ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」

このエントリーをはてなブックマークに追加
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:20:36.13 ID:6zyoHGekO
支援
135橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:21:35.23 ID:RWk/vg5R0
「しょうがないわね。こうなったら……」
「どうですか皆さん。調子の程は」
 ハルヒが何か言いかけた瞬間、古泉が姿を現した。
「あ、古泉くん、丁度いいところに! あたしの替わりに二人に教えてくれる? さっき滑ってこなかったコースを滑りたいの、あたし!」
「畏まりました」
「さっすが古泉くん! 団長の補佐をするのは副団長の仕事だもんね! えらい! どこかのキョンとは大違いね!」
 悪かったな。だが俺は副団長になった覚えは無いから、お前のサポートをする必要などどこにも無いわけだが、それに関してはどう答えるつもりなのでしょうか、涼宮さん?
「じゃあ先行ってるわ!!」
 ハルヒは一人、初級ゲレンデをかっ飛ばしていった。やっぱり聞いてねぇー
「まあまあ、いつものことではないですか。それよりも早く上達するように頑張りましょう。そうでないと涼宮さんの機嫌が一段と悪くなってしまいます」
「もしかしてお前、ハルヒの機嫌が悪くなることを見越してコーチの交代をしたのか」
「くく、実はそのとおりなのです。今回は森さんがいらっしゃいますので、任務を果たさず遊び呆けていると僕の身に災いが降りかかってきます故」
 古泉……お前も現金な奴だよな意外と……

「さて、練習を再開しましょう。ではお二人がどのくらいまで滑れるようになったかご披露していただけないでしょうか?」
 またそれか……だがしかたないな。こいつに文句を言うのはお門違いだってことは重々承知しているさ。俺は諦め顔でコースを滑り降りた。
 俺は初級者コースを危なげなく滑り終えることが出来た。朝からのレベルアップは無論、昼イチの頃と比べても滑りがよくなっていた。ターン時のバランスがよりうまく取れているのだと自分では思っている。
「まずまずですね。もう少し練習すれば、中級者コースも難なく滑れるでしょう」
 まあな。これでも頑張ってんだ。ハルヒに叱られたくはないからな。
「くくくっ、それはそれは。では朝比奈さん。続いてお願いします」
「あ、はい。それじゃあいきますね……」
 古泉の掛け声のあと、朝比奈さんが出発し……
 ポテッ

 ふわふわの雪を叩くような、軽い音が微かに聞こえてきた。
 原因はわかっている。音のした方に目を向ければ一目瞭然である。朝比奈さんが滑り出してすぐに転倒したのだった。
「あいたたた……」
「大丈夫ですか、朝比奈さん?」
 転倒時の痛みを健気に耐え、そして朝比奈さんは再び立ち上がり……こけた。
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:21:44.27 ID:jAufCM190
支援
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:21:49.92 ID:6zyoHGekO
支援
138橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:23:05.28 ID:RWk/vg5R0
 俺は顔を背けてくすくすと笑っていた。朝比奈さんがここまでボードが下手だったとは思わなかったぜ。俺が見た時はまともに滑っている時のみだったから全然気がつかなかったよ。
 くくく、ははははは……

 俺が内心で一人爆笑の渦を巻き、そしてようやく落ち着いた頃、再び朝比奈さんの方に目を向け――
「な……!」
 ――そして、その光景に思わず声を上げてしまった。
 俺の網膜に焼き付いたその光景。それは、板を外した朝比奈さんが、古泉にお姫様だっこで抱えられているシーンだった。

「なにがあったんだ、朝比奈さん! 古泉!」
 古泉この野郎なんてうらやましい事をしてやがるという、至極当然な感情を露にしつつも、心の中では不安がたぎってきた。朝比奈さんが見事なまでのこけっぷりで怪我でもしたのだろうか? 
「心配することはありません。朝比奈さんはどこも怪我をしておりません。健常人そのものです」
 朝比奈さんを抱えて古泉が俺の近くまで迫ってきた。だが。
「ぐす……うぇぇ……」
 朝比奈さんは、泣いていた。
「その朝比奈さんを見て、何ともないと言い切るのかお前は。何をしたんだ。正直に話せば殴るのだけは勘弁してやる」
「それは困りましたね……ですが落ち着いて僕の話を聞いてください。彼女が泣いていた理由は、スノーボードを滑れなくなったからなんです」
「はあ?」と思わず聞き返す。どういうことだ? 怪我はしてないんだろ? 体調不良か?
「いいえ。至って健康だと言うのは先ほど申し上げたとおりです。ただ……」
「ぐす……古泉くん、そこからはわたしが説明します……」
 古泉の説明を遮り、朝比奈さんが絞りだすかのような声をあげた。
「あの、キョンくん……わたし、怪我をしたとか、身体能力が落ちたというわけじゃなくて、スノーボードを滑る能力が消失してしまったんです」
 どういう意味ですかそれは?
 俺の言葉に、朝比奈さんは口を開き――そしてモゴモゴとさせた。
「ごめんなさい、禁則みたいです。うまく話せないみたい」
 いえ、良いんですよ。逆に朝比奈さんの態度でわかりました。朝比奈さんの能力の消失には、恐らく未来からのプレッシャーがかかっているんですね」
「なるほど、確かにそう考えるのが妥当でしょうね」
「いえ、あの……」
 朝比奈さんの沈黙は、俺達二人の意見を肯定するのに十分だった。
 たが推理は後回しだ。朝比奈さんをロッジまで避難させた方がいい。古泉。二人がかりで運ぶぞ。
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:23:27.60 ID:jAufCM190
支援
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:23:37.62 ID:6zyoHGekO
支援
141橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:24:35.56 ID:RWk/vg5R0
 何なんだ一体。何故朝比奈さんのスノーボードの腕前が退化したんだ? はっきり言って意味がわからない。
 朝比奈さんを一時避難させた後、俺と古泉はゲレンデに戻り、練習を再開し始めていた。本当は朝比奈さんの看病に回りたかったのだが、今回の件に関して未来との通信をするからと断られてしまったのだ。
「事実を過不足なく申し上げるのは事実上不可能でしょう。証拠となる物件が少なすぎますから。しかし、推測することは可能です」
 推測することは可能だが、的外れなことは止めてくれよ。
「昨日の新幹線内のことや今朝の一件のことを仰っているんですか?あれはあなたの反応を見るために行った道楽。暇つぶしですよ」
 てめえ……罰として後で俺にジュースでも奢ってもらおうか。
 俺の言葉に古泉はフッと笑い、そして髪の毛をかきあげた。その後は一転、真剣な顔つきになっていた。
「申し訳ありません。ですが今回の一件は笑い話にはなりそうにありません。真剣に推測致しましょう。まず先ほども申し上げた通り、未来からの干渉があったのは事実でしょう。そうでなければ涼宮さん、佐々木さんの能力による可能性が考えられます」
 前者に関してはともかく、後者に関しては異議を申し立てる。ハルヒや佐々木が、朝比奈さんに対してウィンタースポーツの腕を退化させる意味はどこにある?
「ええ、僕もそう思います。他にも長門さんや周防九曜らTEFI端末の能力による可能性もありますが、同様の理由で却下できます。つまり、他の未来人がやったとしか思えません」
 他の未来人……やはり、結論はそこに行くのか。
「そう。彼ですよ。彼が朝比奈さんの能力を奪った。それ以外には考えられません。僕や橘さんにはそのような能力はないですからね」
 十分に考えられる。元々朝比奈さんに対してもいい印象を持っていなかったし、あいつに都合の良い未来にするには、恐らく朝比奈さんをどうにかしないといけないだろうからな。
 本当はセクシーゴージャスな大人版朝比奈さんをどうかしたほうがいいんだけど、恐らくあっちの朝比奈さんは色々手ごわくなっている。そこで朝比奈さん(小)に目をつけたって訳だ。
 どんなに獰猛な獣でも、子供のうちであれば処分するのに手はかからない。恐らくそんなところだろう。
 しかし、一つ腑に落ちないことがある。
「お前の意見はわかるが、それならばもう一つ疑問がある。未来人の能力は時空の壁超えて行き来するだけじゃないのか?一個人の能力を退化させることもできるというのか?」
「それは……」
「それは、僕の口から説明しよう」

『!!』

 ――俺と古泉は弾かれたかのように後ろを振り向いた。
 そこには、朝比奈さんと違って全く持って可愛げのない未来人と、古泉と違って超がつくほど短絡的な超能力者の姿があった。
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:24:51.75 ID:IpANTM9F0
シエン
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:25:15.79 ID:jAufCM190
支援
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:25:22.22 ID:6zyoHGekO
支援
145橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:26:35.57 ID:RWk/vg5R0
「やほっ、キョンくん、久しぶりです。ついでに古泉さん」
「…………」
 俺達が沈黙を貫き通していた。いや、喋られなかったのだ。あまりにドンピシャなタイミングで現れたものだから、反射神経が迷走して脳内まで達してしまったのだ。
 俺達が固まっていると、奴が話し始めてきた。
「どうかな。僕の改良型TPDDの効果は? これはただ時間平面を変化させることだけではなく、特定対象の特定部位のみを時間軸を任意に変化させ、操ることができるのだ」
「……まさか、それを使って朝比奈さんを!」
「そのとおり。朝比奈みくるのもつ運動能力を、この時間平面上にて約半日分負の方向にシフトさせた。その頃の朝比奈みくるは、スノーボードを滑走することなど不可能だったはず。作戦は成功した」
「どうして、朝比奈さんをその様な目にあわせなくてはいけないのでしょうか?」
「ふん、禁則だ」
「いいえ。どうしても言ってもらいます。そうでなければ、少々面白くないことになりますよ」
「古泉。今回ばかりは俺もお前の意見に賛成だ。手を貸してやる」
 俺と古泉。二人が藤原を睨みつける。だが藤原は余裕の体勢で俺達に下卑た笑いを見せるのみ。
 ちっ、こいつとは本当にウマが合わん。前世は敵同士だったのかもしれない。
 俺は負けじと皮肉をこめた冷笑を藤原に送り――
「まあまあ、喧嘩は止めましょう。喧嘩は。お互い痛い思いをするだけですし、それにそちらで森さんが出てきたらかないませんもの」
 ――そんな俺達を仲裁をするかのごとく、橘が止めに入った。
「こちらとしても、無用な衝突は避けたいものです」
 古泉! お前……!?
「冷静になってください。朝比奈さんは今日半日分の身体能力が奪われただけに過ぎませんから、然したる厄災はありません。それよりも我々が争っているところを涼宮さんに発見される方がより脅威といえるのではないのでしょうか?」
「くそっ」と俺は口を鳴らした。甚だ遺憾ではあるが、確かにそのとおりである。
「そうそう。あたしだって佐々木さんにこんなところを見られたら怒られちゃうのです」
「……わかった。ならばここでじゃれあうのは辞めておこう。しかし橘、今回の一件で何を企んでいるか洗いざらい吐いてもらおうか。どうやらお前も一枚噛んでいるみたいだしな」
「そうですね。全部を話すのはまだできませんが、少しくらいならお話してもいいと思います。……ね、いいでしょ?」
 橘はニコリと笑って藤原の方を見る。藤原は勝手にしろといわんばかりの表情をして顔を背けた。
「ふふふ、彼も結構可愛いいところあるのよ。これで。あたしの計略にも二つ返事で了承してくれたしね」
 あたしの計略だと? まさかお前が首謀者なのか?
「ええ、そうですよ。昨日あたし言いましたよね? 復讐をしてやるって」
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:26:51.02 ID:jAufCM190
支援
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:26:56.51 ID:6zyoHGekO
支援
148橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:28:24.21 ID:RWk/vg5R0
 そうか。これもあの一件と同じ流れだったと言うわけか。
「橘。その復讐とやらは、もしかしてこの前の一件に対するものなのか? お前の胸を改変した、あの一件が尾を引いていると言うのか?」
「ええ、そのとおりです。……あの時以来、あたしは大変な目にあったんです。身体測定を全て欠席して教師にしかられたり、特注ブラやサプリメントを注文してお金が尽きかけたり、そのことを組織に報告してお金を無心したら駄目って断られたり!」
 知るかそんなこと。相変わらず全部お前が悪いんじゃねーか。
「極めつけはこの前電車に乗ってたとき、痴漢にあって、胸を触られたんです! それだけならまだしも、その痴漢野郎、触った瞬間手をあたしの胸から離してそそくさと逃げちゃったんです !男の胸と勘違いしたんです! キィー!! くやしい!!」
 あまりにアレな回答に俺と古泉絶句。
「あの一件はあのお化けカボチャが全て悪いんです! それなのにあたしの前で懲りずにあんなものをタップンタップンさせちゃって!」
 どこに朝比奈さんの非があるのか問い詰めたいが、橘は曲解をしているので正答を導き出すのは困難だろう。無視だ無視。……それより、おまえはそんな理由で朝比奈さんにあんなことをしたというのか?
「いいえ。それも8割くらいありますが」と橘。大部分じゃねーか。「今回どうしても許せなかったのは、あたしのウィークポイントである頬をあんなにパンパン叩いたことです! 絶対許さないんだから!」
 ……ウィークポイント……なのか? 普通、チャームポイントとか言わないか……?
「あ、いや、そうとも言いますけど……それはさておき、朝比奈さんにはあんな事やそんなことを含めて、許せない部分が多々あるのです! それらに対するお仕置きなのです! 胸の小さい女の怨嗟、思い知るが良いわ!!」」
『…………』
 俺と古泉再び沈黙。最早何度目の沈黙か分からん。特に古泉なんか目を点にしているし。
「くくくくく……」
 俺たちがカップラーメンを作るくらいの時間沈黙に沈黙を重ねていると、橘のとなりにいたしたり顔の未来人が含みのある笑いをあげはじめた。何がおかしいんだ。
「くくく、だから僕が言ったとおりじゃないか。無乳化のおかげで痴漢野郎が余罪を積み重ねるのを拒むことができたんだ。あんたは犯罪を未然に防いだ。そして未来を紡ぐ掛け橋となった。僕の推察どおりの結果にな。ふはははっ、貧乳万歳!」
 あのぅ藤原さん、あなたの考えもどうかと思うんだが……それに今の話を聞く限り、単なるあなたのの趣向を暴露しているようにしか聞こえないのですが……
「うむ、それについては否定しないが……付け加えるなら、自分の体の不満を解消すべく女を求めてアブナイ展開って言うのが僕の好みで……」
「なに馬鹿な話をしているんですか! あたしは佐々木さん以外の女性には趣味ありません!」
 橘。それはそれで怪しい発言だぞ。横で藤原がたまんねぇって顔してるし。
「あ、あたしはノーマルです! ……って、そんな話をしに来たわけではありません。さっきの会話の続きです。わかりましたかキョンくん、あなたに最後通告しにきたのです」
 最後通告だと?
「ええ。ご存知の通り、あたしは朝比奈さんに対する復讐を成功させました。いずれ涼宮さんにも佐々木さんにも行う予定ですから」
 さてとんでもないことを言い出したこの女。「お前はあいつらにまで復讐しようというのか?そんなことしたらどうなるのか、お前自身が一番良く知っているんじゃないのか!?」
「ええ。ですからあたしをコケにしたこの気持ちを味あわせてあげるのです。あたしが何故こんなことをするのか。分かってくだされば復讐は自ずから受け入れることとなるのです」
 確かに、橘の気持ちも分からなくは無い。前回の一件で、橘が散々コケにされたことは重々承知だ。だが……
「昨日も聞きましたが、キョンくん。あたしの復讐、手伝ってくれませんか?」
「昨日も言ったはずだ。断ると」
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:28:59.49 ID:jAufCM190
支援
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:29:04.07 ID:6zyoHGekO
支援
151橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:30:12.39 ID:RWk/vg5R0
 ……だが、やはり手を貸すことなどできん。ちょっとした要望ならともかく、復讐に手を貸せと言われてはいわかりましたなどと言うほど俺はあいつらに恨みを買っているわけではない。
「あたしは何も人を陥れるようなことは考えていません。せいぜいあたしの心の痛みを分かってもらおうと思っているだけで、それ以上のことはしません。涼宮さんにしても、佐々木さんにしてもそれは同じなのです」
 なら俺から言ってやるから、そんなことは辞めろ。
「いいえ。人間痛い目を見ないと人の気持ちがわからないのです。だからあたしは心を鬼にして涼宮さんや佐々木さんにまで復讐することを誓いました。手伝ってくれないと言うのであれば、こちらにも考えがあります!」
 橘は言葉を区切り、そして不敵な笑みを浮かべて朗々と喋りだした。

「キョンくんが邪魔をするのであれば、キョンくんにも復讐することにします」

「なっ……」
 俺は思わず声を上げてしまった。
「待て!何で俺がお前の復讐を受けなければいけないんだ!」
「キョンくん、マジで言ってますか?」
 突然、橘の顔が曇った。それまで春の日差しの如く柔らかい笑みを浮かべていた姿からすると、一目瞭然である。
「俺には、お前に対して酷いことをした覚えが無い」
 お前は散々俺に対して酷い事をしてきたけどな、と心の中で付け足す。
「…………」
 橘は顔を伏せ、暫く沈黙し……
「くくくくく、それみたところか。所詮この時代の人間の感情など低俗且つ次元の低いものだと言うことが分かっただろう。あんたはどう思っていようとも、その気持ちは伝わらないんだよ」
 その表情を見て、藤原が蔑ますかのように橘に言い放った。
「いえ……あたしは信じています。キョンくんが、あたしの心の闇を取り除いてくれることを」
「ちっ……なんでこんな男が……俺のほうが、こんなにも……」
「こんなにも、何ですか?」
「うっ!き、禁則事項だ! あんたが知る必要は無い!!」
「ああ、多分な、そいつは橘のことがす「わーわーわわわー!!!!!」
 二人のシリアスな会話に何かお手伝いしなければと思った俺は、藤原の気持ちをカミングアウトしようと試みたのだが、当の本人によって妨げられてしまった。
「な、ななな、何をいってるんだあんたは!」

「え? 古泉さんは分かっちゃったんですか? あたしにも教えて欲しいのですが」
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:30:21.42 ID:jAufCM190
支援
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:30:31.84 ID:6zyoHGekO
支援
154橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:31:36.02 ID:RWk/vg5R0
 何って言われても、橘の質問に俺が代弁しようと……
「それは今言うべきことじゃない!何れ言うときが来る!その規定事項を崩すことは僕が許さない!!」
 別に今言えばいいじゃないか。早いほうがお前のためだと思うぞ?
「早ければ良いってもんじゃない! そう! 様々な時間的精神的要因が重なり合い、最適な条件のもと告白しなければその愛は成就しないのだ!」
「へええ、あなたも愛の告白とかするのですか。意外ですね。ねえねえ、どんな女の子がタイプなの? 佐々木さんみたいな人? それとも、朝比奈さんみたいな人?」
 うっかり口を滑らせた藤原に対して、橘が面白がって藤原を質問攻めにしてきた。
「うっ! あ、愛の告白と言うのは、もののたとえであってだな……」
「ほほう、それは大変興味深い。ですが僕はあなたが誰に好意を寄せているか、今の会話で理解し得ましたよ」
「っだ、誰が……!」
「ええ、それはたち「ッチ!タッチ!この辺にタッチ!!」」
 古泉の発言を、何だか懐かしい歌っぽいものでうやむやにする藤原。
「何やっているんですか! 邪魔しないでください! 恥ずかしがる必要は無いのです。一般的な人間であれば、好意を寄せられて嫌だと言う人はいませんよ。それに馬鹿になんかしませんから。思い切って言ってください!」
「いや、だからまだ言うべきときじゃなくて……」
「俺は今言うべきだと思うから言っちゃうぞ。こいつの好きな奴はた「めだこりゃ」」
「もう! いい加減にして下さい! しかも『ためだこりゃ』ってなんですか! 長さんがご存命ならば怒り狂ってしまいますよ!」
「い、いや、僕も彼が残した遺産は、歴史的見地からもとても重要なものだと思うんだけど、ほら、本歌取りをして故人を称えることもまた重要だと教わってな……」
 未来人のカミングアウトによるシリアスモードは一転、いつの間にかこの二人による漫才へと変化していった。
 なあ古泉。この二人、将来漫才をやったら良いんじゃないかと思うんだが、どうだ? 
「き、奇遇ですね。僕も今そんなことを考えていたところなんですよ。くくくくく」
 だな。ついでに芸名を考えてやったぜ。パンジー藤原とシトラス京子だ。どうだ、何かいい感じだろ? 
「くくく……どちらも頭の中がお花畑って、ことですか……」
 うくくく、その通りだ……
『あっははははは!!』
 俺達は同時に大爆笑の声を上げ――

『ちょっと! 話を聞きなさい!!』
 ――そして、夫婦漫才コンビの二人に同時に突っ込まれた。
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:31:57.44 ID:jAufCM190
支援。携帯支援の方がさるになったorz
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:32:11.85 ID:6zyoHGekO
支援
157橘京子の陰謀 ◆SG9FMCTTAI :2008/02/16(土) 23:34:36.38 ID:RWk/vg5R0
「と、とにかく、僕のことはどうでもいい! それよりもあんたに言うことがある!」
「そ、そうなのです! キョンくん。猶予を与えます! 今日の夜十時、ペンションの裏にある雪溜りのところで待っているのです! それまでに解答を出してください! さもないと、あなたの身に不幸が降り注ぎますから! それじゃ!」
 そう言って橘と藤原、コントフラワーズはブーツをいそいそとはめ、その場を後にして……あ、橘がこけた。
「い、いたぁーい!」
「こ、こんなことろでこけ…うおぁ!!」
 藤原まで巻き込まれた。
「ちょ……どこさわっているんですか!」
「いや、すまん!でも、まったく感触が分からなかったが……」
「うわぁぁぁあん!! ひどいですぅ!!」
「だ、大丈夫だ!僕はどちらかと言うと小さいほうが好みだから!」
「あなたの趣味なんてどうでもいいのです!! それよりあたしの心の傷、どうやって癒してくれるんですか!」
「くそ……俺だって今の一言で、十分傷ついたぜ……」
「え? 何が傷ついたんですか?」
「あ、いや、えーとだな……」

 まだやってるよ。あの二人、本当に飽きもせず良くやるよな……



「どうしましょうか。この一件?」
 俺が呆然と二人のほうを見ていると、古泉がそう問い掛けてきた。すっごく面倒くさそうに。
 どうするかって? 分かりきったことを。俺の中では既に対策済みだ。


 そして俺は面と向かって古泉に言い放った。
 ――決まってるだろ。無視してスノーボードを楽しむのさ――
(橘京子の陰謀 合宿二日目 了)
さるってしまってすみません。本来ならこの時間くらいにすべて投下し終えるはずだったんですが・・・
申し訳ないですが今日はここまでにしときます。明日も野暮用があって早いんで。野暮用が終わったら必ず投下します。恐らく7時か8時くらいです。
よろしくお願いします。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:34:52.18 ID:jAufCM190
支援
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:35:00.76 ID:6zyoHGekO
支援
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:36:02.56 ID:Dk3dR3Rm0
乙乙
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:36:03.07 ID:jAufCM190
>>157
乙! 明日に持ち越しwktk。
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:46:00.01 ID:G5+BxNQf0
やっぱり橘の陰謀はいいなぁw
作者GJ!
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/16(土) 23:50:35.50 ID:BORyjst2O
乙!
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 00:08:41.17 ID:4VouAEPCO
h
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 00:09:17.98 ID:qC2ZxJgp0
保守
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 00:32:37.80 ID:m6SuXvdt0
保守
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 00:55:28.49 ID:WjzS82iAO
保守
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 00:55:48.26 ID:VFlX+W9vO
sage過ぎ注意
age
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 01:20:31.68 ID:KkNcshDK0
ほっほっほ〜
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 01:32:03.64 ID:p2VqhF7O0
橘GJだ
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 01:36:29.85 ID:m6SuXvdt0
確認したいんだが、原作で機関がハルヒの情報爆発以降に発足したと明言したシーンってあったっけ?
読み返してみても、機関についてはまるでそれ以前から存在しているように読めてしまうんだが。
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 02:16:54.35 ID:WjzS82iAO
保守
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 02:28:27.46 ID:WjzS82iAO
>>171
憂鬱P165読むと、古泉に超能力が芽生えてからすぐ『機関』から迎えがあったって事になってるな。
今の所、『機関』のトップが誰か(誰が結成したか)が解らないからねぇ……
でも、ハルヒの情報爆発が無い限り超能力者は居ないって事だから、情報爆発以降の結成なんだろうさ。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 02:37:34.55 ID:m6SuXvdt0
>>173
古泉は機関に「協力」していると言っていることから考えて、超能力者=機関じゃないと思う。
そう考えれば、別にハルヒの情報爆発以降発足と考える必要もなくなるんだよね……

元々情報統合思念体はハルヒの情報爆発より以前から、地球上の有機生命体に観察する価値を見いだしていたわけで、
それを仲介する組織=機関が存在していても不思議はないと推測することも可能。
そもそも三年足らずで、NASAですら動かせる(古泉曰く)組織になれるとは思えないし。
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 03:06:57.95 ID:WjzS82iAO
超能力全員が『機関』に所属している。
『機関』の発足は3年前。
ハルヒの監視するためだけの組織。


どうなんでしょ……?
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 03:50:44.95 ID:of3ccUxqO
古泉の理論を完全に鵜呑みにすると、
「そういう設定」の状態でハルヒに創られた、と言える。
宇宙人も機関もね。
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 04:52:22.12 ID:WjzS82iAO
それを言っちゃおしまいだろw
それだと、ハルヒが想像している宇宙人は美少女ばかりって事にならないか?
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 06:01:39.30 ID:WjzS82iAO
保守
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 07:37:26.18 ID:HaDhNWkHO
保守
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 08:50:34.72 ID:HaDhNWkHO
保守
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 08:55:51.23 ID:yMSTMc2IO
スネークしてこいボンクラ

【お客様は】福島のDQN中古車屋がヤフオクで発狂⇒経費使って個人特定中【ボンクラです】★26
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/news/1203175826/
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/17(日) 10:02:48.88 ID:m6SuXvdt0
保守
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
保守