【乙女の】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【夢叶う】

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
このスレはもしもローゼンメイデンが普通の女の子だったらという妄想を垂れ流すスレです

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki
ttp://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら画像保管所@Wiki-トップページ
ttp://www9.atwiki.jp/nanasi/

女子高スレ練習用wiki@幼稚園
ttp://www9.atwiki.jp/rosen_kindergarten/

nのフィールド@休憩所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/7014/
携帯からは↓
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/7014/

前スレはどうなったの?なんて言う時は・・・・・
2ch RozenMaiden過去ログ倉庫
ttp://rozen-thread.org/
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/02(土) 23:59:32.82 ID:y8viNgUz0
・『原則「コテ」禁止』
 コテハンの人の書き込みが悪いんじゃなくてコテを付いてるということが荒れる原因になりやすいので原則コテは禁止で。

・スレ・作品と関係ない雑談は控え、気に入らない作品や書き込みはスルーお願いします。

・非常時はまずWikiや雑談所で状況を確認してください。(本スレの消失など)

・長編でレスを大きくまたぐとき(前回の投下は>>51で今回は>>462とか)や前スレから の続きはタイトルやあらすじ、アンカー等付けると読者に優しい職人になれる。

・なるべく自分でWikiを編集できるようになりましょう。どうしても編集できない場合は雑談所の掲載状況スレで依頼しましょう。(簡単な説明の項目の通りである程度できます)

・性的描写はエロパロで。(投下するなら少年誌レベルぐらいまで)

・投下混雑時以外の「投下いいかな?」は不要。投下終了後の「やっぱグダグダだったorz=3」とかも不要。もっと自信持って投下しよう!
(目安として:投下ラッシュは大体22時前後。それ以外なら特に混む事は無し。)

・投下時、他の人と被るが嫌なら投下前のログの再取得は必須!

・未来アンカーやリレー小説はスレストの原因になったり投下し辛い空気にしたりするので控えてください。

・投下するときは「○○ネタだから注意」とか「○○系につき苦手ない人スルーよろ」などと付けた上、
 さらに「メール欄」に、あぼーん用の特定のNGワードを付記するなどの各自配慮をお願いします。
例:yuriyuri(百合)  sinineta(死)  uhouho(男色)  guroino(グロ)

・上記の他、Wikiの「簡単な注意事項」を読んだ上、分からない質問などは>>1のリンクから行ける雑談所やWikiでお願いします。
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:05:11.82 ID:e8dcP0wR0
>>1
乙!!
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:06:07.82 ID:WdMqk6iQ0
>>1
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:10:18.68 ID:iVIGe+HSO
いちおつ
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:14:11.96 ID:42zzHZjNO
薔薇>>1乙女
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:27:07.63 ID:6pyhfImX0
>>1おつ!
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:27:15.96 ID:UKtFsoWX0
危ない保
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 00:47:37.78 ID:42zzHZjNO
ほほほ
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 01:03:33.93 ID:x69SvSg30
>>1
乙かレンピカ!
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 01:19:37.83 ID:Vz5EdGLj0
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 01:44:02.05 ID:UKtFsoWX0
しゅ
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 01:44:11.44 ID:j3crhQOn0
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:04:22.98 ID:WdMqk6iQ0
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:15:29.11 ID:j3crhQOn0
銀「私は黒い天使様よおおおお!」
め「夜中のテンションて何か異常よね」

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:18:38.10 ID:e8dcP0wR0
ho
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:32:26.13 ID:GJRI9hyDO
「……寒い…」
「ん、そうだな…。…確か…明日雪降るって、テレビで言ってたっけ…」
「……寒いの、嫌い…」
「……夏の猛暑には、暑いの嫌いって、言ってたな…」
「……ジュン…」
「…何だ?」
「…寒くて、凍える私に…救いの、手を…」ジー
「…ったく、…こ、これで良いか…?////」ギュッ
「…えへへ、…あったかい……」

「…ボソッ…これなら…毎日、寒くても…良いかも……」
「ん?」
「…何でも、無いよ…♪」ギュッ
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 02:54:44.70 ID:WdMqk6iQ0
>>17
いいなあ、俺の手も頼む・・・
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 03:41:57.07 ID:x1QON9YgP
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 05:01:42.09 ID:x1QON9YgP
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 05:45:05.95 ID:Gnm+1uBeO
>>18
「じゃあ僕が握ってあげるよ////」ギュッ








「僕かい?担任の梅岡だよ!」
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 06:23:25.28 ID:Fjjc/nwb0
>>21
騙された
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 06:30:34.99 ID:tsgzjUhpO
おはようございます
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 06:39:34.55 ID:OuXIEhxN0
翠「先生、出張です」
ジ「わかりました」

ジ「・・・・・帰っていいですか?」
蒼「駄目です」
ジ「聞いてないよ・・・健康診断だなんて聞いてないよ・・・」
翠「なぁに言ってるですか?健康診断も立派な仕事ですよ」
ジ「それは分かっているよ・・・でも・・・高校に健康診断って・・・」
蒼「何か過去の高校生活にトラウマが?」
ジ「違うよ!僕が言っているのはそうじゃない!なぜ男子校だと言っているんだ!」
翠「・・・・・」
ジ「JKならともかくなんで僕が汗臭い野郎共の健康状態を調べなきゃいけないんだと言って居るんだ!」
蒼「JKとか言うな」
ジ「いやだ!もうお家帰る!」
翠「ふんっ!」ドゴッ
ジ「ほぶっ・・・・そ・・・・その程度で僕が引き下がるとでも・・・」
銀「あのぉ・・・」カチャリ
ジ「なんでしょうか?」
銀「そろそろ始めてもらってもよろしいでしょうか?」
ジ「勿論です、万事準備は整ってますよ、良ければ先生の健康診断もやりましょうか?あはははは」
銀「あら・・・よろしいんですか?」
ジ「勿論ですよ!生徒さんを教育するには先生にも健康で居てもらわないと!」
銀「うふふ・・・それではまた後ほど」カチャリ
ジ「さぁ翠星石君蒼星石君生徒さんを入れてくれたまえ、有望な子供たちの健康管理こそ医者である僕の本懐、さぁどんどん行くよ!」
翠「ぶっ飛ばしていいですか?」
蒼「顔は駄目だよ」
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 07:31:14.54 ID:7e0Fr99qO
ジュンは正しいと思います
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 08:04:25.26 ID:7e0Fr99qO
ほしゆ
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 08:33:52.84 ID:42zzHZjNO
>>24
読んでたら無性に見たくなったんで、レンタルしてくる
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 09:08:49.40 ID:Fij1T5s10
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 09:13:00.51 ID:WdMqk6iQ0
>>21
手を離せw

>>24
狙うは腹かw
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 10:05:45.29 ID:7e0Fr99qO
保守
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 10:48:27.89 ID:6pyhfImX0
起きた保守
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 11:15:25.86 ID:7e0Fr99qO
保守
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 11:50:35.63 ID:7e0Fr99qO
保守
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 12:10:18.67 ID:tsgzjUhpO
蒼「雪だね姉さん」

翠「雪ですぅ」

蒼「雪だるま作ろうよ」

翠「寒いから嫌ですぅ、翠星石はこたつでみかんが良いですぅ」

蒼「僕はせっかくの雪なんだから姉さんと遊びたいのに。」

翠「蒼星石は独りで遊んで来れば?ですぅ」

蒼「姉さん寒いからってこたつで丸くなっていたら肥るよ」

翠「こんな日に外で走り回るのは犬か蒼星石くらいなもんですぅ」

蒼「僕は犬じゃないよ姉さんの猫女」

翠「姉を捕まえて猫女とはなんですかですぅ」

翠蒼「ふん!」

でも10分後には仲直り
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 12:36:28.78 ID:Vz5EdGLj0
ho
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 12:37:27.40 ID:RvwKDlmRO
>>34
ほのぼの、いいなぁww仲良くてww
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:09:39.64 ID:GJRI9hyDO
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:18:49.15 ID:RvwKDlmRO
生みの親の顔なんて知らず、元々孤児。今は、人を殺して生きてます。


初めて手を染めた殺人。そこから、仕事を手にいれた。

殺した時、なんの感慨も湧いてこなかった。
ただ、人を撃っただけ。


手にした仕事は、公的な殺人。
殺人の手際と、童女のようなルックスを買われた。

そして始めた一人暮らし。

様々な出会い、別れを繰り返し、見つけた仄かな恋心。

それでも、私が殺人者であることには、変わりなく…



DUNE


嘘予告
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:27:30.29 ID:OMN444zp0
>>34
グッと来た
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:32:05.13 ID:Vz5EdGLj0
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:34:06.46 ID:7e0Fr99qO
>>36
ああ
僕が今の作品を終えた後に手を出してみようと思っていた内容にそっくりです
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:43:03.42 ID:Vz5EdGLj0
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:54:26.22 ID:Vz5EdGLj0
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 13:55:06.58 ID:RvwKDlmRO
>>42
なんとまぁ…どうぞ、お気になさらず
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 14:24:23.33 ID:7e0Fr99qO
いえいえ、そっくりは言い過ぎでした。似たような感じです。
保守
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 14:50:16.47 ID:7e0Fr99qO
保守
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 15:02:27.72 ID:j3crhQOn0
紅「ジュン、だっこしてちょーだい」
ジ「はいはい、よっこいしょ。真紅もだいぶおっきくなったなぁ」
紅「子どもあつかいしないでちょうだい。真紅はちっちゃくてもしくじょなのだわ」
ジ「それを言うなら淑女だろ。やっぱり真紅はちびっこだなぁ」
紅「うううぅ・・・それいじょうばかにするとおこるのだわ!」
ジ「はいはい。ちびちび真紅様」

の「絵になるわねぇ」


48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 15:04:17.42 ID:WdMqk6iQ0
ちっちゃな淑女かわいいのう
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 15:17:34.21 ID:tsgzjUhpO
チビチビ真紅カワユスギ
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 15:32:08.44 ID:Vz5EdGLj0
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 16:01:16.53 ID:j3crhQOn0
巴「桜田君、私、あなたのことが・・・」
巴「僕も本当は、柏葉、君のことが・・・」
巴(やっぱり私たちは通じ合っていたのね!)
巴(僕と彼女は一緒になる運命だったんだ!)
巴「ずっと一緒にいようね、ジュン君」
巴「ああ、ずぅっと一緒だ。巴」

ジ「・・・おい、柏葉。さっきから一人で何をぶつぶつ言ってるんだ?」
巴「ふぇ? 桜田君がもうひとりいる? ていうかさっきまでいた桜田君はどこ?」
雛(ついに巴は自分の中に『理想の桜田ジュン』という人格を作り上げてしまったの・・・)

52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 16:41:11.82 ID:WdMqk6iQ0
人格か・・・
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:08:45.03 ID:Vz5EdGLj0
ちょwwwwあぶねぇwwwwwww
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:24:25.41 ID:Vz5EdGLj0
ho
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:35:56.76 ID:j3crhQOn0
honuru
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:39:01.09 ID:tsgzjUhpO
雛「トモエエェェ壊れ過ぎなのよ」
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:56:33.79 ID:RvwKDlmRO
投下しますので、数レス頂きます。


もしかすると猿くらいますかもしれません。
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:57:10.12 ID:RvwKDlmRO
戦災復興支援駐在軍について
市民の皆様のご協力をお願いします。

暴動が終結し、はや3ヶ月、今この国には5ヶ国の軍隊が治安維持、復興支援のため駐在しています。
しかし、報道規制が敷かれている今、何が事実か、
どんな事件が起こっているのか、我々の元には一切情報が入ってきません。
ただ、あなた方の周りにはどのような噂が飛び交っていますか?
駐在軍人による窃盗、暴行、殺人。様々な事件についての噂があります。
今、混乱した一部の人々が、自警団を組織し、外国人を排除しようとする方向へと動いております。
ここで、皆様にもう一度考え直していただきたい。
何が事実か、その事件は果たして本当に起こったのか、もう一度考え直していただきたいのです。
彼らは、私たちのために、身を粉にして働いています。
このような事を書き、売国奴と、我々を罵る方もいらっしゃいましょう。
その覚悟もあります。
それでも、申しあげなくてはならないことが、あります。
何が正しいのか、何が間違いか、もう一度、よく考え直していただきたい。


(某市、市議会から、市民への通達書より)


DIABOROS 第七話 「Future」



59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:57:59.86 ID:RvwKDlmRO
目を覚ますと、そこは知らない天井だった。体を起こし、周りを見渡す。
…保健室だろうか。だが、知っている学校のものではない。
そして、僕はそこから廊下へと出る。明るい。朝か?
一体どこだろうか。そう思い窓の外を見るが、案の定、見たことのない景色が広がっていた。
山が近いな。もしかすると、森に囲まれたような土地なのかも知れない。
…この窓ガラス、特殊なやつだな。見た目は普通でも、外に光が漏れないタイプだ。

それにしても、人がどこにもいないな。外へ出るのは誰かを見付けてからのほうがよさそうだ。

そうして、校舎を歩き回っていると、どこかから、聴き覚えのある音楽が流れてきた。
今は3階。となると、4階からか。
…誰だろう?ピアノを弾いているのは。
辺りが静かなせいか、ある程度遠く離れてみても、おそらく音は聴こえるだろう。
そして、階段を登りきり、4階へ着いた。そして、音楽室とのプレートが書かれたドアの前へ来た。
どうやら、ここから聴こえるようだ。
恐る恐る扉を開け、中へと入る。こちら側からは、ピアノが邪魔で、弾いている人間が見えない。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:58:40.83 ID:RvwKDlmRO
奥へと移動し、その人物を目にする。
二人いた。両方とも女性なようだ。一人、弾いている方は、白を基調とした服装で右目に眼帯をした4、5つ年上の女性。
もう一人、目をつむり、聴き入っている方は淡い紫色を基調とし、反対の左目に眼帯をした女性、いや同い年ぐらいの少女だった。

二人は恐らく僕に気付いているだろうが、構わず、演奏を続けていた。
僕もそれに倣うことにした。
この曲は…、「Merry Christmas Mr.lawrence」だったよな、確か。
何回か聴いたことがある。
彼女の弾いているこの曲には、どことなく悲しみが込もっているように感じた。
思っているうちに、曲が終わりを迎えた。
聴いていた少女と、僕は拍手をした。
あまり音楽については分からないが、これは拍手に値すると思えてた。
「桜田ジュン様、でしたよね?」と弾いていた方が言った。
「え、えぇ。そうですけど…」正直、面食らった。
何故、初対面の人が僕を知っているのだろうか?
…。あぁ、そうか。彼女が僕を連れて来たのか。
「雪華綺晶と申しますわ。そして、この娘は、私の妹で薔薇水晶です」
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:59:09.81 ID:RvwKDlmRO
「…よろしく」と、小さな声で、薔薇水晶は言った。
ピアノを弾いていた方が雪華綺晶、聴いていた方が薔薇水晶と言うらしい。
…それにしても、姉妹とはいえ、双子のように似ているな。
「ここで話すのも何ですので、応接室へ行きましょうか。付いて来て下さいまし」と、音楽室を出ていった。
薔薇水晶は、彼女の影のように、後ろを一定の距離をもって付いて行った。

階段を下り、別の校舎一階の応接室へと着いた。
そこのソファーへと雪華綺晶は座り、薔薇水晶は従者のようにその斜め後ろに立った。
「どうぞ、お座り下さい、ジュン様。それにばらしーちゃんも座りましょうよ」
「いい…。私は立ってる…」
僕は対面するかたちに座ることにした。

「先に言っておきましょう。私がテロリストのリーダーです」

驚きなんてなかった。彼女の纏うオーラは、普通の人のそれとは違っていたのだ。
芸能人とかが纏うものとも、また別種だった。
僕の表情が変わらないのを見て、
「あら、驚かれないんですね?」
「薄々感づいてましたからね」

62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 17:59:39.14 ID:RvwKDlmRO
どうしてだろう。彼女から何の驚異も感じない。テロリスト、殺人者のはずなのに。
彼女の纏う空気は、透明、いや、純粋なのか?
違う。
これは、そう、

…虚無。

「では、言い方を変えます。私が憎くはないのですか?親の仇。国を壊した敵として」
「…本当は、憎しみを感じるんだろうけれど…、僕は何も思わない。
というよりも、ついさっき思い出したばかりだからかな、頭がぼうっとするんだ。フラッシュバックしてもよさそうだけど」
本当に何も感じない。
「…。彼女の報告通りの人物ですね。貴方は。彼女は何をしたいのでしょうか…」
…?何の話だ?
丁度その時、薔薇水晶の携帯が鳴った。
「もしもし…。はい。…分かった。彼…?起きたよ…。…うん。応接室…」
「3人とも着いたようですね。タイミングがいいですわ」

「…。ここは一体?」
先に言うべき質問を今さらになってぶつける。
「ここは、愛知県の廃校ですわ。ここからなら“壁”もそう遠くはないですね。
一応、西側の拠点の一つですよ」
「何で僕はここに?」
「ふふ。それは全員揃ってからにしましょう」
「全員?」
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:00:09.19 ID:RvwKDlmRO
「今に分かりますわ」

誰かの足音。それも、何重かに重なっている。

扉が開き、彼女に会釈をして入ってきたのはどれも知った顔だった。

「運転、お疲れ様ですわ、白崎」
「いえいえ。この辺は自動にできますからね。あまり苦労はないですよ」
「それでもお疲れ様です。結菱さんの方はどうです?人心の掌握は十分ですか?」
「あぁ、問題はない。最終段階まで進められる状態だ」
「そうですか。あと、確認ですが、東の方は?」
「そっちも構わない。二葉がうまくやっている」
「分かりました。では、そろそろ実行しましょうか。となると、オディール。あなたの役割もそろそろですよ」
「いいですよ。ほとんど書き上がっています。あとは、全てが始まるだけです」
「それならいいです。あとはゆっくり見ていて下さい」

そう、この3人だった。つい最近会ったばかりの。
僕には、この3人の顔が、会った時よりも、生き生きとしているように見えた。

改めて、会話をする。
「オディールさん、白崎さん、結菱さん。どういうことですか、これは」
困惑し、少し早口になっているのが自分でも分かった。裏切られた気もした。
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:00:38.19 ID:RvwKDlmRO
だが、詰まりそうになる言葉でも聞かなくてはならないこては多々あった。
「お前等は何なんだ!」丁寧に話していた口調が崩れてしまった。
「というと?」白崎さんが答える。
「なんでテロリストと一緒にいるんですか!」
「仲間だからだよ」と簡単に返ってきた。
「じ、じゃあ、あなた達は何が目的なんですか!」
「我々の目的は、新世界の樹立だ」今度は結菱さんが答えた。
「そうじゃなくて!僕をここに連れてきた理由を!」
「まぁ、落ち着きなさい。それに、そのことをはなしてしまうのは、些かつまらないだろう?」
「つまるつまらないの問題じゃない!」
して僕は全ての元凶へと目を向けた。
だが彼女は
「ごめんなさい。そのことだけは私も知らないのですわ。この4人が考えたことですもの。
それと、さっきまでの冷静な貴方はどこへ行ってしまわれたのです?
信じていた人に裏切られてショックというのは分かりますが、落ち着いた方が、何事も良い結果に繋がりますよ」

意外だった。彼女に知らないことなどあったなんて。
何もかも、知っていそうな印象を受けていたから。
それに、図星だったのだ。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:01:05.20 ID:RvwKDlmRO
だが、そのおかげで、無理矢理自分を落ち着かせることができた。
ゆっくりと、気になることを聞き出して行く。

「まず、オディールさん。あなたが前に言っていた友人とは彼女のことですか?」
「そうですよ。やっぱりあなたたちを会わせて正解な気がします」
「?どういうことです?」
「いえ、今のは気にしないで下さい。こっちの話です」
「いや、教えて下さい。ここに連れてきた理由と関係あるんでしょう?」
「…。あなた、案外鋭いですね。だけど今はまだ教えられません。
時期が来たら教えます」
「それって、いつのことですか?」
「さぁ?少なくとも、全てが終わってからですね」

その後は、どう言おうが、のれんに腕押し、ぬかに釘。
何も教えてくれなかった。

そして、様々な質問をぶつけているとき、突然、雪華綺晶が手をパンと叩き、
「時間も時間ですので、そろそろ朝ごはんを食べましょう」と言った。
とても、楽しそうな顔で。テロリストのリーダーとはとても思えない、純粋で、無邪気な表情だった。

その言葉に、僕以外の全員が同調し、僕は不満の声をあげるものの、結局流されることとなってしまった。

66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:01:28.77 ID:RvwKDlmRO
それから30分後、オディールと白崎さんが作った料理を食べることとなった。
なんでこんなに時間がかかったかって?それは量のせいだ。

目の前には、朝食とは思えないほどの量がずらっと並んでいる。
それを、上品かつ、とてつもないスピードで平らげている女性が一人。
雪華綺晶だ。なんてまぁ、幸せそうな顔だろう。

ちなみに今は、二人が料理を作っていた家庭科室室の隣の教室で、机を合わせて食事をしている。
小学校や中学校の給食で経験はないだろうか?
班を作って、といえやつである。僕は昔からそれが大嫌いだった。
一緒になる友人がいないとかではなく、人と合わせて、ということがだ。
しかし、この時は、嫌悪感と安心感という相反する2つの感覚を8:2ぐらいの割合で味わっていた。
もしかしたら、あの頃の未来には、こんな自分は立っていなかったのかもしれない、
という思いを持ち、元凶を憎もうと思ったが、あの無邪気な表情を見ると、そんな感情など、消え去ってしまった。
そして、同時に考える。どうして、こんな純粋な彼女が壁を作らせるようなしたのだろうか、と。

67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:01:59.92 ID:RvwKDlmRO
そして、豪華な朝の“給食”が終わり、改めて質問をぶつける。
さっき、ふと思い浮かんだ疑問“なぜテロ行為などしようと思ったのか?”
それをぶつけてみようとしたが、思い止まった。
正直に言おう。怖かったのだ。
もしかすると、彼女はテロリストなどではなく、ただの一般人ではないか?
なんていう淡い幻想を打ち砕かれたくなかったのかもしれない。
いや、恐らくそれもあるだろう。
しかし、それ以上に、底知れぬ深い闇に引き込まれるような予感がしたねだ。
それに触れただけで、もう二度と、戻って来れなくなるような気が。
慌てて、別の質問を探し出す。
「え、えっと…。そうだ。大体どれくらいの戦力を持ってるんだ?ここは」
「そうですわね。世界中の軍隊の30分の1ぐらいですわね」
「…。それって多いのか少ないのか…。少ないんだよな?」
「えぇ、全体の数から見ると、圧倒的に少ないですわ。
でも、こちら側には、有利な点がたくさんあるので、多いともいえますわね」
「有利な点って?」
「向こうからは、誰が敵なのかは分からず、こちらとしては、ポイントさえ押さえてしまえば、
相手の自滅を誘うことが出来ますわ」
それに武器の調達なんて楽ですからね、といたずらっぽく笑ってみせた。

汚れを知らない少女のような無邪気さ、全てを知っている悪魔のような恐ろしさを兼ね備えた不思議な女性だった。

僕は、彼女が怖かった。
そして同時に、オディールの言うとおりね、不思議な共通性を感じているのだった。



DIABOROS 第七話 「Future」了
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:02:30.68 ID:RvwKDlmRO
投下完了です。


やっと本編入った…
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:34:51.60 ID:RvwKDlmRO
保守
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 18:52:21.37 ID:e8dcP0wR0
ho
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 19:20:44.81 ID:6lZBW+Xg0
ho
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 19:51:56.83 ID:tlrAnvwRO
あぶほ
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:04:24.03 ID:Vz5EdGLj0
ho
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:04:46.01 ID:Vz5EdGLj0
GJ!
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:15:29.58 ID:j3crhQOn0
銀「『黄昏の姫君』と言えば何を思い出す?」

ジ「ゼルダ」
薔「『ARIA』のアリスちゃん」
銀「あなたたちに聞いてよかったわ」

76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:26:31.02 ID:Vz5EdGLj0
ho
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:31:35.81 ID:CfnI2aZ+O
>>68
お疲れ様です。
さぁ…これからどうなっていくのでしょうか。

全世界の軍隊の三十分の一…。
…テロリストにしては結構多い様な…w
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:36:26.76 ID:e9Bn08yT0
>>68
いろいろ・・・・・・・・・・・・・カオス
>>77俺も同じ事思った
それはテロリストじゃなく 大国の軍隊規模だよね
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 20:37:46.23 ID:RvwKDlmRO
>>77
完璧に適当な数値です…妥当な所が分からない。
wikiで今度、その部分だけ書き直そう…orz
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:01:00.98 ID:7yG0aKT30
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:01:58.88 ID:WdMqk6iQ0
>>68
懐かしいなあ、机あわせての給食・・
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:03:22.48 ID:RvwKDlmRO
にしても、結構いるんだなぁ、読んでる人。
世界観が世界観だから、切ってる人多いと思ってた
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:03:29.47 ID:OMN444zp0
〜10年前〜
幼女1「鬼はそとー!!」
幼女2「銀ちゃんって眼が赤ーい!!変なのーー」
幼女3「鬼だー鬼だー!!」
幼銀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
幼女2「何も言わないの〜!?」
幼女3・1「鬼に人間の言葉がわかるわけ無いじゃんかーー」
幼銀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・バk」
幼女達「キャーーーーー喋ったーーーー」

〜現在〜
翠「節分の鬼役は水銀燈に頼むですぅ」
紅「眼が赤いから似合いそうなのだわ」
苺「銀鬼ーー」
金「何か強そうかしら・・・」
蒼「眼が赤いからって、酷いんじゃないかな・・・」
ジ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
銀「あらぁ・・・皆集まって・・・何の話ぃ?」
翠紅苺金蒼 「うっ・・・・・・」
ジ「豆まきの鬼役の話をしてたんだ」
銀(どうせ私の眼のせいで今年もまた鬼役ねぇ・・・
    今年も毎年通り数分耐えれば良いだけだわぁ・・・) 
銀「で?誰なのぉ・・・?やっぱりわt」
ジ「僕がやることになったよ」
翠紅苺金蒼 (え??)
銀「・・・え?私じゃなくてぇ・・・?」
ジ「うん。僕がやる」
銀「そぉ・・・」
   (私が鬼じゃないなんて・・・初めて・・・)
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:06:52.12 ID:Vz5EdGLj0
ジュンいい男
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:13:12.08 ID:e8dcP0wR0
>>82
それは普通に面白い話があるからだとおもうんだぜ保守
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:18:20.20 ID:e9Bn08yT0
>>83
JUN・・・・漢だぜ
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:28:00.53 ID:e9Bn08yT0
>>78マジへレス
1位 中国230万人 予備役や民兵を合わせると600万とも800万とも
2位 米軍140万人
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:28:54.22 ID:j3crhQOn0
>>83
こういうのをナイスガイというんだろうな。

BINJO

雪「私が鬼をやりますわ」
薔「え、いいの」
雛「遠慮はしないのよー!」
雪「豆を大量に投げてもらえるなんて、
  こんなに嬉しくて幸せな役職はそうそうありませんしね。ごちそうになります」
金「そんなに言うなら・・・おりゃー!」ポポイポイッ
雪「パクパクパクパクッ」
蒼「全部空中で口キャッチ・・・」
銀「この娘・・・できる!」

89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:30:04.83 ID:RvwKDlmRO
>>83
ジュン、惚れたぜ

>>
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:33:05.09 ID:OMN444zp0
>>88
できるw
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:33:20.57 ID:e9Bn08yT0
>>88
これは良いキラキーです
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:33:25.93 ID:RvwKDlmRO
>>83
ジュン、惚れたぜ

>>87
ホントに感謝。なにぶん頭に思い浮かんだ数字なもんで…。

>>88
む、バレットタイム使ったような映像が浮かんできた。
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:42:54.91 ID:Vz5EdGLj0
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 21:51:49.73 ID:xPxHevZj0
しゅ
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:01:18.82 ID:Vz5EdGLj0
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:16:34.89 ID:1/9krYwhO
保守かしら
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:17:24.61 ID:WdMqk6iQ0
>>83
ジュンかっけー
まあでも片目だけが赤い人なら他にも・・・
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:20:14.41 ID:e9Bn08yT0
JUN「赤鬼と言えば真紅だろ」

JUN「うわ、やめろ:あ、。@pぢf@phりにとおぷqっwrふじこ〜」
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:30:52.01 ID:Vz5EdGLj0
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:42:07.98 ID:7e0Fr99qO
誰もいないかな…?
《とある処での出来事》の続き、投下致します。
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:42:25.36 ID:7e0Fr99qO




 しと、しと、しと。




「――ええ。柴崎さんの処。時計屋の方まで全部燃えちゃったって。元治さんも、マツさんも家の中に居たそうで…」

「ええっ、お二人とも!?」

102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:43:07.25 ID:7e0Fr99qO
「どうやら、そうらしいのよねぇ…あのお二人、本当に良い方々だったのに…」

「本当よねえ…家の子達もよく御世話になっていたものだわ」

「ええ。でもあの二人って、そんなに昔から居た訳じゃ無いんでしょう?」

「ええ…確か十年程前じゃなかったかしらねえ…
 元々お二人の息子夫婦が済んでいたんだけど、二人とも無くなっちゃってね、其処に移り住んできた、って話よ」

「そうなの…私もそんなに昔から居る訳じゃ無いから…知らなかったわ」

「其れでね、彼処の息子夫婦には、一人、娘さんが居るのよ。翠星石ちゃん、って言うんだけど。
 …此れからどうするのかねぇ…私達と歳も十歳離れていないのだけど、未だ独り身らしいし…」

「そうなの…身寄りが居れば良いけどねえ」

「本当、あの娘も両親の次は祖父母を亡くして…未だ若いのに、可哀想ねえ…」

「ええ。本当、可哀想だわ――」




103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:43:50.29 ID:7e0Fr99qO
《とある呉服屋での出来事―八月二十六日―》




 しと、しと、しと。




「――雨か」

「――じっとりしてますね、坊っちゃん」

「ふああ…」

「ほら、そんなにもたれたいで。お客様が来られたらどうするのですか。今からが一番お客様が来られるのですよ?」

「大丈夫だよぅ…こんな憂鬱な日には客なんて来ない――」

「済みませんです…」

「わっ!…済みません、いら――って、翠星石!?どうしたんだ、そんなずぶ濡れで!?」

「あらあら…!ちょっと待ってて頂戴。直ぐタオルを持って来ますからねえ」

「…………」

「……と、取り敢えず上がってくれ。寒かったろう?お湯、沸かしてくるから、入ったらどうだ――」
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:44:16.55 ID:7e0Fr99qO
 しと、しと、しと。




「――お風呂、使わせて貰ったです」

「ああ。――其の服、大きさは合っていたか?」

「ええ、ぴったしです」

「そうか…」

「…………」

「…………」

「あのう」「なあ」

「あっ…ジュンから、話すです」

「…どうして傘も持たずに此処まで来たんだ?」

「ええと…そのう…」

「…………」

「…け、喧嘩したですよ、おじじと!」

105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:44:54.84 ID:7e0Fr99qO
「…はあ…何でだ?」

「はあっ!?理由なんて何でも良いじゃねえですか!」

「あ…そうか…」

「えっ…」

「…どうした?」

「…何でも、無いです」

「ん?そうか…」

「……――」




 しと、しと、しと。




106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:45:22.89 ID:7e0Fr99qO
「――其れで、君の話は何だい?」

「いや、そのう…」

「…まさか、泊めてくれ、などとは言わないよな?」

「…………」

「はあ…
 ――姉さんに、後で訊いてみるよ。空いてる部屋は有るから、今日は其処に寝床を敷くと良い」

「…ありがとです」

「…其れで?柴崎さんの方には連絡は入れなくて良いのか?」

「あ、ええ…大丈夫だと思うです…」

「ん、話しにくいか?ならば後で姉さんに――」

「あっ、駄目ですっ!」

「…どうしてだ?」

「あ、いや…と、兎に角!駄目な物は駄目なのです!」

107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:45:45.40 ID:7e0Fr99qO
「そうか…分かったよ」

「…あの、ジュン?」

「どうした?」

「…迷惑、ですか?」

「…何を急に言い出すんだ、君は」

「だって…何時も私は此処に遊びに来て――此処はお店なのにですよ――私は御世話になってばかり。
 私は、余りに虫が良過ぎるです。こんな人、誰が快く迎え入れてなど――」

「…ふふっ」

「な――何で笑うですかあっ!」

「ふふ、だって君の口からまさか其の様な言葉が出るとは思わなかったからな」

「う…五月蝿いですよ。私だって、分別の有る人間ですから、其れ位は気にするです」

「へえ。君にもそう云う部分が有ったとはね。良い事じゃあないか」

「なっ…馬鹿にしてるですかぁ!?」

「や、馬鹿になどして無いさ。本当に良い事だと、思うが?
 其れに、何を今更、此処に来るのに躊躇いを感じているのだ?前も言ったろう、皆君の事を好いていると。どうして迷惑な事が在ろうか」

108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:46:03.54 ID:7e0Fr99qO
「…………」

「そんな風に君がしょんぼりしているのは、似合わんぞ」

「そう、ですよね…
 ――やっぱり、言えないな…」

「…どうした?」

「や、此方の話ですよ。ところで、おばさんとのりさんは何処ですか?」

「そうだな…店に居るんじゃあ無いか?」

「有難うです。ちょっとお礼を言いに行くですよ――」




 しと、しと、しと。




109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:46:20.92 ID:7e0Fr99qO
「――あのう、すいませ――あ、お客さんがいるですね…」

「あら、翠星石ちゃん、どうしたの?」

「あ。のりさん、お風呂、有難う御座いましたです」

「そんな、良いのよぅ、翠星石ちゃん。気軽に使ってくれて構わないのよ?」

「あ、ありがとです」

「――あ、そうだ!ちょっとおばさん!」

「何でしょうか?」

「……ごにょごにょ……」

「ええ…ええ、良いじゃないですか!」

「…何ですか?」

「ちょっと翠星石ちゃん、此方にいらっしゃい」

「え、ちょっと!何処に行くんですか――」


110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:46:56.82 ID:7e0Fr99qO
----------



「――さあ、此の色留袖に着替えて頂戴」

「此れって…嘘、まさか!」

「ええ。貴女にはちょっと接客をさせてみようと思うの」

「ええっ!?むむむ、無理ですよぉ!」

「ふふ、大丈夫よぅ。接客って言っても、立ってて『いらっしゃいませ』って言うだけで構わないから。後は私達で何とかするから。ね?」

「あ…わ、分かったです…」

「やった!じゃあ、早速着付けよぉ」

「ふふ…お客さんが増えてきた頃合いだし、丁度良かったわ――」



----------



111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:47:19.90 ID:7e0Fr99qO
「――先ずはご挨拶。そして上品な振る舞いで、ね」

「わ…分かったです…」

「よし、じゃあ行くわよ?」

「なななな…何でさっきより人が増えてるですか!」

「そりゃあ、今が一番混む時間帯なんだもの」

「ひいぃ、やっぱ無理です――」

「私は向こうの方に行きますから、のりさんと翠星石ちゃんは入口のあの方をお願いします。あの方、いつもは旦那様と来ているから、独りは馴れていない筈。
 よし、じゃあ行くわよ!――いらっしゃいませ」

「じゃ、私達も行くわよ――」

「あ、待ってです…」

「いらっしゃいませ。お久し振りで御座います」

「あら、のりさん。いつにも増してお綺麗な事。
 ――あら?そちらの方は…」

「あ…え…ええと……」

112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:47:38.52 ID:7e0Fr99qO
「ほら、翠星石ちゃん。ご挨拶」

「い…いらっしゃいませですぅっ!」

「へ……」

「…あ…うう……」

「いらっしゃいなの、お姉ちゃん!」

「こらっ、ヒナ!失礼ですよ!
 ――ふふっ、大変元気で素晴らしい事。何か良いですよ、其の元気さ。
 のりさん、此方の可愛らしいお転婆な娘さんは?」

「ええとですね、今日一日だけ、看板娘になって貰っている娘です。御迷惑をお掛けして、申し訳御座いません」

「そんな、迷惑だなんて思ってないわよ。寧ろ、良い物を見せて貰っているわよ。貴女、とても似合っていますよ」

「あ、有難う御座います…」

「――ええと、いつもは主人と来ているものだから、何れが良いのか今一分からないのだけど…」

113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:48:27.32 ID:7e0Fr99qO
「其れなら此方に着付けの例を載せている型録が御座いますが、御覧になるでしょうか?」

「本当?是非、見せて頂きたいですわ」

「畏まりました。
 ――此方になります」

「へえ…皆綺麗な事」

「何れも、私の弟が撮った物です」

「へえ、ジュンさんが…流石、此の店の店主なだけありますね」

「恐縮です」

「ううん…皆似合っているわねえ
 ――あら?あっ、此の写真って…」

「ふふ、お気づきになりましたか?」

「――ああっ!此れって、私の…」

「……綺麗…
 貴女、本当に綺麗よ。素晴らしいわ」

「あ、有難うです…」

114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:48:45.67 ID:7e0Fr99qO
「決めた、私も此れと同じのを頂戴。貴女とは、十歳位離れているみたいだけど、似合うかしらねえ?」

「え、ええ。きっと似合うですよ」

「ふふ、其れなら良いのだけど。有難う、お嬢さん」

「ふふ、どう致しましてです」

「試着の準備が出来ましたので、此方へ」

「ええ、有難う。…頑張ってね」

「はいですっ!」

「うゆ…お姉ちゃん、お母さんは何処に行くの?」

「ふふ、綺麗におめかししてくるですよ」

「ヒナ、楽しみなの!」

「そうですね、大好きなお母さんが綺麗になるのは楽しいですよね…」

「お姉ちゃんは、楽しいの?」

「えっ――」

115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:49:15.42 ID:7e0Fr99qO
「お姉ちゃんも、とーっても楽しそうな顔、してるのよ?」

「…………
 ええ…楽しいですよ…此処は、楽し過ぎるです…楽しすぎて、つい忘れちまってたですよぉ…」

「…うゆ?お姉ちゃん、泣いてるの?」

「…うっ…泣いてなんか…」

「やっぱり泣いてるの!
 ヒナのうにゅーあげるから、もう泣かないでなの!」

「い、苺大福…」

「食べてなの!食べたら元気いーっぱいになるのよ」

「わ、分かったですよ…」

「…美味しいの?」

「…美味しい…有難う……」

「どう致しましてなの!
 お姉ちゃんが元気になって、ヒナも元気になったのよ!」

「ふふ…うっし!私も頑張るですよ――」
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:49:39.77 ID:7e0Fr99qO
 しと、しと、しと。




「――翠星石、厭に遅いな。ちょっと店にも顔出しておくか。
 …いらっしゃいま――…せ……」

「あっ、ジュン!」

「…何やってるんだ、君は」

「のりさんに、看板娘を任されたです」

「…姉さんめ…余計な事を…」

「段々慣れてきたです。接客って、何だか楽しいですね」

「――ええっ!?接客が…楽しい?君が?」

「…何ですか、其の馬鹿にした様な言い種は」

「だって、あれ程怖がりだった君が、ねえ」

「此処の人は善い人ばかりですから、安心して話が出来るです」

117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:49:56.74 ID:7e0Fr99qO
「そうか…其れは僕としても嬉しいよ」

「ふふん、じゃあ、私は忙しいので接客に戻るですよ」

「ああ…
 ……嫁、か…って、ななな、何を考えているんだ僕は!」

「……せん」

「いくら柴崎さんの頼みとは言っても、そう簡単に了承など出来るか!
 彼奴と、一生一緒に過ごさないといけないのだぞ!?一生…一緒に…」

「…みません…済みません!」

「――は、はいっ!」

「着付けを、頼めないかね?」

「はっ、はい!只今…――」




118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:50:22.99 ID:7e0Fr99qO
 しと、しと、しと。




「――うあ、疲れた…」

「お疲れさまです、坊っちゃん。今日はいつもよりきびきびとしていましたね?」

「そりゃあな。あんなに人が多かったらいつもの調子じゃ捌き切れないからな。
 つい三時間程前までは誰もお客が来なかったのに、さっきの盛況振りは一体何なんだ?」

「…さあ、どうしてでしょうねえ?」

「…へ?どうして此方を見るですか?」

「ふふ、何でもないわよ。
 ――さてと、私は夕御飯の準備に行きますね」

「あっ、私も、手伝って良いですか?」

「えっ?…そんな、良いよ、翠星石ちゃん。お店の手伝いもさせて貰ったのに――あっ、後でちゃんと其の分のは――」

「良いですよ。私だって楽しませて頂いた訳だし、お金なんて…」

「そんな事言われてもねぇ…やっぱり其れはきちんとしておかないと――」

「家に泊まりたいんだろう?なら、其れでおあいこだ。どうだ?」

119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:51:19.30 ID:7e0Fr99qO
「えっ…此処に泊まるの?これまたどうして…」

「ま、色々有るんだってさ。そうだろう?」

「…そ、そうです!あのう、お金は結構ですから、き、今日だけ此処に泊めて頂けないですか?」

「ええ、全然構わないわよ!空き部屋だって使っていない蒲団だって有るし、若し貴女が良ければ一日と言わず何日でも――」

「や、一日だけで、良いですよ。一日…一日だけ……」

「………?」

「分かったわ!じゃあ、部屋を掃除してお蒲団の準備をしてくるね。
 じゃあ、翠星石ちゃんは…料理、お願い出来るかしら?」

「合点承知ですぅ!じゃ、上手いご飯作るですよ!
 今日は何を作る予定ですか?」

「ううん…そうね、肉じゃがなんかどうかしら?」

「本当ですか!?」

「何だ、君も好きだったのか、肉じゃが?」
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:51:50.99 ID:7e0Fr99qO
「あ、いや…そうじゃ無くて、ですねえ…」

「ふふ、ジュン君に美味しい肉じゃがを作ってあげたいんだって」

「な…そんな事言って無いじゃないですかあっ!」

「ふふ…良いじゃない、そう言う事にしておけば」

「ま、まあ…別に構わんですけど…」

「そうか。楽しみにしてるよ」

「…………
 …まあ、せ、せいぜい涎を垂らして待っとけです」

「ふふ…じゃあ、のりさん、お願いしますね。翠星石ちゃん、炊事場は此方よ。行きましょう」

「あ、分かったです。
 …ええと、ジュン?」

「何だ?」

「…さっきは、ありがとです」

「…どっちの、さっきだ?」

「…………両方です――」
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 22:53:30.07 ID:7e0Fr99qO
前半部分、終了です。
後半部分は十一時半頃にかけて、投下したいと思います。
雛を使ってしまいましたw
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:11:36.18 ID:7e0Fr99qO
保守
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:17:25.43 ID:x69SvSg30
巴「ま、間に合った……」
J「なんの話だよ」
巴「今日は節分の日だから」
J「ああ、そうか」
巴「こういうことは、時期を外しちゃいけないし……」
J「じゃ、姉ちゃんのつくった太巻きでも食べるか」
巴「……」
J「な、なんだよ、柏葉……」
巴「有名になったよね、その行事……」
J「ん、ああ…そうだな。少し前までは、全然知られてないことが漫画のネタになるくらいだったからな…」
巴「結局お金になるかならないかの違いでしかないのよ」
J「まるでバレンタインにチョコをもらえない男子みたいな言い草だな」
巴「だってそうでしょう?おかげで節分の風物詩だった豆まきは随分と勢いを押さえ込まれたわ」
J「普通に、両方ともやってるんじゃないか?」
巴「追い出されることすらままならない鬼たちの行方やいかに」
J「聞けよ」
巴「人の幸運のためつくられたのに、結局食べられることもなく廃棄される巻き寿司の行方やいかに」
J「つまり豆まきがやりたいんだろう?」
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:34:09.64 ID:7e0Fr99qO
>>123
素直じゃないのだけど、妙に回りくどいのが巴ww
では、>>121の続き、投下致します。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:34:28.52 ID:7e0Fr99qO
----------



「――じゃあ、翠星石ちゃんはジャガイモの皮剥きをして、具材を全部入れ終わった後の鍋を見てて頂戴」

「分かったです」

「――此の肉じゃがはね、お父様も大好物だったのよ?だから小さい頃から坊っちゃんも影響されてね、好きになったの。
 最近、漸く牛肉なんかも手に入る様になって、坊っちゃんは『また肉じゃがが食べられる』なんて大はしゃぎしていた位なのよ」

「へえ…そうなんですか。
 …ジュンのお父さんって、どんな人だったんですか?」

「そうね…何と言うか、当に職人、と言ったところかしらね。平素は物腰の柔らかい方なんだけど、仕事の事になると目の色を変えてね。怒鳴り散らした事もあったわねえ」

「…ジュンとそっくりですね」

「ふふっ、確かに其の通りね。
 そして、お母様は…高貴な方だったわ。何と言うか、抱擁されるような優しさと言ったら良いのかしら。上手く言えないのだけど、兎に角素晴らしい御仁だったわ」

「へえ…私とは正反対ですね」
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:34:49.31 ID:7e0Fr99qO
「そうかしら?貴女も優しい人じゃない」

「そうですかぁ?」

「ええ、私にはそう見えるけど?」

「ふふ、そうですかね…」

「ええ、そうよ…」

「…………」

「何かね」

「えっ」

「――妹が、出来たみたい。私は、いつも坊っちゃんに付きっ切りだったから。こうやって、一緒にご飯作ったり話をしてるとね、まるで貴女の事が妹の様に思えて、とても嬉しい」

「…私も、お姉さんが二人も増えた気分ですよ」

「……ふふ、有難う。そう言ってくれると嬉しいわ。
 ――いつでも、いらっしゃい。妹、なんだから」

「……――」



127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:35:28.77 ID:7e0Fr99qO
----------



「――ジューン、ご飯出来たですよ!」

「はいはい…おお、美味しそうだな!」

「そりゃそうです。何たって此の翠星石様が腕によりをかけて作ったんですからね」

「へえ…じゃあ、頂きます」

「「「頂きます」」」

「…………」

「…ど、どうですか?」

「…美味い。とても上手い」

「ええ、本当に美味しいわぁ」

「ほ…本当ですかあっ!」

「ああ。こんなに料理が上手いなんて知らなかったな」

「良かったです…」

「ふふ、良かったわね?」
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:36:56.19 ID:7e0Fr99qO
「…お代わり」

「あら、もう食べたの?仕様が無いわね、ジュン君。はいはい、今持って来ますからねぇ――」




 りん、りん、りん。




「「――御馳走様でした」」

「「御粗末様でした」」

「本当、美味しかったわ。料理上手ねぇ、翠星石ちゃんは」

「姉さんも見習ってみたらどうだ?」

「あら、お姉ちゃんだって肉じゃが位作れるわよぅ」

「作るだけならな」

「のりさんも練習すれば出来るようになるですよ」

「そう?有難うね、翠星石ちゃん」

129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:38:00.05 ID:7e0Fr99qO
「ふふ、良いじゃありませんか。
 其れにしても、本当、上手よね。よっぽどマツさんの手解きが良かったのね」

「えっ…」

「私も、マツさんがお祖母さんだったら、もっと料理が上手くなっていたのかもね。だって、こんな若いのに、私より上手いんだもの」

「本当よねぇ。私も一度で良いから、教えて欲しいわぁ」

「…………」

「ねぇ!翠星石ちゃん、今度貴女の家に行って、マツさんに料理を教えて貰って良いかしら?」

「…………」

「おい、姉さん、幾ら何でも其れは不味いんじゃあないか?」

「あっ――そうね、ちょっと厚かましかったわね…御免ねぇ、翠星石ちゃん」

「…………
 …違う…違うんですよ…っ――」

「――あっ!何処行くんだよ!」

130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:38:54.81 ID:7e0Fr99qO
「……何か、様子が可笑しかったわね…」

「ジュン君…」

「そう言えば、今日は何処と無く様子が可笑しかったかも…分かった。行ってくる――」



----------



「――…翠星石、入るぞ」

「…………」

「…一体、どうしたんだ?」

「…何でも、無いです…」
「何でも無い訳無いだろう…
 差詰、喧嘩云々の話も、嘘なんだろう?」

「…………」

「…何があったんだ?」

131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:39:33.59 ID:7e0Fr99qO
「…赤の他人のおめぇには、関係無いですよ…」

「…関係無い?」

「…………」

「人の家に転がり込んどいて、泊めてと頼んで、店の手伝いまでしてさ」

「…………」

「ご飯を作ってくれて、……妹が出来たみたい、って言われても、其れでも赤の他人か…
 さっき、偶然聞いて仕舞ったんだ。あの人の横には、いつも僕しか居なかったからな。余程、嬉しかったのだろうなあ…
 ――少し、さみしいな」
「…………」

「…教えて、くれないか?」

「……ふふ。馬鹿ですね、私も。良いですよ、話しても。
 ……はぁっ……
 ――そうですよ。別に喧嘩などしてねぇですよ。する訳無いじゃないですか。
 一昨日、私の家、全部焼けちまったです。おめぇに貰った振袖も、全部」

「…………」

「おじじもおばばも、家事に巻き込まれて、死んじゃったです」

132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:40:12.01 ID:7e0Fr99qO
「なっ……」

「…ね、言わなかった方が、良かったですよね?」

「…………
 君は、君は……その事を、今の今までずっと隠していたのか…隠しながら、接客したり、ご飯を作ってくれたり、してくれたのか…」

「…そうですよ」

「どうして…どうしてだ…」

「…だって、此の家が、余りにも楽しいんですもの」

「えっ…」

「楽し過ぎて、忘れちまう位に。皆優しくて、本当に妹の様に接してくれて…そんな人達に、言える筈…無いですよ」

「そうか……」

「…………」

「君は…辛く無いのか?」

「辛いに決まってるじゃないですか…泣きたい位ですよ、大声を出して。
 でもね、あの娘が――蒼星石が居なくなったときから、私は悲しい事が在っても、絶対に泣かないって、決めたんですよ。泣いたら、また蒼星石にからかわれちゃうですから。
 ――こうやって、笑っていれば、良いのです」

133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:50:08.80 ID:e9Bn08yT0
猿?
支援する
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/03(日) 23:57:21.46 ID:6lZBW+Xg0
ho
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:00:17.49 ID:u5HXzZKSO
「――っ……
 ……だから…」

「…何ですか?」

「だから…そうやって微笑むのは、止めろと…言っただろう…!」

「…だって、笑っていないと、どうなっちまうか判らねぇですもの」

「…………
 …泣いて、良いんだぞ?」

「えっ――ち、ちょっと!」

「――僕は、女の子の扱いに慣れている訳じゃあ無いから、こういう時にどうしたら良いか解らない。でも、でも…君の其の表情(かお)を見ているのはもっと辛いから!だから…」

「ちょっと…お願い、だから…止めて……じゃないと…」

「今なら、君の妹も、見ていないぞ。其れに元々、君は、電車の中で泣いていたではないか」

「…………」

136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:01:46.34 ID:u5HXzZKSO
「君は、独りで荷物を背負い過ぎだ。嘸、疲れただろう?
 ――其れに、『箪笥』の中に、仕舞わねばならんのだろう?箪笥に仕舞う前には、掃除をしないといけない。違うか?
 …な?今なら、僕しか見ていないから」

「…………」

「――大丈夫。安心しろ」

「――っ…ふっ……うっ、ううっ――」




 りん、りん、りん。




「――……」

「……もう、泣き止んだか?」

「…もう少し…」

「…ん?」

「…もう少しだけ、このままが良いです…」

「……分かった――」
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:02:18.51 ID:u5HXzZKSO
----------



「――……」

「……そろそろ良いか?」

「…………」

「…なあ?」

「…すー。すー…」

「…何だ、寝ちゃったか。
 仕様が無い、蒲団まで運ぶか。よいしょ――わ、軽いな…
 ……はあ。此れで良いか?
 ――あ、涙が、跡に……っ……
 …どうして…どうして!どうして此の娘ばかり、こんな辛い目に遭わねばならんのだ!此の娘が…何をしたと言うのだ!
 唯、人一倍口が悪くて、人一倍負けず嫌いで、人一倍――妹想いなだけではないか!何が…何が悪いと言うのだ…
 くそう、済まん!僕は…僕は何も出来ない…目の前で苦しんでる君に、手を延ばす事さえ侭ならない!僕は、僕は…君を、護ってやりたい…だが、其れも叶わぬ事。僕は…何も、何一つ、出来やしない…――」




138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:02:50.36 ID:u5HXzZKSO
 ちゅん、ちゅん。




「――…ふぁ、あ。…ん、朝か?――そうだ!すいせ――って、あれ?確か僕がベッドに寝かして…
 …ん?…スコーン?手紙…」




----------




 勝手に居なくなっちゃって、ごめんなさい。心配しましたか?


 昨日あの後、親戚のところに連絡したところ、私の面倒を見てくれるそうなので、そちらに行く事にしました。
 通夜も告別式も、そちらで執り行う心算です。


 連絡先は、教えない事にしたです。ごめんなさい。貴方達も本当は招かなければならない方達ですのに。
 でもこれ以上、貴方達に迷惑は掛けられないのです。
 もう、私は厭と言うほど迷惑を掛けているので。


139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:03:22.65 ID:u5HXzZKSO
 特に貴方には、ずっと甘えっ放しでした。ごめんなさい。
 昨日の事は、本当に有難うです。貴方は、本当に優しい人なのですね。
 貴方の腕から、胸から、身体全体から、優しさが伝わってきたです。貴方のたましいの優しさが、伝わってきたです。
 後、貴方に貰った着物、ごめんなさい。大切に、仕舞っていたですのに。


 思えば、あれからもう一月半ですよ?あの頃は、唯の気障な浮浪者としか思っていなかったですのに。まあ、今でも余り変わらないんですけどね。


 さて、もうそろそろ行かなきゃ、始発に間に合わなくなっちゃうです。


 のりさんやおばさん、他の方々にも、宜しくお伝え下さい。
 二人には、急に何も言わずに出ていってごめんなさいと、伝えといて下さい。

 貴方に、逢えて良かったです。貴方の事、絶対に忘れないですから。


 さようなら。


 追伸

 スコーン、此処に在った小麦粉なんかを使って作りました。勝手に使って、ごめんなさい。
 もし良かったら、食べて下さい。




140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:03:49.43 ID:u5HXzZKSO
----------




「――何だよ、此れ…あの馬鹿…
 ――『ごめんなさい』って、六回も使ってるじゃないか…
 スコーン、未だ少し暖かいな…――ん、美味しい。
 …もう、食べられないのか、な…――」




 ----
 --------
 ------------
 ちゅん、ちゅん。




《とある呉服屋での出来事―八月二十六日―》

おしまい。
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:05:33.39 ID:u5HXzZKSO
おわりでずよぉぉぉぉ
さるですよぉぉおぼろろろぉ
まさか引っ掛かるとは…警戒はしていたのですがね。
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:06:22.39 ID:u5HXzZKSO
後、支援保守してくださったお二方、有難う御座いました。
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:07:30.76 ID:bgQT/YA40
>>142

味わいある御話でした
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:13:53.10 ID:+hEwrRQC0
乙です
読んでて泣けてきたぜ・・・
別れ話はどうも・・・
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:15:23.93 ID:INZp2N/90
完結!?
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:16:28.94 ID:u5HXzZKSO
未だ完結じゃないです!
こんな尻切れで終わらすほど無粋じゃありませんよ!
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:19:12.95 ID:0NlDti9n0
>>142
おじじとおばばの冥福を〜
それと
翠星石が幸せになりますように
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:19:20.55 ID:LcJIcSw10
ID:u5HXzZKSOが翠星石に見えてきたw
完結じゃなくてよかった・・・
続きがきになる
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:19:50.15 ID:INZp2N/90
よかた。
これってwikiのどこにある?
掲載はされてるみたいだけど
どこにあるのか・・・・
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:20:13.06 ID:H5Nzhnxo0
お疲れ様。

投下予約、あまり具体的な時間言わないほうがいいよ。他の人が投下しづらくなるから
というか、1時間後も10分後もたいしてかわんないから、いっそのこと一回でやっちゃうといいよ
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:25:47.93 ID:u5HXzZKSO
>>149
未完の一番下辺りにあると思います。なんか宣伝してるみたいでやだなw

>>150
御免なさい!その事(タイミングを見計らって投下するから、どうぞ投下なさってください)を触れればまだ良かったですね…
次からは予言は控えるようにします。
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:40:21.43 ID:L5pfOAlF0

>>123
このトゥモエさんは本当に見守っていたい娘だ……
ジュン君との掛け合いも相変わらずで安心できるのです。

>>140
素敵すぎる……じんわりと心に染み入りました。流れがとてもきれいです。呉服屋の幕間がまだ続くのならば、また是非次にお目にかかりたいと願います。

 ちゃっかり長編参ります。雪がふったので、こんな感じのものも。
 それでは、参ります。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:40:24.15 ID:u5HXzZKSO
寝る前に保守しておきます
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:41:12.51 ID:L5pfOAlF0
 雪がふる。
 雪がふるよ。

 静かできれい。あんまり静かで、眠ってしまいたくなる。けど今眠っちゃったら、多分しんでしまうから、
しない。
 ベランダに出てはく息は、周りがとてもくらいというのに、とてもはっきりと白く見える。部屋のカーテ
ンから漏れる僅かなひかりが、空気を照らしているのだ、きっと。ほう、と手に吹き付ければ、ほのかにあ
たたかい。

 くぴ、と。手に持っていた缶を傾ける。この年になって、この苦い炭酸を飲むのが大変ではなくなってき
た。というよりはむしろ、すきになっているかもしれない。味もさることながら、多分こういったものは、
喉越しを愉しむ物なのだろうという気がしている。だから、最初の一口目が多分いちばんおいしい。

 そういえば、冷蔵庫のストックがついになくなった。これは元々僕が買ったものじゃない。前に遊びにき
た『彼女』が大量に持ってきたものを、毎日毎日少しずつ消費していた。呑みやすいので、気になって値段
を調べてみたら、何気に一本の単価が高い。深い青色をした500ミリリットルの缶を、雪をつまみにする
すると呑み続け、さあ家に入ろうか――そう思ったとき。

「あれ?」

 二階のベランダから下の道を見下ろしてみれば、白い傘をさして、しずしずと僕の住んでいるアパートへ
歩いてくるひとの姿が。白にワンポイントの花模様が記された傘を持っている人物は、僕はひとりしかしら
ない。

「……んん?」

 持ってる。持ってるよ。周りがあんまり静かだから、その手に持っているビニール袋からガチャガチャ缶
の音が鳴っているのがよく聴こえるよ!
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:42:18.47 ID:L5pfOAlF0
>>154
 僕の冷蔵庫が空になるタイミングを、どうしてしっているんだ?

 ほどなく。『ピンポーン』と、間の抜けた、しかし絶妙のタイミングのインターホンが鳴り響く。

 雪がふる。
 雪がふるよ。
 外は寒いから。
 さあ。お嬢様を、出迎ることにしよう。


【お酒と、雪と、お嬢様】


「そろそろ頃合かと思いまして」

 麦酒を冷蔵庫につっこんで、手荷物を部屋の脇に置きつつ、彼女は言う。彼女のタイミングを計る機知は、
どこか人間を超えた何かであるような気がしてならない。

「ははぁ……そりゃ、どうも」
 僕は毎度のことお金を払おうとするのだけど、『別なところでお返ししていただければ結構です』と、場
合によっては非常に小悪魔的な返ししか受け取ることができない。別なところって、どこだ。

「寒かっただろう? まあ、あったまっていってよ。何もないけどね、ここ」

 そういうと、彼女は花の綻ぶような笑みを浮かべて、『ええ、そうさせていただきます』と答えるのだっ
た。にこー、という擬音が聞こえてきそうだな。僕はこの笑顔に、とても弱い。

「まあ、とりあえず」
「そうですね」
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:43:22.02 ID:L5pfOAlF0
>>155
 二人で乾杯。かつん、と。缶をつきあわせる。もうさっき既に呑んでいたけど、やっぱり一口目はなんだ
かおいしい。

「雪が降ったな、ついに」
「雪、はおすきですか?」
「うん。珍しいから、ってのもあるからかもしれないけど、すきだな」
「もう……いやです、そんなこと言うなんて」

 何故そこで顔を赤らめる! 自分が聞いたんじゃん今!
 と、彼女は新しい缶のプルタブを開けていた。ペース速いよ。速すぎるよペース。三分も経ってないよ。

 と、まあ、声に出して突っ込みをいれても良かったが、あえてそれをしない。いつものことだし。
 一体この細い体に、何リットルの液体が流し込まれるのかも、もちろん僕は計算しない。怖いし。いやま
あ、500ミリリットル缶が何本消費されたかを数えればすぐなわけなんだけど。

 とりもあえず、僕は雪がすきなことは、まず間違いのないことだ。音を吸収するとかなんとか、どこかで
聞いたことがあるような気もする。僕はあんまり五月蝿いのを好まないし、寒いのはちょっとばかりいただ
けなくても、静けさをもたらしてくれるなら大歓迎だった。
 眼の前で快調に呑み続ける彼女は、ほう、と息をはきながら、頬に手をあてている。本当においしそうに
呑むなあ……多分、料理でも何でも、こんな幸せな顔をして口にしてもらえるなら、本望なのだと思う。

「で。ここに来た理由は、酒を持ってきてくれただけが、理由じゃないんだろ?」
「えっ……そそ、そんなことは、ありませんよ?」

 おお、泳いでる泳いでる。左眼。視線がどこか斜め上くらいを見てる。
 大体彼女が来るのは、悩み事を抱えているときだ。僕はその話に耳を傾けて、悩みを完全に消すことなど
勿論できないことなのだろうけど、それでいて、僅かでも彼女の力になれれば、だなんて考えている。

「隠し事は、やっぱりできそうにないですね、実は……」
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:44:10.01 ID:L5pfOAlF0
>>156

――――


「お姉ちゃん……ゲームしよう、ゲーム」
「いいですよ? 何にします?」
「これこれ」


――15分後――

「ああっ、こんな所に罠をしかけるなんて……!」
「うふふ、読みが甘いですね。私これは、相当やりこんでいましてよ?」
「……負けない……!」

――3時間後――

「完勝です! さあさあばらしーちゃん、まだやりますか?」
「……」
「――ばらしーちゃん?」
「うぅ……もういい……」

 しょんぼりうなだれながら、薔薇水晶は部屋を出ていった……


―――――
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:45:04.42 ID:L5pfOAlF0
>>157
「うへぇ……」

 色んな感情が入り混じった「うへぇ」が、漏れた。それがしょうがないと思う桜田ジュン、僕だ。

「うぅ……ばらしーちゃんがあそこまでムキになるなんて……私は姉失格です、居なくなったほうがいいん
です!」

 うわーん、と。ぼろぼろと泣き始める彼女を、なんとかなだめる。
 とりもあえずは、現状を冷静に分析。その辺りに転がってる缶の数なんて、僕は見てない。見ちゃいけな
い。
 彼女は多分、『○○上戸』だ。○○の部分には、時と場合によって入るものがことなる。まあ、怒ること
はないけれど、笑ったり泣いたり、感情の揺れが激しくなることには違いない。

「よりによってスパイ&○パイなんてゲームするから」

 しかもそれで一勝も許さずボコボコにしたりなんてするから。あれって、そんな理詰めで完勝できるゲー
ムだったか……? まあ、人間の記憶力なんてすごく曖昧なんだな、ってことを思い知らされるものではあ
るが。それ以前に、もっと新しいゲームしようよ。スマブラとかさ、あるじゃない。

「折角ばらしーちゃんが持ってきてくれたものですから……手加減をしては失礼にあたると……」

 多分彼女の妹、薔薇水晶は、相当それを練習してきたんだと思う。それを打ち崩されたショックといえば、
それなりに大きなものであったかもしれない。
 ってかこの二人、本当に仲いいな。

「いや、大丈夫さ。あいつはそれ位でへこたれたりはしないし」
「……」
「本当。逆に手加減されたら、それこそへそ曲げて、無視されてたかもしれないぞ」
「……ばらしーちゃんに無視されるなんて、イヤです〜!」
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:46:00.69 ID:L5pfOAlF0
>>158
 また、ちょっと収まっていた涙を流して、めそめそと泣き始める。
 ――しくった。相手は酔っ払いだった。

「えーと、そうじゃなくて、本当に仲がよくてうらやましいなと」
「そうですか……?」

 そうです。

「そうだな、今度はあいつがすきなゲームを、それこそ練習して、持ちかければいい。この年になって姉妹
でゲームできるなんて、世間じゃそうそう無いと思うし」
「はい……」

 言いながら、くいー、と彼女は缶を傾ける――という表現が、多分正しくない――90度だしね、缶の角
度。あ、なくなったみたい。

「あんまり呑みすぎるなよ。家のひとが心配するし」
「あ、大丈夫です。執事にはここへ来ていることを伝えていますし」

 ああ、ラプラスさんね。彼女の家は相当の資産家らしく、家はとても大きいし、お抱えの執事なんかがい
たりもする。要するに、お嬢様、ということだ。
 その執事はとても万能で、なんでもこなせるとの噂。
 噂、というのは、僕は電話越しに話したことはあるけれど、実際に逢ったことは無いからだった。声から
察するに、それほど年はとってないとは思うのだけど……どんなひとなんだろう。
 時計を見る。日付が変わるまで、もう少し。大学に入ったあたりから、彼女の門限の幅は広がったとはい
え、そろそろ送ってあげなければいけないだろう。歩いて10分もかからないので、そんなに離れているわ
けでもないが。

「というわけで、今日は泊まっていきますね」
「ああ、そろそろ時間か。うん……うん?」
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:47:15.45 ID:L5pfOAlF0
>>159
 何だって?

「『ジュン様ならば信用に値する殿方ですな、はっはっは!』と執事が申しておりました。許可は頂いてお
りますので、何の気兼ねもいらず呑みあかせるという寸法です!」

 ……どんなひとなんだろう、ラプラスさん。

「あー、えっと……まあ」

 信用に値する殿方、の真意を測りかねるが、――僕はこの笑顔に、本当、弱いのだ。

「まあ、いいけど。布団はもう一組あるし」
「あら、随分と周到なことですね?」
「姉ちゃんが泊まりに来たときの分だよ!」

 一つ屋根の下、年頃の男子と女子、桜田ジュンという名にかけて、間違いを起こすわけにはいかない。

「ちょっと、ベランダにでよう。勿論、麦酒を持って」


――――

 雪はまだ、しんしんと降り続いていた。

「きれいですね……」
「そうだな」

 言いながら、二人のはく息は、白い。
 隣に居る彼女の頬は、ほんのりと赤い。カーテンを開けている状態だから、それがとてもはっきりと見えた。
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:48:08.72 ID:L5pfOAlF0
>>160

 彼女とはじめてお酒を呑んだのは、いつだっけ。
 それはもう随分と昔の話で、思えば法に触れるような年頃だったような気もするけれど、その頃から僕た
ちの酒呑みの付き合いは続いているような気がする……彼女の妹、も含めて。

 姉妹愛、という言葉がとても似合う、ふたりだ。どちらかがどちらかを想いあい、ずっと暮らし続けてい
る。僕かつて、姉とそんなに仲が良いといえる関係ではなかった。今はそれなりに付き合っているけれど、
彼女たちが羨ましい、と言えば、それは偽りようのないことで。

「私の上に降る雪は、いとしめやかになりました……」
「お、中也か」
「はい。私、あの詩はとてもすきです。少しやさしくて、少しさみしい……」

 生い立ち。くらい空気に、白い雪がぼんやりときらめいていた。
 僕たちがいきる時間に、穏やかじゃない天気が吹き荒れようと、吹き荒れまいと。どれ位、これから先、
人生が続くかがわからなくても。できるだけこのまま、穏やか時間のまま、いきていければいいと。酒に酔
わされた頭は、なんだか気障な台詞を、はいている。

「あなたが、居てくれてよかった」
「え?」
「私だけではなく、妹もきっと、そう思っているに、違いありません――」


―――
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 00:49:07.23 ID:L5pfOAlF0
>>161
「お風呂、頂戴してもよろしいですか?」
「うん……うん?」
「着替えは、持ってきておりますので」

 ああ……最初入ってきたときに持ってきた荷物、ちょっと大きいなと思ってたけど、そういうこと……
 風呂掃除は昨日したな、確か。うん。

「まあ、いいよ」
「ありがとうございます」

 そういって彼女は、風呂場へ消えていく。一日入らないだけでも、まあ、気持ち悪いだろうしな……
 頭に立ち上る煩悩を、打ち消す。だめだな、もう一回外に出よう。

「はぁ……」

 ベランダの空気は、とてもつめたい。
 僕自身、もう何本目になったかわからない缶のプルタブを、開けた。
 おいしいな。彼女の持ってきてくれたお酒だからなのかもしれない、だなんて考える。

 雪がふる。
 雪がふるよ。
 いとしめやかに……
 この雪がいつまで残るかはわからなくても、この雪を冠する名前を持つ彼女――雪華綺晶は、確かに今、
ここに居る。妹想いの、やさしい彼女が。……その彼女が今僕の家の風呂に入っているという状況は、とり
あえずその辺に置いておこう。
 と。ふと、道を見れば。薄紫色の傘をさして、しずしずと僕の住んでいるアパートへ歩いてくるひとの姿
が。薄紫にワンポイントの花模様が記された傘を持っている人物は、僕はひとりしかしらない。

 うん……うん?
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:03:41.16 ID:u5HXzZKSO
念の為、保守しておきます。
割り込み御免なさい。
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:03:59.21 ID:L5pfOAlF0
>>162
 とりあえず、なんで缶が入ってるらしきビニール袋をがちゃがちゃ鳴らしてるんだ。
 その彼女は、二階に居る僕に気付いたらしく、話しかけてくる。

「……こんばんは、ジュン」
「あー、えっと、こんばんは」
「ちょっと、相談があって……」
「うん」
「私、お姉ちゃんを困らせちゃう、悪い妹なんだよ……」
「……あー……」

 家の冷蔵庫はもう飽和状態だったけれど、少ない空きに麦酒を突っ込む。彼女は小脇に抱えた荷物を、部
屋の隅に置く。

 とりもあえず、この二人は、とても仲の良い姉妹なのだ。どうして僕の家に二人してやってくるのかは、
わからないが。
 これからまた、風呂からあがった彼女の姉と、今家にやってきた妹と、そして僕。
 雪が降る中、お嬢様たちとの酒宴は続く。きっととても和やかで、とても楽しい。

 三人川の字になって、眠る。僕は真ん中。こんな関係なんて、いつまで続くかはわからない。
 けれど酔っ払って曖昧な頭になった僕は、横になりながら、まどろみへ落ちていく。

 お酒と、雪と、お嬢様たち。
 起きたあと、なんで姉が先にきていたのか、どうして妹があとにきたのか、ひと悶着あるわけだけど――


 それはまた、別のお話で。


【お酒と、雪と、お嬢様】おわり
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:05:47.19 ID:L5pfOAlF0
>>164にて終了です。雪の日だったので、きらきー支援です。

>>163
保守ありがとうございました! 間の悪い塩梅でさるを喰らってしまったので……
10超えてすぐくらうのは久々です。感謝です。
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:08:24.63 ID:+hEwrRQC0
猿ってスグに解けるのか
規制とは別物なのかな・・・?

なんにせよお疲れ様でした
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:09:50.50 ID:u5HXzZKSO
 何でこうも間の悪い頃合いに保守&投下が重なるかなあorz
 乙なのです。久々のお嬢様!しくった!も久々w

 それよりも、貴方に『じんわり』だの『流れるような』だの言われたら、こちとら頭が上がらないですよw
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:15:38.61 ID:WjBhs/2g0
翠「先生、回診のお時間です」
ジ「分かりました、参りましょう」

ジ「柿崎さん、調子はどうですか?」
め「うふふふ、おかしな事言うのね先生・・・私もうすぐ死ぬのに」
ジ「そんな事はありませんよ」
め「・・・・・気休めはやめて」
ジ「・・・蒼星石君」
蒼「わかりました」
め「な・・・何をするの?」
蒼「脈拍正常、心音雑音無し、呼吸音問題無し、体温平均値、その他全て正常です」
ジ「翠星石君、カルテを」
翠「はいです」スッ
ジ「柿崎さん・・・精密検査の結果あなたは健康も健康です、心臓の病なんぞとっくに完治しています、貧血ですらありません」
め「・・・・ちっ」
ジ「・・・・・・とっとと退院して下さい」
め「嫌よ!今更社会復帰なんてしたくないの!このまま緩やかに死にたいの!」
ジ「そんなのしったこっちゃありません、とっととおん出て社会の荒波に揉まれて下さい」
め「嫌よ!こうなったら何が何でも居座ってやるわ!」
ジ「蒼星石君、柿崎さんが退院なさるそうです」スッ
蒼「わかりました」ガシッ
め「ちょ・・・は・・・離しなさいよ!」ジタバタ
蒼「黙れニート」ズギャン
め「ひぃ」ビクッ

翠「・・・絶対またきますですよあいつ」
ジ「そうですね・・・次きたらロッカーにでもブチ込んでおいて下さい」
翠「とにかく・・・また今日も一人尊い命を救いましたですね」
ジ「ああ、現代社会に溶け込もうとしないマイノリティが居る限り、僕は闘い続ける!」
蒼「働かないで食べるご飯は美味しい?」ズギャン
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:20:58.52 ID:H5Nzhnxo0
>>168
これはいいめぐですね。うーむ、実にC∞Lだ
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:28:04.80 ID:AGFgC5vNO
>>168
めぐの気持ちがよくわかるwww
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:30:11.75 ID:/3jY0JOr0
>>168
まあずっと病院にいたんならわかる肝するなあ
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 01:47:50.98 ID:bgQT/YA40
ho
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 02:18:43.61 ID:WCn1TsoJO
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 02:35:58.01 ID:AGFgC5vNO
保守

回線規制で細かく投下
産業あらすじ

人形展の準備
水銀燈の人形を設営中→深夜作業
ジュンが手伝ってた
175赤色のお人形:2008/02/04(月) 02:37:55.34 ID:AGFgC5vNO
【早朝】

 「ん…ぁ」
 ジュンは話し声に目を覚ましました。
 すぐに水銀燈が気がつきます。
 「あら、おはよう」
 「すまない、騒がしかったかい?」
 水銀燈の横の人――槐が声をかけてきます。
 それともう一人、早起きして来たみっちゃんがジュンに会釈しました。
 「そんなことないです。あまり眠れていませんでしたから」
 水銀燈の寝袋を借りたのですが、そのせいでドキドキして眠りが浅かったのです。

 「それにしても見事な出来だ」
 槐が感心したように呟きました。
 「完成したんですか!?」
 ジュンは跳ね起きようとして、寝袋に足をとられました。もどかしげに寝袋を脱
いで、舞台に近づきます。
 「うわぁ」
 目にすると思わず、ため息がこぼれました。もちろん、金糸雀人形の世界が素晴
らしい出来だったからです。

 「ほんの一瞬の移り変わり…その瞬間を切り取ったのか」
 槐の評が続きます。
 「見立てが効果的に使われていて、物語の息吹すら感じさせる」
 水銀燈は充実感のある笑顔を浮かべました。槐の評から、自分の表現したかった
ことが伝わっていると実感したからです。
176赤色のお人形:2008/02/04(月) 02:39:12.90 ID:AGFgC5vNO
 山の中の風景を切り取ったように一面に緑の草が生えていて、あたりには舞台の上に
は木の枝が何本か伸びています。また、小鳥やねずみ、猫といった小動物が何匹かいます。
 そうやってすべてが陶器で作られた風景の中で金糸雀人形は横座りして、ほんの少しう
つむき加減です。
 座る金糸雀人形をドーム上の網のようなものが覆っています。
 網の目はとても粗く、造りかけの蜘蛛の巣のようで、金糸雀人形の姿を見る邪魔にはな
りません。網は少しだけ黄味がかった白で作られていて、太さは中指程度のものです。
 ほんの少しうつむいた金糸雀は一体何をするところなのでしょう…?

 「この子は祈ろうとしているんですか?」
 ジュンは金糸雀人形から眼を離さずに聞きました。
 「貴方にはそう見えるのね」
 水銀燈はあえてはっきりと答えません。
 「骨の檻に捕まって、終わりが近づく中で祈ろうとしているように見えます」
 ジュンが言い終わると、勢い込んでみっちゃんが言います。
 「私には歌いだす直前に見えます。他の動物たちはそれを聞くために集まってるんじゃ
ないかなって…」
 放っておけば、金糸雀人形に飛びかかりそうなほどみっちゃんは興奮していました。
 「私には殻を破り、今にも孵化せんとしているように見えるな」
 槐が最後を引き取り、締めくくりました。
 次の動作に移る瞬間を切り取ることで、『その先』を強く意識させる。そういう趣向の
作品でした。
 金糸雀人形の伏し目がちの目はその象徴でしょう。
 あの目はそのまま閉じられるのか、そのまま遠い所を見つめるのか、それとも開かれるのか。

 「この作品、なんと名づけるんだい?」
 槐が水銀燈に聞きます。
 「もちろん金糸雀です」
 迷わず水銀燈は答えました。
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 02:44:25.54 ID:AGFgC5vNO
投下おわりです

前回「次で終わる」と書いたのはなかった事にしてくださいorz
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 03:11:38.83 ID:5T5ZBZ/80
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 03:29:16.38 ID:bgQT/YA40
ho
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 03:40:10.36 ID:/3jY0JOr0
>>177
みっちゃん、落ち着けww
魅力的な作品なんだろうなあ。。
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 04:16:03.06 ID:bgQT/YA40
ho
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 05:16:33.52 ID:tT5HWoXuP
gほ
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 06:40:52.98 ID:u5HXzZKSO
通学時の保守
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 07:02:23.80 ID:0NlDti9n0
>>165
二人の姉妹愛に乾杯したくなったけどこれから仕事だ残念

>>168
元ネタ見たこと無いけど、見てみたくなった

>>177
この作品どんどん好きになってくるな
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 07:38:56.31 ID:H5Nzhnxo0
J「昔からそうだったよ…いつも目の前の現実から目を背けて、気がつけば、取り返しのつかないことになってた」
巴「桜田くん……」
J「僕だって、なにかしようとはしたさ。……けど、だめだった。なにもできなかったんだ」
巴「そんなことない、桜田くんにだってできることが…」
J「気休めはよしてくれよ!こんな僕に、いったいなにができるっていうんだ?」
巴「とりあえずこぼしたカレーふいたらいいんじゃない?」
J「柏葉に僕の気持ちがわかるもんか」
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 08:00:31.13 ID:nU6FEKQfO
>>177
いよいよ次は人形展になるのかな?
そういえば家にいる金糸雀も心配だな…


>>185
カレーといえば白い服に跳ねた時の絶望感は異常
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 08:15:26.43 ID:vtnR7evoO
カレーうどんは染み付きフラグ。
 朝起きたほ
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 08:52:08.64 ID:u5HXzZKSO
ほっ。
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 09:19:52.13 ID:AGFgC5vNO
>>185
ジュンは食べ物に関しても屈折してるなぁw
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 09:46:42.69 ID:6q2s4ggS0
>>165
テンポいいなー。こういうの書けるようになりたい

>>177
人によって見え方が変わるってところが気に入った
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 10:26:24.43 ID:WCn1TsoJO
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 10:58:22.05 ID:WCVwT6cQO
はじめて彼と手を繋いだ時に私の中の乙女は目を覚ましたのだろう。
それは小学一年生の春の日のこと。

お花見遠足というなんだか保育園の延長のような行事で、
少し距離のある桜公園までの道のりを共に歩いた幼いあの日。

私は初めての感覚に戸惑い続けていた。

それまでも男の子の手を握ることくらいは何度かあった。
保育園のお遊戯だったり、同じような遠足の道中のお決まりとして。

だけどその時は違った。
お母さんとも、
お父さんとも、
おじいちゃんやおばあちゃん、
あるいは先生や友達の時とも違う。
特別な感情に私は支配されていた。

『この手を放したくない』

と。
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 11:00:19.13 ID:WCVwT6cQO
>>192

思えばあの日の私はてんでダメダメだった。
公園についてもまったく手を放そうとしない私に、
『放して』と言った彼をポコリと殴って泣かせてしまい。

お弁当の時間になっても繋いだままでいるのをついには先生が叱りはじめても
私はかたくなに手を放さなかった。

「ぼくもこのままでいい」

まったく言うことを聞かない私にさすがの先生もいよいよ手をあげるかというころ。
彼はそう言ってくれた。

おそらく私を守ってくれたんだと思う。
今まで話をしたこともない女の子がずっと手を握っているなんて
…本当は嫌だったに違いないのに。

私はぽろぽろと涙を流して
彼の手をさらに強く握った。


「大丈夫か翠星石?ほら」
差し出された手の平を見つめる。
あの頃と比べると、とっても大きくなった彼の手を。
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 11:02:02.79 ID:WCVwT6cQO
>>193

「豪快にコケたな」

「うっせーです!地面がこんなに凍ってるのが悪いんです!」

笑う彼に頬を膨らせて悪態をつく私。
少し躊躇してから、ゆっくりと彼の手に指を重ねる。
瞬間、私は乙女に変わる。
10年近く経った今でも何も変わってはいないのだろう。
私はふと頭の中で幼い頃の私の声が聞こえた気がしていた。

『この手を放したくない』

その結果、引き上げられるように立ち上がった私が彼の手を放すそぶりはなかった。

「もう転びたくないですから…だから、しばらく繋いどくです…」

手を繋いだ時だけは、いつもより素直になれる気がする。

「ジュンは嫌ですか?」

そしてそんな気がするのはジュンも同じなのかもしれない。

「ぼくもこのままでいい」

ジュンは顔を真っ赤にしながらそう言って、
私の手を強く握ってくれた。
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 11:29:00.32 ID:FpfceaFuO
>>194
素直な翠星石可愛い
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 12:31:53.78 ID:nU6FEKQfO
虫歯になりそうで良いね
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 12:39:04.97 ID:6q2s4ggS0
>>194
さんざ既出のネタなのに心が温まるのは何故だろう
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 12:43:46.90 ID:u5HXzZKSO
翠星石って本当に守備範囲広いよねw
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 13:20:17.01 ID:pudUakx9O
「うゆ…雪、溶けてきてるの…」
「今日はお日様出てるし…、まぁ、仕方無いかしら」
「…ちょっぴり、寂しいの…」
「……?」
「雪って、溶けちゃうと…全部消えちゃうの……」
「…そ、それは……」
「全部お水になって……跡形も無く……」
「………当たり前かしら」
「…うゆ……」
「だって、次に降らせる為に、雪のお姫様が雪を集めてるんだもの」
「…ほぇ?」
「降った雪は、ちゃんと雪のお姫様の元に返すの。昨日作った雪だるまも。返したら、何時かまた、お姫様が降らせてくれるかしら」
「…本当?」
「きっと。…だから……」
「…雪のお姫様凄いの!今度は、いっぱい降らせてくれると良いなぁ♪」
「…まったく、世話の焼ける子かしら…」
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 14:32:07.30 ID:bgQT/YA40
ho
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 14:36:24.06 ID:FpfceaFuO
>>199
これは良い雛金ですね
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 15:38:43.66 ID:Nd9CEEG2O
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 16:24:52.21 ID:INZp2N/90
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 16:37:24.97 ID:INZp2N/90
これで空からきらきーが見守ってるわけですな?
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 17:04:09.03 ID:FpfceaFuO
雪「保守って美味しいのしょうか?」
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 17:33:29.41 ID:0NlDti9n0
500越え保守
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 17:35:38.73 ID:0NlDti9n0
薔薇「お姉ちゃん、保守は食べちゃだめ」
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 18:00:35.09 ID:nU6FEKQfO
>>205>>207のやりとりにフイタw


そして保守
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 18:34:08.69 ID:0NlDti9n0
やば保守
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 18:34:25.97 ID:nU6FEKQfO
保守
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 18:55:35.14 ID:Nd9CEEG2O
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 19:02:29.29 ID:0NlDti9n0
保守
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 19:12:41.18 ID:/3jY0JOr0
>>199
おーう、お姉さんなんだなあ・・・
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 19:32:42.96 ID:u5HXzZKSO
ほっしゅん。
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 19:54:43.74 ID:/3jY0JOr0
>>194
殴っちゃうとこがまたらしくていいw
あまーい
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 20:12:21.22 ID:6qx42h5R0
hosyu
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 20:27:44.39 ID:AGFgC5vNO
>>199
これはいいお姉さん
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 20:56:32.51 ID:H5Nzhnxo0
620か…
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 21:16:49.31 ID:Nd9CEEG2O
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 21:35:16.69 ID:nU6FEKQfO
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 21:39:03.96 ID:INZp2N/90
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 21:42:58.08 ID:/3jY0JOr0
>>185
カレーとか油の塊だもんなあ・・
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 21:57:18.15 ID:tT5HWoXuP
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:08:25.18 ID:nU6FEKQfO
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:16:55.67 ID:YRUj7Pnj0
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:24:19.65 ID:bgQT/YA40
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:36:19.95 ID:nU6FEKQfO
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:38:49.83 ID:+hEwrRQC0
「ジュン・・・話があるのぉ・・・」
「ん?なに?」
「私と・・・付き合って欲しいのよぉ・・・(///)」
「え・・・・・・っと・・・何かの冗談・・・かな?」
「私は本気よぉ・・・」
「えっ・・・じゃ、じゃあ僕こそ・・・宜しく・・・(///)」
「ジュン・・・!大好きぃ!!!」 ガバッ!
「僕も好きだよ・・・水銀燈・・・」 ギュッ・・・
「ジュン・・・・・・(///)」


ジ「水銀燈・・・?一人で何やってんだ?」
銀「えっ!?こ・・・これは・・・」
ジ「一人でブツブツ呟いて空気を抱きしめるようなことして・・・」
銀「ジ・・・ジュンのバカァ!!!!」 バッチーーーン
ジ「????」
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:40:07.29 ID:0NlDti9n0
>>228
これは可愛い銀様ですね
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:54:51.52 ID:pHWLRoZF0
大分ちょっとこいよ
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 22:56:21.43 ID:pHWLRoZF0
勢い少ないの選んだ
次スレたてるなりはまかせた
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:00:05.82 ID:GVFmsCqt0
>>230
よし、かかって来い。
俺はどんな乳でもやれる自信はある!!
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:01:06.17 ID:s2qJqE+w0
前スレが403で見れない…。

234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:01:11.86 ID:5T5ZBZ/80
>>230
>>231
>>232
貴方達が何物かは知りませんがこっちも楽しくやってるんで
勝手にズカズカ乗り込んできてんじゃねぇよカス…なの
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:02:02.88 ID:GVFmsCqt0
>>234
あ、なんかすみませんでした・・・。
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:02:48.53 ID:vtnR7evoO
お騒がせ者が投下させて頂きます。薔薇乙女家族その六之五です。
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薔薇乙女家族 その六之五

 廊下は様々な部屋に繋がっていて、様々な人が行き交っていく。途中に誰かがいれば何となく声をかけたり、窓の向こうに何かがあればそれに気を取られたりするし、人がたむろしていたら何となくそれに加わったりしてみたりする。廊下は部屋と人を結ぶ通路である。

 それは時として、十数年来の同級生との再会の場ともなる。人が何人も行き交う中、偶然出会った一人と一人はお互いの時を感じながらも一つの線で繋がった。しかしその繋がりは、必ずしも感動の再会などというドラマチックなものになるわけではない。
 お互いに時が重ねられたからこそ、より複雑になってしまった心と心。それは皮肉な、女同士の再会だった。

 「…桜田君、パパになったんだね」
 「昔じゃ信じられないでしょぉ?今じゃ立派な七児のパパよぉ」
 「信じられないと言えばあなたも…」
 「…?」
 「あなたが他人と結ばれるというのも…想像できなかった」
 「…ふぅん…ま、そう思われても仕方ないけどぉ」

 昔の水銀燈を知る者だからこその言葉だった。そもそも巴は当時クラス委員長をやっていて、水銀燈は不良集団の中心にいたという過去がある。二人は対極に位置していたのだ。それもあってお互いに関わりのしようがなかった。点と点を繋ぐ線ができなかった。
 その直接の関わりが無くても同じ校舎の人間なのだから、お互いの容姿や性格の大体の把握はできる。それがあったからこそ、二人の間には小さな亀裂が入ったと言える。
 亀裂が入ったのは存在しない線にではなく、二人の立つ地面にである。地面が二つに分かれると線の結び様がなくなる。すなわち、知り合う事なく点と点が離れ離れになってしまうという事である。
 何事も無かったのならばその様になるはずだったのだが、ジュンの存在があった。ジュンという男が水銀燈と巴の皮肉な「出会い」をつくったのだった。
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:04:13.20 ID:QT8iM3aL0
ν速からすっとんで、
シベリアからもすっとんできますた。
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:06:49.15 ID:GVFmsCqt0
>>237
うん、お前もVIP臭い発動だな。
で、どなた?
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:06:49.70 ID:0NlDti9n0
紅「JUNお弁当を作ってきてあげたのだわ」

JUN「大丈夫なのか?」

紅「中国の冷凍食品は使ってないから大丈夫なのだわ」

JUN「いやそう言う意味じゃなくて・・・」

紅「嫌なの?」うるうる

JUN「いや、もちろん嬉しいよ」

紅「ほんと?遺さず食べるのだわ」

JUN「これからが本当の地獄だ」
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:07:41.78 ID:vtnR7evoO
 「…水銀燈」
 「なぁに?」
 「……どうして桜田君の事、好きになったの…?」

 巴の質問に、水銀燈は眉をピクリと動かした。巴は相変わらずこちらをまっすぐ見つめていた。

 「…そうねぇ…こんな事、人には話したくはないけどぉ…」
 一区切り入れて続けた。
 「あなたは…話しておこうかしらね…」

 そうして水銀燈は、巴に場所を変えようと提案し、巴はそれに首を縦に振った。

-----

 …それで…私が何でジュンを好きになったのか…だったわねぇ。

 私はねぇ、昔はいじめられっ子だったのよぉ。幼稚園の頃からずいぶん長い間、毎日いじめられてたわぁ。
 あんなに辛い時はそうそう無いわねぇ…毎日毎日誰かが私を見て笑うのよぉ。昨日とは違う奴が今日いじめに来て、その次の日にはまたこないだの奴が来て…いじめに歯止めが掛かった事なんてなかったわぁ。

 …何よぉ、その驚き様。そんなに意外?

 まぁいいわぁ…でねぇ、私には友達がいなかったのよぉ。周りにはいじめっ子だらけ。私に関わって飛び火を受けるのを嫌がった子達からもいじめられた、先生は頼りなかった、どうしようもなかったわぁ。

 そのうち私に、誕生日に買ってもらった「ぬいぐるみ」という友達ができた。普通幼稚園にそんなの持ってきたら先生に叱られるだろうけど、事情を知っていたからなのか、何も言わなかったわぁ。だからお遊びの時間で一緒に遊ぶ友達はいつもそのぬいぐるみだった。

 だけどねぇ…私のそのぬいぐるみ、壊されちゃったのよぉ。いつも私をいじめる奴らの仕業だったわぁ。悲しかったし、悔しかった…一生忘れないわぁ…。

 …だけどその時に、彼に会ったのよぉ。そう、ジュンよ…。ジュンは、壊れたぬいぐるみを抱いて泣いている私を見るに見かねたのか、声をかけてきたの。私がいじめられる原因になったこの銀髪に赤い眼を見ても彼は私をいじめなかった。嬉しかったけど、まず驚いたわぁ。
 私は毎日誰かからいじめを受けていたから、私に優しくしてくれる子なんていないと頭から信じていたから。だから本当に驚いた。だけどもっと驚いたのは…今思えば笑っちゃうけど、可愛い銀髪の女の子って私を呼んだのよぉ。どこで覚えた口説き文句かしらねぇ。
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:10:49.76 ID:QT8iM3aL0
久しぶりにvipに書き込んだら、ν速では書けなくなるのねwwwww
初めて知ったwwww


さてと約4年ぶりにvipに浸るか・・・。
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:12:29.46 ID:GVFmsCqt0
>>241
おいでませVIPへ。ゆとりとの雑談も一興ですよ^^
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:14:58.26 ID:pHWLRoZF0
>>241
笑えるw
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:16:13.66 ID:/3jY0JOr0
SS投下してる最中なんだから他の落ちそうな糞スレでも使えよ邪魔だ
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:16:55.21 ID:vtnR7evoO
 そしたら彼は、私の抱いていたぬいぐるみを貸してほしいと言ってきた。一体どうするつもりなのかは分からなかったけど、私は何となく、彼は優しそうだと思ってぬいぐるみを渡したのよぉ。
 彼は持ち合わせていたテープで包帯を巻く様にして、ちぎれていた腕を繋げてくれた。開いた傷口にも、テープを絆創膏の様にして貼ってくれたわぁ。まあその結果、ある意味余計痛々しい事になっちゃったんだけどねぇ。だけど嬉しかったわぁ…。

 それでね、彼はこう言ったの。

 「僕が大きくなった時、そのぬいぐるみを綺麗に直せるかも…」

 彼はあまり考えもせずに言ったんでしょうけどね…それって、あなたと私が大きくなる時までずっと一緒って事じゃないのかと思って…ねぇ…。

 …まぁ、そんな事があったのよ。それがきっかけ。

 「……」

 一通り聞いた巴は黙ったままだった。

 「小学校の時は別々になって…それで中学校で再開して…私から告白したのよぉ。それから十何年と続いているの」

 話を締めた。巴は口元に手をやって黙ったっきりになっている。

 「………巴?」
 「!…あ、ごめんなさい…」
 「…少し簡潔ではあるけれど…話は終わりよぉ」
 「…うん、ありがとう…」

246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:19:02.25 ID:pHWLRoZF0
>>244
.       j//      /\ヽ∨//∠ヽ.    \\. \         ________
      _/      ∠≠ニ二ニ≧=<´  ヘ.     ', ヘ\ヽ.      /
 _ -‐ ´/  ,   -‐´、_, '⌒`^  、 \::\ } l     ヽヘ ヽ}     /         _|_ \
   ̄ フ´,  /             丶\::V| |      Vl       ,'             |____
.  //./                   `Vヽl |      ヽ ' .     |         /|    ヽ
  / ,イ/                    Y/,       ヽ.\   |.   l       (_ノ  _ノ
  |/ /       |               ∨ヘ.      ト、 \_ |.   |
.  /     /  /  l:     /  l           ∨i    、   |  ̄   !  l       lヽ│/ /
  l│  /  イ  ,イ.    l  ト、ヽ     / | :l :|   |  l      |   ヽ_ノ   !ー┼‐ |‐┬
  | |   l_メ、」_,;./l     L  l V   ∧ /  :|/   ハ.  ト、   |          |./│ヽ l  |
  | ト.  |.____ ヽ    l´ヽ{ _⊥イ イ /   /    / l/⌒ヽ   .|  ー┼─ └── l  |
  | | ヽ | 、i┘::::i  \  | r┬┬‐┬ァ V  ,∧.   ,'  ´       |   ー┼−
  レ   ヽ!  ゝ- '   \l  i,.┘:::::iノ / ,/〉│ :| {         |    _⊥_     l   |
.      7/l/l/   、     `'ー‐ ' ∠≠r'ノ:jノ :| |         |   (__丿 ヽ    レ  |
     λ    `i`ァー-- 、  /l/l/l ∧‐'.:|:::|  ハ ',        |              l
      `、     レ'    ',     ,/| ::| :|:::| ./ ヽ_>      _|   __|_       _ノ
        ` = 、 '、    ノ  ,.イ∧'|:l.:/l:::|´            \    ._|
              `>-r  =ニi´、.,_`::: |:| { |:::l             |  .(_|
          _,.イ´ヽ.7   /  /:\;八:V:ノ                 |    ノ
       /7:::::!  ○O'´  /::::::::/ヽ.                ',
       /  /:::::::レ'/ムヽ.  /::::::::/   ヽ.              ヽ.
.      /  ,':::::::::::!/ ハ:::::`´:::::::::::;'    ',               ``"''' ー──---
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:20:50.71 ID:vtnR7evoO
 巴が何を思ったのかは分からない。一体何を思っているのだろうか。

 「…ごめんなさい、時間取らせたね…」
 「………」
 「………あ、ごめん…そろそろ戻らないと…」
 「…分かったわぁ」

 巴が私に背中を向けた。その背中は傷を負ったかの様に力無く見える。

 「あ、そうだ…」

 何かを思い出したかの様にこちらを振り返った。私は思わずびくっと身を跳ねらせた。

 「この間、雛苺を自宅近くまで送った日の事だけど…」
 「…?」
 「あの日、彼女は気が付かなかったみたいだけど…変質者に狙われていたみたいなの。私がたまたま彼女に会ったから良かったけれど…」

 「……え…」

 声が出せなかった。

 「最近はこの辺りも危なくなってきたから…本当に気をつけて。だけど学校にいる間は、私が彼女をしっかりと守るから…。」

 私は返事の代わりに軽く頷いた。
 胸が痛む。彼女に知られてはいないか、痛みが顔に出ていないかでまた不安になる。しかし出すわけにはいかないと、私はそれらを噛み殺そうとする。
 巴はやがて、「それじゃ」と言って持ち場に戻って行った。私は結局何も言えずに、立ったまま見送ったのだった。

 白銀の地面が目に痛かった。目に刺さる様だった。

 サングラスを取り出して目元を隠し、そのまま私はしっかりしない足を引きずって学校を後にした。
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:21:13.46 ID:pHWLRoZF0
なにこのスレ気持ち悪い銀ちゃんについて語れよ
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:22:11.76 ID:pHWLRoZF0
                j//      /\ヽ∨//∠ヽ.    \\. \
            _/      ∠≠ニ二ニ≧=<´  ヘ.     ', ヘ\ヽ.
       _ -‐ ´/  ,   -‐´、_, '⌒`^  、 \::\ } l     ヽヘ ヽ}
         ̄ フ´,  /             丶\::V| |      Vl
           //./                   `Vヽl |      ヽ ' .       __
        / ,イ/                    Y/,       ヽ.\     /
        |/ /       |               ∨ヘ.      ト、 \_ /  三
           /     /  /  l:     /  l           ∨i    、   |  ̄ ,'   白
        l│  /  イ  ,イ.    l  ト、ヽ     / | :l :|   |  l     l     眼
        | |   l_メ、」_,;./l     L  l V   ∧ /  :|/   ハ.  ト、  |     は
        | ト.  |.____ ヽ    l´ヽ{ _⊥イ イ /   /    / l/⌒ヽ  .|    い
        | | ヽ | 、i┘::::i  \  | r┬┬‐┬ァ V  ,∧.   ,'  ´      |    い
        レ   ヽ!  ゝ- '   \l  i,.┘:::::iノ / ,/〉│ :| {        |    ぞ
 -──-- 、    7/l/l/   、     `'ー‐ ' ∠≠r'ノ:jノ :| |       ∠.     ぉ
  銀     ヽ  λ    `i`ァー-- 、  /l/l/l ∧‐'.:|:::|  ハ ',        `ヽ
  ち  お  .l     `、     レ'    ',     ,/| ::| :|:::| ./ ヽ_>         ` ' ー-
  ゃ  ま   l.     ` = 、 '、    ノ  ,.イ∧'|:l.:/l:::|´
  ん   え   |         `>-r  =ニi´、.,_`::: |:| { |:::l
  に  ら  ,フ      _,.イ´ヽ.7   /  /:\;八:V:ノ
  な  も  l       /7:::::!  ○O'´  /::::::::/ヽ.
  れ     |.     /  /:::::::レ'/ムヽ.  /::::::::/   ヽ.
.  ! !     l    /  ,':::::::::::!/ ハ:::::`´:::::::::::;'    ',
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:23:56.43 ID:pHWLRoZF0
銀ちゃんと電話でお話しました。
「銀ちゃんはどんな男の人が好きなの?」って聞いたんです。
そしたら「視野の大きい人が好き」って言ってました。
僕も視野の大きな男になって銀ちゃんに好かれていっぱいチュチュしたいです。
銀ちゃんに「視野大きくするからいっぱいいっぱいチューチューしていい?銀ちゃん、いい?」
って聞いたんです。
そしたら「もう、(*´ε`*)ちゅきちゅきたん、知らない!」って電話切りました。
銀ちゃんは照れてます。
きゃわみゅにゅいドキドキハートのピコピコ女神です銀ちゃんは。
あああああああ銀ちゅき銀ちゅき銀ちゅきちゅきちゅきたん・・・
チューしてチューしまくりたい銀ちゅきたん(*´ε`*)キッチュキッチュ・・・ミュミュミュ
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:28:33.03 ID:vtnR7evoO
-----

 「ただいま」
 「おかえりなさ〜い」

 帰宅すると、すでに帰宅していた雛苺とその姉妹達が私を待っていた。ああ、考えてみればもう夕飯の時間か。

 「ごめんなさいねぇ、お腹すいたでしょう?」
 「お腹すいたの〜…」
 「ぺこぺこ…」
 「お腹と背中が…くっつきそ…」

 雛苺と薔薇水晶、雪華綺晶の幼子三姉妹が口々に急かしてくる。

 「あ、おかえり」
 「…ただいまぁ」

 今日の出来事の渦中になってしまった彼…私の愛する夫が、奥から姿を見せた。

 「子供達の事、ありがとうねぇ」
 「ん、どういたしまして」

 私はあらかじめ、自分は今日学校に行くので薔薇水晶と雪華綺晶の迎えをジュンに任せてあったが、どうやらおまけに空腹を訴える娘達におやつを用意して場を保たせようとしてくれていたみたいだ。

 その件についても彼に礼を言った私は、娘達に急かされながら台所に立ったのだった。
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:31:01.89 ID:vtnR7evoO
-----

 夕食の時間を終えた私とジュンは、リビングでくつろぐ娘達から隠れる様に(私がそう促したのだが)部屋に入った。彼は私に何だ、どうした、といった顔をしながらも何も言わなかった。そのまま部屋のドアに鍵掛けて、ベッドに腰を落とす。
 私は彼の瞳を見つめて言った。

 「あなたは…巴の事、好きだったの?」

 彼はその名を聞いた時、眼の色を変えた。何をいきなり、と言いたげな様子だったがそれを口にはしなかった。

 「…いきなりごめんなさいねぇ…だけどお願い、答えて…」

 彼は喉を鳴らした。しばらく黙った後に唇を動かした。

 「彼女は…かけがえのない友人だった。それに違いは無いが…彼女を異性と意識して接した事は無かったと思う」
 それに付け加えて、「…だが正直、今となっては…よく分からないけどな…」と言った。予想通りの答えだった。

 「…だけど…何でだ?」
 「…え?」

 私は間抜けな声を出してしまった。そうだった、彼には私が巴と会った事を知るわけがないのだ。それどころか、巴が雛苺の通う学校にいる事自体、知られない様に仕向けたのは自分だったではないか。

 「…いえ…ちょっと…昔を思い出してねぇ…。ほら、金糸雀の時の一件もあったし…」

253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:35:30.14 ID:vtnR7evoO
 私は頭に浮かんでいった一語一語を慌てて焼き繋げた。彼は訝しげな眼を向けたまま「…そうか」とだけ言った。

 またごまかしてしまった。また彼に隠し事をしてしまった。私は頭の中がぐるぐる回る様な感覚を覚えて、たまらなくなった。どうしようどうしようと罪の意識に苛まれる。
 そしたら、彼が私をじっと見つめてきた。何だか追い詰められる様に感じた。
 …しかし考えてみれば、彼は巴とのしこりで悩み込んでいるのは事実。だから巴の事を表に出すのは彼を苛ませる事になると私は考えていたが、それは所詮言い訳に過ぎなかった。彼は巴が今どうしているのか、今も元気でいるのかどうかを非常に気にしているのも確かなのだ。
 本当に彼の事を思うなら…伝えるべきなのであろうか…。

 …………。

 「ジュン…あのね…」
 「…ん?」
 「巴…なんだけど…」
 「………??」
 「実は…」
巴は雛苺の通う学校にいる。
それを伝えると、彼は一瞬目を見開いたが、予想した程の反応は見せなかった。ただ、そうか、そうかと静かに口にして頷いている。本当におとなしいものだった。

「彼女は…元気だったか?」
「…ええ、元気そうだったわぁ…」
「…そうか」

彼はまた、腕を組んで何回も頷いた。

「元気だった…か。良かった…本当に良かった…」

彼は少しだけだが…泣いているみたいだった。

-----

254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:42:01.94 ID:vtnR7evoO
 お腹の中に重りを架せられたみたいに重苦しい。

 私は何も言えなかった。

 思い知らされたのだ。

 私は彼を好きだったが、私は彼の隣にいてはいけないのだという事を。

 私は彼と彼女の間に入ってはならないのだ。

 女として、ここは引かなければならない。

 女として、見苦しい真似をするわけにはいかない。

 女として、恋の為に「己」を捨てるわけにはいかないのだ。

 私は教師だ。教師は学校において母であり、父である。数多くの子供達を守る「親」…その役に担うこの私が、私情に振り回されるなんてあってはならぬ事だ。
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:43:22.04 ID:vtnR7evoO
 …そのはずなのに、やはり目頭が熱くなるのは…吹っ切れないという事なのだろうか…。

 だが…この学校には彼と彼女の子供がいる。

 私はその子を…彼女を…守っていかなければ。

 愛する彼の愛しい子供…。

 何があっても守り抜いていこう。

 それが…彼への愛だと信じて。
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:45:44.48 ID:vtnR7evoO
薔薇乙女家族、投下完了。
何だか重たくて全然画面が更新しなかったりなんなりでえらい疲れた…。

あああ…文頭にスペース入れ忘れがあった…もうグダグダ…。
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:47:02.49 ID:INZp2N/90
otukarei
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:47:39.83 ID:u5HXzZKSO
乙です!
此方も何やら重たい感じでしたよ?
それにしても、巴が…未だ何か有るみたいだけど…
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:50:27.03 ID:bgQT/YA40
乙華麗
面白かったです
思ったほど修羅場にならなかったね
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:52:13.68 ID:nU6FEKQfO
>>256
色々大変乙!
巴が自制できそうな雰囲気だから泥沼化はなさそうでよかった。
修羅場は嫌いじゃないが、幸せからの修羅場展開は見てて辛い…
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/04(月) 23:52:21.26 ID:jgXAU4bJO
乙です。
誰も彼もが優しすぎて、救われないなぁ…。
ズルい人がいたらよかったのに…。
これからも楽しみです。
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 00:13:24.00 ID:uYVJbtkTO
保守
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 00:32:29.72 ID:uYVJbtkTO
保守
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 00:40:40.92 ID:cVw6YrEB0
>>256
トモエもつらいよなあ・・・
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 00:56:07.58 ID:sbewgU8H0
楽しい保守を致す…2
「ゲーム屋さん………宝の山………あれもそれも手を伸ばせば届く距離………っ」
「友人に前科持ちが出来るとは。僕は悲しい」
「悲しんでないで、止めるのかしら。――そもそも、ディスクは入ってないんじゃ」
「金糸雀、夢のない事、言っちゃヤ………。どれにしようかな、どれがいいかな」
「どういうのが面白いのかしら。あんまり、ゲームはしないからわからないわ」
「あんまりって事は、知ってるのもあるのか?」
「んー………そうね、是とかアレとか」
「是………格闘ゲームは、ばらしーと一緒にやったの。楽しい」
「アレ………って、おぃ、アレって女の子が出てくる――ギャルゲーじゃないのか?」
「ええ、家にあったから」
「………草笛先生、せめて乙女ゲーを選んでください………」
「それはそれでどうかと思う………。あ………それ………」
「ん?あぁ、ちょっと前に出たシリーズ物だな。えらい酷評されてたけど」
「うー………ばらしーも、前作の方が好き………」
「あら?薔薇水晶、そのゲーム持ってたのかしら?」
「うぅん………持ってない。でも、皆、あんまり面白くないって………」
「僕もそう聞いているな。タイトルだけ一緒で、中身は全然違うとか」
「うん、そう。あの雰囲気が良かったのに、全然違うなら、いらない」
「………?? 雰囲気が違うから、面白くないの?」
「んと、ゲームとしてはわかんないけど、なんとなく………」
「だとしたら、ちょっと勿体ない気もするのかしら」
「まぁ………食わず嫌いだわな。ひょっとしたら面白いって可能性もあるんだし」
「ぅー………?ぅー………。そんなに高くないし、其処まで言うなら買ってあげる」
「え、あ、別に非難している訳じゃないのかしら!?」
「いや、単に翠星石の真似したんだろ。言い方が平坦だからわからないけど」

「ぅー………金糸雀ぁ、この前のゲーム………責任、取って」
「駄目だったのかしら?」
「うぅん………逆。寝れない………次の授業のノート、お願いぃ………zzz」
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 01:24:32.15 ID:cVw6YrEB0
ノートとってくれる友人がいるってのは幸せだぜほ
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 01:28:53.20 ID:uYVJbtkTO
ラプラス「雪華お嬢様、少し宜しいでしょうか?」
雪華綺晶「どうしたのラプラス?」
ラ「実は…薔薇水晶お嬢様がここ暫く御友人の所にお泊まりされているのですが、どなたの所が御存知でしょうか?」
雪「う〜ん。ちょっとわからないですわ。あ、そうそう、今水銀燈お姉様が来てますからね」
ラ「これは申し訳ありません。ではお茶請けなどを御用意させて頂きます」


雪「あら、お姉様どうかなさいました?」
水銀燈「どうかって…あそこの人体骨格標本がなんか気味悪いのよぉ…」
雪「そうでしょうか?私はとても気に入っていますわ。もう少し数を増やすつもりですし」
銀「ま、貴女の趣味に文句はつけないわぁ。このクッキー貰うわよぉ?」サクサク
雪「味はいかかでしょう?」
銀「なかなか美味しいわねぇ。もう少し貰…う…zzZ」パタリ


ラ「(コンコン)お嬢様方、お茶請けを持って参りました」
雪「(ガチャリ)ラプラス遅いですわ。お姉様は先程帰られましたのよ?」
ラ「そ、それは申し訳ありません!」
雪「まあ、良いです。お茶だけ頂きますわ。それと暫くお昼寝しますから」
ラ「はい、ではごゆっくり。失礼致します」ガチャリ



雪「…ええ。ゆっくりと頂きますわ」ペロリ
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 01:36:34.22 ID:qHqvvUfo0
>>267
まさか・・・まさか・・・
ばらしーと銀様・・・・・・
たべ・・・・・・・・・(´;ω;`)
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 01:50:29.95 ID:cVw6YrEB0
ペロリて・・・・ぎゃああ
ばらしーもか・・・
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 02:38:26.85 ID:EQVjklclO
銀様…
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 02:51:37.56 ID:cVw6YrEB0
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 03:40:41.05 ID:dLq+IHeiP
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 04:57:17.43 ID:uRNmAi+I0
気が付いたらこんな時間保守
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 05:35:55.05 ID:JdZyV9p3O
保守
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 06:29:01.28 ID:JdZyV9p3O
保守
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 06:29:46.19 ID:LKkQndDF0
まだこんなスレ残ってたのか
懐かしい
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 07:13:13.56 ID:JdZyV9p3O
保守
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 08:00:39.95 ID:Q5Ux3Hpu0
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 08:42:02.09 ID:xQkU8a5kO
保守
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 09:32:40.23 ID:JdZyV9p3O
保守
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 10:12:41.38 ID:8zFm/8RX0
雛「ねーねーみっちゃん、あのへたれどもが一線を越えてにゃんにゃんするにはどうしたらいいと思う?」
み「ジュンジュンと巴ちゃんのことね。それにしても、あなた本当に顔と発言内容が合わないわねぇ」
雛「ロリするのもたいへんなのよ。で、大人のみっちゃんの意見をききたいんだけど…」
み「お、大人……いいこといってくれるじゃない!よーし、みっちゃん張り切っちゃうぞー!」

巴「あら、雛苺」
雛「突然だけれど、トモエは今夢を見ているのよ」
巴「え?」
雛「これはね……実は夢なの!」
巴「もう、なに考えてるの雛苺?夢なわけないじゃない」
雛「夢だっつってんだろつべこべ言うなクソがなの」
巴「!?」
雛「なに呆けてんだついに頭もぼけたかこの色ボケストーカー女がなの」
巴「ひ、雛苺……?ハッ、そ、そっか、これは夢ね、夢なのね!」
雛「うーい、わかってもらえてうれしいのよ!」
J「お前ら、いったいなにはなしてるんだ?」
巴「あ、桜田くん」
雛「夢と決まれば怖いものなし、普段できないことをやるといいのよ〜」
巴「普段できないこと?」
雛「そうなの、思い切って抱きついたり、キスしたり、それからそれから…やーっ、もう、恥ずかしいのぉ…」
巴「普段……できないこと……」
雛「ドキドキ」 J「?」
巴「ハァッ!!バキッ」 J「グボォ!?」 雛「!?」
巴「いつもいつも私ばっかり!そっちからアプローチがあってもいいじゃない!バカ、バカ、バーカ!!」ドカバキドカ
J「ちょ……いた、やめ、いったいなにが起きて……(゚Д゚)ウボァー」

雛「ジトー……」
み「は…はは……。……愛は…時に激しいのよ!」
雛「うまいこといったつもりか」
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 11:12:04.01 ID:m3+0hhMAO
>>281
やはり色っぽい展開にはならないのか
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 12:01:05.88 ID:JdZyV9p3O
保守
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 12:36:15.13 ID:mYv0XDKE0
>>267
これは・・・(´;ω;`)ウウッ
ためしにググってみたら骨格標本って値段高ぇのな
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/05(火) 13:49:44.46 ID:JdZyV9p3O
保守
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
r‐ _> '´: : : : : : : :\: :ヽ__/_ノ:_:_:_:_:_:_:_:_:_ノ_,イ
 ( f´: : : : : : : : : : : :__ノ_工_不ユ辷ン、__)て_フ ̄\
  (_}: : : : _  -r≦_入ノ‐(⌒)ノ^ゝ┘ヽ,\ 下卞、[_ ̄
  (イ‐ハ__ノ`ー'>_T升  l i{   ヽ.  ヽ \ ヽ }  \
 く h{: : __,:ィ´r勹'  |    |   i   l   ヽ ヽ  冫        「ヒナがいなくなっても…>>1のそばに、みんな、いるから…
  `下不ンフ_√ |   |    |   | ,. -+- 、 ',  l \{
.    j_:_:イ゙厂 !  、  ヽ_,⊥|i|   ! | _⊥_ハ ハ リ__})
   /レ^ 「|!  ヽ/ \_,.|从   ハ イテ'卞仆jイ `ー、
 / |   | ゙, ヽ × \x=ミ、 `´  ' {ゞィリ '|__,ン千´ ̄`ヽ
/   l|  ハ ヽ \_>〃{k_r1      `−´仁二亅_,二二}
ー=ミL.___≧ト、ート ヽ ゞン     '     ゙ハ三{_∠_ ̄
  \`Y二ニ=-Y´  ̄`Y    r   ̄}   .イ 厶イく_フノ
    ノ イ   ___ゝZ__,ラ、    ヽ __ ノ ∠,ノ┴‐┴<
     ゝ二三三ニハ=-=ァ≧ー ┬ --,イ: : | : : : : : : : : \
      └─=ァ冫`乙(⌒´^f廴/,ニニ.ヽ: : : : : : : : : :`ー 、
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