リハビリにWiiを導入 意欲向上に効果と
シカゴ(AP) 脳卒中の後遺症や骨折、手術などによって身体機能の一部を損なった患者の回復を図るリハビリテーションに、
任天堂の家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」を導入する動きが、米国内の病院などで目立っている。
単調になりがちなリハビリへの意欲を向上させるといった効果を挙げているようだ。
米イリノイ州南部のヘリン病院は、昨年からWiiを活用している。患者はモーションセンサー付きのコントローラーを操作して、
画面上でのテニスやボクシングに熱中するうち、知らず知らずに従来のリハビリと同様の運動を繰り返すというわけだ。
リハビリ部門責任者のジェームズ・オズボーン氏は「画面に現れる架空の相手を倒すことに集中するから、
リハビリのつらさを感じなくなったという患者が非常に多い。苦痛から意識をそらすことで、運動もスムースになる」と、Wiiの効果を強調する。
ノースカロライナ州ローリーのウェークメド・ヘルス病院では、9歳から80歳代までの患者が、Wiiを取り入れたリハビリに取り組んでいる。
昨年末に脳卒中で倒れ、左腕にまひが残った元警官のビリー・ペリーさん(64)は、
「孫たちがWiiで遊んでいるのを見たことがあったので、病院でリハビリにと提案されて飛びついた。楽
しいから、体がリラックスして動かしやすくなるね」と、笑顔で話す。「今度孫を訪ねた時には、仲間に入れてもらうつもりだ」という。
Wiiはまた、イラクなどで負傷した米兵を受け入れる軍病院でも活躍している。負傷兵は20代前半の若者が多く、
普段からゲームを楽しむ層と重なっているため、Wiiによるリハビリを受け入れるのに何の抵抗もないようだ。
さらに、ミネソタ州ミネアポリスでは、ミネソタ大と地元病院が共同で、
Wiiのリハビリ効果を科学的に裏付けるための研究に取り組んでいるという。
任天堂には、Wiiをリハビリ用として売り込む動きは特にみられないが、
同社の報道担当者は「リハビリという分野に新たな活用法が見出されるのは、喜ばしいことだ」と話している。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200802170021.html