ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 18:14:15.91 ID:P5EmFkhb0
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 18:15:46.72 ID:XMgo8Lan0
スレ立て乙です!
18:20からバレンタインのSSの続きを投下したいと思います。
そろそろかな
7 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:20:52.35 ID:XMgo8Lan0
「みっくるー!お迎えにきたっさっ!急ぐにょろっ!」
外はもう薄闇に包まれていて、そして本日のSOS団による活動も終わって束の間、
あたしと着替えるみくるちゃんだけになった部室のドアを、
鶴屋さんが片手を上げてハツラツとした笑顔で押し開いてきた。
「鶴屋さんじゃないっ!これからみくるちゃんと何かすんの?」
「もっちろんっ!ハルにゃんの調子はどうだいっ」
「えっ?なんの?…って有希、帰ったんじゃないの!?」
「あっ有希っ子は通りがかりを捕まえてきたっさっ!
それよりハルにゃんっ今日この日に乙女がいそしむことなんて
…決まってるにょろ〜?」
「………。」
2月13日。正直、それだけでも分かる。
そして、早すぎるくらい前からコンビニやTVの内容がそれを急かしているものだから、
ここで分からないなんて言えやしない。
「…あたしはパス。小学校までは友達とハシャいでたりもあったけど、
もう、企業戦略に踊らされるのはごめん被るわ。
手作りったって、溶かしてまた固めるだけの作業だし。
みくるちゃんもドジしそうに無い程のつまらない事じゃない」
8 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:23:04.73 ID:XMgo8Lan0
「おやおやっ!?ハルにゃんはキョンくんと古泉くんにはあげるものと
てっきり思ってたっさ!」
「!っなんであたしがキョンに…
「それにさっ!去年みくると一緒に作ったときなんかっみくるねぇ、
チョコボール作るんだって言ってサッカーボールなんか持ってきたのさっ
さすがにあれには驚いたねぇ〜!」
「わわっ鶴屋さんっ!…だって、チョコボールは一般的に食べられているチョコだって
聞きましたし、チョコを送るイベントだから大きいボールが良いのかなって…
「あとあとっ!チョコ作るのもめがっさ楽しいにょろっ!
愛情こめこめ貴方にプレゼントってねっ!
今回もあたしの家で作るしさっ有希っ子も来るみたいだよっ!
チョコならうちに沢山あまってるからっ!ハルにゃんもおいでっ!」
「ぐっ…ま、まあ…有希もみくるちゃんも行くんなら!…お邪魔しようかな…」
「そうこなくっちゃあ始まらないってもんさっ!
じゃあっもうそのままうちに来るかいっ?おうちの人に連絡…
「あっ!あたしは一度、家に帰ってから行くわっ!寄り道もあるし…」
「…?、道具も材料もあらかた揃ってるよっ」
「い、いやっ…やっぱ鶴屋さんの家のチョコを頂くのは申し訳ないから、
それくらいは買って行こうかと思って」
9 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:25:08.69 ID:XMgo8Lan0
「…りょーかいっ!じゃああたし達は先に作ってるからっ!
ゆっくり選ぶにょろ〜♪」
「…マッハで行くから。」
…さて、と。…デパートが閉まる前に家に帰らなきゃ。
キョンには人生そんな甘くないって事を教えてあげようと、
まるで薬としか思えない某99%チョコを買いにデパートに行った。
「…シャレで買うには意外と値段が…99円のチョコで良いかな」
あたしはとりあえずミルク、ビター、ホワイトを網羅して、
あのでっかい鶴屋さんの家へと向かった。
和風な建築様式の外観からは想像出来ないほどのシステムキッチンの中では、
既に鶴屋さんがチョコの成型に取り掛かっていた。
「いらっしゃいっ!チョコはそれぞれ自由に作ってるよっ!
困ったことあったらお互いにサポートしていくっさっ」
「ありがとう。遠慮なくキッチンを借りさせて頂くわ」
10 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:27:55.97 ID:XMgo8Lan0
うわっ、さすが鶴屋さん。器用にチョコレートを絞ってコロコロした
一口サイズのチョコを作っていってる…。
…あたし、湯煎で溶かすって程度しか知識が無いのよね。
みくるちゃんは何やってるんだろ。
「…みくるちゃん?レンジの前につっ立って、何してるの?」
「あっ、いまチョコを染み込ませてる所なんですっ」
「うん?中のボウルにはチョコしか見えないみたいだけど」
「…実は、わたしもそれで困ってるんです…
ちゃんと出来ているのか見てても分からなくて、
とりあえず、しばらくレンジの中に入れて様子をみてるんですけど…」
「…みくるちゃん、一体なに作ってるの?」
「巷で人気の、チョコエッグですっ!」
「…へっ?ま…まさか!そのチョコの中に卵入ってんのっ!?」
「ふふふ♪あたしもそこまでドジじゃありませんよ♪
卵はちゃんと茹でてありますっ!」
チャント、ユデテアリマス?
11 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:29:46.17 ID:XMgo8Lan0
「ストーーーーップ!」
ピーッ!
「み、みくるちゃん…?チョコエッグってね、そ…そうじゃないの…」
「あっはっはっ!みっみくるぅっ!そ、それじゃチョコ煮タマゴだよっ!
ふぁっはっははっ!」
「わうっ!?い、いけないんですかぁ!?
ごめんなさいっ!すぐ取り出しま…
「…!さわっちゃ駄目っ!」
「ふえっ?…
(ボンッ!!)
熱ゅっ!うえぇ…そんなぁ…」
「ぷぷっ!さっすがみくる!!!こっ今年も期待を裏切らないっさ!!
あーっはっはっは!チョコとっゆで卵まみれの人なんてっ初めてみるにょろっ!」
上位機種の雰囲気漂うオーブンレンジがひたすらに甘くなっている姿を見ても、
床に笑い転げる鶴屋さんは流石だなぁと思った。
12 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:31:29.11 ID:XMgo8Lan0
「みゅう…今年も手作りはあきらめます…」
……。
「…ふふっ」
なんだ。結構楽しいものじゃない…こんな事も。
今まで…ちょっとだけ、勿体無かったかな。
「…あたしもそろそろ作ろっかな!」
形は何にしよう?ハート…は違うわね。なんか。
いっその事キョンっていう文字に…実にアホらしい。もっと違うじゃない。
まあ、手で丸めてトリュフにでもしようかな。
…有希は黙々と作ってるみたいだけど、どんな…
ハ、ハート!?まさか有希、好きな人が居るっての!?
「……」
「……。」
…前言撤回。やけに分かりやすい義理チョコだった。
13 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:32:50.07 ID:XMgo8Lan0
…
……
「…完成っと!」
「おっ!さっすがハルにゃんっ!!めがっさ完璧にょろっ!
こりゃあキョンくんもまいっちゃう位の仕上がりだねっ!」
「だからなんでキョンが…
「うわぁ♪ホントに美味しそうっ!それに涼宮さんの手作りだって知ったら、
きっと二人とも喜びますっ♪」
「うげっ!…あ、あたしが作ったって話すの!?」
「…?、なんでですかぁ?」
…だってまだ、どうやって渡すのかもぜんぜん考えてないのに、
先に手作りチョコを持ってるって言われてたら余計渡しにくいじゃない…!
さる?
15 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:35:55.87 ID:XMgo8Lan0
「と、とにかく二人には内緒っ!
有希も、あたしが作ったことは言わないでねっ!」
「………本命を?」
「―ばっ!?ち…チョコを作った事よっ!
本命なんて作ってないっ!盛大な義理チョコよっ!」
「…了解。」
…
……
…あ、箱とか買ってくるの忘れてた。
「まっかせておくれよっ!いろいろ揃ってるから好きなの選ぶにょろっ♪」
「…ありがと。鶴屋さん」
鶴屋さんの家に揃えられていた多彩な包装紙や可愛い箱、
そして様々な趣向を凝らした装飾品の量がとても多かったから、
それぞれ二人の入れ物を選び終えるのにあたしは1時間くらいかかってしまった。
支援
17 :
ハルヒのバレンタイン:2008/02/09(土) 18:38:14.01 ID:XMgo8Lan0
そして鶴屋さんにお礼の言葉と、皆に別れの言葉を告げてあたしは自分の部屋へと帰った。
「……ふう。」
…
……
………
……これ、どうやって渡そうかな…。
二人のバレンタインへ続く。
18 :
ハルヒのバレンタイン作者:2008/02/09(土) 18:42:53.98 ID:XMgo8Lan0
>>1超乙!
てかさっきまで立ってる事気付かんかったww
乙!
みくるwww
みくるの普段の生活が気になるwwww
人いないかな・・・
支援に登場。遠慮なく投下してくれ。
支援
いやに目覚めの悪い朝で、その理由の大部分を冬の寒さに押し付けてしまうのは些か身勝手なものではあるが、
不満をぶつけられる側の冬の寒さは憤ったりして反論するようなことは無いので、このまま寒さのせいにしておこう。
大体、こんな寒空で元気一杯になるのは犬とガキだけで充分だ。シャミセンもいつの間にやら俺の布団に潜り込んでいるではないか。
犬でもガキでもない俺にはこの寒さが憂鬱で仕方が無い。
朝の光を頭から浴びてトドメの目覚まし代わりにしようと、カーテンを開けてみてさらに憂鬱になった。
凶悪的な冷却効果をその見た目と “雪” という可愛らしい言葉に巧みに隠しこんだ白銀の結晶の集合体。それが辺り一面。
歩いているうちにだんだん靴の中へ侵入していき、冷水に形を変えて靴下をずぶ濡れにしてくださる、
紛う事なき悪魔的な自然の産物である、とここに断言しよう。
…同じ “ユキ” とは大違いだ。
これは靴下の予備を持っていく必要があるな、あと靴を部室で乾かす為に何か包装紙的なものも必要だろう、と
その朝雪景色の次に目に留まった文章続々絶賛追加中の手紙をろくに目を通さず鞄に仕舞い、必要物の準備に勤しんだ。
そしてさっさと学校に向かうため家を後にした訳である。何故なら自転車での登校が不可能である、という事に真っ先に気づいたからだ。
「おはようございます。何か変わったことは?」
学校に着くや否や、いきなり古泉に呼び止められてこんな質問をされたのだが、
その言葉には何やら若干の焦燥感みたいなものが伴っている気がする。つまりだ。
「何かあったような物言いだな。」
と先に古泉の話を聞くのがこの場での最適な受け答えだろう。
何かあったのかといえば確かに何かがあったのだと古泉は言う。
彼ら超能力者達が所属する機関が専門としている閉鎖空間についてだ。
同時にそれは、返ってくるであろう回答予想一覧表のトップに配置されたフレーズなのだが。
「理解が早くて助かります。しかし今回の件は極めて特殊な例なんです。」
成る程な。ではどういう風に特殊なのか聞かせてもらおう。
支援
支援
支援
「閉鎖空間の発生は今日の深夜1時でした。ですが、駆けつけてみるとそれは実に小規模なものだったのです。
ドームの大きさがイメージできますか?丁度あれの半分程、ですかね。
規模はどうあれ閉鎖空間は閉鎖空間ですから、早速片付けようと侵入を試みたのですが。
不思議なことに、閉鎖空間は跡形も無く自己消滅してしまいました。その後現在に至るまで再発生はありません。」
無事、平穏を取り戻せたんならめでたし、じゃないか。浮かない顔をしている理由はなんなんだ?
「基本的に閉鎖空間とは閉鎖空間そのものを叩かなければ消滅することはありません。
涼宮さんに何らかの方法を取る、という方法も無くはないのですが、それは我々 “には” 出来ないことです。」
古泉は意味ありげにはにかんで見せ、さらにこう続けた。
「ところが、です。今回の件では我々は閉鎖空間に一切関わっていません。
それが大きな疑問です。これは明らかに不測の事態となっているのです。
今回は無害で済みましたが、次回がある場合も今回同様に無害なのかと問われれば、僕はイエスと断言することは出来ません。」
確かに仰るとおりだ。次の事なんざ一切考えていなかったな。
これが専門家と一般人の違いと言って良いんだろうな、見る角度の違いというか。
「…さてもう一点。閉鎖空間についての基本事項といえば何かを、覚えていますか?」
放っておけば地球全土を覆いつくして世界を乗っ取る侵略者。
でもって原因はハルヒのストレス。この2点だけは忘れようにも忘れようが無いさ、何度も体験した身にとってはな。
ああ、嫌な予感がする。ハルヒに事を治めて欲しければ最終手段は俺任せに…、なるんだろうな。今までの経験上。
「では今回も頼らせて頂いてもよろしいでしょうか?」
つまり…、ハルヒの顔色を見て何かイライラがあるようなら取り除いてやれ、と。
「ご名答。流石ですね。」
何をどうすればいいのかについてを省略しても理解してしまえる俺の脳は
日常から遥か遠くに隔離されてしまったせいでどこかおかしくなり始めているに違いない、きっとそうだ。俺はもう普通じゃない、やったね。
やれやれ、どうにも俺には都合のいいように利用されるだけの価値しか無い気がしてくるな。
支援
「さて、あなたの方は?何か変わった事とか。」
そういえばあの手紙がまた文面を更新していた事を思い出した。
しかしタイミングが悪く、手紙を取り出そうと鞄に手をかけたところで予鈴が鳴り響く。
「残念ですね。…また後で見せてもらう事にします。
長門さんや朝比奈さんには、僕に遠慮なさらず先に見せておいて下さって結構ですよ。それでは。」
そう言うと自分のクラスへ歩き出す古泉。俺もさっさと教室に行かなければ。
「遅いわよ!」
これが教室に入るなり浴びせられたハルヒの第一声だった。
「あたし一人に仕事を押し付けるなんて愚の骨頂よ!仕事を避けようとしてわざと遅れて来たんじゃないでしょうね?」
何事かとハルヒの机を見てみれば成る程、昨日のチラシの下書きが散乱している。
昨日書いたものは出来に不服だったのだろうか。いや、そこを指摘するつもりは無いけどな。
あまりにも自分の書いた文章が気に入らなければいっその事破棄し、新たに書き直す方法を取る。それは俺にだってある経験さ。
指摘するポイントは唯一つ。これはハルヒ自身が作り出した不必要な労働であり…いや、これはもういい。
ともかく朝の古泉との会話から導き出される俺がすべき事は、ここで反論してハルヒの不機嫌度を助長する事ではないのだ。
当たり障りのない事を言って、この未完成のチラシを褒めるようにしておくとしよう。
「ふふん、あたしの手に掛かればざっとこんなものよ。レイアウトをもうちょっとだけ考えるとして、後は印刷するだけよね!」
意外に簡単に機嫌が良くなったようだ。
と、言うよりハルヒは特に最初から機嫌が別段悪かったようでも無さそうだ。
高校に上がってからこれまでの2年間、家族といるよりもハルヒといる時間が長い俺だ。
こいつが不機嫌オーラを身に纏っている状態の時はすぐに感知できるようになっている。…全く実生活で役に立たないが。
つまり今のハルヒの精神状態は超問題なし。多少のイライラまで否定していてはハルヒ自体を否定する事と同義。
第一、この程度でいちいち閉鎖空間を発生させていたんじゃ世界が幾つあっても全然足りないじゃないか。
そう考えると、今回の閉鎖空間の原因とは何だ…?
支援
しかしこうして見てもこのハルヒがいずれいなくなってしまうかもしれないなんて、全く考えに及ばないな。
いっそのことこの事件全てを忘れ去る事が出来ればどれほど楽だろうか。
もちろん都合よく忘却してくれるほど俺の脳は融通が聞くわけではなく、
それは同時に俺がまだまだ老化を知らない健康体そのものであるということを実感できる。
だからこそ、その日現れた意外な訪問者に、俺の脳は警笛を鳴らすべきだった。
「久しぶり。元気にしてた?」
大雪に見舞われた為にグラウンドが使用不能となり、本日の体育は屋内に変更となった。
それだけは、素直に雪に感謝しておこう。外気に上下ジャージという薄着姿で触れなければならない時間なんざ無くて結構。
その体育が終わり、教室に帰ろうと下駄箱から上履きを取り出そうとした時だ。
そこで発見した本来の下駄箱の用途を考えると不適当なもの。世の男にとってはこれを不適当だと言ってしまえば神罰が下るほどの代物。
ややこしい言い回しはやめよう。つまりその極端に矛盾したものとは何か?
それは手紙である。
見た事のある可愛らしい封筒、見た事のある可愛らしい便箋。そして見た事のある可愛らしい文字の列。
前回の手紙から1年以上の空きがあるが、俺がそれを忘れる訳が無い。
そう、俺に久しぶりと言うこの人物とは下駄箱に手紙という実に古典的な、
丁寧にも遠まわしな手段で俺を体育館準備室に招いた朝比奈さん(大)なのである。
支援
ただ、会えて嬉しい反面、すぐさま疑問が頭を支配した。
「えっと、長門の話では未来は今この時代に干渉できない、と聞いたんですが。」
その問いかけに朝比奈さん(大)は重たそうに口を開いてこう話し始めた。
「今回の件では今仰った事に間違いありません。
私のいた時代でもあまりに急すぎて対処のしようがなかったと聞いています。」
…います?
「ええ、私は偶然にも過去に調査に来ていたので事無きを得ました。
そして事件の当日、急に未来との交信が途絶えたので詳しく調べてみたところ、初めて今回の事が発覚したのです。」
成る程、そういうことだったのか。
「それで、…手紙の事なんですけど。あっ、キョン君をここに呼び出すのに使った手紙ではなく、
キョン君の元に届いていた未来から来たと言われている手紙についてです。今持ってますか?」
「ああ、あの手紙ですか。朝比奈さんはあの意味不明な手紙に何か心当たりがあるんですか?
それなら、今すぐ持ってきますよ。丁度鞄に入れて持ってきてたんで。」
と、回れ右して教室に手紙を取りに行こうとするとドアに掛けた手を朝比奈さんに掴まれた。
こんな時になんだが、やはり朝比奈さんの手は柔らかく暖かい。何やらいい香りも漂ってきそうだ。
「あっ、いえ。今は結構です。その手紙について今ここで伝えておきたい事があるんです。
…この時代の私はあの手紙について、一人だけ皆さんの意見を否定していますよね。
そして今後幾度会議を開いた時も、私、つまりこの時代の朝比奈みくるがしばしば否定意見を通した結果、
いずれ不審の目で見られるようになると思います。もしかしたらすでにそうなのかもしれませんけれど。」
「そんな。俺は朝比奈さんを信じますよ。」
「それは構わないんです。でも、このままでは事態は解決する事の無いまま、 “その日” を迎えてしまう事になる…。
だからこそ、私はあなたに伝えなければならない事があります。…キョン君!私と共に過去に来てください!」
朝比奈さん(大)たってのお願いだ。これを断る男子がどこにいようか?
二つ返事で承諾する俺。しかし、今度は過去か。
支援
過去にこの事件の鍵があるのかどうかまで朝比奈さんに聞くのは無意味な事だろうな。
大方返ってくる答えは【禁則事項】唯一つだろう。
そうなれば、俺はいつまでも脳内問答をしている場合ではない。
古くからの諺にも “百聞は一見にしかず” とあるし。
「ありがとう。それじゃあ、この椅子に座ってくれる?」
嫌な思い出が蘇る。確か、…TP…DDだったか。簡単に言えばタイムマシンなのだが、
その視認できない装置とやらは、時間旅行の際にえも言われぬ衝撃を引き起こすのだ。
正直な話、あの急激に酔った感じになる衝撃が大の苦手なんだが。
しかしそうも言っていられない。
一度やりますと答えた以上もう後には引けない。
それに朝比奈さんを支持する以上、俺は真実を知らなければならないのだ。
この場合の朝比奈さんとは俺の良く知るこの時代の朝比奈さんは勿論、今目の前にいる朝比奈さん(大)も含む。
さて、もうウジウジ考えるのは終わりだ。
そう自分を奮い立たせて朝比奈さん(大)が招く椅子へどっかと座り、
「さあ、いつでもどうぞ!」
と目を固く瞑った瞬間。
衝撃はあった。身体に。
何事かと目蓋を開けてみれば目の前に広がるのは一面の木目模様。
つまり床。
俺は、長門に抱えられていた。
支援
支援
「俺の頭でも容易に理解できる説明を頼む、長門。」
いまだ抱えられたままの体勢で目に入ってくるものは、何が起こったのか良く分かっていない様子の朝比奈さん(大)と
その朝比奈さん(大)を真っ直ぐ見据える長門の2人。
「…未来に注意せよ。」
「へ?…あ。」
一瞬で昨日のメールの件が思い起こされる。と同時に今の今まですっかり忘れ去っていた自分が情けない。
「端的に説明すると、彼女は朝比奈みくるであって朝比奈みくるではない。」
すまん、もう少しレベルを上げて説明してくれないだろうか。
「彼女はこの場所に感知できない空間を新たに創り出した。本来のこの部屋は隣に存在する。」
そんな馬鹿な事が、…と思ったのは一瞬。確かに長門の言うとおりだ。
元々の準備室には窓があるはずなのに…、この部屋には窓が無い。
「おかげでここに辿りつくまでかなりの時間を要した。」
長門は朝比奈さん(大)に向き直り、こう続ける。
「彼女の時代ではまだこのレベルの情報操作を扱えるほどの進歩には至っていない筈。彼女は朝比奈みくるの異時間同位体とは別物。
恐らく分岐した未来に存在する、我々の知らない朝比奈みくる。」
「そんな、私は私です。」
「その装置を使い、彼に手紙を完全に抹消させる命令を書き込むつもりだったと推測している。
不用意に校内に現れて自分で探す場合、必ずすぐに私に見つかる。至極当然の答え。だからあなたは彼を招いた。
いつからこの時空に侵入していた…?
…あなたをこの時空から強制追放する。インターフェース:長門有希から情報統合思念体に伝令。
朝比奈みくるの異時間同位体を騙る人物を敵性と判定。時空離脱の為時空切断面の遮断プログラムの一部解除を要請する。」
長門が例の高速呪文を唱えると同時に水平に上げた手の先から光が溢れる。
支援
「キョン君…。私を信じる、って言ってくれましたよね?どうか、長門さんを止めてください!」
信じる…。そう、確かについさっき本人に対して信じると言い放った後だ。
メールの件を蔑ろにしてしまっていたとは言え、これではあまりにも一方的過ぎないだろうか。
「長門、証拠は?何か確実な証拠ってのは無いのか?お前が言う事の絶対的な証明となるものは。」
俺は咄嗟に長門の腕を掴んでこう聞いた。
「……彼女の出生のルーツは本来のこの時空には無い。
生まれる時間が僅差でも違えば遺伝子情報は大分変わる。
即ち、本来の朝比奈みくる特有の身体的特徴を彼女が持ち得ていなければ、それが証拠。」
成る程。しかし、そんなものあったか?
見る限り俺が知っている朝比奈さん(大)が持つモデルのような背丈、抜群のプロポーション、流れるように綺麗な長髪、
その全てを目の前の朝比奈さん(大)も充分に持っている。
あと他に特徴…、特徴は…?
思い出した、もう一つあるじゃないか。確実に識別できるとっておきの身体的特徴。
「朝比奈さん。すみません、1つだけ質問にだけ答えてください。
…胸の、ここのところに “丸い” ホクロがありますよね?」
出来れば長門の勘違いであって欲しい、そう考える自分もいたのだが。
…そう祈るのは無駄だったようだ。
「え?ホクロ…?あ、ええ。た、確かにここにありますよ、 “丸い” ホクロが。」
俺が長門の腕を離すのと、長門が高速呪文の続きを唱え始めるのはほぼ同時だった。
「え?え?な、何故?どういうことです?」
「朝比奈さん、以前胸の上にあるホクロを見せてくれましたよね?
非常に珍しい、 “星型” のホクロを。」
支援
途端に顔色が変わる朝比奈さん(大)。
といっても慌てふためく、怒り狂った、等の修飾語は相応しくなく、むしろ落ち着いた印象がその顔から読み取れる。
朝比奈さんらしく無く、妙に不気味だ。
「そう…、ね。やっぱり最初から強行手段に出れば良かった。
せっかくあなただけでも助けてあげようと思っていたのにね。
…今日は引き上げることにします。ではまた。」
同時に長門が明らかに苦しそうな声を出し、ついには俺にもたれ込んでしまう。
「一体どうした、長門!」
「情報プログラムコードがクラッキングされた。つまり……
……逃亡を許してしまった。」
朝比奈さんの偽者がいた場所を振り向くと、そこにいたはずの偽者は既に消え去っていた。
しばらく狐につままれたかのように呆けて周りを見回していたが、間もなく長門に腕を掴まれる俺。
「この空間の構成情報が崩壊し始めている。ここからすぐに離れるのが賢明。」
長門に連れられて部屋から出ると同時にさっきまでいた場所には壁が出来上がる。
叩いて確認しても空洞特有の反響音はせず、コンクリートがぎっしり詰まった感じの紛れも無い壁の質感。
まるで夢でも見ていたのではないかと錯覚する程に、だ。
しかし、手紙一つでここまでされるとは。それも偽者とはいえ、あの朝比奈さん(大)に。
それは即ち、あの手紙が今回最も重要なヒントを持っているのだと考えていいだろう。
そういえば今日もまた文面が増えてたのにまだ目を通していなかったな。
「……文章の追加?」
そうだ、まずは長門に見せるべきだな。それが解決への直線ルートだ。
支援
「ああ。今すぐ見せる、…が、その前に着替えないとな。」
先程の一件のおかげで着替えもしないまま昼休みに突入している。
「手紙は後でいい。あなたは先に昼食を取るべき。
運動によってカロリーが消費された分、午後の授業での思考を大きく鈍らせる。
注意力は散漫になり、眩暈や吐き気を併発する可能性も有り得る。」
これは長門なりに心配してくれているのだろう。
ここは言うとおりにしよう、まずは昼メシだ。
食堂でギリギリ残っていたパンの中から焼きそばパンを2つ取り出して1つを長門に手渡す。
身の危険から救ってくれたんだ、パン1つなんかじゃ足りないくらいだ。
「あなたを護る事は当然の使命。報いは必要ない。」
「じゃあ俺は、今ここで長門にパンを奢るのが当然の使命ってことにしておくよ。それならいいだろ?」
「……わかった。」
健康な一般男子が昼前に結構な運動をしてパン1つで済むのかと聞かれれば普段なら全然足りないと答えるところが、
今日に限っては不健康だからその限りではない。肉体的ではなく精神的な意味だけどな。
偽者とはいえ姿かたちはまるっきり朝比奈さん(大)そのものだったのだ。
行動の全てに意味があり、間接的に俺達の大きな助けとなってくれている女性、それが朝比奈さん(大)。
本人ではなく偽者なのに、まるで裏切られたかのような感情を俺は捨て去る事が出来なかった。
そう考えながら足に身を任せて教室へと向かっていると向こうから見覚えのある女子が歩いてきた。
ハルヒだ。
支援
「どこ行ってたのよキョン、お昼も食べないで。って、まだ着替えてもいないじゃない。」
「ああ、ちょっとな。」
としか説明できない俺。
「まぁそれはいいんだけど。それより有希を見なかった?」
長門?多分自分の教室に戻って行ったと思うが…。何か急用か?
「ちょっと数学の教科書忘れてきちゃってね。なんか時間割を1日間違えちゃったみたい。」
へえ。ハルヒがそんなミスをするところを見るのは初めてだな。
常時置き勉の俺がとやかく言える立場では無いが。
こうして、ハルヒが去るのを見届けてからまた教室へと歩を進めた。
制服は…、流石に女子がいる前で着替えるのもどうかと思う。
上からズボンを履いて、そしてブレザーを羽織っておくだけでいいか。むしろこの方が寒さを凌げて良い。
でもって、買ってきた焼きそばパンで胃を満たすとしよう。
丁度そこへ数学の教科書を抱えたハルヒが戻ってきた。
…パンを幾つか教科書に載せて。
「焼きそばパンたった一つで足りるはず無いでしょうが。授業中ぶっ倒れるわよ。その貧相な胃に無理やりにでも詰め込みなさい。」
だとさ。
意外に気に掛けてくれてるもんなんだな、と思うとさっきまで抱えていたモヤモヤが一気に晴れたようだ。
好意に大いに甘えておこうじゃないか、急に腹もいい具合に減ってきた。
「頂くよ、ありがとうな。」
まぁ、どうせこの分は次回の不思議探索の時にキッチリ回収されるんだろうけどな。ははは。
支援
「……敵には逃げられた。しかし大きなヒントが浮上してきた。」
ハルヒが特に普段と変わらぬSOS団活動、もといネットサーフィンを満喫して帰った後で集まった俺達、
つまり俺、長門、古泉、朝比奈さんの4人は恒例の臨時会議を開いた。
そして、今の会話は今日あった出来事を報告する長門のものだ。
「異世界とはいえ、この時空上の未来とほぼ等しい未来が存在しているはず。
何らかの関与無しに急激な進歩は起こり得ない。
基本的にこの時空に存在する未来の技術レベルを大きく超えられない。
しかし、現に情報プログラムコードにアクセスする程の技術を見た。
異なる時空においてそれだけの進歩の差があったなら、必ず何か原因がある。」
朝比奈さん(大)の偽者だった、という事は内緒にしておいた。
朝比奈さん(小)は未来の自分がこれまで幾度と無く俺達をフォローしていたという事実を知らない。
ならば偽者とはいえ朝比奈さん(大)瓜二つの偽者がこれから先も姿を現すかもしれない以上、事の詳細をこの場で言うのは危険だ。
何か未来に支障が生じてしまうかもしれない、という結論に結びついたからだ。
古泉は朝俺に話した閉鎖空間についてを簡潔に話し、朝比奈さんは特に何も発言せず、
そして最後に俺の報告の番となった。
“──────────────────────例えるならそんな感じだ。”
“にしても、そんなお前がまさか最難関の大学に一発で通るとはな。”
“はたから見ても嬉しそうだったぞ。「こんなもの受かって当然」とかなんとか言っていたが。”
“閉口の二文字が全く似合わない人間だよお前は。大抵自力でなんとかしてしまう。”
“さて、何とか留年せずに入れた俺だが、今年も卒業がやばそうだ。”
支援
支援
報告といっても例の手紙を机の上に広げただけだったが。
またも解決の糸口にすらならなさそうな文章のみ4行追加。
むしろこの手紙は俺個人に対しての重大な警告文に見える。
卒業の危機って俺…。もう少し身を入れて勉強しろよ俺…。
「いいえ、これは重大なヒントですよ。」
立ち上がって手紙を手にした古泉はこう続ける。
「“人は自分の数年先の未来を知ると、その数十年後までの人生を失う”
というのは最近読んだ書籍からの受け売りなのですが。つまりはこういうことです。
この手紙を、未来のあなたが書いて送ったものと仮定しましょう。
未来のあなたは今のあなたがどういう過程で人生を決めていくのかを全て記憶しています。
では、例えばあなたが何の滞りも無く大学を無事卒業出来ると知らされたならどうなるでしょうか?
“大学に行く事は出来る” とだけ良い様に考えて勉学が疎かになると思いませんか?
逆に “大学になんか行けなかった” と書くのはさらに危険ですね。
挑戦する前に諦める方を採る恐れが出てくるからです。」
言い返そうにも全くその通りで返す言葉が見つからない。
「自分のいない過去を変えて存在の危険に手を出すパターンではありませんが、
未来を一つ増やし、その時空にいる自分に苦渋の人生を送らせるパターンにはなりますね。
だからこそあなたの事を考えるならば、未来のあなたは進学についての一切を書いてはならないのです。」
「つまり、そこまで分かっていながらこの文面を送ってきたということは、
その文に注意を向けるな、っていう意味合いが含まれていると言いたい訳だな。」
この文は全くの嘘っぱちってことか。…嬉しいような悲しいような。
「ご明察の通りで。」
と手紙を戻して椅子に座り直す古泉。
こういう知能問題は得意の分野じゃないんだがな。
大体この文を取ってしまえば後に何が残るって言うんだ?この手紙。
昨日から進展が無いじゃないか。期限はもう間近だって言うのに。
支援
「あ、あの…。」
隣から聞こえる、このか細い声の持ち主は朝比奈さんだ。
「その手紙を未来からの敵が狙っているんですよね…?
か、帰ってからキョン君一人になったらまた襲われるんじゃ…。」
確かにそうだ。何の特殊能力も持っていない俺ではこの手紙はおろか、自分の身すら護れないぞ。
「それじゃ長門、この手紙…、預かっててくれないか?俺が持ってるより数万倍安全だ。」
「……わかった。でも、あなたも。」
…何を言ったのかすぐに理解できなかった。
古泉や朝比奈さんが目を丸くしているところを見ると、残念な事に今のは幻聴では無かったらしい。
「な、長門?手紙だけで充分だろう?その、…俺まで匿う必要は無いんじゃないかな。流石に俺一人ってのはまずいんじゃないか?」
「敵の狙いは手紙だけではなくあなたも含まれていると推測。
敵が最後に言った、 “あなただけでも助けようとした” という一文。
この文により私達が考えられる事はあなたは現在進行形でなおも危険な状態にあるということ。例えば拉致。
私が護る。私の傍にいて。」
ここまで聞いてようやく目の形を元に戻す古泉。
「なるほど、そういうことでしたら僕も長門さんの意見に賛成です。」
そして朝比奈さん。
「私も賛成です。キョン君なら、その…、間違い…とか起こさないって信じてますから。」
支援
それじゃお言葉通り、長門の世話になるとしよう。
家には何と連絡しようか。谷口の家…、ってのは止めておいたほうが無難か。
アリバイの為に谷口に頭を下げるのはちょっとな。アイツなら事の原因を突き止めに来るに決まっているからな。
長門の家に泊まるから、なんて事がバレてしまえば俺はこの先数年間、奴の目の敵にされる事間違い無しだ。
似た理由で国木田もパスと。後は…、そうだ古泉の家という事にしておこう。
古泉の親と家の親がバッタリ出会うような事も無いだろうしな。
「……あなたが一般的に言われる “間違い” を起こす確立は3.6パーセント。問題ない。」
さっきの朝比奈さんが言った事についてか。
ここまで問題なしとキッパリ言われるのも男としてどうかと思うのだが…。
「じゃあ、お世話になるぞ長門。」
「……任せて。」
結論から先に言おう。 “間違い” は起こらなかった。
長門の部屋に着いてから今日登校するまでにしたことと言えば飲食と睡眠くらいか。
疲れていたせいかかなり寝付きが良かったようだ。なんだか体が軽い。
予測していた襲撃者の訪問も結局杞憂に終わった。
そのおかげで長門と一緒に手紙について深く調べる時間が出来た訳ではあるが。
あれからさらに分かった事は一点。
この手紙が文面を更新するかどうかは俺が手紙に触れている時間によるものだということ。
確かに文が追加された時のことを思い起こしてみればその直前までずっと手に持っていたように思う。
仕組みは長門によると
「手紙に施されたプロテクトコードの崩壊係数はあなたのDNAが触れている時だけ有効になる。
時間レベルでの単独的なリアクタ理論を用い、特定の条件下での自動自己解凍を容易なものとしている。」
だそうで、つまり良く分からんが普段は俺が肌身離さず持っていたほうが良いというらしい。
支援
支援
幸いな事に、今日の午前中は全て自習ということになっているので手紙に触れ続けるには持って来いだ。
この忙しい時期だ。恐らく試験の答案を作る暇が無かったんだろうな。
俺の憂鬱の元凶その1、文化部泣かせのこのきつい坂道を今日も、脚に無理やり命令を出して一歩一歩上っていっている俺の元に、
憂鬱の元凶その2、谷口がどこからともなく現れた。
何故憂鬱の元凶というマイナスな称号をくれてやったかと言うと、こいつが俺の肩を叩くと同時に
「お?今日は美少女と同伴出勤か?なんだかんだいって隅に置けんよなあ、キョンは。」
なんてことを言い出しやがったからである。
こんな低俗なギャグを天下の往来で叫ぶこいつの頭の中を誰か一度でいいから調べてやってくれ。
長門には俺に構わず行くよう促し、俺は谷口の耳を引っ張ってこう言ってやる。
「単なる偶然だ。お前の考えているような妄想は有り得ん。」
ムキになるなと宥められたが、別に俺はムキになっている訳ではない。
ただ、俺の前か後ろにハルヒがいたとすれば、それこそどんな疑いを掛けられるか分かったもんじゃない。
「はいはい。お前はやっぱ涼宮だよなぁー。」
この野郎はやはり何も理解してない。
こういった子供じみたやりとりをしつつやっとのことで教室にたどり着く。
ハルヒは、…と。良かった…、机の上に広げた荷物から察するにかなり前に登校していたようだ。
御多分に漏れず、今日もまたチラシ作りの真っ最中だ。
「おはよう。…また、昨日の分で気に入らない箇所が出てきたのか?」
何気ない、基本的な会話で顔色を伺ってみる。
「何言ってんのよ?気に入るも気に入らないも、今日から書き始めてるところよ。」
支援
は?どういうことだ?
いや、ハルヒ。お前はこれを一昨日から作っていただろう?
昨日も、出来上がり寸前の原本に意気揚々として喜んでいたじゃないか。あの原本はどうしたんだ?
「あの原本ってどの原本よ?…あ、さてはキョン、手伝いたくない為に適当な事言って逃げようとしてるでしょう?」
何故だ?何故ハルヒはたった2日前からの記憶が抜け落ちているんだ?
解けない疑問が頭を巡るうちに予鈴が校舎に鳴り響いた。
「ああもう!話してるうちにHRの時間が来ちゃったわ!
1時間目は現文でしょ?初っ端からあたしが当てられる番じゃないの。はあ…、チラシ作る暇が無いわね。」
「…ハルヒ、今日の午前中は全時間自習だってこと、…覚えてないのか?」
これは目に見えて “異常事態” だった。
世界が生物と言う生物全てをもれなく巻き込んで、何度も何度もループを繰り返したあの一件の事が思い起こされる…、が。
今回俺の目の前で起こっている事はなんだ?
ハルヒだけが世界から置き去りにされてただ一人でループを繰り返していると言うのだろうか?2日前から。
そういえば昨日、数学の教科書を忘れてきたというのもこの為なのか…?
時間も世界中の人々の記憶も一緒に巻き戻っていたからこそ、あの事件では全員自覚が無かった。だからこそ大事にはならなかった。
だが今回のこれは全くの正反対。
ハルヒの時間と記憶だけが巻き戻り、世界中は昨日とは一致しない今日を歩んでいる。
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ハルヒから見れば世界は毎日、昨日との繋がりを無くしている訳だ。
つまりハルヒがこれに対して不審の目を向けない筈がなかった。
「え?あれ?あたし時間割を間違えちゃったのかしら…。でも昨日の授業ではまだ終わってない部分があったような…。」
それはそのはず。ハルヒの2日前までの記憶が無いということは、ハルヒにとって昨日とは3日前。
授業の進行度と今日の全時間自習の関連性に違和感を覚えない方が可笑しい。
だが真実をハルヒに教えられる訳が無い。
不本意ながら、適当な事を言って納得させてしまうのがこの場合の得策。
ハルヒの不安は少なからずこの世界に影響を及ぼすからだ。
運命の日が訪れる前に自ら世界壊滅の道をフライングしてまで取ろうなんて、微塵にも思わない。
しかし流石はハルヒ。
「まぁ良いわ、その分チラシを作る時間が出来るってことだから。」
と簡単に納得してしまった。それどころか
「キョン、あんたも手伝いなさい。これは団長命令よ!」
と無理やり協力させられる羽目となってしまったのだ。
手紙に触れる時間も無く、そのうち昼休みが到来してしまう。
俺は学食に行く振りをして真っ先に長門に会いに行く。勿論ハルヒの異常を伝えるために。
半ば飛び込む形で文芸部室もといSOS団本拠地の部屋に転がり込む。
本棚近くの指定席で本も読まずに座って待っていた長門が視界に入る。
俺がハルヒに起こったループ現象を一通り説明すると、
顔だけこちらに向けたままの長門は視線を全く動かさずにこう話した。
支援
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「涼宮ハルヒは単純に24時間の記憶を抹消されている。……原因は外部によるものと思われる。
時空間に痕跡を残す方法ではなかったために気づくのが遅かった。不覚。
この件が世界に及ぼす影響は未だ不明。敵が涼宮ハルヒの記憶情報を操作して何をしようとしているのかも不明。
覚醒して行動している対象に新たな記憶を書き込む行為は記憶に矛盾を生み出すだけで非常に危険。手の施しようが無い。」
「そうか…。」
もう少しで外れそうだ、と動かしていた知恵の輪が、全く見当違いで余計絡まった時のような感覚。
長門に聞けばなんとかなるに違いないと勝手に期待だけ膨らませていた俺が悪いのだが。
「何か気づいた事があったらまた俺に教えてくれ。」
と言い残し、来た道を戻る事にする。
食堂に行った事にしていたからジュースだけ1本買って。
教室に戻れば箸を銜えたまま弁当に手を付けず、いまだにチラシと睨み合いを続けているハルヒがいた。
メシはしっかり食べないと、午後にぶっ倒れても知らんぞ?
と、昨日のハルヒに言われた言葉を口に出してみる。
「うっさいわねー…良い案が思いつきそうなのよ。ここまで出かかってるのに…!」
と箸で喉の辺りを指してジェスチャーするハルヒ。
「ふー、ダメね。こういう時はむしろ諦めてしまうのが良策よね、一の案より十の案、十の案より百の案よ!」
切り替えの早いのは良い事だが、自然を装って俺のジュースを飲む行為は良い事とは言えないな。
「あら、これ頑張ってるあたしへの差し入れかと思ったわ。」
どう都合よく考えればそんな判断になるのか教えていただきたいね。
まぁ、こんなハルヒの様子から察すれば時 “間” ボケに対して疑心暗鬼なんて欠片も持っていないのではないだろうか。
と、物事は都合のいいようにはいかないようだ。
放課後、部室に来て速攻でパソコンを立ち上げた後、頼んだ覚えの無い商品を注文した事になってると騒いだり、
急に出て行ったかと思えばすぐに帰ってきて、予約していた商品は昨日既に受け取った後になっていると喚いたり。
shien
支援
これはもう俺の手では誤魔化しが利くようなレベルでは無かった。
「疲れているのでしょう、今日は早めにお休みになった方がよろしいかと。」
と古泉がフォローを入れるまで俺は何も言えなかった。
「そうね、そうするわ。団長が倒れでもしちゃったらSOS団は回らないものね。」
曇った表情でそんな明るいフリをするなよ。見ているこっちまで気分が重くなるようだ。
俺と古泉が先に来ていたせいで恒例のメイド服姿にまだ着替えて無かった朝比奈さんは、
ハルヒに付き添う為に一緒に部室を出て行った。
俺も出来れば一緒に付いて行ってやろうかと思っていたのだが、それは古泉の制止する腕により阻止された。
「何だ、何かあったのか?」
そう聞くと古泉は自分の座っていた席に戻り、注がれていたお茶を飲み干してからこう話した。
「ええ、何か、がありましたよ。昨日に引き続き閉鎖空間の事です。
実は今日僕が登校したのは午後になってからなんです。
それまで何をしていたかといえば、お察しの通りと言いましょうか。閉鎖空間を処理していました。」
聞けば、今日の朝方から昼までずっと閉鎖空間が発生し放題だったのだと言う。
昨日のような特例と言うわけでもなく、それなりの規模の通常版が結構な数と。
「何故これほどまでに突然多数の閉鎖空間が発生したのか?
その理由は長門さんに伺ってみて、そして今の涼宮さんを見て概ね分かりましたよ。
どうやら、今回の閉鎖空間の引き金とは涼宮さんが抱く不安、のようです。」
あのハルヒがか?…と、普段の俺なら返すのだろうが
事情を嫌と言うほど理解してしまっていた俺は、ただ古泉の話す内容一つ一つに頷くしか無かった。
支援
「さて、話を続けます。
僕が打ち立てた仮説に経験を交えてお話しすれば、閉鎖空間とはある意味世界創造だとも考えられます。
涼宮さんがこの世界を望まなければ、そして新しい世界を望むのなら、世界は涼宮さんの決めたとおりに生まれ変わるのでしょう。
あぁ、勿論涼宮さんは一年前とは精神的にかなり成長しておられます。
滅多な事では世界を捨ててしまうような事は無いでしょう。これはあなたの受け売りですがね。
ただ一つ注意しておかなくてはならないのが、新世界創造とは旧世界である私達の世界を消し去ってしまう可能性がある、と言う事です。
そして…これが、例の世界消滅のシナリオだとすれば…。」
「もう、沢山だ。」
制止する権限があるのかと聞かれれば、俺はその権限を料金後払いで手に入れてやった、と言おうか。
「ハルヒの能力は今まで見てきたから充分に分かっているさ。
お前の言う説も全く的を外しちゃいない。むしろインナーブル50ポイントと言ってもいい。
それでも、ハルヒは俺達と俺達のいる世界を見捨てたりはしない!俺はそう信じたい。」
我ながら驚いたが、ここまで声を荒げられるとは。
一時の間を置いて沈黙を破ったのはやはり古泉。
「非常に軽率な発言をしてしまった事をお詫びします。
僕もどうかしていると自覚しています、どうかお許しください。」
頭を下げられるのだけは阻止しておいた。
世界が明後日には消滅するかもしれないと知らされた時に、冷静でいられる人間が何人いるというのか。
古泉も基本的に俺のような一般人と同じ人間だ。普段はニヤケ顔で冷静沈着を務めるいけ好かない野郎だが、
こんな状況で冷静になどいられるはずも無いのに、長門と同じようにこの世界の為に奔走してくれているのだ。
ならば、俺がただ自分本位な反論をしておいて古泉に頭を下げさせる権限は、どこにも存在しない。
支援
shien
「……手紙。」
急に声を出して驚かせるなよ、長門。
手紙…。隙を見てなるべく触れるように心がけていた手紙が俺のポケットの中にある。
その手紙がどうかしたのだろうか。
「……文章の追加は?」
そうだった。それ以外にこの手紙に何の用があるというのだ?…常識すぎて忘れていた。
急いで手紙を広げてみると。
“────────────────今年も卒業がやばそうだ。”
“空論だけ無駄に大量生産中でなかなかまともな論文が出来上がらないんだよ。”
“間もなく締切日だ。今年こそ卒業したいが…どうなるやら。”
“のんきに見える?いやいや、これでも結構焦ってる方だぜ?”
“発端は…お前に憧れてなんだ。考古学者になると言い放ったあの日のお前にな。”
最初からそう書かれていたかのように、極自然に文章が新しく追加されていた。
余白から推測すれば、これで全文の80%といったところか。
あと少しだが分がまだ足りない。…いや、それよりもこの文はなんだよ。
未来の俺はとうとう頭のネジが一つ残らず外れてしまったのだろうか?
ハルヒが考古学者を目指すってのはまぁ、理解できる。
世にある尋常な職の中で一番あいつの求めている “不思議” に限りなく近い仕事だからな。
問題はそのハルヒに憧れて、ってのが俺の大学進学の決め手だという点。
おい、未来の俺。お前が直接ミステリーに身を投じてどうする。
俺は今も昔も、霊妙不可思議を見つけても遠くから眺めているだけで満足できる性格だろうが。
支援
…いや?本当にそうか?
自問自答を繰り返してみると、意外にそうでもなかったような気がしてくるな。
確かに命の危険に繋がるオカルト現象なんざまっぴら御免だが、
そこまで精神面に影響を及ぼさないものなら結構楽しんでいたかもしれない。
振り返ってみる事でいろんな補正が掛かり、美化されてしまっているって可能性も否定はできないが。
喉元すぎればなんとやらと言うありがたい諺もあるしな。
話が逸れた。
「もうちょっとマシな文を書けよな…。これじゃ今回もまた進展は無しじゃないか。」
そう古泉に振ってみると、流石の解読コンピュータもさじを投げたか、
「これは…どうにも得られる情報が少なすぎですね…。」
と言う始末。
ではハイパーコンピュータなる長門に解読してもらえばどうか…?
結果変わらず、だ。
どうにかなるだろうと漠然に希望を持ちながら何も進展しない。
タイムリミットまであと僅か。このまま何もせず世界の終わりと共に消えるのか…?
せめてこの手紙の全文が現れてくれれば。…それでも対処の仕様が無ければそこで初めて諦めればいい。
だが可能性がある限り、俺は諦めるという字さえ思い浮かべている場合じゃないんだ。
まだジタバタできる。
支援
支援
「ともかく、明日が勝負だ。俺は長門の家で片時も手紙を放さないようにしておく。
古泉は何か変わった事があったり、何か思いついたらすぐに連絡を寄越してくれ。」
そういえば朝比奈さんとの連絡が取れずじまいだったな。
後でメールで連絡しておこう。
「明日の授業は欠席。四人ともこの部室へ、朝練の生徒より早く集合だ。」
古泉が了解し長門が頷く。
朝比奈さんからメールが返ってきたのを確認し、俺達は人生最後となるかもしれない学校生活を、この日終えた。
支援
支援
支援
ラジカルメッセージ 中編ここまで
後編は1時間後あたりに。
乙!
支援超サンクス
乙
後編wktk
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 20:11:36.98 ID:6rSKwnhM0
保守
90 :
電波垂れ流し保守:2008/02/09(土) 20:29:09.86 ID:64CC6bE6O
みくる日記
「今日は寒いなぁと思ってたらいつの間にか外は一面の銀世界にでした。
暖房をつけてコタツに籠ってお茶をすすると、ほんのり幸せです。
……たまには幸せな一日を送ってもいいですよね?
そうは問屋が卸してくれませんでした。
でも、たまには卸してください。心の底からお願いします。
……涼宮さんに呼び出されました。
今から雪合戦してきます。
さよなら、あたしの温もりの一時……。くすん、寒いよぅ……。
――みくる」
みくる日記ktkr
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 20:54:54.61 ID:n2DeT2LLO
保守
ラジカルメッセージ ラスト後編投下します。
約20レス程になります。
今の今まで宙吊りにしたまま放置して本当、申し訳ないです。
待ってました
その次の日。
一欠片でも希望が見出せるような変化を望みつつ、最も来て欲しくなかった一日がついに始まった。
世界消滅の原因がなんであれ、一通り足掻いてみなければ結果は永遠に変わらない。
昨日交わしたとおり、4人とも校門が開くと同時に登校する事が出来た。
担当の用務員に立派だ、感心だ、と一頻り褒められはしたが、こんな状況で賞賛の言葉を貰っても何ら嬉しくも無い。
一直線に部室へ向かい、早速臨時会議を始める。
最後になるかもしれない朝比奈さんの淹れるお茶を飲みながら。
閉鎖空間は発生したか?
時空の歪みとやらは検出されたか?
その後、未来収束の件は改善の方向へ進んでいないのか?
回答は全てノー。
例の手紙も恐らくあと一度の文面追加で完成すると予想しているが、あれから一切変化無し。
最悪この未完成の手紙から解決策を捻り出さなければならない。
しかしそれは針穴にロープを通すくらい不可能に近いってことは言われなくても分かっているさ。
外から騒ぎ声がちらほら聞こえだして、登校する生徒がポツポツと現れてきた事が分かる。
さて次にこれからのことを考えようか、と話を切り替えたその時。
朝から数秒程度の域を超えない言葉しか喋っていなかった長門が立ち上がった。
「涼宮ハルヒの生命反応完全消滅。この世界から彼女が再び消えた……。」
長門の発した言葉を俺のちっぽけな頭脳が理解を始めようとしたその時、
今度は古泉が立ち上がる。
「閉鎖空間が現れましたよ。…それも特大なヤツが。
今、機関員が調査兼対処に向かっていますが…その全容によっては僕も出動しなければならなくなるやもしれません。」
ハルヒはどこに消えた?
まさか一年前の時のように閉鎖空間に閉じこもったって言うのか?
だったら何で俺はここにいるんだ?
何故ハルヒは閉鎖空間を引き起こしたんだ?
「……記憶の欠損が涼宮ハルヒの精神に影響を及ぼす可能性は25.37%。
ただし3日間の断片的な記憶を残存させられた場合、その可能性は大きく膨れ上がると予想される。」
ハルヒは自分がどこかおかしくなってしまったと勘違いしているのか。
いや、確かに自分が健忘症なのだと理解してしまったとしたら、それは愕然の2文字以外の何物でもないのは分かる。
「長門…ハルヒは…世界を作り直すことを選んだのかな。」
長門は何も答えず。
ふと視線を移すと朝比奈さんの顔が何かを考えるような顔から、何かに気づいたような顔に変化する場面に遭遇した。
「何か、分かったんですか?朝比奈さん。」
「あの、涼宮さんの記憶を弄ったのは敵である何者か、なんですよね?
それによって異空間、つまり閉鎖空間が発生したっていうことは…
敵は閉鎖空間に何か用があるのかな、と思ったんです。」
普段天然キャラな癖にこういう時に限って優れたヒントを出してくださる。
失礼な話、ありがたいヒントを落として行ってくれるのは朝比奈さん(大)と相場が(俺の中で)決まっているので、
この時ばかりは随分と面食らったような顔をしていたと思う。俺も、古泉も。
長門は…あまり変化が無いが…若干は。
「成る程…しかし閉鎖空間というものは我々の力無しに容易く入れるものでは無いのです。
目の付け所は非常に素晴らしいのですが…まず断定はできませんね。」
朝比奈さんがせっかく考えたものを一蹴しやがって。
「あ…いえ、いいんです。あまり考えもしないで頭に過ったものを喋っただけですから…。
あれ?キョン君、手紙に新しく何か文字が書かれていませんか?」
どれどれ?…本当だ。
“─────────────────────────あの日のお前にな。”
“生まれながらに低スペックな頭しか持ってなかった俺の心をひきつけて止まない。”
“ガイドが必要なんだよ、俺には。絶対追いついてみせるからそれまで待っててくれ。”
“鍵穴程の視野しか持たない極平凡な一般人ことキョンより。”
酷い脱力感に襲われた。
結局最後まで普通の手紙だったじゃないか。
…とりあえずこれで全文揃ったようだ。文章は次の通り。
“元気にしているか?そっちの様子はどんなもんだ?ハルヒ。”
“通常ならこんな手紙を書いている場合じゃないんだがな。”
“リーダーという肩書きが異常なほどに当てはまっていたお前がいなくなってから”
“にわかに落ち着かなくなってな。…なかなか慣れないな。”
“修学旅行を覚えているか?珍しく偶然一緒に登校したあの日だ。”
“正直、まさか前日に見た番組の “進化論について” を延々と語り続けるとは思わなかったが。”
“すがすがしいのは天気だけだったな。まったく、お前は昔っから話の方向性がどっかズレてたよ。”
“ルビーを手に持って冬虫夏草の話をする、みたいな。例えるならそんな感じだ。”
“にしても、そんなお前がまさか最難関の大学に一発で通るとはな。”
“はたから見ても嬉しそうだったぞ。「こんなもの受かって当然」とかなんとか言っていたが。”
“閉口の二文字が全く似合わない人間だよお前は。大抵自力でなんとかしてしまう。”
“さて、何とか留年せずに入れた俺だが、今年も卒業がやばそうだ。”
“空論だけ無駄に大量生産中でなかなかまともな論文が出来上がらないんだよ。”
“間もなく締切日だ。今年こそ卒業したいが…どうなるやら。”
“のんきに見える?いやいや、これでも結構焦ってる方だぜ?”
“発端は…お前に憧れてなんだ。考古学者になると言い放ったあの日のお前にな。”
“生まれながらに低スペックな頭しか持ってなかった俺の心をひきつけて止まない。”
“ガイドが必要なんだよ、俺には。絶対追いついてみせるからそれまで待っててくれ。”
“鍵穴程の視野しか持たない極平凡な一般人ことキョンより。”
「あれ?これって…。」
声を上げたのはまたしても朝比奈さん。
また何か気づいたのだろうか?今日の彼女は妙に冴えている。
明日には雹が降ってくるんじゃないか?
「あ、やっぱりそうですよこれ。」
「何か分かったんですか?」
こうなったら全てを朝比奈さんの肩に預けよう。
「これ、頭文字を繋ぐと一つの文になっているんですよ。
ほら、こうやって縦に読むと…。」
“元通りに修正するには閉鎖空間の発生が鍵”
………。
まさかこんな簡単な暗号だとは。…というか暗号ですら無い。
「……私とした事が。」
と長門も悔しがって(?)いる。
「閉鎖空間…ってことは古泉!」
「分かりました、あの閉鎖空間を意地でも片付けてきましょう。」
そこへ長門が止めに入った。
「これでは文章に隠して送信した意味が無い。
この件は手紙を読んだ我々、つまり4人の行動なくしては解決しないと思われる。」
な、成る程…。
だが古泉、超能力者でない俺達3人を連れて侵入するなんて前代未聞の試み、成功するのか?
「成功しなくては意味が無いでしょう。そのために手紙が我々の元へやってきたのですから。
さぁ皆さん、僕の元に集まって手を繋いでください。閉鎖空間は拡大の速度を早め、既にこの学校の近くまで迫っています。
タイミングは一度限り。これを逃して僕一人で侵入してしまったら、その速度によりもう一度この世界に戻ることは困難です。
そうなれば世界は…。」
「ひぇえええ〜、わ、私も行くんですか〜!?」
「……全ての事象に無意味は存在しない。あなたがいない事が世界の存亡に繋がるかもしれない。
……あなたの言葉を借りるならば、これは【規定事項】。腹を括るべき。」
怯える朝比奈さんの腕を長門の手が掴む。
ひゃう!と小さくたじろいだ後、観念したのか自ら足を進める朝比奈さん。
「これでいいのか古泉。」
俺から時計回りに古泉、朝比奈さん、長門の順に手を繋いで円を作った4人。
「結構です。では目を閉じてください。…ふう、流石に3人一辺は難しいですね。
しかしやらない訳には…!」
「……非物質エネルギー増幅プログラムテキスト読込。
私を中継して充分なエネルギーを確保できる。あとは待つのみ。」
流石は長門さんですね、と言う古泉の声が聞こえた後、体を通過する何かの感触を味わい、
俺達は無事閉鎖空間の侵入に成功した。
ほの暗い嫌な雰囲気が体にまとわり付く例の閉鎖空間。
自分の足でしっかりと立っている場所は部室で間違いないが、ここは元の世界ではない。
朝比奈さんは置いてある薬缶やコスプレ衣装をまじまじと見つめ、触れ、そして窓から空を見上げ、まるで夢の世界に迷い込んできたと錯覚しているかのようだ。
「そうだ、長門!ハルヒは?ハルヒはこの閉鎖空間の中にいるんだよな!?」
元の世界にいない、閉鎖空間にもいない、なんてことになればあとはどこにいるのか全く分からなくなる。
しかしそんな杞憂は不必要みたいで、すぐに
「涼宮ハルヒの生体反応を感知。命にも別状は無い。」
と答えたのでここにきてようやく俺はほっと胸を撫で下ろすことが出来た。
「……涼宮ハルヒの所在地は……グラウンドの中心。」
全速力で向かっている間、嫌な予感しかしなかった。
普段なら忘れてしまっているが、グラウンドといえば俺が過去に飛んだ後に中学生のハルヒと共に意味不明な図形を描いた場所だ。
しかもその正体が宇宙に向けたメッセージ、それも宇宙人のお墨付きだというものだった。
勿論現在は綺麗に消されて本来の目的の為に日々使われている場所なのだが。
それよりもそんなところから一歩も動かずにいるってことは…つまりハルヒが身動きの取れない何らかの状態に陥っていると考えられる。
そう考えると頭がどうにかなりそうだった。
上履きのままでグラウンドに着いてみると、長門の言うとおり確かにハルヒはそこにいた。
身体を地面に横たわらせて。
意識を失っているのだろうか。
逸る気持ちを抑えきれずハルヒの元まで駆けていこうとする俺。…の腕を長門の手が掴む。
「長門?何故止める、早くハルヒを助けなくちゃならんだろう。」
そろそろきつ・・・い
だが安心しな
すぐに支援してやるよ
しえん
そう言うと長門はハルヒを指差し
「囮。」
と一言だけ呟いた。
指差す方をじっと見つめると、ハルヒの周りの空間が揺らいでいるように見える。
「なんなんだ、あれは。」
「……異端派。」
ここで長門は初めて聞く単語の説明を自ら始めた。
「……情報統合思念体の多数存在する派閥に対立する一派。
その実態はありとあらゆる異常な手段で情報爆発を発生させようと目論む危険分子。
構成割合は他に比べて小さい。主流派と穏健派により行動を監視、制限されていたが、
今回の件で全機能を一点に集中させなければならなくなった時に、最低限施してあった制限網を破ったと思われる。
ちなみに朝倉涼子の一件も異端派の影響を受けての行動、という説も浮上している。」
正直説明を受けても、あれがどんな悪影響を及ぼすものなのか、想像すらできない。
何故なら俺は人間。しかも無能力。相手が人智を超えたものである時点で俺の頭脳は計算を止める。
「成る程、涼宮さんは我々を見捨てて閉鎖空間を発生させたのではなく、
無意識のうちに発生させてしまった閉鎖空間に侵入した異端派により彼一人さえ呼び寄せる事が出来なかったのですね。」
「……そう。」
古泉の語りを長門が肯定する。
良かった、やっぱり俺の考えは正しかった。
ハルヒはもう1年前のような自己中心的、排他的、猪突猛進的な性格を持ち合わせてはいない。
……………多分。
いや、だがもしそうであるならば今日なんて一日すら、まずやって来なかったはずだ。
とりあえずは一安心した。…しかし。
「だったらその異端派って奴は何のために閉鎖空間に入り込んだんだ?」
「僕もそこが疑問なんですよ。それに情報統合思念体とはいえ、この空間にはまず侵入する事が出来ないはずですが。」
俺と古泉の質問に長門は簡単にこう答えた。
「涼宮ハルヒに細胞レベルで一体化していた為に容易に侵入可能。異端派はその程度の規模。
ただしその場合、自己の能力全てを情報書き換えに廻さなければならなくなる為に他の動作が行えない。
だからこそ今、涼宮ハルヒの体内から自己を切り離そうとしている。現在彼女の身体に刺激を与えるのは危険。」
そうなのか…。クソッ、こうして指を銜えて眺める事しか出来ないとは。
諸悪の根源が今すぐそこにいるって言うのに。
「もう一つの質問の答え、異端派が閉鎖空間内で何を成そうとしていたかについて。
私という存在に与えられた演算機構をフル稼働させてシミュレートして得られた、一番可能性の高いものを抽出。
──異端派はこの空間を最大まで拡大させて定着させた後、原初の時空と入れ替えるつもりだと推測。
その後唯一の情報統合思念体として君臨し、涼宮ハルヒの力を用いてその他の時空を消滅させるはず。」
早い話が、新世界創造って事か。
成る程、異常な事この上ない手段だな。
しかしおいそれと俺達の住む世界を譲ってやるものか。
ハルヒを異端派なんぞにくれてやるものか。
しぇーん
しょえーん
サルくらってしもうたかの?
試演
俺も支援だ!
shien
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 21:37:59.06 ID:7AH6lqbV0
sien
支援
せーん
「ハルヒ!目を覚ませ!!俺達と一緒に帰るぞ!!!」
身体に物理的な刺激を与えなければいいのなら、この、叫んで呼びかける方法しか残されていない。
そしてそれは同時に、この場面で考えられる最良の解決方法だろう。
「一度じゃ駄目か。…なら何度でも叫んでやるさ、目を覚ませハルヒ!!!」
「叫ぶのを止めて頂けませんか?キョン君。…私達にとって不都合極まりないものですから。」
横たわるハルヒの周りで一際大きく空間が揺らいだ後、一人の人間がそこに現れた。
…その人物が誰であるかを、俺は知っている。
朝比奈さん(大)、の偽者。
「だっ、誰か出てきましたよ!?キョン君、あの人のお知り合いなんですか??」
それはもう良くご存知ですよ。…本物であるなら、だが。
「誰、なんて失礼ですよ。過去の私さん。」
朝比奈さん(大)にそう答えられた朝比奈さん(小)は、ただただ驚き立ち竦んでいる。
「そんな事…そんな事ある訳が…」
「朝比奈さん、あれは別の世界の未来人です。騙されないでください!
詳しく説明するとややこしいんですが、あれは確かに未来人なんですが、未来の朝比奈さんじゃないんです。」
「え?あ…そうですね、そうでした。
仮に本物であったとしてもこんなところに現れるはずがありませんよね。」
なんとか気を取り戻したようだ。
偽者とはいえ朝比奈さん(大)を朝比奈さん(小)に認識させるのはタブーなはずだ。
本来の朝比奈さん(大)があれほど接触を避けていたのだからこの場合もそれに倣うのが一番だろう。
しかしなぜ、またも偽者がここに現れたんだ?一体何のために。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 21:47:18.82 ID:7AH6lqbV0
sien
「我々、機関の知りえない方法でここを訪れる方がもう一人いたとは…
よろしければお聞かせ願えませんか?その手段についてを。」
無謀にも朝比奈さんの偽者に質問する古泉に、相手はこう答える。
「情報統合思念体の協力あっての手段です。
私の細胞にもまた、彼らが極小単位で融合しているんです。
涼宮さんに融合した思念体と私に融合した思念体は同一ですから、
涼宮さんがこの空間を作り出したときに最初からここにいられる形になりますね。」
「ご丁寧にどうも。」
馬鹿正直にお礼を言っている場合か古泉。
「何らかの利益も無しに宇宙人と未来人がここへ侵入するはずがありません。
涼宮さんは恐らく今日、過去数日間の記憶がなくなっている事に早い段階で気づいたのだと思われます。
そのせいでこの閉鎖空間が生まれた…。
しかしその全ては、あの異端派が人為的に起こしたものだった…。
涼宮さんの記憶を引っ掻き回したのは異端派です。違いますか長門さん?」
「……違わない。」
話は大体理解した。
だが、その異端派も偽朝比奈さんも、ハルヒに新しい世界を作り出させて何をしたいんだ。
「……派閥はどうあれ、情報統合思念体の目的は自立進化の可能性を見つけること。
この空間の定着によって世界を上書きしたところで、涼宮ハルヒの本質は変わらない。
また同じ現在を、同じ未来を、同じ情報統合思念体を生み出すだけ。コピーを作ることと同義。
だからこそあの人間がいる。」
長門がそう答えると今度はこちら側の朝比奈さんが声をあげた。
「そんな…まさか!」
支援
朝比奈さんは数歩駆けて前に出て、偽朝比奈さんを見据える。
「あなたは…涼宮さんに “未来” を理解させるつもりですね!?
私達が未来を過去に伝えるとどうなるか…別の未来の人とはいえそれくらい分かっているでしょう!?」
「ええ、よーく理解していますよ。私達が悪戯に未来を公表してしまえば、この世界は時空矛盾により自己崩壊するでしょうね。
ただしそれは相手が世界の歯車である一般人類だった場合です。
涼宮さんはこの世界の設計者であって歯車ではありませんから。彼女に対しては何ら危険な行為ではないのですよ。
それに、考えてもみて。常にこれから起こる未来を理解した涼宮さんが作る世界はそれは素晴らしいものになりますよ。
情報統合思念体が喉から手が出るくらい欲している情報爆発だっていくらでも発生します。」
「それが…異端派との契約?」
長門を見ると少し眉が釣り上がっている様に見えた。
長門の怒りの表れは俺の心を安心させた。
何故なら、こんな極めて悪質な手段で情報爆発を見たいと思っていないってことが分かったからだ。
「そう。私が住む時空に存在する異端派が協力してくれたの。簡単に言えば世界を面白おかしくしよう、ってね。
私自身、何も起こらない世界を調査するだけの毎日に飽きたんですよ。キョン君。」
何故そこで俺の名を。
「涼宮さんは新生世界にあなたがいないことを知れば、必ずあなたを新しく創り出すでしょう。
それでも問題は無いんだけど、どうせならあなたが最初からいてくれた方が彼女に負担が無いわ。
だからあなただけは私達の世界に連れて行ってあげようと決めていたの。
どうかしら?今からでも遅くは無いです。私達と一緒に行きませんか?」
ふざけている。
俺をハルヒの精神安定剤目的で連れていくだって?
俺達の世界を捨て去るだって?
俺の意思もへったくれも無いじゃないか、その答えはたった一言で充分だ。
い・や・だ・ね。
支援
「そうですか。では私達はこれで出発するとします、さようなら。」
と言い終わると同時に長門が瞬時に間合いを詰めに行った。
「させない。」
血気盛んに飛び出して行って偽朝比奈さんを組み伏せたまでは良かったが、その後長門の顔色が急変した。
苦悶の表情が見て取れ、偽朝比奈さんを捕まえていた腕は緩み、最後には地面に顔を着けた状態となってしまったのだ。
一体長門に何を。
「何の対策も立てずにここに来ると思いますか?
私の協力者は異端派ですよ?あなたを無力化する術は全て知ってます。
流石にこんなに大勢で来るとは予想外でしたが、それでも充分に逆襲可能な計算です。
そこの超能力者君も、手を出さないのが賢明ですよ。私も加減できるか心配ですから。」
「成る程、そのようですね。あなたは長門さんと同等の力を備えている訳ですから、僕なんかが手を出しても無駄のようです。
涼宮さんを神人から遠く離れた場所に運んできたのも機関の大人数を相手にしないようにする為なのでしょうね。
…ただし、あなたの助言を聞き入れるのは普通の人間くらいでしょう。生憎、僕は普通じゃないんで…、ね。」
そう言うと古泉は例の赤いオーラを見に纏い、真っ直ぐ偽朝比奈さんの方へ向かっていった。
敵の発言はブラフでは無く、確かに言ったとおり人間離れした動きで古泉を迎撃する。
古泉も負けじと猛攻を繰り返すが、やはり宇宙人的パワーを手に入れた未来人には赤ん坊のようにいなされる。
どうにか俺もゼロに近い力で手助けしようとあれこれ模索してみたが、どの案も足を引っ張るだけのものにしかならない。
そうやって隔靴掻痒の感に浸っていると、後ろから朝比奈さん(小)の大声が聞こえた。
「止めてえええ!!!」
閉鎖空間内全てに響き渡るのではないかと思うくらいの大声がしたと同時に、なんと偽朝比奈さんの動きが止まったのだ。
「うう…何故…?何故あの子のTPDDのプレセデンスが私より上位なの…?
こんなことが…あっていいはずが…。」
支援
「……これが私達4人でなければならなかった理由…。」
ゆっくり起き上がった長門に駆け寄る俺と朝比奈さんに、さらにこう説明を続けた。
「我々の時空から派生して出来た未来が創り出した物。本来創り出される物と内部構造に違いは無い。」
「で、でも私のにはこんな機能は許可されていません。なのにどうして…。」
「我々の未来側の対策。恐らく一時的という制約はあるものの、あなたの階級は今トップクラスレベル。
同じ装置を持つ者に対して絶対的な権限を持つ。」
「ええと…それじゃ、試しに…。あの、しばらく眠っていてください。」
するとどうだろう。偽朝比奈さんがまるで催眠術にかかったかのように突然倒れて眠りについたではないか。
「……涼宮ハルヒに融合した異端派も、半身が強制的に眠らされた事によって活動停止している。
絶好の機会。これより体内から異端派の除去を行う。」
そう言うと長門は倒れているハルヒの背中に掌を当て、例の高速言語を呟いた。
以前、情報統合思念体は人間の目では視認出来ないと説明された覚えがあるが、今回は違った。
禍々しい黒色の濃淡で斑状になったゼリーのような質感のものがハルヒの身体からずるりと流れ出る。
「……半物質化している為。」
やがてハルヒにとり憑いていたと思われる異端派とやらは全てが完全に取り除かれ、偽朝比奈さんの隣に放られる。
「情報統合思念体より伝令。異端派の件を報告し、それを踏まえて時空面の解析を依頼して貰ったところ、
時空集約もまた異端派の仕業ということが判明した。
独自に作られたと思われる、時空切断面に見られた変数に特徴的な規則性を発見。
逆利用して元々の時空に繋げ直している最中。全ては元通りになる。彼女を元の時空に戻し終えた後で。」
長門はハルヒにしたように、偽朝比奈さんの身体からも異端派を取り除いた。
そしてまた高速言語を唱えて、偽朝比奈さんを閉鎖空間から消した。
支援
しかしこれで全てが終わったわけでは無かった。
取り除いた異端派が一つに固まり、まるで神人の縮小版のような出で立ちで俺達の前に立ち塞がったのだ。…最後の足掻き、とでも言おうか。
何かを話すように口元が動く。しかし音声は無い。
それに逐一長門が答える。
「──────────。」
「無駄。あなたの全機能は私が壊した。」
「───────!」
「あなたが考えている再発は起こり得ない。何故なら時空切断面にそれぞれの時空に存在する
情報統合思念体に向けたメッセージを添付して元に戻したから。全ての時空において存在するあなたを処分するように、と。」
「───────────────!!───!!!」
「勿論あなたも例外ではない。この場で完全消滅させる。」
激しく身を振るわせた異端派の物体が、両腕で攻撃を仕掛けようとしたところを
古泉がいつか見た神人狩りの要領で切り裂いていく。
「これが超能力者の力です、舐めないで頂きたいものですね。」
と容赦なく細切れにしていった。
完全に戦意を喪失した異端派に長門がトドメの高速呪文で塵に変えていく。
こうして、ようやく戦いは終わりを迎えた。
支援
「そうだ、ハルヒはどうなった?」
倒れたままのハルヒの身体を抱き寄せてみる。
何度も呼んでみるが返事が一切返ってこない。
このまま意識を失ったままってことには…。いいや、そんな事があってたまるか。
こうなれば手段を選んでいる場合じゃない。
最終手段でとっておきの手段を今ここで使わないでどこで使う?
「おい、ハルヒ。ジョン・スミスが助けに来たぞ!」
「ん…?キョン……?」
微かにそう聞こえた気がした。
気がつくと俺は自分の教室にいた。
どうやら朝のホームルームの最中のようだ。
まるで寝起き直後のような感じで実感が沸かないが、俺達は元の世界に戻ってこれたらしい。
ハルヒは無事かって?それは聞くまでも無い事だ。
「あれ…?ジョン・スミスは…?」
という聞きなれた声がした後
「涼宮。ホームルームも立派な授業の一つだ。
熟睡して海外旅行の夢を見る為に用意された時間と勘違いするな。」
と言う担任・岡部の声が真後ろから聞こえてきたからだ。
支援
教卓に戻った岡部のくだらない話を聞いていると、どうにも初めて聞いた気がしない。
そう思って黒板を眺めてみて驚いた。
なんと今日は3日前になっているではないか。
理由はなんとなくだが理解できた気がする。
多分これもハルヒの願望だろう。記憶の存在しない3日間があるより、その3日間が無かった事にすればいい、とでも考えたんだろうな。
適当に時間を見つけて古泉や長門、朝比奈さんと顔を会わせてみると、皆にも俺と同じ記憶が残っていた。
それは同時に、あの出来事が白昼夢などでは無かったことを再認識させてくれる。
「いやぁ、貴重な体験をさせて頂きました。
まさか一派といえど宇宙人の相手をする事になるとは。」
と古泉は語る。
俺もまさか宇宙人と未来人のコンビが世界制服を企んでいたなんて事、信じられない訳ではあるが…。
手紙は本当に助けになった。
文面が追加されていく最中は何だ、この変ちくりんな手紙は、と馬鹿にしていたが。
長門がその答えから推理した結果、つまり4人全員で閉鎖空間に乗り込むって事が今回いかに重要だったかが思い起こされる。
長門はあの手紙についてこう説明した。
「差出人は未来の貴方。ただしこの時空に無い未来。選ばれなかった未来の貴方は現在の貴方にヒントを与えた。
答えを与えればたちまち異端派に見つかって破棄されてしまう為、文字情報を自己解凍プログラムに隠して送る事が最良だと考えた。
しかしそれを学校に持ち込んだとき、涼宮ハルヒに潜んでいた異端派に気づかれてしまった。」
成る程な。それで偽朝比奈さんが俺の前に現れて手紙をどうにかしようとした訳だ。
「危惧すべき点は完全に消えうせた。世界は正しく回っている。…3日前からのやり直しで。」
支援
私怨
ん?3日前に戻ったって事は、異端派を消し去ったのも未来に先延ばしになったってこと…じゃないのか?
「手落ちは無い。我々情報統合思念体は全ての時間平面上において同一。
未来で消滅させた異端派は現在にも過去にも存在しない。」
そっか。長門がそう言うなら安心するよ。
「3日前といえば朝比奈さん。あの日ハルヒに連れられてどこに行ってたんですか?」
「え…、あの…。…ご想像にお任せします…。」
ふむ。どうせコスプレ衣装専門店か何かか。
「なんか涼宮さん、私を元気付けてくれようとしたみたいで。」
そういえば朝比奈さん、あの日から未来との交信が出来なくなって最高に沈んでいたんだよな…。
唯我独尊を擬人化したようなハルヒだが、意外に人のメンタル面に敏感だったりする。
…ようやく手に入れた平和な日常だが、今日までに、いや今日から3日の間に起こった出来事は今になって疲労として俺に圧し掛かってくる。
褒められる事でないのは充分承知だが、疲れを癒すため授業をサボって静かなところで一眠りするとしよう、
と部室まで歩いている時に彼女は現れた。またもや、朝比奈さん(大)である。
あまりにも突然の出現に身構えてしまう俺。
ついさっき元の世界へ戻したはずの偽朝比奈さんがなぜここに、とたじろいでいると
「私は本物の朝比奈みくるです。ほら、証拠のホクロだってここにちゃんとありますよ?
触ってペイントじゃないか確かめてみる?」
なんて言うものだから、これは確かに偽者じゃないなとすぐに信用することが出来た。
それにこんな廊下で顔を合わせて、長門が飛んでやってこないってことは100パーセント本物だろう。
朝比奈さんは事の全てを俺に説明した。
この事態に陥ると分かっていながら手が出せなかったのはそれが規定事項だったから、と。
朝比奈さん(小)のTPDDとやらの階級にシンデレラマジックを掛けたのもそのためだ、と。
手紙の存在についてすら教えなかったのは、長門が言った事がその全てだろう。
支援
「最後にあなたに注意しておく事があって、今日は主にその為に来たんです。」
朝比奈さん(大)は神妙な面持ちでこう続けた。
「これからの3日間は涼宮さんによって巻き戻された、空白の3日間です。
それは未来さえ知り得ない空白の期間。充分に未来を改変させてしまう程の危険性を孕んでいます。
私がここに来られた以上、私の出生までの未来は確保されているのでしょうけど、
その後未来がどう変わるのかは把握できません。
ですからキョン君。これから3日間だけは充分注意して行動してくださいね。」
挨拶もそこそこに朝比奈さん(大)は廊下から去っていった。
やれやれ。全て解決したように決め付けていたが、そんなのは俺の思い込みだけだったようだ。
ここで時間を浪費するような馬鹿な事は止めておこう。
帰ろう、教室に。
腹痛などの理由をつけて席に戻ればいいやと意を決して教室のドアを開けると
なんとタイミングのいいことだろうか、その時間は自習になっていた。
急いで戻ってきた労力が水の泡だ。
教室に入るなりやってきて無駄なボケをかましてくる谷口や国木田を適当にあしらい、
毎日腰を置いている俺の席を目指す。
そこで目に入ったもの。
支援
支援
それはチラシの下書きを一心不乱に作り続けるハルヒの姿だった。
でもって、ハルヒが次に言う事は既に分かっている。…こうだろ?
「暇なら少しは手伝いなさいよね!団長1人に仕事をさせるなんてもってのほかよ!」
多分、ここでハルヒを手伝う事が俺のこの世界での規定事項なのだろう。
どこにも確証はないが、俺はこれからの3日間を無事乗り切られるような気がする。
こうしてハルヒと共にチラシ作りに精を出して、食堂で長門とメシを食って、
古泉のムカつくニヤケ顔を目にして、部室で朝比奈さんの新コスプレを目に焼き付けて。
SOS団の日常は一般人の日常とは常軌を逸したものだが、
この非日常が日常となった毎日が続く限り、世界が無くなってしまうような事はないだろう。
学校帰りの途中、俺はハルヒにこんな事を聞いてみた。
「なぁハルヒ、朝寝言で言ってたジョン・スミスって何者なんだ?」
その正体を知っている俺にしてみれば、こんな質問をすることは不毛な事この上ないものなのだが。
ハルヒはこう答えた。
「んー?そうね…、ヒーロー、かしら。夢の中ではね。」
支援
おしまい
支援サンクス
乙である
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 22:16:44.75 ID:6rSKwnhM0
保守
乙!
さて、読むか。
保守
147 :
バレンタイン作者:2008/02/09(土) 22:47:59.61 ID:XMgo8Lan0
バレンタインが今日中に書きあがりそうなので、
早ければ23:30に残り全部を投下したいと思います。
支援を頂ければ幸いですw
おっしゃ任せろ
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 23:05:49.68 ID:/wIlsRnOO
そろそろか
しかしラジカルもバレンタインもパワーあるよな 一気に書けるなんてうらやましい
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 23:29:21.68 ID:7AH6lqbV0
保
152 :
バレンタイン作者:2008/02/09(土) 23:29:23.71 ID:XMgo8Lan0
あと10分後にお願いしますw
153 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:39:18.83 ID:XMgo8Lan0
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 23:39:39.92 ID:7AH6lqbV0
支援
155 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:40:48.80 ID:XMgo8Lan0
「んー。」
…結局、一日考えても良さそうな渡し方が思いつかなかった。
「…キョンって、バレンタイン当日でも普段通りなのね。
あたしも人の事は言えたもんじゃないけど、つくづくこういう事に興味を示さないやつだわ。
…みくるちゃんには別、か」
あたしは、前の席に座って授業を受けてるキョンの背中を眺めながら…考える。
…こいつ、あたしがチョコを渡したら…どんな顔をするんだろう。
『ほらっ!団長からのお情けよっ!ありがたく受け取りなさいっ!』
『いらん』
とか言いそう…よね。そんなんじゃ、…折角のチョコが勿体ないか。
「…まっ、まあ…普通に渡したら…流石にキョンでも「いらん」は無いでしょ…」
…普通って、お礼言いながら、両手で渡して、え…笑顔で?
「…とてもじゃないわね」
あたしは頭を振ってその考えを飛ばそうとした。けど…
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 23:40:56.87 ID:7AH6lqbV0
支援
157 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:41:49.02 ID:XMgo8Lan0
「…キョンはどんな反応するんだろ…」
……。
…まあ、嫌な感じは受けない、かな。
「…あらかじめ、台詞を決めておく必要があるわね。」
…そして、昼休み。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
支援
159 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:42:42.21 ID:XMgo8Lan0
「――――っ!」
…なによっ!なんなのよっ!それはっ!
気付いたらあたしはキョンから箱を奪い取って、当てもなく校舎を飛び出していた。
自分の家までの帰路を駆けながら辿って、
駅に近づいていくのと共に血が昇って膨張した頭が冷静を取り戻しはじめ、
徐々に疲労と思案があたしの足を鈍らせていった。
「…あたし、なにやってるんだろ」
思えば、なんであそこまで激昂したんだろうか。
あたしは無意識の内にキョンにあんな行動をとってしまったけど、
別にキョンにおかしい所なんて無かったじゃない。
不自然だったのは…あたしよね。
「カバンが……いや、もう帰ろうかな…」
手元のチョコは…自分で台無しにしちゃあ、世話ないわね。
支援
161 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:43:18.37 ID:XMgo8Lan0
あたしは部屋に帰って、深く、深く眠ってしまった。
そして翌朝、自分のケータイにキョンからの着信があった事に気付いた。
「なによ?…まぁいっか。
それより、せめて箱だけでも有効活用しないとバチが当たるわね」
キョンにぶつけてやろうと思って、あたしは手さげ袋に箱を入れて、学校へ向かった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
支援
163 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:43:58.64 ID:XMgo8Lan0
WAWAWAっと!今日は朝から気分がいいぜ!
って、珍しくこんな早くからキョンと涼宮が席に着いてやがるな。
…なんか話してんのか?
164 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:44:27.31 ID:XMgo8Lan0
「あの…、ごめんな。昨日は」
「…もういいわよ。特に怒ってないし」
「す、すまない…それと…チョコ、なんだが…」
「なによ」
「俺に、…良かったらくれないか?」
「…もうない」
「…本当に済まなかった。残念だ」
「……」
支
166 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:45:03.30 ID:XMgo8Lan0
Hi!Hi!Hiる飯っとっ!
キョンは一人で飯食ってんのか?
しょーがない!俺の幸せを分けてやるか!
…およっ?どっかから帰ってきた涼宮がキョンの前に…
援
このレスを見たあなたは一生童貞です
逃れる方法はただ一つ
このスレに行き→
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/gaysaloon/1198162800/ /⌒ヽ''´ );'・;,、`●;.ミ∵;,、 。 ;, ──┐. | |
と(^ω^*)Uてノ)゙、`●ヾ`;`、`●;.、`●'`;ヾ;;ヾ;.,、`●; '. / | | ───────
/⌒ヽ''´ );'ヾ`;ヾ`;・;,、`ヾ `;●;.;, 、` ● ; . ミ ; ,、 ノ ノ
と(^ω^*)Uてノ)゙``;;ヾ;ヾ;;,、`●;.'';,,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|``;`、`●`;,、`●;.、`●;. /⌒ヽ まだ、ほかほかだお( ^ω^)
|`;ヾ;;ヾ;●`;ヾ;;,、`●;ヾ;;.、`●;. ∬(^ω^*)パクパク・・・
|ヾヾ`;、`●;,、`●`;,、`●;.●、`●;.`●;:;;O●と;: ヽ
|;ヾ;`●`;,、`●;●v●●.、`●;.'`;,、`● (^(^`_ ,、 /⌒ヽ大量のうんこを発見したおー!
|`●`;,、`;`●;.`●:;●;;'ヾ;●●;.`●;.`●:;●●:;. (*^ω^)
|ヾ`●;●.`●`●`●;.`●:;●;;';.`●`●;.`●:;●;; ⊂ )
|`●`;,、`●;`●;.●`●:;●;;';ヾ`●;.`●:;●;;';....●;; 人 Y すごいお! ここは天国かお!
|`●;●.`●:`●;.●`●●●:;●;;';●;;'●ヾヾ`;: ;●し´ (_),.,;,., /⌒ヽ' /⌒ヽ' /⌒ヽ'
|●●;ヾ;`●`;,`●●;.`●:;●;;'、`●;.`●:;●;;'`●;;ヾ;.、`●;.`●:;●;;'`●;. (^ω^*) (^ω^/⌒ヽ (^ω^*)
|`●;ヾ;●`;;●ヾ;,、`●;.`●;.`●`●;.`●:;●;;':;●;●;'、`●;.'●`;,●●●●、` ⊂;⊂;;.\ ⊂.:;,..(^ω^*)⊂⊂.;:\
|●●`●`;,、●v`●;●`●;.`●:;●;;'`●;.`●:;●;;'.、`●;.`●●●;.`●:`●;.`●:' ;,.・.,\.,;;:;.:;../⌒ヽ⊂;.,\)⊂.;:,..: )〜
|●●●ヾ●ヾ`●;v、`●;,、`●;.`●:;`●;.`●:;●`●;.`●●:;●;;';;'●`●;.`●:;●;;';;:;,;.∵.U;;⊂(^ω^*⊂,.;:,.,;つ.,.:;,:..\).
と書き込んでください。書き込めば明日童貞卒業できますよ
169 :
二人のバレンタイン。:2008/02/09(土) 23:46:20.08 ID:XMgo8Lan0
「ちょっとキョン?」
「…なんだ?」
「…あげる。」
「んっ?って、これお前…昨日のチョコじゃないか!?」
「…そうね」
「…ハルヒ」
「なによ?」
「…ありがとう」
「…!がっ、ガラに無い事なんて言うんじゃないのっ!」
「…?」
「…あけてみてよ、それ」
「?、ああ。わかっ……ってお前これ、購買部の板チョコじゃないか!?」
支
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 23:53:53.51 ID:7AH6lqbV0
猿支援
さるったらしいな。雑談室に書いてあった
猿解除って何分くらい?
支援
175 :
二人のバレンタイン。:2008/02/10(日) 00:02:01.41 ID:Z46y7BdV0
「それね…。毒…だから」
「…ああ」
「……」
「…ちゃんと箱までたべてよね」
「……」
「……」
『…ふふふっ』
支援
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 00:02:34.64 ID:X/0kwBT8O
支援
178 :
二人のバレンタイン。:2008/02/10(日) 00:02:41.66 ID:Z46y7BdV0
NANANAなんだお二人さん?
…顔合わせて笑っちゃってよ。
まあいいさ。俺も昨日…鶴屋先輩から1個貰ったんだからなぁ!!
おっ?おっす国木田!お前も昨日は鶴屋先輩から貰った1個で終わりだったか!?
我が同志よっ!
「…僕は朝比奈先輩からも1個貰ったよ?谷口には無かったの?」
「………ご、ごゆっくりぃ〜〜〜〜!!!!!」
『キョン、ハルヒ、そして二人のバレンタイン。』END
支援
乙である
181 :
バレンタイン作者:2008/02/10(日) 00:04:15.91 ID:Z46y7BdV0
と、これにて閉幕です。ご支援&ご拝読有難う御座いました!
パロ板みたく一気投下ならともかく、支援の入り乱れるVIPで小出しにレス投下すると読みにくくてしょうがない。
もっと詰めろ。
GJ
最近の携帯小説っぽく余白を生かしたいならそれでもかまわんと思う
ただこのスレは30ラインめいっぱい使ったほうがいい傾向にある
まとめに貼るときに余白を入れて再編集するのがいい
184 :
バレンタイン作者:2008/02/10(日) 00:17:41.78 ID:Z46y7BdV0
すみませんでした。
メモ帳に書いてあるのをそのままコピペしていたので、
こちらの知識と配慮が足りませんでした。ご指摘有難う御座います。
ドンマイ 次を期待している
終わってたか!
GJ!
まぁ俺が改行余白嫌い厨なだけだ。キニスンナ
携帯だと気になるんだよな。パソコンだと気にならないんだけど
188 :
バレンタイン作者:2008/02/10(日) 00:49:56.07 ID:Z46y7BdV0
了解しましたw実はワクテカのテカの意味も知らない様な初心者なので、
これからマナーとかを勉強してきたいと思いますw
ならば下げろ
mailにsage
大事ですよねorz
あんまり間に受けるな この板は立つスレの数が半端じゃないからsage過ぎると落ちてしまう
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 01:15:33.90 ID:phFVGw8v0
ho
ゆとりになってからは余裕あるし、むしろ変なの来ないようにsage気味なほうがいいと思う。
もちろん下がり過ぎてたらageるべきだけど。
hosu
ここのSS読むと、たまに鬱になる
自分の学生生活と比較するから
寝る前保守 学生をやり直したいぜ それがSS書く元にはなってるんだが
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 02:05:09.38 ID:2HPrOv6SO
エチィのはどこまでありですかね
投下したSSの続きである程度必要でして
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 02:25:48.49 ID:8ram3X6U0
>>197 難しいところだけど、
>>1にもあるように具体的な性的描写が無ければ大丈夫かと。
かの「Short Summer Vacation」にもキョンとハルヒが性交をする場面があるから、そこらへんを参考にしたらいいかも。
でもSSVはwiki直投下だし……
まぁスレは全年齢対象って事で。
あー名作書きてー
>>199 SSVはwiki直接投下じゃなくて、雑談所の夏企画スレに投下された。
どのみち@wikiはエロは禁止だから(エロSSは残っているが、以前に結構議論になったはず)
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 02:48:10.99 ID:2HPrOv6SO
なるほどdクス
というかリロードや書き込もうとすると2ch総合に飛ぶんだがなにゆえ
お前のHPが低すぎるからです
マジレスするとごめんわからない
寝る前保守
ほせ
めんどーさ
ほぞ
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 05:43:52.16 ID:ifDJ0bwH0
めそ
空から降る一億の保守
ほしゅ
やれやれ
保守
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 09:12:54.83 ID:YRWPvzOj0
ゅしほ
保守
雪降ってるのに焼き芋やキタコレ
焼き芋狩ってきた
焼き芋のリヤカーを引くんじゃなくて押してるのを見た
保守
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 11:32:59.73 ID:/tfhtVmZO
保守
支援
保守と間違えたorz
保守