ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」
乙。最近プリンは午後の時間帯に落ちやすくなっているような。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 19:09:26.68 ID:M1xR1vF80
___.,,, __.,,,
( ヽ:`:.:.:.:.:.:.:.:.:\ア
` -‐/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j
/:.:.:.:.:.:.:.:(_ヽ.:.:.:.:.:.(ソ`
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
. /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、.::.::.:.:.:.:.::▼.:l キョン (英名 Reeves's muntjac、学名 Muntiacus reevesi)
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ`:、::.:ノ:.:/
./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`ト-´`´ 哺乳綱 偶蹄目 シカ科 ホエジカ属に分類されるシカ。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:_._:._:._.:.:| 体長70-100cm。 肩高40-50cm。 体重10-15kg。 森林、低木林に生息する。
:.:.:.:.:.::.::.::/.:.:.::.::.:.::.`ヽ 群れは形成せず単独で生活する。 草食性で木の葉や果実等を食べる。
:.:.:.:.:.::.:/.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ 繁殖形態は胎生で、1回に1匹の幼体を出産する。 肉質は柔らかく、脂肪も少ない。
:.:.:.:.:.:.ト:.:.:∧:.:|、:.:.∧:.:.:.:.l 中華料理では、薄切りまたは細切りにして、炒め物などにされる。 別名・四目鹿(ヨツメジカ)
:::.:.:.:.:.l_V_ヽ! V___.レ|:.:l
:.::.:.:.:.| -‐‐ ‐- |:.l/ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
:.:.:.:.:l:l. | l.:.| | ___ |
:.:..:.:|/ ' l:.:.l | \\ /| / |
.:.:.:.::.:!、 -‐ /∨ < \\ | / |
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ | // __|_. (___ゝ |
:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:| \______________/
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\. ∩
_:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._:./:ヽ. / ,ゝ-,
: : ̄: : --- : : ̄: : : : : : :l. | (二`i
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 19:10:07.39 ID:I6gAkdArO
なんで落ちたの
いちもつ
保守
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 20:01:13.30 ID:/tfhtVmZO
スレ立て乙!保守投下
悪夢のような夢を見てあたしは目を覚ました。
夢のなかであたしは怖い姿のあなたと寝ていて、
あたしが起きるとあなたは、あなたを捕まえたあたしを怒っていた。
あたしは何故かあなたの為に、あたしが一番尊敬する人から言葉を貰って、
あなたに聞かせていた。
その言葉が終わる前にあたしは夢から覚めてしまったんだけど、
起きてからね、悪夢じゃなかったって気付いたの。
あなたが去って1ヶ月。
あたしの心の悲しみも、なんとかやっと柔らいだと思ってた。
だけど悪夢に姿を変えて、あなたはやってきた。
夢から覚めて、意味に気付いて、あたしは泣こうと思った。
だけど涙が出ないの。とても嬉しくて悲しいのに。
それはきっと、あたしの涙をあなたが消してくれたから。
そしてあたしは泣いてしまう。あなたの優しさに。
「ありがとう、さよなら」
『さようなら。ありがとうな』
夢の中で、寝ていたあたしが見てたのは、変わり果てる前のあなたの心だった。
幸せそうにあなたは誰かを見ていて、その誰かの酔っ払ったような行動は、
あなたを笑顔にしていたと日記に書いていた。
その後には、変わっていく自分と、
その大きなきっかけの物が惜しむように綴られていた。
最初に夢から覚めた時は、
怖い姿のそのものが、あなたになんてとても見えず、わからなかった。
起きてみたら、不思議と目覚めが良くて、しばらくして、
…あなただったと気付いたの。
終了!内容は最近実際にみた夢とクロスさせたヤツです。
yutoriで落ちるってことはもういらないってこったろ。
糞スレ 糸 冬 了
保守
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 20:41:32.90 ID:IdtM5Pqu0
保守
確か誰かが死ぬ夢って良い夢だったよな。
17 :
\_______________________/:2008/02/10(日) 20:48:40.96 ID:qL/XRr6N0
\_______________________/
,. - ── - 、 ○
r'つ)∠─── ヽ o
〆⌒  ̄ ̄ ̄ \__ \ 。
,.イ ,イ \ヽ,
ヾイ /{ { ヽ、ト、 \
{ .ト{\ヽ', メ __\ }
ゝ |"ひ) \ イびゞ \ ヽ- 、
ノ ト///´,. //// ノ ///\
/. { ゝ / レ// }
{ ヽ ヽ⌒> / レ´TT
V{ \ └ ´ / ,.イ/ /
,-、 f^ヽ >ー┬|/ ! ,.イノ
{ ヽ:::;ム マミ、: : \ ム: : :∨
\ ヽ,ム ∨ヘ : : \ /: /ヘ: : :ヘ
,.- 、 \ ヽ〉 ヽ \: : :\://ヘ: : :|
ヽ、 \ | 〉 \ lヽ./^)、 : : |: : !
丶、`¨ / ァ'´ /: : ヽr:| : ハ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 21:01:55.74 ID:db/TLjcy0
【作画を語るスレ540】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1202643257/ 21 :メロン名無しさん:2008/02/10(日) 20:54:47 ID:???0
所詮VIPPERは口だけのカスだったなwwww
俺らアニヲタに歯向かうとか百年はえぇっつのwwwwwwwwww
31 :メロン名無しさん:2008/02/10(日) 20:56:18 ID:???0
すまんVIPがここまで雑魚とはおもってなかった...
14 :メロン名無しさん:2008/02/10(日) 20:54:10 ID:???0
VIPPERって頭悪そうだから
いい作画とかすぐ忘れてそうだ
保守
20 :
コタロウ ◆Map9bzE5rI :2008/02/10(日) 21:22:00.63 ID:twkcNHJN0
勢いがないな。だからあれほどパー速に移動しろと・・・
保守
もうすぐバレンタインだな・・・と、遠い目で保守
甘い系のSS書きたくなったが、ありきたりなネタしか思いつかないorz
ありきたりなネタでもいいじゃない。
バレンタインで変化球……
それもまた難しそうだなw
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 21:57:53.78 ID:UqdhafcZ0
保守
保守
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 22:12:41.97 ID:qUoxU2xE0
>>24 ハルヒ「ほらキョン、これ、あげるわよ」
キョン「ん? なんだこの異様な包装紙に包まれた物体は? 小包爆弾ならお断りだぞ」
ハルヒ「違うわよ! どうせ誰にも貰ってないだろうと思って、チョコ用意してあげたの!」
キョン「あぁ……。そういえばもうそんな時期か」
ハルヒ「ありがたく受け取りなさい!」
キョン「そうするよ、ありがとな、ハルヒ。 ここであけてもいいのか?」
ハルヒ「好きにすればいいじゃない」
キョン「それじゃあけるぞ……」
ガサガサ
キョン「これは……フォークじゃないか!」
ハルヒ「形整えるの大変だったのよ」
キョン「いや、しかしこれは使ってる間に溶けるだろ…… 味も混ざるしいいとこなしだぞ?」
今日の終わりが近いのでやった
口調って難しいやね
改めて書き手の人ってすごいと思った
餓鬼の頃は女言葉なんて考えるのも恥ずかしかったもんだ
いい例がRPGツクール
保守
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 22:42:43.75 ID:UqdhafcZ0
保守
〜2月14日・通学路にて〜
ハルヒ「ね、ねぇキョン……今日の放課後に……」
キョン「あ、そうだ。ほら、これ」
ハルヒ「……何これ?」
キョン「何って……バレンタインのチョコだ」
ハルヒ「なんで男のあんたがあたしに渡すのよ!?」
キョン「いや、海外では割と普通のことらしいぞ?……と言っても古泉に入れ知恵されたんだけどな」
ハルヒ「ここは日本よ!?」
キョン「いいじゃないか別に。お前には日頃世話になってるから、その感謝の気持ちだ」
ハルヒ「……それはいいとしても、その紙袋は何よ?」
キョン「見ての通りチョコだ。他にも朝比奈さん、長門、古泉、鶴屋さん、佐々木、谷口、国木田、etc……配る相手は多いからな」
ハルヒ「義理100%!?しかも皆一緒!?」
キョン「そうだぞ?」
ハルヒ「…………」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「団長であるあたしとその他を一緒くたにした罪は重いわ!放課後に追加でチョコレートパフェもおごりなさい!」
キョン「……無茶言うな。チョコ代に消えてもう金なんかないぞ?」
ハルヒ「問答無用!放課後はそのまま喫茶店行くわよ!これは命令よ!」
キョン「……やれやれ」
古泉「……結果オーライですかね?」
みくる「まさか知り合い全員分買うなんて……キョン君ダメすぎですよ」
長門「……あとは涼宮ハルヒの手腕次第。私たちに出来るのはここまで」
古泉「ふぅ……では、我々も『義理チョコ』を頂きに参りますか?」
END
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 23:11:24.51 ID:kCUx9FNS0
XXXXXX
保守
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 23:34:49.31 ID:UqdhafcZ0
保守
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 23:40:14.12 ID:n5dFeHoN0
保守
ほっほ
保守
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 00:21:41.73 ID:hsvuZ8ex0
保守
40 :
コタロウ ◆Map9bzE5rI :2008/02/11(月) 00:28:21.84 ID:JOIS6nRB0
保守
保守
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 01:03:25.57 ID:22CW4jXeO
保守
保守
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 01:36:29.92 ID:G0LJwv4D0
保守
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 01:45:12.12 ID:kdUF7tX30
保守
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 01:46:49.27 ID:JY2qrU7Z0
何という保守スレ
第4章の序盤、投下していいですか?
おk
では以下より。第3章までは
ttp://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4247.htmlをご覧下さい。
↓↓↓↓↓↓↓↓
六番街スラム『ウォールマーケット』。ミッドガルのプレートにすっぽり覆われているスラム街
の中でも、随一の大きさと品数を揃える、プレート都市を除けばこの界隈で最大級の市場だ。しか
し、物と人が集まれば、そこは自然と――
「ちょっと、そこのお二人さん。少し休んでいかない?きれいな部屋があるんだけどどうだい?」
「おっ!そこの兄さん!別嬪さん連れてるねぇ。ドンのところに行けばいい金になるよ!」
――ピンク色のネオンサイン、猥雑な色をした大きな看板。スラムの中なので建物はボロッちい
が、派手な色彩をした宿屋。そう、ここは男相手の商売をする歓楽街としての側面も持っていた。
「ここ、色んな意味で怖いとこです。特に女の子には。早く涼宮さん、見つけないと……」
この場の雰囲気に余り慣れてなさそうな朝比奈さんが不安顔で言った。その通りだ。しかも何を
とち狂ったのか、あいつの格好はバニーガールという、露出度満点でいかにも助平な男に受けそう
な衣装だ。飢えた狼どもに「喰って下さい」と言ってるようなもんだぞ(どんな例えだ)。とにか
く俺たちはチョコボ車が走っていったとされる方へと急いだ。
そこは『蜜蜂の館』という、まさしく若い女の人が男の人に(き、禁則事項ですぅ〜 by朝比奈
さん)する所だった。まさか、ハルヒはここに……!
「いらっしゃい!!もてない君でも、ここ蜂蜜の館でなら運命の彼女に出会えるはず!!……あな
たも彼女探しですか?」
支援
俺は自分でも気が付かないうちに、玄関先で道行く男どもを呼び止めていた奴の胸倉を掴んでい
た。
「な、何しやがる!?」
「……涼宮ハルヒという奴を知らないか?」
そのまま出来るだけ低く響かせた声でこう尋ねると、その男は俺を見てにんまり笑う。
「おっ、あなた聞き耳はやいねえ。ハルヒちゃんはムチムチの新人さんだよ。でも、残念です。ハ
ルヒちゃんはいま面接中。蜜蜂の館の慣わしでね。新人の子はドン・ヤマネのお屋敷に連れてかれ
るんだ。ドン・ヤマネは有名な独身貴族。そろそろ身を固めるってんで、お嫁さん探しに熱心でね
――グッ、ぐお……」
どこだ、そのお屋敷ってのは。俺は更にそいつの首を締め上げる。俺って、こんなドスの効いた
声、出せるんだな。自分でも驚きだ。男は苦しそうに呻きながら答える。
「……マーケッ…ト、の……ずっと、奥に……行け…ば、わ…か、る……」
それさえ分かればこんな所に用はない。俺は男を締め上げていた手をパッと放し、そのヤマネと
か言う野郎の屋敷へ走った。無論、朝比奈さんもだ。後ろからさっきの男が俺を口汚く罵る声が聞
こえたが、そんなの知ったこっちゃ無い。
支援
53 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 02:26:17.35 ID:qE8pt/bu0
そのドン・ヤマネの屋敷は、行ってみるとすぐ分かった。ど派手なネオンに「邪魔音」などと書
かれた妙な看板、そして無駄に黄金でピカピカの外装――あれを悪趣味と言わずして何を悪趣味と
言うのかってなもんだろう。すると、俺の姿を見咎め、屋敷の門番が近づく。
「ここは、ウォールマーケットの大物、ドン・ヤマネ様のお屋敷だ。いいか、ドンは男には興味な
いんだ。さっさとどこかへ……」
門番は俺の隣に可憐に咲く一輪の花、つまり朝比奈さんを見つけると今の今までの勢いは何処へ
やら、
「ああっよく見たらキレイな姉ちゃんも一緒!ね、どう?うちのドンと楽しいひと時を過ごしてみ
ない?」
途端に猫撫で声になる。まぁ、気持ちは分からんでもないが、話を聞く限り好色らしいボスにし
てこの子分あり、と言ったところだろう。朝比奈さんは門番にニッコリと微笑むと俺の手を取って
少し離れた屋台のラーメン屋の陰まで行く。朝比奈さんは顔を決意で強張らせてこう言った。
「……あたし、中に入ってきます。涼宮さんにあなたのこと話してきてあげるから」
「ダメです!!」
俺は即答した。何故って、ここは……その……わかるだろ?ハルヒならともかく、朝比奈さんを
こんな猛獣の巣に投げ込んだらどうなるか、想像に難くない。
支援
55 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 02:34:43.57 ID:qE8pt/bu0
「じゃあ、どうするの?キョン君も入る?」
出来ることならそうしたい。だが、俺は男だ。さっきの様子だとすんなり入れそうにも無い。か
と言って無理矢理入ったら騒ぎになってしまう。中の様子が分からない以上、ハルヒの安全を確認
できないうちは無駄な騒動を起こせないし……しかし朝比奈さんに行かせるのは先述の理由で却下
だ……いや、しかし……って、何を笑ってるんです、朝比奈さん?
困っている俺を見ながら、朝比奈さんはイタズラっぽい笑みで平然とこう言い放った。
「キョン君、それなら女の子に変装したらどうですか?」
――い、今何と?想像だにしなかった朝比奈さんの提案を受けて俺が固まっているうちに、
「ちょっと待って下さいね。きれいな友達、連れて来ますから」
「お友達も、か……そりゃいいな。その方がドンも喜ぶし、もしかしたら……ウヒヒ」
朝比奈さんはもう門番と話をつけていた。行動速っ!?……いや、待て。この状況は何だ?朝比
奈さんは何と言った?俺が女装する?ホワイ、なぜ?
「朝比奈さん!いくら何でも……」
「涼宮さんが心配なんでしょう?さ、早くしないと!」
そう言って、往生際悪く反論を試みる俺の手を引き、もと来た道を返す朝比奈さん。何か、妙に
乗り気なのは気のせい……ですよね?
支援
『HARUHI FANTASY Z -THE NIGHT PEOPLE-』
第4章 SPOIL
――その後の悪夢は二度と思い出したくないので、出来れば省略したいのだが、そういう訳にも
行かないので、掻い摘んで説明する。
まず、ノリノリの朝比奈さんに洋服屋に連れて行かれた俺だったが、店主の息子に頼まれ、スラ
ンプに陥って酒屋で飲んだくれている店主を俺たち自らが説得して、わざわざ自分が女装するため
のドレスを作らせる羽目となった。だが、話してみると店主は何かに目覚めたらしく急にやる気に
なり、これもまたノリノリで洋服屋に篭って服を作り始めた。
支援
その間に、やはり女装に必要であろうかつらを手に入れようと、店主から紹介された「その道の
達人」がいる場所に足を運んだが、そこはまさに男臭さ溢れる格闘技のジム。そこで俺は見た目や
話し方は女性だが実は「きれいなお兄さん」からかつらを手に入れるために、ムキムキの門下生と
何故かスクワット勝負を演じることに(一応勝ったが)。……ここまで来るともうヤケになってい
たようだ。俺までノリノリになって女装を極めるべく、率先してウォールマーケット中を走り回る
ようになっていた。セクシーコロン、そしてダイヤの髪飾りもそろえた。
――それから会員カードを譲り受けて『蜜蜂の館』にも入ったぜ。朝比奈さんには白い眼で見ら
れたけど、ここには外から見えんがやはり女らしさを醸し出すには必須のアイテム『下着』が存在
するはずなのだ!勇んで入ってきた俺を待っていたのは、『団体様の巣箱』のムッキーのせいしゅ
……む、ムキムキの男に密着されてふ、ふろに…………い、い、い、いやぁーーーー!!!!
……途中の記憶が何故か無くなっていたが、手元にはビキニのパンツ。とにかく必要なものは全
部揃えたはずだ。洋服屋に帰り着くと、店主はもうドレスを作り終えていた。速く作った割には何
とも素敵なシルクのドレスだった。早速着てみる俺。最早羞恥心は完全に麻痺してた。
初めて着る女性の服に戸惑ったが、朝比奈さんに助けてもらい、ついにお披露目となった。朝比
奈さんは俺の姿を見てクスクス笑いながら、
「お淑やかに歩いてね、キョンちゃん」
何が、お淑やか、ですか。朝比奈さん。あなた絶対楽しんでるでしょう。何となく頭が冷めてき
て、改めて自分の姿を鏡で見て俺は腰を抜かした。これ、俺だよな?完全に女になってるよ、外見
は。途端に恥ずかしくなる俺。絶対外出て歩けねえ。そんな俺の心情など露知らず、店主は細い目
をこれでもかと丸くして、
支援&60
「ほう、これはなかなかどうして。新しい商売になるかも知れんぞ。そうだね、やってみようか」
などと言っていたが、いいのか?俺、絶対人の人生踏み外させてるよな。俺の女装姿をみて盛り
上がる朝比奈さんと店主とその息子。だが、たまたまそこにいた女性客が冷たく俺に言い放つ。
「あなたって、ヘン」
……何か、死にたくなってきた。
――とにかく、ここからが本題だ。朝比奈さんと女装した俺がドン・ヤマネの屋敷を再び訪れる
と、門番は待ち焦がれていたかのように、
「おおッ!!お友達もこれまたカワイコちゃん!ささ、中へ中へ!!2名様、お入り〜!!」
と、あっさり中に入れてくれた。女装がバレないか内心冷や冷やしたが、案外簡単に騙せたよう
だ。しかしこの屋敷、外見もそうだが中身もまた悪趣味だな。無駄にでかい壷や「ぷぅ」と大きく
書かれたついたて、それから建物中に書かれている変な漢字。「業座」「終魔胃」って一体何だ?
「お〜い、おネェちゃんたち。今ドンに知らせてくるからさ。ここで待っててくんな。ウロウロし
ないでくれよ」
支援
63 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 02:51:16.74 ID:qE8pt/bu0
俺たちを迎えたドン・ヤマネの子分らしい男はそう言って隣の部屋に入っていった。周囲には幸
いにも誰もいない。今がチャンスだな。俺たちはこっそりとハルヒを探し始めた。
……ハルヒは意外と簡単に見つかった。鞭やろうそく、三角木馬なんかが置かれている地下の「
おしおき部屋」(何に使うんだ、一体?)で、バニーガールの格好のまま不機嫌な顔をして立って
いた。このまま駆け寄ろうとした俺は、自分の格好に気付いて慌てて顔をハルヒから逸らした。す
ると朝比奈さんがハルヒに近づきこう言った。
「あ、あのう……涼宮、さん?はじめまして。あたし、朝比奈ミクルといいます。あなたのことキ
ョン君から聞いてます」
するとハルヒは一瞬驚いた後、そうだな、まるで好物のものを喜んで口に入れた瞬間、味付けを
激しく間違っているのに気付いたような、そんな微妙な表情になった。
「……あんたは?……あっ、公園にいた人?キョンと一緒に……」
朝比奈さんが頷いて肯定すると、ハルヒは「そう……」と、何故か落ち込んだかのように声のト
ーンを落とす。朝比奈さんはその様子を見て、これまた何故か真っ赤な顔をして言った。
「あ、安心して下さい!キョ、キョン君とは、少し前に知り合ったばかりで、何でもないんですよ
!!」
「あ、安心って……か、勘違いしないで!あたしとキョンは単なる幼馴染!!何でもないの!」
支援
65 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 02:57:38.73 ID:qE8pt/bu0
ハルヒも顔を最大級に真っ赤にして俺とのあらぬ関係を否定した。するとそれを見て落ち着きを
取り戻した朝比奈さんは、クスッと微笑んだ。
「な、何が可笑しいのよ?」
「ふふっ、だって、キョン君も同じように顔真っ赤にして否定してたから。二人とも似てるなって
、思って」
「…………」
ぐうの音も出ないハルヒも珍しいな、そんな事を思っていたのがいけなかったんだろうな、やっ
ぱり。ハルヒは俺の姿を目ざとく見つけやがった。
「――キョン、あんた、キョンよね!?やっぱり!!」
あんまり明かしたくは無かったが、こいつに何時までもしらばっくれた所で強制的に吐かされる
のがオチだからな。ちゃんと肯定してやったさ。すると、ハルヒは見事に女になりきった俺の頭か
ら足のつま先まで眺め回し、
「ぷっ!うははははははっ!!ひーッ、あーっはははははははは!!!!」
部屋中に響く声でひとしきり大爆笑しやがった。こんちくしょう。一体、誰の為に、恥を忍んで
こんな格好したと思ってやがる。
「……ハハハハハ、もう、ハハ、笑い死にしそう……それにしてもキョン、あんた女装が意外と似
合ってるのね。今度何か着せてみようかしら」
支援
断固断る。こんな罰ゲームみたいなこと、金輪際するもんか。それに、格好だけなら他人のこと
は言えんぞ、ハルヒよ。一体、こんな所で何をしてるんだ?
「え、ええっと……」
ハルヒは朝比奈さんのほうを見る。確かに、ここから先の話は彼女に聞かせないほうがいいだろ
うな。テロリストだし、俺たち。それを察したのか、朝比奈さんは俺たちからちょっと離れて、
「わ、わたし、耳、塞いでますね!」
と可愛らしい小さな両手で耳を塞いでくれた。それを見てハルヒはこう話し始めた。
――曰く、あの後、神羅に追われ、ほうほうの体でセブンスヘブンに帰ったハルヒたちだったが
、やはり伍番街スラムに落ちた俺のことが気がかりで、みんなで捜索に出ることにしたらしい。準
備を整え、店を出たその時だ。
「店の周りに怪しい男がうろついていたのよ。その男を古泉君が捕まえて、あたしがキューッとし
めて話を聞きだしたの」
そこで、ここのドンの名前が出た訳か。
「ヤマネはただの小悪党だし、放っておいても良かったんだけど……伍番街スラムの教会でターク
ス相手にドンパチかましたソルジャーの格好をした男の話もしてて――ひょっとするとキョンのこ
と、知ってるんじゃないかって、思ったの」
支援
「分かったよ。ヤマネ自身から話を聞こうとした訳だな」
「そうよ。あいつは女好きだしね。こういう格好すれば会ってくれると思って」
そう言いながらハルヒはバニースーツを指差した。しかし、露出度高いから、見てるこっちが恥
ずかしいぞ。ハルヒは俺の視線に気付き、両の腕で胸元を隠すポーズをする。
「!……何ジロジロ見てんのよ、エロキョン!!」
そうは言うがな、そんな格好してるお前にまず問題があるぞ。じゃあ、一体何処を見ろというん
だ……ん?どうした、ハルヒ?
「……キョン、無事だったのね。本当に、良かった」
いつの間にか俺を見詰めて、ハルヒが珍しくしおらしくそう言ってきた。……悪かったな、心配
掛けて。俺なら大丈夫さ。あそこにいる朝比奈さんにに助けてもらったんだ。
「そうなの、あの子が……」
ハルヒは少しの間、朝比奈さんを黙って見詰めていたが、急に俺の方を奇妙にニヤニヤした顔で
向いてきた。
支援
「……それにしてもキョン、あの子とず〜いぶん、仲良さそうじゃない?いつの間にあそこまでた
らしこんだ訳?」
そんな事、お前に関係ないだろ。それに、朝比奈さんとはそんな仲じゃない。
「ふんっ、どうだか!六番街の公園の滑り台の上で、とーってもいい感じだったじゃない!!」
いや、だからあれはそういうんじゃないって!セブンスヘブンへ行く途中、ちょっと彼女が休憩
したいって言ったからであってだな、そんな雰囲気なんか全然――。
「あのぅ……全部聞こえちゃってるんですけど」
急に朝比奈さんがバツの悪そうにおずおずとそう言い出したので、俺たち二人は言い争うのを止
めた。と言うか、なに二人してムキになってたんだろうね?ハルヒも少し恥ずかしそうにしている
。それより、これからどうするんだ?一応俺とは合流できたが、それでもヤマネに会うのか?
「うん……そのつもり。せっかくここまで来たんだし、やっぱりちょっと気になるから。でも、ち
ょっと困ってる事があって」
寝る前支援
支援
何なんだ、それは?
「ヤマネは自分のお嫁さんを探してるらしいの。毎日3人の女の子の中から一人を選んで……あの
……その……とにかく!その一人に私が選ばれなければ……今夜はアウトなのよ」
言い淀む気持ちは分かる。それ以上は言わんでいい。だが、確かにそうだな。ハルヒが選ばれな
い事は多分無いんじゃないかとも一瞬思ったが、こいつ以上の美人で性格もパーフェクト、という
奴がいないとも限らないからな。すると、朝比奈さんがこう切り出した。
「あのぅ、3人の女の子が全員あなたの仲間だったら問題ないとおもうのですが……」
「?それはそうだけど……」
ハルヒは怪訝そうに返事するが、朝比奈さんは俺たちを一通り見回して言った。
「ここに、ちゃんと2人いますよ?」
2人ってまさか、朝比奈さんも一緒に行く気か!?
「それはダメです、朝比奈さん!あなたを巻き込むわけには行かない!!これはあくまでSOS団の
問題です。これから先、どんなに危険なことが――」
しかし彼女は俺の言葉を遮るように「ふふっ」と少し微笑むと
75 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 03:18:30.75 ID:qE8pt/bu0
「――涼宮さんなら、危険な目に遭ってもいいんですか?」
「?!……」
「!!……いや、ハルヒは……」
こう言われるともう何も言い返せない。それにそれが一番ベストな方策には違いない。ハルヒは
朝比奈さんに念を押すように尋ねた。
「……いいの?」
「あたし、スラム育ちですから。危険なこと、慣れてるの。あなたこそ、あたしを信じてくれます
か?」
朝比奈さんのその言葉に、ハルヒはあの弾ける様な笑顔を見せた。
「もちろんよ!……ええと、ミクルちゃん、だっけ。改めまして、あたし、涼宮ハルヒ。SOS団の
団長よ!これからもよろしくね!!」
「はい!よろしくお願いしますです!」
2人の少女が手を取り合って友情を結ぶ姿を、俺は感慨深げに眺めていた。やっぱりいいもんだ
な、こういうのって。――しかし、ハルヒは朝比奈さんをジロジロ眺め回している。何だ?
支援
支援
78 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 03:26:34.87 ID:qE8pt/bu0
「……さっきから思ってたんだけど、ミクルちゃんってめちゃめちゃ可愛いわよね」
何を今更。
「それに、あたしよりちっこいくせに、胸大きいのよね。ロリ顔で巨乳、これってすんごい萌え要
素だと思わない、キョン?」
「ふぇっ!?」
そう言うなりハルヒは朝比奈さんのバストをひと揉みする……何か危ないことをし出したぞ。朝
比奈さんはびっくりして後ずさりするもののハルヒの手からは『逃げられない!』
「実はさ、あたしバーニースーツもう一着持って来たんだけど、ミクルちゃんにとっても良く似合
うと思うのよ」
ハルヒは赤色のバニースーツをがさごそと取り出した。何処に仕舞ってたんだ、そんなもん。そ
れを見て朝比奈さんの顔が恐怖の色に染まった。
「ま、まさかあたしもそれを着るんじゃ……」
支援
「そうよ」
「そ、そんなの着れません……」
「大丈夫。サイズは合うはずだし」
「い、いえ……そういう意味じゃ――」
「ゴチャゴチャ言わずにさっさと着るっ!!」
ハルヒは朝比奈さんに飛び掛り、彼女の服を勢いよく脱がし始めた。おい、待てハルヒ!何てこ
としやがる。俺はハルヒの凶行を止めようとしたが――
「み、見ないでぇぇぇぇ〜!」
白い柔肌と可愛らしいブラがもう露わにされていた朝比奈さんにそう懇願されては、俺にはもう
何も出来なかった……。俺はそのまま回れ右をする。
「ふぇぇぇ!」「だめぇ!」「せめて自分で脱ぎますからぁ!!」
「うりゃ!」「ほら脱いだ脱いだ!」「最初から素直にしときゃよかったのよ!!」
後ろからは朝比奈さんの悲痛な叫び声と、ハルヒの勝ち誇ったような雄叫びの様な声が聞こえて
きた。俺はもう、ただただ手を合わせるばかりだ。そして、それも一段落し、ヤマネの手下が、
「お〜い!!おネェちゃんたち、時間だよ。ヤマネ様がお待ちかねだ!ウロウロするなって言ったの
に。これだから近頃のおネェちゃんたちは……早くしてくれよ!」
俺たちを呼びに来たときには、半泣き状態の可愛らしい赤バニーが誕生していたのだった……。
支援
……ちなみに、あとの一人の女の子は誰だって?聞くまでも無いだろ。やれやれ。
「ドンがこの部屋でお待ちかねだよ。へへへ……」
手下が扉を開くと、そこにはメガネを掛けたボサボサ髪の男が傍らに二人の男を従えて、金ぴか
の悪趣味な椅子に悠然と座っていた。こいつか、ドン・ヤマネは。すると左側に立っていた男が俺
たちに偉そうに指図する。
「よ〜し娘ども!ドン・ヤマネの前に整列するのだぁ!」
取り敢えず言われた通りに整列する俺たち。ヤマネは机の上に飛び乗り、バニー二名と女装約一
名の俺たちを眺め回して物色する。――何かすぴすぴ言ってるが、何だこの音?
「ほひ〜!いいの〜、いいの〜!いいにほいだな〜!一番嗅ぎたいのはセフィロスだけど、どのお
なごもいいにほい!!」
ドン・ヤマネが俺たちの匂いを嗅いでる音だった。気色悪いぞ、こいつ。ハルヒも朝比奈さんも
明らかに引いてる。しかし、ヤマネは構うことなく物色を続ける。
「今日はどのおなごにしようかな?ほひ〜ほひ〜!このコにしようかな〜?それともこのコかな〜
?」
しばらく俺たち3人の間を行き来したヤマネは――
「ほひ〜!!決めた決〜めた!今夜の相手は……この骨太のおなごだ!」
「「「え?!」」」
84 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 03:37:20.00 ID:qE8pt/bu0
今回はここまでです。支援ありがとうございました。
(余談)
本来は長門スキーな私ですが、これを書いてるとハルヒやみくるが可愛くなってくるのはどうしてだろう…。
ちなみに、今回の初登場人物は
山根(1年5組/アイドル研究会)=コルネオでした。
乙!
山根という文字を見るたびにアンガールズ山根の顔を思い出す俺の頭をどうにかしてくれー
ほ
し
の
カ
今夜はおとさねえ
ゅ
なんだか既に目が覚めたのと、前回のSSで長門が大変な事になっていたので
今まで長門のバレンタインのSSを書いてました。
今度はチョコにでかでかと本命なんて書いたりしない展開にならない感じで、
書き進めて行こうと思います。
世間には、姿が無くとも確かに存在するものがあるという。
本日はそういった目に見えぬ事柄に甘ったるい物で形を与え、
そしてとある条件下に置かれた男女にとっては殆ど例外無く
その甘ったるいものを互いに確認し、そして見つめ合うであろう事が
想像するに難くない…2月14日。つまり、バレンタインデーなのである。
ここに人類が存在しているなんてのは、
瓶詰めにされた時計の部品が振り乱される事によって偶然完成をみる事のような、
摩訶不思議的かつ天文学的な確立の数値で表される程の現象であるらしいのだが、
俺は、実は意外とそんな事は多発的に起こり得るんじゃなかろうかと感じている。
北高という限定された空間の中で三年間振り乱された俺達もまた、
一体この世の誰が想像出来たのであろうかという物が組み上げられてしまったのだから。
早朝、北高へ臨む坂道にも若干の名残惜しさを感じながら
俺と谷口が肩を並べて登校している時だった。
俺の前に、ある者によって背中をパシンと叩かれる長門の姿が現れた。
「……ひゅっ!?」
「よっ!有希!今日も朝から天気が良くて気持ちいいな!」
ああ、長門も不意打ちを受けて息を漏らす程に成長したんだな…。
俺は目前で展開されている場面を観察しながら、まるで小学校に入り数年経過し、
もうすっかり馴染んでしまった愛娘を見る父親の瞳の如き柔和な感情を抱いていた。
だがしかし、二年前の俺がこんな物を見てしまったなら絶句するに違いない。
そしてすぐさま逆方向へと一目散に走り出す事だろう。…光陽園学院の制服を確認しに。
今、どうして俺が平静を保ち続けているのかと聞かれれば答えは簡単だ。
なぜならば、俺が見ている風景に不自然な点など何も無いのである。
少なくとも…長門と谷口が、肩を並べて登校している姿には。
と、ここまでです。
この続きは、暇なバレンタイン当日か次の日の22:00あたりに投下したいと思います。
あと、トリップつけてみました。
二時間で目が覚めてしまった……作品がきてたからよかったけど
続きはもっとまとめてから投下することをお勧めするよ。くっくっく
前保守
保守
もっ回寝るほ
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 08:45:36.63 ID:TGCMqlcOO
おちてやんの
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 08:57:45.12 ID:FeoOxVQ30
保守
保守
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:05:05.53 ID:xVzFSdoTO
●<フライアウェイイイイイイイ
104 :
これを見ろ!!:2008/02/11(月) 10:11:42.03 ID:uqr42zIk0
>192 :名無しでGO!:2008/02/02(土) 16:06:14 ID:nVI22F+GO
>VIPとかキモ、 鏡見て死ね
>39 名無しでGO!:2008/01/25(金) 03:20:30 ID:fn7uvgXBO
>アホVIP連中か?
>348 名無しでGO! sage New! 2008/01/13(日) 15:44:48 ID:aegMdUnz0
>VIPPERってカスの集まりだな
>集団でしか行動できねーのかよ
http://hobby10.2ch.net/test/read.html/train/1200914562/ JR西日本の社員がvipperを煽ってるお(^ω^)許せないよ↑にAA突撃だお(^ω^)
JR西日本が、我々vipperを、バカにしています 。
徹底的に叩いてください
105 :
これを見ろ!!:2008/02/11(月) 10:11:57.48 ID:uqr42zIk0
>192 :名無しでGO!:2008/02/02(土) 16:06:14 ID:nVI22F+GO
>VIPとかキモ、 鏡見て死ね
>39 名無しでGO!:2008/01/25(金) 03:20:30 ID:fn7uvgXBO
>アホVIP連中か?
>348 名無しでGO! sage New! 2008/01/13(日) 15:44:48 ID:aegMdUnz0
>VIPPERってカスの集まりだな
>集団でしか行動できねーのかよ
http://hobby10.2ch.net/test/read.html/train/1200914562/ JR西日本の社員がvipperを煽ってるお(^ω^)許せないよ↑にAA突撃だお(^ω^)
JR西日本が、我々vipperを、バカにしています 。
徹底的に叩いてください
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:12:04.01 ID:zrg/5v/ZO
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:28:58.77 ID:8A+I9ZNqO
「エアコン」という作品を読んだ
自分の灰色の学生生活を思い出して、やるせない切ない気持ちになった
だが、それがいい
何かおすすめの作品があれば教えて
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:31:03.13 ID:UZkDfVzh0
「じゃあな」
校門でキョンは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
好きだよと言えずに私の初恋は終わった。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:31:52.52 ID:UZkDfVzh0
すまん、白いなっちゃんのCMみて即効で4行で書いてみた。
今は反省している。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:38:00.36 ID:xVzFSdoTO
「じゃあな」
校庭でキョンたんは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
●<だから思い出をください。ふんもっふ!
アッー!!
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:43:04.77 ID:UZkDfVzh0
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:49:57.45 ID:xVzFSdoTO
「じゃあな」
校庭でキョンは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
谷口「まあいいや。あ、そこのお姉さんお茶でも一緒にいかがですか」
キョン「ちょっwwwおまwww」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:51:56.58 ID:xVzFSdoTO
「じゃあな」
校庭でキョンくんは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
みくる「というわけで未来に連れて帰ることにしました。拒否権はありません」
キョン「あざーすwww」
「じゃあな」
校庭でパーソナルネームキョンは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
ながもん「いつまでも一緒に。情報連結解除、開始」
キョン「これはいいヤンデレwww」
「じゃあな」
校庭でキョンは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
国木田「ならばいまのうちにやっておこう。クニキッダ」
キョン「それもう出たwwwアッー!!」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 10:58:23.41 ID:UZkDfVzh0
はじめに俺が書いた元はプリン向けだったのに
いつのまにかアナル向け・・・
「じゃあな」
校庭でキョンくんは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
阪中「それよりも早く涼宮さんと甘い思い出を作るのね。ハァハァ」
キョン「見学させてくださいwww」
「じゃあな」
校庭でキョンは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
ちゅるや「そんなことよりスモークチーズはあるかい?」
キョン「台無しwww」
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 11:04:46.56 ID:xVzFSdoTO
「じゃあな」
校庭でキョンくんは振り返りもせず、自分の家に向かっていった。
もう会うことはないのかもしれない。
朝倉「待ってキョンくん」
キョン「え?」
朝倉「ずっと好きだったの」
キョン「朝倉……。俺も、朝倉のこと好きだよ」
朝倉「やったあ♪ じゃ愛しいわたしのために死んで♪」
キョン「結局それかwwwグフッ」
おわれ(グサデレの作者ごめんなさい。そしてプリンにこんなの投下してごめんなさい)
120 :
108,116:2008/02/11(月) 11:07:00.22 ID:UZkDfVzh0
あの・・・一応俺にも謝ってくれない??(涙目)
122 :
108,116,120:2008/02/11(月) 11:20:46.97 ID:UZkDfVzh0
>>121 罰としてまとめにあげなさい!!
団長命令よ!!
おいらの思いつきから広げてもらってサンクスコ
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 11:28:17.37 ID:xVzFSdoTO
改変前も入れておk?
124 :
108,116,120:2008/02/11(月) 11:31:59.04 ID:UZkDfVzh0
おk
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 12:22:34.99 ID:6OSXLtR/0
保守
「アダルトサイトを見たい――おおっと、これは俺が考えていることじゃないぞ。
健全たる男子高校生たる俺は、ただただ、部室にいるマイエンジェルさえ眺めていれば、
それはそれは、エクスタシーを感じられるのであって・・・・ってアッー!何を言っているんだ俺は
ここは言い改めよう。ただただ、萌えー属性を付加されたメイドの姿の麗しい女性から
お茶を注いで頂いているだけで腹十二分目、要は満足しているのである。
衣食足りて礼節を知る――あぁ、すばらしい言葉よなぁ
さて、今回の騒動だが、それは、あいつのこんな言葉から始まった。
「キョン!○○○○しましょう!」
次回、続かない
ナ、ナンダッテー!?
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 13:54:46.28 ID:Z0oDC+8iO
保守
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 14:00:58.57 ID:s2Ag1xwn0
キョンくん全レスしないなぁ><
保守
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 15:00:37.89 ID:cFzECYnbO
保守っとな
hosyu
保守
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 16:26:08.30 ID:6OSXLtR/0
保守
保守
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 16:52:14.62 ID:DIW/fPz/0
もうハルヒと会ってから一年もたつのか
あいつには散々な目に会わされたな・・
キョン「はぁ・・」
ため息をつく権利くらい俺にもあるだろう、
だが団長様はそれさえ許す気がないらしいあぁ俺の青春よフォーエバー
ハルヒ「何浮かない顔してんのよ!SOS団団員たるものがため息とはどういうこと!」
キョン「あのなぁハルヒ俺だって人間だ、ため息ぐらい「それよりあたしのプリン食べたでしょ!!」
キョン「プリン?しらねぇよそんなもん」
ハルヒ「嘘ついたってバレバレなんだからね!白状しなさい!」
その時、古泉が不気味に微笑んだのを俺は見逃さなかった・・・
ハメられた俺はそう思ったね、だがこんなものは序の口だったんだ・・
キョン「聞いてくれハルヒ、食べたのは俺じゃないんだ!」
あいつが素直に引き下がるとは思えないが俺はこうすることしかできなかった
ハルヒ「あんた以外に誰が食べるって――」
結局帰りに奢らせられるハメになった、だがそんなことより俺はやることがある
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 16:54:03.44 ID:DIW/fPz/0
キョン「古泉・・お前がやったんだろ?
古泉「えぇよく分かりましたね、証拠は全部消したはずですが」
キョン「そんなことはどうでもいい!何であんのことするんだ!」
古泉「ではこうしましょう、あなたが涼宮さんにプリンを奢った、
なら僕はあなたにフランクフルトを奢りましょう」
キョン「フランクフルト?何言ってるんだ」
俺はこいつの言ってることが理解できなかった
否、正確にはやってることが、だ
古泉「さぁキョンたん僕のフランクフルトを差し上げますよ」
キョン「正気か!?古泉!こんなこと止めるんだ!!」
その時古泉が再び微笑んだ
俺は全てを悟ったそういうことだったのか・・と
古泉「ふーーーんモッフ!!!」
キョン「アッーーーーーー!!!」
天の声「その後2人の姿を見るものも2人を覚えているものも居なかった
たった一人を除いて」
長門「・・・・・馬鹿」
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 16:57:12.20 ID:DIW/fPz/0
以上で投下終了だ
こじつけ感があるがそれは初投稿なので勘弁してくれw
アナルで待ってる。
暇なので1レスお題をひとつ
古泉のムーンウォーク
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 17:30:38.57 ID:WFyt00clO
ハルヒの匂い
ながもんイナバウアー
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 17:53:18.34 ID:xVzFSdoTO
ハルヒ「キョン、暇そうね」
キョン「必死扱いて勉強している姿のどこを見てお前はそう捉えたんだ」
ハルヒ「そんなの知らないわよ。それよりあたしは暇だから何か面白いことしなさい」
ハルヒ「そうね、有希を笑わせたら合格とするわ」
みくる「うわー。キョンくん頑張ってくだしゃーい」
古泉「非常に楽しみですね」
ながもん「ファイト」
キョン「お前ら揃いも揃って」
キョン「よかろう。俺の全てを見せてやる。うおおおおおおお!」
ハルヒ「何という闘気」
ながもん「まだ上がっていく。一万……二万……」ボンッ
ながもん「ス、スカウターが」
みくる「長門しゃんのは旧式でしゅからね。わたしのは未来から取り寄せたニュータイプだから安全でしゅ。羨ましいでゲショ。長門しゃんにはあげましぇんよー」
ながもん「黙れ」
何かこんなのメモ帳に書いてた
病んでいたのだろう
文芸部室って部室棟の何階にあるんだろうか
よく落ちて死んでるし三階ぐらいじゃないか?
死んwwwでwwwww
すまん間違えた
そうか三回か、ありがとう
今まで何となく一階だと思ってた。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 18:38:34.42 ID:6OSXLtR/0
保守
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 18:42:22.59 ID:3U42KTXLO
景色的に二階が望ましい。
保守
ほ
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 19:29:04.46 ID:8A+I9ZNqO
一巻に二階って書いてなかったか
マジでか、今一巻が手元にないもんで確認できないんだがthx
>>156 ちょっと待て、この画像はソースになるのか。
おk
では以下より。第3章までは
ttp://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4247.htmlをご覧下さい。
↓↓↓↓↓↓↓↓
あろう事か俺の前に立ち止まり、俺を指差してそう宣言していた。ハルヒは信じられない成り行
きにあんぐり口を開き、朝比奈さんは目をパチパチ瞬かせている。
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!いや、待ってください!」
俺は狼狽した。一瞬自分が女装をしているのを忘れて元の口調に戻ってしまう位。そして、そん
な口調でも自然に裏声になっちまうくらいにな。ヤマネはにんまりと俺を見詰めたままだ。ええい
、やめろ、気色悪い。
「ほひ〜!その拒む仕草がういの〜、うぶいの〜後はオマエたちにやる!」
?!何だって
「へい!!いただきやっす!」
部下二人はそれぞれハルヒと朝比奈さんを連れて部屋から出て行く。まずい、助けるか。しかし
、俺の肩はがっしりとヤマネの腕に抱かれる。なんか吐きそうだ。
「さ〜て、行こうかの〜!」
……こうなったら仕方ない。ハルヒ、何とか逃げ出して、朝比奈さんのこと、頼むぞ。
俺はヤマネの部屋の奥にある寝室に通された。ご丁寧にもダブルベッドが用意されている。まあ
、この展開はそういうこと、なんだろうな。ヤマネは早速ベッドに飛び乗って俺を誘う。
「ほひ〜、やっと二人きり……さあコネコちゃん……俺のムネへカモ〜ン!」
俺は胃がムカムカしてくるのを必死で覆い隠し、ベッドに上がりヤマネに近づく。
「ほひ〜、何度見てもカワイイの〜お……お前も、俺のこと好きか?」
「も、もちろんですわ……」
俺の必死の裏声も大したもんだな。ヤマネはまだ気付いていないようだ。顔をにまーっと綻ばせ
てやがる。
「ほひ、うれしいこと言ってくれるのォ!ほんなら、ナ、ナニがしたい?」
俺は意を決して準備してきた台詞を言う。……レコーダー、仕掛けられてないだろな?
「……あなたのス・キ・な・コ・ト」
言ってしまった……言ってる自分でも気分悪くなるぜ。これが録音されてたら俺は命懸けてもマ
スターテープを見つけ出し焼却させてやる。しかし、ヤマネは更に気分を良くした様だ。
「ほひほひ〜!!た、たまらん!じゃあ、おねがい……チューして、チュー!!」
ついに迫ってきやがった。これ以上許すと俺の貞操の危機……違う意味でな。
しえn
「それはダメ……」
「なんで?なんでなんで?」
「――だって……あんたのその口は情報を漏らすのに使ってもらうからさ!!」
俺はそう言い放ってベッドから飛び降り、女装を解く。やっぱり疲れるぜ、女性の服装って。み
んなよくこんなの着れてるな。当然、ヤマネは突然の成り行きに慌てた。
「お、オトコ!?ほひ〜、だ、騙したな!!だれか!だれか!!」
「お生憎さま。あなたの子分は誰も来られないわよ!!」
その自信に満ちた声と共にハルヒがどかどかと入ってきた。朝比奈さんもだ。ちゃんと助けてく
れたんだな、ハルヒ。
「あたしが行ったときには、もうみんな倒してたわよ、ね、ミクルちゃん」
……マジかよ。女っていざとなると怖いな。
支援
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 20:44:24.29 ID:6OSXLtR/0
支援
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 20:44:35.52 ID:a/qTWXQC0
「お前たちはさっきの!?な、何がどーなってるの?」
突然の乱入者に更に驚きを隠せないヤマネに向かって、既にバニーからいつものミニスカ姿に戻
ったハルヒは仁王立ちして指を突き立てる。
「悪いけど、質問するのは私たちの方よ。手下に何探らせてたの?言いなさい!言わないと……」
「……切り落とすぞ」
俺はバスターソードをヤマネのすぐ傍にドスッと突き刺す。ヤマネはあまりの恐怖に震えだした
。
「や、やめてくれ!ちゃんと話す!何でも話す!」
「さ、どうぞ」
案外簡単に落ちたな。多少拍子抜けしたが、恥ずかしい思いして女装した甲斐があったってもん
だ。
「……片腕が銃の男や、頭にカチューシャをつけた変な女――そう、あんたのねぐらを探させたん
だ。そういう依頼があったんだ」
「誰から?」
ハルヒの尋問は更に続くが、さすがにそうすんなりとゲロしてくれないらしい。
「ほひ〜!しゃべったら殺される!」
「言いなさい!言わないと……」
次はこれまたバニーからさっきの清楚な服装に戻った朝比奈さんが、笑顔で手に持っていたロッ
ドをベッドにドスッと突き立てる。
「……ねじり切っちゃいますよ?」
これは怖い。こんな美少女に微笑まれてそんなこと言われると尚更な。脅されてる当のヤマネも
当然そう思ったんだろうな。慌てふためいて更なる情報を吐き出した。
「ほひ〜!神羅の多丸だ!治安維持部門総括、多丸ユタカだ!」
「治安維持部門総括!?」
神羅の、しかも軍を取りまとめる一番の大ボスの名前が出てきやがった。小悪党からちょっとし
た情報聞き出すつもりが、何だかとんでもないことになってきたぞ。
「神羅ですって!!神羅の目的は!?言いなさい!言わないと……」
最後にハルヒ自ら拳をドスッとベッドにめり込ませた。
「……磨り潰すわよ」
169 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 20:56:05.33 ID:qE8pt/bu0
「ほひ……ねえちゃん……本気だな。……えらいえらい……俺もふざけてる場合じゃねえな。神羅
はSOS団とかいうちっこいウラ組織を潰すつもりだ。アジト諸共な。文字通り、潰しちまうんだ。
プレートを支える柱を壊してよ」
「柱を壊す!?」
ハルヒは信じられないという面持ちでもう一度問い直す。しかし、ドン・ヤマネはさっきまでの
怯えた様子と打って変わり眼鏡の奥の瞳にいやらしい笑みを浮かべた。
「どうなるか分かるだろ?プレートがヒューッ、ドガガガ!!だ。SOS団のアジトは七番街スラム
だってな。この六番街スラムじゃなくて俺はホッとしてるぜ」
「――七番街スラムが無くなる!?キョン、早く戻らないと!!」
そうだな、ハルヒ。しかし、神羅め何てこと考えてんだ。たかだかちっぽけなテロ集団を潰すた
めにここまでやるか、普通。そんなことしたらスラムどころかプレート都市の人たちだって大勢死
んでしまうぞ。……奴ら本気で狂ってやがる。とにかくこんな事してる場合じゃない。俺たちは七
番街向け駆け出した。
「ちょっと待った!」
しえn
171 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 21:03:02.50 ID:qE8pt/bu0
ヤマネが俺たちを呼び止めた。黙れ!お前に構ってる時間はこれっぽっちも無いんだ。
「すぐ終わるから聞いてくれ。俺たちみたいな悪党が、こうやってベラベラとホントのことをしゃ
べるのはどんなときだと思う?」
!――それってあれだよな。普通、「勝利を確信したとき」――
「ほひ〜!あったり〜!」
「キャッ!」
「ワッ!」
「ウォッ!」
ヤマネがベッドに据えられていたスイッチを押すと俺たちが立っていた床に突然大きな穴が開き
、物理の法則にしたがって落下していく。しまった!「落とし穴」なんてベタな罠に……。
「ほひ〜!ほひ〜!!」
再び堕ちて行く暗闇の遥か上から、ヤマネの勝ち誇った気味の悪い笑い声が聞こえてきたのが余
計に癪に障った。
丁度その頃――神羅カンパニー本社70階社長室。プレジデント・ケイイチ・神羅は、この部屋に
治安維持部門統括・多丸ユタカと都市開発部門統括・新川を呼んでいた。もうすぐ、SOS団殲滅の
ための大規模作戦が始まろうとしている。
「準備の方は?」
「順調ですよ、兄さん。実行部隊はタークスに任せてあります」
プレジデントの問いに軍服姿の多丸ユタカは自信を持って答える。ちなみに苗字は違うがこの二
人は実の兄弟だ。兄のケイイチが遠縁の本家・神羅家に養子入りし、神羅を大企業にのし上がらせ
ていく過程で、弟のユタカもそのお零れに預かる形でここまで出世してきた。
「プレジデント!本当にやるのですか?たかだか数人の組織を潰すのに……」
社長室に呼び出されたもう一人、新川がプレジデントに異議を申し立てた。プレジデントは眉を
ひそめ、荒川を睨み気味の眼で見る。
「今更ナニかね、新川君」
しえn
「……いいえ。しかし、私は都市開発責任者としてミッドガルの建造、運営の全てにかかわってき
ました。ですから……」
「新川君、そういうのは個人的な問題に過ぎないよ」
何とかプレジデントに作戦の翻意を図る彼に、多丸は穏やかな笑みで冷たく言い放つ。新川は彼
の言葉を無視して続ける。
「後藤市長も反対しているわけであり……」
「市長?このビルの中でボソボソと飯を食ってる彼が?彼はそう呼ぶに値しない存在さ。それでは
失礼します!」
そう言い捨てて、多丸はプレジデントに敬礼し、社長室から出て行った。呼び止めようと追いか
ける新川だったが、それを制するようにプレジデントは後ろから彼の肩を叩く。
「……プレジデント」
「君は疲れているんだよ。休暇を取って旅行でも行ってなさい」
新川は顔から失望を隠せず、一礼して社長室を去った。手塩を懸けて造り上げたミッドガル。そ
こを安住の地と定めて暮らしている人たち。どうしてそれらを自らの手で壊すことが出来ようか。
新川は言い知れぬ無力感に苛まれていた……。
自分以外誰もいなくなった社長室で、プレジデントはくくく、と嘲笑う。
「七番街を破壊する。アバランチの仕業として報道する。神羅カンパニーによる救助活動。フフフ
……完璧だ」
もちろん、そんな会話が交わされていたことなど、ヤマネの罠に嵌り地下下水道に落とされた俺
たちには知るべくも無かった。俺は落下の衝撃で痛み下水で濡れた身体を押さえながら、倒れてい
るハルヒと朝比奈さんを起こした。
「大丈夫か」
「うん……ありがとキョン君」
「もう!サイテーね、これ」
二人とも下水でべとついた服と身体を気にしてるが――
「グギャァ!!」
――それどころでは、無いみたいだな。俺たちの目の前には水色の皮膚をしたゴーレムの出来損
ないみたいな化け物が立っていた。……まずはこいつを何とかしないとな。すると、その化け物は
身体全体を大きく振動させ、それによって生じた下水の波が俺たちを襲う!
ザッパァーン!
「――もう!何この臭い!!頭からもろに被っちゃったじゃない!!」
「うぅ……酷い匂いですぅ……」
水圧もきついが、これでは鼻が曲がりそうだな。ちなみに、モンスターも自分が起こした津波で
ダメージを受けてるようだ。おいおい。
「キョン、早くそいつをやっつけなさい!団長命令よ!!」
お前に命令されんでもやってやるさ。俺もこれ以上下水を被りたくないからね。
「『ブレイバー』!!」
一撃必殺。俺の渾身の一撃を受けモンスターは息絶えた。だが、ここで安心してる場合じゃない
。神羅は本気だ。プレートが落とされる前に早く脱出してみんなに知らせないと!……どうした、
ハルヒ。何を俯いているんだ。
「でも、もう落とされていたら?……マリン……古泉君……ビッグス、ウエッジ、ジェシー……ス
ラムの人たち、みんな、死んじゃう……」
珍しくハルヒが不安げな表情で俺を見上げる。違う、俺が見たいのはお前のそんな顔じゃない。
だから俺は声を張り上げて言った。
「何お前が弱気になってるんだ!ハルヒ、柱壊すなんてそんな簡単な事じゃないさ」
「…………そうね……そうよね!まだ時間はあるわよね。――こんな所で諦めるなんてあたしらし
くない、行くわよ、キョン!神羅の野望なんか、あたしがギッタギタにぶっ潰してやるんだから!
!」
元気を取り戻したハルヒはそう叫んで走り出す。そうさハルヒ。お前はそうしてるのが一番似合
ってる。俺も朝比奈さんもその後に続いた。
しえn
地下の下水道を抜けると、そこはかつて神羅鉄道の主力として使われていた名機『ホカ百式七0
形式5884』や付随する客車、貨車が大量に打ち捨てられている光景が広がっていた。
「ここがあの『列車墓場』ね……ということはキョン!ここ抜けたら七番街スラムの駅よ!!」
「そうか……」
何という僥倖。まあ、六番街は七番街の隣だからな。適当に歩いて辿り着いても不思議ではない
。しかし、
「すみません朝比奈さん。すっかり巻き込んでしまって……」
朝比奈さんは「ううん。いいの」とにっこり笑う。
「でも、『ここから帰れ!』なんて言わないでね?」
「そんな事、キョンが言う訳ないわよ、ミクルちゃん。それにあなたはもうあたしたちの仲間なん
だから」
っておい、ハルヒ。行きがかり上一緒になった人を勝手に仲間に加えるな。俺たちはテロリスト
で神羅のお尋ね者なんだぞ。ただでさえ危険な目に遭わせてるのに。しかし朝比奈さんは優しく首
を振って、
「ふふっ。あたしは別に構いませんけど……あたしも似たようなものだし」
朝比奈さんは少し自嘲的に呟いた。多分、あの教会でのことを言ってるのだろうが、このときの
俺にはそれについてもう一度彼女に尋ねる心の余裕も、勇気も持ち合わせていなかった。まずは七
番街スラムへ向かうことが先決だしな。けど、何処を通っていけばいいんだ?列車が複雑に不規則
に並べられてて、まるで巨大な迷路みたいだ。
「そうね……明かりのついている車両を抜けていけば出られるかも」
ハルヒはそう言って先へ先へと進んでいく。まあ、それしか方法が無いんだろうな。俺たちは行
く先々で漫画に出てくる幽霊そのまんまのモンスターや、生意気にも「スリプル」(相手を眠らせ
る魔法だ)を使うモンスターたちと戦いながら廃棄列車の迷路を抜けていった。しかし、俺が不覚
にも眠らされたとき、
「な〜に、グースカ眠ってんのよ、アホキョン!!」
とハルヒに渾身のドロップキックを食らわされたのは痛かったぜ。お陰で敵にやられる前にあの
世に行くかと思ったぞ。
「あんな単純な魔法に引っかかるのが悪いのよ!」
当のハルヒは「起こしてあげたんだから感謝の一つぐらいしなさい!」と言わんばかりだったが
、あれじゃあ「ありがとう」の言葉も出る気が失せるってもんだ。
あと、地下下水道で見つけたマテリア「ぬすむ」を有効利用して、モンスターから「ストライク
ロッド」を盗んだ。非力な朝比奈さんでも十分敵にダメージを与えられる特殊な硬い金属で出来た
ロッドだ。朝比奈さんは眼をキラキラ輝かせて大事そうにそのロッドを抱えていたが、その姿に薄
ら寒いものを感じていたのは本人には内緒だ。
支援
181 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 21:34:56.20 ID:qE8pt/bu0
ついに俺たちは七番街スラムに辿り着いた。伍番魔晄炉を爆破しにここを出たのがたったの一日
前だったが、何故かとても懐かしく感じる。だがスラムはその一日前とは大きく様相を変えていた
。
――幸いにもまだスラムのプレートは落ちてきてなかったが、プレート落下の噂を聞きつけた住
民たちがここから逃げ出そうと、街全体が大混乱に陥っていた。駅のホームでは駅員が遥か上のプ
レートを見詰めていた。早く逃げろ、ここはもうすぐプレートが落ちるぞ。
「知ってます。……でも長年親しんだこの駅ですからどうしても離れられません……一体、どうし
て……嘘であって欲しいです」
俺だって、嘘であって欲しいぜ。いや、嘘にしてみせる。俺たちはプレートを支える支柱に全速
力で向かった。
「間に合った!柱が立ってる!」
支柱の下には事情を知らない神羅の一般兵やらスラムの住人と思われる野次馬が群がっていた。
「待て、ハルヒ!上から……聞こえないか?」
「……銃声?」
朝比奈さんの声に俺たちは上を見上げると、そこから、支柱を登る階段の至る所で銃を放つ閃光
が目に飛び込んできた。
182 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 21:37:12.18 ID:qE8pt/bu0
「……SOS団のみんなが戦ってるんだわ!キョン!」
「ああ!」
俺とハルヒが支柱に駆け出す矢先――頂上から人影が何かに撃たれ、力なく急速に地上に落下し
た――あれはウエッジ!!
「大丈夫か?……ウエッジ!!」
ウエッジの身体の至る所からは血が大量に噴き出し、顔面も蒼白。これでは、もう……
「……キョンさん…。俺の名前…覚えてくれたっすね。古泉さんが…上で戦ってるっす。手を貸し
てやって……キョンさん……迷惑掛けて、すいません…っす」
「――もう、喋るな……!!」
ウエッジは俺とハルヒに微笑み、そのまま動かなくなった。
「ウエッジ!!」
ハルヒはウエッジを揺り動かすが、ウエッジは何も反応しない。ハルヒは悲痛な表情で首を振り
、ウエッジの瞼を閉じ、そして朝比奈さんに向かって言った。
「ミクルちゃん、お願い。この近くに私たちの店『セブンスヘブン』があるの。そこにマリンって
いう名前の小さな女の子がいるから……」
183 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 21:39:27.83 ID:qE8pt/bu0
「……分かりました。安全な場所へ、ですね」
朝比奈さんは七番街スラムへと駆け出す。これで取り敢えずマリンは安心だ。
「ハルヒ、登るぞ!!」
「ええ。ウエッジの仇、きっと取るから!!――みんな、ここは危険よ!みんな早く柱から離れて
!七番街から離れて!」
群がる野次馬にそういい残し、俺たちは戦場へと急いだ。
支柱を螺旋状に取り巻く階段。頂上に向け登っていく最中、踊り場に倒れていたのはビッグスだ
った。ビッグスも至る所を撃たれ、斬られ、既に虫の息だった。
「キョン……やっぱり……星の命なんて……どうなろうと……興味ないか?」
もういい、喋るな。怪我に響くだろ。
「ありがとよ、キョン。でも……おれはいいから……古泉が……上で戦っている。手を貸してやっ
てくれ…」
もう動けないビッグスは連れて行けぬまま、更に上に登ると、今度はジェシーがいた。
しえn
今1〜3章見て来たがやべえww
Zやったことあるからこそ楽しめる何かがあるな。面白いww
支援
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 21:48:57.99 ID:3U42KTXLO
今どこか把握した。ネタバレしたいw
いや。アバランチ式の冗談だ。支援
さる?支援
支援
支援
投下のペース遅すぎないか?
支援
支援
支援
書きながら投下じゃないよな?
もし万が一そうならやめようぜ
違ったら謝る
支援
支援
「あ……キョン……最期に……話せてよかった……」
「最期だなんて……そんな事言うな!!」
けれど、ジェシーは力なく首を振る。
「もう、いい……いいの……私たち……私たちの作戦で、たくさん……人、死んじゃったし……き
っと……そのむくい……ね」
そう言って、そっと頬に涙を一粒伝わせる。それが、彼女の最期の言葉となった。ハルヒはぎゅ
っと拳を握り締め、俺から顔を背けた。俺に、涙を流していることを悟らせないように。
「キョン、……行きましょう。古泉君、助けないと」
……ああ。犠牲はもうたくさんだ――
「ふんもっっっふ!!」
頂上に辿り着くと、古泉が右手に装着したバズーカで神羅のヘリコプター相手に孤軍奮闘してい
た。サイドシェル(サイドカーのような荷台)を装着した神羅の戦闘・輸送用ヘリコプター『神羅
B1β式』が何機も支柱頂上を取り囲み、古泉に容赦なく機関銃の雨を降らせる。古泉は逃げながら
応戦するが、バズーカの弾丸も尽きたようだ。すると古泉は右腕をアサルトガンに付け替え――
「――セカンド・レイド!!」
なおも抵抗を続けようとする。いつも飄々と微笑を絶やさないように見えるこの男にも、こんな
熱い側面があったなんてな。少し驚いたぜ。
「――同じ言葉をあなたにもお返しましょうか?」
「古泉君!!」
……俺の心の声が聞こえてたのかよ。とにかく無事でなりよりだぜ、古泉。
「あなたもご無事だったんですね。しかし、再会を懐かしんでいる暇はありません。神羅の連中は
ヘリを使って波のように押し寄せてきます。……正直、もう限界という所でしたよ」
「大丈夫よ!こうして3人揃ったんだし、何とかなるわよ!!」
そうは言うがな、古泉はともかく俺とお前は接近戦用の装備だ。ヘリ相手では少々分が悪いぞ。
「そう言うと思いまして、ありったけの武器を用意してあります。……さっきまでの戦いであらか
た使い果たしてしまいましたが」
支援
古泉は俺たちにバズーカ砲やマシンガンを手渡す。すると間も無く、数機のヘリが一斉に襲い掛
かってきた。
「早速来たわ!撃て!撃て!!」
俺たちはハルヒの号令の下、手にした銃を撃ちまくった。そのうちの一つがヘリの一機に命中し
、火を噴いて墜落する。意気を上げる俺たち。しかし、一機だけ動きのおかしな奴が――そのヘリ
は急上昇したあと急降下で後ろに回り込み、サイドシェルから何者かが支柱の頂上に降り立つ。
「――!?しまった、陽動ですか!!」
古泉は何者かが降り立った支柱の裏側へ急ぐ。俺たちも慌てて後に続いた。
「あそこには、支柱の制御装置があるんです!僕たちをヘリ隊に集中させている間に……してやら
れました!!あの制御装置を壊されると、支柱が――」
そういうことは先に言え!しかし今更言ってもどうしようもない。そして、俺たちが制御装置に
辿り着いたときには――
「遅かった、と。このスイッチを押すと……はい、お終い!作業終了」
あのタークスの谷口が不敵な笑みを浮かべてそこにいた。爆弾でもセットしたのか?
「解除しなくちゃ!キョン!古泉君!お願い!」
俺たちは爆弾を解除しようと装置に走るが、谷口が行く手を塞ぐ。どけ、バカ、邪魔だろうが。
ちょっと深呼吸してから投下間隔みてきた。書きながらは無理っぽいね
邪推大好きな自分でごめんなさい
支援
「そういう訳にはいかないぞ、と。タークスの谷口様の邪魔は誰にもさせないぞっ……と」
そう言って襲ってきやがった。いいだろう。あの時の決着、ここで着けてやる。俺は背中のバス
ターソードに手を掛ける。が、
「……だが、3人まとめて掛かって来られると厄介だぞ、と」
谷口は何事か呪文を唱えると、ハルヒがピラミッド状の薄い光の壁に囲まれた。
「ハルヒ!!」
「キョン!どうなってるの!?全然動けないよ!」
ハルヒは膝を足につけたまま、金縛りにあったかのように動けないでいる。
「何かの魔法でしょうか?」
知らん。こんなの初めて見る。だが、これを3人とも喰らったら終わりだぞ。どうする?どうや
ったら解除できる?奴が仕掛けたのは恐らく時限式の爆弾だ。残された時間も無い。焦る俺たちに
谷口は余裕の笑みを見せてこういった。
「ふっ、壊せるものなら壊してみろ、と」
……待てよ、ということは攻撃を加えれば壊せるかもしれない、ということか。俺はバスターソ
ードをハルヒを覆うピラミッドに向けて振り下ろす。すると、ピラミッドは音を立てて崩壊する。
「ふぅ、苦しかった。ありがと、キョン」
見えない檻から開放され、晴れ晴れとした表情のハルヒ。谷口は対称的に呆然としていた。あり
がとうよ、ヒントをくれて。お前がアホでよかったぜ。
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/11(月) 22:39:39.58 ID:6OSXLtR/0
支援
204 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 22:39:56.24 ID:qE8pt/bu0
「ぐっ、しまった、と。だが、ここで終わる谷口様じゃないぞ、と!」
電流を流したロッドで俺に襲い来る。すかさずそれを剣で受け止める。
「ぐあっ!」
ロッドから伝わる電流に感電し、危うく剣を取り落としそうになる。その隙に第二撃を繰り出す
谷口――やばい、やられる、しかもこんなアホに。そう思った刹那、
「さっきはよくも閉じ込めてくれたわね!あたしの怒りの一撃、喰らいなさい!『掌打ラッシュ』
!!」
谷口の側面に走り寄ったハルヒが右手の一撃を振り下ろす!
「ぐほっ!」
間髪入れずに、身体をかがめて下半身に左ストレート!
「うぎゃっ!」
そして最後に下から突き上げる左アッパー!!谷口は堪らずその場に昏倒した。
「ふんっ、あたしの怒りはこんなもんじゃすまないわよ!!さぁ、キョン、止め刺すわよ!」
しかし、谷口は口から血をペッと吐いてスーツの裾を払うと、
「そろそろ時間だぞ、と」
と言い残して下に飛び降りた。自殺か?いや、下には『神羅B1β式』。そのサイドシェルに飛び
移っていた。……いや、あいつの事はもういい。問題は爆弾だ。
支援
「キョン!止め方が分からないの。やってみて!」
俺は制御装置に近づいて見る。そこには爆弾なんてものはなかった。これは――
「……ただの時限爆弾じゃない」
「――その通り。それを操作するのは難しいよ。この谷口みたいな馬鹿者がそれに触れると困るか
らね」
「おいおい、そんな言い方は無いんじゃないか、と。国木田」
いつの間にか頂上まで飛び上がってきたヘリのサイドシェルの上に、ハルヒに殴られた腹を押さ
えながら立っている谷口と、もう一人、同じタークスの制服を着た小柄な男が立っていた。
「あのねえ、一応僕は君の上司だよ。そういう口の利き方は無いと思うんだけどな」
「……チッ、俺と同期で入社したはずなのに、何でこうなるんだ、と」
「そもそもの頭の出来が君とは違うから、じゃないのかな」
「く、くそぅ……言いたい事言いやがって……!!」
上司らしき男にこう言われ、肩を落とす谷口。だが、俺たちはそんなアホな漫才に付き合ってら
れん。
「こいつの止め方、教えなさい!」
ヘリに向かって叫ぶハルヒに国木田と呼ばれたタークスの男はくくくと冷ややかに笑う。
「無理だよ。緊急用プレート解放システムの設定と解除は、神羅役員会の決定なしには出来ないか
らね」
「――ならば、力づくでも」
国木田にアサルトガンの銃口を向ける古泉、だが国木田は両手を上げて不敵に微笑んだ。
「……そんな事をされると、大切なゲストが怪我するじゃないか」
そう言って国木田は左下のほうに目線を落とす。よくは見えなかったが、そこにいるのは――朝
比奈さん!!
「ミクルちゃん!!」
ハルヒは朝比奈さんの名を叫びながら、ヘリに向かって駆け出す。国木田はその様子を見て、囚
われの朝比奈さんのほうを向いて、不思議そうな顔をして問いかける。
「あれ、君の知り合いなの?……そうか、最後に会えてよかったね。僕に感謝してほしいな」
「……朝比奈さんをどうする気だ!」
俺の質問に国木田は分からないという風に両の掌を上げる。
「さあ。僕たちタークスに与えられた命令は『古代種』の生き残りを捕まえろ、ということだけさ
。随分長い時間が掛かったけど、やっとプレジデントに報告ができるよ」
支援
その時だ。それまで黙っていた朝比奈さんがサイドシェルの縁に乗り出すと、ハルヒに向かって
叫びだした。
「涼宮さん、大丈夫だから!あの子、大丈夫だから!」
すると国木田は左手で朝比奈さんの腕を掴み、右の平手でその頬を殴りつけた。
「ミクルちゃん!!」
!?この野郎……!!怒りに震える俺だったが、朝比奈さんを殴るその一瞬、国木田の眼が哀し
げに彼女から逸らされていたのを――俺は見逃さなかった。
「だから早く逃げて!」
それでも俺たちに向かって叫ぶのをやめない朝比奈さん。その時だ――
ドドォォォォーーーン
ついに支柱が爆発を起こした。くそっ、止められなかった――
「そろそろ始まるけど、逃げ切れるかな」
支援
国木田がそういい残すと、ヘリは朝比奈さんを乗せたままプレートの上の方に飛び去っていく。
――そして幾つもの爆発音とともに支柱が崩壊を始めた。
「……くっ!上のプレートが落ちてきたらひとたまりも無いわ。急がなくちゃ!!」
ここから階段を下りていては間に合わない!俺たちは頂上を右往左往しながら脱出の手立てを探
す。すると、支柱を上のプレートに繋ぎ止めるワイヤーを古泉が見つけた。
「このワイヤーを使えば脱出できます!」
なるほど、こいつをロープ代わりにして飛ぶ訳だな。
「それしか、なさそうね……行くわよ、みんな!!」
俺たち3人はワイヤーに掴まり「その時」を待つ。そして――
ズッッドドドーーーンンン!!ドォォーーーン!ドォォォォーンン!!!!
支柱は大爆発を起こして崩落していく。俺たちはその勢いを借りて地上に向け飛び降りる。吊る
されたロープを使って遠くに飛ぶ、あの要領だ。爆風と衝撃が俺たちを襲うが、何とかして耐える
。そして、俺たちの後方では、支えを失った七番街プレートが地面に吸い込まれるように堕ちて行
き、
大音響――そして何千、何万もの断末魔と共に、七番街スラムを押しつぶした――
命からがら俺たちが降り立ったのは六番街スラムのあの公園だった。朝比奈さんと二人っきりで
話した、あの時の公園の面影はもう無く、プレート落下の影響で瓦礫が散乱する見るも無残な状況
だった。七番街へのゲートも、瓦礫で埋め尽くされ最早通ることも出来ない。
ハルヒは急に立ち上がり、ゲートに向かって走る。そして、
「マリン!マリン!!ビッグス!ウエッジ!!ジェシー!!――嘘よ、こんなの嘘よ!!みんな、
みんな……あたしたちたちSOS団がいたから?関係ない人たちまで……みんな――うわぁぁぁぁぁ
ぁあああああああ!!!!!!」
何度も、何度も、ハルヒは拳をゲートの瓦礫に叩きつけて泣き叫ぶ。俺と古泉はその様子をただ
見ていることしか出来なかった。
――俺たちはこの日、一瞬にして、いろんなものを失ってしまったんだ。
...to be continued
今読み終えた、今回もGJw
>>202の
>ハルヒは膝を足につけたまま、金縛りにあったかのように動けないでいる。
ってのは誤字かな?
この調子だとミッドガル脱出は10章くらいになりそうだなw
乙!
215 :
HARUHI FANTASY Z 第4章 SPOIL:2008/02/11(月) 23:00:18.79 ID:qE8pt/bu0
第4章はここまでです。今回は少し長くなり、さるったりなんかでご迷惑おかけしました。
この場を借りてお詫び申し上げます。それから、支援の皆様、いつもありがとうございます。
(余談)
今回(4章後半部分)の初登場人物は
国木田=ツォン
多丸裕=ハイデッカー
新川=リーブ、でした。ちなみに、この章でセフィロスが誰であるかひょっとするとわかるかもしれません。
では、次回よろしくお願いします。
>>215 乙!昔やってたのを思い出しながら読んだよ。
エアリス=みくるはやっぱりイメージに合うね。セフィロス役は……もしや、女性?
あと十分くらい空けてから、連載続き9レスほど投下したいと思います。
>>213 完全に誤字ですorz。まとめで修正いたしますです。ご指摘、ありがとうございました。
では、投下を。
古泉×長門の連載です。苦手な方は御注意下さい。
白雪姫に、最期に与えられたのは、林檎でした。
紅く艶のある、瑞々しそうな林檎。
白雪姫は、手を伸ばしました。
もう何も、堪える事はありませんでした。
---------------------
俄かには信じ難い事象を、否応なしに信じさせられる。
――そんな事例なら、以前にもあった。四年前、涼宮ハルヒに何らかの出来事が発生し、突如として古泉が能力
に覚醒した日。古泉は拒否権なくあらゆるものを奪い取られ、代償に幾許かの『選ばれたもの』である、という
自負を与えられ、逃避する余地のない宿命という名の拘束に縛り付けられた。
けれども「分かってしまった」古泉は、重責を課せられたとて、放り出すことは叶わなかった。自覚的にそうだ
ったのだ。「分かってしまう」ということは、つまりはそういうことだった。
無論、過去の彼自身がそうであったように、SOS団団員として走り回る事そのものを青春の一環として謳歌して
いる「今の」古泉一樹がそのように感じているかといえば、話はまるで別であった。
部室で少年と指す将棋はこの上ない娯楽であったし、少女がいそいそと淹れてくれるお茶はどんな喫茶店で出さ
れる紅茶よりも遥かに美味で、行動力に満ち溢れた少女の眩しいくらいの笑顔と高らかな一声が古泉には愛おし
く。
読書をこよなく好む、彼女が定位置で頁を捲る姿を通した日常は、何物にも代えがたい、古泉にとっての安らぎ
だった。
そして、今回だ。
栞を見た瞬間に「分かってしまった」――古泉自身、忘れさせられていたことを。
一体いつから、記憶の改竄にあっていたのか。たったふたりの文芸部という偽りの記憶を遡れば、不鮮明になっ
ていくそれらにもっと早く気付いて然るべきだった。眼鏡を掛け、人のように有りの侭の感情を流出させる長門
のことも、ヒントには十分な資料であったのだから。
「……副団長職失格ですね。彼らのことを、一時とはいえ忘れてしまうとは」
自虐の一言は古泉なりの戒めだった。これ以上はない。
もう、惑わされはしない。
思い出して初めて、長門と二人きりという状況下がどれほど奇怪であったかを思い知れる。団員のないがらんど
うの室に、仲間と過ごして来た数々の思い出の象徴のように、残存していた給湯器、パソコン、ボードゲーム、
華々しい女物の衣装類。彼らの美しいとも表すに吝かでない、大切な忘れ物だ。
忘れ物は届けなくてはならない。当人たちの下へ。
古泉は沈思した。
他のSOS団員たちは、総てを統べる母とも言うべき誇り高き団長は、何処へ消えたのか。何故、古泉と長門のみが
この白雪姫にあつらえたかのような、けれど目覚める余地を残した空間に留まることになったのか。
恐らくは筆跡からして長門が遺したメッセージに違いない、栞の文面からその意図を汲み取り、取り得る限りの
手を尽くすことが第一だろう。――古泉は薄っぺらい紙切れに過ぎぬ栞を、光に翳して透かす。
あなたは鍵を見つけ出した。
求められる回答はPC内に記録されている。
最後の選択権を、わたしは、あなたという個体に委ねる。
栞のメッセージの、最後の選択権とは何なのか。この部内のパソコンを平素から利用しているのは、眼鏡を装着
した長門有希の方だ。――栞に拠れば、此処に総ての解決策が集約されているはず。
古泉は旧式PCの前に移動すると、電源マークを親指で押し込み、ランプの点灯を待った。
起動画面が表示され、聞き慣れた軋んだ作動音が鳴り、デスクトップの黒い背景に白文字が並ぶ。「偽装されて
いた記憶」によれば、元よりこの古いパソコンは使用可能になるまで数分を要する。砂時計のアイコンが現れる
のをもどかしく待ちながら、古泉はこの度のあらましを振り返っていた。
古泉と長門のみが、SOS団なきこの封鎖的な世界に存在する世界。ここにはどうやら涼宮ハルヒも朝比奈みくるも
『彼』もいない。超常的な力も機関も未来人も宇宙人もない。長門に至っては性格が大幅に書き換えられ、当人
そのものかどうかさえ分からない状態だ。
元の時空でハルヒを始めとする三名が行方知れずとなったのか、それとも古泉と長門が彼等からすると消失した
側なのか――。もし此処が閉じられた世界ならば綻びを見出し、どうにか抜け出す方法を捜さなくてはならない。
白雪姫の物語を暗示したこの奇妙な世界を終わらせるには、どうすれば最善か。
古泉は、切れ長の薄目を開く。
案一。――『妃』を、捕まえるのでは、どうか?
――この世界における、情報統合思念体端末からは外れているらしい普通の少女となった様子の、長門有希。彼
女が二度、胸紐と櫛で殺されかけた事を踏まえれば、彼女が『白雪姫』の役割の担い手であることは疑いようが
ない。この御伽噺を掲げた残酷な封鎖空間は、長門有希を抹消する為に仕組まれたものと仮定できる。彼女を無
力化し、生じさせた世界のルールに則らせることで抵抗を封じたとするなら?
この仮説が確かならば、『妃』役――この空間を創出し、長門の消滅を望む者――が存在している、ということ。
それを突き止め、捕捉することができれば、あるいは。
では、と古泉は思索を転換する。
異常世界に正常の感覚を取り戻し、故に取り残された古泉一樹に振られた役割は何か。
白雪姫のメインキャラクターを一揃え浮かべ、誰もが最初に想像だけならしてみせるだろう、「王子役」、と始
めに呟いた古泉は、しかしすぐに失笑を見せた。
「……いや、これは違うでしょうね」
言ってみただけだ。長門が望むであろう王子役が、『彼』であろうことは、考えるまでもないことだった。分か
り切っているとはいえ、一抹の寂しさは積もる。
SOS団で繰り広げていた騒々しい活動のさなかにも、古泉は控えめにも望み様のない恋情を、胸郭の深奥に隠し
入れて、壊れないよう、大事に抱え育ててきた。今更だったのだ。長門が一体誰を真に想っているのか、等とい
うことは。
それでは、と古泉は消去法を使う間もなく解答を産出する。該当は、一つだけ。
「――『小人』役」
古泉は顎に手を添えつつ、己の解釈に妥当性を認めた。これが最も適正な線だろう。実際、物語に登場する小人
にかこつけるような形式ではあれど、古泉は二度妃の魔の手から白雪姫を救っている。ただし逆に言えば、小人
は「三度目の白雪姫の死」だけはどう足掻いても救えない、ということになるのだが……。
思い至った古泉は、指を軽くなぞる様に食み、黙考を深めた。
もしや、『王子』役は、不在なのか?
『彼』が涼宮ハルヒや朝比奈みくると共に、この閉鎖された世界に存在していないならば、白雪姫を三度目の死
の窮地から助け出せる者がない、ということだ。
もしかしたらそれこそ、この世界を仕組んだ者の計略なのかもしれない。三度目の死で、長門を完全に抹殺する
ための布石として、王子役を蚊帳の外へ追い遣ったとすれば辻褄があう。
三回目の「毒林檎」により長門が危機に瀕する、というのは、忌避すべき展開だった。この世界が物語通りに進
むように練られているなら、王子役が居ない時点で話は決着がつく。白雪姫は目覚めない。物語はそこで、終わ
りだ。
悪循環に陥りかける渦を断つように、古泉は、己を叱咤した。
デスクトップに視点を移す。――画面は、起動準備を終えて、明るくなっていた。空模様の壁紙を下地に、幾つ
かのショートカットアイコン、そしてフォルダがひとつ。「創作物」とタイトルの付けられたそれは、書き掛け
の原稿を仕舞い込んでおくためのフォルダだ。
一時、長門が書き溜めたものを纏めてあるフォルダを勝手に開いていいものかを躊躇った古泉は、今は此方が優
先事項と自分に言い聞かせ、マウスを不自由な左手で操作した。
単純なクリックが、震えてぶれる。答えは、此処にある。長門の言葉を信じてどうにか開いたフォルダの中身が
一覧表示されると、古泉は現れた数十のワード文書の項目のうち、ひとつひとつを丹念にチェックした。そうし
て、一番端に位置していたデータに眼を留める。
――白雪姫の鎮魂、というタイトルの、それ。
sienn
***********
雪の降りしきる春先の日、白雪姫はこの世に生を受けました。
彼女は周囲の大人に見守られ、大切に育まれていきました。
白雪姫は大変素直で、感情をくるくると表に出します。
白雪姫はよく愛され、よく人を愛しました。
けれども、白雪姫は、お妃様に疎まれてしまいました。
「鏡よ鏡、こたえておくれ、わたくしと白雪姫、■■■■■■■■?」
お妃様は鏡に問い掛けをしましたが、鏡は、答えてはくれませんでした。
お妃様はずっと悩んでいましたが、みるみる美しく大きく成長する白雪姫に、お妃様は覚悟を決めました。
白雪姫がやがて、お妃様を食いつぶし、世界を食いつぶしてしまうと、お妃様は思ったのです。
お妃様は白雪姫を、もはや生かしてはおけないと、殺してしまう算段を立てました。
命の危険を感じた白雪姫は、お城から逃げ出しました。
白雪姫は、逃げ延びた森で小人に出会い、小人と共に暮らすことになりました。
けれどもお妃様は白雪姫を殺すことを、諦めることはできませんでした。
お妃様は老婆の扮装をして、白雪姫を尋ね、たくらみを実行しました。
胸紐を用いて、白雪姫の胸を締め上げて殺そうとしたのです。
白雪姫は息絶えてしまいましたが、戻ってきた小人が紐を緩めると、息を吹き返しました。
お妃様のたくらみは失敗したのです。
小人は白雪姫に強く言い聞かせましたが、白雪姫は大変無知な娘でしたので、小人は不安でした。
そんなうちにも、お妃様はふたたび、白雪姫を殺しにやってきます。
今度は毒を差した紅色の櫛を利用しようというのです。
小人は白雪姫を独りにしていては、また彼女が殺されそうになるかもしれない、と思いました。
小人は扉越しに白雪姫のふりをして、お妃様から櫛を受け取り、白雪姫の身を護ろうとしました。
櫛にはそのお妃様によって手ずからかけられた、呪いがあることも知らずに……。
――櫛を受け取った小人は病に蝕まれて、倒れてしまいます。
お妃様は小人以上に機転の利く人だったのです。
小人が白雪姫を護るために何をするかまでを考えて、策を練っていたのでした。
自分の所為で小人が倒れてしまったことを知った白雪姫は、追い詰められてしまいました。
看病を重ねても小人は一向に良くなりません。
心優しい白雪姫は思い詰め、精神を病み、小屋に引き篭もってしまいます。
そうして、三度目に小屋を訪れたお妃様は、
――ドアの隙間から、赤い林檎を差し入れました。
***********
――書きかけの文書は、そこで終わっていた。
眼球が乾ききって罅割れてしまうまで、古泉は画面をきつく凝視し、その文書の端末の一文字にいたるまでを網
膜に焼き付けるように睨み付けた。
原本の白雪姫から、派生させた新たなストーリーといえる内容だ。物語自体の語り口は童話そのもの。彼女なり
の「白雪姫」への多角的アプローチ。興味深い描写が散りばめられているが、古泉の双眸は何れも、その示唆さ
れた意図以外のものを追ってはいなかった。
……この後の白雪姫がどうなるかなんて、読まずとも、誰であろうが察せられるだろう。
『妃』が誰であるのか。問いの真相を、古泉は己の思考のみで補完した物語の全容から掬い取り、痛いほどによ
く理解し。
唇を噛み締め、吐き捨てた。
「――そういうこと、か…!」
文芸部室を飛び出す。包帯で固定された右腕では旨くバランスが取れず、壁に左手をつきながら、脚を忙しなく
働かせる。
古泉は走り出してすぐに、無音の違和感を覚え、その正体を悟った。
駆け抜けてゆく古泉の脚音の響きが、走るなかについてくる。放課後とはいえど、この時間帯に生徒のざわめき
が一切耳に届かない。夜の廃屋でも、これほど物静かということはないだろう。
駆ける中見渡した教室、教室、教室――人が、消失していた。正しく、蛻の殻というべき空間。上辺だけ取り繕
われていたこの世界の「おかしさ」が、一気に噴出したように。
先程まで教室付近で談笑したむろしていた男子生徒も、掃除用具を片付けていた女生徒も、居残り勉強に勤しん
でいた学生たちも、部活に声を張り上げていたグラウンド外の運動部も、職員室で模試の採点をする頃合だろう
教師も、一切が、いなくなっている。
古泉は、偽りに覆われていた世界の脆さを予感する。崩れ始めている、――古泉が真相に辿り着いたことによっ
て。
「……長門さん……!」
保険医が残っているからと、保健室を出たのが過ちだったのかもしれない。彼女を一人にするべきではなかった
と、古泉は悔いた。
古泉の不在時に『妃』役がどうでるか分からない。焦燥にかられ、不自由な腕を庇いながら走り込んだ保健室前。
扉に凭れ掛かり視線を投げ掛ける、見知った少女が、一人、哀憫の情を握らせるように微笑んでいた。
「だから、忠告してあげたのに」
セミロングの美しい髪を、窓からの微風に遊ばせた朝倉涼子は、古泉に、物悲しげに笑いながら、最終通告を投げ掛ける。
「―――『今度こそ』手遅れになる前に、って。言ったでしょう?」
支援
支援
支援
---------------------
白雪姫に、最期に与えられたのは、林檎でした。
紅く艶のある、瑞々しそうな林檎。
白雪姫は、手を伸ばしました。
もう何も、堪える事はありませんでした。
――ごめんなさい小人さん、
ごめんなさい。
ごめんなさい。
愚かな私でごめんなさい。
あなたを苦しめてごめんなさい。
白雪姫は謝り続けました。
心の中で、幾度も繰り返し、謝り続けました。
毒の塗られた甘やかな林檎を、その小さな掌に乗せて。
支援
支援
以上です。支援ありがとうございました。
……初めてさるというものを味わった。
あと二回程で連載は終了予定です。
乙!
乙!自分もSS書いてみているので非常に参考になります!
えっと、朝に書いていたSSはいつ完成するか分からなかったので
投下予告をバレンタイン当日としていました。
ですが本日書きあがってしまい、別に先延ばしにする理由も無いので投下したいと思います。
まとめウィキで0時に投下予告をしたのですが、
こちらの無知により『きょ○たん』作者様の都合と被ってしまいました。
今から投下しようかとも思ったのですが、それも流石にどうかと思いますので
0時より7レス程度お借り致します。
『きょ○たん』作者様、並びに作品を楽しみにしておられた方々に深くお詫び申しあげます。
乙でございます。
今日は大盛況で何よりです。
少し前に自宅に戻ってきました。疲れた・・・
これから投下も多そうですので、今日の投下はやめときます。
明日以降で時間が取れたら投下します。
ごめんなさい。
しかし今日は投下ラッシュだなwwこれからもだがw
>>235 …くっ。寂しいような早く読みたいような…!
とにかくGJ!
スノーホワイトの人の文章は独特だな。
少し遅れました!では投下いたします。
訂正部分もありますので、最初から!
世間には、姿が無くとも確かに存在するものがある。などと言われているが、
本日はそういった目に見えぬ事柄に甘ったるい物で形を与え、
そしてとある条件下に置かれた男女にとっては殆ど例外無く
その甘ったるいものを互いに確認し、そして見つめ合うであろう事が
想像するに難くない…2月14日。つまり、バレンタインデーである。
そしてもう一つ。ここに人類が存在しているなんてのは、
瓶詰めにされた時計の部品が振り乱される事によって偶然完成をみる事のような、
摩訶不思議的かつ天文学的な確立の数値で表される程の現象であるらしいのだが、
俺は、実は意外とそんな事は多発的に起こり得るんじゃなかろうかと感じている。
北高という限定された空間の中で三年間振り乱された俺達の中にもまた、
一体この世の誰が想像出来たのであろうかという物が組み上げられてしまったのだから。
早朝、北高へ臨む坂道にも若干の名残惜しさを感じながら
俺と谷口が肩を並べて登校している時だった。
俺の前に、ある者によって背中をパシンと叩かれる長門の姿が現れた。
「……ひゅっ!?」
「よっ!有希!今日も朝から天気が良くて気持ちいいな!」
ああ、長門も不意打ちを受けて息を漏らす程に成長したんだな…。
俺は目前で展開されている場面を観察しながら、まるで小学校に入り数年経過し、
もうすっかり馴染んでしまった愛娘を見る父親の瞳の如き柔和な感情を抱いていた。
だがしかし、二年前の俺がこんな物を見てしまったら絶句するに違いない。
そしてすぐさま逆方向へと一目散に走り出す事だろう。…光陽園学院の制服を確認しに。
今、どうして俺が平静を保ち続けているのかと聞かれれば答えは簡単だ。
なぜならば、俺が見ている風景に不自然な点など何も無いのである。
少なくとも…長門と谷口が、肩を並べて登校している姿には。
人の馴れ初めを辿るのはいささか野暮ってものかも知れないが、
それは人の語り草に常々浮上してくるものなのであるからして、
今からそれを俺が話し出すのも逆らえぬ人の性…という事にしておこう。
…思えば去年、学校の昼休みに俺と国木田で弁当をついばんでいた時から、
『それ』は始まっていたんだろうな。
「谷口ってさ、最近は昼食の時間になると姿を消しちゃうよね」
「…ん。まぁ、学食にでも行ってるんじゃないのか?」
「どうだろうねえ。そんな雰囲気は感じなかったけどさ」
「じゃあ他に飯食う奴でも出来たんだろ。特に変わった様子も見受けられんし」
「うーん。それはそれで寂しい気もするよ。谷口は一体どこに居るんだろ?」
「…今度本人に聞いてみるか。物足りんっていえば、物足りんからな」
男三人の昼食会が男二人になろうとも別段変わるものなど無かろうが、
それでも、安穏たるBGMしか発信されないこの時間帯に、今まで散々と立証の無い持論や
これだけは豊富である観察日報でこの場を賑やかしていた面子が急に失せてしまえば、
誰であろうとも否応無く…色々と気なってくるものである。
午後の部。俺は最初に訪れた授業の猶予時間中に、谷口へと質問を投げかけた。
「…お前、ここの所は昼休みに一体何してるんだ?
俺と国木田だけじゃ、黙々と飯食ってる音しか聞こえんじゃないか」
「ひっ、昼休み?べ、別に何もしちゃいねぇよ。購買部に行って飯買って、
そのまま校舎をぶらついてるだけだ」
「…そりゃまた今までずっと弁当派だった奴が、えらい心境の変化を迎えたもんだな?」
「―お、お前こそ涼宮と一緒に飯食ってろよ!俺が昼飯をどうしようが、かっ関係ねぇだろ…」
「…?谷口、何そんなに慌ててるんだ?お前らしいっちゃあらしいが」
「だから別に何でもねぇって!あ…新しい飯の食い方を発見しただけだ!」
「…まあ、そうか。わかったよ」
…この時俺が抱えた疑念を解消したのは、そのまま数日が経った後の、
毎度の事となった二人きりの昼食時に国木田が発した一言だった。
「谷口さ、どうやらキョンの部室に居るみたいだよ」
「―なっ!?それっ…文芸部室にか?」
「だね。キョンが行って確認してみたらどうだい?」
「別に気には…ならん事は無いな、それは。しかしな…」
「じゃあ僕が行ってきてもいいかな?」
「いや、俺が見てくる」
…なんて言ってはみたものの、俺はどうも野次馬根性に関しては乗り気がしない。
しかし、確認の方法ならある。昼休みの時間なら…部室にはあいつがいる筈だ。
俺には何時だって、そいつからそれの真偽を確かめる機会があるのさ。
…その日の放課後、俺は早々に文芸部室へと自分の足を運んだ。
「…長門。ひとつ、聞いてもいいか?」
「…なに」
「近頃、この部屋に誰か来たりしてないか?」
「……」
「…その頷きはイエスと受け取って良いんだな。谷口か?」
「…たぶん」
…その後長門に聞いた話からすると、
谷口が昼休みを文芸部室で過ごしているというのは、国木田の冗談という訳ではなかった。
じゃあ、あいつは一体ここで何をしているのかと聞けば、
何かよう分からんが…谷口はひたすら長門に喋りかけているらしい。
そして話している最中は、別に長門に意見を求める訳でもなく、
それもまた良く分からん事を一方的に喋り倒しているというのだ。
…それ以上の事は長門から聞き出す事が出来なかったので、
谷口がなにもって部室へと姿を現すようになったのか、また、
何の目的で長門にちょっかいを出しているのかは依然として判明しないままだった。
ひょっとして…谷口。お前、長門に気があるのか?
「谷口お前、長門に気があるのか?」
「おわっ!なっ何だいきなり!?え、えらく直球だなキョン!?」
「聞く所によると、昼休みに長門を口説いてるそうじゃないか。
もしかして昼食の新しい楽しみ方って…それか?」
「って、流石にナンパしながら飯食うわきゃねぇだろ!?」
「…それ以外に何がある?単に喋ってるのが楽しいのか?」
…俺のこの言葉に、谷口は意外な反応を示した。
「…まあ、そう言われりゃあ…楽しいって事になる…な」
「?、どういった意味なのか全くわからん」
「…きっかけは、彼女が廊下で歩いてた時に軽く声を掛けた事…だな」
「…ああ」
「それでよ、何度か廊下で会う度にいつも話掛けてたんだが…」
「ああ、そこは分かる。無反応だったって訳か」
「なっ!…まっ、その通りだけどな…」
「…それがどうして部室に行く事になる?」
「…成り行きだな。俺が弁当忘れて購買にパンを買いに行った時だ。
そこで偶然、旧校舎に一人で向かう彼女を見かけたんだよ。
俺は気になって話掛けてな、気付いたらお前の部室の前まで来てたんだ。
それで彼女が部屋ん中に入っていって…」
「…どうかしたのか?」
「いや、扉を閉めなかったんだよ。…まるで俺も続いて入る感じ…でな」
「…閉め忘れたんじゃないのか?」
「かもな。俺はただ何となく入って…今じゃそれが習慣になっちまった」
「…なるほどな。しかし何で一人で話してるのが楽しいんだ?
それとも長門が言葉を返すってのか?」
「いや…俺の話を聞いてるだけで、彼女はなんも。」
「…?」
「でも…何でだろうな。俺は他の女に声掛けてる時より、
…最近はその事の方が、ずっと楽しいなって感じてるんだよ」
…思い返してみれば、谷口が昼食時に姿を消すようになってからは
あいつの口から軟派染みた言葉が出なくなっていた様に感じるな。
それに長門も一人で部室に篭ってるよりは、
谷口みたいなのが傍で二人分程喋っている位が丁度良いだろう。
…またそれから暫く経過し、ある頃にまでなってくると
俺は二人が廊下で話している姿を頻繁に目撃する様になった。
…まあ、話しているのは谷口だけという構図は変わっちゃいないが。
それでもいつの間にか、谷口の長門に対する呼称は親密な物へと変わっていた。
「よっ有希!俺な、人の魅力ってのはバランスが大事でな…
「……」
「しかしだ!完璧でありゃあ良いってもんじゃなくてだ!…
「……」
「そしてだ!無理して何かやっても魅力ってのは…
「……」
「つまりな!カッコいい事とか可愛い事が魅力じゃないんだぜ!…
「……」
「だからなっ有希!結局は自然体な奴が一番魅力的ってことだ!」
「…理解した」
…二人の話を抜粋するならこんな感じだな。
谷口の弁論に対して、長門が大体3文字にも満たない言葉で返事をしている。
先程の会話は、初めてそれが4文字台に突入した際の記念的な内容だ。
…そして、そんな場面を目撃していたのはもちろん俺以外にも居るのである。
「ちょっと聞きたいんだけどさ、谷口は長門さんと付き合ってるの?」
「なっ!?い、いきなり何だってんだ!?」
「違うの?二人でいつも楽しそうに話してるの見かけるけど」
「た…ただ一方的に俺が話してるだけだっての!」
「じゃあ友達?谷口は長門さんの事をどう思ってるのか聞きたいな」
「…それは俺も気になるな。最近、長門の返事も増えてきてるみたいだし」
「お、お前ら…そりゃあ…嫌いじゃないけどよ。なんつうか…」
「ああ。友達以上恋人未満ってやつだね」
「…とっとりあえずだなっ!そんなんじゃねぇ!」
…と、ここまで話せば大体十分だろうと思う。
これ以降は、ずっと似たような日々が現在まで続く事になる。
…つまり、馴れ初めなんて言っていたが、今俺の目の前で肩を並べている二人は
いわゆる恋人同士っていう明解な関係じゃあない。
…だけどな谷口。お前が長門にずっと講じていた持論は、
二人の間に何らかの変化を発生させたのかも知れんぞ。
俺にしか分からんかも知れないが、長門が以前とはちょっと違ってきている。
そして俺には…昨日の晩に、寡黙な宇宙人がチョコで何かを成型している姿が見えるのさ。
良かったな。谷口。それは宇宙的に貴重な一個だぞ。
ん。そうだな…無口な宇宙人の変わりに、俺が一つ言葉にしておくか。
『…彼女は、彼の事が大好きだ。』
「She loves him.」終。
ナンテコッタイ
しかし顔がにやにやしたぜ
乙!
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 00:20:30.61 ID:mp628mA90
保守
新ジャンル乙!!
無口な人に話し続ける、か…
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 00:21:18.82 ID:oSPD5vwC0
何か複雑な気分だ・・・。
保守
ありがとうございますorz頑張ります!
一通りの投下ラッシュが終わったのかな?それともきょ○たんが投下されるのかな?
どうにも判断しにくい。
ヤンメガとのクロスオーバーもの投下ok?
どんどんこい
俺が涼宮ハルヒという超ド級の爆弾女と出会って早一年が経った。ハルヒも随分と普通の女の子らしくなったと言っても、
それは俺が奴の一年前の初顔合わせで耳にしたあの自己紹介を、今でも深く記憶に刻み付けているからであって、
もし、俺が記憶喪失にでもなってハルヒと二度目の初対面を果たしたら、おそらく感想は去年と同じものになるのだろう。
つまり、何が言いたいのかというと、二年になってからもハルヒはハルヒでしかないわけで、
去年通り閉鎖空間を期間集中で量産して、あのいけ好かないハンサム野郎に俺に変わって制裁を下したり、
合宿合宿と騒ぎ、俺の数少ないささやかなる休日を根こそぎ奪い取ったり、
文化祭に向けての映画作成を思い出し、躍起になったりとハルヒは変わらずハルヒしていた。
こんな日常の中にいるとつい考えちまうね。俺ほどある特定の人物にジャイアントスイングのごとく振り回されている人間もいないだろうとな。
しかしこの考えは間違えて いた。思い知ったさ。世の中には俺と同じくらい平穏を犠牲としている奴がいることを。
肩を組んで言ってやりたいね。「お互い大変だなぁ」とな。
全てはハルヒのこの一言から始まった。
「SOS団の別支部を作るわよ!!!」
さて、ここはいつもと変わらぬ文芸部室。無事映画の撮影、公開を終え、
よし、これから束の間の平穏なる日々を満喫するかと考えていた所にこれだ。
「あ〜、すまん、よく聞こえなかった。何だって?」
「二度も言わせるなんていい度胸じゃない!その耳糞詰まった耳をかっぽじってよく聞きなさい!!
SOS団別支部を作るわよ!」
はあ、いつかはこんな日が来るのではないかと思っていた。だがいくらなんでもこのタイミングはないだろう?ハルヒ。
「何言ってんの?むしろ遅いくらいよ!!いい?キョン!!SOS団は将来は世界各国を支配するのよ?その足掛かりを見つけようっていうの!」
何やら突っ込み所が満載なんだが、一つ言わせてくれ。
お前は宇宙人や未来人、超能力者と遊ぶだけで本当に世界を支配出来ると思っているのか?
「なるほど、僕としたことが。すっかり失念していました。さすがは涼宮さんです。」
まあ俺がとやかく言ったって……
「でしょでしょ!!団員がもっと増えれば不思議探索の高率も上がるし!!」
「ふえ〜〜じゃあ友達沢山出来るんですか〜?」
多数決で敗北するのは必然なわけで…………
「ふふっ、結構なことではないですか。これはいい傾向だと思いますよ。」
いつの間にかニヤけ顔が俺の横に迫っていた。
ええい、こいつは意図して気配を消しているんじゃないか?
「これまでの涼宮さんはいくら周りと打ち解けられてきたと言っても、SOS団という小さな枠組みを第一に置いていました。
その涼宮さんが、自らその枠を広げようとしているのです。これは中学時代の彼女からは想像出来ないですよ。」
わかった、わかったから顔をどけろ。まあ確かにハルヒ自ら交流の輪を広げようとしているのだ。
せいぜい応援してやるのがいいのかもな。
もしかしたら余計に書き込んでしまったかも・・・
短ッって言わないで!続きは書き次第投下予定
乙!wktkしてる
「うえっ、そう来ますか……!」
将棋の『歩』が『と金』になっただけでそんなに驚くな。俺とお前のこれまでの戦跡から考えても、これくらいは予想の範疇だろうに。
「ほれ、王手。」
そうだ、いつものとおりこのまま勝っても面白くないから、KO予告宣言を出してやろう。ずばり、お前は後3手以内に負ける。
「言ってくれますね。やってもらおうじゃないですか。」
「ふん。」
俺が余裕の表情を見せながら戦略を立てていると――つってもこれからは詰め将棋だが――古泉が生意気なことを言い出した。
「これで僕がもし3手耐えてみせたら、あなたは何をしてくれるんですか?」
「そんときゃ、缶コーヒーでも奢ってやるよ。」
「本当ですか? あとから言ってももう遅いですよ。」
「その代わり、俺が勝ったらお前も奢れよ、缶コーヒー。」
「いいでしょう。」
よしよし、ちょっとやりがいが出てきたな。古泉の『玉』付近に『金』を指したところで俺は思考する。……あれ、これ本当に3手以内にいけるか?
さて、状況説明がまだだったな。まだ空が銀色の雲で覆われ、山頂から吹いてくる風はまだまだ肌寒く、しかし春の訪れの兆しも見えなくもない今日は2月の12日であり、2日後に俺には無縁のはずの記念日があるらしいがなんだったっけな。まあいいや。
そんで俺はこの日にも団活に参加してこうして将棋に興じているわけだが、少々危険な賭けをしてしまったようだ。古泉相手なら楽勝かと思っていたがこいつも日々勉強しているのかね。
「あれだ、古泉。やっぱさっきのは……」
「取り消しはなしですよ? ふふ、どうしたのですか?」
ちくしょう鬼畜野郎め。せめて5手以内にすればなんとか……
と、俺が力量を誤った後悔の溜息をしていると、”奴”の訪れを告げる扉が開く音が部室に響き、俺はまた呆れの溜息をすることになった。
「おっはよーっ!!」
今は放課後だ。
「みんな喜びなさい、今日はあたしからプレゼントがあるわ!」
「あけた。」
ああ、あけたな。結構前に。あけましておめでとうございます。
「そうじゃなくて!」
ハルヒは肩にかかったセミロングヘアを鼻をならしながら後ろへはらう。漆黒の髪がさらさら流れるのを見ているだけで、良い匂いが漂ってくるようだ。
「ほら」
「え、何がだ?」
「はあ!?あんたまだ寝てるんじゃないの!?ほ、ら!!」
不意にネクタイを引っ張られ、ようやく俺はキラリと光るそれを視界に捕らえた。
「あっ」
「ピアスよ。開けたの」
指先でオレンジ色のピアスをいじりながら、得意気に笑う。俺は短く溜め息をつき、かけてやるべき言葉を喉まで運ぶのだが、
「親からもらった身体に・・・なんてことを言い出すんじゃないでしょうね。」
俺の口は目の前にあったかね。
「それにだな、ハルh」
「校則違反してるわけでもないわよ。体育の時とかはさすがに外しておかないと駄目だけど。」
鞄から鏡を取り出し、ご機嫌に自分の両耳をチェックするハルヒは、時折俺の反応を伺っていた。
「まぁ、似合ってると思うぞ」
「ふーん、そう。ピアスが似合わない人もそんなに居ないと思うけど?」
つまり何なんだ、お前は。
「・・・でも、そうやって髪下ろしてたらせっかくのピアスが見えないぞ」
「そーね。・・・だから?」
だからって・・・何だよ。何なんだよ、その意味深なニヤケ面は。何が言いたい、何て言って欲しい。・・・あぁ、わかった、わかったよ!
「・・・ポニーテールとかにしてみれば、いいんじゃないか?」
「バカキョン、素直じゃないんだから」
どっちがだ。と、強気な笑みを見せるハルヒに言ってやるのだった。
じゃあプロローグってことで。wktk
プレゼントという言葉が耳に引っかかり、俺はさも期待してなさそうな目でハルヒを凝視した。そのプレゼントってのは新たな朝比奈さん用コスプレとかドイツから取り寄せたSマイン時限爆弾とか、そういうのじゃねえだろうな。前者ならまだ受容性があるけどさ。
ハルヒは俺の言葉に見向きもせず、まず朝比奈さんの元へ近寄って、ピンク色の紙袋をガサゴソといわせて何かを取り出した。
「はいっ、これはみくるちゃんの分っ! で、こっちは有希の分!」
「ふぁふぇ、ありがとうございます。」
「……ありがとう。」
朝比奈さんが両手でつくった皿の上にポンと”それ”を置き、長門の傍にも”それ”と同じ物を置いて、次はこっちに寄って来た。
「はい、古泉くんの!」
「有難く頂戴致します。……ところで、これは何ですか?」
この時、古泉の視線が将棋盤に集中していないことを見逃さなかった俺は、即座に古泉の『玉』の位置を入れ替え、あと1手で詰み――すなわち俺の勝利――できるよう細工を施した。そこ、卑怯者って言うな。
「ふふん、よくぞ訊いてくれたわね! これはチョコレートよっ!」
「ハルヒ、言っておくが今日はバレンタインデーじゃないぞ?」
「知ってるわよ、そんなこと。知ってるからこそ今日あげたんじゃない!」
すまん、意味が解からない。
「あたし気付いたのよ。バレインタインデーにチョコを渡す人なんか二番煎じにしか過ぎないってことをね! あたしくらいの猛者ならバレインタインデーを先取りしちゃうのよ!」
自分のことを猛者っていうのもあんまりしとやかじゃないがな。っていうか、そこはバレインタインデーにあげるべきだろう。
「キョン、あたしはあんたとは違うのっ! 思考回路の回る速さからまず違うのよ。」
「まあそんなことはどうでもいい。ほら。」
俺が右手を差し出すと、ハルヒは眉をへの字に曲げて、
「なによ、その手。」
「くれよ、チョコ。」
俺にだって糖分摂取くらいさせてくれよ。
「…………あ、あんたの分なんか用意してるわけないでしょっ! その態度が気に入らないわっ!!」
なんだ、ないのか? おいおい、それじゃあちょっと不公平だろ。丁度今甘い物が食べたい気分だったのに。
しかしハルヒ、なぜお前はそんなに怒った顔をしてるんだ?
269 :
266:2008/02/12(火) 00:47:34.14 ID:turLCQmG0
おっとすまんごゆっくりいいいい!!!!
「怒ってるからよっ!」
あ、さいですか。
ハルヒはどしどしと足音を立てながら団長席に着き、眉がつりあがったままパソコンを起動した。
「おっと、勝負の続きだったな。これでどうだっ?」
「ふふ、どうあがいても……ん? あ、あれ?」
「どうした?」
「いえ、その……おかしいですね。」
「ほら、次はお前の番だぞ。」
「え、ええ……」
結局俺は古泉に勝利し、まあちょっとしたイカサマをしたんだから当然と言えるが気付かない古泉も古泉だろう?
「コーヒーだな。」
「……負けは負けです。後ほど奢らせてもらいましょう。それより……」
ん、なんだ?
「さっきの対応はなんなんですか? 少々度が過ぎていましたよ。」
「何のことだ。」
「とぼけるつもりですか? まさか涼宮さんが怒っている理由が解からないとでも?」
なんだよ。そんなの解からないに決まっているだろ、あいつが勝手に怒ってるんだから。
「……やれやれ、ですね。」
古泉はわざとらしく両手を広げて肩をすくめる。
「それより、バレンタインのチョコってのは女が男にあげるもんだろ? なんでハルヒは朝比奈さんや長門にもあげたんだ?」
「僕はよく知らないんですが、『友チョコ』というのが女子生徒の間で流行っているらしいですよ。想いを寄せる異性にあげるのではなく、その名の通り、友達にあげるチョコという意味らしいです。」
俺が古泉のチョコを分けてもらおうかと考えていた所で、長門の平坦な声――今日2回目の発言――が鼓膜に届いた。
「今日は、親しい人にチョコをあげるべき日? それなら、わたしたちよりもっと祝うべき人が居る。」
何を言い出すのかと思ったが、ハルヒは長門の発言に食いついた。
「有希、それどういうこと?」
「”朝比奈ミクルの冒険 Episode 00”に出演した『おばちゃんA』役の人間、パーソナルネームは……」
「あの主婦役の人ね? あの人がどうしたの?」
「今日は、彼女の誕生日。わたしたちにあげるなら、彼女のためにも祝ってあげるべき。」
なぜそんなことまで気を配るのか解からなかったが、これは長門の大きな進歩である。「わたしの役目は観測だから」なんて言っていた頃が大昔だったように感じるぜ。
「有希、その人の住所解かるの?」
「解かる。この山を下ったすぐ先の住宅街に居る。」
「それじゃあ行きましょうっ! みくるちゃん、着替えなくてもいいわよ!」
「ふぇええっ!? でも……」
「時間がないのよ、さあ早く!」
彼女が家に居る限り時間の猶予は大いにあるはずだが、そのことには誰もツッコんだりはしない。
この後の流れを想像することは呼吸をすることと同じくらい容易だろうが、ここを割愛させていただくわけにはいかない。なぜなら、この部分が今回のメインであるからだ。
長門の教えの通りのルートを通って彼女の家に着き、「ハッピーバースデイ!」と騒いだあとにハルヒがちっぽけなチョコを贈呈――この時は、家に居るのは彼女一人だけだった――、俺と長門と朝比奈さんから激励の言葉をプレゼントして彗星の如く立ち去った。
彼女は「どこの暴漢が来たんだ」とでも言いたげな少し怯えた表情で出迎えたがハルヒがそんなことを気にするはずもなく、なすがままにされていた。
かくして今日の団活が終わり、俺が帰路につこうとしていると、
「はい、どうぞ。例のブツです。」
ニヤケ面の男が暖かい缶コーヒーを俺に差し出して、やはりニヤけている。
「おう、サンキュ。」
俺はそれをポケットにしまいカイロ代わりにして、ふと気が付いた。
「いっけね、教室に体操袋を忘れてきた。俺、ちょっと戻る。」
「相変わらずドジなんだから。」
ハルヒの腕組みしかめっ面を見届けてから、俺は再び北高ハイキングコースを走った。
無人の2年5組の教室。荒い息をおさえながらも体操袋を掴んで、適当な場所の椅子に腰掛けて休息をとる。そして、まだまだ暖かさを保っている戦利品、缶コーヒーのふたを開けて一息ついた。
「ふう……静かだねえ。」
何かを悟るように言葉を漏らした途端、不意に後ろから既に聞きなれた声が俺の耳を刺激した。
「キョン、あんた意外と、足速いのね……」
女の中で俺をキョンと呼ぶ奴なんか一人しか存在しない。故に、なぜか俺を追いかけて来たのであろう俺の目の前の息切れしている女の名前はあえて言わないことにする。
「……ハルヒ、お前も忘れ物か?」
「ち、違うわよ。こ……これ。」
ハルヒがつまむように持っていたのは、赤色のリボンで装飾された直方体の箱であった。
これも古泉の言っていた『友チョコ』とかいう代物かと思っていたが、次のハルヒの言葉によって俺の発汗作用がはたらいて頬に一筋の汗が流れる。
「義理じゃ、ないからね……」
「……ああ、ありがと、な。」
俺がそれを受け取ると、ハルヒは急に顔を真っ赤にさせて、「じゃねっ!」という短い挨拶を言い放ちながら逃げるように教室から出て行った。
廊下を駆ける白コートを羽織ったハルヒの後ろ姿を眺めながら、俺はそこに立ち尽くした。……世界で何よりも甘い、ハルヒからの贈り物を握り締めて。
赤色リボン end
……と、いうことで今日はおばちゃんAの中の人、斉藤貴美子さんの誕生日です。
斉藤貴美子さん、おでめとうございます。
↓画像フォルダを漁っていたらこれが出てきたので、参考とさせていただきました。
http://pict.or.tp/img/41234.jpg 今回は王道ネタで。ひとまずここ最近の誕生日ラッシュもこれで終わります。
とは言っても今月下旬にはまたきてしまうんですがw
貴重なスペースありがとうございました。
>>273 リロード忘れてた、スマソ
いつもの通りGJ!
>>273 これはにやけるwwwそして邪魔してすまんまじすまんGJ!!!
>>275 いえいえ、こちらが突発的な投下をしたせいでもあるのでw
ということで寝ます、皆さん良い夢を。
>>273 脇役の誕生日の祝い方は荒々しいなwww
斉藤さん誕生日おめでとうございます!
バレンタインネタ・・・鬱になるなwwww
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 01:09:50.14 ID:mp628mA90
保守
保守
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 01:58:03.82 ID:qCI7LCu0O
バレンタイン?あぁ、アナルの事か。
すまん。分散してるからイライラしてレスした。反省してるから掘ってくれ。
寝る前保守
保守
保守代りに、以前書いて、まとめに”悪くない人生”の名前で載せて
もらってる短編の続きみたいの書いてみたんだけど投下していい?
wktk!
>>286 おお!人がいた。
SS書くの2回目なんでまとまり無くて拙いけどいかしてもらいます。
さて、本日は暖かい陽射しの中晴天に恵まれめでたくも高校卒業となったわけだが、
高校の卒業というめでたくも特別な日を涼宮ハルヒ率いるSOS団団員その一であり雑用係である
おれが何事もなく過ごそうなどとやはり甘かったわけで、
ハルヒによるおれの親まで抱きこんだ手際良い策略により
おれの知らないところで完璧に作成された婚姻届を市役所に提出して
晴れておれとハルヒは世間で言う夫婦関係となった。
まあ、簡単にいまの状況を説明してみたわけだが、市役所では突如制服姿で訪れ、婚姻届を提出しようと
する俺たち二人に向けられる窓口のオヤジの好奇の視線に耐えたり、
その後の双方の親を交えた食事会で当事者であるおれより高いテンションで
孫は男がいい、いや女だ、だのたまごクラブだの子供の名付け辞典だのと
気が早すぎる親たちが騒いでいたり、妹がさっそくハルヒをお義姉ちゃんと呼び出し、この気に乗じて
妹のおれに対する呼称をお兄ちゃんに戻すべく画策してみたのだが、
「キョンはキョンでしょ。」
「キョンくんはキョンくんじゃない。」
などと意味のわからない理由であっさり却下されたことなどはどーでもいいことなので詳しくは割愛する。
そんなわけで今、長門の家でSOS団メンバー5人と名誉顧問である鶴屋さんにご足労願い、
結婚祝い&卒業記念パーティーの真っ最中なわけである。
SOS団での祝い事や記念日では恒例となっている鍋や鶴屋さんが手配して届けられた一流ホテルの
料理の数々に舌鼓をうち、こんなときくらいはいいだろうとこれまた鶴屋さんが持ち込んだ
高級そうなワインやらシャンパンやらで酒も入り、まさに宴のテンションは最高潮といっていいほど盛り上がっていた。
ハルヒはいつもの倍はあろうかというハイテンションで、同じくらいハイテンションな鶴屋さんとじゃれあい、
朝比奈さんはそんな二人をニコニコと眺めていて、長門はいつもと変わらない無表情ながら
どこか柔らかな雰囲気を纏いながら黙々と料理を平らげている。
そんな光景をおれはこれまたいつもの0円スマイルの中にも楽しげな雰囲気を隠しきれてない古泉と眺めながら
この和やかな雰囲気を満喫していた。
古「しかし、驚きました、式のあと姿が見えないと思ったらまさか入籍されていたとは…さすがに予想出来ませんでしたよ」
キ「おれだってそうだ。こんなこと予想出来てたまるか。」
289 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:36:31.29 ID:TNSOi9650
古「それにしても我々はあなたには感謝しなくてはなりません。ありがとうございます」
キ「なんだいきなり、おまえんとこの怪しげな組織のことか?
別におまえらのためにしたわけじゃない。感謝される筋合いはないぞ」
古「いえ、僕の個人的な感謝です」
キ「ハルヒと結婚してなぜおまえに感謝されなきゃならん?バイトが減るからか?かならずともそうとは限らんぞ。」
古「いえ、そうではありません。僕はあなたに出会わなければ人との付き合いを利害や損得だけで
判断するような人間になっていたことでしょう。もしそうだとしたら
このような幸福な時間を過ごすことなどなかったはずです。それを考えると感謝してもしきれませんよ」
キ「それならハルヒに感謝しておけ。おまえを連れてきたのはあいつだしな。」
古「もちろん涼宮さんにも感謝しています。ですが、涼宮さんを含め僕達全員を良い方へと導いてくれたのは
あなただと僕は思っています」
キ「買い被りすぎだ。まぁ、こんな席だ、素直にどういたしまして、と言っておくさ。だから離れろ。
いつも以上に顔が近いんだよ、気色悪い。」
古「これは失礼。ついつい浮かれ過ぎてしまったようです」
そう言って今まで見たことない自然な笑顔で古泉は笑い出した。いつもそうしてろ。少なくとも腹は立たん。
古「それに浮かれているのは僕だけじゃないようですよ。長門さんを見て下さい。よほど楽しいのでしょうか、
いつもより食べるペースが早いようです」
290 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:37:17.77 ID:TNSOi9650
なぜ食べるペースが早いと浮かれていると思うのかは疑問だが、確かに楽しげな雰囲気は見てとれる。
まぁ、そんな雰囲気を見てとれるのは長い付き合いの俺たちだからだろうが。思えば一番変わったのはこいつかもしれないな。
そんなことを考えながら長門を眺めていたら、今まで朝比奈さんをいじりたおしていたハルヒが長門に近付き、なにやら言い出した。
ハ「ねぇ、有希?」
長「なに?」
ハ「前から聞きたかったんだけどさ、有希ってこんな高そうなマンションに一人暮らししてるけど
有希のご両親てなにやってる人なの?」
相変わらず脈絡がないなこいつは。まあ、たしかに長門の正体を知らないハルヒからしたら当然の疑問かもしれない。
今まで聞かなかったのが不思議なくらいだし、それはたぶんハルヒがあえて踏み込まなかったからだろう。
酒とこの楽しげな雰囲気が少しハルヒの気を緩ませたのかもしれない。
しかし唐突すぎる。少し焦った。さすがに本当の事を言うわけにもいかないだろう。
見ると古泉の顔にも僅かながら緊張が見える。さて、このハルヒの疑問におれはどうフォローするべきかと考えていると
長門は少し視線を上にあげ何か思案するような仕草のあと口を開いた
長「いない。」
ハ「へ?いないって?」
長「両親はいない。」
ハ「いないって、その、もう亡くなってるとか…?」
長「そう。」
ハ「…それっていつごろ?」
291 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:38:10.69 ID:TNSOi9650
長「六年前。」
ハ「六年前って、それじゃそれからずっとここに一人で住んでるの?」
長「そう。このマンションは両親が残してくれたもの」
六年前か。長門が生み出されたのもそのころと聞いた覚えがある。たしかにそうことにしといたほうが都合がいいかもしれない。
まさか本当のことを言うわけにもいかないし、
ハルヒには悪いが正体がバレれば長門はここにいられなくなるかもしれないし、それを考えると仕方ない。
しかし、急に空気がしんみりしちまったな。さて、どうしたものかな。
ハ「…そっか、…その、ごめんね。いきなり変なこと聞いちゃって・・・・・・。」
長「いい。大丈夫。それに…」
長門はかすかに首を横に振るとおれたち全員の顔を一人一人見渡した後、最後にハルヒに向かい静かに言葉を続けた。
長「今、わたしは一人じゃない。」
そんな長門の言葉に全員の動きが止まった。…いや、なんと言うか・・・。まさか長門の口からそんな言葉が聞くことが出来るとはとは思わず、
少し意表をつかれ、唖然としてしまったわけだが。
そんな中、いち早くフリーズ状態から復活した鶴屋さんが口を開いた。
鶴「そのとーりっ!有希っこは一人なんかじゃないっさ!SOS団が有希っこの家族みたいなもんだねっ!キョンくんもそー思わないかいっ?」
いきなり話を振られ少し動揺した、でもまあ、うん、そうだな。その通りだ。激しく同意する。
キ「そうですね。そう思います。おれにとってもSOS団はもうひとつの家族みたいなものです。
頼まれたって一人になんかさせませんよ。そうだろハルヒ?」
292 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:38:59.71 ID:TNSOi9650
おれはそう言うと先ほどから顔を俯かせているハルヒに話を振った。ハルヒはハッと顔を上げ、おれを見て、それから長門に向き直った。
そして少し泣きそうな顔を浮かべていたが、やがて我慢出来ない、といった感じの笑顔なり長門に飛び付きだした。
見ると朝比奈さんも目に涙を浮かべて長門に抱きついていた。酒のせいか、少しテンション変わってないか?
ハルヒのハイテンションもしんみりする前よりさらに上がったようで嬉しそうに長門と朝比奈さんを抱き寄せて頬擦りなんかをしている。
まったく、どうなることかと思ったがなにやら結果オーライだな。やれやれ。
…なんてのん気に考えていたわけだが、おれはこの和やかな雰囲気に油断しきっていて肝心なことを失念していた。
そう、テンションの上がりきったハルヒがこのままなにもせず終わるはずのないということにな。
宴もハイテンションのまま進み、もう深夜と言っていい時間に差し掛かったころ、
名残惜しいがさすがにお開きにしたほうがいいだろうとハルヒを見ると、
さっきまでのハイテンションはどこへ行ったのかなにやら難しい顔で考え込んでいた。
先ほどのことをまだ引きずっているのかとも思ったがいずれにせよ、お開きににしたほうがいいだろうと
ハルヒに話しかけたときだった。
支援
294 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:40:51.26 ID:TNSOi9650
キ「おい、ハルヒそろそろ…」
ハ「気が付いたっ!!」
ハルヒが突然立ち上がりなにやら叫びだした。なんだ一体?
ハ「どうしてこんな簡単なことに気が付かなかったのかしら!」
おいおい、なんだろうね、この既視感。なにやらすごく嫌な予感がするのだが…。
ハ「家族みたいじゃなくて家族になればいいのよ!」
キ「おい、いったいなに…」
ハ「有希に両親がいないならあたしとキョンの養子にすれば本当の家族になれるじゃない!」
キ「ちょ、おまっ、突然なに言っt…」
古「いやぁ、それはいい考えですね、さすが涼宮さんです」
おまえは黙れ。いきなり同意するな、このイエスマンめ!
鶴「あっははははっ!さすがハルにゃん、目のつけどころがちがうねっ!」
朝「ふえぇぇ、すごいですぅ」
二人ともなぜそんな簡単に感心出来るんですか!
キ「待て、色々と待て!ハルヒ!」
支援
296 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:41:42.24 ID:TNSOi9650
ハ「なによ、いい考えでしょ?」
キ「少し落ち着け、話が急過ぎる!」
ハ「あんたが言ったんじゃない、家族みたいなもんだって。それに有希だけ両親がいないなんて不公平で可哀想じゃない」
キ「だからって勝手に決めていいことじゃないだろ、長門の意思はどうなる!?」
ハ「それもそうね、どう?有希、あたしとキョンの子供にならない?」
長「わたしはかまわない」
おーい…、長門ー…。
ハ「有希もこう言ってるわよ。何が悪いのよ?」
キ「いくらなんでも、もう少し物事の順序ってもんを考えろ、飛躍しすぎだ!」
ハ「有希みたいな素直でいい子が娘になるのよ?嫌なわけ?」
キ「嫌とかじゃなくて、大体、親たちになんて説明するんだ!?いきなり同級生を養子にしました、なんて許してくれるはずがn・・・・」
ピ、ピ、ピ・・・・プルルルルル・・・・プルルルルル・・・・
・・・あのー、ハルヒさん?携帯なんか出して、いったいどちらへおかけで・・・?
ハ「・・・ああ、お義母さん?うん、まだ有希んち。かくかくしかじかー・・・で有希をあたしとキョンの養子にしようと思うんだけど、
・・・やっぱり!?いいアイディアでしょ?うん、ありがとー、じゃあまたあとで。オーバー♪」
297 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 03:42:50.75 ID:TNSOi9650
キ「・・・・・・おい、ハルヒ?」
ハ「さあ、お義母さんの許可は取ったわよ。これで文句ないでしょ?」
うちの親ってこんなアバウトだったのか・・・。どおりですぐハルヒと打ち解けたはずだ・・・。
キ「いや、しかしだな・・・、いくらなんでn・・・」
気が付くと全員の無言で期待に満ちたような視線が向けられている。
一体なぜ、こんな孤立無援の状況に陥っているのか、誰かここに来て説明してくれ。頼むから。
ふと、長門の方に目を向けるとその大きなクリアブラックの瞳が真っ直ぐにおれを見つめていた。
このときほど長門の表情を読むことに長ける自分が恨めしいと思ったことはない。
やめろ、長門、子犬の様におれを見つめるな、小首を傾げるな、その、いやなの?だめなの?的な視線を止めてくれ!
長「おとうさん?」
・・・・・・・・・・・・いくらなんでもそれは反則じゃあないか?娘よ・・・。
支援
プリンの書き手は夜中の投下が大好きだな。
支援
ありゃ、サルったかな?
こんな時間じゃバイさる覚悟で投下だろ。
支援
>>300 すんません。サルってました。携帯から次が最後です
303 :
とりあえず無題:2008/02/12(火) 04:21:33.17 ID:zhEL9YCgO
キ「……わかった。好きにしてくれ」
ハ「やたーー!さあ、有希!これであたしはあんたのおかあさんよ!遠慮なくおかあさんって呼びなさい!」
長「わかった。ありがとう。おかあさんよ、おとうさん。」
古「いやあ、おめでたいことは重なるものですね。おめでとうございます」
鶴「ハルにゃんとキョンくんと有希っこは前から親子みたいだったからピッタリっさ!いやーめでたいめでたいっ!わはは」
朝「ふえぇぇ、長門さんよかったですぅ」
…まったく、結婚初日からこれじゃ先が思いやられるな。
でもしかたない、喜ぶハルヒと長門…いや、有希の姿をみて悪くないなんて思っちまったのが運のつきだ。
それにあんな風に゛おとうさん゛なんて呼ばれちゃ降参しないほうがおかしいだろ?
これから色々頑張らんと、娘に頼りきりの親父じゃ情けないからな。…やれやれ。
やっと終わりました。最後、ほんと待たせてすんませんでした。
とりあえず朝から仕事なんで寝させてもらいます。おやすみなさい。
乙!
これ、台本形式にしなくても大丈夫だと思うけどな。
乙です!
寝落ちしてた
もう限界なんで寝ます
危い保守
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 07:39:06.56 ID:YTL8PpFvO
もうすぐ忌ま忌ましいバレンタイン保守
仕事開始保守
ほ
し
寝る前に4レス行きます
古泉「バレンタインデー……なんとしても当日にSSを投下しますよ!」
古泉「……と、二月に入ってから気合いを入れたものの、今日は既に当日……そして仕上がり具合は8割といったところですか?」
古泉「……推敲の時間と投下が集中した場合を考慮すると、午後八時には仕上げる必要がありますね」
古泉「時間はギリギリ……部活の時間も全てSS書きに当てましょう。その後も余計なことをしている暇はありません」
古泉「……よし!」
〜ホームルーム終了後〜
女生徒「古泉君」
古泉「はい?なんでしょうか?」
女生徒「あの……この後って暇かな?」
古泉「暇ではありません。むしろ時間が足りないくらいです」
女生徒「え?」
古泉「僕に用事でしたら、また日を改めてお誘い下さい。では」
女生徒「あ、古泉君……」
女生徒「……今日じゃなきゃ意味ないんだけどなぁ」
314 :
2/4:2008/02/12(火) 10:15:37.80 ID:67KsBYyFO
〜部活中〜
カチカチカチカチ……
古泉「……」
みくる「今日の古泉君、ずっと携帯いじってますね。誰かとメールしてるんでしょうか?」
長門「……」
キョン(メール?……ははぁ、彼女か?)
ハルヒ「よし、終わり!じゃあ、今日は部活を早めに切り上げて……みんなで街に行くわよ!」
古泉「!」
キョン「お?」
長門「……」
みくる「はぁい」
ハルヒ「キョンたちには内緒にしてたけど、実は――」
古泉「すいません!今日だけはどうしても外せない用事があるので、僕はこれで失礼します!」
ガチャ!バタン!
ハルヒ「――バレンタインデーのイベントを……って、ちょっと、古泉君!?」
みくる「……凄い速さで帰っていきましたね」
ハルヒ「折角みくるちゃんと有希と一緒に準備したのに……」
キョン「行かせてやれ、ハルヒ。ヤツにはもっと大事な相手がいるんだろ」
ハルヒ「ふーん……?」
ハルヒ「……まぁ、あたしとしてはキョンがメインだからいいけど」
キョン「なんか言ったか?」
ハルヒ「……何も言ってないわよ、バカキョン」
315 :
3/4:2008/02/12(火) 10:16:50.96 ID:67KsBYyFO
〜帰宅〜
古泉「……よし、いいペースです。このまま何もなければ無事に投下出来ますね」
〜♪〜♪
古泉「……」
『着信:森さん』
ピッ!
森『あ、古泉?あのさぁ……』
古泉「閉鎖空間ですか!?」
森『い、いや、違うけど……』
古泉「では、何か別の任務ですか!?」
森『それも違うけど……』
古泉「なら今日は非常に忙しいので、また別の日にして下さい!」
ピッ!
森「……何よ、あいつ。バレンタインくらいちょっと洒落た店でご飯奢ってやろうと思ったのに……」
316 :
4/4:2008/02/12(火) 10:17:47.16 ID:67KsBYyFO
〜そして〜
古泉「ふぅ……完成しました。あとは推敲して投下するだけですね」
古泉「……それにしても……バレンタインだというのに僕自身は寂しいものですね……」
古泉「……」
古泉「……お?ハルキョンのバレンタインSSですか?これは支援しながら読むとしましょう」
古泉「『支援』、と」
その日の古泉くんは、甘いSSがいっぱい読めて幸せだったそうです。
SS作者古泉くん保守
乙
古泉を吊し上げてやりたいw
>>317 乙!
俺も早く書き上げないと当日が来る……!
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 10:39:47.61 ID:2fRA8K0W0
>>317 自覚の無いフラクラ古泉とは…
これではキョンのことを言えないな
フラクラ古泉は新鮮だった。
乙であります
保守
保守
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 13:37:04.92 ID:Z+4bX9m7O
あげ保守
保守
保守
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 15:09:40.69 ID:/PiD40+AO
保守
保守
保守
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 16:15:44.81 ID:mp628mA90
保守
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 16:40:59.83 ID:1Jf8wo7GO
電車の中から保守っとな
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 16:52:13.57 ID:CUU27TwT0
ちょっと質問なんだが、キョンの誕生日って何時か知らない?
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 17:22:03.99 ID:CUU27TwT0
>>333 thx、やっぱりまだ決まってないのか。それとも非公表なのかねぇ
>>334 原作内で各キャラの誕生日パーティーしないといけないから公表してないんじゃない?
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 17:38:04.01 ID:j0P0Mu3vO
今から投下したいんだが大丈夫かな
若干支援ほしい
かもん!
支援
無視しても無視しても数分単位で一定のリズムが刻まれる。得てして振動に微弱な怒りを感じるのは気のせいであろうか。
俺は五回目の着信でようやくそいつを抜き出して、開けた扉に幻影を思い描きながら夢見心地で通話ボタンを押し、耳に思いっきり引っ付けた。
そして、それがまずかった。
『――さ――――!!』
「んな!?」
変な嬌声をあげつつ、あまりの轟音に思わず携帯を床に落とす。デフォルトでそれがピチピチ飛び跳ねているように見えるのは目の錯覚に相違ない。
『――じ――!! ――チ――ス――!!』
聞いたこともないような暴言が、未来永劫聞きたくない声で通話口から幾度となくリピートされた。
こいつの中で定番となったバカキョン、アホキョンなどかわいいもので、最高位となるとテレビにおいてピーッと明確な放送事故が発生するレベルにまで至るという酷さ。お詫びの映像をクッションとして挾まにゃならんのは規定事項であろうね。
『――――ョ――ホ――!!』
またこの暴君は禁止コード乱用だけに留まらず、音量に関しても設定はあくまでノーマルシーなはずなのに、覚醒状態ならば片方の鼓膜を通り越し逆の鼓膜をも貫通しそうな大きさで俺の神経系を一閃した。
耳が未だにジンジンする。ナパーム弾が耳朶で被弾したのかと勘違いしても文句はあるまい。
これが神様のトンデモバワーだとしたらとんだ無駄遣いであるな、本当に。
支援
『――ちょっとキョン!! ちゃんと話聞いてんの!?』
「ん、ああ……」
まともに聞けるかアホ。
既に電話は一メートル先に設置済みだ。しかし、スピーカーでもないのに会話が成立するのはどういう了見であろうね。
会話と呼ぶには怪しいほどの一方通行なのもいかがなものかとは思うが。
『まったく、しっかりしなさいよ。だから明日は――』
ちょい待ち。
…………明日?
明日は何かあったよな…………えと、底知れなく重要なことが……
――抜粋(音声の脳内変換多々あり)。
『付き合って欲しいんです』
「………………あー……」
『何よ、いきなり変な声出して』
ハルヒの訝しがる声がよくわかる。だがな、言わせてくれ、お前のせいだよ。
いやあ危ねえ、あのバカ声でここまで精神をすり減らされていたとはさすがに想定外だ。今の俺にとって三度の飯より大事なことを忘却するとは。
だが、スッカラカンの頭ながら俺は見事に約束を再繕った。ナイス俺、自分にそう言ってやりたいね。
そしてこのことから導き出される標はただ一つ。要するに、ハルヒから下された令呪のごとき強制力を誇る団命を断るのは自然の摂理というわけだ。……だよな、うん。
「……ハルヒすまん。明日は大事な用事があるんだ」
『はぁ? 何よそれ、団活より大事なことがあるって言うわけ?』
それは多々あるだろうが今は突っ込まないでおこう。
「本当にすまん。今度埋め合わせするからさ」
『へぇー…………ほぉー…………』
支援
電話の向こうで堪忍袋の緒とやらが切れる音はしなかったが、ある程度怒っているらしいのが荒い鼻息からひしひし伝わってくる。
悪のフォースに満ちたやけに低い声が、恐怖をさらに助長させた。
口がガタガタ震える。何とか言葉を搾り出さなくては、
「息、荒いぞ」
アウト! 間違い無くアウト!!
やっちまったと思うが既に手遅れ。
ころりと漏れた気遣いの欠片もない一言がトリガーとなったのか……なったんだな、スミマセン。
遂にそれは携帯一つを隔て、まことに見事な花火を打ち上げた。たーまやーと現実逃避でもしないとやってられないほどに強烈なやつを。
『こんのアホンダラゲ!! もういい、あんた抜きで楽しんでやるんだから! 後で泣きついても知らないわよ!!』
もはや騒音である。公害だと認識してほしい。
だいたいの話、俺を感涙に導くイベントが存在するとは到底思えんがね。
『うっさい、黙れ、エロクソ野郎! あ゙ーこれ以上あんたと話していると携帯壊しちゃいそう!』
ミシッと不気味な音が耳元に響く。
フィンガークローで通話中の電話を握りつぶす気なのかこいつは。そういうときはリンゴで我慢しとけ、な?
それに壊したくないのなら早く切ればいいだけの話である。というか頼むからそうしてクダサイ。
しえn
支援
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 17:55:25.17 ID:vAJzcjgR0
支援
『半世紀は奢りだから!!』
ハルヒはぶつくさ文句を垂れ流していた俺に鳥肌を予感させずにはいられない捨て台詞を吐き、どうしたらそんな音が出るのだろうと尋ねたい勢いで電話を叩き切った。
――金科玉条。
どうやら俺の思った以上にSOS団は規律を重んじる集合体らしい。
忌々しいもんだね、やれやれ。
いつまでも頭を抱えていてはしょうがないので、俺はハルヒの考察論もそこそこに森さんへ送るメールを打ち込む作業に移行した。
「明日はどうするんですか?」と、少々味気無い感じもするがまあこんなもんだろ。よし、送信。
うむ、今回はあまり緊張しなかったな。さっき(二十分弱前のこと)のインパクトが強すぎたのが主な、と言うより全ての原因だろうけど。
『――前払いってことで』
森さんの穏やかな声を反芻すると、青のリトマス試験紙を酸性溶液にぶち込んだ勢いで顔が赤に染まっていくのが理解できた。
眼前で拝見した顔、そして唇を思い出しさらに熱を増していく。深々溜め息なんかもついちゃったりして、これじゃ恋する乙女だな。
だあ――クソッ!
顔を抑えのたうち回っていた俺は、耳に届くポップな音楽によって現実世界への強制連行を余儀なくされた。
転がるように携帯を奪取し、ベッドに顎を埋めながら決定ボタンを連打。
ホワイトカラーのディスプレイに表示されたメール画面は、正真正銘、昨日待ちに待ったお方からのものであった。
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 17:57:38.08 ID:vAJzcjgR0
支援
『わたしが迎えに行きますから待っててもらえますか。時間は四時くらい、場所は……ふふ、こちらは着いてからのお楽しみということで。あ、それとさっきのことは気にしないでくださいね』
……これが萌えというやつなのか? それも特Aクラスの。
何にしろ、こんな俺からも一つだけ言えることがある。
最後の文、それだけは不可能です。
一段落の後、クリアブラックに浸食された液晶を弄びながら感慨深い気持ちになった。俺と森さんの関係は随分変わったな、と。
そこだけ抜き出せば百人中百二十人が喜ぶべき事象だと声を大にして言うに違いない。俺もまたその一人だからな。
…………でも、まだ違う。
現在の俺たちの関係は犬と飼い主のようなもの。俺は尻尾を振って森さんに敬虔しているただの忠犬。出来ればもっと近付きたい。身体的な意味じゃなく、心と心を。
それはいつ訪れるか分からない。だからそのときが来るまで離れないためにも、今はこの距離間であり続けよう。
そんな決意を胸の内に秘め、俺は微睡みに意識を落とし
「キョンくーん。ごっはんだよー」
ご飯を食うために、一階に降りた。
…
……
………
支援
翌日、午後三時五十分。
森さんが指定した時間まで余すとこ残り十分である。
洗面台前にて身だしなみの最終チェックをちゃちゃっと仕上げ、彼女を待つため玄関先へと足を運んだ。
めったに履くことのないお気に入りの靴につま先を入れ、地面との軽快な協同作業をこなす。若干テンションが高めなこともあり鼻唄混じりでガチャリとドアを開くと、ある一つの欲求が俺に容赦なく降り注いだ。
「――あふ、ふあぁ……」
眠い。寝たい。
つまり、寝不足だ。
とかく理由は明らか、昨夜は緊張のあまりまともに眠ることなど到底出来ず、朝も朝で妹に無理やり叩き起こされたからである。マジでノックダウン五秒前。
まあ寝不足なのは置いといて、あいつは日曜の早朝から何がしたいんだろうか。あの五歳児の風情すら感じさせる振る舞いを観察していると、近年の小学校高学年の実態が気になって仕様がない。
……む、また欠伸が出そう……だ……。
「ふあ」
「寝不足ですか?」
「ぁ………………な゙!?」
「こんにちは。あれ、こんばんは、かな?」
ああ、辛うじてこんばんはじゃないでしょうか。…………って違う!
玄関先で健康的な白い歯を零しながら軽めに挨拶をくれた彼女を見て、俺は開いていた口をさらにだだっ広く開げた。
森さんのお出ましである。なんとも最悪なタイミングで。
彼女の台詞を省みながら質問する。
「あの、いつから……」
「鼻唄お上手でしたね」
……最悪だ、死にてえ。舌を噛み切りたいとここまで考えたのは人生初だろう。
けれども肝心の森さんは、自暴自棄を貫く俺に構うことなくマイペースに、
「どう、似合ってます?」
なんてのたまいながらパリコレモデルのようにその場で一周。
袖口から遠慮がちに出した手が、あらぬ方向に突き進んでいた俺の思考を叩き戻し激しく揺さぶりにかけた。心頭滅却煩悩退散。しかし、それは無理な話。
なぜなら彼女は浴衣であり、なおかつ大和撫子ここに極まれりであったからだ。
俺の知り得る美辞麗句を並びに並べたって到底及ばない。距離にしたらオゾン層から地核まで軽く至るだろう。まさにパーフェクトな解語之花。
特にフェチというわけではないが、軽く結われた後ろ髪から覗くうなじや後ろ毛がたまりません。情熱持て余します。
悶々とする我が面のマヌケっぷりから感想を悟ったらしく、森さんは艶やかな笑みを浮かべ、
「うふ、ありがとう」
勿体ないくらい有り難いお言葉を頂くことになった。普通は俺がありがとうと言うべきじゃないんですかね。いや、言わせてください。
本当にどうもありがとうございます。
「いいんですよ、わたしも嬉しかったから。さあ行きましょう」
支援
森さんの半歩後ろをひょこひょこついて行く。どうやら遠く倫教の地まで旅立つわけではないらしい。一安心。
……しかしうむ。やはり殺人的に素晴らしいな、この後ろ姿は。
端から見たら俺らはどう写っているんだろうかね。こんな浴衣美人と見るからに平々凡々な一般人。無難に行くと姉弟、一歩間違うとストーカー……はいくらなんでもない、よな?
頭を一振りし、危うい想像を脳裏から追い出す。どうも卑屈すぎるな、俺は。
適当な四方山話を交わしつつしばらく道なりに沿って歩いていると、だんだん森さんと同じくした浴衣姿の女性が目に止まるようになってきた。
推測。解ってはいたが、改めて頭に一つの言葉が浮かぶ。
「お祭り、か」
考察しただけのつもりが、自然と口からだだ漏れしていた。
さして大した不都合はないけど、俺はさもアホみたいな声を出したことだろう。そこだけ切り取れば自殺ものである。
しかし、慈愛に満ち溢れる森さんに「正解です。行ってみたかったんですよね」と優しく言ってくれたからオールオッケーだ。今の時代、内容よりも最終的な結果が大事なのだよ、ワトソンくん。
と、ここで何やらモヤモヤした感覚が俺を襲った。
「む?」
……祭り……祭り、ねえ。えらく来てないはずなんだが……。
何故だろう、最近も訪れたような気がするのは。
結局、謎の既視感は衆人の蠢きによって音もなく消え去った。ま、そこまで気にする必要はなかろうけどな。
また少し歩くと周囲には出店もちらほら登場し、辺りは次第に祭りらしい様相を呈し始めた。
そして盆踊り会場とは名ばかりの戯れ場に到着した頃には人々の数は指数関数的に一気に上昇し、人口密度の増加を熱気と共に如実に感じ取れる程になっていた。
「え……?」
森さんが唐突に可愛らしいお声をあげる。
どうしたんですか、とはとても言えない。この声の起因たる出来事は、誰がどの角度で見ても俺のせいだから。
俺は、何をしてるんだろうね。
目の前に広がる人の山を一瞥して、俺は咄嗟に、そう脊髄反射的に目の前を歩いていた人の手を握った。
つまり、森さんの手を。
悪意は無い、と思う。自分でも本当に理解出来ない。どうしてこんな愚行に走っちまったのか。
森さんは驚きの表情を少しも隠さずに目映いお顔に貼り付け、ふわりと俺を見上げた。
「あの、これは……」
おっしゃりたいことはよく分かります。
「あ、う……」
検索エンジンによるサーチを敢行する。
結果はまだ出ない。
「えっとその……ほら、はぐれちゃったりしたら……うぐ」
永遠にも感じられた検索が終了。弾き出された解答は一つのみ。
開き直るほか、なかった。(最低)
「……いけませんか?」
俺は真剣な目を携え問いかける。サバンナで猛獣と対峙したときを想像してくれ、当社比でそれの三倍は真剣だ。
当の森さんは会場をぐるりと詮索するように見回し、これまでに見たことないような表情で控えめに笑いながら、
「……いいえ、喜んで」
ほんの僅かだけ、何かが変わった気がした。
支援
俺たちは様々な露店を巡った。
タコヤキ屋、焼きそば屋、綿アメ屋、焼きトウモロコシ屋、リンゴ飴屋。ほとんど食い物関連であるのは気のせいだ。射的や輪投げで森さんが超人的な凄腕を披露してもう来ないでくれと店主に泣きながら懇願されたことと何の関係もない。
しかしまあ、お詫びにと双方の店主は揃いも揃って俺らに対の色彩をした手袋を授与してきたのは奇妙な偶然だな。季節違いも甚だしい一品ではあるが、これも思い出と一緒に大切にしまうことにしよう。
あとその他に特筆すべきポイントと言えば、森さんが希少性の違いからかかき氷を食べたいと仰せられたとき、俺が森さんの分まで奢って差し上げると、彼女はその容姿に相応しく少女のような声で「ありがとう」と感謝の意を示されたことだな。
ヒマワリ色の笑顔と一緒にバッチリ脳内フォルダに保管させていただきました。御馳走様です。
充分に腹も満たされ何の気なしに二人でぶらぶらさまよっていると、隣からやけに落ち着かない雰囲気を感じ取った。
「どうかしました?」
「はぅ……いや、何でも……」 そうは言いながらも視線は地面に釘付け。絶対変だ。
「何でもないなんてことないでしょう。汗も凄いし」
その言葉通り森さんの額には汗がびっしり浮かんでおり、歩くペースがどんどん遅くなっていく。そして遂には、片足を引きずるように歩き始めた。
まさか……。
「わわ、きゃあ」
繋いだ手に力を込めて、引きずっている足の方に力ずくで回り込む。
森さんに肩を貸しながら、俺は割と急ぎ目に近所に設置されたベンチへと向かった。
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 18:04:36.47 ID:vAJzcjgR0
支援
ベンチに座り草履を脱がすと、やっぱりというか意外というか、森さんの親指と人差し指の間は痛々しく赤色に腫れ上がっていた。
「とりあえず、これ以上歩くのは無理そうですね」
しかし彼女は、
「平気です」
と雄々しく宣言。いや、無理っすよこれは。
「平気なわけないでしょう」
「いえ、全然だいじょ……う……ぶ…………」
いい加減切羽詰まったので、森さんが話している途中でハンカチを指の間に優しく挟んだ。
余程しみるらしく、後半は完璧に尻すぼみだ。だから言ったのに。
「どう考えても無理ですって」
森さんは親の敵でも見つけたような目で俺を睨んでくるが、涙目となると迫力も半減である。
俺は若干の罪悪感に苛まれながら草履を手に持つと、森さんに向けて背中を差し出した。
「な何のつもりですか! わわわたしはそこまでしてもらわなくても平気だって」
「乗ってください。俺も恥ずかしいんですから」
耳まで赤くなってやしないよな。どっちにせよ、お互い様だろうけど。
「…………その前にお手洗いに……」
蚊の泣くような小さな声でそう呟き俺から草履をふんだくると、たどたどしく立ち上がってトイレの方向へとフラフラ歩き去った。
一瞬付き添うかと迷いもしたが、俺はそこまでエチケットが皆無な人間ではないし、場所的にもここからそう遠くないから大丈夫だろうと思いベンチに腰を下ろして静観を決めた。
ふと手持ち無沙汰になった自分の手をしばらく眺め、意味もなく二、三度にぎにぎと閉じたり開いたりを繰り返す。
つーか俺、今更ながらだいぶ凄いことしてるよな。手を繋いだときといい先刻のことといい。
温かみを帯びていた俺の手は、夏の暑さと反比例するように急速に冷めていった。
森さん、早く戻って来ねえかなあ。
頭の中は、彼女のことで一杯だった。
――一言で感想を言えば、遅い。
女性のお手洗いの時間が男性のそれに比べ長いのは重々承知しているが、いくら何でも限度がある。
森さんが俺の元を離れ小一時間。夏の空はペンキをひっくり返したように黒く塗りつぶされていた。
「何かあったのかな……」
誰に言うでもなく独り言をポツリと漏らし、ベンチから重い腰を上げて森さんを探すためトイレに向かい歩いていく。
そして、目的地に到達する前に彼女は発見される。
木陰で、顔を抑えてうずくまっている彼女を俺は見つけた。
「森さん!!」
叫んだよ、そりゃもう。全開シャウトだ。
森さんの元に全速力で駆け寄る。神懸かり的なスピード。足にF1エンジンでも装着したのかね、俺は。
だが動力はF1でもボディは紙っぺらみたいな運動不足の人間。それ故反動もすこぶる大きく、彼女の傍らに辿り着いたときには早くも肺がオーバーヒートを起こしていた。
息も絶え絶え、喉が詰まる。
当然喋れる状態ではないのだが、それがなかったとしてもきっと俺は言葉を絞り出すことが適わなかっただろう。
森さんが泣いていた。
……まあ衝撃的だった。
女の人の涙だったらそれこそ卒業式やら文化祭やらで結構な数を拝見してきたが、一個人の主観でここまで悲哀に満ちた涙を見るのは初めてだ。そこに加えて森さん、イメージ出来ないだろ?
先ほどのふざけ合いの中で見せた涙なんかとはまったく別種。共有点は一つも存在しない。
俺はそんな彼女を見て戸惑いを覚えながらも、内心に生まれたある欲求を抑えるのに躍起になっていた。
生物学的本能によるものか、無性にそうしたくて、抑えようとしても抑えきることが出来なくて、
「……森さん」
俺は、森さんの華奢な身体を自らの胸に引き寄せた。
支援
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 18:08:55.54 ID:j0P0Mu3vO
支援ありがとうございます
本来ならすべて投下しようと考えていたのですが、後半部がプロットとともに消失したため今回はここまでです
書き直ししだい投下しようと思います
乙!
これは続きが待ち遠しいぜ。
365 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 18:34:46.13 ID:cL3SoLUH0
保守
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 18:40:31.96 ID:ad5/YN6vO
誰かこの間立ってた
ハルヒがもしドMだったら
ってスレのログくださいお願いします
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 18:43:49.35 ID:JAMGp3A+O
ハルヒのん締まりええわあ
保守
保守
370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 19:42:01.96 ID:/PiD40+AO
保守
保守
保守
保守
つまり保守
375 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 20:41:36.13 ID:mp628mA90
保守
保守
保守
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 21:36:37.37 ID:HeNL/9GNO
古
379 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 21:36:57.57 ID:/PiD40+AO
ほしゅ
保守
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 22:03:55.35 ID:mp628mA90
保守
…そこで泣いているのは…わたし…?
『…私は嬉しい。この世界に生まれた事が。
私は沢山の優しい人達に囲まれているし、
心に移り込む様な素晴らしい風景だって、
私の目の前には広がっています。
それらを見る事が出来るというのは、
とても喜ばしい事だと思うのです。
だけど、私は弱い。
力が無いので、泣いてしまいます。
悲しくなって、とても辛いのです。
なので私は、力を否定します。
そして私は、悲しみを拒絶します。
私は、力が消えれば人が争う理由は無いと思います。
そして、この世界に悲しみという物が無ければ、
きっと、みんなが笑顔になれると思うのです』
「…それは、違います。」
『…それは、何故?』
「…悲しみを知らない者は、笑いながら他者を傷つけます。
だから、悲しみを知らない笑顔には価値が無いんです。
なので、人は悲しみを知らなければなりません。
ですが、人に悲しみを与えてはいけないのです。
悲しみの辛さは、人がそれを繰り返さないようにあるんですから。
そして、弱くあると言う事は決して無駄ではありません。
きっと、それは…未来と繋がる強さになるんです。
力を消して悲しみを無くしてしまえば良いなんて、
ただそれは、目の前の辛さから、あなたが――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
支援
だけど連載場所変えた?
…そこで取り乱している少年は…もしや…?
『…決められた道を走るなら、それは僕じゃなくてもいいはずだろ!
何で僕が走らなきゃならないんだっ!…そんなの、自分で走ってるって訳じゃない!
人に走らされて一体どうなるって言うんだ!…僕は自分の意思で走って行きたい!
僕は…僕なんだ!いつも僕らしくありたいんだ!
なんで…僕は僕に生まれてきたんだ…。なんで…僕なんだ…。
僕は…自由になりたいんだ…。』
「…それは、無理でしょうね」
『…それは、何故?』
「…己が他人の意思で動く場合には、己が責任を負う事はありません。
しかし、己の意思で動く場合には、その責任という物を背負わなければならない。
そして、人が自由であればあるほど、その背負っているものは重さを増していきます。
その重さに耐え、尚且つ転ばずに進める人にだけ、自由というものが与えられるのですよ。
…人が最初に自由でない理由は、つまり責任という物を持てないからです。
強く成長した人だけが、責任を抱えて自由を手に入れる。…だから自由は尊いのです。
貴方が欲しがっている物は、自由などではありません。
それは裁量権を与えられていない者が欲しがる…無法。という物なんですよ。
貴方には責任という物が与えられているのにも関わらず、それを投げ出そうとしている。
つまりそれは…自由になる資格を捨てるのと同義なのです。
ですが、もし責任が押し付けられた物であれば…それを押し付けた人物は無責任です。
その人物からなんと言われようと、貴方は自分で自分の責任を抱えて動けば良い。
間違えましたwどうしよう…一応投下はしておきます。
…余談ですが、僕の友達にはとても自由に生きる女の子が居ましてね。
彼女は強い人なので、決して無責任な事はしません。
なので、全てを投げ出そうとしている貴方は、ただ目の前から――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
支援w
すみませんorz
最近アナスレが過疎ってきてるみたいなので
連載中の書きかけSSの投下で保守を兼ねようとしたんですが間違えました。
ドンマイ
保守
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 22:55:24.47 ID:mp628mA90
保守
保守
395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 23:23:15.15 ID:vAJzcjgR0
明日の夜くらいに書いてるやつが投下できそうだが、
バレンタインで大量に来そうだな。
さて、どうしたものやら・・・
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/12(火) 23:30:17.42 ID:vAJzcjgR0
>>396 それもあるけど、俺のはタイムリーなネタじゃないからなぁ。どうも気が引ける。
とりあえず、今仕上げてみるか
保守
保守
400 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 00:14:04.75 ID:T49jkQkL0
たまには橘キョンも見てみたいホシュ
保守
保守
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 00:59:41.98 ID:6ZPoDLDcO
最近の連載ものでオヌヌメを教えてエロい人
連載……このスレに投下されてるのは?
405 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 01:56:30.00 ID:ygTie9ij0
保守
406 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 02:20:25.98 ID:0doNuUb80
よっしゃできた。
これから投下したいけどいいかな?
レポート書きながらだが支援しよう
408 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:31:18.29 ID:0doNuUb80
よく見たら前回の倍近い量だった・・・・・
それでは支援お願いします。
409 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:33:43.94 ID:0doNuUb80
よく見たら前回の倍近い量だった・・・・・
それでは支援お願いします。
あまり多い場合は分間隔の方がさるになりにくいぜって支援
411 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:34:29.28 ID:0doNuUb80
「遅い。罰金よ、キョン!」
リテラート本星の南半球常緑樹林気候帯にある首都ハルヒポリスの郊外に構築された、軍事中枢区の目玉であるSOS帝国軍統合作戦本部ビルは、つい先日完成したばかりだった。
このビルの地下八十階に設置されたSOS団専用会議室に、息を切らして飛び込んできたキョンに向けて放たれた第一声は、一般的にみれば歓迎とは程遠い表現だったが、この言葉こそ発言者が歓迎している印だとキョンは信じていた。
そして、キョンもまた自分の感情を素直に伝えなかった。
「ハルヒ、文句を言うならもっと官庁街に近くてアクセスの良い所に統合作戦本部を建ててくれ。国防省から地上車で一時間もかかる上に、今日は渋滞に巻き込まれたんだぞ。少しは労いの言葉をかけて欲しいもんだね」
「ユキは衛星軌道上の宇宙艦隊司令本部から来たのに、ちゃんと時間通りに会議室に着いてたわよ。遅れそうになったならコイズミくんみたいに空中艇を使えばよかったじゃない」
「あいにく軍務省ビル所属の空中艇は全部出払ってたんだ」
無論、キョンが軍務尚書としての権限を行使すれば空中艇など瞬時にダース単位で現れるわけだが、彼は自分に与えられた権限を子供がおもちゃで遊ぶように振りかざすことを生理的に嫌っていた。
ましてや、SOS団の私的な会議に間に合うために使うのはなおさら気が引けた。
「はぁ〜。情けないわねぇ。あんたは一応軍務省と統合作戦本部の主なのよ。昔みたいに時間にルーズだと部下に示しがつかないわよ。それより、早く席に着いてよ。会議を始められないじゃない」
「因縁をつけたのはそっちだろうが。まったく、昨日統合作戦本部長の辞令を受け取って、軍政と軍令のトップを兼ねることになった俺の身にもなってくれ」
やれやれ、と決まり文句を呟きながらキョンは一つだけ空いている席に腰を下ろした。廊下を全力疾走してきたおかげで悲鳴を上げている喉を潤すために、会議机の上に置かれていた湯気の立っている湯のみを手に取る。
「そのお茶、雁音っていう地球産の古代茶なんです。
独立商船団に発注して取り寄せちゃった。
うまく淹れることが出来たと思うけど」
「いえいえ、アサヒナさんの淹れたお茶なら・・・」
「キョン。それ以上しゃべったら超皇帝を侮辱した罪で死刑にするわよ」
ミクルと茶漫談を開始しようとしたキョンに、物理エネルギーに換算したら間違いなく人を殺せるであろうドスの効いた声が叩きつけられた。
しぶしぶ黙ってお茶をすすったキョンに、くすくすと笑いつつもミクルが目配せをして謝る。
ちなみに他の四人が、有名デザイナーにハルヒがデザインさせた機能的でありながらも雄麗な雰囲気を兼ね備えたSOS帝国軍将官用軍服を着ているのに対して、ミクルは一人だけメイド服を着ていた。
SOS団の私的な集まりの際はこの古風で非機能的な服を着るのが、士官学校時代から続く慣わしだった。
支援
支援
銀英伝今度見直そうかな支援
415 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:36:44.95 ID:0doNuUb80
「これよりSOS団緊急ミーティングを始めるわ。みんな知ってのとおり、三日前、身の程知らずのコンピケン連合軍の戦艦がリテラート星系にやってきて、
宣戦布告に等しい書簡をよこしてきたわ。書簡の内容は旧コンピケン連合領のウィンダーズ星系を速やかに返還すること、
さらにコンピケン連合に星系の借用料9500億クレジットを支払うこと、SOS帝国側の回答に誠意が見られない場合は武力において我が目的を達成せんとするですって。
笑う価値も見出せないふざけた話よね。三流コメディアンでももっとましなネタを考えるわ。戦争がしたいならストレートにそう書けばいいのに。さしあたって、時間を稼ぐために保留にしといたわ」
「で、俺達SOS団は書簡の返答を考えるためにこのクソ忙しい中集まったのか?」
キョンがぶっきらぼうに発言する。返答など考える必要が無いことを知っていても、あえて反論的な発言してしまうところが彼の悲しい性だ。
対コンピケン連合戦用の資料を作成していて遅れそうになったのにも関わらず、である。
「返答?あんた本気で言ってるの?そんなの決まってるじゃない。SOS帝国暦一年十一月十五日午前十時八分をもってSOS帝国は、
理不尽極まりないコンピケン連合の要求を断固として拒否することを、超皇帝スズミヤ・ハルヒの名において宣言するわ」
コイズミは普段と変わらぬ人畜無害な笑顔で、ミクルは可愛らしい眉毛を引き締めて、ナガトは無表情のまま、そしてキョンはわざとらしくため息をついて、それぞれの表現でハルヒの宣言を受け入れた。
「そんなわけで、みんな、戦争よ。いいこと?これはSOS帝国にとって最初の戦いなのよ。もし、しょうもないヘマをして初陣に泥を塗るようなことをしたら、
ハルヒポリス環状道路十周の刑よ。しかも素っ裸で!気色悪い総大主教猊下が追いかけてくる〜って叫びながら十周!!」
ハルヒは不敵な笑みをして、恐ろしい提案をさらりと言ってのけた。ちなみに、ハルヒポリス環状道路は一周二十四キロの距離を誇る首都の大動脈である。
「おいおい、いきなり罰ゲームから発表かよ。ただでさえ戦争は疲れるのに、余計やる気を無くすぜ」
「キョン、あんたまさか負けるつもりなの?そうだとしたら、今すぐ会議室からほっぽり出すわよ。SOS団に敗北主義者はいらないわ・・・って
ああもう、こんなアホな言い合いしてる場合じゃないわよ。早くしないと、御前会議の始まる時間になっちゃうわ。次行くわよ、次!ユキ、ちゃっちゃと済ませて」
ハルヒに指名されたナガトは小さくうなずいて、会議机に備え付けられている操作卓にふれた。丸い会議机の中央部にホログラムが現れ、五人に向けて文字とグラフの列を投射する。
416 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:38:52.67 ID:0doNuUb80
「情報管理局が昨日までに入手した情報を総合すると、既にコンピケン連合軍は首都星トナッリ・ベアーに五個艦隊を集結させている。
敵戦闘用艦艇の総数は70000隻から75000隻、これに相当数の後方任務用艦艇が付属する模様。
さらに軍需物資の集積、民間輸送船の徴発、情報統制等、戦争に必要な準備を行っている。
以上の情報を踏まえると、コンピケン連合はもともと我がSOS帝国に戦争を仕掛けるつもりでいた可能性が非常に高い。
軍需物資の集積率と艦艇数から推測すると、十日前後で全艦隊の出撃が可能になる」
日頃のナガトからは想像できないほどの饒舌ぶりだが、その言葉には飾り気が無く、伝えたいことがはっきりと伝わるものだった。
「変ね。のっけから戦争をするつもりだったら、なんで奇襲攻撃をしないでわざわざ宣戦布告の通知みたいなものまで送ってきたのかしら?」
ハルヒが超皇帝とマジックで書かれた三角錐を指でもてあそびながら、もっともな疑問を口にした。
「情報管理局敵性勢力情報分析課の報告によれば、コンピケン連合は自らの軍事的勝利を確信して、こちらを侮っている可能性が高い、とのこと」
「なによ。それってあたし達を馬鹿にしてるってことじゃない。めっちゃ腹立つわね!コンピケン連合のくせに調子に乗りすぎだわ!コイズミ君、他の勢力の動向は!?」
「はい。今のところ正規の外交ルートで目立った動きはありません。非正規では人民統合機関、天の川情報共同体、未来同盟が今回の事態を静観すると
コンピケン連合に通達したことを確認しています。新人類連邦については、情報管理局の工作により発生した経済混乱の対応に追われているので、軍事行動に出る余裕は無いかと」
「各勢力とも艦隊を動かして無いことを情報管理局がつかんでいる。私はコイズミ・イツキの言に賛同する」
コイズミが発言し、間髪を容れずそれをナガトが補う。SOS団の活動を通して生まれた絶妙のコンビネーションが見事に発揮された。
「コンピケン連合をぶちのめすのを邪魔する不届き者はいないってわけね。ミクルちゃん、国内の方は大丈夫?」
「はっはい、経済は安定してますし、この半年間で今度の戦争に耐えるくらいの体力はついたと思います。それだけじゃなく、戦時特需による伸びも期待できます。
スズミヤさんと現政権への支持率はほぼ100%ですから、国内に関してはコンピケン連合との開戦には何の問題も無いと思いましゅ」
相変わらずの舌足らずぶりでミクルが発言する。しかし、このろれつの回らない声が聞けることを、
何よりの幸福と感じている部下も少数ながら存在するのは確かである。部下ではないが、キョンもまたその一員である。
「ふふふ、戦争をする下準備は万端ってところね。コンピケン連合の奴らが真っ青な顔を並べてあたしの前ではいつくばって許しを乞う姿が目に浮かぶわ。
そういえば、コンピケンって考えてみればおかしな名前ね。何か由来があるの?」
「コンピケンはコンピケン連合国内で信仰されている宗教の名であり、その宗教で定義されている唯一神の名です。
現在のコンピケン連合の指導者ブッチョー・コンピケン三世を含め、歴代の指導者は神の代理人を語って権力を握ってきました。
国民はコンピケン教を信仰することを義務付けられ、強力な拘束力を持つ宗教法によって権利を制限されています。
表立って反対する動きはありませんが、内心で反発している国民も多く、SOS帝国独立の際にウィンダーズが星系が参加に合意したことが良い証拠でしょう」
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怪しすぎる神だなw
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421 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:41:38.92 ID:0doNuUb80
コイズミが慣れた手つきで操作卓を操作して、情報を引き出しながら答えた。戦乱の世では国内の結束力――それが国民の自発的なものでなかったとしても――が国の興亡に直結していた。
よって国内の結束力を高めるために、各勢力で様々な方法が取られ、常人が目を疑うような狂気的宗教による支配が行われることさえ珍しいことではなかった。
SOS帝国の場合、スズミヤ・ハルヒに対する尋常ならざる人気がそれに当たる。
「うわぁ、典型的な宗教独裁国家って感じね。SOS帝国にはむかう悪の国家にぴったりな設定だわ。これは、ますます戦いがいがあるわねぇ」
ハルヒは意地の悪い笑顔を浮かべる。
「さて、次が一番重要な部分よ。キョン、栄えある我がSOS帝国宇宙軍はどうなってるの?」
「ああ、ハルヒに命令された通り、全戦闘用艦艇79276隻・・・・・・昨日亡命してきた巡航艦四隻を含めりゃ79280隻か。
この内の70000隻を15000隻づつに分けて四つの艦隊に、残る10000隻を6500隻の後方任務用艦艇と合流させて補給艦隊にそれぞれ編成して、
リテラート星系に集結させておいたぞ。後の連中は2000隻に分けて五つの星系に配置して星系防衛に当たらせている。
これだけでもかなり骨の折れる仕事だったんだぞ。今度、俺とナガトに何か奢ってくれ」
「あんたはいちいち文句を言い過ぎ!で、艦隊はいつ出撃できるの?」
「出撃自体は一週間以内に可能だ。だが、問題は補給だ。艦艇の通信システムの規格統一はなんとか終わらせたんだが、
レーザー砲やミサイル類の規格統一はまだ半分くらいしか進んでないんだ。よって、大きく分けてもミサイルだけで五種類、
レーザー砲はエネルギーは良いとしても修理用の予備部品を五種類用意しなきゃならん。こいつはちょっと手間がかかるぞ」
戦国時代突入当初は全ての勢力が天の川銀河統一政府軍標準装備を使用して殺し合いをしていたが、既に百余年が経過している現段階では各勢力が使用する兵器にはそれぞれの独自性が色濃く現れていた。
対艦ミサイル一つをとっても、長距離戦を重視する天の川情報共同体のものは射程距離を延ばすために燃料を多く搭載して全長が長くなっている。
逆に短距離戦好む傾向にある新人類連邦のものは弾頭を大型化し直径が大きくなっている。もちろん、これらの兵器は他勢力製の艦艇に搭載することが出来ないので、
運用する艦艇の出身地が五カ国に及ぶSOS帝国軍にとって大きなデメリットとなっている。
「生活区画の方はほとんど手付かずだと言っていい。もう艦艇の改修工事をしている暇は無いから、緊急措置として前に所属していた国ごとに艦艇を分けて艦隊を編成して、
補給が少しでも楽になるように工夫してみた。この問題に直接は関係ないが、元コンピケン連合所属の艦は優先的に補給艦隊と星系防衛に回しておいた。
いくらSOS帝国の仲間になったと言っても、つい半年前までの同胞と戦うのはきついだろ。それでも、補給や修理作業に負担がかかるのは必須で、敵より不利になることは避けられん」
軍事行動において、補給は戦略や戦術と共に欠けることの出来ない重要な部門である。腹をすかせた軍隊の勝機が著しく低下するのは、古来から続く軍事的な伝統であり、
それは宇宙暦に入ってもSOS帝国暦に入っても変わることがない。
422 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:44:02.55 ID:0doNuUb80
「うーん、五カ国混成軍の弱みが出たわね。まあ、今更どうあがいても仕方ないか・・・・・・この件はひとまず置いておくわ。五つの艦隊の司令官は未定よね?」
「今は五つとも宇宙艦隊司令長官のナガトが兼ねているが、お前の一声ですぐに人事が決定するようになっているぞ。早いとこ決めてくれたほうが助かる」
「じゃあ、発表するわ。艦隊の司令官は全員SOS団の団員が務めることに決定。第一艦隊は当然あたし。第二艦隊は副団長のコイズミくん。
第三艦隊はユキ。第四艦隊はキョン。補給艦隊はミクルちゃんが率いてちょうだい。副司令官の人選は作戦会議で各司令官が個々に決定すること」
会議室の空気が驚愕で満たされた。コイズミは柔和な笑みを消し、ミクルは目を丸くして口に手をやり、ナガトも五ミリほど上下の唇が離れたままになっていた。
SOS帝国軍内の人的物資事情を把握しているキョンですら驚きを隠せなかった。
「おい、俺やナガトはともかく、お前やコイズミ、アサヒナさんは十ヶ月近く軍を離れていたんだぞ。本当に俺達が艦隊司令官をやるのか?」
「やるのよ。というより、やらざるを得ないわよ。あたしも軍の将官名簿を見たけど、数が少ない上に10000隻以上の艦隊を指揮した経験のある人は皆無だったわ。
その中で最高位の人民統合機関から亡命してくれたアラカワ中将でさえ、8000隻を指揮したのに留まっているわ。
加えて、中将の専門は特殊工作活動よ。艦隊運用はあまり得意じゃないらしいし。腐れ縁で付いてきたタニグチなんか准将だけど600隻止まり。話にならないわ。
もちろん、この中には優秀な人もいるだろうけど、現段階ではまだまだ未知数だわ。彼らに司令官を任せるのは危険すぎる。
それに比べれば、あたし達は全員新人類連邦にいたとき10000隻以上の艦隊を指揮した経験もあるし、それなりの実績も挙げているわ。だからあたし達の他に適任者がいないのよ。分かる?」
実際、SOS帝国軍は兵士の数に対して将官の絶対数が不足していた。独立時に各星系に駐屯していた高級士官を別にすると、
亡命してきた佐官以上の位を持つ士官はわずかで、その内訳も経験の浅い若手士官が大部分だった。
もちろん、用兵、年齢ともに熟成された将官にも、ハルヒに賛同する者はいただろうが、地位が高くなるほど自軍のしがらみから逃げ出すことを困難にする。
皮肉なことにハルヒの年齢もこの場合壁の一つであった。自分より若い指導者の下で仕える、この行為に反感を覚えてしまう人間は意外に多いものなのだ。
「確かに、ハルヒの言う通りだな。でも、もし新人類連邦軍にいたときお前が愛想を振りまいておけば、もう少し亡命してくる将官も増えたかもしれんがな」
ついつい出てしまったキョンの憎まれ口に、ハルヒは精一杯嫌な顔をして向かえた。
「連邦のクソ爺どもにおべっかを使う必要はどこにもなかったわ。あんなやつらに敬語を使ってたなんて、思い出しただけでも吐き気がする。
でも、あたし達が司令官をやらなくちゃいけない理由はそれだけじゃないの。あたしはいいとして、政府や軍の中にはSOS団員の能力に懐疑的な人がけっこういるのよ。
みんなもうすうす感付いてたでしょ。部下に、お前はスズミヤ・ハルヒの威を借っているだけだ、って思われることがあるのは。
この半年間で随分と減ったけど、それでもまだ疑念が完全に消え去ったわけじゃない。だから、ここは一つあたし達SOS団だけでガツンと力を見せ付ける必要があるのよ。中にも、外にも」
キョンにもハルヒが言ったような事例の覚えがあった。あるとき、部下のとある中佐に資料の提出を頼んだ際、一瞬だけ胡散臭げな視線を向けられた。
こうした出来事が起きたのは一回や二回ではなかった。あまり深く考えたことはなかったが、このまま放置しておくとSOS帝国軍内に深刻な亀裂を生じさせる原因になりかねなかった。
無言で聞き入る団員に畳み掛けるようにして、前にもまして強い口調でハルヒは話し続けた。
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424 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:45:38.48 ID:0doNuUb80
「繰り返して言うわ。これはSOS帝国にとって最初の戦いよ。負けることなんか許されない。もし負けるようなことがあったらSOS帝国は天の川銀河統一という壮大な野望を一%も達成しないまま、
あたしを信じて付いてきてくれている大勢の人達の運命と一緒に宇宙の闇へ消えてしまう。あたしはそんなこと絶対に望んでいないわ。だから、お願い」
四人を見つめるハルヒの瞳の中には、普段閉じ込めている元気一杯に光を放つ銀河の姿はなく、代わりに今にも融けてしまいそうな彗星が不安げに輝いていた。
「コイズミくん、ミクルちゃん、ユキ、キョン。あたしに力を貸して」
なるほど、ハルヒはこれが言いたくてミーティングを開いたのか。キョンは先ほどから胸の奥で絡まっていた糸が解けた思いだった。
これまでの内容は少々堅苦しくなるものの、御前会議や作戦会議で討論すれば済むことだった。決してSOS団員専用のミーティングまで開いて話し合う事柄ではない。
だが、今の言葉は国民六十七億人の頂点に立つ超皇帝スズミヤ・ハルヒではなく、たかだか五人の仲間のリーダーでしかないSOS団団長スズミヤ・ハルヒでなければ、言うことのできない言葉だった。
「何言ってんだ、ハルヒ。俺達はお前の仲間だろ、そんなこと聞くまでもないことじゃないか。あと、恥ずかしい台詞は禁止だ」
「こんな僕でよろしければ、微力を尽くさせてもらいますよ」
「もっもちろんでひゅ。スズミヤさんのためなら身を粉にして・・・・・・そんなことしたら痛いですけど、とにかく頑張りますっ」
「わたし個人としてはスズミヤ・ハルヒ、あなたの期待に全力で応えたいと思っている」
団員達のそれぞれの人格が浮き出た決意表明を聞いたハルヒは、しばらくの間形容しがたい表情をしていたが、
やがて、満足したように再び不敵な笑顔に戻る。いつの間にか、わがままな銀河が情緒不安定な彗星をどこかへ押しやっていた。
「ふふん。まあ、SOS団員なら当たり前よね。とりあえず、礼を言っておくわ。みんな、ありがとう」
ただの人間ならハルヒにしては実にありきたりで、面白みのない感謝だと思うだろう。けれどもSOS団員の四人は、これがどんな賛美にも勝る最高の感謝の言葉だと感じ取っていた。
設立当初は積極的とは言いがたく、ともすれば利害関係の一致のみでつながっていた彼らの関係は、五年の間でここまで成長したのである。
「そろそろ、御前会議が始まる時間だわ。移動しましょ」
ハルヒの号令により、SOS団員は席を立って御前会議の開かれる第一会議室へと移動した。SOS帝国の重臣が一堂に会した御前会議では、コンピケン連合の要求を正式に拒否することが決定され、
同時に全土に向けて非常事態宣言を発令して戦時体制へ移行することも決められた。続けて第二会議室で軍と政府の関係者を集めた大掛かりな作戦会議が開かれ、
迎撃作戦についてより鮮明な話し合いが行われた。
なお、SOS団専用会議室から第一会議室へ移動する際、ミクルはメイド服から軍服に着替えるのを忘れて、御前会議に出席した男性陣の目を喜ばせることとなった。
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427 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:47:19.86 ID:0doNuUb80
旧リテラートポリス、現ハルヒポリスを廻る環状道路の内側には、1000メートル級の高層ビルが林立する都心が形成され、SOS帝国の首都機能を一身に担っていた。
そんな眠ることのない街の片隅にある『黒猫亭』は、うまい酒とジャズの生演奏を静かに堪能できる落ち着いた雰囲気のバーとして知られていた。
値段も手ごろで、この道三十年の老マスターの酒を求めて毎晩客が集っていた。
しかしながら、この店には常連だけしか知らない秘密があった。秘密と縁ができたのは五年前のこと。飲酒の権利を手に入れたばかりの士官学校生の集団がリーダーの
「本格的な店で飲むわよ!!」という一声で転がり込んできたのが始まりだった。
その若者達はやがて歴史の奔流に身を投じ、軍艦に乗って銀河の大海を駆け巡るようになっても足しげくにこの店に通い続けていた。
“私服の英雄がやってくる店”、それが『黒猫亭』の持つもう一つの顔だった。
現在ではSOS帝国頂点に君臨している英雄は以前と変わらず、パウエル街の路地を奥に入ったところにある店舗に徒歩でやって来た。連れは一人だけだった。
「いらっしゃいませ・・・・・・これはこれは、お久しぶりです」
カウンターでグラスを拭いていたマスターが顔をほころばせながらハルヒを迎えた。さすがに演奏中だったピアノ、ウッドベース、ドラムのジャズトリオはできなかったが、
中にいた客は持っていたグラスをかかげるなど、それぞれの方法で半年振りに現れた英雄を歓迎した。
幸い一見客はいないようで、皇帝の登場に驚いて慌てふためき店の雰囲気を乱したり、修飾語過多な挨拶をされることはなかった。
「なかなか来れなくてごめんなさい。独立してから仕事が増えてめっちゃ忙しくなっちゃって」
「いえいえ、ご活躍はかねがね耳に入っております。今宵はお二人様だけですか?」
「本当は五人で来たかったんだけど、他の三人が仕事があるとかで来なかったわ。多分あたし達に遠慮しちゃったみたい」
マスターと話をしながらカウンター席に座ったハルヒに続いてキョンもその隣に座る。
「とりあえずあたしにはミモザを。つまみはチーズとソーセージとクラッカーの盛り合わせをお願い。それと、こいつには・・・・・・アルコールが入ってれば何でもいいわ。」
「ふざけんな。ええと、俺にはウィスキーを。銘柄は・・・」
「いつものでございますね。少々お待ちください」
マスターは老いてもいささかの衰えも見せない記憶の戸棚から、キョンの好んでいたウィスキーの銘柄の名を取り出すと、すぐさま準備にかかった。
ミクルwww
支援
430 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:48:51.77 ID:0doNuUb80
キョンの前に置かれたグラスにウィスキーがなみなみと注がれている間に、帝国軍士官用制服を着た目つきの鋭い女性がバーに入ってきて、
何も言わずに先に来た二人と同じくカウンター席に座った。
周囲の客に対して殺気を放って警戒し始めたが、その様子は見慣れない場所に迷い込んで不安げになっている子猫のようにも見えた。
「今来た客、メイ・ユンファとか言った親衛隊員だっけ?お前の警護のつもりみたいだが、なんだか頼りないな」
「あの子仕事熱心なんだけど、軍隊生活にどっぷりつかっててどこか抜けてるっていうか、一般常識が無いのよねぇ。こういう所に来るのも初めてだと思う。まっ、ちょうどいい勉強になるでしょ」
二人はささやかな乾杯をした後、早速生真面目な親衛隊員を生贄にして会話の花を咲かせていた。
当のメイは注文を尋ねられて散々目を泳がせ、思考を巡らせたあげく、ミルクはあるかと質問した。長年ありとあらゆるトラブルに対処してきたマスターは寛容にも未熟な若者に微笑を向けて言った。
「ここはしがないながらもれっきとした酒場です。できれば酒精の入った飲み物を頼んでいただきたいのですが、そうもいかないようですね」
とハルヒの方を見やってから炭酸水のボトルを持ってきた。赤面しながらグラスに注がれた炭酸水を一気に飲み干してむせ返るメイを見て、ハルヒは頭を押さえて、キョンは苦笑した。
「う〜、あれじゃあ先が思いやられるわ。コンピケン連合との戦いが終わったら誰か良い男でも紹介してあげようかな。
彼氏が出来ればちょっとはましになるかも。このまま味気ない青春を遅らせるのはあまりにも不憫だわ」
「さあ、どうだかな。恋人ができれば良いってもんじゃないぞ」
話の対象に聞こえないぎりぎりの音量で熱弁するハルヒに対して、キョンは苦笑の度合いをさらに強くした。
「それでも多かれ少なかれ生活に変化が訪れるわよ。今のままだと無彩色の人生を送ってるのと同じような・・・・・・あら、懐かしいわね。この曲」
店内に流れていた音楽がそれまでのシックなものから一転して、独特の高揚感を湧き上がらせる曲に変わった。
ハルヒとキョンはその旋律に覚えがあった。
「これは確か・・・・・・」
「God knows...よ。ジャズアレンジだけどね。そっか、あれからもう五年も経つんだ。早いなぁ・・・・・・」
ハルヒは身体を回転させて、英雄に対してささやかな敬意をこめて演奏を始めたトリオの方を向いて、しばし室内で乱舞する不可視の妖精に聞き惚れていた。
ただ、その視線は薄暗い店内で動くトリオを見ているのではなく、自分がこれまで歩んできた時の道を見つめているようだった。
431 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:50:26.99 ID:0doNuUb80
「士官学校創立記念祭の時にお前が歌ったんだよな。あの時は正直驚いたぜ」
キョンが、こちらは相方の形の良い横顔を見つめながら呟いた。
当時新人類連邦で人気を博していたバンド、ENOZが軍人慰問活動の一環として士官学校創立記念祭でライブを行うことになったのだが、
演奏直前、ヴォーカルとギターの担当が不慮の事故で負傷してしまい、偶然居合わせたハルヒとナガトがその代役を果たしたのだ。
ライブは成功裏に終わり、英雄の多芸さを世に知らしめることとなった。
ENOZとハルヒの交流はその後も続き、SOS帝国が独立するとENOZの面々はすぐ帝国に亡命して政府お抱えのバンドとなり、
プロパガンダ放送への協力、国歌の作成などに関わったりした。
五日後に開かれるコンピケン連合軍迎撃部隊結成式にもゲストとして招かれており、そこでも演奏を行う予定である。
「当然よ。あの頃は銀河統一という超壮大な計画を成就させるために、何が何でも名前を売っておく必要があったから。
でも、あれから五年もかかってようやくスタートラインに並んだだけなのよねぇ。先が思いやられるわ」
ハルヒは前を向いたままキョンの方を見ずに答えた。
「そうは言うがなハルヒ、お前は凡人が一生かかってもできないことをたったの五年でやり遂げたんだ。
賞賛に値するどころか、お釣りがたんまり返ってくるぞ。もっと素直に喜ぶべきだろ」
「天の川銀河全体で有人星系だけでも500以上あるのよ。この調子でいくと銀河統一まで単純計算で100年もかかっちゃうわ。
SOS団結成時の計画だともう銀河の半分は手に入れてるはずなのに・・・・・・」
五年前のぶっ飛んだ妄想は置いておくとしても、キョンはため息をつかざるを得なかった。
今の会話にしても、朝の会議にしても、どうも今日のハルヒの心には不安定な要素が紛れ込んでいるようであった。
「そりゃ、新人類連邦にいた頃は地位が低くて思うように動けなかったし、偉くなっても所詮は一介の軍人にすぎなかったからな。
だがな、今ではSOS帝国の皇・・・超皇帝、一国の指導者になったんだ。自由に動ける点に関しては桁違いだぞ。銀河の統一なんてあっという間さ」
五年間共に行動した経験からキョンが学んだところによると、スズミヤ・ハルヒという人間は見かけによらず情緒不安定で、
周期的に憂鬱の暗い湿地にどっぷり浸かってしまう傾向にあるようだった。
このような状況になったとき、キョンとしてはできる限り速やかにハルヒを元の暴走気味な状態に戻さなくてはならなかった。
憂鬱が長引いてはろくなことが起こらない。ましてや敵国との戦争が駆け足で迫っているのだ。指導者が陰鬱だと勝率に少なからぬ悪影響が出る。
「そう考えることもできるわね・・・・・・」
キョンの努力は聞こえるか聞こえないかの瀬戸際の呟きで跳ね返された。
「やれやれ、そんなに後ろ向きに考えなくてもいいだろ。
いつもの傍若無人なハルヒはどこに遊びに行ってるんだ?」
支援
三点リーダーが勿体無いな。「・」じゃなくて「…」の方が見やすいぜ。
434 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:53:14.96 ID:0doNuUb80
今度は答えさえ返ってこなかった。
こいつはかなり重症だな、と心の中でため息をついてグラスをかたむけたキョンを尻目に、God knows...の演奏が終了して、客の間から拍手が沸いた。
ここでハルヒは再び身体を回転させてキョンではなくカウンターと向き合った。
「・・・・・・巡航艦の艦長だった親父が戦死したのが初等学校六年のとき。あたしは考えたわ。何で親父は戦場で死ななければならなかったのかって」
不意を付いてハルヒの独白が始まったのは、キョンからウィスキーボトルを奪い、空になった自分のグラスに注いで一気にあおってからだった。
「子供なりに考え抜いた末に、答えは葬式で母さんに『もし世界が平和だったら、お父さんは死ななかったのに』って泣きながら話しかけられたときに出たわ。
戦争が絶えない世の中だから親父は死んだのよ。だからね、あたしは決めたの。あたしの手で平和な世界を作ってやるってね。
平和な世界を作るにはどうすればいいか?ばらばらになってる天の川銀河を統一してやればいいのよ。どうやって銀河を統一するか?宇宙艦隊を率いて銀河を征服してやればいいのよ。
それであたしは士官学校に入るためにひたすら勉強をしたわ。初等学校を卒業して中等学校、高等学校になっても独りぼっちで全力疾走してた。
母さんはあたしのすることに反対しなかった。娘の意思を尊重してくれたのかもしれないし、もしかしたら、親父の敵を取ってくれることを期待してたのかもしれない。
最初の目標の士官学校に進んだ頃になるとあたしも知恵が付いてきて、宇宙艦隊を率いて銀河を征服するなんてアバウトな計画だと駄目だと感じるようになってた。
もっと具体的な計画を立てる必要になってきたのよ。結論はすぐには出なかった。あまりにも考えることが多い上に複雑だったから。
そんな時、勉強ばかりで気軽に話せる友人さえ作ってなかったあたしに唯一話かけてくれていたあんたが解決策を教えてくれた。『仲間を集めればいい』ってね」
キョンの脳裏で五年前の士官学校で交わされた会話が再生された。
『毎日不機嫌な顔をして悩んでいるようだが、
いったい何を考えてるんだ?』
『別に。銀河を統一する計画を練ってるのよ』
『そいつはすごい計画だな。
そうだ、だったら仲間を集めればいい。
ほら、ゲームの主人公だってまずは仲間を集めてから冒険の旅に出るだろ』
『・・・・・・』
キョンにしてみれば、ハルヒに話しかけたのは講義の前の暇つぶしのつもりだったし、銀河を統一する話も冗談だと解釈して自分も冗談で返したつもりだった。
翌日、キョンは首根っこをつかまれて校舎内を引きずり回されようやく、ハルヒが本気で銀河の統一を目論んでおり、前日の助言を真に受けて仲間を集める気を起こしたことを理解した。
435 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:54:40.94 ID:0doNuUb80
「あんたのおかげでユキやミクルちゃん、コイズミくんに出会うことができたわ。テストの結果を見て優秀そうな生徒を選んだだけだったけど。
それで、空き部屋の一つを占拠して天の川銀河統一計画についてみんなで考えるようになって・・・・・・そうそう、あんたが『頭の体操だ』とか言って持ってきたボードゲーム。あれ、最高だったわ。
あんなに楽しんだのは初等学校以来だった。それからよ、親父が死んでから封じ込めていた感情が出てくるようになったのは。
いつの間にかみんなと一緒にいるだけで幸せだと感じるようになってた。それだけじゃない、あたしの考えも変化していた。
ただ統一するだけじゃ面白くない。統一したらみんなで仲良く遊んで、不思議な出来事を探せる国を作ろうって。
古代の文献を図書館から引っ張り出してきて、あたし達と考古学者しか理解できない言語で団の名前を考えたのもその頃だったわ。
“世界を大いに盛り上げるスズミヤ・ハルヒの団”、略してSOS団。とにかく、狂乱的なテンションで突撃を続けて今に至るわけなんだけど・・・・・・」
ここでハルヒは演説を中断して、肺の中身を空にしそうな勢いで息を吐き出した。押し黙った二人の間をジャズのスタンダートな曲が吹き抜けていく。
「・・・・・・で、何が不満なんだ?俺が聞いたところ、問題点がまだ提起されてないと思うが」
「不満なんて無いわ。ただ・・・・・・」
「ただ?」
「ただね、あたしは怖いのよ」
グラスにうっすらと残っている口紅の跡を凝視し、ハルヒは心中を吐露し始めた。
「みんなで仲良く遊んで、不思議な出来事を探せる国を作る、こんな私的な感情で銀河を統一する大仕事をしてもいいのか。
こんなことのために何十、何百億もの人々の命を危険にさらしてもいいのか。自分のやっていることは間違っているのではないのか。
民衆はあたしのことを英雄と尊敬してくれる、超皇帝と認めて付いてきてくれる。でも、そんな肩書きは虚像に過ぎない。
スズミヤ・ハルヒの実体は二十そこそこで人生経験も少ないただの若者。あたしは“英雄”や“皇帝”にもっとふさわしい人を押しのけて、今の地位にいるんじゃないのか・・・・・・
新人類連邦軍で戦ってたときは無我夢中だったし、名目上は誰かに命令されて動いてたから気づかなかったけど、
国家の指導者としての重圧が両肩にかかるようになって、ようやく自分にまとわりつく不安の群れが見えるようになったわ。
それだけじゃない。あたし達が進んできた道は一見華やかだけど、本当は血と涙で舗装された道。
あたしが指揮した戦いの中で死んでいった兵士の屍で作られた道だってことにも気づいた。
今までは仕事に没頭して押さえてきたけど、三日前コンピケンの戦艦が書簡を運んで来て・・・・・・どんなに頑張っても戦争以外に道は無い。そのことは分かってる。
でも、あたしの決定一つでSOS帝国だけでなくコンピケン連合の人々の血が流れるのよ。他の誰でもない。あたしの決定で、よ。
そう考え出すともう止まらなくて・・・・・・気を抜いたら不安に押し潰されそうなのよ。それが・・・それがどうしようもなく怖い」
いい雰囲気だぜ…
437 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:57:14.03 ID:0doNuUb80
三点リーダー直すの忘れてたwww
指摘ありがとうございます。まとめに載せるときに直しておきます。
ここでハルヒは身体の中から吐き出した言葉で傷つき、乾ききった喉を潤すためにカクテルを注文した。マスターは注文されたカクテルの名を聞いてほんの少しだけ眉をしかめたが、何も言わなかった。
ハルヒだって悩んでるんだな。そう思うとキョンは不謹慎だが嬉しかった。ハルヒが人命を数字でしか見れない軍人になっていないことを。超皇帝などと言うおごり高ぶった虚像に乗っ取られていないことを。
キョンは再び決まり文句を呟くと、脳内の資料庫からハルヒにかけるべき言葉を慎重に選んで、自分でも噛み締めるかのようにゆっくりと語りかけた。
「やれやれ・・・・・・我らが超皇帝はそんなささいなことで悩み苦しんでいらっしゃったのか」
「ささいな?あたしは・・・」
「ささいなことだよ、ハルヒ。お前は難しく考えすぎなんだ。血生臭い戦乱の時代が始まって100年。
誰もが次の退屈で平和な時代に登場を待ち望んでるんだよ。平和な時代の到来のために不可欠な銀河の統一を誰がやるなんて、
ましてやどんな理由でやるなんて全然関係ない。重要なのはどれだけ早く統一するか、だろ。お前はそれを望む人々に選ばれちまったんだ。
後先考えずにひたすら前に進めばいいんだよ。後悔したって死んだ奴らは生き返らない。後悔するのは生きてお前に付いてきてくれている人達に対して義務を果たしてからにしろ。
お前が自信を持って行動するなら、それがどんな結果をもたらそうとも全部俺が許す。やっちまえよ、ハルヒ」
キョンの口調は優しく、聞く相手を包み込むようなものであったが、真剣な目は振り向いたハルヒのそれをしっかりと捉えていた。
瞳と瞳で交わされる会話。そこでは空気振動以上に深いやり取りが行われていた。
二人の言語によらない会話が終了すると、長年カウンターに立った経験で養った感覚でそれを察知したマスターがハルヒの前にカクテルを置いた。そのカクテルを見て首をかしげた。
面白い。レポートが進まないじゃないか。支援
439 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 02:59:08.05 ID:0doNuUb80
ハルヒは呆れて、キョンは苦笑して、それぞれの酒と思いを胃に流し込んだ。
キョンの直観力は軍事や対人関係に関してはまず一級の鋭さを誇っていたが、これが必ずしも恋愛方面に発揮されるわけではなかった。むしろ最悪の感度と言ってよい。
おかげでハルヒは作戦立案に費やす努力と同等の努力をキョンの教育に注がなければならなかった。
「ふう・・・・・・キョン、そろそろ帰るわよ」
「ん?俺はもっと飲んでもいいぞ」
「あたしはあんたほど酒に強くないのよ。
これ以上飲んだら大事なことができなくなっちゃうわ」
キョンはすっかり安心して酔いに占領されるがままになっていた頭で考えた。彼には思い当たる節が無かった。
「大事なこと?これから会議でもあるのか?」
「何言ってんのよキョン」
ハルヒは小悪魔的と表現するには美しすぎる笑顔を向けた。そして、逆襲は見事に成功した。
「これからするんでしょ。子作りを」
440 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:00:38.92 ID:0doNuUb80
ヒール・アジス・サウド中尉は耐えていた。士官学校の名物である鬼教官の罵声でも、戦場で味わう死の恐怖でもない。
彼は統合作戦本部ビル内の快適な室温に保たれた宇宙艦隊司令長官専用執務室で静寂を切り刻むキーボードを叩く音にひたすら耐えていた。
いや、キーボードを叩く音があるだけましだ、とサウドは思った。報告書を読む際の沈黙に比べれば胃にかかる負担はまだしも軽減されている。
親しい、気の知れた者同士の間で起きる沈黙は居心地のよい時間を提供することが多い。逆に認識の無い、あるいは反目し合っている者同士の沈黙は、双方に苦痛を与えるだけである。
執務室に広がる沈黙はまさに後者であった。もっとも、苦痛はナガトには寄り付かず、サウドと彼の胃にばかり集中攻撃をかけていたが。
サウド中尉は三人目の宇宙艦隊司令長官付き副官であった。前任者は一人が胃潰瘍で入院して更迭、もう一人が神経衰弱で精神病棟送りになって更迭されていた。
SOS団員のナガトに特別な反感を抱いていないサウドはこの職に就けたことを誇りに思い、前任者の過ちを繰り返さないよう積極的に上官と友好な関係を築こうと心に誓った。
彼の誓いは一週間で粉々に砕け散った。勤務中の私語は厳禁だと知りながらも幾度となく話しかけてみたが「・・・・・・そう」で全ての会話が強制終了した。
魔の一週間の後、サウドは胃の痛みに堪えながらなんとか副官の任務を全うしている。サウドの体調の悪化を心配した同僚が転属を願い出てはどうかと提案してみたが、
「俺の代わりはいくらでもいるから・・・・・・」と寂しく呟いただけだった。
せめて、何か仕事をくれたら気が紛れるんだけどな・・・・・・いやいや、閣下のお傍にいることが副官の仕事じゃないか。
サウドは副官用の席に座りながら悲しい自問自答を続ける。上官専用の雑用係になってこき使われることが副官本来の仕事なのだが、ナガトの有能さは副官のするべき仕事まで奪っていた。
サウドの精神と胃壁が危険域まで達しようとしていたとき、突如として彼の前に救いの手が差し伸べられた。来客を告げるブザーが鳴り、目の前のディスプレイにベレーをかぶった美しい天使が現れたのだ。
「ナガト司令に用事があるんだけど入っていいかしら?」
「入室を許可する」
サウドが返答する前にナガトが許可を出していた。
急いで操作卓の中からドアを開く朱色のスイッチを選んで押す。
「こんばんは」
入室してきたアサクラ・リョウコ少将がナガトとサウドへ向けてにこやかに敬礼する。アサクラはナガトが新人類連邦軍に所属していた頃から、
ナガトの右腕として活躍してきた艶かしい容貌を持つ女性である。SOS帝国が独立した際も、真っ先に旗下の部隊を率いてナガトの下へ向かい、その忠義心の厚さを示した。
ナガトにはアサクラの他に左腕と称されるキミドリ・エミリ少将がいる。
立ち上がって答礼したサウドの脳裏を、こんな上官の下で副官が出来たらどんなに素晴らしいだろう、
という思いが横切り、慌てて己を叱咤した。彼の生真面目な性格がこうした考えを持つことを許さなかったのだ。
凄まじい逆襲w
442 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:02:24.17 ID:0doNuUb80
「早速だけど、人払いをお願いできるかしら」
ナガトの執務机の前まで来たアサクラが、サウドをちらりと見て言った。
「分かった。サウド中尉、今日はここまででよい。勤御苦労」
「はっ・・・・・・では、先に失礼いたします」
サウドは反射的に答えてから、今日はもう帰ってよいと言われたことを理解して足早に立ち去った。
廊下に出て、周囲に誰もいないことを確認して盛大にため息をつく。今のため息は閣下から逃れられたからついたのではない、
至らぬ自分に呆れてついたのだ、そう考えて、あるいは思い込んで懐から痛み止めの錠剤が入った瓶を取り出し、五粒まとめて口に放り込んだ。
「・・・・・・用件は?」
サウドが去ったことを確認するとナガトは口を開いた。
「んーっとね。用件があるのはあたしじゃなくて・・・」
アサクラは春に咲き乱れる可憐な花を思わせる微笑みを崩さないまま、アイボリー・ホワイトの軍用スラックスのポケットから一枚のカードを取り出して執務机の上に置く。
「・・・こっちの人みたい。あたしは運び屋を頼まれただけなの。じゃあ、またね。ああ、艦隊編成の方は順調だから心配しないで」
「まって。あなたは・・・・・・」
ナガトの質問に答えることなく、アサクラは手を振って執務室から出て行った。
ナガトは視線を怪しい金属光沢を持つカードに落として、しばらく口を重く閉ざしていた。
壁にかかっているアンティークな時計の秒針が五周目の旅に差し掛かったとき、決心をつけたかのように操作卓を操作して執務室に一箇所しかないドアをロックし、
誰もいない空間に語りかけた。
もしこの声をキョンや他のSOS団のメンバーが聞いたなら、ナガトの感情の高ぶりを察知したはずである。
「用件は?わたしの意志は既に示したはず」
「久々に会うというのに、相変わらず冷たいねぇ君は」
人を馬鹿にしたような口調でカードから返答が飛び出してきた。機械による修正が故意に入っていて、
声の主の性別や年齢はうかがい知れないが、人を怒らせる技量に長けていることは間違いないだろう。
「用件が無いなら通信端末を破壊する」
ナガトはそう宣言すると、机の引き出を開けて中にあった護身用の銃を取って安全装置を解除した。
「君のことだ、破壊すると言ったら室内で対艦中性子ビーム砲を発射しかねんな。この通信端末を運ぶために急進派の奴らにかなり貸しを作ったんだ、
とっとと用件を言うことにするよ。まっ、君も予想していただろうが、我々のところへ戻ってくる気はないのかい?」
こう来たか。面白くなってきた。
444 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:03:23.89 ID:0doNuUb80
銃をかまえて目障りな物体に照準を合わせたところで、カードが答えた。そのままの姿勢でナガトは答えた。
「ない。わたしの心は天の川情報共同体ではなく、SOS団にある」
「ふん。SOS団ね。新しい飼い主はそんなに優しいのか?」
「発言の訂正を求める。スズミヤ・ハルヒはあなたのような下劣な人種ではない。わたしの大切な仲間」
ナガトの声が更に鋭く、温度が低くなる。会話の相手を心底軽蔑しているようだった。
「な・か・ま。その仲間の一人が敵国の工作員だと知ったら、彼らはどう思うだろう。なぁナガト」
カードは聞く者を不快にさせる粘度の高い口調で、ナガトを挑発する。
表面的には挑発に動じることなく、しかし身体の中では感情のマグマを煮えたぎらせて、ゆっくりと声を出す。
「・・・・・・わたしかあなたが情報を漏らさなければ彼らが知ることは無い」
「だったら思いっきり漏らしてやる!・・・・・・君が我が対外諜報部の電子記憶庫から盗んでいった情報が無ければの話だがね」
「共同体内がいくつかの派閥に分裂して権力闘争を繰り広げていること、各派閥の克明な情報、各勢力に植えつけられた工作員のリスト、
艦隊の総数、錬度、整備状況、艦艇の稼働率、主力戦艦の欠陥、各星系のクーデターが発生する確率。あなた達がわたしの正体を明かさない限り、
わたしもこの情報を開示しない。これは取引」
「実に忌々しい、低レベルな取引だな。
私だったら躊躇無く蹴っているだろう。だがお偉方には分からんらしい。おめでたい連中だよ、まったく。
君の要求を呑むことが会議で決定されたよ。良かったな、延命できて」
「上層部の判断は妥当」
「馬鹿な判断をした我らが主流派はともかく、急進派や穏健派は君の真後ろでナイフを持って控えている暗殺者に指令を出すことが出来るのに。
何を考えているのかさっぱり分からんね」
「リョウコとエミリはわたしの仲間。あなた達の飼い犬ではない」
「本当にそう思うのか?それは君が思い込んでいるだけじゃないのかい?」
「・・・・・・わたしは、彼女達を信じる」
支援
446 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:04:40.93 ID:0doNuUb80
ナガトは左手で銃をかまえたまま、おもむろに右手で襟元を探り始めた。右手は捜し求めていたものにすぐたどり着くことが出来た。
平生は軍服の内側に押し込まれている錆びついた古い銅の鍵を、執務室の無機質な空気に触れさせると、五本の指でまさぐり始めた。
「はっ、君も十分おめでたい奴だよ。お偉方とはおめでたい奴同士気が合ったようだな。ふん、そのおめでたい奴に出し抜かれた私は救いがたい低脳ということか・・・・・・
やれやれ、敵性勢力の士官学校にマインドコントロールを施した若い工作員を入学させる。そいつを昇進させて軍の中枢部に喰い込ませる。
計画通り進めることが出来ていれば、共同体は近隣勢力に対して有利な立場に立つことができ、私は対外諜報部門のボスになれる。君は国家の英雄として祭り上げられる。
みんなハッピーになるはずだったのに。君の裏切りのせいで全部パーだよ!クソったれめ!!」
「用件はこれでお終い?これ以上の会話は建設的な結果を生まないことは明らか。早急に通信を切るべき」
「これ以上の会話は建設的な結果を生まないことは明らか?言いたいことは星の数ほどあるんだ。少しは吐き出さないと私の身体が持たないんだよ!
・・・・・・まあいい、お望み通り通信を切ってやるよ。君がとびっきりに不幸な人生を送りますように!!」
発狂して抑制の効かなくなった道化師のように散々悪態をついてから、ようやく不愉快極まりないカードは沈黙した。
同時に金属の焼ける臭いがしてカードから煙が出る。証拠隠滅のために回路を自滅させたのだ。
「・・・・・・心の寄港地が人にとってどれほど助けになるか、人を信用することができないあなたには理解できないだろう・・・かつてのわたしも・・・・・・」
誰も聞く者がいない執務室にナガトの言葉がこだまして、はじけた。右の掌には銅の鍵が固く握り締められていた。
「こんばんは、ナガトさん」
「・・・・・・こんばんは」
一介の金属片と化したカードを丹念に切り刻んでゴミ箱へ捨て、部屋の空調機能をフル稼働させて執務室を出たナガトを、
見る者の心に落ち着きをもたらす作用がある微笑をたたえたコイズミ・イツキが待ち構えていた。
「何の用?」
「ちょうど仕事が一段落しまして、遅めの夕食にナガトさんを誘おうと思ったんです。この様子だとまだ取っていないようですね」
コイズミが誘い文句を言い終わると間髪いれずに、ナガトの腹部から同意のサインが出た。ナガトの頬がほんの少し赤く染まったのは気のせいではないようだ。
「……消化器官が不平を申し立てている。これは非常に危険な状態。何か食べ物を摂取しないと生命維持に重大な影響を及ぼす」
「では決まりですね。どこにしますか?といっても統合作戦本部ビルは先日完成したばかりなので、
営業してるレストランは少ないのですが……ああ、もちろん僕のおごりです」
447 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:05:24.96 ID:0doNuUb80
「今日地下二階の民間企業用フロアに開店した『電気羊亭』なるレストランに行ってみたい。情報端末に届いた広告によると、新鮮な魚介類を贅沢に使ったシーフードカレーが絶品らしい」
「・・・・・・また、カレーですか。たまには他の料理に挑戦してみてはいかがですか?」
「カレーは食の至宝。宇宙の真理。歴史上の重要事項。コイズミ・イツキ、早く行かないと置いていく」
エレベーターに向かってすたすたと歩き出したナガトを、コイズミが慌てて追いかける。
目的地までの距離が二十メートルになってようやく肩を並べたコイズミが、ナガトの胸元で鈍い光沢を放っている物体に気づいた。
「おや、珍しいですね。その鍵を外側にぶら下げているなんて。何かあったんですか?」
指摘されたナガトは足の動きを止め、銀の鎖でつねがれているそれを見つめた。次に隣で立ち止まっている頭一つ分背の高いコイズミの顔を見上げるようにして瞳の中に収める。
「先ほどは、あなたがプレゼントしてくれたこの幸運の御守りのおかげで助かった。ありがとう」
「・・・・・・良く分かりませんが、どういたしまして」
柔和な笑みをたたえたSOS団の副団長は深く探ろうとしなかった。その必要が無かったのだ。
無口な読書家と捕らえ所の無い伊達男がSOS団という特殊な環境の中で出会ってから早五年。
二人の若者の間には言語に頼った意思疎通はもはや無用だった。伝えたいことは伝わる。
キョンとハルヒの関係とはまた違った理想的信頼関係がここにも築かれていたのだ。
再び廊下を歩み始めた二人はエレベーターに乗り、シーフードカレーの待つ地下二階へと向かった。
448 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:06:19.74 ID:0doNuUb80
SOS帝国暦一年、十一月二十一日。コンピケン連合軍迎撃部隊は首都星リテラートを進発した。
迎撃部隊の陣容は兼任と昇進を乱発してなんとか体裁を整えることが出来た。
総司令官には超皇帝スズミヤ・ハルヒ自身が就任。副司令官兼総参謀長の座を占めるのはコイズミ・イツキ、
その下に作戦主任参謀キョン、情報主任参謀ナガト・ユキ、後方主任参謀アサヒナ・ミクルが配置された。主任参謀の下にはそれぞれ五人の参謀が振り分けられている。
実戦部隊としては、宇宙艦隊の総兵力の約九割に相当する五個艦隊が動員された。
第一艦隊司令官スズミヤ・ハルヒ超元帥、副司令官フリッツ・J・ビッテンフェルト中将(少将から昇進)、グエン・カオ・キー中将(少将から昇進)。
第二艦隊司令官コイズミ・イツキ上級大将、副司令官アラカワ中将、モリ中将(少将から昇進)。
第三艦隊司令官ナガト・ユキ上級大将、副司令官アサクラ・リョウコ中将(少将から昇進)、キミドリ・エミリ少将(准将から昇進)
第四艦隊司令官キョン上級大将、副司令官クニキダ中将(少将から昇進)、タニグチ少将(准将から昇進)。
補給艦隊司令官アサヒナ・ミクル上級大将、ツルヤ少将、シャルロット・フィリス准将(大佐から昇進)。
留守政府はタマル・ケイイチ副宰相を筆頭にタマル・ユタカ国務尚書、ハリ・セルダン内務尚書、オカベ学芸尚書によってまとめられ、
国内治安と回廊警備はサカナカ准将(大佐から昇進)があたった。
SOS帝国の存亡をかけて上演される、血に彩られた舞台の開演である。
支援
ふへへへへ支援
ちょwビッテンフェルトwww
452 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:11:54.95 ID:0doNuUb80
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・やっちまったな」
「・・・・・・やっちゃったわね」
「作者はバーに行ったことないのに。無茶しやがって」
「それ以前に酒を飲める年齢じゃ・・・・・・」
「ふええ。わたしの出番がないですぅ」
「オリキャラがたくさん出てきたな。賛否が激しいのに大丈夫なのか?」
「しかも、銀河英雄伝説を読んだことのない人にしてみれば、原作のキャラが出てもオリキャラと同じよね」
「「・・・・・・はぁ」」
「SOS団の歴史が、また一ページ・・・・・・カレーは食の至宝」
一応これでお終いです。
支援してくださった方、ありがとうございました。
乙!読んでたらレポート…三行しか進まんかった…でも面白かった
元ネタは読んだことないんだが、十分読めるよ。文が旨いからさくさく。
色々小ネタに萌えたww
各キャラの掘り下げもあるのかな?なんにせよ続きが楽しみな連載だ。
GJ!!
キャラの動かし方も上手いと思うぜ。
そういやこの前思ったんだが、最後のレスをまとめに加える場合、傍線で区切ったら見栄えがいいと思うよ。
456 :
銀河SOS伝説〜射手座の光芒〜:2008/02/13(水) 03:25:28.09 ID:0doNuUb80
>>453 銀英伝を読んだこと無い人でも読めるように。がモットーで書いていたので嬉しいです。
掘り下げ……できるかなw
>>455 アドバイスどうも。今度やってみます。
あと、ビッテンフェルトは俺の嫁!
そういえば誰か言ってたが、まとめのジャンル分けを新しくした方がいいんじゃないかね。
普通に書けば殆どキョン物になるし、キャラから探しても読みたいジャンルに行き着きにくい。
恋愛、SF、パロディ・・・etcetcで振り分けた方がいんじゃね?
>>457 でもそれやると、サプライズでの新たな出会いがなくなるからなあ
好みのジャンル以外も読んで新規開拓してきた面もあるだろうし
パロディを分類しておくのは好き嫌いあるからいいかもしれないね
推薦サイトがもうちょっと機能すれば検索とかで探したり
色々有効活用できそうなものだが……。
あ、自分はそろそろ寝るので後は頼んだ。
みんなでやればいい。
別に一日で振り分ける必要は無いし。
今ある分のジャンルには未分類と付け加えておいて、作者読者が振り分けていけばいんじゃね。
461 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 05:35:32.54 ID:/IYnU0JZO
☆
462 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 06:48:27.64 ID:8MaOyTQCO
ほ
463 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 07:28:35.73 ID:mdcm0nQLO
ほしゅでしゅ!
464 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 08:18:58.03 ID:z+LctOXy0
>>457 雑談所に管理人さんから返答きてるぞ。
問題点とかもわかりやすく教えてくれてるけどたまに何かやればとか書く人はここに書いてる
ようなことちゃんと考えて書いてるのかね。
それとまとめに新着情報のページが出来たみたいだ
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 09:07:32.47 ID:8MaOyTQCO
保守
ハルヒかわいいのまとめある?
ないな、まとめないつもりかな?
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 11:24:03.28 ID:8MaOyTQCO
保守
469 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 12:14:08.72 ID:8MaOyTQCO
保守
470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 13:25:11.54 ID:ziozHlQoO
保守
471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 14:27:09.44 ID:8MaOyTQCO
保守
472 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 15:22:07.14 ID:8MaOyTQCO
保守
保守
☆
☆
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 16:24:40.47 ID:9MWi9Zr8O
☆
保守
☆
まとめサイトのSSで、どれが今面白いのか解らないから、ランキングがあってほしいてきな保守
そんなことしたら荒れるだけ保守
481 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 17:36:50.06 ID:yNrELKDJO
保守
482 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/13(水) 17:41:39.85 ID:e0TvLMquO
今日は3日ルールで落ちるな
それでも保守
保守