【暖かい】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【紅茶を】
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:13:57.76 ID:PbJxGMD/0
・『原則「コテ」禁止』
コテハンの人の書き込みが悪いんじゃなくてコテを付いてるということが荒れる原因になりやすいので原則コテは禁止で。
・スレ・作品と関係ない雑談は控え、気に入らない作品や書き込みはスルーお願いします。
・非常時はまずWikiや雑談所で状況を確認してください。(本スレの消失など)
・長編でレスを大きくまたぐとき(前回の投下は
>>51で今回は
>>462とか)や前スレから の続きはタイトルやあらすじ、アンカー等付けると読者に優しい職人になれる。
・なるべく自分でWikiを編集できるようになりましょう。どうしても編集できない場合は雑談所の掲載状況スレで依頼しましょう。(簡単な説明の項目の通りである程度できます)
・性的描写はエロパロで。(投下するなら少年誌レベルぐらいまで)
・投下混雑時以外の「投下いいかな?」は不要。投下終了後の「やっぱグダグダだったorz=3」とかも不要。もっと自信持って投下しよう!
(目安として:投下ラッシュは大体22時前後。それ以外なら特に混む事は無し。)
・投下時、他の人と被るが嫌なら投下前のログの再取得は必須!
・未来アンカーやリレー小説はスレストの原因になったり投下し辛い空気にしたりするので控えてください。
・投下するときは「○○ネタだから注意」とか「○○系につき苦手ない人スルーよろ」などと付けた上、
さらに「メール欄」に、あぼーん用の特定のNGワードを付記するなどの各自配慮をお願いします。
例:yuriyuri(百合) sinineta(死) uhouho(男色) guroino(グロ)
・上記の他、Wikiの「簡単な注意事項」を読んだ上、分からない質問などは
>>1のリンクから行ける雑談所やWikiでお願いします。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:14:20.83 ID:PbJxGMD/0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:15:34.84 ID:z/JU6usJO
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:18:08.43 ID:wiDvgwE/O
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:18:28.24 ID:42N+mKH9O
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:36:04.40 ID:z/JU6usJO
ほ
し
ゅ
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:41:25.85 ID:LNOfuHovO
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 20:50:59.70 ID:0fHmz3Yj0
ジ紅苺金銀「翠星石誕生日オメデトー(其々の語尾)!」
翠「ありがとーですぅ」
ジ「コレでまた一つ大人になったな翠星石」
紅「紅茶の葉を上げるのだわ」
苺「とっときのうにゅーをあげるのーー!」
金「玉子焼きあげるかしらー」
銀「また一つおばさんになったわねぇ・・・」
ワイワイキャイキャイ・・・
蒼「君たちは僕と翠星石の関係を知ってる?」
ジ「双子だろ?」
紅「双子なのだわ」
金「双子かしら」
銀「双子よねぇ・・・?」
苺「一緒に生まれてきたのーー」
ジ紅金銀「ハッ!!!!」
蒼「だったら・・・知ってるよね、誕生日」
ジ「も、もちろんだろ!おめでとう!」
紅「忘れてなんか無いのだわ!おめでとうなのだわ!」
金「おめでとうかしら!」
銀「完全に忘れてたわぁ・・・」
苺「うゆ・・・おめでとうなのー」
蒼「いいよ・・・別に・・・」
翠「ですぅ・・・」
勢いでやった
反省はしている
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:25:25.44 ID:if57Ou710
あぶね〜保守
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:27:57.63 ID:seVrVNJ+O
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 21:49:08.71 ID:seVrVNJ+O
>>12 アンカー間違えてる。
人少ないねぇ保守…
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:03:01.58 ID:0fHmz3Yj0
保守
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:26:01.33 ID:pTmOxc61O
ほ
ほ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:48:23.92 ID:0fHmz3Yj0
ほ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 22:57:46.70 ID:fl2uUcJlO
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:06:32.45 ID:LHo/mG7xO
「水銀燈の野望」投下いたします。
今回は「紀州雷動編」であります。
なお、こたびは少し長めになりますので途中にて一度間隔を空けさせていただきまする。
NGワード:hokakyara
<あらすじ>
時は戦国の世。備前国に「薔薇乙女」と呼ばれる8人の姉妹がいた。
天下統一の野望を抱く長女・水銀燈は、戦国大名となって上洛を果たし将軍・足利義輝の信頼を得る。
しかし将軍の弟・足利義秋の陰謀により、幕府は水銀燈に対する討伐令を発令。
和解を願う明智光秀の奔走も虚しく、水銀燈と足利幕府の対立はいよいよ決定的なものとなる。
<本編に登場する主な史実武将>
○織田信長(おだ のぶなが/1534〜1582)
言わずと知れた戦国時代の覇王。尾張守護代庶流に生まれ、尾張統一後美濃へ進出し、「天下布武」を掲げて全国統一を目指す。
浅井、朝倉、本願寺などの勢力を次々と倒し、足利幕府を滅ぼして覇を唱えるが、明智光秀の謀反により本能寺に散った。
本編では足利義秋の策略に乗じて水銀燈と対立。その後も薔薇乙女の運命を左右する存在となる。
〇羽柴秀吉(はしば ひでよし/1536〜1598)
信長に才覚を見出され、織田家に仕える。美濃攻めや小谷城攻囲など重要な合戦で大活躍し、家中で頭角を現していった。
本能寺の変後は明智光秀、柴田勝家を討って織田家の勢力を継承し、遂には天下統一を果たす。城攻めの名人として有名。
本編でも織田家臣の一人として活躍。なお登場時の名は木下藤吉郎秀吉である。
>>20 ――永禄八年十一月。
水銀燈のもとへ和睦案を伝えに向かった使者が、二条城へと戻ってきた。
義輝「使者の役目、ご苦労であった」
将軍・足利義輝の横には弟の左馬頭義秋が控えていた。
心労のせいで表情の暗い義輝とは対照的に、義秋はいたって上機嫌に笑みを浮かべている。
使者の届けた和睦案は、畿内における水銀燈の領地のほとんどを幕府に返納させるという、実に挑発的な内容であった。
誰がどう考えても、そのような提案を水銀燈が受け容れるはずもない。
拒否した時点で幕府への明確な反逆とみなし、一向宗、織田、浅井、朝倉などの勢力に一斉に号令して水銀燈を討滅する――
それが義秋の思い描く薔薇乙女滅亡のシナリオであった。
義秋「して、水銀燈はいかに返答したのじゃ? ん?」
家臣「は、それが……左中将様は快く承諾なされてございます」
義秋「はっはっは、そうであろう。これで水銀燈の叛意は明白、直ちに軍勢を……ん? 今、何と申した?」
家臣「ですから、左中将様は受け容れると……」
義秋「受け容れるじゃと!? 馬鹿な! あのような案を突きつけられて、応じる馬鹿が何処に……」
義輝「……」ジー
はっ、として義秋は口をつぐんだ。
そもそも、その和睦案を義輝に提案したのは義秋本人なのである。
義輝「コホン……して、左中将のその後の動きはどうなのじゃ」
家臣「はっ。山城の諸城に駐留していた軍勢は多くが引き上げにかかり、摂津方面へ行軍を始めておりまする」
義輝「そうか。どうやら、左中将は本気で和睦を受け容れるつもりのようじゃな」
義秋「ばっ、馬鹿な! 兄上、これはきっと奴の謀事にござりますぞ。いったん和睦に応じる振りをして――」
義輝「それならば、京周辺から兵を退くことはあるまい。少なくとも、幕府に直接弓引くつもりはないと見てよかろう」
義秋「さ、されど……」
義輝「それに考えてもみよ。あの左中将を討つとなれば、あと何年戦が続くか知れぬ。やはり討伐令は行過ぎであった……」
義輝にしてみれば、水銀燈が自分に楯突くに忍びなく、全てを投げ打って矛を収めてくれたのだと思いたかった。
義輝「左馬頭。いま一度、和睦の条件を吟味してみよ。今度は双方が本当に和するためにな」
義秋「……はっ」
将軍である兄に真剣な表情で命じられ、首を縦に振るほかない義秋であった。
>>21 その翌日、細川藤孝は洛中にある明智光秀の屋敷を訪れていた。
光秀「なんと、左中将殿は和議に応じられたか……」
前日の二条城でのやり取りを聞いて、光秀は意外に思った。
あの降伏勧告に近い内容の和睦案を示されては、さすがに水銀燈も腹をくくるしかないと思っていたのである。
藤孝「その後、左中将殿は伏見城から摂津へ引き上げるといって、兵を撤退させたそうにござる」
光秀「摂津へ、でござるか」
そこに妙な引っ掛かりをおぼえ、首をかしげる光秀。
光秀「兵部殿。左中将殿は確かに摂津を目指す、と?」
藤孝「使者の話を聞く限り、それは間違いないようですな」
光秀「兵を退いたのは幕府への恭順を示す為であろうが、それならば何ゆえ摂津なのでござろう?」
藤孝「うむ、言われてみれば……」
和睦案の中では、摂津国も幕府に返納すべき地として記されている。
和議を受け容れるとしながら、明け渡すべき土地に再び居座るというのはいかにも不自然であった。
藤孝「いっそ真紅殿の居る播磨まで退くと申されれば、公方様もより安心するでしょうな」
光秀「左様。あるいは紀伊の門徒衆の巻き返しを警戒されておられるのやもしれぬが……」
さまざまな理由を思い浮かべてみる光秀だが、心の底に燻る深刻な不安をかき消すことはついに出来なかった。
――年は明け、永禄九年正月。
紀州、根来城。
鉄砲を用いた戦法を得意とする武装集団、根来衆(ねごろしゅう)の根拠地である。
根来衆は領内にいくつもの砦を築き、外部からの侵入者に備えていた。
その砦のうちのひとつに、騎馬を駆って接近してくる小さな集団があった。
兵士A「おい見ろ。何だ、あれは」
兵士B「敵か? それにしては数が少ないが……」
見たところ、その数はおよそ数十人に過ぎない。
が、見張りの者がじっと目を凝らすうちその数はみるみる増え、あっという間に雲霞の如き大軍勢に変貌していた。
兵士A「てっ、敵だぁっ! 騎馬隊の大軍だあっ!」
兵士B「し、城にいる本隊に知らせねば……!」
>>22巨大な黒雲のような騎馬武者の大集団は、信じ難いほどの速さで砦に押し寄せてくる。
その中核に、漆黒の翼のような羽根飾りを纏った女が黒鹿毛を疾駆させていた。
長い銀髪をなびかせつつ、女は剣を抜きつれ、虚空を斬り裂くような勢いで鋭く振るった。
兵士A「あ、あれは! す……ぐぇっ」
言い終えぬうちに、見張りの者は絶命した。
砦を守っていた者たちの阿鼻叫喚の悲鳴も、雷鳴のような轟音の中に飲み込まれていく。
多くの者は自慢の鉄砲に弾を込める暇もなく、馬蹄に踏みにじられ無残な死骸に成り果てたのだった。
顕如「昨夜の雷は凄まじかったのう……空には雲ひとつなかったというに、どうしたものか」
ここは雑賀城。紀州一帯に根を張る雑賀衆(さいかしゅう)の根城である。
石山本願寺を追われた顕如ら門徒衆は、この地で雑賀衆の力を得て再起を図っていた。
門徒「上人様、一大事にございます! 根来城が何者かの手に落ちたとのことにございます!」
顕如「な、なんと! それはまことか!?」
門徒「根来衆の生き残りが逃げ込んで参りましたゆえ、間違いございませぬ」
顕如「なんたること……して、敵は? 敵はいったい何者なのだ」
門徒「敵は旗印を持っていなかったようで、それは分かりませぬ。しかし、その人数は三万をゆうに超えると申す者もあります」
顕如「さ、三万……!」
門徒「根来衆の多くは殺され……もはや再起は不可能とのこと」
顕如は言葉を失った。
頼みと思っていた紀州の武装集団のひとつが、束の間に消滅してしまったのである。
顕如「いったい何者が……あるいは鬼神か……」
瞬時に浮かんだのは本願寺を奪った憎き敵の名だが、幕府との和睦が成った今、わざわざこの地へ攻めてくるとは思えなかった。
かといって、そのような大軍を集められる勢力は畿内にそうはいない。
門徒「なお、敵は真っ直ぐにこの雑賀城を目指して進軍中とのことにございます!」
顕如は心底戦慄した。
(さては、昨夜轟いた雷鳴は不吉の前兆であったか……)
銀「これでよかったのかしらねぇ……」
雑賀城攻撃の布陣を終えると、水銀燈は幔幕の中で独りごちた。
松永久秀「今にして何を仰せられます。比類なき戦果をあげられ、根来の衆を根絶やしにしたではありませぬか」
>>23 銀「そのことよぉ。いくら紀州の土豪相手とはいえ、これで将軍家との和議はパァになっちゃったわぁ」
久秀「幕府は紀州を攻めるなとは一言も言うてはおりませぬぞ。それに、あのような和睦案は破ったとて至極当然のこと」
具足を纏って側に控える雪華綺晶と薔薇水晶は無言のまま。
二人は久秀の言うことにも一理あると思っている。
――和睦の使者がやって来たあの日。
幕府の示してきた和議の条件は、水銀燈の家臣たちを激昂させるに十分であった。
当の水銀燈は、使者に対しては終始丁重な態度を崩すことなく応対した。
が、使者が引き下がった途端に書状を引き裂き、
「バカにすんじゃないわよ!! 屍骸(ジャンク)になりたいのぉっ!!?」
と絶叫したのであった。
雪華綺晶、薔薇水晶、雛苺もその心の内はまったく同じである。
彼女らの怒りは、和議を提案した張本人であろう左馬頭義秋に一様に向けられていた。
久秀「お怒りはもっとも至極にござりまする。されば、すぐにでも軍勢を発し、京を――」
雪「お待ちあれ」
その時雪華綺晶が久秀の言葉を制した。激情を必死に殺した声色だった。
雪「それこそまさに幕府の――いいえ、左馬頭殿の狙うところですわ。ここはひとつ、一度は従ってみるべきかと存じます」
久秀「そんな必要はありますまい。事ここに至っては、下手な小細工は無用でござろう」
銀「待ちなさい、弾正――いいわ、きらきー。和議に応じるとして、その後はどうするの?」
雪「それは――」
京周辺の全軍に撤収を命じ、軍勢を集結して摂津から大和を経て紀州東部へ侵攻。
一向宗の残党を屠って紀州を一挙に掌握し、再び京へ攻め上るというものであった。
足利家と即座に雌雄を決すべしと言い張る久秀を抑え、水銀燈は雪華綺晶の策を実行することにした。
そして翌日再び幕府の使者と面会し、和議を快諾したのである。
薔「作戦は……大成功、じゃない? 銀ちゃん」
銀「今のところは、ねぇ」
他の勢力に気取られることなく大軍を移動させる方法も、雪華綺晶が考案した。
兵士たちを商人や僧侶などに変装させてばらばらに送り込み、紀州に入ったところで再び集結させたのである。
水銀燈自身、旅芸人に身をやつして幕府方の忍びの目を見事に欺いていた。
紀州に攻め込んだ薔薇乙女軍の兵力は、正確には二万四千である。
>>24 大軍の勢いに呑まれた根来衆には、その数が実数よりも多く見えたであろう。
久秀「まったく、雪華姫様の鬼謀には恐れ入り申した。この弾正など、とても及ぶところではござりませぬ」
雪「まぁ、そのような。お世辞を申されても何も出ませんわよ?」
薔「すごいよ、雪華姉」パチパチ
雪「もぅ、ばらしーまで……この戦いの鍵を握っているのは、私ではなくあの子ですわ」
この戦場に来ていない、もう一人の姉妹――雛苺は、ある重要な使命を帯びて別の地へ赴いていた。
雪「本当の戦いは、むしろこれから……ですから、ね? 姉上」
銀「わかっているわ」
目の前の城塞には門徒を統べる法主・顕如が立ちはだかっている。
そして、顕如を倒した後には……
銀「ここまで来た以上、もう、後には引けない……これからの戦い、この水銀燈が必ず制してみせるわぁ」
その頃、伊勢国。
雛「うゆ……なんだか、怖いの……」
雛苺は織田信長のいる大河内城の門前へ来ていた。
義秋の謀略で敵対関係にあった織田家と和睦し、さらに盟約を結ぶためである。
信長は伊勢から幾度となく出兵して大和を脅かしていたが、水銀燈はかねてより織田家との全面衝突は避けたいと願っていた。
雛苺に任せて大丈夫かと水銀燈は危ぶんだが、雪華綺晶は彼女こそ適任と見て強く推薦したのだった。
雛「ううん……水銀燈のためにも、ヒナを信じてくれたきらきーのためにも……がんばらなくちゃなの!」
意を決し、雛苺は城内へと足を進めていった。
城内には武具に身を固めた兵たちがひしめいている。
軍律の厳しいことで知られる織田家らしく、そこには合戦前夜にも似た緊張感が漂っていた。
(うゆ〜……や、やっぱり怖いの……)
せっかく奮い立たせた勇気が、一歩踏み出すごとに萎んでいくようであった。
?「おやおや? これは、どこの姫様かの?」
雛「ふゆ?」
背後から響く間の抜けた声に、思わず振り向く雛苺。
そこには色黒の、やけにひょうきんな顔をした背の低い男がしゃがみこんでいた。
雛「あー! おさるさんなのー!」
>>25 ?「ははは、やっぱり猿に見えるかの? そうじゃそうじゃ、俺はお猿さんじゃ」
雛「わーい♪ さるのぼりぃー♪」
一気に緊張感の解けた雛苺は、男の背中にひょいと乗っかってしまった。
?「わっ、こらこら。急に背に乗るでない、重いではないか」
雛「むっ。れでぃにむかって『重い』とは、失礼せんばんなのっ! もうっ、ぷんすかなのーっ!!」ポカポカ
?「いててっ。これ、やめんか。わかった、悪かった、謝るから許してくれ、な?」
雛「だめなの! ししゃをぶじょくするような悪いおさるさんは、ヒナがこらしめてくれるのーっ!」ポカポカ
?「いてっ、いてて。ははっ、まったく元気な使者殿だわい……えっ、使者!?」
雛「そうよ? ヒナは、水銀燈からじゅうだいなるしめいをうけてさんじょうつかまつった、れっきとしたししゃなのよ」
?「は、はぁ……」
あどけない口調で言われても、その使命の重要性がいまいち実感できない。
?「そうか、ヒナ殿は水銀燈殿の使者であったか。なれば我が殿のもとに御案内せねばなるまいの」
雛「わかればよろしいの。ちなみに、ヒナの名前は雛苺っていうのよ」
?「そうかそうか、雛苺殿か。俺の名前はな、木下藤吉郎秀吉じゃ」
雛「ふゆ。さるのぶんざいで長ったらしいなまえなのね」
秀吉「(つД`)」
秀吉に背負われてきた「使者」を一目見たときには、さすがの信長も閉口した。
しかし、雷電の如き頭脳を持つこの男は、一呼吸する間にはいつもの厳格な顔つきに戻っていた。
秀吉「殿! 薔薇乙女家よりの使者殿をお連れしましてござりまする」
信長「であるか。下がってよい」
秀吉「ははーっ」
額を畳に擦りつけて平伏する秀吉を、雛苺は不思議な面持ちで見つめ、そして向き直った。
二間ほど先にいるのは、彫りの深い塑像のような表情をした男。
切れ長の瞳が放つ光は業物の刀のように研ぎ澄まされており、城内の緊張感はみなこの男から放たれているのかと思えるほどだ。
(う……うゅ……)
信長と目が合った瞬間、雛苺はもう涙目であった。
ここに来るまでに何度も「怖い」と思うことがあったが、今がまさにピークである。
雛「お、おめどおりかない、きょーえつしごく……左兵衛大尉(さひょうえのだいじょう)雛苺ともうします、なの」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:15:32.69 ID:LHo/mG7xO
お猿さんが出てきたところで、猿対策入ります
_、_
( ,_ノ` )y━・~~~
このスレまだあったのか
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:31:19.16 ID:z/JU6usJO
C
>>26 信長「であるか」
雛「か、か……かずさのすけどのにはごけんしょうにあられるごようす、しゅうちゃくしごくにぞんじます……なの」
雪華綺晶に教えられた口上を、喉の奥から震える声で搾り出す雛苺。
雛「わがあね、水銀燈からのしょ、しょじょうをこれに……どうかごらんいただきたく……なの」
信長「であるか」
それだけ言って、書状を受け取り目を通し始める信長。
その甲高い声に、いかにも重厚な顔立ちとのギャップを感じる雛苺であった。
信長が書状を読んでいる間、静寂の合間にふと、笑いを押し殺すような息遣いが聞こえた。
そっと振り返ると、退出したはずの秀吉がふすまの陰から丸い目だけを出して覗き込んでいた。
(おさるさん! たすけてなのー)
ひそひそ声で必死に訴えかける雛苺。
(そんなに怯えなさるな。殿は元来お優しい御方じゃ)
秀吉もまた、ひそひそと囁きかける。
信長の鋭い視線が飛んだ。
信長「下がれ、猿」
秀吉「はッ!? ははーっ!」
呆れるほどのスピードで逃げ出す秀吉。
その様子の可笑しさに、雛苺の恐怖心も幾分和らいだ。
信長「承った。左中将殿に伝えられよ」
雛「……ふゆ?」
唐突に言われ、雛苺は思わず首を傾げてしまった。
信長「聞こえなんだか。同盟の儀、この信長に異存ないゆえ承知いたしたと申しておるのじゃ」
雛「はっ、はいなの! ありがたきしあわせなのっ!」
信長「ん。御苦労」
信長は素早く立ち上がった。
コマ落としの映像のように、その動作には一切無駄がない。むしろ、無駄に速かった。
(ふゆ〜……お、おわったの……)
信長「雛苺と申したな」
雛「ひぅッ!? は、はいなの!」
>>30 いったん安堵したところへいきなり声をかけられ、雛苺は文字通り飛び上がった。
信長「左中将殿には、南蛮で幼き日を過ごした妹がいると聞いたことがある」
雛「うゆ……それ、ヒナのことなの」
信長「であるか」
「ヒナ」という一人称を瞬時に理解し、信長は再び座った。
繰り返してきた短い返事に、今までとは異なる響きが加わっている。
雛「あ、あの……かずさどのは『ようろっぱ』のこと、知ってるの?」
恐る恐る尋ねてみる雛苺。
信長の官名「上総介」を勝手に略していることに、自分でも気づかない。
信長「南蛮僧が一度訪ねてきた折、多少は聞いた。が、詳しくは知らぬ」
雛「じゃあじゃあ……」
着物の袖に手を入れ、何かを取り出そうとする雛苺。
出てきたのは、白い小さな布包みであった。
信長はそれを受け取ると、早速に包みを解く。
中には香ばしい香りを放つ、一辺が一寸ほどの四角い物体が入っていた。
信長「菓子か」
雛「うゆ。『びすけっと』なの」
雛苺の幼い頃からの好物のひとつである。
大河内城までの道中も、心細くなるたびに齧りつつ歩いてきたのだ。
信長はビスケットをひとつつまむと、幾度か裏返しながらしげしげと眺めた。
その眼差しは先ほどまでとは打って変わり、少年のような好奇心に満ち溢れていた。
やがてビスケットを半分ほど齧り取り、ゆっくりと咀嚼する。
雛「ど……どぉ?」
信長「ん……美味い」
信長は、微笑んだ。
「にっこり」という擬態語そのままの、あどけない、輝くような笑顔だった。
雛「よかったの……♪」
つられて雛苺も微笑んだ。
笑顔の輝き具合なら、こちらも引けを取らない。
>>31 雛「じゃあじゃあ! 堺にもどったら、いっぱい『びすけっと』買って、いっぱいかずさどのに贈ってあげるの♪」
信長「であるか」
笑顔のまま、信長は答えた。
信長「今日は愉快であった。次に来る折は南蛮の話を聞かせよ。猿も喜ぼう」
無駄のない動きで再び立ち上がり、信長は奥へ去っていく。
が、途中で足が止まった。雛苺の方へ顔を向けた。
信長「『びすけっと』の件、ゆめ忘れるでないぞ」
雛「うん!!」
雛苺の笑顔が、弾けた。
――永禄九年二月。
紀伊国。
雑賀城は、まだ陥ちていない。
根来城を一気に陥とした勢いから一転して、水銀燈は慎重な包囲攻撃に切り替えていた。
理由は雑賀衆である。
鈴木佐大夫を首領とする雑賀衆は、いわゆるゲリラ戦を得意としていた。
陣形を組むことなく少人数の集団に分かれ、地形や夜陰を利用して敵陣を撹乱するのである。
彼らが大量の鉄砲を所持していることも考慮し、水銀燈は雑賀城を包囲して徐々にその力を削ごうとしていた。
銀「こうゆうやり方、あんまり好きじゃないんだけどぉ……」
慎重な姿勢を保ちつつも、水銀燈は一挙に勝利を決する機を窺っていた。
なにしろ近江を除く畿内の軍勢のほとんどを紀州に連れて来ている。
ぐずぐずしていれば幕府の直属軍が動き出し、手薄な京周辺の要所を奪われる恐れがあった。
雪「敵は今までの相手とは違いますわ。確実に息の根を止めるには、もう少し相手が弱るのを待たなければ」
銀「わかっちゃいるんだけどねぇ」
やがて、伊勢から雛苺が戻ってきた。
銀「おかえりぃ。でぇ、首尾は?」
雛「うん、うまくいったのー!」
銀「ホントに? よくやったわぁ、お疲れ様ぁ」
>>32 喜びのあまり、水銀燈は思わず雛苺を抱き締め、その頭を何度も撫でた。
これで当面の敵がひとつ、戦わずして消えたことになるのだ。
雛「えへへ♪」
銀「それにしても、こんなに上手くコトが運ぶとはねぇ」
雛「だってだって、かずささんもおさるさんも、とってもイイ人だったもん♪」
銀「かずさ……さん? おさる、さん……?」
雪「どうやら、随分と気に入られたようですわね。うふふ♪」
一週間が過ぎた。
銀「敵もだいぶ弱ってきているハズ……そろそろ決着をつけるわよぉ」
遂に総攻撃の断が下る。
水銀燈は島左近、松倉重信、荒木村重らにそれぞれ五百ほどの兵を与え、先鋒として進撃させた。
鉄砲を散発的に撃って応戦する雑賀衆を、勢いで蹴散らしていく先鋒部隊。
が、ほどなくして陣の後方から銃声と悲鳴があがった。
左近「ちいっ、伏兵か! 退けっ、退けいっ!」
先鋒隊は散を乱して撤退していく。
雑賀衆の頭目・鈴木佐大夫重意はこの機をとらえ、猛反撃に転じた。
重意「かかったぞ! 一人も生かして帰すな!」
柵や土塁の間からわらわらと群がり出てくる雑賀衆。
ばらばらだった小部隊はいつしか集団となり、逃げ惑う薔薇乙女軍を狙撃しつつ追いまわしていく。
しかし、やがて彼らの足は止まった。
前方に見えるのは真っ黒い帯のような大部隊――
水銀燈指揮下の騎馬隊三千が待ち構えていたのだった。
重意「し、しまった! 散れっ! 散開して逃げろっ!」
だが、時すでに遅かった。
鞍上で剣を振るう水銀燈の合図で、騎馬隊は一斉突撃を開始する。
横長にずらりと並んだ真っ黒い壁のような軍団。
それが一糸乱れず、それでいて津波のような猛威で押し寄せてくる。
銀「よくやったわ、左近。これでうるさい蝿どもをまとめて一掃できる……騎馬鉄砲隊の恐ろしさ、存分に味わうがいいわ!!」
>>33 耳をつんざくような轟音が、辺りを飲み込んだ。
騎馬隊の最前列の兵が、騎乗のまま一斉に鉄砲の引き金を引いたのである。
一瞬で数百人が血に染まった。
倒れこんだ肢体を容赦なく踏みにじり、騎馬隊はますます気勢をあげて追いすがる。
重意「な、なんだ!? あれは……」
雑賀衆には、状況が理解できない。
ただただ恐怖心に駆られ、肉食獣に追われる小動物のように懸命に駆けるばかりであった。
歩兵の鉄砲隊ならば射程外へ逃げることも容易だが、馬で追いすがられたうえ狙撃されてはひとたまりもない。
再び数百の鉄砲が咆哮し、ほぼ同じ数の風穴が空いた。
もはや雑賀衆に戦意はない。
銃弾の雨から逃れえた者たちも、薔薇水晶、雪華綺晶の後詰部隊によって血祭りの運命にあった。
この一日で数千もの死骸が量産され、雑賀衆は事実上潰滅した。
顕如「水銀燈は、天魔か……」
雑賀城内で合戦の報告を受けた顕如は、蒼白となった。
重意「面目次第もござらぬ。まさか、騎馬鉄砲などというものが……」
射撃にいたる一連の動作を馬上で行うには、相当の修練を積む必要がある。
それを、水銀燈は数千人という規模で実戦に投入した。
ひたすら門徒の信仰心を戦力として戦ってきた顕如からすれば、天魔の所業としか思われない。
(そうか、あの雷鳴は……)
顕如は根来城が落城した夜のことを思い出していた。
あの時雷と思っていた轟音は、大量の鉄砲が一斉に炸裂した際の残響だったのである。
雑賀城に籠った門徒らは、阿弥陀仏にすがり最後の抵抗を試みた。
が、疲労と空腹には仏の力も及ばず、次々に討ち取られていった。
大軍に包囲され長らく補給線を断たれていたためである。
雑賀城は三日ともたずに陥落。
鈴木重意は斬首され、顕如らは遠く加賀国を目指して落ち延びた。
数日後。京都、二条城。
>>34 将軍義輝は紀州の情勢について報告を受けていた。
居並ぶ幕臣たちの中で、左馬頭義秋は悄然としている。
(まさか、このようなことになるとは……)
水銀燈が約定を破って紀州へ攻め込んだと聞いた折には、これで討伐の名分は動かぬものと狂喜していた。
だがその後、根来衆の潰滅、織田信長の寝返りと相次いで悪報が届き、さらには門徒衆の敗北である。
義秋が頼みとしていた信長、顕如の二大勢力が消えた今、水銀燈に対抗できる者は畿内にはいない。
真紅率いる西国の軍勢を合わせれば、薔薇乙女家の総兵力は十万を超える。
水銀燈討伐の大儀を手にした途端、今度は幕府そのものが潰滅の危機を迎えたのだ。
義輝「こうなっては……もはや是非に及ぶまい」
追い詰められた将軍は、苦しそうに言葉を発した。
義輝「幕府の命脈を保つため、左中将水銀燈を討伐いたす。皆、心してかかれ」
座を包み込む重苦しい雰囲気は、将軍の凛たる声をもってしても消えることはなかった。
藤孝「十兵衛殿……」
評議を終え、御前を辞した藤孝は光秀の背中に声をかけた。
光秀は、答えない。
その胸中を明かす時はすでに何らかの行動を起こした後だろうと、藤孝は思うほかなかった。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:41:16.15 ID:LHo/mG7xO
「紀州雷動編」はこれまでにございます。
次回は「幕府滅亡編」。
残り二話をもって第一部完結とあいなります。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 23:48:59.91 ID:42N+mKH9O
お疲れ様です。水銀鐙に吹く凄まじい追い風。このまま破竹の勢いで頑張れ銀ちゃん!
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:03:49.20 ID:iFTrxw4Q0
ほ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:03:57.76 ID:C9hHt0flO
銀ちゃんかっくいー!
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:13:26.50 ID:0Ndk6hRhO
投下します。
前スレ【コタツから】【出なさい】
>>84-89の続きです。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:14:07.36 ID:0Ndk6hRhO
なんとか家にたどり着いた私は倒れ込むようにベッドに沈んだ。
なんでこんな事になってしまったんだろう。
今も耳には翠星石の叫びが残っているようで…
―わ、私には好きな人がいるです―
―お寒い水銀燈とは違うです!―
私を動かすこととなった彼女の言葉を思い返す。
まさかそれがジュンのこととは思わなかった。
あらためて自分が恋にどれだけ無関心だったかを思い知る。
友達の恋にすら私は興味を持っていなかったのだから。
よくよく考えれば気付けたはずだった。
佐田君の顔すら知らなかった私が、ジュンの顔と名前を知っていたのは
翠星石が彼に突っ掛かる姿を見たり、彼の話題をたびたび聞いたからに外ならない。
―チビで、メガネで、本当にどうしようも無いやつです―
―だけど、笑うとちょっとだけ…可愛かったりするです―
なんということをしてしまったのだろう。
私は絶対に間違ってはならない相手にチョコを捧げてしまったのだ。
でも―
だけど――
もう私の恋も止められはしない。
私は恋することをやめられない。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:15:18.44 ID:0Ndk6hRhO
>>41 そう―
だから――
私は彼を信じてみる。
彼の選ぶものを信じてみる。
明日のデートに彼が来てくれたなら。
私は誰を敵にまわしても構わない。
二人で…
二人で恋をしていく。
―――CRASH DAY―――
昨日はついに連絡をとることはしなかった。
どう声をかけていいのかわからなかったからだ。
けれど今日、この場所に来てくれるなら話は別だ。
彼が来てくれれば、本当の気持ちを伝える勇気を持てると思う。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:16:40.28 ID:0Ndk6hRhO
>>42 トクン トクン トクン
あの時以来、止まってしまったようだった心臓が確かに高鳴っている。
約束の時間はあと少し。
トクン トクン トクン
今になって少し弱気な心が持ち上がり、
不安が思考を覆い尽くすような感覚。
トクン トクン … ドクン
「ジュン」
彼の姿が視界に入った。
急激に目頭が熱くなるのがわかる。
信じてよかった。
これで私は勇気を持てる。
安堵をもって私は彼の到着を待つ。
「水銀燈…待った?」
小さく微笑んで彼は言った。
「全然待ってないわぁ」
私も精一杯に微笑んだ。
「君に渡したいものがあるんだ」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:17:59.64 ID:0Ndk6hRhO
>>43 そう言って鞄から小さな袋を出してくる彼。
プレゼントだろうか?
私は少し面食らった。
昨日の事をまずは語り合うと考えていたからだ。
「あらぁ…なにかしら」
訝しがりながらも受け取って袋を開いてみる、
そこには青い包装紙に包まれた四角い箱。
見覚えがある。
「どうして…」
どうしてこれを私に渡すの?
これは紛れも無く私の贈ったチョコレート。
開封された痕跡もない、あの時のままの姿。
「知っていたんだ…これは僕にじゃないって」
「判ってたんだ…ただ間違われただけだろうって」
「だけど、チャンスだと思った。」
私は彼を見れない。
視線はチョコレートに向けられたまま…
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:20:28.25 ID:0Ndk6hRhO
>>44 「これを逃したら、君に告白する勇気なんて一生わかないと思ったから。」
「そしてそれは…君の優しさに付け込むことになった。」
震える指先を抑えるためにチョコレートの包みを強く握りしめる。
「楽しい時間の中でどこか不安だった。」
「君が間違いをいつか…」
「いつか正そうとするんじゃないかって…」
「ならいっそ正す時が来たら、きちっとリセットできるようにと思って」
「それをそのままの形で残しておいた。」
優しい口調で彼は全てを告げ終えたらしい。
リセットできるように?
何故だろう、激しい哀しみが私を包みこんだ。
「…そつき…」
少しの沈黙の後ようやく言葉を発することができる。
「うそつき!」
それは彼に対する憤りの言葉。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:22:53.29 ID:0Ndk6hRhO
>>45 「食べたって言ったじゃなぁい!」
「美味しかったって…言ったじゃなぁい!」
「何が!手づくりなんて気付かなかったよ!」
「開いてすらいないんじゃなぁぃ!」
強く、彼を睨み付ける。
「始まりは確かに間違いで、そこには確かに嘘があった…」
「でも私は付き合ってから、貴方に嘘をついたことはないわぁ」
「貴方を信じて!貴方に恋をしていった!」
「何ひとつ嘘じゃなかった!」
ジュンの表情がどんどん曇っていく。
それでも私は止まらない。
「ジュンは私を信じてはくれなかったのね…」
「リセットなんて必要なかった!正すような間違いはもうここにはなかったのに…」
胸を押さえるように、チョコを握る両手を引き寄せる。
「このチョコレートは、確かに貴方への想いに変わっていたのに!」
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:28:37.85 ID:0Ndk6hRhO
>>46 「こんなものぉ!!」
私は手にしていた包みを地面に勢いよく投げ付ける。
身体中にチョコレートが砕ける鈍い音が響く。
それは私の心の砕ける音でもあったのかもしれない。
心の砕ける、その冷たい残響と呆然とするジュンを残したままに…私は走り出した。
もう何も見たくない、もう何も聞きたくない…
ただ全てから逃げ出すように、私は走り続けたのだった。
つづく
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:31:26.41 ID:0Ndk6hRhO
>>47 投下終了。
次でラストになります。
なんとかみんな幸せにできたらと考えてますんで、
続けて鬱々とした展開とはなりましたが最後までお付き合いください。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 00:41:12.87 ID:GtuVguzxO
>>48 なんという破局…銀ちゃんがHAPPYENDを迎えられますように…
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 01:08:29.44 ID:iFTrxw4Q0
>>48 なんという別れ・・・
みんな幸せになれる道があるのか
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 01:19:30.02 ID:0Ndk6hRhO
保守っす
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 01:46:38.00 ID:Yt6VHIg50
>>48 切ないなぁ…
愛する者を傷つけてしまったらどうやってそこを抜け出せば良いのか
「祈り」しか方法はないのか
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 02:19:26.54 ID:Zl7hFrxPO
ほ
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 02:47:02.83 ID:Zl7hFrxPO
し
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 03:14:03.16 ID:Yt6VHIg50
ゅ
『保守かしら』
2007年8月26日
朝起きたらキラキショウがいなくてびっくり。
寝ころんで落としちゃったのかと思って慌てて、ベッドの下をのぞき込んだりしたけれど、
やっぱりキラキショウはいなくて、冷や汗が出てきたかしら。
けれど、よく見たら枕元におねえちゃんのメモが置かれててほっとしたわ。
【勝手に動かしちゃだめよ】
おねえちゃんが朝早く戻ってきてたみたい。それでキラキショウを片付けたのかしら?
「ななななえええええ、どどどうしよう」とか言って損しちゃった。
今日も一日先生と練習。楽しくないかしら〜。
というか先生に限らず練習で上手く弾けても、あんまり楽しくないのはなんで?
うぅ、一人の家はやっぱりちょびっといや。
おねえちゃん今日も帰ってこないよね…。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 04:15:42.67 ID:Yt6VHIg50
h
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 05:15:16.58 ID:iFTrxw4Q0
>>56 カナ・・・聞いてくれる人がいたほうがやる気でるよねえ
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 06:36:55.05 ID:H1Wc845tO
お疲れ様です!
おおっ、とうとう…!
今一番楽しみな作品だけあって続きがwktkです。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 07:02:20.55 ID:36lc5PyO0
ho
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 07:44:33.84 ID:H1Wc845tO
保守
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 08:49:43.42 ID:H1Wc845tO
保守
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 09:07:43.66 ID:zsUBn4iCO
保守
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 10:14:05.75 ID:H1Wc845tO
保守
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 10:49:37.32 ID:UnNlENCKO
30分じゃ早いかな?
保守
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 11:07:16.59 ID:H1Wc845tO
早め早めの保守
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 12:02:14.66 ID:H1Wc845tO
保守
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 12:44:26.04 ID:1bHMv2kWO
黒い羽が家の前に落ちてた
そんなほ
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 13:20:29.57 ID:lrSYP9ow0
ログ倉庫が403で見れない…
それでも保守
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 14:30:20.40 ID:H1Wc845tO
保守
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 14:58:42.05 ID:mLFLQKnB0
ho
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 15:09:51.89 ID:0Ndk6hRhO
皆が幸せって難しいねぇ…そんな保守。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 15:44:02.40 ID:C9hHt0flO
の「皆〜!鯛焼き買ってきたわよ〜♪」
翠「待ってたですぅ♪むぐっ!ん〜、やっぱり鯛焼きは頭から噛り付くのが一番ですぅ!」
真「全くはしたないわね…レディならちぎって食べなさい」
銀「あら真紅ぅ、鯛焼きにその食べ方は邪道よぉ?」
雛「ヒナしっぽから食べるのー!」
金「カナはまず半分に割って…きゃー!あんこが落ちたかしら〜!」
薔「通は背ビレから…むぐむぐ」
ジ「どっからでもでも同じ気がするけどなぁ…」
蒼「あはは、皆それぞれこだわりがあるんだよ」
ジ「そんなもんかねぇ。で、雪華綺晶はどっから…」
ヒョイ、パクン
雪「んぐんぐ…ごくん。あら?なにかわたくしの顔についてますか?」
ジ「いや…なんか納得しただけだよ…」
雪「?」
巴「ちなみにに私は尻尾の先をかじって、中のあんこを吸い取ります」
め「あ、やるやる〜♪私も〜」
み「常識だよね〜!あっはっは〜!」
ベ(な、なんだ…何か、見てはいけないモノを見た気がするぜ…)
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 15:48:32.68 ID:mq13ug03O
J「唐突だけど嫁が欲しい」
笹「ほんとに唐突だね。しかしなんでまた突然に?」
J「そろそろ僕も身を固めるべきかなって」
笹「でも僕たちまだ俄然、未成年じゃん。その考えは多少早急すぎやしないかい?」
J「でも欲しいの!嫁が欲しい!嫁が欲しい!嫁が欲しい!のーーーーー!!!!!」
笹「もうそこまで言うなら仕方ないなぁ。こんかいだけだよ?」
J「うん!笹塚ありがとう!」
笹「どういたしまして。でも君は候補が沢山居るんだからすぐ決まりそうだね」
J「候補?そんな奴いないだろ?」
笹「おぉなんと言う朴念仁。乙女たちが可哀相だ。」
J「なんだお前?ひどい奴だな。例えば誰がいるんだ?」
笹「酷いのはどっちだよ。例えば・・・うーん水銀燈なんてどうだい?」
J「水銀燈か・・・まぁ悪くはないんだけどなぁ・・・」
笹「なにか不満でもあるのかい?」
J「水銀燈って心が繊細じゃないか。ガラスのハートって言うのか?」
笹「あぁまぁそれはなんとなく分かるよ。でもどうしてだい?」
J「長い結婚生活だ。多少の言い争いや喧嘩もあるだろう。だが水銀燈は傷付きやすい。そういった生活の中で夫婦間に亀裂が入りそうなんだ」
笹「考え過ぎだと思うけどなぁ・・・」
J「あぁあと体がエロい。エロすぎる。色々な意味で我慢できそうにない」
笹「いやそこは我慢しようよ。そっかーダメかー」
J「ほかはなんか誰かいないか?」
笹「ほか?ほかわねーうーん・・・金糸雀は?」
J「金糸雀かー金糸雀かー・・・うーん」
笹「またなんか不満な事があるのかい?」
J「いや別に金糸雀自身には特にないんだがただみっちゃんさんがなー・・・」
笹「あー・・・それがあったね」
J「なかなか上手くいかないもんだな」
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 15:51:45.45 ID:mq13ug03O
>>74 笹「いや候補だけならまだまだいるさ。次は翠星石なんてどうだい?」
J「翠星石は蒼星石と仲が良いからなー」
笹「それは別に良い事じゃないか」
J「いや翠星石と結婚してラブラブになったら蒼星石と気まずくなりそうじゃないか。『僕の翠星石を・・・』みたいな感じで」
笹「あぁそういうのも考えられるね」
J「同じ理由で蒼星石もダメだな」
笹「じゃあ真紅はどうだい?」
J「今でさえ下僕扱いでしんどいのに結婚したらそれが永遠に続きそうだ」
笹「それもそうか・・・雛苺は?」
J「妻って言うか子って感じになりそうじゃないか?」
笹「それは言えてるかもね。薔薇水晶はどうかな?」
J「性力がいくらあっても足りないだろ」
笹「彼女はとてもえっちだからね。雪華綺晶は?」
J「彼女を養っていく自信が無い」
笹「うーん・・・なら彼女の家に婿養子になったら?」
J「でもなぁ・・・僕は一応長男だから家督があるししそれはちょっとなー」
笹「長男ってそういう使命とかあるから大変だよね。柏葉さんはどうだい?」
J「長男のプレッシャー分かってくれるか笹塚?柏葉かー柏葉はなーなんだろうなーここ最近の印象が薄いからどうにも・・・」
笹「僕だって男だからね分かるよ。うーん・・・もうこれでめぼしい候補はおしまいかな?」
J「なぁ、笹塚。僕決めたよ」
笹「何をだい?」
J「僕まだ身を固めない事にするよ。嫁はまた今度でいいや」
笹「僕もそれが一番だと思うよ」
おっわりっだよぉー
おっちなっいよぉー
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 16:10:16.13 ID:GtuVguzxO
>>73 2枚におろして餡を食べた後に皮を食べる…これやるのは間違い無く自分だけ…
>>75 銀様!銀様!!銀様!!!
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 16:49:13.74 ID:H1Wc845tO
保守
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 16:49:54.75 ID:iFTrxw4Q0
>>73 おお翠星石と一緒だ
吸い出す派なんているのねw
初めて知ったぜ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 17:07:59.91 ID:0NvcFnlIP
ほ
野原家の長男は、たいやきの胴体に穴を開け、そこからあんこを搾り出すという凄まじい食べ方するんだぜ…
>>75 巴のなにが不満だっていうんだ
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 17:28:24.92 ID:fY0xDRydO
たった今wikiで巴メイデン読み終わりました。
巴可愛すぎだろもぉー!
俺真紅派なのにちょっと移り気しそうで怖いです
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 18:04:38.36 ID:C9hHt0flO
保守ですぅ!
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 18:34:31.68 ID:C9hHt0flO
保守だわわ!
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 18:39:27.83 ID:H1Wc845tO
保守なのー
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 18:49:35.89 ID:GtuVguzxO
保守よぉ!
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 19:21:37.05 ID:C9hHt0flO
保守かしら!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 19:32:26.52 ID:z5OXP3lw0
ヘイ!
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:00:14.96 ID:Xg4cNuB9O
ほ、 保守してやるですぅ!
べ、 別にこのスレが落ちるのが寂しいとかそんなワケじゃねーから勘違いするなですぅ!
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:10:08.58 ID:FK6TtycA0
ho
90 :
携帯殺し:2008/02/18(月) 20:15:53.11 ID:D8DtYw9s0
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
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|... 巴.. |
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ジ「なにかこみあげてくるものを感じるだろう」
巴「これを投下した勇気は認めるけど……」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:33:07.32 ID:GtseFjvxO
AASでしか把握出来ないなW
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:35:44.14 ID:C9hHt0flO
うああああ!AASでも見てると不安定になってくるぅううう!?
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:41:21.26 ID:iFTrxw4Q0
なにか怖さを感じるwww
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:55:50.05 ID:0NvcFnlIP
ほ
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:56:41.08 ID:/dRPjnCO0
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 20:58:35.77 ID:vAzrP8530
巴ノート
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 21:29:41.19 ID:iFTrxw4Q0
ホワー
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 21:44:25.76 ID:GtuVguzxO
保守
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 22:06:35.99 ID:H1Wc845tO
保守
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 22:27:31.89 ID:Yt6VHIg50
保守
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 22:37:54.97 ID:zFEaSYTF0
hosyu
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 22:49:28.78 ID:dVsORJqG0
ほ
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:04:27.09 ID:yqL2x7FO0
>>75 カナ!カナ!カナ!
>>90 (°д°;)
(°д°)…
tomoe!tomoe!tomoe!!!!!!!
フゥーアハハー( ゚∀゚)
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:20:48.18 ID:yqL2x7FO0
ほ
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:36:32.26 ID:m3Z3lJK7O
雛「モグモグ……ウンマアァァ♪ カハッ♪ ケハァ♪」
ジ「何食べてんのかと思えば……カレーパンかよ」
紅「はしたない食べ方ね。もっと女の子らしく食べられないものなの?」
蒼「雛苺は辛いモノも食べられるんだね。意外だなあ」
の「改めて考えてみると、カレーパンってスゴイ組合せよねー」
紅「そうね。カレーにパンを入れるなんて、最初に考えたのはいったい誰なのかしら?」
翠「ププ-ッ! 真紅はそんなコトも知らんのですかぁ? そんなのインド人に決まってるですぅ」
蒼「……ツッコミどころ、もっと他にあるよね( ´ー`)」
ジ「いや、案外会話としては成立してるぞ……」
雪「ちなみに、カレーパンを考えたのは実際には日本人ですわ」
銀「……ウィキペディア、万歳」
執筆の合間にカレーパン食べながら思いついた保守
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:37:49.59 ID:H1Wc845tO
保守
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:38:34.19 ID:z5OXP3lw0
銀「これだけ美少女がいるのに誰ともくっつかないジュンはゲイだわぁ」
翠「ですぅ。・・・早く翠星石に決めればいいのに」
紅「全く、優柔不断な男は見てられないのだわ」
ジ「ぶぇっくしょい!」
蒼「風邪かな? あったかくしなきゃ駄目だよ?」ギュッ
ジ「蒼星石、あったかいや」
蒼「うふふ。僕の家の前まで、こうさせてね」
ジ「はいはい」
蒼「これを皆がみたらどうなるんだろう」
ジ「怖いこというなよ」
ほ
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:41:33.19 ID:C9hHt0flO
私、柏葉巴の夜は色々と忙しい。
まず、カメラの録画状況をチェックする。…うん、悪くない。最近は右足から湯舟に入るのが好きみたいね。ふふっ、いい顔…う〜ん、でもあとちょっとアングルを下げた方がいいかもしれない。
次に桜田君のパソコンに放ったウイルスをチェック。今日のお宝の隠しファイルは…これ、かな…む、パスが。これは匂うわ…いざオープン!…スク水たて笛ランドセル幼女…ま、マシな方かな。健康、健康、異常ナシ、と。
さて肝心のリアルタイムカメラは…くっ!バレたか!?寝顔ピンポイントだったハズなのにピーポー君しか写らないなんて…!
ああ…今頃桜田君は布団の中でもぞもぞと姿態を揺らしながら現実で叶わぬ夢ならば幻想の中で想像しようと必死になっている最中だろうに…くやしい。
ふう、まあ今日は寝ようかな。明日の仕掛けも終わったしね。おやすみ、桜田君。いい夢を、桜田君。枕高すぎない?桜田君。ちょっと冷えるね、桜田(ry
私、柏葉巴の夜は色々と忙しいのだ。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/18(月) 23:56:00.77 ID:dVsORJqG0
とwwwもwwwえwww
あぼーん
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:01:53.70 ID:2taUilnR0
幼女はやばいだろww
巴怖いよwwww
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:22:34.85 ID:pRU0OW1VO
寝る前ほ。
…何か視線を…感じねーよ、ハア。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:27:50.76 ID:A97fJRnc0
>>108 >今日のお宝の隠しファイルは
>…ま、マシな方かな
ジュンもやばいw
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:46:06.90 ID:LHN/mlbr0
休憩所から拝借したネタで投下します。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:47:16.43 ID:LHN/mlbr0
「この服をデザインしたのは…桜田ジュン君です!!」
壇上に立つ教師が、誇らしげな表情でそう言った。
ヒソヒソ…
「えー、マジでー」「キモーイ」
クスクス…
「ヘンタイみたいじゃーん」「コワーイ…キャハハ…」
女子の嘲笑うような声が聞こえる。
「う…あ…ぁ…」
僕は意味不明な言葉を呟き、その場に膝をつき…
「それ以上…僕に近寄るなァーーーーーーーッ!!」
「―――――――――!!」
自分の叫び声で目を覚ます。
そして…そこが見慣れた自分の部屋の、自分のベットの上である事を確認した。
「…中学での事、夢で見たのは…」
随分と久しぶりだな。
そう考えながら、モゾモゾと学校に行く準備をする。
僕が通うような、私服の学校は…服のチョイスが面倒だ。
同じ服でも良いんだが、流石にそれはかっこ悪い。
アレ?お前その服、週に四日位着てね?なんて言われたら目も当てられない。
まあ最も、誰も僕の服なんて見ちゃあいないだろうけどね…フフフフフ…
とりあえず、まあ大丈夫じゃね?と思える服に着替え、「行ってきます」と声をかけて部屋を出る。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:48:01.51 ID:LHN/mlbr0
バカだなぁ。
居るじゃないか、そこに…
違うよ!フィギュアじゃないよ!れっきとしたアンティークドール、ってやつさ!
彼女達は素敵だ…
僕を蔑んだり、罵詈雑言を浴びせてきたり、スイーツ(笑)なんて言ったりしない。
僕の作ったドレスを嬉しそうに着てくれるし、常に優しい視線を僕に向けてくれる。
ぁぁ…ホント…素敵だよ…
「おはよう…桜田君…」
家から出ると、幼馴染の柏葉と偶然居合わせた。
「もうすぐ三年…そうなったら、受験だね…」
「受験か…柏葉はもう進路とか決まってるのか?」
そんな何気ない会話をしながら…僕は心の中で呟く。
…何で女子大は有るのに、男子大は無いんだ!?
いや、そんな極論でなくったって良い。発想の転換だ。
男子大が無いのなら…せめて男子率の高い理系に進めば良いんだ!
大丈夫。僕の成績なら、問題なく行ける!メイビー!多分きっと!
そうこうしてる内に、学校に着く。
「それじゃあ、またね…」
そう言い自分の教室に入っていく柏葉を見送り…その姿が消えたのを確認して、そっと自分の手を見る。
…汗でぐっしょり濡れている。
幼馴染の柏葉との短い会話でさえ、コレだ…。
僕は女性恐怖症です!なんてカミングアウトしようものなら、
弱肉強食のこの世界では格好の餌食になるのは見えている。
僕は決して背中を見せない殺し屋の気分で、自分の教室に入る。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:48:44.53 ID:LHN/mlbr0
誰かが部屋に居るのかって?
「よう!桜田!」
「ああ、おはようベジータ。今日も光ってるな(Mハゲが)」
「当然だろ!俺様を誰だと思ってやがる!」
「おはよう、桜田!」
「今日は遅刻してないんだな。笹塚」
「おはよう、桜田君」
「ア…ハイ、オハヨウ桑田サン」
オーケー、落ち着け僕。たかが級友との朝の挨拶じゃあないか。
視線を泳がせるな!挙動不審な男という印象を持たれたら、裏で何言われるか分かったもんじゃないぞ!
心の中で素数を数えるんだ!2…3…4……4は素数じゃない!落ち着け僕!
「そう言えば桜田君…進路希望の一時調査、もう出した?」
「エ…イヤ…アア、早メニ出シテオクヨ!」
…オーケェー…今の僕、最高にクール。
心の中の恐怖感を微塵も表に出さない、完璧な仕事をしてたね。
「それと、後ね…」
キーンコーンカーンコーン
女子との会話から救ってくれたチャイムが、まるで福音のように心に響いた。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:49:44.43 ID:LHN/mlbr0
…
その日の授業が終わり、僕は疲弊しきった心を引き摺りながら家路につく…
だが…平穏の神はすでにこの世には居ない事を思い知った。
何で女子バレー部が校庭で練習を!?お前らの敷地は体育館の筈だろ!
…大丈夫。邪魔にならないように、端を通って校門まで進む。
何も難しいミッションじゃない。
僕なら出来る。それ位、訳無いさ…
そして足を一歩踏み出し…
裏門に向かった。
何も、あえて危険な事に及ぶ必要な無いじゃないか。そうだよ、裏門から帰ればいいだけの話じゃないか。
この桜田ジュン…まさに策士!…ククク…
校舎の裏を通り、出口に向かう。
その時…向かう先から何か騒がしい声が聞こえた。
何だろう?そう思いその方向を見ると…
花壇を荒らしている一匹の猫。
それを追い払おうと悪戦苦闘している一人の人物。
…確かに僕は、超の付く女性恐怖症のチキンハートの持ち主さ。
だけど、猫の一匹位、訳無いさ。
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:50:29.69 ID:LHN/mlbr0
それに…
猫を捕まえようと躍起になってる人物を見る。
短い髪。青いジーンズ姿。…それに、胸も無い。
あれは…間違いなく男子だ。
困っている男に手を差し延べず…何が漢か!
僕は気配を殺して花壇を荒らす不届きな猫に近づき…
素早い動きでその首根っこを捕まえた!
捕まった猫は暫くジタバタしていたが…
やがて諦めたのか疲れたのか、大人しくなった。
グッタリしている猫を、そっと塀の上に放す。
…今度僕の前に現れる時は…もっと俊敏になってる事だね…。
「ありがとう、助かったよ」
塀の上を颯爽と逃げる猫を見ていると、後ろから声をかけられた。
「ん?ああ…」
とりあえず、曖昧に返す。
「最近、花壇が荒らされて困ってたんだよ」
そう言い、荒れ果てた花壇を悲しそうな目で見つめる。
「とりあえず、ありがとう。…ええっと…?」
僕に視線を戻し、そう言い首をかしげる。
「ん、僕は1組の桜田ジュン」
「ありがとう、ジュン君。僕は4組の蒼星石っていうんだ」
そう言い、手を差し向けてくる。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:51:28.45 ID:LHN/mlbr0
…短い髪。青いズボン。一人称が僕。
つまり、男子だ。…つまり、敵ではない。味方だ!
という事は…今日からお前も友達だ!
僕は差し出された手をガシッと掴む。
夕日に照らされる、友情の握手。
夕日に赤く染まった、蒼星石の横顔。
こうして僕は…蒼星石と出会った。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 00:53:12.47 ID:LHN/mlbr0
終了です。
2、3話で終わる予定です。
蒼星石好きな方…ごめんなさい。
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 01:03:21.95 ID:A97fJRnc0
>>122 続きも楽しみにしてます。
いい膨らませ方してくれはった。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 01:35:36.03 ID:2taUilnR0
>>122 面白くて続きwktkですぅ
ジュンどんだけ女子恐怖症なんだよww
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 01:38:16.55 ID:v/3/tEEF0
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 02:17:22.52 ID:/ZwvTltCO
ハイビスカスの紅茶買ってみた
そんなほ
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 02:25:42.04 ID:A97fJRnc0
『保守かしら』
2007年8月31日
生まれて初めて5日連続でヴァイオリンの練習をしちゃった…。
30日とお昼で宿題と部活の作品を超特急で仕上げ。ねじと基盤がちょびっと余ったかしら。
後はおねえちゃんたちに見つからないように、帽子をかぶって人形展に潜入してきたの。
人形展で飾られていたのは、キラキショウだったかしら。飴細工みたいな網の上に座って笑ってた。
一緒にいたときよりもきれいだなーって見てたら、わしっ、と後ろ髪をつかまれて頭がかくんってしちゃった。
「なにしてるのかしらぁ?」
あれはカナの声真似だったのかしらぁ…?
「来ちゃだめって言ったでしょ」
「宿題も作品も終わらせてきたもん」
「しょうのない子ね」
おねえちゃんがちょっとため息。
けどカナを追い出したりはしなかったかしら。
それからカナは
「金糸雀はどこにいるのかしら?」
って聞いたんだけれど、そしたらおねえちゃんが低い声で
「あの人形は壊れちゃったのよ」
だって。
「そうなのかしら…」
カナがしゅんとしたら。おねえちゃんはしゃがみこんでくれた。
「けど、ほら見て。キラキショウが立派に代役を果たしてくれているわ」
おねえちゃんはカナの頭をキラキショウのいるところに向けたの。
キラキショウのいるところは人がよく立ち止まってた。それだけキラキショウがみ力的ってことよね。
「やっぱりおねえちゃんの作品はすごいかしら!」
「ま、私の手にかかればざっとこんなもんよ」
おねえちゃんは、いつもどおりの強気でちょっとおどけた感じ。
それからしばらく、おねえちゃんとたくさんの人形を見てたかしら。
最後に槐さんのヘンゼルとグレーテルを見たら、もうおしまい。
おねえちゃんがカナの頭に手をぽんと乗せたかしら。
「金糸雀、おねえちゃんは忙しいから先に帰ってなさい」
「はいかしら」
そう言って、カナは出口に向かい始めたんだけれど。
おねえちゃんのかつん、かつん、っていうさびしそうな靴音がそうさせたのかしら。
ふいに「金糸雀」を紹介してもらった時のおねえちゃんが泣きそうな顔を思い出したの。
振り向いたら、おねえちゃんはもうだいぶ離れてた。
「おねえちゃん!」
お姉ちゃんは平気そうに笑ってたんだと思う。けれど振り向かずに手をひらひら。
「大丈夫よぉ。」
あの時、カナは急に不安になったのよ、ピチカート。
まるでおねえちゃんがもう帰ってきてくれないみたいに思えたかしら。
もちろんそんなわけはなくって、明日には帰ってきてくれるんだけれど。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:13:53.10 ID:VXmkvFvMO
ほ
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:20:15.63 ID:2taUilnR0
>>128 金銀はなごむからいいなあ
ちょっと不穏な空気だが・・・
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:42:15.95 ID:LHN/mlbr0
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:43:10.53 ID:LHN/mlbr0
女性恐怖症。
一体何をすれば、こんなトラウマが心に刻まれるんだろう。
一体どうすれば、この傷を消す事ができるんだろう。
…
言っておくけど、僕はアッーな人ではないよ。
確かに少なくない友達は全員、男だけど…
実際に女の子は好きだよ?二次元とか、特にね。…フフフ
いつもより早い時間に学校に行く準備を終え…
「行ってきます」
僕は部屋の中に声をかける。
…だからフィギュアじゃあないって。アンティークドールって言うんだよ?
朝の早い時間。
人通りも少なく、まだ少し冷たい風が心地良い。
僕は学校の正門を素通りし…そのまま裏門に向かった。
「朝早くから大変だな」
裏門の近くに備え付けられた花壇の脇で花を植えてる蒼星石に声をかける。
「あ…おはよう、ジュン君」
僕はここ数日、野良猫に荒らされた花壇を直すのを手伝っている。
最初は、男なのに花かよ。と一瞬考えたりもしたけど…それを言えば、僕だって裁縫が好きだし。
ちょっと男らしくないかな?といった趣味も持つ者。
そんな共通意識が僕の中で勝手に働き、こうなるに至った訳だ。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:43:42.63 ID:LHN/mlbr0
「よ…っと」
僕は蒼星石の横に屈みこむ。
すると何故か蒼星石が急にソワソワと前髪を触りだした。
「おいおい…手にドロ付いたままだろ?髪にもドロ付いちゃうじゃないか」
僕はそう言い、蒼星石の前髪や額に付いた泥を払い落とした。
「え…あ…わ…!」
突然慌てだす蒼星石。
…しっかりしてるようだけど、僕に言われるまでドロに気付かないなんて…
案外、おっちょこちょいな所があるんだな。
僕はそう思いながら、ポケットからハンカチを出して、額に残った泥をふき取る。
「え!あ!そんな…ハンカチ汚れちゃうよ」
蒼星石が顔を真っ赤にして、そう言う。
…顔を真っ赤に?
「なあ蒼星石、お前…顔赤いぞ?熱でもあるのか?」
手を蒼星石の額に当ててみる。
…
うん。全然分からない。慣れない事は、しても無駄だね。
そして僕は、そのまま蒼星石の前髪を持ち上げ…
自分の額を蒼星石の額とくっつけた。
…腐女子にこんな所見られたら、何を噂されるかわかったもんじゃないけど…
まあ、こんな早い時間なら誰にも見られないだろう。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:44:23.76 ID:LHN/mlbr0
そんな事を考えながら額をくっつけていると…
うん。やっぱり、熱がある。しかも…どんどん熱くなる。
これは…まさか!病気なのか!?
せっかく出来た友達が…大病を患うと!?
僕は立ち上がり、蒼星石の手を取る。
「とりあえず…風邪かもしれないから、今日はもう中止にしよう。保健室の前まで送っていくよ」
「え…?いや…その…」
真っ赤な顔でモゾモゾする蒼星石の手を引き、僕は校舎に、保健室に向かった。
…
その日はその後、コレと言って何の変哲も無い学園生活が過ぎ…
昼休みに蒼星石が僕の教室まで来て、朝の保健室のお礼と、何事も無かった事を僕に伝える。
その後蒼星石は…少し赤い顔で逃げるように僕の教室から出て行った。
「何事も無かった」って…顔赤いし、本当に大丈夫なのか?
思わずその後姿を追いかけそうになるも…
横で「ほぅ…」とか「ふむ…」とか言いながら蒼星石を見ていたベジータとの勝負が先決だ。
もしこのゲームで僕が負けた場合…
間違いなく、この変態は僕の眼鏡を粉砕する。
つまり…これは…避ける事の出来ない、男の戦いなんだ…。
君も男なら、誇りを賭けた勝負の大切さ…分かってくれるだろ?蒼星石…
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:45:21.49 ID:LHN/mlbr0
…
放課後…
しっかり僕の顔に存在する眼鏡と、ベジータの前髪を毟り取った時の感触に思いを馳せながら校舎裏に行く。
花壇の前には蒼星石と…スイセーセキとか言う、蒼星石の姉がすでにそこに居た。
これはマズイ…
あのスイセーセキとかいう女は、たしか学年でも有名な女子だ。
常に男子からアプローチをかけられ…その全てを、残虐非道な毒舌で斬って捨てる。
そんな噂を聞いた事がある。
…君子、危うきに近寄らず。
(蒼星石…ごめん…!)
僕は踵を返し、その場を立ち去ろうとし…
「ジュン君!」
一瞬早く、蒼星石に声をかけられた。
スイセーセキが僕の方に近寄ってくる。
「ふ〜ん…お前が、花壇を直すのを手伝ってくれてるジュンとか言う奴ですか…」
僕の全身を無遠慮にジロジロと眺めてくる。
「エエ…?…イヤ…ハイ、ソウダケド?」
これはヤバイ…!
全身から汗が噴出すような恐怖が広がる。
この女子は…噂を信じるなら、僕の目の前でも平気で僕に毒を吐くタイプだ…!
このオッドアイは…蒼星石の全くの逆…つまり…僕の心を抉る目、って事か!?
これはヤバイ…早くここから逃げなきゃ!
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:46:20.22 ID:LHN/mlbr0
心から忍び寄る恐怖に…体が震えかけた時…
「手伝いに来てくれたのかい?」
蒼星石が話しかけてきてくれた。
同時に、蛇に睨まれた蛙状態が解ける。
(助かったよ、蒼星石…。でも…)
今は何より、ここから逃げる事が一番大切だ。
「でも、ごめんな。今日は用が有るから、もう行かなくっちゃいけないんだよ」
「そう…なんだ…」
蒼星石が少し悲しそうに俯く。
僕も…せっかくの君とのひと時が過ごせないのは…悲しいよ…。
だけど…今は…ごめん…。
そして、蒼星石の手を握る。
「でも、蒼星石の姿を見れてよかったよ」
(今、もしも君がここに居なかったら…きっと僕は…死んでいたから)
「え!?」
瞬間湯沸かし器みたいに一瞬で顔を真っ赤にした蒼星石を尻目に、僕はそのまま裏門目掛けて駆け出す。
例えどんなに辛くっても…逃げなきゃいけない戦いも有るんだ…君も男なら分かってくれるだろ…蒼星石…
心の中で呟きながら走り続ける。
少し流れた涙が風に舞い、キラキラと光り…消えていった。
…
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:47:04.88 ID:LHN/mlbr0
翌日の朝。
最近はいっつも早く起きているが…今日はそれよりさらに早く起きる。
昨日の放課後は、僕が弱かったばかりに…
その罪悪感を償う為、今日はいつもより早く出発する。
部屋のドアを開け…いつもアンティークドールに言っている「行ってきます」を言ってない事に気が付いた。
何でだろう…?
少し考える。
確かに…男ばかりだけど…僕には友達もちゃんと居る。
でもそれは…バカ騒ぎしたり、ふざけあったりで…。
もっと、フラットな気持ちで。見得も外聞も無く、一緒に居れる友達。
それこそ、家に居る時と同じ位にくつろいだ気分で接する事が出来る存在。
僕にも、そういったものが出来たから…
だから僕は、今までみたいにアンティークドール達に依存しなくなったのでは…?
疑念とも確信とも取れない心境のまま、ドアを閉める。
「…行ってきます」
ドアがガチャリと閉まり…その音が静かな余韻を残す。
僕はゆっくり目を閉じて…そして、はっきりと心で感じる。
…僕は…蒼星石ともっと仲良くなりたい…!
いつもと同じ通学路。
いつもより早い時間。
いつもよりずっと軽い足取り。
いつ以来だろう…学校に行くのがこんなに楽しいのは…
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:47:43.10 ID:LHN/mlbr0
きっとそんな気分は体にも影響を与えるのだろう。
僕はいつもよりずっと早く学校に着いた。
「おはよう、蒼星石」
「ジュ…ジュン君!?きょ…今日はやけに早いね?」
「蒼星石ほどじゃないよ」
やっぱり、蒼星石より早く着く事は出来なかったけど…
でも、早起きした分、蒼星石と居られる時間が長くなるのは良い事だ。
それに…
スイセーセキは朝が弱いから、ここには来ない…。
つまり!邪魔な女子共はここには居ない!
この桜田ジュン!まさに策士!…ククク…
そう考えながら、いつものように蒼星石に近づく…
と、不意に蒼星石がジーンズの埃を払い、立ち上がった。
そして…
「あの…その…ジュン君…今週の日曜日…暇かな…?」
何故かモジモジとしながら尋ねてきた。
「?日曜…?ああ、暇だけど?」
まあ、予定といえば、ネットで二次元画像のコレクションを充実させる位だから…
無二の友の質問の前では、予定なんて皆無といっても良いだろう。
「その…だったら…映画でも…どうかな…って…ちょうどチケットが二枚余っててさ…」
モジモジと、顔を赤らめながらそう告げてくる。
そしてジーンズのポケットから、映画のチケットを取り出してきた。
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:48:33.90 ID:LHN/mlbr0
(何でそんなに恥ずかしそうに言うんだ?)
僕はそう思うも…蒼星石が差し出してきたチケットを見て納得した。
今世間で話題になっている、超大作の恋愛映画。そのチケットだ。
…たしかにチケットを余らせるのは勿体無い。
かといって、一人でこれを見るのは…流石にイタい話だろう。
誘うような女子が誰も居なくて、せめて男友達と。って考えたんだろうな。
で、男同士で恋愛映画を身に行くのは、やっぱり恥ずかしい。
さしずめ、そんな所だろうな。
「ああ、なら一緒に行こうか」
僕はそう答え、蒼星石の持つチケットの一枚をヒョイっと受け取る。
途端に蒼星石の表情がパァァっと明るくなり…
そして、次の瞬間、真っ赤な顔で俯いた。
…『朝は低血圧』ってのは聞くけど…
ひょっとして蒼星石は『朝は高血圧』なのか?
ぼんやりとそんな事を考えながら、二人で花壇に花を植える。
…
そして…日曜日が来た。
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 03:49:21.39 ID:LHN/mlbr0
…
僕は駅前に備え付けられた時計を見る。
…
集合時間よりだいぶ早い。ってか、早すぎた。
何で僕が、女子が喜ぶような映画の為にこんなに張り切ってるんだ?
いや…映画の為じゃあないな。
僕は柄にも無く、少し目を細める。
(学校以外で蒼星石と会うのって…初めてだな)
再び、時計を見るも…時間は全然進んでない。
待つ時間は長く感じる。
そんな言葉を思い出す。
そして、のんびりと時間まで待とう。そう思った時…
駅に電車が停まる瞬間が見えた。
何故だろう…他にも電車はたくさん有ったのに…何故かその電車が停まる瞬間だけが目に焼きついた。
そして、その電車から蒼星石が降りてきた…
僕はそこで違和感を感じる――
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 04:00:24.58 ID:LHN/mlbr0
――蒼星石?…君が降りてきたのは…女性専用車両だぞ…?
違和感はさらに広がる――
――それに…何で君はスカートをはいてる…?
遠くで手を振りながら近づいてくる蒼星石を見ながら…
僕はいつだったか、インターネットで見かけた言葉を呟いていた。
「髪の毛短いし、青いズボン穿いてるし、絶対、男だと思ってた…」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 04:03:30.46 ID:LHN/mlbr0
投下終了です。
次で終わりです。今日はもう寝ます。
あと蒼星石好きな皆様、ごめんなさい。
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 04:22:41.29 ID:2taUilnR0
勘違いの連続ww
そしてついに知ってしまったジュン・・・
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 05:09:42.51 ID:Mwxa2rJ7O
勘違い…か。
さてジュンよ、どうしますか?w
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 05:10:40.18 ID:Mwxa2rJ7O
薔薇乙女家族 〜保守編之二九(フタキュウ)〜
甘えん坊さんが多い我が娘たちだが、真紅(四女)は基本的にしれっとしていて、それなりの距離がある。
だが…そんな彼女もたまに僕に紅茶をいれてほしいとせがむ事がある。「お父様のいれてくれた紅茶はとても優しい味がする」という理由で。
今夜もまたずいぶん冷え込む。風邪をひいてもらっては大変だから、僕は妻と娘たちに体の芯からあったまってもらおうと紅茶をいれてみた(真紅がいれてくれた方がおいしいのは皆が分かっている所だが)。
皆が和気あいあいとする中、真紅と目が合った。
彼女はにっこり笑っていた。
【暖かい】【紅茶を】保守。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 06:38:03.42 ID:qbEtbvCHO
>>142 これはびっくりするだろなー。さぁ今まで通り付き合うことはできるのか…
>>145 しれっとしてる真紅の然り気無い甘えが可愛いww
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 06:39:36.56 ID:qC6QSZqf0
>>142 読みながらニヤニヤしたので、これはよいラブコメだ
続きwktk
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 07:23:36.84 ID:qbEtbvCHO
保守
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 08:23:22.67 ID:qbEtbvCHO
保守
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 09:11:14.51 ID:jIvY0c0lO
保守
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 09:33:12.71 ID:qbEtbvCHO
保守
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 09:33:55.66 ID:hE4Ivehf0
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 10:26:10.33 ID:cIOQLEqzO
今から某映画、タイトルは禁則事k(ry【スレ違い】のパンフ見ながら薔薇乙女にアレンジして小説にする!
という脱・駄絵師宣言保守
という背水の陣的頑張る宣言
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 11:03:18.91 ID:khBtVAw+O
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 11:57:11.01 ID:sq2zTnfe0
保守
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 12:12:28.87 ID:zFt6s9KEO
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 12:43:28.68 ID:qbEtbvCHO
保守
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:08:51.63 ID:VXmkvFvMO
保守?そんな事より早く紅茶をいれて頂戴
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:38:32.30 ID:qbEtbvCHO
保守
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:39:14.66 ID:pRU0OW1VO
べ「お昼に出た『たるたるソース』に萌えたぜ!今日も絶好調だ!ハーッハッハッハッハ!!!」
ジ(めでたいヤツ…)
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:55:21.36 ID:4Wi9ayYQ0
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:56:04.84 ID:4Wi9ayYQ0
ザワザワ
「えーマジキモイんですけどー」「ちょwwwおまwww」
ザワザワ
「男なのにお姫様のドレスのデザインってww」「桜田君ってちょっとキモイ趣味してるよね…」
女子達が僕をバカにする声が何所からともなく聞こえる…
…分かってる…これは幻聴だ…
分かってる…
けど…
気分が悪い…
「…ジュン君…?」
蒼星石の声で我に返る。
…僕は…一体…
そう思い、駅前に備え付けられた時計を見る。
どうやら…ほんの一瞬だけ、ボーっとなっていただけみたいだ。
オーケェー…落ち着け僕…こんな時こそ、クールな判断をだな…
そう…クールな判断を…
クールな…
…
……
――――zzz…
…!?
目覚めよ僕!目覚めよ桜田ジュン!!
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:56:45.68 ID:4Wi9ayYQ0
軽いパニックになりながらも、平静を装い蒼星石に声をかける。
「え…いや…その…あれだよ…いつもと服装が全然違うからさ…だから…その…あれだ…」
オーケー、オーケー。いつも通り、ごく自然な会話だ。
実にフランクな、イタリア人も真っ青な位にスムーズに言葉を紡げてるね。
そんな僕の思いを他所に、蒼星石は少し恥ずかしそうにスカートを弄る。
「…いっつも学校では花壇さわるからズボン穿いてるし…やっぱり…似合わないかな…?」
…いや、マジで冷静になろう。
…
とりあえず…彼…いや、彼女か。蒼星石は女の子だった。
確かに、男が花壇って珍しいとは思ってたけどねー
いや!そんな事より!
この窮地をどうするか!?
頭の中で緊急会議が開催される。
…
――素直に、ちゃぁんと言ってあげなさいよぉ。
――そんな事したら、蒼星石が傷つくだけなのだわ!
――ここで問題が起これば、後で翠星石、ひいては他の女子が黙ってないかしら!?
――うにゅー
――……とりあえず…頑張ろう…
――貴方なら…大丈夫ですわ
…
よし!…ここは無難に行こう!それがベスト!それが最も日本人的発想!
「い…いや…その…少し驚いたけど…その…に…似合ってると…思う…よ…」
何とか搾り出すように、そう答える事が出来た。
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:57:36.86 ID:4Wi9ayYQ0
…偉いぞ僕!確実に過去のトラウマを踏み越えつつある証拠だ!
「ホント?…ふふ…そう言ってもらえると嬉しいな」
蒼星石はキラッキラの笑顔でそう言い、楽しそうに続ける。
「映画までまだ時間有るし、ちょっとお茶でも飲もうよ!」
「ハヒィ!?」
「え?」
「!…いや、ウン!そうしようか!」
咄嗟に出た裏声を、何とか誤魔化す。
やっぱり全然トラウマ消えてねーじゃん僕。
…
いや、頼むから誤魔化せててくれ…。
とりあえず…二人で映画館の近くにあった喫茶店「Alice」に入る事にした。
…アリスっていっても、低い声で『You are king of kings』なんて呟く歌が流れてたりはしない。
でも…僕もただの男に帰りたいです…
女性恐怖症なんて無い、ただの男に…ライラライラライラライラライ…♪
…
ハッ!?…僕は一体何を考えてたんだ!?
これは明らかに世代が違うじゃないか!
「僕は紅茶とケーキを。…ジュン君は?」
蒼星石の声で我に返る。
「え!そうだな!僕は……紅茶を」
とりあえず、まとまらない思考回路を必死に働かせて、何とかその場を凌ぐ。
出てきた紅茶を飲みながら、蒼星石と他愛の無い会話をする。
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:58:17.10 ID:4Wi9ayYQ0
「僕、小さい頃とかよく男の子に間違われて…
だからかな?特別な日以外は、あんまりスカートとか…恥ずかしくって…」
頬を少し赤く染め、節目がちにそう言う。
「だから…ジュン君が似合ってる、って言ってくれて…すごく嬉しかったんだ…」
なるほど!つまり、最初の僕の選択は正しかった!そういう事か!
そして…この陣形…これは…
これはそう…まるで『デート』みたいじゃないか!!
だとしたら!
何故、三択の選択肢が何所にも出てこないんだ!?
『本当のデートは三択じゃないらしい…』たしかそんな噂を聞いたことはあるが…
…それが本当なら…僕はどうしたら良いんだ!?
「…え…いや…でも…ほら!ホントによく似合ってるからさ!うん!いやホントに!」
…オーケー…いつも通りを心掛けるんだ…平常心だ…明鏡止水の心でだな…
宇宙だ…宇宙を感じるんだ…僕が世界で世界が僕なんだ…
いいぞ…いい感じだ…フフフ…
…時が…時が見える…!
「……?どうしたんだいジュン君?…ボーっとして」
蒼星石の一言で、僕は白昼夢から目覚める。
「ハ?…いや!その…ねぇ?」
「??」
そんな他愛の無い会話をする。
…いや…頼むから会話として成立しててくれ…。
「あ!…いや…ほら…そろそろ、アレだ…映画館にアレした方が…」
アレって何だ。あんまり指示語ばっかり使っていると、バカだと思われるぞ。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 13:59:15.31 ID:4Wi9ayYQ0
でも、そんなぎこちない会話でも、何とか蒼星石には通じたみたいだ。
「そうだね。そろそろ映画館に行っとこうか」
…
映画館のトイレの洗面台で、僕はバシャバシャと顔を洗う。
一人になると、さっきまでどれだけ自分が冷静さを欠いていたのかがよく分かる。
そして…
鏡を見ながら、心の中で呟く。
…大丈夫…大丈夫さ…
昨日まではあんなに仲良く話してたじゃないか…
今日はその…たまたまいつもと格好が違うだけで…蒼星石自信は何も変わってはいない…
だから…きっと大丈夫。
自分の顔をパンっと叩き、気合を入れる。
そしてトイレから戻り…蒼星石の姿を見た瞬間…
やっぱり、手の平から汗が滲み出てくる感覚。
蒼星石は…格好以外はいつもと何も変わってない。
いつもと違うのは…傍から見たら、僕なのだろう。
蒼星石の笑顔が、眩しく僕の心を抉る。
…今まで勘違いしていた自分。寄せていた信頼を一方的に穢した自分。
そんな自分自身が情けなくなり…
だが、心に刻まれた女性に対する恐怖心はそれ以上に強く…
結局僕は、どこか曖昧な会話と、意味も無く泳ぐ視線でしか蒼星石に応えられなかった。
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:00:10.94 ID:4Wi9ayYQ0
映画が上映されてる間も…
僕は不用意な接触を恐れて、手は常に膝の上。
そして…
何が怖いのか…
決して蒼星石の方を見る事は無かった。
映画も終わり、帰りの電車の中…
蒼星石は手すりにもたれかかり、しずかにまどろんでいる。
僕はその蒼星石を見て思う。
学校で会った時より…ずっとはしゃいでたから、きっと疲れたんだろうな…
僕も…今日はかなり頑張ったから…少し疲れたな…
うとうとと消え落ちそうな意識の中で…考える。
何で僕は…こんなに頑張ってたんだろう…?
きっと…
蒼星石に向けてた信頼が…蒼星石が女の子だからっていう理由で壊れるのが嫌だったんだ…
…やっぱり女の人は苦手だけど…
僕は男とか女とかじゃなくて…きっと同じ人間として蒼星石が………
――――
いつの間にか溶けるように消えていた意識が、駅に到着したアナウンスで覚醒する。
「ジュン君…着いたよ?起きて…」
いつの間にか目を覚ましていた蒼星石が、僕にそう声をかける。
どうやら僕は、蒼星石より早く起きる事のできない星の下にあるようだ。
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:00:44.38 ID:4Wi9ayYQ0
二人で電車から降り、夕日に照らされた街を並んで歩く。
不意に蒼星石が呟くように…消え入りそうな声で告げてくる。
「…やっぱり…僕と一緒でも、楽しくなんてないよね…」
「え…?」
突然の内容に…何も気の利いた答えが返せず、僕はただその場に立ち止まった。
「だってジュン君…何だか今日一日、すごく無理してた感じだし…やっぱり…僕と居ても…」
蒼星石が今にも泣き出しそうな声でそう言ってくる。
その言葉は…その声は、僕の心を茨のように締め付けてくる。
――違う――
そう伝えたいが…その言葉が出てこない。
まるで心臓が飛び出して別の何かになったかのような…
体中の血が全て逆流したかのような…
そんな感覚が全身に広がる…。
僕は…精一杯の力を足に込め、地面を踏みしめ…
そして、力の限りを尽くして…やっと出た小さな声で答えた…。
「僕は…昔色々あって…女の人が苦手なんだ…。
苦手って言うより…怖い、って言った方が正確かな…」
蒼星石は、語る僕の表情の全てを読み取ろうとするように…真っ直ぐ僕に視線を向けてくる。
「最初僕は…蒼星石の事…男だと思ってたんだ…本当にごめん…
だから…その…女の子だって知って…どうすれば良いのか分からなくなったんだ…」
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:02:06.43 ID:4Wi9ayYQ0
僕は真っ直ぐこっちを見る蒼星石と視線を合わせる。
自分の心臓が早鐘のように激しく鳴る音が聞こえる。
「だけど…僕は…始まりは僕の勘違いだったけど…
蒼星石という人と会えた事を…その…大事にしたい…そう思ったんだ…」
そして広がる、暫くの沈黙…
蒼星石が僕に近づき…そして…
僕の頬を張る音が、夕焼けに照らされた街に小さく響いた。
蒼星石が目元に涙を溜め…
それでも精一杯に悪戯っぽく微笑んでみせる。
「…ひどいなぁジュン君…でも…これでおあいこだよ…?」
「え…あ…うん…」
やっぱり僕は、こんな時には間抜けな答えしか返せない。
それでも…
僕はこの日…初めて心から蒼星石の顔をちゃんと見れた気がした。
いつの間にか夕日も、そのほとんどが地平線に消えかけている。
僕らは並んで…家路に着く。
こんな時…どうすれば良いんだろう…
考えるが、答えは見つからない。
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:03:10.23 ID:4Wi9ayYQ0
考えて分からないなら…素直に思ったまま行動する事にした。
隣を歩く蒼星石の手に、そっと自分の手を重ねてみる…。
なけなしの勇気を振り絞って…
でも、やっぱり体に染み付いたものの力は強く…咄嗟に僕はその手を放してしまった。
再び沈黙が広がり…
二人の靴の音だけが、まるで世界に存在する全てのように響く。
僕は…静かに、沈む夕日を眺めていた。
不意に、腕に違和感を感じる。
視線を自分の手に落とす。
それは…
僕の服の袖を掴む蒼星石の手。
心臓が痛い位にドキドキする。
手の平から蛇口をひねったみたいに汗が出てくる。
でも…
不思議と…気持ちが悪くはならない。
むしろ…落ち着かない気持ちと落ち着いた心。
そんなアンバランスな感じがして…何故だか心地良い。
僕は、僕の服の袖を掴む蒼星石と二人で…夕日の中を歩いて行った。
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:04:40.83 ID:4Wi9ayYQ0
…
月日は流れ、季節は巡る
…
たまの休日。
僕はいつもよりゆっくりした時間に目を覚まし…
そしてリビングに行き、今日は家に誰も居ない事を思い出した。
遅めの朝食の後、窓から空を眺める。
良い天気だ…。
僕はふと思い立って、洗濯をする事にした。
庭に出て、洗濯物を干していく。
僕の服は…どれも袖の部分だけが、見事なまでに伸びきっている。
僕はそれを見て苦笑いをし…
そしてあれ以来、二人の合言葉のようになっているフレーズを口にする。
「髪の毛短いし、青いズボン穿いてるし、絶対、男だと思ってた…」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:07:28.11 ID:4Wi9ayYQ0
以上、終了です。
( ゚д゚) <それでは
( ゚д゚) <刺身の上にタンポポを乗せる作業に
( ゚д゚) <戻ります
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:12:47.37 ID:VXmkvFvMO
>>172 下僕にしてはなかなか良かったのだわ
紅茶の替わりにはならないけれどね
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:15:46.95 ID:qbEtbvCHO
蒼星石の初々しさに悶えました。御馳走様。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:44:11.99 ID:4Wi9ayYQ0
保守
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 14:51:58.26 ID:2taUilnR0
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 15:29:19.14 ID:qbEtbvCHO
保守
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 15:50:43.77 ID:4Wi9ayYQ0
保守
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 16:10:57.65 ID:bnd0EvuX0
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 16:57:12.43 ID:2taUilnR0
ほ
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 17:36:51.98 ID:qbEtbvCHO
保守
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 17:36:53.23 ID:VXmkvFvMO
保守なのだわ
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 17:47:03.57 ID:yrGC58ZL0
>>172 恐怖症を乗り越えようとしているJUNが良いよ。
蒼星石が泣かなくて良かった。
しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・刺身の上にタンポポがわからない俺は負け組?
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 18:02:33.15 ID:nHQxl/U7O
>>183 むしろ勝ち組でござろう
「水銀燈の野望」投下いたします。
今回は「幕府滅亡編」であります。
やや長いので前後半に分けさせていただきます。
まずは前半を御覧くださいませ。
<あらすじ>
時は戦国の世。備前国に「薔薇乙女」と呼ばれる8人の姉妹がいた。
天下統一の野望を抱く長女・水銀燈は、戦国大名となって上洛を果たし将軍・足利義輝の信頼を得る。
足利義秋の陰謀により幕府と対立した水銀燈は、屈辱的な和議を提案されるに至って倒幕を決意。
紀州にはびこる本願寺の残党を猛烈な勢いで討滅し、ついに幕府打倒の軍勢を京都へ向ける……
――永禄九年三月。
将軍・足利義輝は朝廷より勅許を得て、正式に水銀燈討伐令を諸国に発した。
そしてその弟・左馬頭義秋を総大将とする五千あまりの軍勢が京を進発。
手薄となっている槙島城の攻略を当面の目標とした。
明智光秀もまた、足利家の武将の一人としてこの軍陣に加わっている。
義秋「十兵衛よ、城攻めの指揮はそちに任す。槙島城の兵力はたかだか千人足らず、ひと揉みに陥としてやるのじゃ」
光秀「はっ」
だが義秋は、光秀の秘めたる決意を知る由もなかった。
やがて幕府軍は法螺の音を合図に攻撃を開始。
数的不利の城方は城門の守りを固め、必死の思いで寄せ手の進撃を阻んだ。
一進一退の戦況の中、光秀は自軍を率いて前進する。
誰もが光秀自ら前線に立ち、膠着状態を打破しようとしているのだと思った。
が、思わぬことが起こった。
光秀「我は明智十兵衛光秀なり! 思うところあって、これより左中将殿に味方いたす。志ある者は、我に続け!」
高らかに宣言すると、光秀は部隊を反転させ、総大将である義秋の陣目がけて突撃を試みた。
その動きに呼応し、付き従っていた諸将もまた次々に逆走を始める。
出陣の前、光秀は雪華綺晶を通じて内応の確約をし、さらに義秋に不満を持つ幕臣にも呼びかけて寝返りを誘っていたのであった。
突然の出来事に、義秋は床几から転がり落ちて仰天した。
義秋「じ、十兵衛め、気でも違ったか!? あの実直な男が、まさか儂を裏切るとは……!」
頼みとしていた光秀に寝返られ、義秋はほうほうの体で敗走するしかなかった。
>>185(水銀燈様、これにて御約束は果たせたでありましょうか……)
沸き起こる勝鬨を聞きながら、光秀は重苦しかった何かから解放されたような気分を味わっていた。
一方、播磨国。
真紅の居城である姫路城を、雛苺が訪れていた。
西国を預かる真紅たちに畿内の情勢を伝える役目を、水銀燈に託されたのである。
雛苺の話を聞き終え、真紅は嘆息した。
紅「和議を踏みにじって兵を進め、あまつさえ信長などと同盟を結ぶとは、水銀燈……いったいどうしたというの?」
金「まさか、本当に幕府を滅ぼすつもりかしら……」
蒼「水銀燈がそんなことするハズはないよ。きっと、何か考えがあってのことさ」
そう言いながらも、蒼星石の表情にはいつもの落ち着きが見られない。
翠「……あいつのせいです」
翠星石が、重々しい声で呟いた。
翠「あの爺ぃが、何か邪な企みを水銀燈たちに吹き込んだに違えねぇです」
蒼「それって……松永弾正殿のことかい?」
無言でうなずく翠星石。
紅「本当にそうなの? 雛苺」
雛苺はかぶりを振った。
雛「確かに、だんじょう殿は京を攻めようって言ってたけど……でもでも、みんな怒ってたのよ? 『さまのかみ』のやり方に」
ジ「まぁ無理もないよな。畿内の領地をほとんどよこせなんて言われりゃ」
巴「でも、あからさますぎる挑発じゃない? 雪華綺晶が側にいながら、みすみすそんな手に乗るなんて」
真紅は、嫌な予感がした。
(水銀燈……もしかして、もう自分の野心を抑える必要を感じなくなっているのでは……?)
今の薔薇乙女家の軍事力からすれば、足利幕府の戦力など問題にならない。
天下を目指すと宣言した折の、野望に燃えた水銀燈の瞳が、鮮やかに脳裏に蘇ってきた。
家臣「申し上げます! 京より細川兵部大輔(ひょうぶのたいふ)殿がお着きにございます」
紅「まぁ、藤孝殿が……」
夜を日についで駆けつけて来たという客人を、真紅は驚きをもって出迎えた。
>>186藤孝「無念にござる、式部殿……」
式部大輔(しきぶのたいふ)は真紅の官名である。
紅「畿内の有り様は雛苺から聞きました。お骨折りの儀、御礼を申しますわ」
藤孝「なんの、幕府のためを思ってのことでもあったゆえ……しかし、今やすべては水泡に帰してしまい申した」
紅「まだ諦める段ではございませぬ。明智殿もきっと、何か策を考えておいでなのだわ」
藤孝「その光秀殿も早や、左中将殿のもとに降ったやも知れませぬ」
紅「えっ」
場の全員が驚愕した。
明智光秀といえば、足利家にひたすら忠誠を尽くしてきた義理堅さで知られている。
幕府が窮地に立たされた途端に、あっさりと見切りをつけるような人物とはとても思われなかった。
紅「なにゆえ明智殿が……」
藤孝「わかりませぬ。ただ左馬頭殿の暗躍が始まった頃からすでに、十兵衛殿には思うところがあったようでござる」
紅「そんな……」
藤孝「真紅殿、もはやこの情勢を救えるのは貴女しかおりませぬ。どうか……どうか、上様のお命だけでもお救いくだされ」
深く頭を垂れ、懇願する藤孝。
紅「兵部殿……どうか面をお上げくださいませ」
真紅は優しく声をかけた。
紅「将軍家を思う気持ちは、私とて同じこと。それに、これまで幾度も助けていただいた細川殿ですもの、恩返しをしなくては」
藤孝「で、では……」
紅「ようやく、この西国の軍勢を動かす時が来た……そういうことですわね」
翠「も、もしや真紅……水銀燈を討つ気でいやがりますか!?」
紅「安心なさい。私たちは、公方様をお守りするだけよ」
蒼「でも万が一、水銀燈が上様の御首級を狙うようだったら……」
紅「それはないのだわ。あの人が、そんなことをするハズは」
その声は、確信に満ちたものだった。
真紅は支配下の四ヶ国に号令を発し、およそ二万の軍勢を集め京へ進発。
金糸雀はそれに先駆けて水銀燈のもとへ向かい、真紅の意を伝える役目を任された。
一方、雛苺はそのまま真紅の軍勢に同行し、ともに京を目指した。
>>187 これが後に、彼女たち自身の運命を決定付けることになる。
その頃、紀州にいた水銀燈もすでに軍勢を整え、上洛の途に着いていた。
倒幕軍の兵力はおよそ三万。
畿内においてこれほどの大軍が動いたのは、ちょうど百年前に起こった「応仁の乱」以来ではなかろうか。
両翼に雪華綺晶、薔薇水晶を従えたその軍容は、見る者には天より降りた神兵とも、また地獄から遣わされた悪鬼とも見えた。
――永禄九年四月。
水銀燈軍は山城国に入り、槙島城に到着。
ここでは幕府を出奔した明智光秀が待ち受けていた。
光秀「左中将殿……いや、水銀燈様。お久しゅうございます」
銀「光秀殿、よく当家に来てくれたわぁ。アナタのような才人が味方になってくれるなんて、こんなに心強いコトはなくてよ」
光秀「勿体なき御言葉。今後はこの命の続く限り、水銀燈様の御為に働く所存にござります」
銀「期待してるわぁ。でもぉ……ホントの狙いは、別にあるんでしょ? アナタがすんなり将軍家を見限ったとは思えないもの」
悪戯っぽく微笑む水銀燈。
光秀「……やはり、見破られておりましたか」
敵わない、というように光秀は苦笑した。
光秀「拙者が当家へ参ったのは、半分は足利家のため。京攻めの軍に加わり、上様に危険が及ぶのを防ぐためにござりました」
雪「その上様に、裏切り者の烙印を押されるのを御覚悟の上で……?」
光秀「拙者は長く流浪の身にありました。この上いかなる汚名を背負ったとて、今さら大したことはありませぬ」
源氏の長者にして征夷大将軍という高貴な身分にありながら、義輝は武芸の鍛錬を怠ることなく、また民を思う心も人一倍強い。
そんな義輝の人柄に惹かれ、光秀は将軍家の家臣としてこれまで一心に仕えてきたのであった。
悲壮な決意を胸にしながら、しかし光秀の微笑はそれを微塵も感じさせない。
光秀「されど、もう半分は紛れもない本心。貴女様の上洛を目にしたあの日から、いつかお仕えしてみたいと思うておりました」
銀「あらぁ、嬉しいコト言ってくれるじゃなぁい。たとえ気持ち半分でも、悪い気はしないわぁ。うふふ♪」
雪「……」
金「ちょおっと待つかしらぁー!!」
>>188 けたたましい足音を鳴らし、金糸雀が息を切らして走りこんできた。
銀「あら、金糸雀じゃない。久しぶりね。元気してた?」
金「なんでそんな呑気でいられるかしら!? 幕府と正面切って戦うなんて、どういうつもりかしら!」
銀「まぁいいじゃなあい、難しい話は後にして。長旅でお腹も空いてるでしょお? 卵焼きでも食べなぁい?」
金「た、たまごやき……ジュルリ……って、釣られないかしら! とにかく、これを読むかしら!」
金糸雀はそう叫んで、真紅がしたためた書状を突きつけた。
仕方なくそれを読み始める水銀燈。
そこには西国から軍勢を差し向ける旨と将軍家を重んじる真紅の心情、水銀燈の軽挙を戒める言葉とが書き連ねてあった。
(相変わらずカタイ子ねぇ……そんな奇麗事で、この乱世を制することが出来ると思って?)
一瞬そんな本音が口をついて出そうになったが、すぐに振り払った。
金「ど、どうかしら? 少しは考えを改めたかしら?」
銀「何を勘違いしてるか知らないけど……私は幕府を潰す気なんてないわよぉ?」
金「ヘ?」
側にいた松永久秀の眉が、ぴくりと動いた。
銀「金糸雀も光秀も、安心なさい。私が倒したいのは、上様でも室町幕府でもない……左馬頭義秋、ただ一人よぉ」
光秀「しかしながら、足利軍を潰滅させてしまっては、自然幕府も滅びましょう。上様とてあの御気性、御自害に及ぶやも……」
銀「そうならないように、貴方たちがいるんじゃなぁい? お馬鹿さぁん」
光秀「た、確かにそうでござるが……」
金「うえぇっ!? か、カナもかしらぁ!?」
銀「当たり前じゃなぁい。このまま軍勢に加わって、私の手足となってもらうわぁ」
薔「逃がさない……よ?」
金「と、とんだコトになっちゃったかしら……」
――永禄九年六月。
水銀燈率いる三万人余りの大軍が、津波のように京へと押し寄せた。
もはや、その行く手をさえぎるものは何も無い。
「あれが水銀燈か……初めて見たときはまだほんの小娘だったが」
「でもあの時は本当に頼もしく見えたがねぇ。なにせ、あの三好党をあっという間に蹴散らしたんだから」
>>189「そうだったな。まったく、人間変われば変わるもんだ」
「おい、あんまりじろじろ見ないほうが……目が合ったら殺されるかもしれないぜ」
四年前、三好一党を倒し幕府の盾となるべく上洛した水銀燈が、今度は大軍をもってその幕府を潰そうとしている。
かつては好奇と期待の眼差しをもって迎え入れた京の人々が、今や不安と畏怖に身を震わせながら同じ人物を見つめていた。
薔薇乙女軍は陣列を崩すことなく粛々と歩を進め、やがて足利幕府の政庁である二条城へと迫った。
義輝「とうとう来たか」報告を聞いた将軍・義輝は、静かに息を吐いた。
自ら甲冑に身を包み、足利家に代々伝わる宝刀「鬼丸国綱」の柄を握り締め、来るべき決戦の時に備えている。
足利軍はおよそ三千。人数の面では薔薇乙女軍とは比べるべくもないうえ、最後の拠り所の二条城は籠城戦に不向きである。
くわえて寄せ手の総大将である水銀燈は戦闘力、統率力ともに優れ、その妹たちもそれぞれに能力が高い。
義輝が頼みとしていた明智光秀も、今は水銀燈に従って寄せ手の軍勢の中に加わっている。
足利軍に勝ち目は万に一つも無いと言ってよかった。
義輝「来るべき時が来た、ということか。この日を招いたのも、ひとえに余の不徳の致すところであろう」
義秋「何を仰せられます! すべてはあの水銀燈の汚らわしき野心のせいではありませぬか」
義輝「しかし、そなたは謀略をもってその秘めたる野心をことさら煽った。余はそれを止めることができなかった……」
義秋「い、いや、しかしそれは……」
義輝「そなたを責めておるのではない。思えば余は左中将を頼り過ぎた。それがすべての過ちの始まりであったかも知れぬ」
水銀燈が上洛してからの日々を、義輝は思い返していた。
過ちとは言ったものの、薔薇乙女によって畿内が平定されていくのを見るのは胸躍る心地であった。
(そちはどのような激しい戦の時でも、余の前ではいつも微笑を絶やさなかったのう……)
一昨年の正月の宴の折、酔いに頬を染めた水銀燈の、艶めいた表情が目に浮かぶ。
(思えば不思議な娘であった……水銀燈よ。十も年下であるそちに、余は知らず知らず心惹かれておったのやもしれぬな……)
義輝は目を閉じ、その残像の甘美な残り香にしばし浸った。
が、振り払った。両眼をかっと見開いた。
義輝「義秋。敵が来る前に、そなたは城を出て落ち延びよ」
義秋「さ、左様なこと! 兄上を残して落ちるわけには……!」
義輝「そなたまでがここで命を落としては、八幡太郎義家公以来の足利氏の血筋が絶える。それだけは避けねばならぬ」
義秋「兄上……」
日頃は疑い深くく小心な義秋も、この時ばかりは兄の決死の形相に打たれ、熱いものがこみあげた。
義輝「もはや幕府の命運もこれまで。だがその前に、左中将……いや、水銀燈に、せめて一太刀浴びせてくれようぞ!」
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 18:10:42.20 ID:nHQxl/U7O
前半はこれまで。
今宵、あらためて後半を御覧に入れます。
銀様VS上様の直接対決にご期待くださりませ。
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 18:31:18.30 ID:yrGC58ZL0
>>191 _ ∩
( ゚∀゚)彡 後編!後編 !
⊂彡
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 18:36:03.13 ID:pRU0OW1VO
ほし!
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 19:10:40.99 ID:pRU0OW1VO
★!
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 19:36:12.46 ID:rhw8BjEnP
ho
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 19:52:46.84 ID:nZIpMrdI0
syu
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 20:04:34.93 ID:bnd0EvuX0
daaaaaaaaa!!!
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 20:20:02.21 ID:bnd0EvuX0
ho
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 20:46:36.15 ID:wFjgE1+A0
保守
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 21:17:05.10 ID:2taUilnR0
ほ
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 21:22:16.54 ID:/ntgl5w4O
し
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 21:31:49.70 ID:bnd0EvuX0
が
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 21:49:45.23 ID:bnd0EvuX0
き
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 21:58:06.41 ID:qbEtbvCHO
隊
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:02:40.47 ID:J9VIVxxR0
乳酸菌から農薬ができたらしいよ保守
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:05:19.35 ID:GdNAluE/O
>>41-47 続きです。
長いため猿を喰らうかもしれませんがよろしくお付き合い下さい。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:05:58.76 ID:GdNAluE/O
週が開けて月曜日がやってきた。
しかし教室に翠星石の姿は無く、それは次の日もそのまた次の日もおなじだった。
そして私はジュンと目を合わせることすらなく、それらの日々を過ごしていた。
全部が全部、バレンタインの前に戻ったわけじゃない。
ほらやっぱり、リセットなんて出来っこないんだ。
友達とすらどこかよそよそしく、私は人の輪にいる術を忘れてしまったように過ごしている。
あぁ、誰のせいに出来れば私はこんなに冷たく凍えずにいられるのだろう。
木曜日。
帰り支度をしていると蒼星石が話し掛けてきた。
「翠星石は明日から学校に出て来るよ。」
「心配かけたね。あと…迷惑も」
蒼星石は苦笑いでそう言った。
「翠星石は…姉さんは自分の恋を精一杯頑張っただけだから…」
「だから彼女を責めないでやってほしい。」
「身勝手な言い分だとはおもうけどね」
蒼星石が隣の席に座る。
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:07:29.42 ID:GdNAluE/O
>>207 「1月に翠星石は偶然ジュン君の好きな人を知ったんだ。」
「その日からの彼女は見てられなかったなぁ…」
「学校では、特に君とジュン君の前では平静を装っていたけどね」
蒼星石がまぶたを長く閉じた。
つられるように私も瞳を閉じ彼女の言葉に耳を傾け続ける。
「最初はジュン君が水銀燈を嫌うように仕向けようと考えたみたいだ…」
「けど君を嫌わせるなんてこと、やっぱり翠星石には出来なかった。」
私は瞳をゆっくりと開く。
「次に彼女は水銀燈に恋をさせようとした。」
「…君に彼氏が出来ればジュン君が諦めると思ったんだね。」
蒼星石の瞳は深い哀しみをたたえていた。
「結果は知っての通り…」
「君は恋をした…」
「けれどそれは…翠星石の望むものではなかった。」
僕が知っているのはここまでさ、と蒼星石は小さな笑顔を作った。
私も少しだけ表情を変えた。
自分ではどう変わったかわからないのだけれど。
おそらく笑えたと思う。
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:08:31.42 ID:GdNAluE/O
>>208 「私が間違えたのよぉ」
「責める権利なんてないわぁ…」
蒼星石の瞳に私が映っている。
笑顔と呼ぶにはあまりにも歪んだ顔…
「それにもう、終わったことだから…」
「私の恋はもう冷めちゃったからぁ」
「水銀燈…」
ゆっくりと立ち上がり、廊下に向かって歩きだす。
扉を前に立ち止まり振り返ると蒼星石はとても悲しい表情をしていた。
大丈夫よ、私は大丈夫。
私はまた恋をする。だからそんな風に心配しないで…
「私がまた恋をするなら」
「今度は誰も傷つかない恋をするわぁ…」
私の言葉に蒼星石は顔を上げて、そしてにっこりと微笑んでくれた。
「それは…とても素敵だね」
―――WHITE DAY―――
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:10:25.66 ID:GdNAluE/O
>>209 「おはよーです。水銀燈。」
驚いて振り返るとそこには七日ぶりの友達の顔。
「幽霊でも見たような顔するなです」
そう言って笑う彼女の顔は確かに柔らかかった。
「おはよぅ、翠星石」
込み上げてくる想いと流れ落ちそうな涙を必死に飲み込んで、私は返事をする。
まるで何も無かったかのように私たちは触れ合い、
何も無かったかのように時間は流れ…
放課後が訪れた頃、私は図書室にいた。
雑誌のページをくりながらちょうど一週間前のあの出来事がふと頭をよぎる。
あの時もこうして図書室に一人、雑誌をめくっていたっけか。
そう考えてぞっとした、なんで私はまたここにいるんだろうか。
私は無意識にジュンとまた繋がろうとしているんだろうか?
こうして用もない図書室で時間をつぶし、
まるで何かを期待しているような自分に嫌気がさしてくる。
私は顔が熱くなるのを覚え、慌てて雑誌を閉じ乱雑に棚に投げ込んで図書室を出た。
「なにやってんのよぉ…わたし…」
廊下に出るなり零れるのは自虐的な言葉。
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:12:02.05 ID:GdNAluE/O
>>210 翠星石と仲直りできたことで油断をしていた。
今度はジュンと仲直りしたいなんて何が何でも虫が良すぎる。
でも…
でも、今ごろ翠星石はジュンと仲直りしているかもしれない…
今日彼女が学校に出てきたのは委員会の日だったからかもしれない…
もしかしたら翠星石はジュンに告白して、二人は恋人になっているかもしれない…
馬鹿みたいに飛躍し続ける思考を、どうにか吹き飛ばそうと廊下を駆ける。
教室を避け、遠回りに下駄箱へ。
もうこれ以上ここにいたくはない。
ジュンで、ジュンで頭が一杯になってしまうから。
ようやく昇降口までたどり着いた私は足を止め息を整える。
「私の恋は…冷めちゃったはずなのにぃ…」
つぶやきは下駄箱に吸い込まれていく。
深く冷たい息を一つ吐き出し、私は下駄箱を開き靴に手をのばす…
…見慣れない景色。
いや、それはちょうど一ヶ月前に見た景色とよく似ている。
靴の上には薄い水色の包装紙と赤いリボンでラッピングされたものが乗っている。
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:14:35.79 ID:GdNAluE/O
>>211 恐る恐る手にとると添えてあったメッセージカードが目に留まった。
『屋上で待ってます』
瞬間、私は頬を伝うものを感じる。
どんなにつらくても悲しくても、必死で飲み込んできた涙が…
いま、とめどなくあふれている。
包みを抱きしめるようにして私は泣き続けた。
人目もはばからずに、子供のようにしゃくりあげて…
「水銀燈…」
肩を叩いて私を呼ぶ声がする。
涙を止められないままに振り返ると翠星石が立っている。
帰るとは言わさないですよ、と朝と同じ柔らかい顔で彼女は笑った。
「プレゼント、開いてみるです」
泣きながら促されるままにラッピングをほどく。
出てきたのは一組の手袋。
「ジュンが作ったですよ」
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:16:01.39 ID:GdNAluE/O
>>212 少しだけ目を細めて翠星石は言った。
「先週聞いたです。水銀燈に手袋作ってるって。」
「『水銀燈いつも手が冷たそうだから…』」
「『よく口元に手をやって息で温めてるんだ…』」
「『喜んでくれるかなぁ?』って…」
翠星石は目を閉じた。
「あのメガネチビは水銀燈のことばーっかり。」
「私は悔しくて悔しくて」
「それでジュンに…水銀燈にひどいことをしたです」
ごめんなさい、と頭を下げる彼女。
私は言葉も見つからずただ泣くことしかできない。
そんな私にやれやれといった様子で頭があがると、
またいつもの笑顔になる翠星石。
「さぁ、ほら早く行くです!あいつ凍えちまうですよ!」
私はその笑顔に「ありがとう」と告げてようやく涙を止めることができた。
「翠星石は…もう帰るの?」
マフラーをまいてまるで帰り支度に見えた彼女だったが
途端に笑顔を膨れっ面へと変形させる。
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:18:51.65 ID:GdNAluE/O
>>213 「馬鹿言うなです!誰かさん達のせいで一人で委員の仕事をせにゃならんのです!」
「ご、ごめんなさぁい」
鬼のような形相でにじり寄る翠星石に追い立てられるように私は玄関を後にした。
「…頑張るですよ」
とても小さな翠星石の声が確かに耳に届いた気がした。
ようやくたどり着いた屋上への扉。
少しためらってドアノブから手を放した私は、左手に握ったままだった手袋に視線をうつす。
規則正しいミシン目が、厚めの革を正確に私の手の平にかたどっている…
毛糸の手編みなどではないから一見すると本当に買ったもののように見える。
銀色の糸で刺繍された私の名前を見つけた。
ここだけは手縫いのようだ。
ジュンは私と別れた後も、私を想いこれを縫っていたのだろうか?
手にはめるといっそうジュンの心の温もりが伝わってくるようで、
こみ上げてくる涙を拭って私はようやくドアノブを回せた。
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:21:34.50 ID:GdNAluE/O
>>214 夕日に変わるのも近い薄紅色の太陽が優しく照らす屋上。
フェンス際で立ち尽くすジュンを視認してゆっくりと歩を進める。
振り返り確認するように私の手元を見て、にっこりと微笑むジュン。
私はまるで隠すように後ろに手をまわし微笑み返す。
言葉はなくても、全てを分かりあっているような…
そんな雰囲気があたりを包み込んでいる。
だけどそれでは先に進めないから。
私たちは言葉を使わなければならない。
だから私たちはほぼ同時に真剣な眼差しをお互いに向けた。
「僕が本当に信じていなかったのは僕自身だったんだと思う。」
ジュンはそう言って一度私から視線をそらした。
「君が好きになってくれるほどの価値が僕にあるのか…それがわからなくて。」
「自分で探しても何も見つからなくて…だからかな」
「どんどん君が好きになっていく一方で、」
「どんどん自分を嫌いになっていった。」
そらされていた視線が戻り私を映す。
「君を好きになった自分まで嫌いになりかけた時に、僕は君に気付かされた」
「信じることを恐れすぎていたことに。」
彼の瞳が力強く、私をとらえ続ける。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:30:34.18 ID:rhw8BjEnP
C
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:35:15.41 ID:nHQxl/U7O
秀吉「お呼びでござりまするか」
信長「下がれ」
支援
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:36:53.70 ID:oqFquX4s0
シエソ
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:37:44.29 ID:bnd0EvuX0
猿くらった?
ところで猿って何?
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:40:22.22 ID:yrGC58ZL0
サルはサル目(霊長目)のうちヒトを除いたものの総称。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:45:54.47 ID:4Wi9ayYQ0
( ゚д゚) <支
( ゚д゚) <援
( ゚д゚) <
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:47:04.85 ID:bnd0EvuX0
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:49:39.29 ID:qbEtbvCHO
すんごい虚しく、淋しく、悲しく、もどかしく、鬱になる。それが、猿です。
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:51:05.70 ID:qbEtbvCHO
僕は猿の効力が切れる時刻の変わり目で投下してます。参考までに。
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:52:55.82 ID:yrGC58ZL0
すまん 出来心で
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 22:57:27.40 ID:oqFquX4s0
つまりあれだろ?
連続投下しすぎるとモンキーマジックで動けなくなるんだろ?
雪「硬い殻を割って中身を食べると柔らかな食材ですわね。
うまく中身を傷つけずにナイフで殻を取り除くのがコツです。
加熱せずに生のまま、殻からスプーンで頂くのが定番にして最高の食し方でしょうか。
なにって、猿のことですわよ?」
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:00:12.00 ID:GdNAluE/O
>>215 「この一週間、今までのぶん全部使って自分を信じてみたよ。」
「君が絶対にその手袋をはめてくれるって信じ続けた」
私は手袋をはめた両手を前方に差し出す。
ジュンは両手でやさしく握ってくれる。
「もう二度と信じることから逃げ出したりしない。」
「だから、僕ともう一度付き合ってくださぅぃっ!?」
言い終わる前に私はジュンの胸に飛び込んだ。
「おばかさぁん」
「私も、もう二度と信じることから逃げ出さないからぁ」
「だから私からも…お願いします」
ジュンが私の背中に手をまわして強く抱きしめてくれた。
そのまま長い時間が流れる。
この次私たちが何をすべきか、さすがの私にもわかっている。
次のステップに進むための言葉、私は沸騰しそうな頭で必死にそれを選び出す。
「ててて手袋ありがとね…手作りなんてびっくりしちゃったわぁ」
…残念ながら出来上がっていた甘い雰囲気が台なしになった。
やっちゃったと自分でも思ったから私は苦笑いを浮かべた。
見上げるとジュンが私を抱きしめたまま、クスクスと笑っている。
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:01:11.95 ID:bnd0EvuX0
1つだけ正解がある。そうだろ?分かってるんだぜ?
>>227ありがとう
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:02:17.04 ID:GdNAluE/O
>>228 そして笑いながらジュンは急に変なことを言い出した。
「その手袋、手作りなんだよ」
彼が微笑む。
私はしばらく考えてようやく言葉の意味を理解できた。
「気付かなかったわぁ…本当に…」
私も微笑んで言葉を返す。
それは幸せだった時間を取り戻すための言葉達。
あの時とまるで真逆になってしまっているのだが…
「じゃあ…やっぱり買ったものってことにするよ…」
「高かったよ、来年のバレンタインにすごく期待しちゃうくらい」
あの時の私と同じくらい意地悪で、同じくらい優しい嘘がジュンの口からこぼれる。
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:03:16.33 ID:GdNAluE/O
>>230 「あらぁ…そんなに待つ必要ないわよぉ」
予定に無いきりかえしにジュンは戸惑いの表情。
そんな焦った表情も可愛い。
私はあの時にはなかった続きを作ることにしたのだ。
二人の未来を作ることにしたのだ。
「今、ちゃんとお礼するわぁ」
ジュンの胸から顔を離す。
見つめると彼は私の意図に気付いたらしく顔を真っ赤にした。
近づく顔と顔、
重なる唇と唇…
つながる心と心。
あぁ二人はまた恋に落ちていく…
二人は未来を…信じ合っていく…
おわり
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:04:27.20 ID:GdNAluE/O
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:08:58.98 ID:qbEtbvCHO
お疲れ様でした!
水銀鐙良かったなぁ…
翠星石が応援側ってのも案外少なくないんだけど、やっぱり胸がね、キュゥンってね。
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:14:38.30 ID:bnd0EvuX0
ごちそうさまでした。次回作に期待
おつんでれ
翠は身を引いたんだね
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:22:35.67 ID:yrGC58ZL0
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:38:18.39 ID:yrGC58ZL0
紅「まだ寝ないの?主人をベットで待たすなんてとんでもない下僕ね」
紅「寒いんだからさっさとベットに入りなさい」
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:39:04.25 ID:yrGC58ZL0
薔「まだ寝ないの?寒いよ・・・?」
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:48:22.53 ID:nHQxl/U7O
「水銀燈の野望・幕府滅亡編」後半を投下いたします。
前半は
>>185-190にございます。
>>190 (上様……まさか、この城を私の手で攻める日が来ようとは……)
二条城本丸を見上げ、水銀燈が想うは――初めて上洛を果たした、四年前のあの日のこと。
居並ぶ武将たち、特に雪華綺晶と薔薇水晶はその胸中を敏感に感じ取っていた。
薔「銀ちゃん……」
雪「姉上。私たちの敵は、あくまで左馬頭義秋ですわ」
銀「わかっているわぁ、そんなコトくらい」
その義秋がすでに城を脱出していることを、彼女らは知らない。
だが、たとえ知っていたとしても、将軍のいる眼前の城を見過ごすわけにはいかないだろう。
望む望まざるを論じる段は過ぎた。もはや、後には退くことはかなわないのだ。
銀「各将の配置を決めるわぁ。大手の指揮は私ときらきー、搦手はばらしーと金糸雀と光秀。弾正は後詰として待機して頂戴」
光秀「ははっ!」
久秀「……はっ」
外様である二人の武将の反応は対照的である。
京へ近づくにつれ、水銀燈は久秀への警戒感を強めていた。
幕府を倒し、名実共に水銀燈が天下人になるべきだという主張を、久秀は一貫して説き続けている。
将軍家の血筋と名誉を重んじる光秀が家臣に加わったことで、その考えはかえって加速したようであった。
京都までの行軍中も、先の方針を巡って光秀と久秀は衝突を繰り返していた。
その久秀に先鋒を任せれば、どのようなことを仕出かすか分からない。
銀「立ち塞がる者に容赦は無用よぉ。ただし、潔く降伏する者に乱暴をはたらくことは許さないわぁ」
つとめて平静な声で、水銀燈は配下に言い渡した。
銀「ところで金糸雀……あっちの方はどんな様子かしらねぇ?」
水銀燈にとってのもう一つの懸念――それは西国の軍勢を率いて上洛を目指す真紅の動きであった。
金「どうやら、まだ摂津のあたりにいるようかしら。どうやっても二条城の落城までには間に合わないかしら」
銀「そう……ありがと」
真紅は水銀燈の上洛前に洛中を固め、身を呈して幕府を守ろうとしていたようだが、進軍速度は勢いに乗る水銀燈が勝っていた。
(真紅も余計なコトを……この私が、上様の首を取るとでも思っているのかしらねぇ)
>>241 そして明朝。戦いは始まった。
大手攻めの水銀燈、搦手攻めの薔薇水晶は合図により一斉に城門へ襲い掛かる。
だが必死を覚悟した足利兵の抵抗に遭い、なかなか門を突破することができない。
雪「鉄砲隊、前へ! ……放てっ!!」
雪華綺晶が叫んだ直後、大手門に轟音が響き渡った。
足利兵A「うぐっ……! む、無念……」
足利兵B「かはっ! ぐっ……う、上様ぁ……っ!」
鉄砲の一斉射撃の前に、ばたばたと倒れていく幕府兵。
その屍を乗り越えつつ、雪華綺晶は開放された城門をくぐり突入していった。
(なんだか、心が痛む戦いですわねぇ……)
一方、搦手では金糸雀の活躍が際立っていた。
配下の忍びを率いて城壁を乗り越え、内部から城方を切り崩したのである。
城門は内側から破壊され、薔薇水晶と光秀が城内へと雪崩れ込んでいった。
光秀「金糸雀殿、かたじけない!」
金「こうなった以上は、もう破れかぶれかしら! 水銀燈を信じて、前に突き進む以外に道は無いかしら!」
足利兵C「申し上げます! 敵は早や本丸に迫る勢いにござります!」
義輝「そうか……御苦労であった」
いったん城門が破られれば、寄せ手の勢いは加速する。
城方の善戦もむなしく城内の櫓はほぼ占拠され、すでに落城は時間の問題となっていた。
義輝は「鬼丸国綱」の鯉口を切り、その研ぎ澄まされた刃に自らの眼光を映した。
義輝「いよいよ最期の刻か。意外と、早いものだな」
そのうち、義輝の居室にいくつかの荒々しい足音が近づいてきた。
鋭い金属音、轟く悲鳴。
義輝はいったん剣を鞘に納め、身をかがめて息を殺した。
この部屋に一番に踏み込んできた者を、居合の一撃で斬り捨てるつもりである。
だが次の瞬間聞こえてきた声に、その殺気はかき消された。
光秀「上様っ! ご無事であらせられまするか!?」
義輝「……十兵衛か」
>>242 ぱちり、と刀を完全に納め、義輝は溜め込んだ息をゆっくりと吐き出した。
部屋に入ってきた光秀も血に染まった刀を捨て、義輝の前に跪く。
光秀「上様! こたびはかような仕儀とあいなり……この光秀、申し開きもござりませぬ!」
義輝「面を上げよ。そちの本意は、余もわかっておるつもりぞ」
涙を浮かべて詫びる光秀に、義輝は優しく語りかけた。
義輝「そちが左中将に降ったのは、余を助けようと思うてのことであろう。情誼に厚いそちの考えそうなことよ」
光秀「う、上様……」
義輝「だが、余もまた一個の武人。この期に及んで自分だけ生き残ろうとは思わぬ。余の首を刎ねよ」
光秀「上様っ!!」
絶叫し、かぶりを振る光秀。
義輝「そちに討たれるならば本望ぞ。遠慮はいらぬ。余の首を取り、そちの手柄とせよ」
光秀「でっ、出来ませぬ! 左様なこと、この光秀に出来るわけが……」
義輝「そうか。ならば……そちを斬らねばならぬな」
立ち上がり、すらりと刀を抜く義輝。
もとは北条得宗家の重宝であったという銘刀が、青白い光を放って光秀の顔を照らし出した。
光秀は、動かない。
こうなることも予想し、その時は黙って斬られる覚悟で水銀燈の陣に加わったのであった。
義輝「許せ、光秀」
光秀「……」
銀「上様! お待ちください!」
突如、凛とした声が響いた。
光秀「水銀燈様!」
義輝「左中将……」
水銀燈は、いつのまにか光秀の背後に立っていた。
黒と銀の甲冑に身を包み、口元にはわずかながら微笑を浮かべている。
銀「本当に斬りたいのは、この私……違いまして?」
流麗なるその眼差しを一目見て、義輝は懐かしさとも淋しさともつかぬ、奇妙な感情に包まれた。
義輝「……」
銀「さぁ、この裏切り者を……水銀燈をお斬りください。ただし……私も、容赦は致しませぬ」
>>243 愛刀「迷鳴」を抜きつれ、八相に構える水銀燈。
光秀「水銀燈様!?」
その動きを見て、義輝もまた青眼に構え直す。
塚原卜伝より奥義伝授を受けた、歴代将軍最強の剣客の肉体が、さながら一本の白刃と化した。
義輝「……そなたとは、一度手合わせしてみたかった。よき冥土の土産となろう」
光秀は、引き下がった。
二人の眼光はすでに殺気を帯び、宙空で何度も交錯しつつ火花を散らしている。
(もはや、私には止められぬ。この二人は、剣を交えなければ収まらぬ……)
「鬼丸国綱」の雷光のような鋭い輝きと、「迷鳴」の禍々しい妖気のような冥い光。
激闘の続く城内の喧騒から切り離されたように、室内の空気は凍りつき、静寂が痛いほどに耳についた。
長く、重い、無限にも似た沈黙。
大きく息を吸い、水銀燈が間合いを一歩踏み越えた瞬間――二つの影は目にも止まらぬ速さで交錯した。
刃がうなり、稲妻のように閃いた。
鈍い金属音が光秀の耳に届いた時、二人は振り向きざまの一撃を同時に放っていた。
光秀「……!」
片膝を立てて剣を伸ばした水銀燈。義輝の喉元に突きつけられた「迷鳴」の切っ先。
義輝の手に握られた「鬼丸国綱」は、空中に斜めに掲げられたまま。
義輝「……見事だ」
両手を下ろし、全身の力を抜いて立ち尽くす義輝。
二人が踏み込んで撃ち合った最初一撃は、互角であった。
しかし、すれ違い、振り向きざまに放った斬撃は、水銀燈の逆袈裟の剣がわずかに速かったのだ。
まさに紙一重の勝負であった。
銀「上様こそ、流石の御腕……今回は、私の運が良かっただけですわ」
水銀燈の顔に、笑みが戻る。が、呼吸の乱れは収まらない。
額にはおびただしい量の汗が滴となって浮かび、「剣聖将軍」との一騎討ちの凄まじさを物語っていた。
義輝「いや、勝ったのは数々の戦場を切り抜けてきたそちの剣。さ、早ようこの首を刎ねよ。これでそちの望みも果たされよう」
銀「……そんなコト、出来るわけ……出来るわけないでしょおっ!!」
水銀燈は、いきなり絶叫した。
>>244 握り締めた刃が、小刻みに震えている。
義輝「……?」
銀「こうして刃を向けているだけでも、私がどれだけ辛いか……お分かりにはならないでしょうねぇ……」
水銀燈は、刀を取り落とした。
肩が震え、目には大粒の涙が浮かんでいる。
義輝も光秀も、妹たちでさえ目にした事のない、水銀燈の涙であった。
銀「上様……貴方に出会ってから、私の野望は霞んでしまった。貴方が名実共に天下人となる日が来るなら、それで良いと……」
義輝「……」
銀「でも……戦乱の世は、それを許さなかった。義秋の策略、久秀の野心、そして三好、本願寺、織田との戦い……
合戦の日々は私の秘めた野心を目覚めさせ、周囲もそんな目で私を見るようになった。そして私は、止まれなくなった……」
義輝「水銀燈……」
銀「貴方を斬ったら、私は私ではなくなってしまう……私は、天下が欲しい。でもそれは私利私欲じゃない、それだけは……」
光秀「水銀燈様……」
義輝「ようわかった。そちの想い、ようわかったぞ」
義輝は、優しく微笑んだ。
義輝「だが、こうなったうえは余もこのままでは済まぬ。隠退せねばなるまい」
銀「えっ……」
義輝「余は将軍職を退く。後のことは万事そちに任そう。そちが望むならば、自ら将軍職に就けば良い」
銀「そんな……! 左様なことは、思いもよらぬこと……」
義輝「いずれにせよ、これで幕府は幕を下ろすことになろう。この期に及んで幕府を名乗っても、もはや従う者はおるまい……」
義輝の決意は固い。
今度は光秀が涙を流す番であった。
二条城は陥ちた。
足利義輝は征夷大将軍の職を辞し、自ら隠居の身となった。
ここに足利尊氏以来二百三十年近く続いた室町幕府は事実上滅亡し、代わって水銀燈が洛中の支配者となったのである。
その後明智光秀の懇願により、水銀燈は義輝のために山城国内に領地を割き、あれほど憎んでいた義秋の身も安堵することとした。
これによって足利家は、細々ながらその命脈を保つことになる。
>>245 一方、京都へ向かっていた真紅らは摂津国高槻城においてその報に接した。
紅「とうとう、間に合わなかったのだわ……」
思わず落胆の溜め息を漏らす真紅。
藤孝「いや、しかし上様の御命と足利の家名は守られ申した。拙者もひとまずは安堵いたしておりまする」
ジ「幕府の終焉も義輝公の意思だっていうしな……まぁ仕方ないだろ」
蒼「弾正殿の策略も、巧く抑えたようだしね。さすがは水銀燈だよ」
翠「……」
真紅と翠星石の表情は、なおも硬い。
あくまで守り抜こうとしていた幕府の滅亡に接し、無力感を禁じえない真紅。
翠星石は京攻めの際に目立たなかったという松永弾正の動きに、奇妙な胸騒ぎをおぼえていた。
――永禄九年七月。
水銀燈は朝廷より正四位下参議に叙せられ、公卿に列することとなった。
洛内は落ち着きを取り戻し、薔薇乙女家の軍勢も畿内の各所へ移動を始めている。
足利に次ぐ新しい世の到来を、京の人々もようやく実感しはじめていた。
そんなある日の夜のこと――
前将軍・義輝の住む屋敷に、宵闇に紛れて近づく幾つもの影があった。
「あの御方も、まだまだ甘い。天下を奪うに将軍や幕府など、いかほどの価値があろうか……」
素早い影の動きに目を配りつつ、ほくそえむ一人の男。
やがて、屋敷に火の手が上がる。
それは京ばかりか畿内全域を混乱に陥れる、巨大な戦乱の火種となるであった。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/19(火) 23:53:51.68 ID:nHQxl/U7O
「幕府滅亡編」はこれまでにございます。
どう見ても義輝びいきです。
本当にありがとうございました。
次回、「決別編」をもって第一部完結となります。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:04:26.07 ID:7uklEq6KO
>>247 うわあ…次回のタイトルが果てしなく嫌な響きだなあw
お決まりの水銀燈と真紅の対立なんだろうか…wktkですな
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:06:41.09 ID:CbCf9e+gO
>>247 _ ∩
( ゚∀゚)彡 銀様つえー銀様!銀様!
⊂彡
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:11:05.80 ID:CbCf9e+gO
真紅様の役回りは
小一郎だと良いのだが
光秀か長政になりそうな悪寒
銀様は信長ならばね。
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:12:22.30 ID:82h38uBZ0
【暖かい】【味噌汁を】
ある所に息子夫婦と舅(しゅうと)が三人で住んでいた。
一年前に他界した姑女(しゅうとめ)は、とても性格が悪く、いつも舅を嫌い罵っていた。
そして、舅の方も姑と言い合う日々が続いていたせいか、頑固で少々意地の悪いところがあった。
かいがいしく世話をする嫁の行動に、いちいち文句をつけるのだ。
中でも味噌汁については
「婆さんとは全然味が違う、なっとらん!本当に覚えが悪い嫁だ!」
と毎日嫁を怒鳴りつける始末。
しかし、嫁は姑につらく当たられていた憂さを晴らしているのだろうと我慢してあげていた。
ある日、夫の昇進祝いに家族は料亭に行った。
その味噌汁を一口すすった舅が一言。
「これじゃよ!この味じゃよ!!翠星石婆さんの味噌汁は!!」
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 00:29:10.83 ID:MUcjbKehO
生涯一ツンデレ ほ
ある日、一人で散歩してたときの事だ。人通りの少ない小道で、カウボーイハットを被った紙芝居屋のオヤジが蹲って苦しんでた。
近所で野垂れ死にされるのも嫌なので介抱したら、えらく感謝された。おまけに別れ際、3つの願いが叶うアイテムをくれたし。
昔話じゃあるまいし、もの凄く胡散臭いんだけど・・・物は試しだ。騙されたと思って一つ願ってみようか。
翌日、願いが叶っていた。僕は一夜にして身長2mの大男に変わってた。
学校に行くとクラス全員が僕を見上げて驚嘆の声をあげた。付いた綽名が桜田ファミリア。世界遺産じゃないっつーの。
だけど実にいい気分だ。僕はその晩、二つ目の願いをした。
更に翌日、願いが叶っていた。僕のド近眼は見事に治ってた。これで鬱陶しいメガネともオサラバできる。
学校に行くと、なんか周囲の視線が刺さってきて痛かった。綽名がドーピングコンソメ桜田に変わった。なんだっつーの。
女子からは今まで向けられた覚えのない熱っぽい眼差し−
男子からは、やっぱり今まで向けられた経験のない妬ましげな白眼−
なんか居心地が悪くて落ち着かない。僕はその晩、三つ目の願いをした。
もいっちょ翌日、願いが叶っていた。ぼやける視界。低い目線。すっかり元通りの僕が居た。
学校に行くと誰もが僕の急変に驚き、それと同時に安堵してる様子だった。呼び方も、ただの桜田に戻った。
やっぱり僕は今のままがいいのかな?自分じゃあまり気に入ってないんだけど・・・。
HR前の数分、隣の席の真紅が僕を見て柔らかく笑った。
「たった二日で元に戻ってしまったのね。残念かしら?」
「安心してるよ。あのままだったら僕の頭がおかしくなってたかもしれないし」
「そうね。変化が必ずしも良い事とは限らないものね」
「真紅はどうなんだよ。僕が元に戻ったのが残念か?」
「・・・いいえ。貴方には悪いのだけれど、これで良かったと思っているわ。こうして同じ目線で話が出来るもの。
それに・・・・・・誰かに取られる心配をしなくて済むし」
「え?今なんて−」
聞き返した僕の声は、教室のドアが開かれる音に掻き消された。もう先生が来ちゃったか。
まあ取り敢えず・・・僕は今のままで良いみたいだ。
僕はその晩、ゆっくり大人になっていこうと考えながら眠りに就いた。何故だか紙芝居屋のオヤジの夢を見た。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:11:53.52 ID:mfb+NKrS0
>>252 雑巾の絞り汁落ちかと思ったけど安心したw
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 01:41:00.43 ID:ft3EP8BG0
保守
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 02:08:45.89 ID:YwVjE6XmO
ほ
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 02:40:45.35 ID:COTxByb80
ー
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 03:10:06.02 ID:COTxByb80
ー
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 03:42:21.62 ID:COTxByb80
ー
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 04:33:35.58 ID:COTxByb80
ー
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 06:33:59.90 ID:O4jB6hTgO
保守
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 07:12:38.35 ID:asnKf7jH0
ho
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 07:45:27.08 ID:MUcjbKehO
ほ
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 08:30:47.64 ID:7uklEq6KO
し
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 09:32:04.12 ID:zmPkGHkJO
薔「朝だよジュンジュン!」
ジ「朝だねばらしー!」
薔「なんで私達は一緒に寝てるんだっけジュンジュン!」
ジ「君が夜中に襲ってきたんだよばらしー!」
薔「じゃあなんで私は縛られてるのジュンジュン!」
ジ「僕が安心して眠るためだよばらしー!」
薔「ちょっと感じちゃうんだけどジュンジュン!」
ジ「知ったことかばらしー!」
薔「いっそ孕むよジュンジュン!」
ジ「やってみやがればらしー!」
薔「お腹が…出来たよジュンジュン!」
ジ「中には誰にもいませんよばらしー!」
薔「あなたを殺して私も死ぬよジュンジュン!」
ジ「誰にも殺させはしないさばらしー!君自身にもね!」
薔「愛してるよジュンジュン!」
ジ「僕もさばらしー!」
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 09:34:28.92 ID:9+D8hx+5O
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 10:17:11.60 ID:zmPkGHkJO
ジ「朝だよ真紅!」
真「そうね」
ジ「今日も素敵な一日だといいね真紅!」
真「そうね」
ジ「おっと、一番素敵なのは君だよ真紅!」
真「そうね」
ジ「今日は何処に行こうかな真紅!」
真「そうね」
ジ「…1+1はなんだい真紅!」
真「そうね」
ジ「あうち!僕の繊細でプュアなハートが傷付いたよ真紅!」
真「そうね」
ジ「くそう!いつか僕の事しか考えられなくなるほど愛してやるぞ!覚悟するんだな真紅!」
真「…そうね」
ジ「ところであの犬のぬいぐるみの名前なんだっけ」
真「くんくんよ」
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 10:18:16.48 ID:O4jB6hTgO
真紅もくんくんに対してはプュアな心なのか
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 10:31:19.06 ID:0Vdrnc360
>>252 理解するのにちょっと時間がかかったw
なかなか面白い視点だな。婆さんになった薔薇乙女はあまり想像したくないがw
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 11:19:32.10 ID:O4jB6hTgO
保守
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 12:16:42.80 ID:O4jB6hTgO
保守
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 12:23:33.40 ID:Zl53ku9w0
>>266 いつも通りの朝なんだろうなw
>>268 本読みながらテキトーに返事してる真紅が浮かんだw
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 13:00:46.62 ID:heri5KbbO
>>268 くんくん観てる最中でもクンクンネタだけは反応できるのかw
と解釈するか、ジュンの告白で集中力がきれて普通に返事できるようになった。
と解釈するか。案外深い?
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 13:37:52.30 ID:O4jB6hTgO
保守
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 14:03:01.35 ID:X33MBw+yO
>>268 愛してるぞのあたりだけ少し反応してるところがなんか良い
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 14:43:30.78 ID:mfb+NKrS0
ほ
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 15:23:46.37 ID:7uklEq6KO
し
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 16:08:57.22 ID:O4jB6hTgO
保守
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 16:48:55.17 ID:O4jB6hTgO
保守
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 16:50:26.47 ID:zmPkGHkJO
STAR
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 17:00:54.30 ID:mfb+NKrS0
>>254 俺なら金・・・いやなんでもない
本当にほしい物は持ってたんだな
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 17:24:55.88 ID:7uklEq6KO
保守
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:02:51.49 ID:CbCf9e+gO
金「このスレもあと二時間ちょっとかしら」
翠「完走させるためにもSSを投下するですぅ、翠星石が今から何か書くですぅ」
金「当然カナが主人公かしら」
翠「おめーじゃ萌分が足りねーですよ、当然翠星石か蒼星石の話に決まってるですぅ」
金「じゃあカナが自分でカナ主役の話を書くかしら」
30分後
金「出来たかしら」
翠「投下より先に翠星石に読ませるですぅ」
金「読んでカナの才能に驚くかしら」
1分後
翠「…これじゃあ主役はみっちゃんですぅ」
金「ぅ…狙い通りかしら」
翠「金糸雀、もっと正直になるですよ」
金「翠星石には言われたく無いかしら」
翠「保守替わりに投下するですぅ」
金「しっかり保守して300レスとスレ最後の書き込みは」
「ローゼンメイデン一の策士金糸雀が楽して狡していただくかしら」
保守
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:08:50.19 ID:mfb+NKrS0
がんばれカナロア
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:24:56.45 ID:Dr0rm1gD0
ho
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:41:51.06 ID:X33MBw+yO
保守
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:55:03.83 ID:O4jB6hTgO
保険を兼ねての保守
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:55:57.50 ID:Dr0rm1gD0
「さようなら、性悪の泣き虫」
「元気にしてるですよ。ちび人間」
いつもどおりの強がり。暴言。
だけれど、彼女の目は、少しだけ赤く腫れていて。声が少しだけ上ずっていて。
そして僕は、彼女の目じりから、一粒だけ透き通った雫が零れたのを見逃さなかった。
「絶対また、来るですから」
そうして、彼女は電車のドアの向こうへと消えてゆく。
小さな彼女の、小さな一歩。
それは彼女のものであるにもかかわらず、彼女の何千歩、何万歩よりも、さらに遠くへ彼女を運ぶ。
透明の、はめ殺し窓。
僕にも彼女が見ることが出来るし、逆もまた然り。
だけれど、僕と彼女を隔てるものは、あまりにも強く、固く、冷たく。
不必要なほどに。
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:56:34.67 ID:Dr0rm1gD0
>>289 彼女は、電車の内側から、外側を、そして僕を眺める。
そして(きっと僕にばれないようにしたつもりだろうが)涙を拭い、気丈にも、笑う。
『さよならです。おばか』
彼女の唇はそう告げ、そして彼女は後ろを向く。
―――・・・
響くベルが、さよならの時を告げる。
そして間もなく、彼女は僕の視界から消えてゆく。
最後まで僕に手を振っていてくれた、可愛い女の子。
まだだ。まだ最後じゃない。
自分に言い聞かせるように、呟く。
猛ダッシュ。
改札機にホームへの入場券をねじりこみ、僕と彼女を、この駅まで連れてきた自転車に飛び乗る。
―――まだ間に合う。
僕の愛車が、僕の脚がそう教えてくれる。
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:57:22.86 ID:Dr0rm1gD0
>>290 自転車のペダルを勢いよく蹴る。蹴る。蹴る。
―――あの時、君は、君は。
最後に、もう一回。
彼女の顔が見たい。
だから自転車を走らせる。
幸い、ここは下り坂。
ほんの数秒だけれど。ほんの数瞬だけれど。
この古びた愛車は、電車と並べる。勝てる。
線路沿いの下り坂を、風よりも早く飛ばしてゆく。
―――翠星石に、追いつけ。
と。
さび付いた車輪が悲鳴を上げる。
それとほぼ同時に、彼女の乗る車両と並ぶ。
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:58:51.22 ID:Dr0rm1gD0
>>291 ほんの一瞬だったけれど。
次の瞬間には、もうだいぶ距離を離されていたけれど。
十分だ。
―――泣いてたんだろう? あの時。ドアの向こう側で。
僕は、電車にむけて、大きく手を振ってやる。
最後に、ほんのちょっとだけでもいいから、彼女の笑顔が見たかった。
わがままだろうか?
―――約束だよ? 必ず、いつの日か、また会おう。
大きく叫んでやる。
「当然ですよ・・・おばか」
離れていく彼女に見えるように、僕は、大きく手を振ってやった。
電車を見送った後、ちょっとだけ街の方へ寄ってみる。
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 18:59:54.98 ID:Dr0rm1gD0
>>292 彼女とぶらぶら練り歩いた商店街。
おつかいの帰りによった小さなゲームセンター。
僕と彼女と、あと姉ちゃんとで行った、海岸。
それらは眠りから覚めて、普段の毎日を始めようとしていた。
つい数分前まで、背中に寄りかかっていた彼女のぬくもり。
町並みを眺めながら、僕はそれを感じていた。
『車輪の唄』
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:00:39.51 ID:Dr0rm1gD0
>>293 投下終了です。
水銀燈・金糸雀での「ラフメイカー」を読んで触発されて突発的に書いてみた。
かなり反省している。
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:02:02.87 ID:o+F+0uxu0
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:04:26.25 ID:4mKashal0
書いてたのが…全部消えた…orz
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:17:48.48 ID:CbCf9e+gO
>>296 元気出すかしら、次はカナが主役の話を書くと良いかしら。
300までkskかしら
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:21:14.60 ID:CbCf9e+gO
>>295 カナは歌詞を知らないけどとっても良かったかしら。
ちょこちょこレスして300狙うかしら。
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:24:49.27 ID:MUcjbKehO
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:26:10.57 ID:Dr0rm1gD0
ですぅ
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/20(水) 19:30:13.26 ID:mfb+NKrS0
>>293 銀と金のラフメイカーか、ニコニコで見た記憶があるなあ
自転車でおっかけるジュンとか・・・青春すぎて欝になるぜ
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
み「300狙っているカナも可愛い〜」
金「きゃーみっちゃんマサチューセッツしてる間に300取られたかしら〜」