1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
はじまるよー
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:29:10.47 ID:OfP3jtxxO
きゃほーい
3 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:29:20.32 ID:x2x9Zb+/0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:30:00.76 ID:Ug6aEpMnO
まってたよ
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:30:27.12 ID:OfP3jtxxO
超超うるせwwwwww
6 :
('A`)と夢の島のようです 前回のあらすじ ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:32:24.53 ID:x2x9Zb+/0
〜第一夜のあらすじ〜
('A`)「オレはどうやら夢の中にある南の島にいるらしい。
島の中のアレンテヴォレッツァって村に住むクーって女性と知り合ってお茶会に招待されたんだ。
その道中は海岸で拾ったブーン、贅肉マンを延々と運んで骨が折れたぜ。
さてブーンだ。こいつも現実の存在らしい。
信じられるか?同じ夢を赤の他人が見てるんだぜ?
しかし、そんなことを気にしてはいられないらしい。
怪しいマント女が怪しげな言葉をかけてきやがった。
『目覚めの使者』、どういうことだ?」
〜第二夜のあらすじ〜
('A`)「ブーンは本当の存在なのかもしれない。あのおしるこは本当だった。
夢の島を再び訪れた俺たちは宝探しをすることになった。
危険が一杯だったよ。本当に死ぬかもしれなかった。
だけど、あの能面野郎、最後に何が言いたかったんだ。
それにあの宝石、いや丸いから宝玉と言った方が正しいか。あれは何なんだ?」
7 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:34:32.66 ID:x2x9Zb+/0
(*´_ゝ`)「これはっ…初めての出番か!見ろ弟者、オレが映ってるぞ!」
(´<_` )「みっともないぞ兄者。こういうのはどーんと構えていればいいんだ―OK兄者。時に落ち着け。
男の"サービスシーン"なんて誰が見たがるんだ」
('A`)と夢の島のようです 第三夜
8 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:37:26.05 ID:x2x9Zb+/0
■現実―ドクオの部屋
オレはやっぱり、あいつの名前を思い出すことが出来なかった。
夢の内容は既に薄れつつあったが、誰かにもらったカロリーメイトの味は覚えているし、
スライムのベトベト感も思い出すことが出来た。
しかし、ここまで覚えていてあいつの情報だけが抜け落ちているのは何故だろうか。
情報を手に入れた場合に現実世界のほうで困る何かがあるのか。
こっちで何をしようとも夢の世界に影響が出るわけではないはずだ。だったら何が問題だ?
オレが気になっているのはそれだけではなかった。
その情報を消しているのは何なのか。自分自身の脳か、それとも不思議な夢の島の力か。
だが、オレの予想では後者だった――外れなければいいが。
問題が山積みだ。ハァーとため息をつくと眠気が追い出されていく頭を抱え、
うるさい目覚めの使者を黙らせるためにベッド脇へと片手を伸ばした。
障害をクリアしたオレは忘れないように手近なスケッチブックに夢の内容を書き留めると、
バタートーストの香りのするキッチンへと降りていった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:40:02.12 ID:Ug6aEpMnO
支援
10 :
◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:40:20.52 ID:INx0DLMrO
今日はがっつり80レス以上あるから覚悟しておいてくれると
超ありがたい。支援
11 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:40:32.55 ID:x2x9Zb+/0
■現実―学校
('A`)『今日はあのルビーが何なのかハインをとっちめないと』
学校へついてもオレは夢の内容に縛られていた。そのせいで授業はかなり上の空だった。
いつもならはっきり聞こえる数学担当の先生の声も、どこか遠くから聞こえてくるみたいだ。
黒板をノートに写すのだけは怠らなかったが、授業内容は復習しておかないとならないだろう。
モララーみたいに頭が最初からよければいいのかもしれないが、こっちはそうもいかない。
そこが実に残念だ。
またあの夢が見られるか見られないか。これについては特に気にする必要は無い。
あの変な夢のことだ。こちらが拒絶しようとも、何か一段落でも着かない限りはオレとブーンを解放してくれることはないだろう。
その一段落が何を持ってして一段落とするのかは分からないが。
それよりもルビーだ。ハインの言ってた"明晰夢"と"お宝"の関係が一向に繋がらない。
ブーンが持ったら光る。それで終わりならくたびれ儲けだ。夢の中で手に入れてそれが何になる。
何かあるには違いないが今は予想がつかない。
あぁ、こんなにも早く夜が来ないだろうかと考えたのは初めてだ。
オレは確実にあの夢へ魅せられている。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:41:53.24 ID:Ug6aEpMnO
80×3分=240分……
2分にして下さい(><)
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:42:58.01 ID:JO+nOROi0
ゴミの島?
14 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:43:26.30 ID:x2x9Zb+/0
そんなオレの願いは通じるはずもなく、神様は平等に人生を消費させ、
ついに最後の授業であるロングホームルームが始まった。
これは実にくだらない時間だ。くだらない議論をただするだけのくだらない時間。
結局はクラスで発言力のある奴の意見が通り、少数派の戯言は闇へと葬り去られるのだ。
(*゚ー゚)「それじゃあ、今回のクラス委員会では文化祭のポスターについてです」
(´・ω・`)「今年は文化祭のポスターを各クラス代表がテーマに沿って描き一枚ずつ提出。
その中から投票で選ぶことになりました」
委員長のしぃとショボンは黒板に議論のタイトルを書くとオレ達にその内容を説明した。
チョークを持つのはショボンだ。
詳しくは知らないが硬筆で段を持っているとかいないとか。それは見事な楷書だった。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:43:53.06 ID:dj5EetnqO
超支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:44:25.29 ID:Ug6aEpMnO
支援
17 :
◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:44:38.74 ID:INx0DLMrO
18 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:45:28.50 ID:x2x9Zb+/0
クオリティ中学は六月と十二月の年に二回文化祭を行うといった非常に文化的な変わった学校だ。
七十を過ぎて剥げ知らずの校長の有難いお話によると、
『六月は雨が降るから客の入りが悪い。だから半年の準備期間を設けて再び十二月に行うのだ』
だそうだ。それ故、六月の文化祭は"練習"、十二月の文化祭は"本番"と生徒の間ではまことしやかに囁かれていた。
だが、考えてみても十二月は寒いから客が入りにくい気もするのだがどうだろうか。
校長の考えている事は未だによくわからない。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:46:42.92 ID:INx0DLMrO
C
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:47:25.22 ID:Ug6aEpMnO
支援
21 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:47:31.45 ID:x2x9Zb+/0
ポスターは"練習"の文化祭では美術部に任せたらしいが、
一部のおふざけによってそのポスターは校長の逆鱗に触れたらしい。
ついに『クオリティ中学文化祭』とだけプリントアウトされた、
味も素っ気も無いポスターがお客の前に仏頂面で現れたのだ。
从'ー'从「はいはーい。今年のタイトルは何なんですかー?」
気の抜けるような声で席を立ったのは渡辺だ。
モララーによれば彼女は天然らしいが、話したことの無いオレには関係が無い。
(´・ω・`)「今年のテーマは"冒険心"です。各クラスで決められた出し物もそれにあわせてくださいとの事です」
教室の各所でブーイング爆弾が炸裂する。
それもそうだろう。確かオレのクラスはメイド喫茶だったか。
ひゃっほ〜い
>>5 勘は冴えると間違ってんじゃねーよwww
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:48:43.95 ID:Ug6aEpMnO
支援
24 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:49:30.72 ID:x2x9Zb+/0
メイド喫茶では冒険のしようがない。
そう考えているのは後ろの奴も同じだったらしい。
( ´_ゝ`)「待てよ。冒険するならスカートを短くするとか、
男がメイドの格好をするとか色々あるだろう?」
(*´・ω・`)「あ、男が女装か。いいんじゃない?
流石兄弟にお願いしようか。残りの人選も任せるよ」
思いがけないショボンの肯定に教室はざわめきたつ。
この顔の赤らめようは何だろう。まさか、こいつ…ホモだったのか!
オレの中でこいつはまともな方に位置していたんだけどな。君には悪いが変態の森へと落ちてもらおう。
所詮ランク付けしたところでオレには関係ない話なのだが。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:50:45.42 ID:Ug6aEpMnO
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:51:09.17 ID:INx0DLMrO
C
27 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:51:31.78 ID:x2x9Zb+/0
(´<_`;)「ちょっと待て。何でオレまでメイドさんにならないといけないんだ。他にも方法があるだろう?
――OK兄者、時に落ち着け。男がそんなものに着替えたところで何の色気も無いぞ」
ストリッパーも驚きの速度で服を脱ぎ終えると、いつの間にかメイド服に着替えた兄者の姿があった。
うーん、似合う…わけがない。
こんなのを見て誰が喜ぶのか。――と思っていたら一部の女子から歓声が上がった。
一応需要はあるようだ。
(*´_ゝ`)「パッドもつけなきゃダメだな。最低Cは欲しい。この際化粧品も買うぞ」
(´<_`;)「兄者、実は着たかったのか」
周りの男子から
『いや、ここはAのつるぺただ!』だの
『Fだ!Fこそ至高!』だの
パッド議論が繰り広げられる中、モララーが手を挙げた。
28 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:53:30.01 ID:x2x9Zb+/0
( ・∀・)「画材は決められているのかな?」
(*゚ー゚)「特に無いけど、鉛筆だけ、とかは無しね。テーマがテーマだからカラフルなのがいいかも。
ところで絵は――」
(*゚∀゚)「はいはーい!モララーがいいでーす!」
元気良く手を挙げたのはつーだ。周りの女子もいいねーと賛同の声が続々と上がる。
モララー曰く、しぃ派閥とつー派閥と言うものがあって、つーは二番目なのだそうだ。
――まぁ、これは決まりだろうな。
美術の授業でモララーの絵はクラスでも評判がよかったし、事実上手かった。
写真でも見ているかのように、は言いすぎだがアクリル絵の具で描かれた校舎の絵は
汚れまでしっかりと再現してあった。
だからモララーの去年の美術の成績は5の満点だった。もちろん他の教科も。
支援
支援
31 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:55:27.62 ID:x2x9Zb+/0
( ・∀・) 「僕はそう思わないね。これはドクオの方が絶対いい。保障するよ」
壮大なパッド議論をしていた男子も、男子のメイド姿を想像していた腐女子も、それ以外の者も。
先生は寝ていたが。
一斉に口をなくしてしまったらしい。
クラス中に『はぁ?』と言った空気が流れ始めた。
ドクオ?誰だっけ、あいつ。――ほら、流石兄弟にいじめられてる奴。
――あぁ、モララーに情けで話しかけてもらってる奴か。――あのキモイの絵が描けんの?どうせオタク絵じゃないの?
今までオレをすり抜けたり、別のベクトルに向いていたクラスの視線がオレに集まった。
32 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:57:34.04 ID:x2x9Zb+/0
耐えろ、ドクオ。オレはそう言い聞かせた。
モララーもどうしてこんな時に?ほっといてくれればいいものを。
(*゚∀゚)「何でー?こいつの絵って美術の時間に見たことあったけど全然訳わかんなかったし、
嫌だったらしぃも美術部だから――」
つーの言うとおりだ。オレの絵はクラスの誰にも評価される事はなかった。
オレだってその時は、その絵に評価なんてつける気にもならなかった。
つーの言った事が気に入らないのかムッとした表情でモララーが立ち上がった。
( ・∀・) 「だったら…証明してやるよ」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:59:35.08 ID:INx0DLMrO
C
34 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 22:59:36.98 ID:x2x9Zb+/0
証明。オレはこいつのこの自信に満ちた台詞が好きだった。
自分の信じた事を、様々な手段を用いて他人に納得させるために行うこと。それが証明だ。
だが、モララーはオレの何を信じているのか。どうやって証明する気だ?
これをクラスの全員に証明するのは骨が折れるぞ。
( ・∀・)「まず、美術室の前の廊下に飾ってある絵は知ってるよな」
(*゚∀゚)「あぁ、先生の作品が展示してあるぜ」
( ・∀・)「あの絵はほとんど油絵だ。だけど一つだけクレヨンで書いた絵があったと思う。
それを見てつーは言ったよね。
『先生は凄いな。たかがクレヨンでこんなの描けるなんて。
美術なんてわからないけど、これは何かいい』って」
(*゚∀゚)「言ったぜ。あの先生は色んな画材で描いてるからな」
だから何だよ。とつーは続けた。
( ・∀・)「"言った"んだね。だったらつーはドクオを認めたことになる。
あれは、ドクオが美術の授業で出したあの"訳分からない絵"だよ」
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:00:14.64 ID:Ug6aEpMnO
支援
37 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:01:31.77 ID:x2x9Zb+/0
(*゚∀゚)「はぁ?全然違うじゃん。確かに色使いは似てたかもしれないけど、先生が手直ししたんだろ?」
( ・∀・)「手直しはしたよ?授業が終わった後ね。でも、ドクオがだ。
ドクオが家で完成させた後に再提出したんだよ。一ヶ月掛かったんだったっけ、ドクオ」
('A`)「…あぁ、大体そんくらいだ」
クラスがざわめいている。
だが、動揺しているのは俺も同じだった。この絵のことを知っているのは美術の先生だけだったはずだ。
動揺を隠して言うのに苦労した。モララー、お前は何故知ってる?先生が話したのか?
( ・∀・)「嘘だと思うならあの絵の右下を良く見てごらんよ。DOKUO・Uって書いてあるからさ。
それに、ドクオの美術の成績は5だ。皆も知ってるだろ。満点の5は一学年に五人しかもらえないって。
それも証拠の一つさ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:02:24.36 ID:r+sCQplFO
支援
支援
40 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:03:27.17 ID:x2x9Zb+/0
オレが絵を出した時に美術の先生がほめてくれたのを覚えている。
『凄いじゃないか!この絵を最初に出された時、
もしかしてと思ってたけど君には絵の才能があったんだね!』
再提出したことを面倒だと邪険に払わずにそれを受け取って、
しかも先生の作品と一緒に飾ってもらえるなんて思ってもいなかった。
しかも、高そうな額縁で化粧までされて。本当に嬉しかった。
(*゚∀゚)「…」
まだあるのか。と言いたげな瞳でつーはモララーを見ていた。
クラスの皆はモララーの言葉に魅せられていた。寝ていた先生まで起きてその話を聞いている。
続きはどうなんだ?つばを飲み込む音が聞こえそうなくらいに教室は静けさに包まれた。
41 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:05:24.40 ID:x2x9Zb+/0
( ・∀・) 「まぁ、あんな作品を授業二時間分で描こうなんて無理な話だね。
あれを二時間で描こうものならゴッホやピカソが嫉妬するよ。
あそこでもしもドクオが止めてたら、僕だって推薦しようなんて思わなかったさ。
でもね、美術室の前に突然現れた絵を見て思ったよ。ドクオは本物だってね。
僕は絵では絶対に勝てない。それに去年の――」
あぁ、モララーはどこまで知ってるんだ。
探偵でも生きていけるんじゃないかってくらいの情報量にオレまで息苦しくなってきた。
それでもモララーが言った、『絶対に勝てない』と言う台詞は同時にオレの心に熱いものを残した。
( ・∀・)「去年の県美展。ドクオは優秀賞こそとれなかったけど、佳作だったんだ。
陽出須(ようです)美術館に一時期飾られてたよ。新聞にも載っていたしね」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:06:49.03 ID:INx0DLMrO
C
支援
44 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:07:22.41 ID:x2x9Zb+/0
新聞にも載っていたがそれは隅っこの方に書いてあっただけで、
普通の人なら読み飛ばしてしまうくらいの小さな字だ。
それに所詮佳作だ。あまり誇れる事じゃない。
世の中にはもっともっと絵の上手い奴がいる。
審査員特別賞とか最優秀賞とか、そんな賞を取る天才はオレじゃなかった。
そんなオレの心を見透かすかのようにモララーは言葉を続けた。
( ・∀・)「佳作は佳作。そう思う奴だっているかもしれない。
でもさ、素人が出したとして入選できるほど甘くは無いよ?小学生の写生大会じゃないんだからさ。
名のあるプロだって時には落ちてしまうんだ。
そんな県美展に佳作で入った。だから、僕はドクオを推薦する」
証明終了。と満足げに付け加え、モララーは席に座った。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:09:13.50 ID:r+sCQplFO
支援
46 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:09:19.88 ID:x2x9Zb+/0
しばらくは誰も喋らなかったが、緊張の糸を切るかのようにショボンが話を進めた。
(´・ω・`)「では、ポスターはドクオ君に任せると言う事で。それでいい人は挙手をお願いします」
当たり前だろう?あんなものを見せられたんだ。
オレ以外のクラスの全員が手を挙げていた。
その中で満足そうに座るモララーと居心地悪そうに座るオレがそこにいた。
47 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:11:21.19 ID:x2x9Zb+/0
ホームルームが終わって、そそくさと帰り支度を進めているとしぃが話しかけてきた。
流石兄弟はさっそくパッドを買いに行ったようだ。警察に突き出されないといいが。
(*゚ー゚)「ドクオ君。ごめんね、無理やり押し付けちゃったみたいで」
('A`)「いいよ。慣れてるから」
慣れている。流石兄弟にオレが色々やられていることはしぃも知ってるはずだ。
ちょっとした沈黙。しぃは困ったように視線を泳がせると何とか言葉をひねり出した。
(*゚ー゚)「…あ、あたしも美術部だから、何かあったら手伝うからね」
('A`)「あぁ」
正直に言うと気まずかった。今のオレでは夢の中みたいに饒舌に喋る事は叶わない。
微妙な空気が流れ始めたところに助け舟がエンジン音を響かせてやってきた。
( ・∀・)「ドクオ、そうつっけんどんな態度で返すなよ。しぃは社交辞令でそんなこと言う奴じゃない。
ま、僕もお金と恋愛相談以外なら何かあったら手伝うからさ。気楽にやりなよ」
少なくとも恋愛相談は無縁だぜ。そう返すとモララーは笑って教室を出て行った。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:12:41.27 ID:XadeSsHWO
支援
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:12:52.91 ID:r+sCQplFO
支援
50 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:13:21.11 ID:x2x9Zb+/0
残された二人。
助け舟は溺れた奴を見るだけ見て、そのまま帰って行ったぞ、ちくしょう。
気まずい…。気まずすぎる。
夢のことも考えないといけないんだ。早く会話を打ち切ってオレも帰ることにしよう。
('A`)「…これは、いつまでに仕上げればいいんだ」
(*゚ー゚)「ええと、五日後かな」
('A`)「(短いな…)分かった。そこそこのを仕上げるよ。気ぃ使わせて悪いな」
五日で満足行くものが出来るかどうかはわからないが、文化祭のポスターレベルには仕上げよう。
まずはインスピレーションが沸いてこなければ話にならないが。
51 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:15:19.39 ID:x2x9Zb+/0
■現実―ドクオの部屋
さて、悩み事がまた増えたぞ、ミスタードクオ。
オレは真っ白なスケッチブックを前に、考え事をしていた。
夢の内容については、気になることは寝てみなければ分からない。だから今はパスだ。
だから今はどんなポスターにするかを考えよう。
テーマは冒険心。漫画やアニメや映画を基にして描くべきなのか。
船に乗った海賊とか、遺跡を探検する冒険家とか。
オレの絵は基からあるものを題材にして、それを空想で更に広げて描く手法をとっている。
むしろ空想の方が多い。
そんなオレの絵には(クレヨンで絵を描く画家には失礼だが)クレヨンと言う子供っぽい画材がぴったりだった。
あの独特な線と香りは他の画材では表現できない。
優しくて強くて、正義のヒーローみたいなクレヨンだからいいんだ。
52 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:17:18.33 ID:x2x9Zb+/0
しかし、よくよく考えればオレは人物画は苦手だ。
だからオレの絵は大体が抽象画や風景画になる。
だから、今さっき挙げた海賊やらは使えないわけではないが描きたくない。どうするべきか…。
テーマは冒険心。冒険か。
待てよ?インスピレーションなら近くに転がっていたじゃないか。
――夢の島だ。あれを描こう。
第三夜 前編 完
53 :
◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:17:39.18 ID:INx0DLMrO
夢パートはじまるよーC
54 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:19:16.94 ID:x2x9Zb+/0
■夢―アレンテヴォレッツァ南東・森林地帯
('A`)「お」
ラフスケッチを描いていたはずだったが、いつの間にか寝てしまったらしい。
オレは森の中にいた。木々から漏れる日差しを見ると昼あたりらしい。
おっ、と自分の存在を確認するかのように声を出すと、後ろから驚いたような声が上がった。
(;^ω^)「ドクオ!急に出てくるのは反則だお!」
それは、お互い様だ。昨日はオレを驚かせたんだからな、ブーン。
('A`)「今日の格好は…ブルース・"リー"か」
ブーンの格好は映画でブルース・リーが着ていた黄色いトラックスーツだった。
しかし、やはりと言うべきか。お腹の脂肪はとても元気なご様子で、
もしも街中を歩けば『ブルース・リーが好きなんだね、アハハ』と引きつった笑顔を振りまかれるだろう。
( ^ω^)「おっおっwww今日は死亡遊戯を見てから寝たんだお!」
アチョーと腰に下げたヌンチャクを取り出し、ポーズを決めるブーンはそこそこ様になっていた。
でもさ、お前のは"死亡遊戯"じゃなくて"脂肪遊戯"だと思うぜ。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:20:05.51 ID:Ug6aEpMnO
支援
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:20:21.64 ID:Ug6aEpMnO
支援
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:20:38.70 ID:Ug6aEpMnO
支援
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:20:38.84 ID:XadeSsHWO
支援
59 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:21:15.51 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「あれ、ちょっと待てよ。死亡遊戯を見て寝たらその格好になったのか?」
( ^ω^)「そうだお。一日目はプレスリーを聞きながら寝て、
二日目はプライベートライアンを見てから寝たんだお」
('A`)「なるほど。寝る前に見た印象の強いものが、夢の中でブーンの服装になるのか」
オレの方は相変わらずだった。
ユニクロチックな上下に花柄ポーチ、ポケットにはブーンのアーミーナイフ。
服装がころころ変わるのも問題だが、代わり映えしないのも味気ないと思う。
( ;ω;)「でも、ドクオ。聞いて欲しいんだお。ブーンのカロリー友達が全部なくなってたんだお」
('A`)「服装が新しくなったからな。前の服装で持っていたものは無くなるんだろうさ」
あれ?オレは自分の言葉に引っかかった。
前の服装で持っていたものはなくなる。
前の "前日の所持品"が 消える?
!!!!!!!
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:21:59.45 ID:INx0DLMrO
C
61 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:23:18.30 ID:x2x9Zb+/0
(;'A`)「ちょっと待て。じゃあ、宝玉も消えたのか?ブーンが持ってただろ?」
命がけで取った宝玉までノーカウントにされたら溜まったもんじゃない。
オレが慌てていると、あのにやけ顔でトラックスーツのポケットからルビーを出してきた。
( ^ω^)「宝玉は大丈夫だお。これまで失くしてたらもっと凹んでるお」
('A`)「ならよかったよ…だが、これでオレとブーンの夢の中での状態がわかったと言うか、
役割分担も出来そうだな
ここまでで分かったのは、
1.ブーンは寝る前に見た印象の強いものが夢の中での姿になる。
2.オレは夢の中での姿が固定されたら、次の日も同じ姿になる。
3.ブーンは新しい姿になったとき、その服装にあった道具を手に入れるが、前の姿の道具はなくなる。
4・オレは前日の道具も持越しできる。ブーンからもらった道具も同様だ。
5.宝石はブーンの姿が新しくなっても無くならない。
以上の五つだ」
62 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:25:17.42 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「ま、つまるところ宝玉以外で残しておきたいものがあったら、
オレに渡しておけば大丈夫ってことだ」
( ^ω^)「おっおっww次にまたお菓子が来たらドクオに預けるお!」
ブーン。無料でお菓子が食べられるから仕方ないのかもしれないが、
よだれを拭いてから喋って欲しいとオレは思うんだ。
('A`)「まぁいい。ブーン、昨日教えた数字は覚えてるか?」
(;^ω^)「メモには書いたけど…ごめん、覚えてないお」
('A`)「いや、それでいい。メモに書いておけば問題ない」
(;^ω^)「でも、あの数字って何だお?」
('A`)「オレのおまじないみたいなもんだ。あと二回教えるからな。しっかりメモ取ってくれよ」
オレが忘れちゃいけないからな。全部教えた後テストするぞ?と付け加えるとブーンは
『四つくらいなら覚えられるお!馬鹿にするなお!』と食いついてきた。
そうでなくちゃ困るんだよな。
63 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:27:15.75 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「それで、ハイン見なかったか?」
( ^ω^)「いや、今日はまだ見てないお」
从゚∀从「いや、今来たぜ?」
うわっ、と思わず尻餅をついた。耳元でいきなり囁かれたんだ。とても近かったんだ。
耳元に吹いた生暖かい風。急に現れたことに驚くと言うよりは、そっちに驚いた。
男性ならわかるだろう?異性から急にそんなことをされたらどうなるか。
从*゚∀从「情けねえwwwで、お宝は手に入れたのか?」
( ^ω^)「もちろんだお!この真っ赤なルビー超綺麗だお!」
ハインはブーンの手の中で静かに燃えるルビーを見て満足そうだ。
从゚∀从「ほぉ、これはブーンのか。どっちかと言えばドクオの方かと思ってたんだがな。」
从'A从「証明終了だ。この腐れ能面野郎」
从゚∀从「とか言った時はこいつおもしれえwwwwwって思ったんだぜ。
だが、ブーンのもんになったってんならそっちの方が合ってるんだろうな」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:27:50.69 ID:INx0DLMrO
C
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:27:59.56 ID:r+sCQplFO
支援
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:28:08.36 ID:Ug6aEpMnO
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:28:24.20 ID:Ug6aEpMnO
支援
69 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:29:13.58 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「ま、ルビーは勇敢って意味があったしな。それで、これと明晰夢にはどんな関係があるんだ?
光って終わりじゃ芸が無いぜ?」
从゚∀从「何だ。意味も知ってるのか。男の癖に詳しいな。
ちょっと長くなるから心して聞けよ。
明晰夢なのに、出来る事が限られているってのは前に言ったよな?
この夢はかなり特殊でな。普通の明晰夢ならコントロール権限はお前らに委ねられる。
だが、ここには無いんだ。何故だかはわからないけどな――オレ様にも無いぜ?
その宝玉は、数ある制限のうちの一つを開放して、その力の行使を可能にするんだ」
男の癖に詳しいっていうのは余計だ。
絵のインスピレーションが沸くと思って買った雑誌に載ってただけなんだからな。
( ^ω^)「この宝玉は何が出来るようになるんだお?」
从゚∀从「聞いて驚け?何と"空を飛べる"んだ!」
( ^ω^)「空を?」
(^ω^)「飛べる?」
(゚ω゚)「…」
(゚ω゚)「SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!」
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:29:21.92 ID:XadeSsHWO
支援
71 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:31:11.53 ID:x2x9Zb+/0
( ゚ω゚)「どうやったら飛べるんだお!飛んでみたいお!」
こうか!こうなのか!とポーズを決めるブーンはその格好もあいまって何かの拳法に見えてしまう。
あ、あれだ。『豚拳』似合ってるじゃないか。
ポーズに飽き足らず飛び跳ね始めたブーンを呆れたようにオレとハインは見つめていたが、
それを止めるようにハインは言った。
从;゚∀从「そんなことやったって、飛べねぇぞ。
簡単なことだから落ち着け。宝玉をちょっと上に投げて『飛べ』って言うだけでいい」
( ^ω^)「やってみるお!」
鼻息も荒くブーンは手の中のルビーと向き合う。
いくら夢の中とはいえ、現実そっくりの夢なのに人が空を飛ぶなんて――
ブーンはルビーを放り上げ叫んだ。
( ゚ω゚)「"飛べ"ぇええええ!」
刹那、ブーンの周りに吹き荒れた突風にオレは思わず腕で顔を覆った。
一秒にも満たない突風が止み、腕をどけた視界の先にはトラックスーツの男は居なかった。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:32:19.39 ID:K1XYKGSqO
支援
73 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:33:10.49 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「ほんとに飛んでる…」
頭上には気持ちよさそうに空を駆けるブルース・リーがいた。
すげぇ…そんな呟きが思わず口から漏れる。
从゚∀从「だろ?宝玉は全部で五つだ。その中にはお前のもあるはずだぜ」
ニヤリと笑った顔はどこか野性的で意外とかわいかった。
クーとは正反対のかわいさと言うところだな。いや、やっぱどうでもいい。
ハインの話に出た五つの宝玉。それを集める事がこの夢の目的なのか。
そうすればこの夢から開放されるのだろうか。
だが、もしそうならば全て集めるのは遅らせなければならない。
まだ絵のインスピレーションを得ていないのだから。
('A`)「あんなの見せられたんだ。オレも一つくらいは欲しいな。見ろよあのブーンの様子」
その表情はここからでは遠すぎてよく見えない。
だが、その飛び方や時折聞こえる「ブーーーン!」の声から気持ちを容易に推し量る事が出来た。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:34:00.35 ID:Ug6aEpMnO
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:34:17.95 ID:Ug6aEpMnO
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:34:33.33 ID:Ug6aEpMnO
支援
77 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:35:08.60 ID:x2x9Zb+/0
从゚∀从「あぁ、実に楽しそうだな。オレ様も大満足だぜ。
ま、危険な事をしたあとだ。
これくらい満喫させてやっても罰は当たらないぜ」
ハインは玩具を与えて喜んでいる子供を見るような目でブーンを見つめていた。
ブーンはしばらく飛んだままだろう。話を切り出すのは今だろうか。
('A`)「なぁ、ハイン」
从゚∀从「何だよ。告白か?夢の中の存在に告白なんて馬鹿みてえだぞ」
――こいつ、分かってるくせに。オレは苛立って声を上げた。
(#'A`)「違う。お前は本当は何者なんだよ!この島が夢だと言う事も知っている。
宝玉の在り処!意味!使い方だって!
目覚めの使者って何だよ!お前も現実の存在なのか!?」
息を継ぐごとに叩きつけるように疑問を投げつけた。
思わず声を荒げたオレにハインの表情は暗くなる。
78 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:37:06.40 ID:x2x9Zb+/0
从 ∀从「それは言えない。お前はまだ何にも知っちゃいない。
言っただろう?この夢は思い通りにならないって。
制限がかけられているのはオレ様も同じだ!オレ様の制限は―――――――!
…聞こえたか!聞こえないだろう!?
知りたかったら宝玉を全部集めやがれ!この島の全てを知り尽くせ!
そうじゃなけりゃ――」
そうじゃなけりゃ――の後は声が小さくてよく聞こえなかった。『帰れ』とでも言いたかったのだろう。
オレ以上の勢いで叩きつけられたハインの台詞は重くのしかかる。
確かにオレはこの島についてわからないことだらけだ。
だからってそれをハインに聞くだけじゃダメなのかもしれない。
自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じて。それを頼りに自分で考えないといけないんだろうな。
さっきの話からするとハインはオレ達がビコーズと戦っていたのを見ていたに違いない。
でも、手を出さなかった。
ビコーズはオレ達を邪魔する存在。ハインはその逆でアドバイスをする存在。
どちらも"直接"は手を出せない。それがこいつらに与えられた制限なのかもしれない。
79 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:39:04.44 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「悪かった。今のは忘れてくれ」
从゚∀从「…分かればいいさ。
そうだ。あの爆弾の使い方だけは褒めといてやる。
これは、あくまで夢の中だ。普通の爆弾じゃ水の中で使えない物も多い。
あの爆弾も本来なら水の中じゃ湿気て使えなくなる。
だが、使えたのは何故か分かるか?」
('A`)「明晰夢、だからか?」
从゚∀从「そうだ。お前らに科せられた制限は多いが、何も全部制限されてるわけじゃない。
それが、物の性質の"変化"だ。ドクオはあの爆弾を水中でも使えるように変化させたんだよ。」
オレはあの時、あの爆弾は水中でも使えると信じていた。
"夢の中"なんだ。この爆弾でも水中にいる奴も吹き飛ばせるだろうと。
事実、それは水中で起動した。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:40:05.44 ID:INx0DLMrO
C
81 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:41:02.60 ID:x2x9Zb+/0
少し考えてオレは言った。
('A`)「それは、信じたからか?」
从゚∀从「それもあるけどな。今の解答じゃ五十点だ。やっぱり、先入観ってものがあるからな。
いくら信じようが先入観をぬぐえない限りは効果は発揮できない。
例えば、ドクオが持ってるナイフ。
『これは何でもスパスパ切れるナイフだ!』
と信じたところで、多少の切れ味はあがったとしても限界があるはずだ。
ドクオなら分かるよな?
"そんな何でも切れるナイフは現実に存在しない"って先入観があるからだ」
爆弾ならある程度の酸化剤があれば爆発できる。
そうじゃないと魚雷なんて誕生してないからだ。
だが、水中にいる敵を真っ二つにできるようなナイフは見たことも聞いたことも無い。
昨日のブーンが着ていたジャケットにしても
普段ならありえないくらいの量のカロリーメイトが中に入っていた。
これもジャケットには大量に物が入るように性質を変化させたと考えていいだろう。
これは、これからの冒険にかなり役に立つ。そうオレには確信できた。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:41:37.14 ID:Ug6aEpMnO
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:41:53.06 ID:Ug6aEpMnO
支援
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:42:09.13 ID:Ug6aEpMnO
支援
85 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:43:11.48 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「よく分かったよ、ハイン。
それじゃあ、教えてくれ。次はどこに行けばいいんだ?」
从゚∀从「すまないが、オレ様には言えない。
ついでに言えばもう何をすればいいのかも、手に入れた宝玉にどんな効果があるのかも言えないんだ。
…あらら、どうやらオレ様は喋りすぎたらしい。お前らにはもう会えないみたいだぜ」
そう言うハインの足は消えかかっていた。
それを分かっているのか矢継ぎ早に言葉を吐き出す。
从;゚∀从「いいか!ここは夢だ!普通の夢を思い浮かべろ!
普通の夢はいつも同じままか?違うよな!夢は支離滅裂に姿を変える!
この島もそうだ!ドクオ、変わったところを探せ!
ケフカポイントを探すんだ!ケフカポイントってのは…あぁ、クソ。自分で調べろ!
宝玉を集めろ!この島の全てを見ろ!そして―――」
オレ様に会いに来い!それを言い残してハインの姿は消えてしまった。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:44:14.67 ID:Ug6aEpMnO
支援
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:44:18.74 ID:r+sCQplFO
支援
88 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:45:11.22 ID:x2x9Zb+/0
ハインが消えてしばらくすると、空の旅を満喫したブーンが降りてきた。
(*^ω^)「おっおっwwwwwwww空を飛べるなんてすげーおwww
…あれ、ハインは?さっき叫んでたみたいだったけどどうしたんだお?」
('A`)「帰った」
真実を話すとこいつは色々やらかしそうだ。
少なくともここからいなくなったと言う意味では間違いないのだから不正解では無いだろう。
「ハインを怒らせるようなことしたんじゃないかおwwww」と浮かれているコイツには悪いが
今はそんな気分じゃない。
('A`)「それより、空から何か変わったものが見えなかったか?」
オレの質問にしばらく考えてブーンは言った。
( ^ω^)「んー、川があったお。昨日のドーナツ池からずーっと伸びて山の側を通って島の北東当たりまで。
不思議だおね?一日で川が出来るなんて」
('A`)「そこには何があった?」
( ^ω^)「滝があったお。滝の上には湖があって、その真ん中に穴が空いてたお」
そこだ。そこがハインの言っていた『ケフカポイント』だ。
島の変化した場所、オレ達に示された行き先はそこに違いない。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:46:55.19 ID:Ug6aEpMnO
支援
90 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:47:11.52 ID:x2x9Zb+/0
■夢―アレンテヴォレッツァ・緑の家
オレはすぐにでも滝へ行きたかったが、ブーンが無事でいることを知らせたいから、
と言う理由で一度アレンテヴォレッツァに戻って来ていた。
緑の家のドアを開けるとやかましい声と共にあの二人が顔を出した。
ノハ;゚听)「うぉおおおおおおおおお、兄ちゃんたち無事だったのか!!」
(*'ω' *)「よかったぽっぽ!夜になっても戻ってこないから心配してたぽっぽ!」
ノハ;;)「そうだぜ!ブーン兄ちゃんが死んじゃったんじゃないかって…うぇっ」
オレの心配は無しかよ。
叫んだと思ったら泣き出して遠慮無しにブーンのお腹へ顔をうずめるヒートを見てオレは心で涙した。
ブーンはただヒートが泣くのを止めるまで頭を笑顔のまま撫で続けていた。
あぁ、兄ちゃん、ってこんな感じなんだろうか。二人の様子を見るとそれをひしひしと感じた。
オレは、何て器の小さい奴だったんだろうか。
ブーンの器のでかさを改めて思い知ったオレの胸はしくしくと痛んでいた。
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:48:17.46 ID:Ug6aEpMnO
支援
92 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:49:23.99 ID:x2x9Zb+/0
■夢―アレンテヴォレッツァ北東・川沿い
泣き止んだヒートと別れ、オレ達は滝へと歩みを進めた。
ブーンは「クーや雑貨屋のお爺さんに伝えなくていいのかお?」と聞いてきたが、
「問題ない。あいつらなら口が軽そうだから村中に知れ渡るだろ」と返しておいた。
心配しなくてもそうなるだろう。夢ってのはそういう風に出来ている。
道中、ブーンはオレに配慮してかあれから宝玉を使っていない。
そんなの気にするな。と言いたかったが口に出せばそれは嘘になる。
空を飛ぶことは人類の夢だった。それを生身でやってのけたんだ。
嫉妬しない方がおかしいだろう?ブーンのその配慮は十二分に暖かかった。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:49:56.19 ID:r+sCQplFO
支援
94 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:51:29.38 ID:x2x9Zb+/0
■夢―アレンテヴォレッツァ北東・滝近辺
マイナスイオンは目に見えるものではないが、
服越しに伝わる清涼感から目的のものは近いことが分かる。
距離が縮まるにつれて下降して行く気温に、からっとした南国の暑さが恋しくなった。
ブーンはトラックスーツのおかげで仮にも長袖だ。脂肪の助けもあって寒さには強いだろう。
しかし、半袖のオレには『涼しい』というメーターを振り切って『寒い』に指しかかろうとしていた。
(;'A`)「ちょっと冷えてきたな」
(*^ω^)「そうかお?むしろちょうどいいくらいだと思うお」
すまん、お前に聞いたオレが馬鹿だった。
ますます快調に歩みを進めるブーンを見て、オレは腕をさすりながら脂肪のありがたみに思いをはせた。
95 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:53:26.06 ID:x2x9Zb+/0
■夢―アレンテヴォレッツァ北東・滝
北極のアザラシと脂肪の関係について脳内考察が始まりかけたころでようやく滝が見えてきた。
(;'A`)「でけぇ…」
音の規模からかなり大きいものとは予想していたが、
実際目の当たりにすると悪い意味で予想が外れていた。
エンゼルフォールとまでは言わない。
だが、幅三メートル、高さ四、五百メートル程の滝からは初心者お断りの空気がぷんぷんしていた。
(;^ω^)「これを登るのはドクオには無理そうだおね」
例えロッククライミングが趣味のドクオさんがいたとしても、何の道具も無しにこの崖を登るのは到底無理だ。
どうするドクオ。目的の場所は滝の上だ。
垂直の切り立った崖を登る力はオレにはないぞ?
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:53:40.48 ID:Ug6aEpMnO
支援
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:55:09.76 ID:XadeSsHWO
支援
98 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:55:23.40 ID:x2x9Zb+/0
('A`)「ブーン、オレを担いで飛ぶのは無理?」
( ^ω^)「やってみるかお」
俺を背負うとブーンは宝玉を放り上げた。
『飛べ』と言う命令と共に宝玉は輝きを増し、ブーンの体を突風が包み込む。
巻き上がる砂埃に目を瞑り、オレは飛行機に乗ったような浮遊感に包まれた。
しばらくしてブーンが話しかけてきた。
(;`ω´)「ド…ドクオ…」
(-A-)「ついたか?」
目を開けるとそこは滝の上!などではなく地上から数メートル浮かんだ程度だった。
これ以上ブーンが踏ん張ったところで木々の頭を越すか越さないか位だろう。これは無理だな。
('A`)「他に登り口みたいなのはなかったんだよな?」
(;'ω`)「周りは全部切り立った崖だお。最悪の場合はブーンだけでいくお?」
('A`)「最悪の場合はな。だが、入り口は他にもあるだろ。
映画とかでも良くあるじゃないか。滝の裏とかさ」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:57:13.95 ID:Ug6aEpMnO
支援
100 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:57:21.12 ID:x2x9Zb+/0
■夢―滝裏
実に良く出来た夢だ。ありふれたシチュエーションだが助かるよ。
滝の裏には不釣合いな地下へと続く人工の階段があった。
その階段を隠すように周りは大きな岩が並べられていた。
足場の悪い事もあってその岩に寄りかかろうとしたブーンをジェスチャーで『やめろ』と合図する。
( ^ω^)「な・ん・で!」
('A`)「あ・し・も・と・を・み・ろ!」
滝の音に邪魔されるため嫌でも声を張り上げないといけない。
岩の隙間からは水がわずかに漏れ出していた。つまりこの岩は階段を隠すためではなく、
中に水が入らないようにするために置いてあったのだ。
それが分かったのかブーンの目じりが下がり、唇の動きだけだったが「すまんお」と言っているのが見てとれた。
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:57:30.70 ID:r+sCQplFO
支援
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:59:03.20 ID:Ug6aEpMnO
支援
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:59:10.22 ID:utS9u2ksO
支援
104 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/19(火) 23:59:18.32 ID:x2x9Zb+/0
■夢―滝裏の洞窟・入り口
長い階段を下りると東南アジアの遺跡を思わせるような細い通路が現れた。
壁には松明が掲げられそれなりの光源は保たれている。
この先が真っ暗になっていないとも限らない。念のため二つ取りブーンに一つ渡した。
漏れ出した水をどうするかはこれを作った人も考えたのだろう。通路の両端には水路がひかれていた。
( ^ω^)「この水路をたどっていけば方向からしてあの穴のところまでいけそうだお」
('A`)「そうか?そう簡単にはいかないと思うぜ」
この奥には、ビコーズのようにオレたちの邪魔をする奴がいるだろう。
そいつもモンスターを従えているかもしれない。
ビコーズのように開戦宣言でもしてくれればいいが、残った宝玉を守るのは四人。
そいつらが全員そうしてくれるとは限らない。
ハインの事もある。どこで見ているかわからないんだ。いつ奇襲されてもおかしくは無い。
オレは「警戒はしておけよ」とブーンの胸をこつんと小突いた。
…こいつ意外と筋肉あるな。ちくしょう。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:59:19.21 ID:Ug6aEpMnO
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:59:34.03 ID:Ug6aEpMnO
支援
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:59:49.17 ID:Ug6aEpMnO
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:00:05.37 ID:UhSuHl/SO
支援
109 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:01:19.37 ID:38tevGW40
■夢―滝裏の洞窟・迷路
オレの言ったとおり、そう簡単にたどり着かせてくれる気は無いようだ。
細い通路を抜けると迷路のように入り組んだダンジョンがオレとブーンを歓迎した。
(;^ω^)「おー…迷路は苦手だお」
だろうな。こいつに初期のウィザードリィをやらせたら速攻で投げ出しそうだ。
('A`)「こういう時は壁に手を当てて行けばいいんだよ。右から行くぞ」
オレはナイフを出すと目の前の壁に右矢印を刻み、迷路の奥へと踏み出した。
110 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:03:16.61 ID:38tevGW40
('A`)「…………。(ガリッ)…………。(ガリッ)
………………。(ガリッ)………。(ガリッ)………(ガリッ)」
( ^ω^)「…」
('A`)「……(ガリッ)。………………(ガリッ)。……(ガリッ)。
……………(ガリッ)。…………(ガリッ)」
( ^ω^)「ドクオ…?何をぶつぶつ喋って――」
('A`)「…………。(ガリッ)すまん、今集中してるんだ。…………。(ガリッ)
………。(ガリッ)あとで話すよ………。(ガリッ)」
―――さっきここは行き止まりで戻ってきたから…12まで戻って『13:左に曲がって十三歩』1,2,3,4,5…。
(;'ω`)「…」
('A`)(すまん、ブーン…)
ブーンの気まずそうな雰囲気は背中越しに伝わって来ていた。
オレ達にもしも何かあった場合、この迷路はオレだけで突破する事になる。
ブーンには不本意かもしれないが、あの穴から宝玉で脱出してもらえばいい。
だから、道のりを完璧に頭に叩き込んでおく必要があるんだ。
―――八歩目で右に曲がる。1,2,3,4…
111 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:05:21.02 ID:38tevGW40
■夢―滝裏の洞窟・中央
三十分ほど時間をかけ、オレ達は上り階段を見つけた。
( ^ω^)「日の光が見えるお!」
('A`)「ようやく抜けたか」
迷路の記憶はここまででいいだろう。
覚えているか、ドクオ?――――――――――よし、大丈夫だ。
階段を登りきるとドーム状の開けた部屋に出た。
壁は今までのような人工の岩壁ではなく土で出来ていて、木の根が所々から見え隠れしていた。
部屋の中央には大木が聳え立っていて、天井に開いた穴から光を受けている。
天井に開いた穴は人一人なら簡単に飲み込めるようなものだが、
わずかな光でこの木がここまで育つのにどれほどの時間が掛かったのだろうか。
樹齢うん百年、それ以上かもしれない。
大木から階段までは大理石で作られたようなつやつやの通路が一本延びていて、その周りは――
(;^ω^)「また池かお…。これ全部スライムだったりはしないかお?」
('A`)「それはないな。魚だっているんだぜ?これが全部スライムだったらお手上げだ」
ブーンは「アユがいるお!これ焼いたら絶対旨いお!!」と子供のように喜んでいた。
今からドンパチあるかもしれないのに暢気な奴だ。その性格羨ましいよ。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:06:30.91 ID:UhSuHl/SO
支援
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:06:46.00 ID:UhSuHl/SO
支援
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:07:01.10 ID:UhSuHl/SO
支援
115 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:07:18.93 ID:38tevGW40
( ><)「よくきたんです」
木の根元へたどり着くと予想通り宝玉の番人が現れた。
ビコーズより少し幼く見えるがおそらくオレ達と同年代の男だ。
番人の服装は統一されているのかもしれない。
ビコーズのときは意識していなかったが目の前の男の服装は黒地に染められたシャーマンのようだった。
しかし、駄々をこねる子供みたいな男の顔とはあっていない。
ビコーズの方が何倍も似合ってたといえる。
('A`)「さぁ、今度はどんな勝負をするんだ?」
( ><)「驚かないんですね。僕にはわかんないんです」
('A`)「夢の中だ。それに、前にも一人見てるしな。
浮かんでるのも、急に現れるのも慣れっこだよ」
( ><)「そうですか…わかったんです。今回の勝負はあなたに挑むんです」
男はゆっくりと手を伸ばすと、メニューの品定めをするようにオレを指差した。
ビコーズと同じだ。その顔は猟奇的に歪みつつあった。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:09:02.21 ID:UhSuHl/SO
支援
117 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:09:16.90 ID:38tevGW40
('A`)「オレか。ってことはここの宝玉はオレのものでいいのか?」
( ><)「それはわからないんです」
(;^ω^)「ドクオ!ブーンも一緒に…」
ブーンを置いて話を進めるオレ達に慌てたようにブーンがオレの肩を掴んだ。
その手を掴み返しオレは笑って返した。
('∀`)「安心しろ、ブルース・リー。オレは負けない」
(;^ω^)「でも、まだドクオは宝玉を…」
( ><)「そうですか。やはり勇敢のルビーは"そちらの方"がもってたんですか」
118 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:11:14.51 ID:38tevGW40
('A`)「どういうことだ?」
( ><)「簡単なんです。そちらの方は僕を見た瞬間、無意識にポケットへ手を突っ込んだんです。
でも、あなたはナイフを構えただけ。
宝玉の力を知ったばかりのあなたたちならその力をどうしても頼るはずなんです。
この島では武器を手に入れるのは容易じゃないんです。
ならば無くならない武器は何か。それは宝玉なんです。
例えば『勇敢のルビー』なら突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単です」
だからです。と付け加えると男はくるりと一回転していやらしく笑った。
ちっ、オレと同じ論破タイプか。こいつがブーンの相手にならなかったのだけはよかった。
( ><)「それじゃ、ブルース・リーさん。上の穴からご退場願うんです」
男はブーンを指差した後、出てけ!とでも言うように天井の穴を指差す。
ブーンは心配した顔つきでオレを見た。
( ^ω^)「ドクオ、本当に大丈夫かお」
('A`)b"「やってやるさ。でも、何かあった時は助けてくれると有難いな」
力強く頷くと、ブーンは天井へと飛んでいった。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:11:58.42 ID:ZDdoAo4DO
支援
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:12:20.85 ID:UhSuHl/SO
支援
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:12:37.12 ID:UhSuHl/SO
支援
122 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:13:12.46 ID:38tevGW40
ブーンが外へ出たのを確認すると、男は指を鳴らした。
するとさっきまであった天井の穴がいつのまにか塞がれていた。
それでも中の様子を目視できるほど明るいのは気になるが、夢だからと割り切る事にする。
( ><)「これで、邪魔は入らないんです」
('A`)「ちっ」
これで何かあったときにブーンに助けてもらう事は出来なくなった。
迷路を抜けるのはブーンだけでは時間が掛かりすぎる。
ナイフの跡がついているとはいえ、何度も道を往復したせいでその跡は無数にあった。
一応矢印の後ろに数字を書くことで最も大きい数字を辿れば中央に行けるようになっている。
だが、ブーンがそれに気づいてくれるかどうか。
そんなことを考えていると、男の方は準備が整ったらしい。戦闘開始の合図だ。
( ><)「それじゃ、始めるんです。僕の名前は"わかんないんです"。
名前が分からないわけではなく、"わかんないんです"が名前なんです」
('A`)「あぁ。わかんないんです、だな。オレはドクオだ。
さて、何で勝負するんだ?またモンスターか。生憎武器はこれだけしかないが、精一杯戦ってやるぜ」
互いの自己紹介の後、オレはナイフを構えた。
でかい奴が相手ならオレの勝算は限りなくゼロに近い。
ブーンさえいれば何とかなるかもしれないが、今の状況でそれを望むのは酷だった。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:14:00.17 ID:oLjSrgcMO
支援
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:14:37.20 ID:UhSuHl/SO
支援
125 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:15:09.87 ID:38tevGW40
( ><)「そんなのは必要ないんです。相手は僕でもモンスターでもないんです。
勝負には――これを使うんです」
わかんないんですが懐から何かを取り出しオレに投げてきた。これは―――
('A`)「宝玉か?ブーンのとは違うな。青いからサファイア…いやアクアマリンか。
何故オレにこれを渡す?これを手に入れることが勝利条件だと思ってたんだがな」
( ><)「フフ、物騒な事なんてしないんです。このアクアマリンは『知』の宝石。
あなたにはこれを使ってこの洞窟から脱出してもらうんです。
この洞窟の迷路は複雑に入り組んでいるんです。
あなたの知性を試すことがこのわかんないんですの勝負なんです」
です、ですと何か引っかかる喋り方だ。丁寧なのかよく分からない言い方にイライラした。
('A`)「分かったよ。お前も直接手を出さないんだな?」
( ><)「出さないんです。と言うより出せないんです。制限だから」
126 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:17:08.01 ID:38tevGW40
ここにきて制限か。番人には直接オレ達に手を出す事が出来ないルールがあるらしい。
番人がブーンみたいに力のある奴ならまだしも、
わかんないんですみたいなタイプにはあまり関係の無い話だ。
ビコーズも直接オレ達を攻撃はしなかったが、スライムを操ってオレを潰そうとした。
精神攻撃も含めて、番人には間接的に攻撃をすることは制限されていない。
こいつはオレと似ている。脱出に関しても一筋縄ではいかないだろう。
ここにはスライムのようなモンスターは見えなかった。
わかんないんですもいないと言ったが、それが本当か嘘かは分からない。
――だから信用は出来なかった。
('A`)「オーケー。お前らのルールも一つ分かった。だが、単に脱出するわけじゃないんだろ?」
( ><)「よくわかってるんです。こうするんです」
後ろに気配を感じた時には遅かった。
津波がオレの背中を押し、大木に叩きつけた。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:18:42.50 ID:UhSuHl/SO
支援
128 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:19:19.98 ID:38tevGW40
( ><)「あらら、ちょっと強かったんです。傷でもついたら大変だったんです。
松明を消させてもらったんです。迷路の中も同じなんです。
でも、最初から真っ暗なのも可哀想だからここの入り口の松明だけは残してあげたんです。
感謝するんです。あ、その松明も使っちゃダメなんです。
"あなたには"
"真っ暗なこの洞窟を"
"一人っきりで"
抜けてもらうんです」
聞こえてるんです?とわかんないんですは全然気にもしてないような様子で、声をかけてきた。
オレはそれに対しゲホゲホと咳で返した。
くそっ、現実だったらでっかい痣が出来てるだろうな。
ふらつく頭を抑えながら立ち上がる。ブーンとは違う悪意のこもったニヤニヤ顔でオレを見下すわかんないんです。
負けるわけにはいかなかった。いや、負けるはずが無い。
オレは頭を振って意識を呼び戻し、気合を入れた。
"迷路はオレの頭の中に入ってるんだぜ?わかんないんです。"
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:19:51.23 ID:ZDdoAo4DO
支援
130 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:21:20.60 ID:38tevGW40
目をつぶっていても道は分かる。心配は無い。
オレはその手に青く輝く宝玉を持って迷路へと入っていった。
(*<●><●>)「制限時間は無いんです。でも、なるべく早く頼むんです。
そうじゃないと―――
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
とても楽しみなんです!苦しむんです!泣くんです!自分の無力を嘆くんです!
そして…死ぬんです」
悪魔の笑い声だけが洞窟の中にずっと響いていた。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:23:15.72 ID:ZDdoAo4DO
支援
132 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:23:18.24 ID:38tevGW40
■夢―滝裏の洞窟・迷路
オレは、松明の明かりが届かない場所まで進んでから止まっていた。
今の状態は少なくとも良好とは呼べない。
体も痛いが、服が濡れたせいで洞窟内の温度がより低く感じられる。
それが、オレの集中力を奪いつつあった。
――だが、今は落ち着かなければならない。
もしも、この迷路の中にトラップが仕掛けられていたら?
今はわかんないんですとの勝負の最中だ。さっきまでは無くても今はあるかもしれない。
いくら頭の中に地図があるとはいえ、トラップを見逃して引っかかっては意味が無い。
――だから、今は落ち着け。暗闇に目が慣れるのを待つんだ。
真っ暗になって気がついたが、迷路の壁にはヒカリゴケの一種だろう。
わずかな光を放つコケが自生していた。宝玉から漏れる光だってある。
こればかりを頼りにすることは出来ないが、完全な暗闇と言う状態からは免れる事が出来た。
――光が無いわけじゃない。大丈夫だ。落ち着け、ドクオ。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:23:49.51 ID:UhSuHl/SO
支援
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:24:10.28 ID:UhSuHl/SO
支援
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:24:29.32 ID:UhSuHl/SO
支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:24:45.88 ID:UhSuHl/SO
支援
137 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:25:23.66 ID:38tevGW40
ブーンがいないのが心細い。
普通ならこんな場所に一人で飛び込んだりはしないからだ。
――ダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだダメだ。
どうして今そんなことを考えないといけないんだ。脱出する事だけを考えろ!
いない奴のことを考えるな!
意気込んでは見たものの、どうやら先制パンチをもらったのはオレの方だったらしい。
全然オレらしくない。
胸の動機はなかなか収まってはくれなかった。
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:26:42.01 ID:oLjSrgcMO
支援
139 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:27:22.00 ID:38tevGW40
それから動き始めたのは五分ほど経ってからだった。
よし、これなら見える。
体の痛みも治まってきた。寒いのはどうしようもないが、これなら行ける。
脳内の地図を開いて出口までのルートを割り出す。
そうだ。オレは帰宅部のエースなんだ。これは迷路じゃない。
家に帰るまでの道のりと思えばいい。
いつもと、同じだ。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:28:44.24 ID:UhSuHl/SO
支援
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:28:49.42 ID:ZDdoAo4DO
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:29:04.64 ID:UhSuHl/SO
支援
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:29:14.72 ID:yD1qNaWA0
支援
144 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:29:23.63 ID:38tevGW40
('A`)『右に曲がって十三歩。1,2,3,4,5,6…
よし、ナイフの跡もある。よく見えないけど』
道のりはちょうど半分に差し掛かるところだった。
まだ順調だ。何も恐れる事は無いが気を抜くなよ、ドクオ。
このままだと宝玉も使う必要はなさそうだ。外に出てから効果を調べればいい。
('A`)『次は左に曲がって七歩。1,2,3,4―――』
5と踏み出したところでオレの脚は止まった。
ない。
"あるはず"の道が無い。
オレの目の前にはでかい壁が立ちはだかっていた。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:29:32.98 ID:UhSuHl/SO
支援
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:30:39.89 ID:oLjSrgcMO
wktk
147 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:31:21.90 ID:38tevGW40
('A`)「嘘だろ…?」
宝玉を掲げもう一度確認する。どうみても壁だった。
ありえない。ここまでの道のりは完璧だ。
ナイフの跡だってあった。
そうだ。曲がる前に確認したじゃないか。
じゃあ、オレの目の前にあるのは何だ?
――落ち着け!もしかしたら間違えたのかもしれない。一度引き返そう。
148 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:33:28.38 ID:38tevGW40
引き返すと曲がり角にはナイフの跡が無かった。
そうか、もう一つ前の角だったんだ。そうに違いない。
中央からの道のりも覚えている。落ち着いて引き返せばいいんだ。
ナイフの跡を探せばいい。そこから再スタートだ、ドクオ。
気のせいかさっきよりも体が冷えてきたようだ。
ちくしょう、早く外に出て太陽の光を思いっきり浴びたいぜ。
オレは脳内の地図を開いた。ここから戻るには…確か十三歩だ。
1,2,3,4,5,6…
七歩目を踏み出そうとした時、ふと足元に細長いものが落ちているのに気がついた。
('A`)(ロープか?ついてるぞ!)
拾おうと身を屈めると細長い物体が『触るな!』と言うようにオレの手を避けた。
('A`)(え、ロープじゃ…)
顔を上げると天井には巨大な食虫植物が――いや植物にはあるはずのない人間の口がついた植物がへばりついていた。
ロープじゃ…ない。これはこいつの触手だ!
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:34:47.60 ID:UhSuHl/SO
支援
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:35:03.20 ID:UhSuHl/SO
支援
151 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:35:27.26 ID:38tevGW40
『食われる』その四文字が頭の中に点灯した瞬間オレは思わず飛び退った。
(;'A`)「ひぃっ!」
――食 わ れ る
バランスが崩れて尻餅をついてしまった。
――ク ワ レ ル
それでもあの触手から逃げるために必死に後ろにズリズリと下がる。
――くわ
背中にひんやりした硬いものがぶつかる感触がした。
(;'A`)(壁か?)
恐る恐る振り返ると、それは壁なんかじゃなかった。
152 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:37:25.12 ID:38tevGW40
振り返ったオレの後ろには二本の丸太――――じゃない。
丸太のように太い足があった。
(;'A`)「ブ、ブー――」
ン?見あげたそこにはにやけ顔なんかこれっぽっちもなかった。
( ゚ ゚)「…」
デスマスクを被った死刑執行人が血走った目でオレを見下ろしていた。
死刑執行人が腰へ手を伸ばし、一振りの両刃剣をゆっくり、ゆっくりと抜き始める。
ハァ…ハァ…ハァ・・・
次第に現れる刀身は――あぁ、血を払うのを忘れてたんだろうな。
ハァ…ハァ…ハァ・・・
全体が錆びていて――あの剣で一体何人の人を切ったんだろうな。
ハァ…ハァ…ハァ・・・
錆びは血でどす黒く変色していた。――あんなので切れるのかな。いや、関係ないか。思いっきり振り下ろせばそれで終わる。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:38:04.36 ID:UhSuHl/SO
支援
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:38:26.64 ID:UhSuHl/SO
死援
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:38:42.78 ID:UhSuHl/SO
死援
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:38:59.09 ID:UhSuHl/SO
死援
>>122 >迷路を抜けるのはブーンだけでは時間が掛かりすぎる。
ブーンだけでは?
158 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:39:23.01 ID:38tevGW40
人間死ぬときって時間がゆっくりになるって言うが、この感じがそうなのか。
殺されるのか。
死ぬのか?
オレが?
あいつに負けるのか?
嫌だ、死にたくない。死にたくない!
( ;A;)「う、動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け
動け動け動け動け動け動けぇ!」
死刑執行人の剣が振り上げられる。
( ;A;)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
叫んだことで自由になった足でオレは身振り構わず逃げ出した。
――これなら、こんなことなら見えないほうがよかった。
159 :
◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:42:08.16 ID:a3pinnp1O
>>157 すまん、説明が足りなかったみたいだ。
穴から外へ出て入り口から迷路に入ったブーン一人だけでは
突破は無理だろうということです。
160 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:42:09.18 ID:38tevGW40
(;'A`)「に…逃げ切れた…」
まだ心臓が暴れている。
前にも後ろにも敵の姿はない。足音も無く、ただオレの呼吸音だけが全てだった。
とりあえず何とか逃げ切ることはできた。だが、その代償はかなり大きかった。
頭の中の地図は既に白紙。もう何も思い出せない。
あんなパニックの状態でも、どう道を通ったかを覚えていたのは奇跡だった。
だが、そんなのは何の役にも立たない。今戻れば確実に殺される。
まだ罠の方がましだった。モンスターがいないのはブラフ、あんな化け物を用意してやがった。
今、オレの手元に爆弾は無い。ナイフ一本であんな化け物と一人で戦えるわけが無い。
完全にお手上げだ。
くそっ、何が地図だ。あんなのが相手じゃ地図なんて何の役にも立たない。
もしも迷路の出口に先回りされてみろ。絶対に無理だ。
だが、もしもブーンがこの中に戻って来ていたら?ブーンでも勝てないかもしれない。
対策が思い浮かばない。絶体絶命だ。
(;'A`)「クソっ」
161 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:44:13.06 ID:38tevGW40
力が抜けた。壁に背中を当てずるずると座り込む。
(;'A`)「冷たっ!」
間違えて水路に座り込んだのか?
それは違った。宝玉を足元に近づけると目を疑いたくなる光景が広がっていた。
嘘だ。オレはかぶりを振った。
水は水路をはみ出し、オレの足首のところまで水が来ていた。
信じられない。水かさが上がっていた。
>>159 え、穴って外と直接つながってるんじゃないの?
支援
163 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:46:00.09 ID:38tevGW40
(;'A`)「わかんないんですが早くしろって言ってたのはこういう意味か。
迷路で時間を食えば脱出出来ずに、溺れてしまう」
つくづくオレは水難の相があるようだな。
今はモンスターもいない。目を閉じろ。集中しろ。落ち着け!考えを一度整理だ。
迷路にはモンスターを放って脱出を困難にする。そして水を流して時間制限を設けた。
暗く狭い空間は嫌でも心を圧迫し、一人と言う恐怖感がオレを追い詰める。
そういう算段だろう。
オレが今ここで目が覚めたらどうなるか。ダメだ。それじゃ一時的なしのぎにしかならない。
夢へ再突入する際は毎回同じ場所に出てきている。
一晩たてば迷路は水没してしまうだろう。その中へ飛び込めば間違いなく溺死する。
(;'A`)「あぁ、クソ。冷たいし、勝つ方法が見えてこねぇ」
目を開けると死刑執行者が目の前に立っていた。
(;'A`)「あ――」
立とうと足を動かすが、波紋を立てるだけで上手く立ち上がれない。
遅かった。
音も無く現れた死刑執行者は既に剣を振り上げていて、オレの脳天めがけて振り下ろされた。
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:47:05.55 ID:UhSuHl/SO
死援
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:47:22.29 ID:UhSuHl/SO
死援
166 :
◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:48:49.27 ID:a3pinnp1O
>>162 天井の穴は塞がれたためブーンが再びドクオのところへ行くためには
滝裏からもう一度迷路を通る必要があるんです。
描写しきれてなかったかも、すまん。
167 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:48:53.37 ID:38tevGW40
■夢―滝裏の洞窟・中央
数十分後、再びオレはわかんないですの待つ、中央への階段を登っていた。
( ><)「どうして戻ってきたんです」
わかんないですは明らかに不快の表情を示していた。
('A`)「何、色々忘れ物しててね。例えばこれとか」
オレは階段の壁に備え付けられていた松明を見せると、その表情はなお険しいものになる。
( ><)「松明を迷路で使うことは禁止なんです。聞いてなかったんです?」
('A`)「迷路"では"使わない。"ここ"で使うんだ」
オレは更に一歩踏み出す。
どうやら土壇場で思いついたアイディアは大正解だったらしい。
さぁ、証明の時間だ。
('A`)「ここから脱出してやるよ。それを今から…証明してやるぜ!」
169 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:50:50.99 ID:38tevGW40
('A`)「まずは、お前の出したルールから解説してやろう。
お前は何て言った?
『"洞窟"を抜けて脱出しろ』だったよな。
『"迷路"を抜けて脱出しろ』じゃなかった。
その後『この洞窟の迷路は複雑に入り組んでいる』と伝える事で
お前は脱出経路が迷路しかないとオレに思い込ませた。
行き先を限定させたんだ」
事実オレはそう思い込んで迷路の中に入った。
わかんないんですは迷路を抜ける自身があるのを知っていてオレをあおったんだ。
('A`)「次に、迷路の中へ水を流し込んでオレを自滅させるための準備を整えた。
時間がたてば水はオレの足を重くするし、体温も奪う。時機に天井まで水が溜まってお仕舞いだ。
まぁ、オレが迷路の地図くらいは作ってるかもしれないからな。
すぐには出口へ逃げられないようにする必要があった。
だからお前はもう一つオレに情報を与えたんだ」
170 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:52:52.33 ID:38tevGW40
オレは続けた。
('A`)「それがモンスターの存在だ。例えいないと言っても警戒はするだろうからな。
そうすることで多少の時間稼ぎもできた。
そして現れたのが食虫植物と死刑執行人だ。
急に現れればさすがにオレも驚くし逃げる。勝ち目がないからな。
――ここからが重要だ。よく聞けよ?
あの剣で切られれば、食虫植物に食べられれば。そりゃあ死ぬだろうな。
それがもし"本当"に存在して居たらの話だ」
( ><)「それで?」
('A`)「お前はオレ達が最初から持ってる『物の性質を変化させる力』を逆に利用したんだよ。
最初、あれは幻影だった。食虫植物の触手がオレがそれだと確認するまで逃げたのもそのためだ。
確認する前に触られたらそれが幻だとすぐにばれるからな。
死刑執行人のほうもあれはいいタイミングだったぜ。
改めて考えればオレが背中をぶつけたのはあいつの脚じゃなく壁だったんだ。
だが、オレの目には通路に立っている死刑執行人に見えるわけだ」
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:54:13.55 ID:UhSuHl/SO
支援
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:54:30.19 ID:UhSuHl/SO
支援
174 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:54:50.14 ID:38tevGW40
('A`)「そしてオレは"あの剣に切られたら死ぬ"と幻影の性質を変化させた。
オレ自身この力をまだよく知らなかったからな。ハインに聞いてなきゃ終わってたぜ。
どうだ、ここまであってるか?」
わかんないですはしばらく黙っていたが苛立たしげに口を開いた。
( ><)「…正解なんです」
よし、ここまでは完璧だ。だが、あいつはまだ逆転できると信じているはずだ。
そこを、突く。
わかんないんです、お前にはもう逆転の可能性は残っていないんだぜ?
( ><)「どうして幻影だと分かったんです?」
予想通りの質問だ。オレは慌てず返す。
('A`)「二回目に死刑執行者が現れたとき音がしなかった。
一回目は気も動転していたから音なんて関係なかった。
あの時水はオレの足首まで来ていた。その中を水音一つ立てずに移動するのは不可能だ。
それに、致命的な"ミス"もあった」
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:56:36.60 ID:UhSuHl/SO
支援
176 :
◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:57:04.49 ID:a3pinnp1O
177 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:57:09.01 ID:38tevGW40
強調された『ミス』と言う単語にわかんないですの顔が歪む。
('A`)「オレの出した水の波紋がそのまま通り抜けたんだよ」
普通なら障害物にぶつかれば、波紋の広がりはそこで阻害される。
だが、波紋は死刑執行人の足元をそのまま通り抜け反対側の壁まで広がり続けた。
('A`)「だから、オレはこの死刑執行人は偽物だと気づいた。
そして、お前が言った"モンスターはいない"の情報が確定された」
もしもあそこで『モンスターがいる』と言えば。水を迷路に流し込んでいなければ。
それだったらオレは死んでたかもしれなかったがな。
してやったり顔を作ると、わかんないですの顔がどんどん赤くなっていった。
(#><)「だったら、幻影の正体は!?脱出はどうするんです!?
どうしてそのまま入り口に行かずここへ戻ってきたんです!?」
頭に血が上ったままだと冷静な判断が出来なくなるぜ?
まぁ、それがオレの狙いなんだがな。そろそろオレのゴールも近い。
ラストスパートと行こうじゃないか。
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:58:53.15 ID:UhSuHl/SO
支援
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:59:02.58 ID:oLjSrgcMO
支援
180 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 00:59:23.32 ID:38tevGW40
('A`)「まずは幻影の正体からだ。
お前は松明を消す時に津波でオレをあの木に叩きつけた。
その時お前は『傷でもついたら大変だったんです。』と言った。
最初は勝負が始まる前にオレに怪我をされたら不味いのかと思った。
だが、そうじゃなかったんだ」
オレは松明を目の前に掲げ、わかんないですへ向かって歩き始めた。
(;><)「近づくななんです!」
怯えた様子のわかんないですの声は裏返っていた。
('A`)「その木がお前のモンスターみたいなもんだったんだ。
木が燃えるのは当たり前だ。オレはあの時、数歩踏み出せば火をつけられる位置にいた。
お前はそれが怖かったんだ。だから急いで火を消した。
予想以上に飛ばされてオレが打ち付けられたことで、木が傷ついていないか怖かったんだ。
そしてお前はこの木に指示を出し、オレに幻影を見せた」
この木がどうやってオレに幻影を見せたのかはわからない。
幻影を見せる木なんて現実には無いし、その原理も分からない。
だが、確実に言えることはこの木が幻影の正体だと言うことだ。
181 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:01:25.99 ID:38tevGW40
('A`)「さて、次だ。どうしてここに戻ってきたか。
それは簡単だ。最初に言っただろ?脱出経路を迷路に限定させたって。
もしも無いんなら、お前は迷路抜けると言えばよかった。
言わなかったってことは、他にも脱出経路があったってことだ。
そしてもう一つの理由」
一旦立ち止まり、オレは周りを囲っている池を指差した。
('A`)「あの魚はアユだ。川魚であるアユがどうしてここにいるんだ?
どうして、大した光も無いのに目が退化していないんだ?
それはつまり。この池と外は繋がっているってことだ。
もちろん、それがオレに抜けられそうに無いくらい小さな通路であれば、同じように迷路をぬけろと言えばよかったんだ。
でも、言わなかったってことは。そこがもう一つの脱出口だったからだ!」
木までの距離は残り三メートル程だ。オレはまた歩き出す。
すると景色が歪み始めた。
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:01:40.56 ID:UhSuHl/SO
なるほど
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:03:26.14 ID:UhSuHl/SO
支援
184 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:03:52.17 ID:38tevGW40
('A`)「無駄だ。種は見切った。もうオレに幻影は通用しない」
オレの体は剣を振り下ろした死刑執行人をそのまま素通りし、食虫植物の口をすり抜ける。
歩みを止めないオレに、わかんないんですはついにキレた。
(#<●><●>)「まだ、脱出方法を聞いて無いんです!
止まれ、止まって答えろドクオおおおおおおおおおお!」
('A`)「何、木に火をつけたら教えてやるよ。
こんだけでかけりゃ灰になるまでたっぷり時間があるぜ?」
オレの台詞が終わらないうちに水柱が六つ立ち上がる。
階段の方から激しい水しぶきが上がった。あれでは階段の松明も消えただろう。
(#<●><●>)「これで、お仕舞いなんです。ドクオの松明を消せばもう勝ち目は無いんです!
最後の最後に詰めを誤ったんです!」
六つの水柱の先端がオレめがけて飛んでくる。
あれに当たれば松明どころかオレの命すら危ういだろう。
だが―――それも予想の範囲内だ。
('A`)「わかんないです。この松明は"水なんかじゃ消えない"ぜ?」
オレは池へと飛び込んだ。
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:05:03.45 ID:ZDdoAo4DO
支援
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:05:18.30 ID:oLjSrgcMO
かっこいいな
支援
187 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:05:49.83 ID:38tevGW40
(*<●><●>)「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
ドクオ、あなたは実に馬鹿なんです。
あの松明が水中用で無いことくらいはわかってたんです!
物の性質を変化させるには先入観があっては使えないんです!
あなたは水で松明が消えるのを見た!
もうそれは先入観として刷り込まれてたんです!
僕の、勝ちなんです!
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!
あー、愉快なんです。やっぱり僕の勝ちだったんです!
詰めが甘すぎて虫歯になっちゃうんです!
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:07:01.86 ID:UhSuHl/SO
狂ったwww
189 :
◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:08:15.22 ID:a3pinnp1O
>>184 アッー。
ドクオの最後のセリフは
×わかんないです
○わかんないんです
超すまん。
190 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:08:16.24 ID:38tevGW40
ったく、思いっきりやりやがって。少し乾いたと思ったらまたこれかよ。
(*<●><●>)「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―――――――――ハ?」
('A`)「気色悪い笑い方すんじゃねぇよ。阿呆」
通路に這い上がったオレの手には、消えるどころかメラメラと燃え続ける松明があった。
(;<●><●>)「どうして…どうしてなんです!性質を変化させる事は不可能じゃ――」
('A`)「お前、自分で口滑らせといてまだわかんねえのか?阿呆」
オレの台詞とともに水中から出てきたのはあの宝玉。
手に収まると無くさないようにオレはポーチへ入れた。
('A`)「何でって顔してるな。
宝玉を使って脱出しろって言ったのはお前だ。迷路から脱出したんじゃ宝玉は使った事にならない。
これもこっちに戻ってきた理由だ。
オレに空は飛べない。宝玉の効果は重複しないだろうしな。
だったら脱出ルートは水の中。かなりの距離を泳ぐ事になるだろう。
所詮オレは一般人。潜水のプロでもなきゃ何分も息を止めるなんて出来やしないさ。
だったら、この宝玉の効果は何か。
水中でも行動可能にする。"潜水"の効果を持った宝玉だったんだよ!」
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:08:32.02 ID:ZDdoAo4DO
支援
な、何だってー!!
支援
193 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:10:23.15 ID:38tevGW40
('A`)「そして、お前は更に口を滑らせたよな。
"突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単"って。
オレ達は宝玉が他人に対して効果を発揮するなんて情報は知らなかった。
そこからオレは松明に対しても宝玉の力を使えるんじゃないかと考えた。
事実、それは使えた。これがその証拠だ」
オレは松明を真っ直ぐ突きつけたまま、わかんないんですに向かって自信たっぷりに歩き出した。
わかんないんですの真っ赤だった顔がどんどん青ざめていく。
これでとどめだ。
('A`)「お前が!お前がその口で!敵であるオレに皮肉にも大量のヒントをもらし続けてたんだよ!
この―――阿呆がっ!」
(#<●><●>)「あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
この、このど畜生があああああああああああああああああ!」
証明終了だ。一言付け加えるとオレは燃え盛る松明を木の根元へ落とした。
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:11:31.63 ID:ZDdoAo4DO
支援
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:12:13.98 ID:UhSuHl/SO
支援
196 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:12:20.22 ID:38tevGW40
■夢―滝
何百メートル泳いだだろうか。
曲がりくねった細い水路の彼方にようやく日の明かりが見えた。
('A`)(あの地面のえぐれ方と泡からして滝つぼか。
どうやら洞窟の真下を抜けてきたみたいだ)
オレは修験道じゃない。滝にうたれるのは真っ平だ。
水底を這うように泳いで滝つぼを抜け、岸に上がった。
「―――ドクオおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
ドクオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」
滝の音すらかき消すように響き渡る叫び声が耳に入った。
( ゚ω゚)「ドクオおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
早く、早く出るんだおおおおおおおおおおっ!」
ブーン!?オレは濡れた服を絞るのも忘れて滝の裏へと走った。
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:13:43.97 ID:UhSuHl/SO
支援
198 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:14:18.52 ID:38tevGW40
('A`)「ブーン!」
オレが見たのは宝玉の突風を身に纏い、洞窟への水の浸入を防ぐブーンの姿だった。
よく見ると洞窟の入り口には並べられた岩のうちの一つが嵌っている。
どうやらわかんないんですはこの岩を動かして迷路内に水を引き入れたようだ。
こっちへ脱出しなくてよかった。オレは胸をなでおろした。
それにブーンが頑張ってくれなければ、もっと早く水が迷路内に浸入し今頃オレは…。
(*^ω^)「ドクオおおおおおおおおおおおお―――お?
ドクオ!脱出できたのかお!」
オレの声を聞きブーンが嬉々した表情で振り返る。
そのままブーンは"突風を身に纏ったまま"こっちへ突撃した。
('A`)「ちょっとまて――へぶっ」
ブーン、オレに近づく時は突風を解除しような。頼むから…いやマジで。
オレは木よりも硬い岩へとその身を投げ出す事になった。
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:15:31.58 ID:oLjSrgcMO
支援
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:15:57.85 ID:UhSuHl/SO
支援
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:16:07.20 ID:ZDdoAo4DO
支援
202 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:16:18.40 ID:38tevGW40
■夢―アレンテヴォレッツァ北東・川沿い
(;^ω^)「ドクオ、まじですまんかった」
('A`)「いや、いいよ。ブーンが頑張ってくれたからオレも脱出できたわけだし」
アレンテヴォレッツァへの帰り道、洞窟の中で起こったことを話していた。
( ^ω^)「それで、木を燃やしたらどうなったんだお?」
('A`)「あぁ。幻影も消えたけど、わかんないんですもいなくなってた。
どうやら番人と繋がってる奴を倒せば、番人ごと倒せるみたいだ」
( ^ω^)「なるほど。だからビコーズもいなくなったんだおね」
ところで、とブーンはオレの宝玉を指差した。
(*^ω^)「これでドクオも宝玉の力が使えるんだおね!?
『知』のアクアマリンとかドクオらしいおwww」
('A`)「使えるって言ってもな。オレのは水が無いと使えない。
お前の宝玉の方が万能だよ」
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:17:59.11 ID:UhSuHl/SO
支援
204 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:18:19.53 ID:38tevGW40
(*^ω^)「おっおっwwwそう言うなお!
ブーンの宝玉は飛ぶ以外にも突風で色々出来るんだから、
ドクオの宝玉も潜水以外に応用が利くはずだお!」
(*'∀`)「…そうだな。"物の性質を変化させる力"を宝玉に対して使えば何かできるかも」
(*^ω^)「だお!ドクオの謀略はやっぱり凄いおwww」
('A`)(お前はまだ謀略と言うか。)
大きくため息をつくと空を見上げた。もう、夕方か。
少し眠くなってきたから、もうすぐ目が覚めるんだろうな。
('A`)「もう夕方だな」
夢で夕方でも、起きれば朝。何だか、時間の感覚がずれてきそうだ。
( ^ω^)「だお。何かちょっと変な気分だおね。
夢の中とあわせれば二十四時間以上起きていることになるお」
『夕方』――そのワードにオレは違和感を覚えた。
ちょっと待てよ。夕方だって?
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:19:44.56 ID:ZDdoAo4DO
支援
206 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:20:17.62 ID:38tevGW40
('A`)「おい、ブーン。おかしいぞ」
( ^ω^)「何がだお?」
('A`)「オレ達、夢の中にいる時間が確実に"長く"なってきてる」
( ^ω^)「それがどうかしたのかお?」
('A`)「まだ、わからない。まだ、な。だが――」
違和感の正体が何かはまだわからない。
だが、この夢はただの夢じゃないんだ。何だか嫌な予感がする。
すると、これ以上言わせるかとでも口を塞ぐように眠気がやってきた。
(;'A`)「クソっ、眠気が。
ブーン、次に来る時は菓子を持ってそうな服で来てくれ!
あと、今日の数字だ。9245。9245だ!」
( つω-)「わかったお…。お菓子と9245…。
絶対、絶対…忘れないお」
207 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:22:15.37 ID:38tevGW40
オレの意識はそこで途切れ、現実の世界へと浮上していった。
そして、オレの嫌な予感は当たっていた。
現実では、とんでもないことになっていたんだ。
第三夜 『ケフカポイント』 完
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:23:33.86 ID:sWaK90jIO
乙
209 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:23:58.21 ID:38tevGW40
第三夜は以上です。
三時間にも及ぶ数々の支援、指摘を頂き超感謝です。
何か質問・批評などございましたらどうぞ。
答えられる範囲なら何なりと。
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:24:14.86 ID:oLjSrgcMO
乙!
面白かった
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:26:52.49 ID:UhSuHl/SO
乙!
あの時間から80レス間隔3分でやろうとしてた作者はSだッ
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:27:31.83 ID:ZDdoAo4DO
乙!
個人的にブーンの名前を忘れているはずなのに
>>11でブーンの名前を出してるのが気になったんだが
213 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:30:32.61 ID:38tevGW40
>>212 アッー!!!
超ミスってたああああああああああああああああああ。
訂正文超投下させていただきます。
■現実―学校
('A`)『今日はあのルビーが何なのかハインをとっちめないと』
学校へついてもオレは夢の内容に縛られていた。そのせいで授業はかなり上の空だった。
いつもならはっきり聞こえる数学担当の先生の声も、どこか遠くから聞こえてくるみたいだ。
黒板をノートに写すのだけは怠らなかったが、授業内容は復習しておかないとならないだろう。
モララーみたいに頭が最初からよければいいのかもしれないが、こっちはそうもいかない。
そこが実に残念だ。
またあの夢が見られるか見られないか。これについては特に気にする必要は無い。
あの変な夢のことだ。こちらが拒絶しようとも、何か一段落でも着かない限りはオレともう一人を解放してくれることはないだろう。
その一段落が何を持ってして一段落とするのかは分からないが。
それよりもルビーだ。ハインの言ってた"明晰夢"と"お宝"の関係が一向に繋がらない。
あいつが持ったら光る。それで終わりならくたびれ儲けだ。夢の中で手に入れてそれが何になる。
何かあるには違いないが今は予想がつかない。
あぁ、こんなにも早く夜が来ないだろうかと考えたのは初めてだ。
オレは確実にあの夢へ魅せられている。
215 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:34:33.26 ID:38tevGW40
>>208,210
ありがとうございます。
>>211 書けたのは八時だったんだが推敲してたら十時に\(^o^)/
あと、簡易ながらもマップは描いた方がいいのだろうか。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:35:15.62 ID:UhSuHl/SO
マップくれくれ
217 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:36:56.25 ID:38tevGW40
>>216 それじゃあ、ペイントで全体マップを描き描きしてみるぜ。
次の投下までには完成したらいいな。
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:39:55.79 ID:UhSuHl/SO
期待してる
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:40:55.05 ID:UhSuHl/SO
質問:('A`)と夢の島のようですのプロトタイプは総合にいつ頃投下した?読みたい。
乙!
最期に質問。
ドクオは突風を松明にどういう風に使ったんだ?
221 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 01:55:59.68 ID:38tevGW40
>>218 超頑張る
>>219 相当前だぞ。としかいいようがないぜ。
『('A`)ブーン系小説練習&イラスト総合案内所のようです』
がスレタイになった時に投下してるとしか言いようが無い。すまん。
>>220 ドクオが使ったのは『勇敢のルビー』の突風じゃなくて、
『知のアクアマリン』の潜水能力。
水中でも行動可能なように、松明の炎に酸素を送り続けたんです。
実際ある水中用松明は酸化剤で酸素を作り続けるため、水中でも火が消えないんだそうな。
>>221 なるほど
いや、アクアマリンの能力だってことはわかってたんだけど。
ということは、突風能力は全部の宝石にあるってことか
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:58:25.24 ID:UhSuHl/SO
>>223 結構最近だったぞ
多分今月に立ったスレだ
225 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 02:10:13.22 ID:38tevGW40
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 02:13:13.54 ID:UhSuHl/SO
>>225 あ、超勘違いしてた。
>>193でドクオが言った突風を強めれば云々って、ルビーのことだったんだな
本当にすまない。
228 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 02:23:36.81 ID:38tevGW40
>>227 こちらこそ勘違いさせるような文章を書いて超すまない。
('A`)「そして、お前は更に口を滑らせたよな。
ブーンに対して"突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単"って。
オレ達は宝玉が他人に対しても効果を発揮するなんて情報は知らなかった。
そこからオレは松明に対しても宝玉の力を使えるんじゃないかと考えた。
事実、それは使えた。これがその証拠だ」
にした方がよかったかもしれんな。訂正文投下します。
229 :
('A`)と夢の島のようです 第三夜 ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 02:24:22.88 ID:38tevGW40
('A`)「そして、お前は更に口を滑らせたよな。
ブーンに対して"突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単"って。
オレ達は宝玉が他人に対しても効果を発揮するなんて情報は知らなかった。
そこからオレは松明に対しても宝玉の力を使えるんじゃないかと考えた。
事実、それは使えた。これがその証拠だ」
オレは松明を真っ直ぐ突きつけたまま、わかんないんですに向かって自信たっぷりに歩き出した。
わかんないんですの真っ赤だった顔がどんどん青ざめていく。
これでとどめだ。
('A`)「お前が!お前がその口で!敵であるオレに皮肉にも大量のヒントをもらし続けてたんだよ!
この―――阿呆がっ!」
(#<●><●>)「あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああ
この、このど畜生があああああああああああああああああ!」
証明終了だ。一言付け加えるとオレは燃え盛る松明を木の根元へ落とした。
230 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 02:26:06.68 ID:38tevGW40
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 02:48:48.43 ID:UhSuHl/SO
>>118>>239の『突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単』って
何とか一人は飛ばせるの?それとも簡単に飛ばせるの?
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 03:04:14.64 ID:UhSuHl/SO
>>181 『もしも無いんなら、お前は迷路抜けると言えばよかった。』
迷路を抜ける?
>>232 二人は無理だけど一人飛ばすくらいは余裕って事か。
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 03:35:56.95 ID:UhSuHl/SO
保守
235 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :2008/02/20(水) 03:42:06.21 ID:38tevGW40
>>213,233
一人なら簡単に吹っ飛ばせるけど
二人は無理ってことですね。
あぁ、ここも訂正した方がいいのかも。超スマン。
『突風を強めれば僕一人なら吹っ飛ばすくらい簡単』
の方が分かりやすくて読みやすいですね。
花束さん、ご迷惑をかけるようですが
>>118と
>>229の台詞を
『突風を強めれば僕一人なら何とか吹っ飛ばすくらい簡単』
から
『突風を強めれば僕一人なら吹っ飛ばすくらい簡単』
にしていただけますでしょうか。本当に申し訳ありません。
>>233 『迷路抜けろと言えば』でした…。全然推敲足りてませんでしたね。
>>181の誤字を 『迷路を抜ける』から『迷路を抜けろ』にしていただけると幸いです。
236 :
('A`)と夢の島のようです ◆YUME269q/Y :
簡単な紹介とマップ
('A`)
名前:鬱田ドクオ
能力:物の性質を変化させる能力
夢の島再突入時に姿が変わらず、前日の状態を保持する能力
潜水の能力[知のアクアマリン]
所持品:アーミーナイフ
空のポーチ
知のアクアマリン
( ^ω^)
名前:内藤ホライゾン
能力:物の性質を変化させる能力
夢の島再突入時に姿が更新され、新しい姿になる能力
飛行の能力[勇敢のルビー]
所持品:勇敢のルビー
マップできました。ご利用ください。
RPGツクールって本当に便利だよね。
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