ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」 24
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/08(金) 22:16:33.27 ID:LEx+IXuD0
│ ○ / ____ | |
──┼── / / ――― |
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r‐-, _,,,,,,,,,,,,,,,、 ,-ー、 r‐-、 ,i--,
./''''''″ ¨''''''イ __ ゙l 广゙゙゙゙゙゙゙゙゙゛ .`゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙'l : /'''''″ .`'''''''| `゙゙゙゙゙゙゙゙゙'ッ
`'>‐ : ーく''} し..| .! l ̄ ̄´ . ̄ ̄´゙} ,コ. 〈フ .二! ‘゙゙゙゙゙゙│
. | liiiiiiiiii! :|;! ,,,,,,、 .! /゙ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ゙゙̄1 ヽ..,,,,,,,,,,,,,,,,,,../''¨゙゙゙″ ,!
. | liiiiiiiiii! :|,! .l....ゝ | .  ̄广゙゙,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,゙゙゙゙゙厂´ ! .,iiiiiiii、.゙l;| : ^゙゙゙゙゙゙゙j
....lii.. ..i;;"| .,,....、 : ! | .lllllllllllllllllllll、 ! .,! .,iiiiiiii. .!} ______./
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| :| l ,iリ ̄ ./ | ! .l゙゙゙゙´ .〉 .! |/゙゙" .,!.! `゙゙゙゙" /
.`'''″ `゙'" .`゙゙゙゙゙゙´ ゙"'" `゙゙゙゙゙゙´ `'''" `゙゙゙゙゙´ . ´゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゛
いちおつ
いちおつ!!
24ってなんだ?w
うは、コピペミスだ失礼。
いちおつ
これは、2月8日午後22:00から23:00の間に起こった出来事である。
yutoriで落ちるとかどんだけー。
もういらんだろこのスレ
はいはい、三日ルール三日ルール
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/08(金) 22:54:02.63 ID:tliQfJI+0
保守
12 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:02:28.42 ID:WnBXMlSN0
バレンタインネタを書いたので投下します。
13 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:03:09.63 ID:WnBXMlSN0
通い慣れた北校への長い坂道が、久々に陰鬱だと感じられる冬の日。
「よっキョン!朝から天気が良くて今日は気持ちが良いな!」
今日は早く帰ってコタツでシャミセンと足をじゃれ合わそうと思いながら登校している俺に、
これから何か良い事ありそうだと言わんばかりの谷口が合流してきた。
「俺な、さっき茶色い猫見たんだ!縁起が良いだろ!今回の俺は少し違うぜ!」
毎日同じ場所で惰眠を貪っている只の野良猫を見て、谷口が縁起が良いと言っているのには訳がある。
そして、俺が今日は早く帰りたい理由もそれと同等だ。
言わずもがな、つまり本日はバレンタインデーなのである。
「…良いかどうかは知らんが、体育も無いのに体操着袋をぶら下げてどうする」
「愚問だなキョン!去年までの俺の分のチョコが、今年一気に流れ込んでくるからだ!」
谷口は今までチョコを貰った事が無さそうだな。
なにを根拠に自信を持ってそう言い切っているのか分からんが、
谷口、お前のそのダムには水漏れだのといった決壊の予兆が皆無だぞ。
「正直な話…水漏れ程度でも良いんだ。乾いた俺の心を潤すのにはな。
それに今年一つでも貰えたら、来年雪崩れ込んでくる可能性があるってもんだ!」
この笑顔のパーセンテージは、真昼から日没にかけての太陽に比例して下降していく事だろう。
まあ谷口、帰ってから体操着袋を覗きこめば、一縷の水が観測出来ると思うぞ。涙だけど。
14 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:04:47.77 ID:WnBXMlSN0
…かくいう俺も、小学校高学年を境に恵みの雨はぱったりと止んでしまい、同じく渇水状態なのだが。
だから毎年、この日は水不足を補う為にとコタツで蜜柑を堪能する事にしている。
「まぁお前は良いよな。今年は。涼宮から一つ確定してるんだから」
「…んなわけ無いだろ。なんでそうなる」
…この透き通った冬空に驟雨が降る事の方が、よっぽど確率としては高いと思うぞ。
だがしかし、今年は一つだけなら貰えそうな当てがある。
そして、たとえ他にどれだけの数を頂こうとも…その一つの物の価値には決して届き得ないだろう。
俺の自惚れかも知れないが、朝比奈さんなら恵んでくれる確率がグッと高い。
「じゃあ後は教室でな!俺は第一ステージを確認してくる事にするぜ!」
谷口はそう言い残し、北高の昇降口へ嬉嬉として駆けて行った。
「…お前の下駄箱がポストになってるとは思えんがな」
不覚にも俺も少し谷口と同じ様な期待を抱いてしまい、予鈴の後は自分を情けなく思いながらの授業となった。
…そしてそれは、午前中の日課を終えるチャイムが鳴り響き、
各自が妙な緊張感の中での昼食タイムを余儀なくされた時に起こった。
15 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:06:04.99 ID:WnBXMlSN0
「キョン!…はいこれっ!いつもありがとっ!」
おっと待てよ、…しばらく待ってくれ。色々とおかしい。
ハルヒが俺に可愛らしいリボンの付いたピンク色の四角い箱を差し出しているし、
しかも、素直な子供が母の日にカーネイションを送るような言葉を言い放っている。…なんだ?
まず、目の前に立っているのはハルヒか?
静かにしている所を見ると、端麗な顔立ちをしているな。
…というか、誰が見てもハルヒだ。
じゃあ、そのハルヒが差し出している…
中には手作りチョコが入ってます的な装飾が加えられているこの箱は何だ?
…ああ、わかった。
「………毒…か?」
箱を受け取った俺が内容物に対しての明快な答えを言い放つと、
目前のハルヒは一瞬ハッとした表情を浮かべてふるふると体を小刻みに震わせながら、
目には涙…を…?
「―――――、かえせっ!!」
俺が応じる間もなくバンッと手元から箱をひったくったハルヒは、
顔を伏せるようにして教室のドアへと駆け出し、そのまま外へと飛び出していった。
支援
17 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:09:48.19 ID:WnBXMlSN0
「おいおい、何もこんな日に痴話喧嘩なんてやる必要は無いんじゃねぇか?」
「…でも意外だね。キョンと涼宮さんが喧嘩してる所って、初めて見た気がするよ」
事態が飲み込めず呆然としている俺に、谷口と国木田が順繰りに話しかけてきた。
「…用が無いなら、どっか違う奴の所にさっさと行け」
「おわっ!?…俺に当たるなよっ!」
「実は用があってね。キョンの事、あの元気な先輩が呼んでたよ」
「…ああ、すまない」
鶴屋さんだろうか?俺は国木田から聞いた場所へと向かった。
「ややっ!キョンくんっ!ほいっこれ義理チョコ!あげるにょろっ!」
「…!わざわざ済みません、ありがとう御座います」
「なんのなんのっ!お返しはいらないよっ!」
そんな訳にはいかないな、と俺が思っていた時、
「ところでさっ…ハルにゃんからはもう貰ったかいっ?」
18 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:11:42.38 ID:WnBXMlSN0
「なにを、ですか?」
「またまたキョンくんっ!義理か本命かってかいっ?にくいねっ!」
「…いえ、まだ何も貰ってはない…ですね」
「…?、はっはあ!もしかしてハルにゃん、照れてるっのかなぁ!?
まっ頑張って作ってたみたいだから楽しみにしとくにょろ♪」
じゃあ他の人にも配るから、と言って鶴屋さんは元気良く走り去って行った。
「…ハルヒ?」
不意に、俺の胸が縮んでいくかの様に痛み出す。
「…俺、そんなひどい事言ったか?」
とりあえず教室に戻ってハルヒと話してみよう。それからだ。
…と思っていたが、俺が教室に着いてもハルヒの姿は無く、
そして結局ハルヒは授業にも顔を見す事無く放課後を向かえ、
生徒はそれぞれ部活動の時間となった。
さすがに此処には居るだろうと思いながら元・文芸部室の扉を開くと、
そこあったのは、長門と朝比奈さんの姿だけだった。
支援
支援
しえn
これはいいフラクラキング
支援
23 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:15:32.52 ID:WnBXMlSN0
「あ、キョンくん!…これっ」
もじもじしながら朝比奈さんが俺にくれたのは、
フリルの付いた赤くて小さいハート型の箱だった。
「あのっ手作りにも挑戦してみたんだけど…あたし、不器用だから…」
朝比奈さんからチョコ大爆発の話を聞いて、俺はこのチョコが既製品であるとの説明を受けた。
…いえいえ、既にこのチョコの付加価値はとても値段には換算できませんよ。
朝比奈さんからのチョコってだけで、世界中の男共からニーズがあるんですから。
もし朝比奈さんからチョコを貰えなかったら俺は寝るときに枕に顔を突っ伏していたであろうから、
いま無事にチョコを頂いた事で、俺は多少の安心を感じていた。
横に目をやると、長門も何やらもじもじとしている。
俺と目線がぶつかるとトコトコと近寄ってきて、
フイッと目線を逸らしながら俺に手作りハート型チョコを生身で差し出した。
「…………大好き」
やれやれ、なんてこったい。…長門は俺に恋心を寄せていたのか。
24 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:16:17.12 ID:WnBXMlSN0
…なんて事は思わなかったさ。
この間のSOS団の活動中、朝比奈さんが読んでいたティーン誌のバレンタイン特集を
長門も読んでいたのを知っていたからだ。それで俺も気になって読んでみたんだが、
まさしく先程の長門の行動通り、チョコの渡し方なんていうコーナーがあったからな。
「…長門、ああいう本は偏った情報もあるから真に受けちゃいかん。
それに無表情で作業的にやっちゃあ台無しだ。」
「……うかつ」
「でも、ありがたく頂くよ。すまないな」
「…あなたには感謝している」
あ。あと一つ。チョコの表面にでかでかと
『義理』なんて書かなくても、これが義理チョコだってのは分かるから…
「……てぃへっ♪」
長門はもう雑誌読んじゃいけません。
ハルヒはもう来るのかどうか怪しいが、まだ古泉も来ていないので暫く待っていようと
部室の中3人で思い思いに普段通りの活動に入る事にした。
しえn
26 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:18:12.30 ID:WnBXMlSN0
パタン、っと長門のハードカバーの洋書が閉じられる。
「けっきょく涼宮さんも古泉くんも来ませんでしたね…」
「…ええ。ハルヒは学校をフケたみたいなんですけど、
古泉はどうしたんでしょうね」
「……」
その後俺は一人で部室を後にし、そして下駄箱で二度目の不覚を取っていた時
古泉が走ってこちらにやってきて、俺にはかまわず周囲をキョロキョロし始めた。
「…どうしたんだ?部室にも顔を見せないで」
「いえ、団活に行けなかったのはいつものバイトですよ。
午後の授業を受けている時に急に連絡が入って、そして今までね」
「…挙動不審なのは何か理由があるのか?」
「…ええ、まあ。
ですが、もういいみたいです。良かったら一緒に帰りませんか?」
渋々と古泉の提案を快諾して、男二人で歩を並べて帰路に着くこととなった。
しえn
28 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:19:13.11 ID:WnBXMlSN0
「…どうでしたか?あなたの成果は」
バレンタインの日に男二人の話の中でこの質問を受ければ、答えは決まってる。
「…3つ。…か」
「ほう、僕も同じ…
「お前のは聞かんでい…って、お前も3つなのか?」
という発言の後で、素で驚いてしまった自分に後悔した。古泉は笑って、
「ええ、朝の下駄箱に一つ、机に一つ、ロッカーに掛かっていた一つ…でね」
「へえ。皆えらく消極的だな。一人くらい直に渡そうとしてきた奴はいなかったのか?」
「それが…放課後に昇降口内で待っているから来てくれというお話があったのですが、
なにせ、午後の授業からさっきまで閉鎖空間の中でしたから」
「下駄箱でなにやら探していたのはそれか」
「ええ…彼女には、申し訳ない事をしてしまいました」
「…それは俺にも責任があるな」
「…責任、とは?」
俺は、昼休みのハルヒとの出来事を古泉に説明した。
いちおつ
支援
30 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:22:11.94 ID:WnBXMlSN0
「…なるほど。そうですか…」
うーん、っと古泉はなにやら思案顔を作っている。
「…まあ、あなたなら仕方の無い事でしょうね…しかし、もう少しだけ…
涼宮さんの気持ちに対して、あなたは敏感になるべきです」
「…確かに俺の言葉に配慮が足りなかったのかも知れないが、
別に…いつもハルヒと話す時の調子と変わらなかったと思うぞ?」
「だからこそですよ」
と古泉は俺を真剣な眼差しで見つめ、続けて
「涼宮さんはその時、あなたに対して…心を開いていたのです。
中学の頃から閉ざしていた扉をね。
なので、剥き出しの心で…あなたの何気ないその発言を受けてしまった。
涼宮さんが素直になっている時は、あなたも素直になるべきなのです」
その言葉を聞いて、俺の心の中で後悔が渦を撒いてあたりを散らかした。
31 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:23:07.51 ID:WnBXMlSN0
俺は…気付いてやるべきだったんだ。いや、気付かなければならなかった。
ハルヒが柄にも無くそんな事をするのは、きっと相当不安があった事だろう。
俺はそんなハルヒを傷つけちまった。ハルヒは、それを怖がっていたのだろうに。
「…そうだな。俺が悪かった」
「…ふふっ。それを言う相手を、あなたは既に知っている筈です」
ああ、…まさしくその通りだ。
「…そうだな。電話で公園にでも呼び出してみるさ」
次回、ハルヒのバレンタインへ続く。
32 :
◆YUKI.NMag2 :2008/02/08(金) 23:24:36.92 ID:p+jK+QMC0
む
ちくしょう……バレンタインなんてお菓子会社の陰謀なのに……
乙!
34 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:25:24.85 ID:WnBXMlSN0
まず1さんスレ立て乙です!支援ありがとう御座います!
書いていたら分量が予想の3倍以上になりそうなので、
あとの話は2回に分けて投下したいと思います。
……GJ
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/08(金) 23:30:58.16 ID:CcUkSPVt0
乙でした!
でも、自分が傷つけた相手を呼び出すって、お前何様だって感じるのは俺だけ?
37 :
キョンのバレンタイン:2008/02/08(金) 23:42:18.58 ID:WnBXMlSN0
〉〉36さん
そうですねwご意見ありがとう御座います!ここではキョンがハルヒの家を知らないのと、
何かしらあった時は公園で待ち合わせをするという二つの本編の内容を考慮してこんな事をしていますw
続きwktk!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 00:14:18.42 ID:mSJx+Fk60
保守
保守
女同士の結束っぽいテーマでハルヒと長門の二人だけの会話を書いてるが なかなかにむずい
女二人のヒソヒソ話って想像に難い
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 00:57:09.75 ID:6rSKwnhM0
保守
ようやくラジカルメッセージを書き終えたので投下します。
大幅に加筆修正したので最初から投下し直します。
と言っても去年書きかけて放置していたものはそれ程内容があったSSでは無いので問題ないかと。
まとめの方に載せていたものも一度消しています。
新しい作品と思って目を通していただければ幸いです。
全部で60レス程度、
3回に分けての投下で行きます。
“元気にしているか?そっちの様子はどんなもんだ?ハルヒ。”
“通常ならこんな手紙を書いている場合じゃないんだがな。”
“リーダーという肩書きが異常なほどに当てはまっていたお前がいなくなってから”
“にわかに落ち着かなくなってな。…なかなか慣れないな。”
この文章は一体何か?そう質問されたなら、これは手紙だと答える他ない。
紛れもなく俺の筆跡であり、文中にハルヒと書かれているからにはこれがハルヒに向けて書かれた手紙なのだ、ということは分かるのだが…。
しかし俺の脳味噌が非日常に晒され続けた結果不具合を起こしていないなら、この手紙を書いた覚えは全くもって記憶にない。
それ以上に気になる点はどういう訳かこの4行の文章だけで、続きが何も書かれていないことにある。
「一体これは何なんだ?」
と聞いてみた場所はこの手紙を発見した俺の部屋であり、話の相手は毎度のごとく長門、古泉、朝比奈さんの3人だ。
つまり俺の部屋には団長不在のSOS団が勢ぞろい。
発見した場所を正確に言うとすると、それはろくに勉強机としての機能を発していない箱状オブジェに装備された引き出しの中だった。
豪華な文房具入れ、と言い換えたほうが良いかもしれない。
ただ、本来の機能としては利用しないものの、納められている文房具故に全く机に触れない訳でもない。
つまり、今日たまたま鋏を取り出そうとして引き出しを開けたときにこの手紙を発見してしまった、という訳である。
「内容から察するに、これは明らかに現代で書かれたものでは無さそうですね。」
と口を開く古泉。
至極簡潔な結論だ。だが、俺もこれを目にしたときにその考え以外には辿り着けなかった訳ではある…が。
だとしたら何だ?ハルヒはこの先俺達の元から姿を消すってのか?
「……机の内部に微かな位相のズレを感知。」
良くわからんが…この手紙は確かに未来から来たものなのか?長門。
「……解析不能。手紙には完全にロックされたプロテクトが幾重に掛けられている。……一般的に言えば、お手上げ。」
…そうか。
「あの、ちょっといいですか?」
割り込むように朝比奈さんが口を開いた。
「今調べてもらったんですが、未来からこの時代に向けて渡航を行った履歴はありません。
手紙である以上誰かが人為的に送ることになるので、もしそうなら形跡が残るはずなんです。
あ、あくまでも、私の組織での範囲ですけど。…これ以上は禁則事項に関わります、ごめんなさい。」
文面はバリバリの時差ボケ。専門家は未来からの贈り物説を否定。
問題は解決せず、時計の長針が忙しなく走り続ける音のみが部屋を木霊する。
「何にせよ。このままでは涼宮さんが僕達の前からいなくなるという事態に直面する事があるのかもしれない、
と考えた方がいいでしょう。その事態が訪れないように策を立てるのがこれからの課題です。
そしてこれは僕の憶測ですが…。この際ですから言っておきましょう。」
続けて古泉は俺の予想だにしなかったことを呟いた。
「もしかしたら涼宮さんがこの世からいなくなってしまうのかもしれません。それが何時なのかはやはり分かりませんが。」
突拍子な事を言うものだと呆けていたが古泉の言葉はさらに続く。
「今現在、私達SOS団の連絡手段といえば主に携帯電話です。何故かと聞かれれば理由は単純。連絡が容易だからです。
涼宮さんがわざわざ文明の利器を蔑ろにしてまで七面倒な手段を使うでしょうか?
いいえ、彼女の性格から考えて、まず使わないでしょう。
ですからあなたを含め僕達も同様に携帯を利用することを半ば義務付けられています。そこで今回の件ですが。
これを未来の手紙と仮定しましょう。今でさえ地球上のどこにいても携帯が使えるにも関わらず、
より発達されているはずであろう未来で、涼宮さん相手にわざわざ手紙という手段を採るでしょうか?」
まぁ、なんとなく意味は分かるが。それでさっき言ったこととどう結びつくんだろうか?
「これは、第三者に…、真にはこの手紙が誰に向けたものなのか解らせる為のものではないでしょうか?それに僕は…。
… “転校して” または “転勤して” ではなく、わざわざ “いなくなって” を使ったことに胸騒ぎを覚えるんですよ。」
なるほど、一理あるな。もう一理おまけして二理にしてやってもいいぞ。
しかしだ、そんな心配事を解決するには1分も掛からないじゃないか。未来にハルヒが生きているかどうか、朝比奈さんに聞けばいい。
「で、どうなんです?朝比奈さん。」
朝比奈さんは
「もちろん、います。ただ、確証はと聞かれると…。」
と答え、後は文中に【禁則事項】を織り交ぜて理解に苦しむ話を喋っていた。
「……時空とは唯一つ限りの流れとして存在しているのではなく、半不変的な未来が無数に存在する。
しかし基本的には選択されなかった未来は我々の時空に関与出来ない。
選択されなかった未来にはその未来が在る為の過去が生まれて宛がわれる。つまりパラレル・ワールド。
世界が崩壊する未来が有り得ても、その未来からこの時代に渡航してくる者がいないのはその為。」
そういえば漫画で見たな…。確かわざと誤差を生じさせても最終的には修正されて同じ未来に辿りつくと。
「……少し違う。特例として未来を知りえた者が直接世界に影響を及ぼした時に未来は新たな道を選ぶ。
ただし一つ間違えば自分たちの存在の危機に繋がる為、彼らは悪戯に世界を変えないよう何らかの対策を立てる。」
なるほど、例の【禁則事項】か。
「そう、だから朝比奈みくるが “いる” と言うならば涼宮ハルヒは我々の未来にも存在して “いる” 。」
助け舟のつもりだったのか、ともかく長門にしては意外に解りやすい説明のおかげで理解することができた。
だが、いまだにこの手紙については全く解明の活路が見出せない。
普段から有効的な活用もされていない俺の脳はそれ以上考えることを拒否し、
結果3人が帰っていった後もしばらく手紙と睨め合いをしただけで終わり、やがて眠りについた。
無常にも時間はこの手紙について考察するだけの暇を与えてくれることもなく流れ続け、
俺達高校生の本分である勉学の為に登校時間を刻一刻と手繰り寄せているからだ。
(ハルヒがいなくなる、ね…。)
手紙を見つけた日の次の日。
朝から一心不乱に新しいチラシの原本を書き続けているハルヒを見るとそんな前触れが一欠けらも見つからない。
少なくとも高校を卒業するまではな。
しかし最良の結果が引越しで最悪の結果が死とは。天秤さえも載せるのを躊躇うバランスの悪さだとは思わないか?
そもそもハルヒが死ななければならない理由がどこにあるのだ。
とは言っても相手は命だ。俺だって明日には車に撥ねられて死んでしまうかもしれない。
命とはそれだけ儚いものなのだ。だからこそこの件を楽観視するわけにはいかないだろう。
そんな奴がいたら頭の構造を是非見せて頂きたいもんだ。
なんて、俺の頭はもうハルヒのことで一杯になってしまっていたようだ。
(いなくなるなよ、…ハルヒ。)
「何か言った?」
いいや、何も。
「暇なら少しは手伝いなさいよね!団長1人に仕事をさせるなんてもってのほかよ!」
その仕事は自分で作り出したものなんだから “させる” なんて表現は間違っているが…。
ともかく何かしていないと落ち着かないので黙って協力することにしておいた。
さて少し蔑ろにしていた手紙についてだがさらに気になる点があった。
手紙だというのに紙は無地。素っ気無いにも程がある。
仮にハルヒに渡ったとすれば即電話が掛かってきてハルヒ流手紙講座で1時間潰れてしまいそうだ。
(その講座が有益なものであるかどうかはこの際どうでもいいだろう。)
うーむ。確かに古泉の言うとおり、俺がハルヒのために手紙を認めるなんて厄介な事をするはずがないな。
あとは手紙の余白がいやに広いことか。
4行しかない文からもこの手紙は結構な大作で、そのうえ未完成であると見て取れる。
が、俺はあまり長ったらしい文章を書かない人間なので、これもまた怪しいといえば怪しいと言える。
しかし新たに分かった点はさらなる疑問しか生み出さず、
疑問に疑問が絡み合って最早理解に苦しむ手紙であるということを再確認させられただけであった。
ところが不可解な事はこれに収まらなかった。
珍しく廊下ですれ違った長門の発した声を俺の耳が一字一句聞き逃さなかったからだ。
「異常事態。幾多もの未来が我々の時代にリンクされてしまっている。」
急展開。だけで話を括るには無理があった。
そこらにあるような小説ならそれで良いのかも知れないが、
既に事件に巻き込まれてしまった俺自身をただの登場人物の、しかも単なる傍観者の1人と考えたくは無かった。
第一、リンクって何だよ?つい昨日した説明と180度違うじゃないか。
「つ、つまりどういうことなんだ?長門。」
正直に言って長門の話す内容は理解するのに多大な時間を要するものだが…
今回ばかりは持てるだけの脳をフル稼働して高速で理解するしかないだろう。
長門が “異常事態” と言うからには言葉のとおり、紛れも無く異常事態なのだから。
「時空がそれぞれ固有の流れを持つこと、それは互いに干渉して自滅することを防ぐための自己防衛。
ただしこの時空を主観として考えるならば、他の未来に宛がわれる “創られた過去” とはこの世界から若干の調整をされてできた所謂コピー。
大差は無い。過去、つまりこの時代の集約については理を無視したものではない。」
そうなのか…いやそれよりも、今言った自滅ってのはどういうことだ?
「全ての未来のトリガーとなる事象がこの世界に発生する。
ある人物が生きているために存在する未来があれば、死んでいたために存在する未来もある。
つまり矛盾。世界は矛盾を最初から無かったものとして存在を保とうとする。
イコール未来の消滅、そしてトリガーの抹消。全ての矛盾を消し去るならば世界には何も残らない。
だからこそ今回の件は “本来起こり得ない” 筈のもの。」
うーむ、だんだん理解に苦しくなってきた…。
「 “本来起こり得ない” 例えを出しましょう。静脈と動脈が途中で一つになっているとしたらどうなると思います?」
どこからともなく古泉の登場である。
「酸素を運ぶべき動脈は静脈と共に二酸化炭素を全身に送り、すぐに酸欠で死に至ります。
それが世界規模で起こることになるのです。違いますか、長門さん。」
顔を動かさず
「違わない。」
とだけ一言。
「だ、だったらこんなノンビリしてる暇無いんじゃないのか!?」
「……他方向の未来からの干渉を情報統合思念体総動員で防いでいる。
ただし一時凌ぎ。長くは持たない。すべての能力をそちらに使っているために原因を調べることも難しい。」
長くは持たない…、って一体どれだけなんだ?
「猶予は3日間。」
これはこれは、と肩を竦める古泉。
あまりにも唐突過ぎて理解しようとフル回転していた俺の脳も悲鳴を上げているようだ。
3日後に世界は滅ぶだって?
いや、長門はなんて言った?
猶予、と言った筈だ。この3日間で解決策を見出せ、と言うことと同義だ。
やれやれ…。世界の命運が俺達の手にあるとは。まぁ、それについては今に始まったことではないのだが。
こう何度も危機に晒される世界に同情の手を差し伸べてやりたい。
などと無駄なことを考えている場合ではない。
ん?向こうから歩いて来るのは朝比奈さん?
何やら雰囲気が重いような…。
「……全ての未来の干渉を遮断している。故に朝比奈みくるについても例外ではない。」
この後、朝比奈さんに泣きながら抱きつかれ、【禁則事項】を
ふんだんに散りばめられた怪文章を浴びせられたのは最早言うまでも無い。
なんとか宥めながら、それでも一向に泣き止まないので保健室に連れて行くことにした。
…何か誤解を生じそうだからハッキリと言っておくが、勿論俺・長門・古泉の3人で連れて行ったからな。
都合のいいことに、と言うと本来の保健室の機能を全否定することになるが、
担当の先生は出払っていてもぬけの殻だった。
この歳になっても、ただの一人で見知らぬ街に置き去りにされると流石に慌てふためく。
それも通信手段はおろか、切符を買うための金銭も持ち合わせていない、そんな状況でだ。
それが只今時空レベルで迷子進行中なのが、この涙をせっせと大量生産している朝比奈さんなのだ。
時空で迷子になるなんていう不安の大きさは、やはり当事者にしか計り知れないものなのだろう。
そう考えると朝比奈さんにかけるべき言葉がどんどん消え失せていく。
ああ、なんだって俺はこんなにもボキャブラリーの少ない人間なのだろうか。
そもそも、この手紙が現れてからこんな厄介な事になったんだ。
やり場の無いモヤモヤをぶつけるべく、ずっと手に持ち続けていた返事をする筈も無い例の手紙を広げてみたその時。
俺は目を疑った。
“──────────────…なかなか慣れないな。”
“修学旅行を覚えているか?珍しく偶然一緒に登校したあの日だ。”
“正直、まさか前日に見た番組の “進化論について” を延々と語り続けるとは思わなかったが。”
“すがすがしいのは天気だけだったな。まったく、お前は昔っから話の方向性がどっかズレてたよ。”
“ルビーを手に持って冬虫夏草の話をする、みたいな。例えるならそんな感じだ。”
手紙には続きの文章が現れていたのだ。
…やはり途中で切られているのだが。
これに意味が無い訳はないだろう。もし無ければこの事件は解決の糸口すら見出せないと言っている様なものだ。
そこで俺よりも、いや、恐らく地球上の人類全てより優れた頭脳を持つ長門と
長門のバイリンガルである古泉の2人に手渡してみる。
「どういう仕組みなのでしょうか。…しかし、ふむ…。修学旅行のお話の展開ですか…、成る程。」
何が成る程なんだ。自己解決で終わらせずに、ちゃんと話せ。
「涼宮さんがこの先いなくなってしまう、ということを伝えたいのならば、わざわざこうして過去の思い出を書く必要は無いのです。
それならばいなくなってしまう経緯を、表現をあやふやにしつつも織り交ぜていく方が効果が高いものなので。」
すると、ハルヒについてはもう心配しなくてもいいということなのか?
「まだ、なんとも言えませんね。僕の立てた仮説が杞憂で済むかと思いましたが、まだ確定要素は足りません。
ですが、修学旅行、つまり3年生になるまでの間は存在しているということは確実ですね。」
3年生…、修学旅行…。って、もう半年も無いじゃないか。
…いやまて?長門の話ではこの世界が滅ぶか否かは3日間次第だと言ってたよな?
修学旅行を無事終えているのなら世界は崩壊しない、ってことにならないか?
あー、また頭がこんがらがってきた。説明してくれ、長門。
「……未来の干渉により起こる時間平面の崩壊は始点を持たない。全ての時間平面枠が終点となる崩壊。」
つまり、どういうことだ?
「紙に書いた文字を消しゴムで消すか、火をつけて燃やしてしまうかの違いですよ。」
なるほど。実に不愉快だが古泉の例えは的を射ている。
世界というより時代の消滅、だな。
確かに存在していたが、存在しなくなる。…もう矛盾の2文字にこれ以上出演してもらうのは結構だ。
しっかし、つい昨日まで平和(であるかの基準は人それぞれだが)そのものだった筈の未来がたった1日でこうも変貌を遂げるものだろうか。
その未来が訪れるのかどうかも疑わしい状況で何をどうすればいい?
ハルヒの消滅、時代の消滅。
唯一のヒントとなる手紙は完成を遠くに忘れてきた未だ書きかけの便箋。
なにぶん情報が少なすぎる。
新たに文章が追加されたとはいえ現在8行しか無いその文章から具体策を練りだそうにも、何も無いところからは何も生み出せやしない。
だからと言って今日だけ特別に団長だけ席を外してもらって、俺たちだけで秘密会議をさせていただきます、などとハルヒ本人に言えるだろうか?
考えるために与えられた時間は殆ど用意されていない。
「部活に、…行かないと。」
十分に泣き尽くした朝比奈さんがすっくと立ち上がり、考えていたことを俺より先に行動に移す。
「今日だけ顔を出さないのは不自然ですから…。」
どこか抜けているようで結構しっかりしている、それが彼女だ。
今早足で保健室を出て行ったのも恐らく顔を洗う為だろう。
…ドアが閉まって数秒後に何かに躓いて転んだ音が聞こえたが、気のせいということにしておこう。
さて、件のハルヒはというと──
緊急しえん
支援
しぇん
…特にいつもと変わらない様子だった。
いや、今日から突然余所余所しくなったり怒り狂っていたり笑い転げていたりして欲しくも無いが。
とにかく今日も何事も無いSOS団活動を仕切るハルヒそのものであり、今日も週に何度あるのか解らない朝比奈コスプレショーを始め、
今日もまたいつものように俺と古泉の男性陣は廊下に放り出されて寒空に震えつつ、
こうして今日も何気ない一日、としか言いようの無い学校生活が終わったのであった。
我ながら今日という単語を馬鹿のように使った気がするが、そこは特に気にしないでいただきたい。
下校時間になると同時に
「用事があるから。」
と朝比奈さんの腕を掴んであっという間に廊下に消えてしまったハルヒ。
朝比奈さんを引きずって行かなければならない用事とは何だ?あまり良い予感はしないのだが…
単純計算で部室には3人が取り残される。
しばらくの間発生していた沈黙を破るかのように言葉を発したのは古泉だった。
「さて、どうしたものでしょうか。
このまま黙って世界が消え去るその日まで棒立ちで待っているのは僕も避けたいものです。」
そうだな、俺も同じ意見だ。何が悲しくて世界と無理心中しなくてはならんのだ。
「それだけじゃありませんよ。涼宮さんの事についても目を背けられません。」
分かっているさ。…しかしこうも情報不足ではどうしようもない。
「だからこそ、僕にも十分に頼って欲しいのです。
長門さん程には的確な答えは出せませんし、唯一出来る事と言えば閉鎖空間の対処くらいです。
ただ、僕が言いたいのは機関員だからという理由ではなく、SOS団員だから、いや──」
そこは流石に答えてやることにした。
「友達だから、だろ?」
時々ふと思うことがある。
長門、古泉、朝比奈さんは確かに一般人の目から見て特異な立場にいる。
それぞれの思想に基づいてハルヒを観察する3人だということを、俺は高1の時から知っている。
では彼らは与えられた任務だけこなしていればいいと考える機械人間か?
答えはノーだ。
俺が毎日この部室で、非日常にも愉快な一日が送れるのは心に心で接してくれる彼らがいるからだ。
心を持つ人間相手に過ごすという日常が、心を持たない宝石の山相手に過ごす日常より遥かに優れているという事を、忘れてはならない。
さてもう陽も暮れる。
電気ストーブ様の精励によりとても暖かなこの部屋から暴力的な冷気が立ち込める廊下に出るのは些か乗り気ではないが、
いつまでもここにいては日付が変わってしまう。
家に帰ったら真っ先に暖かい風呂に入って体を休めたいところだ。手紙についてはその後で考えるさ。
戸締りを確認して電気ストーブを消し施錠しようとしたが、電気ストーブに手をかけたところでそれは中断された。
長門によって、だ。
古泉は調べることがある、と既に部室を出て行った後なので現在この部室には俺と長門の2人だけ。
「どうかしたのか?長門。」
そう質問すると長門は何も言わずパソコンを指差した。
「パソコンに、何かあるのか?」
再び質問すると今度は答えてくれた。
「……メールの確認を。」
支援
よく分からないが、長門の言うことには最優先で従うべきであるということを俺は理解している。
言われたとおり、早速パソコンを立ち上げてみると確かにメールが来ていた。
数分前までハルヒが使っていたのに、気づかなかったのだろうか?
それともハルヒが出て行って俺達が帰るまでの数分の間をピンポイントに狙って送信されたのか?
メールを開いてみると奇妙なことに差出人は無記入で、件名も省略。本文にただ1行、
“未来に注意せよ”
とだけ書かれていた。
このメールを何故長門は感知できたのか?その理由を聞く前に珍しく自分からこう言った。
「先程、このケーブルから微弱な信号を感知した。それはこの時代ではまだ開発されていないもの。
私とあなたが丁度2人きりになる時を見計らい、そのうえ確実に発見されるように細工されたものと言い換えられる。」
何やらこのメールが大層な代物か何かに見えてくるが、…しかし。
「未来に注意…、って言ってもなぁ。」
注意しなければならない、なんてのは既知の最重要課題。
未来の干渉で世界の存在の危機だってのはもうウンザリするほどに理解しているさ。
今更警告されても…、ただただ拍子抜けするばかりである。
ひとまずこのメールを一読してから俺が考えたものは
未来に気をつけよう、が未来に充分に気をつけよう、に変わっただけであり、つまり姿勢は何も変わらない訳で。
「既に留意している分野を拾い上げて注意を促すことがまともとは言い難い。」
全くその通りだ。流石に長門もこのメールには呆れたか。
「そうではない。これはむしろこの事件の核心に迫るヒントだと受け止めている。」
…意味が全然分からない。俺の脳はスペック不足によりほとんど機能を果たさなくなっているのだから。
どういう意味か、俺に分かるように言ってくれないか?長門。
「……私達の近辺にも、 “未来” は存在している。」
ここまで聞いてもまだ意味が分からないと言う奴はこの部室以外にしか存在しない。
SOS団メンバー達から非日常を強引に理解させられた俺には長門の言おうとしていることが手に取るように分かった。
「朝比奈さんだと、お前は言いたいのか?」
長門は暫くの間押し黙っていたが、こう呟き始めた。
「断定は出来ない。ただ、今回の事件との関連性を考えれば妥当とも言える。
手紙について、時間移動説に首を横に振ったのも彼女ただ一人。
しかしどう見繕ってもこの手紙はこの時代に正規の方法で書かれたものではない。」
そして俺が遮るのも見透かすかのように続けてこう言った。
「私という個体は…、今述べた仮説が正しいとは認めたくない。
彼女もSOS団の一員。仲間を確証も無しに一方的に疑うことは、この世界で言う最も卑劣な行為。
逆に言うと、そういった仮説を立てざるを得ない程、この件は重大性を帯びている。」
そこまで聞いた時点で長門に何か言い返そうとする気は失せた。
長門だってこの世界を護ろうとしているのだ。世界さえ消滅しなければ傍観を貫き通す、一年前の長門はここにはいない。
その仮説に行き着いてしまった事について俺がとやかく言えるような立場ではない。
それに朝比奈さんを気にした言動の方が、俺にはむしろ喜ばしいことだ。
「……情報統合思念体に判断を仰げないからだと、私は認識している。」
そんなはずは無いさ。説明している最中に僅かに下がった眉、あれは長門の心の表れだろう。
認めないのかもしれないが、それは確実にお前が誇ることの出来る、真心というものなんだぜ?
帰り道、部室で話した説について、長門本人は忘れるようにと言った。
まずその説を正しいとするならば、どこから送信されたのか不明なあのメールを信じるのが前提だと付け足した。
確かに長門の言う通りだ。それに仮説が正しいものだとしても、それはきっと朝比奈さんにも事情があるのだと俺は思う。
【禁則事項】で秘し隠しにされるであろう、未来の事情が。
支援 猿食らうから注意
あとこれは聞く必要があったのかどうか定かではないが…。
長門にはこの寒空に対する不満は無いのだろうか?とふと過ぎった疑問心そのままに聞いてみたところ。
返ってきた言葉は
「ない。」
の一言。…ならば。
「でも流石に今日はいつもより寒いだろう。やせ我慢は良くないぜ?」
「……今日の気温は昨日と同じ。ただ湿度が少ない為に体感温度が低く感じられるだけ。
それに、私は体の構造が人間とは多少異なる。私にとっては平気でいられるレベル。」
「そっか。俺は寒いのは苦手なんだがな。」
「……そう。」
「そこでこれから一番に出くわすコンビニに立ち寄って家に帰るまでの熱量確保のためにおでんを食すつもりなんだが。
長門は寒さが平気だから必要無いな?」
「食べる。」
こうしてこの日もまた何の成果も上げずに終わる訳だが、停滞しているのはただボーっと手紙を眺め続けているだけの
俺の頭脳が生み出す解決策だけのようで、ついには睡魔に10-0で大敗を帰してしまったが、
手紙は俺達を嘲笑うかのように怪奇さを停滞させる気配を見せず、またも新たに文章を書き足していた。
その事に気づいたのは翌日の朝になってからだった。
支援
前編ここまで
支援サンクス
中篇以降は今日の日中あたりに。
しえん
おk 続きをwktkしている
最近の連載見てるとまとめか推薦か 長編SFとして読めるカテゴリ分けが欲しいとか思う カプは気にしない
尻穴アッー!
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 01:24:00.03 ID:Cxfe0WBNO
俺の…俺のマイアナルが…orz
オラワクワクしてきたぞ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 01:53:03.23 ID:/wIlsRnOO
ほ
あなるどうしようか?
あった方がいい+投下したい+保守は任せろという人がいるなら立ててくるけど
保守は任せろ!と言いたいが、投下があるかどうか……
しかし休日にアナルが無いのは寂しいぜ。
保守
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 02:50:36.33 ID:6rSKwnhM0
保守
しかし最近は1000行かないな。前は投下ない時は雑談とかやってたけど今は保守ばっかだし。
ゆとり鯖になって余裕出来たから人減ったか?
単に末期なだけ。
心配しなくても春になればまた厨どもが押し寄せるよ
保守
消失がアニメ化されたらナガトスキーが大量にくるだろうな…
今からボードに行って来る保守
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 04:35:26.33 ID:/XTwDDDQO
>>78 末期か…
仕方ないこととはいえ、寂しいなあ…
学生は忙しい時期だからね。
保守
ほせ
保守
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 08:05:07.13 ID:64CC6bE6O
保守
保守
先週ssを出すと言っていた者ですが。学業と家業のせいで終わりそうに無いので
今度は一ヵ月後投下します。(…多分…うん)
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 09:14:56.45 ID:nQDz5T2t0
>>88 学業と家業の両立は大変だな。がんばれ!
SSもwktkして待っているが無理はするなよ。
>>80 亀だが、絶対増えるな。
最初から長門萌えの俺にはなんか知らないけど気の乗らない話だ。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 10:28:50.95 ID:YBA+Lv3qO
今から大学の推薦入試な俺
ネタじゃなくて今朝からリアルに段差ですべったりiPod落としたりしてる
フラグktkrwwwwwwww
この時期に推薦あるのか
>>92 お前は古泉みたいに死亡フラグ乱立するような奴じゃないんだろ?
キョン並のフラクラだと信じている。
頑張れ!
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 11:38:22.63 ID:YBA+Lv3qO
>>93 センター利用だからね
>>94 俺<伝説のフラクラキングになってみせるさ
●<じゃあその前に一発。コウガクブスイセンアッソーレ
俺<アッー!!
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 11:44:05.95 ID:xGDkTppS0
この時期のセンター推薦なら面接だけだろ。余計なこと喋らなければどうとでもなる
>>89 GJwww MAD風にアニメ音声をちりばめてみたらどうだろうか
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/09(土) 12:03:15.79 ID:YBA+Lv3qO
とりあえず今日推薦終わったらSSの続き書こう
学生ガンガレ