どうしたのって……お前、あれを見てみろよ」
420ファットエンジェルは空を飛ぶ (3/4) ◆/7C0zzoEsE :2008/02/24(日) 23:41:24.60 ID:f5Q+GxTN0
 彼の言う通りに屋上を眺めた。太陽の光が反射して、よく見えない。
 それでも、目を凝らして見てみると。人の影が屋上で立っているように見えた。
しかも、何を思ってかフェンスの外側に立っている。
「死んでやる……彼に振られたから、生きてても意味無いもん!」
 彼女の枯れそうな声が響いていた。そしてようやく、納得が言った。
しかし、何を思って。人に見つからないよう、こっそりやればいいものを……。ふう、とため息を吐くと。後ろから叫ばれた。
「孝弘! お前助けに行って来い!」
「杉浦先生!」
 女子生徒が担任の下へ駆けていく。彼は、一体何を言っているのか。
「そんな……。だって俺」
「お前しか助けに行けないだろう?」
 彼の目には有無を言わせない強さがあった。そして僕は断りきれなかった。
「……わかったよ」

 肉を揺らして、非常階段を駆け上る。体中びっしり汗まみれになって。
屋上に着いたときは、肩で息をしなければならないほど疲れきっていた。
「はぁ……はぁ……」
「……はぁ…ば、馬鹿な……馬鹿なことはやめ、やめなさい!」
「助けて」
 彼女は一層擦れた声で、救いを求める。
「へ?」
 僕は間抜けな声を出してしまった。
「彼が……別れないって……。でも……怖くて、足が竦んで動けない……」
 ため息を吐いてしまいそうな。どうして人間はこう愚かなんだろう。
「待ってて、今、そっち行くから」
 僕が、おそるおそるフェンスを越える。乗り越える間もずっとギシギシ言うので、心臓が飛び出そうになった。
「ほら、僕の手を……掴んで」
 汗でびっしょり濡れてしまって。汚い手だけど、彼女に差し出す。彼女もまた、おそるおそる僕の手を握って。そして、フェンスは折れた。
 僕の体重と彼女の体重に耐え切れなかったのか。なんて柔なフェンスなんだ。今度学校に苦情を言ってやる。そんな事を思っても、落ちる速度は弱まらない。
421ファットエンジェルは空を飛ぶ (4/4) ◆/7C0zzoEsE :2008/02/24(日) 23:43:43.54 ID:f5Q+GxTN0
 悲鳴が聞こえる。耳障りな、人間達の声。もっと痩せていれば、もうちょっとゆるりと落ちたのに。
そうじゃない。そうじゃなくて、ずっと頭の中で渦巻いている。走馬灯。
 僕の今まで生きてきた全て。短い一生だったな、もっと食べたかった。そうじゃない。
走馬灯を見る理由。どうすれば助かるのか。どうすれば飛べるのか。飛べない! こんな小さな翼じゃ飛ぶことなんて出来ない。
こんな重たい体、こんな小さな翼じゃ支えられない……。違う! そうじゃない!

「天使は……天使は心で飛ぶんだ!!」

 白い体が、燃える様に光った。小さな、小さな翼をピチピチ動かして。あまりの勢いにピチピチだった制服は破けてしまった。
 シャツを着るのが億劫だった僕は、それだけで半裸になってしまう。
自殺未遂の女子生徒をお姫様の様に抱きかかえて、僕はゆっくり降りてくる。違う、飛べきれずにゆっくりと落ちているだけだ。
 僕は自然に笑みがこぼれていた。先程までの生徒達の叫びは、拍手喝采に変わる。地表に降り立った時、誰よりも先に真衣さんが声をかけて来た。
「でっぷりと出張った下腹に、白い肌。白い翼に……まるで天使みたい」
 お前は何者だって、皆が詰め寄って来る。僕はすっかり参ってしまって。
「父さん!」
 杉浦先生に助けを求めてしまった。
「あいよ、任せとけ」
 彼が美しいテノールを響かせると、生徒達はその場に倒れて眠ってしまった。
「見事な天使ぶりだったな。息子よ」
「父さん……」
 いつ以来だろう、親父に褒められたのは。
「もうお前が恥じることは無い。お前を許そう! 彼らの記憶を消して。三人で天界に戻ろう」
 僕はその言葉を聞くやいなや、すぐに頭を振った。
「父さん。僕はしっかり痩せて、もっと自分に納得が言ってから天界に行くよ」
「しかし……」
「大丈夫。もう、僕には翼があるから」
 彼は口を噤んで、「それなら、もう何も言わん」と職員室へ向かっていった。
 僕はその場で、天使の様な顔で眠っている真衣さんの頬っぺたをつついて、
「……だから、今日のバイキング頑張らなくちゃね」なんて呟いていた。
                                           <了>
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:44:28.94 ID:f5Q+GxTN0
嘘みたいだろう……。
これ5レスだとおもってかいてたんだぜ……
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:45:27.00 ID:NgpzEI7V0
縮小お疲れ様でした。

救済スレッドより◆2YSq4YJJBc氏の作品を転載しますので少々お待ち下さい。

【順番】
◆VQKJgiezS6
◆VXDElOORQI
424ピグマリオニック 1/4 ◇2YSq4YJJBc:2008/02/24(日) 23:47:19.62 ID:NgpzEI7V0
 ヒロユキは朝目覚めるとすぐに、先程まで見ていた冴えない夢の内容をそっくり忘れ去ろうと試みた。
 鳴り放しの目覚まし時計を耳元に掲げたり、重い頭を左右に激しく振ったりもした。自室を出て階下に行き、妹に妙な顔をされながらも洗面台で冷水に顔を浸してみたりもした。
 しかし見たばかりのその夢の光景は、ヒロユキの頭にこびり付いては決して離れるそぶりを見せなかったのである。
 それは、実に冴えない夢であった。
 一人の少女がヒロユキに話しかけている。それをヒロユキは黙って見ている。非常に熱心に話しかけるその少女は、しかし生身の人間には似ても似つかない姿をしていた。
 もっとも、それは別段グロテスクな意味ではない。要するにその少女は“絵”だっただけの話なのである。絵に描かれた少女、あるいは少女の絵がヒロユキに話しかけている。
 それが、その夢の全てであった。
 だが問題は、絵そのものの出来にあったのである。
 その絵は幼稚園児が描いたのかと見まがうほどのあまりに酷い出来であった。そもそもの立体感に欠け、鼻や口はほとんど一本の直線で描かれていた。
 髪は隙間だらけで目だけが異常に大きかった。動きはぎこちなく、手足がおかしな場所からあらぬ方向へと曲がっていた。
 とてもじゃないが、お世辞にも可愛いとは言えない絵だったのである。
 では、何故そのような絵がヒロユキの夢に出てきたかだが……何を隠そう他ならぬヒロユキこそが、その絵の作者なのだった。

「要するに君自身が描いたブサイクな女の子に夢に出られた、と」
「まるでオバケみたいな言い方だな」
 滑稽さを端的に集約した友人の言葉にヒロユキは憮然と返した。もっとも友人は面白がっている様子でもある。
「悪いねえ、他に表現が浮かばなくて。だが一つ訊いても良いかい?」
「何だ?」
「何ゆえそのような年端も行かない女の子を描こうと思ったんだい?」
「そ、それは……」
 友人にそう訊かれたヒロユキは言葉に窮した。それはあの夢をヒロユキが忘れたがっている理由でもあったからである。もっともここまで話した以上は後には引けぬと思い直し、ヒロユキは一思いに話し始めた。
 ――昨今、ウェブ上には趣味で、売り込みで、あるいは仕事の傍らで自作のイラストを公開するサイトが数多く存在する。
 その中には美麗な風景画等を載せるサイトも少なからず存在はするものの、多くは通称“二次元”と呼ばれる、可憐な少女を描いたものを扱うサイトが大多数である。
 そういったイラストは男性が好むツボを熟知し彼らを魅了して止まない。無論ヒロユキもその魅了される側の哀れな一人であった。
 長らく、ヒロユキはそちら側にいた。しかしある時さらに哀れなことに、自分でも描いてみよう、と唐突に思い立ったのが、今回の事の発端なのであった。
「でもイラストはゴミ箱に直行したよ。思った以上に酷い出来だった」
「なるほどねえ」
「全く、忘れたい過去だ」
「そうだろうとも。……しかし、勿体無いね」
「勿体、無い?」
425ピグマリオニック 2/4 ◇2YSq4YJJBc:2008/02/24(日) 23:48:32.60 ID:NgpzEI7V0
 友人は静かに頷いた。
「勿体無いだろう。もしも君の絵が上手ければ君の夢は楽園になったんじゃないか。彼女いないんだろう、君? 惜しいことをしたね。絵さえ上手ければ……」
 友人のその言葉にヒロユキの心は揺れ始めた。自分の描いた絵が一度夢に出たのだから二度目も……そんな浅薄な算段が頭を巡り始めた。そうしてヒロユキの返事は自ずと決まっていったのである。
「ど、どうやったら絵が上手くなれる?」
「練習することだね。まぁ、最初は写すことから始めるのが良いのかもしれないけれど」

 家に帰ったヒロユキは、思い立ったが吉日、とばかりにすぐさま練習を開始した。
 もっとも練習と言っても、それは友人の言葉どおり既存のイラストを書き写すことである。ヒロユキは適当なウェブサイトのイラストから簡単そうな一枚を選び出すと、ルーズリーフに早速鉛筆を滑らせ始めた。
 一時間二時間、やがて手が痛くなった頃に夕食を摂り、そして寝るまで練習は続けられた。
 やがて鉛筆を置き、出来上がった絵をしげしげと眺めたヒロユキは「これなら大丈夫だろう」と満足そうな笑みを浮かべた。彼はそれを枕の下に滑り込ませると、練習疲れからすぐさま眠りに落ちたのであった。

「ほう、練習を始めたのか。それで初日はどうだった? 良い夢見れたのかい?」
 興味深そうに訊く友人に、ヒロユキは胸を張って答えた。
「ずいぶん良かったよ。夢から覚めたときに悔しかったくらいだ。もっとも、まだまだ改善の余地はあるね……体が平面的なんだ。もっと色々なイラストを試してみるよ」
「そうか、頑張ってみてくれたまえ」
「ああ、毎日やってみるつもりだよ」
 そしてヒロユキは言葉どおりに毎日練習を続けたのである。
 一週間、二週間と経ち、ヒロユキは段々とイラストを写すことに慣れていった。色鉛筆で絵に色を塗ると夢がよりいっそう華やかなものになった。
 また、絵を複数枚同時に枕の下に入れると、夢の中に複数の少女が同時に登場することにも気がついた。ヒロユキはそうやって、自分だけの夢を作り出していったのである。

 その日も同じように話を聞いていた友人が、しかしふと、怪訝そうにこう言った。
「ところで君はそこまで夢を自由にできるのに、夢の中で女の子たちと何をしているんだい……?」
「何、って……普通にお話ししたり、あとは公園に行ったりだけど……もちろんイラストの」
 すると友人は、大げさにため息をついた。
「今の今まで邪な感情に一切囚われなかった君にはほとほと敬服するよ。よほど純粋なんだねえ、君は」
 その途端、ヒロユキは頭を打たれたような衝撃を受けた。友人が何を言いたいかを一人の男として瞬時に理解したのである。
「……い、言われてみれば……だが、イラストの女の子は常に服を着ていたから……」
「君はずいぶん上手くなったろう。自分の絵を描けずとも、既存のイラストから服を取り払うことぐらいできるんじゃないのかい? あとは保健の教科書でも参考にして書きたまえよ」
 それは男であるヒロユキにとって極めて魅力的な提案に思えた。生唾を飲み込む音がヒロユキの頭蓋の中で大きく響いた。
「わ、わかった、出来るかどうかは不安だがやってみる……」
426ピグマリオニック 3/4 ◇2YSq4YJJBc:2008/02/24(日) 23:49:16.23 ID:NgpzEI7V0
  
 しかし友人の言葉どおり、ヒロユキはそれほどの苦労もなく服を取り払った絵を描くことに成功したのである。二つのお椀型の小山の上には、桃色の色鉛筆で小さな突起が描かれた。
 保健の教科書の隣に佇む、全裸の少女を描いた絵。それを前にヒロユキはもう一度生唾を飲み込んだ。
 それは今夜の夢の中で行われるだろう事を予想してのことであり、図らずも男としての大事な部分の反応を感じたヒロユキは、気後れする前に布団に飛び込んだのであった。

 ヒロユキの目の前に一人の少女が横たわり、静かに寝息を立てている。
 あろうことか身には何も纏っておらず、両腕はただ無防備に体の横で曲げられていた。ヒロユキが隣に横たわると、すう、すうと小さな寝息が、しかしはっきりと聞こえてくるのであった。
 ヒロユキは片手をそっとその胸へと伸ばした。見かけの年齢のわりには大きめの胸であった。その先端には、桃色の突起が控えめに乗っている。
 頼むから途中で起きないでくれよ。そう少女に願いながら、しかし同時に決して起きないことをヒロユキは知ってもいた。これはヒロユキの夢なのである。
 だがそれでも、少女へと、厳密にはその無防備な胸へと伸びるヒロユキの手は小刻みに震えていた。ヒロユキはこれまでの生涯で、一度たりとも女性の胸を触ったことがないのである。
 緊張から大汗をかきながらも、ついにヒロユキはその胸へと手を触れた――

「……感触がない?」
「あ、ああ」
 いつものようにヒロユキは友人に話を始めた。昨日のことから初めは興味深々だった友人も、しかしヒロユキの言葉には困惑したようであった。
「そうなんだ。なんというか、妙に硬いというかゴワゴワしているというか……それに冷たかったし、少なくとも人の肌を触っている感じじゃ、なかった」
「それで慌てて飛び起きて夢から覚めてしまった、と」
「そうなんだ」
「ふうむ……」
 友人は真剣に考え込み始めた。夢の中の胸の感触が異質だとヒロユキは言うのである。しばらく考えたあとで、友人はヒロユキに向かってこう結論した。
「君には彼女がいたことはないんだろう? 恐らく想像力の限界なんだね、それは」
「……想像力?」
「そうさ。見たことがない物の色はわからない。食べたことがない物の味はわからない。触れたことがない物の感触はわからない。単純なことだけど、ゆえに越えられない壁でもあるね」
「つまり、どうすればいい?」
 友人はにやりと笑って言った。
「諦めるか、実際に触ってみるかのどちらかだねえ」

 ここに至って諦めるには、ヒロユキは夢にのめり込み過ぎていた。とはいえ、ましてや実際に触るアテなどほとんどないのもまた事実であった。
 さて、どうしようか。途方に暮れながらとぼとぼと帰り道を歩いていたヒロユキは、誰かに駆け足で追い抜かれたのを感じた。顔を上げるとそれはヒロユキ自身の妹であった。何だ、リカか……。
 だが、ヒロユキがはたと立ち止まるまではそう時間はかからなかった。
427ピグマリオニック 4/4 ◇2YSq4YJJBc:2008/02/24(日) 23:49:59.39 ID:NgpzEI7V0
 齢にして十四、ひらひらと制服のスカートを揺らすその姿。その瞬間から彼女はヒロユキにとって最後の希望にしか思えなくなっていたのである。
「リ、リカ、話がある」
 帰宅後ヒロユキは部屋に入ろうとするリカを捕まえた。胸元へ自然と落ちる視線を何とか押さえ目と目を合わせたが、余計にリカを怯ませる結果となったことにヒロユキは気づかない。
「……なにいきなり? 少しどころじゃなく顔がマジだよ兄貴。何か」
「む、む、むむねを、むねを」
「むねを、宗男? なに、鈴木宗男?」
「いやいやそうじゃなく、そうじゃなくてそうじゃなくって」
「じゃあなに? っていうかこれから遊びに行くんだけどそこどいてくれない?」
「いやちょっと、ま、待て」
「待てって言われて待つヤツはいないの!」
 ドアが閉まる音にヒロユキは諦めるほかなかった。部屋に戻り、昨日描いたばかりの裸の少女の絵を眺める。
 自分の夢には決定的な何かが足りない。そして足りないものは経験だと友人は言う。要するに胸を触った経験のことだ。頼みの綱のリカは、無論胸を触らせてくれなどしない。
 だが……そう、起きているリカは。
 ヒロユキは夢の完成への欲求と罪悪感の間の葛藤に悩み、万が一のときの言い訳を思いつく限り頭の中で並べ立てた。そして今日は一度も鉛筆を手に取らず、ただ静かに夜を待った。

 リカが「おやすみ」を家族に告げてから三時間が経過していた。ヒロユキを除いた全員が床についていた。ヒロユキは椅子から立ち上がり、ズレた服の感触で自分がぐっしょりと汗をかいていたことに気がついた。
 ……行くか。
 静かにドアを開け部屋を出た。もっともリカの部屋は向かいであり足音の心配はほとんど無い。ヒロユキは静かにリカのドアを開け、そしてすう、すうというリカの寝息を聞いた。
 ヒロユキは、リカの眠るベッドにそっと近づいた。
 パジャマの前を開け、肝心の胸を触り、手早く前を閉じて部屋を去る。ヒロユキの計画はそれだけであった。場合によっては前を閉じる作業は省略して本人の寝相のせいにする。下着は取れないが仕方ない、と思った。
 要するに胸を触ることだけが、自らに課した至上の任務であった。
 リカはタオルケット一枚だけですやすやと眠っていた。ヒロユキはそれをそっと剥がし、リカが起きないことにひとまず安心した。
 だが、問題はここからである。ヒロユキは次にパジャマのボタンを一個、また一個とゆっくりと外し始めた。リカは気づいた様子もなく眠り続けている。
 最後の一個を外し前を大きく開いたところで、ヒロユキは改めてリカの胸の大きさに気が付いた。妹の胸を見る機会など無かったが、下着越しでも大きいことがはっきりと伝わる胸であった。
 同時に、男として大事な部分が反応していることに一抹の羞恥心を感じた。相手は実の妹である。
 だが今更部屋に逃げ帰ることには更なる後悔を重ねることになりそうで、ヒロユキはベッドの横に屈みこみ震える手を伸ばすと、ついに――
 
 ここで友人は手を止め書きかけの原稿を読み直した。そして書き進めようにも彼の手は全く動かなかった。やはり、何度想像しても胸の感触が描写できないのである。
 彼はため息をつき、仕方なくその原稿を丸めてゴミ箱へと捨てた。
 やはり足りないのは経験なのだ。友人はそう漏らすと大きくため息をつき、そろそろ彼女でも作るか、とその冴えない頭でしみじみと思った。
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:50:58.80 ID:NgpzEI7V0
お待たせしました。

◆VQKJgiezS6氏、どうぞ。

【順番】
◆VXDElOORQI
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:51:07.60 ID:AQYbsr+J0
何で救済スレの前スレに書き込めたんだろう…?
430つんつん1/4 ◆VQKJgiezS6 :2008/02/24(日) 23:53:06.03 ID:ewPMdv7w0
「つんつん」
 と愛ちゃんが俺の頬をつつく。だから
「つんつん」
 と俺も愛ちゃんの頬をつついてやる。今年で三歳になった愛ちゃんは姉の子
どもで、今この謎のつんつん遊びにハマってるという。
「つんつん」
 子どもの肌というのは、なんて柔らかいんだろう。それでいて張りがあって。
そう言うと姉はため息を漏らした。
「私この前ね、愛に言われたの。ママのほっぺはつんつんしてもぷにーってな
らないって。最初は意味がわからなかったんだけど、よく聞いたら弾力がない
ってことみたいなのよ」
 そう言って、姉は緑茶を飲み干した。
「つんつん」
 姉の落胆も知らずに愛ちゃんは俺をつんつんする。
「にーにーのほっぺはざらざら」
 ……これは確かに落ち込むわ。
「いや、ざらざらじゃねーだろ。そりゃ確かにニキビ跡とか人よりは多いかも
しれないけど、ざらざらじゃねーだろ」
「あんた、子ども相手に何むきになってるのよ。ちょっとポット取って」
 俺がポットを渡すと姉は急須にお湯を注ぎ始める。
「なんなの、騒々しい」
 おふくろがせんべいを持ってやってきた。
「亮介が愛にからかわれて怒ってるのよ。精神年齢一緒だからむかついちゃう
みたいなの」
「つんつん」
431つんつん2/4 ◆VQKJgiezS6 :2008/02/24(日) 23:53:47.50 ID:ewPMdv7w0
 俺は何も言い返さず、自分の頬と愛ちゃんの頬を両手で同時につんつんして
みる。
「あーこれはざらざらって言われてもしょうがないわ。でもあくまで相対的な
もんだがな」
「それで話ってなんなの?」
 こたつに入りながらおふくろが姉に聞いた。姉は「ちょっと話がある」と今
朝電話で言ってやってきたのだった。
「孝志と離婚することにしたの」
「つんつん」
 愛ちゃんが俺をつんつんする。
「なんで!?」
 おふくろが声を張る。
「そんな驚かないでよ、って言っても無理かもしれないけど。別に何か大きな
理由があったってわけじゃないのよ。孝志は仕事が忙しくて、私は育児におわ
れてて、ちょっと距離が空いちゃっただけ」
「ちょっと空いちゃっただけってそんな簡単に離婚なんて馬鹿げてるわ。落ち
ついて考えなさい」
「愛ちゃん向こう行こうか」
 そう言って愛ちゃんを抱きかかえて連れ出そうとしたけれど、姉が制止する。
「待って。あんたにもちょっと関係あるから。それに愛にはまだわからないわ
よ。」
「つんつん」
 愛ちゃんが俺の腕の中で俺をつんつんする。
「ちゃんと話し合って決めた決定事項なのよ。それに別に離婚するからって孝
志と別れるわけじゃないの。言ってもわからないかもしれないけど、紙の上だ
432つんつん3/4 ◆VQKJgiezS6 :2008/02/24(日) 23:54:30.27 ID:ewPMdv7w0
けの問題なの。確かに別居はするだろうけど、孝志も私もお互い良いパートナ
ーでありたいって気持ちは変わらないの。だから離婚するのよ」
「言われてもわからないわ」
「最初からわかってもらおうとは思ってないもの。だからただの報告よ」
「ママにつんつんするー」
 そう言って愛ちゃんが俺の腕から乗り出そうとするので、下ろしてやると、
姉のところへ向かってつんつんする。
「ママのほっぺ、くにゅくにゅ」
 姉は愛ちゃんを膝にのせ、話を続けた。
「それでね、話ってのは少しのあいだ愛の昼間の面倒見てほしいの。三月から
私働くことが決まってるんだけど、愛の保育園は四月からで、だからそれまで
の一ヶ月預かってほしいのよ」
「そんなこといきなり言われたって、ねえ?」
 おふくろが俺に言う。
「亮介だって春休みうちにいるんでしょ? この子だってあんたのこと気に入
ってるし、お願いよ。なんならベビーシッターのバイトってことでいくらか出
すから」
 俺は愛ちゃんと遊んでいるだけで金が入るなら、全然かまわないと思ったが、
おふくろの「ねえ?」には否定的なニュアンスが含まれていることも明らかだ
ったので、なんとも返答しにくい。
「別に、駄目だって言ってるわけじゃないのよ。ただねえ、あまりに急なこと
だし。ねえ。どうして相談してくれなかったのよ」
「相談なんてすること一つもなかったもの。愛のことは駄目なら駄目で託児施
設に預けるから無理しなくてもいいわ」
 話題の的になっている当の本人は、姉の体から覗くように俺を見ている。俺
433つんつん4/4 ◆VQKJgiezS6 :2008/02/24(日) 23:55:16.26 ID:ewPMdv7w0
が目を合わすとさっと隠れてしまう。けれど目を離すとまたそっと顔を出す。
どうやら新しい遊びを見つけたようだった。
「俺は別にいいよ。おふくろが渋るなら俺が責任持って面倒見るから。その分
バイト代はずんでほしいけど」
「いいの? あんただって春休みなんだし予定とかあるでしょ?」
「……いや、ないし」
 さっきとは別の種類の気まずい空気が流れた。愛ちゃんはそんなことにかま
いもせず、
「あい、ばーばにつんつんしてなかった!」
 と、つんつんがさも大事なことであるかのように、姉の膝から慌てて降り、
こたつの向かいに座るおふくろのもとへと、こたつの一辺分の距離を走った。
「つんつん……すごーい。ばーばのほっぺやわらかーい」
 おふくろは褒められたのに上機嫌そうだったが、何度目かのつんつんのあと、
突然真顔になった。
「もしかして、頬が垂れてるって言いたいのかしらこの子。私まだ五十よ!」
「遺伝なのかしら。私もまだ二十代なのに張りがないって言われたのよ」
 二人は苦笑しつつ見つめ合っている。せっかくなので俺も姉につんつんして
みた。これはないわと言うと、つんつんでなく拳が腹に返された。
434以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:55:41.42 ID:ewPMdv7w0
以上です
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 23:56:43.82 ID:NgpzEI7V0
お待たせしました。

それでは◆VXDElOORQI氏、どうぞ。

【順番】
−−−−−−
436にゃあ(1/4) ◆VXDElOORQI :2008/02/24(日) 23:58:00.85 ID:2E/UZxiM0
 日曜日。俺が朝飯を食べ終え、コーヒーを啜っていると、妹が起きてきた。
 いつもなら水玉模様の買うときにサイズを間違ったのか、成長を見越したのかは不明なだぼだぼパ
ジャマ姿の妹が、もうすでに着替えを済ましていた。
 上は白地にピンクの水玉模様のキャミソール。下は青を基調としたチェック柄でミニのプリーツスカ
ート。ここまでいい。この服も何度か着ているところを見たことがある。だけど、なんで部屋の中なの
にニット帽をかぶっているんだ。
「おはよう」
 とりあえず朝の挨拶。
「お、おはよう……にゃ」
 にゃ?
「なんで部屋の中でニット帽かぶってるんだ?」
「な、内緒だにゃん」
 にゃん?
 なんだこれ。語尾がおかしいぞ。気のせいか?
「朝飯……食う?」
 俺が不審に思っているのを察知したのか、妹はコクンと頷くだけで返事をした。
 俺は席を立ちキッチンに向かう。妹の追及はとりあえず後回しだ。
 食パンをトースターに放り込み、タイマーを回す。その間にフライパンを温め、卵を落とす。ジュ
ーっと音を立て卵に火が通っていく。
 とりあえずトーストと目玉焼きでいいだろう。というかそのくらいしか俺には作れない。
 チンとトースターが食パンがトーストになったことを告げる。トーストを皿に移し、しばらくして
目玉焼きも焼きあがった。
 それと牛乳、砂糖たっぷり入ったコーヒーを作り、食卓に戻ると妹はまだボーっと突っ立ていた。
「なにやってんの? 座れよ」
 皿とマグカップを食卓に置いてから、俺は椅子を引いて妹に座ることを促す。
 妹はなぜか俺に背中を見せないように、ずっと俺に体の正面を見せながら横歩きで移動し、恐る恐
る椅子に座った。
「にゃっ! 冷たいにゃ!」
 座った瞬間、妹は小さく悲鳴を上げ、すぐに立ち上がった。
 頬を赤く染めて、お尻を押さえている妹。
437にゃあ(2/4) ◆VXDElOORQI :2008/02/24(日) 23:58:34.75 ID:2E/UZxiM0
 俺が訝しげに妹に視線を送ると妹は慌てた様子で、椅子に座りなおし「にゃ、にゃんでもないにゃ
ん」と恥ずかしそうに言った。
 椅子に座り、冷たいと叫ぶ。どこが冷たいのか。おそらくお尻だろう。さっきもお尻押さえてたし。
なんで座っただけでお尻が冷たいのか。確かに家のダイニングチェアは木製で座布団を敷いていない。
それでも普通はそこまで冷たくない。悲鳴を上げて驚くほどじゃない。最悪でも一枚の布越しだから。
でも、もし一枚もなかったとしたら。布越しではなく、直に冷たい椅子に座ってしまったとしたら、
驚いて悲鳴の一つも上げてしまうかも知れない。
 俺が考えているあいだ、妹は朝飯を食べている。
 マグカップを両手で大事そうに持ち、ふーふーと冷ましてからそっとコーヒーに口をつける。それ
でも熱かったのか少し口に含んだだけで「にゃっ!」と小さな悲鳴を上げる。そしてまたふーふーと
冷ましにかかる。
 そんな微笑ましい様子を眺めながら、俺の中でたどり着いた考えを妹に言うか悩む。
 ちょっと聞くの恥ずかしいな。でもまあ気になるし……。
「パンツ履いてないの?」
 思い切って聞いてみた。
「……そんなこと、あるわけないにゃん」
 露骨に目を逸らす妹。ますますあやしい。
「じゃあ証拠にスカート自分でめくってパンツ見せて」
「お兄ちゃん。それって変態発言だにゃん」
「じゃあその場で脱いで見せて」
「同じことだにゃん」
「じゃあやっぱりスカートをめくって見せてもらうしか……」
「にゃんでそうにゃるにゃん!」
「じゃあ俺がめくろう。いや、自分で自分のスカートをめくって兄にパンツを見せるってのがいいん
だから、俺がめくったら意味がないか……。やっぱり自分でめくってくれ」
「変態だにゃ! ここに変態がいるにゃん!」
「ダメ?」
「ダメにゃん」
「どうしても?」
「どうしてもだにゃん」
438にゃあ(3/4) ◆VXDElOORQI :2008/02/24(日) 23:59:47.29 ID:2E/UZxiM0
「じゃあそのニット帽脱いでよ」
「それくらいにゃらいいにゃん」
 妹は頭にかぶっていたニット帽を脱ぐ。脱いだ瞬間、今まで押さえつけられていたそれがぴょこん
と愛らしく現れた。
 妹の頭に生えていると思われるそれは間違いなく――猫耳だった。
「し、しまったにゃ! お兄ちゃんのわにゃにゃ!」
 妹は相変わらず脳味噌が幸せのようだ。
 俺は慌ててニット帽をかぶり直そうとする妹に素早く接近し、ニット帽を奪取。そしてそれを履い
ていたジーンズの中に隠す。ジーンズのナニのあたりがもっこりと膨らんで、少し誇らしい気分になる。
「にゃんでそんにゃところに隠すにゃん! せめてポケットに入れてほしいにゃん!」
「取れるものなら取ってみろ。なんなら社会の窓をフルオープンにして取り易いようにしてやろうか?」
 俺がジッパーに手をかけるとすぐに妹が「いいにゃいいにゃ! そんなことしにゃいでいいにゃ!」
と言ってきたので俺は渋々ジッパーから手を離す。
「お気に入りだったのにひどいにゃ! あとで焼却処分にしにゃいといけにゃくにゃったにゃん!」
 地味に酷いことを言って肩を落とし俯く妹。俯いたことで頭が少し俺のほうに傾く。俺はさっと手
を伸ばして、猫耳を両手で優しく掴み、もみもみすりすり。
「にゃ! だめにゃぁ、さわっちゃだめにゃぁおにぃにゃぁん。にゃっ、にゃあ……」
 妹が妙に艶っぽい声を出す。でも猫耳のなんとも言えない触り心地に触るのをやめられない。
 なでなでもふもふ。
「にゃぁ……にゃからにゃめらってぇ。ちから……ぬけちゃうにゃぁ……」
 妹は座っていた椅子からずり落ちてしまった。やりすぎたかと慌てて妹に近づくと、そこには呆け
た顔で床にぺたんと座り込んでいる妹と、ゆらゆら揺れている尻尾があった。
 耳があるんだから尻尾があってもおかしくはない。いや、あるべきだ。ないとおかしい。
 俺は妹の側に座り尻尾を掴み、もみもみすりすり。
「にゃにゃ! しっぽもにゃめにゃのぉ……おにぃにゃん……」
 なでなでもふもふ。
「にゃめてぇおにぃにゃん……にゃめてよぉ……もうにゃめてよぉ!」
 その瞬間、妹の尻尾がびゅんと唸り、俺の頬をびたんと叩いた。
 痛い。すごく痛い。
 俺は頬を押さえて床にうずくまる。しなりが効いた鞭のようになった尻尾の威力は中々に高かった。
439にゃあ(4/4) ◆VXDElOORQI :2008/02/25(月) 00:00:37.40 ID:zNh0Ueso0
「お、お兄ちゃんがいけにゃいんだから。にゃめてっていったのに」
 痛みが引いても俺はすぐには起き上がらなかった。痛がっているフリをしてそっと目線を動かす。
 ああ、やっぱり……。
 俺は起き上がり、妹を見つめ、一言。
「やっぱりパンツ履いてない」
「み、見たのにゃ?」
「安心しろ。見たのはお尻だ。前は見ていない」
「そういう問題じゃにゃいにゃ!」
「え? 前を見てほしかったの?」
「そんにゃわけにゃいにゃ!」
「そもそもお前がパンツ履いてないのが悪い」
「パンツで尻尾が締め付けられるのがいやだったんにゃからしょうがないにゃ!」
「いやいや、俺はノーパンも嫌いじゃないぞ?」
「そんにゃこと聞いてにゃいにゃ!」
「テレるなよ」
「テレてにゃいにゃん!」
「え? ノーパンなのにテレてないの?」
「テレてるにゃ! もう! こんにゃことににゃったのも全部、あいつが悪いにゃん!」
「あいつ?」
「昨日、道でぶつかったあいつにゃん! ぶつかったら『ごめんにゃさいにゃ』とか言って謝ってき
たにゃ! 変な言葉使いだと思ったにゃん! 絶対あいつからうつされたんだにゃ!」
 うつされたって病気じゃあるまいし。あれか。猫耳病か。まさかね。そんにゃことがあるわけない。
「お兄ちゃん! その目は信じてにゃいにゃ! 本当にゃんだにゃん!」
「いやいや。信じてる。信じてるにゃん」
 あれ? 語尾がおかしいような。
 妹が驚きに満ちた目で俺のことを見つめ、頭を指差している。にゃんでそんな目で俺を見るんだ。
 まさか! 俺は慌てて洗面所に駆け込み、鏡を見る。そこには……猫耳が生えた俺が写っていた。
「にゃ、にゃんじゃこにゃー!」

おしまい
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:01:21.45 ID:NgpzEI7V0
にゃんと。

現在、週末品評会99thの投票受付中です。今回の品評会お題は『からだ』でした。
投稿された作品は■まとめ http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会99th- にてご覧頂けます。
投票期間は2008/02/26(火)24:00:00までとなっております。

感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)

******************【投票用紙】******************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
               ―感想―
      <<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
               ―感想―
気になった作品:<<タイトル>>◆ZZZZZZZZZZ氏
**********************************************
携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。 
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書き途中の方は是非。

今から一行目を書くという方も是非。
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:01:47.28 ID:TjSmfQzs0
第99回週末品評会 「からだ」 作品一覧

No.01 ある事件と俺の悪夢 ◆CFP/2ll04c
No.02 ジゼルとルネ ◆pxtUOeh2oI
No.03 『浮き』 ◆ka4HrgCszg
No.04 いらないもの ◆gNIivMScKg
No.05 しおりのノクターン ◆QIrxf/4SJM
No.06 それはみにくかった ◆ynAdbGZ23c
No.07 狐 ◆ibD9/neH06
No.08 鉄の時雨の中で眠る ◆ID:kLJlcknK0
No.09 曖昧な境界線 ◆Kq/hroLWiA
No.10 ゾックズ・ポートレート ◆zsc5U.7zok
No.11 男と女の『めかにずむ』 ◆0CH8r0HG.A
No.12 その間十秒 ◆p/4uMzQz/M
No.13 耳鳴り ◆fSBTW8KS4E
No.14 わたしのからだ ◆7BJkZFw08A
No.15 鬼畜 ◆5GkjU9JaiQ
442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:01:58.38 ID:TjSmfQzs0
No.16 死人のからだとしにんとえきたい ◆/sLDCv4rTY
No.17 恋人は ◆LBPyCcG946
No.18 他意識過剰 ◆jhPQKqb8fo
No.19 唐揚げ ◆wWwx.1Fjt6
No.20 パワーの大切さ ◆wXNIieV/7o
No.21 happned ◆1BpHlrONwc
No.22 コンプレックス ◆IPIieSiFsA
No.23 Mare Fecunditatis ◆jnvLTxNrNA
No.24 「キセカエ」 ◆ZetubougQo
No.25 貧相だから ◆h97CRfGlsw
No.26 かけがえなきもの ◆HkDez0eBAE
No.27 自分自身 ◆daFVkGT71A
No.28 ファットエンジェルは空を飛ぶ ◆/7C0zzoEsE
No.29 ピグマリオニック ◆2YSq4YJJBc
No.30 つんつん ◆VQKJgiezS6
No.31 にゃあ ◆VXDElOORQI
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:02:36.07 ID:TjSmfQzs0
>>440
カオス進行お疲れ様です。
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:03:59.23 ID:jGa2v6Us0
まとめ乙っした
さあ読むぞ! 感想書くぞ!
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:05:46.04 ID:V88QBqG10
>>388の「ぞっとしない」って「感心しない」っていみじゃなかったっけ?
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:05:50.09 ID:ponPRtp6O
>>440
カオスの中お疲れにゃん

来週の100回目が期末考査ともろかぶりだがめげないよ
今回優勝すれば楽になるなんて言わないにゃん
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:06:22.39 ID:V88QBqG10
あ、あと乙っす
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:06:53.10 ID:KoJxCQPv0
とりあえず投票

******************【投票用紙】******************
【投票】: No.10 ゾックズ・ポートレート ◆zsc5U.7zok
**********************************************
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:09:31.72 ID:PwzviWIa0
はえぇw
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:10:19.70 ID:M0XU+7040
おだいくりゃれ
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:10:46.70 ID:+bHO5nz/0
雨宿り
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:10:58.34 ID:KoJxCQPv0
ヴァン・サン・カン
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:11:27.00 ID:Vx0403NZ0
書いた人、中の人、みんな乙!!
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:11:51.43 ID:M0XU+7040
>>451-452
はあくじゃ
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:12:29.47 ID:5y85c2bq0
>>440
お疲れ様です。
>>441
こちらもお疲れ様です。

そしてまとめに転載の方もお疲れ様です。
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:12:36.38 ID:KoJxCQPv0
俺にもお題下さい
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:13:04.72 ID:+bHO5nz/0
>>456
リボン
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:13:23.93 ID:Vx0403NZ0
カウンター
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:13:59.93 ID:KrqrtLhE0
>456
男爵
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:15:09.64 ID:KoJxCQPv0
>>457-9
把握
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:16:23.60 ID:KrqrtLhE0
御題を貰おうか。
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:16:47.03 ID:+bHO5nz/0
>>461
ニーソックス
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:16:58.28 ID:KoJxCQPv0
祭りの後の祭り
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:18:49.71 ID:KrqrtLhE0
>462,463
把握ぅ。
465 ◆jnvLTxNrNA :2008/02/25(月) 00:28:48.93 ID:7Im0Dvlp0
******************【投票用紙】******************
【投票】: 曖昧な境界線 ◆Kq/hroLWiA 氏
               ―感想―
出だしの描写が上手いなぁ…。あとテーマとの関連が絶妙です。
ほっこり。

      にゃあ(1/4) ◆VXDElOORQI 氏
               ―感想―
ヤバイにゃあ。にゃあがうつるにゃあ。
えっちぃのはキライです! の人も楽しめるのほほん萌え〜にゃあ。

気になった作品:つんつん ◆VQKJgiezS6 氏
               ―感想―
3/4まではすごく良かった。
というのは、もっと続きを読みたい感じがしたから。
レス数制限あったとはいえ、せっかくだからもうちょっと
愛ちゃんの動きが見たかったー!
**********************************************

と、こんな感じでいいのでしょうか?
今日初めてこのスレきたんでよくわかんない\(^o^)/
書きつつ読みつつ、楽しい休日でした、ありがd ノシ
466全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:31:28.57 ID:u0G+qsxP0
>>440
お疲れ様です。

全感するので、さる、お願いします。
467全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:31:49.48 ID:u0G+qsxP0
全感
No.01 ある事件と俺の悪夢 1/2 ◇CFP/2ll04c
これって何年か前に実際にあった事件だよね? こういった物を扱うのはどうかと思う。
何か特別に伝えたいことがあったかもしれないが、あまり気分のいいものではない。
誰の中にでもある犯罪者の心理を書きたいのかもしれないが、それもイマイチ伝わらない。
気味が悪いと感じただけで終わってしまった。

No.02 ジゼルとルネ 1/4 ◇pxtUOeh2oI
自分のなんでパス。

No.03 『浮き』 1/4 ◇ka4HrgCszg 
からだ、あんまり関係ないね。
>重要な機密事項で……、その存在を公にしてはいけな いから
何人もの人が浮いて、コミニュティまで作ってるのに、これは遅すぎるんじゃないだろうか?
テレビでも普通に取り上げられるだろうし、目撃者もいるだろう。
なにより展開が唐突すぎたように感じる。揚力が発生するのはわかったがなんでそれを自在に操れるのかも不明。
この話で作者はどう感じって欲しかったんだろうか? 楽しいという感じでもないし、怖くもない。
浮く人間という発想は好きだから、もうちょっとその設定の楽しさみたいなのを感じたかった。

No.04 いらないもの 1/1 ◇gNIivMScKg
なんのことだかまったくわからない。赤ちゃんが生まれるとこかなと思ったが、違いそうだ。
>赤いものの正体を。
全体的にわからないが特にここ。正体とあるけど、その前に赤いものでてきたっけ?
まったくわからない。

No.05 しおりのノクターン 1/4 ◇QIrxf/4SJM
なんのことだかまったくわからない。わからないのでおもしろくない。
おもしろくないからあまりよまない。よまないからかんそうもすくない。
かんそうすくないからこれでおわり。
468全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:32:17.47 ID:u0G+qsxP0
No.06 それはみにくかった 1/4 ◇ynAdbGZ23c
全体的に現実感が薄い。絵の才能があって、学校で人気の美少女で、そんな彼女を好きになる主人公がいて、
さらに男を寄せ付けないはずの女の子がそんな主人公に声をかけて、戦場へ出て行って。
これは小説だと言われればそれまでだけど。
醜いものを綺麗な絵にするというのは面白いけど、なんで戦場へ行ったの?
戦争が汚いということなのか、グロい死体が醜いということなのかわからないけど、
それを綺麗な絵にまとめるは良いことなのか? 酷いものは酷いものとして伝えるのが大事なんじゃ?
ただの腕試しならともかく、醜いものを綺麗に描きに戦場へ行く、この話の思想が良く分からない。
お題のからだも、使われ方が微妙。お題が絵のときの品評会に出した方が良かったんじゃないだろうか。

No.07 狐 1/2 ◇ibD9/neH06
>これは天の悪戯で不幸にも狐の体で生まれてしまった、本来人間として生きるはずだっ た者の物語である。
ここに何の意味があったのか良くわからない。
最後の狐と人、どちらが幸せかみたいなことを言いたいのかもしれないけど、別にいらないんじゃと思える。
漢字が難しい。読書慣れしてる人にはわかるのかもしれないけど、俺はわからず止まるとこがいくつかあった。
そのせいかわからないが、日本語のリズムにちょっと違和感があって読みにくかった。
もうちょっとひらがなを使っても良いんじゃなだろうか。変換すれば出るから使うのは簡単だけど、読むのはきつい。

No.8 鉄の時雨の中で眠る 1/1
漢字が難しい。雰囲気を出す為にしかたがないのかもしれないが、きつい。読む気はあるが、調べる気まではない。
わかる人にだけ伝われば良いという意図なら、特に言うことはない、言ってもしょうがないだろうし。
最後の腹の部分は良くわかるけど、他の部分は例えから、体の部位を想像することはできなかった。

No.9 曖昧な境界線 1/3 ◆Kq/hroLWiA
>水平線は視えない。
水平線って海と空の境界だよね? 向こう側に大きな島でもない限りいつでも見れるんじゃ?
雰囲気は良い。ただ性同一性障害の単語はいらなかったんじゃないだろうか。
読んだ感じ、ただの男勝りな女の子のようだし、大仰な言葉を使う必要はないように感じた。
あと、ヒロの存在感が無い。消えそうな感じで、現実にはいそうもない。
男の子に混じって遊ぶのが好きな女の子が、遊ぶようなタイプの男の子に見えなかった。
469全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:32:41.61 ID:u0G+qsxP0
No.10 ゾックズ・ポートレート 1/4 ◆zsc5U.7zok
>殺人気
ミス発見。
なぜ、事件は終わったのだろうか?
別に他の部位を移植された人たちが犯罪を犯すぐらいなら、
心臓を持った人が自殺しても事件は続くんじゃないの?
全ての事件が人間の悪意というなら、わざわざバラバラにしようとした少年がおかしいし。
この設定なら、エディの呪いは存在すると認めるしかないんじゃない?
輸血云々はやりすぎだと感じた。広いアメリカで、あきらかにエディの血を輸血されてないとわかる人の方が多いでしょ。
作者の書きたいことの為に、物語が都合良く動かされてることがわかってしまってイマイチ話に入れない。

No.11 男と女の『めかにずむ』 1/3 ◇0CH8r0HG.A
母ちゃんが大好きだということは伝わった。とても伝わった。
ただ、この話は“からだ”というより精神の話のように感じた。
最後の性に関する話が、この作品のメインというようにも感じないし、
最後に母ちゃんのおっぱいに反応したのも、男としてではなく乳離れしたての子供の反応といった感じに思える。
母ちゃんが大好きだというのは伝わった。

No.12 その間十秒 1/2 ◇p/4uMzQz/M
からだというお題はすごく書けていると思う。
ただ山も谷もなく、特に面白いと感じることなく終わってしまったように思う。
悪くはないが、良くもない。

No.13 耳鳴り 1/2 ◆fSBTW8KS4E
最後に、視点を変える必要はなかったように思える。
違和感は感じなかったが、右耳の視点のままインタビューを聞く書き方でも良かったんじゃ?
雰囲気は良いし、右耳の一人称という発想もおもしろいけど、せっかく右耳視点なのだから、
表現は音を中心にして欲しかった。甘いにおいのシャンプーとか空を見上げたとかではなく、
髪を切ったから外の音が良く聞こえるようになったとかそんな感じで。うまく書けないけど。
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:32:50.98 ID:aRseXfNEO
空気読まずにおだいくれ
471全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:33:03.31 ID:u0G+qsxP0
No.14 わたしのからだ 1/2 ◆7BJkZFw08A
意味が良く分からない。最初の2行の死んだのが母親で、保護下にある最後のひとりが私なのか?
砂になるというのが、比喩表現なのか、この話が人間以外の生き物で死ぬと砂になるタイプの人間の話なのかわからない。
保護下というのは、そういう砂になる病気からの隔離ということだろうか?
人間じゃない別生物の話なら良いんだけど、普通の人間の赤ちゃんに手や足を移植するのは無理なんじゃないだろうか?
大きさが不釣り合い過ぎて、エネルギーも足りないだろう。小説だから、人が滅んだ世界というような設定はあっても良いけど、
頭に浮かべられない文章でしか存在できそうもないものは、リアリティが足りないのではと感じる。足りないのは俺の想像力かもしれないが。

No.15 鬼畜 1/4 ◆5GkjU9JaiQ
ちょっと最初の方が大げさな文章に感じられたが、雰囲気は良い。
少し気になるのは、盲人だからといって鬼が怖くないというのはどうだろう。
鬼が存在する世界で、鬼が人を食べると恐れられているのに、外見が見えなければ怖くないものか?
この人は、虎や熊と同じ檻に入れられても恐れずにいられるのだろうか。そこが引っ掛かった。
この鬼に親なんかはいないのか? 架空の生物でも生きているなら出自があるんじゃないか? とも思った。
ただ物語の為にそこに存在させるのではなく、ほとんど書かなくともバックグラウンドがあったほうが深みが出るんじゃないだろうか。

No.16 死人のからだとしにんとえきたい 1/4 ◆/sLDCv4rTY
意味不明。不気味な感じはすごいけど、なにも面白くない。
トリを見て、作品を読んで、予想通りの雰囲気だった感覚は面白い。

No.17 恋人は 1/2 ◆LBPyCcG946
ちんこにはどんな機能が付いてるんだろう? それが読んでる最中、気になった。
彼は普段全裸なんだろうか。最後のオチは面白かった。ただ
>彼は手馴れた様子で左手中指をクルクルと右に回す。指をキャップのように外すと、
これは右手を使ってるよね? “彼は”じゃなくて“私は”にするか、別の表現にした方が良いのではと思う。

No.18 他意識過剰 1/4 ◆jhPQKqb8fo
面白かった。特に不満もないし。
>――――・・・・・・
ここがちょっと気になる。別の書き方はできないだろか?
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:33:19.32 ID:0lbWhpSJ0
>>470
タルト
473全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:33:30.39 ID:u0G+qsxP0
No.19 唐揚げ 1/2 ◆wWwx.1Fjt6
監督が怒る理由がわからない。どう考えても主人公が悪いというのは誰でもわかると思うんだが。
右手にこだわって書かれてるけど、足も動いてるよね? 引っ掛けてるし。
タイトルも良くわからなかった。

No.20 パワーの大切さ 1/4 ◆wXNIieV/7o
>そう……ブルーは既に人間として機能していない。
これはアンフェアだろ……。“既に”ってことは昔は人間として機能してたってことになる。
そのせいでオチを読んでも、驚きじゃなくて、怒りしかわかなかった。
三ヶ月で筋肉質になるのも無理。つかそんなに食いたかったら割れ!

No.21 happned ◆1BpHlrONwc
目欄は空にして、別の場所で品評会用と書いた方が良いよ。まずはテンプレを読んだら。
内容に関しては意味不明。パーツを貸し出せるのは設定として良いとしても、
最後に出て行った理由もわからない。管理人のやる気がなくなるのもわからん。
五階建てのアパートで各階一人づつしか住んでないの?

No.22 コンプレックス 1/4 ◆IPIieSiFsA
改行しよう。AAAってのが想像できないけど、存在するの?
「〜けど、君は俯くことなく胸を張って前を向いている」と「〜そんな風に悩んでいる事もひっくるめて、〜」
これ、矛盾してない? 最初の方から読んでると、あまり胸を張って歩いてる感じはしなかった。
内容は良いと思う。ただ、もう少し男が主人公を好きになる理由が欲しい。現実にひとめぼれってことはあるかもしれないけど、
読んでるほうとしては、物足りない。ただのひんぬーマニアに見えてしまう。

No.23 Mare Fecunditatis 1/4 ◆jnvLTxNrNA
タイトルが知らない単語のとき、みんな調べる? 今回、ふと気になってエキサイトに入れてみたが結局わからなかったw
内容に関しては、良くあるホモの同性愛じゃなくて、レズの方だったのは珍しいと感じた。
ただそれだけで、どういった状況なのかわかりにくく、二人の関係も別れたときがどうだったのかもわからなかった。
白っぽくて儚げな雰囲気は良かった。
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:33:47.24 ID:aRseXfNEO
>>472
はあく
475全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:34:04.49 ID:u0G+qsxP0
No.24 キセカエ 1/3 ◆ZetubougQo
ああ、誤字発見! とか喜んで、ほのぼのと読んでたから最後のオチでビビったw
からだが全然出てこないことを疑うべきだったよ……。
これからどうなるのかについて書かれずに終わってるのが恐怖を引きたててるとは思うけど、
やっぱりちょっと現実感がないかな。いままでバレない、そもそも騒がれてないってのがおかしいし。
体育の授業で補欠っても無いんじゃない。あとその授業で天才君がミスったのは何かの複線だったのだろうか?
ただ、天才君を出すためにだけやったのならちょっと不満。あのときはまだ絵の才能についてはわからないはずだし。

No.25 貧相だから 1/4 ◆h97CRfGlsw
横に長いよ。そのせいか話しも微妙に感じて、あまりおもしろく感じなかった。
>いわゆるジャイアン
こういう表現は違和感を感じる。「ジャイアンのような奴」じゃダメか?
>「〜ルックス百点の私がもてないなんて〜」
その前に胸が無いと言っておいてルックス百点ってどういうこっちゃ? 酔っぱらいだから良いけどさ。
>俺もね。
これは作者の意思ということ? それならまったく面白くないからやめといた方が良いよ。
仲間内の冗談と、話としての面白さは別のところにあるように思う。普段なら面白いかもしれないが、こういう場所ではくだらなく映る。

No.26 かけがえなきもの 1/4 ◆HkDez0eBAE
結局なにが言いたかったのか? 雰囲気は良いけどそれだけといった感じ。
ガゼルがライオンに食われるのが自然のルールなら、遺伝で足が動かない人がまれに生まれるのも、
自然のルールなんじゃないだろうかと思った、悲しいことだけど。
大学生で七年ぶりってことは卒業以来あってないってことだよね?
下の名前で呼び合うとこなんか仲よさそうだけど、中学時代に何かあったってことだろうか。
そのへんをわかりやすく書いてほしかった。

No.27 自分自身 1/4 ◆daFVkGT71A
拳銃を盗まれて気付かない、アホ兵士がいるだろうか?
それに後で囲めたとはいえ、簡単に抜け出せるのもリアリティが足んない。
言いたいようなことはなんとなく伝わった。
476全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:34:28.32 ID:u0G+qsxP0
No.28 ファットエンジェルは空を飛ぶ 1/4 ◆/7C0zzoEsE
事件が主人公の成長の為に用意されてるのがわかりやすすぎて、話に入れない。
真衣の「走馬灯」「天使がみたい」とかの発言もあとで来るシーンを予想させるので微妙。
いきなり事件が起こって頭が混乱した。

No.29 ピグマリオニック 1/4 ◇2YSq4YJJBc
横に長い。改行しよう。
最後を友人にした理由はなんだろう? まったくの第三者で良かったんじゃないか?
作中の友人のセリフがウザイ。劇中作だからという逃げ道もあるけど、夢を自由に見れると聞いて、
信じたり、落ち着いたりしてることが微妙。あと登場人物の年齢がわからない。高校生にしてはガキくさく感じた。

No.30 つんつん1/4 ◆VQKJgiezS6
会話と空気のギャップが良いね。
ちょっと離婚した理由とか無理やりな気がしないでもないけど、良かった。

No.31 にゃあ 1/4 ◆VXDElOORQI
昨日の新聞だかに載ってたけど、社会の窓ってもう死語になってて若い子は使わないらしいんだ。
ところで、にゃんでカオスを狙うんだにゃ〜?

総評
全感を終えて、おまえらにとっても言いたいことがある。おまえらバカ
にもわかるような話を書いてよ。難しいんだよ!
不思議な話を書くのは良いけど、それと不思議でおもしろい話とは別なんだよ。
ただの投げっぱなしジャーマン読んでも、あまり面白くない。
たまたま良作不足なのか、全感するようになって粗さがしに気を使うようになったからなのか、
全体的に微妙だった。これは絶対、投票したい! と思えるような話が読みたいと思った。
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:34:46.20 ID:Vx0403NZ0
さる
478全感 ◆pxtUOeh2oI :2008/02/25(月) 00:34:56.23 ID:u0G+qsxP0
******************【投票用紙】******************
【投票】:No.18 他意識過剰 1/4 ◆jhPQKqb8fo氏
          ―感想―
        これが一番、気軽に読めて楽しめた。
気になった作品:No.07 狐 1/2 ◇ibD9/neH06氏
          ―感想―
        狐の描写が良かった。
        No.15 鬼畜 1/4 ◆5GkjU9JaiQ氏
          ―感想―
        雰囲気が良かった。
**********************************************

以上です
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:41:08.72 ID:V88QBqG10
No.10 ゾックズ・ポートレート ◆zsc5U.7zok
Myersって(スペルこれでいいのか知らんけど)
ドイツ語で「裁く側の立場の人(magistrate)」って意味なんだな、
まあそこまで意図してないと思うが、調べてちょっと「おっ」ってなった。
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:41:57.12 ID:5y85c2bq0
>>478
全感乙です。

No.22です。
AAAは存在するよ。Aよりも5cm小さいカップです。
改行はできません。
ぶっちゃけると胸を張って歩いているシーンなんぞ書いていません。
きっと異次元に消えたもう1レスに書いてあったのでしょう。
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:42:34.63 ID:V88QBqG10
あ、今の、感想て言うか何て言うか…。
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:44:52.29 ID:lUMysCE00
短い文章もtxt形式なら読めるのに掲示板だと読めないのはもう末期かね。
ケータイ小説もそうだが面倒ならコピペして読めばいいのにな……orz
483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:48:59.67 ID:7dZSmdvQ0
二時間で書く。お題くれ
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:49:55.93 ID:KoJxCQPv0
撫で斬り
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:50:42.50 ID:7dZSmdvQ0
おk、把握した
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:50:49.95 ID:V88QBqG10
>>480
気になって調べたんだけどトップとアンダーとの差が5cm前後ってちょい肥満の男レベルじゃね?
もはやモザイクなしでテレビに映せるレベルか?
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:51:00.74 ID:ldsk1OoB0
全然書いてないYO!
お題くれ
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:52:42.76 ID:KoJxCQPv0
フィンガーチップ
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:53:01.23 ID:DFVDOwB7O
記憶
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:55:28.70 ID:ldsk1OoB0
ググったがフィンガーチップは完全に守備範囲外だから記憶だけ把握
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 00:56:37.24 ID:7Im0Dvlp0
>>486
微妙に関係ない話だけど、前に性同一性障害(女→男)の人がテレビ出てて
裸の上半身モザイク梨で映されてた希ガス。
TOKIOの山口君みたいな乳でした。
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:00:08.88 ID:Vx0403NZ0
ぜんかのつ!
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:01:50.45 ID:V88QBqG10
>>491
ティクビは男性と女性で形が違うから
それって女性の乳首が地上波で写った貴重な瞬間だったのかも。
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:04:02.14 ID:pR963Onb0
今初めてこのスレ北けどテンプレ長すぎて困った俺に産業
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:06:00.98 ID:KoJxCQPv0
全感乙
判り辛いオチだとは思うけどネタバレになるので釈明は後日
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:06:03.87 ID:V88QBqG10
>>494
つお題「冬」
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:06:29.92 ID:PwzviWIa0
>>494
お題貰って書け
まとめは読んどけ
なんか言われてもあんまり気にするなよ
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:07:16.89 ID:Vx0403NZ0
>>494
お題貰って小説書いたり感想書いたり
週1の品評会に参加したり議論したり
でもとりあえずテンプレヨメー
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:10:02.04 ID:ldsk1OoB0
>>494
三行テンプレあるだろうがwwww
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:11:15.50 ID:pR963Onb0
>>496
??テンプレ途中まで読んだけど日曜締め切りじゃないのか????
よくわからんけど把握しとく

>>497
おk
つまりなんか書けってことだな
まとめは見たけどトップからどこ見ればいいかわからなくて挫折した

>>498
なるほど
わかた。とりあえず>>496で書くお。文才無いけど

>>499
産業テンプレkwsk

とりあえず産業答えてくれた人さんくすこ
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:11:37.80 ID:KmaVfb3l0
全感乙です。
No.01 の作者ですが、架空の事件と思ってほしかったが無理か
気分を害してたらごめん
502以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:12:14.66 ID:KrqrtLhE0
胸だけ見るなら、陥没乳頭だとパッと見、男と女ってあんまし変わらんケースもあるぞ。
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:15:17.18 ID:ldsk1OoB0
>>500
>>1
(三行テンプレート)
1:お題をもらう(安価より「↓」を推奨)
2:もらったお題に沿った作品を書いて、完成させる。
3:「投下します」と宣言し、作品投下。メール欄は無記入、名前欄には「もらったお題」を表記する。タイトルは無くても可。
504以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:15:56.19 ID:uasvCziA0
ということでお題下さい↓
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:16:24.98 ID:0lbWhpSJ0
循環式ウォシュレット
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:16:44.74 ID:ldsk1OoB0
性欲
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:16:55.79 ID:KoJxCQPv0
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:17:43.19 ID:uasvCziA0
>>505-506
把握。まず循環式ウォシュレットを調べる作業から始める。
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:22:09.75 ID:V88QBqG10
>>501
事実であると明記してない限り
事実と考える必要は無いと思うけどなあ。
子母沢寛のせいで新撰組の何が真実で何が創作かわかんなくなったこともあるらしいけど。
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:26:29.56 ID:U2Dy9N0FO
****************投票****************
投票:No.5 しおりのノクターン
実ははじめに目を通したときから投票を決めていた。
真っ向から体に挑む女の子の話。
無駄に強調されるタイトル、言葉遊びしすぎ自重www

関心票:No.11
そのマザコンぷりがとても気に入った。
しかしお題の使い方があまり上手じゃないなあ……というかんじ。
雰囲気はすごくいいから勿体無い
No.15
終わり方が余りにもナンセンスすぎる。鬼畜なんてタイトルだから、少し予想してたことだけど……
************************************
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:45:56.10 ID:ZP5oA0i00
仕事をしなくていい保守の国
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:53:39.79 ID:lUMysCE00
エロパロのSS書いたら参加する保守の国
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 01:54:04.54 ID:AaYdtrCk0
票が割れまくってるな
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:25:03.43 ID:DFVDOwB7O
うひょー
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:29:34.06 ID:Z79ArSiH0
No.24 キセカエの作者です
慌てて誤字探したけど見つかんない…こりゃあマジ俺もんもうかも分からんね orz
唐突なのは確かにその通りです
プロットだけできててそういう部分の作りこみがまったく浮かばず妥協してしまいました
いつもはむしろ「プロットできねー!」と悶えつつ、じりじりと書き進める、ってほうなのに、
今回なんかそっち方面は思考停止寸前だった…
精進したいです
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:38:55.34 ID:u0G+qsxP0
>いつ模様に席に着き、いつものように授業が始まる。
いつものようにの間違いじゃない? 
これであってるなら、おれが恥ずかしいことになる
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:40:42.05 ID:0lbWhpSJ0
今更だけど総評の

>全感を終えて、おまえらにとっても言いたいことがある。おまえらバカ
>にもわかるような話を書いてよ。難しいんだよ!

の改行は狙ったな?
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:42:13.29 ID:u0G+qsxP0
>>517
狙ったぜw
本当にわかりずらいのが多かったてのは確かだけど
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:47:05.00 ID:Z79ArSiH0
>>516
マwwwジwwwだwww
ちょっと釣ってくる orz
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:47:19.70 ID:V88QBqG10
「わかりづらい」な。
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:53:03.60 ID:u0G+qsxP0
ごめんなさい。確かにわかりづらいだw
ついでに、お題ください
522悪鬼(お題・撫で斬り)0/3 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 02:53:56.89 ID:7dZSmdvQ0
二時間経ったんで投下します。
推敲不足だけど、二時間でそれを充分にできなかった
自分の至らなさがそうさせた、ということで。
523悪鬼(お題・撫で斬り)1/3 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 02:54:38.70 ID:7dZSmdvQ0
 彼が初めて人を斬ったのは、十六歳のときだった。彼の噂は瞬く間に広まった。何せ彼の「初仕事」
は、生まれ故郷日本から海を隔てた地、上海である。日本における辻斬のようなものだろうか。現代
風に表現するなら通り魔だが、断じて彼は一般人を無差別に斬っていた訳ではない。だが、一般人を
斬らなかった訳でもない。依頼を受ければ誰であろうと斬る。それが彼の仕事であり、唯一の存在意
義であった。それがなければ、彼はただの人形。いや、それ以下だったのである。酸素を消費し、二
酸化炭素を排出するだけのゴミ。幼い頃、彼はそう罵られて生きてきた。
 親に捨てられ、放浪生活の挙句ヤクザに売り飛ばされ、気付けば海を渡っていた彼に、自由などあ
る筈も無かった。否、自由を知らなかった。彼の場合の放浪とは、決して自由などではない。寧ろ自
由を著しく奪われた生活だった。食事も満足に得ることはできず、寝床すら満足に得られなかった彼
にとって、自由は憎むべき堕落であった。自由に生きている人間が疎ましい。いつしか彼は人々を憎
むようになった。だが憎むだけ、彼は何もしなかった。だが憎み続けた。呼吸を忘れ、憎しみ続けた。
世の中の憎しみを吸い込み、憎悪を生み出すその姿は、幼いながらも悪鬼の様相を象っていた。
 そんな彼に声を掛ける人間などいる筈も無い。遠目に見ながら、只怯えすくみ、無視をするだけだ
った。それが彼の憎悪を加速させるとも知らず、只管に嫌悪した。ただ一人の少女を除いては。
 彼が上海に来て、八年が経っていた。
「おなか、すいたね」
 年の頃は十二、三歳か。長い黒髪をなびかせ、ボロボロの布切れを纏っていた。裾から見える足首
は痩せていて、暫くはなにも口にしていないようだった。決して美しくはなかった。ただ現状が彼と
同じだっただけ。それ以外に、彼が興味を持つ点などなかった。
 だから、彼を知るものが聞いたら驚くだろう。彼は八年振りに人と関わりを持った。時間にしてみ
れば一時間に満たない。共に残飯を漁り、収穫を分け合い、少ないながらも会話を交わした。名前も
聞かなければ、自分の事を話すわけでもない。あの店が残飯を多く出す、その店のモノは食うな。そ
んな言葉しか交わさなかった。
「すごいね。いろんな事知ってるんだ、君」
 そう、そんな些細な関わり合いだった。だが切欠というものは、得てしてそのようなものだ。彼は
この少女を憎まなかった。理由は彼にも解らなかった。解らないまま、彼は少女と行動を共にした。
連日残飯を漁り、時には盗みを働き、時には共に捕まった。酷い拷問を受ける度、脳裏に少女の顔が
浮かんだ。彼女が同じ目に遭っていると考えると、彼の憎悪は益々膨れ上がった。小さい独房で、彼
は呪った。この世の全てを、自分達を抑圧し、痛めつけるこの世を果てしなく呪い、憎んだ。
524悪鬼(お題・撫で斬り)2/3 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 02:55:40.32 ID:7dZSmdvQ0
「ほれ、テメエのお友達だ、連れてきな」
 そして次の日、釈放された彼が彼女の死体を目の前にしたとき、その運命は決まった。憎悪がカタ
チを成す。心が二つに割れる。心臓が脈打つ。神経が増殖するような感覚、自分の身体が何かに支配
されていくような、それでいてかつて無いほどの開放感が、彼を包む。
 この抑圧された、圧倒的な不自由の中で、彼は己の心を解き放った。それは即ち、今まで溜め込み、
生み出し続けてきた憎悪を開放するということ。
 一匹の悪鬼が。世を混乱と恐怖に陥れようとするであろう絶世の悪魔が、ここに誕生した。
 悪鬼が囁く。「殺せ」と。
 彼は答える。「殺す」と。
 凶器は己の身体。長く切り揃えていない両手の爪は、首を掻き切るには充分だった。少なくとも一
人は、この手で直に殺すことが出来る。例えば、一人で呑気に居眠りをしている看守など、格好の餌
食だ。頚動脈を斬られた彼は、恐らく現状を理解出来ずにその生涯を終えるだろう。小さな断末魔を
あげ、やがて居眠りをしていたときと同じ格好で、その鼓動を止めた。
 腰の拳銃と短刀を拝借し、彼は独房へと向かう。何という無謀。いくら一人殺したとはいえ、彼は
まだ少年、大人数人を相手にするなど不可能だ。
 その考えが、大人たちの失態だった。彼らは知る由も無い。今目の前にいるのは断じて少年などで
はない。人の皮を被った悪魔、悪鬼なのだ。最早人間ではない。だが彼らは大人である、一瞬で少年
が只者では無いと理解した。いや、理解せざるを得なかった。
 一人、また一人と悪魔の餌食になるたびに、彼らは異変に気付いた。その拳銃は弾が尽きることは
無く、彼らに支給されている、何の変哲も無い短刀は、まるで極東の島国に伝わる刃物のように長く、
その刃は凄まじい殺気と妖気を纏っていた。
 悪魔が拳銃を投げ捨てる。最早そんなものは必要ない。彼は血を欲している。その刀で、直に血を
吸い上げようと獲物に迫る。鉛の雨を尽く切り抜け、切り伏せ、左肩から右脇腹にかけて撫で斬りに
し、十数人はいるであろう大人たちを撫で斬りにする。血は飛び散らない。全て刀が吸い尽くし、一
滴たりとも滴り落ちる事は無い。飲み干す音が聞こえてきそうなほど、刀は血を吸っていた。その飢
えは収まらない。一人分の血を吸い尽くしても体液を枯渇させても、その渇きが癒えることは無かっ
た。その死体はまるでミイラ。身体中の水分を吸い尽くされた死体は、その体積を著しく減少させて
いる。
 灰色の建物に悲鳴がこだまする。だが悲しいかな、堅牢な造りが仇となった。誰も助けには来ない。
来たところで新たに死体が増えるだけ、全く無意味なことではあるが。
525悪鬼(お題・撫で斬り)3/3 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 02:56:15.30 ID:7dZSmdvQ0
 悪鬼が囁く。「契約は完了した」と。
 彼は答える。「契約は完了した」と。
 悪鬼は彼に血を求め、彼は悪鬼に力を求める。
 ここに契約は完了した。これより彼は悪鬼となる。この抑圧された世界に復讐を果たす為。自分を
追い込んだ世界を壊す為。なにより、唯一心を許した少女の復讐を果たす為。憎悪を糧とし、更なる
憎悪を掻き集め、終わりの無い復讐を繰り返す。
 彼は自由にはなれない。永遠にこの世の憎しみを一身に受け、憎悪を生み出す永久機関。この世に
人間がいる限り、彼の憎悪は止まらない。一瞬、脳裏に彼女の姿が浮かんだ。それだけで彼はもう一
人殺したくなる。何という皮肉。唯一心を許した友が、彼を死神へと変貌させてしまった。
 街に噂が流れている。この街のどこかに悪魔が潜んでいる、と。その刀は血を飲み、それはまさし
く、人の皮を被った悪魔である、と。街の飲み屋で、今日も悪魔について話している店主と、その客。
店主が問う。
「悪魔ね……アンタは信じるかい? そんな奴の存在をさ」
 客が答える。
「信じる信じないは、アンタの勝手だ」
 安物のグラスを片手に、店主に言う。
「ただ、復讐をするだけさ。終わりの無い復讐を続けるのさ」
 勘定を払い、客は店を後にする。
 長い、五尺はあろう細長い包みを腰に携え、男は人混みの中に消えていった。店主は不安になった。
店にはあの男しか客はいない。
 それなのに、何故か声が二つ聞こえた気がしたのだ。男が喋るのと同時に、もう一つ、暗く恐ろし
い、悪魔のような声が聞こえたのだ。
「ただ、血が欲しいだけさ。永遠に血を求め続けるのさ」

526 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 02:57:17.35 ID:7dZSmdvQ0
以上です。久々に三人称に挑戦してみた。
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:58:25.20 ID:Vx0403NZ0
>>521
引越し
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 02:59:52.32 ID:u0G+qsxP0
はあく
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:04:43.08 ID:N6J9JZXF0
お題っていうのは作中にその語を組み込めばいいの?
その辺りよくわからないけどともあれお題くだしあ
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:05:50.62 ID:N6J9JZXF0
ごめんテンプレ読み直した。お題に沿って書くのね理解↓
531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:05:57.91 ID:V88QBqG10
「撫で斬り」という言葉がなければ面白かった。
この言葉だけ変に浮いている気がした。
一文で二回使っているせいかな。
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:07:07.08 ID:7dZSmdvQ0
>>529
使い方は人それぞれ。
単語だけで使うこともあれば、広義にとって使うこともある。
お題なら「絶望」
533冬 0/3:2008/02/25(月) 03:08:03.92 ID:pR963Onb0
初めてですが、投下します。
テンプレとまとめ読んだけど、形式とか良くわかりません。
なんか問題あったら罵倒してください。Mなので喜びながら直します。

(あとトリってつける必要あるの??教えて文才ある人)
534冬 1/3:2008/02/25(月) 03:09:23.33 ID:pR963Onb0
 映画は、すでに終わっていた。


 じくじくと痺れる両手に、生暖かい風を吹きかけた。
 街灯はビルに反射し、息の跡をうっすらと染め上げる。
 駅前で見上げた鈍色の空は、暗闇と虚無を足して混ぜ合わせたようで、
合唱曲の「この大空に心を映し〜」という一節をふと思い出した。
 
 吐き出した塊は空気に溶けていく。
 
 この街は、たった一年の、それでも余りに多くの思い出に溢れ、そ
れはあちらこちらに地雷のように息を潜めていた。
 似た背中。似た髪形。似た声。
 そのひとつひとつに心臓が跳ねあがる。僕は傷を何度も抉りながら、
けれど偶然という藁にすがり、麻薬中毒者のように地雷原へと足を踏み出す。

 人生は、自分自身が主人公だという言葉が胸を過ぎる。
 僕が歩く人生。君が歩く人生。二つの軌跡は重なり合って。
 君が主演の物語は、淡く、そしてゆっくりと葉が色づく、紅葉のようなストーリーで、
僕はずっと、その続きを生きていくと信じていた。

 ぴとり
 柔らかく、冷たい音。
 さっきまで灰色だった空は、次第に白一色に染められていく。
 その欠片を追いながら降りていく視線の先。

 映画の続きは、突然始まった。
535冬 2/3:2008/02/25(月) 03:10:07.70 ID:pR963Onb0
 舞い降りた白いスクリーンに映される物語。
 体は鼓動すら忘れ、ただその一点を見つめる。

 「見るな、見るな」という声が木霊する。
 それでもこの目は、その挙動ひとつも逃すまいと。
 この耳は、その音をひとつでも拾おうと。

 少し綺麗になって、髪型も変わって、
 幸福を浮かべる君の笑顔が、なぜか悲しかった。

 僕の出番が終えた映画は、流れ続ける。

 ゆっくりと、手を重ねた二つの影。
 ちょうど七回、鳴り響いた鐘の音。
 聞こえないはずの足音が遠ざかるのを、僕はしっかりと感じていた。

 遠くでうっすらと流れる、いつか君が好きだと言った歌が、
 エンドロールのように静かに鳴り響きながら。
 君の不幸を祈り、その倍だけ、幸せを祈り、ただ歪む景色を見つめて。

 映画はすでに終わっていた。

 白く染まる髪の毛。
 一面に染まる雪がこの心を、暖かく包んでいた。
536冬 3/3:2008/02/25(月) 03:10:37.49 ID:pR963Onb0

 景色は白から緑に変わり、
 スクリーンはその面影も残さずに消え去った。
 僕は相変わらず、少しも成長しないままだけれど。
 これから僕は、僕の映画を、作り上げていこうと思う。

おわり
537 ◆c3VBi.yFnU :2008/02/25(月) 03:14:33.96 ID:7dZSmdvQ0
>>531
感想サンクス。撫で斬りって言葉に二つの意味があって、
@撫でるように斬る事
と、
A大人数を相手にする事
があったから、両方使ってみた。やっぱ解り辛いよな、ごめん。

>>533
それであってる。ただ、お題とタイトルが解るようにすると幸せになれる。
「冬」がタイトルかお題なのかわからんから。まぁ俺はあんまり気に
しないけど。文才無いけど言ってみた
538以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:15:27.10 ID:N6J9JZXF0
>>532
サンクス。絶望把握。
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:19:27.25 ID:V88QBqG10
>>534
こうなったらおまいさん、四季を全て題にしてみないか?
つまり、おまいさんの春、夏、秋も読みたい。
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:23:34.74 ID:b48Zrisy0
>>536
これはシーンであり、物語ではない
それから無駄な改行が気になるし、表現の手抜きだと思う。
おそらく、恋人と別れた主人公が元の彼女のデート現場を
見てしまった場面なのだろうけど、
読者には何の情報も与えられていないし、何とも思わない。
ただ美しい言葉で描き、ワンシーンを切り抜いただけで終わっている。
小説ではなく、ポエムのような印象
ポエムもよく知らないからなんとも言えないが
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:30:27.38 ID:pR963Onb0
>>537
ありがとう
お題とタイトル、ね。気をつけます。

>>539
ちょwwwおまwwwwなんというハードルの高さwwww
間違いなく棒高跳びクラスwwwwwww

>>540
>ポエムのような印象
ですよね。うん。自分でもそう思います。
元々詩しか書いたことが無くて、ちゃんとした文章に出来なくて苦しんでました。
適切な指摘超ありがとう。すごく参考になります。
やっぱ小説って難しいやね。精進します。
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:36:27.35 ID:hITeKiio0
詩をポエムって言い換えると途端に俗っぽくチープな印象を受ける不思議
543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:42:20.68 ID:7dZSmdvQ0
詩→単純なようで深い
ポエム→陳腐なラブレター
が、俺の印象。まぁ実際は違うんだろうけど。
詩なんて谷川俊太郎しか読んだ事無いし、偉そうな事はあんま言えない。
勿論ラブレターも書いた事無い。貰った事も無い……ねーよ!
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:45:10.63 ID:hITeKiio0
俺のIDがハイテクな件
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:46:23.84 ID:b48Zrisy0
敵にしかみえない
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:47:19.34 ID:7dZSmdvQ0
>>544
お題 つ「ハイテクな敵」
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:48:51.77 ID:L5k3xBBe0
時間までに全部は読みきれなさそうなときどうしてる?
投票してる?
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:50:30.42 ID:hITeKiio0
>>546
明日受験だから小説書いてる暇ない。

ポエムってこんなん?

もうすっかり汚れてしまったこの道を、何度通ったか知れません。

枯れた落ち葉の絨毯が、サクサク音を立てています。

もうすっかり色あせた、ただの枝のアーチの下を

何にも考えず、何にも聞かず、ただ歩いているだけ

この先に何があるんだろう?

答えは知っていても、夢に続けばいいと思う

馬鹿馬鹿しくて、自分で鼻で笑って

ふわり

風を感じ、ゆっくり右足を出しました

ふわり

ふわり

風は行くよ。私の先をずっと
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:51:29.45 ID:hITeKiio0
詩はこんなの?


世界が大洪水です。山の上の舟しか、僕らを救えません。

乗せてください、助けてください。これから悔い改めるチャンスを

その人の波は、本当の雨を覆い尽くすように

その人の嘆きは、地上を全て埋めるように

それが毒とも知らずに、ただただ罵り合うばかり

何万年後に判明した死因が溺死ではなく中毒死だった事を

彼らは知らない
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:52:03.33 ID:7dZSmdvQ0
>>548
寝ろwww
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:53:12.13 ID:hITeKiio0
さっき寝た。今起きた。もう寝れない

詩とポエムの境界線を探るであります軍曹!
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 03:54:06.25 ID:pR963Onb0
>>523
なんていうか普通に面白かった。すげーな。
以下、あら捜しみたいになるけど気になったところ

・時代背景がわかんなくて、ちょっと入り込みにくかった。イメージは江戸末期から明治。
・悪鬼なら捕まらないんじゃね?というちょっとした疑問(少女を盾に〜っていうのを想像)
・内に悪魔を飼っているのか、外の悪魔と契約したのか?
・悪魔と契約しても銃の弾は増えないんじゃ・・という俺の先入観
・撫で斬り。特に一個目
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:01:49.34 ID:hITeKiio0
何と、ウィキ様で詩とポエムを調べると全ての謎が解けたであります軍曹!

百聞は一見にしかず!是非お調べください軍曹!
554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:13:07.84 ID:7dZSmdvQ0
>>552
感想サンクス。あらっつーか、割と痛いトコ突いてくれて有難う。皮肉じゃないよ。
時代背景は、まぁ各々想像してください
……って言うと怒られるから、一応全般の言い訳を。
俺のイメージでは、戦後くらいかな。いや、あくまでイメージ、分かりにくくてごめん。
この男は、少女に関しては心を許してたんで、盾にするとかはしなかった。
悪魔の描写については、本物の悪魔って言うより、もう一つの人格に近いものかな。
内で育った悪魔が人格を持ってしまった、みたいな。
銃弾はデ○ルメイクライを思い出したんで書いてみた。パクリです、ごめんなさい。
ダンテの弾って確かそんな感じだと思ったから、かっこいいなって思っただけ。
一個目の撫で斬りは、改めて読むと袈裟切りに近い感じになってるな。
描写不足だ、すまん。精進するよ。

二時間で書くといった手前、半分自棄で書いたらこうなってしまった。
矛盾、描写不足は否めないし、言い訳だけど、暫く書いてなかったんで勘が鈍ってるかも。
改めて感想有難う。面白いって言ってくれて嬉しいよ。

>>553
ご苦労。休んでいいぞ、一等兵。
555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:23:53.09 ID:3BhWmotw0
だれかいたら、お題ください
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:24:31.16 ID:hITeKiio0
軍曹
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:26:03.97 ID:3BhWmotw0
ありがとう
558以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:27:09.37 ID:pR963Onb0
手榴弾と花束
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:29:34.69 ID:3BhWmotw0
>>558
単語だけでかっこいいな
希釈して劣化させることしかできないが、ついでにもらってくよ
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:34:44.57 ID:Z79ArSiH0
作品だけでなくただのスレでの会話でさえこのハイレベル
ちょっと鬱るぜ…
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 04:59:11.54 ID:hITeKiio0
二等兵!落ち込むな!
貴様が落ち込んでる間、貴様の仲間は前進を続けているのだ!
悩むな!進め!
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:15:12.27 ID:Z79ArSiH0
り、了解であります!
1レス突撃を仕掛けるので弾薬、もといお題の補給をお願いします!
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:16:59.03 ID:Hk96Vk+T0
>>562
望まない力
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:20:39.86 ID:hITeKiio0
ヒロイン死亡
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:21:31.27 ID:b48Zrisy0
ワンルーム
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:22:01.19 ID:Z79ArSiH0
>>562
感謝いたします!
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 05:46:35.97 ID:L5k3xBBe0
******************【投票用紙】******************
【投票】:今のところなし
     
気になった作品:No.04 いらないもの ◆gNIivMScKg氏
お題が「からだ」なのに全く体の描写がなくてちょっと新鮮だった
他の描写も抽象的なものばっかりで正直よくわからない所も多かった
子供の輪廻転生?みたいな話なんだろか
面白いというよりはただ新鮮だったという感想
**********************************************
まだ半分くらいしか読めてないのでとりあえずこれだけ
追加してもかぶらなければ問題ないよね?
投票候補は全部読むまで保留
全部読めなかったらごめんなさい
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 06:23:57.78 ID:jI7nTGw70
89 : ◆p/4uMzQz/M :08/02/25 06:04:44 ID:z92vpBK3
投票です。転載お願いしますー



******************【投票用紙】******************      
【投票】:No.08 鉄の時雨の中で眠る ◆ID:kLJlcknK0氏
        もう雰囲気と文体だけでKOです俺。
        比喩のセンスも好みだし、これだけの漢字量で読みやすく感じたのもすげぇ。
        でも敢えて言うなら、本気で戦時の文体で書いたもの読みたいな。普通の人は読まないだろうけど(笑)

気になった作品:No.06 それはみにくかった ◆ynAdbGZ23c
        予想はついた。でも悪いことじゃない気がする。

        No.19 唐揚げ ◆wWwx.1Fjt6
        薄ら寒ぃ。
**********************************************

生き死に関わるもの多いよね。俺も含め。仕方ない。
見てたら自然にからだが拒否反応起すものも多々あった。
他の人の総評で良作不足って有ったけど、まぁ今回はその通りだろうなぁ、っと。



以上です。宜しくですー
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 06:41:42.76 ID:ponPRtp6O
全感の人も投票の人も転載人もお疲れさまでつ

そして感想感謝、耳鳴りの作者です
最後視点変えた理由は主と学生が別れた理由を書きたいからでした
パーツでは知り得ない部分なので
でもあんまし必要じゃなかったかもね
表現は音中心のつもりだったけど
あくまで一つの人格として書きたかったから混ぜてみたよ
言い訳だよ
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 07:43:22.69 ID:ponPRtp6O
なぜとまる保守
571以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 08:05:42.26 ID:AbfouxFh0
heyyo-
俺にお題くれちゃいなyo-

保守。
572以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 08:06:48.92 ID:Hk96Vk+T0
>>571
きみの手
573以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 08:12:21.23 ID:AbfouxFh0
>>572
Sir Yes Sir!
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:13:52.50 ID:AbfouxFh0
Sir 保守 Sir!
575以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:19:38.81 ID:6YKl8dSCO
投票は多いが票はない保守
576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:39:15.76 ID:Hk96Vk+T0
感 動 し た 話スレに号泣させられつつ
作った話よりやっぱ事実の方が泣けるのかなあなんて思いつつ
いい話書きたいなあ
なんて思いながら、保守
577課題:きみの手 0/3:2008/02/25(月) 09:45:10.74 ID:AbfouxFh0
投稿するであります!
578課題:きみの手 1/3:2008/02/25(月) 09:45:46.87 ID:AbfouxFh0

『クリアリングだ! 何としてでも見つけ出せ!』
 敵の罵声が聞こえて、思わず身を強張らせる。
 敵陣の中で見つかってしまったのだ。状況は最悪に近い。

「大丈夫だ、なんとかなる」
 わたしを気づかってか、きみが静かに呟くのが聞こえた。

(……わたしときみは一体どんな関係なのかな?)
 ふと、そんな事が脳裏に浮かぶ。
 敵に追い詰められているというのにのんきなことだと思わず自嘲してしまう、が。

(きみを守るのがわたしの使命なんだから。少しぐらい考えても……いいよね?)
 身を挺してでも、守る。
 戦場の只中に居て、今まで無傷で居られたのは紛れも無く――

 ――きみの力あってこそなのだから。
579課題:きみの手 2/3:2008/02/25(月) 09:46:24.04 ID:AbfouxFh0

(思えば変な関係だよね、わたしたちって)

 日常生活では一時たりと側に居ないのに、戦場では常にぴったりと一緒にいる。
 きみは戦場に向かう前の僅かな間しか、わたしとコミュニケーションを取らないし、
わたしがきみにしてあげれたことは――思えば、全く無い。

 ……そう、全く。

 戦場に居るきみは何時だって強く、凛々しくて。
 わたしの助けなんて到底必要のないように振舞って、ちょっと恨めしかった。

 ……だけど。

(今回は助けが要らないなんて、言わせないんだから!)
 そんな事を考えながらもじっとその時を待っていると――

 きみが突然、わたしの体を抱き寄せた。
580課題:きみの手 3/3:2008/02/25(月) 09:46:52.11 ID:AbfouxFh0

ずいぶん違う背丈を埋めるかのように片腕だけでわたしをそっと持ち上げて――

(え、ちょ、ちょっとまだ心の準備が……まあ、いっかあ)

 わたしを持ち上げてるというのに、その顔は相変わらず凛々しくて。
 思わず滑り落ちちゃおうかなんて、ね。

 そんなことを考えてる馬鹿な頭を、きみは親指で押し上げてからぎゅっ、と握り締めてくれる。
 ……もう、わたしたちの間に言葉は要らなかった。

 敵の近づいてくる中、きみはまるで映画のワンシーンのようにわたしを――


 ――投げた。


 "When the pin is pulled, Mr.Grenade is not our friend." - U.S. Army Training Notice
ピンを抜いた瞬間から、手榴弾くんはみんなのお友だちではありません。 ―― アメリカ陸軍訓練警告
581課題:きみの手:2008/02/25(月) 09:47:28.74 ID:AbfouxFh0
以上であります! Sir!
582以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:52:03.54 ID:W6YNhzFe0
お題くれー↓
583以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:55:05.93 ID:ponPRtp6O
>>582
クリス・ムーン
584以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:55:36.90 ID:W6YNhzFe0
>>583
承知
585以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 09:58:54.14 ID:Hk96Vk+T0
>>581
一言でいうなら
手榴弾に萌えたのは初めてだぜwww
ってな感じw

そして書くの早いなあ、尊敬
3スレ目までまさか手榴弾とは気付かなかったw
人じゃないのか、とはちょっと思ったんだけどねw
あとは……あれかな、ちょっと行間に頼ってる感があったかもしれない
それも魅力とも言えるんだろうとも、勿論思う


というわけで寝るwww
まともな感想つけられなくてすまん
泣きすぎて目ははれぼったいし頭は痛いしでもいい気分なんだww
586以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 10:08:07.79 ID:AbfouxFh0
>>585
感想ありがとうございます。
ちょっと行間とか記号に頼りすぎてますよね…
もっと沢山勉強しなくては。

書くのが早かったのは『きみの手』というステキなお題のおかげです(笑)

こんな深いお題を出してくれた上官殿には、
是非とも家に来て手榴弾と添い寝して頂こうと思います。サー!
587以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 10:28:00.64 ID:2EK4+4G1O
お題下さい↓
588以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 10:31:46.61 ID:p2dn8XDkO
携帯
589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 10:32:51.83 ID:2EK4+4G1O
>>588
把握
590以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 11:15:28.60 ID:0X7BA/050
保守るんだ!君が戻るまで!
591以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 11:35:01.77 ID:3Yrth5YJ0
お題クリ
592以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 11:44:10.16 ID:ponPRtp6O
>>591
まだいるか〜?

いるならお題→三年
593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 11:46:32.66 ID:3Yrth5YJ0
いたぜ
サンクスだぜ
594以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 12:15:11.79 ID:oODAbjsP0
保守
お題ください
595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 12:19:16.29 ID:pzmynufE0
>>594
596以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 12:32:29.56 ID:oODAbjsP0
>>595
把握
597以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 12:37:33.71 ID:ponPRtp6O
>>596
IDが後少しでお題
598以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 12:59:03.51 ID:7dZSmdvQ0
寝起きの頭で書けるだろうか
お題くれ
599(お題:クリス・ムーン)1/3 ◆LBPyCcG946 :2008/02/25(月) 13:14:17.07 ID:W6YNhzFe0
 今日の仕事を終え寝巻きに着替え、そろそろ眠りに就こうと思っていた頃、私の部屋に備え付
けられた呼び鈴が鳴らされた。それはお嬢様が私を呼んでいる合図であり、またお嬢様の我侭が
始まる合図でもある。そしてそれは、私の睡眠時間を容赦なく削る音でもある。
 私はそそくさと寝巻きから執事服に着替え、部屋を出た。3階のお嬢様の部屋に行く途中、窓
から大きな月が見えた。ボロボロと崩れる甘いクッキーのように、丸い満月だった。
 部屋の前に着くとノックを2回、部屋から聞こえたのは、不機嫌そうなお嬢様の声だった。私
は嫌な予感をしながらも、ドアをゆっくりと開いた。
「お呼びでしょうか」
 私は出来るだけ無表情にそう言った。お嬢様の機嫌を逆なでするような事は極力避けるべきだ
が、どうしても笑顔が作れなかった。
「遅いわ! 何やってたの」
 早速、お嬢様の怒号が飛んだ。私にはただひたすら、穂のように頭を垂れる事しかできなかっ
た。
「まあいいわ、カーテンを開けて頂戴」
「……それだけでございますか?」
「ええ、何、不服なの?」
 そう言うお嬢様の顔を上目使いに見ると、ベッドに座りながらにして、私を圧倒的に見下す瞳
をこちらに向けていた。しかし私はあくまでお嬢様の執事だ。反抗的な態度は許されないし、そ
の命令にも従わなければならない。それに、高そうな毛布の下にある、お嬢様の不自由な足がふ
いに頭の隅を掠めたので、私はそれ以上何も言わない事にした。
 私はお嬢様のベッドの横にある窓のカーテンを開いた。先ほど見た月が、そのままそこにあっ
た。私は思わず、その景色に少しだけ見とれてしまった。
「何ボーっとしてんのよ、そこどいて」
 お嬢様のその甲高い声を聞いて、私はそそくさと窓からどき、
「それではおやすみなさいませ、お嬢様」
 と続けた。さっさと部屋に帰って、寝るとしよう。
「待ちなさい」
 私がドアノブに手をかけた時、また後ろからその声がした。
「……何でしょう?」
600(お題:クリス・ムーン)2/3 ◆LBPyCcG946 :2008/02/25(月) 13:14:48.17 ID:W6YNhzFe0
 お嬢様に目を向けると、目線は窓を向いたまま、手で私を招いている。私は小さく小さくため
息をついて、お嬢様に近寄った。
「見なさい、月よ」
 月を指差すお嬢様、そんな事はわかってる。
「私、月に行きたいわ」
 お嬢様お得意の我侭がまた始まった。今度のも、相当に厄介そうだ。
「それは無理かと……」
「どうして?」
 世間知らずのお嬢様とはいえ、月になどそう簡単に行けない事くらいは知っているはずだ。お
嬢様は時折そういう我侭を言って、私や、他のメイド達を困らせるのが好きなのだ。私が黙って
いると、お嬢様は擦れるような声でこう呟いた。
「私の足が、動かないから?」
 お嬢様はずっと窓から月を見つめている。私は思わずその光景に目を逸らしたくなったが、は
っきりと答える。
「いつか、治ります」
「いつかっていつよ!」
 どこまでも透き通るような目が、私を見つめていた。それは全く日焼けしていない真っ白な肌
に浮かぶ、真昼の月のようだった。私の気のせいか、それとも反射のせいか、それは微かに潤ん
でいるように見えた。いやとにかく、何かのせいにしたかった。
 今の私には何も出来ず、ただそこに佇むだけだった。
「月に連れてって」
 お嬢様の目つきが、少しだけ変わった。それは年端も行かない少女とは思えない程の、「女」
を感じさせる瞳だった。じっとりとその目線は私の顔に張り付いて、窓から漏れる月の光は、一
層お嬢様を艶美に演出している。「月に連れてって」お嬢様の言った台詞が、私の頭の中でリフ
レインしている。
「お嬢様、」私は続く言葉を必死に探した。だが私には見つけられず、ただ俯くだけだった。
「クリスでいいのに……」
 そんな呟きのような物が、聞こえたような気がして、私は驚いて顔をあげた。でもお嬢様がそ
んな事を言うはずがない。私がお嬢様を見た時には既に、その視線は窓の方へと戻っていた。
「失礼します」
601(お題:クリス・ムーン)3/3 ◆LBPyCcG946 :2008/02/25(月) 13:15:23.84 ID:W6YNhzFe0
 必死で搾り出した言葉だった。私はそれを置いて、逃げるように部屋を出た。お嬢様の部屋の
前で、私は自身の高まる鼓動に気づいた。きっと今、私の見たもの聞いたものは、今夜の綺麗な
月に彩られた幻想に過ぎないのだと、何度も何度も心の中で必死に念じた。
「クリス……」
 誰にも聞こえないよう、私の口から零れるように落ちた言葉。


602以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:15:54.37 ID:W6YNhzFe0
お題くれ↓
603以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:18:09.43 ID:Lay5E0Xs0
>>598
米どころ
>>602
におい
604以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:19:58.93 ID:W6YNhzFe0
>>603
承知
605以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:20:29.86 ID:Lay5E0Xs0
全裸だけどお題くれ
606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:21:10.15 ID:hivxGrgJO
607以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:22:11.81 ID:7dZSmdvQ0
>>603
把握
608以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:22:36.30 ID:Lay5E0Xs0
>>606
着ろってか!着ろってか!承知
609以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:33:07.15 ID:zswHy9gw0
お題のような物をください。もちろん普通のお題も大歓迎
610以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:35:39.60 ID:S3/94JW3O
網タイツ
611以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:48:27.31 ID:3Yrth5YJ0
絶望した!文才の無さに絶望した!
612以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 13:53:39.75 ID:zswHy9gw0
>>610
はあく。むずいね
613以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 14:02:25.58 ID:Lay5E0Xs0
なんか凄くアホな文章が出来ました。どうしましょう。でも投下します。
614以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 14:05:22.37 ID:Lay5E0Xs0
ヒトが服を着るようになって、随分経つ。
随分、とはいってもその基準はやはりヒトにとっての長さなわけで、
一惑星の地質の変化や宇宙の変遷などを追っていくにはあまりに短いスパンの
時間しか経っていない、とも言える。
かような理由で私は服を着ることをやめてみた。これは通説によるところの
露出狂にあたるわけではない。あくまでもヒトの歴史の愚かさを問うための
一種の啓示であることは言うまでも無い。世間一般の視線というものが
私という一個人を介することで宇宙の広大さ、或いは敬服に値するであろう
この地球という惑星に思いを馳せることを期待しているのである。
この壮大なる啓示を大なり小なり受け取ってもらおう、と外に出る前に、
重大なことに気がついた。
常備していたチョコレートが無くなっているのである。
殊に私は自身が矮小なヒトであることを自覚していて、自覚しているがゆえに、
チョコレートなどという人類の文明が創り出した恥部に依存することにも
何ら後ろめたさはないのである。笑いたければ笑うがいい。私はかくも小さい。

話を本筋に戻そう。常備したチョコレートが無くなっているということは、
買わなければならないということだ。全裸で。
500円玉を手に握り締め、私は外に出た。


いつも歩いている街並みを我が物顔で歩いていると、
周りの視線も当然私を捉える。果たしてその眼には何が写っているだろうか。
私にはそれが前述した宇宙の広大さであってほしい。否、そうであるはずだ。
私はこのようなメタで至高な思考を巡らせながら、視線を一身に受ける。
その視線が奇異なものを見るそれであることに気付いた時には、
私の足はすでに行きつけの洋菓子屋に着いていた。
この啓示があまりヒトの心に突き刺さっていないことに軽く意気消沈しながら、
私は洋菓子屋に足を踏み入れた。
6152/2:2008/02/25(月) 14:05:53.47 ID:Lay5E0Xs0
店員が出てくる。
何度か目にした、いわゆる看板娘とも言うべき麗しき女子である。
女子店員は私を視界に入れるや否や、
目を剥く。大層驚いているようだ。やはりそうか。私の啓示など
矮小であるところのヒトは理解しえないのだ、と内心私は落胆していた。
ところが女子店員はなんとか呼吸を整えて、
今度はゆっくりと、だがしかし同時に力強く私を見据えた。その目には
強い光が宿っていた。凛とした声と共に口を開く。

「何をお探しですか?」
―――ああ。この女子店員は、理解したのだ。私を通して、宇宙を。

「びっくり、しましたか」
「いいえ。裸でも、あなたは変わりませんね。」
そうか。理解して欲しい宇宙とは、私だったのだ。
服が無くとも、私の宇宙に変わりなど、ないのだ。

「チョコレートを、二つ。」
私の目からはとめどない大粒の涙が流れていた。
616以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 14:06:26.81 ID:Lay5E0Xs0
もうちょっと推敲すればよかった…読みにくい…
617以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 14:48:20.16 ID:hivxGrgJO
618以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 15:16:21.39 ID:ponPRtp6O
>>601
よくわからんかった
自分は義足で有名なランナーのクリス・ムーンのつもりでお題出したんが

まぁ執事っていいよね

クリスは誰?
619以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 15:34:59.42 ID:S3/94JW3O
>>615
まず言わせてくれ。
( ´∀`)ばーか
取り敢えず、単語の誤用が気になる。まぁ、その辺は自分で調べてくれ。
話は最初に言った通り。
でも、最初から宇宙の説明とかしちゃうよりも、ごく普通の日常から入る方が裸が際立つんじゃないかな?
何から何まで変な人よりも、一部分だけが変な人の方が話についていきやすいからね。
620以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 15:42:07.77 ID:7dZSmdvQ0
まぁ、バカは言い過ぎなきらいがあるけど、俺も一つだけ。
小説の書き方ってもんを一度確認した方がいい。
最初の段落は下げる、改行の作法その他諸々。
基本的なことがなってないと、正直俺は読む気がしない。
621以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 15:50:43.38 ID:S3/94JW3O
>>620
一応、馬鹿馬鹿しい話だなぁw

ってくらいのニュアンスだったんだけど…。
622以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 15:55:39.72 ID:7dZSmdvQ0
>>621
あぁ、そういうことwww
すまん、勘違いした。わるいな
623以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:01:59.65 ID:W6YNhzFe0
>>618
人名だな、とは思ったけど、ググるのが面倒でそのまま書いた
執事は嫌いだな
後から説明するのはいやなんだけど、一応納得いかんままだとアレなので
お嬢様=クリス ね
624以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:32:11.99 ID:7dZSmdvQ0
625(お題:におい)1/2 ◆LBPyCcG946 :2008/02/25(月) 16:37:55.36 ID:W6YNhzFe0
 何これ、くっさーーーーー。ぶはは、超くせぇ。ほら、これ嗅いでみって、な? な? くっ
さいだろ。くっさいなこれホントに。くせえ、マジくせえ。例えるなら何だろう。えーと、年代
物の雑巾を、じっくりコトコト牛乳で煮込んだまま1週間放置した感じだな。もはや兵器だよこ
れは。うわー、くっせぇ。すっごい臭いだ。完全に臭いなコレ。
 あ、ちょっとこっち来てみ。こっちこっち、目ぇつぶって? いや何もしないから、ほら早く。
つぶった? 見えてない? 見えてない? ほら! ぶひゃひゃひゃひゃ、くっさいだろ! な!
 くさいよなこれ! マジくさいわ〜。信じられないくらいくさい。ちょ、お前笑い過ぎだって、
何だよその笑い方。むは、もう臭すぎて涙出てきたわ。だってもうな〜。うん。くさすぎるんだ
よこれまじで、くせーくせー超くせー。
 うあ、手に臭い移ったかもしれん。ちょっと嗅いでみ? ほれ、あ、クサ! ちょっとこれホ
ントどうにかしてくれ。お前持ってよ。ねえ。ちょ、逃げんなって! うわ、くせえ。ホントど
うしようこれ……。捨てるのもなんかもったいないよな? こんなくさいのは逆に珍しいもんな
……。売れるかな? ヤフオクでいくら? やっぱ売れないかな。においフェチにはたまらんと
思うんだけどな。
 ん? いやいや俺はそういうんじゃないよ。あまりにも臭すぎて、もう笑いが止まんない感じ
だな。ぶはは。くっさいもんだってコレ。どうすんのよ? なんかもう目がシバシバするわ、臭
すぎて。くっさいなあ、もう。
 え、何? ああはいはい、はい。何もすんなよ? 絶対だぞ。はいはいわかった。あい、瞑り
ましたよ。うん、見えない。何? 何すんの? ……ブ! クッサーーーー!! ちょ、何今の
くさっ! くさいってホントもう、え? 何今の、てか今俺の鼻に何かくっついたぞマジで。く
っせーーー。いや臭いが取れないんだが、ホント何つけたの今、教えて、くさすぎるからホント。
いやあ……でも、俺の最初のも負けてないよな? 絶対負けてないって。くささなら絶対負けて
ない。まあ、でも今のも相当きつかったな。血吹いて死ぬかと思ったもん。死んだら死因何にな
るんだよ。臭死? ねーよ。
 んまー、なんだかんだで俺のが最強だな。もうこれ以上のクサさは今世紀出ないと思うわ。う
ーん、だってもう鼻もげそうだもんな、マジで。あは、何、ウケた? 今の。フフ……。
 あーでも何か……正直な話、癖になってきたわ。いや、そういうんじゃないよ? 断じてそう
いうんじゃないけど、ホントもうガチで臭すぎて、逆に? って感じ。逆にね、こう、こうやっ
て、これを鼻に近づけると、クッサーーーーーーーー!!!
626(お題:におい)2/2 ◆LBPyCcG946 :2008/02/25(月) 16:38:25.79 ID:W6YNhzFe0
 たまんね、まじたまんねえ。そっちのも嗅がせて、あふぅっ、くさっ。良い臭いだねえ、いや
くさいんだけど、くさいって方向に向かって良い臭いだよ。そうそう逆にね。もうまじどんだけ
だよこの臭さ。ありえねえなあ。こんな臭い物が、この世にあって、この時代にあって、俺と出
会った事に軽い感動すら覚えるわ。ある意味奇跡だね、うーん。ちょ、うは、急に近づけんなっ
て、くせっ。クサッ。げほげほ。
 はわー、もうこれホントくさいわ。くさいねえ、くさすぎるよ。いやたまらんね、これ。
 これ以上くさいものあったら是非もってきてくれよ。絶対負けないと思うわ。ていうか多分、
いやむしろ、持ってきたくさいものを更にこれが吸収して、益々くさくなると俺は予想する。だ
ってな、この2つがあるこの空間がもう既にやばいからな。どう嗅いでもだな。神秘的なくささ
を感じるわ。宇宙的というか何というか、とにかくこのくささは、未来を切り開けるんじゃない
か? いや、マジで言ってるよ俺は。だって俺がまず虜だもの。このくささが無きゃ明日から生
きていけないかもしれん。え、正気だけど? 何? ディスってんの?
 だってほら、嗅いでみって。嗅げば分かるだろこのくささ。地球が反対に回っても、俺が明日
からモテ初めても、このくささだけは本物だろ。絶対。これだけは言い切れるよ絶対だって。い
やーホントくさかった。うむ。


627以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:42:36.02 ID:lUMysCE00
ID:Lay5E0Xs0
宇宙がなんちゃらとつ気取って書きたくて書いただけにしか見えないな。
読みにくい理由だけざっと書こうか。
まず、全体的に一文が長すぎる。区切れる場所は区切ろう。
日本語は句点を使って一文を長くできるが、意味が読み取りにくくなる。
悪文を読めば分かるけど、一文が長すぎて読み取れなくなっている場合が多い。
次に、短い文章量の中で倒置法を使いすぎ。
こんなに沢山使うと読みにくくなる。
倒置法を用いると(横書きなら)右→左→右と読むわけだが、
大抵の人は(横書きなら)一方通行で読みたいわけ。
頻繁に往復させる流れをつくっちゃまずい。
この分量なら一回までが目安じゃないかな?
代名詞を使いまくるのも駄目な理由と同じだから覚えておくといいよ。

誤用はいいよ。勉強していれば直る。

>>620
一字下げしても掲示板投稿じゃあまり意味がない件。
628以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:46:25.85 ID:y2dWY/jY0
お題下さい
629以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:47:06.40 ID:ZP5oA0i00
カード
630以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:47:17.09 ID:lUMysCE00
>>628
んじゃ家政婦は見たみたいなものを一つ。
631以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:48:26.49 ID:S3/94JW3O
誤解してる人多いけど、←は読点だぜ?
ちなみに句点は。
632以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:49:42.39 ID:lUMysCE00
>>631
もう読み返して「うあああああ(ry」だからいいや。
633以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:50:12.92 ID:y2dWY/jY0
>>629-630
把握
634以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:53:13.49 ID:7dZSmdvQ0
>>627
俺にとっては、読みにくいっていうだけ。
作品に思うところがあるなら、そんなに細かく言うつもりは無いよ。
横書きは縦書きと勝手が違うしな。
実際、段落下げても投下したら反映されないこともあるし。
頭が固いんで、横書きの小説ってモノに慣れないんだ、すまんな。
635以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:56:08.12 ID:lUMysCE00
>>634
気持ちはよく分かるぞw
俺も横書きが駄目でtxtで落として縦書きにして読んでいる。
中途改行とか手を加えていなければ文庫本一冊の量でも読めるし。

ま、プロでも横書きの小説を売るけどね。
636以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 16:57:49.47 ID:jo7IV0GG0
寝不足だがお題
637以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:00:24.21 ID:S3/94JW3O
まぁ横書きは俺も嫌い。
だから、3レス以上のやつはワードにコピペして読むかな。
面倒臭いけどね。
だから、よく横に長いって文句を聞くけど、俺は逆に見やすく区切られる方が困るw
638以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:04:01.94 ID:ldsk1OoB0
>>636
夢心地
639以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:05:18.82 ID:jo7IV0GG0
>>638
把握
640以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:17:35.92 ID:peAJygpP0
じゃあ、小説書くきっかけが横書き小説だった自分はかなりの異端児なんだな
携帯小説?ちがわーい
縦書きも普通に読めるけどね。まあ、ネット小説好きなのは自分くらいさ お題くれー
641以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:22:53.66 ID:7dZSmdvQ0
>>640
水墨画
642以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:27:08.74 ID:lUMysCE00
>>640
北斎
643以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/25(月) 17:33:13.26 ID:bwOLW2ca0
わー全感終わったー
推敲して投票用紙組むまで待っててけれー
644以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
把握
変に混ざりそうなお題だぬ